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1999-02-17 第145回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成十一年二月十六日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月十七日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       北村 直人君    葉梨 信行君       横内 正明君    上原 康助君       太田 昭宏君    加藤 六月君 二月十七日  北村直人君が委員長指名で、主査選任され  た。 —————————————————————— 平成十一年二月十七日(水曜日)     午後一時開議  出席分科員    主 査 北村 直人君       滝   実君    葉梨 信行君       横内 正明君    上原 康助君       遠藤 和良君    太田 昭宏君       岩浅 嘉仁君    加藤 六月君    兼務 大畠 章宏君 兼務 鍵田 節哉君    兼務 坂上 富男君 兼務 中桐 伸五君    兼務 田端 正広君 兼務 中野  清君    兼務 塩田  晋君 兼務 平賀 高成君    兼務 藤木 洋子君 兼務 松本 善明君  出席国務大臣         建 設 大 臣 関谷 勝嗣君  出席政府委員         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    小川 忠男君         建設省建設経済         局長      木下 博夫君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省道路局長 井上 啓一君         建設省住宅局長 那珂  正君  分科員外出席者         環境庁企画調整         局環境影響評価         課長      寺田 達志君         法務省民事局参         事官      揖斐  潔君         大蔵省主計局主         計官      鈴木 正規君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   葉梨 信行君     滝   実君   太田 昭宏君     遠藤 和良君   加藤 六月君     三沢  淳君 同日  辞任         補欠選任   滝   実君     葉梨 信行君   遠藤 和良君     石垣 一夫君   三沢  淳君     西田  猛君 同日  辞任         補欠選任   石垣 一夫君     遠藤 和良君   西田  猛君     岩浅 嘉仁君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 和良君     若松 謙維君   岩浅 嘉仁君     加藤 六月君 同日  辞任         補欠選任   若松 謙維君     太田 昭宏君 同日  第一分科員藤木洋子君、第三分科員塩田晋君、  第四分科員鍵田節哉君、第五分科員中桐伸五君  、第六分科員大畠章宏君、平賀高成君、松本善  明君、第七分科員坂上富男君、田端正広君及び  中野清君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十一年度一般会計予算  平成十一年度特別会計予算  平成十一年度政府関係機関予算  (建設省所管)      ————◇—————
  2. 北村直人

    北村主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  私が、本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。  本分科会は、総理府所管国土庁並び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省庁所管事項説明は、両省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係機関予算建設省所管について、政府から説明を聴取いたします。関谷建設大臣
  3. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 建設省関係平成十一年度予算について、その概要を御説明いたします。  まず、一般会計予算は六兆五千八億円を計上いたしておりますほか、道路整備特別会計治水特別会計都市開発資金融通特別会計特定国有財産整備特別会計について、それぞれ所要額を計上しております。  また、財政投融資計画については、当省関係公庫公団等分として十四兆三百六十七億円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、昨年末に成立した平成十年度第三次補正予算とあわせ、当面の景気回復に全力を尽くすとともに、二十一世紀に向けて、豊かな生活と活力に満ちた経済社会を構築するための基盤となる、質の高い住宅社会資本整備を的確に推進してまいる所存であります。  特に、平成十一年度におきましては、  一、都市再構築と居住環境改善のための市街地整備推進土地区画整理事業等推進等による中心市街地活性化など都市構造の再編と地域活性化  二、高規格幹線道路地域高規格道路整備光ファイバー網及びその収容空間整備など連携、交流を支える幹線道路情報通信ネットワーク整備  三、良質な公的住宅の的確な供給高齢者向け住宅供給推進電線類地中化推進ふるさと下水道整備、優良な宅地の適切な供給など少子高齢化社会対応し、暮らしの質を高める豊かな住宅生活空間づくり  四、河川重要湖沼等における水質を改善するための河川下水道整備沿道環境対策の総合的な推進、水と緑のネットワーク整備など環境への負荷の少ない経済社会の実現  五、激甚な災害に対する再度災害防止対策の充実、慢性的な床上浸水地域の解消、緊急土砂災害防止対策推進密集市街地整備緊急渇水対策推進防災公園等整備など安全で安心できる国土づくり地域づくり など現下の重要課題対応した住宅社会資本整備を戦略的、重点的に推進することといたしております。  また、費用効果分析等新規採択評価に加え、一定期間経過後における事業の再評価を行うこと等により、より一層の事業の効率的、効果的な実施を図ることといたしております。  なお、事業別重点施策概要につきましては、恐れ入りますが、お手元に配付しております平成十一年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知をお願いいたしたいと思います。  以上、よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 北村直人

    北村主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 北村直人

    北村主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。
  6. 滝実

    滝分科員 自由民主党の滝実でございます。  分科会の第一番目に質問をさせていただきますことを光栄に存じます。  昨今の建設省関係では、特に昨年来、住宅問題が脚光を浴びてまいりました。したがって、この数年来、いろいろな新しいシステムもそれに応じて創設されてきたものでございますから、その中で本日は、優良住宅、要するにスペースの広い、いい住宅、こういうようなことで最近でき上がってきた幾つかのシステムの中から二つだけ取り上げまして、御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  まず最初に、田園優良住宅、これは昨年の七月に法律でもって新しく創設された制度であるわけでございますけれども、七月十五日に施行されて以来今日までの実施に向けての動きが地域によってはどうも聞こえてこない、そういうようなことをお見受けするものですから、PRを兼ねて御質問させていただきたいと思うのでございます。  この田園優良住宅は、法律をつくるまでは大変いろいろな議論がございましたし、マスコミでも脚光を浴びた事業であると思います。ところが、法律ができ上がってまいりますと、その後どうも、準備に手間取るということもあったのかもしれませんけれども地域によってはほとんどこれについての反応がない、そういうような嫌いがございます。  法律施行と同時に、これに関心のある事業者はいろいろ工夫して研究をされてきているわけでございますけれども、県、市町村に相談をいたしましても、どうも県も市町村もまだよく勉強していない、こういうことで、県、市の対応がおくれているところがあるのではなかろうかな。全国的に見ますと、そうでもなしに、法律施行と同時に一生懸命、県も市もこの問題に取り組んでいる地域もあるようでございますけれども、全般的にはどうもおくれているところもあるのじゃなかろうかな、こういう感じがあるわけでございます。  そこで、この法律施行以来、建設省におかれましては、どういうようなPRと申しますか取り組みをされてきたのか、まず、その辺のところからひとつ明らかにしていただきたいと思うのでございます。
  7. 那珂正

    那珂政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘優良田園住宅建設促進に関する法律は、昨年の七月十五日に施行されまして、私どもといたしましては、農林水産省とも十分協議した上で、施行通達を九月の初めに発しまして、各市町村に対しても九月中に一応の連絡は届いているというふうに理解しております。  もちろん、そう言うと言葉は悪いんですが、通り一遍の通達で済むと思っているわけではありませんで、その通達と同時に、都道府県及び市町村において優良田園住宅促進協議会というものが設立される機運がありまして、実際には九月に設立されましたけれども、私ども国としても、農水省と協力して、この活動を全面的に支援しているところでございます。  この新しい法律の体系は、従来のいろいろな事業法とか規制法のくし刺し的な内容もあるものですから、とりわけ都道府県市町村地方公共団体の理解と推進力が重要だと思います。したがって、この推進協議会の場を活用させてもらって、十月には、全国で七ブロックに分けた地方分科会ごとに、法制度説明会とか候補地事例研究とか、順次会議を開催しております。また、十一年度予算案におきましても、基本方針作成費に対する補助などを措置することとしているほか、さきに取りまとめられました生活空間倍増戦略プランの中にも位置づけいたしまして、国としても積極的に取り組もうとしているところでございます。
  8. 滝実

    滝分科員 全国協議会をおつくりになって、いろいろPRあるいは勉強をされている、こういうことでございますから、私はそれは大変結構なことだろうと思うんですね。もともと、市街化調整区域の中であっても基本的に三百平米を超えるような敷地を持つ優良住宅については認めていこう、こういうことでございます。ほっておきますと、個別の事業者に任せきりでございますと、また虫食い状況になるとかいろいろ弊害ができる。そのためには、この住宅前提条件としては、市町村主体になって取り組んで、調整区域の中でどういう形で優良住宅を認めていくのか、そういうような基本方針がまずなければいけませんし、そして、それに応じて、今度事業者の方もこの法の趣旨を体した計画をおつくりになる、こういう必要がございますから、まず、やはり市町村主体になってどうするのかという勉強をしていただく必要があるだろうと思うんですね。  市町村だけではぐあいが悪い、やはりこの基本方針都道府県協議を要する、こういうふうに法律上位置づけられているわけでございますから、やはり県、市町村が一体となってこの問題にあらかじめどういうふうにいくのか、そういう取り組みをしていただかなければ、個々の事業者がいろいろ計画を立てて市町村に持ち込む、それを断片的に認めていくということでは、これはどうもおもしろくない、こういうことだろうと思いますから、その協議会を通じて市町村、県ともども勉強していただくことがどうしても必要じゃなかろうかな、こういうふうに思います。そういう意味で、協議会ができ上がっているということは、私は大変結構なことだろうと思うのでございます。  ところが、どうも余り慎重にやり過ぎますと、市町村も県も、何となく難しそうだというので逆に逡巡をする、おびえてしまうというような嫌いがあるんじゃなかろうかなと思うものですから、その辺のところは、具体的におっしゃっていただきたいのは、そんな難しいものじゃない、余り頭を悩ます必要がないんじゃないかな。ただ、やはり意見調整をする、いろいろ関係者意見を聞いて、どういう方向で持っていくかということは必要だろうと思うのでございますけれども、その辺のところをひとつ、そんな難しい問題じゃないということを局長さんの方から解説をしていただきたいと思うんです。
  9. 那珂正

    那珂政府委員 今先生指摘のように、この法律仕組みは概してそれほど難しいとは思えないんですが、ねらいから改めてちょっと御説明させていただきますと、御案内のとおり、これは農山村地域あるいは都市の近郊などで大変良好な自然的環境を有している地域において優良な住宅建設促進するというねらいがございます。したがって、その優良性等については、先生今御指摘のように、何よりも市町村がしっかりとそういう認識をして認めていかなければならない。  そのためには何をすればいいかというと、この法律では、優良田園住宅建設促進のための基本方針というものを市町村に定めてもらわなければいけない。これもそれほど難しい内容は義務づけられているわけではありません。一体どういう区域でどのような住宅を想定するのかというようなことがあればいいわけでございます。  それで、そういう基本方針にのっとって、今度事業者は、先生おっしゃったように個別の優良田園住宅建設計画というのを単に申請すれば認められる。例えば、敷地規模とか建ぺい率とか容積率とか、一定の基準はございますけれども、優良なものであれば全然問題ない。それが認定されるという仕組みでございます。  この法律効果として、認定を受けた住宅なりあるいは事業がどうなるかということでございますけれども、まず、都市計画法による開発許可あるいは農地法等による農用地区区域除外とか農地転用許可、こういう手続について円滑にするような配慮規定がございます。  またさらに、この法律に半年おくれて施行されましたけれども都市計画法が昨年の十一月に改正されまして、市街化調整区域における地区計画制度、従来市街化区域内だけを想定していた地区計画制度調整区域においても一定の要件の場合認められる、この地区計画前提にして開発許可制度を合理的に弾力的に運用していこうという措置が講じられました。この措置が、今申し上げた基本方針基本方針に基づく認定によって事実上連動していくということでございまして、市街化調整区域におけるいい開発が進んでいくということにつながると思います。  さらに、これに加えましては、先ほど申し上げましたように、計画策定費に対する補助ですとか、住宅金融公庫の融資特例とか、あるいは税制上の特例措置等々の支援措置がございますので、最初のところだけ少し長くなりましたけれども市町村ないし県においてちょっと頑張っていただければ、非常にうまいぐあいに事業が進むと思います。
  10. 滝実

    滝分科員 今の局長さんの解説をお聞きしますと、とにかく市町村に頑張ってもらう、これに尽きると思いますので、一層のPRお願いしたいと思うんです。  そこで、全国的に見ると、この問題についてかなり取り組みの進んでいるところがあると思うんですね。それに対して、やはりどうも取り組みがなおざりになっているというところもあると思うのでございますけれども全国的な取り組み状況をひとつおっしゃっていただいて、PRをしてもらう必要があるんじゃなかろうかなと思いますので、その辺のところの状況を把握しておられたらおっしゃっていただきたいと思うんです。
  11. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど申し上げましたように、都道府県を通じて全国市町村準備状況を個別にヒアリング等しているわけでございますが、その中で、一月現在では、全国市町村のうち八十六の市町村が本年中には基本方針を定めていきたいというような準備をしているというふうに聞いております。  なかなかどこが準備不足かというのは申し上げにくいんですけれども準備がいいところも、それは新潟県のある市とか、富山県とか鳥取県、東北の各県等幾つか大変熱心なところがございます。
  12. 滝実

    滝分科員 日本の市町村は、そういうような進んでいるところあるいは取り組みの積極的なところが出てまいりますと、それに対応して勉強を重ねていく、こういうようなことでございますから、できるだけそういうところを、むしろ名前を明らかにして、名前が出たところは非常に見学者が多くて迷惑でしょうけれども、ひとつできるだけPRができますようによろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、同じ優良住宅でも、今度は賃貸住宅に関して一つだけお聞きしたいと思うのでございます。  名称はややこしいんですけれども特別融資つき優良賃貸住宅というんですか、俗に特優賃と言っておりますね。民間事業者賃貸住宅を建てた場合に、それをそっくりそのまま引き取って、管理から運営から何から一切やる方式、例えば、市町村住宅供給公社がそういうような民間のディベロッパーの建てた住宅を請け負って募集から何から全部やるという方式がありますね。あるいは管理だけを住宅公社が引き受ける。こういう格好で民間でも優良な賃貸住宅建設促進していこう、こういうような制度が数年前からできていると思うのでございます。ところが、最近のように住宅建設コストが下がってくる、土地代が下がってくる、そうなりますとこの制度がなかなか機能しない面が出てくると思うのです。  もともとこの特優賃というのは、サラリーマンが賃貸住宅に入りやすいようにするために、入居してから毎年毎年家賃を上げてくる。最初家賃が安いけれども、年数に応じて家賃を上げていく、こういう方式ですから、むしろ住宅が古くなると家賃が高くなる、極端に言いますとそういうことになっていく。片や毎年、この数年間、新しいマンションは建設コストが安くなっていくものですから、新しい賃貸住宅ほど家賃が安い。こういうことになりますと、古い住宅、せっかく市町村住宅供給公社が請け負った住宅空き家になってくる。空き家になってくると、すべてリスクまで負担した公社は、赤字が負担できなくて賃貸住宅の請け負いを中止する、こういうような事例が昨年来出てきているようでございます。  こういった事情について、建設省は、どういうような状況を把握し、この制度目的からしてどういうふうにお考えになっているのか、それをまずお聞かせいただきたいと思うのです。
  13. 那珂正

    那珂政府委員 ただいま先生指摘特定優良賃貸住宅状況につきまして、とりわけ空き家が出ているという状況についてでございますけれども、こういう経済状況にもかかわらず、市場家賃ベースとした公的な賃貸住宅供給制度としては、私は総じて申し上げれば、まあうまくいっているんじゃないか、こういうふうに申し上げたいと思います。  ただ、おっしゃるように、特定地域で申し上げれば、少しある時期に頑張り過ぎて若干供給過多だったために、建設後数年たって、家賃といいますか、家賃市場家賃なんですけれども入居者負担額というのは、先生今御指摘になったように、当初低く抑えていまして、段階的に市場家賃すりつけるという方式をとっております。それが、入居者負担額がすりつく、上がっていくに応じて空き家状態になる。空き家状態が一〇%を超えるような地区もあるという状況であります。  その点につきましては、平成十年度ですけれども、その入居者負担額すりつけの上げ幅を、それまで五%であったものを三・五%まで落としたとか、その他の方法によりまして、なるべくモデレートになるようなそういう措置をとる一方、基本的には一括借り上げ方式を、事業主体といいますか、管理主体として公社がとる以上、どうしてもそういうリスクは避けられないわけで、冒頭申し上げましたように、やはりある特定地域ごと需給バランスというのを、公社なりもよく考えてもらわなければいけない。  また、そうじゃなくて、これまた先生指摘だった、管理だけを受託する方式、これは逆に言うと、民間事業者の方がリスクをしょうということになりますので、その辺はお互いに分散し合っていくべきものじゃないかな、こういうふうに思っております。
  14. 滝実

    滝分科員 平成十年度でもこれに対する対応策を講じられている、こういうことでございますけれども、特に、市の住宅公社特優賃一括借り上げ方式をためらっている、中断したというのはごく最近の例でございますので、これにつきましては、今後の問題として、なおその状況を十分に把握していただいて対応お願い申し上げたい、こういうふうに思うのです。  とにかく、住宅は、自前で建てる持ち家と同時に、やはり賃貸住宅というのも重視していきませんと、これはなかなか、人間のライフスタイル、年齢層に応じて住みかえていくということがうまくまいりません。やはり賃貸住宅賃貸住宅としての意味と機能を持っているわけでございますので、せっかくこういう制度民間にも質のいい賃貸住宅を確保しよう、こういうシステムでございますから、今後とも実態をフォローしていただきまして、よろしくお願いを申し上げまして、時間でございますので終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  15. 北村直人

    北村主査 これにて滝実君の質疑は終了いたしました。  次に、大畠章宏君。
  16. 大畠章宏

    大畠分科員 民主党の大畠章宏でございます。  平成十一年度の予算関連について、地元実態を踏まえながら御質問をさせていただきたいと思います。  地域の方ではさまざまな経済的な混乱というものもたくさんありまして、雇用問題にも大変大きな影響を与えつつあることは皆様方御存じのとおりだと思いますが、そういう状況下にあって、やはり基本的な、地域経済ベースとも言える道路関係整備については大変強い要求もございます。そういうことで、最初に道路問題について、現状についてお伺いをしながら、地域声等をお伝えしたいと思います。  最初に道路問題。二番目には、昨年建設省にもいろいろな意味大変お世話になりましたけれども那珂川の水害がございました。この対策についても大変地域の方がいろいろと、水害に遭われた方を中心としながら、これからどういう形でその水害対策といいますか、一部にはこの水害は人災ではないかということも、厳しい御指摘をいただいておりますが、そういうふうなことを含めて、河川問題、河川対策についてお伺いしながら、最後には、都市中心部で非常に空洞化が進んでいるわけでありますが、こういう地方都市中心部の問題についてお伺いをしたいと思います。  最初に、私の地元であります日立市は、私も当選以来、この日立市の交通渋滞問題についてはいろいろと実態について申し上げているところでありますが、この国道号バイパスという道路計画が今進んでいるところでありますが、なかなか進まない。特に三、四年ぐらい前までは予算的な余裕もあってどんどんやりましょうということなんですが、三、四年過ぎたらもうお金がなくなっちゃってなかなか進まない。当初は、平成十年度ぐらいには完成するんじゃないかという御答弁をいただいたこともあったんですが、もう平成十年度は過ぎようとしておりまして、まだまだ完成のめどというのが地元にも伝わってきません。  そこで最初に、この日立市の交通渋滞一つ解決策につながるんじゃないかと言われております国道号バイパス建設状況等についてお伺いしたいと思います。
  17. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 国道六号の日立バイパスについてお尋ねでございますが、南北に長い日立市域交通混雑の緩和を図る目的として、海岸沿い計画された延長十・四キロの道路でございます。  このうち北側の延長四・七キロが事業中の区間でありまして、六十一年度から用地買収に着手しました。平成二年度に陸上部についての工事に着手しております。また、海上部を通ることになっておりまして、海上部については、漁業補償、埋立免許の手続等を進めまして、そちらの方についても平成八年度から工事に着手しました。現在、日立市の東滑川町から本宮までの延長一・六キロについて重点的に、平成十二年度供用を目途に進めているというところであります。  また、二・六キロの海上の部分でございますが、多額の費用を要します海岸部の工事でありまして、これはちょっと、今先生指摘のように、いろいろな問題もございまして、工事を促進してまいりたいと思っていますが、ちょっとそれより遅くなっていくというようなことであります。  また、まだ事業化しておりません五・七キロについても、こういう今事業化しているところの事業の進捗を見ながら進めていきたいというふうに思っております。
  18. 大畠章宏

    大畠分科員 今おっしゃったとおりでございますけれども、私も十二年前には県会におったのですけれども、その当時から、この国道号バイパスについては大変日立市民からも強い要求がございました。それが、今局長がおっしゃったように、地元の事情でなかなか工事が進まなかったということもございました。その当時は、国の方はかなり潤沢なお金もありまして、幾らでも投入する。しかし、地元の方がいろいろと障害がありましてなかなか進まなかったことも承知しております。地元の障害がとれたら、今度は国の方がお金がなくなっちゃった、こういう状況でございます。  今局長はさらりとおっしゃいましたけれども、そういう歴史的な経過がある中で、確かに、海上部の建設というのは、これは多分全国でも初めてのケースかもしれませんが、海岸線のところに道路をつくるというのは、太平洋に面しているところですから大変難しいのは重々承知しておりますが、一部分でもいいからできるだけ早く使用をさせてもらえないだろうか、こういうふうな声がございます。  そこで、再度お尋ねいたしますが、今事業化をしています四・七キロ区間の中で、半分でもいいから使えるようにしてもらえないか、こういうふうな要求もございまして、ここら辺についてはどのような見通しで今事業を進めているのか、お伺いしたいと思います。
  19. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、北の方の一・六キロについて、十二年度に供用を図りたいというふうに思っています。また、海上部については、先ほど申しましたようなことで、引き続いて鋭意進めていきたいと思っています。  いずれにしても、日立市の国道六号の混雑状況、大変厳しい状況だという認識をしておりますので、精いっぱい努力していきたいというふうに思っています。
  20. 大畠章宏

    大畠分科員 今、平成十二年度という話がありましたが、それは、言ってみますと、この海上部のところなんでしょうけれども、取りつけ道路とかそんなものも含めてやっていただかないと、海上部だけ道路ができまして、あとのところの取りつけ道路等はそのままといいますと、言ってみれば、一カ所だけできるのだけれども、あと古い道路というと、非常に詰まっちゃうのですね。したがって、全体計画の中には、この六号国道のバイパスとあわせて周辺の道路というものも整備しようということで進んでいるわけでありますが、ここら辺の周辺の道路もあわせてぜひ、部分的に平成十二年度に完成するということであれば、周辺もあわせて、改革といいますか事業を進めていただきたいと思いますが、そこら辺を含めて、再度お答えをいただきたいと思います。
  21. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 今お尋ねの関連道路についてでございますけれども、詳細については十分承知しているかどうかあれですが、いずれにしても、このできた道路が使い勝手がいいようにというふうに思っておりますので、自治体等とも十分調整しながら、そういうふうに努めていきたいと思っております。
  22. 大畠章宏

    大畠分科員 ぜひお願いします。  なかなか難しいのかなというような感じも市民の中では持っておるのですが、もちろんこれは道路だけ整備すれば市内の交通がスムーズになるということだけではないと思うのです。自動車がかなりふえまして、道路をつくってもつくっても交通渋滞がなくならないというような状況もございますが、ぜひ、今局長からお話がありましたように平成十二年度までに供用開始ができるという部分の周辺も含めて、さらに御努力をお願いしたいということを地元の声として申し上げたいと思います。  続きまして、同じように道路関係ですが、国道四百六十一号線、これは、日立からちょっと離れたところで、北側の方で高萩というところがございますが、高萩から大子の方に向けて国道整備を図っていただいているところであります。ここもなかなか、山合いといいますか川沿いのところで非常に難しい工事もあるのですが、かなり精力的に事業を展開していただいているところであります。この四百六十一号線の現在の進捗状況と、これからの、特に高萩から里美というところぐらいまでの開通見通しといいますか、あるいは大子というところまでの事業推進状況についてお伺いしたいと思います。
  23. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 国道四百六十一号、高萩と里美間の進捗状況でございますが、ここのところは、先生指摘のように交通の隘路となっておりまして、折橋現道拡幅として元年から補助事業として実施しております。  九年度に四百メートルを既に供用しておりますが、十年度につきましては、残っている部分について用地買収、改良工事を引き続き進めていきたいと思っています。全体で七百メートルありますが、そういう中で、十二年度には供用したいということで鋭意進めております。  そういうことで、できるだけ地元の方にも御協力いただいて、順調に進むように努めていきたいというふうに思っています。
  24. 大畠章宏

    大畠分科員 今地元の方にという話がありましたが、確かに土地の買収問題についてはいろいろと御苦労もあると思います。交通渋滞というのは大体総合的に起こってくるものでありまして、渋滞するところの周辺の道路整備というものが大変重要だと思いますし、そういう意味でも、この高萩から里美、大子に通ずる道は、一つ地域的な、面的な面での交通の対策にもつながると思いますので、今後ともぜひ四百六十一号線の事業についても力を入れていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  三点目に、これも日立周辺の道路問題でありますが、日立市と東海村の間に県道が新しくつくられることになりました。これは、久慈川という川がございまして、その川を挟んで東海村という村と日立市というものがあるのですが、今、朝晩の通勤ラッシュというものが少ない橋のところに集中しておりまして、それを解消しようということで、日立市と東海村の間でいろいろと協議をしながら、県道として橋を新設して道路をつくろうということを進めております。久慈川新橋というような名称がつけられているということを聞いておりますけれども、何分にも、地方自治体は借金はあるのですがお金がないということでございまして、この県道の建設についても、国からのバックアップを力を入れていただきたいという強い要求もございますので、日立市と東海村をつなぐこの久慈川新橋の建設の現状とこれからの展望について、あわせてお伺いしたいと思います。
  25. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 今先生質問の一般県道日立東海線でございますが、日立市南部と東海村を連絡する幹線道路ということであります。久慈川にかかっている現道の現橋でございますが、これは、洪水が出ると潜ってしまう潜り橋でありまして、新橋を早期にかけなくてはいかぬというふうに思っております。架設を平成十年度より国庫補助事業として着手しておりまして、現在取りつけ部の用地買収を進めておりますとともに、橋梁の下部工事七基の着手をする予定というふうなことでございます。  平成十年度の当初予算、もろもろ合わせまして、これらの道路について三億七千万つけておりますが、緊急性を要するというようなことで、一次補正で七億、三次補正で一億というようなことで、補正も十分活用させていただいて促進に努めております。これにつきましても、今後、地元の協力も得ながら早期に完成を図りたいということで、十年代の半ばごろには完成させたいというふうに思っております。  そういうことで、また御支援、よろしくお願いしたいと思っております。
  26. 大畠章宏

    大畠分科員 今ちょっと聞き取りにくかったのですが、何年の半ばとおっしゃったのでしょうか。もう一度。
  27. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 平成十年代半ば、十五、六年ということでございます。
  28. 大畠章宏

    大畠分科員 平成十年の半ばではなくて、十年から十九年までの間ということでございますか。——わかりました。  局長も御存じのとおり、この潜り橋というのは、全国にいろいろあると思うのですが、従来の日本的な風物詩になっているかもしれませんけれども、いわゆる洪水、川の水が増した場合には、上の方を材木とかいろいろなものが流れていきますね。時には、那珂川のあたりでは、最近では牛なんかも流れてくることがありました。そういういろいろな障害物が橋にぶつかって橋を壊すということを防ぐために、水面下になってしまうように設計されていますね。  これはやはり、言ってみますと、非常に古い発想なんですね。非常にいい発想でもあるかもしれませんが、しかし、その潜り橋を通行している人がいまして、これは欄干なんかないものですから、この潜り橋で命を落としている人が随分おるんですよ。この潜り橋のところでは、ちょうど四、五年前ですか、乗用車に乗った人が、風と雨の中、運転しているときに川に転落しまして、お母さんと子供さん三人が亡くなっているんですね。  したがって、私は、この潜り橋の有効性についても、技術的なものは認めますけれども全国の潜り橋というものを再点検して、最近の技術をもってすれば——潜り橋というところは欄干をつくってはいけないというのですね。建設省が認めてくれないというのですよ。これは、建設省が認めるというよりも、自然の流れの中で、欄干をつくるといろいろなものが、材木とか何かがひっかかってしまって橋が流されてしまう。結局、最近では潜り橋も流されてしまうんですよ。だったら、全国の潜り橋を総点検して、せめて欄干ぐらいをつくったらどうか、私はそんな感じもするんですよ。これは別問題ですがね。  したがって、全国の潜り橋というものをもう一度、今日の近代的な建設技術をすれば、人や自転車がぶつかっても大丈夫だ、しかし、そういうものが来たときには、ある程度の力以上が加わればぱたっと倒れるとか、そんな工夫があるんじゃないかと私は思うのです。  これはちょっと質問通告していませんけれども、相変わらず、潜り橋というものは欄干はつくってはいけないのでしょうか。
  29. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 これは、河川の方の洪水に対しての危険性というようなことで決められている規定でございまして、基本的には、潜り橋については、道路の改良とあわせて潜り橋を解消していこうという方針で進めております。
  30. 大畠章宏

    大畠分科員 再度御要求を申し上げたいのですが、この潜り橋の構造というものをもう一度見直して、せめて、自転車で通行しているときにふらふらしたときには欄干にぶつかってとまるとか、そういうところまで、ちょっと潜り橋の構造の再検討をしていただけませんか。  これは、私はなぜ申し上げるかというと、要するに、命よりも橋を大事にするというような発想になってしまうのですよ。要するに、欄干がないわけですよ。せいぜい十センチぐらいの木の枠が端にありますが、あとは何もないのですよ。非常に幅が狭くて、そこを車が通ることが悪いといえば悪いのかもしらぬけれども、遠回りになってしまいますから、ついそこを通るのですよ。あとは、通学で自転車で通った子供さんがやはり川に落ちて亡くなったこともあるのですね。それでもなおかつ、建設省に要求しても、いや、これは構造上、欄干なんかはつくってはだめなんですといって、新しくつくるときも全部古い形の潜り橋しか再建はさせなかったのですよ。私は、その理屈はわかるのですよ。理屈はわかるのだけれども、そういうことがひょっとしたら全国でも幾つか同じように起こっているのではないかという感じが私はするのですね。  ですから、今の技術水準で、例えば電気自動車とか人工衛星が飛ぶ、ましてやこれから宇宙ステーションをつくろうという時代に、潜り橋には欄干をつくってはいけませんという、明治のころつくった基準に従って相変わらずこれをずっと運用しているということ自体、建設省はちょっと、私は建設省の方は非常に優秀な方がたくさんおられると思うのですが、なぜそういう基準が変えられないのか、前から私は疑問に思っていたのです。  もう一度、これは道路局長ではないのかもしらぬけれども、そこら辺建設省も、橋を守るために欄干をつくらせない、人が何人も亡くなっていながらも欄干はつくってはだめなのですという古い、多分昔の、青焼きしたかガリで切ったかは知らないけれども、そういう基準を後生大事にしているという時代ではないと思うのですが、そこら辺ちょっと、河川局長お願いします。
  31. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今、潜り橋の件でお尋ねがございましたが、先生おっしゃるように、川の中にあって、平常時、非常に風情のあるものでございます。ただし、欄干がついていない、洪水時非常に危険だということでございます。おっしゃるとおりでございます。  私ども存じております範囲では、例えば、橋そのものが洪水が来れば片側が外れて下流側に流れるというふうなタイプの橋もございます。これも一種の潜り橋かと思います。いろいろなタイプがございますが、今のまま、洪水の下にずっとあり続けるというタイプの潜り橋につきましては、やはり欄干がございますと、まさに水が流木なんかを流してきたときにひっかかり、余笹川のような、川が両側に曲がってしまうというふうな大惨事にもつながりかねませんので、そういうタイプの潜り橋は、やはり欄干が難しかろう。何よりも道路の方で、洪水時の場合も水面より上にある永久橋にかけかえていただくのが一番ベストだろう、かように考えております。
  32. 大畠章宏

    大畠分科員 理屈はわかるのです。私は、この問題にこだわるだけでこの委員会の質問をしていいかどうかというのはありますが、結局潜り橋も、私は今、九年過ぎましたけれども、この九年間で二回大水が出まして、二回とも潜り橋が壊れているのですよ。結局かけかえなのですよ。だとすれば、何のために欄干をつけないのか。そして、自動車まで救えるかどうかわかりませんが、自転車で通学した子供さんも途中で落ちて亡くなっているケースもありますので、潜り橋といえども、この近代国家日本で欄干がない橋がそのまま、潜り橋ですから欄干はつけないんです、そして、力が加わったらゲート式にあくのがありますのでそれに順次やっていくと言うのですが、これは、できれば検討してみていただけませんか。それはやはり人の命がかかっているのですから、橋と人の命、どっちが大事ですかといったら——まずは、どっちが大事なんですか、ちょっと答弁お願いします。
  33. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 道路交通にかかわって、人の命、大変大事だというふうには思っていますが、ただ、洪水が起これば、そちらの方でも非常に人命等いろいろなものに影響するわけでございますので、通常使うときの安全性の確保についてどうやったらいいか、その辺については勉強させていただきたいと思います。
  34. 大畠章宏

    大畠分科員 勉強というものの中にぜひ、土木工学といいますか建築工学の粋を集めて、平成版潜り橋というのを検討していただけませんか。私はやはり、人の命を大切にしたり、環境を大事にしたり、これまでの経済成長あるいは日本の国というものを立ち上げるための大変大きな流れがあったんですが、そろそろそういうものをちょっと落ちついて見て、細かなところに何か抜けているところはないかということを点検してみることが必要だと思うんですよ。  そういう意味でも、ぜひこの潜り橋の構造そのものをもう一度、私は何か工夫ができると思うんですよ。だめなんだと言うだけじゃなくて、私はそんなこと、建設省ができないわけがないと思う。ただ昔からこうだからこうなんだろうということでは、それは一番たやすいですよ。だめなんです、人が何人亡くなったかわかりませんが、潜り橋という構造は欄干をつけちゃいけないんです、したがって、つけさせません、新しくする場合にも同じような、昔の構造と同じで欄干はつけないんです。これでは余りにも、言ってみれば少し——建設大臣、これは建設大臣にお話を伺うものじゃないかもしらぬけれども、政治家としてどうですか。こういう問題を、小さな問題ですが、やはりそういうところからそろそろいろいろな基準を見直すべきだと思うんですが、大臣、突然でありますが、あえてここで、局長としてはなかなかそういう答えはできないんでしょうけれども、政治家として、また大臣としてちょっと御答弁いただきたいと思います。
  35. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘のように、それは潜り橋ですから欄干が水圧で倒れるように我々素人だと考えられるんですけれども、ただ、河川局長答弁を聞きますと、それには流木等々がたまって危ないというようなことでしょうけれども、案外素人感覚でやったところからいいアイデアも生まれてくるんじゃないかと思いますので、今道路局長研究をするということでございますので、またそのあたりで研究をしてくれるものと思います。
  36. 大畠章宏

    大畠分科員 さすが政治家というのはやはりそういうことについてきちっとした認識をいただいているという感じを持ちました。大臣、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  続いて、河川問題の、いわゆる那珂川の洪水問題で、大変地域の方が被害を受けました。このことについてまとめてお伺いを申し上げますが、那珂川の水戸の水府橋近辺の堤防の築堤計画はどういう状況にあるのか、どういう形で進むのか。  それから、那珂川のちょっと上流側なんですが、逆流しまして、支流から地域の方に広がってしまったところがあるんです。そこの水門の建設を求める声があるんですが、関連する事業計画と今後についてお伺いしたいと思います。
  37. 青山俊樹

    ○青山政府委員 水戸中心部におきます那珂川の堤防整備についてでございますが、平成十二年度完成を目途に築堤整備を進めまして、また、その下流部の湊大橋付近までにつきましては、今後四年程度かけて平成十三年度目途に完了できるように、水門、樋門、築堤整備を進めてまいりたいと考えております。  また、河川施設が被災した箇所につきましては、災害復旧事業等で平成十二年三月までに整備を完了する予定としております。  支川への逆流防止のための水門等につきましては、西田川の水門につきまして、これは災害関連緊急事業実施しておるところでございますが、早期にやりたいと思っております。
  38. 大畠章宏

    大畠分科員 早期にという話がありましたが、大きな川に堤防をつくるんですよね。立派な堤防ができたなと思うんですよ、これで大丈夫だと。ところが、そこには支流が、川が流れ込んでいまして、その支流には堤防がないことを考えますと、大きな川の洪水は防ぐんですが、支流から逆流しまして、その小さな川から周りに広がっちゃうんです。今回の那珂川の洪水で上流側で被害が広がったのは、それが原因なんですね。  したがって、今早急にというお話がございましたけれども、逆水門について再度お伺いしますが、那珂川の、大きな川の堤防の築堤と同時進行的に逆水門もくっつけてもらわないと周辺の人は困ってしまうんですが、もう一度、再答弁を求めたいと思います。
  39. 青山俊樹

    ○青山政府委員 ただいま先生がおっしゃった方向で、周辺部の築堤とあわせて早急にやりたい、できれば十一年度中にもやりたいという気持ちでおります。
  40. 大畠章宏

    大畠分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
  41. 北村直人

    北村主査 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。  次に、田端正広君。
  42. 田端正広

    田端分科員 私は、大阪、奈良に流れている大和川の問題についてお尋ねしたいと思います。  私の住んでいる地元大阪市の住吉区、住之江区というのは、大和川の河口、右岸に当たるわけでございます。この大和川は、遠く奈良の笠置山地が源でありまして、奈良盆地をずっと駆けめぐりまして、そして平城宮跡とかあるいは明日香村とかという、日本を代表する名所旧跡の中をつづら折りのようにずっと流れてきまして、そして大阪湾に注いでいる、こういう川であります。  しかし、この大和川、今日、日本河川の中ではワーストワンという悪名が高い川でありまして、下流でのBODは大変残念な数値が出ているわけであります。建設省近畿地方建設局の方から出している大和川清流ルネッサンスというパンフレットを見ましても、このBODが、例えば浅香とかあるいは遠里小野橋とかという河口に近いところでは、環境基準でいきますと浅香が五あるいは遠里小野橋が八という数字でありながら、これは平成九年、浅香が一一・六、それから遠里小野橋が一〇・二ミリグラムという大変高い数値になっております。  それで、平成十二年の計画目標は、これらの地域においては、浅香は三・六、遠里小野橋二・五を目指す、こうなっているのですが、平成十二年といえどももう来年のことでありまして、もうあと一、二年というところでありながら、今既に十・幾つとか十一・幾つとかという高い数値のまま推移しているところに大変残念な、汚い川としての現状があるということを感じるわけであります。  西の大和川、東の綾瀬川というのがワーストワンを競っているわけでありますが、大和川は平成八年、九年がワーストワン、平成十年のワーストワンは綾瀬川であったようでありまして、しかし、代表的な汚い川であるという意味においては変わっていない。私は、そういう意味で、非常にあの地域地元としては残念な結果であるので、何とかこれをできないかという思いを強く持っているわけであります。きょうはそのことで議論をさせていただきたい。  これは建設省にお伺いしますが、一級河川、しかも奈良盆地をずっと駆けめぐり、そして大阪湾に注ぐという大和川が何でこんなに汚いのか、この原因は一体どこにあるのか、どんなもんでしょう。
  43. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今先生お話ございましたように、大和川は、全国的に見ましても、一級河川の中でワーストワンないしはワーストツーという水質の状況でございますが、やはり大きな原因の一つは、流域の上流域に非常に多くの人口を抱えている川だということが言えようかと思います。  日本の川は、普通は山地から急流河川で下流に下るわけでございまして、上流域にはほとんど人が住まずに、清い流れのまま下流部の平野部に入ってくるということでございますが、大和川の場合は、奈良盆地全体を流域に持っておりますので、奈良盆地に非常にたくさんの方がお住まいになり、また、多様な生活または産業活動をなさっておるということからいきまして、流域の上流域にお住まいになる人口が非常に多い川ということが一つの原因として言えようかと思います。  また、下水道の整備等もまだ完全ではございません。道半ばという状況でございますし、そういった家庭排水への対処問題等の問題もあると認識いたしております。
  44. 田端正広

    田端分科員 おっしゃるように、確かに流域の人口は約二百万人ということで、しかも関係している市町村が、私の調べでは二十市十八町村になっていると思います。そして、大和川のいろいろな事業を今建設省の方でも行われておりますが、支流で行われている箇所を調べただけでも、大阪で九河川、奈良で三十三河川、合計四十二河川事業が行われているぐらいですから、支流も大変多い。そういった意味で非常に、幹があって枝葉がざあっと茂っているようなのがこの大和川だと思います。  したがって、今お話あったように、生活の雑排水が大変多いんだろうと思いますが、それだけに、関係市町村に対してどういうふうな指導といいますか、そういうところとどういう連係プレーをしながらこの浄化に努めておられるのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  45. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今お話しのような大和川の状況を認識いたしておりまして、建設省では平成五年に、流域の自治体と連携いたしまして、水環境改善のための協議会を設立いたしました。二〇〇〇年を目標とする緊急行動計画、これを清流ルネッサンス21というふうに名づけておりますが、これを策定いたしまして、これに基づきまして下水道事業河川浄化事業等の各種対策を積極的に推進しているところでございます。  今後とも、と申しましても、二〇〇〇年にはもうすぐでございますが、同計画に基づく対策の着実な実施に努めてまいりたいというふうに思っております。
  46. 田端正広

    田端分科員 今局長は、清流ルネッサンス21を目指してやっていると。これはまさにこのパンフレットのことだと思いますが、つまり、そういう計画を立てても現実には、さっきBODの例を取り上げましたが、ほとんど進んでいない。そして、その目標にはほど遠い数値である。  例えば、下水道を見てみましても、大和川流域全体の下水道の普及率が、平成五年で四〇%でした。そして今、平成九年でようやく五二%。五二%で、平成十二年、この二十一世紀ルネッサンスを目指しての目標が七一%ですから、七一%を目標にしながら、今五二%というのが現状でありますね。そういった意味では、二〇%の差がまだある。そうすると、ここ一年や二年の間にそんなことが果たしてできるのかという思いをしております。  だから、こういう計画を持っているんだとおっしゃっても、現実は全然進んでいない。全然進んでいないということはないですが、しかし、目標にはほど遠い、こう思うわけでありますが、その点はどうなんでしょう。
  47. 青山俊樹

    ○青山政府委員 先生おっしゃるように、まだ目標とはかなりかけ離れたところにあるわけでございます。平成九年度の下水道の普及率は五二%、平成五年度が四〇%でございますので、大体四年で一二%上がっておるわけでございまして、一年に三%としますと、平成九年度から十二年度まで三年ですので、六一、二%というオーダーで、一〇%ぐらい開きが出てくることになろうかと思います。  また、下水道だけではなしに、私ども直接、例えば奈良県、大阪府のそれぞれの支川につきまして、接触酸化法だとか薄層流浄化法だとかいう形で河川そのものの水を河川の中で浄化するという試みもやっておりますが、こういった事業はかなり完成を見ておりまして、もう一息である程度のレベルに達するのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  48. 田端正広

    田端分科員 つまり、汚染の原因の八五%は生活排水という、私の調べでは、そういうことになっております。恐らくその前後の数値だと思いますが。そうであるならば、これはやはり行政側のこれからの対応が非常に大事である、こう思います。それが一つ。今申し上げたように、下水道の整備の問題。  それからもう一点は、し尿と生活排水との合併浄化槽をどこまで、普及といいますか、ちゃんとしていくか、整備していくかということになると思います。  これは、いや、建設省は関係ないということになるかもわかりませんが、しかし、河川管理責任者としてこういったことがかかわってくるわけですから、関係の厚生省なりあるいはそれぞれの地方自治体なりと、そういったこともあわせて具体的に詰めていく必要があるんじゃないか、そう思うわけですが、その辺のところはどういうふうな話し合いなり協議をされているんでしょうか。
  49. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今お尋ねのございました個別の、合併処理浄化槽の設置等の問題につきましても、これは、流域にこれだけたくさん人口、人々がお住まいになり、またたくさんの家庭排水が出るわけでございますので、ぜひ積極的に整備していっていただかなければならないと思っておりまして、それは、各地方自治体との連携を深めながら、地方自治体を通じて大いにそれが促進するように私どもも働きかけていきたい、かように考えております。
  50. 田端正広

    田端分科員 大臣、そういうことで、大和川は大変汚い、それは流域周辺が人口が多いからだ、こういうお話。  ところが、私はこの間大和川へ行って驚きましたが、こういう立て看が出ているのです。病原性大腸菌に感染しないよう、大和川の水を飲まないようにしましょう、水辺で魚釣りなど遊ぶときには十分に注意し、遊んだ後には手足をよく洗いましょう、建設省近畿地方建設局、こういう看板がこの河川敷にずっと出ているわけです。これは本当に私は驚きました。恐らくこれはこういうことだと思うのです。平成九年九月十六日に遠里小野橋の地点で大腸菌O157が検出された。おととしそういうことがございました。それがあったがゆえにこういう立て看板を出しているんだろう、こう思うわけであります。  ちょっと伺いますが、確かに平成九年にそういうことがあったんだろうと思いますが、では、平成十年とか今十一年、O157は検出されているんですか。
  51. 青山俊樹

    ○青山政府委員 O157につきましては、水質調査を平成八年度から実施しているところでございまして、平成九年九月に遠里小野橋でO157が初めて検出されました。それ以降観測いたしておりますが、それ以降の観測においては検出されておりません。
  52. 田端正広

    田端分科員 つまり、平成九年の夏に大阪府堺市でこのO157のことが、大変な事件といいますか大きな問題になりまして、子供さんたちに大きな被害、影響があったわけであります。当時、大和川の左岸が堺市ですから、右岸の大阪市側も夏祭りあるいは盆踊り、こういった諸行事がほとんど取りやめになったり、あるいは行われても、そういう祭りに出てくる露店のああいう食べ物等は全部なしということで行われた、こういうことでありまして、あの夏は本当に大変な大騒動になりました。したがって、そのときにこういう立て看板が出されたと思うのです。  だから、そのときは確かにそういう状況であったかもわかりませんが、しかし、今、安定して検出されていないというのなら、立て看を出したままほっておくという手はないんじゃないでしょうか。もう大丈夫になりました、今はありません、こういうふうにしないと、いつまでもこのまま出しておけば、これは大変な誤解を生むと思いますね。それでなくとも大和川は日本一汚いと言われている、レッテルが張られているわけですから。  したがって、私は、ここの大和川で例えば水泳をして、水泳場としてやると危険だとかそういうことなら理解できますが、何も水泳したりそういうことをするんじゃなくて、大和川が散策するなり市民の憩いの場として利用される、こういうことに危険性はないわけですから、こういう看板は誤解を生みますから取り除いていただいて、そして、建設省の方で、O157の菌はこの一年は検出されておりません、もう安全です、ひとつこういう宣言を出していただいたら地域住民は安心できる、こう思うのですが、どうでしょう。
  53. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 田端先生、ずっと今日までの大和川の汚濁の経過、その後の経過をずっとお伺いしておったわけでございますが、先生おっしゃいますように、この汚濁負荷の八割以上が家庭の排水であるということでございますから、先ほど局長答弁いたしましたように、まず第一には、厚生省と十分なる打ち合わせをして、そういう下水処理あるいは合併浄化槽の問題等々、これをまずやっていかなければならないと思っております。  それと、二番目の問題でございますが、看板の問題でございます。確かに私も、このことをお伺いいたしまして、役所で調べまして、今はもうそういう看板は撤去すべきときだろうと思っております。  昨年でございますが、文部大臣と御相談をいたしまして、建設省が子供の水辺のプロジェクトということで整地をいたしまして、はだしでそういう河川に入ってそこで遊ぶ、そしてそういうようなことをもとにして、河川に対します子供の教育を今度は文部省のもとでやる、そういうプロジェクトも今現に進めておるわけでございまして、大和川がそういうようなことでもっともっと子供さんに親しまれる、家庭で休暇にはその周辺で遊んでいただくというような整備もまた重ねて進めていきたいと思います。
  54. 田端正広

    田端分科員 大臣の方からそういう立て看は外すべきだ、こういうお話がございましたので、ぜひそういった意味地域住民が安心できるように、ひとつ河川管理という立場からお願いしたいと思います。  もう一点伺いますが、去年の十月に、建設省全国河川をずっとお調べになって、ちょうど環境ホルモンが大変問題になったときに調査された。その中で、大変問題になるビスフェノールAというのがいろいろな川から検出されていますが、大和川も、昨年の七月に〇・一一マイクログラムやはり検出されている。こういう数値が出ておりますが、このビスフェノールAはまだ学問的にも解明されていません。しかし、この数値から見て、どういうふうに判断すればいいのか。危ないのか、余り人体にかかわるような数値ではないのか、その辺のところも含めてこの問題についてお尋ねしたいと思います。
  55. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今先生のお話にございましたように、建設省では、全国の一級河川におきまして、環境ホルモンの疑いのある化学物質等の水質を昨年七月から八月にかけて調査いたしまして、その結果を昨年十月に公表したところでございますが、今お話ございましたように、遠里小野橋地点でビスフェノールA、ノニルフェノール等が微量ながら検出されているところでございます。  環境ホルモン問題につきましては、本年度より実態把握に着手したばかりでございまして、問題があるかどうか現時点では判断できないという状況でございます。他の多くの河川においても同様に、大和川だけでなく他の河川においても検出されておりまして、大和川が特に問題のある状況にあるということは言えないというふうに思っております。
  56. 田端正広

    田端分科員 今のところ大きな問題ではない、こういうお話なので安心いたしましたが、それにしても、大臣、私は非常に驚いているのは、住吉区、住之江区等の小学校の先生が子供さんに、大和川に行って遊ばないようにしなさい、こういう指導をしているのですね。私は、そういう話を聞いて本当にびっくりしたわけでありますが、全くこれは逆転している教育指導だと思いますね。  つまり、子供にとって水辺で遊ぶというのは、自然の中で直接に生の自然との接触のできる場である、生きた勉強ができる場である、こう思います。例えばフナやコイを釣ったり、カエルを追っかけたり、あるいは今、この間も見ましたら、水鳥がたくさん来ていまして、カルガモとかユリカモメとかマガモとか、いっぱい大和川にも来ています。だから、こういう自然環境の中で本当に培われた人間形成の過程というもの、これは大臣だって子供のころに川辺で遊んだという思い出だっていっぱいあると思います。だれだってあると思いますね。そういうことを、学校の先生がやってはいけないということを言っているところに大変な問題があると思います。  これは大臣、責任者としてどういうふうにお考えになりますか。
  57. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 学校の先生がそういう指導をしておるというのは、かつての、極端にワーストワンであったとかワーストツーであったというときの感覚でそういう指導をしているのではないかと思いますが、現時点はそういうことではないわけですから、これはまた、文部省を通じまして対策を講じたいと思っております。
  58. 田端正広

    田端分科員 同時に、河川管理責任者としてより一層河川浄化に努力することを、これは大前提ですので、ひとつ大臣、またよろしくお願いしたいと思います。つまり、こういう大都会では、四季折々、自然の変化というものと接触できる唯一のチャンスがこういうところだと私は思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  ついては、子供さんからお年寄りまで、すべての人が愛する、親しめる、そういう水辺あるいは親水公園といいますか、あるいはそういう河川にしていく必要があるのではないかと。私はいつも、新幹線の中で多摩川を見ていますと、多摩川はそういった意味で、ボートも浮かび、野球場も、ジャイアンツの練習場もあればゴルフ場もあれば、釣りをしている人もいれば、いろいろなこういう姿を見て、ああ、これがいいな、こう思うわけでありまして、非常にうらやましい。あるいは、隅田川は両岸にすばらしい桜の並木があります。四月になれば、隅田川の桜は都内でも大変有名な桜の名所になっておりますけれども、そういった意味で、自然と人が親しんで寄ってくる、こういうことになる。  だから、大和川の水質はぜひきれいに努力していただくと同時に、河川をもっと、より親しまれる河川にやっていただく、これがやはり建設省の役割ではないか、こういう思いがしますので、一つは、大和川にも桜を植えて、大和川に桜の名所をつくっていただきたい。もう一点は、昔、大和川でもアユが釣れたんです。だから、アユがすめる、BOD二とか三の、そういう澄んだ川に戻してもらいたい。これをぜひお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  59. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私は、建設大臣に就任しましたときに、いろいろな建設行政の対策といいましょうか、姿勢として二つのことをお願いしたのですが、一つは、とにかくいろいろオープンでいこうということが一つ。それともう一つは、自然環境とともに共生できるような、そういう事業をやっていこう、自然を破壊するようなことはやらないようにしましょうという二つの基本的な考え方で、私はずっと指導してきておるわけでございます。  先生おっしゃられましたように、大和川がワーストワンになるまで対策を講じていなかったというのは、これはまた建設省一つの失態でもあったと私は思いますが、今後、河川環境整備事業などによりまして水質向上に努めていきますと同時に、先ほど先生指摘のような、学校の先生の指導なども含めて、いわゆる水辺で子供が遊ぶというか親しむというか、そういうようなことをやっていきたい。したがいまして、桜並木を美しいものをつくるとか、また憩える場所をつくる、スーパー堤防というのがございますが、そういうようなところでございますと、今までのような高い土手ではないわけで、ずっと長いそういうスーパー堤防というのがありますが、それをつくっていって、そこに植樹もしていくというようなこと、これは本当に私は力を入れていきたいと思いますので、また先生の御指導をいただきますようにお願いいたします。
  60. 田端正広

    田端分科員 ぜひひとつ、そういう方向でお願いしたいと思います。  それから、今度三月七日にも大和川クリーン作戦というのがありまして、清掃活動をボランティアの人たちが中心になってやるということで、私の地元でもいろいろな形で参加している人がいます。こういう空き缶を集めたりごみを収集したりしているボランティアの方々をぜひ励まし顕彰するような、そういうことをこれからもまた建設省の方もいろいろお考えいただきたい。そして、川をきれいにしていきたい、こう思います。  それからもう一点、昭和五十七年でしたか、集中豪雨のときに、台風のときに、大和川が河口で、堺市の側がはんらんいたしました。そして、三、四年前にも、増水して危険水域まで来ました。今でも集中豪雨のときには、ぎりぎりのところまで来ることがしょっちゅうあります。したがって、水防という意味でも、これはぜひこれからも注意をしていただいて、整備をしていただきたい。ここは下流は大都市ですから、万一決壊になるということになれば大変なことになります。地域住民は川が汚いと言われるだけでも悲鳴を上げているわけですから、それ以上、もしそういうふうな水害が起こるようなことになれば大変なことになりますので、その点もあわせてお願いして、時間が来ましたので終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  61. 北村直人

    北村主査 これにて田端正広君の質疑は終了いたしました。  次に、塩田晋君。
  62. 塩田晋

    塩田分科員 自由党、兵庫県第十区選出の塩田晋でございます。  我々国会議員の任務といたしまして、国の安全保障、外交問題、また全国的に配慮をしなければならない基本的な問題につきまして、これに日夜心を向け、また努力をしているところでございます。  それとともに、やはり関谷大臣も御経験があると思いますが、小選挙区になりまして、なお一層地元の住民と直結をしてその民意を酌み取っていく。私自身も、毎土曜日、日曜日または月曜日と地元に帰りまして、住民の皆さんとともに草刈りをしたりあるいは溝掃除をしたり、また時には祭りで担いだりもちまきをしたり、各種の会合に積極的に出て話し合いを進めておるところでございます。これが、我々の日常活動として一番大事なことだと思っております。私自身も、小選挙区の選挙民の皆さんと意思を十分に通じて、そして中央に直結するパイプ役を果たしたい、このように念願しておるところでございます。  特にまた、いわゆる自自連立政権ができまして、与党として意欲的に、建設的にふるさとあるいは国づくりのために取り組んでいき、また協力をしていきたい、このように考えておるところでございます。  ところで、小渕内閣総理大臣は、生活空間倍増戦略プランなるものを閣議決定されまして、意欲的に取り組んでおられるところでございますが、かつて池田勇人総理が所得倍増計画を打ち出され、またこれが見事に実現したわけでございますので、そういった観点からも、ぜひともこの小渕構想が実現することを念願してやまないものでございます。  この内容を見ますと、この五年間に数十兆円の資金を投入して、住宅空間を倍増し、またゆとりある生活の実現のための環境整備、あるいは地域一体化のための道路あるいは情報の整備等が盛られておるわけでございます。まことにすばらしい内容だと思っております。公共事業につきましては、建設省所管が大きいわけでございますが、その実施の余地がだんだん少なくなってきたんじゃないか、こういう意見もあり、また、公共事業そのものに対する議論もいろいろとあるわけでございますけれども、私は、そういった観点から公共事業実施する余地はまだまだ極めて大きい、いまだ大である、このように認識をしておるところでございます。  この実施につきまして、いろいろと要望が地域住民から上がってくるわけでございますけれども、なかなか中央には届きにくい、そういう状況がございます。中央と地域の間に、もややかすみがかかってどちらからも見えにくい、またゆがんで見えるとか、あるいは極端に言うと邪魔をするといったようなこともなきにしもあらずでございますが、今後とも小選挙区と中央との直結する太いパイプ役として頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  このことにつきまして、大臣の御意見を賜りたいと思います。
  63. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生、御指摘のように、選挙制度も小選挙区制に変わりまして、本当に地元の有権者あるいはまた住民の方々の御意見というのは、週末にかけて皆さんがそれを集約されて、また法律形成に努力をしていただいておるわけでございまして、そのことに対しまして敬意を表しますと同時に、政治家の基本姿勢ではないかなと思っております。  それから、今回の生活空間倍増戦略プランでございますが、先生指摘されましたが、私も本当に全く同じように思っておるわけでございまして、この生活空間倍増戦略プランを小渕総理が提唱されましたときに、私も第一に頭にきましたのは、池田元総理の所得倍増論、それをすぐ頭に浮かべました。  そのように私は、これはちょうど、戦後も五十四年たったわけでございますが、日本のいわゆる経済力あるいはまた国際社会の中での日本の立場等々も勘案しまして、今景気が低迷していることは事実ですけれども、やはりこの中にうたわれておりますように、住空間の拡大であるとか、買い物空間の拡大であるとか、あるいは高齢者に優しい空間の拡大であるとか、環境に優しい空間の拡大、交通・交流空間の拡大等、全部で八つあるわけでございますが、そういうゆとり感というものを持てるものならば、私はぜひそういうようなことをやっていきたいと思うわけでございます。  このゆとり感というのは、やはり私は心に直結してくることではないかと思います。何も金額的なものだけではない。また、住宅でいえばもちろんスペースの、大きさの問題になってくるわけでございますが、そういうようなことで、生活空間の倍増に向けて、向こう五カ年を視野に入れまして、私はまだ積極的に公共事業というのは進めていかなければならないと思います。  私は四国の田舎でございますが、そちらにおきましては、道路整備あるいは高規格道路の整備、ダムの整備、そして住宅の投資の拡大等々に対します要望はいまだに大変強いものがあるわけでございます。  この機会にちょっと述べさせていただきますが、建設省関係の公共事業云々というようなことを一時言われましたけれども、確かに私は、生活を豊かにする、いわゆる住環境、空間を大きくしていく、そういうような方向に、もちろんいろいろ公共事業内容も変わってくると思うわけでございます。しかし、今までの道路だとかそういうハードな面の要望がないかといえば、それは一番強いものでもございますし、また、本当に道路の整備というものは私は道半ばだと思っております。  ですから、そういう社会資本の整備が行き渡りましたらそういう予算はほかの部分にもちろん移行していくわけですから、私は、今建設省の皆さんにお願いしておるんですが、本当に国民がそういうようなことを願っておるから、重点配分で、この公共事業というのは自信を持って進めていってほしいということを言っておるわけでございます。  そういうようなことで、この生活空間倍増戦略にのっとりまして、今後とも公共事業はそういうことで重点配分。そして、再評価プロジェクトもありますから、環境が変わってそれが必要でないということになりましたらそれは直ちに中止をするというようなことで、一円たりとも予算をむだにすることなく執行をしていきたいと思っております。
  64. 塩田晋

    塩田分科員 関谷勝嗣大臣におかれましては、この小渕戦略プランの実現のために一番大きな実力を持ち、また役割を持っておられるわけでございまして、大臣の御手腕に期待するところでございます。  また、私の地域につきましても、従来から建設省、いろいろと温かい御配慮を賜りまして感謝をいたしております。この席をかりまして御礼を申し上げます。  この生活空間倍増戦略プラン、これは四百地域に分けるということのようでございますが、ほぼ小選挙区の数に近いものだと思います。我々も直結という立場から、党の主張といたしましては、従来から補助金の一括配付ということで、地方自治体の自主性を尊重して地域に密着したプランをし、実行をしてもらうということを主張しておりますが、これはこれといたしまして、細かい地元の問題につきまして御質問いたしますので、お答えをいただきたいと思います。関係の局長、よろしくお願いいたします。  まず第一点は、加古川市についてでございます。  地域の高規格幹線道の東播南北道路につきましては、従来からいろいろと要望してまいりまして、これが昨年認可をいただきまして、事業がいよいよ着工され、推進されるという事態になっております。ありがたく感謝をいたしますが、この進捗状況、そして今後の見通しにつきまして御説明お願いします。
  65. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 地域高規格道路の東播磨南北線でございますが、加古川市から小野市まで、全体計画としては十五キロの地域高規格道路でありますけれども、特に南北交通、臨海部と内陸部を相互に連絡する主要な道路というふうに思っております。  また、臨海部、加古川市の八幡町で産業団地の開発が進められているということで、一般国道二号の加古川バイパスまでの区間五・二キロでございますが、この区間について、地域高規格の整備区間に指定しまして、また、年末の政府予算案で新規の事業化が十一年度から認められたということでございます。産業団地等の沿道の開発計画、おおむね十七年度ごろにでき上がるというふうに伺っておりまして、その沿道の開発計画とあわせてこの道路が供用できるようにというふうなことで、鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。
  66. 塩田晋

    塩田分科員 今後とも、事業推進促進方をよろしくお願いいたします。  次は、これも二十年来お願いをし、また、私たちも協力して推進をしてきたところでございますが、JRの山陽本線加古川駅周辺の連続立体交差事業、これと駅周辺の土地区画整理につきまして、その進捗状況をお伺いいたします。
  67. 山本正堯

    ○山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  JRの山陽本線加古川駅周辺につきましては、加古川市の中心市街地であり、また東播磨地域における重要な拠点であるということでございます。  連続立体交差事業は、交通の円滑化、地域の均衡ある発展を図る観点から、大変重要な事業であるということでございます。延長約三・五キロにおいて十二カ所の踏切を除却するという事業でございまして、平成二年に都市計画決定されまして、平成五年から事業認可を取得して事業が進められておる、今現在進捗率約三三%という状況でございます。  平成十一年度内には仮線の切りかえを行う予定でございまして、平成十四年度には山陽本線の本線切りかえ、平成十六年度には加古川線の本線切りかえを行う予定ということでございます。私どもとしましても、同事業について積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。  なお、これの連続立体交差の関係に伴いまして、今先生おっしゃいました加古川駅の北の土地区画整理事業、あるいは東加古川駅北周辺の区画整理事業、こういう関係がございますけれども、加古川駅の北の土地区画整理事業につきましては、平成五年から市が施行しておるものでございまして、九年度末現在で約五七%の進捗率ということでございまして、ことしの四月には仮換地の指定を行うという状況まで至っておるところでございます。  なお、東加古川駅の北周辺の区画整理事業につきましては、市が施行を行うことを前提に、今地元説明を行っておるという状況でございます。この点につきましては、今後とも地元のお話し合いを見守りながら、必要に応じて積極的に支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  68. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございます。  この地域におきましては、北の地域から南の沿海部にあります工場地帯に通勤者が非常に多いわけでございます。朝晩のラッシュ時におきましては、南北道路が各線とも非常に渋滞しておるところでございますし、また、この連続立体交差が実現いたしますと、これが大きく改善されるというものでございますので、一刻も早くこれが完成しますように、よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。  また、これに関連いたしまして、できれば将来の問題として、西へは宝殿駅まで、また東には東加古川駅までこの連続立体交差が実現することを地元は非常に望んでおりますけれども、これにつきましても、将来の問題として考えていただきたい、このように思っております。  それから、これに関連いたしまして、加古川の国道二号線、加古川橋の右岸の北側に、これが角が非常に鋭角的に曲がっておりまして、南北からまたこの東西線に入るところが、大型バスなりトレーラー等は非常に曲がりにくいという苦情が出ておりまして、何とかしてもらえないかという要望がございます。これにつきましても、細かい点ではございますが、後ほどまた御相談をさせていただきたいと思います。  それから、東加古川駅の周辺でございますが、これの整備、特に北の周辺は非常に道路が狭いところが多いわけでございまして、この整備につきましてお伺いいたします。
  69. 山本正堯

    ○山本(正)政府委員 東加古川駅周辺の開発整備につきましては、加古川市の副都心ということであろうかと思います。そういう意味でふさわしい町づくりを行うということで、先ほど申し上げましたように、区画整理事業中心地元説明会を今行っておるということでございます。区画整理事業、あわせて街路事業、街路についての整備も関連として整備されていくというふうに考えております。
  70. 塩田晋

    塩田分科員 次に、同じく加古川市内ですが、中津水尾線、これは要望しておきたいと思います。  現在、平野神野線が進行中でございます。これについて、都市計画街路としての整備への状況をお聞きしたいと思いますが、これとあわせまして加古川別府港線についてお伺いいたします。
  71. 山本正堯

    ○山本(正)政府委員 平野神野線は、加古川駅を中心とします中環状道路の一部を構成する南北幹線道路ということで、大変重要な路線であろうというふうに思っております。JR山陽本線の前後区間の〇・五キロの区間について、平成六年度から市が事業実施中ということでございまして、今年度末の進捗見込みは九四%ということでございます。平成十二年度の供用予定というふうに聞いております。  なお、加古川別府港線でございますが、これにつきましても、中環状道路網の一部を担うとともに、東播磨港から中心市街地を経て小野市に至る、大変幹線道路である、こういうことでございまして、山陽本線の前後区間一キロの区間において、区画整理事業、街路事業によって、平成六年度から県、市が事業実施中ということでございまして、現在進捗状況が五二%ということでございます。平成十四年度には供用予定というふうに聞いておるところでございます。  私どもとしましても、地元の要望を踏まえまして、引き続き支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  72. 塩田晋

    塩田分科員 山陽自動車道加古川北インターの周辺にできますハイウエーオアシスにつきまして、整備を進めていただいておるところでございますが、これはぜひとも強力に推進方を御指導、また御援助をいただきたいと思います。これは結構です、要望しておきます。  これに関連いたしまして、山陽自動車道のやはり同じく加古川北インターから志方町周辺ですが、志方町を経まして高砂市の中心部に出る道路、これはまだ全然上がってきていない問題でございますが、もう四十年ほど前ですか、こういう話がありまして、志方町が高砂市に合併するか、加古川市に合併するかということで非常に問題となって、地元は非常に盛り上がっておったのですが、最終的に加古川市に合併ということで、これがさたやみになっている。しかし、地元の町内会初め要望が非常に強いものでございまして、いずれこれは実現の方向へ向かって検討をしていただきたい。また、いずれ建設省にも手続を経て上がってくることかと思いますが、検討事項といたしましてこれがあるということで、またその節はよろしくお願いいたします。  それから、高砂北条線、特に山陽自動車道と交差するところまでの高砂からの道路の整備状況について御説明お願いします。
  73. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 主要地方道の高砂北条線でございますが、山陽自動車道の加古川北インターチェンジと姫路バイパスの間を連絡するということで重要な路線だというふうに認識しております。  それで、国道二号のバイパスから延長一・四キロについて、北向きに、既に九年度暫定二車線で供用しておりますが、残りの区間、神戸加古川姫路線までの区間について、平成十五年ぐらいに供用したいということで、県の方で整備を進めているということでございますので、建設省としても、その整備が図れるよう引き続き支援してまいりたいと思いますし、順次さらに北へ向かって、加古川インターチェンジの方の整備についても支援をしていきたいというふうに考えております。
  74. 塩田晋

    塩田分科員 次に、高砂市の関係でございますが、時間の関係で一括して申し上げます。  第一が、沖浜平津線街路整備事業の進捗状況、今後の見通し等についてお伺いいたします。  続きまして、阿弥陀町の地徳というところでございますが、市ノ池公園の整備状況についてお伺いいたします。  それから、加古川の河川、高水敷の状況、今後の計画等につきましてお伺いいたします。
  75. 山本正堯

    ○山本(正)政府委員 沖浜平津線につきましては、山陽自動車道の加古川北インターチェンジから国道二号加古川バイパス等を経て高砂市の臨海部に至る幹線道路ということでございまして、山陽鉄道と交差する区間の七百五十メートルの区間につきまして、平成九年度から市が鋭意事業実施中でございまして、十年度末、一六%の進捗状況でございます。平成十四年度供用開始予定というふうに聞いております。  私ども建設省としても、要望を踏まえて引き続き支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。  なお、同じ高砂市の公園の関係、市ノ池公園の整備状況でございますが、これにつきましては、今年度、十年度一・三ヘクタールを供用したわけでございますが、十二年四月にキャンプ場の供用を予定しておるところでございます。鋭意それに向けまして、現在、炊事棟でありますとか管理棟の整備実施しているところでございます。十一年度、園路、テントサイト等整備を行う予定でございます。これも進捗率六三%でございますので、地元の要望を踏まえて国としての支援を実施していきたいというふうに考えているところでございます。
  76. 青山俊樹

    ○青山政府委員 加古川の緊急用河川敷道路の進捗状況及びその見通しについてお答え申し上げたいと思いますが、これは阪神・淡路大震災を踏まえまして、震災時の緊急輸送等を目的として平成七年度より事業着手いたしておりまして、平成十年度までで左岸側、加古川市側を完成いたしました。平成十一年度以降、右岸側、高砂市側を継続実施しているところでございますが、平成十二年度に完成を予定いたしております。
  77. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。促進方をよろしくお願いいたします。  それでは、最後になりますが、JR土山駅の前の広場を含む本荘土山線の道路整備状況をお伺いいたします。
  78. 山本正堯

    ○山本(正)政府委員 JR山陽本線の土山駅周辺は、播磨町内でも鉄道乗降客が非常に多い地域でございます。したがいまして、私ども、同駅の駅前広場につきまして、平成七年三月に都市計画決定をされ、その駅前広場について、交通結節点の整備という観点からも大変重要であるということで、整備を進めていく必要があるというふうに考えております。  具体的には、街路事業で行う、あるいはまた区画整理事業で行うかということは、まだ事業手法についてはこれから検討を進めていくということでございます。地元県、市の整備方針を踏まえまして私どもとしても対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  79. 塩田晋

    塩田分科員 稲美町の関係でございますが、稲美町を北進する南北道路、これは二見稲美三木線ということだと思いますが、これから四車線の道路整備の要望が出てくると思いますが、その節はよろしくお願いいたします。  それから、加古川、高砂、播磨町、稲美町、この二市二町の地域における下水道の整備状況でございますが、これはもう十数年前から非常に力を入れて整備をしていただいておりまして、感謝しております。これが今どういう状況になっているか、これについてお伺いいたします。
  80. 山本正堯

    ○山本(正)政府委員 加古川の流域下水道の整備状況でございますが、加古川市、高砂市、播磨町、稲美町、四市町に係る事業でございまして、六十二年度に事業を着手いたしまして、平成四年度に供用開始をいたしておるところでございますが、九年度末で当面必要な幹線管渠整備を概成したところでございますが、今後、流入下水量が増加してくるということが予想されますので、これの流入下水量の増加に応じまして、水処理施設の増設等を行っていく予定にいたしておるところでございます。  この流域関連公共下水道を実施している市町、普及率が、加古川市が六三%、あるいは高砂市が四五%、播磨町が三六%、稲美町二〇%という状況でございます。  今後ともこれらの市町の下水道整備の支援に努めてまいる所存でございます。
  81. 塩田晋

    塩田分科員 建設大臣、どうもありがとうございました。ひとつよろしくお願いします。  また、細かい点につきましては、関係の部局ともいろいろと相談をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  終わります。
  82. 北村直人

    北村主査 これにて塩田晋君の質疑は終了いたしました。  次に、鍵田節哉君
  83. 鍵田節哉

    鍵田分科員 民主党の鍵田でございます。  きょうは、昨年も一昨年も取り上げさせていただいたわけでございますけれども、大和川清流ルネッサンスということで、建設省としては全国でも一番汚染が進んでおるこの川の清流化に向けた取り組みをされておるわけであります。私自身も十年ほど前から、連合が結成されましたときに、労働組合の社会的な活動として、この川の清流化に向けての取り組みをしていこうということで、実は私は大阪中心にやっておったのですが、奈良県の盆地の水をほとんど集めて、そして大阪に流れるという川でございますので、実は奈良県の連合ともタイアップをしながらやってまいったわけでございます。  この委員会で一昨年取り上げましたときには、近畿ではワーストワンであったのですが、全国的にはナンバーツーだったと思います。昨年質問をいたしましたときには、建設省の努力もいろいろなさってきたと思いますし、私たちもいろいろかかわってきたつもりでございますけれども、残念ながらナンバーワンになってしまったわけでございます。もっといいことのナンバーワンならいいですが、残念ながらそういうことになっております。  その後、昨年の分科会以降でございますのでちょうど一年になるわけでございますが、汚染度につきまして今どういう状況になっておるのか、まずお聞きをして質問を始めたいと思います。
  84. 青山俊樹

    ○青山政府委員 全国一級河川の水質調査を建設省として実施しているわけでございますが、今先生お話しのとおり、大和川につきましては、水質改善の傾向はございますが、他の河川に比べて非常に水質汚濁の著しい川となっております。  具体的に申し上げますと、直轄管理区間で、八地点におきまして水質調査を実施しておるわけでございますが、この八地点のBOD七五%値というものをとりまして、これを平均いたしてみますと、平成八年が一一・七ppm、これは全国ワーストワンでございます。平成九年は一〇・九ppm、これはワーストツーでございます。平成十年につきましては、他の河川と比較はまだできておらないわけでございますが、七・七ppmということで、かなり改善されたという結果にはなっております。ただ、依然としてかなり環境基準を上回っているというのも事実でございます。
  85. 鍵田節哉

    鍵田分科員 今おっしゃられましたBODとかCODとかというふうな値は、水質の汚染度を示す数値でございますけれども、この数値が高まってくるというのは、生活排水が河川に流れてくるということが大きな要因ではないかというふうに思います。  いろいろこれからクリーンキャンペーンなどにつきましてもお聞きを随時してまいりたいと思いますが、ワーストワンとかワーストツーとかというふうなことは非常に不名誉なことでございますので、我々としては、この大和川という一つ地域に関しての質問もするわけでございますけれども、やはり、高度成長以来、日本じゅうの河川がこうして汚染されてきたわけでございまして、そういう河川の清流を取り戻すという意味では、非常に重要な取り組みではないかなというふうに思いますので、そういう観点からひとつ、単なるローカルの問題ではないんだということで受け取っていただきたいというふうに思います。  そこで、実は、この大和川流域の下水道の整備状況についていろいろ調べてみますと、奈良県の中の公共下水道の整備状況というのは五一%ということで、平成九年では全国で十一番目ぐらいになっておると思いますから、決して他県よりはおくれておるということではないというふうに思うわけですが、非常に偏りがあります。奈良市でございますとか郡山市というふうなところは比較的高い数字になっておりますし、奈良県全体の五一%を大幅に上回っておるわけでございますけれども、この大和川流域は、特に汚染の原因になっております人口急増地、こういうふうなところでの下水道の普及率が非常に悪いように思っております。  特に、生駒山に沿って人口が急増しております生駒市でありますとか、それからまた水源であります桜井市、さらにはたくさんの川が集まってきております王寺町、こういうふうなところでは奈良県の平均を大きく下回っておりますし、さらには生駒郡というところ、これも、竜田川でありますとか大和川の本流にも関係する四つの町の中で、三つの町までは公共下水が普及率ゼロであるというような実態がわかってまいりました。  結局、流域下水道の幹線がそこまで来ておらない、そのために公共下水道の普及がゼロになっておる、こういうことでございまして、このまま放置をしておりますと、大和川の清流化などというのは夢のまた夢じゃないかというふうに思うわけでございます。これらの特に公共下水道のおくれております地域に対しての対策はどのようになっておるのか。本年度ぐらいには着工されて、さらに幹線の工事などは完成をして公共下水道の普及につながっていく、こういうようなことが本年度中に見通しが立つのかどうか、特にこういうことについてお答えをいただきたいと思います。
  86. 山本正堯

    ○山本(正)政府委員 お答えを申し上げます。  大和川の水質改善につきましては、昭和四十五年から、先生指摘のとおり奈良県の施行による大和川上流流域下水道事業、並びに市町村施行によります関連公共下水道整備を行ってきておるわけでございまして、平成九年度の処理人口が六十九万人ということでございます。  ただ、地域的に奈良の中でも大変偏りがあるということは先生指摘のとおりでございまして、奈良市でありますとか人口が急増しておる市を中心とした地域から事業が着手されてきておる、こういう状況がございまして、今、生駒郡でありますとかそういう地域につきましては順次整備を図ろうとしてきておるわけでございますけれども、なかなか追いついていかない状況でございます。平群町でございますとか斑鳩町でありますとか、先生指摘のように、まだ下水道普及率がゼロという状況もございます。  私どもとしましても、来年度から、こうした市町村から発生する下水を収集するための流域下水道の竜田川幹線の整備に着手する予定でございます。大和川流域の上流下水道事業全体の中でも一番おくれております竜田川幹線について、来年度から早速着手する予定でございます。  建設省といたしましても、こういう流域下水道あるいは関連する公共下水道の推進について支援をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  87. 鍵田節哉

    鍵田分科員 どのぐらいの期間かかるのでしょうか。これから着手しまして、何年ぐらいでそれができるかという見通しはいかがでしょう。
  88. 山本正堯

    ○山本(正)政府委員 お答えを申し上げます。  四十五年から全体の流域下水道計画については事業をやっておるわけでございますが、竜田川の幹線の下水道の関係につきましては、来年度から着手しますと、四年ないし五年の期間で大体完成に持っていきたいというふうに考えております。県の方、あるいは市の方ともよく相談をさせていただきたいというふうに思っております。
  89. 鍵田節哉

    鍵田分科員 四、五年と言わずに、本当に二年ぐらいで何とか見通しを立ててもらいたい、そういうことでひとつ県や町の方にも叱咤激励をぜひともお願いをしたいというふうに思っております。  こういう流域の下水道幹線の整備というのはもちろん大切でございますが、それと同時に、生活関連等公共事業重点化枠というふうなものを活用いたしまして、市町村での公共下水道の普及ということも非常に大事でございます。特に普及のおくれておるそういう地域に対しましては、それなりの援助、支援策などを十分やっていただいてそのおくれを取り戻すということをやっていただきたいのですが、それらについてのお考えはいかがでしょうか。
  90. 山本正堯

    ○山本(正)政府委員 下水道の関係につきましては、現在全国で、全体で五六%、地域によりましては特定環境整備、いわゆる特環につきましては二〇%強ということで、大変おくれております。  そういう観点から、私どもとしても、下水道については鋭意積極的にやっていきたいというふうに考えておるところでございますが、生活関連の重点化枠につきましても大いに活用させていただきまして、いまだ供用していない地方圏の町村の公共下水道、こういうようなものにつきまして、特に重点的に推進し、早期供用を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  91. 鍵田節哉

    鍵田分科員 ぜひともお願いをしたいというふうに思います。  公共事業とかそういうものにつきましては、今、国の財政事情も非常に逼迫しておるというような環境下でございますので、非常に厳しいわけでございますが、現在は、財革法なども凍結をしまして若干緩やかになってきておるわけです。これがまた、財革法が発動されるということになりますと、大幅に絞られるというふうなことにもなりかねないわけでございます。  こういう生活関連の環境整備といいますか、そういう投資に関しましては、やはりもう少し安定的な財源で好不況にかかわらずやっていくということが、いわゆる内需主導型の経済体質に変えていくという面でも非常に大切なのではなかろうかというふうに考えておるわけですが、その辺について、大臣からでも局長でも結構ですが、お考えをお聞かせいただければと思います。
  92. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生がおっしゃいますように、社会資本の整備もまだ十分ではないわけです。したがいまして、生活環境を取り巻く問題もいろいろ変わってきておりますから、公共事業といいましても、いわゆる生活自体に直接関係のある下水道処理等々に対する予算というのは、確かに平成十一年度におきましても大きく伸ばしてきております。ですから、もちろん道路だとか住宅河川、ダム等々の整備も進めていきますが、それと並行して、いわゆる生活環境をよくする部分の公共事業というものも大きく投入していかなければならないと思っております。  それから、もう一つ指摘のように、今財革法を凍結しておるわけでございまして、またこれが解除されますと大きく絞られるわけでございますから、そういう意味においても、この機会に生活関連公共事業を重点的にやっていくという考えで進めていきたいと思っております。
  93. 鍵田節哉

    鍵田分科員 ぜひともひとつよろしくお願いを申し上げます。  また大和川の問題に返るわけでございますけれども、川のクリーンキャンペーンの中でも、川の美化ということを議論する場合に、先ほどいいました、水質そのものもきれいにしていくということはもちろん大切でございますけれども、もう一つ大切な要素としましては、やはり見た目のきれいさということも美観という面から見て大変重要ではないかというふうに思うわけでございます。これらの大和川におけるクリーンキャンペーンの実施状況というものをどのようにとらえられておるのか。今までやってきた実績ですね。  これは河川だけじゃなしに、道路の美観といいますか、こういう面でも非常に、先進国なんかの道路とそれから日本の国道だとか主要な幹線道路の美観というふうな面から見まして、何か大きな差があるように見受けられるわけでございます。もちろん、我々はその一部しか見てないわけですから、それですべてを論じるわけにいきませんけれども、どうも日本人のマナーの悪さというものも目立つわけでございますけれども、単にマナーの悪さということで片づけてしまっていいのかどうかという問題がございます。  やはり河川であるとか道路であるとかというものを管理していく、その管理の責任者として関係者といろいろ協力しながらその美観を守っていく、そういうことが非常に大切だというふうに思うわけでございますけれども、そういうことについてどのようなお考えを持っておられるのか、また、どのような対策を立てられておるのか、その辺についてお聞かせをいただきたいと思います。
  94. 青山俊樹

    ○青山政府委員 河川の美化の問題についてのお尋ねでございますが、私ども、大変重要なことだろうと認識いたしております。川の美しさはその国の文化の水準の高さをあらわすのではなかろうかという認識すら持っているところでございます。  大和川につきましては、上流域に百万人を超すお方がお住まいになっているということもございまして、このような川は非常に珍しいわけでございます。非常な都市河川でございますので、水質状況は先ほどお話があったとおりでございますが、ごみの問題につきましても、例えば上流域で道端の側溝にごみを捨てても、それは必ず大和川を通じて海まで流れてくるわけでございまして、そういった意味でも、ごみの問題も非常に大切な問題だと思っております。  大和川沿川にも非常にたくさんの河川愛護団体の方々がいらっしゃいます。私どもの工事事務所の職員と一緒になって河川の清掃等をやっていただいておるわけでございますが、大阪府で十九団体、奈良県で十四団体、合計三十三の愛護団体がございます。また、年に二回とか三回とか、ある団体には毎月やるというふうなこともやっていただいておるわけでございます。また、いろいろそれぞれのイベント、清流ルネッサンス21の取り組みの中で、沿川流域の市町村と協力しましてその取り組みをやっているわけでございますが、そういった中でもクリーン作戦というふうなこともやっております。  そういったことで、愛護団体の皆様方、ボランティアの方々、それから建設省の職員、また市町村、県の皆さん一緒になって美しくするという努力をしていっているというふうに認識いたしております。
  95. 鍵田節哉

    鍵田分科員 それじゃちょっと、この清流ルネッサンス21というのが始まって以来もう何年になるのでしょうか、かなりの年数になると思うんですけれども、当初からどのような取り組みをされてきて、現在どういう成果が上がったのか。どうも私は、後ほども具体的な例で質問したいと思いますが、それほど具体的な成果が上がっておるようには見受けられないわけでございます。  私自身、子供のときには川で遊んだりしたこともございますし、非常に多くの人たちに親しまれておる川であったわけですが、現在、もちろん川浴びなどはできるわけはございませんし、魚なども非常に限られた魚しか住んでおらないというような状況でございますので、それらの取り組みをどのようになさってきたのか、この辺についてひとつお答えをいただきたい。  実際に、関係市町村それからボランティアの皆さんなんかを集めてイベントをなさったり、関係者会議をされたりということは私も知ってはおります。承知はしておるんですが、どうもそれだけでは成果が上がっておらないように思うんです。自画自賛で結構でございますが、建設省としてどのように取り組まれておるのか、その現状をつぶさにひとつお教えをいただきたいと思います。
  96. 青山俊樹

    ○青山政府委員 大和川流域の清流ルネッサンス21の状況でございますが、今お話ございましたが、平成五年に大阪府、奈良県並びに流域市町村等から成る清流ルネッサンス21協議会を設立したわけでございまして、西暦二〇〇〇年を目標とする水環境改善緊急行動計画というものを策定いたしまして、河川浄化事業や下水道事業等の各種対策をやっているところでございます。  また、今先生お話ございましたように、各種のイベント等を通じて、流域の、地域の方々の啓蒙をやっておるわけでございますが、協議会の構成としましては、委員会がございまして、その下に幹事会があり、さらに地域分科会がある。さらに懇談会といったようなものも設けておるわけでございます。委員会そのものは年に一回程度の開催でございますが、地域分科会とか幹事会とかはかなり頻繁に開催いたしているところでございます。例えば、平成九年八月の委員会から平成十年の八月の委員会まで、ちょうど一年間でございますが、いろいろな幹事会、イベント、合わせまして十回を超える会合、集まりもしくはイベントが持たれているという状況でございます。  ただ、おっしゃいますとおり、そこに住んでいらっしゃる方々の心の問題といいますか、意識の問題もございますし、また、百年河清を待つという言葉がございますが、川の流れというのは、急速に汚くなることはあっても、急速にきれいになることはなかなかないわけでございまして、非常に地道な、足を地につけた取り組みを続けていかなければならないのではないか、かように認識いたしております。
  97. 鍵田節哉

    鍵田分科員 なかなか実績を上げておらないというその事例を非常に限られた範囲のところで申し上げますと、実は私はあの沿線を電車で通勤をしておるのです。今ももちろん新大阪まで来るのにあの電車を使うのですが、ちょうど大和川が非常に狭くなりまして、地すべり地帯がございますが、その辺を通るところでは、国道二十五号線と大和川、そしてJRの大和路線、三つが合流する。あの地点が非常に狭くて、対岸もよく見える。そういうところで、本当はあれはきれいな場所ではないかなと思うのですが、もう毎年、大水が出ますとそこに水が集中してきて、ごみも集中する。それがその辺の岩だとか低い竹だとか木だとか、そういうものに全部引っかかって、それがそのまま放置されておるというような状態がずっと続いておるわけです。  実は、昨年の九月二十二日に奈良県方面を襲いました台風七号、これはもう住宅も、それから森林も農産物も大変な被害を受けました。建設省も一生懸命これの復旧のためにやっていただいていることはよく承知をしておりますが、まだまだ復旧というところまでいきませんので、またこれからも引き続いてぜひともお願いをしたいのです。  国道二十五号線の昭和橋という橋がございます。それから下流の柏原の地すべり地帯、その辺一帯に、九月二十二日に大水が出て流されてきたそのごみがそのまま放置してあるんです。実は私、写真でも撮ってきて建設省の方に見ていただきたいなと思っておったんですが、土曜も日曜もあちこちで会議があるものですから、なかなか写真を撮りに行く間がなかったものですから、口頭で申し上げるわけです。  本当にたくさんの布切れやビニールやいろいろなものが引っかかっておる。王寺の駅の裏の方には、何か大きな湾処のように、人工的につくったところが何カ所かあるのですが、そこなんかはごみがたまってくれと言わんばかりにしてあって、それがいまだに放置をされておる。ひょっとして、今度の土曜日ぐらいに帰りますとなくなっているかもわかりませんが、先週出てくるときにはまだそのまま残っておりましたので、事ほどさように、もう半年からになってもそのままになっておるということは、やはりこういうクリーンキャンペーンももうひとつ実効が上がっておらないなという気がするんです。  ですから、やるときには、大水の出た後の、もうこれ以上は余り大水が出ないだろうなというような時期を選んでそういうクリーンキャンペーンをなさるということも大切なのじゃなかろうか。キャンペーンをしてきれいにした途端に翌日大雨が来てまたもとのもくあみだというのではもう何にもなりませんから、やはり秋ごろで、もうこれ以上は雨は来ない、台風の時期も去った、こういうときをねらってやるというふうな、計画的なそういうクリーンキャンペーンというものも必要なのではないか。  建設省だけでやるのは大変でございますから、自治体やボランティアの皆さんや、そういうもののネットワークをつくって、川全体でそういうことをやっていただければ一番ありがたいなというふうに思うわけですが、何かございますか、御返答は。
  98. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今お話ございました、亀の瀬のところだと思いますが、大阪府と奈良県との県境のところ、そこは大和盆地の水がみんな集まってくる地域でございまして、したがいまして、ごみなんかも洪水のときは全部あそこの地点に集まってくるわけでございます。先生おっしゃいましたとおり、流速が遅くなるところでごみがつきやすいというふうな問題もございまして、非常に集中的にある状況にあるということは私ども承知いたしております。  ごみの問題は非常に頭が痛いわけでございますが、まずは発生源で抑えるというのが大事な基本だろう思います。また、今先生非常に知恵を出していただきまして、いい御示唆をいただいたわけでございますが、出水の後に徹底的にきれいにするということをすれば当分の間は美しい状態になるわけでございますから、その美しい状態のところでごみを捨てようという人は比較的少なくなるというふうなこともございますので、私ども、クリーンキャンペーンを実施する日取り等につきましては、今御示唆いただいたようなことも念頭に入れましてやっていきたいと思っております。  また、何よりも流域の市町村の皆さん、県の方、またボランティアの方々との連携が大事だと思いますので、そのネットワークづくりに努めてまいりたい、かように考えております。
  99. 鍵田節哉

    鍵田分科員 では、そういうことで、あの地点は特に観光客もたくさん電車で通るところでございますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  最後に、大臣、この前の建設委員会で建退共の問題について御質問させていただきましたときに、まだ余りこの問題については御存じないというお答えをいただいたんですが、その後いろいろ研究をしていただいたでしょうか。  建設業というのは非常にすそ野が広くて、そこに多くの日雇いの労働者の方々も働いておるわけでございまして、そういう人たちというのは本当に労働条件も余り恵まれないというようなことで、せっかくの退職金共済制度でございますので、これがやはりもっと多くの人に活用してもらえるような、そういう共済制度にしていただきたい。せっかく公共事業なんかのときにその退職金部分も積算をして発注されるわけでありますから、それを有効に活用するという、これは建設省としても大変重要な問題ではないかというふうに思います。  したがいまして、例えば建設業の退職金共済制度の中に運営委員会というのがございますけれども、この運営委員会というのは、建設業者のゼネコンさんのそうそうたる人がこのメンバーに入っておられるのですが、実際は、年に一回ぐらい、何かほかの会議があったそのついでに、最後の方にちょこっと会議をされるぐらいらしいんです。その制度の実効ある運営についての議論というのはほとんどされておらないというのが実態のようでございます。  したがって、本当はやはりもっと実務者のレベルでこの運営委員会を構成するとか、そして、その受益者である労働者の代表もこの中に入って、一緒になってより実効の上がる制度にしていくということも大切なのではなかろうかと思います。  もう時間も参りましたので、ちょっと建設大臣のその辺に対しての御決意をお聞かせいただいて、終わりたいと思います。よろしく。
  100. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 前回の御質問で伺った話でございますが、この建設業退職金共済制度、その後勉強もいたしましたが、これは、おっしゃいますように、大変立場の弱い方々のためでもございまして、建設労働者の福利増進の上で極めて重要なものと認識をいたしております。それで、従来より、この加入の促進及びその履行を徹底すべく建設業界を指導をしていると伺っておるわけでございます。  しかし、この制度ができまして三十年が経過したわけでございまして、先生指摘のように、そのことが徹底をされていないということで、建設省としましても、この退職金共済制度を所管する労働省に対しまして、共済証紙の方式を、御承知のようにあれはこう一枚ずつ張っていくわけですから、その制度上の問題点につきまして改善策を提案しておるところでございまして、本年度中にそれをきちっと取りまとめまして、平成十一年度当初から実行していくというところまで今来ております。  これは、調べてみますと、二年以上掛けないといけないわけでございますが、大体五年で四十万二千五百七十円という退職金になるようでございますが、そういうようなことでございまして、これは本当に、今のようにいわゆる失業率も非常に高い状態の中、労働条件、雇用を取り巻く環境は非常に厳しいときでございますから、こういうようなことはなお一層きちっとして、そういう方々が安心をして働くことができるように、これは、建設省それから労働省、鋭意努力をしてまいります。  ですから、先ほど言いましたように、平成十一年度当初から、新しくこれを対策としてやっていくということでございます。
  101. 鍵田節哉

    鍵田分科員 どうもありがとうございました。
  102. 北村直人

    北村主査 これにて鍵田節哉君質疑は終了いたしました。  次に、藤木洋子さん。
  103. 藤木洋子

    藤木分科員 日本共産党の藤木洋子でございます。よろしくお願いをいたします。  建設省は、各ダムの事業の必要性、また緊急性、地元状況等について全国のダムを総点検した結果、中止の判断をしたダム事業は、岩手県の日野沢ダム、山形県の乱川ダム、沖縄県の満名ダムなど六カ所に及んでおります。また、休止ダム事業は、香川県の前の川ダム、大分県の矢田ダムなど十二カ所となっております。  そこで、これらのダム事業を中止した理由は、水需要の見込みが変化したことや、よりすぐれた治水上の代替案が判明したということなどによるものです。また、ダム事業を休止した理由は、事業の緊急性や地元状況などから、予算要求を行わずに、代替案も含めた見直しの検討を行うというふうに伺っております。  そこで、大臣にお伺いをいたしますけれども、こうした理由によるダム事業の見直しは今後とも行っていくということなのでございましょうか。
  104. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘のように、平成十年度あるいは平成十一年度におきましても、休止ダムあるいは中止ダムというのが出てきておるわけでございますが、おっしゃられますように、いろいろな条件、そして治水あるいは利水の変化、そういうようなものも含めましてダム事業の総点検を行いまして、今後ともこれは実施をしていかなければならないと思っております。
  105. 藤木洋子

    藤木分科員 さらに、今年度は、最低限必要な基礎的調査以外に工事や調査を進めることができない、いわば足踏み状態のダム事業が、兵庫県の金出地ダムや武庫川ダムなど七十カ所に上りました。この足踏み状態のダム事業のうち、既に石川県の河内ダムなど数カ所が中止、休止が決まっております。武庫川ダムは進捗率がわずか四%程度でして、生活再建のための用地補償基準妥結前の用地補償調査経費の削減によるものだったのですけれども、九九年度は五千万円の環境調査費がついただけでございまして、実質上足踏み状態が続いているような状況でございます。  そこで、建設省伺いますが、こうした実質上足踏み状態のダム事業につきましても、コストや費用効果、実現可能性で問題がある場合には見直しの対象になるのではないかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。     〔主査退席、横内主査代理着席〕
  106. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 もちろん、そういう場合も総点検をいたしていくわけでございます。ただ、そのときに、足踏み状態であるダム事業が、今年までの財政的な制約によってそれが足踏み状態であったとか、あるいは水没地の方々との話し合いが順調に進まなかったとか、いろいろあるんだろうと思いますが、その中止、休止となった事業とは、財政的なものであるならば本質的には違うわけでございますが、しかし、そういうものも含めてすべて総点検をしていきまして、いつまでも土地の買収もはかどらないということであるならば、それはまた休止だとかあるいは中止という方向に流れていかざるを得ないのではないかな。  ですから、今の時代でございますから、私はよく言うのですが、もうすべてオープンでやっていく。そして、関係の方々とは十分に話し合いを行って、その話し合いを行うことも総点検の大きな要諦であろうと私は思いますが、そういうことで、理解を得られたものは進めていく。そうじゃないものは、休止あるいは中止ということにオープンにやってまいります。
  107. 藤木洋子

    藤木分科員 九七年の河川法改正の趣旨は、河川環境整備と保全、地域意見を反映した河川整備計画制度の導入だったというふうに思いますが、河川環境整備と保全は、河川行政において、水質、生態系の保全、水と緑の景観などといった国民のニーズの増大にこたえるものだというふうに私も思っております。地域意見を反映した河川整備は、河川整備計画をつくる場合、公聴会の開催などで住民意見を反映させるものになっております。  武庫川ダムについても、環境影響評価などをしっかりやった上で、河川整備計画をつくる過程では住民の意見を聞き取るなど、そういったことをやって再検討していくべきではないかと思うのですけれども、この辺は建設省はいかがでしょうか。
  108. 青山俊樹

    ○青山政府委員 武庫川ダムにつきましては、二級河川でございまして、県知事さんの管理でございますが、これのアセスメントにつきましては、兵庫県におきまして環境アセスメント条例というものが定められておるわけでございます。この条例に基づいて、武庫川ダムのアセスメントにおきましては、その手続の中で住民の意見を十分聞いていく予定というふうに県の方から聞いております。  また、河川整備計画の策定におきましても、その手続の中で住民の意見を十分聞いていく予定であるというふうに聞いております。
  109. 藤木洋子

    藤木分科員 その際、兵庫県当局が行っております、ため池はコストがかかるなどという単純な検討を加えているわけですけれども、こういったことではなくて、河川の完全改修とそれから調整池機能の維持だとか田畑の遊水地としての活用などという総合的な治水対策事業など、計画の代替案を検討するということも必要ではないかというふうに私は思っております。  先日、実は武庫川の中流部に当たります三田の地域を見てきたわけですけれども、北摂ニュータウン建設の際につくった調整池が、全体で約八十万トンの洪水調整容量がありながら、廃止をされておりました。その反面、この三田の地域では、地元住民の合意が得られるならば、田畑を遊水地として活用できる実に広大な面積がございます。十カ所ほどありますけれども、全部で百六十三ヘクタール、約八十万トンの遊水、ダム機能を積極的に活用できるのではないかということを思います。もちろん、そのためには地元住民の合意と冠水による補償というものが必要なことは言うまでもないわけですけれども。  そこで、河川整備計画の策定に当たっては、まず武庫川ダム建設ありきという立場に立つのではなくて、積極的な計画の代替案をも検討すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  110. 青山俊樹

    ○青山政府委員 河川整備計画の策定におきましては、幅広い見地からさまざまな検討を行っていく予定と聞いております。その中でいろいろな議論が出てくるでしょうし、また、上流でこういう方法でやれば水をたくさんためられるではないかというふうな議論も出てくるだろうと思います。さらには、経済的な効率性みたいなものも議論されなければならないだろうと思いますが、そういった幅広い議論が行われるものというふうに認識いたしております。
  111. 藤木洋子

    藤木分科員 県当局から伺ったところでは、そこまで本腰を入れて総合的な検討が加えられているようにはとても思えませんでした。  そこで、まさに生態系の保全、水と緑の景観などの河川環境の保全が必要な武庫川ダムについて、具体的に伺ってまいりたいと思うのです。  武庫川ダムは、ダムの安全性を確かめるために試験湛水ということを行うことになっているわけですね。水をためるときは一日に最大〇・五メートル、サーチャージ水位維持に一日、水位を下げるときには一日に最大で一メートルというふうになっているわけで、最低でも百五十六日かかることになるわけです。そうしますと、五カ月余りも水に浸っている植物が再生するかどうか極めて疑わしいというふうに私は思うわけです。このように水門を閉めてせきとめると、県当局もこれは議会で答弁をしておられるわけですけれども、明らかなように、レッドデータブックに登場する四十種の貴重な動植物が生息している渓谷の断崖が崩落をしてしまいます。  そこで建設省、この武庫川ダムは貴重な渓谷と自然を破壊するおそれがあるのではないかと私は思うのですけれども、その点はいかがでございましょうか。     〔横内主査代理退席、主査着席〕
  112. 青山俊樹

    ○青山政府委員 武庫川ダムにつきましては、下流部に膨大な人口、資産の集積がございます。数十万の方がお住まいになっているということでございますので、基本的には、上流部で開発が行われるか否かにかかわらず、武庫川の治水対策上必要不可欠な施設であると思っておるわけでございますが、そういった意味から、洪水調節を専らとするダムでございます。  したがいまして、今先生お話がございました試験湛水をやる時期は、確かに影響を与えることになろうかと思います。そのときには、植物が約十四種、試験湛水により影響を受けると考えられる種があろうと認識いたしておるわけでございますが、こういった十四種の植物につきましては、移植等を含めた保全対策を検討していきたいというふうに考えておりますし、また、環境に与える影響の少ない試験湛水方法についても、あわせて県の方で検討なさっているというふうに聞いております。  また、この試験湛水が終わりますと、今言いましたように、専ら洪水調節を行うことを目的として設置されるダムでございますので、一時的に洪水で水が貯留されるというとき以外は水をためない、底の方にわずかにたまる程度で、あとは自然生態系への影響が極めて小さい、従前の状態になるというふうなことだと認識いたしております。
  113. 藤木洋子

    藤木分科員 十数種については移植などするということで言われるわけですけれども、私が一番危惧しますのは、断崖の崩落の心配なんです。そのおそれがないのかどうかという問題なんですね。安全な方法でやるとおっしゃいますけれども、おそれがあるだろうというふうに私は危惧しているわけです。  この武庫川ダムは、今おっしゃいましたけれども一定量をせきとめながら一定量を放流するという、穴あきダムと言われておりますけれども、そういう洪水調整を行うことになっております。ですから、例えば十年確率では、計画貯水量が百九十万立米、水位は三十九・八メーター、百年確率になりますと、計画貯水量が九百五十万立米で水位が七十三メーターというふうになっております。しかし、下流の河川改修は十七年確率、武庫川ダムも考慮に入れましても、三十年確率で調整されているということになっているわけです。ダムは百年確率で、下流は十七年から三十年確率で整備をされていたのでは、改めて下流を百年確率で、つまり河川改修をし直さなければならないということになると思うのですね。  こうなりますと、河川改修のむだというだけではなくて、いざ百年確率で洪水が起こりましたら、下流ではその洪水に対応できないのではないか。なぜなら、下流の域の改修ですけれども、八七年から始めてまいりました十七年確率の工事なんですけれども、その改修計画の進捗率はいまだに六〇%を切っております。そういう状況ですので、果たしてそれでいいのかという思いがするわけですね。  これでは、ダム計画河川改修が矛盾することになるだけではなくて、河川改修のおくれをどうしても武庫川ダムを建設することでカバーするのだというふうにお考えになっているのではないかというふうに思うのですけれども、その点はいかがですか。
  114. 青山俊樹

    ○青山政府委員 ダムといいますのは、完成いたしますと、非常に長い間ダムとしての効用を発揮するわけでございます。特に、このような穴あきタイプのダムでございますと、土砂もたまらないわけでございますので、非常に長期間効用を発揮するわけでございます。  河川改修につきましても、今先生おっしゃいましたようにまだ進捗途中でございますが、最終的な姿としては、武庫川は、やはり百年に一度生じるような洪水に対して、ダムと河道改修とが力を合わせて百分の一の洪水に対応するという計画で進めてきているわけでございまして、河川改修がおくれているという時間的な問題でそれをダムでカバーするということではございません。ただ、ダムが早期にできますと、安全度は飛躍的に上がるというのも事実でございます。
  115. 藤木洋子

    藤木分科員 そこで、北摂ニュータウンは、その面積が一千二百二十一ヘクタールございます。開発が今予定されております宝塚新都市は、一千五百六十ヘクタールというふうになっているわけですね。その上流部の流量の増加も、十年確率では毎秒一千三百立米から百年確率では毎秒二千九百立米、こういうことになるわけです。この武庫川ダムは、北摂ニュータウン、宝塚新都市による流量増加に対応したものとして計画をされているわけです。しかし、現在北摂ニュータウンには入居者がほとんど集まってこないという状況になっておりまして、累積赤字が膨大になっております。そこで兵庫県は、宝塚新都市を、進度調整と称しまして事実上中断の状態にしているわけですね。  ですから、上流部で開発計画が中断されるなど、全体の流量に大きな変更が起きてきているという場合に、この武庫川ダムの建設の必要性と緊急性は極めて小さくなっているのではないかという気がするのですけれども、その点はいかがですか。
  116. 青山俊樹

    ○青山政府委員 一般に、ニュータウン等の宅地開発が行われますときには、従前山だったり田畑だったりするものですから、それをはいでコンクリートなりアスファルトの町になってしまえば、確かに洪水の流出がふえるわけでございます。それをカバーするために、その大規模なニュータウン内に洪水調節をするような池をつくりまして、悪影響分はその池で吸収するというふうな措置をとられているのが一般的でございます。  ただし、この武庫川のようなケースになりますと、そのような流域が前提として、またニュータウン等で池での対応がなされるということを前提としても、なおかつ下流部に非常に人家が密集しておりますし、危険な状態が続いているという意味で、水系全体の治水対策を考えますときに、このダムの必要性は極めて高いものだというふうに認識いたしております。
  117. 藤木洋子

    藤木分科員 今の御答弁では、開発地域で流量をできるだけ小さく防ぎとめるための対応として、ため池をつくるといいますか、貯水池をつくる、調整池をつくるというようなお話だったんですけれども開発が終わりましたら、それを埋めちゃったり廃止しているんですよ。一方でそういう危険性を強めるようなことをやっていながら、ダムに頼るというのは、私は納得できないというふうに思うわけです。  この武庫川ダムでは、計画降雨を計算するに当たって、引き伸ばし率を二・二六倍というふうにしているんですけれども建設省河川砂防技術基準では、引き伸ばし率は二倍程度にとどめるというふうになっておりますね。建設省の直轄事業で二倍以上のダム計画はないというふうに私伺っておりますが、兵庫県は、八二年の二・六一倍とか、それから八九年の二・六六倍というのはちゃんと棄却をしております。ですから、六九年の二・二六倍というのも棄却をして、七二年の二倍というような、こういったところを採用するのが当然ではないかというふうに私は思うわけです。  そこで、伺いますけれども、兵庫県のこの引き伸ばし率二・二六倍の採用というのは、基本高水流量を恣意的あるいは政策的に極めて高い流量としているのではないかと思えるのですが、その点はいかがでございますか。
  118. 青山俊樹

    ○青山政府委員 実績の雨を引き伸ばして計画の降雨をつくるという手法はよく使われている手法でございますが、河川砂防技術基準で二倍程度というふうになっておりますのも、余りべらぼうに引き伸ばすようなことがあっては、例えばとんでもない時間雨量になってしまうとか、この武庫川の場合ですと、大体三時間雨量から日雨量ぐらいが一番きいてくるんじゃなかろうかと思いますが、そういったとんでもない雨量になってしまうということで、二倍程度にとどめるということにしているわけでございます。ですから、二倍程度というのが、二・何倍までならよくて、それ以下ならよくてそれ以上はだめだとか、決まった線があるわけではございません。  結果的に、計画降雨というものがどのような雨なのか、現実的に起こり得る雨なのかどうなのかという判定が総合的になされることが重要だと思っております。この場合の治水計画で使用いたしております計画降雨の三時間雨量、これは百四十五ミリというふうに認識しておりますが、昭和四十二年七月に、神戸海洋気象台での記録によりますと、三時間で百五十三ミリという雨が降っておるわけでございます。また、昨年の九月の集中豪雨では、神戸市におきまして最大時間雨量五十五ミリと、すぐ近くの神戸市でそのような雨も降っておるわけでございまして、決してこの三時間雨量百四十五ミリというのが特別過大だというふうな認識はいたしておりません。
  119. 藤木洋子

    藤木分科員 さらに伺いたいのは、十個の高水流量の七、八割程度を基本高水流量として定めるべきというふうになっておりますけれども、これも十割丸々見ているわけですね。ですから、最大毎秒四千八百立米を設定しております。もしこの基本高水流量を建設省の基準案に従って、十個の洪水波形からおおむね七割ないしは八割程度に当たる基本高水流量とすると、基準点は甲武橋というところになっておりますが、この甲武橋では、毎秒三千五百立米の基本高水流量となりまして、現在の百年計画の流下能力毎秒三千七百立米を下回るわけですから、その計算でいきますと、武庫川ダムの必要性は全くなくなるということになるわけですね。  そこで、建設省に伺うんですけれども開発による上流部の流量増加に合わせて過大な洪水予測を行い、過大なダム建設計画は進めるべきではないというふうに私は考えるのですけれども、基本高水流量の再検討を行うべきではないのでしょうか。いかがでしょうか。
  120. 青山俊樹

    ○青山政府委員 河川計画に当たりましては、まず計画の雨を定めるわけでございます。先ほど先生おっしゃったように、実績の雨を何倍かに引き延ばして、それで計画の降雨を定めるケースが一般的でございますが、まず計画の雨を定めるわけでございます。その計画の雨を流域に降らせて、それが流出していく、川の中に出ていくさまを電算機でシミュレーションいたしまして、例えば私どもは貯留関数法といったような方法を多く用いているわけでございますが、それが洪水になって出てくる。そのダムカット前のハイドログラフ、いわゆる洪水の時間的な変化を基本高水と呼んでおりまして、その基本高水をダム等で調節した後の、河川の部分、河道の部分に流れる流量のピーク値を計画降水流量と呼んでいるわけでございます。いろいろなタイプの雨の降り方を流してみて、それでどのような基本高水になり、どのようなダムカット後の流量になるかという計算を何ケースもするわけでございます。  私ども、この基本高水に採用されました計画降雨につきましては、先ほど申し上げましたが、三時間雨量が百四十五ミリということでございまして、決して過大な雨量、非常に飛び抜けて多い雨量ではなくて、もう既に実績、すぐ隣の神戸で百五十三ミリという記録があるわけでございますから、決して飛び抜けて大きな計画降雨だとは思っておりません。したがいまして、それに基づいて流出計算しました基本高水、いわゆる洪水の時間的変化もそのピーク流量も、それほど過大なものだという認識はいたしておりません。
  121. 藤木洋子

    藤木分科員 それでは、建設省が今明らかにされている洪水流量算定の一つであるクリーガ曲線というのを参考に考えましても、百年確率流量で毎秒三千立米という程度で、今回の武庫川の基本高水流量の過大さというのは否めないというふうに私は思うわけですね。  そこで、最後になりますが、これは大臣に伺いたいと思うんですが、北摂ニュータウンの調整池は、全体で八十万トンの洪水調整容量がございましたけれども、九五年までに、北摂ニュータウンの直下の河川改修が済んだということを理由にして廃止をしてしまっているわけです。この八十万トンの容量は、武庫川ダムの貯水計画のほぼ四二%に匹敵するわけでございますし、上流部の流量を増加させないためにも、開発事業者の責任として、この八十万トンの貯水池を復元するべきではないかというふうに思うんですね。  また、河川流域には田畑がございまして、この田畑を保全して遊水地にいたしますと、数百万トンの洪水対策にもなるわけでございます。そこで、建設省は、全国十七河川で既に総合的な治水対策事業というのを行ってきていらっしゃいますけれども、流出抑制のための調整池やそれから緑地保全対策のための田畑の活用ということも対策の中に積極的に取り入れてこられました。  この武庫川ダムの場合、河川の完全改修と、それから調整池機能を維持するということと、そして田畑の遊水地としての活用、こういった総合的な治水対策事業を行いますと洪水対策はできるだろうというふうに私は考えるのですが、この武庫川ダムの計画をもう一度見直して、総合的な治水対策に転換をしていただくわけにはいかないかということで、お答えをいただきたいと思います。
  122. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 このダムの問題につきましては、数値的なことは、私は専門家ではありませんからそのことは別といたしまして、いろいろな角度から論議をし検討していく、そういうことはやぶさかではありませんので、その田畑の云々ということも、それはまた一つの御意見として伺っておきたいと思います。
  123. 藤木洋子

    藤木分科員 私、今幾つかの方法について、私どもの考えている程度のことでお話をさせていただきましたが、専門家の目からごらんになって、もっとよい方法があるというようなことも思い当たるのではないかというふうに思いますので、ぜひ総合的な御検討を加えていただいて、住民の皆さん方にも、自然を破壊しないという点でも最も望ましい方向を選択していただくことを心から期待させていただき、要望して、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  124. 北村直人

    北村主査 これにて藤木洋子さんの質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  125. 松本善明

    松本(善)分科員 建設大臣、きょうはまず下請保護のあり方の根本問題を大臣にただしたいと思います。  まず、昨年十一月、建設省建設経済局長が文書を建設業者団体に出しました。その文書は次のように言っています。「注文者は、受注者の倒産、資金繰りの悪化等により、下請契約における関係者に対し、工事の施工に係る請負代金、賃金の不払等、不測の損害を与えることのないよう十分配慮すること。また、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、建設業法第四十一条第二項及び第三項の適用があることも踏まえ、下請契約の関係者保護に特に配慮すること。」と述べております。  建設業は、重層下請という形態から、景気、不景気にかかわらず、元請の下請いじめが従来から問題になっておりましたが、不景気になってそれが一層激しくなっているから、こういう文書での指摘をしたのは当然のことだろうと思います。  この機会に、建設業法四十一条二、三項をこの文書で指摘したというのはどういう意味を持っているのか、簡明に説明をしてください。
  126. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えいたします。  先生御案内のとおり、建設業の場合には、現場生産ということに加えまして、幾つかの複数の企業が一つの仕事をしていくということで成り立っておるわけでございまして、その中には当然、元請下請関係も存在するわけでありますから、かねてより我々も、建設業行政の中で元請下請問題というものに対して大変重視してまいっております。  お話のございました十一月十九日の局長通達につきましても、御承知のように、建設業法の第四十一条の二項及び三項ということについての徹底はかねてよりやってまいりまして、これは御承知のとおりでございますのであえて加える必要はありませんが、二項の方は下請負人が賃金不払いを生じた場合でありますし、三項の場合は請負代金その他第三者に損害を与えた場合でございまして、この趣旨にのっとりまして、許可行政庁が元請である特定建設業者に対して立てかえ払い等の措置を講ずるということの勧告の制度を、改めて建設業界団体その他に周知徹底したわけでございます。
  127. 松本善明

    松本(善)分科員 ところが、なかなかこの立てかえ払いというのが私は徹底していないように思います。  特に、今不況で、中小企業の倒産、建設業でいえば下請業者の、末端の下請業者の倒産というのは本当に深刻になっているのですね。これはもう厳しく指導しないと不況克服ということにもならないと思います。  私、具体的な事例を示して、これは例を示さないと具体的にわからないので示すわけですけれども質問の趣旨はあくまで全体の指導の精神と考え方、やり方を聞くものであります。建設大臣にも既にお話しをしてお力添えいただいておりますが、解決の見通しが見えてこないので、あえて申し上げるわけであります。  大阪に本社を持ち特定建設業者の許可を受けている株式会社豊国建設が元請となって、岩手県水沢市のマルサンデパート改装工事を行いました。一次下請が倒産したために、二次下請二十数社が約五億円の損害をこうむっておる。ほとんど工事代金はもらっていないんですね。非常に深刻な状態になっております。  元請とは昨年の五月から交渉をしております。建設省最初に行ったのが昨年の六月十五日、大臣に直接要請したのが昨年の十一月十一日でした。その後、十一月十七日付で私に会社から見解書なるものを送ってきた。その内容は何と驚くべきことに、建設業法四十一条三項は行政による国民に財産権の侵害をするものとして違憲だと。それに基づいて、二十八条によって行政処分につながるというなら一層違憲で、いわれなき圧力として司法の場で対処をする、こういうものでありました。  大臣にもお示しをしたと思いますけれども建設業法が違憲だ、指導をしてくるなら裁判で争う、言うならば、建設業法の元請責任を否定する、建設行政に挑戦すると言ってもいいものではないか。こういうことを言う建設業者に果たして特定建設業者の資格があるだろうかという疑問を持たざるを得ません。大臣はこれはどうお考えになるでしょうか。
  128. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この特定建設業の許可を取得するのには、言うまでもなく、経営業務管理責任者を置くことであるとか、営業所ごとに専任技術者を置くとか、あるいは請負契約に関して不誠実な行為等をするおそれが明らかでないこと、あるいは一定の財産的基礎を有していること、そのすべての基準を満たさなければならないということになっておるわけでございまして、そういう中でのことで、今先生がおっしゃられたケースは、そういう中にそういう方がいたという事例であるわけでございまして、先生からもたびたび御陳情をいただいておるわけでございますが、建設省といたしましても、この件につきまして何とか解決ができないかといろいろ努力はいたしておるわけでございます。  ただ、この元請の方が、第一次の請負の方には代金は払っておる。その方が倒産をした。それで二次の下請をされている会社がまた被害に遭っておるという、大変な深刻なことと私も認識をいたしておるわけでございまして、建設経済局長等々もいろいろとお願いもし、努力をしておるところでございます。  なお努力は今後も続けていきたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  129. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、このケースは私はやはり、個別のいろいろな努力をするというのは結構ですよ。実情に応じてやるのは結構だと思います。しかしながら、この立てかえ払いの精神が理解されていない。関係の建設業法を担当する建設業課でも果たしてこの四十一条二、三項の精神に従ってそして強力な指導をしているのかというと、私は甚だ疑問に感ずるんですよ。下請業者と元請との間に立っていろいろ折衝はしても、法律に基づいて、行政指導というのはやはり法律に基づいた指導でなければならない。四十一条二、三項をしっかり踏まえて、文書では書いているけれども、実際にそれが徹底してないというふうに思うんです。  仮に元請が全額払っておりましても、損害を与えたという場合には、元請というのは、特定建設業者というのは、工事全体に責任を負わなきゃならない。だから、立てかえ払いの制度があるんだと思います。  私は、実はきょう社長から手紙をもらいました。もらったけれども、立てかえ払いはできませんという手紙でございます。丁重な手紙ではありましたけれども、立てかえ払いはできませんと。私は、ここに根本問題があるんじゃないか。立てかえ払いはしなければならぬ、それでないと全体の下請業者の保護ができない、そういう責任を負っているのが元請業者だ、こういうことではないかと思うのです。その責任を否定するということになりますと、それは元請、特定建設業者としてはやはり資格がないんじゃないだろうかという問題になるのではないかというふうに思うのです。  それで、この質問については大臣にさらにお聞きしたいのですが、その前に法律を聞いておきます。  この会社は、立てかえ払いを要求する下請企業に対して、特定業者の立てかえ払い勧告制度はたかだか勧告だ、拘束力はないんだ、こういうことを言っておるんですよ。言うならば、強い言葉で言えば、たかをくくっている。建設省は何とか話をしなさいという程度のことは言うかもしれぬけれども、それは立てかえ払いをするというこの法律の精神に基づいてやってくるというふうには考えていないんですね。  それから、実情もお話ししておきましょう。下請の方は倒産寸前で、私も直接実情を聞きましたけれども、ある女性の下請業者はこのために精神障害を起こしかねないような状態になっております。  それで、お聞きをいたしますが、法律では、勧告に従わないときは、二十八条第三項で一年以内の営業停止の処分ができるということになっておりますし、また、情状の特に重いときは、二十九条一項六号によって許可の取り消しができることになっているというふうに規定していると思いますが、それは間違いありませんか。
  130. 木下博夫

    ○木下政府委員 今先生お話のございました個別のお話は、現在協議をされているところでございますから、この件について直接私が、この見解はちょっと控えたいのでございますが、法律の御説明をさせていただきたいと思います。  おっしゃったようにかなりの建設業、今、不払いといいましょうか、そういうものが起こっていることも私たち否定するものではございません。私のところにも、これは地方の公共団体にももっと多くの数が行っていると思いますが、年間を通じて約二百件弱ぐらいの御相談が来ておりまして、職員はそれぞれの案件について真摯に御相談に乗らせていただいております。  お話のございました四十一条二項及び三項の勧告でございますが、これは法律の精神からいきますと、おっしゃるように特定建設業者というのは、それなりに元請の中でもとりわけ責任が重いこともそのとおりでございますが、あくまでも法律としては非権力的な行政庁の行為でございまして、直接的に勧告の相手方を拘束するものではございません。しかしながら、特定建設業者が勧告に従わない場合、これは先生御引用なさいましたように、業法の二十八条一項に基づきまして、大臣はあるいは当該許可権者であります知事は、当該勧告に従わなかった建設業者に対して、必要な指示をすることができるとはなっております。  ただ、これをどういうときに執行するのか。お話にございました、いわば不払いが生じたらすべてこれをやれということは、私はいささか、それぞれ現場の個々の事例を十分しんしゃくすべきであろうかと思います。内容的には、賃金の支払いもございましょうし、第三者にかなりの被害を与えた場合とか、あるいは工事代金そのものが払われなかったケースはあると思いますし、それによってこうむったいわば下請業者の影響度も考えなければならないかと思っておりますし、あわせて、二十八条一項の指示に従わなかった場合は、これも先生質問ございました中にありましたが、同じく二十八条の三項に基づきましての、いわば営業についての一定の停止というのも条文上はございます。  あわせて、これにまたかつ違反した場合は、二十九条の一項六号につきまして、ここに根拠を置いておりますが、建設業の許可の取り消しということも法律的には連動することは、そのとおりでございます。
  131. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、私が申しますのは、個別のいろいろな実情に基づいて適切な指導をするというのは、それはいいんですよ。それはそれでいいんですけれども、真正面から建設業法の四十一条二、三項に基づく指導は拒否をする、裁判で争う、これは憲法違反だ、これはそのままほうっておくわけにはいかないんじゃないだろうか。そういうことで結局ずるずるといって、下請業者の保護がなされないで倒産というようなことが起こった場合には、一体建設業法は何なんだ、有名無実なのか、書いてあるだけなのか、下請業者の保護というよりは特定建設業者の保護の側に立っているのではないか、こういう疑惑が起こってきます。  私は、率直に、今挙げました水沢の例でのこの元請業者を果たして本当に指導しているんだろうか、特定建設業者の代弁をやってやせぬだろうか、私のいろいろやった範囲では、非常に密接に建設業課と連絡はとっているようです。だけれども、長期にわたって一向に解決の、立てかえ払いをするというのは一言もありません。  この法律は、立てかえ払いをするということなんですね。仮に全額を払っていても、この経過はいろいろ問題があるんです。それでむしろ、きょうの社長の手紙でも、設計と工事管理だけ引き受けたんだ、あとはみんな任せたんだ、私はそういうやり方ということが間違いだと思うのです。工事全体に特定建設業者というのは責任を負う、それができないんなら、これは返上すべきです。これは社会的な責任を負った業者なんですね。そこをしっかり指導をしなければ、ただ何とかしなさいではだめだ。私は、法律に基づいた、法律の精神に立った指導というのはそういうことなんだ。  私は、建設省の担当業課を含めて、大臣がこの四十一条二、三項の精神を踏まえた、きちっとした法律に基づいた行政指導をすべきだ、こういうふうにしなければならぬと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  132. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この法律は、できてから長いわけでございますが、先ほど局長答弁いたしましたように、ことしだけでもこういう問題が二百件以上報告をされておるということでございまして、その一つ一つの問題はどうしてもやはり当事者間で、こういう法律はありますけれども、これは行政庁の行為でございまして、直接的に勧告の相手方を拘束するというものではないわけですから、建設省としても、当事者間に鋭意話し合って解決をしていただきたいということでやってきましたのが今日までのずっとのケースであって、私は、それ以上に私の方から踏み込むというのは、そうなりますとあらゆる事例に入り込んでいかなければならないと思いますので、ちょっと私は物理的に無理なんじゃないかなというふうに思いますが。
  133. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、私の言っているのは、すべてについて、それは確かになかなか大変です、たくさんありますからね。だけれども建設業法は憲法違反だと言っているんだ。その見解をそのままにしておいたら、これは指導なんか受けないですよ、立てかえ払いしなさいと言ったって。  私は、やはりたくさんあるし、それから建設省は大変だということもよくわかります、わかりますが、やはりこれは特異の、突出した例だと私は思います、こういう見解を言うのは。そういうものはきちっと正さなければならぬ、まず四十一条二、三項を尊重するという立場に立ちなさいというところから始めなければならない。その精神で指導をする、こういう基本的な立場ですね。  もちろん、指導のあり方、どうやるのかといえば、やはり法律に基づかなければならない。その法律の精神に基づいてさらに指導をしていくというのならわかりますよ。その点をきちっと大臣にお答えをいただきたい。ちょっと待ってください、大臣から聞きます。
  134. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えします。その法律の運用について、ちょっと私が前にお答えします。  おっしゃられたように、私たちも、四十一条二項、三項については、かねてより徹底してまいっております。御紹介させていただきたいんですが、十二月九日に、年末に緊急対策を立てました。この中でも、元下関係の適正化とか不良不適格業者の排除ということで、我々大変重点項目に入れさせていただいています。立てかえ払いありきと先生おっしゃっておられるわけではないと思いますが、それぞれのケースケースについて、私は、それなりに建設省もやってまいっております。  先生おっしゃったように、憲法違反というような発言を先方の代理人が言っていることも我々も承知しておりますが、この点と、このケースの場合に立てかえ払いをしっかり勧告するべきかどうかという案件は、私は分けて整理すべきじゃなかろうかと思っております。
  135. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、やはり四十一条三項というのは、場合によっては立てかえ払いあり得べしという規定なんですよ。それはもう間違いないと思います。それは、実際にどこの時点で勧告をするとか、どういう行政指導をするとか、それぞれの実情において違うでしょうけれども、私は、これを否定するということをそのままにしておくわけにはいかぬのではないか。それはやはり四十一条の二、三項の精神に沿って指導をしていく、これを言うのは当たり前のことではありませんか。大臣、それは当たり前のことだとお考えになりませんか。
  136. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 こういう法律は現にあることはあるわけでございますが、このケースにつきましても私は、ここまでが私のもう筒いっぱいの指導ではないか、そのように思っております。
  137. 松本善明

    松本(善)分科員 引き続いて指導をしていくということだから、それに期待をしようと思いますけれども、これは実際に解決をしなければ、私は、政府に対するこの建設業法の運用に関する不信は非常に高まると思います。今の不況の克服に対してどれだけ真剣に政府対応するかという性質のものであろうかと思いますので、このことを強く申し上げておきたいと思います。  もう一つは、成瀬ダムの問題をお聞きしたいと思います。  今もダムの問題について質問がありましたけれども、成瀬ダムについては、環境影響評価が、準備書の中で誤認、不備が発見されまして、手続を一時中止して、一年かけて追加調査を行うことになったわけであります。そして、ことし一月七日から一カ月の予定で、追加調査に基づく準備書の再縦覧、説明会の開催がなされました。  建設省では、公共事業の再評価システムの導入の中で、ダム事業の総点検を行い、九九年度には七つのダムが中止、十一のダムが休止、それから一つのダムが一時休止ということになりました。成瀬ダムも再評価の対象になっておりますが、建設省がこの二月につくった公共事業説明責任向上行動指針でも、公共事業について国民の間に深刻な不信感が醸成されているということを認めております。  総事業費千五百億円という巨額の税金の使途でありますから、必要性についても、治水、利水の双方の面から、もっと安いものはないかと、地元からそういう提起もございます。さらに、自然破壊という点からも、根本的な必要があるのではないかとマスコミも大きく再検討の論調を張っておりますし、壮大なむだだという関係者指摘もあります。  根本的な検討が必要だと思いますが、どのような検討をしてきたのか、また、これからどのような検討をしようとしているか説明をしてほしいと思います。
  138. 青山俊樹

    ○青山政府委員 成瀬ダムの評価についてのお尋ねでございますが、成瀬ダムの建設事業につきましては、大規模公共事業に関する総合的な評価システムの一環といたしまして実施をいたしたわけでございますが、成瀬ダム事業審議委員会というものを実施したわけでございます。そこで慎重な審議をいただきまして、平成八年八月に、計画は妥当との意見をいただいたところでございます。  今後、成瀬ダム建設事業につきまして再評価実施する際には、まず河川整備計画の策定手続の活用を図ってまいりたいと考えております。  なお、成瀬ダム建設事業事業採択は平成九年度でございまして、事業採択後五年が経過していないことから、今の段階では建設省所管の公共事業の再評価システムの対象とはなっておりません。河川整備計画の策定手続の活用を図る中でやっていきたいと考えております。  また、ダムにつきましては、毎年予算要求をいたします際にすべてのダムにつきまして総点検を実施いたしておりますので、それは当然この成瀬ダムも対象に総点検をして予算要求をしていくという手続を踏むことになると思います。
  139. 松本善明

    松本(善)分科員 治水、利水その他の観点からも議論しなければならぬ点ですが、私はきょう、自然保護の点で申し上げたいと思います。  特に、追加調査で新たにわかったのは、国の絶滅危惧種イヌワシの営巣の可能性、国の天然記念物クマゲラの古巣と採餌痕の発見、ニッコウイワナ、ヤマメの産卵場、学術上重要とされている植物十六種の発見など、世界遺産白神山地に匹敵する野生動植物のサンクチュアリー、聖域だったことを証明するものとなりました。  建設省では、成瀬ダム生物環境調査データというかなり詳細なものを発表しております。これは環境庁に伺おうと思ったのですが、ちょっと時間がないので、事前に聞いていたのをお話いたします。  環境庁に聞きましたら、これは見ていないという、大臣ちょっと、これね。環境庁、もちろん見ていないということで、これは環境庁に特に意見を求められたときに初めてこれについて検討するというお話です。  私たちの立場からすれば、環境庁は環境庁の立場でこういうものについてやはりチェックをしていくんじゃないだろうか。ところが、今までこれはもう全くやられていないわけですね。今度、環境アセス法の適用がされれば義務的に環境庁が意見を言うということになるようでございます。  環境庁の方では「猛禽類保護の進め方」、これはコピーですけれども、かなり分厚な、こういうものについてどういうふうにせないかぬかというのを出しているわけございます。  環境庁がやらなくても、建設省でやる場合も、こういうものだとか、環境庁の方針だとか、あるいは個体識別などの調査をするというのは、そういう綿密な、こういう観点からの再検討が必要なんではないか。それは建設省はやるのかどうか、これをちょっと簡明に伺いたい。
  140. 青山俊樹

    ○青山政府委員 御指摘の野生生物につきましては、環境・地質等調査専門委員会、それから成瀬ダムに係るイヌワシ・クマタカ調査委員会を設置しまして、専門の学識経験者等の指導助言を得て調査を実施したところでございます。  この調査内容は、現在の技術水準に照らして適切と考えておりまして、かつ情報公開をしているところでございますが、今のところ、イヌワシ、クマタカ等の猛禽類につきましては、営巣を推定させる行動はまだ確認いたしておりません。調査結果から判断する限り、ダム建設はイヌワシの生息環境に大きな影響を及ぼすものではないという認識を持っております。
  141. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、お伺いしたいんですが、今そういうお話なんですが、やはり環境の保護というのは今もう人類の義務になっているのではないかと思います。先ほどお話ししました公共事業説明責任行動指針、建設省の出されたものでもアカウンタビリティーを強調しておりますし、情報公開法も制定の運びになってきております。やはりすべての行政が国民の批判にたえるような形で行われなければならない、そういう配慮をしなければならぬと思います。  ところが、この進行状況では、県知事の意見、それから東成瀬村の村長の意見を聞いて、そして建設大臣が、公告縦覧をして、そして免許審査事業着手となるわけですが、六月に施行される環境アセス法の手続を免れるための滑り込みだという批判もあるわけです。  やはり堂々と、この手続を延期して、そして環境アセス法の適用を受け、そして適用を受けても環境庁が義務的に意見を述べるわけですから、環境庁からも意見を聞いて進めていくという正々堂々としたやり方がやられるべきじゃないか。環境庁の意見は聞いても聞かなくてもいいというような手続で進むのではなくて、やはり義務的に聞かなければならない、そういうような行政にすべきではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょう。
  142. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 滑り込みという意味でやっておるわけではないわけでございまして、現法体制のもとで、瑕疵もなく、その手続を全部踏んできておるわけでございます。  したがいまして、この成瀬ダムの場合は、先生指摘のように現在閣議アセスで進んでおるわけでございます。  それで、先生指摘環境影響評価法はこの六月十二日から施行をされるというわけでございまして、この成瀬ダムの件につきましては、情報公開を行った結果、不備が先ほどのように見つかったものですから、再度徹底的に調査を実施し、その結果を公表したところでございます。  ですから、今後は、準備書の公告縦覧を終了しまして秋田県知事に対して意見を求めているところでございますが、そこで、その意見等々も伺いまして、環境庁長官に対してまた意見を聞くかどうかというようなことについてもその時点で判断をしたいと考えております。
  143. 松本善明

    松本(善)分科員 時間ですので終わりますが、これは、今公共事業に対する批判は本当に厳しいです。よほどのことがなければ、地元の批判をやはり受け入れて検討し直す、見直すということが現在の財政状況ではもうどうしても必要だろうと私は思います。  それで、今のこの環境アセス法の適用を受けるようにするということについても、もう一度検討をし直すことを強く要求いたします。私どもはこれはやはりやめるべきだという立場ですけれども、少なくとも手続を、進め方を再検討するように、この点を強く要求して質問を終わります。
  144. 北村直人

    北村主査 これにて松本善明君の質疑は終了いたしました。  次に、中野清君。
  145. 中野清

    中野(清)分科員 改革クラブの中野清であります。  私は、特に首都圏、または地元の道路とか河川、下水道を中心にお伺いをしたいと思います。  政府は、平成十年度に全国の異常気象による集中豪雨の被害対策として、埼玉二河川、千葉二河川、福島、高知、岡山の七河川河川激甚災害対策特別緊急事業に採択されました。特に首都圏におきましては、人口集中による環境の大激変による埼玉県下の新河岸川、鴻沼川につきましても、被害後二カ月半でこの指定をしていただいたことについて、また、特に新河岸川につきましては、はんらん面積が百七十ヘクタール、床上浸水千六百三十戸、床下浸水二千百九十七戸、被害二百三十六億に及んだ被害住民にとりまして安堵感と将来に大きな希望を与えたことについては、大臣を初め皆さんにお礼を申し上げながら、地元でも感謝をしていることを申し上げたいと思います。  そういう中で質問いたしますけれども、まず第一に、今回の激甚災害対策特別緊急事業として、約六キロにわたる新河岸川の掘削、築堤、上福岡市内の養老橋、川崎橋、川越市内の旭橋、扇橋のかけかえ、いわゆる仮称寺尾調節池の新設とびん沼調節池の整備、九十川への水門、ポンプ場の設置が約百七十三億で計画が行われると聞いておりますけれども、これは事実かどうか。これはイエスかノーで結構です。もし追加があれば入れてください。  それから二番目として、被災を受けて指定を受けた平成十年から十四年までの五カ年計画で早期遂行するとのことでありますけれども、用地買収、設計、発注工事等これは大工事になることはわかっておりますし、同時施工ということもあり得ると思いますけれども、大まかで結構でございますけれども、これはとりあえず、地元にとって五カ年間のスケジュール、見通しというものを明らかにしていただきたい。  時間もいろいろございますが、あえてもう一つ伺いいたしますと、特にこれは大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、今回のこの川越市を中心とした浸水地域につきましては、これはいわゆる水害常襲地域と言われる地域が少なくなく、特に新河岸川につきましては、昭和五十七年の台風十八号、それから平成三年の台風、今度ので三度目でございます。三度にわたる、二千戸を超える大被害が川越を中心にあったということを、やはり、五十七年以来二回も激甚対策を実現してですよ、しかもそれ以後も新河岸川総合治水事業として対策を立ててきて一生懸命やってきた、その点については私も認めております。しかし、それにもかかわらずなぜ今度三回目の大被害を受けたかということについて、やはり建設省としてどう反省しているのか、また今日の問題点は何だったのか、私はお伺いをしたいと思うんです。  特にきょう大臣にお伺いしたいのは、いつもは激甚なんというのは一つか二つとかというのを、ことしは七つですね。そうしますと、これについては、やはり河川対策として抜本的な対策というのがなければおかしいんじゃないかということについて、それから、なぜこんなに被害が拡大しているのか、あわせてそういう点についての御見解も伺いたいと思います。
  146. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘のように、平成十年度におきましては浸水の被害が例年になく発生をしたわけでございます。原因は異常気象ということであったと思うわけでございますが、大変そういう浸水の被害が発生したわけでございまして、改めまして、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思うわけでございます。  それで私は、先生も御存じだろうと思いますが、昨年の予算の編成のときにも、最終の大蔵大臣との話し合いに残った一つの大きなものといたしまして、河川災害復旧等関連緊急事業というものをつくりました。それは、今までは予算が十分でなかったものでございますから上流部の整備を十分にやっていなかった。というのは、上流部だけ整備をしていましても、下ができていなければ下がまた水害になるものでございますから、そういうようなことで、激甚な災害が発生した上流部での災害復旧等による流量増のため下流部において緊急的な対策の必要性がある場合に、下流部において緊急的かつ集中的に治水対策実施するということをできるように、この制度を今つくろうとしておるわけでございます。  このように先生指摘をされましたように、新河岸川で三度もこういうようなことが起こっておる、おかしいんじゃないかとおっしゃられるわけでございますが、全くそういうケースがいろいろなところにもございました。新潟県にもございまして、そういうおしかりをいただいたわけでございます。ですから、これからそういうような激甚指定がたびたび起こったようなそういうところは、もう完全に今回の水害で、対策といいますか予算もとってしっかりと整備を行いますので、再度そういうようなことが起こらないように努力をしていくということでございます。  細かな数値のことは、局長の方から報告をさせます。
  147. 青山俊樹

    ○青山政府委員 幾つかお尋ねがございましたのをまとめて答弁させていただきたいと思います。  まず、新河岸川につきましては、昨年十月に新河岸川河川激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる河川激特事業を採択したところでございます。これは事業主体が埼玉県でございます。事業内容は、先生お話しのとおり全体事業費百七十三億円で、先ほどお話しになったような事業を予定しているわけでございます。  また、この激特事業は五年間で対策を行うということにしておりまして、今年度着手いたしまして、現在、設計と用地買収を進めているところでございます。五年間ということでございますので、早期に治水効果が発現できますよう、平成十四年度完了に向けて積極的に対応してまいりたいと考えております。  なぜ新河岸川にたびたびこのような水害が起こっているのかということでございますが、激特事業それから総合治水対策特定河川事業というものをやっておりまして、それぞれ過去の事業におきまして、流域での流出抑制対策、貯留対策実施いたしておりますし、また、新河岸川放水路、南畑排水機場、朝霞調節池等を整備したわけでございまして、着実に整備水準は上がっているとは認識いたしております。  今回、時間雨量が一時間当たり七十五ミリ、これは非常に大きな雨量でございます。戦後最大だと認識いたしておりますが、五十七年のときは、時間雨量は四十八ミリでございました。また、平成三年激特のときは、時間雨量は四十ミリでございました。それが今回は七十五ミリと、極めて大きい時間雨量を記録したということでございますが、私ども、先ほど大臣の御答弁がございましたように、一生懸命やってまいります。
  148. 中野清

    中野(清)分科員 大臣から、今度完全にやられるという御意見をいただきまして、本当にありがたいと思っております。  私はどうも今までの、大蔵省との関係があると思うのですけれども、被害があってからじゃなくて、おっしゃるとおり今度被害があったら完全にやるという方式に変えていかなければ、新河岸川みたいに中流がやられて下流がやられて、今度上流がやられたと。現在はこの上にJRがありまして、それを今JRにも交渉しているんですけれども、上げてもらわなければしようがない、そういうものも実際あります。そこが恐らくこの次ははねるだろうと思っておりますから、それからまた不老川もありますので、これはぜひ後で大臣の、決意だけで結構ですから言っていただきたい。きょうは一言で結構です。  それから、これとあわせて、実はこの激甚と一緒にあったのが、内水対策といいましょうか、雨水対策のおくれによる被害が非常に多かったんです。  御承知と思いますけれども、今日、第八次下水道計画によりますと、いわゆる下水道の普及率というのは、平成七年の五四%から十四年の六六%になっている。ですから、どちらかというと汚水処理の方が進行していると私も思っております。ところが、どうしても、催促がないものでしょうから、雨水対策というのが四六から五五%と、長年の努力の割には普及がおくれている。この原因は何か。  特に、総合的な都市雨水対策計画の策定が平成十年度よりスタートしたと聞いておりますけれども、これについての実態をお伺いしたい。私は、これは当然、河川と下水道の調整のルールづくりとかスケジュールづくりとか基本方針とかというものを、地区ごとにもっとはっきりしてもらわないと困るんじゃないだろうかということが一つございます。  これは大臣、特に首都圏では、大量の雨水がはけ切れないで汚水管に浸入してしまってマンホールのふたが、よくおっぽられたというのですけれども、逆流してしまった、そういう被害なんですよ。ですから、これは、特に宅地の開発の著しい首都圏においては多く見られまして、私の地元の川越市、上福岡、富士見市も今回も例外ではございませんで、ちょっと雨が降って、一日六十ミリ以上降ったらこの状態になると聞いております。ですから、都市における内水対策、雨水問題の現状について、総合的な雨水対策をどうするかという課題等についての御認識と報告をお願いしたい。  それから、基本的には、当然今おっしゃった激甚のように本川を直さなければいけない、そのとおりだと思うのです。しかし、それと一緒に、いわゆる下水道管への雨水の浸入を防ぐための都市下水路や雨水管の整備というものが実際におくれている。ですから、これは、浸水常襲地帯を対象にしたいわゆる重点的な施策というものが必要じゃないだろうか。その点についてお伺いしたいと思います。  それとあわせまして、これも簡単で結構ですけれども、大体、実施するのが、流域下水道は県でございますし、公共下水道は市町村でございますから、特に市町村がなかなか財政負担が大変だと。私どもの川越、上福岡、富士見市でとりましても、一つ市町村だけが要求していますけれども、ことしは何か要求していないと。それで、役所の方に言わせれば、要求していないんだからしようがないだろうと言うかもしれませんけれども、はっきり申し上げて、そうじゃないだろうと私は思うのです。  ですから、そういう意味で、市町村の経費の過大といいましょうか、財政的な負担が重過ぎるんじゃないだろうか。私は、国が二分の一補助なんというのはわかっていますよ。ですけれども、ではどうしたらいいかということについても、できれば国としての対策をお伺いしたいと思います。  時間がありませんので、なるべく短く御答弁願いたいと思います。
  149. 山本正堯

    ○山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  先生指摘のように、第八次の下水道整備七カ年計画では、雨水対策というのが、四六%から平成十四年度末には五五%に引き上げるということを目標にしておるわけでございます。今現在、全国で四八%ということでございまして、都市部における雨水対策というのは、安全で活力ある都市形成を図る上で極めて重要な課題でございますが、依然として浸水被害が発生しておる、あるいはまた、人口、資産の増加に伴う相対的な安全度が低下してきておる、こういうことでございます。  したがいまして、私ども河川部局と下水道部局の連携を一層強化いたしまして、これまで以上に効率的、効果的な雨水対策推進を図ることが必要であるというふうに考えております。  先ほど先生おっしゃいましたような点で、そういうことで、私どもとしましても、河川部局と下水道部局が共同いたしまして、都市雨水対策協議会というものを設置をいたしました。さらに、浸水被害が頻発し、河川及び下水道の整備が急がれる流域や、下水道からの雨水放流量が河川に大きな影響を及ぼす流域等におきましては、いろいろな対象区域を決めたり、あるいは基本方針を決めたりを明らかにした、先生おっしゃいました総合的な雨水対策計画を策定するように、平成九年三月に地方公共団体の担当部局にお願いしたところでございまして、順次、今現在策定をされておる状況でございます。  何分、雨水対策と汚水対策につきましては、雨水対策が下流から上流まで全体にわたって整備されて初めて効果を発揮するという一面もございます。あるいはまた、規模を随時見直していかなければいかぬという点もございます等々、いろいろな点がございまして、汚水対策に比べて雨水対策が普及が進みにくいという一面も確かにあるかと思います。  そういうことを踏まえまして、今、先ほど申し上げましたような長期的な雨水対策計画つくり、あるいは協議会を設置し、今後とも総合的な雨水対策について効率的、効果的な施策の推進に努めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  なお、先生の次の御指摘予算の関係でございますが、私どもも雨水対策については力を入れてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、平成十年度の第三次補正におきましても、防災特別対策費ということで、緊急防災対策下水道事業という形で、浸水常襲地域において下水道事業を緊急に実施することとするなど、必要な措置を講じているところでございます。十一年度予算におきましても、緊急の雨水対策として、生活関連等公共事業重点化枠ということで、事業費を計上させていただいておるという状況でございます。なお、国の補助につきましては、先生指摘のとおり、管渠、ポンプ場等の施設整備につきましては二分の一の国庫補助でございます。  下水道の雨水対策というのは、非常に総合的に勘案して、下水と河川が総合的に調整をとりながら整備をしていくということでございます。建設省といたしましても、第八次の下水道七カ年計画を踏まえまして、事業主体の考え方を尊重しながら、引き続き下水道整備促進を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  150. 中野清

    中野(清)分科員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それでは、道路についてお伺いします。  御承知のとおり、首都圏の道路というのは三環状九放射が基本になっておりますけれども、特に九放射は、整備率九〇%とほぼ完成に近くなっておりますけれども、三環状については整備率二〇%と、まだまだ道が遠いと思っております。これでは、いわゆる環状道路の多重化という問題がある中で、三分の一ぐらいしかできてないというのでは話にならないというのは、もう大臣も認識は同じだと思うのです。  それで、一日も早い完成を願いつつ、まず第一に圏央道についてお伺いしますと、平成八年の三月に、青梅から鶴ケ島にかけて圏央道が開通いたしまして、いわゆる並行する道路の交通量が大型車で一割減ったとか、主要交差点のピーク時の平均渋滞度が大幅に減ったとか、非常に効果がありました。それはいいと思っているのですよ。  そうすると、第二期工事として今まで早急に期待されました鶴ケ島インターから川島・川越インターにつきまして、実は平成四年から用地買収が進められておりまして、昨年末では、川島は九九%、川越市分が五三%になっておりまして、これがなかなか工事の目安が立っていない。この点については、非常に住民の要望がありますし、また、坂戸インターの反対の問題がありましたからよくわかっておりますけれども、供用開始については何年をめどにしているんだ、少なくとも、私は、第十三次五計の十五年から十九年には完成をしてもらいたい。  それからもう一つは、発想として、坂戸の方から無理だったらば、一〇〇%近い川島から一日も早く着工してもらいたい。それでもって住民に知らせなければ、次の用地買収なんか無理だということを申し上げたいと思うのです。  それからもう一つは、工事スケジュールも早く公開しませんと、とにかくもう買収が始まって以来七年たっておりますので、これについても非常に今、問題はどうか。  それから、これと関連して、国道二五四から茨城県境間、それからまた、青梅以西の中央道までの進捗状況と今後の見通しについても、これは簡単で結構でございますから、御説明を願いたいと思います。  なるべく簡単にしてください、いっぱいまだありますから。
  151. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 圏央道、今先生指摘のように、東京圏の四十キロから六十キロ圏ということで、環状の全延長三百キロの道路でございます。鶴ケ島から川島インター間については、現在用地買収を継続しておりまして、今、十年代、十六、七年ごろの供用を目指して整備を進めております。  本区間の工事についてですが、今先生指摘のように、川島町、ほぼ九九%ということで、来年度、川島町域から工事に着手したいというふうに考えております。  また、広報でございますけれども、そういうようなことを、「けんおうどうサークル」という広報誌を出しておりまして、必要な情報を掲載しようと思っています。また、工事着手に向けた準備が整い次第、説明会を開催して、地元の皆様に対しても周知したいというふうに思っております。  また、川島インターから埼玉茨城県境までの区間でございますが、川島町側から順次測量、調査を進めておりまして、今年度から新たに桶川市内の路線測量、地質調査に着手いたしました。来年度、川島インターチェンジ側から用地買収に着手したいと思っていますし、東北道までの区間について、やはり平成十年代後半に供用を目指して整備を進めたいというふうに思っています。  また、南の方ですが、青梅インターから中央道までの二十キロについては、既に二年度から用地買収に着手して、五年度に工事着手したところであります。一方、立ち木トラスト等の反対運動もありますけれども、今五カ年計画、十四年度まででございますけれども、その中で供用を目指して用地買収や工事を進めてまいりたいというふうに思っております。
  152. 中野清

    中野(清)分科員 いろいろ御苦労はあると思いますけれども、私ども地元として協力いたしますので、頑張ってやっていただきたいと思います。  もう一つ、十五キロ圏の外環の整備に関連しまして、特に関越道、そして大泉から東名までの十六キロについては、もう既に都市計画決定がされておりまして、これの現状はどうなのか、着工への見通し、供用は何年後か、お伺いしたいと思います。  それから、関越自動車道と首都高速中央環状線の連結接続、いわゆる十号についてお伺いします。  これは大臣、埼玉県の中で関越道だけなんです、首都圏と接続されていないのは。そうしますと、特に練馬インターチェンジを中心に渋滞が発生しておりまして、これについて建設省は本当にやる気かどうか、私はお伺いしたいと思うんです。  特に、大臣、これは外環のときに出ておる資料なんですけれども、この中に——私はこれはいいと思っているんですよ。いわゆる首都圏の交通問題についてのこの姿勢は悪いと思わないんだけれども、この三環状の当面の整備目標という中に、私が申し上げた圏央道も、それから外環も十号線も全部入っていないんですよ。ですから、これでは埼玉西部の人たちは納得しません、はっきり申し上げて。  これはどうですか。それについてひとついい返事をしてもらいたい。ひとつお願いしたいと思います。
  153. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 外環については、東京圏の均衡ある道路体系に必要不可欠な道路というふうに思っていますが、今お尋ねの大泉から東名高速道路間十六キロでございますけれども、現在、周辺の土地利用状況生活環境に配慮した道路構造について検討を進めております。平成九年の十月に首都道路会議が開催されまして、関越道以南の整備促進が重要であるということを再確認されまして、今後区や市も含めた行政連絡会を設置して、関係区市の意見を聞いていくとともに、計画の具体化に向けた意見交換、検討を行っていくという状況にあります。  これを受けて、東京都は、関係市区の意見を聞くとともに、計画の具体化に向け検討を行うための東京外かく環状道路とまちづくりに関する連絡会というものを設置いたしまして、十年三月二十五日にこの連絡会を開催しております。東京都において、東京外かく環状道路とまちづくりに関する連絡会の中での意見を聞きながら、計画の具体化を図っていきたいというふうに思っていまして、建設省も、関係機関との密接な連携のもとに、こういう調査、また具体化に向けて積極的に取り組んでいきたいと思っております。  また、関越道と首都高速の中央環状線を結びます十号線の問題でございますが、関越自動車道から都内への交通アクセスの強化、東京都西部地域ネットワークの強化を図るということで、三環状九放射の重要な路線だというふうに思っていますが、ただ、この地域、建物が密集しておりますし、また、目白通りを初めとした幹線道路の幅員が十分でないことから、計画づくりには大変難しいところであります。  そういう中で、地域高規格道路の候補路線として指定しておりますし、首都圏整備計画計画を進める路線という位置づけもされております。東京都の長期計画でも、生活都市東京構想で検討を進める路線ということで、この辺の状況から、今後とも、関係機関と十分連携をとりながら、計画推進、調整を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  154. 中野清

    中野(清)分科員 時間がありませんから、核都市広域幹線道路と、それから、これは県の仕事ですけれども、いわゆる富士見バイパスというものがございますね、これについてはどうですか。その辺をちょっと簡単に言ってください、もう一問ありますので。
  155. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 核都市広域幹線道路については、業務核都市を連絡する広域的な幹線道路の構想だというふうに認識しておりまして、これも非常に重要だというふうに思っています。  十年三月に閣議決定されました新・全国総合開発計画で「核都市広域幹線道路について構想の具体化を図る」というふうに位置づけられたところでありまして、現在、建設省において、埼玉県のみならず、全域において必要な調査を行っております。三環状九放射がまずプライオリティーが高いと思っていますが、そういう進捗を見きわめながら進めていきたいというふうに思っています。  それから、二百五十四号線の和光富士見バイパスでございますが、全部では六・九キロの改築事業でありますけれども平成四年にそのうちのごく一部、六百メートルを暫定供用されておりますが、残る区間につきましても、用地買収が進んでおります外郭環状道路と県道朝霞蕨線の間については、早期供用できるように重点区間として整備を進めてまいりたいと思っております。残りの区間については、御承知のように反対運動もあるところでございまして、その辺と調整していきたいと思います。
  156. 中野清

    中野(清)分科員 最後に、大臣、ちょっとちっちゃな問題なんですけれども、実は農地の相続税猶予がされているときに、その土地をよく市民が採納するときがあるんですよ。普通公共の事業というのは、もちろん代金をもらいまして、特に公共事業の場合には二分の一の利子が免除になる。これは、決して建設省の仕事じゃなくて大蔵省の問題なんですけれども、ところが、現実に採納しますと、相続税とか利子は全部くれと。これでもって町づくりの道路なんかはできないと思うんです。  これはぜひこれからの行政の中で、すべてお金を払えばいいですけれども、採納ということもあり得るし寄附もあり得る、そのときに、私はやはり今の大蔵の姿勢というのは問題だと。しかも、それについては、やはり建設省の、大臣を初めとした当事者の皆さんが市民の痛みを覚えてもらわなければ困るんじゃないか。そういう意味で、この辺についてはどういう御認識か伺いたいと思います。
  157. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 これも前もって先生からお伺いしておったわけでございますが、川越市の市街化区域内で、山田あるいは宮元地区で、地元では町づくりの協議会によりまして計画を立案しまして、市が無償で用地の提供を受けて、市の単独で市道の拡幅整備事業を進めている、こういうことでございます。  これは、相続税の申告期限から二十年を経過していない場合において猶予の税額を納付しなければならないことから、地権者の要望によりまして、その時期が来るまで道路の整備を待っている箇所があるということでございますが、これは、伺いますと、あともう二、三年でその時期が来るというふうに伺っておるわけでございます。  今後、他の類似例も踏まえまして、その事業執行上の支障の程度を把握してまいりたいと考えております。
  158. 中野清

    中野(清)分科員 それでは、これでもって私の質問を終わりますけれども一つは、本当はこれからが実は用意したのですけれども、大店法の問題が出ました。  これは都市計画、特に特別用途地区の問題がございますけれども、きょうは時間がございませんからあえて申し上げませんけれども一つだけ申し上げたかったのは、そういう中でいろいろとこれから大型店と中小零細企業の問題の中で、法律以外の問題を、つまり大店立地法なんかの問題を建設省にむしろ押しつけてくるという可能性がありますから、これについては御要望として申し上げたいと思います。  それから、先ほどの環状道路の整備については、私はやはり今日本の国にとって、経済においても大きなこれは課題だと思うんですよ。できれば多重といいましょうか、もう一本ぐらい欲しいとかというのは当たり前なんですけれども、それさえも今現在できない。現在においてすらできないということで、当然それについては、例えば今の中央、真ん中のところでも二六%も用がない車が通っている。そういうことを考えますと、やはり環状道路の整備というのは、これはもう日本の国にとって私は非常に重要な施策だと思いますし、ぜひ頑張っていただいて、私どももできる限り、そういう意味での大臣初め皆さんの御努力については敬意を表しながら、お手伝いをさせていただきたいと思いますけれども、ぜひ当事者として頑張っていただくことを御要望して、私の質問を終わります。  どうかよろしくお願いします。
  159. 北村直人

    北村主査 これにて中野清君の質疑は終了いたしました。  次に、坂上富男君。
  160. 坂上富男

    坂上分科員 坂上富男でございます。  まず最初に、私の地元を通っております国道のことについて要請をしたりして、御質問させてもらいたいと思います。  一つは、二百八十九号線という国道がございます。私の町の三条を通りまして、隣町の下田村を通りまして、下田村から会津方向に抜ける国道でございまして、もちろん通ることができない状態でございますが、この開通のために大変な御努力を関係者の皆様方からしていただきまして、着々と工事は進んでいるわけでございます。私も一年に一回ぐらいこの場所に参りまして、工事の進捗状態等も見せてもらっておるわけでございます。また、普通、公共事業というと反対運動なんか起きるのでございますが、この道路の促進のボランティア活動が随分行われておりまして、だれ一人反対する者もいない。そして、関係する職員の皆様方を激励するとか、もう本当にうれしい活動がやられておるところでございます。  八十里越えというのが大変難所なのですが、八十里ないのでありまして、単に八里しかないと思います。難所でございますから、その十倍かかるということで八十里越え、こう言ったわけでございます。ここは、例の幕末の戦争のとき、長岡藩が会津藩に味方をいたしまして、長岡藩の家老がこの道を、山道でございますが、通って、途中に何か負傷されまして命を落とされたというような、また歴史的な国道でもあるわけでございます。  また、去年、運動しておる皆様方が運動の記録を出版いたしまして、私も少しお手伝いをいたしまして、国会等でこれに関する資料を調査させてもらいましたら、私の町は三条市でございますが、隣に下田村があります。この下田村出身の方で、多分、西潟為蔵とおっしゃったと思うのでございますが、国会開設間もなく衆議院議員になられた方なんですね。この方がこの八十里越え道路開設のために国会に活動をなさっているのですね。  私も一、二度この国道を通ったとき、一部のところに少し石がきちっと整地をされておりまして、果たしてこんなところに何だろうと思っておったのでございますが、いろいろ国会図書館等で記録を調べてみたら、西潟為蔵代議士が当時の内務卿であります山県有朋氏に陳情いたしまして、それで十六万円の建設用の資金が出されまして、そこであの当時、十六万を投じまして道路整備、それから道路が開設をされたというようなことがあったんですね。  私は、私のその先輩、明治の初めの国会議員の方でございますが、すごいものだなということを読みまして、深い感銘を実は受けたわけでございますが、そのことは出版しました本の中の記録の中にも入れておきましたけれども、やはりそのように歴史的なロマンのある街道、国道なんです。そしてまた、私たちの先輩が明治の初めに国の予算を入れまして道路をつくっていたんですが、いつの間にか不能の国道に今なっておる、こういう場所でございます。  そこで、これの開設の運動がずっともう十年前あたりから行われておりまして、着々と予算もつけていただいて工事をしておるわけでございますが、しかし、なかなか容易ではございません。そんなようなことから、ここに働く人も、水がきれいなものだからアブが出るんだそうですね。本当にすごいアブなんです、行ってみますると。そういうアブと闘いながら、また、もう今、豪雪でございますから、もちろん雪が消えるのを待って、工事は今中止をしております。それが二百八十九号線の八十里越えと言われる場所でございます。こういうようなところでございまして、ぜひこれは、下田、三条、皆さん方が一日も早い開通を実は期待をしておるわけでございます。  今の現状とこれからの見通し、ひとつちょっとお話しいただきたいな、こう思っております。
  161. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生の今の、るる今日までの八十里越えのお話を伺いまして、私も感銘をいたしたわけでございます。  細かい数値は後ほどまた局長から報告をしていただきたいと思いますが、一般国道二百八十九号線であって現在は交通不能区間であるというふうに伺いまして、先生には失礼な言葉になるかもしれませんけれども、まだそんなところがあるんですかと言って局長に問い合わせたのが実際のところであったわけでございます。  この二十一キロメーターの区間につきましては、建設省、新潟県、福島県が協力して今事業推進をしておるということでございまして、この県境部の長大トンネルでございます、三千九十メートルのトンネルに、現在、着手に向けて、アプローチ部の工事を推進しておるというふうに伺っておるわけでございます。  平成十年代後半に供用目標というような報告を聞いておりますが、一年でも早く、これは短縮して、この開通式には私もぜひ行ってみたいな、そんな欲を出しておるわけでございますが、現在の進捗状態を簡単に報告させます。
  162. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 今大臣が御説明されましたとおり、県境のトンネル、三千九十メートルのトンネルにかかるべくアプローチ部の整備を進めておりまして、やはり急峻な地形のところでございますから、アプローチも、橋でありますとかトンネルがございまして、十年、十一年でその辺を完成させていきたい。それで、新潟県側の方から十二年度にはトンネル本坑に着手できるようにしていきたいというふうに思っています。  それから、その前後の新潟県の施工区間あるいは福島県の施工区間も今現在鋭意進めておりまして、建設省それから両県、全部合わせますと十年度当初で二十億余のお金をつけておりますし、三次補正でも予算をつけるというようなことで、整備促進に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  163. 坂上富男

    坂上分科員 ありがとうございました。  特に大臣には、昨年来から、新潟の集中豪雨の際には福島潟の排水路も前倒しでやるなどというような、本当に大変な決断をしていただきまして、被害を受けた新潟県民は大変喜んでおるわけでございます。  また、今大変な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。ぜひひとつ大臣が大臣在任中に私たちと喜び合うことができますように、これまたお願いもしたい、こう思っておるわけであります。  いま一つ、ちょっと聞かせていただきたいと思うのは四百三号線のバイパスでございますが、四百三号線、これはまた、田上の町から三条の町へ至るところ、朝の通勤時はずっとつながっておりまして、本当に容易じゃないんです。早くこのバイパスをつくらぬと渋滞が甚だしいという状況でございます。  これは局長さん、簡単で結構でございますが、どうぞ。
  164. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 四百三号線の三条北バイパス、補助事業として八・三キロを実施しているところでありますが、既に田上町から加茂市に至る二・八キロについては暫定二車線で供用しております。残された区間について、平成十年度、加茂市内において用地買収、改良工事を推進しております。  また、三条北バイパスから国道八号線までの区間についても、都市計画決定すべく新潟県が手続を進めているという状況でありまして、またそういうような状況も見ながら全体としての整備促進に努めていきたいというふうに考えております。
  165. 坂上富男

    坂上分科員 ぜひ一日も早い促進方を要請しておきます。  今度は建設省に対して苦情になるかと思います。  借地借家法、これの運営とかそういうものは一体どこがやるんでございますか。法務省でございますか、建設省でございますか。どこでございますか。
  166. 那珂正

    那珂政府委員 借地借家法の所管は、法務省だと理解しております。
  167. 坂上富男

    坂上分科員 借地借家法というのは、非常に国民生活に密接に深い関係のあるものでございます。もちろん、建設省住宅政策としてこれについてかかわりのあることは私はわかっておるのでございますが、しかし、皆様方のお考えになっておるのと法務省がお考えになっておるのに非常にギャップがあるんじゃなかろうか。  と申し上げまするのは、法務省はおられますか、いわゆる定期借家権というのが今問題になっておりますが、法務省は、定期借家権についてはまだ法案として提出の時期ではない、こんなふうに思っておられるんだろうと思うのであります。しかしながら、自民党さんの方から、定期借家権について議員立法として提出になっておることは間違いありません。  しかし、法務省の立場といたしましては、やはり借家人の立場から考えてみまして、今のこの住宅状況から見て、定期借家権というものを出すことによってどういう影響があろうかということを、権利義務の関係からも本当に法務省としてはいろいろ考えながら、まだこういう法律については提出をしていられないわけでございます。そんなふうに私は理解をしておるんでございますが、法務省、どうですか。
  168. 揖斐潔

    ○揖斐説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしまして、定期借家権につきましては、政府の緊急経済対策でございますとか規制緩和の推進三カ年計画におきまして、その導入を促進することとされているところでございます。  私どもとしては、今の規制緩和推進計画等を踏まえまして、定期借家権の導入を促進する観点から、これまで法制審議会等で検討を重ねてきているというところでございます。
  169. 坂上富男

    坂上分科員 そうなんですね。やはり借家人の立場をお考えになって法制審議会は慎重に審議をなさっているわけでございます。それなのにかかわらず、自民党さんは、いわゆる法制審議会などに任せておくといつになるかわからない、こんなようなことで議員立法として提出をなさっておるわけでございます。今そういう情勢にあるんですね。  そういうとき、建設省、これは確認をいたしますが、平成十年八月、住宅宅地審議住宅部会基本問題小委員会、こういうところからいわゆる資料として出されておる小冊子があるわけでございます。これは、例えば報道機関等が建設省に行きまして、定期借家は今どうなっていますかなどと言って聞きますと、皆様方がこれを皆様方に配付をしておられるそうでございます。私もこれを一冊今借りてまいりました。こういうようなことをなさっているんですか、建設省は。
  170. 那珂正

    那珂政府委員 御指摘になりました、昨年、十年八月に取りまとめられ、公表されました住宅宅地審議住宅部会の今後の賃貸住宅政策の基本方向性についてという中間報告の関連で、今御指摘の資料が参考資料として公表されたものと理解しております。  したがいまして、私どもも、そういうものに対して外部等の問い合わせについて説明することといたしております。
  171. 坂上富男

    坂上分科員 今度は大臣にも頭にとめていただきたい質問が続くのですが、これを見てみますと、定期借家権に対する推進の資料ですね。法務省は今そういう慎重な立場にあるにもかかわらず、しかもこれを取り扱う法務省、本家がそういう対応をしているのに、建設省が、確かに住宅政策というのがあったといたしましても、それに伴うところの権利関係やそういうようなものも配慮しながら対応するというのが政策政治の建前なんだろうと私は思っておるわけでございます。  しかるに、率直な話、法務省をさておきまして、ここでこういう文書を配付されて、これが正しい記述であるならいいのでございますが、私がきのう一晩読んだだけでも、大変不正確、間違い、これが書かれております。これをもとにいたしまして間違った新聞の報道がなされているんですね。一体これはどういうふうにどうするのかということをぜひ、きょうは私は御指摘を申し上げて、お考えをいただきたいと思っているわけであります。  まず、皆さんが配られたこの中に、「借家制度概要」というところがあります。そこで、これも難しいからもう言葉だけ読みますが、「期限付き賃貸借は、制度上あるものの要件が極めて厳格で実例は少ない。」こういうことが書いてあります。これは一体どういう根拠、実例幾つあるというの。どうですか。
  172. 那珂正

    那珂政府委員 ただいま先生指摘になった点は、借地借家法三十八条において、賃貸人が転勤等によって不在の場合……(坂上分科員「わかっています。少ないというのはどういう意味かということを聞いているんです。何件のことを言っているのか」と呼ぶ)一般的にそれほど普及されていないという意味でございます。
  173. 坂上富男

    坂上分科員 わかりました。  これ、わかりますか。「ふぉれんと」といって、建物を貸せることに対する広告です。ここに一斉に書いてありますが、これは私が目をつぶって一枚取り出したんです。これは黄色い線を引いてあります。これがやはり期限つき借家権です。ここにちゃんと書いてある。念のため調べてください、私の発言が間違いであるかどうか。いいですか。  実例、極めて少ないなんていうものじゃありません。五十三分の六あるんだ、一ページに。一ページにこれだけありますよ。これを建設省が少ないなんていうようなことをどういう根拠で言っているの。全くでたらめなんじゃないですか。よく検討してください。これは答弁要りませんよ。私の言っていることが間違いだったら言ってください。  さて、その次。法務省おられますか。  法務省は、借地借家研究会というのをやっておられますね。それで、報告書があります。その中の、「諸外国の状況」としてこういうふうに書いてあります。「ドイツ、フランス、イギリスといったヨーロッパ諸国においても、居住用の建物の借家については、わが国と同様に、更新拒絶の制限等による存続保護が図られている。なお、ドイツには、わが国の期限付借家に相当する制度がある」、今言ったのはこのことなんですが、「(フランスでは、一九八六年の改正で、居住用の建物について存続保護を認めないこととされたが、一九八九年の改正で、再び存続保護を認めることとされた。)。また、フランスでは、事業用の建物の借家については、更新拒絶は制限されないが、立退補償が必要とされている。」これははっきり書いてあるでしょう、あなたたちので。  それで、あなたたちは確かに専門家だけあって、ドイツの場合、フランスの場合、それからイギリスの場合、アメリカの場合、ちゃんとここで詳細に書いてあります。問題は、この中に定期借家権があるかないかということなんです。それから、日本のような正当理由あるいは立ち退き制限規定があるかどうかということがポイントなんですね。どうですか、これは。  建設省のこれを見てみますると、建設省の言葉の中に、例えばフランス、基本的には当事者間で自由に定める定期契約だというんです。それから、今度はドイツ、当事者間での契約合意が基本であるというんだね、「借家制度概要」。そして日本の欄を見てみますると、更新拒絶に際しては、家主と借家人の事情の比較考量による正当事由やそれを補完する立ち退き料が必要、こう書いてあるわけです。いいですか。フランスについては自由な契約である、ドイツについても合意契約が基本である、そして日本についてだけ、正当理由などというようなややこしい問題が書いてある、こう言っているんだ。  いいですか、建設省。日本も基本的には当事者間で自由に定める定期契約が、定期契約ですよ、定期契約が一般的な形態なんです。でありまするから、フランス、ドイツもちゃんと、いわゆる正当理由に似たような制限規定が随分ここに書いてあるわけでございます。しかも、日本の場合は立ち退き料の額はとかく大きくなるというように書いてありますが、フランスは、立ち退き補償の支払い義務は明示されております、はっきり書いてあります。住宅に住む者よりも、事業用の立ち退き料が必要だというふうにきちっとみんな書いてあるんですね。  しかるに、これを読んでみますると、例えばフランスの場合は、期間満了によって契約は終了するとか、立ち退き料の授受は違法である、こういうようなことがフランスの規定だというんですね。それから、ドイツの場合は定期型と不定期型があるというんです。こんなことは言葉としては、学問としてはこういう言葉は的確じゃないと言われておるわけでございます。どれを見てみましてもこれは間違いがいっぱいあるのでございますが、こういうようなことを建設省は承知してこんなものを発行しているんですか。  ここで今度、学者の先生から私が意見を聞いてみました。もしもフランス、ドイツ並みに日本の借家制度概要を書くとしたならば、フランス、ドイツと同じように当事者間での契約合意が基本だ、あるいは基本的には当事者間で自由に定める定期契約だ、こういうふうに書いていい、書かなければだめなんだと。日本だけは正当理由があって立ち退き料が必要だなんというようなことを書いていることは、明らかにこれは間違いだと言って学者の先生方が強く指摘をしているんですよ。こういうようなこと、わかっていますか。  そこで、こういう間違いを我が日本の新聞はどう書いているかおわかりですか。私が読み上げますよ。まず「定期借家権」。これは、正当理由なく、期間が来れば追い出されるということなんです。「海外では普及しているの。」こう言ったら、「米国や英国、ドイツ、フランスで導入している。」と。法務省のこれには、定期借家権なんて導入していませんよ。法務省の意見とどうして建設省、違うんですか。こういう新聞がここに出ている。  その次。「日本の借家率が欧米に比べて低い理由は、戦後の持ち家政策の推進という住宅政策もあるが、正当事由制度という強力な解約制限によることは、ほぼ間違いがない。」と言っている。こう新聞に書いてある。これと同じことがあなたたちの中間報告に書いてあるんだ。  そこで、こういう間違いのもとになっておりますのはこの皆様方の中間報告書なんです。これを読んでみますと、本当に腹が立ちます。私たち法律家の諸君が中心になって専門的に今こうやって研究しているところへ、まさにでたらめなこと、不正確なこと、ばんとバケツで水をかけるようなやり方、こんなことはどうしても許しがたい。  さらに、新聞によりますと、間違った報道がなされていると私は思っているんでございますが、「日本の賃貸住宅の狭さ、高さは、現在の借家法の副作用とも言える。」こう新聞に書いてあるんです。とんでもございません。ドイツにもちゃんとこういう類似の法律の規定があるんです。ドイツの正当の理由もある。正当の理由じゃなくて正当の利益とこう言っているわけです。フランスはフランスで、きちっと立ち退き料払わぬといけませんよと書いてありますよ。  これ、ひとつ法務省のを読んでごらんなさいよ。もういずれを読んでも、「取戻し又は更新の拒絶ができる」とか、あるいは「営業財産を補償するための立退補償の義務を負う。」とフランスは書いてある。ドイツの方についても、「賃貸借の終了が賃貸人の正当な利益を斟酌しても妥当とすることができない苛酷なものになるときは、貸借人は契約継続の請求をすることができる。」正当理由類似のことが全部あるんですよ。定期借家権なんというものの規定は全くないんです。これをあるがごとくこうやって書いてあるのは、建設省が法務省を乗り越えまして自分らが勝手にこの定期借家権をつくれば、住宅がばたばたできて借家人が非常に喜ぶというような立場に立つというような住宅政策をおっしゃっているんじゃなかろうかと私は思っております。  しかし、こういう法律ができますと、今度は借家人を追い出す結果になるんです。でありまするから、これは本当に慎重に対応して検討しなければならぬという問題なんでございますが、まず担当局としまして、私が言いましたことはほんの一部でしかありませんが、どんな感じを持っておられますか、担当局。  これは本当にとんでもないことでございますから、どうぞひとつきちっと認識を言っていただきまして、あわせて大臣、今言ったように借地借家という問題は法務省の担当なんです。それを建設省が、幾ら住宅政策だからといって、いわゆる定期借家権というのはもう国論が二論しているんですよ、関係者の間で。激しい議論がある中へこうやってばかっとこんなのを配られまして間違った報道がなされるというような事態になりますと、国民は迷うばかりでございますから、この辺ひとつ担当の局長さん、所感を述べてください。  それから大臣、最後の締めをお願いしたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  174. 那珂正

    那珂政府委員 まず、先生指摘の私どもの関係の審議会の参考資料として出されました「各国借家制度概要比較」の記述についてでございますけれども、確かに、その新聞の引用結果を見ますと、フランス、ドイツについて定期借家権が既に導入されている、そういうような記述があるとすれば、それは誤解だと思います。  それで、私どものこの「各国借家制度概要比較」におきましても、その点は、確かに「定期型」とか「不定期型」とかいう「定期」という言葉は使っておりますが、先生がおっしゃるように、正当事由が現にきちっと存在するということを明記しておりまして、私どもの資料の記述としては、若干誤解を受けるところはあるかもしれませんけれども、フランス、ドイツについて定期借家権が既に導入されているというような表現はしていないと思います。  ただ、アメリカ、イギリスについては、導入されているというような表現があることは事実でございます。  それから、日本の状況説明するのについて、少し問題を過大に書いているというような感じもいたします。それは正直に申し上げます。  ただ、もう一方で、定期借家制度について住宅政策の立場からどうかということをもし問われるならば、それは、やはり一定の良質な借家がより多く供給される、借家人の立場から見ても新しいいろいろな選択肢が広がるというようなことから、それは住宅政策としても好ましいというふうに思っております。  事実また、私ども住宅政策の関連だけではなくて、政府全体としても、平成七年の規制緩和推進計画、八年、九年、十年とそれぞれ改定されました規制緩和推進計画におきましても、速やかにその導入を措置するとか検討するとかそういうような表現がありますし、経済対策、それは先ほど法務省の方が……
  175. 北村直人

    北村主査 政府当局に申し上げます。  答弁は明瞭、簡潔にお願い申し上げます。時間が過ぎております。
  176. 那珂正

    那珂政府委員 生活空間倍増戦略プランにおきましてもその導入について指摘されているところでございます。
  177. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず、先生の鋭い御指摘、改めて敬意を表したいと思っております。  予算委員会でも、先生の御質問は楽しいけれども恐ろしいという感じを抱いておりますが、正直に私の今までの判断を述べさせていただきたいと思うんですが、今の日本の住宅事情を見ますと、いわゆる持ち家はヨーロッパ並みの大きさにはなっておるんですけれども、賃貸の住宅が非常に狭隘、狭小でそのストックも悪い、だから、その賃貸の住宅をどのように広げていくか、伸ばしていくかということが私のまず第一歩の考えの状態でございます。  そこで、私が耳にいたしておりますことは、この借地借家法というものができると、家を借りる方も家を貸す人も安心してその契約ができるというふうに私は理解をいたしておりました。しかし、今先生が御指摘されていましたように、これは、家を借りている人の方が非常に不安定な状態になるんだよという指摘がございましたが、私もあっと思ったところもございます。  ですから、これは今議員立法で提出をされておりまして継続審議になっておりますので、先生のいろいろな御指摘のところもきちっと勉強をして、この法律を、そういうところを是正して進めていくということであればいいんではないかなと思っております。
  178. 坂上富男

    坂上分科員 大変ありがとうございましたが、借家人が大変に追い込まれるんです。ぜひ、よくそれも頭に置いて定期借家権問題は検討した上で、これをもって住宅政策だなんて、これはもう本当にとんでもないことでございます。こんな住宅政策だったら私は間違っていると思います。本当に貸せる人、借りる人が円満に、そして喜んでやれるような住宅政策でなければ私はならぬと思っておるんです。どうぞよろしくお願いします。
  179. 北村直人

    北村主査 坂上委員に申し上げます。時間が延びておりますので。
  180. 坂上富男

    坂上分科員 以上で終わりました。ありがとうございました。
  181. 北村直人

    北村主査 これにて坂上富男君の質疑は終了いたしました。  次に、中桐伸五君。
  182. 中桐伸五

    中桐分科員 民主党の中桐です。  私は、岡山県に流れています一級河川の吉井川、この吉井川水系における治水の問題について質疑を行いたいというふうに思います。  まず、昨年、台風十号が岡山の吉井川水系に被害をもたらしたわけでありますが、この台風十号の被害の起こった原因、つまり、降雨量とそれから河川の河道整備というかそういうものとの関係で、簡潔に、この実態と問題点というものについてまずお伺いしたいと思います。
  183. 青山俊樹

    ○青山政府委員 岡山の吉井川上流区間で起こりました水害、これは下流部でも非常な大水害になったわけでございますが、近年まれに見る大水害であったという認識をいたしております。  その原因は、やはり記録的に大きな雨が降ったということだと認識いたしております。また、河川改修そのものにつきましても、まだ整備途上でございます。
  184. 中桐伸五

    中桐分科員 私の手元の建設省から手に入れた資料によりますと、この吉井川の河川改修の最も直近の、一番新しい、管理をされている河川改修の状況についてのデータは一九七六年、つまり今から二十年前のものになっているのですが、実態把握として、これは建設省が岡山県に管理を委託しているといいますか、そういうものを含めての話でありますけれども、これについて、この二十年の間に実態把握というのはきちんと行われてきているのですか。それとも、二十年前のデータしかない、そういう状態なんですか。お答えください。
  185. 青山俊樹

    ○青山政府委員 吉井川は一級水系でございますが、上流区間は県の管理区間、それから下流部は直轄管理区間ということになっているわけでございます。  県管理区間におきます改修につきましては、広域基幹河川改修事業等によりまして改修を実施しているわけでございますが、本事業につきましては、四十二・二キロの区間で、その整備の進捗率は事業ベースで六四%となっておるというふうに認識いたしております。  また、堤防につきましては、吉井川本川の県管理延長九十一キロのうち、堤防を必要とする区間での整備済みの完成堤防の延長が二十三・四キロでございまして、堤防整備率は約三九%。直轄管理区間につきましては、直轄管理区間延長三十二・八キロのうち、要堤防整備済み、いわゆる完成堤の延長は四十七・八キロでございまして、これは左右岸で二倍になりますので、堤防整備率は約七七%ということでございます。
  186. 中桐伸五

    中桐分科員 私は、洪水が起こった後一カ月少々たってから、現場をずっと吉井川水系全部を見て歩きました。この現場を見てみまして、河川改修が、先ほどパーセントで出されているわけなんですが、吉井川水系の中上流部での河川改修はかなりおくれているのではないかという直感を受けたわけであります。そして、そこらあたりに台風十号の降雨が相当あって、洪水という結果をもたらした、こう私は理解しているのです。そういう認識というのはどうですか。
  187. 青山俊樹

    ○青山政府委員 先生の御指摘のとおり、私は、上流部の方が下流部よりもおくれているのは事実だろうと思います。  私も現地に参りましたが、吉井町の町営住宅の屋根が穴があいているというのを目の当たりにいたしました。平屋の町営住宅でございますので、水位が高くなってきて、みんな屋根に穴をあけてその上に逃げるというふうな、非常に悲惨な思いをされたというのを身にしみて実感しております。  ただ、河川改修そのものは、基本的に下流から整備をするということが鉄則でございまして、上流部の流下能力の方が下流部よりも大きくなりますと、これは逆に、下流部に以前に増して大きな被害を与えるという状況になるものでございますから、下流部の整備を上流部よりも先行させて行うということは鉄則だと認識いたしております。
  188. 中桐伸五

    中桐分科員 いつごろからどういう計画でという歴史を全部把握した上で私は言っているわけじゃないので、軽々に、最終的にこれはどこに責任があるのかという判断をここの場でするわけにはいかないのですが、しかし、現地の被害のあったところに行きますと、何年も前からこういうことは問題を指摘しているのにやらない、やってくれないというふうな意見を、洪水のあったところの住民全員に会って聞いたわけじゃありませんが、そういう意見が出されているわけであります。  そういうことを考えますと、この吉井川水系の治水の問題については、苫田ダムというダムの建設計画が非常に長年争点になって、計画の実行段階が非常におくれてトラブルになってきたという経緯があって、どうやらこの吉井川水系については、岡山県下にある一級河川の旭川水系だとか高梁川水系に比べて、河道整備というか河川全体の整備がどうも見劣りがする。しかし、これはコンクリートで固めればいいということを私は言っているわけじゃないのですが、総体的に見て、きめの細かい整備がどうも行われてこなかったのじゃないかという感じがするわけですね。これはやはり、ダムの建設計画というのが大きな争点になって、治水計画がそのトラブルの中で整然と進められなかったのではないかと私は感じているわけです。  これは、建設省から、苫田ダムの建設計画についてお聞きをしたときに聞いたことでありますけれども、河道整備というのがまず第一に極めて重要なことであって、治水計画の中でいえば、ダムの建設というのはむしろ一〇%か一五%というふうなことであって、大半の部分は河道整備が重要なんだという説明を受けたことがあるのですね。そういうことを考えてみますと、どうもダムに焦点がいき過ぎて、本来やるべき全般的な吉井川全体に対する河道整備がおくれたんではないか、私はこう思うのですが、どうですか。
  189. 青山俊樹

    ○青山政府委員 吉井川上流部の河道改修の整備状況でございますが、私ども全国河川を見ておりますが、基本的に、吉井川上流部だけがおくれているという状況ではございません。  先ほど申し上げましたように、上流と下流とのバランスを考えますと、下流部よりも流下能力が低い状態にしておかなければならないというのも事実でございますし、昨年のたび重なります大災害で、岡山以外にも、高知だとか新潟だとか栃木だとか福島だとか茨城だとか、各県が非常な被災をしたわけでございますが、その状況を見ましても、どの川もやはり、ひどいところでは、以前にあった川幅の三倍ぐらいの川幅に広がってしまっているというような状況でございます。我が国そのものが、非常に大雨が降りやすい、また降れば洪水がはんらんしやすい、洪水がはんらんすれば、非常に周密な土地利用がなされておりますので、人家が被害を受けやすいというふうな危険な状態にある、また、そういった国土の中で我々は生活を営んでいるということだろうというふうに認識をいたしております。
  190. 中桐伸五

    中桐分科員 全国の中でどういう進捗状況になるかということを細かく議論していると、これ三十分どころか時間が非常にたってしまいますので、そういう話に話を広げたくないのでありますが、私が申し上げたいのは、いわゆる治水対策のウエートとして、建設省の方の説明で私はそう聞いたのであって、一般論、全体の中でこうという話の前に、いわゆる河道整備というのが基本だよということについては、そういうふうに理解していいんですか、どうですか。
  191. 青山俊樹

    ○青山政府委員 河道計画、またダム計画、いろいろなバランスを考えながら河川計画は考えていかなければならないと思いますし、また川ごとの特性もあろうかと思います。  河川の下流部の河道の部分につきましては、河口から大きな水が流れたことによって、ある程度川幅というのが規定されているわけでございますが、堤防際に、非常に人家が周密に、集落等が形成されているというような川もございますし、また、上流部におきましても、非常に美しい景観を持った渓谷等があったときに、そこを、岩を削り河道を広げるよりも、上流にダムをつくって水をためた方が得策だという状況もございます。さらには、流域全体を考えましたときに、森林の方も含めまして水をためていくということもまた重要な考え方ではなかろうかというふうに認識いたしております。
  192. 中桐伸五

    中桐分科員 私が聞いているのは、その吉井川水系についての話で、そういうふうに考えられるのかどうかということを言っているんですけれども
  193. 青山俊樹

    ○青山政府委員 吉井川水系につきましては、今回の台風十号による降雨、非常に多い雨でございまして、百八十ミリの雨が六時間で降るということでございました。また、二十四時間で二百十ミリの雨が降りました。六時間雨量の降雨確率を統計処理しますと百分の一程度、二十四時間雨量を統計処理いたしますと二十分の一程度という量になるわけでございますが、上流の苫田ダムの洪水調節を行い、なおかつ河道に流れる流量を、今回の、激特事業というのを今考えておるわけでございますが、それで対応するということで、辛うじて今回の台風十号の降雨について対応できるという状況でございます。
  194. 中桐伸五

    中桐分科員 要するに、河道整備もやらなきゃいけないし、ダムの建設も考えなきゃいけないんだということですよね。そんな当たり前の答えをお聞きするだけで終わるのはいけませんと思いますので、優先順位の問題ですね。その問題と、それから、その次の質問とも関連しますので、少し岡山の状況を認識してもらいたいと思うんです。  御存じのように、これは岡山県だけではなくて、全国、今大変地方財政は深刻な状況になっていますね。その中でも、岡山県は財政状況が非常に悪い。これは御存じだと思いますが、いろいろな指標はありますけれども、経常収支比率は全国で七番目に悪い、九五・七%。それから、公債費の負担比率はワーストワンで二三・五%、全国一悪い。そういうふうな状況になっているわけです。  つい最近、岡山県の予算案が出されました。とにかくこれは石井知事が、手持ちのカードはほぼ出し尽くしたと言っている、これは新聞報道で言われているんですが。禁じ手であると言われている特定目的基金からも歳入に繰り入れてやりくりしなきゃ予算が立たなかった、こういう状況なんですね。ここの話で余り細かく、県の財政の議論をするわけではありませんので、大ざっぱに、大変悪いという認識をしていただければ結構です。  そういう中で、この苫田ダム及びその関連する事業、これは岡山県全体の広域水道企業団というような形で、いわゆる一部事務組合の形態で事業を行うという計画も含めて、大変大規模な公共事業なんですね。私は、この事業が岡山県の財政を相当圧迫する、こう思うわけですよ。  ただ、治水計画の中で苫田ダムの持っている意味がどういう意味なのかということを議論すると、時間がありませんのできょうはやりませんが、これ自体についても私は非常に大きな疑問を持っている。つまり、苫田ダムが全く意味がないということを言っているわけではありませんが、吉井川全体の治水計画の中に占める苫田ダムの位置づけというのは、もう少し正確にやり直してもらわないと困ると私は思っているんです。  ただ、先ほども言われましたように、全体の、つまりダムというものだけで解決できるんではなくて、河道整備も全部含めて総合的にやらなければいけないということですから、そのときに、岡山県の財政状況というものの中で、この苫田ダムの建設及びその関連事業というものも見なきゃいけないと私は思うんですね。それで、いわゆる治水計画だけの世界の中で計画を立て、それを着々と実行していくんですという、それは建設省から言えばそうかもしれないけれども、しかし実際の現状は、そういう厳しい県の財政状況に直面しているこの現実があるわけです。  その中で、去年の三月に、建設省が、所管公共事業の再評価実施要領というものを出して、三つの実施時期によって、対象事業も三つですね。そして、実施時期について三つのポイントから、そして再評価内容は四つのポイントについてそれぞれ再評価しなさいという、これは通知ですか、を出されている。  その中で、実施時期によって三つの分類があるんだけれども、「事業採択後十年間を経過した時点で、一部供用されている事業を含め、継続中の事業」というものになっている中で、「社会的状況の急激な変化等により、見直しの必要性があると判断した場合には、随時再評価実施する。」こうなっているんですけれども、このものに苫田ダムの事業、この関連事業というのは入るんですか、入らないんですか、お聞きします。
  195. 青山俊樹

    ○青山政府委員 お答え申し上げます。  岡山県の財政事情のお話、るるお話がございました。私どもも、平成十年三月に苫田ダムの基本計画を変更したところでございますが、この基本計画の変更に際しましては、県の方から、年度ごとの事業費の平準化、コストの縮減、また早期の本体工事着手、工期内の事業完成について要望されておりまして、こういったことをやることによってトータルの事業費も減らし、なおかつ県の負担も、したがいまして極力少なくするというふうな形での配慮を、県と調整をとりながらやってまいりたいと思っております。  また、ダム等の大規模な事業につきましては、国費負担率を通常の負担率よりも上乗せいたしておりまして、大規模な事業を集中的にやるというその性格上から国費の上乗せもやっているわけでございます。  また、再評価システムのお話がございましたけれども、苫田ダムにつきましては、ダム等審議委員会というもので苫田ダムについて徹底的に御議論をいただきまして、このダムは治水上も利水上も重要なダムであるから推進するようにというダム審議委員会の御意見をいただきました。それを尊重して事業を進めてまいる、このような姿勢でおるわけでございます。
  196. 中桐伸五

    中桐分科員 私がお聞きしているのはそういうことじゃありません。審議会が前に行われたということはわかっています。  要するに、「社会的状況の急激な変化等」というものが入るのか入らないのか。例えば、この審議会が行われたのは平成八年ですよね。このときにもう財政は悪化しつつあったけれども平成八年から九年に経常収支比率が五ポイント以上上がって、物すごい勢いで悪化している。私は、そういう状況の中でこれは入るのか入らないのかを聞いているんです。
  197. 青山俊樹

    ○青山政府委員 建設省の再評価システムの中には、数多くのプロジェクトを一斉に再評価するというシステムと、ダム事業のようなもので、ダム審議委員会のように特別に場を設けて徹底的に議論するというふうな評価と、両方含めた再評価システムになっているわけでございまして、このダム審議委員会の議論で妥当だということになったということは、今先生がおっしゃったようなものには入らずに、再評価システムの中でも妥当と認められたというふうに理解いたしております。
  198. 中桐伸五

    中桐分科員 もう一遍確認します、これは重要なところですから。要するに、「社会的状況の急激な変化等」というものには入らない、つまり、審議会の話はもういいんです。今、状況は極めて悪くなっている。それで、そういうものには入らないというふうに理解していいんですね。はい、わかりました。  では、この再評価システムというところに言う「社会的状況の急激な変化」というのは一体何ですか。
  199. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今すぐこの場でこれとこれとこれという題でお答えすることはできませんが、社会状況の変化というのはいろいろ考えられるであろうと思われます。
  200. 中桐伸五

    中桐分科員 そんな答弁は全く私は理解できない。つまり、技術的な話じゃないんですよ、今私が言っているのは。苫田ダムが治水計画の中でどういう技術的な計算の中で出てきたか、これ自体も議論をしたいわけですが、きょうはやめておきますけれども、そういう技術的な問題じゃない、私が言っているのは。  社会的な状況の変化というものに対応、つまり私は、この苫田ダムとその関連事業が財源のたくさんの負担を伴うものだから言っているわけであって、いいですか、私どもの一生懸命一年間情報収集でやった、完璧ではありませんけれども、財政負担の計算によると、ことし以降、一九九九年以降、岡山県の負担は、この苫田ダム及び広域水道企業、いわゆる一部事務組合の水道広域化施設事業というもの、まだほかにもあるのですけれどもそれをのけておいて、それ以上負担がふえるのですけれども、その二つの関連する事業だけでも八百六十九億円要るんですよね。いいですか。毎年ですよ、毎年二十億円の負担がかかるわけですが、二〇〇七年以降はもう五十億円近い負担を毎年しなければいかぬという形になるわけね。  そういう状況の中で、まあ景気がよくなればいいという話なんだろうけれども、私は今、国際環境からいっても、日本の成熟社会、少子高齢化社会、そういったものの中からいっても、昔のような右肩上がりの経済成長というのは期待できないですよね。そういう中で、建設省もこういう再評価仕組みを導入したんだったら、その中にそういう財政の問題というのを、しかも総体的に公共事業といっても、規模の大きいものとそうでないものがあるわけですから。  私は、この苫田ダムの問題というのは非常に大きな規模の問題だから言っているわけで、優先順位からいって問題にしているわけで、これは新聞記事を後で見ていただけばいいけれども、もうそこらじゅう、歳入と歳出の調整をするために知事は大変苦労しているわけですよ。給料のカットまでやって、これ以上やるとモラルハザードが起こってやる気をなくするかもしれないという状況までいっているわけです。  そういう中で、例えば、再評価システムの中でこの事業を、ことしから本体工事を着工するというふうな話もあるんだけれども、状態がよくなるまで少し着工を先に送るとか、そんなことだって見直しの範囲に入るんじゃないかと思うんですけれども、それは全く関係ないというんですね。
  201. 青山俊樹

    ○青山政府委員 ダム等の大規模なプロジェクトにつきましては、やはり年度年度の予算要求をする際、また大蔵省との予算折衝をする際等に、絶えず、国費の負担が幾ら、県の負担が幾らになるかというのを確かめながら私どもはその作業をするわけでございまして、例えば苫田ダムにつきましても、十一年度事業費の県負担がたえ得るものかどうなのかというのも実務的にいろいろ確かめながら作業をしているわけでございます。  また、県の方からは、基本計画の変更の際に事業費が余り急激に変動しないように、またコスト縮減に努めてほしいということはお聞きしておりますし、私どもも誠心誠意、真摯に県の御意見に耳を傾けて取り組んでまいりたいと思っておりますが、再評価委員会での審議の対象に県負担があるかないかというお問いであれば、それは入らないということでございます。
  202. 中桐伸五

    中桐分科員 時間が来ましたが、大臣、全く一言も答えないというのもあれだから、一言。  この再評価システムで、社会的な状況が非常に変化した、そういう中に財政問題が入らないということは私はないと思うんだけれども、そういう答弁で、大臣もそういうふうに思われるんですか。
  203. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず、先ほど先生が社会的な変化と言われましたが、一般的に申しますれば、例えば治水あるいは利水の観点からその必要性がなくなった、例えばダムの下流に大きな工場を誘致しようとした、あるいは大きな住宅地域ができる、そういうものができなくなって必要性がなくなったというようなことが私は大きな変化の一つでもあろうと思うわけでございます。  ですから、そういう中に財政的なものが入るかどうかという御質問でございますが、地方の負担がどうしてもできないということになるならば、それは地方の公共団体からそういうような申し出が出てくるんだろうと思いまして、そのときには、先生指摘のように景気がよくなるというか、地方の公共団体の財政事情がよくなるまでしばらく休止するということは、私はあり得るのではないかな、そのように思います。
  204. 中桐伸五

    中桐分科員 では、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  205. 北村直人

    北村主査 これにて中桐伸五君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤和良君。
  206. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 私は、今全国的に話題になっております徳島県の吉野川第十堰の問題について、最初に大臣にお伺いします。  この問題につきまして、徳島市と藍住町で、住民の皆さんが住民投票条例の制定を求めて署名運動がございました。この運動について大臣はどういうふうな認識を持っていらっしゃいますか、最初に聞きます。
  207. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この住民投票条例制定を求めての運動があったということは、これは私は、国民といいましょうか、その当然の権利であって、そのことは正しいことであると思っております。
  208. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 徳島市の場合は、有権者の四九%という、十万人を上回る数でした。住民投票に参加した人たちの動機というのは、それぞれ人によって違うと思うのですね。ただ、こういう大切な問題に対して私たちにもぜひ発言する機会を与えてほしい、こういうふうな動機があったということは確かだと私は思います。  それで、公共事業を進めるに当たりまして、やはり情報公開とアカウンタビリティーという問題が大変大切なわけです。行う側が、住民の皆さんに説明をする責任というのがあるんですね。この責任について、こういう住民運動が起こったということと照らし合わせて、どのように認識しているかということを聞きます。
  209. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 住民投票の条例の制定のそういう署名運動が行われて、有権者の四九%の方の署名を得たということ、このことは、先ほど言いましたように、地方自治のいわゆる正当なる活動でございますから、これは何も間違いない。また、その条例制定を要求された問題が徳島の市議会で議論された結果、その条例案を否決したということも、これもまたルールにのっとって行われた正当な行為であるわけですから、これも何も瑕疵はない。  そこで、ただその四九%の方の重みというのは私も正直感ずるわけでございまして、したがいまして、今後いろいろな、またそれぞれの立場の方々の御意見もおありでございましょうから、それは私は、並行して十分に話し合っていくということでいけばいいんだろうと思います。  また、この可動堰にしたいというのは、建設省としては、今のままではまた大洪水になる危険性がある、可動堰であればそれを防ぐことができるという、本当に、一に防災の上からの観点でお願いをしておるわけでございまして、今後は、河川法にのっとり、あるいはまた環境アセスを進めていって、それはそれなりにまた進めていくことも正しいことであろうと私は思っております。
  210. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 新しい河川法に従いまして今後河川整備計画を策定していくわけですけれども、その中で改めてこの可動堰是か非かという再審議をするのかしないのか、あるいは、新聞では再審議するという報道が流れているんですけれども、この再審議の中身というものを一体どのように認識しているのかということですね。  それから、その際住民から有力案が提示されたらその代替案というものも検討の対象にするというコメントを事務次官がおっしゃっているわけですけれども、可動堰にするに当たって、今後の運動のあり方とか、取り組み方も含めまして、再審議というか、改めて学識経験者とか住民の皆さんとか自治体の皆さんの意見を聞く機会をつくるという意味だと理解してよろしいかどうか、この辺を答弁してください。
  211. 青山俊樹

    ○青山政府委員 第十堰の問題につきまして、再審議ということの意味のお尋ねだと理解しております。  私ども、ダム審議委員会で非常に議論を尽くしていただいたという認識は持っております。ただ、これを髪の毛一本も変えないというふうなことではなくて、これからいろいろな議論が河川整備計画河川環境影響評価に際しまして出てくるであろう、そのときには当然このダム審議委員会で議論していただいたものがベースになるというのは事実でございますが、一切変えないということではなくて、住民等の方々からいろいろな代替案が示されるようなケースがあるだろうと思いますが、それにつきまして意見を交換することはやぶさかでないというスタンスでございます。
  212. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 そうすると、新しい河川整備計画に従って、従来のダム審議会のようなものではなくて、新しい審議会のようなものをつくられる計画なんですか。
  213. 青山俊樹

    ○青山政府委員 それぞれ、例えば環境につきましては環境に関しての専門の調査をする委員会は既にできておりますし、また、将来いろいろな議論をする中で、そういった専門の先生方に集まっていただいて議論していただいた方がいいということが出てきましたら、そのような検討の専門の委員会をつくるということはあり得ると思いますが、ダム審議委員会というふうなものを再度やるという考えは持っておりません。
  214. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 これは、今後の方向として大切な問題ですから大臣にも確認したいのですけれども、今明らかになったことは、ダム審議委員会を再開するという考え方はない、これはもう結論を出しているわけですから、私もそうだと思います。  しかし、河川整備計画という中で、改めて住民の皆さんの声を聞いたり、あるいは専門の皆さんの声を聞いたり、あるいは自治体の皆さんの声を聞く、聞いた上で慎重に推進をしていきたい、少し時間をかけても慎重に推進していきたい、こういうふうな基本的な姿勢だ、このように理解してよろしゅうございますか、大臣。
  215. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生のおっしゃるとおりです。
  216. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 よくわかりました。  私は、この問題について私なりにいろいろ考えてきたわけでございますが、いわゆるこの第十堰という堰は江戸時代からある堰なんですね、原型は。明治のころから、この堰は危険だから改めた方がいいという意見はやはりずっとあったわけですね。それはどうして危険かというと、やはり洪水になる心配がある、だから人命あるいは財産というものを損なう心配がある、こういうことなんですね。また、吉野川というのは暴れ川でございまして、吉野川のその歴史というのは、本当に洪水の歴史なんですね。ですから、その周辺の地域の人たちは常に洪水への備えをしているわけですよ、おうちの二階がそのまま船になるおうちに住んだり。そういうものを、そういう歴史を知っている人は、あの第十堰を可動堰にするのは賛成だ、当然のことだ、こう認識をしていると思います。  私も、生命と財産を守るというために、抜本的な洪水対策として可動堰にするということは賛成です。賛成ですが、これは住民の理解がなくてはできないという側面も当然あります。  それで、住民の皆さんに対して、どうも可動堰にする本質の問題、生命と財産を守る、洪水に対する抜本的な河川の改修工事なんだという本質の問題が理解されていないのではないか、こういうふうな危惧をいたしておるわけでございますが、それは、ここ五十年ぐらいの間、本格的な洪水がないんですよね。ですから、過去のことを知っていたり、そこに長く住んでいる人というのはすぐわかるわけですけれども、若い人たちとか新しい住民の人たちというのはなかなかその本質が理解しにくい問題があるのではないか、こういうことでございまして、改めて、可動堰にする目的と申しますか、その本質の問題を丁寧に住民の皆さんに御説明をしていく、同意をいただく、こういうことを考えることが大切ではないかと思います。
  217. 青山俊樹

    ○青山政府委員 非常に本質の説明がなされていないじゃないか、住民の方々に理解されていないのではないかというお問いかけでございます。  私どもも、その改築の必要性について、洪水から生命財産を守る、川の中に土でできた堤防があって、その間の川の中にかたいものがあると、非常に洪水時の流れが複雑になり、また土の方がその堰よりもやわらかいものですから、それがやられて命の堤防を破堤してしまう可能性があるというふうなことを十分説明してこなかった、その説明が不十分であったということは、率直にそのように痛感いたしておる次第でございます。  このため、今後、第十堰の改築の必要性につきましてより一層地域住民に御理解いただくために、その本質を御理解いただくために、地域ごと説明会実施、また定期的な公開での対話集会の開催等をきめ細かく行いまして、住民の方々の疑問に答えていくと同時に、本質を理解していただく努力をしてまいりたい、かように考えております。
  218. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 ついせんだって、五千人の皆さんが集まって、可動堰を早期につくってくださいという集会があったんですね。そのときに参加した人たちの話を聞くと、やはり一番感動したのは洪水の体験談だったというんですよね。いわゆる土木用語を使っての説明というよりも、原体験、それが人々の魂を動かした、こういうことがあるわけですね。  いろいろな説明建設省も県も一生懸命しているんですけれども、その説明が住民の心に落ちていないというか響いていないというか、そこのところが一番のこの問題の本質ではないかと私は思うんですね。ですから、やはり住民の心に響くような説明の仕方というものをぜひ考えてほしい、こう思います。
  219. 青山俊樹

    ○青山政府委員 先生指摘のとおりだと痛感いたしております。  一生懸命私どもも、住民の生命財産は非常に大切なものだという認識を持っておりますので、心に響く説明という言葉の重みをかみしめながら今後住民への対応を考えてまいりたい、かように考えております。
  220. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 今後の見通しですけれども一つは、先ほども申し上げました河川整備計画の中でのいわゆる再審議をいつから始めて、どういうふうに計画を進めていくのかという問題があります。それからもう一つは、いわゆる環境影響評価ですね。これについても、いつから始めていつをめどにするのかという二つの問題があるわけですが、この二つの問題は並行して行うんですか。どっちかを先にやるんですか。
  221. 青山俊樹

    ○青山政府委員 河川整備計画の策定と環境影響評価につきましては並行して進めてまいりたい、かように考えております。
  222. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 それから、河川整備計画の策定に当たって、橋本事務次官が住民の意見を反映させる具体的な手法について近く公表したい、そういう旨の新聞記事を私は読んだんですけれども、そういう計画はあるんですか。
  223. 青山俊樹

    ○青山政府委員 事務次官が記者会見でお話しになったことを引いての新聞報道だろうと理解しておりますが、事務次官の御趣旨は、第十堰の改築の必要性についてより一層地域住民に理解をいただくために、徹底的に、また心に落ちる説明をするということと同時に、地区ごとの説明会実施とか定期的な公開での対話集会の開催等をきめ細かく行って、住民の疑問に答えていくというふうなことをやるべきであるというお考えを述べられたものだと認識いたしております。
  224. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 住民レベルだけではなくて、議会のレベルですね。阿波町の議会から意見書が出されたということを聞いているのですが、十分な理解のない状態で意見書が出ているというふうにも認識できます。  ですから、やはり住民のレベル、これはもちろんですけれども、直接関係のない地域の方々は余り関心を持っていない部分もあるんですね。しかし、これは徳島県にとっては大変大切な話ですから、五十市町村あるんですけれども、ここの全部の議会の皆さんにやはり十分な理解をしてもらうということも、代議民主政治という観点からいえば大変大切な話ですね。  ですから、市町村の議会のレベル、住民のレベル、あるいは川の中流や下流だけじゃなくて上流の人たちまで含めて、情報を公開して広くこの問題について理解を求める、こういうふうな努力をすべきだと私は思いますが、どうでしょう。
  225. 青山俊樹

    ○青山政府委員 公共事業につきまして、特に第十堰のような話題になっておりますプロジェクトにつきまして、住民への理解を求めることと同時に、市町村議会も含め、また市町村長さんも含め、そういった地方行政の責任者の方々にも十分な説明を、仮に上流域であってもやっていくという姿勢を持って説明をしてまいりたい、また理解を求めてまいりたい、かように考えております。
  226. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 ですから、洪水の危険というか心配というものを、百五十年に一遍とか百年に一遍の洪水だとか危険とかいうふうな説明、私は大変抽象的過ぎると思うんですね。  一番身近な話は、去年高知で大きな水害がありました。関谷大臣も何回も行かれたわけですけれども、私も二回ほど行ってきたんですが、二万四千戸、床上床下浸水したわけですよね。あのときの雨は非常にすごい雨でして、一年間の降雨量の半分が二日間で降ったとか言われているんですが、もし高知水害のような雨が吉野川の上流で降ったら、これはどうなります、こういうふうな例を通して洪水というものに対する情報を公開していくというのが最もリアルだと思うんですよ。  こういうシミュレーションというのはそんなに難しくないと思うんですが、そのシミュレーションをして情報を伝える、こういう気持ちはありますか。
  227. 青山俊樹

    ○青山政府委員 確かに先生がおっしゃるように、確率で物を言うと極めて抽象的なことになってくるわけでございます。実際に降った雨をベースに物を言うという方が、体験された方にとってははるかに実感がこもるわけでございまして、私どもも、そのような表現方法についても十分研究してまいりたいと思っております。
  228. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 これは、私は本当にそのシミュレーションができれば説得力がある話になると思うんですよ。ぜひそういうふうに、住民の皆さんに身近な問題として、去年高知でこんなことが起こった、二万四千戸がつかったんです、同じような雨が降ったら徳島ではこういう心配がありますよということを直接提示する、それぐらいの努力はぜひすべきだ、こう思います。余り難しい専門用語を使って説明しても、本当に住民の心に落ちないです。ぜひその工夫をお願いしたいと思います。  それから、関谷建設大臣にこの機会に聞きたいのですけれども、公共事業について今いろいろな角度から議論があるわけですね。極端な話、公共事業悪玉論みたいな話もあります。公共事業というのは、やはり現役世帯が未来世帯に残す大変大切な社会資本だと私は認識しているわけですね。ですから、公共事業というのは一体だれがだれのために何の目的でやっていくのかということを、この際はっきり示していくということが大切だと思います。  そういう観点から、第十堰に即してそういう観点から考えればどういうふうに表現できるのか、あるいは今後の公共事業のあり方について、基本的な大臣の認識を問います。
  229. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生からいい御質問をいただいたわけでございまして、私が七月の末に建設省へ参りましてから後、補正予算予算委員会あるいは本会議、また今回の通常国会のそれぞれの委員会等々でよく質問されますし、また、マスコミ関係でよく記事になっております問題がそのことでございます。公共事業、いわゆる旧来型の公共事業であるとか、あるいは公共事業では景気は喚起されないのではないかとか、いろいろなこと、いわゆる先生がおっしゃった悪玉論的なことが載っております。  私は静かに考えてみましても、まだ日本の社会資本の整備というのは十分に行き渡っていない。道路の整備を早くしてほしい、高規格幹線道路を早く完成してほしい、高速道路二車線を四車線にしてほしい、いろいろあるわけでございまして、景気の対策からも、また社会資本の整備はまだ道半ばであって十分でもないから、公共事業というのは進めていかなければならないと私は思っております。  ただ、戦後五十四年たってまいったわけでございますが、その間の公共事業に対します考え方、国民の皆様方の理解度、あるいは景気を喚起する分野の即効性であるとか効果の大きさ等とか、いろいろなことが変わってきておると思います。  そこで、やはり生活関連、生活を豊かにする、いわゆる生活そのものに直結した分野の公共事業の方向に今後はずっと流れていくと思います。また、そうなっていかなければならないとは思うのでございますが、今の時点においては、私は公共事業の必要性というものはまだまだ高いものがあると確信をいたしておるわけでございます。ですから、二十一世紀の若者が、やはり生活水準をモデレートなところに置いて、豊かな、そして安心して生活のできる、そういう社会資本をつくっていきたいと私は思っております。  ですから、そういう観点から、この吉野川の問題についても、住民の生活の安全、洪水にならないようにするのには可動堰がいいというのは、これはもう技術的にもいろいろな方がそういうふうに指摘をされておるわけですから、私はこれはこれで進めていくべきであると認識をしております。  ただ、その過程においてやはり、またこれも社会情勢の変革でございますが、アカウンタビリティーといいましょうか、説明責任というものは確かにあるわけですから、これを凌駕していく。ですから、この吉野川の河口堰のことにしても、私は、我々の後輩に、安心して安全な日々を過ごすことができるような、その大きな要諦であろうと思っております。
  230. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 時間がなくなりましたので、私の思いを少ししゃべらせていただきたいと思います。  青山士さんという内務省の技監がいますが、この方は、明治十一年に静岡県で生まれて昭和三十八年に八十四歳で亡くなった人です。若いときにパナマ運河に単身で行きまして土木工事を勉強して、日本に帰ってから、荒川の放水路、信濃川の大河津分水路、この二つの、戦前の二大国家プロジェクトと言われるものを推進してきた方なのです。  私が取り上げたいのは、この青山さんの記念碑というのがあるのです。荒川の方にはこう書いてあります。「此ノ工事ノ完成ニアタリ多大ナル犠牲ト労役トヲ払ヒタル我等ノ仲間ヲ記憶センカ為ニ 神武天皇紀元二千五百八十二季荒川改修工事ニ従ヘル者ニ依テ」と書いてありまして、最高責任者である青山さんの名前は書いてありません。  それから、信濃川の方は二つ碑がありまして、一つは、裏と表がありまして、表の方に「萬象ニ天意ヲ覚ル者ハ幸ナリ」と書いてある。裏の方は「人類ノ為メ國ノ為メ」と書いてあります。人類のため国のためというのが青山さんの考え方なのですね。当時は、国のため人類のためという世相だったと思うのですけれども、あえて「人類ノ為メ國ノ為メ」と書いてあります。  そして、もう一つの碑の方は、従業員一同の碑なのですが、「本工事竣工のため四星霜の久しきに亘りて吾等と吾等の僚友が払いし労苦と犠牲とを永遠に記念せんがために」と書いてありまして、ここにも青山士さんの名前はありません。  私は、やはり公共事業に携わるといいますか、推進する精神というのは青山さんのごとくでありたいと思うのですね。棟方志功さんも、この人類のため国家のためにという言葉はいい言葉だ、いい言葉だと何度も褒めているという話もあるのですけれども、やはりそういう気持ちで公共事業推進していけば、当然住民の皆さんは、理解どころか大賛成で、本当にぜひという話になると思います。  このことを、実は昔青山局長に連れていってもらったところなので、記憶を鮮明にしつつ、今、国会図書館で本を借りてきまして読ませていただいたところでございます。  もう一つ質問があったので、ちょっと続けて申し上げますから、答えだけお願いします。  徳島県で流域下水道の事業が来年度から採択になりましたが、この完成のめどを教えていただきたい。そのときに、できれば光ファイバーの設置をして、将来のための社会資本整備を進めてもらいたい、こういう要望です。  もう一点は、道の駅の整備計画ですけれども、これは四国に今四十四カ所あるのですが、私は八十八にしたいと思っているのです。来年度か再来年度の建設見通しですね。  それから、徳島県の那賀川町がありますが、これの完成のめどはついているかどうか、あわせて答弁していただきまして、終わります。
  231. 山本正堯

    ○山本(正)政府委員 流域下水道の問題でございますけれども、徳島県の下水道の普及率は平成九年度末で一〇%と極めて低いところでございます。私ども、十一年度から、徳島市、鳴門市、藍住町等の二市四町を対象とする旧吉野川流域下水道事業に新規着手するということでございます。今後、早期着手、早期供用に向けて鋭意支援をしてまいりたいというふうに考えております。  具体的に、これからいつまでの事業計画で、どれぐらいの支援をしていくかということについては、今後検討していきたいというふうに考えております。  それから、光ファイバーの話でございますけれども、光ファイバーにつきましても、下水道施設の有効利用という観点から大変有効でございます。情報化社会に対応すべく、徳島県において今現在検討中というふうに聞いております。導入に向けまして、私ども建設省としても積極的に支援をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  232. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 道の駅でございますが、全国で今四百七十カ所登録されておりまして、四百四十八カ所ができておる。四国で四十四カ所でございまして、四十一カ所ができております。徳島では六カ所の状況でございますが、今の五カ年計画の間に二百カ所新たにつくっていこう、それから、将来的には二倍程度にふやしたいというふうに考えております。  そういうようなことで、四国において、今先生の言われたようなことも、これから地元自治体とも協力しながら進めていきたいと思っております。  それから、那賀川町の道の駅でございますが、ことしから着工しまして、十二年度には完成するという予定で進めております。
  233. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 ありがとうございました。
  234. 北村直人

    北村主査 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。  次に、平賀高成君。
  235. 平賀高成

    平賀分科員 日本共産党の平賀高成でございます。  私は、中小建設業者の仕事の確保と下請単価の切り下げを是正する問題で質問をいたします。  今深刻な不況のもとで、中小建設業者は極端な仕事不足と下請単価のすさまじい切り下げに苦しめられております。昨年、首都圏だけでも、自殺に追い込まれた中小建設業者は百数十名に上っております。中小建設業者の置かれている状況はまさに戦後最悪の事態であります。  昨年末、浜松市でも、静岡県内で最大手の雪島鉄工が負債総額百億円を抱えて倒産をいたしました。今和議申請を行い、労働組合も債権者も一緒になって、仕事を続けながら再建に立ち上がっております。  私は、どうしてこんな大きな会社が倒産をするのか不思議に思って、関係者の方々からお話を伺ってみました。鉄骨の仕事はほとんどが大手ゼネコンからの下請です。ゼネコンの下請単価の切り下げが行われ、中小の鉄骨業者は赤字覚悟で下請せざるを得ないのが実態です。また、静岡県議会でも大きな問題になりましたが、大手ゼネコンが県発注の公共事業地元中小建設会社とジョイントベンチャーを組んで参入し、実際は地元の中小建設会社には仕事が回らず、大手ゼネコンが仕事を独占しています。今中小建設業者の仕事を確保すること、下請単価の切り下げを是正することは急務であります。  そこで、まず初めに、大手ゼネコンと地元中小建設業者とのジョイントベンチャーについて聞きます。  建設省は、「共同企業体の在り方について」の中で、共同企業体の弊害として、「実際に共同施工を確保することが困難である。」このことを挙げています。共同施工の確保というのはこれまでも問題になってきましたが、出資比率に応じて、そこに参加した地元の中小建設業者が実際に仕事をやるということですね。大臣に伺います。
  236. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えしたいと思います。  先生、ジョイントベンチャーのことについての御質問でございますが、ジョイントベンチャーは、御承知かと思いますが、戦後の我が国の建設業の中で、お話ございましたように、例えば大規模な工事について、まだそれぞれの企業の力が足りないということを、複数の企業が安定的な施工をやる場合、あるいは中小企業の方々に技術的ないわば能力を高めるという意味で経験を積んでいただく、あるいは中小同士でより企業体としての力を持っていただくということで、中小建設業者を中心とする経営力とかあるいは施工力の向上ということでやってまいっております。  しかし、現在は時代が大分変わってまいりまして、個々の企業もそれなりに力を持っておりますから、基本的にはジョイントベンチャーも大いにこれからも活用されていくと思いますが、一方では、個々のいわば企業の力を高めていくということも一つ建設業としてあるべき姿ではなかろうかと思っております。
  237. 平賀高成

    平賀分科員 そういうことを聞いているんじゃなくて、ちゃんと答えてほしいのですが、共同企業体をつくる本来の趣旨というのは、実際に共同して仕事をやることではないのかということについて答えてください。
  238. 木下博夫

    ○木下政府委員 おっしゃられたように、企業体の発注は当然それぞれの能力を、今申し上げました趣旨で企業としての力を高めていただく意味でございますから、おっしゃった趣旨で発注されるのが前提だと思っております。
  239. 平賀高成

    平賀分科員 実際に仕事をやるという趣旨だという説明がありました。  浜松市に今建設中の県立文化芸術大学の工事は、大手ゼネコンと地元中小建設業者のジョイントベンチャーが受注をしました。その第一工区は六十八億円で、ジョイントベンチャーの出資比率は、清水建設が三四%、フジタが三〇%、地元の中小建設業者は三社で三六%の出資となっています。第二工区も六十八億円で、間組が三四%、安藤建設が三〇%、地元の中小建設業者が三社で三六%の出資となっています。  これら二つのジョイントベンチャーの実際の工事は、大手ゼネコンが自社の傘下の下請業者を連れてきてほとんどの仕事をやっています。地元の中小建設業者は監督員を一名共同企業体に出しているだけで、実際に仕事を引き受けてはおりません。  これは県議会の中でも大問題となって、出資比率に応じて仕事をやっているとみんなが思っていました。ところが、実際は違うわけです。  建設省は、地元の中小建設業者がジョイントベンチャーの出資比率に応じて実際に仕事ができるように、大手ゼネコンを運営指針に基づいて指導するべきではないのですか。
  240. 木下博夫

    ○木下政府委員 例として引用されました工事がどういう状態か、私もつまびらかには承知しておりませんが、お話ございましたように、もともと企業体の発注は、先ほど来申し上げておることでございまして、各企業が出資比率に応じた責任を持って施工に当たるということでございますから、当然今回の場合も、発注者はそういう視点で現場が運営されていると理解しておると思っております。
  241. 平賀高成

    平賀分科員 これは、私の調査によりますと、実際は違うのですね。実際に、大手ゼネコンと地元の中小建設業者のジョイントベンチャーというのが、県発注の公共事業に参入していくその手段になっているわけです。実際に中小建設業者の仕事を奪う実態になっているわけですから、私は、ぜひこれがまともな状態になるように指導を求めておきたいと思います。  それだけではなくて、共同企業体の運営は、大手ゼネコンが幹事会社となってやりたい放題というのが実態であります。先ほどの文化芸術大学のジョイントベンチャーでも、大手ゼネコンによって利益率一%程度の予算地元中小建設業者に押しつけられております。六十八億円の工事で一二%の出資比率でいいますと、わずか六百万円から七百万円の利益、こういう状況です。  こうした事態は業界内でも大きな問題となっておりまして、昨年の日経コンストラクションの特集記事でも出ているのですが、「「スポンサー」と呼ばれるジョイントベンチャーの代表会社は、息のかかった協力会社と二重価格を設けて取引し、その差額をせしめる。いわゆるスポンサーメリットが、いつまでたってもなくならない。」「実行予算を決めるに当たり、ひと悶着あった。スポンサー企業は材料費や外注費を高く設定し、粗利益が少なくなるように予算を組んだ。当社が作成した予算では、少なく見積もっても八%の粗利益が出る計算だ。ところがスポンサー企業の見積もった粗利益では、たったの一%だった。」このように日経コンストラクションでも書かれております。  そして、運営委員会で、ジョイントベンチャーのスポンサー企業が粗利益を控え目に見積もっても八%あるとしたところを一%としたために、異議を唱えてけんか腰で迫ってみた、最後は結局、会社の格の違いに押し切られた格好だ、こういう事態を告発しているわけです。こうした大手ゼネコンの横暴は日常的に行われているということでありまして、ゼネコンのこうしたやり方を是正させるべきではありませんか。
  242. 木下博夫

    ○木下政府委員 今引用されました例については、私ちょっとお答えするだけの余裕はございませんが、お話ございましたように、発注機関についてはかねてより共同企業体の運用準則、あるいは、それぞれの企業体を構成される建設業者に対しては共同企業体の運用指針というのを決めまして、それぞれ今まで既に指導してまいっております。  お話のございましたように、各企業体がそれぞれどういう責任を持つのかということでございまして、それぞれの工事の規模あるいは内容によって、各大手それから地元の企業の方々がそれぞれ円滑にいくというのが本来のいわば共同企業体の持ち味になるわけでございますから、これからも我々は、それぞれの企業が能力を十分発揮できるようには指導していきたい、こう思っております。
  243. 平賀高成

    平賀分科員 今言われた状況で運営委員会というのをつくって、そこでいろいろ決められているということなのですが、しかし、それは形式上の問題であって、実際には、そういう各企業のいろいろな話し合いがあったとしても、これは最終的には、自分たちの会社よりももっと技術的にも大きな会社で資金力もあるというそこのところに異議申し立てをしたら、実際に自分たちは仕事を干されてしまうという状況があるわけです。ですから、そういう実態をしっかりと踏まえて、ぜひまともな指導を私は要求したいと思います。  政府は、これまで毎年、中小企業者に関する国等の契約方針を閣議決定して、中小企業者への発注目標や分離分割発注の推進、中小建設業者の受注機会の増大などの方針を掲げています。しかし、これまで述べてきたように、ジョイントベンチャーを組んでも、大手ゼネコンが仕事を独占し、地元中小建設業者の仕事を奪う結果となっています。今こそ、直接中小建設業者が仕事を確保し、直接受注できるように、公共事業の分離分割発注をもっとふやすべきではありませんか。今度は大臣に質問をします。
  244. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 地元の中小建設業者あるいはまた元請それから下請の方々に対します、このような非常に建設業界も熾烈な競争の状態になっておる中で、先生指摘のように、そういう中小企業の方々に受注の機会をいかに多くしていくかというようなことは、省を挙げて確保に当たります努力をいたしております。いたしておりますが、正直に申し上げまして、我々の努力がそのまま私たちの期待するほどの効果のところまではいっていないと思っておりますから、なお努力をしていきたいと思います。
  245. 平賀高成

    平賀分科員 私は、この問題というのは、今始まった問題じゃなくて、ずっとその前からいろいろ問題になってきた問題だと思うのですね。それをやる上で一番問題なのはどこなのか、この点についてはどう思っているのですか。
  246. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ですから、こういう時代でございますから、そうなりますと、先生が頭に描いていらっしゃる、大手の経営者のいわゆる企業感覚というものであろうと思いまして、また、そういうことも大手の方々に私たちもお願いをしておるところでございます。
  247. 平賀高成

    平賀分科員 私、この仕事の確保という問題については、やはりこういうジョイントベンチャーを組みましても実際にはゼネコンが仕事を独占する、こういう状況にあるわけですよ。ですから、これは指導指針に基づいて、まともな指導をやはり大臣がきちっとやっていくという、ここのところが私は一番大事だと思うのですね。この点では、本当に建設省としてみずからの方針を持っているわけですから、このとおりにしっかりと指導をやっていただきたいと私は思いますが、この点どうなんですか。
  248. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私は、私のできる限りのことはしておると思いますが、日本は、御承知のように自由経済社会、自由競争の社会でございますから、法律的にそれをどうこう縛るということはなかなかできない現状です。ですから、今の法体制のもとでできる限りの努力は今後もしたいと考えます。
  249. 平賀高成

    平賀分科員 仕事の確保も大変ですけれども、下請単価の問題というのも大変重大な問題になっています。特に中小建設業者は、ゼネコンによる下請単価の切り下げで赤字覚悟で仕事をやらざるを得ない、こういう状況に追い詰められています。  私は、鉄骨業界の取引の実態を聞いて驚きました。鉄骨の仕事は、そのほとんどが大手ゼネコンからの下請になっています。例えば、大手ゼネコンから下請鉄骨業者に電話で、どこそこに何千トンの物件がある、トン当たり何万でどうだと打診があって、それでいいということで下請の鉄骨業者は仕事を引き受けることになります。商社を通して材料を発注して、大手ゼネコンから実施設計が届いて、それに基づき下請の鉄骨会社が工作図を作成し、その工作図をゼネコンのところに持っていき、了承をされると加工が始まり、製品は現場に輸送され組み立てられる。工事が終わるころになってもまだ単価が決まらない。そのまま、最終的にはゼネコンから初めの安い単価がさらに値切られる、これがその取引の実態になっている、こういう状況です。そして、ゼネコンから着工指示書さえも受け取っていない、こういう状況です。  建設省は、鉄骨業者の下請単価が決まらないまま仕事をせざるを得ない、こういう前近代的な取引関係の実態を知っていますか。
  250. 木下博夫

    ○木下政府委員 鉄骨建設業だけではなくて、先ほど来申し上げておりますように、やはり建設生産システムの中にはいろいろ種々問題があることは私たちも承知しております。  しかしながら、問題は、昨年の十一月十九日付でも通知を出させていただいていますが、やはり両者間の力関係ということで、再々御指摘がございますが、何といいましても書面による契約とかあるいは現金払い促進というのはかねて我々も相当厳しく各業界にも指導しております。それから、こういう経済環境でございますから、もともと発注者サイドからおりてまいります、公共事業は別でございますが、民間の建築などについても、相当厳しい条件もあることも前提条件として我々も考慮しなきゃいけないと思うのですが、そういう環境の中でよりいいものをつくるという意味では、下請いじめということが適切でないことは当然我々が言うまでもないことでございます。  今申し上げましたようなことで、実態調査をして、その把握、調査した結果を今集計しておりますが、こういう中にも幾つか問題点はありますから、今後さらに、御趣旨を踏まえながらですが、元請下請関係の適正化ということに努めてまいりたい、こう思っております。
  251. 平賀高成

    平賀分科員 実際に鉄骨業界の最近の取引では、トン当たり十万とか八万という下請単価の押しつけが行われると私も聞いています。材料費だけでもトン当たり七万、八万で、加工費用もこれと同じぐらいかかるわけです。ゼネコンの単価の切り下げは極端であって、半値の八掛けというもので、これはやればやるほど赤字になるという、採算性を全く無視した、そういう状態にあるわけです。  それで、鉄骨大手五十八社が加盟する社団法人鉄骨建設業協会がつくった「建築鉄骨建設業ビジョン」によりますと、「現状は旧態依然の片務契約の傾向が強い。今後、」「長年の不合理な商慣習の是正が必要である。」このように建築鉄骨建設業ビジョンは、そういうことをちゃんと指摘をしているのですね。そういうことを指摘して、不合理な商慣習を改善するために、さらに「見積条件書添付活動」、その中には「工事着手は、契約後と致します。契約は、書面による請負代金額および工程表の合意をもって成立と見なします。」こういうことを書いてあるわけなんですが、こういうものまでつくってまともな契約を求めている。これは本来当たり前のことなんですね。当たり前のことをあえてこの鉄骨建設業協会は、建設省にも、それから大手ゼネコンにも、さらには中堅のゼネコンにも、不合理な商慣習の改善を要請しているわけです。さらには、全国の約四千の業者が加盟する社団法人全国鉄構工業連合会も同じような状況に置かれています。  そこで、大臣に伺いますが、こうした大手ゼネコンと下請である鉄骨会社が書面によって契約を行わないことが商慣習になっているこの実態というのは、建設業法十八条の公正な契約を締結すること、第十九条での書面で契約をするという建設業法に違反するものであって、大手ゼネコンの下請に対するこうしたやり方を直ちに、大臣、改善するべきではないですか。
  252. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 その点、書面による契約それから極力現金の支払い等々などは、今建設経済局長が述べましたように、これは建設産業における生産システム合理化指針等によりましても何度となくそういう指導は現にいたしております。
  253. 平賀高成

    平賀分科員 なぜその指導をして、これは明確な法律違反じゃありませんか、なぜ直らないんですか。
  254. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 これはそういう指導ということでございまして、罰則規定がないものでございますから、そこで先生指摘のように、もう一つ強く行き渡ってないということが正直のところだろうと思います。
  255. 平賀高成

    平賀分科員 これは罰則規定がないということが最大の問題であるんでしたら、これはそういうことが改善されるような方向で今いろいろされているんですか。
  256. 木下博夫

    ○木下政府委員 ちょっと補足的に御説明させていただきますが、先生おっしゃたように、十九条の違反については罰則規定はございませんけれども、例えば指示処分等のことはございます。ただ、それを発動しているかといいますと、ケースとしては少のうございますが、問題はまずは民間同士の契約でございますから、先ほど来申し上げたように、やはり近代的な産業として建設業が伸びていただくためには、かねてより指導しているようなことを我々もさらにやっていきたいと思います。  それから、我々もいわば元請の意見だけを聞いているわけじゃなく、それぞれの専門工事業グループにも年何回か御意見も聞きまして、どういうところが実際問題、課題としてあるのかということで、そういう意味では、御紹介いただきましたが、鉄骨関係の工事業協会などからもかなり前向きな御提言もいただいておりますから、そういうものを元請にぶつけたり、あるいは大手の方々とそういう専門工事業者と同じ土俵で御議論をいただくことも最近は相当多くなってまいりました。確かに時間はかかっているかと思いますが、私は、長い目で見ますと、相当元下関係については改善されてきていると思いますので、なお一層その辺については御指摘をいただいたことも含めてやってまいりたいと思っております。
  257. 平賀高成

    平賀分科員 いろいろ言われましたけれども、こういう違法な事態というのは建設省の組織を挙げて絶対に許さない、こういう立場で指導するということですか。
  258. 木下博夫

    ○木下政府委員 先ほど来申し上げましたように、実態調査も把握しておりますし、しっかり我々は指導いたしたいと思っております。
  259. 平賀高成

    平賀分科員 こういう違法な状況というのは、やはり大臣がこれは明確にきちっと指導する、そういう立場に立つことが私は大切なことだと思います。  特に、建設業法の二十四条の七の項目につきましても、施工体制台帳をつくって下請名だとか、それから単価が幾らだとか、そういうことをしっかり明記せよとなっていて、発注者の求めに応じて閲覧させなければならない、こういうことが決められているにもかかわらず、しかし、それでもなおかつ、契約書なしという、常識では考えられない事態が進んでいるわけです。ですから、建設省は本当にこの問題について真剣に指導することが求められていると私は思っています。特に、こういう問題というのは、これは鉄骨業界だけではなくて、大手ゼネコンによる下請単価の切り下げというのは、中小建設業者をやっていけるかどうかの瀬戸際に追い込むという、本当に深刻な状態にあるわけです。  愛知県で私どもが県下の千八百二十五社に不況に関するアンケートを行っていますが、回答した会社はまだ多くはないものの、採算割れの契約でもやらざるを得ないと回答している下請中小業者は五二%にも上っています。また、静岡県の内装工事業協会が県に対して要望した内容を見ますと、ゼネコンが下請に対していかに高圧的に適正価格以下で我々に無理を押しつけているのか、半分おどしであり、調査してもらいたい。さらに、型枠工事業協会では、受注先が一〇〇%ゼネコンであり、工事費に占める割合が大きいため、単価たたきが大きいと県に対して是正を要望しています。  ゼネコンの下請の単価切り下げが横行し、適正価格を無視した低価格で工事を引き受けないと今後仕事を回さないなどの、こうした事例が後を絶たない実態にあるわけです。  中建審でも、元請下請取引の適正化は大きな問題になっています。建設省はゼネコンの下請単価切り下げをやめさせるべきではありませんか。
  260. 木下博夫

    ○木下政府委員 契約そのものはそれぞれの民事上の契約でございますから我々が立ち入るにも限界があろうかと思いますが、私たちも、先ほども質問がありましたが、元下関係についての適正化というのは建設業に課せられた課題の最重要課題と申し上げてもいいと思いますが、そういうことで考えておりますし、施工台帳についても普及がまだまだ遅いということも私たち感じておりますが、今般のいわゆる緊急対策の中にはそれを入れさせていただきまして、発注者の力をおかりしながらこれの普及に努めてまいりたいと思います。  いずれにせよ、いいものをつくるためには、下請をいじめて決していいわけじゃありませんので、そういう意味では、元請といいましょうか、そういうものの責任は、全体的な工事の管理も含めてですが、それなりの責任をちゃんととっていただくような、そういう体制づくりを我々もさらに進めていきたい、こう考えております。
  261. 平賀高成

    平賀分科員 今の答弁で、これは民間民間の間の契約の問題だということが言われましたけれども、これに対しては建設省は余り関知しない、介入しないということなんですか。
  262. 木下博夫

    ○木下政府委員 私申し上げましたのは、元下のそれぞれの業者が取り決める契約という意味民間と申し上げましたが、先ほど来申し上げておるように、この契約について、例えば書面でやるとか現金払いをできるだけ進めなさいというような項目を、お聞きいただいたとおり、そういう指導なり指示はさせていただいているわけでございますから、一切関知しないという姿勢はないわけでございまして、そこは誤解がないようによろしくお願いします。
  263. 平賀高成

    平賀分科員 今言われましたことは、これは民間の取引であったとしても、そういう下請と元請の関係に不正常な事態があった場合はしっかり指導するというのが建設省の立場だということを私は確認したいと思います。これは中央建設審議会でも、元請と下請の適正化ということで、元請下請取引は民間同士の契約であって、本来、自由な経済活動にゆだねるべきであるが、行政においても、これはいろいろ問題があった場合必要な関与を行うべきだということを言っているわけですから、ぜひその辺については積極的に是正をしていただきたいと思います。  最後になりますが、ゼネコンがいかに中小建設業者の仕事を奪っているのか。私は静岡出身でありますので、静岡の実態をちょっと言いますと、例えば特別養護老人ホームや小学校や図書館、こういうものにまで大手ゼネコンが参入をしてきています。  建設業者の仕事の確保のためには一体何が今求められているのか。これは、私は、一つには、分離分割発注をもっとたくさんやるべきだと思います。そして、二つ目には、中小企業同士のジョイントベンチャーをもっとふやすべきだと思っています。そして、三つ目には、規模別のランクを超えて今大手ゼネコンが中小業者の分野にも参入してきていることを是正すること、そして、ゼネコンによる下請単価切り下げなどは直ちに改善されるべきことを私は最後にもう一度要求して、質問を終わります。
  264. 北村直人

    北村主査 これにて平賀高成君の質疑は終了いたしました。  次に、岩浅嘉仁君。
  265. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 自由党の岩浅嘉仁でございます。  長時間本当に御苦労さまでございます。また、十三人目でございますし、先ほどは徳島の大先輩の遠藤議員さんからもいろいろ質問がございましたので、できるだけ手短に、短時間に終了させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。  重複をすると思いますけれども遠藤先生からも御質問があったと思いますが、第十堰の問題でございます。  御承知のとおり、徳島市議会は、二月八日、住民投票条例を否決されました。十九日に北岸の藍住町議会で同じ審議がなされるわけでございます。  このような動きの中で、二月七日には地元でいろいろ報道がされまして、「建設省、第十堰を再審議」あるいは「可動堰先延ばし」あるいは「アセスに三〜五年」等々の新聞記事が報道されました。翌日の記者会見でも、橋本事務次官が、可動堰着工に時間がかかる等の発言がございまして、一部には建設省の内部にも不協和音があるようにも受け取れる内容であったわけでございますが、去る二月九日の大臣記者会見で、可動堰計画はこれまでどおりすべてルールにのっとり進めていく、こう明言をされたわけでございます。  したがって、先般の大臣発言で、これが建設省の正式見解だ、こういうふうに地元として思っておっていいのかどうか、まず関谷建設大臣にお伺いいたしたいと思います。
  266. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 もう一度復習をさせていただきたいと思うのでございますが、先ほど遠藤先生の御質問にもございましたように、住民投票条例を住民の方が提出したということも、これも正しいことでございます。そしてまた、可動堰にするのが妥当である、いいことであるという審議会での答申ももらった、そしてまた、その住民条例法案を市議会が委員会そして本会議において否決をしたというのも、これも法律にのった、何ら瑕疵のない正しい対処の仕方であった。  いずれにいたしましても、そういうようなことでずっと今日まで流れてきておりまして、事務次官の、あの翌日の新聞の報道を見ますと、私も先生の御指摘のような意味にとりました。それで、私は正直びっくりいたしまして、ちょうど閣議がありました後での記者会見で、これは事務次官はこういう意味で言っている話ではないと思う、また後で確認をしたいということでございました。  それで、その後、事務次官が記者会見のときのコピーを持って私のところへ参りまして、それを見ますと、私があの新聞報道を見て驚きましたようなことは、実際は言っていないのです。事務次官が言っておりますのは、今後、また住民の方々となお一層話し合いは進めていく、そしてまた、その住民の方々の方から何かしっかりとした代替案があるのならば、それを頭から拒否するものではない、そういうようなことは検討することはやぶさかでないというような意味を言っておりました。ですから、私は、事務次官に、そういうことをはっきりと言わないと皆さんに大変な迷惑をかけることになりますよということは伝えておったわけでございます。  ですから、今の建設省の姿勢は、この可動堰に向かって、環境評価等を通して、それで問題がなければ今までどおり整々粛々と進めていくということには間違いはありません。  その間に、住民の方々になお一層説明をしていくということは、もちろんやってまいります。
  267. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 ありがとうございました。  先ほども遠藤議員からも同じような質問がありましたが、もう二点、一緒に聞いておきます。  河川整備計画の今後のスケジュール、見通し。さらにまた、最近建設省もこの問題につきましては啓蒙活動をたくましくしていただいておるのですが、あまねくこの構想に理解が求められておるかというと、とてもそうではない。新しい可動堰の上に橋がかかって道路ができる、こういう構想なんですが、それを知らない方もたくさんおるわけなんですね。四国で一番交通渋滞が激しいのが徳島市でございますが、それを緩和するために、北環状、南環状をつなぐ橋として堰と併用する、こういう構想でございますけれども、それを知らない方もたくさんおります。そういう中で、きめ細かい啓蒙活動をやっていくという御答弁遠藤先生質問に対してありましたけれども、その点も含めて、いかに啓蒙活動をたくましくしていくのか。あわせてお伺いいたしたいと思います。
  268. 青山俊樹

    ○青山政府委員 お答え申し上げます。  まず、吉野川の河川整備の今後のスケジュールでございますが、河川整備計画の策定につきましては、地域意見も聞きながら、また環境影響評価と並行しながら進めてまいりたいと考えております。具体的に何年間かかるというふうなことは今申し上げられませんが、なるべく早くその整備計画の策定に向けて努力してまいりたいと思うわけでございます。  また、御質問ございました住民の方々への対応の話でございますが、確かに、住民の方々の心に響くような説明を私どもも心がけていかなければならないのではなかろうかと思っております。  川の中に非常にかたい固定堰があって、それで、堤防は土でできておりますし、また堤防の下も土でございます。洪水時の水の流れというのは非常に複雑であり、迂回流もできますし、深掘れもできますし、または水位の堰上げもあるわけでございまして、そういったことから、命の堤防が壊れるようなことになれば、これは大変なことになるという思いでおるわけでございます。  その辺の思いもできるだけ伝えるような努力をしてまいりたいと思いますし、そのためにも、地区ごとの説明会をやる、また定期的な公開での対話集会を開くとか、そういったこともきめ細かくやりながら住民の方々の疑問に答えていきたい、かように考えております。
  269. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 大型公共事業が厳しい、理解を得にくい時代でございますけれども、ぜひ新たな吉野川方式といいますか、そういう形で取り組んでいただきたいと思います。  私は単なる第十堰、可動堰というのでなしに、あれを最初から第十堰橋、橋もやるわけですから、第十堰橋ということで広く喧伝をしておればもっと違った形になっておったんではないかというふうなことを今痛切に感じております。  質問はまだあるんですが、はしょりまして、二点だけお伺いいたしたいと思います。  公共事業に占める維持管理あるいは更新費の割合、これは大変公共事業は財政的にも厳しい時代ですが、いろいろな数字が言われております。社会資本整備全体に占める維持更新費。ある資料によりますと、二〇〇〇年には一八%、二〇一〇年には三六%、こういう数字もありますが、今後、公共事業に占める維持補修、更新費、この割合はどういうふうに推移していくと予測されておりますか。
  270. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  維持更新費の割合でございますが、幾つかの仮定条件を置いた上での推計であるというふうな点、お許しいただきたいと思いますが、若干資料は古くて恐縮でございますが、一九九〇年度のデータをもとにかなり本格的な分析をしたという経緯がございます。この時点では、総投資額に占めます新規投資が七六%、したがいまして、維持更新費は約二四%という推計がございます。  一方、今後の推計、見通しでございますが、幾つかの前提条件、例えば長期的に投資額が三%、二%、一%と漸減していくという前提条件を置いた上で推計いたしますと、二〇二〇年という断面では新規投資が約四割、したがいまして維持更新費は約六割の水準に達するというふうな推計もございます。
  271. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 大変な数字だと思います。新規投資が四割ということで二〇二〇年というお答えでございましたが、大臣も四国の御出身でございます、先ほどの答弁もございましたようにまだまだ社会資本整備がおくれておる最たる地域、北海道は進んでおると思うんですが、四国は大変おくれておると思うんです。  そうしますと、新規投資が制約されるとなりますと、過疎地を抱えておる地域の新たな社会資本整備というのはますます厳しい時代になってくる。それを見越して、しばらくの間そういう地域には集中投資をして、国土の均衡ある発展を図っておかなければならないと私は思うわけでございます。大臣が大臣の立場でそういうことを申し述べることはできない、我が田に水を引くようになりますが、四国の住民として、この数字をどうとらえ、また四国の発展のためにどう考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  272. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 地域への配分云々でございますが、私は、公共事業はこういう観点から、これは小渕総理の指示でもあるわけでございますし、考え方でもあるわけでございますが、公共事業はその波及効果の大きなもの、緊急性の高いもの、そして未来性豊かなもの、それから地元の熱意、言葉をかえますと地元の協力度、そういうものを頭に置いて重点配分をやっていこうということをおっしゃっているわけでございまして、私も全く同意見でございます。  ですから、そういうような考え方からいきますれば、やはり四国にはそういう一つの流れが出てくるんではないかなと思っておるわけでございまして、今や五月一日に今治—尾道ルートもかかりまして四国も三橋時代を迎えるわけでございまして、離島性というものは払拭されたと思いますが、私もそういう先生のお考えに同感でございまして、そういう意味でもまた努力をしたいと思っております。
  273. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 最後に、阿南—安芸間の地域高規格道路について伺っておきたいと思います。  この地域高規格道路、百十キロありますけれども、鋭意整備に向けて取り組んでいただいておりますが、四国横断道の、仮称ですが阿南インターチェンジと地域高規格道路の入り口になります阿南市福井町を結ぶ区間が空白でございます。途切れるわけでございます。その中で、高知県に近い方の南側七キロについては調査区間の指定を受けましたが、北へ向いて阿南インターチェンジとの八キロの間がまだそれがされておりません。その見通しについて伺っておきたいと思います。
  274. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 御指摘の阿南安芸自動車道のうち、まだ空白の区間の八キロについてでございますが、今お話しのように、四国横断自動車道それから南の方で日和佐道路でありますとかその上の方の調査区間ございますが、そういうような関連道路の整備状況あるいは地域開発状況等踏まえながら、今空白の区間、できるだけ早い時期に調査区間に指定できるように努めていきたいというふうに考えております。
  275. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 以上で終わります。
  276. 北村直人

    北村主査 これにて岩浅嘉仁君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十八日午前九時より開会し、建設省所管並びに総理府所管中国土庁について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十七分散会