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1999-02-17 第145回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成十一年二月十六日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月十七日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       臼井日出男君    加藤 卓二君       萩野 浩基君    村山 達雄君       岡田 克也君    春名 直章君 二月十七日  臼井日出男君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 —————————————————————— 平成十一年二月十七日(水曜日)     午後一時開議  出席分科員    主 査 臼井日出男君       加藤 卓二君    田中 和徳君       萩野 浩基君    村山 達雄君       岡田 克也君    鍵田 節哉君       石井 郁子君    春名 直章君       吉井 英勝君    兼務 竹本 直一君 兼務 肥田美代子君    兼務 松崎 公昭君 兼務 石垣 一夫君    兼務 谷口 隆義君 兼務 丸谷 佳織君    兼務 西田  猛君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 宮下 創平君  出席政府委員         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         厚生大臣官房総         務審議官    真野  章君         厚生省健康政策         局長      小林 秀資君         厚生省保健医療         局長      伊藤 雅治君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省医薬安全         局長      中西 明典君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君         厚生省老人保健         福祉局長    近藤純五郎君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         厚生省保険局長 羽毛田信吾君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         労働大臣官房政         策調査部長   坂本 哲也君         労働省労政局長 澤田陽太郎君         労働省職業安定         局長      渡邊  信君         労働省職業能力         開発局長    日比  徹君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      村瀬 吉彦君         農林水産大臣官         房審議官    大森 昭彦君         林野庁業務部長 日高 照利君         厚生委員会専門         員       杉谷 正秀君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   村山 達雄君     田中 和徳君   岡田 克也君     鍵田 節哉君   春名 直章君     石井 郁子君 同日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     村山 達雄君   鍵田 節哉君     田中  甲君   石井 郁子君     瀬古由起子君 同日  辞任         補欠選任   田中  甲君     岡田 克也君   瀬古由起子君     吉井 英勝君 同日  辞任         補欠選任   吉井 英勝君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     春名 直章君 同日  第一分科員丸谷佳織君、第二分科員竹本直一君  、第三分科員谷口隆義君、第五分科員松崎公昭  君、第六分科員肥田美代子君、第八分科員石垣  一夫君及び西田猛君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十一年度一般会計予算  平成十一年度特別会計予算  平成十一年度政府関係機関予算  (厚生省所管)      ————◇—————
  2. 臼井日出男

    臼井主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が、本分科会主査を務めさせていただくことになりました。何とぞ、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)  本分科会は、厚生省及び労働省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省所管事項説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係機関予算厚生省所管について、政府から説明を聴取いたします。宮下厚生大臣
  3. 宮下創平

    宮下国務大臣 平成十一年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算概要について御説明申し上げます。  平成十一年度厚生省所管一般会計予算の総額は十六兆二千四百七十八億円であり、平成十年度当初予算額と比較いたしますと、一兆二千四百八十八億円、八・三%の増加となっております。これは国の一般歳出の約三分の一を占めております。  厚生省予算につきましては、現下の厳しい経済情勢少子高齢化進展等を踏まえ、社会保障制度構造改革推進し、国民が安心して暮らせる社会を実現するという観点に立って、必要な予算確保したところであります。  以下、その主要施策について御説明申し上げます。  第一に、年金制度についてであります。  少子高齢化進展経済成長低下等の中で給付と負担均衡確保し、将来世代の負担が過重なものとならないよう、制度全般にわたる見直しについて引き続き検討を進め、成案を得て所要法律改正を行うこととしております。  また、現下経済状況に配慮し、厚生年金国民年金保険料については据え置くこととし、国民年金について所要法案を提出したところであります。  第二に、医療制度についてであります。  人口高齢化等に伴い、医療費伸び経済成長伸びとの不均衡が拡大している中で、将来にわたって信頼できる安定した制度を確立することが必要であり、診療報酬体系薬価制度高齢者医療制度及び医療提供体制について、平成十二年度からの抜本的な改革実施するため、今国会への所要法案の提出に向け、取り組んでまいります。  第三に、少子高齢社会に対応した保健福祉基盤整備であります。  まず、高齢者保健福祉対策でありますが、平成十二年四月からの介護保険制度の円滑な施行に向け、最終年度となる新高齢者保健福祉推進十か年戦略を着実に推進することとし、訪問介護員特別養護老人ホームなどについて、地域介護需要に対応できるよう基盤整備を図ってまいります。  また、介護保険制度の円滑な実施に向けた各種の体制整備支援事業を拡充してまいります。  障害者保健福祉対策については、障害者の自立と社会参加促進に向け障害者プランを着実に推進することとしており、地域における生活支援訪問介護事業施設整備等介護サービス充実してまいります。  次に、児童家庭福祉対策についてであります。  少子化進行児童虐待少年非行増加など子供を取り巻く環境の変化を踏まえた子育て支援施策推進するため、多様な保育サービス整備を図る緊急保育対策等五か年事業最終年度に向けた一層の充実を図るなど、次代を担う子供が健やかに生まれ育つための施策を総合的に推進してまいります。  また、児童手当について、多子世帯に配慮した所得制限緩和を行うこととしております。  第四に、国民健康確保対策についてであります。  二十一世紀における国民健康づくり運動、いわゆる健康日本21を策定し、生涯にわたる健康づくり生活習慣病対策を着実に推進してまいります。  また、新しい時代の感染症対策実施に向けて、感染症に関する情報収集提供公開等により、感染症の発生、拡大を防止するための体制整備を進めるとともに、良質かつ適切な医療提供体制整備を図ることとしております。  第五に、水道廃棄物処理対策についてであります。  廃棄物処理対策につきましては、循環型社会形成のためのごみ減量化とリサイクルの推進を図るほか、ダイオキシン類早期削減のためのごみ焼却施設整備に対する財政支援充実を図るとともに、合併処理浄化槽整備などを重点的かつ計画的に推進してまいります。  また、水道施設につきましては、地震や渇水に強く、安全で良質な水道水を安定して供給できる施設整備と、生活水準向上に対応した簡易水道整備を進めてまいります。  第六に、厚生科学の振興についてであります。  ダイオキシン類及び内分泌攪乱化学物質健康影響等に関する研究など国民の健康と安全を確保するための調査研究推進するとともに、脳科学研究遺伝子治療研究等、先端的、戦略的な厚生科学研究推進いたします。  以上のほか、医薬品、食品等安全対策臓器移植対策、救急・僻地医療対策戦傷病者戦没者遺族及び中国残留邦人等援護対策原爆被爆者対策など諸施策推進してまいります。  なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、厚生省所管一般会計及び特別会計予算主要経費別概要につきましては、お許しを得て、説明を省略させていただきます。  今後とも、国民の健康と福祉向上を図るために厚生行政進展に一層の努力をしてまいりたいと考えておりますので、何とぞ、格段の御理解を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  4. 臼井日出男

    臼井主査 この際、お諮りいたします。  厚生省所管関係予算重点項目につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 臼井日出男

    臼井主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 臼井日出男

    臼井主査 以上をもちまして厚生省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 臼井日出男

    臼井主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。
  8. 田中和徳

    田中(和)分科員 自由民主党の田中和徳でございます。  大臣、御苦労さまでございます。  二十一世紀まで、残すところあとわずか二年弱となりました。新しい世紀に向け、我が国の最も重要な課題は、少子化進行と、そのことを原因とする、世界に例を見ない高齢社会の到来だと思います。私の地元川崎市の実情説明しながら伺いますので、明快なる答弁をお願いいたします。  そこで、まず初めの質問は、高齢者保健福祉サービス基盤整備目標を定める新ゴールドプラン達成状況に関してであります。  新ゴールドプランは、全国地方自治体が策定した地方老人保健福祉計画ベースにして平成元年に策定されたゴールドプランを見直し、それを拡充する形で平成六年に策定されました。平成十一年度末を期限として、在宅及び施設の各サービスについて、それぞれ全国総計整備目標が定められております。ケアハウスが十万人分の目標だったのが八万三千四百人にとどまる見込みであることを除けば、おおむね整備目標を上回ると仄聞しております。  私の地元川崎市でも、ゴールドプラン実施に伴って、平成五年に川崎高齢者保健福祉計画を決定しました。そして、新ゴールドプランと同じく、平成十一年度末を期限として、川崎市内整備目標を定めましたけれども、特別養護老人ホームが一千八百七十二人分の目標だったのが一千四百九十八人分、ケアハウスが二百人分の目標だったのが五十人分、老人保健施設が千五百六十人分の目標だったのが七百九十八人分と、大きく目標を下回り、施設整備中心整備目標に及ばない項目が目立っております。  例えば特別養護老人ホームについては、昨年十月一日現在の定員が十七施設で千百八十八人です。ここ一年間の新設が百七十から百八十ベッドでありまして、入れかえが百二十ベッドで、合計約三百ベッドであるのに対し、待機者が二千百六十九人にも上り、そのうち、緊急性のある方でも二年以上も待たされているというケースが普通でございまして、大変深刻な状況がございます。  確かに、全国総計で見れば、新ゴールドプラン整備目標はおおむね達成されているのではないかと思いますけれども、自治体によって相当ばらつきがあるのではないか、このようにも思うわけであります。  そこで、新ゴールドプラン整備目標達成状況について厚生省ではどのように評価しているのか、大臣お話をちょうだいしたいと思います。
  9. 宮下創平

    宮下国務大臣 御指摘の新ゴールドプランにつきましては、この進捗状況は、今御指摘のように、全国ベースではおおむね順調に推移しておりますが、地域ごとにあるいは介護サービスの種類によりましては差が生じておるのも御指摘のとおりでございます。特に、都市部におきましては、土地等が高いこと等から施設整備のおくれが目立っている例が多いように存じます。  このため、整備がおくれている地域におきましては、各地方自治体に対しまして、その理由の分析やそれに基づく対策実施を求めておるところでございます。  厚生省といたしましても、地域実情に応じた介護サービスの展開を図るというのは極めて重要でございますので、ゴールドプラン以外の施設でも、公立学校余裕教室の転用とか既存施設活用、あるいは民間企業農業協同組合を初めとする多様な事業主体参入促進など、いろいろな手法を通じまして、この活用を図り、その促進を図っていきたい、こう考えております。  いずれにいたしましても、各地方自治体におきます老人保健福祉計画達成に向けて、特に介護保険実施を控えておりますので、国としても引き続き重点を置いて対処してまいりたい、こう思っております。
  10. 田中和徳

    田中(和)分科員 ただいま大臣から新しい施策についてもお述べをいただきました。特に、学校空き教室などを活用するなどというのは都市部では大変効果的だ、このように私も認識をしておりまして、ぜひひとつ特段の推進をお願いしたいと思っております。  川崎市の当局も今真剣に取り組んで、特別養護老人ホームなど、ベッド新設を行っておるわけでありますが、川崎市のような都市部の場合、土地代が高く、用地取得が困難で、結果として建設コストが高くなる、これが大変大きな障害になっておるわけであります。  スケールメリットを考えれば、施設規模が大きいほど採算をとりやすい、これは当たり前のことだと思いますが、しかし、施設規模が小さくなって、極端に言えば、定員が十人や十五人になっても採算が合って、入居するお年寄りサービス内容に満足するということであれば、それはそれで施設を数多く、きめ細かく地域的に設置することができるわけでありますからまことに結構なことではないかな、このように私も思っておるわけであります。  当然、老人福祉施設もさまざまな設置基準があるわけでありますが、その理由も当然あるわけでありますけれども、公的財源の制約を考えれば、なるべく規制は緩和し、市場原理に任せることにより、民間参入インセンティブを与え、しかも、創意工夫を生かしていくことが効率的に整備推進していくために不可欠だ、このように私は認識しております。  例えば特別養護老人ホームの場合、都市部では三十ベッド以上という定員が定められております。しかし、私が、自民党のあの参議院の結果を受けて設置された都市問題対策協議会やその他の部会などでも再三主張してきたわけでありますけれども、適正な管理の確保前提として、基準をこの際大幅に引き下げて、あとは施設設置する自治体社会福祉法人の判断に任せればよいのではないか、このように思います。  都市部中心とする用地取得の困難な地域における施設整備推進策について、当然厚生省でも真剣に検討しておられると思いますけれども、設置基準緩和などにどのように取り組んでいかれるのか、また、整備がおくれている自治体に対する具体的な支援策についてどうされるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  11. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 都市部におきましては、先生指摘のとおり、用地取得が困難だということで施設整備がおくれているわけでございます。  このため、都市部におきまして施設整備をする場合には、国や地方公共団体以外の者から借りた場合もいいということとか、あるいは、高層化が必要ですので、高層化した場合には割り増しの面積を認めるとかあるいは補助単価割り増し、こういったようなことを講じているわけでございます。  先生指摘の人数の関係でございますけれども、現在三十名ということで、都市部だけ三十名になっているわけでございますけれども、これは少なくしたらどうかという問題があるんですが、これは入所する施設でございますから、夜勤の体制をどう確保するか、こういう問題が当然あるわけでございます。  例えばデイサービスセンターに付設する、合併するという形で、介護保険が施行された暁には二十名程度まで下げられぬだろうかということで提案をいたしております。それからまた、介護報酬の面でもやはり地域差をつける、こういうふうなことで対応したらどうか、こういうふうに考えているわけでございます。
  12. 田中和徳

    田中(和)分科員 二十床でもよいというお話が今ありましたけれども、これは、どのような手続で、いつから決定されて、どのように実施される可能性があるわけでありますか、タイムスケジュールをちょっとお聞かせいただきたい。
  13. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 医療保険福祉審議会の方へ私ども提案させていただいておりまして、審議会の方で御審議を願っているわけでございまして、これが決まりますれば、平成十二年の四月から介護保険制度が施行されますので、これに伴ってそういう措置を講じたい、こういうふうに思っております。
  14. 田中和徳

    田中(和)分科員 ちょっとこの点で要望をしておきたいと思うのでございます。  特別養護老人ホームも大変大切な施設なんですけれども、もっと軽いというんでしょうか、そういう施設の中にケアハウスなんかあるわけでございます。これは、私のような都市部では、しかも、高齢化が進んでいる地域というのは対象者が急増をするわけですね。これは考え方としては、そういう施設がたくさんできるということはいいんですが、先ほど言ったように、大きな施設をつくろうとすれば大変な経費がかさむわけでありますから、やはり小さくてコンパクトで経費が少なく設置ができなければ意味がないわけであります。  そうなると、ケアハウスの場合は今でも三十という基準があるわけでありますし、特養の場合はやっと二十になってくるということでありますけれども、民間人たちがそこそこ、はっきり言うと、アパートを建てて経営するよりは、社会的な貢献もできるし、もうかりはしないけれども何とかぎりぎり採算がとれる、こういうものがないと基本的なインセンティブを与えることにならないと思うんですね。  そういう視点からも、ぜひ厚生省としても御検討をいただいて、お年寄りの皆さんが安心して過ごせる、暮らせる町づくりに大きなお力をいただきたいなと思っております。
  15. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 確かに、ケアハウスというのは入所施設でございますから、割とがちっとした基準を設けられておるわけでございますけれども、私ども一つ新しく提案させていただいておりますのは、高齢者生活福祉センターというのがございます。  これは、デイセンターと小規模居住施設、これは十名から二十名というふうな非常に小規模のものでございますが、こういったようなものを活用して受け皿にならぬだろうかということで、今までは過疎地域、離島に限られていたんですが、これは全国ベースに開放いたしまして、こういう高齢者生活福祉センター整備していただこう、こういうふうなものを今年度の補正予算でやらせていただいております。
  16. 田中和徳

    田中(和)分科員 期待をさせていただきたいと思います。  次の質問に移らせていただきます。  少子化問題についてお尋ねをいたしますが、未曾有の経済不況が続き、失業率の増大や賃金削減など、雇用不安が広がっております。そして、このことを理由に、子供を産み育てることに希望や自信を持てない、こういう若者の声も聞こえてまいります。今後、幾ら景気が回復したとしても、かつてのような高度成長期待ができない、また、国民負担率も上昇する一方だ、このように思うわけであります。  したがって、従来のようなピラミッド型の賃金構造前提にした、男性は仕事、女性は家庭という人生設計ではなくて、夫婦の共働き、そしていわば共育てとでもいうべき人生設計が可能となる社会システムをすぐにでも構築していく必要があると思うのであります。  この点、厚生省としては、育児期間中の共働きを容易にするために、緊急保育対策等五か年事業中心とする育児対策の積極的な推進が不可欠だと思います。また、そのように努力もしておられると思うのです。  昨年十二月に、私の地元川崎市でも、かわさき子ども総合プランと称する、子育て支援するための総合計画を策定いたしました。川崎市の総人口は約百二十万、五歳以下の子供が七万人以上いるわけであります。しかしながら、現在、市内には一時保育受け入れ保育所が一カ所しかなく、エンゼルプランにも整備推進が明記されている地域子育て支援センターに至っては、まだ一カ所もないというのが実情であります。五年後の十六年度の目標数で、それぞれやっと十二カ所、三カ所とされております。  もう一点述べさせていただきますが、私は、昨年、少子化対策に関する文章を政策提言出版物に寄稿したわけでありますが、その中で、都市部選出議員の立場から、ターミナル駅を中心として主要な駅近辺託児施設設置するとともに、通勤時間帯に、交通機関各社協力を得て、親子専用車両設置を義務づけたら効果的ではないか、このように提言をさせていただきました。  厚生省でも、平成六年度に駅型保育試行事業を創設し、こども未来財団に委託して、補助を行っておりますけれども、川崎市内でもまだ梶が谷駅というところの一カ所のみでございます。親子専用車両については厚生省守備範囲外でございますけれども、駅型保育についてはぜひとも積極的にお進めをいただきたい、このように思っております。  そこで、駅型保育など都市部中心とする保育対策推進のために今後どのように取り組まれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  17. 横田吉男

    横田政府委員 保育所につきましては、全国的には百九十万の定員でございまして、入所者は百六十九万人ということで二十万人ぐらいのあきがあるわけですけれども、先生指摘のように、川崎市等、東京とか大都市におきましては待機児がかなりたくさんおられるという状況でございます。  私ども、こうした待機児等の解消を図るために、御指摘がございましたように、現在、緊急保育対策等五か年事業をつくりまして、特にニーズの高い低年齢児受け入れを図るということで、十一年度におきましても、五十三万五千人から五十八万四千人ということで約四万九千人ほどの増加を図っております。  それから、特に都市部においても保育所設置しやすくするということで、都市型の小規模保育所ということで、これは本体の保育所の分園型にするとか、あるいは、もともと小さな三十人ぐらいの小規模保育所を、空き教室等も使っていただきましてつくっていただくというようなことで、百カ所の整備予算計上しているところでございます。また、新たに休日保育所試行事業というようなものも始めております。  それから、御指摘のございました駅型保育試行事業につきましては、これはあくまでモデル事業として今まで二十八カ所ほどやっていたものでございますけれども、十一年度予算におきましては五十カ所にふやす計画にいたしております。  それから、子育て支援センターにつきましても、今までは職員二人を配置するような計画でいろいろな事業をやるのが条件ということでございましたけれども、一人でもできるぐらいの事業規模にいたしまして、小型なものもつくって、設置しやすいような基準緩和を図っているところでございます。  川崎市の場合には、六年から十年にかけまして、就学前児童が二千三百人ぐらいふえておりますが、保育所定員が二十人ぐらいしかふえていないというようなことで、そういった御指摘のような深刻な状況にあるかと思います。  私ども、使いやすい保育所づくりのためには、全国的な計画のほかに各個別市町村での御努力もお願いしなくてはいけないということで、現在、待機児の多い地方公共団体から個別にヒアリング等を行いまして、ともども協力しながら利用しやすい保育所づくりを目指してまいりたいというふうに考えております。
  18. 田中和徳

    田中(和)分科員 前向きな答弁をいただきましたが、ぜひすべて順調に実現をするように御努力を願いたいと思います。  ことしの一月に超党派による少子化対策議員連盟が発足をいたしまして、少子化対策基本法案の成立を目指す、こういうことになっておるわけでありますが、私も、かねてより少子化に対して大きな問題意識を持っていましたので、入会をさせていただいたわけであります。この議連が提案している法案には、児童手当の大幅な拡充など、さまざまな抜本的な政策提言が盛り込まれております。  ところで、昨年十二月の平成十一年度税制改正で、子育て・教育減税ということで扶養控除の拡大が盛り込まれておりますが、十万円程度の所得控除の拡大ではやらないよりはましという程度で、本当に実効性があるのかどうか大いに疑問が残っております。  少子化に対して本当に実効性のある対策を打つということであれば、議員連盟が提案しているような抜本的な手法をとることが不可欠ではないかと私は思っております。その中でも、多少の財政負担を覚悟しても、若者に対して大きなインパクトがあり、真の目玉となり得るような政策として児童手当の大幅な引き上げを行うべきだと思います。このことは、与野党を超え、政治家として共通の主張だと思います。  特に税制には専門家のお立場の大臣にぜひお考えをお聞かせいただいて、時間が参りましたので、終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  19. 宮下創平

    宮下国務大臣 今、少子化問題の重要性について御指摘になった点は、私も全く同感でございます。  その手法としては、やはり少子化対策というのは、若い人たちが余り晩婚化にならないで、早期に結婚し、子供を産み育てる環境を整備するということが基本的に重要でございます。  そのために子育て支援サービスというのをどう考えるかということでございまして、委員の今御発言のとおり、その中の一つとして税法上の措置もございますし、それから、児童手当は現に非常に少ない、あるいは三歳までということでございまして、不十分だということは委員会等で指摘されておりますが、現金支給がどうかというような問題の御指摘もございます。  野党の民主党さん方あるいは公明党さんの主張は、扶養控除制度は廃止して、その財源を充てればできるのではないかという御提言がございますが、しかし、児童手当の水準にもよりますけれども、かなりの財政負担を伴いますし、現金支給だけで重点化するということも一つの考え方かもしれませんが、私どもは、もっともっと総合的に支援サービス充実していくことが必要である、具体的には申し上げませんけれども、そんな感じでやらせていただいております。なおこれは検討課題でございましょう。
  20. 田中和徳

    田中(和)分科員 ありがとうございました。終わります。
  21. 臼井日出男

    臼井主査 これにて田中和徳君の質疑は終了いたしました。  次に、鍵田節哉君
  22. 鍵田節哉

    鍵田分科員 民主党の鍵田でございます。  私は、一九九四年のころに連合大阪というところで仕事をしておりまして、特に、大阪にありますあいりん地区という地域につきましては、皆さんもよく御存じだというふうには思うのですけれども、その問題に組合としての関心を持ちまして、何回かその地域に足を運びまして視察をしてまいりました。朝五時ぐらいから、業者とあいりん地区に住んでおります労働者との相対した職業のあっせんでありますとか、それから仕事にあぶれた労働者に対する失業対策の職業安定所の作業でありますとか、また治安問題や食料などの炊き出しなどの状況、こういうふうなことを何回かにわたって視察をしてまいりました。  最近、この長引く不況の中で、この地域における労働者のホームレス化が大変進んでおるということが社会的に問題になっておるわけでありますが、大阪近辺のマスコミなどは盛んに大きく報道しておるのですが、関東方面では大阪の大体半分ぐらいしかホームレスになった人はいないというような実態もございまして、残念ながら余り大きく報道されないので、何か社会的に大きな問題としてとらえられないような向きもあるわけでございます。  実は、昨年は、決算行政監視委員会の皆さんもこの地域を視察をされて、特に治安問題を中心に視察をされたようでございますが、私は労働委員会に所属をしておりました関係で、労働委員会の皆さんにぜひともここを見ていただきたい、雇用問題、医療問題、さらには治安問題、そういうふうなことについて労働委員会でも興味を持ってもらいたい、各議員の皆さんにぜひとも認識を深めてもらいたい、こういうふうなこともありまして見ていただいたところでございます。  大阪の府でありますとか市でありますとか関係する機関ともいろいろ話をしておるのですが、何とか対策を立てたいということでいろいろなことをされております。  例えば医療センターでございますとか、炊き出しに対する援助でありますとか、年末年始の宿泊施設提供でありますとか、そういうふうなことをやっておるのですが、非常に難しいのは、余り大阪なら大阪で手厚くやりますと、そこは非常に住みやすい、環境がいいというふうなことになりますと、全国から集まってくる。そうでなくても、大阪に対しては、東京の二倍ぐらいそういう人たちが集まっておるということでございますので、非常に対策が難しいということでございます。  しかし、先進国あたりでも、特に大都会を中心にして非常に問題になっておるわけでありまして、ニューヨークとかロンドンでもいろいろな対策を立てられておるわけでございますので、そういうところでとられておる対策は日本と比べてどういうふうな状況になっておるのかということにつきましても、今鋭意私自身も勉強しておるところでございますし、また、厚生省には質問主意書を出させていただいておりまして、この答弁書をお待ちしておるという状況でございますので、そういうことが出てまいりましてから後に、さらに勉強も進めまして、民主党内の皆さんとともに知恵を出し合いながら、いろいろな提言などもしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  最近、関係省庁が集まりまして、また関係の地方の皆さんも集まりまして、ホームレスの問題の連絡会議設置をされたということも聞いておるわけでございますが、それらの状況もお聞かせいただきたいということもございますけれども、きょうは、特に緊急を要する課題につきまして幾つかお聞きをしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。  今私が申し上げましたようないろいろな問題は、特に高齢化も進んでおるし、高齢化がさらにホームレス化を進めておる大きな要因にもなってきておりますので、それらにつきましてどのように掌握をされておるのか、若干聞かせていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
  23. 宮下創平

    宮下国務大臣 ホームレスの問題は小渕総理も大変気にしておられまして、過般、大阪を視察されております。そして、その状況をよく把握するようにということで、御指摘のように問題の連絡会議設置いたしまして、局長クラスの会合も既に一回やっております。そして、それには地方自治体関係者の皆さんにもお集まりいただくということで、実際には地方自治体の方の責任が非常に大きいわけでございますので、そういった中央と地方自治体関係者が相集いまして対策をやろうということで、基本的に取り組ませていただいております。  なお、大阪は確かに八千数百人というように私どもお聞きしておりまして、東京も多いのですけれども、その半分くらい。大都市周辺の、大都市地域における問題だという意識もございますので、あらゆる面を検討いたしまして、ホームレス化の防止あるいは健康問題、その他万般の問題がございますから、対応を図っていきたいというように考えております。
  24. 鍵田節哉

    鍵田分科員 そこで、今も健康問題について大臣の方からお話ございましたけれども、昨年の夏ぐらいから赤痢が非常に多発しておるということを聞いておるわけであります。夏ごろは五十人ぐらいの集団発生であったようでありますが、秋ごろには百人を超えるような状況になってきた。また、冬場になりましてから若干少なくなってきたように聞いておったのですが、実は、またこの二月に入りましてから非常にふえてきておるというような状況でございます。  こういう集団感染が起こっておるということは、やはり地域の衛生問題というようなことも含めて大変深刻な問題でございますが、どのようにこれを把握されておられるのかということにつきましてお答えをいただきたい。  これは機関委任事務でございますので、大阪市なりが対応されるのではないかというふうには思いますけれども、大阪だけでは十分でないのではないか。そしてまた、他の地域でもこういうふうな問題が起こっておるのかどうかというふうなことも含めて、どのように認識をされ、そして対策を立てようとされておるのか、その辺をお聞きしたいというふうに思います。
  25. 伊藤雅治

    ○伊藤(雅)政府委員 大阪あいりん地区での赤痢の集団発生の問題でございますが、今委員指摘のように、昨年の五月二十八日に初発患者が出まして、八月六日までの間に六十二人の患者が発生したということを大阪市当局から報告を受けております。  その後、一たん鎮静化いたしましたが、市からの報告によりますと、十月二十三日以降再び患者発生がございまして、その後の一カ月間に八十六人の患者が報告されております。ことしに入りまして、二月十六日までの間に百四十四人に達しているということでございまして、きょう現在におきましても、十名前後の方が入院されているというふうに聞いております。  この赤痢の集団発生等の伝染病対策の主体は地方自治体でございますが、このような集団発生に対しましては、国としても必要な技術的な援助を行っていくというのが私どもの考え方でございまして、市の方といろいろ相談をしながら必要な技術的な支援をやってきているところでございます。  今回のこの集団発生につきましては、一つ非常に難しい点が、特定の感染源なり感染経路ということが現時点におきまして同定されておりません。ただ、この菌のDNA分析を行いますと、同一のパターンを示しておりますので、何か同一の感染源から広がっているということは推定されるわけでございますが、今申し上げたような徹底的な疫学調査が今後特に国の技術的指導のもとに必要ではないかというふうに判断をしております。
  26. 鍵田節哉

    鍵田分科員 ぜひとも早急に対策を立てていただきたいと思いますが、問題は、そういう場所における環境ですね。ですから、赤痢に感染して、それの対策を立てるということも大事ですが、その前の予防ということを考えますと、やはり場所の環境改善ということが非常に大切なのではないかなというふうにも思いますので、それらにつきましては、地域の改善のための総合的な施策の中にぜひとも織り込んでいただきたいというふうに思うわけでございます。  それで、現在まだインフルエンザが大変猛威を振るっておる、いろいろなところで多くの死者も出ておるというふうに聞いておるわけでございまして、そういうことに関して、実はあいりん地域の問題に触れる前に、全般的なインフルエンザの状況が今どうなっておるのか、それに対する対策がどのようになっておるか、また、インフルエンザにかかりやすい状況というのはどういうことなのか、一般論で結構でございますので、若干教えていただければと思います。よろしくお願いします。
  27. 伊藤雅治

    ○伊藤(雅)政府委員 インフルエンザの全国的な現時点におきます流行状況でございますが、私どもは二つの調査方法によりまして流行状況の把握をしております。  一つは、小学校、中学校等の学校におきます学級閉鎖、休校などの状況を毎週報告していただいておりまして、学校からの報告によりますと、ことしの流行状況はほぼピークを過ぎて、だんだん終息の方向に向かっているのではないか。ただ、昨年の流行状況に比べますと、かなり規模が小さくて、ほぼ例年並みの流行状況だというふうに判断しております。  それからもう一つは、全国二千四百カ所の医療機関にお願いをいたしまして、一週間に何人の患者さんがインフルエンザ様疾患で受診したかということを報告いただいているわけでございますが、これによりましても、流行のピークは一月末から二月の初頭にかけてというふうに判断しておりまして、現時点におきましては、流行はほぼ終息に向かいつつあるのではないかと判断をしております。  ことしの流行の特徴といたしましては、お年寄り施設なり病院、精神病院などにおきまして集団で感染が起こりまして、かなりの方がお亡くなりになっているということもございましたので、老人の施設等につきまして、昨年も出しましたが、再度通知を出しまして、対策の徹底を期すと同時に、さらに、ことしにつきましては昨年の二倍以上の百五十三万人分のワクチンを用意いたしまして、どこの医療機関でワクチンの接種が受けられるかというようなことを各市町村において情報提供をしてきたところでございます。さらに、治療薬といたしまして、アマンタジンという薬をインフルエンザの治療に使えるように昨年の十一月に所要の手続をとりまして、治療方法の選択肢を広げてきたということでございます。  いずれにいたしましても、いろいろの対策を講じてまいりましたが、一応現在終息に向かいつつあるのではないかという状況でございます。
  28. 鍵田節哉

    鍵田分科員 全体の状況については大体わかりましたけれども、何かマスコミの報道などを聞いておりますと、例年のインフルエンザよりも非常に悪性で、死者もたくさん出ておるというふうな印象を受けておるわけでございます。  あいりん地域などでは、例えば住環境でありますとか、その地域の皆さんの栄養状態といいますか栄養の摂取状態なども、通常の我々の生活とは随分違うのではないかというふうな気がいたしまして、実は、どんな状況かということで大阪市などに問い合わせてみたわけでございますけれども、非常に重篤な患者とか急激に悪性化したというふうな人については救急車でどこかへ搬送されてしまって、その地域の病院では余り治療を受けておらないというようなことで、なかなか掌握が難しいというようなことを聞いておるわけでございます。  そういう住環境なり栄養状態などによりましてインフルエンザなどに非常にかかりやすい状況になっている、また高齢者も多いというようなことについて、厚生省は私の考え方と同じ考え方に立たれるのかどうか。もし同じ考え方に立たれるとしたら、大阪などに対してどんな施策を取り入れようとされておるのか、また、実際に取り入れられたのであれば、そのことについてお聞かせいただきたいと思います。
  29. 伊藤雅治

    ○伊藤(雅)政府委員 まず、ことしのあいりん地区でのインフルエンザの発生状況でございますが、先ほどお答えしたのは、全国的にどのような流行状況になっているかということは今申し上げたような仕組みでやっているわけでございますが、非常に限定された一部の狭い地域の流行状況を把握するというのは、やはり個別に医療機関なり関係のところに確認しなくてはいけないわけでございまして、ことしのあいりん地区での発生状況について見ますと、大阪市の流行状況と大体——一口で言いますと、平年並みの流行ではないかということでございます。  そういう中で、あいりん地区に着目してみますと、あいりん地区の周辺の小中学校におきまして学級閉鎖は報告されておりませんし、また、保護施設内でのインフルエンザ様疾患の流行というものは、一応確認いたしましたところ、そういう状況にはない。また、あいりん地区の中に市が社会医療センターというものを設置しているわけでございますが、そこにも確認いたしましたところ、特にことしは例年に比べて特段大きな流行はなかったという報告を受けているわけでございます。  しかしながら、インフルエンザにつきましては、インフルエンザウイルスが気道から感染していくという性格を考えますと、やはり家屋の構造でございますとか、狭いところにたくさんの人が集団で生活しているとか、それから施設にたくさんのお年寄りが入っているとか、そういう条件というものは非常にインフルエンザの伝播しやすい環境でございますので、当然インフルエンザの予防対策におきましては、そのようなことを念頭に置いて対策を講じていく必要があるというふうに考えているところでございます。
  30. 鍵田節哉

    鍵田分科員 ぜひともあいりん地区の問題だけではなしに、ホームレスの皆さんがあいりん地区からどんどん広がってきて、大阪府内の至るところにホームレスの方がいらっしゃるという現実がございます。中には、働く意欲がなくてホームレス化したのだというふうな人もありますけれども、しかし、そんな人は本当に一握りでございます。実は、読売新聞なんかも、一人一人に当たって、どうしてホームレスになったのかということの調査をしたようでありますけれども、やはり失業でありますとか、いろいろな事情からやむを得ずそういう状況になっておるという人が圧倒的でございまして、一部にそういう心がけの悪い人もおるかもわかりませんが、社会全体の責務としてこの問題を何とか積極的に取り上げていただきたいというふうにお願いをして、厚生省に対しての質問を一応これで終わりたいというふうに思います。  労働省の方から澤田局長に来ていただいておりますので、若干時間をいただいてお聞きしたいのですが、昨年の質問主意書に基づきまして、建設労働者の退職金制度であります建設業退職金共済制度の適正な運営についてお聞きをしたり、また、質問主意書も出させていただいて、答弁もちょうだいをしておるわけでございますが、これについて適正な運営が図られるようにということでいろいろ実態調査をしたり、その後、労働省としても研究をしていただいているんじゃないかというふうに思います。  この建退共から実態調査結果の概要というものも発表されておるわけでございますが、元請業者がやはり加入指導をもっと熱心にやらないといけないんじゃないか。下請業者が非常にこの問題について不熱心になっておるのは、元請の業者が不熱心だからそういう問題が起こっておって、証紙の張りつけなどが非常に低率になっておる、こういうふうな問題が出てきておるわけでございます。  こういうふうな分析を踏まえまして、労働省として、この問題の抜本的な解決のために、いつごろまでにどのような改善を行おうとされておるのか、それについてお聞かせをいただきたいと思います。
  31. 澤田陽太郎

    ○澤田政府委員 今先生指摘のように、昨年の秋に実態調査を行いまして、昨年十二月に取りまとめ、公表いたしました。  そこでは、御指摘のような元請業者が、特に資本金規模の小さな元請業者の方では下請に対する加入の指導等々が十分ではないという結果等も出ております。したがいまして、そうした調査結果その他を踏まえまして、私どもとして、現在、建退共制度の運営上の改善策あるいは制度上の検討事項等々について案をつくりまして、関係方面に今お示ししております。  改善方策の中身でございますが、一つは、共済手帳、共済証紙の受け払い簿を整備するために様式をきっちり決めるというようなことを考えております。それで、その様式を普及する。  二つ目は、共済契約者の事業主の方々に対しまして、退職金共済事務処理についての手引と申しますか、マニュアルというようなものをつくってお示しして、事務処理をできるだけ斉一的に、能率的にやっていただこうということも考えております。  それから、大変大きな問題であります退職金共済機構が定めております証紙の購入の目安、これにつきましてもいろいろ問題点、御指摘がございますので、目安のあり方について、多少時間はかかるかと思いますが、検討を始めるという点。  それから、すぐできることとしては、退職金共済機構が都道府県に設けております相談機能、こうしたものをもう少してこ入れをして、あるいは関係方面とのネットワークを組んで、被共済者、働く方々からの御相談等々に応じて、少しでも問題を解決できるような仕組みをつくりたい、こういうようなことを考えた案を提示しております。  今後、関係者からさらに御意見を伺うとともに、建設省と十分御相談をしながら、できるだけ早い時期に、先生、いつまでかという御指摘なので、できれば年度内に案を確定いたしまして、そして、できるものから実施していきたい、かように思っております。
  32. 鍵田節哉

    鍵田分科員 時間も余りありませんから、もう一問だけ質問させていただきたいんですけれども、この退職金制度というのは、業者の任意による共済制度であるというふうに位置づけておられるようでございまして、そういうことでこの適正な運営を図るために運営委員会を設置されておるわけでございますが、この運営委員会の規定を見ましても、私どもが主張しておりますようなことについて全く書いておらないんです。  といいますのは、この共済制度の原資というものは、公共事業を行うときの積算の中にこの退職金原資を積算して出されておる、こういう実態があるわけですから、言うたら国の金がこの中に含まれておるわけでありまして、単に業者がお金を出しておるということではないわけです。ということは、関係者がみんな集まってこういう運営委員会をやるということがあってもいいのじゃなかろうか。受益者である建設労働者がこの運営委員会に入って悪いということは全く考えられないんじゃないか。  経営者が自分の財布から自分でお金を出してこの制度をやっておるのであれば、任意の共済制度だという論理も通るわけでありますけれども、国のお金、それから地方公共団体のお金、そういうものが出ておる。もちろん、民間の部分もあります。しかし、多くは国の税金で賄われた公共事業の部分も含んでおるわけでございますから、そういうことを考えますと、その共済制度の恩恵を受けます労働者、受ける側の立場の人の代表もこの運営委員会に入って悪いということは全くないと思いますし、中小企業退職金共済法の運営委員会の項の中にも、そういう人が入ってはいけないということは全く一言も書いておらないわけでございます。  そういうことを考えますと、この委員の名簿を見せていただきましたが、大体有名な建設業者のトップクラスが入っておられるわけでございまして、この制度そのものをどこまで理解されておるのかということも私は疑問があると思うんです。  というのは、昨年の建設委員会に私が出かけていって大臣質問しますと、おられないところでこんなことを言ったらいかぬのでしょうけれども、実は、この制度を私は知らなかったというふうなことを大臣自身が言っておられたわけでありますから、この運営委員のメンバーの皆さんはほとんどそんなことは御存じないんじゃないか。また、会議をされるにしましても、年に一回か二回、業者で何かの会議があった最後にちょっとおまけのような形で会議をされてお茶を濁しておるというのが実態だというふうに聞いておるわけでございまして、実際に建設業に携わる労働者の退職金を議論する場としてはふさわしからぬ場であるというふうに思うわけでございます。  この労働者の参加ということについて、労働省、真剣にひとつ考えてもらいたいということをお願いをし、また、考え方がありましたら聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。
  33. 澤田陽太郎

    ○澤田政府委員 御指摘の運営委員会でございますが、これは、退職金制度をお預かりして運営しております退職金共済機構の退職金業務が円滑にいくようにという趣旨で設けられております。  退職金共済制度自身のあり方につきましては、この機構の方で議論するということではございませんで、まさに政府の責任において制度はいかにあるべきかということを議論いたしますので、そちらは関係審議会の方で、労使、有識者を交えた三者の場で議論をし、制度をつくり、必要なものは直していくということをしておりますので、そちらの方で利害関係人たる労働者の御意見は私どもは十分反映されているものと考えております。
  34. 鍵田節哉

    鍵田分科員 建設業の関係者の運営委員会ということから見ると、その中に労働者の代表をぜひとも入れていただきたい、そのことを強くお願いをしまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  35. 臼井日出男

    臼井主査 これにて鍵田節哉君質疑は終了いたしました。  次に、谷口隆義君。
  36. 谷口隆義

    谷口分科員 公明党の谷口でございます。  本日は、盲聾者に対する厚生行政のあり方ということを中心にして厚生大臣にお尋ねをいたしたいというように考えております。厚生大臣、大変お忙しいところ来ていただきましてありがとうございます。  盲聾者ということでございますが、一般的には、視覚と聴覚に何らかの障害をあわせ持つ人、こういうように言われておるようでございます。視覚障害及び聴覚障害が重複し、それぞれの障害が単独でも身体障害者手帳の交付対象となる程度の障害であること、このような一般的な定義がなされておるようでございます。  いろいろ資料を拝見させていただきますと、大体四つのタイプに分けられるようでございます。視覚の障害の程度と聴覚の障害の程度ということでございまして、視覚障害でいきますと、全く見えない全盲の方と弱視の方、この二つのタイプがございます。また、聴覚障害の方は、全く聞こえない聾の方、少しは聞こえるという難聴の方、このような組み合わせで四つのタイプがある。一つは全盲聾の方、もう一つは弱視聾の方、また三つ目は全盲難聴の方、四つ目は弱視難聴の方、盲聾者のタイプはこのように四つに大きく分けられるというように大臣にまず申し上げたいと思うわけでございます。  私がこの盲聾者の皆さん方と接触する機会は大変最近でございます。実は、あることがきっかけで私の家内が盲聾者の方と交際をすることになりまして、そういうことをきっかけにして、私と盲聾者の方との間でいろいろ意見交換をするようなことがございまして、ぜひ今回のような場で厚生大臣にいろいろお願い申し上げたいということで、本日お尋ねをするわけでございます。  盲聾者と申しますと、一番初めに思いつくのは、ヘレン・ケラーという方がいらっしゃいますね。盲、聾、唖という三重苦で一般的に大変よく知られておる方でございまして、ヘレン・ケラーさんとサリバンさんという先生との間での出来事は、これは広く世間に知られておることでございます。ですから、一般的に、ヘレン・ケラー女史を思い浮かべれば盲聾の方が大体思い浮かぶのではないか、このように言われております。  そこで、私は、先ほども申し上げましたが、きっかけがございまして、大阪に門川紳一郎さんという方がいらっしゃいます。この方が大変信頼している方で、もう一人、福島智さんという方がいらっしゃいまして、この福島さんが盲聾の方の団体のいわば代表格でいろいろやっていらっしゃるわけでございます。  簡単に御略歴をお知らせいたしますと、一九六二年に兵庫県で生まれられて、九歳で失明され、十八歳で失聴された、全盲聾になられたわけでございますね。それで、東京都立大学へ盲聾者で初めて入学し、卒業後、大学院にも進まれて、その後、一時その都立大学の助手をされておったわけでありますが、今、金沢大学の助教授をされておるわけでございます。  その方の行動に大変触発をされて、この門川紳一郎さん、これは大阪の方でございますが、一九六五年に大阪で生まれられて、目は生まれつきほとんど見えない状況でございます。聴力は五歳ごろから徐々に低下し、小学校になるころにはほぼ全聾になっていらっしゃったわけであります。盲学校に入学され、卒業される折にその福島さんの東京都立大学への入学を知られまして、大変触発され、大学進学を志されて、大阪の桃山学院大学に入学され、卒業されたわけであります。私、大阪でございますので、先日お会いいたしまして、いろいろな意見交換をさせていただきました。この方は盲聾の方でございますが、そういう盲聾の方の団体の国際会議がございまして、そういうところにも行って大変積極的に発言もされておられる方でございます。  また、先ほど申し上げました福島さんという方は、ちょっと私は参加できなかったのですが、先日も大阪でチャリティーの催し物がございまして、この人は全盲でございますが、自分で作詞をし、作曲をし、みずからピアノを弾いてやられるわけですね。私の家内がそれを見て大変感激をいたしまして、歌いながら伴奏の肩をたたかれるようで、それで合わすのです。それが、目の見える方、いわゆる健常者の方と全く同じような立ち居振る舞いであったというようなことで、大変感激したところでございます。  そういう盲聾者について、一般的に、この厚生行政の光の当たっていないところがまだあるのではないかという観点で質問をさせていただきたいわけであります。  それで、一番初めに私が感じましたのは、この盲聾者の実態把握でございます。平成八年の身体障害者実態調査報告というものがございまして、これによりますと、身体障害者の方が合計で総数二百九十三万三千人いらっしゃる。障害の種類別に見た身体障害者数のうち、重複障害者状況の中で、視覚障害と聴覚・言語障害の推計値でございますが、これが一万七千人いらっしゃるということになっております。これは十八歳以上でございます。また、重複身体障害児、十八歳未満の方の全国推計は約二百人となっておるわけでございますが、今、これが実態が明らかになっておらない。先ほども申し上げましたように、推計値になっておるわけでございます。  いろいろ資料もございますが、盲聾者の会のパンフレットがございまして、そこには、平成十年三月末日現在で盲聾者数が各県別に上がっておりまして、この資料では、推計盲聾者数は一万三千人ということになっております。それで、この団体に登録されておられる方が四百三十四名、ですから、推計盲聾者数の三・三%でございます。登録盲聾者数のうち重度盲聾者数、これは身体障害の一級と二級の盲聾者の方、この方が二百三十七名で、五四%がいわゆる重度の方である、こういうようなデータもあるわけでございます。  そういうような状況でございまして、いわばこの実態が明確になっておらないということで、私もいろいろ考えたわけでありますが、例えば、今、身体障害者手帳というものがございます。これにいろいろ重複障害の記載を行うということについては、当事者の皆さん方にお聞きいたしますと、どうもプライバシーの問題等々があって、いろいろなところに見せるようでございますから、それはなかなか難しいのではないか。ですから、身障者手帳を受け取る前に届け出をやられるということでございますので、その届け出の際に、行政サイドでそれをインプットするなり記録にとどめるというような方法はあるのではないかというように思うわけでございますが、まず初めに、厚生大臣に、このような実態を把握することについての御見解をお述べいただきたいと思います。
  37. 宮下創平

    宮下国務大臣 平成八年度の身体障害児の実態調査につきましては、今先生も御指摘のように、私どもの把握でも一万七千人、盲聾児が二百人というように承知をいたしておりますが、しかし、これはある程度推計的な要素もあるようでございます。  正確な実態把握につきましては、今御指摘のように身体障害者手帳の交付が行われますので、私個人としては、そのときに当然、二重苦の方々も識別をして整理がされるものと思っておりましたが、よく聞いてみますと、盲と聾の両方の障害名の記載がなされていない場合が多い。これは、今のそういう不幸な方々のお気持ちによるのかもわかりません。  そういうことがございますので、今委員の御指摘のように、その前に届け出があるからそのとき確認する方法があるのかもしれないなと、お聞きして思いますけれども、この実態の把握は、必ずしも今までの実情では正確でございませんから、これから正確になるべく把握するように、そうしないと的確に対策を講ぜられないということがございますので、注意してまいりたいと思います。
  38. 谷口隆義

    谷口分科員 それで、私は問題だと思いますのは未就学児ですね。まだ学校に行っていらっしゃらない方、この統計でいくと十八歳未満の方なんですが、そのような未就学児童の実態調査は特に重要ではないか。  御存じのとおり、この盲聾者という方たちは、一番大きな困難はコミュニケーションができないということでございます。コミュニケーションができないであるとか、移動が困難であるとか、情報が摂取しにくいとかいろいろあるわけでございますが、その中でも一番大きな困難はコミュニケーションができない。  そういう意味において、この未就学児を、さっき申し上げましたように、二百人程度しかいないという形になっておりまして、これは推計値でございますが、一刻も早くこういうような未就学の盲聾の方を把握し、何らかのコミュニケーションの方法を考え、社会生活に一刻も早く順応できるような能力開発等をやってあげる必要があるのではないかというように思いますが、これについてまた御見解をお願いいたしたいと思います。
  39. 宮下創平

    宮下国務大臣 こうした二重苦の方々の御苦労は大変だと思います。  したがいまして、コミュニケーションがどういう形で行われるかというのは、私ども通常の機能を持った人から見るとよくわからない点がありますが、お聞きしますと、やはり目が見えなくて聞こえないということになると、さわってみたりする、そういう通訳といいますか、その媒介をされる方々がやはり特殊な訓練、能力を持っていないといけないようでございますから、そうしたコミュニケーション手段を確保するための通訳者を養成する事業でありますとか、そういうことにきちっと対応できるように、まあ今も一部はあるようでございますが、私どもとしては、全国の盲ろう者協会に委託をいたしまして、そういった養成もいたしております。約二千五百万円くらい投入しておりますけれども、そのほか、盲聾者の通訳介助者に対する活動を助成するということで、これは社会福祉医療事業団に障害者福祉基金を設けまして、その果実等によって全国の盲ろう者協会等を通じて支援をいたしておりますけれども、なお引き続き、積極的にこれからも取り組まなくてはならないと思っております。
  40. 谷口隆義

    谷口分科員 推計値によりますが、いろいろ出ておりますが、欧米なんかで見ますとほぼ六千人に一人ぐらい、そういう状況で見ますと、約二万人ぐらいいらっしゃるんじゃないかと。そうしますと、十八歳未満の方で数千人いらっしゃるんじゃないかというようになるわけでございまして、これも、今挙がっておりますように、二百人程度しか推計値で挙がっておらないということでございますから、一刻も早くこういう方たちの把握をお願いし、コミュニケーション手段等々の能力開発も含めての施策を講じていただくように強く申し上げたいと思っております。  それで、その次に参りますが、この盲聾者の皆さん方の唯一の社会福祉法人として全国盲ろう者協会というのがあるわけでございまして、当協会において、支援事業といたしまして、各地域自治体による盲聾者福祉施設の運営主体として、盲ろう者友の会の活動を支援しておられるわけでございます。  しかし、全国的に見ますと、いまだ十五都道府県のみでございまして、全国的にまだ展開されておらないということでございます。これは、広範な支援活動ができるという意味においても、行政サイドがサポートし、一刻も早く全国的な展開をする必要があるというように考えるわけでございますが、これについては厚生大臣、いかがでございましょうか。
  41. 宮下創平

    宮下国務大臣 盲ろう者友の会につきましては、法人格が現在ないわけでございますけれども、その行っている活動は、今御指摘全国盲ろう者協会を通じてよく連携をとってやっていらっしゃるようで、今十五カ所ということでございますが、なお設立準備会が十三カ所、現在あるようでございます。  私どもとしては、その会員数の確保といいますか、やはり推計される方々に対応できる友の会があった方がいい、これにこしたことはありませんので、そしてまたその友の会の事業内容というのは、今お話しのコミュニケーションの技術の向上とか、あるいは交流促進をやるとか、いろいろ、そういった二重苦の方々にとって大変大切な活動をやっていらっしゃるようでございますから、あとう限り、ひとつ実態を把握した上で、なお必要なサポートはしてまいりたいと思います。
  42. 谷口隆義

    谷口分科員 ありがとうございました。  その次でございますが、先ほど申し上げましたように、この盲聾の方が抱える困難というのは三つある。一つはコミュニケーションができないということと、情報摂取がかなり困難であるということと、移動でございますね。このように、三つ困難があると言われておるわけでございますが、これらに対して、必要としているサポートの最大のものは、これは一人一人の盲聾の方が抱える複雑で個性的なニーズを満たし、生活全般をサポートする通訳介助者という方が必要なわけでございますが、これが一番必要である、このように言われております。  このような観点で、訪問相談員の養成に努めて、サポートできる通訳介助者、こういう人材を育成していく必要があるというように考えるわけでございますが、このことについてもひとつお聞きいたしたいというように思います。
  43. 宮下創平

    宮下国務大臣 大変重要なことでございまして、今、社会福祉法人の、先ほど申しました全国盲ろう者協会に盲聾者向けの通訳の養成研修事業等を委託しておりまして、平成十一年度予算で申しますと三千三百八十万円くらい、この研修事業費に充てることを予定しております。  それから第二には、所沢市に国立身体障害者リハビリテーションセンター学院というのがございますけれども、そこで、市町村でガイドヘルパー等に従事している者を対象にいたしまして、盲聾者の通訳ガイドヘルパー指導研修会というのを開催いたしまして、そこで盲聾のコミュニケーションに関する科目の充実強化を図ったりいたして職員養成をやっておりまして、その養成期間も一年から二年に延長する等の措置を講ずることにいたしております。  そうしたいろいろな施策をやりつつございますので、これらの支援の通訳介助者の養成につきましては、できるだけひとつそういう施設活用しながら数を増加させていきたい、こう思っております。
  44. 谷口隆義

    谷口分科員 ぜひ前向きに、予算の措置も講じてやっていただきたいというように思うわけでございます。  それで、先ほど大臣もおっしゃったように、法人格はまだございませんが、全国各地で友の会があるわけでございます。この友の会の関係者を含めて、盲聾の方、またその御家族の御意見、要望を集約し、当事者性を重視し、当事者のニーズに即した盲聾者福祉の望ましいあり方、これはやはり当事者の御意見が一番重要ではないかというように思うわけでございます。そういう意味において、当事者性を重視して、盲聾者福祉の望ましいあり方について将来のビジョンを構築していく必要があるのではないかというように思うわけでございますが、これについて何かお考えがございましたらお述べいただきたいというように思うわけでございます。
  45. 宮下創平

    宮下国務大臣 ただいまお話しのようなコミュニケーションの支援とか、移動、外出の場合は大変御不便なすっていらっしゃいますから、そういった支援等が強く要請されております。  平成十一年度予算におきましても、盲聾の方々のコミュニケーションに関する科目の充実強化を図るということで、先ほど申しました国立身体障害者リハビリテーションセンター学院の問題でありますとか、また、訓練システムの開発研究もやろうとしておりますし、また、日常の生活用具の給付事業として、視覚及び聴覚の重度重複障害者を対象とした点字ディスプレーの給付を行いたいというようなことで、新たな施策を講ずるようにいたしております。  今後、盲聾者の方々の施策のあり方を考えた場合に、今申しましたような、日常生活におけるリハビリテーション訓練システムを確立することが極めて重要だと存じますので、今後とも、盲ろう者協会等を通じまして盲聾者本人の方や家族のニーズを把握しながらその福祉政策を一層推進してまいりたい、このように存じております。
  46. 谷口隆義

    谷口分科員 今回のことがございましたので、厚生省の担当の方等にもいろいろな御意見をお伺いし、今の厚生行政のあり方の現状についてもお伺いしたところでございます。御担当の方も大変一生懸命していただいておりまして、私のところに来られました保健福祉部の障害福祉専門官の坂本さんあたりは、そういう方の御指導も専門的にやられておるようでございます。大変前向きにやっていらっしゃるわけでございますが、一方、しかしまだ従来の方向を破っておらないというか、まだまだ、より一層の対応をしていく必要があるのではないか。  先ほどから私申し上げておりますように、まず、実態が把握できておらないというような問題であるとか、実態が把握できた後には、それはそれなりにそれぞれの抱えておる問題がおありでございますので、多岐多様な対応が必要ではないか。  冒頭お話をさせていただきましたように、福島さんという方は、ピアノを弾き、作詞をし、作曲される。この方は、九歳で失明し、十八歳で失聴されたんですね。一方、門川さんは生まれつき目が見えないという方であるとか、だから、ある時点までは健常者でいらした方もいらっしゃるわけでございます。そういう意味において、この盲聾の方の対応については極めて多岐多様な形態が考えられなければいけない。ですから、あるパターンにはめ込んでしまうのではなくて、多岐多様な形の厚生行政のあり方が必要ではないか、このように考えるわけでございます。  特に、未就学児童におきましては、いろいろな問題がそこには潜んでおるんではないか。ほとんど外にも出さないで家に閉じこもったきりで、コミュニケーション手段もなくていらっしゃる方もおられるのではないか。そういう方に光を与えることによって、先ほど申し上げました潜在的な能力がいろいろな形で発揮されるんではないか、また、社会とのコミュニケーションがもっと広く広がってくるんではないか、このように思うわけでございます。ぜひそういう観点で、より一層進めていただきたいというように思うわけでございます。  これは最後の質問になったわけでありますが、盲聾者の例えばサポートのあり方とか、リハビリのあり方とか、職業開発のあり方とか、こういう各テーマごとに研究を進めていく必要があるんではないか、そういうことによって盲聾者福祉施策のノウハウを蓄積していく必要があるんではないか、このように思うわけでございます。  厚生大臣にお答えをいただく前に、本日、労働省の方から来ていただいております職業能力開発局長にお尋ねをいたしたいわけでございますが、このような盲聾者の方に対する職業開発という観点で、労働省の今現在の施策等々について教えていただきたいというふうに思います。
  47. 日比徹

    ○日比政府委員 ただいま先生指摘の問題は、非常に大切な問題であると思っております。  それで、私ども労働省の関係施策、取り組み方を申し上げたいと思いますが、私ども、障害者の雇用率の問題もございますし、視覚、聴覚重複障害者の方々につきましても雇用というものを進めていかなければならないと思っております。  ただ、現実、御指摘のように非常に難しい問題があるのも事実でございます。コミュニケーションの問題が実際の就労に当たって非常に大きな問題だということでございまして、現在、まず重複障害者の方々のコミュニケーション手段ということで、今、指文字その他いろいろな形があるとは思っておりますが、現実の就労を図るという目で見ますと、もっとコミュニケーションを支援するための機器というものを開発していかなければいかぬということで、コミュニケーション支援機器という形のものの開発を、まだ残念ながら研究段階、開発段階でございますが、そちらに力を入れておるところでございます。  これがベースになりますと、先々、先生指摘のように、実際の職域といいますか、具体的な職業をイメージしながら、そのために向けての支援体制をつくっていくことになると思いますが、今はまず、コミュニケーションの支援機器というもの、簡易な形で就労そのものを助ける形のものの開発に取り組んでおるところでございます。
  48. 谷口隆義

    谷口分科員 ぜひそういう観点で、盲聾者の方が就労できる、職業につけるような機器を今開発していただいているようでございますが、なお一層また頑張っていただきたいと思います。  それで、厚生大臣にお伺いいたしたいわけでございますが、そのような各テーマごとに研究を深めて、このノウハウの蓄積をする必要があるというように考えるわけでございますが、厚生大臣の御見解をお聞きいたしたいと思います。
  49. 宮下創平

    宮下国務大臣 私も、いろいろニュースを聞いておりますと、盲聾者の方で非常に鋭い感覚をお持ちで、たしか国際音楽会で今度第二位か何かになられた方がいらっしゃいますね。そんな話を聞くたびに、身体的な障害、ハンディを負いながらも、ほかの面ではすごいすぐれた能力を持っていらっしゃる方が多いんではないかなという感じもいたします。そういう特性も十分把握しながら、そういう方々が本当に明るく生きていかれるような体制を築くことはとても重要だと思っています。  そんなことで、これからいろいろ検討をさせていただきたいし、また、御意見もやはり審議会その他を通じていろいろお伺いする機会が多い方がいいと存じますから、審議会の専門員になっていただいたりなんかして本当の実情、そしてお役所の人たちも本当に肌で触れて施策をつくり上げていくことが非常に必要だ、そう感じております。
  50. 谷口隆義

    谷口分科員 厚生大臣、前向きの御発言をしていただきまして本当にありがとうございました。また、労働省からも、本日はありがとうございました。  最後になりますが、先ほど私申し上げました、盲聾者の皆様方と私どもは今接しておるところでございますが、ぜひ厚生大臣も一度そういう機会を持っていただいて、盲聾者の団体の代表の皆さん方と意見交換をするような場を持っていただきますようお願いいたしたいわけでございますが、最後にこれに対して。
  51. 宮下創平

    宮下国務大臣 先生の熱心なお取り組みに敬意を表します。改めてそういう時間がとれれば、私としても望むところでございますので、どうぞ先生の方でまた御案内いただければお会いする時間をとります。
  52. 谷口隆義

    谷口分科員 どうもありがとうございました。
  53. 臼井日出男

    臼井主査 これにて谷口隆義君の質疑は終了いたしました。  次に、松崎公昭君。
  54. 松崎公昭

    松崎分科員 民主党の松崎公昭でございます。  きょうは、まず、最近政府の方も大変御苦労をされておりますが、医療体制医療改革という問題が日本の政治の大きな課題になっているわけであります。その中でも、かなり膨大な量がございまして、各審議会あるいは政府のたたき台を出され、そして来年度中には新しい改革案を出したいというお話ではありますが、それに先立ちまして、今幾つか議論がございまして、私がきょう取り上げさせていただくのは、この中でも特に医師の臨床研修必修化、この問題に絞ってまずお聞きをしたいと思っております。  医師の数が過剰である。二十四万人もいるわけでありますが、特にこれから問題になるのは、団塊の世代の医師の量、その辺も含めまして、同時にまた医療そのものの質の転換、あるいは時代に応じた対応、いろいろな問題があるわけでありまして、ですから、医療体制改革ということが大変重要な、また急いでやらなければならない改革ということであります。  さて、今この案が世間に出てまいりまして、特に現場の学生さん、これからお医者さんになろうという方々がかなり不安に思っているわけであります。今まで必修ではなかった臨床の研修が今度はそのようになるということになりますと、いろいろな影響が出るんではないかということで、我々の方にも随分学生さんが心配をしてお見えでございます。  そんなことも含めて、将来のあるべき姿が、まだ形はたたき台あるいは政府案という形で出され今後いろいろ検討されるということはよくわかっておりますけれども、とりあえずその大枠、あるいは今こういうことを考えているんだ、その辺だけでもお示しをいただきますと若い方々の一つの安心感が出てくるんではないか、そんなことも考えながら質問をさせていただきます。  まず、なぜ今研修医の臨床研修の必修化が行われようとしているか、その辺からお願いを申し上げます。
  55. 宮下創平

    宮下国務大臣 今の医療保険の改革の中で、医療提供体制の一つとして議論がされております。まだ確定的な、最終的な姿が明確になったわけではございません。  ただ、議論としては、水準の高い医療の給付を受けたいというふうな国民の気持ちとか、あるいは医療技術の進歩等もございますし、大学を出て直ちに資格を取って開業されるという今の制度よりも、もっと実務期間を長くして、そして二年なら二年ということで研修をしていただいた上で実際に開業されるなりなんなり独立した営業をやっていただく方がより適切ではないかという感じで今検討がされておりまして、まだ必ずしも合意を得たものではございませんが、私もそういう方向であっていいのかなという感じは持っております。
  56. 松崎公昭

    松崎分科員 確かに、まだこういうふうに決まったということではないのでありますけれども、やはり既にたたき台が出され、随分皆さんの意見を聞く段階になっておりますので、ですから、ここであえて心配やら疑問に思うことを幾つかお尋ねをして、そして、どういう形におさまるか、これは今後の動きでありますけれども、ぜひその辺のことをお聞かせいただきたいと思います。  当然、改正をするということは今よりはよろしくしたいということであると思いますが、まず、現在はほとんど一つの科が中心にやられていると思います。これはこれで極めて専門的になるということでよろしいと思うんですが、今回は総合的になる。その総合診療方式というのはどの辺を、特に救急も外来も、こういうものも研修カリキュラムの中に入れるんだ、そういうことでありますので、これからのお医者さんの、あるいは今までの問題点があるからこういう方向にしたいんだという、その辺のねらいがおわかりになりましたらお知らせいただきたいと思います。
  57. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 少し細かい話でございますので、私からお答えをさせていただきます。  近年の医学、医療の進歩、それから卒前における臨床実習の導入の状況等を勘案をすれば、臨床研修において基本的診療能力というものを身につけていただくことが大変大切だ、こう考えておるわけでございます。  このため現時点では、特定の専門分野に偏ることなく、基本的には内科、外科を中心とした複数科を研修することが望ましいと考えておりまして、二年間という限られた期間の中でどのような形で研修を行うのが適当か、必修化後の具体的内容について今後も検討を続けてまいりたい、このように思っておりまして、細かく全部の科を回れとかということまでまだ固めているところではございません。
  58. 松崎公昭

    松崎分科員 そうしますと、この文面でいきますと、全部の科に回っていくような雰囲気があったようでありまして、非常に現場というか若い方々が心配していた。  確かに私も、今の医療体制の中でどうも専門分化に分かれ過ぎている。私の女房も、若いときから緑内障をやっておりまして、ところが東大の眼科に行っても何科に行っても治らない、二十代でしたけれども。結局それは漢方で、子供の産めないと言われたかみさんが四人も産んだというのは、他の、肝臓を治したり、全体的に物を見る、東洋医学的な療法というんでしょうか、そういうことで、いまだに眼科にだけ行ったんでは緑内障はだめですと。  そういう意味で、一つの科でも幾つかの連関する科目はしっかり勉強する。こういう点で、今までの医療、逆に西洋近代主義といいましょうか、その辺の弊害があったというふうに私は個人的には感じていまして、そういう意味では研修の場でやはり総合的なあるいは全体的な力を持っていただきたい。  それはよくわかるのでありますけれども、実際、現場になりますと、大変不安のようであります。やはり一つ専門的にしっかりやりたいということでその辺の不安があります。今お聞きしますと、全体を回るんではない。確かに、救急やら外来も全部やるということは、私はよろしいとは思います。ただ、その辺で、全体を回らないということであれば、私もこれからの検討期待をする、そういうことであります。  ただ、もう一つ、正直言いまして、ここに報酬の問題が出ております。なぜかといいますと、若い先生は、特に私学の場合等は無給である。ですから、どうしてもアルバイトをしなきゃならないんだというところで、この辺が、今回は、臨床研修病院・施設内で医業を行うことということは、これは、ほかへは出られないということになるわけでしょうか。
  59. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 臨床研修中の医師に対してでございますが、それらの医師の方々に対しては必修化の趣旨を徹底するよう、研修の専念義務を課すなどの対応が必要ではないかと考えております。こうしたことから、臨床研修病院以外で所得を補うために行われてきたアルバイトについても、研修に専念するという観点から、その見直しは検討してまいりたい。  今先生が、禁止かということで、禁止といっても、人間ですので、足もありますからあちこちに行かれてしまうので、一〇〇%そういう禁止とかということになるということではないのですけれども、ただ、既に日本の臨床研修病院でも、きちっとした研修プログラムを組んでいらっしゃるところは、実際に外に行かれることはできない。実際、患者さんのためを思えばそんなことはできない。だから、一生懸命勉強していただくということが実質的には行かれなくなるということになるのではないかな、こんなふうに思っているところであります。
  60. 松崎公昭

    松崎分科員 その大学、所属する地域にもよると思います。  それから、今おっしゃったように、しっかりとしたカリキュラムを組まれた研修の場所であれば確かにそうでありますけれども、全国には、先ほど申し上げましたように、大変お医者さんが多くなって、若い人たち、前よりは、団塊の世代と比べればずっと減ってはおりますけれども、それでも大変な過剰である。そうなりますと、どうしてもアルバイトにも頼らざるを得ないような場所にいる場合もある。国立とか公立ですと二十万円ぐらい今もいただいているそうでありますけれども、私学の関係ですとほとんど無給である。そうすると、本代稼ぐにもやはりせざるを得ないんだと。そういうところでいきますと、今回のこの制度でいくと、おっしゃる内容とねらいはわかりますから、それはそれで正しいと思いますけれども、現実問題としては大変不安が出てきてしまったというのが今の現状であります。  そこで、生活保障等のあり方について検討するということになっております。この辺はどのような体制で臨もうとされているのか、お知らせをいただきたいと思います。
  61. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 今御答弁申し上げましたように、研修医については、臨床研修に専念をしていただくということでございます。そういたしますと、その研修を効果あるものにするためには、研修医に対してその手当が適切に支払われることが必要である、こう考えております。  この点に関しまして、先般の医療関係審議会では、研修中の医師に対して、その手当が適切に支払われるよう必要な措置を講ずることとし、具体的な費用負担については、国及び医療保険の双方が負担している現状を踏まえ、今後そのあり方を整理するとしておりまして、こうした考え方を踏まえ、今後検討してまいりたい、こう考えておるところでございます。  したがいまして、今先生お話ししたように、私立医科大学等、私は無給とは聞いていないのですが、ほんの少ししか出ていないというのは実態だとは思いますが、その先生方についても、生活保障という形で、アルバイトをしなくてもきちっと臨床研修で生活ができるというようにしてあげることが大切だ、このように思っております。
  62. 松崎公昭

    松崎分科員 財源は、きっと国の方と診療報酬ということで、今までどおり大体行われるのではないか。ですから、できればアルバイトプラス今までいただいていたような、そのくらいの保障をしっかりとして、うろうろしないで勉強のできるような、そういう体制をつくり上げていただきたいと私は思います。  それからもう一つは、特に地方の学生さん等の心配は、研修病院が今度は指定をされるということ、それから、病院群それから研修施設群、こういう形が打ち出されてきております。  この辺で、今まではもう少し自由に、あるいは、大学はかなりたくさん受け入れてくれたんですけれども、その辺の一定の基準というのが出されておりますけれども、これを含めまして、研修病院の供給体制というのは、また一定の基準とはどういうものか、この辺のことをお知らせいただきたいと思います。
  63. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 まず、臨床研修の現在を申し上げますと、医師の卒業生のうち八割の方が実際に臨床研修を、大学だとか臨床研修病院で受けられているという現実がある。したがって、あと二割の方々が行かれるとすると、全部行かれるとしても、受け入れられるだけの能力については、私ども、さほど今のところは心配をいたしておりません。  ただ、実際には、臨床研修病院として今指定してあるところが本当に適切なのかというのは関係者からも意見をいただいておりまして、そこについては、改めてその指定の条件を考え直すとか、そういうことについては今後検討してまいりたいと思います。  その辺につきましては、実は昨年の暮れ、十二月二十五日に、厚生省が今のところの考え方としてたたき台を出しました。多分、先生それをお読みになられたと思いますが、その中にも、臨床研修の準備のためには、実際には二ないし三年の猶予期間を置くという考え方をいたしておりまして、実際には、まずは今は法案を調整するという方向へ向けて審議会の議論をいたしておるところでございまして、それで最終的には、審議会の御意見をいただいた後、厚生大臣のところで厚生省の判断をし、それから法案を出して、それから次に臨床研修の医療機関の基準の見直しとか、実際の医療機関の見直しということはやっていかなければいけない、このように思っておるところであります。(松崎分科員「病院群と研修施設群とはどういうことかという話」と呼ぶ)  臨床研修群というのは、一つの病院だけでは結局臨床研修すべて賄えない病院がある。特に精神科関係ですと、精神科病床を持っている総合病院とか大学病院でも、ほんの少数しか精神科病床がない。それから症例もなかなか少ないということになりますと、一つの病院とほかの病院と連携をとるとかということが実際あり得るわけでして、そういうのは要するにグループでもって臨床研修の役目を果たす、役割をされるということで、臨床研修のいわゆる病院群というのが出てまいるわけであります。
  64. 松崎公昭

    松崎分科員 それから、指導医という項目もあるわけでありますけれども、現在、大学病院の場合は、質の高い、また量も多いと思うのですけれども、やはり指導医の質の向上を図るということは、いろいろ問題があったということなのかもしれませんけれども、聞くところによりますと、今まではボランティア的な指導医が多かったというのでありますけれども、今後はその辺もしっかりと位置づけをしていくということでございますが、この指導医の確保という点では、全国的に見て、研修病院のばらつきもあるわけでありますけれども、その辺のことは大丈夫なのか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  65. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 まず、指導医というのは、今まで医療の世界では、実質的には先輩の先生方が実際に御指導されていた、しかし、それについて特に基準があるわけではなかったので、今後は指導医についてもこれこれの基準を備えた方をと。例えば、卒業して何年勉強されたとか、各学会の指定医を持っていらっしゃるとかというようなことが条件になるかもしれませんが、そういうことは今後検討していかなければいけない問題だと思っております。  それからもう一つ、指導医の先生が本当に臨床研修医に対してきちんとした指導をしていただくということが大事なので、そういう意味では指導医の処遇のあり方についても今後検討していく、こういう考え方をいたしておるところでございます。
  66. 松崎公昭

    松崎分科員 もう一点、保険医の資格の問題なんですが、たしか現在は、医師免許をいただきますと、それなりの手続によって、ほぼ自動的になんでしょうか、保険医の資格を取れるということになっているようでありますけれども、この辺が今後もそのとおりいくのか、あるいは研修の期間が終わってからでないと取れないのか。なぜこれが非常に問題になるかというと、現場の治療に当たった場合に、保険医であるかないかというのがまだ研修の段階でもかなり影響が出るというふうに聞いておりまして、この辺の保険医関係の資格の付与は研修必修化によって変化があるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
  67. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  先生今御指摘のとおり、現在、医療保険制度でいわゆる保険医という形で保険診療を担当していただく、そのことにつきましては、原則として医師の資格があるということをその要件にいたしております。  一方、今後のいわゆる研修医の身分がどうなるかというところに最終的にかかわってくるわけでありますけれども、現在関係審議会で御議論をいただいています方向というのは、医師としての資格を付与した上で研修をしていただくという方向で御議論をいただいておるようであります。したがいまして、研修中も医師としての資格はあるということでやるような方向で今検討がされておるようでありますから、もちろん、この検討の結果、最終結論を待ってではございますけれども、そのことをよく踏まえまして、保険医としてどうするかを決めてまいりたいというふうに思っております。  原則として、方向としていえば、研修医も医師としての資格を付与されるということであれば、今までの考え方の延長線でいけば保険医としてもまず登録するということになろうかと思いますけれども、そこらあたりのところは、まだ身分のところの最終決定がなされておりませんので、そこを踏まえまして検討させていただきたい、こんなふうに思っております。
  68. 松崎公昭

    松崎分科員 いろいろまだ検討中でありますけれども、今私が申し上げましたような、若いこれからのお医者さんが、建設的な不安であればよろしいんですけれども、単なる将来不安だけでなくて、やはり自分たちが安心して思い切って力の発揮できるような体制を一刻も早くつくるべきだろう。もちろん、我々国会全体の責任もあるわけでありますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それでは、残る時間、少しホスピスの問題でお聞きをしたいと思っております。  ホスピスは、もう詳しくは申しませんけれども、まだ日本は、二十年ほど前から欧米からの考え方で入ってきているわけでありますけれども、日本の精神文化等あるいはいろいろ文化の違いもあって、簡単にはなかなか入らないということです。ただ、死に対する一つの物の考え方、最期の結末の迎え方、特にこれから高齢社会になり、がんの比重は今までも多いわけでありまして、末期患者のケア、こういうところでこのホスピスの重要性と社会的な意味というものは大変大きくなってきております。  ところで、私は、昨年の十月にたまたまドイツへ行く機会があったものですから、ケルン大学の終末医療緩和病棟、これが非常に有名だったものですから、そこへ行きたいということで資料をお願いしたら、たまたまその担当者の方はわからなかったということで、これは世界的にもかなり有名な緩和病棟なんですね、そこで、私もちょっとがっかりした。  同時に、厚生白書を最近見てみたら、ホスピスのホの字もないんだということでした。大分今ふえてはおりますよ、五十病院ぐらいになりました。私の地元も、千葉県の柏市ですが、がんセンター東病院がありまして、あの緩和病棟は私も見ておりますし、私どもの友人がそこで亡くなったということもありますから、よく承知はしております。ですから、比較的進んできているなとは思いますけれども、残念ながら、厚生白書にもなかなか触れられていない。  そういうことで、大臣に、これからホスピスに対してどんな方向性なり認識を持っていらっしゃるか、ちょっと一言お願いしたいと思います。
  69. 宮下創平

    宮下国務大臣 ホスピスの話でございますが、末期医療をどう考えるかという問題は、大変重要な課題でございます。がんとかいろいろの病気が出てまいりまして、なかなか治る見込みがないという状況の中で医療給付をさらに続けるということについての問題でございますが、意識調査をやりましても、かなり国民の末期医療に対する関心度は高いようでございますし、それから、国民とか医療技術者の大半の方々は、単なる延命医療はやめまして、痛みなどの症状を和らげることに重点を置く医療を望んでおるという状況が統計上もかなり鮮明に出てきているように思います。  したがって、望ましい末期医療のあり方というのは人それぞれで考え方も異なると存じますけれども、単なる延命医療に偏重しないようにして、患者の意思を尊重しながら、適切な末期医療を受けられるようにしていくことが極めて重要ではないかなということでございます。  それから、ホスピスの数でございますが、今、いわゆるホスピスにつきましては、平成二年から診療報酬上、施設基準を設けまして、緩和ケア病棟入院料として保険上もこれを評価をしておるということでございますが、十年の七月一日現在で、四十施設、七百三十三床となっておるようでございます。平成十年の診療報酬改定におきましてもその点数の引き上げが行われたところでございますけれども、今後、必要な整備が図られるように、診療報酬上の措置も含めまして、適切に対応してまいりたいと思っております。
  70. 松崎公昭

    松崎分科員 診療報酬、これは包括的な点数で三千八百点、先ほどちょっとお聞きしましたら精神科の急性期で千六百五十点だということになりますと、確かに前よりははるかに医療保険上も対応をしっかりし始めたというふうに私は感じておりますが、ただ、二次医療圏のベッド数が大枠で百二十五万床、これは緩和ケアの病棟だけの問題ではないんですけれども、一般病棟でもやはりそういうホスピス的な緩和ケアをできればしていきたい。しかし、実際には、末期医療の患者さんは一般病棟では難しいというのは、いろいろなデータが出ておりますし、現実的にそうであります。  あともう一つは、在宅医療も非常に重要になってくるというふうに言われております。しかし、一つの牽引力としては、やはり緩和病棟ですね、がんセンター東病院のように、そういうものが幾つかあった方がいい。そこでいきますと、百二十五万床のうち、今大臣、七百三十三でしたけれども、もう少しふえていまして、九百十八床ぐらいに今なっておりますね。でも、一・七%ということで、この一・七というのはベッド数じゃありません、末期医療の患者に対して一・七ですから。これは本当にいい施設なんですね。私も、ケルン大学で創立されたビヒルマイヤー教授にわざわざ案内をしていただきまして、よくできていました。緩和をしながら、安らかに最期を迎えるという、これは医師とか医療スタッフだけの問題ではありません、周辺の人々も含めて非常に大事なんです。  ですから、そういう意味で、私は、病院の中にこういう緩和ケア病棟をつくることによってそういう意識を国民の中に醸成していく。それをきっかけに、国民教育あるいは医療体制の中でそういう方向に、この末期医療に関してみんなが関心を持つ、そしてお互いに協力して、必ず一度は迎えなければならないわけでありますので、その辺のことをしっかり牽引していただきたいな、そう思っております。  現在、県の単位でいきますと二十八県しかないわけでありまして、ぜひ、まだないような県に対しましてのお取り組み、そして国民に対する意識づけをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  71. 臼井日出男

    臼井主査 これにて松崎公昭君の質疑は終了いたしました。  次に、丸谷佳織君。
  72. 丸谷佳織

    丸谷分科員 大臣、御苦労さまです。公明党の丸谷佳織と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。  二十一世紀をもう目前にしまして、バリアフリーの社会を目指していくといったような言葉を本当に最近よく耳にするようになって久しいわけなんですけれども、このバリアフリーという言葉、一体どういうふうに考えて取り組んでいったらいいのかという視点から、きょうはちょっと細かい問題になるのですけれども、質問をさせていただきたいというふうに思います。  現在、日本には身体に何らかの障害を持っている方が約五百万人、ですから、日本全体の約四%に当たる方が障害を持っているというふうに言われております。その方たち、またそれ以外の人たちが両方とも自由に便利に暮らしていける、どちらかのためだけの福祉施設じゃなく、福祉政策じゃなく、両方が便利に暮らしていける社会、それがまさしくバリアフリーというのだろうというふうに思うわけなんですけれども、福祉政策全部に行ってしまいますと余りにも幅が広いので、きょうは三十分の時間の中で、特に、主に視覚に障害を持つ方のための医療機関における施策というのを質問させていただきたいというふうに思っております。  まず初めに、視力に障害を持つというふうに言われている方は全国に今どのくらいいるのか、一番新しい数字でお答えください。
  73. 真野章

    ○真野政府委員 平成八年十一月の実態調査によりますと、在宅の視覚障害者の数は、全国で約三十一万六百人というふうに推計をいたしております。
  74. 丸谷佳織

    丸谷分科員 今お答えいただいたのは、一級から六級の障害を持つ方だというふうに理解してもよろしいでしょうか。  その中で、点字がわかるという方は何人くらいいらっしゃるか、わかりますか。
  75. 真野章

    ○真野政府委員 申しわけございませんが、この三十一万人のうちでどの程度点字がわかるかという調査はいたしておりませんので、残念ながら、わかりかねます。
  76. 丸谷佳織

    丸谷分科員 済みません。今の質問は通告をしていなかったのでお調べいただいていないと思うのですけれども、今おっしゃっていただいたよりも古い数で調べたところによりますと、平成三年で、視覚障害を持つ方が全国に約三十万人という中で点字がわかると言われる方は、民間の調べなんですけれども、約七万人いらっしゃる。ですから、残り約二十三万人の方は、点字を習得されていない、または習得している段階であるというふうに考えていいと思うわけですね。  点字を習得するのにも五、六年かかるというふうに言われていまして、点字がわからない視覚障害を持っている方たちの生活というのは一体どれほどの苦労があるかというのは容易に想像できると思うのです。では、今おっしゃっていただいた一級から六級の視覚障害を持つ方のほかに、いわゆる弱視と言われる方は全国にどのくらいいらっしゃるのか、お答えください。
  77. 真野章

    ○真野政府委員 弱視につきましては、身体障害者福祉法上、弱視という方の定義はございませんで、平成八年の実態調査におきましては、いわゆる弱視の方の数というのは把握をいたしておりません。
  78. 丸谷佳織

    丸谷分科員 行政用語に弱視というものがないということだと思うのですけれども、これも民間の調べなんですけれども、弱視と言われる方は、例えば今高齢社会の中で、生活習慣病ですとかそれから加齢によってどんどん目が見えなくなっているという方を含めますと、三百万人ほど日本にいるというお話をお伺いしております。  それで、一つ気になります。この弱視なんですけれども、文部省の学校教育法施行令の中に弱視という言葉は出てくるわけなんですね。これはどういったものかといいますと、盲学校に入学をする際に、弱視の児童というのがいるわけです。視力が〇・〇二未満の視覚障害に値する児童は約三八・九%、これは盲学校に通っている生徒の調査になるのですけれども、それ以外の約六〇%の児童は、障害者ではないのですけれども、視覚に何らかの障害を持っているという理由で盲学校に学ぶ必要があるということで盲学校に通っているわけです。ですから、一級から六級という視覚障害者に値する児童が盲学校に通う約三八・九%、それ以外が六〇%いるという状況が一つあります。  その子供たちが、例えば盲学校に行く際に、自分は障害者手帳とかはないのだけれども、検査により目が、例えば眼鏡で矯正できない機能障害を持っているようなこともあるわけですね。それはどういったことかといいますと、視野が極端に狭いですとか、あるいは視野の中心部分だけが見えないですとか、それからぼやけて見えるとか、周囲の光の量によって視覚に困難が生じる、または屈折異常などの障害を持っていると、障害もさまざまなんですけれども、この子供たちが、盲学校に通っているときは、自分は弱視だと思っていた。  けれども、卒業して社会に出て何か社会に貢献しようとしたときに、行政用語の中で弱視というのはないので、福祉サービスはないわけですね。そのときのギャップというのが非常に大きくなってくるだろうなというふうに私は思うのですが、この点は、大臣、今の話の中でいかがお考えになりますか。お考えを聞かせてください。
  79. 宮下創平

    宮下国務大臣 弱視の定義が学校教育法の障害児教育の中でしか定義されていないということのようでございます。  確かに、こういう方々が、盲学校に入られるとかその後において、かなり視覚障害の影響を受けられる方も多いかと思います。そういう方は、やはり、ただ形式的に判断をしてやり得ない分野があるのではないかという感想を持ちました。これからも、それは実態に応じて対策を講じていかなければならないというふうに思います。
  80. 丸谷佳織

    丸谷分科員 次もちょっと質問通告を、今来る前にちょうど見つけたものですから、しておりませんので説明させていただきますと、製薬会社が定期的に発行していますある小冊子に、医療に関するものなんですけれども、「服薬能力と服薬指導アルゴリズム」という記事が出ておりました。  これはどういった記事かといいますと、いわゆる健常者の方、それから何らかの障害を持っているあるいは疾患を持っている方を対象に、服薬能力はどのくらいあるのかというのを調べた記事なんですけれども、対象は、健常者の方が三十一人、年齢の平均は四十一・六歳です。そして入院患者の方が五十三人、平均年齢が七十二歳です。外来患者の方が六十八人、平均年齢は七十・一歳。計百五十二例の方にアンケートをとり、聞き取り調査をした結果の服薬能力判定というのがありまして、これは、聞き取り調査で、例えば私の言っていることが聞こえますかという問いに対して、はいかいいえ。また、薬の袋の文字をすべて読むことができますかという問いに対して、はいかいいえによって点数をつけていく。こういう設問が幾つかある。これによって服薬能力を判定したという結果なんです。  この結果、言葉はいいかどうかちょっとわからないですけれども、この調査の結果どおりに答えを言いますと、正常、要注意、要訓練、要介助の四つに分かれております。正常というのは、服薬に何の困難もない方。要注意の方は、服薬の際に確認を必要とする方。要訓練というのは、服薬の練習が必要な方。そして要介助というは、服薬する際にだれかに手伝ってもらわないと服薬できないという、この四段階に分けたわけなんですね。  健常群と言われる方の中で、正常だった方が七一%。要注意ですから服薬の確認を必要とする方が一九・三%。そして服薬をするのに練習が必要な方が約九・七%となっています。  また、入院患者の方、五十三例ありましたけれども、正常、ひとりで薬を安心して飲める方が二八・三%。注意を必要とする方が二六・四%。練習を必要とする方が二四・五%。そして手伝いが要る方が約二〇・八%いらっしゃいました。  また、外来患者六十八例においては、ひとりで飲める方が二〇・六%。注意を必要とする方が三〇・九%。練習を必要とする方が二五・〇%。そして手伝いが必要な方は二三・五%。  健常の方でも、注意が必要あるいは練習を必要とする方が約三〇%近くいらっしゃって、また、入院患者の方、外来患者の方によると、ひとりで飲めるという方が二〇から三〇%弱と、非常に誤飲のおそれがある方が多いんだなというのがこの結果によってわかるというふうに思うのです。  誤飲を防ぐために何らかの方法が、措置が必要ではないかというふうに思います。それにつきまして、昨年の六月に政府の方に質問主意書を提出したわけなんです。その中でも訴えたことと今は同じなんですけれども、誤飲を防ぐ、あるいは高齢化社会が進んでいくということを背景にし、また生活習慣病が今小さな子供たちにもふえているという時代背景の中で、薬袋に、例えば目の見えない方のためには点字をつける、あるいは認識できるような識字シールをつけるような措置をとる必要があるのではないかというふうに思うのです。  自治体によりましては、独自でそういった取り組みをしているところがあるんですが、今全国にそういった取り組みをしているところは何カ所くらいあるのか、把握されていますでしょうか。
  81. 中西明典

    ○中西政府委員 自治体あるいは地域レベルで、特に視覚障害者の誤飲を防止するための取り組みというのが幾つかのところで始まっているというふうに認識しております。  例えば、北海道におきましては、道の薬剤師会が中心となりまして、薬の種類や服用方法などを示す点字シールや点字が読めない方のための記号シールを作成しまして、希望する病院や薬局にあっせんし、病院や薬局では、そうしたシールを一回の服用分ごとに貼付した上で視覚障害者の方々に薬を提供しているというふうに承っております。  そのほか、兵庫県におきましても、薬剤師会が中心になり、点字シールを作成して、病院、薬局にあっせんしておりますし、東京都も、全部の都立病院で、点字シールをあらかじめ配付して、薬袋に張りつけるというような方法をとっておる。そのほか、和歌山や福島、栃木各県でも、薬剤師会が主導して、突起シールあるいは点字シールを薬局等に配付、あっせんし、これを活用しているというふうに聞いております。  個別の病院でも、名古屋大学の附属病院を初め、いろいろ試みをやっておられるところはあるようでございますが、全国あまねく完全に調査したわけではございませんので、私どもが承知しておる範囲で申し上げますと、そういうことになります。
  82. 丸谷佳織

    丸谷分科員 今の回答の中に出てきましたけれども、国立病院に関しましては、昨年の八月に厚生省の方で、全国の国立病院に対しまして、視覚障害者に対する服薬指導への配慮という通達を出されているというふうに思うのです。その通達を出された後の対応は各病院によってまちまちであるというようなお話も聞いておりますが、その後、病院がその通達を受けてどのように対応されているのか、事後調査というのはなされているんでしょうか。
  83. 伊藤雅治

    ○伊藤(雅)政府委員 昨年の八月十九日に通達をいたしまして、その後、具体的な事例といたしましては、国立呉病院におきまして、点字による表示をしたシールでございますとか、また、四国地方の国立病院につきましては、四国地方医務支局に点字プリンターを導入いたしまして、各施設へ一括して服薬方法などを記載した文書を配付するということを、この三月末まで、年度内に実施したいと考えております。  ただ、全国的にきっちりと把握しているわけではございませんので、改めて、全国の国立病院・療養所におきまして視覚障害者などに対する適切な服薬指導が実施されるよう指導してまいりたいと考えております。
  84. 丸谷佳織

    丸谷分科員 厚生省が通達を出していただいたとおりに、積極的にこの問題に取り組んでいるところがすべての病院であれば本当にそれはすばらしいことなんですけれども、そこまでいっているのかどうかというのは調査をしてみないと非常に不安が残るというふうに思いますし、今おっしゃったように、再度そこを周知徹底させていっていただきたいというふうに思います。  先ほども触れたのですけれども、各自治体の取り組みを見ていましても、私の出身地の北海道もそうなんですが、自治体によっては、非常に積極的に視覚障害を持つ方のための医療機関における施策というのに取り組んでいらっしゃるのです。  これは、ちょっと例として北海道の識字シールというものを持ってまいりました。これは白と黒があるのですが、白内障、緑内障の方によって、白黒どっちか、見やすいように張るというものなんですね。  なぜこんなに大きいポイント数か、字が大きいかといいますと、これは薬袋に張るものなんですが、弱視と言われる方は、このぐらいの大きさであれば見える、十センチくらい離して見える大きさがちょうどこれだというアンケート調査の結果が出ましたので、この大きさにしました。  そして、実際にさわっていただきますと、朝には一つ出っ張りがあります、昼には二つ出っ張りがあります、夕方には三つといったふうに、点字がわからなくても、記号で、触感で、さわって朝昼晩とわかるようになっています。  先ほども申し上げましたように、点字をわかる方は約七万人しかいらっしゃらないので、それ以外の方のためには、点字がわからなくても、さわってわかる記号ですとか、そういった識字シール、これが今北海道で導入されているものになります。  ただ、これは、北海道薬剤師会がリーダーシップをとって、北海道全部の薬局、医療機関でちょうど二月から導入したものなのですけれども、こういった民間ベースになってきますと、やはりそこには目の不自由な方にも安心して薬を飲んでほしいというボランティア精神が先に立つわけなのですね。サービスという観念が大前提としてあるわけです。ただし、そうした場合にボランティアだけではやはり継続性に不安が残るという一つ欠点があると思います。  例えば、これを継続させていくために、識字シールを貼付した場合、あるいは点字をつけた場合に、点数化によります診療報酬上の措置というのを考えていただきたいと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  85. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 視覚障害者の方に薬剤情報を点字により薬袋に表示をされた場合の診療報酬上の扱いの問題でありますが、診療報酬におきましては、視覚に障害のある方のみならず全体的にすべての患者の方々がやはり薬剤を適正に使用していただくということは非常に大事でございます。先ほど先生お挙げいただきましたように、健常者の方でもある種の不安が残るということもございますから、やはり薬剤を適正に使用していただく、服用していただくということは大変大事な課題でございます。  こうした観点から、診療報酬上は、服薬指導に当たりまして、処方されました薬剤の名称あるいは用法等に関しまする主な情報を文書によって出されるというような行き届いた対応をされた場合には、薬剤情報提供料というような形での評価をいたしております。したがいまして、視覚に障害のある方々に対しまして、先生お話のありましたように、薬袋に点字表示をするという場合にも、今申し上げました薬剤情報提供料としての扱いというようなことにつきましては評価をするということになると思います。  ただ、現在のところは、点字表示をしたからその分余分に一般の文書による服薬指導以上のという扱いまではなっておりませんで、そこらあたりのところは、先生昨年質問主意書でおただしをいただきました際にもお答えをさせていただきましたように、今後の診療報酬改定の際の業務としてさらに検討をさせていただくということで、今後の検討にお願いをさせていただきたいというふうに思っております。
  86. 丸谷佳織

    丸谷分科員 今のお答え、もう一回確認させていただきたいのですけれども、情報提供料に含まれるというお話があったのですが、それは老人保健法の中ではなくてですか。七十歳以上の方に提供した場合ということではなく、年齢にかかわらずという対象のお話ですか。
  87. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今お答えを申し上げましたのは、外来の患者に対しまして一般的な話として申し上げました。  お尋ねございましたので、ちょっと余分なことをお答えをするかもしれませんが、恐らく、今先生お挙げになった話というのはもう一つございまして、やはり老人の方々ですとどうしても薬が多くなりがちである、それから、先ほど来お話にありますような誤飲だとか誤用が多くなりがちだということで、老人に対しましては、もう一つの措置としまして、二剤以上の薬剤を服用するごとに、朝なら朝ごとに一つの包みにした、一包化をしたときには、それについて診療報酬上の評価をしてある種の加算をしているということを老人についてとっているということを先生お話しだったのではなかろうかと思います。
  88. 丸谷佳織

    丸谷分科員 今私が話したのは、老人薬剤服用歴管理指導料の加算というものかなと思ってお話をしたわけなんですけれども、今ちょうどお話に上がったので、老人保健法の中のワンドース化、七十歳以上の方に一包化をした場合に三十五点つけられるということなんですけれども、例えば、目の見えづらい方ですとか、あるいは身体の何らかの障害によって一人で服薬するのが難しい方のために、ワンドース化を望む方のために、一包化をした場合に同様の点数をつけるといったような考え方も今後一つあるのかなというふうな気がするのですけれども、かといって、老人保健法を拡大してということにはならないと思うのですね。ですから、現在あります加算料の中での検討をひとつぜひお願いしたいと思うのですけれども、これは平成十二年にまた見直しがあるわけですよね。この中で御検討いただけないでしょうか。
  89. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今先生お話のございました一包化の加算というのは、現在のところは老人の診療報酬上の措置としてやられておりまして、したがいまして、老人の視覚障害者につきましては今の措置がございますけれども、先生指摘のとおり、老人の方々以外の視覚障害の方々についてということは、今の制度では一包化の加算の対象にはなりません。したがって、そこも含めて今後どう拡大していくかというのは検討しなければなりません。  それで、診療報酬の改定の時期につきましては、通常は二年に一度改定がなされるのが通例でございます。そういう意味では、次のチャンスということだと十二年というのが一つの次のチャンス、節目になろうかというふうに思います。
  90. 丸谷佳織

    丸谷分科員 ぜひ御検討をしていただきたいというふうに思います。  果たして、ワンドース化が一番使いやすいのか、それとも今まであるとおりの薬袋に先ほどお見せしましたような識字シールがいいのか、あるいは点字がいいのか。そこは本当に詳しいアンケートあるいは調査をしていただいた上で、やはり一番使いやすい、またこれから高齢化が進んでいくに従って健常者でも使いやすいタイプの薬袋というのを導入していただけるように、またそれが二十一世紀が本当にバリアフリーになっていく、また障害を持つ方が自立していける一つの方法になってくると思うので、ぜひここを検討していただきたいというふうに思います。  以上で質問は終わりなのですけれども、きょうこの質問をいたしましたのは、先日北海道に帰りまして、全盲の方とお会いする機会があったのですね。その方に、何が一番つらいですかと、変な質問だったかもしれないのですけれども、お伺いしたときに、自分は目が見えないのはもうずっとなれているから仕方がないんだけれども、目が見えないことに加えて、病気になったとき、というのはやはり体も弱りますし気持ち的にも落ち込みますよね、そのときに一人で薬を飲めないときが一番つらいんだという話をその方はされました。一日三回服薬しなければいけないときに、例えば家族と住んでいれば、家族に朝昼晩と、実際に手にとってこれを飲みなさいと言ってもらうんだけれども、それが一週間、二週間続くとなると、非常に個人にとっても心理的な負担が大きい。何とか薬ぐらい一人で飲めるようにしていただけないものかというような声を実際にお伺いしたので、今回この分科会の方で質問をさせていただきました。  大臣も、一人の声かもしれないのですけれども、こういった悩みを抱えている方は恐らくまだまだ多いと思いますので、障害を持っている方が自立して生きていける次の新しい世紀にするためにも、ぜひこれからも私もテーマに挙げて頑張ってまいりますけれども、前向きな御検討をこの薬袋に関してお願いします。
  91. 宮下創平

    宮下国務大臣 バリアフリーという広い角度からの御検討でございますが、確かに、お話をお伺いいたしておりまして、極めて重要な、しかしきめの細かい施策の提起だと思います。今後、十分検討させて、施策の上に反映いたしていきたいと思っております。
  92. 丸谷佳織

    丸谷分科員 ありがとうございます。以上で質問を終わります。
  93. 臼井日出男

    臼井主査 これにて丸谷佳織君の質疑は終了いたしました。  次に、石井郁子君。
  94. 石井郁子

    石井(郁)分科員 日本共産党の石井郁子でございます。  子どもの権利条約には、「児童は特別な保護及び援助についての権利を享有することができる」とあります。少子化の進むもとで、二十一世紀を担う子供たちの健やかな成長をはぐくみ、子供たちの最善の利益が擁護されるために、今、政治が果たさなければならない役割というのは大変大きいと私は考えております。  そこで、きょうは、第百四十国会におきまして改正されました児童福祉法、放課後児童健全育成事業、この問題に絞って質問をいたします。  この法の五十年ぶりの改正につきましては、我が党は、保育所の措置制度保育料の応能負担などの問題点を明らかにして、子どもの権利条約や児童福祉向上を保障する立場から修正案を提出しまして、原案には反対をいたしました。しかし、社会福祉事業として放課後児童健全育成事業が位置づけられたことは、前進への一歩だというふうに考えております。  そこでお伺いでございますが、児童福祉法六条の二の六項に放課後児童健全育成事業が新たに法制化されたわけでございますが、これはどういう趣旨のものなのか、改めて御説明いただきたいと思います。また、来年度の予算措置はどのようになっているかということをお聞きしたいと思います。大臣の御答弁をいただければ幸いでございます。     〔主査退席、萩野主査代理着席〕
  95. 宮下創平

    宮下国務大臣 これは、平成九年の児童福祉法の改正によりまして、今御指摘のように放課後児童健全育成事業というのが規定されておりまして、小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童につきまして、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後、児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与える、そして健全な育成を図るという趣旨で設けられたのはもう御存じのとおりでございましたが、夫婦共稼ぎの一般化が行われておりますので、放課後に保護者のいない小学校の低学年の児童に対して遊びとか生活の場を与える、そして健全育成を図るということは、保護者の子育てと仕事の両立性を図るという意味で極めて重要なものであろうと思います。  この事業は、法律上の助成根拠はございませんが、予算補助によりまして、今、大体九千カ所くらいを目標としまして、平成十一年度予算でも五十四億円くらいを計上させていただいております。  そんなことで、この法律の趣旨によりまして、事業の一層の普及を図るという方向で対応しておるということでございまして、利用施設状況等につきましては、学校余裕教室を利用するほか、あらゆる児童館を使うとか、あるいはまた公有地の専用施設を使うとか、また極端な場合は民間アパートを使ってもよろしいとか、非常に弾力的に対応できるようにさせていただいております。
  96. 石井郁子

    石井(郁)分科員 ありがとうございました。  放課後児童健全育成事業、今後は学童保育と略させていただきますけれども、この歴史を振り返ってみますと、戦後は、私の地元であります大阪市の東住吉区の民間保育所から始まっております。一九七〇年代には、働く父母というか働く女性が大変ふえまして、その切実な要求から共同保育という形で全国に運動が広がりました。国会でも、一九七六年には今お話しの補助費の予算措置ということとなりまして、今回の法制化に至ったということかと思います。  そういうわけで、全国で学童保育の公設を願ってきた皆さんからしますと、今後の充実に向けての期待は非常に大きいものがあるというふうに私は思っています。  そこで、この法制化以後、新たに学童保育所という形で全国でどのくらいふえたんでしょうか、お尋ねします。
  97. 横田吉男

    横田政府委員 平成九年度におきます放課後児童健全育成事業の数が、予算上六千九百カ所ということでございますが、十年度におきましては、これが七千九百カ所、約千カ所増をいたしておりまして、私ども、法改正をしたことも踏まえまして、補助金の単価アップ等を図りましたし、十一年度におきましても、箇所数として九千カ所、増加を目指して予算を組んでいるところでございます。  また、放課後児童クラブの状況を見ますと、五時ぐらいで終わっているところが多いわけでありますけれども、最近の親御さん方は六時、七時まで働いておられる方も多いということで、長時間開いているところに対しましては特別の加算を行うというような改善も予定しているところでございます。
  98. 石井郁子

    石井(郁)分科員 予算上の箇所づけという点で前進をしているということは、私も評価をしたいというふうに思うのですね。しかし、もう一つの問題は、全国の市町村が、この新たな立法のもとでこれをどう受けとめて、そしてどのように施策として前進させているかということを、今のお話からうかがうことはできなかったわけであります。  私の手元には、この立法化からの一年間で、百二十三の市町村で五百七十九カ所が新たにふえたという資料もございます。これは全国学童保育連絡協議会が調べたものでありますけれども、やはり、こういう形で、厚生省としてきめ細かに実態を把握をされる必要があるのではないかということを、まずこれは指摘をさせていただきたいと思います。  次に、学童保育の実態についてお聞きをします。  現在、四五%に近い自治体で九千を超える学童クラブというのが存在しているのですけれども、この学童クラブ総数の中で、運営主体別、月別の利用料の状況、また、どんな場所を使用しているのかという点で特徴的なことをちょっとお知らせください。
  99. 横田吉男

    横田政府委員 平成九年十月に、私ども統計情報部の方で地域児童福祉事業等調査を行っておりますが、この中におきます児童クラブの状況を見ますと、数といたしましては九千百四十三カ所ということでございますが、このうち、運営主体で見ますと、市町村が運営しているものが四千四百九十八カ所ということで、約五〇%を占めております。それから次に父母会が運営するものが千四百九、約一五・五%、そのほか、任意団体が千二百、社会福祉法人等が千百、個人が八百七十というような状況になっております。  また、一月当たりの利用料でございますけれども、四千円未満が全体の五割程度を占めておりますが、運営主体によりましてばらつきがございまして、市町村等が行っているものにつきましては四千円未満がかなり多いわけでありますが、例えば父母会等が行っているものにつきましては六六%が一万円以上というようなことで、主体によりましてかなりのばらつきが出ている状況にございます。  また、行われている場所につきましては、学校空き教室、空き室等を使っておりますのが全体の二四・五%、それから、児童館とか児童センターを使っておりますのが一九・五%、約二割ということでございます。それから、学校の敷地内に専用の施設をつくって行っているようなところも一六・三%ございます。あとは民間のアパートでございますとか、公的な施設を利用しているとか、その他保育所とか幼稚園、さまざまに分かれております。
  100. 石井郁子

    石井(郁)分科員 お答えで大体わかるのですけれども、特徴は、やはり公立公営がふえているということだと思うのですよね。だから、公共施設活用は、やはり一定前進しているかなというふうに思うわけです。  しかし、一方で、父母の会などの運営するところでの共同保育というのはやはり負担が大変大きい。保育料なんかもそうですね。一方で四千円ぐらいのところもあれば、一方では一万円以上の負担がかかっている。こういう大きなばらつきというのはやはり大変重大ではないかというふうに私は思うのですね。  それで、最初に大臣からも御答弁がございましたけれども、法改正の際に、こういう働く家庭子育て支援していくという点と、それから、そういう共働き家庭がこれからもふえていくわけでありますから、そういう点での一層の施策充実がやはり必要だというふうに思うのですよね。  その点で、この法改正以降、厚生省としてどういう方向で前進させようとしているのかということで、私は三つほど伺っておきたいのです。  一つは、すべての自治体に公立公営の学童保育実施を図るということが必要じゃないかと思うのですね。公立公営の学童保育という点を強調したいわけです。  第二点には、補助の問題であるわけです。  今、児童二十人以上で国と市町村の補助が百五十七万円だということですね。この基準では指導員の身分保障は到底できない。それから、補助基準を引き上げて、せめて二人の指導員が配置できればということがあるわけでございます。今、若年の非常に就職難ということもありますし、大学を卒業しても就職ができない。こういう点では雇用の対策にもなるかと思うのですが、ぜひ補助基準を引き上げていくという必要があるかと思います。  三つ目には、公立、民間問わず、保育に必要な設備の整備充実、この補助費というのはどういうふうになるのか。とにかくこれが必要じゃないか。例えば畳を敷いていても、畳はいつまでも敷くわけにいかないでしょう。カーテンを下げていてもそうだと思うのです。  そういう点で、この三点について今後一層充実を図る必要があると私は考えておりますけれども、そういうお立場かどうか、簡潔にお答えいただければと思います。
  101. 横田吉男

    横田政府委員 放課後児童健全育成事業につきましては、緊急保育対策等五か年事業が始まる前の六年度では大体四千五百カ所ぐらいでございましたけれども、今度の五カ年事業によりまして九千カ所ぐらい、倍増するぐらいの勢いで伸びているということでございまして、私ども、今後ともできるだけ多くの市町村で実施されるように指導してまいりたいと考えております。  それから、補助単価の問題でございますが、これにつきましても、法改正後、先ほど申し上げましたように、単価を改善する、あるいは人数が多いところにつきましては大規模の加算を加えるというような改善を行っておりますし、十一年度におきましては、さらに、長時間やっておられるようなところにつきましては六十万円の加算をするというようなことで、状況に応じて改善を図ってきているところでございます。  それから、今までの補助金というものは運営費の補助ということで、普通の放課後児童健全育成事業でございますと、指導員が最低一人、それから、必要に応じて外部からいろいろな遊びの専門家等を呼んできた場合の謝金というような構成で、一カ所当たり基本額が三百万円ぐらいになっているわけでありますが、それに規模なり開設日数、時間に応じて加算が加わるという仕組みでございまして、さらに設備整備までというお話でございましたけれども、この運営の実態が、現在、学校空き教室から、それから個人の家から、それから公的な施設、さまざまでございまして、私どもは、そういったいわばかなりボランティア的な要素も含めまして多様に行われている実態を尊重したいと考えておりまして、現在のところ、設備までにつきまして、これを補助していくというところまでは考えていないところでございます。
  102. 石井郁子

    石井(郁)分科員 指導員の身分の問題についてはいかがですか。ちょっと触れていただければと思うのですが。
  103. 横田吉男

    横田政府委員 公設の、市町村等が直接経営しているような場合におきましては、市町村職員等の身分をもって処遇されているところもございますし、個人の方がされているようなところにつきましては、これは個人のボランティア的な精神に基づいて行われているということで、全くその人の善意に頼っている。種々さまざまでございまして、この事業の性格が、放課後ということで、通例は学校が終わります二時か三時ごろから、お母さんなりお父さんが戻られる五時、六時までというようなことでございまして、予算上も一応非常勤の単価ということでございまして、これを常勤にするかあるいは非常勤にするかは、それぞれの実施主体によって、今申し上げましたような非常に大きな幅があるというのが実態でございます。
  104. 石井郁子

    石井(郁)分科員 今の御答弁の中でいみじくも触れられたように、現実は善意のボランティアに頼ったりしているところが多いのですね。にもかかわらず、若い方々が非常にこのことで一生懸命になっていらっしゃいますよ。それは本当に私はいつもすごいなと思うのですね。こういう方々に支えられて学童クラブというのが進んでいるな、子供たちが守られているなというふうに思うのですが、それを本当に国あるいは市町村、行政がきちっと支援していくということがなければ大変なことになるなと思いますので、引き続いて、補助金を引き上げていくという点で御努力をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  さて、そこで、大阪市の学童保育についてきょうはお尋ねするのですが、私は大阪市に住んでおりまして、近くでいろいろな実態を見たり要望を聞いたりしているものですから、これはぜひ伺っておきたいと思うわけであります。  まず、厚生省が、保育中心にした児童福祉関連事業に対して全国市町村の実態調査というものを行っているというふうに思うのです。昼間保護者のいない家庭の小学校低学年児童などの育成指導を行う組織としての児童クラブ、この児童クラブというのは大阪市には何カ所あるというふうに把握されているのでしょうか。その場合、公設、民営という詳細がわかっているかどうか、お尋ねしたいと思います。
  105. 横田吉男

    横田政府委員 平成九年十月一日で統計情報部による全国的な調査がございますが、これによりますと、大阪市における児童クラブの数は四百七十三カ所、登録児童数はおよそ三万八千人ということになっております。このうち、補助金の基準に合致しているということで補助をしているクラブの数が百十六クラブということで、全国レベルで見ると割合が少ないような印象を受けております。  これは、大阪市の実態を伺ってみますと、市独自に放課後事業ということで行っている部分がかなりございます。これは大阪市の教育委員会が主体だと思いますけれども、小学校余裕教室を使いまして、事業実施区域内の小学生すべてを対象として、二百六十二校で行われているものがございます。  それから、子どもの家事業ということで、社会福祉法人等で行っているような事業がございまして、これは地域のすべての児童ということで、私どもの基準と違うわけでありますが、六十三カ所。  それから、いわゆる留守家庭児童対策事業ということで、これは父母会等の任意団体が行うものということで民間の借家等で行われておりますが、これは対象が小学校一年から三年に在籍する児童ということで、百四十九カ所。  ちょっと一カ所ほど、実態の違いがございまして、合わないのですけれども、そういった状況でございまして、このうちの国庫補助の対象になっている部分は、いわゆる私どもが主眼としております小学校一年から三年生程度の児童を対象にした留守家庭児童対策事業と子どもの家事業ということで、こういった対象が大部分を占めているような事業が対象になっているというような状況でございます。
  106. 石井郁子

    石井(郁)分科員 厚生省が発表されております資料では、この児童クラブの状況というのがございますね。それですと、御答弁のように、大阪市は四百七十三カ所、三万八千三百四十三人。だから、この公になっている資料を見る限りでは、これは断トツに大阪市の登録児童数というのは多いわけでしょう。だけれども、今お話しのように、実態がどうもいろいろあるようだということなんですよね。  私は、やはり表向き出す数字も、本当に実態を反映した数字でないとおかしいと思うのですよ。だから、どうしてそういうことになるかという問題が一つ残るわけであります。  今、大阪市のそういう実態について御答弁いただいたのですけれども、大阪市には公立の学童保育所というのはないわけですよ。父母の皆さんが自主的につくっていらっしゃるということで、行政に学童保育制度化を求める運動をしながらやってきた、それが共同保育所ということで、もう三十二年たっているわけですね。そういう共同保育所という学童保育所が大阪市には百三十八ある。共同保育を含めて民間の学童クラブが百四十九カ所ですよね。その児童数というのは三千人近くいるわけであります。  先ほど来のお話のように、こういう共同保育所の運営というのは大変な御苦労があるのは、いろいろ国会でも議論されてきたことだと思うのですが、例えば民家を探さなければいけません。それから、大阪市は高い家賃があります。六畳、四畳半など狭い部屋で三十数人なんというところがあるのです。とても考えられない実態。しかも、父母負担は大きいですね。大体月一万五千円から一万八千円ぐらいだというふうにも伺っているし、古くなった民家の雨漏りなどの改修という点でも、父母が負担をしなければいけないということがあります。だから、同じ法のもとでも、こういう運営と実態と、随分差があるわけでしょう。  それから、子供たち自身も、こういう民家を借りての共同保育ですと、やはり隣に遠慮しなければいけない、大きな声も出せないとかいうことがあります。それから、遊びに行くのも遠い公園まで出かけていかなければいけないとか、子供たち自身が本当に活動を制約されるわけですね。  そういうことで、父母の間からは、もっと公営公設の学童保育にしてほしい、そうしたら、いろいろな公営施設も使えるだとか、いろいろあるわけでしょう。そういうのは当然の要求だというふうに思うのですね。それで、大阪市のそういう点での条例を求める署名というのは、この春にも三十四万人を超えました。  しかし、これからが問題なんですが、こういう立法化後も大阪市に変化が見られないということなんです。その際に、公立の学童保育実施しない口実としているのが、今おっしゃったように、教育委員会がそういう事業をやっているということがあるわけです。その事業は、市単独で進めている、留守家庭児童も含めている、全児童を対象にした児童いきいき放課後事業をやっているということなんですよ。そういうことを理由にして、学童保育には極めて冷たい態度をとっているわけです。  そこで、先ほどの数字というのは、ですから、こういう全児童を対象としてやっているいきいき事業、この数が含まれているわけですね。そうですね。これは実態はどうなのかというと、いろいろ、よくつかまなければいけないと思うのですよ。例えば、登録の人数ですから、来ない子もたくさんいる。その中に留守家庭の児童がどのくらいいるかということ自身もどうもつかまれていないようだという点でも、問題だと思うのですね。  そこで、それに入る前にぜひはっきりさせていただきたいのは、放課後児童健全育成事業、この六条の二の六項の規定と、在校生とかあるいは地域の全児童を対象とした、その中には留守家庭子供も入ると思いますけれども、そういう放課後対策が、厚生省、ございますね、児童福祉法で述べられているその放課後対策というのは、どういうふうに区別されるのか、ちょっと明らかにしてください。
  107. 横田吉男

    横田政府委員 現在、児童福祉法六条の二の第六項におきまして、放課後児童健全育成事業につきましては、昼間保護者が労働等により家庭にいない小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童に対して、適切な遊び場及び生活の場を与えて、その健全育成を図るというふうにされております。  私ども、これに従いまして予算補助も行っているわけでありますけれども、大阪府の教委が行っているものにつきましては、これは市の単独の事業で全小学生を対象にして行っておりまして、補助金の対象にもなっていないわけでありますけれども、これは、児童福祉法のどの条文に基づく事業ということではなしに、児童福祉法の児童の健全育成という精神にのっとって、市が単独事業として行っているものというふうに理解いたしております。
  108. 石井郁子

    石井(郁)分科員 私は、だから、児童福祉法四十条の児童館事業、全児童を対象とした事業、それから自治体単独で行われる全児童対象の事業に反対しているわけじゃありません。問題は、せっかく六条の二の六項ができました。その六条の二の事業の拡充ということに今挙げて取り組まなければいけない、必要もあるというときに、大阪市のようなことにとどまっていたのでは非常に消極的ではないのかということです。そういう点では、やはりその六条の二の事業をもっと積極的に市町村が進めていく必要があるのではないかというふうに思うわけであります。  それから、もう一点重大なのは、これは大阪市の場合なんですが、余裕教室の転用というか、余裕教室の利用ということを認めないという点があるわけですよ。そこで、ちょっとお伺いしたいのは、やはり厚生省としても、学校余裕教室の転用については、民間の学童クラブも利用の対象に含めているというふうに私ども理解しているのですが、いかがですか。ちょっと簡単に。
  109. 横田吉男

    横田政府委員 この放課後児童健全育成事業の場所といたしましては、児童館のほか、学校余裕教室、それから敷地内の施設保育所等あらゆる場所を含んでいるということでございまして、私ども、空き教室の利用等につきましても、手続の簡素化なりそれから積極活用につきまして、文部省とも連携して指導通知等を出しているところでございます。
  110. 石井郁子

    石井(郁)分科員 先ほども申し上げましたように、民間施設を使っている場合にはいろいろなことが都市では起きているわけですよ。例えば、建物を立ち退かなければいけないという問題だとか、公団住宅の間借りの契約切れの問題だとか、周辺の事情だとか、いろいろなことが本当に起きているわけです。だから、緊急あるいはどうしても困難をきわめているところについては直ちに空き教室の利用なんか当然していいはずなわけでしょう。しかし、いきいき事業と重なるからできないというのが、設置者の答弁というか、考えなんですね。  私は、到底それは理解できないわけで、国としてはリーフレットも出して学童クラブにもそういう転用を進めているという時期に、どうしてこういうことが残るのか。いかがでしょうか。
  111. 横田吉男

    横田政府委員 私ども、放課後に児童が、親御さんが戻られるまで安全に生活できる場ということでこの事業を考えておりまして、いろいろ基準は設けておりますけれども、これを、人数にいたしましても、それから中の対象年齢にいたしましても、かなり弾力的に運用させていただいております。  そういう意味で、これはいきいき事業だから補助金対象の事業とは一緒にできないとかなんとかいう話は、ちょっと私の方で理解しにくいわけですけれども、地域レベルでよくお話をいただきまして、円滑な運用が行われるよう私どもも注意をしてまいりたいと考えております。
  112. 石井郁子

    石井(郁)分科員 ぜひ、これは本当に実態がどうなっているのかということをつかんでいただきたいなと思うのですよ。  私も、幾つか見に参りました。御答弁のように、留守家庭子供たちには特別に生活の場としての放課後の事業が必要だというのが立法の趣旨でしょう。ところが、行ってみたら、全児童が対象になっているから、小学一年生が、昼で学校が終わって夕方六時、七時までいることもあるでしょう、おやつ一つ出ないのですよ。全児童対象だからですよ。本当にこれが子供たちの生活の保障かなということがあるでしょう。だから、全児童対象の中に留守家庭児童も含めているからというのが言い分なんだけれども、そういう設置者の言い分で済ますわけにいかないわけですよ。これでは私は立法の趣旨が生かされないというふうに思うからです。  そういう意味で、もう時間がありませんので最後に改めてお尋ねしますけれども、これは、私は今大阪市を挙げましたけれども、そこだけじゃないと思うのですね。やはり、この立法の趣旨が十分理解されていないという点でいろいろなことが起こっているのじゃないかというふうに考えられますので、この六条の二の六項の法制化の趣旨、それをもっと厚生省としてやはり徹底をする、あるいは全国の実態も把握する必要があるというふうに考えるのですけれども、ぜひその辺では前向きに御答弁いただければというふうに思うのですが。
  113. 横田吉男

    横田政府委員 放課後児童健全育成事業の利用の促進ということで、これは児童福祉法二十一条の十一、今回の改正におきまして、市町村においてのその促進努力の義務というのを一条設けております。  市町村は、地域実情に応じた放課後児童健全育成事業を行うとともに、当該市町村以外の放課後児童健全育成事業を行う者との連携も図ることによりまして、この事業の利用の促進に努めなければならないというふうなことでございますので、私ども、この趣旨の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
  114. 石井郁子

    石井(郁)分科員 時間が参りました。  どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いをいたします。
  115. 萩野浩基

    萩野主査代理 これにて石井郁子君の質疑は終了いたしました。  次に、石垣一夫君。
  116. 石垣一夫

    石垣分科員 公明党の石垣一夫でございます。  私は、障害者スポーツの振興対策について数点お伺いしたいと思うんです。  実は、光陰矢のごとしといいますけれども、一年前のちょうど今ごろ、長野の冬季オリンピックが開催されておりまして、非常に国民に感動、感激を与えたシーンが数々ございました。共同通信社が発行しましたこの「長野オリンピック」という雑誌を見てみますと、その当時の数々の感動の場面が浮かび上がってくるわけであります。くしくもきょうは二月十七日でございますけれども、一年前の二月十七日は、あの最後のジャンプにかけた原田選手の見事なジャンプ、このシーンに国民一同が感激をして、改めてスポーツの持つだいご味を味わったと私は思うんですね。  その後引き続いて行われました、三月五日から始まったパラリンピック、これは初めて我々の画像に登場してきたんですけれども、この中においても、私は数々の感激を味わった場面がありました。  いろいろとその中身を調べていきますと、くしくも、普通のオリンピックには報奨金制度がありながら、このパラリンピックについては報奨金制度がないということに気がついて、私はたまたま朝日新聞にこれを投げかけたんです。それで、朝日が三月十六日の論壇に取り上げまして、パラリンピックの報奨金ということが一つの契機になりまして、当時与党でございました社民党の土井党首も私の意見に賛成をしていただきまして、早速この問題を取り上げようということで、当時、与党会議が開かれて、障害者のスポーツに関する懇談会の設置というところまで物事が運んでいったという記憶があります。また、私も、三月十九日の予算分科会において、当時の小泉大臣にもこの問題を指摘して、報奨金の制度化について述べたことを今改めて思い出すんですけれども。  それで、平成十年の四月に、障害者スポーツに関する懇談会というものが設置されまして、各界各層十一名より成る委員の方からいろいろと問題提起されて、十項目にわたって具体的な課題について討議がなされました。その報告を読ませていただきまして、本日は、その中から数点にわたって御質問申し上げたいと思うんです。  それで、「長野パラリンピックへの道」という長野パラリンピック冬季競技大会日本選手強化事業報告書が出ております。これは日本身体障害者スポーツ協会が出されておるんですけれども、この中にコーチの方、また監督の方、選手の方が具体的にいろいろと意見が述べられております。そういうことを踏まえて私は御質問申し上げたいと思うんです。  各種目にわたってパラリンピックの選手層を高めるためには、全国に埋もれている潜在能力のある人をどう発掘するか、これも選手を育成していく上で一つの大事な、必要なことだと私は思うんです。  そのためには、全国で今三十四ある身体障害者スポーツ種目競技団体連絡協議会という会があるんですけれども、ここを中心に、人材の発掘を図る一つのよりどころとして、いろいろとほかにも団体はございますけれども、ここへ統合して質的レベルを図るとともに、社会復帰のすそ野を広げていくという意味において、組織づくりが大切だと私は思うんです。  そこで私は一つ提案したいと思うんですけれども、仮称ですが、日本パラリンピック委員会というようなものを設置して大同団結させてしまう、こういう一つの考えが浮かぶんですけれども、大臣、いかがですか。     〔萩野主査代理退席、主査着席〕
  117. 宮下創平

    宮下国務大臣 国際的な身体障害者のスポーツにつきましてはIPCがあることは承知しておりますが、国内的にはございませんので、委員の御指摘のとおり、私としても、そういった組織があれば、身体障害者の方々のスポーツ振興あるいはオリンピックへの参加がよりすそ野が広いものになる可能性が十分あると存じております。  これにつきましては、今、財団法人の日本身障者スポーツ協会というのがございますが、ここでいろいろ検討を重ねていただいております。今お話しの懇談会の報告の趣旨に沿いまして、いろいろ御検討をさせていただいておるところでございます。
  118. 石垣一夫

    石垣分科員 今、種々検討なさっておるということでございますので、その成果に私は期待いたしたい、このように思います。  次に、パラリンピック選手の指導育成について、健常者のそういう専門家をコーチまたはアドバイザーとして招いてはどうかという意見が書かれております。また、練習場として、例えばアイススレッジスピードは氷をストックで傷つけてしまうということでなかなか練習場が思うように確保できないということもこの本の中に載っております。こういう悩みについても、やはり一定の方向性は出した方がいいんじゃないか。運営面においても円滑にそれが流れるように、身体障害者の方と健常者の連携、提携が必要であろう、こういうふうに私は思うわけであります。  したがって、厚生省と文部省の間における密接な打ち合わせといいますか連携といいますか、そういうものが当然ここで浮かび上がってくるんですけれども、そういう障害者と健常者の両関係者によるスポーツ協議機関の設置という方向にまで持っていかなければだめだ、こう私は思うんですけれども、いかがですか。
  119. 宮下創平

    宮下国務大臣 障害者の競技スポーツを充実させるために、今御指摘のように一般の競技団体との連携協力、これはぜひ必要だと存じます。  したがって、先ほどお話しのように、障害者スポーツの中核的な組織をまず組織化すること、そして同時に、一般競技団体との連携協力関係を組織的に構築していくこと、これは極めて重要なことであると思います。  そしてなお、一般のオリンピックは文部省所管ということでございましょうし、パラリンピックの方は厚生省が身体障害者の観点から取り組まさせていただいておると思いますので、両省の関係を密接なものにしていくことは、委員の御指摘のとおり、大変重要なことであると認識をいたしております。
  120. 石垣一夫

    石垣分科員 では、具体的に今後どういう方向で今答弁をいただいた点についてお考えですか。
  121. 宮下創平

    宮下国務大臣 これは具体的には、文部省と厚生省障害者スポーツ施策連絡協議会というのを昨年の十月に既に設置をいたしまして、両省が連携をいたしまして、障害者スポーツ団体と一般の競技団体との連携協力を含めて、障害者スポーツの推進にどうしたらいいかというようなことをおいおい協議させていただいておるというのが現実でございます。  なお、一方、先ほど申しましたように、財団法人の日本身体障害者スポーツ協会というのがございますが、そこでいろいろ検討会をやっていらっしゃいますので、それらとの連携もとって、今後の支援のあり方等について有意義な討議を行い、結論を得ていきたい、こう思っております。
  122. 石垣一夫

    石垣分科員 そこで、パラリンピックの強化対策なのですけれども、当然、ここでは用具の改良技術が挙げられているのです。アルペンスキーというのは金メダリストの大日方さんの競技種目だったのですけれども、いろいろ聞いてみましたら、やはり用具の技術開発が成績の向上に非常に大きな寄与をした、こういうことが言われております。したがって、この技術開発に対するいわゆる研究費の助成をどうするかという問題ですね。  それからまた、練習、いわゆる強化のための会場使用料、海外遠征、それから日常練習の交通費、こういう問題がいろいろと加味されてくるのです。やる気があっても経済的に恵まれないという人もたくさんおるわけです、一方ではやりたいという熱意が非常にある、こういう方に対して今後どう対応していくのかという問題もあります。  また、例えば、この本を読んでまいりますと、アイススレッジホッケー選手は会場を借りるのに二時間で四万二千円の費用が要る、こういうことが書かれております。こういう負担にたえられないという一つの苦情も出ているのですけれども、これらも含めて、競技用具の技術開発研究費といわゆる経常経費の助成についてどのようにお考えですか。
  123. 宮下創平

    宮下国務大臣 障害者スポーツの調査研究とか技術開発につきましては、所要予算確保して振興を図っておりますが、一般会計の方では九千八百万くらい計上させていただいております。  これに加えまして、長野パラリンピックを契機にいたしまして、障害者のスポーツを通じた社会参加ということの重要性、あるいはその推進の必要性がございますので、これは平成十年度の第一次補正予算におきまして三百億円から成る障害者スポーツ支援基金というのを創設いたしまして、障害者スポーツの育成強化のほか、今御指摘の競技用具の技術開発や啓蒙活動等を行う民間団体への助成を行っているところでございます。  これは、具体的には社会福祉医療事業団の方に基金を設置してやることにいたしておりますが、これからも身体障害者のスポーツを振興するには財政的な基盤も必要だと私どもは思うのですね。JOCなんかは、選手強化費その他、ある程度基盤が整っておりますし、また選手強化費なんかは場合によるとオリンピックで補助等もいたしておりますが、だんだんパラリンピックの方も組織化され、財政基盤が整ってくれば、またそれなりの対応を考えていかなければならない、こう思っております。
  124. 石垣一夫

    石垣分科員 障害者スポーツ支援基金として三百億円を担保されたということは、厚生省としては非常に画期的な決断だと私は思うのです。これを高く評価するのですけれども、一方、一般会計において、今大臣から話にございましたように年間九千八百万円、大体一億ですね、こういう経費が計上されております。  今話にございましたこの三百億のいわゆる果実は、折しも低金利でございますから、大体年間どのくらいですか。
  125. 宮下創平

    宮下国務大臣 平成十年度の見込み額で申しますと、残念ながら、二億円程度だそうでございます。
  126. 石垣一夫

    石垣分科員 これ以上の低金利はありませんので、将来、景気の動向に伴って金利の上昇というのは当然見込まれるわけでございますから、それに伴って果実もふえる、こういう一つの希望はあるのですけれども、現実問題、四億円の果実の中から、障害者スポーツ育成強化事業に関することということでこのデータを見ますと、日本身体障害者スポーツ協会に対して五項目にわたって一億九百万の補助を出しておりますね。これでもって障害者スポーツのいろいろの事業をとり行っているというのが現実なのです。  そこで、今、一般会計で一億に及ぶお金なのですけれども、大臣から事によっては将来そういう面についても考えなければいけないという前向きのお話がございましたけれども、それについてはぜひ実現をしていただきたい、こう私は思います。  次に、報奨金制度の問題なのです。  この懇談会における結論といたしましても、報奨金問題についてはそれぞれの条件が整った段階で改めて検討したい、こういういささか私にとっては期待外れの内容になっているのですね。「オリンピックの報奨金は日本オリンピック委員会の自主財源により行われていることから、自主財源の安定的確保などの努力を重ね、これらが整った段階で、再度、日本身体障害者スポーツ協会などの関係者において検討されることが望ましい。」こういうことで終わっているわけですね。  これでは私は非常に物足りぬ。せっかく障害者スポーツ支援基金をつくっていただいた、その背景には、一般のスポーツ、健常者のオリンピックと言われるスポーツに対するはっきりとした差別があったわけでございますから、これに基づいてこの支援基金の制度ができたわけです。その根底は、報奨金制度は一般のスポーツにおいては取り入れられながら片一方ではない、この格差をやはり早急に埋めるべきだ、このように私は思うわけです。  この結論だけではまさに画竜点睛を欠く、こう申し上げていいと私は思うのです。したがって、少なくとも三年後のパラリンピックに向けて一定の方向性を出すということを、大臣、どうですか。
  127. 宮下創平

    宮下国務大臣 私も長野の出身でございまして、あの感動的な場面を見るたびに、普通のオリンピックでございますと報奨金が出るのになぜ出ないのかなという素朴な疑問は持ちました。  しかし、今の報告のように方向性が出されておるわけですが、これは考えてみますと、基盤が、まだ必ずしもすそ野が広がっていないという点もございますので、先ほど申しましたように、JPCでもできて基盤がきちっとしてくれば、当然そういうことは考えられることであろうし、またすそ野が広がるということが身体障害者の励みにもなると存じます。  そんなことで、三年後にどういう姿になるか、私どもとしては、やはりすそ野を広くして、そして多くの身体障害者が参加し、その中から選ばれていくというような姿が名実ともにできてくるようになれば対応しなければならぬなと思うんです。  ただ、JOCの場合でも、これは補助金等で出しているものではないわけでございまして、JOCの中の、資金の出所はいろいろございますけれども、自主的な財源によって拠出されているものというように私は理解しておりますので、先ほど来財政基盤の確立その他を申し上げている点もそういう角度から背景を申し上げているところでございまして、ぜひとも三年後にはそういう格好で、すそ野が広がり、JPCもできることが望ましいというように思っておりますので、できる限りそういう方向で努力していきたいと思っております。
  128. 石垣一夫

    石垣分科員 大臣、非常に御理解ある答弁なんですけれども、くしくも長野の御出身であって、同じ思いを持たれたということですが、やはりこれは国民として素朴な思いだったと私は思うんです。そういうことが今次一つの大きな流れになって、厚生省もこういう支援基金をつくられて乗り出したわけです。これは、パラリンピックを目指す障害者人たちに大きな希望を与えたと私は思うんです。  現実問題、昨年テレビを見るまでこういう競技があるということ自体も私たちは知らなかったし、また、健常者に負けない懸命なファイトを持って、活力を持って挑戦されている姿に、全国民挙げて大きな感動をしたと私は思うんです。その延長線上が今回のこういう政策だと思うんです。  やはり鉄は熱いうちに打てというわけです。私もそう思ったんです。この「長野パラリンピックへの道」という中の「大会を振り返って」で、スポーツ協会の中島常務がくしくも私と同じ意見を書いておるんです。「「鉄は熱いうちに打て」の格言どおり、一刻の猶予も許されない。長野パラリンピックを遺産として、これを今後どのように生かすかが我々に与えられた大きな課題であると考えている。」こういうことで結んでおられるわけです。  何も私は報奨金の問題だけにこだわるわけじゃないんですけれども、現実問題、健常者とはこういう格差があるわけでございますから、やはりこれは同じレベルにしていくというのが、行政に携わる、また我々政治に携わる者としてのとるべき一つの方向性ではないか。しかも、それについては、鉄は熱いうちに打てという、この感激の冷めやらぬうちに一定の方向性を出していただく、大臣のおられる間にその方向性を何とか出していただきたい、こう思うんです。
  129. 宮下創平

    宮下国務大臣 石垣委員の御説はまことに共鳴する点が非常に多うございます。鉄は熱いうちに打たなければだめだといいますが、この長野のオリンピックの感動と感銘は一年や二年で消えないと私は思うんです。これを持続的に私どもの心の中へ秘めて、そして身体障害者の方々をある意味でずっとサポートしていかなければいかぬなと思っております。委員のお考えは基本的には賛成でございますから、そういう方向で私なりに努力をさせていただくつもりでございます。
  130. 石垣一夫

    石垣分科員 では、大臣の在職中に一定の方向性が出せるように私は期待をし、また、よりよき御決断をお願いしておきたいと思います。  最後に、私は、健常者と障害者の組織の一本化についてお尋ねしたいと思うんです。  現在、身体障害者全国身体障害者スポーツ大会や知的障害者のゆうあいピックが実施されておるんですけれども、将来は、障害者も健常者も一体となったスポーツ振興が私は理想だと思うんです。なかなかそれは一緒にはできないかもしれませんけれども、いろいろな面で、例えば健常者スポーツ大会の受付とか、あるいはまた審判とか、また、障害者スポーツ大会に健常者が手伝うとか、いろいろ相互交流が行われてもいいんじゃないか、このように私は考えるわけです。  いきなりパラリンピック大会とはいかないでしょうけれども、例えば全国身体障害者スポーツ大会、ゆうあいピックまたは国体などでこういうことを一つ一つ段階的に考えられたらどうかな、こういう光景こそまさにノーマライゼーションである、こう考えるんですけれども、厚生大臣、いかがですか。
  131. 宮下創平

    宮下国務大臣 私も、ことしの全国身体障害者スポーツ大会が横浜で行われまして、あの競技場でいろいろ拝見をいたしましたが、一般の健常者と言われる方々もたくさんおいでいただいてサポートしていただき、大会を盛り上げていただきました。  こういったことの延長線上で、今先生のおっしゃられたようないろいろの面で一角ずつ占めていく必要があろうかと思います。ハンディキャップを負ったとかいろいろな条件がございますから、一遍にはなかなかできないにしても、一般健常者がどんどん理解を広めていくというのは極めて重要でございますから、そういう方向を常に頭に置きながら対応していかなければならない、このように思います。
  132. 石垣一夫

    石垣分科員 終わります。
  133. 臼井日出男

    臼井主査 これにて石垣一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、西田猛君。
  134. 西田猛

    西田(猛)分科員 厚生大臣、お疲れさまでございます。また、お役所の方たちも皆様お疲れさまでございまして、労働省の皆様もお集まりになられることと存じます。  きょうは第四分科会厚生省、労働省の担当につき審議を進めてまいるわけでございますが、厚生省、労働省といいますれば、二〇〇一年からは、仮称ですけれども、労働福祉省になるようになっております。そういう省庁の再編に伴いまして、二〇〇一年からは副大臣設置し、その前に今国会をもっていわゆる政府委員制度は一応全廃をされ、今国会で法律を提出する運びになっております。  そうなりますと、こういうスクール形式の委員会というものも今国会をもって終わりを告げて、次の国会からは、いわばそちらの方に政府・与党の席があって、大臣、副大臣、政務官がいらっしゃる。当面、ことし、来年までは大臣、政務次官ですけれども。それで、例えばこちらの方に野党の皆さんがいらっしゃって、そこに影の内閣、シャドーキャビネットの大臣、副大臣あるいは政務次官のような方たちが並ばれて、それぞれ国会議員が主権者である国民の代表として主権を行使する者の立場から、迅速に政策を遂行するために討論を行うという形になってまいると予想されております。そういうことを考えますと、このような、ある意味でのスクール形式での委員会も今後見られなくなるのかなと思えば、懐かしく、味をかみしめながらこの形式を進めてまいりたいと思っております。  そのような中で、宮下厚生大臣のように例えばお役所から事前にレクチャーをお受けになって一生懸命造詣を深くしておられる大臣、あるいは副大臣、政務官、政務次官におかれては、事前のメモがなくても、野党の方たちの追及あるいは御質問に対して当意即妙でびしっと政策あるいは政治家としての見識についてお答えになられるということが今後期待されておりますし、我々政治家が国民の代表として本当に勉強していかなければならない、そういう国会運営になることが今国会で期待されているところでございます。  これはあくまでも私のお話のイントロ部分でございまして、直接にはきょうの議題に関係のないことでありますが、ぜひ大臣におかれても、あるいは今の政府委員、お役所の皆様におかれても、そしてお役所の皆様方は今後国会での答弁あるいは国会対応に忙殺されることなく、本来の法律の執行、そして国民の権利を擁護するためあるいは危機管理に対応するための本来的な重要なお仕事に邁進していただいて、国の体制危うきなきを期していただくということになるのだと思います。  また逆に、我々、今、自由、自民の協議で考えておりますのは、今の分科会のように、分科会的なものをさらに設けまして、技術的あるいは執行的な事項についてお役所の皆様から集中的に、インテンシブに意見を聞かせていただく、そういう場も設けなければいけないなというふうに思っております。  そういうことで、今後、国会運営についても、より主権者であられる国民の皆様の立場に立った政策が迅速にスピードをもって執行できるような形になっていくものと思われます。  そのような中で、きょう、まずお忙しい厚生大臣に御質問を申し上げたい。  たまさかきょうは超党派の環境ホルモン・ダイオキシン問題対策議員連盟が第一回目の設立総会を開きました。私も出席をいたしました。私は、大阪府の豊能町、能勢町というところを擁する選挙区が地元でございまして、これはもう世間周知のことでありますが、大阪府の能勢町にございました、地元ごみを処理しております豊能郡のごみ処理施設から非常に高濃度なダイオキシンが検出されて、それに対しては国の方においても種々対策を講じていただきました。厚生省、環境庁、農林水産省、建設省その他でいろいろ対策を講じておるところでございます。  きょうは、いわゆる風評被害と申しますか、これは、ダイオキシンにその土地が汚染されている、そうすると、その土地でできた作物、特に農作物あるいは水などについて、これは人間が摂取するものではないのではないかといううわさが流れて、全く売れなくなってしまった。それは、つい最近、埼玉県の方でも同じような事態がかいま見られました。  それでお聞きを申し上げたいのは、こういういわゆる風評被害と言われるものでありまして、これはダイオキシン問題の本質とはまた別に、こういう被害がなぜ生じてくるのか、なぜ生じてくるのかと言って厚生大臣にお答えをお願いするのも恐縮かもしれませんけれども、大臣はこういう風評被害が起きるということについてどのようにお考えになっておられて、また、この対策をどのようにとっていくことが地域の住民の皆様のためになると思っておられるか、そのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  135. 宮下創平

    宮下国務大臣 まず、環境ホルモン、いわゆるダイオキシンもその一つでございますけれども、これの科学的な知見なり人体に対する影響あるいは人体に及ぼす経路の問題等々、あるいは基準値につきましても、WHOの方で一ないし四ピコグラムというのが専門家会議で提案されておりますが、しかし、多くの国は十であってみたり、我が国の場合も廃棄物処理の基準と環境庁の大気汚染の関係が違ったり、いろいろしております。そういうことで、全体が国民が非常にわかりにくいというのがあったのではないかと思うのですね。だから、基準値も早くきちっとしなければなりません。  そして同時に、人間とのかかわりについても、ただダイオキシンが出たぞ出たぞというだけで野菜が直ちに物すごく猛毒だみたいな、事実以上の誇大的な受けとめ方がされるような状況というのは、これはいろいろな原因がありますけれども、今申しましたような国の責務もまず果たしていかなければいかぬなと思うのです。  同時に、報道等におきましても、ダイオキシンの問題というのは知見が必ずしも統一されてないという点がありますけれども、しかし、少なくともそれに近い客観的な基準で報道の責任を負っていただくというようなことでないと、一般の方々はただ恐ろしい物質だということだけで受けとめておりますから、非常に大きな風評的な、風評だと断定するには、今国が客観的な調査をやっておりますから、それによってはっきりしたいと私は思っておりますけれども、そういう可能性がありますから、十分客観的な根拠で物事を議論していただきたいなと思います。  そんな感想でも申し上げておきます。
  136. 西田猛

    西田(猛)分科員 今大臣がおっしゃったように、やはり私も、客観的な基準があって、そして客観的な調査があれば、いたずらに問題は生じてこないのだというふうに思います。  逓信委員会でも私お話をさせていただいたのですけれども、やはりテレビとかラジオあるいは新聞、こういうメディアの責任というのも非常に大きゅうございますし、特にテレビは一般国民の皆様に大変影響力の強いものでありますから、そういう方たちにおける報道の自由もございますが、他方、責任もありますので、報道する側の高い矜持が要求されているのではないかというふうなお話をしたところでございました。  それで、ダイオキシンの問題でございます。  昨日も、自由、自民両党の政策責任者協議で、このダイオキシン問題は今の我が国の政策の中でも最も重要な政策の一つであって、これに真剣に取り組んでいかなければならないということがうたわれたところでありますし、小渕総理大臣も同じようなことを記者会見で述べておられます。  そこで、ダイオキシンに限りません、環境問題について、厚生省として、今直ちに、緊急に、そして中期的あるいはまたもっと長期にはどのように取り組んでいこうとお考えなのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  137. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 ダイオキシンにつきましては広範な問題がございますが、主として、いわゆる食品に関係する問題、それから排出の抑制に関する問題について御説明を申し上げます。  ダイオキシンにつきましての食品の安全対策のうちで緊急に対策を要するものといたしましては、汚染が疑われる食品の安全性を確認いたしますために関係省庁とも連携をいたしましてできるだけ速やかに汚染実態の調査を実施する、それから、それらにつきまして国民の皆様方に公表していくということが必要であろうと考えております。  このたびの所沢市におきます野菜のダイオキシン問題につきましても、農林水産省、環境庁との連携を図りながらもう既に実態調査に入ったところでございまして、厚生省といたしましても、食品の健康影響の観点から、通常の食生活において調査対象区域のホウレンソウ等の野菜を摂取したと仮定した場合のダイオキシン類の一日摂取量の推計調査を担うことになっておりまして、これにつきましては本年度のできるだけ早い時期に公表する予定でございます。  また、今お話のございましたいわゆるダイオキシンのTDIでございますが、WHOの専門家会合が一ないし四という数値を示されているわけでございまして、現在、関係省庁と連携をとりまして、ダイオキシン類健康影響評価特別部会というのを設置いたしまして、御検討をいただいているところでございます。これらの検討結果を踏まえまして、食品衛生法に基づく基準の設定が必要かどうかといったようなことも含む食品衛生上の対策を講じていく必要があるというふうに考えております。  長期的には、これらの施策を順次行っていきますとともに、ダイオキシンがなぜ体内に蓄積するのか、あるいはどうやれば排除促進ができるのかといったような解明、あるいは簡明な検査方法の開発といったようなことについての研究事業にも取り組んでいくことが重要というふうに認識をいたしております。  それから次に、排出抑制について申し上げますと、我が国におきましては、ごみ焼却施設からのダイオキシンの排出が相当部分を占めるというふうに指摘をされておりまして、廃棄物の焼却施設につきましては、既に廃棄物処理法に基づきましてダイオキシンの排出規制を実施しておりまして、新設の焼却施設につきましては平成九年十二月一日より、既設の施設につきましても平成十四年十二月一日から、厳しい基準を適用して排出抑制を図りたいと考えております。  厚生省といたしましては、当面、これらの基準の早期達成、あるいは守られているかどうかということをチェックすることが緊急の課題と考えておりまして、都道府県を通じまして指導の徹底、それから市町村がつくります施設整備に対します国庫補助等を行っておりますほかに、さらに、平成十一年度予算案におきましては、平成十二年度までの緊急、特別の措置といたしまして、ダイオキシン規制に対応した焼却炉等の設置、改造事業に対する財政支援充実いたしまして、早期削減を図ることといたしております。  また、中期的には、いわゆるリサイクルの促進、処理をするごみの量を減らすということが非常に大事でございますので、容器包装リサイクル法というのが現在ございますが、それの円滑な施行によりましてリサイクルを促進して燃やす量を減らすというようなこと、あるいは、小さいごみ焼却施設というのはダイオキシンが排出しやすいと言われておりますので、ダイオキシン対策と同時にごみ処理の効率化を図るという観点からごみ処理の広域化ということを進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、長期的には、技術の研究開発というのは極めて重要でございますので、画期的な処理技術、あるいはリサイクル技術の導入を図るといったようなことを通じまして、環境負荷の少ない循環型社会の構築を目指していくという必要があるわけでございます。このために、昨年十月に生活環境審議会に今後の廃棄物処理のあり方について諮問したところでございますので、これらの御議論も踏まえながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  138. 西田猛

    西田(猛)分科員 今お話しをいただきましたように、やはり排出抑制をするということが大切だと思います。そのために、今御説明いただいたように、ごみ焼却施設設置、改良などについてさまざまな財政支援措置を講じているところでございますが、そこをもう少し詳しくお話しをいただきたいと思うのですね。  さらに、やはり規模の大きなごみ焼却施設の方がよりよいわけでございますから、そのためにその事務の広域化を図っていかなければならない、これは私も全くそのとおりだと思います。それがために、私の地元の大阪府の能勢町と豊能町では、府県を越えた一部事務組合をつくることとしておりまして、隣の兵庫県の川西市、猪名川町というところと、大阪府の私の地元の豊能町、能勢町の一市三町で府県を越えた一部事務組合をつくり、今後新しいごみ焼却施設をつくっていこうという試みをしております。  こういうものに対して、ごみ処理は確かに市町村の基本的な責務ではございますけれども、なかなか一市あるいは一町だけで財政的にたえ得ることでない場合も多うございますので、そのあたりを少し詳しく、事務的にでも結構ですから、御説明いただけるでしょうか。
  139. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 ごみ焼却施設からダイオキシンの排出を削減するというのは極めて喫緊の重要な課題というふうに認識をいたしております。  平成十一年度予算案におきます廃棄物処理施設整備費につきましては、対前年度比四・一%増の千六百四十二億円を計上しているところでございます。その中でも、ダイオキシン対策といたしましては、対前年度比一八・六%増の七百八十億円を計上いたしまして、特にごみ焼却施設整備につきましては、平成十二年度までの緊急、特別の措置といたしまして、ガイドライン規制に対応いたしました焼却炉等の設置、改造に加えまして、これらと一体的に行います建物部分の設置、改造に要する費用を国庫補助の対象とすることといたしまして、ごみ焼却施設の改造、改良の整備促進を図ることといたしております。  こういった措置は市町村の御協力も当然必要でございますので、御理解、御協力も得ながら、削減対策の早期の達成を目指してまいりたいと考えております。  それから、広域化についてのお尋ねでございますが、一般的に小型炉がダイオキシンが出やすいというふうに、全部が全部というわけではございませんが、出やすいと言われておりますのは、通常、ごみを燃やすときの立ち上げ時と火を落とすとき、すなわち、温度が十分高くない状態のときに非常に発生しやすいということが言われております。いわゆるバッチ炉と言われる、朝たき上げて夕方火を落とすというふうな炉の場合ですと、朝、夕方というのはダイオキシンが出やすいと言われております。  それからさらに、八百度以上の安定的な燃焼でありませんと、例えば不幸なことに豊能の例は八百度までいかない燃焼が続いていたということがあったわけでございまして、温度コントロールをしていく上でも大型化が非常にコントロールしやすいということもございます。  それから、先ほども申し上げましたように、ごみ処理費用、これは結局住民の皆さんの税金で賄われるわけでございますから、これらの効率化も図るというようなこと等の観点を踏まえますと、私どもは、関係する市町村がいろいろお話をしていただいて、広域的な処理を図っていくことが望ましいと考えております。  これにつきましては、既に都道府県に県内の広域化計画というものを関係市町村によくお話しいただいて、おつくりをいただいて、整備促進するという方式の検討を都道府県にお願いいたしておりまして、順次、そういった広域化計画が策定されているというふうに聞いております。
  140. 宮下創平

    宮下国務大臣 補足させていただきますが、施設整備につきまして、今局長から十一年度の新規施策として設備更新その他新しい補助制度を追加したというお話がございました。  これにつきましては、豊能郡の御出身であり、地元で大変御苦労いただいた先生が御尽力をいただいたというお話も聞いております。このことが非常に大きく影響しているということで、感謝を申し上げたいと思います。  それから、大型、小型の問題につきましては、やはり小型の問題も無視できないのですね。例えば私の選挙区なんかへ行きますと、部落が非常に分散しておりまして、ごみを集約するだけでも一日百トン以上集めるのは容易なことではないという地域もございますので、小型でもダイオキシンの発生が少ないような技術改良をぜひやりたいと思っております。  それから、兵庫県との広域化の問題もお承りしております。これは、すばらしいものをつくっていただきたいな。ああいう都市型の焼却施設でございますから、今後のあるべき一つのモデルを示していただければ大変ありがたいと思いますので、また先生の知見を大いに生かしていただいて、御協力をお願いしたいと思います。
  141. 西田猛

    西田(猛)分科員 大臣からもお話をいただきまして、ありがとうございました。  まさに大臣も言われたように、大変なある意味での不幸であったわけでございますけれども、この災いを転じて、今後の住民福祉向上がさらに図れるように、私たちも地域から選ばれた者として頑張ってまいりたいと思っておりますし、ましてや、私たち以上に地元の市町村の皆さんあるいは市町村長の皆さんは本当に知恵を出して頑張っておられます。お金がないときには知恵を出そうと。  ですから、先ほども局長お話で、各都道府県知事あてに広域化を図るような通知を出されたということですけれども、これも県内あるいは府内にとどまらず、府県境を越えてやる。これは地元の皆さんは大変な知恵と努力を積み重ねておられまして、生の地方自治が本当の日本をつくっていくのだなということを私も実際にかいま見たところでございました。  ところで、話は変わりまして、これまた直接国民の皆様の福祉に関連することでございますけれども、児童手当と所得からの扶養控除という長年のテーマについてひとつお聞きをしたいと思っております。大臣からの御所見も伺えれば幸いでございます。  ここにいろいろと資料を私もお持ちいたしましたけれども、厚生省の中に児童手当制度基本問題研究会というものが昭和五十三年の十一月に設置されて、児童手当制度のあり方に関する基本的な諸問題について多角的な検討を進められた。そして、五十五年の四月に最終報告を取りまとめられて、そこでは税制の扶養控除と児童手当の調整を図り、扶養控除にかえて児童手当を拡充すべきことを提案した。そして、その研究会の結果は昭和五十五年九月の中央児童福祉審議会の意見具申「児童手当制度の基本的あり方について」に反映されたわけであります。その児童手当制度の意義としては、世代間の信頼と連帯の醸成に資すること、社会の構成員全体の協力によって児童の健全育成、資質の向上に資すること、児童養育家庭の経済的基盤の強化に資することなどが挙げられたということでございます。  そこで、来年度の予算でも、確かに児童手当制度所得制限緩和などなされておりますけれども、今後とも児童手当制度というものがさらに国づくりのもとになっていくのではないかと私も考えております。これらをさらに拡充していただけるように、厚生大臣の御所見をぜひお伺いしたいと思うのですが、よろしくお願いいたします。
  142. 宮下創平

    宮下国務大臣 児童手当につきましては、我が国の現在の制度は四十七年につくられた制度でございますが、幾多の変遷を経て三歳未満の子供たちに支給されておるという経過がございます。  ことしは所得制限緩和いたしました。同時に、所得税法の所得控除につきましても、十六歳までの子弟を持っている方々の扶養控除を一般的な基準よりもさらに十万円上げるという措置をとったほか、特に二十三歳までの大学等における就学児を持つ中年層、この方々の負担感というのは重いですから、それに対しても五万円の控除の増額をいたしました。そういうことで、両建てでやっているというのが現在の姿なんですね。  国会の議論でも、野党の皆さん方から、扶養控除を全廃して、児童手当一本にした方がいいという見解が表明されていることは委員も御指摘のとおりだと存じますが、税制上、扶養控除制度というものは、人的控除を認めまして課税の公平化を期する、納税の対象領域をはっきりさせて課税の公平を期するという税本来の機能もございます。だから、なかなかそれだけをすぽんと外して持ってくるということは税制上問題が一つございます。  それから同時に、それを外してきても、それはかなりな額にはなります。恐らく一兆円以上になるでしょう。ところが、今どの程度の水準で支給するかにもよりますけれども、一子一万円、二子一万円、三子二万円というようなことで、例えば十六歳とかあるいは大学生まで含めるとかいろいろ諸案がありますが、そうなりますと二兆数千億かかりまして、さらに一兆円以上の追加的な支出も必要といたします。そういう財源上の問題も今ありまして、にわかにそういう方向をとれないというのが実態であろうかと思います。  確かに児童手当を支給した方が、所得税を納めてない低所得の人たちのお子さんの問題もありますから、これはそちらの方がより均等化するという点もあります。  したがって、いろいろ考えていかなければなりませんが、ただいまのところは両建て主義だといってよろしいかと思います。ある一つのスタンドポイントに立てば非常にへんぱだ、こちらに立てばどうだという議論がもちろんあることは承知の上でございますけれども、今の制度が、今の状況の中では最適とは言いませんけれども、好ましい選択、制度のあり方じゃないかなというように思っております。
  143. 西田猛

    西田(猛)分科員 確かに今大臣が言われたように、税制の扶養控除制度と給付行政の一つであります児童手当という両建てでこれからの子育て支援していかなければならない、これがこれからの我が国あるいは国民福祉向上につながるものだというふうに考えます。そのような中でも、特に所得のそう高くない御家庭の皆様にも配慮して、児童手当制度というものがこれからどのように拡充されていったらよいのか、掘り下げた議論をぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。  同じく国民の皆様にとっては大変大きな問題でございます、我が国では会社勤めの方が多いわけでありまして、企業の年金に係る問題なのであります。  昨今、企業年金が非常にある意味で積立額の不足を生じてきているということが社会的な問題としてあり、他方、ある意味での社会的なしきたりといいますか、今までありました日本的な株式の持ち合いを本当に解消していくことが日本の経済の活力をさらに高めるために必要ではないかという要請があって、この二つをうまく連結していこうという動きが今経済界でなされております。  それがゆえにこういうふうな提言がいろいろなところからなされておりまして、例えば会社が保有する他社の株を、持ち合いしているほかの会社の株式を自分の会社の年金制度に対して現物で拠出して、それで株式の持ち合いを解消していくとともに企業年金の積立額の不足を解消していこうという試みがなされるのでありますけれども、そこで、厚生年金保険法、あるいはこれは厚生省の所管ではないのかもしれませんけれども、法人税法の問題等いろいろあると思います、それらの問題点を教えていただいて、かつ、どのように今後解決していけばよい方向に行くとお思いになられますか、お話を伺いたいと思います。
  144. 宮下創平

    宮下国務大臣 企業年金という場合には、厚生年金基金あるいは税制適格年金等種々のものがございますが、私どもは、公的年金として、基礎年金の上に報酬比例部分を構築しておる公的年金です。この一部を基金に運用を任せまして、その上に企業が上乗せをして年金基金という形で運用していただいて、給付がより有利な状況になることを望む制度にしてあります。  ところが、これは現金出資を原則としておるわけでございまして、今みたような時代になりますと、なかなか母体企業の方でそれを負担し切れないという問題が一つございます。  同時に、国際会計基準等の問題がございまして、来年、十二年の四月からは国際会計基準によってやるということ、これは強制ではございませんけれども、そういうことによって、例えば自己資本を調達するときの財務諸表のつくり方等も影響を受けます。したがって、今のままでありますと、企業は赤字を抱えておる厚生年金を持っておれば、それは負債として出てまいりますから、損益計算書だけじゃなくて貸借対照表上も表示するということになるとその企業の価値判断が低位になるという問題がございますから、企業としては、持っている保有株を直接市場に売却しないで、それを現物にした方がいいという要請はよくわかります。さなきだに市場が低迷している株式市場に追加的な売却が行われるということは、株式市場のさらなる低迷を招くおそれもあります。  したがって、両立を図ろうという考えで、私ども基本的に賛成でございますけれども、ただ、それは無条件でというわけにまいりません。持ち合い株の他社の不良株式ばかり注入されても、それで年金悪化がより進むようでは元も子もないわけでございまして、そういうことは避けていきたい。いろいろな条件がございますから、それを今検討しておるところでございます。  なお、運用の方式も直接株式を投入する場合とか信託方式でやる場合とかいろいろ対応がありますから、株式は一種の金融資産でございますから、その運用と基金の安全性というものの両立を考えてきちっと設計していかなければいかぬなということでございます。  それからもう一点だけ、参考に申し上げておきますと、確定拠出型年金というのがあります。これは、企業ないし個人でございますが、給付を確定するのじゃなくて拠出を確定する、出す段階を明確にしておくということでございまして、この制度は、アメリカの内国歳入法の四〇一Kと言われておる商品でありまして、我が国でもこれは導入しようと思っています。  なぜかといいますと、これは、企業にとって拠出が明確になって、あとの運用等はハイリスク・ハイリターンを求める個人の自由、企業の自由に任せる。あるいは、雇用形態が年功序列でなくて、非常にレイオフが行われるようなアメリカ型社会になっていけば、ポータブルな年金を形成する必要がある。それからまた、その資金は金融資産として市場に大変大きな影響を与えますから、そういった点で、アメリカは一兆ドルとも二兆ドルとも言われて、アメリカの株式市場をサポートする資金運用がなされております、単なる投機資金ではないわけですね。  そういう意味で、非常に有用性があるのではないかと私どもは思っておりますから、ことしじゅうに、拠出、保有、それから支給を受けるときの税制上の優遇措置がないとこれは成立しませんから、そんなことを含めて検討して、実現にぜひこぎつけたい、こう思っております。
  145. 西田猛

    西田(猛)分科員 含蓄の深いお話をありがとうございました。  国民福祉向上と日本経済の再生のためになることでございますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。  労働省の方には、御準備いただきましたけれども、時間が参りましたので、申しわけございません、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  146. 臼井日出男

    臼井主査 これにて西田猛君の質疑は終了いたしました。  次に、肥田美代子君。
  147. 肥田美代子

    ○肥田分科員 民主党の肥田美代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず大臣にお尋ねします。  介護保険法の施行について、与党の自由党は施行期日の延期を主張しておられますけれども、こういう主張があったとしても、西暦二〇〇〇年四月から介護保険法を施行する方針には変化はございませんね。
  148. 宮下創平

    宮下国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、私どもは、四月にぜひこれを円滑に実施したいと、最大限の努力をいたしております。
  149. 肥田美代子

    ○肥田分科員 続けて厚生大臣答弁をお願いしたいと思います。  介護保険法は、保険料を払えば権利として介護サービスを求めることができるという意味で、画期的な内容を持つものだと私は思っております。それだけに、施行までに残された期間に、保険料を払っても介護サービスは受けられないのではないか、そういう国民の不安を解消することが、立法府におきましても、それから行政府にも問われているのではないかと考えております。  さて、厚生省は、介護保険制度実施に先立って、昨年の秋、介護認定調査から認定審査会まで、本番と同じようなモデル事業実施されております。  予行演習の結果はいかがでございましたか。大臣の簡潔な御感想をお願いします。
  150. 宮下創平

    宮下国務大臣 保険システムでございますから、四十歳以上の二号被保険者なんかも直ちに介護を受ける状況にならない率が非常に高いと思いますから、この保険システムへの理解がまず進むことが必要だと存じます。  それから介護認定につきましては、モデル的に、モデル的にといってもほとんどの市町村で昨年の十月、十一月に実施いたしました。いろいろ八十五ぐらいのチェックポイントを設けて、一次判定をし、二次判定をしましたが、そのやり方あるいはその結果について、必ずしも納得しない点が多少ございます。一割ぐらいあるのかどうか、正確な数字はあれなんですが、若干の疑義が提起をされております。したがって、介護認定のシステムあるいはコンピューターシステムでありますけれども、入力の要素等に修正するものがあれば修正するということで、今検討させていただいております。  何にしても、これはもう皆さんが納得していただかないと円滑なスタートはできませんから、極力、厚生省でも、そういった不安を解消すべく最大限の努力をすべきであるというように考えております。
  151. 肥田美代子

    ○肥田分科員 大臣が今おっしゃったとおりでございますね。モデル事業で一番注目されたのは、何と申しましても、介護の必要度を判定する要介護認定、そういうことであったと思います。  介護認定審査は、本人への面接調査結果をコンピューターで分析して一次判定を行い、その結果が二次判定を行う介護認定審査会の資料とされるわけですね。  しかし、その予行演習でこういう例がございました。片手片足麻痺の高齢者を片手麻痺と入力ミスをして、気づいて片手片足麻痺と入力し直したところ、要介護度が軽くなる、そういう判定が出たという事例があります。こういう事例はかなり出たというふうに聞いております。  判定内容は、介護時間や介護内容に大きな影響を与えますから、こうした判定結果が繰り返されますと、先ほど大臣がおっしゃいましたように、利用者の不信が広がるだけであろうと思います。  なぜこうした判定結果になるのか、それから改善策はあるのか、その辺をちょっとお答えいただきたいと思います。
  152. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 介護認定でございますけれども、これは非常に大事な作業でございまして、コンピューターでやっておりますのは、客観的に全国公平にやる、こういうことで、従来の一分間スタディーに基づいたものから介護時間を推計する、こんなようなシステムになっているわけでございます。  御指摘のような事例もあったかと思いますので、専門家の意見も聞き、それから具体的な御指摘のあったところからもお聞きいたしましてシステムそのものを変更したい、こんなようなことを考えて、今作業をやっているところでございます。  具体的な作業につきましては、今まだ申し上げる段階ではございませんけれども、状態像と結果が違うということなものですから、状態像的なものをグループでまとめてやったらどうか、こういうふうな考え方で今やっております。それで、それがうまくいくかどうかという問題がございますので、一定の地域を選びまして、そういう新しくリニューアルいたしました判定モデルで検証をやってみよう、こういうふうなことで精度を高めていきたい。  したがいまして、コンピューターというのは統計処理でやっておりますので、必ずしも一〇〇%当たるわけではございません。八割から九割程度で当たるということで、あとの一割とか二割というのは、やはり人間の目で確かめる、あるいはかかりつけ医の意見書に基づいて人間の判断で修正する、こういうことが大事だ、こういうふうに考えております。
  153. 肥田美代子

    ○肥田分科員 まさにおっしゃるとおりで、人間の目ほど正確なものはないという実感を私も持ちます。  判定ソフトには、一日の介護時間が短い要介護Iから最も長い二時間五十分以上の要介護Vまでの典型的な高齢者の状態像が、今おっしゃいましたように入力されております。その状態像に一人一人の高齢者が当てはめられている、そういうことになりますね。  私は、同じような状況高齢者でありましても、要介護度には個人差があると思います。だから、介護現場には、高齢者の生身の人間性を見ないまま機械的に判定することへの不安は払拭し切れないと思います。現場のこうした不安は、介護保険制度の根幹にかかわる重要な問題を提起していると思いますし、介護保険制度が信頼されるためには、この不安を解消することが先決だと思います。  先ほども、リニューアルして判定モデルをというふうにおっしゃいましたけれども、この辺につきましてかなり真剣な取り組みをなさらないと、まずは不信が積もってしまうとこれは前に進みませんので、もう一度、この辺について、御決意なり伺いたいと思います。
  154. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 繰り返しになりますが、要介護認定につきましては、多数の申請者がございますので、公平、公正な審査判定をする、しかも効率的にやる、こういうことで統計的な手法で判定システムというのを導入したわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、これは一〇〇%確実なものではございません。あくまで、保健、医療福祉の学識経験者から成ります介護認定審査会、人間の目でこういう審査をするための下支えの機能があるということでございますので、審査会の方で、そういうふうな状態像と全く合わない、こういうことであれば当然直してもらう。  それと同時に、精度を高めるために、私ども、先ほど申し上げましたように、何度もやはり繰り返し繰り返し手直しをしていく必要があるんではないか。当面、十年度の試行がございましたので、それを踏まえた上での修正というのは当然いたしまして、それをもう一度実地検証した上で施行まで持っていきたい、こういうことでございまして、施行した後も当然のことながら見直しというのは続けていく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
  155. 肥田美代子

    ○肥田分科員 介護認定審査会で、ここにも問題が指摘されているわけです。例えば、調査員は介護サービス調査票以外の特記事項も記入して提出することになっております。その特記事項を提出しても、それを取り上げてもらうためには、介護認定審査会に調査員とかかかりつけ医師が実際に出席して意見を述べなければなりませんね。しかし、調査員やかかりつけ医師がすべてのケースに出席することは不可能でございます。それで、結果的には、先ほども指摘しましたように、高齢者個人の全体像が見えない、そういうことで議論が進むわけでございます。  予行演習の教訓に立つならば、徹底して利用者側に立つという理念を明確にして、介護認定審査会のあり方を再検討すべきではないかと思うんですけれども、大臣、お聞きになっていていかがでしょうか。
  156. 宮下創平

    宮下国務大臣 今近藤局長の言われたように、不適切である、あるいは不満があるという場合は修正をしていくということだろうと思いますけれども、委員のおっしゃられるように、審査会にはおのずから限度がございますので、全部そういう手続によってできるかどうかという点は、おっしゃるような点は想像できます。  しかし、一つは、やはり最初の、スタートの時点でございますから、これは多少手間暇かかろうとあるいは臨時的な何か措置をとろうと、やはり納得できる条件というものはつくっていかなければならないと思います。  それからもう一つ、介護で、これは余り申し上げたことはございません、私の個人的見解でございますが、IVとVと物すごくサービスに差がありますから、それがまた影響するんですね。だから、IVとVがサービスの度合いがなだらかにいけば、まあしかし、IVとVと比べてもホームヘルパーが一回一時間余計来ただけの差だなと言えば納得される可能性もありますけれども、そういう問題も背後にあると思いますね。だから、総合的に、これからスタートまでの時間に検討すべき課題はいろいろあるようにちょっと思っております。  介護の認定の問題こそやはり本当に皆さんが大変心配しておられることでありますから、委員のような御指摘を踏まえて、とにかく万全の体制でスタートだけはきちっと納得した形でスタートをさせたいというのが私どもの悲願でございます。
  157. 肥田美代子

    ○肥田分科員 ところで、一次判定を変えることができるのかどうかという問題がございます。  厚生省は、変更不適当事例において、調査結果を理由に変更してはならないとしていらっしゃいました。しかし、九七年度のモデル事業では、コンピューターによる一次判定が二次判定において五四%も覆される、そういう地域がございました。判定の大きなぶれが出たわけでございます。このためなのかどうか、厚生省は、変更不適当事例やコンピューター判定結果を変更してもいいという変更適当事例を市町村に通知なさいました。それでもコンピューター判定の優位性は変わっていないと私は理解しております。  余りにもきめ細かい内容を盛り込んだ変更不適当事例あるいは変更適当事例を見直す必要があると、私はあれを見まして感じたんですけれども、いかがでしょうか。
  158. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 十年度の試行に当たりまして、一次判定を変更する場合等の考え方を事例として、要介護状態区分変更等事例集ということでお示ししたことは事実でございます。  この事例集は審査委員の裁量を制限するというものではないわけでございますけれども、実施地域によりましては趣旨が徹底していなかった、こういうことで現場の戸惑いということもあったかと思うわけでございます。介護認定審査会におきましてはその判断で要介護度を変更することができるものでございますので、全くこういう事例集的なものが必要ないかということになりますと、やはり現場の方はこういうものが欲しいという要請も数多くございますので、今までの御意見も踏まえまして工夫をして必要な見直しはいたしたい、こういうふうに考えております。こういうものは必要である、こういうことは考えております。
  159. 肥田美代子

    ○肥田分科員 ぜひもう少しふくよかな書き方をしていただければと私は思います。  法律では、利用者が判定結果に不服を持った場合は都道府県の審査会に申し立てることができます。しかし、利用者の不平不満はまず市町村の窓口に持ち込まれることになりますが、しかし、窓口の人たちが責任を持って対応するためには判定ソフトの判断基準などを熟知していなければならない。そうしなければ、やはり混乱することが予想されます。これは自治体協力を得る上で重要な問題ですが、この混乱を避けるために判定ソフトの判定基準の開示が必要だと思います。  判定ソフトの判定基準は全面的に開示されますでしょうか、それともそうじゃありませんか。
  160. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 要介護認定基準と認定ソフトにつきましては、内容が確定次第公開をいたしたいと思っております。  ただ、公開しただけでは非常にわかりづらいと思いますので、現場で実際に携わっていらっしゃる市町村の関係者あるいはサービスを利用される方、家族の方、こういう方がわかりやすく認識できるような形で工夫をいたしたい、こういうふうなことで今検討いたしております。
  161. 肥田美代子

    ○肥田分科員 そうすると、何か別刷りのものをおつくりになってということでございますか。
  162. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 そういうパンフレットといいますか、マニュアル的なといいますか、説明的なものは私ども工夫したいと思っております。
  163. 肥田美代子

    ○肥田分科員 では、全面的に開示をされるというふうに理解させていただきます。  社会的入院患者についてお尋ねします。  社会的入院の高齢者は、現在、病院では診療報酬の面から厄介者扱いされ、老健施設でもやはり、三カ月から六カ月の入所期間がございますから、退所を宣告されるのではないかとびくびくしていらっしゃるというふうに聞いております。特養施設もやはり、入所を申し込んでから一年、二年と待つケースはそう珍しくはございません。しかし、退院とか退所しましても、地域には帰る場所も居場所もないわけですね。  解決策の一つとしてグループホームづくりが取り組まれておりますけれども、これは今痴呆性の人だけを対象にしております。それ以外の高齢者はここでも疎外されておるわけです。ケアハウスは自活できる高齢者だけが対象となっていますし、本当に、考えてみますと、高齢の方々の行き場がないというのが私は切実な問題であろうかと思います。  厚生省施設運営にきめ細かな縛りをかけていらっしゃるんですけれども、やはり分権時代にふさわしく自治体地域創意工夫にゆだねられたらいかがでしょうか。
  164. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 高齢者のグループホーム、今考えておりますのは痴呆性老人のグループホームだけでございます。  若干申し上げますと、中程度以下、比較的軽い方を想定したグループホームでございまして、五人から九人ぐらいの方で、職員から日常生活におきます援助を受けるということで、夜の生活は割合自分でできる、こういう方が一緒に食事をつくったり食べたりしながら生活する、そういうことによって生活面での痴呆の進行を穏やかなものにできる、こういう効果があるということで今の制度を導入しようということになったわけでございますが、そうでない一般の要介護老人の方につきまして、日中の食事づくりなどの活動を行う意義とか必要性というのは割と乏しいわけでございます。  それから、身体の介護サービス提供いたしておりますので、夜のお世話、特に排せつそれから水分の補給、こういったものでやはり夜勤体制というのは欠かせないんではないか。痴呆性のグループホームで、軽い方につきましては、自分でトイレに行かれるとか自分で水分を補給されるとか、その程度ができる方を想定しておりますので、職員は比較的夜は解放されるわけでございますけれども、こういう一般的な要介護老人になりますと、やはり夜もそういうお世話をしなきゃいかぬ。そういうことになりますと、グループホームでやるというよりは、やはり施設形態で対応した方がいいんではないか、こんな考えを持っているわけでございます。  ただ、施設の中で今取り組みがなされておりますのは、施設の中の、例えば百人なら百人いらっしゃる中で、八人とか十人ぐらいでグループを組んで、一緒のような、共同生活的な生活をされている、そういう試みはございますけれども、単独でこういう形のグループホームをつくるというのはいかがかな、こういうふうに考えております。
  165. 肥田美代子

    ○肥田分科員 グループホームをつくられたときの最初の意図に余りこだわらずに、やはり、地域で老人が本当に居場所がないという現実を見ましたら、私は、このグループホームを痴呆性のお年寄りだけでなくて、要介護度に合わせたいろいろなレベルのグループホームにしていただけると、かなりお年寄りにとってありがたい施設になるんではないかと思うんですけれども、積極的にこうやって数をふやしていっていただくような発想転換は無理ですか。大臣、どう思われますか。
  166. 宮下創平

    宮下国務大臣 重度の方はちょっと無理かと存じます。でも、軽度の方々は、グループホームの特質というのは、やはりコミュニケーションの場も提供できると思いますし、十人程度でございますれば、非常に生きがいを感じたり、あるいは話をしたり、それがやはり健康保持にもつながる可能性もありますから、これは私は、お年寄りの皆さんのコミュニケーションの場としても何か有用性があるかなという、お話を承っておっても感じがいたします。  そういう施策というものは、もうどうにもならない介護度の高い人たちは無理としても、軽度の方々は、あるいはそうした方がより健康を、心のケアをお互いにコミュニケーションを通じて保持できるかなというような感想は持っております。  ただ、これを組織化する場合に、どの程度までするかということと、それから介護人が必要だというようなことになると、数人に一人つく、夜中じゅうつくということもなかなか困難な状況でございますから、その状況によって、単なる痴呆性老人だけでなしに、やはり考えてもいいのかなという率直な感じを私は申し上げさせていただきます。
  167. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 大臣が申し上げましたように、軽い方、特に要支援といいますか、自立、こういうふうな方ですと、本年度の補正予算の中で高齢者生活福祉センターというのを、今までは僻地とか過疎地だけに限定していたわけでございますけれども、全国展開するようなことができたわけでございます。これは、十人から二十人の方が入られて、しかもデイサービスセンターも併設している、こんなようなことで、一種、住居でございますけれども、こういったものの活用というのも十分考えられるんではないかな、こんなように考えております。
  168. 肥田美代子

    ○肥田分科員 せっかく大臣がやわらかい発想を御披露くださいましたので、大臣の御意向に沿ってまた頑張っていただきますようにお願い申し上げます。  介護保険制度の趣旨、目的を実効あるものにするには、何といっても介護者の養成、それも質の高い介護者の養成が必要でございますけれども、平成十二年には新ゴールドプランが終わります。新新ゴールドプランを考えておられますかということと、新ゴールドプラン終了以降十年間の介護者養成の年次計画がもしあれば、示してください。
  169. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 現在、各市町村におきまして介護需要の調査を終了した段階でございまして、これに基づきまして必要なサービス量を見込みまして、その上で介護保険事業計画をつくることになっているわけでございます。これを踏まえまして、私どもとしましては、これを支援できるような仕組みはどういうのが一番いいかということを検討いたしたいというふうに考えているわけでございます。  それから、マンパワーの関係でございますけれども、マンパワーは、基本的には、既に数だけではある程度養成はされているわけでございます。それの質をどうやって上げていくか、こういう問題があるわけでございまして、これから研修その他そういったものが大事であるということで、地方自治体協力をいたしまして私どもとしては必要な支援をしてまいりたい、こういうふうに考えておりますが、年次計画的なものは持っておりません。
  170. 肥田美代子

    ○肥田分科員 第一号被保険料について、厚生省は月額二千五百円という数字を出されました。しかし、全国市長会の調査では、九割の自治体が二千五百円では介護保険の運営ができないと答えております。  二千五百円で大丈夫ですか。また、ケアプラン作成の料金は幾らになる見込みですか。
  171. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 二千五百円でございますけれども、これは、制度創設時ということで、平成七年の単価を用いまして要介護者の見込み数に掛け合わせまして推計をいたしたもので、極めて単純な推計であるわけでございます。  したがいまして、その後の単価の上昇によりまして全国平均の額というのは上がるかと思っておりますし、特に、施設サービスとか在宅のサービス充実している、こういうところは当然高くなるわけでございますし、特に、療養型病床群等の医療系の施設が非常に多い、こういうところについては非常に高くならざるを得ない。これをどうするかというのが、今課されている問題だと思っております。  それから、ケアプランの作成でございますけれども、現在、審議会の方で検討をいたしている最中でございますので、介護報酬関係につきましては、予算とも絡みますのでかなり遅くなろうかと思いますけれども、現在まだ検討中ということで、申し上げる段階ではございません。
  172. 肥田美代子

    ○肥田分科員 先ほど、介護者養成の年次計画はないとおっしゃいましたけれども、そうしますと、初年度から五年間、介護サービスを受ける高齢者の数はどのくらいと予想していらっしゃいますか。
  173. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 現段階で正確な把握というのはできていないわけでございまして、まさに、先ほど御説明いたしましたように、各市町村で需要を調査いたしまして必要なサービス量を見込む、こういう作業をやっている最中であるわけでございます。先ほど、二千五百円のときに申し上げました数では、要介護者、要支援者合わせまして約二百八十万人を想定いたしまして積算をいたしております。
  174. 肥田美代子

    ○肥田分科員 最初に大臣がおっしゃいましたように、介護保険制度は試行錯誤しながらのスタートであるということが私はよく理解できました。  需要予測や必要とされる介護者の数、それから保険料なども含め、決してまだまだ透明度が高いとは言えません。三年後には料金、五年後には制度を見直すことにしていらっしゃいますけれども、制度の見直しは五年と言わず、もっと柔軟に対応してサービス内容を見直す必要があろうと思いますけれども、大臣、いかがでございますか。
  175. 宮下創平

    宮下国務大臣 五年というのは法律で義務づけられておりますけれども、必要に応じて、委員のおっしゃるように、五年以内でも、それは不都合なところがあれば直していくのにやぶさかではないというふうに思っております。
  176. 肥田美代子

    ○肥田分科員 ぜひ、この介護保険制度を実効あらしめるために、皆様頑張っていただきたいと思います。ありがとうございます。
  177. 臼井日出男

    臼井主査 これにて肥田美代子君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井英勝君。
  178. 吉井英勝

    吉井分科員 日本共産党の吉井英勝です。  私は、きょうは、ダイオキシン類の問題について質問をしたいというふうに思います。  世界的にこのダイオキシンの問題が取り上げられるようになったその出発点は、これはやはりベトナム戦争でアメリカが使った枯れ葉剤による二重胎児の誕生とか、また、アメリカの中でも、ベトナム帰還兵の人たちのがんの発生率が非常に高い、こういう問題からであったというふうに思うんです。  実は、私自身、ベトナム戦争の時代、一九七一年ですが、非常に激しい戦争の時代に北ベトナムに比較的長期にわたって滞在したことがありますから、あの戦争のすさまじさというのは、みずから実感してきた者の一人です。ナパーム弾であれ、パイナップル爆弾、ボール爆弾、それから枯れ葉剤に至るまで、核兵器以外は全部使われましたから、本当に、これが戦争かという恐ろしい思いをするぐらいでしたから、それだけに、私は、この枯れ葉剤、ダイオキシンの問題というものについては特別の関心を持っておる一人です。  さて、このダイオキシンを含む枯れ葉剤が、実は宮崎県の高岡町というところに、「立ち入り禁止 2・4・5—T剤を埋設」という看板が立てられていて、枯れ葉剤が埋め立てられている、こういう事実を知ったものですから、私も少し調べてみたわけです。  そうすると、全国五十四カ所で埋め立てられていて、埋立総量というのは、これは粒剤、粒の方で二十五トン、乳剤で一・八キロリットル、それだけのものが埋設されているということがわかりました。それが埋設されてかなり年数がたちますから、漏れ出たり、そういうことはないんだろうか、こういう心配をしているわけなんです。  実は、既に調査されているデータによりますと、高知県窪川町の埋設地では、周辺の土壌の調査の結果、2・4・5Tが八四年には百五十から四百マイクログラム・パー・グラム、それから、八九年には百八十五マイクロというデータがあり、九四年には四百六十から六百七十マイクログラムというデータもありました。また、ダイオキシンそのものである2・3・7・8TCDDは、一九八四年の調査では十一から十七ナノグラム、八九年には十一ナノグラム、九四年には六・四から十四ナノグラム。これは、居住地等において対策をとるべきとされた、ダイオキシン類の土壌中濃度の暫定ガイドライン値である一ナノグラムというのをはるかに超えている測定値であります。  まず、そういう測定値もあったというこの事実を最初に林野庁の方から確認をしておきたいと思います。
  179. 日高照利

    ○日高説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のありました窪川町の調査データについては、先生指摘の数値、そのまま事実でございます。
  180. 吉井英勝

    吉井分科員 私、ちょうど八四年の窪川のデータを見ていまして、八四年には検出されず、八九年の測定でも検出されず、しかし、それが九四年には基準値を超えた濃度で検出されたというものがやはりあるわけです。  ところが、お話を聞いていると、この五十四カ所中五十三カ所では、八四年だけ調査をやってみたんだと。八九年にもう一回やったというところもあるんだが、五十三カ所については、結局、すべてもう調査をやっていない、定期的に目視される、目で見られることは見られるんですが。そうすると、窪川のように二回にわたっての調査では検出されなかったんだけれども、しかし三回目には検出された、こういう事実がありますと、私は、データもなしに、もう窪川以外では大丈夫なんだ、そういうふうに決めつけるということはできないと思うんです。  今日ダイオキシンの問題がこれだけ大変だということで、国も挙げて取り組もうという時代ですから、やはり、すべての箇所についてきちっとした追跡調査をされて、データをとって、大丈夫なのかどうか、まずこの確認からやらなきゃいけないと思うんですが、この点についても伺っておきたいと思います。
  181. 日高照利

    ○日高説明員 お答えいたします。  この箇所の調査につきましては、専門家による指導を受けまして、代表的な窪川の箇所で実施したわけでございますが、調査の結果は、薬剤の2・4・5Tの検出は調査年度によって区々でございます。  しかし、薬剤の移動というのは埋設の直下にとどまっておりまして、周囲に移動しているということは認められない、しかも、地域住民の生活に影響を及ぼさないような場所に埋設してある、こういうことで、現状を引き続き固定して、土壌の攪拌等を禁止するということでよいのではないかということで、そういう意見をいただいて対応しているわけでございます。
  182. 吉井英勝

    吉井分科員 今、居住地とは違うというお話があったんだけれども、ドイツの基準というのはよく御存じだと思いますが、ドイツは農用地は日本の居住地のガイドラインよりはるかに厳しいんですね。〇・〇四から〇・〇五ナノグラム。それから、牧草栽培とか放牧を禁止するという値は〇・〇四ナノグラムを超えたら禁止するとなっているんです。  つまり、埋めていらっしゃるあたりというのは、その場所によるでしょうけれども、例えばシイタケ栽培とかいろいろなこともあるところなんですよ。そういうところに、人が近づかないから安全だとかいうことだけで、あとは一回きりやった調査だけで大丈夫だろうと。しかし、現実には場所を変えて違うときに測定すれば出ているわけですから、やはりこれはきちんと調査をして、そして、何よりもまずどんな事態かということを明らかにすることが大事ですから、それはやるべきだというふうに思います。  これは、今直ちにやれと言っているんじゃないですから、それを計画を持ってやっていただいたらいいのですから、やることだけ確認しておきたいと思います。
  183. 日高照利

    ○日高説明員 専門家の先生方の意見等も伺いながら適切に対応していきたいというふうに思います。
  184. 吉井英勝

    吉井分科員 次に、そのダイオキシンを含む枯れ葉剤2・4・5Tは、林野庁の管理しているもので二十五トンの埋設量ですが、このほかに農薬メーカーから商社を通じて民間に流れたというのが十七トンあります。これらが、使用禁止の行政措置が出された後も販売され使用されてしまったのか、あるいは、その時点で直ちに在庫として残ったのか、残っておれば、その在庫の枯れ葉剤は幾らあって、どこでどのように保管されているのか、この調査をしておられますか。
  185. 大森昭彦

    ○大森説明員 お尋ねの民間流通分でございますが、先生指摘のように約十七トンというふうに推定をされております。これにつきましては、実は、民有林におきます除草剤の購入というのは、必要な都度購入する形態、いわゆる当用買いが一般的でございまして、そういう意味からいたしまして、四十六年の使用中止の措置をとりました時点で民有林関係における在庫はほとんどなかったものというふうに思われます。  なお、農薬メーカー等、流通業者にあった在庫については、それらを高温の焼却施設で処分したというふうにメーカーから報告を受けておるところでございます。
  186. 吉井英勝

    吉井分科員 ですから、それは処分したという話じゃなくて、処分したならしたで、どういうふうに処分したのかとか、そこをきちっと確認をしないと、余りにもそれはずさんだよということを言っているわけです。そうでないと、ダイオキシンの問題について、業者はこう言っていますが多分こうであったでしょうという推測だけの話じゃ済まされないという、今日のダイオキシン問題についての、これは学問分野での到達点もあれば行政分野での到達点もあるわけですから、そこをきちっと踏まえて対応してもらいたいと思います。  環境庁にここで伺っておきたいのですが、実はきょう、環境ホルモン・ダイオキシン問題にとりくむ議員連盟がつくられまして、前の厚生大臣を務められた小泉さんも呼びかけ人で、我が党の志位書記局長も呼びかけ人で、文字どおり超党派で取り組んでおります。そこで井口泰泉先生の記念講演も伺ってきたのですが、先生お話ですが、化学物質を減らす、それから、人間に影響の及ぶ閾値を幾らにするかなど、わかってからでは遅いんだ、ゼロにするというその発想が大事だというお話もありましたし、それに長期的、戦略的に取り組む必要があるというお話もあったわけですが、実際たばこを一本吸ったってダイオキシンというのは出てくるわけですから、私自身、現実にダイオキシンが全くゼロという環境の中で生きるということはできないわけですね。  それは当然のこととしてわかった上で、しかし、人間の健康はもとより、環境ホルモンの影響から人類の将来を危うくするような、そういうリスクは回避する、そういう原則というものに立った環境行政というものが必要だと思うのですが、この点について環境庁の基本的な考えを先に聞いておきたいと思います。
  187. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  ダイオキシン類の発生を初めとする廃棄物問題あるいは化学物質の問題、これは先生指摘のとおり全国的な社会的問題になっております。この問題につきましては、やはり非意図的に廃棄物なんかを処理する際に発生してくるということでもございますので、大量の廃棄物の発生というものをどうやって抑制していくかという私どもの社会生活のあり方が問われているんじゃないかと思っております。  このため、環境庁といたしましては、物の製造、流通から、廃棄、再生利用に至るまでの物質循環を進めるための総合的な廃棄物リサイクル対策のあり方について検討を進めているところでございます。また、やむを得ず発生するような廃棄物、それの焼却を行う際には、大気汚染防止法なんかに基づきまして、環境保全上支障のないよう適切に処理することが重要だと思っております。  いずれにしても、環境への負荷の少ない循環型社会の構築、これが重要だと思っております。
  188. 吉井英勝

    吉井分科員 今もお話がありましたように、発生源規制がまず主であって、そして焼却というのはやむを得ず最後に最終的に処分するときにやらざるを得ない場合に限る、いわば従の手段であると。いずれの段階においても、だからリスクを回避する、この立場が基本だという点は、これはそれでいいのですね。
  189. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 基本的な考え方は、やはりそういうことを追求しなければいかぬと思いますけれども、現実的な手段をどういう形で工夫していくのか、それはこれからいろいろ問題に直面する、こう考えております。
  190. 吉井英勝

    吉井分科員 非常に困難な問題がいろいろあるというのは当然私もよくわかっているわけですが、ただ、その中で、例えばダイオキシンというのは長期にわたって分解されない物質ということでありますし、ごく微量で生殖毒性を持つという、この点では人類と自然界に非常に長い世代にわたって影響を及ぼすものだけに、人体に入ってくるリスクを小さくする努力というのは非常に大事なものだと思うのです。  これが、今まで我々が公害問題とかあるいはこれまでの環境問題と取り組んできたときとかなり違う厳しい条件というのを我々は課されていると思うのです。それだけに、環境ホルモンにかかわる廃棄物については、できるだけの努力をして、別にそれをきちっと処分するということを考えていくこととか、あるいは廃棄物の処分場を現実に考えなければいけないわけです。それは当然のことだと思うのですね。  その場合でも、例えば水源涵養林で、水道原水の取水口の河川上流部などではこれは認めないとか、そういう場所は避けるとか、いろいろシートをやるとか、これは技術的に手はあるわけですが、しかし、これはダイオキシンが、学説によりますが百年とか分解されずに残るということからすると、我々が今到達している可能性ではもっと期間が短いわけですから、そうするとできるだけそういうところは避けるとか、やはり人の健康はもとより、環境ホルモンの影響から人類の将来を危うくするようなリスクというのは回避する。そのリスクを回避するという基本的な原則に立った取り組みというものが、厚生省の取り組みの中でもやはりこれから必要なんじゃないかと私は思います。この点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。
  191. 宮下創平

    宮下国務大臣 基本的には委員のおっしゃられるとおりだと存じます。しかし、立地を決める場合にいろいろアセスの問題等もございまして、そういった中でよく検討をして、今委員のおっしゃられるような、例えば飲料水の上流地点でどうか、どういう影響があるかというような、やはり影響度の度合い、アセスメントですね、これをぜひやった上で立地を決定すべきものだと思います。
  192. 吉井英勝

    吉井分科員 最初林野庁に枯れ葉剤の埋立地の問題をお聞きしたときに触れたことでもあるのですが、実は、あの埋め立てのときに林野庁の方から、農水省の方から厚生省にも問い合わせもあって、あの薬剤の廃棄についての処分方法ということで厚生省も相談を受けられた上で、処分箇所の選定に当たっては、飲料水の水源、民家、歩道、沢筋などから可能な限り離れたところを選定すると。  確かにアセスをやる中には、こういう対策をとればという、近ごろそういうアセスもあるのですが、しかし、今日の人類が到達した技術的な到達点からすると、その技術をもってしても、例えばシートを張っても破れた例とかいろいろありますから、万全ということは言えないから、私はその点では、枯れ葉剤埋設のときの、厚生省と林野庁で協議されて林野庁が出した指示、こういう処分箇所の選定に当たっての基準というのは、今後のダイオキシン問題を考えていくときに、処分場としては水源の上流部に当たるところは避ける、そういう基本的な考え方というのはやはり持つべきだろうと思うのですが、もう一度伺っておきたいと思うのです。
  193. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 平成九年に廃棄物処理法を改正したわけでございますが、そのときにも一部そういう御議論がございました。  ただ、一律に水源に関連したところではだめだということになりますと、日本は先生御承知のように山が急峻でございます、それから上流から下流まで水道水の取水源がございます、そういったことを考えますと一律にやるというのは私どもとしてはなかなか難しいのではないかということから、今大臣から申し上げましたように、施設の申請に当たりましては、環境アセスメントの結果を添付する、さらに申請書及びそういう環境アセスメントの書類につきましては公告縦覧に供する、それから関係市町村長あるいは関係住民からの意見を聴取する、それらを踏まえて、専門家の御意見も聞きまして、さらに、周辺地域生活環境への適正な配慮というものがなされているかどうかということを十分考慮した上で施設設置を認可するというふうな手続を定めたところでございまして、当分はこれで対応してまいりたいと思っております。
  194. 吉井英勝

    吉井分科員 今あなたのおっしゃったことはみんなわかった上で聞いているんですから、そんなことはいいんですよ。  それで、人口が数百人とか数千人のところもあれば、日本の中でいろいろなところがあるのです。おっしゃったように、島国ですからみんな川があるわけです。だけれども、人口十万とか五十万とか百万とか、そういう人口の非常に稠密地、そういうところの水源に、それはアセスをやりましたからいいよというものではなくて、やはりダイオキシンなどの問題を考えたときに、幾ら何でも、人口の密集したところの上流部については基本的に外すとか、やはりそういうきちっとした考えを持って臨むということが私は必要だと思うんです。  やみくもにそんなことを言い出したら、全部川はあるわけですから、処分場というのは考えることができなくなるでしょう。しかし、今の時代、ダイオキシンについて、特に生殖毒性など、もっともっと長期にわたって究明していかなければいけない問題を抱えているときに、きょうの井口先生お話でも、できるだけゼロにする方向ということで、リスクを避けるということを考えたときに、やはりそういう基本的な考えを持って臨むべきではないか。  私は、これは政治的判断の問題があると思うんです。技術的な判断はさっきおっしゃったように、私もずっとよく聞いて知っている話ですから、そんなことはいいんですけれども、やはり我々はそういうことを政治的に判断して臨むべきときじゃないか。  では、人口が少なければいいのかという議論が出てきますと、それはそれで別な問題がありますから簡単にはいきませんが、しかし幾ら何でも、五十万も百万もの人が取水する上流にそういうものを考えるというのは、これからはやはり考え直すべき時期じゃないでしょうか。この点、大臣、どうでしょう。
  195. 宮下創平

    宮下国務大臣 五十万人の都市の給水の源流地、そういうところにそういうものがない方がいいということは、一般的には言い得ると思います。  ただ、立地の問題につきましては、ダイオキシンの発生が必ずあるんだという前提に立つことはいかがかと、私は今お伺いしていて思いました。つまり、技術改良によって廃棄物の処理で高熱処理とかいろいろやりますと、排出量をうんと下げることも可能ですから、そういうことをやはり改良いたしまして、今の処理施設よりももっと高度なものもどんどん開発していかなきゃいかぬなというようにも思います。  ただし、五十万ではだめで十万以下だったらいいというわけにもいかぬわけで、基本的には、やはり技術改良によってダイオキシンをとにかく発生させないということが極めて重要なことだと思っています。
  196. 吉井英勝

    吉井分科員 このダイオキシンの問題につきましては、最近発表された能勢のデータなんかでも、血液中に通常値より三倍。これは今後究明されていきますが、要するに、長期間ダイオキシンの大気にさらされると——ダイオキシンの問題というのは、ある時期の微分値で決まるんじゃなくて、蓄積値、積分値で決まってくる、そういう要素が非常に大きいものですから、だから技術改良は当然必要なんです。同時に、やはりできるだけ被曝を避けるというのが一番大事なことですし、蓄積を避けるということが非常に大事なことであるわけです。  そういう点では、やはり基本は、先ほど環境庁も言っておられたように、これはまず持ち込む量を減らすことですね。それがやはり基本でなければなりませんから、そういう点では、塩化ビニール製品を、その素材供給それから製品化する段階、流通、廃棄に至るまでのすべての段階で大幅に削減して、確実に分別回収して、また塩ビ等ダイオキシン類を発生させる製品は引き取って無害化処理をする。そのためにも塩ビ製品使用の表示を義務づけることとか、そして塩ビ製品を焼却炉で燃やすことを基本的には避ける、できるだけ徹底的に減らす。ドイツなんか循環経済法でそういう考え方に立っておりますが、やはりそういうきちっとしたシステムを早期に確立することが私は基本だというふうに思うんです。大臣も技術的なお話をされましたが、私も技術屋ですから、それがわからぬことはないのだけれども、基本はやはりそちらなんだ。  そのときに、塩ビ製品をつくるメーカーというのは技術情報をたくさん持っているわけです。それから製品開発能力を持っているわけですね。どういう製品でどういう部品を使えば塩ビを使わなくてもいけるよとか、わかっているわけですし、仮に使っても無害化する技術能力も持っておれば、流通段階の情報も持っているわけです。また、その解決する資本力も持っておりますから、塩ビの素材メーカーであり、大量消費型の製品メーカーである、そういうところに、製造業者の製品に対する責任とかリサイクルに対する責任と負担、こういうことを明確にして、やはり全体としてドイツのようなシステムというものを法律も整備して築き上げていく、こういうことが基本になると思うのですが、この点についての大臣のお考えも聞いておきたいと思います。
  197. 宮下創平

    宮下国務大臣 先ほどお話しのように、リサイクル社会というのは、これはもうこれからの環境の中で一番重要なことだと思います。  リサイクルというのは、私どもの日常生活から始まりまして、工業製品、化学製品すべてに適用できる原則じゃないかと思うのです。そういう意味では、設計段階あるいは製造段階からリサイクル計画をちゃんと立てて、そして企業の責任でそれを処理する体制へ持っていくということがとても大切なことであろうと思います。  委員の今おっしゃられたような点は、基本的にドイツの例も、私も現実に見たわけじゃありませんが、テレビ等でその模様は拝見をいたしました。したがって、排出量を少なくする、排出されたものはきちっと処理する、塩化ビニールの問題もございます、これは、やはり化学物質を製造するところにはちゃんとそれだけの義務づけが必要だと思いますから、今、通産省等を中心にその届け出制度の問題も議論されておるところでございますから、基本的には委員のおっしゃられるような方向ではないのかなと思っております。
  198. 吉井英勝

    吉井分科員 大分時間が残り少なくなってまいりましたので、次に伺っておきたいのは、一昨年、能勢の土壌から高濃度のダイオキシンが検出された。そのときから、農産物などの食品について、ダイオキシン類汚染の実態調査を全国的に実施して、残留基準値を早急に定めるなどの対策をとっておれば、最近のテレビ放映による所沢問題というのは、私は多分別な形になっておったと思うのです。  九七年八月十九日には、当時の小泉厚生大臣も所沢のくぬぎ山を知事とともに行かれて視察されたわけですが、どうもその後、対策は後手後手になってきて、やはりテレビ放映されるまで対応がおくれたという問題があるというふうに私は率直に言って思うのです。  そういう点で、大臣に聞きたいのですが、今緊急になすべきことの一つは、所沢市のくぬぎ山周辺の産廃業者の焼却炉も野焼きも即時停止をさせて、これ以上ダイオキシン汚染を進行させない。積分値で問題になってくるわけですから、燃やせばどんどん蓄積されるわけですから、やはりそういう厳しい対応をとることと、また調査を徹底して行って、実態を明らかにして、農家への損失補償とか土壌の入れかえなど必要な措置を政府としても自治体協力して緊急に取り組んでいく、私は、今、それが政府として緊急になすべき課題になってきているんじゃないかなと思うのです。  その政府の取り組みを応援するものとしては、昨年の七月二十四日に仙台地裁は、人格権をもとに、焼却炉操業によるダイオキシン類等の有害物質が排出される可能性があり、法律上猶予されても人格権を侵害することはできない、被害回復は困難だとして、産廃業者の焼却炉を操業停止するという判決を下して、これは、全国各地に大きな影響が及んでいっているときですから、国としても、やはり地方自治体と一緒に取り組んできちっとこういうことを進めるという政治姿勢といいますか、そこのところは非常に緊急の姿勢というものが求められていると思うのですが、この点についての大臣の決意というものを伺っておきたいと思います。
  199. 宮下創平

    宮下国務大臣 豊能郡の問題は、これは処理施設から飛散しまして、大量にダイオキシンが直接的に出ました。しかし、後の調査によりますと、あの周辺地域における野菜はそんなに影響がない。それは、ダイオキシンはもちろんどの野菜にも若干はあります、〇・幾つというような話になるのですが。  一方、埼玉県の場合も、私どもの予想では、TDIという一日の摂取量を私どもは人間の健康被害の基準に一応しております。WHOでも一ないし四ピコと言っておりますから、今までの経験値から申しますと、四ピコ以内、もちろん二ピコ強だと思っておりますが、それは九年の調査でありますから、これを今現実にやっておるところなんですね。したがって、まずその結果を見て判断をしたい。委員はその点、非常にシビアにお考えのようでございますが、私どもはあくまで客観的なデータで判断をしたい。  それから、廃棄物の処理場の運行停止の問題は、私ども、新聞で、埼玉県知事が自粛を要請したということは承っておりますが、私どもの知る限りでは、あそこは集中的に幾つかの廃棄物処理場が集約されてあんな林立しているという点がございますけれども、一つ一つを見ますと、私の方でも調査をした結果がございますけれども、それによりますと、補助基準で、一応旧基準以下にはみんななっているんですね。ですから、それを超えてダイオキシンが空中に飛散しているという状況はないと私どもは思っています。  ただ、一つの地域に集約的に幾つもあるということが問題でございまして、それはまた大気汚染の問題その他はきちっと調査しなければならぬ。これはまた環境庁の方で今度は役割分担をいたしまして、至急、今調査をやっています。  そういうことで、その結果を見て、客観的なデータを見て判断したいと思いますが、ゼロベースという前提に立つと、すべてだめなんですね。でも、許容される限度というのは、WHOの専門家会議におきまして一ないし四ピコグラムということをスタンダードとして出してきておりますから、各国の例を見てみましても十ピコグラムくらいの基準値の国がたくさんあります。そんなことでありますから、私どもは、危機的な状況がもう現出しているんだということよりも、むしろ客観的にあれを少し精査をして、そして客観的な事実に基づいて判断をすべきだと思っています。  なお、補償等の問題は、これは、その結果によりますけれども、テレビ放送その他のやはり若干の行き過ぎがあったとも言われております。したがって、それによるいわゆる風評的な被害であるとすれば、これは民事上の賠償の問題になるというように理解しております。  いずれにいたしましても、私どもはあの問題は軽視はしておりませんけれども、客観的な基準によって客観的に議論をして、正しい認識を持っていただくということが極めて重要だと考えておりますから、まあ委員は非常に危機的な状況を御説明いただきましたけれども、それはそれとして、私どももそういう状況は持っておりますが、繰り返すようでございますが、国民に正しい知識を、客観的な事実を知っていただいた上で我々も対策を講じていきたい、なるべく早期にやる必要がある、こういうふうに考えております。
  200. 吉井英勝

    吉井分科員 時間が参りましたのでこれで終わりにしますが、発生総量の規制と積分値の面での規制、それはやはり科学的、客観的に私も申し上げてきたし、それが必要だということを繰り返し申し上げて、終わりたいと思います。
  201. 臼井日出男

    臼井主査 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。  次に、竹本直一君。
  202. 竹本直一

    竹本分科員 私が尊敬しております宮下厚生大臣はたしか長野でございますが、長野は男性の方がたしか全国で一番高齢、平均寿命が長いはずと思いますし、また沖縄は女性の方が一番長寿である、こういうことでございます。  長生きをできるということは非常にうれしいことであり、また我々、私なんかにとりましても、できるだけ長生きしたいと思っておるわけでございますが、ただ、生きざまが問題でありまして、幸せに生き、そして人生の終末を迎えるときに、幸せに死ぬというのは変な言い方でございますが、安心して自分の一生を終えられる、それがやはり人生の過ごし方の一番理想の形ではないかなというふうに思うわけでございます。  個人ごとでございますが、私も一昨年おやじを亡くしました。しかし、これは特別養護老人ホームで終末を迎えたわけでありまして、いろいろな介護の苦労、五年いたしましたけれども、そういった苦労も踏まえまして、私はふだん、財政とかあるいは建設とか商工とか、そういうようなことばかりやっている人間でございますが、どうしても一市民としてこういう介護の問題等々につきまして質問させていただくためにきょうは登場いたしました。ひとつよろしくお願いいたします。  今度、平成十二年四月にいよいよ介護保険制度が導入されるわけでございますけれども、この介護保険制度の導入に向けまして、現在、新ゴールドプランに基づいて、介護サービスの供給体制整備が図られておるわけであります。特に、介護サービスの重要な柱となる特別養護老人ホームにつきましては、十一年度予算案におきまして、新ゴールドプラン目標値である二十九万床を上回る水準、具体的には三十万床ということでございますが、それに必要な予算が盛り込まれているというふうに聞いております。  ところが、この特別養護老人ホームにつきまして、本来我々思いますのは、篤志家の慈善とかあるいは博愛の精神によって支えられるべき社会福祉事業ではないかなというふうに思うわけでございますが、どうも現実の実態を見ておりますと、必ずしもそのようにはなっていないケースが非常に多いのではないか。  私の選挙区は大阪でございますが、風評として聞いておりましても、どうも本来のこういった趣旨からかけ離れたような、金もうけの手段あるいは相続税対策の手段として、本来の、こういったお年寄りを介護し、あるいは人々の幸せのために社会奉仕としてやろうというような気の全くない人たちがこういう事業を営々としてやっておる、あるいはやろうとしておるという話を聞くわけでございます。もしこれが本当であれば非常にゆゆしき問題であるし、そういったことにならないように、厚生省におきましても、ぜひともきちっとした監督、監視をしていただきたい、それが私の願いであるわけでございます。  特に、聞きますと、二重契約を締結して金もうけをしたり、あるいは契約を締結した後値引きをして、そして補助金をせしめるというようなこともあるやに聞いております。  また、福祉施設の実態、私も随分、十幾つの施設を見ましたけれども、入りますと、ぷうんとにおいがしまして、とても僕らは耐えられないようなところにずっと寝たきり老人を、例えは悪いけれども、昔、魚のトロ箱というのがありまして、あれをずっと積んでおりましたが、ああいうふうにずっと寝かせたままである、においがする、とても正常人では耐えられない。そしてお互い物も言いません、寝たきりでありますから言いません。また、それを介護する方たちも、一応年はとっておっても対等の人間であるという前提を忘れてしまって、物を運ぶかのように扱う、物を運ぶかのようにおいとか相手に話しかける。こんなことをやっているのを何度も見ておりまして、これが、厚生省のたまにはなされるであろう、監察か何かあるんでしょうけれども、そういったときには、書類上はきちんとされておるしそういう実態は全然出てこない、こういうことが相当あるのじゃないかなというふうに思うわけであります。  そういうことで、建設についても問題あり、また建設された後、管理運営の実態についても問題ありという、この二段階においてぜひしっかりとした監視、監督の体制を講じていただきたいのですけれども、こういう問題につきまして厚生省としてはどのように対応しておられるか、担当局長さん、お聞きいたします。
  203. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 先生指摘のように、昔は篤志家によりますこういう施設をつくっている方が多かったわけでございますけれども、現在ではあらゆる職種の方が参入される、こういうことになっているわけでございます。  そういうふうなことで、前々から私どももそれなりの対策はとってきたわけでございますけれども、御承知のことかと存じますけれども、平成八年度に彩福祉グループによります特別養護老人ホームへの施設整備についての補助金を悪用いたしました事件が発覚いたしたわけでございまして、これを契機にいたしまして、施設整備に対します補助金等のあり方につきまして、再発防止、こういうことでいろいろな対策を考えたわけでございます。  その結果、九年度からではございますけれども、今までですと担当の課長が判断して補助金を出せばいい、こういう形だったわけでございますけれども、それを、都道府県におきます対象施設の選定におきまして、合議制の形でほかの部局からも参加してもらう、こういうふうな形が一つ。それから、建設工事に当たりまして公共工事に準ずる扱いにいたしまして、一定額以上につきましては一般競争入札にする、こういうふうなこと。それから、建設工事の中間点とか工事の完了時点におきまして現地調査、これも福祉の職員ではなくて建設に従事されている方にお願いする、こんなような措置を講じているわけでございます。  ただ、これでもって完璧にできるわけではないわけでございますけれども、多くの人の目に触れる、一たんは免れても必ず発覚する、こういうふうな形で取り組んでいるところでございます。  したがいまして、こうした改善措置の充実を図りまして、施設整備補助金の不正受給の防止に努めたいと思っておりますし、一つは、補助金のベースというのがございます。それからもう一つは、こういう人たちは融資を受けるわけでございます。社会福祉医療事業団というところで融資をいたしておりますけれども、並行審査を行っております。個々具体的な形で、ここがおかしいぞ、こういうふうな形のときには私どもに言ってもらう、そういうことで防止できた事例もあるわけでございます。  それと、先ほどの処遇の問題でございますけれども、介護保険法が施行されますと、特別養護老人ホームは、今までは市町村が措置して待っていればいい、こういうことであったわけでございますけれども、これからはほかの施設とも競争関係に入るわけでございますし、それから療養型病床群という病院とも競争関係に入るわけです。サービスが悪いところについては入らない、こういう事態もあるわけでございまして、監察と同時にそういう競争原理というものも導入いたしましてサービス向上を図りたい、こういうふうに考えております。
  204. 竹本直一

    竹本分科員 御努力の中身は今お聞きしたとおりだと思うのですけれども、果たしてそれが本当に有効にワークしているか、私は甚だ疑問だというふうに思うわけであります。  といいますのは、いろいろうわさ話で聞こえてまいりますのは、十億の施設をつくるのに十二億か三億の積算をして、そして十二、三億に相当する補助金をもらいまして、そして実際工事は十億以下で仕上げる、間の差額をポケットに入れてしまう、そういう手段のために使われているといううわさが蔓延しておるわけであります。  火のないところに煙は立たないといいますけれども、そういううわさがあるということだけでも真剣に対処してもらわないと、書類上きちっとしておったから許可せざるを得なかった、あるいはいろいろな人の意見を聞いたけれども特に異論もなかったからオーケーしたんだ、協議会で了解したからいいんだ、こういったものでは済まされない問題ではないか。大変な不況の中、国民の血税をつぎ込みながらこういう福祉施設をつくっているということを考えますと、本当に真剣に取り組んでもらいたいなというふうに思うわけであります。  特に、福祉施設をつくる方が財力のない、大変なローンを抱えており、全く倒産寸前のような企業あるいは個人がこういった施設を申請しているといううわさも聞きます。またケースによっては、税金を一部滞納しているのではないか、そういった人が窮余の一策としてこういう施設づくりに色気を出す、そしてそれを実現していくといううわさがあるんです。ですから、全く根も葉もない話ではないと私は思うわけであります。  今、そういう検査体制をとっておると局長言われたけれども、実際どれだけの人がこの事業に携わっているのか、私はその辺ちょっと後でお聞きしたいと思いますけれども、どうも、膨大な事業をやるにしては、管理監督、監視、あるいはそういった許認可に携わる人数が少な過ぎるのではないか。それを部分的にはもちろん自治体に任せておられるけれども、地方自治体というのは、私も地方分権推進論者ではありますけれども、いろいろ公的、私的含めて日常的ななあなあの社会で成り立っている地域社会が多いわけであります。そうしますと、これはおかしいと思いましても、なかなかそれをおかしいと指摘することがない、そのまま進んでいってしまう。それを中央官庁の方は人手がないから十分見ていなかった、こういうようなことで後で問題になるということが十分あるのではないかなというふうに思うわけであります。  第一点、財務状況について、設立を希望する人の財務状況がどういう状況であるかということを調べておられるのかどうか。そして、その場合の判断基準は何かということ。それからもう一つ、審査について中央官庁がどの程度関与できるのか。その人員、スタッフはどれぐらいあるのか。数字を聞いているのではないですけれども、その体制を御説明願いたいと思います。
  205. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 先生おっしゃるように、監査、指導の関係で十分かとおっしゃいますと、確かにそういうところで抜けている部分も当然あろうかと思うわけでございます。  それで、補助金の審査関係でございますけれども、これはもちろん都道府県でまず第一次やっていただくわけでございまして、先ほど申し上げましたように数名の合議制で出していらっしゃるわけでございまして、各県で担当される方は恐らく数名ぐらいではないかと思いますし、私どもで審査いたしておりますのも数名程度ということでございます。  それから、社会福祉医療事業団の方で融資の審査をいたしているわけでございまして、これにつきましても、資産状況等についてはいろいろな資料をいただいてやっているわけでございまして、そういう面で発覚するケースというのはかなりといいますか出ている、こういうふうに私ども考えております。  十分かどうかといいますと、完璧ということではございませんけれども、鋭意、与えられた人的、物的な資源の中で、この辺については、先ほど先生が御指摘されたような事案がまさに彩福祉グループの事案であったわけでございまして、こういうものが二度と起こってはいかぬ、発覚すれば断固たる処分をとる、こういう気持ちで臨んでいるわけでございます。
  206. 竹本直一

    竹本分科員 一生懸命やっているという話はわかるのだけれども、一生懸命やったって人知に限りがあるわけであります。数少ないスタッフで十分な監視ができていないのじゃないか。そうなりますと、十分な監視ができるような、検査ができるような、そういう体制を仕組まなければいけないのじゃないか、その辺の努力が足りないのじゃないかと私は一点思うわけであります。これに対して回答を後で聞きたい。  もう一点は、先ほど聞きましたのは、どういう判断基準で財務状況の判断をしておられるのか。こういう状況であればいい、こういう状況であればだめだ、その判断基準は何なのか。財務状況を調べているからそこでだめな場合も出てくるという話ですけれども、基準は何ですか、それをお聞きしたい。
  207. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 基準でございますけれども、これは結局、返せるかどうか、こういうことであるわけでございます。融資でございますから、返せるかどうか。  もうちょっと詳しく申し上げれば、施設につきましては補助金が出るわけですが、土地につきましては自分の方で用意をしていただく、設置者の負担が四分の一ある。こういう形で、面積が加算されたり若干の上乗せがございますればこれは当然自己負担ということになるわけでございまして、申請がありますと、財政基盤としてこの施設がこれからやっていけるのかどうか、特に融資の関係は明確であるわけでございまして、返せるのかどうか、これが最終的な分岐点になるわけでございます。
  208. 竹本直一

    竹本分科員 どうも堂々めぐりみたいな感じがいたしますけれども、きっちりとした基準をつくりまして、特に財務状況、返せるかどうかというのもそれは一つの判断ですが、税金の滞納それから過大なローンの借り受け、そういった実態を厳しく見ないと、本当に私が恐れておるようなことがぼんぼん出てくる、厚生省は何をしていたんだ、こういうことになりかねないと私は思うわけでございますので、ぜひとも大臣、これはよく聞いておいていただきたいなと思います。  次に、施設の方はそういうことなんですが、この施設で働くマンパワーをどうするかということでございます。  私も幾つかの施設を、自分の必要もあって見て回りましたけれども、急遽つくられたような施設におきましては、十分な訓練のない近所の主婦をヘルパーに雇っておりますので、なかなか、老人を起こさせるというのも大変な技術が必要なようであります。また、ふろへ入れさせる、これも大変な技術が必要。また、歩行させる手伝いをするというのも、無理をさせられないし、さりとて老人に歩く意欲を持たさせなければいけない。そういう非常に技術的なこともあるようでございますが、そういう技術が十分されないままにそういった人を雇い入れまして、適当にやっている施設が非常に多いように私は見受けるわけであります。  あるところで聞いたのですけれども、こういう話がありました。ある施設に入れておったけれども、そこはなかなか歩行訓練をやってくれない。本人は歩ける老人であったのですけれども、そこでは歩行訓練もやりますと言うのだけれどもやってくれない。どうも実態を聞きましたら、散歩しようかと言うと、嫌だ、嫌だと、老人はすべて消極的になります。体力がないですから、全部嫌だ、嫌ならやめておこうかと、本人が嫌と言うからやらない。そうすると、一日寝ていると老人の体力は五%減っていくとだれかに聞いたことがあるのですけれども、寝たきりでいるとすぐ寝たきりになるわけであります。私のおやじだってそうでした。やはり入院しまして、ちゃんと歩いておったのですけれども、二週間ぶりに行ったら、もうちゃんと歩けない。だれも歩かせないからそうなっちゃった。歩くということを忘れてしまう。そういうようなことも実際経験いたしました。  そういうことで、歩かせたり食べさせたりあるいはふろに入らせたり、そういったことについてすべて技術が必要なんです。その技術基準をきちっと確保したマンパワーを用意しませんと、単なる収容施設になってしまう。やがてそこで寂しく人生の終末を迎えてしまう。私はそれでいいとは思わない。  そういうふうに考えますと、そういった技術者養成をどのように厚生省としてはやっておられるのか、まずそれをお聞きしたいと思います。
  209. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 かつてはそういう無資格の方が多かったわけでございますし、現在でももちろん残っているわけでございますけれども、介護福祉士、こういうふうな資格もできたわけでございまして、今は、大学とか専門学校でそういう福祉の専門、介護の専門職を出た方もかなりのシェアになってきている。具体的な数字はちょっと持ち合わせておりませんけれども、こういう方でないとやはり適当なサービスはできない、こういうふうな事情になりつつあるということでございまして、これからはそういう方向でいかなければいかぬと思います。  それから、特別養護老人ホームで、先生先ほどお話がございましたように、食堂で食事を食べていただくとかあるいはトイレでの排せつを誘導するとかいうことでできるだけ歩いていただく、動いていただく、こういうことで介護の事業を指導しているわけでございますが、特に現在、特別養護老人ホームにおきましては機能訓練指導員というものを置きまして、これは生活動作能力を維持向上させるということで、必ずしも医学的リハビリではないわけでございますけれども、こういったものを置いてやっておりますし、介護保険制度が施行されますと、機能訓練の提供体制が、最低基準じゃなくて、もっと高い水準のものにつきましては介護報酬を上乗せしよう、こういうふうに考えております。  それから、施設の職員につきましても、いわゆる介護職員でございますが、これは今、四・一人に一人、こういうことでございますけれども、若干の経過措置は置く予定でございますけれども、いずれは三対一ぐらいに持っていきたい。介護職員を多く設置する、こういうことで対応したい、しかも質が高いように私どももこれから養成に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  210. 竹本直一

    竹本分科員 その数字は後ほどちょっと届けていただきたいのですけれども、いずれにいたしましても、全従業員の中における有資格者の数の割合がどの程度かということを私はぜひとも知りたい。  それから、今度いよいよ介護保険実施されることについて、ある意味では新しい職場の提供にもなるわけでございますが、少子高齢化の中で、本当に適切な人材がこういった施設で働くマンパワーとして十分かどうかということを考えますと、私は、場合によったら、東南アジアあるいは中国等から若いそしてそういうことについて十分な関心を持った人たちに日本の国内でそういう事業に一定期間従事していただいて、例えば三年おって用が済んだらきっちりと本国へ帰っていただく、そういった制度検討も必要なのではないかな。もちろん言葉の問題はありますから言葉は勉強しなければいけませんけれども、将来の一つのある種の姿として、そういったことも必要ではないかと個人的に思うのですけれども、いかがでしょうか。
  211. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 将来、少子化になりますと、本当に介護してくれる人がいるのだろうかという心配はあるわけでございます。したがいまして、介護者が少なくなるための介護予防というのも当然必要になるわけでございますけれども、どうやって介護職員を確保していくかというのは大きな問題になろうかと思います。  ただ、外国人の問題につきましては、これはもう全体としての外国人雇用という問題でございますので、その枠がもしそういう方向になれば、私どもとしては活用する道というのは十分あると思いますけれども、これは別の見地からの検討というのが必要であろう、こういうふうに思っております。
  212. 竹本直一

    竹本分科員 今、るる局長質問答弁を繰り返しましたのですけれども、これを聞いておっていただいて、厚生大臣はどう思われるか。つまり、私は、こういう問題につきましては、要は愛情ある福祉行政といいますか、愛情ある形での老人の介護が一番必要だと思うのですよ。幾らいい施設をつくっても、冷たい、心の凍結するような、そういう扱いを受けるような施設では意味がない。また、幾らいい、きっちりとした有資格者がおられても、老人のもろもろの要望に対してこたえるとともに、より健康で明るく幸せになるような工夫というものがなされていない施設というのは、これまた意味がない。そういう意味で、人生八十年とかいろいろ言いますけれども、今ほどこの福祉厚生行政関係で、愛情ある行政が切望されているときはないと思うわけであります。  最近のいろいろな論評を見ましても、在宅死願望が非常にふえている、死ぬときはみんなに、家族に囲まれて死にたい、こういう願望が非常に強いという話をよく聞きます。恐らくそうだろうと思いますが、小家族化し、また少子化がどんどん進んでおる中で、いかにしてこういった愛情のある介護の行政というものがなされ得るか、どうすればいいか、そういったことについての厚生大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  213. 宮下創平

    宮下国務大臣 竹本議員の一連の御指摘やら御意見を拝聴いたしておりまして、今竹本委員の口から愛情ある福祉というお言葉がありましたが、私も最初から、こういう問題の指摘のなされ方は、いろいろこれからシステムはどうだ、設備は整っているのかというような質問が非常に多うございますけれども、やはり違った角度からの御指摘でございました。それはすなわち、福祉に対する委員の非常な情熱が裏づけされていると私は思いました。  それで、やはり施設につきましても、これは忌まわしい事件があったことでもありますし、厳重にしていかなければなりません。それから、運営の問題も、福祉ビジネスという言葉もございますけれども、やはりそれは倫理性の伴ったものでないと困ります。そして、その基本には、やはり人間を尊重しているという理念が隅々まで行き渡った福祉介護でないと本当にいけないということをまざまざと感じたわけであります。  一つはそんなことで、ある違った側面からの御指摘でありますが、非常に有益な御指摘だったと思いますから、ひとついろいろな面で委員のこの意見を反映できるように、そういった角度のスタンドポイントからの見方も非常に重要だということを御指摘いただいた点に感謝申し上げます。
  214. 竹本直一

    竹本分科員 ありがとうございました。  私は、三十年前ニューヨークにおりまして、学生だったのですけれども、私が暮らしておりましたアパートには、二十階ぐらいのアパートですのでたくさんのもちろんアメリカ人がおったわけでございますが、当時は人種差別らしきものが多々見られた時代であるにもかかわらず、一階のロビーにおりてまいりますと、老夫婦が私を十五、六人で取り囲みまして、ああだこうだといっぱい話しかけてくる。なぜ話しかけてくるか。彼らは寂しいからなんです。  ある老夫婦といろいろ話をしておりましたら、今願っているのは何か。日本にはカラーテレビもない時代でした。彼らはもうカラーテレビを持っておりました。年金も十分ついておりましたし、部屋も七、八ぐらいの部屋を持っておりました。豊かな生活をしているのですけれども、今願っているのは何かというと、娘は二人いるけれども、離婚して家へ帰ってきてくれることを望んでいるんだ、こういうことです。寂しさに耐えられない。テレビは見たってこたえてくれない。  そういう生活を見ておって、私は、日本もやがてそうなるのかな、本当になるのかなと思っておったのですよね。そうしたら、今まさにそういう時代の端緒が見られるじゃないですか。こういう、個人を孤独に追い込むような社会というのはまさに忌むべき社会だと私は思うわけであります。  そういう意味で、最後まで温かみのある人生が送れるような施設づくり、そして介護のマンパワーを含めたいろいろなソフト的な面も含めた支援システム、そういったものに厚生省としては真剣に取り組んでいただきたい。そういった善意の行政の中に食い込んで、何か金もうけをしよう、あるいは悪いことをしようというような人たちも後を絶たないという現実をもう一度真剣に見直していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  215. 臼井日出男

    臼井主査 これにて竹本直一君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十八日木曜日午前九時から開会し、労働省及び厚生省所管についての審査を行うことといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十五分散会