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1999-04-14 第145回国会 参議院 外交・防衛委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月十四日(水曜日)    午前十一時開会     ─────────────    委員の異動  四月十四日     辞任         補欠選任      小川 敏夫君     江田 五月君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河本 英典君     理 事                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 岩崎 純三君                 大野つや子君                 亀谷 博昭君                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 江田 五月君                 齋藤  勁君                 吉田 之久君                 続  訓弘君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 山崎  力君                 佐藤 道夫君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君    政府委員        警察庁警備局長  金重 凱之君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        防衛施設庁長官  大森 敬治君        防衛施設庁総務        部長       山中 昭栄君        防衛施設庁施設        部長       宝槻 吉昭君        外務大臣官房審        議官       小松 一郎君        外務省総合外交        政策局長     加藤 良三君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省経済局長  大島正太郎君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        外務省条約局長  東郷 和彦君        大蔵省国際局長  黒田 東彦君        海上保安庁長官  楠木 行雄君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    参考人        国際協力事業団        総裁       藤田 公郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国際通貨基金協定の第四次改正受諾について  承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○アフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾  について承認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国政府マレイシア政  府との間の協定締結について承認を求めるの  件(内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国政府カナダ政府と  の間の条約改正する議定書締結について承  認を求めるの件(内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国とスウェーデンとの  間の条約改正する議定書締結について承認  を求めるの件(内閣提出)     ─────────────
  2. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件外一件の審査のため、本日の委員会国際協力事業団総裁藤田公郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河本英典

    委員長河本英典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 河本英典

    委員長河本英典君) 次に、国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件及びアフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 齋藤勁

    齋藤勁君 民主党の齋藤です。  国際通貨基金協定の第四次改正について若干お伺いいたします。  今回のいわゆるIMF協定第四次改正につきまして、その改正経緯、そしてまた、これはいわゆる発効に至る要件があるわけですけれども、その見通しにつきましてお尋ねさせていただきます。
  6. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 国際通貨基金協定の一九六九年の改正により、IMFが創出する資産として、新たに特別引き出し権、いわゆるSDRが導入されました。SDRはこれまで一九七〇年から七二年、及び一九七九年から八一年の二期にわたり配分されましたが、その後にIMFに加盟した国がSDR配分を受けていない等の問題が生じておりました。  IMFにおいてSDR新規配分をめぐる検討が行われた結果、一昨年九月の総務会において、各国SDRの純累積配分額出資額に対する比率が一律約二九%となるようにSDR特別配分を行う協定改正案承認されました。今回の改正が発効するためには、総投票権数の八五%を有する百十カ国以上の加盟国改正案受諾する必要がありますが、現在五十一カ国がこの協定改正受諾し、その他の加盟国受諾のための国内手続を進めていると承知しております。
  7. 齋藤勁

    齋藤勁君 今回の配分で、我が国配分を受けるという内容についてはいかがでしょうか。今度の特別配分について、我が国の新たに配分を受ける内容についておわかりですか。
  8. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) お答え申し上げます。  我が国の今回の配分は、額にいたしまして二千五百億円でございます。
  9. 齋藤勁

    齋藤勁君 次に、過日、高村外務大臣は三月の末に第二回アジア欧州外相会議、ASEMに参加されまして、会合内容については報道等でるる伺っているんですが、この会合では話し合われなかったかもわかりませんが、話し合われていればそれも含めてお聞きしたいんです。  現在のユーゴコソボ紛争、これについて外務省として、日々刻々と状況もいろいろ変わっておりますが、今のコソボ紛争全部について御説明していただくと長くなるんですが、我が国としての把握の概略、それから、言ってみれば難民が非常に周辺各国に流出して移動しているわけですけれども我が国としての今のユーゴコソボ問題についての態度、対応策についてお聞かせいただければと思います。
  10. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 昨年三月以降、欧米諸国コソボ問題の政治的解決を目指して、国連安保理、G8、ランブイエ会議パリ会議等の場で粘り強い外交努力を重ねてきたわけでありますが、欧米諸国のそのような外交努力にもかかわらずユーゴ政府コソボ問題解決のための平和合意案をかたくなに拒否し、他方国連安保理決議に反した行動をとり続けてきたわけであります。  我が国としては、コソボ問題の最終的解決のためには、ユーゴ政府及びコソボアルバニア人の両当事者間の和平合意が不可欠であると考えており、ユーゴ政府国際社会要求にこたえ、コソボから軍及び治安部隊を撤退させて難民を帰還させ、和平合意案を早急に受け入れることを求めていく考えでございます。  また我が国は、コソボにおける大量の難民避難民の発生を重大な懸念を持って受けとめており、このような危機的状況に迅速に対応するため、国連難民高等弁務官事務所UNHCR等を通じた千五百万ドルの支援を決定し、テント一千張りを同事務所に譲渡したわけでございます。  さらに、本日帰国予定外務省現地調査団による調査結果を踏まえ、今夕私は報告を受ける予定にしておりますが、さらなる貢献の可能性を早急に検討していきたいと考えております。
  11. 齋藤勁

    齋藤勁君 きょうの報道ですと、米欧停戦条件、とにかく無条件降伏向けということで、そういう対応をされているようですけれども米欧停戦条件ということで。外務省として見通しとか何かというのは極めて難しい発言なのかもわかりませんが、今後の方向、推移についてどういう見通しを立てられておりますか。
  12. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 国際社会考え方というのは、ロシアを含めて、ユーゴ軍コソボから引いて、そして難民を無事帰すということは大体同じような意見だと思うんです。  ただ、国際社会ロシアなんかちょっと違うのかもしれませんが、今までのユーゴ政府を余り信用しておりませんから、それが担保されるような形をどうつくるかということが今分かれているんだろうと思うんです。何らかの意味の軍を一緒に入れて、そして帰還した難民安全性が確保できるかどうか。そのときの、何らかの意味の軍をどういう形にするかということでロシアアメリカなんかはちょっと意見が分かれているということでありますので、そういう国際社会意見が一致する中でユーゴの側もそれを受け入れてもらうという形が一番いいのだろうと思いますので、日本政府としてもそういったことについては努力していきたい、こういうふうに考えております。
  13. 齋藤勁

    齋藤勁君 ありがとうございました。  次に、防衛庁長官にお伺いします。  過日、私が三月二十五日の本委員会幾つ質疑をさせていただいた中で、政府北朝鮮と断定をされているわけですが、北朝鮮のいわゆる不審船問題、これを私ども国会の方には二十三日からの流れについて文書を含めまして御説明いただいている。  しかしながら、やりとりの中でも明らかになりましたけれども、二十三日以前から政府の各ポジションでいろいろ断片的情報が入ったということで、国会に二十三日以前につきましても資料を明らかにしてほしい、こういうことを理事会にお願いいたしました。これについて具体的にお尋ねさせていただきたいと思うんです。  改めて整理してお尋ねいたしますが、二十三日以前、このいわゆる不審船問題についてどういう経緯をたどってこの二十三日に至ったのかということについて御説明していただきたいと思います。
  14. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 結論から申し上げますと、いろいろ報道にありましたように、防衛庁としては三月二十二日以前の段階本件不審船存在を裏づける情報を入手したという事実はございません。それ以前に、二十一日ごろから、まことに断片的であって確証のない情報通常警戒監視活動をやっているP3C等からあったということで、これはまことに断片的なものであって、不審船存在を裏づける情報を入手したという事実はないわけであります。  今般の不審船事案につきましては、通常警戒監視活動実施中のP3Cが、今言ったように三月二十三日、二隻の不審船らしき船舶を発見した。ただし、この段階においてもP3Cが発見したのは不審船らしき船舶でありまして、具体的な確認がなされたわけではなかったため、訓練に向かっておりました護衛艦現場に向かわせて船名確認し、その旨を通報し、海上保安庁がこの船の照合等を行って初めて不審船舶であることが判明した、こういうことであります。
  15. 齋藤勁

    齋藤勁君 このことは、二十五日の委員会で、私が米軍情報が先だったんですかというお尋ねをしたら、長官は、いやそうではないんだ、断片的な情報我が国情報として収集したんだというやりとりがあったというふうに思います。  その後、非常に詳細にわたって、一紙のみならず二紙、複数の報道から、二十一日あるいはそれより前からもいろいろ動きがあったんだということが、いわゆる防衛庁筋とか防衛庁情報とか、情報本部に伝えられたとか、防衛庁のどこかのセクションが、会見しているかどうかは別にして、説明をしているというようなことで、そうでなければ報道できないようなことが非常に詳細にわたって出ています。  例えば、四月三日の読売新聞ですが、十八日から十九日にかけてもう北朝鮮清津を出ているんだということとか、「狙われた週末」という見出しもありまして、二十一日午後十時からもう無線交信を始めて、不審電波キャッチしたのが防衛庁美保通信所なんだと。この美保通信所という記事が出てくるのは読売一紙だけじゃなくて、朝日新聞でも、二十一日午後十時、鳥取県の防衛庁美保通信所通称象のおりの円形アンテナがこれを傍受している、こういう報道がなされています。  これは非常に詳細にわたっていますから、最終的に逃げられた、捕獲できなかったわけですけれども、どういう経緯をたどってきたのかということをこうやって読めば、ああそうか、これは政府がこういうことでキャッチをして、しかし最終的に警告射撃をしたけれども捕獲できなかったということなんですが、防衛庁長官、これらはそうすると記者会見とかどこかのセクション説明をしたという事実はないわけですか、これは。
  16. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 二十三日の段階でも、らしきものという程度のことでありまして、不審船としたのは海上保安庁が我が方の情報を得て船舶照合を行った結果、不審船舶というふうに認定したわけであります。  例えば、これはかなり権威のある雑誌でありますが、ある方が書いておりますが、二つの情報が入ったと。一つは、三月十九日に第一報が入って、それは韓国情報機関によって、日本海を渡ってきた韓国側国家情報員から公安調査庁、カウンターパートへの連絡が入ったと。第二報はアメリカ国防総省からの通報だった、あて先は海上自衛隊SF司令部にもたらされたというふうに書いてありますが、このような事実は一切ないということをきょう明白に申し上げておきたいと思います。  したがって、私どもが二十三日以降の情報について、少なくとも防衛庁記者会見をしていろいろなことを言ったという事実はないということをきょうは明白に否定しておきたいと思います。
  17. 齋藤勁

    齋藤勁君 二十三日以前ですか。
  18. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) はい。二十三日以前のことについて、今私がここで答弁したようなことがあったら二十三日に私がしゃべっております。  不審船かどうかは別として、断片的な情報は二十三日以前にありましたけれども、それは通常監視活動の中でそういうものがあった。だけれども、二十二日以前の段階でそういう不審船存在を裏づける情報を入手していたという事実は全くありません。二十三日になりまして二そうの不審船らしき船舶を発見した。この段階でも私どもは、不審船らしき船舶でありまして、具体的な確認ができなかったから訓練に向かっていた護衛艦現場に向かわせて船名確認した、こういうことであります。
  19. 齋藤勁

    齋藤勁君 そうすると、この幾つかの報道は、二十三日以前のいわゆる不審電波キャッチ等については独自の取材で、防衛庁とか関係者とか、防衛庁情報本部とか警察庁とか、いろいろ各省庁も出てくるんですけれども、これは独自の取材記者会見したことではないと。記者会見と書いてありませんから記者会見ではないと思うんですけれども、では、こういう報道内容についてはどういうふうに御説明されますか。
  20. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 例えばこの雑誌に出ていることでも、ニュースソースはどこなのか、全くあり得ないことをここに書かれているわけでありまして、こういうものに私たち答弁する責任はないわけでありまして、防衛庁に限らずあとはどういう関係機関があるのかわかりませんが、報道は努力されて自分でとったわけでしょうが、私どもとしては情報源等については知り得ないところでありますし、またそういう報道について私ども責任を持って答える立場にはない、こういうふうに思っております。
  21. 齋藤勁

    齋藤勁君 一つ非常に奇妙に思うんです。我が国防衛システムについてどの程度公表するかしないかというのは国益として基本的にあろうかというふうに思います。こうやって議論を聞いていますと、これは記者会見したことではないんだ、コメントしたことではないんだということは私たちはここでわかります、この場にいる者として。  ただ、こういう国会議論なしにこの新聞を見ている人は、ああそうだったのか、二十一日にもう我が国鳥取県の防衛庁美保通信所では不審電波を傍受して、そういうような役割をしているんだなと。「防衛庁幹部の認識は「数ある不審船情報一つ」だった。」というくだりもある。これは朝日新聞です。読売新聞を読む人も同じように、ああ「狙われた週末」だと。ところが、国会の正規のやりとりの中では、いやこういうことはコメントしていませんよ、これは通常監視活動一つなんですよということで、非常にずれ、乖離があります。これはどういうふうに国民説明していかれますか。
  22. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私どもは、この不審船事案につきましては、かなり入念に情報公開はしたつもりでありまして、むしろ情報公開し過ぎだと、正式な会見でもそういう面もなきにしもあらずだと思うくらい情報公開しているつもりでありますし、国会の方にも包み隠さずすべて出しているつもりであります。  ですから、各雑誌新聞が独自に書いていることについて私ども責任を負えと言われてもこれは責任の負いようがないのであって、中には全く私どもが知らないかあるいは存在しない事実を書いたようなこともあるようにも思われます。少なくとも、ある権威ある雑誌に出たことでは、アメリカ国防総省から海上自衛隊司令部情報がもたらされたなんという事実は金輪際ないということだけははっきり申し上げていいと思っております。
  23. 齋藤勁

    齋藤勁君 長官に別に報道機関に対して云々ということではないんです。報道報道ニュースソースは明かしませんでしょうけれども、明らかにしていくと。ただ、よっぽど確証がなきゃ書かないと思うんです、大変なことです、重大な事件ですから。  そこでもう一つ野中官房長官が三月二十九日の政府与党協議会で、沿岸警備の実態というのはさらけ出しちゃいけないんだということで、これは後からの報道の感じでしょうけれども、「海上警備体制暴露官房長官がイライラ 「さらけ出すな」運輸相らに警告」と、こういう見出しであります。これは衆議院委員会議事録ですと、野中国務大臣は、「事案の概要につきましてはできる限り国民皆さんに対して御説明を申し上げることを基本といたしながらも、他方、その結果として、我が国情報収集警備体制能力の詳細が他国に知られることになれば、これ自体、国の安全保障に重大な影響を与えかねないわけでございます」と、四月一日の衆議院ガイドライン特別委員会でこの二十九日の政府与党協議会の中での発言に対する答弁がされております。  きょうは運輸大臣はお見えでございませんが、防衛庁長官、この野中官房長官政府与党協議会での発言というのは、具体的に両大臣いわゆる運輸大臣あるいは防衛庁長官のこれまでの記者会見やあるいはテレビ発言等を指しているのか、いやそうではなくて私が先ほど来言っていた数紙新聞報道を指して官房長官がこの政府与党協議会発言したのか。これは同じ閣僚の一人として野中官房長官発言についてはどういうふうに受けとめられますか。
  24. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 野中長官がどういう御趣旨のもとで述べられたかは別としまして、私としても、国家安全保障にかかわる重大な問題でございますから、一方においては事案についてできる限り国民皆さんに対して御説明申し上げなければいけないところだと思います。また他方、そのことによって我が国安全保障に重大な影響を与えかねない情報の問題とか体制の問題、能力の問題が全部筒抜けになっていることは望ましくないことでありますから、そういうことについてやっぱり留意していかなければいけない問題だ、こういうことであります。  先ほど委員からも御指摘あったとおり、こういう情報をどの段階まで公表するのかということは、非常にこれから政府全体として検討していかなければいけない問題であり、また適切な御指摘をいただいたと思っておりますので、そういうことは私どももぜひひとつ検討していきたい、こう思っているところです。
  25. 齋藤勁

    齋藤勁君 長官、言葉じりをとらえて恐縮なんですが、極めて重要なことなんです、これは。官房長官がどういう真意でという、はかりかねるみたいな今発言がございましたが、それじゃ困っちゃうんです、閣僚は一致してもらわないと。だって、この当日は深夜にわたって官邸で対応されたわけです。その後、いろいろな発言をしていることについて野中官房長官がこの政府与党協議会発言しているわけでしょう。そのことを今、防衛庁長官が、いや、官房長官はどういうような真意で言ったのかわからないということだと、これは内閣というのは一体どういうことなんだということを、今の答弁で私は感じざるを得ないんです。
  26. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) それはちょっと誤解があるのではないかと思いますが、委員の御質問がいろいろ出てくる必ずしも正確でない情報に対していらいらされたものかどうかというふうな質問だったから、そのことについて官房長官がどう考えて答えられたかは、そこははかり知れないと言っただけの話でありまして、野中官房長官議会等発言したことは、私たちは全くそのとおりでありますから、そういう趣旨に沿ってこれからいかなきゃいかぬことだと思っております。
  27. 齋藤勁

    齋藤勁君 率直に、長官記者会見とかテレビとかいろいろ出られましたね。そのときは、これはやっぱり後から、野中さんがこういう発言をされていますけれども、いや、少し言い過ぎだったのかというふうに思いますか、長官自身
  28. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私ども言い過ぎだったかということですか。
  29. 齋藤勁

    齋藤勁君 そうです。
  30. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私どもは、非常に悩ましいところなんですが、一方においては委員皆さんからも情報はなるべく公開しろと言われますし、一方においては我が国情報収集警備体制能力の詳細が余り他国に知られるようじゃだめだという問題もありますので、そのはざまの中にあって情報公開というものはどの程度ならば適切なものかということについて、私たちは今度の事件で大変いい勉強をさせていただいたと。  そういうことで、今、防衛庁に関しては、防衛庁に置かれている重要事態対応会議でひとつその限界等についてきちっと考え方をまとめようということにしているわけであります。
  31. 齋藤勁

    齋藤勁君 改めて整理してお答えいただきたいと思うんですが、この二十三日以前の公式な政府のいわゆる不審船にかかわる情報については、先ほど来の答弁ですと、断片的情報ということであって、これは一連の報道美保通信所電波とか警察庁の方も不審な電波確認したとかいうことについては公式なコメントというのはされないと。もう一度、二十三日以前について政府の正式な情報把握と、それから国民に対する説明をしていただきたいと思います。
  32. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 二十三日以前の段階韓国アメリカ等からそういう情報をいただいておったという事実はありません。私どもも、断片的な情報でありますから、不審船らしいという程度のことは考えられても、それを不審船だと断定するほど裏づける情報を入手していたという事実はありません。
  33. 齋藤勁

    齋藤勁君 これから対応策議論をしなきゃならないわけなんです。言ってみれば、国防ですから国民の生命と財産を守っていくということです、基本的に。  今度の場合は、直接何か攻撃してくるというようないわゆる不審船であるということで、何かの工作船だろうというような、さまざまな情報はございますけれども、少なくとも国としてこれからの施策について国民に今度の経緯についてできる限り詳しく説明して、そして理解を求め、そして対応策にもし不十分さがあればそれを克服する。場合によれば予算的措置も伴うわけですから、それらについてできる限り公開していくということが私は原則だと思うんですけれども、その基本原則はいかがでしょうか。
  34. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 先般の防衛指針特別委員会でも、阪上議員の御質問に答えて、そういう検討を深めていきたいということを答弁したと思いますが、その検討の具体的内容についてはまだお答えできる段階ではないということでありますが、防衛庁としては、現在、運用とか訓練及び装備面や海上保安庁との連携のあり方といった種々の分野について検討しております。  例えば、海上保安庁等との関係では初動対処における連携強化をどうするかという問題。我が方の問題としては警職法七条等の制限がございますので、人に危害を与えず停船させる方法について検討を進めているところであります。  二十八、九日ごろ舞鶴へ行きまして、そういうことを現地でひとついろいろ想像される器具等も見ながら、そういった面について人に危害を与えないで停船させる方法にどういう方法があるかという面等について鋭意検討を進めてまいりたい、こう思っております。  そういうことに対する情報公開は、それこそ先ほど官房長官が言われるとおり、我が国情報警備体制能力の詳細が他国に知られれば、それ自体が国の安全保障に重大な影響を与えかねないという発言がありますが、そういった発言の限度内において私ども情報公開していかなければいけないことだ、こう思っております。
  35. 齋藤勁

    齋藤勁君 対応策の方はこの後聞こうと思っていたんですが、今度の一連の流れの中で、いわゆる二十三日以前の対応について政府部内、閣僚間、そしてあるいは防衛庁内部で、国民に対する情報説明の仕方として、何か非常に混乱しているというか、私は防衛庁内部がどういうふうにコメントしているのか全くわからない。一般的に防衛庁内部での、今回の件についてだれがスポークスマンなんですか。
  36. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 防衛庁の公式の記者会見は、大臣によるものと事務次官によるものと官房長によるものが毎週定例的に行われております。そのほかにこういう特別の背景その他についてクラブの求めに応じて御説明するような機会というのは適宜担当の幹部から行っているという状況でございます。
  37. 齋藤勁

    齋藤勁君 情報公開法案は今審議をもちろんしていますけれども先ほど来の新聞報道に出たことについて最近正式に具体的に防衛庁長官のお答えはないわけですけれども新聞報道に出ているということは防衛庁のいわゆる情報国民公開するという一つのガイドラインがあるとしたら、これは明らかにしない、明らかにできないと。新聞に書いてあるけれども、これは防衛庁記者会見で言わないわけです、言っていないわけですから、断片的情報等しか言わないわけですから。そういう発表をしないという性格のものだというふうにしか私どもは、これからのこと、やりとりがありますから。
  38. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私は、発表しないというのじゃなくて、そこに書いてあることが必ずしも事実じゃないということの方が正しいんじゃないかと思います。  私どもは断片的な情報というのは常に持っているわけでありますが、この不審船発見以来、毎日そういう情報海上保安庁その他からもたらされます。例えば、新潟沖で不審船が出たというので調べてみたら、遊んでいるゴムボートであったとか、あるいは四月一日には兵庫県沖で不審船が出たというので行ってみると漁船であったり、あるいは八日には若狭湾とか北海道で不審船がいるというので行きますと、ロシアのマグロ巻き網の漁船であったり、あるいは四月十日には茨城県沖であったというので行ってみたら日本の漁船であったというふうなことで、断片情報だけでやっていると、そういう段階でほかの海上保安庁とか何か、仮に我々が発見した情報でやっていると非常に迷惑をかけることになりかねないという情報もありますから、私どもは断片的な情報はあっても、そういうことは外に出すことはない、むしろ混乱を引き起こすだけだと思って注意しているわけであります。最近はそういう情報が非常に多いわけでありまして、もう少し私たち情報の確度を高めてからお互いに連絡し合う方がむしろよろしいんじゃないかと思います。  そういう意味で、私はそこに書いておるような確度の低い情報を一々記者会見するということはなかったので、それらの新聞雑誌がどこから取材してきたかは私自身は責任を持っていない、そういうことを申し上げているわけであります。
  39. 齋藤勁

    齋藤勁君 いや、問題はその時点より事後ですよ、事後。初の海上警備行動をとったわけです、初の海上警備行動を。このことについてずっと時系列的にどうだったということを、私が二十三日以前にあったんでしょうと言ったら、それはそうですというふうに断片的情報を言ったから、改めて一件落着していないわけですけれども、少なくとも今回初の海上警備行動をとったことについて、政府として所管のところがどこまで情報公開をしていくのかということについて、断片的情報でしかないけれども、複数の報道からも詳しく通信所どうのこうのと、電波情報があると。これは今も、これからも情報公開しないんですかという尋ね方をしているんです、私は。
  40. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) そういう断片的な情報情報公開する必要はないのじゃないかというふうに私は思っているんです。
  41. 齋藤勁

    齋藤勁君 今、所管大臣はあれですけれども外務大臣、お聞きになっていて、いわゆる閣僚の一員として、これは防衛問題、外交問題、当然これは今北朝鮮に対して不審船問題について外務省として国際的なルールに基づいて提起をしていますね。これは非常に関連していることだと思うんですけれども、今お聞きしている情報公開についての観点でどういうふうに思われますか。
  42. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ですから、情報公開をすることによって得られる、当然国民のそういったことを知りたいという、そういうことにこたえていく利益というのは一方にあるわけで、一方に情報公開したことによって新たな情報がとれなくなりますよとか、あるいはそのことによっていろいろな外国から日本が知られてはいけない警備体制、そういったものを知られてしまいますよ、そういったことの比較考量をすると、なるべく私たち情報公開したいと思っていますが、そのことによって非常に損失が大きいことについてはしないということなんだろうと思います。  それと同時に、それだけでなくて、防衛庁長官先ほどから述べておられるのは、確度の低い情報を何でも得た段階でどんどんやるということは、これはいたずらに混乱を招くということもあるだろうと思います。そういう状況の中でどこまでするかというのはまさにケース・バイ・ケースで、防衛庁の得ていた情報というのを私はすべて知らないわけでありますから、適切に処理されたものだというふうに思っております。
  43. 齋藤勁

    齋藤勁君 後段の方はそうだと思うんです。何でもかんでも情報を出せばいいということじゃないと思うんです。一つの今とりあえずの集約なりこれからの対応策の検討に入っているわけですから、それから初の海上警備行動ということになったわけでしょう。事の重要性に関して、そういう意味で今回のケースについて明らかにすると。国民は、私先ほどから言っているように、この新聞を見ているんですよ。ということや、安心して暮らしていけるということになれば、言っていることと実際は違うんですね、できる限り情報を出しましょうと言いながら、この程度もコメントしないということについては私は甚だ不満です。  先ほど防衛庁長官は、いや、これは情報公開は必要ありませんという、その点私は納得できないです。その点につきましては、本当に政府部内で合意しているんですか。
  44. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私が委員質問に答えたのは、二十三日以前の断片的な情報等について公開するのかと言ったから、そういう問題について公開する価値があるとは思わないと申し上げたのでありまして、一連の経過報告をということであれば別でありますが、もし書くとすれば、その場合でも二十三日以前には断片的情報があったとしか書かないことになると。全くこちらも断片的情報しかないわけですから、そういう意味で申し上げたのでありまして、御理解いただきたいと思います。
  45. 齋藤勁

    齋藤勁君 そういうことをずっと繰り返しているのじゃらちが明きませんけれども、非常に私は国民にとって不満だと思います、こういうことをずっと繰り返し発言されていると。  要は、技術上の話はいいと思うんです。技術上のことは別にして、美保通信所とか何かというのがあるというのは、私たちの財産ですよ、これは一つの、施設ですから。わかり切っていることをいたずらに隠すということについて、隠すべきことと情報を明らかにするということをどうも私は何か履き違えているような気がしてなりません。  それから、今回の一連の経緯の中で、初の海上警備行動をとりながら残念ながら捕捉できなかったということで、非常に深夜にわたりまして緊迫したと、官邸の中での一つのリアルタイムと私ども聞いています。そういう中で、多分、閣僚間でその後の国民に対する説明とか何かというのはいろいろ相談されているんでしょうけれども、何日かたったら、野中官房長官がいろいろいらいらしているというようなことで二十九日のそういう発言になったということについても、国民に対する説明、それから政府部内の閣僚同士も私はきちんとした意思統一ができていないということについて非常に不満に思います。  あと数分ございますので、再度その点について私は強く申し上げさせていただきます。現時点での対応策についてもう一度整理して、今回の教訓と、繰り返し国会答弁でいろいろ防衛庁、そして例えば運輸大臣は一カ月以内にさまざまなマニュアルをつくりたい、こういうような発言をされているんですけれども、それらについて整理して御答弁いただきたいと思います。
  46. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今般の不審船事案の際は、自衛隊が不審船を発見し、海上保安庁に通報した後、防衛庁海上保安庁を初め関係省庁と緊密に情報交換を行うなどの連携をとりつつ、できる限りの対処を行ったつもりであります。  しかし、残念ながら、当該不審船を停船させ、立入検査を行うことはできなかったところであります。また、今回のような不審船事案に際しましては、関係省庁が緊密に連携をとり、政府が一丸となって対処することが重要であることを改めて認識されたところであります。  このようなことを踏まえまして、防衛庁長官としては、今後の対応に万全を期するため、人に危害を与えずに停船させる方法など、今回の教訓について具体的な検討を行うよう指示したところであり、必要に応じて防衛庁において重要事態対応会議を開催し、さらに検討を進めていきたいと考えておるところであります。  また、本件について教訓とすべき点は、運用、訓練、装備面や海上保安庁等との連携のあり方といった種々の分野に及ぶものと考えており、今後早急に検討を進め、我が国の安全の確保及び危機管理に万全を期してまいりたいと思っております。  さらに、一言つけ加えさせていただきたいと思いますが、この種の事案は第一次的にはあくまでも海上保安庁の任務でありまして、私どもは、海上保安庁の追跡が大変困難になりまして、追跡が不可能になったという判断のもと、自衛隊法八十二条の「特別の必要がある」というような判断から海上警備行動に移ったわけでありまして、これらのスキームは維持していかなければいけない、こういうスキームの方針のもとで今申し上げたようなことに対処していきたい、私はこう考えておる次第でございます。
  47. 齋藤勁

    齋藤勁君 時間ですので終わりますが、最後に意見だけ。  再度申し上げますが、今、海上保安庁というお話が出ましたが、情報防衛庁とか防衛庁筋というのが非常に多い。「北朝鮮工作船は七隻 空自が船影探知」という四月四日の東京新聞もございますけれども情報防衛庁防衛庁筋というのがすべてであって、そして先ほど来の話ですと、それらについてはコメントされないわけでありまして、本当にこれは報道と私ども国会やりとりにギャップがあり過ぎます。あり過ぎて大変不満足です。これは不満に思います。  改めてまた別な機会があろうと思いますが、私はすべて出せということは言うつもりはありませんが、庁内の情報についてはきちんとコントロールしていく。説明すべきことは説明していくというきちんとした国民に対する説明を、これは結果説明になります、ある意味じゃ経過ですけれども、そういうことを求めて終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  48. 高野博師

    ○高野博師君 それでは最初に、IMF関連の質問を何点かいたします。  IMFに対して日本がODAとして増資をしている額は年間幾らでしょうか。
  49. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) お答えいたします。  おおむね過去五年間、毎年百億円程度でございまして、五年間の累計で五百二十八億円でございます。  その大半はIMFの開発途上国向けの長期低利融資であります拡大構造調整ファシリティー、俗にESAFと言っておりますけれども、アフリカとかアジアの低所得途上国向けの融資でございますが、その利子補給に充てられております。  それから、そのほかには技術援助、テクニカルアシスタンスの関係とかあるいは履行遅滞国の支援ということでございまして、先ほど申し上げましたように合わせて五年間の累計で五百二十八億円でございます。
  50. 高野博師

    ○高野博師君 IMFには日本人職員は何名いて、そのうち大蔵省の出向者あるいはOBは何名いるんでしょうか。
  51. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) IMFの現時点の日本人職員の数は三十四名でございます。そのうち大蔵省からの出向者は十一名ということになっております。
  52. 高野博師

    ○高野博師君 これはなぜ大蔵省の出向者だけなんでしょうか。
  53. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 過去におきましても日本銀行それから経済企画庁からの出向者はおられましたが、現時点では大蔵省とたしか日本銀行からの出向者になっておりまして、その二者以外からは出向者という形ではおられません。  恐らくIMFが、世界銀行と違いまして、世界銀行の場合は大蔵省だけでなくていろいろな省庁から出向者が行っておられますけれどもIMFが為替レートとかあるいはマクロ経済政策ということについての調整を資金を借りる国に対して要請するという国際通貨基金という国際金融機関としての性格によるものではないかというふうに思っております。
  54. 高野博師

    ○高野博師君 それはIMFが大蔵省からの出向者を希望しているということでしょうか。
  55. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) IMFの職員につきましては、あくまでもIMFの事務局が……
  56. 高野博師

    ○高野博師君 職員じゃなくて、大蔵省からの出向者について聞いているんです。
  57. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 大蔵省の出向者も含めてすべてIMFの職員はIMFの事務局が採用の是非を判断するということになっております。
  58. 高野博師

    ○高野博師君 為替とか金融の専門家は学者も評論家もたくさんいるはずなんで、ほかの省庁にもいると思うんですが、大蔵省の人間だけが行くということはIMFの意向だとは思えませんが、これは日本政府あるいは大蔵省が勝手に送り込んでいるのと違うんでしょうか、実態は。
  59. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、採用の判断はあくまでもIMFの事務局で行われております。もちろん、私どもとして、できるだけ多くの日本人職員を特にシニアなポストに採用してほしいということは常にIMFに申し上げていますけれども、採用の判断はあくまでもIMFの事務局が行うということでございます。  なお、今御指摘になられましたように、学者の方というのは確かに過去にもございまして、日本の大学の先生がIMFのシニアなポストについたことは何度もございます。
  60. 高野博師

    ○高野博師君 できるだけ幅広く人材を送り込むという観点から、大蔵省の人間ばかりじゃなくてほかの省あるいはほかの分野の専門家も送るべきではないかと私は思いますが、その点についてと、日本からの出向者あるいは理事室にいる担当理事、これは相当の権限を持っていると思うんですが、大きな役割を果たしているということが余り見えない部分があるんですが、この点いかがでしょうか。
  61. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 第一の点につきましては、今後とも私どもとしてもできるだけ幅広くIMF要求する条件に合うような日本人職員をたくさん採ってもらうように進めていきたいと思っております。具体的には、最近、東京にアジア太平洋地域事務所というのをIMFが開きましたので、そこがリクルートの仕事もしております。したがいまして、ぜひ日本人職員の増加について私どもとしても最大限働きかけてまいりたいと思っております。  それから、第二点でございますが、現在の日本人職員で幹部になっている者といいますと、確かに理事が一人ございます。ただ、これは普通の日本人職員と違いまして、日本国政府の方でこの人を理事にということをアポイントできるものでございまして、日本国政府として日本の立場をIMFにおいて主張するというものでございます。  他方、ほかのスタッフの中には、幹部として副専務理事、局長は今実は一人もおらないわけでございますが、局の次長クラスの者あるいは課長クラスの者というのはかなりおりましてそれぞれの分野で活躍しております。  おっしゃいましたように、確かに日本人職員がIMFのスタッフの中である程度シニアなポストにおって活躍しているわけですけれども、それぞれの担当分野が必ずしも日本と関係ないことをやっておりまして、日本の職員としての活躍ぶりが日本では十分見られないのはおっしゃるとおり非常に残念だと思いますけれどもIMFの中では相当活躍しているということは私ども承知しております。
  62. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、日本にあるいろんな団体、特殊法人とか公益法人、このセミナーとかシンポジウム等に対してIMFから援助を受けていると思うんですが、これは総額にすると年間幾らぐらいでしょうか。
  63. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) IMFが直接に民間団体や公益法人に対して援助を行っているということはしておりませんで、IMFが財団法人国際金融情報センターと共同主催で、東京でアジア諸国の大蔵省あるいは中央銀行職員を対象としたセミナーを年に一回開いております。  これは、マクロ経済政策の調整のあり方とか、あるいは金融システムの話、財政政策、財政改革等々についてアジア諸国の大蔵省の職員等に研修をするというものでございます。共同主催でやっておりまして、これに対するIMF側の負担は三年間で一億五千万円程度だというふうに聞いております。三年分でございます。
  64. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、IMFの関連で外務大臣一つお伺いしますが、IMFに対しての批判がかなりあると思うんです。  例えば、アルビン・トフラーのような未来学者が、IMFというのはどういう国に対しても同じ処方せんしかやらない、緊縮財政をしろとかあるいはインフレを抑えろというようなことしかやらない、むしろIMF存在そのものが金融危機を招く原因の一つではないかと、そういう批判まであるんです。  昨今の国際的な金融・通貨事情が相当変わってきている中でIMFの役割が随分変わってきているのではないか、そういう中でうまく機能していない部分があるのではないか、したがって根本的な改革が必要ではないかと思うんですが、こういう点について日本が何かイニシアチブをとってやるというようなことはお考えでしょうか。簡単で結構です。
  65. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 例えば、韓国の場合でもタイの場合でも、あるいはインドネシアの場合も含めて、基本的に私はIMFのやったことは方向として正しかった、こういうふうに思っておりますが、それぞれの国における実情等について無理解ではないかというような批判については、それはIMFとして当然耳を傾けていくべき話ではある、こういうふうに思っております。  当然、日本政府といたしましても、それぞれの場合につきまして、特にインドネシアなんかの場合についてはいろいろ物を申したつもりでございます。私自身も物を申したつもりでございますが、そういう方向であらゆる機関が問題点があればそれを正していく必要はある、こういうふうに思っております。
  66. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、IMF関連はこれで終わります。  次に、NATOのユーゴ空爆についてお伺いいたします。  このNATOの行動に対する日本政府の立場は簡単に言うとどういうことでしょうか。
  67. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ごく簡単に言うと、今まで、昨年三月以来の外交努力等をしたにもかかわらず、ユーゴがかたくなに和平合意案を拒否し、あまつさえ民族浄化と言われるような極めて非人道的なことを行って、その動機において理解するところがある、こういうことでございます。
  68. 高野博師

    ○高野博師君 理解するという立場でしょうか。
  69. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 空爆があった直後の私の談話というのを、それほど長くないのでそのまま読ませていただきます。
  70. 高野博師

    ○高野博師君 いや、そのまま全部読まなくて結構ですが、一言で言うと、要するに理解をするという立場なのか、そうでないのか。
  71. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) やむを得ずとられた措置であったと理解をしている、事態の推移を重大な関心を持って見守っている、ユーゴスラビア政府がコンタクトグループの和平合意案を至急受け入れることを強く求める、こういうことでございます。
  72. 高野博師

    ○高野博師君 NATOが主権国家にこういう問題で軍事介入をしたというのは創立以来初めてだということなんですが、その正当性というのは、人道的な観点から干渉しているんだということが言われているんです。人道上の観点から武力介入することによって民間人の犠牲者も出ているということ、これは、では少数者の人権とかあるいは人道は無視されていいのかということになると思うんです。  今の大臣のお話で、このユーゴ空爆に対してはやむを得ないということなんですが、英米軍によるイラクの空爆の場合は支持をしたんですね。それから、米軍によるスーダン、アフガンのミサイル攻撃については理解するという言い方をしたんですが、今回はやむを得ないということなんですが、この支持するか理解するかやむを得ないかという三つの判断の基準は一体何なんでしょうか。何を根拠にしているんでしょうか。
  73. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) その行為そのもの、それを取り巻く状況を全体的に判断して、その都度、支持をする、理解をする、あるいは場合によったら反対をするということもあり得るでしょうし、その都度、ケース・バイ・ケースで事を日本政府としてどこまで判断できるかという問題もあるわけでありますが、そういうことでやっているわけでございます。
  74. 高野博師

    ○高野博師君 僕が聞いているのは、全体的ないろんな条件の中で何を根拠にしているのかということなんですよ。それは答えになっていないと思うんですが、どうでしょうか。
  75. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 委員が求めているような答えには必ずしもなっていないかもしれないと私も思いますが、それは総合的に判断してということが私が答えられる答えでございます。
  76. 高野博師

    ○高野博師君 国連の決議があるかないかという基準は、これは判断の一つの根拠になっていませんか。
  77. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 要素の中の一つだということはそれはそうだと思います。  それで、国連の決議があるかないかといって、国連決議が全くないわけではなくて、空爆を容認するような明示の決議がないことはこれは明らかであります。国連の決議があるかないかということについて、この問題についての国連決議という面では幾つかあって、それについてユーゴ政府が違反を繰り返していたということも事実であります。ただ、今も申し上げたように、だから空爆というような措置をとっていいというような明示的な決議がないことはそれは事実でありまして、もしそういう決議があったのであれば日本政府の言い方も変わってきたものになったであろうということは言えると思います。
  78. 高野博師

    ○高野博師君 ということは、国連の決議があるかないかというのは非常に重要な判断の基準の一つになっているのと違いますか。まあ、いいです、これは結構です。  今回の空爆は国連の決議なしにNATOが独自に決めたわけですが、それは日本が国連中心主義をとっているという観点からすると、日本政府は、大臣はどういう認識をされているんでしょうか。
  79. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) その法的評価、国連憲章に違反しているかしていないかという法的評価は第一義的には国連安保理でなされるべき話だと、こういうふうに日本政府としては思っているわけでありますが、そういう中で、ロシアがこれは国連憲章違反だ、空爆停止しろという決議案を出して、それは十二対三という大差で否決されたと、こういう事実もあるわけであります。  ですから、そういう中で、日本政府とすれば、いろいろな面で人道上の問題というのがどの程度のことか、例えば民族浄化ということが言われていますが、それはアルバニア系の人たちをただ追い出すだけなのか、あるいはそこで虐殺が行われているのか、行われているとして、その虐殺がどのくらいの規模のものなのか、そういったことも正確に把握できない状況、あるいは逆にNATOの軍事作戦そのもの、これも一応の報告は受けておりますけれども、今、委員も御指摘になったような誤爆のようなことも中にはある、そういった詳細について、両方についての詳細を必ずしも知り得ない中で確定的な法的評価をすることは差し控えている、こういう状況でございます。
  80. 高野博師

    ○高野博師君 済みません、時間がないものですから簡潔にお願いしたいと思うんですが、民族問題を抱えるロシアとか中国あるいはインドネシア、これは非常に懸念をしていると思うんです。民族問題に武力介入することの是非は問われなくちゃならないと思うんですが、これはまた別の機会にします。  三週間で戦費が十六億ドルもかかっている、相当NATOの各国には負担になっているということなんです。日本は難民援助という形で援助をすると思うんですが、今回の介入の理由が人道上の理由ということで、ある意味で普遍性があるわけです。これについて日本は戦費の負担をしろというようなことを言われた場合には、しないんだと思いますが、念のため一言で結構ですから確認したいと思います。
  81. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 少なくとも現時点で戦費の負担をするということは考えておりません。
  82. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、防衛庁長官に一言お伺いします。  NATO軍の発表によれば、鉄橋を空爆した、この際に列車も爆破されて、民間人十人以上の死者が出たということなんですが、鉄橋はコソボに駐留するユーゴ軍への戦略的に重要な補給路になっているという、そこで空爆の対象になったということなんですが、戦略戦上の常識として補給路を断つということは、攻撃の対象になる最も危険性があるわけですが、こういうことが現実に示されたわけです。  そうすると、新ガイドライン関連法との関係でいいますと、日本が行う後方地域支援あるいは補給活動というのは最も危険があるということは現実に明らかになっているんですが、これについて長官はどういう認識をされているのか、簡単で結構ですから、お答えください。
  83. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私どもは、現実の問題として、後方地域においてだけそういう活動をするので、戦闘地域とは一線を画してやる、またはそういう戦闘地域に巻き込まれるおそれがあるときは中断したり変更したりするということで対処していかなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。
  84. 高野博師

    ○高野博師君 一線を画すこと云々についてはここで議論しませんが、非常に危険があるという認識は必要ではないかと僕は思います。  それでは、JICAの総裁においでいただいていますので、JICAのODAによる留学、これに官僚の特別枠があるという報道があるんですが、このJICAの海外長期研修制度、これはODAでされているわけですが、目的を簡潔にお答えください。
  85. 藤田公郎

    参考人藤田公郎君) ただいま御質問の研修制度でございますけれども我が国が開発途上国に対して実施します技術協力事業を質的に向上させるために、国際協力に従事する専門家等の人材の養成と確保、この一環として、我が国の民間それから省庁の人材等、事業団の職員等を先進国、開発途上国の教育機関、研究機関等に対して派遣して将来の人材を養成する、こういう目的でございます。
  86. 高野博師

    ○高野博師君 国際協力の質的な向上を図る、あるいは人材の育成を図るという観点からすると、過去、昭和四十九年から平成十年までで七百二十二人のうちの三百十八人が官僚だったが、その大半の官僚は国際協力には従事していないということなんです。これは事実でしょうか。
  87. 藤田公郎

    参考人藤田公郎君) ただいま御指摘のとおり、七百二十二人のうち今まで国家公務員三百十八人が行っておられますが、現在外国におられる方を除きまして帰ってこられた方について見ますと、二百四十四名の方が今まで帰ってきておられます。  このトレース、今どこでどういう仕事をしておられるのかというのを三年に一遍ずつ私ども後追い調査をしておりますが、最新の平成八年の調査で見ますと、直接私どもの事業団の関係の国際協力に従事しておられる方が百十八名、四八・四%。それから、事業団に直接関係はしておりませんが、各省庁で経済協力を担当されたり在外公館に行かれたりということで経済協力に従事しておられる方を含めますと百八十二名で七四・六%、すなわち七五%近い方は開発協力に関与してくださっております。
  88. 高野博師

    ○高野博師君 それで、一般公募の人と、それからJICAの職員あるいは各省庁の役人と選考の基準が違うというんです。これは本当でしょうか。
  89. 藤田公郎

    参考人藤田公郎君) 各省庁と当事業団の職員につきましては、一般教養試験、専門分野についての論文試験、語学試験という書面試験を行いまして、その合格者を面接試験ということで採用しております。  それから、民間の場合には公募しておりまして、公募で応募した者について書類選考、次いで第二次の面接試験というのを行うということで、手続的には別の方法でやっております。
  90. 高野博師

    ○高野博師君 公募の仕方は、どういう分野にいる人間であれ同じ選考の基準でこれを公募する必要があると思うんです。  ODAというのはそもそも何かというと政府開発援助、発展途上国の経済社会開発の発展に資する援助だということで、ODAを使ってのこの制度は年間四億七千万円ほど使っているということなんですが、これは我が国のODAの実績に計上されているんでしょうか。簡単に答えてください。
  91. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) この種の経費はODAの実績に計上されております。
  92. 高野博師

    ○高野博師君 何という項目でしょうか。
  93. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 行政経費という項目あるいは技術協力の項目、事柄によりますけれども大体そういった項目のもとに整理されております。
  94. 高野博師

    ○高野博師君 それでは参考までに、その行政経費というのは一体どういうものがあるのか、後で結構ですから教えてください。  要するに、ODAの本来の目的からすると、こんなに大量の官僚がこれを利用して留学しているというのは問題があるんではないか。むしろ途上国の人間を日本に留学させるとか、あるいは研修員をもっと受け入れるとか、あるいは小規模無償等に回すとか、この四億七千万の使い方はもっと有効に使える方法があるのではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  95. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) この制度自体が特に問題だというふうには考えておりませんけれども、本制度によって派遣された国家公務員の帰国後の活用について改善の余地はあろうかと、こう思っておりますので、検討してまいります。
  96. 高野博師

    ○高野博師君 この選考の方法あるいは適正性とか公正性とか、帰国後、援助業務についていない等の問題があります。  それからまた、研修期間中の給料は一体どうなっているのか。本省での給料体系とこの留学中の給料はどうなっているのか、参考までに教えてください。
  97. 藤田公郎

    参考人藤田公郎君) 給与でございますけれども国際協力事業団からは原則として二年間の研修の期間の滞在費それから研修経費、これは授業料でございます。それから、往復の旅費、これを私ども国際協力事業団が負担いたしております。  それから、公務員の御質問ということで限定してお答えしますと、給与につきましては所属の省庁が支払っておられます。
  98. 高野博師

    ○高野博師君 滞在費の中身は何でしょうか。
  99. 藤田公郎

    参考人藤田公郎君) 滞在費は当該の地域で住居を定め、そこで生活していく費用でございます。
  100. 高野博師

    ○高野博師君 そうすると、各省から来ている人間は各省でまた給料は別にもらっている、しかし滞在費の中身は一般公募の人間と同じような手当だとすると、これはやっぱり二重取りということになりませんか。
  101. 藤田公郎

    参考人藤田公郎君) それは通常の公務員それから国際協力事業団の専門家その他外国で活動する方、民間についてもある程度そうだと思いますけれども、外国での滞在の経費とそれから本邦における本俸というのは別に支払われるのが通常だと思います。
  102. 高野博師

    ○高野博師君 大変問題があると思うんです。ジェトロもあるいは石油公団も同じような制度を持って役人が相当の数留学している、非常に優遇されているというのは問題があると思うんです。JICAがやっている、特にODA用のお金を使っているということですから、これは私は特別枠というような形は撤廃すべきじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  103. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 先ほど大臣の方からも答弁ございましたけれども、この制度の運用につきましてはいろいろ改善を重ねてまいりたいと思います。  例えば、海外への留学が主体でございますけれども、国内もいろいろこの種の研修をするにふさわしいものができつつございますし、それからもっと開発途上国・地域向けの留学というものの数をふやすとか、いろいろ改善すべき点があろうと思っておりますので、そういう趣旨に沿いまして、これから研究をしていきたいと思っております。
  104. 高野博師

    ○高野博師君 時間がないので終わりますが、どのように改善されたか、後で報告をお願いします。  終わります。
  105. 河本英典

    委員長河本英典君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  106. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件外一件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  107. 小泉親司

    ○小泉親司君 初めに、アフリカ開発銀行設立協定の改定案について質問いたします。  今回の協定は、アフリカ以外の諸国の出資比率を引き上げることを通して、銀行の運営におけるアフリカ諸国以外の国の発言権を高めるものだということが一つの改定内容になっております。  アフリカ開発銀行はアフリカ諸国の金融機関の必要性から設置されたものでありますが、一番の問題というのは、今回の協定がアフリカ諸国の金融機関の充実という原則、つまりアフリカ諸国の利益を阻害しないかどうかという点であるというふうに思います。  今回の協定の三十五条(3)の改定の中で、いずれかの加盟国ですから、域外国が特に重要でありかつ自国の実質的な利害に関する問題である旨を表明した事項についての議決は、総得票の七〇%以上が必要とされるということになった。同時に、アフリカ諸国の投票権は三分の二から六〇%に引き下げられたわけですが、こうなると、例えばアフリカ諸国が必要だというふうな融資だとか同意する案件であっても、アメリカや日本などの域外国が自国の利害に関する問題としてまとまってしまうと、実際アフリカ諸国が考えている趣旨と違った議決がされる、ないしは融資も受けられなくなるというようなことが予想されるというふうに考えられますが、その点、まず初めにお聞きしたいというふうに思います。
  108. 小松一郎

    政府委員(小松一郎君) 今国会で御承認を求めておりますこの協定改正でございますが、今、先生がおっしゃいましたように、一九九〇年代に入りまして域内加盟国による債務の履行遅滞の増加による財務状況の悪化というようなことがございまして、こういうことに伴いまして銀行の運営を改革する必要が認識された、こういう点がまずございます。  その中で、加盟国の出資比率それから総務会理事会の議決要件等を変更いたしまして、もって銀行の運営における域外加盟国責任発言権を高めるということが目的であるわけでございます。  この協定改正と法的には結びついておりませんけれども、この協定改正を前提といたしまして第五次増資というものが予定されているわけでございまして、そういう文脈の中で銀行の資金的基盤が強化されるという点が眼目かと存じます。そういうことで、銀行の運営の改革が行われまして資金的基盤が強化されるということになりますと、その銀行の融資を受けまする対象はアフリカ諸国でございますから、基本的にはアフリカ諸国にとって利益となるものではないかと考える次第でございます。  それから、先生の御指摘のございました投票権の問題でございますが、確かに御指摘のございましたように域内加盟国発言権が相対的に低下するということは、投票権という観点からそれはあるわけではございますが、この改正後におきましても域内加盟国は六〇%の出資比率すなわち六〇%の投票権数を有しているわけでございまして、投票面で域外国に対してアフリカ域内国が優位を持っている、この優位性に依然変更はないというふうに考える次第でございます。
  109. 小泉親司

    ○小泉親司君 仕組みとしてそういう仕組みがつくられるということについては、外務省としては了解しているというか承知しておられるわけですか。
  110. 小松一郎

    政府委員(小松一郎君) 先ほど申し上げましたように、やはり九〇年代に入りまして債務の履行遅滞等の問題が起こってまいりました関係で、この銀行の運営を改善し、またその資金的基盤を強化する必要ということが感じられているわけでございまして、それを実現するためには増資も必要である。増資とこの協定改正というものは法的にリンクはされておりませんけれども、やはり増資が行われる前提としてこういう改正が考えられているわけでございまして、必要な改正であると考えて、この締結につき御承認をお願いしている次第でございます。
  111. 小泉親司

    ○小泉親司君 どうもお聞きをしていると、お金が、いわゆる増資が必要なんで少しは緩和してやろうか、いわばアフリカ域外国の発言権や投票権を高めてやろうかというのが非常にニュアンスとしてあるんですが、そういう趣旨なんですか。
  112. 小松一郎

    政府委員(小松一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、この増資と協定改正というのは法的には結びついてございません。  ただ、域外国が出資をするに当たりましても、やはり今銀行の運営自体に残念ながらいろいろな問題が指摘されているという現状にございますので、その問題を解決するためにはこういう協定で規定されておるような改正がこの銀行の運営の改善のために必要な措置であるというふうに、我が国のみならず広く加盟国全体で一致した認識があるというふうに考えております。
  113. 小泉親司

    ○小泉親司君 先ほどから繰り返し債務の履行遅滞の増加による財務状況の悪化ということを言われておるわけですが、この原因というのはどこにあるというふうに考えられておるわけですか。例えば融資が焦げついた主な原因は、いわゆるアフリカ開発銀行の融資の判断の基準が甘いとか、いわば南北問題その他があって国のプロジェクトがうまく進んでいないとかという点なのか、その辺について。
  114. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) お答え申し上げます。  アフリカ開発銀行におきます財政面あるいは運営面の問題につきましては、運営管理面での問題も一部ございます。すなわち、審査体制、評価体制、管理体制、こういった面での問題、それから組織全体の効率化、こういった問題もあります。  しかし、より中心的な問題としましては、債務の履行の遅滞額がふえておりまして、その遅滞の原因は、主にコンゴ民主共和国でございますとかアンゴラ、リベリア等、最近大きな内乱や紛争が発生しており、その結果、経済状況ががたがたになっておりまして、政治的な不安定、経済的な状況悪化といったようなものが債務の返済履行の遅滞を招いている、こういった問題がございます。
  115. 小泉親司

    ○小泉親司君 銀行の運営の改革だけでは問題は片づかないということをおっしゃっておるのだと思いますが、その点、単にこの銀行の出資比率や発言権の改革だけではやはり今のアフリカ開発銀行の非常に重要な問題というのは解決しないという点を指摘して、次に、ユーゴへの空爆の問題について質問いたします。  私ども日本共産党は、今回の空爆については、紛争の当事国の一方が和平案に合意しないからといって大規模な爆撃を実行するというやり方には道理がないというふうに考えております。しかも、今回の空爆は国連の安全保障理事会でも決定されたものではない。NATO軍事同盟の独自の判断で、いわば主体的な判断で実行されたものであって、我が党は空爆を停止し、やはりすべての紛争当事国が和平交渉を再開すべきだ、特に和平交渉で粘り強い努力が大変大事で、これを続けることが必要だということをまず初めに申し上げておきたいと思います。  日本政府は、今回のNATOによる空爆について、大臣の談話で、人道上の惨劇を防止するためにやむを得ずにとられた措置であったと理解しているということを表明された。そのことはもう既に当委員会でも先ほど午前中の審議でもおっしゃっていることですが、NATOが空爆を開始してから三週間余りが経過した。現在も空爆が実行されているわけですが、マスコミなどでは、戦闘が泥沼化したとか、糸口の見えない空爆だとか、空爆後のシナリオを描くべきだとかという議論が伝えられております。  やはり一番の問題は、ユーゴコソボ問題の解決、和平問題だというふうに思うのですが、外務大臣はこの空爆によって局面の打開はあった、和平にとって前進であったというふうに考えておられるのかどうなのか、この点をまずお聞きしておきます。
  116. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今、委員からも御紹介ありましたように、犠牲者の増加という人道上の惨劇を防止するためにやむを得ずとられた措置であったとNATOの空爆について理解をしているわけでありますが、現時点までにこの空爆によってその方向がいい方向に向かったというふうには私も認識をしておりません。  一刻も早くユーゴ政府コソボから軍隊を引き揚げる、そして難民の帰還を認める、そしてその帰還した難民の人たちの安全を保証するために何らかの担保をきちっとする、そういったことを受け入れてもらう。それと同時に、そういう和平ができることによって空爆も停止するということが一刻も早く来ることを願っておりますし、役に立つのであれば日本政府としてもそういう努力はしたい、こういうふうに思っております。
  117. 小泉親司

    ○小泉親司君 これまでコソボの問題については、国連の安保理で昨年一一六〇、一一九九、一二〇三、一連の決議が上がっておるわけです。平和解決への努力が国連の場で進められてきたわけです。  ところが、今回の空爆は、一つはNATO軍による国連安保理決議なしの域外紛争への軍事介入という特徴と、それからユーゴ共和国とコソボ解放軍とのいわゆる内戦への軍事介入であると。つまり、国際法上はユーゴという主権国家に対する国連安保理決議なしの武力行使というふうな性格を持っておりますが、それでも日本政府としてはその点もやむを得ない処置なんだというふうに容認をされておられるのか。その点、外務大臣、いかがでございましょうか。
  118. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今回のNATOの行動につきましては、今までも申し上げましたが、ユーゴスラビア政府和平合意案をかたくなに拒否し、他方国連安保理決議に反しコソボにおいてユーゴ軍及びセルビア治安部隊による過度な武力行使が続く中、ぎりぎりの外交交渉がとんざし、このまま放置すれば多数のさらなる犠牲者が出ることが必至という人道上の惨劇を防止するためにやむを得ずとられている行動である、こう理解をしているわけでございます。  今回のNATOの行動が安保理決議を根拠とするものであるか否かについては、第一義的には安保理が判断すべきものであると考えています。  この点に関連して、去る三月二十六日、これはニューヨーク時間で、日本時間は二十七日でありますが、に開催された安保理公式会合では、ロシアが今回のNATOの武力行使を国連憲章違反とした上で、NATOの武力行使の即時停止と交渉の再開を要求する決議案を提出しましたが、賛成三、反対十二、棄権ゼロの大差で否決されたわけでございます。  今般の武力行使に参加している諸国のうち、自衛権の行使であると説明している国はないというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、我が国は今回のNATOの行動の当事者ではなく、また作戦面を含むNATOの軍事行動に関する詳細な情報を有していないので、安保理決議上の根拠を含め今回のNATOの行動について我が国として法的評価を下すことはできないということは御理解をいただきたいと思います。  でありますから、日本としては人道上の惨劇を防止するためにやむを得ずとられている行動であると理解している、こういうことでございます。
  119. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、三月二十六日の国連安保理での空爆停止決議が否決されたということで、まさか安保理で武力行使の容認が授権されたと、どうも今おっしゃっているのはそのようなニュアンスに聞こえますが、そうではないということは確認できるわけですね。つまり、国連においては依然として武力行使を容認する決議はないという点は変わりないわけですね。
  120. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) もし、ロシアの決議が否決されたことで安保理決議があったという評価をするのであれば、我が国として法的評価を下すことはできないなどという悩ましいことは申し上げません。ただ、こういうこともありましたよということは事実として申し上げている。  NATOの行動が安保理決議を根拠とするか否かについては第一義的に安保理が判断すべきと考えている、そういう中でこういう事実もありましたということを御紹介申し上げているだけで、このことによって日本政府が明確に安保理決議があったからこれは合法だ、こういうことを申し上げているわけではございません。
  121. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは容認する、つまりNATOに国連安保理通常やるべき武力行使の容認が授権されていない、その点は現在もなお変わっていないということなんですね。
  122. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ですから、授権されているのかいないのか、そういうことは第一義的には安保理が判断するべき問題である、そしてそれについては明確な判断を安保理はしていない、明確な決議はないということは我々は認めているわけであります。そして、そういう中でありますが、我が方とすれば、詳しい状況等がわからない、当事者でもない、そういう状況の中で確定的な法的評価はできない、こういうことを申し上げているわけであります。
  123. 小泉親司

    ○小泉親司君 まとめて言いますと、空爆を人道上の問題で理解を表明された、いわばやむを得ない処置と理解をされたと。  しかし、今度の空爆の問題というのは、世界でいろいろと各国が態度を示しておりますが、御承知のとおりNATOの諸国内でも、例えばイタリアの下院では空爆反対の決議が出されておりますし、NATO諸国でも反対の世論が高い。やむを得ない処置というふうに理解している国でも、例えばアジアの諸国ですと、アメリカの事実上の同盟国と言われるタイやフィリピンの政府でも、コソボの人道上の重大な状況と危機に注目している、いわば大変危機的な状況だということは指摘しつつも、やはりNATOのユーゴに対する軍事作戦の実施は非常に重大な懸念があるんだと懸念を表明しておられるわけですが、なぜ日本政府はやむを得ないということで、このような諸国と同様の態度をとらずに、いわば理解を表明しているのか。  その点がやはり非常に重要な問題だというふうに思いますが、その点、外務大臣、いかがでございますか。
  124. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 繰り返しになるわけでありますが、欧米諸国の粘り強い外交努力にもかかわらず、ユーゴスラビア政府のかたくなな態度のために、パリ和平交渉においても合意が達成されなく今回のような状況に至ったことは、日本政府としても極めて残念に思っているわけであります。そういうことは私の談話でも申し上げているわけであります。  NATO諸国の中にもいろいろな意見があるというふうに委員今おっしゃいましたが、NATO諸国の政府はすべて一致してこの空爆を支持しているわけであります。それぞれ民主主義の国でありますから、中にいろいろな意見があるというのはまさに当然のことだと、これはそう思いますし、日本の中にもいろいろな意見があるわけであります。  私たちはそれぞれの懸念が間違っているとかどうだとか、そういうことを言うつもりはありませんし、やっぱり空爆で民間人が亡くなっておられることも事実ですし、そういうことを我々が心配していないわけでもないし、日本国民の中でそういうことは遺憾だと思っておられる方がたくさんいて、それはおかしいと思うわけでもないし、それは民主主義の国の中で、NATOの中でもそれはいろんな意見もありましょうが、国とすれば、NATO諸国、あれだけの国が一致して、例えばイラクの空爆については反対した国なども含めて、このユーゴスラビアの中の、要するにコソボの中のまさに民族浄化と言われるようなこと、それは単に人を追い出す、人を追い出すということだって大変なことでありますが、それだけでなくて、その中に虐殺のようなこともある。それがどのぐらいの規模なのかどうかということは我々はっきり確認できないわけでありますが、そういうことも一部あると。  そういうことを国際社会で手をこまねいて見ていていいのかということも一方ではあるわけでありまして、そういう中で私はやむを得ずとられた措置であると理解しているということを申し上げたわけでございます。
  125. 小泉親司

    ○小泉親司君 ですから、私が言っているのは、コソボ問題の危機的な状況という国際世論は非常に強いし、しかし、だからといって空爆で問題は解決するのかと。ここが非常に重要な問題だというふうに私は思います。  その点では、空爆を今停止して、きちんと国連の主導のもとに、この和平問題を改めて粘り強く協議する必要があるんじゃないかということを私は申し上げておきたいと思います。  その点で、どこのマスコミでも、多くの識者の方が話をされているのも、やはり空爆で事が解決するものじゃなくて、今度の問題というのはただ単に、ボスニアの空爆でアメリカが成功したと言われているけれども、そんな簡単なものではない、やはり粘り強い交渉、和平努力が何としても必要なんだという点を指摘する声も非常に高いという点も指摘しておきます。  もう一つお聞きしたいことがあるので、大臣に大分長くお話しされてしまいましたが、先に行きます。今度のユーゴの一連の事態と今度の日米ガイドラインとの関連の問題です。  高村大臣は、この前のガイドライン特別委員会ですか、ちょっと資料がありませんが、今度の日米ガイドラインとユーゴの関係について、一つ我が国の平和と安全に重大な影響を与えているかどうか、それから米軍の活動が国連憲章にのっとった、そういった国際法の許容するものであるかどうか、そういったものであれば理念的に排除されないというふうに述べておられます。  つまり、一つは、我が国の平和と安全に重大な影響を与えているかどうかという判断が一つあって、もう一つは、米軍の活動が国連憲章にのっとった、そういった国際法の許容するものであるかどうか、そういったものであれば日米ガイドラインでの周辺事態として適用するという点では理念的に排除されていないというふうにおっしゃっているんですよ。
  126. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) コソボの問題についてですか。そんなことはない。
  127. 小泉親司

    ○小泉親司君 ではどういうことですか。その点お聞きしたいと思います。
  128. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今言ったことは、一般論として私はいろんなところで申し上げていることだと思いますが、コソボの話が日本の平和と安全に重要な影響を与えるなどということは事実上全く想定されないことだと私は思っております。ですから、そんなことを言っているはずはないと思いますし、そういう速記録があるのであれば、私ちょっと後で見せていただきたいと思います。
  129. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、今度のユーゴ問題が周辺事態という認定をされることになるのでしょうかという質問に対して、三月二十六日の衆議院のガイドライン特別委員会大臣が言っておられるのは、「いろいろな類型がありますので、与件というか、いろいろありますので何とも言えないわけでありますが、」ということを前提にして、「やはり、その結果として我が国の平和と安全に重要な影響を与えているかどうかということが一つでありますし、そしてそれと同時に、米軍の活動が、国連憲章にのっとった、そういった国際法の許容するものであるかどうか、そういったことであれば理念的には排除をされない、こういうことでありますが、」と、こう言っておられるんですよ。
  130. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私はいろいろ答弁していますから全部を正確に覚えているわけではありませんが、恐らく質問者が、ユーゴのような事態が近くで起こった場合とかいろんな条件を言っていて、そういう中で一般論として日本の平和と安全に重要な影響を与え、そして国連憲章上米軍の行動が許される場合という、ごく一般論を申し上げただけであって、ユーゴコソボの話が周辺事態に当たるかもしれないなどというようなことを私は言うはずがないと。幾ら、時々私はぼけていますけれども、それだけぼけたことは言わないと思います。
  131. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、私がそういうことを言っているんではなくて、大臣がそう言っておられるからその答弁について質問をしているんです。  それでは、我が国周辺地域ではないけれども、周辺事態、つまり事態としてはこのコソボ問題というのはそういう性格の問題に当たるのか。これまで周辺事態の四条件ということを言ってこられて、国際的な武力紛争がある国で起きた場合ということが日本に波及してきた場合と。これは地理的に波及しないということは、そんなのはユーゴの問題ですからその点はあると思いますが、事態の性格として、今度の問題というのは地理的な概念では問題がなく、事態の性質に着目したものだという点では、事態の性質という点ではユーゴの問題というのは周辺事態の概念というものに当たるんですか当たらないんですか、その点を最後にお聞きして、時間が参りましたので、質問を終わります。
  132. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ユーゴの事態、コソボの事態というのは、まさにコソボで起こったからコソボの事態、ユーゴで起こったからユーゴの事態なので、あの事態が日本の平和と安全に影響を及ぼすなんということは全くあり得ない話だと思っております。  そういう質問全体に対して一般論で述べたところを、そこをくっつけて今何かおっしゃっているんだろうと、私はそう思います。
  133. 小泉親司

    ○小泉親司君 終わります。
  134. 田英夫

    ○田英夫君 本日議題になっております二つの条約については私どもは問題ないと思っておりますので、委員長のお許しをいただいて、例の日本海での不審船の問題について御質問をしたいと思います。  それぞれ政府の中の関係省庁で、この問題については、新しい事態といいますか厳しい事態ですから、それぞれ総括をやっていらっしゃると思いますので、そういう意味を込めて伺いたいんです。  報道によりますと、一つども気になるのは、防衛庁の中で領域警備法をつくれという意見があるということが紹介をされております。これが事実なのかどうか。つまり、今回の問題は領海侵犯ということで、形としては漁業法違反ということでしょうけれども、それを漁業法というような形ではなくて、もっと厳しい対応ができるようにすべきだという意味だと思いますが、領域警備法をつくれという御意見があると聞きますが、これは事実でしょうか。
  135. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 不審船対処を初めとし、海上における人命、財産を保護し、または治安の維持については、毎回お答えしておりますとおり、第一義的には海上保安庁対応することが任務とされておるわけでありますが、自衛隊は御案内のとおり、海上保安庁では対応が不可能もしくは著しく困難といった特別の必要がある場合に、総理大臣承認を得て海上警備行動をとることとされているわけで、これは自衛隊法八十二条で書いているところであります。  防衛庁としては、先般の教訓を踏まえて、今後ともこのような法的スキームのもとで、海上保安庁と密接に連携して不審船事案に適切かつ迅速に対処していきたいと考えております。  御質問我が国の領海の警備のあり方について、さまざまな御議論がありますことは承知しておりますし、国会のいろいろな場でもそういう御質問を受けているわけですが、防衛庁としては、まずは現行の法的スキームのもとで最善の努力を払うべきものと考えております。
  136. 田英夫

    ○田英夫君 あの事件の直後の当委員会で、私はP3Cの爆撃は重大な問題だという発言をしたことを覚えているんですけれども、こうした停船をさせるために威嚇射撃をしたり爆弾投下をした、こういう問題に絡んで一度きちんとしておきたいと思います。憲法では武力による威嚇、武力行使は禁じているわけですけれども、ただ一つ日本が武力行使をすることが許されているケース、結論を言ってしまえば、安保条約第五条の事態、日本が外国から攻撃を受けた場合にこれに対して自衛権を発動していく、この場合に憲法の規定を超えて武力行使が認められる、従来政府はこう答弁してこられたと思います。  これは改めて確認したいと思いますが、そのとおりでよろしいでしょうか。条約局長でもどなたでも結構です。
  137. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 我が国がいわゆる武力行使を行うことができる場合というのは、自衛隊法八十八条にございます、七十六条で防衛出動が発令されますと自衛隊法八十八条に従って必要な武力の行使をすることができると。先生、憲法を超えてとおっしゃいましたが、私どもは現行の憲法のもとでそういう法体系になっていると認識しております。
  138. 田英夫

    ○田英夫君 私が憲法を超えてと言ったのは、憲法の規定にもかかわらず自衛権というものが国際的に認められて、それは当然日本という国家に対しても認められる、こういう意味で超えてと申し上げたので、法律的に言えば今言われたとおり自衛隊法の二つの条項によって発動するんだと思いますが。結論はそういうことで、武力行使というのはその場合に認められる。  そうなると、この間の不審船に対する停船のための威嚇射撃、爆弾投下というのは、これはあくまでも武力行使ではないと当然考えておられると思いますが、その根拠はどうですか。
  139. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今度の不審船に対しまして、海上警備行動に当たる海上自衛隊の部隊が実施しました爆弾による警告につきましては、自衛隊法の九十三条によって準用される警察官職務執行法第七条に従いまして、当該船舶を停船させるため、事態に応じ合理的に必要と判断される限度において武器を使用したものでありまして、これはあくまでも警察権の範囲でのことであります。  今、委員から御指摘がありました憲法の禁ずる武力による威嚇というのは、私どもとしては、一般には、現実には武力の行使をしないけれども、自国の主張や要求を入れなければ武力を行使するとの意思なり態度なりを示すことによって相手国を威嚇することである、こういうふうにされているところであります。この事案に対しての武器の使用は、法令に従っていわば警察権の行使として実施したものでありまして、このような意味における武力による威嚇に当たるものではない、したがって憲法に違反するものではない、こういうふうに考えておるところであります。
  140. 田英夫

    ○田英夫君 この問題を十五分間で議論するのは大変至難のわざでありまして、本来ならば半日ぐらい議論をしていい問題だと思うので、大変残念であります。  そこで、私の方から意見を申し上げたいのは、今おっしゃったとおり、まさに今回の海上自衛隊の行動は警察官職務執行法の準用という形で行われた、こういう解釈だろうと思いますけれども、実際に行われたことは、前回申し上げたとおり、P3Cが爆弾を投下するという行動にまで発展をしているわけで、私は大変危険な方向に進むおそれがあるという考えを持っております。  今、はしなくもおっしゃったように、海上保安庁対応から海上自衛隊対応へと発展をしたわけですが、防衛庁長官先ほど言われたように、本来海上保安庁によって対応すべきだ、これは全く私もそのとおりだと思います。その意味は、ただそういう役割分担だからということだけではなくて、外交的な問題にも絡んでくると思うのは、諸外国でもちょうど海上保安庁に当たる、アメリカなどは沿岸警備隊ですか、海上だけではなくて、実はヨーロッパなどでは陸続きになっておりますから国境警備隊という形のものもあって、海上の場合はもちろんですが、海の警察官、こういう形に海上保安庁がなっている。このことの意味は、実は非常に大きな意味があるんじゃないかと思っているんです。  いわゆる海上保安庁のような沿岸警備隊という形で警察権として対応するということであるならば、国際法的には、停船命令を出したにもかかわらず停船をしない場合に撃沈することもできる。国際法的にはこれは許されていると思います。その場合、違反ではない、違法ではないという形で許される。しかし、これがもし軍隊が対応しますと話が違ってくるんじゃないかと思うんです。そういう中で、海続きのところですから、そういうところを沿岸警備隊という形で警察によって対応するということが意味を持ってくる。敵対関係に発展をしない。そういうことを配慮しているんじゃないかと思うんです。  この点は、防衛庁長官でも外務大臣でも結構ですが、どうお考えになりますか。
  141. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私どもが自衛隊法の八十二条を発動してやる場合もやはり警職法の七条の適用を受けることは先ほども申し上げましたが、海上保安庁がやる場合もこれは同様なのでございます。  警職法七条の解釈としましては、武器の使用はできるけれどもその中にいる人員の人命を損ねたりすることはできない、あくまでも正当防衛か緊急避難行為の範囲内でしかできないと言われているわけであります。そういう意味では、武器を使用して撃沈するということは、必ず中の人命を損ねることになりますので、正当防衛等の範囲を超えているんじゃないかという解釈にまた戻ってくるわけでありまして、海上保安庁がやっても自衛隊がやっても適用される法律の範囲は同じである、こういうふうに考えておるわけです。
  142. 田英夫

    ○田英夫君 念のために申し上げておきますが、私が撃沈すると言ったのは外国のことでありまして、日本はそれは憲法上許されないと思います。  そこで、今の問題を海上保安庁御自身はどう考えておられますか。
  143. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 前も私、先生にお答えいたしましたけれども、非常に日本の周辺の海域は船も多いし、無害通航が認められている。なかなか難しいところでございますが、やはりこの不審船の出現につきましては、我が国周辺海域におきます治安、公共の安全を侵害するものでありますので、今後とも海上における治安、公共の秩序維持に当たることを任務としている警察機関である海上保安庁がまず第一に対処することになるものと考えております。  そして、今回のように海上保安庁では対処することが不可能もしくは著しく困難と認められる事態が発生した場合には、これは内閣の御判断を仰いで、そして状況に応じて海上自衛隊と連携をとる必要があると考えておりまして、そういう意味でのいろんな反省を込めて今もろもろの点から検討しておる、こういう段階でございます。
  144. 田英夫

    ○田英夫君 ぜひ私は、やはり原則に立ち戻って、海上保安庁が第一義的に対応するということを改めて政府の中で確認をしていただきたいんです。というのは、ともすれば、ああいう事態がありますとオーバーに対応していってしまう、そういう状況で本来の原則を見失ってはいけない、こういうことを念のために申し上げておきたいと思います。  時間がなくなってきたんですが、最後に確認をしたいのは、今回の不審船に対する問題というのは、要するに領海を侵犯しているおかしな船がいるぞということで、とめてこれを検査する、いわば臨検です。ということになると、ガイドラインの言葉でいえば船舶検査活動というものと実質的には同じだと思うんですが、その点はいかがですか。
  145. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 今回の事例は、海上警備行動ということで、我が国の警察権に基づく一定の強制力を伴う措置でございました。一方で、私どもが今、国会で御議論いただいておりますガイドライン、いわゆる周辺事態法における船舶検査活動と申しますのは、国連安保理決議に基づく経済制裁措置の実効性確保のために安保理決議に基づいて、また船長等の同意を得て乗船する場合にはこれを行うといったような対応で、一般商船の積み荷、目的地の検査、確認という業務でありまして、おのずとその目的も趣旨も性格も、また具体的な対応も異なっているものだと思っております。
  146. 田英夫

    ○田英夫君 私はそう思わないんです。停船をさせて検査するという行動においては同じことになると思います。  ところが、実は、船舶検査活動について国連の決議が前提だということを入れましたのは、一昨年の与党ガイドライン問題協議会の席で私が提案をしたんです。それで、政府側が検討されて、アメリカ側とも恐らく接触されたんでしょうが、これが条件として入ってきたという経緯があります。  もう一つ、そのときに私から注文をつけたのは、威嚇射撃をやるということは憲法で禁ずる武力による威嚇ということにつながるおそれがあるんじゃないかということを申し上げましたら、佐藤防衛局長がその席におられたのでお確かめいただければ佐藤さんは覚えておられると思いますが、その次の回の与党ガイドライン問題協議会で、前回御指摘があった点については、武力による威嚇ということを避けるためにガイドラインの場合には信号弾または照明弾を打ち上げるということにいたしますというお答えがありました。この点は現在も変わっておりませんか。
  147. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 現在の私ども考え方といたしましては、現在の周辺事態安全確保法案に規定されております船舶検査活動の内容として御指摘のような状況になっているというのは、憲法上問題であるかということではなくて、これまでの諸外国の活動実績にかんがみて、それで有効に機能するということで今の法案を提出させていただいているというふうに考えております。
  148. 田英夫

    ○田英夫君 それは本人が言うんですから、間違いなく私は憲法に抵触するおそれがあるのではないかという指摘をして、政府側で検討されて次の回のときにそういうお答えがあったということでありますので、今の答弁では私は納得をいたしませんけれども、さっき申し上げたように時間が来てしまいました。  こういう議論はもっとゆっくりやりたいと思いますが、終わります。
  149. 山崎力

    ○山崎力君 まず最初におわびというかお断りでございますけれども、今回の審議するべき外務省の方の問題ですが、同僚議員が同じような質問をされておりますので割愛させていただきます。お断り申し上げます。  続きまして、前にも出ておりましたが、先ほど不審船絡みで、これまでの一連のことから質問させていただきます。  正直に申し上げると、あの事件発生直後の委員会等で私が指摘した点について、明確になってきてなるほどなと、後からよくわかったということがないままずっと来られて、いろいろな問題点はこれから調整等検討してやっていきたい、こういう回答がほとんどである。しかもそれは、あえて申し上げれば、その問題が今回の事例で明らかになったということだけではなくて、理論的には類似事件を想定すれば考えられていたケースがほとんどであったということが言える、ある意味ではこれまでの政府側の怠慢であったというふうに指摘せざるを得ないケースがほとんどであるということでございます。  総論的に言えばそういうことで何をやっていたんだということなんですが、今回のことで具体的なことでも、細かいことからですが、気になることが一、二ございますので、その点を確認させていただきたい。  一つは、防衛庁長官不審船はガスタービンを搭載していて非常にスピードが出たという発言を何回かされておりますし、テレビでも報道されていますが、このガスタービンということに関してどの程度確証をお持ちで発言されていたんでしょうか。
  150. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 運用局長も私も、推測でありますがあるいは想像でありますがという修飾語をつけて申し上げたつもりでありますが、私どもがそういうふうに推測をしたり想像した根拠は、ディーゼルではそんなにスピードが、三十五ノットも出ないんじゃないか、通常であればガスタービンじゃないかというふうに考えたということが一つ。  それから、煙突はついておりましたけれども、現地からの連絡だと煙が全く出ていないので、やっぱりこれは油を使っているわけじゃない、こういうふうに想像されたというようなことぐらいでありましたから、そのスピードの点と、煙突がありながら終始煙が出なかったということを考えますと、そういうふうに推測し想像したということであるということをひとつ御理解いただきたいと思います。
  151. 山崎力

    ○山崎力君 今根拠を示されましたが、普通、船舶のことを知っている人間からすれば、ガスタービンは普通のディーゼルあるいはスチームと違って大量の空気の吸入排出を必要とする、そのために吸排気口が大きくなっている。これは自衛艦の煙突を見れば一目でわかるわけで、何枚も写真を撮っているわけでしょうが、その辺のところのはっきりした写真が全然見えてこない。そこのところをカットして、無視して、そういうふうな報告を上げたとすれば、防衛庁内のそういう情報管理のところに大きな問題があるんじゃないか。  防衛庁長官が専門的な知識を持っているとは思いませんし、持っていなくても別段どうということでもないかと。常識的に見て、部下からこういうことでガスタービンではないだろうかと、確率が高いということでそのまま正直におっしゃられたんでしょうけれども、普通の場合、普通のというのはこういうことを常識で知っている人からすれば、では吸排気口はどこにあるんだと。吸排気口の見えないようなガスタービンの機関というのはないはずだとすぐわかるわけです。ということは、ある意味では制服からの情報が全然入っていないんじゃないかという気がするんですが、その辺はいかがですか。
  152. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 大臣への御報告ということもありましたので私から申し上げますと、確かに当時の状況で大変スピードが速いということに着目して当然ガスタービンの可能性というのは我々考えもしましたし、現に大臣にも御報告としてそういうものも上がっております。それは、一つには私ども護衛艦の高速化を図るという意味でエンジンのガスタービン化を逐次進めてきたという経緯もあってのことでございました。  そして、今、先生が言われたような点、改めて、撮ってきた複数の写真等を今専門家が分析しているところでございまして、どんな機関かという細部までわかるかどうかちょっとわかりませんが、今正確な分析、検討をしているのが実態でございます。
  153. 山崎力

    ○山崎力君 ということは、素朴な、報道を見た途端にすぐわかるようなことが、疑問としてガスタービンという、強いということになると、ガスタービンだとしたらここはどうなっているんだというすぐ判明するようなことがいまだに検討中だということになれば、この分析能力は何だということになりかねないわけです。そんな生半可なことを、今までかかっても確認できないようなことをあのすぐの時点で言うというのは、僕は細かいことですけれどもおかしなことだと思うんです。それはその都度はっきりしたときの根拠を示していただきたいと思うわけですが、後ほどで結構です。  それで、もう一つその辺からいきますと、今回の海上警備行動の場合で、先ほど来の議論を聞いていると、事前準備もなし、運用計画もなし、訓練もなし、装備もなしで海上自衛隊は海上警備行動に踏み込んだと指摘せざるを得ないケースなんです、正直申し上げまして。そういうことを、状況がこうなったからまあとにかくやれ、適当にやれ、適当というのは非常に微妙な表現ですけれども、根拠があってこういうことだからやれということではなかった、それしか考えられない。  反論があればお聞かせ願いたいんですが、例えば現場指揮官に対して具体的にどのような命令を出したんですか。
  154. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 今回の海上警備行動に対しましては、総理大臣の御承認をいただいて防衛庁長官から海上自衛隊行動命令を発出しておりますが……
  155. 山崎力

    ○山崎力君 具体的な中身です。
  156. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 中身の概要で申し上げますと、一つは今回のことでありますので三月二十三日に発見されて海保が追跡中の二隻の不審船舶に対する警備行動だということ、それから指揮命令系統を指示しておりますが、まず各自衛艦隊司令官が第三護衛隊群司令をして現場の部隊を統括させるということ、それから各地方総監に所要の部隊を出して協力するということ、あるいは海上保安庁と共同して対処しようということ、さらに細かい措置については長官がその標準的なものを示すという形で、部隊の方に一通りの細部措置事項を示したところであります。
  157. 山崎力

    ○山崎力君 今の御答弁だと、とめろとかなんとかという命令は出ていないんですけれども、それはどうなんですか。
  158. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) これは実は閣議決定の中で停船、立入検査その他必要な措置をとるための海上警備行動という形で承認をいただいておりまして、それに基づいて防衛庁長官からの命令では海上における警備行動を実施せよという命令を出したというわけであります。
  159. 山崎力

    ○山崎力君 そうすると、現場の最前線にいる人たちは何をしたらいいのかということがわからぬわけですよ。今までやってきたこともそうなんだけれども、具体的な海上警備行動で何をしてどうすればいいのかということがわからない。発動された警備行動に基づき当該不審船に対して停船をさせて立入検査をしなさい、こういう具体的な命令が現場の艦長なりあるいはそこに同乗している艦隊司令に対してはっきりした形でいけばいいんだけれども、そこがはっきりしていない。  それから、では具体的に停船、立ち入りをしなさいといったときに、どこまでしていいのかということが自動的に定まっていない。ROEという、関係者は御承知の交戦規則ですね、どこまでの権限を与える、そこまでは自由にやりなさい、それを超えるものについては上の許可を得なさいと。それが各ポジションといいますか組織ごとに決まっていて、そこまでは自動的にこの命令が出ればやってよろしい、だけれども、それを超える場合は、そこが決まっていない上でぼんとこれをやられて、これをやりましょうか、あれをやりましょうかと相談しながら、時刻を争っているときに十分なことができるとは思えないんです。  ですから、私が言ったように、事前の運用のことも定まっていなければ訓練もされていないし、機関砲を持っていなかったから大砲だと当たるとぶっ飛んじゃうよということにもなる。装備もされていない、装備もこれから検討しなきゃという。  そういう点では、非常にある意味では中身的に言うとずさんなもとでこの海上警備行動が発動されたのではないかというふうな感じも否めないんですが、何かその点について御反論めいたものがあればお伺いしたいと思うんです。
  160. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 特に反論めいたというつもりはございませんが、今、先生の方から御指摘がありましたように、こういう場合のいわゆる行動基準というのは、一般的に申し上げれば、比較的ダメージの少ない措置から順に比較的強度の措置に移っていく一連の手順を示しておりまして、その際に一定の措置以上については別途の指示によって行うという決め方になるわけでありますが、そういったものを今回も停船のための措置としてこういうことをしなさい、あるいは立ち入りのためにこういうことをしなさいというのは当然ながら発出をしております。  ただ、先生の言われているもう一つの論点は、それじゃ日ごろからそういうものを使った訓練なりが十分であったかというと、それはまた私ども、今回のことを踏まえて十分教訓を得て充実しなければいけない部分はあるだろうというふうに思っております。
  161. 山崎力

    ○山崎力君 それでは、瞬時の対応をとらなくちゃいけない、その具体的な中身でいきますと、向こうが停船をした、警備行動で乗り移って検査をしようとした、それに向かっているボートに対して向こうが明らかに火器を向けた、対戦車ロケット砲なり機関銃なりを向けたと。こういった場合、どう対処するかというのは決まっているんですか。
  162. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 相手の具体的な武器がどうとか、あるいはさらに細部のところまではなかなか申し上げにくい部分があることは御理解いただきたいと思いますが、基本的に申し上げれば、警職法七条の準用の行動でありますから、それにのっとった形の行動基準というのをつくっておるということであります。
  163. 山崎力

    ○山崎力君 その警職法自体も非常に場合がありまして、いわゆる海上の場合とそれから陸上の警察、海上保安庁の場合の違いも具体的な運用の場合というのは随分違ってくる。陸上だったら逃げればいいわけですけれども、海上の場合だったら船に穴をあけられたら沈んじゃうわけです。そういった違いがもちろんあるし、飛行機の場合も当然違ってくる。その辺のところをやっているとも思えません。  時間ですから、最後に指摘させていただきたいのは、そこのところでの海上警備行動、海上自衛隊の行ういわゆる警察行動は、当然海上保安庁と連絡をとって、海上保安庁が行うべき手順その他と大きな違いがあってはいけないはずなんですけれども、その辺のすり合わせ、装備のすり合わせは今まで一切行われた形跡がない。人事交流も行われていない。船の名前が重なっているところも随分ある。  海上保安庁のその一種のマニュアルを海上自衛隊が事前に入手して訓練もしていなければ何もしていないというふうに伝え聞いているわけです。ですから、そういう点を考えますと、今回のあれは明らかに準備不足もいいところで行われた。  本来は保安庁がやらなくちゃいかぬということで今までやっていたところで、海上保安庁の方が問題は何倍もあるんですけれども、自衛隊としても、そのときどこまでやるんだということを明らかにした上で、海上保安庁と全く同じようなことで行動するんだということを明らかにした上でなければ、今後とも同じような形の問題を繰り返すというふうに私は思わざるを得ないので、その辺についてのお考えをいただきたいと思います。
  164. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 先ほど運用局長から答弁したとおりでありますが、部隊のとるべき措置につきましては長官が標準をきちっと示しております。これは要領みたいなもので、あえて言えば交戦規則に準ずるものだと思います。それから、命令の実施に関して必要な細部事項は海上幕僚長がつぶさに指令を出しております。だけれども、この中身を申し上げることは、今後の対応にいろいろ支障が起こりますので差し控えさせていただきたいと思います。  今、委員から大変大事な御指摘をいただいたわけで、私どももすべて適切に対処できたとは決して申し上げません。初めてのケースでありますから、海上保安庁との連携につきましても、何か必要だということであればマニュアルもつくろうかという相談もして、始めようということにしてありますし、御指摘の御意見に沿って私どもも十全な対応を検討してみたい、こう思っております。
  165. 山崎力

    ○山崎力君 終わります。     ─────────────
  166. 河本英典

    委員長河本英典君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、小川敏夫君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君が選任されました。     ─────────────
  167. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私も、今回の北朝鮮工作船の問題を取り上げたいと思います。  これは実は三回ぐらい取り上げておるかと思いますが、こいねがわくは今回をもって終わりにしたいと思っておりますので、どうかよろしく御協力願いたいと思います。  最初に警察庁にお伺いしますが、三月二十四日付の読売新聞に、小さな記事でありますけれども、「新潟県警二十二日から警戒強化」ということで、「新潟県警によると、同県警は二十二日午後、正体不明の不審船が日本海にいるとの情報警察庁から受け、佐渡島を含む沿岸部の警察署に海岸線の警戒態勢を強化するよう指示、機動隊の一部も動員していた。」という報道がなされておりますけれども、これは事実でございましょうか。
  168. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) ただいまの本件不審船について、これは二十三日の午後に警察庁に通報を受けた事案でございますけれども、これ以前に警察庁が関係府県警察に対して具体的な情報提供とか指示を行ったという事実はございません。  それで、ちょっと申し上げさせていただきたいんですが、警察としましては、最近、集団密航事案というのが物すごく多発しておりまして、そういう状況を踏まえまして累次沿岸警備の強化を実施してきておるというような状況がございます。  そういう中で、例えば三月で申し上げますと、六日に福井県、十七日に福岡県と兵庫県、十八日に長崎県、二十四日に広島県、二十五日に福島県、二十六日に兵庫県というようなことで、集団密航事件、三月中都合七件の二百三名を検挙しておるというような状況がずっと続いてきておるということでございます。
  169. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 いずれにいたしましても、これは間違いの報道であるということでありまするけれども、天下の大新聞、こういうふうにあそこは豪語しております、社長がそう言っているだけですが。いずれにしろ、天下の大新聞がわざとこういう誤報をするとも思えません。聞くところによると、きちっと警察庁にも確認をとってこれを記事にしたのだという話も聞いております。  しかし、明らかにこれは誤報だということになりますれば、きちっと読売新聞に訂正方の申し入れをしていると思いますけれども、そう理解してよろしいですか。
  170. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) この本件不審船事案につきましては、報道機関各社がいろいろと各種さまざまな報道を行ってきておるところだというふうに承知しておるんですが、警察としまして、それぞれ個々の報道内容についてコメントをしたりすることは差し控えたいというふうに思っておるわけであります。  本件につきましては、今国会におきましても事実関係についてのお尋ねが何度かございまして、その都度、ただいま申し上げましたようなお答えをしておりますところでございます。
  171. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 明らかに誤報と思われる。しかし、これを前提にしまして、皆、これだけのことであるから本当だろうと思って、先ほどもそういう議論が重ねられておるわけなんですけれども、これは間違いであるということをなぜきちっと新聞社に申し入れないんですか。ちょっと責任がなさ過ぎますよ、厳しいようですけれども
  172. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) 今も申し上げましたけれども、今回の件、本当にいろんなマスコミ報道等でいろいろなことが言われておるわけでございまして、そのことについて一々、私どもの方でコメントは避けたいということでやらせていただいておるというのが現状でございますので、御理解いただきたいというふうに思います。
  173. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 問題は二十三日以前、二十一日、二十二日に警察がどこからかの情報によってこういう非常警戒措置をとったかどうかということなのでありまするから、あれこれいろんなマスコミがいろんなことを言っているという問題じゃないのであって、この一点に絞って、これは違います、明らかにそんなことはしておりませんということを、いかなる方法でかきちっと宣明すべきだろうと思います。  新聞がそういう報道をしておるとすれば、新聞社に訂正方を申し入れる、これは当たり前のことでございましょう、責任ある行政を担当しておるといたせば。そんなことはどうでもいいんだ、そういうわけにはいきませんので。余り時間がありませんから簡単に、結論的に、もうやる気がないのか、これから訂正の申し立てをするのか、それだけでも教えてください。
  174. 金重凱之

    政府委員(金重凱之君) 私ども、したがいまして、この種の新聞報道について国会の場におきまして何度かそういう御質問もございましたので、先ほどお答えしたような答弁を繰り返して行っておるところでございます。
  175. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 防衛庁長官にお尋ねいたします。  二十一日、二十二日あたりに断片的ないろいろな情報が入ってきたけれども、それはしょせん断片的なものである、公開したり説明したり、あるいは国会の場で報告するようなものではないということをおっしゃられまして、私もそれはそうだろうと思います。  そういたしますと、先月の二十五日、防衛庁長官が当委員会で報告されました報告書がございます。これによりますると、三月二十三日、二隻の不審船を発見したと。これはもう断片的情報の域を超えて、自信を持って国会に報告されたわけであります。  これによりますと、P3Cが、一つは、午前九時ごろに第二大和丸を発見して、午前十一時ごろに海上保安庁に通報したと。それからもう一つは、午前六時ごろに第一大西丸を発見して、午後一時ごろに海上保安庁に連絡をしたと。  さらに、これが断片情報の域を超えていることは、これらの船舶は漁船の名称は表示されているものの国旗を掲げていない、漁具も積んでいない、非常に不審なアンテナ等が装備されていたことから不審船舶として海上保安庁に連絡をした、こういうことがまた報告されております。  私が、私どころか皆さん方全員が疑問に思っていることは、午前六時ごろに発見して、これだけのもう既に断片情報の域は超えている、不審船であるということになったのにもかかわらず、なぜ数時間かかってようやく海上保安庁に連絡したのか、一体何があったのか、だれでもこれは当然聞きたくなることなんです。  それからもう一点は、このころに警察に対する通報をしたのかどうか。この二点についてお願いいたします。
  176. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) ここに、最近不審船と言われたもので私どもが写した写真がたくさんありますが、ほとんどがこの間の不審船と類似しておりまして、最も似ているのは日本の漁船であるというような写真もたくさんあります。  ですから、私どもとしては、似たような船がいっぱいあるとき、情報を確かめないで海上保安庁に引き継ぐということは大変御迷惑をかける。三月三十日以前もたくさんありましたが、最近、三月三十日以降を見ても七件、四月八日三件、四月十日一件、四月十二日、十三日と不審船がたくさんありまして、これみんな調べてみると全然問題のないものばかりであります。こういう状況の中で余り無責任情報海上保安庁に連絡して煩わせちゃいかぬということで、たまたまそこで訓練していた護衛艦に調べさせた。そこで、どうもやっぱり怪しいと思ったものだから海上保安庁に直ちに連絡したということであって、その間数時間の時間を要したことはやむを得ない措置だと思います。  それともう一つは、警察への連絡でありますが、こういうような事案につきましては政府としては統一したやり方をしておりまして、内閣安全保障・危機管理室が防衛庁海上保安庁からの情報を集約して関係機関警察庁等の関係省庁に連絡するということになっております。  先般の際も、防衛庁海上保安庁は緊密な情報交換を行った結果、両方からそれぞれ安保室の方に連絡しておりまして、そこから警察庁や関係省庁に緊密な連絡がされている、こういうふうに承知しております。
  177. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私は、先ほど断片情報の域はもう出ているということをはっきり申し上げました。それはなぜかというと、あなたの報告に出ているからです。漁具も積んでいない、非常に不審なアンテナ等が装備されていた。これは一般の不審船とは大分状況が違ってきて不審の濃度が極めて高い、こう見ていいわけです。嫌疑が濃厚な犯人を目の前にして、これが日本人かどうか、名前は何というのか、いろいろ関係方面に連絡をしてそれで数時間要しました、こんなばかげた話はないわけであります。直ちに警察あるいは海上保安庁に連絡をして、そこから先は向こうの仕事ですから、何もあなた方がどうしようこうしよう、間違った通報をしたらどうしようなんて考える必要は全くないのでありまして、向こうがしかるべき対応をする、それだけのことであります。  これだけの嫌疑があるのにもかかわらず通報になお数時間要した、その合理的説明が全くついていないじゃないですか。大変不思議でしようがないのであります。
  178. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) この写真にもありますとおり、例えばロシアとか北朝鮮の冷凍船とか、諸外国の漁船も合法的に入ってきているのがありまして、これを直ちに不審とすることは逆に国際信用を傷つけることにもなりかねないのであって、私どもはその程度の基本的なことだけは確かめて海上保安庁に連絡するのが正しいやり方だ、何もやみくもに連絡するだけがこちらの任務じゃないというふうに考えておったので数時間の猶予をいただいたということなんでございます。
  179. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 だれもやみくもに連絡をしろなんてそんな乱暴なことは言っていませんよ、一かけらだって。  国旗は掲げてあるんですか、ないんですか。掲げてなかったんでしょう。今あなたが参考として示したような船はどうなんですか。国旗は掲げてあるんですか、ないんですか。
  180. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) これは掲げておりません。  この写真ではとても国旗なんかは確認できないわけですが、通信網も最近はだんだん似たように緻密にアンテナをいっぱいつけておりますし、ですから少しは検討して海上保安庁に迷惑をかけないように連絡をしたかったということの事情は先生ぜひひとつ御理解いただきたいと思うんです。
  181. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 どうもしかし、断片情報と警察に通報するような不審船との状況判断がまた非常に不確かなんですね。そんなものは断片情報だといえばいつまでたっても断片情報でありましょう。  しかし、いずれにしろ国旗は掲げていない、非常に不審なアンテナを装備していた、漁具も積んでいない、ここまで確定しておりながら、なおかつこれはまだ警察に通報する段階ではないと。あなたは先ほどこの問題は警察の問題だ、もう第一次的に海上保安庁責任を負うんだということを言っておりました。  何をさておいてもやはり通報して、それが間違ったら間違い、それだけのことでありまするから、おわびをすれば向こうだって了承してくれるでありましょう。しかし、ここまで来たら、もう行政責任がある以上はきちっと関係主管庁に通報するのが当たり前のことじゃないでしょうか。何があったんですか、一体その数時間。船名確認その他に手間取ったと。全然考えられないことなんで、それで私はくどいほどこういうことを聞いておるわけであります。
  182. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私はお昼からずっと申し上げているところでありますが、この不審船事件以来、もうおびただしい情報が来て、そのたびに自衛隊はP3Cを出動させたりして振り回されてきておるわけです。  しかし、疑わしきは罰せずというのがありますけれども、疑わしければすぐ海上保安庁に連絡をして、警察に連絡して、なるべく佐藤委員の御意思に沿えるようなことも検討してみたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
  183. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 そういうことをおっしゃっておって本当にやるのかどうかわかりませんけれども、やはり行政のプロですから、海上保安庁、それから海上自衛隊、警察。何が嫌疑が濃厚かということはお互いある意味では一目見ればすぐわかることなんで、大臣が一々心配なさることはないですから、安心して部下に任せて、可能な限り通報するようにという指示を出してください。それで私は十分だと思いますし、それによって多くの不審船は拿捕することができるんだろう、こう考えております。人権問題をこの場であなたからお聞きするとは思いませんでした。  そこで、これは海上保安庁には通報しましたけれども、警察に対する通報は、現場での一連絡としてこういう不審船がありますよ、内閣を通じて云々と言う前にそういうことを考えられてよろしいんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  184. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) ぜひひとつ検討して、私は、やっぱり内閣で統括してやるというよりは個別の情報もあっていいと思いますので、そういう方向で検討したいと思います。
  185. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 日本の領海に侵犯してくる不審船というのは、密輸船、密輸入船、それから北朝鮮工作船、そのいずれかだと思います。いずれにいたしましても、海上では海上保安庁が第一次責任を負う。それから陸上に関しては警察が責任を負う。  今回のあの工作船が工作員の送迎のために来た、そういうふうに考えられておるとすれば、大体そのために来るんでしょうから、もう既にして陸上から工作員を収容したのか、あるいはこれから上陸させようとしていたのか、極めて緊急を要する問題だと思うんです。数時間のんびりかかっている間に工作員を収容してしまったとかあるいは上陸させてしまったとかいうことになれば、じゃその責任はどういうことになるのか。  空振りなら空振りで、捜査というのはそういうことなんですね、十回やって一回網にかかればそれで成功だと。その辺が株式会社とは違うところですから、よくよく物事の本質をわきまえてくださればありがたいと思うんですが、今回はそういう懸念はなかったんでしょうか。やっぱり警察に連絡して、警察が非常線を張って工作員を逮捕するとか、当然第一義的に必要でしょう。  それからまた、日本から日本人が拉致された可能性だってないわけじゃない。それだって防ぐためにはやはり非常線を張って陸の警察が頑張るということなんです。もし数時間の間に拉致が完成して日本人がどこかに連れ去られたと、これは大変な問題だと思うんですよ。そんなに迷惑をかけたらどうしようとか、警察も忙しいだろうとか言っている問題だろうかと不思議でしようがないんですけれども、いかがでしょうか、長官
  186. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私どもは、委員がおっしゃるとおり警察が忙しかろうから連絡しなかったわけじゃないのでございまして、政府が定めた情報ルートに従って内閣の安危室に連絡したということであります。  私どもは、先生がおっしゃっていることは傾聴に値すると思っておりまして、何も内閣を通じなくてもやっぱり警察にも海上保安庁と同様に即時に連絡をすることがいいと思っておりますので、ぜひそういう方向で検討してみたいと思います。  ただ、私どもは二十三日未明からこの不審船を追跡しておりまして、ずっと沖合におりましたので、これはまず海上保安庁が担当すべき問題だということで海上保安庁に優先して連絡したという事情も御理解いただきたいと思います。
  187. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 海上保安庁にもお尋ねいたしますが、前回も聞いておるんですけれども、この前のお話では遺憾ながら十八回取り逃がしておる。その十八回というのは、日本の大体どの辺を中心にして起きたことでありましょうか。
  188. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 十八回と申しますのは、昭和三十八年ぐらいから平成二年ぐらいまでにかけて十八回ということでございますが、やはり日本海側が多いというような感じでございます。
  189. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 先ほども自衛隊の訓練の話を同僚議員が聞いておりますけれども、十八回も取り逃がしてまたまた取り逃がす、これは一体どういうことなんだろうか。本当に職責を全うしようという気があるのかないのか。敵は何しろ高速艇だとおっしゃいますけれども、それなら日本の技術を活用してそれにまさる船を建造いたしましてそれを西日本一帯に配置しておくとか、いろんなやり方はあるわけなんです。訓練とそれから装備の点について今までどういうふうな配慮をしてこられたのか、それをちょっと説明してください。
  190. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 私どもはそういったものにつきましての情報を重視して、そして哨戒などによって三百五十何隻ございます巡視船艇を配備していく、こういう形で、しかもそれをいろいろ代替建造等で強化していく、こういうふうにやってきたわけでございます。  今回の事案を教訓といたしまして、内閣官房を中心として主として七つの項目の検討がなされておりますので、その中で海上保安庁対応能力の整備というものも挙げられております。そういう観点からさらに検討していきたいと考えております。
  191. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 最後になりますけれども、もう二度とこういう失態はしない、今度やってきたら絶対に取り押さえるということをこの場で誓っていただきたいと思うんです、まず海上保安庁に。  それから、海上自衛隊の場合には最初の一回は取り逃がした、二、三回ぐらい取り逃がすでしょう、そのうち訓練もするでしょうと言うかもしれませんけれども、やっぱりプロはプロですから、もう二度とこういう不始末、失態はしないと国会の場で国民に対して誓ってもらいたいと思います。
  192. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 前回も実は先生から同じような御指摘があったように私記憶しております。海の警察機関たる海上保安庁がまず第一に対処すべきことであるということを肝に銘じて、万全を期すよう努力してまいりたいと思います。
  193. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 長官、お願いします。
  194. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今の体制の中で最大限の努力をしていきたいと思います。
  195. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 終わります。
  196. 河本英典

    委員長河本英典君) 他に御発言もないようですから、両件の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  197. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、国際通貨基金協定改定案とアフリカ開発銀行設立協定改定案に対する反対の討論を行います。  国際通貨基金協定改定案の反対の理由は、この改定によってIMFが国際通貨・金融体制において果たしている否定的な役割をさらに拡大するものだという点であります。  IMFは、九七年夏のタイに始まるいわゆるアジア通貨危機及び国際的な通貨危機において、これら諸国に対し実現不可能な構造改革を押しつけるなど、発展途上国の経済運営に露骨な介入を行いました。これには多くの開発途上国が反発し、またIMFの介入によってかえって実体経済を悪化させ、混乱を激化させたことは政策の矛盾を明らかにしています。また、その背後にあるアメリカの経済覇権主義が国際経済を混乱させていることも重大な問題であります。この政策や役割を見直すことなく、強化だけを図ることは問題であります。  アフリカ開発銀行設立協定改定案は、理事会総務会において議決の条件を厳しくするとともに、アフリカ域外諸国と域内諸国の投票権の割合を域外諸国に有利にすることによって、アフリカ諸国の自主性、独立性を脅かすものであり、反対であります。  本協定の改定で、日本やアメリカなど域外諸国が特に重要あるいは自国の実質的な利害に関係すると表明すれば、議決には七〇%以上の多数が必要となります。しかも、アフリカ諸国の投票権数が三分の二から六〇%に引き下げられ、域外諸国は三分の一から四〇%に引き上げられ、アフリカ諸国は初めから域外諸国の同意なしには議決できない仕組みになっております。アフリカのための唯一の銀行でありながら、アフリカ諸国みずからが融資を決められないという仕組みを容認することはできません。  以上、反対討論を終わります。
  198. 河本英典

    委員長河本英典君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  199. 河本英典

    委員長河本英典君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、アフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  200. 河本英典

    委員長河本英典君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 河本英典

    委員長河本英典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  202. 河本英典

    委員長河本英典君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府カナダ政府との間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。高村外務大臣
  203. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和四十五年に締結されたマレーシアとの間の現行の租税協定にかわる新たな租税協定締結するため、平成八年以来交渉を行いました結果、平成十一年二月十九日にクアラルンプールにおいて、我が方野村特命全権大使と先方ムスタパ第二大蔵大臣との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、OECDモデル条約及び最近の我が国条約例に沿った規定をできる限り採用することにより、経済的、人的交流等に伴って発生する国際的な二重課税を可能な限り回避するとともに、二重課税が発生する場合には、これを排除することを目的として我が国とマレーシアとの間で課税権を調整するものであります。  この協定を現行協定と比較した場合における特色としては、協定の対象税目に我が国の住民税を追加し、一定の投資所得について源泉地国における限度税率を引き下げたこと等が挙げられます。  この協定締結により、我が国とマレーシアとの間の二重課税回避の制度がさらに整備され、両国間の資本及び人的資源等の交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府カナダ政府との間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和六十二年に締結されたカナダとの間の現行の租税条約改正する議定書締結するため、平成九年以来交渉を行いました結果、平成十一年二月十九日にオタワにおいて、我が方内田特命全権大使と先方アックスワージー外務大臣との間でこの議定書に署名を行った次第であります。  この議定書による改正の主な内容は、国際運輸業に従事するカナダの企業が、相互主義を原則として、日本国における住民税及び事業税を免除される規定を追加すること、親子関係にある法人の間で支払われる配当の源泉地国における限度税率を引き下げること等であります。  この議定書締結により、我が国とカナダとの間に設けられた二重課税回避の制度がさらに整備され、両国間の資本及び人的資源等の交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第でございます。  最後に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和五十八年に締結されたスウェーデンとの間の現行の租税条約改正する議定書締結するため、平成十年以来交渉を行いました結果、平成十一年二月十九日にストックホルムにおいて、我が方多賀臨時代理大使と先方レンベリイ大蔵次官との間でこの議定書に署名を行った次第であります。  この議定書による改正の主な内容は、親子関係にある法人の間で支払われる配当の源泉地国における限度税率を引き下げること、条約の不正利用防止のための租税の徴収共助に係る規定を新たに追加すること等であります。  この議定書締結により、我が国とスウェーデンとの間に設けられた二重課税回避の制度がさらに整備され、両国間の資本及び人的資源等の交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  204. 河本英典

    委員長河本英典君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十三分散会