○水野誠一君 参議院の会の水野誠一でございます。
今回の
独禁法の
適用除外の縮小、これは今まで何度も繰り返されてきたわけでありますが、いろいろ
背景的なことから考えても今回の
改正に異を唱えるものではない、
公取には引き続き
自己責任原則と
市場原理に立つまさに
市場の番人としてしっかりと努めていただきたい、かように思います。
民間企業の過剰設備の問題、これも同僚議員から繰り返し出た問題でありますが、今私は
経済再生をする上で非常に重要課題だと思いますので、あえて繰り返して御
質問をしたいと思います。
世界的な再編
競争が今取りざたされています自動車関連に例を見ても、九八年度の
国内生産台数が二十年ぶりに一千万台を割り込む見通しだと。これはピーク時では一千三百五十万台ということでありますから、二六%の減少。その結果、生産設備の稼働率が当然のことながら低下をして、単純に言えばトヨタ自動車一社分の生産能力が過剰である、余剰であるというふうに言われている。これは大変な
状況になるわけです。
例えば
経済企画庁の試算によりますと、九八年七—九月期に
企業が抱える過剰設備は過去最大の八十五兆九千億円ということでありまして、これはさまざまな計算方法があるでありましょうから
一つの参考としてとらえたとしても、これは何と九七年度の新規設備投資額にほぼ匹敵する
規模ということでありまして、つまり設備投資の丸一年分が過剰という驚くべき数値になるわけであります。
まさにバブル期の過剰投資による設備の余剰が今
企業のバランスシートを圧迫して機敏な事業活動を阻害する原因となっているということでありまして、総理直属の産業
競争力会議でもこの問題が大きなテーマとして位置づけられている。これはもう御承知のとおりであります。
そういう中で、将来の需要回復を当てにして設備の稼働率の引き下げとかあるいは一時的な休止でしのぐということよりも、むしろ大胆な設備廃棄に取り組む例が多く出てきている。報道では、自動車ガラスの五割のシェアを持つ大手ガラスメーカーでもう既にこういう一部工場の生産設備の廃棄、こういうことを発表しています。ほかにもこういった例は恐らく出てくるであろうと。
こういう余剰設備廃棄というのは個別
企業にとっても大変なことでありまして、必然的に雇用面での問題ということも出てまいりますから、まさに血のにじむような工夫と知恵が要求されてくる。これは単に一社の問題ではなく、大きくその
業界の共通課題にもなる。これは理解をしていかなければいけない点だと思います。
この設備の廃棄に絡んで、
業界別の新
会社や組合を設立するという方法、今いろいろ同僚議員からこれについての厳しい御
指摘がございました。それに対しては、
業界全体としてまたはその主要
企業が入った形でそれが行われれば
競争制限につながるおそれが強いという、現行の
独禁法上、
公取としては当然とも言える見解がもう既に示されているわけであります。
他方、これを弾力的に運用することを求める動き、これも
業界あるいは
経済界を中心に強いわけでありまして、きのうの朝日新聞などにも報じられているとおりであります。
それから、けさの閣議後の会見で宮澤蔵相が、景気回復のかぎを握るとされている
民間企業の過剰設備廃棄や債務
処理を後押しするために、
政府としては政策減税の実施に前向きに取り組む考えを明らかにしたと。具体的には言及しなかったということでありますが、恐らくこれは設備廃棄に伴う欠損金の繰越期間の延長や、法人税課税上の債務免除益と設備廃棄損失との相殺
処理などが課題になる、こういうふうに見られているということでありまして、まさに政界、財界挙げてこういった過剰設備の問題に今取り組むタイミングになってきているということだと思います。
こういう機運が大変高まってきているということでありますが、そういった
背景も踏まえて、
公取の方針というのはいかがなものなのか、どういう方針をお持ちなのか、この点について簡単にお答えをいただきたいと思います。