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1999-05-18 第145回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      久野 恒一君     若林 正俊君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小林  元君     理 事                 加藤 紀文君                 景山俊太郎君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君                 渕上 貞雄君     委 員                 岩城 光英君                 鹿熊 安正君                 田中 直紀君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 若林 正俊君                 内藤 正光君                 本田 良一君                 松前 達郎君                 鶴岡  洋君                 筆坂 秀世君                 宮本 岳志君                 戸田 邦司君                 岩本 荘太君    国務大臣        郵政大臣     野田 聖子君    政府委員        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    参考人        日本放送協会専        務理事技師長  長谷川豊明君        日本放送協会理        事        山田 勝美君        日本放送協会総        合企画室経営        計画局長    中里  毅君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律  及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○放送法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通情報通信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十四日、久野恒一君が委員を辞任され、その補欠として若林正俊君が選任されました。     ─────────────
  3. 小林元

    委員長小林元君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案放送法の一部を改正する法律案及び高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案の審査のため、本日の委員会参考人として日本放送協会専務理事技師長長谷川豊明君、日本放送協会理事山田勝美君及び日本放送協会総合企画室経営計画局長中里毅君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林元

    委員長小林元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 小林元

    委員長小林元君) 有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案放送法の一部を改正する法律案及び高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案の三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 田中直紀

    田中直紀君 自由民主党の田中直紀でございます。  提案されました三法案につきまして質問をさせていただきたいと思います。  アメリカで昨年の十一月に、十大都市でありますが、四大ネットワーク系列局地上波デジタル放送開始をされたわけであります。また、昨年の九月でありますか、英国放送協会、BBCが既に世界に先駆けてデジタル放送地上波開始いたしておるところでございます。  情報産業が急速に発展をしてきておる中で、我が国は、インターネットの導入あるいは携帯電話の普及についてはおくれをとってしまったという感が大変深いわけでありますけれども、デジタル化進展の中で、何といっても視聴者のニーズにこたえ、あるいは国民生活多様化という中にあって、また一方で新産業創出という面からも、この技術を生かして我が国もしっかりと、地上波においてのデジタル放送化というものは大いに期待をされるわけでありますし、実現をしていくというところに来ておるのではなかろうかと思います。  その中で、具体的に実現可能なこれからのスケジュール郵政省の方でどういうふうにとらえられておるか。あるいは、これを進めるに当たりましては多くの国民皆さん方にも理解を得、我々も努力をしていかなきゃいけないわけでありますが、具体的なメリットを、簡単で結構でありますが、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  7. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  まず、デジタル放送メリットでございますが、これは同じ地上放送デジタル方式によりましても日米欧と大きく三方式ございます。  多少の違いはございますが、我が国方式で申し上げますと、一つマルチパスと申しますか、ゴーストに強い非常に鮮明な画像が見えるということ、それから移動体における受信が可能になるということでございます。  それから、これはいろいろな方式を問わずどの国でも可能でございますけれども、いわば情報処理技術を使うことによりまして、高齢者あるいは障害者にも十分活用可能な、字幕放送の面におきましても、あるいは音声放送の面につきましても、いわば視聴者にハンディキャップを克服できるサービスが提供できるというようなことでございます。  それから、一口にデータ放送ということが言われますけれども、いわばコンピューターつきテレビ受像機デジタル受像機でございますから、それを活用しまして、蓄積機能を持たせることでございますとか、あるいは検索機能を持たせまして好きな時間に好きな番組が自由に検索できる、しかもビデオを一々とってやるということではなしに、かなり容易にそうしたサービスが見られるようになるということが一番大きなデジタル放送メリットではなかろうかと存じます。  このようなデジタル放送の便益と申しますか利便を早く視聴者が享受できるように、今私どもの考えておりますスケジュールといたしましては、二〇一〇年までにはとにかく日本全国デジタル放送が完了できるようなスケジュールが望ましいのではないか。これはいろいろなこれまで学識経験者等の御提言を総合いたしまして、この考え方がよろしいのではないか。途中経過大都市圏放送それからローカル放送につきましてそれぞれの経営事情等も参酌しながら、いわば一言で申しますと、大都市圏については二〇〇三年、その他の地域については二〇〇六年末ということを一つの目安といたしまして、デジタル放送が円滑に段取りよく導入できればというふうに考えている次第でございます。  以上でございます。
  8. 田中直紀

    田中直紀君 目標のスケジュールというものがコンセンサスを得てきておりますので、それに従って努力をお願いしたいと思っております。  放送法の一部を改正する法律案の提案の理由を拝見させていただきますと、「この法律案は、地上放送分野においてデジタル信号による送信をするテレビジョン放送等導入するに際して、」、いわゆるデータ放送、「映像又は音声文字図形等とを併せ送る高度かつ多様な放送を行うことができるようにするため、テレビジョン放送等定義に関する規定を整備する等の改正を行おうとするもの」であるということでありますが、データ放送をするということがデジタル化の大きな柱になるわけであります。  この「地上放送分野において」ということの表現と「放送を行うことができるようにする」ということが放送法の一部の改正ということになるわけでありますので、文章上からいっても、地上放送分野においてデータ放送を可能にするというのがうたわれておるというふうに理解をしていいのか。  それから、「放送を行うことができる」ということでありますが、既存放送事業者が今あるわけでありますが、その事業者方々がデータ通信というものにすぐに取り組めるんだ、こういうことになるわけであります。データ放送については、新規事業者というもので相当参入も強く希望しておるわけでありますが、この法律に従って、その二点、どういう形をとられておるのか伺いたいと思います。
  9. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  まず定義改正でございますが、これは先生今御指摘のように、データ放送というのは、いわばデジタル放送ならでは放送の形、番組編成の形、提供の形でございます。したがいまして、これが円滑にいろんな形でデジタル放送技術を十分活用して提供できるようにということを前提に、この定義テレビジョン放送あるいは超短波放送定義を変えたわけでございます。  「できる」というのは、もちろんいわゆるデータ放送をせずに、要するに従来の形のテレビジョン放送をすることも可能なわけでございますから、「できる」という意味はそのように解釈いただければと存じます。  それから、今御指摘の点は、テレビジョン放送というのは、今やっている放送事業者も、これから新規事業者というのが制度考えられるわけですけれども、これはいわゆる新規既存を問わずにこの放送法に基づいて放送していただくわけでございますから、共通に適用される考え方でございます。
  10. 田中直紀

    田中直紀君 NHKさんもきょうはお出かけいただいておりますから、その見解もいろいろ伺っておりますが、BSデジタル放送でございますけれども、先に四チャンネルが二十二チャンネルということで民放放送局も認可をしてきたということでありますが、NHKの場合には、現在の総合放送につきましてもいわゆるデジタル化地上波でやっていく、あるいはBSにおいてもデジタル放送をしていくという形になるわけでありますが、データ放送という分野においてはこの法律NHKさんはどんな形になるのか、すぐにデータ放送に取り組めるのかどうか。その辺はどういうふうに御認識されておるか、伺いたいと思います。
  11. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 私、先ほどの先生の御質問一つ漏れたかと存じます。失礼いたしました。  テレビジョン放送それから超短波放送改正によりまして、もともとNHKテレビジョン放送ができるということになっておるわけでございますから、その定義が変わることによりましてNHKデータ放送制度上可能になるというものでございます。
  12. 山田勝美

    参考人山田勝美君) NHKとしましては、来年、二〇〇〇年十二月からBSデジタル放送開始することにしているわけですけれども、その放送開始時点から、暮らしに役立つサービス生活をより便利に豊かにするサービス、これを基本コンセプトにしまして、視聴者がいつでも必要な情報を得られるサービスを実施したいと考えておりまして、具体的な内容については現在検討中であります。  現段階でNHK考えていますデータ放送の具体的なものを挙げますと、まず第一に、ニュース、気象情報交通情報などの生活関連情報。それから、災害時におきますいろんな名簿情報安否情報、そして電気、ガス、水道、電話交通機関、こういったものがどうなっているかといったようなライフラインについての情報。あるいは、選挙のときの選挙開票速報。さらに、医療、介護などの高齢者向け情報あるいは社会福祉情報、ボランティアに関する情報。さらに、番組関連情報というような形で、例えば料理番組で材料や調理法を提供したり、野球中継で選手に関する情報あるいは他球場の試合経過などを提供しよう、番組に関する問い合わせなどについても提供していこうというふうな考えであります。
  13. 田中直紀

    田中直紀君 データ放送につきましては、ちょっと記事を見てみますと、郵政省は九九年秋をめどに新規参入免許申請の受け付けを行う、こういう方針を打ち出しておられるわけでありますけれども、この法律改正されますと、当然NHKの方もデータ放送に本格的に取り組む、あるいは既存事業者はそれなりの経験もありますしノウハウも持っておりますから積極的に取り組んでいかれるわけであります。  全体的に考えますと、この機会に新産業創出を念頭に置く、あるいは新技術官民一体になって開発していくということになると、どうも新規参入が、これは三十四社が希望しておるということでありますが、玄関に待たされておるというようなこともございますし、実際に周波数の割り振りからいってどの程度これに参画できるのかという、どちらかというと大変不公平な状況になっておるということでありますから、放送法の一部改正が成立すると同時に新規参入方々データ放送でどういうふうに公平に扱っていくか。そしてまた、既存地上波におきましても、結局デジタル化をしていくということになれば余地が出てくるわけですね。それをどういうふうに考えていかれるか、その御所見を伺いたいと思います。
  14. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  先生の今御指摘の点は、衛星デジタル放送におけるデータ放送のみを考えておるチャンネル認定の話かと存じますけれども、この件につきましては、大変限られた容量に、チャンネルに今御指摘のような数の意向が示されておるわけでございます。NHKさんも含めまして既に既存事業者方々は、別の会社という形でございますけれども衛星テレビジョン放送ができるわけです。その中でデータ放送も可能なわけでございます。  それから、先生指摘のように、新しいノウハウといいましょうか、ベンチャーの技術とか、いろいろ開発あるいはそれの発揮の可能性の高い分野でございますので、そうした点を総合的に勘案しまして、どのような認定基準でこのデータ放送事業者認定をするか、この秋に向けまして時間的に十分間に合うように準備を進めてまいりたいと存じております。
  15. 田中直紀

    田中直紀君 そうしますと、新規参入時点でもう一回全体をきっちり整理するといいますか、そういう時点があり得るのかどうか。  この放送法が成立しますと、当然既存方々デジタル放送に向けてスタートするわけでありますけれども、今、既存事業者デジタル化ということで枠がもらえるということになりますと、六メガヘルツという幅の広い、デジタル化になるとチャンネルが三つ当然つくれるわけですね。そういう余地が出てくると、すべて既存事業者データ放送をフルに、満杯に活用できるかどうかというのも検討していかなければいけませんし、新規参入のみならず放送局を使ってデータ放送のために参画したいという体制もあるわけでありますから、新規参入とあわせて周波数運用というもののみならず企業体の意欲というもの、そしてまた技術といいますか活性化が起こるような競争条件のもとに、また秋に全体を見て妥当な線を見出していくというようなことが行われてしかるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  16. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 今お答え申し上げましたのは、衛星デジタル放送の方の認定基準という考え方で申し上げました。  今、改めて先生指摘の点は地上放送の方かと存じますけれども、この点につきましては、一応地上放送衛星デジタル放送とを分けて考える必要があるのかなというふうに思っております。  今の地上デジタル放送の方につきましては、アナログ時代と同様に多重放送という考え方が可能になっております。  今、先生指摘のように、六メガヘルツでデジタル放送を行う場合に、確かに標準テレビですと三チャンネルとれるということが技術的に可能でございます。しかし、今回のデジタル化というのは、今のアナログ放送事業者の方にそっくりデジタル放送に移っていただく、その中で、これをいかに円滑にスピーディーにやっていくかということがまずは第一に考えるべきことではなかろうかと思いますので、その点を十分重視しながら、それから、今伺っておりますと、非常に既存事業者方々デジタル放送でいろんな番組編成について新しい試みもお考えのようでございます。したがいまして、その辺の番組編成がハイビジョンあるいは標準テレビでどのように編成されていくのか、そういった意向も踏まえながら、この多重放送制度のあり方をいろいろ検討してまいりたいと存じます。
  17. 田中直紀

    田中直紀君 いろいろ新規参入を希望しておる方々もいらっしゃるわけでありますので、最大限に活用させていただいて、放送情報通信活性化につながるように御努力をお願いしたいと思います。  同時に、この改正法の中で、テレビジョン放送に加えて超短波放送についても改正をされております。  音声を伴わない文字図形等も可能である、こういうふうな形になるわけでありますが、どうもFMあるいは衛星ラジオの中で、音声が伴わないラジオというものはなかなかイメージがどういうものかと。また、当然そういうラジオにやはりテレビみたいな小型のものがついておる、こういう説明もあるわけでありますけれども、現実に、音声の伴わないラジオというものがどういう形で発展をしていくのか、その辺の考え方はどう受けとめられているか。  それから、ほかの携帯電話というようなものもありますから、非常に競合することも出てくるわけですね。その辺は、放送としての分野としてどういうふうに競合を避けて発展を志していくのかということを伺いたいと思います。
  18. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 今回の超短波放送についての定義改正は、デジタル技術によりまして、今までは音声きり送れなかったものが、簡易画像というような言い方をしておりますけれども、テレビのようにリアルタイムで動く放送はできないけれども、ちょっとスピードの遅い、昔ありましたぱらぱらとめくってトーキー型の動画といいましょうか、そんな形で動画も送れる、文字も送れるということが技術的に可能になってまいりました。  ですから、多重放送というのは、今までは音声に伴うと、中身的にも時間的にも一緒ということでございましたけれども、そうでなくて、独立して音楽を聞きながら、先ほどNHKの方からもお話があった、別に選挙情報でございますとか何かも流せる。これはしかも、テロップ型といいましょうか、フリップ型で流すということもこの超短波放送で可能になると。  これはいわば音声デジタル放送でございますけれども、どういうサービスのメニューがあるのかと。まさにデジタル放送によっていろいろ試み、研究がなされているわけでございまして、なかなか今現在ではいわば企業秘密になっているところで、私ども、十分に業界の方々から教えていただいていないところもございますけれども、相当、圧縮技術と申しますかデジタル技術によりまして、今まで音声きり送れなかった電波でこんなに送れるのか、いろんなことができるのかと、かなり楽しみの持てる放送になるのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  19. 田中直紀

    田中直紀君 放送通信という分野が非常に一体化してくる、こういうことを言われておりますし、それぞれ今まで放送分野あるいは通信分野ということで発展をしてきたわけでありますが、その辺、今後どういうふうにお互いのよさを一緒にしながらも発展をしていくかということが大きな課題になってくると思います。データ放送導入ということによって、チャンネルによってはデータ放送で二十四時間放送していくというチャンネルも出てくるということは当然想像されるわけでありますが、例えば映像がない文字図形、こういうことで二十四時間やるとなれば、新聞等もすべて字で流せる、例えばの話でありますが、あるいはゲームを楽しめると、こういうようなことも出てくるわけであります。  この放送法の一部改正に伴って具体的にあらゆる可能性が出てくるのでありますけれども、著作権だとか肖像権だとかという問題も含めてあると思いますので、その辺は、今後の努力によって切磋琢磨して発展をしていくということを希望いたしたいと思います。  次に、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案でありますけれども、先ほどお話がありましたように、二〇一〇年にはすべてアナログ放送デジタル放送に変えていこうということが大前提になっておりますから、この臨時措置法もそれまでに大いに設備投資をして体制を、デジタル設備を整えていこう、こういう趣旨であろうかと思います。  ぜひ、二〇一〇年という中にあって完成をしてもらいたいと思うわけでありますが、NHK民放では立場は違うということであります。海老沢会長は三月に、これは懸念をしてということであろうかと思いますが、短期間にデジタル化進展させることは難しいということを、これは本音かもしれませんが、その中で、具体的には必要な設備投資額は合計で五千億が見込まれるということで、現在の建設費が六百億であり、そのほか四百五十億円の財政資金がある、こういうことでありますが、どうこの建設費を活用しても二〇一〇年にはNHKは間に合わないんじゃないかということを言っておられます。最大限努力をいただくわけでありますが、アナログ放送全国の七割をカバーするのには八年、あるいはあまねく全国をカバーするには三十年を要したんだ、こういうお話であります。  NHK地上波デジタル化に対する取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
  20. 長谷川豊明

    参考人長谷川豊明君) お答えいたします。  地上放送デジタル化につきましては、NHKといたしましては、先生御承知のように、地上放送視聴者に最も身近なメディアになっております。日常生活に不可欠なメディアとなっている、そういう現状でございますので、まず第一に視聴者に過大な負担をかけないということが大切であろうと思っております。したがって、国民理解を得ながら、無理なく推進を図っていくことが必要であるというふうに考えているところでございます。  そのためには、デジタル放送用のいわゆる電波チャンネルプランと言っておりますけれども、そういうものがきちんと確保できるかどうか。それから、昨年の十二月に郵政省さんの御努力によりましてチャンネルプランの原案が出たわけでございますけれども、その中で示されております、いわゆるアナアナ変換と言っていますデジタル電波を出すと現在のテレビに混信を与えるようなところをあらかじめ電波を変えておかなきゃいけないということがございます。そういう受信者対応策というものに見通しをつける必要があるというふうに考えてございます。  また、二〇〇〇年末から始まります衛星デジタル放送進展状況といいますか、そういうことも参考にしなきゃいけませんし、あるいは経済全体の動向、そういうことも視野に入れなければいけないというふうに思いまして、今後の方針を固めていきたいというふうに考えているところでございます。  したがいまして、資金面もございますけれども、現時点懇談会で示されておりますスケジュールどおり地上デジタル放送実現ができるかどうか、そういうところは努力していかなければならないのでありますけれども、現状では、その見通しについて申し上げるのは非常に難しい状況にあるというふうに思っておりまして、そういう状況にあることをぜひ御理解をいただきたいというふうに考えておるところでございます。
  21. 田中直紀

    田中直紀君 今回の施設整備促進臨時措置法の対象は、NHKは入っておらないということで理解をいたしております。NHK努力でこのスケジュールをきっちりと積み上げていただきたい、こういうふうに要望いたします。  それから、この対象になっております民間の事業者におきましても、取り組み方につきましては、BS放送のみならず地上波デジタル化については大変積極的に取り組んでいくという姿勢を示されておるわけであります。  しかし、特にローカルの地上民放テレビ全国で百二十六社あると聞いております。現在のところ、営業収入が二兆二千億、こういうことでありますから、一社当たり大体売り上げが六十六億というのが民放のローカル局の企業規模になるわけでありますが、積極的にこのスケジュールを確実なものにしていくためには、やはり地方局のデジタル化、御存じのとおり、中継基地なり放送施設なりということをすべてデジタル化していかなきゃいけないということになりますと、一社当たり四十五億の投資が必要であるということであります。  お伺いいたしたいのは、今回の法律によりまして、通信放送機構の債務保証の業務ですね。資金が、債務保証をしていただいて、民間がしっかりと設備投資をしていける、こういう体制が組まれるわけでありますが、なかなか企業体力からいって踏み込めないという状況もあるわけでありますが、この融資のやり方はどういうふうになっておるか。それから、民間の姿勢をどういうふうに郵政省としては受けとめておるか、お伺いいたしたいと思います。
  22. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  債務保証を受ける手続的なところ、実は、具体的な認定方針でございますとか手続につきましては、この法律をお認めいただきました後決めるべきことでございますので、余り先走ったことを申し上げるのはなんでございますけれども、今この法案で想定しておりますものは、まずは設備投資計画が本当にデジタル化投資にふさわしい確実なものであるのかどうか、高度なものであるのかどうかという点につきまして認定事業、事業者として認定を受ける必要がございます。  その上で、その認定事業者とされた方からいろいろ計画を伺いまして計画の確実性、それから、民間から借りる際に債務保証をしないと本当に借りられないかどうか債務保証の必要性、それから、この信用基金にも限度がございますのでその枠内の額であるかどうか、こういったところにつきまして審査いたします。  その際には、当然この認定事業者が資金を調達しようとする民間の金融機関とも十分打ち合わせをしながら債務保証を行うかどうか決定してまいる、このような手続になろうかと存じます。  資金額的には、今先生から御紹介ありましたように、大体民間放送設備投資がどうなるかということでございますが、民放連の資料からいたしますと、平均いたしまして典型的な民間放送の例として大体四十億円ぐらい十年間に設備投資が要るのではないかと。  設備的に内訳を申し上げますと、テレビ局の中が約七億、親局の送信設備は七億、それから主要な中継局が約十億、その他の我々サテライト局と言っていますけれども、小さい中継局が約十五億ぐらいかかるかということでございます。これは、段階を追って設備投資してまいりますので、その時々の計画で債務保証もされていくものというふうに考えております。  以上でございます。
  23. 田中直紀

    田中直紀君 そのほかに、先ほどNHKの方からもちょっと危惧が述べられておりましたけれども、アナログからデジタル地上波テレビ放送考えていく場合に、チャンネル変更に伴って一千万世帯がその対策を講じていかなきゃいけない。先ほど専門的にアナアナ変換というふうに言っておられましたが、それも一千億ぐらいかかってくる。あるいは、視聴者方々がアナログからデジタルに、チューナーだとかアンテナだとかを変えていく。これは非常に安く手に入るようにと、こういうことでメーカーは御努力をしておるようでありますが、これも当然負担が来る。こういう費用については全然別個に、この法律の対象内にあるのか、対象外になるのか、その辺の対象はどういうふうになっているんでしょうか。
  24. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  今回の高度化法の対象範囲は、あくまで放送事業者側の設備投資に対する支援でございまして、先生指摘の、いわゆる周波数調整のための受信者側の手当てに要するものについては、これは対象にいたしておりません。  これにつきましては、アナログ放送をしながらデジタル放送の波を生み出しつつ、デジタル放送はそれまで多くは普及しておりませんから、アナログ放送によってNHKも民間放送受信料収入を得ていかなければならない。ですから、アナログ放送による収入を確保しつつ、維持しつつデジタル放送も可能になっていくようにするということでございます。  それから、これをどのように負担するか。これは国が負担するといっても国民の皆様の税金によって負担すると、国になればそうでございますから。一方で、全体として、これは数え方がありますけれども、六分の五の世帯については何の手当てもなくデジタル放送が聞ける。あと六分の一の世帯の方々にいろいろ御工夫いただくということでございますから、これはその六分の一の世帯の方々のゆえにアナアナ変換があるということではなくて、全体の周波数調整がいかに小さくなるようにするかという中で六分の一の方にいろいろ手当てをしていただくということになりますので、できるだけその手当てが公平といいましょうか、みんなで分かち合うという感じが持てるようないろんな理解の得られる負担方法、財源の手当てというものを考えるべきではないかというふうに考えておる次第でございます。
  25. 田中直紀

    田中直紀君 昨年から国の方も、郵政省で頑張っていただきまして、地上デジタル放送の研究開発ということで、まず全国に十カ所の整備を図り、全国デジタル放送が可能になるようなパイロット実験を行っていただいておるわけであります。  国の方で、この地上波デジタル化に対して、来年度の概算要求もこれから検討をしていくわけであります。継続してどこまで踏み込んで、この法律ができたから民間の事業者がすぐにはなかなか、先行投資の設備投資といっても非常に懸念しているわけでありますから、それを後押しするような予算編成を国がみずからやっていくということも努力をしていかなきゃいけないと思います。今のところ、どういう国の支援策というものを考えておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  26. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  まず私ども、民間の事業者方々一緒にやらなければいけないと思っておりますのは、一つは、今御指摘ございましたように、お認めいただいた補正予算で全国十カ所で共同実験を開始することになっております。先般、私も、九州、広島の実験体制を拝見いたしましたけれども、非常に有意義な実験が行われるのではないかと期待しておりますが、ここの実験成果をいかにこれからの経営に役立てるかというのが一つございます。  それから、これは放送事業者に限りませんけれども、法人税がことし三四・五%から三〇%に縮減されましたので、こうした点もこの設備投資資金計画にどう生かしていただくか。  それから、今回この高度化支援法をお認めいただきましたらば、できるだけ早く、どのように支援法を活用いただくか放送事業者方々一緒に研究してまいりまして、その上で今後どのような国としての施策が必要か、いろいろな御要望も承りながら、平成十二年度の予算要求に向けて準備を進めてまいりたい、かように考えております。
  27. 田中直紀

    田中直紀君 そろそろ時間になりましたけれども、最後に、大臣に二点ほどお伺いいたしたいと思います。  まず、最後の三番目のケーブルテレビでありますけれども、事業者数が四万三千四百にもなり、加入世帯数は千四百五十万世帯ということで、情報通信の中でも家庭の約三割が活用しておるということでございます。中核的な情報通信基盤としてケーブルテレビも大いに活用していくということが重要でありますので、その点、大臣にどういうふうな将来展望を持っておられるか伺いたいと思います。  それからもう一つは、情報産業のこれからの発展が大いに我が国の経済の発展につながってくるわけであります。公共事業の執行も景気対策を活用するわけでありますが、これからの産業の中でも言われておりますのは、医療分野あるいは環境分野、新エネルギー分野、そしてまた大きな柱は情報産業分野でありますから、今回の法律が成立をしていよいよ地上波放送デジタル化ということがしっかりとスタートするわけでありますので、これからの我が国の経済の発展、雇用創出という面からいって、大臣がこの点でどう決意を持って取り組まれるか、二点お伺いをいたしたいと思います。
  28. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) まず初めに、ケーブルテレビについてお答え申し上げます。  先生がおっしゃったとおりでございまして、ケーブルテレビは大変今元気がよくて、普及率というのは約三二%になってきたということであります。こういうふうに元気になってきた原動力というのはいろいろ挙げられるわけですけれども、まずケーブルテレビ本来が持っている生活に密着している地域情報を提供しているということとか、さらには今は衛星による多様な専門情報を出しているとか、さらには最近大変ふえてきたんですけれども、ケーブルテレビのネットワークを利用したインターネットのサービス、このようなことに取り組んでいるからではないかと思っています。  地域情報というと、先ほどもNHKからありましたけれども、やはり防災とか行政情報、または本当に小さなコミュニティーのさまざまな情報提供をすることによって活性化に大変寄与しているんじゃないかと、そう思っております。また、現在CS放送を見ていらっしゃる方の七割がケーブルテレビを経由して番組を視聴しているところであります。そういう意味では、ケーブルテレビがCS放送にも新たな役割を発揮させているということもございます。  御承知のとおり、ケーブルテレビネットワークというものの双方向性とか、高速とか、大容量とか、そういう特徴を生かしていただいて、今まさにこれから爆発的普及、そしてさらに発展していくだろうというインターネットの方にも通信サービスを提供していただき、これからやはり地域社会にとっての情報通信発展の柱の一つになりつつあるところであります。  これからのケーブルテレビの役割はということなんですけれども、ケーブルテレビも大変進化をしてきたと思います。かつては難視聴対策とか、そんなようなものから始まって、現在では大変多様性、多チャンネル、さまざまな特徴を持った外資系の企業も参入していく中で、画一的に決めるのではなく、やはりそれぞれの進化したさまざまな形に応じた取り組みが必要ではないかと思っております。現在、電気通信審議会の方でいろいろとケーブルテレビの将来のあり方についての議論をしていただいておりますので、その答申なんかを受けとめて、さらに努力をしてまいりたいと思います。  最後に、先生の力強い御激励というか、情報通信をもう少し公共事業的なものにしていかなければいけないんじゃないか、そういう御指摘でございますが、冒頭、先生が、インターネットはアメリカとかに比べておくれているんじゃないか、そんなようなお話がございました。事実としては、インターネットはアメリカ生まれということもあって、今現在は差があることは事実だと思います。  ただ、今後はやはり日本の得意としている、比較することがいい悪いは別として、例えば衛星放送にせよ、携帯電話にせよ、特にテレビに関しては、これまでも世界の情報通信分野の中で日本は決して遜色のない地位にあったのではないかと思っています。  これから二〇〇〇年十二月には衛星デジタルが始まり、そして先ほど御説明があったとおり、二〇一〇年までには全放送メディアデジタル化を進めていくということで、これはまさに郵政省だけの問題ではなくて、日本の国がこれから国民に対してどういう豊かな生活を提供していくかということで、国家戦略の一つだと位置づけていただいておるところでございます。  私たちは、これまでも紹介したとおりのさまざまな支援をしてきましたけれども、これからも地上波デジタルに向けて積極的に取り組んでいただける事業者の皆様方に対しては、適時適切に御支援をしていきたいと思っています。  また、公共事業という観点からですけれども、やはりこれは非常に新しい感覚、特に情報通信においては今までは民間主導ということで、どちらかというとアンタッチャブルというところでやってまいりました。そういう御指摘を受けながら、財政当局なんかの理解も必要ですし、さらには国民の皆様方の理解とか共鳴をいただきつつ、しっかり検討していきたいと思いますので、今後とも御指導のほどをよろしくお願いいたします。
  29. 田中直紀

    田中直紀君 終わります。
  30. 本田良一

    ○本田良一君 民主党・新緑風会を代表して質問を行います。  私は、この放送法改正に当たり、既に衆議院でもそれぞれの影響力につきまして細かく質問がなされております。そしてまた、私ども民主党の代表の小沢委員やまた原口委員質問した事項も見ておりますが、私ども参議院におきましても、私自身も熊本の民放の四社から陳情もいただいておりますし、そういう点で、大臣を初め政府委員の皆さんにひとつお答えをいただきますので、よろしくお願いをいたします。  まず、地上デジタル放送をなぜしなければならないのか、なぜこうすることが時代の流れなのか、そのことを御説明いただきたいわけです。  一番最初に御説明をいただくのは、地上放送デジタル化法案提出までの経緯、それから理論的、技術面で日本はどうであったか。カラーテレビ化時代の法整備及び放送事業者、利用者の反応状況はカラーテレビのときはどうであったか。また、VHF、UHF化時の法整備及び放送事業者、利用者の反応状況について。また、以上の時代を迎えたときの産業創出、経済効果と申しますか、それはどうであったか、これをお答えいただきたいと思います。
  31. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 今、先生から四点御質問賜ったと思いますが、順次お答えさせていただきます。  まず、デジタル放送、今回の法案提出までの経緯でございますが、テレビの歴史から申し上げますと大変時間がかかりますけれども、昭和二十七年に白黒放送放送方式を始めまして、二十八年に放送開始された。それから、三十五年にはカラー放送導入されたわけでございます。テレビの大きな流れとしては、新しい方式の決定というのはこんな形でなされたわけでございます。  このデジタル化ということにつきましては、実はそもそも放送デジタル化という議論が始まりましたのはITU、国際電気通信連合の場でございました。  一九七二年に、いわゆるスタジオ規格、送信波じゃなくてスタジオ規格でどういうデジタル技術があり得るのかという議論が始まりました。その後、通信の世界ではISDNという議論が深まっていったわけでございますが、それに軌を一にいたしまして放送の世界のいろんなデジタルの議論もITUの場からずっと続けられたということでございます。ITUにおきましては、一九九二年に、本格的に地上デジタル放送にどうデジタル技術を生かすかという議論がなされてきたということでございます。  したがいまして、放送あるいは通信の世界のデジタル化というものにつきましては、すぐれて技術先導的と申しましょうか、非常に可能性の高いデジタル技術をいかにこの通信放送の中で生かしていくかということが、この議論あるいはデジタル化導入の出発点ではなかったろうかと今振り返って思っておる次第でございます。  このような国際場裏での御議論の中で、基本的に通信放送技術についてはデジタル技術をベースに語っていくということがございますから、そういう意味では、いやでも応でもデジタル技術を活用した通信放送というものを制度的にも技術的にも考えていかざるを得ない状況がこれまで続いてきたのかなというふうに思っております。  我が国におきましては、まず技術的条件につきましては九四年、平成六年でございますが、電気通信技術審議会におきまして、これからの放送技術というのはやはりもうデジタルを、有線無線を問わず、メディア横断的にデジタル技術をベースに考えていくべきだろうという一つ方針が示されたわけでございます。  以降、いろんな場、電気通信技術審議会あるいは電波監理審議会等々で地上放送衛星放送、さまざまな分野につきまして議論をなされまして、地上放送につきましても、おととしになりますか、平成九年の春に、やはり地上放送も二〇〇〇年を目途にデジタル放送が始められるようにいろいろ諸制度を整備すべきではないかという議論がなされてきたというふうに私どもは承知しております。  したがいまして、地上放送においてもデジタル技術を活用していくということは、その時点時点で見ますと、ある時点ではアメリカが非常に進んでいる、ある時点では日本が議論が進んでいると、さまざまな先頭を切っている国というのは時点時点によって違いますけれども、大きくデジタル技術をベースに通信放送も構築していくんだという中で、それぞれの国がいろんな活動をしてきたというふうに受けとめているわけでございます。  二点目のお尋ねの、テレビのカラー化を行った際の放送事業者あるいは利用者の反応はどうだったかということでございますが、昭和二十八年、我が国テレビ放送が始まったとき、八百六十六台のテレビから普及いたしまして、昭和二十九年、一年後には一万台、それから四年後の昭和三十三年には百万台というスピードで白黒テレビが普及してまいりました。したがいまして、カラーテレビを始めようという議論が起こりましたときにはもう白黒が普及していて、カラーというのは本当に要るのか、高いカラーテレビというのは普及するのかというような議論もあったようでございますが、三十五年九月に、NHKそれから民間放送四社でカラーテレビ放送が始まったという歴史がございます。  その後の経緯を見ますと、昭和三十五年から三十八年、四年間でカラーテレビの生産台数が四千台だというふうに私どもデータ的には承知しておりますが、その後、三十九年にオリンピックがございました。あるいは、その前になりますけれども、皇太子殿下の御成婚というようなこともありまして、こういった国民的関心事の起こる中で急速にカラーテレビも普及いたしまして、三十九年のオリンピックが始まりますと一挙に五万台が販売された。昭和五十年にはカラーの普及率が約九〇%に至ったというのが業界団体の調査として、私どもデータを得ております。  過去の例を見ますと、ラジオもそもそも甲子園の野球を中継するようになって非常に普及したというようなことがございまして、やはりメディア国民的関心事が放送されるといったことがされますと、そういったことが相まってカラーテレビも普及してきたのではないかということが事業者あるいは利用者の反応として、私どもは承知しております。  それから、いうところのテレビ用の電波のV波、U波の利用状況でございますが、御案内のように、テレビジョン放送はVHF帯の波を使いまして昭和二十八年に始まったわけでございます。それ以降、全国的に開局が相次ぎまして、昭和四十一年までには四十七の一般放送事業者放送開始しております。  その後、もっとこのテレビ事業を始めたいという御要望もありました。ところが、VHFでは足りない。そこで、昭和四十二年にテレビジョン放送用の周波数の割り当て計画基本方針を定めまして、それまでいわゆる難視聴対策用だったUHFの波を親局にも使うということで、新たにUHFのテレビジョン放送もできるようにしたわけでございます。四十二年から四十三年にかけて、その方針に基づきまして二十九の放送局の免許が付与された。それで今日現在、VHFによる事業者は五十六社、それからUHFの放送事業者は七十一社という状況に至っているわけでございます。  この間、この際の視聴者の反応はどうであったかということにつきましては、私ども、申しわけございませんが、ちょっと勉強不足でよく承知しておりませんけれども、テレビに対する要望というものは非常に、受信台数のテレビの普及状況から、VといわずUといわずテレビ視聴者に好まれていたということが言えようかと思います。  テレビジョンは、昭和三十七年には一千万台でございましたけれども、昭和四十二年、これはちょうどUの始まった年でありますが、二千万台。その後十五年を経まして三千万台になったのが昭和五十七年、三千万台に普及したということで、VといわずUといわず視聴者テレビを大いに楽しんでこられたのかなということが言えようかと存じます。  それから、テレビ放送あるいはカラーテレビが始まってどのような経済効果があったかということでございますが、これはちょうどテレビの普及した時期というのは、神武景気でございますとかあるいは岩戸景気、「もはや戦後ではない」と言われた時期以降の普及でございまして、経済全体がいわば右肩上がりの状況にあったということでございます。  いうところのテレビ、冷蔵庫、洗濯機が三種の神器と言われたような時代もございますが、その中でテレビの普及状況を見ますと、大体一九六八年に白黒の普及率はピークに達しておりまして、先ほど申し上げましたカラーテレビが始まってからは、出荷台数を見ますと、昭和三十九年から五十年まで約十二年間に五千五百万台のカラーテレビが出荷されて、金額ベースでは五兆円という数字が、業界団体の調査として出ている次第でございます。  以上四点、御答弁を申し上げました。以上でございます。
  32. 本田良一

    ○本田良一君 一応お聞きしまして、次に行きます。  一方、地上放送デジタル化についてはどうか。  今回、これについて放送法改正されますね。一つは多チャンネル、二つ目が高画質、高精細度とか多機能化など多様なサービスの提供が可能である、こういうことでございます。このほか、先ほど産業創出面もありましたが、現時点でこれからの産業創出はいかがなものか、これを御説明願います。
  33. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 今、先生指摘のように、デジタル放送におきましていろんなコンテンツ分野あるいは設備投資分野、これは受像機とそれから放送事業者側の設備投資がございますが、これによる波及効果、全体の経済効果というところを見ますと、これはかねがね御報告申し上げております地上デジタル放送懇談会における試算でございますけれども、十年間にわたりまして全部トータルいたしまして二百十二兆円の経済波及効果、それから雇用創出面では十年間で約七百十万人の雇用創出効果があるのではないかという試算を得ております。  以上でございます。
  34. 本田良一

    ○本田良一君 それから次は、イギリス及びアメリカの地上放送デジタル化現状について御説明をお願いします、デジタルテレビの市場価格まで含めて。  それから、アメリカは将来、放送をどういう方向に持っていこうとしていますか。
  35. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) まず、イギリスの現状でございますけれども、昨年九月にBBCが世界初めてのデジタル放送開始いたしました。同じく昨年十一月からオンデジタル、これは民間のデジタル放送でございますが、開始いたしました。現在では、既に一千七百万世帯でこのデジタル放送が視聴可能になっているということでございます。  当然、このデジタル放送を視聴するためにはそれなりのテレビセットが要るわけでございますが、この普及実績というのはちょっと私、今詳細に把握しておりませんけれども、オンデジタルという放送会社では、百九十九ポンド以上のテレビを購入しましてこのオンデジタルサービスを視聴するという視聴者には、無償でデジタル・アナログ変換のセットトップボックスを配付するということで普及を図っているというふうに承知しております。  それから、アメリカでございますけれども、昨年十一月から今日まで、私ども承知しているのは、今年の二月時点では五十一の放送局デジタル放送開始されまして、全米で約四千万世帯で視聴可能になっているというふうに聞いております。  アメリカにおける受像機の価格でございますが、売り出し当初、昨年は六千ドルとか七千ドルとか言われましたが、現在では廉価版の三千ドルというところまで値段が下がっているということでございます。  今、先生は、アメリカ政府あるいはアメリカにおいてはデジタル放送というものをどのように位置づけているのかということでございますけれども、これはいろんな方がいろんなことを申し上げておりますけれども、やはり連邦通信委員会のコメントというのが一つの有力な見解ではなかろうかと思います。  アメリカがこのデジタル放送をどう位置づけているかということについて連邦通信委員会が九七年四月に出しました報告書では、やはり放送デジタル化を通じてアメリカ全体の製造部門、貿易、技術開発、国際投資、雇用、全般にわたって米国経済のさらなる発展に寄与するんだということが放送デジタル化の使命として言われています。一言で申し上げますと、放送についての改革であると同時に放送による改革というのがデジタル放送に期待されているアメリカにおける使命かと存じます。  なお最近、この連邦通信委員会のケナードさん、委員長でございますが、三月にある公の講演会で、やはりこれからの放送というのは、デジタル放送では先ほどから出ておりますデータ放送、これがいうところのキラーコンテンツではなかろうかと。双方向性を持ったデータ放送、当然インターネットとの結合が考えられるわけでございますが、これがデジタル放送の大きな発展のかぎ、またデジタル放送による社会的、経済的な貢献の糸口になるのではないかと位置づけられているようでございます。デジタル放送は世界へのアメリカの窓であり、変化の触媒だというようなキャッチフレーズで言われております。  要するに、テレビがもう全世帯に普及しているわけでございますから、テレビデジタル化されることが視聴者にとっての最も容易なデジタル社会への入り口であるというふうに位置づけられて、そのデジタル社会に一般の視聴者がなれていく、あるいはデジタル社会の住人になっていく上での有力なてこというふうに放送を持っていこうとしているのではないかということが、こうしたFCC、連邦通信委員長の発言等から感じられるわけでございます。  以上でございます。
  36. 本田良一

    ○本田良一君 私が得ました資料では、これは平成十年十二月十五日のアメリカにおきましてのテレビ一台当たりの価格でございましたが、松下、ソニー、シャープがアメリカで生産をしております。デジタルテレビは三十四インチで八千九百九十ドルとか、あるいはシャープの六十四インチで九千九百五十ドルとか、そういうところでございましたが、今おっしゃったところによりますと、相当もうこの何カ月かで下がってきているなという感じです。百万前後だったんだけれどもかなり下がった、そういうことも私の資料で得ております。  それでは次に、アメリカの放送法及び官のあり方はどうなっているか。また、日本のCATV事業発生時の対応のように、CATVは難視聴地帯を解消するためにそれぞれの事業者が法がないときにずっと事業を展開してきました。そういう状況であるのか、これはやっぱりデジタルのことでお尋ねします。または、既に時代の先見性を持って官の指導及び法設置をしてデジタル化を進めているのか、お尋ねします。
  37. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  米国における地上放送デジタル化の検討経緯を概略調べてみましたところ、このような状況を私どもは承知しております。  まず、一九八七年に政府側がデジタル放送についての調査を開始するというようなアクションがとられたようでございます。同年にACATS、次世代テレビ諮問委員会、これは民間団体でございますが、次世代のテレビジョンがどうあるべきかということで検討が開始されまして、九三年、約六年ぐらいかかっておりますが、ここで地上放送デジタル化した方がいいと、いわば民間側の総意が示された。その後、このACATSが、今度はATSC、高度テレビジョン方式委員会というふうに名前を変えまして、連邦通信委員会に、民間側でデジタル放送を採用することが適当だという一つのガイドラインを得たわけですが、それに基づきましてある規格を決めておったわけでございますが、これをアメリカ政府の標準規格とすべきであるという、民間が政府に逆に勧告をしているというようなことが事実として、私ども一つの歴史として承知しておりました。  そうした経緯も踏まえまして、御案内のように米国は議会で立法するわけでございますが、九六年二月に電気通信法が改正されて、二〇〇六年にデジタルに全面転換というような法がなされたというふうに聞いております。  なお、この間におきましてなぜアメリカでデジタル放送というものを真剣に検討するようになったかといいますと、もちろんITUにおける議論もあるのでございますけれども、やはり我が国のハイビジョンというものに大変大きな衝撃を受けまして、テレビ先進国であるアメリカでなぜこういうものが、これを上回る技術は何だというようなところからデジタル放送ということへの一つの議論が進展したというようなことも、歴史の一こまとして私ども承知しているところでございます。  したがいまして、先生指摘の、アメリカにおける官と民のどちらが先行しているかといいますと、ある時点では政府が、ある時点では民間が先行しているということは言えようかと思いますが、今申し上げた、私ども承知している限りでは、どちらかというと民間が先行して、いわば市場がデジタル放送方針を決める上で政府に注文をつけていったという流れが見受けられるかなというふうに承知しております。
  38. 本田良一

    ○本田良一君 私は、アメリカは恐らくそうであったと思います。民間市場の反映で官が動いたと。  次に、アメリカの放送通信の融合の現状についてお尋ねします。
  39. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 今、アメリカにおいても、あるいはEUにおきましても、映像情報が同報通信の形で、放送だけではなくてインターネットあるいは高速大容量の通信回線で送れるということから、御指摘通信放送の融合というようなことが言われております。  これは制度の面になりますと、放送事業と通信事業をどのように制度的に位置づけるかということになるわけでございますが、結論的に申し上げますと、アメリカにおいてもそのような動向からいろんな議論がなされましたが、先ほど申し上げました九六年の電気通信法の中では、やはり通信通信放送放送という、いわゆる融合性というのは立てられるに至っていないというふうに承知しております。アメリカの法律、なかなか複雑なんでございますが、電気通信法という一本の法律の名のもとにありますけれども、放送編、通信編というようなぐあいに方向性がなされておりまして、言ってみれば、事実上通信法の中で放送通信の二本立てになっている。  今、EUにおいても、この通信放送の関係のいろんな議論がなされておりますけれども、なお暗中模索と申しますか、いわゆる融合という現象を制度的にきちんと対応させているというところに至った国はないように承知しております。
  40. 本田良一

    ○本田良一君 次に、放送分野でアメリカは日本に何を迫っているのか。  通信については、既に日本において事業展開の規制はなくなりました。ケーブルテレビにおいても同じであります。アメリカにおいてデジタル放送は、現状電波を流しているのにすぎないのに四千万世帯の見込みがあるというところまでは品川局長が今の説明で申されました。現状電波を流しているだけですね。それが何を日本には求めているのか。
  41. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 日米間のいわゆるトレードフリクションの中では、通信分野については大変大きなイシューになったわけでございますけれども、少なくとも私どもが今承知している範囲において、アメリカ側が日本に放送分野についていろいろ意見を述べてきておりますのは、一つはCS放送における委託、受託の制度について、これはアメリカのようにすべきではないかというような考え方、アメリカは衛星を使ったものは全部放送の一利用形態というようなとらえ方をしている。それからもう一つは、CATVについての外資規制の撤廃あるいは外国人役員の規制の撤廃、この二点が今までアメリカ側から問題として提起されたものでございます。  CS放送の委託、受託の制度につきましては、その制度趣旨はアメリカ側においても理解は一応得られておりまして、今のところ、言ってみればこの点については理解が得られたのかなと。今は争点になっているという状況ではございません。それから、CATVについての外資規制撤廃は、今回の法律改正で達成されたということでございます。  したがいまして、いわゆる標準化をめぐりまして、携帯電話についてもいろんな世界的な標準化論争がございましたが、放送につきましては、今のところアメリカ側から日本にこれをやるべしというような大きなものはございません。  むしろ今、私どもが取り組んでおりますのは、地上放送デジタル放送方式につきましても、大きくはマルチキャリア方式とシングルキャリア方式という二つに分かれまして、マルチキャリア方式の中に日本方式とヨーロッパ方式があるのでございますが、比較してどちらがいいと言うのもなんでございますけれども、我々としますと、日本方式の方が例えばゴーストに強い。ゴーストについてはどうかとか、あるいは移動体受信でどうかとか、それから周波数の有効活用でどうかとか、こういう点を見ますと、むしろ日本方式の方がすぐれているんではないかというふうに思っておりまして、現在、ITUの勧告に日本方式も勧告として採用されるように働きかけているところでございます。それから、アジア諸国にも日本方式デジタル放送開始されるよう、日本方式の採用方をいろいろ働きかけているというところでございます。  それから、データ放送技術方式につきましても、大きくXML方式、HTML方式それからMHEG方式と、三つの方式があるのでございますが、これも我が国ではXML方式が適当ではないかという方向で考えておりますが、これについてはアメリカも大体同方向で、かつ議論の進展度合いとしては我が国の方が若干早いのかなと、こんな状況で日米間のいわば標準化問題は推移しているというところでございます。  以上でございます。
  42. 本田良一

    ○本田良一君 技術面のことを先ほど説明をいただいて、日本はマルチキャリアということをおっしゃいました、アメリカがシングルキャリア。これは日本と欧州が一緒ですね、マルチキャリアは。そういう方式が二つ、ヨーロッパと日本とアメリカということで違います。しかし、私がこれを質問で言わんとしたのは、アメリカは電波を流しているだけなのに、これを日本にも求めていないとおっしゃいましたけれども、ハイビジョンはアメリカが日本のそれに脅威を感じてデジタル化を進めると、一方日本は、アメリカのデジタル化が、冒頭質問をしました時代の流れになるということで、日本もこれに素早く対応しなければならないということが心理的には郵政省もあると思います。  アメリカがねらっているのは、それぞれ違う技術方式を、やっぱり電波を流しているんだけれども、それを盾として国際標準化をねらっている、こう見ていいんではないかと思います。  それで、最初からつまらない、入り口が大したことの質問は入っていないなと、こう思われたかもしれませんけれども、私は、このデジタル化というのは最初、カラーテレビとか、VからUのときもかなり、アナアナ変換のようにある面混乱するということだと思います。コンバーターをつけたり、大変そのときも視聴者は混乱をしました。しかし、アナアナというのは視聴者にわからないで大変混乱をするわけですから、非常にこれはVからUのときより混乱を視聴者はやると思います。  それで、衝撃的なカラー化のときとは、今回デジタル化視聴者そのものにはそう衝撃的ではありません。しかし、大変衝撃的ではないことを今からやるということですから、そこで私は、今ずっと質問をしてきましたのは、この放送法の今回の改正によって、衆議院においてもここにおいても質問は、郵政省放送法改正してデジタル化をやりますと、そうしたときに、NHKを初め民放事業者それから視聴者、ここに大変こういう影響がありますよと。民放事業者にとっては大変設備費が、四十五億とか要る。そして、一民放で年商が五十億ぐらいしかない。またもう一つは、視聴者には一千万世帯がいろいろとコンバーターをつけたりアンテナの向きを変えたり、そういうことで大変だということです。  ところが、そのようなことだけはここでずっと論議をされております。しかし、根本的には、デジタル化をすることによって国際標準化をねらい、そしてこれを大産業に結びつけようとするアメリカの戦略があります。だから、このアメリカの戦略というのをよく見て、この放送法をこれから将来にわたって、二〇〇六年とか二〇一〇年だけれども、それ以前に現状放送法ではたえられなくなる。今、改正をしても五年か六年にはまた改正、そういうアメリカの戦略によって変わる可能性がありますから、そこを私は入り口で押さえて、このことをちゃんとしていないと、今回の放送法改正だけでそのひずみだけを論じていると大変将来展望を失うということで、今それに入ったわけです。  よって、私が思いますのは、アメリカの放送戦略、これは通信も含めてですが、推しはかりますと、もともと放送主権、通信主権というものは、二十世紀を残すところあと一年となった今日、国家の安全保障観によって、国境を越えて事業展開をすることはつい先般まで考えられなかった。しかし、衛星通信時代となり、放送通信を同一衛星通信で行う時代の到来となった今日、地上デジタル放送が促進され、ひいては放送通信の融合の時代となり、これをアメリカ国内で進めることでこれをより産業化し、この産業をもって国境を越える、このことがアメリカの戦略なのであります。  私は、通信政策の質問の際にも申し上げましたが、アメリカの通信戦略について私の考え方を申し上げますと、アメリカのこうした戦略、つまり流通開放においても、運輸開放、通信開放、金融開放、証券開放、損保開放そして放送開放にしても、常にアメリカの戦略は、米国内外を問わず、自由競争と公正競争を基本にして、よりよいサービス、より安く、より安全にと、常に利用者、消費者の視点において事業展開をする。また、国家もそこに視点を置いております。  反面、日本は今日に至るまで護送船団方式で、事業の存在のみに目を置いた統制行政でありますから、私はアメリカの戦略といえども、日本の利用者、消費者の立場からは了とするものであります。決して敵視しているのではありません。むしろ歓迎なのであります。  しかし、そのためには常にアメリカの動向に対して先見性を持った対応をし、むしろアメリカの国家観がそこにあるのであれば、逆に日本がその方向に沿って先にこうした時代の先導役となり、日本国民がそうしたアメリカの戦略に振り回され、国家と国民の利益、安全が損なわれないように努め、二十一世紀をこれらの分野文字どおり日本の時代としていただきたいわけであります。  そこで、郵政大臣にお尋ねをいたしますが、これらの分野技術も能力も備えた日本が、どうしてアメリカに先駆けてデジタル化を構築できなかったかお尋ねをいたします。そしてまた、率直なところ今後どう対応されるのか、大臣にお伺いします。
  43. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) まず初めに、地上デジタル放送を含めた情報通信の高度化というのは私たちの国にとって大変重要な問題であり、まさに国家戦略の一つであるということは、この委員会で何度も先生方から御指摘をいただいているところでございます。さらに、そういうことについては先見性を持って積極果敢に施策に取り組んでいくということも重要であることは、十分理解しているところであります。  特に情報通信は、先生御存じのとおり、とにかく技術がどんどん進んでまいりまして、私たちも追いつくのが大変だというぐらい技術が優先しているところですけれども、今振り返ってみて、ここ数年の間でも私たちの生活の中に根差しているさまざまなものがデジタル化されてきているわけでございます。  ですから、地上放送デジタル化ということも、必ずしも放送デジタル化が重要ではなくて、すべての日本の国、私たちの生活の中にあるさまざまな情報通信機器その他のものがデジタルを基準としたものに移り行く中で、トータルデジタルネットワークをつくる意味で積極的に取り組んでいかなければならない。そういうことで、先生方の御理解をいただいて、このように進めているところでありますが、アメリカにおくれているとか、そういう話もよくいろいろこの情報通信の世界で聞かれるわけですけれども、実は先日、それよりも先にデジタル放送を始めたイギリスへ視察に行ってまいりました。  先ほどテレビ受信機の値段の話もありましたけれども、私の記憶するところでは、現在はセットトップボックスが売られていて、それが大体日本円で四万円ぐらい。この夏には、日本の企業ですけれども、日本円で約二十万円ぐらいのテレビジョンを売り出す、テレビのセットを売り出すというような話を聞いてきたところでございます。  英国もしかり、そして先ほど先生がアメリカの例も出されましたけれども、家電に至っては、デジタル放送が始まっても受信機自体は日本製のものが非常にそれぞれの国の消費者に受け入れられているということで、私たちはそういうことに誇りを持ち、確かにスタート時期は昨年始まって我々はまだということですけれども、デジタル懇談会で緻密に、非常に熱心に事業者、メーカーさらには視聴者の代表の方にスケジュールなり中身を詰めていただきましたので、それにしっかりおこたえするような形で作業を進めていけば必ずや、イギリス、アメリカは先駆けているものの、それ以上に付加価値のあるデジタル放送がこの国では可能になるんだ、それによって、国民がより一層豊かな放送文化を通じての生活を確保できるんだということで取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
  44. 本田良一

    ○本田良一君 私は、決して郵政、官の方の対応が悪いとか、そういうことを言っているのではありません。ただし、情報通信にしろ今回のデジタル化にしろ、これだけマスコミもよく書いております。さまざまな情報通信放送分野において、マスコミがいろんな意味で、カラー化より劇的とか、あるいは放送の時代の流れにおくれをとるなとか、毎日そういうくだりが新聞に載らない日はない。そうしたときに、郵政省としても、郵政そのもののいわゆる人材を含めて十分にそれに対応する能力を持っているのか。そういうのをこういう押し寄せる時代の変化に常に感じるわけですよ。だから、そういう点をもう少しぴしゃっと、マスコミ対応も含めてやっていただきたいなと思います。  それと一つは、なぜ郵政省は今こういうことをやるのかという質問であります。前段でアメリカの対応で局長が答弁されたときの説明にもありましたが、これは民の方から政府に、そういうデジタル化の指針を出したということですね。今回の場合も、こういうことも今度言われます。民放事業者の陳情も受けてそうしていただきたいわけですけれども、なぜこういうデジタル化民放が早く察知して、日本の民放の団体が、放送事業者たちが、デジタル化を早く進めようとか、そういう動きにならなかったのかと思います。そして、今慌てて、そういう法が変わるから、設備費が大変だからどうかひとつ国の方で何とかしてくれとか、こういう陳情を出すのではなくて、やっぱり民は競争によって、時代の流れを察知して存在をしていくということで、ただ、郵政の方には放送普及基本計画というのがあります。後で質問しますが、こういうことによってこれからもずっと一県に四民放、そういう形でそれを進めていくのか。  この放送普及基本計画は、デジタル化によってこれも見直さなくちゃいかぬ時期になるのではないかとか思いますから、これも私は、案外民放が温室育ちだと。やっぱり、その中で活性化して、デジタル化を早く察知して政府に答申して、そういう対応をする、そういう民放で実はあってほしいんですよ。だから、民放のそういう姿勢も、郵政の方でよければ正していただきたいということをお願いいたします。  そして、そういうことを前段質問いたしまして、いよいよ日本において地上デジタル化の対応が今回、法改正設置で始まるわけであります。  これを進めることにより、日本の放送産業全体が構造的に変化を遂げざるを得ない。このデジタル化を機に、日本の放送産業が構造的な変化を迫られることになります。つまり、放送事業者の再編、合併、買収の時代到来、キー局を中心に一県四放送事業者の普及計画には変更はありませんか。また、NHKそのものの存在、料金体系も含めて問われる時代到来ではありませんか。また、二〇〇六年までに、外圧による放送のコマーシャル料また視聴者料等、影響をもたらされ、経営危機が予想されないか。再編を達成していないと、アメリカは放送の規制緩和を迫ってくるのではないか。そして、CATVのように外資参入による体力をつけさせる時代の到来ではないか。ここまでちょっとお答えをお願いします。
  45. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  まず一点目の、これから放送産業全体の構造改革が迫られるのではないかということでございますが、デジタル化ということを契機にいたしまして、単に受け身で対応というのじゃなくて、デジタル化をてこにしてどのように自分の会社あるいは放送業界全体を発展させるかという議論が起きていることも確かでございまして、私ども、そういう御議論は大変積極的で意義のあることだと思っております。  その中で、今の放送普及計画における一県四放送事業者以上という方針でございますが、これは昭和六十一年に示した方針でございます。確かに、当時はまだインターネットという言葉も生まれてきたかどうかということでございますし、衛星デジタル放送も、議論等はされましたけれども、このように現実のものになっているという状況でもございませんでした。したがいまして、こういう数を何社にするかという議論は別にいたしまして、一律に全県四事業者とか五事業者とかという考え方がいいかどうかということについては、今後これだけの多様なメディアが普及した中で地上放送のこの普及計画がどうあったらいいのか、多角的に検討すべき時期ではあろうかというふうに考えております。それが一点目でございます。  それから二点目のNHKのあり方でございますが、今、基本的に我が国放送分野NHKと民間放送の両事業体によって支えられておるわけでございます。いろいろ各論的にはございますけれども、これまで例えばNHK予算の御審議でもいろいろ御意見賜りましたように、基本的には、やっぱりNHKというものは必要ではないかということも国民的なコンセンサスを得ておるものではないかと私ども承知しております。  ただ、そうは申しましても、時代の変化に伴いましてNHKのあり方というのも絶えず見直す必要があることは事実でございまして、一つは、やはり我が国放送分野全体の健全な発達のためにNHKのあり方はどうあるのか。あるいは、NHK自身、今や収入規模からしますと世界一の放送事業になりつつあるわけでございます。そういう中で、効率的な経営というのを今の体制でどう保っていくのか。それから、国民視聴者方々NHK放送番組をどう見ているのか、あるいはNHKに対してどう見ているのか。こういった非常に多角的な観点からNHKのあり方についても絶えず問題意識を持って臨むべき課題ではないかというふうに考えております。  具体的には、例えば先ほどNHKデータ放送について御質問がございましたけれども、これも、NHKデータ放送がどういう放送をするのか、賛否両論がございました。私どもとしましては、あくまでこれはテレビジョンラジオと同じように、NHKの本来の役割にふさわしいデータ放送があるべきだろうと。NHK自身もそういう方向で考えておりまして、四月初めにNHKデータ放送のあり方について一つのガイドラインをお示しいたしましたけれども、これもいずれ放送普及計画の中で、NHKデータ放送のあり方について記述する方向でいろいろ考えている次第でございます。  それから、二〇〇六年までにいろいろな放送事業の経営危機があるのではないかということでございますが、先ほども申し上げましたけれども、今デジタル放送化への離陸といいましょうか、それを契機にいろんな動きが、胎動がございます。確かに、積極的にこのデジタル放送経営戦略として活用していこうという方もおられれば、そうは言っても大変だな、あるいは正直申しましてどうやったらいいのかということで悩んでおられる、千差万別でございまして、一様に全事業者がこれで危機になるということも申し上げられませんし、また全部うまくいくというのも、なかなかそれは難しいところだと思います。  したがいまして、よく言われますように、危機をチャンスととらえておられる企業もあれば、なかなか苦戦しておられるところも、いろいろ多様に出てくるのではなかろうかと思います。  しかし、私どもとしましては、この百二十数社の放送事業者の皆さんが、デジタル時代にシステムとして円滑に移行できるようにということが願いでございます。その点、せっかくお認めいただきました全国十カ所の共同実験の施設の活用を通じまして、新しい放送ノウハウなり技術を身につけて、先生御心配のこの危機に臨んでいただければと存じます。  それから、アメリカが我が国に対してより一層の規制緩和を望んでくるのではないかということでございますが、御案内のように、もう通信分野は外資規制が撤廃されておりまして、まだ議論になるようなならないようなという雰囲気でございますけれども、かねてから放送分野についてWTOの場で、これからの放送というものを国際経済の中でどう位置づけていくのだと。今までは、放送というのは各国の固有の文化にかかわるものであるから、基本的に国際通商の観点から必ずしも議論としては大きく取り上げられませんでしたけれども、可能性としては十分考えられるわけでございます。  そういう中で、CATVにつきまして今回外資規制撤廃という方向でおりますが、いわゆる放送、無線を使った放送につきましては、各国とも基本的にはやはりそれぞれの国の国情というものが大事であるから、やっぱり外資規制、我が国にもございますけれども、それぞれ外資規制も設定しております。  したがいまして、電気通信事業やあるいはCATVと同日には論ぜられませんけれども、やはり日本の本来、国民に真に役に立つ放送事業のあり方という観点から、規制緩和のあり方とか、あるいはWTOがどういう動きをするか、あるいはアメリカがどういうことを考えているかというのは、先生、先ほど御指摘のとおり、十分な問題意識を持って臨むべきことと考えております。  ただ、資金面で弱体化していくことについてどうかということでございますが、今、外資というのは甘い、いわゆる白馬の騎士だけではございませんけれども、やはり外資の導入によって国内資金も動くという側面もございますし、それから金融ビッグバンによりまして直接金融市場でございますとか、あるいは社債市場も、市場として厚みが増すあるいは深みが増すということもございますので、民間放送事業者におかれましても、せっかくの金融ビッグバンを大いに活用して、財務体質の強化でございますとか、資金調達の新しいノウハウの取得とか、そういう形で、これからのデジタル放送時代の役割を果たしていくための体質強化に努めていただければというふうに考えておる次第でございます。
  46. 本田良一

    ○本田良一君 次に、今局長の答弁にもありましたけれども、日本においても放送通信の融合によって放送産業化される時代到来となるのではないでしょうか。そして、放送の公共性、公益性をどのように担保し、市場化の流れにどのように折り合いをつけるのか。まさに国の、特に郵政省の能力が問われる重要な時代となるのではないでしょうか。  今、局長が答弁をされました幾つかありましたが、このことにつきまして大臣に御答弁をお願いいたします。
  47. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) まず、放送通信の融合ということですけれども、デジタル技術とか圧縮技術なんかの情報通信分野における技術革新によりまして、CS、通信衛星を利用した専門放送、ケーブルテレビネットワークを利用したインターネット接続サービス等、これまでにない新しいサービス映像の利用形態が出現してきたわけであります。これからも技術進歩を背景としまして、通信事業者放送事業者が創造性を発揮して国民ニーズに対応していくことによっていろいろなサービス多様化、伝送の共用化といった動きが恐らく当然進展してくるものと思っています。  ですから、今現在、融合ということではなく、むしろ先ほど局長が申し上げた競合というような形で進んでいくのではないかと。今後は、同報通信における送り手と受け手の利益をどう確保するかについて考えていくことが必要であろうかと思われます。  さらに、放送の公共性、公益性、その前段に先生の方からいろいろと放送事業者の再編とか合併とか買収を含めたいわゆる放送業界でのビッグバンについての御指摘があったことを踏まえてお答え申し上げるとするならば、まず放送というのは、御承知のとおり、私たちにとって一番身近なメディアである。そして、何かにつけて一番最初に情報を得る手段であったことは間違いないわけであります。その放送自体が、放送メディア自身がそれぞれいろいろな特徴を生かして私たち国民のニーズにこたえてくれることが一番大切ではないか。  そういう前提があるわけですけれども、これからじゃどう放送メディアが進んでいくかというのは、やはり私たちが何を望んでいるかということをきっちり事業者の人たちがマーケティングなりをして把握していただき、なおかつデジタル化されることによっていろいろなことができるようになる、加工ができるようになるという特性を生かしてやっていただくことによって放送の市場のあり方というのがおのずと決まってくるのではないかと思います。  何を申し上げたいかというと、あらかじめ私たちが、これから伸び盛りというか育ち盛りであるデジタル技術を使っての放送メディアに対して、あなたはこういう役割、あなたはこういう役割と言うのではなくて、やはりそういうふうにこちらで申し上げるのではなく、むしろ事業者本体、みずからがどうあるべきかということをしていただき、それぞれの特徴を伸ばしていただく中で、私たちができることは、その方たちにとって、事業者にとって必要な支援を適時適切にやっていくことではないかというふうに考えています。  また、公共的役割、機能についてなんですけれども、これはアナログからデジタルに変わることによって何かが変わるのではなく、やはりこれまで同様、各放送事業者の方みずからが認識していただき、そして配慮していただくことが重要であろうかと思います。また、デジタル化によってこの機能が十分理解され、発揮することによって、さらにそういう放送の健全な発達ということにも寄与していただけるのではないかということは確認しているところであります。  私たち郵政省としましては、放送法の第一条に規定されている表現の自由の確保と公共の福祉への適合という法の理念に基づいて、放送行政を変わらず推進していきたいと考えているところであります。
  48. 本田良一

    ○本田良一君 ありがとうございました。  次に、二十一世紀の放送事業は、日本、アジアそれぞれではどのようなものとなるのか、所見をお伺いします。  アジアについては、日本がアメリカのような戦略をもって先導的役割を果たしてもらいたい。特に、NHKがアジアで地上デジタル放送の標準化構想を持って臨んでおられますが、その構想をぜひ達成していただきたい。アジアは日本の戦略で優位に立っていただきたいと願います。  また、放送通信の融合については、将来も現行法で対応するのか、法改正が当面考えられないか、先ほど答えもいただいておりますが、お尋ねします。通信事業者放送事業者の提携は、競合の場合、現行法で可能かですね。  また、CATVの発展は今後重要であるとして、外国企業の参加をもとに今回の法改正の提案となったわけでありますが、日本のCATV事業者は競争力がないので、ただ外国企業受け入れのみでは日本の産業創出に不利益をもたらすのではないか。国内事業者の対抗、発展を促す政策を強力に進めていただきたい。CATV利用料金も含めて、アメリカと比較をしたものがあればお願いします。  また、デジタル化は将来大きな産業創出をもたらすものでなければなりません。よって、どのような産業政策にこれを結びつけていかれるのか。経済効果も含めて、先ほどおっしゃった二百十二兆ですか、冒頭ありましたけれども、そういうことも含めてお答えを願います。
  49. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  まず、アジアにおける我が国放送分野の役割でございますが、余り大変だ大変だといいましょうか、危機感を持っての議論というのはいかがかと思って、私どもはしておりませんけれども、正直申し上げまして、先生指摘のように、やはりアメリカ政府が何を考えているかというのは大変我が国進展にとっては大事なことでございまして、一言で申し上げますと、放送分野においても、やはり核の傘から情報の傘という言葉が言われますけれども、大きな情報戦略の中の一部だなというふうに私ども痛感しております。  特に、よく遺伝子の産業についても言われますけれども、ソフトでございますね。放送デジタル化につきましても、マイクロソフトさんがデジタルテレビ分野においてもノウハウを、大きな影響力を持っていこうということはもう公然たる事実でございまして、そういう中で私どもも、単に機器が売れるということではなくて、やはり新しい技術ノウハウ、パテントという面で大きな力を持っていく、また貢献をしていく、そういうことが、この放送デジタル化において果たすべき大きな課題ではなかろうかと思っております。  そういうことで、今、実はアジアの諸国から我が国への大変期待は多うございまして、既に民間の、DiBEGと称しておりますけれども、NHK放送事業者それから民間のメーカーさんの共同の連絡会をつくっておりまして、法人格は持っておりませんけれども、任意団体でございますが、ここで団体をつくりまして、各国でセミナーを行ったり、あるいは我が国技術者を招聘して研究会をやるとか、そういった施策を進めております。  私のところにも中国、香港、シンガポール、インドネシア、マレーシアの方から、やはり日本にデジタル放送で先導的な役割を持ってもらいたいという期待は非常に大きゅうございます。現に、今月末から香港において我が国のISDB—T方式、日本方式の実験をして実物をお見せしようという運びにしております。  それから、NHKの対応でございますが、先ほど先生も御指摘ございましたが、実は今、NHK海老沢会長はABU、アジア放送連合の会長でございます。そういう意味でも、我が国デジタル放送導入についての先導的役割というのは非常に期待されているところでございますので、ぜひその期待にこたえるよう努力してまいりたいと存じております。  それから、通信放送の融合現象、あるいは通信と競合の中で法制度は大丈夫かということでございますけれども、少なくとも今の通信の新しい形態、デジタル技術を使いましても、インターネットの状況を見ましても、基本的には今の放送法制、通信事業法制で対応できるのかなと、かなりフレキシブルな法構成になっておりますので対応ができるかなと思っております。  しかし、やはり絶えず技術開発の動向あるいは事業の発展動向は見なければならないわけでございまして、この実態を踏まえて法制度の見直しについては検討してまいらなきゃいかぬと思いますけれども、今現在におきましては、やはり地上放送デジタル化を進める中で、果たして今の法制度でいいのかどうか、やっぱり現実を踏まえて制度論も考えていくべきかと。先走って制度を変えたためにかえって発展を阻害するということになってもいけませんので、デジタル放送による新しい進展状況というものも踏まえながら法制度の検討は進めていくことが現実的、合理的な対応かなというふうに存じております。  それから、CATVの外資規制撤廃に伴いまして、我が国の企業あるいは我が国の企業の発展に不利益がもたらされるのではないかという御懸念でございますけれども、既に幾つか大きなグループ二社ばかり外資が主導権を持って経営しているCATVがございますが、現実を見ますと、やはりCATVにつきましてはアメリカが経営方式にしましてもサービスの対応にしましても一歩進んでおりまして、どちらかといいますと単に資金が入っているだけではなくて、経営ノウハウでございますとか、新しい技術ノウハウでございますとか、それが我が国において活用できるということで、今のところはむしろ外資の参入というのはプラスの要素が多いのではないかというふうに見ております。アメリカにおける大変廉価な機器も輸入されているところでございまして、それが我が国の価格競争力の強化に、日本のメーカーさんも腰を上げているというようなところもございます。  そういう意味で、いい意味での刺激がこの外資参入によって今のところもたらされておりますし、当面今後のCATVの動向を見ましても、インターネットの活用でございますとか、その点を考えますと、むしろプラス・マイナスを考えますとプラスの点が多いのではないかというふうに考えております。  それから、CATVの利用料金でございますが、これはサンプル例での比較でございますが、我が国の大手ケーブルテレビ事業者の平均の月額利用料金は三千七十円でございますが、アメリカでは、全米ケーブルテレビ事業者連盟の資料で見ますと平均二十六・五ドル、約三千二百五十七円ということでございまして、これは一ドル百二十三円で換算しておりますけれども、とんとんというところかなというふうに承知しております。  それから、最後のお尋ねの産業創出、経済波及効果でございますが、これは先ほど数字を申し上げましたけれども、数字的には十年間で二百十二兆円、それから雇用創出効果は七百十一万人ということでございますが、これは単に量的な意義ということも大事でございますけれども、先ほど先生アメリカの戦略ということを申されましたけれども、やはり新しいデジタル技術を活用したノウハウあるいは特許でございますとかソフトでございますとか、それが大きく地上放送デジタル化を通じて花開く、発展していくということがこの産業政策としては大きな重要なポイントではなかろうかと私ども承知しております。  その新しい技術開発あるいは新しいノウハウの獲得というのが、先ほど来申し上げております共同実験等を通じて放送事業者さんもメーカーさんも身につけられればよろしいのではないか、これが大変大事な産業政策上のポイントであるというふうに承知しております。
  50. 本田良一

    ○本田良一君 アジア戦略についてはそのようにお願いします。  それから、CATVは、国内では新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業費とかそういう補助金が六種類ぐらいありますけれども、これをもっと充実して、そして先ほど通信放送との融合の危機、それからこのCATVにおきまして外資の参入、これを心配しまして言ったのは、アメリカのディズニーとかそういうのは、このCATVは第一種通信事業の認可も持っておりますが、ここで放送通信の融合やそういうものが入ってきます。そこで非常に放送の危機がもたらされる。  放送法では、放送事業者だけだとなっているけれども、このCATVの事業者通信事業の認可も持っているということで、ここからアメリカは外資規制撤廃も含めて入ってまいります。そうしたときに放送の危機が生じないか。私は、それに法がたえられるかということを今お聞きしたかったわけです。それと、CATVは全米ケーブルテレビ事業者連盟というのがあって、二十六・四八ドルとか、日本と価格はとんとんだけれども、これが外資が入ることによって一気に日本のCATVが淘汰されないか、その心配もあります。  そして、将来は、この新聞にもありますが、家電OS時代を迎えるようになっていくのではないかとか、通信事業においては、先般質問しましたが、ファイバー・ツー・ザ・ホーム、そういう形になっていく。将来はデジタル家電時代、通信はファイバー・ツー・ザ・ホームの時代、こうなっていくわけですね。そこのところをひとつ郵政省も十分踏まえてこれからの対応をお願いします。  それでは最後に、いよいよ民放事業者を含めて、この放送法改正によって、質問もさまざまありましたけれども、その中身について私も質問いたします。  全国放送事業者と利用者の負の部分について、この三つの法改正設置で、これに対応する民放事業者の設備費、番組編成費について法により対処をされますが、それのみでは放送事業者経営危機を募らせております。さらに検討を加えてほしいわけであります。  その検討というのは、国の事業として公共工事でできないか。共同施設とかまたは広告収入見込みは現状維持されるのか。CATV外資参入などにより民放事業者、CATV事業者との価格競争が発生をして需給バランスが壊れないのか。よって再編成などは発生をしないか。先ほどと一緒ですね。  ローカル放送の恩恵は、住民にとって最大の放送主権であります。これはいかなる時代到来においても確保していただきたい。また、放送施設の配置変化で従来の範囲が侵されることのないよう施設整備には十分注意をしていただきたい。ここにおいても視聴者離れが生じる危険性があります。県と県とで民放同士の争いが起こる可能性があります。  例えば九州において、福岡地区プランが優先をされておりますので、また、一つはアンテナが福岡の久留米の九千部に設置をされますので、この電波は熊本の県域まで越えてしまいます。そうすると、熊本の視聴者が福岡の方を見る。そこで大変熊本の広告などもそこに奪われる、コマーシャルですね、そういうことが予想されます。  全国からの民放事業者からの陳情は郵政大臣にもまた郵政省にも来ておると思いますが、この事業者に対する陳情状況についてはどのように対応されますか、お尋ねをします。  それからまた、アナアナ変換についていかなる対応をされるのか、国家事業であるがゆえ十分なる配慮をお願いいたします。  デジタル化は、ローカル住民と事業者にとって最も放送の恩恵がもたらされなければなりません。このことを踏まえてひとつお願いをいたします。
  51. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  先ほど御質問の中で、通信事業者放送事業者の提携がどうなるかというお尋ねがございました。今、CATVについての質問でお触れいただきましたけれども、これから通信事業とCATV事業と兼営していく場合に、今後どういうふうにとらえていくかというのは確かに大きな課題でございまして、真剣に検討してまいりたいと思います。  その際に、やはりCATVの放送番組の送り手と視聴者の利益の保護、それから通信事業者の送り手と受け手の保護、この辺どのように制度的担保といいましょうか、視聴者保護、受信者保護を考えていくか。これが同じ同報的なサービスであっても若干の違いがあるのではなかろうかと思っておりまして、その辺に対応した制度の整備ということが大事ではなかろうかと思っております。  それから、今のお尋ねの、まず今後のデジタル化のための設備投資について国としてのさらなる支援措置でございますが、かねがね民放業界からも、特に先ほど申し上げましたように、設備投資をしていく場合に、末端の中継局の設備投資というのは公共事業的なとらえ方をすべきではないかといういろんな御提言をいただいております。  これにつきましては、これまでのいわば財政当局の財政理論と申しますか予算の考え方からしますと、若干新しい工夫、理論構築というようなものが必要な課題でございますので、この辺はよく私どもも民間の放送事業者方々一緒に、また先生方のお知恵も拝借しながら、どのような支援方策が国民的な理解を得られる方策になるか検討してまいりたいと存じます。  それから、CATVが活性化していく中で、民間放送事業者との間の価格競争あるいは需給バランスが崩れないかというお尋ねでございます。アメリカでは、大変地上放送とCATV事業の関係というのが緊張関係にございますが、我が国においては、どちらかというとお互いにそのよさを出し合って助け合っておると申しますか、相互補完関係にございます。したがって、今のところは先生の御懸念のような事象は生じないのではないかと思っております。  いずれにしましても、今後、デジタル放送、特にデータ放送を通じまして、例えば新しい有料放送をしていくとか、情報料、収入を得ていくとかということになりますと今までにない事象が考えられますので、広告放送収入以外のところについてもどういう新しい現象が起こるか注目していくべき課題ではないかというふうに考えます。  それから、ローカル放送でございますが、地上放送デジタル化ということも、先ほど国際的な動向と申し上げましたけれども、まさに地上ローカル放送がシステムとして存続し得るためのデジタル化施策でございます。それを一義的にデジタル化の使命と考えているわけでございますが、特にこれから注目すべきは衛星デジタル放送でございます。衛星デジタル放送でも、蓄積機能を活用いたしますとローカル放送ができないわけではございません。  そういうことも念頭に置きますと、やはり地上ローカル放送デジタル放送化というのは大変喫緊の課題と申しますか、二〇〇〇年十二月の衛星デジタル放送考えますと極めて重要な課題であるなというふうに認識しておりまして、先生指摘の地域の皆様のためのローカル放送という機能を十分果たしていくことがローカル放送の存在理由だということを十分念頭に置いて対処してまいりたいと存じます。  それから、デジタル放送導入に当たっての放送施設のアンテナの位置の変更等が生じる場合の県域放送のいわば秩序でございますけれども、デジタル放送への移行の考え方に当たりましても、今の放送区域の考え方を変えますとチャンネルプランも立てようがございませんので、基本的には今の県域放送というものを放送対象地域にしたチャンネルプランあるいは普及計画を立ててまいりたいと存じておりますので、その点は十分混乱のないように対処してまいりたいと存じます。
  52. 本田良一

    ○本田良一君 大臣、全国事業者について。
  53. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) ただいま御審議いただいている地上波デジタル放送というのは、まさに先生がいつも気にとめておられる地域の発展に大変寄与するのではないか。ローカル局にしましても、今既にいろいろな事業者が実験とかデモをやっているんですけれども、自分の家の郵便番号を入れると、そこの本当にピンポイントな情報が得られるとか、今までのテレビでは考えられなかったような非常に身近な情報を得ることができるというような実験も既に始まっています。  そういう中で、地方の皆さんはもちろん、民放事業者の皆様方はデジタル化に向けて今積極的な取り組みを望んでおり、なおかつそれに対する設備投資に対する支援というのを直接的にも間接的にも私たちは承ってきたところであります。今、御審議いただいている高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案、これはまさにその意向を踏まえて御審議いただいているのではないかと思っております。  御指摘チャンネルプランにつきましても、今のところ、全国の皆さん、放送事業者方々から三百件ほど御提言をいただいています。私たちは現在、専門家レベルにおきまして、念頭に置いて、またそういう皆さんと頻繁に意見の交換をしながらチャンネルプランの策定の作業をしているところであります。  いずれにしましても、何度も申し上げますが、放送デジタル化というのは日本の国にとっても戦略的な課題であるわけでございまして、事業者そして視聴者、さらに関係の皆様方の理解と協力のもとでそういう実態を、御陳情とかを受けとめつつ、円滑にデジタル化への移行が進むようしっかり取り組んでいきたいと思っているところでございます。
  54. 本田良一

    ○本田良一君 アナアナ変換については。
  55. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 周波数調整、いわゆるアナアナ変換でございますが、これは何のためにやるかというのは、デジタル放送受信機が普及するまではアナログ放送を見ざるを得ないわけでございますから、一つアナログ放送の視聴が確実になるように、それから事業者から見ますと、アナログ放送による収入と申しますか、あるいはNHKですと受信料が減らないで済むようにということ。それから最終的には、周波数の有効活用によりまして国民の共有財産である放送波、今使っている波がいろんな形で生み出されたもの、これをデジタル化によりまして極めて効率的な周波数利用ができますので、それによって余った周波数はまた新たな用途ができる、新たな有効活用もできるということで、視聴者にとっても放送事業者にとっても、それから国全体、つまり国民の皆さんにとってもどうしてもデジタル放送化のためにやらなければならない、あるいはそれなりのそれぞれ意味のある施策でございます。  問題は、このコストをどのように手当てしていくかということでございますが、それぞれの皆様にとって意義あることでございます。したがいまして、どのように分担し合っていくのが好ましいのか。国がといいましても、これは尽きるところは国民の税金で賄うということになるわけでございますから、どういう形、どういう方式ならば国民の皆様の理解あるいは共感が得られるのか、十分そのあたりの量的な問題、それからこの手当ての方式、方法がどういう方法がいいのか、真剣に検討してまいりたいと存じます。  それから、視聴者に対してデジタル放送の効果というものを十分知らしめるようにということでございますが、何分テレビというのは現実に見ていただくのが、デジタル放送というのは何だというのを知っていただくことが一番大事なことでございまして、まず十カ所の共同実験を通じてデジタル放送というのはいかなるものか体験していただいて、その過程で、先ほど先生指摘産業創出への影響でございますとか効果でございますとか、あるいは地域の活性化にとっての意義とかいうことを身をもって御体験いただければと、これが最も効率的な効果的な国民の皆様への広報あるいはPRということになろうかと思っております。  なお、これからテレビ放送事業者そのもの自体にあるいは新聞等にもデジタル放送の意義、それのために克服しなければならない課題等も大いに報道していただこうと思いますけれども、せっかくのネット社会でございますので、私どももインターネットを通じての情報提供とか各種の施策を講じてまいりたいと存じます。  以上でございます。
  56. 本田良一

    ○本田良一君 大臣とそれから政府におかれましては、また委員の皆さんにも長い時間拝聴して答弁をしていただきまして、御清聴ありがとうございました。
  57. 小林元

    委員長小林元君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十分休憩      ─────・─────    午後一時四分開会
  58. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通情報通信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案放送法の一部を改正する法律案及び高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  59. 森本晃司

    ○森本晃司君 今回の改正に対して質問をさせていただきます。当委員会で今まで質問をさせていただいたことと重なる部分もありますが、改めてこの改正の段階で整理をさせていただきたいと思いますし、きょうの朝の委員の皆さんの議論とも重なる点があるかと思いますが、よろしくお願いいたします。  まず、放送メディアの将来展望と放送政策のあり方についてお伺いしたいと思っています。  メディアの世界で、今デジタル革命が急速に進展しているわけでございます。先般、三月の朝日新聞で、品川局長はこの問題について、今はどういう時期かということを述べていらっしゃるわけです。それは、生物に例えられて、生物も安定期があり、そして激変のときがある、今メディアの世界がそういう激変のときに来ているのではないかと、そのように述べておられます。私もまさに激変期に今入ったのではないかと思っていまして、これは放送事業者はもちろんのことでございますが、放送行政にとっても、単に放送方式デジタル化に対応するだけで落ちついていられる場合ではないときを迎えているのではないか、こう思います。  デジタル化によってデジタル放送が本格化されれば、従来の放送番組に加えてデータソフト等々のあらゆる情報商品がテレビでも流通するであろうと思われます。また、近い将来、双方向型の放送サービスも拡大していくと思います。  先般も、TBSメディアに対する、デジタル化に対する対応の未来はこういう放送になりますよというのを私も見学させていただきましたが、実感しました。テレビ一つも、今までは見るというテレビでありましたけれども、単に見るだけじゃなしに、するということがこれから我々も大いに、むしろ視聴者が主権を握るような時代に放送も入っていくということも今実感しているところでございます。  テレビ受信機も多機能化して、単なる映像音声を受ける家電でなく、パソコンと融合した情報端末に変化すると考えられるわけでございます。  現在の放送法制、放送政策全般を見直して、デジタルネットワーク時代にふさわしい仕組みへと再構築していかなければならない、このように考えております。  また、放送デジタル化、特に地上放送デジタル化は、もう既にあまねく国民に普及して国民生活に不可欠な基幹的情報メディアになっているわけでございますが、今のアナログを廃止するということ、将来に向かって転換すること、これはもう大きな変革であり、視聴者国民への影響も極めて大なるものがあると思うわけでございます。  既にCSデジタル放送では多チャンネルの専門放送が行われておりまして、二〇〇〇年十二月には民放キー局系事業者が参入するBSデジタル放送開始されることになっています。  BS放送は、CS放送と異なりまして、当面は無料の総合放送形式で行われます。すなわち、地上放送BS放送との競合、パイの奪い合い、それから地上放送の空洞化といった事態がこれから生じてくると思われます。  さらに、放送通信、コンピューターの融合が進む中で、現在その先端にあるとも言えるケーブルテレビについても、他メディアデジタル化と並行して、あるいはこれに先行してデジタル化、高度化を図らなければならない。放送の中心的伝送路としての機能さえ失うことになりかねないわけであります。  私は、こういった激変の時代になればこそ、行政、政府は将来に向かっての明確なるビジョンを持たなければならないと考えますが、地上波BS、CS及びケーブルテレビのそれぞれの機能をどのように今評価しているのか、また、どのような将来展望を描いているのか。さらにまた、国民に対して基本的情報を多面的、多角的に提供する基幹的メディアあるいは放送の社会公共的機能の確保の必要性をどのように考えておられるのか。今後の放送政策のあり方についての認識とあわせて、その考え方を大臣の方からお聞きしたいと思います。
  60. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) おっしゃるとおり、放送というものは私たちの暮らしにとって最も身近なメディアでありまして、かつ、私たちがいち早くさまざまな情報を手に入れる、そういう手段として基幹的な役割を担っていることは言うまでもございません。  先生から御紹介がございましたように、今テレビを見るということは、地上波を見る、BS、CS、CATVを利用する、さまざまな手段を私たちは選択できるようになってきたわけであります。これらの放送の世界の中で、今デジタル化されることによって付加価値、例えば、先生がTBSでごらんになったような双方向性とか、これまでも申し上げてきた大変画像がきれいになるとか、多チャンネルとか、そういうものを積極的に取り入れて、なおかつ放送事業者それぞれが創造力をフルに駆使していただいて、一番大切なことは、今先生がおっしゃった、今までのテレビは一方的だった、それが今度は一緒に行動するんだと、そういうところの次元に来たときに視聴者のさまざまなニーズにこたえられるようなそういう市場であってほしい、分野であっていただきたいというふうに思っているわけでございます。  先ほど品川局長は激変の時代ということでしたが、私は、もう少しくだけて言うなら育ち盛りということで、正直、これから放送事業者の人たちがそういう新しい技術を手に入れて何ができるのか、そして今までこたえられなかった視聴者のニーズにどうこたえていくかということを私たちは見守っていく必要があるのではないか。むしろ、あなたはこういうことをやりなさいという枠にはめることは、かえってその放送事業の成長を阻害することになってしまうのではないかというふうに考えています。  そういうことで、それぞれの事業者の方たちがデジタルの特徴を生かして、自分たちはこの美しい画像をどんどん生かしていくとか、私たちは双方向性をどんどん使っていろいろなショッピングをやっていくとか、そういうものを見守りつつ、その個々の施策施策に適時適切に私たちが支援できるようなそういう体制で取り組んでまいりたいと思っています。  さらに、公共性ということでございますけれども、公共性というのは、広い意味で言えば私たちの国民生活を豊かにしていただくべきことということで、このデジタル化によって、今申し上げたようなことを積み重ねていただく中で、国民生活さらには人生そのものが豊かになっていただけるような機能を持っていただきたいと思いますし、あわせて、放送がかねてから持っている健全な発達というものをまたどんどん進展させていただきたいと思っております。  郵政省は、先ほど申し上げましたけれども、放送法の一条、公共の福祉への適合と表現の自由の確保ということを、これはアナログ、デジタルにかかわらず、理念としてきっちり踏まえて取り組んでいきたいと考えております。
  61. 森本晃司

    ○森本晃司君 これからデジタル化の時代で一番大事なことは国民の皆さんの理解を求めるということであろうかと思いますが、その理解を求めるにはまず周知することが極めて大事なことではないかと思っております。  イギリスやアメリカなどでは既に地上波デジタル開始しているところでございますが、我が国もなぜ二〇〇〇年からこの地上デジタル放送導入するのかということ、これは十分に説明もされておりませんし、まだ国民の周知度も極めて低いレベルにあるのではないかなと思います。  秋葉原等々の電気屋さんへ私も時々行って、今ちょうど私の宿舎のテレビがもうかなりたたかないと映らない状況になっているんで、どうしようかと迷いつつ行きますが、まだまだ販売されている担当の方も、このデジタル化の方向はどう向かって行くの、今買ったらいいのかと聞いても、そのことに対してはなかなか、今あるものを売ろうとされているところですからお答えにならないのは当然のことかと思いますが、私は、電気屋さんでそうであり、一般国民の皆さんにいくとさらに周知徹底されていないのではないかなと思うんです。私も、この委員会に所属するようになって初めて大変な時代を迎えたんだなということがわかり始めたぐらいですから、この辺を我々はしっかりやっていかなければならないと思っております。  地上デジタル放送懇談会の報告書で、二〇〇〇年からの放送開始、二〇〇三年で三大広域圏で本放送開始、二〇〇六年までの全国導入デジタル化導入スケジュールのめどは示されましたが、それがどのような経緯で政府の正式な方針となったのか。また、一部報道によりますと、この問題に対して郵政省の一部の幹部の方の後退的発言があったというようなこともございますが、それについてはどう考えておられるのか、現在の方針はどうなのかということをお尋ねしたいと思います。  さらに、国民に対してデジタル化の意義、負担、アナログ放送の廃止を含むデジタル化以降のスケジュールを明確に示してその理解を得なければならないと思います。  今あるアナログ放送、今あるテレビがやがて十年後にデジタルでもっとすぐれたテレビになりますから要らなくなるんですよということを、今の自分の家のテレビを見てそう考える人が果たして今どれほどいるんだろうかということを思わざるを得ないのであります。スケジュールを示してその理解を得なければなりませんし、もう二〇〇〇年ですから悠長に構えている時間がありません。どのように徹底されようとするのか、お伺いします。
  62. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) スケジュールにつきましては、懇談会ではまず初めに、今回のデジタル放送に向けて力を合わせていただかなければならない放送事業者の方、デジタルテレビをつくっていただくメーカーの方、さらにはそれを購入してデジタル放送を見ていただく視聴者、私たちの側のそれぞれの代表の皆様方にお集まりいただきまして、そして約二年にわたって日本における地上波デジタル放送に向けての議論を徹底的にやっていただいたわけでございます。ですから、この懇談会で出てきましたスケジュールというのは、そういった意味では、真剣な議論の中でお出しいただいた案だ、妥当で、かつ現実的であると私は受けとめているところであります。  さらに、その周知徹底の件に関しましては、具体的には二〇〇〇年十二月から衛星によるデジタル放送が始まる、これによって現実のデジタル放送の御理解をいただくわけでありますし、さらには、放送ではないんですけれども、電気通信分野では、きょうまさに新聞に出ておりましたけれども、携帯電話の方でデジタル技術を使ってのテレビが可能になってくる、そういった形で、さまざまな要因からデジタルに向けての御理解というのを進めていかなければならないと思っています。  二〇一〇年までというスケジュールなんですけれども、そういった意味で、特に地上波というのは放送の中でも一番身近な基幹的な放送であったわけですし、そういういろいろなメディアデジタル化されていく中でこれからも地上波としてやはり責任ある放送をしていただく上では非常に重要なことであるし、取り組んでいただかなければならない。そのために約十年の月日をかけるということは懇談会でも言われておりますけれども、これもまた妥当で合理的ではないかというふうに考えています。  また、この約十年というサイマル期間なんですけれども、さっき先生からテレビの買いかえの話がございましたが、恐らく先生テレビも十年ぐらいたっているんじゃないかと。日本の消費者というのはテレビの買いかえを約九年から十年でされておられるという、そういうデータに基づいて、私たちとすると、強引に進めるのではなく、やはり自然発生的に今のアナログテレビからデジタルへ買いかえていこうという、そういう消費者の流れともあわせてこのデジタル放送を進めていきたいと考えているわけであります。  いずれにしましても、先ほど申し上げたように、関係している皆さんが歩調を合わせていただけることで順調に取り運べるものと思っていまして、こういうふうな方たちの御理解をいただけるように、決して後退するわけではなく、皆さんの意見をしっかりと受けとめつつ前へ前へと進んでまいりたいと思っております。
  63. 森本晃司

    ○森本晃司君 全国あまねく普及したアナログ放送デジタル転換というのは、デジタル化の恩恵をすべて国民がひとしく享受して、現在よりも確実に充実したサービスを提供して国民のすべての皆さんの理解と納得が得られるものでなければならない、こう考えております。  今、大臣に携帯電話お話をしていただきましたが、私もきのうそのニュースを見ながら、一言で言うと、何でこんなことできるねんというぐらいに思うわけでありまして、今まで電話というのが、聞く、しゃべるだけのものから、携帯電話からいろんなことを送ることができる、発信することができる、携帯電話にカメラがついておってそれをそのまま自分の顔が映ったら向こうへ送れると、デジタルというのはやっぱりすごいんだなというふうに、きのうもニュースを見て思っておりました。  国民の皆さん、障害者の皆さんにもよく理解していただくには、私は地上デジタル放送が一番普及するにはデータ放送だと思うんです。どういうデータが送られていくのかによって理解も普及も随分変わってくるわけでございまして、地上デジタル放送普及の私はかぎとなっていくものだと考えております。  そこで、今回の法案は、事実上、データ放送の主力的担い手となる既存放送事業者が独立データ放送を現行免許のまま実施し得るようにするものでありますが、政府はデジタル放送の中でデータ放送をどのように位置づけ、またいかなるサービスを期待されているのか、お伺いいたします。
  64. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  地上デジタル放送に限りませんで、衛星デジタル放送におきましても、データ放送というのはまさにデジタル技術ならではの放送サービスのありようかなというふうに考えております。  先ほどちょっと御紹介申し上げましたけれども、アメリカにおいても、連邦通信委員長が、データ放送、特に双方向性のデータ放送というのは、はやり言葉で言いますとまさにキラーコンテンツであると、これがデジタル放送のいわば象徴的なサービスだと位置づけておりまして、私どもも全くそういうものではないかというふうに考えております。  具体的にどのような形があらわれるか。まさにこれから事業者方々、あるいはデータ放送の双方向性を考えますと、視聴者がこれをまたどういうふうに使うかという相互の関係においてデータ放送というのは形成されていくと思いますけれども、今言われておりますのは、例えば電子番組ガイド、これによりまして自由自在にたくさんのチャンネルの中から好みの時間に好みのチャンネルが見られるようになるとか、あるいは非常にニュース性の高いもの、それから今、視聴覚障害の方でも自由にできるようにということもお話がございましたけれども、字幕放送でございますとか解説放送でございますとか、そういった分野においてデジタル技術のよさというのが十分に発揮されるのではないかというふうに思います。  トータルといたしますと、視聴の態様がいわばタイムフリー型で時間に拘束されないで見られるようになる。したがいまして、番組編成上も、今まで言うゴールデンタイムとかプライムタイムとかという概念が本当にデジタル放送の中で続くのかどうかというようなことも考える、大きく放送事業が情報産業に変身していくという一つのきっかけになるサービスではないかというふうに位置づけております。  以上でございます。
  65. 森本晃司

    ○森本晃司君 今回の法案では、放送局以外の第三者のデータ放送参入が事実上見送られて、放送事業者以外の第三者の参入による新規視聴者ニーズの開拓や新型サービスの提供への期待はかなえられなかった。全国四波体制の政策が続いた中で地上デジタル化を実質的に担う既存放送事業者に配慮が必要であること、また独立データ放送の実施で、既存事業者番組編集の自由度が増して放送番組多様化することで視聴者には利益が還元されることは理解できますが、ハード、ソフトの分離が進む中で今回の改正案で見送りの方針を決めたのはなぜか。それが決定に至る経緯とあわせて説明をお願いいたします。  また、第三者の参入について、ケーブルテレビチャンネルリース制度参考になろうと思われますが、今後の方針及び見通しについてお伺いいたします。
  66. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 今、先生がおっしゃったデータ放送の事業形態でございますけれども、大前提といいますか、より大きな問題としての地上放送における言ってみれば委託、受託の形あるいはハード、ソフト分離というようなことでございますけれども、これにつきましては、議論をとことん詰めて今回は採用しないというような、議論の経過としてはそのようなことではなかったかと思います。基本的に、我が国地上放送の形といたしまして、やはりこれまでの現に存在する地上放送のシステムのありようからいたしますと、どうもいわゆるハード、ソフト分離というのはデジタル放送発展考えましても必ずしもしっくりいくという方向には議論が行かなかったように考えております。  データ放送につきましてでございますが、今回の放送法によりましても、アナログ時代と同様にいわば多重放送の形で、言ってみれば現にテレビ放送をしている方以外の放送は可能でございます。しかし、現在私どもが進めようとしておりますアナログシステムからデジタルシステムへの移行という中で考えますと、全体をいかにスムーズに運ぶか、それから、新しいデジタル放送という体制に変わるわけでございますから、その中で現在テレビ放送をしておられる皆さんがどのような番組編成放送していかれるのか、先生がおっしゃる第三者へのデータ放送制度的にどう整備するかというのは、その辺もあわせ考えて今後の制度的検討課題にしていくべきものと考えております。
  67. 森本晃司

    ○森本晃司君 先般、NHKの研究所を私どもは見学させていただきまして、その際に専務理事であられる長谷川技師長さんにいろいろと御説明を賜りましてありがとうございました。  きょうはお見えいただいているわけでございますが、二〇〇〇年十二月からNHKデジタル放送が始まるわけでございますけれども、NHKというのは、その公共性にふさわしいものにやはりデータ放送も限定される方針であると伺っています。  デジタル放送開始時にどのようなデータ放送をしようとされているのか。また、デジタル放送普及後のデータ放送サービスのイメージはどのようなものを考えておられるのか。また、視聴者から料金をいただいているというNHKで、データ放送の財源の将来についてどのように考えておられるのか。その点についてお尋ねしたいと思います。
  68. 山田勝美

    参考人山田勝美君) お答えさせていただきます。  NHKデータ放送につきましては、従来のテレビ放送あるいはラジオ放送と同様、豊かでかつよい放送番組放送するという公共放送NHKの基本的な使命に沿って実施していくことが基本と考えております。  具体的なサービスにつきましては現在検討中でありますけれども、暮らしに役立つサービス生活をより便利で豊かにするサービス基本コンセプトに、視聴者がいつでも必要な情報を見られるサービスを実施していきたいと考えております。  具体的なBSデジタル放送開始時のサービスにつきましては、午前中の審議で申し上げましたので省かせていただきますが、デジタル放送普及後のサービスイメージを今の段階で申し上げるにはまだ若干流動的な面がありますけれども、例えば、BSデジタル放送開始時点での放送文字中心のサービスになると思うんですけれども、将来的には文字情報に加えまして動画を提供することも検討されると思います。また、討論番組やクイズ番組視聴者が直接参加する双方向サービスというのも考えられると思います。  いずれにいたしましても、データ放送は、BSデジタル放送の普及あるいは受信機の進歩、視聴者のニーズなどによって段階的にこれから発展をしていくものと考えております。NHKとしては、そうした動向を見ながらデータ放送による新しいサービス開発に努めてまいりたいという考えであります。  最後になりましたけれども、データ放送をだれもがひとしく利用できる公共放送サービスとして実施したいというふうに考えておりますので、財源といたしましてはNHK受信料の範囲内で措置する考えでありまして、データ放送だけの特別な料金を設定することは考えておりません。  以上です。
  69. 森本晃司

    ○森本晃司君 続いて、放送デジタル化、高度化のメリットというのは、番組放送ソフトの開発及び受信機器の開発の両面においても、障害者の方あるいは高齢者の方それから幼少の方、やはりだれもが共有できるものでなければならない、メリットを享受できる人とできない人があってはならない、そういうふうに私は思っております。情報格差の是正、解消こそが高度化の最大のメリットであると思いますが、受信料によって運営されておられますNHKの公共性から考えても、その最も重い責任を担っておられるのではないか、こう思います。  データ放送の普及に伴って、字幕・解説放送を含む障害者高齢者それから幼少者等へのサービスが飛躍的に向上されることが期待されると思いますが、NHKではこれについてどんな方針で臨んでおられるのかをお尋ねいたします。
  70. 山田勝美

    参考人山田勝美君) お答えします。  御指摘のとおり、放送デジタル化によりましてそのメリットを享受できる人とできない人があってはなりません。デジタル時代においても、放送の向上がもたらす恩恵を国民があまねく享受できるようにすること、これが公共放送NHKの大きな責務であると認識しております。  BSデジタル放送開始に伴いまして、聴覚障害者向けの字幕放送あるいは視覚障害者向けの解説放送高齢者向けサービスなどにつきましては、データ放送デジタル音声放送の活用を含めて充実を図りたいと考えております。  データ放送サービスにつきましては、NHKでは、暮らしに役立つサービス生活をより便利に豊かにするサービス、これを基本コンセプトに、高齢者や障害を持つ人たちのニーズにも十分対応できるようサービスの開発を積極的に進めていきたいと考えております。  例えば、いつでも見ることができる緊急災害情報あるいはニュース情報、気象、交通等の生活便利情報、そして健康、介護、ボランティア関連などの情報を伝えます公共福祉サービス高齢者や耳の不自由な人に対して健常者と同様にサービスの向上につながるようにというふうに考えております。  さらに、音声認識装置というのを活用したニュース音声のリアルタイム字幕システム、あるいはアナウンサーの話し言葉のスピードをゆっくりとした聞きやすい速さに転換する話すスピードの変換装置などの開発を今後進めまして、人に優しいテレビ実現に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  71. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、高度化法案放送事業者に対する地上デジタル化支援策についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  放送事業者といってもそれぞれ体力に違いがあると思います。受信料によって運営されるNHK、それから在京、在阪の民放キー局、それに伴う系列のローカル局、さらに独立U局など、それぞれによってその経営基盤に大きな違いがあるのではないかと私は思っています。  政府は、高度化法に基づく基本指針の策定及び高度化実施計画認定に当たって、それについてどのような取り扱いをされる方針なのか。NHKや在京あるいは在阪キー局などの体力のある局からは債務保証の支援が求められないと予想されますが、実際に高度化法の対象となる放送局はどのような範囲なのか、その数の見込みはどれぐらいなのか。特に、我々の方にも今いろいろと陳情が寄せられておりますが、体力の脆弱な地方ローカル局について、地上放送がこれまで担ってきた社会的役割にかんがみまして特段の配慮が必要ではないかと考えておりますが、政府はどのような認識に立っておられるのか。  また、地方局の経営基盤強化のために現在の都道府県単位の置局方式を再検討する必要があるのではないかと考えますが、その点についてもお答えいただきたいと思います。
  72. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  今回の高度化法につきましては、法形式的にはすべての民放事業者さんにお使いいただければと考えておりますけれども、まさに先生おっしゃったように、特にローカル局の方々にお役に立てればという願いを込めてこの法案を御提案し御審議願っているところでございます。  この運用につきましては、今後この法律案を通していただいた後に具体的に決めてまいるわけでございますけれども、これは公的な保証措置でございますので、計画が確実であるとか真に債務保証の必要性があるかどうか、こういったことはやはり適切に見てまいらなければなりません。  いずれにしましても、この制度先生指摘のようにローカル局のためになればということを第一義的につくっているわけでございますので、当然、通信放送機構の中に基金を設けまして健全な運営をしなきゃいかぬわけでございますから、十分健全性が担保される範囲内で最大限ローカル局に御活用いただけるように、また役に立てるようにこの運用方針なり運用基準なりを定めてまいりたいと存じております。  それから、経営基盤の観点から都道府県単位の置局方式考えてはいかがかということでございますが、今現在の視聴者の視聴慣習と申しますか、あるいは視聴のニーズから申しますと、やはり一義的には県域放送というのは大変重要な役割を果たしているのではないかというふうに考えております。  それからもう一つは、今デジタル移行につきましてチャンネルプランをつくらなければならないわけでございますけれども、この県域放送という形を崩しますとチャンネルプランも作成に相当時間を要しますし、また大変な混乱を来すことが考えられますので、やはりこの移行に当たりましては、都道府県単位の免許、放送区域の設定というのを原則としてまいりたいなと思っております。  その点は、制度面は除きまして、経営基盤の観点からどうかということになりますと、衛星放送が始まりましたときに、果たして中間的な広域化というのが本当に経営上のメリットといいましょうか、地上放送の特徴といいましょうか、長所になるかどうかというのは、よほどよく考えませんと、今までのように地上放送だけの時代の広域化とはいささか趣を異にするのではないか。むしろ、一方では県域放送に徹するということも地上放送の長所と申しますか、特徴が生かせるという考え方もあろうかと思いますので、そういったこともあわせ考えて、将来の問題としてこの県域放送のあり方というものは検討していくべき課題かなというふうに承知しております。
  73. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、民放連研究所の試算によりますと、民間放送事業者の地上デジタル化に要する設備投資費用、放送番組送出、それから送信施設だけで五千六百億円というふうに見積もられていますが、高度化の支援対象となる放送局デジタル化に要する費用が一局当たりどれぐらいと考えておられるのか。そのうち、通信放送機構に対してどれだけの額の債務保証を求めてくると試算されておられるのか。また、通信放送機構の債務保証について、保証限度額、保証期間、保証料等の条件がいつ、どのような基準で決定されるのか、お伺いします。
  74. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) この高度化法の検討に当たりましては、いろいろな検討といいましょうか、実態面での研究もいたしたわけでございますが、今のところ先生指摘のような数字を持ち合わせて試算するに至っておりません。  ただ、前提として考えておりますのは、これは民放連さんの試算でございますけれども、大体一局当たり十年間にわたりまして四十億円の設備投資が要るのではないかというふうに見ております。その中でも、大きく分けますと、スタジオでの設備投資、親局の設備投資、主要な中継局、その他の小型の中継局、こういった大体四分類に投資対象はなろうかと思いますが、主としてこれから考えられますのは、親局あるいは主要中継局の設備投資というのが当面の課題になろうかと思います。スタジオの方は、皆さんは既にいろいろな手当てがございますし、相当進んでおられますので、親局あるいは主要中継局あたりの設備投資についての債務保証というようなことが考えられるかと存じます。  具体的に、今後、この債務保証につきまして、保証限度額をどうするか、あるいは保証料、保証期間をどうするかということにつきましては、実はこの法律を通していただきました後に財政当局といろいろ詰めて、健全な信用基金の運営を前提に、できるだけお使いいただきやすいような計数にまとめていければと考えております。
  75. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  76. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  三つの法案一つ一つについて質問いたしますので、ぜひ答弁は端的にお願いをしたいというふうに思います。  まず、我が党は、放送デジタル化、これは国民に多様で多元的な放送を保障するメリットが生まれること、技術の進歩それ自体は結構なことだと考えております。  今回の放送法改正は、テレビジョン放送及びFM放送定義について、これまで別免許で実施していた映像音声を伴わないデータ放送についてもテレビジョン放送、超短波放送の免許だけで実施できるように改めること、そしてそのことでNHKデータ放送を可能にするというものでございます。法改正説明文書では、地上波デジタル化導入の準備のためだとしておりますけれども、その限りにおいては我が党は本法案に賛成であります。  しかし、地上波デジタル放送導入を推進するといっても、視聴者に即デジタルへの移行を強要する、そういうふうになってくるといろいろ問題があろうかと思うんです。そういうものではないと考えるが、いかがですか。
  77. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 御提案申し上げた法案につきまして御理解賜りまして、厚く御礼申し上げます。  もとより、テレビを見る、見ないというのはまさに視聴者の自由でございます。それは、アナログ放送であれデジタル放送であれ、全く視聴者の自由でございますし、基本的には放送放送事業体の判断にゆだねられるわけでございます。  しかし、大きく地上放送が健全に発達して、また視聴者地上放送を確実に見られるというためのデジタル化でございますから、その方向については十分御理解いただく必要はございますけれども、その運び方につきましては非常になだらかに、仮にも無理やりテレビを見せられているというようなことがあっては、かえって放送の健全な発達あるいはデジタル化の円滑な普及に逆効果になりますので、ぜひ視聴者方々デジタル放送のよさを十分御認識の上でデジタル化が普及される、そういう姿を描きながらこの法の運用でも努めたいと考えております。
  78. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 国民デジタル化を強要するものではないということは確認されたと思うんです。  そこでお聞きしたいのは、地上放送デジタル化について、一体何がどこまで正式に決まっているのかということであります。九八年十月に地上デジタル放送懇談会の報告書が出されましたけれども、先ほど御答弁にもありましたが、二年間にわたる三者の協議であり重く受けとめるということはあるにしても、これは郵政省の正式な決定なのかということがございます。  お聞きしたいのは、地上放送デジタル化について、正式には何がどこまで決まっているのか、郵政省方針はどこまで具体化されているのか、お答えください。
  79. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  政策の方向あるいは政策実態といたしましては、今先生指摘デジタル懇談会のレポートというのは我々大変意義のある尊重すべき報告書と受けとめております。  したがいまして、スケジュールもそのようなものであると私は受けとめたわけでございますが、いわば法形式論的に申し上げますと、これはおっしゃるように、あくまで郵政省の大臣のもとに決定したものではございません。あえて申し上げますと、今、政府としてのあるいは郵政省としての法手続的な形を整えた最終意思決定をするまでのその過程にあると。その中身については、この懇談会の中身を踏まえたものであることが適当であると考えておるわけでございます。  具体的に、じゃそれは法形式的にはどのような形であらわれるのかということになりますと、今回御審議いただいている法律もその最終的な形が具体的に決まる第一歩でございますし、最終的には放送普及計画、これは放送法あるいは電波法に基づきましてつくる計画でございますが、この中で法形式的には郵政省としての正式な判断になると。現在は、その普及計画を策定するプロセスにあるというふうに御認識いただければと存じます。
  80. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 まだ法手続的には正式に決まっていないと。しかし、既に地上放送デジタル化に向けての動きがさまざまに出てきております。デジタル化によるメリット・デメリット国民への影響とまたそのスケジュール、それが国民になかなか見えてこないということがあると思います。わからないということが余りにも多過ぎるというふうに思うんです。  地上波デジタル放送導入には、国民への経済的負担、放送事業者の負担と放送番組の質の低下の問題、放送の将来のあり方など、国民的な立場から明確にしなければならない課題が多いし、運用上も配慮や検討すべき問題をさまざまに含んでいるというふうに思うんです。これらの点を明確に国民に公開して、大いに合意で進めることが求められていると思います。  現在の地上放送が果たしている基幹放送総合放送としての役割を今後このデジタル化に伴ってどのように考えていくのか。そして、国民に新たな追加負担を求めないということ。現在、NHK受信料でありますし、民放は広告料ですけれども、現行以上の負担を求めない、基本的には無料放送の概念で実施すると、これはよろしいでしょうか。
  81. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) ただいまデジタル化を進めるに当たって国民の皆さんにそのデジタル放送についてしっかり理解していただくことが大事ではないか、まさにそのとおりだと思っております。この国会での委員会での審議も、まさに国民を代表される先生方との御審議の中で国民の皆さんに関心を持っていただく、そういう場ではないかと受けとめているところであります。  先ほどのカレンダー、懇談会の皆様方には大変真剣に御議論いただきまして、それぞれのプレーヤー、先ほどの三者以外の有識者の方も含めてやっていただいたので、このスケジュールについては妥当であるという前提から、これに対して無理のないように、国民が強制されるのではなく、むしろデジタルにしたいと思っていただけるような周知徹底を、これからそういう事業者、そしてまたメーカー、そして政府で取り組んでいきたいと思います。  先ほど森本先生からお話がありましたように、デジタルテレビ理解していただくには、やっぱり百聞は一見にしかずで、かつての白黒からカラーに変わるというのはわかりやすかったんですけれども、デジタルテレビの効用というか、よさというのは、やはりその双方向性、自分が動かすことによってさまざまな付加価値が生まれるということもありますので、できればそういう方たちと協力して実際的なデモンストレーションみたいなことができるようなことも私たちは考えていきたいと思っております。  いずれにしましても、放送が、先ほど申し上げたように私たちにとってはもうとにかく基本的な情報を得る手段であり、そしてパートナーであるということは、デジタル化されることによってさらに進むことはあっても阻害要因にはならないということを理解していただきたいと思っております。  足りない部分は局長から補足します。
  82. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  先生の御指摘の点は、いかに視聴者のサイドあるいは放送事業者のサイドの投資財源を生み出していくかということかと存じますが、先ほど、NHKにおきましては現行の受信料の体系の中で、あるいは額的にもその中で賄っていくというお話がありましたから、デジタル放送という別個の料金を組み立てるという考えにはないというふうに私ども承知しております。  それから、これは言葉の使い方かもしれませんけれども、国民は個々には負担しない、しかし国がどこかでこの財源は調達しなきゃいかぬわけでございますから、どうやって生み出すか。国がということが国民の納税された税金で賄うということでございますから、要はどの投資にどういう財源を充てることが合理的で国民的な理解が得られるかということかと存じます。その辺、合理性のある、また国民の皆様の理解のある財源の手当ての方法というものをこれから考えていくことが大事かと存じております。
  83. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 料金の問題、無料放送の概念でやるのかという点はいかがですか、民放も。
  84. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  基本的にNHK受信料で、受信料を有料と言えば有料かと存じますけれども、我々の考え方ではこれは有料放送という整理ではございませんので、あくまで受信料の中でデジタル放送の財源は賄っていくというふうに受けとめております。  それから、民間放送でございますが、基本的にこのデジタル技術を生かした放送番組を送るについて、いわゆる広告収入でやっていく形、あるいは視聴料、イギリスでオンデジタルがやっているような形をとるか、これは基本的には民間放送事業者の選択にゆだねられるべきものとは考えております。しかし、これはあくまで、仮に有料となるにしても、視聴者がこれはお金を払ってでも見るに値する番組だと判断するかどうかというところで成り立っていきますことでありますが、目下承っておりますと、少なくとも衛星デジタル放送については無料という形で、すなわち広告収入で始めるというのがスタート時点での考えようでございます。  今後、番組の形の中で一番いいのは、視聴者が広告収入による放送のほかに料金を払ってでも見たい番組ができたと、そういう形が出るのが、放送番組発展と申しましょうか、放送文化の発展上はそういうことも期待できるのではないかというふうに考えております。
  85. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 当面は、スタート時点はもちろんそういう方向で無料というか、新たな負担ということはなく始まるということだと思うんですね。ただ、やっぱり同時に、将来についてはということが出てくると思います。将来、このデジタル地上放送というのがどう発展していくのかと。  現在の地上放送は、全国あまねく普及することを目標に総合的な編成をすること、報道や娯楽、教育、教養などのバランスある編成を目指した総合放送として国民に受け入れられ、公共的な性格を有していると認められてきたと思うんです。これから二十一世紀の放送というものを考えたときに、地上デジタル放送をどのように位置づけるのか、その方向を明確に示すことが求められていると思います。デジタルチャンネル時代に対応して、例えば衛星放送、CATV、地上波のそれぞれの機能の分担の問題、あるいは双方向型の放送サービスの拡大に伴う放送通信の垣根をどうするのか、こういう問題も出てまいります。  そこで、これはぜひ郵政大臣にお伺いしたいんですけれども、イギリスでは九五年八月、デジタル白書で公共サービスの維持に重点を置く現行放送のサイマルキャストを義務づけております。また、アメリカでも、九六年連邦通信法でデジタル放送事業者の公共の利益義務ということを課しているんです。例えば、放送事業者に無料で視聴できるチャンネルを最低限一つ開設することを義務づけると、こんなふうに公共の利益を明確に打ち出していると思うんです。日本ではこういう問題をどう位置づけていくのか、郵政大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  86. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 放送の公共性につきましては、アナログからデジタルに変わるからといって何か劇的なものがあるということよりも、むしろこれまでも放送事業者の人たちが自主的に放送の健全な育成を図ってこられたわけですし、今後とも、むしろデジタル技術によってさらに国民への利益、国民放送を受けとめ、また放送文化によって人生が豊かになるような、そういう公共性の向上に向けてさらに進展していただけるものだと信じているところでございまして、郵政省としましては、何度か繰り返しになりますけれども、放送法の一条の理念にのっとって適切にやってまいりたいと思っております。
  87. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私、いろいろこの質問の準備で勉強しておりまして、イギリスのBBCのジョン・バート会長が昨年の一月にやった講演というものに出会いました。このジョン・バート会長は、その講演でこう述べておられる。  デジタルはBBC自身のためではない。デジタル技術国民の利益に活用されるようにするためにBBCとしてはデジタル化をやるんだ。そして、BBCがアナログ時代におけると同様にデジタル時代に必要とされる理由はほかにもある。デジタル時代は、チャンスとともに次のような危険が伴うからだ。文化の世界化が国のアイデンティティーを脅かす危険、強力なゲートウエー支配者が多様性を促進するよりもむしろ制約する危険、ますます金がかかるメディアに金を支払う用意も能力もある情報富者とそれができない情報貧者という社会の二階層化の危険である。デジタル時代においてBBCは、国の文化を守り、多様性を奨励して選択を拡大し、デジタル技術の恩恵をあまねく国内のすべての家庭にもたらすことに努力すると講演しておられます。  なかなかの見識だというふうに受けとめました。ぜひそういうことにも学んでいただいて、しっかりと進めていただきたいというふうに思います。  そこで、地上デジタル放送についてのメリットとして五つ挙がっているわけですね。一つは、高品質な映像音声サービスの享受。二つは、チャンネル多様化、多チャンネル化ということです。三つ目は、テレビ視聴の高度化が可能だと。四つ目には、字幕・解説放送サービスなど高齢者障害者に優しいサービスの充実。そして五つ目に、安定した移動受信サービスが可能だと。この五項目が言われております。  これらのサービスを実施するには、高精細度テレビ、HDTVが基本になると考えられると思うんです。来年度からHDTVで実施するBSデジタル放送と同様の形になっていくのか。そうなりますと、多チャンネルという議論と少し矛盾をするように思うんです。また逆に、同様にしない、全くそれとは別の方式でいくということになると、国民にとって衛星放送用のBSデジタルハイビジョンテレビと、それと別に地上波用のデジタルテレビと二台を買わなければならない、こんな可能性まで出てくると思うんですが、これはちょっと基本的な考え方を示していただく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  88. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  基本的な方向といたしましては、この技術基準をどう定めるかというところが関連してまいりますけれども、私ども、今までの技術基準の決め方で放送方式の決め方というのは、まず視聴者にとってメリットがあるかどうか、それから将来の発展性、拡張性があるかどうか、それから、これは時間的に限度のあることでございますから十分スピーディーに開発できるかどうか、それから議論の過程でできるだけオープンな議論をしていくというようなことの中で放送方式なり技術基準を決めてまいっております。  今、先生指摘のように、二台受像機を用意しないと衛星放送とか地上放送が見られないということでは、これは逆方向でございますので、一台の受像機でHDTVにつきましても見られるように、できるだけ技術基準も衛星放送地上デジタル放送、共有性を持たせまして、仮に何か附属の装置をつけなくてはいけないにしても共通の一つの附属機器で対応できるようにということを基本に考えております。  それから、HDTVとSDTVでございますが、デジタル放送にすることによって初めて地上放送でもHDTVが見られるというのがデジタル化メリット一つでございます。同時に、番組の編成の中で、これでまた三チャンネルもとれるということでございます。  ですから、大変欲張っているようでございますが、HDTVも視聴できる、それから多チャンネル化も可能だというのが我が国の、ISDBと言っておりますけれども、方式の特徴でございますので、十分その特徴が生かせるような放送番組の提供あるいは技術基準の整備といったものを進めてまいりたいと考えております。
  89. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 懇談会の報告でも、二〇一〇年まではアナログとデジタルの両方の放送、サイマル放送ということが言われております。  現在の地上放送事業者は、当分の間二重の放送をしなければならないということになります。そうすると、デジタル放送開始に伴って、新たな収入は基本的に期待できないもとでアナログの方はもう打ち切りたいと、こういうところも出てきかねないと思うんです。サイマル放送を必ず実施する保障というものはあるのか、法的な担保はないかのように聞いておりますけれども、これは行政指導だけでやるんでしょうか。
  90. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  デジタル放送の普及は、デジタル受像機の普及とデジタル放送ならでは番組の構成ということと相まって進んでいくかと存じますが、これは言うべくしてすぐになかなか実現できることではございません。したがいまして、一定の期間、放送事業者方々からしますと特に十年ぐらいはかかるのではないかというようなことで、サイマル放送期間を十年ということであのレポートの中では設定されたわけでございます。  サイマル放送の意義から考えますと、やはりそれによってアナログ視聴者の視聴率と申しますか、接触率を維持できるわけでございますから、デジタル放送によってプラスの収入がないという御意見の放送事業者さんもおられますけれども、先ほど大臣が御紹介になったような、新しい番組によって新しい視聴も獲得できる、あるいは、場合によっては広告料収入以外の収入財源にもなる番組がつくれるわけでございます。しかし、基本はやはりアナログ放送の収入というのがベースになっていくと考えられますし、今までの放送事業者方々考えを伺いますと、デジタル放送普及前にアナログ放送を、むしろサイマル放送をやめてしまうということは逆に可能性としては薄いんではないかなというふうに考えております。  しかし、サイマル放送の視聴を確保するということは大事なポイントでございますので、これは制度的に、先ほどちょっと触れましたように、放送普及計画あるいは周波数使用計画の中で一定の担保をしたいというふうに法的な手続としては考えておる次第でございます。
  91. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 今回の一連の地上デジタル放送導入に当たっての動きは、この間の委員会でも何度か指摘したように、私どもは、国民のため、視聴者のため、将来の放送のあり方から話が始まったとは思えない形で始まったと思うんです。  九七年三月に政府・郵政省は、不況対策、経済対策として情報通信産業、電気機器業界を支援する、またアメリカやイギリスの九八年秋からの地上放送デジタル化に伴って、世界の市場における日本の関連業界の利益を確保するという視点から地上放送デジタル化を急ぐ意向を出されたというふうに私どもは受けとめております。そして、デジタル放送懇談会を設置し、九八年十月には先ほどの答申が出されてきたわけです。  この間、郵政省放送事業者は、視聴者国民を除いた協議といいますか、視聴者国民が加わらない協議をやってきたのではないかという面も指摘せざるを得ないと思うんです。  放送事業者は、デジタル化の投資額がNHKで五千億円、民放では五千六百億円という今お話がございました。民放連の氏家斉一郎会長は、九八年三月に、政府が早急に進めたいのなら公共投資など財源を投入すべきだと記者会見で述べられました。また、ローカル局を中心にデジタル対応の投資負担が経営を圧迫するという声が上がりまして、財政支援措置がなければデジタル化はおくれると支援を要請してまいりました。政府は、九八年四月、そして十一月の補正予算で、地上デジタル放送研究開発用共同利用施設の整備として、通信放送機構の研究費として四百六十億円を認めて、実験施設だと言いながら民間放送事業者の中継塔の建設など、実質上の支援を行っていると思うんです。  こういういきさつの中で、地上波公共メディア論、インフラメディア論というような議論がにわかに出てきた感がするんですが、つまりこの費用ですね。デジタル化を推進する費用というものをだれが負担するのが妥当だと考えておられますか。
  92. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  このデジタル放送の議論がどこに焦点を当てていたかということでございますが、確かに一々視聴者のためという言葉は出てきておりませんけれども、私、デジタル懇談会の審議もずっと伺いながら、例えばこの報告書でも、受信対策をどうするかとか、たびたび御質問があります、受信料でNHKは賄っていくのかどうかとか、それから受像機をいかに低コストでやっていくかと。表向きの言葉にはありませんけれども、すべて議論の出発点は、いかに視聴者に円滑に低コストでデジタル放送が普及されるか、そういう前提で、やはりNHKも民間放送も健全な経営がなされつつ、デジタル放送を始めることが視聴者の利益のいわば前提となる一つの課題というふうに議論されております。  文章上は、視聴者視聴者という言葉は必ずしも十分出てまいりませんけれども、議論の焦点は、いかに視聴者の利益に結果として実質的にメリットが還元されるかという価値観で議論されてきたと私は承知しております。  したがいまして、デジタル化によって景気に対する効果があるというのも、単に当面の有効需要ということではなくて、デジタル社会を形成することによって日本の活力ある社会をつくる、そういう役割を果たすためのデジタル化である、そういう位置づけで経済との関連も議論されたというふうに私ども承知しております。  これからのデジタル化設備投資でございますけれども、基本的に、NHK放送事業の中あるいは民間放送の事業の中の設備投資というのは、それぞれ公的支援措置というのはあるにしても、みずから投資財源を生み出すという考え方でおられますし、私どももその方向で投資財源を生み出していただくべきものと考えております。  ただ、たびたび今までも御議論がございますように、受信者側の対策につきましては、どのようにその手当てのコストを負担していくのが合理的で国民の皆様の理解が得られるか、どのような割合でどのような方法で財源を生み出していくかということについては、やはりより多角的な議論が要るだろう、このように位置づけている次第でございます。
  93. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 支援ということも議論になるわけですけれども、私どもは、やっぱり放送というものは言論機関として政府、行政からの独立を保つべきだ、これはもちろん大原則だというふうに思います。  今回の支援法では、放送事業者に直接補助金の交付というようなことではなくて債務保証のみだということなので私どもは反対をいたしませんが、公的資金での援助というようなことになりますと、言論機関の独立は大丈夫かという国民の心配も少なくないというふうに思うんです。そういう点は、非常に私は重要な問題だというふうに思っております。  その点から見たとき、これは郵政大臣にお伺いいたしますが、三月二日の毎日新聞で、二月十六日の夜、築地の料亭で小渕首相と野田郵政大臣民放連会長、海老沢NHK会長とがデジタル放送導入問題で会談したと報道されておりますが、こういう場所での政府と放送事業者との秘密の会談というのは、やはりこれは放送の独立、自主性、言論機関としての立場とも両立しないのではないか。デジタル化の問題であれば、正々堂々とオープンな場で話し合っていただけばというふうに思うんですが、これはいかがですか。
  94. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 今、先生の御指摘の会合があったことは事実ですけれども、中身についてはそのようなお話ではございませんでした。  この会合は、もともと小渕総理が総理になる以前から、放送事業者の方たちとの意見交換ということで定期的にもう何年来やっておられるお食事会ということでございまして、たまたま時間がありましたのでお声がかかったという次第でございます。  その場で、小渕総理の名誉もございますので余り詳細は申し上げられませんけれども、端的に言えば、小渕総理もデジタル化に関心があるけれどもいま一つ詳細がわからないというようなお話がございまして、民放連の社長の皆様方は、野田が結構よく勉強しているので聞いたらいかがですかと、その程度で放送デジタルについての話は終わりましたので、今先生がおっしゃったようなことは一切ございませんでした。
  95. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ぜひ白昼堂々とそういう場所で話し合っていただきたいと思うんです。  それで、先ほど受信者の側の支援ということもお話がありました。私もこれをいろいろ調べてみましたけれども、既に導入されて昨年秋から実施しているアメリカでも、HDTVは八千ドルから一万ドルすると。だから百万円ですよね。将来四千ドル程度になると言われているが、それでも五十万円というような額が出されておりますので、やっぱり国民負担を軽減するための御努力、対策ということもぜひ手を打っていただきたいというふうに思います。  時間がなくなりますので、次に有線テレビジョン放送法改正についてお伺いをいたします。  有線テレビジョン放送は、既存放送の再送信というだけではなくて自主放送、映画を含む多くの番組を公衆に送信するものとして、これはあくまで放送であり、事実上電波による一般放送と同様な公共性を担ってきたと思います。有線テレビ放送は、放送法放送番組の編集等に関する事項についての条項を準用されるなど、これまで放送と位置づけられてきたのは明らかだというふうに思います。今回の外資規制の撤廃という議論、これを聞いておりまして、郵政省がこれを放送から通信と見始めたのではないかとの疑念をぬぐい得ないわけであります。  まず基本認識についてお伺いいたしますけれども、引き続き有線テレビジョン放送放送と見ているのか、それとも通信だと態度変更しようというのか、いかがですか。
  96. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  このCATVそのものは放送にも通信にも使えるわけでございまして、要は、今CATVが行っている放送番組を送ることが放送通信かといえば、これはもう放送でございます。  したがいまして、その放送の形のサービス提供については、放送法の準用なり放送法の有線テレビジョンの定めるところに従ってサービスを提供していただくべきである、それから、通信サービスを提供するときは通信事業のルールに従ってサービスを提供していただくと。いわば、これは例えがよろしいかどうかわかりませんが、一人の方が公認会計士と弁護士を両方やられて、それぞれの職務ルールに従ってサービスを提供されるということと似たような状況かと存じております。
  97. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 有線テレビジョン放送放送と見るのであれば、これはやはり憲法での表現の自由の確保、健全な民主主義の発展放送文化の発展など、放送が社会に果たしている役割、放送の公共性の確保という問題が当然問われなければならないというふうに思うんです。  放送である有線テレビジョン放送への外資参入規制の撤廃に踏み出せば、国民共有の財産である電波放送事業全体への外資規制撤廃要求を拒否する道理を失うことになるのではないかと。だから、我が党は今回の改正に反対しているわけであります。  通信分野でのユニバーサルサービス総合放送、基幹放送分野については、国民通信権、電波の公共性、有限的性格から、放送法や電気通信事業法で放送事業者及びNTTに対する外資参入規制、二〇%規制というのを実施しております。国民視聴者自身の選択により代価を支払ってサービスを受けるCATV分野だとはいえ、実態的に地域独占状態で実施している放送への参入でありまして、国民共有の財産である放送発展放送文化などを脅かすことにつながる危険は否定できないと思うんです。  放送と位置づけていながらなぜ外資規制を撤廃するのか。そして、これを許すなら、放送事業全体の外資規制撤廃要求にあなた方はどのような反論を用意しているのか、ひとつお聞かせいただきたい。
  98. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  CATVの方の外資規制撤廃につきましては、これはWTOで議論されたわけではございませんけれども、諸外国をほとんど見ましても、外資規制がある国というのは主要国ではございません。一種事業の方も、WTOの場でも、世界的にもう外資規制は撤廃するという方向になったわけでございます。  したがいまして、先ほどちょっと触れましたけれども、仮に放送につきましてもWTOの場で世界じゅうもう外資規制は撤廃しようじゃないかということになれば別でございますけれども、今どこの国でも無線を使った放送につきましては、よく多チャンネルになってもう放送について規制が要らないんじゃないかという説もございますけれども、最近の学説では、割り当て上の希少性、すなわち望めば必ず免許されるというわけではございません。アロケーションスキャーシティーという言葉がアメリカの放送法制の学説の中にあるようでございますけれども、絶対数が三百から五百になったからもう希少性がなくなったということじゃなくて、五百であれ三百であれ、その周波数は排他的、独占的にだれかが使うわけでございます。それから、それにつきましてはだれでも希望すれば使えるというものではない。  そういう観点から、やはり同じ放送ではありますけれども、CATVによる社会的な情報伝播の態様と一般の放送の態様というのはおのずと違っているところがございまして、今現在、CATVが自由化、外資規制を撤廃したから放送の方も外資規制を撤廃すべきではないかという議論は我が国の中にもございませんし、世界じゅう余りそういう議論は承知しておりませんし、我々も、CATVがこうなったから放送も外資規制は撤廃していいという立場には立っておりません。
  99. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 外国の例が出てくると思いまして、私も外国の例についていろいろ調べてまいりました。  それで、なるほど外国でもこのCATVについては外資規制はない、撤廃されているというのはそのとおりであります。しかし、社会的な規制、つまりCATV事業者に対する社会的な規制が日本とやはり随分違うということも同時に学んだわけであります。  アメリカでは、連邦通信法でCATV業者、放送事業者番組編集権を持たない。つまり、持ち込まれたものは放送事業者がそのまま流す、一切手を加えない。そういう番組編集権を持たずに公衆が利用できる公共用、教育用または行政用のチャンネルを一定量、チャンネル数の一〇から一五%確保するということを九六年連邦通信法で制度化しているわけであります。つまり、放送事業者の社会的責任ということを重く問いかけているわけなんです。それは、とりもなおさず欧米でも、こういう放送事業の公共性であるとか、あるいは野放しにすれば国民性にさまざまな悪影響がある、そういう問題について深く認識しているからにほかならないわけであります。  もちろん、私どもは、そういう欧米のようにやればよいということを単純に言うわけでは、やれば外資規制撤廃してもよいということをこの場で言うわけではございません。しかし、そういう疑念ということについては、世界的にもやはり大いに問題にされているわけであります。そういう手だてをとりながら外資規制の撤廃がされていっているという面もあるわけです。  しかし、日本ではどうか。日本の場合は、有線テレビジョン放送事業者、施設者に何の義務も課していないと言わざるを得ません。規制緩和、結構結構という形で議論がまかり通っていっている。外資企業が日本流の行政指導に従うと言い切れるのか。  放送における公共の利益の確保、パブリックアクセスの保障、視聴者放送への積極的参加、放送による表現の自由がより多くの人々に享受されること、多様な意見や論点の国民への提供が保障されなければならないと思うけれども、これをどう担保していくのかということについて、これはひとつ、世界の議論でもあり将来の議論ですから、大臣いかがでしょうか。
  100. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 法解釈的な、制度的なことから申し上げたいと思います。  私どもの理解といたしましては、先生指摘のような、確かに外資規制を撤廃した場合にどういういろんな問題が生じるか、これを事前に想定いたしまして予防的に法制度を整備する考え方もあろうかと存じますけれども、外資規制を撤廃したから先生がおっしゃるような弊害が出てくるというのも必ずしも一義的に言えません。  したがいまして、今後、外資規制撤廃後のCATVの運営状況はいかがかということをよくつぶさに承知いたしまして、もし何らかの法制度的手当てが必要ということであればまた法改正をお願いするということで、法改正後のCATVの運営の実態ということは十分承知して把握してまいりたいと存じております。
  101. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 日本におけるCATVも大変な進展を遂げておりまして、それは単に画一的に伸びているのではなくて、さまざまな場所において都市型であったり難視聴のためであったりと、さまざまな今種類に分かれつつあるわけであります。  これから先々もやはりCATVというのは大変重要な放送メディア一つであるわけで、外資規制を撤廃することによってそういうものの活性化を促すという、そういう前向きな考え方から今回こういうふうな御審議をいただいているところでございまして、その他のいろいろな手当てにつきましては今局長が申し上げたとおりのことで、これからの検討としていろいろと受けとめていきたいと思っています。
  102. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 放送というものは国民共有の貴重な財産だと思うんですね、大臣。どこの国でもその公共性、国民性、文化性をどのように守っていくのか、そこに大いに心を砕いて真剣な努力をしているわけであります。  今回の外資規制撤廃は、まさに市場原理から通信放送分野に外国企業を参入させて、参入させた引きかえに、今度はNTTなどの日本の情報通信大企業が外国でのCATVなど通信放送事業に乗り出していく道をつけてやろうと、結局それがねらいなんだと言われても仕方がなかろうと私は思います。  そんな法改正には我が党は到底賛成できないということを指摘して、私の質問を終わります。
  103. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。  有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案について質問いたします。  まず、合併の見込みでありますけれども、本法は、承継規定を整備することによりまして有線ラジオや有線テレビジョン事業の合併を容易にするものですが、これによりましてどれぐらい合併が進むのでありましょうか。また、現在の有線ラジオテレビジョンの業者の数と経営状況についてお尋ねをいたします。
  104. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  まず、有線ラジオ分野でございますが、実はこの手続が基本的に届け出でございまして、譲渡、合併がどの程度あったかということについて、手続の不備、規定の不備もございまして、実態は残念ながら承知しておりません。  ケーブルテレビにつきましては、これまでの実績を申し上げますと、大体ここ四、五年で毎年平均二、三十件の譲渡、合併の実績がございました。これまでは手続に大体二カ月を要しておりましたけれども、今回この法改正をお認めいただきますれば一カ月ぐらいで、手続期間は半減してその対応ができるのではないかというふうに存じております。  ただ、合併手続がこのように整備されることによってどの程度逆にふえるかということにつきましては、今後、ケーブル事業団体等を通じましてこの手続改正の周知を図りながら、どの程度希望があるか、また意向も把握してまいって、事前に十分情報を得ながら、仮に申請があった場合には円滑に処理できるように対処してまいりたいと存じております。  それから、ケーブルテレビ事業者の実態でございますけれども、CATVの事業者はただいま四万三千事業者、六万八千施設、これは法律上の数え方でございますが、加入世帯は一千四百四十八万世帯でございまして、全世帯に占める割合は三二%でございます。このうち、いわゆる本格的なCATV事業を行う事業者が七百二十事業者ございまして、これに加入する世帯は六百七十二万世帯で、普及率、全世帯に占める割合は一五%でございます。  経営状況でございますけれども、きちっと複式簿記もつけてきちんと経営を成り立たせる営利目的のテレビ会社は全体で二百九十六社ございますが、このうち単年度黒字を計上している事業者は百三十九社、全体の四七%でございます。ほぼ半分が黒字経営をしているということでございます。  それから、有線ラジオの方につきましては、残念ながら個別の経営状況は把握できておりませんけれども、全体といたしまして一万四千件の事業の届け出がございまして、業界全体としては一千二百億円の売り上げがあるというふうに承知しております。  以上でございます。
  105. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 外資の参入予測についてでありますが、法改正一つにケーブルテレビについての外資規制の撤廃がありますが、これによって外国企業の参入はどれくらい進むのか、どういうふうに考えておるのか、お伺いいたします。
  106. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 新たに外資が資本投下したいという話は特段今のところ聞いておりませんけれども、既に外資系企業が出資しているCATVシステムが二つばかりございますが、今後の私どもの予測でございますけれども、恐らく出資割合をさらに高めたいと。現在でもできなくはないのでありますけれども、今回の法律改正によりまして、より国内的な、国内の投資家との話し合いの中で今回の法制改正を前提としたいろいろな話し合いが進められて、あるいは外資の出資比率が高まるのではないかということを予想できる状態にございます。
  107. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 罰則の強化についてでありますが、有線ラジオ法の罰則規定が今回改正されます。罰則金の引き上げ額が十倍となっておりますけれども、十倍にする根拠をお尋ねいたします。
  108. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  今回の罰則規定の改正につきまして、これは手続違反の罰則規定なのでございますけれども、全体に今のほかの法律の手続違反の罰金額等を見ますと、大体万の二けたになっておりまして、考え方といたしましては、十倍というところに意味があるのではなくて結果として十倍になったと。絶対額の方で二けたの数字になっている、そこから、今までの罰金額が一けただったものですから、逆算しますと十倍になっていると、こんなふうにお受けとめいただければと存じます。    〔委員長退席、理事寺崎昭久君着席〕
  109. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 無許可のケーブルテレビ、有線ラジオについてお伺いします。  山口県では、無許可のケーブルテレビが独占的に営業を行っていますが、無許可のケーブルテレビや有線ラジオの実態についてお伺いします。次に、無許可でこのような行為を行った場合の郵政省としての対応についてお伺いをいたします。
  110. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  今、先生指摘の山口県下におけるいわゆる違法なCATVのシステムが一つあることは事実でございます。これはどのようにしてそういうことに至ったかと申しますと、端子数が五百以下の事業というのは届け出ですぐ営業できるわけでございますが、これがどんどんふえまして、結果として五百以上のシステムになってしまったと。その間に許可という手続をとらなかったということがございまして、私どもとしましては、今その違法状態の解消をいろいろ指導しておるところでございます。  なお、この地域には、正式に許可を得た第三セクターのCATV事業者が開業しておりまして、それが本来の姿の営業活動をしているところでございます。  それから、有線ラジオの方でございますけれども、これはこれまで道路占用許可をとらずに、電力会社あるいはNTTの電柱の使用の許可をとらずに架線をしまして営業していた会社がございますが、これは関係省庁と正常化協議会をつくりまして、今違法状態の解消をするように指導しているところでございます。  このような違法状態があった場合にどうするかということでございますが、やはり個別のケースに応じましてその違法状態の解消に努めるというのが基本的な考え方でございまして、今、山口についても、違法状態の解消という観点から各種の取り組みをしているところでございます。  それから、有線ラジオにつきましては、今申し上げた関係省庁のもとでの違法状態の解消努力をしている、これが典型的な例でございまして、これが解消しますと、ひとまず有線ラジオの方の違法状態、違法な営業状態の会社という状況は解消できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  111. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 やはり公正競争の立場から考えて、徹底的なひとつ取り締まりをよろしくお願い申し上げておきます。  次に、放送法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。  地上放送デジタル化に伴う視聴者の負担と経済的な効果について、まず、本法案改正によって地上放送デジタル化が進むことになりますけれども、これまでも本委員会において取り上げられてきましたけれども、デジタル化による視聴者の負担についてお伺いをしたいと思います。  まずは当分の間、サイマル放送をすることによって影響がすぐに出るということでもないようですけれども、いずれにいたしましても、視聴者の受像機等の買いかえを迎えられることになるわけでございまして、買いかえのタイミングといいましょうか、そういうものが非常に重要になってくると思うのでありますが、アナログ局の変更による影響世帯数はどれくらいなものでございましょうか。また、そのための受信対策費用はどれくらいと郵政省は試算されておりますか。  次に、具体的にお聞きいたしますけれども、一般聴視者の購入するデジタルテレビの販売価格、これは先ほどもいろいろ言われておりましたが、なかなか難しいことだろうとは思いますけれども、これによってどれぐらいの経済効果があると郵政省は試算をされていますか、お伺いいたします。
  112. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  いわゆるデジタル放送波を出すための事前の周波数調整につきましては、影響を受ける世帯というのは、これは全体といたしまして放送波のカバーしている世帯数で数えていまして、放送分野でとらえた世帯としますと約六千万世帯ございまして、実数は四千五百万世帯でございますから一・数倍あるわけでございますが、比率といたしますと、六分の一の一千万世帯がチャンネル変更なりあるいはアンテナ変更の措置をお願いする世帯になるかなというふうに把握しております。  これにつきましては、今、チャンネルプラン、新しい地域の周波数の割り当て計画をさらに改善いたしまして、いささかでもこの減少が図れればということでいろいろの努力を続けているところでございます。  このための費用はどうかということでございますけれども、先ほどの六分の一の世帯でアンテナ変更なりをしていただくということになりますと、これは十年間の数字でございますが、大体四百七十億から一千四十億という試算をしております。これも過去のいろんな実績データからの推計でございまして、その前提、特にこれは人件費がほとんどでございますので、その辺の単価コストが下がりますと大幅にこれを低減することもできます。  したがいまして、今この周波数変更に関係される方々のいろいろなお知恵なり御意見なり御協力をいただきながら、最小のコストで対応ができるように努力してまいりたいと存じております。    〔理事寺崎昭久君退席、委員長着席〕  それから、二点目のお尋ねのデジタル受像機の価格でございますが、海外の例は先ほど御紹介申し上げましたが、国内でどの程度の試算をしているかということでございますけれども、受像機の買いかえの効果といたしましては、デジタル受像機単価十七万円と想定いたしまして、十年間で約四十九兆円の買いかえ需要効果があるというふうに試算しております。  これも、ハイビジョンの例を見ますと、売り出したとき三百八十万で八年後には二十九万という数字になっておりまして、八年間で十分の一を割っております。したがいまして、今デジタル受像機のいろんなデバイスの開発状況を見ますと、ほとんど技術的にはもう開発し尽くされておりまして、あとはロットがどれだけ出るかということに尽きると。ロットが出ると安くなる、これは鶏と卵になるのでございますけれども、一般的に、このようにスタート時点で高価なものにつきましては、公共部門において購入する、あるいは若干の助成があるとかということで進められますけれども、できればこのデジタル受像機は例えば、これはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、議員会館に率先して入れていただくとか、そういうことが進みますと、結果的に一般視聴者が入手するに当たってロットがふえてコストが下がるというようなことになるのではなかろうかと存じております。
  113. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 放送事業者へのデジタル化の支援措置の内容についてでありますけれども、デジタル化はやはり視聴者の負担と放送事業者の負担に、いずれも費用負担になると思うのでありますけれども、放送事業者の無理のない費用負担というのは大変重要なことであろうと思いますが、おおよそどれぐらいと郵政省はお考えなのでしょうか。また、これらの費用負担の支援措置についてどのようになるのでございましょうか。具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  114. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) トータルの推計でございますが、まず放送事業者側の投資額といたしましては、民放連、民間放送事業者の数字といたしましては五千六百億円という数字が今のところ試算値として出ております。それから、NHKでは三千億円でございます。  NHKにつきましては、これまでもNHKの予算の御審議の際にいろいろNHK側からも見解が表明されましたけれども、これまでの設備投資の実績等からしますと、今の財務状況で何とかこなせるのではないかというような見解が表明されているように私どもは受けとめております。  それから、民間放送の方でございますけれども、一局当たりにしますとこれは大体四十億円という数字が出ようかと思います、これは民放連さんの資料をもとにしての数字でございますが。これも先ほど御説明申し上げましたように、内訳を見ますと、テレビ局の局内設備が約七億円、親局の送信設備が七億円、主要な中継局十億円、その他の小さい、サテライト局と言っておりますが、これが十六億円という数字になります。  今後の支援措置につきましては、スタジオの設備投資は相当進んでおられまして、それからこれにつきましては既にいろいろな支援措置も講じておりますが、今後の重点的な投資対象である親局の送信設備あるいは中継局の送信設備、この辺に今回高度化法でお認めいただきます支援措置に加えまして今後どういう措置が必要なのか、関係の皆様の御意見も聞きながら次の課題として取り組んでまいりたいと存じております。
  115. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 地上デジタル放送のパイロット実験についてお伺いしますけれども、二〇〇〇年から地上デジタルテレビジョン放送の円滑な導入、多様な放送サービス実現するためにパイロット実験が行われていますけれども、その進捗状況はどうなっておりましょうか。
  116. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  パイロット実験協議会、十年の十月にスタートいたしまして、その後十一月に至りまして実際に電波を発射して実験を順調に進めております。この三月には都内で固定受信とそれから移動体受信の実験を進めております。  この東京のパイロット実験につきましては、放送事業者のみならず、東京におられます主要企業、現在六十九団体参加いただいておりまして、いろんな新しいノウハウなりお持ちの技術の実験をしていただいているところでございます。それから、このパイロット実験につきましてはやはり東京にございまして、全国の共同実験施設と連携をとりまして、全体としての実験の効果が上がるようにその役割を果たしていくべくいろいろ準備を進めているところでございます。
  117. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案についてお伺いしますが、金融的支援措置の限定と支援対象となる事業者数についてお伺いをいたします。  高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案は、地上デジタルテレビジョン放送の早期普及を図るために、放送事業者がこれから整備するに当たっての金融的支援措置を講じるものでございますけれども、その支援措置内容についてまずお伺いをいたします。また、法案は支援が受けられる事業を地上系に限定しておりますけれども、衛星放送施設はその対象となっておらないのはなぜでしょうか。  二つ目に、地上系における対象放送事業者数はどれぐらいございますか。本法の支援を受けると見られる事業者数はどれぐらいですか。
  118. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  今回、この法律の支援スキームを利用できる放送会社はどのぐらいになるかということでございますが、これは、今後この法案を通していただきました後、十分この制度の仕組みを情報提供いたしまして、それぞれ具体的にどのような活用方法があるか放送事業者方々とよく活用方策について御相談しながら、どの程度利用申請の見込みがあるか検討してまいりたいと存じております。  ただ、一応の全くのモデル想定例でございますけれども、先ほど申し上げましたように、一事業者当たり四十億円の投資がありますとしますと、資金調達の割合といたしまして、ある事業者の方の意見を聞きながらの例でございますけれども、大体民間の融資は一〇%程度民間資金として調達する、そうしますと四億円が債務保証の対象額というようなことが想定されるかなと。あくまで想定でございますが、こうしたモデルケースをお示ししながらいろいろ御相談にあずかってまいりたいと思っております。  それから、今回の法案の適用対象事業は地上放送事業だけでございますけれども、実は衛星放送につきましては、これまで地上放送の営業ほど初期投資コストもかからないということで、必ずしもいろんな支援措置というのは特段講じてまいりませんでしたけれども、今後デジタル放送が普及する中で、例えばCS放送についてもそれがどういう影響を及ぼすか、その辺も見きわめながら、衛星放送についてもこの支援措置がとれるかどうか、あるいはとることが適当かどうか検討してまいりたいと存じます。  それから、地上放送の対象事業者数はどうなのかということでございますが、この利用可能な事業者数は民間放送事業者すべて百二十七社でございます。  ただ、債務保証を要するというのは、あくまで債務保証がないとなかなか資金融資も受けられないというようなことでの利用をいただくわけでございます。そうしますと、どの程度御利用いただくかというのは、ある程度今後の放送事業者の収入の動向でございますとか、あるいは全体の経営環境等を把握しながら推定していくことになろうかと思います。したがいまして、絶えず民間放送事業者方々経営動向をよく把握しながら、また実体経済の動向をよく見ながらこの債務保証の運用のよろしきを得たいと考えておる次第でございます。
  119. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、通信放送機構の特例業務の追加についてお伺いいたします。  まずは、通信放送機構に債務保証の業務を追加し、高度テレビジョン放送施設整備事業の実施に必要な資金を調達するために発行する社債及び当該資金の借り入れに係る債務保証を行わせようとするものですが、もともと通信放送機構は、通信衛星放送衛星の管理運用を行うことを目的として七九年八月に設立され、九二年の法改正により研究開発業務が追加をされました。このような設立趣旨からすれば、研究開発以外の債務の保証という行為は設立趣旨からして逸脱するものではないでしょうか。必ずしも法を改正し業務を追加すればよいというものではないと考えますが、いかがでしょうか。  次に、債務保証を行うための基金として日本開発銀行や民間出資・出捐金から成る信用基金がありますが、基金出資・出捐構成と金額についてお尋ねをいたします。  三つ目には、債務保証ですが、認定事業者が弁済不能となった場合、しかも複数の認定事業者が弁済不能となった場合は、信用基金のみならず通信放送機構本体への影響も懸念されますが、そのようなことは起こらないかどうか、お考えでしょうか。  四つ目には、本法は平成二十二年、二〇一〇年末までの時限立法ですけれども、通信放送機構への追加業務となる債務保証は引き続き存続させるのですか、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
  120. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  まず、通信放送機構の業務として適当かということでございますけれども、確かにこの設置目的からいたしますと、ずばりの目的に該当するかという御疑問、当然かと存じますけれども、やはり設立当初の時点通信放送機構に対する役割から見た政策課題というのは年々変化するわけでございまして、広く見まして、放送も含む電気通信の健全な発達に資するというのが設立目的でございますので、今回の債務保証というのもその設立目的から許される範囲の業務ではなかろうかと存じております。  なお、実情を申し上げますと、私どものこうした政策ツールにつきまして通信放送機構のシステムを活用する以外に道がないものでございますから、このような手だてをお許しいただければと存ずるものでございます。  それから、債務保証を行うための基金の出資・出捐構成でございますけれども、現在、信用基金は五十八・五億円ございます。内訳といたしましては、開銀それから民間の出資及び出捐でございます。五十八・五億円のうち、出資は三十四・六億円、このうち開銀が二十八億円、民間が六・六億円でございます。出捐は二十三・九億円で、これはすべて民間にお願いをしております。  それから、債務保証をいたしまして、もし払えないというようなことがあったらどうかというお尋ねでございますが、この点はそのようなことのないように、事業の認定それから債務保証の適否、本来の融資をいたします民間金融機関との意思疎通も十分に適切に図りながら、確実に、しかし先ほど来お話がございますように、ローカル放送会社等に十分お役に立つ運用をしてまいりたいと存じます。  以上でございます。
  121. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後になりますけれども、昨今、郵政省の内部の規律の問題についてマスコミで取り上げられています。これが事実とすれば非常にまことに残念なことであります。今回のデジタル事業化については約二百兆円とも言われる経済的な効果があると言われておりますけれども、今マスコミで放送されているようなことのないようにするためにも、やはりきちっとした姿勢を郵政省として示すべきであると思いますが、大臣の所見をお伺いして、質問を終わります。
  122. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 御指摘のとおりで、行政運営における公正の確保とか透明性の向上というのは大変重要な問題だと認識しています。  また、特に放送行政は国民生活とか私たちの文化に密接にかかわりがあるわけですから、国民の皆様方から疑いのかからぬよう、やはり不信を受けたり疑惑を招くことがないよう徹底的に、そういういろいろな意思決定については、内容とか過程が明らかになるように配慮してまいりたいと思います。  このデジタル放送、何度も申し上げておりますけれども、視聴者との協調のもとでやはり円滑に進めていただくことがとても大切だと思っているので、特段配慮してまいりたいと思っています。
  123. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 せっかくの機会ですので、二、三お伺いしたいと思いますが、けさほどからの議論を聞いていますと、大体議論の中心はデジタル放送についてだったと思います。  もう申し上げるまでもないことですが、デジタル放送の利点といいますか、これは多チャンネル、高画質、それに高音質、そういったものも含めて、情報の多重化といいますか、限りないとは言いませんが、そういったことが可能な時代になってきていると思います。  そういうことになってきますと、通信あるいは放送、それにコンピューターのインターネット、皆さんも御存じだろうと思いますが、コンピューターのインターネットで今、委員会の審議状況が流されている。これを見ている人が相当多くなってきているということですが、そういったものの垣根がなくなってくる。新しい情報通信メディアの時代が出てくるということではないかと思います。  私は、東海道新幹線が走る前に、一体どれぐらいのお客が乗るんだろうかという客の想定に関与したことがあります。役人が想定したものよりはるかに多くのお客が出てきた。けさほどからカラーテレビの話もありました。あれも、カラーテレビ化されると爆発的にカラーテレビ化していったということですから、このスピードも国際的な競争の中で相当速い転換が図られていくんだろうと思います。  そうしますと、二十一世紀のこの分野、まさしく新たな一つ産業になってくる。デジタル放送なしでは生きていけないと言うと大げさになるかもしれませんが、それに近いようなことになっていく。生活に密着したそういう情報も得られるようになってくる。  そこで、大臣に一言お伺いしておきますが、二十一世紀のこのような世界、大臣はどういうふうに思い描いておられるでしょうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  124. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 大変難しい御質問でございます。  今、まさに放送デジタル化で御審議をいただいているわけですけれども、今の日本、もう既にデジタル化というのは着実に進んでいるわけでございます。ただ問題は、多くの国民が余り意識しない中でどんどんデジタル化が進んでいるということではなかろうかと思います。携帯電話にしてもしかり、そして最近では家電、例えば今までのカメラもデジタルカメラが売れていたり、そればかりでなく、デジタルとつくと売り上げが伸びるというように、知らず知らずのうちに、政府が誘導しなくても、むしろ民間のマーケットの中で消費者がデジタルを選択するような時代になってきている。  そういうこともあって、基本的にはやはり民間の主導、つまり技術の革新がどんどん進んでいく中でさまざまな製品なりサービスが出てくる中、私たちは、それぞれの阻害要因とならないように公正で自由なその土台づくりというのを心がけていかなければなりませんし、必ずしも便利なだけではなく、それに伴う弊害、影の部分というのは必ず出てくるわけですから、むしろ行政としては、そういうことで不幸にならないように、不便がかからないように、国民をしっかりと守っていくようなルールなりモラルなりマナーというものに力を入れていかなければならないと思っています。  そんな中で、とにかく大切なことは、利用者がそれぞれのデジタル化されて便利になってくる道具をみずから選択して、自分の人生でこのときにはこれを使う、何をするためにこれを使うというような、やはりそういう自立した意識と情報に対する投資意欲、安価であるにこしたことはないんだけれども、やはり付加価値のあるものに対しては積極的に自分から投資していくようなそういう積極性というものも必要ですし、特にデジタル放送に関しては、先ほど来、白黒からカラーになったということもありましたけれども、それはただ座っていればその違いがよくわかったけれども、今のアナログからデジタルへの違い、だいご味というのは、むしろ自分がリモコンを持ってインタラクティブに、双方向にテレビとやりとりすることによって初めて新たな付加価値を発見できるということで、やはりそういう、消費者の方たち、国民の皆さんにもそうやって自発的にデジタル化されたものに飛び込んでいくようなPRとか周知徹底に努めていきたい。  結果としては、例えば情報通信分野にとりましても、旧来の情報通信機器では非常に不便を感じておられた情報弱者と言われる例えば高齢者とか障害者の皆様方が、ユニバーサルデザインのもとで健常者と同様に情報の利便性を手に入れていただくこと、ひいては豊かな生活をしていくことが究極の情報通信社会、私たちの目指しているものではないかと思っています。
  125. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 まさしくこの問題を総括していただいたと私は思います。まさにそういうような動きというのは、事業者が自主的に進めていく、それを視聴者が一〇〇%活用していく、そういうようなことではないかと思います。  そういうような時代になってきますと、法のあり方もそういったものに合ったようなものにしていかなければならない。これが阻害要因になるというようなことのないように、できるだけ早い時点でそういうようなものを伸ばしていける、そういうことに努めていただけるように希望しておきたいと思います。  今、大臣の答弁の中にもありましたが、そうなりますと、視聴者が自主的に何を自分で活用していくか、利用していくか、そういうような時代になってくると思います。どういうような活用の仕方があるか、どういう利用の仕方があるかということについて、各事業者それぞれが宣伝をして競争していくことにはなるだろうと思いますが、やはり初期の段階においては、郵政省が、こういうような時代が来ます、こういうような活用の方法がありますと、そういったことをある程度皆さんに示してやるというようなことも必要かと思いますが、その辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  126. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) いろんなやりたいことはたくさんあるのでございますが、なかなか手元不如意というか、予算事情もございまして、大変ささやかではございますが、例えば、今郵政省自身が修学旅行の見学コースになりまして、来てくれた中学生にインターネットのルームで実際に自分で操作してもらって体験をしていただくというようなこともやっておりますが、これはもう極めて限られた話でございます。  放送分野で申しますと、やはり先ほどから申し上げております東京のパイロット実験それから全国十カ所の共同実験施設で、放送事業者のみならずいろんな方に実際に手に触れていただく、それから見ていただくと。そういうことを通じていかにメディアの主人公になっていただくかということが、迂遠なようですけれども最も効果的かなというふうに考えております。そもそも共同実験施設そのものが必ずしもまだ十分知られておりませんので、例えばその実験の概要をネットのホームページに載せるとか、あるいは会員各社に十分ネズミ算的に情報が広がっていきますように、考えられるあらゆるメディアを通じて、新しいメディアを発見して情報を提供していく。ちょっと時間がかかるかと思いますけれども、そういう地道な積み上げを今後続けてまいりたいと存じます。  何よりも、大メディアの新聞あるいはテレビに話が出るのが一番効果的なのでございますけれども、そういう点では二〇〇〇年十二月の衛星デジタル放送、これがどのようなすばらしいデジタル放送を見せてくれるか、効果からいたしまして大いに期待をしておるところでございます。
  127. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 ひとつその点よろしくお願いしたいと思います。  CS放送が伸び悩んでいるというような指摘があります。私は、これは過渡期のことではないかと思っております。CS、BS、そういったものを含めて聴視が簡単に可能になるようなことになれば、CSとかBSとかその辺の垣根もなくなっていくんじゃないかと思います。来年、BSの軌道といいますか、BSのポジションにCSを打ち上げるということも予定されているようですが、そういうことになりますと、CS放送BS放送、それを一つ受信機で視聴できるようなことも可能になっていくはずだと思います。  私自身は、CSとかBSとかいう時代はもうなくなってくる。つまり、衛星にそういうようなミッションを載せて、そのミッションが放送に使われるか通信に使われるか、それだけの違いになってくるような気がしておりますが、CS放送BS放送の違いについて、今後郵政省としてはどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  128. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 今、通信衛星放送衛星の区別というのは、これはITUにおける周波数の割り当ての種類が、片方は通信衛星用としたもの、片方は衛星放送用としたものを使っているという、それだけの話でございます。それに伴いまして、若干電波の出し方の技術基準が通信衛星放送衛星で違っておるということでございまして、どちらも放送用にも使えますし、通信用にも使い得ると。  それから、CS、通信衛星につきましては、CS放送をする場合にハイビジョンの伝送もできるように今度技術基準を改めておりますので、より通信衛星放送衛星の代替性は高まる、そういう意味ではより競合性が高まるんではなかろうかと考えております。  現在、御指摘の百十度に通信衛星を上げる件につきましてはそれぞれ事業者から希望も出されているわけでございますが、視聴者の立場からいかに簡単にBS、CSにアクセスできるかということから、実は経団連においてもこの問題に関心を持たれまして、いわば経団連の企業の立場というよりは、むしろ企業活動の中にこのBSあるいはCSを使うということも含めましていろんな検討もなされていることで、私どもも経団連の御検討にいろいろ協力も申し上げたいと思っている次第でございます。  しかし、衛星放送BSの方は一千三百万世帯に普及してございますが、CS放送については、よく番組表を見ますと大変すばらしい番組があるんですけれども、何よりもまだまだ認知度が低い状況でございます。したがいまして、学校放送というと学校における利用ということだけでございますけれども、今申し上げた通信衛星によるCS放送を見ますと、福祉関係のチャンネルでございますとか、子供の教育じゃなくて成人教育にも使える番組とか多々ございまして、こういったことがいろんな社会システムの中で活用されていくことが、よりBS放送、CS放送の普及発展、それから社会のデジタル化あるいはネット社会の形成に貢献するんではないかというふうに考えておる次第でございます。
  129. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 終わります。
  130. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本でございます。  最後の質問者でございます。毎度でございますが、最後までおつき合い方よろしくお願いいたします。  朝からやはりさすがにきょうの放送法改正の関係で、デジタル化についての議論がずっと続いております。私もかつてこの件についてはいろいろ質問もさせていただきました。先ほどから出ておりますとおり、これは視聴者それから放送事業者あるいは受像機のメーカー、そういうものの三者がそれぞれのメリットをしっかりと感知してといいますか、しっかりと受けとめて、それぞれにしっかりとそれを宣伝して、さらには三者が放送して軌道に乗るまでに受けるデメリットをどう解消していくかということが、デジタル化にスムーズに移行されるには一番大事ではないかと思っております。  そういう意味で、かねてより質問させていただいたわけでございますけれども、そのフォローアップという意味で今回いろいろ質問を準備させていただきましたが、朝からの御議論でもう相当の部分御回答いただいておりますので、その辺は避けさせていただきまして、簡単に質問をさせていただきたいと思っております。  まず、この三者のうちの放送事業者、これは都市と地方と違うと思います。それぞれの違いに対しても十分御認識いただきたいと思うんですが、これは言うなれば、投資効果がすぐに計算できないものに対して投資をしなければいけないということで、これからの助成に対して具体的なスケジュールをということで私は質問を準備させていただいたのですが、これは朝の田中委員に対しての御答弁が局長からございまして、あれ以上の答弁はないんだろうと思って省略させていただきます。  ただ、その中で一つ気になりますのは、地方の放送事業者、設備の変換のために四十億円という試算があると。その四十億円はそうなんでしょうが、十年間で四十億円というような表現をたびたび局長は朝からされておるんですが、そうしますと、一年四億かなというような印象を受けちゃうんですが、一つの企業といいますか放送事業者にしてみれば、やるとなるとこれは相当部分が初年度といいますか最初に投資をしなきゃいけないんじゃないかと。そうすると、その投資に対する負担というのが十年間で毎年平均的に出すのとは相当違うんじゃないかというような認識になりますので、その点、局長からちょっと補足的にお話を聞かせていただきたいと思っております。
  131. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  大変はしょった御答弁を申し上げたかと存じますが、この四十億円というのも民放連さんの試算に基づく一つのあれだったのですが、確かに投資の額の流れというのはいろんな形があろうかと思います。  ただ、申し上げたかったのは、この設備投資はバランスシートの分野でございますから、当然減価償却の手当てもしなきゃいかぬのですけれども、よく年間収入と設備投資とを単純に比較されての議論がございました。しかも、その設備投資四十億円が一挙に行われるという何か説明のされ方もあるものですから、十年間で均等ということではございませんけれども、十年間全体にわたって、しかも一番額が多いと思われますのが、デジタル化進展の中では後段になりますサテライト局の建設でございます。これが大体十五億と先ほど申し上げたかと存じますけれども、そういう親局、主要中継局、サテライト局、こんな投資額の流れでいくのではないかというふうに認識しておりまして、単純に四十割る十は四億円というふうに想定しているわけではございません。
  132. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今の局長の御答弁ですと、私とちょっと違うなというような感じがするので、やはり設備投資というのは、切りかえるには広いところでやらなきゃいけないなと。まず全体をカバーしなきゃ意味がないんじゃないかなというような感じがするのです。  ただ、投資については、投資が一度に固まってもその償還がばらせるような、そういう財政措置なりされればそれはそれでいいと思いますので、その辺は、ここで私知らない知識のまま議論してもしようがありませんので、要はそのような負担がなるべく軽減されるような、そのような御検討をぜひしていただきたいな、こう思っておる次第でございます。  それから、受像機の生産者でございますが、これは先ほどの質疑の中で、大体受像機というのは十年で切りかわるからそのときには自然発生的にかわるだろうというような御答弁がございました。確かにそういうことは言えるかもしれませんが、そのときに高かったらこれは非常にスムーズな転換でないわけですので、この辺をひとつお願いしたいのです。私の質問はそういうことでなくて、そういう高い受像機をいかに安くするかというのは、郵政省だけでなくていろんな産業界と、関係しているところとの連携等が必要でないかということをかつて御質問させていただいたと思うのですが、それに対して御同意を得たというような記憶を持っておりますが、その点について、その後の進展といいますかフォローアップや何かございましたら、御答弁をお願いいたします。
  133. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) なかなか具体的にこういう成果が上がりましたという御報告ができなくて申しわけないのでございますけれども、一つは、現実に先ほど来御紹介申し上げております十カ所の共同実験、これがやはりこれからのデバイスの開発とかあるいは一台当たりの受像機のつくり方とか、そういったものについてのいろんなノウハウを得ていただくのに大変有効ではないかと。せっかくの施設でございますので、今、先生指摘の単価の引き下げにつながるような活用の仕方をしていただければというふうに考えております。  それから、日本の家電製品というのは、大型電気商の協会の傘下の方々、それから全国の家電商の皆さんのルートを通じてこの情報家電も提供されるわけでございますけれども、流通部門の積極的なデジタル家電の普及によりまして、ロットも下がってふえていくわけでございますので、流通部門の方々との連携も徐々に形成しつつあるというところでございます。  できるだけ具体的な成果を上げて、御報告できるように今後努力してまいりたいと存じております。
  134. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 よろしくお願いいたします。  この点はうまくスムーズに移行できるかどうかの大変大きな点であると思いますので、また追って機会があるごとにフォローアップをさせていただきたいと思うのです。  次に、視聴者に対するPR、これは先ほど戸田委員郵政省のお考えをいろいろ御質問されまして御答弁いただきましたので、私はこれはあえて今ここで質問いたしませんが、郵政省メディアをどれだけ持っているかわかりませんけれども、そのメディアをしっかり持っているNHKですね、NHKさんはこれは当然二〇〇〇年のBSから入りますし、二〇〇三年からやられるのはもう確実だと思います。公共放送という性格もございますから、メディアを使って積極的にPRされるのが本当は一番じゃないかなと。  そうされているのかもしれませんが、私、テレビをそれほど見る方ではございませんけれども、確かにBS放送番組紹介等はやっておられます。それとか、何かBS1だ、BS2だといってボールが飛んでいるような画面を時々見かけることがあります。ああいうことで御努力はされているんでしょうけれども、やはりデジタルに対するPR、これは今の機械ではそういうことは無理なのかもしれませんが、高画質のハイビジョンはそれは普通のところは無理かもしれませんけれども、何らかの格好で積極的にPRをされる必要があるのじゃないかな、していただきたいというような気持ちなのでございますが、その辺について御答弁をお願いいたします。
  135. 山田勝美

    参考人山田勝美君) お答えします。  デジタル放送導入に当たりましては、国民視聴者の皆さんに与える影響が非常に大きいということで、NHKとしての考え方あるいは事業計画の内容を国民視聴者の皆さんに積極的に公開して、御理解、納得を得ながら進めていかなくてはならないということは公共放送として当然のことという認識であります。  それで、NHKとしては、去年の一月に「デジタル時代へのNHKビジョン」というのを公表しまして、デジタル化についての基本的な考え方を明らかにいたしました。また、これまでもNHKデジタル放送の取り組みについて視聴者の皆さんに御理解をいただけるようにということで、先生もごらんになったと思うんですけれども、毎週土曜日の総合テレビで「あなたの声に答えます」という番組を初めさまざまな番組で、放送デジタル化というのは何か、あるいはNHKデジタル化にどう取り組むかといったことについてお伝えをしているわけであります。それで、御指摘のように、今後もどんどんデジタル放送のPR、宣伝番組をふやしていきたいというふうに考えております。  また、毎年五月の下旬に行っておりますNHK放送技術研究所の公開、これはことしは五月の二十八日から三十日まで三日間行われるわけですけれども、この中で、ことしは特にBSデジタル放送の具体的なサービスイメージというのをごらんいただけるような準備を現在進めているところであります。  今後も、具体的な計画の取りまとめあるいは技術サービス、実験等の状況に応じてNHK考え方あるいはその内容を放送で周知し、こうしたことをしながら積極的にデジタル推進を進めていきたいというふうに考えております。
  136. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大変御努力されているのは評価いたしますが、視聴者というのは勝手なものだと思います。関心のないときは見向きもしないで、一たび関心を持てば一気にそっち側に向くというものかと思いますが、今の段階では、どうも私の考えでは、まだ関心を持っていないで見向きもしない段階じゃないかなと。それをうまく関心を持つようにNHKさんの方も十分御努力をお願いしたいな、こう思っている次第でございます。  それから、これも先ほどちょっと出たんですけれども、やはり今度のテレビデジタル化ということは、今までの白黒テレビがあらわれてきたとき、さらにはカラーテレビ化ということで、その節目節目があったわけでございます。そういうことを考えた大きな転換であるわけですが、その転換がどううまくいくかというのは、今までの白黒テレビが出てきたとき、あるいはカラーテレビに変わったときの経験を反省する、反省といいますか、分析するのが一つ大きなことじゃないかなと。これも先ほど局長、これは本田委員の御質問でいろいろお話しいただきました。  ただ、何かカラーのときはオリンピックと皇太子殿下の御成婚があったというようなお話がございまして、そういう国民的関心事が非常にいい影響があるというようなお話でございましたが、オリンピックとか皇太子の御成婚というのはこれは明らかにカラーと白黒の差があると思うんです。今度の場合、カラーときれいな画面との差というのがどうなのかという一つの違いがあると思うんです。  それと同時に、ここを考えますと国民的関心事が本当にあるのかなと。二〇〇二年のワールドカップがあるかもしれませんが、それはBSが始まってはおるでしょうけれども、まだ地上デジタルは始まっていない。そうすると、BSによってこういう関心を一気に盛り上げたいという、そういうお気持ちがあるのかなというような勘ぐりもするわけですが、その辺、今までの御経験、そういう転換期を踏まえてどんなふうにお考えになっているのか、ちょっと一言お願いしたいと思います。
  137. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  過去の経験が二度生きるかどうか、まさにそう簡単な話ではないと存じますけれども、私自身も今BSデジタル試験放送を見ているのでございますけれども、やはり例えば同じオリンピックにしましてもサッカーの画面にしましても、これでデータ放送つきでサッカーやオリンピックが見られるというのはまた違った視聴環境になるのではなかろうかということで、単に今までの受け身の視聴から能動的な視聴に変わっていく、スポーツ番組にしましても何にしましても。そういうことが、このデジタル放送というものが単に大規模イベントに合わせて放送されるということではなくて、デジタル放送の新しい可能性を示すチャンスではないかというふうに見ているわけでございます。  先ほどNHKの方からお話がございましたように、単に大型でハイビジョンでワイドに見られるというだけではないデジタル放送というのを目指しておられるようでございます。それと国民的関心事のイベントとうまくかみ合うことによりまして、デジタル放送にとっての大きなインパクトになるのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  138. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 難しい質問をし過ぎたかもしれません。この先のことですからなかなかわからないと思いますが、要は、やはりいろんな面の試みをして、それによってうまく国民的な関心事として盛り上げていくことが大事じゃないか、そういう観点からこのような質問もさせていただいたわけでございます。  デジタル化の視点ではなくて、一つはケーブルテレビについて御質問させていただきたいんですが、これも先ほど渕上委員の方からいろいろ御質問がございまして、普及状況等を私はお聞きしようと思ったんですが、その辺は先ほど御答弁いただきましたので省略させていただきます。  これも先ほど大臣言われましたように、要するにケーブルテレビ、有線テレビは、難視聴解消、それと独自番組といいますか地域の独自性を持った番組放送できる、この二つの面があると思います。特にこの独自番組、これはある意味では、これからの放送が何かBSにしても地域性というのが失われていくような感じがいたしますが、そういう中で独自番組放送できるというケーブルテレビは、大変これから有望なものではないのかなというような気持ちを私は持っているわけです。  それにも増して、最近何か利用の仕方がいろいろふえてきたというようなお話でございますので、その辺の利用の実態について、今どんな状況なのかだけお話をいただきたいと思います。
  139. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  今、先生指摘のように、やはりCATVというものが、衛星放送というものの出現によりまして新たな役割というのが見出されてきているということが一つ言えようかと思います。  それから、インターネットのアクセスチャンネルとしまして大変コスト的にも料金的にもそれから機能的にも有望視されてきておりまして、現在、通信事業の許可を得たCATV事業者は七十数社ありますが、そのうち六十数社がインターネットのチャンネルを提供しているということでございます。  それから、先生指摘の自主放送でございますが、一億皆ビデオカメラを持っておりますけれども、本当に視聴にたえる番組づくりというのはこれはなかなか大変でございまして、その点、CATV事業者方々は非常に積極的に番組制作の努力をしておられます。  加えまして大変心強いのは、NHKさんがそういった番組制作について積極的にいろんなノウハウを提供される、あるいは地域の情報取材等で民間の地上放送会社さんとニュースの交換の協定を結ぶとか、そういうことで、取材の機能の面でもそれから番組制作の面でも非常に積極的に、いろんな他のNHKを初め民間放送方々ノウハウもかりながら新しい自主放送番組づくりに努力しておられるという面もございます。  それから、CATVがいわば地域おこしの一つのきっかけになっているということもございます。文字どおりケーブルテレビからコミュニティーアンテナテレビ、もともとのスタート時点の意味を改めて体現しているものが今日のCATVではなかろうかと思います。  ただ、CATVの実態は千差万別でございます。非常に積極的に資金も調達してやっておられるところもあれば、これからどうしようかというふうに考えておられるところ、それからデジタル化にはなかなかたえられないんじゃないか、単純送信ですね。いろんな形態がございまして、それぞれのCATV事業者の皆さんが今後どういう発展形態を選ぶか、その辺が、十分将来見通しが描けるようにいろいろ情報提供もさせていただきたい、またその発展の方向をどの方向を選ぶかによりまして適切な支援措置も講ずることができればというふうに考えている次第でございます。
  140. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私の知っている例を一つ申し上げますと、これは難視聴解消ということでつくったCATVを使って地域内のイベント、小中学校の運動会なんかを撮ると、おじいさん、おばあさんが行かなくても見られるということで大変好評だったというようなこと、あるいは議会中継をずっと流していたら議員さんの態度が大変変わったとか、そんなふうなこともお聞きしまして、非常にそういう面では今おっしゃられたような千差万別のいろんな効果があるのではないかな。まさに、千差万別の効果をそれぞれの地域の人がそれぞれ考えてやる、今の地方分権の時代といいますか、地方主権の時代に合ったものであると思います。  その点で、かねてから大臣はよく御答弁の中で、郵政省はお金がないというようなことでございまして、そうするとこういうことの普及もどうなるかなという感じがしないでもないんですが、今局長の御答弁で大変積極的なお話も伺いましたけれども、大臣の御所見というか御決意といいますか、その辺をひとつお願いいたしまして、質問を終わります。
  141. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 先ほども品川局長からお金がないという話がございまして、私も大臣をさせていただいて十カ月たったんですけれども、先生方から大変前向きな御意見をいただいてぜひとも施策として反映させたいと思っても、確かに費用の面でなかなか容易でない、そういう壁に何度も直面してまいりました。  大切なことは、これからの時代、国民を代表される委員先生方が中心となっていただきまして、情報通信への投資というのが将来の国づくりまたはその国にある人づくりのために大変有用である、そういう裏づけがあって初めて財政支援というのも生じてくるのではないかと思いますので、根気よく、やりくり上手の郵政省ですけれども、さらに先生方のバックアップをいただきまして本当に有効な情報通信の施策を進めてまいりたいと思いますので、今後ともさらなる御指導を心からお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。
  142. 小林元

    委員長小林元君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三案のうち、有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  143. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  本法案に反対する理由は、有線テレビジョン放送業務は放送と位置づけられ、放送法を準用してきた分野に外資参入規制を撤廃するからであります。  有線テレビジョン放送は、既存放送の再送信だけでなく、自主放送、映画を含む多くの番組を公衆に送信するものとして、法律制定時から放送と位置づけ、事実上、電波による一般放送と同様に公共性を担ってきた分野であります。外資規制の撤廃は、放送番組の編集の自由の確保と放送の継続性、放送国民主権を侵すものであり、認められません。  放送分野である有線テレビジョン事業への外資規制の撤廃は、多チャンネル化、デジタル化を迎えている通信放送分野に外国企業を参入させることにより、NTTの地域通信分野の独占を崩し、競争を促進させることをねらいとしています。  通信のユニバーサルサービス総合放送、基幹放送分野については、国民通信権、電波の公共性、有限的性格から、放送法や電気通信事業法で放送事業者及びNTTに対する外資参入規制を、各国とも実施しているのであります。部分的にも放送分野への外資規制撤廃に道を開くことは、国民共有の財産である電波、公共的性格を有する放送事業分野へ外資規制撤廃を拒否することができず、放送通信分野国民主権を守ることが不可能になるのは明白であります。  なお、アメリカでは、連邦通信法でCATV業者は番組編集権を持たず、公衆が利用できる公共用、教育用または行政用のチャンネルを一定量確保することを九六年連邦通信法で制度化しています。現行法には、公衆が利用できる公共用、教育用または行政用のチャンネルを一定量確保する規定がありません。そういう状況のもとで、事実上の地域独占となっている有線テレビジョン放送に競争政策の促進を理由に外資参入を認めることは、視聴者放送への積極的参加、公平な参加の機会を制限することになりかねない点を指摘して、反対討論を終わります。
  144. 小林元

    委員長小林元君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  有線ラジオ放送業務運用規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  145. 小林元

    委員長小林元君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、放送法の一部を改正する法律案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  放送法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  146. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、寺崎君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。
  147. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、ただいま可決されました放送法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     放送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実施に努めるべきである。  一、放送デジタル化の推進に当たっては、デジタル技術を活用した高度で多彩な放送により視聴者がその成果を享受できるよう配慮すること。  二、地上放送デジタル化の意義、国民生活・経済・社会への影響等をすみやかに国民に明らかにしその周知を図ること。また、国民の要望及び放送事業者の意見を十分に踏まえた計画を策定し、その実施に当たっては、視聴者理解が得られるよう努めること。  三、地上放送デジタル化によって、地域的、経済的な情報格差が生じないように十分に配意するとともに、高齢者、視聴覚障害者等の社会的弱者の情報アクセスが一層円滑に行われるよう努めること。  四、地上放送デジタル化に要する放送事業者設備投資に対し、これを支援する措置を講じること。また、デジタル化への移行期間において現行アナログ放送の視聴に障害が生じた場合、その対策に係る負担を安易に視聴者に転嫁しないよう配慮し、視聴者デジタル放送受信に要する設備の変更等の負担を軽減するための諸施策を検討すること。  五、放送デジタル化の推進に当たり、放送法の基本理念に基づき、表現の自由等について十分留意すること。  六、デジタル化によって促進される放送通信の融合によってもたらされる情報通信産業の新たな展開に対応した行政の役割を検討するとともに、デジタル放送時代を見据え、より一層視聴者の利益を増進するための総合的施策及び法体系の在り方を検討すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  148. 小林元

    委員長小林元君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  149. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、野田郵政大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野田郵政大臣
  150. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 放送法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼申し上げます。  御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  151. 小林元

    委員長小林元君) 次に、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  152. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、寺崎君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。
  153. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、ただいま可決されました高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実施に努めるべきである。  一、高度テレビジョン放送施設整備事業の実施計画認定及び通信放送機構が行う債務保証業務の実施に当たっては、公正かつ厳正な審査が行われるよう努めること。  二、地上放送デジタル化に伴う放送事業者設備投資に対し、一層の支援策を検討するとともに、デジタル化設備投資余力が脆弱な地方放送局に特段の配意を行うこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  154. 小林元

    委員長小林元君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  155. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、野田郵政大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野田郵政大臣
  156. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案を御可決いただき、厚く御礼申し上げます。  御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  157. 小林元

    委員長小林元君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 小林元

    委員長小林元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十分散会