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説明員(乾文男君) 通称商工ローンと言われます主として中小
事業者向けの貸金業者につきまして、最近債務者等との間でトラブルが生じているものがあることは御指摘のとおりでございます。その主な内容といたしましては幾つかのパターンがございまして、
一つは過剰貸し付けということでございます。これは、貸金業法ではその債務者の弁済能力等を超えて貸してはならない、そういう過剰貸し付けはしてはならないということが書いてあるわけでございますけれども、過剰貸し付けという批判がある。
それから、貸し付けの利率が非常に高いということでございまして、これは先生も今御指摘になりましたように出資法を超えている利率のものはさすがにないわけでございますけれども、しかし通常の利息よりは高い。しかも、おっしゃいましたグレーゾーンのところの金利のもので貸しているという批判があるわけでございます。
あとは、これはもう論外なのでありますけれども、取り立て行為をめぐるトラブルでありまして、いわゆる返済を求めに来たときに暴力的行為といいますか、大声でどなるとか、あるいは会社にがんがん電話をかけまくるとか、そういうふうなことがありまして、そういうことについてのトラブルがございます。
あとは、最近指摘されております契約内容の
説明不十分等のトラブルがあるわけでございまして、具体的に申しますと、貸金業者が貸すときに保証人の保証をとるわけでございますけれども、そのときに根保証と申しまして、一例ですけれども、五百万円を借りるときに保証限度額は一千万円に設定しておく。現行の法律では、最初の契約のときには債務者が幾ら借りるかということを保証人に文書で連絡することになっているわけでありますけれども、その後債務者が保証人の知らない間に借り増しをしたとしてもそれを通知する仕組みに現行法でなっていないということで、保証人が知らない間に自分の保証したのが、もちろん根保証の極度額の範囲内ではありますけれども、自分の思っていたのを超えて保証債務がふえてしまっているという批判がある、契約のときにはそうしたことをよく知らなかったという批判があるわけでございます。
私どもは、ことしの夏以降そうした批判が多いことから、この九月以降、私どもの
監督下にあります財務局、それから全国に貸金業者が約三万ありますけれども、三万のほとんどは都道府県の
監督下にあるわけでございまして、財務局及び都道府県からすべての貸金業者に対しまして文書をもちまして、今申しました過剰貸し付けや違法取り立ての禁止を含めまして適正な
業務の運営の
確保を求める文書を発出したところでございます。それから、私ども金融
監督庁及び都道府県におきまして、全国の貸金業界に対しましてその趣旨の徹底を求めたわけでございます。
さらに、一番の中央組織でございます全国貸金業協会連合会の会長さんに金融
監督庁にお越しいただきまして、私から直接に、昨今いろいろな批判が出ていることをどうお考えになるか、このままでは業界に対する国民からのイメージ、信頼感の失墜ということが甚だしいではございませんかということを申し上げまして、先ほど御
説明しましたような債務者、保証人への啓発、それから苦情等の相談窓口の周知徹底、それから今申しました根保証につきましての保証人とのトラブルを避けるための自主的な
取り組みを要請したところでございます。
また、そのほか財務局につきましても、これは貸金業者は
地域限定で商売をしているわけでございますけれども、仮に大阪で登録をした業者であれば大阪府でございますとか近畿財務局の
監督になるわけでございますけれども、東京に支店を持ってきてトラブルが起きた場合でも、これは従来、大阪府ないし近畿財務局で処理することになっていたわけであります。それは私どもの関東財務局でもきちんと苦情を受け付けて、近畿財務局と連携をしながら必要な
対応をするというふうな
措置も講じたところでございます。
最後に、いわゆる暴力的取り立て行為につきまして、これは残念ながら私どもには強制捜査権がございません。暴力取り立てということが認定されましたら登録の取り消しになるわけでございますけれども、そうしたことから、中央レベルそれから県レベルで警察当局との一層の連携を図ることといたしまして、私ども緊密な連携をとりながら、そうした行為があった場合には警察に相談をして警察の方でも必要な
対応をとっていただく。そして、そういうことが認定されれば登録を取り消すことを辞さない、そういう強い態度で臨んでいるところでございまして、今申し上げました
施策を総合しながら、この商工ローン問題を初めとする貸金業に関するトラブルの解決に
努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。