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1999-02-17 第145回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成十一年二月十六日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月十七日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       岸田 文雄君    津島 雄二君       吉田  治君    斉藤 鉄夫君       鈴木 淑夫君    西村 眞悟君 二月十七日  西村眞悟君が委員長指名で、主査選任され  た。 —————————————————————— 平成十一年二月十七日(水曜日)     午後一時開議  出席分科員    主 査 西村 眞悟君       岸田 文雄君    阪上 善秀君       津島 雄二君    吉田  治君       倉田 栄喜君    斉藤 鉄夫君       鈴木 淑夫君    兼務 田中  甲君 兼務 藤村  修君    兼務 冬柴 鐵三君 兼務 若松 謙維君    兼務 三沢  淳君 兼務 金子 満広君    兼務 藤木 洋子君 兼務 辻元 清美君    兼務 保坂 展人君  出席国務大臣         文 部 大 臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      有馬 朗人君         自 治 大 臣 野田  毅君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     興  直孝君         科学技術庁科学         技術政策局長  加藤 康宏君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         科学技術庁原子         力局長     青江  茂君         科学技術庁原子         力安全局長   間宮  馨君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省生涯学習         局長      富岡 賢治君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         文部省学術国際         局長      工藤 智規君         文部省体育局長 遠藤 昭雄君         文化庁次長   近藤 信司君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治省行政局長 鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     片木  淳君         自治省財政局長 二橋 正弘君         消防庁長官   谷合 靖夫君  分科員外出席者         内閣安全保障・         危機管理室内閣         審議官     高見澤將林君         警察庁警備局警         備課長     池田 克彦君         外務大臣官房審         議官      安藤 裕康君         大蔵省主計局主         計官      大藤 俊行君         大蔵省主計局主         計官      細溝 清史君         建設大臣官房審         議官      有賀 長郎君         建設省河川局次         長       吉井 一弥君         建設省道路局次         長       河崎 広二君         会計検査院事務         総局第四局長  増田 裕夫君         地方行政委員会         専門員     蓼沼 朗寿君         文教委員会専門         員       岡村  豊君         科学技術委員会         専門員     宮武 太郎君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   岸田 文雄君     阪上 善秀君   斉藤 鉄夫君     谷口 隆義君   鈴木 淑夫君     塩田  晋君 同日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     岸田 文雄君   谷口 隆義君     倉田 栄喜君   塩田  晋君     達増 拓也君 同日  辞任         補欠選任   倉田 栄喜君     斉藤 鉄夫君   達増 拓也君     鈴木 淑夫君 同日  第一分科員金子満広君、藤木洋子君、第二分科  員藤村修君、第四分科員田中甲君、第五分科員  辻元清美君、第七分科員冬柴鐵三君、保坂展人  君、第八分科員若松謙維君及び三沢淳君が本分  科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十一年度一般会計予算  平成十一年度特別会計予算  平成十一年度政府関係機関予算  〔総理府科学技術庁)、文部省及び自治省所管〕      ————◇—————
  2. 西村眞悟

    西村主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めさせていただくことになりました西村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本分科会は、総理府所管科学技術庁文部省及び自治省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係機関予算総理府所管科学技術庁について、政府から説明を聴取いたします。有馬科学技術庁長官
  3. 有馬朗人

    有馬国務大臣 先月半ばに科学技術庁長官を拝命いたしました有馬でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  二十一世紀を目前に控えた今、我が国は、極めて厳しい経済状況少子高齢化の急速な進展などを踏まえ、これまでに整えられた社会システムを新しい時代にふさわしいものに変革していかなければならない状況にあります。科学技術振興こそは、新しい世紀希望活力のあるものにするための基盤を築くものであり、経済構造改革実現し、創造性にあふれた社会をつくっていくための原動力となるものであります。また、科学技術は、地球温暖化環境破壊のような人類が直面している地球規模の諸問題の解決に資するものであり、人類の未来に展望を開くものであります。  このため、平成十一年度予算の編成に当たりましては、科学技術の側面から経済活性化に資する施策を積極的に展開するとともに、社会的、経済的ニーズに対応した未踏の科学技術分野への取り組み、柔軟な研究開発システム構築と独創的な基礎研究推進などを図るための予算確保に努めたところであります。  科学技術庁予算額は、一般会計が六千百五十三億百万円、産業投資特別会計が三十七億円、電源開発促進対策特別会計が一千五百四十八億三千六百万円となっております。以上の各会計を合わせた予算額は、七千七百三十八億三千七百万円となっております。  何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  なお、その具体の内容につきましては、お手元に配付してあります印刷物のとおりでございますが、時間の関係もございますので、主査におかれまして、会議録に掲載されるよう、御配慮をお願い申し上げます。  以上でございます。
  4. 西村眞悟

    西村主査 この際、お諮りいたします。  ただいま有馬科学技術庁長官から申し出がありました総理府所管科学技術庁関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 西村眞悟

    西村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 西村眞悟

    西村主査 以上をもちまして総理府所管科学技術庁につきましての説明は終わりました。     —————————————
  7. 西村眞悟

    西村主査 この際、分科員に申し上げたいと存じます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力いただきますようお願い申し上げます。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入りたいと存じます。  質疑申し出がありますので、これを許します。阪上善秀君。
  8. 阪上善秀

    阪上分科員 自民党の阪上善秀であります。  まず初めに、科学技術政策についてお伺いをいたします。  グローバルな経済競争が激化する中、我が国経済状況は、まことに憂慮すべき状態にございます。このような中にあって、天然資源の乏しい我が国において、豊かで潤いのある社会発展基盤構築し、希望に満ちた真に豊かな二十一世紀を迎えるためには、何といっても科学技術振興が重要であり、これに積極的に取り組むことにより、経済構造改革実現し、活力創造性にあふれた社会をつくっていくことが不可欠であると思います。  そこで、お伺いをいたします。有馬大臣は、科学者として見識も高く、将来の我が国を考えたとき、どのような科学技術振興を図っていくべきだとお考えか、まずお伺いをいたします。
  9. 有馬朗人

    有馬国務大臣 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、資源の少ない日本といたしましては、科学技術を進めていくことしか日本の国力を維持していく方法はないとすら思っております。  こういう観点から、平成七年十一月、科学技術基本法議員立法で制定され、また、平成八年七月に、同法に基づく科学技術基本計画が閣議決定されたところでございます。たびたび申し上げますように、このことは日本科学技術者にとって、極めてすばらしい朗報でございました。ここでまた御礼を申し上げたいと思います。  こういうふうな計画もと政府といたしましては、同計画に基づき、まず第一に、社会的、経済的ニーズに対応した研究開発を強力に推進し、同時に、基礎研究を積極的に振興するとともに、第二に、柔軟かつ競争的で開かれた研究環境実現に向けて、新たな研究開発システム構築のために制度改革等を進めているところでございます。  今後とも、関係省庁との密接な連携もと科学技術振興について努力してまいりたいと考えております。
  10. 阪上善秀

    阪上分科員 先般閣議決定されました産業再生計画においては、現下の経済の低迷を打開するためには、創造的な技術開発情報化社会への投資など、科学技術を活用することにより、新産業の創出や生産性の向上を図ることが重要である旨指摘されているところであります。このような観点から、今のような厳しい社会状況のときにこそ、科学技術分野に重点的に投資すべきであると考えるものであります。  そこでお伺いいたしますが、科学技術基本計画において、平成十二年度までの科学技術関係経費として十七兆円が必要とされておりますが、これに対する現状認識をいかにお持ちか、お伺いをいたします。
  11. 有馬朗人

    有馬国務大臣 先ほども申し上げましたように、この十七兆円というものは大変ありがたいと思っております。日本としてこういう計画をお立ていただいたことは、世界にも誇るべき計画であると考えております。  我が国が、二十一世紀に向けまして豊かな国民生活活力ある経済社会構築するためには、科学技術立国を目指し、その実現が必要不可欠であると考えております。このような観点から、先ほど御指摘科学技術基本法が制定され、科学技術基本計画が閣議決定されたところでございます。  この計画中の政府研究開発投資につきましては、平成八年から十一年度予算案までの総額が、現在約十三兆三千億円でございます。計画期間中に十七兆円を達成することは、依然として厳しいと言わざるを得ない状況でございます。今後とも、必要な予算確保を初め、科学技術基本計画に掲げられました施策推進に努めてまいりたいと考えております。  なお、現行科学技術基本計画平成八年七月に策定され、現在、平成十二年度までの計画期間のちょうど半ばを過ぎたところでございます。次の基本計画への当庁の取り組みといたしましては、科学技術会議政策委員会審議に資するため、関係省庁協力を得つつ、昨年末より基本計画進捗状況調査等を行っているところでございます。  今後とも、現行基本計画に沿って一層の科学技術振興努力してまいりますとともに、この調査結果の分析や科学技術会議における議論を踏まえまして、来るべき二十一世紀を見据えつつ、施策の検討を行ってまいりたいと考えております。
  12. 阪上善秀

    阪上分科員 この十七兆円の満額獲得なくして二十一世紀日本はないと思って私も全力投球する覚悟でありますので、大臣もよろしくお願いをいたします。  二番目に、原子力政策についてであります。  エネルギーの八割を海外に依存する資源小国我が国においては、地球環境との調和を図りつつ、将来にわたりエネルギー安定供給確保していく上で、原子力は重要なエネルギー源認識をいたしております。  この原子力推進に当たっては、安全確保に万全を期することはもちろんのこと、国民信頼協力が不可欠でございますが、昨年の使用済み燃料輸送容器データ改ざん問題等もあり、現状では、原子力に対する国民信頼が損なわれているのではないかと言わざるを得ないと思います。  そこで、お伺いいたしますが、安全確保を図りつつ、原子力に対する国民信頼回復を得るために、どのように取り組んでいかれるおつもりか、お伺いをいたします。
  13. 有馬朗人

    有馬国務大臣 昨年発覚いたしました使用済み燃料輸送容器のデータ改ざん問題、今御指摘のことでございますが、まことにあってはならないことと考えております。これによって原子力に対する国民信頼が低下したことは、まことに遺憾に思っております。これは、何とかして国民信頼を回復する努力をしなければならないと考えております。  その原子力に対する国民信頼を回復するためには、まず第一に、現場においては、安全運転等の実績を積み上げることに最善の努力を払うとともに、地域の方々との間では、地元重視の姿勢のもと事業活動について誠実に対応することが何よりも重要であると考えております。また、国といたしましても、政策決定過程透明化を図るため、国民各界各層から幅広く御意見を伺う原子力政策円卓会議開催、シンポジウム、フォーラム、説明会開催等々、原子力政策に対する国民信頼回復に、そして御理解を得るために積極的に取り組んでまいっておりますし、これからも大いに努力をさせていただきたいと思っております。  今後とも、安全確保に万全を期することはもちろんのこと、原子力の意義、必要性等について、電力を生産する立地地域だけの問題としてではなく、電気の恩恵を享受する国民一人一人にみずからの問題として考えていただくために、まず第一に情報の公開、第二にわかりやすい情報の提供、第三に国民各界各層との一層の対話の促進などに、政府一体となって積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  14. 阪上善秀

    阪上分科員 ドイツでは、昨年九月に連邦議会の総選挙が行われ、シュレーダーが率いる社会民主党が十六年ぶりに第一党となった。これを受けて、シュレーダーは九〇年連合・緑の党との連立政権交渉に入りましたが、この交渉の中でも原子力発電の扱いが非常に注目されたところでございました。結局、連立政権では、原子力発電所を、停止時期は明示はいたしておりませんが、廃止するという枠組みまで基本合意したところでございます。最近では、原発から発生する使用済み燃料の再処理を禁止するという報道もなされました。  ドイツは、十九基の原子力発電所運転中であり、総発電電力量に占める原子力の割合が三〇%を超える原子力先進国でございますが、このドイツ政策転換は、同じく原子力発電が既に必要不可欠となっております日本に影響を与えておるのではないかと思いますが、そこで、お伺いをいたします。  ドイツでは、新政権もと原子力を進めておりますが、ドイツ原子力政策転換に対する認識をいかにお持ちか、お伺いをいたします。
  15. 青江茂

    青江政府委員 お答え申し上げます。  ドイツ状況につきましては、今先生指摘のとおり、昨年の秋に連立政権が発足をいたしたわけでございますが、その連立の協定の中におきまして、御指摘になられましたような約束事というのがなされたわけでございますけれども、年が明けまして一月になりまして、それを受けまして、シュレーダーさんの方から、そういうことに至るための原子力法の改正を行いますという記者発表が行われました。  ただ、その際にも述べられておることなんでございますけれどもシュレーダーさんは、そういうことをしていくには原子力事業者との間の協議コンセンサスというものを大変重視しますよということもあわせ述べておられまして、そして、それを受けまして、一月の後半になりまして、原子力事業者との間でコンセンサス協議というものの第一回目が持たれました。  その際に、それに先立っては、先生今御指摘になられました、再処理というものをもう凍結するんだというふうな報道もなされたわけでございますけれども、この協議におきましては、再処理停止時期というものを包括的に明示していくというふうなことはなされませんで、結果としましては、非常に弾力的に対応していくというふうな方向というのが打ち出されてございます。  そういうふうな状況を見ますると、余りに性急な脱原発という方向ドイツが動いていくということではないのではないかというふうに私どもは見てございます。  ただ、いずれにしましても、三〇%という、我が国と同じような規模のものを原子力に頼っておる国、これがどういう方向に行くのかというのは、私どもとしましては注視しておるというところでございますけれども、一方、国のエネルギー供給構造をどうつくり上げるのかというのは、それぞれの国が置かれている国情というものを踏まえて考えるべきものということで、当然のことながら、ドイツの置かれているエネルギーをめぐります国情というものと我が国のとは当然異なっているわけでございますので、そういう状況を踏まえながら、ドイツも見つつ、我が国としての独自のエネルギー供給構造というものを考えていく、そして、その中におきましての原子力重要性というものも考えていくということが必要ではないかというふうに思ってございます。
  16. 阪上善秀

    阪上分科員 ドイツ使用済み燃料処理禁止という方針は、既に再処理の契約を交わしているフランス側を大変怒らせておりますし、フランス原子力推進という立場は変わらないようであります。  フランスは、原子力が総発電電力量の八割を占めており、二つの使用済み燃料の再処理工場も稼働し、軽水炉におけるプルトニウム、いわゆるプルサーマルも八〇年代から本格的に行われております原子力先進国でありますが、そのフランススーパーフェニックスの閉鎖を決定しました。その理由としては経済性が挙げられておりますが、ともかくも、とめたという現状であります。  我が国においては、昨年十月に旧動燃事業団核燃料サイクル開発機構と改組し、高速増殖炉研究開発を業務の柱の一つとして、核燃料サイクル技術的に確立することを目的に再出発したわけでございますが、ナトリウム漏れ事故を起こした「もんじゅ」は今でもとまったままと聞いております。  これまでの政府立場として、高速増殖炉核燃料サイクル中心にあって、プルトニウムという燃料を増殖することができるといういわば夢の原子炉であり、「もんじゅ」なしではこの実現も不可能ではないかと考えますが、そこで、お伺いをいたします。  「もんじゅ」の取り扱い及び今後の見通しについてお伺いをいたします。
  17. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私は、日本の将来のエネルギーを考えたときに、「もんじゅ」というものの成功は絶対必要だと思っております。しかし、詳しいことにつきましては、青江局長より申し上げます。  なお、先ほど、原子力のこと、ドイツのことをおっしゃっておられましたけれどもドイツは石炭が非常に豊富であるというふうな点が日本と根本的に違う、それから、周辺に電力をたくさんつくっている国があるということも日本と全く違うということを私ども認識せざるを得ないと思っております。
  18. 青江茂

    青江政府委員 補足的に「もんじゅ」の状況につきまして御説明をさせていただきます。  御指摘のとおり、「もんじゅ」につきましては事故以降とまっておるわけでございますけれども、それ以降、まず一点、政策面におきましての「もんじゅ」の位置づけといったことにつきまして新たな議論原子力委員会において行われました。ここでもちまして、きちんとした一つの整理がなされてございます。そういう一つ進展がございます。  もう一つは、安全面という問題についての状況でございますけれども原子力安全委員会が、いわゆる事故原因の究明、再発防止策、こういったことについての取りまとめ報告書というものも昨年の四月には提出がなされてございます。それから、科学技術庁に設けられました安全性点検チームによりますところの総点検結果の報告書というものも取りまとめがなされてございます。  このような、「もんじゅ」に関連いたしましての種々の案件についての段階的な進展というものが見られるわけでございまして、今後と申しますのは、事故の教訓を踏まえたナトリウム漏えい対策について、国の安全審査を通じて「もんじゅ」の安全性の確認を行いまして、その後所要の改造工事を実施するということが必要になってくるというふうに思ってございます。  いずれにいたしましても、「もんじゅ」は、今大臣の方からも言及いたしましたとおり、いわゆる高速増殖炉実用化に向けての大変重要な研究開発のツールでございまして、安全確保を第一に、地元理解を得ながら、段階を踏んで着実に進めてまいりたい、かように考えてございます。
  19. 阪上善秀

    阪上分科員 ところで、原子力施設安全確保国民からの信頼を獲得するという観点から、核物質の盗取等により万が一にも核物質テロリストの手に渡ることがないようにしておくべきでありますし、原子力施設に対する外部からの攻撃に対する備えをしておくことが重要であります。また、この問題は国の安全保障危機管理の問題でもあると私は認識しておるところでございます。  そこでお伺いいたしますが、我が国原子力施設警備体制はどのようになっているのかお伺いをいたします。
  20. 間宮馨

    間宮政府委員 お答えいたします。  原子力施設につきましては、核物質防護観点から、当該原子力施設が保有しております核物質の種類、量、形態等を考慮いたしまして、境界への防護フェンスあるいは監視カメラ等の設置、出入り口の限定、金属探知器等による出入り管理等が行われておりまして、そもそも不法な侵入が困難という状況になっております。  また、不法な侵入が発生した場合に、これを速やかに把握するために、警備員による二十四時間体制での警備防護区域遵守等が行われております。さらに、警察への連絡体制につきましては、一般電話または警察直通非常通報装置等によって通報できるようになっておりまして、通報を受けた治安当局の迅速な出動がなされることとなっております。  このような警備連絡体制構築に加えまして、所管警察との定期的な情報交換を行うことによりまして、警察との連携もとで、原子力施設警備体制の整備に万全を期しているところでございます。
  21. 阪上善秀

    阪上分科員 ただいま御説明がありましたように、我が国原子力施設警備体制は、核物質の盗取等を防ぐことが中心対策が講じられているように思えますが、一方で、テロリスト等による攻撃に対しては、原子力施設側警備体制のみでは十分な対応がとれないのではないかと思います。このため、仮にテロリスト等から原子力施設に対して攻撃があった場合、まずは警察中心とした治安当局が迅速に対応することが肝要と思います。  そこでお伺いをいたしますが、原子力施設テロリストからの攻撃を受けた場合、警察の対応はどのようになるのかお伺いをいたします。
  22. 池田克彦

    池田説明員 原子力発電所を初めといたします原子力施設の防護につきましては、今答弁のありましたとおり、厳しい管理措置が講じられているものと承知しております。  警察におきましては、関連情報あるいは意見の交換を行うなど、原子力発電所と緊密な連携を図るとともに、施設周辺のパトロールあるいは所要の警戒を実施しておりまして、情勢に応じましてこれを強化するなど、柔軟に対応しているところでございます。  緊急事態発生の際には、これは警察が事前に察知することもあれば、あるいは緊急通報でいただくこともあるわけなんでございますが、直ちに対応するような措置を講じているところでございます。  御指摘のような事態に際しまして、警察におきましては、違法行為者に対する情報収集に当たるとともに、その数あるいは武装の状況、こういうものに応じまして速やかに資機材を装備しました機動隊などを投入しまして、捜索あるいは警戒線の設定、交通規制、警戒監視、そういった初動措置を講ずることにしております。  さらに、必要に応じまして、全国に展開しております特殊部隊、SATと言っておりますけれども、これを投入をするということも考えております。  いずれにいたしましても、警察といたしましては一次的に治安の責務を担っているわけでございますので、このような事態に当たりましては全力を尽くしてまいる、そういう所存でございます。
  23. 阪上善秀

    阪上分科員 原子力施設警備については、施設設置者、規制省庁治安当局等の多くの関係者が関与し、また核物質の盗取やテロリストに対する備えは、単に一省庁が対応すれば済む問題ではなく、国の安全保障危機管理の問題として、政府を挙げて総合的に検討する必要があると思います。  昨年の北朝鮮のミサイル発射以後、日本海からの攻撃あるいは国内に潜伏しておると思われる工作員からの攻撃等々、我が国原子力施設警備体制については、安全保障危機管理観点から、政府一体となって検討すべきではないかという声がたくさん出ておりますが、内閣安全保障室の心構えをお聞きいたします。
  24. 高見澤將林

    ○高見澤説明員 お答えいたします。  政府といたしましては、先生指摘のようないわゆる緊急事態に対してどう対応するかということにつきましては、平成八年五月に当時の橋本総理から御指示をいただきまして、緊急事態対応策ということで、内閣官房が中心になりまして、ここにいらっしゃいます警察庁、科学技術庁も含めまして、関係省庁間で真剣な検討を重ねてきているところでございます。  御指摘のような原子力施設警備体制につきましても、検討項目の中に沿岸・重要施設等の警備というものがございまして、この一環で検討を行っているところでございます。  具体的には、沿岸ですとか国内における警備等に関する現行制度についての整理、検討を踏まえまして、まず第一に、事案が発生した場合における官邸等に対する情報連絡ルートをどうするか、第二に、政府対策本部の設置をどのように迅速に行うか、第三に、仮に警察庁、海上保安庁等では対処できない場合等において自衛隊を含めた対応等について検討するということも行っているところでございます。  それから、内閣総理大臣が主宰いたします安全保障会議議員懇談会におきましても、平成九年九月に開催をいたしまして、重要施設に係る警備安全確保のための関係省庁の連絡ということで、約一時間程度討議をいただいたということもございます。  いずれにいたしましても、政府としては、まさに御指摘のような原子力施設警備等に関して、政府全体として万全の体制がとれますよう、今後とも精力的に検討を進めてまいる所存でございます。
  25. 阪上善秀

    阪上分科員 次に、宇宙開発政策についてお伺いいたします。  昨年の北朝鮮のミサイル事件のとき、自衛隊はミサイル、しかしアメリカは人工衛星という形で発表されました。私は、これからの情報収集衛星は、外国の情報によるのでなしに日本独自の力による衛星開発が必要ではないかと思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。
  26. 有馬朗人

    有馬国務大臣 同感でございます。情報収集衛星は、現在、内閣官房を中心として関係機関の緊密な連携協力もと政府が一体となって開発、運用に取り組んでいるところでございます。  科学技術庁といたしましては、これまでに我が国における宇宙開発の中核を担ってきた宇宙開発事業団に蓄積されました衛星開発の成果や技術的知見を最大限活用いたしまして、平成十四年度導入を目途に情報収集衛星の自主的な開発に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  27. 阪上善秀

    阪上分科員 時間です。終わります。
  28. 西村眞悟

    西村主査 これにて阪上善秀君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管科学技術庁についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  29. 西村眞悟

    西村主査 次に、平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係機関予算文部省所管について、政府から説明を聴取いたします。有馬文部大臣
  30. 有馬朗人

    有馬国務大臣 平成十一年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  教育は国家百年の大計でございます。目前に迫った二十一世紀に向けて我が国が創造的で活力に富む国家として発展していくためには、教育改革を積極的に推進するとともに、我が国発展基盤となる人材育成、学術研究などを重点的に推進していくことが極めて重要であります。  このため、平成十一年度予算の編成に当たりましては、厳しい財政状況もとではありますが、教育改革の着実な推進に配慮しつつ、子供たちにゆとりの中で生きる力をはぐくむことを目指した心の教育の充実、未来の我が国を支える人材の育成、学術、文化、スポーツの振興など、大きな時代の変化に柔軟かつ的確に対応する文教施策を積極的に推進することができる予算確保に努めたところであります。  文部省所管一般会計予算額は、五兆八千七百六億七千九百万円、国立学校特別会計予算額は、二兆七千二百六十億七千二百万円となっております。  何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  なお、その具体の内容については、お手元に配付してあります印刷物のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれまして、会議録に掲載されますよう、御配慮をお願い申し上げます。
  31. 西村眞悟

    西村主査 この際、お諮りいたします。  ただいま有馬文部大臣から申し出がありました文部省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 西村眞悟

    西村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  33. 西村眞悟

    西村主査 以上をもちまして文部省所管につきましての説明は終わりました。     —————————————
  34. 西村眞悟

    西村主査 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。保坂展人君。
  35. 保坂展人

    保坂分科員 社会民主党の保坂展人です。  尊敬する有馬文部大臣に、たびたびでございますが、本日は、国際的な問題にもなっております外国人学校卒業生の、とりわけ国立大学へ入学する、あるいは国立大学の院に入学する件について、重ねてどうしても確かめたいと考えます。  先日、大臣の所信の際に、確かに調査をお始めになっている、私たちは、せっつくようでありますけれども、なるべく早くと要望しているところですが、調査が確かに始まっているというのはお聞きをしています。この調査現状を変えるという前提ではないということもおっしゃいましたけれども、場合によっては、この調査を踏まえて、現実にあわせて変更する部分も全くないというわけではないということで、ずばりお聞きします。  国連の規約人権委員会が我が国に勧告をしたということについて先日お尋ねしたところ、やはり調査をするということ自体進歩である、要するに進んだのだというふうに大臣からおっしゃっていただいたのですね。そうすると、やはりこの問題については、つまりこれまで停滞していたということもある面で直視されて進歩というふうに言われたのかどうか、そこからお願いしたいと思います。
  36. 有馬朗人

    有馬国務大臣 かねがねこの問題はさまざまな機会に出てきていたことでございますし、国連等々でも問題になっているということはよく知っていることでありますが、やはりさまざまな情勢を判断して、今日まで現在の文部省の考え方を続けてきたことであります。  この前もお返事申し上げましたように、そして今御指摘のように、現在、諸外国での事情それから日本の国内の状況等々を的確に把握することがまず第一に必要なことと私は認識しているわけです。それが果たして進歩したのか後退したのかわかりませんけれども、ともかくきちっとさまざまな条件について把握をしたい、状況について把握をしたいというのが、今文部省として考えている行き方でございます。
  37. 保坂展人

    保坂分科員 進歩とおっしゃったので、私は進歩というふうに大臣がおっしゃったとおりだと思いますが、では、この調査、まだ結論が出ていないのですが、一体何人ぐらいの方がどういう責任体制でやっておられるのか。ちょっと実務も含めてお答えいただけますでしょうか。
  38. 有馬朗人

    有馬国務大臣 今、詳しく学術国際局長よりお返事申し上げます、現場から申し上げますが、私が知っている限りにおいて、諸外国のさまざまな対応がありまして、大変苦労をしているようでございますので、もうちょっと時間をいただければ幸いだと思っております。詳しくは学術国際局長よりお返事申し上げます。
  39. 保坂展人

    保坂分科員 では、その実務を伺う前に、典型的なケースとして、シンガポールのインターナショナルスクール卒業直前に東京のインターナショナルスクールに入った場合には国大へ入れないんだ、その逆は入れるんだという例を大臣にお示しして、疑うわけではないがその点も検証してみたいと言われましたが、例えばそういう具体においては、何か大臣自身が少しずつその調査の過程でつかんだということはございますか。実務の説明の前にちょっと。
  40. 有馬朗人

    有馬国務大臣 まだ総括的に聞いてはいません。個別にある程度聞いてはいますけれども、これは不正確でありますので、やはりきちっとした報告がまとまったところで、まとめて正確に聞きたいと思っております。
  41. 工藤智規

    ○工藤政府委員 先般もお答え申し上げましたように、昨年来、外務省の協力を得まして、二十三カ国、地域の当局及び二百ほどの外国人学校を調査対象にして今お願いしているところでございますが、それぞれの国の御都合もありまして、集計状況は必ずしもよろしくない。今のところ三分の一程度の状況でございまして、別に私どもが集計作業の手を抜いているということではございませんで、回収が行き届いていないということでございます。  それから、大臣からも今お話がありましたが、個々具体の途中経過で、大臣に必ずしもまだ御進講申し上げてございませんけれども、外国人学校の回答状況によりましては、同じ国なのに、ある学校は大学入学資格があるという御回答をいただきながら、他の学校はインターナショナルバカロレア資格を得ないと大学入学資格が与えられないという御回答などもありまして、同じ国であっても回答がまちまちなケースもございますので、それも精査しながら、今後さらに集計作業を進めてまいりたいと思っております。
  42. 保坂展人

    保坂分科員 税金がもったいないので、国会の審議を実質化するために、一度お聞きしたことは覚えていますから、今聞いたのはそうじゃなくて、だれが責任者で何人ぐらいの方が作業に当たっているか、それだけ聞いているんです。お答えください。
  43. 工藤智規

    ○工藤政府委員 先ほど申したように、まだ回収できておりませんので、集計作業には全く当たってございません。
  44. 保坂展人

    保坂分科員 文部省というところは、教育を、子供たちの成長、発達を保障していく役所ですよね。ちょっと私の言葉が足りませんでしょうか。要するに、何人の人が調査スタッフで、だれが責任者になってこの調査をしているのかと。これで三回目なんですよ、答えられませんか。
  45. 工藤智規

    ○工藤政府委員 最終的な責任といえば私にあろうかと思いますが、うちの学術国際局の中の国際企画課で所管してございます。  この専任のための人数があるわけではございませんで、他の業務を行いながら、今後集計作業等を行いますので、何人で調査に当たっているかという人数までつまびらかにできるわけではございません。
  46. 保坂展人

    保坂分科員 水かけ論もおかしいのですが、例えばその二十三カ国の中に台湾も含まれていますか。台湾だと、中華学校がありますよね、日本に。中華学校を卒業した方は台湾の大学に入れるはずなんですね、そのあたりは把握していますか。調査に加えていますか。
  47. 工藤智規

    ○工藤政府委員 先進諸国八カ国のほかに、アジア地域十五カ国、地域を対象にしてございますけれども、台湾も対象にしてございます。
  48. 保坂展人

    保坂分科員 それでは、さらに続けて伺いますけれども、これはもう長いこと質疑してきて、この問題は、確かに大学入学資格については規制緩和の時代に入っているわけでございますね。少子化、子供の数が少ないということもあって、例えば専修学校を卒業した人もかなり幅広く受け入れているし、専門学校も編入をこの際認めていこうという方向になっています。それから、院にしても、社会人入学だとかそういう方向になってきているのだけれども、この問題については、教育の根幹にさわる問題であるということで、そう簡単ではないんだというのが歴代政府答弁なんです。  さて、その教育の根幹とは何かということなんですが、既に、大臣御存じのように、私立学校、公立学校並びに今回の国立の院など、文部省の意向にかかわらず、国際的な潮流で受け入れている。試験をやって、試験に通った方については、合格をして大学生になったり、あるいは院に入ったりしている。これによって何か教育の根幹が揺らいでいるでしょうか。
  49. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 我が国の学校制度は、おおむね年齢によって小、中、高、大学というふうに構成をされておるわけでございます。したがいまして、小学校から中学校、中学校から高等学校、高等学校から大学へということについては、やはりどの程度の学習を修了したのかということが入学資格の根本になる、基本になるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、そこの部分を乱すということになりますと、学校間の接続という観点から見て、あるいは全体としての我が国学校教育体系という観点から見て、適切ではないというふうに考えておるところでございます。
  50. 保坂展人

    保坂分科員 学級崩壊というのもあるのですけれども、国会崩壊と言われないようにちゃんと答弁してください。  要するに、我が国の教育の根幹というのは大事なものですよね、根幹ですから。根幹に触れるからだめなんだということを言ったわけです、今局長は。しかし、根幹に触れると言われたことを私立や公立の大学で既に認めているところもありますよ。根幹にさわったでしょう、どういう影響が出ていますか。はっきり答えてください、影響がどう具体的に出ているのか。
  51. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 一部の私学や公立大学において外国人学校卒業生を入学させているというのは、事実でございます。ただ、このこと自体、我が国の学校教育法の体系に照らして適法なことかというと、この点はやはり問題とせざるを得ないわけでございまして、このことは、我が国の学校間接続という観点から見て適切さを欠くという意味において、我が国教育制度の根幹にかかわるというふうに考えておるところでございます。
  52. 保坂展人

    保坂分科員 大臣は俳人でもあられますし、科学者でもあられますけれども、根幹にかかわることというふうにおっしゃっているのですが、では、具体的にどう根幹にさわったのか証明していただきたいと言っても、多分できないのだと思います。先日、私は文部省の若手の官僚の方と意見交換する機会があったのですけれども、これはしつこく問題提示されているけれども、ちょっと今までの答弁姿勢では限界があるかもしれないなという声も、率直に言って文部省の中にもあると思います。  今の点について、教育の根幹にもしさわるのであれば、私大において受け入れた、あるいは公立大学において受け入れたときに、もう根幹が揺らいでいなきゃいけないわけです。そういう意味で、試験をパスして無条件に入れろというようなことを外国人学校関係者も言っていませんよね。試験はきちっと受ける、しかし試験の資格がないという問題について、いかがでしょう、今の局長答弁も踏まえて。
  53. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび同じようなお答えをしてまいりましたけれども、そしてまた、たびたび同じような考えを述べてまいりましたが、今の点につきまして、法律の中に、例えば大学院の場合でありますと、同等以上の学力がある者として云々というふうなことが入っていますね。そこいらが、本来は旧制から新制に移るときに、旧制度の人を落としてしまってはかわいそうだというような考えがあったことによってあのような法律がしかれているわけです。ですが、今日、それがもうひとり歩きをしているところがある。  そういうことで、今の御質問に対しても、直接お答えになりませんけれども、きちっとやはりその辺についても整理をし直さなきゃいかぬと私は考えております。そのためには、例えば私立とか公立において、先ほどの、ややあいまいである法律の文言を使って通ってきた子供たちが一体本当に伸びたかどうか、問題があったか、こういうことをやはりきちっと把握しておく必要があると私は思っております。まだしておりません。  こういうこともあり、まずその前に諸外国の、たびたび申し上げるように諸外国における日本人学校、あるいは諸外国で日本人学校以外の学校に対してどういうふうな対策をとっているのか、この辺についても全般的によくにらんだ上で、さらに、必要があればしかるべき場所できちっと審議をして、その上で整合性のある方式をとりたいと思っております。  ただし、その際に、一遍にすべてが何らかの格好で明らかになるか、それとも段階で行くのか、これはわかりません。あるいは、先生の御不満な答えが出る、これはかなり大きな可能性があると思いますが、それにしても、そういういろいろな考え方をきちっと整理した上で、もうちょっと時間をいただいた上できちっと申し上げたいと思います。
  54. 保坂展人

    保坂分科員 それでは、外務省に来ていただいていますが、国連の規約人権委員会でこの問題について言及した指摘、勧告があったと思うのですが、簡略に、どういう勧告があったのか。それから、例えば昨年一年間国連を舞台にしてこの問題が、主なところ、どういうところで議論になったのかということを、おわかりであればそれも加えて簡単にお答えいただきたいと思います。
  55. 上田秀明

    ○上田政府委員 今お尋ねの、いわゆるB規約人権委員会、ここにおきまして昨年の十一月五日に採択されました最終見解という中で、さまざまな我が国から出した報告に対します最終の見解ということが表明されておりまして、肯定的な要素とともに懸念の事項とか勧告とかということが行われておって、その中に、先ほどから御議論になっております朝鮮人学校の不認定を含む、日本国民ではない在日韓国・朝鮮人、マイノリティーに対する事例に懸念を有する云々というような意見が出されております。  それから、これは別のフォーラムでございますけれども、児童の権利に関する委員会におきましても、最終見解として、これもまた日本の事情に対する報告の審査の最終見解として、六月五日にやはり同様の言及がなされているところでございます。
  56. 保坂展人

    保坂分科員 では、もう一回外務省に伺いますが、例えば規約人権委員会の勧告というのは五年に一回ですね。前回も勧告があって、今回は、どうも前回の勧告は勧告にとどまって、事態の改善が一向に見られないということに懸念を覚えるというようなことも付記されているようにも聞いていますけれども、今回の勧告は、日本政府につまりどういう責務あるいは努力義務を負わせているものなんでしょうか。政府としては何をするべきだと勧告しているのか、お答えいただきたいと思います。
  57. 上田秀明

    ○上田政府委員 日本国は条約を批准して、これを守る義務がございますから、条約そのものにつきまして、もちろん遵守義務があるわけでございますけれども、この規約委員会そのものは、先生御存じのように、専門家の方々から成る委員会における審査ということでございますので、このこと自体が直接的に拘束をしてどうこうしろというわけではございませんけれども、今も関係の官庁、この場合におきますと文部省の方においていろいろと検討されておるところでございます。  国としては、こういうような委員会等の審議の際に、もちろん事情をよく説明をし、理解を得て、誤解があれば解かなきゃいけませんけれども、また、指摘されたところについていろいろと措置を講じた方がよいというところは、もちろん関係省庁ともいろいろ協議の上講じていくというのが一般的な対処方針でございます。
  58. 保坂展人

    保坂分科員 私はよくこの問題で質問に立っておりますけれども、国連の場で何度も、勧告で五年に一回、前回も今回もというのはやはり、これは朝鮮人学校、韓国学校だけじゃなくて、ほかの外国人学校も含めた状況の改善ということを国際世論の場では求められていることだろうというふうに思います。  大臣にちょっと、たびたび聞いて申しわけないんですが、テンプル大学日本校は、東大のトップとして、これは認めるに足る立派な学校だとお認めになったんですね。今回、東大の中からも、東大の若手の先生の中から、やはりこれは変えた方がいいんじゃないか、文部省の従来の立場もわかるけれども、しかしここまで国際世論が出てきている以上は、受験そのものも認めないというのでは民族差別と言われても仕方がない、状況を改善すべきだという声が上がっているというのを御紹介していると思うんですが、こういう声が有馬先生の後輩というか、うんと年下の若手の教官から上がるということについて、どういう御感想をお持ちでしょうか。
  59. 有馬朗人

    有馬国務大臣 まず第一に申し上げておきたいことは、この問題を、一国だけの問題ということではなく、もっと広い問題と考えているということを最初に申し上げたいと思います。  先ほどシンガポールの例をお出しになっておられる。その中にテンプル大学のようなものもあるわけです。テンプル大学のときにはどういう問題があるかというと、そもそも日本の大学設置の基準を満たせば、大学設置に関する審議会に出しまして、そこで許可を求めたいというくらい今充実している。それからまた、当時既にアメリカの本校の方は極めて充実していて、アクレディテーション等々もぴしっと通っている。そういうことから、教育内容においてもかなり高いというふうなことが確信できたわけであります。  こういう点で、もちろん文部省の解釈と違っておりまして、当時も実は、法学部の方でありますが、その話を出して、そして実行した後で、文部省の方から解釈が違うという注意を受けたということでありますが、先ほど申しましたように、テンプル大学に関しては、相当調べまして、その上で実力は十分あるだろうと判断をしたわけです。これが第一点。  その次に、今若手の話をお聞きいたしました。  大学の人間というのはさまざまな考えを出すことは当然であり、自分たちが正しいと思ったことは、言ってくださることは私は大いに聞こうと思っています。ただ、そのときにすぐにその判断に従うかどうか、これはやはり私どもの、特に文部大臣としての責任がございますので、きちっとその意見を聞き、その上で正しい判断をしたいと思っております。
  60. 保坂展人

    保坂分科員 それでは、再び東大がテンプル大学日本校の卒業生を院に受験を可としよう、文部大臣もこうやって再三委員会の場で、大変立派なきちっとした学校であるというふうに答えられているわけで、そういう選択をしたときに、今度は文部大臣立場が違って、やはり文部省としてなお注意をするということになるんでしょうか。
  61. 有馬朗人

    有馬国務大臣 現在の体制であれば、そうなると思います。  ただ、一つ申し上げておきたいことは、大学審議会等々でずっと議論を進めてまいりまして、大綱化及び大学をつくるときの条件が大分緩和されております。そういう状況ということも新たに考えていかなければならないと思っております。
  62. 保坂展人

    保坂分科員 この議論はずっと水かけ論的にもなってしまうんですけれども、要は国際世論がある。それから、とりわけ大臣一つお考えいただきたいのは、私も四十代になれば、時間の感覚が二年とか三年とか言われれば、すぐかなというふうに思うわけです。ところが、うんと若いころに戻ってみますと、私自身も十四歳、十五歳のときに、余り人が受けたことがない、内申書で全部記載されて、高校に、とりあえず受験したけれども、全部落ちてしまったという現実がありました。そのころを思い出すと、半年というのは大人になった時代の五年分ぐらい、一年となると十年先ぐらいに、特に思春期の若者は、そういう時間の極めて圧縮した時期を生きている。進路をどういうふうに選ぶのかというときに、これは大変調査を急がれているのはわかりますけれども、早急に結論を出すべきことと思います。  文部省の中にすら、今までの扱い、従前の扱いでいいんだという意見があるからこういう御答弁をずっと続けられていると思うんですが、見直した方がいいぞという意見もおありだと思います。そのところをもう一度、まさに受験期の若者を念頭に置いて御発言いただきたいと思います。
  63. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび同じお答えを申して恐縮でありますけれども、この問題が重要でないと思っているわけではなく、極めて重要であるという認識文部省にもちろんあるわけであります。そういう点で、より具体的にこの問題が今浮上してきている。それだからこそ、条件がどうなっているか、諸外国あるいは日本国内すべてをきちっと調査した上で判断をしようと申し上げている次第でございます。なるべく早い時期にある答えが出るようにいたしたいと思っております。
  64. 保坂展人

    保坂分科員 それでは、その調査、多分指令をされたのが九月の下旬だと思います。現在二月の半ば。大臣のタイムテーブルから見ればちょっと時間がかかっているかなと思われているという御発言もありましたけれども、いつ結果が出るでしょうか。
  65. 工藤智規

    ○工藤政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、何しろ外国にお願いしているわけでございまして、先方の都合によって私ども動かざるを得ない部分があるわけでございます。今は三分の一ぐらいでございますが、ある程度量的にそろわないとなかなか結果がまとまらないという事情があるわけでございます。  他方で、先ほどのように、同じ国で若干答えが違う場合の際に精査をしなきゃいけない部分などがございますので、私どもできるだけ急ぎたいと思いますけれども、今のところいつまでにできるかというのは、先方次第ということでございますので、御理解いただきたいと存じます。  それから、一つだけ申し上げますが、先ほど来いろいろお話がございましたけれども、本件についての規約委員会での勧告ということでございますが、勧告あるいは最終意見も含めていろいろな部分がございまして、朝鮮人学校の部分については勧告ではないのでございまして、意見表明と承っております。
  66. 保坂展人

    保坂分科員 三分の一に五カ月要したとすれば、全部終了するのに十五カ月なんということはきっとないと思いますが、それはありませんよね。大臣、いつごろをめどに結論を出したいと、これは少し言っていただけないでしょうか。有馬大臣お願いします。
  67. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私は、なるべく早くと思っています。  ですが、具体的に言えば、ことしの試験はこれでもうほとんど済んでしまいましたので、これから、来年の場合のことも考える、大学院等々考えれば、この六月、七月までと考えております。
  68. 保坂展人

    保坂分科員 六月、七月まで。ぜひ、国会での議論も大事ですから、通常国会が終わらないうちにできるだけ速やかに結論をいただきたいことと、ただ私は、急がせたということで十分整理できなかったなんということがないように、やはり国連からの、勧告じゃないというような意見もありましたけれども、再三、国際社会でこれを説明するのに大変な苦労を外務省関係者も多分することだろうと思います。  そういう意味では、国際交流ということを掲げて、ここがやはり具体的なポイントですので、ぜひこれは、国際世論あるいは外国人学校、さまざまありますけれども関係者の方々が、やはり有馬大臣の決断だったというふうに言われるようないい整理をしていただきたいということをお願いをして、私の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  69. 西村眞悟

    西村主査 これにて保坂展人君の質疑は終了いたしました。  次に、金子満広君。
  70. 金子満広

    金子(満)分科員 限られた時間ですから、早速質問に入らせていただきます。  内容は、栃木県の日光杉並木街道の保全を早急に進めなければならない、具体的問題についてであります。  いろいろな資料があります。それから、私自身も現地調査を行ってまいりました。それに基づいて幾つかの問題を提起して、それに対する文部省政府の対応がどうかという点で具体的にお伺いをしたいと思います。  御承知のように、あの杉並木は三百年以上の歴史を持っているわけですが、ここで積極的に対応しないと、どんどん枯れているわけですね。御承知のようにこの杉並木、今、立ち枯れとか倒木、これが毎年ふえている。一九六一年に日光の東照宮が日光杉並木街道杉並木台帳というのをつくりました。その台帳によりますと、当時、一万六千四百七十九本杉があった。目の高さで直径三十センチだそうですが、これが昨年、九八年十二月には、一万二千九百七十一本。一万三千本を割ったわけですね。この三十年間で見ると、年平均で百本ずつなくなっている、こういうことになります。  そこで、これは当然のことですけれども、確認しておきたいんですが、この杉並木は国指定の特別史跡であり、特別天然記念物、この二重指定になっている。この二重指定というのは、全国でここだけだと思いますが、どうですか。
  71. 近藤信司

    ○近藤(信)政府委員 お答えをいたします。  委員指摘のように、この日光杉並木街道は、東照宮への参詣道として江戸時代初期に設立をされたものでございまして、現在、国の特別史跡に指定をし、また特別天然記念物にも指定をして、その保存に努めているわけでございます。  この日光杉並木街道のように、特別史跡と特別天然記念物が重なって指定されている例はほかにはない、委員指摘のとおりでございます。
  72. 金子満広

    金子(満)分科員 それだけに重大な問題ですから、これを保存し、そしていろいろな被害、損害を取り除いていくというのは国、政府の責任が一番重い、これは当然のことなんです。それだけの歴史、内容を持つ杉並木、御存じのように総延長が三十七キロに及んでいるわけですね。これは、日本はもちろん世界に例のないことでありますけれども、世界一長い杉並木の街道だというのはギネスブックでも御承知のとおりなんですね。  ところが、この杉並木を保存していくという点になりますと、杉の所有者は日光東照宮なんですね。ここで全部やってくれ、これはできるはずはもちろんないし、そして、栃木県とか関係自治体だけでできないことも明白だと思うんですね。  そこで、今緊急に求められていることは、杉並木街道の官民境界があるわけですね、その境界が、既にこれは言われているんですけれども、両側、左右二十メーターずつ民有地を買い取って公有化する、これがずっと進められているわけですけれども、言葉は進むんですけれども、実際は進まないんですね。そこで今年度、そして来年度、この杉並木の公有地を広げる予算というのは二億円だと聞いていますが、担当官。
  73. 近藤信司

    ○近藤(信)政府委員 お答えをいたします。  委員御案内のとおり、日光杉並木街道につきまして、これは栃木県が保存計画を定めておるわけでございますけれども、その保存管理計画に基づきまして、杉並木の後背地二十メートル幅につきまして、土地所有者の同意を得られた地域について国が追加指定を行い、国庫補助により土地の公有化の推進を図ってきておるところでございます。  これまで、およそ公有化率が一四%近くであったかと記憶をしておりますが、国庫補助八〇%の補助率でもちまして整備を進めておるわけでございます。平成十年度の予算で申し上げますと、総事業費が一億八千万円ほどでございまして、国庫補助額は一億四千万ほどの予算を今予定しておるところでございます。十一年度につきましては、まだ現在予算も御審議中でございますし、また、今後、全体的なそういう需要状況等もにらみながら検討を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  74. 金子満広

    金子(満)分科員 公有地になったのは一四%でなくて、現地調査したのは一三%ですね。  それはそれとして、このままでいったら、あと二十年かかっても三十年かかっても、歌に歌っても実際はできないんですよ。杉は何も言わないけれども、どんどん枯れていっちゃうんだ。そういう点をやはり意識して、見て追求していく人、いく機関がなかったら、これは立ち枯れをただ見ているだけに終わってしまうと言われても、極端な言い方ですけれどもね。  ですから、栃木の県庁も来年度予算に対する予算の要望書、これを出しておりますから、関係省庁の皆さんごらんになっていると思いますけれども、そこでは、栃木県は、その七項目めの「史跡等購入費及び史跡等保存整備費の拡充について」という項目の中で、肝心なところだけ紹介しますと、「事業者の計画事業量に見合う国庫補助事業費が確保されず、十分な対応ができない状況にあります。」これは端的に指摘しているわけですね。ですから、そういうように十分な対応ができていないというのは、県庁だけでなくて現地も、識者も、みんなこれは超党派で意見は同じなんです。同じだということは、これを進めない限りだめだということに結論はなるわけです。  私は、そこでこれは大臣にお伺いしたいんですけれども、いろいろな解釈はあるけれども、この予算ではだめなんです。ですから増額のためにひとつ努力をすると、大臣の期間は一定期間しかないんですけれども、杉の期間はずっと長いんですから、有馬さんが大臣をやっておる間にこういう方向を打ち出したというくらいに、ひとつ杉のことも考えて、予算の増額、お考えを伺いたいと思います。
  75. 有馬朗人

    有馬国務大臣 御指摘の点、よくよくわかります。また、杉が大切だ、特に日光の杉並木街道が大切だということは、重々私も知っております。  ただ、昨年は、かなり台風のために傷みました室生寺を初めとするような文化財の修理であるとか、さまざま文化庁の方の予算も今逼迫をしているような状況でございますし、また、先生よく御存じでいらっしゃいますように、国立大学等々の施設も直さなきゃいけない、小中学校の予算も何とかふやさなきゃならない、さまざまな予算要求というか、私としても、やらなきゃならぬ、学術振興もしなければならない、こういうふうな状況もとで、果たしてどのくらい杉並木に使えるか、これは今後、大いに検討してまいりたいと思います。しかし、重要性に関して認識をしている点では、人後に落ちないものでございます。  ただ、さまざまな面で財政の厳しい時代でございますので、その点もひとつ御考慮賜れれば幸いでございます。
  76. 金子満広

    金子(満)分科員 重要性については一致するわけですから。それから、予算逼迫ということは、それはそれとして、現在のこのままの額では大変だ、増額に努力するという点ではよろしいわけですね、それは確認しておきたいと思うんです。
  77. 有馬朗人

    有馬国務大臣 努力はいたしますけれども、それが実現するかどうかということは私もここでお約束できないということを、あらかじめお許しをいただきたいと思います。
  78. 金子満広

    金子(満)分科員 来年度予算も出ているわけですから、これをここで変えるとは大臣も言えないことはよくわかります。しかし、努力するという方向があれば、目印の方向はあるわけですから、これは努力していかなきゃならない。予算の逼迫ということ等いろいろありますから、予算論議になれば、使わないところへ使っている点もありますから、それはここではあれしますけれども。  そういう中で、先ほども言いましたように、七五年に公有地をつくっていくということが決まったけれども、現在一三%だ。そうすると、これは二十四年かかっているんです。二十四年かかって一三%というのは、一〇〇%はこの速度じゃだめということなんです。相当スピードアップしなきゃならない。  そこで、具体的にただしたいのですが、全体の街道の延長の中で、三十七キロの中三十キロが今市市にあるわけです。そこで、一月時点で事実や具体的なことを現地調査で調べてまいりましたが、杉並木の敷地内に現在九十八軒の市民が生活しているんですね。この敷地内の居住者はそこで常に、枝が落ちるといったって、こんな枝じゃないんですね。このくらいの枝、もっとでかい枝がおっこってきて、それが屋根に落ちるとどうなるか、想像がつくわけですね。それから、杉の枯れ葉も、ちょぼちょぼじゃなくて、雨どいが詰まっちゃうぐらいいっぱい降るわけですから、そういうのもみんな自己負担でやっているわけですけれども、それはそれとして、倒木の危険なんです。こういう問題が出ているわけですね。  そこで、左右二十メーターずつ広げるために今すぐ問題になっているのは、これは現地の生々しい声でいきますと、まず一つは、代替地の問題、引っ越さなくちゃならない。この代替地をどう補償、だれがどのようにしてくれるかというのが一つですね。二番目は、住宅を移転する場合の助成がどのくらいできるかというのが二番目の問題。それから三番目は、今でも固定資産税を払っているわけですから、国指定のそういう大事なところに住んでいても固定資産税を払っているんだから、この固定資産税の減免措置はやればできると思うんですね。減免した場合には、地方交付税でやらないと、自治体はまた予算が削られるわけですから、そういうことを一つ考えていくべきだ。  当然、出ていけというような簡単なことを言っているわけじゃないと思うから、政府も、特に文化庁はそういう四つの点はそれなりに考えていると思うけれども、考えているだけでは進まないんですよ。だから、少々憎まれ口をきいてもこれはやる、やっていくというような迫力がないと、まあ言ってはみたがいろいろのというので、できない条件ばかり並べてしまうと、一番だめなのは杉の木がだめなんです。杉はしゃべらないんだから杉はだめで、その関係者がみんな困っているんですから、その点で、ひとつ当事者、担当者の見解を、これは前向きにできると思いますが。
  79. 近藤信司

    ○近藤(信)政府委員 お答えをいたします。  基本的に史跡名勝天然記念物の保護は、もちろん国も重要な役割を果たすわけでありますけれども、管理団体であります地方公共団体並びに所有者がそれぞれ役割分担をし、連携協力を図りながらやっていく、これが文化財の保存のために一番肝要なことだろうと思っております。  そして、現在、日光杉並木街道の場合は、管理団体が栃木県でございまして、栃木県におきまして保存管理計画を定め、それぞれの役割分担のもとに保存に努めている、これが基本的なありようでございます。当該土地の公有化につきましては、先ほど申し上げましたように、国も八割の助成をしながら対応しておるわけでございます。なお、公有化に要する買い上げ費用には代替地への移転補償費が含まれておるところでございます。  なお、固定資産税の軽減措置のお話がございました。史跡名勝天然記念物に指定をされました土地につきましては、固定資産税を含め税制上の優遇措置があるわけでありますが、当該土地に対しまして、委員御案内のとおりでございますが、文化財保護法によって、現状変更の制限でありますとかいろいろな規制がかかっていく、そういったこととの兼ね合いにおきまして減免措置が講じられているわけであります。それを、指定物件以外のものにつきまして税制上の優遇措置を拡大していく、広げていく、これはなかなか難しい課題が多々あろうか、こういうふうに認識をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、管理団体である栃木県、所有者であります日光東照宮とよく御相談をしながらこの問題につきましては取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
  80. 金子満広

    金子(満)分科員 御相談は今でもしていると思うし、これからもするということですけれども、東照宮が、栃木県が、どのくらい出しますかということでは進まないんですよ。例えば、公有地化で、国が八割持ちます、では二割は県ですといっても、八割のところが大きくならなければ、二割のところでそれをカバーするわけにいかないんですね。そういう点。  あるいは、固定資産税は今一定の説明がありましたが、土地家屋という問題にもなってくるわけですね。その場合、地方交付税をその分ふやしているのかいないのか、大蔵省に対してどうしているのか。それで、相談をすれば、文部省、文化庁、反対です、そんなことをやって何です、こういうような状態は今なかなかないんですよ、事を荒立てないように、腹は別のことを思っていても、いろいろなことがあるわけですから。  だから、今言う役割分担というのはわかるんです。その役割分担は物的な裏づけがないとだめですね。口と方針は政府の方で役割分担します、金の方は地元で分担します、それでお互いに相談してやっていこう、これは役割分担にならないわけですからね。その点で、私は、一歩も二歩も改善をぜひお願いしたい。  だから、現状でよろしいんだという認識でなくて、やはり地元、そして関係者の意見も聞いて不十分なところは改めるというのをぜひ、これは大臣でないとちょっと言えないと思うから、その点でやはりいろいろな指摘があるんですから、改善すべきは改善するという点でお願いしたいと思うんですね。
  81. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび同じことを申し上げるようで恐縮ですけれども、財政状況が極めて逼迫しておりまして、非常に多くの面からさまざまな要求があるし、文部省としても手当てをしなきゃならぬと思うことがたくさんございます。  そういうものの中で、杉並木街道の維持というものは、どのくらいこれにお金を費やすか等々に関して十分議論をした上で、検討した上で、慎重にやらせていただきたいと思います。  重要性に関しては、これはもう文化財になっているのでありますから、文化庁としてもその重要性に関しましては重々認識いたしております。努力はさせていただきますが、その結果については、今こうなるというふうに申し上げられないということをお許しいただきたいと思います。
  82. 金子満広

    金子(満)分科員 なかなか、波打ち際みたいな答弁ですっきりしないのですけれども。  では、例えば一つの例、具体的な点でいきますと、倒木で、木が倒れて人が死ぬ、民家が壊れる、その補償というのは東照宮が保険でやっているという点、これはわかっています。それは事実です、そういうことですね。  それで、どのくらい木が倒れているか、枯れたのじゃなくて倒れているか。死者は一人、今まであるわけですけれども、一九七五年から九一年までの間に百五十二本が倒れているのですね。全部被害を人や住宅に及ぼしているというわけじゃありませんけれども、それだけのものが現実にある。被害補償はそういう形で東照宮がやっているわけですけれども、国の指定の文化財という観点から見れば、これを東照宮の保険だけにしておくのが適当かどうかという問題があるわけです。生涯これでやっていきますということを言うのは、ちょっと、言ったとしたら相当おかしな考え方に私はなると思う。  今はそうなっているけれども、この点で、そうした被害補償の問題については、東照宮だけでなくて国、公的機関が一定の補償も考えていくべきだ、これが筋ではないかと思うのですが、どうなのですか。
  83. 近藤信司

    ○近藤(信)政府委員 お答えをいたします。  委員御案内のとおり、日光杉並木街道の史跡の所有者であります東照宮におきまして、現在、倒木等による物的被害に対する補償等に対応するために保険に加入をしている、このように承知をいたしておるわけでございます。  そういったことで、この倒木等、木が倒れるということによる被害について国が補償をするという制度のお尋ねでございますが、これは、ひとり日光杉並木街道の問題のみならず、全国的に史跡、文化財の問題に及ぶ事柄でもございますし、また、もっと言うならば、国家補償制度のある意味ではありようにもかかわる事柄でございまして、現行法制度のもとで、そういった場合に国が補償をするということは困難であろうか、このように考えておるところでございます。
  84. 金子満広

    金子(満)分科員 私は、ちょっとかちんとくるのですよ。だめだという発言なのです。こんなことが通ると思うか。そういう形だから進まないのですよ。二十メーターも進まなければ、そしてこれから申し上げることも進まないのです。  私は、そういう点で、やはり広い見地からどうするかということを考えれば、特別史跡だ、特別天然記念物だということだけ決めておいて、補償は今だめです、金がないのです、こんなことは通らないのですよ。私は、そういう点では、困難な中でも大臣はいろいろ考えながらやっているから否定はしないのですよ。肯定的であっても、今難しいという問題はあるのです。難しいというのは、それを超えればできるのですから。  超える方向はあるのだけれども、今の担当官の答弁はだめ答弁なのですよ。この点、東照宮に向かって、あなた、これで一体何本木が倒れてもあなたが補償と、国は金はないよと言う。そういう補償制度をつくるのだったら、ないのだからこれからつくらなきゃならない、これならいいのですよ。そういう点も考慮をして、杉並木だけじゃなくて、全国にそういう文化財とかいろいろありますから、そういうことについては、なるほどと。  損害があれば、これは損害があって補償を考えるのですから、初めに補償があって損害がそれに従って出るのじゃないのですから。そういう点も、担当官としてはそこを考えて、いろいろある、研究させてくださいぐらいのことが出なかったら、これはぶった切りで、だめです、金がありません、そんな制度はないのですから、以上終わりみたいな、これが典型的な官僚答弁というものです。もう少しあの杉並木を見ながら、東照宮の宮司さんの顔も見ながら答弁してくださいよ。
  85. 近藤信司

    ○近藤(信)政府委員 予算の問題ももちろんございますが、それ以上に、そもそもこういう場合に国家賠償になじむのかなじまないのか、そういう現在の国家賠償制度そのものの根幹にもかかわる問題でもございますので、これはなかなか難しい課題が多いのではなかろうか、そういう趣旨で先ほど来御答弁をさせていただいているところでございます。
  86. 金子満広

    金子(満)分科員 繰り返しませんけれども、国家賠償になじむかなじまないかじゃなくて、なじんでいないから意見が出ているのですよ。制度というのは人間がつくるのですから、現実に基づいて変えていく努力もしないと。もう蛇が棒をのんだみたいに硬直していたら、今市市、日光市、東照宮、県庁、教育委員会で今の発言をしてごらんなさい。かたいなあ、これで終わりなのです。もう何を言ってもだめです。何で努力をすると言わないのです。これはもう答えは要らないです。大臣の方でも大体方向はいろいろ出ていますから私はいいのですが。  そこでもう一つは、杉並木を守る上で決定的な問題というのは、あの並木の中を走っている国道の舗装なのですよ。これが結局は木が枯れる原因ですけれども、雨水が吸収できなくなるのですね。そして、車の振動で根が張れないだけじゃなくて、ダンプカーでも通ったら、張っている根まで切れるわけですよ。これがずっと続いているのですね。そういう中で、今皆さん行ってごらんになっていれば一番いいのですけれども、でかい木の盆栽ですね。鉢植えですよ。根がみんな出ちゃって、そして木があって、コンクリ。何か鉢植えみたい。これでは枯れるはずだ、倒れるはずだとだれも思うわけです。  そこで、一番欠くことのできない決定的なもの、これはもう既に方針は出ているのです。つまり、その並木街道の中の舗装をはがすということの方針は出ている。バイパスを先につくらなければならない、はがすためには。そのバイパスをつくるのがなかなか進まない。一部分、これは会津の街道の方とか例幣使街道の方は部分的に今進んでいますけれども、今市市など大事なところがなかなか進まない。このバイパスの計画というのは、文化庁がつくれといったってこれはできないと思うのです。建設省とも相談し、県や関係自治体の専門家と具体的な意見交換をしてやらないとできないと思うのです。  例えば、現地調査で自治体の当局者の発言でいくと、根を張るためには、バイパスというものはコンクリでこういうふうにしないで、少し間をあけて、土のところは雨水が通るようにしておいて、その上を舗装するような道路をつくったらどうか、陸橋を。ここまで出すのだけれども、それは規則上できませんとか、一発でやられてしまう。だから、こういう点についても、私は、バイパスをつくらなければ舗装がはがせないのだから、そのバイパスをつくるために、ひとつ大臣文部省が建設省にも相談をする、それで栃木とそれから今市、日光はもちろんだけれども関係自治体と協議をしてみるということをぜひやってほしいのです。どうですか。
  87. 有馬朗人

    有馬国務大臣 ただいまの御指摘の点に関して、今までもさまざまな機会にやってきてはおりますけれども、さらにその点について推進するよう努力をいたしましょう。
  88. 金子満広

    金子(満)分科員 そこで、今度は担当官の方ですけれども、栃木県庁に伺ったことは何回もあると思うのです。今市とか日光とか、三十七キロのあの杉の状態を公式に文部省の、文化庁として現地調査をしたことが今まであるかどうか。
  89. 近藤信司

    ○近藤(信)政府委員 お答えをいたします。  この指定物件につきましては、これまでも栃木県で保存管理計画を二次にわたって策定をしてきたわけでございますが、その策定、検討に当たりまして、文化庁の史跡及び天然記念物両部門の担当調査官が何度か現地での検討に参加をいたしまして、指導に当たってきたわけでございますし、また、指定市に係ります現状変更計画につきましての事前の現地協議等、必要に応じまして、これまでも担当の文化財調査官が現地に出向きまして、対応をしてきているところでございます。
  90. 金子満広

    金子(満)分科員 それはもちろん公的に出張して見るわけですから、その調査の結果の報告書というのは、文部省にあると思うのですね、何も証拠なしというわけにはいかぬと思うから。この現地調査報告書は、きょう、ここでなくていいですから、後でぜひ提出してもらいたい、これは秘密文書ではないと思いますから。そういう点をここでひとつ——ないのですか。一番新しい現地調査をいつやったのですか。県庁まで行ったのはよくわかりますよ。——では、後でそれは答弁を。  では、次の質問をして終わりにしますから。  そこで、杉を保全するために今まで随分いろいろのことが言われてきましたけれども、これもやはり——ちょっとこの写真を見てください。これまで、専門の学者先生鈴木先生とか、今宇都宮大学の農学部の教授で谷本先生、いらっしゃいますけれども、これは谷本先生からいただいたのです。というのは、書いてあるとおりに、平成九年二月ですから、二年前の二月に、上の土盛りをしたのです。それで二年後、ことしの一月なのです。そして土盛りをしたところを洗ってみたら、これだけ細根、細い根が出ているのです。そして、杉の生命力は、谷本教授に言わせると、八百年ないし千年もつ、これはもういろいろのことで証明されているわけです。  今、三百年というのは、壮年期なのですよ。だから、二年ですっとやれば、根が出る。ところが、この土盛り事業、樹勢回復事業に、国は一円も出していないのです。これは県庁から指摘されました。これは再三思っていて、お願いしているそうです。こういう土盛り事業には、何億なんという金ではないのですから、差し当たりどのくらいかは別として、援助、補助金は出すべきだ、私はこう思います。これが一つ。  それから最後に、世界遺産への登録申請。日光東照宮、二荒山神社、輪王寺、この二社一寺は既に申請してあるわけです。そのときに杉並木ができなかった。それは、条件整備ができないという、いろいろのことが当時も言われておりました。バッファーゾーンというのですか、緩衝地域がないからできない。それを二十メーターほど広げてやっていけば、これはもうよくいろいろの資料にありますけれども、ここだけで八百七の植物がある、しかも、こういう中で、世界でただ一つの杉並木、しかも日本固有の植物がそこの杉だ、これは堂々と世界遺産に登録するようにひとつやってほしい。これは大臣も、こういう点では非常に興味もあるし、興味だけではなくて筋も通ると思いますから、この点ひとつ検討し、努力してほしい。  この二つをお願いしたいと思います。
  91. 西村眞悟

    西村主査 時間は終了していますが、近藤文化庁次長
  92. 近藤信司

    ○近藤(信)政府委員 前半の、樹勢回復の事業の国庫補助のことにつきましてお答え申し上げたいと思いますが、この事業の意義にかんがみまして、文化庁といたしましても平成元年度までは国庫補助金を出してきたわけでございますが、平成二年度以降、栃木県の方で対応されてきている。これは、平成三年度に保存管理計画を定め、県関係機関がこの部分については役割分担をする、そういう位置づけのもとになしてきているわけでございます。  今後の対応につきましては、必要に応じまして県と相談をしてまいりたい、こういうのが現状でございます。
  93. 有馬朗人

    有馬国務大臣 先ほど御指摘のように、杉並木の周囲二十メートル幅にわたる追加指定とか、公有化というふうな条件整備がまず第一だと思います。しかし、日光杉並木街道を世界遺産に追加指定推薦することにつきましては、そういう条件整備を考えながら、長期的な検討課題だと考えております。
  94. 金子満広

    金子(満)分科員 終わります。
  95. 西村眞悟

    西村主査 これにて金子満広君の質疑は終了いたしました。  次に、三沢淳君。
  96. 三沢淳

    三沢分科員 自由党の三沢です。  有馬文部大臣、大変御苦労さまです。政府委員の皆様、委員長、どうも御苦労さまです。  今、二十一世紀を目の前に迎えまして、皆さんも御承知のとおり、少子高齢化時代というのはもう御認識のことだと思いますけれども、やはり国を支えるのは若い力、働く人の力ではないか、そういうふうに思っております。これから若い子たちが少なくなって、将来、本当の高齢化時代を、日本を支えてもらえるかどうか。今若者を見ますと、心身ともに鍛えられていない。要するに、駅や電車の中では座り込んでしまう、こんな子が大きくなって、本当に元気よく働いてくれるのかどうか、または、オウムのように、本当に優秀な若者が新興宗教に走って、常識では考えられないようなことを起こしてしまうというような、これから先の日本を思いますと、もう一度、若い子供たちを小さいころから、家庭だけではなしに、これからは国全体で子育てをしていかなければいけないのではないか、そういうふうに思っております。  私も運動選手出身で、小さいころから都会ではない、田舎で育ちましたので、野や山や海や川へ行って、本当に自由自在に遊びまして、これだけ健康な体になりまして、何とか国にも貢献できている、そういうふうに思っております。  そこで、今都会では、田舎もそうですけれども、表に行って子供たちが取っ組み合いをしたり、思い切り走り回ったりすることが全くなくなってきている。家の中にいて、テレビゲームの中の世界に入って、ヒーローは架空のヒーローだ。本当のヒーローというのは、血も通った、温かみのある、本当の生きた人間のヒーロー、これをやはりつくらなければ、子供たちの育成にはならないのではないか、そういうふうに思います。  そこで、まずは心身ともに鍛えるということが、これは頭のいい子も体力がある子も一緒でして、とにかく体を鍛える、心を鍛えるということが子供の時代に必要ではないか、そういうふうに思っております。  私は名古屋なのですけれども、表で子供たちが遊びたくても遊べる場所がない、グラウンドがない。特に今は学校で、子供たちが少なくなりましたので、部活で一つのチームができない。近所の学校を集めて、民間のクラブとして野球やサッカーやいろいろなことをやっているという状態で、その中で若い人もお年寄りも、健康維持のために表に出て運動したい、そういう中で、グラウンドがなかなかない。抽せんでなかなか当たらない。運動したくてもできないというような状況になっているのですけれども、実際のところ、グラウンドの状況対策というのはどういうふうになっているのでしょうか、まず最初にお聞きします。
  97. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 お答えします。  グラウンドの状況でございますけれども平成八年の調査によりますと、野球場、ソフトボール場が約一万カ所、それから多目的運動場広場が約四万八千カ所あるというデータがございまして、以前と比べますとかなり整備されてきたかなというふうには思っております。  しかしながら、現状は今先生がおっしゃいましたように、グラウンドを確保するということについては、地域によりまして、また利用者が土日に集中してしまうということなどもございまして、必ずしも住民の希望どおりになっていないというケースもあると私ども承知しております。また、世論調査などによりましても、身近で利用できる施設の増加ということに大分希望、要望が多いという結果も出ております。  このため、グラウンドも含めましたスポーツ施設の整備というのは大変大事な課題だというふうに考えておりますが、地方公共団体の財政はいろいろ要求がありますから、そればかりというわけにもいきませんので、そういう要望を聞きながら、私ども、いろいろな補助制度を設けておりますので、そういったもので対応していきたいなというふうに考えております。
  98. 三沢淳

    三沢分科員 今学校の校庭を開放するということに取り組んでおられますけれども状況はどのような状況になっておられるんでしょうか。
  99. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 学校開放につきましては、今ちょっと正確なデータが出てきませんが、たしか四、五〇%ぐらいの割合で学校開放が進んでおるというふうになっております。ただ、一回は開放するというふうな形でとると八、九割という高い率になるんですが、平日はどうかとかいうふうに細かく利用者の立場に立った利用の仕方を見ていきますと、今申し上げましたように、四、五割ぐらいの開放状況だ。したがいまして、我々としては、もっともっと住民の方が利用しやすいような形の開放にしていただかなければいけないということで、今年度もいろいろな形で指導していきたいというふうに考えております。
  100. 三沢淳

    三沢分科員 学校のグラウンドを開放していただければ、地域の方も本当に助かるんじゃないかと思われます。  ただし、ここでちょっとお話ししたいんですけれども、今、子供たちも特殊な競技といいますか、特に、全国にもあるんですけれども、リトルリーグといいまして、これにはシニアとかボーイズリーグとか、リーグは違うんですけれども、同じ硬式のボールを使ってプレーする野球クラブがあります。こういうクラブはなかなか校庭ではできないようになっていまして、特に、学校のグラウンドはかたくてぼこぼこしていますので子供たちがけがをしやすいという面と、マウンドをつくれない、ましてや学校の器物を壊してしまう、ましてや近所の家に飛び込んでしまう、父兄の方がついていきますので路上駐車してしまう、早朝からわあわあやりますから近所迷惑だというようなことがありまして、こういう特殊なクラブに関しましては、なかなか学校も、使うのが少し難しいということで、このようなリトルリーグ、サッカーもそうなんですけれども、グラウンドに物すごくきゅうきゅうとされておられます。  いつも言われるんですけれども、グラウンドがなくて、本当に父兄の方や監督、コーチの方が遠いところまでマイクロバスに乗せて、時間もお金もかかってしまう、子供たちの育成のためなら、何とか自治体や国がその辺、グラウンドをしっかりつくってもらえないか。国や地方自治体にいますと、その中の仕組みというのはいろいろ複雑なんですけれども、使う方の国民にとりましたら、本当に簡単にお金も経費もかからないで、子供たちが本当に利用しやすくて、思い切り野球を楽しめる、それが心身の強化にもなるということを考えておられまして、どうも国民と行政側とにギャップがあります。  今、そういう特殊な競技がプロ並みに行われているんですけれども、その辺のところはどういうふうにお考えでしょうか。草野球とはまた全然違うんですけれども
  101. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 まず、硬式野球などでございますが、これは現在の普通の学校のグラウンドで、こういう硬式野球に開放しているところと開放していないところが調べましたらございまして、例えば小中学校なんかでは、そもそも広さとか、あるいは防備というんですかネットとか、そういう安全面で不安があるとかいったことで使用禁止にしていたり、あるいは高校ですと、運動部活動をかなり長い時間やるものですから、なかなか他に貸す余裕がない、そういった理由などいろいろございまして、使用できない学校がある。だけれども、片一方で、利用者が使用後きちんとグラウンドを整備していただければ構いませんよという学校もあるんですね。  私どもとしては、当然安全面も考慮した上で、学校教育に支障のない限り、グラウンドなどを地域住民の利用に供していくということは大変望ましいことだというふうに考えております。  ただ、そこから先、どういう理由で禁止されているかということなどで、少しでも、ではこうすれば貸せるようになるかという道があるかもしれませんので、そこは、今後私どもとしても少し関係者と話をしながら、改善に向かうように勉強していきたいというふうに考えております。  また、硬式野球など、そういう特定の、特殊といいますか、スポーツ種目につきまして、その整備につきまして、これは補助制度としては、文部省の補助制度、それから建設省の都市公園整備等幾つかあると思うんですが、いずれにいたしましても、これは設置者側の申請によってこちらが対応していくというものでございますので、設置者がそれを、需給を考えてどう判断していくかということによりますので、これはそういう需給関係がどうなるかによって決まってくるのかなというふうに考えております。
  102. 三沢淳

    三沢分科員 一つ地域からの声を申しますと、都会では、やはり土地が本当にないものですから、なかなか民間の企業にも貸してもらえない、学校もそう簡単には難しい問題があるということで、都会では大体川が流れていまして、実は、その河川敷を何とか使えないものかという声が上がってまいりました。私もなかなかその辺のところが、河川敷は建設省だということを聞きまして、文部省と学校とまた違う面がございます。  河川敷は、もし使えるんなら、あそこは広々と、近所迷惑にならないし、駐車場も原っぱですし、そこらへとめられますし、ましてやそこを団体で預からせていただければ、子供たちが自分の道具やその場所を大切にする。一つのエラーで、整備不足のためにエラーで試合に負けた、その悔しさ、ちゃんと整備をしなきゃいけない、物を大切にするんだ、もう最初からグラウンドも大切にして、グローブもボールも大切にして、そしてみんなで協力をして、我慢して、協調して、それで勝利を得るんだというようなことを子供のうちから覚えていくんじゃないかと思います。そこで、その河川敷を何とか利用できないかということを言われたものですから、その河川敷の状況というのはどういうふうになっているんでしょうか。
  103. 吉井一弥

    ○吉井説明員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘の河川敷でございますが、基本的には、大雨のとき等に増水した水を安全に流すための、治水上非常に貴重な空間でございますが、平時におきましては、一般公衆の自由な使用に、使っていただくために提供すべき公共用物でございまして、また、今先生も御指摘いただきましたように、都市部におきましては貴重なオープンスペースでございます。各地で、かなり広い河川敷の面積が現在でもグラウンドとして利用されているところでございます。  ただ、住民に広く使っていただくというふうなことから、私どもとしては、基本的には地元の市町村等の地方公共団体が占用主体になっていただきまして、いろいろ御利用いただくということを原則としておるところでございます。  グラウンドにつきましても、場所によってではございますが、利用の要望が非常に集中することも多いわけでございまして、その利用者間の調整でございますとか、それからグラウンド、河川敷の維持管理、それから、何か事故が起きたときの処理というふうなことを適切に行うためにも、地元の地方公共団体に占用していただきまして管理していただくということが適当ではないかと思っております。
  104. 三沢淳

    三沢分科員 私のところは名古屋市ですけれども、名古屋市のような行政側が国の方に許可を求めれば、名古屋市が管理する場合は、国としたら返事は出していただけるんでしょうか。使ってよろしいという返事は、例えば名古屋市なんかが要請した場合は出していただけるんでしょうか。
  105. 吉井一弥

    ○吉井説明員 河川ごとにいろいろ、どのように使うかということは、地元の皆さん、公共団体等と調整しながらやることになっておりまして、全体の河川敷の利用状況等を見ながら、河川管理者といたしましても十分協議していきたいと思っております。
  106. 三沢淳

    三沢分科員 ぜひ、できましたら、簡単にはいかないかもわかりませんけれども、青少年の育成のためを思えば、ただ単にスポーツ振興とか青少年育成とかいう大見出しだけじゃなしに、細かい点まで配慮していただければ、それが、今、日本を支えてくれる子供たちを本当に体も心も強い子に育てなきゃいけないための一つの方法だと僕は思いますので、できましたら協力をしていただいて、何とか二十一世紀を支えてくれる若者にしていきたい、そういうふうに思っておりますので、これからさらに御尽力いただければ、そういうふうに思っております。  続きまして、今子供の話をずっとしているんですけれども、子供たちも、スポーツをやらない、今、表に行ってなかなか遊べない。特に公園に関してですけれども、画一的な公園でして、ほとんど似たような公園。いろいろ出していただきましたらいろいろな公園もあるんですけれども、家のすぐ近所の公園というのは、子供が遊んでいるのを見たことは余りありませんし、見ていきますと、犬の散歩をして、犬のふんだらけで、公園はそういう散歩者ためだけにあるような感じがあります。マナーのいい人はふんをとっていくのですけれども、夜とか早朝に行きますと犬のふんをそのままにしていますので、近所の若いお母さんが子供を連れて公園に行きましたら、汚くてなかなか公園で遊べないというような状況であります。  いろいろ資料をいただいたんですけれども、子供の自由空間ということで、今度、文部省と建設省さんが手を組まれましていろいろな形の公園に取り組んでおられるということで、これは大変に結構じゃないか、そういうふうに思います。できましたら、公園というのは、子供が泥まみれになって、泥んこになって、ズボンが泥々になろうが腕をすりむこうが木に登って落ちようが、そのような公園があれば子供の育成にはなるんじゃないか。  ただ、そこで賠償問題が起きまして、ちょっとあればすぐ訴える親が今多いものですから、子育てに対して本当に僕らは不快感を覚えるんですけれども、そういう意味で規則とかを決めていけば、変わった公園ができるのじゃないか。特に、親にも責任を持たせるためにも、その辺のことをちゃんと規約で結んでいけばいい公園ができるんじゃないかと思いますけれども、その辺の公園づくりというのはどういうふうになっているんでしょうか。
  107. 富岡賢治

    ○富岡政府委員 文部省におきましては、子供たちを健やかにはぐくむために、二〇〇二年度の完全学校週五日制の実施に向けまして、地域の子供を育てる環境の整備ということを目指しました全国子どもプランというものを策定しまして、関係省庁協力を得ながら計画的に施策推進する所存でございます。  子供の遊び場としての公園のあり方につきましては、その一環としまして、建設省と連携しまして、公園計画や野外教育の専門家、公園の利用者等で構成する研究会を設置しまして、都市公園のあり方について研究を進めるということで準備を進めているところでございます。  今先生指摘のように、子供たちが木登りや芝生に入ったり遊べるような公園の整備運営が行われるよう、公園の整備方式とか施設内容とか管理運営方法、あるいはボランティアとの連携のあり方等につきまして研究をしてまいりたいと考えております。
  108. 三沢淳

    三沢分科員 ちょっと先ほどの話のグラウンドに戻りますけれども、今、公園づくりでは文部省と建設省さんが相談しながらつくられるということですけれども、グラウンドなんかの面でも、これから地方自治体と建設省さんと文部省さんが協力してできるものかどうか、ちょっとお答えいただきたいなと思うんです。
  109. 有馬朗人

    有馬国務大臣 文部省といたしましては、ただいま生涯学習局長がお答えいたしましたように、他省庁協力をして、具体的には建設省、あるいは田んぼなどを子供たちに提供するために農水省、あるいは山の中を歩くという意味で環境庁等々と協力をさせていただいて、さまざまな子供たちの健全な成長のために資したいと思っております。  私どもも、子供たちが外で遊ぶことの大切さは重々知っておりまして、文部省がもっと子供たちに遊べよなんと言うことは今までなかったことだと思いますけれども、最近は、子供たちに基礎基本の知識をちゃんと身につけながら同時に遊べ、外で遊べということを盛んに言っております。こういう点でも、先生の御指摘のように、もっとアマチュアスポーツが進んでいくこと、それで、例えば硬式の野球などもどんどんできるように努力をさせていただいているところでございます。先生のお考えは私どもの考えにも非常に一致しているということを申し上げておきたいと思います。  その上で、具体的にまたちょっと御返事をいたしたいと思います。
  110. 有賀長郎

    ○有賀説明員 都市公園の整備でございますけれども、子供たちが、創造的な遊びとか自然との触れ合いを、安全に、自由に行える場を確保するということ、これも大変重要な目的の一つだというふうに思っておりまして、子供たちが歩いていける距離で、都市内に身近な公園が行き渡るようにということで整備を進めておるわけでございます。  ただ、こうした公園の整備の仕方だけではなくて、さらにソフトの面でも、例えば世田谷区のある公園の例でございますけれども、木の上に小屋をつくったり、さらに木と木にロープを渡したりというようなこと、あるいは飯ごう炊さんもできるようにとか、こういった公園の例もあるわけでございます。この公園では、自分の責任で自由に遊ぶというモットーで運営しておりますけれども、それにいたしましても、区役所で地域のボランティア団体に管理を委託し、また、この団体では常時プレーリーダーを配置するといったようなソフト面での工夫も必要かと存じます。  私ども、こうした地方公共団体での取り組みを支援いたすために、文部省さんとも共同いたしまして、子供の多様な活動の場となる都市公園のあり方、こういったものを研究いたしまして、ハードとソフトの両面にわたりまして指針を示していきたい、かように考えているところでございます。
  111. 三沢淳

    三沢分科員 ぜひ御尽力していただきまして、子供たちの育成のために頑張っていただきたい、そういうふうに思います。  続きまして、今学校では女の先生が七割ぐらいになっているということで、女性がいろいろなところに参画してこられましていいことだと思うんですけれども、小学校なんかは、社会で、みんなの中でいろいろなルールやマナーを守りながら、協力しながら生きていくという勉強以外のことがなかなかできないものですから、実は、地域警察署長さんとか消防の方に会うんです。  この方は現場でいろいろ経験されていまして、六十歳が定年ということで、まだまだ元気なものですから、今行革が叫ばれていますけれども省庁を統合したりなくしたりするんじゃなしに、これは自分の考えなんですけれども、こういう警察のOBや消防の方が、地域で、地方自治体で組織をつくられまして、実際に子供たちにいろいろなことを教えに学校に行く。例えば、ロープの結び方とか、災害時に際して、緊急時にはこういう避難の仕方があるとかこういう隠れ方があるとか、警察でいえば、こういうことをやるとだめなんだとか。  実際に経験された方々が、生きた教材の方がたくさんおられるものですから、例えば、きょうはある小学校の三年生に教えに行くとか、次は中学校のここにもう一人の人が教えに行くとか。国や地方自治体の外郭団体でもいいですけれども、そういう方々の組織をつくられまして、こういう定年になられた後の方、定年ではなくて現役の方でもいいですけれども、実際に子供たちに見せてやる、体験したことを教えてやるということが教育の中で必要ではないかと思います。  先生だけではなしに、その辺の人たちを活用して、先生の仕事も負担も減ると思いますので、一緒に子供たちを鍛えてやるということが必要じゃないかと思われますけれども、その辺のお考えはあるんでしょうか。     〔主査退席、鈴木(淑)主査代理着席〕
  112. 有馬朗人

    有馬国務大臣 御指摘のとおりでありまして、特に、二〇〇二年以降になりますと、学校が完全に週五日制になります。その際に、学校だけの教育では足りないということから、家庭並びに地域社会の御協力をいただきたいということでございます。  そこで、地域社会に大いに協力お願いしているところでありますが、その際に、ボランティアの方たちをぜひともあるいは組織していただいて、大いに子供たちの教育に尽力していただきたいと思っています。また、学校では、小中高で非常勤がたくさんとれるようになりつつあります。そういう意味で、ボランティアの方々を非常勤の先生としてお願いするということももう既に行われておりますし、今後、さらにこのことが活発化していくだろうと思います。  先ほど建設省の方からお答えでございましたが、世田谷のある公園というのは羽根木公園でございまして、そこに参りますと、必ずその地域のボランティアの人々が、一緒になって火おこしをしたり、鉄を鍛えたり、あるいはまり投げをしたり、さまざまな点で一緒になって遊んでくれております。こういうことは今後さらに盛んにしていかなければならないと思っております。
  113. 三沢淳

    三沢分科員 ぜひ、いろいろな民間の経験をされた方々を、海外協力隊の方でもいいですけれども、そういう方をどんどん子供の現場の中へ入れていっていただければ本当に役に立つんじゃないかと思われますので、ぜひ御努力お願いいたします。  続きまして、ちょっと時間がないので、ささっと申しますけれども、オリンピックで、冬季オリンピックでは、報奨金制度で金メダルに三百万円、銀メダルに二百万円でしたかね、そういうふうなお金が出ましたけれども、これはスポーツをやった私から見れば大変よいことではないかと思われます。ただやはり、オリンピックは四年に一回あります。そこで、今、子供たちに、日本のこの国を愛する、誇りに思うのは、どういうところで日本の国を感じるかといったら、その一つが、やはり日の丸をつけて海外に行って頑張る姿、いろいろな分野の方がおられますけれども、特にスポーツの世界は、ああ国の代表だなという、それがオリンピックじゃないかと思われます。  そこで、IOCの問題は置いておきまして、その日の丸をつけて金メダルをとられた方々に、一時金じゃなしに、四年に一回ぐらい、まあこれは怒られるかもわかりませんけれども国民一人当たり十円出していただいても十二億ぐらい、簡単に計算すれば集まるものですから、それを寄附といいますか、集めていただければ、そのお金で十年間ぐらい、そういう人たちに保障ができるんじゃないかと。  ただ単に、そのときだけ、日の丸をつけてよかったよかったで終わって、その人たちの、アマチュアの人の生活というのが、せっかく国の代表で頑張って、金メダルや銀メダルをとられた方々がその場で終わってしまう、青春をそこにもう何年間もかけてきて、その後の生活が余り保障されていないということがありますので、その辺のところを少し、たとえ十年でも、四年に一回ぐらい寄附を集められて、その人たちのために生活の安定を図ってあげることも必要じゃないかと思われますけれども、その辺のお考えはないでしょうか。
  114. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 オリンピックメダリストに対します報奨金は、趣旨は、そのメダリストの栄誉をたたえる、それとともに、その選手の競技力向上の意欲を喚起する、そういったことから始められまして、一九九二年のアルベールビル・オリンピック以降、JOCが自主財源でやってきております。金メダリスト三百万、銀メダリスト二百万、銅メダリスト百万という額でございますが、これはJOCが国民の意向なども背景にいたしまして決めた額でございます。  これを、先生今御指摘のように、一定期間に分けてやったらどうか、それも一つのお考えだと思います。現に、このJOCとは別に、各競技団体で、メダルをとったら別に報奨金を出しておりますが、卓球協会なんかはそういうセレクションもあるよというふうなこともやれるようになっております。  だから、一つの考えだと思うんでございますが、私どもとしては、今おっしゃったその基本的な考え方というのは、結局、その第一線で活躍できるトップ選手の期間というのは限られている、そうすると、引退をして、その後、その持っている技術や経験というのをどう生かしていくか、その道がしっかりしておれば、そこが問題なんだろうというふうに考えておりまして、我々としては、指導者として第一線を退いた後も活躍できる場が用意されるように、今後、いろいろな形でその施策を充実していきたい。  現に、私どもで総合型地域スポーツクラブの育成ということをやっておりますが、これはまたいろいろなところに出てきますが、モデル的にやっておるんですが、その中にそういう指導者を置くということも考えておりまして、こういったことが全国に広がっていけば、指導者の活躍する場面というのも出てくるだろう。  それからもう一つ、競技団体の専任コーチというものも、補助金をつけまして、数はそう多くないんですが、徐々にふやしていきたい、そういったことをすれば、その方たちがそこで自分の力を発揮できるんではないかというふうなことがありますので、そういったことをより充実していきたいなということでございます。
  115. 三沢淳

    三沢分科員 できましたら、普通の平均的なサラリーマンの方ぐらいの報奨金を別に十年ぐらいあげた方が張り合いがあるんじゃないか、そういうふうに思います。  最後に、科技庁の皆さんに——済みません、最後になりましたけれども、今、エネルギー確保で、世の中は本当に、経済の発展や環境の保全、この三つは相反するものなんですけれどもエネルギー確保というのは大変なもので、原子力も私は必要じゃないか、そういうふうに思います。  そこで、今、日本では、原子力というのはたくさんいろいろな箇所にあるんですけれども、これからもつくられると思うんですけれども、この危機管理、安全という面は物すごく皆さんから注目されるんです。地震やそういう安全対策はあると思うんですけれども、今、北朝鮮の問題がありまして、大きい戦争はもうないかもわかりませんけれども、一〇〇%ないとは言えません。日本はスパイ天国と言われていまして、北朝鮮からも何人か入ってきているという情報を聞いておりまして、そういうテロが起きた場合に、原子力発電所はそういう危機管理が大丈夫なのかどうか、ちょっとお聞きしたい、そういうふうに思います。
  116. 間宮馨

    間宮政府委員 お答え申し上げます。  我が国の基幹エネルギーの大きな柱であります原子力開発利用を進めるに当たりまして、安全の確保というのは当然大前提でございます。原子力施設におきましては、放射線から国民の健康と安全を守るということで、異常の発生の防止、異常の拡大防止、周辺環境への放射性物質の異常な放出の防止という多重防護の考え方に基づいて安全の確保が図られております。  具体的には、原子力施設ごとに、設計、建設、運転等の各段階におきまして、原子炉等規制法等に基づきまして厳格な安全規制を実施するということで、安全の確保に万全を期しております。  さらに、先生今お尋ねの件でございますけれども核物質防護という観点がもう一つございます。  この観点から、敷地境界への防護フェンスあるいは監視カメラの設置、さらには金属探知器等によりまして厳重な出入りの管理を行っておりまして、そもそも不法な侵入というものが困難という状況をつくり出しております。また、不法な侵入が発生した場合におきましては、これに速やかに対応するために、警備員による二十四時間警備あるいは防護区域の巡視等が行われておりまして、さらに一般電話警察直通非常通報装置等によりまして警察等に通報できるようになってございます。これを受けまして治安当局の迅速な出動がなされるということになってございます。  このように、安全対策に加えまして危機管理対策を十分に行うということによりまして、原子力施設安全性確保に努めているところでございます。
  117. 三沢淳

    三沢分科員 延びまして申しわけありませんけれども国民の人は安全性を物すごく求めておられますので、その辺のエネルギー確保の、この原子力の必要性はありますので、ぜひ国民の皆さんにその安全性と必要性を訴えていかれればいいんじゃないか、そういうふうに思っております。  ちょっと長くなりましたけれども、これで質問を終わります。ありがとうございました。
  118. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)主査代理 これにて三沢淳君の質疑は終了いたしました。  次に、倉田栄喜君。
  119. 倉田栄喜

    倉田分科員 公明党の倉田栄喜でございます。私は、まず有馬文部大臣に、大臣御自身に、今の教育における問題等々についてお伺いをいたしたいと思います。  まずは義務教育についてでありますけれども大臣は、現在の義務教育について基本的にどのようなことが問題であるとお考えになっているのか、そのことをまずお尋ねしたい。
  120. 有馬朗人

    有馬国務大臣 さまざまな点でお答え申し上げることができるかと思います。  まず、積極的な面で申し上げますと、今の子供たちは随分すぐれたところも持っております。これをさらに伸ばしていかなければならない。そのすぐれた点というのは、かなり平均値が高いということです。しかしながら、やはり全般的に平均値は高いけれども、やや全般的にいわゆる画一的な面があるということで、基礎、基本はもちろん今までどおり重要視しながら、基礎、基本を育てた上で、同時に、各子供の持っている個性、よいところをさらに育てていくべきである。そういう意味で、レベルを保ちながら、基礎、基本を保ちながらさらに子供たちの個々の個性を伸ばしていく、そしてさらに独創性を伸ばしていく、こういうことが非常に必要であろうと思います。  それから、もっと大きな目標を立てるといたしますと、子供たち全般に対して生きる力というものを教えていかなければならない。  生きる力というのは、知徳体の知という面から申し上げれば、それは先ほど申しました独創性に関係することでありますが、単に教わったというだけではなく、それを自分のものとして、自分の力で問題を発見し、そして自分の力で勉強し、自分の力で問題を解いていく、そういう力を育てていかなければならない。  それから二番目に、今度は徳体に対応するところでありますけれども、まず第一に、しっかりした倫理観を持つというふうな国民に育てていかなければならない。その倫理観と、人を思いやるという心、それから美しいものを美しいと思う心、それからまた崇高なものを崇高だと思う心、そして同時に、健康ということを育てていかなければならない。  これが生きる力でございまして、今文部省が教育改革一つの大きな柱としているのは、この生きる力を育てていくということであります。これは積極的な面。  次に問題は、今非常によく学校で問題が起こります。この問題を解いていかなければならない。  家庭教育の問題から始まって、子供たちのしつけが不十分である、あるいは、学校に行ったときになかなか学校生活になじめない、そういうふうなさまざまな問題があります。いわゆる学級崩壊という問題もありまして、今調査を始めているところであります。やや後ろ向きでありますけれども、これは何とかしていかなければならない問題だと思います。こういうふうな問題を解決することも緊急にしなければならない。  それからまた、不登校が十万人に達したという問題、これは大いに解決していかなければならないと思います。  そのためにはどうすべきかというと、学校が楽しくなければならない。学校が楽しいにはどうしたらいいだろうかということを、今さまざま検討しているところであります。もちろん教え方もあるでしょう。授業内容が多過ぎるというような問題もあるかもしれない。こういう問題で、二〇〇二年より始まります学校週五日制に向けて条件整備をする。特に、五日制になれば少し授業数が減りますから、それだけ授業内容を減らさなきゃならない。しかしながら、基礎、基本の力は残していかなければならない。  こういうふうな問題において、どう解決していくか。これは、今六つの改革の中の一つといたしまして教育改革を大いに進めておりますが、より具体的に、文部省といたしましては、現在、教育改革プログラムというのをつくりまして、さまざまな努力をさせていただいている次第であります。  ただいま御質問のように、義務教育の面についてお答え申し上げました。
  121. 倉田栄喜

    倉田分科員 大臣から、実に多くの問題があるということを今お答えいただいたわけであります。  先般の予算委員会でも、今までの我が国社会が、大量生産、大量消費の中で、非常に均質的な人たちというのがいっぱい生まれたのではないのかな、二十一世紀がそれであっていいのかどうかという問題の御指摘だったんだろうと思うんですけれども、今大臣のお答えの中で、個性であるとか、あるいは生きる力であるとか、あるいは倫理観であるとか、そういうお答えがありました。  それで、まさに教育の現場のトップの中から、文部行政のトップとして文部大臣におなりになって、いっぱい課題はあるんだけれども、その根本、一体何が一番大切なのか。私は、ずっと有史以来教育が続いていって、例えば江戸幕府時代の寺子屋時代に、読む、書く、あるいはそろばん、そういう基本的なことからスタートをして、すごい有為な人たちがいっぱい出ておられるな、こういう気がするんですね。  今、大臣のお答えの中に本当に多くの課題を抱えていて、今御指摘のとおりの問題だとは思いますけれども、一体何が問題なの、何が一番大切なのということについてお伺いすれば、大臣は何が一番大切なんだというふうにお考えになりますか。
  122. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私は、やはり、その人たちが人生において有意義な一生を過ごしたという満足感を生み出すような教育をしていかなきゃいけないと思うんですね。その人が、私はこういう教育を受けてこういう人生を送った、これはすばらしいことであったと思えるような、そういう社会をつくっていかないといけないし、そのための教育をしていかなきゃならぬと私は思っています。
  123. 倉田栄喜

    倉田分科員 そのために、今、教育改革を掲げながらプログラムをつくって、これから進めていかれるんだろうと思うんですけれども、要は、まだ何が主なのだということが、主役がよく見えない、わからないというふうな気がいたします。  今まで戦後ずっとやっていた教育とこれから二十一世紀にあるべき教育と、変わらなければいけないのか、変わるとしたらどこが変わるべきなのか、そして、今までやってきた教育の中で、もしかしたらこれは欠けていたな、これは全然やっていなかったな、こういうところがあるとお考えですか。この点はいかがですか。
  124. 有馬朗人

    有馬国務大臣 先ほど御指摘のように、日本は江戸時代から、明治もそうでありますが、読み、書き、そろばんということでは非常にいい教育をしてきたと思います。日本人ほど識字率の高い国民はいない。それから、国際比較でも、いろいろ問題が今起こってはいますけれども、小学校、中学校の子供たちの理科の力、数学の力というのは世界のトップクラスであります。  しかしながら、全体の水準は高いけれども、今までそれで随分戦後の日本の国力というものが育ちました、日本国民全体がレベルが高いということが日本の国力を増す上で大いに役立ちました、しかし、二十一世紀においては、平均水準が高いだけではもはや世界の中で伍していくわけにはいかなくなる。やはり独創性とか個性というものを育てていかなければならない。  先ほど申し上げましたように、教育改革一つのねらいというのは、今まで以上に個性豊かな、そして独創性を持つような人を育てていくということが必要であると思っております。
  125. 倉田栄喜

    倉田分科員 今、義務教育についてお伺いをしたわけです。独創性とか個性とか、そういうお話をいただきました。  そこで、その次の高等教育についてもお尋ねをしたいわけでありますけれども、この高等教育等について、大臣はどんな問題意識をお持ちですか。
  126. 有馬朗人

    有馬国務大臣 先ほどのにもう少し補足をさせていただきますと、小中においては、独創性、個性ということをもちろん教えなきゃいけませんけれども、まず基礎、基本をきちっと教えていないと、その基礎、基本がない上に幾ら独創性、個性といっても、育ちません。やはり必要最小限の基礎、基本をきちっと教えた上で初めて個性なり独創性が育ってくる。  義務教育というのは、基礎、基本とそれから個性教育のちょうど中間というか、両方やらなきゃいけませんけれども、高等教育になりますと、これは個性、独創性を育てていかなければならない。もちろん、そこでもそれぞれの分野における基礎というものを教える必要があります。しかしながら、そこでは独創性、個性により重点を置いた教育が行われていかなければならないと思っております。
  127. 倉田栄喜

    倉田分科員 大臣、義務教育におきまして基礎的な部分をしっかりしなければいけない。そこで、何が基礎的なのかということについては、ある意味ではもうちょっとしっかりしなければいけないんじゃないか、こう思うんですね。学ぼうとすればいっぱいある。いっぱいあり過ぎて、それこそ時間が足らなくなってしまう。その中で、実は義務教育、基礎教育についてはこれとこれとこれは絶対に必須なんですよ、これはもっと力を入れなければいけないんですよ、そういうことをぜひ明確にする必要があるんじゃないのかなという問題意識を持っています。  先ほど大臣は、生きる力とか倫理とかいうことをお話しになりましたけれども、子供の感性が失われている、あるいは子供の問題発見能力が失われているとか、さまざまな問題意識があります。その延長線上に独創性とか個性とか高等教育の話が今あるんだろうと思うんです。  実は私は、この質問を大臣にさせていただこうと思いましたのは、私が政治家になって、自分は政治家としてどういう、いわゆる政治家としての心構え、教育訓練を受けてきているのだろうか、そういう非常に大きな問題意識を持つからであります。  最近私が読みました「切腹」という本の中で、これは、天草島原の乱、三万七千人の方々が亡くなって、その後天草の人心も国土も非常に、人数でいえば三分の一ぐらいの方が亡くなって、人心も乱れる。治世、行政のシステムも本当に壊れてしまった。その中で、徳川幕府の旗本、今でいえば中央官僚というところでしょうか、命を受けて、天草が天領になって、そこで代官として赴任をするわけです、何カ月もかけて。そして、心を立て直す。そして、腐っていく国土をどうしたらもとのような、もとがどこまでかということはあるにしても、安心して暮らせるような社会をつくれるだろうかということで苦心をされるわけです。  まあ、代官というとテレビとかあれでは非常に悪代官とか、政治家もどっちかというと悪徳政治家みたいなイメージしか出てこないわけですけれども、ここに書かれる代官というのはまさに命をかける、命をかけて国土の再興に立ち上がる。最終的に切腹するわけです、物事を成就させるために。命をかけてそれをなし遂げていく。  政治生命をかけると言うことはできるわけですけれども、切腹をする、なかなかそれは、痛いだろうな、とてもじゃないけれどもできないだろうな、こう思うんだけれども、やはりそこまでの人たちが育っていた。また、そういう人たちがあちこちいられた。それは行政官僚のみならず、それぞれの職場の中に、自分の仕事に自負を持って、まさにこれが天職だ、まさに肉体的苦痛も、切腹という究極の形で果たすぐらいの思いをかけてやってこられて、やはりそこにはそこまで育てる教育というものがあったんだろうと思うんですね。徳川幕府時代には各藩なりのそれぞれ藩校というものがあり、また、家庭には家庭のそれぞれ独特のものがあり、さまざま多様な人材が育っていった。  振り返ってみて、私は、政治家としてどんな心構え、どんな教育を受けてきたんだろう、こう思いながら、まさに自分で見よう見まねでやっていくしかないな、こういうふうな思いをしたわけです。  大臣も教育の現場としては最高に位置しながら政治家になられたときに、では政治家としての心構え、あるいは中央官僚の方々もトップとして、中央官僚としてのまさに本当に国民信頼を得られるような心構え、それはそれぞれの部署でやるべきことなのかどうか、国としてあるいはそれぞれとしてそういうことを考えることなのかどうなのか。  私は確かに、それぞれの役所の中でそれぞれの政治教育の中でやるべきこと、それが基本なんだろうと思うんですけれども、やはり国としてもあるいは地方自治体としても、政治家の教育あるいは行政官僚の教育、そういう制度、施設というのは充実しなければいけない、やらなければいけないんじゃないのか、こう思うんですが、いかがですか。
  128. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私も賛成です。しかし、それは政治家になり官僚になってからでは遅い。これはやはり小学校あるいは幼稚園時代からやっていかないといかぬ。  私は、やはり戦後の教育の中で、先ほど私は、基礎、基本のことが大切だ、それからまた、基礎、基本の上に独創性と個性ということを強調いたしました。これは、どちらかというと知的な面でのお話が多かったと思います。しかし一方で、心の教育ということを申し上げて、そこで倫理観などを持てということを教えないといかぬということを申し上げましたけれども、政治家になろうと、官僚になろうと、何になろうと、やはりもっと、単に権利の、自分たちが持っている基礎的権利は何かということの教育はもちろん大切ですけれども、同時に、我々が持っている義務、義務というものが何であるか、使命というものが何であるかというふうなこと、そして責任感というふうなものをやはり初中教育から大学にかけて十分教育をしておかなければ、幾ら政治家になってからやろうと思っても遅いと私は思います。  実は、その点でやはり、教育改革一つの柱といたしましては、倫理的な面という中には、きちっとした責任感、義務観というふうなものを育てていくということが必要であると考えております。
  129. 倉田栄喜

    倉田分科員 同時に、それがまた均質的な、同じような人たちが生まれるということではなくて、まさに個性多様な、独創性を持った、しかも責任感を持った、社会にあるいは世界に有為な人たちをどう生み出していくかということでございますので、ぜひ大臣が文部大臣としておいでのときに一つの大きな道筋をつけていただきたい、こんなふうに強く要望しておきたいと思います。  残された時間ですけれども、校舎、施設の問題についてお尋ねをしたいと思います。  校舎の老朽化が進んでいる、そして一方で、阪神・淡路大震災があって耐震対策というのが見直された。私が調べたところですけれども、現象的な問題としては、私の熊本でもそうですけれども、校舎の壁が、当時モルタルの質が悪かったのかどうかわかりませんけれども、落ちてきてしまう、人が通っていたら本当に大けがをした、そういう事故も発生をいたしております。  一般的に改修が必要とされる建築後二十年以上経過した建物が全体の約五一・九%ある、これは文部省の方のお調べかと思いますけれども。それから、改築の検討が要請される建築後三十年以上経過した建物は、全体の一七・四%ある。不適格建物、いわゆる危険校舎、もうこれは危険ですよ、そういうふうに言われているのは、何と全体の約四分の一になっているというふうにも聞きます。これは大問題だと思うんですね。さらにこれは今後ピークを迎えていく。  私は、こういう状況の中にあって、老朽化対策、それから耐震化対策、危険校舎面積がもう四分の一ぐらいに達しているというこれだけの状況の中で、予算措置は大丈夫なんだろうかな、各自治体は果たして対応できるのかな、こういう思いを強く持ったわけですけれども、この点、どう対応できているんでしょうか。
  130. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私もこの点は昔から大変心配をしておりまして、小学校、中学校、高等学校もそうですし、国立大学等々においても非常に問題があると思います。  したがいまして、文部省としても最大限の、予算の許される限りの努力をしているということを申し上げておきたいと思います。  今、詳しくは局長よりお返事を申し上げます。
  131. 倉田栄喜

    倉田分科員 そんなに時間がないものですから、またまとめて御答弁いただくとして、皆さんそう思っていらっしゃる、こう思うんですね。  しかし、国と地方の役割分担だという議論が一時ありました。それから、財政構造改革法に基づいて補助金の見直しが必要だねということで、あのとき随分いろいろなことがばっさりやられたんではないのかな、こう思うんですね。  そこで、ではどうするか。国と地方の役割分担だ。財政構造改革法でやはり頭を押さえなければいけない。もちろん、むだなものは削っていかなければならないのは当然ですけれども、その中で地方自治体への補助率の引き下げあるいは打ち切り、これがあのとき明らかに進んだと思うのです。  その中で、地方自治体がこれほどの危険校舎面積を抱えながら、あるいは改築校舎を抱えながら、いや、予算がないんだものということになってしまえば、結局、もうしばらく我慢してよ、問題を先送りする、そういうことが起こってくるのではないのか。そうすると、外形的な施設、校舎の中でも、児童生徒は危険なところで学ぶことになりはしないのか。これは当局で結構でございますので、どうぞお答えをいただきたい。
  132. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 御指摘のとおり、昭和四十年代の人口の社会的な急増、あるいは五十年後半から始まります第二次ベビーブーム等に対応するために、小中学校あるいは高等学校の建物を含めまして、相当その時期に新しく建てた校舎が今後二十年あるいは三十年を迎えるという時期にございまして、一般的に建てかえあるいは耐震補強等を要する時期に近づいてきているということは、御指摘のとおりでございます。  ただ実際に、どういう建物を、いつ、どのような形で改築をし、あるいは補強等の手入れをしていくかということにつきましては、個々具体の建物につきまして、それぞれの設置者であります地方公共団体が具体的に計画を立てていく。国といたしましては、それに対しまして、市町村の各年度ごとの需要等を見きわめながら必要な補助、予算を組んでいるということでございまして、大変厳しい財政事情の中でございますけれども、補正予算等も活用いたしまして、来年度につきましても、一応私どもとしては、市町村の需要にはそれなりにこたえ得る予算確保した、こう思っているところでございます。よろしく御審議をいただきたいと存じます。
  133. 倉田栄喜

    倉田分科員 外壁、モルタルが落ちて、子供があちこちで当たって大けがをしたという事態になれば、それこそ大問題だと思いますよ。  それから、現在の建築基準法の耐震基準、これは昭和五十六年度に改正をされていますけれども、その施行以前に建築された建物は、校舎は、面積にして全体の七一%に及んでいる。そうすると、これだって必死になって対応していかなければならない。しかし一方で、例えば公立高等学校、耐震構造への校舎改築の補助金制度、これは廃止、議論がありましたけれども廃止をされました。これも補助金打ち切りの中でそういう議論が起こったのだろうと思いますけれども、本当にこれでいいんですか。七一%のいわば建築基準法違反みたいな建物が建っているわけでしょう。  それでいいんですかという思いもいたしますし、もし耐震構造という面からももう一つのインセンティブをつけるとするならば、これが建物の耐震構造、耐えるかどうかというのを診断しなければいけないですよね。診断するにも、各地方自治体は順番にやっているんだと思うのですけれども、診断と設計みたいな形でいえば、五百万から一千万ぐらいのお金もかかる、こういうふうに聞いているわけです。そういうところも国としてはちゃんと政策的に優先順位をつけて、これはもっと前に進めていかなければ、本当にいざ事故が起こってからでは遅い、こう思うのですが、どうですか。
  134. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 御指摘の耐震基準につきましては、現在、平成八年度から、御案内のとおり、地震防災緊急事業五カ年計画の中で、小中学校の建物につきましても計画的に実施するということにいたしまして、補助率も、この間の事業につきましては三分の一から二分の一にかさ上げするという特例を設けて推進をしております。また、耐震診断につきましても、通常は、二年前までの耐震事業につきまして、国庫補助事業年度にそれを補助するという仕組みでございますけれども、この五カ年間につきましては、あらかじめ三年以上前に耐震診断をした費用につきましても、当該期間中の国庫補助事業の経費の中でこれを見るというような弾力的な措置を講じまして、何とか整備を市町村と協力して図ってまいりたいということで推進をしているところでございます。
  135. 倉田栄喜

    倉田分科員 財政構造改革法で、国の財政の問題は大変な問題ですから、あのときにやはり切ってはならないものを実は切ってしまったのではないのかという気もするのですね。  だって、危険校舎面積が四分の一あって、建築基準法が変わって耐震構造を変えなければいけないという状況の中に、もちろん文部省は、今ある限られた予算の中で年次的、年度的に精いっぱいの御努力をなさっているとは思います。思いますけれども、それで足りなかったら、ではどうするんだ。さっき、現実にモルタルの壁がおっこちてみたいな話だけでもないのですから、そこに児童生徒の生命が損なわれるような状況が発したときに、そこで慌てては遅い、こう思うわけです。  それで、そこはもう何とか地方自治体でやってくださいよという話も大きな流れかもしれません。しかし、それでどうしてもできないという現実があるとすれば、これはやはり国として手当てをしなければならない。  現在の補助金制度、財政構造改革あるいは財政再建ということも当然考えなければいけないとしても、こういう大きな問題がある。だから、これでいけるのか、あるいは、やはりここはもっと有馬文部大臣、大蔵省に頑張っていただいて、この分の予算はどうしても必要なんですよと。それは地方自治体に任せろといったって、さっき基本的には補助金は三分の一ですけれども二分の一になっている部分もあるというけれども、本当にそれではできませんよということもあると思うのです。大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
  136. 有馬朗人

    有馬国務大臣 国としてできることはやらなければいかぬと思っています。  ただ、今御指摘の、非常に危険なところ、雨漏りのところというふうなものは、一々国が報告を受けてやるというふうなことは不可能でございまして、そういう緊急対策はやはり地方自治体で積極的にやっていただかなければならないと思う。しかし、全般的に今後どうしていくかということについては、特に地震対策等々については、国としてできることはやりたいと思っております。
  137. 倉田栄喜

    倉田分科員 これは非常に私勉強させていただいて大変な問題だなと思いましたので、しっかりやっていただきたいと思います。  時間が参りましたので、最後に大臣、もう一度最初の方の総論に戻るのですけれども、橋本元総理が言われた六大改革の中で、教育改革というのも大きく位置づけられております。  教育改革、文部大臣の中で、これも非常に重要な問題、進めていただかなければならないと思いますが、私はその中で、先ほど、いわゆる均質的な、集権化的な人たちがいっぱいいる、そうでもない方もあると思いますけれども、大きな流れの中で分権化、そして同時に教育権の独立といったときに、どこまでという問題はあるかもしれませんけれども、橋本行革の中で、文部大臣御自身は、教育の分権化あるいは教育の独立ということについてどういうふうな問題意識をお持ちになっているのか。それをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  138. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私は、教育の中で地方分権をすべきだと思うことが幾つかあると思います。例えば教育委員会をさらに強くするとか、各学校ごとの自主性を促進するとか、そのためには校長先生をもっと支えていくような組織をつくらなければいけない。  そういうことのために、昨年中央教育審議会から地方教育行政に関する答申が出ましたので、この答申に従いまして、さまざまな教育改革を具体化しつつあるところでございます。中には法律を改正するような必要もあるのでありまして、そういうことについても今準備をさせていただいているところでございます。
  139. 倉田栄喜

    倉田分科員 文部大臣、しっかり頑張ってください、こうエールを送りまして、私の質問を終わります。
  140. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)主査代理 これにて倉田栄喜君の質疑は終了いたしました。  次に、辻元清美君。
  141. 辻元清美

    辻元分科員 社会民主党、社民党の辻元清美です。  先日は大臣には科学技術庁長官として科学技術委員会議論をさせていただきましたが、きょうは文部大臣として議論させていただきたいと思います。  私は、きょうは、オリンピック問題について、今政府がどのようにお考えになって、今後どのようにしていこうとしているのか、何が問題点なのかというような点について、何点か確認をさせていただきたいと思います。  まず最初に、この一連の今問題になっておりますIOCの体質や、それからソルトレークシティーに端を発したオリンピック招致をめぐる一連の疑惑、これは長野のも言われておりますけれども、このような一連の問題につきまして、大臣はどのように今お考えなのか、率直な御意見を伺いたいと思います。
  142. 有馬朗人

    有馬国務大臣 プラスの面とマイナスの面について申し上げたいと思います。  まず、国際オリンピック委員会というのは、オリンピック競技大会の開催等を行うために国際的な組織として創設されたものであり、それは随分さまざまな貢献をしてきたと思います。そしてまた、オリンピック競技大会は、フェアプレーの精神を持って相互に理解し合い、スポーツを通じて平和でよりよい世界の実現に貢献するという目的を持っているものでありまして、特に若者がこれで非常に元気づくというふうなことでありまして、IOCはこれまで、スポーツの振興や国際親善の推進に大きく貢献してきたと思う。これはプラスの面。  しかしながら、最近のさまざまな新聞等々で言われている問題、オリンピックの招致活動という点で、ソルトレークシティーの問題あるいは長野の問題、こういう点において、少しIOCがフェアプレーから外れたんじゃないか、IOCの理事会において不正行為にかかわっていたIOCの委員がいたというふうなこと、処分が勧告されるというような事態が起こってきたこと、このことについては、甚だしく残念に思っております。
  143. 辻元清美

    辻元分科員 一度聞いてみたかったんですが、サマランチさんという方に大臣はお会いになったことはあるんですか。面識は。(有馬国務大臣「残念ながらないんです」と呼ぶ)ないんですか、そうですか。よかったかもしれないと思うんですけれども。  私は、オリンピックそのものが、昔は、四年に一回大きな大会をするということで、非常に交通機関とか情報網が発達していないときは四年に一回の祭典ということでしたけれども、最近は、アジア大会とかいろいろ、いつもスポーツの祭典、オリンピック級のもの、あれほど大きくはないですけれども、いっぱいあって、それを私たちはテレビでしょっちゅう見ているということで、オリンピックの意味というのがかつてと大分変わってきたんじゃないかな、かつては何かありがたがってと言ったら変なんですけれども、やっておりましたけれども、そういうふうな変質もやはりこれは考えていかなきゃいけないなと思うんですが、大臣、いかがですか、そういう意見に対して。
  144. 有馬朗人

    有馬国務大臣 これは難しい御質問でありまして、率直に言って、御指摘のように回数が非常にふえてきた、日本の国内にもさまざまなスポーツ大会もありますね。それでも、長野の場合、冬のオリンピック大会、あるいは大きな夏のオリンピック大会、こういうところで日本の選手が大いに活躍する、あるいは世界の本当に一流のスポーツ選手が活躍する、あれは見ていて気持ちがいいですね。  我々大人が気持ちがいいと同時に、若い子供たちに夢を与えていると思う。ですから、やはりオリンピックは今でも私は意義があると思う、四年に一回というのは意義があると思います。
  145. 辻元清美

    辻元分科員 きょうは、せっかくの機会ですので、本当に率直な御意見を幾つか伺いたくて。  ただ、ちょっとやはり商業的になり過ぎといいますか、テレビの放映権の問題とか、それから出てこられます選手の方々も物すごくお金をかけて、お金かけぬと出れぬのかというような印象を持ちかねないと私は思うんです。ドーピング疑惑などもありますし、ちょっとここで、そういう商業的になり過ぎているということに対しての率直な御意見と、やはりこの際、オリンピックのあり方を抜本的に見直さなきゃいけないというふうに私は思っていますが、いかがですか。
  146. 有馬朗人

    有馬国務大臣 同感であります。  一九六四年の東京オリンピック、ああいう時代は非常にフェアプレーの精神があり、まだそれほど商業的ではなかった。しかし、最近はこういうお金のかかる時代でありますので、いろいろ苦労していると思います。ですが、理想的にはやはりオリンピックの精神というのは、アマチュアだけではありませんけれども、公明正大にフェアプレーをやらなきゃいかぬ。余りそこで商業主義が入ってくることに関しましては、私は、率直に賛成ではありません。
  147. 辻元清美

    辻元分科員 それでは次に、そうしましたら、長野、そして大阪も閣議決定で招致活動を開始しております。これに対して日本がどういうふうな毅然とした態度をとっていくかということが、世界じゅうで注目されております。ということで、ちょっと幾つかまた御質問したいと思います。  まず、長野の問題です。  二月の十二日の午前中に、日本オリンピック委員会、JOCの八木専務理事が文部省の遠藤体育局長に長野冬季五輪招致にかかわる不正の調査経過を報告されたということですが、どのような報告を受けられたのか、具体的に説明してください。
  148. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 二月十五日を期限といたしまして、IOCから回答するようにというふうにJOCが求められておりまして、IOC委員の不適切な行為を中心としたものに限ってそれは報告をしたわけでございます。それで、それの内容につきましては、九人ですかの委員につきまして、それぞれに応じてどういうことがあったかということをJOCが確認できたものにつきまして報告をしたというふうに私どもも聞いております。  具体的に言いますと、IOC委員もしくはその家族等の長野訪問、この中には複数回の訪問者が一名、三人以上の多人数での訪問に係る者が四名、本人の家族や友人のみでの訪問に係る者が四名いた。それから、贈り物につきましても触れておりまして、これは作製者の好意により日本刀がIOCに贈られたということ。それから、エージェントの活用について、情報収集及びその分析の目的でスタジオ6と契約、報酬は三十万スイス・フランで、長野に決定した場合の追加分として十五万スイス・フランの合計四十五万スイス・フランであったというふうなことが、概要でございますが、そういった報告をした。  なお、その際、私どもも聞いておりますのは、ただしJOCは今回の回答で調査を終了するということではなくて、引き続き調査を進めていく、そういう方針であるというふうに聞いておりまして、私ども文部省としても、JOCのこの調査をさらに見守って対応していきたいなというふうに思っております。
  149. 辻元清美

    辻元分科員 特に国内問題についてこのJOCはさらに調査を進めていくというふうに私も聞いております。IOCに対しての報告だけではなくて、帳簿の焼却問題、それからバーミンガムでの招致活動の内容等についても調査を進め、オープンにしていくというふうに私は理解しているんですけれども、それでよろしいんでしょうか。
  150. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 JOCの八木専務から十五日の前に私、一度調査途中報告を受けまして、そのときお話をいたしました。そのときには、今先生言われましたようなバーミンガムの問題とか、あるいは証拠の廃棄の問題等、やはり、マスコミ等で大きく取り上げられ、国民の方もどうかなと思っているような点について、できる限りの範囲で調査をしていきたいというふうに聞いております。
  151. 辻元清美

    辻元分科員 ちょっと、私は幾つか提案したいことがあるんです。といいますのも、ここをオープンにしないと、帳簿を燃やしちゃったというだけでは国民も納得しません。例えば、シドニーの場合は、これは、これまで秘密にされていた五輪開催都市契約書も公開するというようなことが報道されております。これに比べて長野はどうかというような問題は、これは国際的な問題にもなりますし、日本の世論もこれではおさまりがつかないと思います。  その調査の折にこういうことを考えたんですが、これは長野とIOCが契約を結んでおりますので、長野側が燃やしてもIOC側は持っている可能性がありますし、持っていると思います。ですから、この調査、国内問題としてだけではなくて、シドニーも公開しましたところですので、IOC側にも公開を要求していく、もしくは、スイスのエージェントとも契約を結んでいますが、こっちは燃やしてもスイスのエージェントは持っている可能性がありますので、そのようにはっきりとオープンにしていくことが、今後のオリンピックにとって、それから日本の態度として私は適切ではないかと思いますが、文部省としても、そのような、長野に対して、ぜひ、オープンにしていく過程で提案いただいたり積極的に働きかけていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  152. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 これはJOCが調査をしているわけでございますので、JOCのいろいろな都合で、何を調査対象としてどういう方法でやっていくかということは今後考えていかれると思うんですが、私どもも折々に応じて指導してまいりたいと思いますが、今の点につきましては、JOCがどう考えるかでございますが、そのような御質問があったということは伝えていきたいと思います。
  153. 辻元清美

    辻元分科員 さて、ちょっと細かい点ですが、会計検査院の方、見えていますでしょうか。御質問させていただきたいんですが、この長野には日本体育・学校健康センターというところがありますけれども、ここから、長野五輪組織委員会に対しまして二億円助成金を出しているということで、この助成金の趣旨や使途の調査会計検査院がするというふうに聞いているんですが、その後、調査の結果、もしくは調査の経過ですね、どのように今なっているんでしょうか。
  154. 増田裕夫

    ○増田会計検査院説明員 今お話しの日本体育・学校健康センターにつきましては、三月に定例の会計検査を実施する予定でございますので、その際に、組織委員会に交付されたスポーツ振興基金助成金についても検査することにいたしております。  それで、検査に当たりましては、組織委員会が助成金申請の際、センターに提出いたしました交付申請書等によりまして、組織委員会が助成金をどのような目的に使用することとしていたか、またセンターがその使途についてどのように確認しているか、そういった点について着目して検査をしてまいりたい、このように考えております。
  155. 辻元清美

    辻元分科員 三月に結果が出るということですので、もう一カ月ちょっとということですが、それはまた公表をしていただきたいと思います。このときかかわった長野のそういうスポーツ関係の、特に政府が関与している団体については、ここもはっきりとクリアにお金の使い道をすべきだと思いますので、検査院の方もしっかりよろしくお願いしたいと思います。  さて、次に、長野の調査はそうしましたらまだこれからも引き続き行うということですが、大阪の問題です。  私は、今、大阪の高槻市というところに住んでおりまして、大阪選出国会議員団の一人ですが、実は、大臣、去年の十二月、この問題が発覚する前に、私は大阪オリンピック招致推進会議の顧問を辞任させていただいたんです。これは私一人きりだったんですね。自民党から共産党まで名前を並べていらっしゃいましたので。ちょっとそのときの辞任理由を、細かい話ですが、聞いていただいた後に説明したいんですが、これは大阪市に提出したものです。  「私はオリンピックの経済波及効果に疑問をもっています。長野オリンピックを例にとると、競技施設建設費に約一千三百十七億円、運営用施設建設費に約六百五十八億円、関連道路事業費に約二千八百七十三億円、大会運営費に約一千三十億円、また、誘致活動には公表された額で五十億五千万円が費やされました。長野市は五輪終了後も、六つの五輪施設の維持・管理費に年間十六億円余の負担を強いられているうえ、長野市と長野県は多額の地方債を抱えているという指摘もあります。」これはよく出ておりますけれども。「現在大阪府は最大四百四十億円、十七年ぶりの赤字決算という極めて厳しい財政困窮に陥っています。赤字再建団体への陥落寸前であることは知事はじめ府政にたずさわる方々が等しく認識されているところです。四兆円以上の市債を抱える大阪市においてもその状況には同様に厳しいものがあります。オリンピック開催はむしろ財政的重荷となり、結果として府民、市民は大きな負担を強いられるのではないかと危惧」している点が一点。  二点目が、ここなんですけれども、これはこの問題が出る前だったんですが、「オリンピックそのものの変質も大きな問題をはらんでいると思います。私は前回一九九六年」三年ぐらい前ですけれども、「アトランタオリンピックの際、私が所属していたNGOピースボートで」NGOの活動家だったんです、私は。「アフリカの新独立国エリトリアの選手が参加できるよう協力させていただきました。」オリンピック協会とのやりとりをかなりNGO時代に私はしたことがあるんです。「その時のIOCの対応は極めて権威主義的、大国主義的でとうとうエリトリアの参加は認められませんでした。反面、IOCの商業主義への傾斜ははなはだしいものがあります。ドーピング疑惑への対応も不透明です。大阪市が計画書で掲げるような「フェアプレーとスポーツマンシップをたたえあう夢と感動のスポーツパラダイス」といった手ばなしの賛歌につつまれたイベントからはとみに遠ざかっていくものに見えてなりません。」これが二つ目の理由でした。  そして三つ目が、「二〇〇八年オリンピックには北京も立候補しています。仮にオリンピックが当初の精神を継承した開催に値する催しであったとしても、これまで夏冬三回の大会を開いた日本ではなくて未開催国の隣国に席を譲ることのほうがふさわしいのではないでしょうか。」これが三つ目でした。  四つ目は、さらにこの大阪の場合は、「競技会場には埋立地が予定されており、ダイオキシン等による環境汚染への懸念も」市民の間に広がっている。  この四つの理由で、昨年の十二月七日に、一人だけだったんですが、辞任したんですね。その後、この問題が起こってきましたので、私は、自分が辞任したという責任もありますので、しっかりとチェックしていかなきゃいけないと思うんですよね。  さて、今回、大阪オリンピック招致委員会の特別顧問を総理も見合わされたとか、大臣も見合わされているというふうに伺っているんですが、その理由はどういう理由なんでしょうか。
  156. 有馬朗人

    有馬国務大臣 現在、招致活動に対しましてIOCが検討をいたしております。この検討の結果がどうなるか、その辺を見きわめた上で私どもの態度を決めたいと思っております。  しかしながら、大阪の人々、大阪の市民が、皆さん、ぜひともオリンピックをやりたいというふうなお気持ちが強い。そういうことも私は市長以下からお聞きしております。そういう意味で、オリンピックが大阪でフェアに行われる、フェアに招致されて、そして北京とも仲よくやっていくというふうなことを考えた上でもし大阪に招致されるのであれば、これはやはり国として大いに努力をしていかなければならないと思っています。  したがいまして、なぜ今すぐに入らなかったかという御質問に対しましてのお答えは、IOCが今検討しているので、新しい招致の仕方がはっきりするまで少し待っていたいということであります。  文部省といたしましては、可能な限り支援をするというふうなことで、事務次官が私のかわりに出席した次第であります。
  157. 辻元清美

    辻元分科員 その招致の仕方を今検討中であるというふうに……。大臣のあいさつを持たれまして、二月八日の大阪オリンピック招致委員会の初会合には、佐藤文部事務次官が御出席なさいまして、今おっしゃいましたような、フェアプレーで招致活動を展開されるよう文部省としても可能な限り支援するという有馬文部大臣のあいさつを代読されたようなのですが、フェアプレーで招致活動を展開されるようという、これは具体的にIOCがどういうふうなやり方でということを待っているのですか。それとも、例えば大阪との間で、長野のときは帳簿もなくなってしまったわけですね、燃やしてしまったと今ごろわかったわけですよ、この大阪の招致活動について、今までのように、長野のときと同じような文部省との関係でいいのか。大阪については、これから、さらに長野のときよりも文部省としてもチェックといいますか、お互い話し合いをしていく、もしくは透明性を増していく、これについては具体的に何か政府として考えていらっしゃるのでしょうか。
  158. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 大臣のあいさつの中で、フェアプレーの精神で正々堂々と招致活動を展開されますよう御期待申し上げますというふうに申し上げますのは、長野あるいはソルトレークシティー等々の問題が出てきて疑惑が持たれている、そういうことではやはりいけませんと。大阪のオリンピックの招致活動をこれからするに際しては、そういった疑念の生じないように正々堂々とやっていきましょうという決意のあらわれ、市長さんもそういう宣言をされておりますが、総論として、まずそういう方向でいきましょうということでございます。  あと、私どもがそれにどういうふうにかかわっていくかというのは、今大臣からも申し上げましたように、今のIOCでの検討結果がどういうふうになるかというのを待って私どもも参加を検討させていただくということになると思いますが、もちろん、委員として参加することになれば、きちんとした、正々堂々とした活動が行われるよう、私どもも、委員に入った場合には委員として意見を言っていくということになろうかと思います。
  159. 辻元清美

    辻元分科員 今、ちょっと御確認させていただきたい。  委員に入った場合は、正々堂々と行われているかどうかをチェックするという意味ですか。入られない場合はどうなるのでしょう。
  160. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 委員に入らない場合には、この招致委員会自体は法人ではございませんので、任意団体に今なっておるわけですね。それに対して、私ども、直接指導監督の立場に立つわけではありません。しかしながら、JOCと共同でこういうオリンピックに関してはいろいろ活動されるわけですから、私どもとしても、スポーツを所管する文部省としては非常に関心があるわけでございまして、その限りにおいて、気がついた点があればいろいろ助言といいますか——指導監督の関係には今のところはないのです。法人化するということになればそれはまた別でございますが、しかしながら、繰り返しになりますが、スポーツ全体を所管している文部省としてサポートするようなことは申し上げていくということになろうかと思います。     〔鈴木(淑)主査代理退席、主査着席〕
  161. 辻元清美

    辻元分科員 昨年の暮れに閣議決定をして招致活動というのは開始されているので、私は、やはり閣議決定したものが、その委員に入らなければ、任意団体なのでどのような、それも今これだけ焦点になっている問題ですから、招致活動について云々する立場ではないというような姿勢はおかしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  162. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 閣議了解をいたしまして、政府として大阪の招致活動を支援していきましょうということは、昨年もう了解をしていただきまして、政府としてそういう方向に向かってこれから動こうと思っているその姿勢には変わりはないわけです。  ですから、今申し上げましたように、その支援の形というのはいろいろあると思います。事務的なものもありますでしょうし、それから、活動について気がついた点があればアドバイスをしていくというふうなことも、もちろん文部省だけではなく関係省庁がそれぞれ適宜適切にやっていくということは従来と同じだと思っております。
  163. 辻元清美

    辻元分科員 そうしたら、ちょっとさらに確認させていただきたいのですが、支援していくというのとチェックしていくというのはちょっと別だと思うのですが、今チェックが問題になっていますので、それについてはいかがですか。
  164. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 チェックという意味ですけれども、さっき私ちょっと申し上げましたように、組織委員会なんかになりますと財団法人になるわけですね。そうしますと、指導監督という関係に立ちますから、それは権限としてチェックをするということはできると思います。  ただ、そうじゃない任意の団体の場合に対して指導監督という立場には立ちませんから、そういう立場でのチェックというのは難しいということでございまして、だから、ではもう全くほっておくんだというわけではございませんで、さっき申し上げましたように、必要なアドバイスはしていくということでございます。(発言する者あり)
  165. 辻元清美

    辻元分科員 今ちょっと話が出ましたが、法人化の話、これは私、これからやはり今までのような任意団体で帳簿を燃やしてというようなことはもう通用しなくなると思いますので、大臣、いかがですか、私は、はっきりと法人化してオープンにしていく、ルールに従うというふうにすべきだと思いますが、どうでしょうか。
  166. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび申し上げているように、もう三月の半ばぐらいにはIOCの態度も決まってくると思う、こういうことも参考にしながら、健全な方向に進むべく努力をいたしたいと思います。もちろん、法人、きちっと組織委員会がつくられればこれはもう当然監督というか指導ができるわけですが、その前の段階をどうするか、招致の段階をどうするか、この辺に関しては、今後検討したいと思います。  ただ、人間というのは、過ちを犯したとすればそれをもう一回やることはない、努力はしなければいかぬということは明らかです。
  167. 辻元清美

    辻元分科員 そうしますと、大阪も既に招致のために二十数億円使われたと言われておりますし、これについても、私は顧問を辞任した立場ですけれども、市の方からも、顧問でいたときもはっきりとした説明を受けていないのですね。ですから、今までの招致活動、それから、これからの招致活動のガイドラインについて、もちろん市がオープンにすることと同時に、やはり大臣が、これから、何といいましても、文部省の任意団体やいうても管轄の中だと思いますので、大臣情報公開をもう徹底的にすべきであるというふうに思っていらっしゃると思いますけれども、もう一度ちょっと決意を聞かせていただけますか。
  168. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 その点につきましては、大阪の市長さんも公明正大にきちっとやっていきたいというふうに言っておりますから、大阪市の方でそういった適切な対応をとっていただけるだろうというのはまず一つあります。  それから、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、限界はありますが、アドバイスの形として、今どうなっておるのだろうかというふうなお話というのは適宜伺って、アドバイスが必要であればアドバイスはしていく、そういう関係になってくるだろうと思います。
  169. 辻元清美

    辻元分科員 そうしますと、私は、これは大阪市にも言いますけれども、今までやった活動、これは事件発覚前ですから同じようなことをしていたかもしれないという疑いもなきにしもあらずですね。  それで、そこはもうやはり私たちチェックしていかなければいけないと思いますし、それと同時に、今後、最初はどうも市は招致委員会の活動費を三年で四十五億円と試算していたという試算が出たり、もう数字があれやこれやいっぱい出ているのですね。ですから、私たち大阪出身の国会議員皆、後ろの人も前の人もそうですけれども、これはしっかりチェックしていかなあかんと思いますが、大臣、いかがですか。もうこのまま私は、先ほど申し上げましたように、北京に譲った方がいいのではないかという立場で質問しているのですけれども、大阪につきましては、今文部大臣やっていらっしゃいますので、本当にもうオープンにオープンにというように、それは大臣のお気持ちだと思いますが、もう一回確認させていただきたいと思います。
  170. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび申し上げておるように、私は、大阪市に対しても、市長が見えたときに、公明正大にやってほしい、フェアプレーでやってほしいということを実にしつこく申し上げた次第であります。ですから、その精神で今後も見守っていきたいと思っております。
  171. 辻元清美

    辻元分科員 それでは時間が参りましたので、この問題につきましては、また引き続き取り上げさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  172. 西村眞悟

    西村主査 これにて辻元清美君の質疑は終了いたしました。御苦労さまです。  次に、吉田治君。
  173. 吉田治

    吉田(治)分科員 民主党の吉田治でございます。  今、大阪市民でない高槻市民の議員さんから、大阪市民が熱望してやまぬオリンピックについての御質問がございましたので、私は、急遽質問項目をかえまして、このオリンピックについて御質問をさせていただきたいと思います。  まさに私ども大阪市民が念願してやまなかった、私が子供時分に、まだ今でもお元気でいらっしゃいますけれども、当時の大阪市長の大島さんが一度、オリンピックをするんだというお話を議会でぶち上げられました。私どもは子供時分、テレビを見ながら、大阪にオリンピックが来るのか、こんなすばらしいことはないという日の感動を、三十年近くたっても、今でも覚えております。  それがいよいよ現実のものになっていくという中におきまして、まさにIOCのさまざまな問題、これは過去に言われておりました。この起源は、もうだれに私が言うまでもなく、局長にも言うまでもなく、ロサンゼルス・オリンピックではなかったか。オリンピックはもうかるというふうなときからオリンピックはおかしくなった。たまたま今この時期においてそうなったからといって、オリンピックを他の国に、また他の地域に譲るということは断じてでき得ない。しかもその国が北京。北京という国は大臣、あれは民主国家ですか。民主主義の国でしょうか、はっきり申し上げまして。国会議員、私たちのようにみんなに選ばれるのでしょうか。どこかでだれかが、一党支配のもとでなされている国に、自由の祭典であるオリンピックというものを持っていく必要は私は決してないと思います。  その中において、しょっぱなですけれども大臣と担当局長、わざわざ残っていただいて申しわけございません。一点だけ。  閣議決定がなされました。今、大阪市民は非常に心配しております。何かといいますと、招致委員会ができた、お国がだれも入っていない、今大臣いろいろ言われましたけれども、何で国は応援してくれへんのや、選挙で負けたところに対してはそれだけ冷たいことをするのが東京の発想かという感情も、今非常にほうはいとして出ている。  そしてまた招致活動の内容につきましては、まさに長野の反省の上でもって、私ははっきり局長に答えてもらいたかった、大臣にも答えてもらいたかったのですけれども、今大阪市は、これは法人化の方向を目指しているはずです。これは各大阪市議会議員さんに、皆さんに聞いていただいたらよくわかります。先ほどの質問の中で、今まで使われたお金——はっきり申し上げまして、日本一怖いのは大阪市議会です。大阪市議会のあの先生方の前でしようもないお金の使い方をしたら、どんな目に遭わされるかということは御存じない方の質問ではなかったかなと、私は今強く思っております。その辺の法人化の動きというものを認知しているのかどうか。  また、このオリンピックの招致について、今後、国はまさに大阪市民の希望をもって、どういうふうに対応されるのか。いつの時点でそれは入られるのか。時期的なめど。そういうようなものを含めて言っていただくと同時に、まさにロサンゼルス・オリンピックからオリンピックの堕落が始まったのであれば、この大阪オリンピックから先ほど大臣の答弁にもございました新しい招致の仕方という中で、世界に対して、自由と民主主義を愛する我が日本国においては、商都大阪においてオリンピックをこういう形でしたと、新しい手本になるようなオリンピックの招致の仕方というものを私はしていただきたいと思います。  局長、大体これで答弁の時間ができましたか。では、局長に答弁していただいて、あと大臣、よろしくお願いします。
  174. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 お答えいたします。  大阪市の方でこの招致委員会を法人化したいという意向につきましては、私どももたしか一度お話を伺ったことがございます。その後、まだ具体的に参っておりませんけれども、私どもとしては、そういった意向というものは尊重して、適切に対処していきたいというふうに考えております。
  175. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび申し上げますように、政府としては閣議決定をしておりますから、全然にフェアプレーで行われる限りにおいて、大いにそれをお手伝いしたいと思っています。  それで、具体的には、IOCの考えが定まった後、それを参考にして我々のやり方を決めさせていただきたいと思っております。しかしながら、今法人化のお話などありましたので、こういうことももちろん考慮に入れて、透明性の高い、あくまでもフェアプレーのできる、そういう組織でやっていただく限りにおいて我々は大いにお手伝いいたしたいと思っております。
  176. 吉田治

    吉田(治)分科員 担当局長、IOCの、その出るのは大体めどはいつぐらいなんですか、今のところ、入れている情報としては。
  177. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 私ども聞いておりますのは、IOCの臨時総会が三月十七、十八に行われる。そこで、処分勧告などを理事会で決定しておりますから、そういった問題について、その総会の場で議論がされる。それと同時に、そこで二〇〇六年のオリンピック開催の選び方につきまして決めるというふうに私ども聞いております。
  178. 吉田治

    吉田(治)分科員 では、その三月十七、十八でオリンピックの選び方が決められたら、まさにこれが、先ほどから言われている新しい招致の仕方というふうに考え、四月一日以降ぐらいにはめどとして参加できるということになるのですか。
  179. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 正確に申しますと、三月十七、十八日で決まるのは、二〇〇六年の開催地の決定の方法等が決まるというふうになっておりまして、二〇〇八年以降につきましてはその後だというふうに現段階では私ども承知しております。  しかしながら、三月十七、十八の議論それからその結果というのは、一つの流れというのがそこでおのずから出てくるだろうということで、私どもとしては、それがどういうふうになるのかなということを注目していたいということでございます。
  180. 吉田治

    吉田(治)分科員 今の局長の話を聞いていましたら、ダブルスタンダードなんですね。十七、十八の流れを見るというのと、いや、でもそのときに決めるのは二〇〇六年で、二〇〇八年じゃない。  ということは、二年後に決まるまでそのまま行かへん、参加しないかもしれない、その間に衆議院選挙が必ずある、そこで自民党がどれだけ勝てるかによって決めようか、そういうふうに大阪の人はひょっとしたらとるかもしれないのですけれども、その辺についてはいかがなのでしょう。
  181. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 二〇〇八年それから二〇〇六年の決まる時期というのは、IOCが言われていることをそのまま今お伝えしただけでございまして、二〇〇八年の方法について、いつ決まるかというのはわかっていないのです。  少なくも来年の秋までには——二〇〇八年の立候補をする場合には、案内書が届くのですが、その案内書はことしの秋に届く、遅くともそこまでには届くのですが、ただ、私どもとしては、二〇〇八年の開催の方法が決まるまで待つのか、二〇〇六年の開催方法が決まった段階で、その様子を見て対応していくのか、そのセレクションの余地はあると思いますけれども、今のところ、やはり二〇〇六年の議論をまず見て、そうすると、おのずと感触というのはつかめてくるのではないかというふうに私は今のところ思っております。
  182. 吉田治

    吉田(治)分科員 大臣、余り言いたくないですけれども、二〇〇八年の終わり、来年の秋というたら、私らの任期、来年の秋までなんですよ。
  183. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 ことしの秋です。
  184. 吉田治

    吉田(治)分科員 ことし。いや、違う。だから来年の秋に決まるのでしょう、二〇〇八年は。今そう言われた。来年の秋に決まって、その招待状がことしの秋に来ると。
  185. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 二〇〇一年です。
  186. 吉田治

    吉田(治)分科員 二〇〇一年。ということは再来年の秋に決まる。その招待状が来年来るということね。それでいいですね。
  187. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 ことしです。
  188. 吉田治

    吉田(治)分科員 おかしいよ、それは。ちょっともう一遍、その辺は整理して。聞き方によったら、二〇〇八年の開催の決定方法は来年の秋に決まるよと。どうです、その辺はちょっとはっきり。今そう言われたでしょう。速記録を起こしたら全部書いているよ。
  189. 遠藤昭雄

    ○遠藤(昭)政府委員 整理して申し上げますと、二〇〇八年の開催地決定方法をどうするかというのは、ことしの秋までに少なくも決まるでしょうと。ことしの秋に決まりますから、IOCの方から、立候補をするところはどうぞ出してくださいという案内状がことしの秋に発出される予定になっております。そして、二〇〇一年に開催候補地が決まるという手順になっております。
  190. 吉田治

    吉田(治)分科員 それで整理できました。途中はしょられたので、お互い誤解があったと思います。  大臣、最後、できるだけ早く、速やかに参加する、四月一日から入るというぐらいお願いしたいと思います。
  191. 有馬朗人

    有馬国務大臣 まず私は、大阪自身が、IOCがどう考えるかということによって招致の仕方が変わると思う。違いますか。まず、そこの態度がはっきりすれば、私どもとしても大いにやりやすくなるということを申し上げましょう。  すなわち、IOCが三月の半ばにやるであろう、これがいつどういうふうにまとめてくるかわかりませんけれども、そのことを参考にして、それは二〇〇六年のものである。それはともかく別にして、今後どうするかの最初のひな形が決まるわけですね。それはまず参考にしていきたい。同時に、大阪自体が招致委員会をどうつくるかということがそこで決まる。そこで私ども考えさせていただきます。
  192. 吉田治

    吉田(治)分科員 頑張って大阪市もやっていると思いますし、大臣もそうつれないように、大阪市がまず頑張って、そこから私らが考えるんやと。やはり、都市の立候補ですけれども、最終的には国がどれだけバックアップするかで評価されるというのは、大臣御承知ですよね。ちょっと速記録に入れなあかんから、はいと言ってください。
  193. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私の態度というか文部省の態度は、次官が出席して既に申し上げているとおりでありまして、公明正大なやり方で行われる限り全面的な支持をするということは繰り返し申し上げております。
  194. 吉田治

    吉田(治)分科員 よく理解しました。ありがとうございます。  それでは、本来の質問に戻らせていただきたいと思います。  大臣はもちろん大学の学長をやられて、ただしずっと国立大学の学長でいらっしゃいました。私は、どういうわけか予備校からずっと私学でございまして、私学の大学を出ましていろいろな大学でちょこっと教えたりしておりました中で、私学の大学経営というもの、ある意味で、もちろん私学助成というふうなもの、これは憲法問題も私はあると思うのです、果たしてそういうことをしていいのかどうかというふうな。しかしながら、実態上はそれをしなければ私学自身が成り立たない。  その一つの理由には、例えば、私学は建学の精神というのがそれぞれあると思います。各大学創立者という方がおられて、その方の思いが込められて大学ができている。そうしますと、大学入試というふうなものを考えたときには、本当は建学の精神に合う人だとかそういう人たちがひょっとしたら優遇されてもいいのではないか。また、その私学のためにどれだけ貢献したかという貢献の仕方は、単に頭だけではなくして、例えば、言いづらいことですけれども、アメリカではよくありますようにドーネーション、寄附というものをどれだけしたか。大臣よく御承知のとおり、アメリカの大学ではお金を積んだら入れるところがあるが、イギリスではそれはないというふうに言われております。まさにその辺のあるべき姿だとか中間的な状況で、今、日本の私学の大学経営というのがなされているんじゃないかな。  また、大学自身も、例えば早稲田大学奥島総長を初めとしていろいろなことに乗り出し、今の情報化だとか国際化だとかアジア太平洋だとかいう中で頑張られていますけれども、やはり助成金というふうなものに、表裏と言っては語弊がありますけれども、規制というふうなものが結構あってやりづらいというのもあるのですけれども、国立大学の総長というお立場であるならば、国からのお金とはいいながら授業料もいただきながらの大学経営をまさになさってきた立場として、この規制の緩和というもの、特に私は、これからこそ建学の理念というものを大事にした私学運営というものがなければ、この少子化の中の大学経営というものは乗り切れないのではないかな。  時間の関係もございますので、あわせて、それと同じように短期大学のあり方があると思います。  大臣もかねがね答弁等で言われておりますように、十八歳人口の減少に伴う学生確保の難しさであるとか教育サービスにおける質の面での競争激化、また学校間の競争というふうな中において、文科系、家政学科系の志願者の減少というのが著しく目立っている。まさにそういう中で、文部省では短期大学のあり方、先日も文部省の方が説明に来られて、本年文部省では法案を出されて、二つの短期大学を四年制の学科に昇格というか変更なさっていくというふうなことも聞いております。  そういう中で、短期大学、いろいろな方法があると思いますけれども、できるだけ四年制の大学にうまくフィットさせるというんですか、変えさせるというふうな方向一つあっていいのではないかな。短期大学のままでいく方法もあれば、やめるという方法もあれば、四年制にしていくというふうなさまざまなあり方があるのではないかと思うのです。  この二つ、本来別の質問にさせていただきたかったのですけれども、急にオリンピックの話がありましたので、まとめてお答えをいただきたいと思います。大臣、申しわけございません、時間がございませんので短く。済みません。あともう一つだけありますので。
  195. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私はずっと長く国立大学にいましたけれども、短いのですけれども法政大学にも勤めておりましたので、私学の実態もよく知っているつもりであります。  まず、私学に関しての助成をふやすというようなことを今文部省全体として非常に努力をしているということを私は申し上げたい。  そして、さまざまな規制ということをおっしゃられましたけれども、このところ随分規制は減りました。税制上の規制、あるいは私学助成をふやすだけじゃなくて税制上の優遇措置とか、さまざまなことで規制緩和は最大限やっているところであります。なお必要なことがないわけではありませんけれども、もう随分なくなったとお考えいただいてよろしいかと思います。  次に、短期大学についての御質問でありますが、私は、原則短期大学は、結局はそれをつくっている設置者の考えということを重要視したいと思っています。しかしながら私は、短期大学は一部残せという気持ちを持っております。少なくとも一部は残しておきたい。ああいう短期大学の持っている役割というのはやはりあるわけですね。今まで随分その役割が貴重なものとしてあったわけでありますので、やはり設置者の問題ではありますけれども、もし短期大学を残しておきたいというお考えがあれば残しておいたらどうかと思います。  ただし、短期大学というような名前については、今後大学審議会等々で検討しまして、場合によっては変えるという可能性も出てくるかと思います。
  196. 吉田治

    吉田(治)分科員 その場合、先ほど言いましたように、例えば短大から、設置者の意向と言いましたけれども、設置者が短大をいろいろ設置基準を満たして四年制にするというふうな場合には、特段の配慮という言い方はよくないかもしれませんけれども、普通何にもない方が四年制をつくるよりもやりやすくというのは、例えば、文部省今までそういう短大の議論というのは随分されていると聞いているのですが、その辺はいかがなんでしょうか。その辺を含めて。
  197. 有馬朗人

    有馬国務大臣 もちろん四年になれば設置基準がありますね。その点やはりきちっと守っていただかなければいけませんけれども、しかしそれも随分大綱化されて、前よりは楽になりました。  そういう点で、短期大学があれば、随分もう既に下地ができているわけでありますから、全くゼロから出発するよりははるかに楽に設置が許可になると思います。
  198. 吉田治

    吉田(治)分科員 そういう少子化の中において、私学関係者の方とお話しするとおもしろいのは、高校の私学というのは非常に厳しい。九〇%行っているので少子化で減ってくる。大学はまだいい。三〇%、四〇%の中を、減ってももっと来いもっと来いとやればいいという中で、設置基準を緩和、緩和というか随分されてこれからふやしていくというお考えだと聞きました。  もう一点は、大臣ですからお答えをしていただけると思うのですけれども、今非常に不景気の中で、会社を例えばリストラとかでやめられた方もいらっしゃいますし、またスキルアップという形で自分自身を磨き上げるというふうな、ブラッシュアップと昔言ったと思うのですけれども、昔はブラッシュアップで今何でスキルアップになったのかなとふと思うのですけれども、やはりその中で大学院というものの果たす役割、大臣がおられた東京大学もそうですし、私も少し在籍しました京都大学でもまさに社会人のコース、マスターを取れるコースというのは随分出てまいりました。  しかしながら、実際私議員になりまして、もう一度勉強したいなと思っていろいろ要項を取り寄せるんですね。いろいろ話を聞くとやはり、申しわけないんですけれども、間の日のウイークデーの講義の時間を必ず三こまか四こまはとってもらわなければ困るというふうな話も出てまいります。  一部、大阪大学ではそういうことがないように、大阪駅前のビルの一室を借りて、出前の大学院という形で、たしか大阪大学だと思うのですけれども、土日であるとか夜とかにそういう大学院のコースを設置していると聞いておるのです。  そういうマスターだとかドクターだとか、おもしろいのですが、その辺のことについて余り議論されずに、例えば科技庁、大臣所管されておりますけれども、ポスドク何たらとか、そういうふうな方にはお金が出ているのです。やはりそこのところを、今度は反対に国際的に通用する人材というのが必要になると、やはりマスターコース、ドクターコースというのをどう取っていくか。これは大臣、私が言うまでもなく、海外へ出たとき名刺をもらうと、ドクターは必ずDr.とつくのですね。お医者さんはMがつくのですね、メディカルドクターで違うという、MDと書いて。  まさにそういうふうなものを、私たちも、大学云々だけでなくて、その上のレベルというふうな部分も私はこれからもっともっと必要になってくると思うのですけれども、その辺についての取り組みというふうなのは、今はどういうふうになっておるのでしょうか。
  199. 有馬朗人

    有馬国務大臣 大学院に関しては、二つ問題があると思うのですね。  一つは、きちっとした五年制、すなわちマスター二年、それからドクターコース三年という、これは少し短く四年でやることもできますけれども、そちらをもっと充実していくということ、これが一つ重要だと思います。  それからもう一つは、社会人の再教育ということ、これが問題だと思います。生涯学習の一環としての大学院の役割というのが非常に大切だと思います。  御指摘のように、まだまだ社会人教育という意味での大学院の活躍というのは非常に制限されています。それにしても、今御指摘のように、大阪大学あるいは筑波大学等々は非常に努力をしていますね。そして、社会人の方たちが出やすいように、例えば町の中に大学院をつくるというようなことの努力もしているのであります。そういう点で、社会人が大学院で再教育を受けやすいように努力をしております。  それからもう一つ。奨学金という点で、社会人まで及ぶかどうかわかりませんけれども、特に博士課程における奨学金は抜本的に今ふやしております。ポスドクというのは、もちろんポスドク一万人計画でふえてまいりました。しかし、ポスドク等一万人計画だったということに御注意いただきたい。その「等」を使って、大学院、特にドクターコースの学生に対する奨学金の支援を大いに伸ばしております。  ただ、社会人にまでそれが及ぶということは、私もちゃんと調べてありませんので今わかりませんが、調査をしておきます。
  200. 吉田治

    吉田(治)分科員 まさにそこの、私は、かえって社会人のところに、今、大臣は生涯学習という言い方をされました。これは、私のイメージからすると、リタイアされた方が、後、年いってから何をするかという発想じゃなくて、まさにリカレントという部分で、やはり会社へ勤めている人が、今、大臣も言われました、夜行って、そこでマスター、ドクターを取って、極端なことを言うと、それによっていいコースを歩めるように、私はより一層の努力お願い申し上げると同時に、大臣には大変失礼なんですけれども、短大のあり方についての検討というふうなものを、事務方の方から、今、どういう状況になっているのかということをお答えいただければと思います。
  201. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 短期大学につきましては、御案内のように、例えば就職をするとか専攻科へ進学するとかあるいは四年制大学への編入学など、多様な進路があるわけでございます。そういったことから、短期大学の魅力を生かしていくということが非常に大事であると基本的には考えておるところでございます。  ただ、御指摘ございましたように、十八歳人口の減少に伴いまして、今後、短期大学を取り巻く状況というのは一層厳しいものがあろうかと思っております。  そういった中で、短期大学については、教養教育と実務教育を結合した専門的職業教育とか、あるいは、地域社会と密着した多様な生涯学習機会の提供などの要請にこたえていくことが必要であるというふうに思っておるわけでございますが、現在、大学審議会におきまして、昨年十月にいただきました「二十一世紀の大学像と今後の改革方策について」という答申というものを踏まえまして、社会や時代の変化に対応した短期大学の制度上の位置づけや名称などについて議論をしていく、議論を開始する、そういう段階でございます。
  202. 吉田治

    吉田(治)分科員 これは、議論を開始して、大体どれぐらいをめどでされるのですか。ですから、議論もとは昨年十月の大学審議会の答申に基づいているということですけれども議論はどういう議論の中身になって、それがいつぐらいに、集約というか方向性を持って世に問うというか、短大の皆さん方にこうだというふうにやるわけですか。
  203. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 大学審議会の中に大学教育部会というのがございます。その大学教育部会の審議を重ねていくわけでございますけれども、他方におきまして、短期大学協会においても、今後の短期大学のあり方ということについて、やはり関係者が集ってさまざまな議論を開始しておるところでございます。そういった議論の動向、さらには短期大学関係者の幅広い意見の集約といったことも今後必要でございます。  そういったことどもを考え合わせますと、ここまでに結論を出すということはなかなか申し上げにくい状況にございますけれども文部省といたしましてはできる限り早く、でき得れば、でき得ればでございますけれども、おおむね一年程度をめどに方向性を示していただければというふうに考えておるところでございます。
  204. 吉田治

    吉田(治)分科員 では、でき得る限り、でき得ればということで一年程度という中で、大学教育部会の方でいろいろな話をまとめながら一つの形、方向性というものをしたいというのが、復唱になりますけれども文部省の考えだ、中身については昨年十月の答申を見てくれたらわかるだろうということですか。
  205. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 昨年十月の答申におきましては、短期大学及び高等専門学校、これらも視野に置いて検討を進め、二十一世紀の大学像というものを構築していただいたわけでございますけれども、やはり中心となっておりますものは四年制大学でございます。  したがいまして、短期大学については、さらに、短期大学関係者、さらには高等専門学校関係者を加えて、我が国の短期高等教育のあり方として、少し幅広い観点から議論をしていく。そういうことで、今回、大学審議会で議論を再び開始するという次第でございます。
  206. 吉田治

    吉田(治)分科員 ということは、中身はまだないということで、これから議論をする、そういうことでよろしいのですね。
  207. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 さようでございます。  そのような方向で御理解いただければと思っております。
  208. 吉田治

    吉田(治)分科員 では、しっかりとしていただきたいと思います。  もう時間も最後になりましたので、これは私、かねがね、ずっと、役所に電話して聞けばいいことかもしれませんが、聞くと大体けんもほろろに答えが返ってくるので、大臣に。  大臣、JETプログラムは御存じですね。これは文部省中心になって。私もアメリカにおるときに、アメリカ人が、日本へ行きたいんだけれども何がいいと言ったら、JETプログラムが一番いい、これで行くのが間違いないと。来てからいろいろトラブルがあったりするのは、それはもうおいておいていいと思うのですけれども、これほどすばらしいプログラムというのは私は世界の中でも日本しかないのではないかと。妙なものをしない、妙なことをさせないというふうな非常にすばらしいプログラムだと私は思っております。対象国も英語圏のみならずというふうに聞いております。  ただ、私は、一つだけ当時から残念だなと思うのは、プログラムを終わった人たちが、ほなさいならと言って海外へ帰る、運がよくて地元の企業に勤めるとかいろいろあると思いますけれども、そのOBのネットワークというんですか、これは多分、例えば周恩来元中国首相は日本へ留学していたとか、そういうふうな一つの大きなあかしというのがその後の日本の歴史を変えるということもある。JETプログラムというのはまさに私たちの税金でやっていることでもあります。こういうことをしているということは、将来、日本国民のためだけではなくて、その子たちの将来のため、日本の国の将来のためというふうなものに何か、行った人たちもそうしたいなというのがあるのですけれども、その辺は、現状どうなっていて、これから、例えば何かそういうことを考えているのか。いや、それはもう終わったことだからというふうになるのか。ちょっとその辺を大臣、答えられなければ事務当局で結構でございます。
  209. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 JETのプログラムを終わってそれぞれの国へ帰った人たちの問題でございますけれども、これは外務省におかれまして、それぞれの国における在外公館におきまして、今先生がおっしゃられたような趣旨も踏まえた努力をしているところでございます。ただ、完璧といいましょうか、全体に網がかかって十分な成果を上げているかどうかという点は今後いろいろ研究しなければならないかと思いますが、組織としては一応そういうものができ上がってございます。
  210. 吉田治

    吉田(治)分科員 もう時間で、終わりますけれども、なかなか難しいでしょうけれども、私は、その辺はしっかりしてもらったら、まさに日本理解者、大臣も御承知のように、留学生が全然来ない日本において、毎年定期的にあれだけ来てもらってこれだけおってというのは絶対ありませんので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。  ありがとうございます。
  211. 西村眞悟

    西村主査 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。  次に、藤村修君。
  212. 藤村修

    藤村分科員 民主党の藤村修でございます。いつもお世話になります。  きょうは、まず第一には、医学教育の関係のことで少しお尋ねをしたいと思います。  このたび、国立学校設置法の一部改正で、いわゆるきょうまでの医療技術短期大学部、それが徐々に各国立大学などでも廃止になり、そして医学部の保健学科などの名前で四年制に統合されていく、これは大変いい方向であろうと思っております。例えば看護婦さんの養成についてもそういうことで、まず最初に、保健婦、助産婦、看護婦の養成所指定規則、これはカリキュラムにかかわることやら学校の設置にかかわることなどが細かく決められているようでありますが、この今の保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則について、平成八年に規則の改正が行われて、平成九年四月から施行されているということでございます。この改正の趣旨、そして改正のポイントについて、これは事務方でも結構でございますが、まずお尋ねしておきたいと思います。
  213. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 指定規則の改正の趣旨でございますが、大きく言って二つあろうかと思っております。  一つは、教育内容の見直しと規定の大綱化でございます。具体的には、看護職等に求められるニーズの変化等に伴いまして、学校及び養成所の指定に係る教育内容を見直すとともに、大学設置基準等の大綱化を踏まえまして、大学や短期大学がそれぞれの教育理念、目的に応じた柔軟な教育課程を編成できるように、教育内容に関する規定の大綱化を図ったということが一つございます。  それから、二つ目といたしましては、教育条件に関する規定の見直しをしたということでございまして、看護を取り巻く環境の変化に伴いまして、専任教員数、授業形態等に係る基準を見直したわけでございます。例えば、資格を有する専任教員につきまして、看護婦学校養成所は四人でございましたのを八人にする、当分の間は六人でございますけれども、八人にするとか、一学級の定員を、十五人以上五十人以下であったものを、同時に授業を行う学生生徒数を四十人以下とする、このような内容とする教育条件に関する規定の見直しを行ったところでございます。
  214. 藤村修

    藤村分科員 今、大綱化ということと、それから教育条件の見直しという大きな二つの趣旨であって、これは必ずしも看護婦、保健婦、助産婦学校関係だけではないと思うんですね。いわゆる医学部、医師を養成するということと、それから保健学科などは、看護婦、保健婦、助産婦、あるいは理学療法士、作業療法士、それからさらには診療放射線技師、あるいは視能訓練士、衛生検査技師、臨床検査技師など、多岐にわたった、いわゆるコメディカルというんでしょうか、その養成があり、そして、先ほどの医療技術短期大学部がどんどん廃止されていって、医学部のそういう四年制の学科になっていくにおいては、看護婦だけでなしにそういう部分にも当然配慮が要るというか、あるいはそういう部分もある意味では同時にやっていかないと、大学教育という考え方からいけばそごが生じるのではないかと思うわけであります。  ところが、聞いてみますと、例えば今作業が進んでいるのは、昨年十二月の年末に、理学療法士学校、作業療法士学校の関係のことが答申が出て、それが通達をされて、今その分野に手がついた。私、今、三番目に聞きたい点は、診療放射線技師の問題なんですが、まだそこには全く手がついていないということでありますので、これは文部省としては実は厚生省が審議会などでおやりになることで待っている姿勢だけなのか、大学教育においてやはり文部省はこうするんだということを考えていただかないといけないんじゃないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。
  215. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 指定規則の改正を行ったわけでございますが、指定規則の改正に当たりまして基本的に留意しなければならないことは、やはり適切な臨床能力を有する医療技術者の養成ということ、そういう基本を踏まえる必要がどうしてもあるわけでございます。そういった観点から見た場合、やはり厚生省の専門的な判断、考え方というものがどうしても必要となってくるわけでございます。  したがいまして、文部省といたしましては、この問題については厚生省と連携しつつ考えていく必要があるわけでございますが、他方におきまして、先ほども申し上げたところでございますけれども、大学、短期大学についてそれぞれの教育理念や目的に応じた柔軟な教育課程を編成できるようにしていくということも、やはり特色ある教育を展開する上で極めて重要なことと考えております。  したがいまして、文部省といたしましては、優秀な医療技術者を確保するという基本理念を踏まえつつ、厚生省と十分な相談を行っていきたいと思っておりまして、御指摘の診療放射線技師等につきましても逐次見直しを行っていく必要があるということで、積極的な働きかけを厚生省に対して行ってまいりたいと考えているところでございます。
  216. 藤村修

    藤村分科員 おっしゃることはそのとおりであります。要はスピードの問題ですね。  それで、看護婦関係平成八年にできたわけですから、それに関係する保健婦助産婦看護婦学校養成所の指定規則の変更について、趣旨などを先ほどお伺いしました。つい昨年暮れの、今度は理学療法士学校、作業療法士学校の件もおおむね柱は同じようなことで、カリキュラムについても大綱化ということで出ているわけですから、流れはそういうことで、それは並行して実はやれることではないかなと思うんですね、文部省が単独でやることじゃないので、当然厚生省と相談をされるんですが。  例えば今の診療放射線技師に関して、困っているというか、そごが出ているといいますか、これは多分五年ぐらい前から、私の地元、例えば大阪大学に医学部があって、ここがやはり保健学科ができて、いわゆる大学における四年の教育でかつ臨教審答申以降の大綱化でやっていこうというときに、例えば一つカリキュラムの細かい話で言いますと、大学は、それと同時に、例の教養部とそれから専門の区別がほとんどなくなりましたですよね。ところが、片やこっちの指定規則というのはそういう考え方が残っていて、例えばこんなことがあるようです。科目なんですが、学生が自然環境と人間という科目を受講した場合、これは指定規則の中でいうと自然科学なのか、人文科学なのか、社会科学なのか、いずれに入れたらいいんだろうか。  これはほんの一例でございますが、つまり、大学のカリキュラム、教育内容の大綱化が行われて、あるいは教養部と専門とが区別がなくなり、大学は大学で非常に今改革方向で進んでいるのに、片や厚生省との関係の医学教育の問題についてはどうも、もう五年もたっているのだけれどもどうなっているのだろうかという、これは大阪大学の一つの例でございますが、何とか早くならないですか、こういうことなんです。  今やっと、理学療法士学校、作業療法士学校については、昨年暮れに厚生省の方からそれなりのお話が出て、それで文部省の方でも各国立大学、短大等々に通達がされましたので、一歩進んだのですが、診療放射線技師についてはどうなるのでしょうか、今後のお話としては。
  217. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 御指摘ございましたように、指定規則を見直すことによりまして、従来個々の授業科目ごとに必要な授業数を定めていた、そういう方式から、個々の授業科目を見直して、教育内容として大くくりをして教育内容について必要な単位数を定める、そういうようなことが行われておるわけでございます。  そういった意味で、現実的な対応というものができるようになる、そういう利点というものが極めて大きいわけでございまして、文部省といたしましても、厚生省に対してできる限り早い対応をお願いはしておるところでございますが、厚生省といたしましては、残された、例えば臨床検査技師といったものも考慮に入れつつ逐次見直しを行っていくということで、御指摘の診療放射線技師については、平成十三年度の実施を目指して検討を進めるということでございます。  文部省としても、厚生省に対するより早い検討というものの働きかけはしてまいりたいと思っておりますが、申し上げたような次第であるということについても、御理解をいただければと思っております。
  218. 藤村修

    藤村分科員 平成十三年度というと、まだ二年先の話ですよね。大学のこの大きな大綱化という意味では、もうこれは、過去七、八年になるのでしょうか。そういう中で、そういうそごが生じたまま、さっきの、一つの例を申しましたように、自然科学なのか人文科学なのか社会科学なのかという大学の担当者も困るような事態が生じて、もうそうすると七、八年たってしまうということで、どうしてこれは、文部省でもう少し独自に考えられないものか。  例えば、今の診療放射線技師の指定規則でいいますと、三十科目で二千九百時間で三年以上、これはまさに大綱ですね。さらに、指定規則はその中で非常に細かくがちがちに決めているので、それは、他の保健婦、助産婦、看護婦なんかももう二年前には大綱化されたし、それから今回は理学療法士、作業療法士も大綱化されるし、それを先取りして、つまり、大学教育の中においては現存する診療放射線技師の指定規則は適用除外にする。こうすれば、大学教育の中では、もちろん大きな枠組みとか、それから当然、いわば厚生省と一緒にやっている指定規則は、ガイドラインとして存在はするわけです。ただ、これを厳にがちがちに大学を縛る必要があるのか。文部省は独自にそういうことができないのでしょうか。
  219. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 いずれにしても、御指摘いただいた事柄については、施設の卒業者に対して国家試験資格を授与するということにかかわるわけでございます。  したがいまして、この問題は将来的な検討課題とする必要があるというふうに思うわけでございますが、やはり、医療技術者の養成ということになりますと、当然医療現場におけるニーズというものを踏まえたものでなければならないわけでございまして、医療行政を所管する厚生省においてやはり基本的な検討ということが必要でございますし、また、例えば、御指摘いただきました診療放射線技師の関係で申しますと、大学や短期大学で養成している人員が五四%でございます。残りの四六%は厚生大臣指定の養成所で養成が行われるというふうな実態もあるわけでございます。そのように、大学以外の養成施設で養成が行われるという実態も踏まえますと、やはり厚生省と十分に連絡をしながらこの問題は対処していかなければならないと思っておるところでございます。
  220. 藤村修

    藤村分科員 佐々木局長、今相当矛盾があります。  例えば、では看護婦はどうですか。これは、文部省関係が三割、厚生省関係が七割でありますから、最後の方でおっしゃったことは理屈に合いませんね。それから、では、それなら医師の養成はどうですか。国家試験で縛っていますね。しかし、医学部教育の中身については、厚生省はそんなに縛っていないですね。  だから、文部省が、こういうコメディカルの部分の教育にちょっと関心がなさ過ぎるのじゃないかな。本当は文部省が、特に大学教育という——今移行をさせてきているわけでしょう、医療技術短大とかあるいは大学附属の高等看護学校とかから。となれば、看護婦は先に、二年前にやってしまっていますし、看護婦は厚生省関係七割、文部省関係は三割ですよ。今の五十何%というのは、それなら、順番からいったらそっちからやるべきじゃないかという話になりますし。  有馬文部大臣、今聞いていただいたように、今大きく大学教育の中身、改革が進んでいる中で、非常にいい方向で、カリキュラムについては相当大学で独自に工夫できる、大綱化をするのだ、これはこれでいい。ところが、細かく言いますと、今の例えば医学教育の周辺分野において、何か厚生省が動かないと文部省はどうしようもありませんみたいなことが起こっているので、私は、ですから、それなら適用除外をすればいいじゃないかと。ガイドラインとしては当然、厚生省と文部省でつくられる指定規則は指定規則として存続させていく。しかし、大学に移管した場合は、これは適用除外ということで、もちろん大枠の部分ではやりますし、なおかつ、実は国家試験というところでちゃんと縛られているわけですから。医学教育はそうです。これは文部大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  221. 有馬朗人

    有馬国務大臣 難しいところであると思います。就職先ということを考えたときに、やはり厚生省と文部省が意見が食い違っていたらだめですね。ですから、今の御指摘の点は、少し急いでやった方がいいと思います。しかし、厚生省とはやはり今後も協力して、卒業した人々が適切な就職場所があるようにしていきたいと思っております。  それからまた、勉強した人々がそれぞれきちっとした技術を学んでいくというふうな環境の整備もしていかなければならない。しかし、御指摘のように余り時間がかかり過ぎるようなことに関しましては、少しこれから早くやるように努力をさせていただきます。
  222. 藤村修

    藤村分科員 せっかく大学の改革の中でカリキュラムの大綱化ということを実施して、もう何年もたちますので、そういう具体的なところでそごが出ないように、かつ文部省の独自性というものも発揮して、もちろん厚生省と打ち合わせて急いでやっていただきたい、こういう陳情でございます。  次に、本来文教委員会でやるべき大テーマでもございますが、その中の、最近教育改革の中の大きな柱の一つになっているチームティーチングということであります。  それで、私は、もう残りが余りありませんので、何が聞きたいかというか、何が言いたいかというと、文部大臣もおっしゃっているとおり、欧米並みに教師一人当たりの生徒数は近づけていきたい。その方法として、よく、では学級数を減らすのか、それともそれ以外のチームティーチングのようなものを導入するのか。これは比較して言われますので、それじゃチームティーチングとはそもそもどんなことかということをお聞きしたりしたかったのですが、この中で、現状のチームティーチングは、第六次の配置改善計画で、もうこれは四年目になるのでしょうか、相当数が配置されてまいりました。  それで、あと十一年度と十二年度で完成するわけですが、数でいうと、もう相当、九割ぐらいまで来ていますので、いよいよ現時点の教育効果、あるいはその評価について、文部大臣のお話をお伺いしたいと思います。
  223. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私は今専門家にどういうやり方が一番いいかということを検討してもらっています。その中には、教育効果をよくするためにどのくらいの人数がいいかとか、あるいはチームティーチングのやり方の方がいいのか、さまざまな点から検討してもらっているわけでありますが、財政的な問題というのは常につきまとっているわけであります。ですから、財政的な問題を解決しつつ、その範囲で、財政的に許される限りの中で、一番いいやり方は何かというのを検討してもらっているところです。  なお、私が非常に関心があるのは、今、心の教育等々さまざまな問題を考えております。果たしてこれは、五十人から四十五人になったときによくなったんであったろうか。四十五人から四十人になったのが一九八〇年ですか、そのことによって画期的によくなったのか、これを私はぜひとも確かめた上で判断をしていきたいと思っています。
  224. 藤村修

    藤村分科員 文部大臣も、去年の一部の発言で、例えば、アメリカでは三十人がいいというデータもあるということも御承知のとおりであります。  ただ、今それはそれで研究をされているということですが、多分、今御発言の中であった五十人が四十五になり、四十になり、やはりそれぞれのサイズにおけるいわゆる指導法というのがあると思うのです。だから、チームティーチングというのも、単に複式の担任が来た、あるいは二人の先生でやるというときに、今までの四十人のやり方で一斉授業をやって、それでもう一人の先生は一部の人たちに、わからない人か、あるいは進んでいる人かについてやるという、そのやり方自体がそれでいいのか。  つまり、今お伺いしたかったのは、現状でチームティーチングの教育効果、あるいはどのようにそれを評価されているのかという点なんです。
  225. 有馬朗人

    有馬国務大臣 必ずしも非常に多くの学校を見てきたわけではありませんけれども、幾つかの学校でチームティーチャーがどういうふうに働いているかというのを見てまいりました。随分いろいろなやり方がありますね。  一つは、同じ数学のクラスで、子供ですから算数でしょうか、算数のクラスで、一部の人はそこの本来の先生が教える、それから一部は、多少早く進むような子でしょうか、OHPなどを使って少し違ったやり方をしている、こういうふうなクラスでも大いにチームティーチングが活躍していると思いました。  それから、ついこの間見てきましたところでは、やはり教育の上で難しい子がいる。その子供、例えばすぐ立ち上がってしまうとかいうような子供でした、小学校の二年ぐらい。そこでは、チームティーチャーが横についていて、そして、その子がなるべくほかの子供たちと一緒にいろいろな先生の話をちゃんと聞けるように、横について指導していました。さまざまなやり方があると思います。  それから、人数の上で、私はごく最近学んだことですけれども、理科教育で実験などをする上で、やはり小人数、二十人くらいのクラスに分けた方がいいということを見てきました。そういう面では、チームティーチャーが理科教育の場合には一人ついて、あるいは数学などもそうかもしれません、小人数でやる方に行く方がいいと思いますので、そういうところでも、チームティーチャーがもともとの人と一緒になって二十人くらいの実験をしていくというようなことで、有効かと思います。  こういう面で、チームティーチングをどうやればいいかというのは御指摘のとおりでありまして、やはりより有効な使い方、子供たちにとって最もふさわしい格好の、この時代に向いたやり方を考えていかなければならないと思っています。
  226. 藤村修

    藤村分科員 ですから私は、これは今後の文教委員会の議論にもなると思いますが、TTを充実するということと、それから、我々も学級の定数を三十人にしたいという希望もありますが、このことを余り比較して、TTか三十人学級かなどという話では多分ないと思うんですね。  といいますのも、TTをそれは一生懸命配置をいただいてきました。といいましても、この第六次の全体計画の中では一万五千九百三十一人程度であります。あるいは、チームティーチングだけでいえば多分一万四千二百九十七人。これは、全国の小学校、中学校にそれぞれ配置しますと、例えば小学校でしたら〇・三〇四校に一人ぐらい。小学校は七千三百八十六人の配置、小学校の学校数は二万四千二百九十五ですね。学級数といえばこれに相当掛けるわけです。中学校だと〇・五八三校に一人。だから、一校に一人は全然ないんですね。  だから、当面は、今確かにいろいろ問題があるところとかに手配をして、TTでやってみて、うん、なかなかいいところがあるということであるならば、やはり各校一人ぐらいという規模にならないと、本当にその意味がわかってこないと思います。それならば、一方では、いわゆる義務標準法の四十人というもの、これを本当にある意味では大幅に変えるという考え方が出てくるわけであります。  小学校の数が二万四千幾ら、中学校が一万一千。だから、TTだと、平均で言いますと、一校に一人といえば三万五千人ぐらいの配置。そのぐらいの規模でやるなら、それなりの評価をしたいと私は思うんですが、ちょっと今のところは焼け石に水ではないかなという気がしておりますが、もし御意見がありましたら。
  227. 有馬朗人

    有馬国務大臣 これも私が見せていただいた学校の例ですけれども、中学校でした。一年、二年は三十人学級に既になっていました。それで、三年生がまだ四十人学級だ。そういうのがやはりあるんですね。学校によって、ほとんどもう三十人以下になっているところも多いんです。ですから、四十人やらなきゃならないというふうに多くの子供たちがいるようなクラスに対して手当てをするというふうなことを考えていく必要があると思います。  ですから、配置をするときに、これは各地方の教育委員会の問題でもあると思いますが、そういうふうにクラスの実態を見た上で、各学校あるいは各地域でうまく使っていただけると大変ありがたいと思っております。
  228. 藤村修

    藤村分科員 最後に、四十人、あるいは三十五人、あるいは三十人、少ない方がいいに決まっているということで、「異常な日本の「四十人」基準」という新聞の見出しがありましたので、ちょっとすっと目が行きました。  いろいろな国のクラスの数を書いてあるんですが、ホンジュラスが五十人、日本が四十人、ラオスが四十人、トルコが四十人と来まして、スコットランド三十三人、スロバキア三十人、トリニダードトバゴ三十人、クウェート三十人、グレナダ三十人、デンマーク二十八人、スイス二十六人、ずっと大分来ます。  先進国と言われる国々は今の後の方に来ておりますので、確かに、四十人とする今の義務標準法については、TTとは別にやはり真剣に検討を始めていただきたい、こういうことをお願い申し上げたいと思います。
  229. 西村眞悟

    西村主査 これにて藤村修君の質疑は終了いたしました。御苦労さまでございます。  次に、藤木洋子君。
  230. 藤木洋子

    藤木分科員 日本共産党の藤木洋子でございます。きょうはよろしくお願いをいたします。  早速でございますけれども、私が出ております出身地の兵庫県、これは、ことしの一月十七日で阪神・淡路大震災から五周年を迎えました。神戸の町を訪れた方たちは、立派に復興したというふうにお考えの方も随分いらっしゃると思うんですけれども、実態はなかなか、そうではございません。実際、今なお仮設住宅での生活を余儀なくされていらっしゃる方は数千世帯に及んでおりますし、自営業の五割近くの方たちが、本格的な営業再建ができていないというような状況でございます。失業率にいたしましても五・六%を超えるというような状況でございますので、被災者の生活と営業を取り巻く実態というのは極めて深刻だと言わなければなりません。  こうしたことが実は子供の上にも非常に大きな影響を与えているという問題で伺いたいと思うのです。  兵庫県の教育課が、県内のすべての私立高等学校を対象に昨年十一月現在の実態を調べました。ここで学費滞納をしている生徒が一千六百二人、そのうち被災市に所在する高校における滞納者が一千四百四十八人、大方がそうなのですね。これは被災市の私学高校生の四%を占めておりまして、二十五人に一人が滞納者ということになっております。一方、被災市外の私立高校での滞納者は一・六九%でございますから、百人に一人ないしは二人ということになっているわけで、被災地のひどさというのがおわかりいただけると思うのです。  今の調査をお聞きになりまして、大臣がどのような御認識を持たれたか、あるいはどのように受けとめておられるか、ひとつお話しをいただきたいと思います。
  231. 有馬朗人

    有馬国務大臣 兵庫県が県内の私立高校における授業料滞納の状況調査したことにつきましては、新聞報道等で承知しており、大変心配をしております。その新聞報道によりますと、学費滞納者が昨年十一月現在で千六百二人、今おっしゃられたとおり、全体の約三・六%であるという結果が出ているとのことであります。  兵庫県が特に問題の点もあると思いますが、全国的に私学の子供たちが授業料滞納というふうなことが言われております。現在の経済不況等を背景に、倒産やリストラなどで職を失い、保護者の収入が激減したために、私立高校生が学業を放棄する、断念せざるを得ないということは、まことに残念に思っております。  ただ、このような観点で、授業料軽減を行う学校法人に対して都道府県が補助を行う制度は既にありまして、特に兵庫県を含めすべての都道府県で整備されていると思います。今後この充実をさらに進めていきたいと思っていますし、必要に応じて要請を行っていきたいと思っております。
  232. 藤木洋子

    藤木分科員 大臣が今おっしゃいましたように、確かに全国的な不況ということも、これはそのとおりであります。しかし、兵庫県の場合は、震災の痛手から立ち上がれていない、体力を失っているところにその不況をかぶったというところが、他都市とはまた一つ違った深刻さがあるということをぜひ知っていただきたいと思うのですね。  今もお話ございましたけれども、授業料の軽減助成というのがございますけれども、その申請ですが、兵庫県の私立学校教職員組合連合が調査をした十六校について見てみますと、これは昨年、九八年十一月九日現在のものでございますけれども、申請率は実に三五・六%なのですよ。平均しますと三人に一人が申請している。最も申請率が高い高校は六七・八%、こんな状況になっているわけですね。こうした結果を見ますと、単に一般的な不況の影響があるからという見方はとるわけにいかないだろうというふうに思うのですね。  ですから、大臣、その点、やはり震災の影響というものがかなりひどいのだということをぜひ御認識いただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  233. 有馬朗人

    有馬国務大臣 これは私も個人的にも、私の長男があの辺に住んでおりますので、非常によく知っております。それから、先日はトライやる・ウィークに行ったついでにその状況を見てまいりました。この点に関しては重々認識いたしております。  ついでに申し上げますと、私立高等学校の学費が足りないという、あるいはもう少し勉強のお金が要るのだというふうな人々には、奨学金も緊急対策ができるようになっておりますので、こういうものも多いに活用していただきたいと思っております。
  234. 藤木洋子

    藤木分科員 その奨学金問題についても後でちょっとお伺いをしたいというふうには思っておりますけれども、兵庫県の私立学校教職員組合のアンケートに寄せられた父母の声がございますので、たくさんあるのですが、幾つかちょっと紹介したいと思うのですね。  「震災で工場、店、家屋をなくし、ローン返済しながら再建しています。個人経営なので学費の負担が大きい」、また「震災の疲労のため父親が倒れ収入が減ってしまいました。私立の学費を公立と変わらない程度に引き下げてほしい」、こういった声だとか「震災以降ボーナスが出なくなり毎月の授業料の支払いが大変です」など、震災を受けたがゆえの経済的な苦しさの訴えというのがずいぶん数多く寄せられているわけですね。被災者が、震災さえなければ負うことのなかったそういう痛手を重荷として背負っているということは、否定できないわけです。  被災生徒の生活実態がどうなっているか、大臣自身は御子息もおられてよく御存じだということでしたけれども、教育現場そのもので生徒たちがどうなっているかという実態をやはり国としてきちんと把握をしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  235. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 先生の今のお尋ねでございますけれども、個別にわたり、またプライバシーにもわたるということで、なかなか困難な点があるわけでございますが、先生が御指摘になりましたような生徒たちの震災からくるさまざまな影響、教育面あるいは生活面でのさまざまな影響というものは、大きな課題として受けとめなければならないと私どもも思っております。  現在は、個別に県の関係者等から実情を聞いておるわけでございますけれども、さらに実態把握に努める、こうした努力はしてまいりたい、こんなふうに思っております。
  236. 藤木洋子

    藤木分科員 実態把握はぜひ力を入れて進めていただきたいというふうに思いますね。  国は、大震災の直後に、被災地の私学の学費補助にかかわって補助金を出してこられました。それで、奨学金の前にお聞きするわけですけれども、この私立高等学校等経常費助成費補助金、この交付要綱というのがございますね。これを見ますと、特別の事情がある都道府県に係る補正といたしまして、阪神・淡路大震災により被災した児童等に対し、授業料の減免措置を講じた事由に基づき、県補助金を増額して交付した場合は、当該府県については、別に定める国庫補助単価を増額するものとするということがございまして、特別な措置をとっていただきました。  その趣旨ですね。とられた措置の趣旨、目的は何のために行われたのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  237. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 阪神・淡路大震災により被災した生徒等に対して、授業料軽減措置を講じた京都府、大阪府それから兵庫県に存在します私立学校に対して、それら府県が実施をした授業料軽減事業の経費の二分の一を国が補助したものでございます。これは、平成七年度に限っての措置でございまして、それを行いました理由といたしましては、震災により、私立学校に在籍している生徒等の保護者が死亡あるいは重傷を負ったり、居住する住宅が全壊、半壊等したことから、授業料軽減措置というものが焦眉の急であったこと、それに加えまして、その生徒が在学する学校にかかわるところの学校法人だけでなく、学校法人を支援する立場にある地方公共団体自身が地震によって甚大な被害を受け、その財政事情が逼迫し、国として支援する必要があったことなどを踏まえまして、国として、緊急かつ臨時的な措置として行った特例措置でございます。平成七年度に係る特例措置でございます。
  238. 藤木洋子

    藤木分科員 私、二分の一をやっていただいたとか、そんなことを伺ったのではなくて、その趣旨と目的を伺ったのです、るる説明されましたけれども。  九五年の六月十九日付で、兵庫県の総務部の教育課長が各学校法人の理事長あてに出した私立学校における入学料、授業料等の軽減に対する特別補助の創設についてという文書があるわけです。この中で述べている趣旨は、阪神・淡路大震災により被災した児童生徒が経済的な理由で勉学を続けるのが困難となるのを回避するためというふうに書いてございます。私は、ここに述べられていることがまさに目的であろうというふうに思うわけです。  ですから、この制度で、被災した一定の要件に基づく家庭の生徒に対して学費軽減を行った学校に対し、県から補助が行われました。これは被災者にとって本当に助かったんです。大変助かりました。ただ、今もお話しされたように、その年限りだった、震災直後の一年間限りの措置だったということなんです。だけれども、これは経済的な理由で勉学を続けるのが困難となるのを回避するためということを目的にしてやっているわけですから、学費補助のための国の補助が震災後一年で終わってしまう、一年きりのことだというのは、どうも信じられません。  文部省は、被災者が一年で援助を必要としないような状況に回復したというふうに認識しておられるのではないでしょうか。どうですか。
  239. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 国の補助と都道府県が行う授業料軽減事業にかかわる補助とは、やはり区別して考える必要があるんだろうと思っております。  やはり都道府県においては、高校への修学を支援する観点から授業料軽減事業を実施しておるわけでございます。それに対して国がどのようにかかわっていくのかということについては、先ほど申しましたように、平成七年度は、地方公共団体自体が極めて厳しい財政事情にあったということを踏まえて、国として授業料軽減事業を行う府県を補助という形で支援をしたということであるわけでございます。  このような措置を継続して行うかということについては、文部省といたしましては、御案内のように経常費助成というのがあるわけでございまして、高等学校等の教育条件の維持、向上、修学上の経済的負担の軽減等が図られるよう都道府県が行う経常費助成に対しての補助ということを行っておるところでございまして、文部省としては、今後ともその充実に全力を傾けていくということが適当であると考えておるところでございます。
  240. 藤木洋子

    藤木分科員 特例はやめたけれども、経常費に対する補助は行っているから何らかの形で助けているではないかというふうに私には聞こえるんですけれども、本当にそうなっているかということなんです。  国から特別補助が出たときには、学校法人に対して、軽減した生徒の割合に応じた減額、この学費の八割から九五%、八〇ないしは九五%が補助されたわけです。ですから、県が通常行っている学費補助よりもかなり手厚く補助されました。このような通常の枠を超えた思い切った措置というのがどうしてできたかといいますと、やはり国からの補助があったからこそできたことなんです。  兵庫県の私立高等学校の授業料軽減補助のための予算というのは、震災が起こった年度は、特別補助と合わせまして約三十一億円になっております。そして翌年度は、一気に激減いたしまして約十三億八千九百万円になっているわけです。ですから、これでは本当に、被災した児童生徒が経済的理由で勉学を続けるのが困難になるのを回避するためといった所期の目的を達成したというふうに思われないと私は思うんです。  普通であれば、年とともによい方向に向かっていくというのが普通であります。しかし、被災者の生活と営業の再建を取り巻く実態は、震災のダメージから立ち上がれないうちに不況が見舞ってきたという影響を受けておりますから、一層深刻化しているというのが事実であります。先ほどの調査では、九七年のデータもとっておりますけれども、県が行っている授業料軽減補助への申請率は、九七年は三一・七%だったんです。それが、九八年は三五・六%というふうにふえているわけです。  こうした状況もとで、被災者の声に耳を傾けていただきたい。生徒たちの立場に心を寄せていただきたい。学ぶ権利をどう保障してくれるのか、このことが国に問われているというふうに私は思うわけです。  今は、被災地の実態を踏まえれば、震災被災者の生徒で申請があった者について、震災直後にとったような、国の補助で学費軽減が受けられるようにするということが求められているというふうに思うんです。これは難しいことだというふうに言われたのですが、大臣の政治的なお立場で、それに対する措置がとれるものかどうなのか、ひとつ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  241. 有馬朗人

    有馬国務大臣 阪神・淡路の大震災の被害というのは今でも続いていることは、重々認識いたしております。しかし、国の限られたお金の中で、財政の中でどういうところに重点的にやっていくのがいいか、さまざまなことがあります。例えば、学校の先生たちの人数をどうするかというようなこともありますし、さまざまなことを勘案しながら、最もよい方針をとってまいりたいと思います。
  242. 藤木洋子

    藤木分科員 実は、学費が払えないために勉学の機会を失ってしまう、これはもう教育を保障されないということですから、しかも、それが十五、六歳の子供たち自身の責任ではなくて学べないということですから、いろいろな使い道はあるでしょうけれども、やはり優先的にお考えをいただきたいことの一つだということを私は申し上げておきたいというふうに思います。ぜひそれも実態を調査して、必要な場合はやっていただきたいと思うんです。  これは、なぜそういうふうに申しますかといいますと、他の省庁は、単年度ではなくて延長措置をとってこられたわけです。しかも、一定の期限があって、それがもう切れるんだけれども、実態を調べて、必要であれば延長するということで措置をとってきておりまして、今なおとり続けている、そういう措置というのがあるわけですから、だから、本当に文部省がやる気になればできるのではないかということを私は痛切に感じるわけです。学ぶ権利を保障する、そして子供たちの将来にかかわることについてたった一年の特例措置しかとらないというのは、やはり道理に合わないことだということで、改めていただきたいというふうに思います。  しかし、国の財政が厳しいということも私、重々承知しておりますが、この特別補助が実施されたときでも、私学の高校に渡っている国のお金は十億円にもならないんです。ところが一方、大水深コンテナターミナルのバースがありますけれども、これはもう大変お金をかけてつくった立派な港のバースであります。そこに一体どれだけ船が入ってくるかというと、五割の稼働率もないというような、船が帰ってくる当てがないというような、そういったところに数百億円のお金が、国からのお金が惜しみなく投入されたわけです。そういうことを考えますと、お金の使い道が大事だとおっしゃった大臣のその気持ちは、ぜひとも子供のために、お金の使い道をむだなく回してもらうように頑張っていただきたいというふうに思います。  震災から一定の年数が経過しても、実態はこれまで述べてきたように非常に深刻なものでありますから、震災直後にとられた措置の趣旨に立ち戻って、ぜひ大臣が責任を持って、実態をよくつかんでいただいた上で、軽減措置がとれるような方向を御検討いただきたいというふうに思います。そのことを強く要望させていただきます。  あわせて、県が行っている学費補助について、夏に補助希望者の募集を始めて、実際に補助が受けられるのは秋以降になります。申請を打ち切った後で経済状況が急変するという場合もあるわけです。ですから、次の申請まで待って実際に学費補助が受けられるのは、最長で一年近く後にならなければならない、こういった矛盾があるわけです。せっかくある制度をより実態に合ったものにするために、申請締め切り後でも随時申請できるような弾力的運用をするように、ひとつこれは大臣から御指導をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  243. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 御指摘いただいております、都道府県における学校法人に対する授業料軽減補助事業、これは現在、全都道府県で実施をされておるわけでございます。  この事業につきましては、文部省は従来から弾力的な対応を各都道府県にお願いしておるところでございまして、それを受けて対応していただいているところが多うございます。御指摘の点も含めまして、引き続き、この制度がより有効に機能するように、都道府県に対して必要な指導を行ってまいりたいと思っております。
  244. 藤木洋子

    藤木分科員 今の弾力的というその弾力の幅なんですけれども、私が伺ったところでは、去年の所得ベースにかかわらず、今年度の見込みで、例えばリストラされて、去年はまともにもらったけれども、それはもう使い果たして、リストラされたので、今年の見込みでも申請できるというような弾力性だというふうに伺ったのですけれども、そうじゃなくて、申請が行われたときには申請するまでもないと思っていた人が、その後に急変するという場合は、前期の授業料は払えたけれども後期が払えないということが出てくるわけですね。ですから、随時行えるような、幅を持たせた弾力化ができるようにしていただきたいということなんですが、それもよろしゅうございますか。
  245. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 事業の主体は各都道府県でございます。したがいまして、今御指摘のございましたことが全都道府県において実施ができているのかあるいは実施ができるのかということについて、この場で申し上げる状況にはないということは御理解いただきたいと思いますが、文部省といたしましては、学業を継続することの重要性あるいはその人にとっての重大性というものを考えて、それぞれの府県において適切な対応がなされるよう指導してまいりたいと思っております。
  246. 藤木洋子

    藤木分科員 それでは、学業を継続することの重要性があるということで県が独自に判断をして随時にやった場合は、これは柔軟性というふうに考えていただくことができるということでございますか。
  247. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 御指摘のとおりでございます。さようでございます。
  248. 藤木洋子

    藤木分科員 わかりました。ぜひそれはそういった幅を持たせていただくことをお願いしたいというふうに思います。今度のその趣旨がぜひ生きますように、高校生の三割を占める私立学校の生徒の学ぶ権利を保障していただきたいというふうに思います。  次に、奨学金の問題です。  日本育英会の奨学金制度にかかわって伺いたいのですが、災害時や家計負担者の所得激減時などには、奨学金を受けるための要件である成績基準と所得基準を弾力的に運用されました。成績基準については、一般貸与基準よりも低い成績でも貸与の対象とするというふうになっております。しかし、あくまでも基準の緩和でございますから、一定の、かなりの成績基準というものの要件を満たしていませんと、申請をあきらめなければならないという生徒も出てくるわけです。  今回、九九年度の予算案協議にかかわって、成績要件そのものを撤廃する、学びたいという意欲さえあれば、経済的に学べない子が学びたいという意欲さえあれば貸し与えるというように、撤廃をするための運動をしていこうというようなことが報道されております。  これは政府筋ではないですよ、政府筋ではありませんけれども、議員レベルでそういうことが行われると言っております。対象として、親の失業などで家計が急変したときというふうに報道では書かれてあるわけですけれども、震災被災者は震災の影響でもう四年前に急変をしているわけです。この急変した状況が今改善されずに持続しているということになっておりますから、もしこのような措置がとられるような場合には、当然震災被災者をも適用の対象にするということを考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  249. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 育英奨学事業の実施に当たりましては、御案内のように家計基準があるわけでございます。この家計基準について、保護者の家計状況というものが急変をし、緊急に奨学金が必要となった場合には随時応急採用をするという仕組みがあるわけでございますが、その際、家計基準は、急変後の状況を勘案するなど弾力的な運用を行っておるわけでございます。  したがいまして、応急採用という制度自体はあくまで現時点、ある時点における家計の急変ということを念頭に置いているものでございますので、そういう家計状況が継続しているようなケースについては、この制度を適用していくということは難しいと考えておるところでございます。
  250. 藤木洋子

    藤木分科員 しかし、急変後の家計状況も柔軟に対応するというふうにもおっしゃいましたよね。それと、今おっしゃった、難しいとおっしゃるのとは矛盾いたしませんか。
  251. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 阪神・淡路大震災によって家計状況というものが極めて厳しい状況に置かれ、その状況が数年にわたって継続しているようなケースについては応急採用という対応をするのが困難である、それはできませんということを申し上げた次第でございます。
  252. 藤木洋子

    藤木分科員 ぜひ、大変困っている震災被災生徒たちの実態を把握された上で御検討をしていただきたいということを強く要望させていただきたいと思います。  最後になりますけれども、被災地に配置をされております教育復興担当教員についてお伺いをいたします。  県の教育委員会の調べによりますと、阪神大震災の影響で心のケアが必要な小学生は、七月一日現在で県内で二千四百二十六名、昨年に比べて二百七十二名ふえているわけです。県教委の学事課では、幼児期の体験が深い傷として残っている上、たび重なる転居や家庭の経済状況の悪化が影響しているとも考えられるというふうにしております。こうした調査結果をごらんいただいて、子供たちの健やかな成長を保障するためには教育復興担当教員がどうしても必要でございます。  これは大臣にぜひ引き続きお願いしたいと思うのですけれども、教育復興担当教員については、必要な人員配置といいますか、人数だけを、ぜひ今後も継続して配置していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  253. 有馬朗人

    有馬国務大臣 平成十年度においても、兵庫県の実情や要望を踏まえまして、児童や生徒の心の健康に関する相談等に適切に対応できるよう、特別に二百七人の教員の定数加配を行いました。やはりこういうカウンセリングの担当教員は重要だと思います。  平成十一年度の取り扱いにつきましては、なおメンタルケアを要する児童が相当数いるという兵庫県の要望を踏まえまして、検討をしてまいりたいと思います。
  254. 藤木洋子

    藤木分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  このたび私たちが申し上げてまいりましたのも、心のケアの問題でもそうですし、学資がないために学校へ行けないという問題もそうなんですけれども、やはり出発点は実態からだというふうに思うのですね。ですから、ぜひとも実態を把握していただいて、何年たったから問題がなくなったというのではなくて、実態がどうかというのが最大の問題だというふうに思うのですね。ですから、この点をリアルにつかんでいただいて、子供たちの学ぶ権利を保障する、前途ある未来をつぶさないために、大臣、責任を持って対処をしていただきますように心から希望をして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  255. 西村眞悟

    西村主査 これにて藤木洋子君の質疑は終了いたしました。  また、文部大臣におかれては、長時間お疲れさまでございました。御苦労さまでございます。     —————————————
  256. 西村眞悟

    西村主査 次に、平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係機関予算自治省所管について、政府から説明を聴取いたします。野田自治大臣
  257. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 平成十一年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  一般会計につきましては、歳入は三千百万円、歳出は十三兆六千二百六十二億円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度の予算額十五兆二千四百九十四億二千七百万円と比較し、一兆六千二百三十二億二千七百万円の減額となっております。  また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省十三兆六千二十四億三千三百万円、消防庁二百三十七億六千七百万円となっております。  以下、主要な事項の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。  よろしくお願い申し上げます。
  258. 西村眞悟

    西村主査 この際、お諮りいたします。  ただいま野田自治大臣から申し出がありました自治省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  259. 西村眞悟

    西村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  260. 西村眞悟

    西村主査 以上をもちまして自治省所管につきましての説明は終わりました。     —————————————
  261. 西村眞悟

    西村主査 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。田中甲君。
  262. 田中甲

    田中(甲)分科員 民主党の田中でございます。  三十分間の時間をいただきまして、自治大臣に御質問と申しますか、私が国会議員として常々考えていることをきょうは自治大臣にお話をさせていただいて、大臣の御所見をお聞かせいただければありがたい、そんな思いでマイクの前に立たせていただきます。  今、国会では、憲法の検証ということが求められてきている、そういう様相を呈しておりますけれども、憲法というものに対して国会が調査をしていく、あるいは審議をしていく、こういうことがやはり私も必要なんだろうというふうに考えているものでございますが、大臣は、そのことに関して、非常に幅の広い問いかけをして恐縮でありますけれども、どのような御認識を持たれているか、お聞かせいただければありがたいと思います。
  263. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 二つの側面があろうと思います。  政府あるいは閣僚の一員として行政分野について責任を負うという立場からいえば、当然のことながら、現行憲法の条項、これを最大限尊重という以上に、それに従うという責務があると思います。  同時に、一方で、政治家なり、あるいはいろいろな幅広い角度からいうならば、憲法そのものの中にも改正の条項がありますとおり、当然のことながら、時代に合わせていろいろな現行憲法についての議論が行われるということも、タブー視してはならないことであるというふうに思います。     〔主査退席、鈴木(淑)主査代理着席〕
  264. 田中甲

    田中(甲)分科員 ありがとうございました。  憲法の検証をするということは、私も、先ほど申し上げましたように、非常に重要なことであって、立法府においてそのことが今まで行われてきていないということに逆に問題意識を持つ、そういうところでございますが、同時に、戦後五十三年間、我が国日本が、憲法の検証というものが行われてこなかったと同じように、過去の戦争における、第二次世界大戦の戦前、戦中、戦後における極めて重要な事実を明らかにするという行為を欠かしてきてしまったのではないかということを、この憲法の検証ということが話題に上がって論議がされればされるほど、私の気持ちの中でふつふつと、憲法の検証をする、もちろんそれは必要なこと、だけれども、戦前、戦中、戦後の真相を明らかにする、事実を明らかにしていくということを、ドイツと比べても日本という国は怠ってきたのではないだろうかという思いを私自身が持つものであります。  戦後、我が国日本がアジアからどのように見られているか、あるいは先般も韓国の大統領が訪日されたり、あるいは中国の国家主席が訪日をされたり、新しいアジアのページをつくろうとしている、その未来志向の一歩を踏み出そうとしている、そういう流れが始まりつつあることも認識できるところなんですけれども、これから二十一世紀に向けての前向きな姿勢をとる、そんなときに、果たして、今私が申し上げた、事実を明らかにするということを本当に行ってきてアジアの国々から信頼を醸成する日本の姿というものが、現在あるだろうかという疑問を持つのであります。  事実を明らかにしてきたかどうか、その点も踏まえまして、戦前、戦中、戦後の真相究明という、その日本の姿に不足している点があったのではないだろうか、あるいは、大臣がもし、これで十分であるというお考えをお持ちならば、もちろんそれでも結構でありますが、大臣の御所見というものをお伺いできればありがたいと思います。
  265. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 事実がすべて明らかになっているかどうか、私には率直に言って確信は持てません。  それは、日本の問題といいますか、日本のとった行動、日本から見た事実、あるいは対外関係は、日本だけの問題ではなくて必ず相手方があるわけであって、では本当に事実が海外においてもきちんと出されているのかいないのか、双方から検証する必要があると思っています。  その事実の問題と、それから評価の問題とは、また異なる部分があると思います。評価についてもいろいろな見方があることも御理解いただけることだと思います。  そういう点で、私は過去の日本の、戦前におけるいろいろな明治以降のありようについて、全否定という立場は必ずしもそれを容認するものでもないし、全肯定ということももちろん容認するものではありません。そういう点で、評価というのはなかなか難しい部分があると思っております。  同時に、今の時点で判断すれば、ああすればよかった、こうすればよかった、こうあるべきであったと言うことは、いろいろできると思います。しかし、その時代時代において、それが国際常識であったということもまたあるわけでありまして、そういう点で、どういう形で評価を下すかというのは大変難しい。  そういう点で、過去の日本の問題について、何といいますか、すべて正しかったと言って開き直ってすべての行動を正当化しようということは、自分のとるべき態度ではない、私はみずからにそう言い聞かせておりますし、同時にまた、全部を肯定するのはとるべきでないが、同時に、全部を否定していかにも自虐的な史観にのっとってしまうということも、また避けなければならぬことだとみずからに言い聞かせております。
  266. 田中甲

    田中(甲)分科員 私は、日本がまた中国に訪中団を出したときあるいは韓国に訪韓をする際、もう謝罪外交ということはすべきでないと思っておる一人なんです。  しかしながら、事実を明らかにするということを、自国つまり日本が自発的に積極的に行っていかなければ、やはりアジアの中の信頼というものは醸成されないんだろう。されないんだろうと私が言うぐらいですから、今その信頼というものが培われているというふうには私は実は受けとめていないんです。  歴史認識というのは国それぞれ違うと思います。個人個人もやはり、歴史認識に関してはある意味では違って必然なのかもしれません。日本ほどアジアの国々の中で、歴史の事実を学ぼうとするときに資料がそろっている国はもしかするとないのかもしれません。日本の方が、何を学ぼうとしても手に入る、資料というものを見ることができる、そういう状況に置かれているとも考えるんですけれども、歴史認識の違いを埋めていくのが、私が何度も申し上げた、事実を明らかにしていくということにほかならないんだろうと思うんです。ですから、私は今、どちらの歴史認識が正しいとか、あるいは、国によっては、自国の歴史認識を通り越して歴史物語を語っている国もありますから、それは私たち日本の国から見ても容易に受け入れることはできないという点も多々あると思います。  しかし、少なくとも、過去の戦争において日本がどういうことを行ったかという事実を明らかにして、日本の国の次世代を担っていく子供たちに、次の世代に事実を伝えるということは、日本が行っていかなければならない重要な点だと考えておるんですけれども、改めて、歴史認識や検証の必要性、あるいは、検証と評価は違うということを大臣が今御答弁してくださいましたが、事実を究明していくというこの必要性については大臣はどのようにお考えか、お聞かせいただければありがたいと思います。
  267. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 事実をねじ曲げたり隠ぺいすることは避けるべきだ、私もそう思います。  ただ、一つ一つ、こういうけしからぬことがあった、ああいうけしからぬことがあったということだけをずっとつなげて、それが歴史のすべてであるという形で結論づけるのもまた少し事を急ぎ過ぎるのかなという思いもいたします。  当時の世界情勢というのは、まだまだ地球規模の中でいろいろな列強諸国という言葉が存在をした時代であって、そういう中で日本がどうやって生き残っていくのか。言うなら、植民地化されるよりもむしろ自分が逆の立場にありたいと思ってやったということもあるかもしれません。事の是非は別であります。そういう時代における日本の行動ということであったんだと思います。  そういう点で、何が大事か、一つ一つの具体的な、何年何月何日にどういうことがあったということをずっとつづるということも大事かもしれませんが、私は、トータルとして、より我々が反省すべきところは何かというと、少なくとも、お互いの国家なりお互いの国民、今思えば本来対等・協力の世界であるべきものが、言うなら相手の尊厳を傷つけてきたということは、否定できないことである。僕はそういう意味で、みずからの尊厳をあるいはみずからの主張を通す余りに、相手国なり近隣の諸国の人々の尊厳を傷つけてきたということを一番重視すべきことではなかったか。  今後においても、周辺の諸国なり国際関係において大事なのは、互いの尊厳を尊重し合う、認め合うということから本来外交関係はスタートするということに向かうべきではないかというふうに、私自身はみずからにそう言い聞かせております。
  268. 田中甲

    田中(甲)分科員 ありがとうございます。すばらしい御答弁をいただくことができたと思っております。  尊厳をお互いに冒すことなくという、まさに外交の基本というところがあの時代のアジアにおけるそれぞれの国々の中で欠落していたということ、大臣、私は、そういうことも含めてその事実ということを、あの十九世紀後半から、植民地支配というような、世界の列強が競い合うようにしてきたあの時代の中で日本がどのような行動をとったかということも含めて、やはりそれを次の世代に伝えていく作業を立法府が行わなければいけないんだろうというふうに考えるんです。  多くの歴史研究家の方々や、あるいは今までも調査をし書物として出されている方々がおられます。しかし、まだまだ非公開のまま、情報公開法が制定されたばかりですが、しかしその法律の中でも及ばない過去の、戦前、戦中、戦後における事実ということを非公開のまま、このまま日本が事実を明らかにしないで、持っている資料というものを公開しないでいて果たしていいものだろうか。やはり非は非として日本が認めていく。それを外に向かってまた謝罪をするということではなくて、国内においてその事実ということを明らかにして、先ほども申し上げましたが、次の世代に伝えていくということで、なぜ平和でなければいけないかということをその時々の世代の人たちが考えていく、それによって自発的に恒久平和という、憲法の前文の中のその姿勢というものが維持されていくんだろう。  また、つけ加えるならば、アジアの国々から日本信頼される国になっていく、国を訪問したときにまた謝罪を行わなければならないような、そんな時代はもう本当に終わりにしたい、日本人一人一人の気持ちの中で整理をきちっとつけたいという思いの中から、立法府において事実を明らかにしていく。  例えば、自治省の中にも膨大な旧内務省の資料というものがもし非公開であるとするならば、これはやはり公開をして、事実というものを検証できる、一人一人が、なるほどあの時代にはこういうことがあって、こういう情勢の中でそうならざるを得なかったのか、しかし平和であるということのとうとさをその事実を知ることによってその世代その世代に確認をしてもらう、こういうことを立法府が進んで行わなければならないと考えるんですが、重ねて、御所見ありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  269. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 立法府ということだけでなくて行政府をも含めて、国益を損ねないようなものはオープンにしていくというのは当然のことであると思います。それから、ちょっと詳しいところは思い起こせませんが、外交文書であれ、そういう、言うならば時間とともに機密性、秘密性が阻却されていくというか、なくなっていくようなものについては、例えば三十年なり時がたてば公にされていくという、公文書においてもそういう取り扱いが既に現に行われていることであります。  そういうことから考えますと、旧内務省の文書についても、今公表できないような資料というのは私は原則そんなにないようにも実は思うのです。ここはもう少し調べてみたいと思いますけれども。  そのことは、単に、外国に対して日本がどう評価されるかという角度だけではないというお話が今ありました。そのとおり、それは日本自身のためにも、人間というのは正しいことばかりやってきたわけじゃない、政府においても、あるいは国家としてのあり方においても、私は、後から振り返れば、反省すべきところは多々あったと思うのですよ。失敗を繰り返したりしない、あるいは失敗を未然に防ぐ、そういった意味においても、過去の行政なり政治なり、いろいろな事柄、国の動きについてきちんと検証して、その後の過ちなきを期するために活用していくという角度からも、そういう公文書、そういった文献についてはきちんとチェックをしておくというのは大変大事なことだ、私はそう思います。
  270. 田中甲

    田中(甲)分科員 ありがとうございます。  お聞きしていて非常に気持ちが晴れるような答弁をいただいて、感激をしているところであります。  実は、立法府の中で、恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟というものが既に結成されています。現在のところはまだ百三名という方々でありますが、文字どおり超党派でこの問題には取り組んでいくという姿勢があらわれておりまして、自民党の先生、また我が民主党、公明党、共産党、社民党、無所属、自由党の先生も松浪健四郎先生がお入りくださっていますが、それぞれ、事実を明らかにすることは大事なことだということで、歴史認識をどう受けとめるかということではなくて、自国が自発的に事実を明らかにしていこう、そして二度と過ちを繰り返すことのない日本の姿をつくろうではないかという考え方で皆さん方が参加をしてくださっています。  数の上では、自民党の先生方、また自由党の先生、正直少ないのですけれども、今申し上げましたように、謝罪をする、あるいは賠償問題につなげる、さらには天皇制の問題への言及ということは全く考えておりません。事実を明らかにして、次の世代にその事実を伝え、平和であり続けるという日本の姿を目指してということでありまして、その点を与党の先生方にももう少し御理解いただければありがたいなという気持ちで常々おりましたので、そんな気持ちも含んで、きょうはこういう御質問をさせていただいております。  実は、この法案は、国会の附置機関である国立国会図書館に新たに局をつくって、各省庁の資料というものを提出させる。そして、その事実というものを中立公正な立場で国立国会図書館の新しい局で調べて、それを国会、立法府に報告をする。その報告されたものの取り扱いというものは、また国会の、議運になると思いますけれども、しっかりとそこで話し合われて、どのように取り扱うかということを判断していく。そういう枠組みでございます。  私も、九三年当選組でありますけれども、女性のためのアジア平和国民基金の実態ですとか、実は、その基金をつくるときにプロジェクトチームにかかわっていた一人でして、その後の韓国や中国からの反応ということに、非常に悩ましい、そんな思いを今持っているところなんです。そういういろいろないきさつの中から、やはり事実ということをはっきりさせていく、このことが極めて重要なんだということを強く認識させられてきたというところでございます。  過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目になる、ドイツのワイツゼッカー前大統領の演説であります。あるいは、韓国から来日された金大中大統領は、過去を正しく認識し反省する道徳的勇気のある多くの日本の民主市民がいることを知っている、これは国会での演説の中の一文であります。中国の国家主席が早稲田大学で講演したときに発言された言葉は、未来は若い世代のためにある、新しい歴史認識の必要性ということで訴えられています。  そういう共通のところを確認してまいりましても、事実を明らかにするという自発的な日本の姿というものが必要だと思い、立法府におけるこういう法案の提出ということを検討して進めてまいりたいと思います。  御答弁いただける場所ではないかと思いますけれども、もし、頑張りなさいという言葉がいただければ非常にありがたいと思いますし、御所見を賜れればありがたいと思います。
  271. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 田中委員が政治家として大変誠実に活動をしておられる、その一環として、今お話がありましたようなことに努力しておられるということを伺いまして、敬意を表したいと思います。
  272. 田中甲

    田中(甲)分科員 大臣、本当にありがとうございました。  持ち時間はあと五分となりまして、自治省の方に御質問させていただきたいのです。  一九九四年、毎日新聞、十一月六日、日曜日の新聞でありましたが、自治省が引っ越しの準備を始めたという記事の中で、「積み上げると二万メートルの文書」、これが、戦前戦後の日本の官僚機構の頂点だったと申し上げてよろしいでしょうか、旧内務省の手のつけられなかった文書というものが大量に見つけ出されたといいますか、眠っていた資料というものが引っ越しの際に出てきたんだという記事が出ています。  その後、共産党の先生の質問項目の中で、これに対して、事実はなかったという答弁も、私、見ているのです。しかし、この記事を書いた毎日新聞の記者と話をする中で、事実がなければ私は書きません、間違いなくこれはあったことですから、私の書いた記事も信頼していただかなければ困りますということでございました。  どなたの答弁になるか、私、確認をしておりませんけれども、この事実というのはあったのですか、なかったのですか。
  273. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 文書管理を担当しております官房長でございます。  平成六年十一月の記事は、私どもも見ております。承知しております。その記事の内容も読ませていただいておりますけれども、旧内務省の文書ぞろぞろ、積み上げると二万メートル弱というか、内務省の文書が二万メートル弱あったように読めるような表題になっておりますが、記事の内容を見てみますと、そういうような記事の内容にはなっておりません。  担当の文書課長の発言でも、要するに、自治省の文書全体として大変な量のものがあって、引っ越しのときにこれが大変だ。今もう一部間借りをしているわけでございますけれども、省内にもなかなか収容し切れないほどの文書がある。こういうような内容のことを書いております。  なおかつ、また御質問の、旧内務省文書を私どもの方が部分的にお預かりしているということも事実でございます。それは、自治省といたしまして、地方自治制度、地方税制度とか選挙制度を所管しておりますので、その種の地方自治制度に関する沿革的な資料、地方税制度の改正の沿革資料、選挙制度についての資料、そういうものについては保管しております。  これにつきまして、これを適切に整理をしながら、国立公文書館にお送りしたり、そういう作業をしているわけでございまして、その量については、何十冊とか何百冊とかという程度のものはあると思いますけれども、相当膨大にあるものではございません。
  274. 田中甲

    田中(甲)分科員 何十冊と何百冊はかなり開きがあると思うのですけれども。公開はされたんですか。  あるいは、続けて質問させていただきますと、その文書は国立公文書館の方で管理されているということになりますと、国立公文書館の公開状況というのはどういう状態ですか。御答弁いただければありがたいと思います。
  275. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 現在、ほとんど整理して国立公文書館の方にお送りしておりまして、公文書館の方にお送りしている文書の量は、冊数でいいますと二千七百冊程度のものを移管しておりまして、今何十冊と申しましたのは、現在まだ手元にあるような資料が何十冊レベルでございます。そういう状況でございます。国立公文書館の方におきましては、それを適宜管理いたしまして、公開の手続等をしていただいている、こういうことでございます。
  276. 田中甲

    田中(甲)分科員 国立公文書館に入りますと、非公開は六割近い、公開部分が四割程度しかない、そういう認識でよろしいですね。  ですから、公文書館に入ると公開がされなくなっているというのが現状でありますから、やはり事実を明らかにして公開していくということが重要、そういう議員立法をつくって、実は浜四津敏子さんが会長をお引き受けくださいまして、この間も参議院の予算委員会でその質問をされていたようでありますけれども、やはり私たちがあるいは次の世代が、胸を張って未来志向の発言をしていける。アジアに出向いて、あるいは世界に出向いて、日本はしっかりとその処理といいますか、けじめといいますか、つけたんだと言われる、そういう国をつくって次の世代にバトンタッチしていかなければならない、そういう思いであります。  またこの資料の公開の件では改めて時間をとって御質問させていただきたいと思いますが、どうか、民主党の議員でありますけれども、超党派でこの議連の活動をしておりますことに御理解をいただきまして、自治省にも今後協力をしていただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  277. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)主査代理 これにて田中甲君の質疑は終了いたしました。  次に、冬柴鐵三君。
  278. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 公明党の冬柴鐵三でございます。  我が国には、今約六十数万人の永住権を持つ外国人が日本人とともに地域社会を形成いたしております。また、その大半は在日韓国・朝鮮人の方々でありますが、日本で生まれ、日本の国に骨を埋めていく覚悟の人々ばかりであります。  加えて、昭和二十年、我が国が太平洋戦争に敗れたときには、彼らは日本国籍を持った立派な日本人でありました。しかしながら、我が国がその後サンフランシスコ講和条約締結をいたしましたときに、その効力として日本国籍を失い、そして彼らの旧母国でありました大韓民国あるいは朝鮮民主主義人民共和国の国籍を取得されたわけであります。もちろん、その際、彼らに個々的にそのような国籍移転についての意思を確認したという手続はございません。しかしながら、彼らはその後も我が国に住み続け、そして日本人とともにコミュニティーを形成していくわけであります。  私は関西の人間でありますが、大阪市には生野区という区があります。生野区の人口は約十五万人でございますが、そのうちの三万七千人、実に四分の一強がこのような在日韓国・朝鮮人の方々であります。  なぜそういう現象が起こったか。大正時代でありますが、日韓併合後、この生野区の近辺に平野川という川があります、これがはんらんにはんらんを重ねてまいりまして、その治水工事を行うために朝鮮半島から屈強な若者を移住させて、そしてそこに飯場を形成し、そして治水工事を行い、今日の大阪市があるわけであります。そのような重い歴史を我々は持っているわけであります。  私は、初当選以来、日韓議員連盟というものに加盟をさせていただきまして、隔年ソウルそれから東京でそれぞれ開かれる総会にはほとんど欠かさず出席をしてまいりまして、韓国の国会議員の中に多くの知己友人を得ることができました。実は、昨日、韓日議員連盟の会長で、新しく就任をされました朴泰俊民自党総裁、与党の総裁でありますが、御一行が日本に来られまして、我が公明党にも表敬訪問をいただきました。また、夕刻には、歓迎宴を開き、また役員だけでの歓迎もいたしまして、旧交を温めたと申しますか、朴泰俊会長は、この韓日友好議連の会長を三回目務められるという方でありまして、韓国の大物でありますが、私も非常に親しくさせていただいている一人であります。  私、そのようにやっているうちに、日韓議員連盟、韓日友好議員連盟の中に、それぞれ在日韓国人地位向上特別委員会という委員会があります、これは安保・外務委員会とか、経済科学技術委員会とか、社会・文化委員会とともに四つの委員会の中の一つでありまして、その委員長平成六年に仰せつかりまして今日まで委員長をさせていただいております。カウンターパートの相手方の現在の委員長、その委員長さんが鄭相千さんという元ソウル市長をやられたやはり大物の与党の国会議員でありまして、非常に親しくさせていただいております。この小委員会がいつも開かれるわけですが、その節必ず出てくる議題が、在日韓国人のいわゆる法的地位を安定をさせ、そして根元的に安定させるためには、彼らに地方参政権を、特に選挙権を与えていただきたい、そのような議題が行われてきたわけであります。  それは議連の話でありますけれども、国と国との、日韓外相会議、その覚書の中にもこの問題に論及されているものがあると聞いております。平成二年一月の日韓外相覚書の中にその問題が論及をされ、自後今日まで開かれております高級事務レベル会議においてもこの問題が議題とされてきておるというふうに聞いているわけでありますが、外務省からその内容等について御説明をちょうだいしたいと思います。
  279. 安藤裕康

    ○安藤説明員 お答え申し上げます。  今先生の御指摘になりました、一九九一年一月の日韓外相間の覚書でございますが、これは、在日韓国人の方々の有する歴史的経緯及び定住性を考慮いたしまして、これらの在日韓国人の方々が、日本でより安定した生活を営むことができるようにすることが重要である、そういう認識もとに、在日韓国人問題に対する我が国政府としての対処方針を表明したものでございます。  この日韓の外相間の覚書の中におきまして、ただいま御指摘のございました在日韓国人への地方参政権の付与の問題につきましては、「地方自治体選挙権については、韓国政府より要望が表明された。」ということが記述されているわけでございます。  それから、二点目といたしまして、先生のお話にございました日韓両国の局長レベルでの話し合いの内容でございますが、これは、毎年、日韓両国の局長間で、在日韓国人の法的地位及び待遇に関する局長協議ということで開催されておりますけれども、この中でも、永住外国人に対する地方参政権の問題が話し合われております。  一番近くは、昨年、九八年の六月にこの局長レベルの会合が開催されておりますが、この会合におきましては、この問題について韓国側から、前向きな対応をお願いしたい、こういう要望がございました。これに対しまして、日本側から、在日韓国人に対する地方参政権付与の問題については、地方自治のあり方、国と地方自治体との関係などの基本的な事柄とも関係する問題であり、さまざまな角度から幅広く検討されなければならない問題であると考えている、このように応答しております。
  280. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 先ほど、在日の方々が六十数万というふうに申しましたが、実は、もう四世が二万人を超えていられるのです。日本で生まれ、亡くなり、そしてまた生まれ、亡くなり、四代ですよ。  その人たちは、東洋人ですから、我々と全く同じ目の色、顔の色、髪の毛の色、骨格も体格もほぼ同じでございまして、流暢に日本語を話し、漢字を書かれます。そして、むしろ、国へ帰りますと僑胞と言われます。  そのように、向こうへ帰っても、母国だけれども自分の言葉は日本流でございまして、なまりです。日本へ帰ってきたら韓国人と言われ、向こうへ行けば僑胞と言われる。なぜこういうことが起こってきたのか。本当に、私ども、植民地経営をした国であります。私は、重く受けとめるべきであると思います。  そのような立場で、私も、過去、法務委員会におきまして、彼らの指紋押捺を廃止すべきである、あるいは外国人登録証の常時携帯義務というものは軽減すべきものである、こういうことを強く申し入れをしてきまして、一定の効果、一定の結果を得られているというふうに思っているわけでございます。  そのような流れの中で、私どもは、外国人には大きく分けて二種類、粗っぽく言えば、定住する外国人と、それから通過外国人とあるのではないか。  通過外国人というのは、一定の入国目的を持って、一定期間日本に滞在を許されている人でありまして、就職あるいは就学あるいは留学、そういう目的で、長くても三年ないし五年いられて母国へ帰っていかれる方でありまして、彼らの帰属意識は母国であります。しかし、在日韓国・朝鮮人、台湾人の人々の帰属意識は、まさに日本人、日本日本国家であります。それは、そのような過去の長い長い歴史から見てもうなずけるわけでありまして、私は、そのような実態を考えたときに、この人たちを限りなく日本人と同じように扱う、これが当然のことである。  そしてまた、我が国が民主主義国家でありますから、我が国の憲法の前文には、「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」というふうに書かれていますが、地方におきましては、そのように選ばれた代表を通じて行動しているわけでありまして、国会議員の選挙というのは、憲法十五条によって、公務員を選任し罷免する権利は国民固有の権利であるというところから、国会議員に対する選挙権は、もちろん外国人に対しては与えることはできません。  けれども、地方においては、その地方における住民が直接選挙で、その長あるいは議会の議員を選ぶという、片や国民、片や住民、使い分けているわけでありまして、住民の中には当然に、日本人たる住民と外国人たる住民があって、私は、そのような地域を、コミュニティーを構成する両者が、そのニーズに従って、そこの地域をどのようにしていくのかということを決めていくべきだろう、彼らも税金を納めているわけですから。そのような考えでおります。  よく言われている中に、代表なくして課税なし、いわゆる税を納めている人はやはり代表を出して、その使途についてタックスペイヤーとしての意思を反映することが担保されているということは必要だろうと思います。しかし、在日韓国・朝鮮人の方々には、自分たちが納めた税金について、その使途について発言する機会が与えられておりません。そのようなことから、外務省が今御説明ちょうだいしたような韓国側の御要求があり、私はそれはもっとものことだろうというふうに思っているわけでございます。  そこで、自治省にお伺いしたいのですけれども、多くの三千三百からの地方自治体の中には、議会で、このような人々に地方参政権を付与すべきであるという決議をして、国の方に送ってきているところがたくさんあるというふうに聞きます。  今日までに、そのような決議をされた団体、そしてまたそこの地域に住む住民の概数、これが日本国民全体の何%に達しているのか、説明をちょうだいしたいと思います。
  281. 片木淳

    ○片木政府委員 一月末までに自治省の方で受理をいたしました、お尋ねの、定住外国人に対する地方選挙権の付与を求める意見書の数でございますが、都道府県議会から二十七、政令指定都市議会から十二、その他の市区町村議会から千三、合計で千四十二となっております。  また、これらの市区町村の平成七年国勢調査人口の合計は七千四百六十三万人でございまして、全国人口のおよそ六割、五九・四%に当たっております。
  282. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 大臣、こういうことでございまして、もちろん、このような方々に、地方のその人方の意思を反映させるために選挙権を与えることができるかどうかは、これは国会で立法しなければできないわけでございますが、その利害関係の最もある地方の議会がこのように決議をして、そして、それは今や我が国の人口の六〇%に達している。私の知っているところでは、これは正規の法による決議でありまして、それ以外の決議を含めますと、優に七割を超える国民が帰属する地方団体がこのような決議をしておられると承知をいたしております。  感想は後でお聞きすることとしまして、昨年の十月、大韓民国の金大中大統領が公式訪問されまして、国会壇上で格調高い演説をされ、私も感銘を受けて聞いていた者でありますが、その中で、「私は六十万在日韓国人の未来を考えないわけにはまいりません。特に、地方参政権の獲得が早期に実現できれば、在日韓国人だけではなく、韓国国民も大いに喜び、世界もまた、日本のそのような開かれた政策を積極的に歓迎してやまないでしょう。」と述べられたわけであります。また、総理との会談の中でもこの点に論及をされたとも聞いております。  このような部分を自治大臣も議場でお聞きになられたと思いますけれども、今私がるる述べてきたこととあわせて、自治大臣の所見、所信と申しますか、そのようなものを伺ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。
  283. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 永住外国人に対する地方選挙権といいますか、参政権の付与の問題について、かねてから冬柴委員が本当に誠心誠意取り組んでこられ、しかも、今じゅんじゅんとさまざまな角度からその必要性について発言がありました。私も大変敬意を表しながら承っておりました。特に、昨年金大中大統領が来日されて、小渕総理との間でも意見が交わされ、国会における演説は私も拝聴いたしました。  そういう中で、事柄の重要性、しかも、これは最高裁の判決にもあるとおり、まさに立法政策、まさに立法府として政治家がどう判断するかというレベルに立ち至っておるという現実、そんなことを思いますときに、私は、政治家が本当に真摯にこの問題に取り組んでできるだけ早く結論を出すということが、非常に大事なときに至っているという思いをしております。  この問題では、冬柴委員が提案者となって、民主党とも一緒に既に提案もなされておるわけであります。それだけに、政府提案というよりも、せっかくここまで御努力をいただいてきたそういう流れ、それから立法府としての判断であるという最高裁の考え方ということも考えれば、これはぜひ政党レベルで、さらに突っ込んで御議論を交わしていただいて処理できるようになればという思いを持っております。
  284. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 どうもありがとうございました。  私も、平成七年二月二日、衆議院の予算委員会総括質疑の中でこの問題を初めて取り上げさせていただきまして、当時村山内閣総理大臣でしたけれども、大変前向きの発言をされましたが、まだ大事な部分において最高裁判所の判決が出ていないということで、今後も勉強させていただきたい、このような答弁だったわけでございますが、非常に偶然にも、その二十六日後の平成七年二月二十八日に、今、大臣が御論及いただきました最高裁判所第三法廷の判決、画期的な判決がありまして、これは憲法の問題ではなくて立法政策の問題である、このような判断が示されたことは、もうつとに周知の事実でございます。  また、私は、永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案というものを、先ほどるる申し述べました日韓議連の韓国人の法的地位向上委員長という責めもあり、いろいろな方の反対が実はありましたが、これを起草することができました。一年間温めていたわけでございますが、その間、各政党にも働きかけて御同意をいただき、できれば日韓議連の議員すべての提案で出したい、このように思ったわけですけれども、なかなか難しかった、そして、金大中大統領の来日ということがあったものですから、昨年十月に提案をさせていただいて、今日に至っているというものであります。  私は、閣法も提案していただいて一緒にやったらどうかなという感じもしたのですが、今、それについては大臣から明確な答弁をいただきました。議員立法として頑張ってまいりたいというふうに思っております。  ただ、この構成につきましては、参政権と言うからには選挙権と被選挙権があるわけですけれども、被選挙権については最高裁判決は論及はしておりませんけれども、それは争点になっていなかったからでありまして、私は、理論的には、被選挙権を排除するものではないというふうに思っております。しかしながら、現在の日本全体の雰囲気を見たときに、ここは将来の課題として残し、選挙権だけに限局をしようということで、そのような構成をとっております。  また、一部の国では、地方参政権を与える、選挙権を与えることが、その国民の属する国の民族を分断するものである、このようなことで相当激しい反対をされている国があります。私は、そういうこともおもんぱかりまして、これは申請によって選挙人名簿に登録をされた外国人に対してのみ選挙権を与える、すなわち、希望しない人には与えないという構成もとっております。そういう意味で、条文がその部分で非常に長くなってしまったということになっておりますけれども、私は、多くの方々の賛同は得られるものではないかというふうに思っております。  二十一世紀はもうすぐそこまで来ているわけであります。しかし、この二十世紀というのは、国連憲章冒頭にもありますように、二度にわたる悲惨な戦争を与え、数千万人に及ぶ人々がその戦禍によって亡くなられたという、悲しむべき戦争の世紀と言ってもいい世紀であったと思います。  我々は、新しい世紀はそうであってはならないというふうに思います。なぜ二十世紀がそうであったのか。これは、やはり国家目的の中で、国家、国民、国境、国益、国権、こういうものが非常に重い国の目的として据えられ、そのために、そこに住む住民というものが手段にされたのではないかというふうに思います。  富国強兵、なるほど国は富みましたけれども、敗戦によって一番被害を受けたのは国民であり、あるいは我々の隣邦の方々であったと思います。我が国が国益を追求するの余り、隣邦を侵略し、植民地経営を行い、そして多くの人々にぬぐうことのできない不幸を与えてしまった。新しい世紀は、そのような反省に立って、そこに住む住民の幸福そのものが国家の目的でなければならないし、そのときには国籍、国民、国益というのはもっともっと垣根を低くして、そして、運搬手段あるいは通信手段が極度に発達したこの二十一世紀は、グローバルな地球市民、このような感覚で政治は行われるべきであろう。そのときに我々は、冒頭申しましたように、同じ地域に住み、そして一つのコミュニティーを形成する仲間である住民、その中には日本人もあれば定住外国人もある、その地域のことはそういう人たちが自主的、自律的に決めていくべきではないかというふうに強く思います。  また、日韓両国の悠久の歴史の中で築き上げられてきた友好の歴史というものは、不幸な数十年を除いては大変な一衣帯水、それで我が国の今の文化というものがかの国から移入をされ、そして今日のけんらんたる日本の文化、あるいは経済発展の基礎をなしている、こういうことに思いをいたしたときに、私は、彼らが国籍が違うということで不当な差別を受けることを許してはならない、それが民主主義の根本であろうというふうに思います。  どうか自治大臣におかれましても、このような私どもの、私の考えだけではありません、多くの地域の住民、我が国の六割、七割の国民が、彼らに選挙権を与えるべきだということを言っておられるわけですから、私は国政上の問題としても非常に重く受けとめ、そしてまた、こういう選挙制度について所管であられる自治省は積極的にこれを推進すべき立場にあるのではなかろうか。これが、世界に誇る民主主義日本の、成熟した民主主義国家であるということを発信する一つの立派な作業ではないのか、礼儀ではないのか、こんなふうに思います。  もう一つ、市町村合併について考えてきましたけれども、きょうはこれぐらいにさせていただきまして、ぜひそれについては私も頑張ってまいりたいと思いますけれども、最後にもう一言、自治大臣の御発言をいただいて、終わりたいと思います。
  285. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 本当に敬意を持って拝聴させていただきました。私も先ほど、政治の責任において結論を出すということであれば、せっかく御提案になっているということを重視すれば、議員立法という形で今既にスタートしているということを重視したいということを申し上げたわけですが、私としても誠意を持って真摯に検討させていただきたいと思います。
  286. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 では、御苦労さまでございました。
  287. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)主査代理 これにて冬柴鐵三君の質疑は終了いたしました。  次に、若松謙維君
  288. 若松謙維

    若松分科員 野田大臣となりまして初めての質問となります。こんな席でなんですけれども、本当は新進党が政権をとって、野田大蔵大臣、そういうシナリオで質問させていただきたかったわけですけれども、こういう形で残念と思いますが、ひとつ同じ同志として、志した改革を自民党に吸い取られることなく、実現に邁進していただきたい、まずそれを申し上げさせていただきたいと思っております。  きょうは、分科会で自治省を選ばせていただいたのも、やはり地方分権そして地方自治体三百、そういう構想を同じく議論させていただきました。そういうことで、野田大臣が御答弁いただけるということで、総括的というよりも、やはりいよいよ二十一世紀になるわけで、この平成の市町村大合併、それが成り得るかどうかの一つの実験が埼玉で行われております。それが大宮を中心とするさいたま新都心、こんな言い方をするとまた浦和から怒られるわけですけれども、まさに大宮、与野、浦和の三市合併、これが地方分権の目玉であります。かなりの、十数の省庁が埼玉に行かれるということで、当初、二〇〇一年ぐらいまでには合併が実現すれば、国としてもいろいろな登記、手続等が一つの市で済んだのですけれども、どうもそれがうまくいかない。それについて、自治相としてどんなお考えなのか、率直にお伺いしたいと思います。
  289. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 率直に言って、なかなか難しい問題だなと思って報告を受けておったのです。  これはもう御存じのとおり、浦和、大宮、与野、この三市の合併というのは、さいたま新都心の大型プロジェクトが進められている地域において、その地域の一体的な整備を促進するとともに、一体的な行政を展開するために、関係市が一つ方向を目指して歩みを進められているんだというふうに認識をいたしておるわけであります。そして、平成九年の十二月には、任意の合併協議会である三市の合併推進協議会が設置されて、各市の行政議会の代表、そして埼玉県の職員を含む学識経験者が参画して話し合いが進められているというふうに報告を受けておるわけであります。  これは、率直に言って、地域のあり方にかかわることでもあるし、住民の生活にも大変大きな影響を及ぼすということでもありますし、まず当事者間で誠意を持って十分な話し合いが行われるということが大事なことであるというふうに考えておりまして、私の方からこのことについて評価的なことを申し上げるのは、今の段階では控えさせてもらった方がいいだろう。やはりこの問題は、当事者そして地元の埼玉県自身がどういうふうにこの問題を進めていこうとしておられるかということが、より大事なことであるというふうにも思います。
  290. 若松謙維

    若松分科員 それでは質問をかえて、これは建設省になるのですかね。当然、先ほどのさいたま新都心に中央省庁がかなり大挙して移転します。そうすると、今度受け皿として、大宮になるのか与野になるのか浦和になるのかわかりませんが、それぞれかなり細かく市の境が入り組んで、恐らく国のいろいろな登記関係も大変だと思います。  そこで、政府、そういった移転を事務的に進められる代表の方にお聞きしたいのですけれども、やはりこの移転先自治体の合併はぜひやってもらいたいというのが恐らく率直な意見だと思うのですけれども、それについてはいかがですか。
  291. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お話しのように、三市にまたがってさいたま新都心というものの建設が進められているわけでございまして、また、そこには多くの国の機関が移転するということが決まっているわけでございまして、新しい町づくりが進められているところでございます。  そうした状況を背景にすれば、その地域の一体的な整備の促進、あるいは行政面での一体的な展開ということを視野に置きましてこの合併のお話し合い、動きというものが出ておりまして、任意の合併協議会が設置、発足したもの、こういうふうに理解をいたしておるところでございまして、よりよい地域づくりを進めるためには、地域において十分お話し合いをなされましてこれが進むということを私どもは期待いたしております。
  292. 若松謙維

    若松分科員 自治省として今、進められることを期待するというお話がありました。  それで、今度大臣にお伺いするのですけれども、実は、同じこの分科会で、平成六年ですから当時細川政権でしたけれども、なかなか合併が進まない、三千三百はどう考えたって多い、これは与党も野党も言っているわけですから。それで、いいかげんに自治省も現地任せじゃなくて、自治省はリーダーシップをとってください、そう言ったところ、当時の石井一自治大臣が、国も市町村合併に積極的に関与する、こういう初めて積極的な関与というものを申されました。  それから、例えば、合併を促進するに際して当然地方議員の身分が非常に不安定になるということで、今まで合併の際に一年延長、五年まで大丈夫だったというのが、今度さらに一年で、六年とか、あと合併に際してのいろいろな資金的な手当てとか、いろいろな措置がとられているのですけれども、今回の与野、浦和、大宮に見られるように、結果的になかなか合併が進まないという現状に対して、やはり何とか進めたいというお考え。先ほどの局長答弁では、四市一町なり三市の話だけじゃなくて、一般的に進めたいというお考えだと思うのですけれども、現実に進まない。これに対して、何とか推進するような具体策がないかどうか。大臣、どのようにお考えですか。
  293. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 平成六年に当時の石井一自治大臣からいろいろお話があった、こういうことなんですが、それで平成七年、その翌年、御承知のとおり合併特例法の改正が行われまして、国の推進姿勢をより明確化するとともに、住民の発議によって合併協議会が設置されるというか、そういう住民発議制度の創設、あるいは財政措置の拡充、あるいは議員の定数、在任の特例といった拡充をしたところでありまして、その後約四年の間に住民発議が七十一件成立して、うち十件に関係する六地域で法定の合併協議会が設立され、その他二地域では住民発議によらず法定の合併協議会が設置された。任意の合併協議会は、浦和、大宮、与野地域を含む八地域で設置されたということです。  なお、平成七年九月一日に行われた合併によって、東京都のあきる野市と茨城県の鹿嶋市が誕生をいたしましたし、また本年四月一日には兵庫県の多紀郡の四町が合併をして、昨年の十二月に議員立法で特例措置が設けられましたので、新たに篠山市となる手続が今現在進行中である。  こういうことになっておるわけで、そういう点では多少なりとも推進姿勢は、進んでおるということは言えるとは思っておりますが、私、ではもうこのままでいいのか、放置していいのかというと、そういうわけにいかないということで、この国会でお願いをしようと思っております地方分権推進の一括法の中に、合併特例法についても改正をお願いしよう、その中でさらなる合併支援措置を取り入れて推進をしたい、こういうことも考えております。特に、都道府県が果たす役割というのは大きいわけで、都道府県に対しても合併についてのガイドライン、いろいろなパターンがあるわけですから、そういう点で、都道府県に対してそういう参考になるガイドラインを提示をして、積極的に取り組んでもらおう。これは本年上半期のうちに都道府県に対してお示しをしたいというふうに考えております。  ただ、率直に申し上げて、合併というのも実際にいろいろなパターンがあるわけで、小さな町村の合併のケース、それから今のような新都心というか、そういったことを目指していこうというような場合におけるケースとではおのずから対応も違ってくると思いますし、それから合併の持つ意味合いそのものも違っておるのではないか。やはり町村、田舎の方というと言葉は悪いかもしれませんが、そういったところでは、行政水準のある意味では維持向上というか充実強化というような角度も必要なこともあるし、そういう中で、逆に取り残されたところについて、どうやって自分たちの意思を反映するだけのものを残すことができるのか、そういう要請が一方である。  今度の場合はそういうケースとは全然違うわけで、そういう点で、なかなか画一的なやり方ではできないので、率直に言ってこの問題、若松委員も大変御苦労いただいておるように承っておりますが、我々も一生懸命勉強させてもらいたいと思っております。
  294. 若松謙維

    若松分科員 特に上尾、私が住んでいる上尾ですけれども、こういう「二十一世紀に向けての選択—合併・政令指定都市に関するQ&A—」、こういうアンケートをして、たしか民間の総研リサーチを使って住民ニーズを聞いたんですね。そうすると、七割がやはり賛成なんですね、合併そして政令都市と。そんなところがあって、だけれども、さっきの合併協議会ですけれども、なかなか法令化しない。任意だというところで、じゃ、新しい市なり政令都市に市長をどっちから出すかとか、結果的に、ある意味で志のない政治家の駆け引き的に使われて、住民の大方の意思が報われない。見ていて非常に歯がゆいんですね。  ですから、とにかくさいたま新都心、これに関しては当然大型合併ですし、政令都市化かつ地方分権ということで、ある意味で二十一世紀の合併の一つのひな形にもなり得る要素が非常にあるんですね。それを私も大学の先輩の土屋知事にも言いました。知事、何とかリーダーシップでやってください。若松君、そんな簡単じゃないんだよと言われましたけれども、このままそういうさっきの選挙絡みの、自治体レベルでの、うちの公明党だって、本来団結の党ですけれども、この議論になると何か浦和公明党、大宮公明党。みっともないですよ、本音を言いますと。いいかげんにしろと。その程度かもしれません。  でしたら、やはりいずれにしても三百自治体なり千自治体にしなくてはいけないわけですから、大臣、ちょっと腕をまくって、何とかこのプロジェクトを二十一世紀の窓口の一つのひな形にして、地方分権、これだけ地方財政厳しくなっているわけですから、さらにもっと突っ込んでいただけませんか。どうですか、大臣
  295. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 この問題は、率直に言って、これからそれぞれの地域の住民の意思、それからその地域から代表して出ておられる議会なり首長さんなりそういう政治家の皆さんの動き、いろいろな考えがおありのように今もお話がありました。私もちょっとこの実情を私なりに少し勉強してみたいと思っております。  何というんですか、YOU And Iというんですか、そういう言い方があるそうですが、三市の話と上尾と伊奈ですか、五つが一緒にいくのか先行してどうのこうのとか、いろいろな議論があるようですが、率直に言って私も、実情を十分把握しないで余り勝手にコメントを加えるのは、かえって混乱を引き起こすことになるだろうと思って、個別案件について私自身は余り今発言をしないようにしておるんです。しかし、それだけではいかぬというお話ですから、これからまた実情をしっかりと勉強いたします。
  296. 若松謙維

    若松分科員 ぜひ早急に日程をとっていただいて、私も付き添わせていただいていろいろと説明をさせていただきます、その際には一方的な情報インプットにならないように配慮しながらやりたいんですけれども。  やはり一番の議論は、三市合併の話もあるわけですけれども、やはり政令指定都市絡みの、市庁がどこになるとか、真ん中になるとか端になるとか、そんな議論もありまして、本来政令指定都市を目指してこの合併なわけなんですけれども、では政令指定都市というのはどういった姿がいいのか。平米の問題とかいろいろな基準があると思うのですけれども、私は少なくとも、この三市合併、三市政令都市もしくは四市一町政令都市というのを、いわゆる面積の面でもいろいろな緑の面とか多様化の面とか考えると四市一町がいいと思っているんですけれども、そこら辺は、政令都市と考えた場合にどっちがいいのか。  これも答えにくいと思うのですけれども、あえて言えば、本来の政令指定都市の姿からすればどういったものが望ましいか。ただ勝手にやって、それをその都度閣議で認めるというんじゃないと思うのですよ。その点についてはいかがですか。
  297. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お話しのように、大都市地域において、ここではやはり都市機能が集積し、人口が集中しているという実態があるわけでございまして、そういうところで、いわば都道府県に比肩するような市町村として基礎的な自治体というものがあるということは一つ方向だろうと思います。  御案内のとおりに、政令指定都市につきましては、社会福祉とか保健衛生、都市計画、土木行政等の生活に直結した事務というものが移譲されるわけでございますので、従来から政令指定都市の指定の具体的な考え方といたしましては、人口その他の都市としての実態それから行政体制、行財政能力、そういうものが従来の大都市、政令指定都市と同じような実態を持つ可能性のあるということを総合的に判断して指定してきている、こういう考え方でございます。  具体的にお話しの三市あるいは四市一町ということでございますけれども、具体的に区域というものがどうあるべきかというのは、やはりその地域の望ましい将来像というものをどう考えていくか、あるいはその地域とほかの地域との関係をどうするか、また都道府県との役割をどうするかといったことで、関係地方公共団体の間で十分な調整が図られて進められることが大切ではないか、こういうふうに考えております。
  298. 若松謙維

    若松分科員 そういう答弁も納得できるのですけれども、とにかくじれったいんですね。じれったい。何とかここら辺がとんとんとんといって、地方分権は任せておいてくれというような意気込みがどんどん生まれればいいのですけれども、なかなか本当に……。本当に日本人というのはどうしようもないですね、自分ながらあきれているんですけれども。  それでは、ちょっと質問を変えて、これは大臣ですかね、自治体の公債費比率一五%を超えると一つの要警戒というのですか、要注意自治体ということになるわけですけれども、今どのくらい一五%を超えている自治体があるか。  さらに、市町村合併というものをやれば、少なくとも、例えば市民課とか住民票を発行するとかそういうところの共通経費というのが住民一人当たりかなり削減されますので、やはり地方自治体のいわゆる経常経費の削減につながると思うのですね。そういう意味で、市町村合併というのがこういう公債費比率を下げるという面にもプラスになると思うのですけれども大臣、どのようにお考えか。  あわせて、先ほど合併の特例法改正、これは、千なりそういったところに求めていくには特例法のちょっとした改正では間に合わなくて、やはり市町村合併基本法的な、そんな議論もしましたけれども、そういった骨太のものが必要になってくるのですけれども、そこら辺の必要性というのですか、それもあわせてお答えいただけますか。
  299. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 公債費負担比率が一五%以上の団体の数でございますが、九年度決算で千八百四十七団体でございまして、全団体の約五六%が一五%ラインを超えております。
  300. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 今度の法改正で盛り込もうという中で、市町村の数を千とか幾つとかいうことを入れるという考えは必ずしもありませんが、少なくとも、従来よりもさらに合併を促進していくために必要な法的手当てあるいは財政支援措置、環境整備、こういったことを念頭に置いております。  そういう中で、何らかのターゲット、数値目標みたいなものがなくて本当にできるのかいという御指摘、確かにそういう意見が、言うなら、この時期、日本の国全体を今ここで大きく仕組みを変えていかなきゃならぬ、それを余りだらだらやってもだめだよ、こういう意識の中でのそういう指摘が多いわけで、そんなことを思いますときに、まだ結論は出ておりませんが、さらに合併を推進していくための手法を検討したい、こう考えておりまして、ぜひまたそのときにはいろいろお知恵もおかしをいただきたい、こう思っております。
  301. 若松謙維

    若松分科員 ぜひその際に、私も、いろいろと現場に携わっている方の知恵等もございますので、提言をさせていただきたいと思っております。  それで、具体的な話ですけれども、政令都市になりますと、高速道路は当然、新幹線は通る。それは大宮があるわけですけれども、特に道路網で非常にあそこは渋滞が激しくて、政令都市にはちょっとまだまだ不適格なのかな、そんな気もします。  一方、建設省も努力していただいておりまして、圏央道に対しては建設省は関心が非常に高いと私も肌身に感じているわけですけれども、特に鶴ヶ島—桶川間、さらに上尾道路ですね。とりあえず宮原—川田谷間では、いわゆる起点というのですか、それはできているわけですけれども、これについて、ぜひ、首都圏北部の活性化のためにも早急に開通していただきたいわけですけれども、いつごろ開通するのか、ちょっと見込みを教えていただけますか。
  302. 河崎広二

    ○河崎説明員 圏央道でございますが、首都圏の骨格となります三環状道路、九放射道路と私ども申しておりますが、自動車専用道路ネットワークを形成する大変重要な道路であるというふうに認識しております。また、上尾道路、これは国道十七号のバイパスということになりますが、大宮市から鴻巣市間の慢性的な渋滞の緩和、あるいは十七号沿線の沿道環境の改善、あるいは埼玉中央地域地域活性化を支援する広域的な幹線道路である。いずれも重要な事業であるというふうに認識しております。  そこで、お尋ねの供用時期でございますが、圏央道のうちの埼玉県区間につきましては、現在、調査設計、それから一部用地買収を促進しているところでございます。  そこで、鶴ヶ島から桶川間を含む関越道から東北道の間の区間でございますが、今後十年内の供用を目途に整備を推進していきたいというふうに考えているところでございます。  また、上尾道路の方の現在事業化しております宮原—川田谷間十一キロでございますが、測量、調査設計を進め、これも一部区間で用地買収を促進しているところでございます。この区間は、圏央道と、予定されております桶川インターで直結をするということになりますので、当然、圏央道とあわせて効果を発揮できるように、今後、これも十年内、すなわち、圏央道との同時供用を目途に整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  303. 若松謙維

    若松分科員 十年以内ですか、本当はここ一年ぐらいで完成していただいて、先ほどの、さいたま新都心の町の開所式には、野田大臣を車で直接現場までお連れしたいのですけれども、もうちょっと早くなりませんかね。地元では、何とか早くしてくれという声が強くて。  それでは、具体的に、予算的にどの程度努力していただいているのかというのを、それぞれ、圏央道、上尾道路、平成十年度、十一年度について、ちょっとお答えいただけますか。
  304. 河崎広二

    ○河崎説明員 予算額でございますが、現在のところ、先ほど申しましたように、調査設計等、あるいは測量が中心でございますので、それほど大きな金額にはなっていないというふうな御印象があるかと思いますが、十年度の予算額で申しますと、補正を含めまして、事業費ベースで、圏央道の埼玉県区間の予算額は七十二億七千万円、それから、上尾道路につきましては、同じく十二億八千万円ということでございます。  十一年度の予算につきましては、この路線がそれぞれ、高規格幹線道路、それから地域高規格道路に指定をされておりまして、これらの道路につきましては、私ども、重点的に予算を振り向けていきたいというふうに考えております。  そういう観点で、現在、実施計画の検討を行っているところでございます。
  305. 若松謙維

    若松分科員 時間が終わりましたので、これで終了いたします。  私も、この合併問題は六回目、取り上げさせていただいて、前自治大臣議論をさせていただきました。ひとつ、期待の大きい野田大臣、大きく進むように期待を申し上げながら、質問を終わります。長時間御苦労さまでした。  ありがとうございます。
  306. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)主査代理 これにて若松謙維君質疑は終了いたしました。  以上をもちまして自治省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、明十八日午前九時から開会し、文部省所管について審査を行うことといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時十六分散会