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1999-05-13 第145回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月十三日     辞任         補欠選任      若林 正俊君     久野 恒一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小林  元君     理 事                 加藤 紀文君                 景山俊太郎君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君                 渕上 貞雄君     委 員                 岩城 光英君                 鹿熊 安正君                 久野 恒一君                 田中 直紀君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 若林 正俊君                 内藤 正光君                 本田 良一君                 松前 達郎君                 鶴岡  洋君                 筆坂 秀世君                 宮本 岳志君                 戸田 邦司君                 岩本 荘太君    国務大臣        運輸大臣     川崎 二郎君        郵政大臣     野田 聖子君    政府委員        警察庁交通局長  玉造 敏夫君        総務庁長官官房        審議官      大坪 正彦君        運輸大臣官房長  梅崎  壽君        運輸省運輸政策        局長       羽生 次郎君        運輸省鉄道局長  小幡 政人君        運輸省自動車交        通局長      荒井 正吾君        気象庁長官事務        代理       小倉 照雄君        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君        建設省道路局長  井上 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    説明員        国土庁長官官房        審議官      木寺  久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○鉄道事業法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律  及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○放送法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通情報通信委員会を開会いたします。  鉄道事業法の一部を改正する法律案及び道路運送法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 松前達郎

    松前達郎君 おはようございます。  ただいま委員長から、二つ改正案一括ということできょうは審議が行われるということでありますけれども、ちょっと順序を逆にしまして、今委員長がおっしゃった順序とは違いますけれども、道路運送法の方を先に質問させていただきたいと思います。  まず最初に、規制緩和進捗について、どういう進捗状況なのかについて質問をいたします。  運輸省許認可事務改革に取り組んでからもう六年が経過したと私は聞いております。平成四年三月末現在では政府全体で一万九百四十二件の規制があったわけでありますが、運輸省だけでその二割の千九百六十六件、許認可件数がそれだけあったわけでありますが、運輸省平成五年度に三年以内を目途に二割削減しようと、そういう基本方針を決定されたと伺っております。恐らくその目標は現在達成されようとしているんじゃないか、こう思います。  こういった取り組み努力は大いに多とするところでありますけれども、一方では、余りにも減らし過ぎるんじゃないかという見方もなきにしもあらず。そこで、許認可件数を減らす本来の意義削減状況あるいはその進め方、進捗度についてまず大臣から御所見を伺いたいと思います。
  4. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 規制緩和基本的な意義につきましては、自己責任原則市場原理に立つ自由で公正な経済社会をつくっていく、これに立つものと考えております。  今、松前委員から御指摘のとおり、かつては運輸省は各省の中で一番規制の数を抱えていた省でございます。昭和六十年で二千件以上ありましたが、その後一つ目標を立てながら歩んでまいりました。平成十年三月末現在で千五百三十七件、二割強削減をいたしてまいったことになります。  ただ、特に需給調整規制というものを撤廃するということで取り組んできたわけでありますけれども、各、参議院におきましても衆議院におきましても、一方で安全の側面また環境という側面、また消費者保護という立場から今後どう進めていくべきかということについてはいろいろ御指摘もいただいているところでございます。そうした御意見をいろいろ踏まえながら、来年一つ法律を出させていただきますと、需給調整につきましては全部撤廃が終わりますので、その後の対応について考えてまいりたい、このように思っております。
  5. 松前達郎

    松前達郎君 今大臣からその後の対応というふうにおっしゃったわけでありますが、現段階計画が予定どおり進行した、次の段階での計画に入りたい、こういうことだと思うんですが、その目標等がおありでしたらお聞かせいただきたいと思います。
  6. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今ちょっとお話し申し上げましたように、環境側面からは多分規制はふえていくんだろうと考えております。安全の側面から考えますと、これはふえるというよりは形を変えていく、事前チェックから事後チェック型への転換という形になっていくんだろう。また、経済原則といいますかそういった側面から考えれば、まだできることがあるかもしれないということで、これは減らす方向で詰めていく、そういうバランスになるだろうと思っております。  ただ、今申し上げましたように、まさに今委員会で御審議をいただいて、どうあるべきか各委員の方々からいろんな側面から御指摘をいただいておりますので、そうしたものを踏まえながら次の段階に入ってまいりたい。したがって、今現在において次の構図はこうであるというものはまだ確定をいたしておりません。
  7. 松前達郎

    松前達郎君 概念的な面を今おっしゃって、まだ具体的な計画はこれからということだと思いますが、とりわけ自動車などの場合に、アイドリングストップとかそういった問題がありますね。環境問題です。これも恐らくあれをすべての車が実行しますと相当な効果があるわけですから、そういうものもその規制といいますか今後の計画の中にぜひ入れていただきたい。これは法律的に禁止するとかそういうことはちょっと無理かもしれませんが、指導としてはできるんじゃないか。さらに、車の製造業の方にもそういうことが言えるだろう、こう思うんです。  我が国で今まで行われてきました規制緩和について見てみますと、大部分が手続上あるいは管理上の規制緩和が多かったわけであります。競争促進につながる規制緩和項目は比較的少なかったのではないか。また、競争を促進するという効果、その効果を期待した緩和対象、これも、今回も先ほどおっしゃったように含まれているわけでありますが、効果が限定されることが非常に多いのではないか。これは抽象的な表現ですけれども、形骸化した規制を後追い的に認めるというものも中には含まれている、こういう批判が今まであったわけです。  これは規制緩和というのが一体どういう法律的な意味を持っているのかということなんですが、私、聞いた話ですが、例えば規制緩和というものについて外国に説明するときに、ディレギュレーションという言葉を使っているんじゃないかと思うんです。ディレギュレーションというのは規制解除なんですね。ですから、この辺にちょっと差がありますので、外国から日本の規制緩和について見たときに、これは緩和にすぎなくて規制撤廃ではないんだというふうに見られているから、できっこないんだというふうに言っている人もいるようであります。  しかし、これからこういった問題、撤廃していいかどうか、これはまたいろいろと問題があるかもしれませんが、今後運輸省が目指しているのは、大まかに言って規制緩和なのか規制撤廃なのか、その辺どちらでしょうか。
  8. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私はまだ緩和なんだろうと考えております。例えば、昨年ですか、ワールドカップで旅行の問題が出てまいりました。旅行という分野、かなり規制緩和から撤廃まで踏み込んでいいのではないか、民間に任せ切ったらどうかという御議論がかつてあったように思います。しかし、昨年のような問題が生じてまいりますと、やっぱり約款等を通じて消費者保護という立場からしっかりやらなきゃならないんじゃないかなという意見の方が実は強くなってきておると私は思うんです。なるべく民間創意工夫によって仕事をやっていく、それだけに、役所一つの枠をはめる、それをなくしてしまった方がいいというのは撤廃でありましょうし、いや、消費者保護とかそういう問題になると、やっぱりどこかではめておかないと野方図になるのではなかろうか、こういう議論だろうと思うんです。  そういう意味では、もっと国民全体がみずから情報を集めて、そして結果として問題が生じたときにはみずから責任をとりますよ、もう役所は口を出さないでよというところまで全体の国民意識というものが盛り上がった時点でまさに撤廃という時代を迎えるのかなと。ある意味では、緩和というのは過渡期かもしれません。しかし、果たしてそこまで持っていけるかどうかは、この緩和を通じながら国民一つの判断というものをまちながらやらなきゃならない課題かなと、このように思っております。
  9. 松前達郎

    松前達郎君 撤廃となりますと、法律そのもの文言を一部変えるというだけでは済まなくなってきますから、法律そのものを全体としてつくり直すというか、そういったことがどうしても必要になるんだろうと思います。しかし、これは今後の問題として御検討いただきたい。  戦後、我が国が敗戦から立ち上がって経済的に復興を遂げてきたその裏には、戦後の需給調整規制政策というのがあったと思うんです。一遍に野放しにしてすべてフリーにしてしまうと混乱があるだけだというので、適当に規制をしながら徐々にそれを外していった、そういう歴史があったわけですね。戦後の復興に確かに需給調整規制政策というのは貢献をしただろうと私は思います。そういう意味では評価をしているわけですが、どうやらもう最近この段階は終わりになるんじゃないか、新しいステップを踏み出す段階に入ったんだろう、こう思っております。  この段階に当たって、今申し上げたように、法律上の文言の修正だけで新しい時代をつくり出すというのは非常に困難だろうと思います。規制対象事業者等事務的規制緩和だけではなくて、法律そのものももっと国民にわかりやすいような、しかも国民にメリットがあるような規制緩和というものにするために努力が必要だろう。これは事業者だけの問題ではなくて、国民意識改革も必要だと思うんです。  こういった面で、今もちょっと大臣お触れになりましたけれども、今後の課題について所信をお伺いできたらと思います。
  10. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まさに、まず最初に今現在の仕組みというものを国民皆さん方に御理解をいただいていく。その中で、例えばもう既に踏み込んでいるところでありますけれども、法律が通ります、こういう枠組みの法律ができた、それを今度省令に落とすときには当然国民意見を求める、そして我々もそれを聞きながら次の個別の問題に取り組んでいく、そこなんだろうと思うんです。  そういった意味では、既に法律も成立いたしましたけれども、情報公開というものをしっかりしながら、そしてその情報公開をされたものを国民が判断しながら、今度はどこで国民意見を入れていくかというシステムをつくっていく、今まさにそういった法整備というものが徐々にでき上がっていっているところであると思っております。  そういう意味では、法整備とあわせながら、私どもの情報公開のあり方、そして国民意見の入れ方というものもだんだん変化をしながら、まさに一つの、戦後の社会、荒廃の中から立ち直ってきて秩序というものを基本にしながらつくり上げた国家が、これからお互い創意工夫というものを生かして伸び伸びとした発展をしていけるような社会をつくるための手段が変わっていくと、こういうふうに理解をいたしております。
  11. 松前達郎

    松前達郎君 情報公開をしなければ国民意見もフィードバックできないわけです。そういう意味では確かに情報公開というのは非常に重要だと思うんですが、規制緩和をした後の問題として、これは公正な競争というのが期待されているわけですけれども、この公正な競争が行われるかどうかという問題が一つ出てくるんじゃないかと思うんです。  運輸省として、もしか不公正な競争が行われたり、あるいは不利をこうむった者、こういう人たちが出てきた場合の救済システム、こういったものについての整備、これは公正取引委員会との連携を十分とりながらやらなきゃいけないだろうと思うんですが、その連携化など体制整備がどうしても必要になってくるんじゃないかと思うんです。  ここで忘れてならないことは、今大臣おっしゃいましたけれども、国民はよきチェック者であるということです。新しい競争時代には、国民意見あるいは要望等行政に吸い上げて、それに基づいたシステムをつくりながら公正競争の維持を考えるというのがどうしても必要になってくると思います。このためには情報公開がまず最初だと思うんです。ですからそういう点で今後御努力をいただければと思います。これは、今大臣からその旨のことがございましたので、それだけにいたしたいと思うんです。  また、今後の問題として、中央省庁改革大綱、これによりますと新たに地方整備局というのができるというふうに伺っております。社会資本整備とそれを活用していく交通が組み合わさっているわけですから、これが同じ省に組み込まれるというのは非常に私はいいことだと、こういうふうに思っておるんです。これによる効果的な交通体系の構築、今後これが大きな課題となってくるわけですね。仕事になってくると言ってもいいと思います。  規制緩和の進展に合わせて国土交通省のより機能的な組織整備、これらについて大臣としてお考えがあればお伺いしたいと思います。
  12. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 何度もお話し申し上げているんですけれども、私は、一昨年のころは、今の参議院委員会の名前同様に交通情報省をつくった方がいいということで、かなり先頭に立ってきた者でございます。しかしながら、いろいろな議論の結果として、今松前委員から御指摘いただきましたように、交通というものと社会資本整備を一体的な形で整備していくのは大事だろう、特に道路の問題と交通関係との結びつき、これをしっかり整理しながらやっていくことがいいんであろう。河川と港湾というものもくっついていくのかもしれません。そういう形で一つの決断がなされて、来週ぐらいになりますでしょうか、国会で、衆議院でも議論がまた始まってくることになるだろうと思っております。  そういった中で、私が今回の中央省庁再編で申し上げておりますのは、例えば副大臣をつくったときに、旧運輸省担当大臣、旧建設省担当大臣、こういう形で縦割りがいつまでも残されているということであってはならないなと。この改革基本理念というものが生かされた中で新しい役所がどう組み合わせをしていくか、実は大変難しい話だと思います。会社が合併したときに、たすきがけ人事とか民間においてもあるわけですから、なかなか難しい話であろうと思いますけれども、やはりそこのところはお互いが新しい時代を迎えるときに踏み込んでいかなければならない課題だろうと思っております。  私ども、関谷大臣も私もそうでありますけれども、今の体制の中でできるだけの議論をしながら、しかしながら最終的にまとめるのはやっぱり初代の大臣がリーダーシップを発揮してしっかりやってもらわなきゃならない、こういうふうに思っているところでございます。  いずれにせよ、改革趣旨に沿って社会資本整備交通というものを一体的にやっていけるように努力をしていかなきゃならない、このように思っております。
  13. 松前達郎

    松前達郎君 新しい組織をつくるときの考え方として、旧来の組織をいつまでも頭に置いて人間の配置とか部署の配置を組み合わせすると新しくなくなっちゃうんですね。ですから、これは今後の課題でしょうけれども、縦割りをなるべく、なるべくじゃなくてやめるという方向で今後新しい省庁内容を充実していただければと、こういうふうに思うんです。  今まで質問させていただいたのは総括的な問題ですが、これから道路運送法、これは細かいこともありますけれども、この改正案について質問させていただきたいと思います。  先ほど来お話がありましたように、需給調整廃止をされる。そういうことで、免許制許可制に変わる、あるいは運賃認可制届け出制に変わる、こういうふうなことになるわけでありますけれども、業界では、これは私も経験があるんですが、観光バスはもう既に自由化されているんじゃないかという認識があるんです。  運輸省、一体これはどういうふうに認識されているか、まずお伺いしておきます。
  14. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 貸し切りバス業におきましては、規制緩和がある程度進んでいるということは御指摘のとおりでございます。ただ、自由化という言い方が適当かどうか、言葉のとり方ということもあろうかと思います。  規制緩和が進んだ背景は、現行制度のもとで需給調整を弾力化するということを平成九年三月の規制緩和推進計画閣議決定などにより進められた結果でございます。  数字で申し上げますと、平成八年度までに千六百社の事業者がございましたのが、平成九年度末では千九百社というふうにふえておりますので、事実として規制緩和が進んでおるというふうに認識しております。
  15. 松前達郎

    松前達郎君 観光バスがもう既に自由化というのは、運賃の面もみんな含めて、そういううわさがあるのでちょっとお伺いしたわけです。今度規制緩和がされれば当然そういうことになるだろうと思います、アッパーリミットとローアーリミットを決めて、その範囲であればいいというような考えが導入されると思うんです。  最近、貸し切りバス等事業としての参入増車傾向が見られるというふうに伺っているんです。これは経済不況下にあるにもかかわらず増加傾向にあるということです。このようなことについて運輸省はどういうふうに分析されているのかということと、それから、既存の業者については減車傾向分社化傾向があらわれている。その実態あるいは原因、これをどういうふうに見ているのか。  また、退出という言葉が使われているんですが、退出というのは部屋を出るといったような意味なんで、ある意味では対象から出ていくということだろうと思うんです。退出、これもまた法律用語でなかなか国民にはわかりにくいんだろうと思うんですが、これについては九年度以降増加傾向があらわれているにもかかわらず、退出について一体どういうふうなことになっているのか。原因がいろいろあると思うので、簡単にこの原因についておわかりでしたらお願いします。
  16. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 貸し切りバス事業参入退出の現状と分析認識というお問い合わせだと思いますが、御説明申し上げます。  参入について、増車傾向がございます。事業者の数は平成五年度の千四百社から千九百社になっておりますが、車両につきましても二万九千両ありましたのが三万二千両ということでございます。ただ、内容小型車中型車増加しております。これは需要が小口化していることを反映しているということが一つであろうかと思います。もう一つは、先ほど申しました規制緩和推進計画の中で需給調整規制を弾力化してきたということが原因かと思います。  それから、二つ目分社あるいは減車傾向、あるいは分析でございますが、既存事業者について分社化減車化がある程度進んでおります。この背景は、輸送需要が人員はふえておりません一方、収入単価が下がっておりまして、費用の切り詰めが必要だということで減車あるいは分社が進んでおるというふうに認識しております。  さらに退出のことでございますが、退出廃止とか事業譲渡であろうかと思いますが、それも平成九年度に入りまして廃止あるいは譲渡増加が著しいという傾向が出ております。  その背景でございますが、今申し上げましたように、輸送需要は二億五千万人台でずっと横ばいを続けております。一方、収入が減っておりますので、近年の景気低迷による収入減などが反映してそのようなことが進んでおるというふうに認識しております。
  17. 松前達郎

    松前達郎君 そういうことであれば、恐らく今後競争が激しくなりますと、退出したりあるいは参入したりするのが非常に激しくなってくるんじゃないか、こう思うんです。これは自由競争の中に入っていけば当然そういう結果になるんじゃないかと思います。  改正案内容に関して伺いたいと思いますが、貸し切りバスというのは事業ごと許可制になったんですね。それで、事業区域については北海道と沖縄を除いて都道府県単位ということになっていて、すっきりしていると思うんですけれども、平成九年度以前には、運輸支局ですとか市とか郡とか県とか、エリア別に区分されていたばかりではなくて、車種別にも区分されていたわけです。こういう細かい区分をされた理由というのは何かあったのかどうか、これについてお伺いします。
  18. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 平成九年度以前は、委員指摘車種別、例えば大型車につきましては県単位中型車小型車につきましてはさらに細かい市郡単位というふうに事業区域が決められておったものでございます。この理由は、需給調整をより厳格に見る、あるいはきめ細かく見るというような思想があったように思います。その後、需給調整規制緩和方針に従いまして都道府県単位に統合されてきたというふうに考えております。
  19. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、今回改正が行われると多少その辺が変わってくる、なくなっていくわけですね。  それで、現行法では、例えば埼玉県を事業区域としている事業者がある場合、隣の東京都で事業を拡大しようと考えたら、東京都で新たにまた免許を取ることになるんじゃないか、こういうふうになると思いますが、今度の改正ではこれはどういうふうになるんですか。これは自由に参入できるのかどうか、それが一つ。  それから、事業計画の変更で営業区域をもしか拡大できるのであればどこまで拡大できるのか。それだったら日本国じゅうどこでもいいのか、あるいは関東地区とか中部だとか東北だとか、そういうふうな地区別に拡大するようになるのか、あるいはそれはフリーになるのか、この辺もひとつお願いします。
  20. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 現行法では事業区域ごと免許制ということでございますので、埼玉県で免許を持たれている方も東京事業を展開するときは東京A会社東京ということで免許が必要でございました。  今後でございますが、一事業者一許可というふうに考えておりますので、ある事業者が許可をとられますと、埼玉でも東京でも事業は展開できる。ただ、展開をして拡大されるときは事業計画の変更ということを受けていただく必要がある。その意味は、貸し切りバス事業実態からして、どこでも営業所なり運行管理なり整備管理をしっかりしてもらわないと困るということでございますので、そういうことにしたいと。  したがいまして、ある事業者の方が事業を全国展開しようと思えば、許可は一つ事業計画をそれぞれ地域ごとに取っていただくということになります。
  21. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、事業計画の変更というのは追加変更でいいんだろうと思いますが。
  22. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) はい。
  23. 松前達郎

    松前達郎君 そうですね。  それともう一つは、最低保有台数というのが基準で定められているわけですが、どうも台数というのは一台でやるというわけにはいかないかもしれませんね。航空会社では一機でやっているところもあると思いますけれども、しかし、これは何らかの機械的な原因で運行不可能になる場合のこともあると思うんです。そういうことは少ないと思いますが、だからこれについて基準があるんですが、その根拠について、理由も含めて何であるかということ。  基準をつくるというのは、ある意味では、指導的にこの基準を守りなさいというのじゃなくて、基準としてきちっと決めればこれは規制になるわけです。これらについての緩和というものはお考えになっておられるのかどうか。できないとしますと、その理由があると思うんですが、これらについてお伺いします。
  24. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 事業の最低保有車両は現在大型車につきましては五両、中小型車につきましては三両ということになっております。  この規制理由は、専ら輸送の安全確保の観点からでございますが、事業の展開のためには運行管理、整備管理、事故発生時の対応等が必要であろうかと思います。そのためには最低限一定の事業規模、保有車両が必要ということで、そのような保有車両の規制をしておるわけでございます。  今後でございますが、このような安全規制は今後とも必要かと考えておりますので、五両、三両というレベルで今後とも規制を行いたいと思いますが、そのようなレベルでございますので、参入障壁というようなものにはならないというふうに認識しておるところでございます。
  25. 松前達郎

    松前達郎君 今安全な運行とおっしゃって、これはもう一番重要なことだと思いますが、最近どうもバスの事故というのが非常に大きな事故があるわけです。ふえてきているんじゃないかと思うんです。  重大な事故発生と運転のための労働時間の関係、これを見てみますと、拘束時間が二百十一時間から二百六十時間の事故発生率、これが全体の約五〇%。安全確保には労働時間を含め労働環境の問題等もあると思うんですけれども、また効率的な運行管理を可能とする基準などがあってしかるべきではないだろうか、こういうふうに思うんです。  皆さんも恐らく車を運転されると思うんですが、高速道路で眠くなるとかそういうのは確かに精神的な面、緊張度が足らないと言えばそれきりなんですが、疲労とかそういうものもそれに大きく影響しているんだろうと思うんです。  ですから、そういう意味で、労働環境について何らかの、指導でもいいですが、指導というと聞いているといったってなかなかやらないですから、ある程度の基準というものを定めておく必要があるんだろう、こういうふうに思います。定めておくというのは、いい方に向かって基準をつくる。  貸し切りバスなどの安全確保の強化策として、運行管理制度が今回強化されるわけです。この運行管理者の責任は非常に私は重いと思うんです。現行の運行管理者の要件というのは、最短で二十一歳。取れるまでのいろんなトレーニングその他もあると思いますが、二十一歳で運行管理者になることが可能なんです。二十一歳だから能力がないとかあるとか言っているわけじゃありませんけれども、可能であるということになるかどうか、可能であると私は受けとめているわけですけれども、これについていかがでしょうか。
  26. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 安全と労働環境の関係は、今委員指摘のとおり大変密接な関係があろうかと思います。特に貸し切りバスにおきましては、遠方に行きますとか、見ず知らずの土地に行きますとか、長時間運転をするというようなことがあります。また、事故が起こる場合には大変重大な事故に結びつくということで、大変重大な問題かと思います。拘束時間が長くなれば事故件数は増加するという傾向があることも委員指摘のとおりでございます。そのために、過労による運転事故防止あるいは運行管理の強化ということは今後とも必要になろうかと思います。  運行管理制度は最も安全の基本になろうかと思っておりますが、今運行管理者の選任の中で二十一歳以上の運行管理者は年齢的には可能でございます。ただ、運行管理者の選任の条件といたしまして、一定の実務経験や講習の受講を義務づけておりますし、今度の法律改正におきましても運行管理者の権限の明確化、例えば運行管理者の指示に従うとか事業者との関係を明確にするとかということをお願いしておりますので、運行管理者の権限の明確化、強化という方向で安全を確保するということを堅持したいと考えておるところでございます。
  27. 松前達郎

    松前達郎君 確かに、自己責任を全うするためにはこういった運行管理というのをきちっとやらなければいけないわけですから、その点、責任が非常に重いということになろうと思います。これは海上の場合も同じなんです。条約の中にそういった条約があって、最近になって日本もそれに対処するようなことが行われてきているわけです。これは海の話ですけれども。  さてそこで、この道路運送法について最後の質問になりますけれども、コミュニティーバスというのが最近あちこちで使われているわけです。このコミュニティーバスの状況。これは路線バスとタクシーの間を埋める小型バスが運行に使われているわけです。このバスの現状と、都市交通の手段として今後これが定着するかどうかというのは大きな問題だと思うんです。  私は武蔵野市に住んでおりますけれども、武蔵野市でもムーバスというのがあります。とにかく一回百円で乗っけるんです。たしか子供はただだったと思うんですけれども。しかし、これはその地域のバス会社に運行を任せているわけですから、たしか一日に千何百人か乗るという話ですけれども、それに百円掛けてもとても人件費も出ない状況です。その差額については地方自治体が補助するという形ですから、普通の会社としては成り立っていないわけなんですが、市民としては非常に便利なんです。  こういったコミュニティーバスについて、定着するかどうかちょっとわかりませんけれども、運輸省としてはどういうふうにごらんになっているか。  そしてまた、交通が混雑する都市の場合ですと、いつ来るかわからない路線バスを待っている人たちが随分いるんです。バスの運行状況情報が入らない場合が多くて、いつまで待てば来るのか非常に運行状況がわからないです。これは非常に気の長い話ですけれども、利用者はいつ来るかわからないバスを待っていることが多いんですが、この運行状況を把握できるバス・ロケーション・システムというのがありますね。これもだんだんと採用されてきつつあると思いますが、この現状。その二点についてお知らせください。
  28. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) コミュニティーバスとバスロケーションの現状と今後の対応の御質問でございます。  コミュニティーバスといいますのは、今、武蔵野市のムーバスを委員が例に引かれましたように、市町村が主導的になりまして、あるいは補助をした上で安いバスを走らせるということで、高齢化の進んだ市民に大変好評なものでございます。幾つも例がございますが、初乗り百円とか百五十円で乗れますものでございますので大変好評でございます。今後とも、利用者に優しい環境対応したバス輸送という観点から積極的に支援をしたいと考えておるところでございます。  一方、バスの一つの欠陥は定時性が確保されない、いつ来るかわからない、後かもしれないということで、いわゆるバス・ロケーション・システムで、いつ来るのかという情報を停留所で提供するという施設の整備が従来進められておりますが、現在全国で二千八百系統のバスロケーションが整備されております。  コミュニティーバス、バスロケーション、これはいずれも国としても補助対象にしておりますので、今後とも積極的な導入を進めていきたいと考えておるところでございます。
  29. 松前達郎

    松前達郎君 それでは次に、鉄道事業法の一部改正に入りたいと思うんです。  参入規制等の見直しに関してお伺いしたいと思うんです。これも参入に当たっての免許制許可制とする、いわゆる需給調整規制というのを廃止すると。その廃止する理由と、廃止によって鉄道事業者及び利用者にどのようなメリットがあるかということ。それが一つ。  それから、鉄道は、参入するとしますと、ただそこに路線をつくって走らせればいいというだけじゃなくて、インフラの整備も当然やらなければいけなくなってくると思うんです。需給調整規制撤廃しても、新規参入というのはそういう意味からいうとなかなか期待できないのではないか、こういうふうに考えるんですが、これについてどうお考えかということ。この二つについて、まずお伺いしたいと思います。
  30. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) まず、免許制許可制とする理由について申し上げたいと思います。  二十一世紀に向けまして、国民生活や経済活動に基盤的な役割を果たします交通運輸分野におきましても、事業者の自主性、主体性を尊重しつつ、市場原理自己責任原則のもとに競争を促進しまして、事業活動の一層の効率化、活性化を図るとともに、輸送コストの低減、運賃料金の低廉化、利用者ニーズに対応した多様なサービスの提供を図ることが期待されております。  このような状況にかんがみまして、交通運輸分野における需給調整規制の原則廃止の一環として、旅客鉄道事業につきましても需給調整規制廃止すること等によりまして、事業者の自主性、主体性を尊重しつつ、さらなる利用者利便の増進、事業活動の活性化を図ることにしたわけでございます。  これによりまして、参入規制につきましては、許可制とすることによりまして競合路線への新規参入が制限されることがなくなるため、路線の円滑な展開が進むとともに、事業者間の競争促進による輸送サービスの向上が期待できるわけでございます。  しかしながら、先生お話しのように、鉄道の建設費の高騰、建設期間の長期化等から、事業者の投資インセンティブは低くなっております。そういう意味で、規制緩和のみでは鉄道事業への参入の促進、それによる競争の促進が図られにくいということもまた事実でございます。このため、規制緩和とあわせまして、利用者利便の向上方策や鉄道整備の円滑化方策を講じていくことが必要と認識しております。  鉄道整備の円滑化方策につきましては、昨年十二月十八日、運輸政策審議会に対しまして、中長期的な鉄道整備基本方針及び鉄道整備の円滑化方策について諮問を行いまして、社会的に必要とされる適切な鉄道整備のあり方及びその方策について現在御審議をいただいているところでございまして、競争原理が働くような新たな参入も行われるよう、今後、同審議会の答申を踏まえながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  31. 松前達郎

    松前達郎君 ちょっとわかりにくかったんですけれども、特定の目的を有する旅客の運送、これに関して運輸省令で定める要件に該当する鉄道事業、これには輸送の安全と事業遂行能力の基準、この二つの基準について審査をする、こういうふうになっていると思うんですけれども、どのような鉄道事業を想定しておられるのか、あるいはどういう考えからこの二つの基準だけとしたのか、これについてお答えいただきたい。
  32. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 観光地において専ら観光旅客の運送を行う鉄道事業というようなもののように、特定の目的を有する旅客の運送を行う鉄道事業に対しましては、鉄道の存在を前提に地域住民の日常生活が営まれるといったような特性を有していない、こういうことに着目いたしまして、通勤通学等の国民の日常生活や経済活動に必要不可欠な輸送サービスを提供するほかの一般の鉄道事業とは異なりまして、利用者の利益に及ぼす影響は比較的小さいというふうに考えております。  一方、このような特定目的の旅客の運送を行う鉄道事業への参入を促進させることは、多様な鉄道輸送サービスの創出につながるということでございまして、さらなる利用者利便の増進に資することから、安全の確保に留意しつつ、一般の鉄道に比べてさらに緩和された基準により審査を行うことが適当というふうに判断いたしまして、許可基準の特例を設けさせていただくということでございます。  具体的な許可基準といたしましては、事業の安定的な継続に対する要請が少ないことなどを勘案いたしまして、事業の経営上及び事業遂行上の適切性の観点からの審査を省略いたしまして、安全上の観点、事業遂行能力の観点からのみの審査に絞らせていただくということでございます。
  33. 松前達郎

    松前達郎君 簡単で結構ですから。  鉄道事業の継続性の問題なんですが、鉄道が廃止される、あるいは撤退するとかやめるというふうなことが地域住民にとると非常に大きな影響を及ぼすだろうと思うんです。今回、鉄道事業の継続性についてはどうも考慮していない、しないようにする、こういうふうに解釈を私はしているんですが、その理由は一体何だろうかということです。  公衆の利便が著しく阻害されるような場合でも届け出れば事業廃止することができると。これは観光ももちろんそうかもしれません。例えば観光に使うような交通手段としての鉄道であるとすれば、これをもって、観光業者だけじゃなくてその周辺にある地域の方々も大きな利潤をそこから生み出すことができるわけですね。そういうふうに非常に影響が大きいんですが、継続性を考慮しない、届け出で事業廃止できるということになると思うので、これは一体どういうことなのか、どのように対応したらいいのか、運輸省としてどうお考えなのか、これをお伺いしたいんです。
  34. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  鉄道事業は、定時性、大量性、高速性という輸送特性を有しているわけでございますが、この輸送サービスは地域におきまして非常に基幹的な輸送手段である、そういう意味で非常に公共性が高いということを認識しておりますので、その事業参入に際しましては事業の継続性、安定性の観点からの審査を行うこととしております。  そういうことで審査いたしますが、一方また、鉄道の退出の問題についてでございますけれども、先生お話しのように、新しい法律案につきましては、公衆の利便が著しく阻害されるような事態におきましても届け出を一年前にすれば退出ができるという仕掛けになるわけでございますが、現実にそういうことが起きてはいけないという観点から、実は今申しましたように事前届け出の期間を一年間という非常に長い期間をとらせていただいております。その期間の中におきまして代替の生活交通サービスが確保できるような手だてを我々行政としても最大限努力させていただくということで、地元協議会というようなものを設けてその輸送手段を確保するということに力を入れて、先生お話しのような、代替輸送機関がないような形での廃止ということがないようにということでの手だてをしているわけでございます。
  35. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、簡単に言えば退出といいますか廃止したい一年前に廃止の届け出を出すと。一年間余裕がありますね。その間は廃止できないわけですから、その間に地元との協議その他をいろいろ重ねる中で、何とかこれを廃止しないでいいような方向に持っていくように運輸省としても努力するというふうに受け取ってよろしゅうございますか。  運輸省がそのためにお金を出すとか、そういうことはないと思いますけれども、そういった環境づくりといいますか、こういうものに対して運輸省としても努力をしたいというふうに私は今お伺いしたんですけれども、そう解釈してよろしゅうございますか。
  36. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) これは地元の方々との御相談あるいは当該事業者との御相談になるわけですが、当然当該鉄道について地元の御支援をいただきながら継続するということも一つのチョイスでございますし、それがかなわない場合にほかのバス等の輸送手段を整備する、この辺については御相談の上でということでございます。
  37. 松前達郎

    松前達郎君 実際、鉄道が廃止されるというのは、その地元にとっては一番大きな影響を受けることだろうと思いますので、これは今後また重要な課題になってくると思います。  それと、運賃の問題ですが、運賃と料金の規制の見直し、こういう問題が今度の改正に含まれているわけですが、上限価格制度の導入の状況、これが一体どういうふうな経済効果をもたらすだろうかということ。あるいは、プライスキャップ制が従来から論議されてはいますけれども、その検討状況は一体どういうふうになっているのか。また、認可を受ける運輸省令で定める料金、それから届け出だけでよい運輸省令で定める料金、この二種類があると思うんです。それぞれ運輸省令ではどのような料金を定めるおつもりなのか。また、届け出が不要となる料金というのは一体どういうものなのか、これについて簡単で結構ですからお答えいただきたい。
  38. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) まず、上限価格制度の導入状況でございますが、御案内のように、現行の認可運賃制の中での運用としてやらせていただいております。平成九年一月から実施しておりますが、現在上限価格制を採用している事業者は、百七十事業者がございますが、このうち百五十三事業者が採用してございます。  それから、この制度の導入によりまして利用者利便の増進、事業者の自主性の確保、規制コストの軽減等の効果があるものと認識しておりますが、その百七十事業者のうち四十六事業者が上限価格制を活用して届け出のみで乗り継ぎ割引運賃等を設定しているという状況にございます。  次に、プライスキャップ制についての議論でございますが、これは学者の方々等専門家にお集まりいただきまして検討いただいておるわけでございますけれども、これは実は両論が拮抗しております。ちょっと具体的に申し上げますと、プライスキャップ制というのは、御案内のように、行政が原価に関係のない物価指数等の外生的な数字を用いて運賃改定率の上限を設定するということでございますけれども、これについて、運賃の設定、変更に関する事業者の自主性が高いというメリットということで採用を主張、前向きに考えられる方々と、その一方で、価格の上限値の算定に際し、原価に一切関係のない物価指数等の外生的な数字を用いることについて、いわゆる利用者等が納得してくれるかどうか、この両論の議論が拮抗しておりまして、実はまだ収束するような状況にはございません。そういう意味で、我々この問題につきまして引き続き慎重に検討させていただきたいという状況でございます。  次に、改正後の料金についての問題でございますが、法改正後におきましても上限の認可が必要な料金としては、運輸省令において、例えば新幹線特急料金のように当該料金を支払わないと運送がなされないという意味運賃と同様の性格を有するものについては認可制の対象とする予定でございます。  それから、事前届け出のみで足りる料金としては、法律上明記されております特別車両料金に加えまして、省令においては急行料金、寝台料金、座席指定料金等を定める予定でございます。  また、今回の改正によりまして、これまで事後届け出とされておりました入場料金、払い戻し手数料を新たに届け出不要とさせていただいているところでございます。  以上でございます。
  39. 松前達郎

    松前達郎君 乗り継ぎ円滑化措置というのがあるんですが、これについてお伺いしたいんです。  せっかくハイスピードで走っている新幹線に乗ってある駅でおります。これから在来線に乗りかえる。いつ来るかわからないんですね。物すごい時間待たされる。これはさっきのバスの問題と同じなんですが、新幹線の場合はバスと違ってタイムテーブルがきちっとしていますから、あるいはJR等でもローカルはきちっとしていますので、それはいいんですけれども、うんざりするほどの乗りかえ時間を在来線ホームで過ごさなきゃならない。これは何回か私も経験いたしました。  ですから、少なくともJRに関しては総合的な列車ダイヤ調整というのを行う必要があるんだろう。これは難しいかもしれませんが、最近コンピュータープログラム等がどんどん開発されますから、そういうものを使ってこれは一番効率がいい調整ができるんじゃないかと思うんです。こういった問題について、どういうふうに今調整を行おうとしておられるのか、あるいは行っておられるのかというのが一つ。  それから、例えばそれは同じJR経営の乗り継ぎの場合はそういうことになると思うんですが、他社、私鉄、そういった鉄道との乗り継ぎになる場合、これは恐らく協議が必要だろう、こういうふうに思います。ですから、今回の、他の鉄道業者は鉄道施設の有する機能に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、あるいはその他の運輸省令で定める正当な理由がある場合を除いてこの協議に応じなきゃいけない、こういうことになっているんですね。これは、正当な理由というのは一体どういう理由なのか、もしか説明できたらお願いしたいと思います。この二点について、お伺いしたいんです。
  40. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) まず、ダイヤの調整でございますけれども、JRそれから私鉄それぞれの事業者は、お客様のダイヤの接続ということは非常に大事に考えておるわけでございます。その意味で、ダイヤ設定に当たりましては、自社内それから他社ともそういう調整をしていただく、そういうことでやっていただいておりますけれども、そのときに接続のお客様のほかに実はその他の地域のお客様もおられるということの中において、そういういろいろな需要に応ずるということ。  それから、先生のお話もございましたように、特に在来線については運転本数の少ないという制約、こういう中において一番いいダイヤというものをそれぞれ苦心しながらつくっているという状況でございまして、我々いろいろこういうことについての御不満、御意見等いただく機会も多うございまして、具体的によく会社等々と具体のダイヤ調整についても相談していることがございますけれども、なかなか正直言いまして難しいものがございます。その中でも、我々常にお客様の立場に立って、当該事業者とともにこの問題について引き続き努力させていただきたいと思っております。  それから、乗り継ぎ施設の改善につきまして、正当な理由がある場合というお話でございましたけれども、我々考えておりますのは、やはり当然これは施設面での調整でございますので費用がかかることになります。そういうことですので、その当該投資が費用対効果という面からリーズナブルなものであるかどうか、あるいはその負担の分担等についてリーズナブルであるかというふうなことを含めまして、やはり社会常識的に見て公共輸送機関を担う事業者として正当な理由があるかどうかというようなことで判断させていただきたいと思っておるところでございます。
  41. 松前達郎

    松前達郎君 今の乗り継ぎの問題、これは恐らくいろんな意見を皆さんからいただいているんだろうと思うんです。ローカル線の時刻表に従って一番いい新幹線を選んでも三十分以上待ったり、そうかと思うと二分前に出てしまったり、何だかちょっと解せないような、そういう乗り継ぎがあるんですよ。乗り継ぐ駅なんですから、新幹線がとまるところは。そういうことなんで、これは今後また御努力いただきたいと思います。  最後に、大臣にお伺いしたいんですが、鉄道というのは、エネルギー消費からいきますとこれは非常に有効な輸送手段なんです。できればトラックとかそういうものをやめてしまって全部鉄道にした方がよほどいいんじゃないかと思いますけれども、これはいろいろと事情があってそうはいかないが、大量高速輸送の面ですぐれている。それで環境にも非常に優しい。それとまた同時に、国土の均衡ある発展あるいは地域経済の活性化にも貢献しているということですから、鉄道の果たす役割というのは非常に重要だと思います。  今回の法改正によって運輸関係の社会資本として鉄道の役割、任務が高まっていくと思うんです。利用者にとって利便性の増大、これも十分考えられることであります。また、運輸関係では航空との競争もありますね。これは運賃の問題も含めて航空との競争の問題もありますけれども、それはそれとして、最後に大臣から、今後の鉄道ネットワーク整備、この問題について所信をお伺いいたしたいと思います。
  42. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本的には三つあると思っております。  一つは、国土の均衡のとれた発展。そのために、やはり北海道から九州まで新幹線というものをきちっと通すべく努力をしてまいりたい。これが第一であります。  それから、やはり大都会の通勤通学対策、混雑というものをどう緩和していくか。地下鉄を主体にやっております。また同時に、通勤距離が大変長くなっています。私も視察をしてまいりましたけれども、大変長くなってきたなと。そういう意味では乗り継ぎなしである程度の距離が行けるということが大事だろうと思いますので、地下鉄と私鉄とかJRの組み合わせ、これが大事であろう。ここへ都市対策としてしっかりやっていかなきゃならぬ。  そうなりますと、最後に残されてまいりますのは在来線の問題になってまいります。在来線の問題をどう考えていくかということの中で、今回、中長期的な鉄道整備のあり方、今運政審に諮問をさせていただいたところでございます。フリーゲージトレーン等技術的な開発によって在来線というものをもっと力をつけていくとか、いろんな方策があると思います。場合によっては、上下分離という考え方もあるだろう。いろんな考え方の中でこの三つをしっかりやっていきたい。  いずれにせよ、委員指摘のとおり、日本の将来を考えたときに、鉄道のしっかりとしたネットワークをつくるために努力をしてまいりたい、このように思っております。
  43. 松前達郎

    松前達郎君 終わります。
  44. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本でございます。いつも最後の質問者でございますが、本日は早い順番を回していただきました委員長の御配慮に感謝をいたす次第でございます。  私も今回の法律改正、どちらも規制緩和の推進の一環だということで、その観点から二、三点質問をさせていただきたいと思っております。私が言うまでもなく、ただいまの御質問にもございましたが、規制緩和によって新しい展開なり新しい局面が出てくるわけでございますので、そちらに対する配慮もぜひお願いしたいということからの質問でございます。  まず、鉄道事業法の一部改正、ただいまも御質問ございまして、私が用意しました質問もほぼ松前委員の御質問で尽くされるような感もあるんですが、その辺の重複はお許しいただいて、一点だけお伺いしたいんですが、やはり私もこの新規参入がどうもイメージとしてちょっとわいてこないというような感じでございまして、言うなれば、需給調整規制廃止することによって経済の活性化が図られる、この点については何ら疑問はないんですが、一企業がそういう需給調整といいますか需給見通しを立てて、その時点でいわゆる運輸省サイドは何の介入もしないで、インフラといえば相当お金がかかるわけでございますから、そういうものが実際にいくのかな、そういう可能性があるのかなというような疑問がちょっといたすのが一点でございます。  それと、いい例かどうかわかりませんが、規制緩和によって、例えば大店法で大型店が地方の都市なんかにどんどんできて、どうしてこんなにできるのかなというような疑問を持ったんですが、人によりますと、要するにどんどんつくってお互い競争して、だめなのはつぶしちゃえ、いいのだけ残っていくと。それも一つ経済原則かもしれませんが、いわゆる公共的な役割を持っている鉄道というのがそのようなことになると、これは利用者の問題として非常に困るんじゃないのか。  この辺が非常に疑問に思っておるところなんですが、その辺についてどういうふうにお考えか、お願いいたします。
  45. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  鉄道事業につきまして需給調整廃止しての規制緩和ということがどういうような影響をもたらすかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、鉄道事業の新規参入という場合、施設の整備に多額な資金を要し、また長期間を要するというようなことの事情の中で、実はなかなかインセンティブが働きにくいだろうというふうに認識しております。  ただ、こういう規制緩和、これは需給調整のみならず運賃等々すべての面にわたっての規制緩和でございますので、事業者の主体性、自主性というようなものがより促進されるという意味での期待を込めているわけでございます。  そういう意味で、参入問題については、実はこれだけでは余り効果がないものと我々も認識しております。その意味で、先ほどの国、地方からの支援策等々も含めまして、鉄道整備の支援策というようなものもせっかく運輸政策審議会で議論してきていただいておりまして、この成果を踏まえまして、今回の措置とあわせまして鉄道の整備を促進したいということでございます。  それからまた、仮に新規参入があるという場合につきましても、その新規参入事業者が一過性の参入では困りますので、先ほどお答え申しましたように、我々としては事業の継続性というものも当然審査事項には残しまして、しっかり審査させていただき、先ほどの御懸念のような利用者に対する阻害が生じないようにしてまいりたいというふうに考えております。
  46. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 新しい参入といいますか、例えば新都市交通等、これから大変重要なものになってくると思いますので、そういうことに対する御検討もされているかと思いますけれども、その辺は大変ありがたいことだと思っております。  今御答弁の中でインセンティブが働きづらいというようなことをちょっと言われましたけれども、これは逆から見ると、余り新設ということを期待されていないんじゃないのかな、予想されていないんじゃないのかなという気もなきにしもあらずでございます。  それと、私が先ほど申しました混乱というのは、こんなのは杞憂かもしれませんけれども、自由化によって本当の企業間の競争、これはいろんな要素が入ってくると思うんですけれども、そういうことによって、言葉が悪いかもしれませんけれども、相手を倒そうとするような力が働いてというようなことがあると、利用者に対して非常に影響があるというようなことを申し上げたつもりでございます。  それで、今の話に戻りまして、インセンティブが働かないと。余り新設というのが予想されていないというようなことかと思いますけれども、もしそうだとすると、今度は規制緩和環境に対する影響といいますか、先ほど大臣規制緩和に伴う環境への影響というのをいろいろ御検討中というふうにお話がございました。御議論されているんでしょうけれども、ただ、こういう法律なんかで規制緩和がどんどん進んでいくとすると、もう環境面からの検討もできるだけ早くしていただかなきゃいけないんじゃないかなというような気がするわけでございます。  その面で、いわゆるCO2等をたくさん出す事業に関係が深い運輸省であると思いますので、COP3で地球温暖化防止対策として削減目標を立てて、私も県におるとき県はどうするのかというようなことでいろいろ検討させてもらったことがありますけれども、運輸省の方もその辺の検討をされたと思いますが、そのお考え方と、どんなふうに今考えておられるのか、それをお答え願いたいと思います。
  47. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) 先生御指摘のように、九七年十二月に京都におきましてCOP3が開催されまして、二〇〇八年から二〇一二年までの各国の目標値というのが設定されまして、我が国は一九九〇年比で六%削減となっております。  運輸分野というのは二酸化炭素の排出量が我が国全体の二割を占めておりまして、非常に上昇の激しい分野でございまして、このままいきますと二〇一〇年では一九九〇年比約四〇%増加考えられております。  これを何とか二〇一〇年までに伸び率を一九九〇年比で一七%増程度に抑えるためには千二百七十万トンほどの削減が必要でございます。したがいまして、運輸省といたしましては、千二百七十万トンを二〇一〇年までに削減することを目標値として定めております。  それで、これを具体的にどのような形で進めるかということでございますが、まず第一には、自動車が大体八九%ぐらいCO2の発生源でございますので、自動車等の個別輸送機器のエネルギー消費の向上、それから低公害車、低燃費車の普及促進、これに一つの重点を置いております。  さらに、物流の効率化。これは特に積みつけでございますとかいわゆるモーダルシフトでございますとか、こういったものについての物流の効率化によりますCO2の削減。  それから第三番目に、やはりこれも重要なものといたしまして公共交通機関の利用促進。先生御指摘のように、鉄道、鉄軌道の整備及び鉄道の利用促進によりましてCO2の削減に努める。こういったものを柱にして強力に推進しているところでございます。  具体的に何が今までに進んだかといいますと、今申し上げた鉄道その他公共交通機関の利用促進や物流の効率化は既に行っているところで、これを強力に進めているわけでございます。  また、これに加えましてガソリン乗用車の燃費基準、これにつきましては昨年十二月の運輸技術審議会の答申に基づきまして燃費のトップランナー方式を導入しております。  さらに、低燃費自動車の一層の促進を図るために、運輸政策審議会におきまして、いわゆる自動車関係税制のグリーン化という方向で取りまとめが行われております。  今申し上げたようないろいろな施策を総合的に打ち出しまして、この千二百七十万トンを二〇一〇年までに達成するように一層努力していきたい、このように考えております。
  48. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 いろんな面からの御努力は感謝いたす次第でございますが、ただいまございました公共交通の利用の促進というような観点からもまさしく鉄道事業法も関係してくるんだと思うんです。言葉が悪いかもしれませんけれども、行政指導とかそういうことではないんですが、いわゆる自分の所管の中に押さえておいた方がそういう環境問題に対するCO2の削減規制等はやりやすいんではないのかなと私は思うんです。  そういう面からいきますと、今回のこの改正規制緩和ということについては私は何も申し上げないんですが、そういう新しい局面になったときに目の届かないところへ行ってしまう感じがなきにしもあらずでございまして、その辺に対してどういう取り組みをされているか、あるいはされようとしているのか。  その辺をきちっとやらないと、先ほど言いましたように、局面が変わったわけですから、最初お出しになった目標、そのままいかないという気がしてならないんですが、それについてもし大臣の御所見がございましたらお願いをいたします。
  49. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘のとおりでございまして、例えばトラック業界の規制緩和が進む、新規参入がふえる、高コスト構造というものが徐々に是正をされ、結果として物流の近代化、そしてサービスの向上につながっていく、こういう図式ではあります。  しかし、一方で経済状況という背景もございますけれども、経営が厳しくなりますから、トラックがなかなか買いかえになっていかない。ある意味では、CO2という面では非常に排出の多いトラックをそのまま継続して使っている。規制緩和の結果として、環境という側面からも見るとなかなか、逆の動きを示しているんではなかろうか、こういう御指摘をいただきます。  また、規制を強めればかえって、これは最近では家電のリサイクル、私も家電業界出身なものですからよく引用させてもらうんですけれども、家電のリサイクルというものが義務づけられる。リサイクル工場を持たない会社は家電を売ることができないよ、四つの家電だけですけれども売れないよということで、ある意味では規制が強化される。しかし、結果として、環境とか資源のリサイクルという意味では非常によくなっていく、こういう側面があるんだろうと思うんです。  そういう意味で、規制緩和が高コスト構造というものを変えていくという一つの日本の処方せんとして行われていることは事実であります。  しかしながら、いろいろ申し上げておりますように、光と影の部分が当然出てくる。ローカルの部分をどうしていくのかというのは我々の一つ課題だろう。また一方で、今御指摘いただきましたように、環境という側面から見ると必ずしもそうならないんじゃないかということで、逆の御指摘をいただいております。  さあ、それでは税制面とか、または先ほど議論ありました地方の在来線というものに私どもがバックアップできていく仕組みがつくれるのかとか、こういう税制、財政、いろんな面でやっぱりバックアップしながらやっていきませんと、規制緩和によってもたらされる光の部分と規制緩和によってもたらされる逆の影の部分、ここはやっぱり環境という側面もあるよという先生の御指摘はそのとおりだろうと思いますので、十分これから配意しながらやっていかなきゃならない。結果として環境規制がふえることになるかもしれぬが、そのところは御理解を賜りたい、このように思っております。
  50. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣おっしゃるとおりであると私も思っております。  それと、今お話しございました一つ対応をやっても、リサイクルのお話ですか、それに対して別の面からまた環境対策になるというような面もあると思います。世の中予想されない面もあると思いますけれども、やはりある程度は見通しを立てて、これはこういう規制緩和をして我が省のことでそれはどうなるか、我が省が考えられないからそれはもう任せちゃうんだと、結果を待つんだということでなくて、またそれは各省にもまたがるんだと思うんですけれども、この今の複雑な時代でございますから、各省との連携も含めて、新しい対応をするときにはやはりそれに対する、今大臣言われた影の部分といいますか、そういうものをよくお考えいただけたらなとお願いを申し上げる次第でございます。  それと、この規制緩和に関しまして、これは運輸省に限ったことではないと思うんですけれども、規制緩和は、まさに自由で公正な競争原理を導入して経済の活性化を図る、こういうことだろうと思うんですが、それともう一つ、小さな行政といいますか、小さな政府といいますか、身軽な政府といいますか、そういうものも意図しているんではないのかなと私は思うんです。そういうことによって、今財政問題がいろいろ出ておりますけれども、結局、財政負担の軽減等が図られるという側面も私はあるんでないのかなと。  そういう面から見ますと、これは組織として非常に痛い面かもしれませんけれども、やはりこういう規制緩和によって何らかの業務あるいは組織に対する影響があると。はっきり言いますと小さくなる可能性があるんじゃないか。そういうのが見えないと、やはり国民のサイドから何が規制緩和だったのかというような面も見られる可能性があるような気がするんですが、それに対して、運輸省のお考えだけで結構でございますけれども、どんなふうにお考えになっているか、大臣、ひとつよろしくお願いします。
  51. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 実は多少個人的な見解になるかもしれませんけれどもお許しいただきたいと思うんです。  規制緩和、最近の課題、金融問題が大きく全面的に出てまいりました。金融の規制緩和は、実は岩本先生、先ほどお話しありましたように、自分たちの中に入れておいた方が統制もききますし、事前のチェックになりますので、はっきり言って行政からいえばやりやすい。そしてもっと言えば、人もかからない、コストもかからないということだろうと思います。金融等を規制緩和した結果として、金融監督庁における事後チェックというものの数を逆に相当ふやさなければならないねということになっているのは御承知のとおりであります。  運輸省におきましても、事前チェックというものをなるべくしない、そして創意工夫を生かしていく、しかしながら一方で安全というものは担保されなければなりませんから、必ず事後チェックというものはしていかなきゃならない。したがって、果たしてそれが人員の削減にそのままストレートにつながるかという問題はあろうと思います。  また、ある側面から見れば、より自由濶達な創意工夫の中でやっていくということになると、場合によっては警察というところは人数がふえていくことになるのかもしれないな、こういう感じを私自身持たせていただいております。そこはやっぱり中央省庁で全部持っていた権限を地方に振り分けながらどう調整をしていくかということになるんだろう。したがって、規制緩和をすればそれが即公務員、特に国家公務員の人員の削減につながるんだというお考え方は、私は必ずしもそうではない。しかし、我々のやっておる仕事の質は大きく転換をしていくということだけは事実だろうと思っております。  まさに今その問題で私どもは頭をめぐらしながら、多くの方々に御指摘をいただきながら詰めているところでございますので、どうぞ委員からも活発な御意見を今後とも賜りますようお願いを申し上げておきたいと思います。
  52. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣の言われるのも一つのお考えであると思います。私は単純に考えているわけでございますし、したがってこれがどうなるかは結果論でしかないような気もするわけですけれども、普通、常識的に考えますとやはり減るんじゃないかなというような気がするのが私の気持ちでございます。それは今大臣言われましたとおり検討されておられるでしょうから、質の変更が当然あるわけでございますから、その中で常識的な考えとしてそういうものもあるべしということはきちっとお考えいただかなければいけないんじゃないのかな、こんな気もいたします。  その辺の御検討もお願いをいたしまして、ちょっと二分ばかり早いんですけれども、適切な御答弁をいただきましたので、私の質問をこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  53. 小林元

    委員長小林元君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時十八分休憩      ─────・─────    午後一時六分開会
  54. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通情報通信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、鉄道事業法の一部を改正する法律案及び道路運送法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  55. 野沢太三

    ○野沢太三君 自由民主党の野沢太三でございます。  法案の質疑に入ります前に、かねてから懸案となっております基本的な問題について若干の質問をさせていただきます。  最初に、まず国鉄改革でございますが、国鉄改革は、赤字で行き詰まっておりましたいわゆる公社という形の経営スタイルを地域分割六社と全国一社で運営する貨物、そのほか関連の業務を二十数社に機能分割いたしまして再出発をした、こういうものでございますが、早いものでもう十二年目に入っております。がんじがらめでありました国としての法体系から、民間考え方に基づいた八つの法案に再編成をして再出発と、こういう経緯であったわけでございます。きょうも議題になっておりますが、この鉄道事業法も国鉄と民鉄別々にやっておりました事業法を一本にした上で今日までこれが通用してきたわけでございます。  この国鉄改革は、言うなれば今日取り組んでおります私どもの規制緩和のいわば先駆け、はしりの事柄でもあったわけでございますけれども、既に上場を果たしました本州三社の株式は、市場が非常に冷えておる中でも大変評価をいただきまして堅調に推移していることは皆様御承知のとおりでございます。これは各社ともどもにそれぞれの努力をしていただいたわけではありますが、何といっても大きいのは民営化ということ、しかも分割をした、分割・民営という枠組みが大変機能をしたと振り返ってみれば思われるわけでございます。  そういう面で考えてみますと、この分割・民営の心は私は民活・分営と言ってもいいんじゃないかと思うわけでございます。民間の活力を生かす、自由競争市場原理ということで民間の活力を生かし、かつ地域ごとに分割をするということでそれぞれの独自の条件、環境に即した意思決定が大変早くいくということで、当初、民営化はいいが分割についてはいかがなものかという議論があの当時大変厳しくありまして、役員総入れかえというような事態もございましたけれども、結果的には大変これがよかった。私は、分割の効果と民営化の効果というものはいわば車の両輪のような働きを有していると今振り返ってみて思うわけでございます。  そして、残っておりました大きな課題でございます長期債務問題も、おかげさまで三月いっぱいをもって解決ということで、大変この間大臣初め皆様も御苦労をいただいたわけでございます。私も向こう傷をちょうだいいたしましたが、おかげさまで痛みはそろそろとれてきておるところではございますけれども、そんなわけで、これは大変お世話になりました。  まだ雇用問題について一部調整が残ってはおりますが、いずれにいたしましても、最後の課題としては完全民営化、これが残っておるわけでございます。  きょうは、この見通しについて大臣の所見をお伺いしたいわけでございますが、本州三社に関して言えば、株式放出のタイミング、なるべく早くということを会社の方も望んでおりますが、市場との関係でいかがなものか、見通しをお聞かせいただければ幸いであります。  また、三島、貨物はなかなかまだそういう状況にはないように思われます。平成十一年度の各社の経営計画を見ますと、いずれも減収減益というような厳しい状況で取り組むようなことになっておりますが、このような状況を踏まえながら今後の完全民営化に向けての道筋について、大臣から所見を最初にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  56. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 昨年の特別委員会審議でも再三にわたって私からもお話し申し上げてまいりましたけれども、昭和六十二年四月の国鉄改革基本理念、これはしっかり守ってまいりたい。そのためにも、早く本州三社の株を売却し、完全民営化に向けて努力をしてまいりたい。あわせて、今委員が御質問のように、残ります四社の上場というものも果たすべく努力をしてまいりたい、こんな思いで今日もやっているところでございます。  最初に御礼を申し上げたいと思いますのは、国鉄清算事業団の職員全員が、全員といったら間違いがあるかもしれませんが、ほとんどの人がJRに勤めることになりました。各会社に大変お世話になったということは委員会にも御報告を申し上げておきたいというように思います。  株の売却でありますけれども、でき得れば十年度内に売却を始めたいということで努力をしてまいりましたけれども、今御指摘のようにことしの春の市況が必ずしも堅調ではないということから、見送らせていただきました。しかし、そのときにも申し上げましたように、できるだけ早い機会に売却のチャンスをつかみたい、こう申し上げてきたところでございます。  また一方で、本州三社の方々とも局長を中心に水面下での議論を始めさせていただいているところでございます。まだ時期等完全に固まっておりませんので今発表する時期にはございませんけれども、できるだけ早くという思いを持ちながら努力をしている。どうぞ御理解を賜りたいというように思います。  また一方で、清算事業団自体、年金の支払いという問題を抱えておりますので、株の売却はやはりそういった意味からも進めていかなければならない課題というように考えております。  それから、三島並びに貨物でございますけれども、平成十三年度というのを目標にいたしております。今経済状況が極めて厳しいという中でありますので、先ほどのお話のように各社とも経営は大変厳しいものがありますけれども、日本全体の景気の回復というものもあわせて、十三年度に各社の努力のもとに上場ができるように私ども条件整備に努めてまいりたいと思っております。  ただ、最大の問題は、今回も御提案をさせていただいておりますように、貨物につきましては法改正需給調整撤廃も今回は盛り込んでおりません。それほど厳しい状況にあると認識をいたしております。したがって、私どもも努力をしなければならないと思っておりますけれども、JR貨物の経営者におきまして特段の努力をしてもらわなければならないだろう、このように今考えているところでございます。  いずれにせよ、冒頭申し上げましたように、六十二年の国鉄改革、野沢委員も大変御苦労いただいてでき上がったわけでありますけれども、そうした精神をしっかり生かしながら我々運輸省も頑張ってまいりますので、引き続き御指導をいただきたい、このように思います。
  57. 野沢太三

    ○野沢太三君 三島に関しては御承知のような経営安定化基金というようなものを持ちながらの経営でございますが、それだけに頼るわけにはいきませんから、今後は、例えば新幹線の整備であるとか、あるいは在来線も高速化を進めるとかというような体質改善、技術革新の成果を取り入れることも自立経営を保障する意味では大事ではないかと思います。  また、貨物に関してもなかなか状況は厳しいわけでありますが、物流の世界を見ますと、近代化、合理化努力をやった会社はそれなりに伸びているということも含めますと、今大臣指摘のとおりのさらなる工夫と一層の努力ということが望まれるわけでありますが、どうかひとつ運輸当局におかれましても、温かい御指導をよろしくお願いを申し上げるわけであります。  そこで、二つ目の大きな課題でありますが、交通安全の問題に入りたいと思います。  運輸交通基本は、やはりコストを含み利益を追求するという側面と同時に、旅客、貨物の安全を確保するという、この二つをしっかりとわきまえて進めることが大事でございますが、昨今の安全情報、統計等を見ますと、例えば鉄道の場合、全体としては減っているわけではありますが、踏切事故あるいは人身事故等が依然として大きな割合を占めておりまして、なかなかこれを減らしていくのが難しいという状況が見られるわけでございます。  ただ、踏切事故のようなものは、まさにこれは人為的にできておる仕組みでございますから、立体交差を進めるとか、しっかりした構造改革をするとかいうことが徹底的に行われれば激減させることができる、あるいは皆無にすることをむしろ目標にして取り組んでいいんじゃないかと思うわけであります。  その意味で、今後の踏切事故防止あるいは鉄道の人身事故防止、ホームからの転落等、視覚障害者の方々の御意見等を伺いますと、一度、二度、みんな落ちた経験があるというような背筋の寒くなるお話もあるわけでございますので、この辺に対してどう取り組んでいかれますか、御意見をいただきたいと思います。
  58. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 先生お話しのように、交通安全、事故防止、我々は鉄道行政の大きな柱と考えております。  お話しのように、近年、踏切障害事故件数そのものは減少傾向にはございますけれども、鉄道事故の過半数を占めておるという状況でございます。この踏切障害事故は一たび発生いたしますと、多数の死傷者を生ずるなど、重大な結果をもたらすおそれがございます。そういう意味で、我々としても大きな課題として取り組ませていただいているわけであります。  具体的には、踏切道改良促進法、それに平成八年の交通安全対策本部決定によります踏切事故防止総合対策に基づきまして、踏切の立体交差化や構造改良、保安設備の整備を行うとともに、踏切道の統廃合、交通規制、さらには踏切事故防止キャンペーン等の広報活動等につきまして引き続き推進する必要があると考えております。  また、交通安全上危険となっております狭隘な踏切道がなお数多く存在しておるという実態にかんがみまして、平成八年一月に踏切道の拡幅に係る指針を定めまして、近接踏切道の統廃合が早期に実施できない踏切道におきましても一定の要件に合致する踏切道につきましては、その安全性に配慮した上で拡幅を行うよう事業者に対して指導しておるところでございます。  また、加えまして、ことしの一月に建設省さんとともに踏切道改良検討会議というものを、これは関係の局長クラスの会議でございますが、設置させていただきまして、そこで踏切道の立体交差化、構造改良、統廃合等の促進方策を現在鋭意検討しているところでございまして、運輸省といたしましては、これらの諸施策を通じまして、さらに万全を期してまいりたいと考えております。  また、ホーム上での事故でございますが、非常に不幸な事例が重なっておるわけでございますが、この防止につきましては、我々といたしましては、線区の輸送状況、個々の駅ごとの実情等によって異なるわけではございますけれども、例えばテレビカメラによる監視装置、あるいは警告ブロックの設置、列車接近放送等を含めまして総合的に対策を講じておるほか、ホームの見通しが悪い等悪条件下の駅にありましては、転落検知マット、列車非常停止ボタン等によりまして安全の確保を図るべく事業者を指導しております。  そういう意味で、それぞれの事情に応じましたきめの細かいハード、ソフト両面での対策を着実に進めてまいりたいと考えております。
  59. 野沢太三

    ○野沢太三君 重ねて踏切について、これは御相談なんですけれども、今度の東京都知事選挙で有力な候補が何人もお出になりましたが、半分以上の方が踏切をなくそうという公約を掲げているんですね。これは、東京都内だけでも何十カ所も立体交差にすることによって一切の待ち合わせ時間がなくなるということがもう目に見えてあるわけですが、なぜ進まないかといいますと、一つには、連続立体交差事業の場合ですと採択基準が非常に今の場合厳しい、要するに制限をしている。これをもうちょっと柔軟に対応していただくと思い切って進められるんじゃないかな、こう思うわけです。きょうはせっかく建設省さんからもお越しでございますので、これについて、ひとつ取り組みの決意だけでいいですからおっしゃっていただきたいんです。  もう一つ、これは運輸省、建設省両省で既に申し合わせをしてくれておりますけれども、踏切幅よりも道路の方が広い、逆に言うと道路は広いが踏切が急に狭くなっているところが物すごく数多くあるんです。その場合には踏切幅は道路幅までは広げていいんだという相談を既にしてくれているんですが、実態としてほとんどこれが進んでいない。まことに、現場へ行きますと足を落としたという話、あるいは落ちそうだという話がいっぱいあるわけでありますので、何としても、踏切の数を集約することと、残った踏切は幅をそろえて、あるいは歩道だけはおまけにして防護設備をきちんとすると、こういうことに取り組んでいただくことが非常に効果的だと思うんです。  これについてちょっと御意見をいただきたいんです。では、建設省から。
  60. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 都市内の交通渋滞の原因に踏切等がなっているというような実態にかんがみまして、そういうようなものを解消していくことは必要だというふうに、我々も非常に重要な課題だというふうに認識しております。  先ほど鉄道局長の方からお話がございましたように、運輸省等関係省庁と一体となって踏切の除却について勉強会をしております。そういうようなことを通じていろいろ勉強をしていきたいというふうに思っておりまして、そういうことを通じて促進していきたいというふうに考えております。
  61. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 踏切道の拡幅に関する御質問にお答えさせていただきたいと思います。  先ほど御説明申し上げましたように、平成八年一月に拡幅に係る指針を定めまして、近接踏切道の統廃合が早期に実施できない踏切道におきましても、一定の要件に合致する場合には拡幅を行うよう指導を開始しておるわけでございます。これは鉄道事業者の方もできれば統廃合をして踏切を一つでもなくしたいという意向が非常に強いわけでございまして、それが強過ぎるがために現実問題としての線路の拡幅が必要性があるにもかかわらずなかなか進んでないという面があるということは我々も承知をしております。  そういう観点から、現在、事業者に対してきめ細かい指導をさせていただいているということでございまして、現実の安全対策としての拡幅問題についても遺漏なきように努めてまいりたいと思っております。
  62. 野沢太三

    ○野沢太三君 国土交通省もできることでありますから、ぜひひとつ緊密に連絡をとりながら、仕事の方はもう先取りで進めていただきたいと思うわけであります。  続きまして、ちょうどことしで阪神・淡路の地震の四周年目ということになっておるわけであります。死者六千四百人以上、あるいはけがをした方四万三千人以上と大変な地震でございましたし、火災も大変発生した。交通関係では高速道路あるいは新幹線を初めとして甚大な被害を受けたわけでございます。  これに対して、設計基準その他も見直しを行いまして、補強を逐次やってきていただいておりますけれども、今仮にこのような地震が東京あるいは大阪を含めて大都市で起きたら一体どうなるかということを考えますと、もう大変これは緊急の課題であると思うわけでありますが、この進捗状況、あるいはもう終わったというなら結構ですが、道路、鉄道両方からお答えをいただきたいと思うんです。  まず、道路側からお願いします。
  63. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 今先生御指摘のように、阪神・淡路大震災におきましては、道路についても甚大な被害を受けたわけでございますが、その被災状況を見ますと、五十五年に耐震基準が変わっておりますが、五十五年以前の基準に基づいてつくられました橋梁で、特に鉄筋コンクリートの単柱形式の橋梁で落橋とか倒壊等の致命的な被害が集中しておりました。  そういうような被災状況を踏まえまして、平成七年から九年度までの三年間で高速道路あるいは都市高速道路、一般国道等で、道路または鉄道をまたぐような二次災害が大きく起こるおそれがあるというような立体交差区間等で緊急性の高い二万九千四百橋梁の対策を震災対策緊急橋梁補強事業として実施して、この分については終わっております。  それ以外の橋脚について、平成八年、九年に実施いたしておりますが、道路の防災点検、総点検を行っております。そのときに、震災時に緊急物資の輸送を確保するために必要な緊急輸送道路で耐震補強を要するというふうに判定されました二万一千五百の橋脚がございますが、これにつきましては、現在道路整備五カ年計画で十年から十四年というようなことで整備を進めておりますが、この現五カ年計画内にすべて完了する計画で現在鋭意実施しておるところでございます。  そういうようなことで、十一年度までに必要な橋脚の耐震補強、今言いましたようなものを合わせますと全体の七〇%が既に対策済みになっているという状況でございます。
  64. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 既存の鉄道構造物の補強問題でございますが、運輸省におきましては、平成八年度からの事業といたしまして、新幹線については三カ年計画で、それから輸送量の多い在来線等の線区につきましてはおおむね五年で、それぞれ大規模な地震に対しても構造物が崩壊しないようなそういう緊急耐震補強を行うよう事業者を指導しております。それを受けまして、鉄道事業者ではそれぞれの計画を策定いたしまして実施してきておりますけれども、新幹線につきましては、本年三月までに計画数量についての対策を既に実施済みという状況でございます。  また、輸送量の多い在来線につきましては、平成十年三月、ちょっと時点が古くて恐縮でございますが、二カ年を経過した時点で高架橋の五割弱でその対策が完了しているということで、おおむね五年計画でございますが、計画どおり推移しているということでございます。
  65. 野沢太三

    ○野沢太三君 いつ何どきこれは起こっても不思議でないという状況でございますから、残っているものを大いに急いでいただきまして、忘れないうちにやっておいていただきたい、かように思います。  そこで、もう一つ大事な問題があります。あの地震のときに私もちょうどテレビを見ていたんですが、ぐらぐらと来て、そこにすぐ表示が出ました。震度五というのが当時京都あたりで出て、肝心の阪神・淡路地区は何も表示が出ないんです。後で調べたら、回線が切れてデータを送ってこなかったという話がございます。それで結局、測候所からのデータ伝送は二重系にということでその後直したわけであります。  問題は、その後の報告を伺いますと、みんな震度六という数字で報告が出たんです。しかし、あの被害の状況は決してそんな状況ではないからもう一度調べ直してくださいということで、一週間、十日と調べた結果、野島断層から芦屋にかけて相当な範囲で七という帯があらわれた。震度七というのは後調べで、大体家屋倒壊率が三〇%以上とかいったことで決めるというルールに当時はなっていたわけです。そんなことを言っていたらこの忙しい世の中、何千人という人が下敷きになっているところで対策が間に合わないわけでありますので、早速に気象庁にお願いをしてリアルタイムの地震計を開発してくださいということで、新しい地震計をつくっていただいたはずでございます。  この配備状況がどうなっているのか、稼働が既に順調に行われているのかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  66. 小倉照雄

    政府委員(小倉照雄君) 気象庁では、全国に現在二十キロメートルの間隔で約六百カ所に震度計を整備しておりまして、これを二十四時間体制で常時監視、観測しておりまして、地震発生がありましたら、即震度情報を公表するということになっております。  これだけではなくて、現在は都道府県が市町村ごと整備いたしました震度計のデータの活用というものも進めておりまして、現在では気象庁のものと合わせまして二千百カ所に上る震度計のデータの活用というのを今進めておりまして、これによりまして即時的に状況を収集いたしまして気象庁の発表する震度情報に活用しているということでございます。  さらに、最終的には全国で三千八百カ所の震度計のデータの活用ということを計画しております。
  67. 野沢太三

    ○野沢太三君 結構だと思いますが、各企業なども独自で地震計を設備しているというのもありますから、地方自治体のみならずそういった企業関係のデータもネットワークの中に組み込んでいただくと有効かと思います。  そこで、この段階で震度七というレベルがあったんですが、今回、十段階にこれを分けてもう少し機能的にということでやっていただいておりますが、あの当時のマニュアルは、大きな地震が出て被害が出れば自衛隊に頼んで救済、救援をお願いする、こういうことが当時からもう既にあったわけですけれども、県知事さんからの出動要請がないと出られないというので、伊丹の自衛隊は全員集合を八時ころ既にしていたんですけれども、そのまま出るに出られず、近傍の片づけ程度で終わっていたと。そして、お願いしたのが十時過ぎ。続いて十四時、十八時と空自、海自に対して出たというケースがありますが、これなんかは即時にもうあれだけの被害が出ていたら自動的に出動するというマニュアルに改めるべきではないかということで御指摘を申し上げておいたんですけれども、現在の地方防災計画を始めとするそういったマニュアルの整備はいかがな状況になっているか。これは国土庁ですか、ひとつお願いします。
  68. 木寺久

    説明員木寺久君) 自衛隊の災害出動につきましては、まず、防災基本計画等に基づきまして、一定規模以上の地震が発生した場合にみずから航空機による目視、撮影等による情報収集を行い、被害状況等を把握するということになっておられます。  それから、自衛隊の災害派遣につきましては、御指摘のように都道府県知事等が必要性を判断して、その要請に基づき行われることとされておりますけれども、災害の事態に照らして、特に緊急を要し要請を待ついとまがないと認められる場合には、要請を待たずに部隊等を派遣するいわゆる自主派遣も可能となっております。  自衛隊が災害派遣時に実施する活動内容及び自主派遣を行う場合というものにつきましては、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして改定いたしました防災基本計画に記載をいたしております。また、防衛庁におきましては自主派遣の判断基準の明確化等の措置がなされております。  したがいまして、被災直後の派遣要請部署の混乱あるいは通信途絶等により都道府県知事等が災害派遣要請を行うことが困難な場合におきましても、みずから収集した被害情報等に基づく迅速な判断により自衛隊の災害派遣が適切に行われるものと考えております。
  69. 野沢太三

    ○野沢太三君 自衛隊のみならず、消防、警察を含め、特に被災地周辺の自治体からの派遣というのは大変有効適切でありますから、その辺も広域的な活動、既に整備は進んでいるかと思いますが、これは十分点検した上でふだんから訓練をしていませんといざというときに役に立たない、そういう問題があろうかと思います。  新しい官邸も建ってスクリーンも整備される、情報収集の手段もさまざま用意されている中で、現場におけるそういう行動基準というものをしっかり整えていただいて、毎年これを点検し、訓練を重ねるということで災害が防げるということに、最小限で済むということになろうかと思います。この点を引き続きよろしくお願いを申し上げます。  それからもう一つ交通安全にかかわりまして一点お伺いしたいのは、高齢者の交通事故対策でございます。  ちょっと古いんですが、平成八年の段階でいわゆる交通事故の死亡者というのは九千九百四十二名と一万人を辛うじて切ったということで、このときは一息ついたわけではございますが、決してこの数字は安心できるわけではありません。  特に、六十五歳以上のお年寄り、私も実はその仲間入りをしちゃったわけですけれども、これが三千百四十五名、実に三一・六%がいわゆる高齢者になるわけです。ここにいらっしゃる方もその仲間に入っている方が大分おられると思います。高齢者の比率というのは大体一五、六%でありますから、ほかの年齢層に比べると大体倍以上の事故に遭う確率があるんだということでございます。  特に、その中で歩行者の方がまた半分を占める。要するに、歩いていて車に気がつかないとか、横断歩道を渡り切らないうちに車が来てしまった、踏切なんかも遮断されてしまうというようなことで、大変悲劇的な例も伺っておるわけでございます。  この高齢者の事故防止対策に関して、随分手だてを講じていただいておりますが、主な施策で結構でございます、ひとつ現在の取り組み状況を御披露いただきたいと思います。
  70. 大坪正彦

    政府委員(大坪正彦君) ただいま先生の方から高齢者の交通安全についての御指摘があったわけでございます。確かに、先生言われますように、高齢者の死亡者数が最近相当ふえているというのは交通事故全体の中の大きい特徴でございます。  もう一つ、高齢者の交通事故で特徴的なことは、今先生、年齢層別に六十五歳以上が多いというお話でございますが、状態別に見ました場合、先生は先ほど歩行者が一番多いと。確かにそれはそのとおりでございまして、ただこれは今は横ばい状況でございます。特徴的なことは、実は自動車を運転中の高齢者の方の死亡者数が増加している。いろいろの要素の中で増加傾向を見ておりますのは、若者も含めまして、高齢者の自動車乗車中の形態が増加しているというのは非常に特徴的なところでございます。  そういうような実態を踏まえまして、政府としてどういうような取り組みをするかということでございますが、これにつきましては、先生御承知のとおり、交通安全対策基本法に基づきまして基本計画をつくっているわけでございます。大体五年ごとに見直しながらやって、関係省庁と相談しながらつくるわけでございますが、その中におきまして重点目標、重点施策をつくっているわけでございますが、実はそれのトップが高齢者の交通安全対策という位置づけにしているわけでございます。  そこにおきまして、どういうような考え方で高齢者の交通安全対策を進めるかということにつきましては、柱として三つ立てております。  一つは、高齢者への交通安全意識の普及徹底という教育啓発の観点のものでございます。それからもう一つは、歩行者が中心になろうかと思いますけれども、高齢者が安心して暮らせる道路環境づくりという点でございます。それからもう一つは、運転中の事故に絡む話でございますけれども、例えば運転免許更新のときの適性検査の充実、あるいは高齢者が乗りやすい自動車の開発、こういうような観点での高齢者の安全運転対策、こういうものを三つの柱としているわけでございます。  こういうような三つの柱を持って、現在、基本計画に基づいて関係省あるいは民間団体ともどもに一体となって進めている状況でございます。  さらに、ちょっとついででございますのでお話しさせていただきますと、実は今ちょうど春の交通安全運動が実施されているわけでございますが、それの全国重点目標一つにも高齢者の安全問題は入れているという状況にあるわけでございます。
  71. 野沢太三

    ○野沢太三君 これまでの交通事故防止の成果といいますか、施策と成果を比べてみたときに、しっかりみんなで取り組めば必ずそれなりの結果が出てくるということは明らかであろうかと思います。今述べられました施策を含め、あらゆる対応策を考えた上で引き続きこれは重点項目として進めていただきたい、かように思っております。  そこで、法案の方に移りたいと思いますが、今回、鉄道事業法道路運送法、それから海上運送法、航空法と、四つの法案がいわゆる参入規制撤廃という中で規制緩和の一環で提案をされてきておるわけであります。きょうは二法案ということでやっておりますけれども、こういった規制緩和の目的といいますか本旨というものは、あくまで利用者、お客様と言ってもいいかもしれません、国民の皆様の利便というもの、あるいはまさに福祉も含めそういった方々の利益をやはり第一に考えて進めなければならないだろう。行政がただ手を抜くというだけでは意味がないわけでありますから、この点を大事な視点といたしまして今後取り組んでいかなければならないだろうと思うわけでございます。そして、できる限り簡素な規制、そして小さな政府、こういったことで効率のいい行政を進めていただきたい、こう考えるわけでございます。  そこで、まず、今回この四つの法改正を出しました基本的な考え方について、運輸大臣からもう一度ひとつお述べいただければ幸いであります。
  72. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今委員から御指摘いただきましたように、今回法案を提出いたしますに至りました理由につきましては、基本的には、やはり一つは消費者の立場一つは生産者の立場、この二つから私は出てきておると思っております。  一つは、戦後五十数年たって日本経済がまさに大きくなり、国民所得、一人一人の所得もふえてきた。しかし生活実感からはとても世界で一番、二番と言えるような状況にない。どの辺に問題があるかといえば、やはり日本の持つ高コスト構造であろう、このように思っております。一方で、国際競争が極めて厳しい時代を迎えております。生産者の立場から考えれば、このまま我が国の高コスト構造というものが保たれていけばまさに国内空洞化につながってしまいます。この二つから、我が国が今日まで進めてきた政策というものを転換を図る、市場原理等自己責任の原則を貫いて規制緩和を進めていく、こういう決断をいたしたと思っております。  そういった中で、運輸省におきましても、平成八年十二月から、従来の運輸行政の転換を行い、交通運輸分野における需給調整規制、これを原則として撤廃する。目標年限を決めて事前チェックというものから事後チェックに変えていく、許認可行政から政策行政へ変える、こういった流れの中で今回御審議をいただいております。  ただ、民間創意工夫による競争、そしていいサービスが提供される、低コストになっていく、大変いい面ばかりが強調されておりますけれども、一方で影の部分が当然出てまいるであろう。安全の問題、消費者保護の問題、そして特に皆さん方から御指摘いただいております生活路線をどうして維持していくのか、こういう問題を整理した上で今回御提案をさせていただいたところでございます。
  73. 野沢太三

    ○野沢太三君 鉄道の場合には、事業参入という点で考えてみると、大変な高い技術水準とか膨大な設備投資とか、それから運営上やはり大変な苦労があるわけでありますので、簡単に入ってくるというのは今までもそうできない。しかしまた、それを上手に運営するという点で見ると、これまたいろいろと工夫の余地があるわけでございます。  これからの鉄道のあり方を考えまして、利用者がどういうふうに鉄道の持つ特性を活用、利用できるのか、こういう点から見まして、今度の法案、法改正がいささかでも役に立つ部分というのはどんなところがあるのか、一遍これをお伺いしておきたいと思います。
  74. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 今回の法改正によるねらう効果でございますが、まず、参入規制につきましては、需給調整規制を行わないで許可制とすること等によりまして競合路線への新規参入が制限されることがなくなるということで、従来よりは円滑な展開が進むということが期待されます。また、鉄道事業者間の競争促進環境ができるかなというところを期待しております。  また、特定の目的を有する旅客の運送を行う鉄道事業につきましては、先ほど申し上げましたように、参入規制を大幅に緩和させていただきますので、観光地における観光旅客を対象とした事業等の参入が活発化することが期待されます。  さらに、運賃料金規制緩和によりましては、事業者創意工夫によりまして利用者のニーズに弾力的に対応した多様な運賃料金の設定が迅速に行われるということでございますので、そういうことでのメリット、そしてまた運賃料金の低廉化が期待されるというところかと思います。  また、乗り継ぎ円滑化措置に関する制度を設けることとしておりますが、これによりまして事業者間の協議が円滑に進み、駅施設の機能向上等が促進されるということが期待されますので、その意味からも旅客の利便向上が図られるのではないかというふうに考えております。
  75. 野沢太三

    ○野沢太三君 鉄道の整備ということで考えてみたときに、なかなかこれからの時代というのは厳しい状況があるだろうと思います。要するに、用地の利用状況も大変厳しいわけでありますし、建設のコストもかかる。今、運輸政策審議会等へ今後の都市交通等のあり方というようなことで諮問をしていらっしゃるということを伺っておりますが、これまでの運政審のように、単に路線をここをやったらどうだ、延ばしたらどうだというだけではなくて、今後は、まず建設費の支弁の仕方あるいは運営の費用の持ち方を含め抜本的な鉄道に関する費用構造の考え方を見直さないともう延びていかないんじゃないか、こういう心配があるわけであります。  伺いますと、例えば地下鉄十二号というようないい線路を今やっております。第二山手線というようなことで、もう間もなく完成間近でありますけれども、工事費が相当増加いたしまして、このままこれを利用者負担というようなことでやってまいりますと、初乗り千円というような地下鉄になってしまうんじゃないかということすら言われておるわけです。そういうことではもうこれ以上の路線延長もしくは新設は困難ではないかと思います。  かねて私は、アメリカのワシントンとかロサンゼルス、いわゆる自動車都市といわれるようなところでの地下鉄建設の費用構造を見に行ってきたことがありますが、徹底的に公的な範囲でこれを賄いまして、必要があれば運営についても援助をするというようなことすらやられておるわけであります。  そういったことも参考にし、今後の鉄道建設あるいは運営の費用のあり方について、例えばEUが採用しております上下分離、今回新幹線でもそれを費用構造の原則にさせていただいておりますが、このような議論は進んでおるんでしょうか、いかがでございますか。
  76. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  先生お話しのように、昨年から運輸政策審議会の鉄道部会において鉄道の将来のあり方について議論していただいておりますけれども、その中では、将来の鉄道はいかにあるべきかということとあわせまして、そのときに公的なセクターがどのような支援を講ずる必要があるかというようなことにつきましても議論していただいております。  そういう議論の中で、先生お話しのように、特に大都市の地下鉄等につきましては、御案内のように国が三五、地方が三五、都合七〇%の建設費補助を行いましても最近においてはなかなか収支が見込めない、こういう事態でございます。  そういうことの認識のもとに、いかなる支援措置がいいのか、これにつきましては上下分離方式等の例もございますけれども、そういうことも含めまして幅広く議論いただいているところでございまして、我々はその審議結果を踏まえまして、適切に対応していきたいと思っております。
  77. 野沢太三

    ○野沢太三君 ぜひひとつその辺を抜本的に見直して、この辺の改善によって路線なり鉄道なり、そういうものがまだまだ建設可能になるんじゃないかと私は見ております。御研究を切にお願い申し上げます。  それから、鉄道の場合には、今回の法案の中で乗りかえに関して血の通ったお手当てができている点、大変これは私も評価をいたすものでございます。  これまで羽田へ参ります浜松町の乗りかえが、昔は一遍おりてから乗りかえる、こういうことをやっておったときにはあそこは大赤字でありましたけれども、現在は跨線橋ですっと乗りかえられます。最近の例では、小倉駅のモノレールの乗りかえが本当に身近なところまで入ってきて、一気にお客さんがふえた、こんな実績もあります。しかし、今までとかく事業者の思惑その他ありまして必ずしもお客様本意になっていなかった乗りかえ地点が幾つもあろうかと思うわけであります。  この点非常に画期的な制度だと思いますが、これを単に勧告というだけではなくて、必要があればこれについては財政的な裏づけもするんだということをこれから御検討いただければなおこれがおもしろいものになるかと思いますが、いかがなものでございましょうか。
  78. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  先生お話しのように、我々、鉄道のネットワークの整備ということを今回の鉄道整備方向として議論しているわけでございますが、そういう趣旨からこの乗り継ぎ問題は非常に大事な課題だと考えております。  その意味で、今回お願いしております法案の中としては、事業者間のあくまで自主的なそしてまた主体性を尊重したスキームでお願いしておりますけれども、これを支える意味で、国あるいは地方公共団体等からの支援措置というようなものもやはり必要だろうという認識のもとに、先ほど申し上げました運輸政策審議会の鉄道部会の中でこの支援策についても御議論いただくことになっているところでございます。  その成果を踏まえまして、適切に対応させていただきたいと考えております。
  79. 野沢太三

    ○野沢太三君 時間が厳しくなりましたので、少し問題を省略させていただきますが、先ほど冒頭に申しましたとおり、鉄道事業というものに対しては一段と厳しい安全性の義務あるいは制度、仕組みが担保されておりませんと、一たん事故が起こったときに大変なことになるということでございます。  これまでは設計管理者というようなことでそういった責任を明確にする形をとっておったわけですが、今回新たに設けました認定鉄道事業者制度、この考え方と仕組みについて簡潔に答えていただきたいと思います。
  80. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 現行制度におきましては設計管理者制度というものを設けておりますが、これは設計管理者という個人、具体的な人間が鉄道施設の設計等について一定の技術水準を持っておるかということに着目して、その人についての手続については簡略化しよう、こういう制度でございますので、いわば合理化できる認めておる手続の範囲というものについても限定的なものに限られております。  一方、近年、鉄道事業者の中には、個人の資質というより会社としての、組織としての実は技術技能を蓄積しておるという組織体も大分育ってきております。ここに着目いたしまして、個人的な能力に依存した現行の設計管理者制度にかえまして、鉄道事業者組織的な能力の活用を図るという見地からの制度として、今回お諮りする設計管理者制度を用意したわけでございまして、この設計管理者制度を用意することによりまして、従来の申請等の簡略化を一層簡略化することができる、こういう趣旨でお願いしておるわけでございます。
  81. 野沢太三

    ○野沢太三君 個人戦よりも団体戦の方が大丈夫だということであれば大変結構だと思いますから、これについてもやっぱり仏つくって魂を入れるかどうかは運用次第だと思います。これは今後のフォローアップをひとつよろしくお願い申し上げたいと思うわけです。  この事業法の中で一つ気をつけたいなと思うことがありますのが、安全問題とあわせまして、もう一つが撤退の自由ということであります。国鉄改革のときにも、それに先立って八十三線区四千キロというバス転換ないし三セク化をやったわけでありますけれども、JRになりましてからはある程度の赤字が出てもこれは全体として維持をするんだということで現在の路線が決まった経緯があるわけでございますが、ここへ来てどうも持ち切れないということで、幾つかの撤退の話も出ておりますし、また中小私鉄においてはなかなか状況が厳しくてもうやめたいというところもあるわけです。  この撤退ということに関しては、そこで暮らす人々あるいは利用者の方々、弱者の方々等々交通弱者の立場考えれば、大変これは問題があろうかと思いますが、これに対する対応策をどう考えているか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  82. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  鉄道事業退出、撤退のときの手続の議論でございますが、法律案におきましては事前届け出制という制度にさせていただいておりますけれども、その事前届け出をいただいた後、廃止までの間に、実は法律の制度といたしまして、廃止後の交通の利便の確保に関し、関係地方公共団体等から意見を聴取するという制度を設けてございます。この意味で、利用者を初めとする関係者の意見を聴取させていただくと。  それから二番目に、運用上の手続ではございますが、鉄道事業者廃止の意思を表明した段階で、地元地方公共団体の申し出があった場合には地元協議会を設置させていただきまして、代替交通機関の確保等に関して関係者間の調整を行うというような手続を用意させていただきたいと思っております。これによりまして代替交通機関等の確保を図りまして、生活交通サービスが中断しないよう最大の努力をさせていただきたいということでございます。  その中で、先ほど申しましたように利用者、地域住民の方々等の御意見も十分反映できるというふうに考えております。
  83. 野沢太三

    ○野沢太三君 続いて、道路運送法の方に移りたいと思います。  今回、貸し切りバス事業等に係る需給調整規制廃止ということで、踏み切っていただいたことは大変結構なんですけれども、しかしこの分野というのは既にこれまでも相当な競争場裏の中にありまして、サービスの向上とかあるいは車種の多様化であるとかあるいは運行範囲の拡大であるとか、さまざまな工夫の中で輸送量は少しずつですが伸びている。しかも、その中で運賃その他については少しずつ競争の成果が出まして割安に展開してきたという中であります。  そういう状況の中にありまして、なお今回この需給調整をやめるということを決断されましたその一番の考え方、これについてはどんなことがございますか。よろしくお願いします。
  84. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 貸し切りバス事業につきましては、市場の性格からして、従来需給調整の弾力化ということで行ってきた結果、競争が促進されてサービスの展開が行われてきたところでございます。  今回、さらに需給調整規制廃止するということの理由でございますが、これまでの考え方によりますと、輸送需要を満たす供給輸送力が既に存在している場合には、たとえ一定水準以上の能力を持ち、意欲のある者があったとしても新たな事業参入事業拡大が制限されるというのが基本的な考え方になっております。その結果、良質なサービスが導入できない、あるいは競争が抑制されて運賃やサービスの多様化が進まなくなって事業そのものの活性化がおくれるといった弊害がなきにしもあらずということでございます。その点を改善するということが一言で言えば一番大きな理由だと考えております。
  85. 野沢太三

    ○野沢太三君 貸し切りバスというのは、どうしても季節波動とか需要の波動がありますから、当然車の運用等についても波があるわけであります。その意味からしますと、毎日やっております基本的な路線バスあるいは乗り合いバス、そういったものと総合して経営を考える、あるいは車なり要員の運営を考える、そういった面があることによって効率化されるかと思うわけであります。  今回、運政審から乗り合いバスあるいはタクシー等の規制緩和の答申が出ておりますけれども、これを一緒に議論せずにこれだけ先に議論したというのは何か特別な理由がございますでしょうか。
  86. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 一言で申し上げますと、乗り合いバス、タクシーにつきましては、需給調整規制廃止するに当たりまして生活交通の確保方策でございますとか輸送の安全確保方策などに大きな課題が残されております。これらの課題対応策を確立した上で需給調整規制廃止すべきという考え方のもとに、乗り合いバス、タクシーにつきましては平成十三年度までに需給調整規制廃止するということでございます。  現在、乗り合いバス、タクシーに関しましては、運輸政策審議会に諮られた答申が四月九日に出されております。次期通常国会に所要の法案を整備してお諮りしたいという段階でございます。
  87. 野沢太三

    ○野沢太三君 参入自由化すると当然競争が激化するという中で心配になるのは、やはり労働強化あるいは安全問題、こうなるわけです。  私の郷里は長野県なんですけれども、冬になるとあそこにスキーバスがたくさん来るんです。これは大変うれしい、ありがたいことなんですが、その運転手の皆様の労働条件というのは大変過酷なケースがございます。トンボ返りの連続ということで、疲労こんぱいしてこれが事故につながりかねないということで、はらはらしながら見ているような状況がございます。  この規制緩和による運賃の低減とか、あるいは会社がたくさんできて利用がしやすくなるという点はいいんですけれども、そういった面での安全性における犠牲あるいは問題が出てこないかどうか、これをどう歯どめをかけるかという点についてはいかがお考えでしょうか。
  88. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 利用者利便を推進するということと、これも利用者利便の内部かもしれませんが安全の確保を図るというのは当然両立させなきゃいけない課題でございます。今回の需給調整規制廃止するに当たりましても、安全の確保ということは大前提であろうかと考えております。  貸し切りバスにつきましては、今御指摘がありましたように、遠方に行くとかなれない地域を運行するとか、あるいは特に運転者が長時間労働になるということが大きな安全上の課題でございます。今後、労働条件の適正な基準づくり、あるいはそれを遵守する運行管理制度の充実、それに対するチェック、あるいは違反した場合の罰則、ペナルティーのあり方というようないろんな段階での工夫をいたしまして、事故の発生の防止に努めていきたいと考えております。
  89. 野沢太三

    ○野沢太三君 最後の質問になりますが、今回運行管理者の権限を明確にするということが出ておりますが、これは大変結構なことでありまして、むしろ今までやらないのがおかしかったんじゃないかと思うわけであります。  鉄道関係事業でいえば列車指令という制度がありまして、すべての作業、列車の運行から保守管理に至るまで中央と連絡をとりながらやるということが従前より当たり前になってきております。自動車関係でもそういった手だてをこれから具体化していっていただくことは大いに結構だと思いますが、これをさらにひとつ実のある形で仕上げていただく。運行の責任から安全管理を含め、ぜひともこの制度に魂を入れていただきたい。  最後に、大臣、次の乗り合いバスの問題もございますが、いわゆる生活路線の廃止というようなことにこれがつながるとまた問題が出てまいります。その点も含めまして大臣の御所見をいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
  90. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほども総論で申し上げました影の部分、生活路線というものをしっかり守っていかなければならない。そのためには地方公共団体と、中央でいえば自治省、そして私ども、しっかり話し合いをしながら、どのような形がいいのか考えていかなければならない、このように思っております。  特に、国からの補助の問題、例えばバス交通が今まで行われていたと。そのまま補助をしてバス交通という形で残した方がいいのか、例えば福祉バスとかスクールバス等、こういうものと組み合わせることでやっていった方がいいのか、もっと需要が少なくて少し大き目のタクシーのスタイルの方がいいのか。そんなものも十分考えながら、しかしながら生活路線というものをどう保っていくか、ここが私どもの大きな課題であろうと思っております。  そういったものの方策を、今回貸し切りバスについては既に御提案させていただいておりますけれども、先ほど申し上げましたように、乗り合いバスについてはもう少ししっかり自治省等と詰めながら、来年には皆さん方に御提案をさせていただきたい、このように思っております。また与党内で十分御論議もいただくことになると思いますので、御指導のほどお願い申し上げたいと思います。
  91. 森本晃司

    ○森本晃司君 まず、鉄道事業法の一部を改正する法律案、この点について質問をさせていただきたいと思います。  参入規制の見直しでございますが、参入規制に当たっては、運輸省需給調整規制廃止することによって鉄道整備の促進について今後どのような影響があると考えておられるのか、まずお伺いします。
  92. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは基本的に鉄道も含めてすべての総論でありますけれども、民間事業者皆さん方創意工夫をして、いろいろな努力の中でいいサービスというものが提供されるだろうということを信じております。  ただ、その段階においていろいろあると思います。例えば航空で申し上げれば、羽田を優先的に割り当てますからという前提の中でスカイマークとかエア・ドゥが出てきた。したがって、規制緩和さえ進めればすぐ民間事業者が出てきて、仕事がふえて、そしていいサービスということにつながるかとなると、必ずしも業界業界、業態業態で一つの施策だけではいかぬのだろう。  前提条件として規制緩和というものがあって、そこへ、先ほどから御審議いただいておりますとおり、さあ、新規参入の鉄道業者が出てくるというときに、どのような形の政策なり、場合によっては支援というものがあったら新しいサービスが提供されるようになって、両者間の競争によっていいサービスが成っていく。そういう意味では、鉄道行政におきましても、先ほどからさんざん御指摘いただいているとおり、規制緩和さえ進めればあしたからどんどん私鉄というものがふえてきて、より多くのサービスが提供されるということにはつながっていかないだろう。  したがって、今回の法案をお願い申し上げますとともに、中長期的な鉄道整備のあり方というものを今諮問させていただきながら、こういったものの施策をあわせながら次の時代というものを考えていきたい、このように思っております。
  93. 森本晃司

    ○森本晃司君 鉄道事業については免許制許可制として需給調整規制廃止するということにしておりますが、一方、路面電車について私ちょっと伺いたいんです。  これは軌道法によって特許ということになっています。路面電車は最近各地で見直しをされているという記事もよく目にするわけでございまして、路面電車カムバック等々がございます。これは今日の交通渋滞あるいは大気汚染、こういう問題を解決するということと、それからもう一つ、路面電車はお年寄りの方々あるいはお子さんにとっても乗りやすく、おりるにも極めておりやすいという状況で、非常に好評を得ているわけでございます。  この路面電車について、私は、需給調整規制廃止して特許を許可として参入しやすくすればいいのではないだろうか。これは二十一世紀の移動手段として極めて大事なものであるだけにそう思うわけでございますが、その点についての運輸省の見解をお聞きします。
  94. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  軌道法によります軌道事業は、御案内のように、原則として道路に敷設された軌道を使用して運輸を行いまして道路交通を補完するというものでございますから、当該事業の特許は、道路に軌道を敷設して運輸営業を行う権利と同時に、当該軌道の敷設に要する道路の占有の許可というものを含んだものであるわけでございます。  このような軌道事業参入に際しての行政の関与は今回の鉄道事業法改正背景となる考え方に照らしても変わるものではございませんので、引き続きこのような排他性が強い特別の権利を付与するものであることから、現行の特許制を引き続き維持することが適当であるということで軌道法の改正はお願いしていないという事情でございます。
  95. 森本晃司

    ○森本晃司君 今のお答えでは、周りの状況等々もあって、道路の問題等々あって特許制度だということでございます。  それでは、二十一世紀の移動手段として、路面電車については運輸省はどのように考えていますか。
  96. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 御案内のように、軌道法は我々運輸省道路を管轄していただいております建設省と共管の法制度でございますが、我々も建設省さんも、例えば昨今非常に注目を浴びておりますライトレール等の新しい軌道体系というものに非常に関心を高めておりますし、現に我々、鉄道のその種の新しい車両の導入につきましてせっかく補助制度等も用意させていただいて支援している、こういう立場でございます。
  97. 森本晃司

    ○森本晃司君 この点についてもどうぞ参入しやすき方向に向かっていくように努力をお願いしたい、こう思うところでございます。  次に、先ほども野沢先生の話の中で出ましたが、ちょっと角度を変えて聞きたいんですが、一昨年十二月に都営地下鉄十二号、それから昨年十一月に多摩都市モノレールが開業しましたが、お客さんが入らない、予想の半分ぐらいであるとかということが報道されています。多摩都市モノレールでは運転資金が足りなくて都は緊急に出資をしたという状況でございます。  運輸省事業免許に当たっていろいろ資金計画や収支予想を含めて審査をされておられたんではないか、そう思いますが、どのような審査を行われたのか。どのようなところでこれほどの大幅な狂いが生じてきたのか。将来十二号についてはいろいろと環状云々という話がございますけれども、その点についてはどう見ておられるのか、お伺いします。
  98. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  都営十二号線と多摩都市モノレールの例を先生示されましたけれども、そういう新しい免許事案を審査させていただきますときに、当該申請者が用意してまいります需要予測、それからまたそこに伴う資金繰り等々について我々もそれを審査させていただくということでございますが、将来を見据えるということで、非常に実は難しい作業でございます。  今回、具体に都営十二号線と多摩都市モノレールについて大幅な実は見込み違いがあったわけでありますけれども、これは申請者も我々も反省するところでございますが、その中身は、要はほかの既存の鉄道あるいはバスというようなもので通われていた方々のシフト、当該路線に来ていただけるだろうと思っていたところが実はそれほどでもなかったというところが一番大きな見込み違いであるようでございます。これは今先生お話しのように、都営十二号線についてはまだ全体の整備ができておりませんので、まだ十全でないという中で競争力がないというようなこともございますけれども、そういうのが原因でございます。  それから、一般論で申し上げますと、需要見込みが異なるといいますか、実際が少ないケースとして一番多いのは、実は鉄道路線を用意いたしますときには当然沿線の開発ということを念頭に置いて鉄道も先行投資的に用意するというケースが多いわけですが、その予定されました沿線の開発が実はなかなかの事情によってなかなか進まない、こういうことが多いわけでございまして、こういうケースが一番多うございます。  その意味で、需要予測をする手法というものは非常に頭の痛い話でございますけれども、我々もあるいは申請者も一緒になりましてこの輸送需要の仕方、方法論につきましてもせっかくいろいろ勉強させていただいているところでございます。試行錯誤的に我々も少しは改善しているつもりでございますけれども、いまだしという感じがいたしますので、引き続き検討させていただきたいと思います。
  99. 森本晃司

    ○森本晃司君 今お話しいただきましたけれども、例えば新しく開設されて、なぜそれが予想が狂ったのかと。よく言われているのは、いや、実は十一月というのは時期が悪かったんです、会社の定期の買いかえの時期ではなかったんだとか。だけれども、そんなことはもうわかっている話で、余り理由にならないんじゃないだろうかと思うんです。同時に、団地の中心から歩いて十五分ないし二十分かかると。そこには停車場、駐輪場がないというようなことで、駐輪場さえ設ければ自転車でもっと皆さんが行って利用できるんではないだろうかという話も聞くわけでございます。  これから新しい事業参入という形になってきますと、やっぱり多くの人が利用して、見込みが半分とかになっていくと結局は客へのコスト高ということに返ってくる、こういったことのないように事前に、今回も十分された上で、おっしゃったように住宅の開発が十分進まなかったということもありましょうけれども、今後ひとつまた審査の段階で十分に御検討いただく必要があるのではないか、このように申し上げておきたいと思います。  次に、安全規制の見直しでございますが、改正案では「認定鉄道事業者であつて従たる事務所について認定を受けたものは、従たる事務所における鉄道施設又は車両の設計に関する業務を適確に実施するために必要な」一定の措置を「講じなければならない。」、こう言っていますが、どのような措置を講じることなんですか。
  100. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 従たる事務所でございます支社等について、認定を受けた事業者が当該支社等における鉄道施設等の設計に関する業務を的確に実施するために講じなければならない措置を規定したわけでございます。  具体的には、例えば技術基準の解釈その他の技術情報の共有化、これは支社と本社、いろいろのほかの支社と、こういう意味での社内としての共有化。それから二番目に、認定を受けた支社等に配置される職員に対する共通的な技術教育、研修の実施。それから、認定を受けた支社等の相互の業務の連絡調整等、こういうことで、鉄道事業者責任を持って対処する必要がある事項を規定することとしたいと思っております。
  101. 森本晃司

    ○森本晃司君 現在の設計管理者制度では、各社に鉄道土木設計管理者、鉄道電気設計管理者、鉄道車両設計管理者が置かれて運輸大臣による研修制度が行われておりますが、こういった研修制度は設計管理者制度が廃止され認定鉄道事業者制度に移行した場合も極めて有益なものであると私は思いますが、どう考えておられますか。
  102. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 先ほど申し上げましたように、現在の設計管理者制度は、特にその人個人の能力に着目してということで、そういうことで運用させていただいておりますが、今回は、組織としての能力に着目してということで先ほど申しましたように今回の認定制度を用意したわけでございます。  その新しい鉄道事業者の認定の対象といたしまして、一つに限ることなく、鉄道事業者の種類を、実は運輸省令におきまして現行の設計管理者制度の場合よりも大幅に簡略化された手続によることができる非常に高い技術レベルを組織として持っている方と、それから現行の設計管理者を選任し届け出ている事業者に相当する程度、ですから設計管理者の方が一人いらっしゃるという程度の事業者の技術レベルにあるいわば限定的な方々、この二種類の制度を実は設けたいと思っておりまして、現在の設計管理者制度の資格を取っておられる方がおれば最低、その限定的な認定鉄道事業者にはなれる、こういうことを念頭に置いておりますので、現在の設計管理者制度そのものが新しい制度に円滑に移行でき、その機能を継続することができるというふうに考えておるところでございます。
  103. 森本晃司

    ○森本晃司君 乗り継ぎ円滑化措置についてお尋ねしたいわけでございます。  改正案で創設された乗り継ぎ円滑化措置の有効性について、運輸省はどのように考えておられるのか。今までと比べてどれぐらい乗り継ぎ円滑化が向上するのか。運輸省の見通しをお伺いしたいと思います。
  104. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 乗り継ぎの円滑化ということは非常に大事であるということで、今回こういう制度を用意させていただいたわけですが、これはあくまでも我々、公権力の行使、強権的な制度としてではなく、当然、事業者間の自主的な民間における契約ベースでのお話し合いを促進するという見地から実は用意させていただいております。そこで両者の間で話し合いがつかない場合に、我々も必要最小限の口出しをさせていただくということで用意しておりますので、そういう中で従来よりは相当進むと思いますが、これについてもこれだけではなかなか進みにくい面があることは先ほどの参入規制緩和と同じかと思っております。  その意味で、具体的な乗り継ぎ施設の整備というものについては相当な費用がかかる話でございますし、そしてまたこういうものを用意いたしましても、利用者のためには利便施設として役に立ちますけれども、事業者の方の収入増にはなかなかつながりかねる、そういう問題があるものでございますから、運輸政策審議会にこの問題についての公的な支援のあり方についてもせっかく御議論いただいているところでございまして、こちらについてもこの成果をあわせ行うことによりまして、実現といいますか実際の具体化ができると考えておりますので、我々としては、そういうことでのトータル的な施策としての効果を期待しつつ、頑張らせていただきたいということでございます。
  105. 森本晃司

    ○森本晃司君 今局長の話もございました。また、先ほど野沢先生の御質問の中にもこの問題があったわけでございますが、いずれにいたしましても、このことによって乗り継ぎが円滑化されて、利用者にとっては非常に利便性のあるものになっていくわけでございますが、しかし、これはほとんど事業者負担というところが大変なことではないかなという思い、事業者負担ですから、最終的には、結局はこれまた利用者に運賃という形で負担が大きくなってくる。野沢先生もおっしゃったように、国の支援をやはり考えていかなければならないと思いますが、ぜひその点を今後も推進していただきたい、このように思います。  また、乗り継ぎの円滑化とともに、お年寄りや障害者の方々の移動の円滑化も今後推進していかなければならない大きな課題であります。  いろいろやっておられるようですが、まだまだ不十分でございまして、平成九年度末のエレベーターの設置率、JRで四%、大手私鉄で一二%、地下鉄で四四%にすぎません。移動制約者の方々のためのエレベーター、エスカレーターの整備等、鉄道施設に対するバリアフリー化については、平成十年度第三次補正予算で、国、地方公共団体が三分の一ずつ補助する仕組みを創設して、国費が五十億円計上されております。十一年度予算でも九億円が計上されているわけでございますが、これらの予算によって今後のバリアフリー化がどれぐらい促進するのか、また将来どのように整備を進めていこうとされているのか、お伺いしたいと思います。
  106. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お話しのように、鉄道駅のバリアフリー化は我々にとって非常に大事な課題と思い進めているわけでございますが、平成十年度の第三次補正予算におきまして、おかげさまで五十億円を計上させていただきました。    〔委員長退席、理事寺崎昭久君着席〕  この趣旨は、我々、鉄道駅につきまして一つ整備指針を用意しております。具体的には、段差が五メートル以上、一日の乗降客が五千名以上というのを一つのメルクマールにいたしまして、そのほかそれ以下の駅につきましても、福祉施設が周辺にあるとかというものについては当然対象に加えさせていただきますが、そういう対象駅について計画的に我々としては進めていきたいということで、第一段階として五十億円を用意させていただいたわけでございます。  我々としては、おおむね約十年ぐらいですべて用意できるようにということで努力していきたいと思っております。
  107. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、退出規制の見直しについて伺いたいんです。  退出する場合、鉄道事業廃止された場合に、代替輸送サービスの確保は地元の住民にとって極めて重要な問題であります。この確保、地元住民の声を反映しながらどうサービスの確保を図っていくのか、この点について伺いたい。  あわせて、先般、大臣にもいろいろとよく御承知いただいている信楽の第三セクターの問題を取り上げてこの委員会で御質問をさせていただきましたが、同様に第三セクター全体がやはり今大変な経営危機を持っているわけでございます。三十八の事業者のうち三十一事業者が赤字でもございますし、こういった中小鉄道に対する国の支援が私自身はまだまだ不十分であると思います。ぜひ運輸省の支援も行っていただきたいし、今後廃止される鉄道に対する住民の声の反映を図っていかなければならないと思いますが、その点についてお伺いいたします。
  108. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 鉄道事業退出に当たっての代替輸送サービスの確保について地域の住民の方、利用者の方の声を反映すべきではないかというお話でございますが、我々はそういうふうに考えております。その意味で、今回、法律上については廃止後の交通利便の確保に関しまして、運輸省は関係地方公共団体それから利害関係人から意見を聴取するということを法律上明定させていただいております。  それに加えまして、運用上ではございますけれども、先ほど申し上げましたように、地元公共団体からの申し出があった場合には、地元協議会を設置いたしまして、代替交通機関の確保等に関しまして意見調整をさせていただく場を設けたいということでございます。  もう一つ、三セクに対する支援でございますが、これは前回の御質問にもございましたけれども、経緯的には三セクの生い立ちというものの経緯がございます。そういう意味で、真正面から運営費補助、決算補助というようなことについては非常に難しい問題を抱えていると思いますが、既に我々やっておりますように、例えば設備の近代化であるとか、いろいろな視点から鉄道機能を維持向上させるためにどういう補助のあり方が可能か、そういうことについてもせっかく運輸政策審議会の中で議論していただくことになっておりますので、それを踏まえまして適切に対応させていただきたいと思っております。
  109. 森本晃司

    ○森本晃司君 大臣に決意をお伺いしたいと思うんですが、今回の改正によって鉄道事業廃止が続出するようなことのないようにぜひ御努力をいただきたいと思いますし、また適切な支援策を考えていただきたいと思います。    〔理事寺崎昭久君退席、委員長着席〕  また同時に、どうしても廃止やむを得ないという路線についても、住民の足の確保に万全を期していただきたいと思いますし、同時に、先ほどとまた重なって申し上げることになりますが、鉄道事業への支援と住民の足の確保に対する大臣の決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  110. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) いつも御指摘いただいておりますけれども、生活路線をどうやって維持していくか、地元の方々と協議をしていくことになります。その中で、バスの利便性の方が高いという御判断をいただく場合もあるだろう、また、いや、三セクでもしっかりやっていかなきゃならないという御判断をいただくときもあるだろう。そういったときに私どもはどう対応していくか、これから大きな課題というようにも考えております。  午前中の質疑でも申し上げましたけれども、大都会の対策として、混雑の緩和、乗り継ぎ、こういう利便性の向上、それから、日本全体のネットワークとして新幹線の整備の問題、そしてもう一つ、在来線の整備維持という問題について、私どもはしっかり勉強しながら取り組んでいかなければならない、このように思っております。  特に在来線につきましては、フリーゲージトレーン等、科学技術の進歩の中でより利便性が上がるものもあるだろう。一方で、極めて経済的に厳しいという中で、自治省や地方公共団体とうまく我々が手を結びながらやるべき部分があるだろう。こういったものをしっかり勉強しながらやってまいりたいと思いますので、どうぞ重ねて御支援を賜りたくお願い申し上げたいと思います。
  111. 森本晃司

    ○森本晃司君 続きまして、道路運送法改正に伴って貸し切りバスとチャイルドシートという問題についてお伺いをさせていただきたいわけでございます。  道路交通法が改正されて、自家用車には来年からチャイルドシートの義務づけが実施されることになったわけでございますが、本来、安全確保を最優先しなければならない事業用バスやタクシー、この点については改正試案段階では運転者に努力義務を課す方針だったと伺っております。しかしながら、改正案では適用除外されましたが、これはどのような理由によるものかお伺いします。
  112. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) 道路交通法のこのたびの改正によりまして、チャイルドシートの使用の義務づけということが一般的になされたわけでございますが、一定の場合にその義務づけを免除するということを政令レベルで今検討しているところでございます。具体的な例といたしまして、今挙げられました事業用のバスあるいはタクシーにつきましてでございますが、使用義務を免除する方針で現在検討しておるところでございます。  その趣旨でございますが、これらの自動車につきましては、いつ何人の幼児を乗車させることになるかということについて事前にわからないということがあるわけでございます。そのために、チャイルドシートの使用を法律上義務づけてしまいますと、この義務を履行するためにあらかじめ多数のチャイルドシートを車に積載しておかなければならないというようなことになる。このような過度の負担を課することは、現在出回っているチャイルドシートといったものを前提といたします限り適当ではないのではないかということで、これは除外したいというふうに考えておるところでございます。
  113. 森本晃司

    ○森本晃司君 貸し切りバスと乗り合いバスとは私はちょっと違うんじゃないかと思っています。確かに乗り合いバスというのはなかなか事前にはかり知れない。しかし、貸し切りバスの場合は、特に長時間運転するものですから、しかもある程度申し込みの段階で予測はつく。  いろいろな貸し切りバス用のチャイルドシートの開発も必要性が伴ってくるかと思うんですが、そういったことも踏まえて、貸し切りバスは高速道路を走りますし、普通幼児を乗せていく場合には料金の問題もかかってくる。一応、幼児の場合には母親のひざの上に乗せているから無料なんだとか、そういう点もあるわけでございますけれども、やはり幼い子供の命を守っていくということについては、乗り合いバスの場合にはこれはなかなか測定できないものでありますけれども、それでも乗り合いバスの中には座席のところに今シルバーシートがあります。同様にチャイルドシートの席が多少あって、そこに幼児を乗せられてその前に母親が立つとか、何か前を向いて進む施策を考えていく必要があるのではないかと思うんです。お答えいただきます。
  114. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) 御指摘貸し切りバスにつきましてでございますが、今委員がお示しになったような差異というものがあり得るのであろうと思います。ただ、乗り合いバスあるいはタクシーと同等とまでは言えないものの、現状でいきますと、何人の幼児を乗車させなければいけないかということが事前に運転者にどれだけわかるかということについて若干の懸念があるわけでございます。その意味で、これらの車といいましょうか、タクシーあるいは乗り合いバスに近い性格を持っているのかな、現状におきましてはそう考えておるところでございます。  幼児の保護の必要性、あるいは貸し切りバス事業者の負担、さらに利用者の利便等を総合的に勘案いたしまして、この点については政令に盛り込むべきかどうかということについて慎重に検討をいたしたいと考えております。  ただ、いずれにいたしましても、先生御指摘のとおりでございまして、タクシーに限りませず、事業者においては旅客事業における最大のサービスというのは安全の確保である、逆に言いますと安全の確保が最大のセールスポイントでなければならないというふうに私どもは考えております。  そういう観点に立ちまして、チャイルドシート導入のための積極的な取り組みが事業者においてもなされるということを期待いたしますし、またそういった動きを促進すべく私どももバックアップしてまいりたいと考えております。
  115. 森本晃司

    ○森本晃司君 最後に、規制緩和後の事後チェック体制についてお伺いしたいと思っております。  事業者に対する安全規制については、需給調整規制が行われていたときでも甘かったのではないかと言われるところもありますが、さらに今後、こういう状況の中で貨物トラックの車検証の延長等に関する審議においても、安全な運行確保に向けて事後チェック体制を充実することがますます必要であるということでございます。  貸し切りバスについてはどのように運輸省事後チェック体制考えておられるのか。さらにまた、トラックの場合、アメリカの場合にはトラック事業者参入は極めて自由でありますけれども、参入後の安全規制は非常に厳しい。また、外部からも、このトラックはチェックしたトラックである、そうでないということが見やすくなっているようでございますけれども、我が国の場合はそうではないという状況から考えて、大いに参考にしなければならないのではないか。また、路上検査の件数も極めて少なくなってきたわけでございます。  これからこういった安全確保は極めて大事でございますので、これらを強力かつ確実に推進するということになれば、運行管理制度の強化など法案に盛り込んではおりますけれども、目に見えた形になっていくことが大事ではないか。実効ある安全確保の実施に向けて大臣の決意をお伺いして質問を終わります。
  116. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘いただきましたように、需給調整規制廃止をされる。結果としてやはり数がふえていくんだろう。そして、規制の当時は、ある程度の基準を満たさなければ入れないという前提でありますので、ある程度業者の力というものが似たような状況にあった。それが拡大をいたしていくことになります。それだけに事後チェック体制をどのように整備していくか、運輸省としては極めて重要なことであろうと思っております。  御指摘をいただきました監視体制というものをしっかりつくり上げてまいりたい、このように思っておりますし、規制緩和というものがこのように実行されましても、安全というものに対しては運輸省は総力を挙げてやるということを改めて言明させていただきたい、このように思います。
  117. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  118. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 まず、鉄道事業法改正案について質問をいたします。  今回の運輸関係法の規制緩和は、国民の足の切り捨てを進める重大法案です。我が党は、徹底審議を、そしてそれにふさわしい質問時間の保障を求めてまいりましたが、与えられた時間はわずか三十五分、限られた時間の中での質問ですので、鉄道事業法の路線廃止問題について中心に質問をいたします。そういう事情も踏まえて、ぜひ答弁も端的にお願いをいたします。  まず、今回の法改正によって、赤字線などの廃止についてはどこがどう変わるのか。端的に言って二点変わると思うんです。一つは、運輸大臣の許可要件であったのが、一年前の事前届け出制度になるということ。二つ目は、現在、廃止申請に当たっては地元自治体の同意が必要だとされているものが、この必要がなくなるということ。これは、鉄道の公共性、ひいては国民交通権にもかかわる大改悪、抜本改悪だと思います。  まず、届け出制への変更の問題ですが、許可と届け出には雲泥の差があると思うんです。法律論的には許可というのは原則禁止でありまして、届け出というのは原則自由と、こういうことです。この法案が通れば、今後は鉄道事業者が一年前に届け出れば自由に廃止できるということになるわけですが、これでは事実上国民の足の切り捨ては野放しになるのではないですか。いかがですか。
  119. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お話しのように今回の退出についての主な改正点は、許可制から事前届け出制ということでございます。その際に、実は大前提として、現在の退出の運用でございますけれども、それは確かに同意というものを運用としては用意しております。これは今回事前届け出になりますのでなくなるわけでございますが、現在の許可基準をごらんいただきますと、いわゆる当該地域としての交通の足がなくなると重大な支障があるという場合を除き、運輸大臣は許可をしなければならないという規定になってございます。その意味で、実態の交通鉄道需要がそういう事態であるかどうか、つまり代替交通機関が確保されておるか否か、その必要があるかないか、そういうところが非常に大事なことになるわけでして、それは具体の制度論としても、その実態論としてもそこをよく御議論いただかなければならないと思っております。  その意味におきますと、我々、事前届け出制にいたしますけれども、その前提として、その後の交通体系を、せっかく地元協議会を用意しながら議論していこうという制度を設けているわけでございまして、実態面においては我々は足の切り捨てにはならないというふうに理解しております。
  120. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私はそれが重大だと思うんです。先ほど現行の法を見よとおっしゃいましたけれども、小幡局長は、現在の退出についても代替輸送機関が確保された場合には運輸大臣は許可をしなければならないというスキームになっていると、こういう答弁をしておられます。しかし、法は明確に、「公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、」「許可をしなければならない。」と、これが法のまさに書き込んでいる条文そのものでしょう。  私は、そういう言い方はみずから法をねじ曲げるものだと。大体、何の歯どめも現状でもないというようなことはないわけですよ。はっきりしているのは、この退出する、廃止するという場合には運輸大臣の許可を求めなければならない、そうなっているわけでしょう、現状は。それが今度の法改正で届け出れば一年後には廃止できると、こう変わることは明瞭じゃないですか。  自治体の問題でも、同意を得た上で廃止申請が初めて出せるという状況、今はそうだと思うんですね。ところが、今度法改正をされれば自治体同意は要らないということになるわけですから、どこが同じなんですか。全然違うじゃないですか。どうですか。
  121. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 先ほど申し上げました現在の事業の休廃止の場合の許可基準でございますけれども、「当該休止又は廃止によつて公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、」ということの一つの解釈でございますけれども、我々としては、代替輸送、公共輸送機関が整備されている場合には、ここの「おそれがある」というふうには認められない、そういう意味で、申請があれば許可をしなければならないということを申し上げたわけでございます。  それと、確かに形式的には許可制届け出制になるという法形式の実態はございますけれども、先ほど申しましたように、我々は、廃止後の代替交通機関が整備されるかどうかというところが一番大事な話でございますので、それについては、先ほど申しましたように、都道府県あるいは利害関係人からの意見聴取の規定を法律上用意し、それから、運用上ではございますけれども地元協議会等を用意いたしながら、そしてまた法律上は一年間という非常に長期にわたる事前届け出制ということにすることによりまして、その期間において代替交通機関の問題については運輸局の方が先頭に立って地域と相談しながら用意する、こういう仕掛けの中で、実態的には御迷惑がかかることにならないということを申し上げているわけです。
  122. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 公衆の利便が著しく阻害されるおそれがある。この問題は代替輸送機関が確保されれば問題ないというような小さい問題じゃないと思うんですよね。私はそう思います。  先ほど協議機関ということもおっしゃいました。これは何の歯どめにもならない。運輸大臣も先ほどの御答弁で、この協議機関で協議するんだと、そしてバスということもあるだろう、あるいは三セクということもあるだろうと。鉄道をそのままの形で残すという結論についてはお触れにならなかった。幾ら協議したって、やるのは調整ですから、これは届け出て一年たったらもう自動的に廃止されるということじゃないですか。何の歯どめにもならないということを私は言いたい。  では、この制度が変わらない、ほとんど変わりがないとおっしゃるなら、少し逆からお伺いします。  現行法二十八条、「公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、」「許可をしなければならない。」ということは、逆に言えば、そういうおそれがあると認められた場合には許可しないということを意味していると思うんですね。ところが、今度は全くフリーになる。届け出がされれば、これは幾ら反対でも一年で廃止ということになるわけですから、運輸省はその場合、待てということが今後言えるわけですか。全く同じ運用をやっているんだったら、今後もその廃止をやめさせるということはできるんですね。いかがですか。
  123. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) それは許可制でございますから、形式や仮定の話でございますが、公衆の利便が著しく阻害されるおそれがある申請が出た場合には運輸大臣は許可をしないということは当然可能でございます。  それでもう一つ、我々が申し上げていますのは、先ほど実効的な実態的な話として申し上げましたけれども、我々としてこういう形での廃止申請というものが鉄道事業者から出てくるというふうな認識はしておりません。我々として、鉄道事業者は公共性を常に念頭に置き経営をしていただいていると思っておりますので、その意味で、確かにこういう公衆の利便を著しく阻害するおそれがあるようなケースにおいて事前届け出をしてくるということは形式的には考えられるかわかりませんけれども、我々としてはそういうものについても一年間の期間の中において、その運営する公共性にかんがみまして当該事業者考え直しをしていただくようなことも含めまして、当該協議会において議論させていただきたいと思っております。
  124. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 許可制届け出制では明確に違うと。これは事実でしょう。それはいいですね、やりとりありましたけれども。
  125. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) それは、法制度的な許可制届け出制は当然違います。私が申すのは、実態論としての運用を含めての実態が変わるかどうかということで申し上げているわけでございます。
  126. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 鉄道事業者が公共性を守ると信じているとおっしゃいましたけれども、実際に実態はそうなのかどうか、これはまた後で議論したいと思うんです。  もう一つ大問題を指摘したい。地方公共団体の同意の問題であります。この問題でも鉄道局長衆議院で重大答弁を行いました。これまで自治体の同意が必要だったが、これはあくまで原則的な指導であって、残念ながらそれがとれない場合、許可申請があった場合に我々としては今申しました法律上の原則、つまり許可をしなければならないという原則に従って対応するというのが現行法体制だと、こう述べました。まるで今でも自治体同意が必要でないかのような口ぶりです。  では聞きますが、昭和六十二年以降で廃止された線は民鉄十八、JRが三つだと思います。この二十一の中で、自治体同意がないまま廃止したというものがあるならお答えください。
  127. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 今の実績については、すべて地元の同意をいただいた上での申請というふうに理解しております。
  128. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 少なくともこれまでは自治体同意がなければ許可申請は出せなかったわけです。そして、それは当然のルールとしてやられてきたわけですよ。それを今度は自治体同意を全く必要なくするわけですから、これは全然制度が変わるわけです。現に、自治体が鉄道の廃止は困る、そう言っている例だっていっぱいあるじゃないですか。また後から広島の可部線の問題を取り上げますけれども、こういう問題を見たときに、あたかも今でもこういうことは何ら問題でないかのような答弁というのは全くおかしいんじゃないですか。いかがですか。
  129. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) これはそのときの答弁でも申し上げましたけれども、法律的には、申請行為というのは我々は制約を与えるわけにはいきません。そういう中で、例えば鉄道事業廃止というものは非常に地域の利用者の方々に重大な影響を与えるおそれがございますので、当該地域の合意というふうなものがあった形での申請が好ましいということは論をまたないと思います。  その意味で、我々は当該申請に当たりまして当該地方公共団体等とよく御相談の上出していただくということを指導しておりますけれども、合意に至らないというときに申請者が出してきた場合に、我々として申請を受け付けないというわけにいかない、これが現行制度であるということでございます。
  130. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 少なくともこれまではそういうことをやられてこなかったわけでしょう。自治体の同意がないままに鉄道事業者が申請するということはなかった。なぜなら、運輸大臣の許可要件になっていて、これがなければだめだということが事業者の側もわかっていたからです。それを今度取っ払えば、これは平気で出してくるということになるのは明瞭じゃないですか。この点でも、私は今度の改悪というのはまさに国民の足を切り捨てる危険があるということをずばり指摘しておきたいというふうに思うんです。  さて、それでは次に、事業者が路線を廃止するに当たって判断するときの基準、物差しは何かという問題です。こういう議論をやりますとまず出てまいりますのが、第一に収支採算の確保が困難だ、つまり赤字だということが出てまいります。第二に、鉄道特性がなくなったという議論が出てくるわけです。  そこで、この改正案と密接な関係のある実例として、先日、本委員会でも林紀子議員が取り上げた広島県のJR可部線の廃止問題、これにもかかわって私は質問をしたい。  私も二度にわたって現地へ参りました。すべての地元自治体も反対しております。商工会も観光同業組合なども大反対です。幾つか問題を指摘いたしますが、一つは、特定区間だけを取り出して鉄道特性がないと。こういう議論は昭和六十一年の国鉄国会、分割・民営化時の約束をほごにするものだというふうに指摘せざるを得ないと思うんです。特定区間を取り出して鉄道特性がないなどという議論を許せば、そういう例は全国至るところにあるわけですよ。それが切られるのなら、JRの鉄道ネットワークはずたずたにされる。  運輸省にお伺いしますが、JRはこの可部線についてかなり乗客数が減ってきていると言うんですけれども、JR可部線、横川—三段峡間の輸送密度について、昭和六十二年と現在とをお答えください。
  131. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) JR西日本から毎年報告を受けておりますが、これによりますと、JR可部線全体の一日当たりの輸送密度は、昭和六十二年度は三千二百六十人、それが平成九年度では四千六百三十五人ということで、可部線全体としてはふえておるというふうに報告を受けております。
  132. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 輸送密度は千人以上ふえているわけです。乗客数も可部線全体で見れば五百万人以上伸びております。この区間を限って見たら輸送密度が落ちていると、つまり可部から三段峡をとれば落ちている。こういうあなた方の言い分でいっても、JRはこの間、可部から先の路線をどのように扱ってきたのかという実際を見て議論する必要があると思います。  いろいろ実情を調査して驚きました。JR西日本はこの路線の輸送が落ちるようにしむけてきたとしか考えられない。JR発足時には一日十六本あった列車を今日十本にまで減らしました。列車の数が減れば乗客数が減ることは事の当然であります。それだけではございません。この区間の増収対策として臨時列車をかつては盛んにやっておりました。八七年には多客臨時列車を春、夏、秋に運転しました。団体臨時列車も納涼列車、わんぱく列車、忘年列車等々ずっとやってきたわけです。  ところが、今は地元自治体が幾ら要求しても走らせない。それもそのはずで、可部線に鉄道部が発足したとき、当時のJR西日本の井手社長出席のもと、鉄道部長が可部から先はないものとして対応してもらいたい、こうあいさつしたというじゃないですか。まさに輸送密度が落ちるようにしむけてきたのは明瞭ではないですか。  ひとつ運輸大臣、こういうやり方はいかがですか。
  133. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今の御指摘いただいた発言、私は直接承知いたしておりませんので、社長がそう言われた、それについてどうだと言われますと、社長にまだ確認いたしておりませんので、後ほど確認して御回答申し上げたいと思います。
  134. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 この可部線の旅客数、輸送が落ち込むようにしむけてきたのではないかという問題は、衆議院の運輸委員会でも全く同じように運輸大臣にお尋ねしています。別の材料で平賀議員が質問しました。同じように運輸大臣は事実関係を調べて後ほどというふうに答弁をされました。こういう実態があるわけですから、これは現場に行って直接私たちが聞いてきたことなんですから、やはりそういうやり方はとんでもないと、ぜひきちっと指導していただきたいと思うんです。  こういうことがやられた場合に、これまでだったら、そういう廃止を黙って許可したかといえば、ちょっと待ちなさいと言ったはずですよ。ところが、今後この法改正がやられれば、どんな不当なやり方で廃止するということを鉄道事業者が仮にやったとしても、全く何もできなくなるということじゃないですか。だから、今度の法改正は重大だというふうに申し上げているわけです。  そこで、可部線でのJR西日本の論理が通るということになれば、輸送密度四千人未満で国鉄分割・民営化時に比べてダウンした線というのは廃止されても仕方がないということになると思うんです。可部線では昭和六十二年に比べて、特に今回廃止が問題になっている線については六〇%に落ち込んでいるということですが、これは運輸省にお伺いしますが、JRの輸送密度四千人未満の線で、国鉄分割・民営化時と比べて輸送密度が六〇%以下になっている線は何線あるか、御答弁ください。
  135. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 平成九年度末現在におきます輸送密度四千人未満の路線数は七十三路線でございます。そのうち国鉄分割・民営化時点、昭和六十二年度末と比較いたしまして輸送密度が下がった路線数は六十路線でございます。  ちなみに、JR全路線数は百七十八でございます。
  136. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 これは、この前の当委員会で林議員の質問のときに資料を委員の皆さんにもお配りいたしました。私は同じものをきょうここに持ってまいりましたが、昭和六十二年に比べて輸送密度が六〇%以下に落ちている、そして輸送密度が四千人を切っているというのは仮に廃止してよいという話になれば、全国で四十七線ございます。北海道で六線、東日本で十八線、東海で二線、西日本が十二線、四国で三線、九州が六線と、全国至るところでこういうのが出てくる。  先ほど他の委員からもどんどん廃止するという話にならないようにという話がありましたけれども、まさに今回の問題を見ても、こういうことがもし認められればそういう話が出てくることは明瞭だというふうに思うんです。  同時に、JRは、赤字だということを現場で説明しております。この赤字だという言い分も到底住民の納得できるものではございません。JRは、この間、赤字は六億円と何の根拠も示さずにいきなり言い出しております。この可部線ですよ。それで、私たちはJRと交渉して住民に納得できる情報を提供せよと繰り返し求めて、渋々出してきたのがここに持ってきたこの表なんです。人件費、物件費、その他と、そういうものですよ。  そして、この中身、なぜその額なのかということは何一つわからない。例えば人件費の支出は三億円というふうになっているけれども、なぜ三億円もかかるのかが全く理解できないものです。現場でいろいろ聞いてみても、駅は八駅あるが、JRの職員がいるのは一つだけ、あとは無人駅、列車はすべてワンマンカー、車掌は乗っておりません。一日五往復、せいぜい五人いればよい。保線といっても、これ非電化ですから、保線しているところを見たこともない。こういう地元の人たちの声もある。その他、本社や支社の管理関係の人件費を見ても、せいぜい十人ほどだ、十人ならざっと六千万、うんと多目に見て二十人としても一億二千万。どこから二億七千万というような額が出てくるのか、こういう地元の方々の実感ですよ。  あなた方の言う説明責任を全然果たしていないんじゃないですか。少なくとも地元の皆さんが納得のいく詳細な情報を示すのは当然だと思いますが、いかがですか。
  137. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) JR西日本において、現地において御説明、相談等が行われているというのは承知しております。その中で、我々が繰り返し申し上げておりますように、当該路線の状況、収支の状況等々、当該路線を、区間を廃止せざるを得ないということであるなら、その理由等についてできるだけ詳細に御説明しなきゃならぬというのは当然の責務と考えておりますので、我々はそういうことで当該JR西日本の社長以下に対して指導しているところでございます。
  138. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 最後に一つこの問題でお伺いしておきます。  JRは今回の鉄道法の改正の動きをまさに悪用しているという指摘を以前もいたしました。つまり、JR西日本は、現地の皆さんに対して、鉄道事業法改正前に廃止の同意をすれば代替バスをJRは責任を持って運行するが、改正後なら代替交通を運行することに必ずしもなりませんよと、こんな口ぶりで説明をしているわけです。小幡鉄道局長は、仮にそういうことがあれば我々としても遺憾でございますと、こう答弁されました。  運輸省の説明では、鉄道局長が直接JR西日本の社長に会って厳重注意をした、こう聞きましたけれども、何月何日にやったんですか。そして、その結果、JRはこういう言い分は撤回すると述べているんですか。
  139. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  三月の上旬の当委員会だったと思いますけれども御質問いただきまして、その中で今申されましたような答弁を申し上げました。その後でございますので、具体的な日時はちょっと記憶にございませんけれども、その直後だったと思いますが、三月の中旬でございますけれども、JR西日本の社長に、こういうことであるなら非常に遺憾であるということで、現地の支社長等に対し徹底するようにということで注意喚起をしたのは事実でございます。そういうことでございますので、当然、現地の支社長を通じて話は、注意は行ったというふうに理解しております。  それからまた、それに先駆けまして、質問いただいた直後に、西日本の東京事務所もございますので、そこを通じてこれも注意喚起をさせていただいた経緯もございます。
  140. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 こういう言い分は撤回されたというふうに理解をいたします。  では次に、道路運送法についてお伺いいたします。  貸し切りバス運賃料金のダンピングが特にひどい。こういうもとで需給調整規制廃止して、運賃や料金を認可制から届け出制にすれば、過当競争の激化、経営の圧迫から、安全経費の削減、利用者サービスの低下が起こることは明らかだと思うんです。貸し切りバス事業者は八八%が中小業者、七割が赤字経営だと。その大きな要因は、貸し切りバスの多くが大手旅行代理店扱いで、優越的な地位のもとで運賃や料金のダンピングが横行していることにあると思うんです。  運輸省の監査状況の資料を見ましても、業務監査では百九十四社監査した中で百四十一社、七二%が処分を受けている。保安監査では百三十社中百二十三社、実に九四%が処分をされている状況です。  大阪のある事業者にお伺いしました。認可運賃などあってないようなものだ、三割安、四割安は当たり前、四十六万円のスキー夜行バスは二十五万円でやっていると。何と半額ですよ。今でさえこういう実態なのに、運賃自由化をやったら、大手旅行業者の貸し切りバスの買いたたきというのが一層加速されるのは目に見えております。  運輸大臣にお伺いいたしますが、こういう実態を知っているのか、そして、法改正してこれが一層ひどくならない保証はどこにあるのかということをお答えいただきたい。
  141. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) ちょっと事情の説明をさせていただきたいと思います。  運賃のダンピングということでございますが、昨今需要が低迷する中で、サプライサイドは価格の競争とサービスの改善をあらゆる分野でしておる。御承知のとおりでございます。航空におきましても、半額という運賃は必ずしも珍しいことではない状況になっております。  貸し切りバスは従来から競争が激しいマーケットでございましたが、その中で、さらに需要の低迷する中で、国内旅行の担い手として運賃が低迷しておる傾向にあることは御指摘のとおりでございます。  一方、運賃の低迷あるいは中小事業者の存在ということから安全が確保できないということは大変な事態になりますので、その点は別途、貸し切りバスの特性に合わせまして、遠方に運行したり労働条件が長時間になるとかという特性がございますので、その点は法改正後におきましても十分措置したいということが基本的な考え方でございます。
  142. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 貸し切りバスは、かかるコストのうち半分以上は人件費だというふうに聞いております。ですから、運賃や料金がたたかれたら労働者の賃金の圧縮に即つながるわけです。  それで、運転手さんからも聞きましたが、まさに回数を多く無理して乗務しなければやっていけない、夜行スキーバス、多いときには三往復休みなく繰り返すという話も聞きました。バスはトラックと違ってとめて仮眠できないんです。だから、それこそ太ももに針を刺しながら運転しているなんという話まであるぐらいなんです。その上に、大手の旅行代理店からの仕事は添乗員も兼ねてくれというものまである。乗客の点呼、荷物の積みおろしまでやらされる場合がある。運転に集中できない。禁止されているアルバイト運転手、これも常態化されていると聞いております。一歩間違えば大事故につながる、いつ起きてもおかしくない。  これはぜひ運輸大臣にお答えいただきたいんですが、全国的な実態調査をやるべきである。運輸省はトラック業界のダンピングなどの実態調査をやりました。貸し切りバスについても大規模な調査をやるべきだと思いますが、ぜひ大臣の御見解をお伺いいたします。
  143. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 事務的で大変恐縮でございますが、実態の調査というのは、今いろいろな例を御指摘になりましたが、太ももに針を刺すというような事例は、一つの例でございますが、余り業界にも伝わっていない話でございます。  いずれにしましても、貸し切りバスというのはなかなか労働条件が難しい、運転手一人に頼って運行されるということでございますし、労働の場所が職場を離れて遠方の道路で行われるということで、大変安全の確保の工夫が要るところだと思います。  今後、安全の確保のために監査体制の強化あるいは情報の収集、不断の調査をしていかなきゃいけないと考えております。一斉の調査で事足る話ではないと思いますので、今別途、運輸技術審議会で、事故の防止のための工夫ということは情報の収集を不断に行うことにあるという議論がされておりますが、不断の安全確保の努力を今後とも続けるということを基本にしていきたいと事務的には考えております。
  144. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 安全管理の問題でありますので、私どもは損なわれることがあってはならないという形で進んでまいりたいと思います。また、そこにはやはり情報公開というものもあわせていかなければならないのだろう。  最近、航空の小さな欠陥の状況、途中から戻ってきた、もしくはチェックをした、こういう今までは流れていなかった細かい情報が流れるようになってまいりました。また旅館においても、運輸省一つの格付をしていこうか、こういうふうなことも考えております。  それは、今言われましたように、利用者のサイドから、このバス会社というものがどういうバス会社であるかというのをやっぱりきちっと情報公開していくということが大事だろう。安全管理というものがしっかり守られている貸し切りバスであるということを私どもははっきり国民の前にわかるようにしていかなきゃならない。その中で、当然安全管理というものが貸し切りバス業者にとりまして第一であるという認識をもう一歩進められるように努力をしてまいりたい、このように思っております。
  145. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 情報公開をして、国民の側が安全管理がしっかりしているバス会社であるということを見きわめられるようにしていくと言うけれども、つまり、安全管理がしっかりしていないバス会社というものが、結局今回の規制緩和によって一層拡大するおそれがあるということじゃないですか。  私は、やっぱり国の責任としてそういうことはやるべきではない、きちっと安全が守られるように、やはり押さえるべきところは押さえる必要があるということを指摘しているわけです。いかがですか。
  146. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) そこが、朝から議論をしておる需給調整というものを撤廃して民間業者のまさに創意工夫でやっていく、しかしその中でどこでチェックをしていくかという議論であろう。事前にすべてのものをある程度の資格の要件の中で押し込んで、これだったら大丈夫だから、これ以外はだめですよというやり方はいたしません。認可はいたします。しかしながら、その中において私どもはチェックをして、もちろん是正を求める。同時に、そのチェックした経過というものも国民にわかるようにして、その中で国民の選択を求めていく、こんな制度をつくり上げようと努力をいたしているところでございます。
  147. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 今回の法改正は、いずれも規制緩和の名のもとに、国民の利便も安全性も全部投げ捨てるものだと言わざるを得ません。特に、鉄道事業法の改悪は、JRなどの鉄道事業者が公共交通機関としての社会責任を投げ捨てて国民の足を切り捨てるのをお構いなしにしてやろう、こういうとんでもない内容だと私は思います。  運輸大臣、あなたは本日の論議でも、今回の改正に当たって国鉄改革の原点というものは守っていくということを述べられました。私も、今回の法改正で問われているのは、まさに十二年前の国鉄分割・民営化のときの原則、原点だというふうに思います。  昨年の国鉄債務の処理法案、あの国会で、私はあなたと六十二年の国鉄改革当時の原則とは何であったのか、こういうことについても随分議論しました。国民の財産であった国鉄を民営化する、JRが受け継ぐ。そのときに、もうけ本位になるんじゃないですか、国民の足が切られるんじゃないですかと、当時最大の問題になったわけであります。  そのとき、一切そんなことはいたしません、公共性は守ります、国民の足は守ります、そういう約束で国民の財産を全部受け継いで、営業収入の一%の経常利益、もうけまで保証してやって、そういうことまでやって発足、出発したんじゃありませんか。そのときに、今回削られるこの運輸大臣の許可要件だって入れられたわけであります。  ところが、旧国鉄債務の二十八兆円も私たちの反対を押し切ってあなた方は国民に押しつけました。そして、今度はとうとうこの国鉄分割・民営化時の約束まで投げ捨てて野放しにしてやる。こんなことは国民は絶対に許さないということを指摘して、私の質問を終わります。     ─────────────
  148. 小林元

    委員長小林元君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、若林正俊君が委員を辞任され、その補欠として久野恒一君が選任されました。     ─────────────
  149. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 運輸省の運輸政策の大変革とも言っていい需給調整規制廃止の問題であります。そのときに、運輸省のコマーシャルがありますね、「わたしたちが運ぶのは未来です」。さて、需給調整廃止後、運輸省はどのような未来を運んでいこうとしているのか。それは国民生活にとって本当に明るいものになるのか、一体どのような未来を想像しておられるのか、とりわけ需給調整廃止後の交通体系についてお伺いをしたいと思います。  今回の法改正背景には、何人かの同僚議員からもお話がありましたけれども、許認可行政への批判があったと思われますし、とりわけ運輸省は他の省庁に比べて多くの許認可権を持っております。その多さに批判が集中したものであろうというふうに考えていますが、このため、まずは許認可数を減らすことを第一義といたしまして議論が進められたのではないか、輸送の使命であります安全の確保ということが軽んじられてきたのではないかというふうに思われてなりません。  鉄道や貸し切りバス、さらに今後予想されている航空、海上輸送、乗り合いバス、タクシーといった人命を預かる旅客運送業にとっては安全は絶対な条件でありますし、この認識についてはまずは確認できると思うのであります。その旅客運輸事業を市場競争原理にゆだねることは、安全を軽視することにほかならないのではないか、そのように考えるわけでございます。市場原理競争原理の徹底で、人権や健康、雇用、安全、環境などの社会的に守られなければならない価値が損なわれることになるのではないかというふうに考えられますが、そういうことはあるのかないのか、いかがでございましょうか。  そこでお伺いしますけれども、需給調整規制廃止した後の交通体系というものは、運輸省はどのような将来像を描いているのか、お伺いいたします。
  150. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘のように、需給調整廃止するということになれば、当然光と影の部分が出てくるだろう。光の部分での長所というのは、いろいろのところでお話ししてございますのでもう委員既に御理解をいただいておると思っております。  問題は、影の部分に対してどう私どもがセーフティーネットを張っていくか。離島航路にしましても、先ほどからの鉄道にいたしましても、また来年提案することになりましょうバスの乗り合いにいたしましても、生活路線というものだけはしっかり守っていかなければならない、このように思っております。その生活路線の守り方として、財政面、税制面、そして財政面は国だけの支援ではなく地方公共団体、そして中央省庁であれば自治省との協議の中で、地方の生活路線を守りながら、一方で光の部分というものが自由濶達な仕事を展開していくという中で国民にいいサービスがもたらされていく、このように思っております。  そういった意味で、特に今議題となっております鉄道の問題につきましては、新幹線問題、それから都市鉄道問題、あわせて在来線の問題をもう少し掘り下げて私どもも結論を出していかなければならないな、このように思っております。
  151. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ただいま大臣の方から規制緩和後の光と影の部分、とりわけこれから先の運輸行政にとって最も大事な部分というのは、やはり影の部分をどのようにして拡充をしていくか、そのことがより国民の安心と安全に私はつながっていくのではないかというふうに思っています。  したがって、従来は需給調整規制を通じて安全かつ良質な輸送サービスが安定的に供給されてきたわけですけれども、では、国民はこの需給調整規制廃止することによってどのようなメリットを享受することができるか、また、廃止することによってどのようなデメリットが生じると考えていますのかお伺いいたします。
  152. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) お答えいたします。  まずメリットの方でございますが、これは交通事業者創意工夫が生かされ、それが市場における自由な競争を通じて事業活動の効率化、活性化が図られます。その結果、運輸サービスの多様化、高度化、あるいは運賃の多様化、低廉化等が行われ、交通利用者の利便が増進されることが大きなメリットではないかと考えております。  他方、デメリットでございますが、先ほどから大臣が申し上げていますように、生活路線について、日常不可欠なサービスの安定的な供給の期待というものがこの需給調整廃止だけではできないという面が出てくるかと思います。これにつきましては、るる申し上げているような措置によってこの影の部分というものを拡充していくということが重要であると考えております。  さらに、環境問題などの外部不経済というのもございまして、こういった問題につきましても、環境問題について個別対策を講じることによりまして、この環境問題の顕在化というのを防ぐ必要があるかと考えております。
  153. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 法案審議中で再規制問題について質問することは多少不謹慎かもしれませんけれども、外国の例を見聞するにつけても、規制緩和後の問題点が大きく社会的な問題になったりしたことを考えますと、やはり需給調整規制廃止後、大きな社会的な混乱を招くことが予想されるわけでありまして、再度規制をするというような考えをお持ちなのかどうかお伺いをしたいし、また運輸省はそのような用意があるかどうかお伺いをしたいと思います。
  154. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) 先ほどからお答え申し上げているように、確かに規制緩和というものは万能薬ではございませんが、御心配のございます影の部分については所要の手当てを講じることといたしますし、また、先生が冒頭におっしゃいました安全の問題につきましても、これは交通運輸サービスを提供する上で最重要課題でございますので、これに引き続き万全を期すこととしております。  具体的には、事業参入の際の資格審査や事業運営に係る検査、交通事業者の資質の確保等を行いますし、利用者の保護についても事業参入に当たっての損害賠償能力等の審査や上限価格制等、運賃面での配慮もございます。  したがいまして、私どもが今御提案申し上げているこの規制緩和を行うに当たっては、所要の措置を講じてその影の部分を最小に抑えていると考えておりますので、このような意味合いから、再規制を行うというような事態が将来生じるということは今の時点では考えておりません。
  155. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 鉄道事業法についてお伺いをいたしますが、「認定鉄道事業者」とはどのようなことなのか。また、その認定は、「鉄道施設又は車両の設計に関する業務を一体的かつ有機的に実施する事務所」となっておりますが、外注事業者、下請事業者もこれらは含まれるのかどうか、お伺いをいたします。  さらに、認定基準として社内規程の整備、一定の経験等を有する業務実施者及び業務管理者の配置、社内監査体制の確立等を定めることとしていますが、これらによって十分な安全が担保されるものかどうかお伺いいたします。
  156. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 認定鉄道事業者制度でございますが、御案内のように、現行法制度の中では設計管理者制度というものを設けているわけでございますが、これは設計管理者という個人の資質、能力、技能等に着目いたしまして、この方たちが扱う申請事案についてはできるだけ簡素化していこう、こういう発想でございます。  最近、組織体としてそういう技術能力が蓄積され、大変な高度な技術力を有してきているという実態にかんがみまして、今回は個人ではなくて組織体として、具体的には事業単位でございますが、そういうものを認定した場合には、従来の設計管理者制度で認めておった簡略化以上の簡略化を認め、そういう中で規制緩和を行っていこうと、こういう趣旨の制度でございます。  そういう意味で、今回の組織は社内の事業単位ということでございまして、先生お話しの外注事業者なり下請事業者との関係においては、社内でありますような有機的な体制ということにはまいりませんので、当該事務所には含まれないというふうに理解しております。  それからもう一点、認定鉄道事業者制度の導入によって鉄道の安全性が損なわれないかどうかという基本的な御質問でございます。  これは、先ほど先生おっしゃられましたように、認定事業者制度そのものの中でいろいろな措置を事業者の方にお願いしておりますけれども、そのほかに役所の方から見ましても、そういう認定に際しまして十分に事前の審査をさせていただく。それからまた、一たん認定したら恒久的ということではなくて、一定期間ごとに更新というようなことの中で再チェックをさせていただく、あるいはまた、国が必要に応じて立入検査等を行うことによりまして、不適合なことがあれば認定の取り消しというようなこともできる。あるいはまた、確かに簡略化させていただきますけれども、重要な部分については、限定的ではございますけれども引き続き国が直接審査をさせていただくというようなことを考えておりますので、この認定事業者制度導入によりまして安全が損なわれることは万が一にもないというふうに考えております。
  157. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、運賃及び料金の変更命令についてお伺いをいたします。  不当な差別的取り扱いや、他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるときは、運輸大臣は期限を定めて運賃または料金を変更すべきことを命ずることができるとありますが、現在JRは全路線のほんの一部を特定区間運賃として運営されています。それと並行する民営鉄道は営業線のほとんどがJRとの並行路線となっているようなケースが多くあるわけでありまして、このような場合、本法の施行後、不当な競争に当たるかどうか、当たるとすればどのような変更命令が出るのかお伺いいたします。
  158. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お話しのように、JRの大都市部の運賃は実は他のJRの路線より割安な運賃水準となってございます。これは、御案内のように、国鉄時代運賃は民鉄と比べて割高だったわけでありますが、この運賃を割安な水準にあった大都市の民鉄運賃に調整したという経緯での運賃でございます。そういうことでございます。  その意味で、JRにおいて、大都市部において割安な運賃で民鉄運賃競争しているということでございますが、今申しましたような経緯、それから実際の運賃設定の実態等から勘案いたしますと、今回新しくお願いしております運賃変更命令の要素、「他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるもの」というには該当しないのではないかというふうに認識しております。
  159. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、貨物輸送を特例とした理由についてお伺いをいたします。  今回の規制緩和から除外されていますけれども、なぜ除外されたのか、その理由をお伺いいたします。
  160. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 貨物鉄道事業につきましても、我々は最終的には需給調整規制廃止して、やはり競争の中で適正に運営していただきたいと念じております。  ただ、現在の鉄道貨物のいわば中心、あるいはこれに尽きると思いますけれども、を担っておりますJR貨物の経営状況は、先ほど大臣から申し上げましたように大変な事態に至っております。そのJR貨物の再建問題で、現在、労使挙げてその再建策についてその礎をつくるべく大いに頑張っていただいている状況でございます。  そういう状況でございますので、このめどを立てた後、需給調整規制等の対応をさせていただいた方がよりよいのではないかという考え方のもとで、今回、しばしの間現状のまま残し、近い将来にめどがつきました段階で今回と同じような措置をさせていただきたいということでお願いしておるわけでございます。
  161. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 道路運送法についてお伺いをいたしますが、参入における許認可基準について、午前中局長答弁もございましたが、確認の意味を込めてお尋ねをいたします。  まず第一は、「事業の遂行上適切な計画」とはどのようなものでしょうか。そして、保有車両台数はどれくらいを考えていますか。  二つ目は、この場合、要員係数はどのくらいなのでしょうか。  第三点目は、運行管理者の配置基準はどのようなものになりますか。具体的な数値をもって御説明いただきたいと思います。  また、「自ら適確に遂行するに足る能力」とはどのような能力を指すのでございましょうか。この場合、法令遵守の能力はどのように判断されるのでしょうか。道交法違反だけでなく、貸し切りバス事業者の自動車運転者の労働時間改善基準の違反がある場合も法令遵守能力の欠如として考えてよいのでしょうか。いかがでございましょうか。
  162. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) お答え申し上げます。  事業の許可のいろんな基準、具体的な話でございますが、まず保有車両数でございますが、現在、大型バスは五両、中小型バスは三両ということでございます。この水準につきましては来年二月の需給調整規制廃止後も維持するという考え方でございます。  要員係数の話でございますが、要員係数、車両一台当たりに必要な運転手の数ということでございますが、貸し切りバスにおきましては運行形態が多様化しておることもございまして、参入時に一律の基準を定めるというのは困難になっておる現状でございます。しかし、過労運転の防止ということは重要な課題でございますので、文書による運行指示書の義務づけ等の措置を新たに講ずるという形で実行していきたい。  それから三つ目の運行管理者の配置基準でございますが、トラックの場合と同じように営業所の車両数に応じて運行管理者を選任するという考えで措置する予定でございます。その際の具体的な数値等につきましては、法成立後、検討を進めていきたいと考えております。  さらに、「自ら適確に遂行するに足る能力」ということでございますが、具体的には、一つ目には経営組織が確立していること、二つ目は営業所、車両、車庫等の事業用施設を確保する財産的基盤を有していること。あるいは、法令遵守能力として申請者が法令知識を有していること。さらには、過去の一定期間において道路運送法等の違反により行政処分を受けていないこと等を想定しているところでございます。  さらに、事業者が過労運転を行わせたということにつきまして、法令遵守能力に欠くかどうかという点でございますが、過労運転を行わせたということで、行政処分を受けてから一定期間については、法令遵守能力に欠くという判断をして許可等を行えないということを想定しておるところでございます。  以上でございます。
  163. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、運賃料金の設定の問題についてお伺いをいたします。  運賃料金が事前届け出制になった場合、貸し切りバス運賃料金はこれまで以上に事業者間の格差が生じてしまい、利用者にとっては一層理解しにくいものになってしまうという思いがありますけれども、いかがでございましょうか。
  164. 荒井正吾

    政府委員荒井正吾君) 貸し切りバス運賃は御存じのように季節によっても違いますし、需要の態様によっても多様でございます。現在、上下一五%の幅の中で運賃を設定するということでございます。  わかりにくいという点につきましてでございますが、運賃等の情報提供の充実ということをあわせて推進すべきかと考えております。情報提供の形はいろいろの工夫があろうかと思いますので、民間事業者の方の情報提供、行政情報提供等の工夫について検討を進めてまいりたいと考えております。
  165. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後に、本日は鉄道事業法道路運送法の二法についての審議でございますが、関連法案を含め考えたときに、私は交通運輸分野における需給調整規制廃止は、安全の確保、利用者の保護、生活路線の維持や雇用の確保、労働条件に重大な影響を与えるとの立場であります。また、自己責任自由競争の徹底では、総合交通体系の確立、大都市圏における混雑緩和対策、公共交通の再生、高齢者、障害者の移動の権利を保障するための交通のバリアフリー化、生活路線の維持、環境に配慮したモーダルシフトの推進、自動車事故防止等の推進は、極めて困難ではないかと考えられます。  したがいまして、人、町、環境に優しい公共交通の確立を運輸政策の基本とすべきであり、あくまでも総合交通政策の観点に立った必要な社会的な規制の強化が求められると思いますし、そういう社会規制を通じて安全な社会を構築していくことこそ、運輸省が言う「わたしたちが運ぶ未来」ではないか、そういうことを質問いたしまして、質問を終わります。
  166. 小林元

    委員長小林元君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより両案のうち、鉄道事業法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  167. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、鉄道事業法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  鉄道は、大量安定輸送、定時性、環境対応などの点で他の輸送機関と比べても優位性を持ち、営利企業の経営であっても極めて公共的性格が強い交通手段です。規制緩和の名のもとにそのすべてを市場原理に基づく競争事業者の自主的判断にゆだねるべきではありません。  第一に、この法案は路線廃止を促進する赤字路線廃止自由化法案とも言うべき大改悪であり、絶対に反対です。鉄道路線の廃止に当たって許可制から届け出制に変更することは、事業者の一方的判断だけで自由に廃止ができることになります。しかも、今までは廃止の前提条件として、地方自治体の同意が必要であったものが、関係自治体から意見を聴取するだけで、地元が幾ら反対しても一年過ぎれば自動的に廃止ができることになってしまうのです。  また、どの路線を廃止するかについての判断基準も一切なく、どの程度の輸送密度でどの程度の赤字路線が廃止対象になってくるのかもすべて事業者の判断であり、行政は一切関与しない。収支採算の確保が困難な路線、つまりすべての赤字路線が廃止対象となるわけであります。  また、不当なことに、路線ごと廃止にとどまらず、可部線のような路線の一部赤字区間である特定区間を取り出して廃止する手法に拍車がかかることです。こういうやり方を許すならば、ローカル線はもちろん、幹線の不採算・赤字区間も勝手放題に廃止されていくおそれがあります。輸送密度四千人未満の区間は八七年時点で一万三十五キロに上り、こうした鉄道特性が発揮できない路線・区間が廃止対象となってくると懸念されます。この改悪を許すならば、大量公共輸送機関として全国各地を結び、大動脈の役割を持つ鉄道がずたずたにされ、国民交通権を侵害し、地域経済にも多大な影響を与えることは明白であります。  第二の問題は、安全規制緩和です。JRの重大事故が相次いで発生しており、安全規制は強化こそすれ、それを大幅に緩和することは、安全確保が最大の使命である鉄道事業の役割を放棄させることになります。  第三に、運賃の引き上げの自由化に道を開くことになるからです。事業者は上限運賃の範囲内なら報告だけで自由に運賃を設定でき、その上限運賃は従来の原価計算より高コストで算定することになります。そのため、運賃は高く認可されることになり、同時に、その範囲内で自由に運賃が引き上げられるということになります。  以上、本法案の改正は鉄道事業の根幹を変えるものであります。にもかかわらず、わずか数時間の審議で議了することに強く抗議し、私の反対討論を終わります。
  168. 小林元

    委員長小林元君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  鉄道事業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  169. 小林元

    委員長小林元君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、寺崎君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。
  170. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、ただいま可決されました鉄道事業法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     鉄道事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について万全の措置を講ずべきである。  一、鉄道事業者が鉄道事業廃止する場合には、地元住民・利用者の声を反映し、沿線地域の交通利便を確保するため、地元協議会を設置するなど関係者の意見を十分に聴取し尊重すること。  二、鉄道事業廃止し、代替輸送に転換する時には、利用者に過重な費用負担をかけることのないよう配慮すること。  三、鉄道事業廃止によって鉄道貨物輸送ネットワークの確保に支障が生じないよう十分に配慮すること。  四、乗継円滑化措置を講ずるに当たっては、利用者利便の向上を図るため、運輸大臣の協議命令・裁定・勧告に関する規定については、その要件の明確化に努め、適切に運用すること。  五、安全規制の見直しに当たっては、認定事業者の業務の能力基準を明確に定めると同時に、鉄道事故の発生を未然に防止し、安全を確保するため、事故原因の調査・分析と再発防止策を適正に行うための措置を講じること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  171. 小林元

    委員長小林元君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  172. 小林元

    委員長小林元君) 多数と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、川崎運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。川崎運輸大臣
  173. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ただいま鉄道事業法の一部を改正する法律案につきまして、慎重な御審議の結果御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。  ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、運輸省として十分な努力をしてまいる所存であります。
  174. 小林元

    委員長小林元君) 次に、道路運送法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  175. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、道路運送法の一部を改正する法律案に対し、日本共産党を代表して反対の討論を行います。  本法案に反対する第一の理由は、貸し切りバス需給調整廃止運賃料金の規制緩和を進めるものだからであります。  貸し切りバス事業者の八八%以上が中小業者であり、現状ですら大手旅行業者などの買いたたきの中で運賃料金の価格破壊が起きており、七〇%の事業者が赤字経営を余儀なくされているのであります。こうしたもとで需給調整廃止し、運賃料金を認可から届け出に緩和すれば、今以上に過当競争が激化し、一部大手事業者事業拡大が進み、中小事業者の経営がさらに悪化することは明白であります。  第二に、こうした過当競争の激化による経営の悪化は、安全輸送に大きな影響を与えることになります。安全対策の経費の削減を招くなど、利用者国民の安全や利用者サービスの低下をさせるおそれがあります。  貸し切りバスは、観光や修学旅行など国民生活に密着した長距離輸送を実施しており、安全確保が何よりも重視されなければなりません。高速道路での高速走行、観光地等での地形が険しい道路での走行など、運転者が十分になれていない道路での走行が多く、十分な安全確保の対策が実施されないまま規制緩和を進めることは、重大な事故の増大を招くおそれがあり、認められません。  第三に、バス労働者の平均労働時間は二千七百時間から二千八百時間に及ぶ長時間過密労働を強いられており、その上、大手旅行業者による優越的地位を利用した無理な運行計画の強要、運賃料金のダンピングなどにより、労働者の労働条件がますます切り下げられるからであります。  以上、中小事業者の経営の悪化、利用者の安全の確保への疑念、労働者の労働条件の切り下げにつながる規制緩和である点を指摘して、反対討論を終わります。
  176. 小林元

    委員長小林元君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  道路運送法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  177. 小林元

    委員長小林元君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、寺崎君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。
  178. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、ただいま可決されました道路運送法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     道路運送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について万全の措置を講ずべきである。  一、一般貸切旅客自動車運送事業の許可に当たっては、最低車両台数の確保等輸送の安全を確保するための適切な事業計画及び事業遂行能力等に関する審査を厳正に行うこと。また、その許可基準を具体的に定めて公示するなど、許可制度の運用について統一性、透明性を確保すること。  二、運転者の過労運転による事故防止を図るため、自動車運転者の労働時間改善基準遵守を前提とする運行計画の策定及び書面による運行指示を徹底する措置を講ずること。また、運送契約時においても基準が遵守されるよう関係者間の協議の場を設置するなど適切な措置を講ずること。  三、一般貸切旅客自動車運送事業の適正化を図るため、運賃料金の変更命令、輸送の安全確保に関する是正命令、事業の改善命令、許可の取り消し処分等について厳正かつ機動的に行うこと。  四、一般貸切旅客自動車の運行の安全を確保することにおいて、一般貸切旅客自動車運送事業者責任が回避されることのないよう、運行管理に係る規定の運用に十分留意すること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  179. 小林元

    委員長小林元君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  180. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、川崎運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。川崎運輸大臣
  181. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ただいま道路運送法の一部を改正する法律案につきまして、慎重な御審議の結果御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。  ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、運輸省として十分な努力をしてまいる所存であります。
  182. 小林元

    委員長小林元君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 小林元

    委員長小林元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  184. 小林元

    委員長小林元君) 次に、有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案放送法の一部を改正する法律案及び高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案の三案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。野田郵政大臣
  185. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案放送法の一部を改正する法律案及び高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案、以上三件につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  初めに、有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、有線放送の分野における規制の合理化を図るため、有線放送の業務を行う者の地位の承継に係る規定を整備し手続の簡素化を図るとともに、有線テレビジョン放送施設の設置許可について外国人等であることを欠格事由としないこととする等の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を申し上げます。  第一に、有線放送の業務を行う者について合併等があったときの地位の承継に係る規定を整備し手続の簡素化を図ることとしております。  第二に、有線テレビジョン放送施設設置の許可の欠格事由のうち、外国性の制限に係るものについて削除することとしております。  その他規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行することとしております。  続きまして、放送法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、地上放送の分野においてデジタル信号による送信をするテレビジョン放送等を導入するに際して、映像または音声と文字、図形等とをあわせ送る高度かつ多様な放送を行うことができるようにするため、テレビジョン放送等の定義に関する規定を整備する等の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を申し上げます。  「「テレビジョン放送」とは、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像及びこれに伴う音声その他の音響を送る放送(文字、図形その他の影像又は信号を併せ送るものを含む。)をいう。」こととする等定義規定を改めることとしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  最後に、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、デジタル信号による送信をするテレビジョン放送の早期の普及を図るため、高度テレビジョン放送施設の整備を促進しようとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一に、高度テレビジョン放送施設、高度テレビジョン放送施設整備事業等の定義をすることとしております。  第二に、郵政大臣は、高度テレビジョン放送施設の整備の促進に関する基本的な方向及び高度テレビジョン放送施設整備事業内容等に関する基本指針を定めることとしております。  第三に、高度テレビジョン放送施設整備事業を実施しようとする者は、その実施計画が適当である旨の郵政大臣の認定を受けることができることとしております。  第四に、通信・放送機構の業務として、郵政大臣の認定を受けた実施計画に係る高度テレビジョン放送施設整備事業の実施に必要な資金を調達するために発行する社債及び当該資金の借り入れについての債務保証等の業務を追加することとしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上が、これら三法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  186. 小林元

    委員長小林元君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十七分散会