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1999-02-25 第145回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月二十五日(木曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 伊藤 公介君 理事 臼井日出男君    理事 北村 直人君 理事 久間 章生君    理事 自見庄三郎君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君    理事 中井  洽君       飯島 忠義君    植竹 繁雄君       江口 一雄君    小澤  潔君       大原 一三君    奥谷  通君       加藤 卓二君    亀井 善之君       岸田 文雄君    倉成 正和君       斉藤斗志二君    阪上 善秀君       津島 雄二君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    原田 義昭君       村田 吉隆君    村山 達雄君       森山 眞弓君    谷津 義男君       横内 正明君    家西  悟君       岩國 哲人君    上田 清司君       上原 康助君    生方 幸夫君       岡田 克也君    小林  守君       仙谷 由人君    肥田美代子君       横路 孝弘君    吉田  治君       大野由利子君    斉藤 鉄夫君       西川 知雄君    丸谷 佳織君       加藤 六月君    鈴木 淑夫君       西村 眞悟君    木島日出夫君       春名 直章君    平賀 高成君       北沢 清功君    濱田 健一君       保坂 展人君  委員外出席者         参  考  人         (前日本銀行総         裁)      松下 康雄君         参  考  人         (前日本債券信         用銀行頭取)  東郷 重興君         参  考  人         (前大蔵省銀行         局長)     山口 公生君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 委員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     飯島 忠義君   亀井 善之君     奥谷  通君   河村 建夫君     阪上 善秀君   牧野 隆守君     原田 義昭君   生方 幸夫君     上田 清司君   岡田 克也君     家西  悟君   吉田  治君     仙谷 由人君   草川 昭三君     丸谷 佳織君   志位 和夫君     平賀 高成君   不破 哲三君     春名 直章君   北沢 清功君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     越智 通雄君   奥谷  通君     倉成 正和君   阪上 善秀君     河村 建夫君   原田 義昭君     牧野 隆守君   家西  悟君     岡田 克也君   上田 清司君     生方 幸夫君   仙谷 由人君     吉田  治君   丸谷 佳織君     草川 昭三君   春名 直章君     不破 哲三君   平賀 高成君     志位 和夫君   保坂 展人君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   倉成 正和君     亀井 善之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  予算実施状況に関する件(日本債券信用銀行問題)      ————◇—————
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  予算実施状況に関する件について調査を進めます。  本日は、本件調査のため、日本債券信用銀行問題について参考人に対して質疑を行います。  ただいま御出席をいただいております参考人は、前日本銀行総裁松下康雄君、前日本債券信用銀行頭取東郷重興君及び前大蔵省銀行局長山口公生君であります。  各参考人には、日本債券信用銀行問題について、それぞれのお立場から御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、委員質疑時間は限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔明瞭にお願いを申し上げます。  念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、衆議院規則の規定により、参考人委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。  これより、各参考人に対する質疑に入ります。  この際、質疑者に申し上げます。  議事整理のため、質疑をする参考人の氏名をその都度お告げいただきたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島雄二君。
  3. 津島雄二

    津島委員 参考人皆さん、御苦労さまです。  私から今さら申し上げるまでもなく、日債銀問題については、多額の公的資金が既に投入をされておりますし、今後ともその可能性があるということを念頭に置きまして、率直に事案の解明に御協力をいただきたいと思います。いいことはいい、間違ったことは間違ったと簡明にお答えをいただきたい。最初お願いを申し上げておきます。  さて、日債銀がいわゆる公的管理に入りますまでの過程をひもといてみまして、どうしても釈然としないところがあると一般に言われておりますね。それは二つ節目にかかわっておりますね。九七年、平成九年四月から七月までの間の増資の経緯であります。  これは、九七年の一月にムーディーズが格下げをいたしまして、その後また三月に再格下げを受けたということで、市中から資金がとれなくなっちゃった。それで、平成九年、九七年の四月に経営再建策を発表いたしまして、その際に、いわゆる三分類の、回収懸念のある債権は四千七百億だと言ったわけであります。  同時に、これも七月に増資が認められる。幾つかの金融機関、たくさんの金融機関奉加帳を回したやり方であるという批判も受けておるわけでありますが、大蔵省との間に五月、日本債券銀行債務超過ではないという認識を確認されておる。その際、再び、いわゆる三分類の、懸念のある債権は約七千億と日本銀行説明をしておられるわけであります。  まず、東郷参考人にお伺いいたしますが、このときの七千億の根拠、それからこの七千億というものを大蔵省に対し、あるいは日本銀行に対してどういう形で説明を提示されたか、簡明にお答えいただきたい。
  4. 東郷重興

    東郷参考人 それでは、お答えをいたします。  平成九年四月の経営再建策策定の当初の過程で、第三分類が四千七百億という数字最初に出てまいりましたが、五月中旬に、私ども増資先増資お願いに参っておるときに、増資先から、当時既に大蔵検査が入っておりましたので、検査結果、中途でもいいから教えろ、こういう御要請がありまして、一通りの資産査定を終えたような段階で私ども検査の方々からお聞かせいただいた数字を足し上げたものが七千億でございます。  当初、最初に私ども経営再建策を発表する前に自己査定をした数字が四千六、七百億と言われていたと思いますが、それとの差は、系列ノンバンクに対して、貸出有価証券といいますか、貸し出し以外の債権もございました。それから、それ以外の一般的な、貸し出し以外のデリバティブズとかオフバランスのものもございました。それから、三月末、我々急いで自己査定したものと実際に大蔵省検査が入って精査していただいた間に多少の、厳密に積み上げるとここまでというところもあったかと思います。  したがいまして、当初の四千七百億とかいうふうに新聞等で出ておりました差、七千億との差につきましては、デリバティブズ等、あるいは貸出有価証券等オフバランスのもの、あるいは債務者の業況、担保の評価についてより詳しく見たその結果でございます。
  5. 津島雄二

    津島委員 よく調べたら懸念のある債権はもっとあった、俗に言えばそういうことでしょう。  そこで、次に、同じ平成九年、九七年の九月の十一日に、検査をしてきた大蔵省はその検査の結果として、いや、懸念のある債権は一兆一千二百十二億だ、こう示達をしているんですね、きちっと。あなたの方はこれだけ懸念のある債権があるよ、こういう示達をしている。ところが、九月十九日に日債銀は、日銀に対して、この検査の後であるにもかかわらず、まあ懸念のある第三分類は七千億ぐらいでしょうという報告をしておるということになっておる。これはどういう事情ですか。
  6. 東郷重興

    東郷参考人 お答え申し上げます。  平成九年九月十九日のことでございますが、私もそのときのことを日誌等で振り返ってみたんですが、事実、当日の午後四時過ぎに、私が当時の日本銀行信用機構局長を訪ねております。約十五分ほどの面談でございました。  私は、頭取就任の二カ月前まで資金調達担当常務取締役をしておりまして、信用機構局のラインには数カ月一度の割で、資金繰りを中心に事情説明に行っておりました。当日も、そういった定例報告のために四時過ぎに局長を訪問いたしました。ちょうど九月末の決算見通しがまとまっておりましたので、その話もあわせて報告したと思います。  その際、償却引き当て等処理が必要となる、将来の回収懸念のある債権約七千億円と、回収不能で直ちに引き当てを要する債権金額として約百億円の数字を申し上げたように記憶しております。  私としては、当日は、検査報告に行ったというよりは、通常の定例報告の感じで参りましたので、検査資料を持ち合わせておりませんでした。ですから、余り詳しくは申すことはできなかったと思いますが、私の記憶するところでは、そういうことでございます。
  7. 津島雄二

    津島委員 そこで、この辺のところはもう少し究明したい点もあるのでありますが、次の節目の話に参ります。  それは、翌年の平成十年、九八年三月、これはいわゆる金融再生法というものが成立をいたしまして、それで金融危機管理審査委員会、いわゆる佐々波委員会ができて、それで日本主要銀行資本注入をしようという作業が始まったことは、皆さん御存じのとおりであります。  その際にも、いわゆる懸念のある債権は六千億程度である、これは平成十年三月、その年の三月の見込みとしてこれを日本債券信用銀行自己査定をして、これを報告しておられる。この点がやはり非常に問題になる。  さっきの九月のお話は、多少日にちのずれがあったというような話で説明されるのかもしれませんけれども、もう翌年になりまして、しかも資本注入をやる、公的資金もいただく、そういうときに改めて六千億だとおっしゃっておる。一体その根拠は何なのか。一兆一千二百十二億というものとの乖離についてはどういうふうに考えられたか。そして、その際の大蔵日銀対応について、東郷さんからお伺いをしたいと思います。
  8. 東郷重興

    東郷参考人 平成十年三月の佐々波委員会への、公的資金注入の際でございますが、公的資金注入申請の際に、私ども正式申請書類として経営健全性確保のための計画を提出しましたが、そのほかに、三月末現在の自己査定を試算して提出するように求められました。  平成十年の四月からいわゆる早期是正措置がスタートすることになっておりまして、その三月末の決算から新しく自己査定というものをやらなきゃならなかったわけですが、佐々波委員会は、それに先駆けてといいますか、三月の上旬に提出を求められた自己査定について、三月末の見通しということで自己査定を急遽やってほしいということでございました。私ども銀行の中で新しく策定された自己査定基準に基づきまして作業をいたしました。その結果、約六千億という第三分類を御報告したかと思います。  そのときの考え方は、津島委員の御指摘の点は、その前の年の大蔵検査のときに第三分類が一兆一千億あったではないかという御指摘だと思うのですが、実は、私ども支援をしております子会社グループというところがございまして、そこの支援姿勢が明瞭であり、かつ合理的な事業計画があるならば倒産懸念はないという御認識を九月の検査のときにいただいたものですから、私ども自己査定に当たりましては、債務者区分として要注意先というか、第三分類に当たるものというものが破綻懸念先であるとするならば、要注意先の方に該当するというふうに認識をし、第二分類といたしました。  自己査定やり方は、要するに最初債務者区分がございまして、その債務者区分にのっとって担保等を試算しまして必要な額が分類されるという考え方でございますので、私ども子会社グループについては、私ども支援が、支援姿勢が明確であるならば倒産懸念がないということで前回の検査でも認識していただいたというふうに思いますので、それを要注意先とし第二分類とし、その上で、したがいまして第三分類は約六千億。その間に、私ども引き当て回収その他第四分類に移っていったものもございますので、当初、九月ぐらいの段階で我々七千億と申し上げた数字が、約六千億になったわけでございます。
  9. 津島雄二

    津島委員 一兆一千億と六千億とか七千億との数字大蔵検査で示された数字と、皆さん方自己査定して、私はこう思うという差額が四、五千億ある。その四、五千億について、新聞報道などでちゃんと言っているんですね。その違いというのは、日債銀から、いわゆる受け皿会社、三十一社ほどあって、その三十一社に対する貸し付けが四千五百億に上っている。当たらずといえども遠からずの数字であり、実態はこれだと思うんですね。  この考え方は、要するに、受け皿会社はうちの子分であって、そこには支援するんだから大丈夫だということだ。ところが、今、常識的に見ると、大半は回収困難だ、今から改めて見ると、そう言われてもしようがない状態になっておったんですね。ここに私は、やはり銀行としての姿勢が問われるわけで、時間がないからこれ、この点は一応、次に参りましょう。(発言する者あり)皆さん方がどうせ聞かれると思います……
  10. 中山正暉

    中山委員長 御静粛に願います。
  11. 津島雄二

    津島委員 そこで、今度は山口参考人にお伺いをします。  そこで、今の二つ節目関係をいたしまして、九七年の四月から七月の増資完了まで、いわゆる奉加帳を回して皆さんから増資をしてもらった。それを検討する過程で、日債銀は、自分たちは七千億ぐらい回収懸念のある債権がありますよと言い続けておった。  その上に立ってかどうかわかりませんけれども大蔵省債務超過ではないという意見を何度も言っておられるようであります。そればかりじゃなくて、同じ年、九七年の四月には、日債銀経営について、いや大丈夫でございますという確認する趣旨の文書を出資要請先金融機関幾つかに出した、こうされておる。この点について山口参考人お話をちょっと伺いたいと思います。
  12. 山口公生

    山口参考人 お答え申し上げます。  いろいろな数字がございますけれども、結果的に、債務超過ではないという認定のもとに再建策もつくられておるわけでございます。  それはまず、四月に経営再建策をつくる前に公認会計士が全部引き当て償却すべきものをチェックした上で、それでも資本金が約一千億残るということで、それを基準数字がつくられ、再建策がつくられたわけでございます。その後、確かに七千、五千五百から七千とかいう数字の変遷はございますけれども、それも公認会計士が一応目を通しておった債権のものでございます。  あくまで分類と、償却引き当てというのは別の概念でございまして、償却引き当て公認会計士がやるというルールになっておりました。公認会計士の目で見ても債務超過ではないということで、そういう前提でやっておったわけでございます。  それから、確認書というようなことをおっしゃいましたが、これはちょうど五月の時点日債銀がいろいろ説明に回ったときに、大蔵省にもいろいろ問い合わせがありました。大蔵省は一体どういうふうに考えているんだということをいろいろ聞かれ、担当官がその応接をしております。それを内部で、いろいろ会社の中でも説明しなきゃいけないという事情があって、メモにしてほしいという要請がありました。各レベルで、全部の出資行でありませんが、物によっては確認書あるいは応接録というような形でメモが取り交わされておるということでございました。  内容的には、日債銀再建は可能であると大蔵省は考えているということ、それから、本件金融システムに大変重大なかかわりがあるというようなことが内容でございます。
  13. 津島雄二

    津島委員 そこで、次の大蔵省、あなたの方で検査をして、四月から検査を始めて、そしてその年、平成九年の九月十一日に、さっき言ったように、懸念のある債権は七千億円ではなくて一兆一千二百十二億だと示達をしておる。  山口参考人、この数字局長として知った時点はいつか。それから、その一兆一千二百十二億を示達したときに、七千億という注書きもあった、これはどういう意味であるのか。これについて御説明を願いたい。
  14. 山口公生

    山口参考人 一兆一千億という数字を、示達附属資料であります検査報告書に書いてございます。これを知りましたのは、ちょうど示達の決裁をするときでございますので、九月の上旬だと私は記憶しております。  それから、注書きがあるという御指摘でございます。これは確かにあります。私、ちょっと正確ではございませんが、うろ覚えになりますが、一兆一千二百幾らという数字と、それから六千幾ら、七千弱だったと思いますが、数字括弧書きで書いてあったと思います。その差は、関連会社であって、日債銀支援を続ける意思があって、その意思に反して倒産する危険のないものとか懸念のないものとか、そういった文章になっておりました。そういうことが書いてございます。
  15. 津島雄二

    津島委員 ですから、さっきお話ししたように、要するに、私が助けるつもりだから大丈夫だ、日債銀意見をそのままうのみにすればそういうことだ、こういうことを言ったんだと受けとめております。  そこで、さっき言いましたように、当時の制度では、こういう懸念のある債権についてどのぐらい引き当てをしておけば金融機関として通用するかの判断は、実は、昨年、私どもは与野党で大変な議論をして再生法をつくってから、行政の責任においてもある程度のきちっとした対応をしなきゃならぬということはわかってきたけれども、当時は公認会計士の世界の話であった。それはそのとおりなんですね。だから、そういう意味では私は、公認会計士さんにも意見を聞かなきゃならない。天下の公認会計士企業会計を守る立場の人がちゃんとやったかどうかという問題はございます。  それを置きながら、それでは、九八年二月の安定法が成立した三月の、さっき申し上げた佐々波委員会のときの資本注入審査について、東郷さんにさっき伺いましたが、山口参考人には、債務超過でないということを言われて、それを基礎として委員会審議をされた。前のときは、一兆一千億という数字はなかった、検査結果はなかったときに、前の年は債務超過ではない、公認会計士もこう言っておる、こういうあれなんだが、このときは一体どういう判断債務超過でないと言われたか。それから、当時の大臣にはどういう報告をされたか。そして、それを受けて佐々波委員会ではどういう審議をしたか。山口参考人の知っている立場からお話をいただきたい。
  16. 山口公生

    山口参考人 十年の三月時点債務超過でないという認識を持っておりました理由を申し上げますと、示達があったのは前年の九月でございます。その九月の示達の結果を踏まえた上で、中間期、つまり九月期決算が組まれております。これは公認会計士が全部チェックして、中間決算が組まれております。たしか、私の理解では、資本勘定が四千億ぐらいになっていたと思います。したがって、九月の中間期において、公認会計士判こを押されておりますが、これは債務超過にはもちろんなっておりません。  その後、じゃ三月まで、あるいはその時点までに大きな変化があり得ただろうかというところがもう一つのポイントだと思いますが、そういった四千億強の自己資本を全部毀損するような大きな事象はなかったというように考えざるを得ません。したがって、当時、債務超過という認識はしておらないわけでございます。  それから、大臣への報告は、そういったことの事実関係と、なお、先ほど六千云々の話がありましたが、資産査定のところを見ると、どうも二と三が、三のはずと思っているものが二になっているというようなことで、それは甘いと。甘いといいますのは、間違っていると決めつければもう一回検査で入る必要もありますが、少なくとも甘いと。それは、ただ、資産査定そのものをその場で、審査委員会議論する場ではありません。これは入れるにふさわしいかどうかを議論する場でありますので、しかし、そこの場で出てきた関連会社についての考え方、つまり、支援を本当に続けられるのかどうか、あるいは続けるのかどうかをきちっと聞いてくださいということを大臣に申し上げたわけであります。  その後、大臣もそういう御発言をなさって、東郷頭取をお呼びになっていろいろ聞いて、いろいろな御議論があった末、結果的には資本注入が認められたというふうに聞いております。
  17. 津島雄二

    津島委員 そこで、いわゆる佐々波委員会正式委員であった松下参考人にお伺いをしなきゃならないわけでありますが、改めて伺いますが、前の年の九月に、大蔵省検査の結果、一兆一千二百十二億円懸念債権がある、こう言われておるが、日本銀行は、この佐々波委員会までは全く聞いていなかった、こう言っておられるのですが、それは、日債銀の方からそういう七千億ぐらいでございますという説明があって、それをもう疑いもなく受け入れていたのかどうか。そして、佐々波委員会にお出になるときに、当時の総裁として、どのような報告を受け、どのような認識でお出になったか、そしてどういう議論をされたか。参考人のお立場の方からお話伺いたいと思います。
  18. 松下康雄

    松下参考人 日債銀不良債権金額につきましては、ただいま委員指摘がございました大蔵省検査結果に基づきます計数につきまして、私どもは当時も、また、昨年の年末近くだそうでございますけれども、その時点まで連絡を受けることもなく、また内容について承知をしていなかったのでございます。  しからば、どういう判断によって、新金融安定化基金からの出資あるいは佐々波委員会での出資決定に参画をしたかということでございますけれども、それは、古い話になりますが、平成七年二月に私ども実地考査を実施いたしまして、その後はこれの追跡調査ということで、その後の日債銀不良債権その他の経営内容の変動につきまして後追いをいたしていたわけでございます。  一昨年四月一日の日債銀抜本的再建策を講じられるに当たって、私ども金融安定化基金からの出資決定をいたしたわけでございますけれども、その前にもう一度日債銀の方からは、当時の私どもの持っておりました個別の資料に基づきまして、最近の経営状況についていろいろと具体的な内容を聞き、そして、その決定をいたしました後も、実際に出資を実行いたしましたのはその夏のことでございますけれども、それまでの間、日債銀経営内容についてはいろいろの手段で追跡調査を続けていたわけでございます。  また、大蔵省との間では意見、情報の交換を行っておりましたけれども、それは主として日債銀の全体としての債務超過状況があるかないかという点が主眼でございまして、この点につきましては、債務超過状況にないという判断を引き続いて持っていたわけでございます。  佐々波委員会が始まりましたときには、そういう背景のもとで、私どもは、日債銀は七年四月のあの抜本的な再建対策、非常に厳しいリストラの計画というものを本当に一生懸命に熱心に実行しようとして努力をしているという判断を持っておりました。経営内容につきましては、先ほどのような基礎的な、これは債務超過に陥っている銀行でないという判断をいたしておりまして、実際、具体的には、佐々波委員会に対して提出されました資料日債銀が作成をいたしました経営資料でございますけれども、これを事務的なチェックをいたしまして、それらを総合して、この件につきましては私ども全体として日債銀の要望に応じる方向で考えていくべきものだという判断委員会に臨んだわけでございます。
  19. 津島雄二

    津島委員 日本銀行は、平成七年二月以来考査はしていない、こう言っておられる。  しかし、日本銀行は、マネーセンターバンクと言われる大きい都市銀行とは毎日巨額の取引をしている、取引相手だ。その相手方がどういう状態にあるかというのは、中央銀行としてばかりではなくて、金融市場におけるプレーヤーとして重大な関心を持たなきゃいけない。  あなたも御存じのとおり、アメリカのFRBは、どれだけ厳しく主要銀行に実地調査を入れておるか。常駐させているくらいである。そういう状態のときに、今のお話のように、日債銀経営については不安に思わなかった、そして八百億の資本注入の片棒を担ぎ、そして、佐々波委員会ではああいう状態である。  今から考えてみますと、それは参考人、利付金融債が、ムーディーズにやられてから日債銀では八%も金利を払わなきゃとれないまでになっちゃっているんだ。お金を八%でとってきて、貸出先には五%で貸していくのも大変な状態であった。一体これで不安がないと言えたかどうか。私は今から考えると、全くこれは納得が私はいかない。  何かその点について御意見があったら。
  20. 松下康雄

    松下参考人 私としましては、日債銀経営自体に不安がないというふうに判断したということではございませんで、今御指摘もございましたように、平成七年四月の日債銀の抜本再建策を講じますまでの間に既に、前年の阪和銀行破綻をきっかけといたしまして、非常に我が国の金融市場、資本市場における不安感が高まっていたのは事実でございます。  殊に、日債銀につきましては、格下げを行われるというようなこともございましたし、また当時日債銀の発行する金融債を保持しておられる方々が、もし何か問題が生じた場合に果たして保護を受けられるものかどうかという点についても、コンセンサスができていなかったという実情でございます。  このような情勢でございますので、私どもといたしましては、日債銀を仮にそのまま放置をいたしまして、これがそういう金融債あるいは金融インターバンクの市場での信認を失うようなことが万が一発生をするといたしますというと、それは非常に深刻な問題を内外の金融市場に投げかけることになる、我が国の信用制度自体が揺らぐことのきっかけになりかねないという認識は持っていたわけでございます。  そこで、私どもは、日債銀につきましては、ただ、現状のような公的資金注入の方策でありますとか、強制公的管理というような制度も当時はまだございませんでした。私どもが活用できる方策といたしましては、その前年に成立をいたしました新金融安定化基金を活用いたしまして、日債銀自身の真剣なリストラの努力とあわせて、不良債権の大幅な整理をやり、その結果生じる自己資本の毀損について、これを充実をしていくことによって日債銀銀行としてやっていけるようにすべきである、それを行うことが当時の日本の信用制度の維持のために極めて緊要なことだという認識は持っていたのでございます。
  21. 津島雄二

    津島委員 そういう認識日銀においても大蔵省においても基礎にあってのいろいろな措置をとったというお話であろうと思うのですが、翻って考えますと、昨年の十月に、私ども与野党同僚議員と大変真剣な議論をしまして金融再生法を成立させた。その再生法によりまして、新しい、厳しい基準日債銀不良債権額を調べてみたところ、実に、これまで言われていたものより一兆二千億も多い二兆七千二十億も第三分類があるということになったと言われる。そのままでいくと、ことしの三月には、二分類、三分類、四分類、全部合わせて不良債権が三兆七千四百六十四億に及ぶと言われております。これは日債銀の総与信、つまり貸し出し全体の三七%、四割も腐っておったというのですね。  こういう状態の中で、どうしてもこれは東郷さんにお聞きをしなきゃいかぬのだが、いわゆる公的管理に入ったときに、当行としては特別公的管理に該当しないと認識しており、甚だ遺憾だと、いわゆる恨み節を述べられた、こういうことになっています。この点にちょっと一言お願いをしたい。
  22. 東郷重興

    東郷参考人 あのときは、十二月の中旬であったかと思いますが、私ども、確かに、その年の夏場の金融監督庁検査ですね、そのときは、金融監督庁検査において、やはり不良債権の問題でいろいろ議論があったという認識はしておりました。  ただ、さはさりながら、私どもとしては十二分に対応できるということを思っておりましたし、実際に今、津島委員の言われた、たしか第三分類数字は、私の記憶違いかもしれませんが、一兆三千億円ほどの第三分類が金融監督庁が十一月十六日の示達のときに言ってきた数字ではなかったかと私は覚えておりますが、その数字も、私自身は十一月の十六日の示達のときに初めて知ったということでございますし、その中には、先般の御説明の中でも出てまいりました私ども子会社グループに絡まる四千数百億の債権も、もちろん入っていたわけでございます。  もちろん、金融監督庁が発足しまして、新しい金融行政の流れが出てきたということでございますので、それはそれとして私どもとしては受け入れざるを得ないところでございますが、私、そのときは、経営再建策自体は非常に順調に来ておりましたし、資金調達も非常に順調でございましただけに、ややびっくりしたというところがありまして、それがそのまま素直に言葉に出てしまったということでございます。  法治国家でございますから、当然、そういう行政措置がおりればそれを受け入れるのが金融機関の務めでございますから、私どもは特別公的管理という枠組みの中で日債銀再建されることを希望して、我々旧経営陣は総退陣し、その旨を記者会見の中で述べたところでございます。
  23. 津島雄二

    津島委員 聞きたいことは山ほどありますが、同僚議員に時間の関係で譲らなきゃなりませんけれども日債銀の問題というのは、実は、東郷さん、あなたが頭取になられてからじゃないんですね。三代以前までの頭取時代に、例えば、新聞報道を見ましても、幻のゴルフ場へ百二十四億もやった、そしてそれがほとんど焦げついているとか、あるいは、ほかにもありますけれども、ダミー会社を七十六社もつくっておいて、そこに一兆三千億も移しておいた、こういうことがまかり通っていた。つまり、あのバブル時代の日本金融機関姿勢というのは、ちょっと今から考えると常識を外れておった。そして、経営陣の中には、失敗したからお金をどぶに捨てるつもりだと言わんばかりのことをおっしゃる方もありました。  そういうことで、ひとつ、皆さん方の経験を他山の石として、これからも日本金融機関がきちっとやっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  24. 中山正暉

    中山委員長 これにて津島君の質疑は終了いたしました。  次に、中井洽君。
  25. 中井洽

    ○中井委員 自由党の中井です。  参考人皆さんには御苦労さまです。与えられました時間は二十分でございますので、重複を避けながら簡単に聞いてまいりますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  日債銀救済をしなければならなかった背景等は、ただいま津島議員の質疑の中で明らかにされたと考えています。ただ、ああいう状況でありました銀行を、私は、市場に任せて、そして破綻をしたときに日銀が出ていって金融秩序の崩壊というのを防ぐ、そういうやり方はあったんじゃないか、こんなふうに考えております。そういう方策を当時大蔵省はお考えにならなかったのか、この点についてお尋ねをいたします。
  26. 山口公生

    山口参考人 お答え申し上げます。  当時の背景でございますが、もしそのまま破綻の状態に立ち至るまで放置しておったと仮にいたしますと、まず、先ほど出ました金融債の問題が重大な問題としてありました。そのほかに、もっと私が重大だと考えましたのは、受け皿銀行がないということなんです。これは十五兆規模の銀行でございます。受け皿銀行がありますと、そこに金融三法で、附則でもって資金注入して全部保護ということが可能ですが、受け皿銀行がないと、その破綻銀行にそのまま入れるというわけにはいきません。そうすると、どういうことが起きるかといいますと、一番激しく起きますのは、インターバンク取引がまず壊滅状態になると思います。銀行間の貸し借りがだめになると思います。それから、もちろん取引先も一瞬にしてその銀行を失うということになりかねません。  それから、もっと重要なのは、外国での反応なんです。つまり、日銀が出せばそれは可能かもしれませんが、その日銀が出す理由がないということになりますと、そこに日本発の金融危機、つまり、外国でクレジットラインを切られてしまうことになります。これはもう日本発、大変なことになるという、少なくとも、私はそういうふうに認識しておりました。そういうことを考えたときに、なかなかそういう手はできないというふうに考えたわけでございます。
  27. 中井洽

    ○中井委員 日銀総裁は、いかが当時お考えでしたか。日銀が出ていって、そういう処理で、市場に任せてさばくということはできなかったということについて、お考えをお聞かせいただきます。
  28. 松下康雄

    松下参考人 当時の状況につきましては、先ほどお答え申し上げたように、日債銀が仮に破綻に陥るということになりますと、それが内外の金融市場等に及ぼします影響は極めて深刻なものになったに違いないと思っております。私ども日本銀行の使命の中には、国の信用秩序の維持を図るということがございまして、我が国の金融システム、信用秩序というものが揺らぐことがないようにする義務を持っているわけでございます。  当時の状態におきましては、他に十分な手段がございませんでしたために、私どもの新金融安定化基金からの出資ということによって、自己資本を強化をしながらリストラを進めさせて、そしてこれを健全な銀行に復活させてまいるということが本当に唯一の選択肢であったという気持ちを持っております。
  29. 中井洽

    ○中井委員 そういう御認識のもとで、大手都市銀行や長信銀が、今までつぶしたことがなかった子会社を、母体行方式でもなければ修正方式でもなく、プロ方式で三つをつぶすというようなことを含めた大胆なリストラをやられて、ぎりぎりかつかつの再建策をおやりになったのだろう、このように考えております。  その中で、お尋ねしたいことが幾つかございますが、東郷頭取日銀に九月の十九日、先ほどは信用機構局長にと、こういうお話でしたが、第三分類は七千億であった、こういうことを申し上げたと言われておりますが、日銀はそのときにどうして大蔵示達書を見せろ、こうお言いにならなかったんでしょうか。
  30. 松下康雄

    松下参考人 大蔵省検査は法律に基づきます行政権の発動としての検査でございますので、また、同時に法的な制約もあると存じます。したがいまして、守秘義務等の関係からいいまして、検査内容そのものを、検査の対象銀行は別でございますけれども、他の第三者機関にそのまま提示するということはやってきていないと存じます。  ただ、そのときに、検査において大蔵省日債銀全体の経営状況についてどのように判断をしているか、どの点が問題であると考えているかという点につきましては、それは日銀も考査局等を持っておりますので、双方の情報の交換、意見の交換は行っているわけでございます。そういうものの中から、私どもといたしましては、日債銀につきまして、不良債権の問題はあるけれども、その規模はおおむね七千億円程度であって、現在債務超過というふうな判定をする段階でないと感じたわけでございます。
  31. 中井洽

    ○中井委員 私は日銀が、他の都市銀行等も含めて、大蔵示達書を見ていないとは思っていません。ここのところを見せろと言われなかったところが今回非難をされている一つの原因をつくっていらっしゃると考えております。自分たちのフォローアップで大体四千五百億、こうされておって、七千億という数字はそう違わないからまあまあというところで納得されたということはわかりますが、そこのところが、東郷さんが日銀OBなだけに、いろいろと憶測を招くのではないかと私は考えています。  逆に、大蔵省にお尋ねをいたしますが、この五月の時点で、日債銀が各銀行に大体検査の中間報告に回った、これはどうしてこんな時期に回らせたのだ、検査を待つまで待てなかったのか、これが一つ。それから、七千億という数字でどうして結構だと大蔵省が、日債銀が各行を回るのを許可したのでしょうか。お答えをいただきます。
  32. 山口公生

    山口参考人 お答え申し上げます。  五月時点で、私の知るところでは、各出資要請先銀行等から早く教えてくれと、検査状況はどうなんだということをかなり激しく聞かれたというふうに聞いております。銀行としても、それは検査が終わるまで待てればそれはそれでよかったと思いますが、そのときにお答えをどうしてもしないとこのスキームが成り立たないという気持ちが強かったようでございます。そこで、私どもが回らせたということではありません、銀行検査を受けているときにつかんでいる数字、これを積み上げまして、七千という数字で各行に説明に回られたということでございます。  それで、それに関していろいろお問い合わせが、現にいろいろ各レベルであったようでございます。そのときに、銀行がそういった認識を持って、かなり確信を持って積み上げておるのであれば、あえて否定するような材料もございませんでしたので、そういう事態、回ることは容認していたということでございます。
  33. 中井洽

    ○中井委員 五月にそういう形で、検査の途中で回ったということは、私どもが聞いておりますのは、五月の終わりから六月に各金融機関が株主総会がある、この了解を得なければ将来出資ができない、こういうことで事前に、検査途中であるが回ったと聞いておりますが、その点について、再度御確認をいたします。  同時に、七千億で回って、まあ回らせたか回ったか、それはいずれにいたしましても、各金融機関からも問い合わせがあった。それに対して、大体そうだという答え方をしたとマスコミ等では報じられておりますが、この七千億を日債銀からお聞きになって、同じ大蔵省検査部に尋ねるというのは僕らからすれば常識なんですね。銀行局はこういうときに検査部に尋ねないのか。尋ねたけれども返事がなかったのか。その点、山口局長、いかがですか。
  34. 山口公生

    山口参考人 出資銀行事情については、私はよく詳しくは存じません。恐らくそういったこともあったと思います。  それから、七千億で日債銀がいろいろ説明に回っていたということでございますが、それは、日債銀検査を受けております。非常に細かい資料まで積み上げて数字をつくったものでございますので、それをあえて否定する材料もこちらもございません。検査部に聞きましても、検査はまだ途中でございますので、これだという数字を持ち合わせてもおりませんので、そういうことはなかったと思います。
  35. 中井洽

    ○中井委員 次にお尋ねいたします。  九月の十九日に、いわゆる検査結果が示達として日債銀に知らされました。ここで、先ほど質疑にもありましたように、第三分類一兆一千二百十二億円、そして、括弧書きで六千八百億円、ただし書きには、日債銀意思に反してはつぶれないと主張している債権云々という書き方があった、こういうふうに言われております。  こういうただし書きのついた債権分類、かつて検査の中であったのかどうか、聞いたことがおありかどうか、山口さんは検査におられたかどうか僕は知りませんが、あえてお尋ねをいたします。
  36. 山口公生

    山口参考人 検査でいろいろ注書きがあるというようなことはあるようでございます。具体的に、どのケースがそうだったかということは、私は覚えておりません。
  37. 中井洽

    ○中井委員 東郷頭取にお尋ねいたします。  あなたは、五月の時点で、先ほどお話ございましたように、資金担当の常務として、各金融機関に救済のお願いに回られた。そして、第三分類は七千億だ、こういうふうに御説明をされて、八月、頭取になられた。頭取になられて、九月、第三分類一兆一千二百十二億円、こういうことを聞かされた。このとき、どんなふうに率直に思われたか、お尋ねをいたします。いや、括弧書きがあるからいいんだ、こう思われたのか、参ったなと思われたのか、正直なところをお聞かせください。
  38. 東郷重興

    東郷参考人 お答えいたします。  今御指摘のとおり、私は、頭取就任前に企業法人の営業担当常務でございまして、増資の各金融機関お願いをする立場にございました。九月、八月の十九日に頭取に就任して、その三週間後に示達を受けました。その中で一兆一千億ということを知ったわけですが、ただ、そこには、先ほどもちょっとお話にありましたけれども、直ちに引き当ての必要がないが回収懸念のある債権という、我々のこれまで金融機関に対して説明してきた定義における債権額として、ほぼ同額が認められたというふうに認識をしたわけでございます。
  39. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、この直後の九月の決算で、第三分類に対する引き当てをどういう基準でおやりになったんですか。七千億の部分、六千八百億の部分だけ引き当てをやられて、おしまいになったのか。それとも、示達に出ておる一兆一千二百十二億円についても引き当てされたのか。いかがですか。
  40. 東郷重興

    東郷参考人 そのときはまだ早期是正措置スタート前でございますので、引き当て償却については監査法人と金融機関が相談して決めるということでございまして、私ども、一兆一千億という第三分類数字をいただきましたけれども、その中には関連会社、私ども支援姿勢が変わらない限り倒産懸念がないというものを含んだものでございましたので、その部分については引き当てをしないという決算を九月末でいたしました。
  41. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、当然十年三月末も引き当てをされていない、全く大蔵示達というものを無視した、こういうふうに理解していいんですか。  私どもの聞いている範囲では、七千億、まあ六千八百億をお認めになった部分については厚目に、大蔵の主張している子会社分、九段開発以下の分四千億については少し軽目に手当てをした、こういう話を聞いていますが、違いますか。
  42. 東郷重興

    東郷参考人 第三分類という査定をどういうふうに引き当てをしていくか、こういうところでございますが、当時の基本的な引き当て考え方は、それぞれ個々の貸し出しごとに、回収不能額というか、引き当ての必要のある金額を個別に算定して積み上げて決算処理をするというのが原則でございまして、それを監査法人と相談しながらやっていくということでございました。  したがいまして、この私ども子会社グループについては、支援姿勢が明確である限り倒産懸念がないということでございますので、これは、引き当ては監査法人とも相談の上いたしておりません。
  43. 中井洽

    ○中井委員 そこのところがどうもわかりません。  大蔵省検査で一兆一千二百十二億円という数値が出た。そして、一兆一千二百十二億円でも債務超過じゃない。それなのに、自分たちの主張した括弧書きの数値にこだわり続けて、佐々波委員会にもその数値をもとに、償却したのやら返済があったものを含めて減らして、六千億で自主申告をなすった。  ここまで徹底的にこの大蔵省示達を無視したということは、何があるんだろう。大蔵省を中心として、日銀やらみんなで日債銀を助けようとしているわけですね。それなのに、こうやられる。そして、今になってみたら、それはおかしいやないか、大変な疑惑を国民からもいただいておる。何だったんですか。どうしてその数値にこだわってやったんですか。
  44. 東郷重興

    東郷参考人 第三分類資産査定をどう引き当てするかという問題でございますけれども、第三分類の定義というものをごらんになればおわかりかと思うんですけれども、第三分類というのは、回収懸念があるけれどもその損失額が算定できないもの、これを第三分類というふうに言っているかと思います。  したがって、その場合には、金融機関と監査法人が相談をいたしましてその合理的な必要額を算定するということでございますから、一兆一千二百億の第三分類をいただきましたときは、要するに、子会社グループであろうがそれ以外の貸付債権であろうが、平等に、第三グループの中で回収懸念がある、ただ、その損失額は合理的に算定できないということでございますが、それは、一番事情を知っている金融機関が合理的に算定をして引き当てする、そういうふうに私どもはしましたし、したがって、監査法人にもその旨御了解をいただいたところでございます。
  45. 中井洽

    ○中井委員 時間ですので終わります。
  46. 中山正暉

    中山委員長 これにて中井君の質疑は終了いたしました。  次に、仙谷由人君。
  47. 仙谷由人

    仙谷委員 ちょっと資料を、参考人それから理事皆さん方にもお配りをさせていただきたいと存じます。
  48. 中山正暉

    中山委員長 はい。
  49. 仙谷由人

    仙谷委員 まず、山口参考人、この「提出先リスト」というのがあると思いますが、ごらんください。行っていませんか。  わかりますね。このリストが、いわゆる九七年の四月から始まった奉加帳増資お願いをした相手方のリストですね。  新金融安定化基金というのは、これは日本銀行ということになろうかと思いますが、計算しましたら、日本銀行を除きまして三十四金融機関が記載をされておるようであります。日本銀行を含めますと三十五でありますが、この三十五のうち、先ほどのこの場での御発言でも出ました確認書応接録その他、表題はともかくとして、何らかの文書を交付してある金融機関はどことどことどことどこですか、お答えください。
  50. 山口公生

    山口参考人 このうち、相手方から要求のあったものでございますので、全部ではもちろんありません。私は、どれとどれかはよく覚えておりません。全部ではありません。このうちの数社だと思います。
  51. 仙谷由人

    仙谷委員 新聞を改めて読み返してみますと、日本生命さんはとりわけ厳しい反応を示しておったようですね。その他金融機関にも、まあ裏に回ると、ぶつぶつ言うといいますか、大変渋りが強かった。  それは、元局長も御存じのように、四月一日にクラウン・リーシングほか三社の関連ノンバンクを一挙に破産申請した。他の金融機関から見ると、母体行責任を問うてくれると思っていたのに、比例方式であれよあれよという間に大変なものをかぶることになったのに、何とかに追い銭のようにこんな申請が来た、要請が来たということで、気持ちがよかろうはずがないわけですね。  それで、先ほどおっしゃったようないわゆる確認書等をお出しにならざるを得なくなったんだろうと思うんですが、これ、大蔵省の方で名前を書いた、さっき担当官とおっしゃいましたけれども局長はまず、あなたの名前で出された確認書的なもの、応接録でも何でもいいんですが、あるんですか。それとも、審議官、銀行局総務課長、この方々の肩書つきの名前で出されたものはあるんですか、ないんですか。
  52. 山口公生

    山口参考人 私の記憶でございますので、私自身の名前のものはございません。  それで、今おっしゃったような名前の人の場合は、応接に当たった人が出しておりますので、そういった人もあるかもしれません。今はっきりと、だれがどう出したかというのは、私はよく覚えておりません。
  53. 仙谷由人

    仙谷委員 金融監督庁に移行するまでの大蔵省銀行局には、当然のことながら写しは残っておりましたでしょうね。現在も金融監督庁に残っておるはずでございますが、先ほどおっしゃられたような中身の書面ですと、大蔵省が何らかの保証をしたものでもない、あるいは約束をしたものでもないということのようですが、その種のものであれば、それほど秘密性が高いとか外に出してはまずいとかいうものではないんじゃないでしょうか。いかがですか。
  54. 山口公生

    山口参考人 私は既に退官しておりますので、その点につきましては、ちょっと御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  55. 仙谷由人

    仙谷委員 いよいよ各金融機関に対して株主代表訴訟が起こってくるようでございますので、大蔵省がどういう立場でどのようなことをお書きになったのか、極めて重要な問題でございますので、当委員会に、この題名がそれほどはっきりいたしませんけれども、複数あるようでございますので、すべて提出方、提出をされるように取り計らっていただきたいと存じます。
  56. 中山正暉

    中山委員長 理事会で検討いたします。
  57. 仙谷由人

    仙谷委員 ところで、先ほど、日債銀の九七年三月末段階での第三分類債権自己査定額については、山口銀行局長幾らだという認識だったんですか。
  58. 山口公生

    山口参考人 九七年三月は、たしか四千六百幾らだったと思います。
  59. 仙谷由人

    仙谷委員 では東郷さん、いかがですか、今の点。
  60. 東郷重興

    東郷参考人 私もそう記憶しております。
  61. 仙谷由人

    仙谷委員 日野監督庁長官が当委員会で五千五百億という発言というか答弁をされておるのであえて聞いたんですが、そうしますと、九七年三月末は四千七百億、こういうことですね。そして、四月十六日基準点とする大蔵検査では一兆一千二百億、こういう差が出てきたわけですね。  これは先ほどから、七千億と一兆一千二百億の差じゃないんですよ。四千七百億と一兆一千二百億の差が自己査定大蔵検査の差なんですよ、これ。そうですね、銀行局長
  62. 山口公生

    山口参考人 四千六、七百と申し上げましたけれども、それに五千五百という数字もおっしゃいましたが、その違いは、私の記憶では、整理しましたノンバンク三社のいわゆる残債部分の数字だと思います。したがって、当時から認識として、五千五百という数字も間違いではないと思います。それを入れると、四千七百にそれが乗りまして五千五百ということ。だから五千五百が一兆一千になった、こういうことだろうというふうに思っております。
  63. 仙谷由人

    仙谷委員 いや、ちゃんとお答えいただきたいんですが、一兆一千二百億と四千七百億の差六千五百億が、いわゆる自己査定の第三分類と、それと大蔵省検査による第三分類の額の差になるわけですね。それでいいわけですね。  その中身は、いいですか、六千五百億の中身は、ほぼノンバンク三社プラス、ペーパーカンパニー、関連会社の分だというふうにお伺いしていいんでしょうか。
  64. 山口公生

    山口参考人 もちろん、先生が言われたものと、それからいわゆる七千とかいう数字が途中でありましたですね。その差は、若干査定をして、それはやはり三分類ではないかという部分もあると思います。
  65. 仙谷由人

    仙谷委員 七千の話はまた後から聞きますから。  いいですか。この差額六千五百億というのは、四千七百億と一兆一千二百億の差額六千五百億ですよ、これは大宗といいますか、ほとんどこの関連会社に対する日債銀の貸付金というふうにお伺いしていいですかということを聞いているんです。  つまり、大蔵省日債銀で、ある種の見解の相違がある、こういうふうにされたのが六千五百億だというふうに聞いていいですかと言っている。
  66. 山口公生

    山口参考人 お答え申し上げます。  先生、大宗とおっしゃいましたので、大宗からいうと大体そんな御理解で結構だと思います。
  67. 仙谷由人

    仙谷委員 そうしますと、七千億というのはどこから出てきたんですか。つまり、日野さんに言わせると勝手に日債銀がつくり上げた数字だみたいなことを言うし、いや、査定の中間結果によると七千ぐらいだということを日債銀大蔵省から聞かされて、それをわざわざ日本銀行にまで伝えに行ったというこの委員会での答弁まであるわけですよ。  七千というのはどこから出てきたか。つまり、私が聞きたいのは、大蔵省がある種のオーソライズをした数字ではないんですかと聞いているんです。
  68. 山口公生

    山口参考人 私、大宗ではおおむねそのとおりですと申し上げましたが、大宗でない部分というのがその五千五百と七千の違いだと私は認識しております。千五百、違いますですね。それは、そのほか個別にラインシート等を見ますと、そこにはやはり三分類分類すべきだろうというものが検査として見るとあった、こういう御理解だと。  それで、七千というのは一体何だとおっしゃった。それは、途中の五月の段階銀行検査を受けていますので、そこで自分の数字を積み上げて大体今これぐらいの感じですということでもらった数字でございます。
  69. 仙谷由人

    仙谷委員 そうすると、四千七百と五千五百の差はノンバンクの分だ、まずそうおっしゃいましたね、先ほど。そうすると、今度は五千五百と七千億の差は、これは関連会社以外の一般の事業会社等々に対する貸付金で、不良債権化しているというか回収懸念が生まれたものだ、こういうことですね、今のお話だと。そして、残りの四千億が関連会社に対するものだ、こういう理解でいいんですね。
  70. 山口公生

    山口参考人 お答え申し上げます。  私は検査に当たっておる者ではございませんので、正確性で申するとよくわかりませんということを言わざるを得ませんが、私の今の理解は大体おおむねそういうことでございます。
  71. 仙谷由人

    仙谷委員 そうしますと、元銀行局長、この関連会社に対する貸付金がどのぐらい劣化しているかということが、つまり回収可能性がどのぐらいあるかということが、大蔵省日債銀の見解の相違の原因といいますか、根拠、基盤の部分にもなっているし、一番の関心事であるはずですよね、大蔵検査部にとっても。あるいは、大蔵省銀行局が他の銀行に投資をしてくれとか優先株を引き受けてくれとかということをお勧めするにしても一番の関心事であるはずですよね。当然、このことについて、検査部を督励して関連会社等々のこの債権がどの程度劣化しているか調べたと思いますが、その結果、どうでございましたですか。
  72. 山口公生

    山口参考人 私の理解するところでは、債権分類としては、やはり二分類ではなくて三として分類するのが適当ではないかという分類をしているわけでございます。どれくらい劣化しているかということは、それは財務内容にかかわってきますね。それは、それに基づいて引き当てとか償却をどれくらいするかにかかるわけです。したがって、先ほどから繰り返して申し上げて恐縮でございますが、二とか三とか四とかいう分類と、実際それをどういうふうに引き当て償却をして財務内容に反映させるかというのは別なんでございます。  そういうことを見ますと、どれくらい劣化しているかということは、むしろ監査法人と銀行が一本一本見て、必要な額をその必要なときに引き当てるというものだというふうに考えるわけでございます。
  73. 仙谷由人

    仙谷委員 ちょっと後で今の点について反論してお伺いしますが、その前に、これ、第四分類がそもそも公表自己査定額では幾らで、そして、大蔵省検査の結果によると五百八十九億になっておるのですが、なぜ第四分類がこんなに積み上がったんでしょうか。どうですか、前銀行局長
  74. 山口公生

    山口参考人 その辺については、私は検査をやった本人ではありませんので、ちょっとよくわかりません。
  75. 仙谷由人

    仙谷委員 では、日債銀どうですか。
  76. 東郷重興

    東郷参考人 私の記憶では、その差額は、系列ノンバンクにつきまして、系列ノンバンクの未処理債権額がそこでも出てまいりました。それで、その部分については、系列ノンバンクは、既にその年の十二月の三日に第一回債権者集会が開かれることが決まっておりまして、そこで損害額の決定を待って処理すればいいという判断で、私ども、第四分類は五百八十数億という指摘はいただきましたけれども、そのうち、たしか九月末の決算で処理したのは八十九億、残りの部分は、十二月三日の第一回債権者集会で、系列ノンバンク回収割合といいますか、どの程度戻ってくるか、それを見きわめた上で処理する、そういうことだったと思います。
  77. 仙谷由人

    仙谷委員 それを、では、日債銀が処理する前に、大蔵検査では、九月十一日の段階で、これは第四分類債権とすべきだ、こういうことになったわけですね。それでいいんですね。
  78. 東郷重興

    東郷参考人 あのときの、ちょっと繰り返しになりますけれども平成九年の再建策直後の大蔵検査というのは、私ども系列ノンバンクについて自己破産という形にした上で、つまり、系列ノンバンクの部分については三月末で処理を終わっているという前提でスタートをいたしました。したがって、その年の三月末決算で実は私ども四千六百億という大量不良債権を処理しましたが、その中で系列ノンバンク分は処理をしたつもりでありました。  ただ、その後、大蔵検査を受けまして、未処理の部分が多少残りました。その部分の一つが第三分類の四千七百と五千五百の間の八百億であるし、もう一つは第四分類の八十九億と五百八十数億の差であったと思います。
  79. 仙谷由人

    仙谷委員 一部ではないですよ、それだけの巨額のものだと。それは、そんなものを一部でなんということを言えない額だと私は思いますよ。今のは八百億と五百億でしょう、両方で一千三百億じゃないですか。何を言っているんですか。いいですよ。  さっきの山口局長お話に返るわけですが、関連会社、ペーパーカンパニーについて、いいですか、ちょっときょう資料を用意してきたので見てください、これを。「日債銀関連会社・ペーパーカンパニー六十社」と書いてあります。  まず、三枚目から見てください。これは、日債銀の前にあるビルとか、ちょっと歩いたら届くような距離にあるビルに、一カ所にこんなに固まっているんですよ、関連会社というのは。六十数社、固まっているじゃないですか。郵便受けに何かワープロで打ったような紙を張りつけてあるような会社ばかりじゃないですか。  それで、これの二枚目、見てください。私どもで調べて、調べがついた会社だけで二十四社、いいですか、これの借入金合計が一兆五千億。先般の予算委員会でも使いましたけれども、この表ですよ。一兆五千億じゃないですか。負債総額を見てください。この二十四社だけで一兆七千億じゃないですか。資本の欄を見てごらんなさいよ。マイナスの三千三百四十二億円じゃないですか。  つまり、一兆五千億、ほぼ日債銀が貸し込んだと思われる金額の相手方は、ほとんど資本金がなくて、雪だるまの負債の会社でしょう、これは。関連会社相手。その他の、三十数社か四十社か知りませんけれども、その会社に対する日債銀の貸し金は我々はわかりません。どうなっているのかわかりません。  しかしながら、これだけのペーパーカンパニーとおぼしき会社、つまり、所在の場所、役員の名前、全部日債銀関連の従業員が取締役とか代表取締になっている会社ですよ。そういうところへこんな巨額のものが貸されておって、それを大蔵検査の結果、日債銀と見解の相違があるとおっしゃっても、四千億という金額が、このときの、九七年三月の日債銀資本金は、日債銀だって約一千億って書いてあるじゃないですか。  資本勘定が一千億しかない会社が四千億、分類について差があって、その分類債権の、二分類か三分類かのその債権の区分される境目が、こんなあなた、関連会社とかペーパーカンパニーとかというところに貸されたものだったら、真剣にこの債権がどういう債権であって、どのぐらい回収できるのかということを、監査法人や公認会計士任せにするというんだったら、大蔵検査って何ですか。あるいは、大蔵省銀行局がお世話をして奉加帳を回す、二千九百億円の増資をしようとする、その行為は何ですか。  何で四千億のその中身を検討しなかったんですか。あるいは、検討したけれども、そういうことを出すと二千九百億の増資がふいになるからできなかった、だから表に出さなかった、こうおっしゃるんですか。どっちですか。
  80. 山口公生

    山口参考人 これらの会社は、いわゆる事業化をするための会社だというふうに聞いておりますが、いずれにしても、その四千億という、確かに差がありますが、これについてもあくまで、当時のルールを申し上げます、当時のルールを申し上げますと、これは銀行公認会計士と相談して適切な引き当て償却をするという性格のものであります。  したがって、検査は何をやっていたんだかというおしかりを受けますけれども、今の検査はそこまで見れるようになりました。これは、昨年の金融の二法ができた以降、そういう検査をしております。  しかし、当時は、資産査定は何のためにやるかといいますと、銀行が抱えている貸付金等の信用リスクというのをきっちり管理をする必要があるからなんです。そのために、きちっとそういった内部管理をしなさいというためにあるわけです。その結果出てくるものが、一対一関係で、これは全部引き当てなさい、これは半分しなさい、これは三分の一しなさいというものではありません。そのときのルールは、それは外部の専門家であります公認会計士企業会計原則にのっとって、必要額を一本一本よく見て、それで引き当てるというものであります。それが不当かどうかという御議論は、先生おっしゃいましたけれども、それはこの検査の話とは別でございまして、検査はそこまでしか、当時はですね、指摘はしないわけであります。  したがって、そういったものをどれくらい引き当てるかという問題は、それを見て、結局企業会計立場から判断をされたというものでございます。
  81. 仙谷由人

    仙谷委員 大蔵省銀行局の指導にしても、あるいは検査にしてもですよ、当時は大臣官房金融検査部に業務は移っていたかもわかりませんけれども、これは銀行経営の、あるいは資産内容の健全性を担保するためにやっているんじゃないのですか。自己資本勘定が一千億しかない会社が、さっきも言いましたけれども、四千億、争いのある債権があるというのは異常ですよね。それで、それは関連会社だと。ここまで理解したときに、それを調べないで、日銀に八百億出せとか、ほかの銀行に、あるいは生保会社にこういう支援をしろなんということは、とんでもない話だと私は思うのですね。  さらに聞きましょう。  先ほど、これ、支援を継続する限りにおいては第二分類でいいんだとか、引き当てが進まなくてもいいんだみたいな話が出ましたよね。このときの、これ、支援を継続するとはどういうことですか。つまり、先ほどから申し上げているような日債銀関連会社、真っ赤っかの会社債務超過も甚だしい会社、こういうところに支援を継続するということは、追い貸しをどんどんどんどんしていくということじゃないのですか。それ以外に考えられないじゃないですか、どうですか。
  82. 山口公生

    山口参考人 お答え申し上げます。  支援を継続する限りその銀行の意図に反して破産するものでないということだけでありまして、引き当てをしなくていいとか二分類でいいとかいうことを言っているわけではありません。あくまで、検査では三分類という分類であります。しかし、性格として、先ほど七千億との違いがあって、そういった性格のものですということを言っておるわけでございます。そこはひとつ御理解をいただきたいと思います。
  83. 仙谷由人

    仙谷委員 大変上手に答弁されるのだけれども、我々からいえば、追い貸しをし、背任行為を慫慂するか黙認をし、いいですか、粉飾決算を認めということになるじゃないですか。  つまり、山口さんだったらもうおわかりになると思うけれども、正規の企業会計をこの種の関連会社を見ながらするとすれば、ことしの四月から始まる連結決算だったら、これは全部銀行の債務として計上しなきゃいけないじゃないですか、こんなものは。追い貸しをすれば、追い貸しをした分で金利が返ってきておれば第二分類にできるなんというインチキなことを、こんなことがいつまでも続かないということははっきりしているじゃないですか。  一年間は続くかもわからない。あるいは、大体見ておりますと、設立が九二年とか九一年ですよ。どんどんどんどん昨年の暮れまで続けたわけですよ、日債銀は。それで、これは、我が社が支援を継続する限り倒産しないんだと言い続けたわけですよ。タコの足食っとるようなものじゃないですか。どんどんどんどん債務だけ膨れるだけ、債権が膨れるけれども回収不能部分が膨れるだけじゃないですか。そういうことをやってきたんじゃないですか。そんなことを見逃した、ほとんど手をつけないで、それは公認会計士の仕事だ、そんなことが私は許されると思わないんですよ。  それで、そのことが、いいですか、九八年三月十日の申請時に、九七年、平成九年の九月の段階での検査結果はこうでしたということを、これは当時の大蔵大臣にお伝えにならなかったんですか。そして、関連会社にこれぐらい債権がありまして、関連会社の状態はこういうものですということは、ちゃんと進言をしたんでしょうか、しなかったんでしょうか。いかがですか。
  84. 山口公生

    山口参考人 お答え申し上げます。  大臣には、結局、審査委員会で一番大事なポイント、つまり債務超過になっているかどうか、財務状況はどうか、再建計画が順調にいっているかどうかということをポイントに上げたわけでございます。したがって、そういった細かい数字等は上げておりませんけれども、しかし、そのときに、私どもがラインシートまで調べたときにわかりました関連会社支援姿勢というのが一体本当に続けられるのかどうかというようなことまできちっと聞いてくださいと。そうしないと、今先生の御指摘のとおり、それは支援しなくなったらそれで終わりになりますから、そういうことを十分に審査していただいたということでございます。
  85. 仙谷由人

    仙谷委員 だから、ますますおかしくなるんですよ。関連会社に対する支援というのが、先ほどから示しておる関連会社、ペーパーカンパニー一覧表に書かれておる会社に対する支援を継続する限りはこれを不良債権化しないという論理は、これを支援しなさいということになるじゃないですか。こんなもの、支援してどうなるんですか。早晩つぶれるのはわかっているじゃないですか、こんな会社は。そうでしょう。  それを、支援することを前提にして債務超過じゃないという認定をするというのは、私は、今度は危機管理審査委員会の方では、いいですか、国民の税金を使うことになる危機管理審査委員会では、甚だ遺憾なことであると思いますね、そこでそういうことを言ったとすれば。  「日債銀の九七年三月決算は本当はこうだった」という四枚つづりがございます。ちょっと見てください。  九七年三月決算を、先ほどの四千七百億と、それから三分類大蔵省検査だと一兆一千二百億だと、一枚目の下の方を見ていただくと、これはもう完全な債務超過です、ここは。引き当て率二〇%にしても債務超過です。  それから、二枚目を見てください。私どもの計算ですと、これは五千五百億というふうに計算をしても、一兆一千二百億、それから四分類五百八十九億だと、これも債務超過です。引き当て率二〇%。  つまり、この種の関連会社の分について、二〇%も引き当てないからこういうことになるんですよ。二〇%引き当てだけで債務超過になっているじゃないですか。  それで、なぜこのことが、むしろこれらの関連会社支援日債銀が約束すればいいんだという逆の論理になってきたのか、わからないんですね。いかがですか。
  86. 山口公生

    山口参考人 お答え申し上げます。  支援をすればいいとかいうことを言っているわけではありません。同じ三分類でも性格の違うものが入っているということを指摘しているわけです。したがって、必要な引き当て償却というのは、何度も繰り返して恐縮ですが、公認会計士の指導を仰いでやりなさいということであります。  今先生がお示しいただきましたこの資料、見させていただきましたが、引き当て率を二〇、三〇、四〇とか置いてあります。これは、今の時点で考えれば、これはそういう見方ということがいろいろ議論されてもしかるべき。  しかし、当時のルールを申し上げます。当時のルールは、これは一本一本公認会計士に相談して引き当て率を実態に合わせてやりなさいというルールでありますから、今の時点に振り返ってこれを当てはめてみて債務超過だったといっても、それは私はちょっと無理かろうと思います。
  87. 仙谷由人

    仙谷委員 そこまで大蔵省検査とかが頼りなかったということを自白されているようなものですからね。  こんな引き当て公認会計士の仕事が務まるんだったら、楽なものですよ。だれですか、この公認会計士は。あるいは監査法人、だれですか。  こんな、先ほどから示しておるような関連会社、ペーパーカンパニーのようなところ、実態のない幽霊会社に貸したことになっているところ、こんなものが、いいですか、引き当てもしなくてもいい、あるいは日債銀本体の債務計上もしなくてもいい、こんなことが企業会計上まかり通る、そのことを公認会計士が許す、認めていくというのだったら、公認会計士なんか要らないですよ。  東郷さん、なぜ、ペーパーカンパニーに対する、いわば争いのあったのは四千億でありますが、これが、引き当てがほとんどなくて当時は済んだのですか。どこの監査法人ですか、教えてください。
  88. 東郷重興

    東郷参考人 センチュリー監査法人であります。
  89. 仙谷由人

    仙谷委員 松下総裁にお伺いをしたいのですが、金融危機管理審査委員会で、実は、冷静に見ますと、専門家は松下さんお一人だったんですよね。ほかの方は、法律家であっても、分類債権とか、特に、自己資本比率がどうのこうのというときのティア1とかティア2とか、あるいはその計算の仕方だとか、そんなことを御存じの方はほとんどいなかったんだろうと思うのですよね。つまり、ちょっと充て職ぎみでございますね、この佐々波委員会というのは、佐々波さん以外は。専門家は前総裁だけ。そして、総裁のところは考査局というのもお持ちだ。そして、ある種、ほぼ一年前にお出しになられた八百億、全部で二千九百億がどうもまた足りなくなったのかな、こういうことを思われたのじゃないかと思いますね。  それから、実は、日債銀は、佐々波委員会に対する資本注入の申請額は全部で二千九百億円ですよね。これは優先株は六百億円ですけれども、劣後ローンを二千三百億借りたいといって、結論的には、これを拒否されたというか、却下されていますね。それで、さらに優先株の配当率も三%という、社債でいえばジャンクボンドみたいな配当利回りをつけられて、ようやく六百億円の資本注入が許可された。  私は、正直申し上げて、総裁懸念を持っていたと思うのですよ、ここに対する注入については。二千九百億のうち六百億しか認めてないんですからね。  それから、約一年前には、八百億をおたくの方から、優先株取得ということで持ち出しているわけだ。どうも、この種の関連会社がどうのこうのとかいう話は、あるいはノンバンクがどうのこうのというのは、もう日債銀の周辺あるいは経済雑誌でも相当有名になっている話です。そこで、より慎重に、大蔵省にあるいは大蔵省検査部に問い合わせをするとか、日本銀行の考査局ですか、日銀考査を改めてこの関連会社分だけでも特化してやってみるとか、佐々波委員会委員の一員だったときにはお考えになりませんでしたか。
  90. 松下康雄

    松下参考人 御質問の中で、佐々波委員会での専門的知識の点につきましては、やはり、委員会委員のメンバーは、私の記憶では大蔵大臣も入っておられまして、それは大蔵省の事務当局も、いろいろと資料の検討、方針の決定等については大臣にも御説明をいたしていたと思います。  それは別といたしまして、私自身、日本銀行の当時の対応でございますけれども日債銀審査につきましては、日銀では、担当局であります信用機構局と考査局から、日債銀の申請内容と、それから同行から提出をされました経営の健全性の確保のための計画、これらの内容の適切性あるいは自己査定の結果の正確性といったものをチェックをいたしまして、そのチェックの結果と、それを含めましたチェックの過程での日債銀に対する具体的な指摘、指示といったようなものについての説明を聞き、また、あわせて、この日債銀の当時の不良債権の処理状況や収益力を含めました総合判断を聞いたわけでございます。  私自身は、この当時の状況におきましてなお、日債銀の資産内容につきましては債務超過状況でないという認識を持っておりまして、これを、前年の資本注入以後、日債銀としましては、非常に全行を挙げて厳しいリストラに取り組んで努力をしているという点は十分にうかがわれたところでございます。  そのような背景の中で、私どもは、この経営再建策を今後も着実に実施をしてまいれば十分経営再建が図れるというふうに判断をいたしまして、審査委員会におきましては、そういった認識によって意見を申し上げたところでございますけれども、同時に、この日債銀のいろいろのヒアリングをいたしますときには、経営再建計画の進捗状況ですとか有価証券の含み損を含めました不良債権の処理方針等につきましても委員会におきまして説明を求める必要がありましょうというようなことを申し上げまして、そういった説明を当時の頭取が委員に対していたされた、その結果の判定でございます。  若干、いろいろの条件につきまして折り合わない点がございましたけれども、それはやはり、当時の各申請銀行のマーケットにおける反応というものをマーケットの方の専門家から私どもいろいろと聞きまして、それを参酌しまして、一律の資本注入ではなくて市場の判断を織り込んだ条件を提示をしたことによりまして、ただいま御指摘がございましたような、日債銀の要望がそのまま認められたということにならなかった次第でございます。
  91. 仙谷由人

    仙谷委員 お答え、ちゃんといただけてませんけれども、時間が参りましたので交代いたします。
  92. 中山正暉

    中山委員長 この際、上田清司君から関連質疑の申し出があります。仙谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。上田清司君。
  93. 上田清司

    上田(清)委員 参考人のお三方、御苦労さまでございます。  国民から見て、こういうことなんですよ。日債銀という金融機関はどうも危ない、しからば、その危ない金融機関に民間の金融機関増資に応じるに、みんな嫌々していたんですよ。嫌々していた金融機関を引っ張るには、日銀の八百億を出してもらう。大蔵が保証する。そして、嫌々しながら出したらやっぱりおかしくなって、日銀の八百億、それから民間金融機関の二千百億、これはパアになったんですよ。そして、佐々波委員会資本注入、六百億した、これもパアになったんですよ。  その過程の中で、今、仙谷委員が言ったように、いいですか、支援をしていれば大丈夫の企業名、大手企画、桜田企画、田安企画、半蔵企画、平川企画。門の名前じゃないですか、これは。江戸時代の、江戸城の近所の門の名前、これが八社。新宿の弁天町に十社、同じような名前。それから、九段北の一の三の六に十七社。こういう会社支援するような会社かというんだよ、本当に。ペーパーカンパニーじゃないですか。だから、そういう日債銀支援をいいかげんに決めるわけにはいかないわけですよ。ところが、どう今聞いてもいいかげんなお話なんですよ。  松下参考人に聞きますけれども、なぜ考査もしないで八百億出したのですか。
  94. 松下康雄

    松下参考人 八百億の出資決定いたします前には、私どもは、それ以前に行っておりました日銀考査の追跡調査ということで、しばしば、現地には参りませんけれども、いろいろの聞き取り調査等によって前回の考査内容を補完していたところでございます。  それらの結果、私どもといたしましては、例の新金融安定化基金からの拠出を決定する時点におきまして、日債銀債務超過状況にない、また同時に、日債銀は非常に大胆な厳しいリストラの計画を立てまして、これを全行挙げて実行していくという決意を表明しておりました。同時に、当時は、先ほどもお答え申しましたような、非常に日本の金融界に問題が山積した時期でございます。それらを総合的に判断をいたしまして、八百億の拠出を行うということが、私どもにとりまして、信用秩序の維持のために必要不可欠のことであるという判断をいたした次第でございます。
  95. 上田清司

    上田(清)委員 それはおかしいですね、総合的に判断されたのだったら。こういう、一つの会社に十社も十七社も、それもいいかげんな名前で、そういう会社がいっぱいくっついているところにお金を貸している、そういう企業が、何で総合的に判断していい会社なんですか。  いいですか。佐々波委員会報告書、議事要旨だけですけれども委員皆さんは結構健全でしたよ。きちっと言っていますね。やはり最後のよりどころは日銀大蔵だったのですよ、はっきり申し上げて。ちゃんと預金保険機構理事長も言われていたように、つまるところは、その数字の信憑性というのは自己査定じゃわからないから、あくまで、自主申告したものは怪しいから日銀大蔵検査をしてもらいましたと言っているんですよ。そして、委員皆さんもずっと言っていますよ、最後はやはり日銀大蔵皆さんに聞くしかないということで。  いいですか。幾つか読み上げましょうか。関連会社の不良資産については、頭取からの聴取においても十分明確にならないが、と言っていますよ。こんなのばかりあるから、なるわけないでしょう。「現時点で、債務超過のおそれは全くないのかどうか、大蔵大臣日本銀行総裁の考えを明確にしてほしい」こういう話もあります。それから、「申請金融機関の中に、債務超過銀行早期是正措置の第三区分又は第二区分の銀行があるかどうかについて、大蔵大臣日本銀行総裁の現在の認識伺いたい」と。  全部、それなりに問題点について委員皆さん認識しているわけですよ。ところが、皆さんは、大蔵大臣日銀総裁は、唯一そういう判断する材料を持つ機関でありながら、債務超過はないとか言っておられるのですよ。  債務超過じゃないと言った根拠を言ってください。読まないで言いなさいよ。
  96. 松下康雄

    松下参考人 私どもは、考査を実施しました以後、申しましたように、追跡調査によってこれを補完をしてまいったわけでございます。それは、新しい考査を実施いたしますためには非常に多数の日時を必要といたしますけれども、当時の金融安定化のための対策決定をいたしますには、限られた日数の中で、できるだけ効率的に事務を取り運ぶことが極めて重要でございまして、時期を失するというわけにはまいらなかったわけでございます。  それによりまして、私どもは悉皆の考査をやり直すという余裕はございませんでしたので、日債銀自体において作成をいたしました現状についての報告書の内容につきまして、担当の関係部局で、短期間ではございましたけれども集中的に調査を行い、また説明も求め、その結果といたしまして、日債銀が提出をしてまいりました再建計画の実施の見込みでありますとか経営の最近の内容でありますとかにつきまして、細部につきましては判断の甘さ等もあるが、おおむねの点は妥当と認めるということを考えた次第でございます。
  97. 上田清司

    上田(清)委員 妥当じゃないからつぶれたんじゃないですか、はっきり申し上げて。  それでは、松下参考人にお伺いします。  いいですか、そのときに、自己査定を中心に考査局で研究されたんですか、それとも、大蔵省の一兆一千百十二億の示達を少しは配慮されたんですか。お互いに情報交換をされていた——さっきの話だとされていないと言っている。おかしいじゃないですか。一番直近の検査を見るのが当たり前じゃないですか。どういう神経しているんですか。
  98. 松下康雄

    松下参考人 大蔵省検査の結果につきましては、私どもも、検査担当の部局同士の間での情報の交換はございますから、その限度におきまして情報交換は進めておりましたけれども、ただ、検査内容そのものにつきまして、具体的な実地の資料に基づいてその結果を検討するということは、先ほども申しましたような法制上の制約等もございますので、実際には実行いたしておりません。その結果、私どもとしましては、私どもで知りたい全体的な判断について大蔵省意見は十分聞いておりますが、具体的な細目に至るまでの突き合わせはしていなかったのでございます。
  99. 上田清司

    上田(清)委員 これは重大な発言ですね。細目を突き合わせるのが検査じゃないですか。細目を突き合わせるためにお願いをしているんですよ、佐々波委員長から日銀に。何を考えているんですか。  それでは、東郷参考人にお伺いします。  五月十九日に、日債銀日銀金融機関に対して、検査結果の第三分類が七千億だということを報告された。この報告をするときに、そのように、大蔵から、報告せよという指示でも受けたんですか。
  100. 東郷重興

    東郷参考人 その当時は、増資要請金融機関から、検査の中途結果でも構わないから資産内容について情報が欲しいという依頼に基づきまして、私どもが算定をし、五月の十九日に金融機関に伝えましたが、事前に、こういう金額をお伝えするということについては、大蔵省に連絡をいたしました。
  101. 上田清司

    上田(清)委員 さる新聞によると、大蔵からそういうふうに言いなさいという指示を受けたと元副頭取も言っておられますけれども、それはいいでしょう。またの機会にやりましょう。  それで、この大蔵示達に対して、実際は、括弧書きで、七千億もあった。どちらが主でどちらが従ですか。一兆一千百十二億が主なのか七千億が主なのか、どういう受け止め方をされておられたんですか、日債銀として。
  102. 東郷重興

    東郷参考人 第三分類数字が一兆一千二百億であったことを認識しております。  ただ、そのうち四千数百億円につきましては、日債銀が今後とも支援を続ける方針を有しており、日債銀意思に反して倒産することはないと考えられる日債銀子会社グループに係る債権ということで記載をしていただいております。
  103. 上田清司

    上田(清)委員 東郷参考人、あなたは今でも真剣にそんなふうに思われますか。支援する限り、こういう大手門だとか桜田門だとか、そういう名前で十社も八社も十七社も適当にペーパーカンパニーをつくって、はっきり言って、あなた方が自分たち不良債権を、余り多いとまずいから、移しかえて、飛ばし移した、こういうペーパーカンパニーをいっぱい持っていて、そういうところを支援していれば一兆一千億じゃなくて七千億で査定してもいいんだということを、今でも本気で考えているんですか。笑われますよ。金融界の良心にかけて言ってくださいよ。仮にも元日銀マンだったら。
  104. 東郷重興

    東郷参考人 お答え申し上げます。  こういうペーパーカンパニーを設立する目的でございますけれども、ペーパーカンパニーといいますと、とにかく飛ばしとかそういう連想をお持ちになるかと思いますけれども、それは全く違います。  要するに、私どもは、不良債権回収を極大化するためにどうしたらいいのかということでございまして、バブル崩壊の過程貸し出した先の担保不動産をどうやって差し押さえてそれを現金にかえていくか。そのためには、そういう状況になりますと、暴力団の介入もあります。あるいは他の債権者からの後順位の抵当権設定の要求も出てまいります。そのときに、その担保不動産を買い受けてそれを事業化するペーパーカンパニーが必要なんであります。  そのときに大事なことは、ペーパーカンパニーとの間の売買が時価であるか簿価であるかということが大事なんです。それで、簿価であれば、これは損失の移しかえなり、利益の移しかえなりがあります。だけれども、時価でそれを移しかえてそれを事業化する、要するに、私どもからお金を借りている債務者倒産して事業化する能力がなくなっているとすれば、我々はその担保不動産を買い受けて、我々日債銀グループの力で事業化して回収することが一番適切だというふうに考えたわけであります。
  105. 上田清司

    上田(清)委員 まさにこの部分は、我々はこれは飛ばしだ、あるいはインチキだと言っております。しかし、これは事業化できる内容だと。  この時間でこの論争は尽きませんので、再度予算委員会において、またおいでいただきまして、御足労ですが、この論争を続けさせていただきたい、このように委員長お願いをしたいと思います。  それから、最後ですが——委員長、今の返事をお願いいたします。
  106. 中山正暉

    中山委員長 理事会で御相談させていただきます。
  107. 上田清司

    上田(清)委員 時間になりましたので、山口参考人。  健全な銀行にしか資本注入をしない、これが佐々波委員会の原則であったわけでございますね。当時一兆一千百十二億という示達書を出した大蔵省立場で、債務超過でない、健全な銀行だということを松永大蔵大臣にどのような根拠資料でもってきちっとお伝えされたのか、明確に答弁してください。
  108. 山口公生

    山口参考人 松永大蔵大臣にどういう資料でどう御説明申し上げたかは定かには覚えておりませんが、私の、当時そういうふうに考えて、また御説明したであろうという事柄を申し上げますと、二つ理由があります。  一つは、一兆一千億の内容を含む示達書を出した後に九月期決算が組まれております。それは、公認会計士がその示達書を見て、それで一本一本審査して判断をしております。それが甘いという御批判も先ほどありましたが、しかしそういう決算を組んでいるということは事実で、しかも増資が行われておりますので、当時、資本勘定は四千億を超えていたと思います。その後三月までに激変があれば別ですが、それにつきましても、確かに十一月以降かなり皆さん方に御苦労いただいたんですが、いろいろな事象がありましたが、その資本金を全部毀損するような形の事象は起きていない、こういう判断でございます。  それからもう一つ、再建計画が非常に順調にいっておりました。それで、予定しておった業務純益よりかなり多い業務純益が上がっておりました。そういった客観情勢があったわけでございます。
  109. 上田清司

    上田(清)委員 明確な答弁に思えません。  松永大蔵大臣に出された根拠資料をぜひ当委員会に出していただきたいということを委員長お願いしたいと思います。  以上で終わります。返事だけ聞きます。
  110. 中山正暉

    中山委員長 理事会で協議をいたしたいと存じます。
  111. 上田清司

    上田(清)委員 それから、まだ、済みません。松永前大蔵大臣にもぜひお越しをいただきたいというふうに思います。
  112. 中山正暉

    中山委員長 理事会で協議いたします。
  113. 上田清司

    上田(清)委員 はい、ありがとうございました。
  114. 中山正暉

    中山委員長 これにて仙谷君、上田君の質疑は終了いたしました。  次に、西川知雄君。
  115. 西川知雄

    ○西川(知)委員 西川知雄でございます。  皆さんには、きょうの日付で、予算委員会出資料として、「日債銀問題についての主要論点」ということと、「支援関連会社概要」と、三つ目には「日債銀問題と金融行政の非連続性について」という紙をお配りさせていただいておりますので、これを参考にしながらこの質疑を聞いていただけばと思います。  ところで、先ほどからの議論で、主に二つの点が非常に国民にとってはわからないというふうなことが指摘されておりますが、まず、九年の五月十九日にいわゆる第三分類という金額が約七千億円あるというふうに日債銀出資要請先に報告いたしました。そして、これは大蔵省も当然のことながら承知していた数字でございます。  次に、九年の九月十一日に、九年の四月十六日から始まりました大蔵省検査の結果が示達結果として出ました。そこでは、第三分類は一兆一千二百十二億円というふうに記載をされていました。  ところが、八日後、九年の九月十九日に東郷日債銀前頭取が日銀に通常の報告の一部として報告されたいわゆる第三分類金額は約七千億円であったということで、どうして示達書に書かれた数字東郷頭取日銀に言われなかったのかという点が第一の大きな問題である。  第二番目は、平成十年の三月五日に日債銀は六百億円の公的資金注入を申請されました。これは佐々波委員会議論されて、三月十日に六百億円の公的資金注入が承認されたわけでございますが、これはどういうふうな資料をもとにして検査をされて承認をされたのか、正確な情報でもってされたのか。こういう点、この二つが大きな問題となっているわけでございます。  そこで、まず一番初めの問題、すなわち七千億と一兆一千二百十二億円、約四千億円の差がどうしてできたのかということについて、もう少し掘り下げた見地から御質問をさせていただきたいというふうに思います。  先ほど東郷頭取は、第三分類は七千億円ぐらいであったというような趣旨のことをおっしゃったのではないかと思いますが、示達の途中の結果でもその内容を直接に融資要請先に言うということは、私はそういうことは言っていらっしゃらないと思うのですが、正確にはどういうふうに融資要請先にこの七千億円という数字を言われたのか。この辺、前頭取から御答弁願いたいと思います。
  116. 東郷重興

    東郷参考人 この五月中旬に各増資要請金融機関に対して申し上げた内容は、第三分類という表現は使いませんで、直ちに引き当てを要するわけではないが、将来の回収懸念があるとされたものの額、七千億円程度というふうに報告いたしました。
  117. 西川知雄

    ○西川(知)委員 今東郷前頭取の方から御説明がありましたように、第三分類が七千億円というふうにはまず言っていない、これが一つ明らかになりました。  そこで、次の質問をさせていただきたいんですが、九年の九月十一日、示達書、これは大蔵検査の結果がそこに載っているわけでございますが、そこについては、恐らく第三分類、第四分類のこと、これも触れられていたというふうに思います。ここで示達書に、先ほどのいろいろな議論からありましたように、一兆一千二百十二億円という金額のほかに別の金額が書いてあったということが指摘をされております。  そこで、もう一度東郷頭取に記憶を喚起していただいて、これは非常に重要なことですので正確に、できれば一字一句覚えていらっしゃったらそちらの方が結構なんですが、具体的にどんなふうに書いてあったのか、これをもう一度正確に言っていただきたいと思います。
  118. 東郷重興

    東郷参考人 再三のお尋ねでございますので、記憶の範囲でお答えをさせていただきたいと思います。  第三分類の貸出金の欄に、もちろん一兆一千億何がしの数字があったかと思いますが、その内数として六千数百億円の数字が書かれていたかと思います。その数字の注記として欄外に、当行が今後とも支援を続ける方針を有しており、当行の意思に反して倒産することはないと考えられる当行子会社グループ等に係る四千数百億円を控除した金額という注記があったと記憶しております。
  119. 西川知雄

    ○西川(知)委員 そこで確認なんですが、これは、日債銀がそういうふうに主張しているというふうに注記で書かれていたのか、または客観的な事実として、これは日債銀判断したまたは主張しているというふうに書かずに、客観的な事実としてそういうことが併記されていたのか。どちらかお答え願いたいと思います。
  120. 東郷重興

    東郷参考人 この注記の記載の意味するところを私確定的になかなか申し上げられないと思うのですけれども、要するに、支援を続ける限りにおいては倒産する可能性はないと考えられるということですので、私どもだけが主張するというよりは、客観的であったのかなという気はいたします。
  121. 西川知雄

    ○西川(知)委員 これは検査示達書が、要するに明確に、だれの意見でそうだったのかと、日債銀が勝手にそういうふうに言っているというふうには言わずに、当局も恐らくそうではなかったのかということが併記されているというふうに日債銀は解釈されたのじゃないかというふうに私は今の答弁を理解しました。  そこでもう一つ質問ですが、示達書には、この第二分類、第三分類、第四分類幾らだということだけを書くものではなくて、そのほかにもいろいろな情報が書いてあります。  その中で補正とか補注とかいう項があります。そこは、日債銀のバランスシートはどうなっているか、または損益計算書、PLがどうなっているか、こういうこと、これについてもし間違いがあるのであれば指摘をする、こういうふうに理解をされています。  そこで、当然のことながら大蔵省は、九年の三月三十一日現在の日債銀自己査定トライアル、これを再評価して、四月十六日に検査を始めたときに、先ほど申しました第二分類、第三分類金額に差異があったというほかに、もし、それでは、これだけ引き当て、これだけ償却をさらにしないといけないということであれば、そこの中に、いや、引き当てはこれだけ足りないんだよ、償却はこれだけ足りないんだよというようなことが、当然のことながら、第二分類から第三分類大蔵省がしたんであれば、そこに、この損益計算書、バランスシートはちょっと違います、三分類にしたその引き当て部分について、増加部分について計算がされていないということが書いてあるはずだというふうに私は理解するんですが、記憶では、補注とか補正の項にそういうような記載があったのかどうか、御記憶の範囲で結構ですので、お答え願いたいと思います。
  122. 東郷重興

    東郷参考人 当時は、検査分類引き当ての間には制度的、法律的な関係はございません。したがって、第三分類の査定について、若干異質なものが含まれていたとしても、引き当て部分については、ここはしてください、ここはしなさいというような記述はありません。
  123. 西川知雄

    ○西川(知)委員 ということはどういうことかと申しますと、多分、私の今の答弁を理解するところによれば、第三分類は七千億から一兆一千二百十二億にふえます、こういう指摘示達にはあった。そして、その中身は、当然のことながら、関連会社分、いわゆる支援先、これについて四千億がふえていたからだ、そういうような併記がされていた。  しかし、それが、それだけが重要じゃなくて、本来一番重要なのは、一体それによって引き当てとか償却幾らになるか、これが財務体質をはかる最も重要なことなわけですが、その引き当て額、償却額は日債銀が言っていたとおりではないんだよというようなことは一つも書いていなかったというふうに今の答弁を理解したんですが、それでよろしゅうございますか。
  124. 東郷重興

    東郷参考人 それで結構でございます。
  125. 西川知雄

    ○西川(知)委員 そこで私、ちょっともう一つ解明したいことがございます。  これは、この四千億という支援先、いわゆる関連会社に対して、大蔵省検査部は、四千億、これは三分類に追加をすべきであるというふうに考えた、しかしながら、引き当ては要求をしていなかったということが一体どういう意味なのかなということが、もう一つはっきりしないわけでございます。  そこで、この四千億というのは、先ほどの質問にもありましたが、いわゆる受け皿会社、そして一般に言われている飛ばしに使われたんじゃないかというふうに考えられます。  もし、それが本当に飛ばしとかそういうことに使われているんであれば、これは大問題である。これはまた別途追及していかないといけないというふうに思うんですが、今はその個別の問題よりも、総体的な受け皿会社、飛ばしというようなことについて、先ほど、その受け皿会社の重要性と、どうして受け皿会社をつくったのかということを言われました。そこで、それは債権回収するための、これを最大限、こういうスキームを使うことによってなし遂げられるんだというようなことをおっしゃいました。  そこで、当然、こんな大きな金額の話ですから、この話は大蔵省検査部にもされていたはずじゃないかというふうに私は実は思うんです。  もしされていたんであれば、大蔵省検査部は、この受け皿会社、四千億についてどういうふうな見解を持っていて、日債銀東郷頭取に対して、これはやめておきなさいとか、いやいや、これはこういうふうにした方がいいんですよとか、何かそういうことをおっしゃったかどうか、そういう議論があったかどうか、御記憶の範囲で結構ですから、お答えください。
  126. 東郷重興

    東郷参考人 受け皿会社の効用といいますかその目的については先ほど申し上げたとおりでございますし、かつ、今でも、昔からかなり一般的な手法として金融機関に使われているところでございます。  御質問は、そのような手法といいますか、我々の受け皿会社大蔵省検査の中でどういうふうに評価されていたか、こういう御質問だと思うんですが、なかなか難しい問題だと思います。  ただ、たしか平成九年の大蔵検査の中では、この手法は回収の極大化の面で有効であるという記載はあったと記憶しております。  もちろん、私どももそういう目的で受け皿会社をつくりましたから、その目的に沿った形で運営すればそういう効果が上がる、そういうことでございますが、その後の不動産価格の下落とかバブルの破裂とかそういう中で、もし、その取引時点では時価で正当に行われた処理であっても時価が下落して損が出たときには、適切な処理が望まれるという部分はもちろんありますけれども、その手法自体については、回収の極大化に有効であるという御評価はいただいていたと記憶します。
  127. 西川知雄

    ○西川(知)委員 今とても重要なことをおっしゃったわけです。ということはどういうことかというと、この四千億、こういう支援先の、ある人によるとペーパーカンパニー、ある人によると飛ばしのための一つの手法であるというようなこういう手法が、これは有効であるからやりなさいというふうに、まあやりなさいとまでは言わないでしょうけれども、有効な手段と言われれば、私は、普通の銀行の役員をしているならば、東郷頭取でなくても、ああ、これはやった方がいいんだなというふうに思うと思うんです。  もう一度確認ですが、これはとても重要なことなので確認したいんですが、大蔵省検査過程お話をされていたときに、これは債権回収のために非常に有効な手段であるというふうに本当に言われたのかどうか、これは重要ですから、もう一度お答え願いたいと思います。
  128. 東郷重興

    東郷参考人 そういう手法を使うことによって、現実に回収が大きくなるということは事実でございますし、そういうふうに、一定の回収極大化の効果はもちろんある。ただ、もちろん、その後の不動産価格あるいは経済状況によってリスクを伴うものであることは十分我々も認識した上で、そういう効果をお認めいただいたというふうに思っております。
  129. 西川知雄

    ○西川(知)委員 これは私は、正直、今のお話を聞いて大変驚きましたが、一つだけその点について確認をいたしたいんです。  私がお配りしたペーパー、委員の方もお持ちだと思うんですけれども参考人の方もお持ちだと思うんですが、東郷前頭取、この二番目にあります「支援関連会社概要」、これは私、いろいろなところで調べさせていただいて、こういうところが、疑義のある、四千億円の差異が生じた対象債権に係る会社の概要である。そしてまた、それはそれぞれどんな会社日債銀とどういう関係があるのかということを次のページにまとめさせていただきました。  さっと見ていただいて、この私が作成いたしました資料がほぼ正確であるかどうか、もしおわかりであれば、確認のために御答弁願いたいと思います。東郷参考人
  130. 東郷重興

    東郷参考人 私、今お示しいただいたこの表を見まして、会社名、金額その他大体このとおりだと思いますし、その後のいろいろな手法についても、こういった目的があってこういう会社ができ、かつ運営されているというふうに思います。
  131. 西川知雄

    ○西川(知)委員 そこで次に、先ほど第二の問題と申し上げました、平成十年の三月五日、日債銀が六百億円の公的資金導入を申請され、三月の十日、佐々波委員会がこれを承認したという件についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、このときに日債銀資料をお出しになっております。その資料というのは、平成十年の三月三十一日、これを想定として、そのときの想定の自己資本査定、いわゆる分類幾らかということのほかに、その三月三十一日を想定した場合に、いわゆるバランスシートはどうなるか、PLはどうなるか、そういうことも当然のことながら資料として出してあると思います。また、償却引き当て額も、幾らであるか、これはどういうふうに考えているかということも、当然のことながらお出しされていると思います。  まず、この事実が正しいかどうか、東郷頭取にお尋ねします。
  132. 東郷重興

    東郷参考人 佐々波委員会に提出いたしました健全性確保のための報告書の中には、収益見通しもきちっと出ていたと思いますので、したがいまして、直近である三月末決算がどういう姿になるのか、したがって引き当て処理もどういうふうになるか、書かれていたと思います。
  133. 西川知雄

    ○西川(知)委員 そこで、山口銀行局長松下総裁にお尋ねする前に、もう一度東郷前頭取にお尋ねしたいのですが、そのときの償却引き当て、この基準は、以前から主張されていたように、自分たち支援をして、そして合理的な再建計画がある、そういうところについては、これは償却引き当てはしなくてもいいという前提で、バランスシートとかPLとか自己査定の結果を出しておられたのでしょうか。そこだけ一つお答えください。
  134. 東郷重興

    東郷参考人 このときの自己査定は、要するに、早期是正措置のスタートに伴う初めての自己査定ということになるかと思いますが、したがって、私ども自己査定は、自己査定の基本といいますか、原則にのっとった自己査定をしたと思います。  前の年に、大蔵省企業会計審議会からいろいろな指針とか通達が出ておりますので、それにのっとって、個別の貸し出しについて債務者区分をし、かつ、それに、その債務者区分の中で分類資産を算定した、こういうことでございます。
  135. 西川知雄

    ○西川(知)委員 ということは、公認会計士意見を聞いて、そして、そういう支援先で合理的な再建計画があるところ、これについては償却引き当てをしなくてもいいという方向で、その自己査定を出されたんだというふうに思います。  そこで、松下参考人にお尋ねしたいんですが、当然のことながら松下参考人もその自己査定の結果、これは全部ではないと思いますが、それぞれ抽出をして、そして事務局に見てもらって、そしてこれは公的資金を入れても大丈夫だというふうに認定をされたはずであります。そのときに、当然いわゆる支援先について、関連会社について、引き当て償却も何もなされていないというような資料、これをごらんになって、そして問題なしというふうに言われたんでしょうか。
  136. 松下康雄

    松下参考人 御指摘のこの佐々波委員会におきます日債銀審査につきましては、私どもの当時担当局でございました信用機構局と考査局におきまして、同行から提出を受けました申請内容、それから同行から提出をされました経営の健全性の確保のための計画というものの内容の適切性や自己査定の結果の正確性等につきましてチェックを行った結果、それからそれを踏まえました指摘事項、また不良債権の処理状況や収益力等を含めました同行の全般的な概況につきましての説明を私が事務当局から聞いたわけでございます。  事務当局はその間におきまして、甚だこれは時間の制約に迫られた、非常に大急ぎで審査をしなければならない日程の中で最善の努力をして、それらの点につきましてそれぞれ日債銀の事務当局から説明を受け、そうして全体といたしまして、まず事実関係につきましては特段の誤りはなかったというふうに認められるという点につきましては、私もそのように説明を受け、審査委員会におきましてもそのような発言を行ったところでございます。  ただいま御指摘がございました具体的な個別の債権内容、その引き当て内容につきましては、これは時間の制約もあり、一々について説明を受けることはできませんでしたけれども、私といたしましては、それまでの日債銀に対する私ども追跡調査の結果等につきましても平素折に触れて報告を聞いておりましたので、全体としてその事務当局の説明を容認したところでございます。
  137. 西川知雄

    ○西川(知)委員 ということは、まとめて言いますと、日銀の考査というのも、七年の二月にやられてから、フォローアップということで三カ月置きにやられているわけです。ですから、一番最新の情報というものは当然のことながら御存じなわけです。  また、大蔵省示達で、この支援先には、二分類じゃなくて三分類だ、こういうふうな指摘も当然のことながら考慮をされるべきではないかと私は思うんです。そこで、一つだけお尋ねをしたいんですけれども、この支援先について、日債銀の考査では第三分類はD査定、第二分類はS査定、そういうふうにおっしゃっているわけですが、これを第二分類、いわゆるS査定というふうにされていたのか、または、第三分類である、D査定であるというふうに、そのとき日銀はどういうふうに考えていらっしゃったのか。これは、審査をされた松下総裁ですから、重要なことですから覚えていらっしゃると思いますが、それはいかがですか。
  138. 松下康雄

    松下参考人 第一の点の、当時大蔵省におきまして、不良債権の査定につきまして二様の数字といいますか判断があったという点につきましては、私を含めまして日銀の事務当局も説明を受けておりませんでしたために、その点についての理解は持っておりませんでした。  第二の質問の点の、個別の債権の処理見通しについて総裁はどう判断したかという点でございますけれども、先ほども申し上げましたように、全体としての時間の厳しい制約の中での審査でございましたから、事務当局におきましてそのあたりの総体的判断というものを、私は詳細聴取をいたしましたけれども、自分で個別の、例えばラインシートというようなものに目を通すというようなことはいたしておりませんでした。
  139. 西川知雄

    ○西川(知)委員 日銀は、私の聞いたところでは、六百億円の巨額に上る公的資金を導入するのに、その審査をわずか二日程度でやったということで、これは私にとって非常に驚きなんですが、山口参考人に同じことをお尋ねしたいと思います。  このときは、支援先の関連会社に対しては、要注意先ということで、日債銀は二分類にしてもいいんじゃないかと。九年九月十一日の示達で一兆一千二百十二億円と七千億円と併記していた。そして、それも当局の見解としてそういうふうな併記をしていたんで、これは、要注意先としてまず債務者区分をしよう、そしてその要注意先として債務者区分をしたものを申請の基礎資料として提出をした、こういうふうなことが事実でございます。  また、引き当て償却についても、これはしなくてもいいというふうに大蔵省も言っていたんじゃないかというふうに、まあ、これは曲解したのか、自分の方にいいように解釈したのか、これは別としましてそういうふうに解釈をされていた。  したがって、要注意先、すなわち三分類には決してならない、二分類である、そして引き当てもしないというような申請を出していた。こういう申請を出していて、それをオーケーしたということはまず事実ですか。
  140. 山口公生

    山口参考人 お答え申し上げます。  二分類としての申請書になっておったと思います。私どもは以前の検査では三分類という指摘をしております。したがって、どうも資産区分がおかしい、甘いということをやはり指摘したわけです。したがって大臣には、銀行を呼んで、頭取を呼んで、よくその支援の方針とかそういうことを聞いてくださいということを言ったわけです。  それから、引き当てをしなくてもいいというようなことを言っているわけではありません。それは注書きに書いてあるとおりのことで、それ以上のものでも何でもないと私は思っております。  それで、その申請書をオーケーしたのかどうかということですが、その申請書自体をアプルーブするというような性格の審査会ではありませんでした。そういう出てきたものを審査の材料にして、結局投入をするかしないかを決める、したがって、債務超過かどうかの、つまり資産分類が合っているか合っていないか、幾ら間違っているかとかいうことをそこで結論づけてやるという場ではありませんでした。  それは、もし時間がかなりあって、三月期の危機を乗り越えようという時期でなくて、あと数カ月かけられるということであれば、一斉検査でもして、そういうことは、ちょうど今度、今おやりになっているようなことはできたかもしれません。しかし、当時としては、そういった申請書が幾つ間違っているとか合っているとかいうことを言う議論の場ではなかったように思っております。
  141. 西川知雄

    ○西川(知)委員 時間が来ましたので終わりますが、今の、二分類と三分類のこの日債銀の査定の仕方が非常に甘かった、しかしながら公的資金の導入を認めたというのは、わずかな甘さであればそれは構わないかもしれませんが、四千億も査定に違うというときに、甘いとかそういうようなのは、私は問題であるかと思います。  以上で私の質問を終わります。
  142. 中山正暉

    中山委員長 これにて西川君の質疑は終了いたしました。  次に、木島日出夫君。
  143. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。端的にお伺いいたします。  東郷参考人にまずお伺いをいたします。  あなたが日債銀の副頭取から窪田弘頭取の後を継いで頭取になったのは、一昨年、九七年八月十九日でしたね。間違いないですね。
  144. 東郷重興

    東郷参考人 そのとおりです。
  145. 木島日出夫

    ○木島委員 そのほんの直前である九七年七月末に日債銀では、本来やるべき同年春以来延び延びとなっていた部店長会、これを経営陣や部店長が新体制になったこともあって臨時的に開催していると思うんですが、覚えておりますか。
  146. 東郷重興

    東郷参考人 記憶しております。
  147. 木島日出夫

    ○木島委員 そのときの部店長会の参加者は何人ぐらいだったでしょうか。正式に行われた日を、九七年七月三十一日、三十日、どちらだったでしょうか。
  148. 東郷重興

    東郷参考人 本部の部長以上、それに各支店長、役員ということですので、総勢で約七、八十人ぐらいかなというふうに思います。
  149. 木島日出夫

    ○木島委員 もっと多かったんじゃないかと思うんですが、あなたも副頭取ですから、もちろん参加しておりますね。
  150. 東郷重興

    東郷参考人 参加しております。
  151. 木島日出夫

    ○木島委員 そこで、冒頭窪田頭取から「頭取ご訓示」なるものが行われたようですが、窪田頭取が行ったんでしょうか。
  152. 東郷重興

    東郷参考人 そういうふうに記憶しております。
  153. 木島日出夫

    ○木島委員 経営再建に向けた日債銀の基本的な方向を徹底するためにかなり長い訓示が行われたようでありますが、窪田頭取訓示は、その訓示をやるに当たって、事前に取締役会とか常務会などでその内容をきちっと報告して、了解を取りつけた上でそういう基本的な訓示をなされたかどうか、御記憶はありますか。
  154. 東郷重興

    東郷参考人 従来、頭取訓示は頭取御自身が考えられてやっておりまして、事前に取締役会等で議論するということはありません。ただ、もちろん、その頭取訓示の中で言われている戦略なりそういうものは、必要の都度組織決定をされるわけであります。
  155. 木島日出夫

    ○木島委員 私、ここに「頭取ご訓示」の全文を持ってきております。記憶喚起のために東郷参考人委員長にお渡ししたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
  156. 中山正暉

    中山委員長 どうぞ。
  157. 木島日出夫

    ○木島委員 「平成九年七月 部店長会 「頭取ご訓示」」、冒頭に「大蔵省検査や株主総会も終了し、増資も事実上完了致しました。」という発言から入っております。大蔵省検査はその年の四月十六日に始まり、九月十一日に日債銀示達されたはずであります。どうして七月末のこの日債銀の部店長会で窪田頭取は大蔵省検査が終了したとあいさつをされたんでしょうか。
  158. 東郷重興

    東郷参考人 部店長会でございますので、会議の主たる参加者は各支店長とか部長ということでございますので、したがって、現場検査、つまり大蔵省検査は、貸し出しの査定は各担当部との間でやりますので、現場検査が終了すれば、それは各部店長にとっては事実上終了したということになります。
  159. 木島日出夫

    ○木島委員 恐らく日債銀側としては、四月に始まった大蔵検査は事実上終わっていたという認識であったんだろうと思います。  この「頭取ご訓示」を私全文読みましたが、大蔵省検査に触れている箇所が一カ所ございます。三ページ、アンダーラインを引いているところをお読みください。記憶喚起のために読みます。「先の大蔵省検査に於いても、ほぼ、増資要請先に説明した内容の査定結果を頂いて、当行再建の前提条件を確認をして頂いたところであります。」こういう文書であります。  そこで、お聞きします。九七年七月末の時点の話であります。四月から始まった大蔵省検査で、ほぼ増資要請先に説明した内容の査定結果をいただいたとはどういう意味でしょうか。あなた方が増資要請先に説明した内容というのは、いわゆる回収に重大な懸念のある第三分類が約七千億円弱、そういうことをこの発言は示しているのでしょうか。
  160. 東郷重興

    東郷参考人 先ほどの私の答弁の中でも触れたかと思いますが、私どもは、増資お願いの際に資産内容について御説明していた言葉は、回収懸念のある債権ということで、第三分類という表現は検査の終結まで出てこない部分でございますから、したがって、そういう債権について、この部店長会のあいさつでも、回収懸念のある債権という意味説明していたところが認められた、こういう認識だと思います。
  161. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、質問時間が非常に限られているので、端的に答えていただきたいのです。  確認ですが、ここにある発言を窪田頭取がやったことは間違いないですね。
  162. 東郷重興

    東郷参考人 それはそのとおりです。
  163. 木島日出夫

    ○木島委員 そこで、では、さきの大蔵検査においても、ほぼ増資要請先に説明した内容の査定結果をいただいたというのですが、これは、査定結果をいただいたということは、大蔵省からも、いわゆる第三分類が七千億円、そういう了解を内々受けていたということをここは意味しているんだと私は読み取るのですが、間違いないですか。
  164. 東郷重興

    東郷参考人 いや、私は、窪田前頭取がどういう認識でこの部分をやられたか申し上げられませんが、基本的には、現場の査定作業は一段落をしていたときだと思いますし、検査チームは既に日債銀から去っていったというか、いなくなっていった、あとは検査示達を待つのみ、そういう段階であったわけですから、そういう環境の中で、前窪田頭取がこういう御認識を持ったのではないかというふうに想像します。
  165. 木島日出夫

    ○木島委員 既に明らかですが、あなた方は四月以来、第三者割り当て増資を受ける七月末までの間、増資要請先に再三、第三分類は七千億弱だ、そんな程度だと説明していた。そしてそれを、この文、窪田さんの訓示は示しているわけですね。それで、大蔵省の査定結果をいただいたという発言までしている。  しかし、事実は明らかなように、その後、九月十一日に日債銀大蔵省から、回収に重大な懸念のあるいわゆる第三分類は一兆一千二百十二億円という示達を受けているのですよ。注の括弧書きはありますよ。それはあなた方の立場でしょう。しかし、大蔵省としては、第三分類、一兆一千二百十二億円という示達を九月にしているのですよ。どうして七月の末の段階で窪田頭取が、自分たちの主張した、増資要請先に説明した内容の査定結果を大蔵当局からいただいたなんという発言ができるのでしょうか。説明してください。
  166. 東郷重興

    東郷参考人 私の個人の見解として言わせていただければ、私どもは、増資要請先各行に対して、回収懸念のある債権幾らなのか、これが極めて重要でございます。つまり、将来の損、これにつながるものがどういうものであったか。その限りにおいては、九月に私ども示達をいただいた段階でも、基本的には、従前、五月の段階と変わらなかったと思っております。
  167. 木島日出夫

    ○木島委員 それはあなた方の主張であって、大蔵省は一兆一千二百十二億円という示達をしたんですよ。  質問を移ります。  山口参考人にお伺いいたします。  第三分類一兆一千二百十二億円、第四分類五百八十九億円という、九七年九月十一日の検査結果及びその旨の示達、まあ注記もあるんでしょうが、それを、当時の三塚蔵相にその数字報告しておりますか。
  168. 山口公生

    山口参考人 お答え申し上げます。  正確には覚えておりませんが、恐らくそういった個々の金融機関数字自体は上げていないと思いますが、しかし、問題は、増資がうまくいっているかどうか、債務超過でないかどうかということでございますから、その点はポイントポイントで、重要な時点は全部、重要な点は上げてございます。
  169. 木島日出夫

    ○木島委員 さっき中井同僚委員からも質問をされましたが、一つの示達書の中に、第三分類が一兆一千億円、そして括弧つけで七千億円、こんな二つの、両論併記なんていうのは、異例、異例なんですよ。そんなことを覚えていないなんということは、私は納得できない。  しかし、次の質問に移ります。  九八年三月の公的資金投入の問題であります。  最初東郷参考人にお聞きしますが、事実関係だけですから端的にお答えください。  九八年三月に日債銀公的資金申請をしたときに、日債銀として、前年九月に大蔵省から第三分類が一兆一千二百十二億円、第四分類が三けたの億円が指摘されたというその事実は報告しなかった、それは間違いないですね。
  170. 東郷重興

    東郷参考人 間違いございません。
  171. 木島日出夫

    ○木島委員 それから、続いてお聞きします。  佐々波委員会では、九八年三月八日に日債銀から事情聴取をしております。また、この委員会では、事務当局による事前審査もあったはずであります。そこで委員からあるいは事務当局から、不良資産、不良債権償却引き当て方針が適切かどうか聞かれているはずであります。あなたが聞かれているはずであります。  その場で、いろいろあなたのお立場はあるんでしょうけれども、九七年九月に示達された第三分類が一兆一千二百十二億円指摘されましたよ、第四分類、これは絶対に回収できない金額が五百八十九億円ありましたよ、そういう事実を正直にその場であなたから事実開示しておりますか、おりませんか。
  172. 東郷重興

    東郷参考人 基本方針のみで、そういう事実はありません。
  173. 木島日出夫

    ○木島委員 なぜそんな大事な、あなた方にとっては不利な数字かもしれません、しかし、これから公金投入を、入れる審査委員会にとっては決定的な大事な数字だと私は考えているんですよ。なぜ大蔵示達の基本数字、一兆一千億円の数字をみずから率先して言わなかったんでしょうか。なぜ隠したんでしょうか。
  174. 東郷重興

    東郷参考人 公的資金の申請は、自己査定の結果をラインシートを添えて提出しておりますので、それは個々の貸し出しごとにチェックされるものと考えました。
  175. 木島日出夫

    ○木島委員 それはあなたの勝手な話であって、公的資金を投入する可能性のある銀行かどうかを判断したんですよ。健全銀行以外はだめだ、破綻するような銀行はだめだということが法律に書かれているんですよ。その一番大事な数字が、第三分類幾らか、第四分類幾らかということでしょう。私は、今の理由は、正直に前の年の示達書の数字を言わない理由には全くならないと言わざるを得ないということを申し添えて、次に移ります。  山口参考人にお伺いをいたします。  九八年二月、金融危機管理審査委員となった当時の松永大蔵大臣に、それじゃ、九七年九月の大蔵省示達内容は、きちっとその数字、特に第三分類、第四分類数字、または注記、括弧書きがある両論併記された数字報告していますか。松永大蔵大臣報告していますか。
  176. 山口公生

    山口参考人 当時の審査委員会は、一番新しい直近の数字を出させたんです。したがって、三月の見込み時点数字であります。検査は、確かに検査はございました。しかし、時点はほぼ一年前の数字であります。九月に示達をしておりますが、基準時点は一年前でございます。  したがいまして、新しく出された数字を、検査を踏まえてチェックして御報告申し上げた。だから、検査数字大臣に申し上げてはおりませんけれども、あくまでそういったものを踏まえて新しい直近の数字を見て、私どもがいろいろ調査した結果をお上げした。ポイントはまた、分類がどうのこうのというよりは、基準に当てはまるかどうかでございますから、その点を中心に御説明申し上げたということです。
  177. 木島日出夫

    ○木島委員 時間ですから終わりますが、新しい古いなんて全然関係ない。先ほどのこの質疑を通じましても、日債銀の一兆一千億円の数字というのは、日債銀自身が認めていた七千億円に、大蔵省指摘をして日債銀が渋っていた四千億円、いわゆるペーパーカンパニーに対する、受け皿会社に対する四千億円だとはっきりしてきているんですから。新しくないんですよ。古いのも新しいのも一致している。今の答弁は全く納得できない。改めて私は、松永前蔵相やあるいは窪田前頭取の証人喚問が必要だということを申し述べて、終わらせていただきます。
  178. 中山正暉

    中山委員長 これにて木島君の質疑は終了いたしました。  次に、保坂展人君
  179. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。東郷参考人伺います。  日債銀といえば、故金丸自民党副総裁の巨額脱税事件の際に、ワリシン、無記名の金融債ということを私はすぐ思い出すわけですけれども、また、親密な企業として知られてきた丸金コーポレーションという会社がある。この会社に対して巨額の融資を行いながら、去年の九月十七日まで、麹町や南青山など、この丸金コーポレーションの不動産融資に八年ぐらい抵当権を登記していなかった、こういうことは事実ですか。
  180. 東郷重興

    東郷参考人 御指摘の点は事実だと思います。
  181. 保坂展人

    保坂委員 巨額の融資をしながら、なぜまさに経営のトップとして、金融監督庁の厳しいいわば検査が入っている最中に慌てて登記をする、しかも八年もたってする、これはどういうわけですか。
  182. 東郷重興

    東郷参考人 通常、貸し出し担保物件の登記につきましては、相手の債務状況に応じて、担保物件を直ちに登記する場合と、登記留保の形で登記手続はやらないという場合は通常ございます。  丸金コーポレーションの場合に、かねてからのいろいろな取引の中でその債務状況判断しながらそういう判断をしていたんだろうと思います。
  183. 保坂展人

    保坂委員 重ねてお尋ねしますが、登記留保をしていた場合に、他の債権者に対して担保権を主張できないという日債銀としてのリスクがあるわけですね。そこまでしても同社との関係を表に出したくないということがあったんじゃないですか。
  184. 東郷重興

    東郷参考人 そういうことではなくて、登記手続は、私ども、お取引先の中で何か危ない状況が生じた場合にはもう直ちに登記手続を行いますし、それはある意味で極めて迅速にできますものですから、登記留保を、行わないというのは、決して異常なことではないと思います。
  185. 保坂展人

    保坂委員 国有化が決定する直前の二日間、通常の十倍以上の株の売買があった、インサイダー疑惑ということも言われていますね。それからまた、国有化をされればいろいろと名義だあるいは税務上の問題だ、チェックをされるということで、ワリシンをていよく、タイミングよく換金をしてしまった人たちもいるのではないか、こういうふうにも言われていますが、そういうところを、頭取をおやめになるまでお調べになりましたか。少なくともそういう疑惑に対しては調べられたと思うんですが、いかがですか。
  186. 東郷重興

    東郷参考人 私どもが特別公的管理になります直前で、確かに二日間ほど取引が異常にふえた時期がございました。  ただこれは、実は去年の十二月の初めに一部新聞が中央信託との合併をスクープしまして、十二月の九日の日に、我々、合併までいけなかったものですから、全面提携という記者会見をしました。その翌日から、多少の失望感がありまして、株式で、私どもの株が売られたということはございましたが、インサイダーとか、それからワリシンについてはいつでも換金できるというのが今の制度ですので、別に急いで換金する必要はなかったと思います。
  187. 保坂展人

    保坂委員 今の点については重大な問題だと思いますので、資料等を委員会に提出するようにお願いをしたいと思います。
  188. 中山正暉

    中山委員長 理事会で協議いたします。
  189. 保坂展人

    保坂委員 続いて松下総裁伺います。  本日、限られた時間ですけれども日債銀のペーパーカンパニー、非常にでたらめな内容だということが、もうだれが見ても明らかになってきていると思います。  そして、大蔵省日銀という双方のトップをお務めになられた松下総裁ですね、この日債銀のずさんな経営実態をコントロールしたりチェックしたり、結果としてそれができずに貴重な時間と税金と、そして民間からの拠出金も含めて莫大な損失を今生んでしまっているという責任はお感じになりませんか。
  190. 松下康雄

    松下参考人 私ども日債銀に対しまして、新金融安定化基金からの出資を行い、またこの佐々波委員会におきまして審査の仕事をやったという点につきましては、申しましたように、基本的には私どもは、この日債銀をこのまま破綻に直結するような情勢に陥れますことが、当時の日本を取り巻く金融環境の中では非常に避けなければならないことだという基本の考え方がございまして、それに即して誠心誠意審査をいたしましてあのような措置をとったことでございます。  他に、その当時……(保坂委員「時間がないので」と呼ぶ)はい。
  191. 保坂展人

    保坂委員 重ねて伺いますが、結局日銀からの八百億、佐々波委員会で六百億を当事者として入れられるわけですよね。結果としてこういう破綻を生んでしまったということについて責任をお感じになりますか、なりませんか。これははっきり答えてください。
  192. 松下康雄

    松下参考人 この日債銀に対する出資が、今、毀損のリスクが非常に大きくなったことにつきましては、私としましては大変残念でございますし、また遺憾に存じております。  その際に、私どもとしましてこの出資決定を行いましたのが、先ほど来申しておりますような全体の信用秩序の維持のために必要やむを得ない措置であったということは御理解をいただきたいというふうに思います。
  193. 保坂展人

    保坂委員 責任を感じているのか感じていないのか、一言で答えてください。
  194. 松下康雄

    松下参考人 重要に受けとめ、責任を感じております。
  195. 保坂展人

    保坂委員 そうすると、九七年四月九日に大蔵委員会で、決して債務超過じゃないというふうに参考人としてお述べになっておられますよね。まさに奉加帳方式の最中ですが、この発言は間違っていたんですか。
  196. 松下康雄

    松下参考人 結果として、その後の情勢の展開から違った結果になりました。それは私は感じております。
  197. 保坂展人

    保坂委員 山口銀行局長伺いますが、昨年の二月六日の大蔵委員会において、債務超過銀行には公的資金による資本注入はしないと明言しているわけですね。結局、今の事態を見て、そういう原則は全然ばらばらだった、公認会計士がちゃんとやっていないんだなんということをおっしゃいますけれども公認会計士の全部せいにして、大蔵省は全くだまされたんですか、一体何をやっていたんですか。この発言をもとに、今答えてください、きちっと。反省をしているのかどうかもきちっと答えてください。
  198. 山口公生

    山口参考人 当時の判断としては、先ほどからるる申し上げたように、債務超過な状態ではないという認定がなされたわけでございます。それは別に公認会計士のせいにしているということではなく、当時のルールで、そういうふうな仕組みでございましたので、そういうルールのもとできちんとした判断をした上での御判断だったと思っております。
  199. 保坂展人

    保坂委員 今、松下総裁も、いろいろ何回かのやりとりで、責任は感じていますというふうにおっしゃったわけですよ。大蔵省も、それこそ護送船団方式の中でいろいろな、こんなにひどい結果になったことを、つい最近まで現職にあった方として、一言これは反省しているという弁があっていいんじゃないですか。
  200. 山口公生

    山口参考人 結果として、いろいろ大変残念な結果になったと思っておりますけれども、当時、この日債銀が問題になった四月、暮れの四月ごろ、それから十一月の北拓等の事件のころ、それからその次のこの資本注入をやった十年三月の期末をBIS規制上どう超えられるか、私が感じるところ、三つ大変背筋が寒くなるような事態を迎えたわけでございます。  各位のもとで非常に御努力いただきました。また、この国会でも、国会を早く開いていただく等の措置までやっていただきました。それで、そういった最大限の努力をして切り抜けていただいたと思っております。
  201. 保坂展人

    保坂委員 今聞いていると、自分たちはあくまでも正しかったんだ、そういう発言に終始しているので、これはもう改めて、きちっと言葉に責任を持つ証人喚問を要求して、私の質疑を終わります。
  202. 中山正暉

    中山委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二分散会