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1999-08-02 第145回国会 参議院 行政監視委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月二日(月曜日)    午前十一時開会     ─────────────    委員異動  八月二日     辞任         補欠選任      小泉 親司君     井上 美代君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         続  訓弘君     理 事                 大島 慶久君                 塩崎 恭久君                 田村 公平君                 千葉 景子君                 渡辺 秀央君                 田名部匡省君     委 員                 阿南 一成君                 海老原義彦君                 加藤 紀文君                 木村  仁君                 坂野 重信君                 馳   浩君                 山内 俊夫君                 脇  雅史君                 小川 敏夫君                 小宮山洋子君                 輿石  東君                 櫻井  充君                 長谷川 清君                 堀  利和君                 大森 礼子君                 松 あきら君                 井上 美代君                 岩佐 恵美君                 富樫 練三君                 梶原 敬義君                 高橋 令則君                 石井 一二君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君         ─────        会計検査院長   疋田 周朗君         ─────    政府委員        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        厚生省年金局長  矢野 朝水君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関  する調査  (政府開発援助に関する決議の件)  (年金福祉事業団概要に関する件)  (特殊法人財務内容に関する調査結果に関す  る件)     ─────────────
  2. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、小泉親司君が委員を辞任され、その補欠として井上美代君が選任されました。     ─────────────
  3. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  大島君から発言を求められておりますので、これを許します。大島君。
  4. 大島慶久

    大島慶久君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合各派共同提案による政府開発援助に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     政府開発援助に関する決議(案)   我が国国際貢献外交政策の柱である政府開発援助ODA)は、開発途上国発展を促すことによって、国際社会の安定と平和に重要な役割を果たしてきた。また、世界では今なお多数の人々が飢餓と貧困に苦しむ一方、環境、人口、エイズ、麻薬等地球規模課題が山積する状況にかんがみると、ODAを通じてこれらの課題に積極的に取り組むことは、先進国の一員としての責務と思われる。   しかしながら、世界的に「援助疲れ」とも言われる状況が続いている中で、我が国においても、最近の総理府の世論調査によれば、長引く景気低迷、厳しい財政事情、さらに、ODAに対する不透明感効果への疑問を反映して、国民支持率が年々低下しており、我が国ODAは、厳しい状況に置かれている。   行政監視委員会では、このような現状にかんがみ、ODA在り方について、関係省庁への質疑、有識者からの意見聴取ODA関係者との懇談、委員間の自由討議などを通じ、集中的に調査を行ってきた。   その結果、ODAの理念及び目的を明らかにするとともに、国民監視の下で援助が行われるよう、情報公開評価制度などを盛り込んだODA基本法を制定すべきであること、本委員会としても、自ら現地調査を行い、結果を今後の援助に反映させるなど、ODA在り方についてなお一層監視強化する必要があること、また、ODAについては、政府において一定改善努力が見られるものの、なお取り組むべき問題があることで意見一致をみた。   政府は、二十一世紀に向けて、我が国ODAが国の内外から理解と信頼を得るとともに、透明性確保しつつ、より一層効果的、効率的かつ適正な援助が実現するよう、本委員会結論を尊重し、次の事項について速やかに実施すべきである。  一、被援助国実情に即した国別援助計画の作成について    援助効果的、効率的かつ重点的に行うとともに、統一的な運用確保するため、他の援助国及び国際機関計画も勘案しつつ、外務省がイニシアティヴをとって、被援助国実情に即した国別援助計画を作成すること。その際、民間企業NGOなど現地事情に精通している人材活用するとともに、現地住民の声を計画に十分反映させること。    なお、軍事支出の多い国に対するODAは、軍事費の肩代わりにならないようにすること。  二、事業重点化事業間の連携強化について    援助を一層効果あるものにするため、事業は重点的に実施するとともに、重点化に当たっては、インフラ整備などハード面援助に比べソフト面での援助が不十分であることから、今後はソフト面援助充実すること。また、他の関連事業の遅れ、資機材・技術者の不足、運営保守管理体制不備等により、期待した効果を上げていない例も見られることから、外務省が中心となり、各援助事業間の連携を一層強化すること。  三、評価制度充実について    ODA成果を的確に把握し、その後の援助に反映させるため、評価については、第三者評価拡大など更なる充実を図るとともに、より効果的な評価手法及び基準の確立に努めること。    また、会計検査院及び総務庁においても、第三者的立場から、ODAに関する検査及び調査強化すること。  四、情報公開広報の積極的な推進について    ODAを円滑に推進するためには、国民理解支持を得ることが極めて重要であることから、援助に関するあらゆるプロセスの情報を公開するとともに、積極的な広報活動に努めること。その際、ODA関係資料を一元的に管理・公開する仕組みの導入や、国民に分かりやすい広報推進に努めること。  五、NGOとの一層の連携について    NGOには、現地事情に精通し、住民との円滑な人間関係を有している人材も少なくないことから、政府は、今後、事業の企画から実施及び評価に至るあらゆる段階においてNGO連携した援助方法拡大すること。また、我が国NGOが今後発展していくための環境整備の方策も、併せて充実すること。  六、環境問題への取組の強化について    地球規模環境問題が深刻化していることから、環境保全のための援助を一層充実するとともに、環境分野人材を十分確保すること。また、我が国援助によるインフラ整備に伴って環境破壊が生ずることのないよう、環境アセスメント徹底し、自然環境に与える影響を十分調査すること。  七、被援助国人材育成に関する援助の拡充について    自立ある発展を促すためには、被援助国人材育成が極めて重要なことから、留学生・研修生受入制度を拡充するとともに、被援助国国民全体の教育レベル向上に貢献するため、初等・中等教育に対する援助強化すること。  八、開発援助専門家確保について    被援助国からの多様なニーズにこたえるため、開発援助専門家を幅広く確保することが求められていることから、政府はこれらの人材の発掘、養成及び確保のための制度を更に強化すること。    また、海外派遣円滑化ODA経験者の更なる活用を図る見地から、帰国後の再就職対策、再教育システムを含む国内における支援体制充実すること。  九、ODA不正防止について    政府は、インドネシアのリベート疑惑に関する本委員会の指摘により、OECF調達ガイドライン改訂による制裁措置追加等改善措置を講ずることとしたが、ODAをめぐる不正を防止し、国民不信感を払拭するため、今後もODAに関する不正防止のための法令、調達ガイドライン等整備及び監視に努めるとともに、あらゆる機会を通じて援助実施機関関係民間業者などに対し、その趣旨徹底を図ること。また、被援助国に対しても、事業実施透明性を高めるなど、更に不正防止徹底を求めること。  十、重債務貧困国に対する債務救済について    重債務貧困国に対する債務救済に当たっては、その財源国民の負担によって賄われることにかんがみ、我が国債務救済に至った事情国民に対して十分説明し、理解協力が得られるよう引き続き努力すること。また、債務救済がモラル・ハザードを引き起こすことのないよう、対象国に対し、引き続き自助努力を促すとともに、これまで以上に資金の使途の監視を強めること。    さらに、重債務貧困国に対する今後の援助に当たっては、被援助国実情に即した適切な検討を加え、援助在り方について早急に結論を得ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  5. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) ただいまの大島君提出の決議案の採決を行います。  本決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  6. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 全会一致と認めます。よって、本決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、高村外務大臣及び太田総務庁長官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。高村外務大臣
  7. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ただいまの御決議に対しまして、所信を申し述べます。  政府開発援助は、我が国国際貢献の重要な柱であり、我が国外交を支える大切な手段の一つであります。また、ODAを通じて開発途上国経済社会発展地球規模問題となっている諸課題に向け協力していくことは我が国責務でもあると考えております。  今般、本院の行政監視委員会ODAについて決議を採択されたことは、まさにこのようなODAの意義を踏まえた上でのものであり、今後国際社会において我が国としてふさわしい役割を果たしていく上で、ODAに課せられた課題についてさまざまな角度から御審議され、御意見を集約された結果であると承知しており、重く受けとめるべきものと考えております。  ODAのあり方につきましては、政府としても、経験から教訓を酌み取り、反省すべきはその反省に立って、その効果的、効率的な実施に向け不断の努力を払ってまいりました。一定成果は上がってきていると考えますが、一方、これは困難を伴うものであり、今後とも絶えず改善努力が必要であると考えております。  援助重点分野課題明確化援助専門家育成NGOとの連携強化等まだまだ工夫すべき点も多々あるものと考えております。また、ODA国民の貴重な税金を主たる財源としていることを踏まえ、国民の幅広い支持理解を得つつ、これを実施していく上での努力もなお強化する必要があります。  このような観点から、政府は現在、ODA基本的方向性重点分野課題等を明確にした中期政策を鋭意取りまとめているところであり、また国別援助計画を順次策定してまいる予定であります。  政府は、今後中期政策国別援助計画等に沿って、関係省庁の持つ専門性現地事情に明るい我が国民間のノウハウ、経験を生かし、NGO等と適切な連携を図りつつODA実施を進め、また質の向上にも努めていく考えであります。  政府といたしましては、ただいま採択されました御決議趣旨を体し、ODAの効率的かつ効果的な実施確保に向け、またODA改革につき引き続き最大限の努力を払ってまいる所存でございます。
  8. 続訓弘

  9. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) ただいまの御決議につきまして、所信を申し上げます。  総務庁においては、政府開発援助に関し、昭和六十三年及び平成七年に無償資金協力及び技術協力について、また平成元年及び平成九年に有償資金協力について行政監察結果に基づく勧告を行っております。  これらの勧告においては、国別援助計画策定推進国別援助方針策定対象国拡大などによる援助計画的、総合的な実施援助事業間の連携強化やアフターケアの充実などによる援助事業効果的実施受注企業名援助条件の公表などによる援助透明性公正性確保などについて改善措置を講ずることを求めております。  これらの勧告に対し、外務省等関係省庁においてはそれぞれ改善措置が講じられているところであります。  しかしながら、我が国政府開発援助については、関係機関が多岐にわたり、多額の国費を投入している政府の重要な政策であり、その成果の的確な評価が重要でありますので、総務庁としては、今後の政策評価等実施に当たり、重点的な課題として取り組んでいく所存であります。
  10. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 速記をとめてください。    〔速記中止
  11. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  12. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) この際、年金福祉事業団概要及び特殊法人財務内容に関する調査結果について、厚生省及び総務庁からそれぞれ説明を聴取することといたします。  それでは、まず厚生省から説明を聴取いたします。矢野厚生省年金局長
  13. 矢野朝水

    政府委員矢野朝水君) 年金局長でございます。年金福祉事業団概要について御説明申し上げたいと存じます。  まず、資料の確認でございます。四点ほどございまして、一つは「年金福祉事業団概要」、こういうものでございます。二つ目が「平成年度資金運用事業状況概要)」という横長のものでございます。それから三つ目が「平成年度資金運用事業状況」ということで、少し厚目のものでございます。最後が平成年度の「事業年報」、緑色のものでございます。  本日は、一つ目の「年金福祉事業団概要」、それから二つ目の「平成年度資金運用事業状況概要)」を使って御説明させていただきたいと思います。  まず、「年金福祉事業団概要」でございます。  年金福祉事業団につきましては、三つの大きな事業実施しているわけでございます。一つは、大蔵省の資金運用部から借入金を借りまして、それをもとに資金運用します資金運用事業二つ目が被保険者等に対しまして住宅購入資金貸し付けたり年金受給権担保生業資金貸し付けたりする融資事業三つ目が大規模年金保養基地、これはグリーンピアと称しておりますけれども、この管理運営を行う施設事業、この三つ事業実施いたしております。  それから、本日の資料には含まれておりませんけれども、今の国会年金制度改正法案を実は提出いたしておるわけでございます。その中におきまして財政投融資制度の抜本的な改革、これは平成十三年度実施見込みでございますけれども、これに合わせまして年金福祉事業団を解散する、そして年金積立金自主運用を行うために年金資金運用基金を設立する、こういったことを一つ考えております。  それから、年金福祉事業団がこれまで行ってきました事業のうち、住宅融資事業などにつきましては年金資金運用基金承継をする、そして別に法律で定める日まで実施をする、また年金担保資金貸付事業などにつきましては社会福祉・医療事業団承継をする、こういうことを予定しております。  それから、グリーンピアにつきましては、全国十三カ所の施設の置かれた状況を踏まえまして、雇用や地域の状況を配慮しつつ撤退をする、こういうことを法律の中でも盛り込んでおるわけでございます。  そこで、まず各事業についての説明でございますけれども、最初の「年金福祉事業団概要」、これに沿って御説明申し上げたいと思います。  この一枚目でございます。ここにございますように、年金福祉事業団におきましては昭和六十一年度から資金運用事業実施しております。具体的に申し上げますと、年金積立金、これは現在、平成年度末で約百四十兆円ほどございますけれども、この年金積立金は全額を資金運用部に預託をする、こういったことになっておるわけでございます。  年金福祉事業団におきましては、資金運用部から、これは平成年度末でございますけれども、約二十六兆円の資金を借り入れまして、これを民間金融機関に委託して運用しております。その中で一部は自家運用実施しているということでございます。  平成年度運用実績につきましては、先週公表したところでございますけれども、横長二つ目資料、「平成年度資金運用事業状況概要)」に基づきまして御説明申し上げたいと思います。  まず、この横長資料の二枚目でございます。ここに平成年度運用環境ということでまとめてございますけれども、平成年度運用環境というのは非常に厳しゅうございまして、年度後半に金利が上昇をした、その結果債券価格の下落を招いたわけでございます。それから、国内株式低迷年度後半の急激な円高といった状況がございまして、非常に厳しい状況であったわけでございます。  続きまして、その運用結果でございますけれども、これは同じ資料の四ページをごらんいただきたいと思います。この一番上の括弧にございますように、平成年度運用実績、これは総合収益が六千三百八十五億円、総合収益率は二・七一%ということになっております。  一方、資金運用部からの借入金利というのは長期固定でございまして、七年ないし十年の長期固定金利で借り入れているわけでございまして、高金利時に借り入れた資金がまだ残っております。そういうことで借入金利息は一兆三百三十四億円、率にしますと借入金利は四・三九%ということになっております。  そういうことで、運用面だけとらえてみますと、市場全体あるいは信託銀行等他年金資金運用機関と比べましても遜色のない運用成績を上げているわけでございますけれども、総合収益率借入金利を下回ったということで結果といたしまして平成年度は三千九百四十九億円の赤字が生じておる、利差損が生じておるということでございます。累積利差損も、一番右下の点線の括弧にございますように、一・二兆円ということになっております。  なお、運用成績というのは市場の動きに左右されるわけでございまして、ちなみに本年六月末におきます事業団収益状況を見ますと、国内株価回復等によりまして相当程度改善されておるところでございます。  それから、この資料にはございませんけれども、年金積立金自主運用につきましては、今回法律改正案国会に提出いたしておりますけれども、その中で年金資金運用基金を設立することになっておるわけでございます。それがこの事業団資金運用事業承継資金運用部への償還を行うこととなっておりまして、長期運用が可能な年金資金の特性を踏まえまして累積欠損を解消してまいりたいと思っております。  なお、今回法律改正で予定いたしております自主運用事業につきましては、年金特別会計から直接年金資金運用基金資金が供給される、こういう仕組みになるわけでございまして、現在のように一度預けた金を借りてきて利払いをしながら運用する、こういう仕組みは解消することにしております。そういうことで、現行制度の制約が改善されることから、より効率的な運用が可能になるものと考えておるわけでございます。  それから、これも資料にございませんけれども、デリバティブズ活用あるいはヘッジファンド投資しているんじゃないか、こういう懸念もあるわけでございます。  まず、デリバティブズ関係でございますけれども、年金福祉事業団運用につきましては現物資産への投資基本でございます。デリバティブズにつきましては、リスクヘッジ等目的として債券先物為替先物等を限定的に利用しておるということでございます。こうしたデリバティブズにつきましては、厳格な運用ルール策定することによりまして投機的な取引を回避し、健全な運用を行っているところでございます。  例えば、民間運用機関に対しましては、現物資産価格変動リスクをヘッジすること等を目的とする、それからまた現物資産総額を超えない範囲内でのみデリバティブズを利用する、こういった指示をいたして、これにのっとって運用しておるところでございます。  それから、ヘッジファンド関連でございますけれども、年金福祉事業団長期的観点に立って政策的資産構成割合を定めまして、それに基づいた運用管理を行っておりまして、委託先民間運用機関におきましてもヘッジファンドに対する投資は認めておらないわけでございます。  それから、その他の事業でございますけれども、一番最初の「年金福祉事業団概要」、この資料に戻っていただきたいと思います。  この二枚目でございます。年金福祉事業団は各種の融資事業を行っておるわけでございます。その一つが被保険者住宅資金貸付でございまして、これはいわゆる年金住宅融資でございます。厚生年金または国民年金の被保険者住宅の新築、増改築購入、こういった場合に資金融資する事業でございます。  貸し付けにつきましては、ここにございますように、被保険者期間に応じまして、厚生年金では八百二十万ないし千八百二十万円を限度貸し付けております。国民年金では四百三十万ないし六百六十万円を限度といたしております。一般住宅の三十五年償還のタイプでは現在三・三三%の固定金利による貸し付けを行っているわけでございます。  この貸付金利用者は、平均的に見ますと四千万円程度の住宅を取得するために融資を受けているわけでございまして、二千万円弱を住宅金融公庫等から借り入れまして一千万円弱を年金福祉事業団年金住宅融資調達をする、残りの一千万強を民間融資自己資金によって調達をする、これが平均的な姿でございます。  十年度までの事業実績でございますけれども、この真ん中より下にございますように、約四百万件、総額約二十五兆円の融資を行ってきております。十年度は九万件、約八千五百億円を融資したところでございます。  それから、二つ目貸付事業といたしまして、次のページでございますけれども、福祉施設設置整備資金貸付制度がございます。この事業は被保険者等福祉向上のために病院、老人ホーム、社宅、体育館、保養所などの施設設置に必要な資金事業主等融資するものでございます。  貸し付け条件は、施設の種類、事業主規模によって異なるわけでございますけれども、二・〇%から三・三三%の利率で三十五年償還となっております。  昭和四十年代半ばには年間三千件以上の貸付実績があったわけでございますけれども、社会経済状況の変化に伴いまして年々減少いたしまして、十年度は二十四件、二百億円弱の融資実績となっております。  それから、次のページでございますけれども、三つ目貸付事業として年金担保資金貸付事業を行っております。これは、本来年金の受給権は担保に供することができないわけでございますけれども、年金受給者が安心して資金を借り入れることができるように設けられた制度でございます。  年金受給額の一・五倍、二百五十万円を限度といたしまして、財投金利と同じ二・〇%で貸し付けを行っております。件数、金額ともここ数年伸びてきておりまして、十年度は十三万件、約一千七百億円を貸し付けたところでございます。  それから、次のページでございますけれども、四つ目の事業として年金教育資金貸付あっせん事業でございます。これは、被保険者に対しまして、子弟の教育費あるいは国民年金保険料負担のための資金につきまして国民金融公庫等の教育資金貸し付けのあっせんを行うものでございます。  貸し付けは、学生一人当たり、厚生年金では百万円、国民年金では五十万円を限度にいたしまして、長期プライムレート等を考慮した金利二・三〇%で行っております。  平成六年の事業創設以来、累計では四万六千件、約四百億円の貸し付けが行われておるところでございます。  それから、次のページでございまして、大規模年金保養基地グリーンピアでございます。これは年金受給者、被保険者等の余暇活動を推進することを目的とした宿泊施設、スポーツ施設、文化施設等の複合施設でございまして、年金福祉事業団が全国十三カ所に設置をいたしまして、その運営につきましては県あるいは財団法人年金保養協会に委託して運営を行っているものでございます。一基地当たり百万坪の敷地を有しまして、自然豊かな施設となっております。  毎年二百万人以上の方が利用されておりまして、昭和五十五年の開業以来、利用者は累計約三千五百万人に上っております。  運営の収支状況でございますけれども、これは最後のページを見ていただきたいと思いますけれども、十年度の収支状況は、経済不況等の影響もございまして利用者が減少しておりまして、全施設で見ますと収支差は、一番下の欄にございますように、三億五千万円の赤字になっております。十年度の決算が非常に悪かったということで、累計で見ましても赤字に陥っております。  なお、個々の施設ごとに見ますと、ここにございますように、収支状況にはばらつきがございます。  このグリーンピアにつきまして、今後、各施設の置かれた状況を踏まえまして、雇用や地域の状況に十分配慮しながら撤退をするということで、そういった作業を今進めております。この円滑な撤退のためには地元自治体等の協力が不可欠でございまして、自治体等への移譲を促進するために減額譲渡措置を講ずることといたしております。現在、地元自治体と協議を重ねているところでございまして、本年度末までには各自治体の最終的な意向が示される予定になっております。  以上でございます。
  14. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 次に、総務庁から説明を聴取いたします。東田総務庁行政監察局長
  15. 東田親司

    政府委員(東田親司君) 総務庁行政監察局長でございます。本日は、特殊法人財務内容に関する調査結果につきまして御説明の機会を与えていただきまして、厚く御礼申し上げます。  私どもの資料は「特殊法人財務内容に関する調査結果の要旨」という横長資料でございます。  本調査は、すべての公団及び事業団、計二十九法人を対象に実施しておりますが、これまでに取りまとめが終了した十三法人につきまして、三回にわたり、所管大臣に調査結果を通知し、公表してまいりましたので、以下順次御説明いたします。  まず、お手元の資料の一ページでございますが、「調査の背景」について御説明いたします。  平成九年六月、当庁が取りまとめの上提出し成立させていただきました特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律が施行されました。これにより、すべての特殊法人について、統一的なディスクロージャーが実現し、特殊法人の経営内容を分析する基盤が整ったことを踏まえて、この調査実施したものであります。  次に、「調査の意義」についてでありますが、特殊法人の財務の状況を明らかにし、国民にわかりやすく提示すること、法人が担う事業の全体像を経営分析的な観点から評価すること、これら二つの観点を通じて各法人が当面する大きな問題点や課題を明らかにすることにあります。  これにより、所管省庁や特殊法人における自発的な取り組みを促すとともに、国民各界各層における論議の素材を提供するという行政説明責任を果たすものであります。  以下、十三の法人の調査結果の要旨を御説明いたします。資料の二ページをごらんいただきたいと思います。  まず、石油公団につきましては、多額の公的資金が投入されている投融資・債務保証事業を公団の財務諸表に即して分析しましたところ、投融資残高一兆四千百億円のうち、投融資先会社の解散などにより相当部分について回収の見込みが立っていない債権が三千五百億円強、利息が棚上げとなっている債権や長期未収金が四千二百億円強、損益計算上非計上の棚上げ利息が千六百億円強、それぞれ見られ、資金の回収可能性について注意すべき状況が明らかとなりました。  ただし、今後、投融資先の生産活動が軌道に乗り、資金回収が進む場合もあることから、原油価格や為替の変動に注意しつつ、損益の動向を見通し、的確な措置を講ずることが必要となっております。  次に、三ページに移りまして、日本道路公団についてでありますが、高速道路事業の現況について、百円の収入を得るのに何円の費用がかかるかを示す指標である収支率で見ると五七となっており、百円の収入のうち四十三円を元本の償還に回せる状況にあることから、償還の現状は順調と考えられます。  しかし、収支率は路線別に見ると大きな格差があり、全体の好調な収支状況は初期に開設した採算のよい路線が採算の悪い新しい路線の損失を補うことにより成り立っている状況にあります。  したがって、今後、採算の低い路線の建設、供用が進むこととなれば、公団の経営に及ぼす影響が懸念される旨を指摘しております。  首都高速道路公団については、事業の収支率は六九であり、償還はほぼ順調と考えられます。  しかし、償還が進むペースに比べ建設費、すなわち借入金がふえるペースが早い状況にあり、さらに道路資産がどれだけの収益を上げているかをはかる指標である資産効率を見ると、この十年間で四割も低下しています。これはバイパス的機能を果たす路線の建設が収入増につながらないことによるものと考えられます。  このような状況のもと、長期的に適正な償還のペースが維持できるよう計画的に対処していくことが重要と考えます。  阪神高速道路公団については、事業の収支率は九五と経営状況が相当に厳しく、償還の長期化は避けがたい状況にあると判断されます。また、交通量は見通しを二割以上下回り、資産効率も十年間で半減している状態にあります。  このようなことから、償還の確実な達成のためには抜本的な対策が必要となっております。  本州四国連絡橋公団については、事業の収支率が二一一と料金収入で利息も賄えない状況となっており、債務超過の状態にあります。これは交通量の見通しを大幅に誤った結果であると考えられます。  一方、公団の収支見通しでは、国と地元からの追加出資を前提として、平成五十七年には償還が完了するとしていますが、その前提となっている交通量見通しが現実的なものか否か、慎重な見きわめが必要と考えられます。  いずれにせよ、債務超過からの脱却がまず必要であり、さらに、償還計画の基礎となる交通量見通しの不確実性を踏まえ、償還が確実なものとなるよう計画と実績の不断の見直しが必要であります。  次に、四ページでございます。  新東京国際空港公団については、収支の好調な時期が続いたものの、第二旅客ターミナルビルの建設に伴い収支が悪化しております。他方、滑走路は飽和状態であることから、このままでは再び赤字経営になるものと思われます。  これに対し、公団は並行滑走路の供用により収支は好転するとの見通しを持っておりますが、一方で航空需要の停滞、空港使用料引き下げの国際世論など厳しい要因もあります。  したがって、健全な経営の確保のため、収益動向に応じ、施設整備、改修等を計画的に行うなどの工夫が必要と指摘しております。  その下に記載してございます日本鉄道建設公団につきましては、その財務内容基本的には健全であります。しかし、整備新幹線に関し注意すべき点があります。  整備新幹線は公的資金により建設する仕組みとなっておりますが、オリンピックの開催に間に合わせるため、長野新幹線には例外として有利子資金が投入されています。  現状ではその償還に問題はないものの、他線にも有利子資金の投入が波及することがあれば、貸付料による確実な償還に影響を及ぼすおそれがあると考えます。  五ページ目に移らせていただきます。  動力炉・核燃料開発事業団については、平成十年、高速増殖炉開発を中核とする新法人に改組されております。高速増殖炉の開発にはこれまでに多額の国費が投入されてきたものの、開発目標から見て依然としてコスト高であり、また確定年が示されていた開発目標年次についても弾力的に対応する方針に転換しております。  なお、米、英、独など諸外国では既に開発が中止されております。  したがって、今後の課題として、研究開発に要する費用とその成果を明らかにし、その妥当性を論議していくことが必要であると指摘しております。  国際協力事業団については、技術協力は多額の公的資金に依存する事業であり、より客観的な事業効果の実証が検討課題となっております。  また、開発投融資事業に多額の余裕金が生じている一方で、移住関係事業に不良債権が多い状況が見られます。そこで、全体的な財務の状況を踏まえ、開発投融資事業の余裕金については、移住関係事業財務内容の適正化に活用することも含め、その有効活用観点からの検討が必要と指摘しております。  六ページ目にございます環境事業団については、民間企業向けの建設譲渡・融資事業の延滞債権等が増大傾向にあり、そのうち五年以上延滞している債権の額だけでも貸倒引当金の計上額を上回っている状況にあります。  このため、債権回収リスクの軽減や貸倒引当金計上額の充実などの検討が必要と指摘しております。  社会福祉・医療事業団については、老人福祉・保健施設への貸付事業の伸びに伴い、政策的な利ざやのマイナスを補てんするための公的資金の投入額が増大していることから、事業の公的コストとその効果を明らかにしていくことが課題と考えております。  また、心身障害者扶養保険事業は、最近の抜本的な制度改正にもかかわらず、再び積み立て不足となるおそれがあることから、年金資産の必要積立額の考え方を導入する等財務管理のあり方の見直しや財務状況に応じた適時適切な保険料等の見直しが必要と指摘しております。  七ページに移りまして、金属鉱業事業団については、国内探鉱資金融資等の投融資部門で余裕金が生じていることから、今後とも財政投融資資金の借り入れを抑制しつつ、余裕金の事業資金への充当を図る等資金の効率的な運用課題と考えられます。  また、鉱害防止事業基金は、運用利回りの実績が期待値を大きく下回っていることから、今後、基金の運用成績向上に努めるとともに、その状況を踏まえつつ基金による安定的な事業のあり方の検討が必要と考えております。  最後に、中小企業退職金共済事業団についてですが、平成十年に他の退職金共済法人と統合され、勤労者退職金共済機構となっております。  中小企業退職金共済事業は、近年、運用利回りが予定利率を下回り、累積欠損拡大しております。その結果、責任準備金の積み立て不足の状態が続いております。したがって、今後、この累積欠損金については、加入者間の公平性に配慮しつつ中長期的に解消する必要がある旨指摘しております。  以上、御説明いたしました十三法人の当面する課題につきまして、去る四月三十日と五月十二日、それに七月三十日に総務庁長官から所管大臣に通知したところであります。  冒頭にも申し上げましたが、この調査は新しい試みとして財務的な側面から特殊法人が当面する大きな課題を明らかにしたものであり、所管省庁及び特殊法人の自発的な改革努力を促すのみならず、幅広く国民各界各層に議論の素材を提供するものであります。本委員会における今後の御審議の参考として御活用いただければ幸いと存じます。  ありがとうございました。
  16. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 以上で説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日の調査はこの程度にとどめることとし、これにて散会いたします。    午前十一時四十三分散会