○岩本荘太君
参議院の会の岩本荘太でございます。
ただいま
鶴保委員、大詰め宣言をなされましたが、本当の大詰めでございまして、十分間の質問をさせていただきます。
まず、農業問題について質問させていただきたいんですが、言うまでもなく、前
国会で農業基本法が成立いたしまして新しい農業が展開されるわけでございまして、農家の方々も新しい農業に対して大変な期待を持っているのが事実であると思います。しっかりと農業の方向を定めなきゃいけない。私も、昨年十二月と六月に本会議で
総理に農業についての質問をさせていただきました。
総理の大変前向きな姿勢はお受けしたわけでございまして、大変その点については評価しているわけでございます。
また、農業と一口に言えば、
日本の
国民全体がやはり何とかしなくちゃいけない、農耕民族であったせいかもしれませんけれ
ども、また生活する上での本当の根源でありますので
皆さんそうおっしゃいますが、それはずっと古くから言われていながら、なかなか
現実にはそうなっていない。自給率の問題を一つとりましても下がる一方でございますし、百四十五回
国会に出されました農水省の資料を見ましても、所得格差というのは製造業と比べてもどんどん広がっている一方だというようなことでございまして、
現実はなかなかそうはいっていないのが
現状でございます。
これは、私なりに分析させていただきますと、農業というのは今の市場
経済といいますか、そういうものにすべてがなじまない、全部とは言いませんが、なじまない面が随分あるんではないか、そういうものをしっかり受けとめなければいけないんじゃないかと。
もともと農業は、これは先ほど言いましたように、人間の根源を支えるものでございますし、一たび何か事が起こりますとすぐに目立つといいますか、重要な
課題になってくるわけでございます。食が足りているときには何にもないけれ
ども、例えば先般ダイオキシンの問題が起きたときも、真っ先に食糧の問題が上がったわけでございますし、東海村の例の事件のときもやはり付近の農産物の問題が起こってくる。
そのような大事な問題であるわけでございますので、しっかり守っていかなきゃいけないけれ
ども、市場
経済といいますか、そういうものだけでやってはいけないんじゃないのか。そうやって保護主義をとれば外国からいろいろ言われるわけではございますけれ
ども、外国から言われても、じゃ
日本が飢饉のときにはどの国が助けてくれるのか、はっきりしたこともないわけでございまして、恐らく、自分の国の
国民が飯を食えないで外国である
日本に食糧を供給してくれるということは
考えられないんじゃないかなと思っている次第でございます。
そういうことで、これから
日本の国内あるいは国外の農業施策をやっていく場合には、やはりこの辺の市場
経済の法則だけで律することができない、こういうものが農業であるという
認識をぜひ持たなきゃいけない、私はこう思っておるんですが、その辺についての
総理の御
認識を、代表質問のときもいたしましたが、再度具体的にやっていただきたいということ。
時間がないのでもう一つ言わせていただきますと、そういう大事な農業をこれからやっていくには、やはり生産の環境
整備をするとかいろんな面が大事かと思いますけれ
ども、もう一つ、
日本の場合、農業者に対する社会的評価が何となく低いような気がいたします。
これは昔の士農工商の時代にもさかのぼるんでしょうけれ
ども、位としては上がったとしても、なかなかその辺の評価がなされないのが
現状ではなかろうか。例えば、農業の大会なんかでありますと、農林
大臣表彰とか場合によっては
総理大臣表彰とかいろいろあるわけですけれ
ども、それは一つの分野の中に特化されたものでございまして、なかなか社会全般の評価とは言いがたい面があるんではないか。
社会全般の評価といいますと、叙勲とか褒章とかあるわけで、農業者に対してそれをやれという
意味じゃないんですけれ
ども、今のそういう社会的な評価の仕方を見ますと、やはりよく
指摘されるところですけれ
ども、官高民低といいますか、国事に携わる方が高く評価されるとか、あるいはあるグループの活動としてでないとなかなか評価されない。そうすると、農業者というのはそういう立場にないものですから評価されづらい。この辺を、ひとつ農業者を評価する。いわゆる産業
経済の、
経済原則の中に生きられないだけではない、本当に
日本の食糧を守るというそういう使命でやっている農業者に対して、何らかの評価をすることがこれからの農業施策の中で一つ重要な点ではないかと思うんですが、
総理の御所見をぜひお伺いさせていただきます。