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1999-04-07 第145回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月七日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      伊藤 基隆君     内藤 正光君      川橋 幸子君     朝日 俊弘君      平野 貞夫君     星野 朋市君  四月七日     辞任         補欠選任      田  英夫君     福島 瑞穂君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         久世 公堯君     理 事                 鹿熊 安正君                 鎌田 要人君                 中原  爽君                 佐藤 泰介君                 岩本 荘太君     委 員                 岩城 光英君                 加納 時男君                 佐々木知子君                 佐藤 昭郎君                 清水嘉与子君                 平田 耕一君                 水島  裕君                 朝日 俊弘君                 小川 勝也君                 内藤 正光君                 益田 洋介君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 八田ひろ子君                 大脇 雅子君                 福島 瑞穂君                 星野 朋市君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       有馬 朗人君        厚生大臣     宮下 創平君        農林水産大臣   中川 昭一君        通商産業大臣   与謝野 馨君        運輸大臣     川崎 二郎君        郵政大臣     野田 聖子君        労働大臣     甘利  明君        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君        国務大臣        (内閣官房長官) 野中 広務君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君         ─────        会計検査院長   疋田 周朗君         ─────    政府委員        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        内閣官房内閣安        全保障危機管        理室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障・        危機管理室長   伊藤 康成君        警察庁交通局長  玉造 敏夫君        総務庁長官官房        審議官      大坪 正彦君        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        防衛庁参事官   小林 誠一君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛庁経理局長  首藤 新悟君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        防衛施設庁長官  大森 敬治君        防衛施設庁施設        部長       宝槻 吉昭君        経済企画庁総合        計画局長     中名生 隆君        科学技術庁長官        官房長      興  直孝君        科学技術庁原子        力局長      青江  茂君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        国土庁計画・調        整局長      小林 勇造君        法務省矯正局長  坂井 一郎君        外務大臣官房長  浦部 和好君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        外務省条約局長  東郷 和彦君        大蔵大臣官房審        議官       福田  進君        大蔵省主計局次        長        坂  篤郎君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        文部省学術国際        局長       工藤 智規君        文部省体育局長  遠藤 昭雄君        厚生省保健医療        局長       伊藤 雅治君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省老人保健        福祉局長     近藤純五郎君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        厚生省保険局長  羽毛田信吾君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        社会保険庁次長  宮島  彰君        農林水産大臣官        房長       高木  賢君        農林水産省経済        局長       竹中 美晴君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        林野庁長官    山本  徹君        水産庁長官    中須 勇雄君        通商産業省環境        立地局長     太田信一郎君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        資源エネルギー        庁石油部長    今井 康夫君        運輸省自動車交        通局長      荒井 正吾君        運輸省航空局長  岩村  敬君        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君        労働大臣官房政        策調査部長    坂本 哲也君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省道路局長  井上 啓一君        建設省住宅局長  那珂  正君        消防庁長官    谷合 靖夫君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    説明員        会計検査院事務        総局次長     深田 烝治君        会計検査院事務        総局第一局長   関本 匡邦君        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君        会計検査院事務        総局第三局長   大和 顕治君        会計検査院事務        総局第四局長   増田 裕夫君        会計検査院事務        総局第五局長   小川 光吉君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百四十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書内閣提出) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書(  内閣提出) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     ─────────────
  2. 久世公堯

    委員長久世公堯君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨六日、伊藤基隆君、川橋幸子君及び平野貞夫君が委員辞任され、その補欠として内藤正光君、朝日俊弘君及び星野朋市君が選任されました。  また、本日、田英夫君が委員辞任され、その補欠として福島瑞穂君が選任されました。     ─────────────
  3. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、昨日に引き続き全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 中原爽

    中原爽君 おはようございます。自由民主党の中原爽でございます。  質疑に入ります前に、総論的なことを最初に申し上げようかと思っております。  去る平成九年十二月の国会法等改正によりまして、昨年の百四十二回通常国会から、衆議院では決算委員会を改組いたしまして決算行政監視委員会を設置されました。また、私ども参議院では、決算委員会とは別に、参議院改革の一環という形でオンブズマン的機能を備えるという趣旨から行政監視委員会が新設されたところであります。  このように、衆議院参議院、両院でおのおの委員会の名称や所管が異なるという形でありますけれども、各委員会はそれぞれの特徴を生かした審査あるいは調査を行いまして、国会機能の発揮に努めるということが大事なことであります。どちらがいいというシステムではないというふうに思っております。  衆議院予算に対しまして、私ども参議院決算審査重要視するということでありまして、その都度の実績は上げてまいりましたが、特に本院に行政監視委員会が新設されたという状況のもとで、今後はこの委員会の現場におきまして決算審査のあり方あるいは方向性に関する議論を詰めましてコンセンサスを得ておくという必要があろうかと思います。  私ども自民党といたしましても、党の基本的な方針として、政治を変える参議院の特に独自性ということを掲げております。この中で決算審査充実あるいは行政監視機能の強化に引き続きまして取り組むこととしております。そして、昨年の九月から、鎌田要人先生委員長といたしまして政策審議会の中で決算審査充実の問題を議論しようということを詰めております。近々何らかの形の報告書を取りまとめたいと思っております。  しかし、私ども参議院議員だけが決算審査重要視ということを言及いたしましてもこの改革はなかなか進まないわけでありまして、国民理解と支持を得るということにもちろん努めるわけでありますけれども、国会議員の活動を支えていただく事務局及び調査室におかれましても、決算重要視と、参議院決算重視ということを踏まえて一層の御協力体制を図っていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  もう一つお話を申し上げようと思いますが、「会計検査研究」という学術雑誌がございまして、そのナンバー十八号に九州大学経済学部伊東弘文教授論文を出されております。この予算決算にかかわる問題でありまして、まず予算制度現代化におくれをとっているということを言っておられます。予算は本来あらかじめの見積もりではない、予算実態として執行過程で実質的に形成され、統制されているということでありまして、事後統制としての決算で、それでようやく予算はその全貌が明らかになる。予算制度はこういう観点から組み立てていかなければいけないと、これは非常に難しい表現でありますけれども。その次に、日本的な事情があるということがありまして、予算は各省庁にとって分捕ってくるべきものなのか。一たび分捕った予算というものは自分のものであるという既得権の観念が非常に強い。したがって、予算から決算までの過程会計上の循環としてとらえるのではなくて、決算結果を予算にフィードバックさせるという考えが育ちにくい。これはどこかの文献から引用されているようでありますけれども。この概念自体予算決算で必ずしも整合的に表裏一体のものとして組み立っていない、こういうふうに言っておられます。  すなわち、憲法第九十条が国会への提出を要求している決算収入支出決算であるのに対し、憲法八十六条が国会の議決を要求しているのは単に予算とされ、収入支出予算に限定されていないからである、こういう説明をされております。このために、歳入歳出決算は本質的に報告だけの性格を持つにすぎない。したがって、決算は単に報告であって、決算過程にある予算とはみなされていない、こういう表現を使われております。決算過程にある予算、要するに決算予算は連動すべきものであるということの趣旨であります。  もっとも、議会はその本能からして決算を単なる報告としては受け入れがたい心情にある、こういうふうに言っている。まことに私の立場心情的なものがそのまま文章になっているようでございます。議会は、議会というのは国会でございましょうけれども、その本能からして決算を単なる報告として受け入れがたい心情である、こういう表現になっているわけであります。国会の中で現に行われている決算の取り扱いの実態からいえば、決算審査の中で行政官庁予算執行を批判し、予算編成に反映させることがその時々の政治状況を反映しつつ試みられているというふうな表現論文文章でございます。  すなわち、本当は予算決算は連動すべきものであるということでありますけれども、今申し上げたような形の中で決算過程にある予算ということが観念的に考えられていないということであります。本来は予算というものは決算に至る経過の中で出てくるものだ、ただ単に見積もりを出したというものではない、こういう趣旨であろうかと思います。  そういうことで、こういう論文が出てまいりましたので、御紹介申し上げた形でございます。  それでは、質疑をお願いするということになりますが、昨日は同僚の平田耕一委員山本保委員から、前回の参議院改革で残されました決算早期提出、それから検査官任命同意衆議院優越規定に対する問題を中心的に質疑をしていただきました。その結果、特に検査官任命同意関係につきましては、早速、野中官房長官に迅速な対応をしていただきました。決算委員会の理事の一人といたしまして感謝を申し上げたいと思います。  それから、私が申し上げようと思っておりましたのは、今回は御承知のように平成年度平成年度決算を一括して質疑を行うということでありますが、先ほど論文でも申し上げましたように、この二カ年、両年度にわたる問題を一括して審議するということは決して望ましい形ではないというふうに考えておるわけであります。  そういうことで、昨日の全般的質疑におきまして、平成年度平成年度決算にかかわる政府の認識と、それから平成年度税収見込みについての質疑が行われました。また、岩本荘太委員からは特例国債にかかわります処理の問題について質疑が行われまして、宮澤大蔵大臣から大変わかりやすい御解説をいただきまして感謝いたしております。  私もきょう、同じことを御質問申し上げるということであったわけでありますが、両年度にかかわります剰余金税収公債発行、それから決算調整資金の組み入れ等、お尋ねする予定でございましたが、昨日詳しく御答弁がございましたので、きょうは少し方向を変えましたことで二点ばかりお尋ねをしようかと思っております。恐縮でございますが、宮澤大蔵大臣に御答弁をお願いできればと思います。  すなわち、平成八年と平成九年、この決算につきまして、決算上から見て両年度間に起こった特徴的な差異というものがあるわけでありまして、特にこの両年度の間で決算上非常に問題があるというようなことが起こっているかというふうに思います。このことについて政府の御見解をお話しいただければということが一つでございます。  それから、この両年度歳入歳出動向決算動向から見まして、今後の国の財政運営がどのような影響を受けていくのかということが少し心配でございますので、この点も御解説をいただければと思います。
  5. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 平成年度あるいは九年度というのは、実はそんなに昔のことではないわけでございますが、その後の経済激変いたしましたために、今からちょっと振り返ってみまして、そんなことだったかというような、今日やや意外な感がいたす点が幾つかございます。  平成年度は、年度といたしましては、GDPは最近計算が改定されまして四・四%の成長があったということになっております。これがまた、我が国経済がプラスの成長をいたしました最後の年になるわけでございます。この年は、衆議院選挙が行われたりもいたしておりまして、政府所得税等々の大幅減税を約束いたしまして、ただしそれは、将来その一部は消費税引き上げによってカバーする、こういうことであったと記憶をいたします。  それで、先ほど委員が御指摘の純剰余金というのは四千四百億円ほど出たわけでございますけれども、他面で歳入補てん公債を十兆余り出しております。したがいまして、この純剰余金というのは財政的にはかなりの大きなマイナスであった。ただ、剰余金のところだけを見ますと、歳入欠陥を途中で決算補正をしたりいたして──いや、失礼いたしました。当初予算税収見込みが五十一兆三千億円でございます、決算としては五十二兆一千億円でございますから、歳入欠陥と申し上げましたのは間違いでございます。幾らか当初予算よりは税収がございましたけれども、しかし、当初におきまして十一兆ぐらいの公債発行を予定しておりますので、結局剰余金というのはそういう性格のものであったということになります。  九年度になりますと、経済激変が途中でございまして、この年の秋にタイで為替の大きな変動がございましたのを初めといたしまして、東南アジアで大きな経済変動がございました。そういうことにも関係いたすかと思いますが、我が国では、十一月になりまして大きな証券会社あるいは銀行等の破綻が相次ぎまして、にわかに経済不安が高まった。  しかし、実はそういう推移でございましたが、前の年、平成年度経済運営が比較的順調でありましたこともあって、政府はこの九年度にいわば九兆円の国民生活への負担増を行ったというふうに言われておるその年でございます。それは、消費税引き上げでありますとか特別減税の中止等々、財政改革を大いに目指した。ところが、中途から経済が実は激変をいたしまして、いわばやや首尾一貫しない経済運営財政運営があったと率直に言うと申し上げなければならないかと思います。  したがいまして、この年は何度も予算補正をいたしまして、当初の税収は五十七兆円を見込んでおりましたが、最終的には五十三兆九千億円になっております。他方で、この年の国債発行額は十八兆四千億円でございますので、決算上も一兆六千億円の不足を生じておりますが、不足は一兆六千億円にはとどまりませんで、それだけ大きな国債発行しておるという状況でございますので、財政は極端にこの年に悪くなったと申し上げなければならないと思います。  しかも、経済成長は当初一・九%を見込んでおりましたが、実際にはマイナス〇・四%になりまして政府見通し方向においても誤ったということになりますが、この年を契機にいたしましてその後今日までマイナス経済成長が続いておる。  この八年、九年というものの特色は、申し上げると大体そういうことであるかと思います。
  6. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  今御説明をいただきましたように、平成年度までは剰余金が生じているということでございましたけれども、実態は十一兆円の特例国債が出ているという、そこまではよろしいわけでありますが、九年度に至りまして今御説明がありましたようないろいろな状況が重なったということであります。  特に、消費税につきましては、ずっと続けておりましたいろいろな所得税等を含めました減税を廃止するという段階と消費税の値上げというものが重なり、またこの年から急激に経済状況の悪化ということでありまして、やはり平成年度決算ということについては今までと違った特徴的な年度になったというふうに理解をしているわけであります。  それでは、引き続きまして会計検査院の方にお尋ねをしようと思います。もう各論的なことになりますので細かいことをお聞きするという形になろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  国会から特定事項検査要請制度ということができまして、平成九年十二月の国会法、それから会計検査院法改正によりまして国会から特定事項にかかわる検査要請が行える制度が創設されました。この制度実施状況、それから会計検査院対応についてお尋ねをしようと思います。  一つは、国会からこの特定事項検査要請に基づく検査会計検査院に依頼をされるということになるわけでありますけれども、もともと会計検査院は御自分所管といたしまして検査対象にかかわります検査をおやりになるわけでありますけれども、これと国会から出てまいります特定事項検査要請とのかかわり、同じようなテーマであるという場合もありましょうし、国会から出てくるものはその都度の時局対応というものが非常に多かろうというふうに思いますし、検査院のおやりになるのは通常的な検査ということになります。  そういうことで、検査対象の選定とそれから検査体制ということから、やはり検査院本来の業務、あるいはこの前からも何とかこういう検査日程は詰められないかという御質疑もございましたけれども、日程等にこういう国会関係のものがどう影響を及ぼすのかということ、それからそういうことを踏まえて、今後いろいろな形で国会からの検査要請制度に基づいた要請が出てくるわけでありますが、このことについて検査院のお立場からの何か御意見がございましたら、所感をお述べいただきたいと思います。
  7. 疋田周朗

    会計検査院長疋田周朗君) お答えいたします。  まず最初に、検査要請実施状況と本院の対応状況につきまして御説明申し上げます。  委員指摘のとおり、平成九年の十二月に国会法等改正されまして、国会から会計検査院に対する検査要請が行える制度ができたわけでございます。以後これまで、この制度による検査要請がありましたものは、平成十年四月に衆議院から要請がございました公的宿泊施設運営に関する件一件でございまして、これにつきましては会計検査院として早速検査を行いまして、昨年の九月にその検査の結果を衆議院報告したところでございます。なお、この報告書久世決算委員長からの御要請によりまして、当委員会委員の皆様にも配付させていただいたところでございます。  会計検査院といたしましては、今後とも、国会から具体的な御要請がありました場合には可能な限り対応していく所存でございます。  それから、国会からの検査の御要請に基づく検査と私ども会計検査院が行う検査との関係についてでございますが、国会からの検査要請は極めて重いものと受けとめておりまして、具体的に検査の御要請がありました場合には会計検査院として可能な限り対応すべきものと、このように考えております。  ただその一方で、会計検査院は、委員御承知のとおり、財政監督機関として一定の責務が課されているわけでございまして、その使命を限られた人員あるいは期間で効率的、効果的に果たすために、毎年、検査上の重要項目などを設定した検査計画を策定いたしまして検査に当たっているところでございます。したがいまして、会計検査院といたしましては、両者の調整が十分に図られ、会計検査の機能が適切に果たされていくことが重要であると考えております。  そのため、国会からの検査の御要請に対しましては、国会法趣旨に沿って可能な限り会計検査院としては対応していく所存でございますが、なお国会におかれましても、検査の御要請をなさるに当たりましては、会計検査院の独立性に留意されるとともに、会計検査院の裁量権が確保されるよう事前に十分な協議が図られることなどについて御配慮をお願いしたいと考えております。  それからまた、複数の委員会等から同種あるいは多数の要請が行われようとする場合には、従来からの会計検査業務の円滑な遂行に支障を来すことがないよう、しかるべき調整が行われるということを望んでいるところでございます。
  8. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  ただいまお話がございましたように、やはり会計検査院は、それの独自性ということとお持ちになっております所管ということも非常に大事なところでございます。国会との調整をできるだけ図っていただくということでございます。私どもも、そういう形で努力をしていきたいと思います。  それで、引き続きまして、ただいまお話のございました公的宿泊施設運営に関します会計検査の件でございます。  これは、今お話がございましたように、衆議院決算行政監視委員会から会計検査院に対しまして会計検査の結果報告を求めた検査要請案件でございます。御説明ございましたように、私どもの参議院決算委員会委員にもこの報告をお配りいただいたところでございます。  公的宿泊施設運営ということでありまして、特に、この中でいろいろ施設につきまして対象箇所三百六十六カ所を選ばれまして検査をされたわけでありますけれども、その中で、特に厚生省にかかわります、あるいは社会保険庁を含めました施設が最も多くて百八十八カ所になっているわけでございます。したがって、数が多いというところから厚生省関係のところでお尋ねをしようと思いますけれども、こういった検査を行いました趣旨は、公的施設というこういった施設が、現在民間のいわゆる旅館であるとかそういう施設との関係がありまして、公的施設で行わなくてもいいものはできるだけ省力化しようということが趣旨であろうかと思います。  したがって、この公的施設の種別とそれを運営しております形態があるわけでありまして、ほとんど委託をするという形で運営されております。委託先は、公益法人であったり財団であったり、あるいは社団法人であったりという形であります。また、厚生省所管の中で、この公的施設の種別というのが四種類ほどに区別されると思います。健康保険保養所等、船員保険保養所等、厚生年金会館、国民年金健康保養センターですか、そういう形になります。  したがって、今後、御指摘がありましたこういう施設についてどのような形で、省力化という言い方はいけないかもしれませんが、厚生省としてお考えになっておられるかどうか伺っておきたいというふうに思っております。特に、公的施設につきまして、健康増進機能という機能が必要でありますし、単純に宿泊するということではなくて、プラスアルファの健康増進機能を付加するということで考えられているようでございますが、こういった健康増進機能ということの必要性も含めて御説明をいただければと思います。
  9. 宮島彰

    政府委員(宮島彰君) 今、先生の方からお話ございましたように、厚生省の所管の施設につきましては今四種類ございます。それぞれ設置の目的等は異なるわけでございます。  まず一つは、政府管掌の健康保険の関係でございますが、これはいわゆる本来の保険給付、これを補完する形で今ございましたように健康増進という目的で施設を整備してきているところでございます。  それから船員保険、これは洋上勤務を主体とする非常に特殊性のある業務でございますので、いわゆる洋上勤務から戻ったときの休養等を主体としたものとしております。  それからあと厚生年金、国民年金、年金関係の施設がございますが、年金は御承知のように拠出から給付まで非常に長い期間を要しますので、その間の被保険者の福祉の向上に資する、もって制度に対する理解を深めていただく、こういう趣旨も踏まえてそういった施設をつくっておるところでございます。  ただ、こういった公的な特に宿泊施設につきましては、今申し上げましたが御指摘がいろいろございます。そういった御指摘も踏まえまして、かつそういった施設をつくりました当初と比べまして、社会経済環境なり被保険者なり受給者のニーズも大分変わってきており、それに加えて最近の健康保険なり年金保険の財政状況というのも厳しくなってきておりますので、そういうものを踏まえましてこの施設のあり方について今検討しておるところでございます。  政府管掌保険につきましては、九年の六月に懇談会を設置しまして施設事業のあり方について検討いただきました。その中で、新規施設の設置は基本的に抑える、運営については独立採算制を原則としてできるだけ利用料の適正化なり経営の効率化を進めていく、それから三点目には、いわゆる建てかえ等の時期におきましては、経営の好転が見込めないというものについては移譲なり廃止という形での検討を進めるという御指摘を受けたところでございます。そういう御指摘を受けまして、私どもとしてもこういった施設の今後のあり方を十分検討いたしますとともに、経営の効率化なりあるいはその施設の廃止、移譲等も含めまして今後の対応を進めていきたいというふうに思っております。  それから、施設の機能といたしましては、こういった施設をつくりました当初におきましては、比較的宿泊のみという非常に単純な機能を持つ施設が主体でございましたが、最近におきましては、そういう単に宿泊ということではなくて、むしろ健康増進という機能をあわせた施設の運営というものを目指しております。特に健康保険関係ですと、そういった健康づくり、体力づくり、こういったものが疾病の発生を予防いたしますし、そういったものがひいては医療費全体の適正化なりあるいは医療保険の財政の安定化にも資する、こういう観点から、かなり健康増進機能を重視した施設のあり方という方向へ最近は変えてきているところでございます。  以上でございます。
  10. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  今お話がございましたように、こういった公的施設は特に老朽化が進んでいるということを伺っておりますので、建てかえの経費あるいは補修の経費というものが相当かかるようでございます。これからの行政改革にかかわりまして厚生省のサイドといたしましては、よくお調べをいただいて調整していただければというふうに思っております。  引き続きまして、私ども参議院から警告決議を行っているわけでありますけれども、この警告決議に対しまして政府がいろいろ対策を講じて措置されるわけであります。  これは、各年度決算に対しましての警告決議ということになりますが、先ほど来申し上げておりますように決算自体は予算や法律案件とは違いまして、決算の内容が変更になるということはないわけであります。しかし、決算政府が行います事業の予算執行の最終結果でありますので、その結果として改善すべきところは次年度予算編成あるいは予算執行に反映されるべきだということはたびたび申し上げているわけであります。  このことについて、例えば平成年度決算のときに、国民年金の保険料につきまして収納の未済額あるいは納付の欠損があるということで、これは毎年多額になっているということの御指摘を申し上げておりました。その後、保険料未納者に対します納付の督促の指導などが行われたわけでありますけれども、平成七年の十二月、政府から警告決議に対して講じた措置ということもお答えが出ているわけでありますが、年度ごとの年金納付の未納者に対します措置ということが余り顕著な効果を上げていないということであります。  今回は、国民年金にかかわりまして国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律という法案が成立したわけでありますけれども、これはあくまでも従来の保険料を凍結するという先送りのような形になっておりまして、国民年金の納付状況を改善するということではないわけであります。  申し上げましたように、この基礎年金としての一階部分の拡充ということがこれからの国民皆保険の非常に根幹になる問題でございます。これが未納者が多いということになりますと、これを税金で賄えとか、そういう形の御意見が今出ております。  こういうことも踏まえて、今後、政府としてどうお考えになるのか、年金、皆保険という意味での年金の基礎の部分を維持するということについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  11. 宮島彰

    政府委員(宮島彰君) 今、先生御指摘のように、国民年金制度におきましてこの未納、未加入の問題というのは大変重要なものというふうに我々も認識しているところでございます。  国民年金のいわゆる納付状況を示す検認率を見ますと、残念ながら最近は低調な傾向にございまして、平成年度におきましては七九・六%と前年度に比べまして三・三ポイントほど下がってきております。  この要因としては二つほど考えられると思いますが、一つは、国民年金の場合、未納と並びまして未加入といいますか、加入されていない方を解消するというものも大きな問題がございまして、私どもとしては、まず制度に入っていただくということを重点課題として取り組んでまいりました。このため平成年度から三カ年計画で、いわゆる適用年齢であります二十になりますと届け出をお願いするわけでありますけれども、仮に未届けの場合でも年金手帳を送付して適用するというような形で、かなり積極的な適用対策を進めてきておりました。  ただ、いわゆる二十代の若い方々というのは、過去のアンケート調査等を見ましても、納付意欲といいますか、そういう面で難しい面がございまして、そういう納付になかなか結びつきにくい方々が適用促進をした結果かなり加入いただいたということで、それがひいては検認率というところに影響している面があるのではないかというのが一つございます。  それからもう一つは、これは国民年金に限らず社会保険全般に共通でございますが、昨今の失業率の上昇に見られるように、経済状況の非常に厳しさがこういった収納率の低下に影響しているのではないかというふうに思っているところでございます。  私どもとしましては、この未納対策ということでいろんな対策を御指摘を受けたものを踏まえまして取り組んできておりますけれども、一つは、やはり国民年金の保険料の納付というのは約四十年の非常に長期にわたる納付を継続していただくということでありますので、まずもって制度に対する理解というものを持っていただくということがまず大事だということで、そういったための啓発活動を行っております。特に、中学・高校生を対象とした年金教育という形でのものも含めまして、こういった啓蒙啓発活動に力を入れております。  それから二つ目は、納付しやすい環境をつくっていくということで、まず口座振替を進めようということでいろいろ促進策をやっております。現在、口座振替の利用率は約四〇%でございますけれども、これをできるだけ引き上げるという方策を進めているところでございます。  それから、この未納の状況を見ますと、特に問題の多いのは都市部といいますか、そういうところが収納率がやや低調であります。都市部の特に若い世代の方々はなかなか平日おられませんので、我々としましては、専任徴収員あるいは電話等を通じまして夜間あるいは休日、こういったところに集中して重点的に納付の督励をお願いするというような施策も進めてきているところでございます。  収納率が低下していることといったようなことは重く受けとめまして、今後とも未納対策に全力を挙げていきたいというふうに思っているところでございます。
  12. 中原爽

    中原爽君 御説明ありがとうございました。  これからの高齢社会を踏まえまして、やはり国民一人一人の年金ということは大変大事なことでございます。これから年金制度につきましても抜本的な改革が行われると思いますが、この一番基本になる納付、この問題がやはり何らかの形で解決されるということが必要であろうかと思います。  それで、ただいまのこの年金にかかわります問題でもう一つ、総務庁の行政監察局から「年金に関する行政監察結果—国民年金を中心として—」という監察結果がまとまっておりまして、厚生省に対しまして勧告が行われているわけであります。  このうち、国民年金福祉施設事業の見直しといいますのは先ほど御質疑をいたしました公的な宿泊施設にかかわる問題でございますが、もう一つ国民年金基金の方の問題でありまして、二階の部分であります。この運営の見直しが指摘をされているところでありまして、ここを御説明申し上げますと、国民年金基金における地域型年金については次のように勧告要旨が出ているということでございます。すなわち、地域型基金については、小規模基金の統合を可能とするなどその設立単位のあり方を見直し、効率的な運営を図り、補助金を縮減すること、また委託費の廃止について検討すること、こういうことが言われております。  この地域型の基金といいますのは、この地域型基金の加入者を含めて国民年金基金、平成年度で七十二万五千人の加入者であります。  この年金基金の機構というのは、大体自営業者等においての基礎年金に対します二階建ての部分に当たるわけであります。将来この年金制度改革が進む中で、例えばサラリーマンのような厚生年金だけではなくて零細企業も含めた自営業者ということについて、やはり自営業者に対する年金制度ということもきちっと整理をしていただく、まとめていただくという必要性があろうかと思いますし、これから年金改革を進めていく中で、従来の確定給付型の制度が行き詰まるということでありますとアメリカの確定拠出型、サラリーマンで言えば四〇一K、あるいは自営業者で言えばIRAというような方向がうたわれております。  こういうことも含めて、政府として地域型のこの年金基金の組織を今後どういうふうに考えていくのか。現在、いろいろな補助金等の行政があるわけでありますけれども、その中身が加入を勧奨するという加入促進にお金が使われてしまうというようなことが多いようでありまして、その指摘もあるわけであります。こういうことも含めて、これからのこの地域型の国民年金基金のあり方ということについて、行政としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  13. 矢野朝水

    政府委員(矢野朝水君) ただいま御指摘がございましたように、国民年金基金というのは自営業者とか農家の方を対象としているわけでございます。  こういった自営業の方につきましては、御案内のとおり基礎年金しかないわけでございまして、衣食住の基礎的な生活を賄うには十分でございますけれども、より豊かといいますか、より多様な高齢期のニーズにこたえるためにはこの基礎年金だけでは不十分でございます。そういう意味で、二階建てといいますか、あるいは三階建てといいますか、そういったものとして国民年金基金というのがあるわけでございまして、この役割は非常に重要なものだと考えております。  それで、今回、総務庁の方から勧告を受けたわけでございますけれども、この設立単位の問題でございます。  これは今、都道府県単位で地域型は設立されておるわけでございまして、これをもう少し合併を促進したらどうか、こういう趣旨の勧告でございますけれども、国民年金の業務というのは都道府県単位で実施されておりまして、国民年金基金といいますのも国民年金と一体的に連携をとって加入促進等を図る必要がある、こう考えておるわけでございます。そういう意味で、今の都道府県単位というのは、効率的といいますか、それなりの意味があるんじゃないかと思います。それからまた、住民に身近なところで実施する、こういうことでございますので、そういった意味でも現在の都道府県単位の地域型基金というのは基本的に維持していくべきじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。  それから、加入促進につきましても、いろいろ工夫をしておりますけれども、昨今景気が非常に悪い、こういうことも反映して伸び悩んでおるわけでございます。いろんな各種の広報活動、あるいはパンフレットをお送りするとかダイレクトメールをお送りするとか、そういった形で今後とも広報活動には力を入れていきたいと思っております。  なお、勧告の中で、補助金を廃止するべきじゃないか、こういう勧告もいただいておるわけでございますけれども、この補助金につきましては平成年度限りで廃止をする、こういう措置を講じたところでございます。
  14. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  補助金につきましては御指摘のような状況でございますのでいたし方ない面があるわけでありますけれども、国全体の年金制度ということであれば厚生年金にかかわるようなサラリーマンだけではないわけでありまして、零細な自営業者の人たちにも確たる年金制度が及ぶ必要があろうというふうに思っているわけであります。  では引き続きまして、これも平成八年の総務庁からの勧告がございました。当時、膨大な医療費がかかるという趣旨もありまして、患者さんがいろいろな医院に重複して受診をするという問題がありました、重複受診者をなくそうということ。それから、当時の言い方で言いますと社会的入院ということがありまして、これも医療費が高騰する一つの原因ではなかろうかということでございました。そういう意味で、重複受診者に対する効果的な保健指導の取り組みをするべきだという御指摘がありました。それから、社会的入院を解消するための具体的な方策を策定、推進してもらいたいという勧告でございました。  そういうことで、平成八年から引き続いている問題でございますけれども、厚生省の対応について御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  15. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) まず、重複受診者に対しますことでございますけれども、この重複受診者に対します保健指導といいますのは、医療費の適正化というだけではなくて、やっぱり本人の健康保持という観点からも積極的に取り組む必要があるわけでございまして、行政監察結果に基づきます勧告も踏まえまして、重複受診者等に対します保健指導によりまして効果的に取り組むということで、平成年度に重複受診者に対しまして保健婦等が訪問指導を行う事業につきまして補助事業を新設いたしたわけでございます。  それから、昨年の六月に訪問指導の手引書をつくりまして、こういう手引としても活用できる、こういうような具体的な事例を盛り込みました通知を都道府県に出しまして、各市町村に一層の保健指導を行えるようにということで指導いたしているところでございます。  今後とも、健康手帳の活用でございますとか、あるいは指導監査等を通じまして積極的な取り組みをやってまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、社会的入院の関係でございます。  長期入院の方がたくさんいらっしゃるわけでございますが、主として介護を理由といたしまして一般病棟に長期入院されている方、いわゆる社会的入院と言われている方でございますけれども、これは患者本人の処遇の面からも適切でない面も多いわけでございまして、その解消を図る必要があるわけでございます。その数でございますけれども、平成七年の時点で、一般病棟に六カ月以上入院している方のうち、約十万人程度が社会的入院ということで認めたところでございます。  このために、新ゴールドプランに基づきまして、在宅サービスの充実、こういった介護サービスの供給体制の整備を進めてございますし、それから診療報酬上の関係でも長期療養に対します適正な評価を行う、こういったことを行ってきているわけでございまして、一定の前提を置いて現段階で推計いたしますと七万人程度になっているのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  今後とも、社会的入院というものの解消に努めることにいたしているわけでございますけれども、特に平成十二年四月からの介護保険制度によりまして、介護を必要とする高齢者に適切なサービスを、施設とそれから在宅でございますが、このサービスを一元的に提供することによりまして一層の社会的入院の解消というものに努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  16. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  今お話がございましたように、介護保険が実際に動き始めるということと、平成年度に出ておりますこの勧告との間の何年かがあるわけでありまして、実質的に社会的入院が解消されるということが、介護保険の成立につながっていくということが大事だと思いましたので、お尋ねをしたわけであります。  引き続きまして、社会保険庁の関係だと思いますけれども、政府管掌健康保険の生活習慣病予防健診事業につきまして是正改善の措置要求が出ております。このことにつきましては、いろいろ健診事業自体の問題もございますけれども、厚生省とされましてはまた現在、健康日本二十一計画というようなかかわりの中で、疾病にかかってしまったということではなくて、かからないように予防するという意味で一次予防という問題を取り上げていただいていると思いますが、この関係予算平成十年からついているわけでございます。  一通り、この一次予防という概念も含めて御説明をいただきたいと思います。
  17. 伊藤雅治

    政府委員伊藤雅治君) 今後の疾病対策におきましては、従来から、病気を早期に発見して早期に治療するという考え方にとどまらず、健康を増進し疾病の発生そのものを予防するという考え方、つまり一次予防が重視されてきているところでございます。そのような観点から、現在いろいろなところで行われております健康診査の事業というものを考えてみますと、健康診査は単に病気を発見するということにとどまらず、生活習慣の改善につなげていくという位置づけが必要ではないかと考えております。  したがいまして、私ども、現在策定を進めております健康日本二十一計画におきましても、その中で健診事業のあり方につきまして今申し上げたような観点から方向づけをしていきたいと考えておりまして、そのためには検査結果の時系列的なデータの整理ということが非常に重要になってまいりますので、それらのことにつきましてこの計画の中で真剣に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
  18. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  病気にかかってからの保健ということも大事でありますけれども、国民のお一人お一人が自分の健康について従来から留意をされる、そして病気にならないように予防に努めるという趣旨国民全般に行き渡るということが大事なことであろうというふうに思っております。  それでは、最後でございますけれども、先ほど冒頭で申し上げました参議院決算重要視するということについて、参議院の機能としての改革を進めてきた経緯がございますけれども、この際政府から、参議院における決算審議の役割ということについて大蔵大臣はどのような御見識をお持ちか、簡単でございますが、伺って終わりたいと思います。
  19. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 参議院、特に当委員会決算につきまして極めて重視しておられますことは、私どもかねてよく存じ上げております。  決算は、申し上げるまでもないことでございますけれども、予算の執行の実績そのものでございますので、国会において決算を御審査いただくということは、予算の執行が国会でお認めをいただきました所期の政策目的に合致しているかどうかということをチェックし、また御検討をいただいておる、そういう場でございます。  したがいまして、私ども予算を忠実に執行すべき行政府といたしまして、この部門は国政における極めて重大な部門からの御審議を受けておる、このように観念をいたしております。
  20. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。終わります。
  21. 加納時男

    ○加納時男君 加納時男でございます。  きょうは全般的質疑ということでございますので、環境問題に焦点を絞りながら、各省庁にまたがる問題をいろいろお伺いしたいと思っております。  四点に分けまして、一つは、環境と健康という観点からダイオキシンを取り上げます。二つ目には、環境と外交、特にODAに重点を当てたいと思います。三つ目は、地球温暖化問題であります。四つ目は、エネルギー・環境教育ということで、この四点にわたって質問させていただきたいと思っております。  初めに、ダイオキシン問題について、環境庁長官及び厚生大臣の御見解を伺いたいと思います。  去る二月二十三日、参議院予算委員会で真鍋環境庁長官が非常に力強いお言葉を述べられたことが印象に残っております。それは、ダイオキシン問題には早くから取り組んできている、昭和六十年から環境調査を開始している、平成四年には環境庁の要請によって紙パルプ業界が自主的にダイオキシン排出対策をみずから始めることになった、あるいは平成年度には所沢周辺を含め埼玉県内五カ所の地点で測定調査をしている、平成九年八月には大気汚染防止法施行令の改正により廃棄物焼却炉に係る規制を実施した等細かく申し上げませんけれども、私の記憶ではたしかそういうことをおっしゃったと思っております。  このように早くから取り組んでいたということになりますと、今、決算委員会での審議対象となります平成八、平成会計年度における環境庁並びに厚生省の実際に取り組まれた概要、どういうことに取り組んでこられたのか、その成果と、そこで積み残した課題、これはどんなものがあったのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  22. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  平成年度、九年度におきましては、ダイオキシンのリスク評価による健康リスク評価指針値をまずつくるということを行いました。また、廃棄物焼却施設等からの排出抑制手法の検討等を踏まえまして、平成九年八月には先ほど先生がお触れになられましたように大気汚染防止法施行令を改正いたしまして、対策実施後五年で排出量の九割を低減させるということを目指したところであります。さらに、関係省庁と連携を図りながら調査を拡充するために、ダイオキシン対策に関する五カ年計画を平成九年八月に策定したところでございます。これらの成果は、先ほどの三月三十日のダイオキシン対策関係閣僚会議におきまして策定されました基本指針にも盛り込まれておるところでございます。  今後の課題でございますが、基本指針に示されておりますように、厚生省とともにTDIの見直しを速やかに実施すること、また排出抑制対策の強化によりまして四年以内の排出量の九割低減を実現するとともに、汚染実態の把握等の科学的知見の充実、また汚染土壌の除去技術の開発促進等、各般の施策の充実を早期に達成していかなければならないと考えております。
  23. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 我が国におきましては、廃棄物処理施設からのダイオキシン排出が相当部分を占めるという御指摘がございます。そういった点で、厚生省におきましても廃棄物処理施設につきまして廃棄物処理法に基づきますダイオキシンの排出規制を強化いたしますとともに、ダイオキシン類によります健康影響等につきまして調査研究を進めてきたところでございます。  お尋ね平成八年、九年度の施策の内容でございますが、一般廃棄物焼却施設からのダイオキシンの排出を削減いたしますために、市町村の焼却施設の新設あるいは改造に対する国庫補助事業、また厚生科学研究によりますダイオキシン総合対策の研究等の施策を実施したところでございます。  このために、平成年度はダイオキシン削減対策に関します廃棄物処理施設整備費といたしまして五百五十六億五千百万円、ダイオキシン対策調査研究費といたしまして一億五千八百万円を計上したところでございます。また、平成年度におきましてはダイオキシン削減対策に関します廃棄物処理施設整備費といたしまして五百九十億六百万円、ダイオキシン関係調査研究費といたしまして二億七千五百万円を計上したところでございます。  これまでの調査研究等を踏まえまして、平成年度には我が国としてのTDI、耐容一日摂取量を十ピコグラムとすることとしたところでございます。  これらの施策によりまして、ダイオキシン削減対策あるいは健康影響に関します調査研究等におきまして一定の推進は見られたところでございますけれども、課題といたしましては、市町村の一般廃棄物処理施設の集約化によります施設の大型化を図るなどいたしまして、ダイオキシン削減対策の一層の推進を図る必要があるわけでございますし、人の暴露状況、あるいは食品中のダイオキシン濃度の調査充実、あるいはダイオキシンがなぜ発生するかという発生メカニズム、あるいはそれを抑制する技術あるいは分解する技術といったものの開発、あるいは健康影響の評価のあり方についての研究の推進がさらに必要であろうというふうに認識をいたしております。
  24. 加納時男

    ○加納時男君 お話を伺っていますと、幾つかの共通の課題が浮かび上がってくると思うんです。  一つは、実態の把握ということだろうと思います。これは焼却場周辺住民あるいは焼却場労働者の血中濃度、あるいは周辺地区の土壌、大気の濃度、こういったものの調査ということでございます。それから一般住民との比較、それから今、厚生省の方で最後に触れられました発生メカニズムの研究といった調査が第一だろうと思います。  二つ目は、これも今お触れになられましたけれども、安全基準それから設備基準の見直し、それからそれの改修といったことが二つ目だろうと思っています。それは、今お話があったように九割ぐらいが焼却場から出てくるものがダイオキシン被害の原因ではないだろうかと考えられますと、焼却場等の排出基準あるいは設備基準の見直し、これの改修、これを変えていくこと。例えば大量、連続、高温というのが私はキーワードだと思うんですけれども、大量ということには今お話があったように広域市町村でごみをまとめて、そして一カ所で八百度C以上の高温で、しかも途中でとめずに連続して運転するといったような施設に改造をする、これの改造に補助をつけていけば当然これは景気対策にもなるというようなことでございます。そういったことが今触れられたかと思います。  それから、TDI、先般来いろいろ議論されておりますが、WHO、世界保健機構での一つの勧告といいますかレポートがございました。これを踏まえながら今見直しがなされているんじゃないかと思っています。  そういったように私は理解しますけれども、それに加えてリスクコミュニケーション、ハザードとリスクということがよく言われますけれども、ダイオキシンというのは悪さでございます。ハザードでございます。しかし、ハザードがあるからこれを全部拒否するというわけには世の中いかないわけなので、これをどの程度摂取すれば人間の健康に影響があるのかないのかといったそういう定量的、科学的なアプローチが不可欠だと思っています。そういう意味では、そういう観点からTDIを見直していくということが私は大事だろうと思っています。  これもリスクコミュニケーション、どの程度ハザード、悪さを摂取するか、それが個体のリスクでありますけれども、リスクがどの程度であるかによって健康上要注意であるかあるいは気にしなくていいレベルであるのかということが住民が一番不安になることであります。そういう観点で平成年度の第三次補正予算でかなりダイオキシン対策が私は前を向いたんじゃないかと思っています。  今回の十一年度予算も含めましてどのように取り組んでこられているのか、それも一言触れていただけたらと思います。
  25. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  十年度予算におきましては、先生御指摘のように、ダイオキシン関係の経費といたしましては当初予算のほかに、当初予算では最初三億円環境庁では計上していたわけでありますが、第一次補正予算で約四十四億円、それから三次補正で約二十六億円、合計七十七億円を計上いたしましてダイオキシン対策の拡充を図ったところでございます。  当初予算では、発生源インベントリーの整備や環境中の挙動についての調査研究等に着手することにしておったわけでありますが、一次補正予算におきましては、さらに全国約四百地点におきまして大気、水質、土壌等のモニタリング調査を緊急一斉調査をするということをまず行いまして、またそれをすることによりまして汚染実態の把握に努めます。それから、地方公共団体におけるモニタリング体制等の整備のための経費等を計上したところでございます。さらに、三次補正予算では、湖沼等の底質の年代別の蓄積量の調査、また精密暴露調査などの経費を計上して調査を行っておるところでございます。  さらに、今後、平成十一年度予算におきましては、汚染実態把握のためのモニタリング調査、発生源調査、また地方公共団体におきますところの測定分析体制の整備のための補助、研修あるいは精度管理等の支援を行うこと、また健康影響や関連対策技術などに関する科学的知見の集積を目的といたしまして、健康リスクの再評価のための調査研究や汚染土壌浄化技術の実証等の経費として総額二十三億五千四百万円を計上しておるところでございます。  今後とも基本指針に基づきまして、関係省庁や地方自治体との連携を図りながら、最新の科学的知見を踏まえてこれらの施策を推進してまいりたいと考えております。
  26. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 廃棄物焼却施設からのダイオキシン削減対策と調査研究の一層の充実が必要というこれまでの私どもの認識を踏まえまして、平成年度は当初予算におきまして、ダイオキシン関係予算といたしましては六百二十五億二千三百万円を計上いたしまして対策の推進を図ったところでございます。  具体的には、市町村の一般廃棄物焼却施設の集約化のための補助の見直しを含めまして、ダイオキシンの削減対策に関します廃棄物処理施設整備費といたしまして六百十八億八千三百万円、厚生科学研究費補助金等によりますダイオキシン類の調査研究に対しまして六億四千万円を計上したところでございますし、平成年度におきましてはさらに補正予算によりまして、市町村の一般廃棄物焼却施設の前倒しの実施等に対しまして九百三十五億五百万円を計上したところでございます。  また、平成十一年度におきましては、市町村の一般廃棄物焼却施設等の排出源対策及び人への健康影響の解明を中心にいたしまして、対前年度二〇・三%増の七百五十二億二千五百万円の予算を計上したところでございます。  この具体的な内容でございますけれども、ダイオキシン類の早期削減を図りますために、平成十二年度までの緊急特別の措置といたしまして、ダイオキシン規制に対応いたしました焼却炉等の設置、改造のほかに、これらと一体的に行います建物部分の設置、改造に要する費用を国庫補助対象とすることなど、廃棄物処理施設整備費といたしまして七百三十一億八千六百万円を計上いたしまして財政支援を充実しているところでございます。  また、調査研究に関しましては、ダイオキシンの排出削減技術の開発、食品中のダイオキシン濃度調査充実、あるいは健康影響の解明等に関します調査研究等を一層推進いたしますために、平成十一年度予算といたしましては対前年度約二倍の二十億三千九百万円を計上したところでございます。  今後とも、先般決定をされましたダイオキシン対策基本指針を踏まえまして、これらの予算を効果的に執行いたしますことによりましてダイオキシン対策に全力で取り組んでいく考えでございます。
  27. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  ぜひ平成十一年度予算執行に当たっては、これまでに得られたさまざまな経験を生かして効果的にやっていただきたいと思います。  さて、先週でございますが、三月二十九日に環境庁から平成年度ダイオキシン類長期大気暴露影響調査が発表されました。私もデータを見せていただきました。これは大阪の能勢町及び埼玉の所沢、周辺五市町でありますが、焼却場周辺と離れたところの住民の血中濃度、それから土壌、大気濃度を測定したものであります。  どうでしょうか、これは何がわかって、何がわからなかったんでしょうか。先ほどからずっと局長さん以下がお答えになっていらっしゃるんですけれども、厚生大臣とか環境庁長官の声もたまにで結構ですからぜひ聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  28. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 大阪能勢地区のごみの焼却施設の問題は世上非常に注目されたわけでございまして、労働省の方で発表いたしました中では、焼却施設内の労働者の血中ダイオキシン濃度の結果の発表がございました。  私どもとしては、労働省の行われた調査ではございますけれども、結果としては健康影響は現段階では結論的に確認できないという状況でございますし、それからいろいろの文献、調査等の結果から見ましても、今回判明した血中ダイオキシン類濃度は明らかに健康被害を起こすレベルにあるかどうかという点についての確証が得られなかったというふうに聞いております。しかし、従事労働者がダイオキシン類にさらされた原因というのは、ダイオキシン類に汚染された焼却灰とか飛灰によるものが多いわけでございまして、その粉じんの吸入とか接触によるものと考えられるわけでございます。  したがって、私どもはこれで安心しているわけではありませんで、今後、これは厚生省と労働省の研究費を合同で活用いたしまして、厚生省の厚生科学研究費を活用して厚生省と労働省が連携してやるということで、今回の血液中のダイオキシン類の濃度が高かった対象者の健康状態を調べる、あるいは他の焼却施設におきます作業環境とか従業員の健康状態を把握するというようなことを予定いたしております。  また、厚生省では、焼却施設の設置者に対しまして、施設内で焼却灰等を取り扱う作業によりまして施設内でも焼却灰等が飛散、流出しないような防止技術、つまり技術上の開発がぜひ必要でございますから、そういった徹底を期していきたい。これは能勢町の注目された事件でありましたけれども、今後、他の施策につきましても十分な注意を喚起しながら、そういうことが再び起こらないように安全管理と維持管理基準の見直し等をきちっとやっていきたいと思っております。
  29. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) せっかくの御質問でございまして、私の方から答弁させていただきます。  先生が今おっしゃっておりましたように、三月二十九日に第一次の報告を出したところでございまして、昨年の七月より、所沢市の周辺とか大阪府能勢町の二地域におきましてダイオキシン類の大気などによる健康影響調査を実施いたしました。  血液中のダイオキシン類及びコプラナPCBの濃度については、所沢市周辺及び大阪府能勢町ともに、廃棄物焼却施設の周辺地域と、比較のために設定した対象地域でほぼ同様な値を示しました。また、大気、土壌につきましてはそれぞれの指針値等の範囲内であり、これまでの調査結果と特に異なるものではございませんでした。  そこで、今後、調査対象者の食事についてさらに測定を進めて総合的な解析を行い、最終的な結果をまとめていきたいと思っております。  先生の御指摘の点については、重々環境庁も注意を払いながら対策を講じていきたいところでございます。よろしくお願いします。
  30. 加納時男

    ○加納時男君 両大臣、ありがとうございました。心配ないということでございますが、私はちょっとコメントだけさせていただいて終わりたいと思います。  まず最初の労働省の調査について、厚生大臣のお話では今のところ健康影響はないのではないか、そういうことなので私も安心したわけでございますが、データをちょっと拝見しますと、労働者を九十二人調べているんです。平均の血中濃度は八十四ピコグラム・パー・グラム・ファット。要するに脂肪一グラム当たりという意味でございます。これは普通二十から三十ぐらいです。それから見るとちょっと高いのかな。しかし、八十四平均というのはそう心配する数字じゃないと私も思います。  問題は分布でございまして、百ピコグラムを超えた人が十五人いる。九十二人中十五人は、ちょっと気になるというか、ちょっと多いのか。中でも四百ピコグラムを超えた人は四人、八百ピコグラムを超えた人が一人いるというのはちょっと気になる数字でございますが、直ちに健康影響があるかどうかは私もわかりません。  今、大臣がしっかりおっしゃったように、発生メカニズムも大事でございますが、特に健康影響という観点でぜひ厚生省にしっかり調べていただいて、統一安全基準でありますとか追跡調査とかいろいろまたお願いしたいと思いますし、お話にございましたように設備の改善、あそこはオープン型でございましたので水が飛散してしまったわけですけれども、密閉型に変えるとか、とめてしまうとか、いろんな対策をやっていらっしゃるのをよく伺っておりますが、ぜひ大臣のおっしゃったとおりに進めていただくようにお願いしたいと思います。  環境庁長官のお言葉の中で、環境庁でなされた調査でございますが、私は能勢も所沢周辺も平均としてはおかしくないというのはそのとおりだと思うんです。ただ、私もあの報告書を拝見して気になったことをちょっと申し上げますと、確かに住民の血中濃度、労働者じゃなくて住民の血中濃度とか大気の濃度は有意差はないと私もデータを見て思います。ですけれども、土壌は差が大きいんです。土壌については、清掃工場周辺と離れたところで見ると、能勢では八倍、それから埼玉では四倍あります。だから危険だと私はすぐ言っているのではなくて、気になるということだけ申し上げているわけでございます。  特に、標準偏差を見たら非常に大きいんです。能勢は十倍あります。恐らく能勢はうんとばらついていて、極端に悪いところがあったというので標準偏差が十倍もあるということだろうと思います。きょう、これを別に議論しようとは思いません。また個別の委員会でやりたいと思いますけれども、まず全般的質疑でございますので、両大臣から非常に力強いお言葉をいただいたので、ありがとうございました。ぜひ進めていただきたいと思います。  では続きまして、二つ目のテーマに移りたいと思います。二つ目は、今度はODAをやりたいと思いますので、外務大臣、よろしくお願い申し上げます。  一九九二年のUNCED、環境と開発に関する国連会議で、日本は今後五年間で環境ODAを九千億円ないし一兆円程度を目途に拡充強化を図るというふうに表明されたことは非常に有名でございます。その成果と課題について冒頭に一言、大臣から伺えたらと思います。
  31. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 御指摘の期間中に我が国は途上国の環境に関する政策対話の充実に努めまして、居住環境、公害対策、森林保全等の環境分野のODAを推進いたしました。その総額は、地球サミットにおいて表明した目標を四割以上上回る一兆四千四百億円となったわけであります。  こうした実績を踏まえて、九七年の国連環境開発特別総会におきまして、政府はODAを中心とした我が国の環境協力政策を包括的に示す二十一世紀に向けた環境開発支援構想、ISDでありますが、を発表しており、今後ともこの構想に基づき環境分野におけるODAを積極的に推進していきたいと考えております。
  32. 加納時男

    ○加納時男君 五年間で公約を四割も上回るというのはすばらしい成果だったと思います。  今お話があった居住環境、森林保全、公害対策と言われたんですけれども、具体的な割合、大ざっぱな割合で結構ですけれども、どれが何%ぐらいとちょっと教えていただきたいと思います。局長で結構でございます。
  33. 大島賢三

    政府委員(大島賢三君) お答え申し上げます。  この五年間に環境分野において供与されました分野別の実績は、居住環境分野が六一・七%、公害対策が一三・八%、森林保全が七・九%、防災関係が一二・二%、最後に自然環境保全等その他が四・三%、こういった比率でございます。
  34. 加納時男

    ○加納時男君 ちょっと驚く数字だと思うんです。私は居住環境というのは、ベーシックヒューマンニーズといいますか、すごく大事なことであるということはよくわかるんですけれども、居住環境というのは恐らく上下水道が中心じゃないかと思います。これが六割だというのは、確かに発展途上国の仲間の中に健康といいますか衛生状況が悪くて病気になったりする方がおられるので大事だというのはわかるんですが、これに比べて公害対策が非常に少ないような気がします。  この辺、どうでしょうか。公害対策というのは日本が世界に誇る技術だと思うんです。日本は、国土が狭くて非常に大勢の人が住み、経済発展もやってきたために、残念な公害問題が幾つか起きました。それを克服するために開発した公害対策技術、これは今や地球温暖化防止技術と相まって日本が世界に誇る技術であり、途上国からは非常にこの支援が望まれると思うんですけれども、その割に環境ODAに占める比率が非常に少ない。この辺、外務大臣、どういうふうに考えたらいいんでしょうか。
  35. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 今委員が御指摘の点、もっともだというふうに思われる点もありますので、よく検討してまいりたい、こういうふうに思います。
  36. 加納時男

    ○加納時男君 ぜひその方向で御検討いただければありがたいと思います。  アジアの経済成長に伴いまして二つのことが起こっていると思うんです。一つは、今まで日本国が一生懸命援助してきた東南アジアが、次々と発展途上国という段階を卒業して中進国に移りつつあるというのが一つ。それからもう一つは、ベーシックヒューマンニーズから一歩進んで、今や経済成長に伴う公害対策についての非常に大きな問題が出てきているんじゃないだろうか。大気汚染ですとか水質汚濁ですとか、あるいは酸性雨だといったようないわゆるブラウンイシューと専門語で呼んでいるようでございますが、これが深刻化してきていると思います。お隣の中国は一次エネルギーの七五%が石炭でございます。その結果、ばいじんですとかNOx、SOx、さらには今後CO2も大きな克服すべき課題になってきているだろうと思います。  そこで、外務大臣、通産大臣にも、申しわけないんですがおいでになったので伺いたいと思うんですけれども、日本が今後この環境ODAをやっていくときに、これまでの居住環境というものから一歩進めて公害対策、なかんずく環境技術を推進していくべきではないか。外務大臣は、先ほどそれはぜひ検討するとおっしゃったのでございますが、それに加えてもう一つ、これまでエネルギー関係で援助してきたのは水力発電と火力発電、それも石炭火力なんです。例えばフィリピンのカラカの石炭火力、私は火力発電として石炭火力があり得るということは十分わかるんですけれども、これが一方で公害問題を引き起こしたというのも事実でございます。公害問題が出たから公害防除技術というのはわかるんですけれども、そういうもののない例えば水力それから原子力、こういったものに環境ODAをシフトしていく。今までほとんど議論されていないと思うんですけれども、こういうことも今後あり得るのかなと。  現に、発展途上国の中には、日本からぜひとも原子力の援助をしてもらいたいといった声も上がってきているかと思いますが、今すぐということじゃなくて、今後の方向性として大臣の御見解を伺えたら幸いだと思います。
  37. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生御指摘のように、環境問題全般は我が国にとってもアジアの諸国にとっても今後解決すべき大変重要な課題であるということでございます。  通産省では、一九九二年からグリーンエードプランという事業をやっております。  これは内容を申し上げますと、アジア地域の発展途上国における発展と環境の両立を目的として、我が国の公害対策の経験、技術を踏まえたエネルギー環境技術の移転、普及などを行いまして、相手国のエネルギー環境問題に対する自助努力の支援を行う協力のプランとして、一九九二年からグリーンエードプランという名前で実施をしているものでございます。この対象となっている分野は、水質汚染防止、大気汚染防止、廃棄物処理及びリサイクル、省エネルギー及び代替エネルギーというものがこのグリーンエードプランの対象となっております。  現在の対象となっておりますのは、中国、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、インド、ベトナムでございまして、事業の概要としては、政策対話の実施、調査協力、人づくり協力、研究協力、技術実証調査等から成り立っているわけでございます。  大変これは重要なことでございまして、通常の技術移転とかノウハウの移転ということのほかに、やはり公害とか環境とか、我が国が過去相当な努力をし相当な経験を積んできた分野についても、そういうものを喜んで必要な国々にノウハウや技術を移転していくというのは、我が国が国際社会で果たす非常に重要な役割であると私は思っております。
  38. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 今委員は原子力発電のことにも触れられましたが、原子力発電所に対するODAの供与は、OECDの原子力発電プラント輸出信用セクター了解というのがありまして、国際ルール上、アンタイド贈与、無償資金協力以外の援助は供与できないこととなっているわけでございます。  他方、無償資金協力については、原発建設に要する費用が膨大であり、これは大体委員の方がよく御存じだと思いますが、二千億円から三千億円かかるわけでありまして、無償の実施可能な範囲をはるかに超えているということがありまして、無償資金協力は主に基礎生活分野を対象としていることなどの事情から、その供与が極めて困難だという事情があります。また、原発は全体として一つのシステムであるため、その一部の施設の建設のみを協力の対象とするということは余り現実的ではないのではないかと思っております。  なお、我が国は原子力関連分野におきまして、アジア諸国を含めた途上国に対し、JICAを通じこれまでに百五十名を超える研修員受け入れや三十名程度の専門家派遣といった技術協力は行っております。
  39. 加納時男

    ○加納時男君 原子力については、無償でやるような話は全然ないと思っております。したがって、今後どういう形で組んでいくのか、いろいろまた御研究をいただければと思いますが、そういうニーズが出てきているということはぜひ御理解いただきたいと思います。  一つだけ、細かいことを外務省に伺いたいと思います。  テースタ運河の件であります。  平成年度会計検査院検査報告の中で、ODAで効果が出ていない例として指摘されているのは、恐らくテースタ運河を指しているのではないかと思われますけれども、これについて、その後どのようになったか、一言御報告いただければと思います。
  40. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) テースタ運河水力発電所事業につきましては、インド側実施機関の内貨予算不足や用地取得に時間を要したことなどの要因によって工事がおくれたという事情があります。平成九年七月の会計検査実施時には事業が完成していなかったということであります。  その後、工事は順調に進捗し、九九年三月末現在、第一発電所は既に運転を開始しております。残る第二発電所及び第三発電所も九九年六月に運転を開始する見通しであることから、今年度も残余の貸し付け実行を継続することとしております。  政府といたしましては、早期の事業の完成により所期の援助効果が発現するよう、引き続き努力していきたいと考えております。
  41. 加納時男

    ○加納時男君 いよいよでき上がるということはいいんですけれども、これは振り返ってみますと、交換公文を締結したのは八六年、それから第二次がたしか九〇年だったかなと思います。八六年に交換公文を締結したときは、九一年にでき上がるということだったんですね。九一年までに現実に、これは発電機が三カ所あって九機、それから水車も九台ですけれども、約束どおり全部もう入っちゃっているわけです。ところが、全然工事が進まないというので非常に時間がかかって、でき上がったのが今のお話ですとことしの三月だと。  というので、考えると八年おくれているわけですね。非常にこれは残念なことがいろいろあったんじゃないか。反省点として先方の予算手当てがおくれたとか、今いろいろおっしゃったんですけれども、こういうのは全部FSできちんとやるべきではないか。フィージビリティースタディーをやって、先方の予算のつけ方はどんな仕組みになっているのか、可能性があるのかどうか、用地取得がおくれたということも理由にあるようですけれども、住民の権利関係はどうなのか。それから、水が出るか出ないかというのはこれは地質調査でわかるわけですから、FSをきちんとやるべきじゃないかと思っています。事実やったんだと思います。  それにしても、非常に反省するところもあったかと思うんですけれども、反省するところはなかったんでしょうか。
  42. 大島賢三

    政府委員(大島賢三君) お答え申し上げます。  本件のフィージビリティースタディー、事業化調査はインド側が実施したものでございまして、ただいま先生御指摘ございましたように、当初は大体五年ぐらいで三基の発電所を完成するというものが十年近くかかってしまった。結果的にはきちんと完成をしたわけですけれども、相当なおくれが途中生じたと、こういうことでございました。  そのおくれにつきましては、ただいま大臣の方から御説明ございましたように、先方の土地収用が予想以上に手間取った。それから、先方が手当てすべき内貨の手当てが不十分であった等々の事情もございました。さらに、非常に気の毒なことですけれども、大規模な干ばつとか大洪水が途中にあって計画に狂いを生じさせてしまったとか、いろいろございました。ございましたけれども、結果として見ますと、フィージビリティー調査に予定をしておらなかったような、見込んでおらなかったような事態が現実に工事を開始してみますと起きたわけでございます。  この種の事業につきましては当然フィージビリティースタディーが存在するわけでございますけれども、それを精査してあらゆる点からきちんとチェックをした上で資金供与にかかるというべきところで、それを今回の場合にもあの時点で入手可能なあらゆる情報を手にやったわけでございますけれども、結果的には先ほど来出ておりますような事態が生じたということでございます。この点はフィージビリティーを十分裏から裏まできちっとやって、全く問題がなかったかといえば若干不十分な点がやはりあったというふうに私どもは感じております。  途上国の仕事でこの種のことは間々あるわけでございますけれども、こういうことも経験にいたしまして、できるだけこういうことがないように努めてまいるべきものと思っております。
  43. 加納時男

    ○加納時男君 私も途上国の援助の現場も見てまいりましたけれども、非常に皆さん御苦労していらっしゃるのはよくわかります。  今お答えがあったので結構なんですが、ぜひともFSをきちんとやることと、それからスタートした後も、今回も中間管理ミッション、九〇年以降ですか八回ほど出していらっしゃると思いますが、中間管理をきちんとやって、工程管理をやっていく。全体の流れが悪ければ、もう予算がついているんだからやっちゃいますよという役所仕事じゃなくて、現実に変化があったならば変化に即応して予算を機動的に修正していくとか、工程をチェックしていくとか、計画したものを実施段階でチェックして、チェックした結果をアクションに移していくという、品質管理の話ですけれども、PDCAのサイクルを回すことをぜひともこのODAでもやっていただきたい。  FSと工程管理、これをお願いして、この件は終わりたいと思います。ありがとうございました。  第三の課題の地球温暖化でございますが、三月二十七日の産経新聞の社説を私は拝見しました。そこにはこんなことが書いてありました。  原子力発電が必要なことは自明である。だが、このたび中央環境審議会環境庁長官に出した答申の基本方針の中では反対意見を考慮したのか、「原子力基本法等に基づき、放射性廃棄物の処理処分対策等を充実させつつ、」、まだあるんですけれども、「安全性の確保を前提として、」、まだあるんですね、「国民的議論を行い、」、終わったかと思ったら、さらに「国民理解を得つつ」、これだけうんと回りくどく言って、最後は「進める」と、こうあるわけですね。  これは一体進めるのかというと進めないみたいな書き方で、進めたくないけれども、進めるということが決まったから、やむを得ずうんとやりたくない表現を入れたというような感じで、産経新聞の社説では「実に回りくどい表現でまとめた。」というふうに書いてあります。  さらに、社説では、原子力にかわる新エネルギーが供給安定性には欠けている、それである以上は、原子力発電否定論は現実離れの議論と言わざるを得ない、こんなことを言われております。  環境庁長官に伺いたいんですが、なぜこんな回りくどい言い方で答申がまとまったんでしょうか。大体事務方といいますか、あるいは私も中環審の委員をやってまいりましたけれども、委員の方の中には原子力というのはどうしても嫌いだという方が多いのかよくわからないんですけれども、好きとか嫌いとかじゃなくて、これは考えていただきたいと思うんです。  「実に回りくどい」という産経新聞の社説の指摘に対して環境庁長官はどんな御印象を持たれたでしょうか。できましたら長官に御印象をいただき、細かいことは結構ですから、けしからぬとか、産経新聞が悪いとかいいとか、そういうことでも結構です。
  44. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 私も、環境庁長官就任直後の記者会見で、日本のエネルギー増強に対する対策として何を求めなきゃならないかといったときに、代替とはもう言えない状態になっておるのが原子力エネルギーであるわけでありまして、日本のエネルギーの三分の一を原子力エネルギーで確保している現況を見ますと、この必要性というのはまさにしかりだ、こう思っておるわけでありまして、これを安全性を高めながら増強していかなきゃならない、この気持ちは終始変わっておりません。    〔委員長退席、理事鎌田要人君着席〕  日本のエネルギーが、光エネルギー、太陽エネルギーが取ってかわるような時代が来ればまだしもでございますけれども、現況から考えると、クリーンなエネルギーということになりますと、そのエネルギーは原子力にゆだねていかなきゃならない。何といってもこの原子力に対する日本国民のアレルギーということがあるわけでありまして、そのアレルギーを払拭するための技術革新をなしていかなきゃならない。  日本は原子力エネルギーについては世界でフランスに次ぐ確保国でありますけれども、しかし日本で大きな失敗があった、事故があったというようなことはないわけでありますから、なお技術に磨きをかけて、原子力エネルギーは安全性の高いものであるという位置づけをしていかなきゃならない。それができていないために、今そのような、しつつとか云々とかいう文言が出てきたのじゃないかと思うわけであります。しかしながら、その必要性というのは中央環境審議会においても十分認めておるところでありまして、その認めた文言に対する裏づけをしっかりとやっていかなきゃならないと思っておるわけであります。  加納先生は昔から原子力問題について大変造詣の深い先生でありますので、そういう点につきましてはいろんな大所高所に立った御指摘をいただきながら、行政面でもしかとした対策を講じて進めていかなきゃならない、こう思っておるところです。
  45. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  今の長官のお話の中で、原子力アレルギーの払拭が大事だと、全く同感でございます。  さて、原子力アレルギーということで考えますと、この五月ぐらいからスタートするのが原子力研究開発の長期計画、正確に言うと原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画、原子力長計でございます。環境庁は御関心があるかと思うのでございますが、これは基本的には科学技術庁長官、通産大臣と御出席いただいておりますが、この改定作業が始まるわけです。  原子力アレルギーという今の環境庁長官のお言葉で考えたのは、原子力アレルギーは私はいいことだと思うんです。日本は確かに世界唯一の被爆国であるし、原子力というと核兵器を考え、ともかく怖いものだと、これは私は決して否定できないと思うんです。逆に、このアレルギーがあるからこそ、日本は世界で最も原子力の平和利用に熱心な国であり、核兵器を否定している国であります。それからまた、原子力の安全運転、安全利用に徹している国だと思います。それが証拠に、原子力発電所の発電炉、原子炉と言っていますけれども、これが計画外にとまる率というのが一番わかりやすい指標ですが、先進国に比べて日本は一けた、とまる率が低い。つまり、断トツの技術水準を誇っている。これもアレルギーがあるからこそ安全に平和にしなきゃいけないということだと思います。とてもいいお話をありがとうございました。  そこで、原子力長期計画でございますけれども、せっかくスタートするので、これは科学技術庁、通産省だけでなくて、ほかの省庁にも積極的に参加していただくという考えはどうだろうかということを伺いたいと思うわけでございます。  例えば、実際に現地の首長さん、知事さん、市長さん、いろんな方に伺ってみますと、研究施設が欲しい、あるいは教育機関を充実してほしい、インフラをふやしてほしい、いろんな要求もございます。そこで、国土庁長官建設大臣兼任でいらっしゃいますが、例えばこの原子力長計の策定に当たって御参加いただいて、国土計画の一環とかあるいは交通インフラの整備、いろんな観点があると思うんですけれども、こういう観点も含めて原子力長期計画を日本の国策として進めるわけでありますから、御参加いただけないかと思うんです。お考えはいかがでございましょうか。
  46. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 昨年三月末に策定されました第五次の全国総合開発計画、今回からは二十一世紀の国土のグランドデザインというような副題もつけておるわけでございますが、その中にありまして、安全性の確保を最重点としつつ、国民理解協力を求めながら原子力発電の建設を着実に推進するということを提示しておるところでございまして、地域経済の自律的発展に向けた地域の自主的な取り組みをその角度から支援していきたいというふうに存じております。  また、建設省の立場から申し述べさせていただきますとすれば、この原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画は個別具体的な原子力施設の立地地域を盛り込んではおりません。盛り込んではいないわけでございますが、建設省といたしましては、関連の交通インフラの整備ということ、これは前向きにしっかりとしたものを出していって、必要に応じて協力していくということは一生懸命やっていきたいと思っております。
  47. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  科学技術庁長官並びに文部大臣にもいろいろ伺いたいんですけれども、実は次の教育と関係しますので、教育のセクションで十分お話しいただきたいと思いますが、その前にこの長期計画で科学的思考の重要性とかあるいはエネルギー教育、いろんなものが原子力アレルギーを克服していくためにも大事かと思いますが、文部大臣として一言いただけたらありがたいと思います。
  48. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) エネルギーの問題というのは、二十一世紀の日本にとって極めて重要なことだと思うんです。私は、新エネルギーというものをぜひとも開発すべきであると思っております。ですから、太陽にせよ風力にせよ十分開発していかなきゃならないと思っておりますが、ただいわゆる新エネルギーだけで日本の二十一世紀のエネルギーが保てるとは絶対思えないわけです。一方で、御指摘のように核エネルギーがあって、原子力に対するいろいろな御批判は強い。しかし、国民理解を十分得ながら原子力を健全に育てていくということは日本の二十一世紀にとって極めて重大なことと思っております。  したがいまして、もっと広いエネルギーの教育ということと同時に、放射線とか放射能とかそういうものがいかに今医学に使われ、日常の生活にいかに使われているかというふうなことも説明をしながら、同時に原子力というものの重要性について今後教育していくべきだと、今もしておりますけれども、さらに十分な教育をしていくべきだと考えております。
  49. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  外務大臣、ここまでで結構だと思います。  では最後に、残った時間でエネルギー・環境教育に触れたいと思います。  今、有馬文部大臣から非常に鋭い問題意識のある御発言をいただいたわけでございます。私はここに「エネルギー・環境問題に関連したこれからの放射線・放射能教育の在り方」という要望書を持ってまいりました。これは平成八年に出されたもので、提出先は当時の小杉文部大臣提出者は実は放射線教育フォーラム会長有馬朗人先生でございます。つまり、出された方が出した先の文部大臣になられたというので、ぜひこれについて伺いたいと思うんですけれども、この中で非常に大事な問題提起がされていると思います。  今、大臣がおっしゃったように、エネルギー危機への対応、温暖化対策として省エネ、新エネだけではなくて原子力の役割は不可欠であるとか、それから放射線、放射能は自然現象であって、医療分野等十分に制御可能である、それから放射線には効用と害がある、害というのは定量的に教えることが科学的である、これは非常に鋭い御指摘だと思います。それから、教育も報道もより客観的かつ冷静にやるべきだというようなことがございます。    〔理事鎌田要人君退席、委員長着席〕  それにつけ加えまして、放射能とか放射線については、教科書で見ると、理科の中ではごく小さな扱いであり、社会の中では原子力の欠点のみ、あるいは不正確かつ情緒的な記述があると。これは私が言っているのではなくて、有馬先生がかつておっしゃったことでございます。こういうのが出ております。  また、平成八年五月に日本原子力学会が出されました「初等・中等教育における「エネルギー」の扱いと高等学校学習指導要領に関する要望書」というのがありまして、ほぼ同じ趣旨のこと、社会科、理科等についていろんなことが書いてございますが、こういった要望書を受けた形で、あるいはかつてお出しになったお立場も踏まえまして、文部大臣、一体どのようにお考えでしょうか。ぜひ伺いたいと思います。
  50. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 自己矛盾してしまうとまずいのでございますけれども、この点は十分注意しております。  まず、社会生活を営む上で国民の一人一人が原子力を含めたエネルギー問題、先ほども申し上げましたけれども、新エネルギーも含めて、二十世紀を越えてきたけれども、二十一世紀を特に資源の不足している日本人はどうやって暮らしていくんだろうというふうなことも含めまして、エネルギー問題について正しい認識を持つことが非常に重要だと思っております。  そのことにつきましては、客観的に公平に学校教育できちっと教えていく必要があると思っております。特に子供たち、児童生徒の発達段階に応じて放射線や放射能、原子力も含めてエネルギー問題について正しい理解を深めていくことが大切であると思っております。  したがいまして、先ほど御指摘のございました、私がかつて会長をいたしておりましたころの要望書と矛盾しないように、指導要領の改訂においてそれを十分参考にしながら改訂していこうと思っております。  具体的に申しますと、今回、実を言いますと、今までの学習指導要領におきましてもかなりいろいろ教えてはいたのですが、やや不十分なところがあると私も考えております。したがいまして、今回の改訂では、これらの指導の重要性を踏まえまして、中学校では、技術・家庭科や社会科において資源・エネルギー問題の学習や、技術の進展がエネルギーや資源の有効利用に貢献していることの指導を充実させました。それから高等学校では、理科につきましてばらばらに選択をしますと少しばらばらの知識になってしまうというおそれがございますので、まず理科総合などを必ず履修した上で化学や物理、生物、地学を学習するような仕組みにいたしました。それぞれの科目の特質に応じて、エネルギーの考え方や環境問題、原子力を含むエネルギー資源の特性や利用、放射線の性質などについての指導の充実を図ったところでございます。  放射線教育フォーラムの要望書でも指摘しておりましたように、放射線、放射能、原子力、エネルギー、環境などの問題につきまして正確な理解のもとに正しい判断をすることは、これからの社会において一人一人に求められていることでございます。この基礎を培う学校教育においてそのような教育が適切に、しかも公正に行われるよう指導の充実に努めてまいりたいと思っております。
  51. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  学習指導要領が新しく改訂されました。今お話を伺いますと、その中で理科総合を必修にすると、私は大変な進歩だと思います。そういった中で、放射線とかそういったこともぜひ扱っていただきまして、一歩ずつで結構でございますから、前を向いて、有馬先生の議員になられる前の理想を実現していただければありがたいと思っております。  残った時間が九分でございますので、一つ教科書の実例を皆様に御報告して、これは細かい記述がいいのこうのということよりも、現状はこうだということをぜひ理解していただきたいと思います。  たくさん持ってきたんですけれども、一つの例で、これは数研出版というところで出した高校の「現代社会」です。平成九年検定、印刷、十年発行であります。今使われているものであります。「新しい資源・エネルギーの開発」という項がありまして、「太陽エネルギーや地熱・風力・波力の利用などの開発が急がれる。」、自然エネルギー賛美があります。その次に原子力が出てきます。  ごく短い時間でポイントだけ読みます。「原子力発電は、人体に危険な放射能を大量に発生させるウランの核エネルギーを使用しているため、安全性の管理が問題となる。」、飛ばしまして、「一九七九年のアメリカのスリーマイル島事故でも、周辺地域に放射能被害をもたらした。」、それからちょっと飛ばしまして、「原子力発電所に反対する世論や運動が、日本や欧米諸国で急速に高まっている。」、その次は、「アメリカのカリフォルニア州では、住民投票で原子力発電所の一部が解体されることになった。日本の原子力発電所では、安全運転のための努力がなされてはいるが、放射性廃棄物の処理の問題、温排水による熱汚染の問題など、解決しなければならない課題も多い。」、幾つもあるんですけれども、一つこれを挙げてみます。  私は読んでいて、非常にこれについて思い込みがあるのかなという感じがします。太陽等についてはいいところだけが書いてある。そして、原子力についてはネガティブなところだけが書いてある。ネガティブが全部正確かというと、ややバランスを失しているんじゃないか。  例えば、ここで取り上げられている一、二の例だけを申し上げますと、スリーマイルアイランドの事故、これは確かに私は設備の事故としては大変な事故だし、今、日本、欧米で使われている原子炉で起こり得る最大の事故の一つだと思っています。炉心が溶けてしまったわけであります。あるいは冷却水をとめてしまうというまことにお粗末なことがあって起こったのですが、炉心は溶けたけれども現実に格納容器がしっかりあって放射能を中に閉じ込めた、外にはほとんどわずかしか出なかった。その結果、ペンシルべニア州保健省、私も現地へ行っていますけれども、そこで徹底的に疫学調査もやった結果、何ら異常はない、つまり健康被害は全くない、有意な差は全くなかったわけであります。そういうことが明らかになっているので、ここに書いてある「放射能被害をもたらした。」というのは、ちょっと表現がいかがかと思います、細かいことはまた別としまして。  カリフォルニア州で、住民投票で原子力発電所が解体された、これだけぽつんと書いてあるわけです。では、アメリカで何回住民投票があったのかということが大事であります。七六年から九二年まで、ここで指摘しているのは恐らく、カリフォルニア州の小さな町があるんですけれども、ランチョセコという町なんですけれども、そこの住民投票だと思います。確かにそこはぎりぎりの差だったのですけれども、とめろという方が多くてとめました。  では、そればかりかというと、アメリカでは合計二十一回やっています。原子力発電所の建設に賛成するか反対するか、それから、シャットダウンというのですけれども、運転しているものを閉鎖するかどうか、二十一回ありまして、結論はどうだったのか。とめろという側から見ますと一勝二十敗、つまりとまったのが一つ。整然と安定運転というか、情緒的な表現をやめますと、しっかり運転しているのが二十。つまり、一勝二十敗であります。その一つだけとって勝った勝ったと言っているのは、何か第一試合に勝ったからことしは巨人が優勝するのじゃないかといったセリーグの話と同じで、一つだけ勝っても二つ負けたら負け越しなので、一勝二十敗は私は負け越しと見るのが普通の常識じゃないかと思います。一つだけとって、ほら見ろ、住民投票で原子力がとまった、それだけを言うと、一部分は正しい。部分の事実は全体の真実ではないと思うので、さっき有馬文部大臣がおっしゃったように定量的な発想、放射線もそうなんですけれども、が必要じゃないか。  さらには、「温排水による熱汚染」なんといいますと、何か熱湯が沸騰しているようにおどろおどろした話なんですけれども、二十度の手前ぐらいで入ったものが二十度をちょっと超えたところで出てくる。これは出入り口の話で、それも七度しか差がないわけです。それは、沖合まで出して、先まで出して海で拡散したりなんかしますから、実際は漁業に対する影響というのは全くないと言われております。むしろ、漁業が栄えたというところもあるぐらいであります。それを熱汚染なんというのは極めて情緒的な表現でありまして、もう少し定量的に書いてもらった方がいいのかなとも思うんです。きょうは、こういった個別のことについて揚げ足をとるようなことは私はしたくないと思います。  こういうような実態だということもあって、先ほどの有馬先生が元会長をやっていらっしゃった放射線教育フォーラムからも要望書が出たり、あるいは原子力学会という学会でございますが、そこからも要望書が出て、文部省が今回指導要領を変えたということだと思います。  いずれにしても、教科書問題というのは、私は原子力推進だけを書けと言っているのでは決してありません。大臣がおっしゃったように、科学的な思考、賛成でも反対でも結論はいいんです。けれども、事実は客観的に、冷静に、自然エネルギーのいいところもあります。私も大好きです。化石燃料の役に立つところもあります。原子力の強みもあります。けれども、それぞれ全部課題を持っています。その課題をはっきり書いて、その課題をどうやって克服していくのか、克服していけるのかといったことも教えて、最後は生徒が結論を得るという冷静な科学的なものが必要なので、何か情念だけでこれが正解だということで無理やり教えてしまうと、原子力にただ反対することしかならない人がそのまま新聞記者になったりすると変な世の中になっちゃうのじゃないかと思いますので、ちょっと心配しているところでございます。  何か大臣から一言所感をいただけたらと思います。
  52. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 私も先生と心配をともにする者でございます。  それで、現行の検定制度のもとですと、具体的に教科書にどういうふうに書いていくかというふうなことは一義的には教科書発行者あるいは著者、そういう人たちの判断にゆだねられております。  しかしながら、子供たちに原子力に関する正しい理解を持たせることは極めて重要であると私も考えているわけでございます。  それで、今御指摘のとおり、原子力発電の記述に関しては、これまでも長所と短所の両面を公平に客観的に書いてくれというふうなことは常々述べておりますし、それは文部省として努めてきているところでございますが、御指摘のように、やや不公平と思われるような面もないわけではございませんので、発行者への周知を図りながら、教科書の記述がさらに客観的な、公正なものになるよう努力をさせていただきたいと思っております。  それで、先ほどから繰り返して申し上げておりますけれども、太陽エネルギー、風力等々は大変重要だけれども、本当にそれで足りるのだろうか。関東全体を太陽バッテリーで覆わなければ日本の電力はもたない、本当に関東全体を覆っていいんだろうか、こういうふうな問題をやはり教育できちっと教えていくべきだと思います。  それから、アメリカがいろいろなことを考えておりますけれども、何といってもあのくらい石油のあるところはございませんので、まだ当分石油でもっていくだろう、こういうときに原子力に対し多少ゆっくりとした考えになることは無理もない、こういうこともちゃんと教えていかなきゃならないと思っております。  それから、イタリーは多分原子力をやらない。しかしながら、隣のフランスから電力を買っているわけです。その電力のもとであるフランスは原子力でやっているわけです。だから、隣の国の原子力はいい、そこから買ってくれば自分のところは原子力をやらないからきれいなんだ、こういうふうな考え方はおかしいと私は思っているわけで、こういうことについてもきちっと教育で教えていくべきだと思っております。
  53. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  大変力強いお答えで、教科書の問題は、確かに著者、それからそれを編集し発行する編集者、さらには検定、いろんなプロセスを経ておりますけれども、国会議員としてもこれからも関心を持ってこの問題を見詰めてまいりたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。
  54. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  55. 久世公堯

    委員長久世公堯君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題とし、全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  56. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  決算委員会で久しぶりに質問ができると張り切っておったんですが、こんな声なもので、聞き取れないことがありましたら言っていただきたいと思います。決してカラオケでつぶしたわけではございません。  委員部の方で順番を決めていただきましたので、そのとおりにやらせていただきます。本当は別な順番でやろうかと思ったんですけれども、決められちゃったので、まず防衛庁長官からお伺いをいたします。  防衛庁の調達の問題、昨年大変大きな話題となりまして、実は大きな問題で御苦労されておるだろう、こう思うわけでございますが、何はともあれ三月三十日に検討会が開かれその策がまとめられた、こういう報道がございました。内容は詳しく新聞には出ておりませんので、概略を御説明いただきたいと思います。
  57. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今委員から御指摘いただいたとおり、部外の有識者から成る防衛調達制度調査検討会をつくりまして、二十一世紀に向けた透明で公正な新たな防衛調達制度の確立のために、昨年九月二十四日から九回にわたって会合を開催し、欧米の制度調査も行い、去る三月三十日に、その成果を踏まえて防衛調達制度改革実現のための具体策を取りまとめ、防衛庁長官に御報告いただいたところであります。  この報告書は、昨年の十一月十九日に取りまとめられた防衛調達制度改革の基本的方向に基づき、これを具体的に実現していくための方策をきめ細かく盛り込んだものでございます。その主な内容について申し上げますと、一つは競争原理の強化策の問題、一つは企業側提出資料の信頼性確保のための施策の問題、一つは過払い事案処理に関する統一的かつ明確な基準の策定の問題、それから一つは部外有識者による監視制度の導入の問題、それから企業が提案した削減策に対する技術料を支払う減価提案制度の創設の問題等であります。  これらの施策を私どもは平成十一年度から確実に実施してまいりたい、こう思っているところであります。職員一人一人がみずから担い手となるという意識改革の必要性、あるいは実施状況をフォローアップする体制の確立が必要であることなどがこの報告書でも提言されているところであります。  防衛庁としては、去る二日に防衛調達制度調査検討会から報告された内容を盛り込んだ調達改革の具体的措置を取りまとめたところであり、本年度からそれを確実に実施し、二十一世紀に向けた新しい防衛システムを構築することによりまして国民の信頼を早急に回復してまいりたいと考えておるところであります。
  58. 小川勝也

    小川勝也君 国民が納めた税金で買い物をする場合は、すべての場合において厳正で公正でなければいけない、こう思うわけでございます。しかしながら、さまざまな場面で論じられているとおり、兵器やそれにかかわるものの購入という場合は非常に厄介な問題がございます。諸外国の例でいきますと、例えば武器、兵器、その他のものの市場というのはグローバルなものである、そんな中でコストを下げたりロットを大きくしたりというさまざまな経営努力もできるけれども、我が国の場合は武器輸出三原則がありますので、ロットも小さくなるし、国産にこだわる場合は大変高いものを購入しなければならない、そんな問題もあると思います。しかしながら、それはそれ、これはこれで、今、長官がお述べになりましたように、そういう事情は勘案しても国民にすべて申し開きができるような、そんな調達を望みたいと思います。  これに関しましてもう一点御質問をしたいわけでございます。これもまたさまざまなエクスキューズがある問題でございますが、特に隊員OBの再就職、天下りの問題であります。  私の選挙区にもたくさんのさまざまな駐屯地などがありまして、その駐屯地が抱える市場的効果、経済的効果は絶大であります。まずはそこに働く隊員の方がいらっしゃる、そしてその家族がいる、日常の生活の買い物もする。なおかつ、自衛隊というところはその中で一個の社会でございますので、消費されるすべてのものがおおむね国費で購入されるわけであります。  例えば、これも勘案すべき問題だと思いますけれども、自衛隊員の方の定年は早いと伺っております。子供がまだ高校に行っているのに、大学に行っているのに、そのままさようならというわけにいかないという事情もよくわかっております。  しかしながら、もしその人たちの就職を考えた場合、その基地なり駐屯地に物品を納めている会社というのは一番手っ取り早いしお願いをしやすい、そんな現状があるかと思います。例えば、食糧から隊舎等の建設あるいは生命保険、さまざまな分野にOBの方が就職されていると思います。その事情は前半に申し上げたとおり私も理解をしておりますが、これも何らかの形で競争原理をというふうにおっしゃられました。不当な行為が行われないように、なるべく厳正な競争が行われた中でそんなことが行われるように努力もしていかなけりゃならないだろうというふうに思います。  OB等の再就職と納入等の公正さ、この点に関しまして防衛庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  59. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) ただいま委員から適切な御指摘をいただきましたが、自衛隊は、その任務の性格上、精強性を維持する必要があるわけでございます。したがって、若年定年制とか任期制というものをとっております。したがいまして、自衛官の大半は若年定年により五十四歳から五十六歳で退職しなければならない、そのほか任期満了により二十歳代に退職せざるを得ない、こういう事情もあります。これらの多くの者は、退職後の生活基盤の確保のため再就職を必要とするわけでございます。  また、自衛隊の中には、在職中に防衛に関するものを含めた各種の専門知識、能力、経験を身につけた者が多いことから、これらを有効に活用する再就職を促進する必要があると考えております。  一方で、今御指摘いただいたとおり、自衛隊員の再就職が在職中における地位や職権を乱用し公務の公正性を損なうものであってはならないということは、もう御指摘のとおりでございます。  このような観点から、自衛隊員の営利企業への再就職を幅広く審査にかからしめるようにしよう、そして公務の公正性を確保するとともに、多くの隊員の再就職に対するいわれなき批判等を払拭しなければいけない、こういう適正な再就職管理を行うため、先般、自衛隊法の改正案を国会提出させていただいた次第でございます。
  60. 小川勝也

    小川勝也君 場合が場合になったときには、厳しく批判をすることもできるわけでございます。例えば、OBの再就職のお願いと次の納入とをセットにするなんということも内々ではあるように思いますけれども、深くは追及をいたしません。  この後でも触れますけれども、OB等の再就職と競争原理という問題、防衛施設庁の問題にかかわっても構いません、会計検査院からのコメントをこの部分でもいただきたいと思います。
  61. 疋田周朗

    会計検査院長疋田周朗君) お答えいたします。  防衛庁の調達はその予算規模も非常に大きゅうございますし、そういったことで会計検査院といたしましては、重要な検査対象と位置づけまして鋭意検査に取り組んできているところでございます。  委員指摘のとおり、防衛庁の調達は広範かつ多岐にわたっておりますし、また市場性のない特殊な仕様のものもございますので、私どもといたしましては高度に専門的な知識を持って検査に当たらなければならないということもございまして、今後の検査に当たりましては、御質問の趣旨も十分念頭に置きまして厳正に検査をしてまいりたいと考えております。
  62. 小川勝也

    小川勝也君 次に、廃棄物関連にかかわりまして、神環保という会社の問題を取り上げたいと思います。  この問題は、国土・環境委員会におきまして、緒方靖夫委員が以前に何回か質問をした問題でございます。  概略を申し上げますと、米軍厚木基地に隣接する廃棄物処理業者が米軍の家族住宅に煙を排出する。そのことに対しまして、防衛施設庁がその廃棄物処理業者に施設改善費、名目は違いますけれども約十二億円、十一億八千四百万円を支給する、こういった問題でございます。  まず、この施設改善、RDFでございますが、十一億八千四百万円になったという積算の根拠はお示しいただけるでしょうか。
  63. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) お答え申し上げます。  RDF化施設整備に係る予算は、御指摘のように十一億八千万円ということになっておりますけれども、積算内訳といたしましては、RDF化設備等の設備工事費が八億六千万円、建設工事費が五千万円、諸経費が二億七千万円となっております。  この積算に当たりましては、神環保からも見積もりをとりましたり、また我々としてもコンサルタントに調査を依頼し、精査したところでございます。  その結果、妥当なものとして契約を締結しているところでございますけれども、神環保の見積もりないしその内容を検証いたしましたコンサルタントの報告につきましては提出が可能でございますので、検討することで考えさせていただきたいと思います。
  64. 小川勝也

    小川勝也君 提出していただけるということですね。
  65. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) 後ほど提出いたします。
  66. 小川勝也

    小川勝也君 提出していただけるということを確認させていただきました。  そこで、これは三月五日の時点の文書で一月以内ということになりましたが、この予算は執行されたんでしょうか。
  67. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) 御指摘の点につきましてでございますけれども、三月五日に横浜防衛施設局と神環保の間で契約を締結しております。  現在、横浜局におきまして契約どおり履行されたのかどうかということで受領検査を実施いたしまして、三十一日までにその契約が適正に履行されているという確認がとれましたので、同日に神環保の方から請求書が出てまいりまして、現在支払うべく準備を進めているところでございます。
  68. 小川勝也

    小川勝也君 先ほどの支払われた金額なんですけれども、国土・環境委員会質疑によりますと、緒方委員によると通常一億円以内で済むものだと、こういうお話であります。  この質問の前には防衛施設庁の方から私にお話がありまして、それは単位当たりの金額と勘違いしているのではないかと、こんなお話がございました。あるいは普通のRDFでいっても二十億、三十億のところがざらにあると。それで、今の積算書があれば、緒方委員の方でまた引き続きやってくれるのじゃないかなというふうに思っております。  それで、その予算の名目は何でしたか。
  69. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) 施設運営等関連見舞金でございます。
  70. 小川勝也

    小川勝也君 何をお見舞いするんでしょうか。
  71. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) この神環保の大気汚染関係につきましては、先ほど御指摘のありましたような閣議了解がございまして、民事契約によりまして適正な措置を講ずるということになっております。その面で、防衛施設庁がこの事務に当たることになりましたけれども、予算上の科目につきまして種々検討いたしましたところ、施設運営等関連見舞金ということで支出するということになったものでございます。
  72. 小川勝也

    小川勝也君 別にぐじゅぐじゅ追及するつもりはありません。この前の委員会で聞いたときに、どうも見舞金というのはおかしいなと率直に思いました。予算の執行は法律によって行うわけでございますから、当たられる方は非常に大変だと思います。  その項目がないので、仕方ないので見舞金の項目の中から支出をした、そのように受けとめるわけでございますが、名前がおかしいので、長官、そういうのはちょっと見直した方がいいんじゃないでしょうか。長官のコメントをお願いします。
  73. 大森敬治

    政府委員(大森敬治君) これは、先ほども申し上げました閣議了解に基づきまして民事契約で大気汚染関係を処理するという、私どもにとりましても前例のないところでございまして、先ほど申し上げましたような見舞金ということで処理させていただきました。  今後、このようなことについてどうするかということにつきましては、少し検討させていただきたいと思います。
  74. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 答弁を簡略にしてください。
  75. 小川勝也

    小川勝也君 では、検討してください。見舞いじゃないのに見舞金という支出はおかしいじゃないですか。ちゃんとしていただきたいと思います。  それで、この問題をずっと追及するつもりはないんですけれども、その会社というのは脱税でも追いかけられているし、不法投棄の実態ももうすぐ明らかになる。明らかになってから支出してもよさそうなものを焦って支出した。何かあるのではないかなというふうに疑ってしまいます。廃棄物の不法投棄の結果が出てからまた追及していきたいというふうに思っております。  次は、文部大臣、文部省にお伺いいたします。  一つは、これは私の田舎の選挙区の実体験でございますが、Jリーグなどというものができまして、日本において相撲とかプロ野球のほかにプロスポーツができました。そのほかに、高校生が頑張っている春の選抜高校野球なんというのもあります。そのほかに、例えば地域を高揚させるさまざまなスポーツがいわゆる実業団、社会人に多くございます。北海道で言うと、例えば拓銀であるとか白老にございます大昭和白老、こういうところが野球の名門だったわけでございます。それとかウインタースポーツ、特にアイスホッケーの実業団チームなどというのがやっぱり地域の意気を軒高にするために活躍をしてくれています。  そんな中で、今私が申し上げた拓銀の場合は、その会社自体がなくなったので拓銀野球部もなくなる、こういった場合は残念ですけれども仕方がないと思います。そのほかにも、会社の経営が不振なために、みんなに親しまれて、あるいは部員の方も頑張ってこられたそういう実業団の野球を初めとするさまざまなチームがございます。これは、いわゆる公的資金を支出するための確固たる理由のないチームあるいは内容だというのは重々承知をしております。しかしながら、スポーツくじというのができました。これは、何もオリンピック選手を、金メダルをとるためだけにつくられたものではないというふうに思います。地域に密着した、地域に愛される、そんなチームの苦しいときの支援に何とかお考えいただけないだろうか、そんなことを思った次第であります。  この点に関しまして、文部省、文部大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  76. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 実業団チームが減ってきたことは大変残念だと思っております。  実業団チームというのは、我が国の最高水準の選手強化に大変大きく貢献をしておりますし、今御指摘のように、地域全体のチームを応援するということになって地域のスポーツ振興にも大いに役に立っている、ひいては地域の活性化にも寄与しているということは重々承知しております。最初に申し上げたように、しかしながら企業の経営事情が悪くなったことにより休部があったり廃部があったりするチームが少なくないということを大変残念に思っております。  しかしながら、今のスポーツくじというふうなことで果たしてこうした事業団チームを直接支援できるかというと、この点に関してはやっぱり非常に難しいと残念ながら判断せざるを得ないと思います。しかし、そのスポーツ振興投票法第二十一条においては、地方公共団体及びスポーツの振興のための事業を行うことを主な目的とする団体に対して、地域スポーツ施設の整備やこうした施設で行われるスポーツ事業団などへの援助を、助成を行うこととされておりますから、そういう意味で事業団チームそのものの運営に対して直接ということは不可能でございますけれども、そういう地方ごとの施設で行われますスポーツ事業であるとか地域スポーツ設備の整備というふうなことで、間接的には何らかの格好でお役に立つことがあり得ると思っております。  しかし、残念ながらスポーツ振興投票の利益から直接助成を行うということは、今のところ困難であろうと判断をいたしております。
  77. 小川勝也

    小川勝也君 もう一点関連をして、競技スポーツの支援の方をお伺いしたいと思います。  例えば、冬で言いますと北海道出身の選手が多いんですけれども、ジャンプの選手団がヨーロッパを転戦して次々に金メダルというそういう知らせを毎日の新聞に載せてくれます。非常にうれしいことであります。しかしながら、そういう一流選手は大体が小学校、中学校から一流を目指して練習するわけでございます。例えば、指導者であるとか遠征であるとか、大変に厳しい環境の中で育てられた人たちであることも事実だと思います。  今のスポーツ振興くじの概念をどうとらえるかという問題とも絡んでくると思いますけれども、そういういわゆる金の卵、小学生とか中学生とかのまだ強化選手になっていない選手の支援、これにはどういうお考えをお持ちなのか。  私といたしましては、スポーツ振興というのは地域の発展と大きく関係をしておりますし、あるいは健康とかそういうことにも物すごく大きな影響を持っておるところでございます。何とかそういう素材に日の目が当たるような何らかの支援がないだろうか、そんなことを思うものでございますので、あわせて御回答をいただきたいと思います。
  78. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 私ども文部省といたしましても、すぐれたアマチュア選手を育てるということに対しては重大なる関心を持っております。  我が国におきましてアマチュア選手は、先生御存じのように学校や企業に所属する選手が中心となって行われております。その育成についても、日常的な活動はそれぞれの所属チームで行われているのが通常でございます。そういうことから、例えば先ほど御指摘の実業団チームというものが果たしてきているアマチュア選手の育成における役割というのは極めて大きいということも認識いたしているわけでございます。  文部省といたしましては、アマチュア選手の育成については、従来より実業団チームに対し直接援助を行うというそういう枠組みはとっておりませんけれども、日本オリンピック委員会、JOCや各競技団体、選手個人に着目して施策の推進を図っております。  具体的に申し上げますと、ジュニア期からの一貫指導システム構築のためのモデル事業を実施する、あるいは強化合宿等に対する補助金、助成金を出す、あるいは最高水準のトップレベルの選手等に対する活動費の援助を行う等々の援助を行っているところでございまして、今後とも我が国の競技力の向上のための施策の充実を図りたいと思っております。  先生御指摘のスポーツ振興投票すなわちスポーツくじの収益の活用についてでございますが、具体的な配分方式は今後検討することといたしております。それにしてもスポーツ振興投票の実施等に関する法律第二十一条において、国際的レベルの競技施設の整備やそうした場でのスポーツ事業、国際的規模の競技大会等に対して助成できることになっております。この枠組みの範囲内で選手の強化活動に助成が行われるものと考えている次第でございます。
  79. 小川勝也

    小川勝也君 万感の思いで通したスポーツくじの法律でございますので、なるべく条文は条文として、気持ちが多くのスポーツを愛する国民に伝わるようなそんな運営、実効を期待したいと思います。  次の質問は少子化関係でございますが、きょうは殊にいわゆる私立幼稚園の経営という点でお伺いしたいと思っています。  昨年暮れ、あるいはことしだったでしょうか、札幌で私立幼稚園の経営が破綻をいたしました。そんな中で、卒園を控えた子供たちが自分の幼稚園がなくなってしまうという悲惨な事件がございました。情報によりますと、いわゆる幼稚園経営本体の問題ではなくて、経営者がほかの部門に対する投資をして失敗してそうなったというふうに聞いております。  しかしながら、この少子化時代におきまして、必ずしも幼稚園経営がすべての園において順風満帆というわけにはいかないというふうに聞いております。  一つは、子供がだんだん減っていって経営が苦しくなっているということであります。これは町づくりの形とも大いに関係してくるでありましょうけれども、例えばベッドタウンと呼ばれているところは、大体住宅を取得する親の年齢というのはある程度の幅の中におさまりますので、子供たちがふえる時期というのも大体固まってまいります。そのときに開園をいたしますと、だんだん先細りになってしまうわけであります。いわゆる園児が少なくなっていく幼稚園。それからもう一つ、例えばよく多摩ニュータウンが例にとられておりますけれども、そのベッドタウンが成熟をして子供が極端にいなくなってしまう場合、そこに園が成り立たなくなってしまうわけであります。  しかしながら、幼稚園経営者の中には、やっぱり子供が好きでどうしようもない、子供を育てることを生きがいにしたいという方もございますし、今まで培ったそのノウハウを別な地域でも果たしていきたい、そういうふうに考える方もおられると思います。一つは、園児が減って苦しいけれども何とかその地で幼稚園経営を踏ん張りたい、もう一つは、全く子供がいなくなったので別な地域で開園したい。  少子化の波が押し寄せるとさまざまな問題が起きてくると思いますが、そんなときに、今まで果たしてきた役割が小さくない私立幼稚園の経営に対する支援あるいは施策の問題について、文部大臣に今の私の例を参考にして御決意をお伺いしたいと思います。
  80. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) まず第一に、男女が一緒に働くという男女参画時代でございますので、子供の幼児期の教育というのは極めて重要であると思っております。そういう意味で、文部省といたしましては、厚生省ともいろいろ協力しながら、保育園及び幼稚園というふうなものの役割をさらに評価しつつ、やりやすいように努力をしているところでございます。  今御指摘の点について申し上げますと、先生おっしゃられるように近年の少子化に伴い、また過疎化の進行を原因といたしまして幼稚園の数は減ってきております。ただ、非常に減っているというようではないようです。昭和六十年には一万五千二百二十園ありましたけれども、その後少しずつ減っておりまして、平成十年五月現在では一万四千六百三園ということでございますので、それほど大幅に減っているわけではないようであります。  ただし、一つの園当たりの平均園児数で見ますとかなり減っております。昭和六十年には百三十五・九人だったものが、平成十年には百二十二人に減少いたしております。これは十人以上の減になっております。地域によっては園児の急減により、さらに経営にさまざまな工夫や努力をしてもなかなか困難な問題にぶつかっておられる幼稚園もあると理解いたしております。  しかしながら逆に、先ほど申しました男女参画時代の重要な役割を演じていただくというふうなことからいろいろ弾力的に対応していかなきゃならないということで、幼稚園ではそれぞれの地域の事情や幼児を取り巻く環境の変化などに弾力的に対応しております。例えば三歳児を保育する預かり保育の時間、例えばふやすわけですが、預かり保育を充実する、それから幼稚園における子育て支援などの機能の充実を大いに図っているところでございまして、保護者の多様な要望に対応することが期待されております。  そこで、具体的に文部省としては、ではどういうことを考えているかと申しますと、今申し上げましたような状況を踏まえながら、保護者に対する就園奨励のための助成、それから私立幼稚園の経費の助成、さらに設備整備のための助成等の支援を行いつつ幼稚園教育の振興を今までも図ってまいりましたし、今後も大いに図ってまいりたいと思っております。
  81. 小川勝也

    小川勝也君 御答弁にありましたが、少子化時代を迎えまして、今まで想定しなかった個々のケースがたくさん出てくると思います。これも大臣が今おっしゃられましたように、弾力的に個々のケースを見ながらさまざまな運用をしていただければありがたいと思います。  続きまして、農水省にお伺いをしたいと思います。  まず、単刀直入にお伺いをいたしますが、よく新規就農支援という言葉が出てまいります。言葉のとおりすぐ理解をするわけでございますが、実はこれは並大抵のことじゃないだろうなというふうに思います。今回、審議されております八年度、九年度にも予算が支出をされております。どのぐらい役に立っているのか想像もつきません。この農林水産省が関係した新規就農支援策と額、そして効果の評価をお伺いしたいと思います。
  82. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) 金額にわたる部分がございますので、私の方から答弁を申し上げたいと思います。  まず、我が国の農業が持続的に発展を続けるためには自主性があって創意工夫を発揮していただく、そういう生産性の高い農業経営が広範に営まれる、そういう形になることが重要であると思っておりまして、新規就農者につきましてはいろんなルートから入っていただくということが大事なことだと思っております。  したがいまして、農林水産省としましては、農家の子弟だけではなくて、都市で育たれた青年の方とかほかの産業に現在従事をしておられる方、そこから入っていただく、そういう幅広い新規就農の促進を図るということでやっておりますが、おおむね大別して三つほどのハードルといいますか、ネックがあるのではないかと思っております。  一つは、技術等が十分身についておられないケースがございます。それから、経営開始をされるためにはある程度のまとまった資金の手当てが必要だということだと思っております。それからもう一つは、農業経営はどうしても経営基盤となります農地を確保しないといけないということでございまして、これらの施策にさまざま対応しているわけでございます。  事例で若干御説明を申し上げますと、一つは、技術等の習得につきましては、道府県の農業大学校におきまして研修教育を実施する、そういう施設の整備のために八年度と九年度でそれぞれ十五億円余ずつを予算措置いたしております。それから、ほかの産業に従事をしておられます方が働きながら農業の基礎を勉強される、そういう就農準備校というものを開設いたしておりまして、それなどに八年度と九年度それぞれ一億円ずつということでございます。  それから、二番目に資金の手当てをお話し申し上げましたが、これにつきましては就農前の技術習得のための就農支援資金というのがございまして、これは無利子の貸付枠でございますが、八年度と九年度それぞれ二十一億円余ずつでございます。それから、経営開始に当たられまして機械とか施設を導入されるということで、これも無利子の経営開始資金でございますが、八年度、九年度それぞれ百二十四億円ほどの貸付枠を用意いたしております。  最後に、農地を中心としましては、都道府県に就農のための新規就農ガイドセンターというものが設置をされておりますが、農地の確保ということを中心にいろんな情報提供あるいは農業法人への就職、就農の促進ということで事業を支援いたしておりまして、八年度が一億円余、九年度が二億円余、予算措置をいたしているところでございます。
  83. 小川勝也

    小川勝也君 その策がどのぐらい効果があったというお答えをいただきたいと思います。
  84. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 効果あるいは評価につきましては、今局長から答弁いたしましたような施策を自治体と一緒になって、あるいは場合によっては集落と一緒になって、新しい就農者の形、農家の後継ぎ、新規の都市からの青年、あるいは若年の仕事から農業にかわるというような人々、それぞれニーズが違うと思いますが、共通するのは技術、資金力、そして農地だろうと思います。  そういう観点から、今いろいろな支援策を事務当局から述べましたが、効果につきましては、例えばまず二千四百人がそういう技術習得のための受講をした、あるいはまた農地の確保等についての問い合わせが新規就農ガイドセンター等において、これは八年、九年合計でございますが、二万五千件ほどの問い合わせあるいは相談があったということでございます。  こういう施策、そしてまたいろいろな情報提供を通じまして、三十九歳以下の新規就農青年が平成二年には四千三百人であったものが平成七年には七千六百人、そして九年には九千七百人、また農家子弟以外の新規就農者も七年が二百五十一人から九年は三百五十三人ということでございまして、この効果は総合的に、先ほど申し上げましたように自治体等々、あるいは体面的な部分も大事だろうと思いますが、着実に成果が上がっているというふうに考えております。
  85. 小川勝也

    小川勝也君 実は私も将来農業をやりたいと思っておりますので、非常に関心を持ってこの施策を聞いております。しかしながら、中川農林水産大臣、樋口局長ともに大変御指導をいただいているわけですが、私はこの質問の項目で嫌みを言うために質問させていただきました。  それは何かといいますと、農業以外の人が支援を受けて農業に従事する、非常に聞こえはいいですし、いい話だと思います。しかしながら、現在農業をやっておられる方が非常に苦しくて経営をもう続けられないといったときに、そんな甘いものだろうか。あるいは農家に立派な後継ぎ候補がいながらも、親がこんなに苦しいんだったら農家を継がせたくない、こんな農家がたくさんあります。あるいは自分の息子に農家になってもらいたいと思っていても、都会に出ていく息子をとめられない。それが日本の農業だと私は思います。ごく一部しか知りませんが、北海道においてはそういう苦しい環境で農業をやっている人がたくさんいると思います。  新規就農、大いに結構でございますが、そのこともお忘れなきように、中川大臣、よろしくお願いをしたいと思います。  関連をさせていただきますけれども、ウルグアイ・ラウンドでたくさんの予算がつきました。六兆円というのは農業予算の中でも相当大きな額でございます。今のところどの分野に幾らのお金が使われたか、概略を御説明いただきたいと思います。
  86. 高木賢

    政府委員(高木賢君) お尋ねのありました六兆百億円は、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の事業費でございます。そこで、それがどこまで進捗したかということでございますが、平成十一年度の当初予算までで総事業費に対する進捗率を見ますと、公共事業、農業農村整備事業ですが、これにつきましてはおおむね八五%程度になっております。その他の事業、非公共事業につきましてはおおむね八九%ということで、全体で申し上げますと八七%という進捗状況になっております。
  87. 小川勝也

    小川勝也君 六兆百億円の使い方のさまざまな批判を耳にいたします。私は農村部の出身でございますので、いうところの土地改良の重要性は大いに認識をさせていただいている者の一人でございます。批判を受けながらも批判の心も持っている、非常につらい立場でありますが、そんな中で農家の方々の声を総合すると、御承知だと思いますが、一番多い声を御紹介したいと思います。  それは、国の土地改良に関するメニューが硬直化している。一から十までのすべての施策をやらないとその事業を受けさせてもらえない。自分のところの土地は一から七まででいいんだ、あるいはおれのところは五と六の部分は大丈夫だから一から四と七から十までのメニューにしてほしい、そういった御意見がよく寄せられます。  国の硬直化した土地改良メニュー、これは何とかならないものか。都道府県なのか市町村なのか、あるいは農家個々なのかわかりませんけれども、メニューをたくさんこなせばたくさんの費用がかかるのは当たり前のことなので、それを広く薄く、あるいはニーズにこたえた形で土地改良事業の細目を見直す、このことについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  88. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 農業農村整備事業、御案内のとおりでありますけれども、地元のニーズ、地元の同意、それから地元からの申請、これが大前提でございます。  御指摘がございました耕種の問題でありますけれども、最近では特に総合化し、あるいはメニュー化するということで、必要なものだけを選択できるアラカルト方式というふうな方向に転換してきております。  それからまた、整備水準といいますか、どの程度まで事業をするかということにつきましても、例えば農作業のための道について言えば、アスファルト舗装にするのかバラスにするのかそのままにするのかといったようなことも、地元の御意向を踏まえてやるというふうな方向に変えてきておりますし、これは計画段階だけではなくて、事業が何年間かにわたるわけでございますので、それぞれの年の初めにことしはこれでやりたいというふうなことを御相談の上、進めさせていただくというふうな方向をたどっております。  御指摘もございましたので、コストの問題、工期の縮減の問題、耕種それから整備水準、さらには費用対効果の面も含めまして、不断の見直し、検討をするという方向で対処させていただきたいと思っております。
  89. 小川勝也

    小川勝也君 多くは申し上げません。たくさんの批判の声も全部届いておられると思います。今のいい方向に向かっているというお答えを信じさせていただきますので、今御答弁方向で御努力いただきたいと思います。  次に、森林をめぐる問題についてお伺いしたいと思います。  非常に厳しい議論の中で、国有林野の法案が昨年通りました。山の施業に対して非常に心配をするものでございます。そんな中で、今国会、鳥獣保護法という法律案が環境庁から提出されております。これはどういう法律かというと、シカ、クマ、イノシシ、猿は農地等に甚大な影響を与えるので、都道府県でその個体数を管理して、ふえ過ぎていると判断したときにはその駆除や狩猟を行う、こういった内容なのでございますが、私のところにたくさんの手紙、ファクスが送られてきます。一部の意見かもしれませんけれども、どういう意見かというと、今言った四種の動物が里におりてくるには理由がある、それは山にえさがなくなったからだ、こういう御意見があります。えさとは何だ、ブナを初めとするドングリだと。ドングリは何かというと、それは広葉樹の実でございます。  御案内のとおり、森林行政は今でもそうですけれども企業会計でございますので、木を植えて育てて売って何ぼでございますので、早くすくすくと伸びて売れるようになるという目標で植えられました。御案内のとおり、本州では杉が物すごく多く植えられました。北海道ではカラマツがたくさん植えられました。この環境が動物たちにとって非常にすみにくくなった、あるいは樹齢が何年といういい広葉樹は売れるものだから、ばかばかと切られてしまってその後の手当てがない、こんな感想を持っておられる方がたくさんおります。逆に、その反対の意見を持っておられる方もいることを私は承知しております。  私は、その針葉樹林をすべて引っぱがして広葉樹を植えろと言うつもりはありませんけれども、これは森林、特に国有林というのはだれの反対もなく後世に、国費を使って税金できれいに整えて、だれからも恨まれない一番大事なものだと思いますので、その広葉樹を植えていくということに対して中川大臣に御感想を求めるんですけれども、よく私も現地に視察に参ります。大雪山系の、中川農林水産大臣の反対側の美瑛なんというところに見に行って、机上の空論ですけれども、私が営林署の関係の方に、こういう意見があるからどんどん広葉樹を植えてくださいよと、こういう話をしたら、いや、そんな話もよくわかりますけれども、それは夢の夢のまた夢の話だ、実は植えた針葉樹の、北海道で言うとカラマツですけれども、その枝打ちや下草刈りもろくろくできないんだ、人を減らされて、自分たちの山が荒れていくのが忍びない、枝打ちも間伐も下草刈りもしたいんだ、こんな声がありました。  私は、その夢のまた夢の話をしているわけでございますけれども、今植えている山の管理をまずして、その後適性に応じて混交林をふやしていく、そんなことはできないのかなと。中川農林水産大臣に御答弁を求めたいと思います。
  90. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) もとより、日本の国土の三分の二が森林でありまして、そのうちの半数以上が国有林という現状の中で、しかも日本の非常に急峻な中での多雨という条件は、まさに去年のたび重なる災害の中で山の大切さというのを改めて認識したところであります。  一方、戦後、二千六百万ヘクタールほどの森林のうちの一千万ヘクタール以上が人工林になっておりますが、特に先生と私の共通の北海道におきましてのカラマツがまだ適齢伐期に達していない。もうあと一齢級か二齢級たつとそろそろというぎりぎりの状況に来ておるということも先生御承知だと思います。確かに、過去におきましては、針葉樹に頼り過ぎているというような時期もあったというふうに考えております。今回の森林法改正によりまして、新たに広葉樹の適切な育成を行っていくということが公益的機能の一層の発展につながっていくというふうに考えております。  なお、昨年の林野三法の御議論で先生からも御指摘いただきましたが、今回は、五五対四五というのを現業部門二割、公益的機能八割ということで、山を守っていくことを中心にした国有林野行政をやっていくということも大きなポイントになっております。  さらには、先生冒頭御指摘の鳥獣被害につきましても、これは北海道としても、全国的にもシカや猿等々農作物あるいは森林資源に与える実損額が大変大きな数字になっております。農産物被害では二十八万ヘクタール、また森林のシカ、イノシシ等による被害が八千ヘクタールということで、これはまた増加傾向でございますので、環境庁あるいは一部文化庁、さらには自治体とも十分協議をしながら、この鳥獣被害対策、あるいは補償のことも含めて、いろいろと検討をさせていただきたいというふうに考えております。
  91. 小川勝也

    小川勝也君 山が果たしていた役割というのは物すごく大きいと思います。そんな中で、人工林がふえ、林道を通す、あるいは山奥じゃないけれども高速道路で山が分断されるなどということによって動物たちもすみにくくなるし、ある面で言うと保水力も低下するし災害が起きやすくなるし水もかれるなどという非常に悪い循環が起きてきているんだと思います。そしてまた、山に動物や昆虫や微生物がいることによって海がよみがえる、こんなこともある程度科学的に実証されておられると思います。  冒頭私が申し上げたとおり、国費をどぼどぼ投入しろとは申しませんけれども、山のために、山を復活させるために、山を守るために税金を使うことは後世の子供たち、後世の人たちにいささかも非難を受けないと私は思いますので、山をよくわかっておられる中川農林水産大臣のときに道筋をつけていただければありがたいと思います。  動物のことも関連して触れていただきましたが、山にすむ場所がなくなったので里に出てきて、シカがビートを食う、何でも食べる。それはそうなんですけれども、撃ち殺すのもわかるんですけれども、その動物たちにすむ場所があって生態系というのが守られていた、それを人間が壊したのに、それを先に撃つということにはならないと思います。山がよみがえるために施策を打つ、そして、今御答弁にありましたとおり、農作物被害に関して言うと補償を検討していただく、その先に駆除ということが起きてくるならば多くの国民の御理解も得られやすいんじゃないかなというふうに思うわけでございますので、一層の御努力をお願いしたいと思います。  次に移らせていただきます。  次は、通産大臣にお伺いをしたいと思います。  先日の新聞に石油公団関連の問題が出ておりました。これは、天下りかと書いてあったんですけれども、新聞記事がちょっと見つからないので省略をいたしますけれども。  私、決算委員会に前も所属させていただきまして最初に疑問に思ったのは、この調査費という項目、何にでも使えるのかなというふうにも思えてしまいますし、なかなか不透明、そしてこの委員会で諸先輩が質問してもその全容がなかなか明らかにならない、そんな感想をずっと持たせていただいておりました。  そんな中で、先日新聞に、内容は、石油公団の国内における資源の調査に通産省から予算が振り分けられており、その振り分けられた金額のうち七割が通商産業省からOBが行っているところだったと、こういう記事でございます。  私は、実はこういった例はこの一件だけではないというふうに思っているわけでございますけれども、私が思っているだけではしようがありませんので、通産大臣にどういうことなのか御説明をお伺いしたいと思います。
  92. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 国内石油・天然ガスの基礎調査は、昭和二十九年以来、石油審議会において答申、建議された計画に基づき実施しているものでございます。  現在、平成六年に石油審議会から答申された第八次計画、すなわち平成年度から十一年度が対象ですが、これに基づきまして国内における石油・天然ガス基礎調査を実施中でございまして、平成十一年度予算額は百四十一億円、計画を開始した昭和三十年度から平成十一年度までの累計予算額は二千二百十八億円であります。  この調査の目的は、まず第一に最も安定的な供給源である国内の石油・天然ガスの埋蔵の可能性をより確実に把握し、第二には探鉱リスクの高い地域における民間企業探鉱の先導的な役割を果たし、第三に我が国の石油開発分野における技術力の向上を図るために、国の事業として行ってきております。  この調査の実施につきましては、探鉱投融資事業などを通じ、調査に必要な知見、ノウハウを蓄積している石油公団に対して委託をしておりますが、具体的な作業につきましては、石油公団から、探査作業を行う能力を有し、調査地点についての地質情報を有している者に対して作業の再委託等を行っており、平成年度から始まった第八次五カ年計画はこれまで七社に対して委託等が行われております。  これらの会社の中に、石油資源開発株式会社など、通産省、石油公団OBが在籍している会社もあることは事実ですが、こうした会社が契約先となっているのは、石油・天然ガスの探査に関する技術的な能力を有し、鉱業権者または出願人として調査地点の地質構造について情報を有していることによるものでございまして、通商産業省や石油公団のOBの在籍状況関係しているものではありません。  また、通産省や石油公団OBが石油開発会社に在籍しているのは、石油開発会社が石油開発事業の性格に照らし、各人の個人としての識見、経験、調整能力、国際感覚、人脈等を評価したことによるものと考えております。  なお、現在実施中の第八次計画は平成十一年度で終了することから、平成十二年度以降の国内基礎調査のあり方につきましては、現在、石油審議会の開発部会におきまして、中立的な立場の研究者から構成されるワーキンググループを設置して検討を行っているところでございます。
  93. 小川勝也

    小川勝也君 先ほど防衛施設庁関連で防衛庁長官お尋ねをした問題と非常に似通っていると思います。OBを就職させることと、この場合は天下りというふうになると思いますけれども、受注をするということが何らかの因果関係を持っているのではないかというふうに疑われているということであります。先ほどは、自衛隊の方の事情はよくわかっておりますので深くは追及できませんでしたが、この場面は絶対怪しいと思います。  大臣、天下りが行っている会社が半ば独占的、恒常的に受注をするという形、これは改善する必要性が全くないとお考えですか。
  94. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 根拠を示さずに怪しいと言われるのは、国会議員の御発言としては、私はもう少し詳細に述べてからそういう御発言をしていただきたいと思います。
  95. 小川勝也

    小川勝也君 怪しいと言ったのは問題があったかもしれませんが、いわゆる石油関係というのは、前大臣が怪しいとは申しませんでしたけれども問題があるということで議論を醸し出した問題でもありますし、この関係というのもその中にインクルーディングされている問題だというふうに認識をいたします。  会計検査院はどうでしょうか、この問題。
  96. 疋田周朗

    会計検査院長疋田周朗君) ただいま御議論になっております石油開発基礎調査費につきましては、先ほど通商産業大臣から御説明がございましたように、資源エネルギー庁が石油公団と委託契約を締結いたしまして、石油・天然ガス基礎調査委託費として支出しているものでございます。それで、石油公団では地域ごとに石油資源開発株式会社等に基礎調査を再委託する、こういうことになっております。  これらの契約につきましては、資源エネルギー庁とそれから委託先でございます石油公団に対します私どもの会計検査の際に、契約関係の書類の提出を求めるなどいたしまして検査を行っているところでございます。  それからまた、再委託先のうちで石油資源開発株式会社につきましては、会計検査院法二十三条に規定しておりますいわゆる孫出資法人でございまして、これも毎年検査を行っているわけでございますけれども、この委託費につきましては石油公団の場合と同様の検査を実施しているところでございます。  それで、私ども会計検査院といたしましては、従前から石油関係の事業につきましては、事業費の額の大きい海外における探鉱投融資事業、それから備蓄事業などに重点を置きまして検査を行ってきたところでございますが、今後はただいまの御議論も踏まえまして、国内における石油等の基礎調査につきましても検査充実してまいりたいと考えております。
  97. 小川勝也

    小川勝也君 検査充実していただくのは一向に構わないんですが、この新聞の記事に何と書いてあるかというと、「通産省の石油開発基礎調査費百五十億 七割がOB関係会社に 「天下り対策」の声も」、こう書いてあるわけでございます。  私はこれを見て怪しいと言ったので、これは毎日新聞に言っていただければわかりますけれども、なぜこういうふうに私が指摘をするかといいますと、いわゆる天下り、再就職OBがいるいないと受注の因果関係会計検査院はそこに着目をしながら検査をやっていますでしょうか。
  98. 疋田周朗

    会計検査院長疋田周朗君) 再就職の問題につきましては、それぞれ所管省庁がございますので、そちらの方で直接的にはいろいろおやりになっておられることと思いますが、私ども会計検査院といたしましては、実際に実施されております事業あるいは予算執行が適正に行われ、なおかつ経済的、効率的、有効なものになっているかどうか、こういうような観点から検査を行っているところでございますので、そういった点につきましては御理解を賜りたいと思います。
  99. 小川勝也

    小川勝也君 御答弁にも限界があるだろうと思います。  会計検査院が何をどのように調べるかということはわからないわけでありますけれども、大体新聞がこういうふうに書くということは、何らかの火があるわけですね、火のないところに煙は立たないという。そういったことも参考にしていただきながら検査をしていただくと、血税の使い方をチェックする会計検査院の役割は今以上に果たせるのではないかというふうに私は思います。御提案をさせていただきたいと思います。  次に、運輸大臣にお伺いをしたいと思います。  エア・ドゥという航空会社が誕生いたしました。私は北海道でございますので、日本航空や全日空にも乗りまして大変お世話になっているわけでございますが、エア・ドゥというのは「道民の翼」というキャッチフレーズでございますので、非常に愛着、アイデンティティーを持っています。  そして、不況に苦しむ北海道経済の中で、航空会社というのは普通の人が考えたら逆立ちしてもできない分野だったと思うわけでございますが、北海道の中の有志が航空会社設立までこぎつけた。暗い北海道の中ですばらしいニュースだった、そう思います。それまでの御苦労はいろんな方からお伺いをいたしました。そして、おおむね運輸省の中からも支えていただき、応援をしていただいた、こういうことも伺っております。  ところが、テークオフをいたしましたエア・ドゥのことでございますが、最初はまあまあ順調にいったという話でございます。しかしながら、今、三往復しか枠がないわけです。そんな中で、エア・ドゥは一万六千円で飛んでいるんです。既存の各社は、かつては二万五千二百円だったわけです。ところが、エア・ドゥが一万六千円で飛んだときに、各社がエア・ドゥのタイムテーブルを挟むようにして値下げをしたわけです。エア・ドゥが飛ぶ時間帯の前後の便を値下げした。それは、三往復でございますので、朝、昼、晩と、その時間帯だけサンドイッチにして値下げをしてきた。  これは、エア・ドゥの当初の設立の目的が、いわゆる東京—札幌間、千歳—羽田間の航空運賃が高過ぎるんじゃないか、だから自分たちが航空会社をつくってほかの会社を下げさせようと、こういった意味も込められておりました。それからエア・ドゥを挟んだ便以外もだんだん値段が下がってきたんです。そうなら、エア・ドゥが飛ぶ前に下げてくれりゃいいじゃないかと。あるいは、逆に言うとエア・ドゥをつぶすためにわざと値下げしているんじゃないか、そんな声も聞かれます。  運輸大臣の知っていることと御感想をお伺いしたいと思います。
  100. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 福岡—羽田間にスカイマーク、そしてその次に札幌—東京間にエア・ドゥ、二社が新規参入を果たしたわけでございます。  私は、NTT関係も少しやっておりましたのでそのときを思い出すわけでございますけれども、電電公社をNTTにするとき、長距離に三社が参入をいたしました。東京—大阪間だけをその三社が商売をするとかなりもうかるであろう、しかしそれを認めてしまうとNTT全体のネットワークが崩れる、したがってこの三社も当然全国的な展開をしてもらおうと。必ずしも法律でかぶせたわけではありませんけれども、三社の理解もやっぱり日本を相手にしてやっていく通信業者としてやる。したがって、いいところ取りではなくて全体でNTTの長距離と闘う、こういう民営化であったと思っております。  今回の場合は、今御指摘がありましたように、東京—札幌間、東京—福岡間というのは世界の三大ネットワークと言われておるところで需要が多いところでございます。そこへ、いいところだけでもいいから出てきなさいという新規参入を認めたということになります。したがって、これからローカルネットワークをやりなさいということは私どもは申し上げておりません。しかし、一方でJALとかANAにはローカルネットワークはやっぱりしっかり持ってもらわなきゃなりませんよ、それはやってくださいよ、こういうお願いをしております。  したがって、そういった中の競争でありますので、私は北海道開発庁長官もやっていますからエア・ドゥがしっかり成功してほしいと思います。しかしながら、民民の闘いでありますから過保護になる必要は全くない、私はこのように思っております。  じゃ、我々が何ができるんだということになると、第一番目に、東京の羽田は極めて混雑いたします。しかしながら、優先的にまず割り当てをいたしたところでございます。  それから第二番目に、既にやっておるANAとかJALに対しましては、運賃を幅の運賃制度ということでここからここまでの幅ならいいですよということで認めております。それから、割引が入るわけでございます。したがって、その割引率というものも定められておりますので、ある程度料金は初めから想定される。はっきり言えば、JAL、ANAはどこまで下げてくるかなということが想定される中で、この新しく出た二社についてはフリーに決めなさいということで料金設定も自由にさせたというところが実は新規参入二社に対する私どもの措置と言ってもいいんだろうと思います。  したがって、私どもが常に頭の中に置かなきゃなりませんのは、国際的な、例えばアメリカの国内、それからヨーロッパの中、その運賃と我々国内における運賃というのはどのぐらいの開きがあるか、またこっちがまさっているか、こういうことをしっかりウオッチしながら、うまく民民が競争しながら、そして最後の目的であります国民に対するいいサービスを提供していく、ここに到達できるように我々もしっかり見ていきたい、こういうふうに思っております。  ただ、今いろいろな議論がありますけれども、民民で一生懸命やっておるところですから、余り政治とか行政は触れない方がいいだろう、このように思っております。
  101. 小川勝也

    小川勝也君 いいとこ取りの議論はよくわかっているつもりであります。例えば、JRは分割・民営化いたしました。例えば山手線だけ持っている会社なんというのはもうかってしようがないわけですね。そんな中で、世界ナンバーワン路線東京—札幌だけの効率のいい参入であることは間違いないと思います。  しかしながら、北海道開発庁長官も兼ねておられる大臣にはわかっていただけると思いますが、じゃ今まではどういう状態だったかといいますと、ドル箱の札幌—東京間の運賃でほかのローカルネットを支えてきたということなんです。我々北海道側からすると、例えば沖縄なんていうのは特例がありますよね。北海道だってもっともっと特例が欲しいぐらいだ。ましてや、例えば今航空網が物すごく発達をいたしまして、本州の中にもたくさんの地方空港があります。ところが、何を隠そう北海道は海を隔てているんです。飛行機しかないのにその飛行機が高くて、それでほかのローカルネットを支えてきた。  今その新規参入をめぐっての問題というのは悩ましい理論があると思います。しかしながら、今までの東京—札幌間を利用する人がそのほかのところの面倒を見ていたという図式がやっぱりおかしかったんだと思いますね。北海道が面倒を見てもらいたいぐらいなのに、北海道経済の一部がそれを負担していた、そんな現状。大臣から総括ありましたように、意図がうまくいきましてほかの三社も値段を下げてくれましたので、所期の目的が達成されていい方向に向かっていることだけは間違いないと思います。  そして、政治、行政は口を出すべきではない問題をもう一点心配なのでお伺いします。  さっき申し上げました「道民の翼」エア・ドゥがもう一機ふやしたいと、こういった希望を持ったときに、今までは整備の部分を日本航空に委託してやってもらっておりました。しかしながら、日本航空にも当然のことながら事情があるでありましょう。スカイマークにあおられ、エア・ドゥにあおられ、今度は週刊誌とかが飛行機の中から消えるんだそうです。そして、スチュワーデスさんも契約で雇ったりと、そういったように涙ぐましい努力をしておりまして、整備の部分もできるだけ合理化したいのでエア・ドゥの分まで整備の面倒は見られないよと、こんな感想やら憶測が飛んでおります。  余りかかわるべき問題ではないという前提でお尋ねをさせていただきますけれども、そのエア・ドゥの四機目の整備の問題、小耳に挟んでおられると思いますが、大臣の御感想をお伺いしたいと思います。
  102. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) スカイマーク、エア・ドゥがだんだん大きくなりますとそんな話も出てくるかなと、既に発言はあるわけですけれども、そこのところはお互いの話し合いだろうと思っております。そして一方で、スカイマークとエア・ドゥはこういった問題についても話し合いを始めてきたということも事実でございます。  先ほど申し上げたように、余り口を出すべきことではないと思いますけれども、余り弱い者いじめにならないように注意もしたいなと思っております。
  103. 小川勝也

    小川勝也君 今の御答弁に感謝申し上げて、そのおつもりで見守っていただけたらいいなというふうに思います。ありがとうございました。  続きまして、郵政大臣にお伺いをしたいと思います。  昨日、私もうっかりしておりまして、法律もいろいろ審議されていたのを詳しくわからなかったのですが、北海道の民放各社から陳情に見えられまして、いろいろとお話をさせていただいたところ、テレビデジタル化の問題でたくさんお金を使わなきゃいけない、そんなお金はないんだけれどもどうしたらいいんだろうと、こんなお話でございました。  それで、余り詳しくないものですから、何でまた今ごろデジタル化なのかなというふうな疑問もあります。なかなかわからない中で質問するとこんがらがってしまうんですけれども、例えば、デジタル化になると文字や図表が送れるようになる、そんなメリットも伺っております。あるいは衛星だとかケーブルだとかCSだとかBSだとか、何が何だかさっぱりわからないんですけれども、やっぱりこれからも地上波が大事なのかな、そんな感想も持っています。  郵政大臣にデジタル化の意義を簡単におまとめいただき、これが本当に負担が重い投資になる、それでも意義があるんだということであれば、そのお話をお伺いしたいと思います。
  104. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) お答え申し上げます。  デジタル化というのは、単に今お話がありましたテレビのことだけではなく、もう既に日本においては電気通信、もともとパソコンなんかは既にデジタル化されているものでありますけれども、今国としても積極的に取り組んでいるのがこういうさまざまな情報通信の世界をトータルデジタルネットワークということにしまして、それぞれが融合することによってさらなる新産業、または生活がよりよく豊かになるようなそういうサービスとか、そういうものをつくっていこうということで、政府を挙げて今取り組んでいるところであります。  地上波のデジタルについて陳情があったということでございますが、恐らく、地方の民放の方たちも、デジタル化することによってメリットがあるんだということを前提に先生の方にお話があったのだと思うところでございます。  そこで、世界は今どうなっているかというと、既にイギリスとかアメリカではデジタル放送がスタートされておりますし、日本のようにこれからやっていこうと予定をしている国々も数カ国ございますし、検討中の国もどんどん出てきているところでございます。  これはどうしてかというと、アナログからデジタルに変えることによって、今も先生が御指摘になったような、例えばよく言われるのは、地上放送でもゴーストのないハイビジョンが見れるようになりますとか、列車とか車の中などでもぶれない画面でテレビを見ることができる、さらにはデータ放送が実現する、またはテレビ自体がデジタル化によってパソコンのような機能を持つようになりますから、蓄積することができて例えば自分の好きな時間にテレビを見ることができるとか、インタラクティブ、つまり双方向性なんかもアナログにはないデジタルとしての魅力が出てくるのであろう。そういうことによって、利用者というか国民はそういうデジタルテレビによって新たなる豊かさなり放送文化の向上の恩恵を受けることになるであろうということで世界でも進めているところでございます。  ですから、そういう中で日本だけがやらないというのは、非常に国民にとっても不利益を生ずるのではないかということで、しっかり取り組んでいきたいと思っているところなんです。  また、日本の国だけのことを申し上げるならば、今お話がありましたとおり、二〇〇〇年の十二月からは衛星デジタルがスタートします。BSデジタル放送が開始されますし、これももう御存じと思いますけれども、ケーブルテレビもデジタル放送が可能になりつつあります。放送だけじゃなくて、今まさに通信の道具として使っている携帯電話にしましても、二〇〇〇年以降になると携帯テレビとしての機能も果たせるようになるだろうということが言われております。  つまり、地上波以外のさまざまな映像メディアに関してはCS、BS、これは衛星です、またはケーブルテレビ、これも皆さん使っている、こういうところでもう既にデジタルが進んでいく中で、基幹的な放送である地上放送がよりよく基幹放送としての役割を果たしていくためには、同様なメリットを視聴者に提供することが不可欠な課題ではないかというふうに考えているわけです。  そういうことで、放送政策として、衛星放送、地上放送、ケーブルテレビがそれぞれの放送システムとしての特徴を持って発展していただく中で、デジタル化によってより一層、今申し上げたような特徴を生かし、国民に喜んでいただける、または放送文化を高める、そういうことに取り組んでいただきたいというのが今の国の取り組みでございます。
  105. 小川勝也

    小川勝也君 御説明いただきましたが、私の懸念といいますのは、例えば北海道だけで放送局各社で大体六百億円ぐらいの投資が必要だということであります。そしてまた、このデジタル化によりまして受信機、いわゆる家庭用のテレビにも何らかの細工をしなきゃならないのでお金がたくさんかかるということであります。そしてもう一つ、これは技術的にわからないわけでございますが、例えば中国が電話を普及させている途中に携帯電話が普及したので、電話線が中国全土にめぐらされる前に携帯電話の方が先に到達してしまったと。今回、地上波が中国における電話回線にならないかどうか、そんな懸念が私の中のどこかにあったんだろうと、こういうふうに思います。その懸念にもお答えをいただきたいわけでございます。  もう一つ申し上げますと、例えばテレビ局という、地上波の場合は収入はコマーシャルですね。デジタル化しても収入がふえないわけです。設備投資をたくさんすればそれだけ借金がふえるわけでございまして、それはちょっときれいになるかもしれないけれども、収入がふえないのに経費の負担がある。これは民間企業にとっては大変大きな問題だと思います。  野田大臣にあわせてお答えをいただこうと思いますけれども、もしこの場合、本当は投資したくない民間テレビ会社が、国がデジタル化するんだよということで投資をしなきゃならない、あるいは家庭でテレビを持っているユーザーが、テレビに何らかの附属品をつけるか部品を取りかえるかわかりませんけれどもしなきゃならない、こんなところの国の施策あるいは補助というのはどんな考え方になっているのか。大変多岐にわたりましたが、あわせて御答弁をいただければと思います。
  106. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 整理させていただきますと、まずデジタル化をすることによって国民の側、利用者の方はテレビを買いかえたりいろいろそういう費用がかかるではないかということでございます。  まさに、アナログからデジタルに変えるということで私たちが一番最初に取り組まなければいけないのは、国民の多くの人たちがデジタル化されることによってメリットがあるという、そういう実感ではないかと思います。そのために今、間もなくですけれども、全国七カ所で地上デジタル放送の実験が開始されることになっていますし、あわせて先ほど申し上げたように衛星によるデジタル放送が二〇〇〇年十二月から始まることになっています。そういうものを通じて、そのすばらしさ、高精細とか、さまざまなメリットを実感されるように私たちは努力をしていきたい。つまり、デジタル放送を見ることに価値があるという、そういういわゆる投資、負担というよりも情報に対する投資意欲を視聴者が持っていただけるような努力をしていきたいと思っています。  そうはいっても、情報化投資であってもコストはやはり安い方がいいわけでありますから、私たちとしては、これはメーカーがつくっていただくことでございますので、今技術革新が大変進んでいる中でローコストでそういうものが国民にとって入手しやすいものになるように、そういう御努力を引き続きお願いしてまいりたいと思っています。  さらに、今度は事業者の方の設備投資に関してなんですけれども、先ほど申し上げたとおり、やはり地上放送は日本の国にとっては何といっても基幹放送、基幹メディアということで、そのために、ほかがどんどんデジタル化が進んでいる中で取り残されるわけにはいかない、そういうふうに考えています。  そこで、デジタル化の投資というのは今後地上放送がその役割を果たすためには必要不可欠なものだと受けとめており、また先ほど申し上げたように、政府としてもさまざまな国の経済社会発展等のための一つの柱として位置づけているわけです。  そこで、郵政省としては、そういうデジタル放送を順調に進めていくために、平成年度予算以来、例えば地上デジタル放送のパイロット実験とか全国十カ所の共同利用実験、さらには法人税、固定資産税の軽減措置、政策金融機関の低利融資制度などの支援措置をやってまいりました。これからも引き続きデジタル化の進展、ステップがあるわけですけれども、それに応じた支援策を真剣に検討していきたいと思っています。  先ほど、中国の電話と地上波というようなお話がありましたけれども、ちょっとどういうふうに受けとめていいかよくわからないんですが、いずれにしても、今私たちはデジタル革命ということで、生活に密着しておりますさまざまな情報通信機器をデジタル化させることによって、そのメリットをより多くの人に受けとめていただこうという努力をしているところでございます。  地上波が取り残されるのではないかというふうな御懸念もあるわけですけれども、くどいように申し上げますけれども、やはり何といっても日本における地上波の放送というのは基幹メディアである、そういう位置づけがありますので、今後とも、逆にデジタル化することによってさらなる魅力を事業者の努力によって膨らませていただき、多チャンネルとか双方向性とかいろいろなメリットを存分に武器として広めていただきたいと思っております。すばらしいコンテンツが視聴者、多くの国民理解される、そういうコンテンツづくりに邁進していただければ、恐らく広告の方も追って上っていくのではないか、そういうふうに期待をしているところでございます。
  107. 小川勝也

    小川勝也君 まずデジタル化ありきというふうなかたい決意を受け取ったわけでございますが、私の懸念は、これだけ衛星が多用されている時代で、衛星デジタル網はやるわけですから、そんな多大な投資をしてまで地上波にしがみつく必要性が放送局側にあるのかなと。もうビッグバンが進んでいまして、地上局だのBS局だの衛星局だのという概念がなくなってしまうんじゃないか、そんな懸念を持ったものでございます。  これは政府委員の方で結構なんですけれども、二〇一〇年をめどに現在のアナログ放送を打ち切ると。これは北海道のことが書いてあるんですけれども、デジタル放送のために北海道では二十二万世帯のテレビ受像機のチャンネル設定を一斉に変えなければならない、これらの費用として北海道で約八十億円かかる、こう書いてあるわけです。  そうしますと、何らかの投資をしないと二〇一〇年で今やっているテレビが見られなくなるということなんですか。
  108. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  今大臣からも御答弁申し上げましたように、アナログ放送からデジタル放送に移行する、これはデジタル放送そのものの設備投資も要りますけれども、私どもが考えておりますのは、アナログ放送はきちっと視聴できるようにしたままデジタル放送にいかに円滑に移行するかということでございます。ただ、その際に、機器をつくられる側も放送される側も視聴者も一定の共通のカレンダーがありませんと、これはうまくいかないと。  したがいまして、二〇一〇年と。過去いろいろメディアの普及を見ますと、十年というのが一つのサイクルのようにも、経験則的にも行われます。それから、この十年というのを目途に立てましたのは、いろいろな専門家の御意見も伺いながら一つの目安として立てたところでございます。
  109. 小川勝也

    小川勝也君 見られなくなるのかということなんです。
  110. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) アナログ放送も見れるようにしたまま二〇一〇年を迎えるようにするということでございます。
  111. 小川勝也

    小川勝也君 二〇一〇年以降は。
  112. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) 二〇一〇年以降は全部デジタルに切りかわる。ただし、その場合には、デジタル機器が普及して全部デジタル放送で見れる状況でアナログ放送が終えんするというように、十年かけて円滑に移行していこうということが……
  113. 小川勝也

    小川勝也君 機器をかえなくても見れるのか。
  114. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) アナログ機器の場合にはアダプターをつけてデジタル放送も見れるし、デジタル機器を御購入の場合にはそのままそれでアナログ放送が見れる状況で円滑にデジタル放送全体に移行していただくようにいろいろ工夫をしてまいりたいということでございます。
  115. 小川勝也

    小川勝也君 アダプターをつけなきゃ見られないというふうにお答えをいただければよかったと思います。  関谷建設大臣、申しわけありませんでした。時間切れであります。  御答弁をいただいた皆さんに感謝を申し上げ、質問を終わります。  ありがとうございました。
  116. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  平成年度、九年度決算に関連して質問させていただきます。  ダイオキシンの血中濃度測定結果と今後の対策について、まず労働大臣に質問をしたいと思います。  本年三月二十七日に労働省が発表しました豊能郡美化センター労働者の血中ダイオキシン濃度等の調査結果では、平均値八十四・八ピコグラムTEQパー・グラム・ファット、最高値八百五・八と異常に高い値であることが判明しました。  私は、二年前の平成九年四月十五日の厚生委員会で、一部の市町村のごみ焼却施設において基準値の五倍以上のダイオキシン類が排出されている結果が判明したことより、そのような職場の労働者の健康調査をすべきであると主張いたしました。  労働省は、その後、二年間たっておりますけれども、どのような調査をしてきたのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  117. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 平成年度にごみ焼却施設におけるダイオキシン類の作業環境の実態調査を実施いたしましたが、これを踏まえまして、昨年の七月に、呼吸用の保護具の使用それから焼却炉内部の作業における措置等、暴露防止対策について都道府県労働基準局長に指示をしたところであります。  それから、昨年九月に豊能郡美化センターにおいて土壌中から高濃度のダイオキシン類が検出をされましたが、これに関しまして、関係労働者について血中ダイオキシン類濃度の測定、それから作業歴の調査等を行ったところでございます。  この調査によりまして、今御指摘のとおり、一部の労働者で血中ダイオキシン類濃度が高い、平均値をとってもかなり高いということが判明をいたしました。現段階におきましてダイオキシン類を明らかな原因とする健康影響の発生は認められないものの、これらの労働者については引き続き健康状態の実態の把握等に努めてまいることといたしております。  なお、今般、全国の同様の施設に関しまして、そこで働いている労働者に呼吸用の保護具、つまり防じんマスクであるとか手袋であるとか、あるいは作業着についても安全管理に徹するよう、大臣名で再度徹底を指示したところでございます。
  118. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 私としては、二年間の間がありましたので、もう少し血中濃度等も早目にやっていただければ、どこか高いところが前もってわかったのかなという気持ちがいたしましたのでお伺いしたわけでございます。  労働省の方では、今回判明した血中のダイオキシン類の濃度は直ちに健康に影響を与えるレベルとは言えないとの見解を示しておりますけれども、その根拠についてお伺いしたいと思います。
  119. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 今回の血中ダイオキシン濃度、それから労働者一人一人の皮膚の状況であるとか作業歴とか、つぶさに調査をいたしました。そして、その因果関係については、この分野の第一人者と言われる方々にいろいろ調査をしていただきまして、現状でこのダイオキシン類が関連をして健康影響が出ているという判断は専門家はされなかったわけであります。そこで、明らかな関連は認められなかったというふうにさせていただいたわけであります。  さらに、文献的調査、外国の事例も、濃度と発症の関係等々もよく調べさせていただいたわけでありますけれども、今回認められました血中ダイオキシン類濃度は健康影響を引き起こすとされている文献的な濃度よりはかなり低かったということで、引き起こす原因になったということの確認はできなかったところでございます。  専門家に各方面から検討していただいた結果、こういう報告をいただいたというところでございます。
  120. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 高い血中濃度を示したもとの職員に対しましてはフォローアップを今後していくことになると思うんですけれども、その計画についてお伺いしたいと思います。
  121. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 今回の調査で血中濃度が高い労働者の方につきましては、引き続き健康状況の変化等、そのフォローアップには努めてまいります。
  122. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今回の報告では、免疫反応の一部の低下傾向や原因不明の色素斑とダイオキシン類の濃度の関連については評価が定まっていないというようなことも書かれておりまして、やはりまだわからない面も多いというふうに考えますので、フォローアップはきちんとやっていただきたい、そのように思います。  次の質問ですけれども、今後ダイオキシン類によるそういう障害が明らかになりましたら、健康被害との関係が明らかになりましたらば、やはり労働災害の認定ということになると思うんですけれども、その労働災害の認定はどのような基準で考えていらっしゃるか、労働大臣にお聞きしたいと思います。
  123. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 今回、ダイオキシン類によって健康障害を起こしたということで、お二人の方から労災請求が行われているわけであります。  一般の労災請求事案と同様に、まず所管の労働基準監督署におきまして、被災労働者の作業内容、有害物の暴露状況、それから発症の経過等について的確に調査を行いまして、それが原因としているか否かの判断を行うということになるわけでありますが、そうしたことが原因であるかどうかの判断というのは高度な専門的な知識が必要と考えられますので、この案件につきましては、本省において専門家に依頼するということも検討を考えております。  基準についてはというお話でありますけれども、特にここで基準を策定するという予定はありませんけれども、今後の同種事案の請求状況であるとか最新の医学的な知見等を踏まえながら、対応についてどうしていくか検討していきたいというふうに思います。
  124. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 本年三月三十日のダイオキシン対策関係閣僚会議で決定されましたダイオキシン対策推進基本方針では、「労働者のばく露防止を図るため、労働衛生管理体制の整備並びに、作業環境の測定、作業環境の改善、適切な保護具の使用等の対策を推進する。」というふうに述べられておりますけれども、この点に関しまして今後どのような具体的な対策を行っていくのか、労働大臣にお伺いしたいと思います。
  125. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 先ほども一部述べさせていただきましたけれども、先般、私、記者会見で、再度、防じんマスクの使用とかあるいは手袋の使用、そして作業服もそういう付着物が落ちやすいものを使うようにということを指示いたしました。  具体的には、局長名で都道府県基準局に指示をしたわけでありますし、そして基準局から具体的には関係行政、地方自治体とそれから事業者について指示をいたしました。恐らく数は、関係事業者は二万社ぐらいあるんでしょうか、これらに対して、暴露防止の措置をきちんととりなさい、それから作業環境の整備にも努めなさいということで、具体的に指示を出させていただきました。これは以前にも出しておりますけれども、まだ趣旨徹底がしていないようでありますから、改めて具体的項目について具体的指示を出したというところでございます。
  126. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ダイオキシンの健康被害をどう防止するのかということに関しまして、やはりまだまだ対策といいますか、国民の意識の面でも、最近はいろいろ本当に注目されておりますけれども、まだ少なかったという面で、これもきちんと対策をしていくことが大切であるというふうに考えます。しかも、ダイオキシンの場合は短期的な被暴の健康障害というよりも、やはり中長期的な健康被害というものの方がより重要かなというふうに思いますので、フォローアップもきちんとしていただきたいと思います。  次に、厚生大臣の方にお伺いしたいんですけれども、血液中のダイオキシン類濃度に関しまして、大阪府が行った能勢町緊急健康調査と厚生省が行った対照群としての大阪府住民調査の結果が三月二十七日に公表されました。これによると、能勢高の高校教職員の血中濃度が対照群と比較して高いようですが、これらのデータに関しまして厚生省としてはどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  127. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 先般、大阪府より公表されました豊能郡美化センター周辺の住民及び能勢高校関係者に関します血液中ダイオキシン類濃度の調査結果につきましては、厚生省としても承知をいたしております。  本調査につきましては大阪府が実施をしたものでございまして、現在、大阪府が専門家によります会議を設置いたしまして専門的な見地から調査結果の詳細な評価あるいは分析を進めておられるというふうに聞いておりますので、厚生省といたしましては、結果が出されますれば、それに対応した形で評価をしていく必要があるのかなというふうに考えております。
  128. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 やはり対照群と比較して高いようですので、今後より詳細な調査というものをしていくべきではないかというふうに考えております。  ダイオキシン類の暴露状況を反映する人体の指標としましては、血中濃度ということが一応一番的確ではないかというふうに考えられておりますけれども、厚生大臣にお伺いしたいんですが、そのほかにより簡単な指標としてどういうものが考えられるのか、あるいはまた、今後人体に蓄積されたダイオキシン類を排出する有効な方法というのは開発されているのか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
  129. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) ダイオキシン類によります人体の暴露状況を把握いたしまして健康影響を評価するためには、ダイオキシン類によります暴露を反映する適切な暴露指標を設定する必要があるわけでございます。諸外国の研究者の報告によりますれば、血液以外の暴露指標をとるものといたしまして、脂肪組織等人体の各種臓器中のダイオキシン類濃度が用いられていることは承知をいたしております。しかしながら、広範なといいますか、住民の皆さん方の協力を得ながらその暴露状況というものを推測していくためには、血液以外には現在のところ適切な指標がないわけでございます。  ただ、これは研究開発をしていく必要もあるわけでございまして、この分野の研究、それから今先生御指摘のございましたダイオキシンの排せつの促進ということにつきまして、どういう手段を用いれば排せつが促進されるかということも我々は非常に重要な課題だというふうに考えておりまして、今年度も厚生科学研究費でこの分野の研究をしていただいておりますし、今後とも、そういった御指摘のあった点を含め研究を強化してまいりたいというふうに考えております。
  130. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今のお答えに有効な方法ということで具体的なお話がなかったので、まだ明らかなものはないという段階かなと思うんですけれども、高濃度の血中濃度測定値が出ておりますので、その排せつの具体的な方法のやはり研究を進めていっていただきたいなというふうに考えます。  厚生省としましては、今後、先ほどのダイオキシン対策推進基本指針の中で血液及び母乳の調査をさらに進めていくということでありますけれども、この点に関しまして、大臣より今後の計画等をわかりましたらお話しいただきたいと思います。
  131. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 御案内のように、閣僚会議を設置いたしまして三回ほど実施いたしまして、先般、基本指針を定めました。その中で、今お尋ねの血液、母乳等の調査に関する部分はこのように記述されております。「厚生省は、廃棄物焼却施設からの排出量、食品、血液及び母乳などの人の暴露状況の健康影響について実態を把握する。」ということを明記してございますので、私どもとしては、ダイオキシンに関する総合的な調査の一環といたしまして、血液、母乳に関する調査を実施しておりますが、今後とも実施してまいりたい。  具体的に申しますと、平成年度には、血液につきまして、宮城、横浜、大阪、島根の四地域におきまして血液中のダイオキシン濃度に関する調査を実施いたしましたし、また母乳につきましては、全国二十一都府県におきまして母乳中のダイオキシンに関する調査を実施いたしておりますが、いずれもまだ具体的な成果といいますか結論を私どもは得ていない状況でございます。  平成十一年度におきましても、引き続き血液、母乳等の暴露状況の把握とか健康影響の評価に関する調査を推進して、具体的な調査研究の内容につきましてはまた専門家の意見を聞きながら、分析、対応してまいりたい、このように思っております。
  132. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、環境庁長官にお伺いしたいんですけれども、大阪府能勢町の地域と埼玉県の地域で行った血液中のダイオキシン類及びコプラナPCBの濃度について、環境庁としてはどのような見解を持っていらっしゃるか、簡単にお伺いしたいと思います。
  133. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 環境庁では昨年の七月から、今お話のございました所沢周辺と能勢町において、ダイオキシン類の大気などによる健康影響調査を実施して、このたび三月二十九日に発表したところであります。血液中のダイオキシン類及びコプラナPCBの濃度については、所沢周辺及び大阪の能勢町ともに、廃棄物焼却施設の周辺地域と比較のために設定した対象地域ではほぼ同様の値を示しました。また、大気、土壌につきましては、それぞれ指針値等の範囲内であり、これまでの調査結果と特に異なったところはございません。  そこで、今後、調査対象者の食事等についてさらに分析を進めて、総合的な解析を行って最終的な取りまとめをしていきたいと思っておるところでございます。
  134. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 環境庁の調査結果から、産廃とかそういうところじゃないところの対象地域の住民の調査、血液中のダイオキシン類濃度が大阪府の方が埼玉より少し多いようなデータが出ておりますけれども、これは環境庁としては特に何か理由があるというふうにお考えでしょうか。
  135. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 先生のおっしゃいましたとおり、そのような数値が出ております。  これについての考え方ですが、血液中のダイオキシン類の濃度は長期間にわたるダイオキシン類の暴露を反映しているというふうに考えております。したがいまして、食習慣等の個人的要因、大気等の環境要因との関連等、さまざまな点からの解析が必要かと考えております。    〔委員長退席、理事鎌田要人君着席〕  今回、土壌、血液、地下水、大気の一部の分析結果を取りまとめましたが、先ほど大臣が申しましたとおり、残っております食事等についての分析を進めて、総合的な解析をしていきたいというふうに思っております。  また、国、自治体で現在行われている血液中の濃度測定の結果なども参考にいたしまして、総合的に判断してまいりたいというふうに思っております。
  136. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ダイオキシン類の質問はこれくらいにさせていただきまして、次の質問に移りたいと思います。  自動車事故被害者対策についてお伺いしたいと思います。  まず大蔵大臣にお伺いしたいんですが、自動車損害賠償責任再保険特別会計から一般会計への繰り入れと繰り戻しの最近五年間の状況と、今後の繰り戻し完了に向けての方針についてお伺いしたいと思います。
  137. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 平成六年に法律をつくっていただきまして、それに基づきまして平成年度において八千百億円、平成年度において三千百億円、計一兆一千二百億円の繰り入れを自動車賠償責任再保険特別会計から一般会計に対していたしました。  これを受けまして繰り戻し、返済でございますが、はその後、自賠責特会の収支状況に応じてやってまいったところでありますが、平成年度補正予算において一千五百四十四億円、平成年度補正予算において八百八億円、計二千三百五十二億円の繰り戻しを行いましたので、残高は八千八百四十八億円であります。  なお、この返済につきましては、平成六年二月に当時の大蔵大臣と当時の運輸大臣との間に覚書が交わされておりまして、自賠特会から一般会計への繰入金相当額を原則として平成年度から平成十二年度までの間において分割して一般会計から自賠特会に繰り戻すこととするとございまして、それに基づきまして、事務次官の間あるいは事務当局の間にいろいろ細かい覚書のようなものがございますけれども、基本的には大臣同士の間で、平成十二年度までの間において分割して繰り戻すと、基本的な了解であると考えております。
  138. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 この繰り入れと繰り戻しの件ですけれども、やはり隠れ借金というような批判もありますので、きちんと十二年度までに繰り戻しを行うようにしていただきたい、そのように思います。  次の質問ですけれども、近年、交通事故による死傷者の状況はどのようになっているか、警察庁の方からお伺いしたいと思います。
  139. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) お答えいたします。  平成十年中の交通事故の発生状況でございますが、発生件数が八十万三千八百七十八件、死者が、これは二十四時間以内の死者でございますが、九千二百十一人、負傷者が九十九万六百七十五人となっております。  自動車の保有台数、そして運転免許保有者の増加等に伴いましてまた交通量の増加ということにつながるわけでございますが、その結果としまして発生件数、負傷者とも過去最高を更新している状況にございます。ただ、死者につきましては減少をしておるという状況でございます。
  140. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 交通事故による死亡者は一万人を割ったということで、これは非常にうれしいことでありますけれども、しかし障害を受ける方そのものはふえているということでありまして、やはり交通事故対策が本当に重要かなというふうに思っております。  その負傷者の中でも、重度の障害、脳障害あるいは上位の頸髄障害等で治療を受ける、あるいは特殊な介護を受ける方は療護センターに入所をしておりますけれども、現在のところ、やはり施設の数が足りなくて入所待ちの状況になっているということであります。  この対策としましては、六施設の療護センターをつくっていくということで計画が進められておりますけれども、やはりこれでも足りないんではないかということで、介護病床を建設すべきであると、そのように私は考えているわけであります。この介護病床建設の計画がどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
  141. 荒井正吾

    政府委員(荒井正吾君) お答え申し上げます。  今委員指摘になりましたように、交通事故で療護を要する人たちにつきましては、自動車事故対策センターが設置・運営いたします療護センター三カ所において療護しておるわけでございますが、御指摘のように百名を超える患者さんが入院待機中でございます。そのために、一つには、新たに療護センターを中部地区に建設するということで三カ年計画で進めております。  一方、介護のために、植物状態から脱却が難しい患者さんを対象といたしまして一般病院への療護委託をいたしまして、新たな入院の受け入れということを二つ目には進めております。  さらに、介護病棟の整備につきましては、本年度予算におきまして調査費を計上させていただいておりまして、整備のあり方、その規模、経費等の調査を行うことにしております。来年度以降、その調査を踏まえて介護病床の整備に向けての取り組みを推進したいと考えておるところでございます。
  142. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、これに関連して厚生大臣の方にお伺いしたいんですけれども、療護センターでの治療を終了した場合に、待機者が待っておりますので、一般の病院でその患者さんを引き受けていただければということで今そういう話が進んでおるわけでありますが、まだまだ受け入れ先が十分確保できないということであります。  その一つの原因となっているのが、診療報酬等の長期入院に対する抑制といいますか、長期入院であると診療報酬が下がっていくというようなことがありますので、私としましては、その受け入れ病院の不利益にならないように、そういう療護センターからの患者さんを受け入れてくださった病院には、在院期間を計算する場合にそれらの入院患者さんをほかの患者さんの平均在院日数と同等とみなすような特別な例外規定をつくってみてはどうなのかなというふうに、これは提案でございますが考えておるわけでございますが、厚生大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  143. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今お尋ねがございました交通事故等によりまして療護センターに入られた方が一般病院へ転院をされる場合に、その方が入院されたがゆえに平均在院日数が長くなるといったときに、例外扱いをすれば受け入れやすくなるのではないかというお話でございます。  ただ、通常の入院患者の方につきましては、先生御案内のとおり、入院当初には医学的な管理とか看護の必要性が高いというようなことから、入院時医学管理料と看護料につきまして入院初期の評価を高くするという形で入院期間に応じた逓減制をとる点数体系をとっております。  また、今お話のございました平均在院日数につきましても、看護料につきましては急性期を担う医療機関ほど手厚い看護体制が必要だということから、算定要件の一つとしまして平均在院日数という要件を設けているわけでございます。こういった平均在院日数の要件等につきましては、医療機関のいわば機能分担をして効率的な医療体制をしいていくという観点からやっているものでございます。  そうしますと、今の重度の障害を持つ方、交通事故以外にもおられるわけでありますけれども、こういった患者の方々をどうするかという点につきましては、こういう方々が主として入院をされるということで特殊疾患療養病棟というような形での診療報酬上の評価もいたしております。したがいまして、こういった重度の障害を持たれる方々の入院の受け皿としては、そういった特殊疾患療養病棟の整備というようなことにつきまして、これは診療報酬上の評価でございますけれども、そういった評価を今後とも考えていくというような方向で考えていくべきであろうというふうに思っております。
  144. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 時間もなくなりましたので少し質問をカットしながらお伺いしたいと思います。運輸大臣にお伺いいたします。  現在、自賠責保険の政府再保険制度のあり方に関する検討が行われておりますけれども、その自賠責再保険制度が仮に廃止されると想定した場合、現在自動車事故対策センターで行っている療護施設の整備、運営や介護料給付などの交通事故被害者保護事業の継続、拡充がどのように確保されていくのか、また、今後運輸省としてはこの自賠責再保険の制度のあり方の検討をどのような方針で臨むのか、運輸大臣からお伺いしたいと思います。
  145. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) まず、最初の御質問でございますけれども、当然、再保険による自賠責特会からこの経費が出ておりますので、この再保険制度をなくすということになれば特会がなくなります。したがって経費の出る場がなくなる。その経費をどこに求めるかというのがまさに論議になるだろうと思います。  それから、私どもの自賠責保険に関する懇談会、私の私的な懇談会として今検討をさせていただいており、ここで結論が出ますれば自賠責審議会に付託をしたい、このように考えております。  まず、私どもの対応でございますけれども、最近は再保険制度という問題に落ちついてきたように思っておりますけれども、前提として民営化という話がございました。欧米型の制度にするという御提言が一部あったわけでありますけれども、例えばアメリカ、これは州単位でありますけれども、カリフォルニアでは無保険の車の率が二七・五%であります。イギリスにおいても五%。こういうことになりますと、もし日本が同じような制度にするならば無保険の車が極めてふえてくる。  そこで、当然今の制度より被害者保護というものは後退することになりますので、これだけは私どもは受け入れられないという対応を明確にさせていただいております。その中におきまして、政府再保険制廃止の是非も含めて西崎座長のもとで今御議論をいただいております。委員御質問のとおり、再保険制度をもし他の制度に変えるとしたらどのような経費そして施策が担保されるか、ここが議論になってまいるだろうと思っております。
  146. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 やはり交通事故の被害者の方々の不安は、この政府再保険制度がなくなった場合に交通事故被害者に対する保護の施策が十分になされない、そういうおそれがあるということで心配されておりますので、その点を十分確保しながら検討いただきたい、そのように思っております。  次に、日本は諸外国に対して高いと言われております乳幼児の死亡事故対策についてお伺いしたいと思います。  まず、警察庁にお伺いしたいのですけれども、ゼロから四歳児の交通事故の死亡事故の発生状況としまして、どのようになっているのかお伺いしたいと思います。
  147. 玉造敏夫

    政府委員(玉造敏夫君) 私どもの方でとっております数字が六歳未満ということでとっておりますので、恐縮でございますが、平成十年中の交通事故によります六歳未満の子供の死者でございますが、全体で百二十九人でございます。近年減少傾向にあったわけでございますけれども、昨年増加に転じたということでございます。  ちなみに、この年齢層のいわゆる死傷者でございますが、これは自動車乗車中のこの年齢層の死傷者の増加が続いておるということを反映しまして、死傷者は一貫して増加傾向にございます。
  148. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 六歳までの統計ということでありますが、田中哲郎氏がいろいろ子供の事故とその予防に関する研究をされておったわけですけれども、日本のゼロ歳から四歳児までの死亡というのは、交通事故を含めまして、そのほかにも溺水それから転倒・転落、誤飲あと浴室での溺水、そういう原因があるわけでございますけれども、もしきちんとした対応をしていけば、欧米で低い国々もありますので、その欧米の低い国々までのレベルに達すれば八百人ぐらい死亡者を減らすことができるのではないかということで、そういう研究をされておりました。ゼロ歳から四歳児、少子化社会でありますので、きちんとそういう事故対策をすることが大切というふうに考えております。  この点に関しまして、時間がなくなってきましたので、各省庁対応をお伺いしたいと思うんですけれども、乳幼児ですので本人の予防対策というのはなかなか難しいのかと思うので、やはり保護者に対する教育活動というのが重要になってくると思うんです。その点に関しまして、まず保育園での対応につきまして厚生省の方からお伺いしたいと思います。
  149. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 今御指摘の溺水、窒息、交通事故などの乳幼児の不慮の事故による死亡は、現在、全死亡原因の二五%近くを占めております。  したがって、保育所における乳幼児とか保護者に対する事故防止のための教育活動というのは極めて重要でございまして、この点、保育内容を定めた指針をつくりまして、保母というのをこの四月から保育士と改めましたが、保育士に対しまして安全指導を行う、あるいは保護者に対して子供の事故についての認識を深めるための協力を求める等の指導をやっております。また、各種の研修会も催しまして乳幼児に対する事故防止に努めているところでございます。  今後とも、御指摘のように保育所における乳幼児の事故防止対策が非常に重要でございますから、重視して努めてまいりたいと思っております。
  150. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、幼稚園とか小中教育現場でのこういう事故予防に対しての教育の方針につきまして、文部大臣の方からお伺いしたいと思います。
  151. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 具体的にどういうことをしているかということを申し上げますと、幼稚園の指導計画の中で、ぶらんこやシーソーなどの遊具の安全な使用法を指導する。それから、先生御指摘のように水死している子供たちが多いものですから、プールなどの施設設備の安全な使用法を指導いたしております。それからまた、確かに交通事故の死亡率が高いものですから、園便りや保護者参観日の懇談等による家庭等での生活事故防止の啓発を行っているところでございます。また、幼稚園を含め、小中も含まれますが、学校における安全教育の充実を図るために文部省では研究協議会を開催いたします。また、日本体育・学校健康センターでは、学校安全に関する研究校を委嘱いたしまして、実践結果の発表及び研究協議を行っております。  今後とも、各幼稚園におきましてもさらに研修等により教職員の安全教育に関する資質を高め、保護者との十分な連携を図りながら幼児の事故防止に努めるよう働きかけてまいりたいと思っております。
  152. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ちょっと時間がなくなってきました。あと、やはり明確な目標を立ててゼロ歳から四歳児までの事故対策をきちんとやっていくことが大切かなと思います。私としては、二〇〇五年とかまでに十年間かけて半減するというような、そういう明確な目標を立てて対策に取り組むことが大切である、そのことを強調させていただきたいと思います。  ほかの省庁に対して質問を用意していたんですが、時間がありません、申しわけありません、またこの次の機会にしたいと思います。  ありがとうございました。
  153. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  中部国際空港について質問をいたします。  この一種空港建設の予定地は、常滑焼の産地としても名が知られております愛知県知多半島の常滑市沖であります。新空港建設について漁業関係者の反対もあり、先日、漁業補償の額が提示をされたわけですが、漁協は提示そのものも拒否をする、年度内に決着がつかなかったわけなんですけれども、なぜ難航をするのか、一番大きな要因は運輸大臣はどうお考えになるのか、まず伺いたいと思います。
  154. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) その前に、漁業補償交渉の現在の進捗状況について御説明申し上げたいと思います。  中部国際空港の漁業補償につきましては、愛知県に漁業調整推進本部が設置されておりまして、この本部が中部国際空港株式会社等事業者と連携をいたしまして漁業者との協議を進めておるところでございます。    〔理事鎌田要人君退席、委員長着席〕  そして、対象となります漁業者は愛知県と三重県と両方いらっしゃるわけでございますが、愛知県の漁業者につきましては、愛知県漁連に設置されております中部国際空港対策協議会を窓口に協議を行っておりまして、これまでに漁業者の協力を得まして補償の基礎となる漁業経営実態調査を終えたところでございます。そして、現在、対策協議会の了解を得まして組合または支部単位で補償金額についての事前協議を行っておる、そういうふうに承知をしているところでございます。  また、三重県の漁業者につきましては、愛知県そして中部国際空港株式会社から三重県漁連に対しまして、漁業問題の調整及び当面の漁業経営実態調査の実施をお願いしておるところでございまして、現在、県漁連内部で調査の受け入れについての協議がなされている、そういう状況であるというふうに承知をいたしておるところでございます。
  155. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今御説明申し上げましたように、基本的に漁業者との十分な話し合いが必要だろうと考えております。
  156. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 まだ調査そのものも受け入れることができないと拒否をしている漁連もある、漁業補償も難航しているということは、伊勢湾の、とりわけこの常滑沖を中心とする知多半島の西側というのが伊勢湾漁業でいかに大きな価値のある場所なのかということを示していると私は思います。  そこで、農林水産省に伺いたいんですけれども、一つは、伊勢湾漁業にとって常滑沖の果たしている役割をどういうふうにとらえておいでになるのか。もう一つは、ここが破壊されますとノリは大変大きな打撃を受けるんですが、そのほかにもクルマエビやシャコ、カレイ類、アジやイワシ類、イカナゴなど、こういうものの育つ海を埋め立てるわけですから、代替措置としての漁業振興が考えられると思いますが、この二点について簡潔に御説明を願いたいと思います。
  157. 中須勇雄

    政府委員(中須勇雄君) 第一点目でございますが、御指摘にございました常滑沖の漁場価値というか、漁業の面での位置づけでございます。  沿岸地域においては、主としてノリ養殖業あるいはアサリ等の栽培漁業が大変盛んに行われております。そして、その若干沖合水域におきましては、シラスとかイカナゴ等を対象とした船びき網漁業、あるいはエビを対象とした小型底びき網漁業など、大変多様な多種類の漁業が行われているというような現状にございます。また同時に、この水域の沿岸部は藻場とか干潟が大変多く分布しておりまして、魚介類の生息あるいは生育の場として大変重要な役割を果たしている、こういうふうに認識をしております。  したがいまして、今回、中部国際空港の建設ということも視野に入れながらこの地域での漁業の継続というか発展を図っていくということになりますと、当然やはり適切な漁業振興策ということが講じられることが必要だろうというふうに我々も思っておりますし、具体的などういう漁業振興策を講じていくかということについては、これから県が中心となって漁業者を初め関係者と十分話し合いをした上で計画が策定されていく、そういうふうに行くべきではないかというふうに存じております。
  158. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 愛知県あるいは岐阜県、三重県などの漁業影響調査結果というのをここに持ってまいりましたけれども、これを見ましても、今御説明がありましたように大変豊かな海域なんだけれども、空港島建設と対岸部の埋め立てによって大きな影響を与えることがはっきりと書かれています。  この海域というのは、今御説明があったように、藻が生い茂って浅地の海が広がり、そして木曽三川から豊かな栄養を含んだ流れが知多半島にぶつかりまして、これが知多半島に沿って西側へ南下をしていく、西風が吹いて波立ちがいいものですからヘドロが堆積しにくい、こういう条件で、漁師さんたちがあるいは釣り人の皆さんが魚がわいてくると言われる全国でも有数の豊かな漁場です。  私は、現地の皆さんにいろいろと御意見を聞いてきました。皆さん、暮らしの成り立つめどが立たないとこの空港建設について異口同音に不安を訴えられます。考え始めると夜も眠れない、あるいはぼろぼろ涙が出てくるばかりだという漁師さんの声も聞きました。先日のテレビでも、その深刻な状況と豊かな海でのノリ漁場が特集番組として報道をされていたわけであります。  私は、ここに中部国際空港あるいは空港島とその対岸の埋め立ての環境影響評価準備書というのを持ってまいりました。このアセスは対岸の埋め立て、それから空港島というふうに二つに分かれているわけなんですけれども、このアセスの準備書では浅い海とか漁業に与える打撃というのは大きく書いてありません。これは、漁業は産業なので、産業のアセスではないということで、さっきお示しをいたしました漁業影響調査結果というのとはちょっと違うわけなんですけれども、環境庁長官にお伺いしたいんですが、自然環境の保全の見地から、これはアセス準備書なんですけれども、これについてどのような意見をお出しになる予定でしょうか。
  159. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 環境影響評価につきましては、昨年の暮れからことしの二月にかけまして準備書が公告縦覧されて、そして住民の意見を聞いておるところであります。それをまとめまして県から、県がそれをまとめるわけでありますが、まとめた上でこれからの環境影響評価になってくると思うわけでありますけれども、まだその段階が参っておりません。出た段階では、やはり自然環境を十分守っていかなければならないわけでありまして、その点に留意しながら慎重に審議をしよう、こう思っておるところであります。
  160. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ぜひ積極的な意見を述べていただきたいと思うんです。  沿岸漁業の振興はこれからだとさっき御説明があったんですが、壊滅的な打撃ということです。国民の食生活にとっても、また食糧自給という面からも漁業は注目されていますし、さらに、今環境庁長官がお答えいただきましたが、環境保全と持続的発展という点からも私はこれ以上日本の沿岸を埋め立てることはもう見直すべき時代に来ているのではないか、こんなふうに思うわけです。  そこで、次に運輸大臣に伺いますけれども、安全対策です。  この空港ができます常滑沖は、すぐ近くにカワウのコロニー、繁殖地があって、天然記念物となっております。これはそこの美浜町の資料でございまして、「かけがえのない生き物たちが、ここにいる。」、「地球の人々の何よりもかけがえのない財産だと思う。」、こう書いてあるんです。空港島の付近は渡り鳥の重要なルートでもあることが日本野鳥の会の調査で明らかです。絶滅危惧種のオオタカやハヤブサも付近に飛来してくるわけですが、これらの鳥が航空機と衝突をするバードストライクの危険性が指摘されています。  ところが、これに対する環境アセスの評価準備書では、航空機とカワウが衝突した例はないと書いてあります。これは当然なんですね。空港近くにこんなにカワウがいる空港というのはどこもないんです。また、鳥の飛ぶ高度が航空機と違うとか、カワウは海岸沿いに飛ぶから大丈夫と、こういうことも御説明いただいたんですけれども、日本野鳥の会愛知県支部が提出しました意見書を見ますと、これは大いに心配されるということなんです。  先ほど御説明がありませんでしたが、運輸省の方で、この空港島には魚が集まる魚礁とかいろいろなものをつくるというふうに示されていますが、その魚を求めて空港の周りやあるいは空港島自身に鳥が集中することになるんじゃないか、これで本当に安全性が大丈夫かどうか私は心配するんですが、運輸大臣、どうでしょうか。
  161. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 八田委員、既に説明を聞いていただいておわかりのようでございます。  中部国際空港を利用する航空機のバードストライクについては、中部国際空港株式会社が環境影響評価の一環として検討を行っております。その途中経過によりますと、経路や高度が飛行機と異なるということから、バードストライクの発生の可能性は、ないとは言っておりません、可能性は低いと見ております。我が国の他の空港の状況から見ても、中部国際空港においてバードストライクにより航空機の運航の安全に支障が生じるようなことは基本的にはないと考えております。  なお、中部国際空港においても、我が国の他の類似空港と同様に、バードストライク低減のための努力が行われるようお話ししてございますし、関係者への指導を一層強めてまいりたいと思います。
  162. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 専門家の皆さんに伺いましても、このバードストライクを防止する確実な方策がまだないというのが実情なんですね。世界でもいろいろなことを考えて今やっていらっしゃるそうなんですけれども、実際に皆さん、知多半島の野鳥の渡り、さっき申し上げましたけれども百万羽というふうに言われています。ワシ、タカ類の渡りというのは秋だけでも一万羽なんですね。さっきお示ししましたこの準備書のデータ、これによりますと、冬にはカモメが一万八千羽来るんです。ここは年じゅうカワウが一万羽以上いる。つまり一年じゅうバードストライク発生の危険があるんです。  さっき私は、こういうふうに書いてありますけれども実際は地元の専門家の皆さん心配していますよというふうに大臣に伺ったんですが、大臣はここに書いてあることを繰り返されただけなんですが、実際には日本では前例のないこういった地域での空港計画なんです。だから、万博開催の予定である二〇〇五年までに間に合わせようということでしゃにむに進むのでなくて、調査と研究というのが十分に必要で、今大臣がこの結果で言われたんですけれども、実際にはそうでないという心配があるものですから、きちんとやっていただきたいというふうに思うんです。  それと、運輸大臣に伺いますけれども、この中部新空港が建設されますと、今ある名古屋空港は国内線、国際線ともなくなるというわけであります。ところが、この名古屋空港は五百二十五億円使った国際線の新ターミナルビル、これが新築をされまして、あした竣工式です。  新聞はこの新しい国際線ターミナルビルの報道をしておりまして、そこに何て書いてあるかといいますと、「あんな立派なの建てちゃって、ちゃんと利用されるんかなー。」「今さら言っても間に合わないけれど、もったいない気がする。」、こんなふうに地元の声を伝えています。  この国際線の新ターミナルビルの計画というのはいつお立てになったのか、そして中部国際空港をつくるに当たって見直しをされたのかどうか、大臣に伺いたいと思います。
  163. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 最初に事実関係だけ申し上げたいと思います。  名古屋空港の航空需要は年々増加しております。特に国際線については増加が顕著でございます。平成二年は週九十七便でございましたが、昨年、平成十年には二百十四便ということで大幅な伸びを示しております。  一方、これを取り扱います国際線用エプロン、飛行機をとめる場所でございますが、これが不足するということで、各国から参ります増便要望にも十分対応ができない、また、到着した航空機がエプロンに駐機できないで乗客を乗せたまま空港内に待機する、そんな状況も生じていたわけでございます。  また、ターミナルビルにつきましても、利用者が著しく増大いたしまして狭隘化が進んでおります。現在のターミナルは百五十万人年間対応でございますが、平成八年現在で国際旅客三百六十三万人ということでございますので、能力の倍以上のお客様を扱っておるという状況でございます。加えて、古いターミナルだったということもありまして、出発客と到着客の完全な分離ができません。その結果として、航空保安上の問題、さらには出入国管理上の問題を抱えておるという意味で、この改善というのが喫緊の課題であったわけでございます。  この国際線ターミナルの計画については平成元年に計画案を地元の愛知県にお示ししております。そして、平成三年から国が実施いたしますエプロン等の公共事業についての予算措置を行いまして工事を進めてまいったところでございます。  そして、先生今御指摘の中部国際空港との関係でございますが、平成八年十二月に閣議決定されました第七次空港整備七カ年計画におきまして、中部国際空港の事業着手が盛り込まれました。そこで国の実施するエプロン、駐車場等の公共事業につきましては見直しを行いまして、事業費で二〇%の縮減を行っています。また、早期にこの機能を拡大するということで、エプロンについては平成九年に暫定共用をいたしたところでございます。  それから、もう一つお尋ねのターミナルビルの方でございますが、これは名古屋空港ビルディング株式会社が建設をしておるわけでございますが、平成九年五月に着手をいたしました。その後、開港時期等、中部国際空港の建設のスケジュールが明らかになってまいりましたので、事業費の低廉化を進め、約一〇%弱の縮減、さらには、将来の転用を用意するために柱の間隔を長くするなど工夫をしたというふうに承知をいたしているところでございます。
  164. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今政府委員から御説明申し上げましたし、八田委員からもお話しございました、私ども、二〇〇五年中部国際空港開港を目指しております。それまで、名古屋空港を今日の需要に照らして一切いじるなという御意見もあるようでございますけれども、私どもとしては、今日の状況にかんがみてある程度の整備をしていかなきゃならぬという思いでやらせていただきました。
  165. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 いじるなとか、そういうことは全然言っておりません。ただ、新空港が二〇〇五年に開港するとすれば、ここは六年間使うだけなのに五百二十五億円という巨額な税金を投入したんですかと伺っているわけです。  需要は急増すると今言われましたが、これは四月五日の新聞ですが、ここに何て書いてあるか。使った方ですが、「出張で久しぶりに名古屋空港へ。」、「国内線の機内に入ってみると、空席ばかりが目につく。二人がけの席に一人ずつ座っていても、それでもガラ空き」、「国際線も不況風は同じこと。名古屋発の路線が、どんどんと減っている」と報道されています。つくると決めたらどんなに事情が変わろうとどんどんと進める、むだな公共事業の典型ではないかとマスコミでも取り上げているわけなんです。  この中部国際空港というのは第七次空港整備計画に基づいて推進されていますが、三兆六千億円の投資額。しかしこの計画の根拠法令はないというものなんです。新聞記事にも生々しい声が出ておりますように、実際に、空港の調査でも航空需要は頭打ち、昨年度は前年度とほとんど同じで、一路右肩上がりと予測する過大な航空需要試算には現実性がありません。  新空港は、採算性のみならず、漁業への重大な影響、自然環境の保全から見ても無謀な計画です。こういう中部新国際空港建設計画の中止を強く求めまして、私の質問時間が終わりましたので、終わります。
  166. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  ガイドライン法案にかかわる問題について質問いたします。  まず、官房長官にお伺いいたします。一部の報道によると、北朝鮮の核開発疑惑をめぐる緊張が高まった一九九三年秋ごろ、政府部内に当時の石原信雄官房副長官の主導で内閣安保室を事務局役とし、これに外務省、防衛庁、警察庁を加えた四省庁会議なるものが秘密裏に発足され、朝鮮半島有事を想定した対策を検討したとあるわけですけれども、これは事実かどうか。端的にお伺いいたします。
  167. 野中広務

    国務大臣野中広務君) お答えいたします。  委員今御指摘のとおり、一九九三年ないし一九九四年当時の北朝鮮の核開発問題につきましては国際社会が大変憂慮した事実でございまして、当時政府といたしましては、仮に国連の安全保障理事会で何らかの措置が決定される場合には我が国としても憲法の範囲内で責任ある対応をとる必要があると考えたところでございまして、このため、政府におきまして関係省庁間で情報交換等を行いましたほか、各省庁におきましてもそれぞれの立場から所掌事務の範囲内においてあらかじめ必要な検討を行ったところでございます。  しかしながら、その後情勢が好転をいたしました等のこともありまして、各省庁が検討結果を取りまとめて内閣官房に報告するとか内閣官房がみずから何らかの取りまとめを行うとかいった状態には至らず事を終わった次第でございます。委員、御指摘がございましたけれども、秘密裏に行ったということではありません。
  168. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 官房長官、いいかげんなことを言わないでいただきたいと私は率直に思うんです。  これは当事者の証言もあるわけです。先月四日放送のテレビ朝日系番組「ニュースステーション」では、「検証 ガイドラインの原点」と題する特集が組まれました。この中で、九三年九月、総理府の五階の会議室で石原官房副長官を中心に四省庁から局長クラスが出席して検討会議を発足させたと報道しているわけです。  それで、この番組には石原氏自身が登場して、この四省庁会議の存在は事柄の性質上極秘扱いにしたと証言しているんです、本人が。検討会議では、外務省や防衛庁が米国から得た情報をもとに、事態の進展や米側からの対日支援内容について分析を行ったとあります。そういうことではないんですか。  具体的にそういう場でどういう検討をされたのか、それをお伺いしたいと思います。
  169. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 当時の石原官房副長官が申されたとおり、それぞれの所掌事務につきまして、対応すべき内容について検討をいたしたわけでございますけれども、結果として、検討結果を取りまとめて内閣官房で何らかの取りまとめを行ったということには至らなかったわけでございます。
  170. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 四省庁会議が開かれた、そしてそれが事柄の性質上極秘裏に行われた、そして伏せられたということをわざわざ述べているわけです。その点でさらに、番組の中には当時の坪井内閣安保室長も登場しているわけです。そして、四省庁会議では経済制裁の実施から朝鮮半島での武力衝突に至るまでのシナリオを想定し、各段階で必要な対応策と法的措置を検討したと言われているわけです。特に、米軍への後方支援などを可能にするために有事立法まで練った、そういうことが言われているわけです。  ですから、官房長官はそれはなかったとか省庁間の意見交換を所掌範囲でやったまでだとか、そういうことを言われるけれども、石原氏自身が、当時の責任者ですよ、官房副長官として切り盛りした彼がそう証言している。私はやっぱりそれは重大な事態だと率直に思います。  そこで私は、官房長官がそういうふうに言われるならば、やはりきちっと調査して後日回答いただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。
  171. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 私、行っていないとも言っていないわけでございます。事実開催をいたしましたと。ただ、事態の変化に伴ってそれを取りまとめて一つのものにするようなところに至らなかったということを申し上げたわけです。
  172. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 四省庁会議。
  173. 野中広務

    国務大臣野中広務君) 四省庁会議、やりました。ありました。
  174. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 四省庁会議が行われたと認められました。先ほどはそう言われなかった。今そういうふうに認められた。これはやっぱり非常に大事な点だと思います。  そこで、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。この番組には石原氏のほかに当時の防衛庁幹部が複数登場しているわけです。その中で、当時の冨澤陸上幕僚長、林崎海上幕僚長らが重大な証言をしております。それは、四省庁会議と連動して既に統合幕僚会議では在日米軍から受領した朝鮮半島有事の際の自衛隊に対する支援要求リストをもとに、より具体的な検討を進めていた、そういうものです。  例えば冨澤氏は、在日米軍に対して要求内容を問い合わせたところ、相当の量の要求が来たのでこれは各幕も一緒になって検討しようということになった、そうはっきり述べているわけです。  米軍は九三年の時点から統幕に対して支援要求を示していた、このことはこういうことからも明らかではないか、そう思いますけれども、長官いかがですか。
  175. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 毎回申し上げているところでありますが、日米間においては日米安保体制のもとに、この時期にかかわらず平素からさまざまなレベルで安全保障上の情報交換や意見交換を行ってきているところであります。その中で、緊急事態に際しての米軍に対する我が国の支援についてもさまざまな形で議論が行われていることは確かでございます。  このような意見交換や検討内容の具体的な内容につきましては、私どもとしては米国との関係もあり対外的に明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、そのテレビに出た当事者が申したように米国から支援要求として固まったものを政府として受領したわけではなく、またそれをもとに防衛庁として米軍に対する具体的な支援内容の検討を行ったという事実はないと思います。
  176. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 テレビの幕僚長は、固まったものを受け取っていないとかそういうことは言っていないんですね。相当量の要求が来た、したがって各幕も一緒にそれを検討することになったと。これは非常にはっきりした話なんです。  それで、長官は米軍の支援について議論が行われたということは認められました。しかし、こういう形で相当量のものが来て各幕が検討した、これは当時の責任ある制服組のトップがそう証言しているわけですよ。では、この点は冨澤氏がでたらめを言っているのか、そういうことになってくるわけですね。ですから、私はその点が非常に重大な点だというふうに思います。当時の関係者がこういう形で証言しているわけですから、そのことを認めずに、隠そう隠そうというそういう姿勢は私はやっぱり問題だということを指摘しておきたいと思うんです。  この証言は当事者のものだからというだけじゃなくて、極めて私は信憑性の高いものだと思います。それはこのことを裏づける資料があるからです。  その資料というのは、統合幕僚会議が九三年に作成した極秘の研究の一部、タイトルは「在AのB軍に対する後方等の支援」、そういうふうに題する資料ですけれども、この資料は、九三年三月の北朝鮮NPT脱退表明を受けて、統幕が朝鮮半島有事が発生する可能性を想定して、日本が平時の前提で自衛隊による在日米軍への後方支援を研究したものです。  資料には支援項目が十ページにわたって列挙されている。内容も、施設、整備、輸送、衛生など計十二項目、さらに四十八項目に細分化されて整理しているわけです。中身で言いますと、例えば洗濯業務から化学等の汚染の除去まで多岐にわたっているわけです。中には、戦死した米兵の仮埋葬地の提供まで含まれている。これは本当に驚くべきだと思うんですね。  しかも、重大なのは、これらの支援項目が日米の秘密研究と言われる有事相互支援、CMSと言われておりますけれども、CMS研究における米軍からの支援要求項目に準拠して設定した、そういうふうにこの資料に書かれているわけですよ。有事版ACSA、物品役務協定の締結を想定した有事相互支援研究なるものが日米間で秘密裏に進められていた、そういう事実をこの資料は初めて示す、そういう中身になっているわけです。  防衛庁長官、こうした研究が行われていたことについてこれまで報告を受けられていますか。
  177. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 先ほど来、委員が質問されている時期において私どもが研究したテーマというのは、現行法制の中でどのような対応が防衛庁としてはできるかという問題について主な検討を加えたというのが実態であります。  委員がお持ちの資料がどこからどういう経路で出たものか、果たして防衛庁のものか、私どもは関知しないところでありますが、この間も御党の方から出された資料は、防衛庁の資料というよりは共産党が大要をまとめたものだという御資料でありましたから、そういう意味で、この資料に覚えがあるかと言われても、私はそういうものは見てもいないし聞いてもいない。とにかくまとまった形でそういうものを米軍から受け取って、それについて私どもが対応について検討を加え、何かを固めたという事実は全くないということだけは申し上げておきたいと思います。
  178. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 これは長官、そう言われるならばぜひ調べていただきたい、こういう資料があるかどうか。これは確かな資料であって、そしてまた、さきの衆議院のガイドライン特別委員会での資料というのは、原資料を私たちがそれをソースを守るために打ち直したものだということ、そして提出したものだということを述べておきたいと思うんです。  それで、今いみじくも長官が言われたように、できるかできないか現行法制のもとで検討したと言われた。この資料には、四十八項目ごとに、自衛隊が支援を行う上での問題点として能力面と制度面の両面から検討を行っているわけです。支援実施の可能性を、能力も制度もあるものについては丸、能力はあるが制度がないものについては三角印、能力も制度もないものにはバツ印をつけて示しているわけです。  私、資料に基づいて集計してみましたけれども、四十八項目の内訳は、丸印が二十項目、三角印も同じく二十項目、バツ印は七項目、防衛施設庁の実施項目は一項目となっているわけなんです。全体的に制度上の制約や問題がある事項が非常に多いけれども、資料には、全般の評価として、これらはACSA締結とそれに関連する法整備で支援が可能となるものがほとんどである、そのようにこの資料に書かれているわけですよ。そういう形でACSA締結とそれに関連する法整備、これはまさに今のガイドライン関連法案を指しているわけで、項目内容も符合している、そのように言えると思うんです。このときの検討がガイドラインの関連法案の下敷きになった、このことは明らかだと思います。  この中で具体的な内容を一部紹介したいと思うんですけれども、例えば輸送支援の項目の中には、米軍のための国外輸送が挙げられております。その評価では、小規模輸送は可能だが、PKO活動と競合し、紛争地域内では攻撃対象となるので、したがって米軍のための国外輸送は実施できないと述べられているわけなんです。  また、衛生支援の項目でも、国外からの米軍の患者後送が挙げられている。患者後送というのは、米軍の傷病兵を日本に送るということです。この評価についても、外国と日本の間の後送は能力的にも困難で、衛生専用の表示をした艦船、航空機を保有しないことから、紛争国地域からの患者の後送は攻撃対象となるとしているわけです。  ガイドライン関連法案では公海上の支援となっているわけですけれども、この資料では紛争地域内や紛争国地域となっている。この表現は他国の領土や領海を意味する、そういうことにならざるを得ないと思うんですけれども、長官、防衛庁ではこういう立ち入った検討をしたことがあるんですか。
  179. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) この間来、共産党の皆さんから出されている資料は私も重大だと思いまして、もしあるならばといって徹底して調べさせたら、ああいう書類は実在しないということがわかりました。今委員がお示しのものも、あるいはそういう実在しなかったというものの検討過程の中の一つじゃないかと思われるわけですが、今そういう書類は防衛庁にはございません。  先ほども官房長官からお答えしたところでありますけれども、委員が先ほど御指摘平成五年とか平成六年当時の北朝鮮の核開発問題につきましては、その後、情勢の好転等もありまして、さっき委員指摘の四省庁会議も途中でさたやみになりましたし、防衛庁としても米軍に対する支援を含め検討結果の取りまとめを行うといった状況には至らなかった、こういうことでありまして、今委員がおっしゃったようなことが真剣に議論されてまとまったものとなったということは全くないということを改めて申し上げておきたいと思います。
  180. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今長官は重大なことを言われました。要するに、私が示したこの資料というのは、検討過程一つかもしれないけれども、しかしそういうものはないと断言された。なぜ断言できるのですか。私はそれをまじめにきちっと調べていただきたい、このことを要求しておきたいと思うんです。  この資料を見ても、ACSAにより対応可能とされる項目の中には医師、看護婦の派遣が含まれているんです。米軍から医師、看護婦の派遣が求められ、自衛隊だけでは対応できない場合、国公立病院や民間病院からの派遣が当然あり得るということで、ガイドライン法案の中にはそれが書かれているわけです。  この資料の医師、看護婦の派遣の評価、これを見ると、米軍からの要望人数によるとされて、人数によっては派遣可能な人員がいないことがある、そう書かれている。では不足分はどうするのか。ほかの病院から協力を得て補うことになる、そういうことになるんです。そのほかにも、役務の提供等として作業員やドライバー、通訳者などの役務の提供も明記されている。これは結局国民を総動員することになる、私はそう思うんです。  ですから、私はガイドラインのルーツ、下敷きについてきょうここで取り上げましたけれども、そういうものが九三年来ずっと積み上げられて、そしてこのガイドラインの法案になってきた。米軍の当局者は、ガイドラインの項目の九割は米軍の要求によってできていると言っております。そしてまた、今ガイドラインで法制化されようとしているその中身は米軍の本来の要求の七割、八割ぐらいだ、そういうことも言われている。私はそういうものとしてこの問題は非常に重大だと思うわけです。  そこで、最後に私は長官に伺いたいんですけれども、一つは、こういう経過のある問題、しかもぴったり今のガイドラインと符合する、こういう問題。この問題について、やはり私はきちっとした形でこうした経過を、一体なぜこういう形でこれまで出てきて、そして今日に至っているのかということについてもきちっと押さえていただきたい、このことを要求しておきたいと思います。  ちょうど時間になりましたけれども、私の方で最後に、ガイドラインの問題、私はここできょうルーツのことについて述べましたけれども、やはり非常に危険なものだ、自治体でも百五十四自治体が反対決議を今日まで上げているという事態がある。そのことを述べて、質問を終わりたいと思います。
  181. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今医師や看護婦の例を挙げて大量に総動員される、いかにもガイドライン法案が総動員法だというような御趣旨の御主張だったと思うのでありますが、御案内のとおり、私どもは、この法律によって協力をお願いする場合でも、相手はいつでも拒否権がある、断ることは自由であって、何ら罰則も何もついていないということを考えまするに、総動員法であるなんということは全く考えておりません。
  182. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 もう一言。
  183. 久世公堯

    委員長久世公堯君) もう時間が参りました。
  184. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  まず、電源開発特別会計について通産大臣にお聞きをしたいと思います。  電源開発特別会計は、通産省分と科学技術庁分を合わせて毎年約五千億円が計上されております。しかし、その五〇%以上が原子力のために支出をされています。これに引きかえ、風力発電、太陽光などのいわゆる自然エネルギーのための支出は、電源多様化勘定の中で三百億円前後、約六%にしかすぎません。原子力予算と自然エネルギーの予算でなぜこんなに額が違うのでしょうか。
  185. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 福島先生にお答えいたします。  まず、原子力発電についてでございますが、これはいわゆる非化石燃料エネルギーとしてその導入に最大限努めていくことが必要だと考えております。このため、安全の確保に万全を期すことは当然でございますし、また、国民理解をいただくように努力することもまた必要なことでございます。また、産業振興による地域活性化支援など地域の振興策の充実に努めることといたしているわけでございます。  一方の太陽光発電、風力発電等新しいエネルギーについては、現時点においては経済性、量的な制約、出力の安定性等の課題があるものの、非化石エネルギーとして大きな期待が実はされているわけでございます。このため、効率向上やコスト低減などのための技術開発、住宅用太陽光発電の普及促進、地方自治体や事業者による風力発電等の導入に対する支援を行っておりまして、平成十一年においては電源特会の新エネルギー関連予算について対前年度五十九億円の増額、すなわち五百二十六億円を計上しているなど、近年、着実にその増加に努めてきております。  太陽光発電、風力発電等の新エネルギーや原子力発電は、ともにその導入に最大限努めていくことが地球温暖化対策やエネルギーのセキュリティーの確保の観点から私どもとしては必要不可欠であると考えております。今後とも、新エネルギーの開発導入の促進、原子力発電の立地推進等に向け全力を挙げてまいりたいと考えております。
  186. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 新エネルギーを応援するという通産大臣の積極的な考えを聞かせていただいて、大変ありがたく思います。  ところで、欧米では、自然エネルギーの普及に高い目標を設定して予算措置や優遇措置を講じております。EUの指針案では、二〇一〇年までに一次エネルギーの供給の一二%を自然エネルギーにしようというEU指針案を出しております。デンマークやスウェーデンはもっと高い目標設定をしております。しかし日本では、新エネルギー、太陽光、風力、ごみ発電、地熱など、導入大綱での現在の一%を二〇一〇年には三%にするという低い目標しかなく、この達成すらも危ぶまれております。  日本は欧米より自然エネルギーの利用は進んでいないというふうに考えておりますが、なぜ欧米より低い目標設定しかできないのか。大臣は自然エネルギーを促進する気がおありであると思いますので、この点についてお答えいただきたいと思います。
  187. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まず、今先生が言及された問題というのは実は大変重要な問題でございまして、通産省はむしろ先生と同様にこの新エネルギーの開発ということは長年やってまいりました。  昔、サンシャイン計画というのとムーンライト計画というのがあって、一つは新エネルギーの開発、ムーンライトというのはどちらかというと省エネの方でございました。私も世界じゅうのそういう施設を見てまいりました。  まず、太陽光発電というのは、ある程度技術的なブレークスルーがあって、ある程度の補助をしますれば、例えば家庭と申しますか一戸建ての屋根の上にそういうパネルを張りますと一定量の家庭の需要を満たすというところまで参りました。ただ、これもまだまだ補助を出しませんと経済性に乗っておりません。  風力発電も相当各地で実験をしておりますし、世界でも注目されているわけですが、先ほどもお答え申し上げましたように、やはり規模の問題、それから、風は吹いたりやんだりいたしますので、供給の安定性の問題がもちろんございます。  地熱発電はよさそうに思った時期も私個人はありますが、地熱は地熱で実はいろいろな問題がございます。硫化ガスが出てくるという問題も一つありますし、なかなかこれも、どの地点で地熱発電をやったらいいかというような問題もあります。  そのほかにいろんな新エネルギーというのは考えられております。例えば海の表面の温度と海の非常に深い部分との温度差を利用した発電というものも考えられましたし、また波のうねりを利用した発電というものも考えられましたし、いろいろなものを考えてやっております。相当のお金を使っておりますが、量的な面でそこまで到達できるかどうかという点については、まだまだ自信を持てるというところまでは技術のレベルが行っていないということだろうと私は考えております。
  188. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 この三%の目標達成をもう少し上げていただくという、そういうふうに前向きに検討してみるというお気持ちはおありでしょうか。
  189. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) その目標というのは、ある種の技術が将来どう発展するかといういわば科学的に推論をした数字でございまして、推論をするに当たってはある程度の根拠があっての推論でございますから早急に変えるわけにはまいらないと思いますが、私も先生と同じように、そういう分野のエネルギーが日本の全エネルギーの消費量のもう少し大きな部分を担えるようにするための政策が必要だと。そのための基礎研究も必要だし、応用研究も必要だし、あるいは立ち上がりの段階での政府のいろいろな支援策というのも必要だと。私は、総論では先生と全く変わらない考えです。  もちろん、先生がそういう御主張であれば、三%というものがふやせるかふやせないかということは真剣に勉強をしてみたいと思っています。
  190. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 先ほど自然エネルギーについてもお金をつぎ込んでいるというふうにおっしゃっていただいたんですが、配付資料の三十四ページにあるように、原子力のためには似たような名前の交付金や補助金が次々つくられ、この特別会計の始まった時点に比べますと十倍以上になっております。この特別会計ができた一九七四年度から現在までに、特別会計と一般会計を合わせて八兆円以上、物価上昇率を考慮に入れますと十兆円にも匹敵する国の資金が原子力につぎ込まれております。その結果、「もんじゅ」の火災事故、再処理工場の爆発、処理ができない核のごみなど、問題をたくさん出しております。  こういうお金の使い方を見直すべきときではないでしょうか。通産大臣にお願いします。
  191. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私は、予算の配分については正しい配分であったと思います。「もんじゅ」の事故等はいわば設計のときの若干の考慮不足と、あれはいわゆる液体ナトリウムの温度をはかる機器の部分の根っこが破れた、壊れた事故でございますが、やはり設計の問題であったと思います。  また、火災が起きたという話は、あれは低レベル廃棄物を充てんするところの施設で起きた事故でございますが、これは明らかに古い施設を使っていて、また運転上の不注意が、作業上の不注意と言った方が正確ですが、そういうものがあったと思うわけでございます。  原子力というのは非常に大規模なプロジェクトでございますから、研究開発には非常にお金がかかります。それから、施設も相当のお金がかかりますので、見かけは大変大きなお金を使っておりますが、それには使わざるを得ない必然性もあるわけでございますし、また地域振興のためにも、地方公共団体への御協力をお願いする際に立地交付金等も相当やっておりますので、そういう額になっているわけでございます。
  192. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 自然エネルギーも地域の振興や雇用の拡大に大変役立つと思いますので、税金の使い道については自然エネルギーを重視する方向でぜひよろしくお願いします。  次に、広報についてお聞きいたします。  この特別会計の中で原子力と自然エネルギーへの広報予算を比較してみますと、原子力には通産省だけで三十五億円以上、科学技術庁も同じ額ぐらい、合わせて一年間で七十五億二千二百万円の広報費を通産省と科学技術庁は原子力についてだけで使っております。これ以外に地方への交付金の中で広報費が使われることもありますから、原子力についての広報予算はもう極めて莫大というふうに言っていいと思います。しかるに、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーには特別な広報予算は組まれておりません。  まずお聞きしたいのは、通産省も科学技術庁もテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などは、例えば科学技術庁は二億七千百万円です。科学技術庁は残りの三十七億というお金を原子力の広報として一体何に使っておられるのか、教えてください。
  193. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  科学技術庁におきましての原子力関係の広報関係予算、御指摘のとおり平成年度におきまして約四十億円弱というふうな状況でございます。  その使途につきましては、具体的な事業ということにつきましては、今先生が御指摘になられましたテレビとかラジオ、こういったメディアを使っての広報のほかに、行ってございます事業と申しますのは、例えばシンポジウムでございますとかフォーラムの開催でございますとか、それから例えば子供さんに原子力というものについて御理解をいただく、そのために一種の体験型とでも申しましょうか、そういうふうなイベントを開催いたしまして、お子様方にまさに原子力というものを本当に正確に御理解いただくためのいろんなイベントというものも行ってございます。  そういうための経費でございますとか、例えばこれも同じような発想に出ているものでございますけれども、放射線というものを正確に御理解いただくためには、例えばガイガーカウンターのような、これは「はかるくん」という名前をつけておるのでございますが、それを使って自然にあります放射線をきちんとはかっていただいて放射線というものを体感していただく、そういう機械を貸し出しながらそういう事業を遂行しておる。  こういったもろもろの経費を総計いたしますと、先ほど申し上げましたような数値に相なるわけでございます。
  194. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 新聞、テレビ以外に三十五億というのは非常に額が大きいと思います、これは全部税金ですから。  小学校などに原子力のポスターなどが張ってあることがあるんですが、なぜこれが自然エネルギーにならないんでしょうか。  それと、三十五億の支払い先について、主なところを幾つか挙げてください。
  195. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  三十五億円の支払い先につきましては、突然の御質問でございまして、今手元に資料を持ち合わせてございませんが、私の記憶にあるところだけちょっと御紹介を申し上げますと、財団法人原子力文化振興財団というふうな公益法人がございます。  これは、私どもが先ほど申し上げました種々の事業を行いますに当たりまして、国家公務員みずからというのはなかなか具体的には難しゅうございます。それでセンスも、国家公務員のセンスと申しますのはいわゆるこういう事業を行いますにいささか欠けておるところがございまして、そういうところも補っていただくという意味におきまして、いわゆるプロの方々に仕事をお願いするということで、今申し上げましたようなところに委託という形で事業を行っておるという状況でございます。
  196. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません、この決算委員会でも私の方でも結構ですので、後ほど三十五億円の細かい使途についてお知らせいただくことはできますか。
  197. 青江茂

    政府委員(青江茂君) 調べまして、後ほどお届けさせていただきたいと思います。
  198. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ありがとうございます。  ところで、特別会計の執行状況を見ておりますと、原子力のために組まれた予算が一千億円以上未執行になっております。電源立地勘定、電源多様化勘定、それぞれ毎年度一千億以上、一九九七年度で一千六百七十三億円未執行になっております。この理由は一体何なんでしょうか。
  199. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘の歳入予定額と歳入決算額の差でございますが、この歳入決算額は、当該年度税収、雑収入の決算額に前年度剰余金決算額を加えた形で行ってございます。前年度からの剰余金決算額を前年度から当該年度に繰り越しいたしますので、その繰越金や前年度の不用額を含めていわゆる決算の歳入となっております。  この電源特会は、税収をそのまま特会に入れ、また特会からその用途に支出するという形になってございますので、例えば立地のおくれがあったために交付金の支出が予定よりもおくれたというような場合がございます。また、節約などで将来に備えるという部分がございまして、そういった意味での繰り越し、あるいは剰余金の形のものを毎年決算の段階で歳入決算額の方に入れるということで、予定の収入よりもオーバーした収入になっているというものでございます。
  200. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 毎年税金が、場合によっては一千六百億円、一千億円以上積み残しがあるというのは変だと思うんですが、この未執行の積み残し予算を自然エネルギーに振り向けるということは可能でしょうか。できたらお願いいたします。
  201. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) この繰り越しをしております歳入決算額と予算の収入額との差は年度によって異なってございまして、例えば御指摘の六年度には千六百億、九年度では一千億、これは立地の状況等々で変わってきてございます。  先ほど大臣から申し上げましたが、例えば原子力につきましては、四十九年度以降現在まで、特別会計で原子力委員会報告をいたしました通産省の原子力関係予算は一兆六千五百億、一般会計を含めて約一兆七千億弱でございます。  これに比べまして新エネルギー、大臣からサンシャイン計画を申し上げましたが、ニューサンシャインを含めまして現在まで、同じ四十九年度から平成年度まで、一般会計を含めまして研究開発費が約六千六百億、これの普及費が千五百億、約八千億を投じて新エネルギーをやっておるところでございます。  そういった意味で、大臣から申し上げましたように、新エネルギーについても通産省として相当の努力をしながら進めていると考えてございます。
  202. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 通産大臣に最後にまたお尋ねします。  きょう質問したように、広報予算がほとんど原子力に、七十五億二千二百万円が少なくとも原子力にだけ使われている、あるいは他のところでも電源開発特別会計が原子力のために使われている。これをもう少し自然エネルギーに、あと十倍、二十倍の予算をつけていただきたい。広報も、原子力だけではなくて自然エネルギーの方の広報もしていただきたいと思いますが、大臣のお考えをぜひお聞かせください。
  203. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まず、例えば実験施設をつくりましても、原子力と自然エネルギーの実験施設というのは相当規模が違って、それ自体予算の規模として全く違うけたの予算になるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。ただ、先生が御指摘のように、やはり自然エネルギーというものも大変有望なものであることは私は疑う余地のないことだろうと思います。  これは、国民の御理解をいただくということも一つですし、また自然エネルギーをどうやって利用することが最も効率的であって、なおかつ実用化に結びつくかということも一つの大きなテーマでございます。また、自然エネルギーを利用するときの立ち上がりというのは、実際に政府がいろいろ支援策をいたしませんと立ち上がらないという部分もございます。  したがいまして、通産省としては、原子力ももちろん熱意を持って取り組んでおりますが、先生が御指摘になったように、今後とも自然エネルギーの利用また開発についてもさらに重点的に取り組む、そういうことをぜひ御理解いただきたいと思っております。
  204. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません、最後で申し上げましたが、今前向きに答弁していただきましたので。  立ち上がりと事業をやっている最中に経営が非常に不安定になるなどありますが、与謝野通産大臣は、例えばどういうことをすればもっと自然エネルギーが促進されるとお考えでしょうか。
  205. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 例えば太陽光発電という例をとってみますと、太陽光発電の技術の歴史は、まずシリコンを結晶として使って発電をしていた時期がございます。その後、実はアモルファスシリコンといういわゆる非結晶、非晶と呼んでおりますけれども、非晶のシリコン、これはシリコンを熱で蒸発させて薄いフィルムに蒸着させるという技術ができました。最初は太陽の光が当たってもエネルギーの転換率が一、二%だったんですが、これは日本を中心に相当研究が進んで、経済性が達成できる一〇%のところまで太陽光発電のユニットができたわけでございます。  しかし、そこまで研究開発が進みましたが、ある程度それを実用化するためには量産体制でそういうものをつくらないといけないわけでございます。これから新築する家でなるべくそういう多くのものを使っていただいて、それが量産効果を生んで、それが実際の太陽光発電の原価を下げていく、そういう道筋をたどらなければならないわけでございますので、今は太陽光発電を導入する新築の家には補助金を出してそういうものを利用していただく、利用者がふえますと量産効果が出て全体のコストが下がっていく。  そういう意味で、立ち上がりと申しますのは、新しいそういうエネルギーを導入するときの立ち上がりを援助しませんと、量産効果としてのコスト減が望めない。そういうことで、今太陽光発電には、特に一般の利用には政府がきちんとした補助金を出している、そういうことでございます。
  206. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 一戸建ての補助もさることながら、ビジネスに対する補助の方もぜひお願いします。また今後もこれはお聞きしたいと思います。  次に、米軍への港湾・空港施設等の使用料の免除などについてお聞きしたいと思います。  最近五年間の在日米軍駐留関連日本側負担経費ですが、防衛施設庁分として例えば次の八つがあります。一、提供施設の整備、二、労務費、三、光熱水料等、四、訓練移転費、五、周辺対策、六、施設の借料、七、リロケーション、八、その他などがあるわけですが、この根拠は何なのでしょうか。
  207. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 在日米軍駐留経費につきましては、日米地位協定第二十四条及び平成年度より効力を有している在日米軍駐留経費特別協定に基づいて我が国が負担しているところでございます。  具体的に申し上げますと、提供施設整備費については、日米地位協定二十四条二に基づいて我が国が負担しております。また、労務費のうち、福利費等及び国家公務員の給与条件を超える給与につきましては、同協定第二十四条一に言う米国が負担すべき日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費に該当しないことから、同協定の範囲内で我が国が負担しております。それ以外の労務費、光熱水料等及び訓練移転費については、在日米軍駐留経費特別協定に基づいて我が国が負担しているところでございます。
  208. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今おっしゃった特別協定は、例えば一条、二条は経費の全部または一部を負担するとのみあるわけで、全額とは書いてありませんが、これは全額負担しているのでしょうか。
  209. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 特別協定に基づきます負担につきましては、毎年、予算に計上いたしまして国会の御承認を得ているわけでございますが、その算定につきましては、日米間の特別協定の附属の文書で概算要求の算定の仕方について決められておりまして、それに基づいて防衛施設庁の方で概算要求を行う、こういう仕組みでございます。
  210. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 きちっと根拠と照らし合わせて妥当かどうかという議論をしたかったんですが、時間が足りなくなったので、ちょっとはしょります。  小樽に一九九七年、インディペンデンスが寄港したときに、小樽市に対して、港湾の利用料として五百十六万円、交付金として一千七百万円払ったりしております。不安になるのは、もし周辺事態法が成立した場合に、自治体や民間にお金を払う場合に一体どれぐらいになるのかということです。どういう試算をしていらっしゃるのか教えてください。
  211. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 周辺事態法には、九条で、御承知のとおり、地方公共団体あるいは民間の方にいろいろ御協力をお願いするという規定を設けております。ただ、その場合、それぞれの契約に従って対価が支払われるというのが通常だろうと思います。また、例えば防衛施設庁の方で予算措置をしていただくというようなものもあるわけでございまして、その辺の決済と申しますか、対価の支払いは現在と同じ仕組みになると思います。  さてそこで、では幾らぐらいに見積もりがなるかということでございますが、これはその事態ごとに異なるものでございまして、あらかじめ現段階で具体的に確定される性格のものではございません。したがいまして、見積もりということを今申し上げることはできないわけでございます。
  212. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 現在でも、民間のトラックがアメリカ軍の武器弾薬を運ぶということもあるわけですが、例えば民間の飛行機が弾薬を運んでいて攻撃されて墜落した場合、この補償などはどうなるんですか。
  213. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 今の御説明が果たして適当かどうか、私、大変想像しにくい事案でございますが、一般に契約でございますから、何らかの事故ということは考え得るわけでございます。通常の場合は保険等でカバーをしているんだろうと思いますし、またその契約の対価の中に保険料等は入るというのが普通だろうと思います。  ただ、万が一何らかのそういった保険なり何なりでカバーできないような損失というもので、かつ私どもが今御審議いただいております法案九条二項に基づく協力依頼ということと相互因果関係と申しますか、があるような損失があった場合には、それは国庫で負担するというのが周辺事態法案九条三項の趣旨でございます。
  214. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 福島君、時間が参っておりますので、短く。
  215. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今でもいわゆる思いやり予算プラスアルファが六千五百億円、例えば漁業補償でも二十三億六千六百万円など多額のお金がかかっております。周辺事態法案がもし成立して、医療施設が使われる、自治体の職員が動員されることなどがありますと、この金額は途方もない金額になるだろうと思いますが、そのシミュレーションはしていらっしゃらないわけですね。  私は、財政上白紙委任をするような法律そのものは、国民の税金を払う立場からして非常に危惧があるということを申し述べて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  216. 星野朋市

    星野朋市君 私は、失業問題一本に絞ってお尋ねをいたします。  昨日もかなりの時間が失業問題について割かれておりましたけれども、四・六%という高い失業率が二月に出まして、労働大臣それから経済企画庁長官ともに、非自発的な失業は減って自発的失業がふえているんだ、こういうお答えでございましたけれども、それは間違いございませんか、労働大臣
  217. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 一月から比べますと二月は十五万人ふえておりますが、その内訳は、御指摘のとおり、非自発的失業は四万人減りまして、自発的失業が六万ふえ、それからいわゆる新規参入と申しますか、労働市場に参入してくる方等が十二万という数字になっております、これはふえている分です。
  218. 星野朋市

    星野朋市君 それは私にとってはやや納得しがたいところがあるんですよ。というのは、三カ月ぐらい前に一たん失業率が〇・一%下がったときに、労働省の説明は、既に就業をあきらめて安定所に来ない人間がいるんだ、そのために失業率が下がったんだと、こういう御説明がありました。  それともう一つ、二月というのはちょっと特別な季節でありまして、これは毎年の傾向を調べてもらうとわかると思うのですが、十二月に一応賞与をもらった後で若い人たちが一たんやめる、そして一月はのんびり過ごして、二月になって職業を探しに来る。これは自発的な失業者なんですね。  それからもう一つ、さらに私がお聞きしたいのは、リストラなんかに遭って非自発的な失業という人は即失業手当をもらえるわけですよ。自発的な失業者はなかなかそうはいかない、三月ぐらい間があるんです。ところが、リストラによって失業したのか、自分はよりよい職場を求めて失業したのか、こういうものは記録に残るわけですから、再就職のときにそれがどう影響するかということを考えますと、自分は自発的失業者であると書いた方がより有利になるかもしれないんです。  こういうような複合的な問題が重なってそういう結果になったのではないかと思うのですが、いかがでございますか。
  219. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) この調査は、先生御案内のとおり、総務庁が個別面談で書類に記入していただく調査であります。企業側に調査した場合には、当然企業としては相手は自発的に失業したんだと、しかし本音は違うかもしれないという点はあるかもしれません。しかし、個別に当事者に個々に質問をしておりますし、そこは比較的本音が出るんだと思います。それで、その調査票に書くことによってその後の就職云々という影響は考えられないと思いますので、割と正直な気持ちが出ているのではないかというふうに思います。
  220. 星野朋市

    星野朋市君 この一年間に製造業に従事していた人は約五十六万人減っているんですね。それから、かつては製造業とか農業から流れ出た人を受け入れていた建設業、私ちょうど一年前ぐらいに予算委員会指摘したんですけれども、やがて建設業は受け入れではなくて吐き出しになるぞと。まさしくこの一年間はその状態が出まして、二十一万人減っているんです。  それで、それをどういうところが幾ら受けたかというと、運輸・通信業で五万人、それから卸・小売業で五万人、サービス業で五万人、こういう受け皿になっている。だけれども、一番問題は、一番多く受け入れていたサービス業に受け入れの余地がだんだんなくなってきている。  アメリカはこの一年間に製造業で三十八万人雇用が減りました。だけれども、それをあり余る形でもってサービス業が受け入れたんです。日本というのは今どうなっているか。従来型の産業で、業績は当然のごとく余りよくない会社、これは、運転資金の申し込みその他を金融機関に対していたしますと、大体今や常道的にリストラ計画というのを出させられるような状態。そうすると、製造業からの人の流出というのはこれからますます大きくなると私は思うんですが、今の経過を聞いてどうお考えになりますか。企画庁長官でも結構です。
  221. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) まことに御指摘のとおりでございまして、日本の求人・求職数を見ますと、確かに製造業、それから建設業も減少に向かっているところがございます。これをサービス業が吸収してきたのでございますが、最近になってこのサービス業の吸収度合いがかなり悪くなってまいりまして、最近ではそれもマイナスというような月も出てまいりました。  アメリカの場合と比較がございましたが、日本とアメリカと見ますと、どういうところで就業者が多いか比率をとってみますと、日本の多いのはやはり製造業でございまして、これが就業者の二一・二%、アメリカは一五・八%。それから農業も幾らか多いんですが、建設業が日本は一〇・二%、アメリカは六・五%。これに比べましてアメリカの多いのは、金融業が意外なことに六・五%、日本は三・九%でございます。それからサービス業がアメリカが三五・九、日本が二五・九と一〇%多くなっています。  そういう意味でいいますと、アメリカの産業構造は日本よりもはるかにソフト化しているということが言えると思います。日本でもこれからの経済運営の中で、こういったサービス業、特に先端的なコンピューターサービスばかりではなくして、もちろんこれは大事なんでございますけれども、家事のアウトソーシング、高齢者や女性が働きやすくするような家事のアウトソーシングというようなものもふやしていかなきゃいけない。そういうことで、先般の緊急経済対策では、新しい業を起こす人への援助の保証等も始めたところでございます。  先生の御指摘のとおりの労働人口の移動が見られると思います。
  222. 星野朋市

    星野朋市君 アメリカの状況についてはちょっと時間がないので論ぜられないんですが、一九八〇年代、かなりアメリカが金融に特化したときは、逆にアメリカに資金の流入がなかったんです。そして、製造業その他は徹底的にリストラをやりまして、実は何が起こったかというと、アメリカ全体でワークシェアリングが起こっちゃって賃金が相当ダウンしたわけです。今でも大体平均賃金が三万五千ドルから二万五千ドルぐらいの間、ここら辺の層がたくさんふえて中間層がなくなっちゃったんです。それで製造業がもう一回復活した。そこが実は一九九〇年代のアメリカの姿だと私は思っています。これはまあやりますと長くなりますので、あれですけれども。  もう一つ、日本の失業の質の問題です。これは他国に比べて世帯主の割合が非常に多いということ。そうすると、これにつながっている家族の問題を含めると、実は表に出た数字以上に日本の失業は深刻だと思うんですが、労働大臣いかがですか。
  223. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 確かに、世帯主失業が増加いたしております。そして、よく指摘をされることでありますけれども、企業内失業があるではないかと。これを厳密にアメリカ式に企業が余剰雇用を吐き出すとなると、数字はもっと大きくなる。それは御指摘のとおりだと思いますが、日本的な雇用慣行に従って企業に雇用の責任を果たしていただいているということでありますから、それはそれなりの意義がありましたし、これからも労働力を外部労働市場に吐き出さないでどうやって戦力としてバージョンアップをしていくか、そこのところはこれからも大事な課題になってくると思います。  前段の話でありますけれども、御指摘の部分、確かに表に出ている数字以上に気を引き締めて取り組まなければならない部分は多いと思います。
  224. 星野朋市

    星野朋市君 そこで、問題だけ指摘していてもしようがないので、政府に今百万人雇用の創造という計画がありますね。この内容について教えていただきたい。
  225. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 当初提出をさせていただきました百万人の部分は創出と安定でございまして、これは個別事業分野ごとに算定はしておりませんで、全体のGDP押し上げ効果が雇用弾性値にどうはね返るかということを中心にはじかせていただきました。これが三十七万でございまして、あとは労働省の雇用活性化総合プランを駆使して安定維持効果というものを六十四万とはじいて約百万というふうにさせていただきました。  その後に、雇用対策会議で各省庁分野ごとに数字をはじけということで指示が行きまして、そこから出てきたものが七十七万人という数字でございます。この内容は、住宅建設関連ですそ野まで入れますと四十万人、情報通信で十八万、そして介護・福祉で十万、それから観光で九万という内訳になっております。
  226. 星野朋市

    星野朋市君 ただいまの労働大臣の新たな雇用先というのは、恐らく前に連合と経団連がお互いに研究し合ってこういう業種がこれから相当な雇用を生み出すであろうと、それに基づいているんだろうと思うんです。たしかその四分野なんです。一つ違うのは環境問題が入っていたはずです。  それで、今の百万人計画と、今おっしゃった各種別の、この中で確実に雇用がふえるであろうと思われるのは介護の分だろうと思うんです。非常にローテクな、いわゆる人手を要する部分という形で確実にふえます。だけれども、ほかのところはやや疑問なんです。特に、規制緩和が進んで非常に隆盛になったのは通信産業と言いますけれども、去年一年間の例で見ても、運輸・通信を含めて五万人しかふえていないんです。ここは私は非常に疑問だと思っています。  それで、恐らく労働省は今まで失業率は三%台までのことしか考えていなかったのじゃないか、四%以上の失業率というのは想定の中に私はなかったんだと思うんですが、いかがでございますか。
  227. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 数年前、大方の方々がここまで失業率が上がるとは当然予測をしていなかったと思います。  ただ、労働省におきましては、それぞれの失業率の変化に対して機敏に対応できるように精いっぱいの作業はいたしておりますし、特に、昨一年は二回の補正の中で雇用対策という項目を掲げました。そういう項目を明確に掲げ、特に秋の経済対策に関しましては政府の大きな柱のうちの一つということで掲げましたので、それはいかなる事態に対しても雇用に対する不安を極力与えないということで対応しているつもりでございます。
  228. 星野朋市

    星野朋市君 企画庁長官お尋ねをいたします。  昨年七月の臨時国会で、経済・産業委員会で、私は企画庁長官に、日本の潜在成長力は幾らだとお思いですかという質問をしまして、二%ぐらいであろうというお答えをいただきました。それならば、今ある構造改革を伴う経済政策は、構造改革が進めば名目三・五%、進まなければ一・七五だと。この計画をいち早く直しなさい、そうしないと、その数字にとらわれて財政も二通りの計画になっているんです。  その結果の最たるものは、宮澤大蔵大臣もあきれた中期展望というやつですよ。これは、三・五%であろうが一・七五%であろうが、今の財政規模でいくと毎年三十兆もの国債を新たに発行していかないとやっていけない、そういう恐ろしいような、とんでもないような一つの展望がなされているわけです。経済企画庁の数字がそういうものを制約していると私は思うんです。あの計画の中には不思議なことに失業率だけが明示されているんです。もし構造改革が進むならば失業率は二・五%だ、そうでない場合は三・七五%だというように、経済企画庁も三%台までの失業率しか考えていなかったんです。  だから、現状にもうすべてが合わなくなっているんで、少なくともこれは早く計画を直してお示し願わないと、ほかの政府の統計がみんなこの数字に縛られてつくられていくという矛盾を生じると思うんですが、企画庁長官は、今どの程度まで進んでおって、どう考えておられるか。
  229. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 先生御指摘のとおりでございまして、現在ございます構造改革のための経済会計画というのは平成七年の十二月に閣議決定をしております。平成七年という年は、比較的景気がいい年でございまして、実質成長率で三・〇%成長しました。翌年も四・四%成長いたしました。そういう中でつくられたものですから、かなり楽観的な見通しを立てておりまして、御指摘のとおり、構造改革をしなくても一・七五%、したら三・五%の成長をする、失業率も二・五%で抑えられる、こういうような数字をつくっておりました。  ところが、もう御存じのように一昨年の春ぐらいから景気が悪化してまいりました。考えてみますと、この平成七年、八年というのは、景気循環の中でも上昇気流でございましたし、阪神大震災等を含めて公共事業もたくさん出した年でもありました。加えて、携帯電話とか家庭用のファクシミリとかいうような新製品も出て、非常にそういう循環的にいいときにつくったものですから高く見たんです。それで、今になりますと現実とかなり大きな乖離が生じております。  そのことを踏まえまして、小渕内閣は発足いたしますと、最初金融問題、それから緊急経済対策をやっておりましたので、ことしの一月十八日に経済議会に対しまして、小渕総理大臣から、これからのあるべき日本の姿、大体十年ぐらいを見通して日本のあるべき経済社会の姿及びそれに至るべき政策いかんという諮問をいただきました。  それを受けまして、私ども経済企画庁が事務局といたしまして、五つの部会を経済議会につくりまして今鋭意作業をいたしております。そして、第一次的な原案を近く各省に示す予定でございまして、遅くとも今年度の前半、ことしの七月ぐらいには何らかの答申を出させていただいて、従来のものと違った、もっと現実的な対応のできたものを出させていただくつもりで今鋭意作業を行っている次第でございます。
  230. 星野朋市

    星野朋市君 終わります。
  231. 岩本荘太

    岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。最後の質問予定者でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  昨日は大蔵大臣にいろいろ御質問させていただきまして、財政改革といいますか、今の赤字国債依存体質について歳入面から、特に赤字国債がこれからどうなるかということについていろいろと質問させていただきました。時間がなくて最後しり切れトンボになった感がございましたが、きょうはひとつ歳出の方からちょっとアプローチをさせていただきたい、こう思っている次第でございます。  昨日のお話でも、赤字国債、このままでいけば、このままの歳出を予定すれば、当面の予算はことしと同じ三十兆ほどの赤字国債を続けなきゃいけないというふうに理解できたわけでございますが、それではとてもではないけれども国の財政は全く赤字に落ち込む。そうしたときに、やはり歳出面でもいろいろな工夫をしなくちゃいけない。赤字を防ぐには歳出面のいろんなアプローチが必要ではないかということになりますと、昨今の状況であれば、早晩公共事業をどうするかということになろうかと思います。  公共事業につきましては、そういう金の額を減らせという以外にも、例えば非常に割高ではないかとか国民のニーズに合ってないんじゃないかとか、いろんな批判が出ているわけでございます。政府の方もいろんな御努力をされていることは私は存じているつもりでございますけれども、と同時に、私自身、公共事業を否定するわけではございませんで、公共事業は国の発展のためには必要でございますが、やはり批判のされない、みんなからありがたがられる、そういう公共事業にぜひ軌道修正すべきではないか。  今回決算委員にさせていただきましたので、この先、各省庁審査がございますから、機会があれば各省庁ごとにいろいろ御質問させていただきたいと思うんですが、きょうは全体質疑でございますので、全体的な、基本的なことについてお話を伺いたいと思っているわけでございます。  まず、橋本内閣のときでございますが、平成九年十二月に再評価システムの導入ということを総理が指示されて、これに取り組まれておると思います。平成九年十二月ですから、翌年の三月には十年度予算に向けてのいろんな取り組みもされたようには伺っておりますが、今までの取り組みの状況と、これからさらにどうされるのか。こういう見直しというのはずっと続けなきゃいけないと私は思っておるんですが、その辺について官房長官がお見えですのでお伺いしたいと思います。
  232. 野中広務

    国務大臣野中広務君) お答えいたします。  岩本委員からただいま御指摘がございましたように、平成九年十二月の橋本内閣総理大臣の指示を受けまして、公共事業関係省庁におきまして、所管するすべての公共事業について、事業採択後の一定期間を経過した事業を対象にいたしまして再評価を行う再評価システムを平成年度より導入をしたところでございます。  再評価システムへの取り組みの初年度であります平成年度につきましては、ことし、平成十一年三月十九日現在で、再評価を実施いたしました事業の数が六省庁合わせまして七千三百三十一事業でございます。うち、中止をいたしました事業が三十二事業でございます。これは廃止をいたしました。なお、休止いたしました事業が七十事業でございまして、一たん休止するもの、また環境等の手直しで復活をさせるものというようにお考えをいただきたいと思います。  平成十一年度以降も、委員から今御指摘ございましたが、初年度の取り組みの結果を踏まえまして、必要に応じまして評価システムや評価手法についてさらに検討を加える等によりまして適切な再評価を行い、透明性を確保してまいりたいと存じております。
  233. 岩本荘太

    岩本荘太君 ありがとうございます。  こういう見直しはぜひとも続けていただきたいと思っております。  と同時に、昨年の六月に中央省庁等改革基本法が制定され、この中に「公共事業の見直し」というのがあるわけでございます。これは政策評価機能の充実強化ということの中身かとは思いますけれども、「公共事業の見直し」という項目がございます。  ざっと条文を読ませていただきますと、国と出先あるいは地方自治体とのデマーケーションをはっきりさせろという表現のような気がするのと、それから情報公開をしろというのに集約されるのかなというような感じもするんです。  公共事業の見直しという点では大変評価されると思うんですが、これと先ほどの橋本総理の評価システムに対する御検討の関連といいますか、この基本法に基づく見直しについてはどのような取り組みをされて、今どのように動いておられるのか教えていただきたいと思います。
  234. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 基本法第四十六条の五号においては、公共事業の見直しの一環として、費用効果分析を行い、その結果を公表することにより、公共事業の評価の適正化を図ることといたしております。  これを受けて、関係省庁において公共事業の実施前における費用効果分析の共通的運用方針を策定したところであります。今月中に策定予定の国の行政組織等の減量、効率化等の基本計画においても公共事業の評価の適正化について盛り込む予定であります。  地方との直轄事業のデマーケーションとは別の項目であるというふうに思っております。
  235. 岩本荘太

    岩本荘太君 私の理解が悪かったのかもしれませんが、ただ一つ、これは先ほどのいわゆる再評価システムといいますか、それの流れと考えてよろしいんでしょうか。
  236. 松田隆利

    政府委員(松田隆利君) お答え申し上げます。  まさに先生御指摘のとおり、その流れでございまして、特に、この中央省庁等改革基本法におきましては、事業の実施の前後においてそれぞれできる限り客観的な費用効果分析を行うということでございまして、事業の実施後につきましては既にスタートしておるわけでございますが、実施の前における評価を、先ほど総務庁長官から答弁申し上げましたように、今後進めていこうということでございます。
  237. 岩本荘太

    岩本荘太君 わかりました。  それで、さらにことしの一月二十六日ですか、省庁改革に係る大綱が出たわけでございます。私の理解では、先ほど申し上げました二つの再評価システム、あるいは基本法に絡んだ公共事業の見直し、何か各省庁単位のような感じがしてならないんですが、この大綱になって初めて各省庁それぞれ評価部門をつくるということでございますけれども、その上に、上と言ってはおかしいんですが、横並びといいますか、要するに総務省に、全政府的見地からの省庁横断的評価並びに複数の省庁にまたがる政策で総合性確保の見地から行う評価、こういうものが課せられているように思うのであります。これは、総務省が上になってやるというのは私は必ずしも賛成しないわけですが、公共事業そのものが、私も一部携わったことがございますけれども、これを評価して比較をするというのは非常に難しいものであろうと思っております。  ただ、端的に言いまして、公共事業といいましても地域地域に対してのメリットがあるわけでございます。私は石川県でございますけれども、石川県でできる公共事業、これに対する地元の評価といいますか受益者の評価と、例えば北海道でもよろしいですし鹿児島でもよろしいです、そこの地域の方が考えられる評価というのは比較できない。単純な要素だけを抜き取って比較するというのはできるかもしれませんけれども、公共事業はまさに外部経済効果といいますか、いろいろな面の効果があって、そういう面を見ますと、同じ人間ではないですからなかなか比較ができない。その辺が公共事業の評価の大変難しいところじゃないかと私は思っているんです。  そういうことを解決するには、やはりできるだけたくさんの人が評価するというのが大事なことではないのかなと。そういう意味では、総務省に課せられたこういう全省的な横断的な評価というのが大変重要な意味を持っておると思うんですが、これに対します取り組みにつきまして、長官、コメントございますか。
  238. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今おっしゃいましたように、中央省庁等改革に係る大綱においては、総務省は、「全政府的見地から府省横断的に評価を行う必要があるもの」、「複数の府省にまたがる政策で総合的に推進するために評価する必要があるもの」及び「府省の評価状況を踏まえ、一層厳格な客観性を担保するために評価する必要があるもの」等について政策評価を行うことになっております。  現在着手中の公共事業や今後着手予定の公共事業に対する事前の評価やいわゆる途中の評価については、まず各府省が評価を行うことが期待されておりますが、総務省は各府省から独立した立場、各府省とは異なる客観的な立場から政策評価の総合性及び一層厳格な客観性を担保するために評価を行うことがあるということが考えられます。このため、総務省における政策評価の独立性や専門性の確保のために、総務省には第三者的評価を可能にする仕組みを整備することを検討しているところであります。  また、今年度の行政監察のテーマとして現在実施しております公共事業評価制度実態調査においては、各省庁の取り組み状況を把握しておりまして、今後の政策評価の参考とさせていただきたいと思います。  いずれにせよ、今後、政策評価の具体的な実施方法等については鋭意検討を進め、準備に万全を期してまいりたいと思います。  つまり、むしろ各府省が中心になってまず自分自身のことを評価される。その評価の仕方が客観的でまた説得力のあるものであるかどうかということをさらにチェックするということをベースにいたしまして、今おっしゃったような全体を総務省が最初から評価をするということではないわけでございます。
  239. 岩本荘太

    岩本荘太君 実際に事業を計画し実行するのは各省庁であるわけですから、段階的にはそういうことになるかもしれません。  こんなことを言っては失礼かもしれませんが、やはり各省庁というのは縦割り行政の弊害の中で、他部門との関連を軽視と言ってはしかられるかもしれませんけれども、なかなか見えにくいというところがあると思いますので、その辺、よろしくお願いいたしたい。  評価部門につきまして次に質問しようと思ったんですが、いわゆる独立性、専門性を持つということで、内部監査体制ということから脱皮していただけたらというように思いますが、今の長官の御答弁でよくわかりました。  それともう一つは、そういう横断的な全体を評価していくという観点から眺めますと、いわゆる行政監察といいますかそちらの面、事業をしている段階、あるいは事業の終わった後の検査という段階でも、そういう横断的な公共事業の評価というものをしていただくようになりますと、次の年度予算といいますか事業の執行に大いに役立つんではないか、そういうような総合的な体制がぜひ必要ではないかと思うんですが、ぜひその辺をお答え願いたいと思います。
  240. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今おっしゃいましたとおりであります。  総務省は、中央省庁等改革に係る大綱におきまして、「全政府的見地から府省横断的に評価を行う必要があるもの」、「複数の府省にまたがる政策で総合的に推進するために評価する必要があるもの」等について政策評価を行うことになっていることから、事業が完成した公共事業に対する事後の評価については、関係省庁の連携による事業効果の発揮など、縦割り行政の是正等の観点から、また評価結果の将来事業への反映等の観点から評価の対象として取り上げていくものと考えております。  事後の評価はむしろ大変大事なことだと思っております。
  241. 岩本荘太

    岩本荘太君 会計検査院立場から、院長おいでになっておりますので、一言、そういう横断的なものの検査、どういうふうなお考えをお持ちか、お伺いさせていただけたらと思います。
  242. 疋田周朗

    会計検査院長疋田周朗君) お答えいたします。  公共事業につきましては、予算額も非常に多額に上っておりますし、また事業内容も種々にわたっておりますので、私ども会計検査院といたしましては、従来から重要な検査対象と受けとめまして検査を実施してきているところでございます。  いろいろな観点から検査をしているわけでございますが、合規性、経済性、効率性、こういったような観点からの検査結果といたしましては、工事の設計、積算、施工、こういった各段階につきまして不当事項、処置要求事項、処置済み事項などとして毎年検査報告に掲記しているところでございます。  それからまた、これとは別に、有効性の観点から、特に多額に事業費を投下しております大規模公共事業などにつきましては、投資効果が発現しているか、事業の進捗に問題はないかなどの視点に立ちまして重点的に検査を行いまして、例えば平成年度検査報告で申し上げますと、国営かんがい排水事業の施行に当たりまして、附帯する事業の予定実施時期を的確に把握することによりまして、事業の評価にそれを反映させて、事業全体の効果的な実施を図るよう改善させたものを掲記しているところでございます。  今後とも、公共事業が効率的に実施され、事業の効果が上がっているかという観点から、特に各省庁間に関連のある事業につきましてはそれぞれの相互の協議状況、連携の状況に注意しながら、あわせて今後当局側で評価体制の整備を行われるということでございますので、その状況にも即応しながら検査充実に一層努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  243. 岩本荘太

    岩本荘太君 どうもありがとうございました。  先ほど申し上げましたとおり、個別の問題でないとなかなか具体的な討論もできないと思いますので、きょうは基本的なお話をお伺いいたしまして、これをぜひとも今後の議論の参考にさせていただきたい、こう思っております。  どうもありがとうございました。
  244. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 以上で平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件の全般的質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会