運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-05-13 第145回国会 参議院 経済・産業委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十三日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      陣内 孝雄君     久野 恒一君  五月十三日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     佐々木知子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         須藤良太郎君     理 事                 成瀬 守重君                 畑   恵君                 簗瀬  進君                 山下 芳生君                 梶原 敬義君     委 員                 加納 時男君                 久野 恒一君                 小山 孝雄君                 佐々木知子君                 末広まきこ君                 中曽根弘文君                 長谷川 清君                 平田 健二君                 福山 哲郎君                 前川 忠夫君                 海野 義孝君                 加藤 修一君                 西山登紀子君                 渡辺 秀央君                 水野 誠一君    国務大臣        通商産業大臣   与謝野 馨君    政府委員        科学技術庁原子        力局長      青江  茂君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        運輸省航空局長  岩村  敬君    事務局側        常任委員会専門        員        塩入 武三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、陣内孝雄君が委員辞任され、その補欠として久野恒一君が選任されました。     ─────────────
  3. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 加納時男

    加納時男君 おはようございます。加納時男でございます。  初めに、ガス事業法から入ってみたいと思います。  エネルギー政策全体としてその政策目的を考えていくときに、コストセキュリティーそして環境適合性が大事だということは既に合意が得られている話かと思っております。また、前回の当委員会におきまして、科学技術庁長官から、化石燃料に代替していくエネルギーとして原子力と新エネルギー比較があり、新エネルギーについては非常に魅力のあるものだけれども現状のウエートも小さく、将来的にも大きくは期待できないということから、原子力が非常に重要だというお話があったかと思います。  一方、化石エネルギーの中で考えてまいりますと、当然のことながらこれは天然ガス導入拡大が、セキュリティーの面から見ても、また環境適合性から見ても重要な選択だと私は思っております。  そこで、まず第一点として、ガス事業における天然ガス導入について問題提起をしてみたいと思います。  現在、ガス事業においてどの程度天然ガスに転換しているのでしょうか、まず実態をお伺いしたいと思います。ボリュームでもカロリーベースでも結構ですし、事業者数もあわせて教えていただければと思います。
  5. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) ガス事業におきます天然ガス導入実績については、現在大手三社が既に導入済みでありまして、他の地方ガス事業者においては二百四十一社中百二十三社が導入済みでございます。全事業者の中で五一・六%が導入をしていることになります。  また、原料に占める天然ガスの割合につきましては、平成九年度ベースで全国の八四・七%を占めております。
  6. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  今のお答えで幾つか感ずることがあるんですが、大手三社は恐らく一〇〇%という意味だと思いますが、完全にやっていると。事業者数で見ると確かに約二百四十社ですか、中小がたくさんあるために事業者数では五二%にとどまっていると。それから、全体としては原料ベースでは約八五%天然ガス転換がなされているということであります。  実は、天然ガス転換というのは高カロリー化を必要といたします。高カロリー化を必要とするというのは、そのための投資が要るわけでございまして、これは今お話にもあったように、大手三社の場合には非常に経営体質が強いということ、資源も恵まれているということもあって率先して実行されたんだと思いますが、問題は圧倒的多数を占める中小ガス会社だと思います。  ガス会社は数からいうと中小会社が多うございます。これらの会社は地元に密着した会社であり、また地域経済の担い手として非常に重要な役割を果たしておられるということを私ども日ごろ感じているわけでございます。こういった、数の上では非常に多くを占め、これからの高カロリー化天然ガス化転換を担っていくであろう会社が、実は会社の数でいって五〇%もまだ残っているということは私は大きな課題ではないかと思っています。  これらの会社投資をしていく場合に、非常に経営状況が厳しい中であえて高カロリー化投資をしていく、こういう勇気ある経営に対する国としての配慮というものは当然あっていいのではないかと私は思いますが、どのような政策を考えておられますでしょうか。
  7. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 御指摘のとおり、ガス事業におきましては、比較的小さい地方都市ガス事業者が大半を占めてございます。地方事業者二百四十一社中、既導入事業者は百二十三社でございまして、残り、未導入事業者が百十八社おります。  今後、こうした事業者において高カロリー化が進められる予定となっておりますが、資金力及び技術力等が脆弱でありますために、天然ガス導入等に際して多くの困難を伴うものと認識をいたしてございます。  このため、当省としては、中小都市ガス事業者の高カロリー化を支援するために、従来から、高カロリー化に必要な資金の円滑な確保のための準備金制度公的融資制度及び利子補給制度をとっておりますが、さらにノウハウや技術等を提供するための研修事業共同化対策事業などを講じてきております。  今後とも、こうした政策手段を活用いたしまして、地方都市ガス事業者の高カロリー化を推進してまいりたいと考えてございます。
  8. 加納時男

    加納時男君 その方向でぜひ進めていただきたいと思います。  第二に、大口自由化について問題を提起してみたいと思います。  ガス事業は、需要家利益の尊重とそれから競争原理導入という二つの柱を立て、この観点からガス大口自由化を実施しております。私の記憶が正しければ、たしか四年前、一九九五年三月の法改正でスタートしたものだと思っております。この結果、大口供給については料金規制それから参入規制、この二つの面が弾力化されてきたと思います。  ことしは一九九九年でありますので、四年たったところでこれらの成果、いわば光の面と、それから残された課題、いわば影、光と影について伺いたいと思います。
  9. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 先生質問のとおり、平成七年からの大口自由化によりまして八件の新規参入が実現いたしました。この結果、大口需要家によるガス供給者選択機会拡大等効果がもたらされたわけでございます。  一般ガス事業者においても、年間を通じて需要量変動が少ない大口需要家が着実に増加し、その結果、設備稼働率の向上や需要家を意識した経営姿勢浸透等によりまして経営効率化が進んでいると私ども認識をしております。  一方、かかる大口自由化に加えまして、ガス事業における経営効率化動きとしては、平成八年一月からすべての一般ガス事業者経営効率化目標を設定し、それに伴う経営効率化成果を先取りした料金改定が順次実施されたところでございます。さらに、直近では、例えば大阪ガスが本年二月十日から料金引き下げを実施するなど、小口需要家料金引き下げ動きが顕在化し始めてきているところでございます。  そうした中で、大口自由化範囲拡大に対するニーズが高まり、それに対応するための制度面環境整備が求められてきている状況である、そのように認識をしているわけでございます。
  10. 加納時男

    加納時男君 今、大臣、非常にわかりやすくお話しいただきまして、ありがとうございました。  最後におっしゃった制度面ということでございますけれども、恐らく今回のガス事業法改正一つの大きな柱がそこにあるのかなと思います。恐らく、託送制度のことに今触れられたのかと思いますが、このねらいでございますけれども、どのように考えたらいいでしょうか。
  11. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 前回改正を契機としまして、最近においては一層の大口自由化に対するニーズが高まり、それに対応するための制度面での環境整備が求められていることは今大臣から申し上げたとおりでございますが、この環境整備観点として大きくは二つのやり方を考えてございます。  一つは、今回の制度改革におきまして、大口供給範囲年間契約数量二百万立米以上から百万立米以上の需要家まで拡充するというものでございます。二つ目が、今御指摘のございました、みずから導管を持たない事業者大口供給への参入を容易にするという観点から、接続供給制度導入いたしまして、既存の導管ネットワークの公正な利用のためのルールを整備するというものでございます。  こうした制度改革によりまして、大口供給に係ります競争環境が一層整備され、前回改正による各般の効果がさらに拡大していくものと認識いたしてございます。
  12. 加納時男

    加納時男君 今回の特に託送の関係でございますけれども、公正な競争確保ということと競争促進という観点から設定されたものということで、接続供給という今お言葉がありましたが、これは電気事業法ガス事業法ともに「接続供給」というふうに条文を見ましたら書いてありますので、後ほどまた電力のところで再度触れてみたいと思います。  それでは、話が電力の方に移ってまいりましたので、電気事業法に移ってみたいと思います。  今回、電気事業法改正ガス事業法改正と非常に共通する認識に立っていると思うんですけれども規制緩和及び自由化の推進によって競争原理導入拡大し、これによってコストダウンを図るということだと理解しております。  実は、今回この法を改定する目的を先日与謝野大臣から伺いながら感じたことなのでございますが、この法改正の背景にあるものとして、一つコストが極めて強く意識されていると思います。その中では、特に国際的に遜色というおもしろい日本語が使われていますが、国際的に遜色のない水準にするというようなことがよく政治家、リーダーからも発言されてきているところでございますが、国際的に遜色があるのかないのかについて、まず事実を確認したいと思います。  一昨日、この席で配られた調査室資料で拝見しますと、為替レート換算国際比較が出されているのがございました。これは、私も拝見しまして、間違いなく日本は高いと思います。資源自給率が低いとか、国土が狭くてそのために環境制約とか立地制約があるとか、いろいろ理由はあるんでしょうけれども為替レートで単純に比較した場合には高い、これは間違いないと思います。電気ガスも高いと思います。  そこで、OECDなんかで議論するときに購買力平価という議論を我々よくやるわけでございますが、この資料は実は載っていなかったので、事前質問で投げかけてあるかと思いますけれども、もしわかりましたら、購買力平価で見てどのようなことになっているでしょうか。細かい資料は結構ですから、例えば日米比較だけでも結構ですが、教えていただければと思います。
  13. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) OECDが作成をいたしました平成九年の購買力平価で換算して国際比較をいたしますと、家庭用電気料金の場合、アメリカが一一八、イギリス九〇、ドイツ九四、フランス九三という数字でございます。日本を一〇〇とした場合の数字であります。産業用につきましては、アメリカが一〇九、イギリスが一〇三、ドイツが九三、フランスが八〇、かような数字でございます。
  14. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  私は何も電気料金が国際的に高くないんだということをあえて言おうとしているわけではなくて、データというのはあくまでも客観的に見た方がいいと思うので、確かに為替レート比較するのが第一義だと思いますけれども購買力平価だとか一時間当たりの賃金で比較するというのも大事だと思います。  今の御回答をちょっとメモしてみたんですけれども、これで見ると、購買力平価、これはかなり実効的な負担感になると思うんですが、日本家庭用アメリカよりも安い、イギリスドイツフランスに比べると差は大幅に縮まって約一〇ポイントぐらいである。それから産業用については、日本二つの国に比べて安く二つの国に比べて高いというようなことです。これだからどうのということじゃないんですが、こういうことも頭に置きながら議論していくのが冷静な議論かと思っているわけでございます。  さて、エネルギー政策目的は何かということで議論するわけでございますが、今回かなりコストダウンというのが意識されているというのは、私は当然だと思います。加えて、昨年の百四十三臨時国会における経済産業常任委員会、この席で通産大臣に伺ったところ、エネルギー政策の基本は三本あると。コストはもちろん大事である、同時にエネルギー安全保障ユニバーサルサービス安定供給も含めたエネルギーセキュリティーというのは非常に大事である、それから三つ目として環境適合性が大事であるというようなお言葉をたしかいただいたと記憶しております。  今回の法改正を見ると、かなりコスト削減為替レート比較に基づくコストという意味でありますが、私はこれに非常に傾斜がかかっているように思います。もちろんこの目的は私は決して否定しませんけれども、同時に、エネルギー政策として非常に大事なセキュリティーであるとか環境適合性について今回の法改正ではどのようなことを意識しておられるのか、大臣に伺えればと思っております。
  15. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) まず、先ほどエネ庁長官が答弁されました購買力平価という考え方なんですが、私は、多分日本の円というのは、いわゆるオーバーバリューと申しますか過大に評価、購買力平価という観点から考えるとオーバーバリューになっております。  それでは実際は購買力平価を何で比較するのかという議論はいろいろあります。例えばハンバーガー一つの値段を対象に日本の円は一体どのぐらい価値があるのか、これで計算しますと、日本の円のレートは百八十円ぐらいじゃなきゃいけないんじゃないかという説もございます。実際は、そういういろんな物品を比較して日本円レートが幾らぐらいかということを考える方法がございます。  ただ、OECDがやりましたのは恐らく市場で決まる為替レートでございますから、それはそれなりにきちんとした根拠のあるものだろうと思っております。  電力コストを考える場合には、コストだけに着目するのではなくて、やはり電気量プラス質というものがございます。質というのは、まず第一には停電をしないということがあります。日本比較停電の少ない国の一つでございまして、恐らくそういう意味では、継続的に電気を送り続けるという能力においては多分世界一、二ではないかと思います。それからもう一つ、質という面では、いわゆる周波数変動しない、電圧変動しないということも非常に大事でございまして、一定電圧一定周波数供給できるかどうかという面では、これは質の面で非常に大事なところでございます。  そういう面では、日本電力というのは、確かにOECD比較によりますと若干高いというふうに見えますが、そういう質的な側面を考えて総合的に電気料金の問題を見ていかなければならないと同時に、やはり電力料金というものは過去の設備投資に対する償却費というものが非常に大きいわけでございますので、過去のものを今直すということはなかなかできないという一つの限界はございます。ただ、電力会社も非常に経営努力をしておりますので、ほぼ遜色のないところまで来るであろうと私は思っております。  そこで、先生指摘の、エネルギー政策というのは一体なんだ、どういう条件で物事を考えていくのかということでございますが、私どもとしては次の三つ要請を満たすエネルギー政策を考えなければなりませんし、そういう面では国会皆様方においても常に日本の将来のエネルギー状況について御心配をいただかなければならないと思っております。  まず第一には、これはもうよく御存じのことですが、エネルギー資源の大部分は輸入に頼っているということ、そういう面から見ますと大変脆弱なエネルギー供給構造になっている、そういうことが言えます。したがいまして、そういうエネルギー供給脆弱性を克服するためのエネルギーに対するセキュリティーというものをどう確保していくかということが第一でございます。  それから第二には、昔は例えば石炭もどんどんたいて煙もどんどん出す、そういうことでございますけれども環境問題をやはり考えなければなりません。中でも地球温暖化の問題、これはもう世界共通の問題でございまして、いわば大気に排出される炭酸ガスを初めとした地球温暖化に寄与するいろいろなガス、ほとんどが炭酸ガスですけれども、これはエネルギー消費量と密接不可分ということがございます。いわば化石燃料を燃やすということによって出てくるものが大部分でございます。  私どもは京都で第三回のいわゆるCOP3、気候変動枠組み条約というものに合意をいたしたわけでございます。その合意に基づきまして、我々は先進国の中でも特に誠意を持ってこの目標に向かって進んでいるということでございまして、環境問題は実は環境問題として独立しているのではなくて、やはりエネルギーの問題としてもとらえる視点が私は大変大事になってきたと思っております。  第三は、申し上げるまでもなく、日本の社会、国全体としての競争力を高めるためには、通産省も高コスト構造の是正ということを今いろいろ努力しております。したがいまして、電力料金もやはり高コストではないかというふうに指摘をされる場面もございますので、当然電力を含めましてエネルギー全体のコストの低減を図るということも我々のエネルギー政策目標でございます。  今申し上げました三つ要請というものがあります。これを同時に達成するということも我々の基本的な視点でございますし、また目標でもございます。  特に、昨年六月に策定されました長期エネルギー需給見通しを踏まえまして、エネルギー需給両面における対策というものを、需要面あるいは供給面、両方の側面から対策を講じていく必要があると思っております。  今回、先生方に審議をお願いしております改正は、一つは、供給面対策としてはエネルギー産業供給効率化を図るものでございまして、制度設計に当たってはエネルギーセキュリティー確保、地球環境問題との両立といった、いわば公益的課題と申しますか、世界人類環境問題というやや大きな視点も持った改正である、またそれを確保するという考え方に立って法改正を実はお願いしているわけでございます。
  16. 加納時男

    加納時男君 大臣のお考えは非常に共感いたします。ありがとうございました。  今のお話最後のところなんですけれども、具体的に制度設計するに当たっては、供給効率化といういわば経済的な観点に加えて、公益的な観点、今大臣が言われましたセキュリティーであるとか環境適合性、あるいは温暖化防止といった公益的な課題との調和を図っていく、同時に達成するんだということでございます。  これは政府委員の方にお伺いしたいと思うんですが、制度設計の具体的な話として、例えばどういうものがどういうところでこの法律で反映されているでしょうか。
  17. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 公益的課題といった場合に代表的にありますものは、例えば環境問題あるいは原子力の増設等々を考えたときのために、電源開発促進税というものを自由化された部分についても押しなべて負担するというような形を考えてございます。  また他方で、この自由化をいたしましたときに、原子力水力あるいはその他環境問題のためにその供給のありようをいろいろ議論するところがございますが、その場合に電力会社給電指令に従うような仕組みを、例えば託送の分野でありますとか、そういうところに十分に盛り込んでいく、そういった配慮をしながらこの制度設計をしているところでございます。
  18. 加納時男

    加納時男君 今、給電指令という言葉が出ました。給電指令は確かに重要な要素であると思います。恐らく、水力であるとか原子力であるといった非化石燃料を優先的に給電運用していくというのは、これは当然電力会社がやることでございますけれども、そういうことが当然この法を改正する場合に頭にあるということだろうと思っております。  また同時に、これからは供給計画、これはもちろん供給する側、電力会社側がつくるわけでございますが、特に大口というのは約三割を占めるわけですが、それが自由化されてくるということになると、長期需要想定がなかなか立ちにくい。長期需要想定が立たないところで、非常に初期投資が大きく資本の懐妊期間が長い原子力なり水力をやっていくというのは、供給計画をつくる場合に非常にリスク要素になってくるのではないかという気もいたします。  そういうときに、コストダウンだけ考えるのじゃなくて、今三つ要素セキュリティー環境適合性も考えてやっていくという大臣お話がございましたので、供給計画もそういうふうなことで組まれてくることが望ましいという意見だけを申し上げておきたいと思います。  今、自由化の話に移ってまいりましたので、自由化の光と影といいますか、そういったことについて一言質問してみたいと思います。  自由化というのは私は基本的に賛成であります。特に、社会的な資源、遊休している土地であるとか設備技術、人材、あるいは工程によっては副生ガス、また場合によっては廃棄物と言われているようなものすら原料化してこれを生産に生かしてくる、エネルギー化するという意味でも、私は、社会的な資源有効活用というのは一つ大きなメリットとしてあるし、二つ目には競争力をこれによって強化することができるし、三つ目にはビジネスオポチュニティーといいますか、ビジネス機会が創出される、この三点において非常に大きな光があるような気がします。  その反面でございますけれども、十分に気をつけないと、安定供給への不安であるとかセキュリティーの懸念だとか環境への悪影響といったようなことも懸念される、これをどう調和していくかということであります。  きのう、そういうことで新聞を見ておりましたら、これは読売新聞の朝刊でございますけれども、前にもこの委員会で取り上げられたことがあるかと思いますが、「電力卸安定供給の壁」といったようなことで大きな見出しがついて、七段記事が載っておりました。この中で取り上げているのは二つあったのですが、一つは川崎にありますゼネラル石油、五十五万キロワットの出力、石油の残渣油を使ってやる独立系電気事業者、IPPの件でございます。  この件について、やはり今回の法改正と大きく関係すると思うんですけれども、いろんな事情があってやめたんだということでございますけれども、どのように考えられますでしょうか、見解を伺いたいと思います。
  19. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 御指摘の川崎のケースは、卸分野における入札制度に係るものでございますが、一般電気事業者がIPPの供給力を活用してより効率的に供給力を調達することを目的としているものでございまして、IPPとの間で長期的な電力需給契約を締結して、この的確な履行を通じて安定的な電力の調達の確保が図られていくというふうに考えてございます。  そうした原則のもとでございますが、御指摘のゼネラル石油のケースは、環境アセスメントを踏まえた詳細設計の段階で所要費用の見込みが当初の計画を大幅に上回ってしまうという、いわば通常では考えられない事例であるかと承知してございますが、今後、この電力の発電コスト低減の観点から導入された入札制度による落札電源について、当然のことながら安定的な供給確保される必要がある、そういう趣旨での落札に際するチェックをしながら、しかしこのIPPという制度のよさを原則として利用していくという方向であろうかと考えております。
  20. 加納時男

    加納時男君 これは全く例外的な特殊なケースだと考えて、これはこれでしようがないよというのでは私はどうもいけないのではないかと。確かに特殊な事情はあったと思うんです。今お話で、アセスメントの詳細設計の段階でコスト増になった、そのためにやめたというんですけれども、少なくも、五十五万キロワットといったら大変な大きさなんです。こういったものをやるよと言っておいて、いや調べてみたら高かったからやめたと。こういう供給責任を厳しく考えないような方々が入ってくるような自由化でいいんだろうかということに、これは国政にあずかる一人として非常に疑問を持ちます。  しかも、この会社は、新聞によると親会社アメリカのエクソンであります。エクソンというのは、実はこれまで、日本電力は高い、自由化すれば安くなるといって自分の子会社自由化をやらせる。そうしておいて、その自由化をやらせたところ高いからやめちゃったというのは、自由化をやってもやっぱり高いということを証明したのか、あるいは供給責任ということは考えずに目先の利益だけを追求する、資本主義の悪い意味の影が出ているのか。非常にこれは公益的な側面については反省する材料ではないかと私は思います。きょうはこれをやるのが目的ではありません。こういうこともあるということで、私は自由化賛成論者でありますけれども、こういうことも十分配慮して、今後参加する方はしっかりと供給責任の重みを持って参加してほしい。  電力の場合には、経営者だけでなく労働組合の方も、一たん事故が起こりそうだということになるとみずから家を出て現場に、第一線へ体が自然に向くということによって、さっき大臣のおっしゃった世界一の品質を支えているんだと思うんです。そういうときに、ただもうかればいいよ、もうからなければやめるよというような、そういう安易な考え方は、私は、アメリカを排するということじゃなくて、アメリカでもいい会社がありますので、いいのが出てきてくださって結構でありますけれども、ひとつぜひまじめな、真剣な供給責任意識を持って参加をしてほしい。そういう前提で、自由化を私はむしろ積極的に進める立場でございますので、ぜひこれは御配慮いただきたいと思います。  この関係で申し上げますが、前回伺ったときにこのIPPは非常に件数がふえているということで、おとといいただいた資料によると約六百万キロワットになっているそうであります。落札者の方が六百万キロワットというのですから、原子力発電所六基分ぐらいになります。非常に大きなIPPが出てきている。私は結構だと思うんですが、心配なのは、全部化石燃料ですね。違ったら訂正してほしいんですが、全部化石燃料。それも石油系と石炭系がほとんどである。さっき申し上げた天然ガス系はほとんどわずかであるといったことで、これは、環境適合性とか、適合しなければアセスメントでひっかかるよということでしょうけれども地球温暖化とかそういうことを考えていった場合に本当にこのままでいいんだろうか。私は、反対ではないんですけれども、考えながら慎重に推進する必要があると思うんですけれども大臣の御見解はいかがでございましょうか。
  21. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 実は、戦後できました九電力体制の中での物の考え方というのは、戦前から戦後に移りましたのは、戦前は戦時経済下で、日本発送電という、発電と送電を全国一律に独占した、日発と我々は呼んでおりますが、そういう会社がございました。それから、今と同じ供給範囲の配電会社というのがあって、例えば関西電力はたしか関西配電という会社であったと思います。  これが九社体制に分かれまして、それぞれその中で地域的な供給独占というものを持ったわけでございますが、一方では、これはだれにも電気供給するという供給責任、この二つの柱で実は私は電気事業法は成り立っていたと思いますし、もう一方では、料金についてはコストプラス適正な報酬、こういうことで電力料金は決められてきたわけでございます。この体系というのは大変私はよくできた体系であったと思いますが、近年その考え方の中に二つ考え方が出てまいりました。  一つは、独立したいわば卸売電気事業者という考え方でございますが、これはもともとの電気事業法に卸売電気事業者という分類は実はあったわけでございますが、この考え方を広げて、まあしゃれた名前でIPPと呼んでおります。ただ、その独立したそういうような供給者もやはり供給責任というものは当然持っているわけでございまして、供給責任を果たすためのまずいろいろな計画というものも誠実に行っていただかなければなりません。それから、今回の法律改正の中にもその考え方は出てまいっておりますけれども、小売の自由化ということでございますが、これは電力会社が既に設備投資をしました送電線を利用した小売でございますから、当然その適正なコストの負担をしていただかなければならないということになります。  ただ、現在まで見ておりますと、いわゆる独立して卸売電気事業をやろうとされる方は、新しい土地を取得して発電所をつくるということではなくて、むしろ自分たちが持っている経済的に価値のある遊休の資産、すなわち土地が多いわけでございますが、土地とか港湾設備を利用して発電設備をつくれば、既に投資をしてある港湾ないしはその他の設備を有効に活用できるということでコストの低減を図っているわけでございまして、国民経済的に見ればそのこと自体は大変意義のあることだと思いますが、一方では独立して電気供給するあるいは小売をされる方々もやはり需要家に対してあるいは社会に対して大変大きな供給責任を持つということは、計画の段階から私は多分そうであるんだろう、そのように思っております。
  22. 加納時男

    加納時男君 大臣おっしゃるとおり、経営資源を社会的に生かしていくということは私は賛成でございます。冒頭に申し上げましたように、自由化の光ということでございまして、おっしゃるとおり、港湾であるとかあるいは土地であるとかあるいは発電設備だとか、いろんなものが遊休化しているのがあります。  今、通産省でも三つの過剰というのを取り上げておられるようでございますけれども、過剰設備というのもあります。ただ廃棄するだけが能じゃなくて、これを生かして前向きに使っていくということは私は大賛成であります。  ただ、申し上げたかったのは、それはもちろん大切なんだけれども、その際にぜひとも供給責任で、セキュリティーであるとか、あるいはエネルギー種類の選別、極力環境に負担の少ないエネルギーを選ぶようにすること、そしてまた環境適合性のあるエネルギー政策がそのベースになけりゃいけないということだけを申し上げたかったわけでございます。  今、小売の話が出てきたので、これに関係したことでちょっと新聞記事を持ってきたのでございますけれども、これはウォール・ストリート・ジャーナルでございます。(資料を示す)「Did Competition Spark Power Failures?」、簡単に言いますと、競争スパーク、電気がとまる、こんな見出しになるのかと思うんですけれども競争が激化して電気がとまっちゃった、スパークしちゃったというようなことでございまして、これはアメリカの例でございます。実は、アメリカとかニュージーランド、それからカナダ、メキシコ、こういうところで大停電が起こっているわけであります。それも全部自由化、民営化が進んでから急激に起こっているので、その因果関係があるのかないのかという議論がかなり行われております。  東京新聞とか読売新聞を拝見しますと、ニュージーランドのオークランド、三十五万という大きな都市でありますけれども、ここで去年の一月二十日以降、次々と送電ケーブルが損傷して、ついに四回線全部がとまってしまったというので約二カ月近く大停電が起こったということ。それから、これは民営化が行われてどんどん人を減らしてきて、保守要員も含めて一万四千人を六千人にしたとか、千四百人が六百人だったですか、何か数字は覚えていませんけれども、半分以下にしちゃったんです。それで、リストラのツケではないかという論評が載っていました。  今のウォール・ストリート・ジャーナルですとか、あるいはロサンゼルス・タイムズあるいはニューヨーク・タイムズ、こんな新聞で取り上げているのは、アメリカの西部十二州、それからカナダを含めた広範囲停電、それからカナダ、メキシコを含めた長時間停電等、ワシントンDCの長時間停電とかいろんなケースがあったわけでございます。  こういったようなことがありますので、私は、小売の全面自由化、それから基本的に規制緩和をやっていくのは賛成でございますけれども、こういう供給信頼度ということもぜひ配慮していかなきゃいけないんじゃないだろうか。懸念としては、市場参加者が急増することによって安定供給が懸念されるとかいうのがあるので、自由化というのは、今回部分自由化であります。これから全面自由化というのも議論されるかもしれませんけれども、私は、全面自由化といったときには、こういった海外の失敗例、これをひとつ他山の石として十分に反省した上で臨んでほしい。全面自由化した場合には、供給コストが高い需要に対しては敬遠されてしまうことであるとか、それから供給信頼度が脆弱化することであるとか、市場参加者がふえることによって安定供給の懸念が起こるとか、いろんな心配があるかと思います。こういった海外の失敗例も、もちろん成功例もありますけれども、参考にしていただきたいと思います。  何か御所感がありましたら伺いたいと思います。
  23. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 今御指摘のありましたような海外の事故、これはまさに教訓として今後のネットワーク設備の維持管理等を適切に進めていく努力をすべき対象であろうかと思います。  また、市場参入者急増の問題、供給信頼度の問題の御指摘がございましたが、これらはいずれも公益的課題への悪影響の有無にかかわる重要な問題でございまして、海外の自由化状況新規参入状況あるいは電力会社経営効率化状況等の部分自由化の実績などとともに、今後、制度開始後おおむね三年後に客観的な検討をしレビューをするという建前をとってございますが、そうした中でも配慮してまいりたいと思います。
  24. 加納時男

    加納時男君 そういう方向でぜひ検討していただきたいと思います。  少し細かいことにも触れてみたいと思うんですけれども、いただきました法律改正案を拝見しておりまして、その中で例えば十八条の第二項というのがあります。これは特定規模需要、要するに今回自由化される大口ということだと思うんですけれども、それに対する電気供給のことが書いてあるわけであります。つまみ読みしますと、「一般電気事業者」、これは電力会社という意味だと思いますが、  一般電気事業者は、供給約款又は選択約款により電気供給を受ける者の利益を阻害するおそれがあるときその他正当な理由がなければ、その供給区域における特定規模需要(その一般電気事業者以外の者から電気供給を受け、又はその一般電気事業者と交渉により合意した料金その他の供給条件により電気供給を受けているものを除く。)に応ずる電気供給を拒んではならない。 こういう表現なんです。法律で書くとこういうことになっちゃうのかなと思うのでございますけれども、これはどう考えても供給義務がある、例外としては特定規模電気事業者、つまり今度大口自由化が行われて、供給する人から電気を受ける約束ができた場合、それから一般電気事業者と交渉によって値段が決まったといったような場合、こういった場合は除くと。だから、原則供給義務あり、原則禁止・例外解除のような、いかにも取り締まり法規みたいな感じがしてしようがないわけでございます。  これは、閣議決定をちょっと見てみたんですけれども、ことしの三月三十日の閣議決定では、規制緩和推進三カ年計画というのがありまして、その中で、原文どおり読みますと、「自由化部分」、これは電気のという意味ですが、「自由化部分については原則として規制(供給義務、料金規制)なしとすること、」、つまり原則として規制なしとすることとあるわけです。だから、私は、原則自由だというのがこの法文にどんと出てきて、ただし例外としてこういうのがあります、そしていわば最終保障というのが出てくるのかなと、こう思ったのでございますが、どうも何か書き方を見ると原則供給義務ありのようにちょっと読めちゃうんですけれども、これはどうしてでしょうか、これ以外に書きようがないんでしょうか。
  25. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 御指摘のありました条項でございますが、この非自由化対象需要家に対する供給義務、一般家庭に対する供給義務でありますけれども、これは非自由化対象需要家が制度上電力会社以外の供給者を選択できないために、需要家保護の必要性が強いということから従来の書き方になっておるわけでございます。今度の自由化対象需要家に対する供給義務は、原則自己責任によって供給者を選択することが可能なものの、電気の財の必需性から、だれからも供給を受けられない場合に、必要最低限の需要家保護を図るものでございます。いわば電気という財の必需性、ここに着目をして最終保障等々の趣旨を置いてあるわけでございます。  そういう意味で、電気という財の必需性にかんがみた例外的な義務という置き方をしてございまして、この御指摘のありました十一年三月の閣議決定の趣旨にも沿っているものと我々は理解をいたしてございます。
  26. 加納時男

    加納時男君 これは根本の話になると思うんですけれども、そもそも自由化した部門については最終保障は要るのか要らないのかという議論が当然あったと思うんです。最終保障というのはなくてもいいんじゃないかという意見があろうかと思うんですけれども、今回の法案はそうでないという形でできていると思います。この理由を一言言っていただけたらと思います。
  27. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 最終保障の趣旨は、電気の持っております必需性という特性に尽きてございます。したがいまして、この最終保障の趣旨を実行するために、仮に電力会社が非自由化対象需要家への供給義務を達成するために必要な適正予備率、これを割り込んでまで非自由化対象需要家に対する供給に悪影響を及ぼすような場合には最終保障までの供給をすることはない、これを断る正当な理由に該当するという置き方をいたしてございます。  そういう趣旨で、供給義務の従来のものとそれから新しい自由化対象需要家に対するものとの義務の間に大きな内容の差がございまして、その内容の差は電気という特性に基づくものであるということでございます。  それで、特性に基づいた義務を課しておりますが、それが従来の家庭、いわゆる非自由化対象需要家に対する供給に悪影響を及ぼすような場合には、そこは供給の義務はない、いわば正当な理由でもってお断りすることができる、かような構成をしております。
  28. 加納時男

    加納時男君 かなりこれ、法律をつくるときの技術的な理由からこういう文章になったのかなという気がいたします。  ただ、正直言いまして、ちょっと今回の法律で読みにくいというところが随分あるんです。余り細かいことを言っちゃ悪いんですが、例えば改正案の法文の二十四条の四、「接続供給」というところでありますけれども接続供給ということはいわゆる託送だと私は理解していますが、そう言ってしまえば一言で済むんでしょうけれども法律で書くと、  特定規模電気事業を営む他の者から受電した一般電気事業者が、同時に、その受電した場所以外のその供給区域内の場所において、変動範囲内の当該他の者のその特定規模電気事業の用に供するための電気の量の変動に応じて、当該他の者に対して、電気供給を行うとともに、事故により当該他の者がその特定規模電気事業の用に供する電気に不足が生じた場合に、変動範囲を超えて、当該他の者に対して、その不足する電気供給を行うことをいう。 というので、私はこれをおととい初めて読んで、しばらく考えて図解してやっとわかったんです。確かにこう書かなければできないというのはわかるんですけれども、今後でいいんですけれども法律を書くときはもうちょっとわかりやすく書いてもらいたい、これは国会議員としてまた市民として強く要望したいと思っています。  そこで、この今の託送、一言でいって託送でありますが、要するに宅配便みたいなものでありますけれども、頼まれて届けるといった託送でございますが、この託送料の算定に当たってどんなふうにコストを考えていったらいいのか、これは非常に大きな問題だと思うんです。細かいことは結構ですが、基本的な考え方、原則のようなものがあったらお答えいただきたいと思います。
  29. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 託送料金の設定に関しましては、これに関連する設備、サービスについて何をどういうふうに入れてどういう分担をするかというのがこの要諦になります。  現在、電気事業審議会におきまして具体的な議論を行ってございますが、送変電設備や一般管理費、営業費などの一部を挙げておりまして、その中でさらに周波数電圧の安定、系統安定のための電力会社のサービスの対価、こういうものもどこまで入れるかということを含めて、その入れたものをまた今度はどういうふうに分担をせしめるかという議論として考えてございます。要諦は、こうした内容について現在議論を行っているところでございます。
  30. 加納時男

    加納時男君 これはいろいろ理屈もそれぞれあるかとは思うのでございますが、やはり原則を明確にして、よく資料などを拝見しますと、原則が大事だということを感ずるわけでございますけれども託送の料金の対象となる設備を明確にするということ、そしてコストを適切に回収するということ、そして公平に負担していくというようなことがたしか資料にもあったかと思いますが、そういう方向でぜひ透明な場でこれを詰めていくことが望まれるかと思っております。  今のお話に関係しまして、託送の場合に、託送というのは簡単に言うと、一つ共通のネットワークというような財産があるとして、そこでA地点で頼まれたものをB地点で渡すということでありますから、A地点でもってXという量の電気を送ってくださいよ、送りたいんですよといって預かったものをB地点でもって当然X同量渡すと。同時同量というのが私は原則だと思っていますけれども電気の特性で当然そうだと思いますが、なかなかそうもいかない場合がある。  そこで、さっき読み上げた条文では、「変動範囲」という言葉があります。ならば、この変動範囲というのは、少なくとも私は、基本的には電力供給の業ということをなさるわけでございますから、当然負荷追随、ロードに対して絶えず瞬時に応答していくというのが義務であります。そういうことで考えるならば、変動範囲は限りなくゼロに近いものだと、もちろんゼロということにはいかないと思いますが、というのが私は原則的な考え方かなと思っていますが、この辺はいかがお考えでしょうか。
  31. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) まさに御指摘のような負荷に追随をして供給することが必要なものでございますけれども、この負荷にリアルタイムで追随することは新規参入者にとっては非常に困難でございます。したがいまして、一定の時間内で需要量供給量とがおおむね一致すれば同時同量が達成されたという理解をすることにいたしてございます。  この一定変動範囲内における負荷追随については、系統に接続する新規参入者に対する不可欠なサービスとして、電力会社が行政のチェックを受けた料金で不足分を供給するという体制をとってございます。  この変動範囲につきましては、現在電気事業審議会で検討を繰り返してございますが、需要量供給量の三%程度の乖離を一つの目安にして議論を行っているところでございます。
  32. 加納時男

    加納時男君 わかりました。そういう方向でぜひ議論していただきたいと思います。  最後になりますけれども、今回の法改正はかなり画期的なものだと思っておりますが、ちょっと気になることがあるのは、例えば特定規模需要というのが今度の大口の対象ということですね。ではこれがどうなっているのかというと、一定規模の需要で省令で定めるものとあるわけです。それから、最終保障約款というと、これも省令で定めるということで大臣に届け出るということになっています。それから、接続供給についても、変動範囲も省令、料金その他の供給条件は省令で定めるところにより約款がつくられ、その約款が省令で定めるところにより大臣に届け出られるということであります。  こういうことは、私は確かにわかるんですけれども、テクニカルなことまで全部法律で決め切れない、したがって省令でやっていくというのは私はいいと思うんです。しかし、何か省令事項が多いような印象を受けるんです。  実は、電気事業審議会の答申、一月二十一日のを拝見しますと、裁量行政からの決別であるとか経営自主性の尊重とか、行政介入の最小化というようなことがあります。私は、別にどこをどうしろと言っていることじゃなくて、基本的に行政の裁量権の拡大の懸念というものを持たれてはいけないと思いますが、その辺についての覚悟を伺って、質問を終わりたいと思います。
  33. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 先生よく御存じのように、電力設備というのは、いわゆるベースロードを負担している設備、それから負荷変動に対応できるような設備、プラスやはり予備の電力発電設備を持っているわけでございます。予備力というのは、事故が起きた場合、緊急に動かす部分、あるいは定期点検をする場合に一部の発電所をとめますから、それに対応した予備率、それから予想外に起きる負荷の上昇というようなものに対応するということで予備率、予備電源を常に持っていませんと系統運営はできないわけでございます。  そういう意味で、そういう全体を考えませんと、独立して電力を発電してそれを売るというときに、むしろIPPがいいところ取りになるという、それはやはり私はいけないことだろうと思います。  例えば送電ということを考えましても、鉄塔の建設費あるいは鉄塔の上に張ってある電線のほかに、例えば鉄塔を建設するというのは、鉄塔を建設する地権者に対していろいろお願いをして歩いて、そして御快諾をいただくまでには相当の努力をしているわけでございますから、そういうすべてのコストがかかっているということを前提に、それに応分の負担をするということが私は正しい物の考え方であると思っております。  そういうものを総合的に勘案し、なおかつこういう自由化をいたしましても、例えばある独立した供給者からある独立した企業が電気を買っている場合にも、それがとまって、それはおまえたちの責任だよといった場合に、その工場というのが全面的にストップするわけでございます。そういうことというのは社会的に大きなロスでございますし、その会社が例えば雇用を抱えている場合には働いている方々にも大きな影響が出る。  そういうことを万般考えた今回の制度でございまして、やはり小売が自由になったからといって、そういうことに従事される方々がいいところだけをとるという制度は多分成り立たないだろうと。その辺のバランスをいろいろ考えてつくった制度だということをぜひ御理解していただきたい、そのように思っております。
  34. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。終わります。
  35. 長谷川清

    ○長谷川清君 民主党の長谷川でございます。  ただいまも加納委員との質疑のやりとりを聞いておりました。私は、きょうの質問の基本にあります私の認識についてまず冒頭に、そしてまたそこから生ずる疑問や課題について、大きく分けますと二つあると思います。  御承知のように、本法案の電気ガスという国家の根幹をなします、そしてあらゆる公益性をそこから伴う、こういう分野における自由化というものの競争原理のあり方なり限度は那辺かという問題は、やはり我が国固有のエネルギーの基本国家戦略、そういうものがなければならぬと私は認識しております。したがって、本来的にはこの種の問題についてはエネルギー基本法なるものが欲しいなというのが私の認識でございます。そういう中から、その骨格から、その方法についてよりよい制度やよりよいありようについて、全体のバランスをとっていくために電気事業審議会とかそういうものへかけてよりよいものにしていく、こういう道筋というものがまずない。  私は、今のお話を聞いておりましても、大臣答弁の中にございました、もう一つ認識は、そういう状況の中で法律の上で大なたを切って、今回は発電部門に約三〇%の競争原理を取り入れる、こういうことになっていると思います。  ここからちょっと質問しますけれども、そういう場合に大事なことは、百歩譲ってこの法案に私が賛成する場合にいたしましても、この三〇%の部分、一般の物の売買ではないわけです、今言う基本的な公益性が強いその分野における競争原理でありますだけに、ここは本当に公平公正な競争をどうやってさせるかと。大なたはありますけれども、今の質疑にもありましたように、あとは具体的なものはほとんどが政令の、いわゆる行政運用になるという状況になっていますから、そこの部分は各論でいかに扱っていくのかという点。大きく分けてこの二つ、それを中心にしながら、具体的な問題についてはいつもそこにスイッチバックしていくという認識でお答えをいただきたいなと私は思うのでございます。  まず、冒頭に大臣にお聞きしたいのでありますが、そういう視点からいたしますと、我が国のエネルギー戦略とでもいいますことを言葉をかえて言うならば、すべての国民にとっての利益というものは一体何だと思いますか。エネルギーというものに関する国民の利益、この点の認識をお伺いしたいと思うんです。
  36. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 生活水準と申しますか、日本経済の成長と申しますか、日本経済の大きさと申しますか、どれではかってもよろしいわけですが、すべてエネルギー消費量との相関関係にあるというのは先生よく御承知だろうと思います。  一定経済成長率を達成しますと、その成長率に応じたエネルギーの増分がございます。これを弾性値と我々は一時期呼んでおりました。そういう中で、経済エネルギーというのはもう密接不可分、と申しますより一体のものでございます。  そういう中で、残念なことには、多少の水力、多少の天然ガス等は国内に存在いたしますけれども、よく通産省はエネルギーの大宗をという言葉を使っておりますが、日本人が使うエネルギーの全部はと言った方が私は正しいんだろうと思います。したがいまして、国としてはあるいは国全体としては必要なエネルギー、これは原子力にしろ石炭にしろ、石油にしろ天然ガスにしろ、そういうものを全部輸入に頼っているということを考えれば、海外からのそれらの資源輸入が確実にしかも通常の国際的なコストで入手できる、そのような外交的な努力あるいは経済外交的な努力をするということが我々のエネルギー政策のまず第一歩である、そのように思っております。
  37. 長谷川清

    ○長谷川清君 先ほどの答弁にもありましたように、確かに我が国は資源がございません。少資源でありながら多消費型の国家であります。これも私どもの国家の中におけるエネルギーの事情の一つだと思うんです。  そういう中で、資源がないから、しかも周りが海に囲まれていて不安定な地域から船でこれを運んでくる、一たびそこが何かがあれば枯渇する、そういう不安定な状況の中でどうエネルギー資源確保するのか。資源確保なくしては安定供給というセキュリティーはないわけです。  国民から見た場合には、それは電気は安い方がいい。安い方がいいか高い方がいいかと聞けば、安い方がいいと答えます。そしてまた、セキュリティーについても、一年じゅう電気は消えない方がいい。ちょいちょい消えるのは困る、消えない方がいいと答えます。また環境について、いいよ、悪いよ、どちらを選ぶかといえば、いい方を選びます。先ほども答弁にありましたようなセキュリティーの問題と環境の問題といわゆる競争原理によって出てくる効率化、つまり料金を下げる、この三つはそれぞれに価値がある、しかし反発し合う価値です。  今この地球上はもう六十億の人口になって、そして先進諸国と後発国がそれぞれのエネルギーを使っておりますけれども、そういう国家的状況、地球的状況からいたしましても、今まではどちらかというと二つの価値の選択とかその調和であったと思いますが、だからジレンマが起こっていたと思うんです。今やもう世界じゅうは、特にエネルギーは、こういう三つの相反発し合う価値をどのように調和させ、バランスをとって国家、国民のための真の利益を見出すか。私は、国、政府の段階でエネルギーに関してはその基本がなければいけないと思うんです。私は、トリレンマの時代に今入っているという認識のもとに、我が国固有のエネルギー事情をまず把握しておく必要がある。  そういう意味におきますと、先ほども質問の中にもありましたけれども資源はない国だとお答えになりました。環境はというと世界じゅうでナンバーワンであると。それもそのはずでございます。この環境の点においては、停電の回数においても停電の時間におきましてもあらゆる国と比較をしてナンバーワンです。ですから、供給も非常に安定している。  データによりますと、この十年間平均で年間我が国は停電は一回を切っている、〇・一九回であります。北米大陸においては二十八回です。二十八倍の停電回数、時間にいたしましても日本の十倍です。こういうことには必ずコストがかかっているということです。単線では停電になります。ループにしておくことによって、停電になれば回線が切りかわって供給する。  また、環境という問題において、我が国における発電所環境アセスはいかがになっておりますか。環境アセスについて、しからば長官の方から。
  38. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 発電所の環境対策、アセスメントについてのお尋ねがございましたが、我が国のアセスについては諸外国と比べてもかなり厳しい環境保全対策を実施することになってございます。  具体的には、発電所アセスにおいて、アメリカイギリスの発電所アセスでは行われておりません一般排水、振動などの調査を行っておりますし、調査項目は幅広く、かつ計算機によるシミュレーションあるいは風洞実験を積極的に取り入れるなど、より詳細な実験をいたした内容となってございます。こういう結果として、諸外国と比べても厳しい環境規制をクリアするのはもちろんのことでございますが、発電効率の向上等の実現も図られているところでございます。  数字で申し上げますと、発電電力量当たりの排出量は先進六カ国と比較して、それぞれSOxの場合が二十四分の一、NOxの場合が八分の一という高い水準を実現しているところでございます。
  39. 長谷川清

    ○長谷川清君 ただいまも答弁がありましたように、大気あるいは水質、海生生物、陸生生物、自然環境、景観、そういった分野で四十七項目アセスの中でやっておりますが、アメリカイギリスは十五項目しかないんです。やっていない項目が三十二項目もあります。これらもやはりコストがかかっているはずであります。  単純に言いますと、停電の問題、日本が九五年で年間六分、ドイツが三十二分、フランスが六十九分、イギリスが八十分、アメリカが九十分停電している。そういう安定供給という部分環境という部分を悪くして料金に回すことができるんです、どうしても料金を安くしようというだけのことなら。  さっきも大臣がこの三つはそれぞれ大事ですとおっしゃいました。そして、その調和が大事だと。私はそこまでは同感なんです。しかし、現実の問題からいきまして、世界各国の自由化をやっている国々の例については、残念なるかな、いい成績が上がっておりません。  私は、そういう意味においては、我が国はこれほどいろんな意味において優秀な成績を、三つのうちの二つはおさめている、あとはここだといって料金を果たしてどう下げようかという課題の中にあると思います。その場合に、先ほども質問の中にありましたように電力購買力平価、これはOECDではそうではなくて単純比較をしておるから、それをとって大体一般には二割高とか言われておりますが、私は、そういう意味における我が国のエネルギーの固有の事情ということを考えていけば、資源がなくて、本土は非常に小さくひょろ長くて中央に山脈が走っていて、発電地点から供給地点まで非常にコストがかかる。ありとあらゆる分野にそれぞれの国々に国家戦略があるんだと思うんです。  我が国固有の国家戦略というものからしたときに、果たしてこの三つのバランスは出口でどうしようとするのか。こういうものの戦略がないと、もし仮にこの延長線上で、今回は部分自由化ではあるけれども、三年後にはまたそれを延長して、諸外国が言うようにずたずたに切ってこれは一般の需要家のところまで自由化していくという要請が既にあります。  そういったようなことからいきますというと、私は質問の趣旨をもう一回戻して、料金の国際比較をしていくときに、単純な比較の物差しだけで本当にいいのか、我が国の固有の事情というものをそこに勘案して、諸外国にもそのことを公平に、もう一つ購買力平価という比較だってありますし、それ以外の要素がありますよということの説明等々、努力についてはいかなるものであるのか、なされたのか、そういう点をひとつお考えをいただきたいと思います。
  40. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 先ほども申し上げましたように、比較的わかりづらい考え方として、電気にも質があるということが非常に皆さんに、国民に一般的にはわかりづらいということでございます。  私の小学生のころは比較停電というものがございましたけれども、最近は停電というものはない、スイッチをひねれば電気はつくというのが一般的な概念でございますし、また周波数も安定をしておりますし、電圧も安定をしている。それから、家庭内で多少の故障があればすぐ電力会社が飛んできていろいろな必要な工事をしてくださるということで、日本電力供給体制というのは多分世界一だろうと私は思っております。先生の挙げられた数字もそのことを裏づけているわけでございます。  ただ、いいものは高いということもまた一方の事実でございまして、安かろう悪かろうでは実際は日本経済やあるいは国民の生活には対応できないという考え方は、電力の問題あるいはエネルギーの問題全体を考えるときには、私は大事な考え方の柱であると思っております。そういう意味では、現在の電力供給体制というのは非常に完成されたものだろうと思っております。  ただ、その中で多少の刺激は必要だろうと私は思います。九電力体制に分かれましたときにも、やはり九電力に分かれることによって各電力会社がそれぞれ競い合って適正な電力料金供給体制に落ちつかせようという多分思想があったと私は考えております。  今回、いわば電力の卸売事業者自由化し、小売も自由化するというのは刺激であって、いわば市場原理主義的な自由競争という考え方は、私はそこにはないんだろうと思います。  それは、あくまでもこういうふうにやればもう少し電力の生産コストが安くなるという一つの例示を示し、電力会社経営努力一定の刺激を与えるということであって、それが日本電力供給の主流になるということは実は全く考えておらないわけでございます。  先生いみじくも御指摘のように、日本停電回数とか電圧周波数、それからサービス、こういうものはもう世界に類例を見ないものでございまして、そういう中で我々は生活を営んでいるわけでございます。先ほどの例もありましたけれども、ウォール・ストリート・ジャーナルに競争の結果停電が起こったかもしれないというような記事があったと思いますが、ある一定部分競争原理導入するにいたしましても、今の電力供給の中で我々が享受している、電力の質と一言で申し上げますが、電力の質の問題は決して忘れてはいけない要素である、そのように考えております。
  41. 長谷川清

    ○長谷川清君 ただいまの答弁、私の受けとめからしますると、一言でいえば、我が国におけるエネルギーは、現下の状況は国民的財産である、そういう評価。今うなずいていらっしゃいます。だとすれば、そういう国民的財産は今後においても継承発展させていかなければならないということになると思うんです。これもうなずいていただいていますから、そのように確認をさせていただくといたします。  今後のしからば運用という問題について基本的な姿勢だけ大臣にお伺いしておきたいと思うんです。  だとするならば、今取り入れた競争原理、ここにおける公平公正な競争ができるような競争ルールをつくること、そしてそれをチェックすること、このことが非常に大事になってくると思います。  もう一つは、競争原理を取り入れたと同時に、全体的な運用を規制緩和していくわけでございますから、規制緩和イコール競争原理とでも言えるわけでございますから、ここの部分と同時に、全体の規制緩和というもののその趣旨が損なわれないように、行政においても今後の行政運用の中でここに強い意思を持って、そういう認識を持って大臣みずからやっていく、そういう強い御決意があるかどうか、その点についてひとつ確認しておきたいと思うんです。
  42. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 例えば、系統を運営するというのは大変難しいことでございまして、負荷が変動いたしますと電圧周波数も変わりますし、例えば送電線をお貸しして一定の料金で使っていただく、そういう中での負荷変動は全体の系統の負荷にも影響するわけでございます。そういう意味で、送電線を貸すという単純な話ではなくて、送電線を持ち系統を運営するという中にいわば小売というものが入っていくわけですから、それは公平な負担をしていただくということがフェアなことだろうと思っております。  それはいろんな要素で実は成り立っておりまして、実際に目に見える送電塔の建設コストも入れば送電線自体も入りますし、また系統運営の費用も入りますし、あるいは地元対策も入りますし、あらゆることによって送電系統というものが組み立てられているわけでございますから、それに対しては公平な応分な負担をするというのは当然でありますし、いいところだけをとって競争力があるということを主張されるということは多分不当なことだろうと思っております。  あわせまして、先ほども申し上げましたが、電力というものは予備力を持っていませんと電力供給ということはできません。そういう小売事業に参加する、あるいは卸売事業に参加する方は、恐らく予備力という考え方なしに参加されるわけでございますから、予備力に対する、そういうバックアップ体制に対する負担ということも当然その中の考え方に入ってくるわけでございます。  したがいまして、表面的な発電コストということではなくて、表面的な発電コストプラス総合的に、電気をある地点からある地点に適正に送るということは一体どういう構成要素で成り立っているのか、それに対する負担というのは一体どうあるべきかということは、いいところ取りにならないように、あくまでも公正公平なあるいは応分の負担をしていただくということによって多分この制度が成り立っていくというふうに私は考えております。
  43. 長谷川清

    ○長谷川清君 次に、話題を変えまして、OECDであるとかIEAというレベルで対日審査報告案というものが今まとめられつつあるというふうに聞いておりますが、それは事実ですか。
  44. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) OECD、IEAで対日審査報告書が先般出されてございます。この対日審査報告書の勧告部分の内容を申し上げますと、今般申し上げております小売の部分自由化導入につきまして、自由化部門及び非自由化部門の両需要家に利益をもたらすものとして一定の評価をいたしてございます。他方で、さらなる自由化につきましては、一定期間を経た後に、部分自由化成果を見ながら、かつ他の政策目的との整合性を図りながら選択肢の一つとして検討すべきものという指摘がなされてございます。  我が国の立場、考え方OECD、IEAに説明をし、また理解を得られたものと考えてございます。
  45. 長谷川清

    ○長谷川清君 この報告案というものは、これは日本を的にして、やがてのことには、これは相も変わらず、発電も送電も配電もばらばらにして一般需要家まで自由化していこうという、そういう中身のものでしょう。  衆議院における島津議員に対する総理の答弁の中に、三年後における見直しのときに、いわゆるプール制も視野に入れて検討の対象にしていくというような答弁がされております。この問題については、恐らく総理の頭の中にはこの対日審査報告案なるものがよぎっているんだと思うんですが、これは三年後におけるさらなる審議をしていく場合に予見を与えることになりますから、ひとつこれ明確に、総理答弁について大臣はどう考えているのか。
  46. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 昨年五月の電気事業審議会の中間取りまとめにおいて、全面自由化やプール制度については不適切であり時期尚早であるということが示されております。  そこで、なぜそういう議論になったのかということを御紹介申し上げますと、まず第一点は、そのようなことになりますと市場参加者が膨大になるため、必ずしも安定的な供給を行い得ない主体が参入する可能性があり、供給信頼度を維持するためのシステムやルール設定について時間を要することが予想されること。第二には、発電・送配電設備の運用システムの大幅な変更が必要となるが、これには相当な困難が伴うこと。第三点は、エネルギーセキュリティー環境対策のための望ましい電源構成を実現するため、より強制的な特定電源対策導入するなど、さらに強固な対応が必要となることが予想される。  こういう三つのことを挙げておりまして、こういう観点から、現状では時期尚早であり、将来の検討課題とされたわけでございますが、将来の検討課題とされておりましても、多分この三つのことを克服することは私は個人的にはなかなか困難なことだろうと思っております。  こういうことが出てまいりましたために、今般の制度改革においては部分的な自由化を提案させていただいたわけでございまして、また、いわゆるプール市場の創設につきましても、三年後の検証において、海外の自由化動向や公益的課題への影響を見きわめた上で客観的に検討することとしております。  そこで、かつて日本も、例えば東京をとりましても二社が電気供給しておりました。例えば、東京電灯がうちで、隣は大同電力だったという大混乱があったわけでございます。その中では、むちゃな価格引き下げとか、あるいは電気が来たり来なかったりということもあります。  それから、海外で今言われていますIPPというものは、むしろ海外の投資を自国に誘導するために言われている場合が非常に多い。要するに、自由にするから自分たちの国に来て発電所をつくっておくれというのは、電力自由化するということよりは、海外の投資を自国に誘引するという意味で言われている場合が非常に多いということに私は最近気がついたということを申し上げておきます。
  47. 長谷川清

    ○長谷川清君 大臣お話を聞いて、多少私も冷静にはなりますが、既にもう自由化が今されているようなイギリスの場合も、九〇年代からプール化しているんです。ところが今やもう大変な問題になっちゃって、プール化の方向を見直そうとしている。さっきも例に挙がりましたニュージーランドも二カ月も停電をしている。自由化をやったところでろくなところないですね。  しかも、それぞれの国々、つまり資源が豊富にあって輸出までしている国もあれば、我が国のように資源がなくて本当に不安定な状況の中で冷や冷やしているという状況のときに、なぜ総理は、いわゆるプール制ということは、アメリカの国策からすればプール制にして日本の中へ乗り込んできて、さっきも例が挙がったようなことが起こってくるんです。  私が申し上げたいのは、国内における電気事業審議会の中でも聞いたことのないような完全自由化のようなものがなぜばっばっとあるのか。日本をターゲットにしてこういう審査報告書がOECDあたりから出てくるということは、我が国ではだれがこれに対応していたんですか。その対応の努力が足りないと私は思うんです。我が国の事情をなぜ外交ルートの中で一つ一つ、それは私に言わせれば、もともと我が国エネルギーにおける国策というものがなくて、道なり運転をしているからこういうふうになっちゃうと思うんですが、いかがでございますか。
  48. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) IEA、OECDの文書の中で発送電分離、完全自由化といった内容が盛り込まれてございますが、これは一定期間を経た後、部分自由化成果を見ながら、かつ他の政策目的との整合性を図りながら選択肢の一つとして検討すべきという指摘にとどまってございまして、今直ちに行うべきというものではございません。現に、今この法改正でお願いをいたしてございます小売の部分自由化につきましてはそれなりの評価をしているところでございます。  また、このOECD、IEAは、現在までの各国審査の中で、先生も御指摘になりました各国のそれぞれのエネルギー事情というものを勘案するというのが前提でございまして、また、この審査報告書で出された内容につきましても、政策決定における参考とすべきものとして位置づけられてございます。  そうした趣旨で、こういうある種の論理展開につきまして、今後レビューの段階で検討をするという対象であろうかと思います。
  49. 長谷川清

    ○長谷川清君 その程度であるなら、そこら辺は、総理の発言というのは非常に重いものだと思うんです。予見を与えてはならぬと思います。  一方、アメリカの方ではこういうコメントをしています。現在の提案内容では、日本の高い電気料金を二〇〇一年までに国際的に遜色のない水準に引き下げるという目的はわずかな進展しか達成できない。さらに加えて、一層の規制緩和が必要と考えているというコメントをアメリカはしている。  もう世界じゅうが要するにグローバル化した。経済自由化規制緩和、物の売買あるいは一次産業における農業、食糧、そういったものについて自由化し、そしてどんどん日本にも外国の資本の投入を図っていく。日本の方は海外には投資は非常に多いけれども、海外からの我が国に対する投資は少ないですから、日本の市場を魅力あるものにして、そして海外からの投資があり得るようにしていくという一般的経済の世界にあっては私は賛成なんです。我が国の構造転換をしていくために規制緩和をし、自由化をしていく、そこはみそもくそも一緒にしていただきたくないんです。私はそれはよく認めているし、やるべきだという考えの上に立っているんです。  問題なのは、公益性が強いということ。さっきも大臣がおっしゃったように、スイッチが入ればすぐ供給ですから、需要即供給と。これは商法の世界でも、我が国ではエネルギーは物の扱いから除外されているんです。  そういう特殊な公益性の強いエネルギーは、特にいろいろ言い方についても慎重にしてもらわなければいけないし、今のコメントどおり、三年後における予見ではないということを確認しておきたいと思います。よろしいですね。
  50. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 御指摘のとおりでございます。  三年後の予見ではございませんで、三年後のレビューの中で検討をする対象でございます。
  51. 長谷川清

    ○長谷川清君 海外で自由化をしているところに対しての現状の皆さんの認識、そしてその結果をどう見ているかということについて、簡単にこれは答えていただきたいと思います。
  52. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 海外の結果は、それぞれのエネルギー状況によりましたまだトライアルの状況であろうかというふうに考えてございます。  アメリカでは、九〇年代半ばから幾つかの州で小売自由化が実施されております。カリフォルニア州では昨年の四月から全需要家を対象とする自由化が実施をされ、連邦レベルでも自由化のための法案を準備する動きがございます。また、欧州におきましては、九〇年代初頭以降イギリス、北欧で小売の自由化が実施をされ、九九年以降EU指令に基づき加盟国で段階的な部分自由化が実施されているところでございます。  各国それぞれの事情に応じて、事業の効率化の手段としてさまざまな形で自由化を進めているものでございます。ある部分成果を上げ、またある部分で反省をしているというところであろうかと思います。
  53. 長谷川清

    ○長谷川清君 このエネルギー自由化を果たした結果で一つ共通して言えることは、どこの国においても、事業者が目先の利益に走って中長期的な公益性を失っているということ。目先の利益を上げるために優秀な技能者や雇用をコストダウンで削減している。あるいは、何かあったときの予備軍、ここに事欠いている、したがって復旧はおくれるということが起こります。また、使う燃料においても、環境に有効に働かない、かえって環境を非常に悪化するものへと走って、安かろう悪かろうという道に入っていったがために被害を受けているのはその国々の国民の皆さんなんです。メリットがあったのは一握りの大口需要家だけなんです。  そういう他の国々の例があるんですから、各ケース・バイ・ケースのものをよく分析していただいて、そしてこういう問題について、ただぽんと入れればいいというものではないし、三年後に対しての備えをしておいていただきたいと要望しておきます。  それから、次に移りますが、IPPがどんどん進出をしてくることは大いに歓迎であり、そして正しい競争原理の上で進出をしていくということが理想的だと思います。  しかし、そこで心配なのは、IPPが進出をすればするほど比例的にいわゆる環境の負荷が高まっていくという関係に相なりますから、このIPPが入ってこられる余地、選び得る燃料というのはどうしても石炭とか石油であっても残りかすなんです。一回使った石油の残り油。でないとコストが悪くなっちゃうんです。これはもう八年度、九年度で実績が出ています。したがって、これからの参入者も同じようなことだと思うんです。  しかし、大きい小さい関係ありません、少なくも電気事業者というのは、この地球上にある大資源のとうとい恵みというものを人間が加工して、そしてエネルギーに変えて人々の豊かさにつなげているんです。結果の意味においては空気とエネルギーは同じようにいつもある、またなければ生きていけない。そういうものでありながら、空気というのはありながらにして、何の加工もしないでも存在していますが、エネルギーはそうではないです。大事な資源を加工している。事業者はその加工者のようなものです。最後目的はやはり需要家の皆さんであり、国民の皆さんであり、工場に安定した供給ができるからこそその国の経済の発展を裏づけることができるわけです。  そういうふうに考えていきますというと、そこに約三〇%近い分野において環境負荷が高まってくると、これについてどのように対策をお考えか。
  54. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 今回の制度改正は、競争導入によりまして効率化を進めることを目的としたものでございますが、あわせて、この際にエネルギーセキュリティー、地球環境の保全のために必要な電源構成のベストミックスの実現という公益的課題配慮することは当然の前提でございます。  具体的な方式としては、電源開発促進税につきましては、これは電力小売分野に新規に参入する者が供給する電力につきましてもほかと同様に課税をする。あるいは、原子力水力などのエネルギーセキュリティー環境上すぐれた電源の供給力を確保するための給電ルールに新規参入者が従う。かような一般的ルールによりまして公益的課題の達成に支障が生じないような制度設計を行うことといたしてございます。  それから、需要家としても、供給者を選択するに当たって、みずから使用するエネルギーに係る炭酸ガスの排出量を考慮するということが考えられますので、必ずしも炭酸ガス排出量が著しく増大するということはないというふうに考えてございます。  これは、炭酸ガスに関しまして、経団連自主行動計画に基づいたそれぞれの行動目標がございますので、新たな電力供給を受ける場合にはその範囲で、その電力供給のもとの電源及びそこから出てくる炭酸ガス配慮してその購入を図るということが予想されますので、そういう点から炭酸ガスがいたずらにふえるということにはならないだろうというふうに考えてございます。  いずれにしても、産業活動は国民生活に大きな影響がございますので、先ほど来申し上げております制度実施後三年後のレビューの中で、こうした環境問題あるいはその他の公益的な課題への影響を含めて入念なレビューをしたいと思っております。
  55. 長谷川清

    ○長谷川清君 新規参入をしてくる場合における、そこにかかるリスクというものも当然考えておかなければなりません。  先ほどの質疑の中でも大臣答弁がありましたが、一つの例では先ほども出ておりました川崎のゼネラル石油のような、ああいうケースが起こってくることはこれは今後もあり得ることだと思います。したがいまして、これは卸供給契約の違反ということになっていくんですから、そこにはきちんとした違約金制度、それに類する制度というものを持っておく必要があるというふうに考えるが、どうですか。  それともう一つは、新規参入は、さっきから言うように燃料はそうたくさん選択できません。一つ二つぐらいしか燃料は選択できないと思います。それが実績上出ていますから、その場合にはどうしても、第一次オイルショックや第二次オイルショックのようなああいうショックがないとは限らないし、あるいはそこまでいかないまでも油の価格が急騰するということもあるでしょうし、突然ぷつっとそこの新規参入のところが谷まってしまう。こういうリスクマネジメント的な備えという部分、これはだれがどう負うのかというシステム、そういうもの、その二点についてひとつお考えをいただきたいと思います。
  56. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) ゼネラル石油のケースは通常では考えられない異例なケースだと考えてございますが、安定供給確保観点から、一般に電力会社においては電源開発に当たって一定水準の余裕を持たせた計画をしてございます。したがいまして、平成十年度の供給計画で、ゼネラル石油が供給契約を解約した時点におきましても、供給予備力として五百四十万キロワット以上が確保されていたところでございますので、直ちに供給上の問題は生じない。また、今後もこうした形でのリスクマネジメントが行われていくものと考えてございます。  違約金のお話がございましたが、現行の契約上もこの違約金が制度としてとられてございます。この違約金の金額その他については、契約上の問題として当事者間で議論をされるものと思いますが、落札をした契約の今後の確実な実施について、当事者間でのお話し合いというものがさらに稠密に行われるものと我々は理解をいたしてございます。  また、オイルショックその他が生じた場合の燃料価格の急騰という事態への対応でございますが、自由化の対象とする需要家供給者と交渉力のある需要家でございまして、原則としては、その需要への供給については参入規制料金規制を行わず供給義務を課さないというところでございますので、当事者間の責任においてこのリスク等に対応することになるということでございます。  もちろん、政府としては、オイルショックによる燃料価格の高騰のような事態に対応いたしまして、まずはそのようなリスクを軽減するために備蓄の対策、省エネあるいは石油代替エネルギーの促進といった総合的対策を講じてきたところでございます。  さらに、現行の電気事業法におきましても、自然災害、オイルショック等の緊急時に迅速に対応するために、行政による電力会社あるいは卸電気事業者に対する電気供給命令あるいは需要家に対する電気の使用制限命令といった制度が存在をいたしてございます。  今回の部分自由化に当たりましても、新規参入者及びその需要家電気供給命令及び電気の使用制限命令の対象に加えることとしておりまして、またこうした命令を出す上で必要となる基礎的な情報として、新規参入者の発電情報あるいは需要家の需要情報を把握することといたしてございます。こうしたことを通じて、御指摘のございましたリスクマネジメントということに対応したいと考えてございます。
  57. 長谷川清

    ○長谷川清君 だんだん時間もなくなってきましたので、先ほどの加納委員質問とダブる最終保障の問題とか、設備譲渡の問題や料金規制の見直しの問題や接続供給制度の問題等々については質問をカットいたします。  今回の法改正というものをこの段階で出してきたタイミングという問題について、これは私は非常にタイミングが悪いというふうに思います。  従来でございましたら、景気が悪くなりましたらまず設備産業である電力事業者設備投資の前倒しを何兆円という要請をしてきたはずでありますが、今回の場合はそれとまるで逆であります。試算いたしますと、現在約一兆二千七百五十億円、事業者はそれに備えるために設備投資を圧縮しております。そういうことが連動していまして、設備投資の額でそれですから、資材や機材の購入等々が全部減りました、全国の十電力。その結果が重電部門の日立、東芝、三菱、この三社も暗いトンネルの中からいまだに抜け得ない。少なくもこの大不況の中で足を引っ張ったことは事実です。  したがって、電気事業審議会や何かでやる場合にはエネルギーのことだけをやればいいかもしれないが、先ほどから言うような戦略というような問題、国家としてのありようというもの、経済の問題から何からみんな関連があるんだ、私は審議会をやっていくことは大いにとうといことだと思っておりますが、こういうエネルギーというものに対する政府の認識それ自身という問題についてどうしてもやはり私は見えないのでございます。  そういう点については、これは答弁は要りませんから、それよりもむしろ私は、さっき言うトリレンマのこの料金の問題が問題ならば、まず真っ先にやることがあるでしょう。それは、セキュリティー環境を保持しながら、今やるべきことは電力の負荷率を改善することではないでしょうか。  これを一%改善すれば一%変わってくるんです。対策を講じていけば現在の負荷率、七〇%から五五%ぐらいまでどんどん下がってきています。これを、これをというのは、対策を講ずればこれは現実に四・二%の効果が出てくるんです。蓄熱式の空調システムやガス冷房や何かを促進していくということ、全部で七、八項目あります。こういうことをひとつ、余りそういうことが聞こえない。冒頭に質問した、三位一体で本当に国民の利益、それを擁護しつつ、さらに健全に料金の問題を解決していこう、これが私は戦略の基本でなければならぬと思うんです。そこがどうも見えない。  そういう点について、私は残された時間もあれですけれども最後ガスのことについても二点ばかり聞いておかなきゃなりませんので、それを先にさせていただきますけれどもガス事業について、今まで私が申し上げてきたことの基本については、電気ガスも共通しているということの認識で御理解を得ておきたいと思います。  一点は、ガスについて結果的に、小口の分野において需要家の保護であるとか需要家の保安という問題について、これの確保と自然独占性、供給区域の概念を抜本的に見直しをするという関係について政府はどういう見解をお持ちなのか。アメリカや諸外国は契約社会ですから割とそれは自己責任で需要家の責任というものが定着をしておりますが、我が国にこれはなじむのかどうか、そういう点をひとつ聞いておきたいと思います。
  58. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 電力の負荷率のお話でございますが、現在の、平成九年度の実績は五六・九ポイントでございます。昭和四十年代の約七〇%の水準からかなり低下をいたしてございます。  この原因は、ルームエアコン等の冷房空調機が非常に普及をいたしましたことが一つ、したがってこれが夏季の最大需要電力の先鋭化をせしめているということが一つでございます。それから二つ目には、一般的に負荷率が非常に低い業務部門の総需要に占める割合が急速にふえてまいってございます。また、三つ目には、全体の産業構造が負荷率の非常に高い素材型から加工組み立て型へのシフトが進んでいるということでございます。  これに対応いたしまして、この負荷率の向上を図るために、九六年から二〇一〇年度までの負荷平準化への取り組みの目標といたしまして、千七百万キロワットの最大需要電力の抑制を図るということを掲げまして、これによりまして四・二%の年負荷率を改善する効果を実現しようという計画でございます。  このため、先生の方からも御指摘ございましたが、氷蓄熱空調システムあるいはガス冷房の市場自立化のための補助金制度等々を鋭意進めているところでございます。また、昨年の総合エネルギー対策推進閣僚会議におきましても、この負荷率改善の重要性を指摘いたしまして、御指摘のありましたような対策、また広報を含めてこの負荷率の改善を進めようということでございます。  ガスについてのお尋ねがございましたが、ガスについても基本的な公益的課題との両立に係る点は電気事業と同じでございます。御指摘のとおりでございます。  このガス事業において、小口需要家の保護あるいは保安の確保という点が重要であるという認識を今回の制度改革、運用においても中心に据えてございまして、例えば今回の改革で、ガス事業者との十分な交渉力を有しない小口需要家につきましては、料金引き下げの場合のみ届け出制とするということで、需要家の不利益となるような場合、特に引き上げのような場合でございますが、引き続き認可制として厳正に査定をするということでございます。  また、この小口需要家の利益増進の観点から、今後三年目のレビューに向けまして、総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会においても、この小口需要家の利益増進のあり方につきまして議論を進めることといたしてございます。
  59. 長谷川清

    ○長谷川清君 最後になりますが、大臣、この電気事業の現状というのは、昭和二十六年からずっと今日までの四十数年、販売電力量では二十六倍、発電設備では二十一倍になってきております。ところが、その従業員というのはずっと人数が変わっていないんです、九電力トータルで十三万をちょっと切る数字というのは。したがって、労働生産性というのは、従業員一人頭で見ますと九年度で五百四十万キロワット、欧米は二百三十万キロワットぐらいです。  さっき大臣もお認めになったように、国家的、国民の財産であると。私は、そういう部分というものをさらに継承発展していかなければいけない。しかし、自由化は方法論です。低廉な料金にしていくという重要なファクターもあります。あれやこれやでやらなければなりません。  結局大事なところは、私は、三年後の見直しをするというときに四つ、五つ大事な視点があると思います。今までの質問を要約いたしまして、一つは、公平公正なルールによって競争させたかどうかということ。それから二つには、結果は消費者が選択をするんだ、それが尊重されるということ。三つ目には、公益的な課題というものが達成されたのかどうか、損なわれているのではないか、この視点。それから四つ目には、発電設備の利用計画などの届け出の義務など、さっきも申し上げましたが、あるいは公平公正なルールをきっちりと守っていくために違約金制度の問題とか、そういうことをきちっと確立しておく必要がある。それから、さっきも言いましたように、総理発言のようなああいうことを、総理の発言なんだからといって、そういう次元でこれを三年後の視点の中で加えるべきではないということです。  そういうことをひとつぜひ大臣にも御配慮を賜りたいと思うんですが、一言答弁を聞いて、私の質問を終わります。
  60. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 議員が先ほどから展開されている議論はほとんど私の考え方と一致をしております。  議員御指摘のとおり、公正公平なルールによって競争が行われたか、またその上での消費者の選択の結果であるかどうかという点は、部分自由化の実績を評価する上で重要な視点だと考えております。また、新規参入者に責任を持って供給を行わせる、こういうことも必要でございますし、発電設備の利用計画などの届け出を義務づけるべきだということも検討すべきであるという御指摘ですが、この点につきましても、自由化の実績を十分に踏まえまして考えていかなければならない点であると思います。  この部分自由化というのは、やはりそのようなことをするとどういうことが起きるかということを知るためにも重要であるということで、競争原理を全面的に導入するんだという話では多分ないんだろうと。部分的に自由化した場合どのようなことが起きるのか、それが国民生活にどうかかわってくるのかということも見きわめませんと将来のことは多分論じられないんだろうと私は思っております。
  61. 長谷川清

    ○長谷川清君 終わります。
  62. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  63. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、倉田寛之君が委員辞任され、その補欠として佐々木知子君が選任されました。     ─────────────
  64. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 休憩前に引き続き、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  65. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  午前中、同僚の委員お二人方がさまざまな点から質疑をされたわけでございますけれども、いろいろな意味合いにおいて私も非常に参考になった次第でございます。  質問通告はしてございませんが、極めてシンプルな質問でございますので、ストランディドコストについてお尋ねしたいわけです。  電力会社が行った設備投資のうち自由化によって回収が不能となることが見込まれるコスト、いわゆるストランディドコストでありますが、今回の部分自由化によってこのコストが生じる可能性はあるかどうかということについて確認質問させていただきたいと思います。
  66. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 一般抽象的には、競争の結果としてストランディドコストの対象になるような設備が出ることはあり得ると思います。  具体的には、今回自由化をいたします部門の電力量のシェアが三割であること、及び今後の電力需要がなお拡大をしていく様子でございますので、そうした拡大をするパイの中での競争という想定が非常に具体的に考えられますために、ストランディドコストという事態が生じる可能性は極めて低いというふうに判断をいたしてございます。
  67. 加藤修一

    ○加藤修一君 その場合、可能性として生じる場合が相当あり得るという話なわけですけれども、その分をすべて料金に上乗せさせることを認める意向でしょうか。そういった意味では、これを上乗せするということは総体的にコスト高になって、私が懸念しているところは、最終的には新エネルギー導入について抑制的な要因になる可能性があるのではないかというふうに判断しているわけですけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  68. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) ストランディドコストが起き得る対象分野というのは、可能性としてはいわゆる大口競争分野において生じるかと思います。  例えば、この分野における赤字、これが反対側の小口需要家の料金引き上げにつながらないようにすべきであるという点が電気事業審議会の答申においても特に強調されてきた点でございます。  具体的には、まず対策といたしまして、電力会社が規制部門の料金設定を行う際に、全体の費用を自由化部門と規制部門とに適切に配分をすることが求められておりますが、自由化部門、規制部門の部門別に収支を明確に確認することをいたしてございます。この確認の手段として、部門別に費用を合理的に配分するモデルを設定する。また、事業者はその配分モデルをもとに配賦基準を設定して費用を配賦し、そのことを中立的な第三者たる公認会計士が確認した上で行政庁に届け出る。自由化部門の収支が赤字の場合にその赤字額と事業者名を公表する、かような仕組みを持ってございます。  委員指摘部分は、全体のコストが新エネ促進に支障があるのではないかという趣旨でのお尋ねでございますが、このストランディドコストが生じた場合の赤字につきましては、大口競争部門においてだけで処理をするというのが全般的に申し上げた内容でございます。そういう中では、新エネルギーがどちらかといえば大口対象のものではないということも含めて御心配の点はないというふうに考えております。
  69. 加藤修一

    ○加藤修一君 今、新エネの名前が出たわけですけれども、私は自然エネルギーを中心にいたしまして質問をしたいと思います。  地球白書というものがございますけれども、ワールドウオッチ研究所が出しているものでございます。最近の号数の中では、いわゆる自然エネルギーが商品になっている、すなわちビジネスチャンスになっている、そういう指摘があるわけであります。  一九九〇年代におきまして最も成長したエネルギー源としては風力、太陽あるいはバイオマス、そういった再生可能な自然エネルギーであったわけでありますけれども、最近は商機という観点から考えていきますと、エネルギー大企業であるシェル石油やブリティッシュ・ペトロリアム、そういった会社長期を見据えた形でこういった方面について参入をし始めているということが言われているわけでございます。  御承知のことと思いますけれども、ヨーロッパ、EUでございますけれども、再生可能エネルギーについては二〇一〇年に向けて倍増計画を考えている。その中でコストベネフィット分析も行っているわけですけれども、二〇一〇年までに総額約十兆円を投入する。そして、雇用効果としては五十万人から九十万人増加する。経済効果にしましては約五兆円、あるいは燃料の輸入の削減ということではマイナス一七・四%ということです。  こういった点を考えていきますと、自然エネルギーをいかに導入していくかについては、我が国の今後のエネルギー政策を考えていく上で非常に参考になる話あるいは計画の中身だと私は思っているわけであります。  まず最初に、午前中にも出た話でございますけれども、卸売供給事業者でありますIPP、この関係の発電燃料別の内訳、これはどうなっているか教えていただけますか。
  70. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 平成八年度から十年度における落札分の燃料構成で申し上げますと、総計は五百八十三万キロワットでございますが、石油系が三二%、石炭が五二%、ガスが一四%、その他が〇・一%でございます。
  71. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の答弁の中を考えていきますと、明確になっていることは、今回の法案の対象になっています新規参入業者、すなわち特定規模電気事業者です、これも恐らく化石燃料関係になるのではないかなと思っていますけれども、これはもし話がこういう方向に進んでいくならば、自然エネルギー導入に関してはインセンティブが働くような中身になっていないという判断も私はできるように思うんですけれども、この辺についてはどのようにお考えですか。
  72. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 今回の特定規模電気事業に関しましては、まさに大口の分野での競争導入するという趣旨でございます。他方で、自然エネルギーは現時点ではかなりコストが割高でございますし、また安定供給という趣旨からは電力会社のバックアップ電源が必要でございますので二重の投資が要る。かような趣旨から、直ちに競争場裏で競争対象たり得るかという点についてはいささか疑問があろうかと思います。  エネルギーセキュリティー確保とか環境保全という趣旨で、長期電力需給見通し、長期エネルギー需給見通しにおきまして、自然エネルギー導入についてもその目標値が示されてございますが、これが全体的な枠組みでございます。  今回の小売の部分自由化は、こうした我が国全体の枠組みの中で制度としてはニュートラルにつくってございまして、関係事業者による自主的な取り組みと別途国の方で行っております導入支援、こうしたものが相まって自然エネルギー導入目標が達成されることを期待しているところでございます。
  73. 加藤修一

    ○加藤修一君 最後の方で導入支援の話が出てまいりました。  大臣にお伺いしたいわけですけれども、例えばドイツでは九〇年代になって爆発的に風車による発電がふえた。アバウトでありますけれども三百万キロワットの風力発電が実現して、そういった意味では世界一の風車大国になっているわけでありますが、なぜこのような形に急角度にふえたというふうに理解していらっしゃるでしょうか。
  74. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 私も、最近、風力発電及び太陽光発電等に対する考え方を少し考え直してまいりまして、今から十年ぐらい前はそう当てにならないぞと実は思っておりましたが、最近ドイツあるいは北海道等の例を見てみますと、これはもう少し力を入れなきゃいけないなというふうに思っておりますし、太陽光発電も技術の進歩によりまして相当将来可能性を持つようになるのではないかなという期待を持っております。  ドイツにおきましては、現在、風力発電等で発生いたしました電力の買い取りを電力会社に義務づけ、新エネルギー導入を図っていると聞いております。これによりまして、御指摘のように風力発電の導入が進んでいるんだというふうに考えております。  一方、我が国においては、電力会社が自主的にドイツとほぼ同水準の価格で風力発電からの余剰電力を購入しているほか、政府としては、風力発電等新エネルギー導入に際しては、設置費に対する手厚い助成を行っているところでございます。このように、ドイツと比べまして遜色のない支援の効果もあり、我が国においては近時急速に風力発電の導入が進み出した、そのように認識をしております。
  75. 加藤修一

    ○加藤修一君 大臣の答弁は、自然エネルギーに対しても一昔前とは違って、ある一定の期待を大きくかけていらっしゃるという理解で私は受け取ったわけであります。  EUの再生可能エネルギー目標、私、先ほど少し紹介申し上げましたけれども、その目標と、それからドイツとかイギリス電力会社電力買い取り法の導入状況、そういったものはどのような形になっているのでしょうか。
  76. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 我が方で現在までに入手した資料によりますと、イギリスでは、政府が風力発電等から発電された電力の入札規模をまず決定いたしまして、最も経済的なものから落札を行う、その買い取りを電力会社に義務づけする、こういう段階で対応をしております。  またドイツにおきましては、風力発電等から発電されました電力について、販売電力料金の九〇%の価格で買い取りを行ってございます。この風力発電等の新エネルギーによる電力の買い取りは、電力会社に義務づけられていると聞いてございます。  一方で、我が国におきましては、太陽光発電や非事業用風力発電から発生する余剰電力については、電力会社が販売電力料金と同じ価格で購入する等の取り組みを行っております。先ほど申し上げましたドイツは、そういう趣旨では九〇%の価格での購入義務づけを行っているということでございます。  またさらに政府として、太陽光発電、風力発電の新エネルギーの設置、導入につきましては、二分の一、三分の一という手厚い助成を行っておりまして、この部分は世界において例がないというものでございます。  こういう意味で、今大臣も申し上げましたが、我が国においても太陽光発電、風力発電等の新エネルギー導入については、欧州主要国と比べて遜色のない支援を行っているというふうに考えてございます。
  77. 加藤修一

    ○加藤修一君 次の質問の答弁内容を言われたわけでありますけれども、より具体的な形で例えば我が国の制度として余剰電力購入メニューがあるわけですが、これは契約期間が一年ということで、ビジネスとして考えていった場合、非常に不安定な部分もあるわけですけれども、これをやはり長期的に考える必要があるのではないかなと思っているわけです。それと、風力だけに限らず、ほかの例えば具体的に再生可能エネルギーとして重要な資源としては、木質系バイオマスとかあるいは畜産系のバイオガス、そういったものも電力の買い取りという中に盛り込まれているのかどうなのか。  そういった期間延長の関係と、今言ったバイオマス関係について、やはり私は買い取りということをやっていく必要があるというように考えていますけれども、その辺はどのように判断されていますか。
  78. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 余剰電力購入の制度は、電気事業法の規制外の卸分野につきまして電力会社経営判断によってやっているものでございますが、新エネルギーを売る方の予測可能性あるいは取引の透明性を高めるという観点から、電力会社の購入条件メニューをつくりまして、これを公表しております。  今申し上げましたように、太陽光や風力等の自然エネルギー由来の電気は、コジェネその他の化石燃料を利用しているものに比べて高い買電単価に設定されてございます。また、この中では風力のように既に事業用の運営形態が可能なものについては、十七年という長期の契約を新たに起こすようにしたものでございます。  バイオのお話がございましたが、バイオにつきましても、メニューの中で自家発、燃料電池、コジェネなど向けの購入価格による買い取りと同じく、燃料見合いでの買い取りをメニューとして出してございます。ただし、今まで実績はございません。バイオについての契約期間の長期化という御趣旨であれば、まだ事業化に至っていないというものでございますので、この契約期間は具体的な電力会社との協議の段階には至っておりません。
  79. 加藤修一

    ○加藤修一君 大臣にお伺いしたいわけですけれども、先ほど北海道の話が出たわけで、現段階で北海道は計画を含めて五十万キロワットの構想があるわけであります。恐らく政府もその辺についてはとらえていらっしゃると思うんですけれども、今政府が掲げております風力発電の導入目標、最近変えたようでございますけれども、これは二〇一〇年で三十万キロワットというわけなんです。北海道の五十万キロワットというのは、ここ数年で特別なことがない限りそういった方向で走るというふうに聞いているわけですけれども、こういった政府の見通し、二〇一〇年では三十万キロと、それと五十万キロワット、この関係についてどのようにこの辺の乖離を含めてお考えでしょうか。
  80. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 二〇一〇年度の風力発電の導入量の見通しについては、昨年六月に改定された長期エネルギー需給見通しにおいて、新エネルギー全体の内訳として改定前の二倍の三十万キロとされているわけでございます。  風力発電導入の最近の状況を見ますと、新エネルギー促進の支援策や電力会社の余剰電力に係る引き取り協力の効果もあり、順調に導入が進み始めているものと考えております。  しかし、現在、風力発電についての構想が多数表明されているという状況はございますけれども、現時点での風力発電の実績と二〇一〇年度の見通しにはかなり乖離がございます。また、他の新エネルギーも含めた新エネルギー全体で見れば、二〇一〇年度の見通しの達成のためには課題が多く残っておりまして、このため現時点では見通しの見直しを行うことは考えていないわけでございます。
  81. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の答弁は私納得できない部分が非常に多いんですけれども、私は見直しをすべきだと思います。  既に二〇一〇年で三十万キロワット、北海道だけで、北海道だけでですよ、実際はほかの全国を含めたらもっと計画はふえてくると思いますけれども、見直ししない具体的な根拠というか、その辺はどういうことでしょうか。
  82. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 北海道で五十万キロワットというお話がございまして、熟度その他まだ、例えば運転開始時期を定めないものなど、いろいろ段階はございますが、構想のものを含めて五十万キロという話を聞いてございます。  この新エネルギー導入の実績及びその目標というところで見ますと、長期エネルギー需給見通しでは、一次エネルギー供給に占める新エネの割合は三・一%、原油換算では千九百十万キロリットルになってございます。風力発電は三十万キロワットでございますが、原油換算をいたしますと十二万キロリットルという数字でございます。千九百十万キロリットルに対して十二万キロリットル。  長期需給見通しには、太陽光発電から廃棄物発電、その他に至るまでを一応参考としてこの内訳をつくってございますが、今大臣からも申し上げましたように、ほかのものについて非常にまだ実績と目標との間に大きく乖離がありますし、北海道の場合もかなり熟度に差のある構想を積み上げたものが五十万という数字でありますし、またこの風力発電の三十万キロワットが仮に倍、三倍になったとしても、千九百十万キロリットルの中に占める比率というのはそんなに大きなものではない。かような趣旨から、いま少し全体の様子を見ながらこの長期需給見通しのありようというのを考えていこうという趣旨でございます。
  83. 加藤修一

    ○加藤修一君 いや、私はちょっと理解できないんです、熟度とかそういう話ですけれども。  私は北海道出身でございますから、いろいろとその辺については調べました。熟度という点から考えますとかなりのいい線をいっているわけでありまして、本省がそれを押さえていない段階でそういう熟度の話を持ち出して言うことは私はちょっと理解できません。  もう一度答弁をお願いします。
  84. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 詳しくお調べのことであろうかと思います。あるいは言葉が過ぎたのならおわびを申し上げますが……
  85. 加藤修一

    ○加藤修一君 そういう問題じゃないんです。
  86. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 熟度と申しますのは、ごく最近運転を開始するもの、それから土地の手当てを申し込んで将来まだ時期としては未定のときに風力発電の営業を開始したいとするもの、そうしたものをトータルとして五十万キロワットという要望が寄せられているというふうに理解をしております。
  87. 加藤修一

    ○加藤修一君 いや、私はそういうことじゃないと思います。  昨年、将来の見通しを変えたわけですね。また、ことし変えるとか来年変えるとおかしな話になってしまう、その見通しについての甘い考え方になっていた三十万キロワットである、そういうふうに私なんかに言われるのが嫌でそういうふうに言っているんじゃないんですか。  もう一度答弁してください。
  88. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 風力発電に係る各種の事業化計画がここ一、二年急速にふえてきたことは事実でありまして、それは、この三十万キロワットという目標を達成するがために政府としても設置助成等々の助成措置をかなり講じた結果だというふうに考えてございます。  そういう意味で、北海道の五十万キロが現実化することは我々としても極めて喜ばしい事態でございまして、それ自体を抑えるとかそういう趣旨は毛頭ございません。
  89. 加藤修一

    ○加藤修一君 抗弁に対してまたあえて言うんですけれども、抑えるという意味はなくても、大体普通は、そういうふうに三十万キロワット以上は変えませんよという言い方というのは、やはりそういったことにつながる部分が私はあると思います。  北海道の可能性を考えていきますと、ある学者の方に言わせますと、今五十万キロワットという話、これはあくまでもビジネスチャンスの関係で言われているわけですけれども、潜在力としてはもっと、三百万キロワットぐらいはあるというふうに言われているわけです。これは、海上で発電するということも含めて考えてみますともっと、日本全体としては三千万キロワットとかそういったオーダーになるやにも聞いております。  ですから私は、これは地球温暖化の問題関係を含めて、あるいは一昨年ですか、京都会議で六%を達成しなければいけないという話になっているわけですから、せっかくこういう形で浮上した風力発電の芽を摘むべきではない。摘むことを考えて変えないのではないということをおっしゃりたいと思いますけれども、政府がそういうシグナルをビジネスチャンスの場に向けてやはり出すべきだと私は思います。  大臣はどうでしょうか、どう思いますか。
  90. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 長期エネルギー計画というのは、言ってみれば相当長期にわたる一つ日本エネルギーの需要の見通しというものがこれには書いてございます。それから一方では、その需要に見合ったエネルギー、それがどういうものによって構成されるのか、この二つが書いてございます。そして、その供給を構成するそれぞれのエネルギーに関しましてとるべき政策というものが書いてあるのが長期エネルギー計画でございます。エネルギー計画という立派な名前がついておりますが、この三つのことが実は書いてあるのが私は基本であろうと思っております。  そういう中で、三十万キロの目標を立てたということは、現在の風力発電の技術水準等から考えまして私どもとしてはそれなりにある合理的な一定目標を掲げたつもりでございまして、それは計画を立てた時点ではそれなりの合理性と根拠があったというふうに考えておりますが、実はいろいろな計画が出てまいりまして、その我々の予想を上回るような実績に到達できるかもしれないという状況になってまいりました。  しかし、これはまだ現実化しておりません。おりませんが、先生指摘のように、これは有望だというふうにいろいろな方が思われ、またいろいろな方が参入されようとしているわけでございますから、当然我々としては、現在の数値は数値としても、やはりこの計画の風力発電の部分については改定含みでなければならないと思いますが、現時点で直ちにその数字を変えろという先生の御指摘であれば、この長期エネルギー計画というのは全体のことを書いてございますので、この特定の部分だけ取り出して改定することがいいことなのかどうかを含めましてもう少し検討させていただきたいと思っております。
  91. 加藤修一

    ○加藤修一君 一部は積極的な答弁がございましたけれども、一部はまだまだ判断しづらいという答弁だったと思います。  いずれにしても、これは、先ほどの長官の話によると非常にマイナーな、意味合いとしてはマイナーで、構成率として極めて小さいという話だったんです。これは、三十万であろうと五十万であろうとそんなに変わる話じゃないんです、あるいは三百万になろうと、そんなにパーセンテージとして大きくなる話じゃないと思うんですよ。であるならば、あえて言葉をかりて言いますと、小さい中にあって多少でも伸びるようなことをやっていくべき、そういった意味ではやはり見直しをきちっとやっていく、そういう含みで考えているとおっしゃっているわけですから、私はそういう理解でいますけれども、よろしいですか。
  92. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) もちろん風力発電については、風が吹くのか吹かないのかという不安定性とか、今後どこまで効率的にそれで発電ができるかとか、あるいは風がやんだときのバックアップ体制をどうするかとか、いろいろな実は問題がございます。しかし、実際に三十万ぐらいだろうと思っておりました。おりましたら、やはり次々とそういう計画が出てまいりまして、既に北海道だけでも五十万以上のものが出てまいりましたので、当然考え方を変えていかざるを得ないと私は思いますし、また多分先生のお考えでは、考え方を変えたぞというメッセージを出すこと自体が一つの大きなインセンティブになるというのが先生の御主張だと思います。  したがいまして、そういう意味では風力発電についてのいろいろなメッセージを通産省から出すということは必要だ、そのように私は理解をしております。直ちに改定するかどうかということは別問題といたしまして、現実が計画を上回るということになれば、当然その改定をすべき方向に力は働くというのは理の当然だろうと思っております。
  93. 加藤修一

    ○加藤修一君 積極的な答弁をいただいて、ありがたいと思っております。  ただ、大臣がおっしゃった中に、風力発電については不安定性があるとかあるいはバックアップ体制をとらなければいけないという話がございますけれども、二、三日前にNHKの風力発電ビジネス関係の放映がございました。その中で、プロペラでいかに効果的に風を受け入れるかということでさまざまなシミュレーションをやった例がありました。それと同じように、風がとまったらだめだと言いますけれども、北海道全体が一気に全く無風状態になってどこの風車もとまってしまったというケースは、これは微気候学でいったって気候学でいったってあり得ない話でありまして、ですから、それぞれのプラントで発電したものをプールするという形でやっていくことが非常に大切ではないかなと私は思うんです。  それと同時に、バックアップの関係についてもそういったプール制をとっていくならば、それはバックアップとあわせたものをもう一つとっておかなければいけないという話がありましたけれども、そういうことについても対応ができると思うんです。やはり、知恵を働かせてソフト的な面でいかに対応するかということがこれから重要な視点ではないかなと私は思います。  それで、もう時間がございませんが、北海道の苫前町だけでも三十万キロワットの構想があるわけですけれども、やはりこれを実際に移していくためには弾力的な運用をする、規制の問題についてそういった面もございますし、それから高圧連系についても整備が必要なわけでありますが、この高圧連系についての政府の支援とかそういった面も非常に大切ではないかなと思いますけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  94. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 苫前地域のお話がございました。全体的な高圧送電線の整備につきましては、系統を運用する電気事業者が一義的には判断すべき問題でございます。  御指摘のありました新エネルギー供給の円滑化という観点から、今後の動きを注視していきたいと思います。
  95. 加藤修一

    ○加藤修一君 ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。  それで、電力の買い取り法、そういった法律をつくるべきだと私は思っているわけです。先ほどから話が出ている長期メニューの関係につきましても、例えば十七年間の契約になったとしても、法的根拠に基づいてやっているわけではありませんから、その制度がいつまで続くかわからない、民間電力会社の自主的な判断でやっている、好意でやっているという部分も当然あるわけですから。そういった意味では、恒常的にずっと続くかどうか途中で切られるか、それもわからないという話になってくれば、ビジネスチャンスに対しては少しマイナスに働く可能性もあるわけですので、再生可能エネルギーから電力を一般電気事業者が優遇して買い取ることを定めた電力買い取り法、そういったものもやはり政府は検討すべき時代に入っているのではないかなと私は強く思っているわけですけれども、これについて大臣どのようにお考えでしょうか。
  96. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 実はこれはなかなか難しい問題でございまして、例えば電力会社電気を買うという場合には、やはり一定量を恒常的に買うということでないと電気事業というものは成り立たないという部分があります。  したがいまして、家庭において太陽光発電をやるあるいは風力発電をやるという場合には、いわば自家発電的な要素がございまして、その余剰電力をどう買うかという問題と、また自家発電をやっている方のところで自家発電が一時的に電力供給できなかったときの体制をどうするかという両面を考えなければ実はいけない問題がございます。電気事業というのは、やはり常に一定量の良質な電力が買い取れるという状況ができませんと、それを一般的に普通の値段で買い取るということは多分できないんだろうと思います。  それから一方では、風がやんだ、電力がつくれないというような場合に、それに対して電力供給するということになりますと、それに必要な設備、燃料等がございますし、そのために必要な予備力もある一定限度持っていなければならない。  ですから、先生の御質問を私なりに解釈をいたしますと、風力発電は有力なんであるからその立ち上がりのところで公的な援助をしろ、そして風力を広めていくうちにこれは相当大きな供給源になる、そういう定常的な状況になるまでは公の支援をしろ、あるいはそのインセンティブを与えろ、そういう御指摘であれば、私はその御指摘は正しいのだろうと思っていまして、それを建設費の補助でやるのか買い取り価格でやるのか、どういう方法でやるかは別にいたしまして、風力発電を導入したときの立ち上がりの部分を公的に援助していくということは、将来風力を広めていく上では大事なことでございますし、その立ち上がりの部分を補助するという制度は、既に一般の家庭で屋根の上につけます太陽光発電については補助をしております。補助をしておりますのは、これは全体、太陽光発電導入のときの立ち上がり、すなわち量産効果等を発生させるための私はインセンティブだというふうに理解をしております。
  97. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 時間が来ております。
  98. 加藤修一

    ○加藤修一君 最後になりますけれども大臣が最初のころに発言した内容について、恒常的に買うことができるかどうかということの指摘がございましたが、別の言葉で言えば不安定性があるという話になるんでしょうけれども、これについては先ほど私が述べましたように、プール制をもとにしてやっていくとかさまざまな知恵が考えられると思うんです。  それから、義務化については、EUでやっていたりほかの国々でやっていたりしているわけですから、そういったことが日本では絶対できないという想定で話されると何もできなくなってしまいますので、そういったことを十分考えた上でぜひ通産省は研究をしていただきたいと思います。研究しているだけじゃなくて実際に移すことも当然、イニシャルステージだけじゃなくて、イギリスがやっておりますように化石燃料課徴金のような制度、そういったこともやっているわけですから、それを再生可能エネルギーの方に振り向けている、当初は原子力に向けておりましたけれども。そういう形でだんだん時代の持っているニーズというのが変わってきているということを十分考えていただきたいと思います。  いずれにしましても、電源三法のうちに電源開発促進税というものもございますので、そういったものをやはり鋭角的に使用していく、活用していく、そういったことが私は大事だと思いますので、ぜひ積極的な試みをやっていただきたいと要請して、質問を終わりたいと思います。
  99. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  今回の法律改正目的というのは、電気事業あるいはガス事業に一層の競争導入いたしまして、いわゆる経営効率化を図ることによって我が国の電気料金ガス料金の引き下げをしようということが目的だと考えております。  まず、大臣電気の問題についてお聞きいたします。  通産省は一九九六年に電気料金制度の改定を行いました。昨年、九八年には、経営効率化の前倒しということで料金改定を行って、料金を若干だけでも引き下げた経過がございます。現行の電気事業法第十九条第二項は供給約款の内容について幾つかの基準を定めているわけですけれども、その第一号では、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものである」ということを規定しているわけでございます。通産省はこれに基づいて、電力会社の提出する料金改定の申請を厳しく審査をして、料金を含む供給規定を認可してきたということだと思います。  そこで、改めてお伺いをしたいと思うんですけれども法律改正して競争導入しなければ料金が下がらないというふうなことを言われますと、今までの通産省の料金の審査がどうだったのか、本当に適切であったのかなという、つまり私たちは電気は非常に高いエネルギーだというふうに思っております。電気代も非常に高いというふうに思っているんですが、それを下げてほしいと言ったときに、いや、これは適切な料金でございますということで国がお墨つきを与えてきたというふうに思いますが、この点で通産省の料金審査が適切でなかったということなのでしょうか、どうなんでしょうか。
  100. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) もう先生は御承知のことでございますので繰り返して申し上げるのは恐縮なんですが、戦後の電力の体制というのは九電力になりました。そのときの基本的な考え方は、地域独占を許す、地域独占を許すかわりに電気料金は勝手にさせないよという考え方でございました。  その電気料金は勝手にさせないよというときにどういう考え方導入したかと申しますと、コスト・プラス・フェアリターン、コストと公正な報酬、こういうややアメリカ的なコスト・プラス・フェアリターンという考え方導入しまして、これを一括して適正原価主義と我々は呼んでいるわけでございます。  しかし、よく考えますと、原価とは一体何かという問題に当然ぶつかるわけでございます。実は、原価を計算しますときというのは、通産省・資源エネ庁は相当の人数を投入して、あらゆる発電所、あらゆるコストを厳密に査定をいたします。これは、燃料費を含めまして大変厳格な審査をやってまいりました。ただ、ここ数年で出てまいりましたのは、やはり電力設備をするときにも、例えば発電機を買う場合にもなるべく安く買う努力をしなさいという考え方が次第に大きくなってきたことは事実でございます。  それから、ヤードスティックという考え方は、こういう経営をするのだったらこういう物差しでもはかりますよ、ただ積み上げの原価計算だけではありませんよという考え方導入されたわけでございます。  したがいまして、それぞれの時代を反映して原価の考え方は変わってまいりましたし、また適正報酬率も、当初電気料金が始まったときよりはどんどん圧縮されてきております。そういう意味で通産省・資源エネルギー庁のコストの査定自体は大変厳しく行っている、私はそのように理解しておりますし、現実そのように行われております。
  101. 西山登紀子

    西山登紀子君 もちろん厳正に行っていただいていなかったら困るわけでございますけれども、しかし先ほど来の論議の中でも大臣もおっしゃったように、刺激が必要だと。その参入、つまり刺激が必要だということを言われますと、そういう外からの刺激がなかった今までの通産省と電気会社との間の関係だけでは、本当の意味の適正な料金が、あるいは値下げという国民の要望が受け入れられないのかなという疑念を大いに抱きます。この面では情報公開がずっとされておりませんので、本来の意味では、きちっと情報公開がされませんとこの点についても大きな疑念を持たざるを得ないわけです。  それで、事実の問題として、一九九五年の法改正で既に卸の部分、発電部門には新規参入、特定電気事業者というんでしょうか、アメリカの呼称を使って言えばIPPが入ってきているわけですが、発電単価は非常に安いです。乖離率四割というようなところもあるわけですが、電力会社比較をして大幅に安くなっている理由は何なんでしょうか。
  102. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 過去三回実施をされました卸電力入札の実績を見ますと、IPPの落札価格と電力会社の回避可能原価相当であります上限価格との平均的な乖離率の水準は、御指摘のありました一割弱から四割強程度下回っているという実績でございます。  この落札価格の水準が上限価格に比しこれだけ安価となっている理由は、遊休地の存在、既存インフラの活用など、落札者が有利な条件を備えていることによるものが一つでございます。また、競争率が約四ないし五倍であったということを踏まえると、入札における競争の結果によるところも大であるというふうに考えております。
  103. 西山登紀子

    西山登紀子君 大事な点が抜けていませんか。IPPの電気の単価が三割も四割もうんと安くなる。それはやはり例えば石炭だとかあるいは重油などの非常に質の悪い燃料を使っている、中には残渣油といって石油精製の廃棄物であって、こういうことでもなければ産業廃棄物としてむしろお金を出して処分をしなければならないような、硫黄分とか窒素分だとか重金属などが含まれる劣悪なものを燃料に使っている。だから、こういう考えられないぐらい、発電単価が極端に四割も安いところも出てくるということではないのですか。  こんなものを十分な公害防止対策もとらないで供給をさせるということになりますと、まさに安かろう悪かろうということになって、国民にとっては大きなリスクを負うということになろうかと思うんです。IPPの発電単価が安いということの理由の中に、この燃料の安さが入っていないのはどういうわけなんでしょうか。
  104. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 発電単価を計算いたしますときに、電力会社が石炭を使ってもIPPが石炭を使ってもそれ自体に大きな差があるとは思っておりません。むしろ、先ほど申し上げましたように、IPPとして参入する企業が持っております遊休地、あるいはかつて別の工場として動かしていたがためにありますインフラ設備等々の事情があるものと理解をいたしてございます。  今、原材料が劣悪という御表現がございました。ただ、IPPであろうがあるいは通常の発電所であろうが、発電を行いますことに伴う環境への影響については全く平等といいますか同じに厳格な規制をクリアすべきは当然でございまして、IPPなるがゆえに、また残渣油を使っているがゆえに環境問題への対応が緩い、そういうことはない、かように考えてございます。
  105. 西山登紀子

    西山登紀子君 これは大事なことなので、しっかり御答弁いただきたいと思うわけです。  この三年間でIPPが落札をした発電所は三十八件、ゼネラル石油を除くと三十七件になるわけですけれども、ことし六月十二日に施行されるいわゆるアセスメント法によるアセスメントの対象になるものあるいはならないもの、これは三十七件でいいです、三十七件をどんなふうに分類されるのか教えてください。
  106. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 環境影響評価法によります発電所の対象規模は一種、二種と分かれてございます。ちなみに、一種については火力発電所でいえば出力十五万キロワット以上、第二種につきましては十一・二五万キロワット以上等々でございます。  こうした分類の中で、第一種事業に該当する規模のものは平成十年度までで合計十一件、合計出力は三百九十一万キロワットでございます。それから、第二種事業規模に該当する規模のものは平成十年度までで合計十一件、合計出力は百四十八万キロワットでございます。対象規模未満のものがございますが、平成十年度までで合計十六件で、合計出力九十九万キロワットでございます。
  107. 西山登紀子

    西山登紀子君 つまり、アセスの対象に義務的になるところは十一カ所でございます。ですから、三十七件の中でいえばわずか三割ということになるわけです。第二種は、これは条件つきでございます。対象外が十六カ所ということになるわけです。  そこでお伺いいたしますけれども、第二種の場合は条件つきですから絶対的にアセスをやらなきゃならないということではないわけでございます、第一種の場合は十五万キロワット以上は義務的になっているんですけれども。どういうことが起こるかといいますと、例えば第一種住宅専用地域に隣接する工場跡地に発電所の建設を予定していた品川白煉瓦、こういうIPPがあるわけですが、九六年の入札のときには通産省の省議アセスを回避するぎりぎりの十四万九千キロワット、これで応札をして、このときは落ちてしまったわけです。九七年、翌年は条件つきの第二種の対象からも、これは十五万未満で十一万二千五百キロワット以上が第二種になるわけですが、それを回避するために十万九千五百キロワットで応札をして、これは落札をされているわけでございます。  地方自治体の環境アセスを別にいたしますと、こういう行為というのはアセスをできるだけぎりぎりで回避する、そういうことをねらった行為だというふうに思うんですけれども、どうですか。
  108. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 環境影響評価法の対象事業の規模要件あるいは省議アセスによります規模要件につきましては、IPPであるか否かにかかわらず、環境に及ぼす影響、周辺に及ぼす影響、あるいは環境容量に対する影響、そういったものの過去の実績を踏まえまして、対象設備に応じた環境への影響を考慮して設定されたものであるという理解をしてございます。  したがいまして、IPPであるか否かにかかわらず、今後とも環境問題についての審査は厳正に行っていきたいと思っております。
  109. 西山登紀子

    西山登紀子君 聞いていることに全然答えていただいていないんです。  今、私が例として挙げたところです。第一種の十五万キロワット以上の義務的なアセスを回避するために十四万九千キロワットで応札したり、第二種の十一万二千五百キロワットを回避するために十万九千五百キロワットで応札するというようなことは、実際はこれも省議アセスですけれども、これはできるだけアセスを回避する行為じゃないかとお聞きしているんです。そう思いませんか。
  110. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 外形的なところからこの事業者の意図するところを今御推定になられましたけれども、我々としては、その具体的な環境影響に対応したところから対応をとるものでございます。
  111. 西山登紀子

    西山登紀子君 通告しておりませんけれども大臣、どうですか、そう思われませんか。
  112. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 多分、その基準を設けたので恐らくそういう選択をしたのかもしれませんが、一たび基準を決めた以上は、行政としてはその基準に従って物事を判断していかざるを得ないというのが、基準というものを決めた以上、それが行政の判断としての宿命であろうと思っております。
  113. 西山登紀子

    西山登紀子君 こういうふうにできるだけ回避をする、厳しい環境の住民運動その他のいろいろな声もあるわけですが、それをできるだけ回避していこうと。こういうIPPの参入につきましては、金もうけ本位といいますか、そしてできるだけ法の網をうまくくぐり抜けようというふうなことが中にはあるということになりますと、やはり発電事業に参入をしていくIPPについては、お金もうけのために参入してくるIPPについてはすべてアセスの対象にしてもいいのじゃないかというふうに私は思うわけですが、どうですか。
  114. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 先ほど来申し上げておりますように、環境規制につきましてはIPPであるか否かにかかわらず厳密な対応をいたします。  このアセスというものの法制度の趣旨は、ある事業を行ったとき、それが環境に及ぼす影響に配慮して行うものでございまして、そうした趣旨から、IPPなるがゆえにまた別のことをするということでもないだろうと思っております。
  115. 西山登紀子

    西山登紀子君 それでは、先ほど来質問がありましたゼネラル石油の問題は私も非常に重要だと思いますので、お聞きをしたいと思います。  ゼネラル石油が撤退をした原因はどこにあるのかということで、つかんでいらっしゃることを聞かせてください。
  116. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) ゼネラル石油によりますと、平成九年一月の東京電力との電力需給受給契約締結後、当省の規定及び川崎市の条例に基づき環境アセスメントを進めつつ、これを踏まえたプロジェクトの具体化のための詳細設計を行ってきたところ、この段階で初めて大幅な設計変更、具体的には脱硫装置の変更でございますが、これが必要となることが判明し、これに基づくコストが入札当初想定していたものと比べはるかに高いものとなったため、同社の経営判断により中止を決定した、かように聞いております。
  117. 西山登紀子

    西山登紀子君 二月十二日にゼネラル石油の広報が出ているわけですけれども、これにはやめるに至った経過についてこういうふうに述べているわけです。  二年以上にわたって百人以上のスタッフを投入し、全力でプロジェクトの開発に取り組んできましたが、国の規程等に基づく環境アセスメントを踏まえながら詳細設計を進めてきた段階で、当初予期できなかった大幅な設計変更が必要となることが判明しました。これらの変更に伴って全体のコストは一九九六年の入札当時に想定していたものをはるかに上回り、プロジェクトの経済性は大きく悪化しました。 そして、事業化のめどが立たないので今後の計画推進を中止するという結論に至ったという広報を出しているわけです。  当時の一般のマスコミもその報道を一斉にしているわけですけれども、ゼネラル石油が電力卸事業を断念した、それはSOxの規制をクリアできないからだとか、環境投資増が負担になってゼネ石はIPPを中止した、撤退経費は百八十億円もかかるんだということです。それからそのほかにも、環境対策負担重くゼネ石、卸電力供給を断念、こういう非常に大々的な見出しで当時の新聞が報道しております。いずれも、環境対策が当初予定をしていた以上に、国のアセスメントあるいは地方自治体のアセスメント、住民の意見にこたえようと思えばコスト高になって賄えないようになったんだというふうに言っているわけでございます。  やはり私はこの点でも、環境アセスメントの持っている力というもの、それで十分とは私は申し上げませんけれども、その力というものについては、ゼネ石は一つの例ではありますが、しかしこの問題は非常に大きな教訓を持っていると思います、普遍性を持っていると思います。  そこで、先ほど通産省がこれは特殊なことなんだというふうにおっしゃったことに私はむしろ驚いているわけです。私は、このゼネ石の例というのは普遍性を持っていて、つまり私が今まで言ってまいりましたIPPの持っている環境対策に対する非常に甘い姿勢が吹き出した一つの例じゃないかなと思うわけです。  ゼネ石が使おうとしていた燃料といいますのは残渣油ということで、燃料の中では一番汚れた燃料だと、先ほど言いましたように、むしろお金を出してでも処分をしてもらわなきゃならないような燃料だということなんです。  そこでお伺いいたしますけれども、全国で残渣油を使っている落札されたIPPは何カ所ありますか。
  118. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 残渣油の今落札をしたケースは一件、八カ所と理解をいたしてございます。
  119. 西山登紀子

    西山登紀子君 ゼネ石と同じ燃料、残渣油を燃料とするIPPは八カ所ございます。  この中で、義務的な環境アセスメントを受けなきゃならないIPPは何カ所ありますか。
  120. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 今手元にある資料では、いわゆる法律上のアセスメントが必要なもの、十五万以上が三カ所でございます。
  121. 西山登紀子

    西山登紀子君 十五万キロワット、第一種は三カ所ということですから、あとは義務的なアセスを受けなくてもいいということになるわけです。しかし、ゼネ石はアセスを受けなければならない大きなところでした、第一種事業。だから、後でいろいろ対策をとったらコストが合わなくなってこれは中止になったということなんです。  心配されるのは、ほかの全国で八カ所ある残渣油を燃料としてやっているIPPが本当に環境上問題がないと言えるのかどうか、その点についてどうお考えですか。
  122. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 先ほど、ゼネ石のケースを大変特別のケースだというふうに申し上げましたが、この入札、落札のことが決まります過程で、環境規制をほかの規制とあわせてクリアすることは当然の前提でございまして、それは今後の事業の確実性を担保するという趣旨でも当然の前提にされてございます。現に、今まで落札したものの中でこの環境規制のクリアができないケースはございません。  そういう意味で、このゼネ石の場合は詳細設計を進めていく過程でコストが五割増になるというところで経営判断をしたようでございますけれども、この詳細設計をやらずに入札に応じていると、あるいはこのゼネ石で発電を行ったことがないということもあって環境に対する知識が少なかったところもあろうかと思いますけれども、そういう意味で極めて異例なものでございます。  裏返して申し上げますと、IPPであるからといって環境上の配慮、規制に対する対応を怠っていいというものでは全くございませんで、それぞれ入札時に、残渣油であれ、万全の環境対策を講じる計画を立てて入札に応じているというふうに理解をいたしてございます。
  123. 西山登紀子

    西山登紀子君 そういう、言葉でクリアしているというふうにおっしゃっても、すべてアセスメントをやらせているわけでもないわけです。判断ができないんじゃないですか、クリアしていると。
  124. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) それは、法律上の環境アセスメントに基づくもの、それから地方自治体の規制に基づくもの、それぞれの規制に基づくものについてのクリアでございまして、また環境影響の小さいものについては実態においてそうした規制の対象になっていないものについて、IPPであるがゆえに別途の規制を設けるという趣旨はございません。そういう意味で、規制のあるものについてはクリアをきちっとするということでございます。
  125. 西山登紀子

    西山登紀子君 規制のあるものというのは、今義務的に規制があるのは十五万キロワット以上の第一種事業しかないんです。あとは、それこそ条件に応じてアセスがかかる第二種と。今十六カ所は何もかかっていないんです。アセスをやる義務も何もないんです。そういうもとで残渣油を使うIPPが八カ所もあると。これは、環境汚染についてその地域の皆さんも私たちも非常に危惧を持つのは当たり前のことだと思うんです。  私はこの残渣油を燃料に使うということを規制をすべきだと思いますし、それから電気事業に参加をしてくるIPPは今回の法律では届け出でいいと、許可制じゃないというふうにまで緩くなっているわけです。そうであるならば、私は許可制にすべきだと思いますけれども、せめてすべてアセスを受けなさいということぐらいはやったっていいと思うんですけれども、どうですか。
  126. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 大きいものについてはアセスをやるというのが今のルールでございますが、アセスをやらないから環境上すべての規制がないかというと、それは個別の発電所の煙突から出る煙についてそれぞれの規制がありますから、そういう規制は確実に守らせるというものでございます。  そういう趣旨でアセスメントという制度が、各般の環境項目に関して影響が大きいがゆえにある規模で切ってアセスメントをやらせしめている、残渣油であるがゆえに規模が小さくてもすべての項目にかかわるアセスメントをなすべきであるという議論にはなかなかならないんじゃないかと私は思います。
  127. 西山登紀子

    西山登紀子君 国民が願っていますのは、やっぱり安い電気そして安全でクリーンな電気です。ところが、大変私は危惧いたしますのは、今のようなやりとりを聞いておりましても、いやクリアしているんだ、クリアしているんだと言うけれども、それは届け出でいいんだ、そしてすべてにアセスがかかっているわけじゃありませんというようなことになると、本当に歯どめになるのは一体何なんだろうなという大変危惧をいたします。  大臣にお伺いしたいわけですけれども、先ほどもCOP3のお話がありました。COP3は私の地元の京都であったわけで、私も参加させていただいたわけですけれども、九七年十二月でございます。それで、日本は六%削減をするという、法的拘束力のある数値目標というものを持ったわけでございます。こういう点から考えましても、一方で自由化ということでIPPの参加を許すという今法律をつくろうとしているわけですけれども、しかし一方では環境対策が非常にずさんだという心配があります。こうなりますと、COP3の議長国である日本が本当に率先してこの地球温暖化ガスを減らしていくということに積極的な姿勢をとらなければいけないのに、一方でこういうずさんなことをやっていいのかというふうにも思うわけでございます。  ですから、私は、大臣言葉でせめて、もちろん法律がこういうふうに足切りを決めてはいるけれども、しかし行政的にそういう点はカバーしてでもIPPの環境汚染ということについては絶対にさせないという御決意をお伺いしたいと思います。
  128. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 国、地方自治体が決めております環境基準というのは、これはもう例外なくすべての方に守っていただかなければならない基準でございまして、それ自体の運用、適用は厳格でなければならないことは当然でございます。  しかし、発電という事業に携わっている以上、その基準が厳格に守られているかどうかということは、発電事業者というのは常に気をつけていかなければならないわけでございまして、やはり決められた基準を厳格に守る、守られているかどうかを常にその後もチェックするという態度で大きい事業者は臨んでいただきたいと私は考えております。
  129. 西山登紀子

    西山登紀子君 もう一度重ねて申し上げますけれども、このアセスメント法の非常にすぐれた点は、環境アセスメントをしたものを住民に公告縦覧をする、そして住民は意見を言うことができるという、ここの関係が非常に私は一歩進んだ、十分とは言えませんけれども、その点を盛り込んだということは非常に重要だというふうに思っているわけです。  ただ、足切り条項がありまして、そういう法律の網の目をうまく抜けてそれを逃れようとするような事業者については厳しい行政的な姿勢で臨んでいただきたいというふうに思うわけでございます。  最後に、料金の問題で大臣にお伺いいたしますけれども、いわゆる競争導入されることになりまして料金が下がるのかどうか。  一般家庭や中小企業の料金が引き下げられるということについては、今度は引き下げる場合は届け出でよろしい、その場合も料金引き下げの原資が生まれても必ずしも全部料金引き下げに回さなくてもよろしい、内部留保として持っていてよろしいと、そういうふうに法律がなっているんです。こうなりますと、大企業は値下げのメリットで安い電気を買うことができる、参入によって、小口の自由化によって安い電気を買うことができる。しかし、一般家庭や中小企業は本当に安い料金の電気を得ることができるのか、そういう保証はあるのかということについて、大臣最後にお伺いします。
  130. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 電気料金考え方というのは、先ほども繰り返して述べましたが、原価プラス適正報酬ということでございますが、それには幾つかの物の考え方がございまして、常に電力を使って一定稼働率を発電所に保証しているというような場合には、工業用のような場合には別の料金体系という考え方があったわけでございます。  ただ、一般家庭で使うような場合には、例えば山奥の一軒家も都市の真ん中の家も同じ電気料金が適用されるということになっております。ただ、それも、例えば夜間電力というような場合には、設備が動いていないときに電気を使っていただくという場合には、これは設備稼働率を上げているわけでございますから固定費の部分が当然下がるわけでございますので、例えば夜間割引というような制度が導入されているわけでございます。  今回は、大きなところだけが得をするという制度にはなっておりません。やはり小口部分自由化に係る制度改革のメリットが全部の需要家に行き渡るような、そういう物の考え方ベースにした制度改革をお願いしているわけでございまして、特定の者だけがメリットを得るという制度にはなっていないということはぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  131. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は二十分しか時間がありませんから簡単に申し上げますが、答弁の方もよろしくお願いします。  直接関係ないんですが、今、特に大企業のリストラというのか首切りというのか、これがいとも簡単にどんどんやられているような状況で、特に小渕内閣も国際化、国際競争云々ということでこれを容認するような雰囲気があちこちで感じられるんです。  私は、企業の雇用責任というのか、雇用に関する企業の社会的責任というのか、これはやっぱりぎりぎりまで頑張ってもらいたいんですよ。最近、日経連さえが若干そういうことを言い出したようでありまして、通産大臣におかれましては、企業はぎりぎりまで雇用を守れと、こういうようなメッセージをひとつどこかで国民あてに出していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  132. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 現在の失業率は四・八%でございます。約三百三十万人ぐらいの方が失業されているわけですが、この中の自発的失業者の方、非自発的な失業者の方というのは、正確かどうかわかりませんが、それぞれ百六万人と百七万人だと思います。  問題なのは、非自発的失業者、約百七、八万人おられますけれども、これは自分の意思とかかわりなく泣いて会社をやめざるを得なかったという方。家族も抱え、次の就職がないというような状況は、これは実際一番大きな私は社会問題であろうと思っております。  そこで、これを解決するためにどうするかという問題ですが、私は通産大臣就任当時から、リストラ、リストラと言ってばたばた人を切っていくことが善であるような風潮はよくないと。終身雇用という前提のもとに従業員を雇用したわけでございますから、経営者はぎりぎりのところまでその雇用を抱えるという経営姿勢が私は必要だろうと常に、今でもそういうふうに思っております。  その場合には、そういう会社が体力のあるうちに別の分野に進出をして、会社の中で雇用を移転させるということが私はベストの選択だろうと今でも思っております。  ただ、万やむを得ずそのようなことが可能でない場合にも、やはり働いている方々が雇用に対する希望を失わないような施策というものが小渕内閣の最重点の政策一つであるべきだというふうに私は思っておりますし、政府部内においてもそのことは今後も主張してまいりたい、そのように思っております。
  133. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣の見識については了解しましたし、ぜひ一層声を大きくしていただきたいと思います。  次に、新エネの関係で、風力発電。  先ほどからずっと同僚議員とのやりとりを聞いておりまして、私は、太陽光発電で先般の委員会のときに長官にも言いました。きょうの答弁を聞いておりましても、どうも納得がいかないことがあります。  要するに、結論を言いますと、ドイツが二百七万九千キロワット、アメリカが百八十万、デンマークが百六万一千、インドが九十三万、スペインが四十二万五千、イギリスが三十二万四千、オランダが三十二万五千、中国は十六万九千、イタリアが十万五千、日本が一万七千。  私はもういろいろ言いませんが、やっぱり問題は結果ですよ。それは、ドイツだって資源のない国でしょう。イタリアだってない国でしょう。一万七千というのは、これはどう言ったって議論にならぬです。だから、いろいろ言われるなら、少なくとも原発一基分ぐらい、百万ぐらいの容量の設備をやって、そして何か言うことがあるなら言ってもらいたい、そんな感じを強く持ちました。  長官、あなた、苦手ならどこか違ういいポストにかわってもらって、やる人をそこへつけなきゃだめですよ、話をこの前から聞いておりまして。いかがですか。
  134. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 新エネに対する思い、大事であるという考え方及びその施策での助成、もう全く先生から御指摘を受けているとおりでございます。  新エネにつきましては、かねて御案内のとおり、積極的に推進するために法律をおつくりいただき、また本年度の予算でもかなりの額の増額を行いまして、また、これが新規産業分野の一つとして今後重要な期待が持たれるという趣旨で産業再生計画にも取り上げられたということでございます。  今後、風力を含めた新エネルギーについて資源エネルギー庁として真剣な取り組みをしてまいりたいと思っております。
  135. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣、太陽光についてこの前ちょっと、原発の関係の委員会でしたか、そのときに科技庁長官にも言ったんですが、今手がけるとすれば、急いでやってもらえば、これは雇用面からも景気対策になりますから、風力にしても太陽光にしても、これは急いでもう一回わくわくするような気持ちでやるように指導してください。何かありますか。
  136. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 再生可能なエネルギーと申しますか、結局は太陽から来ておりますエネルギーをいろいろな形で利用するという形になりますが、風力とか太陽光発電とかというものに対する以前私が持っておりました考え方を変えた方がいいなというふうに最近思っておりまして、こういうものにもエネルギーの問題としても大いに力を入れなければなりませんし、新しい技術を開発する、そういう側面からもやはり意欲を持ってこういうものは国全体として取り組んでいかなければならないと思っております。  例えば風力発電にいたしましても、超電導の電池というものが、理論的には存在しますが、実用性のあるそういうものが仮にできますれば、実際は大量の電力というものをそういうものに蓄えておくことができるわけでございまして、そういうものはエネルギーの利用あるいは科学技術開発等々、あらゆる意味からそういう新しいものに臨んでいく気概と申しますか、気風というものもやはり日本全体として私は必要なんだろうと思っております。もちろん、それが新しい産業を生み、新しい雇用を生むということは、長期的には私は当然そういうことも期待をしているわけでございます。
  137. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 テレビでもやっておりますし、だんだん太陽光にしても風力にしても、これは環境の面やあるいは省資源の問題やいろいろな面から見てもそう悪いことではないわけですから、今大体国内の雰囲気もできつつあると思うので、だからあとは通産省・エネ庁に景気対策、雇用、こういう面からも積極的にどんどん今やってもらいたい、このように重ねてお願いをしたいと思います。  次に、電力料の内外価格差の話で、私がいただいております調査室でつくった資料で、これは通産省から出ておりますが、家庭用電灯料金、産業用電力料金、どちらもアメリカドイツフランスイギリス等々と比べてずっと四、五円ぐらいの差があります。これは、購買力平価云々の話も出まして、要するにいろいろ考え方はあったとしても、アメリカに比べても日本電力は実際問題として今までは高かったんじゃないか。これは、日本の進出した企業が行って向こうで電気を使って仕事をしている人に聞いたらすぐわかると思う、日本電力料と向こうの電力料は。その辺のことはある程度決着をつけておかないと、いや、日本電気は安いんだというところから出発するのか、高いというところから出発するのか、そこはひとつもう少し何か明快に物を言えるなら言っていただきたいのです。
  138. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 通産省全体の政策としては、高コスト是正ということを実は皆様方にもお願いしているわけでございます。これは物をつくりますときに、電力ばかりでなく、倉敷料にいたしましても物流経費にいたしましても、国際比較をして日本の生産コストを決めるいろいろな要素というものが高いということに気がつくわけでございます。もちろん日本特有の土地の値段の高さとか地代とか、そういうものもございますけれども、いずれにしても、日本が国際経済社会の中である一定競争力を維持するためには、そういうすべての生産要素コストを下げる、こういうことが必要でございます。これを我々は総称して高コスト構造の是正、こういうことを言っておりますが、この中には当然電力料金も入っているわけでございます。  ただ、電力料金比較するときの難しさというのは、実は電力というのは一キロワットアワー当たりということのほかに、先ほどるる御説明申し上げましたように、質の問題が入ってまいります。そういう質の問題を考えながらコスト比較をしなければなりませんし、また海外と比較する場合には一度スクリーンを通して比較をしなければならないわけでして、スクリーンと私が申し上げますのは為替レートの話でございまして、為替レートが百四十五円になったり百十円になったりという、為替変動の幅が非常に大きいときには一体どの時点をとらえて価格を比較するかという、そういう問題もございます。  しかし、一般的な印象としてはやや高いのではないかと思っておられる方が私は多いと思いますので、これはやはりなるべく安い電力供給するというのは電力会社側経営姿勢としては大変大事なことでございますが、そういう質の問題、為替レートの問題もまた現に存在するということはぜひ御理解をしていただきたいと思っております。
  139. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 余り言いたくないんですけれども、九州電力なら九州電力を考えますと、各県とも県庁所在地に電力会社の立派なビルがだあっとあるんです。これはやっぱり独占の利潤を追求した面は否定できないと思うんです。だけれども、それがいいとか悪いとかいうことは言っていないんですが、価格を比較するときにはいろいろな角度から見てよく比較をしていただきたい。私はこれまでは高かったのは事実だろうと思います。  次に、今度の自由化改正によって特定規模電気事業者、これの定義は、電気の使用者の一定規模の需要であって通商産業省令で定める要件に該当するものに応ずる電気供給を行う者云々、これはややこしいんですが、このように言われております。具体的には第二条ですか、どのような規模でどのような要件が設定されるか非常に明確でないわけです。いわば二千キロワットで、二万ボルト以上ですか、これは省令でやる。これは法律に明記したらどうして悪かったんでしょうか。
  140. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 部分自由化範囲につきましては、電力会社電力会社以外の供給者との対等な交渉ができる立場にあることということのほかに、電気事業全体の系統安定を阻害しないものであることという二つの大きな枠組みを法律で決めることといたしておりまして、そのもとで、具体的な範囲につきましては、今お話がございました二万ボルト、原則二千キロワット以上というような数値を省令で置くことにいたしてございます。  例えばこの定義を行います場合に、定量的な基準のみならず、電気の使用形態が需要家によって非常に多岐に分かれるところがございます。したがいまして、どのような使用形態におけるものとするかなど技術的な観点も含めて専門的な対応が必要ということがございますし、また今後このネットワークの拡大、系統技術の発展によりましてこのすそ野部分の対応の数字も変わってまいります。そういうことで、具体的には省令に依存をし、大きな枠組みを法律でお決めいただくという考え方に立ったものでございます。
  141. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 だから、国会軽視と、よくやる手なんです。こういうのは、大体議論させておいて、あとは中身は省令か政令でやらせてほしい、あるいは通達か何かでやらせてほしいと。そういう二千キロワット以上とかあるいは二万ボルトの特別高圧送電線以上にするとかいう、その一番大事なところはそっちで決めるようなやり方というのは、私は何度も言いますが、どうも国会の審議、国会軽視じゃないかと思います。それはそれでいいです。  次に、いわゆる託送、これは東京電力は平均三・五円ぐらいだという案を持っているようなんですが、公平で公正な託送料金を決めていくということだけ言っているんですが、これも、この一番大事な託送部分は、大体何円ぐらいでどうなるかというようなことを議論しなきゃこの法律全体の議論がしにくいわけです。これもまたオブラートに包んでしまって我々はなかなか託送ルール、公平公正なルールということしかわからない。この点はどう考えていけばいいんですか。
  142. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) この託送料金につきましても法律二つの原則を明示していただいておりますが、一つは送電線の建設、運用に必要な経費を過不足なく回収することを確保する、二つ目電力会社新規参入者の間で公平な料金負担を確保する、こういうルールでございます。  この詳細なルール設計につきましては、技術的な問題が多々含まれますので、制度発足までに電気事業審議会において御審議をいただき、さらにパブリックコメントに付することによって一般の御意見を酌み取ることとしているというふうに御理解を賜りたいと思います。  具体的な料金水準につきましては、法律の施行後、事業者が届け出るものでございまして、その内容が合理的なものでない場合には変更命令の対象となり得るものでございます。  現時点では、電気事業審議会で具体的な議論をしていただいておりますので、行政として関与する段階ではございません。
  143. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 その審議会というのは、国会が行政組織法で任命した審議会じゃないんでしょう。
  144. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 資源エネルギー庁の電気事業審議会でございます。
  145. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 だから、審議会審議会と言っても、本来なら審議会の議論はこの法律を採決するこの時点までにはやっぱりわかっておかなきゃいけない、後で審議会でやりますからと言っても。しかも、その審議会は国会が任命した審議会ならこれは我々は尊重しなきゃいけないけれども、あなた方のやり方というのはどうも反対なんだ。以後、こういうことをやっぱりやりますか。
  146. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 審議会の審議の内容その他、その結論につきましては随時また御報告を申し上げたいと思いますが、この制度の中で具体的な運用を行います場合に、かなり技術的な事項が多々含まれてこのレベルが決まるものである、したがってかなりの専門家の意見を聴取することが必要だということを御理解賜りたいと思います。もちろん、この法律の御審議を賜るまでに十分な結論を出してここで御審議を賜ることが必要であったことは重々承知してございますが、その点、結論をまだ得ていない段階でございます。
  147. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 専門家の意見というけれども、あなた方が専門家じゃないか、最も専門家は資源エネルギー庁の職員でしょう、担当者でしょう。これ以上の専門家がどこにおるんですか。あなた方、調子が悪くなったら審議会に逃げ込んでいくようなことを言っている。  だから、エネ庁としてはどうするのかというのを我々に肉薄するようにやっぱり説明をやってもらわなきゃいけない。この託送ルールというのは一番大事なことでして、これがどういうふうにどう決まるのかというのは、これは法案全体の骨格の中心部分を占めるんです。これは本当にこういうことでは困ります。  時間がないですからやめます。
  148. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 同僚議員のいろんな方面からの質疑が相当取り交わされて、もう私の段階になると質問をする項目が狭まってきてしまう。しかし、せっかくの機会でありますから、ちょっと冒頭に、今回の法律改正というのは平成九年五月に閣議決定した「経済構造の変革と創造のための行動計画」に基づいたところから出発しているというふうに認識をいたしております。電気事業法ガス事業法改正、そして自由化かつまた今までの各般の話のように料金の問題等々、いろいろ規制緩和に絡んで今回の法律改正ができているとしましても、含まれている内容と今後の方向というのはかなりいろんな問題を含んでいるような気が私はするんです。この法律改正のここの分野だけを質疑していくだけでいいのかなというぐらいに、本当は問題点は将来ともに継続されていく、あるいはまた内蔵している問題が、引きずっていく問題があるように思われてならない。  時間が私のところも二十分しかないですから、余りちょうちょうと言うことはよしますが、具体的には結局、大口需要家がどんどん自家発電をやっていくことを言うならば奨励しましょうということですね。我が国のエネルギーの消費というのは、ある面においてはいわゆる大口需要と考えていいでしょう。二、三年前のデータしか私持っていませんが、産業部門というのが四九・六%、民生部門が二六%、運輸部門が二四・五%ぐらいです。この産業分野が極めて大口だ。しかし、それは新日鉄さんを初めとして自家発電をやっている。  これは、電力会社は、今の同僚議員の話のようにかなり寡占的、独占的に戦後の九電力、かつもう一つ電発を入れれば十電力ということでしょうが、そうやって割り当てあるいはまた独占を許してきた。本質的にそういうものと構造が変わってくる、またそのねらいでやっているわけですから当然だと思うんだが、実際問題、将来この十電力体制というのは、どうだろう、健全で維持されていくとか不健全で維持されるとかというのは抜きにして、やっぱり問題点を引きずっていくような気がします。  ましてや、今までも、我々は特に地方に生活してきた人間として、いわゆる地方電力電力料金が高い、東京電力あるいは関西電力を初めとして電力料金が安い、もう既に格差があってしまっているわけです。そこへもってきて、さらに大口電力と言われるところが自家発電をしていく。そうすると、それらに対するバランス。あるいは、電力料金を安くしてと今おっしゃっているけれども、実際にそのことがもし万一小口の、いわゆる個人の消費者に対してそれがしわ寄せとか、あるいはまたその負担がふえてくるというようなことになっていく。あるいはまた、電力の送配電等を初めとする設備等を考えていくと、北海道だの東北なんというのは地域が非常に広い、広いところへもってきて雪は降る、電線は年じゅう切れる。あるいは鉄塔の問題一つとらえてみても、大都会のところは雪は降らないから鉄塔の厚さも違う、要するにコストが違う。  そういういろんな矛盾をこれまでも九電力あるいは十電力、まあ九電力ではらんできながら、しかし何とかかんとかお互いに電力の配分を融通し合いながら、そして全体としてのコストの平準化を考えながらやってきたわけです。  しかし、こういう政策、僕は基本的には賛成ですよ、賛成はせざるを得ないと思うし、賛成します。しますが、含まれている問題というのは、極めて私は将来、そう単純なものではないんじゃないかという感じがしてならないんですけれども、その辺の認識はどんなふうに考えますか。
  149. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 今回の改正の前提となっております我が国の電力供給体制、これは基本的には発送電一貫の御指摘のありました十電力体制のもとでございますが、効率的な供給を追求すると同時に、送配電設備形成あるいは原子力開発の長期投資を行うなどによりまして、系統安定、エネルギーセキュリティー確保環境保全という公益的な価値を実現してきたものと考えております。  今回の部分自由化導入におきましても、こうした公益的価値の実現と一層の効率化を促進するという要請を両立させることが重要であると考えてございまして、このため現行の十電力会社のネットワーク独占を前提としつつ、そのネットワークの利用拡大を通じた競争導入を図るという形をとってございます。したがいまして、小売の自由化論議が直ちに十電力体制の見直しにつながるものではないのではないかというふうに考えてございます。  また、大口自由化に伴いこの自由化部門の赤字を小口需要家の料金引き上げにつなげるおそれはないかという御指摘がございました。まさに委員指摘の点が電気事業審議会の答申においても特に強調され、検討すべきであるというふうにされた点でございます。  この対策としては、具体的に二つ対策を考えてございますが、第一には電力会社が規制部門の料金設定を行う際、この全体の費用を自由化部門と規制部門とに適切に配分することが求められているわけでございますが、そうした規制部門と非規制部門へのコストの配分のところが第一の点でございます。  それから次に、この自由化部門、規制部門の部門別の収支を明確に確認するということでございまして、このために配分のモデルを設定する、あるいはそれを確認する、また特に自由化部門の収支が赤字の場合にこれを規制部門の方に転嫁しない、かような措置をとっているところでございます。  いずれにしても、三年後をめどにまた改めてレビューをいたします。
  150. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 それは役所の答弁だから、百点満点目指してそういう答弁だろうと思うんです。  しかし、問題点は、これは必ず今の現状ではいけないということになっていきますよ。だから、電力会社同士が夏場電力の足りないところは供給し合うとかいろんなことをやってきたにしても、電力料金の問題などにして、先ほどから議論が出ているように、コストを安くするということであるなら、電力製造のコストを当然安くしていかなきゃいかぬわけです。そうなれば、今まではそれぞれ独占的にやってこれたからある程度可能であっても、私は、将来そういう問題が出てくると、電力同士の相乗りとか、あるいはまた交流とかということが出てきて、今までやってきた九電力、十電力の体制というものに、私は悪い意味で言っているんじゃないですよ、いい意味で必然的にいろんな変化が起こるであろうというふうに思われます。  そういうことの中で、この電力あるいはガス事業というのは人的資源技術的な資源というのは非常に豊富に、あるいはまた経済の牽引車としてやってきた役割というのが大きかった。そういう意味では私は、これらのこの法律改正一つの契機になって、これからの新しい時代というか、そういうものをにらみながら健全なエネルギー供給源としての各社の努力と、本来的なエネルギー庁の電力企業に対する監督官庁としての役割をぜひ認識されて仕事に当たってほしいと、こう思います。  そこで、いろんな意見が今まで出ましたので、なるべく私は重複しないようにちょっとむしろ次元の低い話を質問をしていきたいと思うんです。これは電源開発促進税制のことであります。私もかつてこれは責任もありますので、余り偉そうなことは言えませんが、要するに十社以外のこれからの新しい発電をする事業者というのには課税しないんですか。さっきの質問ではするとおっしゃったけれども、そうですか。
  151. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 課税をいたします。
  152. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 それなら結構だと思うんです。やっぱりそれは大きな事業者であっても小さな事業者であってもやられるべきだと思う。電源三法に基づいた、千キロワット当たりにつき四百四十五円という金額を私は今でも忘れませんが、その金額はやっぱり行われてしかるべきだというふうに思います。  私の郷里の新潟は、福島、福井に次ぐ全国で三番目の電源立地県でありますが、関東圏を中心に県内の発電電力量の七割以上の電力を県外に移出しています。エネルギー資源の乏しい我が国を考えれば、どこかで発電しなきゃならぬ、生活・産業活動が停滞することは明らかですから。そうした意味においては、現状を踏まえて我が県を初めとして電源立地県は発電所の建設に協力していくことは当たり前だと思うんです。こうしたものに対していわゆる電源三法を初めとしたさまざまな地域振興支援が行われてきたわけであります。  基本的には、発電所というのは比較的人口の少ない、あるいはまた過疎地域あるいはある意味においては財政的に余裕のない、そういう公共団体が一般的には多いということだろうと思うんですが、私のところなどは平成九年で約千六百億円交付されています。しかし、この交付される交付金に対して、かつて私は、これはエネルギー庁が電力会社が一般の電力利用者からもらう電力料金の中から払うものであって、電力会社の金を払うものではない、したがって国民の利用税だ、利用負担の金額である。であるとするならば、これは、ただこれだけの電力が出るんだからこれだけの金をやるよと、その移出県に交付するよというだけじゃなくて、それに対する使用する計画、企画というものをエネ庁は十分に把握して、当事県とよく打ち合わせをしてやっていくべきではないかということで今日来ているはずでありますが、往々にしてどうも惰性に陥っている感があります。市町村から上がる、県に行く。そうすると、県はそれをエネ庁に持っていく。それは、めくら判とは言わないが、大体そのまま行く。それでは、エネ庁にこの電源三法の交付をする一つの精査をしていってほしいとした期待は、全くこれはもう裏切られたと言っていい。  それならば私は、もう十五年ぐらい前になりますか、そういうものをこの場で撤回しても差し支えないんですけれども、むしろ地方公共団体の自由裁量に任せる。そして、その地方の方がどういうふうにこの交付金を有効に、しかも電源立地市町村に対して市町村民の理解と協力を得るために使用していくかということをそれぞれの自治体の責任においてやらせることの方がむしろ効率的かなと。これは私のこの数年間じっと見てきた中から、私はあえて実は申し上げたい。  そのことについて長官の考えをちょっとお聞かせいただきたい。
  153. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 昨年でございますが、立地地域振興策のあり方について、電気事業審議会需給部会で地元の代表の方にもお入りをいただきまして、半年近くの議論をいたしました。
  154. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 余り時間がないから簡潔に。
  155. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) はい。  この中で地元の要望も含めまして二点の改正を行ってございますが、一つは雇用というキーワードでこれを動かすこと、二つ目は補助金の弾力化、統合を図るという方向で動かすこと、二点でございます。  国と地方の関係についてさまざまな議論がこの電源三法交付金に限らずあると思いますが、通産省としての方針は今申し上げたとおりでございます。
  156. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 時間がないですから。  しかし、これは検討する必要があると思うんです。私は、与党の一員として自民党にもこれは問題提起していいと思うんです。もうその方がかえってエネ庁は煩わしくなくていいはずだ。そういう意味で、もともとなかったものを僕はエネ庁で精査しろと言って今日、十何年かやってきているけれども、地方の時代だし、しかも地方に財源がない、もうこれは地方自治体が自由裁量である程度弾力的に使用していくということの方が、ある意味においてはこの電源三法の交付金の精神に沿うことになるというふうに私は思います。そういう意味で、改めて提案をいたしたいというふうに思います。  ところで、今あなたはそういう意味では雇用の面とかその他のことをおっしゃいました。もう時間がないのでやめますけれども、本来、電力会社は、これは本当に二十年前から言っている話なんですが、その電力立地市町村にせめて自分の会社の子会社や系列会社ぐらい誘致したらどうかと。何ぼ言ってもやらない。もう何ぼ督励しても、ただ交付金を出せばいいだろう主義のやり方だ。  私は、もうそれも限界ではないかと思いますよ。発電をしそして発電所を設けてもらっている市町村に感謝と協力とこれからさらなる信頼関係を維持していくのには、まさにそこにせめて電力会社の関係する企業ぐらいは誘致して地域振興と雇用の促進を図っていくということが本当だと思う。  そういうことはエネ庁がやりなさいと言うんですよ、そういうことぐらいはエネ庁が媒介になってやっていくべきではないですか。そういうこともできないから、私は交付金の精査をする資格もないということを実は申し上げているわけであります。  これから電源地域振興特別措置法などということも考えられているようでありますが、ぜひ地域振興、電源地域振興促進事業ということを本格的に、この不況あるいはまた、不況とは言いません、ある意味においてはこのような経済状態で行くとするならば、企業のいわゆる分布図等々も考えながら、我々はかつては都内から地方に行く企業を促進するための税制を創設したらどうかとまで考えたことがありますが、実際にそういうことの時期に入っているのかなという感じがします。  エネルギー庁というのはそういう意味では、非常に幅広い政策が展開できるあるいはまた推進できる役所であるはずでありますから、その点を踏まえた今後の行政を期待しながら、また長官には、ぜひひとつそういうことも各社とも話し合って、今我々が電源立地県あるいは市町村民の一員として申し上げていることを踏まえてできるだけの御努力をしていただけないか、あるいはその決意、どういうお考えを持っているかちょっとお聞かせをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  157. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 現在の電気事業が持っております各般の問題について御指摘がございました。御指摘の点を踏まえて、今後行政に鋭意意を尽くします。
  158. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 終わります。
  159. 水野誠一

    ○水野誠一君 最後質問者になりました。渡辺委員以上に聞く範囲が狭まって大変困っております。  今回の改正は、二〇〇一年までに国際的に遜色のない水準のコストサービスを目指すという政府の姿勢を具体化するものである、また昨年の規制緩和推進三カ年計画にある小売供給自由化を初めとする競争促進を推進するという内容に沿ったものでありますし、電力ガス自由化ということ自体世界的な潮流であるということで、需要家利益観点あるいは産業の国際競争力を増進するという観点、あるいは産業の空洞化を防いでいくという観点からも歓迎されるべき体制だと、私はかように思っております。  午前中に他の委員から規制緩和に対する慎重論も出てまいりました。私は、少し異なる立場から、今回の規制緩和電力会社設備投資の関係について伺いたいと思います。  過去に政府は、公共投資とともに電力会社設備投資に景気の牽引役を期待した、経済対策としてあるいは景気対策として電力会社に対して設備投資を前倒しさせることなどによって有効需要の創出を図るというようなこと、これをやってきたことは事実であります。しかし、そうしたやり方が電力会社コスト意識造成を妨げ、財務体質を悪化させ、結果として市場における評価を厳しいものとさせる、こういうことが最近起きてまいりました。  これは、一電力会社経営体質の問題だけにとどまらない問題があると思います。コスト意識の甘い電力会社が発電機をつくる日本の重電メーカーをぬるま湯につけさせてしまう、それによってこれらのメーカーの国際競争力の低下を招いた、こういう指摘もございます。私は、こういった指摘は完全に当たっているとは言えませんが、かなり正鵠を得たものではないかなと思います。  今回のガスあるいは電気事業制度の改革、規制緩和は、これらのエネルギー事業の高コスト構造の是正だけにとどまらずに、こうした我が国メーカーの産業構造の空洞化に歯どめをかける意味でも大変重要視する必要があるのではないかと思います。  私、今回質問に当たって新聞社の記事のデータベースを検索してみましたところが、九六年、ちょうど今から三年前に関西経済同友会の山野代表幹事、三洋電機の副会長でありますが、この方の談話が出ている。そこでは、国際的に割高な電気料金の問題など日本社会の高コスト構造を思い切った規制緩和で解消しない限り製造業の空洞化に歯どめはかからない、こういう警鐘を鳴らしているわけです。同時に、三洋電機での体験をお話しになっていまして、英国で電子レンジ部品工場をつくった、しかしそこの電力供給を英国国内の供給からフランスからの電力購入に切りかえたところ一五%のコストダウンになった、こういった事例をお話しされています。もう既に三年前で、ヨーロッパではこういった電力の価格競争というものが実際行われ、それが産業の競争力ということに大きく寄与していたという一つの実例を見た思いがあるわけであります。  話がちょっとそれてしまったのですが、そういった観点を持って今回のこの改正を見た場合に、電力会社も一民間企業である、民間企業としてこれから合理的な設備投資を当然考えていくであろうというふうに思うわけでありますが、そのあたりについて、そしてまた今回のこの改正によって本当に電力会社経営体質というものが変わっていくのだろうか、このあたりについての御見解を伺えればと思います。
  160. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 電力というのは非常に特殊なものでございまして、通常の他の経済的な財とはなかなか比較をできない性質を持っております。私は、電力会社設備投資というのは合理的なものでなければなりませんし、買うのであればなるべく安く物を買うということが必要であることは当然であると思っております。  ただ、それでは、電力会社に物を供給する側の、物を売る立場の方に立ってみますとどういうことが起きるかと申しますと、例えば生産工場ですとある一定の生産を継続的に行うということが可能なんですが、電力会社設備というのは非常に大物が多くて、どんと需要が起きてそれが終わると全く需要のない時期が来るという、非常に注文生産的なところがございます。したがいまして、注文が来ない時期のオーバーヘッドあるいは研究開発費等、目に見えない部分が物の値段に入ってくるということがございます。  しかし、それにもかかわらず電力会社というのは合理的な購買をしようという努力をしていることは事実でございますけれども電力会社がその持っている力をもってして買いたたきをやったら一体どういうことが起きるかといいますと、それは結局その下請、孫請にしわ寄せが行くということが一つ。それから、場合によっては電力の機械の生産から手を引いてしまう会社があるかもしれない、そういう問題が実は存在をしております。  そういうことですから、物の値段を考えるときに、例えば特に典型的なのは、原子力用の機器などは注文が来たり来なかったりというその波の激しさというのは相当なものでございまして、なるべくつくりたくないというところが多くなってしまっては困るという事情もございます。  ただ、先生が御指摘になられましたように、日本電気は高いんじゃないかということを一般の方は非常に思っておられますし、そういう面ではやはり電力の生産コストを下げるという努力は各電力会社経営姿勢としては当然あるべきだろうと思いますし、地域独占を許され、またコストプラス適正報酬という料金体系が許されている以上は、なるべく安くするという経営努力を私はしていただきたいと思っております。
  161. 水野誠一

    ○水野誠一君 今の御答弁でわかったんですが、ただ、こういった電力会社の問題だけではなくて、そこにまた供給するメーカー、重電メーカー、そういったところが日本市場の中で守られているがために、逆に言うと国際競争力を持てなくなっているという面も私はやっぱり否めないのではないか。言ってみれば、市場は日本国内だけではなくて世界にあるわけでありますから、そういった視点からいけば、こういったメーカーにもやはり今回の改正意味というものを十分に受けとめていっていただきたい、かようにも思っております。  次に、今回の改正一つだけちょっとわからないあるいは心配な点がありますのは、地方ガス事業調整協議会を廃止するという点であります。  ガス事業においても、一般ガス事業者と簡易ガス事業者の競争、あるいは都市ガス業者とLPガス業者との問題等々、電気事業以上に非常に厳しい競争が展開されていると聞いております。  重要なのは、需要家供給者を選択する機会を拡大することによって需要家利益の保護増進を図ることにあると思うわけでございますが、これまでこうした関係を調整してきた地方ガス事業調整協議会がなくなるということによって何か懸念される問題はないのか、あるいは需要家利益のさらなる増進ということはどういうふうに担保されるのか、この点について伺いたいと思います。
  162. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 地方ガス事業調整協議会は、一般ガス事業者供給区域内における簡易ガス事業の許可を行う場合に、慎重かつ公正な判断が必要という趣旨でこの協議会の意見を聞いているものでございます。  ただ、これまで二十五年以上の運用実績から見ますと、許可に際しての基準を明確化することがむしろ可能になってきておりまして、これによってあえて第三者による判断を仰ぐよりも、許可の基準を明らかにしたものに応じてそれぞれの事業を行っていただくということが是かということでございます。  今回、そういう趣旨で許可基準を明確化しますので、一般ガス事業者供給区域内に参入しようとする者がその事業計画を立てるにも容易でございますし、またその手続も短縮されるし、外からも明らかだということで、需要者の保護の点で問題が生じるということはないというふうに理解をいたしてございます。
  163. 水野誠一

    ○水野誠一君 今の問題とも多少関係するかもしれないんですが、次に私はLPガスの問題をちょっと伺いたいと思います。  現在、いわゆる都市ガス一般ガス事業者供給区域というのは都市地域面積の約二割でしかない。残りはLPガス、プロパンの供給によって賄われているということであります。  公益事業としての都市ガス事業には料金規制がかけられているために、消費者は、ガス料金がどれくらいなのか、あるいは他の地域と比較してどうなのかということを知ることができるわけですが、プロパンガス業者には料金規制がないために、他社とのガス料金の比較を消費者がすることは難しいというふうに理解しております。  消費者にしてみれば同じガスでありまして、生活に必要なエネルギー源としての非常に重要なガスであるわけですが、なぜこのような差が出てくるのか。それで、プロパンガスには保安規制のみで、料金規制がないのはなぜなのか。この点について伺いたいと思います。
  164. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 都市ガスにつきましては、ガス導管供給するという趣旨で独占を認めること、それによって設備の二重投資、重複を避けるという趣旨がございます。そうした独占を与えることに伴いまして、使用者の保護等々の趣旨で供給義務の裏返しの料金規制を行っているというものでございます。  他方で、LPガスの方は、御指摘のように全国総世帯の約五五%、二千五百万世帯に供給を行っている重要な家庭用燃料でございますけれども、これは個別供給を基本としておりますので、むしろ実際的な競争に物を預けることがベターかということでございまして、法律の形では災害の防止、取引の適正化という趣旨での規制を行っていると。中身は、むしろ競争原理によってその料金を決めていただくことが適切かということでございます。  ただし、御指摘のありましたように、小売価格の透明性を確保するという趣旨は極めて大事なことでございまして、価格動向調査結果の消費者への提供などを通じまして、行政としてもこの法律の厳正な運用にあわせて、価格情報の提示及び一般消費者がそれをもって比較し得るという状況をつくるべく努力をしておるところでございます。
  165. 水野誠一

    ○水野誠一君 通産省では、都市ガスとLPガスとの料金比較と申しますか、どれくらいの差があるのかというようなデータの把握というのはされているんでしょうか。
  166. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) 非常に乱暴な平均をいたしますと、全国平均では、LPガスを一〇〇といたしますと都市ガスは八三というレベルでございまして、その間に一七ポイントの差がございます。
  167. 水野誠一

    ○水野誠一君 この差というのはこれから縮小していくというふうに考えてよろしいでしょうか。
  168. 稲川泰弘

    政府委員稲川泰弘君) このLPガス供給サイドには大変大きな流通変革が起きつつあると我々は理解してございまして、そういう意味でこの差は縮まっていくだろうというふうに考えてございます。  今回、特に許可基準を明らかにして、先ほど御指摘のありました都市ガス区域内での新しい事業についていろんな規制を緩和していく動きもございます。そういうことで、実態的にこのLPガス供給・流通サイドの競争はかなり激化しているという理解もしてございまして、縮小の方向で動くと理解してございます。
  169. 水野誠一

    ○水野誠一君 LPガスは自由競争原理でというふうにおっしゃってはいるんですが、私は、よく調べてみれば実態は、その地域地域の権益というものがあって、なかなか新規参入が難しかったのが今までだったと思います。ですから、今長官がお話しになるような、本当に自由競争によって価格が公正に、またかつ透明な競争条件に入っていくということをぜひお願いしておきたいと思います。  次に、もう時間もないんですが、環境問題について伺いたかったんですが、加藤委員からは風力発電、それから西山委員からはアセスメント法についての御質問もございました。諸外国での電力自由化と並行しての太陽光発電、風力発電などの新エネルギー技術開発、こういった話も前回委員会も含めて何度か指摘され、また質問されているところでございます。  私は、次回のチャンスにこれは譲りたいと思っておりますが、風力発電あるいは太陽光発電などの新エネルギーの問題、これについて稲川長官は何度か御答弁なさっています。前回、欧米での、特にヨーロッパでの風力発電の普及度の御説明もあったんですが、その数字が私の把握している数字と多少違っていたような面もございました。これも私の方でも再度調べまして、また次回、この辺の御質問はさせていただきたいと思います。  言ってみれば、かなり実用価値といいますか、実用性といいますか、そういうものが本当に理論的な段階から実用の段階に移ってきている。これはきょうの加藤委員からの御指摘もそのとおりだったと思います。そういう中で、ぜひとも新エネルギー問題への取り組み、電力自由化環境問題と矛盾することではなくて、むしろ環境問題解決そのものであるという大きな方向にもつながると思いますので、先ほど大臣からもいろいろ御見解が述べられたんですが、そういった環境問題解決と同時に、新エネルギーへの取り組みの抱負をいま一度伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  170. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 私どもエネルギーの需要というのは世界の中でも相当大きいものでございまして、化石燃料だけに依存していた時代は、我々は脱石油というスローガンのもとで石油からなるべく他のエネルギー源に移行しようという努力をいたしました。相当移行は進んで、今は天然ガスの使用も相当ふえてまいりましたし、また原子力発電所も、昭和四十八年以降の状況を見てみますと日本電力の半分程度は供給できるところまで来たわけでございます。  一方では国民のエネルギー需要を満たすという責任もございますし、一方では環境に対して負荷の少ないエネルギーということも考えていかなければなりません。これは、原子力発電所を建設すればCO2は減りますけれども、一方では放射能という国民に完全に理解していただくためには時間のかかることもございます。また、そういう中で新しい風力とかあるいは太陽光発電とかいうものが、昔はこれは実験段階という形で論じられておりましたけれども日本でもそういうものを導入しようという意欲も相当出てまいりましたし、我々通産省・資源エネルギー庁もこういうものにもさらに着目して、今までやってまいりました努力をさらに大きな努力にしなければならないというのが私の今の考え方でございます。
  171. 水野誠一

    ○水野誠一君 終わります。
  172. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  173. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対理由の第一は、大口部門の小売自由化によって電気料金の引き下げを図るとの政府の自由化政策に根拠がないからです。ガス事業の場合も同様であります。  また、小売部門に参入する事業者は、既に発電部門に参入しているIPPと同じ事業者になることは明らかであり、それらの発電所の圧倒的多数は石炭、石油、残渣油など相対的に環境負荷の大きい燃料を燃焼させることになっており、二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物、重金属などが排出され、地球温暖化など国民には環境汚染のデメリットが降りかかるおそれがあります。  反対理由の第二は、電気及びガス事業の兼業規制廃止は公益事業本来の役割をゆがめることになりかねないからであります。  第三の理由は、料金引き下げの場合は届け出制になっており、その際、料金引き下げの原資がある場合でも全額を料金引き下げに充当する義務はなく、政府の言う経営効率化成果が一般消費者や中小企業に還元されないおそれが十分に考えられるからであります。  以上で私の反対討論を終わります。
  174. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  簗瀬進君から発言を求められておりますので、これを許します。簗瀬進君。
  176. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 私は、ただいま可決されました電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 電気ガスが国民生活及び産業活動を支える重要なエネルギーであることにかんがみ、事業の効率化を進めるに当たっては、エネルギーセキュリティ、地球環境問題等に配慮したエネルギーのベストミックスを図りつつ、安定供給確保等の公益的課題への取組が損なわれることがないよう配意すること。  二 本制度改正の具体的設計に当たっては、新規参入拡大が有効な競争を促進し業務の合理化・効率化に資するものとなるよう、公正かつ公平なルールの整備を行うこと。特に、電力会社の送電ネットワーク及びガス導管の利用に係る料金算定根拠を明確にするなど、利用条件の透明性の確保を図ること。    なお、託送の利用が電力会社の系統運用やベースロード電源の活用に支障を来すことのないよう適切な制度設計に努めること。  三 本制度改正により期待される一般電気事業者及び一般ガス事業者経営の合理化・効率化等の成果が、小口需要家電気ガス料金等に適切に均てんされるよう制度の運用を図ること。  四 負荷平準化を更に進めるため、蓄熱式空調システム、ガス冷房等の負荷移行手段の更なる普及促進に積極的に取り組むとともに、夏季ピーク時の需要抑制について国民の理解と協力が得られるよう引き続き情報提供等に努めること。  五 地球環境問題への対応等の観点から、発電分野における自由化拡大が二酸化炭素排出の増加など環境負荷の増大を招くことがないよう、太陽光発電や風力発電等の自然エネルギーの普及・促進を積極的に支援するとともに、自然エネルギーを利用した電力の売買を促進するための施策について、引き続き積極的に推進すること。    併せて、途上国における自然エネルギー開発への取組支援に対し、先導的な支援・貢献に努めること。  六 施行後三年経過時に予定される本改正の検証と制度の見直しに向けて、大口及び小口需要家並びに供給事業者等から広く意見を聴取するとともに、諸外国の実情把握に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  177. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいま簗瀬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  178. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 多数と認めます。よって、簗瀬君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、与謝野通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。与謝野通商産業大臣
  179. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
  180. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会