○田英夫君 期せずして、私も空中給油機の問題を取り上げようと思っております。
私がこのことを取り上げようと思ったのは、例のコソボの事件、ユーゴに対するNATO軍の爆撃ということに関連をしまして、中国大使館が米軍によって爆撃をされた。私、七月の初めに北京に行ってきましたけれ
ども、中国は公式に、誤爆ではない、意図的な爆撃であるということを表明しておりますが、
関係者の話をそのときに聞きますと、あの爆撃はアメリカ軍のステルス戦闘爆撃機がアメリカ本土から空中給油を受けながらユーゴまで飛んできて爆撃をして、また本土に空中給油を受けながら帰った、こういうふうに中国側は言っております。
今や空中給油ということは実戦の中で使われて、しかも今お話がありましたように足が長いということで、アメリカ大陸からユーゴまで往復してくるということがもちろんそれは可能でしょう、何回給油したかわかりませんけれ
ども。
こういう問題が現実にある中で、一方で日本が空中給油機を持つかもしれないと、小泉
委員はアドバルーンと言われましたが、そういう声が上がってきている。これは黙っているわけにはいかないという気持ちを持っているわけです。
それで、この空中給油機の問題というのは、今、十五年研究してきたと
防衛庁長官が言われましたけれ
ども、そんなものじゃないんですね。もう一九六〇年代の後半からこの問題は国会で議論が始まっております。実は、国会図書館で調べてもらいましたが、古いことは別にして、一九八三年からの
資料で六十一回議論が行われた。ということは、恐らく六〇年代から考えるともう八十回ぐらいいろんな方がやっておられます。
そういう議論の上で、私の持ち時間は短いですから
質問というよりも意見を言っておきますが、要するにF4ファントム
導入のときにこの問題は取り上げられた。それで、F4の場合は、一つは空中給油装置がついている、F4ファントムの場合はいわゆる支援戦闘機的機能、つまり爆撃機能が非常に強いので、これはベトナム戦争の北爆の主力爆撃機ですから、私も北側でそれを目撃しておりますのでよくわかります。
そういう機能を持った飛行機に空中給油を行ったら大変な攻撃的な兵器になるじゃないかということで、当時の議論の中で田中総理、あるいは
佐藤内閣の時代もそうですが、これはいかぬ、専守
防衛という精神から空中給油装置は外すべきだ、爆撃装置は外すべきだ、こういうことで爆撃の照準装置を外すと、で初めは空中給油装置は外さなかった。それで、当時の
防衛局長が、それは地上における二点給油、つまり地上給油装置と空中給油装置を地上で両方使うことによって給油の時間が節約できると言って、八分が四分になるというような議論をしていますね。結局それはうそだった。増原
防衛庁長官が公式に謝罪をされたという事件も起きています。
そういう過程の中で、F4ファントムの場合は足を長くすれば攻撃性がますます強くなる。ところが、F15を
導入するときに、これは福田総理が、国防
会議を数回開いて慎重に審議した結果、この飛行機は要撃戦闘機という
能力が中心であるから攻撃的なことにはならないということで、空中給油装置もそのままにしておく、爆撃装置もそのままにしておく、こういう決定を下したということを明言されて、F15はしたがってそのまま現在に至っていると。そこに空中給油機を
導入するということになると、どういうことになってくるのかという心配があります。
ところが、F15だけならまだ要撃
能力中心の戦闘機だということが言えるかもしれないけれ
ども、F2という形になってくると、これはまさに支援戦闘機ですから、このF2の問題と空中給油機を結びつけるとかつてのF4ファントム
導入のときの議論と同じことが起こってくるんじゃないか、こう思いますが、この点はいかがですか。