○江田五月君 現行法を最大限活用してというのは、活動を制約する、これはかなりできると思います。しかし、被害者救済というのは、これは現行法をどう活用したってできない。一方で、あの皆さんはどんどん活動して巨大な収益を上げている。これを野放しというのは、これは
国民感情が許さないということだと思いますね。何かやっぱり立法上の
知恵が必要だと私は思っております。
団体活動の規制について、破防法のことを今ちょっと
お話しになりましたが、私はやっぱりオウム真理教を
政治団体として破防法で規制するのは無理があるだろう。そこで政府の方は、あるいは
組織犯罪対策三法、これをこうした犯罪集団の制圧のために必要だということで出しておられるということかもしれませんが、しかし今の
組織犯罪対策法というのは、実態はやっぱり
組織犯罪を行った個人に対する処罰の
強化とマネーロンダリングの規制法であって、被害者救済規定はその中には全くありません。あるいは犯罪
組織、
組織の活動に対する規制というものも、これもありません。これでは
組織犯罪対策法とは名ばかり、オウム対策にもなっていない。
今の刑法体系というのは、どうしたってこれは個人の刑事責任というものに基礎を置いた体系になっているわけです。個人の刑事責任をどう追及するかということですよね。そこにいろんな法体系をつくり上げて、それをどう工夫してみても、犯罪
組織、
組織というものをどう規制していくかというところはうまくいかないんだろう。やっぱり個人の責任と別に、
組織をどういうふうにして規制していくかという、破防法もその一つ、暴対法もその一つですが、暴力団でもない、
政治団体でもない犯罪集団というものを、
組織として規制していくための刑法体系と別の法体系を考えなければいけない。
例えば通信傍受にしても、そういうふうに犯罪
組織というものを指定して、その指定犯罪
組織の通信について厳格な要件のもとにこれを認めるという、そういうような
知恵が何か要るのではないかと思いますが、これは別のところでまた議論いたします。
もう一つ、人権行政に入る前に、今度は
自治大臣に
地方分権一括法の
関係でちょっと聞いてみたい。
私ども民主党は、
地方分権一括法は賛成という党議を決めておりまして、余りいろいろあら探しをしてはいけないのかと思いますが、どうも細かく見ておりまして、あるいは私の勘違いなのか、しかし考えれば考えるほどこれは勘違いじゃなくて、やっぱりちょっとこの
法律おかしいんじゃないかということが一つございます。
それは、行政不服審査法と今回の地方自治法改正の問題、
関係なんですが、地方自治法二百五十五条の二という規定を設けて、法定受託事務に係る処分について住民などに不服がある場合、行政不服審査法による審査請求を認めて
大臣に対して審査請求ができる。もちろん、市町村長の場合は知事に対してですけれども、そういう審査請求が今までどおりできるようにしてある。これはどういうお考えですかね。
つまり、国の政府と地方自治体の立場を上級、下級という
関係じゃなくしよう、対等の立場にしよう、そしてその間をいろいろ
調整していこう、これが今度の地方自治一括法のまさに眼目ですよね。しかし、行政不服審査法というのは、下級行政庁のした処分に不服があるときには上級行政庁に審査をお願いすることができるという旧訴願法を改正してできた行政庁内の不服審査の一般法ですね。それを地方自治体制の改正によって、
地方分権によって、中央と地方とが対等だと言いながら、なぜこの上級、下級の行政庁内部の審査の一般法というものを使われるんですか。