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若林正俊君 各
委員、お聞きのとおりであります。全体の
公共事業の中でわずか〇・三%という
新幹線投資の部分を、国が定め、そして
建設の指示をして四分の一
世紀たってもなおこれから、既に今着手しているものでも二十年かかるというような
計画になっているというのは、今言いましたような
公共事業のシェアといいますか、
公共事業の
位置づけを変えない
前提でつくっているわけですね。
今後二十年も変えないんだという
前提でこれだけ大きなプロジェクトを決めているというのはいささか問題ではないかと私は思います。私も、ずっとこの問題にかかわってきた一人として、本当に申しわけないことだなというふうに思うのでございます。
もう少し具体的に申し上げますと、実際、地元
負担や
JRの
負担分などを除いた純粋な
公共事業費で見ますと、今
お話しありました国全体の
公共事業費の中ではわずか〇・三%にすぎないわけであります。
交通関係だけで見ましても、道路が二兆六千百八十億円、港湾には三千三百二十億円、空港には千三百七十億円の
公共事業費が計上されておりますけれども、
新幹線につきまして純粋な
公共事業費は約三百億円というごく少ない投資になっているわけでございます。
このような現状を考えますと、
新幹線に対します収支採算性とか
投資効果というようなことはさらに詳細を詰める必要がありますけれども、結論を申し上げますと、私は全線を
フル規格で思い切って
整備してしまうということが
投資効果を発現するのに最も有効ではないかと考えております。
私自身、いろんな民間の経済研究機関などの調査やあるいは今までの運輸当局における調査結果などから、これ全体を
整備計画どおり、北海道
新幹線、北海道は札幌まで、そして九州は鹿児島まで、さらに長崎まで全体
整備してもわずか全体で、価格を置きかえてみて八兆円前後だというふうに推定をしているわけでございます。その八兆円をどういうふうに投資することがさらに
投資効果として発現されるのかと考えると、できるだけ短期にこれを
完成させた方がその
投資効果は大きいということでございます。
フル規格でこれらの投資をするとして、いろいろな研究、検討をその後いたしておりますけれども、
線区別に申し上げる時間がありませんから
線区別には本日は申し上げませんけれども、東京—札幌間を
フル規格で
整備する、あるいは
博多—西鹿児島間を
フル規格で
整備する、また東京—
金沢あるいは福井まで
フル規格で
整備をする、こういったときの
新幹線鉄道の収益をそれぞれ試算していきますと、
JR各社のそれによる増収益が予定されます。その収支採算性の見通しから出てくる増収益分におきます使用料、
鉄道施設の使用料を
鉄道建設公団に支払うわけですが、その使用料分と、さらに
JRの収益増分に係る法人税などの国税収益、仮にこの
建設費をすべて国債で賄うにしてもこれで十分償還可能である。国債は御承知のように六十年償還ですが、そんなにかからないで、
線区によっては二十年あるいは三十年でほぼ償還可能であるという試算もあるわけでございます。
そういう
新幹線のもたらす地域経済への波及的な
効果だとか、あるいはまた
地方自治体の財政におきましても固定資産税の増収
効果だとかといったようなものをそれぞれ詳細に分析し、そしてここでこの
基本スキームを思い切って見直して
全線フル規格で
整備をするというふうに踏み切りますと、既に
着工している
線区については五年
程度、さらに途中切れているところをつないでも、七年もあれば十分供用開始になる。
環境影響
評価などを今行っております、あるいは、もう完了をしております地域、九州、長崎の
新幹線とか、あるいは
北陸新幹線の南越以西の地域でありますとか、こういうところを入れても、ほぼ十年でこれは
完成できるというふうに思うのでございます。でありますから、改めて
新幹線整備の持つ経済
効果、あるいは景気回復への
効果などを見直した上で思い切った
新幹線の
建設の
促進を図るべきであるというふうに考えております。
新幹線がまだ
整備されていない予定地域の都道府県の方々、十八都道府県ですか、知事さんを初め議会の議長さん、あるいは
地方公共団体の市町村長さんや地域経済界の代表の人たちは、本当にもう毎年
全国で結集をしまして各政党あるいは
政府への強い要請活動を続けてきております。この人たちが二十年以上にわたってこういう要請活動をせざるを得ないその心情、心境を思いますと、もうそんなことをしなくても、決めたことはきちっと実行していくということをしてやらないと、
政治全体に対する不信感につながっていくんだと私は思うのでございます。
昨今、景気回復の見通しがつかないということで大変暗い気持ちになっている方が多いわけでありますけれども、この
新幹線については、北海道から九州まで、沿線の直接的な利害関係のある住民の皆さんだけでも四千万人にも達しているわけであります。こういう地域の人たち、特に
社会資本整備がおくれて高度成長に乗り遅れてしまった地域の皆さん方は、現在の不況の影響をさらに強く受けている地域であります。そういう地域の皆さん方に将来に対する単なる夢ではなくて具体的な希望がそこで示されるということは、経済対策としても大変大きな
効果があると私は思うのでございます。
その
意味で、
政府に対しまして、今までの経過は承知の上で、財政再建下でありますがゆえに、むしろ投資対
効果、そしてさらに広く地域開発
効果をもたらし、
小渕総理が言います空間倍増
計画、国民の活動の領域を大きく広げて元気が出るというプロジェクトとしてこの
整備新幹線を重点的に、そして戦略的に、景気対策にも有効なプロジェクトとしてこれを取り上げていく。そのためには現在の
基本スキームを見直さなきゃならないわけであります。
基本スキームに縛られているわけでありますから、
基本スキームの見直しについて積極的に取り組んでいくべきだと思うんです。
全線フル規格に向けて
基本スキームを見直していくんだということについて、
運輸大臣の御見解、御決意を伺いたいと思います。