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1999-02-17 第145回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成十一年二月十六日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月十七日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       小澤  潔君    河村 建夫君       中山 正暉君    牧野 隆守君       生方 幸夫君    草川 昭三君       木島日出夫君 二月十七日  小澤潔君が委員長指名で、主査選任された。 ―――――――――――――――――――――― 平成十一年二月十七日(水曜日)     午後一時開議  出席分科員    主 査 小澤  潔君       河村 建夫君    中山 正暉君       牧野 隆守君    生方 幸夫君       山本 孝史君    池坊 保子君       長内 順一君    草川 昭三君       木島日出夫君    兼務 上原 康助君 兼務 海江田万里君    兼務 金田 誠一君 兼務 今田 保典君    兼務 保坂 展人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官)         (沖縄開発庁長         官)      野中 広務君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   野田  毅君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 太田 誠一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君         国 務 大 臣         (金融再生委員         会委員長)   柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  尾見 博武君         内閣審議官   安達 俊雄君         人事院総裁   中島 忠能君         内閣総理大臣官         房審議官    佐藤 正紀君         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局審査局         長       平林 英勝君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁生活安全         局長      小林 奉文君         警察庁刑事局長 林  則清君         警察庁交通局長 玉造 敏夫君         金融監督庁長官 日野 正晴君         宮内庁次長   森  幸男君         総務庁長官官房         長       菊池 光興君         防衛施設庁長官 大森 敬治君         防衛施設庁施設         部長      宝槻 吉昭君         沖縄開発庁総務         局長      玉城 一夫君         沖縄開発庁振興         局長      襲田 正徳君         外務省経済局長 大島正太郎君  分科員外出席者         衆議院事務総長 谷  福丸君         参議院事務総長 堀川 久士君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   藤田 教稔君         裁判官訴追委員         会事務局長   濱井 一夫君         国立国会図書館         長       戸張 正雄君         人事院事務総局         管理局会計課長 鈴木 伸一君         公正取引委員会         事務総局官房庶         務課長     松山 隆英君         警察庁長官官房         審議官     瀬川 勝久君         警察庁長官官房         会計課長    末綱  隆君         宮内庁長官官房         審議官     山口  均君         宮内庁長官官房         皇室経済主管  斉藤 恒孝君         宮内庁長官官房         主計課長    井置 一史君         総務庁長官官房         会計課長    熊谷  敏君         防衛庁経理局会         計課長     中江 公人君         防衛施設庁総務         部会計課長   上瀧  守君         沖縄開発庁総務         局会計課長   石井 英昭君         大蔵省主計局主         計官      坂口 勝一君         文部大臣官房審         議官      銭谷 眞美君         運輸大臣官房審         議官      金子賢太郎君         会計検査院事務         総長      森下 伸昭君         最高裁判所事務         総長      泉  徳治君         最高裁判所事務         総局人事局長  金築 誠志君         最高裁判所事務         総局民事局長  千葉 勝美君         最高裁判所事務         総局刑事局長  白木  勇君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     酒井 治盛君         内閣委員会専門         員       新倉 紀一君         地方行政委員会         専門員     蓼沼 朗寿君         予算委員会専門         員       大西  勉君         衆議院調査局第         一特別調査室長 高橋 徳光君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   生方 幸夫君     細川 律夫君   草川 昭三君     木村 太郎君   木島日出夫君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   細川 律夫君     山本 孝史君   木村 太郎君     池坊 保子君   金子 満広君     藤木 洋子君 同日  辞任         補欠選任   山本 孝史君     生方 幸夫君   池坊 保子君     丸谷 佳織君   藤木 洋子君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   丸谷 佳織君     長内 順一君   辻  第一君     木島日出夫君 同日  辞任         補欠選任   長内 順一君     草川 昭三君 同日  第二分科員金田誠一君、第六分科員海江田万里  君、今田保典君、第七分科員保坂展人君及び第  八分科員上原康助君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成十一年度一般会計予算  平成十一年度特別会計予算  平成十一年度政府関係機関予算  〔国会裁判所会計検査院内閣及び総理府所管北海道開発庁経済企画庁科学技術庁環境庁国土庁を除く)〕      ――――◇―――――
  2. 小澤潔

    小澤主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、皇室費国会裁判所会計検査院内閣及び総理府並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては北海道開発庁経済企画庁科学技術庁環境庁及び国土庁を除く所管についての審査を行うことになっております。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係機関予算中国会所管について審査を進めます。  まず、衆議院関係予算説明を聴取いたします。谷衆議院事務総長
  3. 谷福丸

    谷事務総長 平成十一年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成十一年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は七百八億七千七百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、九億九千五百万円余の減少となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、六百六十五億一千二百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し十四億七千五百万円余の増加となっております。その主なものは、議員歳費等人件費議員会館整備基本構想策定調査費、新国会構想調査検討経費及び国会審議インターネット放送経費等増加によるものであります。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、四十三億五千七百万円余を計上いたしております。  この主なものは、衆議院議長公邸増改築費国会審議テレビ中継施設新築費及び本館等庁舎の諸整備等に要する経費でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。  以上でございます。
  4. 小澤潔

    小澤主査 次に、参議院関係予算説明を聴取いたします。堀川参議院事務総長
  5. 堀川久士

    堀川参議院事務総長 平成十一年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成十一年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は四百二十二億八千六百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三十二億六百万円余の減少となっております。これは、主として平成十年度予算に計上されました参議院通常選挙に伴う改選関係経費減少本館等庁舎整備費等の十年度第三次補正予算への計上によるものであります。  次に、その概略を御説明申し上げます。  第一は、国会運営に必要な経費でありまして、三百九十八億二千二百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、インターネット国会審議中継のための経費情報化の一層の推進のための経費等を新たに計上いたしております。  第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、二十四億五千八百万円余を計上いたしております。これは、第二別館の増築、本館その他庁舎整備等に要する経費であります。  第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、平成十一年度参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 小澤潔

  7. 戸張正雄

    戸張国立国会図書館長 国立国会図書館平成十一年度歳出予算について御説明申し上げます。  平成十一年度国立国会図書館関係歳出予算要求額は二百五十三億七千百万円余でありまして、これを前年度予算と比較いたしますと、三十一億五千万円余の減額となっております。  次に、その概要を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は百四十八億二千八百万円余でありまして、これを前年度予算と比較いたしますと、一億八千二百万円余の増額となっております。これは、主として電子図書館基盤システム等システム化経費に加えて、国際子ども図書館につきまして、平成十二年一月に機構として設置し、平成十二年度に第一期開館を迎えるために、職員増員等措置を講じるとともに、開館に必要な経費を計上したことによるものでございます。  第二は、科学技術関係資料収集整備に必要な経費でありまして、六億八千八百万円余を計上いたしております。これを前年度予算と比較いたしますと、一億円余の増額となっております。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、九十八億五千三百万円余を計上いたしております。これを前年度予算と比較いたしますと、三十四億三千三百万円余の減額となっております。これは、主として関西館国際子ども図書館建設費を計上しているものの、平成十一年度に計上することを予定していた関西館用地取得に要する経費等につきまして、平成十年度第三次補正予算に計上したことによる減額であります。  以上、国立国会図書館平成十一年度歳出予算要求について御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  8. 小澤潔

  9. 藤田教稔

    藤田裁判官弾劾裁判所参事 平成十一年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成十一年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は一億二千二百一万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二十万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費であります。  以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  10. 小澤潔

  11. 濱井一夫

    濱井裁判官訴追委員会参事 平成十一年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成十一年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は一億四千四百四十四万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三百九十三万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費であります。  以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  12. 小澤潔

    小澤主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、国会所管については終了しました。     ―――――――――――――
  13. 小澤潔

    小澤主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。  会計検査院当局から説明を聴取いたします。森下事務総長
  14. 森下伸昭

    森下会計検査院説明員 平成十一年度会計検査院所管歳出予算について御説明いたします。  会計検査院平成十一年度予定経費要求額は百六十五億四千百五十三万余円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の検査業務及び一般事務処理を行うために必要な経費であります。  今、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として百四十億一千三百五十六万余円を計上いたしました。これは総額の八四・七%に当たっております。  旅費として八億五千百六十三万余円を計上いたしました。このうち主なものは、検査旅費が七億二千四百七十四万余円、海外検査等外国旅費が三千六百五十五万余円であります。  施設整備費として八千六百九十二万余円を計上いたしました。これは庁舎改修工事費であります。  その他の経費として十五億八千九百四十一万円を計上いたしました。このうちには、会計検査充実強化のための経費三億二千七百四十七万余円、有効性検査強化のための経費四千百五十八万余円、会計検査情報システム開発及び運用のための経費五億九千四十万余円及び研修・研究体制整備経費二億六千九百八十四万余円が含まれております。  ただいま申し上げました平成十一年度予定経費要求額百六十五億四千百五十三万余円を前年度予算額と比較いたしますと、三億六千百六十四万余円の増加となっております。  以上、簡単でございますが、本院の平成十一年度予定経費要求額概要の御説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  15. 小澤潔

    小澤主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑申し出もありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。     ―――――――――――――
  16. 小澤潔

    小澤主査 次に、内閣及び総理府、ただし北海道開発庁経済企画庁科学技術庁環境庁及び国土庁を除く所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。野中内閣官房長官
  17. 野中広務

    野中国務大臣 平成十一年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管平成十一年度における歳出予算要求額は二百九億七千九百万円でありまして、これを前年度当初予算額百八十五億七千四百万円に比較いたしますと、二十四億五百万円の増額となります。  要求額の内訳といたしましては、内閣官房には、総合調整等のための経費として百億五百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十一億四千四百万円、人事院には、人事行政等のための経費として九十八億三千万円を計上いたしております。  次に、総理府所管平成十一年度における歳出予算要求額は九兆三千七百四十七億六百万円でありまして、これを前年度当初予算額九兆一千百六十億四千九百万円に比較いたしますと、二千五百八十六億五千七百万円の増額となっております。  このうち、北海道開発庁経済企画庁科学技術庁環境庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費のうち主なものについて、以下、順を追って御説明いたします。  総理本府には、政府広報栄典関係男女共同参画社会の形成、平和祈念事業特別基金、沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業、新官邸整備等のための経費として五百六億四千七百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千五百八十六億五千四百万円、金融再生委員会には、金融再生委員会運営株価算定委員会運営等のための経費として十二億四千七百万円、金融監督庁には、金融監督庁一般行政金融機関等監督証券取引等監視委員会運営等のための経費として六十八億四千七百万円、総務庁には、総務庁一般行政、恩給の支給、統計調査等のための経費として一兆四千五百七十五億六千七百万円、防衛本庁には、陸上、海上、航空自衛隊等運営武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費として四兆三千三百九十四億八百万円、防衛施設庁には、基地周辺対策事業在日米軍駐留経費負担及びSACO関連事業等のための経費として五千九百二十五億四百万円、沖縄開発庁には、自由貿易地域活性化推進調査沖縄における教育・文化振興保健衛生対策及び農業振興に要する経費並びに沖縄開発事業に要する公共事業関係費等として三千二百八十二億一千三百万円を計上いたしております。  以上をもって、平成十一年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いをいたします。
  18. 小澤潔

    小澤主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  19. 小澤潔

    小澤主査 沖縄開発庁について質疑申し出がありますので、これを許します。上原康助君。
  20. 上原康助

    上原分科員 予算の総括あるいは一般質問沖縄開発庁関係についてお尋ねする機会が短かった面もありまして、さらに、開発庁長官官房長官兼務しておられるということもあって、当分沖特も開かれそうにありませんので、若干お尋ねをさせていただきたいと存じます。  まず、せんだってもお尋ねをいたしましたが、今年五、六月といいますか、あるいはどの時期になるかはよくわかりませんけれども、政府構想しておられる沖縄経済振興二十一世紀プランについて、もう少し、開発庁長官としてと申し上げますか、あるいは内閣沖縄担当大臣という立場もありますので、現段階でお考えになっておられること、これはせんだっての、沖振法あるいは復帰特別措置法等にかわる新たな政策といいますか振興策だと理解してよろしいかということについては、そう考えても結構だというような御答弁があったわけですが、改めて長官のお考えをお聞かせ願えればと存じます。     〔主査退席河村(建)主査代理着席
  21. 野中広務

    野中国務大臣 今委員お尋ね沖縄経済振興二十一世紀プランと言われるものにつきましてでございますが、先月の二十九日に開催をされました第十回目の沖縄政策協議会におきまして、稲嶺沖縄県知事から、二十一世紀プランの早期の策定、具体的には可能な限り、本年半ばごろまでに中間的な報告を取りまとめていただきたい旨の御要望があったわけでございます。この御要望を受けまして、政府といたしましては、今後、逐次検討を進めることといたしまして、次期十一回目の協議会におきまして、このプランの目指す方向について、沖縄県側の御意見をちょうだいいたしたいと段取りを協議いたしておるところでございます。  今それぞれ、沖縄関係する三法を一つにまとめるのかという御認識もありましたが、現に今三法があるわけでございます。したがいまして、これとの整合をどのように考えていくか。まず、政府としては、先ほど申し上げましたように、沖縄県側の御意向を十分お聞きをいたすことが先決であり、その上に立ってこの法のあり方を考えるべきだと存じておるところでございます。  二十一世紀に向けまして、委員が常におっしゃっておりますように、従来の依存型経済からぜひ自立型の経済への移行に向けた取り組みが、今後、沖縄にとって最重要であると認識をしておるわけでございますので、この二十一世紀プランに当たりましては、そうした認識の上で、二十一世紀という新しい時代への処方せんについて検討を重ねていくことになろうと思うわけでございますが、この際において、ポスト第三次沖縄振興開発計画との関係や、知事が提唱をされております今委員御指摘の沖縄経済新法の扱いなども含めて、広く検討をする必要があると考えておる次第であります。
  22. 上原康助

    上原分科員 稲嶺県政もスタートなさってからまだ三月そこいらですから、これから県内、県庁内、あるいは沖縄開発庁関係省庁政府関係ともいろいろ御協議をして進めていかれると思うのですが、ぜひひとつ、この二十一世紀プランともう一つ沖縄経済新法、これは沖縄県御当局が主体的にお考えになる構想だと思うのですが、従来とは変わった沖縄未来像ビジョンというものを打ち出していただきたい。  これまでの沖縄振興策で欠落しておったのは、私が申し上げるまでもないのですが、ぜひこの二十一世紀プランについては、米軍基地整理縮小など、県土全体のビジョンというものを包含したものにしていただきたい。これは私の要望でもあり、かねがねの提言でもあるわけですが、恐らくそういったこと等についても、稲嶺県知事あるいは県側とある程度の意見交換なり問題点は提起されているかとも思うのですが、これは事務当局でも結構ですから、これまでの大体の柱になりそうなものがあれば、簡潔に教えていただきたいと存じます。
  23. 玉城一夫

    玉城政府委員 お答え申し上げます。  経済新法のことにつきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたが、まだ私ども詳しく聞いておりません。具体的に実務の面でも、こういった方向でいきたいというふうなことも全く緒についておりません。これからの県との話し合いになろうかというふうに考えております。
  24. 上原康助

    上原分科員 そこは県側の御意向もあろうかと思いますので、ぜひしっかり呼吸合わせをして進めていただきたいと思います。  これは大臣、基地問題も含めて二十一世紀プランというものは構想していかれる、策定していかれる、その大筋といいますか、その基本政府としてもぜひ御認識の上で進めていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  25. 野中広務

    野中国務大臣 御承知のように、今日まで沖縄政策協議会のもとに置かれました十プロジェクトチームがあるわけでございますし、また委員十分御承知のように、特別調整費等を活用いたしまして、各種の調査活動やら事業の推進を今日まで逐次行ってきたところでございまして、今後のあり方として、委員がおっしゃいますように、基地の整理縮小、そして沖縄の将来ビジョンを十分考えて、そして沖縄の振興のあり方を考えていかなくてはならないと思うわけでございます。  一方におきまして、島田懇談会が、プロジェクトが置かれておるわけでございまして、平成八年の秋以来、この懇談会の提言もいただいて、これに基づきまして、それぞれフォローアップの機関として設置をした地元の有識懇談会等において累次の検討を踏まえまして、それぞれ基地所在の市町村の活性化に向けた事業の推進を図ってきておるところでございますし、今後もまた、それぞれ、先ほどお願いをいたしました予算を含めて適切に処置してまいりたいと思うわけでございます。  ただ、私といたしましては、この将来ビジョンの中に、基地のあるところ、基地のないところを踏まえながら、基地がないところにも米軍の車は通りますし、そして飛行機の騒音は聞こえるわけでありますし、それぞれそういう市町村との調和をどのように考えていくかということをこれから十分配慮しながら、離島を含めた沖縄全土の調和ある発展のためにいささかでも貢献をしてまいりたいと考えておる次第であります。
  26. 上原康助

    上原分科員 今、野中長官、大変いいポイントを御指摘していただいて感謝いたします。  それというのは、私もせんだっても通告したのですが、島田懇のプランニング、いわゆる事業というのは、いつかも申し上げたのですが、基地所在市町村から非常に評価されております。これは県民もそういう評価をしておって、それはぜひ一層、既定方針といいますか、関係市町村の御意向を受けとめて推進をしていただきたいわけです。  あわせて、財政的にも振興策の面においても、基地が所在していない市町村との格差が生じているという面で、いろいろ地域を歩きますと、そういう問題提起が基地のない各市町村長から多いのですね。そういう意味で、ぜひこの二十一世紀プランとか、あるいはこれからの沖縄開発庁なり政府全体の施策の中にはそういう点も御配慮の上でひとつやっていただきたいということを、御答弁がありましたので、私の方からも要望を申し上げておきたいと存じます。  そこで、もう一つは、これは一月二十九日の沖縄政策協議会で稲嶺知事、沖縄県側から六項目の要望がかつて出されて、一々は申し上げませんが、この六項目の要望事項については、沖縄開発庁として、政府としては、ほぼ県側要望に沿って、中身は若干そのとおりでない向きもあるようですが、これから実現していく、実施、実行できる、こういうふうに受けとめていいのか、理解していいのかどうか、改めて御見解を求めておきたいと存じます。
  27. 野中広務

    野中国務大臣 先ほども申し上げましたように、まずは県側の御意向を十分事務的にも聞きまして、沖縄開発庁はもちろんのこと、内政審議室その他、防衛庁、関係機関を通じまして、総力を挙げて、この沖縄の問題処理のために、あるいは知事の御提言を十分生かせるように配慮をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  28. 上原康助

    上原分科員 ですから、この六項目の県側要望については、地元紙の評価というか県民の受けとめ方は、ほぼ及第点というか相当評価をしておりますので、航空運賃の問題であるとか自動車道の料金問題、なぜ三年間臨時で三割程度かということは若干疑問がありますが、含めて早期に実現をするように要望しておきたいと思います。  次に、平成十一年度予算の内示額との関連で、沖縄振興のための特別調整費、非公共事業関係の五十億についてはいろいろメニューが既に出ているわけですが、公共事業関係の五十億については沖縄開発庁に一括計上されて、これからその内容については検討していかれるということかと思うのです。この公共事業関係の五十億についての使途はどうお考えなのか、お示しを願いたいと存じます。
  29. 襲田正徳

    襲田政府委員 公共事業関係の特別の調整費五十億円についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、県側の方のお考え要望も伺ったわけでございますが、観光が沖縄経済を支える重要な柱となっているということを踏まえまして、即効性等の見地から、観光を中心とする産業振興に役立つ公共事業を重点的に実施したいという御意向でございましたので、このような形で緊急対策に盛り込んだところでございます。  具体的な事業につきましては、これから県あるいは関係省庁と十分打ち合わせていきたい、このように考えております。
  30. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、県側からというか関係団体もあるでしょうが、具体的にどういう事業をやりたい、あるいはやってほしいということはまだ上がってきていないということなのか。それとも、政府として、開発庁としてというか内政審議室として、どういうふうなことをお考えになっているか。それもこれからの検討課題ということなのか。もう少し説明してください。
  31. 野中広務

    野中国務大臣 何としても、緊急対策の中で示された考え方から考えますと、とりあえず観光を中心とする産業振興に役立つ公共事業というものを幅広く検討していきたい、そういう中で沖縄の特性を生かした魅力あるそれぞれの地域づくりを効果的に進めていきたいと考えて、次期政策協議会に臨んでいきたいと思っておるわけでございます。  とりあえずは、観光・リゾートの地域にふさわしい景観の形成とか環境の保全とか、道路の緑化とか海岸の整備とか赤土対策とか、こういう問題やら、リゾート客の利便性ということから、駐車場、案内標識等の整備とか公園の整備あるいは港湾施設の整備等を含んで、次回の政策協議会に提示できるような作業は進めておるところでございます。
  32. 上原康助

    上原分科員 私は、そのお考えは結構だと思うのです。大変いい。沖縄の観光振興あるいはその他の自然保護を含む、もっと景観を整備していく。要するに、沖縄に行ってよかったとか観光に来てよかったとか、もっと沖縄のよさというのをイメージアップするような事業をぜひ進めていただきたい。  そこで、この緊急対策についての取り組み方針の案のIIでいろいろ述べておられます。全部は時間の都合上読みませんが、まさに、沖縄振興に対する即効性、今大臣おっしゃった即効性の見地から、  沖縄の観光・リゾート客の増加に資するなど、観光を中心とする産業振興に役立つ公共事業を重点的に実施することとする。   具体的事業の検討に当たっては、県の要望を踏まえるとともに、観光・リゾート地域にふさわしい景観の形成・環境の保全、観光・リゾート客の利便性の確保、事業間の相乗効果等に留意し観光振興に効果の高い事業を総合的に推進するなど、沖縄の特性を生かした魅力ある地域づくりに効果的な施策となるよう配慮することとする。 こう方針で述べておられるのですね。  それで、具体的な問題提起として、この事業にまさにぴったりのものを前から私は提起をしてきたのですよね。これは私が本部の出身だからというわけではありませんで、以前から、八重岳の桜並木、一月十五日の成人式に八重岳桜花見祭りがオープンしますので、このことは大変結構なことなのですが、御承知のように、もう全く道路整備がなされていないのですよね。なされていない。  その意味で、ぜひこれは、地元の意向というものが大事ではあるでしょうが、現在、八重岳の頂上から桜の森公園までの、上からの道路整備はなされているようですが、やはり八重岳の入り口のところからきちっと道路も整備をして、現在の桜並木を挟んで側溝もつける、歩道もするということをやっていけば、これこそ本当に観光や自然環境保全等を含めて大いに役立つと思うのですね。まさにこの緊急対策にぴったりの事業だと私は見ているわけですよね。  そういう意味で、前々から私は本部町にも、何でこういうことをやってくれないのか、町から提案をして県に上げて、県から国の開発庁や関係省庁に要請すれば、きっとこれは実現するだろうということを指摘してきたのですが、なかなかそういう計画が具体的には上がっていない面が残念なのです。  今度はもう一度県や地元の町長さんや関係者とも話して、これは何とか実現をしていただきたいと思うのですが、この点についてどういう御認識を持っておられるか。これは大臣にお答えいただければなおありがたいが、ひとつぜひ実現をするように、一緒にお力をかしていただきたいと思います。
  33. 野中広務

    野中国務大臣 沖縄県の本部町の、委員おっしゃいました桜は、非常に見事なものだと私どもも聞いております。けれども、この本部の、旧補助飛行場もあり、既に、復帰前、昭和四十一年に返還されたものでありますが、なかなかこの桜の道というのは、私が聞く範囲においては、非常に両側に立派な桜並木があるけれども、そこに道路をつけるというのが非常に困難な場所であるわけで、そのことは配慮しながら、バイパス的な道路に今手をつけておるということでございます。  ただ、委員十分御承知でございますけれども、なかなか用地の関係等難しい問題もあるようでございますし、また一方において、送信所の建設用地を含む区域において、本部町が、国際宇宙ステーションパークやあるいは国際ショッピングモールといったようなものを盛り込んで街づくりを、旧上本部飛行場跡地利用構想なるもので行っておられるということを承知をしておるわけでございまして、いずれにいたしましても、開発庁といたしましては、まず関係町や地元において十分協議をしていただきまして、問題の解決がされるように、そして今委員もおっしゃいました、こういうかけがえのない八重岳線の拡幅等は十分これからの事業の中に生かしていきたいと思っておる次第であります。
  34. 上原康助

    上原分科員 よくお調べになってくださって、問題点は御認識なさっておられるようです。  確かにいろいろ難しい点はあると思いますよ。しかし、私は今の道路拡幅計画ではいかぬと思うのですよ。この間も、私も時々地元を行き来するのですが、糸満から来た主婦の女性の方が、上原さん、あんなにすばらしい桜並木があり観光地なのに、何で道路が整備されていないのか、地元からみんなハイキングで、親子連れで徒歩で歩いていきたい、だが、もう道が悪くて、狭くて、とても花見とか観光気分になれない、何とかできないんですか、しばしばそういう指摘があるのです。  それで、委員長、済みませんが、これは私が一九九三年の一月にこういうことを指摘をして新聞に載っけましたので、ちょっと長官にお見せしていいですか。
  35. 河村建夫

    河村(建)主査代理 どうぞ。
  36. 上原康助

    上原分科員 大変失礼ですが、お目通しください。  あのころから私はこのことを取り上げて、町当局や県にも要望してきたのですが、なかなかどういうわけか、私が当事者ならまずああいうことをきちっとやりますね、正直申し上げて。  お役人の皆さんも八重岳に行ったことがあると思うのだが、ぜひこれは、こういう事業計画もやるし、観光に資するようなことをやる、環境保全の面からも地域の文化の面からも、まさにこういうソフトなことを今公共事業の一環として私はやるべきだと思いますので、真剣に御検討していただきたいと思いますが、改めてひとつ。
  37. 襲田正徳

    襲田政府委員 町道八重岳線のお尋ねでございます。  お話しのように、桜祭りが開催されるなど多くの観光客でにぎわう拠点になっているわけでございますが、この道路は現状、お話しのとおり非常に幅員が狭い、四、五メートルということもございます。それから、線形もなかなか悪い箇所が多いというようなこともございまして、地元の強い要望も片やあるということで、実は十年度から、町が事業主体となりまして、近くの大嘉陽八重岳線というものの整備に着手をいたしているところでございます。これが整備されますと、桜祭りのメーン会場となります、中腹に位置する桜の森公園まで大型バスの進入も可能となるということで、観光客の利便性に資するというふうに考えております。  お話しの特別の調整費を用いて八重岳線そのものの整備をということでございますが、今申し上げましたような状況を踏まえながら、この貴重な観光資源であります桜並木を保存しながら観光客の利便性の向上等を図るということで、一体どういうことが可能なのか、県のお考えもよく聞きながら、また関係省庁と十分打ち合わせをしながら、今後検討してまいりたいと考えております。
  38. 上原康助

    上原分科員 もう時間ですが、私はきょう問題提起を改めていたしましたが、これは、八重岳大嘉陽線を整備をして上から大型バスを入れたって、それも結構ですが、私は、大型バスを入れるというよりも、やはり歩道をつけて、人間が温かみを感ずるような観光施設にしてもらいたい。  これは、八重岳の入り口からきちっとやればできるのですよ、ある程度お金をかければ。現在の桜を保存しながら、ああいうところですから、土地購入費の問題にしても地元の協力は得られると私は思いますので、こういうことこそやはり沖縄のこれからの観光振興あるいは地域振興の上で最も大事なことですので、改めて野中長官、これは大臣の政治力でひとつ指示をしていただいて、御検討いただけませんか。お答えをいただきたいと存じます。
  39. 野中広務

    野中国務大臣 御指摘のありました、桜の名所でもありますし、いろいろ私が聞く範囲におきましてはなかなか、幅員の問題あるいは用地の問題等困難な問題もあるようでございますが、今委員御提起の歩道等も含めて、もう一度よく関係町及び県と相談してまいりたいと存じております。
  40. 上原康助

    上原分科員 終わります。ありがとうございました。
  41. 河村建夫

    河村(建)主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして沖縄開発庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  42. 河村建夫

    河村(建)主査代理 次に、内閣について質疑申し出がありますので、これを許します。池坊保子君。
  43. 池坊保子

    池坊分科員 池坊保子でございます。  官房長官には、連日大変に御苦労多い公務でいらっしゃいますのに、きょうは三十分時間をとっていただいて、大変うれしく思っております。二〇〇〇年に日本で開催されますサミットについてお伺いしたいと存じます。  昨年の記者会見で官房長官は、サミット開催は来年度まで持ち越す、今年度中には決定しないと記者会見なさいましたけれども、現在の状況はどのようになっているのでございましょうか。そしてまた、いつごろ決定されるおつもりかをお伺いしたいと存じます。
  44. 野中広務

    野中国務大臣 お尋ねのございました我が国で行われるサミットの開催につきましては、委員承知のように、現在まで八つの自治体が立候補をしていらっしゃいまして、札幌、千葉、横浜、大阪、広島、福岡、宮崎、沖縄、それぞれこの八つの皆さん方から強い御要請をいただいておるところでございます。  政府といたしましては、この八つの地域につきまして、サミットを開催できる条件づくりは非常に多岐にわたって検討をしなければならない問題が多くあるわけでございまして、わけて主要八カ国の首脳が一堂に会する行事でございますだけに、数千人規模の各国代表団あるいは報道関係者を受け入れなくてはなりませんし、それだけに、会議場や宿舎、施設等の状況、あるいは地理的な条件、輸送、警備上の問題点等、万般にわたりまして総合的な検討をいたして、このサミットが我が国で行われ、東京以外のところで行うことについての、より成功ができるような道を目指してまいりたいと考えておるわけでございます。  その場所の決定は、ケルン・サミットの前に決定をすればいいわけでございますので、六月のサミットまでには決定をしなければならないと考えております。
  45. 池坊保子

    池坊分科員 私は、官房長官も御存じのように、官房長官と同じ京都に住んでおりまして、大阪選出の議員でございますから近畿への熱い思いはございますけれども、そういう地域のエゴだけでなくて、客観的に、各国の首脳をどうもてなすのか、そういう視点から、また我が国が各国の首脳に何を発信できるのかという視点から、大阪誘致に積極的でございます。  イギリスやフランスでは、ロンドン、パリに続いて、第二の都市バーミンガム、リヨンが選ばれてサミットを開催しております。  地方分権が叫ばれます日本の政治の流れから見ても、今おっしゃいましたように、東京は過去三回サミットをいたしておりますので、地方都市に決定をされることは好ましいことであると存じますけれども、今候補に挙がっております八都市の中からお選びになるおつもりでございましょうか。
  46. 野中広務

    野中国務大臣 さようでございます。
  47. 池坊保子

    池坊分科員 ちょっと警察庁の方にお伺いしたいと存じます。  サミットをいたします場合には、どれぐらいの警備が必要だとお考えでございましょうか。
  48. 瀬川勝久

    ○瀬川説明員 サミット警備の態勢についてのお尋ねでございますが、警備態勢につきましては、何といいましてもそのときの警備情勢というものがまず前提にございます。また開催される地域、また会議が行われます場所でありますとか、あるいは来日されます要人の宿舎がどこになるか、こういったいろいろな条件を考慮する必要があると考えておりまして、一概にサミットの警備にどのぐらいの態勢ということを現時点では申し上げかねるということを御理解いただきたいと思います。  なお、過去三回東京におきましてサミットが開催されましたが、前回、平成五年の東京サミット、第十九回サミットでございますが、この場合は全体で三万六千人の態勢をとって実施をいたしました。  警察といたしましては、開催地が決定されましたならば、その後、速やかに警備態勢の検討に入りたい、こう考えております。
  49. 池坊保子

    池坊分科員 今のお話ですと、場所によって警備態勢、警備に必要な人数も違うということでございますけれども、どこにいたしましても大体三万六千人前後の人間が必要だということに変わりはないと理解してよろしいのでございますね。
  50. 瀬川勝久

    ○瀬川説明員 第十九回サミットの例についてただいま申し上げましたが、あくまでも、やはりそのときの警備情勢を初め、開催地、それから会議の運営でありますとか会議が行われる場所でありますとか、そういった具体的な条件に即して検討してまいりたいというふうに考えております。
  51. 池坊保子

    池坊分科員 ちょっと話は変わりますけれども、大阪府警というのは一体どれぐらい職員がいるのでございますか。つまり、もしサミットをした場合に、それにかかることができる人間はどれぐらいいるんでしょうか。
  52. 瀬川勝久

    ○瀬川説明員 大阪府警の警察官の定数は、現在一万八千九百五十五人、政令で定まっております。  ちなみに、大阪では平成七年にAPECが開催をされまして警備を実施いたしましたが、その際は、大阪府警からの動員数は一万三千人をもって充てました。これに全国警察からの応援が一万二千人ということで、総勢二万五千人態勢で実施をいたしたところでございます。  参考までに申し上げました。
  53. 池坊保子

    池坊分科員 六月に決定されるということですと、警備の問題なども、ほかの八つの都市ではいろいろなことをお考えになっていらっしゃると思います。  参考までに伺いたいのですが、例えば宮崎でする場合にはどれぐらいの警備態勢が必要であり、そして宮崎にはどれぐらいの県警の職員がいるかをお聞かせいただきたいと思います。
  54. 瀬川勝久

    ○瀬川説明員 宮崎県警察の警察官定数でございますが、これも政令で定まっておりまして、一千八百十一人ということになります。  宮崎で開催されることになった場合の警備態勢というお尋ねでございますが、先ほどから申し上げておりますように、情勢なり周囲の環境なり、そういったことを勘案して、決定された後において検討する、こうなろうと思いますが、どこで行われましょうとも、全国警察を挙げて、応援態勢などを十分整えて対処していきたいというふうに考えております。
  55. 池坊保子

    池坊分科員 私が伺いましたのは、警備の点から申しましても、その土地に警備ができる人間をたくさん持っている方が、全国から応援してもらうと、やはりその応援部隊のよそのところはどうしてもすき間ができてしまって、何か問題が起きたときにも速やかに対処できないということがあります。例えば場所は違っても、三万六千人東京だったら要るけれども、ほかの都市だったら一万で済むよということはあり得ない。大体が三万五千前後というふうに考えていいと思います。  すると、警備の点から申しますと、全警備の半数を大阪府警が持っているということだと思いますので、警備の点などをお考えになると、官房長官、どういうふうにお考えでございますか。
  56. 野中広務

    野中国務大臣 なかなか誘導尋問でございまして、先ほど申し上げましたように、八カ国の首脳がいらっしゃるわけでございまして、その宿泊あるいは会議場、プレスの宿泊、警備、いろいろなことを考えて、過去三回は東京でやらざるを得なかったと私は思うわけでございます。  けれども、各国の例を見ると、首都だけでなく、ほかでもやることが可能ではないかということから、小渕総理といたしましては、できるだけ地方開催を考慮したらどうだということで御指示をいただき、この八つの候補地が今名乗りを上げていただいておるわけでございます。  直接のお答えになりませんけれども、東京でやれたのは、私は、第一は、東京の皆さんはこういう大きな国際会議に非常に理解を示していらっしゃる。だから、池坊委員、また同じ京都でございますけれども、仮に大きな国際会議をやるときに、高速道路が国際会議場まで行っておらない京都で、一つの道路だけでなく、二重三重の道路の屋根裏まで警備を三カ月ぐらい前からやったり、車の後ろを全部あけてやったときに、我々の京都は耐えられるのだろうかと私は考えたことがあります。やはりそういう点では、東京の皆さんというのは非常によく理解をしていらっしゃる。  あるいは、ここにはやはり四万人を超える警視庁の警察官がおります。ほとんど標準語のわかる、話せる警察官であり、地方から動員をしてもその人たちは周辺でやるという、そういう強さを持っております。あるいは大使館があります。いろいろな要素で、私は東京におけるサミットというのは非常に成功をしてきたのではなかろうか。  こういうことを考えますときに、それぞれの警察が、今やらなくてはならない治安上の、あるいは交通整理上の条件を満たして、なおこの行事をやるわけでございますから、警備に必要とする人員というのは相当数限定をされてくるわけでございますので、今後、この候補地を決定する上には、そういういろいろな要素を入れて考えなければならない問題であると存じておるところでございます。
  57. 池坊保子

    池坊分科員 今官房長官のお話にもございましたように、多少経験のある都市の方がいいのではないかというお話でございまして、そういう意味では、大阪はAPECの経験もございまして、警察の方に伺いたいのですが、平成七年のAPECでは警備に何か支障がございましたでしょうか。私は高く評価されていたというふうに聞いておりますけれども、ちょっとその報告を伺いたいと存じます。
  58. 瀬川勝久

    ○瀬川説明員 平成七年十一月、大阪でAPECが開催され警備を実施いたしました。先ほども申し上げましたとおり、この際、大阪府警を初め全国警察の総力を挙げて実施をいたしました。  態勢は先ほど申し上げましたが、応援一万二千人を含む二万五千人の態勢でございました。その結果、交通規制を初め各種警備諸対策に対しまして市民の御協力も十分得ることができたと考えております。  その結果、特異な事案の発生も見ることなく、会議出席者の身辺の安全、そして諸行事の円滑な進行が図られたものというふうに認識をしております。
  59. 池坊保子

    池坊分科員 官房長官、大阪市民の十分な理解を得ることができたそうでございますから、これをちょっとお心にとめていただきたいと存じます。  外務省の方、APECはどのような成果だったかをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  60. 大島正太郎

    ○大島(正)政府委員 お答えを申し上げます。  九五年十一月でございますけれども、大阪でAPECが開催されました。  APECは、御承知のとおり、アジア太平洋経済協力会議でございます。二日間の閣僚レベルの会議と二日間の首脳レベルの会議を行いまして、十八の国及び地域の閣僚、首脳が集まりまして、アジア太平洋地域における貿易・投資の自由化、そういった問題について十分な討議あるいは宣言を出す等、大変有意義な成果があったと承知しております。
  61. 池坊保子

    池坊分科員 平成七年にAPECを大阪で開催いたしましたときに、次はサミットをしたいというのが多くの大阪府民の希望でございました。  外務省の方にお聞かせいただきたいのですけれども、過去三回サミットをなさった経験から、一体日本全土から、そして世界各地からどれくらいの報道陣とかSPが集まってくるのでございましょうか。
  62. 大島正太郎

    ○大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  手元の数字でございますけれども、九三年の東京サミットでございますが、各国政府関係者八千百人余りでございます。そのうち、日本の事務方が当然たくさんございますので、警備を除きまして五千人、したがって諸外国からは三千人余りということでございます。それに加えて報道陣、これは大変な関心を持って集まりますので、プレスが諸外国からを含めて九千百人余り、そのうち、日本のプレスが多うございますから、諸外国は二千人ぐらい、こういうことでございます。  警備のことは、ちょっと別途の数字を持ち合わせていないのでございますけれども、そのような形で多くの関係者が集まった。  したがいまして、ほかの経験もなべて言いますと、少なくとも四千人程度の政府の代表及び政府関係者が集まって、それに加えてプレス関係者が数千人、そういうのが大体最低限の数字ではないかと思っております。
  63. 池坊保子

    池坊分科員 万前後の人が移動することを考えますと、官房長官にはアクセスの確保についてちょっとお考えいただきたいというふうに思っております。  例えば、宮崎とか沖縄とか札幌の場合ですと、陸路は不可能でございます。台風などで飛行機が飛ばないということも考えられるかと存じます。大阪の場合には、関西新空港という国際空港を持っておりますし、また東京から二時間半という新幹線がございます。もし飛行機が飛ばなくても陸路がある、また陸路が故障したときにも空路があるという、選択肢が多い方がベターではないかと思っておりますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  64. 野中広務

    野中国務大臣 委員の大阪開催にかけられる熱意のほどはよくおわかりをしておるわけでございますが、私ども、それぞれ専門家をもちまして、先ほど申し上げましたように、いろいろな条件整備はどのように候補地でやられておりますかを厳正、公平に調査いたしまして、我が国で開催されるサミットが万全を期して成功できるという、その確証が得られた上で候補地を決定したいというように存じておりますので、今は予見を持ってお話を申し上げることを避けさせていただきたいと存じます。
  65. 池坊保子

    池坊分科員 日本は、エコノミックアニマルと多少の侮べつを込めて各国から見られております。その経済もちょっと危うくなってまいりました昨今でございますけれども、我が国が、経済だけでなく長い歴史と豊かな文化を有しているということを、この際、示すべきではないかと私は考えております。世界歴史遺産を近畿は京都と奈良と二つ持っております。これは世界にも類がないのではないかと存じます。  シラク大統領も京都が大好きでいらっしゃるそうでございます。昨年十一月、EU会議でパリに参りましたとき、パリの日仏会館で縄文時代の遺跡展をやっておりまして、唯一縄文時代の国宝でございます縄文ビーナスが展覧されておりましたけれども、シラク大統領が大変それがお好きで、よく見にいらっしゃるというお話を伺いました。日本の文化や歴史が世界各国に及ぼす影響、果たす役割は大であると思います。  東京サミットでは、日本の経済以外に何を発信できたと外務省の方はお考えでございましょうか。
  66. 大島正太郎

    ○大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  過去に東京でのサミット、既に七九年、八六年、九三年と三回行っております。サミットにおいては、御承知のとおり、その時々の主要な政治、経済、社会問題を議論し、首脳声明あるいは宣言という形で外に対して発信しているわけでございます。過去の三回の東京におけるサミットも、その時々の主要な問題、例えば七九年の場合には第二次石油危機の直後でございましたので、その関連した問題について宣言を出しております。  そういった形で、主たるメッセージというのは、もちろん経済あるいは政治の問題について首脳が集まって議論した成果を訴えております。  他方、東京という場で行われていることを通じて、東京を首都とする日本の経済についての力あるいはそういったものもあわせて、各国首脳を介して、その国民の方々にメッセージとして伝えられているんではないかと思っております。
  67. 池坊保子

    池坊分科員 奈良には能楽堂を併設いたしました会議場もございますし、京都では禅堂で会議をしたりするのも世界が注目するのではないかと思っております。昨年はロンドンで蔵相・外相会議があり、バーミンガムで首脳会議がございました。もしその方法をとるのでございましたら、奈良、京都で外相会議、蔵相会議をすることも可能ではないかと思っております。  御存じだと思いますけれども、大阪では五百七十億円をかけまして立派な国際会議場がことしの秋に竣工いたします。会議場は新しいものの方がいいのではないかというふうに思っております。  それと、官房長官のお手元に届きましたでしょうか、大阪にサミットを誘致してほしいという要望書が、東大の先生や哲学者、あるいは大阪在住以外の方で、文化勲章をおとりになりました平山郁夫さん等々の文化人、国会議員の先生方はもとよりですけれども、そういう多方面にわたってそのような要望書が出されたと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  68. 野中広務

    野中国務大臣 いただいております。
  69. 池坊保子

    池坊分科員 そういう幅広い人の大阪にかける、大阪でサミットをしてほしいという強い願いがございますので、官房長官もどうぞそれについて深い御配慮をいただきたいと思います。  サミットの話はこの辺で終わりまして、次は、男女共同参画社会基本法の早期制定への要望官房長官にいたしたいと思います。  二〇〇〇年六月五日から九日まで、女性二〇〇〇年会議が開催されます。これは国連の特別総会と位置づけられているもので、これに間に合わせて、できましたら男女共同参画社会基本法を成立させていただきたいというふうに思っております。  政治にはタイムリーであるということが不可欠ではないかと存じます。二〇〇〇年は次の千年への扉を開くときと言われておりまして、全国の女性が一日も早い成立を待ち望んでおりますので、今国会でこれを通していただきたいと存じますけれども、官房長官の御意見を伺いたいと存じます。
  70. 野中広務

    野中国務大臣 男女共同参画社会の問題について、大変御理解の深い御意見を賜りながら、基本法について御指摘がございました。  政府といたしましては、男女共同参画社会の実現を最重要な課題といたしまして、昨年の十一月四日の男女共同参画審議会の答申をいただきましたことを踏まえまして、現在、男女共同参画社会基本法案の立案作業を進めておるところでございます。できる限り早く今国会に提出をする手順を今進めておるところでございます。提案をされましたら、どうぞ速やかに御審議をいただき、本法律案の早期成立に議員初め関係各位の一層の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。
  71. 池坊保子

    池坊分科員 二月十二日に、公明党の女性議員たちが早期制定を求める申し入れ書を官房長官に持参いたしましたときに、官房長官は、小さく産んで大きく育てましょうという大変心強いお答えをいただきました。私は、楽に育てるためには大きく産みたいと存じましたけれども、民法改正のように、私は一国民であったときから民法改正を強く望んでまいりましたけれども、それがあっという間に十年近い歳月がたってまいりましたことを思いますと、実効性のある元気な子供を小さくてもいいからまずは産むことだな、それが先決だというふうに考えております。  少子化対策というのが今や最重要政策課題となってまいりましたけれども、少子化対策の第一の条件は、女性も社会の中で伸び伸びと個性と能力を発揮することができたら、結婚し、子供を産み育てようとする意欲も出てくるのではないかと思います。  なぜ今、女性は結婚したくないのか、子供を産みたくないのかと申しますと、現在のライフスタイルを変えたくないというのが若い女性の一般的な考えでございます。現実には、結婚して大幅に生活が変わるのは、男性ではなくて女性でございます。  これは、共働き世帯の一日の夫の家事労働が、妻が四時間十分に対して、男性は何と二十一分でございます。そして、この二十一分の中には土曜日も日曜日も含まれております。そして、不思議なことには、妻が専業主婦で夫だけが仕事をしております場合、妻はもちろん働いている女性よりも家事労働の時間が長く、七時間五分でございますが、男性は二十六分。共働きの世帯よりも男性の労働が多いという現状でございます。  こういう中で、仕事をし子供を育てるというのが大変難しいのですけれども、この統計を官房長官はどのようにお考えでございますか。
  72. 野中広務

    野中国務大臣 非常に具体的な数字を示されまして、私どもも改めて男女共同参画社会の実現の必要性を強く、認識を新たにする次第であります。  おっしゃるように、家庭、職場、地域社会、学校等あらゆる分野で、男女が互いに責任を担い、協力をしていかなくてはならないと思うわけでございます。お説のとおり、男女共同参画社会が実現をすることによりまして、男女がみずからの選択によって、性別にかかわらずに、おのおのの個性を生かしながら社会のさまざまな分野に対等なパートナーとして参画することが、これから将来に向けて豊かな活力ある社会を築くことであると確信をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この法案を早く通過させていただくことにより、具体的な施策へ手を伸ばしていかなくてはならないと思っておる次第でございます。
  73. 池坊保子

    池坊分科員 世界から、女性の社会への参画が少ない、女性の顔が見えないと言われております。朝日新聞の社説でも触れてございましたけれども、女性の国会議員の占める割合は九%でございます。そして地方議員は何と四・六%で、極めて少ないのが現状でございます。地域社会のごみを中心とした環境問題、あるいは教育問題、福祉問題、地域と密接につながっております地方議員で女性が四・六%しかいないというのは、これは余りにも少な過ぎるのではないかというふうに思っております。  そしてまた、女性の県会議員が全然いないという県が何と十県もございます。十の県が一人も女性の県会議員がいないというのは、本当に県会議員こそ女性がもっともっと進出し、そして社会全般、日常生活の中で何を今考え、二十一世紀に向かって何をしなければならないかと考えてまいりますときに、これは大変にバランスを欠いているのではないかと思います。県会議員がふえるようにと幾ら言いましても、これは国で定めることはできないのでございまして、男女共同参画社会基本法が通りましたら、そういうような環境整備もでき上がっていくのではないかというふうに望んでおります。  それと、また今、学級崩壊が叫ばれております。幼児期のしつけが大切だと言われておりますけれども、今やしつけは、お母さんだけでなくて父親もしなければならない時代に変わってきたと思います。男性の一日の仕事に要する時間が余りにも長過ぎます。お父さんを家庭に返してほしい、お父さんとお母さんとの仕事をする割合、家事をする割合のバランスが均等になったときに、私は本当に少子化対策を担うことにもなるのではないかと思っておりますので、官房長官は大変にこの法案に対して強い御理解をお示しいただいております。私は、官房長官の時代でなかったらこれはできないと思っておりますので、ぜひとも成立させていただきたいと思います。  それと、最後に、先ほど申しました民法改正もずっとそのまま放置されておりますので、民法改正に向けての官房長官の深い御理解をいただきたいと思っておりますけれども、最後にちょっとそれについて御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
  74. 野中広務

    野中国務大臣 おっしゃいましたように、男女共同参画社会基本法は、先ほども申しましたように、近く国会に提案をさせていただきたいと存じておりますので、議員、関係の皆さん方の御協力によりまして、ぜひともこの国会において成立をしていただきたいと心から願っておるところでございます。  なお、民法の改正につきましては、私も党の座長とし、あるいは前の連立のプロジェクトの座長として、いろいろな選択肢の中から、この方法であれば合意を得るんではないかという案を一応はつくり上げたわけでございますけれども、残念ながら、それを国会の場に出すことができませんでした。改めてまた、中村法務大臣も非常に強い熱意を持っていただいておるようでございますので、ぜひ関係の皆さんの御努力によりまして、民法改正が可能なように、またこれが実現できますように、お力添えをいただきたいと存じておるところでございます。
  75. 池坊保子

    池坊分科員 選択肢の多い社会の方が成熟した社会だと私は考えております。二十一世紀に向かって、そのような社会になることを願っております。  きょうは本当にありがとうございました。
  76. 河村建夫

    河村(建)主査代理 これにて池坊保子君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして内閣についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  77. 河村建夫

    河村(建)主査代理 次に、公正取引委員会について質疑申し出がありますので、これを許します。金田誠一君。
  78. 金田誠一

    金田(誠)分科員 民主党の金田誠一でございます。  委員長、私、出身が北海道は函館でございまして、委員長は以前、函館地検の検事正ということで就任をされていたわけでございまして、その委員長が公取の委員長として、先般来、例えば水道管の談合の問題なりあるいはごみの焼却工場の談合の問題なり、大変な活躍をされているわけでございまして、何か地元意識みたいなものからも非常にうれしく思っているところでございます。敬意を表する次第でございます。  そこで、きょうは二点ほどお伺いをしたいと思うわけでございますが、一つは、公取の組織のあり方の問題、そしてもう一つは、化粧品に関する再販価格維持の問題、この二点でございます。  一点目の公取の組織のあり方、蒸し返すようでちょっと恐縮な気もするわけでございますけれども、何かの機会で一度この問題提起をすべきだとかねがね思っておりましたものですから、この機会を得ましたので、ひとつ発言をさせていただきたいなと思うわけでございます。  実は、今回の省庁再編という中で、公取は総務省の外局ということになるわけでございますが、総務省は現在の郵政省も取り込む、したがって、現状の総理府とは違いまして、業界を所管する、そういう官庁になるわけでございます。今の郵政省を取り込むということになりますと、総務省は情報通信業界の産業政策策定をする、こういう立場になるわけで、そのことが公取の所管する競争政策と対立をする場面も出てくるのではないか。そうなりますと、業を所管する官庁の中に公取も入ってくるということになりますと、少なくとも情報通信産業の分野に限っては公取本来の機能が阻害されはしないかという心配を持つわけでございますが、その辺のところ、いかがなものでしょうか。
  79. 根來泰周

    根來政府委員 お尋ねでございますが、結論的に申しますと、公正取引委員会は独立委員会、言葉は正確ではありませんけれども、そういう位置づけでございますので、総務省の外局という組織になりましょうとも、その地位は全く変わらないわけでございますから、御心配はないと思います。特に、独立委員会であろうと何であろうと、職員の意識としましては、やはりそういう他の不当な勢力に脅かされないという意識を持っておりますから、それは御心配に及ばないことだろうと確言できるところであります。
  80. 金田誠一

    金田(誠)分科員 委員長の御経歴からいっても、当然そういう御意思で仕事に当たられるということは全く信じて疑わないわけでございますけれども、しかし、李下の冠、瓜田のくつということもございます。だれもが、まさに公明正大に公取の職務が行われているというふうに思われるような状況をつくることも、意識の持ち方と同様に私は重要なことだろうと思うわけでございます。  例えば、総務省の外局であって問題でないということであれば、例えばの話で恐縮ですが、通産省の外局になっても問題ないというふうに言えますでしょうか。独禁法を適用する業界は通産省が最も多く所管をしているというふうに思いますから、通産省の外局で問題ないとは恐らく言い切れないだろうと思うわけでございます。その場合、情報通信産業を所管している省の外局であっても問題ないというふうに本当に言えるのか。通産省ほどではないにしても、問題あり、少なくとも懸念あり、私はそんな気がするのですが、いま一度いかがでしょう。
  81. 根來泰周

    根來政府委員 これは、私の個人的な感じで申しわけありませんが、従来、独占禁止法が昭和二十二年にできまして、今日に至りまして、五十何年たっているわけでございますけれども、私は途中入社者でございますので勝手なことが言えますけれども、その間の公正取引委員会の歴史を見ますと、やはり産業政策との相克というところがあったと思うのでございます。  だから、今お尋ねの具体的な省に入る入らぬは別としまして、やはり産業政策と競争政策というのは若干、背馳といいますか、かみ合わないところが歴史的にはあったと思うのですね。今はそういうことはなくて、みんなやはり競争政策重視ということで考えていただいておるわけでございますが、歴史的に見るとやはり産業政策と競争政策というのはちょっとうまいこといかない時点があったと思います。そういうことからいうと、お尋ねのような事例はやはり歴史的に見てちょっと不適当かなという感じはいたします。
  82. 金田誠一

    金田(誠)分科員 実は委員長お尋ねするべきではないのかなと思いながら、この機会しかなかったものですから、お許しをいただきたいなと思うわけでございます。また、改めて総務庁長官なり官房長官、総理などにお尋ねをしなければというふうには思っております。しかし、委員長、もし公取内部でも委員の皆様あるいは幹部の皆様と協議なりする機会がございましたら、このこともぜひ今後俎上に上げていただいて、御検討いただければありがたい、こういう思いだということを、この際申し上げさせていただきたいと思うわけでございます。  心配いたしますのは、意識的には全くそういうつもりはないにしても、組織的にどうなのかということでございます。通産省の外局は論外にしても、情報通信産業という非常にこれから我が国産業の中でも大きなウエートを占める、そういうところを所管する省の外局になる。右手で左手に輪っぱをはめるような、そんなことが果たしてできるのかな。  NTTの分割問題等でも大変熾烈な協議もあったと思うわけでございますし、これから先もさまざまな問題が恐らく出てくるだろう。そのときに、恐らく公取の予算あるいは人事は総務省の本省を通じて行われることになるだろう、あるいは委員長人事も委員の人事も、今は総理大臣でしょうか、任命しているわけでございますが、今度はこれはどうなるのでしょうか。今のままでは総理大臣のままかもしれませんが、いずれ総務大臣などの任命ということになれば、これもまたおかしなものになりはしないか。意識は、委員長がおっしゃるとおりの意識を持って公明正大にということであっても、組織、人事、予算、こういうものを通じておかしなことになりはしないか、あるいはおかしなことになっていると見られはしないか、見られること自体が公取行政にとってプラスになるのかという思いなのでございます。  お答えをいただいても恐らく想定できるお答えになろうかと思いますから、一方的に申し上げるだけ申し上げさせていただいて、最後に感想を伺います。  そういうことであれば、今、金融監督庁、これが今度は内閣府の外局ということになるようでございます。金融機関の公取みたいなものですよね。こういう金融監督庁内閣府の外局になるならば、公取だって内閣府の外局になった方がより自然ではないか。業を所管する官庁ではないわけでございますから、そういう観点も含めてぜひひとつ御検討いただけないか。御感想があればお伺いをして、この件については終わらせていただきたいと思います。
  83. 根來泰周

    根來政府委員 内部でもいろいろ意見がございましたけれども、総務省の外局になっても現在と全く変わらないのではないかという意見が大勢でございます。  なお、人事等の問題につきましては、これは内閣総理大臣の任命ということになっておりまして、これがそのまま維持されるのではないか、こういうふうに考えております。  それともう一つは、やはり今、私も含めて、委員の人事というのは国会の同意を得るわけでございますし、国会の同意も、こう言っては非常に僣越でございますが、なかなか厳しく審査されておるわけでございますので、万が一にもそういうへんぱな人事が行われるということは考えていないところでございます。御心配は御心配として、私どもも、その御心配がないように、これまでの委員会の仕事をもう一度振り返りまして、さらに独立性を高めて仕事をしていきたい、こういうふうに考えております。
  84. 金田誠一

    金田(誠)分科員 委員長のお立場からの御答弁はそういう御答弁にならざるを得ないということはよくわかります。しかし、私の心配する向きも暗に御理解をいただけたのではないかなという気がいたしますので、機会がありましたら、ぜひその辺も含めた御検討をいただければとお願いを申し上げておきたいと思います。  次の質問に移らせていただきますが、化粧品の問題で、前に委員長のお部屋までお伺いしたこともございますけれども、その続編でございます。  まず、分科会委員長のお許しをいただいて、これをひとつ委員長の手元でごらんいただきたいなと思うわけでございます。  これは女性の使う化粧品で、マスカラというまつげにつけるものだそうでございますが、同じマックスファクターなのでございます。こっちが日本で売っています商品、二千五百円。アメリカで売っていますのが四ドル六十六。ですから、為替相場もありますけれども、五百円ちょっとですね。こっちが二千五百円。四、五倍の値段の格差がある。これは、日本ではいわゆるカウンセリング商品、対面販売商品ということで、値引きの対象になっていない、再販価格が維持されているというふうに私どもも思っている、そういう商品でございます。諸外国との間にこういう格差がついている。これをひとつお手にとって眺めていただきたいと思います。ひもがついていますのは、私の部屋にぶら下げてありまして、来たお客様に見せて、みんなをびっくりさせるためにぶら下げてあるひもでございまして、お許しいただきたいと思います。  そこで、それはそれでごらんになっていただければと思うわけでございますが、この化粧品業界は前歴がある業界でございまして、申し上げるまでもなく、平成七年、再販価格維持をしたということで公取から勧告を受けたという経過がございます。その勧告に従って、以後そういうことがないようにされているのかなと思いきや、勧告後、値引き販売がされるようになったのは、いわゆるセルフ商品、セルフ品といいますか、そういうごく安い商品だけが一部値引きをされている。あとの大半の高額な商品は全く値引きされていない。公取の勧告にもかかわらず、これが実態なのでございます。その辺を御存じかどうか伺いたいと思います。
  85. 根來泰周

    根來政府委員 これも私の感覚を申しますと、こういう問題は、先生の御指摘をまつまでもなく、希望価格といいますか、そういう価格が大体維持されておる、そういう一つの事実をもって再販売価格維持ということが行われているのではないか、こういう話であろうと思います。  そこで、長くなりますが御説明申し上げますと、基本的に、値崩れを起こしていないということだけで再販売価格維持契約があることを推認することはなかなか難しい、それで我々が調査に入ることはなかなか難しいということは一つ言えると思うわけでございます。  それでは、実態として希望価格がそのまま維持されているか、あるいは値崩れを起こしていないかというようなことでございますが、これは、いろいろ御指摘があるために、私どもの方も昨年から、全く任意でございますけれども、調査をいたしました。これは、いろいろ、量販店とか一般小売店とか、いわゆるドラッグストアというたぐいのものについて調査をしているわけでございます。これはあくまでも任意の調査でございますから、強制力ということではなくて、相手方の御協力を得てやっているわけでございますが、その大勢を見ますと、やはり割引をしているところも大分あるわけでございます。  だから、一般的に値崩れを起こしていないかどうかに対しては、ここで公式にどういうふうにお答えしていいのか、ちょっと私も困るわけでございますけれども、競争の熾烈なところとかその他の要因によりまして値引きしているところもあるように聞いておりますし、そういう調査結果になっております。
  86. 金田誠一

    金田(誠)分科員 去年から調査をされているということは、私の部屋にも何度か担当の方にもおいでいただいているのですが、聞かされておりませんでした。  独自に調査されているということは結構なことだと思うわけでございます。その調査結果は提示いただけますでしょうか。
  87. 根來泰周

    根來政府委員 これは別途私の方で、私が見ただけでございますから、相談いたしまして、個々に御説明できれば、するつもりでおります。
  88. 金田誠一

    金田(誠)分科員 ありがとうございます。どういう調査をされて、どういう値引きの実態があるのか、非常に興味深いところでございますので、ぜひ後で御提示、説明いただければと思います。よろしくお願いをいたします。  ところが、私どもの調査とその調査は少しく違いがあり過ぎるという気がいたします。委員長がおっしゃるのは、いわゆるセルフ品というごくごく安いもので、値引きの対象に共通にされている部分のことをおっしゃっているのではないのでしょうね。それであれば意味がもう全然違ってくるものですから、まずそこを確認させていただきます。
  89. 根來泰周

    根來政府委員 先ほど申しましたように、調査と申しましても、これは任意の調査でございまして、そう正確な調査というわけにはまいりませんけれども、調べる者はその辺の呼吸はよく知っておりますから、対象商品かあるいはその他の商品かということは、当然、念頭に置いて聞いておるものと思います。  それで、御説明するとしましても、これは相手の同意を得てやっているわけですから、詳細にどこの店がどうだというようなことまで申しかねるところがあると思います。
  90. 金田誠一

    金田(誠)分科員 その辺の調査結果の中身、恐らく印刷されたものがあるのでしょうから、それを見た上でまたやりとりはさせていただきたいと思いますけれども、実は、私どもの調査と少しく違うことは、例えば、ここに適正な価格を実現する会で行った調査がございます。幾つかの品目の買い取り調査でございます。  各店舗、重立った名の通った店、ほとんど網羅をしてあるわけでございますが、五品目買って一万九千五百三十円。一カ所の店舗で一万九千五百三十円ずつ買っておるのです、同じ品物を。この一万九千五百三十円が、全部一万九千五百三十円なのです。レシートのコピー、品物が刻印されて値段がついて、トータル金額すべて一万九千五百三十円という調査結果が出ている。  これは非常に金のかかる、手間暇のかかる調査なのです。そういう調査をやって、公取にお示しをしてある。これは御存じですか。
  91. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまお示しのものは、化粧品価格調査報告書というものでございましょうか。(金田(誠)分科員「それは東京都ではないですか」と呼ぶ)化粧品問題を考える会、知っております。
  92. 金田誠一

    金田(誠)分科員 見事に一万九千五百三十円、どこも全部そうなっているという状態。  それからもう一つは、東京都生活文化局、これも去年、平成十年二月に出しているわけでございますけれども、この中にも「「殆ど値引きされない化粧品」は「カウンセリング品」、「値引きされる化粧品」は「セルフ品」と言われ、流通上では区別をされている」と。あるいは「平成七年七月に、公正取引委員会による資生堂の価格拘束に対する排除勧告以来、スーパーや量販店を中心に値引きが行われているが、これはセルフ品であって、カウンセリング品は調査の結果では殆ど値引きされていないようである。」こういう東京都の調査結果です。  こういう調査結果と公取の調査というのはどうも違うようだ。これはどう思われますか。
  93. 根來泰周

    根來政府委員 これは調査の手法もございますけれども、一つは、私どもの問題としているのは、再販売価格維持契約というのが存在するかどうかということに相なるわけでございます。その象徴、徴表といいますか、そういうものとして価格が横並びになっているということを言われるのだと思います。  ただ、価格が横並びになっているから再販売価格維持契約が存在するというわけにはいかないということは、当然御承知の話でございます。  だから、どういうふうな手法で、どういう対象で調べるということによって結果も当然変わってくるものと思いますから、調べた結果は多少違ったっておかしくない話ではないか、こういうふうに思います。
  94. 金田誠一

    金田(誠)分科員 公取の調査を見ていないのでこれ以上のやりとりは、この辺できょうはとめておきたいと思います。また拝見した段階で聞かせていただきたいと思います。  今委員長の御答弁の中で、再販契約があるかどうかが問題だということですが、仮に契約という明確なものがないにしても、実態として、再販が維持されるような扱いが行われている、圧力が加えられている、再販を維持せざるを得ない、値引きをすれば例えば商品がとめられる、こういうふうになったらどうなんですか。もちろん、これは独禁法違反ということになると思うのですけれども。
  95. 根來泰周

    根來政府委員 そこが大変難しい問題でございまして、要するに売り手と買い手というのは基本的に契約自由ということがありますし、価格の設定についても自由だということでございます。  再販売価格維持契約というのは、その意味で独占禁止法違反になるわけでございますけれども、その縁由として一つの圧力があるということについては、圧力といいましても有形無形の圧力があるわけでございまして、無形の圧力とかそれに類するものでやっておるということはなかなか立証としては難しい。これはあくまでも、私どもは行政機関としてやるわけでございますから、やはり事実と証拠に基づいてやらざるを得ないわけでございますから、印象でなかなか言うわけにはいかない。そこが一番難しいところでございまして、ある意味では、そういう関係者の方からいうと、隔靴掻痒じゃないかと言われるところは当然あることでございますが、それは甘んじて受けざるを得ないのじゃないか、こういうふうに思っております。
  96. 金田誠一

    金田(誠)分科員 メーカー希望小売価格、その再販価格を割り引いて値引き販売した場合に、例えば、出荷がとめられるというような場合はどうですか。実質その値引き販売をできない状態に追い込まれる。これは契約のあるなしにかかわらず、再販価格の拘束ということになるのではないでしょうか。
  97. 根來泰周

    根來政府委員 確かに、教室の問題といいますか、そういう問題としてはそれは独占禁止法違反、こう言わざるを得ないところはあると思いますけれども、現実社会に起こることは必ずしもそう言えないことでございまして、いろいろ理由があって出荷を停止するということがございまして、必ずしも価格破りということで出荷をとめたという、これはあくまでも証拠の問題でございますから、なかなかそこが言えないところが、私どもだってちょっと歯がゆいなという気がしますし、あるいは、被害者と言うとおかしいですけれども、そういう方も歯がゆいな、こういうことを思われることは当然でありますけれども、そこの証拠がもう一つ固まらないというところが問題なところでございます。
  98. 金田誠一

    金田(誠)分科員 私は、これなどはもう動かぬ証拠だと思っておるのですけれども、平成十年十二月十八日付、マックスファクター株式会社から株式会社冨士喜本店に出された文書でございます。この文書で、旧来冨士喜本店は本社で一括仕入れをして支店に配送して、二割引で値引き販売をしていた。化粧品業界はもう実質再販維持をされているものですから、値引き販売できるのはもうここ一社だけ。以前は何社かそれぞれ挑戦した会社はあったのですけれども、小売店はあったのですが、もう軒並みメーカーの圧力によってつぶされて、残ったのはこの冨士喜本店一社だけですよ。  その冨士喜本店が、本社一括仕入れ、支店に配送して売っていたという状況だったのですが、支店に配送するのはけしからない、契約解除するというこの通知文書です。冨士喜本店は、それじゃ、支店は支店で契約してくださいというふうに次で述べているのですが、それもまかりならないという往復文書があるわけです。支店にある商品は撤去しろという文書です。  これはもうごらんになっていると思うのですけれども、ここまで拘束されて、唯一残る値引き販売店です、唯一残る、それが今まさにメーカーの圧力によってつぶされようとしているわけなんですが、ここまで書いたものがそろっていて、なおかつこれは立件できませんか。個別の問題というのはまた別だという、この間の局長答弁ならそうでしたけれども、どうなんですかね、これは。
  99. 根來泰周

    根來政府委員 私どもの答弁は十分御承知だと思いますけれども、ここで具体的な問題についてシロクロと申し上げる立場でもございませんし、そういう申し上げるということ自体が私どもの職務に反することでございますから、ひとつ御容赦願いたい、こういうふうに思います。
  100. 金田誠一

    金田(誠)分科員 再販契約、書いたものが存在すれば、これはもう全く問題がない、立件できるわけでございますけれども、しかし、実際に値引き販売をしている会社が出荷をとめられる、とめられる理由は値引き販売をしているという以外にはおよそ考えにくい、こういう状況があったとします。冨士喜本店とマックスファクターというのはこっちへ置いておいて、一般論として、値引き販売している会社があった、そしてその会社が本社一括仕入れで支店に配送していた、出荷をとめますよ、それじゃ、支店の分もそれぞれ支店に出荷してください、そういう契約を結んでくださいと言ったら、それはできない。これは実質、値引き販売をやったら荷物を入れない、品物を入れないということ以外の何物でもないわけです。それでも独禁法違反と言いませんですか。
  101. 根來泰周

    根來政府委員 これもなんですけれども、一般論を申しますと具体論に当てはめられまして、具体論が独禁法違反だ、こういうふうな論理が通る場合があるわけでございます。  だから、恐縮でございますが、先生の御質問は具体論を前提にして一般論をお聞きになっているわけですから、ここで私が、それは一般論は独禁法違反になると言えば、それは具体論も独禁法違反になるんじゃないか、こういう論理に落ちつくわけでございますので、一般論についてもちょっとここで申し上げられないということで、これはもう先生も十分御理解いただいているところだと思います。
  102. 金田誠一

    金田(誠)分科員 時間が参りましたので、これで終わりますが、自由競争を確保するということは、まさに日本の国の、国家の浮沈にかかわる極めて重要な問題だと思います。その番人たる役割が公取の役割でございまして、前段はその役割が適切に果たせるような組織の問題もお願いを申し上げたところでございますが、具体の問題についても、ぜひひとつ委員長の毅然たる対応をお願い申し上げたいと思います。  終わります。
  103. 河村建夫

    河村(建)主査代理 これにて金田誠一君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして公正取引委員会についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  104. 河村建夫

    河村(建)主査代理 次に、警察庁について質疑申し出がありますので、順次これを許します。今田保典君。
  105. 今田保典

    今田分科員 民主党の今田保典でございます。  私の方から警察行政について日ごろ思っていることを御質問させていただきたい、このように思っています。  一つは、渋滞対策の考え方についてお伺いしたい、このように思っています。  交通渋滞は悪化するばかりでありまして、年間十二兆円とも言われております。さらに、国民一人当たりの労働時間が五十時間も損失している、こういうふうに言われておるわけであります。そういったことを考えますと、経済的にも大変な損失ではないかというふうに思っております。  さらに、環境面からも、特に一九九七年の十二月に行われました京都会議以降において、渋滞によるCO2あるいはそのほかいろいろな問題を指摘されておりますが、そういった問題が指摘されておりますように、むだなCO2は相当な量に考えられておるわけでございます。今後は、この面からも渋滞対策というものは非常に大切なものだというふうに私は思っております。  運輸、警察、建設の三省庁による交通需要マネジメント、いわゆるTDMに期待いたしましたけれども、その効果が見えてきておりません。マイカーからバスへの転換についても、具体的な進展が見られないわけでありまして、いわばかけ声だけになってしまっている。そのTDMへの期待が薄らいでいくばかりでありまして、交通渋滞の改善を早急に図るべきではないのかというふうに思っております。  その抜本的対策を勇断を持って実施すべきではないか。その手始めとして、二、三の都市を選定いたしまして、総量規制の試行に踏み切るべきではないのかというふうに思っておりますが、その点についてお伺いいたします。
  106. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 お答えいたします。  警察におきましては、交通管制システムの整備、各種の交通規制、総合的な駐車対策等によりまして道路交通の円滑化を図るとともに、バス専用あるいは優先レーンの設定等によりまして大量公共輸送機関優先対策を推進しまして、交通総量の抑制を図ってきたところでございます。  また、御指摘のように、警察庁、建設省、運輸省の三省庁で、交通需要マネジメントに積極的に取り組もうとする都市をモデル都市としまして、現在十三都市でございますけれども、指定いたしまして、当該都市における具体的な交通需要マネジメント政策の実行計画策定の支援等を行っているところでございます。  これらの都市におきましては、徐々にではございますけれども、旅行時間の短縮、渋滞の解消、交通量の減少など効果があらわれているというふうに考えております。今後とも、これらの政策につきましては積極的に推進してまいりたいと思っております。  なお、交通総量規制でございますけれども、国民生活あるいは経済活動に極めて大きな影響を与えるところでございます。警察といたしましては、規制的な手法を先行させるのではなくて、代替輸送手段の整備等総合的な対策が推進される中で、誘導的な手法によって国民のコンセンサスを得ながら、可能なところから進めてまいりたいと思っているところでございます。
  107. 今田保典

    今田分科員 今ほど十三都市でやっている、こういう状況でございますけれども、当然データ等も詳しく出ておるのだろうというふうに思いますので、後ほどで結構ですので、資料をいただきたい、このように思っています。  次に、先ほどの問題とも関係するわけでありますけれども、違法駐車防止についてお伺いをしたい、このように思っています。  先ほど言ったように、交通渋滞は非常に激しいわけでありますけれども、その中で、違法駐車防止に関して率直に評価できるのが、自治体の違法駐車等の防止に関する条例というものの制定であります。路上駐車が減少し、歩行環境が緩和されるとして、バス、タクシー、集配トラック等の公共輸送機関には大変好評であります。事実、制定都市のサンプル調査によりますと、路上駐車が三二・一%ほど減少しているということでございます。  しかし、一九九七年十二月末現在で、条例制定自治体はまだ三百三十一市区町村でありまして、自治体総数のわずか一割程度である、こういうことでございます。政令指定都市は制定済みでありますけれども、県庁所在都市では十都市以上がまだ制定されないままになっておるわけであります。渋滞対策に効果的な施策として、まずは県庁所在都市である各都市に完全に制定を実施していただきたい、このような考え方で申し上げたいと思っておるところであります。  しかし、なかなかそうはいかないということであれば、当面は自治体総数の三割程度の制定を目標に積極的に促進を図るべきではないのかというふうに思っていますが、この点についてお伺いします。
  108. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 お答えいたします。  駐車問題を解決するためには関係機関を挙げての総合的な取り組みが必要でございます。市区町村が違法駐車防止条例を制定いたしまして駐車問題に積極的に取り組むことにつきましては、警察として、高く評価しているところでございます。  条例につきましては、平成二年に武蔵野市が制定して以来、進捗してきたわけでございますが、平成十年の十二月末現在で三百四十一自治体、委員御指摘のその一年前から比べまして十自治体がふえたところでございます。これらの都市におきましては、路上駐車台数が減少するなど、やはり効果が出ております。  警察といたしましては、今後とも条例の制定に向けまして積極的な働きかけを行うとともに、条例が適正かつ効果的に運用されるように支援をいたすところとしております。
  109. 今田保典

    今田分科員 これは渋滞対策だけではなくて、例えば町で、都の下町で火事などが起きたというときに消防車が駆けつけられないという事態がいろいろなところで起きておるわけでありまして、そういったものを考えれば、やはりきちっとこれからも対応していくべきだというふうに私は指摘をさせていただきたいと思います。     〔河村(建)主査代理退席、主査着席〕  次に、私も前はバス産業に携わっていた関係もありまして、常に思っておったことを申し上げさせていただきたい、このように思っています。  その一つは、バス交通の優先政策についてお伺いしたい、このように思っています。  大都市、地方都市の交通渋滞が解消されないことから、バス交通は命ともいうべき定時運行が不可能になっております。公共交通機関として大変危機的な状態にあるわけであります。地域交通計画に基づいて多面的な取り組みが行われておりますけれども、とりわけバス専用・優先レーン、バス路線交通規制、これは時間的規制でありますけれども、さらにパーク・アンド・ライド、バス・ロケーション・システム、TDMの積極的推進、マイカー進入規制あるいは低床ノンステップバスの普及促進などの施策は、有害排ガスあるいは黒煙浄化といった意味から、人、地球、環境に優しいバスにつながり、さらには経済効果の向上、エネルギーの有効活用、さらに環境保全にも大きく貢献していると私は思っております。  つきましては、地域実態に即したバス交通優先政策を積極的に講じるべきだ、こういうふうに思っておりますが、今いろいろ進めていらっしゃる面についてお伺いをしたいと思います。
  110. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 お答えいたします。  バスの優先通行対策につきましては、専用レーン、優先レーンの設定とあわせまして、バスを感知する感知器を使用してのバスの円滑な運行を確保するためのバス優先信号制御を全国千交差点において実施しております。これをさらに充実させていきたいと思っております。  また、現在警察では、交通管制センターの機能の高度化を中心としました新交通管理システム、UTMS構想推進しているところでございます。この一環といたしまして、管制センターと直結した光ビーコンと車載端末との間で双方向通信を行うことによりまして、乗客への交通情報提供を兼ねた高度なバス優先システムの開発を行っているところでございます。既に北海道と東京都においてこの方式を試験的に実施しております。  将来、こうした方式を含むバスの優先対策を一層推進する予定でございます。  今後ともこれらの施策を積極的に推進するとともに、バスレーンのカラー舗装化を初めとしまして、バスターミナル周辺での公共駐車場の整備と連携しましたパーク・アンド・バスライドの導入、あるいはバス接近表示システム等、利用者サービス面を含めました対策を関係機関に働きかけるなど、大量公共輸送機関としてのバス優先対策を積極的に推進してまいりたいと思っております。
  111. 今田保典

    今田分科員 今ほど取り組みについてはお聞きしましたけれども、景気も悪い、こういうこともありまして、さらに、規制緩和も進む状況にある、さらに、モータリゼーションが非常に進んでいる関係もありまして、バス関係の企業は非常に今苦しんでおる状況でございまして、こういったバス・ロケーション・システム等々の推進については、非常にバス企業にとってはありがたい政策ではありますけれども、当然、そのことを進めるに当たって企業自体も経費として非常にかかるわけでありまして、その辺がなかなか進められないというのが企業としての思いではないのかなというふうに思っているわけであります。  したがって、もっと国の方で環境面からの施策というような観点に立ちまして、こういった面のいわば助成といいますか、そういったものを、今までの考え方からさらに飛躍した考え方に立てないのかどうか、その辺のことをお聞きしたいと思います。
  112. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 この問題は、まさに各省庁挙げて政府として取り組んでいかなければいけない問題だというふうに考えております。御指摘のような点につきましても、各省庁と協議しながら検討してまいりたいというふうに思っております。
  113. 今田保典

    今田分科員 ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  次は、先ほどの問題とはちょっと考え方によっては相反する面があるわけでありますけれども、バス・タクシー共用レーンの拡大についてお伺いをしたい、このように思っています。  悪化する道路環境の改善につきまして、バス優先・専用レーン等が大変有効であります。その拡張が望まれておりますけれども、警察庁の調査では、平成九年三月末現在、全国の優先・専用レーン、専用道路の総延長は千四百八十六区間、二千二百三十三キロにとどまっておるわけであります。  本来、都市部における抜本対策として総量規制が前向きに検討されるべきでありますが、所管行政にその気はなく、怠慢だと言ってもいいのではないかというふうに言わざるを得ません。  次善の策として営業車優先政策が求められておりますけれども、その一つがバスレーンのタクシー共用化であります。その有効性については、先行実施地域の実態から実証されておるわけであります。また、ほかへの影響も少ないともされているにもかかわらず、遅々として進んでいないわけであります。  行政の縄張り意識を捨てまして、実車時のみ乗り入れというものを認めるべきではないのかというふうに思っておるわけでありますけれども、こういったものについての早急な検討が必要であるというふうに私としては認識しておるんですが、現状も踏まえましてお答えをいただきたいと思います。
  114. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 バスレーン規制につきましては、都市における安全で円滑な交通を確保するために、輸送効率の高い大量公共輸送機関でありますところの路線バス等の定時・定速性を確保することによりまして、マイカー利用者の路線バス等への利用の転換を促進するものでございます。  タクシーにつきましては、大変貴重な公共輸送機関でございますが、輸送効率という面から見ますとマイカーと変わりはないわけでございます。バスレーンにタクシーが乗り入れることによりましてバスの定時・定速走行に支障を来すおそれがあるわけでございます。また、タクシーをバスと同一扱いといたしまして一般の車両と区別することについて、一般のドライバーのコンセンサスがまだ得られてはいないのではないかというふうに考えております。  なお、タクシーをレーン指定いたしますと、その区間ではそのレーンしか走行できないということになりまして、タクシーの自由かつ機動的な走行の実態から見てどうかというような問題もあろうかと思います。  以上の理由から、全国一律にはタクシーのバスレーンへの乗り入れを認めることはできないと考えておりますけれども、タクシーの走行台数あるいは地域の交通実態等から一部バスレーンへの乗り入れを認めることが適当な場合もあるわけでございまして、現に認めておるところもあるわけでございます。やはり個別具体的に判断してまいりたいというふうに考えております。
  115. 今田保典

    今田分科員 今タクシー関係も規制緩和等で非常に苦しんでおるわけであります。さらにこういう不況でございますので利用者がいない、こういうことでございまして、そういった意味からして、タクシーの方々から言わせればやはり回転率を高めたいというのは当然でございまして、ぜひひとつ積極的に進めていただきたい、このように思っておるところでございます。  次に、高速道路でのトラック関係の速度規制の見直しについてということでお伺いをしたいと思います。  我が国の高速道路は基本的には二車線が主流でございます。走行速度規制は、一般車両とトラックに時速二十キロの大きな差が今設けられておるわけであります。こうした速度の違いが、過密でしかも高速の車両の流れを阻害することになっているのではないかというふうに思います。さらに、無理な追い越しによる交通事故を誘発する原因にもなっているのではないかというふうに思います。さらに、時代と社会のニーズはトラック輸送にさらなるスピードアップを求めておるわけであり、輸送の高度化や時間との競争は今後も進むことが予想されます。  こういった状況にかんがみまして、過密の高速化という現状、さらに我が国の高速道路の実態から考えると、現行の速度規制は高速道路の走行実態にそぐわないと言わざるを得ないわけであります。トラックの速度規制については一般車両と同様にすべきではないのかというふうに思いますけれども、これらについて検討をこれまでされたのかどうか、さらに、していないとすれば早急に検討していただきたい、このように思います。
  116. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 お答えいたします。  トラック等の大型貨物自動車の場合には、普通乗用車等との制動距離の差等がやはり依然として存在するわけでございます。また、現在の高速道路の設計速度のほとんどが毎時百キロメートル以下でございます。こうしたことから、現在の大型貨物自動車に対する最高速度毎時八十キロメートルは、やはり合理的ではないかというふうに考えております。  また、大型貨物自動車に係る死亡事故、これはやはり依然として多発しておるところでございます。その原因としまして、速度超過の割合というものも高いわけであります。現時点での大型貨物自動車の最高速度の引き上げは、やはり慎重に考えるべきではないかというふうに考えております。  なお、欧州諸国の場合にも、高速道路における大型貨物自動車の最高速度、これは普通乗用車と速度差をつけておるというのが実態でございます。
  117. 今田保典

    今田分科員 そうはいっても、いろいろそれなりにトラック業界としても問題点としてとらえておるわけでありますので、十分に今後検討していただきたい、このように御要望申し上げます。  次に、違法運送行為についてお伺いをしたい、こういうふうに思っています。  白トラ、白バスあるいは白タク、違法レンタバスあるいは違法運転代行、こういったところが非常に多く出てきているやに聞いておるわけであります。さらに、こういった不況でありますので、最近はどうもふえつつある、こういうことでございます。そして、その形態もますます悪質、巧妙化しているわけでございます。  また、業界内においても、基本的な参入条件を無視した違法行為が横行しているわけでありまして、特に、規制緩和が進めば進むほど、参入条件の軽視といいますか、何かそういったことをやっても悪くはないんだという意識が強いのではないかなというふうに、最近目立っておるわけであります。  特に、トラック関係には参入が容易になったという関係もありまして、リース制あるいは請負、名義貸しといったものが広がっております。法人所有の自家用バスについても、そのほとんどが、サービスと称して、結果として有償運行を行っている指摘もあるわけであります。  いずれにしても、重要なことは、違法は許さないという断固たる姿勢を示すべきではないのかと思うわけであります。そのためにも強力な取り締まりが必要だと思いますし、自己責任原則の徹底という意味からも、名義貸しや無許可営業を初めとするものに対して、罰則を大幅に強化すべきではないのかというふうに思っておりますが、その点についてお伺いをしたいと思います。
  118. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 いわゆる白バス、白タク等による違法な営業行為につきましては、輸送秩序を乱すのみならず、乗客の安全確保の観点からも問題があります。警察といたしましては、この種事案の防止のために、関係行政機関と連携してその取り締まりに努めているところでございます。平成九年中には、白バス、白タク、白トラ、名義貸し等二百七十九人を検挙するなど、厳正な取り締まりに努めているところでございます。  今後とも、この種事案につきましては、厳正かつ強力に対処してまいりたいというふうに考えております。
  119. 今田保典

    今田分科員 この違法行為については、私から言わせれば、警察に専門的に調査する人を配置すべきだというような考え方を前々から持っておりまして、ただ、そうはいってもなかなか実現しないということもあります。  実は私、山形で独自に白バスを中心とした調査団をつくりまして、いろいろ今日までやってきたわけですけれども、あくまでも調査団でございますので、なかなか踏み込んだものをやれないという非常にもどかしい状況が続きました。しかし、精いっぱいやりまして、警察の方にも御協力をいただいて、何件かは摘発をさせていただきましたけれども、すればするほど相手方は巧妙になってくるんですね。  そんなこともありまして、これは要望でありますけれども、警察として、何とかやはりそういった違法行為に対しての専門的な派遣あるいは配置をしていただければな、こういうふうに御要望を申し上げたい、このように思っておるところでございます。  次に、教習所の機能の活用についてお伺いをしたいと思います。  第六次交通安全基本計画では、免許の取得前、取得時、取得後の運転者教育の充実、また高齢者にやさしい交通社会をめざす懇談会も、提言の中で、参加・体験・実践型講習あるいは運転適性診断などの積極的推進をうたいながら、教習所の機能を活用した施策の実施を強調しております。  私は、運転実技の再教育も含めたトータル的な安全運転教育体系のあり方を明確にすることが必要ではないかというふうに考えております。あわせて、その中で、自動車教習所の役割の位置づけというものを、さらにその業務委託を図っていくことも考える必要があるのではないかというふうに思っております。  さらに、今非常に交通事故というものに対しては社会的な問題になっているわけでありますけれども、つい先日、道路交通法の一部改正に伴い、既に免許を取得している者に対して、運転技能の向上や道路交通に関する知識を深めるために教育を行う自動車教習所などの教育課程を、公安委員会から何らかの形で認定するというマスコミ報道を目にしたわけでありますけれども、具体的にどのようにこの内容について進めていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。
  120. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 お答えいたします。  依然として厳しい交通情勢の中で交通安全を確保していくためには、免許を受けようとしている方はもちろんでございますけれども、免許を受けた方に対しましても、運転技能の向上等を図るために、運転の頻度あるいは職業、年齢等の別に応じまして継続的な運転者教育を実施するというのは非常に有益なことであるというふうに認識しております。現在、既に、全国の多くの自動車教習所等におきまして、いわゆるペーパードライバー教育あるいは高齢運転者教育などを実施しておられます。既に免許を受けた者に対しましてこのような教育を実施しているということは、十分に承知しているところでございます。  今御指摘ございましたように、現在、道路交通法の改正ということにつきまして検討しておるところでございますが、その中におきまして、このような既に免許を持った方々への教育のうちで、一定の水準に適合している者、すなわち教習指導員等の教習あるいは教育を適切に行うことができる人によって教育が行われている、そして運転技能指導を行うに足る一定のコース等の設備を用いて行われる、そういったものにつきましては、その旨の都道府県の公安委員会による認定を受けることができるということといたしまして、運転免許取得者教育の水準の向上、そして、さらにこういった教育の普及を図ることということを考えておるところでございます。
  121. 今田保典

    今田分科員 そういうことで、交通事故を何とか少なくしよう、こういうことで世間の声が高まっておるわけでありますので、ぜひそういったものを積極的に進めていただきたい、このように思います。  最後に一点、以前に私お願いをしておった件で一点だけ、状況についてお伺いしたいと思います。  自動車教習所の車が高速道路で教習をする際、やはりこれは見習い運転をやっていますよ、あるいは教習をやっているんだよということを遠くからもわかるように、何らかの表示をつくるべきではないかというようなことを質問した経緯があるわけですが、その件について、今後御検討させていただきたい、こういうふうに御返答をいただいたのですが、その後、どのような経過になっているのか、最後にお聞きしたいと思います。
  122. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 高速道路教習に当たっての回転灯の装備につきましての御質問でございますけれども、現在、高速道路教習につきましては、たしか前回も申し上げましたけれども、あらかじめ教習コースあるいは車両等を明示しました具体的な教習計画を提出させまして、それに基づきまして、公団等とも緊密な連絡をとるなど、事故防止上問題がないかどうかを確認した上で、円滑な教習が行われるよう指導しているところでございます。また、教習計画の策定に当たりましても、事前に教習予定コースを実地踏査するなどしまして、十分な安全対策を講じているところでございます。  教習車両に回転灯を装備することにつきましては、さまざまな観点から検討したところでございますが、他の車両が教習車両を避けて通行することが懸念されるなど、効果的な教習の観点から見た場合に、必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えております。  しかしながら、高速道路における教習の一層の安全を確保するための方策というものにつきましては、万全を尽くさなければいけないわけでございますから、今後とも、幅広く意見を聞きながら、多面的な検討を進めてまいりたいと考えております。
  123. 今田保典

    今田分科員 終わります。どうもありがとうございました。
  124. 小澤潔

    小澤主査 これにて今田保典君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  125. 海江田万里

    ○海江田分科員 民主党の海江田でございます。  自治大臣には、長時間にわたりまして分科会への御出席、御苦労さまでございます。いましばらくおつき合いを願いたいと思います。  私も、今の今田委員の質問に引き続きまして、交通安全の問題につきまして幾つかお尋ねをしたいと思います。  昨今、大変な不景気でございまして、実はタクシーの空車、そしてタクシーの客待ちというのが大変多いわけでございますが、これが主要ターミナルあるいは主要繁華街等で大変長蛇の列。しかも、一重だけではありませんで、二重三重、とぐろを巻いておるような状況が続いておるわけでございますが、このタクシーの長時間にわたる客待ちにつきまして、警察庁はどのような指導をなさっているのか、まずお尋ねしたいと思います。
  126. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 タクシーに限りませず、駐車違反というものは、交通の安全と円滑に多大な支障を及ぼすものでございます。場合によりましては事故も誘発するというような問題でございますから、限られた人数の中での取り締まりになりますけれども、全力を挙げて取り組んでおるところでございます。その中には、もちろん客待ちタクシーが長時間にわたってという場合も含まれることになります。
  127. 海江田万里

    ○海江田分科員 これは私の記憶でございます。大変おぼつかない記憶でございますが、本来でしたら、運転手が乗っております車両というのは、これは駐車違反ではないというような認識があるかと思うのですが、どこかの地方裁判所の判決、ですから判例になっておるわけでございますが、運転手さんが乗っておりますタクシーも、その停車時間が長時間にわたる場合は、これはたしか、私の記憶では駐車違反ということだろうと思ったのですが、それでよろしいかどうか、御確認を願いたいと思います。
  128. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 そのとおりでございます。
  129. 海江田万里

    ○海江田分科員 これはよく、私も随分いろいろな形で申し入れということを現場の警察官などにもしたのですが、これは運転者が乗っておれば、もちろんタクシーの場合ですが、駐車違反ではないというような返事が随分返ってきたことがあるのです。  私は、もちろんその記憶がありましたから、九州の方の裁判所でしたか、ちょっとそこは定かではないのですが、たとえ運転手さんが乗っておっても、それが長時間にわたる、しかも、一台じゃありませんで、ずっとつながるわけですから、これは駐車違反で、道路交通法の違反になるのだということを、私はそういう記憶があったわけですが、現場の警察官にその点の認識が行き届いていないのじゃないだろうかというふうに私は思うわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。そういう認識で大体もう統一されておるのですか。
  130. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 駐車禁止場所でございますけれども、人が乗っておれば何時間おっても駐車違反にならないということはございません。それは違反でございます。警察官はその辺の認識はあるということでございます。
  131. 海江田万里

    ○海江田分科員 そういう認識がない警察の方も今はいらっしゃるようですから、それは重々周知徹底をさせておいていただきたいと思います。  幾つか具体例をお話しさせていただきたいのですが、一つは、きょうはNHKの方もお見えになっておりますが、このNHKの周辺が大変な客待ちのタクシーの駐車で、今交通局長からも駐車違反だということはお話がありましたから駐車違反という言葉を使わせていただきますが、NHKの周辺はそれこそ駐車違反の見本市であるという認識を私は持っておるのですが、NHKの方はそういう認識を持っておられるかどうか。
  132. 酒井治盛

    ○酒井参考人 今先生の御指摘のありました、私どもの周辺のところで大変長時間にわたってタクシーが客待ちされているという実態がございます。いろいろ取り組んでまいっておりますけれども、完全とはまだなっておりません。御指摘のような長時間待ちのいわゆる駐車違反という状態、これは私、毎日どのぐらいあるかはちょっとあれですけれども、そういう実態があることは事実でございます。
  133. 海江田万里

    ○海江田分科員 毎日どのぐらい実態があるかというのを私はつぶさに調べましたけれども、ここで言うのも時間がありません。写真も撮ってありますので、後でお見せをしてもいいと思いますが、これはひどいものですね。  では、いろいろな取り組みをしておると言うけれども、どんな取り組みをしておられますか。一つでも二つでもよろしゅうございます、教えてください。
  134. 酒井治盛

    ○酒井参考人 今までタクシー会社との協議を続けてまいりましたけれども、なかなか決め手、実効あるものがないということで、去年の四月でございますけれども、私どもと利用契約を結んでおりますタクシー会社九社と地元の警察、代々木警察署ですけれども、それに私どもNHKの三者で対策を協議いたしました。  それで、私どものNHK西側の一車線の歩道寄りの二百メートル、ここを入構待ちの指定場所といたしまして、つまり待機用の場所としてそこを限定したわけですけれども、それ以外の道路については駐車待機禁止区域ということで、時間を設定しまして、立て看板を八カ所に立てて、それからタクシー会社の係員の方二人、時間を区切ってそこの巡回指導に当たって、車両排除に当たっている。それから、タクシーの乗務員の方にはチラシを配って、このあたりは協力要請をお願いしております。それからまた、私ども職員に対しても、指定場所以外でのタクシー乗車はしないようにということで、各職場にいろいろ徹底を図っているところでございます。
  135. 海江田万里

    ○海江田分科員 代々木警察と話をしたということですが、代々木警察だけじゃありませんで、渋谷警察ともやらなければいけませんね。これがまず第一点。それが抜け落ちておるということ。  それからもう一つは、一番いい解決策は、NHKの中に広い駐車場があるわけですから、あそこに入れればいいのですよ。あそこには何台入れるのですか。一台も入れてないのじゃないですか。入れていますか。
  136. 酒井治盛

    ○酒井参考人 先生のおっしゃるのは、東側の玄関に通ずる、前の駐車場だろうと思いますけれども、あそこにはいろいろ私どもの車がございます。それから先生の言われるルート、一度やったことがございます。平成六年……
  137. 海江田万里

    ○海江田分科員 いや、私は今、西口のことを言っている。西玄関の前に大きな駐車場があるじゃないですか。
  138. 酒井治盛

    ○酒井参考人 西口の、二百メートルから入った区域から入り口に連なるおよそ百メートルぐらいのところは、タクシー待ちのところに指定してあります。
  139. 海江田万里

    ○海江田分科員 いやいや、私は、NHKの構内に入れているかどうかということを聞いているのですよ。
  140. 酒井治盛

    ○酒井参考人 入れてございます。
  141. 海江田万里

    ○海江田分科員 何台入れていますか。
  142. 酒井治盛

    ○酒井参考人 約二十台ほど入れております。
  143. 海江田万里

    ○海江田分科員 では、その二百メートルで何台とまっていると思いますか。
  144. 酒井治盛

    ○酒井参考人 台数まではちょっとあれですけれども、距離としては二百メートルで、何台かということは私、承知いたしておりません。
  145. 海江田万里

    ○海江田分科員 これは単純な話ですよ。車の長さは何メートルありますか。二メートルと仮に計算をしたって、百台以上いるわけですよ。実際のことを言うと、深町の交番からNHKのところまで全部じゃないですか。あれは、実測したことはありませんけれども、三百五十メートルぐらいは恐らくある。自分の広大な駐車場があって、その中にたった二十台しかとめないで、何で交通妨害を外でやっておくのですか。答えてください。
  146. 酒井治盛

    ○酒井参考人 西口のところのスペース、二十台ぐらいのスペースと思いますけれども、タクシーのほかにも出入りの業者の車とかいろいろの車両が入りますので、安全性を考えて、二車線ございますけれども、そこのところの一車線をそう指定させていただいている、こういうことでございます。
  147. 海江田万里

    ○海江田分科員 先ほど来お話をしておるように、自分のところに広大な駐車場があるわけですよ。私の見たところでは二十台も入っていませんよ。はっきり言って五台ぐらいですよ。誘導して全部外にためさせて、一台来たら一台ずつ入れさせているのですよ。あれはせいぜい三台か五台ぐらいですよ。いつも必ず二十台入っていると言えますか。見たことがあるのですか。夜の九時以降ですよ。
  148. 酒井治盛

    ○酒井参考人 私も、帰りが仕事の関係で遅くなりますとあそこを活用することがございます。二十台のキャパシティーがございますけれども、零時を過ぎますと、五台あるいは十台ぐらいの場合もございます。
  149. 海江田万里

    ○海江田分科員 外に百台ぐらいあるというのはお認めになりますね。NHK周辺でいうと、百台じゃきかないですよ。三百台ぐらいありますよ。それはお認めになりますか。
  150. 酒井治盛

    ○酒井参考人 そういう状況のときもございます。
  151. 海江田万里

    ○海江田分科員 外に三百台ぐらいで、仮に中に二十台とか、私は五台ぐらいだろうと思いますが、しかも広いスペースがあるということで、このまま放置するおつもりですか。どうですか。
  152. 酒井治盛

    ○酒井参考人 先生の御指摘を受けましたので、この御指摘を踏まえて、さらにどういう対策があるか、スペースの有効活用を含めて検討させていただきたいと思います。
  153. 海江田万里

    ○海江田分科員 私は、個人的に何度も現場の方に注意を申し上げたのですが、全く聞く耳持たぬという話で、上の方に話をしなきゃいかぬという話ですから、こんなばかな話はないのです。  これはやはり非常に危ないのですよ、交通安全の面から。今こういう景気の状況ですから、タクシーの運転手さんがそこに並びたがるのは、本当にお気の毒なことだと私は思うのですよ。お気の毒なことだけれども、これはやはりきちっと取り締まりをしていただかなきゃいけません。  中に、自分のところに大きなスペースがあって、ごらんになった方はわかると思う、NHKですから大変広大なスペースがあるわけですよ。幾らでもあるわけですよ。その幾らでもあるところは一切使わせずに、全部迷惑を周辺に及ぼすというのはどう考えたっておかしな話ですから、早速直していただきたいと思うのですけれども、せっかく自治大臣もいらっしゃいますから、いかがですか、この交通安全の問題。
  154. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今のやりとりを聞いていまして、NHKの方でも検討するという答弁をしておられますので、その御努力を見守りたいと思います。
  155. 海江田万里

    ○海江田分科員 それで、二百メートル、私は大体三百五十メートルぐらいだろうと思うのですけれども、車がずらっと並んでおって、これは警察の方にお願いなのですが、その脇に交番があるのですよ。これはみっともない話なのですよ。交番のところに、一台だけはどうしてもパトカーをとめなきゃいけないものですから、深町の交差点というところですけれども、その一台のパトカー用のスペースはパイロンで確保をして、そこからもう全部タクシーなのですよ。それで、夜になると今度は、オリンピックの方の表参道から来た通りの方までずっと並ぶわけですよ。  しかも、さっきお話があったように、二車線のうち一車線しかないわけですよ。新宿の方から入ってくると三車線あって、その三車線が一車線になるのですから、こんな危ないことはないですよ。しかもそれが駐車違反だということであれば、駐車違反を交番の前で放置しておいて、しかもそこに次から次へ入ろうとするから、二車線あっても、ここにパトカー用のパイロンがある。そして、ここに並んでおって、一台あいたら次に入ろうと思うから、ここでもってもう一車線もとめちゃうのですよ。こんな危ないことはない。  しかも、細かいことですけれども、第一、二百メートルとめるのも実は本当に危ないことで、運転手さんたちというのは、ずっと長く待っておれば外へ出て話をしたがるのですよ、みんな。運転手さんが車を離れて歩いているものだから、危なくてしようがないのですよ。そういうような問題もあるから、二百メートルやればいいというような話では実はないと思うのですよね。長時間の停車というのは駐車違反だということですが、二百メートルなんか許していいのですか。警察庁にお願いします。
  156. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 御指摘のNHK前の道路の規制でございますけれども、基本的に駐車禁止あるいは終日駐停車禁止になっております。  西口のところは、先ほどNHKさんからもございましたように、実は夜はあそこにとまっております。あそこにつきましては、午前九時から午後八時までの間は駐車禁止でございます。それ以降、午後八時以降は実はこれを解除しております。  したがいまして、一番左の車線でございましょうか、ここにとまっている状態それ自体は駐車違反ではございません。それは恐らく、先ほどおっしゃられたようなもろもろの事情を加味して、そこについては夜間はそういう措置をとったものだと思います。それ以外の場所につきましては、駐車禁止あるいは駐停車禁止がかかっております。そこは明らかに違反。それともう一つ、西口のところであっても、二重駐車になりますれば、駐車方法の問題からしまして四十七条違反ということで、これは違反でございます。  何分にも、そこの状態がどうかということでございますけれども、私どもが警視庁から聞いている範囲におきましても、全く問題がないのだという状況でないのは重々承知しているところでございます。非常に少ない人数の中でやっているわけではございますけれども、そういう状態の解消に力を尽くしてまいりたいと思いますし、先ほどNHKさんのお話がございました、大きな施設の場合の管理者の協力というのもそういう事態の非常に大事な解消方策にもなりますので、さらに両者あるいは関係者におきまして検討を進めてまいりたいと思っております。
  157. 海江田万里

    ○海江田分科員 そういうふうに駐車禁止解除にしているということなら、それはそれでいいと思うのですが、私はむしろ、本当にNHKだと思うのですよ。あれだけ広いスペースがありながら一切入れずに、二十台というお話がありましたけれども、それ以外の正面の方からのところもそうですよ。あそこは一切入れていませんからね。  だけれども、その道のすぐ反対側、これは渋谷警察になるのですが、そこのところにも長蛇の列ですし、それから、今の道と一本奥の道があるわけですよ。それは、NHKの人たちがよくあの辺で飲んで、帰りに車を拾うというところで、あそこのところなんか全然そんな指定も何もないわけですから、そこに全部とまっておるということですね。こんなのを許していいはずがないわけでありまして、それはやはり天下のNHKが、法律違反をせざるを得ないような状況にタクシーの運転手さんを追い込んでいるというのが私は実情だろうと思うのですね。  その今の西口の話ですが、西口以外のところの状況というのは、NHKはどういうふうに掌握されておりますか。
  158. 酒井治盛

    ○酒井参考人 私どもは、西口以外にも東口の方の玄関がございます。あそこは、先生御承知かと思いますけれども、大型の中継車、それから見物者のバスとか、それから乗用車の方たちもあります。一部職員も使っておりますけれども、これはもう相当厳しく規制しておりますが、あそこのスペースのところで相当緊急用の車両も出入りを常時いたしますし、そういうことも含めて、東側自体のところを使っての車の導入を一時やりましたけれども、これもさらに長蛇の列をつくってしまったということで、結局、今の西口の方に変えさせていただいたという経緯がございます。(海江田分科員「あと、そのほかの周辺のところはどういうふうに認識をされていますか、裏道のところ」と呼ぶ)  裏道、その話も知っております。近所の方たち、大変駐車されているところが裏のところにもある。いろいろ、そういうところで乗らないように、とにかく場所が指定されておるわけですから、そこのところを活用するようにとしてはおりますけれども、完全に実施されていない実情があることも承知しております。これはもうさらに徹底していかなければいかぬ、こう思っております。
  159. 海江田万里

    ○海江田分科員 これは本当に十分やっていただいて、要するに、あれだけ広い駐車スペースで、最大限見積もってたった二十台しか中に入れていないというのは、おかしな話ですよ。それは工夫をすれば入れられるのですよ。なるべく中に入れてくださいよ。  それで、どうしてもそこから二百メートルに限っては、これは申し合わせなんかもあってやむを得ないのなら二百メートルでいいですけれども、二百メートル以外のところはとめさせないようにしてくださいよ。それは約束できますか。
  160. 酒井治盛

    ○酒井参考人 御指摘を踏まえて、できる限りのことをやっていきたい、こう思っております。
  161. 海江田万里

    ○海江田分科員 あと、本当にあの周辺は交通が渋滞というか、公園通りにつきましても、これは今度は管轄が渋谷署になるわけでございますが、あそこの違法駐車というのは目に余るものがあるわけですね。実はNHKの客待ちの車も、反対側にも待っていますから、公園通りの方にもやはり影響を与えておるわけですよ。だからそれは、所轄でいえばさっきもお話し申しましたように渋谷署ですから、代々木とだけやるのじゃなくて渋谷ともやって、とにかくNHKがあることによってあの周辺の市民に迷惑がかからないように、やはりきちっとやっていただかなければいけないということは、これはもう厳重にお伝えをしておきます。  それから、きょう運輸省もお越しいただいていますね。不景気との絡みで、どうしてもタクシーの客待ちが多くなる。実際、どんどん新車のタクシーの許可というものが規制緩和で、きょうの新聞なんかにも出ておりましたけれども、どんどんふやしているわけでございますが、私は、これは何かタクシー会社も自分で自分の首を絞めるようなことになりはしないだろうかというふうに思っておりまして、今後のこのタクシーの増車の計画といったものについて、運輸省はどういうような方向性、どういうようなお考えをお持ちかということをお尋ねしたいと思います。
  162. 金子賢太郎

    金子説明員 お答え申し上げます。  平成十年、昨年の三月に規制緩和に関します閣議決定がなされておりますが、それによりますと、タクシー事業の場合は、遅くとも平成十三年度末までに、現在、私どものタクシー事業に対する政策の根幹となっております需給調整規制をやめなさいというふうに閣議決定されております。  この趣旨は、需給が一応バランスをしているという判断が一たんなされてしまいますと、新規の参入がストップされる。そうすると、その既存の事業者同士だけで、その中で競争すればいいというようなことで新しい血が導入されないということから、競争刺激的でないということで、結果的に利用者の利便が向上しない、こういう思想が背景にございまして、先ほど申し上げましたような閣議決定になっておるわけであります。  また、先生御指摘のとおり、個々具体のケースでふぐあいな事例が、先ほど来御指摘のような交通渋滞あるいは通行妨害といったことが生じておりますので、それはそれできちっと対処していかなければいけない。関係機関の御指導もちょうだいしながら、私どもとしても万全の対処をしなければいかぬなと思っておりますけれども、大きな流れ、方向といたしましては、最初に申し上げたとおりでございます。
  163. 海江田万里

    ○海江田分科員 時間が若干ありますが、きょうは突然のピンチヒッターでございましたので、この程度にさせていただきます。どうもありがとうございました。
  164. 小澤潔

    小澤主査 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  次に、長内順一君。
  165. 長内順一

    長内分科員 公明党の長内順一でございます。  きょうは、ハイテク犯罪につきまして、大臣にお伺いをさせていただきたいというふうに考えております。  最近、随分このハイテク犯罪、世の中を騒がしているといいますか、私たちが今まで想像しなかったような、そんな事件が随分起きているような感じがいたします。また、それが、これまた今の現代世相といいますか、直接会ったことのないような方でも、コンピューターという、インターネットという、そういうところを通じて何回も文章でやりとりをしているうちに、何か十年来の友人のような感覚になってくるようでございまして、会ったこともないのだけれども、随分親しい気持ちになってしまう。そして、それが先般から言われているような犯罪に結びついている、こんな側面があるのではないかなというふうに思います。  私は、これは非常に難しい問題があるのだけれども、インターネットにかかわるいわゆるハイテク犯罪、このままにしておいてはいけないのではないかな。これは表現の自由、憲法の二十一条に規定がありまして、こういうものとそういう犯罪を規制していくということ、この隘路というのが非常に難しいところがありますけれども、きょうは、政策通の野田大臣でございますから、議論をさせていただいて、一定の方向をぜひお示しをいただければありがたい、こんなふうに考えておるところでございます。  ハイテク犯罪につきましては、平成九年六月に開催されましたデンバー・サミットのコミュニケにおきまして、こういうふうに定義をされているわけでございます。「コンピュータ技術及び電気通信技術を悪用した犯罪」、こんなふうに警察白書の中では定義をされておるところでございます。  こういうことから、今、何も日本だけじゃなくて、世界じゅうでこの問題については大きな関心を寄せているところでございまして、昨年五月のイギリスで行われましたバーミンガム・サミットでも国際犯罪が主要議題の一つになっておりまして、中でもハイテク犯罪に各国首脳の関心が非常に高かった、こんなふうに報じられているところでございます。  そこで、大臣、初めにお伺いしたいのですが、このバーミンガム・サミットで、薬物及び国際犯罪に関する特別声明ということで、ちょっと途中は抜かしますけれども、こういうふうに声明を出しております。「我々は、我々の閣僚により合意されたハイテク犯罪に関する十の原則及び十の行動計画を迅速に実施することに意見の一致をみた。」中略になりますけれども、「我々はハイテク犯罪に関する行動計画、資金洗浄に対してとられる措置及び人の密輸に関する共同行動についての進捗を次回サミットに報告するよう我々の閣僚に求める。」、こういうくだりがございます。ハイテク犯罪に対して先進国で意欲的に取り組んでいこうというあらわれではないかと思うわけでございますけれども、ここで言うところの「十の原則及び十の行動計画を迅速に実施する」、これの進捗状況、そしてでき得れば、このハイテク犯罪に対して大臣はどういう御認識をお持ちになっているか、お願いをいたしたいと思います。
  166. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、今や薬物及び国際犯罪に関するサミットにおける特別声明が出るほど、単に一国だけの問題ではなくて大きな問題になっているわけでございますが、国際犯罪は各国が共同で対処する必要がありまして、一カ国で対策がおろそかになりますと犯罪対策の抜け穴となってしまうというおそれがあるわけで、そういう意味でサミットでも大きなテーマとして浮上したという背景があります。  したがって、警察庁としても、こうした国際公約を実行し、国際組織犯罪対策を各国と協力して行っていくために、リヨン・グループ、これは国際組織犯罪対策上級専門家会合ということの別称のようですが、このリヨン・グループを初めとする各般の国際会議の活動に積極的に参加するとともに、薬物に関する国際会議、これは先般日本でアジア薬物対策会議を主催したわけでありますが、さらにマネーロンダリング対策のための国際専門家会合の主催を三月に予定いたしております。これらの貢献を行っておるわけであります。  また、今御指摘のありましたハイテク犯罪にどう対応するかということでありますが、これは現在法制度の整備をやろう、不正アクセス防止のための法案を今国会に御提案し、御審議を願おうということで、郵政省との共管になるわけでありますが、その取り締まり態勢の強化を図りたいと考えておるわけであります。
  167. 長内順一

    長内分科員 さまざまな側面がございまして、今大臣の方からお話がございましたように、不正アクセス、これをしっかり取り締まっていこうという側面、それからもう一つは、インターネット上に今流れているさまざまな情報の中で、違法情報それから悪質情報、こういうのがありまして、やはり違法情報というのは、これは積極的に取り締まっていかなければならないんではないか。ただ、悪質情報については、これはどういう形でこれから裁いていくのか、これは非常に大事な点ではないかというふうに考えておるところでございます。  先ほどの平成十年度の警察白書を拝見いたしますと、ハイテク犯罪の認知数、検挙数も、例えば平成五年から比べますと、平成九年度というのは、たった五年間で八倍、これは相当な伸び率だと思いますが、急増しているわけでございます。ホームページの数も相当数、一億を超えるというふうに言われておりまして、この膨大な中での犯罪にどういうふうにこれから対応していくのか、大変難しい時代に入ってきたかな、こんなふうに思うわけでありますけれども、こうした違法それから有害情報、非常にもうはんらん状態、混乱状態だと思うんですが、この結果、いわゆる覚せい剤が販売されたり毒物が販売されたり、さらに、青少年に非常に影響のあるようなわいせつな画像が家庭の中まで、または学校の中まで入ってくるという、これはちょっと異常な事態なんではないかと思います。こういう状態にどう対応されていこうとしているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  168. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、インターネット上の違法、有害情報については警察においても関心を有しておりまして、可能な限りその流通実態の把握に努めておるところであります。特に違法情報についてはこれは厳しく取り締まるという方針であります。  また、これらの情報に起因する被害の防止を図るため、広く国民に対して広報啓発を行うほか、有害情報の取り扱いについては、国内外の議論の動向を見きわめつつ、関係省庁関係団体等との意見交換なども行いながら対処方策について検討してまいりたいと思います。
  169. 長内順一

    長内分科員 なかなか難しい状況にはあると思いますけれども、違法なものについては、おっしゃられるようにやはり大きく踏み込んでいく必要があると思います。ただ、これも犯罪になって表に出てからではなくて、未然にどう防いでいくのか。このためには、やはり今の各省庁との連携だけでいいのか、もっと警察としては具体的な施策をもって取り組む必要があるんではないだろうか。  これは私もいろいろな方から聞いてみて、インターネットというのは確かに手紙だとかはがきと同じだ、言うなれば手紙というよりもはがきと言った方がいいかもしれません。それを余り規制してしまうといわゆる検閲をする行為になってしまうんではないか。ただ、そうはいうものの、中身が非常に違法性があって、そして人的に相当な影響がある、例えばこの間あったような、インターネット上に特定の個人の名前を載せて個々を攻撃するような、そういうものを載せてみたり、それから毒物を売買したりとなると、そうもいっていられないんではないか。  これは大臣、取り締まりの基準というか、なかなか難しいけれども、このままでは私はいけないと思うものですから、各省庁と連携をとってこれからというのも、これはこれでわかる話なんですが、まずは取り締まり役の第一線で御活躍の警察のお立場としてはどんな形で対応されようとしているのか、申告していないかもしれませんけれども、率直な気持ちでお願い申し上げたいと思います。
  170. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 確かに御指摘のとおり、今の枠組みの中でどういう取り締まりができるのか。言うなら公権力の行使になるわけですから、そういう意味で、取り締まりができるための根拠法規というものをきちっとしておかないとなかなか、警察だからというだけで何でもできるというわけにはいかないという点で――不正アクセスということに関しては、さっき申し上げたとおりできるんです、新規立法を今考えておるんですが、インターネットにだれが載せたかわからない、それがいつの間にか広がっていく、その中身が人を攻撃したり悪質なものであったりといった場合に、どういう段階、どういうやり方をするか、ちょっと私もそういった専門的なことをまだ自分自身で十分突っ込んで結論を得るところまではとてもとてもいっておりません。もし必要ならば、この機会だから、政府委員から今答弁できる範囲の中での答弁をさせていただくということでお許しいただければと思います。
  171. 長内順一

    長内分科員 いえ、結構です。私は、大臣、きっと誠実にお答えいただいたと思っていますので、今の答弁で了とさせていただきますので、恐縮でございます。  ただ、非常に国民の皆さんにとってみれば、こういうコンピューター、インターネットを含む科学技術、このことに対してどんな意識を持っているかというのが、総理府の方でちょうど平成十年に調べたものが発表になっております。  総理府が六日付で発表しております「将来の科学技術に関する世論調査」、この中で、コンピューターネットワークを初めとする科学技術が発達することに伴う課題について、こういう設問があるのですね。科学技術が悪用されたり誤って使われる可能性がふえると思いますかという質問なんですが、そう思うというお答えが六三・四%、それから、どちらかといえばそう思うというのが二〇・六%。ですから、合計で、危険性がふえると何らかの形で意識されている方が実に八四・〇%。  これは当然、科学技術の光と影といいますか、物事にはいいことばかりじゃありませんで悪いこともあるわけなんですが、非常に影の部分、特に最近の新聞報道でこれはきっと数がふえて、それから警察庁の皆さんも一生懸命対応されているからだろうと思うのですが、どうもハイテクにかかわる犯罪のニュースが非常に多いからこういう結果かなとは思うのですが、少なくとも、国民の皆さんは八四%近くがちょっと不安に感じていますよということなわけですね。  ですから、私は、大臣が先ほどおっしゃったように、このまま各省庁で連絡をとりながらといつまでもやっているのではなくて、やはり一歩踏み込んだ対策、具体的な対策というのがこれから必要かな。きょうはお尋ねしませんけれども、御検討いただきたいなというふうに強く思うところでございます。  そんな中で、実は先般、先般といってもきのうですか、ちょっとテレビを見ておりましたら、コンピューターを、ずっと画面を見て、それでチェックをするボランティアの団体があらわれたというニュースをやっておりました。何か赤いベレー帽をかぶった皆さんでございまして、これは三十三名で、コンピューターの画面をずっと見ているのですか。そして、悪質なものがあったら、きっと警察の方、当局と連携をとって対応するということだと思うのですけれども、かつてナホトカ号が――済みません、こういう例はよくありませんけれども、重油をまき散らしたことがありまして、私どもも新進党のころ行ったことがありますけれども、ひしゃくで一生懸命すくっておりましたけれども、何か私は、これだけ技術レベルが高くなった世の中で、画面を見ながら数人の方が一生懸命悪質情報をチェックしている、これでいいのかな、もっと技術的に、機械的に何かできることはないのだろうか、こんなふうに率直に思いました。  さて、それはそれとして、こういうメンバーが出てきて、これから悪質情報についてチェックをしてくれる、こういうふうになったときに、警察との連携、特にボランティア団体、こういうところに対してどういうふうにこれからかかわっていかれるのか、御質問をさせていただきたいと思います。
  172. 小林奉文

    ○小林(奉)政府委員 御指摘の取り組みにつきましては、インターネット上の違法有害情報を民間のボランティアの方々が自主的に把握いたしまして、プロバイダー等に対してこれを自主的に排除するよう要請する活動と聞いております。  こういったインターネット社会になりますと、やはりそういった民間の方々の力というものは大きなものがあろうかと思います。そういった意味で、私ども警察におきましては、この方々のそういう自主的な活動というものは大変意義深いものと思っておりまして、そういった方々の情報提供を受けまして、我々として必要な、厳正な対処をしてまいりたい、このように考えております。
  173. 長内順一

    長内分科員 ですから、局長、そういうことなんですけれども、こういう団体というのは今回初めてなんでしょうか。テレビでああいうふうに報道されているから、きっとそうだと思うのですが。  かつて防犯対策なんというのがありまして、地域において、商店街の皆さんから町内会の皆さんからみんな情報交換をしながら、私も当時、市議会議員で、たしかそんな会合にも何度かお招きをいただいたことがございますけれども、地域も含めて全員でそういうものに対応しようじゃないか、そんな動きがあったじゃないですか。そんな意味では同じことだと思うのですね。機械上の、インターネット上のことと実生活の中で起きていることとは同じようなことではないか。  ですから、今のお話は今のお話でいいんですが、もっと広がりとダイナミックさを持って、せっかくこういう人方が出てきたということは、私はこれは逃しちゃいけないと思うのですよ。これからどう活用をされようとしているのか、お考えをお示しいただければありがたいと思います。
  174. 小林奉文

    ○小林(奉)政府委員 御指摘のように、地域社会の安全を守るために、警察、自治体、地域住民の方々が一体となって必要な活動をしておるわけでございます。いわゆるサイバー空間におきましても、そういった形のものができれば大変いいことではないかなと思っております。例えば、アメリカにおきましては、既にサイバースペースにおけるそういった民間の自主的な活動が大いに活発に行われているところでございます。  私どもといたしましては、そういった方々と連携して、安全を守るように、健全な発展が保たれるように努力してまいりたい、このように思っておる次第でございます。
  175. 長内順一

    長内分科員 努力するというか、こういうものをもっとふやしていくような、これはちょっとお立場として難しいかもしれませんけれども、何かそうでもしなかったら、警察の中で一億何ぼもあるようなホームページを一つ一つチェックして、そんなことはできっこないわけですから、ボランティアのそういう力も、それからもっとあるかもしれません、啓蒙することによってコンピューターを使っている人が非常に意識のレベルが高くなって、そしてこういうことに取り組まれる、こんなことも可能になってくると思いますので、御努力以上に踏み込んでお願いをしたい、こんなふうに思います。  ちょっと時間の関係もありますので、インターネットにかかわって、私は機械上のさまざまなこともさることながら、やはりこれを使う人、そしてこの中で生活をする人、こういう人方の意識が変わっていかなければならない、こんなふうに思っております。  これは、二〇〇一年、平成十三年までに全国の公立の高中小、それに専門学校の一部、ここにインターネットですべてつながるというふうに伺っております。ところが、文部省のこれを見ますと、先生方、これはいつも言われることなんですけれども、操作できる、コンピューターを使える、だから、機械的には配属にはなるんだけれども、それを使える人が全体で四九%ですね。それで、指導できる、全体で二二・三%ですか。これは余りにもひど過ぎます。多少先行するというならわかりますけれども、この辺の対応も急ぐ必要があるなと思います。  それから、あわせて私はお訴えしたいわけでありますけれども、インターネットの利用教育、どう使っていくかという教育、これと同時に、やはり倫理教育もあわせてやっていかなければならないというふうに私は思うんですよ。ですから、エチケットというかルールというか、インターネットとはこういうふうになっていて、そしてオープンなだけにだれでもそこには書き込むことができるし、だれでも制限なく情報を載せることができるんだよ、ただしこれは害を与えるものについては当然やっちゃいけませんよだとか、ごく当たり前のことでありますが、そういうルールだとかエチケットだとか、そういうことをきちっと、技術教育だけじゃなくて倫理教育もやっていくということが一つ私は大事だと思います。  それからもう一つ、先ほども言いましたけれども、物事にはいいことと悪いこと、二ついいことはないわけですから、必ず光と影の部分があります。  今私たちが懸念しているのは、このインターネットを、すばらしい技術なんだけれども、これを使って犯罪行為をするということに問題があるわけです。もう少し言わせてもらうと、大変失礼なことになるかもしれないけれども、インターネットの中身なり、それからどういうものかということにもう少し当事者の方がしっかりとしたお考えを持っていれば防げたところもあるのではないかな、こんなふうに思うわけであります。ですから、単なる技術教育だけじゃなくて、そういう教育も含めて、文部省の御見解をいただきたいと思います。
  176. 銭谷眞美

    銭谷説明員 御説明を申し上げます。  先生今お話ございましたように、文部省としても、今後の情報社会を考えた場合に、情報教育を積極的に推進をしていこうというふうに考えているわけでございます。  最初の教員の研修の件でございますけれども、先生お話しのように、現在のところ、コンピューターを使って指導ができる先生の割合は二割程度でございまして、これを平成十三年度までに、少なくとも半数の先生はコンピューターを使って指導ができるようにしたい。また、現在半分程度の方がコンピューターを使えるという状態でございますので、これは全教員が使えるようにしたいということで、教員のコンピューター等利用能力育成計画というものを立てまして教員の研修に努めてまいりたい、かように考えております。  それから、情報教育を進めるに当たりまして、御指摘の情報化の影の部分、こういう部分にも適切に対応する必要があるということはお話しのとおりだろうというふうに思っております。  私どもといたしましては、平成十四年度から新しい教育課程が始まるわけでございますけれども、この新しい教育課程では、中学校と高等学校においてすべての生徒が情報、コンピューターについて学習をすることになるわけでございますけれども、その中で、情報化の及ぼす影響や情報モラルの育成について内容を充実して教育をしていこうというふうに考えているところでございます。  また、二〇〇一年までにすべての公立学校をインターネットで結ぶ、こういう計画を持って今進めているわけでございますけれども、学校におけるインターネットの活用に当たりましては、お話のございました情報の発信、受信の基本的なルールの育成を含めて適切な活用法を身につけさせるとともに、必要な情報を選択する能力の育成ということにも重点を置いて指導してまいりたい、かように考えております。
  177. 長内順一

    長内分科員 教えるのは半分の先生は教えることができるように、そして操作は全員が操作できるようにという目標に向かって、ぜひともお取り組みをいただきたいというふうに思います。  ちょっと時間がもうありませんので、最後になりますけれども、大臣に御所見をお伺いいたしたいと思います。  これから国際社会、よくここでも議論をされました。そんな中で、さまざまなツールがあるわけでありますけれども、インターネットというのは大変な国際化の中核をなす、あえて言いますとそういう道具だというふうに私は思っております。  しかし、現状を見ると、アメリカのサイバー・エンジェルスという有害情報を監視するボランティア団体がやはりあるようでございますけれども、発見した有害情報の中でチャイルドポルノというのがありまして、この四五%が日本発だ。大臣、これが現状です。  私は、国際社会にあってやはり胸を張って、そして国際社会の中で日本がこれから国家としてさまざまな活動をしていくためには、こういうことをやはりきちっとしていかなければ、なかなか信頼性といいますか、国際社会の中でのステータスというのは上がってこないのではないかな、こんなふうに思っております。  何かアメリカではクリントン大統領が随分一生懸命なようでございまして、一九九六年、平成八年には通信品位法なんというような、そういう法律もつくってお出ししたようでありますが、結果的には何か、先ほどから私、また大臣も申しておりますように、規制とそれから表現の自由、こういう問題から、連邦最高裁で違憲判決になりまして使えなくなったというようなこともございますが、いずれにしても、そのぐらい一生懸命取り組んでいらっしゃる。  こんなことを考えたときに、もっと細かい議論をしたかったんですが、この時期、大臣、サイバー基本法というか、コンピューター社会に生きる基本法みたいなことを目指して、これは警察庁、公安委員会だけでできない問題ですから、きっとまさしく郵政省だとか通産だとかいろいろなところがかかわって、文部省もきっとそうだと思います、こういうふうにして国際社会の中で、インターネット社会の中で私たちは生きていくんだというインターネット基本法的なものを目指して取り組んでいくべきである、こんなふうに最後に申し上げたいと私は思うんですが、御所見をいただきたいと思います。
  178. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 前半のチャイルドポルノの話等については、既に議員提案の形で、いろいろ政党間で勉強が始まり、かなり進んでおるというふうに承知しておりますが、ぜひこれはこれで、余り名誉な話じゃありませんので、今の御指摘のとおり。そういう点で、早く法制化が図られることを我々も望んでおります。  それから、ずっと先ほど来一連のお話の中で、本当にこれからインターネットというか情報化社会がどんどん進んでいく中で、この影響というのは非常に広がりがあるわけで、単に違法であるか否かということだけでなくて、今お話しのとおり倫理なり、いろいろな形で生活の中に直接影響をもたらしていく、子供たちへの影響というのは甚大なものもあるわけですから、そういう点で何らかの、インターネット利用というか、そういうものについての包括的な総合的な法制化を考えたらどうかという御指摘、勉強させてください。  これは単に犯罪云々とかいう角度だけでないわけで、そういう意味で、非常に影響するところが幅広いわけでありますので、恐らく関係省庁といえばほとんどみんな入っちゃうんじゃないかというぐらい広範な影響をもたらすものだろうと思いますので、しかし、ゆるがせにできない問題である、そういう問題意識においては共有しているということまで、きょうは申し上げさせていただいて、さらに勉強させていただきたいと思います。
  179. 長内順一

    長内分科員 大変難しい問題に御熱心に誠実にお答えいただいた。先がすぐ出るような問題じゃございません。また、今のお話のとおり、警察だけでできる問題じゃございません。そんな意味では、この議論がまた次へつながって実のある形になっていきますよう、これからもぜひ御尽力をいただきたい、こんなことをお願い申し上げまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  180. 小澤潔

    小澤主査 これにて長内順一君の質疑は終了いたしました。  次に、山本孝史君。
  181. 山本孝史

    山本(孝)分科員 山本孝史でございます。よろしくお願いをいたします。  きょうは、犯罪被害者の救援の制度、仕組みをぜひつくっていきたい、あるいはつくるべきだということで、御質問をさせていただきたいというふうに思っておりますが、その前に、きょう、最高裁判所からお越しをいただいておりますので、最高裁判所の方からひとつ御答弁をいただきたいというふうに思っております。  実は、昨年の予算委員会、この分科会で取り上げをさせていただいて、その後御検討いただいているのではないかと思っておりますが、野田先生はその所管じゃないのであれなんでしょうけれども、交通事故が起きますね、それで、亡くなりますと逸失利益を算定をするということになります。そのときに、どういう算定式を使うかというときに、平均賃金を使うか、あるいは初任給を使うか、ずっと生涯にわたってもらうということですから、それを割り戻すわけですけれども、そこを単利で割り戻すか複利で割り戻すかというのが、二つ方式がありまして、これは実は、大阪方式、東京方式というふうに言っているのですね。  なぜ東京方式、大阪方式と言っているかといいますと、裁判所によって実はとっている方式が違うのです。したがって、出てくる金額に違いがあるのです。そこは、実は、逸失利益だけじゃなくて慰謝料の方の計算もするので、相殺すれば一緒になるんですというのが、この世界の考え方なのですが、しかし、今、そんなふうに同じような裁判システムの中で取り扱いをしていただいているにもかかわらず、出てくる金額に違いがあるというのは、これは被害者側が裁判所を選べるわけではありませんので、そういう意味において法のもとに余り平等とは言えないのではないでしょうか、そこをぜひ御検討していただくべきではないですかというのが、実は、昨年の予算委員会分科会での私の質問でした。  そのときの御答弁は、当時の民事局長さんから、大きな不公平があってはいけませんね、さらにいろいろな機会に研究を進める事案でありましょうという御認識をいただきましたので、三権分立でなかなか言いにくいわけですが、その後どういう検討をしていただいて、どういうふうな形の取り組みをしていただいているのか、そこをぜひお知らせいただきたいというふうに思います。
  182. 千葉勝美

    ○千葉最高裁判所長官代理者 お答えいたします。  昨年の三月、委員から、交通事故の損害賠償における被害者の逸失利益の算定方法に関しましては、いわゆる東京方式それから大阪方式とがある、どちらを採用するかで損害額が異なってしまうということにつきまして、本当にそれでよいのかという、今おっしゃったような御質問をいただきました。  私どもといたしましては、やはり研究を進めていく必要があるというふうに思いまして、内部で検討の方法などをいろいろ検討しておりました。昨年の秋に発行されました法律関係の雑誌でも同じような指摘がされておったわけでございます。これらをもとにしまして、私どもから、東京地裁それから大阪地裁に、委員の御指摘も含めて注意喚起をさせていただきました。その後に、昨年の末から両方の地裁におきまして研究が始められているというふうに聞いております。  ただ、事務当局といたしましては、テーマが裁判の内容に関係することでございますので、その研究の内容を具体的に指導するという立場にはございませんで、内容の詳細は承知してはおりませんけれども、両方の地裁では、委員の問題意識を十分に踏まえて研究が行われているというふうに思っております。いずれにいたしましても、委員の御指摘、大変ありがたく思っておる次第でございます。
  183. 山本孝史

    山本(孝)分科員 今局長がお触れになりました、岩波新書で「交通死」という本がございます。二木雄策先生という、二十歳のお嬢さんを交通事故で亡くされた経済学の先生が、みずから、この日本の裁判制度あるいは警察のあり方等について、素人ながらにお取り組みをされて、一冊の本にまとめられた。その中でそういう御指摘をされ、実は昨年の秋、この予算委員会分科会での質疑を踏まえて御投稿されたわけですね。  東京方式と大阪方式で違いがある、具体的な事案によって違うのではなくて、裁判をする場所によって、裁判所によって違いがあるということは事実のようでございますというふうに去年はお認めになって、事実のようでございますということでおさまってしまう、そういうおおような姿勢はいかがなものかということで、二木先生、随分お怒りの投稿だったわけですね。  私もその本を読ませていただいて、昨年、御質問させていただいたわけですけれども、今御答弁いただいたように、どちらの方式をとれというのも、なかなか、そういう立場ではないと思いますが、国民の法に寄せる信頼感という点からおいても、ぜひ納得のいくシステムにしていっていただきたいというふうに思うわけであります。そういう意味で、研究で具体的な内容にまでお触れはいただけないかもしれませんが、ぜひそういう方向に引き続きお取り組みをしていただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。  それで、本日の本題であります犯罪被害者の救済、救援の問題ですけれども、これは、一つにはオウム事件がありまして、その被害者をどうするかという問題もありましたけれども、直近のところでは、世田谷で片山隼君という坊ちゃんが交通事故で亡くなって、その件をきっかけに、警察の捜査のあり方、あるいは検察の事故の取り扱いの問題等々、随分問題になりました。  その被害者通知という点においては、法務省としては被害者通知制度というのを新たにつくられて、ことしからでしょうか、すべての事案について、起訴した、起訴しないということも含めて、全国に統一的な被害者通知制度をおつくりになって、今これが動き始めているということで、一つの段階としては、そういう通知制度ができたというふうには思います。  そういう意味で、犯罪被害者としては、一つ救われるような部分もできてきたのかな。従来は、起訴されたか、起訴されていないかもわからない。みずから問い合わせないと出てこない。いつ公判が開かれるのかもわからない。公判の結果も、どういう形で判決が出たかも、その時点にならないとわからない。被害者不在のままで司法の場で物事が進んでいくという点について、今回は、そういう意味で、被害者通知制度ができましたので、入り口のところで取っかかりができたということだとは思っております。  そこで、きょう、警察の皆さんにも来ていただいているわけですけれども、問題は、何か犯罪がありますと、一番先に接触をするのは、警察官というか、お巡りさんであろうというふうに思っているわけですが、残念ながら、捜査状況は、これは捜査は秘密ですのでということで被害者になかなか通知をしていただけないという状況があります。極端な場合でいけば、犯人逮捕という話をマスコミで先に知る、新聞で見て、実は逮捕されたんだというふうに被害者が思うときもある。事件に関してのいろいろな証人としてお取り調べの対象になっても、そういう意味で、御通知をいただくこともなかったというふうに思うわけです。  そういう意味で、なかなか捜査上のことは被害者本人に通知はしにくいのだろうけれども、この辺何らかの、今、検察、法務省の対応の変化もありますので、警察のレベルにおいても捜査状況の通知等について何らかの御検討をいただけないものだろうかということで御答弁をいただきたいと思います。
  184. 林則清

    ○林(則)政府委員 議員御指摘のとおり、犯罪被害者の多くは、捜査の進行状況でありますとか、あるいは被疑者がどのような処分を受けたかといったような問題に対しては、非常に高い関心を持っておられ、被害者がそれらの情報を的確に得るということは、被害者の精神的な負担の軽減にもつながる大変重要なことであるというふうに考えております。  そういったことで、警察におきましては、平成八年から被害者連絡制度というものを導入いたしまして、被害者に対しての事件に関する情報の適切な連絡に努めておるところでございます。  連絡対象になる事件は、殺人、性犯罪、傷害等の身体犯、ひき逃げ事件、交通死亡事故、基本的にはそういうふうにしておりますけれども、実際の運用におきましては、それ以上に広げたその他の事件についても幅広く実施しておるところでございます。そして、これらの事件の被害者あるいは御遺族に対して、捜査の進行状況のほか、被疑者を検挙した場合には、検挙したということ、それから被疑者の氏名、年齢、住所、それから起訴、不起訴といった処分の結果、こういうものについて連絡することとしております。  ちなみに、この制度は完全に定着をいたしておりまして、警察署の刑事部門の取扱事件について被害者連絡の実態をどれだけやったかということを調査いたしました結果、平成九年中の連絡実施件数は約二万件ということになっております。  なお、つけ加えますが、中には事件のことはもう思い出したくないということで情報提供を望まれない被害者の方もいらっしゃることにかんがみまして、被害者連絡というのは、あくまで被害者の意向を酌んで行うことといたしております。  以上でございます。
  185. 山本孝史

    山本(孝)分科員 ありがとうございました。  十分な配慮をしながら連絡制度を運用していただいているのだということがわかります。  いずれにしましても、やはり被害者の心情に配慮して、捜査に当たる方は捜査に当たる方として、いろいろな性格といいましょうか、人づき合いの中ですからありましょうが、先般もいろいろ新聞等を見ておりますと、被害者支援に官民連絡組織ということでいろいろと組織体を警察の中でもおつくりをいただいているようである。「犯罪被害者ケア 全国の警察署で」ということで、例えばこれはことしの一月六日の日経新聞ですけれども、東京の野方警察署は随分うまくやっておりますと。  この間九州に行きましたら、昨年の秋には九州一円、福岡も十月二十九日に発足したので、「熊本除きネット整備」と書いてあります、熊本がどうなっているか知りませんが。九州一円でもそういう意味で、各都道府県単位でこういう連絡組織ができている。そういう被害者の官民連絡組織といいましょうか、被害者をサポートするような警察の内部における体制整備というのは、もうほぼ全国的に完成しているという理解をしてよろしゅうございますか。
  186. 野田健

    野田(健)政府委員 被害者に対する支援というのは警察だけではできませんので、関係機関等と一緒になってできるだけの支援をしていこうということで現在取り組んでおりますが、明日最後の県ができまして、全国の四十七都道府県におきまして犯罪被害者支援連絡協議会ができることになっております。  これには、警察、検察庁、弁護士会それから自治体の担当部課であるとか福祉機関、相談機関、医師会、臨床心理士会、それと民間ボランティア団体、マスコミ等が参加をするということで、社会全体で被害者の支援を実施してまいりたい、こう考えております。
  187. 山本孝史

    山本(孝)分科員 今お名前を挙げられましたいろいろな地域の団体等、警察が中心になってネットワークをつくっていかれている。ある意味では組織はだんだんできてきているのかなというふうに思うんですが、これを今後どういうふうな形にしていかれるのか。  そこでいろいろな問題が多分出てきますね。各都道府県の中でお取り組みにも差があるでしょうし、あるいは全国的に寄り集まってみればまた違う、うまくやっているところもあるし、こんな問題もあるしという話になってくるんだと思いますが、そういった点で、今後どういう形で、あす、熊本ではないようですけれども、最終的に全国的にできました後、どういうふうに全体的な取り組みとして行っていただけるお考えなんでしょうか。
  188. 野田健

    野田(健)政府委員 正直申しまして、警察が本格的に被害者支援ということに乗り出しましてからまだ数年でございまして、こういった連絡協議会も明日で全国にできるということであります。そして各都道府県におきましても、これらの連絡協議会がかなり活発に動いているところもあれば、まだやっと発足だということでこれからどうやっていこうかというようなところもありますし、また、特に民間のボランティア団体におきましては、声をかけられたけれども、具体的にどうやっていくんだろうというようなお考えのところもございますので、全国的な情報を、ある非常に進んでいるところの例をそうでないところにお示しするというようなことを含めまして、全体として一番いい、進んでいるところに合うように、そして進んでいるところはさらに伸ばすようにという努力をしてまいりたいと考えております。
  189. 山本孝史

    山本(孝)分科員 この間、私の地元の大阪でも大阪府警の警務部が中心になりまして、いろいろな関係団体等お集まりになって会合をお持ちになったというお話を聞いておりますけれども、その中に、さっきも触れられました電話相談をやっておられるところ、大阪でいけば命の電話ですとか児童虐待に対応するようなチャイルドラインですとか、今いろいろな電話相談窓口ができてきている。  そこら辺が、本当は犯罪被害に遭えば一一〇番で警察に行けばいいんでしょうけれども、市民の中に、なかなかおかたいところだということもあるかもしれません、いろいろな方に相談するということがあっていいんだと思います。そういう意味で、電話相談機関というものが一つの糸口になり得るだろう、そこら辺をどういうふうに整備をしていくのかということもあるかな。  例えば、実際に電話相談に乗っておられる相談員の研修ですとか、それから事務所を設置するですとか、運営していく上でも財政的にも大分かかりますし、今こういう電話相談機関はボランティアで、寄附を募ってやっておられるのがほとんどですけれども、そういったあたり、どういう形で体制がつくれるのか、あるいは何かその辺お考えがあるのかということと、警察ではありませんから、そこで犯罪に絡むお話が出てきたときに警察なりとどう連絡をしていくのか。  あるいはその方が非常に、心のケアといいましょうか、精神的に障害を負っておられるときに専門家なりと対応しないといけないですし、子供の場合は児童相談所なりいろいろなところと対応しなきゃいけなくなってくると思いますが、そういったあたりの、警察が指導されるのか、どこがどうやってやっていかれるのがいいのかわかりませんけれども、そういった連絡体制をつくるのに御苦労もあるんでしょう、どういうふうにしたらいいというふうなお考えがあるのか、この辺についてのお考えなり御感想なりをお聞かせいただければと思います。
  190. 野田健

    野田(健)政府委員 被害者になったと考えられる方はいろいろな要望、ニーズをお持ちになっているわけです。そして、精神的な支援あるいはその具体的な捜査を持っていくというようないろいろなことをやっていかなきゃいかぬということでありますけれども、電話による被害相談につきましても、警察にかかってきた被害相談、これについては当然ながら素早く対応していくということを考えておりますが、相談の中身によりましては警察においてなかなか処理し切れない分野のものもあるということで、その被害者の一番希望するような回答が与えられるであろう適切な機関を探してお知らせする、あるいは民間団体で大変心理的な面からのアドバイスができるというような方もおられますので、そういう方をお知らせするというようなことをやっていきたいということで、先ほどお話しした犯罪被害者支援連絡協議会というような場を設けまして、そこに臨床心理士会あるいは福祉、相談機関等の方々にも来ていただく。そして、お互いに情報交換をして、そして警察がやるべきこと、それから関係機関あるいは民間ボランティアの方々にやっていただきたいなと思うようなことについての情報連絡をしていきたい、こういうふうに考えております。
  191. 山本孝史

    山本(孝)分科員 警察がどこまで前面に出ていいのかというのはなかなか難しい問題があると思うのですが、諸外国ではもう比較にならないぐらいボランティア団体がこういう犯罪被害者のケア、サポートに活躍をしておられる。日本の場合にまだそういう土壌がないものですから、公が先頭に立って旗を振るのがいいのかどうか、その先頭にまた警察が立つのがいいのかどうか、なかなか難しい問題だとは思うのですけれども、今せっかく協議会ということでおつくりになって活動が始まっていますので、ぜひその芽をうまく育てていけるような、予算的な面も、それから国として取り組んでいるんだという姿勢の部分も含めて、今後ともにそういうお取り組みをぜひお願いをしたいのですけれども、いかがでしょうか。
  192. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 非常に大事な角度からの御指摘でありまして、御指摘のとおり、警察が前面に立つことがいいかどうかという部分もあるのですが、さっき官房長から御答弁申し上げましたとおり、ようやく全都道府県でこの犯罪被害者支援連絡協議会というのができ上がりました。  これの構成メンバーを見ますと、警察、検察のほかに弁護士会あるいは福祉機関、相談機関、医師会、それから臨床心理士会、それから民間のボランティアの団体、あるいは場合によってはマスコミ、そして当然地元自治体の担当の部課の方々、幅広い方々が参加をしておられるということですので、そういう中でそれぞれの事案に応じた相談体制ということができ上がっていけば、非常に成果を上げることができるのではないか。  ただ、これをどういう形で行政の世界からバックアップしていくかという、これにはどこが主体になっていくかが大事だろうとは思うのですが、今のところ各都道府県でそういう形ができ上がってきておりますので、そういったサイドからもさらにこれに対するてこ入れを、支援をしてもらうということを努力していきたいと思います。
  193. 山本孝史

    山本(孝)分科員 ぜひ支援体制を政府の中でもお考えをいただきたいというふうに思います。  実は、その犯罪被害者のための制度として犯罪被害者の給付金制度というものがありますね。御案内のとおりに、新宿のバス放火事件をきっかけに、通り魔事件等々の被害者に対して何とか対応しなければいけないんじゃないかと。内容的には見舞金の範囲だと私は思いますけれども、犯罪被害者が、被害に遭っただけじゃなくて、地域の中でも何か違う目で見られる。被害に遭うのはあの人が悪いのだというふうにも思われてしまったり、あるいは社会に対しての信頼感をなかなか取り戻せない、外へ出るのが怖い、何かみんなが敵になってしまっている。  そういうふうな思いでいる被害者を支えてあげる方策として、そういう電話相談もあれば、サポートをするような、心のケアをするような、カウンセリングの専門の方もあれば、いろいろあるでしょう。その中の一つとして私は、犯罪被害者の給付金制度というものがあるのではないかと思うのですね。  あなたは何も悪いことはなかったのに被害に遭っちゃったのよ、だけれども、社会として別にあなたを見捨てているわけでもないし、みんなで温かくサポートをしていきたいんですよという意味合いを込めて、金額には私はこだわらないと思うのですが、見舞金制度の拡充を考えていった方がいいのではないかと思うのです。  この話をしますと、いや、それは犯人がきちんと補償すればいいんだというような話になったり、あるいは自然災害との比較で物事が語られることも多いかと思いますけれども、私は、社会全体がサポートをしているんですよというところを見せるという意味合いで、犯罪被害者の給付金制度の拡充というのをぜひ考えるべきだろうと思っています。  今、これは、亡くなるか非常に重い後遺障害が残らないと実は給付対象にならないんですね。医療費もその対象にはなっていない。そこのところを何かもう少し、適用範囲の拡大をぜひ検討だけでも着手していただきたい、もう少し考えていただけないだろうかという思いがあるのですが、いかがでございましょう。
  194. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 これは昭和五十五年に犯罪被害者等給付金支給法ということでスタートして、その後五十七年、六十二年それから平成六年、三度にわたって最高額を引き上げてきて、平成九年に重障害の範囲を日常生活に著しく制限を受ける場合という場合まで、それに該当すれば支給できるというところまで拡大をしてきたという経緯があるわけです。  ただ、これで十分か、まだまだその拡大の余地があるんじゃないかという今の御指摘なんですが、この点、いろいろな角度からの御議論があろうとは思いますが、社会全体としてどういう支援、どこまで支援するのがいいのかということについて、ある程度コンセンサスを必要としていくとは思いますが、御指摘のとおり、本当に苦しんでいるそういう方々に対して、やはり時に応じてそれに合うような形で充実をしていくということはあってしかるべきことであるというふうに思います。
  195. 山本孝史

    山本(孝)分科員 何か大きな事件があって社会的関心が高まらないとなかなか制度改革にいかないというのも不幸な話だと思うんですね。バス放火事件があったり、あるいは同志社大学の大谷実さんがずっと長いこと訴えられてようやく実現をしたという、長い歴史のある運動の中でようやくできた制度で、この間の阪神・淡路大震災の見舞金にしても支給金にしても、なかなかこれは国民の議論が合わせにくい部分があるだろう。  ただ、先般来新聞等いろいろ見ておりましても、あるいは私の耳に入ってくる話の中でも、犯罪被害に遭ってたまさかその犯人が全く補償能力がないというような状況ですと、治療費も出なければ何にもないという状況の中で、恐らく捜査に当たっておられる警察の皆さんも、自分で身銭でも切ってあげようかという雰囲気の方もおられると思うのですね。  そういった部分を含めて、私は、犯罪が起きてしまったのは社会というか政府が悪いとまでは言いませんけれども、犯罪率をいかに低くしていくかというのも、これはやはり政治の責任あるいは政府の責任の中にあるわけですから、そういう中で残念ながら被害に遭われてしまった方たちには、何らかの、何でもお金という話を私はしているのではなくて、そこはきっちりとしたサポートシステムがありますという流れをぜひ考えていただきたい。そういう意味合いでひとつ給付金制度の拡充等についても御検討をしてみていただきたいという思いなんで、これは小さな声ですけれども、社会、市民の中には大きな声としてあると思いますので、ぜひ聞いてやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  196. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 物事の考え方として、そのとおりに私も思います。ある意味では、社会におけるセーフティーネットの一つを形成する要素だろう。やはり、自分の責任において招いた災厄ではないわけで、そういう点で、もう少しそういう角度から政治的なテーマとしてもいろいろ議論をしていただいていいのではないかというふうに思います。
  197. 山本孝史

    山本(孝)分科員 時間になりましたので、終わります。  ぜひ、政治的なお立場、今は閣僚の立場でいらっしゃいますが、いろいろまた御指導もいただいて、一つでもこういう事件の被害者に対しての温かいサポートシステムができますようにお力をいただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  198. 小澤潔

    小澤主査 これにて山本孝史君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして警察庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  199. 小澤潔

    小澤主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。  最高裁判所当局から説明を聴取いたします。泉事務総長
  200. 泉徳治

    ○泉最高裁判所長官代理者 平成十一年度裁判所所管歳出予算要求額について御説明申し上げます。  平成十一年度裁判所所管歳出予算要求額総額は三千百八十四億六百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千百二億二千九百万円と比較いたしますと、差し引き八十一億七千七百万円の増加となっております。  次に、平成十一年度歳出予算要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず人的機構の充実、すなわち裁判官、書記官及び裁判所調査官の増員であります。  増加し、かつ複雑困難化しております民事関係事件の適正かつ迅速な処理を図るために、裁判官三十人、書記官四十六人、裁判所調査官二人、合計七十八人の増員及び振りかえによる書記官二百人の増加をすることといたしております。  他方、平成十一年度の定員削減といたしまして二十九人が減員されることになりますので、差し引き四十九人の定員増となるわけでございます。  次に、司法の体制の充実強化に必要な経費でございます。  裁判運営の効率化及び近代化のため、庁用図書等の裁判資料の整備に要する経費として八億千五百万円、パソコン等裁判事務能率化器具等の整備に要する経費として五十億三百万円、調停委員に支給する手当として八十八億五千六百万円、裁判費の充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として五十二億二千九百万円、証人、参考人旅費として八千九百万円を計上しております。  また、裁判所施設の整備を図るため、裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として百二十一億七千三百万円を計上しております。  以上が、平成十一年度裁判所所管歳出予算要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  201. 小澤潔

    小澤主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  202. 小澤潔

    小澤主査 質疑申し出がありますので、これを許します。保坂展人君
  203. 保坂展人

    保坂分科員 社会民主党の保坂展人です。  本日は、国民的な関心、議論も極めて高い交通事故の問題、とりわけ、東京世田谷で起きた、一昨年になりますけれども、小学校二年生の片山隼君が亡くなったという大変痛ましい事件について大きく世論がこの一年沸いたということについて、裁判所に主に聞いていきたいと思います。  この分科会、一時間ほど前に法務大臣にもこの点を尋ねて、法務大臣は、前任者である下稲葉大臣が、いわば、息子さんが亡くなったということの内容を知りたいという両親の求めに対して、極めて適切ではない扱いをしてしまったこと、あるいは不愉快な思いをさせたこと、御迷惑をかけたことについておわびをしたいというふうに国会の中で何度か、これは報道もされましたけれども、申しています。最高裁判所はそのことを御存じですか。どのようにこの国民世論の高まりについて認識をしているのか、そこから伺いたいと思います。
  204. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  お尋ねのことに関しましては、捜査のことでございますので、裁判所といたしましては、法務大臣がそのような御答弁国会でなすったということは承知いたしておりますが、それ以上、私どもの立場からどうこう感想を申し述べるのは差し控えさせていただきたいと存じます。
  205. 保坂展人

    保坂分科員 最高裁刑事局長国会の議事録を逐一読んでいるかどうかというところは、それは無理な点があるのかもしれません。しかし、事実認定や裁判の具体の内容について私は言っているわけじゃないんです。  そうではなくて、被害者の御両親が検察庁の窓口を訪ねたときに、あなたには教える義務はないですよと言って門前払いをした、こういう対応は極めて適切ではなかったというふうに法務大臣は謝罪したわけです。要するに、だれが見ても、国民各層から見て謝罪は当然だった、大変勇気ある謝罪だったということでこれは広がったわけですけれども、検察審査会に事はかかったわけですね。なぜかかったかというと、その際に、東京地検の窓口で、一切あなたに教える必要も義務もないけれどもこの仕組みがありますよと言ってパンフレットを渡した、それが検察審査会だったのですよね。  ですから、こういうことを扱う際に、一般論として、あるいはこれだけ世論が沸いたことについて、最高裁、関心はないんですか。基本の心得、視点というものを伺います。
  206. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 委員仰せになることはよくわかります。私どもも、一般論として、被害者の立場というものに対する視点が一般的には欠けていたのではないかというふうには思います。  ただ、法務大臣が御答弁なすったことについて私どもが感想を述べたりすることは適当ではないと思いまして、先ほどのような答弁をさせていただいた次第でございます。
  207. 保坂展人

    保坂分科員 一般論としては大変そういうことは大事だというお答えをいただきました。  ところで、検察審査会、この片山隼君の事件で初めてその存在を知ったという国民も多いんですけれども、一年かけて議決書という書面が作成されました。  これはずばり言いますと、この中でもいろいろな事実が明らかになってきているんですが、私が前回予算委員会でも指摘した点は、これを読んで、実際のところ驚いたんですね。何を驚いたかといいますと、検察審査会法三十条によってそもそも請求権者じゃないんですよということを述べています。確かに法律はそう書いてありますね。ちょっと御紹介します。よろしいですか。ゆっくり読みますので、聞いてください。  「隼君のご両親は、告訴若しくは告発をした者、請求を待って受理すべき事件についての請求をした者のいずれにも当たりません。この規定の犯罪により害を被った者については、犯罪の直接の被害者をいうもので、直接自己の身体等に被害を受けた者でなければ害を被った者とは言えないのです。従いまして、隼君のご両親は、直接に被害を被った者ということができません」。三十条規定のほかの要件にも該当しないので、申し立て権がないんです、したがってこういう議決ですよという、いわばト書きというか御説明があるわけです、この中に。  裁判所というのは、外の世間の風あるいは世論の動向にやはり敏感であってほしいと思います。というのは、何がこれだけ問題になったのかというと、要するに、痛ましい事故の後、子供を失った御両親が真相を尋ねたいと言ったら、門前払いをされた。それは先ほど一般論で言われました、要するに、もっとこれを考えるべきであったと。だとしたら、一年後に、この検察審査会の議決が唯一の救いかもしれない、あるいは事をやり直してくれるのかもしれないと考え、待っているその御両親に対して、大変これはそこの配慮を欠いた文面であるというふうに私は思います、はっきり言って。  それで、こういうことについて、きちっと基本の心得を裁判所は持っているのか甚だ疑問に思いますが、いかがですか。こういうことを言われたら、つまり、請求権者でないのだから門前払いだよ、けれども職権でやったんだということを書いてあるのですけれども、文章の一言一言にいたわりや、あるいは本当にそこの痛みを配慮する、そこの精神に欠けているのではないかと思いますが、いかがですか。
  208. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  まず、検察審査会といいますのは、くじで選ばれた十一人の国民の方々によって構成されているわけでございまして、この検察審査会につきましては、裁判所とは全く別個の独立した組織なわけでございます。したがいまして、裁判所が、その検察審査会の判断についてけしからぬではないか、こう迫られましても、私どもとしては何ともお答えのしようがないのがまず第一点でございます。  それから、検察審査会に審査を申し立てることができますのは「犯罪により害を被つた者」、すなわち、被害者それから告訴、告発をした者というふうに検察審査会法三十条によって定められているところでございます。そこで、この「犯罪により害を被つた者」という解釈が問題になるわけでございますが、同じような規定が刑事訴訟法二百三十条にございまして、これは告訴権者を定めた規定でございますが、検察審査会法と全く同様に、「犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。」このように規定されておるわけでございます。そして、その上で、その次の二百三十一条以下で、被害者が死亡したときには、配偶者、直系の親族などが告訴できる、こういった規定になっているわけでございます。  そこで、この規定との関連で、死亡した被害者の遺族の方など、広い意味では確かに被害者に当たるとは言い得るわけでございますけれども、法律の解釈としては、被害者そのものではないというふうに解されているわけでございます。そのような解釈から、この御両親には申し立て権がないとして、却下の議決が審査会でなされたものというふうに解されます。  ただ、他方で、検察審査会は職権によって審査をすることができることとされております。そこで、先ほど申し述べました検察審査会法三十条による被害者には当たらない方から申し立てがあった場合でも、広い意味では社会通念上は被害者と言うことができる方から申し立てがあったような場合には、別途職権で取り上げて審査を行うということが普通に行われておりまして、実際には、申し立て権を認めたのと同様の審査が行われているのが実情でございます。本件でも、そのようにして職権で取り上げられたものと承知をいたしております。
  209. 保坂展人

    保坂分科員 裁判所とは何の関係もないということですが、検察審査会というのは、おっしゃるように、くじそれから資格調査でいわば選挙人名簿から選ばれる、こうなっていますよね。そうすると、それは要するに法律のプロ、弁護士とかそういう方は全員省かれていますから、いわば法律の素人が事に当たるという制度であるわけです。したがいまして、そこを潤滑に運営していくために検察審査事務局及び事務官が存在していますよね。事務官はだれが任命するのですか。
  210. 金築誠志

    金築最高裁判所長官代理者 検察審査事務官でございますが、検察審査会法二十条二項の規定によりまして、最高裁判所裁判所事務官の中から任命することになっております。
  211. 保坂展人

    保坂分科員 そうでしょう。最高裁が任命するんでしょう。  最高裁にもう一度伺いますけれども、要するに、息子さんが亡くなって窓口で門前払いをされる、しかも、そのことを先ほど法務大臣も、検察の窓口の扱いについてはもう本当にこれから変えていくと。言ってみれば、世論にこたえる形で努力してきたわけですよ、そういう意味では。ところが、こういった文面の議決がこれまた平気で書かれてしまうということについて、例えば、検察審査会の内容の中に事務官はどういう働きをするのか。法律の素人の方に法律を解説するのは、やはり事務官の仕事ではないかと思うのですね。あるいは、助言の徴取というのもあるみたいですけれども、こういうことについて、例えば、この片山隼君の御両親が直接検察審査会に申し立てをして、意見を聞いてほしいというふうに言っているわけですが、これは結果として採用されなかった。どうしてなのか。このあたりちょっと伺いたいのですが、いかがですか。
  212. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 検察審査事務局職員は、確かに裁判所職員の中から命ぜられるものでございます。ただ、それはあくまで事務的な事務をとるにすぎないわけでございまして、審査の中身というものは、これは全く審査会が独立して行っているものでございます。そうでございませんと、事務局が国民の判断に介入するという形になりますので、これは厳に慎まなければならないことでございますし、現実に行っていないところでございます。  先ほどお尋ねのございました、御両親から事情を聞かなかったではないかという点でございますが、御両親からは、弁護士さんがついておられたようでございまして、弁護士さんの作成された聞き取り書であるとか、あるいは大量の署名簿などが提出されたようでございますが、そういったものはもちろん事務局の方で受け取りまして、それを審査会議に提出をいたしておるわけでございます。  それから、御両親から事情を聞くかどうかにつきましては、審査会長が審査会議にお諮りになった結果、審査会長というのは審査員の中で互選で選ばれるわけでございますが、その必要はないという結論になったというふうに聞いております。  繰り返して申し上げますが、審査事務局の仕事はあくまで事務的なお手伝いをするにとどまりまして、どのように審査を進めるかということを含めて、内容はすべて国民の代表たる審査会自身が独立して決めるというシステムになっておりますので、結局、御指摘のような審査となったものと理解をいたしております。
  213. 保坂展人

    保坂分科員 この審査会のまさにくじで指名を受けた方は、わずかな期間ですね、その任に当たるのは。ということは、次々と入れかわるわけで、しかも法律でいえば素人ということですね。  そうなると、私が指摘したいのは、個々具体的にその審査会の議決について最高裁がいいとか悪いとか、そういうことはもちろん言えないというのはわかります。そうではなくて、事務局をまさに任命し、そしてまた、審査会の審査に入る前は宣誓も行うわけでしょう。そういう意味では、国民世論の大きなうねりがこの被害者感情をきちっと踏まえるという点にあったわけですね。そういうところを裁判所としてはこれからきちっと認識していくのかどうかということについて、何か改善すべきところはないのですか。  法務大臣の方は、かなり具体的にあると言って、つい先ほどの答弁では、検察審査会法の三十条も、これはやはり具体的におかしい、おかしいなら変えるべきだという答弁もあったのですけれども、裁判所というところは、まだそういう国民世論の大きな高まりとは距離が大変あるというふうに感じるのですが、いかがですか。
  214. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 一般論といたしましては、私も先ほど申し上げましたような感想を持っております。  そこで、裁判所職員に対しましても、一般的にそのような教育を行っていくということは必要であろうかと存じますが、繰り返して申し上げて恐縮でございますが、審査会そのものは独立しておりますので、職員がそういう意識を持つということは必要かもしれませんが、それを審査会の方に影響力を行使するというのはなかなかできないというふうに私は考えております。  審査員の方々、確かに任期は六カ月で短うございます。それから、専門家でないという御指摘もございました。まさにそうでございまして、どなたでも選挙権を持っておられる方の中からくじで選ばれるわけでございます。その趣旨は、専門家の判断ではない、本当に国民の健全な良識でこれをごらんになってどうなんでしょうか、この結論を出していただくシステムだというふうに私どもは考えている次第でございます。
  215. 保坂展人

    保坂分科員 大変、裁判所の方は世論からはほど遠いという印象があるわけですね。  つまり、一般論という前提でも言えることはたくさんあるはずです、こういった場でも。そしてまた、先ほどの請求権者ではないというのは、これは審査会法でそう決められているわけですけれども、では請求権者というのはだれなのかと考えてみると、亡くなったお子さんでしょう。亡くなったお子さんが請求権者だ。あなたはそもそもそういう申し立てはできないんだよという文面を、一年もたって、しかも、直接送られるのではなくて、弁護人のもとにこれが届く、あるいはとりに行く、こういうことは大変問題だというふうに思います。  そういった体質を指摘して、もう一つのテーマをあわせて聞きますけれども、参議院の法務委員会で、中村敦夫議員が、いわゆる政府機関に裁判官が大量にいわば出向しているといった問題、そして、訟務検事ということで法務省の屋台骨を支えているという問題について、これはいかがなものかということで質問をしたと思います。  その際に、最初の回答は五十七人、これは法務省出向判事ですね。そして、その後に百一人。二回にわたって、これは新聞を持ってきていますけれども、そういうふうに出ていますけれども、これはどうして倍増したのですか。
  216. 金築誠志

    金築最高裁判所長官代理者 お尋ねの五十七人という数字でございますが、当初中村議員からのお尋ねによりまして、平成九年度に三十人、平成十年度二十七人、合計五十七人法務省に裁判官から出向した者がいる、そういう数をお答えして、その後、さらに中村議員から、平成十年十月一日現在での法務省出向者の在籍者の数を尋ねられましたために、百一人という数をお答えしたものでございます。いわば、当初の数はフローの数でございまして、百一人というのはストックの数でございます。それぞれ性質が違う数ということでございます。  最初、各年度ごとのフローの数をお答えしたというのは、法務省に裁判官出身者で在籍しております中にも、相当法務省歴が長くなりまして、通常言う出向という概念でくくるのが果たして適当なのかどうかという方もおられますので、正確な数を答えるときには、年度ごとのフローの発令の数で、裁判官から検事へ発令された人はこういう数ですと言う方が正確になるものですから、従来からそういう数でお答えしている、こういう次第でございます。
  217. 保坂展人

    保坂分科員 これは大変な問題で、裁判官が足りない、忙しい裁判官ということで、今回もその裁判官の定員をふやすということで、これについては各党とも、もっともな要求じゃないかということで賛成してきていると思うのです。  これは最高裁自身のコメントで、この数の違いについて、今言われたように、余り法務省歴が長いのだったらカウントできないのじゃないかというようなことを言われていますね。しかし、現実には、例えば法務省に二十数年いて裁判所へ戻ってくる人もいるわけですよ。しかも、行政訴訟の中で、公害問題とか騒音訴訟であるとか、国や行政を相手に裁判をやる場合に、まさにその国側の当事者として訴訟に当たる、その方がまた、同じ方が例えば裁判所に戻ってきて、これは公平な審理ができるのか。こういうことが近代国家として成立していること自体がおかしいじゃないか。これは、法務大臣もおかしいと言っていますが、これは改善する、裁判官が足りないんだから、どんどん引き揚げたらどうですか。
  218. 金築誠志

    金築最高裁判所長官代理者 最初に、長い経歴の人がどうこうというお話ございました。確かにそういう方がいらっしゃるのですが、そういう方であっても、仕事のいろいろな都合等で法務省歴が長くなった方でありましても、もともと裁判官を志望して任官された方でありまして、いずれはまた裁判官として仕事をしたいという希望を持っておられる方がおられるわけでございます。そういう法務省での立法とかその他の多様な経験のある方が裁判官としてまた活躍していただくということは、結構なことではないかと思っているわけでございます。  この法務省の人事交流一般でございますけれども、これは、今具体的に長い人の話をいたしましたけれども、やはり裁判実務の経験がある、法律に精通している人間を派遣してもらいたいという要望が強いという事情がございます。他方で、裁判官にとっても、裁判以外のいろいろな仕事の経験をするということは、視野を広げる、識見を高める、そういう裁判官の育成の点でも利点があるわけでございます。  法律家、法曹というのは、裁判官、検察官、弁護士いずれの立場で仕事をいたしましても、その立場に応じてその職責を全うするというのが一つの特色であろうと思います。現在、一元的な法曹養成制度をとっておるわけでございますけれども、これもそういう考えを前提にしているというふうに思います。現に、裁判所法上も、判事の任命資格につきましては、判事補のほかに検察官、弁護士等の職を通算して十年以上あればいいというふうに規定しているところでございます。  そういうことでございますので、仮に法務省で仕事をしていた場合でも、特に裁判の公正を害する、そういうことはないものと考えております。
  219. 保坂展人

    保坂分科員 では、端的に伺いますが、これからも法務省出向をどんどんふやすのですね。ふやすのか、もう一回振り返って変えるのか、簡潔に答えてください。
  220. 金築誠志

    金築最高裁判所長官代理者 これは、今申し上げましたように、どれぐらいそういう御要望があるかということにもよると思います。今ふやすとか減らすとかいうふうに申し上げることはできないと思います。
  221. 保坂展人

    保坂分科員 何か最高裁も、司法省がもう一回できた方がいいのかなという感じがしてくるのですけれども、こういう答弁を聞いていると。  もう一回さっきの問題に戻りますけれども、検察審査会の事務局の方、この方たちは、どのぐらい勤めて、どういう身分になって推移するのでしょうか。つまり、検察審査会というのは独立した機関だという答弁でしたね。そうすると、裁判所職員としておられた方がそこに入る、そしてまた裁判所職員になるということが通常の姿じゃないですか。その辺はいかがでしょうか。
  222. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 検察審査会というのは、どこの組織にも属さない独立したものでございます。検察審査一つずつが独立しております。  ただ、そうはいいましても、手足が何もなければ活動できませんので、どこへ置こうかということで、検察庁に置くわけにもちょっといかないだろうということで裁判所に置きまして、そしてそこの事務官は、裁判所事務官の中から最高裁判所が命ずる、こうなっておりますので、検察審査会に出向ではなくて、裁判所事務官の身分を持っているわけでございます。  そして、そのほかには、あとは予算も必要でございます。これも、一体どこが予算を要求したらいいのかということで、これは裁判所経費の一部として国の予算に計上することに法律上なっているわけでございます。
  223. 保坂展人

    保坂分科員 ようやく、ちょっときっかけが出てきましたよね。  今おっしゃったように、検察審査会の事務官は裁判所のそのままの身分ですね。としたら、独立した検察審査会に派遣をするときに、どういう心得を裁判所としては伝達するのか、これは答えられるんじゃないですか。それから、平均において大体何年ぐらい勤めて、その後どうなるのかも答えてください。
  224. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 心得等につきましては、検察審査会のパンフレットその他がございますし、裁判所に勤めている者にとりましては、検察審査会というのはどういうものであるかというのはふだんから十分わかっているところでございます。  それから、審査会にどの程度勤めて、どうなっていくのかということにつきましては、突然のお尋ねでございますので手元に資料がございませんが、短くて検察審査会の発令がなくなる方もおられますし、長いこと検察審査会におられる方もおられますので、一概には言えないかと存じます。
  225. 保坂展人

    保坂分科員 刑事局長、実は今、この質疑を片山隼君の御両親に見守っていただいているんですよ。甚だ心もとないというか、血の通わない答弁がずっと続いているんですけれども、検察審査会の職務に当たるに当たって、これから、例えばこれだけ、被害者の方の気持ちを思いはかれということで、それは検察も法務大臣もやはりいろいろ考えなきゃと言っているわけです。そういう意味では、裁判所職員を検察審査会に派遣するに当たって、なお一層自覚を高める、そこについて配意をする必要はあるんじゃないですか。そこについて踏み込んで答えてくださいよ。
  226. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 お尋ねがございませんでしたので、実は申し上げるチャンスを失しておったわけでございますが、委員仰せのように、検察庁の不起訴処分に不服があって検察審査会に審査を申し立てたような場合には、申立人としては、いろいろ言い分がございますし、また資料も提出したいと希望されるのは自然なことであろうかと思われます。  そこで、検察審査会の運営に責任を持っております私どもといたしましては、検察審査会事務局長協議会を毎年開いておりまして、そういった場で常々、少なくとも申立人からそういった希望があった場合には、検察審査会長によくお話をして、申立人から話を聞く機会を設けることが望ましいというように指導をいたしてきたところでございます。  ただ、今回の件につきましては、先ほど申し上げたような次第でお呼びしなかったということのようでございます。
  227. 保坂展人

    保坂分科員 今回、検察審査会が職権で開始したことについては、私は大変評価をしているわけです。ですから、内容そのものについて聞いているわけじゃないんですよ、さっきから。裁判所職員として審査会の中に、つまり事務的な切り回しですよ、みんな法律の素人ですから。知らないわけですよ、三十条とかそういうことも。つまり、そういう意味では、審査会が公正で、国民の代表として公平な判断ができるように舞台回しの役割をするわけでしょう、裁判所職員が。その職員が、心得として、今後、こういったこともあって、はっきり言ってまだまだ配慮が足りないと思うんですが、被害者の方にきちっと配慮をして仕事をするということを、裁判所の側でも十分あらゆる場面で考えていいはずです。その点について答弁いただきたいと思います。
  228. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 今後とも、御指摘のように、審査会事務局長協議会等におきましては、そういったことも念頭に置いて仕事に当たるように教育してまいりたいと考えております。
  229. 保坂展人

    保坂分科員 今の答弁で、審査会の事務局長というのは、具体的に、選挙人名簿から選定された方にいろいろ審査の仕方や材料を提示していく方たちの会議において、そういうことをきちっと指示していくというふうに理解していいですか。
  230. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 審査会の事務局職員事務局長の命に従うわけでございますので、当然、そういった協議会の結果等は持ち帰って内部で伝達されるものと考えております。  ただ、何度も繰り返して恐縮でございますけれども、そういった考え審査会の中に浸透させていくということ、必要だろうとは思いますけれども、越権行為という問題もこれあり、なかなか難しいところがございます。
  231. 保坂展人

    保坂分科員 時間が来ましたので、では審査会事務局長に何か答弁していただくような仕組みがあるのかどうか、これは調べなきゃいけないんですけれども。ただ、やはり裁判所としても、これだけ世論が沸き立って大変国民各層の関心が深い問題について、十分配慮をして今後事に当たっていただきたい、そういうことを強くきょうは要請をいたしまして、私の質疑を終わります。
  232. 小澤潔

    小澤主査 これにて保坂展人君質疑は終了いたしました。  以上をもちまして裁判所所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、明十八日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会