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1999-04-27 第145回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任      宮本 岳志君     笠井  亮君  四月二十日     辞任         補欠選任      内藤 正光君     佐藤 雄平君  四月二十一日     辞任         補欠選任      佐藤 雄平君     内藤 正光君      笠井  亮君     宮本 岳志君  四月二十六日     辞任         補欠選任      岩本 荘太君     菅川 健二君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小林  元君     理 事                 加藤 紀文君                 景山俊太郎君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君                 渕上 貞雄君     委 員                 岩城 光英君                 鹿熊 安正君                 田中 直紀君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 若林 正俊君                 内藤 正光君                 本田 良一君                 松前 達郎君                 鶴岡  洋君                 宮本 岳志君                 戸田 邦司君                 菅川 健二君    国務大臣        郵政大臣     野田 聖子君    政府委員        厚生省健康政策        局長       小林 秀資君        郵政省通信政策        局長       金澤  薫君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○特定公共電気通信システム開発関連技術に関す  る研究開発推進に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○通信放送機構法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通情報通信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十六日、岩本荘太君が委員辞任され、その補欠として菅川健二君が選任されました。     ─────────────
  3. 小林元

    委員長小林元君) 特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案及び通信放送機構法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 松前達郎

    松前達郎君 まず最初に、通信放送機構法改正案、これに関連して質問させていただきます。  衛星管制業務自立化の問題ですけれども、今回の通信放送機構、昔は放送衛星機構というふうに言ったんですが放送機構になりました。この法改正案では、衛星管制業務に関する政府からの出資金機構返還する、政府による十年間の無利子貸し付けに転換をするというのが盛り込まれているわけです。これは、平成八年に閣議決定が行われました行政改革プログラム、これに基づいているというふうに伺っているわけであります。  本来、機構というのは、私も最初この機構ができるときに委員をやっておりましたけれども通信衛星放送衛星管制を行うというのが主目的だったと思います。  そこで、まず、行政改革プログラムの言う、「自立化」という言葉が使われておりますが、これは具体的にどのようなことを指すのであるかということ、また、それに対する認識についてお伺いいたします。さらに、機構衛星管制業務自立化を今行う理由、これについて御説明をいただきたいと思います。
  5. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) お話がございましたように、通信放送機構が行う衛星管制業務につきましては、行政改革プログラムにおきまして「平成十一年度に国からの出資金返還し、経営自立化を実施する。」というふうにされたところでございます。  この行政改革プログラムにおいて指摘された管制業務経営自立化の意味合いでございますけれども、これは国の出資金返還し、今後は同業務について国の資金に頼らずに事業経営を行うことと理解しております。このため、本改正により、管制業務に係る国からの出資金約三十四億円を返還するとともに、今後同業務に対して国からの出資が行われないようにすることにより、経営自立化が達成できるものというふうに考えております。  また、お尋ねございました平成十一年度に経営自立化をなぜ行うこととしたのかということでございますけれども、これにつきましては、行政改革プログラムにおいて平成十一年度に経営自立化を実施するというふうに決定されたところでございまして、この決定に基づきまして郵政省として今回の法律改正を行うというものでございます。  また、その決定の背景でございますけれども、国の開発資金が投じられた最後の衛星でございます放送衛星BS3bの管制平成十年度に終了し、平成十一年度からは純粋に民間資金のみで開発された衛星のみを管制することとなります。これを契機として経営自立化を図るということが行革プログラムの中で決定されたということでございます。
  6. 松前達郎

    松前達郎君 自立化については、その最終的目標というので民営化という言葉が一時使われておりました。閣議決定の中でもあったようですが、最終的なねらいというのは民営化ということなんでしょうか。その段階としてこの自立化をまず最初にやるということなのかどうか、これをお伺いします。
  7. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) この通信放送機構に関する閣議決定は何回か実施されておりまして、当初の段階では確かに民間法人化ということがその趣旨でございましたが、機構がその後研究開発業務それから通信放送についてさまざまな高度化のための支援業務を行うことになりまして、そのために民間法人化という言葉は使わずに経営自立化ということを閣議決定でも使うようになったということでございます。  したがいまして、この趣旨政府資金を吸い上げるということでございまして、通信放送機構管制業務をやめるということを意味したものではないというふうに考えております。通信放送機構管制業務を継続的に実施していくということを前提にして、機構から政府資金返還してもらうということを決定したものというふうに理解しております。
  8. 松前達郎

    松前達郎君 そうなりますと、今後の収支見通しでありますけれども、今後十年間かけて三十四億円を政府に対して返済していかなければならない、こういうことになるわけです。政府出資金を回収するのにあわせて、残り半分の三十四億円を出資しているのがNTTとNHKとKDDだと思いますが、これにつきましても出資金返還を請求できる、こういうふうなことが法律に盛り込まれていると思います。  機構は現在通信衛星二基、放送衛星三基を管制していると思いますけれども放送衛星BS3Nについては平成十三年度、それから通信衛星N—STARa、bについては平成十七年度に設計上の寿命が来ると思います。新たに衛星管制委託がないとしますと、出資金の返済を行いながら管制収入の減少を賄うのは非常に難しいのではないか。今後の衛星管制業務収支見通しは一体どうなっているのか、これについて説明をお願いします。
  9. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 今後の管制業務でございますけれどもBS3Nは平成十三年度に、N—STARaN—STARb平成十七年度に管制を完了するという予定でございます。  一方、平成九年度及び平成十年度にBSAT1a、1bが打ち上げられました。これはそれぞれ平成十九年度及び二十年度まで管制計画を有しているところでございます。したがいまして、平成二十年度まで管制計画があるわけでございまして、これに基づきまして安定的な経営が確保できるというふうに考えているところでございます。  行政改革プログラムでは管制業務経営自立化ということを求めているわけでございまして、政府資金に頼らずに経営を行うということでございます。機構認可法人として今後とも引き続き管制業務を実施していくということでございまして、現在の時点では十分収支見通しが成り立つものというふうに理解しているところでございます。
  10. 松前達郎

    松前達郎君 衛星開発、打ち上げ、運営、それをすべて国が主導で今まで行ってきたわけでありますが、衛星の利用については民間もそれなりの実績を残してきていると思います。機構業務見直しについては、今回の政府出資金返還一つ改革方向であると思いますが、機構改革が今回の出資金返還だけで終わってしまわないようにしなければいけないだろうと思っております。  ことしは機構設立二十周年ということで、記念すべき年と言ってもいいと思いますが、機構設立以来の業務であります衛星管制が今お話がありましたような自立化の道を進むということについて、これは感慨深いものがあるわけでありますけれども、今後とも時代に合った業務内容、体制であるために不断の見直しがさらに必要であろう、こう思いますけれども、今後の機構のあり方について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  11. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 今回の法律改正は、先ほど来お話に出ています平成八年の閣議決定による行政改革プログラムに従って、通信放送機構が行っています管制業務に関して、国の出資金返還して国の資金に頼らず経営自立化するように措置するものでございます。  衛星管制業務につきましては、経営自立化趣旨を踏まえて通信放送機構事業の一層の効率化を図り、今後とも安価で安定的な管制業務を行うものと期待しているところであります。  また、通信放送機構情報通信分野における総合的な政策支援を行う唯一の認可法人ということで、現在、管制業務のほか、基礎から応用への橋渡しのための研究開発推進する業務とか通信放送事業高度化等を支援する業務を実施しているところです。  これからも情報通信のさらなる発展によりまして、研究開発業務また通信放送事業高度化支援業務役割がますます大きくなるものと考えておりまして、積極的にこれら業務の拡充を図ってまいりたいと考えています。
  12. 松前達郎

    松前達郎君 次に、機構情報公開についてお伺いをします。  今回の法改正では情報公開が盛り込まれておりますけれども機構における情報公開の取り組み、それから基盤技術研究促進センター情報公開についての公開規定整備をする必要があるんではないか、こういうふうに思いますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
  13. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 社会的要請もございまして、機構業務内容透明化ということは私どももぜひ実施しなければならないというふうに考えておりまして、情報公開を積極的に推進してきております。  まず、昭和六十三年の機構法改正の際に、機構財務諸表貸借対照表損益計算書財産目録でございますが、これらの財務諸表、それから事業報告書を主たる事務所に備え置くことを法律で義務づけることとしたところでございます。それからさらに、平成八年でございますけれども決算報告書についても主たる事務所に備え置くことを法律で義務づけることといたしました。さらに、平成九年からは実行上、貸借対照表損益計算書官報公告を実施したところでございます。  今回の法改正では、既に実行上実施してきておりますけれども貸借対照表及び損益計算書官報公告法律上義務づけるということを行います。それから、財務諸表附属明細書事業報告書決算報告書及び監事の意見書というものを各事務所に備え置き、一般の閲覧に供するということを法律上義務づけたところでございます。  次に、お尋ね基盤技術研究促進センターについてでございますけれどもセンターにつきましても私ども情報公開を積極的に進めてまいっておりまして、昭和六十年の設立当初より自主的に財務諸表事務所備え置きを実施してまいりました。さらに、平成八年からは財務諸表のほか決算報告書事業報告書事務所備え置きを実施いたしました。また、平成九年からは自主的に貸借対照表損益計算書官報公告を実施しました。  このように、基盤技術研究促進センターでは実態として財務諸表等を既に自主的に公開しております。ただ、法律上義務づけておりませんので、今後基盤技術研究円滑化法改正の機会をとらえまして公開規定整備を図っていきたいというふうに思っております。  先生のおっしゃるとおり、情報公開に向けて努力してまいる所存でございます。
  14. 松前達郎

    松前達郎君 先ほど私から申し上げたとおり、機構法というのは当初は衛星管制だったわけなんですが、時とともにさまざまな業務がこれに追加されてきております。関連規定として機構法以外の法律で追加された業務、これが現時点で八つほど、今後十ぐらいになるんじゃないか。平成二年には難視聴解消促進事業、四年には研究開発施設整備出資業務国際研究交流業務直轄研究業務、さらに七年には先進研究開発助成金交付業務研究開発施設整備業務、八年になりますと研究開発債務保証業務委託研究業務、こういうふうに追加されてきておりますから、こういうふうに見ますと、どうやら研究の方あるいはその他の方向にこの機構法は進もうとしているんではないか。  こういうことから、平成十年の特定公共電気通信システム開発関連技術研究推進に関する法律の審議が行われましたけれども、この際に、今申し上げたような各法律に分化されてばらばらになっている通信放送機構関連規定をできるだけ一元化したらいいのではないか、機構目的役割を明確にするべきだと私はこの委員会で申し上げたと思うんです。  この質問に対しまして、当時の木村通信政策局長は、一つ法律で簡明化するのは理想であるけれども今後内部で真剣に検討するというふうな答弁がありました。  郵政大臣として、通信放送機構関連規定の一元化について御所見を伺いたいと思います。
  15. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 通信放送機構業務特例を定めている法律は十本ございますが、それぞれの法律ごとに異なる目的がありまして、その目的を達成するための手段の一つとして通信放送機構業務特例を定めているということになっております。したがいまして、法目的の異なる多数の法律を一元化することは非常に難しいのではないかと考えているところであります。  通信放送機構目的業務について、例えば規定を一元化することとし包括的な規定を置いた場合、機構が非常に広い範囲で業務を行えることとなることも考えられるわけで、逆に、認可法人業務法律上限定されているという趣旨を踏まえると望ましくないのではないかという考え方もございます。  しかしながら、通信放送機構業務先生御指摘のとおり非常に複雑な規定ぶりとなっておりますので、だれにでも御理解いただけるように簡単でわかりやすい周知方法等についてこれから工夫をしてまいりたいと考えています。
  16. 松前達郎

    松前達郎君 ぜひお願いします。  終わります。
  17. 内藤正光

    内藤正光君 おはようございます。  私は、特定公共電気通信システム法の一部を改正する法律案について何点か質問をさせていただきます。  まず、このシステム法で現在どの分野システム共同開発をされ、そしてまた今度の一部改正案でどの分野が新たにつけ加えられるのか、簡潔に説明をしていただけますでしょうか。
  18. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律でございますけれども、これは平成十年五月六日に公布されまして、十一月一日に施行されております。同法におきましては、郵政省文部省、農林水産省、運輸省と連携して通信放送衛星機構を通じてさまざまなシステム研究開発を実施しているところでございます。  まず、文部省と連携いたしまして、インターネットによって動きがスムーズで高品質の映像教材を各学校に配信するシステムでございます教育支援システムというものを行っております。  それからさらに、文部省と連携いたしまして、小中学校高等学校における教育方法に関しまして光ファイバーとかDSL、WLL等高速アクセス回線を活用するシステムでございます学校インターネット開発いたしております。  それから、農水省と連携いたしまして、人工衛星を使った農業用の水を管理するシステム農業用水管理システムと言っておりますが、このシステムについて研究開発を行っておるところでございます。  それから、運輸省と連携いたしまして、運送関係申請手続電子化システム研究開発を行っております。  それからさらに、運輸省と連携いたしまして、移動制約者、つまりハンディキャップを有する方々でございますが、この方々運輸関係のさまざまな施設を利用する場合に危険を回避するためのシステム移動制約者支援システムと言っておりますが、このシステム研究開発しているところでございます。  郵政省の中では、内容証明郵便というものがございますけれども、それの電子版でございます電子内容証明システム研究開発を行っております。  さらに、電波関係では、無線局免許関係手続電子化システム研究開発を行っているところでございます。  今回の改正でございますけれども、警察庁と連携いたしまして、警察通信の安全を確保するための機能を有する電気通信システム研究開発を行うことといたしております。  それから、自治省と連携いたしまして、水火災または地震等災害の状況を把握いたしまして災害による被害を予測するための機能を有する電気通信システム、これを研究開発することといたしております。  以上でございます。
  19. 内藤正光

    内藤正光君 ありがとうございます。  次は、厚生省さんにお越しいただいているわけですが、一点質問させていただきたいと思います。  平成九年五月に閣議決定をされました経済構造の変革と創造のための行動計画というものがございます。その中でこのように述べられております。「我が国経済社会全体の情報化起爆剤として期待される、行政教育研究開発医療交通防災等公共分野情報化を積極的に推進」をしていくとあります。  別にこの文言一字一字にこだわるわけではございませんが、情報化においてやはり今後一番有望視されているものの中の一つ医療福祉分野がございます。特に、郵政省さんが説明用の資料の中で例示されております開発システム汎用部分共通部分として、PHS位置を捕捉する機能が掲げられております。これなどは、例えば徘回老人に持たせればその位置が把握できるといったように、まさに厚生省さんが率先して取り組んでもいいものではないかなと思います。  そのほかにもいろいろあろうかと思いますが、しかし、先ほどの説明を聞いてわかりますように、厚生省さん関係のものが入っていない。これはどうしてでしょうか。
  20. 小林秀資

    政府委員小林秀資君) 事前の予告が医療問題だったものですから、私は医療を担当している局長でございますので福祉のことはちょっと専門外ですけれども厚生省の一員でございますので、少し関連することかもしれません、お答えしたいと思います。  厚生省では、PHSを使って徘回老人が把握できるということはシステムとしては大変都合がいいことだと私は思っております。ただ、これは郵政省さんの仕組みによっているのか、または厚生省が独自に福祉としてシステムをつくっているのかというところまではちょっとわからないのであります。  医療関係で申しますと、医療関係については、遠隔医療開発とか医療情報標準化開発評価、それから電子カルテを用いた医療情報の提供の応用及び普及等、これに関連する研究をやることと同時に、実際には遠隔医療推進試行的事業については、郵政省さんと一緒になりましてもう既にモデル地域で実験をやっております。そういうことはやっているわけです。  それからまた、国立病院関係でいきますと、国立がんセンターがんセンターの分院の東病院、柏にありますが、その間を光ファイバーで結んでおりまして、画像自体の移送もやり、離れたところで一緒テレビ会議をやれる。それからまた、衛星放送を使って海外の大学にも医療上の、手術をやっているところの情報を送るとかいうようなことも既に現在やっておりますし、全国の国立病院自体としてもネットワークを組んでホスプネットとしてスタートさせております。  そういうことで、厚生省は従来から一生懸命やってきておりまして、どちらかというと、既存に開発されたハードを使わせていただいて、それを有効活用という方に、厚生省は特にソフトが大事なものですから、そちらに力を入れて一生懸命やっているというのが現状でございます。特に郵政省さんがやっていることに横を向いて勝手なことをやっているということではなくて、どちらかというと、今までずっとやってきたことの延長でこうなってきたということでございまして、今後は、我々の業務でもっと新しいことをやっていこうというときに、必要になったときにはまた郵政省さんとも御相談をして御協力を願いたい、このように思っている次第であります。
  21. 内藤正光

    内藤正光君 厚生省さんとしては独自にもう既に前向きにどんどん進めているということで安心をしました。これで結構でございます。ありがとうございます。  次に、ちょっと事前通告していなくて大変恐縮ではございますが、郵政省に一点質問させていただきます。  高度情報通信社会推進本部の方針に対して、これに具体的に技術的にこたえるのがこの法案趣旨ではなかろうかと思っております。その中にありますものとして、例えば郵便局におけるワンストップ行政サービスがあろうかと思います。  ここでお尋ねしたいのは、この法案の中にワンストップ行政サービスを実現するようなシステム開発が盛り込まれているようには思えませんが、これはどうしてなのか、あるいはまた別のところでシステム開発を着々と進めているのか、教えていただけますでしょうか。
  22. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) このシステム法の中で郵務局関係について触れておりますのは、郵便物特殊取り扱いを実施するための機能ということで、電子内容証明システムについて特別会計一般会計一緒に金を出し合って機構研究開発をやっていくという趣旨システム法ができ上がっているところでございます。  ワンストップサービスにつきましては、郵務局におきまして予算要求がさまざまなされておりまして、その郵務局予算要求の中で実施されているところでございます。  以上でございます。
  23. 内藤正光

    内藤正光君 事前通告をしていなくて大変恐縮ではございますが、私が思いますに、確かに一つ一つ見れば出てくるわけでございますが、やはりワンストップ行政サービスの全体像を掲げていただかないことには、こちらとしてもなかなかその像が描けないし、大変困るわけです。また国民に対してもワンストップ行政サービスはこんなに便利になるものですよというふうになかなか訴えられないと思います。  これ以上この件に関しては深追いはいたしませんが、これがあるよこれがあるよと一つ一つ出すのではなくて、まずワンストップ行政サービスの全体像を描いていただきたい、そして現実的には、まずは今回の法案ではこれを実現するとかいうふうにやっていただければ大変うれしく思うわけでございます。  これの関係でもう一点質問させていただきたいわけですが、技術的な取り組み、つまりシステム開発等の取り組みもさることながら、やはり省庁と省庁の垣根を越えた環境整備という点での取り組み、協力体制が大変必要であろうと思います。  ワンストップ行政サービスを例にとりますと、郵政省さんと自治省さんあたりが一緒に取り組んで行わなければならないかと思いますが、具体的にこの両省間の話し合いの場とか取り組みはございますでしょうか。
  24. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 先ほどのワンストップ行政サービスについて若干つけ加えさせていただきたいと思いますけれどもワンストップサービスというのは、各省庁の申請届け出等の手続を電子化いたしまして、関係する手続を一カ所で処理できるように一元化するということがワンストップ行政サービスの定義というふうに私ども考えておりまして、この視点からさまざまな施策を実施しているということでございます。  郵便局ワンストップ行政サービスを実施できますと、国民にとって一番身近な場所でさまざまな行政サービスを一元的に受けられるということで、私ども非常に望ましいことではないかというふうに考えている次第でございます。  そういう視点から、平成九年十一月下旬から二カ月間、郵便局に設置されました情報端末を操作いたしまして、自治体が提供するさまざまな公的サービスの申し込みを行う実験を開始いたしました。例えば、東京都の台東区とか愛知県岡崎市とか沖縄の竹富町等で実施したところでございます。平成十年度は近隣自治体を含めて広域化実験を行っておりまして、内容証明郵便を高速・高度化したものを実験しております。  基本的には、郵便局を利用いたしまして、郵政省としてはそれを利活用してさまざまなワンストップサービスを実施していきたいというものでございまして、政府全体といたしましては、郵便局に限らず、最終的には個々の家庭で一元的にさまざまな行政サービスを受けられるということが望ましいわけでございまして、その方向で努力しているということでございます。  それから、各種制度の問題でございますけれども、これは先ほど申し上げましたような自治省との関連も当然あるわけでございまして、例えば住民票の取得をどこでやるのかということにつきまして、現在、郵政省業務として住民票交付業務を行うことはできないわけでございますが、委託を受けて郵政省としていわば代行的にこれをやるというふうな仕組みになっておりますが、自治省とは十分その点について話し合っているということでございます。  制度的にはそういうふうな問題以外にもさまざまな問題がございまして、例えば医療情報につきましては、初診医療を除きまして遠隔医療を認める旨の解釈通知が発出されたところでございまして、これは実際医療を行うときには必ず患者と相対して医療行為を行わなければいけないという原則になっておりますが、それを解釈通知を発出して遠隔医療を認めたというふうな形で制度をさまざま改正しております。  例えば法務省においては、民事訴訟手続における証人尋問を、テレビ会議システムを利用いたしましてテレビ会議で証人尋問ができるようにしたとか、さまざまな制度がございまして、それぞれの省庁と制度的な問題について一件ごとに取り組んでおりますし、高度情報通信社会推進本部の中でも制度的な問題についての取り組みがなされているところでございます。
  25. 内藤正光

    内藤正光君 ぜひ省庁間の制度的な垣根を取り払うよう頑張っていただきたいと思います。  最後に一つ質問をさせていただきます。  システム開発をこの通信放送機構のもとで進めていく、このメリットはいろいろあろうかと思います。一つには、高度情報通信社会推進本部の方針を実現するために国を挙げて取り組んでいるという姿勢を内外に示すこと。二つ目として、システム汎用部分を共通化していくことでむだな二重投資を回避しながら一体的なシステム開発を進めていくこと。そして三つ目として、これは副次的だろうとは思いますが、システムの拡張性が増大する。端的に言えば、汎用的な機能、汎用的な部分を利用しながら個別のシステム開発を進めていける。そういったことだろうと思います。  ここで質問なんですが、先ほども申し上げましたように、情報化起爆剤として公共分野情報化推進していくというふうに閣議決定が行われております。これを私なりに解釈をさせていただくならば、最初は呼び水として国が税金でシステム開発を進めつつも、その後については民間活力にゆだねる、これがまさに起爆剤の持つ意味なんだろうと思います。  つまり、このシステム開発を進めていくわけですが、この汎用部分、汎用機能をいかにほかの民間企業が利用しやすいような、利用して個別システム開発していきやすいような条件整備を進めるかにポイントの一つはあろうかと思いますが、郵政省さん、その点についての取り組みをお聞かせいただけますでしょうか。
  26. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 公共分野情報化起爆剤になるという考え方でございますけれども、これは民間情報化投資がなかなか進まないということを前提にいたしまして、国がみずから需要家になる。要するに、需要サイドでその需要を膨らましていくことによって全体の情報化投資のきっかけになっていく。また、国が公共分野情報化を行いますことによりまして、例えば各種申請書類を電子的に行えるようになる。それから、税関係の申告を電子的に行えるようになるというふうになりますと、当然民間も電子的な処理方法を導入するようになるというふうなことで、さまざまな形での波及効果をねらったものでございます。  郵政省としても、そういう意味で、公共分野情報化のために、基盤的、横ぐし的、汎用的技術でございます通信放送技術というものを十分研究開発し、これを一般の用に供していかなければならないというふうに思っておりまして、通信放送機構を使った研究開発というものもございますし、先ほど御説明申し上げましたようなシステム法を使った研究開発というものもございますし、通総研における研究開発というふうなものもございます。さまざまな形で技術の開発を進め、それを一般に広く開放していくことによって公共分野情報化も進展していくものというふうに理解しております。ひいては、民間情報化もそれを契機として進展していくというふうに考えておる次第でございます。
  27. 森本晃司

    ○森本晃司君 最初に、システム法関連について質問をさせていただきます。  システム法は、公共分野情報化の促進を図るために、郵政、文部、農水、運輸の各省が通信放送機構に特定公共電気通信システム開発を行わせるために昨年制定されました。今回の改正で新たに警察庁、自治省が参加するわけでありますが、それでも六省庁であります。  私は、特定公共電気通信システム開発という事業は、各省庁がばらばらに行っていた研究開発を一体的に実施して効率化を図るという意味で大変意義のあるものだと思っておりますが、他の省庁がなかなか参加してこないその理由は一体何なのか、それからまた、今後各省庁が参加してくる見通しがあるかどうか、まずその点についてお伺いいたします。
  28. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) このシステム法に基づく研究開発でございますけれども、これは郵政省に関連いたします通信放送技術とそれぞれの省庁の公共分野における研究開発というものを一体的に実施していくということを念頭に置いたものでございます。したがいまして、郵政省のみならず、それぞれの省庁がみずからの考え方に基づきまして予算事情等も勘案しながら予算要求をしていくということが前提でございます。したがいまして、それぞれの省庁が予算要求し、それが政府全体として調整がとれたもの、これがシステム法の対象になっていくということでございます。  今回、警察庁、自治省の二省庁と連携することといたしましたのは、それぞれの省庁が予算要求をし、それぞれ政府部内において調整がついたということで実施することとしたところでございます。  ただ、横ぐし的な通信放送関連技術というものをできるだけ多くの省庁の公共分野システムに利用していただきたいというのが私どもの考え方でございまして、各省庁との連携施策を今後とも積極的に推進してまいる所存でございまして、関係省庁に働きかけてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  29. 森本晃司

    ○森本晃司君 大臣にお伺いいたしますが、高度情報通信社会推進本部というのは総理が本部長をされておるところでありまして、昨年、アクションプランを策定されたところであります。  公共分野情報化を進展させることは、国民の生活の向上につながるだけではなしに、今議論がございました起爆剤になるという要素を大いに持っており、それを期待されているところであります。  しかしながら、今回のシステム法改正に、今も御答弁をされてお帰りになった厚生省さん、これが全く入っていないという状況です。それから、建設省、通産省、国土庁、環境庁、労働省、ある意味ではむしろこちらの方が大いにシステム化に関係があるのではないだろうか、そう思われるところがまだ入っていないということについては、私はまことに残念だなという気がいたします。  この公共分野情報化を速やかに進めるために、また効率よく実現できるように、郵政省推進本部においてより一層のリーダーシップを発揮すべきだと思うんです。郵政大臣推進本部の筆頭副本部長であられるわけでありまして、よりリーダーシップを発揮していただかなければならないと思っていますが、お考えをお伺いします。
  30. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 御指摘のとおり、高度情報通信社会推進本部決定平成十年ですが、ここで基本方針が出ておりまして、公共分野情報化というのは社会経済全体の情報化を進める上で重要な役割を担うものであり、関係省庁が一体となった効率的な研究開発を積極的に推進すべきものとされておりまして、私もまさに同感であり、そうしなければならないと思っています。  公共性を有する業務の用に供する電気通信システム開発に必要な技術に関する研究開発公共分野情報化に資することから、情報通信の担当である郵政省としても、関係省庁と連携して積極的に推進を図っているところです。  確かに、今回のシステム法の限りでは、先生御指摘のあった役所との連携はまだないわけですけれども、他に、一般会計予算におきましては、基本的にはそういう連携施策を優先し、横ぐしというか、そういういわゆる今までの縦割り行政を排した形で情報通信行政を進めていこうという取り組みを今進めているところでございまして、これからもそういう背景のもとで私たちも積極的に、厚生省を初めとして、今チームを組んでいないと言われる皆様方にも声をかけて取り組んでまいりたいと考えています。
  31. 森本晃司

    ○森本晃司君 大臣のより積極的なリーダーシップを期待しております。  次に、高度情報通信社会推進に向けた基本方針では、「二十一世紀初頭に高度に情報化された行政、すなわち「電子政府」の実現を目指す。」とされておりますが、この行政情報化の進捗状況と現状、さらに今後のスケジュールについて説明をお願いします。  また、国民にとってより身近な存在であります地方公共団体の行政情報化の進捗状況はどうなっているのか、また、そういった地方に対する国の支援策はどうなっているのか、お伺いいたします。
  32. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 電子政府の実現ということでございますけれども、これにつきましては、高度情報通信社会推進に向けた基本方針に基づきましてさまざまな施策を総合的、計画的に推進しているところでございます。例えば、行政情報の電子的提供の拡充、申請届け出手続の電子化、ワンストップサービス推進等々でございます。  これらの施策の具体的な取り組みスケジュールにつきましては、アクションプランというものを今月十六日に高度情報通信社会推進本部決定として定めまして、その具体的内容を公表したところでございます。  さらに、平成十年十二月、総理大臣の直轄プロジェクトとしてバーチャルエージェンシーというものが設けられておりますけれども、このバーチャルエージェンシーの中で電子政府というものが取り上げられておりまして、政府調達手続の電子化、それから行政事務のペーパーレス化、自動車保有関係手続のワンストップサービス化というものがバーチャルエージェンシーの中で検討されているところでございます。  先ほど述べましたアクションプランにつきましては、年度末にその達成状況を評価するということを考えておりまして、今までは絵にかいたもちという部分も若干あったんですが、今後は具体的にアクションプランに基づいて施策を講じていくという段階に入ってまいったということでございます。  次に、お尋ねの地方公共団体の行政情報化の進捗状況でございますけれども平成十年度では、税、年金、住民記録等の業務につきまして九割を超す市町村が電算処理を行っているということでございます。また、公共施設案内・予約システム等々の地域情報通信システムにつきましても、平成十年度には前年度比三%増ということで、着実に情報化施策が推進されているところでございます。  郵政省といたしましても、地域・生活情報通信基盤高度化事業、代表的なものとしては自治体ネットワーク施設整備事業等々がございますけれども、これによりまして地方公共団体が情報通信施設整備いたします場合に補助金を交付するなど、各種の支援施策を講じているところでございます。
  33. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、ITS、高度道路交通システムについてお伺いしたいと思いますが、政府の二十一世紀先導プロジェクトと位置づけられて、渋滞、交通事故、環境の悪化などの道路交通問題の解消、物流の効率化、新たな産業の創出など幅広い社会経済効果が期待されております。  報道によりますと、二〇一〇年までに整備を完了して、将来の市場規模は累計六十兆円、百七万人の雇用創出効果があると予測されておりますが、これは郵政省だけではなしに運輸省等々も一緒になって開発し、また進めていくプロジェクトであると私は思っていますが、このITSの開発状況と実施に向けてのスケジュール、御説明をお願いいたします。
  34. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 先生お尋ねの高度道路交通システム、いわゆるITSと呼ばれているものですが、日本全国にきめ細かく網の目のように整備されました道路の利用と、現在全国で七千万台に上る多数の自動車が運行しているわけですが、それらのものに寄与する施策でございます。  本年二月に出されました電気通信技術審議会の答申によりますと、先生御指摘のとおり、二〇〇〇年度から二〇一五年度までの累計で約六十兆円の市場規模が見込まれるとの試算が出されておりまして、関連産業の発展を通じまして大変大きな経済波及効果が期待されているところであります。  郵政省としましては、これまでITSの実現に向けまして、一つは、ドライバーに渋滞・事故情報等を提供する道路交通情報通信システム、いわゆるVICSと呼ばれておりますが、システムの全国展開への支援、二番目には、有料道路等におけるノンストップ自動料金収受システム、ETCの開発、三番目には、安全運転支援のための衝突防止レーダーの開発などの取り組みを警察庁、通産省、運輸省、建設省等を初めとする関係者と協力しながら行ってきたところでございます。  今後におきましては、ITSの早期実現のかぎとなる情報通信技術の確立を図ることが重要と考えておりまして、運輸省及び建設省と連携しまして二十一世紀のITS実現のための情報通信技術の研究開発を実施することといたしておるところでございます。
  35. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、機構法に関しまして質問をさせていただきたいと思っております。  先ほど松前委員から、三十四億を十年かけて返済される、そこで経営自立化という問題について議論がございましたが、たび重なる閣議決定、これを大臣はどう受けとめておられるのか、また経営自立化についてどのように実現しようとされているのかをお伺いいたします。
  36. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 通信放送機構が行う管制業務につきましては、行政改革プログラム、これは平成八年の閣議決定におきまして、「平成十一年度に国からの出資金返還し、経営自立化を実施する。」とされたところでございます。この趣旨というのは、国からの出資金返還し、国の資金に頼らずに業務を行うようにすることであると理解しているところです。  このため、本改正により、管制業務に係る国からの出資金約三十四億円を返還するとともに、今後この業務に対して国からの出資が行われないようにすることにより、行政改革プログラムで指摘された経営自立化の要請は達成されるものと考えています。  管制業務につきましては、通信放送機構では国の出資金を返済した後も安定した管制業務を提供できるよう経営効率化に努力しており、これまでも毎年定員数を削減したり経費を削減するなど、業務の合理化、効率化に努めてきたところであります。経営自立化の観点からは、今後も一層の事業効率化経営の活性化に努め、独立採算による安定した経営が可能となるように期待しております。  閣議決定の重要性でございますが、私は初めて大臣を務めさせていただいておりまして、大変重要なものだと受けとめております。数次にわたって通信放送機構、これも先ほど御指摘ありましたように、名称も変わってきたわけですけれども、むしろ情報通信に対する国民のニーズというか国の情報通信に対する重要性が増してきた結果こういう形になり、なおかつ閣議がその都度いろいろな御意見を踏まえて今日まで来たと私自身はそう受けとめて、この平成八年の閣議決定にきちっと従って行動してまいりたいと考えているところでございます。
  37. 森本晃司

    ○森本晃司君 郵政省から出向している職員の削減についてお伺いしたいんですが、機構の職員は平成九年度全体で百五人、うち郵政省からの出向者が四十三人、三分の一以上の割合を占めています。一般勘定を見ますと、管制業務の管理経費は九億二千万円、職員数七十五人となっていますが、このうち郵政省からの出向者は何人いるのかをお尋ねしたいのと、私は、職員の三分の一が毎年入れかわるという状況では、いかに優秀な郵政省の出向職員といえども高度の衛星管理のノウハウが蓄積されるとは思えない。機構が今後しばらくどうしても管制業務を行う必要があるのであれば、この部門の郵政省からの出向者は漸次削減して、少数精鋭の機構プロパーの職員を養成すべきである、こう考えます。  同時に、管制業務、これは外国ではすべて民間が行っていますし、日本でも民間の日本サテライトシステムズと宇宙通信衛星管制業務を行っておりますので、存続の理由はないと思っておりますが、いましばらく続けていくというのであれば、プロパーの養成が必要ではないかと思います。その点についてお伺いします。
  38. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 御指摘の平成九年度の管制業務に係る職員七十五名の内訳でございますけれども管制業務の実務に携わる衛星管制センターというのがございますけれども、この職員は五十七名ということでございます。本社管理部門の十八名を加えた合計が七十五名というふうになっております。このうち、管制業務の実務に携わる郵政省出向者は十三名ということでございます。  その後、管制業務効率化に努めました結果、平成十一年度には管制業務の実務に携わる職員は五十名ということになっております。郵政省からの出向者は九名に減少いたしております。  管制業務を行うに当たりましては、管制技術が非常に技術革新の激しい最先端技術分野であるということから、情報通信技術に精通した人材を必要といたしております。このため、郵政省としては、機構からの要請を受けまして、通信総合研究所の職員等、非常に能力の高い職員を派遣いたしているところでございます。  管制業務については、最先端の技術分野でございますので、機構がこのように郵政省に要請し郵政省が必要な職員を提供しているということは、安定的、効率的な衛星管制業務を実施する上で、適材適所といいますか、適材を得るための妥当な措置というふうに判断しているところでございます。  ただ、確かに機構のノウハウ、管制技術に精通した職員の配置、そういうことも念頭に置かなければいけません。そういうことから、管制要員の人材育成という側面につきましてもさまざまな角度から検討していきたいというふうに考えている次第でございます。
  39. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  40. 宮本岳志

    宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  特定公共電気通信システム法、これは昨年成立をして既に研究が始まっております。法に言う特定公共電気通信システムとして、昨年挙げた六つのシステムに、今回の改正では、警察通信の安全を確保するための機能水火災または地震等災害の状況を把握し被害を予測するための機能の二つのシステムを加えるという提案であります。  そこでまず確認したいんですが、この特定公共電気通信システム法で進めるのは、システム研究開発に対する支援であって、実用化や商業化を支援するものではない、こう思うんですが、いかがですか。
  41. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 本施策は、公共分野情報化推進いたしまして、高度情報通信社会の構築に資するため、郵政省関係省庁が連携してさまざまな研究開発を行うというものでございます。郵政省通信放送に関する技術をもちろん有しているわけでございまして、これと他省庁の公共分野における技術を一体として研究開発を実施していくというのが法の趣旨でございます。  したがいまして、研究開発目的でございまして、実用化、商用化を支援するものではございません。
  42. 宮本岳志

    宮本岳志君 ここに、「学校における複合アクセス網活用型インターネットに関する研究開発の実施地域」という一覧表のペーパーがありますけれども、これを見ますと、北海道札幌市、岩見沢市、別海町から始まって沖縄県那覇市に至るまで全国三十のネットワークエリアを設定するとしております。  実験であるならなぜ三十もの地域の実験が必要になるのか、いま一つ理解しがたいわけです。一つないし数カ所のエリアだけで十分ではないのか。そうすれば予算も一割の三十億程度で済むのではないか。これはいかがですか。
  43. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 学校インターネット研究開発の実施におきましては、特定の地方に偏ることなく、あまねく全国から汎用性のあるデータを得るため、全国の自治体数、ことしの四月一日現在で三千二百五十二でございますが、少なくともその一%に当たる三十地域程度を対象とする必要があるという判断がございます。また、研究開発成果の拡張性とかトラフィックデータの信頼性を確保するために、現実のネットワークでありますNTTのインターネット接続サービスの利用可能地域、全国に四百八十地域あるわけですが、それの少なくとも十分の一程度の規模が必要であることから、三十地域以上の地域が必要であるといった考え方から、今回、三十地域を確保した次第でございます。
  44. 宮本岳志

    宮本岳志君 私どもは、学校へのインターネットの普及、これにもちろん反対するものではございません。ただ、研究開発ということでおっしゃるわけですけれども、私どもは、研究開発だという形で今回進められようとしていることについて、少し筋が違うのではないかというふうに思うわけであります。  それは、郵政省が昨年十二月二十八日に基本方針を出されて、これは特定公共電気通信システム法第三条の規定に基づくものであるというふうにおっしゃっておりますね。先日、三月十一日、我が党の矢島委員が衆議院の逓信委員会質問いたしましたけれども、今回の第三次補正で認められたものも従来の法の枠内であるという答弁をされたと思うんです。つまり、基本方針に定める「公衆網等の電気通信回線を介して、映像教材を、学習意欲を高める構成かつ品質で、各学校に配信する機能。」であって、これはつまり第四条の通信放送機構が行う業務であるというふうに金澤通信政策局長は御答弁なさっていると思います。  それで、例えば今回の複合アクセス網活用型インターネットというのは、光ファイバーなどを使って一・五メガバイトの大容量、高速の高速アクセス線を引くという話だと思うんです。一・五メガというのは一般的には専用線でありまして、公衆網というふうには言わないと思うんです。  そもそも、基本方針の時点で「公衆網等の電気通信回線」というふうに述べていること自体が、今回のこの計画を想定していなかったと私は思うんです。そういうことを物語る証拠ではないかと思うんですけれども、これはいかがですか。
  45. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) これは私どもの役人的な表現かもしれませんけれども、公衆網の次に等が入りまして「公衆網等」という表現になっております。それからさらにその次に、「品質の異なる高速アクセス回線が複合したネットワークの制御技術。」ということを2の1のところで書いておりまして、これはまさに今回の学校インターネットを想定したものということでございます。
  46. 宮本岳志

    宮本岳志君 繰り返し言いますけれども、我が党は学校インターネット化に決して反対するものではございません。逆に、インターネットは子供たちにとって生きた形で学校教育に役立つ形で導入されるべきである、そういうふうにも思っております。また、教室で二十人、三十人という子供たちに同時にインターネットにアクセスさせるということになれば、一・五メガというような回線も当然必要だということも想定されるわけであります。  しかし、今回の学校における複合アクセス網活用型インターネットに関する研究開発というのは、郵政省のペーパーによりますと、地域ネットワークセンター、ここにホストコンピューターを置いて、いわゆるサーバーを置いて、複数の高速アクセス線によって学校をつなぐ、こういうローカルネットワークづくりということであります。郵政省学校インターネットと言う場合、将来、高速アクセスでの接続を想定する場合はこういうものではなかったのではないかと思うんです。電気通信事業者が提供する光ファイバーなどの高速アクセス線を直接活用したものを想定していたと思うんです。  今回の複合アクセス網活用型の研究開発というのは、三年の実験終了後、特定公共電気通信システムとして普及することが決まっているんですか。いかがですか。
  47. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 今回の研究開発は、これは文部省との連携施策になっているわけでありますが、郵政省の立場を申し上げますと、単に学校におけるインターネット接続を推進するだけではなく、先生がおっしゃいましたように、一つのクラスで二十台以上のパソコンが同時にインターネットに接続できるように、光ファイバーとかWLL、いわゆる加入者系無線アクセスシステム、あるいはDSL、デジタル加入者線、衛星など、現在まだ十分普及しておりません、これから普及するでありましょう、こういった新しいアクセス回線を複合的に活用した高速アクセス回線によるネットワーク構築技術の研究開発目的としているものであります。こういった観点からこの予算スキームができているわけでございます。  したがいまして、最終的にはいろんな回線が普及していくでしょうから、最も最後の姿、現在学校は四万校ありますので、いずれの時点になるのかちょっとわかりませんけれども、理想といたしましては四万校すべてがこういった高速回線で結ばれるのが望ましいわけでありますが、それが具体的にどういう形で結ばれるか、それを今からこういう形になると決めつけているわけではございません。
  48. 宮本岳志

    宮本岳志君 今回の郵政省学校インターネット計画のルーツというのは、もともとは全学校光ファイバー敷設計画というもので出されたわけですよ。私は、これはつまり学校の実情から始まったものではなくて、景気対策として出されてきたというふうに思うんです。これについては大蔵省からも、民間事業者の投資を国が肩がわりするのは問題だ、学校のニーズにこたえたものではなく、NTTなど民間事業者の収入を保障するために学校を利用するもので、本末転倒だと酷評されたと伝えられております。そして、立ち消えになったと。私たちは、学校教育関係者の側からの要望にこたえて、高度電気通信サービスがいつでもどこでも適切な品質で利用可能な料金で利用できるようなシステムをつくることこそ郵政省役割だというふうに思うんです。  それで、アメリカを少し調べてみますと、一九九六年の電気通信法で、学校医療機関及び図書館向けの高度な電気通信サービスへのアクセスというのはユニバーサルサービスの一つだというふうに規定しております。つまり、学校や図書館へのインターネット接続はユニバーサルサービスと位置づけて進めているわけです。日本ではこの間、昨年の六月、「ユニバーサルサービスの新たな確保の在り方について」と題する研究会報告が出ましたけれども、そこではユニバーサルサービスの概念から外しているわけです。  ここで郵政大臣にお伺いしたいんですけれども、つまり景気対策などではなく、ユニバーサルサービスとして堂々とこれを進めるべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。
  49. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 今先生のおっしゃっているユニバーサルサービスという言葉ですけれども、これは平成十年六月のマルチメディア時代に向けた料金・サービス政策に関する研究会の報告で、「ユニバーサルサービスは、国民生活に不可欠なサービスであって、誰もが利用可能な料金など適切な条件で、あまねく日本全国において公平かつ安定的な提供の確保が図られるべきサービス」であり、例としては加入電話サービスがこれに該当するというふうに言われています。  学校におけるインターネット接続の推進については、社会政策の一環としてユニバーサルサービスに含めるべきという考え方があると指摘されている一方、こうした議論とは別に、国全体の通信政策や教育医療政策の中で関係省庁が連絡をとりながら早急に具体化を検討していくことが必要であるとされています。つまり、先生が何度もおっしゃっているように、インターネットによる教育は重要だということですけれども、ようやく日本においては最近議論が始まってきているところで、こういういろいろな実験結果も踏まえて、これからやはりもうちょっと積極的に中身を詰めていく必要があるのではないかということをおっしゃっているんだと思うわけです。  こういう指摘を踏まえまして、学校におけるインターネット接続をユニバーサルサービスと位置づけるのは、私としては時期尚早と考えています。しかし、そのこと自体は大変重要であるわけですから、その普及を図ることが一番大事な課題であると考えています。ですから、文部省とも連携をしつつ、以下のような施策を推進することとしています。  これは何度も申し上げていることですが、繰り返し申し上げると、学校におけるインターネット接続の推進については、昨年九月に、私の方から関係事業者に対して学校向け特別料金の導入について要請した結果、接続料金については昨年十二月から大手プロバイダーを中心に学校向け割引料金が導入されましたし、通信料金についてはNTTが本年九月には学校向けの定額料金を導入する予定となっています。  これにつきましても、必ずしも事業者の利益だけではなく、お願いをしなければならなかったということは決してさほど利益にならないという現実があるということを御理解いただきたいと思います。  これから、文部省におきましてインターネット接続の通信料金等に係る地方交付税措置の充実に努めていただくとともに、私どもとしては、平成十年度第三次補正予算で認められました学校における複合アクセス網活用型インターネットに関する研究開発に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。  以上です。
  50. 宮本岳志

    宮本岳志君 次に、通信放送機構での共同研究開発施設問題についてお伺いしたい。  同じような話というか、同じようなことをお伺いしたいんですけれども、昨年、郵政省は地上デジタル放送研究開発用共同利用施設整備という形で、第一次補正で三百五十億、第三次補正で百十億、予算を要望しております。これは通信放送機構を通じて支出されるわけですが、郵政省は既に九八年度の本予算で地上デジタルのパイロット実験というものを二億五千万とってやっておると思います。このパイロット実験というのは、郵政省の御説明では視聴者保護や利便性向上のための放送技術機能開発、調査、視聴者の参加も得て実利用環境での地上デジタル放送システム機能の検証、評価、これによって二〇〇〇年からの地上波デジタル放送開始に向けてノウハウを取得するように研究開発を進める、こういうことになっております。  既にこれはやっておるわけでして、これと一体どう違うのかというのが非常に疑問なわけです。これとどう違うのかということと、これは調査研究ということなんですけれども、今回の共同利用施設研究、全国で七つも十もやると、これも同じようにそんなに必要なのかということをまずお伺いしたいんですが、いかがですか。
  51. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘ありました、東京におけるパイロット実験は、御指摘のとおり、十年度、十一年度の通常予算で組まれた実験でございます。これは郵政省自身が実験をすること、それから民間方々が糾合いたしまして東京パイロット実験実施協議会というものがつくられまして、両者で連携をとって実験を進めているという状況でございます。  それから、御指摘の十カ所の地上デジタル放送研究開発用共同利用施設というのは、これは国が通信放送機構出資いたしまして、通放機構法二条七号に、特定研究開発基盤施設整備してその施設を使っていろいろ研究していただくという仕組みがございますが、この十カ所の実験というのは通放機構が用意した設備で民間方々にいろいろノウハウを習得していただくというのが趣旨でございます。  なぜこのように片や二億、片や四百六十億ということになったかということでございますけれども一つは、やはり日本全体を高度情報通信社会をつくる上で、これからのキーテクノロジーでございますデジタル技術についてやはり地域格差があってはいかぬのではないかということが一つございます。残念ながら、事実問題として、東京におけるキー局、あるいはNHKの持っているノウハウ、技術と、それからローカル局の差というのはあるわけでございます。それを今後のデジタル放送の技術開発の中で格差が生じないようにいかにノウハウを身につけていただくかということが一つのポイントでございます。  もう一つ、十カ所あるいは七カ所ということでございますけれども、御案内のように、我が国は自然地理的にも経済地理的にも大変多様でございます。したがいまして、一定水準でのノウハウを身につけつつ個性ある高度情報社会をつくっていくためには、やはり地域地域に応じたデジタル放送面でもいろんなノウハウを身につけていただくということが大事でございます。  一例を申し上げますと、例えば北海道では自治体が提供する降雪情報システムがございます。これをデジタル放送の実験の中で放送してみる。それから東北では、これは前の委員会でも御紹介申し上げましたが、気象庁の気象衛星「ひまわり」で取得したやませ情報をデジタル放送で流してみる。東海では移動体受信、それから近畿では災害情報等をこの実験の中でやっていくというようなことで、この十カ所の地域地域に応じた個性あるノウハウというものを身につけていただくということがございます。  しかも、このデジタル放送の実験というのは、単に放送事業者だけではなくて、実験に参加いただいておる団体、事業者は現在五百七十七団体ございます。このうち放送事業者が百五十二、したがいましてあとの四百二十五団体というのは自治体でありあるいは大学、メーカーさんあるいは一般事業者でございまして、この十カ所の実験というのは、放送事業者がノウハウを身につけるだけではなくて、いわば地域全体でデジタル技術のメリットを地域振興に生かしていくということにもつながる、そういう意味でこの十カ所の実験というのが行われているわけでございます。  したがいまして、東京における実験とそれから全国十カ所の実験というのはおのずと目的趣旨合いも若干異にして行われているということでございます。  以上でございます。
  52. 宮本岳志

    宮本岳志君 もう時間ですので終わりますけれども、こういうものもきちっとその中身を国民の理解を得られる形にしていく必要があるというふうに思っております。  そういうことをお願いして、質問を終わります。
  53. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案、大変長い法律案でありますが、質問することはごく限られておりますのでよろしくお願い申し上げます。  第一に、警察と災害の新規業務についてでありますが、本法案平成十年四月、第百四十二国会において成立をして、通信放送機構が六システム研究開発に着手していますが、今回、これに警察用電気通信システム並びに災害情報電気通信システムが加わります。この新規研究開発内容と規模、期限についてお伺いいたします。
  54. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) まず、警察用の電気通信システムでございますが、ファイアウオール関連技術等の情報通信セキュリティー技術、これは通信放送技術でございますが、これと不正アクセスの手法や行動パターンをデータベース化することにより警察通信への不正アクセスを検出する技術、犯罪の手口に関する情報の管理の技術でございますが、この二つの技術を一体的に実施することにより警察用電気通信システムの安全を確保し警察活動の円滑な推進を保障しようというものでございます。  次に、水火災または地震等災害の状況を把握し、及びこれらの災害による被害を予測するための機能を有する電気通信システム開発でございますが、これに必要な研究開発につきましては、高信頼度データ送信技術、具体的には衛星通信におきまして降雨時にも正確な情報を限られた時間内に送る技術でございます。これが通信放送技術として考えられます。さらに、災害シミュレーション技術、これは自治省の方の技術でございまして消防情報を管理する技術、この二つを一体的に実施することによりまして、災害の被害の状況を広域的に把握して被害の拡大をあらかじめ予測したい、これによりまして現場での消防活動を支援するということを目的としているところでございます。  本法律案に関連する予算でございますけれども郵政省からは十四億八千八百万円の内数ということでございまして、警察庁からは一千二百万円、自治省からは九百万円ということとなっております。  また、研究開発期間でございますけれども、現在のところ、おおむね三年程度ということを想定しております。
  55. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 先ほど同僚議員も質問を行っておりましたけれども関係省庁との関係でお伺いをいたします。  高度情報通信社会推進に向けた基本方針の中でも、公共分野情報化について関係省庁が一体となった効率的な研究開発等の必要性が言われておりますけれども通信放送機構との関係はどうなるのか御説明いただきたいと思います。
  56. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) これは特定公共電気通信システム開発に必要な研究開発通信放送機構におきまして関係省庁が連携して実施していくということでございまして、高度情報通信社会構築に非常に資するものというふうに理解しているところでございます。  このような研究開発のほか、機構は、身体障害者の方々の利便に資するため、字幕番組の制作等に対して支援を行う等の公共分野情報化関連施策もあわせて行っているところでございます。  このような研究開発とか、実質的なさまざまな支援業務、このような業務の一層の充実強化に今後努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  57. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今回の法改正によって六省庁が通信放送機構出資をすることになるわけでありますけれども、各省ごとに研究開発をそれぞれ今行っていると思うんですが、そうではなくて、やはり全省庁が機構出資をして、連携して情報化推進すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
  58. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) このシステム法のスキームの中で実施いたしております研究開発というのは、それぞれの省庁がみずからの判断でみずからの予算事情の枠組みの中で予算要求をいたしまして、郵政省と一体となって研究開発を進めていくというものでございます。  私どもとしては、通信放送技術が持ちます汎用的可能性、横ぐし的可能性というものを各省庁に広げてまいりたいというふうに考えておりまして、各省庁と接触しているところでございますけれども、各省庁にもそれぞれの事情があって現在六省庁という形になっているというところでございます。  今後、私どもといたしまして、さまざまな角度から他の省庁にも積極的に働きかけてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  59. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 質問を通告しておりましたITS問題については取りやめます。  次に、通信放送機構法の一部を改正する法律案でありますが、まず出資金返還の影響についてお伺いをいたします。  通信放送衛星は、デジタル放送を初めとするこれからの通信放送にとって欠くことのできないものでありますが、その管制業務はますます重要となってくると思います。このような中で、管制業務に対する政府出資金三十四億の返還が行われることになりますけれども衛星管制業務事業内容とする一般勘定の支出実態についてお伺いをいたします。
  60. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 通信放送機構は、御承知のように昭和五十八年に実用の通信衛星管制業務を開始して以降、安定的に管制業務を実施してきているところでございます。  現在、管制を行っている衛星でございますが、通信衛星二基、N—STARa、b、それから放送衛星三基、BS3N、BSAT1a、1bの合計五基を管制しているところでございます。通信放送機構は、これらの衛星管制することによりまして管制委託者から管制業務収入というものを得ているところでございます。  管制事業収支でございますが、平成九年度決算では収益は二十億九千万ということとなっております。また、費用は、これに対しまして同額の二十億九千万となっております。これは収支相償の原則によりまして運営されておりますために、機構一般勘定、衛星管制のための勘定でございますが、原則として各年度の収益と費用が一致するように管制料金が設定されているところでございまして、したがいまして収支はとんとんという状況の中で推移してきているということでございます。
  61. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、業務に関する支援と評価についてでありますが、管制業務以外の通信放送機構への国の支援はどのようなものがあり、今後どうなっていくのかお伺いいたします。
  62. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 通信放送機構衛星管制業務のほか情報通信分野研究開発、それから通信放送事業高度化等の支援を行っているところでございます。今後ますますこの研究開発及び高度化支援業務というものはニーズが増大するというふうに考えておりまして、この業務の積極的な推進拡充を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  63. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、通信放送事業高度化支援と技術の研究開発について、その費用対効果の分析についてお伺いいたします。
  64. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 通信放送機構におきましては、平成八年七月に閣議決定されました科学技術基本計画におきます厳正な評価の実施の提言、平成九年四月に電気通信技術審議会により答申されました情報通信技術の研究開発における評価のあり方、この二つを受けまして研究評価を実施しているところでございます。  具体的には、部外有識者で組織されます評価委員会によります研究評価として、研究計画の妥当性や研究内容の新規性、独創性を評価し研究方向づけを行いますいわゆる事前評価、それから研究の進捗度や成果の実績を評価し研究計画の見直しを途中で行います中間評価、それから研究目標の達成度や成果の実績を評価する終了評価、この事前評価、中間評価、終了評価という三つの評価を実施しているところでございます。  このような評価を推進することによりまして、研究開発資源、つまり人とか物とか金、これを浪費しないように重点的、効率的に配分を検討していくほか、研究計画を時期によりまして見直しを行いまして最適な形で研究開発がなされるよう配意しているところでございます。  特許取得、論文発表等の着実な成果もあらわれているところでございます。
  65. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後の質問になりますけれども官報公告についてお伺いいたします。  今回の法改正では、通信放送機構貸借対照表及び損益計算書官報公告を義務づけることにしていますけれども、その目的と意義についてお伺いをして終わりにします。
  66. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 特殊法人につきましては、平成九年、官報公告等を義務づけることといたしまして、各法人の根拠法を改正したところでございます。  認可法人でございます通信放送機構につきましても、経営内容、財務内容について透明性を確保する必要がございますので、特殊法人と同様の公開を行うことといたしたものでございます。  ただ、通信放送機構では実行上は既に平成八年度決算から貸借対照表等の官報公告等を実施しておりますので、それを法律上明確にしたというところでございます。
  67. 小林元

    委員長小林元君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより順次両案の採決に入ります。  まず、特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  68. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、通信放送機構法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  69. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 小林元

    委員長小林元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十五分散会