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1999-07-26 第145回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二十六日(月曜日)    午後三時四分開会     ─────────────    委員異動  七月五日     辞任         補欠選任      加藤 修一君     渡辺 孝男君      泉  信也君     鶴保 庸介君  七月六日     辞任         補欠選任      内藤 正光君     浅尾慶一郎君  七月十二日     辞任         補欠選任      佐々木知子君     有馬 朗人君  七月十三日     辞任         補欠選任      有馬 朗人君     佐々木知子君  七月十四日     辞任         補欠選任      益田 洋介君     但馬 久美君  七月十五日     辞任         補欠選任      但馬 久美君     益田 洋介君      渡辺 孝男君     高野 博師君      八田ひろ子君     小池  晃君  七月十六日     辞任         補欠選任      加納 時男君     若林 正俊君      佐々木知子君     松谷蒼一郎君      高野 博師君     渡辺 孝男君      小池  晃君     八田ひろ子君  七月二十一日     辞任         補欠選任      松谷蒼一郎君     佐々木知子君      若林 正俊君     加納 時男君  七月二十三日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     本岡 昭次君      渡辺 孝男君     沢 たまき君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         久世 公堯君     理 事                 鹿熊 安正君                 鎌田 要人君                 中原  爽君                 佐藤 泰介君                 鶴保 庸介君                 岩本 荘太君     委 員                 岩城 光英君                 加納 時男君                 佐々木知子君                 佐藤 昭郎君                 清水嘉与子君                 世耕 弘成君                 平田 耕一君                 松村 龍二君                 水島  裕君                 浅尾慶一郎君                 小川 勝也君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君                 本岡 昭次君                 沢 たまき君                 益田 洋介君                 山本  保君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 八田ひろ子君                 大脇 雅子君                 福島 瑞穂君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君    政府委員        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        竹島 一彦君        内閣官房内閣外        政審議室長事務        代理        兼内閣総理大臣        官房外政審議室        長事務代理    竹内 春久君        内閣官房内閣安        全保障危機管        理室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障・        危機管理室長   伊藤 康成君        金融監督庁長官  日野 正晴君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        金融監督庁監督        部長       乾  文男君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        大蔵大臣官房総        務審議官     原口 恒和君        大蔵大臣官房審        議官       福田  進君        大蔵省主計局次        長        津田 廣喜君        大蔵省金融企画        局長       福田  誠君        大蔵省国際局長  溝口善兵衛君        文部省学術国際        局長       工藤 智規君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   関本 匡邦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(第百四十回国会内閣提出、  第百四十五回国会衆議院送付) ○平成年度特別会計予算総則第十四条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (第百四十回国会内閣提出、第百四十五回国会  衆議院送付) ○平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その1)(第百四十二回国  会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付) ○平成年度特別会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その1)(第百四十二回国  会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付) ○平成年度特別会計予算総則第十三条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その1)(第百四十二回国会内閣提出、第百  四十五回国会衆議院送付) ○平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(第百四十二回国  会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付) ○平成年度特別会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(第百四十二回国  会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付) ○平成年度特別会計予算総則第十三条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その2)(第百四十二回国会内閣提出、第百  四十五回国会衆議院送付) ○平成年度決算調整資金からの歳入組入れに関  する調書内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 久世公堯

    委員長久世公堯君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五日、加藤修一君及び泉信也君が委員辞任され、その補欠として渡辺孝男君及び鶴保庸介君が選任されました。  また、去る六日、内藤正光君が委員辞任され、その補欠として浅尾慶一郎君が選任されました。  また、去る二十三日、渡辺孝男君及び木俣佳丈君が委員辞任され、その補欠として沢たまき君及び本岡昭次君が選任されました。     ─────────────
  3. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事鶴保庸介君を指名いたします。     ─────────────
  5. 久世公堯

  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま議題となりました平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書外一件、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)外二件、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外二件並びに平成年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、平成八年五月二十八日から平成九年三月二十八日までの間において使用を決定しました金額は千九百八十六億二千三百八十九万円余であり、その内訳は、災害対策費として、ナホトカ号流出油災害対策に必要な経費等の三件、その他の経費として、衆議院議員選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費等の二十二件であります。  なお、平成年度特別会計予算総則第十四条の規定により、平成八年十月四日から平成九年三月二十八日までの間において経費増額を決定しました金額は百六十七億九千五百八十六万円であり、その内訳は、道路整備特別会計における道路事業及び街路事業調整に必要な経費増額等特別会計の四件であります。  第二に、平成年度一般会計予備費予算額千五百億円のうち、平成九年八月二十六日から平成十年一月二十七日までの間において使用を決定いたしました金額は十二億三千五百十八万円余であり、その内訳は、その他の経費として、宮城県選挙区選出の参議院議員補欠選挙に必要な経費等の四件であります。  また、平成年度特別会計予備費予算総額三兆千四百七十億八千六百万円のうち、平成九年八月二十九日から同年十一月七日までの間において使用を決定しました金額は二百二十二億二千三百五十二万円余であり、その内訳は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における返還金等調整勘定繰り入れに必要な経費等特別会計の三件であります。  なお、平成年度特別会計予算総則第十三条の規定により、平成九年五月二十七日から同年十一月七日までの間において経費増額を決定しました金額は七百五十一億九千八百十一万円余であり、その内訳は、交付税及び譲与税配付金特別会計交付税及び譲与税配付金勘定における地方譲与税等譲与金に必要な経費増額等特別会計の十件であります。  第三に、平成年度一般会計予備費予算額千五百億円のうち、平成十年二月十七日から同年三月二十四日までの間において使用を決定しました金額は二百八億九千五百四十九万円余であり、その内訳は、災害対策費として、農林水産業共同利用施設災害復旧に必要な経費等の二件、その他の経費として、雇用保険求職者給付及び雇用継続給付に対する国庫負担金不足を補うために必要な経費等の五件であります。  また、平成年度特別会計予備費予算総額三兆千四百七十億八千六百万円のうち、平成十年三月二十日に使用を決定しました金額は二百九億七百六十万円余であり、これは、労働保険特別会計雇用勘定における失業等給付金不足を補うために必要な経費であります。  なお、平成年度特別会計予算総則第十三条の規定により、平成十年三月二十日に経費増額を決定しました金額は百二十二億九千三十九万円余であり、その内訳は、道路整備特別会計における産業投資特別会計繰り入れに必要な経費増額等特別会計の三件であります。  次に、平成年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度におきましては、予見しがたい租税収入減少等により、一般会計歳入歳出決算上一兆六千百七十四億千三百二十四万円余の不足が生ずることとなりましたので、決算調整資金に関する法律第七条第一項の規定により、当該決算上の不足額を補てんするため、決算調整資金から同額を一般会計歳入に組み入れて、平成年度一般会計歳入歳出決算を行っております。  この決算上の不足額は、決算調整資金に関する法律施行令第一条の規定により計算しました額でありまして、決算調整資金に関する法律第七条第一項の規定の適用前における平成年度一般会計収納済み歳入額七十八兆五千五百三十億五千九百八十三万円余が平成年度一般会計において財政法第六条に規定する剰余金を全く生じないものとして算定した場合に得られるべき歳入の額に相当する額八十兆千七百四億七千三百七万円余に不足する額に相当する額であります。  また、この決算上の不足額の補てんにつきましては、決算調整資金から一般会計歳入に組み入れる際の決算調整資金に属する現金がなかったので、決算調整資金に関する法律附則第二条第一項の規定により、当該決算上の不足額に相当する額を国債整理基金から決算調整資金繰り入れた後、同資金から一般会計歳入に組み入れております。  なお、この国債整理基金から決算調整資金繰り入れた額一兆六千百七十四億千三百二十四万円余に相当する金額につきましては、決算調整資金に関する法律附則第二条第三項及び第四項の規定により、平成十一年度予算に計上して一般会計から決算調整資金繰り入れた後、同資金から国債整理基金に繰り戻しております。  以上が予備費使用調書等について事後承諾を求める件の概要及び平成年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書事後承諾を求める件の概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
  7. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 以上をもちまして説明の聴取は終了いたしました。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 鎌田要人

    鎌田要人君 私は、決算調整資金についてお伺いをいたしたいのでございます。  その前に、決算調整資金参議院規則の取り扱いにつきまして、私は昨年この委員会でたしか要望いたしたと思います。ことしも要望するつもりでおったところが、この点につきましてはさすがに議運皆さんもおわかりになったと見えまして、これはきょう本会議参議院議運委員長から御報告がございました。  それで、この点につきましては、私ども決算委員会所管事項としましてこの決算調整資金に関する事項が我々の希望したとおりに規定をされましたことにつきましては非常によかったと。また、その間におきまする皆さん方の御努力に対しまして心からお礼を申し上げたいと思います。  ところが、この決算調整資金というのは、私どもこっぱ役人上がり考えからしますと、考えれば考えるほどわからない。なるほどその趣旨は、決算調整資金制度につきまして、大蔵省皆さん方のお知恵はさすがに大蔵省だなと思うところがあるんです。  それで、決算調整資金制度の基本的な考え方は、財政法第六条の純剰余金資金として積み立てておき、決算上の不足といういわばマイナスの純剰余金が生ずる場合には、資金からその不足を補てんすることによって単年度決算収支均衡を達成するとともに、多年度にわたる収支均衡を図ることにあると。この趣旨はまことに賛成であるんですが、その後に、しかしながら、決算調整資金創設時は特例公債発行下であり、財政法第六条の純剰余金には多くを期待しがたい実情にあったため、財政法第六条の純剰余金のほかに一般財源繰り入れる道も開かれた。また、以上によってもなお資金に属する現金決算不足額を補てんし切れないときには、当分の間国債整理基金から決算調整資金繰り入れを行うことができるとされたのでありますが、この決算調整資金への資金繰り入れは昭和五十二年度制度創設時に一般会計から二千億繰り入れただけでありまして、この原則が、当分の間国債整理基金から決算調整資金繰り入れを行うことができるとされたというのが今日においては常態になっておるというところに、わかるんですが、非常に割り切れない気持ちがあるんです。  理論と実際の現実の乖離といいますか、そういうものがありますだけに余計、私も同じ先ほど申しました役人育ちでございますから非常によくわかるんですが、それであれば国債整理基金から直接繰り入れをしたらいいんじゃないか、それで返したらいいんじゃないか。そういうことが常態になっているんじゃないか。今後、財政がよくなるという見通しが本当におありなのかどうか。こういうことで国債整理基金をてこにして繰り入れてまた返す、こういうむだなことを、むだと言っていいと思うのでございますが、そういうむだなことをやっておっていいのかなという感じが私ども、同じ役人育ちとしてするんですが、その点の率直な宮澤大蔵大臣の御意見をお伺いしたい、この一点でございます。よろしくお願い申し上げます。
  9. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御質問の要旨はもとより素直によくわかっておりますし、鎌田委員も長い間の政府に勤められたお立場から、恐らくそういうこともひょっとしたら御自分でも筋としてはお考えになることかなぐらいの御理解はなさっていただいておる、その上でのお尋ねでございます。  確かに今の財政はこういう状況ではございますけれども、しかし、やはりこういうところは多少煩雑なようであっても物事筋道を踏んでおいた方がいいのではないか。もちろん将来に向かってこういう財政状況をいつまでも続けていくことはあってはならないことでありますし、いつの日にかは正常に戻したいと考えておりますことは鎌田委員も私どもも恐らく御同様でございますので、いわゆる決算調整資金というものを置いてそして国債整理基金との間でやりとりをするというやり方は、いかにも煩雑なようではございますけれども物事筋道からいえばやっぱり金の足りないときは国債整理基金から出す、それは一般会計から支出をするというような筋道はきちんとしておいた方がよろしいのではないか。  むしろ、そうしないでおきましたら、鎌田委員の方から逆にそれは少し怠けているではないかという御指摘のありそうな点でもございますので、私どもとしては、まあ旧套を死守するというよりは、やはりちゃんとした正規の道を、いずれの日にかはやはりそこへ返らなければならないという、こういう感じを持ってやっておるところでございまして、よくおわかりになっていらっしゃる上でのお尋ねでございますけれども、そのように御理解をいただきたいと思います。
  10. 鎌田要人

    鎌田要人君 御趣旨はよくわかるんです。  それと、将来、財政が好転するときにはこのルールでいかれることはそれは私は一つの行き方だと思うんですが、そのルールが、好転する見込みというのがあるだろうかという心配が一つあります。その点を率直に大臣のお考えをお聞かせいただいて、私はこれだけ質問するつもりで参りましたので、終わります。
  11. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まことに恐れ入りますが、今の我が国財政は御承知のようなことでございまして、四〇%近くも当初予算から国債に依存しておるというようなことはもちろん何度も繰り返すことはできませんし、いわんや、こんな姿がいつまでも続いていいものではございません。私どもは、いずれの日にか我が国経済がいわゆるプラスのポジティブな成長正常成長に返って、サイクルがそれでできる、そういう日までこの経済再建をできるだけ早く実現いたしたいと考えておるところでございます。  それにいたしましても、既存の債務というものは既に出てしまった債務でございますから、相当大きなものがあって毎年の国債費というものが膨大なものにならざるを得ない。出したものはもうどうしようもないことでございますから、そういう荷物はずっとしょっていかなければならないと思っておりまして、しかし、それだけに一日も早くプラス成長サイクルに入りたいと努力をいたしております。  それはそれといたしまして、ただいま御質問の問題はもう一つ、毎年の政府税収見込みというものが、いろいろ事情はありますがここのところ達成されていないということでございます。年の途中で補正をいたしまして、しかも補正した税収がなおそのとおり取れていないという、平成年度もまさにそのようなことでございますが、しかるがゆえに歳入欠陥を生ずるということでございます。  このことは、とりもなおさず我が国経済成長がいかに変調にあるかということでございまして、平成年度などは一番その尤たるものでございますが、当初はやや前年に比べて成長があり歳入増があると考えております。ところが、御記憶のように、年の途中から東南アジアに異変があり、我が国金融機関の倒産がありして、年度の途中でその見通しを全く逆転させまして、そして補正予算を組み、そのときに歳入を幾らか削減するわけでございますけれども、その削減した歳入すらなお取れずに最終的には大きな欠損になってただいまおっしゃったような事態になる、こういう経済運営をまず改めなければならないということであると思います。  願わくは、この平成十一年度におきましては再度そういうことがありませんように、実はそれもこいねがっておりましたが、平成年度はやはり税収そのもの欠陥がございましたし、それも補正の上での欠陥があったわけでございますから、この十一年度はもうそういうことがないようにということで一生懸命努力をいたしてまいりたいと考えております。  御質問の御趣旨はその辺にあると思います。まずこの十一年度税収欠陥が生じないような経済運営を何とかやれないものだろうか、その努力をいたさなければならないと思っております。
  12. 鎌田要人

    鎌田要人君 私は、特に宮澤大蔵大臣は御苦労さんだと思います。歳出はなかなか切れない、歳入の方は思うに任せない、そういう状態がしばらくはこのまま続くと思います。そういう中での御健闘を心からお祈りいたしまして、私の質問はこれで終わらせていただきます。
  13. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 民主党の佐藤泰介です。  まず冒頭、先週の金曜日、東京地検特捜部警視庁捜査第二課は、証券取引法違反の疑いで日債銀の前会長を初め当時の経営陣の六名を逮捕しました。このことについて大蔵省としてどのように考えてみえるのか、大臣から御感想を伺いたいというふうに思います。先週の土曜日の新聞で読みましたので、通告がしてありませんが、お許しをいただきたいと思います。  私は、この逮捕容疑はその一部に関する容疑のみであると考えております。本来、日債銀の崩壊を招いた大部分は、既に時効が成立しているとはいえ、その道義的な責任は、問われるべきはここのところにあるのではないかというふうに思っております。  しかし、日債銀の問題は、以前からこの委員会でも大臣金融当局に対して責任に関する多くの質問がありました。私もその一人でありましたが、この旧経営陣逮捕の知らせを聞き、私自身この問題に対する質問が不十分であったことを痛感いたしております。  そこで、大臣にいま一点伺いますが、このような日債銀の実態がありながら、大蔵省指導監督も十分できずに不良債権が膨らむに任せ、銀行、生命保険会社等奉加帳方式で応じた増資二千九百億円を損失としてしまい、昨年の国有化の時点で債務超過は三兆円を超し、公的資金六百億円も回収されず損失となります。北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行など相次ぐ破綻で、これまで準備された預金者保護の公的資金七兆円を使い果たしてしまっているのではないかというふうに思います。そうして、これらのツケはすべて国民の負担となっていくのだろうというふうに思います。  ここに至るまで放置した大蔵省責任は、単なる行政のミスでは済まされないのではないかというふうに私は思うんですけれども大臣にまずこの点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  14. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 本件につきましては、日債銀の旧役員の逮捕が行われ、また事件は検察の取り調べるところとなっておるわけでございますので、そのことにつきましては私どもから申し上げることができません。  しかし、従来からこれにつきましては国会でも何度もお尋ねがあり、私もお答えをいたしておるところでございますが、ただいまのように、金融の破綻の場合、その処理あるいは将来に向かっての健全化等々いろいろな立法をつくっていただきましたので、いわゆるセーフティーネットというものもおかげさまでともかく国会の御審議によって整備をさせていただくことができました。しかし、それは現在のことでございまして、この事件の経緯における時代にはそういう法制の整備はなかったわけでございます。  また、それとは別に、同日に論じてはならないと思いますが、大蔵省の行政の中にいわゆる護送船団行政というものがございまして、これは戦後ほとんど五十年近く続いたわけでございますが、金融機関というものはつぶさない、したがって、つぶれてはなりませんから、余り船足の速いものと遅いものがあってはならない、みんな船足の遅いところにペースを合わせて行政をやっていくという、そういう行政が行われてまいりましたので、行政としては全く非効率的な、しかもたとえ何かがあってもつぶせない。つぶさないということは、これはもう完全に一種のモラルリスクの原因になるようなあり方でありますし、国際化をしますと世界の舞台では競争もできないような金融機関を抱いてきたというのが実情でございます。  そういう基本的な行政のあり方の中から、この日債銀についても、私がそのときに行政をしておったわけではございませんから一部想像もまじりますけれども、恐らく間違いないと思われますことは、多少のことはあってもこの日債銀をつぶしてはならないという行政の考え方であったろうと思います。  それは、セーフティーネットがございませんので、これをつぶすということになりますと、内外ともに、このぐらいの大きな銀行になりますと内外とやはり申し上げなければなりませんが、非常に大きな波紋を生じてシステミックリスクを生む危険性が高い、こういうことがございましたがゆえに、多少のことはあってもこの銀行を生き延びさせなければならない、そのことがいわば国益であるというような考え方が行政当局に恐らくあったと思われます。したがいまして、それが当該金融機関にも影響を及ぼしておったのではないかと考えております。  平成九年四月に日債銀が経営再建策を発表いたしましたときに、大蔵大臣は談話を発表されて、これは何とか支援をしなければならない、そしてまた、これを支援することが大切なことであってという協力を呼びかけられました。また、それに従いまして、大蔵省日債銀の増資等について説明に関係者を回り、またその及ぶところは増資の要請をいたしたと。いわゆる奉加帳と言われるものでございます。その間の関係者の、行政に関係しております者に故意あるいは過失があったとは私は思いませんけれども、そしてそれは恐らく大蔵大臣が決定せられた、先ほど申しましたような基本的な考え方、方針によって行われたものであることは私は疑いませんけれども、この資金協力を仰ぎました部分は、結果としてはもう全く損失となって終わったということは疑い得ないところでございます。それが第一でございます。  それから第二に、昨年三月にいわゆる公的資金の導入をいたしましたときに、日債銀は整理回収銀行が優先株の引き受けをいたしております。このことも、金融危機管理審査委員会日債銀債務超過でないという判断のもとにこの決定をされました。その決定に瑕疵はなかったと私は今でも思いますが、その決定の基礎になった、日債銀債務超過でないという状況そのものは果たしてそのとおりであったのかどうか、その後に金融監督庁が検査をされますと、この時点においてこれはだれにも知り得なかったことではありますけれども、さかのぼってみてそうであったかどうかということにはやはり問題が残るということがわかっております。  したがいまして、そのとき現在、三月十日現在で有効であったはずのものはそれまでになされた大蔵省の行政による検査であると思われますので、したがいまして、金融危機管委員会が公的資金の投入を決定されたそのベースになる判断の資料というものが果たして、結果としては後に金融監督庁の検査によって疑問を呈せられるわけでございますから、そこに問題はなかったか、これも故意とか過失とか申しませんけれども、体制そのものがさようなことでございましたから、それによって金融危機管委員会の決定に正確でない情報を与えた可能性がある。  この二点におきまして、私は、行政が故意であったとか過失をしたとかいう観点でなく、ずっと長いこととってまいりましたいわゆる護送船団、あるいはつぶすことはならない、できないという、そういう行政の姿勢が、かつて何十年前には妥当であったかもしれませんが、この何年かあるいは十何年かは少なくとも妥当でなかったということを今我々は実は知ることになったというふうに考えます。したがって、そのことは私は行政としてはやはり責任がある、この責任はないとは私は申せないという考えであります。  国会においても、殊に昨年以来そういうお立場をとられまして、したがいまして結果として金融に関する行政というものは大蔵省から離れることになりましたし、また金融監督庁が誕生いたしまして、ここで初めて行政と離れた検査というものが行われることになって、我々はそういう意味での国際的なといいますかあるいは客観的な金融機関の実態というものを初めて知ることができた。それは言ってみれば従来の大蔵省による検査というものについての強い批判ということに結果としてなるわけでございますが、そういう意味で行政の責任というものが公に問われることになった、こういう判断であります。
  15. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 これまでのあり方も含めて、結果責任等も含めながらの率直な御答弁だったと私は思います。そしてさらに、損失となったことは疑いのない事実、行政責任もあるというまことに率直な御答弁をいただきました。  問題は、国民の皆さんにそれがどのように受けとめられるかということであろうというふうに思いますので、先ほどセーフティーネットの話も出ましたけれども、国民の皆さん方にこの問題についてのてんまつといいますか、そこまではいかないにしても納得がいただけるようなメッセージをこれから出していっていただきたい。  こんなことを申し上げながら、本当に率直に御答弁いただいて半分時間が過ぎちゃいましたので、次の質問に移らせていただきます。  今、鎌田理事の方からも決算調整資金の話がございましたけれども平成年度では一般会計において一兆六千百七十四億円の決算上の不足、先ほど御提案があったと思います。一般会計において歳入欠陥が生じる事態となったのは、昭和五十六年二兆二千五百二十四億円、平成四年一兆五千四百四十七億円、平成五年五千六百六十三億円に続いて四回目の異例の事態であると私は思います。  決算上の不足一兆六千百七十四億円は、先ほどもお話がありましたが、決算調整資金の残高がゼロであるために国債整理基金から繰り入れて補てんされ、さきに成立した平成十一年度の当初予算により賄われているもので、私は時の橋本内閣が九年度歳入見積もりを誤り、こうした事態を生じさせたことは重大な責任があると言えると思います。  政府歳入見積もりを誤り、その結果として国民の負担が増加していくということでは、財政規律は安易となり、国民の負担はますます増加していくと思うのですが、大臣はその責任をどのように認識されておみえになるか、お尋ねします。
  16. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘の点は、平成年度財政に関することでございますが、これは先ほど鎌田委員にも一言申し上げましたところでございますが、この年は我が国経済財政にとりましてある意味で非常に難しい年であったと申しますか、見通しの難しかった年であったというふうに申し上げなければなりません。  平成年度におきまして、少し我が国経済が好調に見えました。ちょうどそれは選挙のあった年であったと思いますが、そういうこともありまして、平成年度は日本の経済は立ち直るであろうとかなり考えられていたことは事実でございます。したがいまして、橋本内閣もこのまま財政をほっておくわけにはいかないから、財政の再建ということを法律をつくって着手されたところであります。  そして、この年はいろんな意味で国民負担がふえる結果にもなった年でございますが、事は予想と相違いたしまして、七月にタイで為替の変調が起こりまして、それが東南アジアに波及いたしました。このことが一つの要因であったことは間違いございません。これを予想し得なかった云々ということは別にしまして、そういうことが起こりました。  と同時に、顕在したのは十一月でございますが、やがて我が国自身の金融不安ということが起こってまいりましたために経済見通しが一転いたしまして、したがいまして、政府はまず予算補正をいたしましたが、そのときにも歳入は一兆五千億の減額補正をいたしております。しかし、それではもちろん及びませんで、その補正後の減収がさらに二兆二千億あったわけでございます。これは内訳は、もちろん大きなところで法人税等が当然大きいわけでございます。  でございますから、我が国経済のそういう大きな変調を政治が見通し得なかったばかりでなく、その変調に対して十分に先を見て対応できなかった、残念ながらそのように申し上げざるを得ないと思いますから、ただいまのような御批判は甘受しなければならないと思っております。
  17. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 具体的な歳入不足を招いた要因についてもお聞きしようと思いましたが、今あわせてお答えをいただきました。  先ほど鎌田理事の方からの質問にも答えられながら、十一年度については生じないようにという強い決意を述べられました。九年度についてのさまざまな要因についても今話のあったとおりでございますけれども歳入欠陥を招くということ自体が私は異常な事態だというふうに思っておりますので、その責任を重く受けとめていただきたいと思います。補正の段階で減額をしたけれども、なお不足になったという話もございました。経済状況あるいは税収の推移を見誤らないように万全を期していただきたいというふうに思います。それは、結局は国民の負担、ツケになっていく問題でございますので、その辺はさまざまな今御説明のあった事情は理解するにしても、歳入欠陥を招くこと自体は異常な事態だという認識のもとに万全を期していただきたいというふうに思います。  次の質問に移りますけれども決算上の不足が生ずる場合に、決算調整資金から一般会計歳入不足額を組み入れるという制度は、法律に基づくものであるとはいえ、決算上の不足の発生という異例の事態への対処であるということから国会事後承諾制度が設けられています。そうだとすれば、決算調整資金からの歳入組み入れは七月末までに行われるものですから、その調書は、法律では常会となっていますけれども、常会を待たずに直近の国会審議に供することもできるのではないかというふうに私は思いますが、大蔵大臣の見解を伺いたい。  といいますのは、決算不足する七月に組み入れが終わるんですよね、そして当初予算で繰り戻しが行われる、その後で決算調書が、付託が先ほど決算委員会に決まったという鎌田理事からの話がありましたが、私から言うと、全部完了してしまった後で、予算で組み入れもしてあった、決算不足分も補ってしまった、そして当初予算繰り入れをしてしまった、すべて完了したところで事後承諾となると、果たしてどうなのかなと。七月に組み入れが済んだらすぐの国会で組み入れだけは国会で承諾を受けるというようなのも一方法ではないか。そして、その上で次年度予算で繰り戻しをするというようなことは考えられないものかなという私は素朴な疑問を持っているんですけれども、そんな点について何か御見解がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  18. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 足りませんところがございましたら政府委員が補足をいたしますが、今の部分に関する限り、なるほど御主張のようなお立場には説得力が一つあるなと思いますが、私どもとしては全体をその年度のすべての決算というふうにとらえておりまして、したがいまして、その年度決算は、普通でございますと七月三十一日、ことしは三十日でございますが、主計簿が閉鎖をすることによって終了をいたします。  そして、それから後、歳入歳出が発生主義によるものでございますので、後に入ってくる金、税収どもそうでございますけれども、五月、後七月までに入ってくる、年度後に入ってくる金、出る金がありまして、そういうものを、民間の企業と違いまして全部収納主義でやっておりますから、結局七月三十一日に帳簿が締まりまして、それから、それを整理いたしまして、法律によりますと十一月三十日までに会計検査院に提出をしなければなりませんが、このごろは少し勉強いたしまして、大体十月には会計検査院にお出しをして、会計検査院は法律規定に従って大蔵省にそれを返して、大蔵省は始まるべき国会までにという規定でございますから、そのとおりやっておるわけでございます。  少しそれを急げないかというようなお声も承っておりますし、その努力もいたしますが、ただいまのような問題は、一つだけ取り上げますと、まさにそこだけとこうおっしゃれば、臨時国会もあったしということかと思いますが、私ども決算全体として御判断をいただきたい、こういうふうに考えてやってまいりました。
  19. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 答弁の趣旨はよくわかりますけれども、私ども決算委員の立場としますと、もう全部終わっちゃっていて、七月で締めて、足らない分は補って、そして次の予算で繰り戻して、はい、その後決算委員会、そして国会での事後承諾というような形になるわけです。したがって、きょうのこの決算委員会決算調整資金についてこの会期中にというようなことで若干異常な形での開催になったというふうに思うので、とりわけ問題がなければ、七月が済んで近々のところに国会があれば組み入れだけは国会で承諾を与えるというような形にならないのかというのが私の素朴な疑問です。  決算調整資金に関する法律の中には、九条の二項のところに、「内閣は、前項の調書を次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。」というふうに書いてあるわけですので、常会になるんだろうと思いますけれども、これは大蔵省事務当局で結構ですが、絶対に常会でなければならないと解釈するんでしょうか。
  20. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは必ずしもそう解釈いたしてはおりません。遅くともというふうに読むべきだと思いますから、それまでに国会があってそれに間に合うような作業をしろということは、その必要はないとは考えておりません。
  21. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 どうもありがとうございました。  ちょっと時間が残りましたけれども、では、最後の大臣の答弁に期待をしながら、できるだけ早い時期に国会で承諾できるようなそんな努力を私どももし、政府の方も御努力をいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  22. 益田洋介

    益田洋介君 まず、大蔵大臣にオンライントレードについて御意見を伺いたいと思います。  今、アメリカの全株式投資家の二二%を超えるトレードがインターネットを利用したオンライントレードでございますが、なぜこれがこのように圧倒的なボリュームの増加につながったかといいますと、これは一つには、通常の証券営業ではキャッチできなかったそうした層の顧客が急増しているということだというふうに理解しております。また、通常の営業時間外でも取引ができますし、それから証券会社と縁のなかったような人たちも参画してきて、顧客の平均年齢が三十六歳、営業時間外の取引が七〇%を超えるという、私、これはやはりボリュームをふやすための相当強力な手だてじゃないかというふうに思います。  我が国でもやはりこういったものを積極的に政府と民間が協力しながら導入して普及させていく必要があるんじゃないかというように私は考えますが、宮澤大蔵大臣、いかがでしょうか。
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 基本的にはおっしゃるとおりと思っております。取引に間違いがないように、いわゆる公正を欠くことがないように、あるいは投資家が保護をちゃんと受けるようにというようなことは入り用と思いますけれども、オンラインになっていくということは、これはある意味で一つの趨勢であろうとすら思いますので、御説のように考えております。
  24. 益田洋介

    益田洋介君 日本の株式がこのところ堅調でございまして、一万七千から八千円で推移して、二万円をつけるのはもう時間の問題じゃないかという楽観した向きもありますが、一方で不安要素も内外にないわけじゃありません。中国の人民元の切り下げの圧力が次第に強まってきている。その背景にはどういうものがあるかといいますと、これはヘッジファンドや何かの外国の投資家が介入してきているというよりは、むしろ中国の場合は中国の保有しているドルが流出してきている。九八年度末では約五百億ドルぐらいが海外に流れる。中国政府は必死になってこれを食いとめようとしているようですが、どうもとまらない。だから、やはり元は切り下げざるを得なくなるんじゃないかという見通しがある。そうすると、日本の株価にも相当悪影響を与えるんじゃないか。  この辺の動きについて、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  25. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いろいろ言われることを聞いておりますけれども、朱鎔基首相は、しばしば、そういう意図はない、そういうことは考えていないと言っておられますので、かたがたよその国のことでもございますので論調は差し控えまして、政府当局の言われることを信じてまいりたいと思っております。
  26. 益田洋介

    益田洋介君 次に、二〇〇一年四月に予定されておりますペイオフの解禁でございますが、この解禁の時期をやはり延長すべきじゃないかといった声が昨今強まってきているわけです。解禁が近づくに従って金融機関の間で預金の移動が起こって、それが金融不安を、またマーケットに不安を与えるんじゃないかというのがその理由でございます。  一つ考えられることは預金保険制度の改革でございまして、アメリカで今主流となっていますPアンドA、資産と負債の承継でございますが、一般資金援助方式と日本では訳しています。こういったものが、破綻前に何らかの形で金融機関が破綻処理の準備を始められるような法的な骨組みも必要になってくるんじゃないかという意見も聞かれます。さらには、引き継ぎ先の金融機関がすぐ見つからないときに備えて、二〇〇一年三月末で期限切れになるブリッジバンクの仕組みも残しておくべきじゃないか。さらに三点目は、現在預金保険の対象になっていないような新金融商品についても極力、可能な限り対象に含めた方が一般の預金者または投資家の安心につながるだろうというふうな声もあります。  主にこれらの三点について、大蔵大臣の諮問機関の金融審議会の答申を受けて年内にも結論を出そうと言っているんですけれども、そんなにゆっくりしていていいのかなという私は気持ちがありまして、もっとやはり具体策を大蔵省としては早期につくって発表して、預金者の不安を少しでも早く取り除くようにしていただいた方が私は賢明じゃないかと考えますが、大蔵大臣いかがでしょうか。
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先般、この問題につきましてかねて答申を求められております金融審議会がこれについての問題点を洗い出しまして、世の中の意見を問うことも含めまして、これについての問題点を幾つか列挙されたわけでございます。  それから、世の中に幾つかの議論がいろいろに起こっております事柄の基本についての、時期尚早であるとかそうでないとか、あるいはやるとしてもいろいろな問題があると。その中には、今、益田委員のおっしゃいましたような点、これがやっぱり主な点でございます。  ですから、今、益田委員からそういうお尋ねがあるのは私はまことにごもっともだと思っておりまして、先般問題点を指摘されましたが、金融審議会に、ちょうど夏になるわけではございますけれども、今言われましたような問題点についての考え方をできるだけ早く取りまとめてはもらえないだろうかということをひそかに、実は私はまだお願いしていないのでございますけれども、年末というようなことはちょっと時間的に、もっと早められないかなと。  と申しますのは、そういうことが、問題点がはっきりし、それにどう対応するかということが納得がいきますれば、時期尚早だと思っておられる方もわかったと言われるのでございましょうし、また賛成派も、いや、それについてはこういうことを片づけておく必要があるという御主張が当然ございますので、その方々にとっても余り結論が長引かない方がいいように私も実は思っておりますものですから、主として益田委員の今おっしゃいましたような点、その他にも幾つかございますが、を含めまして少し結論を急ぐようにしてみたらどうかと、近い機会にそういうことをお願いすべきではないかととつおいつ考えておるところでございます。
  28. 益田洋介

    益田洋介君 ぼつぼつ考えていらっしゃらないでもっと迅速に、絶え間なく景気の基調を回復させていこうという御努力大蔵大臣は常々されておるわけでございますから、この預金者の不安の除去というのは非常に重要な問題だと思います。ぜひ早目にお願いしたいと思います。  それから次に、これも二〇〇一年三月期から始まる予定になっております、採用されます退職給付会計でございますが、これが採用されると、今まで隠れていた年金などの積立金の不足の実態が表に出てくるわけでございます。  ゴールドマン・サックスの推計によりますと、今の新しい会計基準で積立金不足を算定すると、日本の企業全体で五十兆から六十兆円ぐらいの積立金の不足があるんじゃないかという驚くべき数字で、年金がもらえなくなるというのが本当のことになってしまう。このままでいくとそういう時期が来る。  やはり、高度成長期に設備投資にみんな企業が走ったから、その分積み立てるべきものが引き当てられていなかったというツケが今回ってきているわけであります。これは、政府としては、退職給付債務に満たない場合には企業に差額を補てんするように求めていくというふうに伺っていますが、具体的にはどういうふうにしていくんでしょうか。お金が不足しているから積立金が不足しているわけでございます。補てんしろといっても、どういうふうに具体的な方法をとらせるおつもりなのか、その辺の考え方をお伺いしたいと思います。
  29. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういう問題をやがて将来に持っておることをよく存じております。問題意識は持っておりますが、具体的にどういうふうにすべきかということをただいまお答えする段階にございません。問題はよく心得ております。
  30. 益田洋介

    益田洋介君 この辺も、年金がなくなる、あるいは引き当てが不足しているから退職金もなくなるんだという不安が一般のサラリーマンの方に広がってきていると思いますから、やはり社会全体の良俗といいますか、秩序を安寧にするためにもこうしたものに政府が手を打っていく。もちろん企業自身が努力をしていくことは必要ですけれども、指導をしていくというお立場にあるわけですから、具体的な方策をお考えいただきたいというふうに思います。  それから次に、先日、グリーンスパンFRB議長が若干ですが利上げをしました。公定歩合を上げまして、それでまたニューヨーク株式のマーケットが取り戻したという事態がありました。  ところが、二十二日に、議会でグリーンスパン議長が追加利上げの可能性を排除しないというふうに証言して、そして債券市場で売りが先行して長期金利が五・九%台まで上昇した。その反動を受けてダウ工業株三十種平均は下落した。  こういうことで、金利については、金利は当然中央銀行が最終的には管理するものですが、大蔵大臣、日銀総裁とお話しになって、日本の金利というのはこのままずっと長期的にゼロ金利に近い状態で続けていっていいものだというふうにお考えでしょうか。
  31. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点は、益田委員が別の委員会の機会に、ごく最近も日銀総裁と質疑応答されたのを拝聴しておりましたので、日銀総裁のお考えは私は大体存じておるつもりでございます。デフレ懸念というものがある限りにおいて今の方針を維持していきたい、こう言われたと思います。  私は、このことは日銀総裁のお立場を支持したいと考えております。
  32. 益田洋介

    益田洋介君 さらに、本来、日銀総裁に直接お伺いすべきかと思いますが、日銀は、二十二日発表した六月十四日に開催した政策決定会合の内容の中で、景気が自律的な回復に向かう道筋がいまだに不透明な中で、株高が消費者や経営者の心理を改善させるために非常に効果があるから、日本の日経平均株価を今のレベルまたはもう少し上に保っていく必要があるんだと、これは最重要経済政策の一つだろう、そんなことが話し合われたようですが、この点について、大蔵大臣、どういうふうにお考えですか。
  33. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政策委員会会議の内容は私存じませんので、そういう御意見があったかないかについてもお答えすることができませんが、ただ、お答えできると思いますのは、株式の水準について、取引について、政府としてはこれに関与する、干渉する気持ちはないということでございます。
  34. 益田洋介

    益田洋介君 ありがとうございました。
  35. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  日本共産党は、常々、公共事業のあり方について根本から見直しをする必要があるというふうに考えています。つまり、専らゼネコン奉仕の大規模公共事業ではなくて、もっと生活密着型の公共事業に規模も内容も見直していくということ、そして不要不急の事業はやめていくということです。  例えば、予備費に関して見てみますと、道路整備特別会計経費増額には、長野駅周辺第二地区土地区画整理事業費補助というのが含まれているのですけれども、この事業については事業計画の無効確認を求める地元住民の訴訟も起こされたものです。こうした事実を御存じでしょうか。
  36. 津田廣喜

    政府委員(津田廣喜君) 訴訟の件につきましては、急なお尋ねでございましたのでちょっと今私ども手元に資料を持っておりません。至急調べさせていただきたいと思います。
  37. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 つまり、私が言いたかったのは、こういう訴訟が起こるほど公共事業の中には必ずしも地元住民に歓迎されるものばかりではないということなんです。  ほかにも、例えば福井県の敦賀港金ヶ崎地区港湾環境整備事業や愛知県の市道、神野新田町四十八号線の道路改築事業と三河港神野西一区直轄港湾改修事業など、特定の大企業のための道路や港湾整備と言ってよいような不要不急の事業が含まれています。  こういうのに比べますと、学校校舎・施設の耐震補強とか耐震改築などは、児童生徒の安全と地域住民の防災、避難のために、これはもうだれからも歓迎される事業であります。大蔵大臣にもぜひこの問題に注目をしていただきたいなというふうに私は思うわけです。  前回の文部省の答弁によりますと、地震防災緊急五カ年計画について、九六年、九七年、九八年の三年間の最終の実績が二千八百四十九校、この三年間分の計画の八三%の実施状況ということでした。今後、九九年度、二〇〇〇年度で四千校以上の計画があるということです。  来年度予算編成も始まると思うのですが、大蔵省としても、児童生徒の安全と地域住民の防災施設の確保という観点から、この五カ年計画の完遂のために特段の配慮をしていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  38. 津田廣喜

    政府委員(津田廣喜君) 公立学校施設につきましては、これは非常災害時におきます児童生徒の安全の確保を図るだけではなく、地域住民の方々の応急避難所としての役割も果たすものでございますから、耐震性能の向上を図っていくことは大変重要なことであると我々も認識をしております。  御指摘の数字は先生おっしゃったとおりでございますが、八年度から十年度までの三カ年間に計画されておりました学校のうちの八割以上につきましては手当てをしたわけでございまして、これはそもそもは学校の設置者が市町村でありますから、市町村の方できちんと計画を立て、国の方に補助の要望をしていただくということになると思いますが、国といたしましても、こうした市町村の事業実施に支障のないようにこれからも努めてまいりたいと思います。
  39. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 三カ年の実績が二千八百四十九校で、残り二カ年で四千校ということですから、ぜひ今の答弁のとおり市町村の要望には一〇〇%こたえていっていただきたいというふうに思います。  というのは、私は前回の決算委員会でも強調したのですが、地震防災緊急五カ年計画に盛り込まれている老朽校舎や施設というのはとりわけ緊急性の高いものに絞られていまして、実際には、同様のものが実は膨大な数控えているわけです。緊急五カ年計画に計上されているのは、昭和五十六年、一九八一年、つまり新しい耐震基準が設定されたとき以前の建物のたった七分の一なんです。つまり、すそ野はその六倍あるということになります。それから、建築後二十年以上たった建物、この中には三十年とか四十年とかたっているものもあるんです。そのたった五分の一にしかすぎないんです。すそ野はその四倍あるということになります。恐縮ですが、私の地元、埼玉県の例でいいますと、来年、西暦二〇〇〇年度になりますと、建築後二十年たつ学校校舎・施設の数が、建物の数で小中学校で二千棟になります。  文部省からは、前回の本委員会における答弁の中で、昭和四十年代から五十年代にかけ埼玉県あるいは千葉県、神奈川県等首都圏や近畿圏を中心として人口急増地帯、あるいは全国的にも第二次ベビーブームというような形で相当校舎を建てておりますので、今後、三十年を経過するような建物が数年間以内に相当数ふえてくるというような状況については承知しておる、こういう説明を受けました。  大蔵省としてもこの問題を直視していただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
  40. 津田廣喜

    政府委員(津田廣喜君) 今、五カ年の計画が進んでいるところでございますので、残りの年数につきまして、まずこの着実な整備を図っていくということが先決だろうと思います。その後のことにつきましては、どうしてもこれは市町村が中心の事業でございますから、市町村の方でまずいろんな実情をお調べになった上で、また次の段階を考えるということだろうと思っております。
  41. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 少なくとも市町村がやる気になって計画を立てているときには、補助事業になっていくので、それに一〇〇%こたえるぐらいの気構えをぜひしていただきたいということを私は強調しておきたいと思います。  この学校校舎・施設の耐震補強や耐震改築などは、実は児童生徒の安全と地域住民の防災避難のためにだれからも歓迎されるという意味と同時に、ほとんどが地元の中小企業に発注されるものでして、不況対策上も大変歓迎されるものです。  埼玉県を例に見てみますと、九七年度、九八年度、それぞれ大規模改造、地震補強補助事業が二十六校三十二棟、四十一校六十一棟実施されているんですが、そのほとんどが地元中小企業に発注されています。改築、増築、改修など大きい工事では九七年度、九八年度それぞれ九一・一%、八八%、維持管理、修繕など小さい工事では、九七年度、九八年度それぞれ九四・二%、九五・九%が地元中小企業に発注されています。  生活密着型、地元中小企業活性化型の公共事業としても、学校校舎・施設の老朽化対策をもっと重要視してよいのではないかと私は思うんですが、公共事業のあり方としてはどのようにお考えになりますか。これは大臣
  42. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) お話はよく伺っておりますけれども、いろいろ広い分野のことでもございますので、優先度をしっかりしながら公共事業もやってまいらなきゃならないと思います。
  43. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 今不況の折で、建築関係者、企業も含めてですが、いろいろ痛切な声を直接聞くわけです。市役所に行ったらその日にすぐにでも仕事がもらえるようなそんな仕組みもつくってほしいというふうに言う方までいるんです。こういうときですから、不況対策上も大変地元中小企業に仕事が回る公共事業としての意義、それを認めていただきたいと思うんですが、そういう意味合いについてはどうですか。
  44. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはいいお話だと思いますので、公共事業なんというものは大企業に奉仕するものでよくないものだというお話を時々伺いますので、そうでない御意見もあるんだなと思いました。
  45. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 どうも日本共産党は誤解をされているような気がするんですが、公共事業に何が何でも反対という立場をとったことは一度もありません。私が言いましたように、もっと生活密着型の、地元中小企業にも仕事が回るようなそういう公共事業をぜひと。そうしますと、これは規模もおのずと圧縮されてくるんです。そういうことで強調したいと思います。  次に、これも大蔵大臣に聞きたいと思うんですけれども、総理府の少子化に関する世論調査の結果が発表されました。子育てには楽しいこともつらいこともあるものですけれども、この調査の中で、子育てのつらさとはどのようなことだと思うかという設問がありまして、これに対して、「子どもの将来の教育にお金がかかること」と答えている方が一番多くて四四・四%もいました。また、「子どもが小さいときの子育てにお金がかかること」と答えている方も二一・八%でした。子育てにお金がかかるというのが一番つらいことだというわけです。  少子化対策上、何らかの支援が求められると思うのですが、実際、子育ての経済的負担に対して社会的な支援を行うべきだと思うかという設問に対して、「行うべきだ」と答えた方の割合が七五・五%に上りました。それでは、どのような支援が必要だと思うかとの問いには、「子育て中の夫婦が共に大いに働けるような環境の整備」と答えた方が最も多くて三六・八%、「子育て世帯の税負担の軽減」と答えた方が三三・四%と続いています。  人生の大先輩として、また財政担当者としてこの調査結果について、大蔵大臣、どのようにお考えになりますか。
  46. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そうだと思って見ました。
  47. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 子育て世帯の税負担の軽減というこの要望について積極的にこたえていくべきだと思うのですが、どうですか。
  48. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、私どもが所得税を考えますときに、扶養控除でありますとか小さい人々あるいは青年層、いろいろな控除を設けておりますのは、当然そのような考慮を反映しているつもりでございます。
  49. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 きょうは委員会の時間の配分で圧縮された関係で、ほかの質問を中途半端にやることができませんので、以上できょうの質問は終わりにいたします。  どうもありがとうございました。
  50. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 決算調整資金からの歳入組み入れ問題についてお尋ねいたします。  決算調整資金からの歳入組み入れ決定につきまして、決算調整資金に関する法律によりますと、「予見し難い租税収入減少等により一般会計歳入歳出決算不足が生ずることとなる場合において、この資金からその不足を補てんすること」、これができることになっておりますが、この「予見し難い租税収入減少等」という場合に、これはどういう要件と理解したらよろしいのでしょうか。
  51. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 決算調整資金に関する法律第一条に、今、委員の言われましたようなことが述べられております。  この「予見し難い」というのはどういう意味かということのお尋ねだと思いますが、毎年私ども予算を組みまして歳出歳入予算として国会の御審議を受け、御承認を得るわけでございますが、その際に、主としてこの租税収入の見積もりについては非常に慎重にやっておるつもりでございますが、現実の問題といたしまして、経済情勢の変化あるいは予想そのものに内在するいろいろな問題から、現実に一年度過ぎましたところで予想した租税収入を得ることができないということは残念ながら時々、殊に最近はかなりしばしばございまして、この点はいろいろな説明はございますといたしましても、政府としては最善の努力をして予見しました租税収入が最終的に欠陥に終わったということは、この一条にほぼ該当する、条件を満たすのではないかというふうに私は考えております。
  52. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 この決算調整資金に関する法律ができて、決算調整資金への繰り入れは、昭和五十二年度における制度創設時に一般会計から二千億の繰り入れが行われたのみで後はない、これは一体どういうこと、なぜなんでしょうか。  この決算調整資金というのは一般会計における収支の均衡を図ることを目的としてできたはずなんですけれども、常にこれがゼロで附則の国債整理基金からの繰り入れが続いているというのは、余りにも制度それ自体の根幹に欠陥があるのではないかというふうに思われるので、その点についてお尋ねをいたします。
  53. 津田廣喜

    政府委員(津田廣喜君) 決算調整資金と申しますのはいわば第一線の準備でございますけれども、たくさんあればもちろんそれだけいざというときの備えにはなるわけでございます。  しかしながら、五十二年度にこれを創設いたしましたときに二千億を入れ、その後は入れていないわけでございますが、一言で申し上げますと決算調整資金に入れるだけの余裕がなかったということでございまして、財政に余裕がありますれば、私どもとしてはできるだけこの第一線準備を充実させるということの必要性につきましてはみずから重々承知しているつもりでございますので、そういうふうにしたいところでございましたが、たまたま財政状況のゆえをもってそれができなかったということだろうと思います。
  54. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そこで、国債整理基金からの繰り入れが行われるわけでございますが、国債整理基金平成年度末の基金残高は二兆七千三百三十七億円で、平成年度七月に一兆六千百七十四億円が決算調整資金に補てんされて決算上の不足が補てんされたわけです。  数字的にはこれは五九%を占める額ですが、今後同様な事態が生ずることを考えますと、現在のような基金残高の水準で果たして間に合うと言えるのか。先ほど言われました第一線の決算調整資金の準備ができない場合に国債整理基金から持ってくる、制度的にこのような仕組みが果たして妥当なのかということについてお尋ねをいたします。
  55. 津田廣喜

    政府委員(津田廣喜君) 国債整理基金の残高についてのお尋ねですが、国債整理基金は、基金の状況でありますとか国債の償還見込みなどを考慮いたしまして、基金の運営に支障を生じないようにする必要があるということはおっしゃるとおりでございます。  我々といたしましては、基金からの繰り入れで対処し切れないほど多額の歳入不足が生じることのないような財政運営をするということが第一ではないかと思いますけれども、今のところは何とかできておるわけでございます。  それから、もっと積み増してはどうかという御質問もあろうかと思いますが、現在の財政事情を前提にいたしますと、国債整理基金への繰り入れを積み増しいたしますためには、現実には全額特例公債、いわゆる赤字公債をその分増額することになります。したがって、悪い財政事情をさらに悪くするということにもなりますので、我々としては、積み増したいとは思いますが、基金の状況が何とか回るぐらいのものにいわばできるだけとどめることもまた大事なことであるというふうに思っております。
  56. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、さらに積み増せ、積み増した方がいいと言っているわけではなくて、こうした国債整理基金というもので、本来ならば決算調整資金のところで行われるべきバランスが、そういう運営をされるのはどうか。  附則によれば、これは「当分の間」というふうになっているわけでございますけれども、その繰り入れについては、基金に属する現金繰り入れた場合にはその次の年度までに予算の定めるところによって繰入金に相当する金額一般会計から資金繰り入れなければならないということになっておりますと、平成十一年度予算案の立案がそれだけ不自由になり、そして拘束されるということになるわけですから、そうなりますと、一般会計財政が非常に危なっかしく順次なっていくのではないか。こういう制度の仕組みについてどのようにお考えかということであります。
  57. 津田廣喜

    政府委員(津田廣喜君) 決算調整資金決算調整制度そのものは、予想しがたい諸要因によって決算上の不足を補てんしなければならない状況のもとで、財政法の基本原則であります年度独立の原則を貫徹させるために置いてある制度でございます。したがって、毎年度財政処理をその年度限りで完結させまして財政処理の節度を確保するということで置いているものでございます。したがって、先ほども申し上げましたが、ともかく決算上の不足を生じることのないような財政運営に努めるということが第一であろうかと思います。  十一年度予算に関して申し上げれば、この繰り戻しといいますか、一兆六千億円の補てんのために赤字公債がその分いわば増加した、結果的にそうなったことは事実でございまして、大変残念なことではございますが、今後できるだけこういうことが生じないように努めてまいりたいと思っております。
  58. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 大蔵大臣にこの点についてのお考えお尋ねしたいのですが。
  59. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府委員が申し上げておりますように、大変に税収があって豊かであるときは別でございますけれども、そうでない場合に、国債整理基金というのは何がしかは金を持っていなければいざというときに困るわけでございますが、たっぷり持つということはそれだけ歳入補てん国債を出して賄うということになりますので、たっぷり持つということはなかなかどうも難しい。できるだけそこは上手な切り盛りをして不安がないように、しかし要らないものは持たないようにというあたりが一番いいところなのでございますけれども、きちんとはいきませんので、何がしかはやっぱり持っていなければならない。  そういう意味では、こういう財政窮乏の折には国債整理基金を持たなければならないが、たっぷり持つということがなかなかできないというのが、いい悪いでなく現実の選択になっております。
  60. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私が申し上げたいのは、基本的には、補正予算等により歳出の抑制を図ったりあるいは歳入の増加について検討するなど、抜本的にこの仕組みは直さなければいけないのではないか、多少のことはいいにしても、制度それ自身、現在やはり跛行的ではないかというふうに申し上げたいと思います。  あと時間がちょっとありませんけれども平成年度特別会計予備費から二百九億円というのが労働保険特別会計雇用勘定として出されております。これは予備費の使用で、積立金を取り崩し、かつ予備費を出している。ある程度の枠の中におさまればいいんですけれども、労働保険特別会計の行く末について、一言お尋ねをいたします。
  61. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 雇用保険におきましては、平成十一年度約二兆七千億の支出を見込んでおりますが、財源としましては、このうち一兆円は積立金の取り崩しでこれに充てるということにしておりまして、このままの失業情勢が仮に推移をしますと、平成十三年度中にも積立金は底をつくというふうな見込みでございます。  雇用保険は雇用対策のセーフティーネットの最も基幹をなすものでありまして、給付と負担の両面から今その見直しに着手している、こういう状況でございます。
  62. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 終わります。
  63. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 自由党の鶴保でございます。  十分ということでございますので、もう本当に骨子をなでるように質問させていただくことを御了承いただきたいと思います。  決算の予備費の件でいろいろとお話がございました。大蔵大臣がお見えでございますので、決調資金と予備費等のことからはちょっと外れるのでありますが、昨今問題になっておりますNPOについて少しお伺いをしたいんです。  本年二月の衆議院本会議で、大臣は本当に前向きな答弁、税制上の優遇措置も含めてこれからNPOを考えていくという答弁をしていただきました。確認の意味を含めて、大臣、そのことについて間違いないか、もう一度、一言お伺いしたいんです。
  64. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのように考えております。
  65. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 簡単にありがとうございました。  そのとおりと。こちらの方で整理をさせていただきますと、あのとき恐らく大臣は、NPOの活動の実態面を見た上で寄附の公益性が担保されるような仕組みを考えなければならないとおっしゃってくださいました。その後の各種委員会での各委員質問等の中で、実態面を見るにはどうすればいいのかというような議論をいろいろとされておられました。  ここからは事務方でも結構なんですが、所得税の控除を含めて、NPOについてかなり前向きな答弁をしたのはいいんですが、どのような対応を考えておられるのか。  海外の事例を見ておりますと、イギリスのように寄附金控除団体への優遇という方向、あるいはアメリカのように寄附者そのものに対する税制上の優遇措置という方向、これだけではないと思いますが、そういう二つの方向性があるように思います。イギリス側の説明によりますと、アメリカ型であれば富裕層には有利に働く、あるいはイギリス型については一般人に有利というか、優遇の方向が一般人が優遇されておるというような説明もあるように聞いております。  今の時点で答えられる範囲で結構でございますから、どのような対応を考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  66. 福田進

    政府委員福田進君) NPOに対します税制上の取り扱いについては、ただいま大臣から御答弁ございましたように、今後どのような団体がNPO法人としての資格を取得することになるのか、それがどのような活動を展開なされるのか、まずはその実態を見きわめた上で、公益法人課税のあり方、各種の法人、団体に対する課税とのバランス等、さまざまな観点も踏まえまして検討していくことになろうかと思います。  その場合に、まず、先生が御質問のように、二つの観点があろうかと思います。一つは、NPO法人自体の税制上の措置をどうするのか、それから、NPO法人に対します寄附金についての税制上の措置をどうするのか、二つの観点があろうかと思います。  御案内のように、現行の各種団体自体の課税関係の取り扱いにつきましては、現行の法人税制は、その事業内容にかかわらず、法人格を同じくする団体については税率は同じ法人格の団体を通じ一律であるべきという考え方に基づいておるところでございます。  NPOについて申し上げますと、その組織形態や活動内容がサークル組織や人格なき社団等に近いものから公益法人並みの組織に近いものまで、さまざまな組織形態、活動内容の団体が法人格を取得することが予想されている、またそのようなものが出てきております。一律に公益法人等について設けられている軽減税率等を適用することが果たしていいのかどうか、私ども悩んでいるところでございます。  それから、NPO法人に対します寄附金についての税制措置でございますが、控除対象となり得る公益性をNPOについてどのように認定、担保するかが今頭を痛めているところでございます。  我が国では、公益法人について、公益性の判断のみならず、ある公益法人が寄附金控除の対象となるかどうかの判断も基本的には主務大臣責任で行うことになっているわけでございます。国税について申し上げますと、国税について措置する場合には全国的な見地での統一性、画一性が求められるわけでございますが、公益法人について、このように全国的な見地では公益性が担保される仕組みとなっております。  NPOについて、公の関与からなるべく自由になるところに意義がございます。主務大臣によるそういった全国的な見地での公益性を担保する仕組みが存在いたしませんので、仮に現行制度、つまり公益性の判断は基本的に各大臣が行われる、そういう制度はなかなかとれないんじゃないかなと考えているところでございます。  仮に、全国的な見地での公益性を担保しようといたしますと、国とNPOとの関係をどう考えるのかというNPOの基本に触れる問題となるということで、なおここは慎重な検討が必要ではなかろうかと考えるところでございます。
  67. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 そうしますと、全国的、統一的な対応を担保するような組織、アメリカのIRSのようなものはつくる用意がないというふうな方向で今考えておると確認してよろしいのでしょうか。
  68. 福田進

    政府委員福田進君) 今、先生御指摘のように、アメリカでは内国歳入庁が対象となる公益団体を指定いたしまして、また先ほどお話しございましたように、イギリスでは内閣府に属するチャリティーコミッショナーズと称する行政機関が対象法人を登録するなど、各国で認定の機関が異なっておりまして、我が国においてどのような仕組みとするかについて現時点で具体的な考えがあるわけではございません。  いずれにいたしましても、まずは実際にどのような団体がNPO法人としての資格を取得することになるのか、どのような活動が展開されるのか、その実態を見きわめた上で、先ほども説明申し上げましたように、公益法人課税のあり方、各種の法人や団体に対する課税とのバランス等、さまざまな観点を踏まえて慎重に検討していくべきものと考えているところでございます。
  69. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 そうしましたら、その実態を見きわめる機関というのは、確認の意味も込めてちょっと答弁していただけますか。どちらが実態を見きわめ、その調査をされておられるのか。
  70. 福田進

    政府委員福田進君) NPOにつきましては、基本的にはこの法律経済企画庁が所管をしておるというふうに承知しております。
  71. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 と思ったんです。つまり、経済企画庁が実態を見きわめ、その調査の結果、大蔵省の方で税制上の控除、寄附の公益性が担保される仕組みとおっしゃられた、その辺の連携はどのようになっておるのでありましょうか。
  72. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府委員の御説明からもおわかりのように、どういうものができてどういう活動をされるのか、それが公益法人とどのような関係に立つのかという実態を、制度が始まったばかりでございますから見きわめたいというところまではよろしいんですが、それはしかし最後にはだれかが決めなきゃなりません。結局、今のところはこれで答弁としてはよろしゅうございますが、その上でだれが決めるのかということは、これは政府で決めなければなりません。そのことは今決まっておりませんけれども、これを決めなければこの制度のやりようはないわけでございます。  結局、悩んでおりますのは、なるべくNPOというのは政府の権限から自由にしたい、なるべく政府がかかわり合わないようにということが基本でありながら、免税をするということは政府の権力にかかわってしまうものですから、その部分だけはしかし何とかやりませんと、これはどうしてもそれから先へ進めませんから、それは将来決めなければならないと思っております。
  73. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 おっしゃっている意味はよくわかります。わかりますが、最終的に政府が決めるというのは、当然そうであろうと思うんです。だからこそ民の側は、NPOの側は、今どういう対応をされておるか、どこまで踏み込んでいくかというあたりを恐らく聞きたいんだろうと思うんです。水かけ論になりますから、今の時点ではわからないということで理解をさせていただきたいというふうに思うんです。  ただ、もう時間が来ましたのであれですが、現実問題としてはなかなか厳しいものがあると思います。全国的にアメリカのIRSのようなものを日本でつくっていこう、税務署がその担当の窓口になっていこうというあたりには非常に問題があるんだろうと思います。その辺については、行政の側でできること、ここまではできるけれども実際は難しいんだというあたりは、やはり大臣、具体的にこれから公の場で答弁をされていかれた方が私はいいと思うんです。  折に触れ、また時間のある限り質問させていただきます。本日はこれで終わります。  ありがとうございました。
  74. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本でございます。  最後の質問者でございます。あとしばらくよろしくお願いいたしたいと思います。  本日は、大蔵省初め幾つかの省の決算審査並びに予備費、それと決調資金ということで、私は先般、四月六日に大蔵大臣に御質問させていただきました折に、赤字財政についてのお話をいろいろお伺いいたしました。大変丁寧なお答えをいただきましたし、非常に大臣はある意味では楽観的な見方をされているというような印象を受けたわけです。私も、楽観的であればそれにこしたことはないなと思いまして、さらに質問をさせていただきたいと思ったんですが、時間切れになりまして、きょうを楽しみにしておったんですが、きょうもまた時間の都合から、また予備費と決調資金ということで、その質問はまた後ほどに残させていただきまして、きょうは少ない時間の中で予備費と決算調整資金について質問させていただきたいと思っているわけです。  予備費につきましては、これは名前のごとく予備的な金でございますから、それに使っていただく範囲のものであれば別に何もございませんが、決算調整資金、これは先ほどからいろんな質問が出ておりました。いろんな角度からの御質問で、私もいろんな面から理解をさせていただいたわけですが、何しろ、一兆六千億円ですか、この額が非常に大きいということが、ある面でいろんな誤解なり、正解かもしれませんが、いろんな質問の材料になっているということじゃないかと思います。  その点で、先ほど来大臣にいろいろ御答弁いただきましたけれども、まず一つは、先ほどの御答弁の中でも類推はできるんですが、これは明らかに赤字国債によって補てんされるものであると私は思っておるんですが、そういうふうに理解してよろしいわけでございますね。
  75. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのとおりと思っております。
  76. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ということは、一兆六千億もの金が不足したわけですから、使う分を減らすかあるいはそれに対して赤字で補てんするか、それはもう非常に重大な審議事項であるというふうに私は思うわけでございまして、今、決算委員会でやるよりも、むしろ予算委員会でやるべき性格のものではないかな、こんな気もするわけでございます。それは制度の問題もありましょうし、いろんな大きな問題もございますので、それをあえてここで議論をするわけではないんですが。  なぜこういう額が出てくるか、当然毎年そういう不足なりは出てくると思うんですが、そういうことを大蔵省事務当局の方々が非常に御苦労されて見通しを立てておられるのが毎年の実態ではないかなというような気がするんですが、そんな中でこれだけ大きな額が出てきたということですね。例年数千億ぐらいのものは出てきているやに私は見受けておるわけですけれども、一兆を超えるものが出ている。  また、見方によっては、この年に、平成九年ですか、十年になりますか、二月に補正予算を組んでおられるわけですね。その補正予算で、歳入減が一兆五千億だったですか、それだけの減額をして歳出を抑えておるわけですが、こちらの一兆六千億というのは赤字国債を出して歳出を抑えていない。全然性格の違うものであると思いますけれども、何かそれが、二月の時点で一兆五千億を減らして、決算期間というのはそれから数カ月後だと思うんですけれども、その間にまた一兆六千億が出てきたというのが数字的に何か疑問視せざるを得ないなというような疑問もございます。それは、特にだからといって私はそれがいい、いけないということはここでは申し上げるつもりはないんですけれども。  その辺に、大変御苦労されている事務当局の方々が補正予算を組まれるときの歳入見通しというのは恐らく十二月なり一月なりの時点であろうかと思うんですが、それから三月までの見通しだと思うんです。先ほど大臣は、いろんな面で経済情勢の変化等を言われておりました。確かにそういう面があろうかと思いますけれども、それよりもっと事務的な僕は見通しではないのかな、この辺が事務的な見通しでできるものではないのかな。たかだか三カ月か四カ月の見通し、たかだかと言っていいかどうかわかりませんが、そういう中でこういうものが出てきた。またこれから出てきては大変だと思いますけれども、その辺の見通しといいますか、そういうものをどうやって、どういうふうな格好でこういう歳入等の将来の決算額の見通しというものを立てられているか。  これは大臣にお聞きすれば先ほどお話を伺いましたような御答弁があると思いますので、事務当局の方からぜひともその辺を御説明願いたいと思います。それによってみんな国民の方々が納得するのではないのかな、こう思っている次第でございます。
  77. 福田進

    政府委員福田進君) 先生御指摘のように、平成年度決算では一兆六千百七十四億のいわゆる決算上の赤になっております。これの大宗は二兆二千八百四十五億のいわば九年度税収の減でございます。  実は、九年度一般会計税収決算額は、今申し上げましたように、補正予算額五十六兆二千二百六十億円に対して二兆二千八百四十五億円の減収となったわけでございますが、その主な減収要因は、大きいものを拾い上げますと三つございます。  一つは法人税でございまして、補正後の予算額から一兆二千八百二十六億円減になっております。それから消費税につきましても三千六百四十三億円減になっております。それから、三つ目の大きなものとして申告所得税でございますが、これが三千五百八十三億円の減少となっているわけでございます。  うち、法人税について申し上げますと、実はこの補正を見積もったのは、平成年度の十二月段階で見積もらさせていただいております。この見積もりを行いましたときの一番直近のデータが九年十一月のデータでございますが、例えば民間主要金融機関が十年三月期の企業収益の予想を行っておりますが、九年十一月の調査では対前年に比べまして一〇四・五%、つまり上向くというふうな見込みでございました。  私ども、こういった予想あるいは各企業からのヒアリングに基づいて十年三月期の見込みを立てさせていただいたわけでございますが、決算の実績といたしましては九六%ということで、見積もりよりも八・五ポイント落ちているということで法人税の減収につながったわけでございます。  なぜこのように落ちたかにつきましては、先ほど大臣から御説明がございましたように、九年秋以降の大手金融機関の相次ぐ破綻あるいは金融システムに対する信頼感が低下したということもございまして、十年に入ってからも年度末を控えて企業がいわゆる貸し渋りを一層感じたこと、あるいは九年夏以降のアジア経済の混乱が十年の年明け以降も続いて一層深刻になったことということでございました。  結果といたしまして、大変残念ではございますが、二十三年ぶりに経済がマイナス成長になったということ、これを予算を編成させて見積もりをさせていただいた時点で見積もり切れなかった、見込み切れなかったということで、大幅に補正予算額を下回る結果になったというふうに反省しているところでございます。
  78. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうも御丁寧にありがとうございました。  ただ、私の聞き違えかわかりませんが、前の年の十一月に予想された率よりも減ったということでございますけれども、それは補正に反映されるんじゃないかなという気がいたすんですが、その点。
  79. 福田進

    政府委員福田進君) 舌足らずな御説明で。  九年十一月のデータが一番新しいデータでございますので、それをもとにして十二月に補正を組ませていただいて国会へ提出させていただいて、平成十年二月の初めに可決、成立させていただいたということでございます。
  80. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 信用を置いております大蔵省のやられることですからそれは信用いたしたいと思っておりますけれども、これから前と違ってなかなか景気が予測できない時代が来ると思いますので、こういう予算審議にも相当するようなものを事後承諾ということのないような、そういう取り組みをぜひお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  81. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 他に御発言もなければ、質疑を終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより平成年度及び平成年度予備費関係八件並びに平成年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書を一括して討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  83. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になりました予備費承諾案件のうち、平成年度一般会計予備費使用調書平成年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書平成年度一般会計予備費使用調書(その1)、平成年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書(その1)及び平成年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書の五件については不承諾の意を、また、残余の四件については承諾の意を表するものです。  以下、その理由について申し述べます。  平成年度一般会計予備費使用調書及び平成年度一般会計予備費使用調書(その1)には、ゴラン高原兵力引き離し監視軍の司令部要員及び連絡調整要員として派遣された自衛隊員等の旅費等の経費が含まれています。イスラエルとシリア両軍の兵力引き離しと停戦監視、巡回という明白な軍事行動を主任務とする国連兵力引き離し軍に自衛隊が参加することは、憲法の平和原則に背くことはもとより、PKO協力法にも違反することは明らかです。したがって、そのための経費使用は承諾できるものではありません。  次に、平成年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び平成年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書(その1)についてです。これらの調書には、国民生活に密接に関連する経費使用も含まれており、それらの経費使用についてまで反対するものではありませんが、地元住民多数が事業計画無効確認訴訟を起こした長野駅周辺第二地区土地区画整理事業費補助のほか、大企業奉仕のための事業であるとして関係住民等から批判が出ている公共事業が多数含まれております。大企業優先の政治を正す立場から、承諾には反対するものです。  さらに、平成年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書につきましては、決算調整資金制度自体が、会計年度独立の原則を侵害し、放漫財政を進めて政府財政運営の節度を失わせるなど、財政民主主義と財政法の根幹を踏みにじるものであります。加えて、当該年度税収不足の原因は、消費税増税など九兆円もの国民負担増を押しつけて消費不況を招いた政府経済政策の失敗にあることは明白であり、到底承諾できるものではありません。  残余の四件の内容は、災害復旧に必要な経費雇用保険求職者給付に対する国庫負担金不足を補うために必要な経費選挙費用など、国民の生活と権利に密接に関連する当然の予備費使用及びNTT株式売却益による無利子融資の繰り上げ償還金の処理に関する経費増額であり、承諾に賛成するものです。  以上、各案件に対する態度とその理由を申し述べ、討論を終わります。
  84. 鹿熊安正

    ○鹿熊安正君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書外七件に対して承諾を与えるべきものと議決することに、また、平成年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書に対して承諾を与えるべきものと議決することに、いずれも賛成の意を表明し、以下、討論を行います。  予備費は、憲法第八十七条及び財政法規定に基づいて、予見しがたい予算不足に充てるために、国会の議決に基づいて設けることを認められた予算であり、内閣の責任において支出された後、国会事後承諾を求めるものであります。  まず、一般会計予備費使用の内容を見ますと、老人医療給付費等の国庫負担金不足を補うために必要な経費ナホトカ号流出油災害対策に必要な経費など、義務的経費あるいは災害関連経費のほか、八年十月の衆議院議員選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費、エイズ訴訟における和解の履行に必要な経費など、緊急に支出する必要がある経費となっております。  また、シリア・アラブ共和国南西部のゴラン高原における国際連合平和維持活動のための国際平和協力業務の実施に必要な経費への使用は、我が国の国際的責務を果たし、国際貢献を緊急に行うために必要な経費であります。  これらの予備費使用は、憲法及び財政法規定に照らして、いずれも適正かつ妥当なものであり、国民各位の納得を十分いただけるものと確信いたしております。  次に、特別会計予備費使用及び特別会計予算総則の規定に基づく経費増額について見ますと、食糧管理特別会計における返還金等調整勘定への繰り入れに必要な経費、労働保険特別会計における失業等給付金不足を補うために必要な経費交付税及び譲与税配付金特別会計における地方譲与税等譲与金に必要な経費増額などであり、これまた適正かつ妥当なものであります。  次に、決算調整資金からの歳入組入れ調書について申し上げます。  平成年度においては、金融システム不安やアジアの経済・通貨危機等の深刻な影響を受け、予見しがたい租税収入の大幅な減少等により、一兆六千百七十四億円の決算上の不足を生じました。その補てんのため、決算調整資金に関する法律規定に基づき、同資金から一般会計不足額を組み入れたものであり、これは法律に基づく適切な措置であります。  なお、一般会計への組み入れの際には、決算調整資金の残高がゼロであったため、その不足額については国債整理基金から繰り入れて措置しましたが、決算調整資金を通じた同基金への繰り戻しは、平成十一年度当初予算に計上して既に終わっております。  しかしながら、平成四年、平成年度決算に続き、再びいわゆる歳入欠陥が生じましたことは、まことに遺憾なことであります。政府においては、今後このような事態が生じることのないよう、総予算及び補正予算編成時における税収見積もりの精度向上にさらに努めるなど、適切な財政運営に一層努力することを強く要請して、予備費関係及び決算調整資金からの歳入組入れ調書に関する私の賛成討論を終わります。  以上でございます。
  85. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書平成年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、平成年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)、以上四件を一括して採決を行います。  これら四件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  87. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 多数と認めます。よって、これら四件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、以上四件を一括して採決を行います。  これら四件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  88. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 全会一致と認めます。よって、これら四件は全会一致をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、平成年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書の採決を行います。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  89. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会