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1999-06-03 第145回国会 参議院 経済・産業委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月三日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  六月一日     辞任         補欠選任      武見 敬三君     倉田 寛之君  六月二日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     仲道 俊哉君      小山 孝雄君     世耕 弘成君  六月三日     辞任         補欠選任      前川 忠夫君     藤井 俊男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         須藤良太郎君     理 事                 成瀬 守重君                 畑   恵君                 簗瀬  進君                 山下 芳生君                 梶原 敬義君     委 員                 加納 時男君                 末広まきこ君                 世耕 弘成君                 中曽根弘文君                 仲道 俊哉君                 長谷川 清君                 平田 健二君                 福山 哲郎君                 藤井 俊男君                 前川 忠夫君                 海野 義孝君                 加藤 修一君                 西山登紀子君                 渡辺 秀央君                 水野 誠一君    国務大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       有馬 朗人君    政府委員        科学技術政務次        官        稲葉 大和君        科学技術庁長官        官房長      興  直孝君        科学技術庁原子        力局長      青江  茂君        科学技術庁原子        力安全局長    間宮  馨君        国土庁防災局長  林  桂一君        文部省学術国際        局長       工藤 智規君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君    事務局側        常任委員会専門        員        塩入 武三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、武見敬三君及び小山孝雄君が委員辞任され、仲道俊哉君及び世耕弘成君が選任されました。     ─────────────
  3. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 加納時男

    加納時男君 おはようございます。加納時男でございます。  先週のこの時間に質問させていただき、さらに勉強する、調査するとおっしゃったことが若干ございましたので、そのことを一つ最初に伺いたいと思います。  その話といいますのは、先週の火曜日、五月二十五日に発売された六月八日号の写真週刊誌フラッシュ記事の件でございます。ちょうど今から一週間前、五月二十七日のこの委員会においてその問題が取り上げられました。  これは、「私は原発で「放射線濃度」のデータ改ざんした」という大変おどろおどろしたタイトルが表紙に載り、全国の主な日刊紙の朝刊の広告に大きくこれが載ったので、たくさんの方々の目に触れているということでこの委員会で取り上げられたんだというふうに私は理解しております。  結論は、今もう一回申すまでもないのですが、何があったのか一言だけ要約させてもらうと、この記事を読むと、検査をする専門会社会社名前も何も書いてありません、名前のわからない専門会社でありますが、そこに名前も書いていないわからない人、男だと思うんですけれども、この人が匿名の投書をここにしてきたようであります。この投書もとにやっているのであって、それ以外のことは何も書いていない。  書いてあることで一番びっくりする話は、この男はグラニュールドラム缶データ改ざんした。そして具体的に、三ミリシーベルト・パー・アワー、三ないし四ぐらいあったものを一ミリシーベルト以下にしなきゃいけないというので一ミリシーベルト以下の数字改ざんした、こういうことであります。これは書いてあったことでありますが、事実だとすると大変これは問題である、まさに地域方々もあるいは国民全体も非常に不安になる、そういうものであるので、この記事が本当かどうかというのは非常に心配なところであります。  先週の質疑の中では、一ミリシーベルト以下にする理論的な根拠というのは法律上も何もないということも御回答があったわけですが、何分雑誌が出たばかりであったので早速調べますということでお約束いただいた。それから一週間たっています。一週間しかたっていないとも言えるけれども、一週間もたったので、この一週間でわかったのかわからなかったのか、そのことをまず伺いたいと思います。
  5. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 御指摘週刊誌に係る内容につきましては、東京電力で事実関係調査を行い、昨日付でその内容報告を受けました。本日、全文を公表し、また関係地元を含めた機関に御説明をすると聞いております。
  6. 加納時男

    加納時男君 報告が出たというところまでわかったんですが、どんな報告だったでしょうか、ポイントだけで結構ですから。
  7. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 御指摘のありましたグラニュールを封入したドラム缶は本年四月末現在で三千四百二十八本ありまして、すべて発電所内貯蔵、保管されております。この記事指摘されたような改ざん根拠となる事実及び動機はないと判断されるというのがこの報告書結論でございます。  この判断の根拠として、大きくは三点を挙げてございます。  第一点は、このドラム缶原子力発電所構内廃棄物処理施設から固体廃棄物貯蔵庫へ移送されますが、詰めるときとそれから搬出時に二回表面線量量率測定しております。この測定はそれぞれ異なる企業により行われておりまして、かつ搬出時の測定についてはさらに第三の会社がその数字確認いたしてございます。したがいまして、改ざんをする場合にはこの二つの会社が同時に同一のドラム缶について行わない限り現実的な意味がないわけでありますが、その点を含めまして会社に残っております記録確認いたしました結果、二回の測定結果は記事にあるような三、四ミリシーベルト・パー・アワーのものは一つもありませんで、最大でも〇・五五ミリシーベルトという値のものでありました。これが第一点であります。  それから第二点は、ドラム缶発電所構内で運搬する場合に、法令で定められている線量量率基準、これは前回も御指摘がございましたが、表面で二ミリシーベルト、一メートル離れた場所で〇・一ミリシーベルトを超えないことということでございますが、社内でこれを超えた運用規程運用基準はありません。その点を確認いたしました。したがって、この記事告発者指示を受けたとする一ミリシーベルト以下に抑えるという動機根拠はないものと考えるというのが第二点でございます。  それから第三点は、このグラニュール入りドラム缶全部につきまして現時点で表面線量を再測定を行いました。加えて、減衰を考慮して封入時、ドラム缶に詰める時点の線量を逆算して計算をいたしました。これによって推計した値によれば、最大でも〇・三六ミリシーベルトでありまして、十分低いものであるということを確認したというものでございます。  なお、前回も申し上げましたが、六ケ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにはこれまでグラニュール入りドラム缶搬出した実績はありません。  また、現在、六ケ所向けに搬出している濃縮廃液をセメント固化したドラム缶、これにつきましては発電所から搬出する際に、全量搬出専用検査装置を用いて自動的に測定をいたしております。人手の介在する余地はなく、改ざん余地はありません。また、これは科学技術庁が御所管をしておられます国の機関数字確認いたしております。  なお、東京電力においては、今後改ざんの疑いを持たれることがないように、この測定データ確認方法などにつきましての作業手順の見直しなどの改善策を講じるといたしてございます。  付加的に申し上げますが、通産省として、前回報告申し上げましたが、五月二十六日、本省から検査官を送り、地元運転管理専門官ともども電力保有データ法令基準に係るものは現地確認をいたしました。その結果、線量量率測定記録固体廃棄物貯蔵庫線量測定記録等については、法令上の基準を十分満たしており問題はないという点を確認いたしてございます。  今後、さらに厳正な対応をしてまいりたいと思っております。
  8. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  一週間でここまでわかったということであります。雑誌の問題と、実際にこれを管理している事業者の問題と、それから行政と、私は三つ切り口があると思うんです。  行政としては、今おっしゃったように、必要に応じて検査官を派遣するとか、もし法体系に不備があったとすればそれを改善していく、我々国会立場としては立法措置が必要であれば立法する、いろんなことがあると思うんですが、今お話を聞いた限りでは事実関係にややまだ説得力がないような気がします。説得力というのは、この雑誌が主張しているような、改ざんしたということを裏づけるような説得力のあるデータは出てきていない。もうちょっと逆な言い方をすると、今のお話を聞く限りはどうもこの記事は変じゃないかという気がしてきます。  細かいことを一つ伺いたいと思うんですが、今〇・三六ミリシーベルトということを言われました。これは減衰を入れてということですけれども、それでは減衰を入れないで現実にあったものの実測した最大表面線量率幾らだったでしょうか。  もっと言いかえると、この〇・三六ミリシーベルトというのは詰めてから時間がたっているわけです。そこで、記録を書きました、時間がたちました、今日に至りました、今日表面線量率をはかっても、これは結局、詰めたときはどうだったのかということはすぐにはわからないから、減衰期間、放射能というのは当然時間の関数でどんどん減衰してまいりますから、その減衰を見込んだんでしょう。それで、これは今〇・三六とおっしゃったのはどんな意味数字でしょうか。これは減衰を考慮してとさっき言われたような気がするんですけれども、減衰を考慮する前の生データ幾らだったんでしょうか。
  9. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 調査報告書によりますと、三千四百二十八本全量測定した結果、最大値が〇・二八ミリシーベルトと、こう記されております。
  10. 加納時男

    加納時男君 そういうことを言っていただくと非常にわかりいいと思います。〇・二八であると、それで減衰を考慮してくると当初は〇・三六であったというのは非常に説得力があると思います。  こういう問題はちょっとやや技術的、専門的になっちゃうんですけれども、何といっても国民が一番関心を持つ安全性関係する話でございますので、ぜひとも今後ともウオッチしていただきたいと思っております。  さて、この問題はちょっと考えると、事によっては非常に大きな話になるのかなという気がしたんですけれども、何か今のお話を伺っている限りでは実態がよくわかったような気がします。  今後の問題としては、こういうことを、世間にともかくあれだけ大きく訴えたものが事実であるならばそれを論証すべきだし、事実でないとすれば社会に対して私はけじめをつけるべきだと思いますが、これは市民としての意見にとどめまして、この場での意見ということで、何か御議論いただくということではないかとは思います。いずれにしても、メディアについては節度のある報道をぜひ要望したい、これは国会議員として要望したいと思っております。この問題は一応これで私は打ち切りたいと思っております。  次に、おととい参考人質疑が行われました。同僚議員が非常に適切な質問をしていただいたおかげで、問題点が非常に浮き彫りになってきたような気がします。  そこで、私は、先週質問したことをさらに繰り返すのではなく、私のこれからの残った時間は全部、一昨日行われた参考人質疑での参考人意見及びそれに伴ういろんな討論をもとに幾つか伺ってみたいと思います。  初めに、オフサイトセンターの話でございます。  これは私は、参考人として出席されました東海村の村上村長防災計画充実ということで御要望があったような気がします。  そこでまず、これは国土庁になるんでしょうか、お伺いしたいと思うんですけれども、現在の災害対策基本法では、基本的に災害対策というものは、国の役割それから自治体自治体というのは地方公共団体というような表現になっていたと思いますが、都道府県役割、それから第一線市町村役割、それぞれ責務があると思うんですけれども、どんな役割を持ち、どういうふうに計画を立てているんでしょうか。その中で、特に原子力についてはどういう位置づけになっているんでしょうか、この辺を伺いたいと思います。
  11. 林桂一

    政府委員林桂一君) 災害発生しまたは発生するおそれがある場合の対応につきまして、国、地方公共団体等役割分担はどういうものであるかということのお尋ねでございます。  災害対策基本法におきましては、基本的な考え方としてまず第一番目に、市町村住民に最も身近な行政主体として第一次的な応急措置実施を担当する。それから都道府県は、市町村を越える広域にわたる総合的な処理を必要とする応急措置を担当する。さらに国は、地方公共団体対応能力を超えるような大規模災害の場合に、積極的に地方公共団体応急措置を支援する。このような役割分担の基本的な考え方で制度が組まれているわけでございます。  具体的に申し上げますと、災害対策基本法あるいはその他の法律に定めるところに従って、例えば市町村におきますと、市町村当該市町村住民の生命・身体及び財産を保護するために、災害発生時においては、あるいはその前に事前措置として警察への出動要請あるいは居住者等への避難勧告といったような事前措置を行う。あるいは発生後には応急措置といたしまして消防、水防、救助などの措置、あるいは警戒区域の設定というようなことを実施するということになっているわけでございます。  また、都道府県におきましては、先ほど申しましたような広域的な役割分担ということで、広域的な地方公共団体として発災時における市町村応急措置の代行をするとか、あるいは市町村等処理する防災に関する事務を助けるとか、あるいはその総合調整を行うとか、そういうようなことを行うことになっているわけでございます。  また、国におきましては、大規模災害の場合に非常災害対策本部、あるいは緊急災害対策本部、さらに必要に応じて現地災害対策本部を設けるというようなことなどもございますが、こういった本部を設置し、地方公共団体など各機関実施する災害応急対策の推進あるいは総合調整を行うということにいたしているところでございます。  なお、事業者については、災害発生しまたは発生するおそれがある場合に、所掌業務につきまして応急措置実施しまたは市町村長実施する応急措置協力する責務というものもあるわけでございます。  こういったことが基本的なパターンでございますけれども、災害種類あるいは地方公共団体災害対応能力というようなものに応じまして適宜、具体的な方法につきましては、国におきましては防災基本計画地方公共団体におきましては地域防災基本計画といったような計画の中において、具体的な災害種類ごとに詳細にその取り扱いについて定めているというところでございまして、原子力についてもその災害特殊性等に関して配慮しながら、そのような計画の中で具体的な行為について定めているところでございます。
  12. 加納時男

    加納時男君 国が果たすべき役割都道府県市町村と、それぞれ今御説明がありました。防災という切り口でいくと、防災基本計画が国全体としてあり、それが地域であり、その地域がまたブレークダウンされていく、こういうことだろうと思います。  防災基本計画の第十編はたしか原子力災害対策編だったと思いますが、これについても、たしか私の記憶では一昨年、改定、強化されたというふうに理解しております。  そういう中で、おとといのお話は、防災面を含め国の一元的責任を明確にしてほしい、それでないと地域住民が安心して共存できないというようなことを参考人、これは村長さんですけれども言っておられたわけでございます。  私が思うに、村長さんが一番言いたかったことは、自治体として逃げも隠れもしない、地域防災責任者として自分自分なりにやれることはやる、それからまた必要に応じて都道府県にも要請をし協力をしてもらう。しかし、意欲があっても、第一線自治体となるとどうしても、例えば原子力でありますけれども、専門的な知識であるとか技術的な習熟度といいますか、それが必ずしも十分でない、こういったこともある、したがって、国でもっと前へ一歩出てくれないか、こんなような気持ちを披瀝されたんじゃないかと私はお話を伺っていたわけでございます。この辺はどんなふうにお考えでしょうか。これは国土庁さんになるのか、科技庁さんなのか、資エ庁さんか。
  13. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) お答え申し上げます。  国といたしましては、地方自治体からの要望等も踏まえまして、災害対策基本法の枠組みのもと原子力防災対策充実強化を図ってきております。  具体的には、原子力専門家派遣等防災対策充実を図ってきたところでございまして、またこれらの体制等が有効に機能するように、原子力防災対策実効性向上を図ることを目的といたしまして、地方自治体からの要望も踏まえながら原子力安全委員会防災専門部会検討を行ってきたところでございます。
  14. 加納時男

    加納時男君 今、最後に言われた原子力安全委員会防災専門会議ですか、これはかねてから検討されているというふうに新聞でも私は記事を読んだことがありますけれども、最近その報告がまとまったと承っております。細かいことは結構ですけれども、今のおとといの参考人の御要望に関する、例えばもう少し国の関与を高めてほしいとか、国も一歩前へ出てくれというものについて、この中間報告では触れていらっしゃるでしょうか、その一点だけ説明していただければと思います。
  15. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) お答え申し上げます。  防災専門部会は去る四月二十八日に報告書を取りまとめ、この防災対策実効性向上についての基本的考え方具体的方策を提示したところでございます。  この報告書におきましては、地方自治体における専門的知識が乏しい現状を踏まえ、施設安全規制責任を持って、かつ専門的な知見を有する国がより一歩前に出て、地方自治体役割能力最大限発揮できるように配慮すべきであるとしております。具体的には、事故発生から緊急時までの初期対応強化、あるいは現場での防災実施機能強化に加えまして、原子力防災指示調整機能強化を図るために、国、地方自治体事業者が一堂に会する対策本部の設置、すなわちオフサイトセンター構想等を提言してございます。  国としては、これを踏まえて、今後さらに原子力防災対策の一層の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。
  16. 加納時男

    加納時男君 先週、いきなりオフサイトセンターという言葉が出たので一瞬戸惑いがあったかと私は思うんですが、今のお話を聞くと、オフサイトセンターというのは、国とか事業者だとか自治体の方とか、要するにこの防災に関して役割を果たすべき人が一カ所に集まってやるということに理解しました。そうだとすると、これはかねてから原子力発電を立地している自治体から御要望のあった、国の施策として目に見える形で一歩前へ出てくれというのに対して、一歩か二歩か半歩かわかりませんけれども、前へ出ているということは間違いないと思います。  私はむしろ、このオフサイトセンターというのはぜひとも実現していきたいなと思っているわけでございますけれども、ここで一番ねらいとするのは、恐らく情報を共有する。つまり、今までのやり方ですと、それぞれが、一生懸命やるんだけれども、違った場所でそれぞれベストを尽くしているから合計するとベストにはならない、ベターにもならない、その次ぐらいになっちゃう、準ベターぐらいになっちゃう。ところが、一カ所に集まることによって直ちに情報が共有できる。これはやはり、平時と違って緊急時のような場合には情報の共有が、素早い対応、迅速な対応、しかも的確な対応につながるわけですから、オフサイトセンターというのはたまたまおととい初めてこの委員会でも登場した言葉だったかと私は思いますけれども、非常にこれは大事な自治体要望でありますので、お話を聞くと、これは今報告を受けたというだけですから、ぜひ実現の方向で私は検討を進めてほしいということでございます。  もう一つ、一昨日の参考人質疑で大きく取り上げられたのが中間貯蔵の問題でありましたので、これに若干触れてみたいと思います。  これもちょっとびっくりするような御意見がありまして、これはやはり村上参考人の御発言の中だったんですが、ある県の発電所の中で保管能力限界に来た、ちょっと主語が飛んでいますけれども、何が保管能力に係っているかというと使用済み燃料のという意味ですけれども、保管能力限界に来た、そこでそこの県知事からは外部に搬出しろと言われている、サイト内でも貯蔵能力をふやせないから東海村に五千トンの中間貯蔵施設をつくらせてくれというお話があったと。これは、そのとおりおっしゃったと思います。村長さんは、この話はお断りしましたと、困るとすぐに東海村というのは、幾ら理解のある東海村でも茨城県でもそれはないでしょうと、国民的合意はおろか、こんなことでは原子力の未来はあるかという、かなり厳しい口調でおっしゃったので非常に印象に残っている。私は記録したんですが、たしかこういうことをおっしゃったような気がします。  そこで、私の質問は、この御意見を伺って行政当局としてはどういう印象を受けられるか、伺いたいと思います。
  17. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 本委員会での東海村長の御発言を受けまして、その後、電力会社確認をいたしましたところ、中間貯蔵施設に関して、PA等さまざまな活動を行う一環として立地について打診を行ったことは事実であるということでございました。  この東海村長の御発言について行政庁としての受け取り方ということでございますが、今回の法案の御提示を申し上げているごとく使用済み燃料貯蔵状況逼迫傾向にございまして、今後の使用済み燃料発生量、国内再処理能力等を勘案して所要の貯蔵施設を確保することが必要であるという考え方一環として中間貯蔵のお願いを申し上げているわけでございます。  東海村は、我が国の原子力発電の歴史の当初から原子力について各般の御協力をいただいております。現に全国原子力発電所所在市町村協議会の副会長でもあられるお立場でございます。  ただ、発電所内使用済み燃料貯蔵が長期化することを懸念する各地の自治体がございますが、なかんずく、現在までの増殖炉の研究あるいは再処理施設の稼働のおくれ等々から全体的に不透明な長期化が見えているのではないか、そういう意味でのいわば我々に対する不信感をお持ちと理解をいたしてございます。  かような不信感を払拭すべく我々としても努力すべきであるのは当然でございますが、いかんせん、過去三十年、四十年の歴史の中で築き上げられてきた申しわけない不信感でございますので、こういうお立場での御意見も踏まえ、その他の原子力発電に御協力を長くいただいている御地元の皆さんの御意見も踏まえながら、今後、使用済み燃料を中間的に貯蔵するという手段もあわせ、別個につくる必要があると判断をした次第でございます。
  18. 加納時男

    加納時男君 この問題で村長さんが一番おっしゃりたかったのはこういうことだと思うんです。  まず、中間貯蔵自体について村長さんは決して反対はしていないわけです。  第一点は、彼が言ったものを私は記録したんですけれども、スペントフュエル、使用済み燃料貯蔵は既に三十年の安全の実績があるということで、これは危険なものというふうには彼は考えていない、これは必ず再処理用に搬出されるはずだと。それまでの間、いろんな貯蔵方法があるでしょうと。プールの中に入れておく、それからリラッキングして容量をふやす、あるいは乾式貯蔵する、あるいはサイト外で中間貯蔵する、いろんなオプションがあるでしょう、だからそういう中間貯蔵自体に反対ということではない。ただし、何でも困ったならば東海村、茨城だというのは安易ではないですかと。  彼は二つのことを言っていて、むしろ全国民的な視点で、大消費地立地も含めて考えてほしいと。過疎地にだけ原子力施設というのはおかしいんじゃないかというのが一つ。それからもう一つは、再処理が本当にやれるんですかと。やれる見通しがついていないとすればこの中間貯蔵が最終貯蔵になっちゃうんじゃないかという疑問は当然ありますよと。この二点だと思うんです。  第一点の、大消費地のそばにないと言うんですけれども、実は私も、この委員会の方はほとんどいらっしゃっているわけですけれども、東海村というのはまさに水戸と目と鼻の先で、ひたちなか市と水戸が目の前にあるところでありまして、大都市のすぐ隣であります。  柏崎刈羽というのは、まさに柏崎市という立派な大きな市です。あれを過疎地と言ったら柏崎の人は激怒すると思いますけれども、柏崎市内にあるわけであります。それから島根は、では島根の過疎地かと言ったら、松江の目の前であります。すぐそばであります。松江は過疎地かと言ったら、これまた激怒する人がいらっしゃると思います。  そういうことで、必ずしも全部過疎地と言うのは、私は表現としては非常に差別的な表現ではないかとちょっと残念に思うんです。かつて過疎地だったところが栄えたところもありますし、栄えているところはますます栄えているところもある。人口がどんどんふえているところも、三倍になったところもあれば、減少に歯どめがかかったところもある。きょうはその話をするつもりはないんです。過疎地だと言うことはちょっと抵抗がありますが、いずれにしても、第一点の中間貯蔵というのも幅広くみんなで議論したらどうだというのは、私は賛成であります。  第二の問題は、ぜひこれは伺いたいんですけれども、中間貯蔵がそのまま最終貯蔵になるのじゃないかというのは、一週間前のこの委員会でも同僚委員からも御指摘がありました。私も質問しました。これは、きょうはなかなか最後のところまでは発言できないのかもしれませんけれども、最低限八百トンの容量の第一再処理工場の運転開始時期が約三十カ月、二年半延びたわけです。何回も延びてこれ以上は延びないということで新聞発表されたようでありますけれども、そうすると二〇〇五年になっちゃうわけです。そうすると、それまでにまた使用済み燃料はたまってくるだろう。能力は、でき上がっても八百トン、発生してくるのは今までも年間九百トンぐらい発生してきて、これからは千数百トン発生する。ならば当然あふれてしまうじゃないか。もうほかの手段がなかったら中間貯蔵というのは中間じゃなくて最終になっちゃうんじゃないかと疑問を持つのは当然だと思うんです。それについて私はきょうははっきり答えていただきたいと思うわけです。大分辛口の質問でありますが。  というのは、第一再処理工場をつくります、それを見て考えますと。これは、時間があるから考えられるということは近藤参考人も言っておられましたけれども、例えば第一再処理工場の運転開始、これを見きわめ、その能力もしっかり見きわめながら、直ちにその後のことに手をつけるぐらいにしないと間に合わないんじゃないか。今からその考え方を、原子力長期計画がせっかくスタートするわけでありますから、その中で十分に国民の前で目に見える形で議論をしていくべきではないだろうか。  第二再処理工場という考えもあるでしょう。この間はやらないとおっしゃっていたようですけれども、私は、海外再処理というのも考え方としては、外国からはぜひやってくれと言われているというのは、好きか嫌いかは別として事実であります。そういういろんなオプションがあるだろう。それから、再処理のやり方にしても、いろんなオプションがあるということも参考人が言っておられました。  きょう、これについて全く、これから考えますでは納得できないと思いますので、一言お願いしたいと思います。
  19. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  まず我々が直面しております第一の課題と申しますのは、言うまでもなく、第一再処理工場というもの、今建設途上にあるわけでございますが、それをきちんと仕上げることというのがまず直面する課題であろうと思うわけでございます。これをなし遂げる。その上に立ちまして、次のステップといたしまして第二工場という問題があろうかというふうに思ってございます。  今御指摘になられました原子力長計におきましても、二〇一〇年ごろにその方針というものを決めていくという考え方に立っておるわけでございますけれども、事態の進展というものを踏まえましてその問題をきちんと考えていきたい、かように考えてございます。
  20. 加納時男

    加納時男君 進展をしながら考えていきたいというのは、正直言うと余りにも抽象的なお答えかと思うんです。  私はあえて一言言わせてもらうと、いろんなオプションがあると。だから私は、第一再処理工場ができ上がるまでは何も考えないというんではだめだと。だから、第一再処理工場はしっかりと建設して、工期どおり仕上げます、これはもう当たり前のことだと思うんです。  今からポスト第一再処理工場ということも議論を始めてほしいんですけれども、考えるんじゃなくて、議論を始めるということだけでもぜひ約束してもらいたいと思うんですが、これはどうでしょうか。
  21. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  昨日から具体的に長期計画の議論というのが始まっておるわけでございます。そういうものの中におきまして、今の問題というものも含めまして非常に多角的な観点から長期計画というものは考えなければならない、かように考えてございます。
  22. 加納時男

    加納時男君 私は多角的に考えることに反対ではなくてもちろん賛成なんですけれども、要するに私が言いたいのは、これはもう私の言いっ放しの意見ということで記録にとどめたいと思いますが、この問題については、ただこれから考えますということじゃなくて、実はこれを考えなければ中間貯蔵も納得がいかないという方々が必ず出てくると思うので、これは真剣に、あしたからと言わずきょうからでも、きのうからと今おっしゃっているんですけれども、議論を開始して、国民の前で議論してもらいたいと私は思うんです。  例えば結論が出るのに時間がかかる、これはいいんですよ。だけれども、こういう方向で考えているとか、また違った見方もあるなということが国民の前で議論されていくことが、結論がすぐに出なくても、実はそのことが中間貯蔵を初め原子力に対する国民の理解、関心を深めるもとになるというので、それは密室の議論じゃなくて国民に開かれた場でぜひやってほしいということを強くお願いして、この問題はこれ以上聞いてもまた同じ答えが返るかと思うので、私もここできょうは打ち切っておきますが、ぜひそれは要望したいと思います。  ちょっと技術的なことを一、二聞きたいと思います。  気になったことがおとといあったんですけれども、中間貯蔵した燃料は今までの燃料と違って高燃焼度化した使用済み燃料がふえてくるので、そうすると何か危険ではないか、燃料棒に変化が生ずるんじゃないかというようなことを言われた参考人がおられまして、私は当番じゃなかったので質問できなかったんですが、これ私はちょっと理解できない。  もう一つは、中間貯蔵を行うと燃料移動の頻度がふえて燃料棒落下のリスクも大きくなるというふうに私は聞こえたんですけれども、燃料棒落下のリスクというのは一体何だろうか、これもよくわからなかったんです。  こういうことがあって、これに対する質問が特に同僚委員からなかったものですから、そのまま終わっちゃうのは残念なので、これはどういうことなんでしょうか。私はよくわからないので教えてほしいと思います。
  23. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 高燃焼度化しました使用済み燃料につきましては、これまでの燃料と比べまして長い期間原子炉の中で燃焼されるというために三つの新たな特徴が出ると言われております。  一つは、中性子の照射量が増加いたしますので、この照射によって燃料棒自体が延びる、変形する、そういうものがございます。それから二つ目は、被覆管の表面の酸化が若干増加するという面でございます。それから三点目は、核分裂生成物が増加するというものでございまして、こうした三つの点が従来の燃料と比べて異なっているということでございます。  ただし、最初の二点につきましては、すなわち中性子の照射量がふえるために燃料棒が延びるとか変形する、あるいは酸化がふえるという点につきましては、燃料集合体、被覆管の改良、すなわち製造段階で対応のできるものであり、そういった対応のものとして設計上の配慮をし、かつ許可をしているというものでございます。  三つ目の核分裂生成物が増加するという点が貯蔵に関して検討の対象になるわけでございますが、主として遮へい、要するに放射線を遮へいする、それから崩壊熱の除去、それから臨界を防止する、かような観点から評価をする必要がございます。  こうした評価につきまして、既に技術的には内容のわかったことでございますので、今後、中間貯蔵のみならず、原子力発電所内における貯蔵についても同様の問題がございますが、予定されている燃焼度において、こうした熱の除去、遮へい機能、臨界防止機能、こういうものを確認しながら設計及び工事の方法の認可等々の対応をしていくつもりでございます。
  24. 加納時男

    加納時男君 高燃焼度の件については、今の回答で十分だと思います。  もう一点、燃料棒落下のリスクというのは何かわかりますか。これは私もよくわからないんですけれども、燃料棒のまま運ぶわけじゃないんで、キャスクに入れて運ぶだろうと思うんですけれども。  これ、質問自体も余りよくわからないものですから、答えもわからないかもしれませんけれども、わかる範囲で教えてください。
  25. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 高燃焼度なるがゆえに落下がふえるという議論については、いささか今知識にはございませんが、過去使用済み燃料の取り扱いの際に生じたトラブルとして二十件の報告がございます。  この二十件の報告の中を見ますと、使用済み燃料を出し入れするときに、クレーンについた物を挟むところでそれを挟み損ねて落としたというようなケースが散見されております。ただし、この二十件のうち十一件は、既に運転を停止しております東海発電所におけるガス炉のものでございます。また、加えて、直近の十年間では、軽水炉における使用済み燃料の取り扱いに係るトラブルは報告をされておりません。  したがいまして、現在の技術及び管理方式において問題はないものと理解をいたしてございます。
  26. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  では、この問題はこれで終わりたいと思います。  最後になりますけれども、リスクの問題でございます。  これは近藤参考人から御指摘のあったことでありまして、リスク情報、リスク管理を明確にすべきだと。きょうは一点だけにしますけれども、お話の中で、低線量放射線の直線仮定について問題があるといったような御指摘があったと思います。  これは、あらゆるものについてリスクが、閾値があるものと閾値のないものと二つの世界があるわけですけれども、放射線についても私は当然閾値があると思っております。  しかし、現実には、ICRP、放射線防護委員会の、私はこれはちょっと思い込みだと思うんですけれども、閾値はないものとしてたとえどんな微量なものであっても有害だという、いわば科学的には非常に疑問のある、私に言わせると誤った前提に立っているんじゃないかと思うんですけれども、この近藤先生の御指摘については何か感想はありますか。
  27. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) お答え申し上げます。  我が国における放射線障害防止に関する法令等につきましては、従来から、今先生おっしゃいました国際放射線防護委員会、ICRPの勧告をもとにして制定、改正がなされてきたところでございます。  このICRPの一九九〇年勧告におきましては、少ない放射線量でも何らかの健康への影響を起こすことがある、すなわち、被曝線量と健康への影響が起こる確率との間には直線関係が存在すると仮定しなければならないとされております。  これは、放射線の人体への影響をできるだけ小さなものにしようとの考え方にのっとっておりまして、現時点におきましては、放射線防護に関する知見として我が国が法令等に取り入れる際の基本的な考え方として否定するべきものではないというふうに考えております。
  28. 加納時男

    加納時男君 放射線についての誤解というか恐怖感の根本は、このICRPの直線仮定にあると私は思うんです。つまり、どんなにわずかであってもあったらば有害だというのは、これはあり得ないことです。  例えば、我々ダイオキシンのときも議論したんですけれども、どんなに微量でもダイオキシンは有害だから出るものは全部拒否するということになってくると、我々は生きていけないわけであります。我々はあらゆる化学物質、科学技術の成果物としてさまざまな便益とリスクを受け取っているわけでありますが、それを絶えず健康に影響があるかないかという観点で考えなきゃいけない。どんな微量でもといったら、生きていること自体が放射線を浴びているわけですから、生きることをやめるのが一番安全だという、またばかげた結論になっちゃうわけです。  このICRPの勧告は私は非常に大事だと思うんですけれども、ただ一点、この直線仮定だけについてはどう考えても科学的だと思えないので、これはきょうここで議論するという場じゃありませんけれども、こういう議論をきょう私はあえて提起しますので、これからぜひとも勉強していただきまして、国際的な会議でも発言をしていただき、その結果をまたこの委員会でも伺いたいと思っております。  ちょうど私の時間はここまででございますので、あとは同僚の畑委員の方にお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  29. 畑恵

    ○畑恵君 引き続きまして、質問させていただきたいと思います。  先日の参考人質疑に立たせていただいたということもございまして、今もう既に加納議員の方から問いただされたことについて若干補足という形で聞かせていただく、重なったようなところもあるかもしれませんけれども、お許しください。  先日、村上村長、近藤先生、市川先生とお三人それぞれお立場も違います、ある意味で御主張も違うかもしれないにもかかわらず、それぞれお話を伺っていて一番強く感じましたのは、やはり原子力発電をめぐる問題の最も根幹をなす事柄というのは、いかにアカウンタビリティーの誠実な履行というのを果たしていくか、それによって、そこにかかわっていく人、ひいては国民全員になると思うんですけれども、信頼をしっかり醸成していくかということ、その重要性を語ったということではお三方ともそれぞれ皆同じだったと認識しております。  ただ、そうした中で、近藤先生からお話がありました、高度な科学技術を用いる大規模プロジェクトというのは変更というのは当然つきものなんだ、変更を積み重ねることによって科学というのは進歩しているんだから、それを前提に考えないとという御意見をいただいたときには、ああそういうものかなと実は目からうろこがという思いとともに、やっぱり一般人といいましょうか素人といいましょうか、そのレベルからはそういうお考え方というのはなかなかすぐには納得のいかないものだなというのが正直な感想でございます。もちろん、その後、近藤先生は、だからそういうことについても十分な説明が必要なんだということで、アカウンタビリティーの必要性、重要性を強調なさったわけなんです。  例えば、私が科学技術庁の方とお話をする、専門の方とお話をするときに、そういうギャップというのは確かにあるかもしれないなというのは、そういえばと思い起こされることもございます。このお仕事にかかわられた方というのは、もう既にそれは当然の前提だと思っていらっしゃる。ところが、一般の方々はそう思っていないということによって、例えばこれは何度も繰り返されていることでございますけれども、青森県六ケ所村の再処理工場が今回工場の運転開始を二〇〇五年へ五度目の延期と。恐らく専門家の方は、五度目の延期がなされても当然のことだということで何の不安もないじゃないかとお思いかもしれませんけれども、全くわからない人間からすると、やっぱり五度計画が変更されるということが非常に大きな意味を持ってしまう。  また、中間貯蔵という今回まさに審議している問題ですけれども、そういう施設を新たにつくらなきゃいけないという問題がその変更によって生じますと、本当に核燃料サイクルというのは完結するのか、機能するのかと、そこのところにさらに不安というのが膨らんでしまうということで、やはりここの部分を、この不安を増殖させないようなアカウンタビリティーというのが今一番必要だと思います。  恐らくほかの議員の方々はみんな同じことを言っていると思うんですけれども、本当にしつこいようなんですが、一般の国民にわかりやすく、こうでこうでこうだから変更があって、だから核燃料サイクルは大丈夫なんだということを簡単にかいつまんでもう一度御説明いただけますでしょうか。
  30. 青江茂

    政府委員(青江茂君) 御説明申し上げます。  まず、我が国の原子力政策の一番基本的な考え方と申しますのは、原子力発電をする、そうしますと当然のことながら使用済み燃料というものが出てまいる、その使用済み燃料は有用な資源を含んでおりますのでリサイクル資源としまして利用していく、そのためには再処理をする、そしてそれから抽出いたしましたプルトニウム及び燃え残りウランというものを利用していく、このことによりまして我が国の原子力としての安定的な供給を図ることができる、ここが一番の基本的な物の考え方であろうと思うわけでございます。  そういたしますと、今の再処理をしてプルトニウムを利用していくということをどう現実に具体化させていくかというプログラムの問題になってくるかと思うわけでございます。そのときに、再処理工場につきましては、まず第一再処理工場というものをきちんと立ち上げていく、これを二〇〇〇年代初頭、二〇〇三年、それが延びたということでございまして、いずれにしましても再処理工場をきちんと立ち上げていくということが一番政策の基本にかかわることであるという認識に立ってございます。  そういう意味からいたしますれば、二〇〇三年と二〇〇五年という時間のギャップと申しますのは、そういう大きなプロジェクトの建設を進めるということにおきましては、種々事情はあれ、あり得ることと申しましょうか、そういうこととして私どもとしては受けとめておる。ただ一方、そういったことが軽々になされるようなことがございますれば、今先生が御指摘になられましたような、本当に核燃料サイクル政策というのは完結するんだろうかという問題が生ずるということであろうと思うわけでございます。  その点につきましては、原子力委員会事業者方々のヒアリングをするというふうなことを通じまして、トータルとしての核燃料サイクル政策というものは順次持っていき得るという評価をいたした、そこのところを見解として明確にいたしまして、地元住民の方とかそういった方に説明をいたしたというところでございます。そういう努力というものを順次さらにきめ細かく重ねていくことによりまして御理解を得ていきたいというふうに考えておるわけでございます。(「委員長は長官じゃないの」と呼ぶ者あり)委員長は科技庁長官でございます。
  31. 畑恵

    ○畑恵君 応援の声が入っていただきました。  今お話を伺わせていただいて、皆さんやっぱりけげんな顔をなさっているというのは私の勝手な見方じゃないと思うんです。私が御質問をしたのは、要するに素人にもわかるように、ではなぜ二年延びたのか、なぜ変更しなきゃいけなかったのか、それには相当の理由があるだろうから、それを簡単に説明しにくいのかもしれないですけれどもしていただいて、そうすれば、ああそういうことで延びたんだったらそれは仕方がないし、それだったら全体の計画というのは大丈夫なのねということで、腑に落ちるように御説明をいただければなと思ったのですけれども、ちょっとそこのところが残念ながら聞けなかったかなというのが今正直な気持ちでございます。  例えばの話をいたしますと、実は私、同僚議員加納時男議員に、この問題について御専門でありますので素朴な質問を向けたことがあります。何でこんなに延びるんですか、大丈夫なんですかと。そして、加納議員の方から、いやいろいろありまして、例えば日本というのは、地震という問題が他の国と比べてありますので、これに関して非常に厳しい基準というのがあって、それ一つクリアするにもやっぱり非常に苦労があってという話を伺うと、恐らくこれはかつて事業者でいらしたという立場お話しされたんだと思うんですけれども、素人にはそこの部分というのはすごく共感をするというかわかりやすいんです。本当にわかっているかどうかは別として、そうか、そういうことがあってうちの国というのは特別なことがあるんだと。ことわざに角を矯めて牛を殺すという言葉がありますけれども、余り規制規制基準基準で厳しくし過ぎて結局計画をどんどん延ばしてしまって全体の核燃料サイクルの実現ということに関して支障を来すのであれば、むしろそれはこのあたりでよしとして計画をなるべく円滑に進めるように後押しをするというのも必要だなということを一般の方はおわかりになると思うんです。  私、本当にこのことに関しては一般の素人の知識、理解力しかございませんので、この程度のところで、ぜひ今後はもう少し一般の国民の方に向けての情報公開とか広報のあり方というのも考えていただけたらありがたいと思うんです。  政務次官は新潟でいらっしゃいますので、御地元に帰られてこうした原子力の問題についても御説明なさることがあると思います。今の私の大変稚拙な物言いでございますけれども、恐らく有権者の方々に直接御説明をなさるときには、今のやっぱり官僚の方の御答弁とは違う形で御説明をなさっていると思うんですけれども、そこも踏まえて、もし御所見がありましたらばお答えいただけるとありがたいんですけれども、広報のあり方、説明のあり方ということについて。
  32. 稲葉大和

    政府委員(稲葉大和君) 不測の御質問でございまして、どうお答えしていいか、ちょっと戸惑いを感じながらお答えさせていただこうと思っております。  まず、その前に、きょうの委員会に有馬大臣が出席できないことを御理解、御了承いただいたことと同時に、私をもって大臣のかわりを務めさせていただくことを御理解くださった委員長初め委員会の皆さんに感謝申し上げる次第であります。  今、畑先生の御指摘にもございましたように、原子力政策あるいは原子力発電に係るさまざまな問題については、大変デリケートな問題も含んでおることは私が申し上げるまでもないことであります。と同時に、私たちも国会議員であると同時に一人の日本の国民として、我々の生活の中で原子力及び原子力発電、エネルギー政策というものがどのようにかかわっているのかということを真剣に考えていけばいくほど原子力原子力発電安全性、安心感というものについて深く考えていかなければならないし、このことについての説明をする義務が我々にあると思っております。  私自身が、自分のことを申し上げて大変恐縮でございますが、昨年七月末に政務次官を拝命した後、直ちに役所の人たちに対しまして、今、科学技術庁が努めなければならないことは何なのか。いろいろな情報、そしてまた科学技術庁の職務柄、大変専門的な言葉、専門的な分野にわたっての研究開発が多い。その中で、今、科学技術庁は何をしているのか、原子力に対してどう取り組んでいるのか。このことについては専門家方々は、それぞれ役所の中でも、あるいは事業者方々でもよく御存じだと思いますが、それを利用している我々一般国民が余りにも知らなさ過ぎるんじゃないか、知らしめられていないんじゃないか、このことが一番問題点だと思っております。  ですからこそ、いろいろな専門用語を駆使されるのも結構ですけれども、もっとわかりやすい言葉で、そしてわかりやすい政策、中身で、原子力というものはなぜ必要なのか、原子力発電所はなぜ必要なのか、このことをもっともっときめ細かく、そして丁寧に、そしてわかってもらえるところまで根を詰めて説明していかなければならないんじゃないかと思っています。  ですから、今回の六ケ所再処理工場の竣工延期につきましても、どうしてなのか。そしてまた、関係の、特に柏崎の市長さんが、本当に大丈夫なのか、プルサーマルにも影響しないのか、こういうようなことまでおっしゃってきておられるわけでございますので、そのことも含めながら、私たちはなお一層皆様方に正確な情報、先ほど御質問されるかなと思いましたが、まさにリスクコミュニケーションを図っていかなきゃならないんじゃないか、そう思っております。
  33. 畑恵

    ○畑恵君 政務次官、非常に御自身の言葉で語っていただいて、質問通告をしていなかったのでびっくりさせてしまったと思うんですけれども、ありがとうございます。  やはり生の言葉といいましょうか、デリケートな問題だからこそ血の通った言葉で語っていただいた方がむしろ信頼というのは醸成されるんじゃないかと思います。正確に答えなければというその使命感のあらわれなのかもしれないんですけれども、もし御自分のお子さんに何で五回も計画を変更したのと聞かれたときに恐らくそうは答えないだろうという答え方を余り繰り返されても、百回繰り返されても二百回繰り返されても、むしろ信頼醸成から離れていくんじゃないかという感じが私としてはいたしますので、多少正確さを欠いたとしても、血の通った信頼醸成というような説明の仕方というのも必要なんじゃないかと思いますので、御考慮いただければありがたいと思います。  最初のところで大分長く時間をとってしまったんですけれども、信頼醸成というところを含めて、先ほど加納議員からもお話のありましたオフサイトセンターについてもう一段お話を伺いたいんです。これは、防災に向けて三者が一堂に会しての機関ということでございますけれども、大きく三つの目的といいましょうか、趣旨というのがございますが、一番肝要なのは情報の迅速な伝達と共有ということで先ほど御説明をいただいたんですが、やはりある意味で掲げることは簡単なんですけれども、実際に行うのは非常に難しい。  そういう中で、これは安全保障全般に言えることなんですけれども、実際に迅速でなおかつ情報を共有化するということになると、現在の高度情報化のテクノロジーというのを積極的に取り入れていくという必要があると思います。共有化をするためには、当然それに対して適時適切な情報セキュリティー、暗号をどのようにかけていくかという問題ですとか、それぞれの重要度に合わせて、それぞれの部署のだれがどの程度まで、どれぐらいの重要度の情報にアクセスできるのかということも決めていかなければいけないということで、またそれなりの予算措置も必要でございますけれども、こうした高度情報技術というのを取り入れていくということについては、何かオフサイトセンター構想の中で話し合われていらっしゃいますでしょうか。
  34. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) お答え申し上げます。  オフサイトセンター構想につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、安全委員会の部会での報告が出たところでございまして、まさに具体化に当たりましてはこれからどういうことをやらなきゃいけないかという検討に入る時期でございます。  今、先生おっしゃいました高度情報機能に関しましても、当然その中で議論されて位置づけられていくものと思っておりまして、十分にそこは念頭に置いて検討を進めたいと思っております。
  35. 畑恵

    ○畑恵君 どうぞよろしくお願いいたします。  まだ緒についたばかりということでございますけれども、御要望を含めてなんですが、こうした機関防災ということに限らず、三者の情報交換の機関あるいは連携強化機関、信頼醸成の機関としてぜひもう少し幅広に考えていただくということもあっていいんじゃないのかなと思うんですけれども、その面について何か御所見ございましたらお教えいただけますでしょうか。
  36. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) オフサイトセンター構想、当然ながらまず防災ということで考えてきております。  ただ、今先生がおっしゃいましたような関係で申し上げますと、やはりオフサイトセンターあるいは防災対策が本当に機能するためには、日ごろの訓練というものが非常に大事であろうと思っておりまして、その訓練の場として三者が時々は一緒になって物事をやっていくということが必要になろうかと思っておりますので、その段階におきましても三者間の連携が強化されていくのではないかというふうに感じておりまして、そういう意味では単なる防災だけではなくて、そのほかの面でも三者の連携が必要な場合は非常に威力を発揮するのではないかというふうに思っております。
  37. 畑恵

    ○畑恵君 ぜひそういう方向で進めていただきたいと思います。  前回参考人質疑の中でも、村上村長は、大変期待しているのでぜひ進めていただきたいと非常に力強い要請言葉をいただきましたし、近藤先生は、御自身がこの構想にかかわられていらっしゃいますから当然早急に進めるべきだと。市川先生も、条件つきではございましたが、情報公開というのが十分になされて信頼醸成ができてということだけれどもということで、さまざまな立場はおありかもしれないですけれども、結局恐らくすべての方々から望まれている機関だと思いますので、ぜひ早急に実のある機関にしていただきたいと思います。  さらに、これは要望なんですけれども、ここで話し合われたこと、もちろん何でもかんでもということではないんですが、やはりそうした三者の連携がとれているということ、また、それぞれ違う立場から率直に話し合って前向きに検討がなされ、しかるべき措置が行われているという情報公開を一般の方にされるということは安心感を与えますし、また理解の促進ということにもつながると思いますので、私はできるだけ、そこでの活動内容、また話し合われた内容というのは公開していただければなと思うんですが、この点についてはいかがお考えでございましょうか。
  38. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) 今の段階でしかとお答え申し上げかねますが、今先生がおっしゃいましたようなことは非常に大事でございまして、この件にかかわらず事故情報その他もどんどん公開していくように今指導しているところでございますので、その方向で検討させていただきたいと思っております。
  39. 畑恵

    ○畑恵君 どうぞよろしくお願いいたします。  もうそろそろ時間でございますので、ちょっと積み残しで先ほど伺っていなかったというか、私が若干しゃべってしまったところがありますので、核燃料サイクルの話にちょっと戻って恐縮なんですけれども、地震以外に日本が他国に比べて実現に対して時間がかかるという何か特殊性、条件というのがありましたら教えていただきたいと思います。  といいますのは、イギリスですとかフランスというのは、早目に始めたということもあるのかもしれませんけれども、既に核燃料サイクルを実現しているわけで、そしてその技術を移転してもらって日本というのは進めているわけですので、どこがどういうふうに違うのか、簡単に教えていただけますでしょうか。
  40. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  今、最後に御指摘になられました核兵器国英仏、その技術の蓄積というものが違うというのは、これは大きいと思います。  それから、日本特有の事情といたしまして、先ほどお触れになりました地震のほかにもう一つの問題は、六ケ所につきましては三沢飛行場がございます。その飛行物の落下対策を考えなければならないという問題が一つの特別な要因としてはあろうかというふうに思ってございます。
  41. 畑恵

    ○畑恵君 具体的にそうして指摘をしていただけると、なるほどそういうことかなと、素人というのはそういうことですぐ納得し過ぎてしまうのかもしれないですけれども、思いますので、いろいろな御苦労があって具体的な計画というのは変更されるものだと思いますので、教えていただければありがたいと思います。  もう残り時間も少なくなりましたけれども、最後に一点だけ、緊急事態対応に関して伺いたいんです。  前回もリスクマネジメントについて近藤先生に私は御質問をさせていただいて、近藤先生御自身がリスクマネジメントに関する研究会、プロジェクトチームというのを今つくっていらっしゃるという話を伺いましたが、実際リスクマネジメントをするに当たって、イロハのイの字というのは、シミュレーションを行う、どのようなリスクが起こり得るんだろうと想定をして、そのケーススタディーをしていくということだと思うんです。日本というのは、シミュレーションそのものをすること自体が非常に難しい、何かそこで疑義が膨らんでしまってストップしてしまうということもよくあることでございますが、実際今シミュレーションをしながら、天災、人災にかかわらず訓練などは行われていると考えてよろしいんでしょうか。
  42. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) 厳密な意味でのシミュレーションというものにつきまして、どの程度のことを先生がおっしゃっているのかわかりませんが、原子力発電所等の周辺に影響を及ぼすような事故というのはあってはならないわけでございまして、そういう事態を想定した防災訓練につきましては、現在、十四の立地道府県におきまして毎年または数年置きに、災害対策本部の設置訓練であるとかあるいは通信連絡訓練であるとか、緊急モニタリングの訓練であるとかあるいは医療、広報その他避難訓練まで含めまして実施されてございます。  さらに、別の観点で、核物質防護ということでございますが、そういうことに関しましても、不測の事態に備えまして、一般電話に加えて警察直通の非常通報装置等によりまして警察に通報できるようになっておりまして、こういう関係におきましてもいろいろ訓練等がなされております。
  43. 畑恵

    ○畑恵君 もう時間でございますが、ぜひシミュレーションを徹底して訓練していただけたらと思います。ありがとうございました。
  44. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) この際、午前十一時三十五分まで休憩いたします。    午前十一時七分休憩      ─────・─────    午前十一時三十五分開会
  45. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいまから経済・産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  46. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。  本日は、先日の長谷川委員に引き続きまして民主党として質問させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  実は、今回、私も原子力については素人でございますのでいろいろ調べたら、世界で最初の原子力発電所が営業を開始したのが一九五七年。私が実は一九六二年生まれですから、私よりも原子力の方が年上でございまして、原発の歴史は私より古い。日本の東海原発が一九六六年でございまして、これは私が四歳のときでございます。ある意味で言うと、私の世代というのは原発とともに育ってきた世代で、その中で日本が経済成長をし、豊かになり、そして二十一世紀を迎えようとしている。ですから、別の言葉で言うと、私どもが原子力発電所の恩恵を一番受けてきた世代なのかもしれません。  そこは私も評価をした上で、特に私は今政治家という立場で仕事をさせていただいていて次の世代を考えたときに、では次の時代に我々がこの原子力政策をどうしていくのかということを御議論させていただきたいというふうに思います。  また、同僚議員が数々の御質問をされておりますし、現地にも行かせていただきまして、専門家の方もたくさんいらっしゃいますが、そういった意味でそもそも論から入らせていただくことをまずお許しをいただきまして、質問を始めたいというふうに思います。  まず、今回の一部改正案では、使用済み燃料中間貯蔵ということについて法案に取り込まれた。我が国が言っている核燃料サイクル政策を進めてきている一環だというふうに受けとめています。  我が国は、エネルギーの供給体制において石油を中東に依存している。また、九七年には私の地元京都で開かれましたCOP3においてCO2削減への国際的な約束をした。しかし、それに反してエネルギー需要は増加する一方だという大変難しい中で、安定したエネルギーを確保しなければいけないということで原子力というのがあるわけです。そして、その原子力の燃料となる天然ウランについても海外に依存しなければいけない、そういった中でのこの核燃料サイクル政策だと思います。  では、この核燃料サイクル政策の中で、今回盛り込まれた中間貯蔵というのはどういう位置づけであって、その意義と目的について、もう何度も答弁をされていて口が酸っぱくなるような状況だと思いますが、お答えをいただければと思います。
  47. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 我が国の原子力政策は核燃サイクルを要諦にしているという点でございます。このために、青森県の六ケ所村再処理事業、プルサーマル計画などを着実に推進して、この核燃サイクルを確立すべく努力を行っているところでございます。  ただ、この核燃サイクルの各工程に関しましては、現実には幾つかのおくれがある。再処理工場の稼働のおくれ、それから全体的な最終的ターゲットであります増殖炉の研究開発の計画に対するおくれ、そうしたおくれがあるのはまさしく事実でございます。  この中間貯蔵対策につきましては、使用済み燃料発生の状況と使用済み燃料処理する再処理事業の進捗、この二つを調整するための措置として、従来からの原子力発電所内での貯蔵に加えて、原子力発電所外の施設において中間貯蔵をする事業を核燃サイクルの中に位置づけるというものでございます。  そういう趣旨で、現状に即した現実的な対応によりまして核燃サイクルを円滑に推進していくものであるというふうに御提案を申し上げております。
  48. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。  それでは、その使用済み燃料の現存量についてですが、現実には使用済み燃料は現在約一万二千六百トンあるということです。そして、その後、毎年九百トン発生し、二〇一〇年には千四百トン、二〇三〇年には千九百トンの使用済み燃料が出るというふうに言われています。  現在は毎年九百トンだけれども、将来的に二〇一〇年に千四百トンにふえるということはどのような根拠によって算出をされているんでしょうか。
  49. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 使用済み燃料の現存量、今までの累積の発生量は一万三千五百九十トンでございます。この中で、海外再処理に五千六百三十トン出しまして、それから旧動燃東海処理工場に九百四十トンを出しておりまして、現在原子力発電所内で貯蔵されている量は七千二十トンでございます。なお、発電所内の管理容量は一万二千六百トンでございます。  今後の年間発生量は、現在年間約九百トン程度の発生でございますが、平成六年原子力開発利用計画に示されました原子力発電の将来見通し等を前提といたしますと、二〇一〇年には千四百トン、二〇三〇年には千九百トン発生すると試算をいたしてございます。この試算は百十万キロワットベースの原子力発電所が年間三十トンの使用済み燃料を排出するという数字を使いまして算出をしたものでございます。
  50. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 千四百トンというのは、二〇一〇年までに二十基原発を増設するというシナリオにも基づいているわけですね。
  51. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 御指摘のとおりでございまして、二〇一〇年において約七千五十万キロワットの設備容量を持った場合の排出量として千四百トンを算出してございます。
  52. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると次に、二〇三〇年には毎年千九百トンということが予測として出ているわけですが、この二〇三〇年の千九百トンというのはどういった根拠でしょうか。
  53. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 今、二〇三〇年という超長期のもので原子力の容量を記載したものは、平成六年につくられました長期計画でございます。二〇三〇年約一億キロワットという数字でございます。  なお、この長期計画に基づきます超長期の原子力発電所容量につきましては、過去もちろん何度かの改定をされておるわけでございますが、一番最初が昭和五十七年の長期計画で、二〇〇〇年を九千万キロワットと書いております。これを昭和六十二年に改定いたしまして、二〇〇〇年の数字を五千三百、それから二〇三〇年の数字を一億という数字で置いてございます。この六十二年の数字は、平成六年の長期計画で二〇一〇年七千五十、二〇三〇年一億という数字に改められている次第でございます。  したがいまして、このお示しをしております法案の基礎として検討をいたしました総合エネルギー調査原子力部会の二〇三〇年の数字としては、ここのオフィシャルな数字がこの二〇三〇年一億キロワットでございますので、この数字を使いまして計算をいたしました。  もちろん、今、長計の議論がまさに行われておるわけでございますが、二〇三〇年の数字幾らと考えるべきかという点につきましては、これからの人口の動態、二〇〇七年を越すと日本の人口が減る、あるいは全体としてエネルギー需要を二〇一〇年に向けて横ばいにしてしまおうという計画で今いろんな措置をとっておりますが、そうしたエネルギー需要の動向、そうしたものを勘案して今後の長計の議論の中で御議論がなされるものと考えてございます。  いずれにしましても、二〇三〇年一億キロワットを前提に数字を入れております。
  54. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、二〇一〇年には千四百トン使用済み燃料が出る。二〇三〇年に千九百トンということになっているわけです。そうすると、今が九百トンでございますから、二〇一〇年までに約五百トン増加をする。二十基原発を増基した上で五百トン増加するということになると、先ほど言われた一億キロワットの計算でいくと、二〇一〇年から二〇三〇年の間に五百トン使用済み燃料がふえているわけですから、単純に計算すると二〇一〇年から二〇三〇年の間にもう二十基原発がふえているというような考え方になるんでしょうか。
  55. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 御指摘のとおりでございます。  二〇一〇年が七千五十万キロワット、それから二〇三〇年が一億キロワットでございますから、この差二千九百五十万キロワット。発電機の容量、百十万とか百三十万とかいろいろ規模がございますが、おおむねおっしゃったような設備容量を増設するのがこの一億キロワットの計算でございます。
  56. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、二〇一〇年の二十基増基ということに関しては、エネルギー需給見通しも含めて、国の実質的なエネルギー政策の中で打ち出されているわけです。  長期計画の中では二〇三〇年一億キロワットですが、今後のことはより具体的に詰めていくと先ほど長官が言われました。しかし、二〇一〇年までの二十基について本当にできるかどうか、実現可能性については大変その達成を危ぶむ声が出てきているわけです。  私は、これはただ感情的に反対論が多いとか、この間「もんじゅ」等で事故があった部分に対する不信感が募っているとか、そういったことでお話をしているのではなくて、原発の運転開始までのリードタイムというのは幾ら御努力されても年々長くなってきているわけです。  これは電事審の参考資料にあった数字なんですけれども、原発の一号炉の申し入れから運転開始までは七〇年代で平均が八、九年、八〇年代に入りますと平均十五年以上、それから九〇年代になるとそれ以上という形でリードタイムが長くなっている。もちろん、目標の二十基の約半分は増設だということも僕は承っておりますから、一号炉からの年月ほどは必要ないんですが、ことしは一九九九年でございます。あと十年しかありません。本当はもうそろそろめどがついていなければ、先ほど申し上げたリードタイムの話からいって、二〇一〇年に本当に二十基できるのかどうか。これが、政府からは最大限の努力をしますというお話になるわけです。最大限の努力をしてできなかったらどうするんだという話もありますが、ましてや二〇三〇年の根拠は長期計画の中の展望、期待値でございます。  さらに、先ほど長官がまさに言われたように、長期的展望として約一億キロワットに達することが長期計画の中に期待されてありますと書いてあるだけなんです。これが根拠だと言われると、ちょっとさすがに納得できない部分があります。今使用済み燃料がたくさんたまってきているから、だから中間貯蔵施設が必要だということは、私は重々そこは理解をしているつもりでございます。  理解をした上で、こういった乱暴な話で法改正を求めて中間貯蔵施設をつくれということが私は不信感のもとではないかなというふうに思っているんですが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  57. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) COP3の国際公約実現のために二〇一〇年度までに原子力発電の発電電力量四千八百億キロワットアワー、稼働率によりますが、十六から二十基の増設が不可欠というのはかねて御説明を申し上げたところでございます。  運開に至るまでのリードタイムが非常に長いというお話がございました。まさに運開までどんどん時間は長引いてございます。現在、二〇一〇年ごろまでに原子力発電所を設置したいという趣旨で表明をされているものが二十一基ございます。このうち九基が増設でございます。それでまた、その他の十二基分は立地交渉そのものは一九六〇年代、七〇年代から既に行っております。そういう趣旨で二〇一〇年までの期間は、ほかのものと比べてもかなり長い期間の立地交渉を行っているものでございます。二十一基の中で用地が既に実質的に確保されているものは、増設の九基を含めまして全体で十五基ございます。ほぼ確定し得るかというものを含めますと十六基になります。  もちろん、土地が手当てできれば原子力発電所ができるという性格のものではないことは十分承知してございますが、こうした中で例えば着工済みのもの、女川三号、浜岡五号、東通一号、それから炉規制法上の許可を済ませたもの、志賀等々ございます。そういった意味で、一次ヒアリングを開始した、その他の手続を既に、ある種の工程に入ったというものを全部合わせますと七基ございます。それからことし、さらにそれに加えて、地名は申し上げませんが、五基、六基年内に具体的な公開ヒアリング等を開始する、手続の開始、具体的な工程に入っていくものが追加されるべく努力をいたしているところでございます。  そうした意味で、決して十六基ないし二十基は架空のそらごとを申し上げているつもりはございませんで、一九六〇年以降の立地の努力の積み重ねとして、二〇一〇年ごろまでに必要な原子力発電所の建設に向かって、先が確実に透明に見えたと言っては言い過ぎだとは思いますが、決して真っ暗な道を当てもなく行っているという状況ではなく、それなりに一歩一歩前進をしているものというふうに理解をいたしてございます。
  58. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 その御苦労はよく察しているつもりでございます。しかし、今長官が言われたとおり、一九六〇年代、七〇年代から頑張ってきたと。二〇一〇年でございます。五十年かかっているわけですね。長官がまさに今おっしゃられたとおりでございまして、先ほど申し上げたように、二〇一〇年で二十基があったと。その次に、二〇三〇年一億キロワットに対してまたプラスアルファの二十基という話になるわけですね。先ほど、まさに一億キロワットというのは二十基の増設を見込んでいるもので、これは今後も検討があるけれども頑張りたいというようなお話だったと思います。  そうすると、二〇一〇年の見通しでも、先ほどお話を聞いて真っ暗やみの中を突き進んでいるのではないというのもわかりますが、用地取得で十五から十六、着工済みがたった三基というような状況、そして一九六〇年、七〇年代から一生懸命やってきた成果で、今真っ暗やみではなくて二〇一〇年でございますという話でございます。  その中で、この二〇三〇年の千九百トンというものに対しても、私は実は今の長官の御説明を聞いてもなかなか納得がしにくい。そして、今回の法案の中間貯蔵施設に対して私は要らないと言っているわけではありません。要らないと言っているわけではないけれども、後でまたお話しさせていただきますが、日本のこの核燃料サイクルに対していろんなところで不信感が出ている状況の中で、将来すごく貯蔵施設が不足します、そして将来はこれだけ原発をつくってまだまだ使用済み燃料が出ますから、だから今とにかくつくらせてくださいというのでは、その繰り返しではやっぱりもう話が通らぬのではないか。  この間の参考人で、東海村の村上村長があれだけはっきりと、私のところからは出していただきたい、受け入れる自治体ではなくて使用済み燃料を出していただく自治体としてきょうは来たんだと。やはりこれは、これまで政府の言ってきたこととは違って、我々自治体としては早く出していただくことを念頭に置いているということから考えても、そういう積み重ねで本当に国民の信頼が保たれるのかどうか、私はそういったことに対して大変不信感を持っています。  実は、国民は状況が大変わかっているんだと僕は思います。昔のようにそんなに神経質な一方的な反対運動というのではなくて、自分たちがエネルギーを使っているのはわかっている、民生部門でエネルギー需要がふえていることもわかっている。その中で原発についてはある程度国民の理解もあると思うんですが、私は逆に言うと、役所側の姿勢が余り変わらない、知らしむべからずよらしむべしというような状況の中で、やっぱり情報公開を進めなければいけない。  この間の村上村長国民的合意形成が必要だとはっきり言われた。今回の中間貯蔵という、ある意味でいうと政策の方向がはっきりととにかく中間貯蔵しようというふうに変わったにもかかわらず、そういう姿勢が役所の方に見られないことに対する不信感がやっぱり多いのではないかなと僕は思っています。国民は多分そういった姿勢を見抜いているんだと思うんです。  そういったことに対して、有馬長官も含め、もし御答弁を賜れればというふうに思います。
  59. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 主に三点の御指摘があったかと思いますが、二〇一〇年、二〇三〇年、原子力発電所の増設可能性についてのお話がございました。  二〇一〇年までにつきましては、先ほどの御説明内容でございますが、着工済みがわずか三件しかないというあるいは御理解をされたのかもしれませんが、我々は二〇一〇年に向けてかなりの努力が実りつつあるということでございます。若干の言い過ぎを覚悟で申し上げれば、かなりの確度で二〇一〇年の目標に向かって近づきつつあるという理解をいたしてございます。こういう立場でございますので、多少言葉の行き過ぎは御理解を賜りたいと思います。  他方で二〇三〇年の問題は、先ほども申し上げましたように、現在から人口が減り始める時期が二〇一〇年に近づいてくる。現在はエネルギー政策として総エネルギー需要の抑制をかなりのことで行っている。そういうプロセスを見ながら、今後、二〇三〇年の問題というのは議論をされていくものではないか。  自身、二〇一〇年を超えて二〇三〇年までに二十基をさらにつくるとも申しませんし、それが可能だとも今申し上げる立場ではないと思います。ただし、二〇一〇年については先ほどのような表現をさせていただければと思います。  各種の核燃サイクルの工程のおくれにつきましては、これは事実でございまして、六十二年の長計、平成六年の長計、また平成九年の閣議了解におきましても、こうした核燃サイクルの稼働のおくれに対して、さらにこれを促進するという立場と同時に、中間貯蔵を含めてそれへの現実的対応という議論をしておるところでございます。  なかんずく二〇一〇年におきましては、二十基の増設のほかに、六ケ所再処理工場の操業のおくれによりまして使用済み燃料の対策必要量は増加をいたします。この結果、約七千七百トンの対策必要量、二〇一〇年ごろにおいても施設規模として七千七百トン程度のものを用意しておく必要があるというものでございまして、こうした各工程のおくれに対応してこの中間貯蔵施設の御提案をしているところでございます。  最後に御指摘のありました万機公論、情報公開、この御趣旨はまことに御指摘のとおりでございまして、かような努力を、審議会の議論を全部公開するとかパブリックコメントをいただくとか、そういうプロセスをしながら意を尽くしているところでございます。
  60. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 決して原子力発電所をつくることが易しいとは思っていません。  しかし、まず第一に民生の電力をどういうふうに減らしていくか、このことを国民として本気で考えてほしいと思っています。そのためには省エネルギーを図らなきゃいけない。たびたび申し上げますけれども、私も通産省等々と、小学校、中学校の子供たちを初めとしてそういう人たちに省エネルギーを問いかけています。ぜひやってくれ、こういう運動はしていかなきゃいけない。  それからもう一つは、新エネルギーを何としても開発していかなきゃいけない。せめてピーク時、すなわちお盆で甲子園のあるあたりのピーク時の電力は太陽電池で賄うというくらいのことは今後していかなきゃならないんです。しかしながら、本当に太陽や風力で一体どれだけ足りるかということを国民に知らせなきゃいかぬ。足りません、どうすればいいんですかと。このことに関しては真剣に皆さんでお考えいただきたいと私は思っております。今後も、原子力の長計等々、通産省とも一緒になりながら、この問題について世論を喚起していきたいと思っております。  こういうことで、昨日、原子力委員会長期計画策定会議が発足いたしましたので、この会議にもお願いをしてさまざまな観点から今後どうしていくかを検討していただくことにしております。
  61. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 では、次の質問に移らせていただきたいと思います。  今回、中間貯蔵ということになりました。これは衆議院の科学技術委員会の方でも議論が出ていますし、本委員会の方でも質疑が何回か出ているんですが、中間という言葉の概念の問題です。中間というのは時間的概念なのか、もしくは地域的な概念なのか。  例えば、六ケ所村の再処理施設ができた、そこに対して各原発から出てきた使用済み核燃料を中間に貯蔵しておくための場所的な概念の中間なのか、そういう核燃料サイクルの中でどこかの中間に置いておきましょうという時間的な概念なのか。この中間という意味合いについて、どのような概念で使われているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  62. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 結論としては両方の意味でございます。両方の意味と申し上げますのは、時間的な調整の趣旨でこの貯蔵を行うという意味での時間的調整であります。それから、場所的な中間という趣旨は、発電所の外で貯蔵を行うという意味での場所的中間でございます。
  63. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 発電所の外で貯蔵を行う意味で、外での中間というのはどういう意味でしょうか。
  64. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 核燃サイクル路線の中では、使用済み核燃料はすべて再処理をされるというのが前提でございます。発電所で使用済み核燃料が生まれた、それは六ケ所村に持っていって再処理をされるまでの間、発電所の外で貯蔵をする、そういう意味での地域的中間でございます。
  65. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、両方あると。その中で、先ほど、時間的な部分でいうと再処理施設に行くまでの調整の期間だという話です。この委員会でもよく出ていましたが、その時間的ということになると、中間貯蔵施設としてはどのぐらいの時間そこに貯蔵されるのかというのが衆議院の委員会等でも出てきているんですが、数十年というお話と、コストの計算からいって四十年というお話があります。ここについてもう少し詳しく御説明をいただけますでしょうか。
  66. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) この貯蔵期間は、発電所発生をしました使用済み核燃料の個別のものを何年間貯蔵して再処理に至るか、こういう御趣旨で御理解を賜りたいと思います。  このコストをまず幾らと考えるかという趣旨の計算を行いましたときに具体的な数字を当てはめる必要がございますので、その場合に四十年という期間を与えまして、それで貯蔵のコストを算定いたしました。その経緯で四十年という数字を総合エネルギー調査原子力部会で使った経緯がございます。  具体的な個別の使用済み核燃料の貯蔵期間の現実でありますが、これはまさに使用済み燃料発生状況と再処理事業の進捗状況との調整でございますので、そうした中での要因で定まってくるということでございまして、概念的に数十年という趣旨を申し上げております。もちろん、期間を具体的に定める決定的な要因は再処理能力の稼働状況でございます。  そういう意味で、再処理工場の早期稼働、あるいはその後の再処理能力の拡大という点に我々としては期待を持っているところでございます。
  67. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 その数十年というのが、例えばこれからその施設を立地しようという自治体説明に行ったときに、数十年と聞いたときにその自治体住民が思うイメージというか概念というのはそれぞれがばらばらなわけです。恐らく今、数十年と聞かれて、ここの委員会委員の皆さんも自分の中の数十年という概念で中間貯蔵についての期間を考えた。それはやっぱり僕は余りにも説得性がないと思います。  その中で、中間貯蔵施設を利用するというシステムそのもの、今回の中間貯蔵システムが、先ほど長官が言われたように、再処理工場の稼働がうまくいくまで頑張ったとします。もし、今資源エネルギー庁が考えられているイメージどおりに再処理のシステムが、日本の核燃料サイクルのシステムが稼働したとして、そうすると中間貯蔵施設というシステムは終わりがあるわけですね。つまり、原発から出た使用済み核燃料をそのまま再処理施設へ持っていけばいいわけですから、直接持っていくという工程が出てくるわけですね。  今の中間貯蔵にたまっているものを全部処理できるような状態が将来あって、そうすると直接そこの再処理施設へ持っていくような状況になるということは、将来的には中間貯蔵という施設はなくなるわけですね。
  68. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 中間貯蔵というシステムの制度としての存続期間の問題と、それから我々が今当面で議論をしております、発生をした個別の使用済み燃料が何年間貯蔵されるかという二つを分けて議論をさせていただきたいと思います。  このシステムに関しましては、今後の再処理能力のいかんによります。例えば二〇一〇年に千四百トン、それまでの滞貨として三千九百トン、これを八百トンの再処理能力処理をしていくわけでございまして、これは制度としてはかなり長期間続かざるを得ないと思います。そういう意味で、八百トンを超えて再処理工場の能力を幾つにできるものかということを、システムとしての必要性がいつまで続くかということにかかわる問題だと考えてございます。その点は、先ほど御指摘ございました立地地点に対するお話でも、再処理工場の今後の展開によりシステムそのものの存続期間というものにかわる問題であるということは申し上げたいと思います。  それから、個別の使用済み燃料が何年間そこで貯蔵されるかということがございます。  これは単純なモデル計算でございますが、先ほど申し上げました二〇一〇年年間発生量千四百トン、それまでの滞貨三千九百トン、これを再処理能力八百トンのままであるとすると何年間貯蔵することになるかというモデル計算をいたしますと、これはモデルでございますので余りにも簡便な計算ですが、約二十年であります。二〇一〇年に新たにそこに持ち込まれた個別の使用済み燃料が何年間その中間貯蔵施設に保存されることになるか。これを先入れ先出しのやり方で計算しますと、モデル計算としては二十年間。それで、もちろん八百トンのままの能力をずっと継続していけば、ちなみに二〇二〇年に入れられたものは何年後に出されることになるか、これもモデル計算をすると三十年になります。  そういう意味で、もちろんこのモデル計算のとおりに八百トンのままを前提とするのか。逆に八百トンの能力の稼働率がどのぐらい、いいのか悪いのかというのにもかかわりますので、この二十年とか三十年とかいう数字をそのまま当てはめることはできないと思いますが、地元での期間の御説明に関しましてはこういう数字を使いまして、永久に貯蔵をするという趣旨のものではないということを御説明したいと思っております。
  69. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今まさに多分その答えしかできないんだと思うんですが、例えば六ケ所以外に第二、第三の再処理工場を建設することになって、そこで稼働が多くなれば、それだけ中間貯蔵する期間が短くなったり少なくなったり、場所が必要でなくなるかというのはそれ次第だというのはまさにそのとおりなんですが、先ほどまさに長官が半永久的ではないとおっしゃることに対して僕は一つだけ疑問がございます。  例えば、二〇一〇年に中間貯蔵施設に入れられた使用済み核燃料は三十年後には出ていくかもしれません。でも、原発はいろんなところが稼働していて、その間に、その原発からは使用済み核燃料がどんどん出てきて中間貯蔵施設に持ち込まれるわけです。幾ら日本の再処理サイクルシステムが稼働していようが、稼働すればするほど、中間貯蔵施設に保管されている使用済み核燃料を再処理工場に運んだとします、運んだとして、そこで再処理があったとしても、新たな使用済み核燃料はほかの原発で発生していて、それが中間貯蔵施設に持ち込まれることになるんじゃないですか。  だから、例えば二〇一〇年に運ばれた使用済み燃料は三十年後出ていくかもしれません。それは半永久的ではないでしょう。でも、それに追っかけて原発で出てきた使用済み核燃料はその中間貯蔵施設にまた新たに来るわけですから、その個別の使用済み核燃料は半永久的にはここに置かれないかもしれないけれども、地域住民やその自治体にとっては常に新しい使用済み核燃料が、サイクルが移動すればこうやって移動しているわけですから、これは半永久的にそこに置いてあるということではないんですか。
  70. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 核燃サイクルというのは使用済み燃料を再処理して回転させるということでございますので、永久貯蔵とかいう言葉に対して我々がお答えを申し上げているのは、核燃サイクルによって使用済み燃料を再処理することなく永久に貯蔵する、いわばワンススルーのような態様のものを永久貯蔵という言葉で理解をし、かつ御説明を申し上げております。  御指摘のとおり、ある施設の中で物が回転して、入って出ていって、しかし施設そのものは残るというものをとらえて長く永久に貯蔵しているんじゃないかという御指摘であらば、事実関係はそのとおりだと思います。  ただし、核燃サイクル上の位置づけは、ある使用済み核燃料が発生をして、それがある一定期間貯蔵をされ、またその後に再処理をされて再利用されていく、こういう回転の中のもので、この回転がとまってある特定のものが永久にそこに置きっ放しになるんじゃないのか、そういう趣旨で議論をされておりますので、我々としては先ほどのようなお答えをしているわけであります。
  71. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そういう趣旨で議論をしているのは、申しわけないですけれども、資源エネルギー庁さんがそういう趣旨で議論をされているわけであって、それは永久ではない。そうでしょう。確かに、運ばれたものが次に再処理としてサイクルに乗っかっていくわけですから、こういう形で出ていくから、これは永久に置いていないから永久貯蔵ではないと。それはあくまでも言葉の定義の問題なんじゃないですか。  今問題になっているのは、この間の東海村の話もそうですけれども、地域住民地方自治体にとっては、その使用済み核燃料自身が移動しているかどうかなんというよりも、そこの中間貯蔵に実際に使用済み核燃料があること自身が住民にとっては半永久的になるのかという心配があるわけです。入ってきたものが出ていって出ていって、これは永久的に置いているんじゃないから永久ではありませんなんて、それは正直言って言葉のへ理屈以外の何でもなくて、地域住民にとってはそれが移動しているかどうかなんてわからなくて、逆に言うと現実にはそこには使用済み核燃料は半永久的に残るということじゃないんですか。
  72. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 言葉の定義の問題ですから、先生の御指摘のような御定義をされればそういう意味だと思います。  ただ、東海村長がここでお話しになられたこと、また我々が各原子力発電施設のかなり長い歴史の中でお話を伺っていることは、発電所で出てきた使用済み燃料を今プールに置いておりますが、各発電所でそれが再処理されることなく長々と置かれることになるのではないかというのが懸念の第一点。ついては、再処理施設についての対策を万全とするべし。また、使用済み燃料を各発電所貯蔵していくについて、それぞれの能力をオーバーするようになってくるから、その部分をほかの地点で貯蔵するように要望をしてきておられます。  そういう趣旨から見ると、決して例えば発電所の中のプールあるいは外のプールに貯蔵機能が常にあることが問題という趣旨ではなくて、使われた使用済み燃料が国の言っている核燃サイクルという中で回転をしているという状況をつくれ、かような趣旨として我々は理解をさせていただいております。
  73. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今のお話は理屈としてはわかります。理屈としてはそうでしょう。でも、現実問題として、中間貯蔵施設と先ほど言われたじゃないですか、調整だと。時間的な調整と場所的な調整があって、両方あると。確かに調整です。ある使用済み核燃料はここにいて、それで再処理のサイクルに入っていくための一時期だと。でも、常に新しい使用済み燃料がここに来てここにあるということは、住民にとってみれば、失礼ながら、常に使用済み核燃料がある状態は変わらないんですよ。違いますか。
  74. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) システムとして存続し、使用済み燃料を回転させれば、そこに使用済み燃料というものがあることは間違いございません。それはその趣旨のものとして御説明をしたいと思います。
  75. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうしたら、常に新しいものがそこにあるということじゃないですか。そうしたら、中間施設が要らなくなるということはあり得ないじゃないですか。先ほど言ったように、原発から使用済み核燃料がダイレクトに行くような状況が将来起こればそれはあれかもしれないですけれども、そうでない限りは、中間貯蔵施設には常に新しいものが入ってきて出ていっているだけであって、地域住民自治体にとってははっきり言って半永久的にあることと変わらないんじゃないですか。
  76. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) したがいまして、再処理能力についての拡充あるいはその着実な実施というものを我々としてぜひ実現をしてもらいたい、かように考えているところでございます。
  77. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 正直言ってここは全く納得できないです。  では、ちょっと次に行きます。  お配りいたしました表を見ていただきたいと思います。  これは政府が出していただいている数字もとに出しました。全く数字的にはいじっていません。二〇〇五年に六ケ所村が稼働することも前提にいたしました。それから、これは可能かどうかはわかりませんが、二〇一〇年にもし再処理工場をつくるという話になったときに、二十年後に第二工場が稼働するということも仮定をさせていただきました。そしてさらには、私は良心的に、第三工場も二〇四〇年には稼働するということも仮定をして、それも六ケ所村の第一再処理工場が年間八百トン、それと同じものが二〇三〇年、四〇年という形で処理できるというふうに仮定をしました。  そして、先ほどの二〇一〇年、二〇三〇年に出てくる使用済み燃料発生量でこの使用済み燃料貯蔵量の推移を見たときに、これだけ政府の言っていることを良心的に、リードタイムまでも何とかうまくいくような状況まで考えて、そしてその前提でいって、実は最後のところの中間貯蔵に使用済み核燃料が要らなくなるのが二〇九〇年を超えるわけです。これが先ほど長官の言われた数十年という単位なのか。時間的な調整と言われている単位なのか。悪いですけれども、よほどの長生きでない限り、ここの委員会で議論されている方はこの時点ではいないわけです。  これで、自治体中間貯蔵だ、安全に対して信用してくれ、そして半永久的ではないと言われていますけれども、ここの自治体で生きている、生活をしている住民にとっては、これは自分の一生かかっても出ていく可能性はないわけです。これは数字的にです。  そして、先ほど申し上げたように、システムとしても、長官の言われているように、概念としては確かに入ってきたものは出ていくから永久ではない、でも現実には新しい使用済み燃料が入ってきてここに置かれているわけです。  こういう状況が出ていて、本当にこれで、中間貯蔵施設をつくってくれ、半永久的ではない、そして先ほども言われました再処理工場の稼働状況によってはそれは大丈夫だと言われたって、一体どこが大丈夫だって国民説明ができるんですか。  私は、先ほどから何回も申しているように、決して中間貯蔵施設が要らないと言っているわけではありません。そして、エネルギーの必要性も否定をしているわけではありません。原発の必要性も否定しているわけではないけれども、余りにもこの議論は国民には説明ができないというふうに思うんですが、いかがお考えですか。
  78. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) このお示しいただいたグラフは、この前提でまた箱書きの中に入っている前提でつくればこのとおりであろうかと思います。  なかんずく、使用済み燃料発生量、二〇三〇年千九百トンという数字を入れて計算をしておられますので、そういう意味でも、これがシステムとして第三工場までできたときに、二〇九〇年を超えるところまで必要になるというところ、まさしくこの御指摘の図のとおりだと思います。  繰り返しでございますが、使用済み燃料中間貯蔵する趣旨は、その先に再処理に持っていくという核燃サイクルの路線を踏襲する、実現する、確実に行うという趣旨でございまして、そういうところから、排出された使用済み燃料を個別にとらえて、それがずっとここに置きっ放しになるものではない、かような趣旨で説明を申し上げておりますし、また今後もそうさせていただきたいと思います。  システムとして、その所要期間、システム存続期間がこの図のとおり場合によれば長くなるということは、そのとおりであろうかと思います。
  79. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そのとおりであろうと認められると余計困るんです。正直申し上げて、恐らくこのグラフは政府の言っているものを理想型に近い形で実現してこうなわけです。現実の中で再処理がこんなにうまくいくかどうかまだわからないわけです。  六ケ所村の再処理だって、先ほど畑委員からありましたように、徐々に徐々に延びている。そして、第二、第三の再処理工場だってこのとおり稼働していくかどうかわからない。そしてなおさら、再処理して出てきたプルトニウムやMOXなどの利用のことは考えていないわけです。そして、「もんじゅ」を含めて高速増殖炉は二〇五〇年までめどが立たない。プルサーマルにしたって、十八基動かせばプルトニウムは完全に消費できるという話になっているけれども、それについてだってまだ未定なわけです。  これはどう見たって問題を先送りするための中間貯蔵じゃないかと言われたって、この批判はやっぱり逃げようがないと僕は思っているわけです。だから、先ほどから何回も言っていますけれども、要らぬと言っているわけではない。ただ、これで国民に信頼をしろ、国民的な合意を形成してください、そして原子力政策に対しての信頼をどんどん醸成していきましょうというお話をしていただいても、これは納得できない。  科学技術庁長官、事前通告ありませんが、もし御意見をいただければと思います。
  80. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 私は、こういう状況は正しく国民に知らすべきだと思っております。これはもう情報公開の原則がありますし、こういうすべての条件をお示しした上で、国民がどう判断していかれるかを我々としては御意見を承りながら、我々のやるべき義務を果たしていかないとならぬと思っています。
  81. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 稲川長官、いかがですか。
  82. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 大臣がおっしゃったとおりでございまして、それをまた肝に銘じて今後の御説明を繰り返したいと思いますが、一つ、仮にこの中間貯蔵施設をつくらなかった場合、この部分は発電所の中に貯蔵する結果になります。  そこで、どこで置くかというお話でございまして、どこで置くかのときに、長い三十年、四十年、るる申し上げました計画がいささかおくれつつあるという中での地元での不信感がございますので、したがって、発電所の外でも置ける体制をここに置き、かつその事情は、大臣が御指摘になられましたように、広く御説明を申し上げた上でこの新しいシステムというものをぜひ起こしたいということでございます。
  83. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 もう本当に、現状としてはどうしようもありません、サイトの中には貯蔵施設がもういっぱいになりました、それでそれは住民とそこの約束した自治体とは違う、だから中間施設をつくらせてくださいと。  お気持ちもよくわかります。それも必要だと思います。でも、そういう現状の積み重ねをずるずる追認をしてくれと言った結果がこういう結果なんじゃないでしょうか。  その中での情報公開や信頼の醸成やということに対してやっぱりどこか、原子力政策についても、これははっきり言って、核燃料サイクルの政策自身についても、「もんじゅ」を含めて、六ケ所も含めて、見直しをしていかなければいけない時期も来ているし、現実問題として今世紀中にこういう問題は解決しないことがもう政府の数字で明らかなわけです。  そこをはっきりと言わないで、数十年です、中間というのは数十年です、またもしくは、中間のコストを計算したときには、中間貯蔵施設のコストは四十年で計算しましたと。  四十年どころじゃないですよ、これ。中間貯蔵施設、四十年じゃなくなりませんね。ところが、四十年で計算をしたと言ったら、数十年と言われて四十年という議論が出てきたら、ああ四、五十年なんだなと思うじゃないですか。それがやっぱり僕はいかぬのと違うかなというふうに、大変生意気を申し上げるようですが、思っています。  この前提でまた同じことを聞きますが、受け入れる自治体があるんでしょうか、長官。
  84. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) この立地に関しましては、地元の理解、御了承を得ることが当然の前提でございます。そのために、国、電気事業者あるいは新しく行う中間貯蔵事業者、それぞれの立場でこの必要性、今御指摘のあった中間貯蔵意味合いの二つの点、あるいは安全性、政策上の位置づけについても理解をいただく努力をしたいと思います。  その際、今までの貯蔵施設の内外の実績、特に安全性その他につきましては、大臣から御指摘いただきました情報公開、貯蔵技術の情報を積極的に公開する等の努力をあわせ行うつもりでございます。  また、この新しい施設がその地方の振興にも役立つべく我々として努力をしたいと思っております。
  85. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そこで、先ほどほかの委員からも御指摘ありました、村上村長さんがある県の知事から中間貯蔵施設をつくらせてくれという申し出を受けてきっぱりと拒否をしたというお話がございます。  このことについては、こういったお話が知事から村長さんに行っていることは資源エネルギー庁としては御存じでしたか。
  86. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) ここでの御議論がございましたので電力会社確認をいたしましたところ、中間貯蔵施設に関してPA等さまざまな活動を行う一環として立地について打診を行ったことは事実であるという報告を受けております。
  87. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これは素朴な疑問なので別に追及する気は全然ないんですが、中間貯蔵施設をつくることに対して国会で法案を審議している最中ですね。それに対してPAがあるというのはよくわかりますが、それを打診するというようなことは別に構わぬのですか。
  88. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 是非のほどについては私ども判断するところではありませんが、いずれにしても、立地に関してはいろんな段階のものがあり、本件も非公式な段階のものであったかと思います。  我々としては、ここで中間貯蔵を進めるための環境を整備していただく、すなわちこの法律のことを申し上げてございますが、それを第一歩として、今後貯蔵施設安全性についての先ほどの説明などを通じて、早急に立地点を確保すべく努力をしたいと考えております。
  89. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私は、いろんな自治体に対して中間貯蔵施設の立地のお願いをするときに、透明度を高めるとか、全部公開をしろなどというような議論をする気は毛頭ございません。それは皆さんの御苦労で今一生懸命やられていることだと思います。  しかし、国会でまだ審議をしている最中にそういう打診があったり、参考人として来られた村長から、こういう打診があってきっぱりと拒否をしました、こういうことは困りますというようなことが出てくること自身、逆に言うと、私は、それを資源エネルギー庁が知らなかったということに関しても正直申し上げると監督官庁としてどうなのかなという少し懸念を申し上げて、この話についてはこれで終わりたいと思います。  その中で、候補地に関して努力をされるのもよくわかります。この法案が通ってからいろいろやられるという今のお言葉も承りました。  では、実際に候補地の立地条件のようなものの具体的な話、これはもう衆議院でも出ていると思いますが、具体的にはどういうところなのか、教えていただけますでしょうか。
  90. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 具体的な地点につきましては中間貯蔵事業者が選定をすることになると思いますし、それで政府としては申請が行われれば厳格な安全審査を行うということでございます。  安全審査の際に求められる要件という観点からお話を申し上げますと、今後原子力安全委員会において検討されることにはなりますが、中間貯蔵施設は、我が国の原子力発電所において実績のある方式が使われることが想定されますために、まず耐震安全が十分確保されること等々強度などに関するものが大きな立地要件になっていくのであろうかと思います。  また、運搬について考慮いたしますと、例えば輸送キャスクというのは百トンあるいは百二十五トンというかなり大型のものでございますので、その輸送上の制約から港から比較的近い地域などの立地条件が出てくるものではないかと思います。ただし、これは許可の要件という趣旨ではございませんで、事の性格上そういうことになるのではないかということでございます。  いずれにしろ、立地対象地域方々の御理解を得つつ立地活動が進められるものと考えております。
  91. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今、運搬が百トンから百二十五トンになるので輸送上の制約があって港から近いというお話がありました。その百トンから百二十五トン以外、具体的に輸送上の制約というのはどういうものがあるんでしょうか。
  92. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) キャスクで輸送をするといたしますと、今重さを申し上げました。それから、長さで申し上げますと、全長が六メーター前後でございます、外形でいえば二・五メートルというものを運ぶことになります。  したがいまして、この一つのキャスクの中に三十本、二十本の燃料体が入るわけでございますが、こういうものを例えば道路輸送するにしても、いろいろな輸送上の制約といいますか、難しさその他が出てくるかと思います。そういう意味で、港に比較的近いところ、また道路でアクセスの易しいところというようなものがおのずと出てくるのではないかということを申し上げました。
  93. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、もう一回だけ先ほどの話に戻りますが、例えばこれもうまくいって、中間貯蔵施設の立地場所が決まった。そこは輸送上の制約があって、三十本から二十本入りのキャスクを百トンから百二十五トンで運ぶから、アクセス上いろいろいいところがいいだろうという話です。  そうすると、決まったところに、先ほど言ったように、再処理が稼働して使用済み核燃料がどんどん出ていくということは、出ていっても入ってきて、また出ていっても入ってくるということは、これだけ輸送上のリスクがその中間貯蔵施設の立地の場所には高まるということではないんですか。
  94. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 輸送の頻度という意味では、当該地点に出る、入るという輸送が起こることは確かでございます。また、港湾に船が出入りすることも確かでございます。  ただ、最近までの使用済み燃料の取り扱いに係るトラブルというのは二十件が報告されておりまして、最近の十年間では軽水炉に関しては全く報告がされておりません。それで、今まで輸送上のトラブルというのは、ヨーロッパに輸送したものについて船からおろすときのクレーンのひもが外れたというような事故が一件だけ報告をされてございまして、必ずしも輸送上の問題というのがこの中間貯蔵に係る対応として非常に難しいとか厳しいとかそういう事情はない、今までの経験で十分安全性を確保できるものと理解しております。
  95. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ただ、感覚的には、中間貯蔵としてそこにずっと置いて出入りがない方が、そういうことも含めて地域住民の安心感としてはまだ出入りがない方がいいのではないかなというのは感じます。  さらには、東海村の再処理施設は火災事故でとまったままでございます。六ケ所村が二〇〇五年からということになっていますが、この六ケ所村の再処理の技術の問題でございます。ちょっと前にさかのぼりますが、東海村の再処理施設は実際の再処理可能量のどのぐらいの処理を稼働していたのでしょうか、お知らせください。
  96. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  東海の再処理施設、運転を開始いたしました昭和五十二年度から平成八年度までのこの二十年間の累積で九百三十六トンの使用済み燃料を再処理してございます。  今、先生御指摘になられました年間の最大処理能力というもの、これを百二十トンということを前提にいたしまして、その年平均ということで見てみますと、その数値といたしましては四割程度の処理実績を上げているというふうに考えてございます。
  97. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 東海村は再処理施設としてはかなりの実績を上げられたと判断してよろしいんですね。
  98. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  東海村再処理工場、御案内のとおり、我が国におきましての最初の研究を兼ねました施設でございます。  当初段階におきましては種々のトラブルに見舞われてございます。昭和五十三年には酸回収蒸発缶のトラブル、昭和五十八年には溶解槽のトラブル等、運転初期におきましては種々のトラブルというものを経験してございます。そういったトラブルというものはその都度克服をして、改修等をきちんといたしまして実績を上げてきておる。  ただ、残念なことに今アスファルト固化処理施設の火災爆発事故でとまっておるわけでございますが、その直前の段階というものを見てみますと、かなりな実績というものを上げてきておるというのは事実であろうというふうに思ってございます。
  99. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今大変正直にお答えいただきました。私は、六ケ所村が二〇〇五年から稼働し始めるという状況の中で、先ほどの前提で八百トン処理をするという話がございました。今、東海村の実績をお伺いしたのは、東海村でさえ最初いろんな御苦労をされて、結果としてかなり評価ができる状況で稼働したにもかかわらず、年平均可能量の四割の処理量であったと。私はこの六ケ所村の再処理について、早く二〇〇五年にスタートできればいいと思っていますが、今資源エネルギー庁が想定をされているような八百トンというフル稼働が現実に可能なんだろうか、こういった技術的なものは確立をされているのだろうか。これがもし確立をされていなくて、また当初今言われた東海村のように何回もいろんな試行錯誤を重ねながらということになりますと、この六ケ所の八百トンという前提も崩れてくるのではないかと思いますが、そこの技術的な裏づけということについてお答えください。
  100. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答えを申し上げます。  今、我が国の実績ということについてお答え申し上げましたが、一方、再処理につきましては、英国、フランス二カ国におきまして既に相当の長期間にわたりましての商業運転の実績というものがございます。そういうベースというものを前提にいたしまして日本原燃、この再処理工場の建設主体でございますけれども、一つにはその実績のある海外の技術というものを入れてございます。そういったものをもとにいたしまして、先ほど申し上げましたような東海処理工場におきましてのいろんな知見というものも入れまして今建設を進めておるということで、技術能力という点からいたしますれば、年間再処理八百トンという能力は十分にあろうかというふうに思ってございます。
  101. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 海外の技術がありますから何とか大丈夫だろうというのもよくわからないんですが、八百トンで回ればいいけれども、もし万が一だめな場合にそれも中間貯蔵へ全部しわ寄せが寄ってくるわけです。  私ももういただいた時間がなくて、予定していた質問の半分ぐらいしかできていないんですが、要は、私は今の日本の原子力政策というのはどうも川上の部分だけで突っ走っているような気がして仕方がないわけです。エネルギー需要は増加をしているよ、だから質のいいエネルギーを量を安定供給しなければいけないよということをにしきの御旗にしてどんどん川上のことをやられる。それは重要だと僕は思います。  しかし、再処理中間貯蔵や廃棄物処理といった川下の分野がなかなか見えてこない。それは当たり前なんです。それは科学技術の発展や進歩とともにいく話ですから、なかなか予定どおりいかないこともある。さらには地域住民との話もあって、予定どおりには……。そうすると、日本の核燃料サイクル全体像というのがなかなか国民には見えてこないんだと僕は思っているんです。  先ほど有馬長官が言われました、本当に国民に実態を知らせて、省エネをしてもらって民生部門のエネルギーを減らしていくことが大事だと。まさにそうで、川上の部分の状況をやっぱり考え直していかなくて、もし川下の部分が今のような、先ほど私のような者が申し上げたような状況ですら不確定、不安定な要素を前提としてこれだけのものができ上がろうとしているわけです。そうしたら、川下の部分がこれだけあやふやなんだったら、川上も一回考え直して、川上の部分からちゃんと日本の原子力政策を考え直すという時期に来ているし、この中間貯蔵施設というのはそれを考えるに当たっては大変いいきっかけと言うと語弊はありますが、そういう時期に来ているのではないでしょうか。  先ほど長官が言われました新エネルギーの開発も含めて、私は新エネルギーばかりでいけるとは到底思っておりませんけれども、ただこれまでのように川上ばかりを中心に考えて、川下は後で何とかなるわと、自分らが生きているうちではないけれども次の後世の人間は何とかなるわというような、こういう形でツケを回していくことに対して、これが本当に責任のある政治の仕事、政府の仕事なのだろうかと私は大変疑問を感じています。  ですから、今回の中間貯蔵はある意味で言うといたし方ないですが、こういうふうに現状追認をしろという繰り返しの中での原子力エネルギー政策ということに対してはそろそろ考え直して、国会の場でも頑張らなければいけないと思いますけれども、ぜひ信頼される原子力政策にしていただきますことを心より御祈念申し上げまして、いろいろ申し上げましたが、私の質問を終わります。  きょうはありがとうございました。
  102. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  先日六月一日は、参考人三人の方に来ていただいてさまざまな角度から陳述していただきまして、私はいろいろな意味で非常に参考になりました。こういうことで、ほかの法案、極めて重要な法案については参考人を呼ぶような形で審議を深める形で今後ともやっていただきたいことを委員長の方に要望しておきたいと思います。  それでは最初に、前回も取り残していた質問の続きでございますけれども、原発の運転管理専門官の件でございます。  前回質問で、原子力発電所の運転管理専門官が定員割れしていると、そういった指摘をしたわけでありますけれども、四十七名が一時的に四十一名なんだと、そういう御答弁がございました。  一時的にという答弁の仕方でありますけれども、この運転管理専門官制度というのは、政府がさまざまなところでお話ししていますように、スリーマイルアイランド、あのヒューマンエラーの件も含めて一九八〇年四月にできた制度で、極めて重要な意義を有する制度であるわけですが、そういう制度に対して四十七名が一時的に四十一名だと。事故は一瞬に起こるわけでありますから、一時的という答弁で済まそうというのは、私は、答弁としては状況の判断、原子力災害に対する基本的な姿勢ということが非常に問われるんではないか。  そもそも一時的とはどういう期間を想定して稲川長官はおっしゃっているんでしょうか。
  103. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 前回、一時的な状況と御理解賜りたいというふうにお話を申し上げました。冒頭おわびをして訂正をさせていただきますが、人事のやりくり上の一時的なものと理解をして御答弁を申し上げたわけですが、事務所に帰りまして中をよく見ましたところ、平成五年度以降、欠員の状況が続いているということがわかりました。その趣旨で、一時的ではございませんで、欠員の状況がここ数年続いているということでございまして、その点おわびを申し上げたいと思います。  内容を若干申し上げますと、この運転管理専門官の配置に当たりましては、各事務所に一名、各中央制御室に一名という原則で、全国十七カ所の原子力発電所すべてに対応して十三の事務所を設けて、先ほどの原則で四十七名という定員をいただいておるわけでございます。  具体的には福島、柏崎、敦賀、それから大飯・高浜、この四カ所において欠員を生じております。福島においては定員が六のところが五、柏崎においては定員が七のところが五、それから敦賀・美浜におきましては定員五のところで四、大飯・高浜におきましては六のところで四でございます。  かような趣旨で、それぞれ人数の規模の大きいところで欠員を生じておりますので現実的な業務に大きな支障が生じているということはないものと考えてございますが、いずれにしても、この状況は事の重要性にかんがみまして解消すべく努力をいたします。そういう趣旨で、おわびして訂正を申し上げます。
  104. 加藤修一

    ○加藤修一君 私は非常にいいかげんな答弁だと言わざるを得ないんです。平成十年八月以前は四十七名ではないわけですけれども、先ほど答弁がありましたように、そのときは四十一名どころか四十名という話になっていますね、中身は。私は、まず平成五年以前というか、最近十年間のこの辺のデータをきちっと報告していただきたいと思います。  なぜ私はきちっとした対応を求めるかといいますと、当然のことですけれども、これはアメリカにおいてもそうなんです。何が当然かといいますと、アメリカの下院商業委員会のマーキー議員らは、アメリカ国内におきます原子力発電所の運転要員、そういった者が規定外の超過勤務をしている、そういった点から安全性が極めて損なわれる、運転管理に問題があるということでアメリカの原子力規制委員会調査要請した。これは最近だと思いますけれども、その調査内容は、過去五年間に運転者の疲労や人員不足が原因と見られる安全上のミスがなかったかどうかということが第一点。二点目は、勤務時間が一日八時間、週四十時間、日本の場合とちょっと違う部分もあるかもしれませんが、四十時間の規定を超えたケースとその理由、それを米原子力規制委員会報告しているかどうか、そういったものを調査しているわけであります。この人員の問題を非常にアメリカにおいても重く受けとめている。  先ほど答弁の中に、原則云々ということがあって、実態的には特段問題がないような発言でありましたけれども、やはり制度をつくってその制度に対応した形で人員配置をしなければいけない、そういうことであるわけなんですが、これはいつちゃんと四十七名配置するのか、その辺のことについてお伺いしたいと思います。
  105. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 過去のデータについては御提出を申し上げます。  それから、この四十七名の定員をいつ完全に満たすかという点につきましては、答弁の確度を確実にするためにちょっとお時間をいただきたいと思います。  それから、なお、アメリカの例を御説明ございましたが、アメリカと日本の制度に一つだけ差がございまして、アメリカは常駐の検査官制度でございます。日本の場合は電気工作物検査官というのは別にございますので、これではなくてその検査の部分を除いた管理を行う者として配置いたしてございます。  これは一般的な事情だけでございますが、冒頭申し上げましたように、数字につきましては御報告を申し上げます。
  106. 加藤修一

    ○加藤修一君 いや、ふだんのそういう答弁のあり方に対して、非常に誠実性を欠くような答弁だと私は思います。  それで、ことしの四月二十八日、原子力安全委員会の専門部会の「原子力防災対策実効性向上を目指して」という報告書の中に、運転管理専門官等の常駐職員に防災対応に係る職務と能力を適切に付与することが必要と言っているわけなんです。これは具体的にどういうふうにするお考えなのか。  実際、私が調べた範囲では、専門官といいながら、関係のない部署から専門官になっているという実態があるようにも聞いていますけれども、この辺のことについて明確にしていただきたいということです。明確にするということはどういうことかといいますと、専門官の経歴を資料として提出していただきたいと思います。
  107. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 個別の経歴につきまして、ある種プライバシーの問題ではございますが、御必要な範囲でお求めの資料は提出いたします。  今現在の経歴を一般論で申し上げますと、原子力、電力保安に係る一定の経験のある者を配置いたしてございます。この配置に当たりましては、派遣者の経験に応じまして三ないし八週間の赴任前研修を実施して配置いたしてございます。  それから、防災お話がございましたが、今現在はこの研修内容の中に防災の話は含まれておりません。今後、詳細を詰めながら、この中身に必要な対応をしたいと考えております。
  108. 加藤修一

    ○加藤修一君 その一定の経験という中身、それから三から八週間の研修ということ、その研修の中身も含めて関連の資料を提出していただきたいと思います。  経歴については、プライバシーの話と言いましたけれども、名前は当然伏せて、ぜひ詳しい経歴を提出していただきたいと思いますけれども、どうですか。
  109. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 御指示のとおり、必要な資料は提出を申し上げます。
  110. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは次に、原発関係の地震対応ということで、過日の委員会で、ことしの四月十五日の新イズベスチヤという新聞に紹介されておりました調査結果について科学技術庁に私は質問したわけですけれども、外交ルートでロシアの論文を取り寄せたとおっしゃいました。それを私に届けてくれたわけですけれども、そういう経緯で私の方に届いたということで間違いはないですか。
  111. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) 間違いございません。
  112. 加藤修一

    ○加藤修一君 この新イズベスチヤの記事、私の手元にロシア語の記事を翻訳したものもございますけれども、科技庁さんから提出いただいた論文とこの新聞の中身と相当の食い違いがあるんですが、何かそこに思い当たることはございますか。
  113. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) お答え申し上げます。  論文と新聞のニュースとの差でございますが、幾つかございまして、すべては申し上げられませんが、数回の局地地震があったということがニュースの方ではございますが、論文にはございません。最大で国際震度十ないし十一に達しとございますが、そういう記載もございません。それと、傍証の部分についても、そのような記載はございません。そういう意味では幾つか相違がございます。
  114. 加藤修一

    ○加藤修一君 私は、これは重大な問題だと思っています。なぜ重大かといいますと、科技庁が持ってきた資料は、手元にございますけれども、これは一九九七年ですよ。二年前ですよ。新イズベスチヤで報告書の中身を書いているのは一九九九年です。これはどういうことですか。要するに、私が要求している資料とは中身が全然違うんですよ。全くおかしい。これで委員会で私が提出を要求した内容報告書ですよというふうに持ってきたわけですから、委員会に対して非常に、私は余り言いたくないわけですけれども、その辺いかにも私はずさんだと思いますよ。私が質問した内容を精査しましたか。新イズベスチヤのこの記事についても精査いたしましたか。
  115. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) 今の点につきまして我々理解しておりますのは、九七年にまずロシア語で発表された論文であると、それがジオフィジックスジャーナルという雑誌に後ほど英語で転載されたということでございまして、我々としては御指摘の論文をお持ちしたというふうに理解いたしております。
  116. 加藤修一

    ○加藤修一君 だめだ。そういう答弁じゃ話にならないですよ。私が新聞を紹介したのは、一つは毎日新聞の中に載っていたものですよ。さらに、私は大変な重要な問題だと、そういうふうに感じて、そして新イズベスチヤの話を調査し、さらにそれを翻訳の関係を含めて資料を集めたわけですから、その集めた資料の中身と科学技術庁が持ってきたものとほとんど違うんですから、これで加藤委員の言っていた中身ですよと言われたって承知できませんよ。  外交ルートでこれを集めたというのは本当なんですか。非常に対応として機敏にやっていただいたので私は感謝いたしましたけれども、これは私はどうもおかしいと思って調べたら国会図書館にありましたよ。
  117. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) 我々としましては、この毎日の記事を大使館経由で送りまして、この中身に相当する論文を入手してほしいということを外交ルートでお願いしたわけでございまして、それで送られてきたものがこの論文でございまして、我々としてはこの記事に該当する論文がこれであるというふうに認識をしております。
  118. 加藤修一

    ○加藤修一君 大使館の方がかわいそうですね、責任転嫁されていますから。
  119. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 科学者として論文を全部見ましょう。その上で判断いたします。
  120. 加藤修一

    ○加藤修一君 大臣、わざわざ御答弁いただいて感謝いたしますけれども、今はそういうところの問題ではなくして、要するに、国会議員委員がこれこれしかじかという形で質問している内容についてきちっと精査していないという結果から生じたことですよ。精査をなぜしないか、そこがだるいというところですよ。そういうことがひいてはさまざまな問題にもつながるし、さまざまな問題からそういうところに、姿勢が緩やかになっているということにつながっている可能性も私は否定はできない。
  121. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) これは私に責任があります。ちゃんと報告を受けてどういう精査をしたかということを聞いたのですけれども、今御指摘のような点があるとすれば、もう一度私も論文を、私は残念ながらロシア語は読めません、したがいまして英語の翻訳を見てみることにいたします。そして、どういうふうに新聞情報が正しく伝わっているか、あるいはそうではないか等についても正しく検討いたした上で御報告いたします。
  122. 加藤修一

    ○加藤修一君 大臣の御姿勢については敬意を表したいと思いますけれども、私が調べた範囲では、新イズベスチヤはことし公表の調査結果を報道しているわけです。一九九九年、ことし公表の調査結果を報告しているということは、一九八六年にチェルノブイリの原発事故があって、十三年間にわたる調査の結果を発表したと言っているんです。十三年間です。一九八六に十三を足したら一九九九ですよ。ですから、新しい報告だということなんです。  この辺についても私は触れていると思います。明らかに中身が違うんですから、先日報告いただいた中身とは違っています。どうも私はしっくりこなかったわけです。だから調べに調べました。ですから、私はこの辺は非常に姿勢が甘いと思います。
  123. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) 先ほど大臣からもお答えございましたが、少し精査をいたしまして正確に御報告を申し上げます。
  124. 加藤修一

    ○加藤修一君 これは非常に大きな責任問題だと私は思います。  それから、外交ルートを通してこれはロシア大使館から取り寄せたということですか。
  125. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) 在ロシア日本国大使館でございます。
  126. 加藤修一

    ○加藤修一君 在ロシア日本大使館。要請した公文書ございますね。
  127. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) 外務省経由で行いましたので、外務省の方にあると思います。
  128. 加藤修一

    ○加藤修一君 それは外務省に聞きなさいということですか。
  129. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) それにつきましても後ほど御報告させていただきます。
  130. 加藤修一

    ○加藤修一君 これは最終的に調査するという話ですけれども、具体的にもうちょっと言ってくれますか、責任のとり方も含めて。
  131. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) いずれにいたしましても、外交ルートでお願いしたものがそのとおりであったというふうに我々は考えておりましたので、そこら辺につきましても、もし間違っていたとすれば、なぜそうなったかということを至急検討いたします。
  132. 加藤修一

    ○加藤修一君 なぜそうなったか至急検討するということですけれども、今の段階では、私の言っていることもまだ定かではないし、科学技術庁の方でも事実関係が明確になっていないので、何らここで申し上げることはできないという判断、理解でよろしいですか。
  133. 間宮馨

    政府委員間宮馨君) いずれにしましても、今の今まで先生が御要求された資料を我々は正確にお出ししたというふうに考えておりましたが、そこら辺につきましてもう一度精査をして事実関係を御報告いたしたいと思っております。
  134. 加藤修一

    ○加藤修一君 ただ、私は非常に御努力していただいたと思いますけれども、非常に機敏だったということは、ほかの件についても機敏にやっていただきたい。これは皮肉でも何でもなくて、ぜひお願いしたいと思います。  それで、次に原発の耐用年数という話でございますけれども、それは後ほどやることにいたしまして、原発周辺の疫学調査ということが最近言われるようになってきておりますが、まず最初に私は、岩崎論文を取り上げてみたいと思います。  科学技術庁にあります放射線医学総合研究所の元生物研究部長だった岩崎民子先生が、一九七三年から一九八七年までの日本各地の原発立地市町村における白血病と悪性リンパ腫の死亡率を調べたところ、福井県の原発銀座地帯も全国の平均死亡率と変わらない、そこには今のところ統計学的に見て有意な差はないと、そういう研究論文がございますけれども、これについてはどういうふうな御見解をお持ちですか。
  135. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  岩崎先生の論文は、原子力発電所施設周辺に居住する住民の悪性腫瘍による死亡率について調査をしたものでございまして、厚生省の人口動態統計のがん死亡率データ及び総務庁国勢調査の人口データから、年齢群、期間、これはおっしゃるとおり一九七三年から八七年、この期間でございますが、その期間に分けまして個々の原子力発電所施設について悪性腫瘍による死亡率を計算したものでございます。その結果は、御指摘のとおり、原子力発電所施設とがん死亡率との間に有意な関連を示唆する証拠は見出せなかったという結論を出してございます。  この論文につきましては、学会誌でございます「保健物理」、それから国際的な学術誌に投稿されまして、当該学術誌のレフェリーによりまして掲載に値すると判断されたことによりまして掲載をされておるということであろうかと思ってございまして、学術的な観点からはおかしな点があるということではないのではないかと考えてございます。
  136. 加藤修一

    ○加藤修一君 学術的にはおかしい内容ではないのではないかという御答弁でありますけれども、この研究論文はイギリスの学会誌ジャーナル・オブ・ラジオロジカル・プロテクション、九五年に掲載されております。それから、その論文が海外の専門家から徹底的な批判にさらされたということも調査していく段階でわかりました。九六年、同じ学会誌上でドイツの学者から相当の批判がされているわけですけれども、これは私は確認をとりましたら確かにそうでございます。  なぜ確認したかといいますと、私は、こういう問題についてずっと追及しているといいますか、追ってきております明石さんという方が書いた論文とかそういった本を少し読ませていただいたわけでありますけれども、そのドイツの科学者が岩崎論文をどういう形で批判しているかといいますと、私も手元に取り寄せました。  英語でありますので読みにくいところもございますけれども、まず第一点目はこういうことになるのではないかと思います。個別の地域ごとに比較して結論づけておりますが、この方法は統計的にはなかなか理解しづらい部分がある。言下に誤りであるというふうに言っております。なぜかというと、原発が設置されている自治体全体の合計と、原発、いわゆるサイトがない対照地域全体の合計を比較すべきなのがよりベターなやり方でありますけれども、そういうふうな方法をとっていない。全国平均に基づいたいわゆる対照地域合計の白血病予測数が二百五十一例、あくまで全国平均をその地域にかぶせたという話ですけれども、一方、原発立地自治体全体では三百七例、つまり二百五十一と三百七例ですから自治体の方が明らかに数値として多く出ている。  こういう結論一つはしているんですけれども、この辺については調査されていらっしゃるでしょうか。
  137. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  統計処理のやり方につきまして、今先生御指摘の一九九六年に岩崎先生の論文に対してのドイツの研究者からの反論があったこと、そしてそれの統計処理の仕方ということにつきましての先方の反論といったことにつきましては、そのような事実関係であろうかというふうに思ってございます。
  138. 加藤修一

    ○加藤修一君 二点目ですけれども、七三年から八七年までやっているわけです。そのデータもとにしていますけれども、ドイツの学者は、七三年から七七年、七八年から八二年、八三年から八七年と三つの期間に分けて分析していきますと、原発設置自治体の方が常に相対的リスクが高い、最近になればなるほど相対リスクが上昇している、そういう結論を導き出しているわけなんです。  三点目は、やはり死亡率より発生頻度を用いるべきである。  四点目は、結論として、原発設置自治体といわゆるサイトがないほかの地域との比較では原発設置自治体における白血病死亡率の一貫した上昇が認められたと、そういう内容になっているわけなんです。  この辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  139. 青江茂

    政府委員(青江茂君) 大変申しわけございません。国立試験研究機関の研究員がなさったことなのでございますが、一種学術論文とでもいいましょうか、そういう内容に属することにつきまして、私も論文を詳細に読んでいるわけではございませんで、今先生が御指摘になられました点、側面からどちらがいわゆるサイエンティフィックに正しいのかと申しましょうか、そういったことにつきまして即座にお答えするだけの能力がございません。申しわけございません。
  140. 加藤修一

    ○加藤修一君 この岩崎論文をもとにして、原発周辺の白血病等の多発は疫学的に見ても何ら因果関係がないというふうに科学技術庁のスタッフがそれを援用して言ったという話も聞いております。私、それは事実確認できておりませんからあえてこれ以上言いませんけれども、この辺のことについては明確に彼此比較して調査して報告していただきたいと思います。  この岩崎論文以外に要するに疫学的なアプローチをやった調査というのは我が国にあるんでしょうか。
  141. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  他の調査につきましては私ども了知してございません。実は、今先生が御指摘になられました七三年から八七年ということでございますけれども、その新たなデータ、具体的には八八年から九七年の一番新しい十年間のデータというものを、昨年の秋でございますが、放射線医学総合研究所は厚生省の方からもらい受けてございまして、その厚生省からいただきましたデータというものを用いて再度の検証と申しましょうか統計学的な解析というものを行おうとしているところでございます。そういったもので、その研究の成果というものが出ますれば、また一つのお答えではないかなというふうに思ってございます。
  142. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほどのドイツから重大なそういった意味での問題提起があったわけですから、真摯に受けとめて、今の調査もそうですし、そのほかの疫学的な調査も進めるべきだと私は思います。  ですから、既存の原発周辺における疫学的な調査も私はやるべきだと思いますけれども、この辺について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  143. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) まず、研究者同士の論争ということが学術論争として必要であると思います。したがいまして、岩崎さんがドイツ人から批判を受けたとすれば、当然岩崎さんからちゃんと反論があるべきだと私は思っております。私も三十年論争をやって、つい一昨年勝ちましたけれども、こういう問題というのはかなり長く論争を行うだろうと思います。これは研究者の良心をもって論争すべきであると思っております。  それからもう一つは、それではどうするかという問題でございますが、今局長がお答え申しましたように、一九八八年から一九九七年の厚生省人口動態統計の生データが出ておりますので、こういうものを一九九八年秋に入手しておりまして、なかなか分析が大変だと思いますけれども、これをきちっと分析していくというふうな努力をすべきであると思っております。
  144. 加藤修一

    ○加藤修一君 私は、今大臣は非常に重要なことをおっしゃったと思います。反論があるかないか、それが重要だ、学者同士で闘うべきだと、それから大臣個人のお話ですけれども、三十年間の論争を行ってようやっと最近お勝ちになったということでありますが、私が調べた範囲では、岩崎さんは一度も反論はしていないんです。  私もそういう世界にちょっといたことがありますので、それはいろいろな発表をするわけです。反論しないということは、あなたに負けました、屈服しましたということと、反論する材料も何もない、そういうことを私は示していると思いますけれども、あえて大臣にお聞きしますが、どうですか。
  145. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 岩崎さんが今どういうところでどういうことをやっておられるか、私は実はそこまではつまびらかじゃございませんので、早速調べてみましょう。  それで、岩崎さんがもしさらにこれに対して反論を書くというデータを持っておられればおやりになったらいいと思います。あるいは後継の人がいれば後継者がこれに対して正しくお答えをするというような努力はするよう所長に伝えておきます。
  146. 加藤修一

    ○加藤修一君 岩崎論文の最後は、「各サイト毎に細分すると、統計解析に耐え得るに十分な人年」、人とか年とかそういった基本的なデータのことだと思いますが、「が得られていないため、偶発性による変動と思われる。」というような表現をされているわけです。こういったことがドイツの学者につかれた部分の一つだと思うんです。「このように原子力施設周辺市町村の白血病をも含む悪性腫瘍の調査を行うに当たっては、本論文で行ったような単なる統計的な数値による有意差のみの判定に留まることなく、種々の要因について検討・論議すると共に、さらに長期にわたる観察が必要」だと、このように言っているわけなんです。  先ほど人口動態統計の話も出てまいりましたけれども、ぜひそういったふだんからの統計データの積み重ねと同時に、それに対応する解析に基づいてきちっとした疫学的なアプローチを積極的にやっていただきたいと思います。  青森県の六ケ所村の話にちょっと入っていきますけれども、今の疫学的な調査、最近の話かもしれませんが、青森県小児がん調査、二〇〇〇年一月から調査開始と。これは疫学的なアプローチだと思うんですけれども、これについての概要をちょっと教えていただけますか。
  147. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  今御指摘調査ということにつきましては、本年度の予算四百万円をもちまして青森県に対しましての事業を支援するということになってございます。  この経緯は、六ケ所の再処理工場操業によりまして、青森県サイドからは、県民の健康面への影響についての不安感というものをきちんと払拭していくということが大変重要な課題ではないかという御指摘がございまして、青森県としましての事業、いわゆる関連の調査、小児がん等に関しましてのデータというものを継続的に収集蓄積していく調査というのを行いたい、その事業に関連いたしましての資金面からの支援の御要請がございましたので、それに対応したものでございます。
  148. 加藤修一

    ○加藤修一君 これは二〇〇〇年一月から調査開始という話ですけれども、まだ立地していない段階でこういう調査をするという意義はどういうことにありますか。
  149. 青江茂

    政府委員(青江茂君) 調査のスタートは御指摘のとおり二〇〇〇年の一月からでございます。当然のことながら操業に先立ってということでございますけれども、操業に先立ってのバックグラウンドデータというものをきちんと調査をし積み重ねていくことというのが大変重要であろうという認識に立ってございます。
  150. 加藤修一

    ○加藤修一君 これはもっと具体的に、例えば委員会をつくるとか、その辺の今後のスケジュールというのはどういう形になっていますか。調査の仕方とかその中身とか、そういった面についてはどういうふうになっておりますか。
  151. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  現在、県の方に有識者から成りますところの委員会をもちまして、御質問のございました調査方法でございますとかそういったことにつきまして今詰めておる段階にございます。
  152. 加藤修一

    ○加藤修一君 こういう関連で有名なのはイギリスの原発関係施設周辺で白血病の多発が見られるとか、あるいはフランスのラアーグ核再処理工場周辺地域に若年層で白血病が多く発生している、そういう話がございます。  もちろん、これは疫学的に最終的な決着がついたというふうには私の調べた範囲ではないわけですけれども、例えばフランスのラアーグの関係についての調査がございますが、調査の中身について、従来のいわゆる記述統計法あるいはさらにポアソンの最尤法とか抽出写像法、そういった方法調査をやっているわけなんです。  私は、やはり青森県の小児がん等がん調査については、今後さまざまな展開をしていく中で極めて重要な意味を持っていると思うんです。  それで、今フランスの方法なんかをちょっと申し上げましたけれども、欧米の調査方法と比較してできるような形でやることも一つ考え方として成り立つのではないかなと思います。  それから、調査会のメンバー、これはもしお考えがあれば、どういう人を入れていくか。例えば青森県の医師会の方々を入れるとか、医師会の方々も相当こういった面については私が聞いている範囲では調査をし始めているとか、そういうことも聞いておりますし、そういう地元の医療関係の方を入れることも一つ考え方として成り立つのではないかなと思います。  今言った件についてどのように、今の時点で考えている内容についてお示しいただければと思います。
  153. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  今御指摘の欧米の調査方法、こういったことにつきましても、先ほど有識者の委員会ということを申し上げましたが、その方々にお伝えを申し上げたいと存じます。御参考にしていただくべくお話を申し上げたいと思います。  それから、その委員会地元青森県の医療関係者ということにつきましては、医師会の方々それから弘前大学の先生、こういった方にも入っていただく予定になってございます。
  154. 加藤修一

    ○加藤修一君 あえて確認のために申し上げます。  これは再処理工場関係調査ということですけれども、従来の原発あるいは密集地域、そういった面についての疫学的なアプローチによる調査ということについては、先ほどそれについての答弁があったように思いますが、あえてもう一度確認意味で、ぜひ私はやるべきだと思います。科学技術庁としてはどういうふうにお考えですか。
  155. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  先ほど触れましたいわゆる日本全体の調査ということにつきましては、恐らく厚生省の動態調査というのがまず一番信頼が置けるきちんとしたものであろうというふうに思うわけでございます。したがいまして、私どもの方としましては、その厚生省のデータというものをきちんといただく、これが一つの方途であろうというふうに思ってございます。  その上で、それをきちんと検証にたえ得るような形でもって解析をいたしまして出していくということが、放射線医学総合研究所とかそういったところに求められる責務ではないかというふうに思ってございます。
  156. 加藤修一

    ○加藤修一君 厚生省の人口動態統計、戦後できたものですけれども、それだけでやることと、青森県の場合は、それだけじゃなくて、それプラスふだんの健康調査を含めてという理解でよろしいですか。
  157. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  基本的にはそういうことなのでございますけれども、とりわけ青森県につきましては今の背景があるわけでございますが、青森県がん登録事業という県独自でおやりになっていらっしゃる既存のものがございます。事業といたしましてはそことドッキングさせた上で、効率的に調査を行っていこうとしておるものでございます。
  158. 加藤修一

    ○加藤修一君 既往の原発については人口動態を使ってやるという理解でよろしいということですね。  それと、六ケ所村の関係ですけれども、青森県に使用済み燃料の本格受け入れ安全協定案の提示と安全協定の締結、これはまだできていないというふうに伺っておりますけれども、これについてわかる範囲で教えていただきたい。
  159. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  六ケ所村の再処理施設につきましての安全協定、昨年の段階でございますけれども、試験的な段階におきましての安全協定というのは既に締結をされた。ただ、その間、大変残念なことに、いわゆる使用済み燃料データ改ざん事件がございまして、それがとまっておるというのが今の状況であるわけでございます。  その後、まずは試験搬入につきましての所要のデータ、これは燃焼度をはかるための試験を行いますのがまず第一段階あるわけでございますが、その作業というものをきちんと終えた次の段階というのが本格搬入に係りますところの安全協定という段階になるわけでございます。  したがいまして、とりあえず、今は試験搬入の再開ということが当面の課題というふうに理解をいたしてございます。
  160. 加藤修一

    ○加藤修一君 時間がございませんので最後になりますけれども、先ほど申し上げましたラアーグ再処理工場周辺の放射能汚染の関係です。  医学統計誌、スタティスティックス・イン・メディスン、これは一九七八年から九二年の間に発病した小児白血病の割合を調査したものでありますけれども、この中には、工場周辺十キロ圏内で通常の二・八倍の発病率が観察された。さらに、この調査に九三年のデータを加えて生活様式の分析を行った結果がイギリスの医学雑誌、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに公表されましたけれども、これは再処理工場周辺で二・八倍という高率の小児白血病発症が報告されている。  そもそも、こういった結果について、科学技術庁はどういう見解をお持ちですか。
  161. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  今、先生御指摘の論文と申しますのは、一九九七年一月のフランスのビエル教授の論文ということであろうかと思うわけでございます。御案内のとおり、そのビエル教授の論文というものを受けまして、フランス政府が科学委員会を設置しまして、その因果関係調査をその後いたしました。一九九七年七月の段階で、科学委員会はラアーグのある北コタンタン地方で白血病の有意な増加が認められない等の内容報告書を提出したと承知をいたしてございます。  なお、同報告書では引き続き調査が必要としてございまして、疫学及び放射線環境学の二つの調査グループが調査を進めていたと承知してございます。そのうち、疫学グループにつきましては、報告書を取りまとめておりまして昨年十月に公表しておる。七八年から九七年の間におきましての白血病の発生に関しまして、同地域全体において有意な増加の証拠は見られなかったと、そういう報告がなされておるというふうに聞いてございます。  一方、放射線環境学のグループにつきましては、まだ最終的な報告書を公表したという情報には接してございません。
  162. 加藤修一

    ○加藤修一君 以上の点については別の機会にまた取り上げたいと思います。
  163. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  質問に移る前に、本日の委員会が大臣不在のもとに開会されたということにつきまして、一言意見を述べさせていただきたいと思います。  我が党などの理事の反対があったわけですけれども、大臣不在のもとに午前中審議が行われ、また午後からもそういう審議という不正常な運営です。これは、国民から負託されました審議権というものを、私自身も、そしてまたこの委員会としてもみずから果たすことができない、こういう結果になるわけですから、こういうふうな不正常な委員会の運営についてはやはり今後なきようにしていただきたいというふうに思います。  それでは質疑に移らせていただきますが、いろいろな角度からの質疑、また参考人の皆さんの御意見を通じまして、この法案の非常に重大な問題が浮き彫りになってきたと思います。この法案に賛成の立場も反対の立場もありますけれども、しかしやはり問題点を明らかにしていくという点ではかなりはっきりしてきたのではないかと思っています。  先般の参考人質疑の中で、東海村の村上村長さんが立場をはっきりさせたいとおっしゃって、中間貯蔵施設を受け入れる立場で来たのではない、反対に持ち出してくれと要求する立場から参りましたと言明をされてお話をしていただきました。もちろん、村上村長の言われる陳述に私がすべて賛成できるかというとそうでない部分もございますけれども、しかしよくお話を伺ってみますととても大事なことを言っていらっしゃいます。  例えば、使用済み燃料中間貯蔵問題は、発電所運転確保の側面からのみではなく、核燃料サイクル、再処理の観点、核燃料サイクル政策推進と不即不離の関係にある放射性廃棄物処分問題と一体として検討してもらいたい、こういうことも述べていらっしゃる。これは非常に大事な点だと思います。  また、持ち出してほしい理由は、膨大な高レベル、低レベルの放射性廃棄物を抱え、この問題処理に大変苦慮しているということが一つ。それからもう一つは、使用済み核燃料は六ケ所村に搬出、再処理することを前提にした原子力政策の一貫性の保持が必要なんだ、ところがこれがとんざをしているために不信感を持っているんだと、こういうふうに意見を述べられたわけでございます。  今日まで、国や事業者計画にある意味では最も協力をしてこられた東海村の村長さんからの御発言として、私は重く受けとめるべきだと考えます。  先般の私の質問稲川長官は、使用済み核燃料の中間貯蔵の必要性についてはいつごろから認識をしているかということに、一九八八年の原子力長期計画の改定、このころから認識していたとお答えになったわけです。原子力長計というのは、こういうふうに資料もいただいておりますけれども、一九五六年から始まって、つまり四十年近く、現在まで七回改定をされておりますけれども、中間貯蔵の問題を検討し始めたのは最近、十年前ぐらいからだというお話でございます。  つまり、政府は一貫して最初の長計のところから全量再処理を前提にしてまいりました。原発を建設して使用済み核燃料ができたら速やかに再処理工場に運び出して、そしてその再処理工場でプルトニウムとほかに分けて、プルトニウムは高速増殖炉やあるいは軽水炉などで追加燃料として使ってうまくこれをリサイクルするんだと、これぞすばらしい循環なんだ、リサイクルなんだと、こういうことで進めてきたわけですけれども、それがやっぱり今大きく行き詰まってうまく回らなくなっています。これは、その政策を支持するか支持しないかということにかかわらず、事実として回らなくなったということだと思います。  大臣は、東海村の村上村長さんたちの不信というものが、単に主観的であるとかあるいは感情的なものではなくて、こういう実態的な根拠のあるものとしてお認めになられますか。
  164. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 東海村の村長さんのお話は承っております。  まず、放射性廃棄物の問題や六ケ所再処理工場竣工時期の変更等に関する東海村長の御発言でございますけれども、立地地元の御意見として真摯に受けとめている次第であります。政府としても誠実に努力すべきものと考えております。六ケ所再処理工場がおくれたということに対しては私も大変残念に思っております。  資源の乏しい我が国といたしまして、原子力発電を長期に安定的に進めていく上で核燃料サイクルを円滑に展開していくことが不可欠である。そのため、六ケ所村における核燃料サイクル事業計画使用済み燃料貯蔵管理、プルサーマル計画等の具体的な諸政策について最大限の努力をいたしており、まだ私はいろいろ検討していくべきものがあるとは思いますけれども、核燃料サイクルが破綻しているとは私は考えていない次第であります。  ですから、今後とも立地地域を初めとして国民方々の信頼を得つつ、核燃料のリサイクル計画が着実に進展できるよう最大限の努力に努めてまいりたいと考えております。
  165. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣は、衆議院の我が党の吉井議員の質問に、現在の状況としてはとんざしていると、うまく回らないという事実は認めざるを得ないとお答えになっていますね。これはどうですか、事実ですか。
  166. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 六ケ所再処理工場がおくれているというようなことは事実でございます。これは認めます。
  167. 西山登紀子

    西山登紀子君 つまり、サイクルが回っていないという事実については大臣はお認めになったわけでございます。  村上参考人はさらにこういうことをおっしゃっています。高レベル、低レベルを問わずに、放射性廃棄物に関して面積わずか三十六平方キロメートルの東海村にいかに過重な負担を強いてきているかを御理解賜りたい、こういうふうに述べていらっしゃるわけでございます。  東海村の皆さんの負担、深刻さ、改めて私は認識を深めたわけでございます。この問題の解決策というのは、それならばその負担を全国に拡散する、こういう方向をとるべきか、私は決してその道は、むしろこういう御発言をいただいた国会といたしましては、政治のとるべき道ではないと改めて痛感した次第でございます。  次の質問に移らせていただきますが、だれもが心配すること、先ほども御質問がありましたけれども、中間処理施設の期間の問題です。  もう一人の参考人の市川参考人は、原研に三十年お勤めになって再処理の御専門家でございます。その市川参考人は、再処理の今後の展望は極めて困難である、高速増殖炉の現状とあわせて考えるならば、再処理・プルトニウム利用の方針は再検討すべきときが来ている、中間処理施設というものは期限のない半永久貯蔵になると指摘をされました。私も同じ懸念を持っています。  そこでお伺いいたしますけれども、中間貯蔵施設の期間、どのくらいの長さを想定しているか、また受け入れ側の住民にどのように説明をなさるのでしょうか。
  168. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 中間貯蔵の趣旨は、使用済み燃料発生の状況と使用済み燃料処理する再処理事業の進捗を調整するものでございます。  この期間につきましては、発電所における使用済み燃料発生の状況、貯蔵の状況、それから主に再処理工場の稼働状況等に依存するものでございます。概念的には数十年、モデル計算をすれば幾らというふうに申し上げたこともございますが、いずれにしても、個々の使用済み燃料貯蔵期間が長期にわたることがないように、今後再処理工場の運転計画、プルサーマル計画等を着実に進めて、この核燃サイクルの確立に努力をしたいと考えております。
  169. 西山登紀子

    西山登紀子君 私がここではっきり申し上げたいのは、これは法律に期間というものはない、政令でも何年というふうに書き込まれない。今お話しのようにいろいろな進捗状況によって決まるということは、結局この中間貯蔵施設というものの期間というものはない、つまり無限定だということじゃないでしょうか。
  170. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 法律上、この期間を例えば政令や申請書に記載するものではございません。しかしながら、この中間貯蔵施設に入れられました使用済み燃料が再び再処理の方に回るという全体像をこの法律は前提にいたしておるわけでございまして、この核燃サイクル政策の中で再処理を必ずするという基本方針にのっとって構成を行ってございます。  法文の中では、四十三条の四第二項、「貯蔵の終了後における使用済燃料の搬出方法」という項がございますが、ここで貯蔵の終了後に搬出をするという旨を貯蔵事業の許可申請書に記載させることとしてございます。中間貯蔵施設に入れられたものは必ず運び出されて、貯蔵が再処理までの間の一時的な保存であるということを法文上明確にしていると思います。  また、現行法二十三条で、原子炉の設置許可をする際にも「使用済燃料の処分の方法」を許可申請書に記載させることとしてございまして、これは具体的には各原子炉から生じる使用済み燃料を再処理する旨が記載をされてございます。  そういう意味で、全体として中間貯蔵施設に持ち込まれたものは持ち出され、電力業者の責任において再処理に向かうということを全体の枠組みとしております。
  171. 西山登紀子

    西山登紀子君 ですから、再処理工場に移すんだということはちゃんとはっきりしているんだと言うんですけれども、運び出す先があいまいなわけですよ。だれもはっきりと言えないわけです、先が見えない。先の見えない計画になっているし、いろいろな諸般の事情の進捗状況によって期間が決まるということは、だから私は、期限がない、つまり無限定に長期に置かれるというふうに申し上げざるを得ないわけです。  さらに、もう一つの観点から、非常にこれは問題だと思うんですけれども、先ほど御議論がありましたが、政府の提案はこの中間貯蔵施設の使用済み核燃料を少なくしようとは思っていないんです。つまり、この原子力部会の中間報告も見ましても、いろんな資料を見ましても、今、年間九百トンの使用済み核燃料を二〇一〇年からは一・六倍の千四百トンに引き上げる、二〇三〇年からは今の二・一倍の年間千九百トンにふやしていくんです。ところが、計画にある六カ所村の再処理能力は、まだできていないけれども、これもできないと大方の方は見ていらっしゃるわけですが、処理能力は八百トンでございます。ところが、一方で使用済み核燃料はどんどんふやすという計画を持っているわけでございます。  こういう点からも、先ほどモデル計算では四十年というようなお話も出ていたわけですけれども、どんどんふやすという計画を政府みずからがお持ちになっているわけですから、これは、使用済み核燃料の新しくできる中間貯蔵施設というのは、むしろ長期にわたって無限定にふえるということになるんじゃないですか。
  172. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 今後の原子力発電設備容量、能力につきましては、一昨年来の京都会議結論も踏まえて、二〇一〇年度に四千八百億キロワットアワーの確保がエネルギー安定供給、環境面等々から必要だという前提で現在までも努力を続けてございます。この結果として、現在の使用済み燃料発生量九百トン、二〇一〇年千四百トンという数字でございます。その後、二〇三〇年の千九百トンという数字は計算上出した数字でございますが、今後の原子力発電設備容量をどう考えるかというのは今後の長期計画の中でまた御検討いただけるものと存じます。  他方で、処理能力については二〇〇五年稼働開始の八百トンというのが今視野に入っているところでございますが、政府として、この使用済み燃料を再処理するという核燃サイクルの政策に関しましては、原子力委員会確認をされ、また閣議了解という形でも累次の確認をしておるところでございまして、今回の炉規制法の改正においてもこの方針は変わりません。原子炉規制法の運用の基本の方針でございます。  したがいまして、今回の改正法案においても、使用済み燃料は必ず再処理されるということを明確にした、先ほど御説明した法文形態によりまして、永久貯蔵という懸念を払拭してまいりたいということでございます。
  173. 西山登紀子

    西山登紀子君 説明になっていないと思うわけです。  それで次に、海外から返還された高レベル放射性廃棄物、今ガラス固化体になっていると。今後、国内の再処理工場から出されたものもガラス固化体になって六ケ所に貯蔵されるわけですが、このガラス固化体は三十年から五十年ということで保管をされた後、最終処分されるんですけれども、その理由は冷却期間だと。三十年から五十年冷却をしますということで、三十年、五十年というのは相当長い期間でございますけれども、冷却するという条件がきちっとついているわけです。それでも、今、六ケ所の皆さんは、最終処分場にされるんじゃないか、ガラス固化体は今まだ行き場がないわけです、三十年、五十年たっても最終処分地がまだはっきりされていないわけです。受け入れ地がありません。そういうことでダブつくんじゃないか、最終処分場にされるんじゃないかという懸念を強くお持ちになっているんです。  そこでお聞きいたしますけれども、技術的にはもうやっぱり再処理は無理だと市川先生もおっしゃったこの使用済み核燃料。再処理は非常に難しいと言われているのに、今この中間貯蔵施設を政府は無期限に、しかもどんどんふやしていくという形で置こうとしております。どんなふうに置かれるのかということは先ほども議論がありましたけれども、イメージ的には、この前東海村の視察に行きましたときに、サイト外にどんなものをつくるんですかとちょっと聞いてみましたら、五千トン規模で、例えば非常に大きな体育館のようなものなんだという御説明がありました。  衆議院の議論の中でも、五千トンだとか一万トンだとかという議論があるわけですが、とにかくそういう大きなものをずっと無期限に、そこの住民にとっては無期限に、先ほど中身がいろいろ移動するからいいじゃないかというような無責任な御答弁がありましたけれども、そうじゃなくて、中間貯蔵施設という大きな建物が、実は行き場がなくて結局は最終貯蔵施設になる、あるいはもっと極端に言えばそこが最終処分場になるのではないかという懸念を持つのは当たり前じゃないでしょうか。
  174. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 中間貯蔵施設の規模につきましては、五千トン規模で体育館が大体二つぐらい、あるいは五十メートルプールが二つぐらい、土地の面積にして十万ヘクタール前後という規模でございます。  これが永久貯蔵施設になるのではないかという懸念ありという御指摘でございますが、先ほども答弁申し上げましたごとく、累次の原子力委員会決定及び閣議了解などで確認をしておりますごとく、政府の基本方針として原子力政策の要諦は核燃サイクルでございます。その核燃サイクルの具体的な回転を図るべく、六ケ所村の再処理工場及び第二再処理工場等の今後の確実な進展を目指しながら、御指摘のございました永久貯蔵の懸念を払拭してまいりたいと思います。
  175. 西山登紀子

    西山登紀子君 御説明を全然私は納得することができません。  それで、政府はこの中間貯蔵施設を減らしていくんじゃなくて、むしろ量をふやすということでこういうグラフまでつくっています。ずっとふやしていく、つまりそれはなぜふえるのかというと、つまり原発をふやすからです。二〇一〇年までに二十基ふやすという御計画ですから、こういうふうに使用済み核燃料もぐんぐんふえていくわけです。六ケ所の処理能力は八百しかないというのにどんどん使用済み核燃料をふやしていくと、こういう計画を今無謀にも進めようとなさっているわけです。この行く先は、見通しというのは全然ないわけですから、ずっとだぶついてまいります。こういうことでございます。ですから、住民の皆さんは、最終貯蔵施設になるんじゃないか、最終処分場になるんじゃないかという懸念をお持ちになるのは、私は当然だと思います。  それで次に、旧動燃の東海事業所の運転実績、当初の計画からすると二割にも満たない実績なんですけれども、その原因は何なのか、御説明ください。
  176. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  東海処理工場の運転実績の数値につきましては、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。そういう実績からいたしまして、年間最大処理能力百二十トンを前提にいたしますと四割といった数字が出てくるわけでございます。  その要因と申しますのは、一つは、我が国最初の再処理施設ということでございまして、基本的な部分というのはフランスから技術も入れたわけでございますけれども、やはり相当トライ・アンド・エラーというのがあったということで、その過程におきましては、昭和五十三年の酸回収蒸発缶のトラブル、五十八年、五十九年ともに溶解槽のトラブルによりましての補修、こういったことがあるわけでございます。そういうトラブルがございますと、やはり再処理施設でございますので、かなり長期にわたってそれをとめて改修というふうな状況というのがございまして、トータルといたしましての運転実績というのは先ほど申し上げましたような状況にございます。
  177. 西山登紀子

    西山登紀子君 私もこの「東海処理工場の運転実績」というのをもらっているんですけれども、これは試験プラントだったんですか。
  178. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  旧動燃、今の核燃料サイクル機構でございますけれども、この法人の基本ミッションは研究開発でございます。その意味におきまして、この再処理施設の第一の目的は、当然のことながら再処理技術の確立、研究開発でございます。それをある程度の規模でもって実施していくという過程におきまして、民間電気事業者からの使用済み燃料というものを受け入れて、それを役務料金として取っていくというふうなことで、一部実業的な側面というのも上に乗せた形で運転をしてきておったわけでございます。
  179. 西山登紀子

    西山登紀子君 大変あいまいな御答弁なんです。  この点については、過日、市川参考人から御専門のところで非常に詳しいお話を伺って私は納得をいたしましたが、局長はただ現象を説明されたわけですけれども、その深刻さというものは私は非常なものだと思います。私のような者が見ましても、例えば再処理工場の運転実績は百二十トンとおっしゃったけれども、最初の見込みは年間二百十トンでございます。一九七七年に初めてプルトニウムを抽出したのは実績としては八トンだったということです。  それで次に、五十八、五十九年の当時はもうどおんと動かなくなってしまった。つまり、非常に強い放射能を持っている使用済み燃料を溶かす溶解槽に穴があいちゃって、そしてどおんと落ち込んで動かなくなってしまった。その次に、またすっと行き出すんですけれども、六十三年にまたどおんと十九トンに落ちてしまう。またずっと動き出したら、今度は一九九三年にまたどおんと落ち込んじゃう。結局、現在はゼロになって動かなくなってしまった。こんなでこぼこの運転をやっている。  これは、なぜこういうことになるのかということについて市川参考人は陳述の中で、なぜ日本の再処理がうまくいかないかということについて、化学的にもまた歴史的にもお話しになっています。  短い時間ですから言葉を尽くしてはいらっしゃらなかったと思うんですけれども、その説明の中に、なぜ東海の再処理なんかがうまくいかないかということについては、化学的に言えば燃焼度の違う核兵器用プルトニウムの原子炉、それから第三期の発電用軽水炉、第一期の核兵器用プルトニウム生産炉の再処理方法をいきなり第三期の発電用軽水炉の再処理方法に使ってしまった。大きな化学的形態の違いがあるのに使ってしまったということについて、ここに一つは大きな問題があるということ。  もう一つは、最初はパイロットプラントということで始まるかに見えたものが、途中から実用規模の工場を建設しなさいという一九六一年に派遣された再処理技術海外調査団の報告書が出されて、そして指導があって、いきなり今度は実用規模の工場という形で動けということになってしまったということです。  今、動燃の東海処理工場がこれほどにも、全体の年間見込みは二百十トン見込んでいたんですけれども、二十数年間の蓄積でわずか九百四十トン、そして今もう完全にとまってしまっている。最近、報道がありましたけれども、しかしそれは動いていない。こんな大きなでこぼこのあるようなものはやはりこれは試験プラントだと。まだ試運転、それも今とまっている。うまくいかないということが証明されたんじゃないでしょうか。
  180. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  まず一点、ぜひ御理解をいただきたい点は、確かにおっしゃられましたような種々のトラブルというのに見舞われてきた。そして、その都度処理量というのがどんと落ちているというのも事実でございます。  ただ、その際に、動燃技術陣が自分たちの力でもって全部その問題というのは改修等、手を打ってきてございます。克服してきて、今日を迎えておるという状況でございます。アスファルト固化処理施設の火災爆発事故の直前の実績と申しますのは、これもちょっと先ほど触れたのでございますけれども、七割を超えるような実績も上げてきておる、かなり安定的な状況にも立ち至っておったというところでございます。  それから、私の理解が十分でないのかもしれないのでございますが、いわゆる軍事用、同じピューレックスの再処理工場だと思うのでございますが、何か軍事用のためにつくった技術というものをそのままストレートに入れたというのが一つはいろんなトラブルに見舞われている要因ではないかというふうなことにつきましては、これは必ずしもそうではないのではないかと思っておるのでございますが、その点はもう少し勉強いたしたいと思います。  ただ、もう一点、パイロットプラントといいましょうか、非常に小規模な段階というものをもう一段階入れるというのは、開発のステップとしてはあったかなというふうには私は思ってございます。ジャンプが今の規模まで少し跳び過ぎたというのは一つの事実としてはあったのかなと。  ただ、またもとに戻るわけでございますけれども、技術論としてはきちんと克服し、その技術的なものはサイクル機構としましてはかなり自分のものとしておるということは申し上げられると思ってございます。
  181. 西山登紀子

    西山登紀子君 自分のものにしているって、今はもうとまっちゃったわけですよ。これ二十数年間試行錯誤をやってきて、それで試行錯誤もぐっと上に上がっていく試行錯誤だったらいいけれども、今は動かなくなっちゃった、こういうことでございます。  しかも、これは、パイロットプラントだったということは、この動燃の資料を見ましても、パイロットプラント的性格もあわせ持っているということで、先ほど局長は研究開発もやって一部実用化というふうな大変苦しい御答弁をなさいましたけれども、やっぱり最初パイロットプラントとしての性格もあわせ持って建設がされている、いわゆる試験プラント、それが今うまくいっていない。一部実用化とおっしゃるならば、一部実用化と言いながら二十数年かかって二割の処理しかできない。これ民間工場だったらわずか二割の処理能力でうまくいきますか、これは倒産してしまうんじゃないでしょうか。  だから、いずれにしても、東海の今の状態というのは、試験プラントだったというのであれば、その試験プラントはまだ完成を見ていない、うまくいっていないというのが事実でございましょう。そして、もし実用工場だというのであれば、二十数年かかって目標の二割しか再処理できないというような工場は果たして実用工場としても完成されているというふうに言えるんでしょうか。この点はどうですか。
  182. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  東海の再処理施設というものが第一義的には研究開発のためのものであるというのはそのとおりでございます。  ただ、そのときに、一定の、かなりの規模のものを施設としてつくるということでございますので、それは当然技術というものをどんどん実証していくその過程というのは、商業用発電炉から入れたものを処理するというプロセスを通じましてもその技術というのを実証していくということでございますので、それは当然役務料金をいただいて、その側面におきましては実業業務をこなしながら技術というものを確立し、トライしてきたということを申し上げているわけでございます。  確かに、四割か二割かというような議論があるところでございますけれども、そういった稼働率でコマーシャルベースのプラントというものが成立するかということにつきましては、それは否定的に考えざるを得ないというふうに思います。  しかしながら、一方、六ケ所の再処理工場、これは民間事業者がおやりになっていらっしゃる事業でございます。その六ケ所の再処理工場ということにつきましては、先ほども触れましたが、海外での実績、それから動燃東海処理工場におきましての技術的な知見の蓄積、こういったことを加味してプルーブンな技術として建設が進められているものというふうに理解をいたしてございます。
  183. 西山登紀子

    西山登紀子君 実用炉ということで言えば否定的に考えざるを得ないという局長の御答弁だったわけです。  私は、いずれにしてももう率直にお認めになった方がいいと思うんですよ。二つ性格があったと。試験プラントの性格に一部実用工場としてのそういう性格もあったと、東海処理工場は。  そのいずれをとってもこれは説明つきません。試験プラントであったら、試験は今まだうまくいっていません。実用工場というのであれば、目標の二割しか処理できないものは実用工場としても完成されたものじゃありません。この二つの点については、これは局長も否定できないでしょう。
  184. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  実用工場でないことは事実でございます。したがいまして、実用工場であれば先ほど申し上げましたように二割、三割といったものではもう本当に落第点だというふうに思います。  ただ、この施設は第一義的には試験研究、研究開発ということを目的とするものであるということもまた間違いないわけでございます。したがいまして、今までの二十年間を超えます運転の過程におきましてトラブルにも見舞われましたが、その過程を克服するということ自体も研究開発の一環とでも申しましょうか、そういう過程を通じまして研究開発の積み重ね、そして技術というものをサイクル機構が自分のものとするという意味におきましては実績を上げてきておるということを御理解いただけますればと思うわけでございます。
  185. 西山登紀子

    西山登紀子君 もう一度重ねて聞きます。  実用工場ではない、これは実用工場であればもう落第点だと率直にお認めになりました。これは実用工場であれば落第ですよ。  さらに、では研究開発の試験プラントだと、今、失敗の過程も含めて一生懸命研究しているんですということですね。まだ成功していませんね。
  186. 青江茂

    政府委員(青江茂君) 繰り返しになって恐縮でございます。  実用工場ではございません。元来そうでございます。試験研究のためのものでございます。研究開発ということ自体の目的からいたしますれば実績を上げてきておるということを申し上げているわけでございます。
  187. 西山登紀子

    西山登紀子君 一部実用工場の性格を持っていたということを先ほど局長言われました。市川さんは、最初試験プラントで始まったんだけれども、途中からもう試験は要らないから実用工場にしなさいということでずっと来ているところに今の東海がうまくいっていない一番大きな原因があるんだとおっしゃっているんですけれども、その点どうですか。
  188. 青江茂

    政府委員(青江茂君) 先ほど私が、一部実用を乗せたといった表現をとりましたことにつきまして、ちょっと誤解をお与えしたのではないかと思うのでございます。  これは第一義的に試験研究のためのものということでございますけれども、一定の規模というものがあるわけでございます。今のレベルでございますが、年間百二十トンというこれだけの規模のものがある。その施設を運転しながら技術開発をしていく際に、その再処理を具体的、現実的にして技術の開発というものをその過程を通じてしていく。その際に、再処理をするということは、使用済み燃料を受け入れて再処理をしてプルトニウムを出すという現実の行為をやるわけでございますが、そのときに入れます使用済み燃料は商業用発電炉の使用済み燃料というものを入れてやっておるわけでございます。その限りにおきましては役務料金というものをきちんといただいて施設というものを運転してきたという側面をとらまえまして、実用という側面も上に一部乗せたんだというその実態を申し上げたわけでございます。施設の性格論といたしましては、基本的には試験研究を目的とした施設でございます。
  189. 西山登紀子

    西山登紀子君 実用工場ではなかった、しかし一部実用工場的に運営をしてきたということですが、実用工場であるならば落第だということは局長がはっきりおっしゃったわけです。今は研究開発中で、トラブルを重ねながら、試験はまだ成功していないということもこれは事実としてお認めになった。  それでは、六ケ所の再処理工場について、五回延期されて二〇〇五年になったわけですが、その原因は何なんですか。
  190. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  五回の変更、そのうち三回は指定を受けます前の変更でございます。指定を受けまして建設に着工しましてからは今回のものを含めまして二回でございます。その指定を受けます前の審査段階におきましての変更は、いずれも我が国初の民間大型の再処理施設、その安全性確保というものに万全を期すという観点から、設計も審査というものもかなり慎重に進められたことによるものと理解をしてございます。  それから、指定後、第一回目の遅延につきましては、これは平成八年になされたわけでございますけれども、これにつきましては海外再処理工場の運転実績などの知見というものを設計にフィードバックさせた、これに伴いまして事業変更の許可の申請準備やその手続といった業務というものが必要になってきたことであるというふうに承知をいたしてございます。  今回の四月に発表になりました遅延ということにつきましては、一つは設計変更に伴う必要工事期間の想定が十分ではなかったこと、航空機の新規配備対策など、設計変更時には予定していなかった評価検討作業が追加になったこと、試運転を段階的に十分かけて行うというふうに変更したこと、この三点が挙げられてございます。
  191. 西山登紀子

    西山登紀子君 一九八八年、我が党はこの六ケ所の再処理工場の建設には反対の意見を表明しているわけです。  そこでお伺いしますけれども、東海の試験プラントは局長が言われたように一部実用工場だったと。これで二十数年かけてまだうまくいかないし、まだ試験中だと。こういう日本の到達がある。なのに、六ケ所には八百トンの再処理工場をいきなり建設する。これは整合性を説明できますか。うまくいく保証はありますか。私は無謀のそしりを免れないと思いますよ。
  192. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  まず、再処理につきましては、英国、フランスにおきまして、既に相当長期にわたりまして、数十年にわたりましての商業工場としての運転実績がございます。それが第一点でございます。  それから、先ほどお答えさせていただきました動燃再処理工場での技術の蓄積につきましては、技術開発というものは所要の成果を上げているというふうに私申し上げました。何回かトラブルに見舞われたということでございますけれども、その都度まさに動燃の技術陣が自分の技術というものを使いましてその問題を全部克服し、再開にこぎつけておる。そこで蓄積された技術、経験、ノウハウ、こういったものも今回の六ケ所の再処理工場の方には移転をされてございます。  そういった海外での実績、それから我が国におきましての技術開発の実績、こういったものを勘案いたしますれば、六ケ所の年間八百トンの再処理施設につきましての技術と申しますのは十分に確立をしておると言えるのではないかというふうに思ってございます。
  193. 西山登紀子

    西山登紀子君 青森の六ケ所の八百トンはうまくいくんだと。それは海外のいろんな蓄積もあると。ではなぜ東海でそれがうまくいかないんですか。海外でうまくいった蓄積があると、六ケ所でうまくいくというのだったら、何でパイロットプラントである東海で二十数年かかってもうまくいかないんでしょうか。  私は、それは大変国民を欺くものだと思いますよ。今の御答弁じゃ納得できません。海外でうまくいっていて、しかも東海の失敗の経験もいろいろあると。失敗の経験ですよ、失敗してうまくいった経験じゃないんですよ。失敗の経験もいろいろあって蓄積もあってと。  もちろん私は、研究者の御努力は認めますよ。市川さんも、もっと違う形の基礎的な研究をさせてほしかったんだけれども、それには予算はつかないで、もう外国では実用化になっているんだからこれでやりなさいと言われて現場では大変困っているんだというようなお話もあったわけです。私は、東海の試験が完成されていないのに、何で六ケ所で二〇〇五年に八百トンで必ずできると約束ができるんですか。
  194. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  東海の再処理工場が今とまっておるというのはそのとおりでございますけれども、これはいわゆる主工程ではございませんで、一つはアスファルト固化処理施設という主工程ではない部分につきまして大きなミスがあったことによりましての停止ということなのでございます。  主工程につきましては、先ほど申し上げました酸回収缶の問題でございますとか溶解槽の問題、これが再処理工場の運転、技術ということからいたしますれば大変重要な側面になるわけでございますけれども、そこのところにつきましては、再三にわたりましてトラブルに見舞われた結果といたしまして、繰り返しでございますが、全部克服をし対応してきたというその実績を通じまして、再処理技術というものを我が国としましてきちんと物にしてきておるということは言えるのではないかというふうに思っているわけでございます。  一方、この六ケ所村の八百トンの施設の一番メーンの部分と申しますのはフランスの技術を入れたわけでございます。非常に実績のあるフランスの技術というものを入れた形、それプラス動燃の技術、知見、これを加味しながら今建設が進められておる、こういう状況でございます。
  195. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後に大臣にお伺いをいたしますが、今の議論を通じましてもやっぱり行き詰まって先が見えない、リサイクルが破綻をしているというふうにこれはお認めにならざるを得ないと思います。  それで、当面の対策として大臣にお伺いしたいんですけれども、こうなりますと、やはり原子炉を設置したときに設けておいたプールに使用済み核燃料は当面厳重に貯蔵する、満杯になるのであれば原子炉の出力を落とす、あるいは発電所を選んで中止をするということが将来も含めた国民に対する責任ある方向ではないかというのが一点。  さらに、この破綻の実態をそのままにしておいて、行き場がなくなっているのに二〇一〇年までに百万キロワット級の原発を新たに二十基も増設するという計画は、これは余りにも矛盾を拡大する無謀な計画だと思いますし、私はやはりこれはやめるべきだというふうに申し上げたいと思いますが、大臣のお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
  196. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 今後の日本の電力需要をどう考えるか、これをよく見据えていかなければならないと思っております。  先日の原子力委員会長期計画策定会議に、私は、新エネルギーというようなことも視野にきちっと入れて、それでどこまでやれるか、やれない部分はどこか、そういうふうなことも慎重に検討した上で原子力関係の長期計画を立ててくれということをお願いいたしました。しかしながら、電力需要がいろいろ伸びているということも事実でございまして、こういうことに対してどういうふうに国民のエネルギーの安全保障をしていくかということは極めて大切だと思っております。そういう点から、やはりもう一度原子力ということも見直す必要があると思いますけれども、ともかく国民全体の福祉のために電力需要をきちっと守っていくためにどうしたらいいか、これは真剣に考えていきたいと思っています。  そういう意味で、核燃料リサイクルによる原子力発電を安定的に進めていくための再処理ということをやはり基本として進めていく必要は私はあると思っております。中間貯蔵というのは、使用済み燃料発生状況と再処理能力を調整するための措置として、長計に示された方針に従って制度整備に関し検討を進め、今般具体化を図ることとしたものでございまして、これによって核燃料リサイクル計画を円満に進めたいと考えております。
  197. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) この際、午後三時十五分まで休憩いたします。    午後二時十八分休憩      ─────・─────    午後三時十五分開会
  198. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいまから経済・産業委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、前川忠夫君が委員辞任され、その補欠として藤井俊男君が選任されました。     ─────────────
  199. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 休憩前に引き続き、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  200. 水野誠一

    ○水野誠一君 参議院の会の水野でございます。  前回、五月二十七日の委員会で、私は、核燃料サイクル構想の見通し、つまり使用済み燃料の再処理施設やプルサーマル計画発電所の廃炉問題についてお尋ねをさせていただきました。また、参考人質疑においても、この廃炉問題等も含めて日本の再処理能力というものは果たして技術的にも能力的にも十分なものなのかどうかといった視点からお尋ねをしたわけでありますが、どうも聞けば聞くほど不安、疑問というものが残る、率直に申し上げてそんな感じを持っております。  再処理工場は六ケ所村に建設中でありますが、これも指摘をさせていただきましたように、数度の延期を経て稼働ができるのが早くて二〇〇五年、プルサーマルはようやくこれから幾つかの炉で計画が開始されるところということであります。また、今回の問題であります中間貯蔵施設の建設も、さまざまな関係者とのこれからの調整が順調に進むとは言い切れないということなども含めて大変心配な感じを持っております。  さらに、この発電所の廃炉問題の関係では、炉の寿命が三十年から四十年とされてきたこれまでの一般認識に対して、六十年運転も視野に入れた対応がとられるという答弁もございました。これにはどうも問題の先送りといった感がありますし、核燃料サイクル構想の将来像については依然不透明な部分が多く残されていると言わざるを得ないと思います。  前回触れておりませんでしたが、あえて触れなかったわけでありますが、高速増殖炉の今後ということについて今回は少々伺いたいと思います。  確かに、実現すればウランの寿命、資源の寿命を一千年単位に延ばすことができるというまさに夢の高速増殖炉と言われているわけでありますが、しかしながら、周知のようにこの実現への道のりは技術的にも経済的にも大変厳しいものがある。御案内のように、アメリカ、フランスでは既に撤退をしている。そして、現在この開発を進めております唯一の国であります我が国でも「もんじゅ」の事故によってその実現はさらに遠のいている、実用化は早くても二〇三〇年以降、こう言われているわけであります。  ここで高速増殖炉の実現可能性について、技術的なことを議論しても仕方がないと思いますし、またそのお答えというのも大体想像がつくわけでありますので、あえてそれはお尋ねいたしませんが、単純に素朴な疑問として、事故以来とまっている「もんじゅ」、これが再開のめどというのはあるんでしょうか。
  201. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  「もんじゅ」再開の目途、めどということでございますけれども、「もんじゅ」につきましては、事故後、原子力委員会もとに「もんじゅ」につきましての位置づけを含めましてFBR開発というものを、事故とか新しい経済情勢等々を踏まえまして、どういう方向で持っていったらいいのかという御議論をいただきました。これが原子力委員会もとに設けられました高速増殖炉懇談会でございます。  この懇談会におきまして、これはパブリックコメントを得るというプロシージャーを経まして、平成九年十二月に位置づけ等を含めまして取りまとめられてございます。  それから、もう一つの側面でございます安全面ということに関しましては、原子力安全委員会におきまして昨年四月に事故の原因究明でございますとか、再発防止策といったことにつきまして審議が行われまして、報告書が取りまとめられてございます。さらに、科学技術庁の中に置かれました安全総点検チームも昨年三月にその総点検の結果というものも取りまとめてございます。  このように、政策的な位置づけ、安全確保策、この両面におきまして、それぞれ事故後におきましての今後の段階を踏みます持っていき方ということにつきましての整理をいたしまして、今後は地元方々に対しましてそういうことを御説明しつつ理解を得るという作業が残ってございます。これまでも地元方々説明会とかそういったことを通じましてるるやってきてはございますけれども、そういったものを全部取りまとめまして、きちんと御説明をし、理解を得るという作業が残ってございます。そういったことを経まして、できる限り早期に運転再開ということに向けまして私ども努力をいたしてまいりたいと思っておるわけでございまして、実は今週の末にも私どもの有馬大臣が福井に参りまして、地元方々、福井県知事にもお話を申し上げるという段取りになってございます。
  202. 水野誠一

    ○水野誠一君 それでは、高速増殖炉の研究開発のために毎年核燃料サイクル開発機構予算の中から支出している額というのはどれくらいになるんでしょうか。
  203. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  平成十一年度予算におきまして、高速増殖炉研究開発に関しましては、核燃料サイクル開発機構に対する政府出資金の中の一部でございます、具体的には二百二十八億円の予算というものを計上いたしてございます。
  204. 水野誠一

    ○水野誠一君 「もんじゅ」自体というのもとまっていても恐らく維持管理費というのがかかるのではないかと思うんですが、この予算規模というのはどれくらいでございますか。
  205. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  御指摘のとおりでございます。とまっておりましても炉心に崩壊熱がございますので、その熱を取る、そのためにループを回す、こういった経費でもって約九十億の経費が必要とされてございます。
  206. 水野誠一

    ○水野誠一君 今お答えいただいたように、維持管理だけでも大変コストがかかる。そして、さらに研究開発を進めていくには二百二十八億という毎年の予算支出があるということでございます。これは確かに成功すればまさに夢の高速増殖炉ということで、世界のエネルギー資源の有効活用ということにおいて画期的なものになることは間違いない。しかし片方で、技術的にもまた安全性ということからも非常に難易度の高いプロジェクトであるということでありますから、やはりその辺の判断というものを的確に正確に行いながらこの政策というのは進めていっていただきたい。何か意地になって引くに引けないというような状況の中でこの計画が進められるのではない、やはりもっと冷静な判断というものが絶えず必要になってくると思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  207. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  まさにこれから先の技術開発の進め方ということにつきましては、私ども、今先生から御指摘いただきましたような考え方でもちまして臨みたいというふうに思っておるわけでございます。  具体的には、従前は二〇三〇年実用化というものを目途にいたしまして、軽水炉からその次のステップでございます本命炉という形で研究開発というものを進めてきた。その意味におきましてはやや一本道であったというふうな反省というのもございます。  現段階におきましては、将来におきましての非化石エネルギー源の有力な選択肢のうちの一つ、こういう位置づけがなされたわけでございます。  ただ、おっしゃられましたとおり、もし開発に成功すれば得られるところというのは大変大きなものがあるという意味におきまして、その実用化を目指すために、その可能性を追求すべく着実な努力をしていきなさいというふうに言われておるわけでございまして、節目節目できちんとしたチェック・アンド・レビューを入れつつ、柔軟に対応していきたい、かように考えてございます。
  208. 水野誠一

    ○水野誠一君 次に、廃炉問題についてもう一度お尋ねしたいと思います。  前回委員会質問では、昨年三月に停止いたしました東海発電所の例をとって廃炉により排出される膨大な量の廃棄物、それから中でも放射性廃棄物の問題をどうするのか、さらにそのコストの試算はどうなっているのかということなどを伺いました。  ちょうどその翌日に、来年三月に運転開始から三十年を迎える福井県敦賀原発一号機について、二〇一〇年ごろまで運転する、来年三十年でございますから四十年運転になるわけでありますが、二〇一〇年ごろまで運転した後、商業用軽水炉としては初めて廃炉とする方針であるということが報道されたところでございます。  廃炉に伴うコストについて、ことし五月の総合エネルギー調査中間報告では百七十億あるいは百九十億という数字が試算されているわけでありますが、これをどう見るかという私の問い、これは前回委員会でお尋ねしたわけでありますが、それに対して、これは既に積み立ててあって電気料金で負担している、また発電量で割り戻した単価で考えると十銭前後であるから、原子力発電コストのモデル計算である一キロワット当たり九円にも転嫁し得る数字であるという御答弁がありました。  さて、この中間報告の百七十億円あるいは百九十億円という数字が具体的にはどこまでを含んだ試算なのか、確認をしたいと思います。放射性廃棄物処理コストも含んだものなのかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  209. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 廃棄物処理に係る費用について一点、あるいは私の前回の答弁が不明確であったのかもしれませんので確認的に申し上げたいと思いますが、廃炉の解体に係る費用は既に準備金として積み立てております。ただし、解体したものを処理、処分するための費用を今回計算をし、今後それを新たに電気料金の方に加算する、そういう準備をいたしてございます。  今回計算をいたしました解体放射性廃棄物処理処分費用、これはBWRで百七十八億円、PWRで百九十二億円という数字を申し上げました。これはいわば処分のための前工程、除染をやる等々の費用でございます処理費、それから検査をし輸送をし最終的に処分をするという四つの項目を並べてございます。そういう費用を対象として、先ほどの百七十八億円、PWRで百九十二億円という数字でございます。  なお、この数字の差でございますが、BとPの場合の非常に大きな特徴は、BWRの場合には低レベル放射性廃棄物の量はかなり多うございます。そういう意味処理費がかさむわけですが、PWRの場合には他方で、概括的な特徴で申し上げますと、全体の量は少ないのですが、高ベータガンマという低レベル放射性廃棄物の中でも比較的処理の難しいものの量が多い、したがってその処分費がかさむ、そういうような両方の性格の差によりましてこの費用の差が出ております。
  210. 水野誠一

    ○水野誠一君 ちょっと確認をしたいんですが、ということは、百七十八億あるいは百九十二億と言っている数字の中には放射性廃棄物処理コストを含んでいると、これは低レベル廃棄物のコストというふうに考えていいんですか。
  211. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 御指摘のとおりでございます。
  212. 水野誠一

    ○水野誠一君 では、核燃料サイクルのその他のプロセスから排出される放射性廃棄物の処理についてどう考えるか、伺いたいと思います。  目下、原子力開発利用長期計画がちょうど見直しの時期に入っているということで、前回、平成六年六月の長期計画というものが、いささかちょっと古いんですが、最新のものになろうかと思います。  この文書の中に、「高レベル放射性廃棄物の処理処分」の項があるわけですが、これを見ますと、「処分事業の実施主体については、処分場の建設スケジュールを考慮し、二〇〇〇年を目安にその設立を図っていくことが適当」、「処分に必要な資金の確保については、」「具体的検討を進め、早急に合理的な費用の見積りを行うこととします。」となっております。  さらに、ことし三月の総合エネルギー調査原子力部会の中間報告というのがございますが、これによると、高レベル放射性廃棄物の処理について、埋設深度や処分方法によって試算を十一のケースにかなり細かく分けているわけですが、金額としては二・七兆から三・一兆円という結果を出しております。一キロワット当たりの処分単価に割り戻すと七銭から大体三十銭、平均的な家庭で一カ月七円から三十円程度の上乗せになるとされているわけであります。  さてそこで、試算の前提をお尋ねしたいのでありますが、二〇三五年に操業開始して二〇九五年に閉鎖、その後三百年間モニタリングするというものなので、実に途方もないほど長期的な話になるんですが、高レベル放射性廃棄物の処理にかかるコストとして政府が現在想定しているのは、この報告にある数字というふうに理解をしてよろしいものなんでしょうか。
  213. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 御指摘のとおりでございます。  再処理をいたしまして約四万本の固化体が出まして、これに係る費用、御指摘のとおり十一のケースに分けて費用試算を行い、二・七兆円から三・一兆円ということでございます。  また、これは原子力発電電力量キロワット当たりの処分単価に割り戻しますときには、金利といいますか、割引率をどう考えるかによって大分差がございますが、割引率を四%と考えた場合には七ないし九銭、また割引率を考慮しないような場合には二十六ないし三十銭という費用になります。
  214. 水野誠一

    ○水野誠一君 なぜこういう質問をするかと申しますと、つい先般、この委員会で電気事業法の一部改正についての審議を行ったわけでありますが、この法改正の目的というのは、経済構造改革の一環として電気事業にも一層の競争原理を導入して、国際的に遜色のないコスト水準を目指すというものだったと思います。もし電気料金に転嫁される放射性廃棄物処理コストがさきの試算を大幅に上回るようなことになりますと大変大きな矛盾が生じるのではないか、こういう危惧をするからなんですが、この点はいかがでございましょうか。
  215. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 原子力発電コストをモデル計算した場合のキロワット当たりのコストは九円という数字を申し上げたことがございますが、この九円の中で考えますと、高レベル放射性廃棄物処分のお金はモデル計算をしたときに既に入れております。ただし、金額は当時の知見でございますので三銭程度で入ってございます。それが精密にもう一度計算をしますれば、先ほどの十銭ほどの値になろうかと思います。  それから、先ほど申し上げましたように、廃炉の解体に係る部分は既にもう入っております。これを処分するものについては、九円の中には、計算には入っておりません。したがって、十銭程度になりますが、新たにそれを入れることになります。  それから、再処理に係るものについては、これは既に九円の中のモデル計算に入っております。  そういう意味で、今後ふえるものにつきましては、高レベルの三銭が十銭になる部分、概念的な額でございますが、それから廃炉の処分に係るものが十銭程度のもの等々でございますので、全体的な九円及びその他の化石燃料のコストとの比較から見て、大きく競争力が変化をするという性格のものではないだろうと、かように考えてございます。
  216. 水野誠一

    ○水野誠一君 いつ実現できるかまだ見通しが立っていない高速増殖炉に、実現できるまで毎年恐らく数百億円の投資が継続していくと。高レベル放射性廃棄物の処分に係るコストは約三兆円。その試算には、十一あるいずれのケースにおいても、処分施設閉鎖後三百年間のモニタリング費用として約千二百億円がかかる、こういう計算になっているわけであります。  こういったコスト、これはやはり国民に本当に理解されるのかなということを私は危惧するんですが、自信を持って国民説明できるというふうにお考えになっているんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
  217. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 総合エネルギー調査原子力部会の中間報告、先生から御指摘をいただきましたものにつきましては、もちろんこれは世の中に公開をし説明会をし、それからパブリックコメントを求めておるわけでございますが、さらにパンフレットなどもつくりまして全体的な計算の中身を示してございます。  こういう中で、いささか技術的な側面も多々あろうかと思いますが、先ほどのような発電コスト、あるいは月間の支払い電力代金、そういうようなところに割り戻しながら説明を繰り返しているところでございます。
  218. 水野誠一

    ○水野誠一君 またさらに、この中間報告が出されましたときに、通産省はこの報告を受け二〇〇〇年じゅうに処分事業をスタートさせる計画で、今夏に具体的な処分制度案を同部会に諮った上で来年の通常国会に処分事業法案を提出する考えという一部新聞報道がありましたが、これは事実でしょうか。あるいはこれはマスコミのミスリードなんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
  219. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 事実でございます。  高レベル放射性廃棄物につきましては、原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会が昨年五月に報告書を取りまとめているところでございますけれども、この報告書を受けまして総合エネルギー調査原子力部会が昨年の七月から審議を進めまして、先ほど委員から御指摘のございました「高レベル放射性廃棄物処分事業の制度化のあり方」という報告書を取りまとめました。この報告書を受けまして、二〇〇〇年をめどとした実施主体の設立、それから費用手当ての開始、こういう二点につきまして具体的な制度を検討いたしてございます。  この制度の内容は、詳細設計をした上で改めてまたこの総合エネルギー調査原子力部会に御報告し御審議をいただく、また一般の御意見もいただく、かような手順で検討を行ってございます。
  220. 水野誠一

    ○水野誠一君 まだこれから内容的にも詰めるということではあるんですが、その処分事業法案というもののイメージというのはどんなものなんでしょうか。我々どういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。
  221. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 一言で申し上げれば、実施主体等に係るものでございます。  先ほど委員からも御指摘ございましたように、かなり長期にわたってこれを管理するという仕組みがございます。したがいまして、民間活力は当然期待をするものではありますけれども、商法上の会社能力として、長期にわたるものを国民から信頼を得る形で保証し得るかというところがございまして、当然ある意味での国の役割というのがあろうかと思います。  そういう意味で、この実施主体の法人形式をどうするのか。片方には特殊法人というのがあるし、片方には純粋の民間法人というのもあろうかと思いますが、その中でどういう形がこの責任体系を最も担保し得る姿になり得るか。また、ここに電気代としてかなりの金額を積み立てていくわけですけれども、そのお金を管理する仕組みとしてどういうものが最も透明でかつ安定しているものであるかというようなことを含めて検討をいたしてございます。
  222. 水野誠一

    ○水野誠一君 ほかにもいろいろ伺いたい点があるんですが、もう時間がないので、きょうの質問はこの辺にしたいと思うんですが。  私は、一キロワット当たり九円と盛んに言われている原子力発電電力コスト、これが本当にその九円ということの中にどこまで目に見えないコストというのが含まれているのか。さらに言えば、先ほどから申し上げているような廃炉の問題あるいは再処理の問題、あるいは高速増殖炉に対する研究コスト等々、目に見えないコストというものが恐らく九円のほかに相当あるんじゃないだろうか、こういう疑問を非常に感じるわけです。  確かに、原子力発電というものを一つ重要な資源エネルギーの根幹であるということでアピールする上では、コストは九円だと、非常に競争力を持った、また低廉なコストで開発できる電力であるということをアピールすることも大切なんですが、また同時に、その九円の中に入ってこない目に見えないコストというものの構造、これもやはり明らかにしておくことが、私は、今後の原子力発電というもののあり方を国民に正しく理解していただく上でも重要なポイントではないかと。  この点を最後に指摘させていただきまして、質問を終わりたいと思います。
  223. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣、御苦労さまです。  五月二十七日の当委員会におきまして、加納委員質問の中で、ちょっと前は省きますが、大臣に対しまして、今非常に大事なことをおっしゃったような気がします、誤解を受けてはいけないということがございました、具体的に誤解とはどんな誤解を大臣は気になさいますでしょうかというのに対して、大臣はこう答えているんです。  最近、少し新聞等々も注意深く書くようになりました、大変いいことだと思っております、何を言いたいかというと、何かそこいらじゅうに、風車と言っちゃいけない、風力発電機を置けば日本じゅうの需要が賄えるようなことをかつて言っていました、汽車なんかもそれで、汽車というのも電車のことだと思うんですが、走らせればいいよと、それはもちろん風力は使った方がいいですよ、あれが一体どれだけ発電できるかというようなこと、それから、太陽は絶対使うべきだけれども、一体どのくらい発電できるか、幾らかかるのか、こういうふうなことをやはり十分国民方々にお知らせして、その上で御判断いただくということが必要だと思うんです、だから誤解というのは、そういうものを並べれば、もうあしたからでも化石燃料も要らなきゃ原子力発電もいかにも要らないかのごときユートピアの考えを与えることは私はまずいと思うんです。  こういう答弁なんです。  風車というのと汽車が出て、これはなかなか冷やかしたような答弁になっておりますが、言いたいのは、お手元に行っておりますが、世界の風力発電の導入量、これを見てわかりますように、ドイツが二百七万九千、これに対して日本は一万七千です。その日本のちょっと上のイタリアが十万五千に対して一万七千、六分の一なんです。  私はこの委員会でずっと十何年ぐらいやっておりますが、日本のエネルギーのことはよくわかっております。省エネの問題もよくわかっております。しかし、新エネもやるだけやろうと、こう一生懸命言っているわけです。だから、こういう他国に比べてみても資源のない国がこんな低い状況の中で、それで大臣の言っているようなちょっと冷やかし半分のような答弁では、どうも我々がやっていることに対して冷やかされているような感じがしてならぬ。  太陽光発電についても、これは五月三十一日に毎日新聞に載ったんですが、「第六回わが家で太陽光発電シンポジウム」というのがあって、濱川立命館大学副総長が基調講演をしております。「サハラ砂漠の四分の一に太陽電池を敷きつめれば、エネルギー需要は満たされる」というような研究もしておると。  だから、やはりこれは、原子力も化石燃料も頭に入れながら、新エネも資源のない日本こそ真剣にやるべきではないか。このように思って私はよくここで発言するんですが、どうも大臣の方が誤解をしているような気がしてなりませんが、誤解は解けますか。
  224. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 私は、新エネルギーは極めて大切だと言って日本じゅうを歩いている方です。この点を御理解いただきたい。  ただ、私が申し上げていることは、太陽エネルギーは絶対使わなきゃいけないけれども、一体幾らかかるか、それからどのくらい発電できるか。風力だったら、風車と言ったのは、オランダはやっぱり風車ですから風車と申し上げたけれども、風力がどのくらい使えるか。特に日本でどこで風力が使えるか。そういうこともちゃんと検討すること。そして、新幹線を走らせるのに本当にどれだけエネルギーが要るか、こういう現実もにらんだ上でやらないといかぬ。  ですから、私は、きのうの原子力委員会長期計画策定会議におきましても、絶対新エネルギーを考えてくれと、その上で、足りない分がどういうふうに足りないか、一体どのくらい新エネルギーでやれるかというふうなことも考えてくださいということを申し上げているわけです。  私は、決して新エネルギーを無視しているとかそんなことではございません。一生懸命やろうとしている人間だということを御理解賜りたい。ただ、皆さんがただ新エネルギーだけ持ってくればいいというふうに考えてしまうことを恐れているわけです。ただ、おっしゃるように、日本がたったこれだけしか風力を使っていないということに対して私は大変残念です。しかし、現実にどのくらい風力が使えるか。  三重で風力を今大いに使おうとしているとか青森県で使おうとか、そういうことは非常にいいことだと思っております。これは絶対方々でやるべきである。それから、小学校、中学校をつくる場合にはエコスクールという努力をしております。太陽電池を屋根に置くことによってその学校は新エネルギー、太陽エネルギーでやっていくべきだと私は思っているわけです、かなりの部分は。そういう努力はさせていただきたい。  しかし、それだけで足りると思わないでいただきたいということであります。
  225. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、気持ちはわかりましたが、読み返してみますと、風車と言ったり汽車と言ったり、そんなにお年じゃないんだが、ちょっと茶化したような答弁ととれましたから。誤解が少し解けましたから、あと頑張ってください。  いずれにしても、やるべきことをやって強いことを言うのはいいんです。やっていないんです、これは。やっていない。だから、そのことを一言申し上げたいと思います。  次に、この前の本委員会で、東海村の村上村長さんから聞いてびっくりしたのは、この法案の審査がまだ始まる前の段階ぐらいに既に、処理能力五千トンの中間貯蔵設備を東海村につくってくれ、こう言われたと言うから、私も即座にどなたから言われたのかと聞いたら、はっきり答えなかったんです。だから、その場はそこで終わったんです。  きょうは、県からあったかあるいはある電力会社からあったのか、どうもそこの質問と答弁の間がはっきりしていなかったから、ここはちょっとはっきり答えていただきたい。だれが一体東海村の村長に言ったのか。
  226. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 私の理解している限りでは、電力会社から打診をしたということであります。
  227. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 電力会社はどういう資格でそういうことを言えるのか。
  228. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 東海村長の御発言を受けまして、その後電力会社確認をいたしましたが、中間貯蔵施設に関してPA等さまざまな活動を行う一環として立地について打診をしたというふうに言っております。
  229. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、聞いたことに答えてください、どういう資格で言えるのか。
  230. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 失礼しました。  電力会社として中間貯蔵施設をつくるとした場合に、電力会社みずからするか、電力会社が第三者と共同して組織体をつくるか、いずれにしてもそういう立場にありますから、中間貯蔵施設の立地を進める立場であろうと推定をいたします。
  231. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これは政府と裏は一致しているわけですか、こういう時期にそういう話が行くということは。
  232. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 一致をいたしておりません。私はむしろ、ここで参考人として意見陳述をされたお話を聞きまして、東海村長さんに打診をした人は大変心ない人ではないかと思いました。  なぜかと申しますと、この中間貯蔵施設をつくれという御意見の多い地元のところは長年にわたって、三十年、四十年原子力に御協力をいただいた地元でありますが、政府の原子力政策に係る各般のおくれについて大変な不信感を持たれ、また不満を持たれている方々であります。それは、全原協という原子力関係した市町村の首長さんたちのお集まりの中でも決議として明確に言われているところなのでございます。そういうお気持ちの方々のところへこういう打診をすること自身に非常に心ない、また配慮のないものではないかと我々は思っております。  もちろん、通産省と電力会社の間で共通した意思疎通があってしたものではございません。
  233. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 では、どこかよその地域にもそういう話は行っていないんですか。
  234. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 通産省といたしましては、ここで法律をおつくり賜って、それが中間貯蔵事業を進めるための環境を整備する第一歩だと思っておりまして、この第一歩をおつくりいただいた後、引き続き国としての各般の努力をしたいと考えてございます。
  235. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もしや他の県というか他の地域へ同じような話が行っていないかどうか聞いたんですが、一回調べてください。  次に移ります。  現在、我が国に保有されているプルトニウムの量について、一つは国内保有が何トンか、イギリス、フランスへ再処理を委託している分が幾らか、総量で結構です。
  236. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  今、国内におきましては分裂性プルトニウムの量で約四トン、海外におきまして約十三トン保有している状態にあります。
  237. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 フランス、イギリスに再処理を委託している部分は、一九九八年三月現在ぐらいでは十三トンよりももっと多いんじゃないですか。
  238. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  軽水炉からの使用済み燃料が約五千六百トン、これがいわゆるフランス及びイギリスへの使用済み燃料の既搬出量でございます。  そこで、フランス、イギリスの施設に持ち込まれて再処理をされましてプルトニウムが抽出されてございます量が約十三トンでございます。残り恐らく約十五トン程度がこの持ち込みました使用済み燃料から出てまいるだろうと予測をされてございます。
  239. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、ちょっと資料の見間違いかもしれませんけれども、フランス、イギリスに再処理委託している量はもう少し多いようにつかんでいるんですが、間違いないですか。それが一つ。  それから、国内のプルトニウムの保管量あるいは保管責任者、この辺は大事なことですから教えてください。
  240. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  今、先生がおっしゃられた数字と私が今お答えを申し上げました数字が少し違うんじゃないかという点がまず第一点。  今私がお答えを申し上げましたのは、プルトニウムの中のいわゆる分裂性プルトニウムの量で申し上げたわけでございます。場合によりますれば、先生はプルのトータル、要するに非分裂性のプルトニウムを全部入れたトータルの数字でおっしゃられたのかもしれません。その意味におきましては、トータルのプルに対しまして大体、目の子でございますけれども、三分の二ぐらいが分裂性のプルトニウムということで御換算をいただけますればと思います。  それから、今国内にございますプルトニウム、分裂性プルトニウムの量で約四トンと申し上げましたが、これはほとんど研究開発用でございます、今現在におきましては。これは具体的には、核燃料サイクル開発機構とそれから日本原子力研究所がその保有をしまして、研究開発の用に供しているのがほとんどでございます。
  241. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これは試験研究用で、どこが保管しているんですか。
  242. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  研究開発用ということでございますので、プルトニウムを使いまして研究開発を行っている機関は、ごく少量は別にいたしまして、具体的にはその一番大口は核燃料サイクル機構でございます。それから、量的には大分差がありますけれども原研。ほか、ごくごく少量の大学の施設とかそういったところはございますが、このあたりはネグリジブルスモールというふうな状況でございます。  したがいまして、原研とほとんど多くは旧動燃でございます。
  243. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そうすると、保管費用とか保管責任というのはそこになるわけですか。国は費用は要らない。
  244. 青江茂

    政府委員(青江茂君) 保管責任は、まさにサイクル機構自身が責任を持って保管してございます。  それで、こういう物質でございますので、安全確保上の観点からも当然所要の注意深い保管管理をなさねばなりません。ということで、一定の施設に保管をするということでございますので、施設の整備費とかそういったものというのは保管費用としてあろうかというふうに思います。
  245. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次へ行きますが、一九九八年三月現在、使用済み燃料が六万七千トンありますね。これを再処理した場合に、プルトニウムはどのくらい製造されるんですか。
  246. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  一九九七年末現在におきまして国内に貯蔵されてございます使用済み燃料使用済み燃料の中にはプルトニウムがある、それを抽出するといたしますと、これは計算値でなければ出てこないわけでございますけれども、いろんなロスとかそういったものを勘案いたしますと、先ほどの分裂性プルトニウムの量で申し上げますと約四十トンという数字になろうかというふうに思います。
  247. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 「もんじゅ」で使うのは、そのプルトニウムは分裂性のものですか。それとも……。
  248. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  例えば、「もんじゅ」の燃料と申しますのはプルトニウム燃料でございますけれども、その燃料は、この一〇〇の燃料だといたします、その二〇%ぐらいがプルトニウムでございます。したがいまして、八〇%ぐらいがいわゆる母材と呼んでございますけれども、ウラン238でございます。それで、今申し上げました二〇%程度のプルトニウムの部分のうち、分裂性プルトニウムのパーセンテージが三分の二ぐらいでございます。
  249. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、先ほど、「もんじゅ」で使うプルトニウムは分裂性か非分裂性かというのを聞いたんです。
  250. 青江茂

    政府委員(青江茂君) 今申し上げましたのは、プルトニウムとして使うわけでございますので、三分の二ぐらいが分裂性のプルトニウム、三分の一ぐらいが非分裂性のプルトニウム、これが一体となったものをプルトニウムとして用います。
  251. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それは分けられるわけですか。
  252. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  物理的に工学的にお金をかければ分けることはできます。  しかしながら、プルトニウムとして抽出しておるわけでございまして、そこまでの費用をかけてピュアなプルトニウムとして使うというよりは今のような形でもって使う方が経済的でございます。そしてかつ、燃料としては十分たえ得るものでございますので、先ほど申し上げましたような形でプルトニウムを使用してございます。
  253. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間がなくなりましたが、だからプルトニウムの量は大体どのくらい我が国にあって、そして「もんじゅ」が動き出したらどのぐらい使って、そして大体何年分あるのか、そういうことを聞きたいわけですよ。  だから、何か分裂性とか非分裂性とか無理に答えぬで、ややこしいところに議論を引き込まないでください。
  254. 青江茂

    政府委員(青江茂君) 申しわけございません。  プルトニウムを使うというのはやはり燃料として使うわけでございますので、着目するのは、分裂性のものがどれくらいあるかというところで、それをどのように活用するかということが一番の眼目でございます。私どもがプルトニウムをどう使っていくのかというふうなことを議論いたしますには、常に分裂性のプルトニウムの量でもって議論をするというのが通常の習慣でございまして、申しわけございませんでした。  ただ、今先生が御質問になられようとされておりました、先ほど申し上げましたような、トータルのプルトニウムというのをどう日本として使っていくのかというのが御質問の一番のポイントではないかというふうに思うわけでございます。それにつきまして、今申し上げましたような量につきましては、まず第一には、これは余り量的には多うございませんけれども、「もんじゅ」等を初めといたします研究開発用にごく一部を使います。そのほか大宗は、当面の間の使用形態といたしましては軽水炉での利用、すなわちプルサーマルをもって使っていくというのが私どもの計画でございます。
  255. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先ほど「もんじゅ」の話が出ましたが、大体一年間で「もんじゅ」はプルトニウムを五トンぐらい使うんじゃないですか。そうすると、今あるプルトニウムを、MOXは別として、「もんじゅ」で使うとすれば大体どれぐらい持っていることになるんですか。
  256. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  「もんじゅ」を定常運転いたしますと大体年間で〇・五トン、これも分裂性プルトニウムの量でございます。そのほかに、〇・一トンから〇・二トンぐらいが先ほど申し上げましたさまざまな研究開発用に使われるということで、一トン弱がオーダー的には研究開発用であるというふうに認識をいたしてございます。残りの大宗はプルサーマルとして使うという計画になってございます。
  257. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いずれにしましても、プルトニウムもこれはどんどんたまっていくわけです。それは間違いないですね。使用済み核燃料もこれも再処理してどんどんたまっていく。あるいは、再処理がとまれば中間貯蔵がどんどんふえていく。プルトニウムもそういう関係にあるわけですね。
  258. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  プルトニウムの利用ということに関しましては、我が国は一つ考え方といたしまして余剰プルトニウムを持たないという考え方に立ってございます。したがいまして、再処理をいたしましてプルトニウムを抽出する、その抽出しましたプルトニウムというものは計画的に利用するということで、先ほど申し上げました研究開発用とプルサーマルでもって使っていくというふうに考えてございます。したがいまして、原則論としまして余剰プルトニウムは持たないということでございます。  したがいまして、再処理をする前のところで使用済み燃料というのがある程度たまっていくというのが今の現状でございます。その点を調整することでもちまして今の中間貯蔵ということの御審議をお願いしておるわけでございます。
  259. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 フランスやイギリスであなたさっき十三トン、十五トンと言ったかね。持たぬということを言ったって、場所を向こうで持っているだけで、持っているじゃないか。
  260. 青江茂

    政府委員(青江茂君) お答え申し上げます。  今、現に物理的にはあるわけでございますが、これは計画的に使う、すなわちプルサーマルでもってきちっと使っていきましょうという計画があるわけでございます。  したがいまして、今あるのが十三トン、それから今既に持ち込まれている使用済み燃料から出てまいりますのが約十五トン、これだけのプルトニウムがフランス、イギリスの再処理工場で出てまいります。このプルトニウムは欧州でもって燃料加工を行いまして、それを日本に持ち帰りまして軽水炉でもって使用していくという計画になっておるわけでございます。使用計画を持っているもの、そういう意味におきまして余剰という、使い道のないプルトニウムということではございません。
  261. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 「もんじゅ」で〇・五トン使うと、それで十三トン持っているというなら、割り算したら余るじゃない。  だから、ちょっとここは、あなたはあっちこっち話をしていますから、もう一回整理をして数字を出してください。  もう時間がないですから、次に移ります。  長官、この前、参考人意見を聞いたら、村長さんは、東京湾に中間施設を持ってくる、それができるなら賛成だというような御意見だった。  私は、資料もいただきまして、原子力発電所ごとの敷地面積というのを全部見ました。一番狭いのが茨城の東海第二発電所で二十六万平米、あと広いのは柏崎刈羽発電所は四百二十万平米、非常に広大な敷地を皆持っておるわけです、福島も。  当然この敷地内に中間貯蔵施設、これは乾式でも湿式でもそれはできる。だから、あいまいな、今のプルトニウムもどうなるかわからない、中間貯蔵の見通しあるいは再処理の見通しもはっきりしないような状況ですから、これは、こういう広大な敷地の中にこの中間貯蔵施設を各電力会社にもう一回お願いして、方針が決まるまではここで当分やった方がいい、このように思うんです。大臣、無理しないで、これは法律法律ですが、中間貯蔵施設をどこかにつくるといったってこれは大変です。だから各県、各地域ごとにお願いをしてやった方がいい、このように私は確信をいたしましたが、いかがでしょうか。
  262. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 大臣からお答え申し上げます前に、事務的な答弁をさせていただきますが、物理的に発電所の敷地内でつくることは現実的に可能だと思います。  ただし、先ほど来申し上げておりますように、発電所内貯蔵が長期化することを懸念する発電所自治体からの各種の御意見がある、かような地元の状況にもかんがみた今回の措置でございます。  発電所の敷地の中を利用するものについては、既にこの二年間でも十六のサイトのうち八つのサイトで貯蔵能力を拡充する計画を持ち、具体的な実施を行っております。その中でも、こういった拡充を行うについて、発電所外で貯蔵をすることもあわせ可能な制度をつくるべきだという御主張をいただいておりますので、今回の法案を提出させていただいているところでございます。
  263. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 今、エネルギー庁長官がお答えしたとおりでありまして、さまざまな努力を重ねていかなければならないと思っています。決して中間貯蔵が易しいというふうには考えておりません。さまざまな努力を重ねていく、そういうものの中の可能性の一つとして今御指摘のこともあり得るかと考えておりますが、これはいろいろの面から検討することが必要だと思っております。
  264. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十二分散会