○佐藤道夫君 人様にただで金をやるのは、だまされてやるのか、おどかされてやるのか、あるいはくれてやるのか、いずれかなんですね、いろんな
理由があるにいたしましても。そして、もう一方のことでは拉致問題を抱えておる。これは拉致問題をそのままにしておいて、金を
援助をしていると言われても仕方のないことなので、引きかえになるような問題でもないと思います。
人道というのは今や本当の我々の最大の課題だ、こう言ってもいいわけですから、横田めぐみさんを初め、拉致された人たち、そのことについて、粘り強い粘り強いと随分前から粘り強くやっておりまして、さっぱり解決していない。こういうのを粘り強いとはもう
日本語じゃ言わないんです、ただやっているというだけのことであります。一体これからどういうことになるのか、私自身本当にいても立ってもいられない思いがするわけでありますけれども、まあ仕方がない、どうか粘り強くやってください。三年、五年かかっても粘り強くあくまでも
我が国の主張を貫いてください、お願いいたします。
それから、四番目でありますけれども、これは本
条約の対象にはならないとは思いますけれども、精神は受け継がれていいんじゃないかと。ペルー事件なんです。ペルー事件といっても
大使館が乗っ取られたケースではありませんで、そのころ、二年ほど前に早稲田の学生が二名ペルーで殺害されました。殺害したのはペルー国の軍隊であります。これは
公務員等の残虐な
取り扱いそのものだろうと思います。許しがたいことであります。この
条約の成立後にああいうことが行われたら、もうこれは
条約違反だと、明らかにそういうことを考えていいと思いますが、遺憾ながらあのときはそういう
条約がなかったものですから。
そして、あの当時の橋本首相は、これは本人たちの不注意だからということを言って大変厳しく非難されました。
日本国政府が旅行を
承認しておいて、向こうで殺されたらおまえらの不注意だ、
政府は関知しないと。そんなことは言っていられない、
政府は
政府として厳しくもし本当に危険な国だとすれば注意をすべきだったわけですから。
そのことはさておきまして、その後、犯人である軍人たちは捕らえられまして裁判にかけられたと。刑事裁判の方は終わったようでありますけれども、この前も私はこのことを取り上げたんですけれども、民事裁判あるいは民事弁償の問題はまだ解決していないと私は聞いております。まさしく殺され損であります。
このことも私は昨年取り上げてお尋ねしておりますけれども、もし
日本国にペルーの学生二名が遊びに来て、
日本の
警察官や自衛隊員がちょっと来いといって職務執行に名をかりてどこかに連れていって殺して所持品を奪ったとすれば、これは大変な問題で、ペルー国を挙げて、
アメリカの青年だとすれば
アメリカ国を挙げて
日本に厳しい非難が来まして、
日本は申しわけなかったといって犯人である
警察官を処罰して済むことじゃありません。やっぱりしかるべき賠償法を講ずる、謝罪のほかに賠償を講ずる、これは当たり前のことなので。私は、そういう当たり前のこと、これは人間としての常識の問題だと、こういうことも申し上げまして、
外務大臣は、まさしく国民感情からいえば常識そのものでありますけれども、国家賠償制度は遺憾ながらペルー国にない、そういうペルー国に対して金を払えということを要求するのは国際常識にかなうゆえんかどうかちょっと調べさせてほしいということを最後に
答弁されておりました。
お調べになったと思いますので、国際常識から見て一体どういうことなのか。ペルー国というのは国家賠償制度を持っていないからその国に対して被害者補償をしろと要求はできません、やむを得ない、殺され損でありますと、こういうことになるのか。しかし、国民の生命、財産の安全を守るというのはこれは
政府の第一の義務ですから、基本的な義務ですから、その国民が他国の軍隊に殺されたわけですね。それで、国際常識はそんなことを弁償するような常識はないからこれはこれ以上要求できませんということになるのかどうなのか、お教え願えればと思います、あえて教えてくださいと申し上げますけれども。