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1999-03-12 第145回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十二日(金曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  三月十二日     辞任         補欠選任      本田 良一君     海野  徹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小林  元君     理 事                 加藤 紀文君                 景山俊太郎君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君                 渕上 貞雄君     委 員                 岩城 光英君                 鹿熊 安正君                 田中 直紀君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 若林 正俊君                 海野  徹君                 内藤 正光君                 本田 良一君                 松前 達郎君                 筆坂 秀世君                 宮本 岳志君                 戸田 邦司君                 岩本 荘太君    国務大臣        郵政大臣     野田 聖子君    政府委員        公正取引委員会        事務総局審査局        長        平林 英勝君        郵政大臣官房長  高田 昭義君        郵政省郵務局長  濱田 弘二君        郵政省貯金局長  松井  浩君        郵政省簡易保険        局長       足立盛二郎君        郵政省通信政策        局長       金澤  薫君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    説明員        会計検査院事務        総局第四局長   増田 裕夫君    参考人        日本放送協会理        事        酒井 治盛君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十一年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十一年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十一年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (運輸省所管海上保安庁海難審判庁、気象  庁及び港湾整備特別会計を除く)及び郵政省所  管(郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会  計を除く))     ─────────────
  2. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通・情報通信委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会参考人として日本放送協会理事酒井治盛君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林元

    委員長小林元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 小林元

    委員長小林元君) 去る三月十日、予算委員会から、三月十二日から十六日正午までの間、平成十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、海上保安庁海難審判庁及び気象庁を除く運輸省所管郵政省所管自動車損害賠償責任保険特別会計自動車検査登録特別会計空港整備特別会計郵政事業特別会計について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  運輸省及び郵政省関係予算説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  郵政省関係予算について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 田中直紀

    田中直紀君 おはようございます。自由民主党の田中でございます。  まず、地上波放送デジタル化取り組みについて質問をさせていただきます。  昨年の四月に、総合経済対策ということで三百五十億の予算地上波デジタル放送研究のため計上をされました。その後、御案内のとおり、地上デジタル放送懇談会最終報告ということで、多彩なサービス提供のため、六メガヘルツの帯域幅を割り当てるということと、スケジュールとしましては、二〇〇〇年から試験放送を開始する、あるいは二〇〇六年から全国レベル導入を完成するというスケジュールが答申をされました。  また、アナログ放送の終了が二〇一〇年、こういう状況を受けて、先般、私も御案内いただきましたけれども、ちょっと見学はできませんでしたが、パイロット実験ということで東京タワーから送信をされ幕張メッセで受信をされた、こういう状況でございます。  四十六年の歴史を持ちますアナログ放送の基礎はあるわけでありますけれどもデジタル放送につきましては、帯域幅が相当狭くなる、あるいは新規参入ということもチャンスがめぐってくるわけでありますから、大いにデジタル放送技術を各分野研究をしてもらうということではなかろうかと思っておりますが、この三百五十億の予算の成果、あるいは現状、これは全国的にあまねくデジタル化、こういう目標があるわけでありますから、技術開発進展状況全国の地形あるいは送信技術というものの状況をまずお聞かせいただきたいと思います。
  6. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  先生方の御支援も賜りまして、これまでデジタル化実験につきまして予算措置を講じていただいたわけでございます。おかげさまで、当初の計画では七カ所でございましたが、その後の補正予算でまた追加を認めていただきまして、全国十カ所で実験ができるようになりました。既に七カ所の方はそれぞれ各ブロックで協議会をつくっていただきまして、それぞれの地域の有識者の方に座長になっていただいて、実験の開始の準備を進めているところでございます。年度内にきちっと手続を済ませまして、実際に電波を出すのは来年度になろうかと思いますけれども、この補正予算の執行に誤りのなきように準備を進めているところでございます。  この技術実験については、北海道から沖縄まで最終的に行くわけでございますが、やはりデジタル放送というのは特に地上ローカル放送にとっては大変重要な技術でございます。したがいまして、北海道あるいは九州、それぞれの地域ニーズに合って、特にローカル放送局としてデジタル技術を使ってどのようなサービスをしていったらいいのか。それからまた、地域によって電波というのは実は出してみていろんな状況が違いますので、その辺も確認いただく。そしてまた、大変技術進歩は早うございますので、今可能な技術ではなくてその次の技術もいろいろ試みていただこう。そして、確かに放送会社によりましては技術開発状況というのは必ずしも横一線でございませんので、できるだけ高い水準で全国的に足並みがそろうようにということで、今準備をさせていただいているところでございます。  なお、パイロット実験というのは東京でもやっておりますけれども、今までは実際に受像機に映してみてというのはまだでございまして、近々そうした受像機で実際に映してみるという段階に来ておる状況にございます。  以上でございます。
  7. 田中直紀

    田中直紀君 二〇〇一年からはBSデジタル化ということでスタートするわけでありますが、この帯域の六メガヘルツ、この幅ということにいきますとデジタルは三本ぐらい入るという、ちょっとこれは表現技術的にはわかりませんが。  そうしますと、この六メガヘルツの周波数が非常に混雑しておる、こういう状況でこれからチャンネルの検討に入る、こういうことを伺っておりますけれども、一方で新規参入が、非常に周波数の中で混雑しているということになると、六メガヘルツをそのまま認可するということをもう少し狭めて、これは技術的には私は精通しておりませんけれども、やはりデジタルに合った形での周波数を免許すると。こういうことによって新規参入というものが可能になるわけでありますし、そうしますと、いわゆるデジタル化放送中心になりますが、これから幅広く多くの分野デジタル化が進んでくるわけでありますから、その辺の六メガヘルツというのをどうしてそこまで広げなきゃいかぬかということについてちょっとお伺いいたします。
  8. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) そもそも、この放送デジタル化ということを地上放送についても進めようということに大きなコンセンサスが得られつつあることにつきましては、デジタル技術地上放送でもその可能性が十分展開できて国民皆様デジタル技術による地上放送メリットが享受されますようにということが大前提でございます。  そうした場合に、これからのハイビジョンというものの考え方でございますけれども、仮にアナログのままでまいりますと、衛星デジタル放送が始まりますとハイビジョンを見たい方は衛星で、地上では見れません、こういうことになるわけです。ところが、六メガヘルツでございますと、これはハイビジョンを送れることになります。そうしますと、地上デジタル放送のこれからの戦略的な展開ということを考えますと、やはりハイビジョンも、それから我が国技術方式では、OFDM方式と称しておりますが、これは標準テレビですと三つのチャンネルがとれるというような技術も可能でございます。そうしますと、デジタル放送の持っている技術的可能性というものを十分展開して視聴者皆様にこれを利用いただくということではやはり六メガヘルツというのが妥当ではないかというのがこれまでの考え方でございまして、これはこれからのデジタル放送展開ということを考えますと一つの望ましい方向で、これで行った方がいいんではないかというふうに我々考えているところでございます。  したがいまして、今先生申されました周波数調整のためにどうかということでございますけれども、ほかにじゃ周波数調整に要するコストを下げる手はないかというと、いろいろございますので、そういった面で考えていく方がデジタル放送導入の本来の趣旨に沿った考え方ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  9. 田中直紀

    田中直紀君 チャンネルプランの策定につきましてはこれからの懸案になるわけでありますが、サイマル放送ということでアナログデジタルを並行してやっていかなきゃいかぬ、こういう時期も来るわけであります。  その中で、新規参入が非常に狭められておる、ほぼ新規参入する余地がない。アナログ放送が全部終了して移管された場合に新規参入等を検討していこうか、こういうようなことも聞かれるわけであります。その辺の、技術的な問題はありますけれども放送技術というものは蓄積をされておりますけれども、しかしデジタル化というものを考えた場合には、新たな企業が参入できるということが大きな活性化につながるわけでありますし、技術進歩もいくわけでありますから、そういう面で妥当であるかどうか。  ハイビジョンは、これからNHKさんもデジタルハイビジョンをやられるということでありますし、BSの方は民間も確かにハイビジョンデジタルを考えておる、こういうことでありますが、その技術は当然生かさなければいけませんけれども、しかし新規参入がどのぐらい実際にできるのか。これによって新たな技術開発というものも意欲がわくわけでありますし、多くの方々がデジタル化に関心を持ち、参入をしていく意欲を持ってくるわけでありますから、その辺どのような状況になっておるか、お聞かせいただきたいと思います。
  10. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 地上放送アナログ放送からデジタル放送への移行というものにつきましては、いろいろな考え方があるんですけれども、少なくとも、我が国においても、それから先行のイギリスあるいはアメリカにおきまして、今のアナログ放送は全部最終的にはデジタル放送移行することになるということでこのデジタル放送というのは考え方が組み立てられておるわけでございます。  まず、新規参入ということになりますと、これは今申し上げましたように、アナログ放送デジタル放送移行コストというのがかかるわけでございますが、これをいかに小さいものにしていくかということ。それから、サイマル放送、今アナログ放送を聞いている方の視聴メリットというものを担保しながら移行を考えるということになりますと、やはりまず大きく、それでそれからデジタル放送を入れますと、同一周波数方式というのがございまして、今までよりも少ない周波数デジタル放送によって全国がカバーできるということになります。そうしますと、むしろスムーズに移行して、そしてその後で周波数の余裕ができたところでまた新しい新規参入も考えるという方がより大きな意味での競争というものが考えられるのではないかというのが現在の考え方でございます。  技術競争ということになりますと、実は今デジタル放送技術基準といたしましては大きくヨーロッパ方式アメリカ方式ヨーロッパ方式の中に純粋のヨーロッパ方式日本方式となっておるわけでございますが、時間的順序でいきますと、それからいろんな多様なサービス可能性を考えますと日本方式が一番進んでおるわけでございます。今理論検証が終わりまして、実地検証を済ませまして、いわゆるITUの技術基準の勧告として採用されるように努力中でございます。  それぞれ各国では、基本的な技術のところは共通のものでないと、いろんな方式がありますと受像機の普及にもまた支障を来しますし、それから送信技術の方もまちまちでございますとこれは非常に高コストにもなりますので、共通基準で、それで後、その中で細部のいろんな競争というのが起こり得るかと存じますが、いずれにしましても、技術開発進歩というものの芽を伸ばしながら、しかし大きな舞台をつくっていくということがまず大事ではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  11. 田中直紀

    田中直紀君 NHKから参考人でお出かけいただいて、どうもありがとうございました。  BS4の衛星が来年打ち上げられるわけでありますが、NHKのこれからのBSに対する対応でございますけれどもデジタル化をすぐに導入を図っていくのか。あるいは当面、スクランブル化の問題も一方でございます。これを解決していかなきゃいけないという条件下にあるわけでありますけれども、聞くところによりますと、郵政省との話し合いの中で、当面はデジタル化は見送った方がいいのかなというような、これはスクランブル化条件下でそういうことも報道されておるわけであります。  せっかくの機会でありますし、NHKBSデジタル化を進めていくということについてどの程度の取り組みを考えておられるか伺いたいと思います。
  12. 酒井治盛

    参考人酒井治盛君) お答えします。  今先生質問の中で、BSにどう取り組んでいくか、それからスクランブル化をどう考えているか、二点御指摘があったように承りました。  まず、BSに対するデジタル化について、私どもとしてはこれは積極的に取り組んでスムーズな移行をしていきたいということで今各部署で全力を挙げているところでございます。これはもういろいろな機材その他もデジタル化を着々と今進めておりますし、十分間に合うと確信いたしております。三万六千キロの高度のところにある衛星一つ全国をカバーするというBSならではの持ち味をフルに生かして、ひとつデジタル放送をスムーズに移行していきたいと思っております。  それから、スクランブル化の問題をどう乗り越えるのか。  受信料公平負担ということで、不公平感をなくすためにデジタル技術を使ってBSスクランブルをかけてはどうかという御意見がいろいろあることは承知いたしております。ただ、私どもとしては、二〇〇〇年時点でスクランブル化するということは今のところ考えておりません。  その理由ですけれども、私ども放送というのは、基本的には、公共放送として全国あまねくだれでも見ることができる、そのことが大変大切だと。とりわけ、我が国の場合は地震、津波、台風、大変自然災害が外国に比べまして多いという実情にございます。こういったときに、災害の非常時に国民視聴者生命、財産を守っていく、そのためにもできるだけ多くの人に情報を格差なく伝える、そのことが公共放送としての極めて大きな役割の一つだろうというふうに考えております。そういう意味からも、BS放送だけ切り離してスクランブルをかけることは好ましくないのではないかというふうに思っております。  それから、サイマル放送をやっていく過程で、片一方のデジタル放送だけスクランブルをかけるというのは視聴者皆さん混乱を来すのではないかなというふうに思っております。やはり、できるだけ早くデジタル放送を普及させるためにもスクランブルをかけない方がいいのではないか。  ただ、いろいろ先ほど公平負担という観点からしてスクランブル化すべきという御意見があること、大変私どもとしては重く受けとめておりまして、受信料を公平に集めるように今後ともさらに一層の努力をしなきゃいかぬということと同時に、受信料制度の御理解の促進に一層力を強めていきたい、こういうふうに思っております。
  13. 田中直紀

    田中直紀君 不公平感を解消していくという中にあってスクランブル化は実施をしない、こういうお話であります。  デジタル化をするといいますと、いわゆる受像機開発が当然出てくるわけであります。来年の二〇〇〇年末あるいは二〇〇一年にはこれはコストダウンしてもらわなければいけないわけでありますが、新たな受像機の販売が出てくるわけですね。将来スクランブル化をするチャンスというのはその機会しかなかなかないと思うんです。電波の方でスクランブルをかけて、今WOWOWがやっておりますけれども、これは受像機で操作しているわけであります。ですから、今回スクランブル化しないということになれば、将来やるチャンスはなかなかないということになるわけであります。またBS民放が五社出てきますから、恐らくこれは広告でやるか有料でやるかということになりますね。そうしますと、NHKさんのBSは、民放を見るということになれば、料金の徴収は来ますけれども、払わなくても見れるわけですね、これはそういう受像機になるわけでありますから。  ですから、今はWOWOWということである程度制限されておりますけれども民放五社がBSをやるということになれば、民放を見ることによって、NHKさんがスクランブル化されていなければ自動的に見えるわけでありますから、そうしますとやはり不公平感を解消すると言いながらも、払っていない方がいるということは、逆に言うと払わなくても見ると。  ですから、覚悟としては、九百円以上徴収されておるんですが、それは徴収は将来的にはしないという方針を出すのであれば、一体感としてスクランブル化は見送るという事態に立ち至るんではないかと思いますけれども、その辺はいかがなものでしょうか。
  14. 酒井治盛

    参考人酒井治盛君) ただいまの放送法上では、私どもNHK放送受信する装置を購入した方は受信料を払っていただく、こういうことになりますので、皆さん多くの方が、BSの場合ですと受信されている方だけで千三百万。これから民放さんとデジタルになりますと全くこれがゼロからスタートするわけですけれども、我々としてはスクランブルをかけないということでいきますので、デジタル放送が始まっていきますと、アナログ受信料を払っていただいている方にはお金をいただかなくても構いません。しかし、アナログをやめてデジタルの方に切りかえるということになりますと、新たにまたお金をいただく、こういうことになっていくわけでございまして、その辺のところの運用といいますか、それは放送法にのっとって私どもとしてはきちっと受信料制度を守るという立場からお金をいただいていこう、こういうふうに思っているところでございます。  デジタルになってもそこのところは堅持していきたいなと、こういうふうに思っております。
  15. 田中直紀

    田中直紀君 現状放送法ではそういうことになるかもしれませんが、一般的に、今回スクランブル化を見送るということになれば、受像機デジタル化によって変わってくるわけです。将来は、次のチャンスというのはなかなかないわけでありますから、非常に混乱をする可能性が高いわけでございますから、郵政省さんとよく相談をされて対処を望みたいと思います。  それから、BSデジタル化をやられるということなんでありますが、ハイビジョンをやるとなれば六メガヘルツが必要なわけであります。その辺も既に、民放もそうであろうかと思いますが、メーカーが新たなテレビ受像機開発してくるわけでありますが、やはりデジタルハイビジョンを考えておるとすれば六メガヘルツですかが必要でありますが、そうでなければ三分の一で済むわけですね。それは逆に言いますと、将来どういうふうになるかという問題もございますし、また民放の方も、デジタルハイビジョンを考えているところはどこなんだ、すべて考えるのかというようなことになりますと、最初から六メガヘルツを認可する必要があるか、あるいは番組だけはアナログと一緒にやるというそういう対処であれば、それだけの幅を認可する必要はないということにもなろうかと思います。  周波数との関係で、いつごろその辺の方針民放NHKさんも決めていただくかということは必要ではなかろうかと思いますが、いかがなものでしょうか。
  16. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 衛星デジタル放送をどのような形で放送システムとして形成するかということにつきましては、九七年、二年前になりますけれども、やはりこれからの技術革新、それからより豊かな放送番組を提供するという意味では、それからこのデジタル技術を生かすという意味では、衛星デジタル放送ハイビジョン中心にした番組を送る放送システムとしてこの衛星デジタル放送が推進されることが望ましいのではないかという方針一つお示しいたし、これは電波監理審議会審議をいただいてその方針を決めまして、それで臨んでおるわけでございます。  そういう前提で、この周波数もどれだけ使うか。これでデジタル技術になりますと、実は周波数帯もあるんですけれどもパケット通信というのが通信の世界にありますけれども、それに似たような概念で、一体一つチャンネルについて何スロット使えるようにしたらいいかというような表現になりますけれども周波数で考えますと、衛星デジタル放送ハイビジョン放送ができる周波数帯を用意することが望ましいのではないか、こういう方向で進んでおる。  したがいまして、NHKさんもそれから民間衛星デジタル放送番組ハイビジョン中心にこれから番組構成がなされる、それを視聴者の方が見ていただく。したがいまして、受像機の方もそれを前提にした受像機が普及される、かように考えておる次第でございます。
  17. 田中直紀

    田中直紀君 地上波デジタル化につきましては、ローカル局が百三十五社以上ありますか、六十から七十億の売り上げの中で、今回、全国にくまなく地上波デジタル化をしていくと四十億ほどの投資が必要である、こういう試算がなされております。  来年、BSが多チャンネルになるわけであります。広告収入でやっていくかあるいは有料化してやっていくかという議論が新聞に載っておりますけれども、先ほどの話のように、ハイビジョンというものを民放もあるいはNHKも取り入れていくということになりますと、やはりもっともっといい番組、コンテンツと言っているんでしょうか、を制作をして、そして広くデジタル化視聴者をふやしていく。あるいはいい番組をふやしていくということであれば、一方では地上波の今の広告のマーケットもいろいろあるわけでありますが、将来雇用の問題もあるわけでありますから、私はBSの方は有料ということにして、今有料と広告とどちらでもいいというようなことを郵政省は言って、WOWOWも少し広告をとっていこうかと、こういうことを聞いておりますけれども番組を非常にいい番組にしていくということを考え、あるいはハイビジョン導入していくということにした場合には、やはりBSの方は当面有料にして、そして努力をしてもらうということが大事だと思うんですが、その辺の企業体としての運営ということについてはいかがでしょうか。
  18. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 基本的に、衛星デジタル放送につきまして有料にするか無料にするか、これはまさに放送事業者がどうしたらより多くの視聴者を得られて、またいいデジタル衛星放送ができるかということの経営判断と申しますか、それによるべきところと考えております。  ただ、この問題を考えるに当たりましては、やはり視聴者から見てどうかということでございます。視聴者が一定の額を払ってもやはりいい番組を見たい、また有料に値する番組が流れてくる、これが一つの新しい放送形態として成り立つということになりますと、これはまた有料放送という選ぶ道も出てこようかと思います。  したがいまして、この辺は一律に無料であるべきあるいは有料であるべきということではなしに、番組視聴者の選択というものの相関関係の中で新しい衛星デジタル放送の形ができ上がっていくのではないか。また、そういう新しい試みの中で新しい衛星デジタル放送の姿ができ上がっていくというのが視聴者の立場、あるいは放送事業者の多様な努力をもたらすという意味で望ましいのではないかというふうに考えております。
  19. 田中直紀

    田中直紀君 NHKの「デジタル時代へのNHKビジョン」、こういうことで発表をされております。当然、公共放送の役割というのがなお一層重要であるということでございますけれどもデジタル化につきましては、世界の潮流ということでやっていくということであります。NHKさんにとってもデジタル化は非常に費用のかかる対応になってくるということでありますが、BS視聴者も非常にふえてきておるということから、衛星デジタル放送にも積極的に取り組んでいくということであります。民間スケジュールを合わせて全国くまなくデジタル化をやっていくために、やはり相当NHK取り組みとしても積極的に対応していただくということではないかと思います。  この中で、段階的に見きわめながらやっていくという、そういう面ではなかなか負担が大きいということが前提であろうかと思いますが、いま一つデジタル化に積極性が欠けるのではなかろうかと、こういうふうによく言われるわけでありますが、今の立場はどのような形で臨んでおられるか、お伺いをいたしたい。
  20. 酒井治盛

    参考人酒井治盛君) 私どもNHKとしては、二〇〇〇年末のBSデジタル、これをまず立ち上げることが先決というか、まずこれを間違いのないように視聴者にお届けする、そして、デジタル放送というのはこんなになかなかいいものかという印象を持っていただく、それから次に、二〇〇三年から始まる地上デジタルの方へ。あわせて同時並行にして作業は進めておりますけれども、まずBS、それから二〇〇三年の地上デジタルと、段階を追ってという意味はそういうことでございまして、ぷつぷつとじゃなくて同時並行ですけれども、まずそういうスタートラインが決まっておりますので、そこへ向けて全力を挙げていく。  ただ、BSの場合と違いまして地上の方は、例えば制作・送出設備、カメラとかVTRとか中継車、こういった制作・送出設備については毎年更新する中でどんどんデジタル化していけるわけですけれども、例えば送信設備、これは今アナログ全国七千カ所鉄塔がございますけれども、これをデジタル化するとなりますと、私どもの試算でざっと三千億。これは大体三十数年、四十年近くかけて整備してきたわけでございます。  これをデジタル化するとなりますと、今のアナログ送信設備、鉄塔を一部デジタル化にも使っていくということも、あるいは民放さんと共用で使っていくということも考えますと、全く別に七千カ所つくる必要はないんですけれども、大体私どもの試算で四千カ所ぐらいの送信設備、鉄塔をつくっていく必要があるだろう。となりますと、例えば四千カ所の一カ所を鉄塔を建てるとなりますと、土地を探さにゃいかぬ。その土地は一体国有地か民有地か、私有地なのか、地主は一体どなたか、それは買収にするのか契約にするのか、その交渉もありましょうし、いろいろさらに、そこへ建てたけれども、環境問題でどうのこうのということになりかねない。  そういう意味でなかなか難しい問題もございます。経費もコストもかかりますということで、地上デジタルについては、大変いろいろなメリットがございますけれども、段階を追って着実に進めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  21. 田中直紀

    田中直紀君 NHKさんにもリード役として御努力をいただきたいと思います。  先般、政府におきましては雇用創出ということで、大変な不況下にあるわけでありますので、七十七万人の雇用創出という目標を立てられました。その中で、自動車産業は四十兆円と言われておりますけれども情報産業というのは既に四十七兆円の産業になっております。しかし、諸外国、特にアメリカに比べればまだまだ成長産業であるということでありますし、二年間で十八万人の雇用を創出する、これも不可能ではないというふうに感じられますけれども、やはり大臣の方で、今の予算成立を果たされましたら速やかに執行していただいて、あるいは新たなこの地上波デジタル化を初めとする放送産業あるいは情報産業において大いに雇用が創出できるような施策を強力に推進して、政府の目標に沿うような御努力をいただきたいと思います。  それから、一つだけお話し申し上げますと、四十七兆円の中で、やはりハードとソフトという面があって、ソフトウエア技術者というのがこの不況の中にあっても、いわゆるコンピューターを中心としたプログラマーでしょうか、エンジニア、この分野が非常に逆に足りないというのは御存じのとおりであります。規制緩和をしながらも、やはり人材育成ということを大いに郵政省も御努力をいただいて、やはり新たな産業創出をする中で雇用が生まれるということに大臣も御努力をいただきたいと思いますが、御所見をよろしくお願いします。
  22. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 先生の御指摘のとおり、小渕内閣におきましては、日本の経済の再生ということで全力を挙げて各方面取り組んでいますけれども、とりわけ雇用の安定とか雇用を創出していくことが重要な柱の一つになっています。  そこで、情報通信分野におきましては、今現在も日本の国の経済のリーディング産業ということで認知していただいておりますし、これからも、先生がおっしゃったように次世代に向けてさらなる発展が可能であると考えられます。  具体的には、今お話がございました放送メディアのデジタル化とか、さらには、今爆発的に普及しているインターネットをさらに高度化して、いわゆる電子商取引などの実用に向けてあらゆる施策に今取り組んでいるところです。人材に関しては、三次補正から始まりました学校インターネット接続等によって早いうちから子どもたちにインターネット環境になじんでいただくということで、全方位的に今後の情報通信分野に必要とされているハードとソフトについて取り組んでいるところでございます。  あわせて、私たちとすれば平成十一年、十二年、この一両年にそれぞれのマーケットができた段階で十八万人の雇用を創出するべく、精いっぱい取り組んでまいります。
  23. 田中直紀

    田中直紀君 以上です。
  24. 本田良一

    本田良一君 民主党・新緑風会の本田良一でございます。質問をさせていただきます。  電気通信事業は一九八五年、昭和六十年に通信自由化がスタートいたしまして、国内は電電公社、国際は国際電電、KDDが独占的に運用していた体制が壊れ、以後、新規参入が相次ぐ時代となったことは皆様御存じのとおりでございます。  しかし、この実態は管理された競争、あるいは今はやりの金融用語をもって表現をいたしますと、業界の、しかも弱い者のレベルに合わせる需給調整、つまり護送船団方式であって、利用者の立場に立つことを基本にした公正競争体制、自由競争体制ではなかったのであります。今日もなおまだ一部の業界にこの考えがあります。私はこのことを残念に思います。こうした業界の意思、それも一方の弱い方に合わせるという決定、このことに危惧を持って、また私が申すならば、真の意味での利用者の立場に立った意思の反映であるべきであって、二十世紀でこのことを改めていただきたいとまず冒頭申し上げまして、国際的な情報通信政策についてお伺いをいたします。  三月一日に日米交渉がありましたが、この中で、通信分野においてアメリカは規制緩和を迫っておりますが、この規制緩和の内容、それからまた、既に今まで通信分野アメリカが迫ってきた開放の中身について、一部でようございますので紹介をいただきたいと思います。
  25. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 今回の日米間の規制緩和対話におきまして、電気通信分野では、米国から日本に対して出されましたものは、主なものといたしましては、NTTの接続料の引き下げ、それから線路敷設権のルール化等の要望でございます。  接続料の引き下げにつきましては、ことし一月、対前年度比一〇%の引き下げとなるNTTの接続料の認可をいたしますとともに、長期増分費用モデルの検討を着実に行っており、これらの事実につきましてアメリカ側の正確な理解を求めているところでございます。  それから、線路敷設権につきましては、昨年末、関係省庁検討会議が検討結果を取りまとめて公表しておりまして、郵政省としましては、これに基づき関係の事業者に対しまして自主的な改善措置の実施方を要請を行いました。今後は、これらの改善措置の実施状況を踏まえ、平成十一年度に関係省庁とともにレビューを行ってまいる予定でございます。  なお、過去のアメリカから出されました主な要望としましては、国際公―専―公の自由化や接続料の算定に係る長期増分費用方式導入などがございますが、いずれも決着済みでございます。
  26. 本田良一

    本田良一君 今私がこのことを出させていただきましたのは、これから後の質問をいたしますことに重要であるからお願いをいたしました。  特に、接続料とかあるいは今回迫りました電柱に一緒に共架させてくれとか、そういうことなどは、アメリカではキャブ工事などは大体公共工事でやりまして、その点は通信事業者がやっておりません。日本ではほとんどが通信事業者がキャブ工事など、電柱も独自に持っております。そういうものと合わせた対等な料金の立場ではないと思います。だから、そういう点をもっと理解をしていただくということで説明をされたと思いますけれども、一応そういうことを申し上げまして、次に行きます。  特に私がアメリカを国際政策の第一に挙げますのは、それなりの理由があるからであります。  既に御承知のとおり、アメリカ情報通信分野では日本を抜いてしまっております。そして、さらに着々と国家戦略目標に向かってその政策を実現しつつあります。この戦略はいまだかつてない独走戦略となる可能性があるからであります。私はこのことを大変危惧するものであります。  なぜなら、情報の一国集中となるからであります。また、一部の才能を持った国家が、あるいは才能を持った個人が富を独占してしまう可能性があるからであります。過去の小麦あるいは牛肉、トウモロコシ、かんきつなどのアメリカの戦略に見られるごとくであります。  自動車産業などの工業製品の国家戦略であれば日本が逆に押し返すこともできました。しかし、情報通信、特にインターネットの分野におけるアメリカの優位性は、二十一世紀目いっぱいを世界の頂点で支配的立場で存在をするのではないでしょうか。まさにインターネット時代の二十一世紀こそアメリカの時代ではないでしょうか。なぜなら、インターネットというものは、個人が電子のエネルギーを利用して発信するファッションであるからであります。  アメリカ日本と比較して人口的にもその倍の人口、つまり二億人、そしてまた多民族国家であります。この民族たちが発信する電子ファッションは、その多様性といい、スピードといい、情報量といい、情報価値といい日本とは比較にならないものであります。  この格差を持って情報発信、電子商取引、ヘッジファンドに見られるごとくでありますが、情報収集などさまざまな分野通信が行われることになれば、どのようなアメリカの存在となるかは御判断がつくと思います。つまりアメリカの国家戦略はここにあるからであります。自由競争という名のもとに、その裏には大きな国家戦略があるわけであります。  しかし、通信は開放されました。対等に開放されたわけであります。そして、ついに今アメリカは大手通信会社MCIワールドコムが東京都内で自前の光ファイバーの敷設工事を行ったことは皆さん御存じのとおりです。外資のインフラ整備の第一号上陸となったわけであります。  そこでお尋ねをしますが、今後どのような外資系が日本参入するのか。また、こうした外資系のサービス内容、料金体制、事業展開などの事業計画がわかれば明らかにしていただきたいと思います。また、認可についてはどのようにされているのか、お伺いをいたします。
  27. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 昨年二月の外資規制の撤廃以降、現在、第一種電気通信事業の許可をいたしました外資系の事業者といたしましては、今先生がおっしゃいましたワールドコム・ジャパン、それからBTコミュニケーションズ・サービスなど六社がございます。このうちワールドコム・ジャパンは昨年十月から、そしてBTコミュニケーションズ・サービスは本年二月からサービスを開始したところであり、ほかの事業者もことしの春から夏にかけましてサービスの開始を予定しております。  これらの事業者は、いずれも米国もしくは英国の電気通信事業者を親会社としているものでありますが、今後も引き続き外国の電気通信事業者を親会社とする事業者の参入は続くと見ております。  これらの外資系の事業者の提供サービスでございますが、国際電話や国際専用サービス中心でありまして、日本では主に多国籍企業など大都市圏の法人ユーザーを対象に、既存の事業者とほぼ同程度もしくは若干安い料金設定で事業の展開を計画しているものでございます。  これらの事業者につきましては、他の事業者と同様、電気通信事業法の許可基準に基づき、経理的基礎及び技術的能力があること、事業の計画が確実、合理的であることなどを審査の上、事業許可を行っているところでございます。
  28. 本田良一

    本田良一君 なるべく突っ込むことはよしまして、項目が三十にわたっておりますので、一回の答弁で大体いくと思いますから、よろしく。  次に、日本国内事業者との接続料金、相互接続義務化の問題はいかがでしょうか。  また、外資が事業を進めるために無線局免許を取得すると思いますが、外資規制と周波数の割り当てはどうなっておりますか。  次に、外資参入により紛争が法廷に持ち込まれる可能性がこれから出てきます。裁判体制、情報通信に精通した弁護士の育成など、いかなる紛争処理の方策を主管庁として考えておられるか、お伺いします。  また、外資参入のインフラ整備については、今日までの日本国内のインフラ整備費に比較して大変安いんではないかと言われております。良質な通信の確保あるいはこの契約方法についてお伺いをいたします。  四番目が、外資との再編、合併、買収の時代となる可能性があります。まず、外資規制状況、資本状況、役員、及びこうしたときの国益的認可判断や雇用問題について他省庁といかに横の連絡をとられるか、お伺いをします。  労働組合を持っていないIBMとか、そういう外資の会社が多いんです。買収になったときに一気に労働者が路上にほうり出される、そういう可能性もありますので、そういうところの雇用問題をお聞きしておきます。  次に、アジアのグローバル化の推進事業として平成十一年度は二十六億一千四百万円とありますが、大変有効な予算と思っております。この事業はどのような機関や国で行うのか。また、アジアを中心に、これは放送も含めて、情報通信分野日本中心的な役割、あるいは標準化やその他の国際会議の役割についてお伺いをします。  また一方、日本アメリカ及びEU、アジアに参入をする場合、いかなる規制があるのか。また、現在の参入状況についてわかれば発表していただきたい。特に、アメリカに光インフラ整備を日本の事業者が行っていいのか。また、接続義務についてはどうなのか。既に携帯電話についてはアメリカに向け一社参入をしております。回線そのものはアメリカのものを使っております。  また、日本の事業者がアメリカにおいて光ファイバー化──これはもうこの中にありますので省略をします。  この問いに御答弁をお願いします。
  29. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 今非常にたくさんの問いをまとめて出されたんで、答弁が非常に長くなるのでございますが、よろしゅうございますか。
  30. 本田良一

    本田良一君 はい。
  31. 天野定功

    政府委員(天野定功君) まず最初に、外資系の事業者と国内事業者の接続の問題についてのお尋ねでございますが、新しい接続ルールが、一昨年の六月に事業法を改正しまして、昨年の十一月施行されたわけですが、この新たな接続ルールの特徴を言いますと、第一種電気通信事業者は原則として他の事業者から接続の請求があった場合には接続に応じる義務があるということ。NTTに対しては、接続を行うことが必要不可欠な地域通信網の接続料を初め、種々の接続条件について接続約款を設定する義務を持つこと。NTT以外の事業者につきましては、当事者の協議によって接続の条件を定めること。そして、接続に関して事業者間に紛争が生じた場合は、事業者は郵政大臣による命令、裁定の申し立て、申請を行うことができることが骨格になっております。  この接続ルールは、外資系の事業者であれ国内事業者であれ、内外無差別に適用されることになっているため、例えばNTTは外資系事業者からの接続の申し込みがあれば、接続約款により国内事業者と同じ条件で接続に応じることになっております。  次に、外資系の事業者が無線局免許を取得する場合の外資規制のお尋ねだったと思いますけれども、WTO基本電気通信自由化合意を受けまして、平成十年二月、我が国は電気通信事業用無線局免許に対する外資規制を完全に撤廃いたしております。この結果、外資系の電気通信事業者に対する無線局免許及び周波数割り当ては内外無差別に取り扱われているところでございます。  次に、外資系の事業者が参入することによっていろいろトラブルが起こる、それに備えて裁判体制とかそういったトラブル対策にどう臨むのかという趣旨のお尋ねだったと思います。  これまでのところ、昨年二月のWTO基本電気通信合意の発効後間もないということがあって、幸いにも大きな紛争は生じておりませんが、今後多くの外資系事業者の参入が予想されますから、紛争の生ずることも予想されます。こうした国際紛争が政府間で起きた場合には、原則としてWTO、世界貿易機関の紛争処理手続にのっとり処理されることになると考えております。  郵政省におきましては、このような国際紛争に適切に対処するために、国際経済紛争対策費を予算計上するとともに、来年度に組織の整備を行うなどの方策を講じているところでございます。今後とも、想定される国際紛争に備えまして必要な調査研究を進めるとともに、こうした事態に迅速適切に対応できる能力を高めてまいりたいというふうに思っております。  次に、外資系事業者のインフラ整備についての技術基準関係あるいは工事の関係だと思いますけれども、電気通信事業を営む者は、外資系であるか否かを問わず、電気通信事業法の規定によりまして、その電気通信設備を技術基準に適合するように維持しなきゃならないと事業法に書いてございます。さらに、電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者は、その事業の開始前に電気通信設備が技術基準に適合することについて郵政大臣の確認を受けなければならないとされております。  今申しました技術基準には、電気通信設備の損壊または故障の防止、電気通信役務の適正な品質の維持、通信の秘密の確保等の必要な事項が規定されております。また、事業用電気通信設備の工事、維持及び運用に関しましては、主任技術者の配置を義務づけております。  したがいまして、これらの法令の措置によりまして、外資系の事業者といえども適正な品質の通信が確保されると考えておるところでございます。  また、電気通信事業者が電気通信設備の設置に際して行う工事事業者との契約方法につきましては、電気通信事業者が外資系であるかあるいは国内系の事業者であるかにおいて特別の差異はございません。電気通信法制上も特段規制されるものでもなく、電気通信事業者と工事事業者間の自由な契約に任されているところでございます。  次に、国内事業者と外資系事業者の再編、合併等に伴う国益的な配慮のもとでの認可とか雇用の判断、雇用問題のことに御言及かと思いますけれども我が国の電気通信事業に関しましては、一昨年のWTO基本電気通信合意に基づきまして、現在ではNTTを除きすべての第一種電気通信事業につきまして無線局を含めて一切の外資規制の撤廃を行っているのは先ほど申したとおりでございます。  したがいまして、現在、我が国におきましては、内外無差別に電気通信事業参入の許可や合併等の対策を行うことになっているものでありまして、外資であることあるいは外国人役員が存在することをもって特別な審査を行うことにはなっておりません。  ただし、外為法によりまして、国の安全を損ない、公の秩序維持を妨げ、または公衆の安全の保護に支障を来す場合には、対内直接投資等の保留、内容の変更、中止の勧告及び命令を行うことが可能となっておりまして、これに電気通信事業者が関係する場合には、大蔵省等関係機関と連携をとりまして適切に対処してまいりたいと考えております。  なお、各事業者ごとの雇用問題については、郵政省として関与できる立場にはないわけですが、当然に、我が国における労働関係法令に従って取り扱われるものと考えているところでございます。  以上でございます。
  32. 本田良一

    本田良一君 米国、EU、アジア。
  33. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 予算案の中にアジア・グローバル化の推進事業として二十六億一千四百万円計上されているが、この事業はどのような機関や国で行うのか伺いたいという御質問がございました。  平成十一年度の郵政省予算案でございますけれども、アジア地域中心としたグローバル化の推進施策として、アジアの情報通信基盤整備のための国際共同研究という形で二十億円、それからアジアでの情報発信の強化、これが一億五千万円、それから国際標準を目指した研究開発、四億一千万円が計上されているところでございます。  まず、情報通信基盤整備のための国際共同研究でございますけれども、これは通総研が韓国及びシンガポールの研究機関と共同で次世代ネットワーク技術について国際共同研究を行うということとなっております。  また、情報発信の強化につきましては、郵政省が主体となりましてアジア各国を呼び集めまして国際会議を開催する予定でございます。  それから、国際標準を目指した研究開発の推進につきましては、通信放送機構が統一的な通信手順を開発するためのマルチメディア・プラットホーム技術研究開発を行うこととなっております。  また、標準化についてでございますけれども、アジア太平洋地域においても電気通信分野の標準化活動を強化いたしますために、APTにASTAP、アジア・太平洋電気通信標準化機関というものが設立されたところでございます。私どもといたしましては、このASTAPを中心にして標準化を進めていきたいというふうに思っております。  また、アジアにはAPECというのがございますけれども、このAPECの中でも電気通信ワーキンググループを中心としてAPII、アジア・太平洋情報通信基盤の構築を促進するということで、私ども率先して活動しているところでございます。  以上でございます。
  34. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 次に、日本の事業者が海外、アジアあるいは米国、EUなどに参入する場合の規制があるか、こういった趣旨の御質問だと思います。  まずアジアでは、中国など通信の自由化がなされていない国を初め、数多くの国で外資規制を維持している状況にございます。また競争を認めている国でも、香港など参入できる事業者数を制限している国もございます。  米国では、電気通信事業への参入に関して、電話などの基本サービスについては再販事業も含めてFCC等の認証を必要としており、また無線局を利用する電気通信事業者に対する直接投資を二〇%までとする外資規制を行っております。  EUにおきましては、例えば英国、ドイツ、フランスが事業参入に関して設備ベースのサービスについて免許制としておりますが、フランスにおきましては米国と同様、無線局利用の事業に関する外資規制を行っているところでございます。  我が国の事業者は現地子会社による事業参入や外国事業者への出資により国際進出を図っており、例えばNTTやKDDは米国、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア等におきまして子会社により国際通信事業を行っているほか、各国の携帯電話会社などに出資を行っているところでございます。このほかの事業者では、日本テレコムが米国及び英国で、IDCが米国で子会社による事業を行い、DDIが南米等の携帯電話会社に出資しているところでございます。  また、現在のところ、我が国の事業者の外国での事業は再販ベースで行うことが多いわけでありまして、例えば米国においては外国事業者が光ファイバーを設置して通信事業を行うことも可能であります。  なお、米国における接続につきましては、米国通信法第二百五十一条に基づき、すべての電気通信事業者に相互接続義務が課せられているところでございます。
  35. 本田良一

    本田良一君 二番目だったでしょうか、国際紛争、この件は、私が言わんとするのは、これから相当な法的なやっぱり国際の舞台であると思います。そうしたときに、例えばウルグアイ・ラウンドなどの紛争の処理の場合も、スイスで裁判がありますが、弁護士は、日本の弁護をやってもらうのにアメリカの弁護士、そしてアメリカと日米の農産物の交渉を行う、こういう状況が今の法廷の国際紛争の状況。これでは勝ち目はないです。  だから、私が言わんとするのは、通信事業の開放によって、外資参入によって、当然裁判が発生します。そうしたときに、やはり日本通信事業者の弁護は日本の弁護士でやってもらう、そういうことを言うために設問をしたところですから、その真意をひとつお酌み取りいただきたい。そういうことでこれからの整備をお願いしたいということで、表面上は一回の質問だけれども奥は深いんですから、よく知っておっていただきたい。  それからもう一つ、三番目の、良質な通信の確保ということを質問で言いましたけれども、この良質な確保は、今の国内事業者は、郵政省の監督あるいは仕様書、それぞれの事業者が持っている通信回線の仕様書、それは非常に厳しくて、また相当価格も高い価格で施設の整備が行われます。しかし、アメリカという国は、通話が通じさえすればいいということで回線の設備投資は非常に安い価格でやってしまう。そういう可能性があると思いますよ。  今度の東京都内の、これは通信の信用問題だから一概に言えないけれども、この回線のいわゆる参入の価格を調べてみられたら、日本の今までの価格とどれくらいの価格か、相当私は安くでき上がっているのではないか、そういう想像もしますから、一度参考のため、今回の参入の価格を、設備の回線の費用を調べていただいたら結構だと思います。  以上でおわかりいただけたように、アメリカ日本で直接インフラ整備を行って通信事業に着手することとなったのであります。通信も自由競争原理を基本にして、国境を超えて事業展開がなされることとなったわけであります。しかし、この情報通信の事業展開は、今日の工業製品の輸出入の事業展開とは本質的に国家戦略を全く異にしたものであります。このことによる国益と利用者の利益をいかに確保するか、いかに自由競争原理を踏まえての開放であるとはいえ、しかも自由競争原理を踏まえての開放であるゆえ、変えることのできない、とめることのできない国境開放であります。これを認めた以上、答えは、競争に常に勝って優位に存在していく以外に道はないのであります。そうすることが、今後、アメリカ一国のみが情報通信分野で支配的国家、支配的事業者、支配的個人であらしめないためのものであります。そして日本は、国益、利用者の利便性を基本原則としてこの競争に勝ち抜かなければなりません。  そして、日本の役割はもう一つ、アジア太平洋地域において優位に存在をしなければなりません。この地域において情報通信を発展させる責任があるからであります。競争に勝つためには、日本情報通信政策が二十一世紀を展望し、世界の情報通信政策となり得るものか、日本の国益と利用者の利便性も含めて十分にこれにこたえることが重要であります。  そこで、以下、国内の情報通信政策、国益の確保と利用者の利益を確保する情報通信政策についてお伺いをいたします。  また、国内事業者の公正競争と自由競争をいかに図り、いかに外資事業者に優位性を保つのか、この国際戦略についてお伺いをいたします。  また、高度情報通信社会の実現により、何を可能とするかについては、先般、大臣に一般質問で我が民主党の内藤議員も申されましたが、皆様御存じのとおり、我々の人間社会のより豊かな、よりゆとりある、より近代的な社会を実現することであります。情報通信はあくまでもそれを実現するための手段なのであります。その究極の目標、手段は、FTTH、ファイバー・ツー・ザ・ホームの整備と言えるでしょう。この実現のためには、光ファイバー化、つまり日本列島を光ファイバーランド化することであります。  アメリカにおいては、ゴア副大統領のスーパーハイウエー構想がありましたが、光ファイバーによるインフラ整備は膨大な土木工事費が伴うため、これを断念しました。よってFTTH整備は壊れたのであります。  一方、日本の光ファイバー化は八〇%の水準に達しております。しかし、離島、過疎地においてはまだ未整備であります。私としては、その整備のために目標年次を定めて国の積極的な政策が必要と思います。その見解をお伺いいたします。  また、特に次世代通信サービスの本命であるIP、インターネットプロトコルについていかに対応されるか、お伺いをいたします。
  36. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 幾つか先生から御質問がございましたので、順番に答えさせていただきたいと思います。  まず初めに、情報通信分野はもう言うまでもなく個人にとっても地域社会にとってもまた国家にとっても重要不可欠な存在である。その中において、基本はやはり民間事業者が公正な競争のもとで切磋琢磨をしていただきまして、より発展し、より高度化していただきたい、そういうふうに考えています。  そこで、じゃ私たちは何ができるかということですが、やはり公正でかつ有効な競争条件をつくっていく、これが私たちの重要な役割と認識しているところであります。  と同時に、今申し上げたように、情報通信分野の拡大またニーズが求められている中、例えば民間事業者の努力だけではなく国としても責任を持たなきゃならない分野、例えば国際的な電波や規制の調整というのがありますし、また、すぐにはビジネスにつながらないような先導的な基礎的な研究開発もしなければなりません。  さらに、日本というのは都会と地方というような分け方もされるわけですけれども、市場原理には逆行する地域間格差の問題、これも是正していかなきゃならない。さらには、災害等の非常時における重要通信の確保も国の役割だと思います。さらには、直接経済活動にかかわりのない、例えば高齢者の方々や子供に対する対応、こういうものはやはり私たち国が背負っていかなければならない。そういうことで、民間皆さん努力とあわせて、そういう国民、国家の利益をきちっと私たちの側でも確保してまいりたい、そういうふうに考えています。  続きまして、国際戦略ということになります。  確かに、御指摘のとおり規制緩和の中で特に通信は閉鎖的であってはいけない。むしろ日本にとってもグローバルであればあるほど情報通信分野というのは便利な手段となってくるわけですから、そういう意味では世界的な規制緩和の流れの中で取り組んでいかなければならない。よって、やはり大競争というのが生まれてまいります。今まで国内だけの競争であったのが、当然、今先生御指摘のように、外国の企業とも戦っていかなければならない、そういう厳しさが増している状況であります。  そんな中にあって、私たちは、事業者が厳しい状況下に置かれても、例えば資本を集約されるとかいろいろな合併なんかをすることによって、本当の意味での国際競争力を身につけていただくような、そういうことを期待しているところであります。  先ほどは国内での外資系とのいろいろなコンペティション、競争の話でありましたけれども、やはり私たち日本の国の事業者も、WTOなんかの合意を受けましてどんどん国際展開を、むしろ国内にとどまっていた事業者が海外のマーケットで堂々と競争してもらいたい、そういうこともあわせて期待をしているところであります。  ですが、こういうことに関しては、外国の出た先に日本の事業者がわけのわからないいわゆる不透明な参入規制みたいなものがあった場合には、私たちが国を代表して適切な支援をし、そして国内の事業者が堂々とグローバルに活動できるような状況づくりに努めてまいりたい、そういうふうに考えているところです。  さらに、インターネットプロトコルと光ファイバーのお話でございますが、まず、インターネットの普及は爆発的でありまして、現在は、平成十一年一月現在の数値ですけれども日本は百六十九万台ホストコンピューターを持っておりまして、最近過去五年で三十九倍という非常に大きな伸びを示しているところであります。  今後、このインターネットを利用した、先ほども先生のお話にありました電子商取引等がこれから日本の国でも次々と登場してくるだろう。これにつきましては、やはりインターネットを利用される方が望まれていること、例えば高速性とか大容量、さらには安全であること、また信頼ができることということで、平成八年度から私たちは次世代インターネットということで研究開発を進めているところでございます。これは五カ年計画であります。  そういうインターネットを促進する意味で必要不可欠なのが今お話がありました光ファイバー網であるわけですけれども、これは従前から民間事業者にイニシアチブをとっていただいて、全国制覇というか全国への取り組みをしています。初めは二〇一〇年というのを目標にしていましたけれども、やはり必要であろう、急ぐことであろうということで二〇〇五年へ前倒しできるように私たちも目標とし、いろいろな支援をしているところであります。  ただ、先生御指摘がありました、整備が進められている中ですけれども、やはり民間のいろいろな事業形態とはなかなか合致していかない、採算のとれない地域が当然あるわけでございまして、それにつきましては、全国的に基盤整備がバランスがとれるように常に念頭に置きまして、促進の方策については積極的にこれからも検討し取り組んでまいりたいと思っているところでございます。  以上でよろしゅうございますか。
  37. 本田良一

    本田良一君 大変大臣は情報通信には見識を持って、また将来展望のある姿勢で臨んでおられまして、我々としても敬意を表しております。御答弁ありがとうございました。  次に、国際標準化についての迅速な対応とリーダーシップについて、自国技術の優位確保とこれについての政府としての後押しについて見解をお尋ねいたします。  特に、次世代携帯電話では日本が世界標準化のリーダーシップをとってもらいたいと思います。過去、ファクシミリなどでは日本の基本開発が世界をリードして、これが標準化になっておりますが、そういう努力などをひとつお伺いしたいと思います。  次に、各事業者が国際競争に勝つためには長期的、国家的視野に立った先行投資をする体力が必要です。この資金確保について政府の政策はいかがでしょうか。情報通信のみ支援目的のバンク設立などが必要と思いますが、これについてお伺いをいたします。
  38. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 国際標準化につきましては、所信でも少し触れましたけれども、ITU、このたび日本から内海さんが代表として活躍をいただく場ですけれども、そのITUを通じまして、公的標準化機関ということで、ここで先生からお話があったように着実な成果を残してきているところです。  ところが、一方、民間の方でさまざまなフォーラム活動がふえてきておりまして、そういうことに対応するために、ITUにおいては、別々に何かをするのではなくそういう民間フォーラムの動きともやはり連動して、連携してやっていこうというようなことで取り組んでいると聞いています。  私たちとしましては、このような動きに対応するためにも、特に、例えば次世代インターネットの研究開発等国際標準化につながるような研究開発を通じて反映していただけるよう今努めているところであります。  自国技術の優位性確保ということですが、やはり何といっても国際的な協調、日本技術を多くの国々に知っていただき理解していただくことが重要だと思いまして、それらのさまざまな標準化機関に対して積極的に支援をし、参加させていただこうと考えています。  特に、先ほども金澤局長から話があったようなASTAP、このような機関を通じまして、日本発のグローバルスタンダードということを目指してこれからも努力していきたいと思っています。
  39. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 国内事業者が国際競争に勝つためには、長期的、国家的視野に立った先行投資を行う体力を保つための資金が必要だというようなお話がございました。  この情報通信の基盤整備には膨大な初期投資を要する一方で、投資回収に長期間を要するということでございまして、装置産業としての性格を有するわけでございます。そういう意味で、情報通信分野に長期で低利の資金を安定的に供給するという融資制度はぜひとも必要と私どもも考えているところでございます。  そのために、現在、日本開発銀行を初めとする政府系金融機関から情報通信基盤整備ということで低利融資制度が創設されているわけでございます。  このような融資制度によります政府系金融機関からの融資実績は近年相当増加しておりまして、情報通信基盤の整備に必要な資金の御要請がありますと、大体これに対応することができる状況となっているということでございます。今後もその確保に努めてまいりたいというふうに考えております。  また、ソフトを評価して資金を提供する、つまり担保としてなかなか今ソフトが担保になりにくいということがございますけれども、これに対応するための知的財産権担保融資という制度がございます。物的担保の少ないベンチャー企業に対する資金供給の方法として平成八年度から日本開発銀行が始めたということでございまして、ようやく緒についたものというふうに認識しております。  情報通信専門の支援目的のバンク設立という御提言でございますけれども、まずはこうした現行の制度を十分見守っていきたいというふうに思っております。そのような制度が円滑に動かないということになりましたら、私どもも、さまざまな選択肢の一つとしてそういう点も勘案しながら動いてまいりたいというふうに思っております。
  40. 本田良一

    本田良一君 国際標準化、これは今大臣も積極的に努めていきたいということでございましたが、これは予算委員会でも答弁があっているから知っております。  しかし、日本は標準化の努力も少し後手に回っておりますが、一方、アメリカは、特に日米通商交渉の中では本当に理不尽というほど、例えばいろんなテレビとか自動車とか、そういう中にアメリカ産のICを何%、数値目標を挙げてこれを組み込ませる、そういうことなどを日米交渉でやってくるわけです。それくらい大胆に政府が自国製品を相手方にのませていく。また、NTTがアメリカ通信事業をやるに当たっても、国際調達をちゃんとしなければNTTのアメリカでの参入は許さないという交渉をずっとやってきました。そういうふうに通商上積極的なアメリカの対応があります。  だから日本も、昔は護送船団方式で、自動車を最初売り込むときは日本も国家が商人として頑張っていたという時代がありましたが、アメリカのスーパー三〇一条を振りかざされるようになって、全然日本は動かなくなってしまった。だから、こういうふうな法に対して法で向かっていく、そういう法の強い国にならなければ日本は勝てないと思います。法の後進国ですよ、日本は。だから、これだけの産業を持って世界に輸出国となっている以上、日本は法の先進国でやっていかなければなりません。そういう意味で、私は情報通信産業の分野において、法で負けない、いわゆる弁護士を初め、あるいはまた国際標準でリードする、そういう立場を今後貫いてもらいたいということを言いたいわけです。  それからもう一つ、次のバンクのことですが、一応平成八年からそういう制度があるということですけれども、まさにこの制度は八年につくっていただいて、先見性があったなと思います。しかし、やはり何といってもまだまだソフトを担保として理解する銀行の行員が少ないと思います。だから、そういうプロたちがもっともっと銀行にも配置をされないと、ソフトを担保にして融資をするという能力が欠けておりますから、この点を、新しい銀行をつくってそういう人材を確保した上で臨機応変な融資活動をやるということを言いたくてこの提案をしております。  次に、産業政策にいかに貢献されるのかお伺いをいたします。  政府は、産業政策に情報通信産業を結びつけていくという大きな、今回、小渕政権もありますが、これについて申し上げます。  まず、郵政事業については、既にテレトピア構想とかいろんな中で、こういう資料の中に郵政のこれまでの情報化についての、インテリジェントビルの融資とかいっぱいありますけれども、また、昨年は景気対策として総額千百億円の補正とかいろいろやっていただきました。そういうことを踏まえて御質問をいたしますが、今回の大臣所信にもその政策としてインフラ整備、そしてこれによる次世代インターネットやギガビットネットワークなどの構想を打ち出しておられることは了といたします。今後、テレトピア構想のような地域指定事業を政策として打ち出していただきたい。地域の産業創出とインターネットの国内普及に努めていただきたい。  特に、先月でしたか、熊本においても、熊本阿蘇四町村を広域情報通信ネットワークのモデル指定をしていただきました。このこともありがとうございます。  本来、情報通信による産業創出は時の総理大臣が国家的事業としてもっと詳細に大規模計画構想として打ち出していただきたいのであります。大臣の御見解をお伺いいたします。
  41. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 地域情報化の施策のことについてでございますけれども先生のもう既にお話しいただきましたテレトピア構想を初め、これまでも郵政省は積極的に地域皆さん情報通信高度化のためにさまざまな施策に取り組んでき、また相まって成果を上げさせていただいたところでございます。これからも、ますますそういう地域情報化の推進のために、今後、先ほど来話が出ているインターネット等新しい情報通信手段も続々と出てくるわけですので、取り組んでまいりたいと思います。  また、国家的事業なんだということで総理を中心にどうだという話ですけれども、幸い小渕総理はこの情報通信をかねてから非常に重要視されておられましたので、私が郵政大臣になって以来、さまざまな全政府の重要施策の中に情報通信を柱として取り上げていただいているところでございます。  例えば緊急経済対策、または高度情報通信社会推進に向けた基本方針、特にこの基本方針は、今まで漠としたものをシェイプアップしまして改定しまして、具体的に何をしていくかというのをきちっと詰めていく、そういう形で今作業を進めているところであります。さらには、経済構造の変革と創造のための行動計画、そんなようなところで、総理主導のもと、積極的に情報通信に取り組まさせていただいております。  御承知の推進本部がございますけれども、私も副本部長として、また先生のいろいろなお知恵をいただきながらリーダーシップをとって頑張ってまいりたいと思います。
  42. 本田良一

    本田良一君 これも補足をして申し上げて失礼でございますけれども、今回の内閣でこのことに努力をしておられることは十分よく理解をできます。しかし、私は、景気がこれだけ落ち込んできたのも、経済活動は各それぞれの企業家に任せっぱなしで、新しい産業を起こすということを日本の政治が忘れてきた、それは私たち国会議員、私は国会議員になって間もないけれども、政治家もずっとそうだったと思います。公共事業・工事一辺倒の予算に常にきゅうきゅうとしてまいりました。新しい産業を起こすための予算、あるいは提案、言葉だけでもいいから提案がなかったですね。  昔の明治政府の人たちは偉かった。八幡製鉄をつくりながら、後ではぱっと民間にそれを移譲しました。官でつくってもそれを後でぱっと民に渡す、そういう努力が足りません、英断がない。そして、ましてや時の総理が国家の産業をいかに起こすかということを言わない、公共工事の予算を幾らつけました、こればかりの一辺倒で何十年とやってきた。これがこれだけ景気が落ち込んだ大きな原因。  アメリカのクリントン大統領は就任早々軍事技術を開放して新しい産業を起こすと言いました。その結果、つい先週載った雑音のないいい携帯電話が日本でも販売されましたけれども、これは軍事技術の携帯電話。あるいはまた、「タイタニック」という映画は、湾岸戦争などの前の軍事演習をシミュレーションでやる、そのシミュレーションが映画産業につながって、「タイタニック」の舞台は海も山も荒れ狂う氷山も全部シミュレーションの画面でつくり上げていく、そういうことをやったわけです。ゴア副大統領もスーパーハイウエー構想を打ち出しました。  だから、時の総理が大きな産業をこうするんだ、そういうことを打ち出さなければ、いつまでたっても日本の景気はよくならない。そういう意味で、私は大臣に、郵政省がそういう点で最も景気対策にすばらしい情報通信産業を所管しているわけですから、積極的に大臣が総理に意見具申というよりも政策に取り込んでいただいて、このことを努力していただきたいということです。  次に、各業界が保持する知的技術の開放促進により新産業創出を促すこととされたい。そのためには、知的技術保護とその評価、そのために特許制度と財務会計制度の改革が重要です。そして、知的技術を一般に開放して新しい起業化を促していただきたいのでありますが、その新産業創出のための知的技術開放の諸課題についての政策についてお伺いをいたします。  次に、パソコンなどの機器使用を総国民的にするため、官・学・企・民での導入促進を図ることとしていただきたい。統計によれば、アメリカと比較にならない。特に、過疎地、離島では、郵便局にパソコン講座などを設けてお年寄りが後でインターネットを使えるようにやっていただければ、過疎地ではより郵便局の存在も高まっていくんではないかと思います。  次に、女性に対してインターネットによる起業化を促すための政策を考えていただきたいのであります。女性の大臣として在任中に何か一つ政策をお願いいたします。特に期待をしております。法制化による政府調達、資金支援などを構築していただきたいと思います。  次に、情報通信の国内普及こそがアメリカのインターネット発信に勝利する基本であります。この普及については各省庁との連携が重要であります。この連携をいかになさいますか、お伺いをいたします。  特に、文部省になると思いますけれども、全教育機関で生徒も教師も職員も恒久的にパソコンを使用できるようソフト、ハードとも整備をしていただきたいと思います。これに向けた郵政省としての取り組みについてお伺いをいたします。  それから、これからさまざまなサービスの認可についてはいかに対応されるのか。事細かな認可申請が必要なのでしょうか、郵政省が細かくタッチをしますか。  次に、二〇〇〇年問題について。既に二〇〇〇年問題については資料も多く出ております。各省庁はかなり努力をしているようでありますが、しかし、第三ランクの位置に国際的にはあります。残念であります。このような位置にあることについて、これからどう対応されるのか。国で危機管理体制と組織をつくるべきではないでしょうか。また、国、地方自治体の総合的な今日までの取り組み現状については内政審議室の所管と思いますが、こことよく連携をとって国際信用の回復のために郵政省としても対応を積極的に進めてもらいたいのであります。  以上までお願いします。
  43. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 新産業創出のための知的技術開放の課題の御指摘がございました。これについてお答え申し上げたいと思います。  情報通信分野で新産業を創出していくためには、先端技術分野について幅広く研究開発を行う必要があります。また、この分野についての知的所有権を蓄積する必要があるということでございます。このような知的所有権を蓄積することにより、我が国が国際標準化を主導することが可能となります。また、情報通信機器やソフトウエア等の関連分野での起業化が促進されるというふうに考えているところでございます。  このために、通信総合研究所や通信放送機構がみずからさまざまな研究開発を実施しておりますけれども、これらの研究開発の成果に関する特許につきましては、研究所や機構に帰属する部分についても適正な対価のもとに第三者に利用させることとしておりまして、研究成果を起業化に資するものといたしているところでございます。  さらに、国際標準化の際に知的所有権の取り扱いが非常に問題になるわけでございますけれども、ITU等の国際標準化機関におきましては、標準化する場合の条件というものを規定しております。一点目は、特許所有者が権利を主張しない場合、二点目は、特許所有者が特許を妥当な条件でかつ無差別に供与する意思がある場合、こういう意思がなければ標準化しないことを定めておりまして、このために特許の開放が可能になっているという点もあるわけでございます。  また、我が国におきましても、TTC、電信電話技術委員会等がございますけれども、これらの国内標準化機関におきましても同様の特許の取り扱いをいたしておりまして、できるだけ特許が死蔵されないような形というものを考えているわけでございます。  ただ、標準化する場合の技術、知的所有権は本来は民間企業等の研究開発活動の成果でございます。したがいまして、技術の開放と特許権の保護というものはある意味で相反するわけでございますが、この辺のバランスをしっかりと考えて先端技術の標準化を進めていく必要があるものというふうに理解しているところでございます。
  44. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) パソコン等の機器の国民的な利用を図るための郵便局の役割について御質問いただきました。  一昨年の六月になるわけでございますが、郵政審議会の方から、二十一世紀を展望した郵便局のあり方ということで、「郵便局ビジョン二〇一〇」というのをいただいております。その御提言では、郵便局を国民共有のインフラに位置づけまして、そして情報、交流安心の拠点として位置づけるというものでございます。  この一環といたしまして、先生御指摘の過疎地に限定したものではございませんが、一つには、郵便局の窓口ロビーにマルチメディアパソコンというのを置きまして、インターネット接続をしております。そして、キーボードを使わなくてもタッチパネルでもって、そしてまた音声ガイダンスつきのパソコンでお年寄りの方にも扱っていただこうという施策も今推進しております。  それから、先生御指摘のパソコン教室でございますが、これについても全国の郵便局でもう既に講座をスタートさせております。また、十一年度におきましては十年度に倍する予算を計上させていただいておりますので、このパソコン教室につきましても、郵便局としておのずからできる範囲というものはあろうかと思いますが、最大限取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  45. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 情報通信の国内普及につきましては各省庁の連携が必要だと、また教育現場で教師も生徒もパソコンを使用できるようなそういう環境をぜひつくるべきだという御指摘がございました。それについてお答えさせていただきます。  情報通信の普及は関係省庁との連携を進めることにより一層効果的に推進できるというのは御指摘のとおりでございます。郵政省も省庁連携施策の充実に努めてきたところでございまして、平成十一年度予算案におきましても、他省庁との連携を一層強化しております。公共分野情報化の基盤となるシステムの共同開発等、十二省庁二十二件百七十億円の連携プロジェクトを盛り込んでいるところでございます。  また、教育分野における情報化につきまして、郵政省としては、特に小中学校等の早い段階からインターネットになれ親しむことができる環境をつくることが不可欠というふうに考えております。このために、インターネットの高度化と通信料金の低廉化、これを二本柱といたして取り組んできたところでございます。  まず、インターネットの高度化につきましては、平成十年五月、公共電気通信システム法に基づきまして、文部省と共同で教育のための情報通信技術研究開発する体制を整備したところでございます。さらに、平成十年度第三次補正予算におきましては、全国千五十校をインターネットで接続して、学校に接続されますインターネットの高速・大容量化に係る研究開発に着手したところでございます。  また、通信料金の低廉化につきましても、昨年九月に郵政大臣から関係事業者に要請を行いました結果、昨年十二月から大手プロバイダーを中心に学校向け特別料金が導入されておりまして、約半額程度になっております。これによりまして、すべての学校をインターネットに接続するという目標が二年間前倒しされることとなりまして、平成十三年、二〇〇一年ということが可能になったわけでございます。  また、政府全体としても、高度情報通信社会に向けた基本方針の中でこの問題を取り上げておりますし、また総理が指示されまして昨年発足いたしましたバーチャルエージェンシーの中でも教育の情報化プロジェクトが設置され、この分野について重点的に取り組んでいるところでございます。  以上でございます。
  46. 天野定功

    政府委員(天野定功君) これからさまざまな電気通信サービスが登場するだろうということで、その場合の認可の対応につきましてお尋ねでございますので、お答えいたしたいと思います。  御指摘のとおり、近年、電気通信分野におきます競争の進展や技術の革新によりまして、事業者の創意工夫を生かしたさまざまなサービスあるいは料金が登場するものと予想しております。郵政省では、こうした状況に対応して、これまでにいろいろな規制緩和を推進してまいりました。  料金につきましては、第二種電気通信事業者は従来から届け出制または非規制になっておるところで、事業者は自由に料金の変更を行うことが可能になっているわけでありますが、第一種電気通信事業者につきましても昨年十一月より原則届け出制といたしました。  また、NTTの加入電話などの基本サービスにつきましては、上限価格方式、いわゆるプライスキャップ制としまして、平成十一年度中にこれを実施する予定でございます。これにより上限価格以下であれば届け出で料金設定が可能でございます。  サービスにつきましては、第二種電気通信事業者は届け出または非規制でありますが、第一種電気通信事業者につきましても、今月中に郵政省令を改正しまして認可対象事項を限定するとともに、基本的なサービスのみを対象とする方針でございます。
  47. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) まず初めに、女性に対していろいろな取り組みをしたらどうだ、そういうエールをいただきましたことを女性の一人として心から感謝申し上げます。  ということで、昨年、大臣にしていただきましてから、政策大綱をつくるに当たって、三本の柱ということで取り組んでまいりました。  その三つ目が「少子・高齢化への対応」ということで、少子化というのは子供の生まれてくる数が減ってくるという単純な現象ではなく、その原因の一つとして、私たち働く女性がなかなか多くの出産、育児がやりづらくなっている社会環境にあるのじゃないか。その解決策の一つとして、長時間通勤をしなければならないとかいう通勤のあり方、勤労のあり方から、家にいてもしっかり仕事ができるような、そういうことをとらえて努力していこう。  これはテレワークということになるのですけれども、テレワークは必ずしも働く女性のためばかりではありませんけれども、メーンとしてはそういう人たちに理解され、また使っていただき、喜んでいただけるのではないかということで、政策大綱の方に重要な施策として掲げさせていただいているところでございます。  これはテレワークというシステムができることによって、その一つの形態であるSOHO、今盛んに言われているスモール・オフィス・ホーム・オフィス、一人で情報通信機器を持ち、それを使って企業を起こし利益を上げていただく、そういうことにつながっていくということで、郵政省としては、例えば自治体がやってくださる共同利用型のテレワークセンター、この施設整備に対する国庫補助とか、または、これは十一年度に創設予定なんですけれども情報通信機器の即時償却制度、さらには研究開発としましては、在宅就業者のサポートに資するテレワークシステム研究開発、また普及啓蒙ということではテレワークDAYということを開催しております。  テレワークという、またSOHOというのは日本の国ではまだ小さな声かもしれませんけれども、それを大きく育てていこうということで今積極的に取り組んでいるところでございます。それも含めて多角的にこれからも検討してまいりたい、そう思います。  さらに、二〇〇〇年問題、これは今後の二十一世紀の情報通信の高度化に向けて避けては通れない、克服しなければならない最重要課題と位置づけております。  ですから、当然のごとく、政府が一体となって今日までこの問題に対応するべく取り組んできたことに、昨年九月に、高度情報通信社会推進本部のもとに関係の政府機関によるコンピューター西暦二〇〇〇年対策推進会議を設置しましたし、あわせて民間分野の代表の方による顧問会議を設置しました。そして、ここで官民一体の体制というのをつくりまして、さらにはコンピューター二〇〇〇年問題に関する行動計画というものを策定いたしました。  この行動計画の中で、政府の対応とか、また御心配いただいている地方公共団体への要請、または民間、いろいろな模擬テストの実施や危機管理計画の策定など、対応の徹底を図ることにしているところで、郵政省はもとより、それぞれ各関係省庁が今積極的に取り組んでいるところであります。  先ほど第三グループという、これはアメリカにあるガードナー社という格付会社なんだそうですが、そこでは第三グループということで大変心配しておりましたけれども、おかげさまで皆様方の取り組みによりまして、そろそろ第二グループにアップグレードができるのではないかという話を聞いているところでございまして、これからも力を緩めず、しっかり取り組んでまいります。
  48. 本田良一

    本田良一君 第二グループに上がるという先の見通しを言っていただいて、ありがとうございました。  飛ばしまして、次に電磁波の問題、アメリカ参入とともに、日本において電磁波の問題がまだ解決をしておりません。だから、このことについて大臣としてどのような見解を持っておられるか。  また、電気通信格差是正事業という民放の格差是正事業に対する支援がありますが、このことの個人負担はひとつなくしていただいて、全額国の事業としてやっていただきたい。  それから、新しい通信領域の確保について、飛行機、船舶、新幹線などでのパソコン、ワープロ接続について御見解をお伺いいたします。  以上です。
  49. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 電磁波につきましてお答えさせていただきたいと思います。  携帯電話が爆発的に普及するに伴って、当然、全国で利用者の方がどこででも使いたいということで携帯電話の基地局が各地域に建設されているわけでありますが、その中で、鉄塔から電波が出て、それが近隣住民の皆さんの健康に影響するのではないか、そういうような御心配をいただいていて、反対運動が起きているということも、私は二年前に政務次官をやりましたけれども、そのときからずっと存じているところであります。  このため、私たちもそれ以来、電磁波に対する皆さんの不安を解消するためにいろいろと仕事をしてまいりまして、特に、これまで民間のガイドラインとして使われてきました電波防護指針というのを去年、無線局が守るべき技術基準として制度化いたしました。これは電波法施行規則の改正ということですが、ことしの十月一日からこれが実施されることになっています。  ここに示されている基準値というのは、外国とか国際的な電波防護に関する専門機関においてきちっと策定されているものと同じものでありまして、これをきちっと満たせば安全性は確保できると郵政省としては考えています。  携帯電話の基地局の要望というのは随分ございます。事業者の方にもそういう際には必ず地域皆様方に十分説明をしていただいて、御安心いただけるように要請をしているところですけれども、私たちもこういう電波防護に取り組んでいることを国民多くに知っていただくためにこれからも周知徹底の努力をしていきたいと思っています。
  50. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 共聴施設についてでございますが、先生の御指摘の個人負担のある場合というのは、有線による共聴施設の場合でございます。  地域によりましては、個人負担の部分を例えば自治体が負担するというようなケースもあるようでございますが、現行の予算のスキームの中で、個人の資産になる部分について国が直接補助というのはなかなか難しいケースでございまして、ほかにどのような手があるのか、いろんな予算の手法について今後研究してまいりたいと存じます。
  51. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 新しい通信領域の開拓として、飛行機とか船舶、新幹線でのパソコン、ワープロ接続の推進ということでございますが、現実に小型携帯パソコン等が急速に普及をするに伴いまして、飛行機や列車等での移動中にもインターネットやEメールといったパソコン通信等が利用可能な環境を整備していくことは非常に重要であります。  今申しました列車、自動車等の陸上の移動体におきましては、携帯・自動車電話にパソコン等を接続することによりパソコン通信が可能でありまして、既に多くの人が利用されているところでございます。  また、航空機や船舶におきましても、衛星通信等による通信回線を利用することによりパソコン等の接続は技術的に可能になっておりまして、一部の船舶におきましてはインマルサット経由でEメールの利用が実現している例もございます。  このため、航空会社とか旅客船会社におきましては、乗客のニーズ等を勘案しつつ、パソコンの利用のための機内や船内の改修を進めていると承知しておりまして、私どもも積極的に進めていきたいと考えております。
  52. 本田良一

    本田良一君 大臣に、今電磁波の問題はもう問題ないんです。ないのを、まだこの電波防護指針を満たすことというくだりがありますから、これでいつも不安があるということですから、私は、郵政省は問題ないということをはっきりと法的に示していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  53. 小林元

    委員長小林元君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  54. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通・情報通信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度総予算中、運輸省所管及び郵政省所管を議題とし、郵政省関係予算について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  55. 鹿熊安正

    ○鹿熊安正君 まず、私は、郵政三事業を国民の利益のために国営で守ろうというのが私の政治家としての信念であります。  一昨年、国営か民営かの大議論の中で、多くの自民党の参議院議員の同志とともに、郵政事業を国営として守り、さらに国民の利益のために情報通信と一体となって郵政事業を改革し、守ることが真の行政改革であると訴え、大議論の末、やはり郵便局は国営にということになりました。  そして、昨年成立した省庁再編改革基本法でもこのことは明確であり、しかも、「民営化等の見直しは行わないものとすること。」と。これは実は平成十年六月九日、第百四十二国会に成立した中央省庁等改革基本法第四章第二節第三十三条の六に明記してあります。このことについては、私たちも非常に重く受けとめておるわけであり、また受けとめられるべきものであると考えております。  ところが、経済戦略会議から出された答申、すなわち平成十一年二月二十六日、小渕総理に報告した「日本経済再生への戦略」第二章Ⅰの一の(5)「財政投融資改革」に明記してございますが、この中には「将来的には郵政三事業の経営形態のあり方を見直す。」とあるではありませんか。  私自身、大きな憤りと不安を感じましたが、これは郵便局に対してもそうでありましょうが、何よりも国民に約束したことをどうしようとするのか、まずこの事実関係を含め、野田郵政大臣にお伺いいたします。
  56. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 御指摘の経済戦略会議での答申の記述、「あり方を見直す。」という、このことにつきましては、具体的な意味が明らかになっておりません。  ただ、郵政三事業につきましては、先生がおっしゃったとおり、昨年六月に成立しました中央省庁等改革基本法に基づきまして、三事業は郵政事業庁を経て、そしてその二年後には郵政公社、これは国営の新たな公社に移行するということにされておりまして、これについての必要な準備を進めているところであります。  さらに、繰り返しになって恐縮ですけれども、この基本法においては、「民営化等の見直しは行わない」と明記されていますから、必ず将来的に見直しは行われないということだと理解しております。
  57. 鹿熊安正

    ○鹿熊安正君 今大臣から非常に明確な答弁をいただきましたので、特に、自民党参議院がみんな国営でやるべきだということに意見が一致いたしておりますので、郵政大臣もその線でひとつ力強くよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、今回の経済戦略会議の答申というのはどのような性格のもので、どのような効果を持つものなのか、お聞かせいただきたいと思います。それにつきまして郵政省としてはどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
  58. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 経済戦略会議の答申というのは、二十一世紀といってもあとすぐでございますけれども日本の豊かな経済社会を切り開いていくために、中長期的なスタンスでの経済運営や理念、方向性を示していただけたものだと思っています。私たちの国日本の経済再生の一つの基本戦略が盛り込まれたというふうに理解しています。  実は、総理からも閣議におきまして、それぞれの閣僚も所管する分野でできることから、可能なものから真剣に検討し、やっていくようにという御指示、努力をしてほしいということをいただいたところでありまして、私も総理の指示に従って一生懸命取り組んでまいりたいと思います。  繰り返し申し上げますけれども、ただ、郵政三事業につきましては、先ほどお答えしたとおり、これは基本法に沿って準備を進めているということで御理解いただきたいと思います。
  59. 鹿熊安正

    ○鹿熊安正君 それでは次に、経済戦略会議の答申の内容について私なりに勉強させていただいたが、郵政事業について言えば、従来から銀行などが業界益として主張してきたものとは大差ないものと思います。  法人税や預金保険料の納付の問題、市場原理に沿った貯金金利の問題が骨子と思いますが、ATM、すなわち自動現金支払い機、あるいはCD、やはり自動現金支払い機のオンライン提携やデビットカードなど、郵便局と民間金融機関の提携が進む中で、まだこのような状況なのかとまことに残念であります。  そこで、経済戦略会議の答申で言われている官と民による金融のイコールフッティングの問題について事務当局にお聞きします。  経済戦略会議の答申で官と民による金融のイコールフッティングの確保が言われているが、実情はどうなのかお聞きいたします。  あわせて、二〇〇一年四月後のペイオフ問題について、郵政省としてどのように考えておられるのかお伺いいたします。
  60. 松井浩

    政府委員(松井浩君) ATM、CDの民間との相互利用の動向あるいはデビットカードの利用、官民相まって国民の利便向上に資するような今動きがいろいろございますが、そういう中でイコールフッティングの議論についてのお尋ねでございます。  申すまでもなく、私どもは、郵便貯金は全国あまねく公平なサービスの提供を目的としておりますし、税金による補てんとかそういったことなく、収支相償を基本とした非営利事業をやっております。一方におきまして、民間の金融機関の方では利潤追求を目的として、みずからリスクをとって自由に営利事業を行っているという状況がございます。そういった中で、おのずからその制度や仕組みが違うわけでございます。  したがいまして、そういった両者の違いの一部をとらえて有利、不利を論ずるのではなく、トータルな姿でバランスを見るということが必要ではないかというふうに考えます。  具体的に申し上げますと、同戦略会議の話に、法人税等の諸税を負担していないとか、あるいは先生御指摘のように預金保険料の問題、あるいは日銀への準備金だとか、そういった話があったわけでございますが、改めて申すまでもなく、山間辺地だとか離島を含めた店舗を配置しているという、つまりコストというよりは、あまねく広くという観点で店舗を配置しているということだとか、あるいは私どもにつきましては取り扱いコストのかかる小口の個人の預金でやらせていただいているということ、それも法令上の定めとしてそうしていること。あるいは民間と違いまして、与信業務として企業に対する貸し付けだとかそれから個人に対する貸し付け、そういったものはできないようになっております。資金運用について言えば、全額資金運用部への預託ということが法律上義務づけられております。いわばすべてが一〇〇%が安全資産で構成されているわけでございます。  そのほかに、必ずしも認識されておりませんけれども民間金融機関の場合ですと、職員の年金につきまして基礎年金部分の三分の一は国庫負担がございます。基本的に国庫負担がございますが、私どもは国営事業でありますので、その部分も事業の中で賄っております。そういったこともございます。  その他、日本銀行の決済機能をどう使うかだとか、あるいは短期金融市場に入っていないだとかいろんな条件の違いはございますので、そういったことを踏まえたトータルなバランスで見ていただく必要があるのではないだろうかというふうに思っておりますが、これまでの状況下では私どもとしてはトータルバランスが図られているものと前から考えているところでございます。  なお、先ほど御指摘の二〇〇一年度以降のペイオフの問題でございますけれども、現在のペイオフが実施されても預金保険の限度額一千万円までは元本保証がされるという点では同じ金額でございます。郵便貯金の限度額も一千万円でございまして、そういう点では一緒だということを申し上げる必要があろうかと思います。  そういう点で、よくある議論でありますけれども、ペイオフになるとみんなが郵便貯金になだれ込むんではないかということが一部の金融機関等からのお話としてもありますけれども、そういった資金シフトは生じないものと私どもとしては考えております。
  61. 鹿熊安正

    ○鹿熊安正君 数日前でしたでしょうか、郵便局が二十四時間サービスを始めるとの新聞報道を見ました。郵便局は、国民へのサービスの拠点として、安心のよりどころとして大変な努力をしておられます。まさに郵便局改革をどんどんと進めておられます。一昨年の議論の中で国営が維持されたのも、常日ごろ国民のために汗していただいておられる郵便局職員の姿を国民皆さんがよく御存じだったからだと思います。  役所に少し冷たい言い方になるかもしれませんが、郵政省も、中央段階でももっとマスコミや有識者の方々に対して十分な説明が必要なのではないでしょうか。今回の経済戦略会議のメンバーなどに対しても十分な説明を行っていただいておるのでしょうか。日ごろから熱心に国民に語りかけておられる野田郵政大臣の活躍を拝見するにつけ、これだけの組織、人材を有する郵政省として、郵政事業の意義や役割についてもっと積極的な説明をする必要があるのではないでしょうか。また、それが可能なのではないだろうかと思います。  そんな気持ちを持っておりますので、どうか郵政大臣にその点についてお伺いいたします。
  62. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 確かに以前は、先ほど先生のお話にありました行革の折には、かなり郵政省自体、マスコミ初め一般国民に対して郵便局の必要性とかそういうPRが不足していたのではないか、そういう心配がありましたけれども、あのときのやはり学習効果がありまして、最近では積極的に、経済戦略会議のメンバーの方はもとより、できる限り広くマスコミまたは一般国民に向けてそれぞれ努力してPRをしているところではないかと思います。  ただ、御指摘もございましたので、これからなお一層郵便局の国民とのかかわりについて、御理解いただくようまた積極的にみんなで一致結束して取り組んでいきたいと思います。
  63. 鹿熊安正

    ○鹿熊安正君 郵政事業の意義や役割に関するパブリシティーの現状について野田郵政大臣はどのように評価されておられるのか、またこれをどのように充実させていくお考えなのか、お伺いいたします。  そう申し上げるのも、私たちは心ある同志の集まりである国営郵政事業を守る参議院自民党有志の会を中心に、これからも国営の郵便局事業をしっかりと守っていかなきゃならぬ、かように頑張っていきたいと思っておりますので、役所も一段の奮起をひとつぜひお願い申し上げたいと思います。  次に、本日は予算委嘱審査ということなので、平成十一年度の郵政省予算について質問いたします。  先日の野田郵政大臣の所信表明にもありましたが、郵政事業の財政状況については、単年度損益で、郵便事業は七百四十二億円の赤字、郵便貯金事業は一般勘定で一兆五千六百十九億円の赤字を見込んでいるとのことでありました。また、簡易生命保険事業でも剰余金が前年度に比べ三九%の減少となるとの報告がありました。郵政省では一層の増収と経費節減に取り組むとのことでありました。  その決意で取り組んでほしいのでありますが、一つお願いしたいことがあります。  それは、このように厳しい事業環境の中で、郵政事業の健全な経営のために、また国民利用者のために日夜努力されている特定郵便局長さん、郵便局職員の皆さんの励みとなるような施策もぜひ進めていただきたいということであります。  特に、平成十一年度予算では、特定郵便局長さん、郵便局職員の皆さんの励みとなるような施策としてどのようなことが盛り込まれているのか、野田郵政大臣から直接お伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  64. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 恐らく、特定局長さんまたは郵便局の職員の皆様方の励みになることは、やはり国民利用者の方々の信頼をかち得ること、国民利用者の人に喜んでいただく、そういう仕事をしていくことではないか、ひいては国民利用者の皆さんが望んでいる郵便局サービス展開することではないかと考えているところであります。  そこで、平成十一年度の予算案においては、それぞれリクエストというか国民利用者の間でも喜ばれるであろうという施策を中心展開しておりますけれども、簡易保険におきましては、仮にの名前ですけれども、一病息災保険、高齢化になっていろいろといわゆる成人病と言われるようなものに罹患されましても保険に入れるような制度を新設させていただいたり、または郵便局で将来的にはすべての行政サービス一つの端末でできるようなワンストップ行政サービス、こういうものの推進、さらには、先ほどお話があったように、貯金なんかで民間との提携をすることによってやりとりが非常に利用者にとって便利になる、そのような円滑化を施策として盛り込んでおります。  こういうことを通じて国民皆さんに一層信頼し支持していただけるよう、そして郵便職員または特定局長さんが元気いっぱい喜んで働いていただけるよう努めてまいりたいと思っています。
  65. 鹿熊安正

    ○鹿熊安正君 終わります。     ─────────────
  66. 小林元

    委員長小林元君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、本田良一君が委員を辞任され、その補欠として海野徹君が選任されました。     ─────────────
  67. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本でございます。  NTTの分割についてまずお伺いをさせていただきたいと思うところでございます。  NTT分割もいよいよカウントダウンに入ってまいりました。NTTが持ち株会社のもとで東西地域会社、さらに長距離・国際会社に再編されます。  そこで、端的にお伺いしたいのですが、まずは東西料金格差についてお伺いをさせていただきたいと思っております。  東地域会社に比較して西地域会社の収益が劣る見込みだというふうに伺っておりまして、私もどちらかというと西日本の方を中心に活動をしているものですから、大変心配になっておるわけでございます。三年間東会社から西会社へ収益補てんが認められておりますが、東西で料金格差が生じる可能性がいろいろと言われているところであります。  電話のような最低限の通信サービスは住んでいる地域によって料金に格差があってはならないという意見があります。そういう意見がある一方、全国一律で競争が進まないとコストの高い地域では絶対的に料金が高くなるのはいたし方ないと、こういったことも言われております。  郵政省は、料金格差が生じてくることについてどのように考えているのか、大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
  68. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) NTTは分割によりまして東と西に分かれまして、そのうちの西日本地域会社については、先生御承知のように当面赤字が出るおそれがあるわけでございます。その事態に備えて、改正NTT法においては、西会社の経営の安定を図る必要があるときには東会社の利益から西会社の赤字を補てんする、そういうことができる負担金制度というのを三年設けているところであります。  しかし、西会社としては、独立した会社ということで新しいメンバーでいろいろ経営の効率化、健全化を図ることが期待されているところでありまして、かなり意欲も着実に私たちのところに感じられているところであります。西会社の経営基盤はかなり早い時期に安定していくものではないかということを今考えているところです。  このようなことから、再編成を契機として、一方の地域会社による料金の値上げなど料金水準やサービス水準が現在より悪くなるような形で格差が生じることはないものと考えております。
  69. 森本晃司

    ○森本晃司君 西の皆さんもこれから努力を一生懸命されると思うんですけれども、西と東の料金格差が起きてくると想定される。この三年間いろいろと補てんをしなきゃならないんですが、それはどういうところからきているんですか。
  70. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 再編成前の、現在事業本部制というものをとっておりますが、その中で長距離部門と地域部門を分けまして、そして地域部門につきまして、今度の東西に分ける地域のエリアの中から売上高というものが現実ベースで出てきますが、それから見て西の赤字が想定されておるということでございます。
  71. 森本晃司

    ○森本晃司君 売上高による赤字ですね。これは今大臣がおっしゃったように三年間でその問題は本当に解消されていくんでしょうか。経営努力、頑張りますというだけではできない。私は、それはよほどのことがないとその要因は変わってこないと思うんですけれども、どうですか。
  72. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 売上高ベース、そしてコストということから赤字が想定されておるわけでありますが、ここ三年間、西地域とされる部門の赤字は年々縮小してきておりまして、確かに再編直後にどうなるかは微妙なところもありますけれども、間違いなく私どもはこの赤字は早期に解消されるというように考えております。
  73. 森本晃司

    ○森本晃司君 大臣からも格差が生じないようにというお答えもいただきましたので、ぜひその辺については西日本地域によって料金が極めて高いということがないようによき御指導もまた叱咤もしていただきたい、そう思うところであります。  次に、将来は別といたしまして、新電電、NCCは今のところNTT市内地域網との接続の上に事業が成り立っているということであります。接続のためにNTTに払う、接続料という名目になるかはわかりませんが、金額は、NCCの収入の四割を占めているという報道も聞いているわけでございますが、我が国では接続料金の算定を現行の総括原価方式から長期増分費用方式へと変更することが検討されているようでございますけれども、その進捗状況についてお伺いいたします。  一方、アメリカからも接続料金が国際的に割高であるということ、そしてその引き下げを要求されているという報道もあるわけでございますが、アメリカの要求は大変急なので、どのように対処されていかれるのか、その点についてお伺いいたします。
  74. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 先生御指摘のように、接続料につきましては、従来ネットワークの維持管理に実際に要した費用をベースに算定してきたわけでありますが、より合理的な算定方式としまして長期増分費用方式導入が各国で検討されております。  我が国におきましても、長期増分費用方式をできるだけ早期に導入することとしておりまして、昨年三月の規制緩和三カ年計画に基づきまして、所要の電気通信事業法改正案を二〇〇〇年、来年春の通常国会にお出ししたいというふうに考えております。  現在、郵政省では学識者から成る研究会を開催しまして、ここにはNTTや新規参入事業者、NCCの参加も得ましてモデルの作成作業を鋭意進めております。本年七月を目途にモデル案を公表してパブリックコメントを募集した上、ことしの九月にはモデルを確定できるのではなかろうかというふうに取り運んでおります。  また、米国との関係でございますけれども、米国は、日本に対しこの長期増分費用方式の前倒しの実施を求めてきておるわけでありますが、本件については、日本の方としましては、既に今申し上げましたような既定の方針に基づいて着実に作業を進めている旨を申してアメリカ側の理解を求めますとともに、他方、アメリカに対しまして、日本と同時期の州際通信への長期増分費用方式導入を求めているところであります。
  75. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、NTTは現在、基本的な電気通信サービス全国提供、ユニバーサルサービスをNTT法によって義務づけられております。  今後、NTT再編の実施、通信業界の競争の進展などによってNTTが市内回線の独占的企業でなくなった場合のユニバーサルサービスをどのように確保されていくのか、またユニバーサルサービスの対象はもはや電話だけという時代ではないと思います。例えば、ISDNとかあるいは携帯電話などはその対象の範囲になるかと思いますが、大臣、この辺のユニバーサルサービスについての考え方をお伺いしたいと思います。
  76. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 現状におきましては、地域通信部門ではNTTの独占度が高いわけでございまして、今回のNTTの再編後も東西の地域会社がユニバーサルサービス義務を負うこととしています。  これからの地域通信における競争が進展した場合ということについては、不採算地域におけるサービスの提供が重要な課題となることから、実は平成八年十月から有識者の皆さんによる研究会を開催してもらっていまして、そこで競争の促進とユニバーサルサービスの確保をいかに両立させるべきかということを議論していただいてきたところです。  実は、この研究会が昨年六月に報告書をまとめてくれました。その中で、今御指摘のユニバーサルサービス、これは当面、加入電話、一一〇番サービス、公衆電話は該当させる、また、これからのマルチメディアに向けて技術革新とか国民ニーズの高度化と相まってユニバーサルサービスの範囲が拡大していくと考えられる、そして次には、ユニバーサルサービスコストを明確化した上で、これからのユニバーサルサービスの新たな確保の方策が必要となった場合には各電気通信事業者の拠出による基金方式が適当である、このような提言をいただいているところであります。  郵政省としましては、こういう提言を踏まえまして、これからの競争進展状況を見つつ、またいろいろ外国の制度なんかも参考にしながら、これからの新しいユニバーサルサービスの確保のための枠組みのあり方について幅広く御意見をいただきながら検討をしていきたいというふうに考えております。
  77. 森本晃司

    ○森本晃司君 移動体通信についてお伺いしたいんですが、ドコモのファミリー割引についてでございます。  郵政省が一月にNTTドコモのファミリー割引に対して料金変更命令を出していた問題が三月一日に決着した、こういう報道がなされております。その結果、六月一日から、現行の二台目以降の一率一五%の割引が一年目は一〇%に抑えられるということになりました。二年目以降は今度は割引率が拡大して、携帯で最大二五%、PHSで二一%の割引となって、かえって割引率が増加するという形になります。  私は、割引率が多くなるということはそれはそれでいいんですが、一たんドコモへ入りますと、年次を追って割引率が高くなるので次に新しいところに入っていこう、新しい会社の携帯を使おうということにはなかなかなっていかないんではないだろうか。割引されることはすばらしいことだけれども、それはもう歓迎をするんですが、こうした状況が続きますと、NTTドコモにしかできないサービスで一人勝ち、寡占状況をつくってしまうのではないだろうか。  サービス、割引を多くしてもらいたいという我々の気持ちもあるし、一方、寡占状況になって新しい競争が起きてこないという状況になるんではないかという思いを持っているわけですが、この点についてはどのように考えていらっしゃいますか。
  78. 天野定功

    政府委員(天野定功君) NTTドコモが昨年の十二月から実施しておりました当初のファミリー割引につきましては、NCCの方から意見の申し出がありまして、私どもが調査しまして、ただいま先生御指摘のようにこの料金には不合理なところがあるということで料金変更命令を出したところでございます。そして、NTTドコモは三月一日から新しい割引制度の届け出を出しまして実施をしておるわけでございます。  この改定料金は、確かに当初の料金よりもより利用者にとって安くなる面があるわけでありますが、しかしながら、この料金も現在のほかの事業者と比較しまして必ずしも下回っていると言えないものであります。したがいまして、この新しい料金をもってして必ずしもNTTドコモの一人勝ちになるということを断定的に言うのはいかがかと思っております。  しかしながら、他方、本サービスにつきましてはNTTドコモしかできないサービスではないかという視点もございます。確かに、NTTドコモは移動通信分野で卓越した地位にあり、また携帯、PHSを兼営する唯一の電気通信事業者であるという事情もありますので、私どもとしましては、本サービスが市場に及ぼす影響を十分注視し、必要に応じて公正有効競争条件の確保のための措置を検討してまいりたいと考えております。
  79. 森本晃司

    ○森本晃司君 大いに割引率は高めていただきたいんですが、そのことによって競争の原理がなくなって、結果的にまた高いものを寡占状態の中で消費者が使う、ユーザーが使うということのないようにこれからもぜひそうしていっていただきたい。  DDIポケットなど他の移動電話会社は、顧客の獲得が一層厳しくなるという危機感を今持っておられるようであります。また、問題なのは、NTTドコモが移動電話市場において構造的支配力を持っており、市場の変化に応じた新しいルールが存在しないことであるという指摘、先ほども申し上げたとおりでございます。  現在のNTTドコモと他の移動電話各社とで、営業力などに相当な体力の差がもうスタート時点であるわけでございまして、公正競争の確保の観点から、構造的な支配力には一定の歯どめがかかる新たな競争監視ルールが必要ではないかと私は思っておりますが、郵政省考え方をお伺いします。
  80. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 現在、移動体通信分野におきましては、NTTドコモのみならず、その他の新規会社による競争の効果で全体として大きく市場が成長をしてきております。そういう中で、特にNTTドコモの競争力は強く、シェアの大きな部分を占めているということは事実でございます。これは、同社の営業力や技術力の強さによるものと思われますが、しかしながら、現在の状況から公正競争上問題になる支配力であるかということは直ちに断定することは難しく、なお注視が必要かと考えております。  これまでも、NTTドコモのNTT本体からの分離、これは平成四年であったわけでありますが、におきまして、NTTとの間でネットワーク、取引条件あるいは人的関係等につきましてファイアウオールを設けまして、また昨年のPHS営業譲渡に際しましても、会計分離や他事業者との公平な接続等につきまして条件を付したところであり、それぞれの時点で一定の公正有効競争条件の整備を図ってきているところでございます。  現在の状況におきまして、NTTドコモの市場における支配力をどう考えるかは、これらの措置の遵守状況を注視し、競争事業者その他の意見等を聞きつつなお引き続き検討していくべきものと考えております。
  81. 森本晃司

    ○森本晃司君 我が国で携帯電話の規制を緩和したことによりまして、あっという間に携帯電話が普及いたしました。大変我々の生活にとって便利なことでもありますし、私もかつてはそんなものは使わないと言っていたんですが、今や日常的に放すことのできないものになっているわけです。  一方、携帯電話の電磁波による医療機器あるいは航空機器等の誤作動、あるいはまた基地局建設への不安、それから鉄道や劇場での使用問題等々、携帯電話の普及に伴って多くの社会問題が生じるようになってきております。これは、使う者のマナーによるところもありますが、中でも、国民皆さんが携帯電話を放せなくなって、そして同時に不安を抱いている大きな問題として、電磁波が人体に影響があるかどうかということが大変皆さん不安に思っているところであります。  朝の本田先生質問の中にもちょっとございましたが、郵政省平成九年度より研究を始めているというふうに伺っておりますが、現段階でどのようなことがわかったのか、研究の成果を御報告いただきたいと思います。
  82. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 電磁波の人体への影響につきましては、これまで四十年以上の長い研究によりまして、人体が強い電波にさらされますと体温が上昇する作用、あるいは周波数が低い場合には体内に起こされた電流が神経を刺激する作用があるということが明らかになっております。  このような科学的な知見に基づきまして、十分な安全率を考慮した基準値、いわゆる電波防護指針と申しておりますが、この基準値が策定されて、我が国のみならず世界各国で活用されている状況でございます。この電波防護指針値を満たせば人間の健康への安全性が確保されるというのが国際的な考えとなっているというふうに私どもは承知しております。  郵政省では、平成九年度から関係省庁や大学研究者等の協力をいただきまして、安全性評価に関する研究を推進してきております。昨年度におきましては、その成果といたしまして、四週間携帯電話の使用では脳内への毒性物質の侵入を防御している機能が損なわれないことを確認したところでございます。  本件は人の健康にかかわる問題でありますから、より万全を期するため、今後とも積極的にこの分野研究を進めてまいりたいというふうに考えております。
  83. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、郵便事業についてお伺いしたいと思います。  平成十一年度郵政省予算の概要の中で、「郵便事業損益の推移」、これを私見ておりまして、大変心配になってきたところでございます。郵便局が各地域地域の人たちに安心と安全を与えるということでいろんな役割を今まで以上に努力されているということは私もわかります。先般、我が委員会で過疎地のひまわりサービス、高齢者やあるいはそういった地域の人たちの福祉のためにも郵政省が一生懸命頑張っているという状況を視察させていただきまして、大変勉強になり、郵便局の必要性をさらに痛感したわけであります。さらにまた、先ほどの野田大臣の話の中にもありましたけれども一つの窓口で複数の行政サービスをするというワンストップ行政サービス実験を始められて、将来に向かっていこうということでございますから、これもまた我々の生活の上に非常に利便性のある役割をしていただく、同時に地域一つの大きな窓口にもなっていくということを痛感しています。  それから、郵便事業の中でも、各局回りましたら、それぞれの地方の局長さん初めいろいろな方々が少しでも収益を上げようということで、この前は、北陸で恐竜の絵はがきを局長さんが、極めて恐竜博士みたいな方でございますけれども、そういうことで恐竜の絵はがきをいろいろと工夫されたり、さらにまた、私も先般野田大臣にプレゼントさせていただきましたけれども、絵はがきをこするとにおいが出る、あれは非常によく考えたものだなというふうに思いました。そういった努力皆さん一生懸命されているなということはわかります。  しかし、一方、この事業損益の推移を見ると、最初に申し上げましたように、そういった努力にもかかわらずまた悪化し始めているという状況です。ちょうだいいたしましたこの表から見ると、平成七年度は単年度損益は千二百十八億円、八年度になって九百四十三億円。九年度、これは不景気の影響もあったかと思うんですが、百九十八億円にがくっと減ってきた。しかも、収益部門では六十七年度ぶりの前年割れという状況がここに出ています。平成十年度は当初二百九十五億の黒字を計上されていたにもかかわらず、マイナス九百七十八億、十一年度ではまたマイナス七百四十二億になるということがここのいただいた資料の中にあるわけでございますけれども、このような収支の悪化の状況、これをどのように分析されているのかお伺いしたいと思います。
  84. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 森本先生には、私どもの郵便事業につきまして大変なお心遣い本当にありがとうございます。また、そういう先生に御心配をおかけしておりまして、本当に申しわけございません。  先生今御指摘いただきましたように、郵便事業、昭和五年の大恐慌以来六十七年ぶりに絶対収入が前年度を下回るという未曾有の状況にあるというふうに厳しく認識をいたしております。郵便物数の方は、辛うじてと申しますか、プラスを維持しております。プラスといっても零コンマでございますけれども。しかし、最近郵便料金の定形外を初めとして値下げをしてまいりました。それから料金割引も相当やってまいりました。そういうような関係で、一通当たりの収入の単金と申しますか、これが低下してきておりますので、郵便物数がある程度伸びないと掛け算で絶対収入がなかなか伸びないという状況がございます。  それから、いま一つ先生御案内のように書留とか速達とか小包、これは五十円、八十円のはがき、手紙と違いまして単価の大きいものでございますが、こちらの方の物数のダウンが相当目につくというようなところもございまして、現在御指摘いただきましたような状況にあるというのは事実でございます。厳しく受けとめております。
  85. 森本晃司

    ○森本晃司君 今局長から御報告いただきましたけれども、そのように分析されておられる。収支を改善するには収入を増加させなければならないわけですけれども、では種別ごとにどのような具体的な対応策を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  86. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) やはり基本的なところで、一つには、国民利用者の皆様のニーズを受けとめまして、サービスの改善をこれはどんどんやっていく。そしてまた、全体的に要員事情が厳しい中で十一年度も一千人を超える削減を純減でいたしますけれども、こういう中にあってもやっぱり営業とか集荷、そういうものには重点的に人員を配置していくということで、体制の強化、こちらにも重点を図っていく必要があると思っております。  種別ということでございますと、例えばはがきにつきましては、先生今るる御紹介いただきましたが、地方郵政局におきましては、創意工夫を凝らしまして、郵便局長さん、特定局長さんが臨時出張所を出しまして、そして絵入り官製はがきなどの発売もやっておるというような状況でございます。ふるさと切手につきましても、相当数の発行をしていただいております。  それからまた、新しいところでは、私どもモーニングテンと言っておるわけですが、翌朝十時郵便ということで、ある一定の時刻までにお出しいただきますと、あて地に午前十時の始業前に必ずお届けするというそういうサービス改善もやっております。  それからまた、小包につきましては、この三月一日から配達時間帯指定サービスというのを始めさせていただいております。午前、午後、夜間というふうな指定をしていただきまして、もちろん無料でございますが、それでお客様のニーズを少しでも踏まえて対応していきたいと思っております。  それからまた、最大重量も、同じく三月一日から十六キログラムを二十キログラムに拡大したところでございます。国際郵便でも、一番速いEMSというサービスにつきましても、重量の最大のところを二十キロから三十キロにするような改正をいたしております。  また、共通的なところといたしまして、郵便料金の後納というのが先生御案内のようにあるわけですが、昭和二十一年に一月百通以上と定められたまま五十三年来ておったわけですが、今回、五十三年ぶりにこれを五十通に引き下げて料金後納を使いやすくする。  それからまた、料金別納とか後納で丸い表示があるわけですが、その下半分は無料で広告欄にお使いください、四角でも結構ですという改正も、ちょっとしたことかもしれませんがもう既にやっておるところでございます。  こういうようなサービスの改善、そしてまた体制の強化、先ほど申し上げましたけれども、やっぱり要員の重点配置と、それから例えば集荷ですと携帯電話とか自営無線、MCA無線、この辺を強化していくとか、あるいは大口企業対策といたしましては、お客様の顧客管理をコンピューターの最新の技術の成果を導入してやっていく、こういうようなところで、ただいまるる申し上げましたけれども、主なところでサービス改善、そして体制の強化というところから、個別の種別につきましても郵便局、郵政局、本省一体となって現在力を注いで頑張っておるところでございます。
  87. 森本晃司

    ○森本晃司君 そうして努力されておられますし、ぜひ頑張っていただきたいと思います。地域の大事な役割を果たす郵便事業を守るためにもよろしくお願いします。  そこで、郵便事業の収支改善の目玉として、昨年二月から郵便番号七けた化が実施されたわけでございます。郵政省説明では、今後十年間で累計で二千億円程度の損益改善効果と八千人程度の労働力削減効果があるということでございます。  これは、七けたを書くということは国民にも大変な負担を強いることを覚悟して導入した制度であります。私も七けたを時々調べたりするわけですけれども、名刺等々にはまだ七けたが入っていない方もたくさんいらっしゃいますので、そのたびに郵便番号帳を開くわけです。実に面倒ですし、それから住居表示の変更で郵便番号がまた変わるということも再三あるわけでございます。住所録の管理も大変手間がかかります。  しかし、それは我々も大いに協力をしていかなければならないわけでございますが、そういう状況になって、果たして期待どおりの効果があるのか。今あるいはこれから先どうか。また、記載率、読み取り区分機の稼働率の現状及び郵便局の実務効率化の進捗状況はどのようにあるかということをお尋ねいたします。
  88. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 森本先生から御指摘いただきましたように、昨年二月二日から導入いたしました新郵便番号制によりまして、十年間で八千人の労働力の削減をやっていこうということでございます。おかげさまで、この三月までに三百八十八局で六百二十三台の新型区分機が入る予定でございます。これによりまして、四千人を超える職員の削減を実施することといたしております。四千五十人でございます。  こういうことができますのも、今先生から御指摘いただきましたように、国民利用者の皆様が負担に耐えていただきまして、新七けたの記入に絶大な御協力をしていただいておるということを本当に感謝申し上げたいと思っております。  最近の数字で、十一月の数字が一番最近なのでございますが、何と九〇%を超える皆様が七けたの郵便番号を書いていただいている、そういうような状況にあるわけでございます。年賀はがきにつきましては、サンプリングでございましたけれども、九五%を超える記載率という数字を私ども得ておるところでございます。  こういうところで、今年賀というお話を申し上げましたけれども、一年前に比べまして、五億通を超える郵便物をこの区分機によって処理することができた、効率化を図ることができたということでございます。  今後とも、国民皆様からぜひ御協力を引き続き賜りますことによって、私ども皆様の御期待にぜひこたえるべく実務の内容につきましてもさらにさらに効率化を図ってまいりたいというふうに決意を新たにしておるところでございます。
  89. 森本晃司

    ○森本晃司君 郵便料金の値上げについて、こういう赤字状況が続くことで郵便料金が値上げにならないかということを私は心配しているわけでございますけれども、郵政審議会が出した答申、「郵便局ビジョン二〇一〇」においては、手紙、はがきの料金は二〇〇五年、平成十七年まで据え置くことを明示していますが、これは本当に遵守できるんでしょうか。  というのは、平成九年度末で二千五百四億円の累積黒字があるわけですけれども、今のような調子でいくと平成十二年度にもう消滅してしまうおそれがある。そうなってくると、そこでまた赤字が続いた、もう累積黒字がなくなる、ぽんとまた値上げをしてしまうのではないかという心配をしておりますが、いかがですか。
  90. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 先生御指摘のように、一昨年の六月になるわけですが、郵政審議会から、当時の安定的な経済状況前提に、正確に申し上げますと、「二十一世紀初頭、例えば、二〇〇五年までの手紙・はがきの料金据置き」について御答申をいただいたところでございます。もちろん私ども郵政省といたしましては、この審議会の御提言を真摯に受けとめております。  ただ一方で、郵便事業財政は、先ほども申し上げさせていただきましたけれども、また当の答申自体にもありますように、経済情勢の影響を大きく受けるのも事実でございます。それで六十七年ぶりの今収入の悪化にあるということでございます。海の向こうのアメリカでは景気の状況、いい影響を受けまして、同じ国営事業の米国郵便庁は九五年から九七年まで十億ドルを超える利益を出しておる、そういうのが非常に好対照でございます。  そうはいっても、私ども景気景気と言っておれませんので、先ほど私ども努力の一端を御紹介させていただいたわけでありますけれども、今後とも、ただいま先生から御指摘もいただきました七けたの新郵便番号制を着実に推進していく、そして情報化、効率化など経営基礎体力の強化を推進していきます中で、増収と経費の節減に一層努めまして、とにかく損益の少しでも改善を図っていきたい。そういうことによりまして、できる限り長く現行料金を維持できるよう努めてまいりたいというふうに私ども心から思っております。
  91. 森本晃司

    ○森本晃司君 さらなる御努力をお願いしたいと思います。  私は、その改善をしなきゃならないところは郵便の小包にあるんではないかなという思いもしております。七十八億の赤字であったということもございます。どうぞ、七けた化に国民の協力を得てやった郵便の合理化というか、少しでも赤字をなくそうという考え方でありますから、全般にわたってまたいろいろと努力をさらにしていただきたい。  同時に、この七けたの機械導入については、談合云々ということもございましたけれども国民皆さんのやはり信頼をかち取ってこそ郵便であります。そのことを申し上げて、私の質問は終えさせていただきたいと思います。  最後に一言、大臣、何か所感をおっしゃっていただければと思います。
  92. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 先日は香りのすばらしいはがきをいただきまして、本当にありがとうございます。恐竜の方もはがきが好評でしたので、その後切手も発売されるようになりました。きょうもニュースで、亡くなった黒沢明監督の映画のポスターを刷り込んだはがきを沖縄で売り出すというようなこともございまして、ここにおる私たちはもとより、地方にいる一人一人がとにかく懸命にこの厳しい状況を脱しようということで創意工夫のもとで頑張っておりますので、引き続き先生の温かい御指導と御支援をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
  93. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  94. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  予算委嘱審査に当たり、郵政大臣質問いたします。  私は、この間、一貫して国民の安心と信頼なくして郵政事業のまともな発展はない、この立場からさまざまな問題を取り上げてまいりました。本日は、国民の信頼を最も大きく傷つける企業や業界との癒着、談合等々の問題を取り上げて、大臣と議論をしたいと思うんです。  大臣、あなたは昨年九月二十二日、本委員会での私の質問に対して、私と大臣が同世代であることについて触れ、「感性が似ている」と、こう述べた上で、「新聞などで取りざたされているさまざまな疑惑について逐一私は目を光らせておりまして、その都度各局にこれは絶対大丈夫か、間違っていないのか、このとおりなのかそうじゃないのかと全部確認させて」きたと答弁されました。  大臣、私は、郵政事業というとりわけ国民との信頼の上に初めて成り立つ事業において、たとえ一つでも国民に疑惑を持たれるようなことがあってはならない、万一そういったことがあったならば、直ちに襟を正し、疑惑の解消に真摯に努力する、これが郵政省として当然の姿勢だと思いますが、まず大臣の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
  95. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 昨年の九月の本委員会先生の御質問に対して答弁したその内容そのもの全く変わりございません。その姿勢が変わっていないかどうかは、本来、私自身よりも周りの人間の判断というのも必要だと思いますけれども、なお一層懸命に取り組んでいるところでございます。
  96. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ところが、そういう国民に不信を持たれる事件が後を絶たない。先ほど私はたとえ一つでもという言葉を使いましたが、そういう言葉が浮いてしまうほど取りざたされているのが実態だと思います。  私は、郵便物の区分機、これは会計検査院は新型区分機、旧型区分機と呼んでおりますけれども、この区分機の調達にかかわる談合問題について取り上げたいと思うんです。  郵便番号自動読み取り区分機類の入札に関して、昨年十一月十二日、公正取引委員会は東芝と日本電気に独禁法違反を認定し、排除勧告を出しました。この排除勧告に伴い、独禁法違反行為の前提として二社に対する郵政省からの区分機類に関する情報提示があったことを明らかにし、郵政省に対して異例の要請を行ったわけであります。  まず公正取引委員会にお伺いしますが、今回の勧告に至った経緯と郵政省への要請の内容について御報告ください。
  97. 平林英勝

    政府委員(平林英勝君) お答えいたします。  郵便番号自動読み取り区分機の件につきましては、先ほど先生の方から御指摘ありましたように、公正取引委員会は、十一月十二日に日本電気と東芝に対しまして、独占禁止法第三条の規定に違反するということで勧告をしたわけでございます。被疑事実としましては、いわゆる入札談合を行っていたということで、郵政省担当官から情報の提示を受けた者が受注予定者となる、その受注予定者とならない者は受注予定者となった者が受注できるようにするということでしていたということでございます。  この勧告に対しまして、二社が応諾をしなかったわけでございますので、昨年十二月四日、審判開始決定を行いまして、現在審判手続に付されているところでございます。それで今月、三月五日でございますが、第一回の審判が開かれたところでございます。  それから、お尋ねの郵政省に対する要請の内容でございますけれども、その内容と申しますのは、東芝、日本電気の二社が平成七年度以降郵便区分機類の入札に当たりまして、入札執行前に郵政省職員から郵政省の購入計画に係る区分機類の機種台数、配備先郵便局等に関する情報の提示を受け、これらの情報の提示を受けることを前提として本件の違反行為を行っていた事実が認められたということでございましたので、郵政省に対しまして、本件と同様の違反行為が再び行われることがないよう入札に係る情報管理について検討するよう要請したところでございます。
  98. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 つまり、郵政省が事前に示す情報一つのサインにして、どちらが落札するかを談合して行っていたということだと思うんです。  会計検査院の平成九年度決算報告によると、九七年五月十六日に入札が行われた九年度歳出による調達では、予定価格と落札額との比率は何と九九・九五%となっております。これは、一般競争入札というのは全く看板だけで、実際はそのすべてが東芝あるいはNEC一社による入札であったと書かれております。しかも、東芝が十二件、八十台、百八十五億二千三百万、NECも十二件、九十五台、百七十七億八千七百万、見事に振り分けられております。  これらの振り分けがこれら二社が談合して行われたというだけでなく、そもそもあらかじめ郵政省の側でどちらに落札させるか振り分けが行われていたのではないかということが重大問題だと思うんです。会計検査院の報告書では、「配備される新型区分機等の製造会社があらかじめ特定されていると認められる事態が、」「見受けられた。」としておりますが、それはどのような事実なのか、会計検査院に述べていただきたい。
  99. 増田裕夫

    説明員(増田裕夫君) 九年度歳出予算による調達におきましては、新型区分機等の調達契約の中で予備部品の調達もあわせて行っておりましたが、その際、仕様書等におきまして製造会社が特定できるような予備部品のベルトの幅を示しておりました。また、一部の地方郵政局におきましては、配備される機種を九年度歳出予算による調達の入札前に管内の郵便局に通知しているというような事態がございました。
  100. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 このようにして、一般競争入札といいながら、平成九年度歳出分についてはすべて一社入札だったと、こういうことであります。  きょうは、委員皆さんにもわかりやすいように資料をお配りをしてございます。  平成九年度歳出分というのを見ていただいたら、まさに落札率は最高一〇〇%、最低でも九九・六六%、平均で実に九九・九五%で落札をされております。一社入札なんですから、これはもう何回でも入札できるわけですよ。初めは高値で入札をして徐々に低い値をつけていく、これを小刻みに繰り返すわけです。公取の調査では最高十三回というのがあった。〇・三%程度の誤差で落札していることから見ても、大体〇・三%程度の刻みで入札を繰り返したはずです。それを郵政省は傍観してきた。このようにして予定価格ぎりぎりで落札されてきております。  窓口の不足金ということをこの前取り上げましたが、一円たりとも公金だと職員に弁償までさせる郵政省が、この問題ではえらく甘いじゃないですか。こんなものはとても傍観できるものではない、異常な入札だと言わざるを得ないと思います。  そこで、もう一つ会計検査院に聞きますが、平成十年六月九日に行われた十年度歳出による調達では、一社のみと二社が競争した入札があった。それぞれ落札比率を最高、最低、平均に分けて御報告いただきたい。
  101. 増田裕夫

    説明員(増田裕夫君) 一社入札につきましては、東芝のみが参加しているものは最高九九・二二%、最低九六・五五%、日本電気のみが参加しているものは最高九九・九八%、最低九九・三六%となっており、一社のみの入札の平均は九八・七四%となっております。  また、二社入札につきましては、東芝と日立が参加しているものは最高九九・五三%、最低七七・〇九%、東芝と日本電気が参加しているものは最高九五・五三%、最低七五・二六%となっており、二社入札の平均は八五・四四%となっております。
  102. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 違いは歴然としていると思うんです。これもお配りした資料一枚目の下の段です、「十年度の新型区分機類の調達について」。先ほど会計検査院から報告があった数字がこの一覧表からも見てとれます。つまり一社入札でやっているのはことごとくが九八%、九九%という状況ですが、二社が競争すれば八六%、八三%と大きく引き下がっております。  しかし、まだ十年度でも四十一件中十七件が一社入札というふうになっております。なお四割が一社入札。これは「競争性を更に高めることを検討する余地がある」と会計検査院は指摘しております、なぜ一社しか入札してこないのか疑問だと。  その要因について郵政省、どのように考えておりますか。
  103. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 区分機につきましては、契約の透明性、公正性を確保する観点から一般競争入札といたしております。それで、先生も御案内のように、政府調達手続に基づきまして調達内容を官報に公告し、国内外の企業に広く参入機会を提供しているところでございます。  ただ、どの調達物件にどのような価格で応札するかは、これは当然のことでありますけれども企業側の受注能力や営業戦略などによるものでありまして、結果として一社入札になることはあり得るものでございます。  また、会計法令によりまして、入札予定価格を超える場合にはそれを下回るまでまたさらに入札を繰り返す、これも法令上認められておる制度でございます。
  104. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 十三回も入札を繰り返して徐々に値段を落として、しかも九九・九五%とかこういう値段で落ちていると。これはだれが考えても、どう考えたって、つまり高値で張りついているとしか言いようがないと思うんです。  それで、私はこの問題で次に郵政省にお伺いしたいんですが、三月五日の夕刊各紙を見ますと、つまり先ほどの公取の勧告を受けて、NECと東芝、この二つの会社は、郵政省の内示が前提であったと、「契約、郵政の内示」と、こう報道しております。担当者の東芝、NECの言い分は、入札方式を採用していたとはいえ、実質的には郵政省の内示を前提にした随意契約であった、二社が談合したとの指摘は到底受け入れられない、こう述べて、全面的に争う姿勢だと、こう報じられております。  私は、たとえ郵政省の内示が前提のものであったとしてもこの二社の責任が決して免罪されるものではない、そう思いますよ。そう思うけれども、これはこれから公取の審判の場で明らかにされることであります。  しかし、これまで明らかにしてきたように、郵政省にもこういう指摘を受けてもおかしくない点がある。つまり、事前にさまざまな情報を提示したということも言われているわけであります。  ところが、郵政省は、十一月十二日、公取の勧告と要請を受けた談話、十二月十七日の参議院決算委員会での答弁、さらにはことし二月十日の衆議院逓信委員会での矢島委員に対する答弁、何の反省もしていない態度だと私は思います。  これについては、昨年十一月十三日付の毎日は「郵政省官房長が開き直り発言」と報じ、十一月十四日付の朝日では「反省の色見えぬ郵政省」と厳しく指摘をしております。  国民も疑惑の目で見ていると思いますが、全く何の反省もないんですか。いかがですか。
  105. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 区分機に係りますところの情報管理に関しましての公正取引委員会からの検討の要請でございますが、これは当然真摯に受けとめております。  先生いろいろ新聞記事も引用されました。ただ、新聞記事がすべて一〇〇%正しい事実関係を報道しておる場合ばかりではないと思っております。  今回の一連の中で、逐一の指摘は私がこの場で申し上げるのは適当でないと思いますので一つだけにさせていただきたいと思いますが、例えばある大手の新聞で、公取委が九年の十二月にメーカー二社に立入調査をした、それで慌てて郵政省は日立を三社目に入札をさせたというような記事が報道されておったわけでございます。これはもう私ども平成四年から何とか二社体制から三社目、四社目のメーカーの参入導入したいということで本当に力を尽くして今まで努力をしてまいったわけです。四年には日本IBMという外資系の会社もおられました。もちろん日立もおられました。  しかし、これはもう当委員会先生方すべて御案内のところでございますけれども日本の郵便番号区分機の場合には、単に手書きの数字を読むだけじゃなくて、漢字とか仮名、これを手書きで書いてあるのも読まなければならないというようなところの技術上の困難性が非常に高くて、外資系はなかなかもうギブアップと。最後の最後まで残った日立製作所も、八年まではこの読み取り率をクリアすることができずに、やっと昨年のちょうど公取委の方でメーカー二社に立入調査される前の月でございますけれども、読み取り区分率が七五%という当時の水準をクリアされた。そして早速、翌二月の入札に入ってこられたという、こういう客観的な事実があるわけです。  それにもかかわらず、大手の新聞でありますけれどもそういう明らかに間違った報道をされるということで、新聞、新聞とおっしゃいますけれども、やはり事実に基づいた報道ばかりではないということは、釈迦に説法でございますけれども、私どもいつも心しなきゃならぬことじゃないかなと思っております。
  106. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、別に新聞報道だけで述べているわけではございません。公正取引委員会のこういう要請というものも出ている、会計検査院だって決算報告できちっと触れているわけですから、それをもとにして私は質問をしているわけであります。  先ほど郵務局長説明もございましたが、技術的に追いついたのが九八年二月だと、よくこういう議論をされますけれども、大体、二社体制だったということを今私は問題にしているんじゃないですよ。二社があったって一社入札だったんですから。そうでしょう。  この平成十年度の調達の資料を見ていただいたら、平成十年には二社入札になっているところがございます。日立が入ってきて、東芝及び日立というところもあるけれども、その下には東芝及び日本電気という欄があるじゃないですか。ここでの落札率を見ていただいたら、最低は七五・二六%、平均でも八三・六七%。東芝と日本電気との競争であれば、日立が追いついていなくたってそれ以前からきちっとできたはずなんですよ。それを日立が参入してくるまでやってこなかったのが問題ではないかと私は言っているわけですから、別に日立がどうかということをここで問題にしているわけではございません。  とにかく、この問題について反省するという立場はないんですか。改めてお伺いいたします。
  107. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 先ほども申し上げましたけれども、今回の公正取引委員会からの検討の要請については真摯に受けとめているところでございます。
  108. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、この問題はやはりこれから大問題になってくるというふうに思っております。  この二社はあくまで争うという立場をとっておりますが、例えば東芝やNECが主張している言い分ですね、これが郵政省の内示に基づく随意契約だったと。もしこの主張が正しかった、現にそういうことが認められる事実があったということになれば、これは一つ会計検査院に確認したいんですが、これは一般論ですよ、何も今すぐそういうふうになるかどうかはともかくとして、もしも一般競争入札といいながら実は郵政省の内示に基づく随意契約であったという事実があれば、これは会計法二十九条の三、契約方式の準則に反するんじゃないですか。
  109. 増田裕夫

    説明員(増田裕夫君) 一般競争契約方式につきましては、透明性、公正性、競争性という点において国の契約の原則的な方式とされておりまして、公告手続とか入札資格の決定、その他会計機関がとるべき手続が会計法等において定められております。  私どもの検査の結果、今回の新型区分機の調達に関しましては、契約手続自体は会計法令の規定に基づいて行われておりまして、会計法二十九条の三を含めて違反の事実は認められておりませんでした。  なお、郵政省が製造会社に対して事前に情報提示を行ったかどうかにつきましては、会計検査院として事実を確認しておりませんので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  110. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 公正取引委員会でこれから審判が始まってまいります。現状の言い分は二つのメーカーと郵政省とは真っ向から平行線をたどるというふうに思われるわけです。これは当然どうなのかということが審判で問題になってまいりますが、これも一般論で公正取引委員会にお伺いをいたします。  このことをはっきりさせるためには必要があれば郵政省も証人や参考人として呼ぶこともあり得ると思うんですが、一般論としてはいかがでしょうか。
  111. 平林英勝

    政府委員(平林英勝君) 先生今おっしゃったように、個別のお話につきましては、まさに第一回の審判が開かれたところでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。審判がこれからどう展開するか、それは全く予断を許さないところでございます。  ただ、一般論として申し上げれば、審判、これは裁判類似の手続でございますが、事案の真相を究明するために証人に相当する参考人ということで審判廷で陳述をしていただく、これは一般的にあり得ることでございまして、その中に公務員が含まれるということは当然あり得るわけでございますが、これはまさにまた審判の進展状況によって当事者から申し出があり、それを審判官が適当と認めた場合になされるということになるわけでございまして、これは一般論でございますが、そういうことでございます。
  112. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、やはり郵政省の立場、姿勢というものが今問われているというふうに思うんです。  二月の衆議院逓信委員会での我が党矢島委員質問に対して濱田郵務局長が、「法に触れるとかあるいはそのたぐいだという意味で言っておられるとすれば、そういうことは十年度のみならずそれ以前においてもやったことはございません。」と、こう答弁されましたね。私は、こういう答弁がなされるところに今郵政省に問われているものがあるのではないかと思うんですよ。  つまり、法律に触れるようなことをもし郵政省がやっていたら大問題じゃないですか、そんなこと。そうじゃないんですよ。法律に触れるかどうかではなくて、少なくとも、マスコミだけでなく公取や会計検査院もこうして異例の指摘をしているわけですから、改めて国民の疑惑に対して襟を正す、そういう立場で真摯な態度をとるべきであるということを私は皆さんに求めたい、そういうことでございます。  東芝や日本電気の区分機の調達で、まさに郵政省が仕様書という形で配分を決めていたということは私はこれから明らかになってくるだろうと。右流れといえば東芝製の代名詞、左流れといえばNEC製の代名詞、そういうふうに実際上は二つのメーカーの間で使われていたわけでありますし、また旧型の区分機は東芝と日本電気の二社独占で事実上の随意契約、新型区分機は一般競争入札の名のもとで東芝と日本電気が一社で入札をする。これはまさに、この間公正取引委員会が調査に入るというところまで行われていた疑いは明白だというふうに思うんです。  この点、改めて郵政省いかがですか。
  113. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 先ほど公取委員会局長さんの方からもお話がありましたけれども、既に審判手続に入られたということでございますので、現在係争中になっておるわけですから、私の方からるる申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  114. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それでは、少し角度を変えてお伺いいたします。  まず、郵政省にお伺いいたしますが、東芝、日本電気、日立の各年度の区分機の納入台数と金額、これをひとつ。
  115. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 新型区分機と旧型区分機に分けてお答えさせていただきます。  新型区分機につきましては、平成八年度、東芝と日本電気ということで呼び捨てにさせていただきますが、東芝四台、約九億四千万円、日本電気四台、約十一億六千万円。平成九年度でございますが、東芝九十二台、約二百十五億二千万円、日本電気百三十五台、約二百七十二億三千万円、日立製作所一台、約二億七千万円。  次に、旧型区分機でございますが、これは平成七年度からございまして、東芝三十四台、約七十億四千万円、日本電気三十三台、約七十一億一千万円。最後でございますが平成八年度、東芝十九台、五十二億六千万円、日本電気十六台、約四十四億二千万円。  以上でございます。
  116. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 これは見事な振り分けだと言わざるを得ないと思うんです。旧型区分機で百二十億円程度、新型区分機では二百数十億円と、東芝とNECが横並びになっております。談合の結果としか言いようがないと思うんですね。  次に、この区分機の保守についてもお伺いしたい。  区分機の保守は、東芝、日本電気、それぞれメーカーごとに系列の保守会社が決まっております。東芝の区分機に対しては東芝系の日本自動機器保守、日本電気の方はNECポスタルテクノレクス、こうなっております。  郵政省、この三年間のそれぞれのメーカーの保守台数と契約金額は幾らか、お答えください。
  117. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 保守台数は各年度末日の区分機の配備台数としてお答えさせていただきます。また、年間の保守金額には、区分機以外に正確に申し上げますと選別取りそろえ押印機などが含まれておりますが、それをお含みおきいただければと存じます。  最初に、日本自動機器保守株式会社でございますけれども、古い方からいきまして、七年度、二百十八台の約十九億六千万円、八年度、二百三十二台の約十九億八千万円、そして九年度、三百六台の約二十億円。  次に、NECポスタルテクノレクスでございますが、七年度、百九十九台の十八億三千万円、八年度、二百十一台の十九億四千万円、九年度、三百三台の二十一億六千万円。  以上でございます。
  118. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 これも二十億程度できれいに真っ二つと。  昨年十月十六日付毎日は、「郵政省が事実上NECと東芝の受注を調整していた背景には、郵政官僚の天下り先になっている保守会社二社の経営を安定させる狙いがあるとみられる。」と指摘しております。  官房長にお伺いいたしますが、東芝、日本電気、日立、日本自動機器保守、NECポスタルテクノレクスへの郵政省からの天下り、あなた方の言う再就職の状況は何人おりますか。
  119. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 郵便関係でございますので、私の方からお答えさせていただきます。  再就職の承認を得て御指摘の会社に現在再就職している者の数は次のとおりでございます。  人事院の承認を得て行っている者で答えさせていただきますと、東芝ゼロ、日本電気一名、日立製作所二名、そして、保守会社の二社はいずれもゼロ名でございます。
  120. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 これは、私どもの調査でもこの二つの会社に対する天下りはそんなゼロなんという状況ではない。毎日新聞も、昨年十月十六日付の記事で、二社と関連で常時五十人以上というふうに報じております。今人事院の関係で許可されてという条件をおつけになりましたけれども、ここに郵政省のOBが天下っているということはもう明瞭な事実ですよ。これはもう世間でもだれも疑う者はないと思うんです。  それで、こういう天下りの状況のもとで、これも同じ毎日新聞の記事ですけれども、こう言っております。「保守・点検業務は他社にはできないため、随意契約でほぼ独占的に受注できるうまみの大きい仕事」だと、こう述べております。  実は、この随意契約の問題を私は昨年の当委員会質問をいたしました。それに対する濱田局長の答弁は、東芝、NECそれぞれノウハウを持っているのは一社である、だから会計法令上も随意契約によらざるを得ないというのが我が国の現在の法制度だと、こうお答えになりました。  では、改めて郵務局長にお伺いしますけれども、だからこそこういう企業に再就職をするということがあってはならないと思うんです。会計法上も随意契約しかあり得ないような会社、入札ではなくいわば言い値で郵政省と取引関係にある会社、どうしてそういう会社に天下りが許されるのか、それこそ癒着ではないか。これはいかがですか。
  121. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) まず、区分機の保守の随意契約、宮本先生の方から私の昨年のお答えを引用していただきましたけれども、これは世の中的に極めて常識のところだろうというふうに思っております。  区分機の保守については、当該メーカーの保守技術に関するノウハウが必要であることから、特に、これだけ高度な技術要素が集積しております区分機のような場合には、各メーカーごとに一社のみでしか保守できないものだということでございます。それで、国の会計法令におきまして、このような場合には随意契約となるというふうに明記されておるところでございます。したがって、保守契約としては何ら問題がないというふうに考えておりますので、今後とも同様の対応をしてまいりたいと思っております。  それから、郵政省職員であった者が区分機の保守会社二社に再就職しておるということでございますが、この二社トータルで六百七十九名の職員の方がおられるわけでございますが、郵政省の勤務を経験した者はそのうちの三十七名、五%でございます。これらの元郵政職員の大宗は、郵便局で管理者を務めまして郵便局の実務に通暁していることから、それぞれの会社におきましてその知識や経験を生かして勤務されているものと考えております。
  122. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 例えば、これも新聞報道ですけれども、この二社の関係者はこう述べたと。郵政省から圧力を強くかけられてポストを用意しており、我々から手を挙げているわけではないと。決して民間の会社がそういう方々が天下ることを歓迎しているわけではないという関係者の証言も報道されております。私は、少なくとも随意契約、一社独占になっている会社に対して郵政省の職員が再就職するということについては、これは会計法令いろいろ局長述べられるけれども、言ったように疑惑の目で見られる、そういう問題をはらんでいるのではないか。このことはぜひ指摘をしておきたいというふうに思うんです。  きょうはATMについても一つだけお伺いしておきたいと思います。  ATM、CDの保守業務を独占契約している日本オンライン整備、この会社はこの間、三年間で約二億の所得隠しがあったということで、東京国税局は重加算税の対象として一億円を追徴すると報じられました。  この日本オンライン整備というのは、職員四百十九名中百二十一人が郵政省の関連職員です。社長は元郵政事務次官の小山森也氏、十人の役員のうち四人が郵政省関係者、しかも昨年の九月までは十人の役員中八人が郵政省関係者、残り二人のうち一人が日本逓送関係者。まさに郵政関係者で占められてまいりました。この会社は年間売り上げ百九十二億円、そのうち郵政省との取引で七六%、百四十六億円を売り上げております。  これまで郵政省は、この会社と独占契約を結ぶ理由として、全国津々浦々に存在するさまざまなメーカーのATM、CDを保守できるネットワークを有していることを挙げております。  ところが、昨年六月三日付毎日では、日本オンライン整備、「NOSが全国に持つ七十六カ所の拠点のうち、直営で自社の社員が保守業務を行っているのは三十カ所足らず。残りの拠点ではATMの納入メーカーやその関連会社の営業所が業務を代行している」と、こう報じました。  私は日本オンライン整備の職員録で調べてみましたが、なるほどそうなっております。確かに技術員のいる拠点もあるが、例えば岐阜エンジニアリングセンターは所長たった一人であります。岐阜といえば大臣の地元でありますので大臣はもう十分御存じでしょうけれども、岐阜県には四百三十一局の郵便貯金取り扱い局があり、このほとんどにATM、CDがあります。これをこの一人の所長が保守管理しているわけは絶対ないと思うんですね。結局メーカーにやらせている。  この会社は間に入ってもうけを抜いているだけじゃないですか。いかがですか。
  123. 松井浩

    政府委員(松井浩君) たくさんの論点を御明示いただきましたので、お答えが少し長くなろうかと思います。
  124. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 端的に。
  125. 松井浩

    政府委員(松井浩君) 端的に。  ATMにつきましては、完全に一般競争で入札をやっております。その結果、五つのメーカーがATMの機器を提供しております。民間の金融機関ですと、自分のところはここと大体決まりますが、私どもは完全に競争でやっておりますので、どんどん変わります。  そういう状況なものですから、同じ地域で隣の郵便局とで機械が違うということが起こります。それから、同じ郵便局でも、複数の機械がありますと複数のメーカーの機械が変わります。最初は一緒に入れても、競争でやっておりますので、後で変わります。そういうところに対して一括でやらないと効率的な保守ができないということで、このオンライン整備の会社に委託をしております。地域的に連檐した郵便局に対して一括保守をやるという業務をやっておるわけでございます。  それで、先ほど御提示のあれですが、じゃ何をやっているのかということでございますが、郵便局から頻繁に、毎日使っている機械でございます。たくさんの郵便局ございます。いろいろクレームがついてきます。機械がダウンしました、そういうことが出てきます。それに対応しなければなりません。そういった現場事務、それからそれを受け付けて、あとは定期点検で行きます。計画的に保守の日程を組んだり、そしてその後のチェックをしたり、そういうことがございます。そういった現場事務をやっているところがセンターだというふうに伺っております。  そういう中で、先ほど郵務局のお話もありましたけれども、郵便局の実務をやってきた人たちがそういう仕事をやっているということでありまして、いわゆる、何といいましょうか間に入ってピンはねというふうな性格のものではないというふうに私は聞いております。  それから、ちょっと筋の違う話でございますが、先ほど新聞記事に出ておりました税の問題がございましたけれども、私が当社から伺っている限りでは、経理上の部品のとらえ方で……
  126. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それは主題じゃないですから、いいです。
  127. 松井浩

    政府委員(松井浩君) そうですか。じゃ、失礼します。
  128. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 いろいろ弁解をするわけですが、私は、こういうことが出てくるたびに、やはり郵政省とそういう業者との結びつきということが国民の間に疑念を広げているということを言っているわけですよ。  私は、予算委員会の提出資料としていただいた資料で、きょうお配りした資料の二枚目に一つにつなげた資料をつくってみました。二枚目を見ていただきたい。これは郵政省から出た資料をもとにつくったものであります。  九一年から九七年までの郵政省の契約上位七社の発注額とそこへの天下り人数というものをリンクさせた表をつくってみました。大体毎年一定額以上それぞれの企業に割り振られておる。例えば、日本電気と東芝が事実上区分機を二社独占していたとき、つまり日立が追いかけていたとき、出おくれた日立はこのときATMの新型小型機をこの四年間一社のみで独占するという形で、そういうところで発注を受けてきております。  この日立のATMの問題というのも、新聞報道等で見ますと、これも全く同じ一社入札です。何回も繰り返してほとんど予定価格ぎりぎりで落札するというやり方をやってきた。そして、この日立が区分機参入を目指していた平成八年、九年、十年、まさにこの時期に技術顧問として続々と郵政省、郵政関連から天下っていっております。  こういうことをやっていたのでは、幾らあなた方が否定しても国民は納得しない。ましてや、このお金はすべて国民のまさに貯金だということですから、これは国民に癒着ではないかと疑惑の目で見られても否定できない。  これは郵政大臣、そう思いませんか。
  129. 松井浩

    政府委員(松井浩君) 日立の例の小型のATMについて言及がございましたので、その点についてのみ申し上げたいと思います。  従来、大型のATMをつくっておりました。どんどん広げていきますと、小さな特定局にまでATMが必要だというふうにどんどんとATMの需要が変わってきました。そうすると、小さな郵便局でも性能のいいもので多少高くても入るものができないかという流れの中で、日立の開発が行われたように承知しております。これは郵便局にしかございません、民間の金融機関ではこういうものを置いておりません。つまりそういうふうな小さな店舗がないからであります。そういう中で出てきたということ。それから、さらに普及していく過程でもっと安価でそして田舎の方の郵便局でも置けるようなものはないか、ATMをどんどん広げていかなきゃいかぬ、こういう流れの中で新しい機種も調達するようになっております。その結果、日立以外の数社が入札に参加するようになっております。それだけちょっと申し上げます。
  130. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 もう時間が参りましたので、最後に、大臣、きょうのやりとりも聞いていただいて、私がきょう本当にあなた方に言いたかったのは、郵政省というものは、郵政事業というものは国民との信頼の上に成り立つものであると。それは違法であるかないかということではなくて、もちろん法に触れるというようなことなら重大ですが、たとえ法に触れなかったとしても国民の疑惑を招くようなことを一切やらない、そしてもしもそういう指摘がされたら、真摯に襟を正して国民に納得していただけるまで徹底的に調査をして国民に公開する、そうでなければ国民の大切なお金を、財産をお預かりする資格はない、こういうことを皆さんに言いたかったわけであります。  そういう点も受けていただいて、最後に郵政大臣の今後真摯に取り組んでいく決意をお聞かせいただいて、質問を終わります。
  131. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) まず、郵政省のOBの再就職についての御質問がありましたけれども、先ほど来それぞれの局長が申し上げたことと全くトーンは一緒になるわけですけれども、やはりそれらの人たちは郵便局でしっかりと管理者としての仕事を研さんされまして、その後その実務に明るいということで、その知識とか経験がそういう企業が望んでいる、必要としているものだと思って勤務されているものだと私も考えています。  さらに、今後、新型区分機にせよATMにせよ、これは最終的には国民利用者の利便のため、または効率性のためにやっていることでありますが、両局長説明があったとおり、いかにも汎用性がない。つまり、郵便局のシステムならではの、そしてまた私たちも間違いを起こさないようにかなり技術、ハードルを高くしてありますので、そういう意味では、これからどしどしと、これらの今お名前が挙がった企業以外の方たちに参加していただきまして、まさに競争入札がどんどんそういう民間企業のファイトと努力によって進めていただけることが何よりだと私は思っています。
  132. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。  今同僚議員の方から郵政事業に係るいろいろな問題について御質問がありましたが、私も関連して一つだけお伺いをしておきたい。  さきの委員会で、私は郵便料金の値上げの問題について大臣の方にお伺いをし、今後とも将来にわたっていろんな努力をしながら郵便料金についてはできるだけ抑えていくように努力をしていきたいという決意の表明をいただきました。  そこで、今のお話を聞きながら、結果としてコスト高につながる郵政のファミリーについて大臣の所見をお伺いしたいわけです。  いわゆる郵政三事業につきましても、日本郵便逓送を初めとしてさまざまな公益法人、それから民間企業が存在いたしますし、これらの郵政ファミリーというのが今言われたような形、すべてとは言いません、しかし社長が郵政省のOBであったり、今言われたように競争入札ではなくて随意契約になっておったりしています。そして、そのことが、独占を通じていろんなことが言われる。例えば小包にいたしましても、民間の宅配便に押されるような形、結果としてそれがコスト高になってはいないかという国民に疑惑の目で見られる環境になっていると私は思います。  そこで、郵便料金は値上げをしないということを言いながら、一方でそういうことで疑惑の目で見られるような形があるということは大変不幸なことでありますから、こういう疑念が生まれないように、今お話は聞きましたが、本当にこれから先郵便料金を値上げしない努力をこういうファミリー全体を含めてやるのかどうか、再度御決意をいただきたい。
  133. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 郵便料金ということでありますが、先ほども局長から答弁があったように、さまざまな努力、固定費、いわゆる人件費とかそういう経費を抑える努力、または効率的な運営ということで積極的に取り組んでいるところで、とにかく抑えられるべき費用は抑えていくという方針、姿勢で取り組んでいます。  それで、今郵政ファミリーということで御指摘がありましたけれども、日逓とか、あとは日本通運などにも委託しているわけですけれども、こういう運送については、実は今まではしてこなかったんですが、この二年間連続して値下げを行ってまいりました。また、こういう委託をしている業者の数も徐々に拡大しておりまして、現在は百八社ということになっています。  おっしゃるとおり、いろいろ疑念を招くことがないように、できる限り長く郵便料金を維持するために最大限の努力をしてまいりたいと思います。
  134. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 さらなる努力をひとつ一層お願い申し上げておきます。  次は、デジタルテレビは本当に一般聴視者にとって利益なのかどうなのかということについてお伺いをしたい。  東京大学社会情報研究所の橋元良明助教授らのグループによりますと、高画質が売り物のデジタル放送と従来のアナログ放送との画質の差は一般のテレビ聴視者には余り感じられないという実験報告がまとめられております。もしそのようなことがあれば、デジタル化、それから高画質化は一般聴視者の受けるメリットが本当にあるのかどうなのかということを考えますと、余りメリットはないのではないかと思いますけれども、その見解についてお伺いをいたします。
  135. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  デジタルテレビアナログテレビの違いというのは、たびたびこの委員会でもお答えさせていただきましたが、実物を見ていただくのが一番よろしいかとも存じますが、端的に申し上げますと、ハイビジョン地上アナログ放送では見れない、デジタル放送であれば同じ周波数帯で見れるということでございます。  今先生の御指摘いただいた実験、私も教えていただいて記事で拝見いたしましたけれども、それを見ている限りでは、ハイビジョン標準テレビの比較ということだったのかなという感じもしまして、ちょっといまいちどのような実験状況だったかわかりません。  もう一つ大事なことは、実際に電波を出してみてどのように比較されるかということでございます。私ども今までいろんな実験をして、まだ最終的に商品化されたものはございませんけれども実験的に見ておりますと、実際に電波を出して、例えば、日本でなくて残念なんでございますけれどもシンガポールで実験をさせていただきました。私自身は直接見ておりませんけれども、移動体受信日本デジタル放送方式が大変向いていて、非常に鮮明に映ったというようなことも言われております。  それから、単に非常に鮮明な画面が映るというだけではなく、たくさんのチャンネルがとれるということがございます。  それから、いわばコンピューターつきの受像機になりますので、何よりも、蓄積処理をしながら双方向テレビができる、受信もできるということでございます。  それから、マルチパス、ゴーストといいましょうか、画面がダブって映るようなことはございません。これはもうデジタル、特に日本方式OFDM方式、その中のSFN方式でまいりますとそういった面も解消できるということで、言葉での説明で大変尽くさず申しわけございませんけれどもデジタル放送方式メリットといいましょうか、アナログ放送方式よりもすぐれた点というのは理論的にも十分説明がされております。  これはやはり現物を見ていただくのが何よりでございまして、確かに見られる方によってはそういうふうな比較をされる方もあろうかと思いますけれども、これから全国的に実験展開してまいりますので、より多くの視聴者の方々、いろんな立場の視聴者の方々に見ていただきまして、また見る方の立場の違いによってメリットの実感も違うかと思いますけれども、幅広くこのデジタル放送のよさというのをごらんいただけるようにこれから配慮してまいりたいと存じます。  以上でございます。
  136. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 メリットがあるのかないのか、実験した結果でないとわからないというのが実情でございますかね、今のお答えは。だから、見た人の感覚によって違うだろうと。大体、そういうものを導入しようとしているんですかね。そこのところは実験の結果というふうに今言われたので、実験の結果を待ちたいと思います。  次に、デジタル化に当たって、民間放送業者からはかなり設備投資の負担が巨額になるというふうに言われていますし、計画遂行に当たっての不安の声が実は私どもの手元に要望書として届いています。  したがって、デジタル化を進めるに当たっては、視聴者サイドの意見というのもこれから先十分に聞いていくことになると思うんですが、あわせてそれを提供する側の民間放送業者においても、無理のないペースでやはり進めていかなくてはならないと思っていますけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
  137. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 今の質問に答える前に、先ほどの局長の答弁に補足いたしますと、先ほど局長が申し上げたさまざまなデジタルによるメリットというのは、もう既にNHKとかいろいろな技術研究所で研究された結果のことでありまして、今後またそれぞれ各所でデジタル実験設備がありますので、そこで皆さんが重ねていろいろな発見をしていただけるんじゃないか、いろいろとまたそういうメリットをつくり出していただけるんじゃないかと期待しているところでございます。  視聴者サイドの意見も十分に聞かなきゃいけないじゃないかという話でございますけれども、まさにそのとおりで、今回の地上波デジタルを進めるに当たっても、先立ちまして地上デジタル放送懇談会で有識者の方々に知恵を絞っていただいたレポートがございまして、これはまさに先生の御指摘に当てはまるのではないかと思います。  この懇談会の中には、いわゆる視聴者代表と言われる人も入っておるところでございまして、このレポートで言っていることは、今おっしゃったようなテレビを見る人、そしてテレビ番組をつくる人、さらにはそのテレビ自体をつくるメーカー、視聴者放送事業者、メーカー、それぞれが三位一体となってデジタル放送に進んでいくんだという共通意識のもとで進めていくことが大事だと、そういうことを言っているわけでございます。  私たちも、このレポートを受けまして、国民の理解を得ながら手順よく、段取りよくこのデジタル放送システムを進めてまいりたいと思っているところでございます。
  138. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 その際に、民間放送業者が多額の資金を要するということについて、郵政省としてはそれに対してどういうふうに考えられておるのか。やはり、これだって無理のないペースで進めていかなくちゃならないと思うんですが、その点はいかがですか。
  139. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 今回の地上デジタル放送のための設備投資というのはどういうことを意味するかということでございます。  これは、これまでもたびたび申し上げさせていただきましたけれども、高度情報通信社会推進本部で示されておりますように、二十一世紀はトータルデジタルネットワークの構築ということが一つの目標になっておるわけでございます。  その中で、衛星デジタル放送が二〇〇〇年十二月に始まる、それからCATVの方もいろいろ準備を進める、それから、伺いますと携帯電話もいわば携帯テレビ電話に変わっていくという時代、そういったいわばトータルに世の中の放送なり通信システムデジタル化されて、デジタルメリットというのが視聴者に還元されていく。利用者に還元されていく中で、地上放送が、ローカル放送局が特に基幹通信放送網として視聴者の期待にこたえていくためにはどうあったらいいか、そうした役割を果たしていくためにはデジタル化の設備投資というのがいわば戦略的投資になっている、極めて意義の高い設備投資ということではないかというふうに私ども受けとめているわけでございます。  そういう高い意義のある投資でございますから、私ども、これが順調にいきますように、それぞれ放送事業者の財務体質も違います、地域によっても違いますので、その辺の実情をよく伺いながら、できるだけ公平に、そしてまた十年度あるいは十一年度予算でいろいろ御支援を賜って支援措置を講じてまいっておりますけれども、現在の予算のスキームの中でなかなか工夫は難しいんですけれども、いろいろ知恵を出して、現実的に本当に放送事業者の方々が円滑に設備投資ができるようにいろんな支援措置を講じてまいりたいと存じております。  先ほど、大臣からお助けいただいて説明させていただきましたけれども、私が申し上げたのは、実験してみないとわからないということではなくて、実験結果を見ていただくとさらによさがはっきりわかっていただけるんではないかという趣旨でございますので、至らなかったことをおわび申し上げながら追加の説明をさせていただきます。ありがとうございました。
  140. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 その点は、予算との関係もありますから、十分配慮しながらよろしくひとつお願いを申し上げておきます。  次に、インターネットの教育利用についてでありますけれども郵政省と文部省の協力によりまして、小中高校におけるインターネットに関する研究開発が行われていますが、その取り組みについてお伺いをいたします。  これは、千校三十地域三年間の実験ということになっておりますね。ですから、これらは一体どういうふうに今後取り組まれていくのか、お伺いをしておきたいと思います。
  141. 天野定功

    政府委員(天野定功君) これからの高度情報通信社会に向けまして、子供たちが小中学校の早い段階からインターネットになれ親しむ環境をつくることは、我が国の将来にとりましても大変重要な課題だと考えております。  そこで、郵政省としましては、学校におけるインターネットの活用促進のために、文部省とも連携をとりながら、通信料金の低廉化と高速アクセス回線を活用した通信回線の高度化に取り組んでいるわけであります。  まず、通信料金の低廉化につきましては、昨年九月に郵政大臣から関係事業者に低廉化の要請をしました結果、接続料金につきましては、昨年十二月から大手プロバイダーを中心に学校向け料金割引が導入されておりますし、また通信料金につきましても、NTTにおきましては本年九月から学校向けの定額料金の導入が予定されております。  次に、通信回線の高度化についてでありますけれども、第三次補正予算に計上されました光ファイバー等の多様な高速アクセス回線を複合的に活用する技術研究開発を実施する予定でございます。  この研究開発につきましては、先生御指摘のように、現在三十地域千五十校の学校にそれぞれどのようなアクセス回線を利用するかなど、ネットワーク構成全体の最終案を取りまとめまして、必要な機器の調達手続を進めているところでございます。この結果、本年度の第二学期から運用開始可能かと考えております。  このように、ハード、ソフトの両面から取り組むことにより、学校インターネットの普及充実、ひいては社会の情報リテラシーの向上について、関係機関と十分連携をとりながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  142. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、NHK学校受信料の免除の一部廃止の問題であります。  これは、附帯決議でもあると思うんでありますが、受信料の負担の公平を理由にして小中学校の受信料の免除の廃止を求めていた経緯があります。今後、例外的に逐次見直していくということが決められた。しかし、そうではなくて、学校や公共施設等における受信料の免除については、その意義を十分に理解をして引き続きいろんな措置がとられるようにひとつお願いしたいわけでありますが、いかがでございましょうか。
  143. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  NHK受信料の免除の制度につきましては、郵政大臣の認可を受けて免除をすることができるというシステムになっております。  これまで、学校教育機関あるいは社会福祉の機関につきましては、NHKのラジオが始まって以来の制度としてそのような免除システムがあったわけでございます。これは、趣旨はあくまでラジオ放送の普及のための便宜と申しますか、NHKの側での配慮と申しますか、そういうことで進んできた制度でございます。今日まで、教育テレビ等もございまして放送が大変普及してまいりました。したがいまして、免除による普及というのは一応その趣旨目的を達成されてきたんではないかということを踏まえまして、これまでも衆参両委員会におきましてこの免除制度を改善すべきという御指示を賜ってきたわけでございます。  実は、これまでは教育機関あるいは福祉関係機関につきましては、大変この受信料の免除の縮減と申しますか廃止の方向につきましてはなかなか御理解を賜れなかったんでございますが、NHKあるいは私ども関係の省庁あるいは関係機関にそれぞれ直接お話をさせていただきまして、方向といたしましてはそういうことかなという御理解を得つつあるわけでございます。  その辺、受信される側の御理解も賜りながら、今NHKとしても受信料免除の仕組みをできるだけ縮減したい、廃止したいということでございますので、その方向で私ども対処することが、今の学校側、福祉施設側の対応と相まって適当ではないかなというふうに考えている次第でございます。
  144. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、報道腕章の取り扱いについてであります。  一月二十一日に発生した事件の解決に当たって、警察に対して腕章が貸与されたという問題が発生をいたしております。報道機関の中立公正の立場から、やはりそういう行為というのは信頼性を失うのではないかというふうに理解するわけですけれども郵政省の見解はいかに。同時に、あわせて今後どういう方針をお持ちなのかお聞かせ願いたい。
  145. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 今先生の御指摘になりました件について、私どもも新聞紙上等で存じ上げておりますが、本件につきましては、確かに放送会社にかかわることでございますけれども放送法の各事項に直接的にかかわる事項かといいますと、なかなかそのように解しがたいのではないかというふうに受けとめております。したがいまして、放送法を所管する立場といたしましては、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。  紙上拝見いたしまして、大変賛成の御意見、反対の御意見、なかなか難しいケースであろうかと思いますけれども、今申し上げましたように、放送法の所管の立場から申し上げるのが私どもの立場でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
  146. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 どうか取り扱いだけは慎重に行っていただくように御指導願いたいと思います。  次に、報道規制の動きについてでありますけれども、脳死臓器移植に関してはドナーやレシピエントのプライバシーの問題、それからダイオキシンの報道に係る生産農家への風評被害、その他さまざまな事態が生じていますけれども、私は、やはり公権力で介入してそれでもって報道規制で解決するというものではないというふうに思います。ここのところは、余り権力が介入するということについて、私は基本的に反対をいたしますが、やはり報道する側の自主規制というものも非常に大事ではないかというふうに思っています。  テレビ朝日の報道ではどうだったというのは、夜もう一回報道したように思うんです。それを私見ておりませんからわかりませんけれども、ニュースではしたように言っておりますが、このことは大変重要なことでありますし、ただただ世の中の風潮に流されてこういうものを判断するということではなしに、きちっとやはり報道する側の自主規制というものをより強化していただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  147. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 先生まさに御指摘のとおりで、放送というのは、放送法にもあるように、表現の自由の尊重と公共の福祉への適合というのを求めているところであります。放送は自律の原則に立ってこれらの二つの目標にこたえることとされています。  ですから、今後は、放送事業者におかれましてこういう原則をしっかり大切にしていただきまして、自覚また責任を持って特に国民視聴者の信頼と期待にこたえるように十分努めていただきたいと考えております。
  148. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、防災対策についてであります。  災害時におけるライフラインの確保の問題について、さきの阪神・淡路の大震災の教訓から明らかでありますように、郵政省におきましても防災無線システムの高度化に関する研究会を開催して研究され、取り組みが開始されているようでありますけれども、その現状について明らかにしていただきたいと思います。
  149. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 今御指摘の研究会は、平成七年十一月から平成八年六月まで開催されました。  その中では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、大規模な災害時の通信のふくそうに対処でき、被災地以外からの応援者も一体となった通信を可能とするシステムとか、被災状況を映像で伝えることのできるシステムなどの必要性について提言をいただきました。  これらのシステム実現のために、平成八年度以来研究開発を行っております。平成十一年度には兵庫県阪神地区で広域的な実験を行う予定であります。こうした研究開発の成果が一日も早く全国の防災無線システムに生かされるよう積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  150. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 大変大事なことでありますから、大臣の決意を聞いて安心していますが、できるだけ早くそういう体制がとれるようにひとつ御要望申し上げておきます。  郵便局を活用した防災対策について。郵便局に設置している端末機により住民に提供する実験もあわせ行われておりますね。その実用化のめどについてお伺いをしたいと思います。  同時に、あわせて災害時における地方公共団体との連携について、幾つかの地方公共団体との連結が図られているようでありますけれども現状と今後の取り扱いについてお伺いをいたします。
  151. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) まず、郵便局においてのお話ですけれども災害時に郵便局において災害関連情報の提供とか災害時における郵便の送達手段を確保することは、郵便局が安心の拠点としてその役割を果たす意味で非常に大切なことだと思っています。  平成八年度から平成十年度までの予定で災害情報の提供や災害時におけるコンピューター郵便サービスの取り扱いについて実験を行ってまいりました。現時点では実用化のめどを立てるまでには至っておりませんが、今後の展開については、本実験の取りまとめを待って改めて検討していきたいと思っています。  また、防災協定の締結、これは災害時における郵便局と地方公共団体との連携なわけですけれども、おかげさまで着実に進展しつつあります。平成十一年二月現在で千八百七十二の地方公共団体と締結ができることになっています。これからも一層進展するように取り組んでまいります。
  152. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 先ほども土日曜の郵便局の二十四時間営業についてお話があっていましたけれども、随時拡大をしていくという方針でありますから、結局、そこに働いている労働者に余り多く負担にならないような勤務体系の配置その他について御配慮いただきたいと思いますし、十分な労使協議をお願いしておきたいと思うのであります。  郵便業務のサービスといっただけではなしに、一回事故が起きましたね、郵便局の局長が殺人に遭っている。そういうことなどもありますので、防犯上の措置だとかそういうものは明らかにやはり対策を講じておかなければならないと思うのでありますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  153. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 土曜日曜の営業あるいは二十四時間営業の郵便局の拡大は今後さらに進めてまいりたいと思っております。  渕上先生から御指摘の最後の点がポイントかと思いますので、その点のみお答えさせていただきたいと思いますが、今度、東京二十三区内五十九局、集配普通局ですから大きな郵便局でございますが、郵便でございますけれども、ここが三月十五日から二十四時間すべての窓口サービスを提供させていただきます。  それにつきましては、まさに先生御指摘のように、防犯対策が非常に重要だという観点から、全局に防犯カメラを設置した上で十五日に新しい対応を始めたというところでございます。  今後とも、防犯対策と職員の安全確保を図るため十分努力してまいりたいというふうに考えております。
  154. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、簡易郵便局における契約条項の改善の問題についてお伺いをいたします。  二万四千七百のうち現在簡易郵便局は全国で四千六百局あると聞いております。その一つ一つの簡易郵便局は地域で重要な役割を担っておるということは言うまでもありませんが、特定郵便局を超える取り扱いを果たしている簡易局もあるわけでございまして、簡易郵便局は契約によって郵政業務を行っているわけですけれども、その契約内容が非常に劣悪な条件であると聞きます。この実態について具体的にお知らせを願いたい。
  155. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 簡易郵便局についてのお尋ねですが、まず取扱手数料というのがございます。これは簡易郵便局法において委託事務の取り扱いに要する費用を勘案して定めることとされており、毎年度その改善が図られているところであります。  ちなみに、平成十一年度の予算案におきましては、一局当たり月の取扱手数料は約三十七万円ということであります。また、このほかに切手類の販売の実績により手数料が加算される仕組みになっています。  以上です。
  156. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 月の手数料が今百三十七万円と言いましたか。
  157. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 三十七万円です。
  158. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 三十七万円。  そこでお伺いしますけれども、ここの契約は、三十七万円で契約をすれば、そこに働いている人たちの条件やその他一切はかかわりなくという意味なんですか。
  159. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 事実関係を補足させていただきたいと思います。  今大臣からお話のありました月三十七万円というのは、一月の平均の金額でございます。渕上先生質問のように、若干ブレークダウンさせていただきますと、簡易郵便局の取扱手数料は毎月の定額の基本額プラス取扱高に応じての加算金から成っております。さらに、今大臣からお話しさせていただきましたけれども、切手類の販売手数料がこれに加わるというような仕組みになっております。
  160. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 もう時間がありませんけれども、ではここで働いている方々は、三十七万円プラス手数料で、あとはボーナスだとか退職金だとか年金だとか健康保険だとか労災などというのは一切かかわりがない、こういうことですか。
  161. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) 事実関係でございますから、私から。  やはり委託という契約の限度がございますので、ボーナスとか退職金とかそういう今御指摘のようなものは、これは制度的にございません。  ただ、それに準ずるものとして、例えば退職金ですと解約時の一時金、本人の御都合ですと、年数によるわけですが、最高四十万円、省側からの要請であれば七十万円とか、それからまた郵政職員に準じた災害見舞金の制度とか、そういう準じた制度は用意させていただいているところもございます。
  162. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 これで終わりますけれども、やはりここのところの扱いは少し改善すべきであろうというふうに思います。これは昭和二十四年にできた法律で運営されていると聞いておりますけれども、多少そこらあたりは改善をしていくべきではないかというふうに思っています。やはり契約条項だとか今言われた労災なんかというのは大事なことではないかというふうに思いますので、ひとつ検討いただきたいと思います。  以上で終わります。
  163. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 今御指摘の点、取扱手数料などの処遇改善につきましては、これからも社会経済情勢の動向とか郵政事業の財政状況を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。
  164. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  165. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 時間は三十分ございますが、三十分全部質問するつもりはありません。  けさほどの議論の中で二〇〇〇年問題というのがありました。私、非常に関心がありますので聞かせていただきました。  二〇〇〇年問題、政府自身も相当真剣に取り組んでいるということはわかっております。アメリカあたりでもFEMAといいまして地震などが起こると出張ってくる特別な機関がありますが、ああいったところが一たん事が起こった場合のそういうような事故についてこれを災害ととらえて対応できるようなことも考えている。    〔委員長退席、理事寺崎昭久君着席〕  一方で、いろいろ調べてみますと、日本のように原材料を何でも輸入しているような国にとりまして、例えば石油の話にしても天然ガスの話にしましても、そういったものが外国から供給されるかといったような問題もあります。これは昔の油田なんかはコンピューターなど使っていなかったわけですが、今生産をコントロールする、それからそれを船に積載する、そういったところはすべてコンピューターが使われている。アラブ諸国のそういったところに使われているコンピューターがうまく働くかどうかという心配があるというような話もあります。  輸入しているエネルギーの中で一番心配なのはLNGだと私は思っておりますが、あのシステムは非常に高度化されているためにコンピューターなしには動かない。輸出のプラントの相当のものは日本からの機材を使っておりますが、それはそういったコンピューターを設計した人に聞かないとどこのチップが大丈夫だとかいうことがわからないというようなこともあって、そちらの方の問題もあります。  けさほど、ある人が海上輸送する船舶はだめになるんじゃないかという話をしておりまして、私はもともと造船屋なんですが、タンカーと一般貨物船は大丈夫かもしれないけれども、天然ガスのガスキャリアは心配かもしれないねという話をしておりました。  そういった話が随所にある中で、政府の取り組みとしましては、先般来内政審議室から全般的に取り組み状況を聞いております。国際的な問題は別にしまして、例えば情報通信関係で、通信系の重要システム、これは九月末までに模擬テストをする企業が八六%、あとの一四%が十二月といいますか、十二月ぎりぎりまでするわけにいかないですから、相当前広にしないとならないとなるとこれも大変だなと。それから、第一種電気通信事業者、この重要システムで今まで終わっておりますのが七一%、あと相当力を入れているというような話を聞いております。放送が九月末までに一応終わるのが八〇%と。  そういったことで、一体あとの三カ月でどこまでやれるかという問題がありますが、これは郵政省に責任を持ってやれといっても、相手あってのことですからなかなか難しい。まさか郵政省が企業に対して、あなたのところは大丈夫と言っているけれども本当に大丈夫かといって立ち入るわけにもいかない。政府サイドが費用を持って、行って直してやるというわけにもいかない。ここがこの二〇〇〇年問題の一番難しいところでありまして、大体大型のコンピューターは大丈夫だけれども、それにつながっている小さいコンピューター、これがなかなか難問だということになっております。今のオートメーションの機器は随所にチップが使われていまして、これが確認ができない一つの大きな原因になっていると私は思っております。  そういったことで、今の世の中で非常に重要な高度情報通信、そういった関係、これで一体事が起こるとすればどういうような影響があるんだろうか、また、それを完全にというわけにいかないんでしょうけれども、大方これぐらいなら我慢できるなというような対応をしていくためにどういうような手だてがあるんだろうかということについて、私はずっと疑問に思っておりました。  そういった問題について、ひとつ大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  166. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) まさに先生御指摘のとおり、先ほどもお答え申し上げましたけれども、このコンピューターの二〇〇〇年問題というのは本当に克服しなければならない大きな問題であると思います。  情報通信分野においての問題点をまず申し上げると、例えば電気通信事業なんかでは、年号を含む処理をしている課金処理とか蓄積サービス等の装置のふぐあいによる影響、また放送事業では、番組編成、送出の自動運行管理装置などのふぐあいによる番組送出の影響などが心配されているところであります。  いずれにしましても、通信放送が途絶するような事態になるということは、社会経済活動に大きな影響を与えることは申すまでもありません。これは先生のお話もあったとおり、郵政省だけの問題ではなくて国全体、世界全体の問題です。実は、内閣が発足したのが七月の終わりですけれども、常に総理はもとより、外国からのいろいろな要人と総理とのやりとりの中でも、当然二〇〇〇年問題というのはイシューとして何度も話し合いをされているところです。  そこで、先ほど来話に出ている高度情報通信社会推進本部、この全政府的な取り組みの中で第一番の課題ということで行動計画というのを策定して、とにかく私ども通信放送事業者に対してシステムの点検、模擬テストの実施、危機管理計画の策定、また情報提供をずっと促してきたところであります。  それで、対応ぶりは先ほど先生がお示しになりましたので割愛をしますけれども、じゃこれから何をしていくかという話になるんですが、郵政省としては、それぞれの企業における三月時点の対応状況の調査をいたします。そして、六月末が目途になっていますけれども、模擬テストの完了、さらに危機管理計画の策定などの取り組み、それぞれの企業の取り組みを一層促進して、万全を期して精いっぱい努力してまいりたいと思っているところであります。    〔理事寺崎昭久君退席、委員長着席〕
  167. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 こういったたぐいの問題というのはまさしく政府が相当力を入れて進めなければならない、何とか乗り切らなければならない問題だと思いますので、なお一層企業の協力も得て強力に推し進めていただきたいと思います。  そこで、二〇〇〇年問題についてもう一つお願いですが、今二〇〇〇年問題への対応についてはアメリカの方がよっぽど進んでいるという話がありますが、私は、この手の問題というのは割合日本が得意としている分野ではないかと思いますから、本気になってやれば何とか克服できると思っております。しかし、通信系その他になりますとやはり外国とのつながりがある、そちらがだめになるとこっちが働かなくなることがあるわけですから、先進国はともかく、発展途上国といいますか東南アジア諸国、そういったところからの協力要請といったものもそのうち出てくるんじゃないかと思いますが、こういったことについてはやはり日本としては積極的に対応できるような体制を整えていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
  168. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 今のところ、諸外国から日本に対して協力要請というのはございませんけれども、もしございましたら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  169. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 けさほどからの議論で、郵政省は相当いろいろな仕事を背負っているといいますか、国としてやらなければならない部門も分野も非常に広い、なおかつ重要な問題である。  そういった観点で眺めてまいりますと、郵政省予算を見ていまして、最近情報通信には非常に手厚くというようなことも言われていますが、補正などでは何とか相当のことができるようになってきているかもしれませんが、通常ベースの予算額で考えますとなかなか思い切ったプロジェクトが組めないようになっているんじゃないか。これはプロジェクトがうまく組めないから予算がつかないんじゃなくて、予算の各省のシーリングがあるから思い切った政策が打てない、そういったことではないかと私は思っております。他省庁の予算に比べますと格段に少ない額で進めているという状況だろうと思いますが、これからの経済社会の発展、国民生活の安定とか、そういったことを考えていきましても、郵政分野での政策を強力に進めていくための予算が非常に重要になってきていると思います。  そこで、これも大臣へのお願いでありますが、郵政省全体としてもっと骨太のフレームワークをつくって、それで強力に進めていってはいかがなものか。今の、寂しいと言ったらこれは怒られちゃいますけれども、そういった予算でやっていきますと、一つ一つの大事な政策でもやはりその範囲にとどまるというようなことがあるんじゃないかと思いますが、この点について大臣の御見解をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  170. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 先生におかれましては、大変郵政省は少ない予算で頑張っている、そういうエールを送っていただいたと思います。やりくり上手ということになるわけですけれども、この委員会でも大勢の先生方から非常に前向きな、ぜひ取り入れたい施策がたくさんあるにもかかわらず、やはりそういう現実の問題で立ち往生することもございます。今後とも絶大なる御支援をいただきまして、二十一世紀の日本の国づくりのために情報通信が非常に必要であるということを先生方にもお助けいただきたいと思います。  その中にありまして、今日まで郵政省はテレトピア構想とか自治体ネットワーク施設整備事業等、骨太ではないけれども地域のリクエストとかニーズに応じた形の補助事業をやりつつ各地方自治体の皆様方の発展に寄与してきたところであります。  先ほどの御指摘、骨太ということがやはり確かにこれから必要だなと、中長期的な視点に立った情報通信社会をつくっていかなきゃいけないということで、実は「次世代における地域情報化政策の在り方」ということで電気通信審議会に諮問をしておりまして、審議会の皆さんまたは地域の有識者の皆様方の御意見をいただきまして、ことしの五月末にはそのお答え、骨太なお答えをいただく予定になっているところでございます。  そういうさまざまな声をいただきながら、また先生方の御支援をいただきつつしっかり頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  171. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本でございます。いつもながらの最後でございますが、よろしくお願いいたします。前の戸田先生、議事進行に協力されたようでございますので、私も同じように協力したいとは思うんですが、まだふなれで、努力はいたしますが、その辺御勘弁のほどお願いをいたしたいと思います。  私は、昨年参議院議員に当選させていただきまして、たしか九月に初めて大臣の所信に対して質問をさせていただきました。そのときも申し上げたんですが、長く地方の立場におりましたので、そういう地方という観点から、取り残されないように、郵政省の事業というのは通信事業なんかでも地域間格差をなくす一つの大きな、いわゆる高速交通機関に比べてそれほど金がかからないで格差をなくす大変重要なものだという認識で、これからの御発展といいますか、いろいろな面でのお取り組みをぜひともとお願いしたわけでございます。  そのときに取り上げました問題につきまして、その後のいろんな進展もあるでしょうから、関連したフォローアップという意味と、それと関連させて何点か質問をさせていただきます。  まず、先ほども出ましたが、携帯電話とか自動車電話のいわゆる移動通信でございます。  大臣の所信表明の中でも過疎地域という表現を使っておられまして、「過疎地域皆様から御要望の多い携帯電話の利用可能な地域の拡大も引き続き支援してまいります。」、こう書いていただきまして、まことにありがたいと思っております。その積極的な取り組みは評価をいたす次第でございます。  携帯電話といいますか、移動電話、これは都会といわゆる山手に近いところではかなり使いでが違うんだろうと思います。都会では、言うなれば机の上に電話はあるけれども、ちょっと離れているから携帯でも使おうかというようなそんな使い方、サービスの重複といったらおかしいですけれども、向上というような面もあろうかと思いますが、いわゆる山地といいますか、過疎地域では本当にこれしかないというようなそういう通信になるものですから、その辺でこれからも一層その改善に努めていただきたい。  これも先般そういうことでお願いいたしましたが、私の認識ではどうもそのやり方が町村の役場を中心にやっているんじゃないかということで御指摘をいたしましたら、そうではない、一定以上の需要があればどこでもやるんだというようなお話がございました。それは大変ありがたいと思っているんですが、最近郵政省さんの方も携帯電話、移動電話についていろいろ方針も転換されている。恐らく今申し上げたことを言っておられるのかもしれませんが、そういうような状況だと思いますが、最近の実態も含めてこれに対するお取り組みについてひとつよろしく御答弁をお願いいたします。
  172. 天野定功

    政府委員(天野定功君) お答え申し上げます。  国庫補助によります移動通信用鉄塔の施設整備事業につきましては、事業主体である市町村からの要望に基づいて実施するというのが基本でございます。ただいま先生御指摘のとおり、従来はこの施設整備事業につきましては、各市町村の中心地域でありまして携帯電話サービスへの需要が高い市町村役場の周辺地域について優先的に事業を行ってまいりました。  しかしながら、近年、携帯電話の急速な普及に伴って、市町村役場以外でも携帯電話サービスが受けられるようにしてほしいという市町村からの要望を踏まえまして、本年度から市町村役場以外の集落、観光地、地場産業の集積地等一定以上の需要がある地域を対象に、主として建設コストの低い簡易型鉄塔施設を用いた整備に着手したところでございます。  具体的な状況を申し上げますと、平成十年度につきましては、いわゆる高速道路のトンネル等の閉塞地域を除きますと、全体で八十三市町村を対象に合計百四カ所の整備を行うこととしておりますが、このうち市町村役場周辺以外の整備につきましては六十八カ所になる見込みでございます。  今後とも、御指摘の点に十分留意しまして、地域のニーズに十分こたえた事業の推進に取り組んでいく考えでございます。
  173. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 こういう過疎地域の不感地帯の解消ということをお願いしておいて、逆の方から言うのもちょっとなんなんですが、そういうことで地元なりどんどん広げていくと、御存じのとおり過疎地域というのは山地が非常に多いわけですから、全国日本の場合七〇%が山地だと思いますけれども、実際に人がいなくて移動電話、移動通信というものが必ずしもなくてもいいようなところもあるのは事実だと思うんです。  そういうようなことを踏まえて、ある意味ではどんどん広げてはもらいたいけれども、どういうところまでやるかという、当然民間に任せておけば経済効率だけでやるんだろうと思います、それによって規制されるでしょうが、公が関与する、国が関与をするということは、経済効率だけでないという面もあろうと思います。過疎地域の住民の生活の福祉向上という面もあると思うんですが、かといって今財政再建が叫ばれているときに何でもということにはいかない、これは過疎地域の人も腹に決めてしっかりと認識しておかなきゃいけないと思うんです。  その辺のどの辺までカバーするというのが一つのお考えか、その辺をぜひともお聞かせ願いたいと思います。
  174. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 携帯電話サービスというのは基本的には民間が提供するサービスだと思います。ですから、日本全国津々浦々にサービスを確保するということは恐らく費用対効果の面からいって困難ではないかと。そうはいっても、私たち、携帯電話のサービスのいろんな社会経済上の位置づけとかまたは地域のニーズ等を踏まえて、やっぱり鉄塔は推進していかなければならない。  そういう中にあって、今後、今先生御指摘がありました、どこまでとかそういうことにつきまして、いわゆる国がどこまで補助をするか、補助事業をしていくかというあり方について、その基準なんかを策定していただくために、現在、携帯・自動車電話サービス地域間格差の是正の在り方に関する調査研究会、これを開催していただいておりまして、この研究会の成果が近々出てくると思いますが、それを行政としての考え方としてまとめていきたいと考えているところであります。
  175. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 よろしくお願いをいたしたいと思います。  携帯電話についてもう一つ教えていただきたいのですが、これは全く素人的な疑問なんですが、確かに携帯電話は先ほどからの質問でも、どんどん伸びていると思います。事実、核家族化されていますと、固定電話があっても使い物にならない。だから、恐らくああいうのは将来携帯電話にかわっていくのかなというような感じもいたします、留守番電話とかファクシミリがありますけれども。そういうようなことも予想されるわけです。  これはひとつ、ビジョンということでもないんですけれども、固定電話と携帯電話の関係といいますか、これが行き着く先というのは大体どんなことをお考えになっているのか、また、これは全くそういうことはないのかもしれませんけれども、不用な施設が出てくるというような心配はないのかどうか、その辺をちょっとお答えを願いたいと思うんですが。
  176. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 携帯電話とPHSを合わせましたいわゆる移動電話の契約数は、最近二年間ですが、毎年一千万を超える大変な勢いで伸びておりまして、ことしの二月末現在では既に四千六百二十八万加入というような規模に達しております。これに対しまして、固定電話の契約数は平成九年度から減少に転じておりまして、昨年の三月末現在では六千四十五万となっておるわけです。ただし、固定電話の中のいわゆるISDNサービスは急速にこれは増加しておりまして、ISDNと加入電話を合わせた固定電話全体として見れば横ばいという状況でございます。  しからば、先生がお尋ねの移動電話と固定電話は一体どうなるのであろうか、大変私どもとしても興味深い点でもございますが、固定電話はそれぞれの家庭まで引いたケーブルによりまして移動電話に比べて低廉な料金でサービスの提供が行われており、また将来的には光ファイバーによる大容量高速の通信が可能になるという将来性もあります。他方、移動電話は手軽にどこでも利用できるという利点があるが、固定電話よりコストが高く伝送容量も限られているという点も留意しなきゃいけません。  そういうことで、最近における両者の増減傾向から、かなり両者が接近して競争・代替関係にあるとも考えられますが、確実な予測はまだ難しいというふうに思っております。  いずれにしましても、固定電話と移動電話がそれぞれの特性を生かしまして国民のニーズにこたえたサービスを提供することによって国民利用者がより高度な利便性を享受していくものと、非常に短期的でございますが予想している次第でございます。
  177. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 不用施設は。
  178. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 現在、施設が不用になるというようなことは現実に問題としてはまだ起こっておりません。古い施設は新しい高度な施設に更新されておりますので、新しい更新という問題はありますけれども、不用施設そのものが問題になるような事態ではございません。
  179. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今ないとおっしゃられましたけれども、どういうような組み合わせになるかによって、必ずしも同じ施設を使うわけじゃないということだろうと思うんですけれども、今見通しがないとしても、計画が達成されたときにはうまくその施設と整合しなきゃいかぬと思いますので、その辺ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  先ほど出ました光ファイバー網の整備なんですが、これは高度情報化社会の基盤整備の一つだ、大変大きな核になると。私もそう思っているわけですけれども全国の整備目標を二〇一〇年と言われたのを二〇〇五年に最近繰り上げたと言われております。その御努力は了とするところでございますが、整備率一〇〇%と言っておられますけれども、これは一〇〇%ということはどんなような状況になるのか、素人にわかりやすく御説明願いたいのと、その進捗状況をあわせてお知らせ願えたらと思います。
  180. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 先生御指摘のように、光ファイバー網、これは加入者系の光ファイバー網の全国整備ですが、当初二〇一〇年を目標に掲げておりましたが、近年その重要性が非常に高まっておりまして、現在では二〇〇五年へ前倒ししてその目標達成に向けて努力しているという状況でございます。  その際、整備率一〇〇%目標とはどういうことかというお尋ねでございますが、これは、現在全国に饋線点というのが十九万カ所NTTの場合はあるわけでありますが、この饋線点と申しますのは、利用者宅の近くにある、そこまでは地下で大束の光ファイバーの回線で来ておりまして、そこから地上に立ち上がって個別のユーザー宅へ向かう、そういう配線の拠点があるわけであります。全国のすべての饋線点まで先行的に光ファイバーが敷設されておりますと、光ファイバーによるサービスの具体的な利用があった場合にはおおむね二週間ぐらいでサービスの提供が可能になるという状況でありますが、そういう全国の饋線点まで光ファイバーが行き届いた状況を整備率一〇〇%という状況と私どもはとらえておるわけであります。  それから、現在までの進捗でございますが、十年度についてはまだ正式な形で報告を受けておりませんけれども、古いデータでございますが、九年度までは全国の饋線点の一九%の地域をカバーしているというふうに報告を受けております。
  181. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 わかりやすい説明でありがとうございました。  ただ、今の御説明だと、ハードの面だと思いますけれども、十九万カ所の饋線点というんですか、そこまで来たとしても、実際にそれが使われないことには一〇〇%の利用にならないと思うんです。やっぱりそれは最末端の国民生活一人一人にとって、そういう高速回線を使うということが便利だと、ぜひこうあった方がいいという、そういうソフトの面の促進もしなくちゃいかぬ。開発もあると思いますけれども、その辺について、一般家庭なんかではどういうように使えるか、どういうような展望を持っておられるのか、お知らせ願いたいと思います。
  182. 野田聖子

    ○国務大臣(野田聖子君) 御指摘のとおりで、せっかく広帯域、高速のネットワークをつくったけれども、通常どおりの電話ではそのよさがなかなかわかっていただけない、普及することは難しいだろうと思います。まさにそれを使って効果が出るアプリケーションというのを考えていかなきゃいけない。  それで現在は、関西文化学術研究都市というところがありますが、そこでファイバー・ツー・ザ・ホーム、家庭へのファイバーということで、郵便局サービスとかテレワーク等の実証実験を行う新世代通信網パイロットモデル事業とか、電子新聞とか遠隔教育などのマルチメディアサービスの実証実験を行うマルチメディア・モデル住宅展開事業、こういう施策を展開してきました。平成十一年度からは、新たに通産省とか建設省といったところと組みまして、光ファイバー網などの情報通信インフラの整備を念頭に置いた次世代の住宅情報化の研究開発を実施しようということになっているわけであります。  郵政省としては、こういういろんな実証実験とか研究開発の成果があって初めて一般家庭におけるアプリケーションの普及、定着が進んでくると思い、さらには今の光ファイバー網が利用されるんだと、そういうふうに思っているので、一生懸命努力していきたいと思います。  恐らく、光ファイバーの場合は、動画とか高速インターネット、次世代インターネットなんかを具体的に家庭で取り込んでいただくのにはいいのではないかと、そういうふうに考えております。
  183. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 いろいろやっておられるようですが、この質問に限らず、私も役人だったんですが、役人のやることというのは、やってもそれをPRするのがどうも下手というか余りやらないというのが、郵政省はそんなことないかもしれませんが、そういうような傾向がどうもあるような感じがするんです。今いろいろやっておられることをできるだけ広く知らしめるという、そういう御努力もぜひお願いしたい、そういうことによってシステムが非常に有効に活用できるんだと思っております。  それと、この光ファイバーに関連して、もう一つ、地方の立場といいますか、地域間格差が非常になくなるということになると思うんですけれども一つ忘れてならないのは料金だと思うんです。料金の地域間格差がなくならない限り、これは格差がなくなったということにはならない。単に通信が通じたということではならないと思うんです。ましてや、この光ファイバーなんかで利便性が増せば増すほど料金の問題が顕在化してくると思うんです。こういう光ファイバーの整備によって、あるいはこれによって料金が非常に縮小されるということもあろうかと思いますが、こればっかりじゃない、そういういわゆる地域による料金の格差に対してのお取り組みといいますか、それをひとつよろしくお願いをいたします。
  184. 天野定功

    政府委員(天野定功君) 昭和六十年の電気通信制度改革以降、競争事業者の活発な新規参入や規制緩和の進展によりまして、近距離通信と遠距離通信の料金格差、いわゆる遠近格差と私ども申しておりますが、これは昭和六十年当時と比べまして約四分の一から七分の一以下の水準まで低下しております。  今後、光ファイバー網の整備だとかあるいは無線を用いました高速の加入者回線が導入されてきますと、さらにそこにインターネットなどの新しいサービスの普及によって通信需要、トラフィックが増加していくことが重なってきますと、通信コストはさらに低減して、いわゆる通信料金の地域間格差は一層縮小すると期待しております。特に注目すべきことは、最近急速に普及しているインターネットのサービスにつきましては、全国均一料金が一部の業者で登場しております。  郵政省としましても、インターネットの普及の促進のために、アクセスポイント設置の財政支援を行ったり、さらには本格的な電子商取引の導入に向けて、より高速で信頼性の高い次世代ネットワークの開発などに取り組んでおりますが、先生御指摘のこういった光ファイバー網の整備あるいは無線の高速加入者アクセスの導入と相まってインターネットの普及が進みますと、遠近格差のさらなる縮小が実現できるんであろうということで、私どもはそれに積極的に取り組んでいるところでございます。
  185. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ぜひ地方を忘れないように、ひとつよろしくお願いいたします。正直言いまして、そういう料金格差が減ることによって、工場誘致なんかでも非常に条件がよくなるということもございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  御答弁の御協力得まして順調に進んでまいりましたが、一つだけ最後に。  不正アクセスの法案が何か最近出されるというようにお聞きしています。その点で一つだけお聞きしておきたいんですが、不正アクセスを規制するというのは当然のことだと思うんですが、私ども国会の中にネットワークが導入されておりまして、私はまだ十分使える身ではないんですけれども、将来、使った場合に、例えば不正アクセスした者を罰するというのはこれは絶対必要なことだと思うんですけれども、不正アクセスされちゃったらどうしようもないわけですね。幾らそれを罰されてももう後の祭りということがあり得るんだと思うんです。  したがって、現実にはどこまで行けるかわかりませんが、アクセスされない、不正アクセスを許さないというそういうシステム開発が大変重要なんじゃないかなと思うんですけれども、その辺のお取り組みについてお教え願いたいと思います。  それで私の質問を終わります。
  186. 天野定功

    政府委員(天野定功君) ただいま不正アクセスの対処の仕方についてのお尋ねでございますけれども、まず法制面では、警察庁との間で不正アクセスの規制法案についての骨格がまとまりましたので、できるだけ急ぎまして今国会に法案を提出したいと考えておりますが、この不正アクセスに適切に対処しますには、先生御指摘のとおり、法制度の整備のみならず、不正アクセスを抑止するための技術開発も極めて重要であるというふうに考えております。  そこで、平成七年の十月より、通信放送機構におきましてアクセス制御技術、これは正当な権限のない者が情報にアクセスすることを排除する技術でございますけれども、こういったアクセス制御技術等の開発を実施しているところでございます。また、これはアクセスを事前に防止するわけではございませんけれども、不正アクセスが行われた際に、発信源を追跡、特定する技術研究開発も行っておりまして、これが実用化されますとやはり不正アクセスが起こりにくくなるわけでございます。  こういったことで、私どもは法制度の整備と技術開発の両面から実効ある不正アクセス対策に取り組んでいるところでございます。
  187. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 以上で終わります。
  188. 小林元

    委員長小林元君) 以上で郵政省関係予算に関する質疑は終了いたしました。  本日の委嘱審査はこの程度にとどめます。  次回は来る三月十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会