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1999-03-08 第145回国会 参議院 行政監視委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月八日(月曜日)    午後一時六分開会     ─────────────    委員異動  三月一日     辞任         補欠選任      小池  晃君     岩佐 恵美君  三月二日     辞任         補欠選任      小川 敏夫君     郡司  彰君      松 あきら君     加藤 修一君  三月三日     辞任         補欠選任      郡司  彰君     小川 敏夫君      加藤 修一君     松 あきら君      富樫 練三君     山下 芳生君  三月四日     辞任         補欠選任      山下 芳生君     富樫 練三君  三月五日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     木俣 佳丈君      小泉 親司君     市田 忠義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         続  訓弘君     理 事                 大島 慶久君                 塩崎 恭久君                 田村 公平君                 千葉 景子君                 渡辺 秀央君                 田名部匡省君     委 員                 阿南 一成君                 海老原義彦君                 加藤 紀文君                 木村  仁君                 坂野 重信君                 馳   浩君                 山内 俊夫君                 脇  雅史君                 小川 敏夫君                 木俣 佳丈君                 小宮山洋子君                 輿石  東君                 長谷川 清君                 藤井 俊男君                 大森 礼子君                 松 あきら君                 岩佐 恵美君                 富樫 練三君                 梶原 敬義君                 高橋 令則君                 石井 一二君         ─────        会計検査院長   疋田 周朗君         ─────    政府委員        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        防衛政務次官   浜田 靖一君        防衛庁参事官   小林 誠一君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛庁経理局長  首藤 新悟君        防衛庁装備局長  及川 耕造君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関  する調査  (四社事案関連文書管理実態に関する報告及  び防衛調達改革本部報告に関する件)     ─────────────
  2. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三月一日、小池晃君が委員辞任され、その補欠として岩佐恵美君が選任されました。  また、去る同月五日、櫻井充君及び小泉親司君が委員辞任され、その補欠として木俣佳丈君及び市田忠義君が選任されました。     ─────────────
  3. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  本日は、既に防衛庁から報告を聴取いたしております四社事案関連文書管理実態に関する報告及び防衛調達改革本部報告に関する件について質疑を行うことといたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 阿南一成

    阿南一成君 自由民主党阿南一成であります。  当委員会の開催に当たりまして、冒頭質問の機会をお与えいただきましてありがとうございました。  それでは、限られた貴重な時間でありますので、早速質問に入らせていただきます。  私は、国を守るという防衛の問題は国家存立基本であり、それは国民信頼の上に初めて成り立つものであると考えております。その防衛の問題が自衛隊装備品調達をめぐり調達実施本部の元最高幹部が国に対する背任及び収賄容疑で逮捕、起訴され、司法の裁きの場にあること、また、これらの事件捜査に絡んで関係者多数が事件関係の多くの資料を移転させるなどして組織的な証拠隠し疑惑を持たれているという防衛庁設置以来最大の不祥事発生して、防衛に対する国民信頼を大きく傷つけたことはまことに残念なことであると思います。  これらの一連の問題に関しまして、既に防衛庁内部において事実関係調査し、平成十年十月十四日付四社事案関連文書管理実態に関する中間報告及び同年十一月十九日付四社事案関連文書管理実態に関する報告などでその背景事件実態が明らかにされております。  そして、その責任の所在を明確にするため、額賀防衛庁長官辞任関係者行政処分国民に対する謝罪などとともに、防衛装備品、同資機材調達あり方について外部有識者も含めて改革方向が鋭意検討されていると承知をいたしております。また、この問題については、事柄の重大性から既に衆議院、参議院の審議の中でも議論され、論点も明らかにされております。  したがいまして、私は、防衛庁最終報告国会における答弁などにおいて、防衛庁が事の重大性を認識し、国民に対する謝罪と深い反省の上に立って改革に取り組むという現在の姿勢が誠意あるものであるという前提で、ここでは今後防衛庁として防衛装備品資機材調達業務をどのように進め失われた国民信頼回復しようとしておるのかということに焦点を絞りまして質問をさせていただきたいと思います。  その一つ目の問題でありますが、一連事件証拠隠滅疑惑などをめぐって私が感じておりますことは、防衛庁職員の国を守るという重大な職責に対する自覚についてであります。  私は、今までの防衛予算報告答弁の中で、特に事件証拠隠し疑惑に絡みまして、その行動を促した動機について、自分への責任回避事務支障などを挙げておりますけれども、防衛装備品資機材が白日のもとにさらされることが防衛上どれだけの損失を与え、利敵行為になりかねないことかについて全く言及をされていないということ、さらには今後の対策の中で、調達行為透明性のことははっきり強調されておりますが、防衛上の秘密保全企業秘密についての配慮の言葉はほとんど聞かれないということ、これらのことについて一抹の不安を感じるものであります。  恐らく、第一線装備資機材を扱う隊員は、装備品の数や性能調達段階ですべて明らかにされることによって戦闘能力支障を来すことに不安を覚えているのではないかと思うのであります。もちろん、私は秘密保全のために証拠隠し疑惑を正当化せよと言っておるのではありません。  そこで、まず最初に、証拠隠し疑惑に関して、職員モラル確立及び防衛機密企業秘密保全について浜田政務次官の御見解を伺っておきたいと思います。
  5. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 職員モラル確立につきましては、証拠隠し疑惑に関する最終報告にも捜査当局捜査に対する協力の姿勢に問題があった点などについて職員意識改革が必要としているところであり、これらの調査結果を踏まえて関係者の厳正な処分を行ったところであります。  今後、このようなことが起こることのないように綱紀の粛正に努め、防衛行政に対する国民信頼回復することが必要と考えております。  他方、秘密保全重要性については御指摘のとおりと認識しております。防衛庁及び契約企業が取り扱う秘密については、関係法令契約条項等において秘密保全のための所要の措置秘密の漏せつ行為等に対する罰則等が定められているところでもあります。  今後とも、防衛庁職員及び契約企業に対し、関係法令等に従った秘密保全のための措置徹底指導してまいる所存でございます。
  6. 阿南一成

    阿南一成君 二つ目の問題でありますが、防衛装備品調達適正化及び事故発生防止のための制度機構改革方向についてお伺いいたします。  防衛庁は、事件背景調達業務制度機構に問題があったことを認めております。抜本的な改革を行うということでありますが、その中身について教えてください。
  7. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 防衛庁におきましては、昨年の十一月十九日に防衛庁長官を長とする防衛調達改革本部会議におきまして調達実施本部解体を含めた「防衛調達改革基本的方向について」を取りまとめたところでございます。  さらに、今年度にも実施すべきものや平成十一年度予算に計上すべきものについては早急に措置するべく、昨年十二月十五日に調達改革具体化を当面の措置として公表したところでございます。  これらを踏まえまして、現在防衛庁では防衛調達改革本部会議防衛調達制度調査検討会自衛隊員の再就職在り方に関する検討会で鋭意検討を進めておるところでございまして、自衛隊員の再就職在り方に関する検討会からは先般最終報告提出を受けたところでございます。本年四月を目途になし得る限り早い時期に全体の成案を得て実施してまいりたいというふうに考えております。
  8. 阿南一成

    阿南一成君 それでは、特に装備品調達あり方についてお尋ねをいたします。  一つは、公認会計士活用の問題、それから内部監査機能が十分機能しなかったことの反省から、今後防衛庁内部監査機能をどのように変えていくおつもりであるか、さらに、米国を初め諸外国装備品調達制度について調査研究しておるとのことでありますが、どのようなことを考えておられるか、これらの点についてお答えをいただきたいと思います。
  9. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘防衛庁内部監査機能に関しましては、内局チェック体制が適切に機能しなかったという問題点反省点を踏まえまして、調達にかかわります内局責任ある体制を整備するということにいたしたいと思っております。  具体的には、内局原価監査制度調査を総括させる機能を置き、企業及び調達機関に対します監視及び監督体制充実するというのが第一でございます。また、契約業務及び原価計算業務に対します監察組織を設けまして不正の発生等をみずから防止することに努め、これら内部監察機能充実させたいというふうに思っております。  さらに、調達システム透明性公正性向上させるために、御指摘公認会計士方々など外部有識者から成る第三者監視機関によるチェック体制を整備することといたしております。また、公認会計士活用につきましては、企業に対します審査能力体制強化のための施策といたしまして、本年二月より調達実施本部が実施しております制度調査公認会計士を擁します監査法人の参加を求めているところでございます。  加えて、平成十一年度からは日常の原価計算業務経費率算定業務及び原価計算につきましても助言指導を受けたいと思っておりますし、制度調査特別調査についても総括的な助言指導を受けることとしております。  諸外国調達業務に関して申し上げますと、米国におきましては一九八〇年代に軍の調達にかかわります不正事件発生などもあったようでございまして、調達に関する監査機能が極めて重視されております。価格チェック体制充実企業提出資料信頼性確保等のための措置が講じられ、調達業務の公正を図るための制度体制が構築されております。また、欧州におきましても、冷戦の終了等環境変化等もございまして、調達制度改革必要性が強く認識され、価格チェック体制充実競争促進等によりまして調達業務公正性確保に努めていると聞いております。  具体的には、欧米では契約を締結する部門原価チェック監査等を行う部門分離独立しておりますし、公認会計士などの専門知識を有する職員価格チェックに携わっております。また、供給ソースが限定されやすい防衛装備品に当たりましても、可能な限り競争促進するために、要求性能見直し仕様書等の積極的な広報等を行っていると聞いております。さらに、米国におきましては、見積もり資料等が不適切であることを知りながら提出した契約企業に対しましては過払い額の二倍以上の賠償を求める措置も講じる等、八〇年代の調達をめぐる不祥事を受けまして、国防産業が自主的に社内管理体制を整備するといった取り組みも見られるところでございます。  以上を参考にいたしまして、我が国でも契約部門原価計算部門分離、あるいは企業に対します審査能力強化に資するための公認会計士活用、さらに規格仕様書見直し促進でございますとか、インターネットを通じました仕様書等周知徹底、そして企業側提出資料信頼性確保のための契約条項見直し等々の施策を現在検討しているところでございます。
  10. 阿南一成

    阿南一成君 ただいまお伺いいたしました調達制度あり方検討とともに、調達を行う機構検討も進んでいると伺っております。  これに関連いたしまして、原価計算部門契約部門分離を行うこと、そして原価計算部門独立行政法人化するという案も検討されていると伺っております。結論がどのようになったかをお伺いしたいと思います。  さらにまた、額賀長官業務の適正な処理チェックする第三者監視機関を設置したいという構想を示されましたが、大蔵省の主計幹部から、外部人材活用といっても、調本人間チェックできないものを外部人間でできるのかといった批判の声も聞こえると、これは新聞報道でありますが、そのような記事も読みました。その実効性をどのように担保していかれるおつもりか、お尋ねをいたしたいと思います。
  11. 小林誠一

    政府委員小林誠一君) お尋ね調本解体後の新しい調達機構あり方につきましては、昨年の十一月十九日に取りまとめました「防衛調達改革基本的方向について」を受けまして検討を進めておりまして、先月の十八日に調達改革本部第八回会議を開かせていただきまして、原価計算部門については内部部局に統合する、契約部門は新しい契約機関としますことを基本方針とされまして、現在関係省庁と調整しているところでございます。  なお、調達実施本部解体後の原価計算部門あり方につきましては、昨年の十二月に発表しました当面の措置におきましては、先生おっしゃられましたように、独立行政法人化を含め検討を行うこととしておりましたが、独立行政法人というものにつきましては防衛庁長官の恒常的な指揮監督権確保することが非常に困難であるということで、防衛庁長官指揮監督権確保防衛調達の適時適切な執行を図るという観点から、原価計算部門につきましては、先ほど申し上げましたように、独立行政法人ではなく内局に吸収することを基本方針として検討していくこととしております。  また、第三者機関考え方等でございますけれども、御承知のように、防衛装備品調達業務はその性格上、供給者が限定されるものが多く、したがいまして、契約方式としても随意契約の割合が多いことに加えまして、これまで調達業務防衛庁内部処理が完結していたところであります。  このような業務閉鎖性に対する反省を踏まえまして、先ほど申し上げた昨年の十一月の「防衛調達改革基本的方向について」におきましては、調達システム透明性公正性向上するために、個別契約の事後的なサンプリングチェック苦情処理を行います第三者監視機関を設置することとされたところでございます。  この第三者監視機関につきましては、防衛庁といたしましては、中央省庁等改革時に行います調達機構改革の一環として設置したいと考えておりまして、これもまた関係省庁と調整してまいりたいと思っております。  なお、第三者監視機関が今申し上げました中央省庁等改革とのスケジュールの関係で正式に発足するまでの間、当面の措置といたしまして、平成十一年度、この四月からでございますけれども、公認会計士等企業経理あるいは契約問題に対する高い専門知識を有する外部有識者方々によるチェック仕組みを設けて対処してまいりたいと考えております。  防衛庁といたしましては、このような仕組みを設けることは調達業務を適切に実施していく上で極めて有益であると考えておりまして、このチェック体制を実効あるものとして整備していきたいと考えておるところでございます。
  12. 阿南一成

    阿南一成君 次に、自衛隊員の再就職の問題についてお尋ねをいたします。  私は、国土防衛観点からすれば、我が国防衛装備品潜在的自給体制充実する必要があると考えておるものでございます。その際、自衛隊実務経験者装備品供給企業に再就職することも必要ではないかというふうに考えるものでありますが、自衛隊員の再就職規制に関してどのような方針であるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  13. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 元調本幹部によります背任事件等を契機に、自衛隊員の再就職あり方については、若年定年制任期制によりまして早期の退職を余儀なくされている自衛官が安んじて職務に精励し得るよう配慮しつつ、これまで検討を行ってきたところでございます。  部外の有識者から成る自衛隊員の再就職在り方に関する検討会から先日提出された報告や、先般、私が団長となりまして、米、英、仏に赴きまして実施した調査の結果を踏まえつつ、現在再就職に関する制度見直しや再就職状況透明化等施策具体化に取り組んでいるところでございます。  また、これに必要な法律改正についても、法案を今後通常国会提出すべく、政府部内において鋭意調整を行っているところでございます。
  14. 阿南一成

    阿南一成君 次は、防衛関連産業の育成の問題についてお尋ねをいたします。  冒頭にも触れましたが、防衛装備品資機材調達は、その大部分が一時的な使用のものではなく、平常時はもちろん、国の緊急事態の際にいつでも間に合うという即時性継続性が求められているものであると考えます。しかも、日進月歩の近代科学の発達の中でその開発製造には多大の時間と莫大な経費がかかることは明らかであります。しかも、国内で生産されるということが条件であろうと思います。  今回の事件で明るみに出ました問題も、限られた企業が長い間継続して装備品資機材を納入し、競争原理が働かなくなっていたことに問題があると考えております。  そこで、装備品などの納入に係る企業を幅広く育成するということ、そしてそこに市場原理導入するということが必要ではないかと思うのであります。  また、私は、防衛庁企業信頼関係の構築に当たっては、防衛庁職員モラル向上だけでなく、民間企業においてもモラル向上が必要ではないかと考えております。米国では防衛産業業界が自主的に倫理規程を設けているとのことであります。我が国では経済団体連合会企業行動憲章を設けていますが、個々の業界にはありません。精神的規程と言われればそれまでのことでございますけれども、ぜひ防衛産業が自主的に倫理規程を設けるべきではないかというふうに考えるわけであります。  防衛庁としては、これらの問題についてどのようにお考えか、お伺いをいたしたいと思います。
  15. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 市場原理導入につきましては、防衛庁規格仕様書見直しを推進し、市販品仕様及び民生規格活用した規格にしていくことにより、新規参入企業の増加及び競争的な環境の醸成に努めるとともに、装備品導入段階研究開発段階における仕様書作成に先立って、複数の製造可能性のある会社からの提案を求めることを検討しているところであります。  また、過払い事案再発防止を図る上では、企業側における社内管理体制の整備が極めて重要であり、米国では八〇年代の調達をめぐる不祥事を受けて、国防産業が自主的に社内管理体制を整備するといった取り組みも見られます。我が国においても契約企業社内管理体制を自主的に整備することが望ましいと考えており、防衛調達制度調査検討会におきまして議論を現在していただいているところでございます。
  16. 阿南一成

    阿南一成君 国の防衛に従事する自衛隊の皆さんは、北朝鮮の軍事優先弾道ミサイル開発及び実験、また核開発疑惑などの問題を初めとした厳しい情勢のもとで、まさに緊張の連続であると思います。  また、各地の大規模災害やPKOにおける活動など、大変な活躍をされており、国の平和と国民生活安全確保のために懸命の努力をされていることに対して、国民はひとしく感謝をしているところであると思うのであります。  こうしたときに、自衛隊活動を支える調達実施部門不祥事発生し、防衛庁に対する信頼を傷つけたことはまことに残念なことであります。自衛隊員第一線の士気や活動に影響がなければというふうに心配をしているものであります。  そこで、浜田政務次官にお伺いをするわけですが、不祥事発覚後の厳しい情勢の中で政務次官は精力的に信頼回復のために御努力をされておることには深い敬意を表するものでありますけれども、今後防衛庁に対する信頼回復についてどのように対処されていくか、御決意のほどを承りまして私の質問を終わります。
  17. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 私といたしましても、防衛調達改革本部本部長代理をさせていただいているわけでございまして、その職責を大変重く受けとめております。  先ほど来述べさせていただきました施策を全力を挙げて早急に実施することによりまして、国民信頼回復を図ってまいりたいと考えておるところでございます。  今後、先生方の御指導を得ながら、我々も一生懸命国民信頼回復するために頑張ってまいりたいと思いますし、防衛装備品調達重要性並び防衛庁における調達改革への取り組みについて議員の御理解に心から感謝をいたしたいと思います。ありがとうございました。
  18. 木村仁

    木村仁君 自由民主党木村仁でございます。  阿南委員の御質問によりまして事態の重要な部分が明らかになりました。私も全く同じ考え方でございますが、細部にわたって少しお聞きをしておきたいと思います。  まず第一に、この背任事件発生した原因、そういうものをしっかりと押さえて対策を講じなければいけないと思うのでございますが、もちろんこのような不祥事件発生いたしましたことはいろんな原因が重なって発生したいわば複合汚染、あるいはいろんな原因相乗効果として起こった極めて遺憾な事件であると考えております。  そこで、私なりにいろんな報告書とか私自身の考え方で幾つかその基本的な原因ではないかと思われるものを考えてみたわけでございますが、これについて防衛庁サイドの御認識を伺いたいと思うのでございます。  第一は、この防衛装備品調達という仕事基本的に非常に汚職になじみやすい危ない仕事であるということでございます。  これはもう皆様御承知のとおりでございますが、兵器類開発あるいはその購入という点につきましては非常に限られた世界で行われる取引でございます。特に、日本兵器類は生産してもこれを輸出することができないわけでございますから、非常に市場が限られている。そうすると、必然的に日本自衛隊と主な取引をすることによって企業も利益を上げていかなければいけないということでありますから、競争原理というものは非常に働きにくい市場であります。  それから、一方では高度の軍事技術との関係がありますから、防衛庁あるいは第一線自衛隊の皆様との極めて綿密な情報交換ということも必要ではなかろうか、こういうふうに思います。  それから、潜在的兵器供給力を維持開発していかなければいけないということのために、やはり防衛庁は極めて限定された供給者との間で緊密な関係を保たなければいけない。その緊密な関係は癒着というような言葉で言いあらわされるような関係に陥っていく危険が非常にあります。例えば、県でも建設事業の請負事業、こういうものについてはその分野で非常に汚職が起こりやすい分野である、こういうふうに考えております。  また、調達者側としては、いろんな意味で制限、制約された予算の中で供給者にあるときは泣いてもらわなければいけない、その見返りもまた考えなきゃいけないんじゃないかというような情も働くという、そういう分野であります。  こういう非常に危険な、そして世界的に見ても何十年かに一度は必ず汚職が起こるという分野でありまして、日本では昭和二十九年に調達本部をおつくりになって初めての大きな背任事件でありますから、そういう意味では非常に襟度を保ってこられた後でこのような不幸な事件が起こったのだと私は理解をいたしておりますが、この防衛装備品調達という仕事にまつわるそういった危険な性格について防衛庁はどのような認識をお持ちでございましょうか。
  19. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 先生ただいま御指摘賜りましたように、防衛装備品の場合は技術的に非常に特殊なものを必要といたしますし、外国企業とのライセンス等の関係、さらには御指摘のございました武器輸出三原則等によりまして需要が防衛庁に限定されるといった事情から製造企業の方も極めて限られたものになることが多く、その結果随意契約による調達というのが多いわけでございます。したがいまして、その予定価格の算定を行うに当たりましても、根拠となる資料企業提出の見積資料に依存ざるを得ないといった宿命的な問題がございます。  今回の背任事件が起こりました背景には、このような契約方式でございますとか調達価格の決定の過程といったものが外部からごらんいただきまして不透明ではないかという問題点があったものと認識をいたしておりまして、この点につきましては昨年十一月の防衛調達改革本部報告の中でも御報告申し上げているところでございます。  したがいまして、防衛庁といたしましては、このような問題点を踏まえまして、供給ソースの多様化の追求等、競争原理強化を図るとともに、随意契約透明性向上というものに努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  20. 木村仁

    木村仁君 次に、この実施本部の人事体制の問題でございますが、やはりどんな仕事に携わるにしても、百人ぐらいの職員がおればどうしても一人二人不心得者がいて、意図的に悪いことをしていこう、あるいはそういうチャンスがあったら私腹を肥やしてやろうという、悪人と言うといけませんけれども、そういう人がいるのは事実でございます。  それからまた、そうでなくても、善人であるけれども例えば接待を受けてバーに行く、このバーは安全ですからぜひ何度でもいらしてくださいよ、後は任せてくださいと言われれば、ずるずるとその流れの中に入っていく、その結果大事な時点で相手の立場を過度に尊重しなければならないというような人間関係ができていく、そういうことがあると思います。したがって、組織としては、そういう兆候が見えたら、見えたらというよりそういう兆候を早くつかんで、そして適切な人事配置の措置を講じていかなければならないと思うわけでございます。  また、適材適所といって能力のある適材を適所に配置しなければいけないことは当然でございますけれども、行政仕事の中には適材過ぎたら危ないというのがあるわけでございまして、例えば人事というのは、人事に極めて深い関心を持ち極めて有能な判断力を持っている人間に長く人事をやらせたら必ず人事がゆがむ、そういうふうに言われております。したがって、こういう場合でも、例えばこの調達本部の中で後のOBの就職のことも御一緒に扱っておられた、そうしたらある人がその部門について前任者以上にはるかに大きな成果を上げたとすれば、それはやっぱり汚職の兆候だと見るべきではなかろうかと思うんです。したがって、そういった兆候をしっかり早期に把握して人事配置をしなければいけないと思います。  例えば、都道府県の土木出先機関等の人事でも大体二年ぐらいで交代させるという、そうしないと危ないというようなことがあるわけでございまして、そういった人事管理の適切な運用についていささか問題があったのではないかと指摘もされておりますけれども、そのあたりが原因になったという見方についてどのような認識をお持ちでいらっしゃいましょうか。
  21. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 防衛庁におきましては、従来から職員の人事管理については組織の効率的運営を図るため人材登用と適材適所に努めてきております。長期勤務による服務事故を未然に防止する等の理由から、同一官職に長期にわたって在職することのないよう配置がえを実施しております。また、職員の研修に際しては、職員倫理等に関する教育を行いまして、その趣旨の徹底を図ってきたところでございます。  今回の調達実施本部の元幹部背任罪等の容疑で逮捕、起訴されるという事態発生したことはまことに遺憾でありまして、今後再びこのようなことが起こることのないよう、従来にも増して研修等職員モラルを高めるとともに、適正な人事管理に努めてまいりたいと思っております。  そして、我が防衛庁では、原則として同一官職に三年を超えて配置しないということとしておるところであります。  以上です。
  22. 木村仁

    木村仁君 第三番目に、企業が常に悪だとは私は思いませんが、企業の方にも一部そういう悪いことをしたがる、悪いことをしてでも業績を上げようという人々がいることも事実でございます。したがって、企業の方の倫理もさることながら、そういった企業の悪い意図に対しては、これをチェックし排除するだけのしっかりした体制、あるいはこれを見破る職員の技術、そして見破るに十分なマンパワー、こういうものが必要ではないかと思っているわけでございます。  これまでの調査等から指摘されているところでは、どうも原価計算を理解できる人が極めて限られていたのではないか、あるいはそれを十分に把握できる職員の数が足りなかったのではないか、そういうことが言われておるのでございますけれども、外部からのそういったよくない情報に対してこれをきちっとチェックするシステムが緩んでいたのではないかと思われますが、その点についてはどのような認識をお持ちでいらっしゃいますか。
  23. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘のように、調達物品の製造コストに関します真正な情報につきましては、そもそも企業側のデータでございまして、これに携わります調達実施本部原価計算あるいは監査に携わります人員というのは確かに限られているところでございます。したがいまして、信義則を前提として企業側から提出されました資料について、これの実態を把握して精緻にチェックするというのがなかなか困難な状況にあることは事実でございます。今回の背任事件背景といたしましてこういった問題点が存在したというふうに認識をしておりまして、その点は昨年十一月の「防衛調達改革基本的方向について」でも御報告を申し上げたところでございます。  このような問題点を踏まえまして、先ほど来申し上げました原価計算原価監査に関します高度な能力を有する人材育成のための教育システム、あるいは研修制度の整備を図ってまいりたいと考えておりますとともに、民間の公認会計士の方、あるいは監査法人等のお持ちの知見、知識、能力を可能な限り活用させていただきたい、かように考えている次第でございます。
  24. 木村仁

    木村仁君 次に、防衛庁全体のモラルあるいはモラールの問題でございます。  そういった悪い事件発生してくる病巣の部分がある、それに対してその回り、周辺がしっかりしておれば大体事前に防止できるわけでございますけれども、どう考えてもやはりそういった問題を中心とする防衛庁一般のモラルないしモラールに弛緩があったのではないかなと、そういうことも疑われるわけであります。この点についての御認識をお聞かせいただきたいと思います。
  25. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 装備品調達業務という極めて公正性を要求される組織において職務に関連する不正行為が発生した点にかんがみれば、当該職員はもとより、組織全体としても任務の遂行の重要性の認識が十分ではなくて、職員モラルの問題があったと考えられるところでございます。  防衛庁としては、職員に対する服務指導や倫理教育の徹底を図りまして、モラル及びモラールの向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  26. 木村仁

    木村仁君 それから第五番目、これが一番大事な問題であろうと思いますけれども、装備品調達のシステムそのものに重大な欠陥があったのではないか、そういうふうに言われているわけでございます。  一つには、調達権限が過度に調本に集中されていたのかいなかったのかという問題でございます。総額二兆数百億円の装備品調達に対して、そのうち一兆三千億円ばかりが調本に集中している、そういう実態がございます。これは米国調査に行かれた結果を見ますと、米国あたりではもっと分散配分された権限のようでございます。私も個人的には、やはり今の集中度合いで効率性があって、そういう中で高い倫理性を保っていくのが本当だろうという気はしておるのでございますけれども、過度の集中があったのではないかという見方に対してどうお考えでしょうかということでございます。  それから、これは繰り返し指摘されておりますが、随意契約が金額で全体の調達額の六六%になっておる、しかもその中で原価方式で計算をして持ってきて価格を決めていくというものが八五%ある、こういう仕事の仕方がもうどうしてもやむを得なかったのか、それとも改善の余地があったのか、そこらあたりがこの不祥事件発生原因の重要な一つであったのかどうか、そういうことについてはどうお考えになるか。  それから、原価計算部門契約部門が単一の指揮命令系統の中で処理されていたということ、これはもう明らかに一つ制度的欠陥ではなかったかと思いますけれども、防衛庁としてはそのあたりがこの今度の事件発生原因としてどの程度の重みを持っていたのか、そういうことについてお考えをお示しいただきたいと思います。
  27. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 今回の背任事件に関します問題点、御指摘のとおり多々挙げられるかと存じます。  まず、組織的に調本内部におきまして、東洋通信機及びニコー電子といった電気通信メーカーに関します原価計算業務契約業務に関しましては一人の副本部長にその権限が集中する形になっていたということが大きな問題点ではないかと思っております。  また、これをチェックすべき外部と申しますか、内局としてのチェック体制・能力というのが、原価計算といういかんせん専門的、技術的な分野のものでございますから、そのチェック機能が適切に働かなかったのではないかという点も一つ反省点ではないかというふうに思っております。  さらに、先生御指摘のございました随意契約というものが極めて多いという防衛装備品にかかわる特殊性といったものがその業界との関係において不透明性というものを与えるという点も御指摘のとおりでございまして、そういった点を踏まえまして、昨年十一月の「防衛調達改革基本的方向について」においてすべての点について検討をし改革をすべきであるという方向を打ち出しているところでございます。
  28. 木村仁

    木村仁君 六つ目でございますが、言われておりますことは契約相手方の四社に対して多くの、多くのと申しますか、重要なOBの皆様が天下りで就職をしておられた、こういうことでございます。  自衛隊の皆様は比較的若年で退職されるわけでございますし、またそれなりの技術を持っておられる分野でございます。例えば、消防のヘリコプター配置等におきましては、警察庁や海上保安庁の職員がそちらの方に動きますと非常に困るわけです。ところが、自衛隊方々はもう喜んでそういう分野にもあっせんしていただくというようなことがある。やっぱり特殊な分野の高度の技術を民間に広めるという意味でも大きな役割を果たすものでありますから、通常の役所の天下りとは違って、天下りと呼ぶべきものではない、むしろ人事交流の延長線上で考えていいような事柄であろうというふうに認識を私はいたしておりますけれども、しかし今回の不祥事件についてはやはりOBが介在したのではないか、こういうことが言われているわけでございます。  したがって、お伺いいたしますが、今回の事件について、そのような会社に再就職しておられたOBの方々が重要な発生原因になったとお考えであるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  29. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 一般に退職した職員は、四社に再就職をした者も含めて、在職中に培った各種の知識、能力、経験が評価されて再就職をするとともに、再就職先においてもそれらの知識等を生かした適正な活動を行っていると思います。  他方、今般の防衛調達にかかわる一連不祥事に関連して職員の再就職あり方が問われたのは事実でございます。現在、職員の再就職に関する公務の公正性及び透明性確保しつつ適正な再就職の実施を図るため、職員の再就職の手続等に関し見直しを行いまして、早急に結論を得ることとしているところでございます。
  30. 木村仁

    木村仁君 最後、七番目でございますが、これは外部からのチェック機能が十分に働かなかったのではないかという点でございます。会計検査院及び行政監察局には最後にお尋ねいたします。  防衛庁としてこの会計検査あるいは行政監察というのがこの数年の間で指摘されたことはほとんど核心をついていないような気がいたしますけれども、会計検査あるいは行政監察の中でそういう不祥事件が事前にチェックされていくという体制についてどのようにお考えでございましょうか。ここで会計検査が十分でなかったから事件が起こったんだと私は思いませんし、防衛庁としてそういう御感触をお持ちになるのは間違いであると思いますけれども、会計検査院ないしは行政監察局の監察というものについてどのような感触をお持ちか、お伺いしておきたいと思います。
  31. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 今回の背任事件に関しまして、当時の担当者が検査院等の方に十分な御説明をいたさなかったという点は事実のようでございまして、その辺につきましては深くおわびを申し上げたいところでございます。  なお、当然のことながら、検査院それから行政監察につきまして、私どもそれなりの対応をさせていただかなければいかぬということは十分肝に銘じておりますし、今後は十分関係の各省と御連絡をとりながら適正な行政に努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  32. 木村仁

    木村仁君 そこで、今後の改革でございますけれども、ただいま問答で明らかになりましたようないろんな原因、それを除去していくような体制が必要であるということは当然でございますし、防衛庁とされましても防衛調達制度調査検討会でありますとか、あるいは有識者による調本の二十一世紀へ向かってのプログラムでありますとか、あるいは防衛調達改革本部、これが一番中心であろうと思いますけれども、こういうところで十分な検討をされながら改革を進められているところでございますから、私は基本的にその方向に期待をかけたいと思いますが、一、二確かめておきたいと思うのでございます。  調達実施本部の根本的な改革をなさいますが、その改革基本的な方向阿南委員の御質問で明らかになりました。  そこで、原価計算部門の独立法人化ということについて私も、大変これは危惧をしておるというか、そういうことをしていいんだろうかという気がいたしておりましたが、それについても阿南委員の御質問の中でそれはしないということが明確になりましたので安心をいたしております。  ただ、もう一つ申し上げておかなければいけないことは、大体役所というところは火事を契機として太っていくということがあります。米国の様子を聞くと、例えばDCAA、ディフェンス・コントラクト・オーディット・エージェンシー、これは国防省の中にあるのかと思いますけれども、これでも職員数が四千人、うち公認会計士が千人と膨大な数を使っております。こういう傾向は、これはアメリカやイギリスと日本と比べたときには、これはもう伝統的に違うのでありまして、これを契機として防衛庁内部チェック機能が非常に肥大化するというようなことは現下の行政改革の姿の中でも行われないとは思いますけれども、肥大化していくとすればそれはいけない、むしろいたずらな肥大膨張を抑えながら効果的なシステムをつくっていく必要があろう、こういうふうに考えております。  それから、競争原理の拡大という面でございますけれども、随意契約をできるだけ抑えて競争原理を入れていこうということについて、私はそれほどそれが目に見えて改善が可能であろうかということについて少し危惧の念を持つわけでありますが、どのようなお見通しでございましょうか。
  33. 小林誠一

    政府委員小林誠一君) 先に先生からの組織の肥大化にならないようにということの御指摘についてお答えしたいと思いますけれども、調達機構改革につきましては、先ほど申し上げましたけれども、中央省庁等改革の一環として推進していくことと考えておりますので、行政改革の理念には十分配意してまいりたいと考えております。
  34. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘競争原理を拡大するということでございますが、御指摘のとおり、なかなか難しいテーマであることは十分認識をいたしております。したがいまして、努めて規格仕様書につきましては民生規格でございますとか市販品の仕様というものが活用できないかといった点をチェックし、新規に企業が参加しやすい環境を整備したいと思っておりますし、また導入段階研究開発段階において、その仕様書の作成に先立ちまして、可能性のある複数の会社からの提案、意見を聴取したいというふうにも考えているところでございます。
  35. 木村仁

    木村仁君 今後の不祥事件を防ぐためには、小規模ながらきりっとしたチェックシステムをつくっていくということが非常に必要でありますし、また供給サイドの倫理性についても十分要望していかなければいけないと思います。ここはお答えは要りません。  これは阿南委員質問にもありましたけれども、そういった透明性確保していくためのチェックシステムを大きくしていく、さらに第三者のチェックを入れていくとすれば自衛隊の機密ということと非常に大きな関係があります。そして、その機密を守りながらいざというときの十分な装備品の供給体制をつくっていかなければいけない難しい問題を含んでいるわけでございますが、自衛隊の機密保持を万全に確保しながら十分なチェックシステムができるものかどうか、そこのところについての感覚をお教えいただきたいと思います。
  36. 小林誠一

    政府委員小林誠一君) 私ども防衛庁といたしましては、防衛装備品等の調達システム透明性公正性向上するために、先ほど来御説明申し上げておりますように、外部有識者から成ります第三者監視機関を設置し、個別契約におきます事後的なサンプリングチェック苦情処理を行わせることが必要だと考えているところであります。  御指摘秘密保持の点につきましては、今申し上げた第三者監視機関のメンバーの方々が守秘義務を負うような何らかの体制をとることが必要と考えております。今後、第三者監視機関の具体的なあり方検討する中で、関係省庁とも協議の上詰めてまいりたいと思っております。  また、第三者監視機関が正式に発足するまでの間の当面の措置といたしまして、平成十一年度から公認会計士方々企業経理あるいは契約問題に関して高い専門知識を有する外部有識者方々によるチェック仕組みというのを考えているところでございますが、この外部有識者方々に対しては何らかの秘密保全上の措置をとることを検討しているところでございます。
  37. 木村仁

    木村仁君 時間がございませんので結論を急ぎますが、今のその第三者機関をつくるということは非常に立派なことでありますけれども、私は非常に危険なことではないかという気もいたします。そういった秘密保持を完全にできる機関というのは私は会計検査院及び総務庁行政監察局ではないかと思うんです。会計検査院は事後だといえば事後である、それから行政監察の方は能率の問題であって正不正の問題ではない、そういう議論もあるかもしれませんけれども、もし第三者機関、外からのチェックが必要であるとするならば、私は厳正な規律と秘密保持が完全にできる会計検査院あるいは行政監察機能の中でそういった機能を果たしていくべきではないかという感じを持っておりますが、最後に会計検査院及び監察局の方の御感想をいただいて質問を終えたいと思います。
  38. 疋田周朗

    会計検査院長(疋田周朗君) お答えいたします。  防衛装備品は、委員承知のとおり、特別仕様のもので市場性がないというものが非常に多いわけでございまして、私ども検査に当たります会計検査院といたしましても、従来から非常に難しい検査領域であると受けとめているところでございまして、鋭意検査に工夫を凝らしてまいったところでございます。  今回の事態を踏まえまして、防衛装備品調達に関する効果的な検査のあり方につきまして総合的に検討いたしまして、検査に万全を期していく所存でございます。
  39. 東田親司

    政府委員(東田親司君) お答えいたします。  行政監察におきましては、昨年の四月から主として調達コストの低減という観点から幅広く調達実施本部それから陸上自衛隊を対象に調査をしてきたところでございます。  ところが、昨年九月に調達にかかわる不祥事発生いたしましたために、現大臣の方から、調達実施本部が行っている調達業務適正化が喫緊の課題なので、この観点に切りかえて早急に取りまとめるようにという指示がございまして、調達業務透明性公正性確保という観点から制度上、手続上の改善の余地がないかという点で今調査をし、取りまとめを急いでいるところでございます。鋭意取りまとめをしておりますが、できるだけ早く必要な改善方策につきまして勧告いたしたいと思っております。  それから、この後、残りの陸上自衛隊等に関する調査につきまして取りまとめを急ぎますとともに、十一年度になりますが、海上自衛隊及び航空自衛隊調達補給業務等につきましても監察を実施する予定でございます。
  40. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。  本日は、行政監視委員会におきまして、装備品の過払い問題を初めとしまして、主にこういったことが自衛官防衛庁の皆さんにどのような影響を与えているのか、そしてまた倫理というのは一体どういう効果があるのか、またなぜ必要なのか、そしてまた防衛産業我が国で果たす役割等々について御質問をいたしたく思っております。  まず初めに、先週の金曜日、三月五日にも起訴事実について無罪を主張する公判があったわけでございますが、十三人の被告は認めながら、上野さんはこれに対して全面否定だということで新聞に載ってございます。こういったこと、そしてまた裁判所でこれは国のためにやったんだ、このようなことが犯罪に問われるのはざんきにたえませんというふうに述べられて、国のためにやったんだからいいというふうにとれるような発言をされております。  確かに、今までこういった官僚の態度、さじかげんというのが国に損害を与えたという、いわゆる背任罪にとられたというケースはまれに見られるわけでございますけれども、しかし今この時代にありまして、そんなことではいけないと私は思います。  裁判所の中では個人の発言ではございますが、まず政務次官から、こういった発言があったことに対してどのようにお考えか、伺いたいと思います。
  41. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 防衛庁といたしましては、同被告人らの刑事責任については今後の公判等において明らかにされていくべきものと考えております。その進展を注意深く見守ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
  42. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 というか、これは先ほどからモラルとかいう話がありまして、司法に行ったわけでございますからもちろん注意深く見守る立場ではございます。しかしながら、政務次官のお立場としてどのように考えられるか、ちょっと明確に個人としてお答えいただけますでしょうか。
  43. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 今回の背任事件は、個人的な発言という今お話がございましたけれども、大変我々としては厳粛に受けとめているところでございまして、国民信頼回復する上では我々とすれば今後の防衛調達の抜本的な改革とか再就職に関する制度改革に取り組むことで信頼回復していきたいというふうに考えておるところでございまして、その意味では今後、今おっしゃられたようなことが当たり前だというような意識ではなくて、まさに意識改革をしてそのよしあしというものを判断できるということをさらにもう一度徹底して考えていきたいというふうに考えております。
  44. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私も頭が悪いものですからちょっと理解ができかねるような御発言だったように思いますが、それはさておき、例えば上野さんのみならず水増し請求をした当事者側の東洋通信機、ニコー電子においても、その役員の立場ではこのことについての背任について認めておるんですが、例えば二月四日の日経にも載っておりますように、防衛庁側としては六十二億円を返還請求したわけですね。これに対して東洋通信機側は返納額を独自に試算、大体三十億円とはじいていた、これだけにおかしいというような発言までされておるんですが、この件についてはどのようにお考えでしょうか。
  45. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 委員指摘のように、東洋通信機は二月十日に債務不存在の確認を求めるために東京地裁の方に訴状を提出いたしております。  防衛庁といたしましては、今、先生お話しございましたように、二月五日に同社に対しまして約六十二億円の返還請求を行ったところでございまして、少なくとも東洋通信機社の方で請求額の全額を支払う意思がないということを確認いたしましたので、二月十二日に法務省に対し訴訟提起依頼を行ったところでございます。  したがいまして、今後は裁判の場で防衛庁の算定の正当性等について明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
  46. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 こういった水増し請求については過去も幾つか事案が発覚しているわけでございますけれども、その他の例についてはどのように対処をされるわけでしょうか。
  47. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 先生御指摘のとおり、いわゆる東通、ニコー以外にも幾つかの会社がいわゆる水増し請求をしているわけでございますが、そのうち日本航空電子工業の事案につきましては、基本的には今回の両事案の算定方法がモデルになろうかと思っておりますが、それを参考にしつつ算定し、早急に返還請求の作業を進めてまいりたいというふうに思っております。  それから、日本電気並びに日本電気電波機器エンジニアリングにつきましては現在特別調査を鋭意実施中でございまして、この調査を速やかに行い、算定作業を同じく進めてまいりたい、かように考えております。
  48. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 水増し請求に対して、これだけが足りなかったから返還せよというお話、要は日本の場合は恐らくその差額のみを請求されるというふうに考えますが、それで当たっておりますか。
  49. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 計算はかなり複雑でございますが、当然のことながら利息が加算されます。
  50. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 例えば米国制度の場合なんかだと、過払いとかそういったことについては賠償を三倍請求するみたいなこともありますが、そのようなことはお考えになるでしょうか。  というのは、これはちょっと考えるとおかしな話でして、要は過大に請求して、それはおかしいじゃないかと言われたら、ではごめんねと言って謝って、その分だけ返しましょうなんというだけで本当に済むのか。これは例えば百円、二百円の話じゃありませんでして、何十億という話を考えますと、しかも税金ですよね、国民の血税という観点からしてもそれで済むというふうに考えているのはちょっとおかしいじゃないかと思うんですが。
  51. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 先生御指摘のとおり、アメリカではただいまのような事案に関しまして確かに損害額の三倍を一種のペナルティーとして科すということが法律によって規定されているようでございますが、ただ我が国の場合、そこまで多額のペナルティーを科すことは判例上もどうやら認められていないようでございまして、私も専門家ではないので詳しくは存じませんけれども、現在、さはさりながら、まさに先生おっしゃるような趣旨に沿いまして、単に返してもらうだけではなくそれなりの制裁措置というものが必要ではないかということで制度調査検討会の方で御議論をいただいているところでございます。
  52. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 これは政務次官伺いたいんですが、今の件に関しましてどのようにお考えになるのか。要は方向性ですね。その分だけ払えばいいという気持ちなのか、それとも過払いの額が算定されたら例えばその二倍とか三倍とか出しなさいと、どっちでしょうか。
  53. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) それはそこのところのいろんな問題点によると思うんです。要するに、それが事件性の伴うものなのかどうなのか、ただ単に計算間違いによって過払いをしてしまったのか、その辺の見きわめをよくしてからでないとなかなかこれは決められないのかなという気がします。  ただ、防止的な意味からすればそういうことも検討に値するのではないかということで、今、有識者の皆さん方に検討をしていただいているところであります。
  54. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 具体的な例で、例えば本事案、東洋通信機、ニコー電子の場合はいかがでございましょうか。
  55. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 東洋通信機とニコー電子につきましては、まず過払い額につきまして厳密な検討をして現在請求中であるのは先ほど申し上げたとおりでございます。  制裁措置という観点から申し上げますと、両社に関しましてはいわゆる取引の停止措置を講じ、現在まだ返還がされておりませんので、その返還がされるまでの間は少なくとも取引を停止する、一部真にやむを得ないものはやむを得ないというふうに考えておりますけれども、そういう措置をとらせていただているところでございます。
  56. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そういうお話をしながら、ちょっとねじれた議論になるかもしれませんけれども、私の地元の愛知県にも防衛産業がございます。やっぱり武器の輸出三原則が日本にある限り、原価のはじき方、または競争力を求めても非常にこれは難しい点も実際あります。いや、あるからといって水増し請求していい、またはこっちでもうけておいてそのもうけ額をスライドさせるというのはこれはおかしな話でして、もっと言うと、防衛庁の見積もりをとって予算計上するわけですから、その予算の計上の仕方は何なんだ、防衛庁というのは何なんだ、どんな官庁なんだと、こういうような話になるわけでございます。  いずれにしても、アメリカの場合は随意契約が二七%、日本の場合は八五%、これはやむなしという点も実際ございますよね。実際、アメリカの産業の育成政策ということを考えても、最先端の技術というのは防衛産業関連、これはインターネットもさようでございますが、それからスピンオフして、そして民間へコンバージョンしていくというようなことは間々見受けられるわけでございまして、防衛産業自体は日本が国家である限り、そしてまた技術を保持する限り、保持しなければいけないという観点からしてもこれは日本にあるべきだと思います。  いずれにしましても、防衛産業というのはもうかっているんでしょうか、ちょっと伺いたいと思います。
  57. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 個々の企業によりまして、もうかっているかもうかっていないかというのは若干客観的な基準があるかどうかでございますけれども、防衛装備品の多くは、まさに先生おっしゃいましたように、マーケットが乏しいわけでございますので、材料費や加工費、要素ごとに積み上げまして、それに適正な利潤を加えて価格を算定するという方法をとっているところでございます。したがいまして、その場合の利潤でございますけれども、一般的には製造業の平均的な水準といったあたりを参考にいたしているということでございます。
  58. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私が力点を置きたいところというのは、やっぱり国家第一の技術水準を持たなければいけないということだと思うんです。  政務次官伺いたいんですが、方向性としてどのようにしたらそういった最先端の技術を保てるのか、全体の流れというか、御私見でも結構でございますので、伺いたいと思います。
  59. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 防衛庁といたしましては、装備品等の整備につきましては、防衛大綱に示されているとおり、適切な国産化等を通じた防衛生産、技術基盤の維持に配意しているということを申しておるわけでございまして、他方で、御指摘のとおり、我が国の装備技術についてはアメリカに比して脆弱である面は否定ができませんし、このためにライセンスの導入とか日米共同研究の推進などによりましてその技術力の維持向上に努めているところでございます。  防衛庁としては、このような方策により引き続き我が国防衛産業の健全性及び効率性を確保して防衛産業、技術基盤の維持確保に努めることが重要であるというふうに考えておるところでございます。そしてまた、ライフサイクルコストの抑制に十二分に配意をした装備品の研究開発を推進するとともに、技術進歩の趨勢などに対応して、装備品などの開発に有効で先端的な技術の確立に資するために、技術実証型研究を含む各種研究を行うことにより質の高い防衛技術水準の維持を図ることとしておるところでございます。
  60. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ありがとうございました。  いずれにしましても、その産業が立地し続けていただかなければならないわけでございます。  次に、ちょっと倫理の話に移りたいと思いますけれども、そもそも、先ほどの新聞にもありましたように、上野さんが言われるように、いや国家のためにやったんだから何でそんなことを言われなきゃいかぬのだと、こんな発言というのは、何か防衛庁というのはどこからどういう人を採用しておるのかなというふうに思えてならないんですね。  倫理の重要性というのはウォーターゲート事件ぐらいから特にアメリカで七〇年代中後半から言われ出すわけで、これはもう皆さん御案内のとおりでございますけれども、あるときに財務長官であったシュルツがニクソン経由でネガティブリストというのかエネミーリスト、要はニクソンの敵になる人のリストをつくりなさいとIRS、内国歳入庁に通告するわけですね、暗に。それに対してIRSの長官がどうしましょうかと聞いたときに、無視しておけと、こう言ったという一つの例がございますけれども、そういったいわゆるパブリック・サーバントたる公務員の方々が国のためだからいいんだと。これは何か戦時中の話を聞いているような気がして非常に危険な気がするわけでございます。  ちょっと一つ、書生っぽいお話ではございますが、倫理の重要性、倫理大綱とか防衛庁倫理規程とか、平成八年とか、昨年もまた改定されておりますけれども、倫理の重要性ということについて、政務次官、どういうふうにお考えになるでしょうか。なぜ倫理というのは大事か。
  61. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 防衛庁職員倫理規程は、関係業者等との接触等に関し防衛庁職員が遵守すべき事項等を定めることにしておりまして、職務執行の公正さに対する国民の疑惑または不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する国民信頼確保することを目的としております。具体的な内容としては、職員基本的心構え、関係業者等の接触に関する禁止事項を規定しておりまして、当該事項に違反した場合には懲戒処分等の措置を講ずるということになっております。  その意味では、まさにおっしゃられるとおり、我々としてもいま一度この倫理規程というものをしっかりと徹底して教育していくことが必要なのではないかなというふうに考えております。
  62. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 アメリカの、アメリカばかりがいいわけじゃありませんが、例えばアメリカの例を挙げますと、えらい複雑なこんな表になるぐらい、大統領令から始まって公務員法、各種規制刑法、いろいろある上に政府倫理庁という独立した機関があってそこがいろいろ見張っているわけでございます。いわゆるネガティブリスト、つまりしてはいけないことのみならず、もっと公務員とは何かとか、公務員としてどのように行動すべきかみたいなことを十四の原則という形で指定されているということなんですね。  非常に書生っぽいような話かもしれませんが、例えば私が考えるのは、倫理をきっちりしていくことで、これはアメリカのいわゆる行政官を指導、MPAと言いましてパブリック・アドミニストレーターを養成するコースがあります。ここでまず初めに倫理とは何ぞやと、こうやるわけですが、まず第一番目はモア・クイックリーと書いてあるんです。要はなるべくスピードを上げて意思決定ができるということ、それからグレーター・コンシステンシー、要は統一性がとれた行動がとれるということ、それからいわゆる決定に対する裁量が公衆に対して非常に明らかになるということ、その他もろもろ書いてあるわけでございます。  やっぱり、情報公開法が今参議院に回って再審議されておる中で、防衛庁または自衛隊、または軍という言い方はしていいと思いますけれども、これは組織論的に言うと、組織の中の組織というか、組織論を考える前にまず軍のことを考えなさい、こういうのが我々の鉄則でございまして、そういった意味でも防衛庁が最先端の倫理規程、そしてまたそのインプリメンテーション、要は実行ということをこれからしていく絶好の機会だというふうに考えるわけでございます。  政務次官伺いたいのは、今私が発言した内容についてどのように思われるか、そしてまた具体的にいつごろまでにどんなようなことをしていけば、今まで何年間も同じようなことがあって来て、そしてまた、政務次官になられて困ったなということかもしれませんけれども、たまたまその時期に当たっちゃって何なんだということかもしれませんけれども、そういうことを言っていたら何も始まりませんものですから全部受けて立っていただいて、どんと男ひとつ何をするというようなところを、いつまでにどういったものをされるかというのをここで宣言していただけないでしょうか。
  63. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 木俣先生のおっしゃることは全くごもっともなお話でございまして、このような事件が起こるたびに、今回は防衛庁にとりましては初めてのことでございますし、倫理のお話をされますと、では今までの倫理規程は一体何だったのかというお話の出ることもよくわかるわけでございまして、その意味では我々とすれば今できることといえば、確かに倫理規程をもう一度教育し直す、当たり前の話で大変恐縮なんでありますが、そういうことをいま一度強硬に実施していくことが非常に重要なのかなというふうに考えております。  ただ、こればかりはいつまでにどうこうということが今私にとっては言えません。できれば今すぐやりたいというふうに思っておるわけで、時間的な余裕があるとはとても思えませんので、まずできることを早急にやるということで、この間も大臣の方から綱紀粛正も含めまして三月五日に我々に対して厳しいお話がございました。その中で、我々もまずできることからやり、そしてまた自衛隊も含めて我々がしっかりとした態度を見せることによっていま一度このことを徹底したいというふうに思っておるところでございます。先生のおっしゃることを本当に私としても重く受けとめて今後の活動の糧にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
  64. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ありがとうございます。  もうちょっと剛直な御発言がいただきたいなという思いが本当にありまして、というのは、例えばこの問題だけじゃなくて、新聞を拝見していますと、これは厳秘の研究資料みたいなものが二月の初めから後半ですか、ちょろちょろ出ていますよね。例えば、ガイドライン施行に絡めて恐らくマスコミの方々もリークいうか、だけれども明らかに防衛庁内部から資料が出なければわからないような、そういう具体的細かな作戦行動みたいなものまで、若干の古さ、新しさはあるにしろ出ていっているんです。  だから、そういった中で今ガイドラインの審議をやっておりますが、要は国民から見て、何だ、極秘資料が発見されたとか入手したとか、極秘が極秘になっていないじゃないか、国家の安全を守るなんと言っているけれども、一体何なんだと。私も政治家になって、官庁の方々の頭脳と比べてノミの頭脳というのか多勢に無勢というのか、対決するのはなかなか難しいとは思いますけれども、ぜひ私は政務次官または長官にはこの際とにかく闘っていただきたいというふうに思うんです。  とにかくこのままでは本当に国民の、国家の安全というのは題目で終わってしまって、何か自分たちの飯の種のために防衛庁の役人たち、そしてまた自衛官というふうにとられちゃうんです。ところが、自衛官の人たちだって本当に命がけで考えていらっしゃる方もすごく多いと思いますし、そういうことを思うと本当に危惧されてならないですね。ですから、質問時間を余しておりますけれども、そういうことを本当に心から頑張っていただきたいというふうに、今回の裁判の行方も見守りたいと思いますけれども、ぜひ国民に本当にわかりやすい防衛庁であってほしい、そして自衛隊であってほしいというふうに思いますね。  ですから、ぜひ御決意のほどを一度伺って質問を終わりたいと思っております。よろしくお願いします。
  65. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 木俣先生のお話は本当におっしゃるとおりでございまして、その意味では我々がもう少し内局に対しても自衛官に対してもしっかりとした意見を述べて、そこで周知徹底を図るということがなければ、今後とてもではないけれども国民の皆様方にわかっていただける防衛庁自衛隊にはなり得ないと思いますので、先生からの厳しいお言葉をいただいて、しっかりとそれを腹に入れて今後活動してまいりたいと思いますので、今後とも御指導のほどよろしくお願いいたします。
  66. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  今回の事件の舞台になりました調本解体などの検討の中で、やはり不便だ、あるいは効率が悪い、解体反対など、いろいろ庁内の動きが報道されております。御存じのように、この事件は納入業者四社による水増し請求がきっかけでございました。やはり今大事なことは防衛庁が抜本的に意識を改革することだというふうに私も思います。  私は、そういう観点に立ちまして、今、木俣先生もおっしゃっておりましたように、日本の平和と安全を守る、受け持つ、そういう国民信頼される防衛庁にぜひ育っていただきたいとの思いで質問をさせていただきます。  まず、随意契約についてお尋ねをしたいと思います。  防衛庁随意契約は金額の八〇%、これは約一兆円を超えるわけでございます。件数では一般競争契約二〇%、指名競争契約四五%、随意契約三五%なんですけれども、これを金額で見ますと一般が三百五十六億円、指名が千五百八十八億円、随意契約が一兆一千六百十一億円、こういうふうになっているわけですね。非常に大きな金額になっているわけでございますけれども、今後この随意契約というのは本当に減らしていかれるのか、透明性のある一般競争に切りかえられるのか、またなぜ随意契約がこんなふうに金額的に大きくなってしまうのか、まず御説明を願いたいと思います。
  67. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 防衛装備品につきましては、先ほど来もちょっと御説明をさせていただきましたけれども、その仕様が特殊でございますので製造に当たりましては特別の製造設備あるいは製造技術が必要でございます。また、供給先がごく一部、海上保安庁ですとか警察庁等にもございますけれども、基本的にはほとんどが防衛庁に限定されるということがございまして、どうしても供給先というものが限定されてしまう、その結果随意契約によらざるを得ないという点がございます。  他方、御指摘のとおり、調達透明性向上というものを図ることが今回私どもに課せられた課題だというふうに思っておりまして、そのためには、可能な限り供給ソースというものの多様化を図りたい、そして競争契約というものの一層の拡大に努めたいというふうに思っているところでございます。  そのためには、防衛庁規格仕様書等につきまして見直しを推進いたしますとか、その仕様書につきましてインターネット等を通じて現在公開をいたしておるわけでございますし、また導入段階において競争性の確保といったものを図りたいというふうに思っているところでございます。さはさりながら、どうしてもライセンス、特許等々の関係で随契にならざるを得ないというものは今後もそれなりのウエートを占めざるを得ないというのは多分事実だろうと存じます。  したがいまして、随契にならざるを得ない場合でありましてもその透明性確保するというためにどうしたらいいかといった点につきまして、例えば随契理由等について公開していくというような点について、現在、防衛調達制度調査検討会において御議論をいただいているところでございます。
  68. 松あきら

    ○松あきら君 簡単に言ってしまえば、特殊な装備品、これはメーカーにつくらせるわけですけれども、平時だからそんなにたくさん要らないというわけですよね。そうすると、メーカーは採算に乗らないわけです、少量でいいわけですから。それは有事に際しては大量に用意できるようにしてもらいたいという考え方がやっぱり発注側にあるわけですよね。そうでなければ海外から調達をすればいいわけでございますけれども、いざというときに仮に国内でつくらないと困ってしまうということであるから、今現在は大量に注文しないけれどもほんのちょっとだけれどもつくってくださいよということで、多分この辺の説得をメーカーへしていると言ったらなんですけれども、やはりそういうことで随意契約という手法でここまでこなしてきたのではないかと思うわけですね。  やはり、この五十年、日本は平和でしたから、もちろんすばらしいことですけれども、武器を大量に、武器にかかわる部品を大量に発注するということが必要なかったわけでございます。大量につくれる体制を抑止力とも言うんだそうですけれども、やはり私はこの行き詰まりが今回の事件としてあらわれたと言ってもいいのではないかと思いますけれども、その辺からいかがでございましょうか。
  69. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 装備品もいろいろございまして、先生おっしゃいますように、一気に大量の生産能力を拡充するというのは、率直に申し上げまして、例えば戦車なんかでございますと現在一ラインしかないような状況でございますので、これを直ちにふやすというようなことはなかなか困難でございますとか、飛行機等につきましてもそう簡単にふやすことはできません。ただ、一度技術等が我が国において失われますと、これを新たに取得する、あるいは開発するというのは容易なことではないことは事実でございます。  そういう点では、米国等に比べ我が国防衛技術、防衛産業あるいは軍事技術というものにおきまして必ずしも最先端を行っているわけではございませんが、そこそこのものは国内で保持する必要があるのではないかということが先ほど申し上げました防衛大綱等に書かれた技術基盤への配慮というようなことになっているのかというふうに考えているところでございます。
  70. 松あきら

    ○松あきら君 わかりますけれども、私はやはりもっと、例えば汎用品と言ったらなんですけれども、もう少しそういうものも集める工夫が必要ではないかと思うんですね。例の関本さんが、防衛庁との契約の利益率は二、三%なのに何で非難されなきゃいけないんだと、そういうことでかなり怒っていらしたようでございます。  私は、やはり今いろんな特殊な事情もあるとは思いますけれども、もう少しいろんな工夫をしたら、つくるだけではなくてそういった既製のものも活用できるようなことになるのではないかと思います。その辺はいかがでございましょうか。
  71. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 先生おっしゃるとおりでございまして、私ども現在、取得改革という名のもとに昨年来、いかにしたらば安く、そして御指摘のような汎用品あるいは民生品といったものを部品なりあるいはそのものずばりで調達できないかということを一つのスローガンとして、全庁一丸となってそういったものを探し、そしてそれを仕様とするということを目指しているところでございまして、おかげさまでその結果、本年度におきましても二百億円近い節約等ができたところでございます。
  72. 松あきら

    ○松あきら君 それから、調達本部の改革状況はどうなっているんでしょうか。  会計検査院の指摘にJP4があります。  航空燃料の入札でございますけれども、今までは結果的に入札価格があらかじめわかってしまうやり方ですね。今度は指摘に沿って入札を実行したと聞いておりますけれども、結果はどうだったんでしょうか。また、どのような改善があったのでしょうか。
  73. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) JP4の問題につきましては、会計検査院の御指摘をいただきまして、大変遺憾に存じております。おわびを申し上げる次第でございます。  御指摘にありますような会社間の競争を阻害するような行為でございますとか、価格保証の結果、再予定価格が推定できるような行為というものをなくすのはもう当然のことでございまして、既に調本におきまして従来の調達手続を見直し契約事務及び予定価格算定事務適正化を図るべく通達を発したところでございます。この通達におきまして、供給可能なすべての業者を指名すること、それから価格引き下げの交渉におきましては予定価格の取り扱いに十分配意をいたしまして厳正な事務を実施すること、さらに予定価格の算定方法を見直すなどの処置を講じさせたところでございます。  調達手続見直し後に行われました入札におきましては、競争参加者の増加、そして予定価格の範囲内での落札等がなされたところでございますし、落札価格も分散しておりまして、入札制度本来の競争性が発揮され、調達事務適正化が図られたのではないかというふうに思っているところでございます。
  74. 松あきら

    ○松あきら君 これはやってみればできないことじゃないわけですよね。  何で今まで実施できなかったんでしょうか。いかがでしょうか。
  75. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) これについてはまことに本当に申しわけなく、おわびを申し上げる次第でございます。  一つは、人手不足と申しますとおしかりを受けるのかもしれませんが、調本の場合十五分ぐらいで入札を片づけていかなければいけないというような状況がございまして、かついま一つは当初の予定価格というものが最低のぎりぎりの市場価格を念頭に置いておりまして、したがいましてなかなか落札に達しないというためにどうしても商議に入らざるを得なかったといったような事情があったかと存じます。
  76. 松あきら

    ○松あきら君 おわびを本当に国民の皆さんにしていただきたいということでございますけれども、やはり商議のやり方というのは、私もちょっと勉強させていただいて、何か本当にもうこれ、今ちょっと時間がないので言えないんですけれども、はなから結果がわかっているようなことをやっていて、本当に冗談じゃないなというふうな思いなんです。十五分ですか、何か短い時間で冗談じゃないですよ、こんな金額なのに。国民の皆さんが聞いたら怒りますよ。これだけの金額のことを十五分で片づけなきゃいけないからこんなことでやっていたなんという、それは申し上げておきます。  そしてもう一つ、今度は会計検査院の指摘、これはFMSでございます。有償援助調達でございます。取引の条件は、取引額は合衆国政府が負担する総費用の見積額、支払いは前払い、出荷予定時期は出荷までの目標月数、合衆国政府が受領した額のうち総費用を超過する額を購入国に返済して精算するというんですね。  問題提起の背景になっている出荷予定時期を過ぎた前払い金の未精算額が千四百五十四億円に達するわけですよね、これはかなりのお金なんですけれども。そして、この一月に野呂田防衛庁長官がコーエン国防長官に要請して改善されたという報告がございますけれども、会計検査院の指摘で初めて動き出すというのも組織的にやっぱり責任感がないんじゃないかと。いかがでございましょうか。
  77. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) FMSに関しましては、確かに先生御指摘のとおり、おくれていた事実があるわけであります。  我々といたしましては、日米生産交渉の会議においていろいろのレベルで対処してきたところでございますけれども、昨年私が十一月に調達関係でアメリカを訪問したときにハムレ国防副長官に対してこの善処を求めまして、その後我が方の野呂田長官からコーエン国防長官に対して出荷の促進を要求したところでございます。そしてまた、それに対して改善の検討を行うということでお話を受けたわけでございまして、このように本件解決に向けてはトップダウンの方針によって事態の進展が見られたのは事実でございまして、その後に装備局長、デビソン国防安全保障協力庁長官との会談が行われまして、その協議において個別案件ごとに出荷等の改善の見通しについて求めましたところ、米側より、詳細な検討を行い、未納入等の問題の改善について早急に回答することを約し、これに基づく協議を引き続き行うことになったところであります。  そして、現時点では各レベルにおける協議を通じまして、会計検査院より未納入と指摘された百四十一件のうちの約半数が既に納入されるなどの改善が見られておるわけでございます。これらの改善は高度なレベルの協議による面が大きいことは事実でありますが、各レベルにおける交渉においても正価に反映されていることも事実でありまして、今後とも各レベルにおける交渉を効果的に行って本問題の解決に努めてまいりたいと思う次第でございます。
  78. 松あきら

    ○松あきら君 これは一年以上二年未満というのから始まりまして、十年近くほってある。一年以上、二年以上、三年以上とこうなっていて、十年ぐらいまでほってあるんですよね。私、これは本当に申しわけないけれども、やはり責任感を感じていない以外にないなと。何かアメリカは全世界に対してやはり兵器は自信を持っておりますので、どの国に対しても前払いで払いなさいよということなんだそうでございますけれども、我が国だけじゃないということでございますけれども、やっぱりこれ一年、二年なら仕方ないけれども、仮に我慢するとしても、四年も五年も十年近くもこういうことを請求できないでほってあるというのは、何か我が国が消極的といいましょうか、遠慮しているといいましょうか、あるいは無責任と言わざるを得ないと思います。  次に参ります。  野呂田長官が憤慨した防衛庁所管公益法人防衛弘済会による飲料メーカーからの無償提供問題が最近報じられております。十億円相当の要らなくなった、賞味期間を過ぎてしまったビール等、これが捨てるとお金かかるんだそうなんです。それで、すごい、何万ケースというのをあげますよということで無償提供されちゃった。それで、例えば三百幾らの缶ならそれを百円で売っていたという人がいるんですね、もうけたと。こういうことを報じられているわけでございますけれども、やっぱり自衛隊に対するモラル教育、この対処、先ほども倫理という話が出ておりましたけれども、これをぜひまず伺いたいと思います。
  79. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) お答えするのがはばかられるように、大変残念に我々も思っております。陸上自衛隊の隊員が今回防衛弘済会の職員を通じて業者からの賞味期限切れ間近な飲料水等を無料で受け取りまして、各部隊の隊員に無料で配布するという、安価な輸入ビールを実費で隊員にあっせん、配布したとされているものがございまして、現在詳細については調査中ではございますけれども、先生がおっしゃられたとおり、国の防衛という任務に専念すべき現職自衛官がこのような行為を行っていたことはまことに私にとりましても遺憾でございますし、事実関係を確認し、規律違反が判明し次第しかるべく厳正な措置をとるとともに、隊員に一層の服務指導を努めてまいりたいと考えております。
  80. 松あきら

    ○松あきら君 何か知らないという先生もいらっしゃるようで、わかっているだけで二十二万ケースだそうでございます。希望小売価格は合計で十億円以上に上る。また、さっき言いましたように、ただでもらっちゃったのを売っちゃったというその方なんか口座に四十数万円入っていた。これは酒税法違反、いろんな話があるわけで、時間がないので飛ばします。  先ほど倫理の話が出ておりまして、防衛庁は大事な部門で公正、あるいは国民に不信を招くようなことはしないというふうにおっしゃっておりましたので、この辺を私はぜひ厳正に対処してほしいと思うんですけれども、もし今後このようなプレゼントがあったらどうするんですか。簡単にどうぞ。もう受けない、絶対に。
  81. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 今お話ししましたように、我々としてはそういったことのないように今後努めてまいりたいと思います。
  82. 松あきら

    ○松あきら君 どうぞよろしくお願いいたします。  この防衛弘済会の役員は、この表によりますと全員が元防衛庁自衛隊の出身者で構成をされているわけでございます。  天下りは三分の一以内という閣議決定はどうして実行されないんでしょうか。
  83. 坂野興

    政府委員坂野興君) 防衛弘済会は、防衛思想の普及及び防衛関係学術技芸の奨励を行うとともに、防衛庁職員の相互扶助と福祉の増進を図り、もって防衛基盤の育成強化に寄与することを目的として設立されたものでございます。  それで、防衛弘済会の役員はすべてが防衛庁OBで占められておりますが、これは防衛思想の普及など専門的な分野を事業対象としているため高い専門的知識が必要であり、関連業務に長年にわたり携わってきた防衛庁出身者以外から適材を得ることは難しいことから、当該法人の要請を受けまして防衛庁出身者が役員に就任したものと承知しております。  それから、公益法人への役員の省庁出身者の比率のことでございますが、これにつきましては、基準といたしまして退職後十年を経過した者につきましてはその中に含まれておりませんものですから、そういう趣旨からしますと一応基準はクリアされている状況にございます。
  84. 松あきら

    ○松あきら君 私は、防衛弘済会が特殊な技術、特殊なことが要るからということはちょっと当たらないというふうに思います。  それから、十年以上過ぎれば構わないというんだったら、同一業界から二分の一以下にしなさいというのはどうして守れないんですか。ちょっと、もう時間がないので簡単に。
  85. 坂野興

    政府委員坂野興君) 公益法人の理事のうち所管する官庁の出身者が占める割合は、平成八年九月二十日閣議決定、公益法人の設立許可及び指導監督基準で「理事現在数の三分の一以下とすること。」とされておりますが、平成八年十二月十九日の関係閣僚会議幹事会において申し合わせられた同運用基準において、所管する官庁の出身者には退職後十年以上経過して理事に就任した者は除かれることとされております。  なお、防衛弘済会の十二名の理事のうち八名は退職後十年以上経過して理事に就任していることから、公益法人の設立許可及び指導監督基準に反するものではないということでございます。
  86. 松あきら

    ○松あきら君 私は、公益法人というのは公益を扱うんですから、やっぱりこういうことでは、今のお答えを聞いていても、国民の理解を得にくいと思います。やはり特殊で閉鎖的な機関というふうに思われても仕方がないと思います。  今、実は問題になっておりましたのは調本でございますけれども、しかし調本だけの問題じゃないと言われております。幕僚監部が本当はすごい、一番重要だ、あるいは技術研究本部、これがその次だというようなことをいろいろ言われているわけでございますけれども、私は、要するに表に出たところだけを取り繕うのではなくて、もう本当に「幕」も「技」も「調」もすべてひっくるめて、全庁を挙げて総点検、再点検をお願いしまして質問を終わります。
  87. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 三月五日の防衛庁背任汚職事件の公判での検察側の冒頭陳述は、防衛庁と軍需企業が聖域という国民の目が全く届かないところで水増し、ごまかし、天下り、わいろなど違法、悪事がはびこっていたことを明らかにしました。今もお話がありましたが、防衛庁上層部の責任は重大だと思います。どう受けとめておられるのか、伺いたいと思います。
  88. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 防衛庁では、昨年十一月に取りまとめました四社事案関連文書管理実態に関する報告において事案の実態解明に向けての取り組みに不十分な面があったことについても指摘するとともに、同報告を踏まえて関係者の厳正な処分を行ったところでございます。  背任事件の事実関係の解明については今後公判等で明らかにされると考えておりますけれども、背任事件に至った東洋通信機、ニコー電子事案の処理については、損害額をそれぞれ六十二億円、約三十一億円と確定した上で二月五日に返還請求を行ったところでございます。  これに対し、ニコー電子からは民事訴訟法の第二百七十五条に基づく即決和解の申し立てが行われておりまして、東洋通信機については少なくとも請求額の全額を支払う意思がないことを確信したので、二月十二日に法務省に対し訴訟提起依頼を行ったところでございます。裁判の場で防衛庁の算定の正当性を明らかにしてまいりたいと考えております。  また、両社に関しては事件化された対象期間以降についても現在厳正な調査を行っているところでございますし、そのほかに過大請求が判明している日本電気、日本航空電子工業及び日本電気電波機器エンジニアリングにつきましては、徹底的な調査を行った上で、できる限り速やかに過払い額を算定し、返還請求を行うこととしておるところでございます。  また、再発防止のために現在進めている防衛調達改革を一刻も早く実施に移すべく全力で取り組んでおり、これらの取り組みにより防衛調達に対する国民信頼回復してまいりたいと考えておるところでございます。
  89. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 政務次官、私は政治姿勢についてまず伺ったわけで、何をやっているかという事実をずらずらと並べ立てられるというような答弁を期待していなかったのですが、次に具体的な問題を伺いたいと思います。  防衛庁は、二月五日に東洋通信機とニコー電子の水増し請求過払いによる損害額を確定して、両社に返還請求を行いました。東洋通信機の損害額は約七十億、ニコー電子は三十四億円にもなります。東通は契約額の三百七十三億円の一八%、ニコー電子は契約額百一億円の三四%が水増しという驚くべき事態です。  防衛庁は、昨年九月までは過払いの返還額は東通が八億七千万、ニコーは二億九千万円と言っていました。検察が背任事件で認定した金額は、東通が二十九億九千万、ニコーが十七億二千万。今回防衛庁が出した金額は当初防衛庁が言っていた金額の八倍から十二倍、検察の認定額と比べても二倍になります。  なぜこんなに違うのか、どんな内容でどれだけふえたのか、個々の契約資料を積み上げたのかどうか、その点について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  90. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 今回算定いたしました東洋通信機による過大請求額約七十億円と平成六年当時の約九億円との差、六十二億円の主な要因でございますが、一つは金利の算定期間が大分違っております。それから、一般管理及び販売費におきます広告宣伝費等の非原価項目あるいは本社経費、試験研究費等につきまして予定価格訓令を厳密に適用したこと等によるものでございます。  また、ニコー電子にかかわります請求額につきましては、同じく三十一億円の差があるわけでございますが、その主たる要因は金利の算定期間、それから今申し上げました広告宣伝費等の非原価項目についての予定価格訓令の厳密な適用、さらに売上原価の再計算等によるものであるというふうに考えております。  以上でございます。
  91. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 個々の契約資料を積み上げたのかどうかということについてはどうですか。
  92. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 細かい算定の細部につきましては、既に訴訟になっておりますので御容赦をいただきたい点がございますけれども、これにつきましてはいずれもいわゆる財務諸表等からとりました資料に基づきましてマクロ的に計算したものでございます。
  93. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 個々の契約資料がないということですけれども、冒頭陳述によると水増しがわかったときに防衛庁は個々の算定をしているんですね。どうして今回それができなかったのかということです。  上野、被告になっているわけですが、個別に計算したのでは返還額が高くなり過ぎるというのでいろんな手法で減額しているが、その第一の手法が決算書方式で計算することだ、冒頭陳述でそういうふうにはっきり言っているわけですけれども、今回の算定はまさにそれと同じなのではないですか。
  94. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 私どもの今回七十億円と六十二億円の差額は、決算書等をもとにした計算であることは事実でございますが、それが現在公判等で議論がされております中身と申しますか、内容がどうであったかということにつきましてはこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  95. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 冒頭陳述では、九四年三月二十二日行われた東通の危機管理対策会議で、本田耕三経理部長が八八年度から九二年度までの五年間の返還額を試算した結果七十三億七百万円になると報告をしたということが明らかにされています。  ところが、上野憲一副本部長は、返還対象期間から八八年度を外して、そのかわりに九三年度を加えると返還額をさらに減額できる、だから返還対象期間を八九年度からに変更したと、そういうふうに言われています。  今回の防衛庁の算定は、上野被告人の画策どおり、八九年度から九三年度を対象期間として七十億円としているのではありませんか。これは私おかしいと思うのですが、どうですか。
  96. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘のとおり、八九年度からでございますけれども、これにつきましては私ども過去にさかのぼってということでそのようにしたものでございまして、冒頭陳述にございます上野さんがどうのこうのということについては、まさに公判で事実関係等明らかになるかと思いますので、その点についてのコメントは控えさせていただきます。
  97. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 今のお答えは全く納得できない答えです。  先ほど政務次官がちょっと触れていた今回防衛庁が算定した損害額とそれに基づく返還請求について、ニコー電子は全額返還は受け入れましたけれども、東洋通信機は返還の意思はあるけれども返還額算定の根拠を明確にしなければ払えないということで裁判を起こしたわけです。  算定根拠を明確にできなければ裁判に勝てないということになりますが、その点どうですか。
  98. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 私どもといたしましては、先生御指摘のとおり、確かに東洋通信機の方からも提訴がされ、私どもの方からも訴訟提起依頼を現在法務省にいたしておりますので、その算定方法等につきましては、先ほど政務次官が申し上げましたとおり、裁判の場等で明らかにしてまいりたいというふうに思っております。
  99. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 野呂田防衛庁長官は損害額が確定した段階でその内容を公表すると答弁をしていたわけですけれども、いまだにどういう契約でどういう水増しがあってその返還額、損害額をどう計算したのか、まともな資料が出ていないのです。これでは事件徹底解明したとは到底言えません。損害額の算定根拠、何から何を幾ら引いてどのような数値を使って計算して損害額を確定した、そういう結果に至るまでの全容を私は報告すべきだというふうに思います。  委員長、そこでお願いなんですが、行政監視委員会として防衛庁資料提出を求める必要があると思うのですが、御検討いただきたいと思います。
  100. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  101. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 NECは、二重帳簿システムによって過大請求を長年にわたって行い、国に多大な損失を与え、世論の大きな怒りを買っています。ニコー電子や東洋通信機はNECの子会社です。このNECに対して防衛庁は、NECとは今完全に取引停止をしていると答弁をしています。ただし、真にやむを得ないものは除外すると言っています。  九八年度の契約予定分六百八十億円のうち八割の五百四十五億円、これを真にやむを得ないものとして契約をしている。今審議中の九九年度予算にもNECとの契約を前提とした予算が約五百億円盛り込まれています。最低でも五年間はこのような大規模な契約が続くという説明がありました。これはおかしいと思います。  NEC自身が二重帳簿による水増しを認め防衛庁がその実態解明の調査をしている最中に、当初予定した契約はそのままにして、さらに新たな予算をつけるというのでは全く制裁にならないのではありませんか。国民は到底納得できません。防衛庁は真にやむを得ないものと言うのですが、それは一体だれが決めるのですか。
  102. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 私どもといたしましては、昨年、日本電気の水増しが発覚いたしまして以来、御指摘のとおり、取引停止措置をとったところでございます。その上で、日本電気との契約を行わなければ隊務の遂行、あるいは予算の適正な執行といったものに重大な支障が生ずると認められるもの以外はすべてこれを代替する、あるいは節約をして調達を行わないといったものを追求したわけでございます。その結果、ただいま先生がおっしゃったような約二割近くのものを代替ないし取引を行わないような形のものに持ってくることができたわけでございます。  契約先として日本電気が考えられるものにつきましては相当数ございますけれども、どこが判断するかということでございますけれども、先ほど述べました趣旨に添いまして関係機関、部局において適切に判断し、そしてそれを私ども内局に上げてきて最終的に決める、こういうことにいたしているところでございます。
  103. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 二割削減したと言われますけれども、八割はそのままなんですね。真にやむを得ないものということを言われますが、どういう契約でどういう理由でNECでなければだめなのかということが全くわからないわけですね。個々の契約内容について何にも明らかにしないで、不透明なままで真にやむを得ないというふうに言われる。今までだって防衛庁の中だけでいろいろやって、結局不正がはびこっているということになっているわけですから、NECとの契約についても私は当然、行政監視委員会としてもこれはもう納得がいく資料がなければきちんとした論議ができないわけですので、これも報告をしてほしいというふうに思いますが、委員長、御検討いただきたいと思います。
  104. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  105. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 次に、会計検査院に伺います。  東洋通信機、ニコー電子の当初の水増し請求について、会計検査院は防衛庁から報告を受け、低過ぎる算定をそのまま見過ごしてしまいました。なぜですか。
  106. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。  会計検査院は、通常、検査に当たりまして、個別の一契約ごとに作業伝票等の基礎的資料によりまして工数やその他の実績数値を確認することによりその契約の適正な支払い額などを確認することをしております。  今回の過大請求事案につきましても、過大請求が明らかになった時点におきまして、その適正な返還金額等を検証すべく努力したところでございます。しかしながら、個別契約ごとに差額の算定に必要となる原始伝票あるいは作業日報のような基礎的な資料が入手できなかったなどのため、調達本部がとりました処置を不適正なものと断定するまでには至らなかったということでございます。
  107. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 会計検査院は、九五年、九六年度の両社の会計検査も行っています。なぜこのときの検査で水増しを発見できなかったんでしょうか。このとき発見していればもっと早期にNECグループの二重帳簿システムを発見して国の損害を未然に防ぐことができたと思うんですが、いかがですか。
  108. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。  ただいまもお答えいたしましたように、それぞれの会社におきまして原始伝票あるいは作業日報、こういったような基礎的資料の保存が義務づけられていない、そういったことなどから契約工数のチェックができなかったことにより過大請求を発見できなかったものでございます。
  109. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 全く手ぬるい検査と言わなければならないと思うんですね。  私は冒頭陳述で驚いたんですけれども、そのまま読みますが、「被告人上野は、債権発生通知を行って一括返納させるのではなく、履行中又は今後締結する契約の代金を減額することによって順次返還させるという方法を「ローリング方式」と名付けた上、これが正当な処理方法であるかのように装うため、原価管理課長に対して、「ローリング方式について新たに達や規則などを定めてルール化しておきたい。ルール化することで会計検査院に対して公明正大にやったと主張できる。」」、こう言っているんですね。  それから、その後もこういうことを言っています。「その際、同席していた原価管理課課長補佐が、公認会計士の資格を有する専門家の立場から、返還額は個別方式で計算するのが原則である旨指摘したため、被告人上野は、「個別にミリミリやって何になる。おれの意図が分からず、案をまとめることができないのなら、できないと言え。」などと同課長補佐を怒鳴りつけた。」ということで、こういうやりとりがある。  つまり、検査院をごまかすということで仕組まれているわけですけれども、検査院はこういう不当なやり方、こういうルールを認めたということだったんですか。
  110. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 今回の冒頭陳述で検察側が述べていることについては、私どもとしては全く確認しておりません。したがいまして、認めたとか認めないということではございません。
  111. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 昨年の十月に衆議院決算行政監視委員会に会計検査院が出した報告書があります。この報告書では、東洋通信機やニコー電子の過払いについて、基礎的資料の保存義務がなかった、そして当時の実情をよく知る責任者は退職していたなどの理由によって返還金額の妥当性を検証できなかったとしています。しかし、現に検察当局は独自に捜査をして過払い額を算定しました。さらに、大きな過払い額防衛庁によっても算定をされているわけです。  これでは不正を発見して是正していくという会計検査院の役割を果たせないのではないですか。どう改善をしていくのですか。
  112. 疋田周朗

    会計検査院長(疋田周朗君) お答えいたします。  本件のような事案につきまして未然に発見できなかったということにつきましては、会計検査院といたしましても重く受けとめているところでございます。  今後の検査のあり方につきまして、事務総局内に防衛検査に関する検討委員会というものを昨年設けまして、これまでの検査の方法あるいは内容、こういったものを総点検したところでございます。その結果、原価検査の能力に対します充実必要性を痛感いたしまして、検査の実施体制強化するために原価検査の専門班を設置いたしたところでございます。  それからまた、従来会社に対しましては調達実施本部職員の立ち会いのもとでいわゆる肩越し検査という形で検査を実施していたところでございますけれども、今後必要と認めた場合には直接会計検査院法第二十三条の規定に基づきまして会社を検査するというような措置を講ずることによりまして検査に万全を期してまいる所存でございます。
  113. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 私も報告書の「改善」を読ませてもらいましたけれども、いずれも現行の法令でできるものばかりだと思うんですね。要するに、問題は軍需企業に対して防衛庁を通じて肩越し検査をしてきたということですし、それから冒頭陳述の中にもありますが、ニコー電子では会計検査院が入るということを事前に知るんですね。要するに、事前にそういう通告をするとか、あるいは防衛庁調達実施本部の水増し是正報告を不問に付してまともに検査しない、そういう実態があったことにあると思います。  重大な水増し、過払い、これを見過ごした会計検査院の責任は重大です。報告書にあるような遺憾とか大きな衝撃、そういう言葉で済まされる問題ではないというふうに思います。院長、本当にきちっとしたそういう反省をしてほしいというふうに思うんですが、いかがですか。
  114. 疋田周朗

    会計検査院長(疋田周朗君) 私ども検査対象といたしましては、委員承知のとおり、各省、各庁はもちろんのこと、公団、事業団、あるいは都道府県、市町村、非常に広範な検査対象を持っているところでございます。したがいまして、従来の防衛検査につきましても、直接会社を検査するというような権限も法律的にはあったわけでございますけれども、いろいろ検査の能率とかそういった点を考えまして従来は肩越し検査というような形で検査をやってきたわけでございますけれども、今回のような事案が起こりましたことを私どもも非常に厳粛に受けとめまして、今後は検査に当たって万全を期してまいりたいということで鋭意検査に取り組んでいるところでございますので、その点について御理解をいただきたいと思います。
  115. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 最後に、会計検査院の天下りについて伺います。  さきの報告書では国民の批判は真摯に受けとめるとしているわけですが、従来から民間会社や公益法人が検査院OBの再就職を受け入れるのは検査逃れを期待してのものだという指摘がされています。背任事件の舞台となった防衛生産管理協会、防衛装備協会、防衛技術協会などの団体に検査院OBが役員として再就職するなどは言語道断だと思います。  防衛庁調達実施本部の副本部長だった上野容疑者からの就職あっせんについて、会計検査院の諸田第二局長は昨年九月十八日の衆議院安保委員会で、検査院OBの再就職あっせんを上野容疑者から受けていたということを認めています。私は事実関係をすべて明らかにすべきだと思います。そして同時に、検査対象やその関係団体への再就職は全面的にやめるべきだと思います。いかがですか。
  116. 疋田周朗

    会計検査院長(疋田周朗君) 私ども会計検査院職員は、ほかの多くの省庁と同じように一般職の国家公務員でございます。したがいまして、その再就職に関しましても関係法令の適用を当然受けるわけでございまして、その法令の範囲内で元職員の再就職については取り扱ってきたところでございます。  確かに、委員指摘のように、退職後一部の元職員が長年培いました検査経験を生かすという形で監事、監査役などとして内部監査の業務に従事しているところでございます。  職員の再就職に関しましては、会計検査院の公正な検査に疑問を抱かれることのないよう今後ともに留意してまいりたい、このように考えております。
  117. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 今の答弁の中に、諸田局長のことについて事実をちゃんと明らかにしてほしいということを言ったわけですが、そのことについての答弁が全体の中に含まれているということですか。  会計検査院は国民に非常に期待をされているところだというふうに思いますので、これからもきちっとしていっていただきたい、そのことを申し上げて質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  118. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 東洋通信機とかNECとかニコー電子の問題が表面化したときに私が最初に持った印象は、その他の装備品についてもこれはやっぱりそういうことがあるんだろう、氷山の一角だろうと直感したわけであります。それは危惧の念で終わればいいんですが。  そこで、時間がありませんから二つのことをお尋ねしたいんですが、一つは、私は平成九年度の装備品の平均価格契約相手を抜き出していただいたんですが、陸海空にわたりまして。一つは、九〇年式動座つきを含む戦車、これは一台が九億四千万円、三菱重工等となっております。それから、例えばトラック、七三式大型トラック標準タイプ、これは一千億円、いすゞ自動車等。それから支援戦闘機F2、これは百二十一億円、三菱重工、石川島播磨その他。四千四百トン型護衛艦、これは六百三十億円、三菱重工その他。こうなっておるんですね。  これは私は自分の見当で抜いて防衛庁の方から数字を入れてもらったんですが、これを見て私は高いのか安いのか、妥当な価格かどうかというのはわからないんです。国民みんなこれはわからないと思うんです。だからできるだけこれは妥当な価格である、こういう証明を、これは時間がかかってもいいんです、これに限らない装備全体に対しまして、防衛庁調達する装備品についてはやっぱり妥当性がある、こういうことを防衛庁がみずから内部努力をすることによって国民に証明してほしいし、会計検査院も検査院が仕事を通した内容だからこれはもう心配要らない、これは妥当だと、そういう努力防衛庁も会計検査院もしてほしい、こう思うんです。  具体的には、先ほど言いましたように、会計検査院は肩越し検査だけじゃなくて、やはり契約相手方の企業の検査もやる、それから原価計算の力もつけると。防衛庁については、調達本部はもちろんでありますが、後で申し上げますが、調達本部内部だけの監視体制をつくって別に置いてということだけではどうもないようでありますから、流れの方をもとからチェックするような体制をとってほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
  119. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘をいただきました幾つかの具体的な装備品でございます。先生のおっしゃるとおり、私どもも機会があればどうしてそのような価格になるのかという点について御説明を申し上げたいというふうには思っております。  ただ、いかんせんたくさんございますので、今お話しのありましたもののうち、例えば九〇戦車でございますと、外国との比較を申し上げますと、アメリカのM1A2は約六億四千万、イギリスのチャレンジャー2が七億一千万、それからフランスのレクレールになりますと約十三億円ということでございまして、確かに一般的には日本の九〇が高いわけでございますが、ほとんど同性能でございますフランスの戦車の方が九〇よりもかなり高いという面もございます。  それから大型トラック、一千億でなくて一千万でございます。これにつきましては、八トントラックが大体千三百万円ぐらいでございますので、こちらはむしろ通常のトラックより少し安いぐらいかなという感じがいたしております。  それからF2でございますが、これは確かに高いわけでございます。平成九年度ではさまざまな部品等も入れまして百二十一億円でございますが、平均量産価格の見込みは平成八年度価格で約八十億円と現在見込んでいるところでございます。  他方、諸外国の戦闘機の価格というのは、大変これははっきりしない。公刊資料等でもなかなか探すのが困難でございますが、公刊資料の一部を探してみますと、このモデルになりましたアメリカのF16が約三十億円、F18が約五十四億円、それからトーネードが、イギリス、ドイツ、イタリアのトーネードでございますが、三十九億円、フランスのラファールが五十七億円、こんな感じになっております。  F2につきましては、最新の技術を取り込んでいるということもございますし、また調達機数がいかんせんF16のように三千機とかそういうことではございませんので、どうしても割高になる側面はあろうかと思います。
  120. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。  防衛庁仕様の装備品につきましては、先生御案内のとおりに、特別仕様で市場性がないものが多いということから、その価格の妥当性につきまして検証するということがなかなか困難でございます。しかしながら、今後とも検査方法に種々の工夫を加えるなどいたしまして、ただいまの先生の御意見も念頭に置きまして十分検査をしてまいりたいと、かように考えております。
  121. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に移りますが、ちょっとその前に装備局長、いろいろ価格の比較をされました。私もいろいろ持っておりますが、言われたのとちょっと違う数字のものも大分持っております。日本の方が高いと言われている数字も持っていますが、一つ一つのことを問題にしているんじゃなくて、要するに防衛庁調達する装備品については、これは変な内容ではない、変な価格契約になってはいないということが今後とも国民に証明できるような、そういう内部体制をつくってほしい、こういうことであります。  お尋ねしますが、装備の調達に至る流れ、予算からずっと、その流れについてちょっと説明をしてください。
  122. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 調達には中央調達と地方調達と二つございますが、大宗を占めます中央調達、いわゆる調本調達でございますけれども、申し上げますと、調達業務装備品等及び役務の調達実施に関する訓令などに基づきまして以下のような手順で行われることになっております。  まず、調本が各幕等からの調達要求を受けまして、当該装備品等につき契約の相手方となろうとする者の資格審査、業態調査、そして契約方式の決定などを行います。次に、調本の支担官等が当該防衛装備品につきまして予定価格を算定し、これを記載した予定価格調書を作成いたします。三番目に、調本の支担官等が契約相手方との間で入札または商議を経まして契約を締結いたします。契約締結後の支担官等は、必要に応じまして装備品製造の履行過程において監督を行うとともに、契約履行の最終段階において完成検査を行います。最終的に契約相手方が納入場所に防衛装備品等を納入いたしますが、その際、受領検査を行い、これが終了して相手方に代金を支払う、以上の手順を踏むことになります。
  123. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今度の調達本部の問題については、監視体制をつくっていくとかいろいろ前進した面はあるんですが、きょうの新聞にこう書いているんですよね。これらの「改革は、調達の「主役」の幕僚監部や技術研究本部には及んでいない。」と。それから、防衛評論家の前田哲男さんは「防衛調達という大きな川の流れのなかで、調本は「川中」でしかない。企業との癒着は研究開発をする技本から始まり、幕の水まで汚れ切っている。全体を清掃しないと、流れはきれいにならない」と、こう書いているんですよね、連載物で。これをちょっと見ますと、例えば業界関係者は「幕の技術部や装備部と調本にかける接待費の割合は八対二か七対三。それだけ、装備品のセールスで幕は重要だ」と、こうなっているんですよね。だから、調達本部だけじゃなくて、要するに最初のスタートの段階から最後の納品、支払いに至るまでもう全部洗い出して、この際そこに問題意識を持ってやるべきではないかと思うんです。  装備局長は通産省の審議官をこの前までやっておりまして、僕は大変だと思いますよ、防衛庁の今までのしきたりの中であなたがいろいろやるとしてもね。しかし、勇気を持って、この際防衛調達本部だけをやれば済むという問題ではないから、これはやっぱり思い切ってどこに問題があるのか過去のことを全部えぐり出してやるべきだと思うんですが、何か御意見はありますか。
  124. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 厳しい御指摘は十分に受けとめて、さまざまな観点から、またさまざまな機関についての必要とする改革をしてまいりたいというふうに思っておりまして、その点につきましては現大臣、政務次官からも強く御指示を受けているところでございます。  先生おっしゃいますように、現在制度検討会等で検討していただいております項目につきましては、ひとり調本だけのものではございませんで、調達にかかわりますすべての機関がこれを遵守するためにお願いをしているところでございますので、御趣旨を踏まえまして検討をさらに深めたいというふうに思っております。
  125. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 最後に、政務次官、私は、高いとか安いとかという問題ではく、これはやっぱり妥当な仕事をしていると、そういう国民から信頼される防衛庁になるために今までちょっと申し上げたんですが、決意を聞かせていただいて終わります。
  126. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) いずれにいたしましても、先生のおっしゃるとおり、国民の皆さん方にそういう理解をしていただくための努力を今後しっかりさせていただきたいと思っている次第でございます。装備局長も同じような考えだと思いますので、さらに一層それを進めるべく努力をしてまいりたいと思います。
  127. 高橋令則

    ○高橋令則君 自由党の高橋でございます。  質問を申し上げる前に、国会図書館の資料を取り寄せました。九百七十九件、これは一九九七年から一九九九年三月三日までの短い間に一千件に上るマスコミのスクラップです。膨大な量があったわけです。私はその一部をちょっと見たんですけれども、マスコミの言っていることがすべてというわけではありませんけれども、この問題に対する国民の関心、そして不信感というものの大きさをひしひしと感じたわけであります。  そういう意味におきまして、今回の不祥事防衛庁、そして関係省庁含めてぜひ徹底的に究明し、報告なんかで出ていますけれども、まさに防衛庁発足以来の総決算という形できちんとやってもらいたいというふうにまず最初に要望を申し上げるわけであります。  私は、各委員から既に究明の問題については細かくお話がございましたので違う角度から、国防上の観点という観点から質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、我が国防衛産業の育成の問題であります。  我が国防衛産業は、例えばアメリカなんかと比較しますといろんな厳しい条件があります。これはさっき装備局長から話がありましたので、私はそれはそれなりに理解をしております。しかしながら、是正すべきものは是正をしなければなりませんけれども、そのやり方によっては、場合によっては我が国防衛力が減退する、衰退するということになっては、角を矯めて牛を殺すということでも困るわけであります。したがって、そういう是正すべきものは是正しながらも、我が国防衛産業の育成の重要性といった点について新しい感覚からひとつ次官からお話をいただきたいというふうに思います。
  128. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 新しいかどうかは別にいたしまして、装備品開発及び生産に当たりましては、先ほども申しましたように、防衛大綱に示されているとおり、適切な国産化を通じた防衛生産、技術基盤の維持に配意することは極めて重要であるというふうに考えているところでございますし、このため競争を維持しつつ我が国防衛産業の技術開発向上に努めているところであるということも、これも事実でございます。  先ほど来、装備局長から説明していますように、その意味では時代の流れとともにいろいろな形が今生じてきているわけでございまして、再就職関係で英国に行きましたときにも、向こうのスペラー政務次官がやはりこの調達の問題に関しては非常に切実な状況にあると。というのはブリティッシュ・エアロスペースとフランスの電気関係の会社が合併をして新しい防衛産業の体系をつくりつつあるということも含めて、この問題は要するに一ところにとまっていたのではなかなか解決ができないので、逆にそういう意味においてはこの防衛産業の推移も見守りながら注意深くこれを見守って、その時々に対しての対処の仕方を考えていかなきゃいけないというふうに感じた次第でございます。
  129. 高橋令則

    ○高橋令則君 お話がございました。私も、そういう次官がおっしゃっているような方向に従って、適正に防衛産業の育成ということをきちんとやっていただきたいというふうに一つは思います。これはお願いを申し上げます。  それから、ちょっと細かい話になりますが、局長になりますか、お話をいただきたいんですけれども、防衛庁から報告された基本方向についての報告を見てみますと、中身によっては民生品の導入云々の話があります。これは同じものであればいいんですけれども、防衛装備品の場合にはやっぱり特性があるわけですね。したがって、その信頼度といったものが非常に重要ではないかと思うんですね。民生を一生懸命やるのはいいんですけれども、それによって信頼度を失っては困るわけでありまして、したがってこれについても適応するための言うならば仕様とか規格、こういったもののやっぱり検証が必要ではないかというふうに思うんですね。  こういったものの見直しについての進みぐあいはどんな状況ですか。
  130. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 仕様につきましては、先ほど来お話し申し上げておりますように、いわゆる民生品あるいは民生技術を活用した規格等に移行することによりましてコストの低減が図られないかということで、平成八年の五月に取得改革委員会というのを設けまして、ずっと検討をしてまいりました。この結果、昨年夏に、六月でございましたか、一応の結論を得まして、平成十二年度末までにこれらの防衛庁規格仕様書につきまして段階的な見直しを行おうというスケジュールを立てたところでございます。  この規格仕様書見直しに当たりましては、まさに先生おっしゃるとおりでございまして、極めて安全性にかかわる点がございますので、信頼性など要求性能にかかわらない部分をまず見直し、そして民生品、民生技術の活用を図る、あるいは輸入品の活用を図るということを目指したわけでございます。おかげさまでこれまで見直し予定数の約六割に当たります七千五百件につきまして見直しを終了いたしまして、残り四割についても平成十二年度末までに見直しを終わらせたい、かように考えておるところでございます。
  131. 高橋令則

    ○高橋令則君 次に、昨年六月に出ております取得改革委員会報告書、これにはコスト削減に関する内容がありますね。この中に、調達段階及び維持修理段階においては、十五年度までの五年間にコスト低減になじまないものを除いて一〇%低減するとしています。ところが、防衛庁では、今回の事件を踏まえて、改革ということでは結構なんですけれども、これを見ていると五年の計画を三年に短縮して、そして例えば十一年度の場合には四%の低減というふうな形で最初の案の二倍の案なんですね。  これはいいんですけれども、問題は、例えばこれは毎日の三月六日の記事を見ていると、これまでのいろんな問題は、言葉で言えば貸し借りとか、防衛庁企業との間に無理なことをしますと後で貸し借りとか俗に言う不良債権の再発生というふうなことも心配されるわけで、したがって、適正にやるのはいいんですけれども、無理にすることによって今度また同じようなことを再発するというふうな原因になるのではないかという心配をしているわけであります。  したがって、まずこの最初の案の低減目標をなぜ一挙に短縮したのか、これが企業との影響においてどういうことがあるか、それが前段申し上げたような心配はないのか、それをお聞きしたいと思います。
  132. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘のとおりでございまして、平成八年五月に設置いたしました取得改革委員会によりまして平成十年六月に報告書を取りまとめたわけでございますけれども、その中で向こう五年間で原則一〇%のコスト減、これはすべてばさっと根っこからということではございませんでして、例えばライセンスのようにそもそもカットできないところ等はもちろん外しているわけでございますけれども、コストダウンのできるところにつきましては一〇%の削減ということを一つの目標にしたわけでございます。  しかしながら、今回防衛調達改革に取り組むに当たりまして、取得改革をあわせてさらに加速したいということで、ただいま委員指摘のとおり、期間五年を二年短縮いたしまして三年間にいたしたわけでございます。したがいまして、平成十一年度につきましては四%の低減目標にし、さらに各年度今後二%ずつ削減をしていきたいというふうに考えているところでございます。  確かにおっしゃるとおり、このコストダウンというのは相当民間企業にとっても厳しいという声は私の方にも届いておりまして、したがいまして短縮の決定に当たりましては関係防衛産業団体を通じまして意見交換を行い、企業側等から御要望のありました規格仕様書見直し等に当たりましては当然企業の方からの提案をいただくというようなものを中心に、そういった処理体制の整備促進を図ることによりまして企業の御理解を得ながら進めたい、かつ進めているところだというふうに考えております。
  133. 高橋令則

    ○高橋令則君 無理な削減は、今度は後で返してもらうというふうなことがこの調達問題の一つ原因になっていますね。それが再発しないように頭に置いてぜひやっていただきたいというふうに思います。  それから次に、十一年度予算の中にありますけれども、部外有識者によるチェック体制の整備についてということで、ここに公認会計士を含む云々というふうに書いてあります。  私は、それがいいとは思うかもしれませんけれども、ちょっと心配をしているのは、一点は例えば会計士の場合、御承知のように、今まで例えば銀行それから証券の中でいわゆる決算の監査のあり方というものに対して問題があるわけですね。会計検査によるいわゆる決算に対する審査というものがどうも甘いのではないかというような気持ちがするんですね。そういうことを同じようにやられては意味がないんですね。  したがって、やり方、目的、役割、位置づけといったもの、そしてまた同時に、部外の人ですから、したがって防衛にかかわる秘密の問題があるわけですね。したがって、そういった面についてはどういうふうな配慮をしているのか、それをお聞きしたいと思います。
  134. 小林誠一

    政府委員小林誠一君) お答えいたします。  まず、部外者によるチェック体制の整備ということでございますけれども、第三者機関におきましては、昨年発表いたしました「防衛調達改革基本的方向について」においても示しておりますように、個別契約の事後的なサンプリングチェックやあるいはいろいろと企業の方から出てきます契約に伴う苦情処理等を行うことを役割としております。  それで、この第三者監視機関につきましては、今後この組織をどうするかということにつきましては、調達機構改革の一環として、中央省庁等の改革に合わせまして、今、関係省庁と調整中であります。  この第三者機関が正式に発足するまでの間の当面の措置といたしましては、平成十一年度からは公認会計士方々等、企業経理契約問題に対する高い専門的知識を有する外部有識者によりますチェック仕組みを設けて対処してやってまいりたいと思っております。  また、企業の十一年度予算におきましては、四社事案の反省を踏まえまして、平成八年度からこのような事案が他の企業において行われないかどうかを確認するため、今後の五年間で約二百八十社について制度調査を実施することとしておりまして、そのために当該調査充実強化することの加速化を図る観点から監査法人公認会計士活用を図ることとしているわけでございます。  お尋ねの守秘義務との関係におきましては、部外の公認会計士方々につきましては、これは基本的に委託契約で行うわけでございますけれども、公認会計士法第二十七条で公認会計士としての守秘義務がございますので、それに加えまして、また委託契約書で秘密保全を図ってまいりたいと考えております。  また、その他の部外有識者方々につきましては、今ほど申し上げております第三者監視機関の具体的なあり方検討する中で関係省庁とも協議の上、詰めてまいりたいと思っております。
  135. 高橋令則

    ○高橋令則君 最後ですけれども、国防上の観点からの情報公開の問題であります。  これもあれですが、御承知のように、NECのバッジシステムの漏えいの問題が出てきました。これもスクラップからですけれども、読売の九月二十七日の社説に「ずさんすぎる防衛秘密の流出」とあります。これを見ていると、日本は長く続いた平和ぼけの影響云々から、いろんな意味の秘密漏えいを防止するための法制面の対応が明らかにおくれている、国の危機管理の観点から他の有事法制と同様、安全保障情報に関する法制の整備も真剣に検討しなければならないというふうなくだりがあります。  私は、そういう観点から、不祥事件の再発に関する問題とともに、この防衛上の観点からの情報公開のあり方について次官からお聞きしたいというふうに思います。
  136. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 行政情報の公開につきましては、当庁としても防衛政策に不可欠なのは国民的な合意であるということを認識しておる次第でございまして、行政に対する国民信頼確保するとともに、国民行政情報の有効な利用に資するとの観点から取り組んでいるところであります。  他方、国家の安全と利益に直結するという防衛庁の情報の重要性にも十分配慮する必要があるものと考えておりまして、今後とも国民の情報公開の要請との調和を図りながら慎重に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  137. 高橋令則

    ○高橋令則君 終わります。
  138. 田名部匡省

    田名部匡省君 もうこの時間になりますと大体皆さんがお話しになったことばかりでありまして、むしろ要望や期待が多くなると思うのでありますが、大変なことをしてくれたと。国民もそうであります。これは自衛隊に対する国民信頼とかあるいは理解、協力がなければ自衛隊活動というのはなかなか難しいですよ。そういう中にあってこういう問題を起こした。  政務次官は初めてのことですが、かつてもあったんですよ、もっと大きな問題が。どんな役所にもある。その都度、二度とこのようなことのないようにを何回聞かされたか。一向に改まっていないんですね。私はこうして見ておって、各省とも無責任な国家になっちゃったな、そんな感じが非常にするんですね。  私のところにも自衛隊を定年になってやめて来ておる社員がおります。非常にがっかりしていますよ。この連中はそんな偉くなって来たわけではないんです。一曹、二曹、三曹とか、まじめに国を守るために努力してきたその連中がどれだけ今みんなに白い目で見られているかということをこの幹部の人たちは考えたことがあるんだろうか。かつて大蔵省あるいは厚生省、建設省、道路公団にしても何にしてもそうですが、大蔵省に至っては若い官僚の優秀な連中が自殺までしたでしょう。ああいうことを見て反省していないんですよ、どの役所も。死ぬやつはばかだぐらいに思っているんでしょう。  私はさっきから皆さんのお話を聞いて、最高学府を出た官僚の諸君がこれだけのいろんな規制をしなきゃならぬ、モラルの問題を取り上げなけりゃならぬ、犯罪者かなんか雇っているみたいな話ばかりでしょう。そういうところがこれは問題であって、これは何も防衛庁だけでない、全部の問題ですよ。せんじ詰めていけば政治家にも責任が相当ある。こういうことを、これはみんながこの際反省するときだと、私はこう思うんです。  この中で、再任用制度導入にしても、いろいろと今検討中だと言うから、きょうは意見だけ申し上げて、若干の考え方を聞きたい。  この再任用の問題でも、私は役所にこれだけ天下っておるという資料をちょっと出してもらったんですけれども、三年間の防衛庁契約上位十社を出してもらった。その十社と天下っている数は比例しておるんですよ、金額と。これは何を物語るか。しかも、海将、陸将、空将、こういう人たちが好んで行っておるんですね。そして大変なツケ回しをしたり、あるいは大変な金額が請求されておったと。これは結局は会社はみんな経費として上乗せしているわけです。だれが負担するかというと、国民が負担しておるんです。そのことを頭の中に置いて行政というものをやらなきゃいかぬわけですけれども、この再任用に当たって、これは防衛庁だけでない、入札のある省はどこの省もそうですよ、OBが行っているとインパクトが強過ぎる、行っていないところは後で何かを受けるんじゃなかろうか、この心配があるんですよ。  ただ、役人が悪いとだけは言っていないんです。むしろ定年を六十五歳まで延長する、六十からは物価のスライド分だけだ、しかし六十になって働けない人は年金でどうぞというようなことを本当にここでまじめに検討しないと、早く定年させて生活ができないような状況にしておく政治にも私は問題があると思うんです。  政務次官、このことをどう思いますか。
  139. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 先生の意図するところ、よく理解をしておるところでございますが、我々の考え方としては、一般に退職した自衛隊員は在職中に培った各種の知識、能力、経験が評価されて再就職をしているところでございまして、再就職先においてそれらの知識を生かした適正な活動を行っているものでございまして、自衛隊員の再就職により装備品契約等が影響を受けているということはないと思っておるところでございます。  他方、今般の防衛調達にかかわる一連不祥事に関して当該職員の再就職あり方が問われたのは事実でございまして、これを契機に自衛隊員の再就職あり方について、若年定年制任期制によって早期の退職を余儀なくされている自衛官が安んじて職務に精励できるよう配慮しつつこれまでの検討を行ってきたところでございます。  そしてまた、我々としては部外の有識者から成ります自衛隊員の再就職在り方に関する検討会において先日、三月五日に提出された報告をもとにしまして今検討の最中でございますが、先生がおっしゃることの中に私なりに考えたことを申させていただければ、米英ともに法律的には必ずそういった処罰規定がございます。しかしながら、事前審査の段階で、やはり自衛隊員が再就職するときに、要するにこの企業ならOKだよと、そういうパスポートを、胸を張って自衛隊員が社会に就職できるような体制を中心として考えておるところが各国ではございまして、我々もできればそのような形で、今回のような事件の起きないようにしっかりとしたそういう審査のもとに、規制という概念ではなくて、ぜひとも胸を張って就職していただきたいという、そういう考え方のもとに自衛隊員の再就職を考えていきたいというふうに今考えておるところでございます。
  140. 田名部匡省

    田名部匡省君 私は中身を全部わかって言っているんですよ。ですから、就職してもいいが、その圧力によって仕事をとるようなことを絶対させない仕組みというものを考えないと。それはとりますよ。何にもとらないのに何で就職させるんですか、それじゃ。  私は小さいながらも建設業をやったことがあるんです。OBのいる会社といない会社では雲泥の差ですよ。だから、就職しているだけで物すごい圧力を感じるんですね、いないところの中小企業は。  もうこれ以上申し上げませんけれども、もし営業に口を出すというようなことがあったらどうするかということはしっかり考えておいていただきたい。これは、何と説明すればいいかわかりませんけれども、どうしてもやっぱりそうなっちゃう仕組みになっているものだから。  最近、一般の方の入札は参加申込型になりまして、だれでも入ってくるんですよ。そうすると、OBのおる会社が何ぼ圧力をかけても、何回ももらえないと投票しちゃうんですよ。昔はそんなことはなかった。護送船団で仲よく順番にと。これだってないとは言えない、ただ確証がないだけで。だから、そういうことがもしあったときにはどうしますかと。このわかったのだって投票でわかったんでしょう。内部からこれ出たんじゃないですよね。そのことを私はきちっとしておかないと難しいだろうなと、こう思っておるんですが、どうですか、もう一遍。
  141. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 確かに先生のおっしゃる部分は、今後我々としても注意深く検討して、対応できるようにしたいと思います。その辺のところは、先生おっしゃったように、大変難しいところでありますので、さらに慎重に検討したいと思います。
  142. 田名部匡省

    田名部匡省君 それから、公益法人ですけれども、これも随分あって、私は防衛装備協会の資料をいただきましたが、これだけのことをやってくれたら何にも心配ないんですよ。何でほかのものをつくる必要があるかというぐらい、生産技術の向上から品質の水準の向上、海外における制度の問題、もう全部書いてある。  九億三千万もどこから予算調達しているんですか。
  143. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 収入につきましては業務の中で、これは公益事業というか収益事業でございますけれども、装備品の検査等、調達に当たりましての検査等の代行をいたしております。その入ります手数料収入等がございまして、それが大体収入の大半を占めている、こういうことでございます。
  144. 田名部匡省

    田名部匡省君 もう時間がないので終わりますけれども、役員だけで公益法人に百四十三名行っておるんですね。二十三法人ありますよ。一体どうやっているのかというのはだれもわからない。こういうこともやっぱり私は、国民に税の負担を限りなく求めない、こんな気持ちでこれからやっていく必要があると思うんです。誰かがもうかったら誰かが損するようになっているんですよ。その損が国民に行っているから行政改革なんでしょう、地方分権なんでしょう。  そのことを最後に申し上げて、これはこの程度の、十二分の時間では個別に聞く時間もありませんので、本当にもう少し真剣に行革に取り組むということを心から委員長にもお願いして終わります。ありがとうございました。
  145. 石井一二

    ○石井一二君 私は三点にわたって質問通告をいたしておりましたが、既にその大部分質問が出たよということを先ほど係から伺いました。だから、大きく逸脱しない範囲で常識論の中で若干の質問をいたしたいと思います。  多数の天下りの問題が出ておりますが、天下った方々は日常どんな仕事をされておるんでしょうか。まず、及川装備局長、御意見いかがですか。
  146. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) ちょっと私の所管ではございませんので答弁については差し控えさせていただきたいと思います。さまざまなところに行かれておられますので、またそれぞれ行かれた場所、人によって違うのではないかと存じます。
  147. 石井一二

    ○石井一二君 では、所管の方の答弁を求めます。
  148. 坂野興

    政府委員坂野興君) 天下りした方、天下りといいますか、民間の企業に再就職した方の仕事の内容でございますが、やはり自衛官としての長年の経験に基づきましたアドバイス等を会社の中で行いまして、それがまた国の防衛にも寄与しているというふうに判断しております。
  149. 石井一二

    ○石井一二君 ここに九八年八月二十四日付の朝日新聞がありますが、これによりますと「人質 仕事しなくていい」という大きな見出しであります。天下り、給与は退官時の八掛け、メーン、サブということで大体高級官僚の三十人が二つ以上の給料をもらうところを決めて出ていく、こういうぐあいになっておりますが、大体このように理解していいんでしょうか。
  150. 坂野興

    政府委員坂野興君) 自衛隊員の退職した人の再就職でございますが、これは基本的には退職をした方と企業との間の関係でございまして、私どもといたしましては、企業の方からこういった人材が欲しいというような要請がございましたときにはいろんな情報を提供することはございますが、あくまでも企業と個人との関係であるというふうに考えております。  ですから、退職して再就職した会社の中においての実情については詳しくは承知しておりませんが、やはり企業としてはそれなりの必要があって要請をしているというふうに考えておりますので、記事で書かれているようなことについて、それはないものというふうに思っております。
  151. 石井一二

    ○石井一二君 再就職先での仕事については余り知らない、こうおっしゃいましたが、あなたも天下り予備軍じゃないんですか。ぼつぼつその研究を始めていただきたい、そのように思います。  俗に鉄のトライアングルという言葉がございます。役人は天下り先を探しておる、そのためには企業仕事をやらにゃならぬ、企業仕事をもらうためには予算づけをしなきゃいかぬので政治家に献金をする、こういった流れというものが今日の防衛庁の大きな問題の根底にあると私は考えております。  私見でございますが、私は先般のTMD構想については反対であり、論文をある雑誌に書いて、必ずしもこういったものが必要ではないんじゃないか、膨大な経費がかかる、その実現性も危ぶまれておる、しかもそのお金のほとんどはアメリカへ流れていくんじゃないかということも申したわけでございますが、あの基本基本にある問題というものは北朝鮮がミサイルを放った、こういうことになっております。  このミサイル問題に関する防衛庁最終報告書も出ておりますが、一体打ち上げられたのは人工衛星なのですかミサイルなのですか、政務次官の御見解いかがですか。
  152. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 我々といたしましては、まずその弾頭にあるものが一体何であったかということがはっきりしていない状態でありますので、その意味ではそれがミサイルであったか人工衛星であったかということは言えませんが、しかしながらその弾頭に何かをつけて運搬する手段を北朝鮮が持ち得るということがわかったということだと思います。
  153. 石井一二

    ○石井一二君 北朝鮮はもとより、韓国、ロシア、米国、こういった国がはっきりとミサイルではないということを言っておるわけです。例えば、アメリカの見解は「ごく小さな衛星を軌道に乗せることを試み、失敗」、こういうぐあいに書いてあります。九八年十月三十一日の毎日新聞で各国の見解が一覧表になっておる。  こういったときに何が何でもTMDの予算をつけるんだという考えが、私が今申した鉄のトライアングルの論理にのっとっておるわけであります。  例えば、今、仮想敵国として、ではどの国が仮想敵国で何を恐れてこういった膨大な金をつくって予防行為をやるのかといった場合に、どこが仮想敵国なんですか。浜田政務次官、いかがですか。
  154. 浜田靖一

    政府委員浜田靖一君) 我々といたしましては、仮想敵国ということを今考えておらないわけでございまして、ただ単に我々としては我が国の安全保障を考えた場合に何が必要かということを考えた上でいろいろな提案をさせていただいているところでございます。
  155. 石井一二

    ○石井一二君 仮想敵国がないときにいろんな準備をする必要はないという意見もあるかもわからぬと思います。  例えば、私は平成七年の三月一日に予算委員会において、当時の玉沢徳一郎防衛庁長官にどこが仮想敵国なんだということを質問しておるわけであります。その答えは、特定の国を仮想敵国とかそういうことは想定をしていない、こういう趣旨でございました。  私は、こういった中で天下り先に何とかして注文を出さにゃいかぬという考えの中に、財政難の日本を憂える気持ちというのがもっとあってもいいんじゃないかという気がいたします。  例えば、私はここに朝日新聞ウイークリー、アエラの九七年二月二十四日号を持っておりますが、官官接待艦として二十六億円の船をつくっておると。  係にこの船はどうなったかと言ったら、今建造中でありますと言われましたが、官官接待というのは我々も接待してくれるんですか。だれを接待するんですか、この二十六億円の船で。これは何のために必要なんですか。装備局長、今度こそあなたでしょう。
  156. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 直接の所管でございませんので必ずしも正確に今お答えできるかどうか。  今おっしゃられた船は、この秋にたしか就役する予定の船、特務挺だったと思いますが、これは外国から来られた将軍とか、そういった方をお招きしたり、あるいは平素私どもが募集あるいは自衛隊に関する広報その他で大変お世話になっている方々に引き続き自衛隊に関して、特にこの場合海上自衛隊に関して世間一般にいろいろと御説明していただく際の参考としていただくことなどを込めまして船をつくったと。  あわせて、こういう時代でもございますし、災害派遣にも使えるようにいろいろな救難施設、あるいはベッド、緊急食糧、そういったものも備え得るように設計して就役を待つという状況にある船でございます。
  157. 石井一二

    ○石井一二君 一度銀座かどこか、その辺へ行ってマイクロホンで大衆に対して今の話をされたらいいと思います。石が飛んでくると思います。  最後に、私はお伺いしておきたい。  もし不測の事態が起きて戦争になった場合、どのような戦いに我が国家は巻き込まれるのか。関ケ原の合戦のように十万対十万、二十万対二十万というような大軍が白兵戦を演ずるような戦いはないと思います。こういった中で、現在の二十四万になんなんとする自衛隊員あるいはそれに四万数千の米国からの御駐在の皆さん、こういった人数について基本的な哲学のもとに査定をされておるかどうかということを私は疑問に思うものであります。  例えば、本年度要求の四兆九千億の中で、人件費、糧食費で約二兆数千億、こういったものは今の二十四万から十万減らしても大勢に影響ないような国になっておるのではないか。なぜならば、日米安保条約があり、また国連の安全保障理事会というものは二日もたてば機能し出す。こういう中で、私は神戸の出身者として、災害のときなんかいろいろお世話になりましたよ。だが、こういったときもたかだか数千ですよ、来られた方は。そういう中で、一度いろいろと皆さんで御検討をいただきたい中長期的な問題である、そういうように考えるわけでございます。  この問題で答弁を求めても満足な答弁が出てこないと思いますし、ちょうど時間となりましたと言うべきタイミングでございますので、私の意見として聞いておいていただければありがたいと思います。  終わります。
  158. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 本日の調査はこの程度にとどめることとし、これにて散会いたします。    午後四時十分散会