○知久馬
分科員 ありがとうございました。
ただいま文化財保護の意義についてお聞きしましたが、実は私の地元で重要な文化財が今破壊の危機にあり、大きな問題となっております。それは、鳥取県の西部、淀江町と大山町にまたがる妻木晩田遺跡群でございます。
妻木晩田遺跡群は、秀峰大山に連なる標高百メートルから百五十メートルの丘にあり、
日本海を間近に望む風光明媚な位置にあります。この遺跡群は、弥生
時代の後期、一
世紀後半から三
世紀前半の約二百年間営まれた集落と墓地であることがわかりました。
調査、発掘が進むにつれて、考古学、歴史学の見地から極めて希有な遺跡であることが明らかになり、全面保存を求める声が非常に強くなっております。多くの市民団体によって取り組まれている妻木晩田遺跡群の保存を求める署名も、昨年の十一月から三カ月で一万六千人と急増し、一月二十六日までに約五万六千名に上る署名をとっております。
さらに、韓国遺跡保存保護
対策委員長のシン・ギョンチョル釜山大学教授、文化財全国保存協議会代表
委員の甘粕健
新潟大学教授、さらには作家の黒岩重吾氏など日韓の二十人の考古学者が、鳥取県のゴルフ場と遺跡の共存案に対する抗議文を送り、経済優先主義ではなく
自然環境、歴史遺産を大切にする
世界的趨勢を深く受けとめるべきと主張しています。
私たち
社会民主党も、土井党首を先頭に、去る一月三十日に現地の妻木晩田遺跡群を視察してまいりました。土井党首も、これだけ大規模な遺跡がほぼ完全な形で残っていることは重要なポイントで、当時はどうした暮らしをしていたかと古代に思いをはせておられました。そして、土井党首は視察後の会見で、文化庁や学識
経験者からは、この遺跡は国内でも得がたい遺産であり、またこの遺跡を破壊するようなことにでもなれば国内には保存に値する遺跡はないとの
意見も聞いている、この景気の悪い現在、何が保存かといった
意見もあるでしょうが、百年後、二百年後の子孫に私たちが何を残したかということからすると残すべき遺跡だと思う、継続中の四者協議では文化庁や学識
経験者の
意見も当然反映させるべきではないかと述べました。
私ども
社会民主党は、鳥取県に対して、遺跡の全面保存を働きかけ、現在行われている四者協議、県と淀江町、大山町、そして開発業者の京阪電鉄に、文化庁や学識
経験者を交えるよう強く要請しているところでございます。
ところで、この妻木晩田遺跡群は、高地性弥生大集落と四隅突出型墳丘墓がセットで見つかったということで、とても珍しいということでございます。そして、その規模においても、佐賀県の吉野ケ里遺跡をはるかに上回る壮大な集落であるとも言われていますが、発掘
調査がほぼ終わった今日、文化庁はこの遺跡についてどのようにお考えでしょうか。また、
調査官の方が二度にわたり、また文化庁
長官も御自身が現地に入られたとも聞いておりますが、妻木晩田遺跡群は国史跡に十分値するものと考えてよろしいでしょうか、お伺いいたします。