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1999-05-17 第145回国会 参議院 行政監視委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十七日(月曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      藤井 俊男君     堀  利和君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         続  訓弘君     理 事                 大島 慶久君                 塩崎 恭久君                 田村 公平君                 千葉 景子君                 渡辺 秀央君                 田名部匡省君     委 員                 阿南 一成君                 海老原義彦君                 加藤 紀文君                 木村  仁君                 坂野 重信君                 馳   浩君                 山内 俊夫君                 脇  雅史君                 小川 敏夫君                 小宮山洋子君                 輿石  東君                 櫻井  充君                 長谷川 清君                 堀  利和君                 大森 礼子君                 松 あきら君                 岩佐 恵美君                 富樫 練三君                 梶原 敬義君                 高橋 令則君                 石井 一二君    政府委員        人事院事務総局        管理局長     尾木  雄君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        大蔵省国際局長  黒田 東彦君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   関本 匡邦君    参考人        海外経済協力基        金理事      篠塚  徹君        国際協力事業団        理事       伊集院明夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関  する調査  (政府開発援助等に関する件)     ─────────────
  2. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月二十七日、藤井俊男君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。     ─────────────
  3. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会海外経済協力基金理事篠塚徹君及び国際協力事業団理事伊集院明夫君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 次に、行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  本日は、政府開発援助等に関する件について、前回に引き続いて質疑を行うことといたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 馳浩

    馳浩君 よろしくお願いいたします。自由民主党の馳です。  私が三月二十九日の質疑ODAは本当に国民理解をされているのかという質問を申し上げましたところ、大島局長より、毎年の世論調査によりましておおむねの理解を得ているという御答弁をいただきましたが、四月二十四日に総理府が発表した世論調査によりますと、残念ながらODA縮小派前回よりも六・一ポイントふえて計二二%になってしまったということであります。そしてその理由については、四分の三の人が日本経済状況の悪化ということを理由として挙げておられます。  この数字がだんだん悪くなっていくと取り返しのつかないことになるのではないかと非常に危惧をしておりますが、まずこの件について大島局長のお考えをいただきたいと思います。
  7. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 御指摘世論調査では、確かに前回調査結果と比較をいたしますと、ODAについて少なくするべきだ、あるいはやめるべきだという、どちらかといいますと消極派縮小派の割合がふえているという結果が出ております。他方で、肯定派あるいは支持派数字は依然足しますとほぼ七割ということで大変に高い支持を得ておるということでございます。  今回のこの結果につきましては、長引く国内の不況といった原因が大きくここに働いているんだろうというふうに私ども理解をいたしております。こういう国内的な経済状況財政状況が大変厳しい折に、貴重な国民の税金を原資といたしまして仕事をしておるこういった海外援助につきましては、大変に私どもも心すべき厳しい状況であるというふうに認識をいたしております。  それに対します対応としては、たまたまこの時期はアジア経済危機中心としまして開発途上地域状況も大変に厳しいものがございます。一方で、我が国も大変に難しい状況に置かれているということでございますので引き続き努力は必要だろうというふうに私ども確信をいたしておりますが、同時にやはりODA全体の効率化あるいは質の改善といったようなことにつきましては従前以上に厳しくこの点を政府全体として努力していく必要があるというふうに考えておりまして、そういう線でこれからも努力を重ねていきたいと思っております。
  8. 馳浩

    馳浩君 より一層外務省としても国民理解を得るための努力を続けていっていただきたいのでありますが、一応聞いておきたいのは、現在どの程度の、あるいはどのような国民理解を得るための施策を外務省としてとっておられるのかということをお伝えいただきたいと思います。
  9. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 何よりも、国民皆様方の幅広い御理解支持を得ていくためには、やはりどういう仕事ODAということで行われているかをできるだけよく御理解いただくということが必要であるわけでございます。  このために、従来から白書とか年次報告を出しておりますけれども、そういったものに加えまして、一般国民皆様方にこうしたODA活動がより身近に感じられるように、東京都では広尾に国際協力プラザというのが従来開設されております。これもいろいろ充実をしてきておりまして、修学旅行生がここにも立ち寄るというような活用のされ方もなされておるわけでございますけれども、こういったものをさらに充実させていく、あるいは、インターネットで外務省ホームページ活用しておりますけれども、そこにODAのいろいろな最新の情報とか国民皆様方に御関心のありそうな情報も載せるように努めております。さらに、ODA広報テレビ番組、それから毎年十月、国際協力の日に合わせましてフェスティバル等東京を初め全国各地でやっております。こうした広報あるいは情報公開努力をしております。  さらに、今年度、平成十一年度からはODA事業公募モニター制度というものが予算をお認めいただきまして可能になりました。これによりまして各県から、予算上は一人ということでございますけれども公募によりまして市民皆様に御参加をいただいて、海外援助活動を見ていただくだけではなくて、実際にできれば評価のようなこともやっていただきたいと思っております。  いろいろなそういう活動を通じまして広報情報公開に努めていきたいと思っております。
  10. 馳浩

    馳浩君 感想でありますけれども、私も時々外務省ホームページ参考に見させていただきます。ODAに関しては、非常におもしろいなと思いましたが、現地スタッフによります「省員徒然草」というようなページがありまして、外務省といえども非常に文学的素養のある方が多いんだなと私は思いました。まさしく現地の若手のスタッフ皆さんの率直な御意見を見ることができて大変いいなと思いました。  そこで、私としても、できたらということでの提言でありますが、より一層講演活動でこのODA理解国民に広めるための活動をふやしていただきたい、その予算づけをしていただきたいと思っております。  実は先月、四月二十六日に私の地元の石川県で武見外務政務次官が一日外務省ということで、実際に外務省仕事であるとか政務次官としての仕事であるとか、あるいはODAとして専門官途上国に行ってどれだけ支援をしているか、現地皆さん方に御理解いただいているか、そういう話を行っていただきました。とりわけ、当日はウイークデーではあったんですが、高校生を呼んでいただいて、おおむね二百名ほど入ったんですけれども、非常に好評であった、話を直接聞くことができてよく理解できたと。こういう活動を今後より一層行っていただきたいと思いました。  日本国民理解をいただくというのも一つですし、逆に日本から援助を受けている国の方々にどれだけ我が国にとって日本ODAが大変いいものだという感謝の気持ちを持っているか、どれだけ途上国の発展に寄与しているかということをむしろ広報に来ていただくとか、そういう二面性を持って私はもっと国民理解を得るための広報活動をしていただきたいと思っておりますが、どうですか、今後そういう広報活動講演活動外務省局長はお忙しいから無理かもしれませんが、担当の方々日本全国に出て講演会活動をどんどんやるというような私なりの提言ではありますが、少しお考えいただけないでしょうか。
  11. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 先般の武見政務次官の御出張の件につきましては、そういうことで大変評判がよかったようでございます。そういうふうに私どもも聞いておりますし、次官がお戻りになりまして、こういうチャンスがあれば自分の時間の許す限りどんどん出かけていくから話を持ってきてほしい、こういう御指示もいただいておりまして、大変に心強く感じておる次第でございます。  私どもがやっておりますものとしては、常日ごろ外務省職員あるいは直接実施機関で一番援助現場に近いところにおりますJICA職員、あるいは帰国をいたしました青年海外協力隊の隊員、こういった方々、あるいは技術協力プロジェクトで直接二年あるいは長期にわたりまして海外技術指導に当たって帰国された技術協力専門家方々、こういったいろいろな経験者方々が結構いろいろな機会講演会等に招かれまして話をする機会がございます。平成十年度だけで協力隊OB学校等におきます講演会交流会等が私どもが把握しておる限りで七十一回全国であったそうでございます。そういった活動が一方でございます。  さらに、外国から技術協力研修員ということで日本に来ております被援助国研修員地域学校に参りまして、そして交流会をしたりあるいは講演会のようなことをやることもいろいろ企画をされております。  こういうことで、実際に事業に携わっている人たち機会をとらえまして講演会その他の活動参加していくことによってより身近に一般市民国民皆様方との接点になるようにやることは大変に意義深いと思っておりますので、こういうこともこれからますます取り組んでいきたいと思っております。
  12. 馳浩

    馳浩君 国民への理解という点で、一つ子供たちに対するODA政策についての理解を求めるという点があると思います。教育現場では、全国五百の中学校外務省ビデオを作成して、そしてそれを活用していただいてODA理解を求める教育をしておられるということを承っております。大変好評を博しておるようで、さらに教材用ビデオをつくっていただけないかという要望もあると承っておりますが、大変喜ばしいことであると私は思います。  まさしく次代を担う中学生やあるいは高校生に本当にビデオ等を通じてそういう実態理解していただくというのは必要だと思いますが、今後外務省としてこの政策の拡充といったものをどの程度考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  13. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) まさにビデオがそういう意味で視覚に訴える一番好ましい材料であるわけでございます。従来から小中学校あるいは高等学校のこういった開発教育あるいは国際教育関心を持っておられる先生方から何かいい材料がありませんかといったようなたくさんの御照会を得ております。JICAもそうでございます。外務省にもそういう話が来ます。  そこで、以前からそういう意味で適切なビデオ教材のようなものがあればいいということであったわけでございますが、このたびそれを完成いたしまして、昨年でございますけれども中学校をとりあえず対象にいたしましたビデオ教師指導用の冊子をつくりまして、これをODAに関します開発教育教材ということで全国三千の中学校配布させていただきました。その上でこの活用状況と反響の調査を行いました。  その結果、少なくとも先生方につきましては、これが国際協力理解学習教材として極めて有効であるということで、九五%の先生方がこれを非常に肯定的に受けとめておられると私ども大変に勇気づけられているところでございます。  さらに、これも昨年でございますが、特にバングラデシュのポリオ撲滅計画というプロジェクトをやっておりますけれども、このポリオ撲滅計画対象にいたしましたビデオをつくりまして、これは社会科の副教材ということで全国中学校五百校に配布をさせていただいておるわけでございます。  こういうことで、一方で強い御要望現場にあります。そして、援助現場には大変にうまく制作すればいい教材となり得る材料がごろごろしておりますので、認められた予算はわずかでございますけれども、こういったものをできるだけうまく制作いたしまして学校あるいはさらに図書館等にもできれば広く配布をしていきたいと思っております。
  14. 馳浩

    馳浩君 関連いたしまして、ODAについての教科書への記述について、平成九年三月の総務庁行政監察報告によりますと、中学校高等学校教科書記述ODAの正確な実態を反映していないというふうに指摘をしております。  その部分を読ませていただくと、二点ございまして、  政府開発援助のうち、国際連合等国際機関に対する拠出等の図中、各省庁拠出等のすべてが基金を通じて行われているようになっている図や我が国政府開発援助全体の地域別分野別構成比率円借款比率と取り違えている表、 二点目として、  我が国政府開発援助全体の調達条件としては調達先を限定しない一般アンタイド平成五年で約八四%、その大半を占める円借款も、前述のとおり、一般アンタイド条件によるものがほとんどで、タイド条件によるものは皆無となっており、また、円借款案件における本邦企業受注率は大幅に低下し、三割を下回っているにもかかわらず、「日本企業政府援助金を利用して行うという形の民間企業主導型である」や、「外国プロジェクトにかかる日本企業への融資という形の商業ベースODAが多い」という記述等、明らかな誤記や、過去の実態や批判のみに基づき、近年の動向を必ずしも勘案していないとみられる記述がある。 ということで指摘をされております。  これは平成九年の行政監察でありますので、その後外務省としてどのような情報文部省に提供されたのか、あるいは文部省としてはそれを受けてどのように改訂をなされたのか、外務省文部省に伺いたいと思います。
  15. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 教科書、特に中学校、それから高等学校で使用されております教科書記述に、今、先生から御指摘ございましたように、事実関係がかなり間違っておるもの、それから、ODAにつきましては幾つか市販の本なんかも出されておりますけれども、ややバランスを欠いた内容のものも幾つか見られるわけでございます。こういったものがとかくどうも教科書に反映をされてバランスを欠いているのではないかという危惧の念がございまして、平成九年の総務庁の主としては円借款対象としました行政監察でございましたけれども、その報告の中にそういう実態指摘をされておりました。  これを受けまして、外務省としましても常日ごろから、先ほど申し上げましたように、開発教育関心を持っておられる先生方JICA外務省中心になりまして意見交換等もやっておりますけれども、やはりそういうことだけでは足りないということで、行政監察報告もありましたので、援助についての誤解をできるだけ解いてもらう、できるだけ学生国民一般により正しい、よりバランスのとれた見方が伝わるということで理解をしていただくために教科書執筆者に対しましてODA白書を送付いたしまして、また各地での開発教育セミナーを開いたり、あるいは教材とか資料広報ビデオの送付などを行いまして、教科書執筆に当たられる方々、それから教師学生児童等への情報提供に努めているところであります。  この結果、十一年度より使用される高校用教科書では、行政監察指摘をされておりましたような誤った記述は明らかに減ってきておるということが私どもの調べた限りで判明をいたしておりまして、こういった努力が報われているなというふうに感じておるところでございます。  これからもこの点につきましてはできるだけ正確な記述がなされるように引き続き努力をしていきたいと思っております。
  16. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) ただいま外務省の方から御答弁があったわけでございますけれども先生指摘平成九年三月の勧告につきましては、教科書にそのような記述があったということで、私ども検定を預かる立場といたしましては大変申しわけないことだと思っております。  その件につきましては直ちに教科書発行者から成ります社団法人教科書協会を通しまして勧告の趣旨あるいは具体的な指摘事項を周知いたしました。その結果、先ほど答弁がございましたように、現在使われておる教科書につきましては勧告を受けまして訂正が図られてございまして、そのような記述はなくなっているところでございます。  ただ、こうした問題はこれからもずっと生じ得る問題であろうと思います。教科書は、御案内のとおり、発行者によります執筆段階、それから私ども検定をする段階、この二つでよりよい教科書をつくるという努力をしていかなければならないと思いますが、それぞれの段階におきまして、外務省等々の御協力をいただきながら、正確、適切な、豊富な資料検定段階でも十分に持って、それから執筆者におきましてもそうしたものを持ってより適切な教科書づくりに従事する、努力する、こういうことだろうと思っております。  今回の総務庁からの勧告を受けたということを教訓にいたしまして、発行者ともどもによりよい教科書づくりに努めてまいりたい、こんなふうに思っております。
  17. 馳浩

    馳浩君 子供たち国際理解に対する根本的な考え方をゆがめるような教科書記述にならないように外務省の方もいち早く情報公開に基づいて十分な資料を提供し、それに基づいて文部省の方も最終的な検定の方をまさしく誤記のないようにしっかりと対応していただきたいと思います。  続きまして、前回もこの委員会で大変問題になりましたいわゆるインドネシアのリベート問題について、前回委員会以来どのような進展があったのか、政府としてどのように対応をなされたのか、恐らく関係機関に対するヒアリングがなされ、あるいはそれに基づいて法的な措置を講じるのかどうかといった問題も含めまして外務省としてどういう対応をとったのか、お伝えいただきたいと思います。
  18. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) インドネシアに対しますいわゆるリベート問題につきましては、前回委員会の場でいろいろ御指摘を受けまして、あの時点で判明をいたしておりました事実関係、それから外務省がとっておりました措置について御報告をしたわけでございますけれども外務省の方で突っ込みが足らないのではないかといった厳しい御指摘も受けました。私どもも、そういったつもりはもちろんないわけでございますが、しかしそういうふうにもしとられているとすればこれはやはり重大に受けとめるべきことでございますので反省もいたしまして、そういうことを踏まえまして前回委員会以降政府として新たにとりました措置につきまして数点御報告をさせていただきたいと思います。  まず、外務省の方で新聞報道に出ました五社につきまして個別に招致をいたしました。直接報じられている事実関係についてヒアリング実施いたしました。その結果、いずれの企業につきましても報道にありましたようなODA事業にかかわるリベート提供の事実ははっきり否定をいたしておりました。本件についてはやましいところは一切ない、報道には反論したい気持ちもあるけれどもこれ以上大騒ぎを引き起こすことも本意ではないので法的措置まではとることはしないといったような発言も一部からはございました。  第二点でございますが、次に外務省、通産省、経済企画庁の三省庁によりまして、ODAの関連の事業日ごろ関与しておる企業等約八十社を集めまして、ODA事業におきますいわゆる不正防止に関する説明会を開催いたしました。ここで不正防止にかかわる政府取り組み一般、それからOECDの国際商取引における外国公務員に対する贈賄防止条約、それからその条約に基づきます不正競争防止法、それからOECF調達ガイドライン、こういった事項につきまして改めましてきちんと説明をいたし注意喚起をいたしまして、ODA事業の厳正な実施につき理解協力を求めました。  第三点目、インドネシア政府に対しましては、インドネシア政府の方で別途事実関係調査を行っておるわけでございまして、その進捗状況について照会を行いました。これに対しましてインドネシア政府の方からは大臣クラスをヘッドとする調査チームを部内に設置して鋭意調査中であるということ、それから今のところ特に日本側にお伝えするような情報はないけれども今後何らかの情報があれば速やかに連絡をしたいという回答を得ております。  それから四番目に、インドネシア政府の方からはかねて日本側から情報提供の依頼がございます。これにつきましては、我が国法令等に基づきまして、協力可能な範囲で答えるということをインドネシア政府側に伝えてあります。我が方が有しております関係のデータとか事実関係企業から聞き取りましたヒアリングの結果等も含めまして資料を提出する予定でございます。  それから第五番目に、今後万が一業者側の方で不適正な調達事件等が発生をし、その事実が立証されたような場合には海外経済協力基金OECFが直接当該業者に対しまして入札への参加停止等を含む厳しい制裁を科す、そういうことが可能になるようにOECF調達ガイドラインを改定することにいたしました。従来、調達ガイドラインにはこれに違反した場合のいわゆる制裁的な措置というのはあえて書いておりませんでしたけれども、やはりその予防的な意味、抑止的な意味を付与する意味でこのOECF調達ガイドラインの改定を行うことにしました。  それから第六番目、最後でございますけれどもODA事業におきます不正防止をさらに徹底させるために、我が国ODAを供与しております主たる相手国に対しましてかねてから外交ルートを通じまして我が国不正防止のための取り組みについては説明をいたしております。既にOECDの贈賄防止条約についても説明をしてありますし、それから国内の不正競争防止法の成立の事実もあわせましてきちんと説明をしてあります。  今般、先ほど申し上げましたように、OECF調達ガイドラインを改定することになりましたのでこの点もあわせ、さらに全体の不正防止の取り組みについて改めて外交ルートを通じまして説明をして趣旨を徹底してまいりたいと思っております。  以上が、六点申し上げましたけれども前回委員会で御指摘をいただいたことを受けまして外務省中心にとったことでございます。この問題につきましては、まだ事実関係も明らかになっておりません部分もありますし、インドネシア政府調査を進めております。我々としても、引き続き調査をするわけでございまして、いずれにしましても事業の適正、効果的な実施を確保していくということ、特に今のODAに対します見方というものが厳しくなっている、こういう時期でもございますし、厳粛に私どもも受けとめて不断の努力を行ってまいりたいと思っております。本委員会にも事実が生じました場合には改めて御報告をさせていただきたいと思いますし、御指導もよろしくお願いをいたしたいと思います。  以上でございます。
  19. 馳浩

    馳浩君 この問題は私は前回質問したわけではないので概略的な話だけをお聞きしておくということにとどめておきたいと思いますが、今後調達のプロセスにおいて明らかに違反するような行為があった場合にはその時点でその案件をストップするとか、それだけの効力を持つような立法措置についても検討していかれなければいけないんじゃないか、それぐらい強い姿勢を外務省としてもとらなければ、注意喚起を促すとか、実態を聞いてそういう問題はありませんでしたと言われて、はいそうですかと言っているような今回の対応では生ぬるいのではないか、もしかしたらそれはODAを監視する我々国会議員としての立法措置ということも考えて厳しく臨んでいかなければいけないのではないかという感想を持っております。この問題についてはまた恐らく同僚議員から厳しく追及があると思いますから、その議論に送りたいと思います。  次の質問に移ります。  大変国際的な問題になっておりますコソボ問題であります。日本としても政府が二億ドルのコソボ貢献策を決定いたしましたが、まずこの具体的な内容をお伺いしたいと思います。特に、難民等に対する支援、日本としての貢献の一番顔の見える、かつ迅速に対処しなければいけない問題ではないかと思っておりますので、この経緯であるとか中身についてお伺いしたいと思います。
  20. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) コソボの問題に関連しましては、難民流出だけで七十万人を超える難民がアルバニアとかマケドニア等に既に流出しておって、大変に深刻な問題になっておるわけでございますが、日本政府としてとりました措置は、ただいま委員から御言及がございましたように、四月二十七日の時点で総額で約二億ドルの支援策を発表いたしております。ポイントは四つぐらいあろうかと思っております。  第一に、難民そのものに対します支援としては国連難民高等弁務官事務所等の国際機関中心になって当たっておりますので、これら国際機関に対する拠出としまして約四千万ドルでございます。このほかに毛布、スリーピングバッグ等も別途国連難民高等弁務官事務所に供与いたしております。  第二に、大量の難民を受け入れております周辺国、なかんずくアルバニアとマケドニアでございますけれども、この両国の難民受け入れに伴う負担が大変に過重になっております。もともと余り豊かではない国ということで、今後二年間を念頭にこの両国に対しまして約六千万ドルの無償の資金協力実施していく計画でございます。具体的には、食糧援助とかその他適切な支援をやっていきたいと思っております。加えまして、この両国に対しましては本邦から医療の専門家を派遣する、既に二名が四月の末からマケドニアに入っておりますが、こういった専門家派遣、あるいは医療の関連機材の供与、その他の支援要員を派遣するつもりでおります。  それから第三番目に、コソボの問題につきまして和平合意が達成されるとその暁には復旧と難民の帰還が大きな問題になるわけでございまして、このために今後約一億ドルを拠出する。これは別途、日本政府が国連に人間の安全保障基金というのを設けておりますけれども、この基金等を通じまして和平合意後の問題が解決され和平が達成された後の支援に充てる。  それから、最後でございますけれども、官民一体となって取り組むために、本邦のNGOが現地活動をしておられますが、こうしたNGOの方々の支援活動を側面的に支援するために一部ODAによりまして資金協力を行うような手だてをとっております。  以上でございます。
  21. 馳浩

    馳浩君 実は、日本・アルバニア協会という民間の団体がありまして、私はそこの顧問を務めております。この事務局が金沢にありまして、その事務局長を務めておる者がAMDAの支援員の一員として四月末にアルバニアに渡りまして、私の方にも現地状況をインターネットを通じて送ってくるということになっておりますが、まだ一回も送ってきていないので当人の安否を非常に心配しておるようなところであります。  そういった形で民間の支援といったことも活用しながら日本政府として、このNATOの空爆を一刻も早く私もやめていただきたいんですが、そういった問題も含めてまずこの難民対策といったものについて外務省としても取り組んでいただきたい、むしろ難民対策に対して日本が積極的に貢献するといった姿を私は世界に見せていただきたいと思うんです。どうでしょう、この難民対策について私はより一層の、お金もそうでありますが、日本国内からの人的な貢献といったものを検討いただきたいと思っているんですが、どのように局長は考えておられるか、現状も踏まえながらちょっと感想を聞かせていただきたいと思います。
  22. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 難民の支援につきましては、一番中心的な役割はやはり国際機関、緒方貞子さんのUNHCRを初め世界食糧計画、ユニセフ等々たくさんの国際機関現地でそれぞれの責任担当に応じまして大変に積極果敢な活動をしております。先般、高村外務大臣もマケドニアの首都スコピエの郊外にあります難民キャンプに赴かれまして、その実情をつぶさに御視察になりました。私自身も同行させていただきまして、コソボの国境からそれほど遠くないところにありますキャンプの実情を見ました。  難民支援に対します我が国の支援は、第一には国際機関に対してしっかりした資金協力をするということでございまして、国連難民高等弁務官事務所に対します拠出は、今まで日本の拠出額は約二千三百万ドルになっておりまして、これは各国ともUNHCRに拠出いたしておりますけれども日本が断トツでございます。二番目は今の私のところにあります数字ではアメリカが八百五十万ドル程度、日本が二千三百万ドル強ということでございまして、こういった面ではしっかりした協力ができているんだろうと思います。  第二番目は、現地におきますいろいろな具体的な活動でございますが、これは欧米のNGO等が相当たくさん来ておりまして、テントや機材を持ち込んだり、診療車等々を持ち込んでいろいろ活発に活動いたしております。その中で我が国も、地理的には大変離れておりますけれども、先ほど申しましたように、幾つかのNGOの方々が実際に現地に入って活動をされております。確かに、欧米のNGOの活動と比べますと日本のNGOの活動の規模というのは人数も少のうございますけれども、しかしそれでも大変に立派ないい活動をされておると思います。  これからまだ難民問題はさらに悪化することはあり得ても、和平合意が早急に達しませんとなかなか難しいんだろうと思います。悪くなることはあってもすぐ改善するという見込みはないと。これからだんだん、冬の問題が既に心配され始めておりますけれども我が国としましても、この難民を中心とした支援は今のユーゴ問題等における日本協力策としてはやはり中心になるべき問題であろうというふうに考えておりまして、引き続き状況に応じて適切に対応していく考えでおります。
  23. 馳浩

    馳浩君 最後になりますが、国境で隣接する国同士の民族問題というのは、残念ながら四方を海に囲まれている我が日本国としては国民になぜこういう民族問題がここまでの軍事的な問題に発展するのかということはなかなか理解されないところだと思うんです。ではありますが、一日も早くコソボ自治州において、いわゆる民族浄化に名をかりた大量虐殺と言われておりますけれども実態がわかりませんが、アルバニア人に対する迫害であったり、あるいは現在難民が七十万、八十万と言われておりますが、それらの難民が一日も早くもとの生活に戻ることができるように日本としてできる限りの支援をするに惜しまないという姿勢を見せ続けることは日本の外交上の戦略としても国際社会において必要な論点だと思っておりますので、今後とも外交上の、そして政治的な合意に向けて日本としての取り組みを一層強化していただきたいと要望を申し上げまして、残余の質問は私また機会がありましたらさせていただきますので、この辺で質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  24. 石井一二

    ○石井一二君 二院クラブ・自由連合の石井一二でございます。  ちょっと個人的なスケジュールの関係で質問時間が早くならぬかなというお願いを与党の理事にいたしておりましたところ、委員長初め各会派理事の御理解のもとに二番バッターに昇格になりました。各位の御協力に心から御礼を申し上げます。  さて、質問でございますが、大蔵省、来ていますか。  この日曜日の朝、新聞を見ておりますと、APECに行っておられる宮澤さんがアジアに追加支援二兆円というような見出しのもとでアジア経済再生策を打ち上げて日本輸出入銀行などを活用して総額二兆円の枠の保証をする、こういうような結構なお話が出ておりました。二兆円の保証枠ということになりますと約百七十億ドル程度だと思いますが、実際政府の支出増としてどれぐらいのものがどれぐらいの期間に見込まれることになるのか、その辺をちょっと御説明いただきたいと思います。
  25. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) ただいま御指摘のとおり、APECの蔵相会議におきまして宮澤大蔵大臣から、いわゆる新宮澤構想というもので支援をしてまいりましたけれども、今回この一種の第二ステージといたしまして、アジアの民間資金を活用してはどうかということで保証を使って二兆円程度の資金をアジア諸国に還流させるということを提唱したわけでございます。  その場合に、実は既にアジア開発銀行の方に我が国から保証等の財源といたしまして平成十年度の第三次補正予算におきまして三千八百七十五億円を拠出しております。これを使って保証を相当程度行えるのではないかと。保証と申しましても部分保証でございますので、仮に半分保証するということになりますと、今申し上げた金額の倍ぐらいの民間資金が動員されるということになろうかと思います。三分の一ですと三倍程度ということになりますので、恐らく仮にフルに使われますれば、アジア開発銀行に既に拠出しておりますもので一兆円近くの民間資金を動員できるのではないかというふうに想定しているわけでございます。残りのいわば一兆円程度を輸銀あるいはことしの十月一日から輸銀と基金が合併いたしましてできます国際協力銀行がさまざまな形で保証をしていってはどうかということでございます。  なお、これらは基本的にアジア諸国の政府及び政府関係機関の発行する債券等の保証でございますので、これまでのところこれらの国は、民間の債務につきましてはいろいろの困難が生じておりますけれども政府の債務についての不履行というのは全く生じておりません。したがいまして、現在こういったアジアの政府あるいは政府関係機関の債券を保証いたしましても、直ちに債務不履行が生ずるというようなことは考えておりませんで、その意味では財政上の負担が直ちに生ずるというようなことは想定しておりません。
  26. 石井一二

    ○石井一二君 政府の発行する債券だから心配ないということで我が国が保証すると。ムーディーズの格付で逆に我が国の方がランキングが下になりゃせぬかという心配を私はいたしておりますが、そういうことがないように大蔵省も頑張っていただきたい、そう思います。  ただ、今回は既に三千八百七十五億円をアジ銀に積んでおるからというようなことで安心いたしましたが、例えば政府のお偉い方が海外に行かれてぼんぼんいい話をぶっ放されるが、議会制民主主義のもとで特に予算ということになると議会の承認が要る、そういうことを無視して先走りな発言がどんどん先行すると何のために委員会なり議会があるのかということになりますので、大蔵省は今後そういった意味でもいい意味でひとつ手綱を引き締め得るような存在であり続けてほしいと。そのためには、昨今来のいろんな不祥事をきれいさっぱりと整理していただいて、国民の信頼もかち得ていただきたいということを要望しておきたいと思います。  この問題の最後に、アジアアジアといってもODAには入らぬ四匹の竜とかその他いろんな国があるわけですが、今おっしゃった二兆円の枠の中でODAにカウントされそうなものということになると、アバウトパーセンテージ、割合でどの程度ということを想定されておるのか、お聞きしたいと思います。
  27. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、二兆円は基本的には民間資金を保証等によってモービライズというか動員するということでございますが、先ほど申し上げたとおり、アジア開発銀行に三千八百七十五億円を保証あるいは一部利子補給等の財源として拠出してございますが、この三千八百七十五億円は既にODAにカウントされております。したがいまして、比例的な意味でいいますと、仮にこの二兆円というのは大体二年ぐらいを見越しているわけでございますが、それに対応してこの三千八百七十五億円がフルに使われますと、二兆円のうちの三千八百七十五億円分ぐらいがODAになるということかと思います。  ただ、これはあくまでもODAのカウントとしての話でございますので、二兆円のお金自体は、先ほど申し上げたように、基本的には民間から動員されると。保証は、仮に保証の実行というような、債務不履行というようなことがない限り、実際問題として、資金的には拠出してあるわけですけれども、それが使われるということはないということになろうかと思います。
  28. 石井一二

    ○石井一二君 さて、本来のODAの質問に移りたいと思いますが、我が国は要請主義をモットーとしてODA実施しておると。先ほど馳議員の教科書が間違っているんじゃないかというような御指摘もございましたが、私は、あくまで個人の意見として、タイドをもっともっと強くすべきだという主張を繰り返しておるわけでございます。  それで、ODAの中で要請主義、そういうものがある限り日本商社とかコンサルの果たすべき役割は大きいと思いますが、ごく簡単明快に言って、これらがどのような機能を果たしておると評価しておられるのか、局長、いかがですか。
  29. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 我が国のとっておりますいわゆる要請主義につきましては、これはこれで相手国の主体性を尊重するという立場から特にその自助努力に対する支援であるべきであるというのが根底にあって、要請主義ということを従来からとっております。  その中におきまして、企業がどういう役割を担っておるかということでございますが、援助事業におきます企業、具体的には商社とかコンサルタント等でございますけれども、こういった企業は主として援助案件実施の部分において役割を果たしておるわけでございまして、コンサルタントとして蓄積された専門知識を事業実施に役立てる、あるいはプロジェクトの形成等案件の発掘・形成過程でも重要な役割を果たしておるわけでございます。そのノウハウの伝達ということも援助事業の中で大きな役割を持っておりまして、コンサルタントはその中心的な役割を担っていると思います。  そういう中で、要請主義ということにつきましては、従来これがとかく受け身の援助ではないか、もっと能動的に関与していくべきであろうということで、これはこれで非常に理のあることでございまして、昨今は、要請主義という原則は維持しながらも、案件を相手側との政策の協議、対話を通じまして共同的に形成をしていく、いわば共同形成主義と呼んでもいいかと思いますけれども、こういう手法への転換も図られておるところでございます。
  30. 石井一二

    ○石井一二君 私はあなたのおっしゃることは必ずしも正しくないと思うんですよね。といいますのは、商社やコンサルがやっていることは実施の部分での役割と言われましたが、これはタイドであればそれが生きますが、アンタイドでぱっとよその国に行った段階でもうおさらばになるわけですね。  それと、あなたは主体性とか自助努力を期待していると言われましたが、要請主義は、彼らではそれだけの能力がないとは言いませんが、我々の経験に基づく能力の方がベターだから、商社なりコンサルがこんなところへこういうものをやったらこれだけの効果がありますよということで、むしろ商業主義も含めて御進言申し上げて、自主性のない姿で引っ張っていってあげておるというのが現実だと思うんです。あなたのは外見上の美辞麗句、国際会議なんかに出れば非常にサウンズグッドの答弁であって、現実をよく見ておられない、このように思いますので私の所見として申し述べておきたいと思います。  それから、コンサル等の役割がある以上、私は彼らに対してインセンティブをどんどん与えていって働きやすいようにしてやるべきだと思いますが、現状を見ておりますと、租税特別措置法の第五十八条で「技術等海外取引に係る所得の特別控除」というのがあるわけであります。これは額がたかだか年間十三億円程度で知れておりますが、二年ごとに何とかもう一遍延長してくれというような陳情をやっておらにゃいかぬ、また控除率もどんどん削減されてきておる、こういう中で私は国際協力促進税制というような経常化したインセンティブに変えるべきだと思うんですが、この辺について大蔵省なり外務省の御意見があればひとつよろしくお願いしたいと思います。
  31. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 突然のお尋ねでございますので一般論で恐縮でございます。  御指摘のように、コンサルの重要な役割というのは、タイドであれアンタイドであれ、いろいろあると思いますし、我が国のプレゼンスを確保するという意味も重要であろうかと思います。ただ、そのために今御指摘になりましたような租税特別措置がどの程度有効なのか、あるいはそれがどう機能しているのかということについては、それは租税特別措置としてのコストベネフィットというかそういうことをやはり十分議論する必要があるのではないかと思っております。  ただ、私、国際局長としては、できる限り我が国のコンサルも含めてその活躍が広がるというか拡大していくということは非常に好ましいことであるというふうに思っております。
  32. 石井一二

    ○石井一二君 もう一分ありますので、済みません。  結論として、ODA活動の中でJICAがどのような役割を果たしてきておられるのか、自分たちはこう考えてこういうことをやっているんだということを簡単に一言でひとつよろしくお願いしたいと思います。
  33. 伊集院明夫

    参考人伊集院明夫君) JICA活動でございますが、JICA政府間の約束に基づいて行われます技術協力等を実施する特殊法人でございます。そういうことでございますので、政府の定める方針のもとでまず技術協力事業、これは内訳を言いますと研修員の受け入れ、青年招聘、専門家派遣、青年海外協力隊派遣、プロジェクト方式技術協力、開発調査事業等でございますが、この技術協力事業、それから無償資金協力事業実施促進、開発協力事業、国際緊急援助隊の派遣並びに移住事業等を実施しておるわけでございます。特に技術協力事業につきましては、人の往来を基本とする援助でございますので、顔の見える援助として我が国途上国国民レベルでの相互理解にも大きな役割を果たしていると考えております。  私ども、特に今力を入れておりますことは、昨年七月三十日の総理の閣議での指示等を踏まえまして、ODAの透明性、効率性の向上、事業実施体制の強化といったことに力を入れております。具体的には、国別アプローチ等の強化ということを目的として、平成十二年一月から地域部を四部新設する等の抜本的な機構改革を実施する方針でございます。  さらに、資金協力技術協力との間の連携の強化とかNGO等への委託事業の新設等の国民参加事業の推進等を通じた援助の効率性の向上への取り組みを図りたいと考えております。  また、私どもとしては今後ともODAの透明性、効率性、事業実施体制の強化のために最善の努力を果たしていきたいと考えております。
  34. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。  まず、非常に総論的なことをお尋ねいたします。  さまざまな援助を行う、行うに当たってその有効性などをさまざまな角度から検討するということはもちろん重要なことでございますけれども、また一つの方法として援助した後の成果を点検する仕組み、援助がどのように役立っているかという成果を実際に点検するということも大変に重要なことだと思いますが、今行われているシステムはどうなっているか、それについて説明していただきますようお願いします。
  35. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 援助案件が完成をいたしました時点で当然終了時のチェックを行いますが、それ以後につきましては実施機関でありますJICAOECFにおきまして事後の調査をそれぞれ行うことになっております。JICAにつきましては原則として二年目と六年目、それからOECFにつきましては原則として三年目と七年目にそれぞれ終わりました案件についてのその時点での現況調査というものを行います。  加えまして、案件そのものの評価を行うことになっておりまして、これは外務省も評価を行いまして報告書を出しますし、JICAOECFにおきましてもそれぞれ案件事業評価を別途行って公表いたしております。
  36. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その現況調査あるいは評価を行うところでございますが、これは実際に援助を行った担当部署が行っておるんでしょうか。それとも、そうではなくて調査を行う専門の部署があって行っておるんでしょうか。
  37. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 現況評価につきましては、これは施設とかあるいは機材の維持管理状況などがどうなっているかという調査中心になるわけでございますが、これは原則といたしましては担当した部局を中心にやります。それから、プロジェクトの全体の評価につきましては別途評価部門がございましてその評価部門が行いますし、場合によりますればその評価部門が第三者に評価を委嘱いたしまして第三者評価を行う、こういう形で進んでおります。
  38. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その現況調査の方ですが、例えば担当部署がみずから行ったさまざまな工事その他のものについてみずからが調査すれば、例えば何か問題があったとしてもみずからの責任をみずからが認めるというようなことにもなって調査が甘くなるのではないか、あるいは問題点があってもそれを隠したがる方向に行くのではないかというような一般的な懸念を感じるんですが、そこら辺のところは、例えばそういう懸念が生じないように担当部署ではないもっと客観的な部署なり、そういった人たち調査するような、そういうシステムを導入する考えはございませんでしょうか。
  39. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) プロジェクトをやりました場合に、例えば欠陥が判明したとか不十分なものがあったということでございますと、会計検査の調査も入るかもしれませんし、あるいはそのプロジェクトがある時点で評価対象になって第三者からきちんと評価される、いろいろな場面で目につく可能性が非常に大きいわけでございます。  したがいまして、担当者としてはその案件を手がけた後に何か欠陥なりまずいことがあればできるだけ早くその修復、回復の措置をとるというのが通常の心がけでございまして、それはそういうことでなされております。必要があれば追加の支援をいたしましてその援助効果が高められるように、そういう援助効果促進調査等も行われておるわけでございます。一般的にはそういうことで対応いたしております。  評価そのものはこれはやはり自分で手がけたものを自分で評価するわけにはいきませんので、それは別途できるだけ公正な第三者が経験に基づいて評価をするというのが正しいやり方ではないかというふうに思っております。
  40. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そうしますと、現況調査の方は要するに現状どおりこれからも続けていきたいという趣旨の答弁だと思います。  評価の方ということでしたが、先ほども最初の説明の中で評価と出ましたが、これは定期的にすべての援助を行った工事その他のものについて行うような仕組みになっているのでございましょうか。
  41. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 援助評価につきましては、一定案件が終了しました後、理想的にはすべての案件についてこれを行うのが適切だろうと思っております。  現状はどうかということでございますが、現状は必ずしも手がけた案件のすべてを評価にかけるということはなかなか難しゅうございます。これは人員的な制約もございます。それから、ある程度予算的な制約等もございます。  しかし、できるだけいろいろな機会にその評価をするということで手段を総動員いたしまして、例えば在外公館を活用する、それから東京から参加する、あるいは最近はできるだけ客観的な評価をふやしていくという意味で第三者評価、NGOの参加も得た評価とか、いろいろな手段でやっておりますが、今までの実績では大体半分強ぐらいを事後評価の対象になし得ている、こういうことでございます。
  42. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 半分強ということでございますが、それは一つ案件について事後、当然事後でしょうけれども、一回ということを含んでのことでございますね、もちろん。そうすると、もう少し具体的に、例えば食糧援助の食糧のように短期間に消費されてしまうような援助もありますし、あるいはダム建設のように非常に長期にわたってその評価が問題になる案件もございます。  具体的にその必要に応じて評価を行うというものではなくて、もっと明確なそういう援助の内容によっての評価基準というものがあって、そして実際にどのような評価を行うのかという、そういう具体的な内容はあるのでしょうか。
  43. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 評価につきましては、まさに先生指摘になりましたように、一体どういう基準に基づいてこの評価を行うべきかという方法論の問題が一つございます。そのために、この評価のあり方については、日本だけではございませんで、ほかの援助国もなかなか頭を悩ましている部分がございます。  そこで、我が国におきましては外部の有識者の御協力も得まして評価ガイドライン、評価に当たってのガイドラインをつくっております。まだ十分完成し切っていないという状況ではございますけれども、この評価ガイドラインをきちっとつくった上で一定の手法を確立して案件の評価に臨む、こういう方針で現在そのガイドラインを完成しつつある、こういう状況でございます。
  44. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 ぜひそのガイドラインをつくっていただきたいと思いますが、具体的にいつごろをめどに検討されておるんでしょうか。
  45. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 検討自身はかなり前からやっておりますので、いつか明確に申し上げることはちょっと難しゅうございますけれども、これはできるだけ早くとにかくつくり上げるということで今努力を続けております。
  46. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 前回の櫻井委員の質問の中で、ダム建設によって塩害が起こされた例がないかという質問に対して、承知していないという御答弁をいただきましたが、これはそういう報告を受けていないというだけなのか、それともそういう塩害が起きているかどうかということを調査した、しかしそれがなかったということなのか、そこら辺を少し明確に説明していただきたいのでございますが。
  47. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 塩害発生の問題とそれからダム建設の問題とあるかと思いますが、ダムを建設した結果塩害が発生した事例があるか、こういうお尋ねでございますと、ODAでダムを建設してその結果ダムの水でかんがいが行われるわけでございますけれども、そういった地域で塩害が発生しているかと言われますと、そういう事例は我々が調べた限りでは承知をいたしません、こういうことを御答弁申し上げたわけでございます。  ダムの建設とかかわりなしにかんがい開発の案件において塩害が発生しているかどうかということについては、これはちょっと私どももそこまで明確に調べたわけではございませんけれども、ダム建設の結果塩害が発生しているかということについてはそういう事例は承知いたしておりません、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  48. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 ちょっと私の聞き方も不十分だったのかもしれません。ダムを建設したそのこと自体によって塩害ということではなくて、ダムを建設した結果かんがいの用水が引かれる、その用水を日本の農業のように引いたり張ったりということではなくて、これを一年じゅう引いておったりすると地中の塩分を浸透させて塩害が生ずるというようなことがございます。ですから、ダムをつくったから直ちに塩害というのではなくて、ダムをつくった結果、それによってかんがい用水の使い方について十分な指導をしないと塩害が発生するのではないかという観点からお尋ねしておるわけです。  そういった面からの評価、これは例えばすべてのダムについて行った上でそういう報告を受けていない、あるいはそういう事実は発見していないというのか、あるいはそこまでの調査はしていないけれどもとりあえずそういう事例は聞いたことがない、こういう内容だったのか、そこら辺のところを説明してください。
  49. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 塩害はいろいろな原因によって起こるようでございます。塩水を含んだ地下水が毛細管現象によって上昇してくるとか、あるいはもともと過剰に塩分を含んだかんがい水を利用して塩害につながるとか、いろいろ原因があるようでございますけれども、ダムに含まれているかどうかは別として、こういったかんがい事業が塩害を引き起こさないようにするための措置、これは別途技術協力の見地あるいはいろいろなアドバイスでやっております。  具体的には、特にかんがい農業の普及、あるいは水を利用する農家の組織化、こういった農業分野の協力も結構重要な協力対象になっておるわけでございますが、そういう場合に適切な塩害防止のための技術指導が行われるようにコンサルティングサービスを入れるといったような配慮を加えながらプロジェクト実施いたしております。  具体的に、我が国が手がけたプロジェクトの結果、何か大きな塩害が発生した事例の有無につきましては、ちょっと不勉強で申しわけございませんけれども、私が承知する限りでは特にそういうものがあったということは承知いたしておりません。
  50. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 それでは、個別の問題についてお尋ねします。  スリランカのサマナラウェア・ダム、一九九〇年ごろに完成しておるダムですが、円借款によりまして完成しております。このダムが水漏れの欠陥があるというようなことが問題になったことがございますが、これは現在どういう状況になっていますでしょうか。
  51. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 御指摘のスリランカのサマナラウェア・ダムにつきましては、確かにこれは円借款で行われた事業でございます。  九一年、もう八年前にさかのぼりますけれども、一応ダムが完成をして湛水を試験的に開始いたしました。それから約一年数カ月たった九二年十月にダムの下流の一部分から湧水があるということが判明をいたしました。そこで、この湧水に対処するためにスリランカ政府は、土砂等を水中に投下いたしまして、そしてこの湧水を遮断する工法による対策を別途我が国に要請してきておりまして、調査我が国の方でやりまして、九五年度に至りましてこの改修部分につきまして追加的な借款を供与いたしました。  それによりまして、昨年、九八年三月から改修計画の工事が開始をされまして、今年初めまでに貯水池の底の透水経路の穴があると思われる地帯に土砂を、約四十三万立方メートルというふうに報告が来ておりますけれども、投入いたしました。その結果、以前の湧水量がかなり減少をしてきておるという報告を得ております。  今後は、これまで投下しました土砂がさらに抜け道の穴に徐々に入り込んでいって湧水の現象が少なくなる、あるいはなくなるということを見込んでおる、そういう現状でございます。
  52. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 このダムについては、一九九一年度に水漏れを補修する追加借款として三十二億六千四百万円が投入されておるわけですが、そうするとこの追加の改修工事では欠陥がおさまらなかったということになるわけですね。
  53. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 追加借款が必要になりましたのは、工事を完成して試験的に水をためていったところ、そういう湧水現象が発見されたということでございまして、この種のダムを建設した場合に、完成後に、いろいろ当然建設前に詳細な調査をするわけですが、その調査にもかかわらず実際に水をためてみると湧水の現象が起きるという例は、これは世界にも幾つか例があるわけでございます。そういう場合には湧水をとめるために一番適切な工法で対策がとられる、こういうふうに承知しております。  スリランカの例も、詳細な調査を行ったわけでございますけれども、不幸にしてそういう現象が生じたということでございますので回復の措置を講じたものということであります。
  54. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 一九九五年の追加借款ということですが、これは幾らの円借款を供与したんですか。
  55. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) このサマナラウェア・ダムにつきまして、九五年の改修のための借款供与額は五十二・八二億円、約五十三億円でございます。
  56. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 完成してからすぐに三十二億円もの追加借款をして補強工事を行っても直っていない。また、九五年にそのような補強工事を行って、土砂を投入して、そうすると当然ダムの貯水容量も減ると思うんですが、完成したということでございますが、果たして本当にことし初めにそういう工事が終わった段階で直っているのかどうか、どうも私、素人目には疑問に感じるところもあるんです。  そもそもこのダム工事に関しては、ダムに適さないところにダムを建設した、その当初の段階での調査の不十分さが根本の問題ではないかという点が指摘されておるんですが、この点はいかがでございましょうか。
  57. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) このダムの計画につきましては、これは相当長い間スリランカ政府が計画しておったものでございまして、十分な調査を行って工事が行われ、完成を見たわけでございます。  ただ、自然が相手のものということ以上に、こういったダムにつきましては、地下の地質構造がどうなっているかというところまで全部完全に虫眼鏡で見るようにいくわけにもいかない部分が確かにあるということでございまして、この場合には地下構造が予想以上に複雑であったためにこういう湧水が防ぎ切れなかったということでございます。  先ほどちょっと申し上げましたけれども、各国でダムの建設が幾つか行われておりますが、スイスとかトルコ、それからチリ、ユーゴスラビア、ギリシャ等々で行われたダム建設の結果、やはり湧水現象というものが生じて事後の回復、改修の措置をとるのやむなきに至った例はほかにもあるわけでございまして、これ自身はそういうことで一部分不十分な点が残念ながら後でわかったということでございます。  これは調査そのものの不十分というよりも、やはりそういう地質構造の問題であったということでやむを得なかったのかなと思います。もともとここにダムをつくるべきかどうかということについて、住民の移転とかそういう問題が生じますので、いろいろ賛成・反対派があって時に問題になることが間々あるわけでございます。  このサマナラウェアそのものにつきましては、これは長い間のスリランカ政府の計画に基づいてなされたもので、その他の点についてはほぼ満足いく形で完成を見たというふうに理解をいたしております。
  58. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 このダムの調査は、それから実際の建設も日本の会社が行ったわけですが、スリランカからしてみますと、このような欠陥ダムのための円借款は返したくなくなるような気持ちになるのではないかというふうに心配しておるんですが、この円借款の償還の方はどうなっているんでしょうか。
  59. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) スリランカから借款一般につきまして償還に問題が生じているということはございません。  それから、本件、このサマナラウェアのダムにつきまして、今はまだ利息の返還時期でございますけれども、問題が生じているということは一切ございません。
  60. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 これは一部そういう意見を言う人がいるということで聞いていただいてもらえば結構なんですが、スリランカとしてはこの借款については返還したくないんだけれども、そういうことを言うと他の借款が得られなくなるという事情があって、このダムに関する借款を償還したくないと言いたいんだけれども日本政府の方がそれを抑えているというふうに言う人もいるんですが、こういう見解についてはどのようにお考えでしょうか。
  61. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 我が国とスリランカとの間の経済協力をめぐる関係は非常に良好でございまして、円借款案件幾つかございますけれども、そのほかの案件もございます。  スリランカ政府国民日本協力を大変に多としているということはいろいろな機会に表明をされておるわけでございまして、本件につきましてとかくのそういう話があると、一部の方がどういう評価をなさっているかというのは必ずしも私ども全部存じませんけれども、少なくとも日本政府とスリランカ政府の間あるいは当局者の間でこのダムの建設をめぐって何か大きなあるいは気まずいような問題があるというふうには承知をいたしておりません。
  62. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 では次に別のことを聞きますが、重債務を負っている最貧国についてその債務を免除しようという動きがあるようですが、これに対する政府の取り組みはいかがでございましょうか。
  63. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 重債務を負っている貧困国の債務軽減の問題は今国際的に何とかしなきゃいかぬということで一つの大きな課題になっており、来るケルンにおきますG7のサミットでも一つの課題として取り上げられるということで、現在そのG7のサミットに向けましていろいろな検討が行われているところでございます。  これにつきましては、四月の末に我が国日本政府の提案と申しますか、このG7サミットに臨むに際しての我が国の考え方、方針を一応整理いたしまして発表したわけでございます。  基本的には、途上国の債務問題につきましては、日本自身はいわゆる債務の帳消し、キャンセルというようなことは援助理念の立場、それから国内法、債権法とか債権管理法といった国内法の建前等もこれあり行えませんが、ただ実質的に債務の帳消しに当たるような措置というのは従来とってきております。  今般のケルン・サミットに向けての重債務貧困国対策としましては、従来の延長線上でその措置を拡大することによって対応しようというのが基本姿勢でございまして、ODA債権につきましては実質的に一〇〇%になるように債務救済無償という制度を用いまして実質的な帳消し、帳消しそのものではございませんけれども、実質的にはそれに匹敵するような措置対応しようということでございます。  ほかのG7の国々もODA債権の処理につきましては、方法はいろいろ国によってやり方がありますけれども、大体一〇〇%の救済という点についてはほぼ足並みがそろっているところでございます。
  64. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その点についてちょっと二点だけ質問させていただいて終わります。  まず、G7の先進国の中で債権の金額が異なりまして、日本の場合には特に一番多いと。そうすると、一律に皆さん免除するだけでは債権が少ない国がむしろ負担が軽いのではないかと。ですから、そこら辺のところはやはり先進国同士公平になるような方法を考えるべきではないかということが一点。  それから、一つの基準を設けてそこまでが重債務国としますと、その基準に外れたけれども限りなく重債務国に近いという、最貧国に最も近い苦しい国が頑張っているのにその努力に報いないようなモラルハザードが起きるのではないかという問題。  この二点についてお答えいただきまして私の質問を終わります。
  65. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 前者の公平の負担の点につきましては、私ども全くそういうふうな考えをいたしておりまして、確かにG7にとって個々に見ました場合に途上国に対します債務問題の対応というのは国によって少しずつ違います。例えばアメリカとかイギリス、ドイツ、こういった国は過去に政治的、外交的な配慮に基づきまして一方的に債務をキャンセルしているというような国でございます。そういう国もございますので、公平の負担といった場合には、自分たちはもう過去にキャンセルしてきた、だからそれもちゃんと計算に入れた上での公平の負担というなら話としてはわかる、こういう主張が戻ってくるわけでございます。  それから、もう一つ公平の負担ということで今議論になっておりますのは、現在の債務救済の問題は国際機関、世界銀行とかIMFが開発途上国に対して持っている債権、この救済もやるということでございます。これを国際機関が行うためにはやはりそれなりの財政措置が必要でございますので、別途各国から拠出を得ながらやらなきゃいけない。この国際機関の債務救済に対します基金に対する拠出という意味では、日本はこれまで相当、七千万ドル近くのものを既に出しておるわけでございますので、ほかの国はまだ十分なものが出ていない、これはやはり公平の負担の見地から国際機関の分についての公平な分担を求めていこうと、こういう側面も別途ございます。  それから、二番目にモラルハザードにつきましては、これはまさに御指摘のとおりでございまして、余り安易な対策をとりますと、まさに御指摘のように苦労しながら返済をしている国に対しましてその返済努力を損なうおそれがございます。これは各国とも十分認識しているところでございますので、そのモラルハザードの問題も十分念頭に置きながらバランスを失わないように対応していく必要があると。ここも日本が公平の負担と同時にモラルハザードの問題については重要視して主張をしてまいっておる点でございます。
  66. 大森礼子

    ○大森礼子君 公明党の大森礼子です。  今、小川委員の方も聞かれたので、まずこの質問から始めたいと思うんですが、ODA債権の放棄についてです。  今お答えありましたけれども、三月二十九日の本委員会でも国際協力局長が「我が国としては債権を帳消しにするという政策はとっておりません。国内法的にもちょっと難しいということでございます。」と、これは財政法八条との関係答弁されている。そして、返済額と同額のものを債務救済無償資金という形で供与することを述べられている。きょうもそのような御答弁をされました。  それで、対外的にはその説明をするのはよろしいのですが、これはどう考えても何かおかしいなという気がして仕方がないんですね。納税者たる国民理解を得るためには、一方で被援助国に対して引き続き返済努力を求めていくべきだと思うんです。  この点について、サミットでの対応も含め、まず政府の見解、姿勢を簡単で結構ですからお伺いしたいと思います。
  67. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 日本ODA日本援助というのは、繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、自助努力というのがある、これはやはり大事にすべきである、基本的には経済の底上げを図ることを通じて債務問題を克服、解決していく、これがやはり本筋だろうと思っております。この線は崩すべきではないというのが少なくとも我が国における政府の基本的な考え方でございます。  すなわち、安易に債務救済措置を拡大したり削減を行うということはさらなる削減に対します期待感というものにつながって、これがモラルハザードの問題を起こしますし、一生懸命返済を続けている国に対する自助努力を損なうおそれもあります。そういうことで、こうしたモラルハザードの問題には十分配慮しながら、しかし現実に非常に大きな債務負担ということでぎりぎりのこともできないという国が一方にありますので、この辺をバランスして考えて日本政府対応を打ち出した、こういうふうに私どもは考えております。
  68. 大森礼子

    ○大森礼子君 我が国が債権を持っている、ところが相手国が返せないということですね。それで実質的に債務帳消しとなる形をとるために債務救済無償資金をまた供与する、相殺するという形をとるのでしょうか、確かに帳じりは合うと思うんですね。帳じりは合う。そういうテクニックというのはあるかもしれません。だけれども、何か変だなと思いますのは、国民の側から見ますとそのような説明で納得いくのかなということです。  例えば、平たく言いますと相手方にお金を貸したけれども焦げつきましたからもう一回出してくださいというふうに国民に言ったら、では何でそうなったのと聞かれると思うんです。あるいは、言い方を変えまして、相手側に貸したんですけれども焦げつきました、回収はあきらめてください、こう説明しても、では何でそういうふうに焦げついたのと。要するに原因がどうなのかと、そこのところの責任というのは一体どこがとるのかということです。  ですから、国民としましても、今回のような債務救済無償資金という形で供与する、こういう解決方法をとらざるを得なくなったその原因といいますか、これは言いかえればそのような不安定なODA債権を発生させたことですけれども、この過程、プロセスについてそれが果たして不可抗力であったのかどうか、急に革命が起きてごちゃごちゃになったのかどうか、それともそのODAのあり方について民法上でいいますと責めに帰すべき事由、帰責事由といいますか、があったのかどうか、やはり税金の使い方の妥当性として判断する必要がありますので、そのプロセスの責任が不問に付されますと、対外的にサミットの方では解決した形になるのかもしれませんが、対内的、国内的には少しもこの問題は解決していないのではないかと思うんですね。問題はそこだと思うんです。  この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  69. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 重債務貧困国というふうに指定をされて、これは世界銀行とIMFが一定の基準に基づきまして指定をいたしますが、四十一カ国現在ございます。大半はサブサハラのアフリカ諸国でございまして、アジアも二、三カ国含まれておりますが、大体アフリカでございます。  なぜこういうことになったかということでございますが、これは若干アフリカ情勢を話すことになるかと思いますけれども、要は六〇年代にアフリカの独立、七〇年代に明るい希望に燃えて国づくりを一生懸命多くの国がやりました。当時は彼らの主要な外貨稼ぎであります一次産品の価格もそこそこによかったわけでございます。ところが、七〇年代の終わり、八〇年代にかけまして一次産品価格が下がり、もちろん一部の国は失政とかそういうこともございましたが、状況が悪くなりました。そのころからアフリカの債務問題が起き始めました。これではいかぬということで世界銀行が中心になりまして構造調整政策というのをとりました。大体八〇年代通じまして各国にいわばあめとむちの政策を導入いたしました。一定の改革努力、これをやる、それと引きかえに融資を出す、単純に言えばそういうことでございます。これを多くのアフリカ諸国についてやりました。その結果、その成果が上がった国とうまくいかなかった国と両極に分かれてきたというのがそれ以後の大きな流れであったかと思います。  日本がなぜこの過程で債権を、主として円借款でございますけれども、出したかということですが、八〇年代にアフリカ諸国の構造改革を支援するためにそうした世界銀行、アフリカ開発銀行等の協調融資というようなことで支援策を講じたわけでございます。そのうち数カ国はうまくいったわけでございますけれども、多くのアフリカ諸国におきましては失政あるいは内乱、自然災害等いろいろ要因が重なりまして、うまくいかなかった国については二国間債務、それから国際機関に対する債務が残ったというのが大筋であろうかと思います。  この間の日本政府のアフリカ支援というものが果たして適当であったのかどうかということにつきましてはあるいは反省の余地もあろうかと私どもは思っております。しかしながら、現実にそういうことが生じましたので、ここは先ほど来申し上げておりますいろいろな配慮をバランスよくとりましてぎりぎりのところの対応はとらせていただきたい、こういうふうに考えて措置を決定した次第でございます。
  70. 大森礼子

    ○大森礼子君 今、重債務国の国内事情とか、こういうことを御説明いただきました。それは何らかの変化があったからこうなるのだろうとは思うわけです。結局そこのところでこちら側がそういう変化というのが予測できなかったのかどうかということの検証というのは緻密にしていく必要があるだろうというふうに考えております。いずれにしましても、国民の税金が手当てとなるわけですから、きちっとそこのところを報告しまして国民皆さん理解を得ていくことが大事であろうというふうに思います。  それからもう一つ、一方では返済努力を求めていくべきだという方向もあると思うんですね。ただ、これは相手国の事情によって違ってくると思います。ただ、一般的に考えまして、債権を実質的に放棄するという形になります。実質的には結構です、そういうことで債務国側のモラルハザードをもたらすという懸念も生じます。それから、以後の資金提供についてもするのかしないのかという、この解決した後ですけれども、こういう問題が出てくると思うんです。  実は先ほどした質問とちょっと角度を変えると何か答弁者側を進退両難の地位に追いやる形になるのではないかなと思いながら、でも重要なのでお尋ねするのですが、以後の資金提供について見直さなければいけないということになりますと、その貧困国の民生の安定向上とかこういうことが望めなくなるわけでございます。これは非常に難しい状況になると思うのですが、こういう難しい問題を前にしてどのように対応していかれるのか、非常に質問が抽象的になりますけれども、お答えいただければと思います。
  71. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) まさに先生が今御指摘いただいた点が一番重要な点ではないかと思っております。すなわち、債務救済をいたしますと、国際的な一般的なやり方といいますか常識と申しますか、からすれば債務救済した国に対しては新規の資金はもう供与しないという、そういう考え方がございます。これはこれで当然なわけでございますが、ただ相手がそういう重債務であり、かつ貧困の国でございますので当然何らかの経済社会開発上の資金は必要でございます。しかし、少なくとも借款とかローンはもう出すのはやめよう、別途きちんと改革をし、経済が立ち直った後はまた別でございますけれども、少なくともこの債務救済が続いている限りは新規の借款の供与はもうしない、協力するとすればそれは無償ベースの、返済負担を伴わない形の資金でやるというのが原則たるべきであろうということでございまして、今回の政府の発表しました措置の中にもその考え方が明確に取り入れられております。  それから、もう一つ大事な点は、債務救済ということで債務救済無償という資金が行きますが、これが例えば武器の使用に使われたりとかいうことではたまりませんので、供与される債務救済の無償の資金の使い方につきましては貧困削減であるとか教育だとか、本来この援助資金が回るべきところにきちんと届くような、そういうシステムもあわせてつくった上で供与する、こういう措置が同時に伴われるべきであろうと思っております。
  72. 大森礼子

    ○大森礼子君 いずれにしましても、国民に対する説明というものを十分に尽くしていただきたいと思います。  次に、評価の問題についてお尋ねいたします。私も三月二十九日のこの委員会ODAの事前、中間、終了時、事後という四段階の評価制度について質問させていただきました。  事後評価につきましては、実施機関などが発行する報告書があるということで、不十分ながらもある程度の内容はわかるんですが、事前評価というのはどのようになされているのか。先ほど小川委員の質問に対して評価ガイドラインを作成中であると、これも事後の方ではないかなと思うのですが、事前評価ということについては現段階で公開されているのかどうか、これはいかがでしょうか。
  73. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 先生の四分類に従います事前段階の評価ということでございますが、これは事前でございますので、案件を発掘し、形成し、そのためにいろいろな調査をする、こういう段階に当たるのではないかと思います。  これにつきましては、幾つかの方法があるわけでございますが、典型的には開発のための調査、開発調査というものを実施いたします。これによりまして協力に投入される技術、それからコスト、それからどういう組織でプロジェクトが運営されるかといった組織運営面、それから環境面でのインパクト調査、それから経済とか財務評価、この辺がスタンダードでございますが、こういうことをいろいろ各方面から調査をします。これが調査報告書という形にまとめられまして、この開発調査報告書が完成をいたしましたら、相手国政府の了解を得まして、原則としてはJICAにおいて公開をされております。  それから、無償資金協力につきますいろいろな調査も行われますが、この場合には入札が伴いますので、入札の告示までは非公開とされますけれども、入札告示以後は案件のためにつくられた報告書は公表をされております。これもJICAにおきまして公表をされております。
  74. 大森礼子

    ○大森礼子君 そうしますと、事前評価、今おっしゃった内容ですけれども、これについてはJICAへ行ったら自由に我々もチェックできるということでしょうか。援助案件として採択すべきかどうか、この事業調査の経過、内容、これを見られる時期的なものといいますか、これはどういう関係になりますでしょうか。途中経過のところで出すことになるのか、決まってから見るということになるのか。つまり、何をお聞きしたいかといいますと、後の質問とも関連するんですが、事業採択の妥当性とか決定過程、これをチェックしようとする場合にどんな方法があるのかなということで今質問させていただいたんです。どういう形になりますでしょうか。
  75. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 事前の段階におきますいろいろな調査報告書のようなものも、今申し上げましたように、開発調査ということで報告書がまとまれば公表いたします。  ただ、その開発調査で取り上げた案件が必ず実際に採用されてプロジェクトに結びつくかどうかはわからないわけです。そういう可能性を調査したものが、例えばフィージビリティースタディーなんというのはそういうことだろうと思いますけれども調査報告書であるわけでございまして、幾つかのものはその後採用されるし、一部採用されないものもございます。  それから、先ほど申し上げました入札を伴います案件、これはもちろん採択をされたものについてそういうことになるわけでございます。それ以外に一般的にいろいろな形で案件形成が行われます。これはいろいろな種類がございますけれども、例えば無償資金協力の例で言いますと、あるプロジェクトの設計をいたします、こういうプロジェクトの設計にかかわるような調査書、これも公表をされます。  ということで、できるだけこういった事前のものにつきましても、まとまった形のものがある場合には公表するように既に手配をとっておるところでございます。
  76. 大森礼子

    ○大森礼子君 次の質問との関連でお尋ねするんですが、平成十年十一月二十七日付の文書で、対外経済協力関係閣僚会議幹事会申し合わせ、タイトルが「ODAの透明性・効率性の向上について」という文書がございますね。今おっしゃられたことはこの文書が作成される前の段階でも当てはまることなのか、それともこの文書を受けた上でそのようになったことなのか、ちょっと教えてください。
  77. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 昨年の幹事会申し合わせにつきましては、これはいろいろODAの透明性とか効率性について総理大臣の御指示を受けまして政府の中で検討して出したものでございますが、この中にあります国別の援助計画、それから案件の選定から事業実施、事後評価に至るまでのプロセスの透明性を図る、こういうことになっておりまして、これにつきましてはそれぞれ、先ほど申しましたような調査報告書につきましては既に以前から当然公開をされておるものでございますが、それ以外に公表できるものがあれば公表するようにすると。  一つの具体例で申し上げますと、例えば円借款につきましていろいろ候補案件がございます。相手国政府から要請が上がってくる。日本政府がある程度それを検討して、その結果将来的に向こう三年ないし五年程度をこのリストに載った案件の中から実際に実施していく案件を取り上げるようにしていこう、そういう意味での候補案件を公表できないかということも今検討いたしております。私どもの中の言葉でロングリストと呼んでおりますけれども、こういったことも例えば透明性の向上になるということを念頭にやっておるわけでございます。そういったことでできるだけいろいろな段階で公表できるものは公表していきたい、こういう考えで臨んでおります。
  78. 大森礼子

    ○大森礼子君 今の御答弁の中でこの文書の内容を読んでいただいたんですが、要するにこの中では「透明性の向上について」ということで、繰り返しになりますけれども、「ODAの課題や国別の援助計画を明確にし、案件の選定から事業実施、事後評価に至るまでのプロセスの透明性を高めるとともに、ODAに関する情報公開を促進する。」と、これはもう最初の項目のところで第一として「透明性の向上について」ということで文章化されているわけであります。  そうしますと、先ほどの調査報告書等につきましてはそれまでもやっていたことですから、この平成十年十一月二十七日の段階であえて第一番目に「透明性の向上について」という、こういう申し合わせがされたということについてはもっとより積極的に、既に実施した援助事業の効果のみならず事業採択の妥当性や決定過程にも国民は大きな関心を持っていると思うんです。  それから、相手国があるから外交関係上公表できない情報はあるかもしれませんけれども、納税者たる国民に対する情報公開の上から幹事会申し合わせのとおり案件採択名の事業調査情報等についても公開してその透明性を高める努力が必要ではないかと思いますし、まさにこの申し合わせというのはそのようなものを目指しているのではないかなというふうにこちらは理解しているわけです。  そうしますと、個別具体的な案件について処理するという考え方もあるでしょうが、何かもっとビジョンといいますかルールといいますか、そういうものをやはり示される必要があるのではないかなという気がいたします。  時間が参りましたのでほかの通告事項が質問できなかったことをおわびいたします。  この幹事会申し合わせとの関係について、これからどういうふうに情報公開を進めていくか、もう一度簡単に決意等を教えていただければ幸いです。
  79. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) まさに私どもODAの透明性を向上するということが国民理解を得ていく上で非常に重要であるということは十分肝に銘じておるつもりでございます。  そのために、従来からも情報公開措置は進めてきたつもりでございますが、今回の申し合わせに従いまして、先ほどちょっと申し上げましたようなロングリスト化の問題も含めて、できるだけ公開できるものは公開をしていく、情報公開法も通っておるわけでございますし、そういうこともありますけれども、できるだけ公開を進めたいということで最大限の努力をしてまいりたいと思います。
  80. 大森礼子

    ○大森礼子君 終わります。
  81. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  先ほどの質問の答弁の中で、外務省の方から例の鉄道建設問題に絡むリベート問題でその後の報告がありました。六項目ありましたけれども、その第一項目の中で、関係した五社を個別に呼んでヒアリングを行った、その結果リベートはないというふうに答えていたという報告がありました。  そこで伺うわけなんですけれども、だからどうなのかというところなんですね。問題は、リベートがあったじゃないかというふうに報道されているにもかかわらず、その本人はそういうことはないと言っているという報告をしたことで事は済まされるのかどうか、改めて外務省の見解を伺っておきたいと思います。
  82. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) この報じられた問題につきましては、私どもも聞き取り調査で終わりということではございませんで、別途インドネシア政府に対しましても調査を申し入れており、インドネシア政府の方では部内に大臣クラスをヘッドとする調査委員会のようなものをつくって調査を進める、日本からも資料情報の提供を求めるというようなことでございます。私どもとしても引き続いて本件については調査できることがあれば調査をしていくという姿勢でおるわけでございます。
  83. 富樫練三

    ○富樫練三君 そこで、会計検査院に伺いたいわけですけれども、先日の新聞報道で「検査院「協力基金」を検査へ 現地「商慣習」にメス」ということで、海外援助リベート問題について会計検査院が調査を行うということが報道されております。  この検査内容のポイントはどこにあるのかという問題であります。特に、これはあのインドネシアの鉄道建設の点でいえば、鉄建建設が現地のウジンダという仲介会社、ここに手数料として払った仲介手数料、これがその先どう使われたのか、すなわち当時のインドネシア政府側に渡ったとされていることが事実であるかどうかというところが一番のポイントになるだろうというふうに思うんです。  検査院の手でぜひこれを明らかにしていただきたい。ここがはっきりしなければ問題の核心を外すことになるわけなんですね。国民の税金や財投資金が最終的にどう使われたのか、この全容解明を大いに期待しているところでありますけれども、決意のほどをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  84. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) お答え申し上げます。  今、先生お尋ねの件でございますが、私どもといたしまして、外国政府に対する検査権限あるいは外国政府と契約締結いたしました業者に対する検査権限はないわけでございまして、そういう意味で直接的な調査権限はないところでございますが、現時点では外務省の方でインドネシア政府に対しまして調査を依頼しているということでございますので、その結果を待ちまして、その説明を徴しまして具体的に検討すべき点があれば検討いたしたい、そのように考えております。
  85. 富樫練三

    ○富樫練三君 その点についても大いに期待したいわけですけれども新聞報道ではこういうふうに言われているんですね。「検査院はリベートが工費に上乗せされていた場合、不適切な国費の支出にあたると判断、OECFへの検査でゼネコンの契約状況やリベートの実態の解明を行う考えだ。」、これはこのとおり理解しておいてよろしいですね。
  86. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) お答え申し上げます。  新聞報道、必ずしも具体的に中身が一致するわけではございませんが、いずれにしましても、今、事実がどうであるか全くわかっていない状況でございますので、調査の結果を待ちまして、その説明を受けて、それから検討いたしたい、そのように考えております。
  87. 富樫練三

    ○富樫練三君 ぜひ全体の解明をお願いしたいと思います。  そこで、次の問題に入りますけれどもインドネシアでのODAによるダム建設の問題について伺います。  インドネシアのスマトラ島の中部、リアウ州のカンパル川に建設されておりますコタパンジャン・ダムは一九二二年から工事が始まって、現在ダムが完成、発電機、変電所、送電線が完成して、タービンの最終点検、こういう状態であります。日本からの円借款はエンジニアリング・サービス、一期事業、二期事業の合計で三百十一億七千七百万円という事業であります。  そこで、JICAに伺うわけでありますけれども、そもそもこのプロジェクトは、一九七九年当時、インドネシア政府インドネシア電力公社がこの川の支流に小規模のダムを建設する予定であったものを、日本から東電設計が援助案件探し、これを目的に現地に乗り込んで、ダムの位置も下流に移し、大規模なダム建設を提案して、その後一九八一年にJICAが事前調査団を現地に派遣、八二年から東電設計にフィージビリティー調査をさせ、その報告に基づいてJICAが優良案件と結論づけて、一九八五年にはOECFがエンジニアリング・サービス、詳細な実施設計、その費用として十一億五千二百万円の円借款供与の貸付契約をインドネシア政府との間で締結した、その費用で詳細設計を行ったのが東電設計、こういうわけであります。  この経過から見ても、JICAと東電設計の合作によってダムの建設の規模の拡大を図る、こういうことになったのではないかというふうに理解されるわけでありますけれども、この経過には間違いありませんか。
  88. 伊集院明夫

    参考人伊集院明夫君) 私どもがフィージビリティースタディー調査を行った経緯でございますが、これは十八年前のことでございますので、ちょっとどういう経過でこういうふうになったかという詳細なものは残っていないわけでございますが、基本的にはインドネシア政府の要請に基づきましてインドネシアのスマトラのリアウ州と西スマトラ州の社会経済開発のために役立つという判断に基づいてフィージビリティースタディーを私どもとして実施したわけでございます。  これは東電設計とJICAの合作というようなお話がございましたけれども報告書を見る限りではそういうことはJICAとしては承知していなかったのではないか、それから、十八年前のことでございますけれども、当時の担当者に聞きましてもそのようなことはなかったと思われるということでございます。  ただ、フィージビリティースタディー調査にも二つの代替案、一段階方式でやるということと二段階開発方式でやるという二つの案を比較検討しておりまして、このフィージビリティースタディーではその比較検討の結果、一段階開発案が最適である、こういうことを報告書として言っているということでございます。
  89. 富樫練三

    ○富樫練三君 合作という言葉に引っかかったようでありますけれども、経過からいえば実際にはそうだろうと、報告書には合作をしましたとは書いていないのは当然だと思うんですけれども、経過からいえば事実上そういうことだというふうに思います。  エンジニアリング・サービス費用の十一億五千二百万と一期事業の百二十五億円、二期事業の百七十五億二千五百万、合計三百十一億七千七百万でありますけれども、この三百十一億七千七百万のお金でダムを建設し発電所をつくったわけですけれども、これが日本企業にどのぐらいの金額で発注されたか、その金額を明らかにしていただきたいと思います。
  90. 篠塚徹

    参考人篠塚徹君) 発注金額につきましては、当時のエンジニアリング・サービス及び第一期、第二期事業の時点では公表対象となっておりませんので、私どもとしては政府の方針に基づきまして申し上げかねるわけでございます。
  91. 富樫練三

    ○富樫練三君 それじゃ実態が明らかにならないのは当然ですよね。  私ども調査では、これは請け負ったのが日本関係企業ではダム本体工事が間組、さらにエンジニアリング・サービスなどは東電設計、さらに住友商事、こういうところが受注をしているわけなんです。その中でも、例えば間組については幾らで請け負いましたということを公表しているんですよ。企業の側がこのダム建設では幾らで請け負いましたということを言っているんです。何でそれが明らかにできないんですか。
  92. 篠塚徹

    参考人篠塚徹君) 情報公開につきましては、年度の経緯によりまして非常に進んできております。私が今申し上げましたのはその公開の数字自体が遡及しないという原則に立っておりますので、私の立場として申し上げかねるとお答えしたわけでございます。
  93. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういうことだからODAについて国民理解を求めても、理解しようと思ってもこれじゃ理解できないでしょう。国民の税金や財投の資金を使って貸し付けをして、それを日本企業が行って請け負って、それで幾らで請け負ったのかということが秘密事項なんですか。どうなんですか。
  94. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 御指摘事業につきましては、日本企業として東電設計、間組、住友商事、ニチメン、これが受注をしております。これは公表されているとおりでございますが、個々の契約額につきましては、これは調達主体がインドネシア政府でありますし、個々の契約はインドネシア政府と個々の受注企業との間で締結されておるということでございまして、今OECFの方からございましたように、この具体的な金額は公表対象にはなっておらないということでございます。  若干ちょっと御説明させていただきますと、一九九七年度からこういったものについては相手国政府の了承も全部取りつけまして公表対象としたという経緯がございますが、本件は九一年、九二年のことでございます。遡及的に公表することはできない、やや原則論でございますけれども、こういう立場でございますので御理解を賜りたいと思います。
  95. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういうのは原則論とは言わないんですよ。原則論からいえば公開するのが原則論なんです。言っていることは間違っていると思うんです。  改めて伺いますけれども、例えば一般的な話としてダムや発電所の建設の工事、大ざっぱに言うとダム本体の土木工事が約六割ぐらい、発電機やタービンなどが約四割程度というふうに言われております。これを当てはめて考えた場合に、間組が本体工事をやったわけですから約六割ぐらい、住友商事や東電設計を入れれば日本の関連企業が請け負った額は二百億円ぐらいに達するのではないかというふうに推定されます。東電設計とJICAが乗り込んでダムの規模を大きくして、その発注は日本のゼネコンが請け負う、日本政府が貸したお金で利益を受けるのは日本企業、こういう構図がもうはっきりしているんですね。  ですから、一九九〇年の五月に当時の海部総理大臣がジャカルタを訪問したときにインドネシア国民が、あなた方の援助がどこに行っているのか御存じですか、こういうプラカードを持って抗議デモが行われた。これが法学セミナーという本に報告されております。当然だと思うんです。  これが日本ODAのあり方ですか、どうですか。
  96. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 今の本件については、何か日本側企業の働きかけによって金額が膨らんだという、もしそういうふうに御指摘あったとすれば、これは私どもとしては正しくないのではないかというふうに思っております。  このダムの計画につきましては、以前からもちろん計画そのものはございまして、相当な慎重な経緯を経て調査をして細部を詰めまして、その上でその借款供与の決定に至ったものでございますし、決定後の調達の手続におきましても、これもOECF中心にガイドラインその他にのっとってきちんとなされたということでございますので、一部にそういう批判めいた言辞があるかということは私ちょっと存じませんけれども、その点についてはこの案件についての処理においていささかも不正、不適切なことを問われることはないというふうに思います。
  97. 富樫練三

    ○富樫練三君 一部に批判めいた意見があるとかという、そういうことを私は言っているんじゃないんですよ。事実がどうだったのかと。だから私は経過について最初に確認をしたんです。ただ、古い話でわからないと言うから、私の経過報告については否定なさらなかったから、そこから判断すればそういうことになるでしょうと。もし事実が違うということならば、後で結構ですから、正確に調べて金額も含めてどこの企業が幾らの工事を請け負ったのか、こういう点も含めて報告をしていただかないとこれは話にならないと思うんです。  そこで、そういうことをやっておきながら、このプロジェクトの場合は規模を拡大した結果として現地住民との関係でも大きな問題を引き起こしたんです。九〇年の第一期分の百二十五億円の円借款の締結時に、インドネシア政府に対して円借款の前提条件として三つの条件が充足されるべきことを日本政府が求めたわけです。  その三つの中身というのは、三項目は何ですか。具体的に明らかにしてください。
  98. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) このダムを建設いたすに際しましては、借款協定の中におきまして適切な保証がなされるべきこと等についてきちんとインドネシア側と日本側の間で確認がなされております。  あと、補足は基金の方からやっていただきます。
  99. 篠塚徹

    参考人篠塚徹君) お答え申し上げます。  三つの条件と申しますのは、概要は次のとおりでございます。  第一に、事業対象地に生息するすべての象を適切な保護区に移転するようにしなければならない。第二点、事業により影響を受ける世帯の生活水準は移転以前と同等かそれ以上のものが確保されなければならない。第三点は、事業により影響を受ける世帯の移転合意は公正かつ平等な手続を経て取りつけられなければならない。  以上でございます。
  100. 富樫練三

    ○富樫練三君 という三つの条件を付して円借款を行ったわけですよね。ところが、その点に関して、例えばこのダムの場合は水没面積が百二十四平方キロ、十カ村、五千戸、一万七千人の立ち退きが迫られた。  読売新聞の現地取材によれば、水没予定地の集落では、同意書に署名した家々の壁に通し番号がペンキで書かれ、だれが同意していないか一目でわかる形で署名集めが進められていた。また、ある雑誌では、現地の村々では集会が禁止され、軍隊、警察の威嚇行為にさらされている、そして署名が迫られる、こういう報告もされております。  そして、日本に直訴にやってまいりましたラハマットさんという方、四省庁も会っているはずなんだけれども、地方政府の役人が補償の対象となる土地、家、樹木などのリストに関する膨大な書類へ署名を求める際についでに移転承諾書の署名もとったとか、あるいはこれに署名しなければいかなる補償も受けられなくなる、こうやっておどかして判こをもらっていたと、こういうわけなんです。  そうすると、先ほどの三項目の中の借款契約の条件、住民の移転合意は公正かつ平等な手続を経て取りつけられなければならないという日本側が出した条件は守られていないじゃないですか。どうなんですか。
  101. 篠塚徹

    参考人篠塚徹君) 本件につきましては、住民が移転を開始するまでには住民自身が何度も村単位の会議を開催しております。また、インドネシア政府は繰り返し住民への説明会あるいは住民との協議会を数多く開催しております。このような住民の理解を得るための手続を経た上で、移転住民の各世帯もしくはその村長から移転同意書に署名をもらう形で移転が合意されております。  その上で、その後補償対象とされている物件の補償基準単価につきまして双方において、移転住民と政府側において確認するという手続がとられておりますので、これらの事情にかんがみますと、私どもファイナンス機関としての基金といたしましては、本件事業においては住民の意向が尊重されるよう十分な努力がなされたと認識しております。
  102. 富樫練三

    ○富樫練三君 外務省報告でもそういうふうに言っているんだけれども、手続上正しかったかどうかを聞いているんじゃないんです。どういう形でその判こがとられたのかということを聞いているわけなんです。  しかも、今、移転補償の問題もありましたけれども、移転補償費は極端に低い。例えばゴムの木の場合には、一本時価で二万ルピアぐらいなんだけれどもインドネシア政府の補償基準は二千ルピア、十分の一なんですね。土地や家屋、畑なども極端に低い。とても応じられるような条件ではなかったと。  NGOの組織でありますインドネシア民主化支援ネットワークの現地調査、これによると移転した先で約半数の住民の生活水準は移転前より下がっている、こういうふうに報告されております。  この報告では、特に外務省報告では所得対策としてプランテーション作物の供与、作付二ヘクタールと書かれているけれども、実際には移転から四年たった現在でもまだゴムは育っていない、苗木さえ植えられていないところもある、ゴムは植えてから収穫できるようになるまで早くて五年、平均七年かかる、収入が大幅に減ってどうやって暮らせばいいのかという問題を現在も抱えている、そのほかにも補償金の支払いや電力供給の問題、飲料水確保の困難、こういう問題があって政府が公表している現状とは大分かけ離れた状態のまま残されている、こういうふうに報告されているんですね。  この点でも借款契約の条件事業により影響を受ける世帯の生活水準は移転以前と同等かそれ以上のものが確保されなければならない、これと実態が全然違うじゃないですか。現在でもそうだ、こういうふうに言われているわけなんですね。どうなんですか。
  103. 篠塚徹

    参考人篠塚徹君) 住民移転に際しましては、土地家屋等の財産の一〇〇%補償、この単価の問題が富樫先生から今出ましたけれども、これにつきましても、対外的な実際の取引の実情等をすべて勘案いたしまして、むしろそれに上積みするような基準価格で合意されております。  それから、移転先の土地家屋の無償整備、供与、それから二ヘクタールのゴム園の無償供与、一年間の種子、苗木、肥料、農薬等の無償供与といった個人財産面での手当てをしておりますし、村ごとに小学校二校、モスク二カ所、井戸を四世帯に一本、それから幹線道路と村内道路、ディーゼル発電、村内配電網といった公共施設の建設も行っております。それから、移転に当たりましては、所持品の無償運搬、あるいは移転後一年間の生活保障、米とか灯油等の配給でございますが、を行っております。  それから、ゴム栽培についても御言及がございましたけれども、ゴム園につきましても適さない場合にはパーム栽培への転換、あるいはゴム園自体のリハビリということで、これは全面的な政府支援で現在行っておるという実態でございます。
  104. 富樫練三

    ○富樫練三君 時間が来たので終わります。
  105. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 新聞報道によりますと、「対カンボジア 三十一年ぶりに円借款 港湾改修へ三十億円」、こういう記事がことしの二月十七日に載りました。  私も、九一年十月にたしかパリ和平協定が成立をして、その翌年の五月だったと思うんですが、当時の社会党のカンボジア調査団の一員として一週間ほどカンボジア現地を視察してまいったところであります。当時はPKOの問題が非常に国内では議論されていたときであります。それ以来カンボジアに対して関心が非常に高いわけでありますが、久しぶりにそういう記事を見まして、カンボジアに対するODAの問題について若干お聞きをしたいと思います。  その当時、私どもは今川大使から時間をかけまして情勢報告も受けまして、いろんな御意見も承りました。また、今のフン・セン首相やあるいはチア・シム議長、そのほかたくさん現地皆さんとも会いました。  当時は俗に言う日本橋の修復工事にかかったところでありまして、その現地も見ました。また、プノンペンの町のどこかで夕食を食べておりましたら、電気がぱっと消えていくんですね。日本の戦後のような状況でございまして、話を大使館の皆さんから聞きましたら、要するにプノンペン、カンボジアの電力状況が非常に悪いんだということを聞きました。  それについて当時の今川大使はこういうことを言うわけです。日本にカンボジアの方から発電施設の増強についての強い要請があると、そういう要請を聞きつけて日本の商社や発電機メーカーが直接カンボジアの国の発注権限を持っている人たち、その偉い人たちに個別に当たっていくと言うんですね。日本企業のえげつなさというのか、大使はもう嘆いておりました。私は個別には話をせぬでくれと。それはどういうことになったかよくわかりませんが、やはりそのときにいろいろODAにまつわる日本企業のあり方の問題というのはそういうところに出ているなという感触を得たわけであります。  こういう傾向というのは、同僚議員からのお話がありますように、今でも残っているんだろうと、このように思いますが、その点はいかがなものかお伺いをしたいのが第一点であります。  第二点は、カンボジアへのODAの推移というか流れというか、これは今まで無償と技術協力の二つが中心でしたが、大体のここのところの流れというのはどうなっており、今日どういう状況なのか、そして将来のカンボジアに対するODAの課題というのはどのようなものなのか、その点について伺います。
  106. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) まさに御指摘のとおり、カンボジアが新しく生まれ変わるといいますか、新生カンボジアの戸口に差しかかっている、長い間の紛争を抜け出しましてこれから、ASEANにも新規加盟をいたしましたし、政治的な安定も何とか確保していける状況に来たということでございます。したがいまして、日本としては新生カンボジアがきちんと発展をしていけるようにできるだけの支援をする必要があるというのが恐らく一致した認識であろうと思います。具体的には復興支援、それから民主化に向けて動いておりますのでその民主化に向けた努力を積極的にサポートしていくといったようなことだろうと思います。  具体的にさらに申しますと幾つか個別の重要課題がございまして、これは先般、二月に東京で行いましたカンボジア支援国会合でもはっきり出たことでございますが、第一に、カンボジア政府自身も重要視しておりますし我々も大事だと思っておりますのは、紛争が一応片づきましたので兵隊さんを何とか帰農させる、民間部門に、より生産的な部門に戻すということで退役軍人支援というのがございます。職業訓練も含めてのことでございまして、これは現在世界銀行が中心になって青写真をつくる、各国もこれに協力していこうということで具体化に向けて動きつつあります。  それから、当然地雷除去、被災者に対します支援でございます。  それから、森林の乱伐が相当な勢いで進んでおりまして、これもまたいろいろ根深い問題があるようでございますけれども、環境破壊になっておるということでございますので、この森林保全を手おくれにならないうちに進めるといったようなことも重要な問題で、日本もこれに対応したいと思っております。  それから、ただいま先生指摘ございましたような電力の問題を含むいろいろな基礎生活分野の支援、具体的には保健、医療、それから教育等でございますけれども、こういったもの。  それから、これからいろいろカンボジア発展のためにはやはり必要最小限のインフラ整備が必要でございまして、これにつきましては二月の支援国会合のときにシアヌークビル港の緊急リハビリ事業について日本としても円借款による支援を検討していきたいという意思表示をしたところでございます。  そういうことで、カンボジアに対します協力は長い間内戦、紛争等で途切れ途切れになっておりましたけれども、今や紛争後の国づくりに向けての戸口に立っておりますので、ただいま申し上げましたような点を中心に全面的にこれをサポートしていきたいということで、これから全力を挙げましてカンボジアの支援には協力をしていきたいと思っております。  それから、企業活動につきましては、確かに一部、今川大使の話ということでございますが、私自身は直接は聞いておりませんけれども企業がどういう動きをするかは別としまして、政府としてそのとおりに動くなんということはあり得ませんで、個別の問題につきましてはきちんと相手国の中で整理をされて優先度をつけて要請が上がってくる、それはそれで我々は一応受けとめまして、しかし別途日本政府独自に、実施機関独自に詳細な調査をしまして、あらゆる観点から検討した上でその案件を取り上げるかどうかということに徹しておりますので、もちろんカンボジアにつきましても同じことでございます。
  107. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 本当に努力をされていることはよくわかります。問題は、同僚議員の話もあったように、時の権力者と業者が直接結びついた場合には本当にその国の社会あるいはその国の民主化のために役立っているのかどうなのか、これはやっぱり非常に問題がありますから、そこだけはしっかりしていただきたいと思います。  それで、私は通告していないんですが、チュルイ・チョンバー、日本橋、これに約三十億円、プノンペン市の電気施設の整備計画に九三年が二十二・二八億円、九四年が十八億五千二百万円かかっております。この日本橋とプノンペン市の電力供給施設の改善計画とプノンペン市の電気通信網の整備計画、それからメコン橋の建設計画が入っておりますが、これはちょっと私も調べる時間がなかったものですから、日本企業が受注したりあるいは関係しているのかどうかというのは、後日でいいんですが、出していただきたい。いいでしょうか。
  108. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) はい、後刻提出させていただきます。
  109. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それで、援助中心というのはやっぱり医療、それから教育。私は、教育現場も見てきまして、これは何とかしなきゃいけないなと、このように思いました。当時は紙がない、小さな黒板みたいなものに書いて、そして消してまた子供が使っているような状況で、我が国の大正時代のような状況でした。  医療、教育、こういうものに重点を置くのと同時に、やっぱり向こうの生産設備に、生産に直接プラスになるような方向というのが大事じゃないかなと思うんです。  特に、私どもが行った五月というのはまだ乾季でありまして、本当に土が乾いておりまして、大分奥まで入ったんですが、農作物をつくるような状況ではない。私はアメリカのカリフォルニアの米の産地に行きまして、ここも同じような状況ですが、ここは水を引いておりますから乾期でも仕事ができるわけです。だから、メコン川あるいはトンレ・サップ湖とか水がいっぱいあるところなんですから、その水をうまく揚げて乾季に食糧が生産できるようになりますと非常に強い国になるなと思いましたが、その辺のことをちょっと、何か進展があるのかどうなのか、お聞かせください。
  110. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) カンボジアにおきます農業分野でございますが、一つ難しい点は、やはり埋設された地雷の問題をある程度片づけていきませんとなかなかカンボジア自身の全体的な農業計画が成り立たないという側面がありますので、そういう意味で地雷除去はカンボジア自身の基本的な国家建設のために重要である、こういう側面があるんだろうと思います。したがって、日本としても力を入れているところでございます。  もう一つは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、退役軍人が戻っていく先というのは、抽象的に生産部門というよりも、やはり第一義的には農業だろうと思うのでございます。ですから、こちらに戻れるようにする、それから地域的には確かにメコン流域、水量が豊富なところでございますのでメコン流域を中心に支援をしていくというようなことだろうと思います。  というようなことで幾つかカンボジアの農業振興については考えるべき点がございますので、その点を踏まえながら、しかし基本的にはやはり農業がカンボジアの復興のために重要であるという点は変わらないと思いますので、これから検討していきたいと思います。  農業セクターの支援計画というのは現在の時点ではまだはっきりしたものを持っておりません。率直に申し上げまして、まだいろいろ検討すべき課題が多過ぎまして、全体像は見出しておりませんが、将来課題としては非常に重要なものであるということは十分認識をいたしております。
  111. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 最後ですが、乾季に水がその土地に回せるような、そうすれば一年じゅう生産できますから、その辺に何か進展があるのかどうなのか、また後日でいいですからお願いします。  終わります。
  112. 高橋令則

    ○高橋令則君 ODA質疑も今回で三回目ということでございまして、もう既に各委員から重債務の問題、それからインドネシアのいわゆるリベート問題などいろんな問題がございました。それをお聞きしまして、私もまことにもっともだということで同感するところ多々ございます。  私は、それを重複することを避ける意味情報公開広報の問題について取り上げたいというふうに考えたわけですが、馳委員から冒頭話がありました。これもダブった形になりますが、多少違うかもしれません。ちょっとお聞きしたいわけです。  馳委員がおっしゃった四月二十四日に発表された総理府の世論調査のアンケート結果、これを見てみると、そのとおりなんですけれども、それをもう少しずっと見てみますと、最近のいわゆる財政事情、経済が悪いという状況だけではなくて、ODAについて積極的に進めるべきだという国民の意識がずっと下がっているんですね。見ていると、もう極端なことを言いますと、趨勢では五十年度後半からずっと下がっているのではないか、なるべく少なくするべきだというのが逆に上がってきている、こういう状況なんですね。  したがって、ここ二、三年の厳しい我が国の財政事情から見て、これは当然わかるんですけれども、それ以前からこういう国民の意識があるということに対して非常に大きい問題だというふうに私は思うんですが、この辺の分析、評価等についてどう考えますか。
  113. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 総理府によります定点観測的な世論調査というのは、私ども国民皆様方ODAについてどういう意見を持っておられるかということを推しはかる上で非常に重要な一つ資料だというふうに思って見ておるわけでございます。  今、先生から御指摘ございましたように、最近、特にことしの調査結果ではいわゆる不支持のポイントがぐっと上がり、支持の方が少し下がっているということで非常に顕著な傾向が見えていると思いますが、今御指摘のように、長期的な傾向で見るとどうなんだということでございます。  この点につきましてはいろいろな解釈があろうかと思いますけれども、確かに日本におきましては以前は八割近く、今でも積極肯定派を足しますと七割前後で、これは恐らくほかの国に比べますと、こういう援助とかODAに対します支持率というのはこれほど高くはないのだろうと思います。同じような定点観測調査をやっているかどうか私も詳しく知りませんけれども外国のこういう仕事をやっております同僚等と意見交換する機会が多々ございますが、そのときに日本はまだODAに対する国民支持が高くていいねとうらやましがられるぐらいの状況にあるということは一般論としてはあるのだろうと思うんですね。  しかし、さはさりながら、トレンドとして落ちている、これがほかの先進諸国が経験してきたいわゆる援助疲れというものにならないようにしていくことが大事だというふうに思っておりまして、そのためには先ほど来いろいろ御議論いただいておりますような点を私どもとしても十分に踏まえてまだまだ努力をしていかなきゃいけないところがあるというふうに受けとめております。
  114. 高橋令則

    ○高橋令則君 他の国から比較するといい方だというふうに言われてもちょっと、私もそういう比較は持っておりませんので、もしそうであれば結構なことだと思います。ただ、どうもトレンドを見ている限りは心配と申しますか、これでいいのかなというふうに思います。  そしてまた、その中には経済問題あるいは財政問題を理由にするほかに、具体的にどういう経済協力が行われているのか不透明だというのが二九%あるんですね。これはこれまでの調査を見て必ずしも上がっているわけではありませんので、それを取り上げるのは余り適切ではないかなというふうに思っております。  私は、我が国の基本理念、これがどういうふうなことでできているのかなということでODA大綱を読んでみたわけです。そうしたら、御承知のとおり、平成四年六月にできたODA大綱ですけれども、極めて一般的なしかも普遍的なことだけでありまして、これでは我が国の顔が見えない、理念だけではないのかなというようにちょっと思ったわけです。ですから、いろいろな資料から見てみた限りでは、アメリカとかフランスとか、そういう他の国と違うような特徴的な理念といったものがどうも見えない、見えなさ過ぎるというふうに感じたんですね。  ですから、お話があったように、広報とか公開、いろんな意味でこれが必要ですけれども、理念自体を検証する必要がやっぱりあるのではないかなというふうに思ったんですけれども、これはどうですか。
  115. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 確かにODA大綱で文字にしてみますとこういうことになって余り特色がないのではないかという御指摘、これはちょっと私どもの認識として甘いというふうにおっしゃられるかもしれませんけれども、これはこれで日本らしさというのは出ているのだろうと思うのでございます。もっと申しますと、やはりアジアにせよアフリカにせよ中南米にせよ、欧米のほかの国とは違うことを日本ODAという手段、協力を通じていろいろやってくれている、もっとそれを期待したい、技術協力にせよあるいは円借款による協力にせよそういうことでございますが、そういう強い声があるというのは、これは買いかぶりじゃなくて事実だろうと思います。  もちろん、日本の我々の力の及ばざるところがあっていろいろ足りないところが多々あるかと思いますけれども、しかし日本がアジアの一国として欧米の諸国とは違うやり方、考え方というものを取り入れながら、日本自身の経験に基づいて、かつ日本人独特の非常に律儀でまじめで誠実な粘り強い対応でやってくれておるということに対する評価というのはだんだん固まってきておるんじゃないかなと、こういうふうにもうちょっと自信を持っていいんじゃないかと思います。  もちろん、先ほど来ちょっと御指摘あるように、一部の商社の行儀の悪さといったようなこともあるいはあるかもしれませんけれども日本自身あるいは国民自身が長い間かけてやってきておることに対する気持ちというのは伝わっておると思います。それは評価に伝わってきておると。それはアジアだけじゃございませんで、去年十月にやりましたアフリカ開発会議なんかもまさにそうでございますけれども、そこは私どもはもうちょっと自信を持っていいんじゃないかなと思ってやっておるわけでございます。
  116. 高橋令則

    ○高橋令則君 私なんか顔が見える国、つまり国益といったものをもう少し認識してもっと出していいんじゃないかという気持ちがあるものですから申し上げたんですが、次の問題に入らせていただきます。  今度はちょっと別なあれですけれども青年海外協力隊の問題です。私は若干かんだ時期がありますので非常に関心を持っているわけですが、この評価についてどういうふうに考えておられますか。
  117. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) この青年海外協力隊につきましては、これはもうほぼ定着した評価というのが一つあるかと思いますが、まさにそれは日本の青年のすばらしい協力で派遣国すべてにおいて大変に高い評価を得ていると思います。と同時に、この事業自身が組織されたのは、相手に対する協力ということと同じぐらい重要視された理念として、日本の青年自身の訓練、教育といいますか自己教育といいますか、そういうものも当時意図されたようですが、その目的も果たしているのではないかと思います。  そういう意味で、ODAにもいろいろな事業プロジェクトがございますけれども、これは恐らくぴかりと光る中でもぴかりと光る部分であろうということで、これをサポートしている方々を含めて大変に誇りに思っている部分である、こういうふうに私どもも認識をいたしております。
  118. 高橋令則

    ○高橋令則君 関連してですけれども、かつて私の地域の新聞記者が、アフリカだったと思いますが、わざわざ実は行ってきて、そしていろいろ話を聞かせてもらいました。それを聞いていると、率直に言っていい話ばかりではないわけですね。いろんな本もありますので読んでおりますけれども、しかしそうはいっても非常にこれは大事な仕事であるし、ODAのなくてはならない柱ではないのかなと、私はそう思っております。  そういう意味において、これを推進していくことはさらにやるべきではないかと思っておりますけれども、いろいろ問題もあるんですね。  私が一番心配をしているのは帰国された後の就職の問題です。各県そうだと思いますけれども、その後の協力会とかいろんなことがありまして、必ずそこで出てくるのは就職の問題なんですよ。そうはいってもなかなか右から左にということはできませんので、最終的にお互いにそれぞれ努力をしてというふうな抽象的な話で終わってしまっているんですね。  データを見てみると、平成八年帰国者では進路未確認者、これが二百七十五人、二八%ぐらいまだあるんですね。これはやっぱり胸痛むというんですか、そういう問題ではないかなと思うんですね。今後、経済状態が全然よくないのですから、こういう状態の中で帰国者がさらに出てくるとなればなお心配なんですね。  これは外務省、何か手を打てませんか。
  119. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 帰国隊員対策はいろいろこれまでも講じられる手は打ってきておるつもりでございます。  例えば、企業におきまして現職で参加して、休職してちゃんと後戻ってこられるようにする制度を広げるということで、これも日本企業の大変な御協力で現職参加を可能とする社が大変にふえてまいってきたのは大変喜ばしいわけですが、これももっとふやせる余地はあろうかと思います。  それから、就職カウンセラーの人数をふやすとか就職情報を早目に現地に送付するとか、いろいろ講じられる手は打っておりますが、それにもかかわらずといいますか、昨今はなかなか、こういう国内状況でもありますので、帰国して一年ぐらいたってもなお進路が定まらないという人も、今、先生指摘のように、かなり憂慮すべきレベルにあります。  これにつきましては、カウンセリングの徹底、それから現職参加の促進、その他講じられる手を打つと同時にさらに検討してみたいと思いますが、従来も例えば労働省に対しましても大臣レベルで申し入れをしまして協力を得ておりますが、こういった点についてさらになし得る点があるかどうか、御指摘を踏まえまして十分検討してまいりたいと思います。
  120. 高橋令則

    ○高橋令則君 時間ですから最後ですけれども、いわゆる募集システムがあるわけですね。これは例えば十年度は全体の中で一八・五%しかないんですね。局長は一生懸命やっていると言ったんだが、私は少ないのじゃないかと思うんですね。帰国後その職に戻れる、そういうシステム、これを一八%ぐらいやっているというのではちょっと少ないので、これは何か書類を見たら一千社ぐらい外務省努力しているというふうに言っておりますが、数からするとこれは少ないのでもっとやっていただきたい、努力をしていただきたいというふうに思います。  終わります。
  121. 田名部匡省

    田名部匡省君 もう大部分の委員皆さんから話がありましたので簡単に申し上げたいと思うんですが、先日、行政監察局で調査結果報告を出していただきまして、詳細には見ておりませんけれども、この中で判断をしながら、あるいはきょうの議論と先日の議論以来ずっと考えておりまして、やっぱり問題があるなという感じを持っているんです。  一つには、援助国実態というものをもっと真剣に把握すべきだと。把握をすることによって例えばどういう方向づけでこの国を再生するかというものが決まってくるわけです。それは教育もあるでしょうし、医療、あるいは漁業であったり農業であったり、何といったって生産基盤というものをつくらなければ途上国というのはなかなか発展してこない。あるいは生産設備、そういうものもあるでしょうし、その国によってみんな違うと私は思うんですね。  また一方では、世界各国が援助をしておる、これは相談の上やっておるのか各国ばらばらにやっておるのか、ばらばらだとするとこの援助というものは本当に有効に生かされているんだろうか、例えば援助国が全体で調査をしてこの国はこうあるべきだということでそれぞれの国が得意分野とかそういうものでやるという方法がとられておるのかどうか、ちょっとお伺いしておきたいと思うんです。
  122. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 今の田名部先生の御指摘の点については二点申し上げたいと思うわけでございます。  第一点は、確かに国別に援助計画をもう少しきっちりしていくと。国によってそれぞれ違うわけでございます。発展の度合いも違えば国情も違います。したがって、さらに国別の援助計画をしっかりしたものをつくるということ、これが今、政府部内で大きな努力目標の一つになっておりまして、作業を進めておるところでございます。これはできましたら当然公表をいたしたいと思います。  それからもう一点、国際的にはOECDの開発援助委員会という場におきまして、二十一世紀に向けた援助戦略と略称いたしておりますが、一応先進援助諸国間で大筋合意をした目標がございます。パートナーシップとかオーナーシップとかいろいろ原則が述べられておりますが、早く言いまして、例えば二〇一五年という年までに世界の貧困を半減するとか初等教育を普及させようとか、遠大な、非常に野心的といえば野心的かもしれませんが、そういう目標が掲げられてこれに向けて努力をしようという一応の目標が立っておりますので、日本としてもこういった大きな目標の中でできるだけのところを応分の負担を通じて実現していく、こういう努力を今進めつつあるところでございます。
  123. 田名部匡省

    田名部匡省君 これは基本ですからね。私は何でも基本にこだわるんですよ。基本がしっかりしていないと成績が上がっていかないんですね。ですから、これはリーダーシップをとってこれだけの援助をしてきた、ODAばかりではなくて戦争による補償等も含めたらどのぐらいになるかわかりませんけれども、相当の国民の血税というものを使っている、やっぱりそれにふさわしい行動をとってほしいなと。  いろいろと事柄が、こういうのがあった、ああいうのがあったという質問があって、幾ら聞いても皆さんがそれはありましたとは言うわけがないし、いろいろ理屈を述べるんです。この間もわいろかと言ったら、いや、わいろではなくてこれは経費だと。あんな大きな経費というのはインドネシアであるのかな、一体何をやってあんなに大きな経費というものを認めたのかなとみんな疑問に思うんですよ。  新聞にもしょっちゅう出るでしょう。夫婦でイギリスの大学院に別々に行っていたとか、いろんなことを書かれる。それは本当かどうかはわかりませんよ。わかりませんけれども国民はあれを見た限りはやっぱりいいかげんなんだなと。だから、ODAに関する支持率もだんだん下がってくる。そうでなかったら堂々と主張しなきゃ、ここは違うと。場合によっては訴えたっていいですよ、名誉毀損で。そういうこともなさらない。そうすると、人間は勘ぐって、これは当たっているんだなと。だから、前回も私は言ったように、そういう研修が必要ならばそっちの別な予算でどんどん育てるというのはいいですよ。しかし、こっちの予算でやる限りは、将来にわたってODAのプロとしてやるんだという人たちに金をかけるのならこれはみんな納得するんですが、そうでもない。  私はもうこれ以上は言いませんけれども、これは日本だけでやっているといろんなことが昔から言われてきているんです。しかし、有償です無償です、やったものはどうなったかというのは我々に権限がありませんと言われたら、この先は質問したって何にも答えが出てこない。  だから、これは外国と一緒に、アメリカやイギリスやいろんなところと計画を立ててきちっとやってごらんなさい。今みたいなことはもう出てきませんよ。それだけ日本というのはこういうのには無責任なことがついて回ってきた。これをまず反省しなきゃいかぬですよ。これはうわさ話であろうと何であろうと、出てくるということは何かないわけではないと私は思うんです。  だから、その上に立って、今申し上げたように、世界の援助国と共同で調整をして各国が応分の負担をしながら、そこからですよ、開発調査とか個別専門家を派遣するとか青年海外協力隊を派遣するとか。そして、その結果として費用の効果というものはどれだけあったのかという総合の評価というものをやらなければ、これは本当に一生懸命やった割にはだんだん国民は心が離れていきますよ。  私なんか選挙区へ帰っても、おれたちも困っているのに何で外国にあんなに金をやったり貸したりするのかと言うんですよ。しかし、日本より困っている国、食べるものもない国、こういう国を援助することによってこれからだんだんよくなってくればお互いに協力し合って経済もうまくいく、効果が出てくるということで責任を果たしていかなきゃいかぬ、こういうことを実は言っているんですけれども、どうですか、今申し上げたようなことをもう少し外務省が責任を持ってやってほしいと私は思うんです。私は先回も言ったんです、外務省中心になって本気でやってほしいと。  この資料にも関連公益法人というのがありますよ。これもいいかどうか。政府だけが行政改革をやるのではなくて、特殊法人まで含めてこの事業内容を見ると似たり寄ったりのことをやって、結局はあなた方が交付金とか出資金とかいろいろいただいたものをまたこういうところに出してやって、何のことはないんですよ、関連の公益法人をつくってここも生活できるようにしているだけかなと思われるんですよ、こういうのを見ると。ですから、もうちょっと基本的な考え方と組織がきちっとしていなければこの種の事業というのは成功しないと私は思うんです。  どうぞそれぞれに考え方を述べていただきたいと思います。
  124. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) ただいま幾つかおしかりをちょうだいいたしましたが、同時に田名部先生からは、何と申しますか、しっかりやれというお気持ちを込めた上での厳しいお言葉であったというふうに受けとめております。  そういう意味で、この仕事はなかなか難しい部門が多々あるものでございますけれども、引き続き御指導、御支援を得まして、少しでもいい援助が実を結んで喜ばれ、かつ日本の顔が見えてくるというような方向で努力を続けたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  125. 伊集院明夫

    参考人伊集院明夫君) JICAの方も、先ほどもちょっと御答弁いたしましたけれどもODAの透明性とか効率性の向上、それから私ども事業実施機関でございますので実施体制の強化ということに最善の努力を尽くしたいと思っております。  一つ例を挙げますと、来年の一月から大変抜本的な機構改革を予定しておりまして、これは今までの体制から特に地域別、国別アプローチを強化する、それによって事業全体の焦点がはっきりわかるような仕事をしたいということで地域部四つというのを新設するような大きな機構改革を考えております。  そういうことで、事業実施体制、それから効率・透明性の強化ということで努力したいと考えております。よろしく御指導願いたいと思います。
  126. 篠塚徹

    参考人篠塚徹君) 私ども有償資金協力を担当いたします実施機関海外経済協力基金といたしましては、政府の意を体しまして、まさに今、田名部先生が御指摘のように、真に役に立つ私ども円借款等の有償資金協力の実を上げるべく今後も最善の努力をしていきたいと思います。  それから、先般国会におきまして御審議いただきました国際協力銀行法案、これが可決成立ということになりましたけれども、十月一日以降、新機関におきましてもこのODA業務につきましては新たに業務実施方針というところできちんと今後の実施方針につきまして政府と協議の上新たな方針をつくっていく、それに基づいてできるだけ透明性の高い、かつ真に役に立つ経済協力実施していく所存でございます。
  127. 田名部匡省

    田名部匡省君 もう時間ですから終わりますけれども、移住投融資の事業にしても、あるいは入植地の事業にしてもいろいろ問題があるようですから、どうぞ本当に大事な金を使っているんだ、投資しているんだと、失敗のないように本当にやってもらわぬといかぬ。  これからどのぐらい入植者がいるものかどうかわかりませんけれども、時間があればもっと具体的にお聞きしたかったんですけれども時間ですから終わりますけれども、いずれにしても今度参考人方々がおいでになります。この委員会としては、やっぱり政府や直接の人と話をしてもなかなか本音の部分は出てきませんから、そういう方々意見を体して、やっぱり参議院として、行政監視委員会としていい法案を出すぐらいの私は努力をすべきだとみずからそう言い聞かせておるわけであります。  きょうは本当に貴重な時間おいでいただいてありがとうございました。心から感謝申し上げて終わります。
  128. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 本日の調査はこの程度にとどめることとし、これにて散会いたします。    午後四時六分散会