○高村国務
大臣 平成十一年度
外務省所管一般会計予算の
概要について御
説明申し上げます。
外務省予算の総額は七千五百九十五億二千二百万円であり、これを
平成十年度
予算と比較しますと百十六億九百万円の増加であり、一・六%の伸びとなっております。
新しい世紀を迎えようとする中、国際
社会における脅威は多様化しており、平和で安定した
世界への道のりは決して平たんではありません。また、アジア経済危機とその
世界的な波及に見られるように、グローバリゼーションの陰の部分への対応も急務となっております。こうした課題を前に、我が国は、高まる国際
社会の期待にこたえ、その国際的地位、影響力にふさわしい積極的で創造性豊かな役割を果たしていく責任があります。このような観点から、我が国外交に課せられた使命は極めて重大であり、
平成十一年度においては、厳しい
財政事情のもとではありますが、外交実施体制の強化と外交施策の充実強化の二点を重点事項として、
予算の効率的配分を図っております。
まず、外交実施体制の強化に関する
予算について申し上げます。
定員の増強につきましては、危機管理・安全体制の強化を中心として、本省及び在外公館
合計で八十六名の増員を図り、
平成十一年度末の
外務省予算定員を
合計五千二百三十四名といたしております。また、機構面では、在アゼルバイジャン大使館及び在モザンビーク大使館の新設、ベルリンへの首都機能移転に伴う在ドイツ大使館の移転等を予定しております。
さらに、在外公館の機能強化につきましては、在外公館
施設等の強化、危機管理体制・海外邦人安全対策の強化、在外選挙実施体制の整備のための経費四百二十五億円を計上しております。
加えて、外交政策策定の基盤となる情勢判断を的確に行うために不可欠な通信・情報収集等の機能の推進に要する経費として六十五億円を計上しております。
次に、外交施策の充実強化に関する
予算について申し上げます。
外交施策の充実強化の四つの柱は、二国間援助等の推進、対ロシア政策の推進、平和・安全、軍縮のための
協力、そして国際文化交流の推進であります。
まず、
平成十一年度
政府開発援助につきましては、
一般会計予算において、
政府全体で対前年度比〇・二%の増額を図っておりますが、
外務省予算においては対前年度比〇・三%増となっております。これは、微増とはいえ、アジア経済危機やアフリカ諸国支援等の面での我が国の積極的な
姿勢を示すものと考えます。
このうち、無償
資金協力予算は対前年度比一・〇%減の二千三百七十九億円を計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が千九百九十八億円、食糧増産等援助費が三百八十一億円であります。また、我が国技術
協力の中核たる国際
協力事業団の事業費として、対前年度比〇・五%増の一千七百七十億円を計上しているほか、国際
協力事業団の定員につき一名の純増、機構改革を図る等援助実施体制の強化に努めております。
なお、ODAの透明性、効率性という面では、ODA事業の公募のモニター、インターネットを用いたODA情報公開の一層の促進、無償
資金協力の実施体制の強化といった新しい工夫を施しております。
次に、昨今の日ロ
関係の進展を踏まえ、新たに外交施策の充実強化の柱の
一つとした対ロシア政策の推進につきましては、支援
委員会、北方領土関連等に総額十五億円を計上しております。
また、平和・安全、軍縮のための
協力でありますが、我が国の国際的地位に見合った責務を果たすべく、軍縮・不拡散分野における貢献を積極的に行い、また国連の
活動に対する支援を一層強化し、さらに
地域の安定に向けた取り組み等を行うため総額五十一億円を計上しております。
最後に、国際文化交流の推進でありますが、異なる文化間の相互交流を促進するために留学生受け入れ数の増大を図るべく、留学交流環境の整備のため一億円を計上しております。
以上が
外務省所管一般会計予算の
概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
なお、時間の
関係もございますので、詳細につきましてはお手元に「
国会に対する
予算説明」を配付させていただきましたので、
主査におかれまして、これが
会議録に掲載されますようお取り計らいをお願い申し上げます。