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政府委員(藤井龍子君)
女性局長の藤井でございます。
私の方からは、
母子家庭の
母親に対する就労面での
支援対策と職場における
セクシュアルハラスメント、以上二項目について御
説明申し上げたいと思います。
まず、
母子家庭の
母親に対する就労面での
支援対策でございますが、
母子家庭の
母親の場合、子育てとの両立等について制約が大変大きいという問題、あるいは仕事についた経験がない方が多い、あるいはつかれた経験があっても大変長い間仕事から離れておられたという方が多く、就職につきましてはさまざまの困難が伴う場合が多いということもございまして、労働省ではきめ細かな
対応をさせていただいておるところでございます。
まず、就業に対する
相談でございます。
公共職業安定所、
全国に四百七十八カ所置いてございますが、ここに寡婦等
職業相談員を配置いたしまして、
母子家庭の
母親等については特別に就職についてのきめ細かな
相談、
指導を行いまして、その方の御希望や適性に合った
職業紹介に努めているところでございます。実績が
平成九年度で出ておりますが、求職申し込み
件数が八万二千件ほど、就職していただいた方が三万二千という
状況でございます。
次に、
女性就業
援助施設におきます
相談でございます。
都道府県に
女性就業
援助施設というのが
設置されてございまして、
女性に対し就職のための
相談、
情報提供、技術講習等を行っておりますが、
母子家庭の
母親等につきましては、この技術講習を優先的に受講できるよう配慮いたしますとともに、受講旅費等を特別に支給してございます。技術講習の
概要は、下にございますようにワープロ、パソコン等でございまして、期間は二十一日間、講習料は無料、交通費で往復一千円まで実額支給というような
状況になってございます。
次に、
職業訓練でございますが、ハローワーク、
公共職業安定所に求職に来られた
母親の方々について、公共
職業能力開発
施設において
職業訓練を受けることができることになってございます。その訓練期間中に特別に訓練手当が支給されるということになっております。囲みのところに書いてございますが、期間は三カ月から一年
程度、費用は無料で、訓練手当は平均月額十三万八千五十円となってございます。
ただ、これは十年度の数字でございまして、十一年度は十三万九千七百七十円ということで、若干ではございますが増額をしてございます。恐れ入りますが、御訂正をいただければありがたいと存じます。
さらに、職場適応訓練を
実施してございまして、仕事や職場環境になれるために特別に
事業所内で訓練を受けることができる制度がございます。
母子家庭の
母親等に対しましては、同じく訓練期間中、訓練手当が支給されるということになっております。これは期間が六カ月以内、中小企業は一年以内ということで、訓練手当は、先ほど申し上げましたとおり、十一年度で十三万九千七百七十円となってございます。
次に、就職援護
措置ということで、
事業主に対する
援助も講じてございます。
母子家庭の
母親等をハローワークの紹介によりまして継続して雇用する労働者として雇い入れる
事業主に対しまして賃金の一部を助成するという制度がございます。特定求職者雇用開発助成金でございます。実際には、雇い入れた労働者一人につき賃金の四分の一、中小企業につきましては三分の一を支給し、期間は一年ということでございます。
職場適応訓練費の支給でございますが、これは、先ほど職場適応訓練の訓練手当が
母親等に支給されると申し上げましたが、その職場適応訓練を
実施していただく
事業主に対しまして訓練費用を支給している制度でございまして、訓練生一人について月額二万三千九百円、六カ月以内、中小企業の場合は一年以内という形になっております。
以上が就労面での
支援対策でございます。
次に、職場における
セクシュアルハラスメントについて御
説明を申し上げます。
本年の四月一日から施行となりました改正
男女雇用
機会均等法の中に初めて
セクシュアルハラスメントに関する規定が設けられております。それはなぜかと申しますと、四ページに掲げてございますように、
セクシュアルハラスメントというのは、
女性労働者の個人としての尊厳を不当に傷
つけるとともに、
女性労働者の能力の発揮を阻害するものである、また企業にとりましても、円滑な
業務の遂行を阻害するとともに、
社会的評価に影響する問題であるというとらえ方でございます。
したがいまして、改正均等法の第二十一条に、
事業主は職場における
セクシュアルハラスメント防止のために雇用管理上必要な配慮をしなければならないという規定を設けまして、
事業主が具体的に配慮しなければならない事項について別途指針というものを定めたものでございます。
指針につきまして若干御
説明申し上げたいと思いますが、五ページに
概要を掲げてございます。これは
事業主に講じていただきたい
措置というものをまとめたものでございます。
指針というのはそういう性格のものでございますが、まず、それでは職場における
セクシュアルハラスメントとはどういうものかということを
二つ掲げてございます。
対価型
セクシュアルハラスメント、これは、職場において行われる性的な言動に対する
女性労働者の
対応により当該
女性労働者がその労働条件につき不利益を受けるものでございます。二番目の
セクシュアルハラスメントは、環境型
セクシュアルハラスメントと申しまして、職場において行われる性的な言動により
女性労働者の就業環境が害されるものということで、それぞれ下に具体例をお示ししてございます。
こういうふうに
セクシュアルハラスメントの定義をお示しした上で、
事業主にこのような
セクシュアルハラスメントが職場で起きないよう雇用管理上配慮すべき事項というのを三つ定めてお示ししてございます。
まず第一点は、
事業主の方々に方針を明確にし、それを従業員の方々に周知、啓発していただきたい。すなわち
セクシュアルハラスメントをしてはいけない、あってはならない行為であるということを
事業主の方針として、姿勢として明示していただきたいということでございます。
二点目が
相談、苦情への
対応ということで、従業員の方々からの
相談、苦情のための窓口を整えていただきたい、さらにその窓口において
内容や
状況に応じ適切かつ柔軟に
対応するということを配慮していただきたいということでございます。
それから三点目は、事後の迅速かつ適切な
対応ということで、
セクシュアルハラスメントについて
相談、苦情があった場合、その事実
関係を迅速かつ正確に確認し、その処理について適切に配慮していただきたいということでございます。
このような指針を定めまして、
行政指導に努めておるところでございますが、さらに具体的にどういうことを私どもで講じているかということを六ページにまとめてございますので、御
説明申し上げたいと思います。
職場における
セクシュアルハラスメント防止対策といたしまして、まず私ども
都道府県女性少年室におきまして
行政指導に努めているところでございます。特に、
セクシュアルハラスメント防止というのは企業のトップ層あるいは管理職の方々の
意識によるところが大きいということもございますので、そういう方々の
意識啓発に努めますとともに、先ほど御
説明申し上げました指針等の
内容に基づく
行政指導を
実施しているところでございます。
それから、
女性労働者からの
相談への
対応ということで、
女性労働者からの
相談が最近大変ふえてきております。
相談者の方々のプライバシーや心身の
状況というものに十分配慮しながら、私どもではこれらの
相談に丁寧に
対応いたしまして、均等法に照らし問題があるという場合はそれぞれの企業に対し適切な
指導を個別に行わせていただいているところでございます。
また、
精神的ダメージを受けた
相談者からの
相談により適切に
対応できますよう、十一年度、本年度から
都道府県女性少年室に
セクシュアルハラスメントカウンセラーを配置いたしまして、
相談体制の
充実を図ることにしているところでございます。
さらに三点目でございますが、企業におきます
取り組みをさまざまな形で
援助するために
関係団体を通じまして実践的な講習会の
開催あるいは具体的な個別の御
相談への
対応、あるいは啓発ビデオをつくりましてこれを配付する等の施策を行っているところでございます。
六ページの三のところに
女性少年室が
対応いたしました
相談件数と
相談内容を若干まとめてございます。
平成八年度千六百十五件でございましたのが、九年度は二千五百三十四件、十年度はちょっと上半期の数字しかまだ確定的な数字が出てございませんが、二千三百四十八件ということで、毎年毎年相当の割合で
相談件数がふえているというのをごらんいただけると思います。恐らく十年度は最終で七千件ぐらいになるのではないかと思っております。
この
相談件数の中には、企業からの御
相談、
女性労働者の方からの御
相談、両方入っておるわけでございまして、十年度、とりわけ後半になりましては企業としてどういう具体的な
措置を講じたらよろしいかという御
相談が大変ふえてきておるという
状況でございます。
相談内容でございますが、七ページに簡単にまとめてございます。企業の方からは
防止対策にどう取り組んでいったらいいかということ、労働者からは
セクシュアルハラスメントのために退職に追い込まれた、また
セクシュアルハラスメントのために
精神的に非常なダメージを受けどうしたらいいかわからないといったような
相談が多いという
状況でございます。
最後に、この四月一日から均等法が施行されたわけでございますので、その前後で企業の方で
セクシュアルハラスメント防止対策に具体的に取り組んでいただいております例を幾つかまとめてございます。簡単に御紹介を申し上げたいと思います。
それぞれの企業で企業行動基準とか企業倫理規定の中にこういった
セクシュアルハラスメントあるいは嫌がらせをしてはいけないということを盛り込まれている、あるいは就業規則にこれを明示される、あるいは社内報とか場合によってはホームページを使って
セクシュアルハラスメントをしてはいけないということを従業員に周知されているという
状況でございます。
それから、
相談窓口、苦情窓口につきましては、労使で苦情処理
委員会を設けられそこを窓口にするというふうに定められているところ、あるいは人事部門が中心になって特別に
相談窓口を設けられたところ、あるいは社外の専門の方に窓口をお願いしているところというようなものが見受けられます。
それから、事後の
対応につきましては、まだ事案が出ておりませんので、具体例としては申し上げられないところでございますが、多くの企業で場合によっては懲戒処分の
対象になるということを明示されているというようなところもあるわけでございます。
以上、
セクシュアルハラスメントについて御
説明申し上げました。
今後とも、企業におきましてしかるべき
セクシュアルハラスメント防止措置が講じられるよう
行政指導に努めてまいりたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。