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1999-02-17 第145回国会 衆議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月十七日(水曜日)委員長の指名で、 次のとおり分科員及び主査を選任した。  第一分科会皇室費国会、裁判所、会計検査  院、内閣及び総理府所管北海道開発庁経済  企画庁、科学技術庁環境庁国土庁を除く)  並びに他の分科会所管以外の事項〕    主 査 小澤  潔君       河村 建夫君    中山 正暉君       牧野 隆守君    生方 幸夫君       草川 昭三君    木島日出夫君  第二分科会(法務省、外務省及び大蔵省所管)    主 査 中井  洽君       越智 通雄君    斉藤斗志二君       森山 眞弓君    池田 元久君       岩國 哲人君  第三分科会総理府科学技術庁)、文部省及  び自治省所管〕    主 査 西村 眞悟君       岸田 文雄君    津島 雄二君       吉田  治君    斉藤 鉄夫君       鈴木 淑夫君  第四分科会厚生省及び労働省所管)    主 査 臼井日出男君       加藤 卓二君    萩野 浩基君       村山 達雄君    岡田 克也君       春名 直章君  第五分科会総理府環境庁)及び農林水産省  所管〕    主 査 伊藤 公介君       植竹 繁雄君    大原 一三君       久間 章生君    小林  守君       大野由利子君    濱田 健一君  第六分科会総理府経済企画庁)及び通商産  業省所管〕    主 査 谷津 義男君       江口 一雄君    亀井 善之君       海江田万里君    肥田美代子君       平賀 高成君  第七分科会総理府北海道開発庁)、運輸省  及び郵政省所管〕    主 査 自見庄三郎君       島村 宜伸君    村田 吉隆君       横路 孝弘君    西川 知雄君       北沢 清功君  第八分科会総理府国土庁)及び建設省所管〕    主 査 北村 直人君       葉梨 信行君    横内 正明君       上原 康助君    太田 昭宏君       加藤 六月君 —————————————————————— 平成十一年二月十七日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 伊藤 公介君 理事 臼井日出男君    理事 北村 直人君 理事 久間 章生君    理事 自見庄三郎君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君    理事 中井  洽君       植竹 繁雄君    江口 一雄君       小澤  潔君    越智 通雄君       大原 一三君    河村 建夫君       岸田 文雄君    斉藤斗志二君       津島 雄二君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    牧野 隆守君       村田 吉隆君    村山 達雄君       森山 眞弓君    谷津 義男君       横内 正明君    岩國 哲人君       上原 康助君    生方 幸夫君       岡田 克也君    小林  守君       肥田美代子君    横路 孝弘君       吉田  治君    石垣 一夫君       大口 善徳君    大野由利子君       久保 哲司君    斉藤 鉄夫君       白保 台一君    西川 知雄君       加藤 六月君    鈴木 淑夫君       西村 眞悟君    木島日出夫君       春名 直章君    平賀 高成君       北沢 清功君    濱田 健一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 高村 正彦君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 有馬 朗人君         厚 生 大 臣 宮下 創平君         郵 政 大 臣 野田 聖子君         労 働 大 臣 甘利  明君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君  出席政府委員         防衛庁長官官房         長       守屋 武昌君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         経済企画庁国民         生活局長    金子 孝文君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省条約局長 東郷 和彦君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省学術国際         局長      工藤 智規君         文部省体育局長 遠藤 昭雄君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         郵政省通信政策         局長      金澤  薫君         労働省職業安定         局長      渡邊  信君  委員外出席者         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   大野由利子君     大口 善徳君   草川 昭三君     石垣 一夫君   斉藤 鉄夫君     白保 台一君 同日  辞任         補欠選任   石垣 一夫君     久保 哲司君   大口 善徳君     大野由利子君   白保 台一君     斉藤 鉄夫君 同日  辞任         補欠選任   久保 哲司君     草川 昭三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十一年度一般会計予算  平成十一年度特別会計予算  平成十一年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算平成十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。
  3. 横路孝弘

    横路委員 私は、今、我が国外交のといいますか、我が国が直面をしております最大の課題と言っていいと思いますが、朝鮮半島の平和と安全、特に北朝鮮との関係につきまして、初めに御質問させていただきまして、その後でガイドラインの質問をさせていただきたい、このように思っております。  私は、この間、日本外交というのは本当に機能したのかなと思いますと、どうも外交はなかったんじゃないかという思いがいたします。いろいろ日本として、拉致事件であるとかミサイル問題であるとか、言わなければいけないことはたくさんあるわけですけれども、外でこれはけしからぬと言っていても、何の交渉の場も、コミュニケーションの場がなければ、その抗議自身意思も伝わらないということになっているわけですね。  そこで、やはりいろいろな意味での、いろいろなレベルでの対話を進めていく、そしてコミュニケーションの場を持つということが当面大変大事なことで、総理大臣施政方針演説の中でも、そういうコミュニケーションを持ちたいという日本政府意思は表明されているわけでございますが、政府の方も、ニューヨーク、北京などの場を通じて北朝鮮との間のいろいろなコンタクトを求めているというように報道されておりますけれども、今まで日本政府としてどういうコミュニケーションを持つための努力をされてきたのか、それについて北朝鮮の側の反応というのはどうなのか、まず外務大臣からその点をお尋ねしたいと思います。
  4. 高村正彦

    高村国務大臣 全く北朝鮮との接触チャンネルがないわけではないのですが、基本的に胸を張ってこういうチャンネルがありますと言えるほどの太いチャンネルがないというのは事実であります。おっしゃるように、お互い地理的にそう遠くないところに存在しているわけですから、お互いが何を考えているのかということはわからなければいけないということで、それなりチャンネルは持ちたいというふうに思っております。  ただ、北朝鮮の側もそういうことを、水面下でそういうチャンネルを持つということについては否定的ではない、こういうふうに思っております。ただ、どういうふうにしていたのかということは、まさに現時点では少なくとも水面下接触でありますから、これを申し上げることが水面上になってしまってちょっと難しいということがあるということは御理解を願いたいと思います。
  5. 横路孝弘

    横路委員 私は、この間のいろいろな経緯経過を見ておりまして、日本政府としてのスタンスがはっきりしていないのではないかなというように思うのですね。相手がいかに理不尽であろうとあるいは不愉快であろうと、やはり独立した国家として国連にも加盟している国でございますから、アメリカ韓国中国もそうだと思いますけれども、ともかく今の北の政権というものを認めて、これとちゃんと交渉していこうという姿勢だと思うのです。崩壊を別に望んでいるわけではない。むしろ、それよりもしっかりと自立して、国際社会の中でその一員として活動のできる国になってほしいという願いを持っていると思うのです。  日本政府は、今の北の政権というものと真っ正面に向き合ってこれと交渉していこうというそこの基本的なスタンスのところがどうもあいまい。あいまいだから具体的な戦略も、あるいは外交的な政策も出てこないということではないかと思うのですけれども、アメリカを含めて、韓国中国の北に対する一つスタンス日本政府と、そこにちょっと距離感があるように思いますけれども、違いますか。
  6. 高村正彦

    高村国務大臣 日本政府といたしましても、中長期的な観点からいえば、第二次大戦後の不正常な関係は正したい、正常化をしたいということがありますし、そして、そのことが朝鮮半島の平和に資するようにしたい、そういうことでありますから、特に韓国と密接な関係をとりながら北朝鮮とはしていきたい、そういうことでやってきたわけであります。  御存じのように、正常化交渉の中においても、日本として当然持ち出さなければいけない拉致の話が出てくると席を立ってしまうというようなこともあった。そういうような状況もあった中で、日本人の拉致の問題について前向きな回答が得られない中で、昨年のミサイル発射、全く無警告で日本列島の上を飛び越えていくというようなことがあった。それに対しては毅然とした対応をとるべきだという観点のもとに、今それなり措置をとっている、こういう状況であって、我が国スタンスがはっきりしていないということはないと思っております。
  7. 横路孝弘

    横路委員 ですから、今の北の政権相手にして話し合いをしていきたいということは、基本的な方針として持っておられるわけですか。
  8. 高村正彦

    高村国務大臣 今申し上げたように、日本政府としては、第二次大戦後の不正常な関係は正さなければいけない、正常化しなければいけない、そして、そのことが結果的に朝鮮半島の平和に資するようにという考えを持っているわけでありますが、まさに、それもこれも今申し上げたようなことで、今毅然とした対応をしようということで一定の措置をとっている。こういう状況の中でも、さらに北朝鮮が建設的な対応を示せば、我が国としても関係正常化をする意思があるということは、総理も呼びかけているところでございます。
  9. 横路孝弘

    横路委員 私は、まず明確に、今お話ありましたように、やはり不正常な関係正常化する、つまり、国交をちゃんと回復するということを一つ目標とすべきだと思うのですね。  米朝が九四年にジュネーブで枠組みをつくって以来ずっと米朝交渉というのは進められてきているわけでございますけれども、この米朝合意事項というのを見てみますと、一番大きな問題は、もちろん北朝鮮核開発を阻止するということで、その見返りに原子力発電所を提供するとか重油を提供するとかいうことと、あと、もちろん、朝鮮半島全体の平和のために米朝関係をどうするか。例えば、連絡事務所を持つとか、あるいは、平和と安全保障のためにどうするかという基本的なところだけ米朝合意として決められています。  そして、基本的なことを決めた上で、アメリカが抱えていた幾つかの問題点、例えば、朝鮮戦争のときのアメリカの行方不明の兵士、あるいはその遺骨の収集とか、あるいはミサイル問題といった問題でありますとか、経済制裁解除問題、これは北から出されているわけですが、そういう問題を、この合意は基本的な事項だけにして、あと個別のいろいろな問題については、個別議題としてずっと話し合いをしてきているわけですね。  ですから、国交回復交渉の場合どうするか、前提条件をつけるかどうかということが一つ大きな課題で、今日本政府の場合は前提条件をつけているわけなんですけれども、例えば、対ロシアとの北方領土交渉でも、領土問題入り口論というものをずっととってきて、解決するためには、入り口論でこの問題を解決しなければ後の関係はなかなか進めないよという政策はやはりまずいというので、重層的政策といいますか、多面的な政策といいますか、必ずしも入り口で解決しなくても、途中か出口か、解決する方向にもっと多様な政策を使っていこうというように対ロシア政策というのは変わったと思うのですね。変化したと思うのです。  いろいろな問題があるけれども、ともかくテーブルに着いて話をしない限り、日本政府意思というものは全然相手に伝わらないわけですから、まず、やはり交渉の場を持つ、その交渉の場の目標は、今言ったように、やはり不正常な関係正常化する、国交回復を進めるということだと思うのですね。  ですから、今ペリー報告が出る、いろいろな微妙な段階ではあるんですけれどもそれを承知で、なかなか微妙な問題だということを前提にしてお伺いしているんですが、やはりそこに踏み込んでいくべきときが来ているのではないかというように思いますけれども、いかがでしょうか。
  10. 高村正彦

    高村国務大臣 北方領土の問題は、旧ソ連でありますが、領土問題が存在すること自体を認めない、それに対応して日本としてもまさにこれを解決しなければ入れないよ、こういう形であったわけでありますが、新生ロシアにおいてエリツィン大統領がまさに法と正義に基づいて解決する、そういうことでありますから、重層的関係でその両方を進めていこう、こういうことになったというふうに理解をしているわけであります。  そして、まさに昨年八月のミサイル発射ということが一つの決定的なことになって日本それなり措置をとったわけでありますから、そこの変化がない中で、その措置を安易にすぐ引っ込めるとか、そういうようなことは私はするべきでないというふうに思っておりますし、そういうことも踏まえて、小渕総理そして私からも、北朝鮮国際社会懸念に対して建設的な対応をとるのであれば、日本政府としては関係改善の用意がある、こういうことを申し上げているところでございます。
  11. 横路孝弘

    横路委員 もちろん、北朝鮮ミサイル発射というのは国際的な慣行あるいは国際法に反したものだ。通告なしにああいう行動をするというのはまことにけしからぬというように思います。しかし、考えてみますと、ロシア中国ミサイルを持ち、核弾頭も持っているわけですね。それと北の違いを考えますと、国交が回復していない、交渉する場が全くない、お互い信頼関係が全くないというところにやはり大きな原因があるように思うわけです。  もう一度お尋ねしたいと思うんですが、建設的な対応があればというのは、それは交渉を進める一つ前提条件交渉を進める条件としてお話しされているんでしょうか。
  12. 高村正彦

    高村国務大臣 条件という言葉の定義にもよると思うんですが、建設的な対応を示すのであればというのは極めてこれも漠とした表現でありますから、明確な、これこれ、これをやればというような意味条件ということではないわけでありますが、やはり北朝鮮の側がまさに国際的に許されないようなことをした結果起こっていることについては、それなり北朝鮮が建設的な対応を示していただかなければ、日本としてその時点でとった措置を安易に変えるというようなことはできないということを申し上げているわけであります。
  13. 横路孝弘

    横路委員 もう一度後で、その建設的対応ということについてお尋ねしたいと思うんですが、テポドンが発射されて日本KEDO協力凍結いたしました。そしてまた、アメリカから言われて、別に北から謝罪も遺憾の意の表明も全くないままにこれを解除いたしました。北から見ていてどう見えるかということなんですね。日本が怒って凍結をした、アメリカに言われて解除したというのを見ていますと、日本という国はアメリカと話をつければそれでいいのだなというように受けとめられる。私は、外交としてこの措置凍結から解除に至る一団の経緯経過ということは、やはり戦略を欠いた対応だったのではないかなというように思うのです。  というのは、KEDOというのは、米朝合意北朝鮮核凍結の、いわば核開発凍結させるという戦略的手段なわけですね。米朝合意枠組みの一番の基本をなしているわけですね。これを日本北朝鮮への抗議メッセージとして使ったというところにそもそも無理があったのではないか。KEDOというものの持っている意味、これについて、どうも判断対応を間違えているように思いますが、いかがでございますか。
  14. 高村正彦

    高村国務大臣 北朝鮮ミサイルを発射した日というのは、まさにKEDO拠出について日米韓それぞれが署名をする日であったわけであります。そういうときに何事もないように署名をするようなことは、その時点北朝鮮に誤ったメッセージを与えるであろうと日本政府は思いましたし、それについては米国政府韓国政府も、それはもっともだと言って理解を示したわけであります。  ただ、そのとき、今委員が御指摘のように、北朝鮮核開発を阻止するための、これはまさに最も効果的で最も現実的な枠組みでありますから、そういうことを認識した上で、ほかのとった措置とは違って、早晩この措置をやめることあり得べしということは、私も、その表現は、KEDO枠組みを壊すつもりはないということを同時にその時点で申し上げているわけであります。  そういう中で、これはEUやその他の国も含まれますけれども、基本的には日米韓が中心となった大きな共同事業みたいなものでありますから、そういったことについてお互い意見を言うのは当たり前でありますが、その最初の時点で、きょうは署名できないということについては、それはもっともだということで了解した。ただし、それが時間の経過とともにKEDO枠組みに悪い影響を及ぼすような状況になったら、その共同事業者の、アメリカだけじゃありませんが、韓国にしても、もうそろそろいいのじゃないのと言うのも、これも当たり前のことだと思いますし、日本政府判断として、日本政府のちょうどいいと思う時期に、凍結解除という言葉は使っていないわけでありますが、一般に言われる凍結解除を行った、こういうことでございます。
  15. 横路孝弘

    横路委員 KEDO資金分担というのは、ある意味ではKEDO内部の取り決めなわけですね。これは北から見ると、資金をどこから調達するかというのは、特に直接的な関係のある話じゃなくてKEDO内部の話ですから、ここで凍結するとアメリカ韓国が一番困っちゃうわけですね。今外務大臣お話があったように、もともと日米韓でつくった枠組みですから、米朝合意に基づいてその負担はしていこうということで一応十億ドルの負担をすることになっているわけなんですけれども、そういう合意をなしている基本的な事項であり、しかも、それはある意味で言うとKEDO内部の問題であって、これを手段として使うと困るのはアメリカであって北ではないというところにこの問題の非常に微妙な点があるわけです。  それで、防衛庁長官にお尋ねしたいんですが、この一月に韓国を訪問したときに、ミサイル発射KEDOについて関連づけて御発言されたようですが、どんな御発言をされたのか、それについて韓国側反応はどうであったのか、お答えいただきたいと思います。
  16. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 一月に韓国を訪れまして、千長官との会談を行ったわけでございますが、核兵器疑惑弾道ミサイル開発の動きのある北朝鮮情勢について意見交換を行ったわけでございますけれども、その際、北朝鮮は既にノドン・ミサイル開発と配備は完了した、テポドン一号及び二号についてもかなり開発が進んでいるというようなこと、また核疑惑につきましては、疑惑は非常に強いけれども、やはり決めつけるだけの確証がないというような点、こういう点について認識を共有したわけでございますが、こうした北朝鮮情勢に対して、今後とも日米韓、三国間の緊密かつ継続的な協議を続けていこう、そして三国間の協調に基づく対応が重要であるという点で認識が一致した次第でございます。
  17. 横路孝弘

    横路委員 例えば、北朝鮮弾道ミサイルを発射した場合にはKEDOへの協力が難しくなるという発言防衛庁長官がされて、韓国側からは、しかしKEDOというのは朝鮮半島の安定にとって大変重要な問題だというような話が韓国側国防大臣からされたというように報道されていますけれども、それは間違いないのでしょうか。どんなやりとりになっているのでしょうか。
  18. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 日本としては、我が国の頭の上を無通告北朝鮮弾道ミサイルが飛ぶというようなこと、そして、これが、また再び同じような事態が起こるとすれば、国会国民感情として、KEDOへの資金協力というのはなかなか難しくなるのじゃないかという懸念を私は持っているというふうに申し上げました。  これに対して金大統領からは、しかしながら、今自分は包容政策というものをとっているけれども、このKEDOに対する協力というのはやはりぜひ必要なものであるから、その点についてはお互いに慎重に考慮していくべきであるという発言がありました。
  19. 横路孝弘

    横路委員 ペリー報告について後でお尋ねしますが、その中にも、このKEDOの問題というのは相当、どういう報告になるか別にして、やはりアメリカにとっては大変重要な問題だと思うのですね。  KEDO理事会決議書署名をされて、十億ドル拠出をしなければいけないわけなんですけれども、これはどうなさるおつもりなんでしょうか。協定づくりあるいは国会への提出というようなことは、作業は進められているのですか。アメリカからも、その辺については早くと言われているというように聞いていますけれども、いかがでしょうか。
  20. 高村正彦

    高村国務大臣 アメリカから言われているとか言われていないとかいうことでなくて、ある時点でしかるべき対応をとる、具体的に言えば、国会の承認を得るということをしなければいけない、こういうふうに思っております。
  21. 横路孝弘

    横路委員 これは、ちょっとアメリカとの関係もあり、ペリー報告とも絡んでくるでしょうから、微妙な問題であるということは承知してお伺いしているのですけれども、いずれにしても、KEDOというのが、今までの米朝話し合い、それからその後の四者会談へといった話し合いの基本的な枠組みの根幹をなしておる問題だということだけは、ひとつしっかり踏まえて対応していただきたいと思います。  次に、韓国金大中大統領のもとで、いわゆる太陽政策といいますか、包括的なアプローチということについてお尋ねしたいと思いますが、これは、やはり基本的には朝鮮半島の冷戦構造を終わらせるということを一番大きな目標にして、そして、既にできている南北合意というものを実行していくというようなこと、朝鮮半島全体の、それこそミサイルを含めた軍備管理あるいは信頼醸成といったものをつくり上げていこうという、やはり一つの大きな戦略に基づいた提案だというように受けとめております。  外務大臣は、先日韓国を訪問されて金大中大統領外務大臣とも会談されたようですが、この韓国の包括的アプローチということについてどういう説明があったのか、まずその点をお尋ねしたいと思います。
  22. 高村正彦

    高村国務大臣 包括的アプローチについては、長期的な視点から北朝鮮を関与させる、南北の平和共存の達成を目指すとともに、北朝鮮の核兵器開発問題やミサイル問題のような当面の懸案にも対処していくという政策である、こういうような説明がありました。  我が国としては、このようなアプローチの目標は基本的に理解し、支持をしているわけであります。
  23. 横路孝弘

    横路委員 基本的には、北朝鮮に与えるものは与え、得るものは得るということで、例えば、米朝国交、樹立までいくのかどうかわかりませんが、国交あるいは経済協力、北への安全保障といったようなもの、向こうから得るものは核開発凍結やあのミサイル問題といったような割と具体的な課題について、この包括アプローチというのは明確になっているのじゃありませんか。もう少し具体的にお話をいただきたいと思います。
  24. 高村正彦

    高村国務大臣 金大中大統領が私に説明したのは、一つ一つの、どういうことがある、どういうことがあるということを説明したというよりも、むしろ今までアメリカがやっていた、ミサイルミサイル、核は核、そして一つ一つのことをやっていたのでは時間がかかってしようがないじゃないですか、やはりそれは、南北の冷戦構造を解消するところまで含めてみんな一遍にテーブルにのせて、そして包括的にやった方がかえって早く済むのではないか、こういうことを、全体の理念を私に説明したわけであります。
  25. 横路孝弘

    横路委員 その包括的な解決の中には、日本北朝鮮との例えば国交回復といったようなことも一つのテーマになっていると思うのですけれども、いかがですか。
  26. 高村正彦

    高村国務大臣 洪淳瑛外交通商部長も金大中大統領も、日朝の国交正常化が中に入っているとか入っていないとか、そういうことを必ずしもおっしゃったわけではなくて、懸案があるのなら、それを包括的にやった方が、一つ一つ個別にやるよりも早くなりますね、こういうことを説明されたわけで、そういったことも将来の課題として包括の中に入ってくるか入ってこないかということは、今後考えていくべき話なんだろうと思います。
  27. 横路孝弘

    横路委員 金大中大統領の補佐官、秘書官になるのですか、林東源という方も来られて、日本政府にも説明をし、それから、最近は北京へ行って北京政府にもこの包括的アプローチの説明をしていると思うのですが、これは、ペリー報告とも非常に関連してくるわけですね。一体アメリカがどういう、従来の米朝合意、一部修正するのか何かつけ加えるのか、どんな政策を出すのかということは、これは日本にとっても韓国にとっても大変大きい要素になるわけなんです。  その中に、この韓国の包括的アプローチ、金大中大統領の記者会見では、アメリカ側も十分これを理解してくれているという期待を表明していますけれども、その辺のところの包括アプローチと今度のペリー報告との関連というのは、これは、まあアメリカがやることでありますけれども、十分いろいろな情報提供を受けていると思うので、その辺のところはどういうぐあいになる見通しですか。
  28. 高村正彦

    高村国務大臣 現在、ペリー北朝鮮政策調整官は、米国の対北朝鮮政策の見直し作業を行っているところでありまして、今後、見直しを完了させる前に、我が国韓国と緊密に協議することにより、日韓米全体としての政策調整を図ることになります。  当然のことながら、金大中大統領とペリー調整官がもう既にお会いもしているわけで、これからもまたお会いになるでしょうが、そういった金大中大統領の考え方が当然何らかの影響が入ってくるでしょうし、日本の考え方についても何らかの影響が入ってくるでしょうが、現時点でペリー調整官、アメリカ側自身がまだそれを固めていないし、そして、内容はこうだということを言っておられない段階で、我が方が連絡を受けていることを我が方の方から明らかにするということは、ちょっと差し控えたいと思います。
  29. 横路孝弘

    横路委員 米朝合意以後の状況の中で、アメリカにとって多分一番関心があるのは、弾道ミサイル問題だと思うのですね。  この問題について、アメリカの立場がどういう立場かということなんですが、どうも、いろいろとお話を聞いてみますと、輸出の規制というところにアメリカの態度というのは重点が置かれているんじゃないか。日本の場合は、配置そのものについて今問題提起をしているところですね。その辺のところは意見の食い違いはないんですか、アメリカとの間に。
  30. 高村正彦

    高村国務大臣 開発、配備、輸出あるいは発射、そういったことすべてが困るということについて、基本的に意見の不一致はない、こういうふうに思っております。
  31. 横路孝弘

    横路委員 問題は、今回のペリー報告の中でどういう政策、方向性が出るのかということが大変大きいわけでございますが、しかし同時に、この朝鮮半島の問題は、周辺の中国とかロシアというところとの連携、情報の交換、提携といったところも非常に大事な点だと思うんです。  アメリカ韓国も、したがって今の作業について、先日はカートマン朝鮮担当の特使も北京へ行かれたということなんですが、日本政府はこの問題について、中国との間の連携というのはどういう状況になっているんでしょうか。  やはり中国北朝鮮への影響力というのは、まあ一時期ほどではないにしても、やはり大きいものがあるわけでございまして、その辺のところは十分意見交換をし、情報交換をし、そして連携をするということも大変大事だと思うんですが、江沢民国家主席が来られたときもその辺のところについてはどうも余り十分に意見交換ができなかったようでございますけれども、その後どんな日中協議になっているんでしょうか。
  32. 高村正彦

    高村国務大臣 江沢民国家主席が来られたときも私とトウカセン外交部長の間で、ミサイルの問題あるいは核の問題、中国側から北朝鮮に対する影響力を行使してほしい、そういう話し合いは随分したところでございます。
  33. 横路孝弘

    横路委員 最近アメリカの高官が日本に来て、日本のマスコミの皆さんと会うと必ず受ける質問は、一体アメリカはどんな状況で北を攻撃するのかといったような話ばかりだと言って、むしろアメリカの方がかなり驚いている、三月危機とか四月危機とか。それは決してアメリカが言っている話じゃありませんよ。コーエン国防長官韓国に行かれて、別にそんな意図を持っているわけじゃないということを言われているわけで、問題は、アメリカ任せ、韓国任せにしないで、日本としての努力をどうするのかということがやはり問われていると思うんですね。  最悪事態にどうするかということは、それはそれでそちらの専門の方が対応すればいいことで、外務省はやはりここをどうやって、そういう紛争が起きないようにどうするのかということが外務省の任務ですから、しっかりした方向性を持った外交をやはり展開してもらいたいなというように思うんですね。  そういう点からいうと、どうもこの間は何をしていいかわからなくてちょっとうろうろしておったという感じが非常に強く私はいたしておりますので、いろいろな問題がございますけれども、冒頭申し上げましたように、ともかく話し合う場所を持たなければ、我々が持っている抗議意思さえ相手に伝わらないということでは、これはもう国家間の関係としては最悪だというように思いますので、そういう努力を、先ほど水面下で努力しているというお話がありましたが、何も水面下でやる必要はないわけで、堂々と表に出てやって、向こうがどういうことを言っているか、そのこともやはりオープンにしてやられた方がいいんじゃないかというように思いますが、最後に、外務大臣の基本的な今後の御努力についてひとつお答えいただきたいと思います。
  34. 高村正彦

    高村国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、日本政府とすれば、北朝鮮国際社会懸念に対して建設的な対応を示すのであれば関係改善をしていく用意があるということを粘り強く言っていくと同時に、具体的にチャンネルはもう少し太くした方がいいだろうと思っていますから、その努力はいたします。  そして、水面下水面下というのは、何も日本側の事情だけで水面下であるわけではないということだけは申し上げておきます。
  35. 横路孝弘

    横路委員 次に、ガイドラインの問題について御質問をいたしたいと思いますが、このガイドラインの中で随分幅広くいろいろな議論はされてきています。議論はされてきているんですけれども、どうもやはりはっきりしないということで、私はちょっと周辺事態についてお尋ねしたいと思うんです。  まず、この中で、周辺事態が発生することのないように外交上のことを含むあらゆる努力をするんだということがまず大前提になっています。その上で、周辺事態が予想される場合には日米両国政府が共通の認識に到達するための努力を始めるんだ。同時に、日米両国政府は、事態の拡大を抑制するために外交上のものを含むあらゆる努力を払うというようにガイドラインでなっています。外交上の努力というのは、例えばどういうようなことをお考えでしょうか。
  36. 高村正彦

    高村国務大臣 例えばどういうことと言われても、余りに広過ぎて困るわけでありますが、やはり近隣諸国の間で武力衝突が起こらないような努力をするとか、まあ平素から日本政府外交努力としてやっている平和外交の努力をしていく、こういうことでございます。
  37. 横路孝弘

    横路委員 これは周辺事態への対応で、その事態が予想される場合でございますが、私は、日本外交の基本というのは国連外交でありますから、そういう事態が予想されるような場合にはやはり国連という場でまず解決を図る努力をすべきだと思うんですね。  例えば、こういう事態で周辺事態が予想される場合に、国連に対して報告をするということはなさらないんですか、報告をすべきだと私は思いますけれども。
  38. 高村正彦

    高村国務大臣 どういう状況になっているかにもよりますが、国連に報告するあるいは国連で討議することがそういった事態を予防することに役に立つという判断がされれば、もちろんそういうことをいたします。
  39. 横路孝弘

    横路委員 国連憲章の三十五条で、国連の加盟国というのは、いかなる紛争についても、理事会や総会の注意を促すことができるというのがあります。アメリカの行動に日本協力するという枠組みになっているわけで、米軍の場合は、憲章五十一条の場合は、行動すればすぐそれは報告しなきゃいけないわけですね。問題はその前の段階です、周辺事態が予想される事態ですから。予想される事態でともかく一番の問題は、やはり軍事的紛争にならないようにそれを阻止するということが大変大きいわけですね。  その場に、やはり国連の活動というのは大変大きいわけですから、まず国連の安保理事会などに報告をして国際社会協力を求めるということが日本政府として大変大事ではないか。もともとそういうことを前提にしてこのガイドラインの枠組みの最初のところを見ますと、やはりそういうことが書かれているわけですね。ですから、まずそれは、周辺事態が予想される場合には、もちろんアメリカとの話は進行していくんでしょうけれども、まずやはり国連の安保理事会報告をして、そして国際社会理解をもらう。それで国際社会でもその紛争解決のために努力をしてもらうというのは当然のことだと思いますけれども。
  40. 高村正彦

    高村国務大臣 ケース・バイ・ケースだと思いますが、委員がおっしゃったことは極めてよくわかるところでありまして、国連の安保理で討議してもらうことが紛争の予防に役に立つ、そういうような状況であれば、それは当然日本政府としてはいたしますし、そういうことをやらないということは全くないわけであります。
  41. 横路孝弘

    横路委員 役に立つとか立たないじゃなくて、国連を中心に我が国はいろいろな問題に対応していこうということを一つの原則にしているわけですから、当然それは——あるいはアメリカ報告する場合もあるでしょう。しかし、アメリカ報告するかしないかにかかわらず、周辺事態というのは日本の平和と安全に重大な影響を与える事態だと言っているわけでしょう。そうすると、その事態が発生することが予想されるという場合にまずやるべきことは何かというと、周辺事態にならないようにそれを予防するということが大事なわけですから、日本政府の努力の一つとしては、やはり国連の安保理事会にそのことを報告して協力をしてもらう。そうすると、国連安保理事会の方では、いろいろ調べるなりなんなりして、いろいろな措置がとれるわけですから、それをやはり前提にすべきじゃないかと私は思いますが、いかがですか。もう一度。
  42. 高村正彦

    高村国務大臣 理論的、絶対的前提とするかどうかは別として、委員がおっしゃっていることは大いにあり得ることだし、あり得べきことだ。日本政府としても、紛争の予防に全く役に立たないような場合がもしありとすればそれはわかりませんけれども、やはりそういうことは、一般の場合、紛争の予防に役に立つんだろうと思うんですね。だから、委員がおっしゃることはよく理解をいたしますし、そうしたいと思います。
  43. 横路孝弘

    横路委員 これ、ガイドライン、余り議論されていませんが、平素からの協力というのもいろいろ問題がありまして、これを見ていると、やはり国連中心でいくのか。アメリカは、例えば、国連に一々諮って、そこの合意を得るのは手間暇かかる、日本と一緒にやっちまおう、こういうこともアメリカ判断としてはあり得るんですね。  そうじゃなくて、日本の場合は、特にこの周辺事態について今議論しているわけでございますけれども、やはり国際社会報告をして国連安保理事会協力を得るということ、これは当たり前の話であって、何か紛争が起きそうだというときに、まず、その事態にまだなっている前に、そのための努力をするというのは当然のことだと思うんです。しかも、アメリカに対してだって、やはり国連の安保理事会にこの問題を出そうじゃないかということを働きかけることだって必要だと思いますけれども、いかがですか。
  44. 高村正彦

    高村国務大臣 そのときの事態の態様によるんだろうと思うんです。時期が極めて切迫しているときに、それじゃ安保理での何らかのお墨つきがないうちは何もできないのかどうかといった話もあります。ただ、私たちは、そういうことが紛争の予防に役に立つ、多くの場合には役に立つでありましょうし、そういうときには国連の安保理にそういう話を持ち込んで、そして討議してもらうということは十分あり得ることで、ただ、それがすべての場合の前提かと言われると、直ちにイエスとは言えないわけであります。
  45. 横路孝弘

    横路委員 そのすべての場合にはそうは言えないというのは、実は米軍のいろいろな過去における行動とのかかわり合いがあるわけでございますが、私は、これも後で議論しますが、周辺事態というその認定と、だからといってすぐ米軍の行動に自衛隊が協力するということは別だと思うんですね。これは必ずしも周辺事態だからといって米軍の行動にすぐ自衛隊が協力するというものではない、そこにもう一つ判断が入るというように思うんですけれども、いかがですか。
  46. 高村正彦

    高村国務大臣 それは極めて当然のことでありまして、周辺事態であっても、日本の平和と安全に重要な影響を及ぼすことを防止するために役に立つといったような観点の、日本の国益からやった方がいいかどうかということは当然考えることになります。
  47. 横路孝弘

    横路委員 そこで、日本が行動するに当たって、国際社会の一定の合意といいますか、理解といいますか、これがやはり必要じゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  48. 高村正彦

    高村国務大臣 日本は戦後一貫して国際社会から孤立しないようにやってきているわけでありますし、日本のあらゆる政策国際社会から受け入れられるようになるように努力すべきことは当然のことでありまして、受け入れられるようなことをやってまいりたい、こういうふうに思っています。
  49. 横路孝弘

    横路委員 周辺事態というのは日本の平和と安全に重大な影響を与える事態だ、一応幾つかのケースは今まで御答弁されていますけれども、しかし、ケース・バイ・ケースだ、こういうお話なわけですね。  しかし、自衛隊の任務というのは本来何かといいますと、国土防衛なんですね。幾つかの任務が、もちろん防衛出動、災害出動、治安出動、それからPKO活動、こういうぐあいに決められているわけですが、主な任務は何かといえば、やはり国土防衛が自衛隊の主任務でございます。ですから、自衛隊は直接、間接の侵略行為があって初めて行動し得るわけですね。それは、侵略のおそれも含めて、侵略があって初めて行動し得る、それが専守防衛ということの戦略だと思うんですね。  したがって、日本の平和と安全に重大な影響を与える事態というのは、日本有事につながる危険性があるというような事態じゃないんだろうか。日本有事と全く関係のない事態ではない、日本有事と、その外にあるといいますか、ほっておくと日本有事に至る、そういう種類の事態ではないか。これが自衛隊の任務などからいっても当然の解釈ではないかというように思いますが、日本有事との関連についてどう考えますか。
  50. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 周辺事態は、法律に書いてありますように、「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」であるということでございますが、これは、軍事的な観点を初めとする種々の観点から見まして、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態を意味しておりますので、このような事態として典型的に考えられるのは、我が国周辺の地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような武力紛争が発生している場合、またこのような武力紛争の発生が差し迫っている場合、またこれらの場合以外にも、例えば、ある国、地域における政治体制の混乱等により当該国、地域において大量の避難民が発生し、我が国に大量に流入する蓋然性が高まっている状況、ある国が国連安保理決議に基づく経済制裁の対象となるような国際の平和と安全に対する脅威となる行動をとっている状況等であって、それらが我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態がこれに当たりますので、私どもは、こういう事態を周辺事態ととらえて今後対応していかなけりゃいかぬ、こう考えております。
  51. 横路孝弘

    横路委員 それで説明になっているようで、しかし、よく考えてみるとやはり説明になっていないんですね。つまり、今お答えがあった、例えばある国、地域における政治的体制の混乱によってその国、地域で大量の難民が発生して我が国に流入するような状況というのを挙げましたが、これは別に軍事的要素は何もないでしょう。難民が発生したら、それは国際社会の原則に従って救助すればいいだけの話ですよね。  ですから、問題は、やはり、日本に対して直接、間接のそういう侵略行為、日本有事につながっていくという軍事的な要素というのがなければ、これは周辺事態と言えないんじゃないですか。
  52. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 私は二通りのことを申し上げたんで、最初の、武力の紛争が発生している場合、また発生のおそれがある場合は軍事的観点からと申し上げました。  しかし、周辺事態というのは、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態でありますから、軍事的な観点ばかりではなくて、大量の難民が発生して我が国に大量に流入する可能性が高まっているとか、あるいは国連安保理決議に基づく経済制裁の対象となるような、国際の平和と安全に大いなる脅威となる行動をとっている状況である、こういう二つの面を周辺事態として理解しているわけであります。
  53. 横路孝弘

    横路委員 ちょっと防衛庁長官の答弁は従来の答弁と違うんですよね。つまり、周辺事態というのはやはり軍事的な要素を含む事態なんだ、こういうお話はずっと一貫した答弁だったんですよ。今のお話だったら、軍事的観点を含むものと含まないものとに分けて御説明されましたけれども、従来の答弁は一貫して、その周辺事態というのは、やはり軍事的な要素を含んでいるんだという事態なんだという説明だったと思いますけれども、違いますか。
  54. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 まあ質問にもよりますが、先生のような御指摘の質問であれば、私は両面にわたってこれまで一貫して答えておるつもりでございます。
  55. 横路孝弘

    横路委員 いや、それは、外務大臣、どうですか。そこは違うんじゃないでしょうか。  今まで、要するに、この周辺事態、平和と安全に対して影響を与える事態というのは、いろいろ議論されてきました。その中で、政府が一貫していたのは、ケースとして今防衛庁長官が答弁したケースを挙げられて、そして必ず軍事的な観点、軍事的な要素というのは含まれている事態なんだ、こういうお話をしてきましたよ、答弁、今まで。
  56. 高村正彦

    高村国務大臣 これは日米安保条約との関連で議論されていることでありますから、全く軍事的に関係ないというようなことはないんだと思いますが、例えば、大量に避難民が発生している場合、それが全く軍事的な観点も含めた日本の平和と安全に影響がないような場合は別として、ある場合も私はあり得るんだろうと思うんですね。  だから、ただ大量に避難民が発生している場合は全部周辺事態だと言っているわけではないわけで、大量の避難民が発生して、まさにその大量避難民の中に武装避難民みたいな場合があり得るし、あるいは避難民が出ることをどこかの国が阻止しようとして、逆にそれを助けようとする国との間でどうするとか、いろいろな場合が想定されて、私は余り具体的な事実は申し上げたくないわけでありますが、ですから、あくまで大量の避難民が発生することによって日本の平和と安全に重大な影響を与える場合、こういうことを言っているんで、大量の避難民が発生しても日本の平和と安全に重要な影響を与えない場合だってあるわけであります。
  57. 横路孝弘

    横路委員 私が御質問している趣旨は、この周辺事態に自衛隊が対応する、その憲法上の根拠は何かということが議論されましたときに、法制局長官が、それはいわば我が国の自衛権に根拠があるんだというお話をされました。  我が国の自衛権に根拠があるといいますと、つまり、それはもう自衛隊の任務というのは、先ほど来申し上げておりますように国土防衛でありますから、周辺事態というのも、やはり国土防衛ということをベースに考えるべきであって、周辺国家であっても、あれこれ他国の中にその国土防衛とかかわりない事態について口を出すというのは、それはいわば警察官的役割を果たすということになるわけでして、本来の任務である国土防衛というのをベースにして考えるべきじゃないのかということを申し上げているわけです。  ですから、自衛隊が出る根拠は自衛権にありますよという答弁があった。そして、自衛隊というのは主任務は国土防衛である。したがって、周辺事態というのも、そういう国土防衛をしなければいけない事態に発展するおそれのある、そういう事態がいわば平和と安全に重大な影響を与えるということじゃないんですか。そうすると、それは軍事的な要素を抜きにして考えられない話ですよ。
  58. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 私の説明が少し舌足らずだったと思うんでございますが、私は、さっき二つの態様に分けてお話をしましたが、やはり先生御指摘のとおり、軍事的な観点から全く関係のないものはやはりおかしいと思いますので、軍事的観点その他種々の観点から見てということで再答弁をさせていただきます。
  59. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 周辺事態でございますけれども、ある事態が周辺事態に該当するか否かは、その事態の発生した原因がいかなるものであるかを問わず、我が国の平和と安全に対し、軍事的な観点を初めとする種々の観点から見て、重要な影響を及ぼすか否かで判断されるということでございます。  そのときに、軍事的観点ということと、それから武力攻撃というのは若干混乱して議論がされているんではないかと思うんですけれども、我が国に対する武力攻撃の発生までに至らないものの、通常の警察力をもってしては対応できないような、国民の生命や社会の平和、安定を脅かし得る状況が生ずる可能性がある、こういう場合に、これはまさに我が国安全保障に対する脅威が発生するということでございますので、こういった場合は、まさに我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態、こういうふうに考えます。  それからもう一つ、自衛隊の任務との関係でございます。  自衛隊法三条に、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」こういうふうになっているところでございまして、これを受けて、自衛隊法で、この第六章におきまして防衛出動等の規定が定められているわけでございます。  これと同時に、自衛隊法の第八章におきまして、例えば、国連のPKO活動に対する協力等々の規定もございまして、今回、この周辺事態安全確保法案の中で、その附則におきまして、自衛隊法に百条の十等の規定を置き、御参考までに申しますと、そこの規定は、「内閣総理大臣又はその委任を受けた者は、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、後方地域支援としての物品の提供を実施することができる。」等々の規定を置いて整備をしているということでございます。
  60. 横路孝弘

    横路委員 ですから、自衛隊の任務というのは、日本の国民の生命、安全を守るという任務ですよね。今御答弁ありましたように、やはり軍事的要素というのは含むんだ、これは当然の話で、軍事的な要素の全くない周辺の第三国の中の争いといったようなことについて、それは米軍だって、まあ米軍がどうするかというところが非常に難しいところなんですが、我が国は、少なくとも、それについては周辺事態と認定することはないんだというように考えています。  この辺のところもまだ詰めなきゃいけない問題なんですが、もう一つ国際法一つの原則として内政不干渉という原則がございます。  ある国の内部の混乱が内部にとどまっている限り、その国の内政に干渉すべきでないというのは大きな原則で、先日も本会議で、小渕総理から、内政不干渉という原則は我が国はこれからも守ってまいりますということを、この周辺事態についての私の質問に対してお答えになりましたが、これは、この原則、よろしゅうございますね。
  61. 高村正彦

    高村国務大臣 総理が答弁されたとおりでございます。
  62. 横路孝弘

    横路委員 そこで、先日、内部の混乱、まあ内部の混乱というのはクーデターとか内乱とかいろいろあるわけですが、それが外に波及すれば別ですが、中にとどまっている限りは、ある意味ではその国の問題なわけですね。ただ、先日は、そういう場合でも何か周辺事態になるような答弁をされたというように報道されていますけれども、どうなんですか、それは。
  63. 高村正彦

    高村国務大臣 そういう趣旨で答弁したことはありません。中にとどまっている限り、日本の平和と安全に重大な影響を及ぼすということはないわけでありますから、あくまで日本の平和と安全に重要な影響を及ぼすような事態であります。
  64. 横路孝弘

    横路委員 ちょっと確認しておきますけれども、きのうも議論がありましたけれども、米軍の行動というのは、海外へ相手国の同意を得ないで武力行使をしたというケースは、もうたくさんのケースがあります。  幾つかの類型に分けることができるのですが、一つやはり多いのが自国民の保護、アメリカアメリカ国民の保護ということを理由にして武力行使をする場合があるのですね。これはどうですか、周辺事態というように日本協力するような事態じゃない、これはアメリカアメリカの国益、つまり国民を守るということのために行動したことで、そういう行動にとどまる限り、これに我が自衛隊が協力するということは必要ないことだというように思いますけれども、いかがですか。
  65. 高村正彦

    高村国務大臣 判断するのは日本の平和と安全に重大な影響を及ぼすかどうかでありますから、アメリカアメリカ国民を保護することが、一般の場合には、私はすべての場合を想定する能力はありませんけれども、日本の平和と安全に重大な影響を及ぼすこと、それに直接につながるものではないと思っております。
  66. 横路孝弘

    横路委員 幾つかの点が、一国の内部で混乱があっても、その混乱が内部にとどまる限り、これは我々の関心とするところではない、対象とするところではない。それから、アメリカが自国民の保護ということを理由に行動するというのも、それがその内容にとどまる限りにおいては周辺事態というような問題ではないというお答えがあったというように思います。  そこで、これもなかなか微妙な問題なんですが、台湾の問題についてちょっとお尋ねをいたしたいというように思います。  台湾の問題について、六〇年安保のときからいろいろな議論があって、それはそれでいいのですが、日中国交回復が進められてきている中で、これは四十七年の十一月八日の衆議院の予算委員会でございますけれども、我が国が、台湾というのは中国の領土の不可分の一部であるという中国政府の立場を十分理解、尊重し、ポツダム宣言八項に基づく立場を堅持するというのが日中共同声明の中身になっています。  それで、そのポツダム宣言を引用したのは、サンフランシスコ条約の第二条で日本は台湾などの放棄を定められているところですが、どこに帰属するかというのはサンフランシスコ条約で明らかになっていないところなんで、それを明らかにするためにカイロ宣言、つまりカイロ宣言というのは台湾などについて中国へ返還をするというカイロ宣言の履行をうたったポツダム宣言の八項を引用したということになっているのですね、この共同声明の中身そのものは。  それで、一体安保条約の対象としてどうなのかという議論があっていろいろ議論したときに、大平当時の外務大臣が、こういう答弁を統一見解として述べています。   わが国は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するとの立場をとっております。したがって、中華人民共和国政府と台湾との間の対立の問題は、基本的には、中国の国内問題であると考えます。 という答弁をされておられます。  最近は橋本総理も、九七年の李鵬首相との会談で、台湾というのは中国人同士の問題で平和的に解決してほしいという趣旨のことを発言されています。  この大平外務大臣の答弁でよろしゅうございますね。基本的にはこういうことだと私も思うのですけれども。
  67. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 台湾問題に関する我が国の基本的な立場、これは、日中共同声明において表明されているとおり、中華人民共和国政府中国の唯一の合法政府であることを承認した上で、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するというものでございます。我が国としましては、中国政府が、台湾をめぐる問題は中国人同士の問題として平和的解決を目指していると承知しております。  いずれにいたしましても、我が国としては、かかる基本的立場を堅持した上で、台湾をめぐる問題が関係当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望している、これが、委員御案内のように我が国の基本的な立場でございます。
  68. 横路孝弘

    横路委員 それで、この四十七年十一月八日の衆議院予算委員会の大平大臣の答弁をもう一度確認しますが、これでよろしゅうございますね。
  69. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたように、我が国は日中共同声明におきまして、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する旨明らかにしておるわけでございまして、委員御質問の基本的には中国の国内問題であるという点は、まさに我が国政府のかかる立場をそのように表現したものというふうに理解しております。
  70. 横路孝弘

    横路委員 そこが大事なところでございまして、そのことのメッセージをちゃんと送らなければいけないと思うのですね。  このときに、さらに議論になったときに大平さんが、政府の見解は今の答弁だということで、今後の日中両国の友好関係を念頭に置いて、その点を慎重に配慮していきたいという答弁をされておられます。私は、そこのスタンスをしっかり持って、今の御答弁のメッセージ中国に送るということが大変大事ではないかというように思っております。  そこで、この周辺事態につきまして、さらにもう一、二点ちょっとお尋ねをいたしたいというように思いますが、その前に一つ、重要事態対応会議というのを何か防衛庁が始められたということですが、これを始めた趣旨、従来のシステムではどういう点に問題があって、それでそのためにこういう会議をしたのか、さらに安全保障会議などとの関連についてはどのようなことになりますか。
  71. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 重要事態対応会議は、自衛隊の出動等が必要とされる重要事態が発生する場合において、情報の収集とか分析とか伝達の円滑な実施の確保、それから必要な対応のあり方についてあらかじめ検討をしておこう、こういうことで私のもとに設置されているものであります。  この会議では、これまでに、今後取り扱うべきテーマや北朝鮮問題への対応、特にミサイルが発射された場合の防衛庁や自衛隊の対応などについて検討を行ってきているところであります。しかしながら、会議の内容等につきましては、事柄の性質上公表を差し控えさせていただきたいと思っております。
  72. 横路孝弘

    横路委員 長官の記者会見、九九年、ことしの二月五日のことですが、この中で、テポドン発射に関連して、再発射された場合の対応として、ミサイル弾頭に核や化学・生物兵器を搭載している場合や原発をねらわれた場合を想定しながら対応を考えるというように何か記者会見されたという記事が載っていますが、これは事実でしょうか。対応を考えるというのは、どんなことを想定しておられるんですか。
  73. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 会議では、例えば原子力発電所にそういうものを撃ち込まれたりあるいは化学兵器や生物兵器が撃ち込まれたりした場合にどうするかというようなことも想定しながら議論をしようじゃないかということにしてあるわけでありまして、まだそういう議論はしておりません。
  74. 横路孝弘

    横路委員 これは、安全保障会議にかける前の作業をここでおやりになるんですか。そうではなくて、何を想定して、まあ今、一つの想定をお話しされましたけれども。何か、新聞の報道によると、台湾海峡も想定して議論しているというような報道もございますけれども。
  75. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 先ほどから申し上げましたとおり、これは、私のもとで、防衛庁の中での勉強会でありますから、いろいろなことを想定してやっているということであります。
  76. 横路孝弘

    横路委員 これは単なる勉強会なんですか。
  77. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 勉強会であり、防衛庁として、そういう事態が起こった場合に役に立つものという意味で検討しておるわけであります。
  78. 横路孝弘

    横路委員 周辺事態について、そのおそれが予想された場合からいろいろな作業が入っていくわけでございますが、どこで周辺事態として認定をするのかということになりますと、閣議で決定する、基本計画を決めるという段階で事態認定になるわけです。  さっきも話がありましたが、周辺事態という認定と、それからまたその行動というのは別だということになりますと、国会に対する報告、承認が議論されていますが、その承認の前の段階で、つまり、周辺事態が予想される場合に、国連へ報告すると同時に国会へも報告するということが大変大事だと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  79. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 ある事態が周辺事態に該当するかどうか、周辺事態に際していかなる措置を実施するかにつきましては、日米両国政府が、おのおの国益確保の見地から、その時点状況を総合的に見た上でそれぞれ主体的に判断することとなります。その際、日米両国間におきましては、随時密接に行われている情報交換、政策協議が一層緊密に行われ、このような事態について共通の認識に到達するための努力は払われているということになります。  今御指摘ありましたように、法律には、内閣総理大臣は、周辺事態に際して特定の対応措置を実施する必要があると認められる場合、当該措置を実施すること及び対応措置に関する基本計画の案につきまして閣議の決定を求めることとされておりますが、政府においては、これに先立ち、基本計画の案を策定し、安全保障会議における十分な審議を行うこととなっております。  この基本計画は、このように内閣の判断と責任のもと、閣議で決定された後、法案にありますように「遅滞なく、国会報告」され、国会における議論を踏まえつつ対応措置が実施されていくというのが私どもの国会にお願いしている法案の骨子でございます。
  80. 横路孝弘

    横路委員 ちょっと私の方が誤解を与えたかもしれませんが、私が申し上げているのは、我々、基本的には国会の承認なんです、国会の承認です、基本計画については。  その前の段階、つまりそのおそれのある段階でまず国会報告し、後で国会が承認をするという二つの手続が本当は必要でないのか。周辺事態としての認定それから行動という段階があるわけですが、その周辺事態に至る段階で、国連に報告すると同時にまず国会報告をする、そしていざ行動というときには国会の事前承認が必要だ、このように私は思うんですけれども、何かいろいろな動きがあったときにはまず国際社会報告すると同時に、もちろん国会報告するというのは当然のことだと思うんですけれども、この今の法案で言っている報告の話じゃなくて私は申し上げているわけです。
  81. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 まさに、この法案におきましては、内閣として一定の対応をする必要がある、そういうような、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態について基本計画を作成し、決定し、これを国会に御報告するという考え方でございます。  ただ、一方、この法案の規定とは離れますけれども、そういう事態が予想されるようないろいろな国際環境に応じまして、これは当然のことながらいろいろ国会における質疑等も行われるのであろう、そういうものに対してまた政府としても誠実に対応していくことになろう、こんなふうには思います。
  82. 横路孝弘

    横路委員 特別委員会もできましたので、そちらの方で議論をしていきたいというように思いますが、本当にたくさんの問題がございまして、随分国会でも議論してきています。一通りの問題の議論はなされているんですが、しかしそれにしても、考えて詰めていくとまだまだどうもはっきりしないところがたくさんあるということでございまして、それをこれから特別委員会の中で私どもも大いに議論をしていきたいというように思っています。  ガイドラインについてはこれで終わりますので、外務大臣防衛庁長官、結構でございます。  最後にちょっと一つ、けさこれは新聞に報道されているんですが、国民年金の改正案が今国会に提出をされるということの中で、国庫負担の割合を三分の一から二分の一に引き上げるということはこの委員会の中でも随分議論されてまいりました。そして、自民党の方の方針は、これをちゃんと改正法に明記をするということだったと思いますが、今これはどういう状況になっているんでしょうか。何か、それをあきらめて附則の方に書く、本法じゃないという報道がございますけれども、この年金の改正案について、今どんな取りまとめの段階にあるのか、厚生大臣から。
  83. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 年金につきましては、国民年金と、それから報酬比例部分によって構成されている面がございますが、ただいまの問題は、国民年金ないしは基礎年金の補助制度に関することでございますが、これは二分の一にすることを中期的な目標とするということは合意されております。  しかも、いつからかということになりますれば、財源の確保を得てということになっておりまして、いつかははっきりしないということがございますが、しかし同時に、保険料の引き上げが一方あります。保険料はことしの十月から上げるべきところを凍結をいたしてございます。それはいつ解除するかという問題と、この基礎年金の三分の一を二分の一にする問題とがいわばリンクされているという状況にございます。そういった中で、他の年金システムの改正もやらなくちゃなりませんので、それらをいろいろ取りまとめて今立法化の作業をやっている段階でございまして、本則か附則かというような問題を含めて検討中であるというように申し上げざるを得ません。  そして、最終的には三月の非予算関連法案の一つとして提案をしたい、こういう状況にございます。
  84. 横路孝弘

    横路委員 今まだ検討中だということですが、問題はやはり財源の問題だと思うんですね。その財源については何かこれは前提をつけた形になるんですか。
  85. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 財源につきましては、単年度だけの負担でございませんので、私どもは、特例公債によって対応することは、これは不可能だし、適当でない。三分の一から二分の一にするだけで二兆二千億かかります。来年はもっとふえます。そういうことが継続してまいりますので、それは適切を欠くという判断は変えておりません。  したがって、あとはどういう財源によって確保できるかといいますと、この前も当委員会で議論がございましたが、一つはやはり経済成長ですね。これによって、租税弾性値というのは一・一くらいを今予定しておりますが、それがどのように変化するかは今後の経済次第でございますが、経済の成長がある程度見込まれるような状況になりますと、かなりの規模の増収もあるいは見込めるのかもしれません。  それからもう一つは、行革によって財源を生み出すという御主張が特に貴党の方から出ております。私も行革は否定いたしませんけれども、行革は継続的に財源として使用し得るようなものなのかどうかという問題もございますし、二兆二千億を全部賄えるような財源拠出が可能かどうかということになると、行革はやらなきゃなりませんが、なかなか困難かもしれない。それもしかしその一つの選択肢になります。  そしてもう一つは、やはり直間比率の見直し問題。これは戦略会議でも議論されて、提言の中には入っておりませんけれども、将来、消費税の問題について言及をしようか、しないかということがございました。  私どもは、今直ちに消費税を上げるということを想定はいたしておりませんけれども、社会保障の問題は、少子高齢化を控えまして、あらゆる面で、年金でも医療でもこれからだんだん増加してまいります。あるいは介護も増加してまいります。さすれば、所得税、法人税を今みたいに大幅に減税をいたしておりますと、恒久的な財源ということになると、おのずから直間比率の見直しその他に言及せざるを得ないし、将来的にはそういう課題が浮上することは、私どもとして全然無視するわけにもいかない。ただし、今直ちにできませんので、私どもは、今の景気の状況から見て凍結もいたしました。これが一年で済むのか、二年なのか三年なのか。ぎりぎり二〇〇四年の次の財政再計算期までにとなっておりますが、あとう限り、なるべく早くめどをつけて、そしてその財源の見通しをつけたい。さすれば、年金保険料の凍結解除されます。  年金保険料の凍結が後ろおくれになればなるほど、後の負担料が増加するというのは、これはもう当然なことになりますから、制度としてきしみが生じてくる可能性もございますから、我々としては、なるべく早く凍結解除、それから二分の一にしたいなと思いますが、これは諸般の情勢を総合的に勘案して決定すべき問題で、今直ちに見通しを申し上げるわけにはまいりません。
  86. 横路孝弘

    横路委員 これは大蔵大臣、今いろいろと、国民負担、租税、それからこういう年金の負担を含めて総合的にどうしていくのかというのは、確かに方向性として全体として考えなければいけない点だと思うのですが、今回の国民年金の改正案について、安定財源の確保ということを前提にして二分の一へ基礎年金の国庫負担割合を引き上げるというその方向性、これは大蔵省の方も、財源のところがあれば問題はないということなんでしょうか。これをめぐっていろいろと議論されているということのようですが、大蔵省の立場はどういう立場でしょう。
  87. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今、厚生大臣が詳しく御答弁になられましたが、厚生大臣のお気持ちの中で、横路委員の言われますようなことを将来の一つ目標として、ただ、その際いろいろな関連事項がある。一つは財源である。いろいろ関連する事項を、現在並びに将来を展望して厚生大臣が今いろいろに列挙して御答弁をされました。そういうことについてお考えをめぐらせつつ、その目標をいつ、どういう形で達成するかということをお考えになっておられるものと承りました。  私も、それはそうあってしかるべきことだろうと考えておりますので、いずれ、厚生大臣がいろいろな問題を考え、展開をしていらっしゃる中で、二人でいろいろ議論もする必要もあるかもしれない。そういう時期が参りましたら、私も、厚生大臣と御一緒にこの問題について先々考えてみたいというふうに思っているわけでございます。
  88. 横路孝弘

    横路委員 いろいろ調べてみますと、よく、高齢者の人というのは所得もあるし貯蓄もあるしということで、これから何か高齢者の市場というのが広がっていくんだというようなお話、堺屋さんもされていますけれども、しかし、よく調べてみると、平均値をとって議論をするというのは非常に危険だなというように思うのです。  高齢者所得を見ますと、年収が二百万以下という方がやはり四〇%ぐらいのウエートを持っていまして、この層の貯蓄というのは相当低いものがあるわけですね。高額所得者で貯蓄の高い人というのは、割と少数に集中していまして、ある調査によりますと、東京、神奈川、埼玉、四万六千人の方で二百四十兆円、一人大体五十億ぐらい、これは大体土地を持っていた人で、そこに非常に富が集中している。だから、日本の場合、千二百兆円あるといっても、中身はそうではないし、特に高齢者の世帯というのはみんなお金があるように言われますけれども、それは平均を出せば高いかもしれないけれども、実は所得と貯蓄というのを見ますと、こういう平均的な山ではなくて、むしろ所得の低い方からこうなって、こういうぐあいになっていて、高いところはぽんと高くなっているということになっているわけですね。  この中で、公的介護保険制度が来年から導入されますと、これもまた相当な負担になります。この負担状況も、もちろん要介護者がその地域にどれほどいるのかということと、特別養護老人ホームや老人保健施設、特に療養型病床群、こういう供給が整っているところほど、実は保険料が高いわけですね。私の地元の北海道なんかですと、町や村で、そのままはじきますと一人やはり七千円というぐらいの負担になる。夫婦二人で一万五千円などということになるんですね。  そういう負担が、いずれにしても、医療費にしても、負担はふえていく。しかし、年金の方はどうなるかというと、年金は下げてほかの負担をふやせといったってこれは無理な話ですから、年金はちゃんと供給するから、そのかわり負担はある程度自分でやりなさいよというか、年金は少し抑えるから、そのかわり介護や医療の方は国がちゃんと面倒を見ますよというかしないと、年金下げた、後、負担ふやすといったら、これは高齢者世帯は、問題の全くない人もいるけれども、しかし、四割ぐらいの二百万以下という年収の、ほとんど年金だけに依存して生活している人々にとっては、これはもう大変なことになるんですね。  ですから、今回の財源確保というのは確かに大きな問題でありますが、全体として、やはりそこのところをしっかり見て対応措置を考えなければいけないんじゃないか。どうも平均値だけとって議論していると、やはり非常に苦しむ人たちが出てくるという要素をこれは持っていますので、そこをちょっと厚生大臣、どのようにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。
  89. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 確かに委員のおっしゃられるとおり、高齢者の貯蓄残高でありますとかそういうものを見ますと、平均値では決して中年世代に劣っておりません。しかし、今御指摘のように、これはマクロ的な観察でございまして、それぞれの個別の、ミクロの世界になりますと、いろいろ特殊事情がございますから、それはそれに対応したものをきちっとやっていかなければならない、こう思います。  そしてまた、今御発言の中で、国民年金を切り下げていくのではないかという御指摘のようでございましたが、国民年金は、この水準は私どもは維持してまいります。そして、物価が上がれば、それによってスライドして上昇させていくという、実質価値を保存することを目標にいたしておりますから、その点は削減するようなことはございません。  なお、介護保険との関係でありますけれども、介護保険の介護給付の中では、半分は公的な補助をいたします。あとは、四十歳以上の二号被保険者から三三%拠出していただきまして、あと一七%の方々は年金受給者の方々ですから、これは社会保険庁の方で年金に上乗せをして、言うならば源泉で取っていただくという徴収方法を考えております。  今、七千円というようなことが言われましたけれども、療養型病床群等だけで構成されているような場合はかなり単価が高うございますからあるいはそういう計算は成り立つかもしれませんが、私ども、論議の過程で月二千五百円ということを申し上げたのですが、これはあくまで当時の、システムをつくるときの平均的なものを想定したものでございまして、実際にはそれより若干上回っていく。平成七年度単価で算定しておりますし、それから、今言ったように、療養型病床群でありますとか特老が多いところはどうしても単価が上がります。  療養型病床群をそのままの形で、つまり医師、看護婦の配置もそのままにして、それを介護施設として見ていくかどうかという問題を含めて、これはやはり負担をなるべく少なくしていかなきゃいかぬし、給付はなるべく持続していきたい、このはざまの中でどういう選択をしていくかという問題、私どもは十分注意してやっていきたいと思っております。
  90. 横路孝弘

    横路委員 終わります。
  91. 中山正暉

    中山委員長 これにて横路君の質疑は終了いたしました。  次に、大口善徳君。
  92. 大口善徳

    大口委員 公明党・改革クラブを代表いたしまして、質問をさせていただきます。  まず、人間にとって水の果たす役割というのは非常に大きいです。成人の男子の体重の約六〇%、そして女性の五〇%を占めており、最も大きな構成成分であります。  体内における水の役割というのは、各種の生体反応の場を提供する、各種の物質の運搬の媒体として働いている、生命維持の必須条件である体温調節に大きな役割を果たしているなどあり、水は、直接的に人間の生命維持に必要であります。人間にとって水の果たす役割は大変重要と認識しますが、厚生大臣の認識を問います。
  93. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員のおっしゃる点は全く同感でございます。  人間にとって水というものは大変重要であると同時に、汚染された水の人間の健康に対する影響その他がございますから、良質な水をいかにして確保していくか、そのために上水道の整備をやったり下水道の整備をやったり、諸種の施策を公的な補助でやっておるところでございまして、これはもう委員のおっしゃるとおりでございます。
  94. 大口善徳

    大口委員 現在、厚生省所管している遊泳用のプールが平成八年の時点で九千五百九十九カ所、民間のプールも入れましてあります。それから、文部省関係の公立学校の水泳プール、これが同じく平成八年時点で三万一千九百三十九カ所、私立学校の関係のプールが五百九十九カ所、文部省関係で、四万二千百三十七カ所、こういうことです。そして、二十五メートル掛ける十三メートル掛ける一・五メートルで百日営業でやりますと、これは五千立方メートルで大体三十五人分の年間使用量の水を使う、こういう状況であります。  阪神・淡路の震災で、プールの水が貴重な水資源として再認識され、また、プールの水質も国土の自然生態系を維持することと人間の健康のためにも非常に大切だ、こういうふうに考えますが、厚生大臣のお考えをお伺いします。
  95. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 阪神・淡路大震災のときは、プールの水が非常に有用であったことは私も承知しております。  やはり東京なんかでも、プールがいろいろ、遊泳プール等ございます、学校プールもございます。この水源は、大体浄化された水道用水を使用しておりますから、基本的にはある一定以上の水質が保全されていると存じますが、中にはいろいろ、何日もこの浄化をしたり管理したりしませんと汚水になっていくという状況がございますので、基本的には、そういうプールなんかは、貯水槽の役割も果たしますし、人間の生存にとって必要な水の供給源にもなりますから、これは良質な状況で、しかもプールで遊泳するときに水を飲むことだってございますから、人間の健康との関係は十分注意しなければならぬと思っております。
  96. 大口善徳

    大口委員 平成四年の、社団法人日本プールアメニティ施設協会がつくっている水泳管理マニュアル、これは厚生省、文部省が監修しております。その中に、「遊泳中に誤飲することを想定して、理想的には飲用に適する水が望ましい。」こういうことを、プールの水質について、この水泳管理マニュアルで書いておるわけであります。特に、今はちっちゃな子供もそうですし、また、高齢者もプールを利用しますので、この水を、私なんかもよく飲んだ口なのですけれども、この水質というのが非常に私は健康上大事になってくると思うのですね。  そういう中で、プールの水質基準について、トリハロメタンということについて、ドイツのプールでは、これはクロロホルムについてですけれども、〇・〇二ミリグラム・パー・リットル以下となっています。日本の水道水は、総トリハロメタンでいきますと〇・一ミリグラム・パー・リットル以下、こうなっておりまして、また、クロロホルムだけでいきますと〇・〇六ミリグラム・パー・リットル以下、こうなっておるわけです。ところが、ドイツではそういうプールの水質の基準があるのですが、日本にはそういう基準値がない。  平成九年の一月のNHKの総合テレビの報道でも「プールからトリハロメタン」というふうに題して放映されておりまして、その中で、平成六年から八年の三カ年に、高知県衛生研究所に持ち込まれた県内十一カ所の温水プールの水質検査をしたところ、平成七年の四月から九月にかけて、公立だとか民間のアスレチッククラブのプール四カ所で、トリハロメタンの数値が、厚生省の定めた水道水の規制値、〇・一ミリグラム・パー・リットルを超えて、最も多いプールでは〇・一三八ミリグラム・パー・リットルを検出した、こうなっております。  トリハロメタンというのは、御案内のように、塩素の投入によって起こるわけでございますが、発がん物質であり、人体への影響があります。水道の料金を節約するため、水を余り交換しないで、水の汚れを抑えるために塩素を投入する。塩素を高頻度で使用して消毒をするために、発がん物質であるトリハロメタン、総称して総トリハロメタン、こういうものが発生してくる、そういう現状なわけですね。  そういう点で、この総トリハロメタン等について、全国のプールの総点検を実施すべきである、こういうふうに私は考えますが、厚生大臣の対応、いかがでありましょう。
  97. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 トリハロメタンにつきましては、今委員の御指摘のように、水道の水質基準項目としては、平成六年にこれは設定しております。しかし、遊泳プール等につきましては、これは平成四年の改正におきましても規定はいたしておりません。  しかし、今御指摘のような問題がございますから、トリハロメタンは発がん性の問題の指摘もございますので、できるだけ調査をして、新たに追加すべき必要性があろうかとも思われますので、調査の上、善処したいと思っています。
  98. 大口善徳

    大口委員 今大臣から大変前向きな答弁がございまして、プールの水質基準に新たに追加するという方向で考えられている、こういうことであります。  これにつきまして、文部大臣、三万一千九百三十九、公立の小中高にプールがございます。子供たちの健康ということから考えて、今の厚生大臣に続いてお答え願いたいと思います。
  99. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 学校のプールだけではなく、子供たちの健康を保つということは極めて重要なことでございます。特に、プールの水を常に衛生的に保っているということは大変重大なことであると考えております。  そういう意味で、文部省といたしましても、学校のプールの水の衛生管理の徹底を図ってきているところでございます。  なお、実態調査ということもあろうかと思いますが、学校のプール水質の実態調査につきましては、遊泳用プールを管理している厚生省と連携を図りつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。  先ほどお話がございましたトリハロメタンというふうなもの、これは、やはり新しい問題でございますので、今後、さらに厚生省協力しながら検討を進めてまいるべきだと考えておりますが、現在までのところでは、学校のプール水の水質基準につきましては、文部省といたしまして、学校環境衛生の基準を作成いたしました。  これに基づきまして、定期的に水質検査をすること、それから、プールに使用するもとになる水、原水は飲料水の基準に適合することが望ましいこと、それから、遊離して残留している塩素濃度が一定以上であること等々に加えて、日常点検を毎授業日に行うことにより、プールの水が常に衛生的に保たれるよう指導しているところでございますが、先ほどの御指摘のトリハロメタン等々につきましても、さらに厚生省等と協議いたしまして進めてまいりたいと思います。
  100. 大口善徳

    大口委員 文部大臣からも前向きの答弁がございました。  さらに、プールの透明度を上げるために硝酸アルミニウムなどを使うわけでありますが、これも、ドイツでは〇・〇五ミリグラム・パー・リットル、そして日本の水道水においても〇・二ミリグラム・パー・リットル以下、こういう基準があるんですが、プールにはやはり基準がない。  硝酸アルミニウムというのは、微小な細菌とかごみ等の浮遊物を一時的に凝縮させて見せかけの水質改善に使用するものであるわけですけれども、これが痴呆症等の原因にもなるという疑いもかけられておる物質であります。そういう点で、ドイツでは、浄化設備の出口で、アルミニウム濃度を○・〇五ミリグラム・パー・リットル以下でやる、そして、プール内水質においても水質管理を要する、こういうふうに明確に規定をしているわけですね。  そういう点で、我が国において、水道水基準が○・二ミリグラム・パー・リットル以下でとなっているということからいって、プール水についても同様の基準を設けるべきじゃないか、私はこう思うわけですが、厚生大臣、いかがでございましょうか。
  101. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 御質問のアルミニウムの件でございますけれども、プールの水質浄化過程におきまして、アルミニウムを凝集剤として使われることがあることは、先生御指摘のとおりでございます。  我が国におきましても、かつて水のろ過剤として用いられてきた時期がございますけれども、現在は、ろ過に使用いたします砂の粒度を細かくすることによりまして対応は可能になっておりまして、アルミニウムはほとんど使われていないというふうに聞いております。  しかしながら、今御指摘のように、水道水の基準項目に入っていること、あるいはアルミニウムの健康影響の指摘もあるというふうなこともございますので、実態を調査いたしました上で、基準項目に加えるべきか否かも含め検討してまいりたいと考えております。
  102. 大口善徳

    大口委員 すぐ調べていただきたいと思うんですね。  それから、またドイツのプールの水質基準は、ろ過機の入り口と出口の水質を明確に規定しておるんですね。例えば、プール水水質は、ろ過機の入り口と出口と、それからプール槽内水質に分けて規定している。ところが日本は明確に分けていない。ですから、日本の場合は、ろ過精度を重視せずに、平成四年の改定でターン数を三回から四回にしていたりして、このままだと、塩素を初めそういう凝集剤等を使って、薬品の投入による体制、薬品投入依存体制、これから脱却できていないと私は考えるわけです。  それで、プールアメニティ研究会の報告書の概要の中でも、プールが快適でない理由というのは、塩素がきつい、こうなっています。「過剰に入れなければならないのは、浄化設備が陳腐であるか能力不足のいずれかである。」こういうふうにこの報告書でも指摘しているわけなんですね。  そういう点で、環境に優しい快適なプールにするためにも、薬品依存体制から脱却して、浄化設備のろ過精度の向上を図るべきだ、そのために、ろ過機の入り口、出口とプール槽内のそれぞれの水質基準を明確に規定すべきである、こういうふうに考えますが、いかがでございますか。
  103. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 我が国とヨーロッパの河川につきましては、二つほど相違がございます。  第一点は、ヨーロッパの水というのは基本的には硬水が多いわけでございます。水道水をコップに入れますと、すぐ白いものが出てまいりますが、そういう点が第一点。  それから第二点目は、ヨーロッパの川は非常に長い川が多うございまして、上流で取水しては下水を出し、またそれを上水として取水して下水を出すということで、非常に流域からの有機汚染物質の流入が多いということで、その水質を保証するためには、有機物質の除去過程が我が国よりも非常に複雑になっております。例えば、過量のオゾンや塩素を注入いたしまして、さらに活性炭素によりましてそれを取り除くといった非常に高度の処理をしませんと、使えないということがございます。  そういった意味で、恐らくドイツにおきまして、今先生御指摘のような安全性の確保という観点から、ろ過機の入り口と出口の水質を規定しているものと私どもとしては理解しているわけでございます。  我が国におきましては、ほとんどのプールにおきましては水道水を原水として使用しておりますので、プールの水槽中の水質を規定すれば足りるというふうに考えておりますけれども、なお各種の知見の集積に努めまして、さらに検討を進めてまいりたいと思います。
  104. 大口善徳

    大口委員 これもしっかり検討していただきたいと思います。薬物依存体制になっているというところから脱却しなければいけない、こういうことなんですね。  それから、環境に優しい快適なプールにするために、薬品依存体質を脱却して浄化設備のろ過精度の向上を図るべきである、こういう指摘をしたわけですけれども、そのためにも、ろ過機の入り口、出口とそれからプールの槽内、それぞれの水質基準を明確に規定しなければいけない、こういう指摘をしたわけです。  そのほかに、項目として、一般細菌について、ドイツでは、検出されないこと、ゼロということですね。それから、日本の水道水でいっても、一ミリリットルの検水で形成される集落数が百以下であること。ところが、プールには基準がない。  それから、緑膿菌、レジオネラ菌についても、ドイツのプールでは、検出されないこと。日本については基準がない。レジオネラ菌では、最近特養で七十九歳の男性が死亡しているという例もあります。ですから、これは考えるべきである。  また、透明度につきましても、ドイツのプールは、プールの底全体が完全に見えること。日本の水道水は色度五度以下。日本のプールについては基準がない。  それから濁度については、ドイツのプールは〇・五度以下。日本の水道水は二度以下。日本のプールは三度以下。これはちょっと基準が甘いですね。  それからオゾンにつきましても、ドイツのプールは、水質を管理することを要する。ところが日本のプールについてはない。  こういうことで、このプールの水は、水泳管理マニュアルでは、遊泳中に誤飲することを想定して飲用に適する水が望ましいと、先ほども引用したことがあります。そういう点で、プール先進国のドイツで、今から十四年前に、日本の水道水よりも厳しいプールの水質基準がある。そういう中で、平成九年には、総トリハロメタン、レジオネラ菌の規制というものを追加してさらに厳しい基準を施行しているわけです。  我が国においても、水道水について全国調査を実施するようでありますが、プールの施設数や利用者数が増加していますし、一層国民から親しまれる、そういうプールである。健康の増進に役立つわけであります。また、幼児からお年寄りまで、年々親しむ人がふえているプールであります。目が痛いとか、せきが出るとか、アレルギー反応が出るとか、こういう苦情を聞いております。  そういうことで、今挙げた項目も含めて日本のプールの全国調査を早急に実施して、水循環に総合的に配慮した、環境に優しい水質基準に改定をすべきである、こういうふうに思いますが、厚生大臣、いかがでございましょうか。
  105. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 おっしゃるような点がございますから、新しい基準値をどう定めるか、その前提としての実態調査等を行いまして、必要に応じて、基準項目を追加したり、改正したりしたいと思っております。
  106. 大口善徳

    大口委員 また、文部大臣につきましても、公立学校でろ過機を設置していないプールも、小学校でいえば、二万二百十一のうち八百八十一ある、四・三六%。それから中学校では、これも七千五百七十四に対して二百七十七校、三・六六%。高等学校においても、二千六百九十七のうち二十六がろ過機を設置していない、〇・九六%、こうなっています。  こういうことも踏まえて、対応いかんについてお伺いします。
  107. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 先ほども申し上げましたように、子供たちの健康が極めて大切でございますので、厚生省ともいろいろ御相談をいたしまして、しかるべきことをやっていきたいと思っております。
  108. 大口善徳

    大口委員 それで、新しい基準をこれからつくるということで、それに適合しているかどうかという情報がやはり利用者に開示されるべきじゃないかな、こういうふうに考えております。  そしてまた、その改定された水質基準へ対応していくのに、既存の施設の設備の更新ですとかあるいは技術開発とかあるいは新技術の導入だとか、そういうのが必要になります。そのために、やはり予算の措置、税制の措置、そしてまた融資、助成制度等、そういう新しい水質基準に合致するための支援制度、これが必要だ、こう考えますが、いかがでございましょうか。
  109. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 情報開示は当然だと存じます。したがって、必要な情報量をプール等にこれを掲示するということはこれからやっていかなければならないと存じます。  なお、施設の改良等につきまして、今御指摘のように、技術開発あるいは税制上の措置、融資措置等々の御指摘がございましたが、現在のところは施設者の責任においてやっていただくことになっておりますので、直ちに税制上の措置ができるかどうか。これは私が申し上げる立場にもございませんが、技術開発等については可能な限りアドバイスをして、そうした面の実効が上がるように指導してまいりたいと思います。
  110. 大口善徳

    大口委員 ここはやはり裏づけを、支援体制をきちっととっていかないと、基準に合致した形になっていきませんので、よろしくお願いしたいと思います。  そして、阪神・淡路のときの教訓として、平成七年より、学校の防災機能強化に取り組んで、プール水を飲料水として活用するための浄水機能を有するプールについては国庫補助が二分の一、一般は三分の一ですけれども、そうなっているわけです。こういう国庫補助のかさ上げをしているわけでありますが、小学校でいきますと、飲用水対応プールというのは四十四校しかないのですね。中学校は十五校、高等学校は十校。パーセントでいきますと、小学校が〇・〇〇二%、中学校は〇・〇〇一%、高等学校が〇・〇〇三%、こういうふうに極めて進捗率が低いわけであります。  私も、阪神・淡路のときに、一月十七日に現地へ行ったわけでありますが、本当に水の確保というのは大変なんですね。ですから、この教訓が生かせていない、そういうふうに思うのです。  そういうことで、文部省は、早急に整備目標、整備計画を立てて、積極的にこの飲料水としての対応プールというもの、これをふやしていくべきである、こういうふうに考えております。また、国公立大学とか私立大学とか私立学校とか、こういうことについての対応についても、文部大臣にお伺いしたいと思います。
  111. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 まず、学校施設というものが非常災害のときにおける避難所として使用されるという点で、防災機能の充実強化を図ることが重要であると考えております。  このため、御指摘の学校の水泳プールにつきましてでございますが、体育施設としての機能だけではなく、防災機能にも着目した施設整備を行うことといたしまして、既に、平成八年度から、災害時における飲用水及び生活用水を確保するための浄水機能を有する水泳プールの整備を希望する地方公共団体に対して、経費の一部を補助してまいりました。ただ、まだ希望者が必ずしも多くないということで、さらにこれから検討を進める必要があるかと思います。今のところ、希望があれば、それに対して補助をする、一部でございますが補助をするという方針をとっております。  災害時におきます飲料水の確保につきましては、先生御指摘のように極めて重要な事柄であり、各市町村で策定する防災に関する計画等に基づく浄水機能を有する水泳プールの整備につきましては、今後とも、地方公共団体の要望を踏まえまして、必要な整備が行われるよう努めてまいりたいと思っております。
  112. 大口善徳

    大口委員 話は変わります。  実は、企業財務の二〇〇〇年問題というのがあります。企業会計上の問題であります。これで、退職給付に係る会計基準の導入によって、企業会計上、厚生年金基金等の積立不足が発生している。その解決策として、経済界が主張しているように、いわゆる現物を基金に拠出する方式、それから、これは労使の合意に基づいて信託銀行へ退職金給付目的のためという限定つきで有価証券等を信託する方式、これについて、会計基準上これを年金資産として扱えないか、こういう信託契約方式というものが考えられております。  これはある試算ですけれども、割引率を三・〇%とした場合、未処理債務、積立不足が四十五兆ある。これは金融機関を除く資本金一億円以上の企業について試算した場合に、四十五兆の積立不足がある。それから、二・〇%の割引率で想定しますと、五十九・七兆円の積立不足がある、こういうことでございます。八十兆ぐらい積立不足がある、こういう試算もございます。  これにつきまして、厚生大臣、いかが考えておられるでしょうか。
  113. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 厚生年金基金の問題でございますけれども、厚生年金基金は、御承知のように、公的年金の一部を代行いたします。そしてなお、企業年金としての付加、上乗せ部分がございます。これによって年金給付の充実を図っておるわけでございますが、すべてそれは企業側の単位で厚生年金基金というのを設けております。  一方、年金基金の運用益等が、今の低金利時代その他で非常に欠落を生ずる可能性がございます。赤字だと言われて、今御指摘のとおりでございます、数字はちょっと確かでございませんが。  そんなことがありまして、今は、企業の現金出資のみを法律上認めておりますけれども、株式を出資の対象にできないかというのが、まず指摘がございます。  私どもは、年金の資産運用が有利、確実なものであれば、法律改正をしてでもそれは受け入れる用意はございます。ただし、いろいろ一定の枠を設けませんと、引き受けた株式が倒産をして無価値なものになるとか、いろいろそういった問題もございますので、一応の条件整備は必要かと思います。  なお、信託方式でやった場合は、その信託のあり方、やり方が問題でございますが、企業側の信託によってその果実を年金基金に投入していただける場合は、現行法と変わりません。これは現金支出をやっていただけばいいのです。  ただ、それを厚生年金基金とリンクする場合は、その信託された株式等がどういう、議決権を持ったものであるのかあるいは所有権はどう移転するのか、いろいろの課題がございますから、いろいろな対応はあると思いますけれども、厚生年金基金としては、それは年金財政の充実のためであれば、私どもは拒否すべき問題ではない。  ただ、今御指摘の国際会計基準がございまして、これは強制的なものではないようにもお伺いしておりますが、十二年の四月から適用になる可能性もございます。その場合は、年金の欠損部分が貸借対照表に書き込まれるということで、資産内容が公開されるわけでございますので、そういった面の一助にもなれば、現下の経済情勢にかんがみて、そういった面の配慮も、あるいは、私どもがするのは年金の財政の健全化でありますけれども、同時に考えていいのではないかというように考えております。
  114. 大口善徳

    大口委員 最後に経企庁長官にもう一度確認をしたいと思うのですが、消費契約法という法律についてであります。これは、やはり規制撤廃ということになりますと、どうしても事業者と消費者の間にルールが必要です。そのルールの必要性もよく長官もわかっておられると思います。そして、ヨーロッパでは特にそういう形で、もうEU指令等もそういう形になってきておりまして、やはり我々としましては、我が国としましては、一日も早く消費契約法を制定すべきだ、こう考えております。  昨年の三月十九日にまた予算委員会で、私は当時の尾身長官にこのことを聞きました。そうしましたら、「来年の通常国会にはこの法律を提案させていただくべく、全力を尽くしているところでございます。」こういうことで、積極的に、今回のこの通常国会において出す、こういうふうに言われたわけであります。  ただ、いろいろとやってみるといろいろな問題が出てくる。これは、この前、堺屋長官も二月十日の商工委員会でそのこともるる述べられました。そして私は、であればもう一年延びるわけでありますが、来年の通常国会までにはこれは提出すべきである、こういうふうに言ったわけでございますが、それに対して長官の方は、来年必ずやると公約できるまでにはまだ自信がございませんと。私がもう一回聞きましたら、来年出すように全力を尽くしますが、必ずできるという自信は今のところございませんと。  こういうことで、自信がない、自信がない、こういう、正直といえば正直なんですが、ちょっとこれは政治家として、これは長官が陣頭指揮をとって、来年目指してやりますと。長官がそういうことでございましたら、これにいろいろな業界等も、反対したいところがいっぱいあるわけです。長官が自信がないと、やはりこれはいろいろとまだ延ばせる余地があるな、こうなってくるわけです。ですから非常に長官の決意の表明というのは大事なんです。政治家として、私は、大臣として、長官にもう一度答弁を求めたいと思います。
  115. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 消費者契約法につきましては、私も次期通常国会にはぜひとも出したいと考えております。  国民生活審議会の消費者政策部会におきましても、この消費者契約法につきましていろいろと検討をいただきまして、さらに詰めるべき点を列挙していただいております。  その例を挙げますと、まず第一は、記載または告示すべき重要事項の内容とは何か。これはなかなか難しい問題でございまして、どんどんと新しい業態が出てまいります。例えば、衛星放送が出てきたときに、何時間放送をするというのは記載事項なのか、文字放送になったらどうなのかというような問題も出ております。それから、不当事項とは一体何か。これは、ヨーロッパではこちらの方が非常に整っておりまして、日本の場合はそれをどうするか。それから、対象とする範囲でございますが、消費者とは自然人に限るのかどうか。それから、事業者とは営利を目的とした人に限るのか、それ以外の、NPOでありますとか学校法人、宗教法人、いろいろありますが、そういうものも入れるのか。いろいろな問題が出ております。これをこれから一つずつつぶしまして答えを出しまして、そして全力を挙げて次の国会に提出するようにしたい。  私自身は大変これに情熱を燃やしておるのでございますが、問題は大変広範でございます。欧米の法律に比べても、消費者の契約の部分と解除の部分と両方くっついているこの法律は非常に進んだ形になっております。だから、全力を挙げてこれを提出するようにしたいと思っております。
  116. 大口善徳

    大口委員 はい、わかりました。では、次期通常国会に出してもらいたいと思います。ありがとうございました。
  117. 中山正暉

    中山委員長 これにて大口君の質疑は終了いたしました。  次に、白保台一君。
  118. 白保台一

    白保委員 公明党・改革クラブの白保台一でございます。  初めに労働大臣にお伺いしたいと思いますが、この予算委員会の総括質疑のトップバッターで私ども公明党・改革クラブの冬柴幹事長が質問をいたしました。それは、雇用問題、失業問題等で、高い失業率の問題を議論されたわけでございます。  そういった中で、緊急雇用創出特別基金事業が議論をされました。これは、中高年の非自発的な失業者に必要な雇用機会の提供について、全国及び地域ブロックのそういったところで要件を定めている、したがって、せっかく制度を定めておいても、窓口を開いても、これがなかなか発動されていないというような議論であったわけでございますが、その際に、総理の方から、地域の状況を勘案し、そして地域の偏差に対応していけるか検討してみたい、こういう答弁がございました。  労働大臣初め労働省、いろいろ御苦労されて研究されたと思いますが、特に、私どもの沖縄県においては、地域状況判断ということで、九州ブロックであるけれども地域が違うということで、恒常的に八%を超えておるというふうな、そういう状況から、この緊急雇用創出特別基金事業が発動された。これは、その後の大野由利子委員の質問、そしてまた沖縄政策協議会で労働大臣がお答えになったことでございますが、この基金事業を発動されて、これは確認ですけれども、どのような効果の予想をなされておるのか、まずそのことをお伺いしたいと思います。
  119. 甘利明

    ○甘利国務大臣 先生の御地元ですし、深刻さの状況は私よりも正確に把握をされていらっしゃると思いますが、お話しのとおり、全国平均の二倍近い失業率でございまして、先月の二十九日に沖縄政策協議会を開きましたが、それに向けて、各般の振興策、雇用対策を政府を挙げて取り組んでおりました。  そうした中で、たしか先月の二十六日だったと記憶しておりますが、この委員会の席上で、御党の冬柴先生から、この基金についての発動要件緩和の御要請がありました。先生からお話しいただいたように、総理の答弁は、地域の状況を勘案をし、地域の偏差に対応していけるか検討したいという答弁がありまして、これを受けて、発動要件を沖縄を切り離して設定し、先般発動したわけであります。  失業率の調査というのは、総務庁が御案内のとおりやっておりますが、これはブロック別に把握をいたしております、全国十万人くらいですが。ですから、沖縄も九州ブロックという把握になるのでありますが、それにしても、九州の経済圏からはかなり離れています、もちろん依存度は高いと思いますが。それと、沖縄が、独自に県としての失業情勢の把握というものができておりましたものですから、沖縄県をブロックから切り離して対応できたわけであります。  そこで、今後の予測という御質問がありました。  一月の三十日に発動ですから、一カ月後に三十万円が支給されるわけでありますので、仮に発動したときに直ちに採用した企業があったとしても、三月の上旬に実績値として、数字として上がってくるものでありますから、まだ現実の数字の把握はできておりません。ただ、周辺状況を説明を申し上げますと、沖縄県におきましては、四十五歳以上六十歳未満、つまりこの基金の発動要件のバックグラウンドでありますが、この完全失業者が一万人おりまして、このうち、非自発的な失業者は約四千人であります。  先生御承知のとおり、今回の基金は、従来ある中高年齢者の雇用開発助成金に上乗せをするということでありますが、この助成金は最大三分の一くらい給与の補てんをするわけであります。その助成金につきまして、昨年六月に雇用対策を講じたときに年齢要件を引き下げましたけれども、それ以降の半年間に、沖縄県において七百人の雇い入れがありました。ですから、中高年齢者の雇用開発助成金と両々相まって、さらに大きい効果があるであろうということを考えているわけであります。  ちなみに、発動するということを発表しまして二週間で、企業を中心に問い合わせが百六件ございました。ですから、それなりの効果が出てくるであろうというふうに期待しております。
  120. 白保台一

    白保委員 それで、今の答弁、また先ほど申し上げました四十五歳から六十歳、そういう関係なんですが、沖縄の失業率を見ていますと、非常に特徴的なのは、若年層の失業者が極めて高いということです。  ちなみに、申し上げれば、これは十二月の集計で一月末の発表だと思いますが、十五歳から二十九歳で一四・八%なんです。こういうとり方はしていないと思うんですが、全国的にはそれはとっていると思いますが。それから、十五歳から二十四歳というのが一七・九%。全国が大体七%ぐらいを推移していますから、そうすると、若年層は一〇%以上も高い失業率で推移しておるわけですね。  したがって、中高年の非自発的な方々の失業者に対しての対策も当然のことですが、もう一つは若年層をどうするかという問題が非常に大きな問題として残っています。これに対しての対策を労働大臣、お考えでありましょうか。
  121. 甘利明

    ○甘利国務大臣 御指摘のとおり、若年層は、全国平均でも高いんでありますが、沖縄の場合は突出して高くなっております。御指摘のとおり、三十歳未満をとると一四・八%、そして十五歳から二十四歳までだと一七・九%、全国平均を一〇ポイント上回っております。  そこで、沖縄だけの特別対策といたしまして、御承知かとも思いますが、沖縄若年者雇用開発推進事業というのを実施しておりまして、これは賃金助成を三年間行うというプロジェクトでございます。この事業につきまして、昨年の六月から本年の三月までに助成率を年間賃金の三分の一から二分の一に引き上げるという対策強化を図ったところでありますけれども、十一月の雇用活性化総合プランにおきましては、さらに加えて、その実施期間をことしの九月まで延長するというふうにいたしております。  それから、求人の開拓確保、これに努めるために人員の配置を図りまして、積極的に情報提供等を行っているところでございます。
  122. 白保台一

    白保委員 もう一点、労働大臣にお伺いしたいと思います。  先般、実は報道でも見たんですけれども、文部省がまとめているというふうに新聞では書いておりましたが、新高卒の皆さん方の就職希望者の内定率、これが発表になっていました。そうしましたら、ずっと内定率をまとめてきておるわけですが、その中でもことしが一番低くて、高校の全国平均が七六・六%、こういうふうに過去最低となったと報道されております。  同時に、私どもの沖縄県では何と四六・五%、こういうまた極端な低さで、ぎりぎりになったら何とかなるというようなこともこれまであったのかもしれませんが、それにしても非常に低い、こういう状況でございますので、その辺の開拓の問題等も含めて、最後にもう一点だけお答えいただきたいと思います。
  123. 甘利明

    ○甘利国務大臣 これも御指摘のとおり、ことしは全国的に大卒、高卒予定者の内定率が低くなっております。特に沖縄は厳しいということでありまして、四六・五%、これは十二月現在です。例年、最終的に精算をしてみると七割くらいまでいくんですが、ことしは数ポイント中間時点でのものが下がっておりますから、相当頑張ってやらなくちゃならないと思っておりまして、十一月と十二月に県内それから県外の企業を対象に面接会を行いました。  それでも、まだ例年どおりの改善が見られておらないものでありますから、一月から就職促進員の配置をいたしまして、大学の場合は面接会を頻繁にやるんですが、高校の場合は学校との情報連絡というのをやります、生徒をしょっちゅうあちこちに引っ張り出すわけにもいきませんから。それをさらに強化したいと思います。  それから、通常県外というと九州ブロックでありますが、それ以外に東海であるとか京浜の就職情報まで提供しまして、一人でも多くの方に内定が行くように今頑張っているところでございます。
  124. 白保台一

    白保委員 沖縄の高失業率の問題の特徴は、常にそうなんですけれども、県外求人数が多いんですけれども、最近特に県外求人数ががくっと減ってきているんですね。そこが高失業率になっている要因だと私自身は理解をしておるところでございます。ありがとうございました。労働大臣、結構です。  それじゃ、郵政大臣にお伺いしたいと思います。  郵政大臣、先回の総選挙が終わって、直後に政務次官として沖縄へ行かれまして、初めてマルチメディア特区構想というのを打ち上げて講演されたわけであります。相当向こうの新聞にもにぎやかに出ておりました。  その後、去年の沖振法の改正等も経て、県がマルチメディアの特別区の構想をまとめました。マルチメディアアイランド構想という形でまとめているわけでございますが、このまとまった沖縄県のマルチメディアアイランド構想、これについて大臣はどのように受けとめ、また評価されておるのか、まず最初にそれをお伺いしたいと思います。
  125. 野田聖子

    ○野田(聖)国務大臣 先生御指摘の沖縄マルチメディア特区構想というのは、平成八年十一月に提唱させていただきまして、その中身は、沖縄をアジア太平洋地域の情報通信のハブにしようということで提唱し、今日までいろいろな施策を進めてきたところであります。  今お話ありました沖縄マルチメディアアイランド構想というのは、これは昨年の九月に発表していただいたものですけれども、この中では、沖縄における情報通信の方向性を定めていただき、その中で、情報通信産業の集積とか、人材の育成、研究開発、または先進的なアプリケーションの集積等について網羅的に提唱、整理されているところであります。  この二つの、郵政省のマルチメディア特区構想と沖縄のマルチメディアアイランド構想というのは基本的には考え方が同じでございまして、特に沖縄の情報通信への積極的な取り組み姿勢が感じられますので、大いに評価しているところでございます。
  126. 白保台一

    白保委員 実は、この三月一日から石垣島の八重山郵便局を中心にワンストップ行政サービスの広域化を実験的に行う。その前に、去年は竹富島というところでワンストップ行政をずっとやってまいりました。非常に小さな島が幾つか一つになって群島を形成しているところですから、マルチメディア特区構想で郵政省が実施してきたところのこのワンストップ行政サービスは非常に効果があった、こういうふうに思っています。これから広域化をしていくわけでございますけれども、これがまた今度は広がって広域化していきます。島々においてはこのマルチメディアを使ったところのワンストップ行政サービスは非常に効果を上げています。  そこで、こういったこともございますので、今大臣が答えられた、これに対してこれからの支援策、これについてどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  127. 野田聖子

    ○野田(聖)国務大臣 ワンストップ行政サービスにつきまして御評価いただき、ありがとうございました。  先ほど申し上げたマルチメディア特区構想の中で私たち郵政省が取り組んでいますのは、ちょっと具体的に例示させていただいてよろしゅうございますか。  例えば、マルチメディア機器を備えた共同利用型研究開発施設である沖縄情報通信研究開発支援センターの整備、また地元の大学と連携して研究開発を実施するための沖縄リサーチセンターの開設、そして情報通信関連企業の誘致を支援し、かつマルチメディアを身近に体験していただく研究施設として名護市のマルチメディア館の整備、ここには一〇四の番号案内のセンターもございます。  そして今、離島の話がございましたけれども、沖縄本島と県内離島においてのマルチメディア分野の人材育成等を図るための沖縄県マルチメディアセンターの整備、そしてマルチメディアの関連産業を核とした企業誘致を持ってくるための施設の整備ということで嘉手納マルチメディアタウン構想の推進ということを取り組んでいるわけでありまして、先生のお話ございましたマルチメディアアイランド構想の中において、先導的プロジェクトとして五つばかり挙がっています。  そういうプロジェクトの実施があるわけでございまして、繰り返しになりますけれども、それぞれの取り組みは基本的に同じということでありますので、沖縄県の方で要望のあるプロジェクトについては、その優先順位とか効果を考えながら必要な予算措置等の支援をしてまいる、そういう考えでございます。
  128. 白保台一

    白保委員 いろいろとマルチメディアについて伺いましたが、最近では沖縄市の方でテレワークセンターがスタートするということで、非常にマルチメディアを通じて、元気のない市町村でも元気を出しているような状況でございますので、しっかりと支援をしていただきたいと思います。  次に、外務大臣にまずお伺いしたいと思いますが、国連は西暦二〇〇〇年を平和の文化の国際年、こういうふうに定めているようです。これに加える形で、二十一世紀の最初の十年、二〇〇一年から二〇一〇年を世界の子供のための平和の文化と非暴力の国際十年、こういうふうに昨年の十一月の総会で決議をした、このように伺っています。その決議の中では、未来の世代を戦禍から救い、平和の文化への転換を実現することが国連の責務である、そして加盟国や国連機関やあるいはNGOなどの協力を得ながら、地球上のすべての子供たちの幸福のために努力を傾ける、こういうことを目指すというふうな決議をしたというふうに伺っておりますが、まずその確認と、外務省としてどういうふうな取り組みをされるのか、お伺いしたいと思います。
  129. 高村正彦

    高村国務大臣 西暦二〇〇〇年の平和の文化の国際年への取り組みにつきましては、外務省として、平和の文化の概念の啓発のためにNGOが行っている平和の文化に関するセミナーの支援等を行っているところでございます。  また、現在国連総会において平和の文化宣言案及び行動計画案が審議されているところでありまして、関係省庁と連携を図りつつ、この審議を通じて我が国としていかに取り組むべきかを検討していく考えであります。  二〇〇一年から二〇一〇年を世界の子供のための平和の文化と非暴力の国際十年とする決議は、昨年十一月の国連総会で採択されたところでありますが、この決議によれば、国連事務総長が二〇〇〇年の第五十五回国連総会に対して報告書及び行動計画案を提出することになっているわけであります。このような動きを見つつ、我が国としての対応ぶりを検討していく所存でございます。
  130. 白保台一

    白保委員 そういう子供の平和、こういったことを、子供を守っていこうという、新しい世紀へ向けて決意をされたわけでございますので、そういった中で、我が国子供たちの非常にかわいそうな部分があるので、そのことをまず外務大臣や文部大臣そしてまた厚生大臣にもお聞きして解決の方途を探っていきたい、こう思っています。  新聞等でも最近たびたび報道されますが、アメラジアンという国際児がいるわけですね。これはアメリカ人とアジア人、ここでは特に我が国女性との間に生まれた子供たちをアメラジアン、こういうふうに呼んでいます。このアメラジアンと言われる子供たちに今、就学問題あるいはまた福祉の問題、そういったことでさまざまに問題が出てきているわけです。福祉の問題にかかわって言えば、養育費の問題そしてまた国内制度の問題、そういった問題等もあるわけでございますので、そういった面についてるる伺っていきたいと思います。  まず初めに、就学問題に関して文部大臣にお伺いしたいと思いますが、特に沖縄で言われているところのアメラジアンスクールのこういった問題等について、文部省はどういうふうに掌握をされておるのか、そのことをまずお聞きしたいと思います。
  131. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 日本と米国の国籍を持っております二重国籍、重国籍の子供たち、いわゆる御指摘のアメラジアンの教育問題をめぐりまして、昨年一月以来、保護者の方々がアメラジアンの教育権を考える会を形成し、沖縄県に対する要請のほか、御指摘のようなアメラジアンスクールの開設等を行っているものと承知しております。要請内容は、重国籍の子供たちへの教育保障や公的援助を求めているものと聞いております。  また沖縄県では、この問題を協議するため、昨年四月、県庁内に重国籍児等の教育問題に関する検討委員会を設置し実態調査を実施するなど、鋭意検討中であると聞いております。  今後とも、文部省といたしましては、沖縄県の検討状況を踏まえつつ、県と適宜相談の上、国としてどのような対応が可能か検討することといたしたいと思います。子供たちが不幸になることは私としても避けたいと思っております。
  132. 白保台一

    白保委員 文部大臣、ここで非常に大事なことは、アメラジアンスクール、そこに行っている子供たちに中学卒業の資格を認めていただきたい、このことだと思うのです。中学を卒業しないと高校進学できない、大検も受けられない、こういうようなことで、一番問題はそこなんです。その点、短く。
  133. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 この問題は、実は、不登校の子供が非常に多いという問題にも関係しております。そういうことで、中教審等でもずいぶん議論をしてまいりました。  短く申し上げますけれども、まず高校を希望する場合、猶予、免除を受けている子供たちという場合には、中学校卒業程度認定試験に合格し、高校入学試験を得る方法が開かれております。また、猶予、免除を受けていない子供たちにつきましては、通学している施設が一定の条件を満たす場合には中学校への出席扱いができることになっております。校長が、個々の状況に応じ、教育委員会と連携をとってその判断をすることになっております。こうした仕組みの中で、子供たちの具体的な取り扱いにつきましては、各教育委員会や学校が実態を踏まえつつ適切に対応してもらいたいと考えています。  なお、一つお願いがあります。それは、将来日本の高等学校へ進学を希望するアメラジアンにつきましては、高校受験までにはまだ時間があることもございますので、日本語の習得を初め、子供たちみずからもさまざまに努力してくださることを望んでおります。
  134. 白保台一

    白保委員 今、文部大臣が言われました。このアメラジアンは、日本の文化教育、アメリカの文化教育、そういった多文化を学んで成長していきたい、そういう希望を持っています。したがって、今るるお話がございましたそのことは全部わかっています、わかっていますが、いわゆるフリースクールと言われるところ、東京シューレのような、そういったことの要件を満たしたらぜひ許可をしていただきたい。これは、答弁をいただいていますと時間がありませんので次に移りますが、そういうことを要望します。  もう一つは、外務大臣通告もしておりますが、時間もありませんので簡単に申し上げますが、実は、アメリカ大統領は、国際相互間養育費施行の条項が含まれた私的責務と職務機会調停法に署名をした、こういうふうに言われています。  国際間で子供が生まれる、そしてその養育費をどうするか、こういうことで、これまでは州でやっていたものを大統領が署名をしまして、国として包括的にやれるということで、二十カ国が既に生活扶助に関する二国間協定を結んでいる、こういうことです。  これについて、時間もありませんので、まず認識をしておられるのか、承知しておられるのか。それで、日本がこういうことについてぜひ結んでもらいたい。続けて申し上げますが、もしこれが困難であるということであるならば、いろいろと聞いていますと困難なような状況が、国内法の問題があると言っています。したがって、養育費をこの子供たちにきちっと取れるような、もらえるような研究会ないしは検討会を始めてもらいたい、こういうことをまず申し上げたいと思うんですが、いかがですか。
  135. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 まず、米国の有しております制度につきまして、事実関係を簡単に申し上げます。  先生御指摘のとおり、一九九六年の連邦法の制定によりまして、国務省と社会保険庁でございますが、連邦政府に、外国との間で双務的な枠組みを設定、運用する権限が与えられました。ただし、その場合に、米国連邦政府は、一定の要件を満たす外国との間で、当該外国を相互関係、レシプロシティーでございますけれども、相互関係のある外国と宣言することによって双務的枠組みを設定することができる、こういうことでございます。  それで、とりあえず、我が方におきましても、日本の制度、法制度等について調査検討いたしましたところ、今述べました米国との相互関係のある外国となるための要件に照らしてみますと、我が国の現行法制というものは、米国との間で双務的枠組みを設定する体制に現在のところなっておらない、こういう状況でございます。
  136. 白保台一

    白保委員 したがって、そのままにしておきますと、例えば米軍の兵士との間で生まれた子供たち、そういった者が異動したら何ら手を打つことができないということです。したがって、外務大臣外務大臣が中心になって、こういった子供たちの養育費等が何とか取れるような形を、国内法整備というのはなかなか難しいようですけれども、研究をしていただいて、そういった方向にしていただきたいな、こう思っているんですが、この辺の検討はいかがでしょうか。
  137. 高村正彦

    高村国務大臣 御指摘の問題は私もかねてから承知しているところでございますが、外務省の問題よりも、実質的な法改正となると法務省とかあるいは厚生省とかそういった制度の問題になるので、そういったところの研究が先に進んでくれないとなかなかできないということもありますが、政府間で連絡をとり合いながらさらに検討したいと私たちとしては思っております。
  138. 白保台一

    白保委員 時間が、最後まで厚生大臣お待たせいたして、済みません。  特に、今そういった、政府間で連絡をとり合って検討を進めてみたいという答弁がありまして、一歩前進だと思います。  そこで、最後になると思いますが、実は、児童扶養手当とかそういった問題についても、国内の福祉の問題についても、皆さんにお聞きすると、意外と差別なくうまくいっておるという話をお役所の皆さん方はおっしゃるんです。ところが、地元のそういった立場におられるお母さん方は、例えば軍人が異動した、遺棄されたというような形で、これを窓口へ行ったら、その証明を持っていらっしゃいというようなことになって、なかなかうまくいかないということがよく言われるんです。そういった訴えもあるんです。  それで、厚生省の皆さん方のお話を聞きますと、そういったことはないはずです、もうどこへ行ったってわかっているんだから大丈夫でしょうというようなことをおっしゃるのですが、これは、そういうアメラジアンといった子供たちの福祉の問題についても、国内できちっと差別なくやれるような形を整えてもらわないといけない、こういうふうに思っておるわけです。大臣、いかがですか。
  139. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 アメラジアン家庭の母子対策につきましては、その家族が日本の中に住所を有しておれば、母親あるいは子供たちの国籍は問わず、我が国で行われると同様の福祉政策を展開しております。  なお、今の御指摘は、多分、離婚を確認いたしませんといけませんので、本人が米国等におった場合にその確認に時間を要する点があるような話もお聞きしておりますが、いずれにいたしましても、そういった御家庭の福祉については、これは今言ったように、国籍、あるいは住所さえあれば国籍を問わない、いわば属地主義的に処理しておりますから、十分その対応は図っていくべきものだと考えております。
  140. 白保台一

    白保委員 外務大臣の答弁もございました。それからまた、今の厚生大臣の答弁もございました。  その中で、結局、異動してしまって相手先がつかめないというようなことがいっぱいある。にもかかわらず、証明というふうなことが結局言われるわけですね。ですから、そういった面で、養育費の問題やあるいは国内の福祉の問題、こういった問題等、先ほど外務大臣の答弁のあるように、皆さんで、関係省庁寄って、それで研究していただいて、きちっとした救済策を打ち立てていただきたい、そのことを最後に申し上げて、質問を終わります。
  141. 中山正暉

    中山委員長 これにて白保君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして一般質疑は終了いたしました。     —————————————
  142. 中山正暉

    中山委員長 この際、御報告いたします。  昨十六日の分科会設置の際に、分科員の配置及び主査の選任につきましては委員長に御一任をいただいておりましたが、分科員の配置につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりといたします。     —————————————   第一分科員       河村 建夫君    中山 正暉君       牧野 隆守君    生方 幸夫君       草川 昭三君    木島日出夫君   第二分科員       越智 通雄君    斉藤斗志二君       森山 眞弓君    池田 元久君       岩國 哲人君   第三分科員       岸田 文雄君    津島 雄二君       吉田  治君    斉藤 鉄夫君       鈴木 淑夫君   第四分科員       加藤 卓二君    萩野 浩基君       村山 達雄君    岡田 克也君       春名 直章君   第五分科員       植竹 繁雄君    大原 一三君       久間 章生君    小林  守君       大野由利子君    濱田 健一君   第六分科員       江口 一雄君    亀井 善之君       海江田万里君    肥田美代子君       平賀 高成君   第七分科員       島村 宜伸君    村田 吉隆君       横路 孝弘君    西川 知雄君       北沢 清功君   第八分科員       葉梨 信行君    横内 正明君       上原 康助君    太田 昭宏君       加藤 六月君     —————————————
  143. 中山正暉

    中山委員長 また、各分科会の主査は次のとおり指名いたします。         第一分科会主査 小澤  潔君         第二分科会主査 中井  洽君         第三分科会主査 西村 眞悟君         第四分科会主査 臼井日出男君         第五分科会主査 伊藤 公介君         第六分科会主査 谷津 義男君         第七分科会主査 自見庄三郎君         第八分科会主査 北村 直人君 以上であります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時八分散会