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1999-05-17 第145回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十七日(月曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  四月七日     辞任         補欠選任      朝日 俊弘君     川橋 幸子君      内藤 正光君     岡崎トミ子君      星野 朋市君     鶴保 庸介君  四月二十七日     辞任         補欠選任      佐藤 昭郎君     有馬 朗人君  四月二十八日     辞任         補欠選任      有馬 朗人君     佐藤 昭郎君  五月十四日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     直嶋 正行君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         久世 公堯君     理 事                 鹿熊 安正君                 鎌田 要人君                 中原  爽君                 鶴保 庸介君                 岩本 荘太君     委 員                 岩城 光英君                 加納 時男君                 佐々木知子君                 佐藤 昭郎君                 清水嘉与子君                 世耕 弘成君                 平田 耕一君                 松村 龍二君                 水島  裕君                 浅尾慶一郎君                 小川 勝也君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君                 直嶋 正行君                 益田 洋介君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 八田ひろ子君                 大脇 雅子君                 福島 瑞穂君    国務大臣        厚生大臣     宮下 創平君        労働大臣     甘利  明君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        警察庁交通局長  玉造 敏夫君        環境庁長官官房        長        太田 義武君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        法務省民事局長  細川  清君        文部省生涯学習        局長       富岡 賢治君        厚生大臣官房総        務審議官     真野  章君        厚生省健康政策        局長       小林 秀資君        厚生省保健医療        局長       伊藤 雅治君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省医薬安全        局長       中西 明典君        厚生省老人保健        福祉局長     近藤純五郎君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        厚生省保険局長  羽毛田信吾君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        社会保険庁次長  宮島  彰君        労働大臣官房長  野寺 康幸君        労働大臣官房政        策調査部長    坂本 哲也君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省女性局長  藤井 龍子君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君        会計検査院事務        総局第五局長   小川 光吉君    参考人        環境衛生金融公        庫理事長     坂本 龍彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成八年度一般会計歳入歳出決算平成八年度  特別会計歳入歳出決算平成八年度国税収納金  整理資金受払計算書平成八年度政府関係機関  決算書(第百四十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成八年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成八年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成九年度一般会計歳入歳出決算平成九年度  特別会計歳入歳出決算平成九年度国税収納金  整理資金受払計算書平成九年度政府関係機関  決算書内閣提出) ○平成九年度国有財産増減及び現在額総計算書(  内閣提出) ○平成九年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     ─────────────
  2. 久世公堯

    委員長久世公堯君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月七日、内藤正光君、朝日俊弘君及び星野朋市君が委員辞任され、その補欠として岡崎トミ子君、川橋幸子君及び鶴保庸介君が選任されました。  また、去る十四日、木俣佳丈君が委員辞任され、その補欠として直嶋正行君が選任されました。     ─────────────
  3. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事鶴保庸介君を指名いたします。     ─────────────
  5. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、厚生省労働省環境庁及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。     ─────────────
  6. 久世公堯

    委員長久世公堯君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめてください。    〔速記中止
  8. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  9. 久世公堯

    委員長久世公堯君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 厚生省の問題につきまして幾つか御質問申し上げたいと思います。  まず、平成八年度、九年度、会計検査院が、特に社会福祉施設整備費補助金、これに関しまして検査をしておられるわけですが、特に平成八年度には集中してこの問題を検査しておられます。そして、この検査結果を拝見いたしますと、平成五年から八年までに交付された十社会福祉法人十二事業に係る五十一億六千万円の国庫補助金のうち、五億二千万円が不当な交付額だったという指摘をされているわけでございます。  これをよく見ますと、このうちの七法人施設というのはいわゆる彩福祉グループと言われるところでございます。そして、この彩福祉グループの不当と指摘された金額が三億三千万円。ところがこれは、厚生省によりますと、申請された計画に基づき交付決定をした、そして、その後明らかになったいわゆる丸投げの事実というのは、これはそのときには書類の上では全くつかめなかったんだというようなことで、これは本当に不当というのに当たるのかどうかという問題が出てきていると思います。  そこで、まず会計検査院に伺いたいんですが、これに関連してどういう事実を不当事項として指摘されたのか、まずお伺いしたいと思います。
  11. 諸田敏朗

    説明員諸田敏朗君) お答え申し上げます。  彩グループは、施設整備事業におきまして、実際の契約額より高額な契約額工事請負契約書を県にあるいは国に提出するなど、補助金交付要綱に違反しまして事業費過大にしていたり、また、一括下請契約により差益を生じさせたりしていたものでございます。  会計検査院といたしましては、このように過大となっていたり、あるいは差益を生じさせていた事業費部分補助対象とは認めないことから、その部分に係る補助金、ただいま先生指摘金額でございますけれども、三億三千三百九十一万円を不当であると指摘したものでございます。
  12. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 会計検査院のお立場から当然のことかと思いますけれども、この会計検査院が不当とした五億二千万円、あるいは彩グループに限っていいと思いますが、三億三千万何がしかのお金、この過大補助金、当然これは返還を求められるものかと思いますけれども、この処理、その後どうなさったのか、お伺いしたいと思います。
  13. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) いわゆる彩福祉グループ事件に関しまして過大交付をいたしました補助金につきましては、昨年、平成十年三月三十一日付で、埼玉県と山形県に対しまして、補助金等に係る予算執行適正化に関する法律、いわゆる補助金適正化法に基づきまして総額約三千万円の施設整備費国庫補助金返還を命じたところでございまして、その後平成十年六月までにそれぞれ返還命令どおり返還が行われているところでございます。  ただいま会計検査院の方から、不当支出ということで、三億三千四百万円程度の不当の支出判断があったわけでございますが、この額が補助金適正化法に触れるかどうかという問題がございまして、現在は禁止いたしましたけれども、当時丸投げそのものは認めていたわけでございます。したがいまして、この分については特別の調査をいたしたわけでございます。  すなわち、補助金目的外に使用されているかどうか、こういうことで、使われました補助金が適正にといいますか目的を達成する、すなわち施設がちゃんと動くようにできたかどうかということでその建物の価格調査をしていただいたわけでございます。これは、専門家お願いをいたしましてその価格を出していただきました。それに満たない額につきまして主として返還お願いした、これが約三千万円ということでございます。
  14. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 そうしますと、三億三千万円の不当と指摘されたものの中で、今おっしゃるような調査をして三千万円は返してもらった。あとは、これでもういいということになるのでしょうか。  伺うところによりますと、山形県あたりでは県が裁判を起こしているというようなことでございますけれども、その辺との関連はどうなっておりますか。
  15. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 法的な処理といいますか、国が出します補助金処理としては、基本的には適正化法に基づく処理としては私ども一応終わったかなと思っておりますけれども、ただ山形県とか埼玉県ははっきり言って損害を受けたわけでございます。信用的な損害と実際的な実額面での損害も受けたわけでございますので、これにつきましていわゆる行政訴訟というんじゃなくて民事訴訟的な訴訟を起こしているということでございまして、これはこれとして当然司法上の措置という形で解決すべき問題かなと、こういうふうに考えているわけでございます。
  16. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 会計検査院指摘がこれで終わるというのもちょっとおかしな話だと思いますけれども検査院指摘のように、法人理事長が経営する会社工事契約を結び、そしてその会社が全く仕事をしないでいわゆる丸投げをして三億三千万というもうけをつくった、こういうことに関して、法的には、行政的にはもう返すことができないというようなお話でございますと、何か一般人たちが考えておかしな話じゃないかなというふうに思うわけでございます。  そこで、検査院にお伺いしたいんですけれども、この状況を拝見しますと、非常に短い期間、平成五年から八年の間に一人の法人経営者が、理事長幾つもの法人認可をされ、そしてそこで、検査院資料によりますと三十九億五千万円、厚生省資料によりますと、恐らくこれは施設整備費が入っているのかなと思いますが、五十億円を超える金額が行っている。国庫ですので県はもっと出しているわけですが、そういったことを考えますとちょっとこれは異常じゃないかというふうに思えてならないわけでございます。  いわゆるこうした法人の異常な認可の仕方あるいはこういった国庫補助金交付の仕方、あるいは異常な丸投げの、その前は法的に違法ではないということでございましたけれども丸投げの実態、こういったことにも踏み込んで会計検査院指摘をしてもよかったのじゃないかというふうに率直に思うんですけれども検査院、いかがでしょうか。
  17. 諸田敏朗

    説明員諸田敏朗君) 会計検査院といたしましては、社会福祉施設等整備状況につきまして、事業主体である社会福祉法人等交付を受けました補助金等適正化を主眼として検査を実施しております。したがいまして、ただいま先生指摘社会福祉法人認可施設建設の承認などの適否そのものにつきましては判断する立場にはないということを御理解いただきたいと思います。
  18. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 厚生省もこういった彩福祉グループ事件を踏まえて、特別養護老人ホーム施設整備費不正受給を防ぐための措置をその後講じたというふうに伺っております。ポイントだけ教えていただきたいと思います。
  19. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) この事件を契機といたしまして、私ども内部部局から成ります調査委員会を設けたわけでございます。特別養護老人ホームだけでなくてほかの施設整備、それから社会福祉法人認可のあり方、こういったものを再点検したわけでございます。  その主なものを申し上げますと、これは平成九年度から実施いたしているわけでございますけれども都道府県におきます補助金対象施設の選定の際に、今まで課長一人でできていたわけでございますけれども、これを他の部局も含めました合議制による審査体制にした。それから、建設工事に係りまして、公共事業に準じました手続をしまして入札制度を義務づけたわけでございますし、先ほどお話がございました丸投げを禁止いたしました。  そのほか、建設工事の時点におきまして現地調査を実施いたしますとか、あるいは社会福祉医療事業団が並行いたしまして融資を行っておりますので、補助金融資を並行して審査するということで相互連携をとる、こういう形で不正を防止しよう、こういうふうなことで、まだ幾つかございますけれども、主なものは以上でございます。
  20. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 彩福祉グループ事件というのは、特に行政官もかかわった特異な事件だというふうには言えると思いますけれども、当時の検査院指摘の中にも彩グループ以外の福祉施設指摘されておりますし、また厚生省がことしの厚生省自己点検の日にまとめられた報告書進捗状況によりましても、検査院が触れなかった福祉施設の不祥事に対する国庫補助金返還を求めるというような例が七件も出るというようなことで、こういう事件が、福祉施設といいますと今までは志の高い方が篤志的な気持ちで一生懸命やってくださるというところで、行政チェックが甘かったのじゃないかというふうな印象をどうしても受けるわけでございます。  そこで検査院お願いなんですが、厚生省はそれなりに不正防止対策ということを随分今やっていらっしゃるようでございますけれども、このまま二年続けて終わりじゃなくて、もう少しチェックをされた方がいいのじゃないかというふうに思いますが、その辺はいかがでしょうかということと、それからさっき厚生省もおっしゃいましたけれども、実際に施設を決定するのは県のレベルです。県が補助金を出す。そうすると、県の係官の方々に、こういった問題が起きた、このチェックの機能をもう少しきちんとわかってもらうということも必要だと思うんです。  この辺、その意識の浸透をもう少し検査院としてもするべきじゃないかと思うんですが、その二点についてお伺いします。
  21. 諸田敏朗

    説明員諸田敏朗君) 会計検査院といたしましては、検査報告に掲記いたしました事項につきましては、国や団体の損失は回復されたか、また再発防止のためどのような改善の処置がとられたかにつきまして、処理完結に至るまで毎年報告をするなどしてフォローを続けているところでございます。  また、本院では、都道府県会計事務担当者などを対象講習会を主催したり、また各省庁等が開催する講習会に本院の職員を講師として派遣したりいたしまして、会計経理事務適正化や本院の指摘事項再発防止に努めているところでございます。  このような講習活動を通じまして、本件の指摘の趣旨を関係者に広く理解してもらうとともに、予算執行適正化を図るため引き続き厳正な会計検査を実施してまいりたい、このように考えております。
  22. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ぜひよろしくお願いいたします。  ところで、彩福祉グループ社会福祉事業、これは今どんなふうになっているのかお教えいただきたいと思います。
  23. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 彩福祉グループ幾つかの施設がつくられたわけでございますけれども事件発覚直後から全役員の刷新を図りまして経営体制を一新したわけでございます。  埼玉県、それから山形県の両県の指導のもとに、それぞれの施設におきまして、円滑に特別養護老人ホーム等事業が実施できる条件整備を図ることを最優先に事件事後処理に当たってきているわけでございます。  幸い、大部分施設におきましていわゆる支援団体というのが出てまいっているわけでございます。例えば埼玉県では、一つには埼玉県の看護協会、こういったようなものの御支援も受けまして順次可能なところから恒久的な体制づくりというものに移行が進められているわけでございます。現在ではこれらの特別養護老人ホームはほぼ満床の状況でございまして、地域におきまして十分その使命は果たしている、こういうことでございますが、まだまだ後遺症は残っておりますので注意をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  24. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 いずれもほぼ順調に運営されているという御報告でございますけれども、今御指摘ございましたように、埼玉県の一つ施設看護協会が譲り受けてやっているわけで、そこの会長にもお話を伺ったんですけれども、いわゆる事業団から融資を受けた二億数千万の返還、これを看護協会が引き受けて会員の経費から法人に寄附するという格好で進めるわけでございます。施設長看護婦にかえたりして中身については随分充実したというようなことで、おっしゃるとおりだというふうに思います。  ところが、運営してから思いがけぬことで、県から、過剰に補助金を出したからといって九十万をお返しくださいと。返しました。それから、手抜き工事なんでしょうか、おふろの水回りが大分悪くて、やっぱり相当高いお金を出して改装しなきゃいけなかった。そして今は、前理事長が着服した経費、これを給与所得とみなして追徴課税が来ているというようなことで、もうこれはしようがなくて裁判を起こしているというようなことで、内容的にはまだまだ十分安心してというわけにはいかない。思いがけないことにぶつかっているわけでございます。  これは一つ看護協会の例でございますが、恐らくほかのところでもいろいろ困難な面があるんじゃないかと思いますので、その辺につきましても、これは直接は県のことかもしれませんけれども事件にかかわっていない新法人まで不当に巻き込まれることのないようにぜひ御配慮いただきたいというふうに思っております。  この件はこれで終わりまして、次に看護婦の問題に少し入りたいと思います。  まず、大臣にお伺いしたいんですけれども、これからの雇用の場として、医療とか福祉分野というのは非常に雇用の拡大が認められるということで期待されているところでございます。特に、看護とか介護の担い手というのは、これから介護保険法が定着すれば当然需要は増大するということでございます。  ちょうど先週、看護の日、看護週間が開かれまして、いろんなところで、全国の医療機関福祉機関で実際に看護の体験をしたり看護の心に触れるというようないろんなイベントが開かれまして、たくさんの国民がこういったところに参加してくれるというふうな時代になっております。  たくさんの人たちがこういうところに入ってくるのではありますけれども、いわゆる高等学校を卒業してすぐこういうところに入る若い人たちというのは、どうしても専門教育を受けて資格を取ろうというような層だと思います。それから、あと中高年の方で少し研修を受けてこういう分野に入ってこようというような、この大きな二つの層に分かれるんじゃないか、もちろん男性も含めてですけれども、そういう層に分かれるんじゃないかというふうに思うんです。  例えば、看護だけを考えましても、今、高等学校を卒業している女子のうち五万五千人くらい、ですから全体の七%くらいに当たる人たち看護学校准看学校に入っている、こんなことでございまして、少子化の中でこれからこれ以上の人をこの分野にふやす、高卒者をふやすというのはなかなかこれは容易なことではないと思います。むしろ、この人たちが本当にきちんとした資格を取って定着できるような施策の方がずっと必要なんじゃないかというふうに思うのですけれども、この辺について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  25. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 御指摘のように、これから介護看護の問題は大変重要なことでございまして、資質の高い人材を確保する、しかも行動力のある、十分これからの介護等にたえ得る人材を確保する、その意味で若者をなるべく多く吸収できるような体制をとるということは極めて重要だと思います。  それから、特に看護婦さんの問題でありますけれども、御指摘のようにいろいろ看護婦の問題は、准看を含めましていろいろ問題はございます。しかし、需給関係からいいますと、今は需給状況は供給の方がむしろ多いくらいに一応なってきておりますが、現場における問題その他ございますので、これから准看の取り扱いを含めまして十分な看護体制ができるような体制をつくらなければいかぬということでやっております。  後でまた御質問があるかもしれませんが、一応私どもとしては、准看護婦問題については平成八年の調査検討会報告書に基づきましていろいろ対策を協議しております。その中で、准看護婦資質向上に関する検討会准看護婦移行教育に関する検討会というのが設けられまして、そして移行教育に関しましての報告書がまとめられておりまして、私どもとしては資質向上を図る一つの大きなよすがにしたいというように考えております。これは後で御議論があろうかと存じますが、経験年数が十年以上の准看護婦で、施行期間は五年くらいと限定いたしまして、そしてその充実を図っていきたい。  要するに、これからは福祉社会でございますから、人と物とそれからいろいろの物流その他が的確にうまく稼動するためには、やっぱり一番基本になるのは人材の養成だと存じますから、十分その確保と質の向上を図ってまいりたいと思っております。
  26. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 大臣が大分踏み込んでお話しくださいましたけれども、全体的に見ると需要よりも供給がだんだん過剰になってきつつあるというお話でございまして、そういう中からこの准看の問題、准看をそろそろ看護婦と教育を一緒にしたらいいんじゃないかという方向が平成八年十二月に出てきた、こういうふうに理解しているところでございます。  その報告に従って、今大臣指摘の二つの検討会移行措置検討会とそれから資質向上検討会が進められて、そしてつい先日、四月二十一日に移行措置検討会報告がまとまったということでございます。  そこでお伺いしたいんですが、局長、まずその移行措置検討会報告書のポイントだけちょっと教えてください。
  27. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 今先生お話しされましたように、四月二十一日に検討会報告書が出されております。  そこにおきましては、まず移行教育対象を、就業経験十年以上の准看護婦でありまして、移行教育の受講を希望する者とし、実施期間を五年間とする。それから、移行教育は理論学習と技術学習から構成し、教育時間数は三十一単位、九百三十時間とし、教育内容は、就業継続を前提とした問題解決型の社会人教育とする。理論学習は放送大学の活用を原則とし、技術学習は新たに移行教育所を設置し、実施する。三つ目に、移行教育修了者が受験する看護婦国家試験は、現行の看護婦国家試験と同一の試験を実施する。四つ目に、移行教育受講者が学習を継続できるように、学習環境に配意した学習推進支援体制を整備する等の提言を受けたものでございます。
  28. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 内容はわかりましたけれども、この移行措置というのは准看の養成の停止、これを前提として考えておられるんでしょうか。その点についてお願いします。
  29. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 准看護婦看護婦への移行教育は、先ほど大臣も答えられましたが、平成八年十二月の准看護婦問題調査検討会報告書の今後の対応として、看護職員の資質向上のため、また就業経験の長い准看護婦が希望している看護婦への道を広げるためのものとして検討を行ったものでございます。
  30. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 そこで、この辺がはっきりしないところが問題だと思うんですが、十年の准看護婦業務経験、五年間、一体予定される対象者というのはどのくらいいるんでしょうか。そして、現に働いていない家庭にいる准看護婦、これも対象にしているんでしょうか、どうでしょうか、お伺いします。
  31. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) まず、移行教育対象者数はどの程度かということでございますが、現在、准看護婦さんそれから看護士さん合わせて約四十万人いらっしゃいます。そして、今回の移行教育対象になる方は約三十万四千人と見込んでおります。そして、このうち移行教育の受講を希望する者は、大体調査結果を用いて推測をいたしますと、約十一万七千人となるわけでございます。  なお、家庭にいる人はどうかということでございますけれども、我々の方としては、就業経験を十年以上といっても、この実施期間中に十年になる人も含めての話でございますが、そういう方を対象といたしておりますということで、特に今就業ということについて限定をしていることはございません。
  32. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 そうすると、今の十一万七千人というのは、あくまでもこれは就業している准看護婦を土台にして計算した数なんです。ですから、当然のことながら、家庭にいる人でチャンスが開けたらやりたいという人ももっとふえてくる可能性はあるんじゃないかと思うんです。  それで、私がちょっと疑問に思いますのは、今働いている准看護婦にも高齢化現象が出てきているんです。資料で見ますと、四十五歳以上が三二%、三分の一は四十五歳以上である。四十歳以上からするともう四六%というふうなことで、かなり年齢が高くなってきている。  ところが、進学コースに入っている四十歳以上の人はどのくらいいるかというと、たった二%しか入っていないんです。つまり、かなり経験の長い人が非常に入りにくいコースになっている。しかも、その進学コースがふえてきたというのは、昭和四十年代後半から五十年代くらいです。  そうしますと、その前に卒業した人は本当に狭き門で進学コースに行けなかったということがございまして、今既に進学コースが広く開かれているわけでございますから、もしこういう特例措置を開くのであれば、当然そういうチャンスのなかった人をまず優先的に先にやるべきじゃないかというふうに私は思うんです。  今のような形で、十年くらいでしかも五年間だけで切るという意味がよくわからないのですけれども、こういったことにすると、むしろ今の進学コースを変形して新しいコースにするんじゃないかというふうな、要するに通信教育、放送大学のコースを、今の進学コースのほかに新しいコースをつくって自由に行けるようになるんじゃないかという疑問を持つ人たちがいてもそれはしようがないことだと思うんです。今のようなコースでやるのであれば、むしろ准看護婦制度をやめて看護婦制度一本にする、そういうときの移行措置として思い切ってやるような、そんな計画なんじゃないかなというふうに思うんですけれども局長、いかがですか。
  33. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 今、先生お話をされましたように、准看護婦さんの中で、従来からあります進学コースという、准看護婦さんになられてからまた新たに学校へ進むという進学コースがございますが、そこの方は卒業してからほぼ五年以内の方がほとんどで、先生が今おっしゃったように、相当経験を積まれた方はなかなかそこには行けないということで、中高年に入りかかったような准看護婦さんが多いというのが現実でございます。  今回の場合はそういう方々にできるだけ看護婦さんになっていただきたいということで特別の措置として考えたものでございまして、私どもとしては、これを恒常化というところまで考えて今回の検討会は行ったわけではございません。  その背景には、先生がおっしゃいましたように、検討会先生方は、ある一部の方は、特別措置としておくことが実は准看護婦さんをもう今後は養成しなくなるという方向に行くのではないか、こういう御期待をされてそう発言された方も当然いらっしゃるのではないかと思いますが、これは関係者の合意として、卒後十年の臨床経験と、それから特別措置として五年間だけ実施をするということで関係者の合意を得たものというふうに考えておるところでございます。
  34. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 そうおっしゃいますけれども、今私が指摘しましたように、もっと長い経験の人たちが学校に行けなかった、この人たちを救うべき措置ではないのかという問題が一点。それから、これだけたくさんの対象の人がいるにもかかわらず五年間だけで切って本当に意味があるのかという問題が残されているというふうに思います。  時間が余りありませんので次に進みますけれども移行措置の中で重要な責任を負うのが放送大学ということになっているわけですが、報告書の中では余り放送大学のことは触れられていないんですね。これはすべて文部省にお任せするということになるんでしょうか。  そういうこととして放送大学についてお伺いしたいんですが、長い経験を持って進学コースに行けなかった准看護婦が自宅にいながら、就業しながら看護婦の道にチャレンジできる、このときに放送大学が活用できるということは私は大変いいことだというふうに思っています。特に、放送大学は昨年一月から衛星放送を活用して、日本全国どこでも自宅にいながらテレビとかラジオを通して授業を視聴できる体制が整えられたということでございまして、これは本当にチャンスではないかなというふうに思っているわけですが、文部省として、この放送大学が移行措置に協力する、このことについてどんなふうにお考えでしょうか。
  35. 富岡賢治

    政府委員(富岡賢治君) 先生指摘いただきましたように、放送大学は平成十年一月から衛星放送を利用しまして全国放送を開始しまして、日本全国津々浦々の自宅で授業を視聴することが可能になったわけでございます。  放送大学は学部レベルの教養教育を中心に授業を実施しているわけでございますけれども、社会的に要請の高い分野人材に係りますリフレッシュ教育にも積極的に取り組んでいるところでございます。この点で、准看護婦資質向上を図る移行教育についても放送大学としては積極的に対応できるものと考えているわけでございまして、現在その移行教育の実施に向けまして厚生省とも連携をとりながら鋭意検討を続けているところでございます。
  36. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 移行措置、九百三十時間の中で約七〇%は放送大学にお願いする、理論教育だと、こういうことでございます。  しかし、十科目二十二単位ですか、こういう理論教育を担当するわけですけれども、実際、放送開始までに、教科ごとの担当教授の決定でありますとか教科内容の確定、あるいは番組の作成でありますとか補助教材づくり、さまざまな事業が進められなきゃならないわけでございます。  放送大学の中身を拝見いたしますと、専任の教授陣には看護婦はだれもいないというような状況の中でどのように対応できるのか、そしてまた、今ゴーのサインが出たとして、一体どのくらい先にこれが実施できるのか、ちょっと見通しをお伺いしたいと思います。
  37. 富岡賢治

    政府委員(富岡賢治君) 先生指摘のように、移行教育を実施する場合には放送授業としての番組の制作と印刷教材の作成という大きな柱が必要となるわけでございまして、具体的な科目内容の検討とか主任講師の人選とか、あるいは番組内容や印刷教材の内容というようなものを詰めていかなくちゃいけないわけでございます。  一般的なことで申しますと、やっぱりおおむね二年程度のそういう準備が必要になるのではなかろうか、また所要の経費も必要になろうかと思うわけでございますが、この点につきまして、この五月から放送大学内にも会議を設けまして、そういう準備を今鋭意進めているところでございます。
  38. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 二年でも随分特急な方だと思います。  この準備、今予算が全くとられていないんだと思いますけれども、実際準備までに、あるいは運営にかかる経費というのはどうなるんでしょうか。これは文部省がおとりになるんでしょうかということと、それから学生が実際に受講するのにどのくらい経費がかかるものか、その見通しを教えていただきたいと思います。
  39. 富岡賢治

    政府委員(富岡賢治君) 具体的な番組の内容や制作方法で経費の変動がいろいろ予想されると思いますけれども一般的な所要経費のおおよその見積もりということになりますと、三億円とか四億円とかというようなオーダーになるのではなかろうかと思うわけでございます。また、いろんなシステムを動かさなくちゃいけませんので、そこら辺がまだ現時点では正確に算出することは困難でございます。  学生の負担経費ということでも、今ある科目等の履修生のような形態でなされるということになりますと、大体二十二単位ぐらいを想定されるということですと、おおむね十万弱ぐらいの金額のオーダーになろうかと思っているわけでございますが、これも内容等をもう少し詰めましてから、その予算措置のあり方などについてもよく厚生省とも相談してまいりたいと思っております。
  40. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 概略ということでございますけれども、かなりな経費がかかる。そして、受講する学生自身もお金が相当かかる、準備しなきゃできないということでございます。この辺についてまたぜひ御検討もいただきたいというふうに思います。  それからもう一つ、技術学習の移行教育所というのがあるんですが、ここに二百七十時間受け持たせるということでございます。一体これはどういうことでこういう移行教育所が置かれるのか、そこについて教えていただきたいと思います。
  41. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 移行教育所で実施をするのが技術学習でございますけれども、それは現実には、現在ありますところの看護学校等の施設をお借りして設置をするという形になろうかと思います。そこで技術学習を行っていただくということでございます。
  42. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 そもそもこの移行措置を開始するというのは、経験の長い人で、そしてその人たちが就業しながら自宅で資格が取れるんだということで始まったと思うんです。  ところが、移行教育所、また学校をつくり、学校に行かなきゃいけない、しかも二百七十時間。しかも、学校で技術学習をするという意味がどうも何なんだろうかというふうに私も思うんです。一般看護婦だって、看護婦になるための学内での実習というのはもちろんあると思いますけれども、そんなに長い時間やっていないんです。そんなに長い時間、臨床の場では相当やっていますけれども、学校の場ではそんなにやっていない。それを、こんなに経験の長い人をまた連れてきて学校だけでやるというのがどうも私は意味がわからない。そして、もし学校に行くとすれば、例えば離島、僻地の人はどうするんですか。またそこに行かなきゃいけないというようなことになって、やっぱり学校に行ける人が、もともとの趣旨と違った形になるんじゃないかということを大変恐れるわけでございます。  移行措置の問題については、移行教育所の問題についてはいろいろ問題があると思います。しかも五年で廃止する学校ですから、これはもう当然のことながら今ある学校でも使わなければ本当にむだなことになると思いますし、しかし教員はふやさなきゃいけない、こんなことが本当にできるんだろうかというようなことをいろいろ考えるわけです。もしやるとすれば、当然のことながら国、県、こういった公的なところが率先してまず受け皿になるということも必要でしょうし、またもっと臨床の場で研修をできるような仕組みも、もし本当にそれが必要ならば、もういっそのことそういう技術学習は全部省略するという手もあるかもしれませんけれども、もし必要であれば、それはもう少し広く本当に実行できるような形でやらなければ意味がないんじゃないかなというふうに思うところでございます。  どうしてこんなにいろいろ問題が起きながら決着しちゃったかというと、養成停止ということがはっきりしないで検討が進められたおかげで、検討会の中でも一体どっちに向いてその検討の結果が決まるのかということが最後までごちゃごちゃとしたというふうに伺っております。だから、せっかく決めた新しいコースであるにもかかわらず、何か中途半端な感じがしてならないわけなんです。新しいコースのスタートは、やっぱり関係者から喜ばれないようでは、そして看護教育全体の前進につながらなければ何にも意味がないと私は思えてならないんです。  そこで、経験の長い准看の人に道を開くということについては私は賛成をいたしますけれども、ぜひ十分時間をかけてみんなの合意を得られるように、その辺についてはぜひよろしくお願いをしたいと思います。  また、資質向上検討会についてはまだ結果が出ていないそうで、これはもう時間もなくなりましたので省略いたしますけれども准看の教育の時間を延ばして質を高めようという話なんですけれども、そもそも准看の学校に入っているのはほとんど高卒者です。そこを何にもいじらないで、ただ時間だけ延ばして一体何の意味があるのか。准看をもう将来やめようと言っているにもかかわらず、准看の教育を充実させるというのは一体どういう、何か矛盾しているんじゃないかというふうに思えてなりませんので、これについても十分御検討をいただきたいというふうに思っております。  最後になりますけれども准看養成を担当している教員の中からもあるいは現場の婦長さんたちからも、やっぱり今の准看護婦の養成ではもう十分ではないという声が上がってきておりますし、准看自身そう思っているからこそ、学校を卒業したらほとんどの人が進学して看護婦の道を選ぶというのが実態になっているわけです。ですので、その辺についてはぜひ十分御検討いただきたいというふうに思っております。  最近は本当に医療過誤がたくさん起きているわけでございまして、これは看護婦でも事件を起こしているわけです。今、病院に行きましても、どの人が看護婦だかどの人が准看護婦だか、本当は国民のみんながわからないのが実態です。そして、仕事の中身もみんなごちゃごちゃと一緒になってやっているというのが実態でございまして、こんなに危険きわまりないことは本当はないわけでございます。  ある程度、看護婦の数もこれだけ多くなってきたところでございますから、しかも情報公開、いろんな制度が進んでくるところでございますから、看護婦准看護婦がしっかりと責任のある仕事ができるような体制にするべきだと思いますし、また時代の要請に合わせて看護婦の教育をしっかりと、できるだけ現場の状況を見ながらですけれども、やっぱり三年のコースに統一していく、少なくともそこまで統一していくという方向でぜひ御検討いただきたいと思います。  この点につきましてぜひ大臣から御意見を伺って、質問を終わりにしたいと思います。
  43. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 委員看護行政に非常に精通して、実際にその任に当たられたこともある方でありますので、御意見を承っておりますと一々ごもっともな点が非常に多いです。  今回の移行教育もそうした方向の中の一つの一里塚と言ってはちょっと語弊があるかもしれませんが、そんな私は感じを率直に持っております。また、医療現場において、准看護婦さんと看護婦さんの区別が本当は患者側からしますとわかりません。あるいはお医者さんの間でも使いようを区別なさっていないのではないかと思われる節もあります。  そういったことを踏まえて、制度のあり方は、検討会でも二十一世紀初頭までにということでございますので、さらにまだ検討を重ねて、移行教育移行教育として五年間ということでございますが、やった上で、なおいろいろの問題が、確かに対立的に意見がございますからそう一気にというわけにはまいりませんが、看護婦制度の統一あるいは資質向上等を目指して今後努力をさせていただくつもりでございます。
  44. 水島裕

    ○水島裕君 決算には間接的にしか関係ないかもしれませんけれども、今回私は厚生、環境の分野でアップ・ツー・デートの問題を幾つか取り上げたいと思います。  まず最初は、ダイオキシンなどの環境ホルモンの問題で、これは大変重要でございますし、国民も心配しておるところでございます。私は、事実関係が一番大切で、例えばダイオキシン類でしたらどのようなものにどのくらい含まれて、しかもそれがどういうふうに変化しているかということが大切だと思います。  ここに都のデータがあるんですけれども、それで調べますと魚が一番危ない、トータルとしては一ピコグラム以下でございますので基準以下だと思いますけれども、魚が五〇%以上になっているということなんです。もう一つ厚生省で調べたデータで、大阪府で母乳の中のダイオキシン類を調べてきますと、これは年々下がっていく。いろいろ環境などをきちっとやったためにだんだん下がっている。ですから、もしほかがそうであればそう慌てて、着実に規制をしていけば、政策を行っていけばいいわけでございますので、そういう点で私は、その魚、つまり食物連鎖の最後が魚でそれを人間が食べるわけでございますし、そういう理論的にも重要そうだし、またデータの上でも重要である魚について、これは給食なんかでとっておる魚もございますので、経年的にどういうふうにダイオキシン類が変わっておるかということを至急調査し、国民に知らせるというのが一番大切じゃないかと思いますけれども、まずその辺から御答弁をお願いしたいと思います。これは厚生省
  45. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 食品のダイオキシンの汚染実態についてでございますが、厚生省におきましては、平成四年度から食品の汚染実態調査を行っておりまして、魚につきましては平成九年度までに合計二百五十二検体について調査を実施いたしているところでございます。  また、個別の食品の汚染実態だけではなくて、どのぐらい摂取しているかということも非常に重要な調査でございますので、平成八年度から、通常の食事から取り込みますダイオキシン類の量を把握いたしますために、一日摂取量調査、トータルダイエット方式によります調査でございますが、この一日摂取量調査を実施しているところでございます。  直近のデータによりますと、二・四一ピコグラムというふうなデータも得られているわけでございますが、先生指摘の過去の食事由来のダイオキシン類摂取量の推移というものも御指摘のように重要でございますので、そういったものを把握いたしますために、一九七七年、昭和五十二年から保存をされておりますトータルダイエット資料というのがございます。これを用いまして、平成十年度に五年ごとの摂取量について把握をいたしますために調査を行っているところでございまして、これらの調査結果がまとまり次第、公表することといたしておりまして、今後とも食品中のダイオキシン類の実態調査を拡充する方向で実施をしてまいりたいと考えているところでございます。
  46. 水島裕

    ○水島裕君 環境庁長官、国民の側あるいは学者の側から見ましても、母乳と魚が年々どうなっているかというのがわかれば、もちろん所沢とかある特殊な場所とか、そういうことは別としまして、かなり安心もできるし、あるいは逆に至急対策をとらなくちゃいけないかというのがはっきりすると思うんです。それも、厚生省の、大阪のような一カ所のデータだけでいい悪いというのはいかにも危険でございますので、その二つに関して日本の何カ所かで検査していただくというのが一番大切なので、ぜひお願いしたいと思います。  それには、測定の感度をよくするということと、それから簡便さ。今だと、とにかく二十八万円かかって前処理で何カ月もしないとできないというのではとてもそういうデータはとれない。それからもう一つは、少量で済む。給食なんてそんなにたくさんとっているわけではありませんから、一回調べて失敗したらもうだめになってしまうわけでございます。その三つができるように、これは、私どもも随分研究開発にいろいろ関係しておりますけれども、バイオチップなんかを使えばかなりできそうなわけでございますので、そういう研究には思い切って予算を出して、簡便、感度それから少量で済むという研究を大至急やっていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  47. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) ダイオキシンを初めとしますいわゆる環境ホルモン、内分泌攪乱化学物質等の問題を解決していくためには、今先生おっしゃるように、感度が高いものでかつ簡便な測定法、かつ少量の検体で測定が可能になるものというのを早く確立することが必要だと思っておりまして、そういう全く御指摘の問題意識のもとに、実態を正確に早期に把握するということに取り組むべく頑張っております。  本年度から、国立環境研究所におきましても、内分泌攪乱化学物質総合対策研究を実施しておりまして、この中で微量分析技術の開発や迅速な計測技術の開発に取り組んでいるところでございまして、今後も研究予算を確保して頑張っていきたいと思っております。
  48. 水島裕

    ○水島裕君 長官を初め環境庁の方、それだけでございますので、ありがとうございました。残りは厚生省になります。  厚生省について質問する前に、厚生省の体質について私が感じていることをちょっと率直に申し上げさせていただきたいと思いますけれども、私も議員になる前は厚生省のいろんな審議会とか研究班の班長とかいろいろたくさんやらせていただきましたので、厚生省の御意見というのは大体私も同じ意見だし、ほとんど全部賛成できる意見なんですけれども、それでもやはり厚生省には大きく二つまだ問題点が残っているような気がするんです。  一つは、ほかの省庁もそうかもしれませんけれども、一度決めてしまいますと、中で少しおかしいとかそういう意見があってももうそれでずっと頑張ってしまう、なかなかフレキシブルに変えないというところが一つ。それからもう一つは、一度問題を起こしてしくじってしまったり世間のすごい非難に遭いますと、今度は物すごい厳格になりまして、こんなことまで規制しなくていいんじゃないかと、この間の厚生省関係の公務員の問題がそうですけれども、そこまでなさるかというようなことでございます。これからの質問にその二つのいい例があるような気がしますので、そのことも参考にして聞いていただけたらと思います。  第二の質問は、介護保険の中で非常に重要なものの一つであります介護認定基準についてでございます。これは、以前、国民福祉委員会でも申し上げたんですけれども、皆様方のところにお配りしてございますけれども、五月十日の朝日新聞に「要介護度 改良ソフトまだ矛盾 症状重い人、低く判定も」と。どうもこういう例がたくさん出てくる。いろいろ検証してまたソフトを変えても、まだまだいつになっても問題点がたくさんある。  どうも一番最初からいろいろ問題点があったんじゃないかというふうに私も思いまして、いろいろ調べてみました。どこに問題があるかというと、もとのデータがおかしいか、あるいはこういうソフト、認定の基準をつくる仕方がおかしいかのどっちかでございますので、私は両方ともちょっと問題があるんじゃないかというふうに思います。  簡単に、私の方から申し上げることでもないと思いますけれども、三千四百例の介護を必要としている方々のデータを克明に調べて、どういうサービスをどの程度の時間受けているかというのを一つのデータにとって、それからもう一つは、床ずれがあるとか排尿後の始末ができるとか、いろんな項目を幾つか挙げて、それの相関から計算したソフトをつくったということ、大まかに言うとそういうことだと思います。  そこで問題なのは、最初の三千四百例、そのもとのデータになっている人が受けていた介護の量とか質、長さ、それが果たして妥当であったか。私もあちこちの医療機関とかあるいは福祉機関を知っておりますけれども、こういう人が来て何を何時間やるというときには、それぞれその患者さんにもよりますし、お医者さんにもよりますし、看護婦さんにもよりますし、いろんなことを決めるわけですけれども、それが果たして妥当かどうかというところを決めてから研究を、こういう作業を始めないと、もとがおかしかったらしようがないわけでございますから、どうもそれがされていないというのが一点。  それからもう一つは、でき上がったときはいいんですけれども、でき上がってこれを検証するときに、合っているかどうか見るときに、機械は人がつくるものですから、そういうことが全部できる人よりは機械の方が質が悪いに決まっているわけでございますから、機械より十分よくできる人に患者さんあるいはお年寄りを診させて、そのデータが合っているかどうかを検証するわけです。  そのときに、お聞きしますと、第一次、コンピューターで判定した結果がいいかどうか、コンピューターの結果を知っていてそれがいいかどうかということで判定したらしいんです。そうすると、こういう学問においては絶対こういうことをやったらバイアスがかかってだめなわけということが決まっているわけでございますので、やはりこれはブラインドで、コンピューターの判定を知らなくてこちらも判定して、それと合うかどうかとしなくちゃいけないのが、その辺もやられていないというのが大きな二点だと思います。  やはり、きちっとできるものはやるし、またすごく膨大だからとても今すぐにはやり切れないというんでしたら、そういう問題点があるんですから、ほかのいろいろ検証したデータでもってフレキシブルに直すところはもっと直すというふうにしないといけないので、これが狂っていると介護保険全般にすごく信頼度がなくなると思います。  この間も申し上げましたけれども、私の言っていることが間違っていたらいつでも言いに来てくださいといったら、大体合っているというような話でございますので、そうであったらやはり前向きに、先ほどの厚生省の悪い体質を出さないようにぜひ検討していただきたいと思います。  いかがでございましょうか、これ、大臣もちょっと。
  49. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 認定の問題は、介護保険を本当に信頼性のあるものにするために大変重要なことでございます。そして、一次判定とそれからかかりつけ医等による審査会の判定、二段構えになっておりますが、総じて言いますと、今御指摘のように三千四百例のケースでこのソフトをつくりまして、そして八十五くらいの項目についていろいろ聞き取りしたものを投入していくという形で第一次判定ができるようになっております。  私もコンピューターのソフトのことは必ずしも詳しくございませんけれども、その結果、私ども調査でもかなり実態と反するというようなことも指摘されておりまして、これは三月中にいろいろ検討をいたしまして、修正すべき点は修正するということで一次ソフトの改良も行いました。それから、重症度と介護の手間、時間というのは必ずしも並行はいたしませんけれども、そういったことどもを総合的に見まして訂正すべきことは訂正するということで、たしか四月末にそういう認定の基準等をお示ししたところでございます。  今後もこれが万全かどうかという点になると、なかなか、三千四百でいいのか、もっとケースをふやした方がいいのか、あるいは八十五の質問の累計でいいのかというような問題、基本的な問題がございますが、とりあえずのところは私どもはこれでスタートし、そして認定審査会の総合判断も尊重してまいりたい、こう思っておりまして、悪いところがもしかあればどんどん直していくことが必要であろうかと思っております。
  50. 水島裕

    ○水島裕君 局長も御意見があったら御答弁いただきたいんですけれども、私は三千四百例は数からいえばもう十分過ぎるほど十分だと思います。ただ、その人たちのデータが正確でなかったらそういうふうに認めていただいた方がいいわけですけれども、それからもう始めちゃっているために第一次の方でやられても矛盾点が出てくるというのは当たり前ですよね。  それからもう一つ、検証も、先ほど言った方向でやらなかったら検証したことにならないわけですね。それで、お聞きした範囲では、一番最初は、十年ですかに一度検証をやったら九割ぐらい合っていた。だけれども、その後やったらもっと低くなってしまった。理由は何だと言ったら、最初の検証をするときはコンピューターの結果を知っていたので、どうもそれに引きずられたみたいだというコメントがあったそうでございますけれども、それはブラインドでやっていなければそういうことになるわけでございますので、私、井形部会長にも電話で申し上げておいたんですけれども、やはりもし不備な、問題点があったんだったらそういうふうにきちっとおっしゃって、直すところは直すというふうにしないといけないと思います。  これ、エイズのときも、やはり正しい意見はずっと一連の間にあったんです。あったんだけれども、それは正しい意見が入らなくて最終的にはああいう結果になってしまったということ。今度のは、何か問題があっても、不公平とかということで、だれかが死ぬ死なないということじゃないとも思いますけれども、これは認定というのは制度の中の非常に大きなテーマでございますので、ぜひまた検討して、こちらに言うこととか何かあったらぜひおっしゃっていただきたいと思います。
  51. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) ただいま大臣からの答弁がありましたように、何回も修正をいたしたわけでございまして、それでデータそのものの是非というのは当然あろうかと思いますけれども、これにつきましては、かなりの施設で行ったわけでございますけれども、割合定評がある施設をもとに一分間のタイムスタディーを行いましたので、かなり精度は高いというふうには思っております。もちろん万全かというとそうでもないわけでございまして、したがいまして三千四百の例、質量ともにこれからやはり充実をさせていく必要がある、こういうふうに思っております。  三千四百、先生は多いというお言葉でございましたけれども、やはりモデルをもとにどの程度の介護時間を要するかということでございますので、いろいろなタイプのモデルがあった方がいいわけでございますので、やはり数はあった方がいいし、もちろん質も当然それに伴ってある必要があるわけでございます。  それで、とりあえず四月の終わりに告示をいたしまして基準を決めさせていただいたわけでございますけれども、十月からの実施の前にも一部地域におきまして検証を行いたいと。こういうことで、どうしても直さなければならないという事情が生ずれば手直しを行う等、私どもも、第一次判定に用いますデータの集積等、それから要介護認定の円滑な実施に向けまして取り組みを引き続き継続して行いたい、もちろん始まってからも当然この作業はやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  52. 水島裕

    ○水島裕君 御答弁をお聞きしていると、やはりよくおわかりになっていないんじゃないかなという気がいたします。  普通は、こういうことをやりまして何度も何度も改定をする必要はないんです。私も議員になるまでQOLを調べるのにはどういう項目がいいかというので厚生省の研究班で班長でやりましたけれども、ある程度の大きな、三千もしませんでしたと思いましたが、何百かせいぜい千ぐらいですけれども、その材料を二つに割りまして、片一方でデータをつくって残りのデータで検証して、もちろん先ほど言いましたようにブラインドで検証しました。大体一回で合ってしまうんです。  ですから、これは先ほどから一〇〇%万全じゃないとかというふうにおっしゃっていますけれども、お聞きした範囲で、それから、こちらの質問にそれ以上何かが、こちらの言っていることが間違っていたらいろいろ言ってくださいと言っても、いや、そういうところはない、こちらの言うとおりでということから判断いたしますと、全然万全じゃないと思います。ですから、ぜひ至急御検討いただいて、また私の方に問題があったらぜひおっしゃっていただきたい。こんな何度も何度も修正して、まるっきりデータが違っちゃうと新聞からも指摘されているというようなことは通常は起こらないことだと私は思います。  それじゃ、この問題はこれぐらいにいたしまして、次に移りたいと思います。  三番目と四番目は、これも重要な問題ですけれども、多分お答えは単純にしていただけるのではないかと思います。  第三番目は、画期的新薬の定義ということなんですけれども、現在、医療保険制度の抜本改革ということで一生懸命やっております。各団体からも意見を聞いて、それがなかなか合わなくてということですけれども、各団体それから私どもも、薬価の問題が非常に大きな問題になっているわけですけれども、その中でいろいろ意見が違うんですけれども、意見が完全に一致しているのは、日本で画期的医薬品をつくれるように、これだけはちゃんとしなくてはというのが一致している意見でございます。私も、もうずっと前から日本が画期的医薬品をつくれる国になるようにということで希望もしておりましたし、私どもも働いてきましたけれども、結構そうなってきているわけです。  一つの例は、アメリカで今売れている順番に薬を二十五リストアップしますと、アメリカ人が使っている薬の二十五個を上から挙げていきますと、そのうち六つが日本でできたものなんです。ですから、アメリカでもこれは日本でできた画期的な医薬品。じゃなくちゃこんなに売れない。  ところが、その日本でできた六つの画期的医薬品を厚生省がつくりました画期的医薬品の基準に当てはめると、どれも当てはまらない。ですから、アメリカではいい画期的なものをつくってくれたと言っているけれども、日本の基準では画期的じゃないということであります。  それで、画期的医薬品以外のものは薬価を安くするとか審査は普通にやるとかというのが今の日本の基準でございますので、せっかく我々が国会で改革して画期的医薬品をつくろうということを申しましても、メーカーも学者も今の基準では画期的医薬品はほとんど生まれないということで戸惑っているわけでございます。  もうちょっと詳しく申し上げますと、従来、日本はゾロ新、まねごとが多かったので、そうじゃないものをつくろうということで私なんかもすごく主張しましてそういうのを入れていただきまして、平成七年に中医協の建議でもって画期的医薬品の定義ができたんです。私もちょっと厳しいかなと思ったんですけれども、このぐらいのものができなくちゃということで実は大賛成した方でございますので、私の方にも問題があるのでございますが、平成七年にそういうものを出して以来、それ以後一品目もないんです。今後もちょっと出てきそうな感じでもない。  実は、この間も私ども関係している薬の研究会で、アメリカでやりましたら、これは物すごい、もしかしたらアメリカとしては画期的なものだと、先ほどの六つ以外のものですけれども。それもこれに当てはめるとならないということでございますので、もう中西局長などはおわかりになっていると思いますが、今、自民党あるいは国会でいろいろ薬価あるいは医薬品のことを検討して、いろいろそういう方からの要望とか何かが厚生省に行くと思いますけれども、それとは関係なく、やはり画期的医薬品について一度基準を見直されたらいいんじゃないかなと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  53. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 薬価基準におきます画期性加算についてのお尋ねでございます。  真に画期的な新薬を保険上適切に評価をするということは、いろいろ今薬価基準をめぐりまして御議論をいただいておりますけれども、ある程度これは共通の認識として各方面からそういう御意見をいただいておるところであります。  現状はどうなっているか、先生詳しく御説明をいただきましたけれども平成四年五月以降、類似薬効比較方式という一つの算定方式に対する一つの加算をして、そういう画期的新薬については加算をしていこうというものが設定をされまして、平成七年十一月に、先生お話しのように加算率の引き上げ等を行い、あわせて有用性加算と、そこまで至らないようなものの加算についての改正をしたわけであります。  画期性加算、三つぐらい要件を挙げているのでございますけれども、これは一々読み上げませんけれども、そういった画期性加算が新設をされまして、これまでのところずっと、平成四年来で申し上げますと一成分、二品目がございますけれども平成七年の中医協建議以降は該当するものがないことは御指摘のとおりであります。  このことにつきましては、画期性加算の要件について少し厳し過ぎるのではないかというような意見が、関係業界のみならず、先生お話のように、いろんな方面からの御意見としてございますことは事実でございます。  折から、ちょうど今薬価基準の改正を検討していただいておりますけれども、有用性の高い薬剤の研究開発の促進ということは、いずれにとりましても重要な課題だというふうに考えております。  したがいまして、今後、与党や中医協におきます検討を踏まえながら、その中ではやはり画期的なそういった薬品に対する配慮ということは共通のこととしてやっていかなきゃなりませんので、その加算のあり方、範囲などを含めまして、新薬の算定ルールについてさらに検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
  54. 水島裕

    ○水島裕君 次に入ります前に、大変恐縮ですけれども、最初のダイオキシンのところで厚生大臣にお伺いするのを一つ忘れましたので、今ここでさせていただきたいと思います。  ダイオキシンの測定を最初はきちっとした大学とか研究施設でやった方がいいのは当然ですけれども、その後はやはり広く日本全体でやってもらいたいと思います。  決算委員会でありますので申し上げますが、ダイオキシン類の測定を厚生省の研究班の中に入っているところだけにいろいろ頼んで、公取から排除勧告がなされたということを聞いておりますので、先ほどのようなことがございますけれども、広く検査する必要があったときは全体に測定していただきたいと思いますので、それだけ申し上げておきます。
  55. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 公正取引委員会の今の事案でございますが、四月二十八日に千葉市で発生いたしまして、一般廃棄物の焼却施設に係るダイオキシンの測定分析で、不当な取引制限、独禁法の三条違反に該当するものとして排除勧告が行われました。  ダイオキシンの測定分析体制の整備というのは非常に重要なことでございますが、このような国民の信頼を裏切るようなことがあることは極めて遺憾に存じます。  厚生省としては、こうした市町村における透明、公正な測定分析機関が選定されて適正な分析が行われるように、都道府県を通じて市町村等を指導してまいっておりますが、今後ともこの指導の万全を期してまいりたい、こう思います。
  56. 水島裕

    ○水島裕君 それでは次に、お手元にワシントン・ポスト・ヘルスと書いたのをお配りしてあると思いますけれども、これはワシントン・ポストのヘルス欄でございます。(資料を示す)  これは何かと申しますと、実はこの間たまたまワシントンに行きまして、小渕総理もいらっしゃっていたので、小渕総理の歓迎式典にも出させていただいたんですけれども、宿舎のホテルに帰りますと、ワシントン・ポストなんかぼんぼん投げ込まれてあるんです。  この間、大臣にNBCのビデオをお見せしましたけれども、ちょうど同じようなことがこのワシントンポストなんかにも出ております。ごらんになればすぐわかりますけれども、例えば右の上ですけれども、パーキンソン病になっている人は臨床試験で国のためにもなるし本人のためにもなるかもしれないので、興味があったらこういうところに連絡してくれとか、あるいはローバックペインというのは腰痛でございます、腰痛のある人はこういう臨床試験をやっているからどこどこに連絡せよ、こういうのをNIHでやっている。その下がNIHでございますけれども、そういう国の機関でやっているところにでもこういうふうに広告を出しているということであります。  詳しいことは抜きにしまして、今、日本で薬の臨床試験であります治験が非常におくれている。こういうのが新聞に出れば随分違うと思うんですね、日本もこういうことができれば。そういうことを現在いろいろ検討なさっていらっしゃるようですので、ぜひ引き続きポジティブに御検討いただきたいというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
  57. 中西明典

    政府委員(中西明典君) 臨床試験につきましては、医療機関における人員、体制の整備等の問題に加えまして、今先生指摘のように、治験に参加することを希望される方々に対して、個々の治験について的確な情報提供を行っていくということは大きな課題であるというふうに認識いたしております。  現在、治験全体につきまして円滑な推進を図っていく必要があるという見地から、治験を円滑に推進するための検討会を設置いたしまして、その点も含めて御議論いただいておるところでございまして、現状を申し上げますと、被験者募集のための情報提供活動というのは、一部の治験実施医療機関医療機関の内部でポスターの掲示、あるいはチラシの配布等を行っている程度でございまして、ワシントン・ポスト紙に掲載されているような、国民が個々に治験の情報に触れる機会はほとんどないというのが現状でございます。  活発な治験、あるいは国民の理解のもとにいい薬を提供していくという観点からも、今後積極的に情報提供が行われる必要があると認識いたしておりまして、そういう角度から先ほど申し述べました検討会でも今御議論いただいております。  それから、医療機関における問題につきましては、現在、医療法における広告のあり方の問題として、一つ広告規制のあり方について現在医療審議会で議論がなされておるわけでございますので、そうした点も踏まえまして今後適切な対応を図ってまいりたい、かように考えております。
  58. 水島裕

    ○水島裕君 現行法でもある程度可能のような気がいたしますけれども、やはりきちっとルールを決めていただいた方がよろしいんじゃないかと思います。  次は、先ほどの、厚生省は一度かたくなに厳しくなると物すごく厳しくなってしまうというのに通じる例で、ちょうど平成九年に起こったことを一つ御質問したいと思います。  これはどういうことかと申しますと、筋注用のグロブリン製剤、これはエイズとか肝炎ウイルスとか、そういうものが入り得るものでございますけれども、筋注用の免疫グロブリン製剤を、いろんな社のを全部調べましたところ、その一社からPCR検査、非常に微量でもわかる検査でもってHCV、これはウイルス性肝炎、C型ウイルス性肝炎のウイルスが何かいるかどうか、擬陽性が出たと。ちょっと怪しげな結果が出たということですごい騒ぎになりまして、詳しく申しませんけれども厚生省の四課の課長から非常に厳しい通達が出まして、結局これは自主回収をしてしまったというんです。  どうもPCR、我々もしょっちゅうやっている検査でございますけれども、擬陽性が出た、何か余り再検もしていないしその後も調べてもいなくて、そういうことだけは進んでしまったと。そのうち、よく調べて見ましたら何でもなかったということで、同じ平成九年、先ほどが四月ですけれども、七月二十五日に、これは陰性で何でもなかったからそういう必要はない、ちょっと大げさに言うと、こういうふうに処理したものにそんなものが出てくるはずもないとかというような感じで出て、とにかく確認もせずにすごい大騒ぎになったというのがございます。  そういうこともあるので、ウイルスの安全対策というのはその後もいろいろ検討されまして、それで、血液対策課と日赤とそれからこういうものをつくっている業者とが相談しまして、安全対策のあれが出たのが去年の十一月でございますね、ことしの二月にガイドラインの案をつくったんです。詳しいことまで全部わかりませんけれども、私は、これに沿ってやっていけばルールも決まりますし今みたいな心配もなくなるのでいいんじゃないかと思いますが、これをなるべく早く取り上げてやっていただいて、先ほどのような無用な混乱がないようになさったらいかがかなと思います。  先ほどのHCVの事件と今のことについて、御答弁ありましたらよろしくお願いいたします。
  59. 中西明典

    政府委員(中西明典君) グロブリン等の血漿分画製剤につきましては、先生御承知のとおり製造工程でC型肝炎ウイルスあるいはB型、HIV含めて、基本的には不活化、除去がなされますので、これまでのところ国内外問わずそうしたウイルスによる感染事例、その不活化、除去がきちっと行われるようになってからという意味でございますが、報告はなされていないところでございます。  しかしながら、御指摘の件につきましては、感染症研究所で核酸増幅検査の結果、C型肝炎ウイルスの混入の疑いがあるということで、当時、当該製剤のメーカーによる自主回収を指導したところでございますが、その後、ウイルス混入の事実はなかったということが確認されたというのは、先生指摘のとおりでございます。  厚生省におきましては、製造工程において科学的な根拠を持ってウイルスの不活化、除去が適正に行われているかどうかということを客観的に判断するための基準といたしまして、血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドライン、要するにバリデーションのガイドラインの策定を行うことといたしまして、現在中央薬事審議会の血液製剤特別部会におきまして、日本赤十字社あるいはメーカーの御意見も聞きながら審議をいただいておるところでございます。近々、できるだけ早い時期にこのガイドラインを策定、公表し、科学的根拠に立脚した適正な安全対策を講じていくということに努力してまいりたい、かように考えております。
  60. 水島裕

    ○水島裕君 ぜひそのようになさるとよろしいかと思います。  それから、先ほどのガンマグロブリン、免疫グロブリン製剤ですけれども、私個人の意見としまして、個人といっても議員の意見ということになるかもしれませんけれども、やはり当時の感染症センター、感染研のウイルス検出の技術が悪かったのじゃないかなと思います。  それは別としまして、日本のあちこちできちっと調べられるところもあるわけですし、そういう専門家もいるわけですから、そういうデータが出たら、公式の審議会ではなくても、だれかを呼んで、何人かの委員会でやはり決めて、そうすればもうこんな騒ぎにならなくて恐らく済んだのじゃないかと思います。  エイズとかそういうときはまた逆で、班会議とかそういうところだけで決めていただいて、今、中西局長のところにある例えば中央薬事審議会なんかに諮れば、ああいうことには絶対ならなかったと思うのでありますので、何かが起きたときに数人か何かでごちょごちょと決めてしまわないで、やはり諮るべきところに諮るし、諮るべきところがなかったら、そういうのを至急大臣がつくればできるわけでございますので、つくって検討するということを厚生省もぜひ今後ともやっていただきたいということを要望しておきます。  それで、もう時間がなくなりましたから、これは言うだけに。まだ結構あるんですけれども、なるたけ早くやめないと六時までに終わらないということもございますので。  実は、厚生科学審議会、いつもやっていらっしゃいまして、そこでまだ正式な提言にはなっていなくて今まとめているところだということでございますけれども、これからはEBM、ID野球じゃございませんけれども、データに基づく医療あるいは研究をちゃんとやっていくということで、EBM、エビデンス・ベースド・メディシンを重視してやっていこうという提言を今度なさるということだと思います。  そうしますと、個人のデータ、例えば私が肝炎だと仮にしまして、私の血液のデータ、せっかくあるデータを研究とか診療、みんなの診療のために供給する、使うことがいいわけですけれども、そのときにプライバシーということも関係しますので、そういうことも十分承知しながらぜひこれは進めていただきたいと思いますので、これは大臣の簡単な御決意をお聞きして、終わりにしたいと思います。
  61. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 研究機関におきまして研究者が個別に蓄積いたしました研究情報等の医療情報を広く研究者間で共有するということは、今後の臨床研究の推進のために非常に重要だというのは、御指摘のとおりだと存じます。  今、厚生科学審議会を開いておりまして、一両日中にもということでございますが、疾患情報のデータベース化、医療情報の共有化の必要性について答申が出る予定でございます。  今、委員の御指摘のように、研究者間の医療情報の共有化につきましては、個人情報をいかに保護していくかということと、関係研究機関の連携協力体制をいかに確保していくかということが極めて重要だと存じます。そういう意味で、この審議会の答申をいただいた上で、これを踏まえまして、いろいろな各種医療機関の連携その他が十分行われて共有化の実が上げられるように努力をしていきたいと思っています。
  62. 水島裕

    ○水島裕君 御答弁は結構ですけれども、情報のほかに、例えば血清とか、個人の血清も中央に送ってそれを研究するとか、そういうこともございますので、そういうことについても十分御検討、ルールづくりをしていただきたいということを申し上げて、終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  63. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。  本日は、労働、厚生両省にまたがる共通の問題として社会保険の問題をお伺いしますとともに、現下の緊急な最重要課題でございます雇用失業対策についてお伺いさせていただき、あと若干厚生省所管等々について伺わせていただきたいと思います。  まず、会計検査院、大変御苦労でございますけれども、社会保障といいますのは、保険といいあるいは税といい、費用の徴収が公正になされますとともに給付も適正になされる、そういうところで信頼性が保たれるわけでございます。例年、会計検査院はこの社会保障関係の適用あるいは徴収について丹念に調べておられるわけでございますけれども、まず、厚生、労働両省にまたがるこの社会保険、労働保険を含めての社会保険の適用漏れ、保険料徴収不足の問題につきましてのこれまでの会計検査院の取り組みと、特に、現在この決算委員会で審議中の八、九年度の検査結果のポイント、これに対する検査院指摘事項といいますか、見解を御紹介いただきたいと思います。
  64. 諸田敏朗

    説明員諸田敏朗君) お答え申し上げます。  会計検査院におきましては、社会保険の適用が正しく行われるということが大変重要であるということは先生指摘のとおりで、全く私どもも同じ考えでございます。そういったことにかんがみまして、適用の適否につきましては毎年重点的に検査を行っているところでございます。  平成八、九両年度の検査結果のポイントといたしましては、雇用保険につきましては、加入要件を満たす臨時労働者を保険加入させていなかった事業主が多数見受けられたこと、また健康保険、厚生年金保険の適用につきましては、派遣労働者を使用しております派遣元の事業主あるいは看護補助者等を使用している医療機関事業主が被保険者資格届の提出を怠っていたものが多数見受けられたということでございます。  したがいまして、会計検査院といたしましては、労働省、社会保険庁においては事業主に対する指導、啓発を強化するなどいたしまして、社会保険の適用の適正化につきまして一層の努力をお願いしたいと考えているところでございます。
  65. 川橋幸子

    川橋幸子君 こうした会計検査院からの指摘に対しまして、八、九年度の検査結果に対する指摘でございますと、既に現在は十一年度、この間、厚生といいますかあるいは社会保険庁というふうにお呼びした方がよろしいのでしょうか、それと労働両省の指摘に対する措置、対応をお伺いしたいと思います。初めに厚生省、次いで労働省の順でお答えいただきたいと思います。
  66. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今、会計検査院の方から御説明がございましたように、平成八年度と九年度の両年にわたりまして健康保険と厚生年金保険の保険料徴収不足について御指摘がございました。私どもは、今御説明ありましたように、労働者派遣を行う事業所とかあるいは高齢就労者が多い事業所などに対しまして、特に事業所の調査において被保険者資格の取得についての届け出が十分でなかったというような点が見受けられますので、各種の広報媒体や説明会等を通じまして制度の周知徹底を図るとともに、被保険者資格取得についての届け出が適正に行われるように今後とも努力してまいる所存でございます。
  67. 野寺康幸

    政府委員(野寺康幸君) 先生の御指摘でございますが、労働保険料の適用、徴収につきまして、従来からあらゆる機会をとらえまして事業主に対しまして指導徹底をいたしております。しかしながら、いまだ事業主の労働保険制度に対します理解不足、あるいは計算の誤り等の理由で保険料の徴収不足もかなり見られるところでございます。それで、先生指摘のとおり、八、九年度におきます決算につきまして、会計検査院の方から徴収不足についての御指摘を受けたところでございます。  こういった御指摘を踏まえまして、労働省としましては、まず毎年度の年度更新の業務の実施に当たりまして、事業の業務の説明会等あらゆる機会を求めまして、労働保険料の適正な申告、納付のための知識の周知徹底、加えまして労働保険料算定基礎調査、これは事業主への立入調査でございますけれども、この計画的実施によります労働保険料徴収の徹底、さらに高額の滞納件数の多い都道府県につきましては特別に特別徴収専門官といったような官を配置いたしまして労働保険料徴収体制を強化いたしております。  こういった手段によりまして現在も適用、徴収に努めておりますけれども、今後とも御指摘を十分頭に入れまして、一層の充実強化を図りまして、保険料の適正な徴収に努めてまいりたいというふうに思っております。
  68. 川橋幸子

    川橋幸子君 それぞれ会計検査院指摘に対して誠実に一生懸命、事業所に常時働いているフルタイムの労働者と違って、派遣の場合は事業所を変わり、あるいは働く側のさまざまな理由がありということですと難しいことがあるわけですが、とにかく強制適用であるがゆえのメリットのある社会保険の適用についての周知徹底、あるいは徴収の徹底に御努力いただいている。なおこの御努力はお続けいただきたいとは思います。  しかしながら、労働市場が非常に多様化してきておりまして、かつて社会保障ないしは社会保険のモデルと考えているイメージ自体が変わってくる、あるいは適用についてのさまざまな手続等々ノウハウが、今までの事業所経由で強制適用を確保するということとは、非常に難しい問題が出てきているのではないかと思います。  八、九年度の決算におきまして、特に会計検査院がこの派遣労働者の、とりわけ健保、年金の方の適用問題、ここで徴収不足額ないしは適用漏れが大きいということになるわけでございますが、これを検査の重要テーマとまず設定されたその理由といいますか、それから今後ともこの問題は大きく変化していくわけでございますが、検査院としてはどのような取り組みをこの問題についてお続けになられるか、お伺いしたいと思います。
  69. 諸田敏朗

    説明員諸田敏朗君) 昭和六十年に労働者派遣法が施行されまして、その後十年以上が経過しているわけでございます。そこで、派遣先においての事業主の指揮命令を受けまして事務用機器の操作あるいは財務処理等の業務を行う派遣労働者が多数に上っているということから、派遣労働者の保険適用が正しく行われているかについて、派遣労働者を使用している労働者派遣事業の派遣元の事業主について検査をしたところでございます。  派遣労働者につきましては今後さらに増大するものと思われることから、派遣労働者に係る社会保険の適用の適否につきましては引き続き重点を置いて検査を実施してまいりたいと考えております。
  70. 川橋幸子

    川橋幸子君 現在、衆議院の労働委員会におきまして労働者派遣事業法の改正が審議中でございますが、方向といたしましては今までのポジティブリスト、要するに派遣事業の許可が得られる二十六業務が基本的には原則自由、一定の制限のもとでネガティブリスト化が図られるわけでございます。  徴収の方の論理からいきますと、非常にとらえにくい保険の対象者あるいは事業者がふえるわけでございますけれども検査院も今後ともこの問題を重要な問題としてとらえていくというのが今のお答えでございますが、いずれにしましてもこの問題が量的に拡大する傾向というのははっきりしていると思われるわけでございます。  厚生省としてはこの点についてどのように対処していかれるのか、お聞かせください。
  71. 宮島彰

    政府委員(宮島彰君) 社会保険の適用につきましては、業種によって適用を区分しているということではなくて、就労の実態に着目して適用しておるというところでございますが、先生今御指摘のように、今回の労働者派遣法の改正によりましてその対象が拡大する可能性があるという新しい状況もございますので、私どもとしてもこういった新しい状況も踏まえながら、事業主に対する制度の周知徹底や適正な届け出についての指導をやってまいりたいというふうに思っております。  特に本年度におきましても、この派遣労働者事業につきましてはいわゆる適用対策の重点対象一つに取り上げておりまして、特に力を入れて適用の適正化に努めてまいりたいというふうに思っております。
  72. 川橋幸子

    川橋幸子君 これはきのうの朝日新聞でございますが、たまたま、たまたまといいますか記者の方は今のタイミングをとらえて記事を書かれたんだろうと思いますが、大変わかりやすい解説記事がございます。「派遣されて行ったけど」というタイトルの記事でございまして、暮らし面でこうした問題をわかりやすく解説するという、そういう記事でございます。  まず、出だしが「払う人と払わない人がいるのは、おかしい」という、こういう書きぶりからでございます。健保、厚年の社会保険料について、毎月の給料から引き落とされる部分につきましては、こうした保険料を払う方の労働者ではそういう公平感の問題が出てくる。  業界の問題は、この記事によりますと、派遣される人が入りたがらないということで、派遣という働きに今の社会保険制度が合っていないんだという言い分が出てまいりましたり、それから常用型の派遣労働ではなくて登録型の場合、特に就労先といいますか派遣先がくるくる変わる場合があるわけでございますが、短期の派遣を繰り返す場合には契約切れのために保険に入り直すのが面倒という不満も聞かれる。  それから、今、雇用形態の多様化というのは、働く人のニーズに沿っているというよりも、むしろ経営側の人件費コスト、後ほどこの問題についてはまた質問させていただきたいと思いますけれども、どうやって産業が競争力をつけていけるかという、こういう問題があるとすると、本音のところは、派遣会社の営業担当の人は、社会保険料、これは被用者と使用者の折半になることが多いわけでございますが、その事業主負担分の保険料ですね、払っていたら経営が成り立たないところが多いはずだと。最近は派遣の方も派遣料の引き下げ競争が出てきているというような、こんな記事があるわけでございます。  ということだといたしますと、企業側の問題といいましょうか、保険料徴収の方の問題、保険財政、国保にしろ年金にしろ財政としては非常に今難しい状況の中に入ってきておりまして、保険料を的確に徴収すべきと、こういう論理の中で厚生省としても派遣労働者の増加に向けて今後とも真剣に取り組んでいくというお話があったわけでございますが、そもそも事業主側からすると、この点はやっぱり行政の側はお答えいただいていい言葉が出てくるわけでございます。派遣される人が入りたがらないその派遣という働き方に今の社会保険の制度が合っていないんだと、こういう事業主側の言い方、それから短期に出たり入ったり繰り返すので、そのために制度が非常に煩瑣になる。この制度的な問題についてはいかがでしょうか、大臣
  73. 宮島彰

    政府委員(宮島彰君) 今御指摘のいろんな問題がございますが、社会保険制度そのものについての御理解ということにつきましては、やはりこれは国民の生活の安定を確保する基本的な社会保障の根幹的制度でございますので、これはぜひ御理解いただいてこの制度への加入というものを、これは法律上も定められる義務でございますので、ぜひお願いしてまいりたいというふうに思っております。  それから、派遣業の場合、いろんな形態がございまして、特にお話がございました登録型ですとかなり短期間あるいは断続的な形での就労というのがございますが、私どもはあくまでも就労の実態に着目して、現在の法律の基準では二カ月を超えた場合には基本的に適用するという形になっておりますので、それに基づいた適用をきちんとやっていきたいというふうに思っております。  それから、社会保険料が企業経営上のコストとして負担が大変だという御指摘もございますが、これは私どもとしては、企業といいますか事業所が社会で活動するための当然負担していただく必要経費といいますか、社会的にやはり負担していただく経費というふうに思っておりますので、これは社会で事業所活動といいますか、企業活動をやる限りは当然御負担いただくべき筋のものかなというふうに思っております。
  74. 川橋幸子

    川橋幸子君 御苦労はいっぱいあるかと思いますが、伺いたかったのは、制度上の検討なりあるいは手続上もっとスムーズにいくこと、そのあたりを行政の側もお考えいただきたいということを申し上げたかったということでございます。  さて、それで労働省にお伺いしたいのは、派遣労働に限りませんが、パートタイム労働を含めまして雇用形態が非常に多様化してまいるわけでございます。今までの雇用保険等々が対象としておりました労働者以外のさまざまな働き方が出てきた場合、今までの保険の設定というのがフルタイムの正規従業員をモデルとして主として制度設計されているとしますと、さまざま、雇用保険の制度的なあり方、給付のあり方について見直しが必要ではないかと思いますが、こうした点、大臣、いかがでございましょうか。
  75. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 先生よく御承知のとおり、正規常用雇用以外にも、パートあるいは派遣労働者に対しても雇用保険という制度はございます。ただ、適用要件というものがあるのでありますが、その適用要件に合致している人に対してまだ不十分な部分はどうしていくかという問題と、それ以外の人に対してどう新しい制度設計をするのか、さらに足を伸ばしていくのかという問題に分かれるんだというふうに思います。  今度の派遣法改正では、各種社会保険に関して、処罰を受けたことをもって許可の欠格事由にしているわけでありますから、現在御審議をいただいております派遣法改正案を議論していただく、あるいは成立させていただくならば、そうした周知徹底が図れるものと思っております。  ただ、働き方の多様化に伴ってそこでカバーできない部分はどうするんだということにつきましては、これは新しい議論だと思っておりまして、そこはどこかで切らなきゃ制度設計ができないんだと思いますが、そこで切った場合、じゃ一日足りなかった人はどうなんだという議論になっていきますと、一年間に一日でも働いた者は対象にしなきゃならないという論理に発展をしていきます、極論をすればですが。そこで、この雇用保険の問題は、当然社会保険の問題等とも絡む問題でありますし、全体について関係省で少し勉強する必要があると思います。
  76. 川橋幸子

    川橋幸子君 雇用対策の中にはさまざまな対策が今必要だとされて、さまざまな論議があるわけでございますけれども、この社会保険の面につきましては、緊急なというよりもむしろ中長期の中でしっかりとした御議論をしていただくことが必要だと思います。大臣のお言葉どおり、そうした問題についても目先の雇用対策だけではない、全体の雇用保障といいましょうか社会保障のあり方とも絡めて御検討をお願いしたいということを要望させていただきたいと思います。  そして、現在、衆議院で審議中の労働者派遣法でございますが、今大臣がおっしゃったように、派遣元事業者に対する何らかの社会保険加入の実効性の担保の規定が欠格要件という点から盛り込まれるわけでございますが、やはり派遣労働者の場合は本人がいて、それから派遣元と派遣先がいて、いわば三角関係で、その派遣元、派遣先で事業主として担保すべきことがしっかりやられなければいけないとすると、この問題は派遣元と派遣先双方の連携が必要ではないかと思いますが、そういう点につきましては、今度の法案がもし成立された場合にはどのような手だてが講じられることになるのでございましょうか。
  77. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 法律上は、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、新しい欠格事由の一つとして、社会保険等に加入していない、そのことによって処罰を受けた場合にはこれを欠格事由とする、許可を与えないというふうにして法律上の担保を新たにすることにいたしました。  派遣の制度は、派遣元と派遣先と派遣労働者という三者の関係があって、使用者と指揮命令権者が違うというそういった中からいろいろな問題が出てきて、確かに社会保険等、労働保険等の適用についても不十分な面が見られるというような問題も発生してくるわけですが、やはり使用主責任、だれが使用者であるか、その人が全面的な使用者としての責任を負う、そういう体制をしっかりつくることが必要であるというふうに思います。そういう意味で、社会保険、労働保険の負担といいますか適用対象は派遣元である。ここのところはしっかり押さえていく必要があると思うわけであります。  ただ、おっしゃいましたように、派遣先の方もこういったものをチェックする必要があるのではないか、そういった議論は今いろいろと衆議院の労働委員会でも出ておりますので、運用においてそういうことがどういうふうに確保されるのか、それは十分検討していきたいと考えておるところであります。
  78. 川橋幸子

    川橋幸子君 十分御検討いただきたいと要望させていただきます。  さて、緊急雇用失業対策については、前回、労働・社会政策委員会で労働安全衛生法の改正の際に大臣に御質問させていただいた部分でございます。そのお話をきょうもさせていただきたいと思います。  ちょうど土曜、日曜にかけて、非常に新聞紙面で雇用対策の話が包括的な産業再生法の検討という見地から報じられたり、あるいはAPECの蔵相会議で宮澤大蔵大臣がサマーズ財務副長官、今度ルービンさんの後任で正式に決まられた方、初めて日米の大蔵大臣が顔合わせしてコミュニケーションを図られたいい機会だったようでございますが、その関係では来月十日までに産業再生のための包括的な対策、日本の対策を明らかにしますというようなことをお話しになられたという記事。あるいは、日経連の会長が根本さんから奥田碩さんにかわられまして、日経連会長としての常日ごろ非常に大胆な意見、卓見をお持ちの奥田会長でいらっしゃるようでございます。その方のインタビュー記事がほとんど雇用対策で埋め尽くされていたこと等々で、この土、日に非常に現在の経済対策といいましょうか、国政の重要課題あるいは内閣総理大臣、小渕総理のかじ取りが一番注目されている、こんな時期に来ているということが印象づけられたわけでございます。  さて、前置きはこのぐらいにいたしまして、改めて労働大臣にお伺いしたいと思います。  三月時点の失業率が四・八%となりまして、過去最高を記録しているわけでございます。雇用は遅行指標でございますので、まだまだこの率は上がるのではないか、残念ながらそういう見通しが確かになってきているわけでございます。  総理からは、これまで労働大臣にたびたび雇用対策のさらなる拡充が御指示されたと聞いておりますけれども、現在の検討状況をまず最初に労働大臣から伺いたいと思います。
  79. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 先生指摘のとおり、雇用失業の数字は景気の遅行指標でありますから、引き続き厳しい局面が続くという認識のもとに、万全の対策をとらなければならないというふうに考えております。  四月二十三日の閣議の際に、総理から特に発言がありました。雇用は非常に大切な問題で、政府としても最重要課題として取り組んでいかなければならない。産業の再生と雇用の確保は二律背反のように報じられているけれども、両立するように政府を挙げて対処していかなければならない。そのために、労働大臣は通産大臣や文部大臣関係大臣と連携をとりながら、新しい雇用対策を策定してもらいたい。五月中にも発表できるようにという趣旨のお話をいただきました。  今鋭意努力して労働省労働省なりの案をつくっておりまして、それを通産省が考える考え方とマッチングさせながら組み立てているところでございます。私どもが考えている内容について、もし話をせよということであれば詳しくお話をさせていただきますが、いずれにいたしましても五月中には発表ができるものと考えております。
  80. 川橋幸子

    川橋幸子君 五月中にということで鋭意作業が進んでいるということでございます。報道は報道でございますけれども、常識的に考えればサミットの前に何らかの日本の経済政策、とりわけ雇用の安定に留意した経済政策をまとめるというのが常識的といえば常識的なことでございまして、対米公約とかあるいはサミットのための作文といいますか、そういうことではない、本当に日本国内で、私たちあるいは特に内閣を挙げて取り組んでいただかなければいけないということかと思います。  ぜひ五月中にいい雇用対策、難しいところだと思いますけれども、二律背反と言われた部分が二律背反にならないように、産業の競争力を上げつつかつ雇用の不安を取り除くという、そこを両立させるような案を五月中をめどにおまとめいただきたいということを希望として述べさせていただきたいと思います。  さて、先ほど御紹介いたしました日経連の新しい会長になられた奥田碩さんの件でございます。  私は野党でございまして、どちらかというと連合の要望を承ったり働く人々のお話を聞いたり、そういう立場の人間なのでございますけれども、そういう立場の差を超えまして、今度の奥田会長の就任には実は目をみはらされるような思いがしたのでございます。  新聞報道でございますけれども、多分表現ぶりからいって御本人の口から語られた抱負がにじみ出てくる言葉ではないかと思いますが、キャッチフレーズは、人間の顔をした市場経済です、市場万能ではなくて人間のための経済ですと。これは何か手前勝手で手前みそですが、民主党がいつも言っているようなことを奥田さんが言ってくださったというような気がするわけです。企業は人、物、金、この三要素で成り立つけれども、今の経営をどうやって立て直すかにつきましては物と金の面で対応して、人に手をつけるのはどうにもならなくなったときにやるものだ、それが日本的経営のいいところだなんて、こんなコメントも入っております。  私は連合の皆さんと一緒にやっている立場の議員でございますが、新聞記事の引用でございますけれども、記者会見の場で奥田会長がおっしゃったのは、雇用の安定と新しい雇用の創出を最大の課題とし、具体的には連合と協力して百万人雇用計画の早期実現を政府に対して強く求める、こういう考え方を示したと言われるわけでございます。  こうした使用者側の団体、経済団体の長の方のコメントでございますけれども労働大臣としてはどのように奥田会長のスピーチを受けとめておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  81. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 奥田会長は、私が承知する限り、かなり日本的に健全な経営者のお一人だというふうに思っております。  就任後、翌日ごあいさつにおいでになりましたときにしばらくお話をさせていただきました。企業は営利を目的としているから適正な利益を上げるということはもちろん当然やるべきことでいいんだけれども、同時に社会に対して雇用を守る責任も負うというお考えでありまして、安易に雇用に手をつけながら利益率を上げていくという手法はとるべきではないというお考えの経営者だというふうに承知をさせていただきました。これは私も非常に通ずるところがございまして、意を強くしたところであります。  労働政策の中では、生産性を向上させるには、単に固定費を削るために雇用を削減するという安易な手法ではなくて、労働者の職業能力を引き上げる、バージョンアップを図ることによって生産性も上がるという手法もあるし、そのために雇調金の職業訓練というものがあるわけでありますから、それを大いに活用してもらいたいということを常々主張しているわけでありますが、私どもの考え方とかなり通ずるものがある日経連の会長だというふうに承知させていただいております。
  82. 川橋幸子

    川橋幸子君 労働大臣としても大変同感される部分が大きい、新会長の就任を歓迎していらっしゃるというふうに私、今聞かせていただきました。  さて、これは紹介だけで別に御答弁は要らないのですが、きのうの東京新聞で、ロナルド・ドーアさんという、知日派の労働経済学者というか労働経済を飛び越えるような大きな経済社会学についての有数の方でございます、大臣御存じでいらっしゃると思いますけれども大臣のおっしゃっているようなことがここに書かれているものですから、この方が書かれていることをちょっと読み上げさせていただいて、ぜひお伝えさせていただきたいというそういう趣旨ですが、述べさせていただきたいと思います。  ドーアさんは、小渕総理が五月の連休中に訪米されてクリントン大統領と会われたときのクリントン大統領の最後の言葉をここの記事の中で紹介しているわけでございます。日本のことをお話しになられて、何年ぶりかの首脳の協議だったというふうに言われていますので多少リップサービスがあったのかもわかりませんが、小渕総理、日本は改革を遂げようとして非常に努力している、これを評価した上で、しかも落伍者を出さない、国民の社会連帯性を強めるような改革方法を模索していると。つまり、日本経済のウエットな側面を買っているような言葉があったそうなのでございます。  そして、ドーアさん続けていわく、しかし、こうしたクリントン大統領の口から出るような言葉というのは、日本の総理の諮問機関である経済戦略会議や産業競争力会議報告書の中を探してもとても見つからない。日本のよさをクリントン大統領は評価するけれども、日本の中ではむしろ市場万能の声が大きくなっていると。こんなことを皮肉っぽくというんでしょうか、温かい方ですから日本人を励ますために書かれた記事だと思いますが、そんなことを紹介しておられるわけです。  労働大臣、現在の非常に厳しい時期、史上最高を更新し直す最悪の失業率のときの労働大臣という非常に難しいお立場になられるわけでございますが、奥田日経連会長は在任中は失業率を三%にするんだと頑張っておられますので、大臣もぜひ政労使御一緒にこの部分は取り組んでいただきたいと言わせていただきたいと思います。  そこで、まずちょっと確認なんですけれども、私は、先日の労働委員会の中で言葉足らずなところもありましたのでこの場で確認させていただきたいのですが、競争力を高めるためのリストラ、人員整理はやむを得ないという声が非常に大きいのでございますが、先ほどもそれに関連した言葉が大臣からちらっとありましたけれども、重ねて確認的にお話をいただきたいと思います。  私は、第一に、安易な人員削減、人員整理というのは行わない、企業の社会的な責任という以前に、経営者としての資質、経営哲学として安易な人員削減は行わない、これが大事じゃないかということが一つ。  それから二番目は、これは労使双方の努力ということになるのかもわかりませんが、サービス残業とか長時間労働、こういうものを解消することによりまして、常用雇用の安定をむしろワークシェアリングによって維持していこうという、こういう努力が大事ではないか。こんなところに非常に真剣な努力が求められているのが日本の今の現状ではないかと思いますが、大臣から御答弁いただけるとありがたいと思います。
  83. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 時間短縮は労働省の政策のみならず政府全体として今日まで取り組んできている課題であります。そして、よく各委員会で御指摘をいただくのでありますが、サービス残業を減らせと。本来、サービス残業というのは労働基準法違反でありますから、法に違反するものについては適正に指導をしていくというのが私どもの姿勢でありますし、そしてその時間帯がどうしても必要であるならば、そこの部分に新しい雇用を生ませるというのは当然帰着することであるというふうに思っております。  とにかく、大競争の時代でありますから、企業が国内だけじゃなくて国外の企業と競争して勝ち残っていただかなければならないことは事実でありますから、そこは競争力をつけなければならないのでありますけれども、適正利潤は好ましいと思いますけれども、それを超えるような、不当といいますか、法律には違反しないでしょうけれどもそこまで必要があるかという利潤を得るために雇用を犠牲にするということは、経営者はとってはならない手段だというふうに考えております。
  84. 川橋幸子

    川橋幸子君 今の大臣の答弁、大変ありがとうございました。  ところで、肝心の雇用対策の中身になるわけでございます。最も望ましいシナリオというのは、何か対症療法で手当てするというよりも構造改革をきちんとやって新産業の創出を図るということかと思いますけれども、当面、新産業の創出といいましても即効性があるわけではない。やはり時間が必要かと思います。  そういう状況の中で失業率が高まっているわけでございます。国民の側は、失業というのはどこまで高まっていくのだろうかという不安感が大きいわけです。失業しても怖くない、欧米は一〇%の失業率で云々というお話がよく日本の中ではされますけれども、逆に見れば一〇%の失業率でも耐えられる力を持っている部分があるわけでございます。  そういう失業しても怖くない社会をつくるためのセーフティーネット、これを雇用保険制度の機動的、効果的な運用によりましてこれからやっていかなければならないということでございますが、そのポイントとなるものはいかがなものでしょうか。事務方でも結構です、お答えいただきたいと思います。
  85. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 失業が怖くない社会ということはよく言われるのでありますが、それには幾つかの要素があると思うんです。要するに、失業してもすぐ職が見つかるシステムができ上がっていると一時的な失職もそう大きいマグニチュードで社会不安にならないということだと思いますが、私自身は、できるだけ早く職につける方がいいに決まっているので、滞留期間は短ければ短いほどいいというふうに思っております。  ただ、不幸にして外部労働市場に出る場合に、御指摘のとおり、その生活を支える最低基準はしっかりと整備をされていかなければならないわけでありますから、そこに失業給付という制度がありまして、これをしっかりと運営できるように、このセーフティーネットに穴があくことがないように万全の体制をとっていくということは一番の基本だというふうに思っております。
  86. 川橋幸子

    川橋幸子君 聞き方がまずかったでしょうか。要望させていただきたいと思いますのは、金融不安の解消ということであれだけ国民の税金が使われた。そして今度、競争力強化のための産業再生となりますと、設備廃棄に対する企業の対応策をスムーズにやらせるような金融・税制面の優遇措置というのが入るわけです。そういうことをやるときに、一方、労働者の側には、四十代、五十代の中高年の方々が職業訓練によって再就職しようとするならば、失業給付の給付期間をこの際はもっと延長すべきじゃないか、一年じゃなくて二年とか三年とか、思い切った雇用不安解消のための措置をつくるべきじゃないかということ。  もう一つは、マクロがどうということではなくて、個別の労働者が、失業した場合にここに行けばこういうカウンセリングを受けられ、こういう求人紹介を受けられ、こういう職業訓練が受けられるということで、一人一人の生活がしっかりと行政によって守られる、国によって守られる、私はそういう政策が必要ではないかということで、それを要望させていただきたいと思います。
  87. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 先生の御質問の意味を正確に把握しておりませんで申しわけございませんでした。  失業給付の期間の延長につきましては、私はこう考えております。  そこに待機しているのが最終目的ではなくて、次の就職先に行くまでの単に経過期間でありますから、その経過期間は結果としては短ければ短いほどいいと思います。ただし、ある程度の期間が来てしまって、余り短すぎてそれ以降もう生活保障がありませんということになると相当の不安になりますから、ある一定期間は必要でありますが、その間に職業能力が落ちないようにどうするかということがすごく大事だと思うんです。  例えがいいかどうかわかりませんけれども、トレードを待っている選手のようなもので、待っている期間の間、何にもしないでいたら、新しいチームが決まってもいきなり一軍登録ができないわけでありますから、待っている期間に体を鍛えて直ちに即戦力として一軍登録ができるようにしておくということが大事だと思います。ただ単に、職を探していますというよりも、体を鍛えながら待つといいますか、職業能力をつけながら待つというのが一番いいんだと思います。  そこで、訓練延長給付という制度がありますけれども、これをもう少し柔軟に対応できるようにしてみたいということを常々考えております。  それから、失業者が自分の希望と社会の要請とうまくマッチングするように職業訓練とあわせて、入り口から出口までといいますか、出口から入り口までといった表現がいいんでしょうか、きちんと再就職に結びつくようにシステム設計、システムを組んでシステマティックに運用していきたいというふうに考えております。今までの体制でも一部やってはおるのであります、適時適切に職業訓練を組み合わせて再就職先を紹介するということはやっておるのでありますが、より系統づけて、特に失業の不安が厳しい中高年齢層のホワイトカラーにある程度焦点を合わせたシステムを組んでみたいというふうに考えております。
  88. 川橋幸子

    川橋幸子君 ぜひその方向で鋭意御検討いただきたいと思います。  ちょっと辛目のまたこれ解説記事を御紹介させていただいて、こういうことではないとは思いますので、こうじゃない方向で労働省の御努力をお願いしたいと思います。  これは日経新聞の佐野さんとおっしゃる編集委員の方なんですけれども、「雇用不安の方はどう考えているのか。新規事業の創出とか職業訓練の強化とか、ミスマッチの解消による労働力の流動化とか、お題目のように唱えているが、どれほどの雇用効果があるというのか。そんなことで雇用対策になると本気で思っている官僚たちはぜひ、役所を辞めて自分で職探しをしてみたらいい。」という、大変辛口なことでございます。  非常に不安な社会になってくるときに、やり直しがきくようにできる、失業してもやり直しができる。それはもちろん本人が自助努力をしなければいけませんけれども、どのようにすればやり直しができるか、それがはっきりわかるようなめり張りのついたそういう職業情報なり職業紹介なり職業訓練が必要なこと。  もう一つは、先ほど大臣も御同感くださいましたが、産業の側に底支えするためのてこ入れをする。モラルハザードが起きるという言葉もありましたけれども、金融システムのためにはあれだけの公的な資金を投入したわけでございます。どうも何か失業給付を手厚くすると労働者の側にはモラルハザードが起きるのではないかといったことが経済界を中心に言われることが割合多いように私は思いますが、この際は、モラルハザードではない、緊急事態というところをぜひ労働省は主張していただきたいということを申し上げたいと思います。  大分時間が過ぎてしまいましたが、もう一点労働大臣にお伺いしたいことは、こうした雇用対策をやってきますと、雇用保険財政は今でも厳しいけれどももっと財政的にも厳しくなるわけでございます。きのうの新聞でも、またもや雇用保険の保険料率の引き上げの記事が出ておりました。財政が悪化すれば保険なんだから料率を上げるというのは当然といえば当然、制度の当然の前提でございますけれども、今回の失業問題、実質賃金が下がっている中での保険料引き上げというのは非常に消費をシュリンクさせる、萎縮させるものになるわけでございます。  保険料の引き上げの前に、隠れ借金と言われておりますような特例減額の解消とか国庫負担の引き上げを考えるべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  89. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 先般、事務方には雇用保険全体をどう見直していくか検討をせよという指示をいたしました。それは、先生指摘の、国庫負担を本則よりも今下げております、二五%を一四%くらいにたしか下げていると思いましたけれども、これについてどうするか。その際に国の財政状況を将来どう見るかということ。それから、もちろん今御指摘の特例減額、これが二カ年で六百億ぐらいになります。これは言ってみれば私どもにとっては隠れ債権と申しますか、返してもらえるものだと思って、そのお約束でしているわけであります。  ただ、いずれにいたしましても、雇用保険に関して積立金を取り崩しておりますが、年額一兆円にも及んでおりまして、国庫補助額というのは三千億程度でありますから、これがもとに戻しても恐らく二千億ぐらいにしかならないと思いますから、正直言って焼け石に水でありますので、どうしても本体部分といいますか料率についてどうするかということを議論していただかなければならないというふうに考えております。  近く中央職業安定審議会の部会レベルでも各般にわたって勉強を始めてもらうことになっておりますので、いろんな要素を加味しながら、将来的に安定運営をしていくためにどうするかという議論をしていただきたいというふうに思っております。
  90. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは次に、年金関係の質問をさせていただきます。  少々通告した質問よりも少なくて恐縮ですが、伺いたいのは、一点目は、年金福祉事業団の廃止が決まりまして、省庁改革とともに新たな姿になってまいるわけでございますが、これまでの資金運用で一兆と言われる赤字を今後どう処理されるのか。それから、今後、全額自主運用に移行するわけでございますが、安全確実な運用というのはどう確保していかれるのか。借金、赤字の処理をどうされて、それから自主運用というところに入っていきませんと、一つやはり総括が必要な感じがいたします。その点を一点、まずお伺いしたいと思います。
  91. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今、年金の積立金は御承知のように全額資金運用部に預託いたしまして、その一部を自主運用させていただいております。ところが、実際は低金利あるいは株価の低迷等によりまして採算が悪くて赤字が出ておるという状況でございますが、私どもとしては、年金は長期運用で健全性を保たなくてはなりませんので、今赤字でございますけれども、なるべく努力しながら赤字解消を図っていくということがどうしても必要でございますので、いろいろの面で努力をさせていただくつもりでございます。  なお、今度の制度改正によりまして年金福祉事業団が廃止になりまして、またかわるべき年金資金の運用基金も設けますが、その運用等に当たりましてはやはり本来の意味の自主運用という形に沿った形で効率的な、しかも安全有利というのは相矛盾するかもしれませんが、そういった運用を図るべく制度を整えてまいりたいと思っております。
  92. 川橋幸子

    川橋幸子君 伺っても、これは長期的な資金の運用なのでその中で解消を図っていくということ、それ以上でも以下でもないのかなと思うのでございますけれども、ぜひそういうところをしっかりやっていただいて、しっかりやるというのも非常に俗な言い方でございますが、問題は、資金運用の中立性、透明性というものが今後どういうふうに確保されていくか。今までの部分はそこの部分がブラックボックスで国民がわかりにくい、あるいは制度上の欠陥として宿命的な借金の部分もあったのかもわからないけれども、そこのところの情報開示といいましょうか、中立性、透明性の担保というものがはっきり国民の目に見えなかったのでこの赤字に対する批判というのも大きかったのではないかと思います。  自主運用移行となりますと、今申しましたような中立性、透明性というものが一層求められることになるわけでございますが、そうした場合にはどう取り組まれるのでしょうか。これが一点です。  それから、厚生年金福祉事業団について、民間金融機関からの出向者の派遣、これは手弁当でございます。それから、行政監察で指摘されておりましたのは、資金運用の調査研究という名目のもとで無償請負がなされていたというようなことが指摘されております。  この中立性、透明性の確保という原則の話に加えまして、民間金融機関からのただの天上がり、それから調査研究の無償請負というもの、これについてもはっきりとした姿勢をお示しいただきたいと思います。まとめてお答えいただきたいと思います。
  93. 矢野朝水

    政府委員(矢野朝水君) 年金積立金といいますのは、非常に巨額な資金でございますし、国民共有の財産でもございます。  この運用の透明性を図る、中立性を図るというのは非常に大事な視点だと思っておりまして、この点につきましては、かねてからいろんな形で運用の結果を分析して発表してきたわけでございます。ちょっとここにきょうお持ちしたわけですけれども、こういう五十六ページに及ぶような平成九年度の資金運用事業状況、こういったものも昨年公表いたしております。  そういう中で、今回、総務庁の方からも、運用委託機関の評価基準、評価結果等に関するディスクロージャーを推進することということで、さらに一層ディスクロージャーの推進ということの勧告を受けておるわけでございます。こういった点につきましては、引き続き努力していきたいと思っております。  それから二つ目の、年金福祉事業団に民間金融機関からのいわゆる天上がりがいる、こういう問題でございます。  これは、この運用事業そのものが非常に高度の専門性が必要だということで、そういった点で銀行の出向者を受け入れておるわけでございますけれども、本来これは望ましいことではないわけでございまして、こういった問題につきましては、今回新しい運用の仕組みに移行する、こういうことも考えておるわけでございまして、そういう中では、ここは自前の専門家を育てる、こういうことで徹底していきたいと思っております。  それから三つ目の調査研究センターの件でございますけれども、これは、こういった年金の運用というのが我が国では近年急速に学問的あるいは実態上も進歩しているわけでございますけれども、従来、日本ではこういった面の調査研究が非常におくれていた、あるいはそういった知識、経験の集積が乏しかった、こういう実態がございます。  そういうことで、年金運用について調査研究をやるために、これは年金保養協会という財団法人でございますけれども、そこに調査研究センターを設けて、民間から出向していただいていろんな形で調査研究をお願いしてきたわけでございます。  ただ、これは今御質問ございましたように、手弁当で来ていただいておったというようなことで、総務庁の指摘も受けまして、これにつきましては給料を支払う、こういう改善措置を講じたところでございます。  こういった調査研究のあり方につきましても、新たな自主運用の仕組みを構築する中で、自前で調査研究能力を高める、あるいはもっと中立的、客観的な仕組みの中で調査研究を実施していく、こういうことがぜひとも必要だと思っておりますので、この点につきましても抜本的な改善を図っていきたい、こう思っておるわけでございます。
  94. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは最後に、育児休業中の社会保険料の本人負担の免除がこの四月からの施行によりまして実現したわけでございます。介護休業中の社会保険料の負担について免除措置がないということで、両制度間で格差があるのではないかということが女性の間から疑問視されているところでございます。労働大臣厚生大臣、それぞれから一言ずつその問題をお伺いして、ぜひこれは前向きの御答弁をちょうだいしたいと思いますが、答弁を伺って私の質問を終わりにしたいと思います。  労働大臣に伺いたいのは、労働大臣厚生大臣に対して、介護保険についても、介護休業についても保険料免除を要請したいと言ってくださいましたが、それは要請していただきましたでしょうか。どんなお返事をいただかれましたでしょうか。厚生大臣は、この問題についてどうお答えくださいますでしょうか。  以上です。
  95. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 要請はさせていただいております。  私の政治力がないものでありますから、まだいい返事が返ってきておりませんけれども、これは今回の年金制度改正においては保険料引き上げの凍結等が予定されているし、いろいろ難しい問題があるんだというお話をいただいております。  引き続き実現に向けて我が方としては粘り強くお願いをさせていただくというつもりでございます。
  96. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 保険料を免除して拡大していくということになりますと、他の被保険者とかあるいは事業主の保険料負担の増加を招くという問題がありますほか、私どもとしては、現役世代の保険料負担の増大というようなことに結びついていくという一般的なこの背景がございます。  ところで、育児休業につきましては、現在の少子高齢化の中で育児を行う労働者を支援するということは、将来における年金制度を支える被保険者を育成していただくという意味もございまして、そういった支援も必要であるということで、年金制度の立場から、育児休業期間中の本人負担分は既に平成七年四月から免除されておりますが、今回の改正で事業主負担も免除するようにいたしたいと考えております。  一方、介護休業の問題になりますと、これは今申したような趣旨と若干違いますし、それから介護保険制度は、やはり家族介護ということから離れて、社会的な相互の扶助の精神で支え合うというシステムをつくろうとしておるわけでございますので、介護休業の方は育児休業と若干違うんじゃないかと思うんです。  介護休業の方は、したがって、労働省の扱いにおきましても、育児期間が一年間、介護期間は三カ月ということもございますし、私どもはそういうことを考えながら、やはり制度本来の趣旨がいろいろ違いますから、慎重な配慮をしなけりゃならぬ、慎重な検討が必要であるというように労働大臣にもお答え申し上げているところでございます。
  97. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございました。
  98. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。  きょうは、何度か国土・環境委員会で環境政策についてお尋ねしているわけでありますけれども、改めてまた環境庁の決意等を含めて所信をお伺いしたい。  ちょうどおとといの新聞で、今後の地球環境も含めた環境行政の中での省庁再編で、これは委員会のときも林野庁の皆さん等も含めてそれぞれお話をお伺いしたわけでありますけれども、本当に環境行政というのは喫緊のまさに焦眉の急であろう、そんなふうに思うところであります。  戦後五十四年、確かに日本は立派な経済大国になりました。それはそれとして認めるところでありますけれども、しかしながら、一方、自然それからまた資源、こういうふうなことを考えると、二十一世紀にわたって最大の課題というのは自然環境と資源、これを経済活動の中でどういうふうに共生していかなきゃいけないのか。そういう意味で、本当に私は環境庁の任務、役割というのは大変な役割をしょうものであろうと。しかも、三年前のCOP3、ここでいわゆる温暖化防止の議長国としてCO2の削減をまさに決めたわけですから、私は、これは単に日本の国の話ではなくて、ある意味では世界をリードして、この人類の存亡にかかわるいろんな問題を解決していくためのイニシアチブをとるのがまさに環境庁であろう、そんなふうに思うところであります。  委員会の中でそれぞれ審議経過を見てきていますと、環境庁だけではなかなか解決できない問題が本当にたくさんあるなと。温暖化の話にしても、運輸省、通産省、それぞれの役所の協力を求めなきゃいけない。環境行政のある意味での難しさをその辺でかいま見ているわけであります。  しかしながら、私は、政治、行政というのはその時代のめり張りというか、これは今環境行政が先行しなきゃいけない時代であろう、それと同時にまた経済対策、今次まさにそのとおりでありますけれども、その行政が大事であろう。  それぞれありますけれども、今、国会でガイドラインの議論がなされております。私は、この温暖化そしてまた環境政策行政というのはまさに地球防衛と言っても過言ではない、そんなふうに思うところであります。  そういう中で、環境庁長官に二十一世紀に向けた環境行政の決意、所見、これをぜひお伺いしたいと思います。
  99. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 先生指摘のように、日本の戦後は欧米先進国に追いつけ追い越せということで頑張ってきたところであります。その期間中の国民の努力は世界的にも大変高く評価されておったところでありますけれども、昭和四十七、八年から五十年ごろにかけまして、日本が公害大国というレッテルを張られるようになったわけであります。こんなことではいけないということに目覚めまして環境庁を設置してその対応を図ったところであります。おかげさまをもちまして、日本国民の英知で公害問題の解決の方向を素早く見出していただいたわけであります。  バブルが崩壊してから八年余りになるわけでありますけれども、その間公害対策に一生懸命になって頑張ってまいりました。水俣病であるとかイタイイタイ病であるとかワクチン禍であるとか、いろんな問題が生じたわけでありますけれども、その後遺症はいまだ残っておりますけれども、その対応を一応私はなしてまいったと、こう思っておるわけであります。  いよいよ環境庁が環境省に昇格させていただく、二〇〇一年からその使命は大きいぞという位置づけをしていただいたわけであります。この位置づけは決して環境庁一庁の問題ではないと思うわけであって、国民的な合意がそこに得られつつあるのではないだろうか、こう思うわけでありまして、その期待に環境庁はこたえて環境省の使命を果たしていかなきゃならないと、こう考えておるところであります。  環境問題というのは、もう地球規模から国民の一人一人の生活にかかわる安全、安心の問題を確保していかなければならないわけでありまして、この目標に向かって頑張ってまいりたいと思っております。  環境省になったときに、いろんな問題がございますけれども、これはまた機会を見て論じ合っていきたいと思いますが、その決意の一端を申し述べて答弁とさせていただきます。
  100. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 まさに真鍋長官のおっしゃるとおりであろうと思いますし、今、省庁再編の中で、防衛庁なんかも本当に国防省にしてもらいたいと。それぞれの省庁の中で、これから庁から省になるというのは、本当に皆さん方がそれぞれの庁がうらやましいなと思っているような気持ちじゃないかなと、そんなふうに思うところであります。  そういう中で、たまたま今林野庁の移管の話が出ました。それで、私も新聞を見ていましたら、おとといですか、林野庁の省庁移管、「検討課題になる」と。これは公明党の皆さんからの、確かにいろんな議論をしている中で、片方ではCO2、片方では酸素を出しているわけですから、これが相マッチしながらやっていかないとなかなかいわゆる環境行政というのは進んでいかないかなと思っている中で、これは官房長官の実は発言。  これは大臣ごらんになりましたですか。「千人ほどの環境庁が省に昇格したからといって真に責任を持つ環境行政が可能かどうか」、この発言に対して大臣、どのようにお考えですか。
  101. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 二〇〇一年の省に昇格するに際しましては、千人程度の人員ではまさに不足の状態であると私も常々考えておるところであります。しかしながら、省庁再編成でリストラを要求されておるわけでありまして、その趣旨に沿うならば多くの人員増ということは見込めないわけであります。  そこで、何とか再編をしながら、またやりくり算段をしながら事の処理に当たっていくということになれば、例えば官房長官が触れた、公明党さんからの提言ではあったものの、やはりそれも一つの方法じゃないだろうかと思っておるわけであります。  林野行政というものが産業行政でなくてやはり環境・国土行政を考えるならば、環境省に昇格した暁には相協力して携えてやっていくことが大切なことじゃないだろうか、こう思っております。共管の管理体制に林野庁と環境庁を併合さす意味で仕事をしていくならば、私は一緒になっていくことも必要なことだろうと思っておるわけでありまして、願わくばそのような状態に将来的にはなってほしいと、こう願望いたしておるところであります。
  102. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 大臣の答弁、ちょっと私の質問と──それはわかります、将来的な。しかしながら、省庁間の将来像というのはある意味ではもう決まっているわけでしょうから。  そういうふうな中で、環境行政が本当に国を挙げて、しかも京都会議をやって世界に冠たる行政をしていかなきゃいけないと。しかも環境庁大臣初めそれぞれの職員の皆さんが一生懸命になってやっていこうという矢先の中での、官房長官が、まさに千人程度でできるかどうかと。この新聞を読むと、誤解されそうな記事なんですね。どう見ても私はこれは誤解しちゃうんです、「真に責任を持つ環境行政が可能かどうか」と。  これについては、やっぱり長官として官房長官に、いや、今の環境庁のこの実態を見て、一生懸命やっていくその気持ち、勇気を持ってやっていきましょうと、そんなやさきにこの発言は少しあんまりじゃないだろうか、それぐらいの話はしておかないと、やっぱり省庁の士気にいろいろかかわるんじゃないかな、そんな思いをしたわけであります。  地球温暖化防止がまさに昨年の十月に成立になって、それから大臣はブエノスアイレスに行かれて、また環境会議に参加をしてきたことと思います。その議論の中で、先ほどもお話ししましたように、環境問題というのは、将来、もう百年、二百年先のことであるなと思いながらも、現実的にはやっぱり目の前の問題でもありますし、また、ちっちゃなごみの問題を考えると、私一人ぐらいはと思いながらも、その集合体が大変な問題になる。昔、例え語でよく、こんなごみのような話という言葉があったんですけれども、まさに今ごみ問題ほど大変な問題はない。  そういう中での地球温暖化防止、それぞれ決めていただいて進めていただいていると思うんですけれども、現実問題として、今の段階で国の施策、さらに都道府県、それからまた国民に対する一つの啓蒙、これらを現況、どんな状況の中でやっているのか。コマーシャル等を見るとどうしても電力会社のコマーシャルばかりが気になって、環境庁が本当に啓蒙してやっているのかな、そんなふうに思うところもありまして、そういう中で今環境庁としてやっている地球温暖化防止に関する各施策、これの現況を教えていただきたいと思います。
  103. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 地球温暖化対策の現況についてのお尋ねでございますが、昨年の国会でおつくりをいただきました地球温暖化対策の推進に関する法律、これが本年四月八日から全面施行されておりまして、現在それに基づき各般の取り組みを具体化しているところでございます。  国におきましては、早速でございますけれども、全面施行の翌日、四月九日に閣議で地球温暖化対策に関する基本方針を決定をいただきました。この方針では、国、地方公共団体事業者、それから国民のそれぞれが講ずべき温室効果ガスの排出の抑制措置の基本的事項などを定めているわけでございます。  既に昨年六月には、地球温暖化対策推進大綱という形で、政府を挙げて取り組む各般の施策をその大綱の中に盛り込んだところでございますが、現在はこの法律の枠組みのもとにおいてこうした施策を実施してきているところでございます。  さらに、この法律の円滑な施行を期するために、環境庁におきましては、政府みずからの事務及び事業に関する温室効果ガスの排出を抑制するための実行計画を率先して策定することとしております。また、地方公共団体にも同様の実行計画を策定していただかなければいけませんので、それを促すためのマニュアルの策定を進めております。  また、国民への普及啓発が必要だということの御指摘もございましたが、まさにそういったことを支援するための地球温暖化防止活動推進センターを国及び各都道府県で指定する、そうした準備も進められているところでございます。  このような大きな枠組みのもとで、具体的に地方公共団体は、先ほど申し上げましたみずから排出するガスに対する実行計画、それから住民の取り組みを支援する都道府県地球温暖化防止活動推進センターの指定、それから地球温暖化防止活動推進員の委嘱を行うこととなるわけでございます。既に一部の団体におきましては実行計画の策定の準備がかなり進められておりまして、また北海道ではいち早く北海道環境財団をセンターとして指定する、あるいは神奈川県は推進員の公募を開始するといった具体化が進められてきております。  事業者につきましては、法律に基づき排出抑制に関する計画の策定や実施状況の公表に努めていただかなければならないわけでございますが、これまでにも経団連が環境自主行動計画をつくって、その実施状況の第一回点検を昨年されております。また、各企業におきましても環境報告書の公表などの取り組みが見られているところでございます。  今般の基本方針で具体的な対策の方向が示されました。また、大臣も何度か経済界の代表の方々とも会っていただきまして、取り組みの一層の推進を要請していただいておりますが、そうしたこともございまして、今後さらなる温室効果ガスの削減のための取り組みが促進されるものと考えております。  また、国民の理解を高めることも極めて重要でございます。今度の基本方針におきまして、全国のセンターあるいは都道府県のセンターの運営に当たりまして、それらの民間団体や住民の協力が適切に確保されるものとする旨、規定されたところでございまして、今後さらに国民の活動の場が広がっていくものと考えておりますが、環境庁といたしましても、国民の意識をさらに高めるための普及啓発、その他の国民の取り組みへの支援が効果的に行われますように、全国センターの指定作業につきましても早急に進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  104. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 時間が五十二分までで、排出権も行きたいんですけれども、排出権はまた委員会でもそれぞれ質問させていただこうと思います。  環境教育、私はずっと委員会に出席させてもらっていながら、こどもエコクラブがあるというのを全く知らなかったんです。こういうことがあって、環境教育がいかに大事であるか、しかもそれが環境庁と科学技術庁と文部省にまたがっている。そういう中で環境教育をやっていくにつけて、先般の委員会で文部省の話も聞きましたけれども、いわゆる義務教育の中で環境は大事であるという一項があるぐらいの話で、何かまだやっぱり本当に身についた環境教育というのになっていかない。  まさにこどもエコクラブがあるということでありますけれども、これは現実問題としてどういうふうな子供たちに対する環境教育、体験教育をやっているのか、そして今これに参加をしている子供たちがどれぐらいいるのか、しかもそれは環境庁、文部省、科技庁、場合によっては林野庁、今話題になっているわけですが林野庁との四角関係というか、四省庁でどんなふうな教育をしていこうとしているのか、この辺についての御答弁をお願いしたい。
  105. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 環境教育の問題はいわば地球規模の環境問題を考える上におきまして大変大事な問題でございまして、私ども環境庁といたしましても重点課題として取り組んでおりますが、その中で、例えばこどもエコクラブあるいは子供パークレンジャーといったような、私どもとしての仕組みを具体化する際に文部省あるいは建設省、運輸省、林野庁等々の仕組みとの連携に努力をしているところでございます。  文部省は学校教育並びに社会教育、また林野庁は森林教育、また運輸省は海の教育、あるいは建設省は川の教育ということで、それぞれフィールドを持っておりまして、それに対して私どものそういったような子供たちの集まりといったような場として連携をとって進めていくということでございまして、特に昨年度の第三次補正で全国四つの総合学習ゾーンのモデル事業を立ち上げまして、現在十九の府県で具体的な総合環境学習の立ち上げが進んでおります。  これにつきましても、関係省庁と十分連携また協力いただきながら進めてまいりたいということでございまして、いわばみずから体験をするという要素、さらには総合的に取り組んでいくという要素を海、山、川、あるいは森、そういったようなフィールドを使いながら、連携をとりながら活動を進めていくということで鋭意頑張っているところでございます。
  106. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 既にある制度、これは委員をしていても私自身がわからないのか、しかし世の中も承知をしている人がどの程度いるかなと、そんな思いであるんですけれども、体験教育、これはもう本当に大事だと思うんです。四月にみどりの日というのがあって、これは林野庁が中心にやっているグリーンデーなんでしょうが、私は、一度日比谷公園でやったときにたまたま子供を連れていって、のこぎりで切っている本当に生き返ったようなそんな我が子を見ながら、やっぱり体験というものは大事なんだなと、そんな思いをしたわけであります。  本当に環境教育の大事さ、ある意味では地球を救うというような気持ちの中で、できれば私は、環境庁が河川の、また森や木にしても、そんなこともトータル的にまとめ役になって、それこそ文部省が義務教育の中の一つのカリキュラムに入れてもいいじゃないか、それぐらいの気持ちで環境行政を進めていかないとどうしても停滞ぎみになってしまうんじゃないだろうか、そんな懸念をするところでもあります。  持ち時間があと二分でありますけれども、環境教育について大臣の所見をお伺いしたい。
  107. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 先生指摘のとおりでございます。私も田舎育ちでございまして、日本の政治活動分野を見ましても、田舎から輩出されていった人材というのが大きく活躍しておるというのを目の当たりにしまして、やはり子供のときそういう自然とともに学習した、教育された人たちの今日あるのをいろいろと思い浮かべるわけであります。  そんなことを思いながら、今年度の環境教育の中でメーンな一つの項目を挙げたのが環境学習であったわけであります。先ほどお話がありましたように、全国四カ所のゾーンを設けまして、各種ゾーンにおいて環境体験学習はいかにあるべきかということをもう一遍洗い直して、それを教育の中にも取り入れていこうということに相なったわけであります。  例えば、水俣病におきます体験学習というのは、もはや修学旅行というものが今までのような文化遺産のところだけをめぐるのでなくて、やはり自然環境の中で、そしてまた人類がいろんな体験をしたところを見て回ってもらう教育も大変必要じゃないだろうかということで全国に周知いたしたところでございますけれども、今年度も水俣病に関する修学旅行の学生が非常にふえておるというようなことを見ましても、その必要性というのが理解できてきつつあるのじゃないだろうか、こう思っておるわけであります。  私は、自然の中に生かされておる人間というふうに理解してもらった方が、人間が自然を制覇しておるような気持ちでなくて、共生する中に人間らしさを取り戻していかなきゃならないんじゃないだろうか、こんな気持ちを持って環境行政の中で体験教育学習というものを取り入れたところでございます。
  108. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 ありがとうございました。
  109. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  本年四月七日に行われました本委員会にて、日本においては世界の先進国に比しゼロ歳から四歳児の事故死亡率が高いので、乳幼児の事故対策をより一層推進する必要があるという趣旨で厚生省、警察庁等に質問をいたしました。前回時間切れで質問できなかった部分がありますので、まずそこからさせていただきたいと思います。  乳幼児の事故による死亡を減らすためには、乳幼児が事故に遭ったときに、現場でまず救急蘇生術が適切に行われることが大切であります。成人の救急蘇生術に関しては、中学校、高校での授業や自動車教習所での学科教習、あるいは職場や地域での防災訓練などを通して、マウス・ツー・マウス、人工呼吸法や心臓マッサージ法を実習したり学習したりする機会があると思いますけれども、乳幼児の救急蘇生法に関しては学習や実習を受ける機会が余りありません。したがって、乳幼児の救急蘇生法の啓蒙活動を推進し、一人でも多くの乳幼児を事故死から救う努力をすべきであるとの声が保育所の保母さんとか救急救命医の方から上がっております。  乳幼児の場合は顔が小さいために口と鼻の距離が短い。そうすると、成人のように口対口人工呼吸法ではなくて口対口鼻、口と口鼻を一緒に覆う口対口鼻人工呼吸法が推奨されているわけであります。ただし、子供さんが少し大きくなりますと状況によっては口と鼻を一緒に覆えないようなこともありますので、そういう場合は口対鼻、鼻に直接空気を送るというような口対鼻人工呼吸法がよいという場合もございます。  このようなことを一般の人の場合や母親あるいは保母さんも知らないことがあると思いますので、いざというときに戸惑うことがないようさまざまな機会を通して乳幼児に対する特殊な人工呼吸法を啓蒙する必要があるということを訴えたいと思います。  そこで、まず警察庁の方にお伺いしますけれども、乳幼児の事故の死亡原因には交通事故が多いわけですので、まず一般の人への啓蒙で有効と思われるのは自動車教習所での教習の中で教えていくことが重要かなというふうに思います。成人に対する口対口人工呼吸法とともに、乳幼児に対する口対口鼻人工呼吸法も教習の中で紹介していただきたい、そのように思うわけでありますけれども、この点いかがでしょうか。
  110. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) 交通事故の際に、救急車が到着するまでの間の負傷者に対する応急救護処置の普及というものが救命率の向上の観点からも極めて重要なわけでございまして、平成五年の道路交通法改正におきまして、運転免許の取得時講習及び自動車教習所の教習としまして応急救護処置が盛り込まれました。平成六年の五月以降、講習あるいは教習が行われてきたわけでございます。平成十年中には約百三十万人がこれを受講しておるところでございます。  この講習あるいは教習で行われております応急救護処置の内容につきましては、新たな免許取得者に一律に義務づけるということであることから、すべての人を対象一般的に有効と考えられている内容を盛り込んでいるところでございますけれども、最近の乳児あるいは幼児の交通事故の増加の実態、さらには委員の御指摘も踏まえまして、乳幼児に対する蘇生法についても応急救護処置措置教育における教育資料に盛り込むことを検討いたしたしたいと考えております。
  111. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 非常に大切なことと思いますので、ぜひとも教習所での教習の中に入れていただければありがたいというふうに思います。  次に、厚生大臣の方にお伺いしたいんですけれども、乳幼児の事故に遭遇する可能性が高いのは一緒におる若い両親であると思います。したがって、母子手帳の副読本などにも乳幼児の口対口鼻人工呼吸法をできれば図解入りで紹介してもらえればいざというときに役に立つのではないか、そのように思うわけでありますけれども厚生大臣、この点に関してはいかがでしょうか。
  112. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 不慮の事故の中で溺死とか窒息が多いわけでございますので、今委員の御指摘のように口鼻人工呼吸法につきまして、母子健康手帳の副読本「赤ちゃん」というのがありますが、その中で御指摘のように図解入りで情報提供することについて検討し、実現をしてまいりたいと思います。    〔委員長退席、理事鎌田要人君着席〕
  113. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございます。そういうふうに前向きに取り組んでいただければ非常によろしいかなというふうに思います。  続きまして、同じく厚生大臣にお伺いしたいんですけれども、近年、ゼロ歳児保育など乳幼児を扱う保育所が住民のニーズにこたえる形でふえてきております。保育所にいて乳幼児突然死症候群の発生やまた誤飲事故なども起こる危険性がありますので、認可、無認可を問わず、保育所職員研修の中でこの乳幼児の人工呼吸法の学習あるいは実習を取り入れていただきたい、そのように思いますけれども、この点に関してはいかがでしょうか。
  114. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 保育所におきまして乳児の保育に携わる職員等が救急蘇生方法について理解を深めることは極めて重要なことでございます。  認可保育所につきましては、保育所の所長とか保育士等を対象といたしまして、現に人工呼吸、心臓マッサージ等の実施を含め乳幼児に対する応急処置の研修を実施しておるところでございます。また、認可外保育施設につきましても保育従事者を対象とした研修を実施しており、その中で応急処置についての実習を行っておるところでございます。  今お話の口鼻人工呼吸につきましても、これらの研修の指導や実施においても普及啓発を行っているところでありますが、今後とも、口鼻人工呼吸を含め乳児の保育に携わる職員に対する救急蘇生方法の普及啓発に努めてまいる所存でございます。
  115. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございます。  次の質問に入らせていただきます。  厚生省が本年四月に公表しました直近の健康マップを見ますと、脳血管疾患の標準化死亡比は、私の住んでいるのは東北でありますけれども、男女とも東北、北関東で高く、まだまだ都道府県間格差が残っております。日本全体では平成九年度統計では約十三・九万人が脳血管疾患で亡くなっておられます。  厚生省としては、今後、高標準化死亡比地域の改善のために保健事業をどのように進めていく方針か、その点に関してお伺いしたいと思います。  また、健康マップを今後、今検討されております健康日本21にどのように反映して脳血管疾患の死亡率を改善していく方針か、その点に関してもお伺いしたいと思います。
  116. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 脳卒中はいわゆる三大成人病の一つでございまして、近時、壮年期以降の死亡率は低下傾向にございますが、しかし地域的なばらつきがございまして、全国平均より四割以上高い市町村は今御指摘のように男女とも東北から北関東に集中している状況にございます。  老人保健法におきます保健事業におきましては、脳卒中を含めまして壮年期以降の死亡率の高くなる疾患について、食生活など生活習慣の改善を初めとする予防対策を重点的に進めておるところでございますが、具体的には、基本健康調査あるいは健康教育などによりまして、高血圧など脳卒中になる危険性の高い者に対しまして食事における減塩の有効性について啓発を図る、あるいは必要な者には医療機関への受診を指導するなど、地域ごとの特性に応じた取り組みを指導しておるところでございます。  現在、平成十二年度からの保健事業のあり方について専門委員会を設置して検討しておるところでございますが、その検討結果を踏まえまして効果的な保健事業の推進に努める所存でございます。この委員会の検討結果は来月くらいを目途に報告書を取りまとめる予定となっております。
  117. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 健康日本21の計画の中にどのように入れていくかというのは、今の研究会等の審議結果を入れていくということでよろしいんですか。
  118. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 健康日本21というのも行っておりますので、それと連動させる形でこの保健事業を構築してまいりたい、こういうふうに考えております。
  119. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 それに関連しまして、脳ドックのことをちょっとお聞きしたいと思います。  現在私も脳神経外科医でありまして、脳ドックの施設等を見させていただくこともあるわけでございますけれども、脳ドックが脳卒中の原因となる脳動脈瘤や脳血管の奇形あるいは脳血管の狭窄、閉塞の発症前発見に有効である、そのように言われておりまして、今後ますます脳血管疾患の発症予防や発症前治療に重要な役割を果たしていくのではないかと期待されるところでございます。  今後の課題としまして、この脳ドックを老人保健事業の健康診査に採用することを厚生省として検討しているのかどうか、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  120. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) いわゆる脳ドックにつきましては、一部の医療機関におきまして原則として自己負担で今実施されているところでございます。その有効性につきまして専門家の間でもさまざまな意見がございますし、対象の範囲、方法などについても検討は不十分な状況ではないかと承知をいたしております。  老人保健事業の健康診査に加えるかどうかを検討する前提として、このような脳ドックの有効性についての研究、検討がさらに行われる必要があり、現段階におきましては、今後の検討課題の一つと認識をいたしておるところでございます。
  121. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 脳ドックに対しては今のところまだいろいろな意見があるということで、今後より検討を進めて、本当に集団健診的なものに利用した方がいいのかどうか、研究を進めていただければと、そのように思います。  次の質問ですけれども、不妊治療に関する質問をさせていただきたいと思います。  厚生科学研究費補助金厚生科学特別研究・生殖補助医療技術に対する医師及び国民の意識に関する研究班によりまして、平成十一年、本年ですけれども、二月から三月にかけて行われました生殖補助医療技術についての意識調査の結果の概要が本年五月六日に発表されました。この結果に関連しまして、厚生省並びに法務省にお伺いしたいと思います。  夫以外の男性から精子の提供を受けて人工授精を行い妊娠、出産するAIDの技術を一般論として社会的に認めてよいかとの質問に対して、一般国民の回答は、認めてよい一〇・八%、条件つきで認めてよい四九・四%であり、両者合わせて六〇・二%の方々が肯定的な考え方の答えを示したのに対しまして、認められないという答えは二一・五%と少ない回答でありました。また、体外受精登録医療機関の産婦人科医師やその医療機関を受診している患者グループからの回答も、同様に肯定的意見が多数を占めておりました。  日本産科婦人科学会は、日本不妊学会、日本泌尿器科学会、日本受精着床学会、日本アンドロロジー学会の了承も得て、非配偶者間人工授精であるAIDを条件つきで承認する旨の会告を一九九七年に既に出しております。  厚生大臣にお伺いしたいんですけれども、今回の調査結果とこれらの関連医学会の動向を勘案しまして、厚生大臣としては、このAIDを実施することに関して社会的に合意形成がなされたというふうに考えておられるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  122. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 御指摘のように、本年二月から三月にかけまして実施いたしました生殖補助医療技術についての意識調査の結果は御指摘のとおりでございまして、特に第三者の精子を用いた人工授精AIDについての今の数字の御説明、そのとおりでございます。  同技術につきまして、自分が子供に恵まれない場合に利用したいと回答したものは三・四%、それから配偶者が望んでも利用しないとしたものが七割を占めているという実態もございます。  さらに、AIDにつきましては、出生児の法的地位が不安定であるという問題、それから遺伝的な親、いわゆる出自を知る権利についての問題、それから精子提供者や依頼者のプライバシー保護の問題等、種々の問題が指摘されておるところでございます。  このように、AIDにつきましては必ずしも社会的合意形成がなされているとは言えない状況であると認識しておりますが、しかし一方で、この技術は既に長年にわたって利用されておりまして、平成九年には日本産科婦人科学会においても厳しい条件のもとでAIDの実施を承認していることもございます。  このため、厚生省におきましては、昨年十月に厚生科学審議会先端医療技術評価部会のもとに生殖補助医療技術に関する専門委員会を設置いたしまして、AIDを含む生殖補助医療技術に関する医療面とか倫理面あるいは法的な側面等について議論をいたしておりますが、その論議の推移を見守って検討を続けてまいりたいと思っております。
  123. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 これに関連してですけれども、今回は第三者の人工授精あるいは体外受精についてのアンケート調査でございましたけれども、今回、配偶者間の人工授精、体外受精、胚移植などを同時に調査対象としなかった理由についてお伺いしたいと思います。
  124. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 生殖補助医療技術につきまして、第三者から精子なり卵子の提供を受ける場合、あるいは代理母等の問題につきましては、大臣の答弁にもございましたように、医学的な安全性の問題のほかに、法的な問題、倫理的な問題、さまざまな問題があるというふうに指摘されておりまして、現在、厚生科学審議会の生殖補助医療技術に関する専門委員会におきましてさまざまな観点から御審議をお願いしているところでございます。  今回の調査は、この専門委員会における論議の基礎資料を得ることを目的といたしまして、第三者からの提供に係る人工授精等の問題につきまして広く国民なり専門家の意識をお伺いしたものでございまして、既に医療現場におきまして長年にわたって広く行われております夫婦間の人工授精あるいは体外受精につきましては調査の項目に含めなかったものでございます。
  125. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 じゃ、配偶者間の人工授精、体外受精に関しては社会的にも合意が得られやすいというふうに考えていらっしゃるわけですか。
  126. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) この人工授精あるいは体外受精につきまして、医学的な問題につきましてはさまざまな技術的安全性の観点からも問題があるわけでありますけれども、夫婦間のこれらにつきましては特段倫理的、社会的な問題は生じないということでございまして、この専門委員会の議論の基礎資料といたしましての調査からは特段取り上げなかった、外したということでございます。
  127. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 第三者からの提供の生殖補助医療技術だけではなくて、やはり安全面、医学的な面でまだ未解決の部分が残っているというような認識でありますので、配偶者間でも人工授精あるいは体外受精に関しての同様の調査はやはりしていくべきではないかというふうに考えるわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  128. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 現在の生殖補助医療技術に関する専門委員会におきましては、医学面それから倫理面等幅広い見地から御議論いただいておりまして、この中での、当面の必要性は低いということで夫婦間の人工授精あるいは体外受精等については取り上げなかったものでございまして、この人工授精、体外受精の問題を今後検討する際におきまして、夫婦間を特別に取り上げまして調査する必要性につきましては乏しいのではないかというふうに考えております。    〔理事鎌田要人君退席、委員長着席〕
  129. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ちょっと最後の方、調査を進める必要がないと。  私としましては、やはり今そういう夫婦間の人工授精、体外受精を希望する方がおられるということでありまして、やはりきちんと調査をしていただいて、これがもう医学的にも社会的にも合意が問題ないということであれば次の段階としては保険適用がどうなのかということに進むわけでありまして、調査はきちんとしていただきたいなというふうに思うわけであります。  私も、昨年九月の厚生委員会で、人工授精に関しましては社会的合意が得られているのではないかという観点で少し述べさせていただきましたが、本年度のこの決算委員会におきましても山本保委員が類似の質問をしておるわけであります。その中で、人工授精あるいは体外受精、胚移植に関しての医療に関しては保険適用になりにくいという理由としまして、先ほどもおっしゃられましたが、成功率が低い、安全性に課題がある、医学的に確立された技術とは言えない、社会的合意が得られないというような四点が主に挙げられているわけでありますけれども、AIHでは三一%の受精率の報告もありまして、AIDではもっと成功率が高いということで、成功率が低いということは言えないのではないかなというふうに考えております。  安全性に関しての今回の調査結果でも、登録産婦人科施設では人工授精が九九・六%の施設で実施されておりまして、安全性に関しても九四・二%が確立されているというふうに答えております。このような調査結果などを考慮しますと、AIHやAIDの人工授精は厚生省が挙げておられます四つの条件、保険適用になじまないというような条件をすべてクリアしているのではないかなというふうに私自身思いますので、もう一度AIH、AIDの保険適用の取り組みに関して厚生大臣にお聞きしたいと思います。
  130. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 大臣の前にお答えさせていただきます。  いわゆる人工授精の保険適用に関してでございますけれども、今先生から配偶者間の人工授精については私どもがかねて挙げております問題は少ないのではないかという観点から、これを保険に取り上げるべきであるという御主張をいただきました。  しかし、私どもとしては、それぞれの回数ごとの人工授精の成功率という意味ではまだ決して高くはないと思っておりますし、また母体の安全性といった点についての問題点はやはりございます。それから、倫理面、社会的合意という面については、第三者の精子を用いた場合に比べてどうだということになれば、そういった社会的合意だとか倫理面での問題点というのは低くはあると思いますけれども、やはりまだ多胎妊娠が生ずる可能性が高い。そうしますと、これに対するいわゆる減数手術といいますか、こういったものについての倫理面での問題が解決をされているか等々、やはり検討する必要がある事項が多いと思います。  そういう意味で、医療保険という公的財源でそれを見ていくという点に立ちますと、まだそこらのところを総合的に勘案していかなければならない要素はあるというふうに思っておりますので、現段階としましては、やはり慎重な検討課題ではないかということで、直ちにこれを適用するというところまでの踏ん切りがついていないというのが私どもの考え方でございます。  今後の検討課題ということで進めてまいりたいというふうに思います。
  131. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今多胎妊娠の問題等おっしゃっていましたけれども、AIH、AIDではそれは余り問題にならない、減数手術も当然問題にならないわけでありまして、そういうことは保険適用になじまない理由にはならないと思うんです。AIHあるいはAIDに限定して保険適用を考えることはできないのかということで私は主張をしているわけであります。  今回の調査では不妊治療の費用についても調査されておりまして、詳細な分析結果は後で出るようでありますけれども、AIDでは中央値が約一万五百円、これは一回の処置に関してでありますけれども、AIHでは約三千八百円でありました。実際の治療では何回か治療を行わなければならないということになりますので、またそのほかの付随する費用も考慮すると、不妊治療を受けようとする本人あるいは御家族にとってはやはり負担が大きいのではないか。そういう意味ではやはり保険適用を前向きに検討すべき時期ではないかなというふうに考えるわけであります。  では、次に法務省の方にお伺いしたいんですけれども、先ほどもこの人工授精、体外受精、胚移植に関しての問題点としまして、生まれるお子さんの法的な身分がきちんとしていないことも社会的合意が得られない一つの理由であるというようなお答えがありました。  今回の調査結果では、夫以外の男性の精子を用いた人工授精もしくは体外受精の場合、生まれてきた子供を依頼者の実子とすべきとの回答が一般国民で五八・四%、患者グループでは七五・六%の多数を占めております。AIDで生まれた子供の権利を守るためにも、AIDで出生した子供の身分は実子と法定すべきではないかというふうに考えるわけでありますけれども、この調査結果を踏まえた法務省の見解をお伺いしたいと思います。
  132. 細川清

    政府委員(細川清君) AIDで出生された子供についての民法上の親子関係の問題でございますが、民法七百七十二条第一項は、「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」ということに定めております。したがいまして、御指摘のような場合でありましても、妻が婚姻中に懐胎して生まれた子供でございますから、民法上は夫の子、すなわち夫婦間の嫡出子というふうに推定されるわけでございます。  問題は、夫とは生物学的な親子関係がないものですから、後に夫がその嫡出子たることを否認することができるかどうかという問題が次に問題になるわけですが、この場合は事前にそのことを夫が承認した場合には嫡出否認の訴えを提起して否認することはできないけれども、夫の承諾を得ないでそれがされた場合には夫は訴えによって嫡出否認をすることができるという地裁レベルの判例がございまして、それは非常に常識的な解釈ではないかと私どもは思っておるわけでございます。
  133. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 何らかの理由で夫が認知しないと言った場合には、まだその子供さんの身分が実子になるかどうかわからないということになるわけですね。
  134. 細川清

    政府委員(細川清君) この場合、お母さんが分娩した子供であることははっきりしておりますから、母親の実子であることはこれは争いがないことでございます。  問題は、父親との間に親子関係があるかどうかということを先ほど申し上げたわけでございます。
  135. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そうしますと、父親の方に関して、子供さんの実の父親と認めることは法的にはまだ不確実なところがあるというわけですか。その点、確認したいと思います。
  136. 細川清

    政府委員(細川清君) これは夫の意思にかかわっているわけでして、夫が嫡出否認の訴えを起こさないで一年を経過いたしますと嫡出否認の訴えはできなくなりますので、法的にはそれは父親と母親双方の嫡出子、夫と妻双方の嫡出子だという地位が確定するわけでございます。
  137. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 法律の専門家でないのですが、いろいろ外国の例ですと、夫が同意したのかどうかということで裁判例とかがございまして、法的に決まっていないと判例によって不確定な身分となってしまうというようなことがあります。  そういう面も含めまして、続いて法務省の方にお伺いしたいわけですけれども、今回の調査では、生まれた子供が自分の遺伝的な親を知る権利について、いつかの時点で知る権利があると回答した人が一般国民で三六・四%、患者グループで四三・八%を占め、知らないでいるべきであるとのそれぞれの回答率三三・二%並びに三五・八%を若干上回っております。ただし、医療提供側の医師では、いつかの時点で知る権利があるが四九・九%を占めておりまして、知らせるべきでないの二六・一%を上回っております。  今回の調査結果や、諸外国でも生殖補助医療技術の普及に伴いまして子供の出自を知る権利や生まれてきた子供の身分に関する法整備を進めていることを踏まえまして、法務省としては今後日本においてどのような取り組みが必要と考えておられるのか、この点に関してお伺いしたいと思います。
  138. 細川清

    政府委員(細川清君) 先ほど厚生大臣から御答弁ございましたように、現在、厚生省の厚生科学審議会の生殖補助医療技術に関する専門委員会というところにおきまして、生殖補助医療をどこまで認めるかという問題等に関して検討されているというふうに承知しておりまして、私どももこの専門委員会にオブザーバーを派遣いたしまして、意見をしっかり聞かせていただいているという状況でございます。  ただいま御指摘の、生殖医療の結果生まれたお子さんのみずからの出自を知る権利をどこまで法的に保障するかという問題でございますけれども、これはその前提としてそういった医療をどこまで容認するのかといった問題や、それから医療を行った医療機関が保存する診療記録等の医療情報の開示をどこまで認めるかといったような問題、さまざまな問題がございまして、そういった幅広い問題について、今後政府全体として、特に厚生省を中心として検討されるのではないかと思っておりますので、そういう中で私どもとしても考えてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  139. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 時間がもう余りなくなってきましたので、厚生省にちょっとそれに関連してお伺いしたいんですけれども、子供の出自を知る権利を確保するためには、生殖補助医療技術を用いて医療を行った場合に、カルテや検査記録などの診療資料を少なくとも子供の生存期間は保存しておくような法改正が必要となると考えられますけれども厚生省としましてはこのような観点での検討を行っているのか、あるいは今後行う方針としているのか。その点に関してお伺いしたいと思います。
  140. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 先ほど申しましたように、厚生科学審議会の専門委員会におきまして議論はされております。この技術によって生まれた子供がいわゆる出自を知る権利、あるいは診療記録等の保存や開示方法の問題、精子、卵子の提供者のプライバシーの保護等の関係で議論がなされておることでございまして、私どもとしては、それら議論を慎重に見守っていきたい、こう思っております。
  141. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 近年いろんな医療技術が進んでまいりまして、昨年の新聞では、シングルマザー希望の日本女性が本邦において精子あっせん業者の仲介で某クリニックにおきましてAIDの処置を受け子供を産んだというようなこともありました。また別な報道では、DNA親子関係鑑定が商業ベースで行われるようになり、人権侵害を起こす可能性が指摘されて、それに対しまして法医学学会は本年四月に親子鑑定の倫理規範や検査手順を定めた指針案をつくっているということであります。日本の中でも生殖医療に関連する状況がいろいろ変わってきておりますので、やはり法整備等も含めまして、関連各省庁の連携を深めまして、現実に合った対応をきちんとすべきであるというふうに思います。  以上で質問を終わります。
  142. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  私は、まず最初に、国家事業であります二〇〇五年日本国際博覧会の会場予定地でのオオタカ保護について質問をいたします。  万博会場予定地でオオタカの営巣が確認をされました。私は、きのうも現地へ行ってまいったわけでありますけれども、生態系の頂点に立つオオタカの営巣が確認をされたということは、巣の発見やまたオオタカの保護のために日夜を分かたず御苦労されてこられた地元の皆さんの熱意が海上の森の豊かな自然、動植物の生態系の豊かさを改めて立証されたものとして、私としましても感動をもって受けとめ、大変喜んでいる次第でありますが、環境庁長官の御感想をまず伺いたいと思います。
  143. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 愛知万博の予定地にオオタカが生息しておるということは、私は、このたびの愛知万博にふさわしい里山が存在したと思って大変歓迎をしておるところであります。そういう里山を活用することによって、自然に生息しておるいろんな生態系を知っていただくと同時に、これを一つの糧にして万博を成功させていただきたい、こう念願をいたしておるところであります。  それにいたしましても、このオオタカの保存に対しましては十分管理体制を整えて処理してまいらなければならない、万博によってそれが阻害されるような形になってはならない、こう思っておるわけでありまして、そのためには、環境庁としても協力要請があれば万全の策を講じてまいりたい、また、それを成功させてまいりたい、こう思っておるところであります。
  144. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 まさに万博を名目としたいろいろな開発がこの地域は重なっているわけですが、それによってオオタカの保護がうまくいかないということになっては大変だという御決意だと思います。  そこで伺いますが、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、このオオタカは種の保存法による国内希少野生生物として定められています。種の保存法によりますと、国には種の保存のための総合的な施策の策定と実施が求められています。地方公共団体にも施策の策定と実施の努力が求められています。法律では、個体等の取り扱いの規制とともに、生息地等の保護についても規制がされるということになっているんです。  自然の叡智、環境をテーマとする万博ということで、二十一世紀から見ても評価に値するような対策というのをお考えだと思いますけれども環境庁としても、この際、種の保存法もオオタカを国内希少野生生物として指定されているわけですから、生息地等保護区として指定をして保護に万全を期す、こういうお考えはないでしょうか。
  145. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 今先生お尋ねの生息地等保護区につきましては、現在ミヤコタナゴですとかアベサンショウウオといったような、それぞれの生息自身が、存在するだけで大変周りからの影響を受けやすいというもので、なおかつ生息場所が全国で一カ所あるいは数カ所といったように限定されているものを中心に選定を進めているところでございます。  オオタカにつきましては、全国の里山に広く分布をいたしておりまして、なおかつ行動圏は大変広く多様でございます。私ども、生息地等保護区といったようなことで保存を図るより前に、いわばこれらのオオタカの全国的な生息状況をまず把握するといったようなことを中心とする調査研究を進め、保護対策を整備してまいりたいと考えております。
  146. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 オオタカについての全国調査がまだきちんとできていないというようなお話を伺いましたけれども、だからこそ、この環境をテーマとする海上の森を会場予定地とされているならば、ここを保護区としてきちんと保護できるんだというパイロット事業というんですか、そういうことも必要ではないかというふうに思います。  そこで、この会場予定地でのオオタカの保護の進め方についてなんですけれども環境庁の「猛禽類保護の進め方(特にイヌワシ、クマタカ、オオタカについて)」というマニュアルというんですかガイドラインがございますけれども、これによりますと、「オオタカの行動を明らかにし保護対策を検討するには、営巣地の発見及び少なくとも繁殖が成功した一シーズンを含む二営巣期の調査が望ましい。つまり、二営巣期を含む一・五年以上の調査期間とする。」こういうふうに定められておりますけれども、ここのオオタカについてもこういう指導をされていくということでございましょうか。
  147. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 今回確認されましたオオタカにつきましては、四月三十日に地元の自然保護団体の通報を受けまして、直ちに地元愛知県あるいはオオタカ専門家などの協力によりまして営巣地を確認し、直ちに緊急対策として注意を喚起するための看板の設置、あるいは立入制限のためのさくの設置、またハイカーの多い週末における合同パトロールといったような緊急保護対策の取りまとめがされたところでございます。  今先生お話しの調査の期間につきましては、「猛禽類保護の進め方」においてそのような記載がされておりますけれども、したがって、私どもとしてはこの進め方に即して、今後専門家の意見を聞きながら対応してまいりたいと考えております。  なお、これらの猛禽類保護の進め方につきましては、調査研究、さらに進めた保護対策を樹立する必要があるということで、現在各府県においてこういったような対策を進めます際のいわばマニュアルということで扱わせていただいているところでございます。
  148. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 このマニュアルが発表されてから、いろんなところで事業がありますけれども、こういうマニュアルどおりに皆さんきちんとおやりになっているというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  149. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) このマニュアルの基本は、専門家の意見を聞いていただくということと、よく調査をしていただくという二本の柱でございまして、この点につきましては、現在各地でオオタカの生息を保護しながら地域利用との調整を図る上においてこれが使われているものと考えております。
  150. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ひなが育つのは、ここにも書いてありますけれども七月、八月で、オオタカというのは、巣立ちした後一、二カ月は親と一緒にいるというんですか、きちんと飛べないものですから、木と木の間をぱたぱたと、周りにいるということで、本当に独立できるというのは八月いっぱいまでは独立できないと言われております。そうしますと、少なくともこの間は工事に着手すべきでないということであります。  オオタカの保護の調査でありますと、非繁殖期の調査もあるわけです。そうしますと、ここでもオオタカ専門委員会とか、今専門家の意見をというふうにおっしゃったんですが、そういうものが設置をされていろいろ決められると思うんですけれども、それまでは会場内での調査や作業というのをすべきでないというふうにお考えなわけですね。
  151. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 緊急的な保護対策が取りまとめられたわけでございますけれども、さらに本格的な生息状況調査の問題でございます。  これにつきましては、今後の調査を待つわけでございますけれども、各種の調査あるいは事業等ございます。それぞれの工事その他がオオタカの生育に及ぼす影響を検討した上で適切な保全対策を講じていくことが必要でございまして、それぞれの事業につきましては、そういった流れの中で判断されるものと考えております。
  152. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 そういう流れが流れていきながら調査というのは大変難しいんではないかと今心配をされているわけで、ボーリング調査としてオオタカの古巣のあった近くも調査だという形の、私どもで言うと工事というふうに思えるようなことが行われています。  そこで伺いますけれども、ここに「二〇〇五年日本国際博覧会に係る環境影響評価準備書」を持ってまいりました。ここには、オオタカの「営巣中心域は会場候補地内には分布していない」、こういう記述がありますが、今日ではこの記述は違うわけであります。その次のところに、「オオタカの平成十年営巣期高利用域」、こういう図が表示されておりまして、皆さんのお手元にもこれをお届けしております。(資料を示す)  一枚目が国際博覧会などの準備書による営巣地です。ここに大きなパネルにして持ってきまして、お手元にも同じものがありますが、こういうパネルなんです。こちら側にありますのが準備書に書いてあるものです。(図表掲示)もう一枚、お手元にあります二枚目の「一九九八年のオオタカの高利用域の調査(日本野鳥の会愛知県支部の調査による)」と書いてあるのがございます。それをごらんいただきます。  これは、調査期間は一月から七月で同じなわけです。ところが、お手元のも同じなんですが、青い色が塗ってあるところが、準備書の方は二回以上確認したところを青色で塗ったと。あちらの野鳥の会の方は六回以上確認したところを青色で塗ったということで、調査回数も、博覧会協会なんか調査回数をはっきりおっしゃらずに、調査箇所も九カ所となっていますけれども、これは何か移動しながら調べたということであります。それにしても、大変域が違っているというのがおわかりになると思います。  これは、この図だけではわかりませんので、ここに航空写真を持ってまいりました。(図表掲示)一番外の点々がありますのが、この黄色いところが万博の会場予定地です。真ん中に赤いところがございます。これがニュータウンをその跡地利用としてつくる新住計画と言われているものです。ちょっと遠くからはごらんいただけないと思いますが、これが高規格道路、名古屋瀬戸道路という万博の会場の真ん中を通る道路でございます。  この図を見ていただきますと、ニュータウンをつくる新住事業、博覧会の一枚目の方を見ていただきますと、ちょうどここの新住事業のところ、ニュータウンになるところが協会の方は抜けております。こちらの野鳥の会の方も十分ではないがというふうな言い方をされていますけれども、それは入っております。つまり、オオタカが来ているか来ていないかというその図を示しているのに、どういうわけか後で開発をするニュータウンが協会の方はすっぽり抜けているわけです。  このときには、両方ともそうですけれども、発見された巣がないという前提でやっていまして、今回発見されますとこれまた変わってくる図になるわけですが、野鳥の会なんかはこちらで見るように、今回発見された巣の周りもよく飛んできているというふうに調査できるんだけれども、協会の方ではそうなっていない、こういうのがございます。  なぜこういう差が出るのか。これはいろいろ調査のあれもあるかもしれませんけれども、ただ、従来から自然保護団体がこのアセスの準備書について不備があるというふうに指摘をされてみえて、それがこの新しい事実のもとに一層内容の不備が明らかになっていまして、営巣の適地についての評価がない、していないということが重大な問題だと私は思うわけです。  いずれにしても、新しく発見された事実に基づいて予測と評価のし直しが必要になるのではないかというふうに思いますが、再調査についてどうお考えになっているでしょうか。
  153. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  環境影響評価の面での御質問だと思いますので、環境影響評価の手続の面でこれをどう考えていくかということでお答えいたします。  環境影響評価では、手続の途中で新たな事実が明らかになった場合には、基本的には次の手続の段階でその新たな事実についても考慮をした対応を行うこととなっておるところであります。したがって、本件につきましては、まずは営巣等の状況の把握とそれに基づいた今後の対応策の検討を事業者自身が十分行うことが必要でありまして、当面は事業者の対応を見守ってまいりたいと考えております。  もちろん、関係者から相談があれば必要な対応については相談に乗っていくということで考えておる次第であります。
  154. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 事業者にどういうふうに指導をしていくかということが非常に大事な問題になってくると思うんです。  先ほどひなの育つ間、この場所での調査や作業の問題でお伺いをしました。私、こういう事例を知ったのですけれども、一九九〇年に関西文化学術研究都市、ここの造成中にオオタカが見つかりました。九二年に何らかの原因で繁殖に失敗したことがわかりまして、府は計画を一部変更して、繁殖地を含む、これは公園にするという計画だったんですけれども、面積を二・四倍に広げて、周辺の開発を続けました。ところが、オオタカの姿は今ほとんど見かけません。地元の自然保護団体の方の、周辺部が開発された結果ではないか、こういうコメントがあるわけですが、今こういうオオタカの巣が発見をされました。  先ほどのお答えで、はっきりとお答えはありませんでしたけれども、しっかりした調査をして、きちんと守れるんだという方向性が出るまでは保護を第一に考えるということが大事ではないかと私は思うわけなんです。  もし、この京都のように、開発する部分を少し少なくして保護の地域をふやしたんだけれども結果的にオオタカがいなくなった、こういうようなことになっては、これは世界が注目をする環境万博を準備する中で、世界が注目する、しかも日本が希少種というふうに指名をしているオオタカが営巣ができない環境になったというふうにとられるわけですから、それについてどうお考えなのかをお伺いしたいと思うんです。
  155. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) この万博会場予定地周辺は、里山で大変自然豊かなところでございまして、この周辺に二つがいほどのオオタカも生息をいたしております。今回、新たに一つがいが発見されたということでございます。  これらのオオタカにつきましては、ひなが無事にかえるように、関係者、緊急対策としてさくの設置あるいは注意喚起等をしたところでございますが、さらに今後の生息環境の保全のためにこれからも十分な調査がされるものと考えております。  また、この地域全体がいわばオオタカの生息に適した地域でございますので、これからのオオタカの生息状況につきましても、やはりそういったような環境を保全するということが一つの大事な要素だと考えております。
  156. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大変いい御答弁をいただいたと思うんですけれども、この海上の森全体がオオタカが生息をするに大変いい環境である。こういうところは余りないわけなんですね。私も見てまいりましたけれども、大変起伏が豊かなところでありまして、今おっしゃるとおりであります。  ところが、さっきお示しをしましたこの新住事業、ここのパネルでもちょうど抜けている部分ですね。ここの部分の、準備書をごらんいただくとあれなんですけれども、オオタカ保護のためのワシ・タカ定点観察というのを行っていないんですよ。オオタカの営巣は会場予定地をほぼ外れる形になっており、これを前提に開発、改変による影響は回避できるということが書いてあるわけです。ですから、今お答えいただいた中身とちょっと違うわけです。しかし、この準備書に書いてある前提が崩れて予定地の中に巣が今度見つかったわけなんですから、その前提が崩れるということになれば、準備書全体の信用性にかかわることになるわけなんですね。  そういった意味でも、私はここのオオタカの保護というのを、先ほど最初のときに環境庁長官がおっしゃいましたけれども、本当に真剣に見てほしい。今地元では、予定地のところに、「オオタカ子育て中。お静かに」という看板を県の皆さんも立てるそうでありますけれども、県民にはお静かにと、それでどんどこどんどこと何か始めるなんということがあっては全くおかしいわけでありまして、最後に、環境庁長官に御決意を伺いたいと思います。
  157. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 先生がいろいろ御心配をなさって、オオタカ保護のために万全を尽くしていきましょうということであります。まさに同感でございまして、里山の保全を図りながら、何とか健全なオオタカが誕生していただくことを願っておるわけであります。  しかし、万博を中止するというわけにはまいらないわけでありますから、それを実行していく中にできる限りの配意をしていくということで、環境庁としてもでき得る限りの指導助言をしてまいろう、こう思っておるわけであります。御協力方をよろしくお願いいたす次第であります。
  158. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今お答えいただきましたが、予算委員会の中でも申しましたが、万博そのものの計画がまだできていないし、考えられているのがバーチャルリアリティーという自然とは似ても似つかないもの、そういうもののために自然を破壊してオオタカを追い払うということのないように強く要望して、この部分の質問は終わらせていただきます。  続きまして、介護保険の問題について質問をさせていただきます。  私は幾つかの市町村をこの間訪問をさせていただきまして、介護保険事業について市町村長さんあるいは担当者の皆さんとも懇談をさせていただき、またシンポジウムにも参加させていただきました。そこでつくづく思いますことは、どこでも自治体の皆さんあるいは担当者が介護保険の実施が迫って非常に困惑しているということをおっしゃるわけであります。テレビや新聞の報道の特集もこの間連続して行われまして、国民的な関心も大変高い。そういうものが報道されますと、すぐ役所に問い合わせがあって、担当者を初め大変なことになるということがありました。  五月十日にもNHKのニュースがありまして、先月、全国の自治体すべてにアンケート調査をした結果、その七四%から回答があったんだけれども介護サービスの提供について、十分できると答えたところが三%、不足するが六八%、わからないが二七%です。準備作業の方は、予定どおり進んでいると答えたのがわずか二%です。  そこで、まず介護保険の実施の前提となります、マンパワーが非常に困難だという答えがあるものですから、ホームヘルパーの確保の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
  159. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) ホームヘルパー、訪問介護員でございますが、九年度末の実績しかまだございませんけれども、九年度末で実績値で十三万六千六百六十一人、こういうことになっております。
  160. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 そのホームヘルパーさんの勤務形態、常勤とかパートとかどうなっているのか、また目標についてどの程度迫っているのか、それをお示しください。
  161. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 厳密な数字はございませんけれども、大体三割が常勤で三割が非常勤、こういう形であるわけでございまして、目標値は十一年度末で十七万人ということでございますので、これまでの進捗状況から見ますと、新ゴールドプランの目標値の達成はほぼ可能ではないかなと、こういうふうに考えております。
  162. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 三割が常勤、パート、いろいろな形で細かい調査がされていないということでありますけれども、後でまたお示ししますが、正規職員は二一%だけというのが労働省の外郭団体調査でも出ておりまして、非常に少ないということですね。  また、ホームヘルパーの全体の数といいますのも、私がいただきましたのは平成九年度予算実績が一番最新だそうですけれども、目標の十五万一千九百八人に対して十三万六千六百六十一人、なかなか人数だけでも目標というふうには行っていないわけでありますけれども、ホームヘルパーの方たちの勤務形態、常勤とかパートとか、そういうことは大きな問題だと思います。  私は、政令指定都市を調べてみました。それによりますと、例えば札幌や仙台というのは正規職員というのがなくなっております。実際に正規職員のヘルパーとか常勤ヘルパー、こういう人たちが、ヘルパー全体の増加、目標にはちょっと足りないけれども伸びてはいます。こういうのと比較しますと、割合がふえていないというふうにこの数字では見られるんですけれども、これはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
  163. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) ホームヘルプの形態というのは非常に多様であるわけでございまして、需要の方が非常に多様であるわけでございますので、それに応じまして非常勤を活用する、こういうケースがふえてきていると、こういうことだと思います。
  164. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 確かに、ホームヘルプサービスというのは、多様な方にいつでもどこでも質の高いホームヘルプというのが厚生省のスローガンでございます。生身の人を相手にすることで、家事援助とか介護、相談、助言、調整というのが書かれていますけれども、本当に質の向上というのが大事です。  名古屋を調べてみましたが、高齢者介護のヘルパーというのが現在正規職員、常勤で百三名います。これを来年四月の介護保険実施に合わせて廃止しようという意向が自治体から示されて、心配されています。実質的には介護認定の始まることしの十月から廃止の方向へ進むということで、大変深刻な問題になっている。なぜ深刻かといえば、先ほどの、生身の人を相手にした、そして継続性が必要な事業なわけなんです。  ホームヘルパーの人数はさっきお示しいただいたように進捗しているけれども、その人数は常勤や正規職員とパートを一緒にして三月現在で計算するとかとおっしゃったんですが、人数を数えられる。新ゴールドプランをスタートされているわけなんですけれども、九五年実績の九万五千五百七十八人と九七年度実績のこれを比べますと、四三%増加しています。そうしますと、サービスの供給量は、人数はふえているけれども、その実態、供給量そのものが四三%増加しているかどうかというのはわからないということになるんですか。
  165. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) どの数値かちょっとわかりませんけれども、私ども、三年ほど前までは人件費についての補助、もちろん若干物件費もついておりますけれども、基本的に言えば設置すれば補助金が出る、こういう形になっていたわけでございますけれども、これを切りかえてまいりまして、今年度からは全面的に切りかえたわけでございますけれども介護をした事業量に応じまして補助金を出す、こういうことですので、今までの形態とは大分変わってきたということが言えると思うわけでございます。  ホームヘルパーの人数が当然必要であるわけでございますけれども、人数という名目の形ではなくて、実質的な介護、こういったものが必要であるということと同時に、介護保険ということになりますと、やはり身体的な介護というのが当然中心になるべきであるわけでございまして、これまではどちらかといえばほとんどが家事援助、こういう形で来たわけでございますが、今後は身介護、こういうものをする方がふえてほしい、こういうふうな認識を持っているわけでございます。  現在では市町村からの委託事業という形で従来の形態をまだ引きずっているわけでございますけれども介護保険制度ということになりますと、もちろん家事援助という形は残りますけれども、主な仕事というのは身体介護、こういう方向に向かってほしい、こういうことで私ども考えているわけでございます。  したがいまして、事業そのものも質的にこれから変わってくるんではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  166. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 質的に充実をしていただきたいということは切に望むところでありますけれども、実際に、一月二十一日の本会議大臣は、新ゴールドプランの目標値が達成されると、在宅サービスでは必要となる介護サービスは充足できる、こういうふうにお答えなんですね。このホームヘルパーの目標値は、今も御説明があったように、人数として多様な形態のヘルパーさんを数えているわけですから、サービスの供給量の増加とは連動しないのは事実でございます。そういうのを把握しない計画で、どうして介護サービスが充足できるというふうになるんでしょうか。
  167. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 都会地ではかなりホームヘルプサービスの需要というのは顕在化いたしているわけでございますけれども、地域によりましてはまだまだ需要そのものが顕在化していない、こういう事情もございまして、残念ながら現在いらっしゃるホームヘルプもまだ十分には活用されていないわけでございます。  ただ、潜在的には需要もございますし、それから潜在的なホームヘルプの資格を持った方もたくさんまだいらっしゃるわけでございます。したがいまして、これから需要そのものが顕在化いたしますと、供給できるホームヘルプの資格を持った方もいらっしゃるわけでございますので、需要がふえればそれに応じたホームヘルプサービスというのも対応が可能ではないのかな、こういうふうに考えている次第でございます。
  168. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 八田君、既に時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。
  169. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 はい。  在宅介護の主要な担い手としてホームヘルパーの充実が求められていますけれども労働省の外郭団体の日本労働研究機構というのがまとめた調査を見ますと、本採用は先ほど言いました二一%で、それ以外は全部非正規職員なんですね。  問題は、登録を受けている、講習を受けているヘルパーさんでもなかなか続かない。なぜかというのがここに書いてあるんですけれども、ヘルパーの仕事はやりがいがあって続けたい、こういう方が七割以上なんですけれども雇用形態とか身分とか派遣の問題でいろいろ不満が強い。常勤ヘルパーの六九%はぜひ正規職員になりたい、こういうことでありまして、やはり基本になるホームヘルパー、在宅介護の人数をふやすだけでなくて中身もふやして、正規職員ヘルパーをふやして公的責任を果たすように強く要望をして、終わります。
  170. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 自由党の鶴保でございます。  きょうは、持ち時間十五分ということですので、ポイントを一つだけ簡潔にちょっとお伺いをしたいと思います。  私は、一回目の決算委員会決算の重要性といいますか、そういうことをお話しさせていただきました。その流れの中で、昨今ようやく行政統制というような概念といいますか、行政評価、事前的評価と事後的評価の混合といいますか、そういうものが、ようやく法制化の動きもあり、気運が高まっているというふうに感じております。  その行政統制、この決算委員会は主として事後的なチェック行政評価を主たる目的にするものであるというふうに考えておりますが、考えてみますと、行政の効率評価というのは、当然事後的評価とそしてその事後的評価を事前の評価にフィードバックするようなそういう仕組みが必要であるということは言うまでもない。  そして、そこで、特にいわゆるアセスメントと言われる立場から以前からいち早く事前評価として取り入れられてきた環境アセスメントについて二、三お伺いすることによって、事前評価の仕組み、行政手続といいますか、そういったことに幾つか切り口ができるんではないか、そういうふうに考えまして今回質問に立ったわけであります。したがいまして、技術的なことはさておきまして、行政の評価そのもの、そういった観点からやや大ざっぱな議論をさせていただきたいと思います。持ち時間が短いものですから、簡単にお願いをいたしたい。  まず、環境庁のアセスメントの中身について、簡単で結構ですから、その審査の態様を説明していただけませんでしょうか。
  171. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 環境影響評価につきましては、これまで閣議アセスあるいは発電所に関しますところの通産省の省議アセスという形でやってまいりましたが、約二年前に成立をさせていただきました環境影響評価法がいよいよこの六月十二日に本格施行になります。  そうすることによって、これまでのいわば閣議なり省議なりで決めたルールに従っていわば行政部内のお決めに従ってやっておったものが、法律のもとに明確な方針が明らかにされた形での環境アセスメントが実施できるようになった、そういう意味でまず法定化したことが一番大きな事柄でございます。  その次は、やはり手続を前の段階からきちっとやっていく、今先生の御指摘の点にも重なるわけでありますが、スコーピングと言いまして方法書のような段階からスタートできる。  それから、さらには環境庁長官が最終的に意見を言うときに、現在の閣議アセス等では事業所管大臣から意見を求められた場合だけに環境庁長官が意見を言えるようになっておるわけでございますが、今般の環境影響評価法におきましては環境庁長官には必ず意見を求めなければならない。したがって、環境庁長官は必ず意見を言うことができる、こういった点が大きな違いでございます。  とりあえず簡略に申し上げました。
  172. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 そうしますと、その審査そのものについては、いわゆる公的な第三者機関といいますか、中立な第三者機関の関与はないわけですか。その辺についてちょっとお伺いしたい。
  173. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 環境アセスメントの審査に当たりましては、御指摘のように、外部の専門家の知識や経験を活用することが極めて有効だとは考えております。  しかし、第三者機関の設置につきましては、地方公共団体は現に審査会等の設置を大体行っている例が多うございます。  また、実は環境庁は、先ほども申し上げましたように、これからすべての事案について意見を申し上げるということになりますと、非常に多様な環境影響についての審査を行う必要があると。そのためには、少数の常設の機関の意見を聞くという形では必ずしも合理的でないという面がございますものですから、環境影響評価法では、環境庁に常設の第三者機関を設けるというふうな規定は置いてはございません。  しかしながら、先般の藤前干潟の埋立事業の件につきましても、専門家にお集まりいただきまして干潟の生態系に関する知見の提供をいただいたことが事業者の御決断につながったということでもありまして、環境庁長官の意見の形成に際しましては、案件の内容に応じまして必要な専門家の意見を聞きつつ、その信頼性が確保されるように努めてまいりたいと考えております。
  174. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 もちろん、環境庁がすべての案件について環境影響評価、審査をするということが不可能であるということは重々わかっておるつもりであります。  ですけれども、今私が思いますと、規模の大小で環境庁が関与するものがどうなるかということを区分けしておられるというふうに聞いております。規模の大小ではなく物の質、先ほど言われた干潟の件など、規模が小さくても環境に重大な影響を及ぼすものがあり得るという危険性は当然あるわけですから、その辺について環境庁もぜひ考慮をしていただきたい。  少々議論が細かくなりますから、それはこの辺でとどめておきます。  先ほどの話では、都道府県の対応で、今とりあえず公的な第三者機関、審査会に対応を任せておるというふうなことでありました。そう考えますと、当然その審査会のメンバーは全国的にもばらつきが出てくるんではないか、その資質というか資格というか、そういったものにばらつきが出てくるんではないかというおそれが当然あるわけであります。また、審査会が十分に機能しておるのかどうか、その辺についてもお話をしていただければと思います。
  175. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほどもお答え申し上げましたように、都道府県の場合には審査会を設けている例が多々ございます。それにつきましては、各都道府県では都道府県知事の意見形成の過程で専門的な観点から審査が十分行われるように条例に基づいて審査会が設置されている、こういうのが一般的な形であります。これは、今申し上げましたように、条例に基づきまして都道府県知事が設置するものでございまして、都道府県知事の責任において一定の水準を保った専門家が確保されているものだというふうに考えております。
  176. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 確保されているものであろうということですので、それを信じるしかないわけでありますが。  環境といいますものは、先ほど佐藤委員も言われましたけれども、日本の国土全体を考えた上での行政の一番の国策として取り組んでいかなければいけない重要な根幹になる部分であろうと思います。その意味で、こっちの地域では審査オーケー、こっちの地域では審査でちょっとだめになったというようなばらつきのあるようなことはぜひとも避けていただきたい。その意味でもっと積極的な取り組みをしていただきたい。まあ言わずもがなのことであろうと思いますが、お願いをしておきたいと思います。  また、今度は、環境を調査された場合、その結果について実効性がどれだけ担保されておるかということをちょっとお伺いをしたいわけであります。実効性の担保がなければ、全くその影響評価をしたところで意味がありません。先ほどの手続の中でちょっとその辺のことが手薄であったような気がいたします。もう一度、影響評価をした後どういう形でフィードバックをしておるか、その辺のところをちょっとお話をいただけませんでしょうか。
  177. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 環境影響評価法におきましては、要は事業等に着手する前に環境への影響をいかに少なくすることができるかということを事前に評価することがそもそもの物の考え方でございまして、そうした観点に立って手続を踏むことにより、住民意見等も伺えるわけですし、そうした中で事業者がそれぞれアセスメントの手順に従って、もちろん先ほどの知事意見等が出る場合には知事意見等、専門家の意見を聞いた上での意見というのが反映されるわけでありますし、住民等の意見というものもまた事業者に反映される。こういう形でアセスメントがきちっとなされてまいりますと、普通、最終的には事業所管大臣のところに全部話がまとまってきます。  それは、事業所管大臣が直接やる場合には自分が当事者でありますし、例えばほかの事業者がやる場合で許認可等に係らしめられている主務大臣のところにアセスメントが最終的に上がってくるという場合がございます、許認可の前に。そうしますと、その段階で、今度はきちっと環境庁長官に意見をそれぞれ事業所管大臣が求めて、その環境庁長官の意見を踏まえた上で最終的に許認可に反映させるということになっておりますので、最終的には実施に当たってまでも環境影響評価にわたる万般の手続がすべて反映される仕組みになっていると考えております。
  178. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 しかし、そこには重大な見落としがあるというか、これは答えられなかったことだろうと思いますが。  多くは公共事業ですけれども、許認可をされておられるのは許認可権者と事業そのものが一緒になることが多いわけです。ほとんどの場合一緒であろう。国道をつくるんだったら、国道の所管の許可を出すのは建設省、その建設省が事業主体になるという場合でありますから、許認可に反映をしておりますというだけで私は納得ができるものではない。非常にきつい言葉ですが、そう思うのが普通の国民の感情であろうと思います。  したがって、環境影響評価のシステムの中で事業そのもの調査をし、また計画段階である程度評価の反映をしていくような、そういう仕組みづくりをしなければいけないんではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか、御意見をちょっと。
  179. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほど先生の御質問の中で、第三者機関が必要ではないかという御質問がございました。その中で私も、環境庁においても、環境庁長官が意見を形成する過程でそれぞれの分野ごとの専門家の意見を前広に聞くような努力はしていきたいということを申し上げて、藤前の例も申し上げたわけであります。  ある意味では、この環境影響評価法が施行されますと、事業所管大臣といいましょうか許認可を所掌する大臣は、許認可をする前に環境庁長官の意見を必ず聞かねばならない、これが大きなある意味では制度的な担保になっているというふうに考えております。
  180. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 そうしますと、重要なところなんですが、その手直し、許認可が不許可であったような場合、それについて手直しを当然して再計画の再提出をしていくという仕組みになるわけですよね。これはもう時間がありませんのでお答えは結構ですが、恐らくそういうことになるんだろうと思います。  そうしますと、その手直しをして再計画を再提出して、工事にかかっているわけではないにしても、またすべて一から、ゼロからやり直す。そうすると、再調査というようなことになりますと、当然その予算についても追加予算というようなことになっていくと思うんです。すなわち、簡単に言いますと、ちょっと乱暴な議論かもしれませんが、環境庁が影響評価をする、その影響評価の結果、計画変更があった、計画変更があったことについて予算が大きく変わってしまったというような場合、その追加予算についてはだれが一体どのようにこれをチェックしておるのか。その辺はいかがなんでしょうか。
  181. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 事業の実施に当たりましては、もちろん環境に与える影響のほかに、例えば費用対効果であるとか事業の社会的な必要性の強さだとかということを考慮した上で実施されることになるんだと思います。  そういう中で、環境アセスメントと申しますのはこのうちの環境に与える影響を評価するものでございまして、事業の変更に伴う追加的な予算が要るではないかとか、こうした点につきましては各事業者におきまして必要に応じ、例えば財政当局と相談するであるとか、あるいは当該事業の必要性や費用対効果等についての評価が行われて事業者において判断されるものだというふうに考えております。
  182. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 事後的な評価ということになりますと、財政当局、すなわち大蔵省あるいはその事業者本人の判断に任さざるを得ないということのお話をしていただきました。そういう難点があるというようなことを我々はまず明確にしておかなければいけないというふうに思うんです。  時間がありませんものですから、これは最後要望になってしまいますけれども、当委員会が、法律ができたらできたままにしておくのではなく、いわばその法律に対するアセスメントといいますか、制度趣旨に合致するような運用がなされておるかどうかといったことも委員各位にもお願いをしたい、考えていっていただかなければいけない我々の課題ではないかということを問題提起させていただいて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  183. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。  環境庁長官も見えておりますので、きょうは環境問題、大変議論が盛んでございます。私も、まさにこれから二十一世紀を迎えるに当たって、大変大きな問題の一つ、一番大きい問題ではないのかなというような気がするほどの問題だという認識をしております。  ただ、環境問題、これは今どなたにお話ししてもこれから大事な問題であると、総論については皆さんだれも異論はないと思うんですが、ただ、各論に参りますとなかなかそうはいかない、非常に難しい問題がある。そういうものを一つ一つ切りかえていかなければいけない。  先ほど長官のお話もございました経済成長に伴って、私も成長している一段階で物は節約するものと思っていたのが、ある時期から消費は美徳だ、何でも消費しろというような時代に変わってきた記憶がございます。そういうものがこういうごみの問題あるいは環境の問題に大きく影響している。したがって、そういう根本のところを変えない限り、言うなれば価値観を変えない限り、この問題は解決しないんではないかなというような気がするわけでございます。  ところが、今までこれだけなれ親しんできた習慣あるいは価値観というものはそう簡単に変えられるものではない。これは何か死活問題に影響するとかあるいは痛みを伴わないと恐らく変えられないんじゃないかなと危惧をするほどでございます。ただ、今生きている我々としては、これは将来の子孫に対しましても真剣に取り組まなければいけない問題だと思っております。  先ほどの佐藤委員からの御質問で、長官の取り組み、御姿勢、大変積極的なものと私は受け取らせていただきまして、大変意を尽くしているわけでございますが、この問題を取り上げれば、私に与えられた十五分ではとても議論できるものでもございません。その中で、特にごみ問題について私は抜き出してみたいと思うんです。  このごみ問題にしても、これは環境に対して非常に大きな影響があるわけですが、その影響の仕方にしても、あるいは問題の所在にしても、ごみの減量化をどうするか。これはいわゆる経済成長なんかとあわせた価値観の問題になるかと思いますが、その処理場をどうするかとか、リサイクルをどうするか、あるいは最近のダイオキシンに象徴されるような有害物質の発生、この問題をどう取り扱っていくか、あるいは今のような地方自治体に多くを任せるやり方でいいものかどうか。行政としてのものはそれでいいかもしれませんが、国全体としてとらえる何かがないと、地方自治体だけではこなせないんではないかなというふうな認識を私はしているわけですが、そういう問題もあるわけでございます。  また、処理をする費用、これは生産者に賦課すべきではないかというふうなことも議論があるわけで、これは私の個人的な考えでは、国民全体がごみ問題の重要性を認識するにはやはりそういうやり方というのも一つの方法ではないかなというような気もしているわけでございます。  それぞれ大変大きな問題でございまして、私も環境問題あるいはごみ問題に大変関心を持っておりますので、これからいろいろな場で議論をさせていただきたいと思うんですが、きょうは時間もございませんので、ごみから出てくる有害物質の検知について、その辺についての質問をひとつさせていただきたいと思っております。  大体、製品といいますか、何か化学物質を使って物をつくるという場合、食品にしろ、つくられた物が人体に対してどういうふうな影響があるかというようなことについては法律等で法的にも規制されておりますし、制度的にもかなりしっかりしているのではないかと思うんですが、一つ心配なのは、ごみが処理された後の生成物といいますか、その物質をどう検知するか、どう取り扱うかということになるのではないかと思うのであります。  ダイオキシンの例にしましても、これは非意図的に出てきた、予期せざるものとして出てきたということが言えるかと思いますけれども、その予期せざるものが出てくるということが、そういうものがあるということが一般国民がやっぱり一番心配することであろうと思うんです。  確かにこれはなかなか難しい問題で、出てきたらすぐにこれが悪いとかいいとか、何が出てくるかということはなかなかわからないかもしれないのですが、そのわからないところを環境庁行政の柱としてしっかりととらえていただけないものかなと、こういう気持ちがあるものですから、環境庁でもそういうことをやっておられると思うのですけれども、どういうような取り組みをされているか、まずお話をいただきたいと思います。
  184. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 先生のおっしゃられます体制は検知体制かと思いますが、その検知体制をどうするかということで、大気と水を頭にまず置きます。そして、具体的に人に対して長期的に低濃度でも健康に被害が出るということを頭に置いて先ほど申しました環境基準等を設定しながらきちんと見ていくという考え方、それから次に優先的に取り組む物質はどういうものがあるかということ、それから有害大気汚染物質、それから水に対する有害な影響を与える化学物質という可能性にかかわる部分というとらえ方をしていきます。  そして、今挙がっている物質についてですが、それぞれ可能性のある物質は、大気では二百三十四物質を取り上げております。そのうちまた優先的に取り組む物質として二十二を取り上げております。それから、水では健康にかかわる部分で二十六物質を取り上げていまして、そのほかに要監視項目として二十二項目、そして三百物質群で知見の集積を図って物質を見ていくという形になります。  そして、これが環境中でどのように残留しているかという形でモニターをしていくという考え方を持っております。昭和四十九年からこのモニターは続けておりまして、具体的に七百六十六物質について見ておりますが、先生のおっしゃられるように、化学物質の製造は年間で新しいものがかなり出てくるという形の中での取り上げ方というのをどう見るかということが一番ポイントになっていくかというふうに見ていますが、この辺のところは、先ほど申したとおり、いろんな文献等をチェックしながらその問題点を見ていくという形になります。そして、環境中に出てくるものもあわせて具体的な対策を立ててまいるということで、とりあえず三つのポイントを置きながら具体的な監視体制をしいていく。  それで、この監視の仕方でございますが、国と都道府県が一緒になって具体的に見ていくという考え方を持って仕事をしております。今の中でもっともっとしていかなければいけないことは事実でございますが、とりあえず効率よくどうするかということにポイントを絞った仕事をしているところでございます。
  185. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 環境庁もいろいろ御苦労をされて、大気の中にもあるでしょうし、それから処理した水の中からもいろいろ出てくると思いますけれども、そういうことを今いろんな物質について検知してやっておられるというのは評価させていただきますが、私の心配は、今の世の中何が出てくるかわからない、そういう不安が国民にあると思いますので、その辺の検知について、今ある環境庁としてつかんだ物質、それを年次的にやるというだけでなくて、これからあらわれてくるものをしっかりとつかむという方向でやっていただきたい。  そういう意味で、これは今の体制で十分なのかもしれませんが、さらにこういうような新たに出てくるものをとらまえるというような観点でこれから現体制をどんなふうな方向に持っていかれるか、どういうふうに取り組みをされるか、長官、御所信がございましたらお願いいたします。
  186. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 先生指摘のように、新しい物質に対する取り組む姿勢をしっかりと出していかなきゃならないということで、例えばダイオキシンの問題に対しましても、ただ環境庁厚生省、農林省で対策協議会を開いて取り組むというのでなくて、ダイオキシン対策閣僚会議というものを設置して、その問題については内閣自体で取り組んでいくという姿勢を表面的に出していかなきゃならない、そうすることによってその問題の取り組みも大方の処理ができてくるんじゃないだろうか、こう考えておるところであります。  ただ、ダイオキシン問題につきましても、閣僚会議を開いてみても、日本だけの問題で処理できないということで、WHOなんかのTDI問題の取り組みにも今着手させていただいておるところでございまして、これによって国民に安心、安全感を与えていかなきゃならない、こう思っておるところであります。  また、PRTR問題についても、今この化学物質、有害なものがどれほどあるかということについての論議を進めておるところでありまして、今回の提出法案の中にも二、三百種類の有害物質の把握はしますけれども、それ以外も、適時出てくる問題についてはいち早くキャッチしていく、そういう体制をとっていきたいものと思っておるわけでありまして、これからもよろしく御指導いただきたいと存じます。
  187. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 いわゆるPRTR、その法案等、しっかりした対応は考えていただいていると思いますが、繰り返すようですが、要するに今の時代の中で何が出てくるかわからない、このいい例がダイオキシンだったんじゃないかなというような感じがいたしますので、それをしっかりと検知する体制といいますか、これは日本の問題ばかりでない、外国とも関係があるというお話で、確かにそうかもしれませんが、だからといって外国に任せるという問題ではないと思いますし、その辺環境庁としてしっかりイニシアチブをとっていただきたい。  それともう一つ、ごみ問題。ごみの具体的な処理についてはこれは厚生省の所管になると思うんですけれども環境庁行政としておやりになっている有害物質の検知、そういうものを受けて、受けてといいますか、それと厚生省の業務との関係はどうなのか、お答えいただきたいと思います。
  188. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) ごみに含まれます有害物質の関係に係る御質問でございます。  ごみ問題をお考えいただきますときに、先生御承知かと思いますが、ちょうど扇を広げたときの状態でお考えいただけると非常にわかりやすいと思いますが、扇の先というのはオリジンがいろいろ異なります。そういうオリジンの異なるところから扇のかなめ、すなわち事業所あるいは家庭へ入ってまいります。そこで消費をされたり生産をされたりしまして、一部を除きましてごみとして出ますときにはそれがまとまって一体として出てくるというようなことがございます。  そういったことから、廃棄物には非常に多くの物質が含まれておりますし、その処理過程におきまして多様な化学物質が環境中に排出されるおそれもございます。また、その中には健康あるいは生活環境に影響を与える可能性のある物質も含まれているところでございます。これらに関しましては、環境庁がいろいろ規制されております物質も含めましてどういった人体に対する影響があるのか、あるいはそういったものの排出をどうやって抑えられるのか、あるいはそういう排出を抑えるためにどのように適正にごみを処理すればいいのかといったようなことを私どもとしても調査研究をいたしておるわけでございます。  これらの調査研究から得られました成果につきましては、ごみ処理関係法の法規の中で規制を行っているわけでございますが、規制をするだけでは対策は進みませんので、市町村に対します援助の実施、あるいは産業界に対します税制あるいは融資等の対策の実施を通じましてこれらの対策が着実に遂行されるように今図っているところでございます。  なお、先生指摘の、いわゆる未知の物質、これから何が出てくるかわからないというような物質もございます。そういったものに関しましては、私どもとしても調査研究を進めながら、環境庁とも十分連絡をとりながら共同で対処してまいる必要があると考えております。
  189. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 十五分の質問時間ですので、あと一問だけ御勘弁をいただきたいと思うんです。  ただいまの答弁といいますかお話から、私、環境行政といいますか、このごみ問題にしても、余り分散して各省間でやるのでなくて、一体的にやらなきゃいけないんじゃないか。これは先ほど来そういう議論も出ていたと思いますが、そういうところに持っていこうかと思ったんですが、それは何も有害物質ばかりじゃなくて、ごみ問題すべてについてそれが言えることじゃないのかというような感じがしていたわけでございます。  時間がなくてその点についてもう少し突っ込めないんですが、ここでひとつ、厚生大臣もお見えいただいておりますので、厚生大臣は下水道、汚泥等についての大変御造詣の深いお人であるということは昔から私、よく存じ上げております。今の産業廃棄物にしても汚泥というのが半分近くあるわけでございますし、そういうものについてもいろんな問題が発生してくる、あるいは発生が予想されると思うんですけれども、そういう面について厚生大臣、ごみの処理等について、今度、省庁再編もあると思いますけれども環境庁長官が先ほど前向きにお答えいただきましたので、各省の縄張りということでなくてもっと一体的にやるというふうなことについて、もし御所見がございましたらお話しいただきまして、質問を終わりにします。
  190. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 御指摘のとおりでございまして、廃棄物処理は今厚生省の廃棄物処理法の所管になっておりますが、今度の中央行革によりましては環境庁の方に移管するということもございます。  それはさておき、取り扱う物質は同じでございますから、やはり一体的な処理がぜひ必要だと思います。そんな意味で、閣僚会議を設置したりして従来にも増して各省の協力関係、協調関係を緊密にするという体制のもとにダイオキシン問題なんかを取り組まさせていただいておりますが、なお一層そういう面で一体的な処理ができるようにやってまいりたい。  なお、廃棄物処理の後の問題は、いろいろ有効利用も考えなくてはいけませんし、現実にそういう角度からの実験あるいは利用もなされつつありますから、何としても資源の有効利用を最後までするということでリサイクル社会を構築することはぜひとも必要だと考えております。
  191. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございました。
  192. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、先回、国会で採決されました労働基準法の問題について少しフォローアップをしてみたいと思います。  国会答弁を私が文書にして送りましたところ、ある弁護士から「Q&A 労働基準法はこう変わる」という新旧対照の本が送られてきました。そこには「監修 労働省労働基準局監督課」というふうに書いてありまして、このような記述がありました。「上限基準に適合しない三六協定は無効となるのか」というところで、QアンドAがあって、その解説に、「今回の改正により、労使は三六協定を締結するに当たり、その内容が上限基準に適合したものとなるようにしなければならない労働基準法上の義務を負うこととなります。この規定は、労使に基準に適合するようにする遵守義務を課したものですので、上限基準に適合しない三六協定が締結されている場合は、労働基準監督署より是正を求められることになります。」、ここまではいいんですが、「ただし、労使が上限基準を踏まえ、十分話合いの上締結した三六協定は、直ちに無効とはならないものと考えられます。」と書いてあるわけです。  そこで、私はお尋ねをしたいのですが、時間外労働に関する労働大臣の定める基準が、今までの目安時間の単なる行政指導の根拠から法的な効力を持つところまで来たというふうに言われているわけですが、従来の目安時間ではなくて上限基準を大臣が定めるという意味をどこに求められているのか、確認をしておきたいと思います。
  193. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘ございました、先般改正させていただきました労働基準法の三十六条の三項で、新たに三六協定の内容につきましては労働大臣が定める基準に適合したものとなるようにしなければならない、こういう規定を加えていただいたわけでございますが、これは単なる努めなければならないという努力義務とは異なる規定ぶりでございまして、この規定は労使に三六協定を結ぶ際の限度基準の遵守義務を課したものというふうに理解しておりまして、私ども、この規定に基づいて目下厳正な指導に当たっているところでございます。
  194. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、その上限基準を踏まえた三六協定の届け出の状況は現在どのようになっているんでしょうか。施行前と異なる特徴はあるのでしょうか。
  195. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 現在、この四月に至るまで、昨年改正させていただきましてから、私どもは新しい残業時間の上限基準のパンフレット、リーフレットを作成いたしまして、組織的に説明会等を展開してまいりました。  施行になりました四月から新しい三六協定の受理に当たっておりますが、この新しい上限基準に適合するように、時間はもちろんでございますが、一週あるいは四週、それと、あわせて一年という上限も両方規定するような改正もあわせて行っている。また、育児、介護等に当たられる女性の方々についてのいわゆる激変緩和措置としての経過措置もあわせて三六協定に織り込んでいただく、そういった非常に大きな改正点がございます。  何よりも大きい改正点は、法律に根拠を持った、労使はこれに適合したものとなるようにしなければならないという遵守義務を課した点がございますので、各労働基準監督署の窓口におきまして、新たな三六協定の受理に当たりましてそういった点について事業主の方に厳正な指導を行っているところでございます
  196. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 先回の委員会での質問で、上限基準を超えた労使協定については、甘利大臣から、「当然是正勧告を行い厳正に対処するとともに、そのような業務命令は合理的な理由がないものとして民事上争い得る」というふうに答えていただいているわけです。これを通達や解釈にも明解に規定していただきたいという要望をいたしましたが、それは間違いありませんね。
  197. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘のとおり、この新たな上限基準を徹底させるべく厳正に指導を行うということにつきましては、私ども施行の際に通達も発しまして、他の労働基準法違反事例と同様に労働基準監督署名による是正勧告を行う、しかもこれについては指導の文書も出して、文書による是正を行わせていく、そういったことも指示いたしておりまして、そういったことを御指摘を受けて厳正に対処しているところでございます。  また、この施行に当たりまして、全国の都道府県労働基準局等に私ども法律の趣旨について説明会等も開催しておりますが、そういう際にも、先生から質疑の際に御指摘のあった点、今特にお取り上げになりました適合していない三六協定等につきまして、もちろん強行法規としての性格は適合したものになるようにしなければならないという遵守義務でございますが、民事上の効力等につきまして、もしそういった形で違反したまま不合理な残業命令を命じた場合は民事的な問題として争い得る問題になるケースもあり得ること等も徹底をさせているところでございます。
  198. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、先ほど申し上げました労働省労働基準局監督課監修のこの「労働基準法はこう変わる」という本にある「ただし、労使が上限基準を踏まえ、十分話合いの上締結した三六協定は、直ちに無効とはならないものと考えられます。」という書きぶりと、今まで踏まえてきた問題と少し距離があるといいますか、違うのではないかと思うんですが、その点、どういうふうに解釈されるでしょうか。
  199. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) ただいま御指摘ありましたそのQアンドAの本でございますが、私どもの労働基準局の監督課が監修しているということでございます。その中でも、答えの方で、「上限基準を超えて締結された三六協定は直ちに無効とはなりませんが、上限基準を超える三六協定については、労働基準監督署による厳正な指導により、是正を求められることになります。」という答えをいたしているというふうに私ども承知いたしております。  ただ、先生指摘ございましたように、民事上の効力の部分について非常に簡単な記述にとどまっているという御指摘はそのとおりかもしれません。この労働基準法で新たに設けさせていただきました遵守義務、直ちに民事上の効力まで否定するという性格ではないということは前回の質疑の際にもお答え申し上げているところでございます。  ただ、それが合理的な理由なく上限基準を超えていて、それに基づいてもし残業の業務命令を出して拒否した場合のいろんな解雇等の不利益取り扱いがあった場合には、当然何らかの形で新たな規定が設けられたことは裁判所等の判断の際に考慮されるものというふうにお答え申し上げていますが、そういった詳しい記述がないというのは、確かにちょっと民事上の効力について労働基準法についての解説ということで触れなかったのかもしれませんが、その辺については私ども、十分都道府県の労働基準局の方にはそうした趣旨は今までも徹底させてきておりますので、今後ともそうした趣旨の徹底については努力をさせていただきたいと思っております。
  200. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、この監修という意味はどういう意味なんでしょうか。監督課のだれかが目を通しているということですか。変にちょっと言えば、それは労働省がつくったというようなことになるわけでしょうけれども、どういうふうに理解したらいいですか。  これに対して、労働省としてはこれは労使に対してミスリードをする危険性があるわけですね。だから丁寧ではない。誤りではないけれども誤りをもたらすような不徹底さがあるということが言えて、やはりこういう解説書というのが出回ると、せっかくつくった労働基準法の魂を失うのではないかという気がいたしますので、これに対しては労働省は何かできますか。
  201. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この監修といいますのは、労働基準法の規定につきまして、私ども、いわば法律の解釈等に誤りがあるものは当然チェックするのが監修かと存じますが、この「Q&A」、上限基準を超える三六協定は「直ちに無効とはならないものと考えられます。」ということで、「直ちに」ということで恐らく含蓄を含めていたのであろうかと思います。  民事上の効果の問題につきましては、先ほど申し上げましたような事例の場合には、民事上何らかの形で裁判所等で争われる場合にこういう新たな規定が設けられたことは重みを持ってくるんだろうというふうに感じております。  そうした趣旨につきましては、私ども、全国の都道府県労働基準局等に対して趣旨を十分徹底し、また新たに同時に設けさせていただきました民事上の労働条件等をめぐる争いについての個別の紛争処理のシステム等に当たりましても、そうしたことを念頭に置いて私ども十分誤解のないように対応するよう指示してまいりたいと考えております。
  202. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 現場では確かにそのように指導を徹底していただければ、これを見て間違ったなということがまた窓口で突っ返されるのかもしれませんが、しかしこれはもうかなり売れていて、これを読んでみると、十分話し合いをすれば何か有効なような感じに読めるものですから、これはやはり現場の労使関係をかなり混乱させるのではないか。  監修ということですとやはり監督課も責任があるのではないかと私は思うんですが、もう少し、今度は初版を二版にするとか三版にするときにはここを変えるようにということは言えますか。
  203. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) これは書かれた方、また出版の方とその辺を話し合っていかなければならない、その結果を見なくてはいけない問題かと存じますが、ここに書いてありますように「直ちに無効とはならないものと考えられます。」ということでございますので、この「直ちに」ということに含められた含蓄、この辺が間違って労働基準法上のいわば遵守義務が定められている世界でもこの上限を超えることができるんだというような誤解が広まらないようには私ども十分努力をしていきたいと思います。  この三六協定については、効力を発生するためには労働基準監督署に届け出ることが要件の一つでございますので、この届け出がされないと、それ自体が強行法規として罰則を伴う義務づけでございますので、そういう段階で十分先生指摘の懸念が出ないように、この上限基準を超える三六協定については厳正に是正を求めていくように努力をいたします。
  204. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 現場での是正措置等はその熱意は十分私もわかったわけですが、この書きぶりが誤りではないにせよ、ほとんど誤解を招くような書き方をしているという、これは弁護士が私に持ってきたものですから、やはり普通の人なら含蓄などというようなところで理解はもっとできないと思うので、ぜひ、これは監督課の監修ということであれば、やはり次の版のときには必ずチェックをしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  205. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘のように、ここはあくまで民事上の効果について触れている部分でございまして、労働基準法上の遵守義務を定めている、いわばそのレベルの効力の問題ではないというふうに私ども受けとめておりますし、ここに「直ちに」ということで記された意味合いが、先生の方にお話があった弁護士の方等もし誤解を受けているような向きがあるとすれば、そういった点につきましては、この本を著述された方、また出版社の方に次の機会等にはそういった懸念があることについては十分伝えてまいりたいと思います。  そういう結果で、私ども、もちろん強制力はございませんけれども、最善の努力はさせていただきたいと存じます。
  206. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 これは結構出回っていると言われておりますし、丁寧にやはり書いていただいて、改正の趣旨等、私たちが国会で審議したことを反映してそして現場できっちり運用していただきたいと思うので、ぜひ監督課の方とのお話し合いを望みたいと思います。  次に、激変緩和措置の取り扱いについて、これはどのように指導され、現場では三六協定として届け出がございますか。これは特定女性労働者が申し出た場合ということになりますと、知らないとこれはどうにもならないし、どのように現場では対応されているんでしょうか。
  207. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) いわゆる激変緩和措置対象となる育児あるいは介護等を行っている女性の方について、残業時間について従来の女性保護規定に準じた配慮をしていくべきのこの三六協定上の措置を求める条項でございますが、これにつきましては、国会の御審議の中からも大変重要な位置づけをさせていただいた激変緩和措置でございますので、私ども、四月に至るまでの組織的な説明会等の際には、パンフレット、リーフレットを作成して組織的に説明会を展開いたしましたが、その中でも、一、二、三と大きなチェックポイントを三つ挙げまして、もちろん一番目、二番目は時間数や労使が遵守すべきことを強調したものでございますが、チェックポイントの三にはそうした育児、介護を行う女性の方についての取り扱いについての三六協定に入れるべき事項を詳細に解説いたしまして普及に当たりました。  また、四月以降、具体的な三六協定の受理に当たりましても、この点について上限基準に適合しないものがあれば、これは全体の上限基準を超える三六協定の場合と同様、労働基準監督署名による是正勧告を行い厳正な是正を求めるようこれも通達によって指示をいたしておるところでございます。
  208. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 この激変緩和措置は三年間ということで、三年後は女性労働者と男性労働者も踏まえて家事、育児の責任を持つ人たちの時間外労働の拒否の請求権というのを法制化するという道筋のワンステップなわけですが、大体いつごろからそうした検討会というのを行われるのでしょうか。三年というのも早いので、できるだけ早目に、前倒しとまでは言いませんけれども、ぜひ着手をしてほしいと思いますが、何か予定はございますでしょうか。
  209. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) これは、先生初め国会の非常に御熱心な質疑の結果、修正を通じまして、改正法の附則におきまして、家族責任を負う方についての将来における長時間労働を防止していくための措置として検討すべきことが取り上げられた問題でございます。私ども、大変重要な課題であるというふうに認識させていただいております。  目下、育児休業制度が施行されて間もないところでございますが、そうした法律に基づきます育児休業の普及、また同法に織り込んでおります育児をされる方についての勤務時間の短縮措置等々も同時に動き出しておるわけでございますので、そうした実施状況について今情報等の収集に当たっているところでございます。  三年後にそういう検討を行うという規定でございますので、そうした情報の収集等を急ぎまして、法律どおり、三年後のそういった検討に十分間に合うように、私ども情報等の収集ができ次第、どんなふうに検討を進めスケジュールを設定していくか詰めてまいりたいと思っておるところでございます。
  210. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ぜひ三年後の見直しに向けて着々とお仕事を積み重ねていっていただきたいと思います。  それでは、大臣にお尋ねしますが、労基法が改正されまして、やはり残業の削減を通じた労働時間の短縮とか、家族的責任を理由とする時間外労働の限度基準の遵守など、私たちが行った働く人たちのための重要な施策というものの徹底について、御決意を伺いたいと思います。
  211. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 時間外労働の上限基準の設定に関しましては、先生が先ほど御指摘のとおり、基準法改正によりまして、従来からの行政指導の根拠の位置づけから法的な遵守義務へと大きく変えたわけでありますし、さらにこの法案を提出する際には、当時与党の一員であられた先生の強い御意思、御指導もいただきまして、その書きぶりについても我々としては一歩踏み込んだつもりでございます。  そこで、この書き方について、どういう場合に例外項目といいますかそういうことが想定されるのか等々については、今までも参議院における労働・社会委員会においてもいろいろ議論もなされましたし、今も局長からも答弁がありました。基本的には、これを遵守させるために他の基準法違反の事案と同様に、監督署長名で是正指導をしてまいりますし、先生の御意見もいただいて、しっかりとこれが法の趣旨にのっとって履行できますように最大の努力を払っていきたいというふうに思っております。
  212. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 時間が参りました。終わります。  ありがとうございました。
  213. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 他に御発言もないようですから、厚生省労働省環境庁及び環境衛生金融公庫の決算審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時散会