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田村秀昭君 自由民主党は、三十年ぐらい前から防衛庁の省の昇格に関する
法律案を決定しております。また、党議でも四十年二月に国防省の設置を再確認されているわけです。それで、自由民主党は三十年この問題にかかわってきたにもかかわらず、実現しないで今日に至って二十一世紀を迎えようとしているわけです。私は非常に残念だと思います。
一般的に、国防省とすると、アジア諸国の感情的反発を招くとか、
日本が軍事大国になると誤解を受けるおそれがあるとか、今までも何もふぐあいがなかったんだからそのままでいいじゃないかとか、何も業務が新たに付加されていないじゃないかと。PKOやガイドラインの米国との
協力やなんか非常に新しい業務がふえている。このままでいる方が私は周辺諸国が疑惑のまなざしで
我が国を見ると思います。
政府答弁で何回も、自衛隊は
憲法上軍隊でないが、国際法上は軍隊に準ずるとか、九〇式戦車を持ち、イージス艦を持ち、F15戦闘機を装備していながら、軍隊ではありませんという詭弁を弄し続けて五十年、そういう
我が国を周辺諸国は本当に信頼するでしょうか。
二十一世紀に向かって、経済大国である
我が国は、グローバルスタンダードと金科玉条のごとく言い張っておりますけれども、国の
基本である安全保障・防衛も国際水準に合わせるべきであり、国の存亡にかかわる安全保障・防衛問題を担当する行政
機関を庁のまま、これは英語で言うとエージェンシーですが、何か変な感じは受けますが、そのまま放置している国家というのが世界にあるでしょうか。
私は、本日、防衛庁を省に昇格しないとなぜいけないのかという四点について申し述べまして、閣僚の皆様から御意見を承りたいと思います。
まず第一番目は、危機管理体制が完璧なものとならない。国の防衛という国家存亡の危機に対して、自衛隊の迅速な行動が期待できない。防衛庁はいわゆる
大臣庁となっていますが、主任
大臣ではないので、閣議の
請求権を有しておりません。もちろん、国家存亡の危機のみならず、テロ、災害等の発生に際して
内閣総理大臣の決断で瞬時に自衛隊が行動できるよう
内閣法を改正すべきであります。例えば、国家緊急事態における
内閣総理大臣の権限に関しては別に定めるところによるというふうに
内閣法を改正しないと、危機管理体制は何人官邸に危機管理監を設けてもできません。
二番目、予算
要求に関する権限がありません。したがいまして、今は
総理府、今度は
内閣府ですか、を通じて
事務を行っており、省にすれば効率化が図られる。非常に効率的じゃない。効率化をうたっているのが今度の改革じゃないんですか。
三番目、省令を発する権限がない。ここが一番重要なところです。
機関の命令をみずから制定、改廃できない。すなわち、隊員に対する表彰、自衛隊の礼式、自衛官の制服、採用、承認と、すべて
総理府に説明、了解を受けなくてはならないのです。
ですから、ここで問題が出てくるのは、一般公務員の考えている倫理がそのまま自衛隊に適用されてしまう。軍の特性を考えていない、命をかけて国を守る人たちに対して。一般公務員と全く次元を異にする集団なんです。市場原理の働く一般社会とは全く違った倫理を身につけなくてはならないんです。したがいまして、今のままほっておくと精強な戦闘集団は育成できません。
例えば、事故を起こしてはいけないというのは、一般的な社会では絶対これは優先されます。しかし、自衛隊は精強な訓練をしないといけないんです。そのためには事故が起きるんです。
〔理事石渡清元君退席、
委員長着席〕
事故を起こしちゃいけないと言うから今の自衛隊は何にもしないですよ。ですから、緊急のときに役に立たない。この前の不審船のときにも、
防衛庁長官はこれを停船させてそして臨検をしなさいという命令を出しているわけです。しかし、それはできない。だから、おもちゃの兵隊を養っているのと一緒なんですよ。これはもう極めて重要なことでありまして、このままほっておいたらどのようなときにも役に立たない。これだけは私は断言してはばかりません。
したがいまして、一般公務員は軍事知識がないんだから、ない人が軍事の特性について議論してもだめなんです。
日本全体がそういう状況になっておって、しかも政治が軍事をコントロールしているんじゃないんです。役人が自衛隊をコントロールしているんです。ですから、全く一般公務員と同じいい子ちゃん、完璧主義、そういうふうになるから戦争に勝てるはずがないんです。ここのところが極めて重要なところだということだけは申し上げておきたい。
四番目は、これは一般的に言われている、名は体をあらわすという言葉がありますが、隊員の士気にも大きな影響を及ぼします。また、国内における安保・防衛論議をゆがめさせる原因にもなります。二十一世紀に向かって本当にこのままでいいんでしょうかということを私は申し上げたいと思います。
それで、今申し上げたような状況でございますので、
防衛庁長官も非常に大変だと思うんですが、
総務庁長官、
外務大臣、通産
大臣、
経済企画庁長官、
厚生大臣、そして将来を背負う唯一の女性閣僚であられる
郵政大臣、
文部大臣は行政改革会議に入っておられたのでお聞きします。そして、最後に
大蔵大臣、
総理大臣、官房
長官はおられないからしようがありません、お答えください。本当にこれでいいのか、本音でお答えください。