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木俣佳丈君 ありがとうございました。
そうだと聞きましたが、そうすると、
ロシアがスラブ
民族の一体として守ってあげたいなという気持ちは当然あるわけでございます。もちろんかつての共産国としてということもあると思うんですが、特にギリシャ正教の人
たち、
セルビア人なんかもたしかそうでしたか、が多いと思うんです。ギリシャなんかもそういった
意味でギリシャ正教の方々、
ロシア正教の方、東方教会ですね、こういう方が多いものですから、ギリシャなんかも
空爆反対を強く言っているなんということを伺ったりするんです。
つまり何が言いたいかというと、
解決策の一としては、トラック1としては今言われたようなG8の場があって、そこで正規
外交ルート、
外交チャネルを持って、例えば欧亜
局長も大変御苦労されておるし各課長なんかもやっていらっしゃる。そういうのも非常に大事だと思うんですが、トラック2というんでしょうか、正規
外交ルート以外のチャネルというのが実は相当大事ではないかなというのを私はずっと思っておりました。
例えば、思い起こせば例の朝鮮にカーターが飛んでいって金日成さんと話をして
解決したなんという事例は卑近な例でございますし、ペルーのときも、シプリアニという司教がうまく中継ぎしてなんというのもすごく
日本人には印象的でしたし、フィリピンのシン枢機卿もその役目を果たしたり、実はそういった社会の中で、その国の中で精神的な、または宗教的な非常にリーダーシップをとっているような人が、いわゆる正規
外交ルートでないやり方で、特に内紛に近いようなものについては
役割を果たしているというふうに私は認識しております。
ユーゴの問題というのは、今までというか
歴史を顧みても、だんだん難しくなっていますのは、こんなことは御案内のとおりでございますが、経済戦争というものからだんだん
民族とか宗教
対立、こういったものに向かっているわけでございます。これは、言ってみると
援助を幾らふやしたからどうなるということでもなさそうだなというのが一つ。それからあとは、先ほども
民族浄化という
言葉がぽんと出てくるように、
アメリカやイギリスが思い切ってよしやってやろうと思っても、いやおれ
たちは死ぬまで絶対に負けないんだみたいな、そういった精神を持ち続ける限り実はゲリラ的に終わらないということではないかというふうに思うんです。
これは私もいろいろ勉強させていただきながら、国際問題
調査会のときにある参考人が言われた
言葉がありまして、非常に印象深くとらえたわけでございます。ことしの四月二十一日に行われたものの中で、柴さんという東京大学の方ですか、若干議事録を読ませていただきますと、
こういう国境
周辺の
民族の問題だとかというのを
解決していくためには、この
周辺の
地域のいわゆる
自治体だとか、そういうところの代表も含めた、それからNGOも含めた形の新しい会議、そういうNGO、地方
自治体だとかというのが、例えば今後
難民の問題やなんかを
解決していく際でも非常に重要だと思うんです、
自治体のネットワークというか。そういうものを含めた新しい形の和平会議というものを
国連だとかを
中心に
考えていく。
そういうもっとアイデアだとかを出せるんじゃないか。それによって
日本がこの
地域で非常に大きな
役割を果たし得る、非常に好機なんではないか。このあたりの人
たちは
日本に対する期待というのは物すごく大きいんです、
こういうふうに、参考人というより事情を聴取した公述人といった方がいいんでしょうか、こういうお
言葉がありました。
先ほどもカーターの話をしましたけれども、CSISのダグラス・ジョンストンというナンバーツーの方が書いた本で、これは
日本名だと「宗教と国家」という本がございます。この中にもベギンとサダトのあのキャンプ・デービッドの和解のことがございますが、この和解の裏に、敬けんな信仰者である、信仰心というのは彼らの人格、
歴史的洞察、政治的信念を形成していたというような、これが予想以上に大きく働いたんだというようなカーターが書いた文章がございまして、大変感銘深く思っておるわけなんです。
何が言いたいかといいますと、
考えてみますと、全世界に紛争と言われるのがいろいろ小さいのも含めますと、明石さんが行ったのが九十ぐらいある。特に、また紛争ではないかもしれませんが、最近問題になっているようなイラクの問題とか、そしてまた金日成、金正日、それからカダフィであるとか、そういう独裁的な者が出てきて、そしてまたこれが
民族意識と絡んで非常に複雑になっている。
日本の
外交官、外務省の職員の方というのはたしか五千人ぐらいだと思うのでございますけれども、
アメリカなんかと比べると多分四分の一ぐらいだと記憶しておりますし、そしてまたイギリスなんかと比べても小さい。そして、
アメリカは情報部員であるCIAが約四万人ぐらいですか、ちょっと古い数字しか頭にございませんが、外部で働く方も合わせればもっとある。
そしてまた、米国の場合で言えば、私もおりましたワールド・ビジョンという
援助のNGOがございますが、全世界に百のフィールドを持っておりまして、特に貧困を
解決しながら、私もロビーを若干やりましたので、毎日、写真とレポートが来るんですね。ソマリアで、フランスの武器の商人、国の名前を出すのはどうかと思いますが、武器の商人が反
政府ゲリラをどうやってトレーニングしているかという姿を撮って、これを上下院議員の
関係者に渡しながら
説明をしていく、そういうようなことを若干やりました。
そういう多層
外交というものが、本当に
日本に大事ではないかなというふうに思うわけでございます。何度も申しておりますように、
援助もNGOにもっと任せてUSAでは四割はもうとにかくNGOに任せるんだと。任せるという
意味は、任せながらいろんな情報を、単に物を与えるというようなことだけではなくて、それだけでももちろんすばらしいことだし、草の根的に助かるわけでございますけれども、しかしそれ以上に情報というものを
アメリカというのは大事にしているなというのが私の印象です。
今言われたG8の場でも、例えばもっと
日本国独自の多くの情報がずっと吸い上がってきて、そしてトラック1の
外交のところで正しい情報として、そしてまた
大臣の答弁の押さえとして、そういう情報が上がってくるような
外交インフラというか
外交体系というものが恐らく
日本にすごく大事だというふうに思います。そしてまた、新聞なんかでガイドラインのときに世論
調査をしましても、アジアを守るためには
外交努力をという人が五五%ぐらいいまして、軍事的努力をという人は大体一〇%ちょっとなんですね。
ですから、そういう
外交がこれからの二十一世紀の
日本の
外交ではないかなんということを思っておりますが、
外務大臣、最後の質問でございますが、いかがでございましょうか。