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鈴木(淑)
委員 大変力強い評価をいただきました。私も、最終報告に大いに期待をかけると同時に、
堺屋長官、これは恐らく今御検討中の新しい経済計画、中期計画にも反映されていく、恐らく両者が一体になっていかなければならない、そして、それが
小渕内閣の大きな戦略的な目標として打ち出されなければならない、こういうことになっていくんだろうと思います。
そこで、
堺屋長官に御質問いたします。
私は今、これを読んでみて、大筋
考え方は結構だと申し上げましたが、もちろん、細かい話になっていきますと若干コメントしたいところもあります。
やや専門的になりますので長官にお伺いいたしますが、私は、この中間報告の一番大きな問題点、強いて挙げますと、
日本経済再生のタイムスケジュールがはっきり出ていない。逆の
言葉で言うと、戦略性。戦略的にどこから入っていって、どういう段階を経ていくのか、各段階でどの
政策が一番大事なんだ、入り口はどこだ、その手の戦略性が余りはっきり出ていないのですね。これをはっきりさせていかないと。
ただ、百六十四も提言がこの中にあります。それぞれ、ほとんど私は賛成です。だけれども、強弱がついていない、あるいは組み立てられていない。どこから入っていって次の
政策が生きてくるとか、そういう戦略的な組み立てがまだ出ていないのですね。それが必要だと思って、私はこれを執筆した
委員の一人と
議論をさせていただきました。あなた方は、
小渕内閣の
日本経済再生のタイムスケジュールについてどう
考えているかという点を
議論させていただきました。
そうしたら、その
委員は、実はタイムスケジュールは頭の中にある、それも
議論している、ただ、いろいろな事情があってまだそれほどはっきり出ていない、ここに出ていない、最終報告では出したいんだと言っておりました。
この中に、何となく行間に読み取れるタイムスケジュールは、
総理、次のようなことのようであります。これは
委員の方と
議論して確認したのです。
来年度、九九年度と二〇〇〇年度の最初の二年間は、これは再び景気後退なんか起きたら大変だから、景気を間違いなく回復させていくんだという景気刺激最優先でいく、そこに戦略的なポイントがあるんだ。同時に、バブル経済の集中的な清算の時期として徹底的に金融システムの安定化を図っていくんだ。したがって、それに伴って若干財政赤字がこの先さらに拡大していっても、とにかく景気最優先、バブル清算最優先でいく、これが二年間だということのようであります。これは私は賛成なんです。
その次の二年間、二〇〇一年、二〇〇二年、二十一世紀の最初の二年間は、いよいよ潜在成長率、ここでは二%と言っていますが、いろいろ聞いてみたら二%強のようでございますね。意見は割れています。それにプラスアルファ。なぜアルファがつくかといえば、今デフレギャップがありますから、デフレギャップを縮小しながらいけば、ここではまず潜在成長率プラスアルファの成長経路に乗ってくるだろうというふうに
考えています。ところが、ここではまだ財政再建に取りかからないのですよ、この二年間では。私は、これは非常に大事なポイントで、賛成なんですね。
では、この間どうするのかといったら、もう景気刺激はやめるのです。だけれども、財政再建のためにデフレ的な
予算は組まない。いわば中立ですね。増減税なし。公共投資でいえば横ばいです。そういう中立的な
政策を二年間とって、完全に潜在成長率プラスアルファで、民間支出主導型で成長していくようにする、この二年間。
そして、その後、二〇〇三年以降、いよいよ
日本経済再生の完成期に入りますから、その中には財政再建も入ってくる。もう
政策の後押しをしなくても
自分の足で歩けるところまで行くだろうから、当然、財政は抑制ぎみになってくる。こういうものが頭の中にあるようでございます。
堺屋長官、今のようなタイムスケジュール、ですから、恐らく、最後の二〇〇三年以降といっても、そんな簡単に財政のバランスはとれません。特に、この中ではプライマリーバランスという
言葉を使っていますね。収入のうちから公債発行の収入を除く、支出のうちから国債費を除く。そのバランスがとれてきますと、
総理、財政赤字の対GDP比率というのは決して発散いたしません。安定を完全にしてくるんですね。そこを目標にするのだ、その
考え方もいいと思うんですが、やはりこれはせっかちにやってはいけないんだと思うのですね。
仮にこれに六年ぐらいかけるとすると、
日本経済再生というのは十年の大仕事になります。そのぐらいのスケールで
考えていかなきゃいけないなと私は思いますし、行間にそれが読み取れるわけですが、
堺屋長官は新中期計画を
考えるに当たって、どういうふうに
考えておられますか。
もしそれが五年計画だと、私は、今度の再生計画というのはそんな短いものじゃだめだ。もっと長く
考える。余り成長率何%なんて数字にこだわらずに、今私が申し上げたタイムスケジュールとそれぞれの段階の戦略的なポイント、そういう計画にしなきゃいけないのじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。