○渡辺秀央君
特許行政についての
質疑であります。
特許行政というのは決して狭いとは思わないんですけれ
ども、そう幅広いものではないので、今までの同僚
議員の発言と若干重複する点もあるかと思いますが、お許しをいただいて幾つかの点について意見を述べながら
質疑を交わしたいと思います。
翻って、今日、
我が国の工業
所有権制度は、明治十八年に専売
特許条例が公布されて以来今年で百十四年目を迎え、また
現行特許法が昭和三十四年に施行されて四十年目になることは御存じのとおりです。その間、数度にわたる
特許法などの
改正や
特許特別会計
制度の創設などによって工業
所有権制度は逐次
整備されてまいったこともまた事実であります。これによって、当初おくれていた
特許などの審査処理は、昭和四十年の二十二万件が六十年には四十一万件、そして平成七年には五十二万件と大幅に改善されてまいりました。それに伴って
特許実用新案の要処理審査
期間も、以前は三年近く、それ以前は七年ぐらいから十年ぐらいかかっていたのでありますが、最近では二年近くに短縮されているということも非常によかった、成果が上がっていると私は思います。
本当はこういう
特許という性質上、二年も長いのであって一年ぐらいで処理できるようでなければならないのではないか、でなければ
国際競争力あるいはまた技術立国としての基盤的なものがだんだん希薄になっていくのではないかという感じはいたします。しかし、そうはいうものの、このように審査処理能力が向上した
背景には、昭和五十九年に制定された
特許特別会計法があったということは否めない事実だと思います。
思い起こして昭和五十七、八年、私が当時通産政務次官のときでありましたが、この特別会計の創設にかかわり、相当反対意思の強かった上司である通産
大臣の気
持ちを和らげるために
大臣室に乗り込んでいって大分お話をしたようなそんな記憶も思い出すわけであります。そのときに申し上げたのは、いわゆる
特許というものの
重要性あるいはまた今後の技術立国としてのあり方等々の中から、極めて貧困であったこの
特許行政を進めていく
環境あるいは財政基盤等々によって特別会計
制度というのが当時財政当局においては拒まれた
制度でありましたが、しかし今日の
状況を見るに私は昔日の感があるということを申し上げたいのであります。
この
特許特別会計が提案された
背景としては、今申し上げたように処理
期間が七年から十年と長期化する情勢にあるというようなことがあって、この
課題を解決するため事務処理のコンピューター化、いわゆるペーパーレスシステムを導入し、そのために新庁舎を建設するという抜本的な対策が講ぜられ、そしてコンピューターシステムが導入されたわけであります。その財源としてのこの特別会計
制度は、歳入は郵政事業特別会計からの
特許印紙による受入金や一般会計からの繰入金などの収入をもって充てることとして、そのために昭和五十九年に
特許特別会計法が制定されたわけであります。
このように審査処理能力が大幅に向上した
背景には、特別会計を財源としたペーパーレスシステムの導入が貢献したということは今まで申し上げたとおりでありますが、この
特許特別会計については、先ほ
ども同僚
議員が述べておりましたが、近年相当大幅な剰余金、私の知るところでは
年間約五百億円以上の剰余金が生じている、非常に結構なことだとも思います。しかも、歳出の三分の一以上を占めているペーパーレス計画が終了すると今後は一層剰余金が出るのではないかと思われる。
今回の
改正で
特許料の引き下げや資力に乏しい中小法人に対する
特許料の軽減
措置が講じられているけれ
ども、多額の剰余金が生じていることを考えれば、今回の引き下げ以上に
特許料を引き下げることができるのではないか、もっと引き下げたらいかがですかと私は思うんです。そのことは
特許出願を増大させるインセンティブを与え、科学技術創造立国を目指す
我が国としてもプラスになると思いますが、この件について通産
大臣、いかがでございますか。