○渡辺秀央君 私が先ほど申し上げたように、要するに国内で
金融対策をやっているにかかわらず、民間
金融機関がせっかく軌道に乗ろうとしている各国から資本を引き揚げるということ、しかもそれは
政府が、
通産省がそういう保険とかあるいはそういう協力をやっているから、それに甘えて民間が引き揚げてしまうというんじゃこれは何にもならないので、そのことを申し上げているのであって、ぜひそれは通産
大臣から大蔵
大臣あるいはまた外務等々ともそういう点についての協調、あるいはまた国内
政策と国際
政策、アジア
政策との整合性等々によってぜひ強力に推進していただくように
お願いを申し上げ、期待を申し上げたいと思います。
次に、少しアメリカとの問題について、私、せっかくの
経済・
産業委員会ですから、時間がなくなってきましたが、少しこの場でいわゆる対米
関係について我々も
議論をしておかないといけないと思うんです。
それは、通産
大臣が単身で行って、国内で、議会でバックアップのない通商
政策などというのはあり得ない。そういう意味で、少し苦言も入るかもわかりませんが、あえて私は申し上げておきたいと思います。
我が国の主要な
貿易相手国の
貿易政策の問題点を明らかにして、
通産省は当該国に対して撤廃、改善を促すために、一九九二年以来、毎年不公正
貿易報告書を公表しているが、特に米国に関する不公正
貿易についてどのような改善が見られるか、まずお伺いをいたしたいと思いますが、これを言うと時間が長くなりますので、多少私の方は承知しておりますから、その点については答弁は結構です。
また、
我が国は昨年の十月、米国の規制緩和に関する
日本国
政府の要望事項を米国
政府に伝達している。その中で、米国について改善すべき問題が
指摘されています。
そのほか、毛織物の関税率については、米国が九八年、現在三一・七%と、
我が国の九・六%に比べてはるかに高く設定。これは日米繊維交渉のときからもう依然としてこの格差は縮まっていない。
私の郷土新潟県は、この繊維
産業が盛んなところでありまして、その大きな犠牲に今日まであえいできているわけでありますが、いつまでたってもなかなか是正されない。化合繊維織物は一六・二%に比べて
我が国は六・四%。合繊ニットなどはアメリカで三三・三%の関税であるというような状態でありまして、これは化合繊維織物はほとんど輸出できない。あるいはまた毛織物も輸出できないというような状態になっている。しかし、この間アメリカでは、
日本のあるいは開発途上国も含めてでしょう、そういうところの輸入規制を米国としては図っていながら、自分の国の
産業を再生化させる。その時間の余裕の中で、アメリカの繊維
産業は壊滅したんではないかと言われているのが、いつの間にか再生している。
こういう状況であって、私は、このウルグアイ・ラウンドで徐々に下げてきていることはわかっていますよ、毎年下げてきているのはわかって言っているんです。しかし、その下げ率は問題にならぬということを言っているんです。だから、これは
日本の
政府として強力に申し入れられたらいかがかと。
日本のことばかりアメリカはいろんなことを言ってくるけれ
ども、私は、どうも自分のことを棚に上げて相手の問題のみ攻撃してくるアメリカのやり方に対しては、余り納得できない。という意味で、実は大いに激励を申し上げて、世界におけるアメリカの姿勢を少し正していかれたらいかがかと。
日本は被害者の一国でもあるということを申し上げておきたいと思うのであります。
そういう意味で、日米間において、さらには
経済問題としては、これは若干耳が痛いことがあるかわかりませんが、私の記憶で、一九六〇年代の今言った繊維、鉄鋼の通商問題から始まったと言ってもいいだろうと思うんですが、その後、
我が国からの工作
機械、自動車、ビデオ、半導体などの輸出について多くの交渉が持たれて今日に至っております。
日米の全体的な枠組みの交渉としては、一九八〇年代のMOSS協議、九〇年代の日米構造協議、そして現在は日米包括
経済協議という場が設けられていることは御存じのとおりであります。この包括協議の場で、知的所有権の問題を初めとして
政府調達、板ガラス、
金融サービス、保険、航空問題など、あるいは私自身もかつては携わったことがありますが、半導体、NTT調達問題など、まさに
経済全般が包括的に協議され決着を見てきていることもこれはよく承知をいたしております。
そして、今から三年前の九七年のデンバー・サミットの際の日米首脳会談において、規制緩和及び競争
政策に対する対話と
努力が強化されることが決定され、そのために上級会合と専門家会合が設置されることになったと承っております。この上級会合には、
日本側から外務省の原口
審議官、米国からフィッシャー通商代表部次席代表が議長として、また専門家会合は双方から
関係省の代表によって構成されていると聞いております。
ところで、先刻申し上げたように、一九八六年の日米半導体交渉のとき、当時の
通産省の幹部は、対米交渉の全般にわたってその最前線で大変な活躍をいたしました。タフネゴシエーターと言われたような経緯もありました。こんなことはお互いに記憶に極めて鮮明なわけであります。
私の偏見やあるいはまた断片的な見方かもわかりませんが、今回の専門家会合における通商
産業省の参加の仕方を見ると、規制緩和、競争
政策など、作業部会における競争
政策及び流通などの構造的問題だけしか関与しておらないように見られてならないのであります。それも、外務省、大蔵省、運輸省、公正
取引委員会との共同議長にしかすぎないと言っても過言ではないのではないかと懸念される。
関係各省にまたがる分野横断的問題であることはわかるけれ
ども、これで果たして対米交渉、通商交渉が
通産省として強力にやれるのでありましょうかということを申し上げたいのであります。
その作業部会の取り扱う問題のうち、透明性及び他の
政府慣行に関連する問題については、
日本側は外務省、米国側は商務省となっている。米国側が
日本の
通産省に当たる商務省で、
日本側はなぜ
通産省でなくて外務省なのか。その点もこれはもう外務省と
通産省の年来のいろんな問題があることもわかって私はあえて申し上げているんですが、しかしそれはもう全般的にそんなことを言っている
段階ではない。実際の当事者が前に立って外交をやらなかったら迫力も欠ける。特に
与謝野大臣は語学も堪能ですから、遠慮しないで大いに前に出ておやりになったらどうかという意味で、このままでは少し懸念される、アメリカに足元を見られて交渉の場ではどうも一方的に押しまくられてしまうのではないかと私は危惧いたします。米国と対等の
立場で交渉しようとするなら、かつての半導体交渉の代表的な例のように、外務官僚に全部任せないで通商
産業省が率先して通商
産業政策をぜひひとつしっかりと対米交渉に反映していったらいかがかということを激励かたがた申し上げて、御意見を承って、時間でありますから、終わりたいと思います。