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伊藤基隆君 今、
自治大臣の見解はまさにそのとおりだと私も思いまして、そのことには十分期待はしたいと思います。そうでないと、さまざまな
地方の声が、やってもしようがないみたいなことになりますと大変重大な問題になるかと思います。
総理大臣には、私の思いのたけみたいなものを出しまして、ちょっと答えづらい面もあったかと思いますけれども、十分な答えをいただいたと思っております。
そこで、さらに
総理大臣にお聞きいたします。
私は、先ほど申し上げたとおり、二十一
世紀の
日本にとって必要なものの第一は
社会の安定だと思っております。安定した
社会、その基礎、基盤をつくることだと考えております。言いかえれば、
社会の新たな発展の基盤の再構築というふうに思います。きょう、午前中からの各
大臣の答弁もそういうことを目指しているんじゃないかというふうに聞き取っておりました。
そこで、現在の
経済状況でございますけれども、一般に景気が悪くなりますと、その落ち込みをできるだけ和らげる役割、景気の下支え効果を果たすのは個人消費だというふうに言われております。バブル崩壊後の九〇年代前半も、例えば九二年から四年にかけては、実質
経済成長率の〇・四%から〇・六%を上回る〇・七%から一%の個人消費成長率でありました。すなわち、景気の下支えをしておりました。しかし、戦後二度目のマイナス成長となった九七年度、個人消費は〇・七%減と戦後初めて景気の足を引っ張ったわけであります。これは、戦後初のマイナス成長となった七四年度でさえ個人消費は実質〇・九%成長ということで歯どめ効果としての役割を担ったことを考えると、今日の消費の冷え込みは大変大きいわけであります。
さらに、九七年度からの
情勢を見れば、四月の消費税率引き上げ、六月以降の特別減税廃止と
社会保険料の負担増、そして十一月には大手銀行や証券会社の破綻が相次ぎ、また
日本経済全体をリストラの波が襲い、サラリーマン世帯を中心に残業代やボーナスカットが本格化しました。実収入そのものの減少が続いて、それがさらに消費を冷え込ませているのであります。
こういう悪循環から個人の生活を守るものが市場では提供できないセーフティーネットであろうというふうに思います。
我が国は、高度成長期を通じて、年金、医療といったセーフティーネットと言える
社会保障を構築してきました。その存在があったことによって、将来に向けた明るい展望を持って成長路線を進んだということも言えます。しかし、
経済と
社会の構造が変わろうとしている現在、かつての右肩上がりの
経済成長を前提としていたセーフティーネットがほころびを見せています。その一方で、すべてを市場にという主張が大変声高に言われている昨今でございます。
今、株価は安定しつつありまして、景気も安定化しつつあるように見えます。しかし、これは財政出動による
経済対策の今日的効果のあらわれというふうに言えるもので、長く続くことをだれしも望みますけれども、これが本格的な景気の上昇につながるという予測はなかなか立てがたいんではないだろうか。しかも、
国民の生活の基盤、セーフティーネットは不安定化を強めております。私は、これは構造
改革が進んでいないことを示すものではないだろうか、構造
改革の視点がどこにあるかということも同時に言えるのではないかというふうに思っています。
そこで、幾つかのセーフティーネットの問題についてお伺いいたします。まず雇用、年金、医療、介護保険、そういう順番でお伺いします。時間的に最後まで詰められないかもしれませんが、それはまた後ほど一般
質疑等でお聞きしたいと思っております。
まず、雇用の問題は最
重要課題として
総理にお伺いします。
昨年四月に初めて四%台に乗った完全失業率が、その後も悪化を続けまして、本年三月は四・八%まで悪化しました。四月に入っても回復の兆しはなくて、全体では四・八%と三月と同率でございますけれども、男性失業率は最悪の五%に達しています。景気回復がおくれれば早晩五%を超えるのは確実であります。完全失業者数は三百四十二万と過去最多を更新いたしました。倒産やリストラなどによる非自発的な離職者数が百十五万人、より有利な就職先を求める自発的な離職者は百八万人でありまして、それを上回ったわけであります。しかも、非自発的離職者の半数強は三十五歳以上の男性が占め、この層が企業リストラの主な対象になっていることを示しております。
連合は、今
国会において連日
国会前で雇用対策を訴える座り込み行動を行ってきました。六月九日にその行動の目的を集約した
政府と
国会に訴えるための
国会請願デモと集会を開催いたしました。私もそのデモ、集会に参加した一人でございます。集会は、雇用不安を反映して、また
政府の実効ある雇用対策の実現への期待を込めておりまして、鷲尾連合会長のあいさつに会場から激励の声が飛び交うという熱気があるものでございました。
私は、今日の失業率の上昇、雇用
情勢の悪化が
社会機能のあらゆる面に悪影響を及ぼす
社会不安となっていくというふうに考えなければならないと思っています。雇用問題は
政府の取り組むべき最優先
課題と考えますが、
総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。