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1999-02-12 第145回国会 衆議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月十二日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 伊藤 公介君 理事 臼井日出男君    理事 北村 直人君 理事 久間 章生君    理事 自見庄三郎君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君    理事 中井  洽君       植竹 繁雄君    江口 一雄君       小澤  潔君    越智 通雄君       大原 一三君    奥谷  通君       加藤 卓二君    亀井 善之君       河村 建夫君    岸田 文雄君       小林 多門君    斉藤斗志二君       阪上 善秀君    島村 宜伸君       田中 和徳君    津島 雄二君       葉梨 信行君    萩野 浩基君       牧野 隆守君    村田 吉隆君       村山 達雄君    森山 眞弓君       谷津 義男君    山口 泰明君       横内 正明君    岩國 哲人君       上原 康助君    生方 幸夫君       枝野 幸男君    岡田 克也君       北村 哲男君    小林  守君       仙谷 由人君    肥田美代子君       松崎 公昭君    横路 孝弘君       吉田  治君    大野由利子君       久保 哲司君    草川 昭三君       斉藤 鉄夫君    白保 台一君       西川 知雄君    丸谷 佳織君       若松 謙維君    一川 保夫君       江崎 鐵磨君    加藤 六月君       小池百合子君    鈴木 淑夫君       木島日出夫君    佐々木憲昭君       春名 直章君    平賀 高成君       矢島 恒夫君    北沢 清功君       濱田 健一君    保坂 展人君  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         法 務 大 臣 中村正三郎君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         厚 生 大 臣 宮下 創平君         農林水産大臣  中川 昭一君         通商産業大臣  与謝野 馨君         郵 政 大 臣 野田 聖子君         労 働 大 臣 甘利  明君         建 設 大 臣 関谷 勝嗣君         自 治 大 臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   野田  毅君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      有馬 朗人君         国 務 大 臣         (金融再生委員         会委員長)   柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局次長     松田 隆利君         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       竹島 一彦君         内閣総理大臣官         房審議官    佐藤 正紀君         金融再生委員会         事務局長    森  昭治君         金融監督庁長官 日野 正晴君         金融監督庁検査         部長      五味 廣文君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         証券取引等監視         委員会事務局長 舩橋 晴雄君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 中川 良一君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         科学技術庁長官         官房長     興  直孝君         科学技術庁科学         技術政策局長  加藤 康宏君         科学技術庁科学         技術振興局長  田中 徳夫君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         法務大臣官房長 但木 敬一君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省理財局長 中川 雅治君         大蔵省金融企画         局長      伏屋 和彦君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         厚生省老人保健         福祉局長    近藤純五郎君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         農林水産省構造         改善局長    渡辺 好明君         林野庁長官   山本  徹君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         通商産業省生活         産業局長    近藤 隆彦君         中小企業庁長官 鴇田 勝彦君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         郵政省貯金局長 松井  浩君         郵政省簡易保険         局長      足立盛二郎君         郵政省電気通信         局長      天野 定功君         労働大臣官房政         策調査部長   坂本 哲也君         労働省労政局長 澤田陽太郎君         労働省職業安定         局長      渡邊  信君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省道路局長 井上 啓一君         建設省住宅局長 那珂  正君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     片木  淳君         自治省財政局長 二橋 正弘君  委員外出席者         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    深田 烝治君         会計検査院事務         総局第一局長  関本 匡邦君         参  考  人         (預金保険機構         理事長)    松田  昇君         参  考  人        (日本銀行理事) 黒田  巖君         参  考  人        (日本銀行理事) 小畑 義治君         参  考  人         (日本銀行調査         統計局長)   村山 昇作君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 委員の異動 二月十二日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     阪上 善秀君   亀井 善之君     奥谷  通君   斉藤斗志二君     山口 泰明君   岩國 哲人君     松崎 公昭君   上原 康助君     仙谷 由人君   小林  守君     枝野 幸男君   大野由利子君     若松 謙維君   草川 昭三君     久保 哲司君   西村 眞悟君     江崎 鐵磨君   志位 和夫君     平賀 高成君   不破 哲三君     春名 直章君   北沢 清功君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   奥谷  通君     田中 和徳君   阪上 善秀君     小林 多門君   山口 泰明君     斉藤斗志二君   枝野 幸男君     小林  守君   仙谷 由人君     上原 康助君   松崎 公昭君     北村 哲男君   久保 哲司君     白保 台一君   若松 謙維君     大野由利子君   江崎 鐵磨君     小池百合子君   春名 直章君     矢島 恒夫君   平賀 高成君     佐々木憲昭君   保坂 展人君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   小林 多門君     小澤  潔君   田中 和徳君     亀井 善之君   北村 哲男君     岩國 哲人君   白保 台一君     丸谷 佳織君   小池百合子君     一川 保夫君   佐々木憲昭君     志位 和夫君   矢島 恒夫君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   丸谷 佳織君     草川 昭三君   一川 保夫君     西村 眞悟君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十一年度一般会計予算  平成十一年度特別会計予算  平成十一年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算平成十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、金融財政並びに景気対策についての集中審議を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。自見庄三郎君。
  3. 自見庄三郎

    ○自見委員 おはようございます。私は、自由民主党の自見庄三郎でございます。  本日は、平成十一年度の国の予算に対する集中審議を行うわけでございますが、今、委員長から御報告がございましたように、きょうは、金融財政並びに景気対策ということでございます。景気対策を主にして小渕総理初め関係大臣の御答弁をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  質問に先立ちまして、先日、ヨルダンフセイン国王が御逝去をされたわけでございます。心から哀悼の意を表させていただきたいと思うと同時に、小渕総理はこのヨルダン国王国葬参列をされたわけでございます。二月の八日月曜日だったと思いますが、国際国家日本の中で、確かに予算審議の中の集中審議が当日予定をされていたわけでございますが、事前に各野党の党首の御了解をいただいて行かれたということをお聞きいたしておるわけでございますが、こういった小渕総理決断と行動は実に果断、果敢で、私は政治家として大変好感を持って受けとめたわけでございます。  フセイン国王葬儀には、クリントン・アメリカ大統領エリツィンロシア大統領、あるいはシラク・フランス大統領など、約五十カ国の首脳が参加をしたというふうにお聞きをいたしておるわけでございます。こういった中で、フセイン国王はまた大変な親日家であり、何度も来日をされたという話も聞かせていただいておるわけでございます。  そこで小渕総理質問をさせていただきたいわけでございますが、フセインヨルダン国王葬儀総理が出席した理由と、もう一点、日本国益にとっても大変重要なことだ、こう思うわけでございますが、フセイン国王亡き後のヨルダン情勢やあるいは中東和平の見通しについて、また、日本政府としてどのような努力を行っていくつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。
  4. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ヨルダンの故フセイン国王は、中東和平を推進してまいりました極めて重要な指導者であり、その逝去はまことに残念のきわみであります。  我が国といたしましては、中東の平和と安定に積極的に貢献するという立場でございまして、ジョルダン支援につきましても、実は最大援助国になっておるわけでございます。そうした状況の中で、フセイン国王努力を胸に刻みまして、国際社会として中東和平の前進に協力していくことは極めて重要なことと判断し、葬儀参列させていただくことを即断いたした次第でございます。  日本は、中東といいますと石油の輸入ということで、関係する国々はございますけれども、あの地域がかつて世界火薬庫と言われたような危険な地域であるということでもございまして、それが国王の大変な、ワイ・リバーの合意等によりましての率先垂範しての、ある意味では命をかけての平和に対する努力に対して、日本としても積極的にこれを支援していかなきゃならぬ、こういう立場でございましたので、参列をさせていただきました。  現地におきましては、先ほど自見委員指摘のように、ほとんど世界各国首脳が一堂に会した国葬儀というものはまれに見るものではなかったかと思っておりまして、その機会を得て、それぞれの首脳会談といいますか、時には列を組みながらの歩行の中でも、いろいろな方々と率直に意見を交換いたしました。  残念でありましたのは、エリツィン大統領と直接お話ができませんでした。しかし、日本としては、ことし春、桜の咲くころにはぜひおいで願いたいということで、ちょうど側近の方や、実は御令嬢であるタチアナさんもおられましたので、そのことをお話をいたしました。  そういった方々といろいろなお話ができたというのも大変、亡き国王のお引き合わせではないか、こう考えておるところでございます。  本件につきましては、国会開会中でございましたが、各党の御理解を得て参列できたことに対し改めて感謝を申し上げますと同時に、意義深いことであったと考えております。  そこで、お尋ねのように、国王亡き後のジョルダン情勢というものにつきましては、率直に、いろいろな状況の中で培われてきた和平が継続できるかという危惧をしないでもありませんけれども、しかし、アブドラ国王といたしましては外交政策を引き続いて継続していくということの決意を申し述べられておりますので、我が国としては、諸外国と連絡を密にしながら、この状況をさらに強固なものにしていくように日本としては努力をいたしていきたいというふうに考えております。そのことは、私からもアブドラ国王日本としての全面的な支援につきましても申し上げたところでございます。  我が国といたしましては、これまでゴラン高原のUNDOFへの要員の派遣や四億ドル以上に上るパレスチナ支援等を実施してまいりましたし、また、本年一月には高村外務大臣中東諸国を訪問して和平への働きを行ったところでございますので、今後とも、関係国と協力してこのような努力を継続してまいり、中東がより一層和平そして安定に向かいますように力を尽くしていきたい、このように考えております。
  5. 自見庄三郎

    ○自見委員 今総理のお言葉にもございましたように、中東和平ということは日本国益にとっても大変大事なことでございます。  ヨルダン国王が御逝去されたということは本当に悲しみのきわみでございますが、そういった時期に、国際国家日本のリーダーとしてきちっと国葬に参加され、また世界のそういった方々会談を持たれたということを、私は政治家として高く評価をさせていただきたいと思っております。  さて、ことしの一月六日から、私、中華人民共和国を訪問させていただきました。山崎拓政調会長を団長といたしまして、自民党の衆参国会議員十一人で中国訪問をいたしました。私が秘書長ということを務めさせていただいたわけでございますが、朱鎔基中国首相とお会いできました。新聞報道によりますと、外国の要人とは、特に日本人にはなかなか会わないというふうな報道もあったわけでございますけれども、一時間近く会談ができたわけでございます。  この朱鎔基山崎拓会談の中で、朱鎔基首相はこう言われました。経済分野において日本とさらに密接な関係を結んでいきたい、日本経済景気回復中国にとってもメリットがあるし、またアジア経済にも有益である、こういうふうなことを述べられたわけでございます。  こういった御指摘をいただくまでもなく、御存じのように、我が国経済の趨勢が、中国はもちろんアジア経済に大きな影響を与えるということを改めて実感をしたわけでございます。日本国は、まさに五十数年前焼け野原の中の国でございましたが、先人、本当にたくさんの方々の御努力によりまして、不況が続いておりますけれども、GNP、世界経済の約一五%はこの日本国が占めるわけでございまして、経済国際化が進んでおる現状において、我が国景気回復なくしてアジア景気回復はないというふうに私は思っております。我が国景気回復こそが世界に対する最大国際貢献であるというふうに、政治家として私は確信をするわけでございます。  そこで、景気回復を主とする八十一兆円に上るこの平成十一年度予算でございますが、まさに我が国経済に活力を取り戻すマグマになるというふうに私は信じておるわけでございます。  小渕総理はみずからを経済再生内閣として自分自身で位置づけをされまして、経済再生に果敢に取り組んでおられます。その決意のほどは、昨年八月の所信表明の中で、総理冒頭に「今日の勇気なくして明日の我が身はない」というふうにおっしゃられたことに私は感銘を受けた人間でございます。  平成十一年度予算は、昨年の十二月十一日でございましたか成立した平成年度第三次補正予算と一体としてとらえ、年度末から年度初めにかけて切れ目なく施策を実施すべくいわゆる十五カ月予算を組み、景気回復経済再生に大胆にスピーディーに取り組んでおられる、こう思うわけでございます。  また、各種の世論調査によりましても、国民の約六〇%以上が、今政治に何を一番望むか、こういうアンケートを出しますと、それはもう景気回復であるということが、あらゆる世論調査を通じた共通なことだと私は思うわけでございます。まさに景気回復は、我々政治家に与えられた最も厳粛かつ重要な課題であると私は確信をするわけでございます。  さて、始まりました今通常国会冒頭でも、小渕総理は、二十一世紀に向けて、繁栄へのかけ橋、安全へのかけ橋、安心へのかけ橋、そして最後に未来へのかけ橋という四つの橋を築いていくことを、大変力を込めて施政方針演説で強調されたわけでございますが、本十一年度の当初予算経済再生へのかけ橋となるという観点から、小渕総理に本予算全体の特徴についてお伺いをさせていただければと思うわけでございます。
  6. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 昨年末成立をいたしました十年度第三次補正のもとで切れ目なく景気回復策を実施いたしておりまして、十一年度予算におきましても、当面の景気回復に全力を尽くすとの観点から予算編成を行ったところでございます。  具体的にということでありますが、まず歳出面では、公共事業につきまして、公共事業関係費を前年度当初予算に対しまして五・〇%増額するとともに、別途公共事業予備費五千億円を計上し、予算ベース支出ベースとも前年度に比べ一〇%上回る水準を確保するとともに、雇用対策につきまして、政府全体の取り組みとして、百万人規模雇用創出、安定を目指しまして、雇用活性化総合プランを実施するため、十年度第三次補正予算と合わせまして事業規模約一兆円を確保いたしておるところでございます。この予算等につきましては労働省が担当いたしておりますが、画期的な雇用対策予算と自負をいたしておるところでございます。  このほか、中小企業対策費を前年度当初予算に比べまして三・五%増額するとともに、将来の発展基盤を確立するため、特に科学技術振興費、これを大幅増額をいたしまして、八・一%伸ばしておるところでございます。  歳入面では、内需の拡大や我が国企業国際競争力の強化を図るため、従来なし得なかった思い切った内容の個人所得課税法人課税恒久的減税の実施を決断するとともに、住宅ローン減税を初めとする政策減税を実施することといたしました。  これらの減税は九兆円を超える規模のものでございまして、この個人所得課税あるいは法人課税につきましてもいろいろ御議論をいただいておるところでございますけれども、かねて来、政府といたしましては、国際的な水準その他の比較におきましても、国際競争力を持つという意味からも、できる限りこうした数字に持っていきたいという願望をいたしておりましたが、今般、決断をいたしまして、このような減税を実行しようとしておるところでございます。  また、住宅ローン等政策減税につきましても、現下喫緊のやはり重要な課題であるということでございまして、国会等の強い御要請もありましたので、この点につきましてもかなり思い切った減税を試みようといたしておるところでございます。  さらに、現下経済の極めて厳しい状況を乗り越えるために、明るい未来を切り開く、こういう観点から、広く快適な住空間高齢者に優しい空間などの実現を目指した生活空間倍増戦略プラン、一月二十九日に策定をいたしましたが、これは未来へのかけ橋を築くもので、地域戦略プランも含めまして、強力に推進していきたいと考えております。また、経済供給サイド体質改善を図り、新事業創出によりまして、良質な雇用の確保や生産性向上を目指す産業再生計画を築いていかなければならない、このように考えております。  十年度第三次補正予算及び十一年度予算におきましても、これらのプラン計画に盛り込まれた施策に対して十分な予算措置を講じておるところでございまして、こうした積極的な予算を編成することにより、これが実施されて効果を発揮いたしてまいりますれば、必ず日本経済は再生し、そして我々のぜひプラス成長に持っていきたいという願いはかなえられるもの、こう考えておる次第でございます。
  7. 自見庄三郎

    ○自見委員 一般歳出で五・三%の伸びですか、これは二十年ぶりの景気刺激型の予算であると私はお聞きをいたしております。その中でも、今総理が申されました、公共事業を一〇%以上の伸びにした、その中で予備費をとっているという話もあったわけでございます。まず積極的な予算を組まれた、景気刺激型の予算を組まれた、あわせて、その中でも生活空間倍増プランだとかあるいは産業再生計画、そして特に力点を置いて述べられました雇用活性化総合プラン、百万人の雇用を創造しよう、こういったことについて述べられたわけでございます。  また、税制については、まさに国際国家日本でございますから、国民所得に関する課税が六五%以上、私が国会議員になったときは十五年前でしたけれども、当時最高税率は八八%だということを私はよく記憶しているわけでございます。国際的なハーモナイゼーションと申しますか、個人企業も、国際化の中ではそういう日本だけ高い課税だと逃避をする、逃げていくという話も当時からあったわけでございますけれども、勇気を持って小渕総理が、国民所得に関する課税最高税率五〇%だったと思いますが、五〇%にする、また企業税制の方も、これは国際的な基準に合わせるということで四〇%にしたということ、これも本当に私、御英断であった、こう思うわけでございます。  そういったことについては今から各関係閣僚にもお聞きをしたいと思うわけでございますが、一点だけ、今大変大きな話題になっております日銀による国債買い切りオペについて、これ一問だけでございますが、総理にちょっと追加の質問をさせていただきたいというふうに思っております。  これは本当に現実的な話題となったのは、私の聞くところによると、ダボス会議加藤紘一前幹事長がアメリカのサマーズ、ルービン、こういった政府高官と話したときに議題に出たというふうな話を、新聞報道でございますが、私はお聞きをいたしておるわけでございます。それ以来、日本政府あるいは日本銀行内部でも、また閣僚でもいろいろな意見があるというふうなことをお聞きいたしておるわけでございますが、私はこういった、景気対策が至上でございますから、やはりデフレ対策、景気対策としての金融の量的緩和の手段としても、国債の買い切りオペを拡大すべきではないかというふうに考えておるわけでございます。いろいろな論理がございます。もうそのことはきょうは申しませんけれども、そのことにつきまして内閣総理大臣の御見解をお聞きさせていただきたい、こう思うわけでございます。  きょう、新聞報道によりますと、日本銀行でそのことについての大変重大な政策決定の会議があるやにお聞きをして、経済企画庁長官が出席する、しないというふうな話も聞いているわけでございますが、ある意味政府財政出動ももうそろそろ目いっぱいのところにあるのかな、こう思うわけでございます。やはり長期金利の上昇、これは景気に対して大変まずい影響があるわけでございますから、そういった点、総理、おわかりでございますから、ひとつ国債買い切りオペを拡大すべきでないかと私は諸般の事情を考えて思っておりますが、それに対しまして総理の御意見を聞かせていただきたいと思います。
  8. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 デフレ対策、景気対策として、金融の量的緩和の手段として、日銀による国債買い切りオペを拡大すべきでないか等々のお考えが大変、行われておることは承知をいたしております。与党、自民党、自由党等におきましても党内的ないろいろの御議論があることも聞いておりますし、また、政府部内におきましても、それぞれのお考えを持っておられる方々、おられるかと思いますけれども、総理といたしましては、現下経済金融情勢に対応して、適切な金融政策の運営が必要であり、幅広い観点から議論していただくことが重要だと考えております。  今お話しのように、今日、日銀におきましてもいろいろ熱心な御議論が展開されるやに聞いておりますが、いずれにいたしましても金融政策は日本銀行の所管事項でもございまして、日本銀行政策委員会、金融政策決定会合において十分議論されて運営されていくものと考えておりますが、冒頭スイス・ダボスでの会議のことがお話ございました。ちょうど本院における予算委員会の審議の総括中でございましたので、実は、大臣の中で何人か送ってくれないかということの要請もございましたが、それはかなわないことでございました。  ただ、この会議は、今お話に出ましたように、世界各国関係者がたくさん出席をいたしておりまして、我が国からは加藤自民党前幹事長が出席をされましたが、その出席をされたいろいろの会合におきまして、本問題等につきましても質疑その他がかなりあったとは聞いております。しかし、日本としての、といいますか出席者としての考え方は、特にこの点について発言をされ、コミットメントしたというようなことはないという報告を私自身受けておりますので、我が国としてどのように対応するかということについては、これはまだ方向が定まっておるということはあり得ないと思います。  しかし、極めて重要な問題でございますので、関係の各省におきまして十分な御議論がされるということは、これは必要なことではないかと思っております。
  9. 自見庄三郎

    ○自見委員 それでは引き続きまして、今小渕総理も言われました景気刺激型の予算でございますが、その中の大きな柱として、公共事業を一〇%以上ふやす、しかし同時に、お金というのは有効に使うことが必要である、国民からお預かりした予算でございますから、まさに祈るような気持ちで有効に使わせていただくということは、民主主義国家における政治の原点だ、私はこう思うわけでございます。  その中で、やはり今回の予算、まず、当座の景気対策に役立つ、そのことが雇用をふやす、あるいは波及性がある、そして将来の日本国の産業構造の転換を含め、そういったことに利益がある予算を優先的に考えて編成したということをお聞きしておるわけでございます。  そこで、もう御存じのように、我が国のGDPの構成を見ますと、民間消費が六〇%、民間設備投資が一六%で大半を占めておりまして、政府投資は約八%であるというふうに思っております。そういった中で、民間部門のマインドが冷え込んで、消費と設備投資が低迷している今の状況において、景気を下支えし、我が国経済をはっきりしたプラス成長に転ずる、今総理プラス成長に転ずるということを強く言われたわけでございますけれども、まず私は、当然でございますが、財政による十分な総需要の創出が必要であるというふうに思っております。  そういった中で、今言いました、特に住宅ローンの控除制度について創設をしたわけでございますが、民間消費の中の非常に大宗の部分を住宅投資が占めているわけでございます。私もサラリーマンの医者を、研究者を長くやっておりましたが、やはり車を買うというのと一緒、それから家を建てる、私も福岡の方で住宅ローンでマンションを買いましたが、やはり額が一けた違うと思うわけでございます。  やはり住宅投資ということは、そこで暮らす人間たちが、まさに住宅というのは教育の場であり、ある意味で文化伝承の場であり、あらゆることの、日本国における社会経済活動の基礎が家庭である、家庭の基盤が住宅にあるわけでございますから、私は、住宅政策というのは今の国家において極めて重要な政策だ、こう思うわけでございます。  私ごとでございますが、以前、住宅取得促進税制というのができましたが、当時私は自民党の税制調査会の二年生の議員でございましたが、私は切り込み隊長となりまして、住宅取得促進税制の創設を声を張り上げて実現させていただいた経緯もございます。  近年、住宅取得促進税制、また今回は住宅ローンの減税の控除制度を創設したわけでございますから、私は、同時にまた今申しましたように、景気回復を考えましても民間消費の拡充、そしてそのためには住宅投資を国民方々からふやしていただくということが極めて大事だ、こう思うわけでございます。そういった中で、まず簡単に住宅ローン控除制度の創設について、大蔵省の主税局長でもよろしゅうございますから、宮澤大臣に当てるのはちょっとあれでございますから。大蔵大臣からでもよろしゅうございますから、簡単に、国民にわかりやすく説明をいただき、あと建設大臣に、このことの経済効果でございますが、どれくらい考えているのかということをお聞かせいただきたいと思っております。
  10. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま自見委員から、経済政策の諸元について、消費と設備投資と政府のいわゆるIGというものについて御指摘がありまして、その中で、政府の投資は御審議いただいておりますとおりでございますが、民間の設備投資というものに実は今すぐには期待ができないような、正直を申して現状でございますから、それだけ余計消費並びに住宅投資というものに期待をかけなければならないという現状でございます。  そういうことから、このたび制度の大改正を行いまして、いわゆる税金を引きます控除の期間が今まで六年でございましたが、今度は十五年間にいたしました。それから、ローンの残高は今まで三千万円までといたしておりましたが、五千万円にいたしました。その結果、控除税額が、従来最高百七十万円でございましたが、ほぼ六百万円に近くなりまして、この制度を平成十一年、十二年の一両年のうちに、こういう時期でございますから限りまして実施をいたしたい。なお、贈与税等々につきましても工夫をいたしておりまして、平年度になりますとこの減税効果は一兆二千億円と推定されております。  お聞きになります方がわかりやすいように一つありそうな例を申し上げますと、年収七百万円といいますとほぼ平均的な給与所得者でございますが、この人が住宅ローンを三千万円借りたといたします。そして、マンションを取得いたします。従来でございますと減税額は百二十三万円でございますが、新しい制度では、これが十五年間使えますので二百六十九万円ぐらいになる、かなり大きな効果を期待いたしておるところでございます。
  11. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生御指摘の住宅ローンの控除制度、あるいはまた昨年末に住宅金融公庫の金利を最低の二%に下げまして、その後、財投が〇・九%上がりましたので二・二%には上がりましたけれども、そういういろいろな減税効果、そして税制効果が出てきておるわけでございます。  簡単に御報告いたしますと、住宅金融公庫の第三回の募集結果は約十一万戸と、前年同期に比べまして四五%の増加になっております。あるいはまた住宅展示場へ来られる方が、十二月には前年同期で約九%の増加、あるいはまた首都圏のマンションの販売状況を見てみますと、契約戸数で十二月としては最多でございまして、七五%強と大変好調になっております。  また、一月二十九日に公表されました平成十年十二月の新設住宅着工戸数におきましても、年率換算で百十五万戸と増加に転じておるわけでございまして、自見先生御指摘経済効果はどうかということでございますが、私は、百三十万戸の年率の着工数というのは、それは希望ではございますが、やはり百二十万戸の後半の戸数がモデレートな数値ではないかな、そういうふうに今考えております。
  12. 自見庄三郎

    ○自見委員 低迷する住宅投資を回復させ、住宅の質の向上や、特に買いかえ促進、この中に、譲渡損失繰越控除制度との併用により、資産デフレを抱える買いかえ層を強力に支援だということも大事な視点だ、私はこう思うわけでございます。従来六年間を十五年間に延長する、今まで最高百七十万円の減税だったのを五百八十万円減税をするということでございますから、私は本当にこれは思い切った政策減税である、こう思うわけでございます。  また、今関谷建設大臣からも大変申し込みがふえたというふうな御報告もあったわけでございます。私は、これは一兆二千億ぐらいの規模減税だというふうにお聞きいたしておりますが、やはり大変今時宜にかなった減税だ、こう思うわけでございますから強力に、また実際の第一線で家を建てようかと思っておられるサラリーマンの家庭、そういった方にもいろいろな説明をやはりきちっと政府の方でもして、こんな制度があるなら、もし家をつくるなら今が一番有利だ、こう国民にわかっていただくということが私は同時に大事だ、こう思うわけでございますから、ぜひ強力に推進をしていただきたいと思っております。  それから次に、総理生活空間倍増戦略プランでございますが、これは教育・文化空間についてお伺いをさせていただきたい、こう思うわけでございます。  今さっき総理もお述べになりました科学技術の振興あるいは研究開発ということは、国家にとって大変大事なことだというふうに思うわけでございます。今自民党にございます科学技術創造立国・情報通信研究開発推進調査会というのがございまして、山崎拓政調会長が会長でございますが、不肖私が事務総長というのをやらせていただいております。そういった中で、科学技術あるいは情報通信研究開発というのは、特に日本企業が国際市場で競争力を保ち、その持続的発展を遂げていくためにも私は大変大事だ、こう思うわけでございます。  これは、尾身幸次代議士を初め、本当に自民党の方々の御努力、また野党の御理解もいただきまして、議員立法によって科学技術基本法が平成七年にできたわけでございます。五年間で総額十七兆円ということでございまして、科学技術関係経費として十七兆円という、大変国家にとっては大胆な目標だと私は思うわけでございますが、今の日本国の置かれた状況あるいは国際的な技術レベルの問題を考えますと、私は大変これは適切な施策である、こう確信をするわけでございます。  今お話がございましたように、三兆一千五百十一億円、科学技術関係経費として本予算に計上いたしておりますが、その中の中核でございます科学技術振興費は八・三%の増でございますから、一般歳出伸びは五・三%でございますからこういった中で思い切った、めり張りをつけて科学技術振興費を伸ばしたということだというふうに私は思うわけでございます。  先般、向井千秋さんが実は自民党の科学技術部会においでになりまして、話を聞かせていただきました。  実は、向井さんが第一回目に宇宙へ飛んだとき、日本に来られたとき私はお会いをしたんですが、向井千秋さんに、宇宙から、無重力の状態から地上に戻ってきて一番最初に何を感じましたかとお聞きしましたら、自見さん、名刺ですね、我々名刺を出しますね、名刺の重たさを感じたと言うんですよ、無重力から帰ってきまして。しかし、二週間ぐらいたったらもう名刺の重たさを感じなくなったということを私は大変印象深く覚えております。  日本人として二回目のスペースシャトルに搭乗したということはすばらしいことだ、こういうふうに思うわけでございますし、このことがまた本当に、全国の少年少女にもまた温かい未来に対する夢と希望を与えた、私はこう思うわけでございますが、そういったことに関しまして、科学技術振興あるいは宇宙開発プロジェクトの今後につきまして、文部大臣兼科学技術庁長官に御説明をお願いいたします。
  13. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 まず最初に、科学技術基本法並びに科学技術基本計画というものがつくられましたことは、日本にとって大変すばらしいことでございました。現在それが進行中でございますし、あとさらに数年、これを実現に向けてぜひとも努力をしていかなければならないと思っております。科学者の一人といたしまして、こういうふうな政策が国としてとられたことに対しまして、私は心から感謝を申し上げたいと思います。  このことによって日本の科学技術は明らかに伸びてきております。宇宙開発においても、向井さんを初め大勢の人々が大いに活躍をしておりますし、また、今自見先生御指摘のように、宇宙開発によって青少年が夢を持つということが極めて大切であると思っております。  科学技術政策はますますこれから盛んにしていかなければなりません。それは、もちろん二十一世紀における日本の国力を増すことも必要でございますが、そのことを通じて世界の平和に貢献すること、そして若い人々に夢を与える、希望を与えるということで極めて大切でございまして、今後とも、文部省といたしましても科学技術庁といたしましても、大いに科学技術の振興に努めさせていただきたいと思っております。
  14. 自見庄三郎

    ○自見委員 しっかり振興に努めていただきたいと思います。  それでは、公共事業をふやしたという話があったわけでございますが、同時に私は、未来性のある公共事業が必要だ、こう思うわけでございます。今、とかく公共事業の不要論というのが世の中の一部であるわけでございますが、私は、必要な公共事業は国づくりにも地域づくりにも必須である、そういうふうに思うわけでございます。同時に、評価システムをきちっとして、こういった公共事業国民の貴重な税金からいただいたお金でございますから、透明性、そういったことを高めるということは言うまでもないことでございますが、同時に、新たな時代でございますから、私はまさに未来を志向した公共事業は必要である、こう思うわけでございます。  その中で、交通ネットワークの高度情報化、情報通信が大変発達をいたしましたけれども、それと道路建設とあわせてやっていくというのは、私はまさに今未来志向型のすぐれた公共事業だ、こう思うわけでございます。  国民だれでも、祭日にドライブに行きますと、有料道路の料金所で渋滞をいたしまして、いらいらしたことがあると思うわけでございますが、そういった解消のために、ことしから建設省、この予算の中で、ノンストップ自動料金収受システムについていよいよ実際に建設をするという話を聞いておるわけでございます。交通混雑によって数十兆円の経済損失がある、あるいは、有料道路の混雑によって、交通混雑の約三六%がこのことによって起きるというような数字も知っているわけでございます。  ひとつ建設大臣、私、本当に歴史的な道路行政の大きな転換だと思うわけでございますが、そのことについて、いよいよことしから予算の中に建設予算が入っているということでございます。いずれ料金所での渋滞が解消できるということでございますが、そのことについて一言御感想をお述べいただきたいと思うわけでございます。
  15. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 ノンストップ自動料金収受システムでございますが、御指摘のように、これは車の方に車載器を積みまして、料金所に設置いたします路側機器を行いまして、カードに自動的に料金が記録をされる、そして後は銀行口座からそれを落とすというシステムでございまして、平成十一年度には東関東自動車道、京葉自動車道等で、千葉地区を中心といたしましてまず開始をしたいと思っておるわけでございます。このことは、御指摘のございましたように、料金所の渋滞の解消、それに伴います環境の改善、あるいはキャッシュレス化によります利便性の向上、そしてまた管理費の節減等を目的としたところでございます。  それで、このITS全体による市場効果でございますが、二十年間で計算してみますと約五十兆円規模になるのではないかと見積もられておるわけでございまして、平成十一年度のサービス開始料金所は約五十カ所と今計算をいたしております。それで、平成十一年度のETCの整備予算は約五百億円でございます。  以上でございます。
  16. 自見庄三郎

    ○自見委員 この施策は各省が、建設省あるいは郵政省あるいは警察庁等々が絡むわけでございますから、ひとつその辺は政治家の指導力を発揮してきちっとやっていっていただきたいというふうに思っております。  それから、そろそろ時間でございますが、薬剤の一部負担について私の意見を述べさせていただきたいと思います。  我が国は高齢化社会になりました。七十歳以上の老人の医療保険の加入者が千四百万人、国民の一割以上の方がおられるわけでございます。ところが、この高齢者方々をまともに今不況が直撃をいたしておるわけでございます。こういった方は、年金生活者も多い。金利が低い、金利が低下をいたしておりまして、大変な不安を持っておられます。  一昨年の九月、健康保険法の改正で自己負担分がふえましたが、そういったことを踏まえて、ことしの七月からでございますが、七十歳以上のお年寄りの外来患者の薬剤を一部負担をゼロにするということでございます。その分を国がかわって負担をするということでございますが、高齢者になればなるほど、医療機関にかかる回数がふえるわけでございます。  特に、高齢者方々は、まさに明治、大正、昭和という激動の時代を生きてこられた我々の人生の、この国をこれほどまでにした先輩、大先輩でございます。やはりこういった高齢者方々に、この特別措置を通じて少しでも医療費の負担を軽減する、あるいは、大きくはこの不況の中で国民負担の軽減ということでございますから、そのことは大変大事な政治の要諦であるというふうに私自身は思うわけでございますが、このことについて、厚生大臣の御見解を聞かせていただきたいというふうに思います。
  17. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 御指摘のようにことしの七月から、七十歳以上の高齢者方々並びに六十五歳以上の身体障害者の方々の医療費のうち、薬剤費の負担分については国がこれをかわって納付することにいたしました。このことは、今委員の御指摘のような御意見等も踏まえ、そしてまたこの経済情勢等も総合判断をいたしまして、党と政府との間で合意を見ました。  そんなことでこの措置をやらせていただきましたけれども、これは、あくまで私どもは平成十二年からの抜本改革のつなぎの措置として、応急的な措置として考えておりまして、抜本改革の必要性は委員も十分御承知でございますが、それまでのつなぎの措置としてやったものでございまして、十分委員の御指摘のような御意見を踏まえたものということはできるかと存じます。
  18. 自見庄三郎

    ○自見委員 最後に、司馬遷が書いた史記を先日読んでみました。次のような一章がございました。  漢の高祖が酒宴を開いたとき、なぜあなたは天下をとれたかという質問があったそうです。高祖はこう答えたそうです。はかりごとにたけた張良、野中官房長官を想像するわけじゃございませんけれども、国家をうまく治めた蕭何、それから軍略家の韓信という三人の人傑をよく用いることができたから漢という国をつくることができたということを高祖は申したそうでございます。  小渕総理は、有能な人材をうまく使うことができる、私も御指導いただきましたが、懐の深い政治家であるというふうに私は思っております。今後も、持ち味を生かして、まさに経済再生でございますから、そのことに関して、全身全霊を尽くして頑張っていただきたいと思うわけでございます。我々も、微力でございますが、全身全霊を挙げてバックアップさせていただくことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  19. 中山正暉

    中山委員長 この際、越智通雄君から関連質疑の申し出があります。自見君の持ち時間の範囲内でこれを許します。越智通雄君。
  20. 越智通雄

    ○越智(通)委員 自由民主党の越智通雄でございます。  きょうは大変時間が短いものですから、私は、金融の重要な問題に限って御質問させていただきますので、どうぞ御答弁の方も、核心をついた簡潔な御答弁でお願いしたいと思います。小渕総理には最後に御所見を承りますので、ただ、その間、どうぞ心にとめて聞いておいていただきたい、このように思っております。  昨年来の貸し渋りその他の問題について、町から見た金融のあり方、最近いろいろ調査がございまして、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工会議所等のアンケートでは、十二月現在でディフュージョンインデックス、DIはかなり改善されました。しかし、やはり全体としては厳しいという認識は残っているわけで、なかなか金を貸してもらえぬというのが残っておりますから、心配でございます。  何とか、政府の信用保証協会の政策その他で年末は余り金融上の混乱なく越えられたと思っておりますが、やはり年度末、三月が果たして大丈夫かなという懸念はまだ残っておりまして、これはもう大企業、中小企業含めてございます。  例えば社債なんかも、最近になく大きな集中満期が来まして約三兆円。この中で数千億はBBBなんです。格付のBBB以下は乗りかえが不能でございますものですから、これを銀行貸し出しでカバーしなきゃいけない。金融当局の実務者たちと話をすると、何とかめどはついた、こう言っているんですけれども、その社債をうまく切りかえていかなきゃいかぬ。  それから、柳沢大臣のところでおやりいただいている今の資本注入、きょうあたり結論をお出しになるようですが、七兆四千五百億ですか。自己資本で集めてくるのを入れれば九兆ぐらいになるんでしょうかね。ただ、これの交渉の過程でかなり厳しいと受けとめていまして、あれやれこれやれと、海外の支店はみんなやめちまえとかそういうことから、金融機関の態度がかなり引き締めになっていますね、早い話が。貸すことについて非常に警戒的になっております。  そんな中で、もう一つ出てきたのは長期金利で、これは去年の十一月ころから出てきて十二月はぱっと上がったんですよ、年末は。それで落ちついたものですから、宮澤蔵相も、一月の末にはたしか、大体落ちついてきたのじゃないかというお見通しだったのですけれども、また二月にぱぱっと上がりまして、今、きょう日銀は総裁が見えないのは、金融政策決定会合をやっていますから、そっちがあるというから、それはもうどうぞ、そっちが大事ですよというので、きょうはたしか理事さんがお見えになっておりますけれども。  これはむしろ蔵相にお伺いしたいので、今、それに対する手段についての是非で議論されていますけれども、根本的には、何であんなに長期金利が上がったと御認識なんでしょうか。  やはり病根をしっかりと、病気の原因を押さえていないと、そういう解熱剤みたいなことで、買い切りオペはもっとふやせないかとか、四千億じゃ足りないとか、あるいはツイストオペまでやってしまえなんという話がありますけれども、ツイストオペをやったら、ツイストというダンスは、今、はやっておりませんで、ツイストオペも余り世界金融界でやっておらぬのですよ。短期をどこまで上げていいと思っているのか。長期金利というのは二・三七ぐらいまで上がりましたけれども、蔵相、どのくらいがいいレベルだとお考えで、またそれはなぜそうなったか。したがって今後どうなっていくか。  そこら辺も、むしろ手段の是非よりも心配でございまして、これから先のことしの金融市場、金融情勢、どういうお見通しか。せめて夏ぐらいまでのところはしっかり聞かないと、企業をしている人間も家計を守っている人たちも心配でしようがない、こういうところでございますので、蔵相からお見通しを伺わせていただきたいと思います。
  21. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ここに参りまして、年末から長期金利が上がっていきましたことについてのお尋ねでございます。  私は、基本的には、長期金利というのは一種のマーケットの現象、これについて余り具体的に申し上げますと、国債の価格が高い、安いということを申し上げることになるので、それは避けますけれども、昨年の九月ごろには〇・六七であった。これはいかにも低過ぎたと思いますし、十一月の終わりでも一・〇五五でございますので、これはちょっと異常に低いということは恐らく越智委員もお考えいただいておると思いますが、暮れになりまして二に迫り、ちょっと一遍二を超えましたのは、十一年度の国債の発行が多いということのほかに、御存じのように、資金運用部が、平成十二年には定額貯金が戻ってくるということから資金量が非常に減るだろうという予想も持ちまして、従来、月に二千億ずつ市場から買っておりましたのをこれからは買わないようにしようか、財投債の話もございまして、その最後の部分がやや過剰と申しますか、というふうに反応されたかなと思います。  それで、一遍落ちつきましたが、しかし、また二を行ったり来たりするような状況は、おっしゃいますように、依然として国債が多量に発行される、あるいは社債のことにも関係があると思うのですが、そういうあたりであろうか。  私は、基本的にはこれはマーケットのことであるし、設備投資に非常な大きな意欲があるように思えませんので、クラウディングアウトすることはないであろう、そう思いますので、十分配意はいたしておりますが、余りひどく心配をしておるということでもない。  ただ、私は、自分で考えなければならぬと思っておりますのは、政府が大きな国債を発行するわけでございますから、そういう立場に立って、発行についてのやはりいろいろな配慮は要るのではないか、その点は大事なことだと思っておりまして、それはもう事務当局に検討をするように指示してございますけれども、そういう配慮によって、少なくとも過剰反応を招くようなことはしないようにしていかなければならない、そういうことを心がけております。
  22. 越智通雄

    ○越智(通)委員 さすが、経企庁長官を三遍おやりになっていらっしゃいます宮澤大臣でいらっしゃいまして、いろいろと具体的に御感触は伺えたのですけれども、しかし、やはり成長率をプラスにしなければいかぬということで……(発言する者あり)失礼しました、総理大臣ももちろんされていますが、そういう意味で、成長率をプラスにしなければいかぬという、それで、経企庁としては、〇・五%のプラス成長と言っているわけですから、そのベースの中に金融というのはどのぐらいの状態で平成十一年度動くのだろうという想定があってもいいと思うんですよね。そのときに、財政や地方財政をこれだけ膨らましたらそれだけの資金がうまく調達できるのかという、ダブルチェックといいますか、当然なければいけないんじゃないかな。  現実問題としては、個人金融資産がたくさんあるのが今まで我々を助けてきたわけですけれども、伸び率は去年一番低かったですね。一・二%しかふえていないのです。千二百二十八兆円ぐらいになりましたかな。でも、これは非常に下がっているのですよ。そして、そこから個人の負債を引けば九百兆ぐらいの余資というか、それが本来は法人部門に向かっていたのが、法人部門の方で設備投資が今マイナスの予想で見ていらっしゃるわけですからね、十一年度は。これが、設備投資が上がってきたときにどのぐらいの資金を供給できるのか。  社債は今、ここ一年ちょっとの間はすごい勢いでふえていますね。月一兆円ぐらいのペースでふえている。たしか九十兆ぐらいの累積まで上がってきていますが、当然、設備投資を拡大していけば社債の発行は伸びていくと思うのです。そこへ今公共債がどんと入ってきたのではないでしょうか、国債と地方債で。国債と地方債でどんと入られちゃったら、今の金融市場、一年先を考えたら大丈夫かなと。  今おっしゃるように財投の話が一緒に入ってきたものですから、財投の制度を変えなくても来年と再来年は大変ですよね、積定の集中満期は二年度で百兆ですからね、実際には。全部積定がそのまま転がってくれればいいですけれども、積定の金利は当然下がるわけでしょう。下がったら魅力がないからといって乗りかえてくれなかったら、何十兆か乗りかえ損が出てきたらば、財投の原資そのものが落ちていくわけですから、それを財投債の格好やなんかでどのようにカバーしていくか。  何と申しましょうか、日本国を支えている金融市場、金融循環表みたいなものが、本当にこれがうまく動くだろうか。あるいは大変変な言い方ですけれども、そのことをだれが心配してくれているんだろう、どこの役所でどういうふうに見守っているんだろうということが、役所じゃだめなのかもしれませんけれども、それでいて、主計局の出してきた中期財政試算、五年分ですね、中期といいますから、あれを見ると、国債は二十五兆ずつふえていますよね、実際には。毎年二十五兆ずつふえていく計算をしているのです。  そうすると、そういうものをのみ込めるのかなということで、そこら辺について、宮澤大臣の御感触をぜひはっきりと伺っておきたいと思います。
  23. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 おっしゃることは一々ごもっともだと思いますが、まず、千二百兆円の国民の貯蓄というものが実は動かなければこれは何もならない。おっしゃいますように、今のところ動いていない。設備投資は意欲がございませんから行かないのですが、もともと一千二百兆の貯蓄の中で預金分というのがあれだけ大きいのでございますから、証券あるいは保険に動くという分は少ない、このことが一つ問題があると思います。  それから、社債のことは、先般開銀法を改正していただきましたので、これで何ぼかは役に立つだろうと。そういうことで、三月を迎えていくわけですが、さっきのトリプルBの話もまあまあ処理がついていくのかなと。  しかし、いずれにしても、非常に大きな長期の負債があって、他方で、おっしゃいますように、私は、明後年、その次の年、定額貯金が相当出ると思わなきゃなりませんので、資金運用部はそういう意味ではもうそういう事態を今から考えておかなきゃいけないと思います。財投債になったり、財投機関の債券になったりいたすのだと思いますが、いずれにしても、国民貯蓄というものが預金ばかりではなく債券の方に入っていきませんと、今の長期の金融の勘定は合わないことになってまいります。  幸いにして、いろいろ投資信託のようなものがまあまあ大衆化しそうでございますので、そういう動きをひとつ一生懸命お助けをして、国民貯蓄がそういう貯蓄部門から債券部門あるいは証券部門にもっともっと入ってまいりませんと、長期の方の算術が合わないということになる。それは一番我々が配慮しなければならない問題だと思って、今お話を承りました。
  24. 越智通雄

    ○越智(通)委員 結局、一般会計の方と財投と両方にらんで考えていかなきゃいけないと思うのですけれども、財投の方、今お話しのように財投債で前の仕組みと同じように財投計画というものをやっていけるのか。  結局、今までと違ってくるのは、七年物じゃなくなって、いろいろ年度の違う債券になりますね。一年から五年ぐらいになるかどうかは知りませんが、まさか財投債十年はなかなか大変だろうと思うのですが、年度の問題がある。今七年一本ですから。それからあとは利率の問題がある。そこが違うだけで、財投計画規模というのは維持できるのだろうか。私は、やはりだんだん縮小していくのじゃないでしょうか、あれは。そうすると、今までみたいに一般会計やなんかでできないものは、言葉は悪いですけれども財投回しなんという手段は使えなくなってくる。  その一般会計の方は、中期試算を見ると、今八十一兆のものが八十七兆になっているのですよ、小さく見て。そうすると、やはりそれだけ膨らんでいくということになる。だけれどもちょっと待って、考えてみると、ではその試算というのは何なんだというと、単純な仮置きの数字だ、こう言うのですよ。だけれども、本来そういうものに対しては政府としては財政計画というのはなきゃいけないんじゃないかな、こう思うのです。  財金分離というのは、今やっていますけれども、これは機構の話をしているので、政策的には財政政策と金融政策は私は表裏一体だと思うのです。財革法というのは、確かにいろいろ問題があったということで、今凍結されているわけです。いつまでとは総理も大蔵大臣もお答えになっていないので、景気回復軌道に乗るまでというのがお答えになっているわけですよ。景気回復軌道に乗るのはいつ、こういうことですが、これはほかの方の答弁から聞いていると、まあ九九年と二〇〇〇年は難しくて二〇〇一年から、二%ぐらいの、まあ余り政策を打たないでもずっと伸びていく、プラス二%でいくような経済になるんじゃないか、というと、二年待っていろということです。病気を治すのに二年かかるよ、三年目からはゴルフでも何でもできるようになるよと。  そうすると、二年間この財革法の凍結のままでいいんだろうか。おまけに、それを二年たって冷凍食品をオーブンに入れて戻してみたら、やはりうまかったということになるだろうか。二年たっていると味が悪いんじゃないかなと。だからそこをやはり、今ここになきゃいかぬとは言いませんけれども、何か方向としてお考えいただいていくということは、政府として国民に対して私は非常に大事なところじゃないかと思うのですけれども、財政政策というものをどういうふうにお考えになっているか、蔵相の御所見を伺いたいと思います。
  25. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま財投のお話をされましたが、私も越智委員のおっしゃいますとおり、先年来、いろいろ中央行政改革の話があって、財投機関にいろいろな問題が生じましたから、もう今までの財投のようなものはなくなっていく、そういうふうに覚悟をしておかなければならないだろう、こう考えております。そういたしますと、財投は財投債、それから、あとの財投機関は自分のところの機関債を出す部分もあるだろうと思います。  それとともに、しかし、従来集まっておりました資金は、財投に来ないとすると運用されなければなりませんので、それは大変なことではありますけれども、しかし、そこに国民貯蓄が向かっていく、そういうことになっていくのであろうか、きっとそういう姿になるのであろうかと思います。確たる姿が描けませんけれども、そういうふうになるのかなと。  それで、まさに財政の構造改革について御心配のお言葉がありまして、そのとおりでございますが、とにかく、平成十一年度の税収四十七兆というのは昭和六十二年度水準でございますので、十何年押し戻されております。これはマイナス成長等々の結果、あるいは減税もございましたけれども、やむを得ませんが、とにかく税収が少しでもプラスになりませんと、弾性値は一・一で仕方がありませんが、名目成長がプラスになりませんと税収減しか見込めませんので、そういう経済運営では財政の再建そのものが難しいと考えております。  したがいまして、何とか税収のプラスが出て、今の中期計画ではございませんけれども、それはある程度何年か国債は出していかなければなりませんが、国債の発行額が少なくとも年々減っていくということでありませんと計画は立てられませんので、税収を確保して国債の発行額を少しずつでも減らしていく、それで二%ぐらいな成長軌道に入りましたら、財政税制も中央、地方の関連も、今まで財投が占めておりました機能も、全部あわせて見直さなければならないというふうに私も実は心配をいたしております。
  26. 越智通雄

    ○越智(通)委員 大蔵大臣のおっしゃるとおり、ここを突き詰めていくと結局税制の問題が出てくるんですね。それはもうきょうここでやる時間もございませんが、やはり税制と一緒に考えなきゃならない。殊に、今弾性値のお話をされましたけれども、法人税をどんどんまけていけば弾性値は下がるんですよ。景気がよくなっても、急に税金がぼかっと入るという時代じゃなくなっちゃうんですから、実際には。それで、支出の方も、福祉がふえていけばそれが歳入にはね返ってくる率は下がっていくんですよ、公共投資と違うんですから。ですから、ますます財政運営が、今早急に、そういう時代にどう乗り切れるかお考えいただいて、先を、見通しを国民にお示しいただくことがとても大事だな、こう思っております。  金融の問題そのものに行きますと、きょうは預金保険機構の松田理事長にお越しいただいていると思いますが、私からちょっと逆に説明しちゃいますと、預金保険機構というのは昭和四十六年に設立されまして、日銀副総裁が当初は充て職としての理事長でございまして、定員十六名のささやかな世帯が日銀ビルのあの古い方の一隅に二十五年間置かれていたんです。これを私ども、新しい時代の金融にはよくないというので、殊にバブル金融の崩壊に伴いまして、平成八年以降、つい最近でございますよ、急速に役割が拡大されまして、現在では松田理事長以下三百三十八名いらっしゃるんですよ。ここ四年ぐらいで、三、四年で十六名が二十倍になったわけですよ。  それで、今は九兆円の借り入れを持って、勘定もややこしいんですよ、四つもできまして、いろいろな法律があるものですから。一般勘定、特例業務勘定、金融再生勘定、早期健全化勘定と四勘定になっていましてやっているんですけれども、ここの取っている保険料というのは年間に五千億ないんですよ、殊に最近は銀行がどんどん減っていますから、四千数百億だと思いますけれども。  この機構の借入金に対しましては、政府は保証しているんです。いわゆる六十兆で金融危機に対応したという中の五十三兆が政府保証ですから。七兆が交付公債ですから。この七兆の交付公債の方は一兆一千使っちゃって、あとNTTを売っ飛ばして、株を売っ飛ばして入ってくる金で何とか二兆は始末がつくな。あとの残った五兆のうち、半分だけは、危ないといけないからというので、国債整理基金特別会計に入っているわけですよ、二兆五千。ここもちょっと僕らはよくわからぬのです。何で半分。交付公債ってやっちゃったらキャッシュと一緒じゃないの。いつ持ってこられるかわからないのだけれども、半分だけ手当てしてある。  ただ、五十三兆の方は、柳沢さんのところのあれでは、貸しているものは七割まで積めとか一五%まで積めとかいろいろ積めとおっしゃっているのだけれども、蔵相、この政府の保証五十三兆は一銭も積んでいないんじゃないですか。とても心配なんですね。日銀が預金保険機構に貸して、預金保険機構が銀行に貸して、銀行が企業に貸して、その企業が払わないかもしれないという話の一番けつのところは政府が保証してあるのだけれども、金は引き当てていない。これは大丈夫かなというのが非常に心配でございまして、既に当機構から七兆ぐらいの金も出ていますけれども、まだまだ、いわゆる新聞紙上でもうだめになったと言われながら預金保険機構からの金の出ていないものがまだあるんですよ。これから考えられるのは大きいので、長銀とか日債銀とかみどり銀行、それから十三の信用組合がありますから。  だから、預金保険機構の経理というか財務というか、今どうなっているのと。一兆ぐらい穴があいているという話もあるし、今後どのぐらいになっていくか。そこら辺をしっかり、簡潔に、理事長、御説明していただきたい、こう思っています。
  27. 松田隆利

    松田参考人 ただいま委員から詳細な御説明をいただきまして、そのとおりでございますけれども、財務状況で、損益の計算の面から申し上げますと、一般勘定で六千百九十九億円の欠損で、特例業務勘定におきまして四千七十一億円の欠損、合計で一兆二百七十億円の欠損、こういうことになっております。  借り入れでは、総額が九兆二千百七十六億円でございますが、そのうち、日本銀行から六兆三千二百一億円を借りておりまして、あと民間からの調達が二兆八千九百七十五億円、こういう状況でございます。
  28. 越智通雄

    ○越智(通)委員 そうなりますと、ここで心配なのは、実は預金保険法の附則で、保険料の料率改定は、ことしの三月三十一日までに見直せと書いてあるのでしょう、それをどう対応するか。その話に入ると、どうしてもペイオフの話が出てくるのですよ。二年たったら、一千万円以上は銀行がつぶれたときは返さないよという話と絡んでくるものですから。  ペイオフは変えない、これは今の金融政策の座標軸だという御答弁は何遍か伺っております。それはよくわかるのです。よくわかるのだけれども、じゃ、この保険料の見直しはどないしますかねと。  その場合に、ペイオフとは一体何なのということは、今盛んに言われておりますペイオフというのは実は外国ではちょっと古いモードでございまして、一九八〇年代に多く行われましたが、今やっているのはイギリスとドイツとアメリカだけですけれども、アメリカの例でいえば、ここ四、五年はありません。それは確かに金融よくなりましたからね。集中したのが一九八〇年代の後半でございます。やったのはみんな小さいのですよ。何十億の規模金融機関をやっているので、何兆円の金融機関はやっていないのです、本当は。  それから、ドイツやイギリスの例は私もそこまで手が回りませんが、本当の話、もし本当にペイオフをやるのならば、相当係官を派遣して外国でどうやったかよく考えないと、怖いのは、どこからペイオフになるか。簡単に言えば、会社更生法か破産法でいきなり窓を閉めるしかないんだな、今までやっていたみたいに金曜日の晩に決めて、日債銀と同じで金曜日の晩に決めて、それで月曜日になってみたら戸が閉まっていたと。それで、じゃ、一千万というのはいつ返してくれるのというと、いろいろな名寄せその他をやりますと相当日がかかると思うのですよ。やはり、金融の混乱というものがその間に生ずる可能性がある、危険性がある。  やはり、今金融当局として一番大事なことは、そういうときに国民金融秩序に対する不信を買って大混乱が起こること、これが一番困ることだと思うのですけれども、そういう点で、ペイオフというのを、この問題は柳沢さんのところですか、きちっとやれるのかどうか。それと、どうしてもペイオフをおやりになるか。そしてさらには、預金保険料は今のままでやり抜くのか。そこら辺についての御所見を伺いたいと思います。
  29. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 ペイオフの問題は、預金保険法の問題でございまして、現在の法制のもとにおいては大蔵大臣と私とが共同で所管をしておる、こういう立場でございます。  ただいま越智先生おっしゃられたように、ペイオフの問題に対する覚悟いかん、こういうことでございますが、私どもは、ペイオフになるような事態が起こらないようにするということで、今全力を挙げているわけでございます。  特に、大きな銀行についてそのようなことが起こるということのないように、資本注入その他をして、健全な銀行をつくろうということに夢中になっているわけでございまして、また、その期日が迫ってきた場合には、いかなる手続で混乱のないようにしていくか等々については、国会でもまた我々のところでも大いに研究、検討をしなければならぬ、このように思っております。
  30. 越智通雄

    ○越智(通)委員 時間が、使い方が悪くてなくなりました。  総理、最後に、国民は、いろいろな今申し上げたような問題を含めて非常に不安なんですよ。あえて言えば五年先まで自分の生活は大丈夫だなという安心感が今欲しいんです。ことし、平成十一年度プラス成長になるかどうかも大事ですけれども、それ以上にその先が、夢とは言いません、夢ではないんです。不安がないのをやりたい、それについて総理決意ある御所見を承って、質問を終わらせていただきます。
  31. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ただいま、党の金融政策の責任者である越智委員からのお尋ねに対して、政府も、大蔵大臣初め専門家から十分なお答えもございましたが、極めて金融をめぐる問題というのは難しい問題だというふうに認識をいたしております。この状況というものは、従来の金融政策、金融行政のあり方をめぐりましては、経済社会の大きな変動、国際化の進展など、従来の護送船団行政の厳しい反省、金融ビッグバンの推進等、重要性を踏まえまして種々の議論を積み重ねておりまして、それぞれ機関で趣旨を生かして責任を持って運営していかなければならぬと思っております。  と同時に、今御指摘のように、五年後あるいはその以降の問題につきまして不安なきようにせよということでございますが、ぜひそうしていかなければなりませんが、当面はどうしても経済を再生させることによりましてこの状況を脱却する、そういった意味では、政府としては背水の陣をしいて諸施策を講じておるということでございますので、そういう中で、金融政策につきましても委員いろいろな御指摘がありましたので、十分参考にさせていただきながら対処いたしてまいりたい、このように考えております。
  32. 越智通雄

    ○越智(通)委員 ありがとうございました。終わります。
  33. 中山正暉

    中山委員長 これにて自見君、越智君の質疑は終了いたしました。  次に、小池百合子君。
  34. 小池百合子

    ○小池委員 自由党の小池百合子でございます。金融景気問題を中心に伺わせていただきます。  その前に、先ほども出ておりましたけれども、総理ヨルダンへのトンボ返り、大変御苦労さまでございました。  ヨルダン国王フセイン国王という大変卓越した指導力を振るわれました方がお亡くなりになったというのは、大変私も残念に思うところでございます。  ヨルダンと申しますと、人口がわずか四百五十万人、そのうちの六〇%が非ヨルダン人でございます。パレスチナ人であり、難民でございます。日本に例えて申しますと、一億二千五百万人の日本国民、人口の中に六割、つまり七千五百万人が非日本人である、そしてその多くが難民であるという国家をつかさどってこられるというのは並大抵のことではないと思います。ましてや、東にあのイラクがあり、西にイスラエルがあり、そして北にはシリアということで、地続きでさまざまな国家、それぞれが国益を大いに大いに主張する国家が全部取り巻いているわけでございますから、その中で毎日大きな決断をしなければならないというのは、まことにリーダーとしては大変な御苦労を背負ってこられた方ではないかというふうに思うわけでございます。  先ほど、フセイン国王のこれまでの御功績については総理の方からもお答えがございましたので省かせていただきますが、このフセイン国王を通じて、リーダーシップという面では非常に学ぶ点も多いかと思いますし、また、世界各国のリーダーたる者は大変複雑な、まさに毎日が連立方程式のその中で答えを出さなければならない、それもスピード感を持って出さなければならない。そのためには、プリンシプルがあり、そして決断力があり、勇気がありということが求められてきていると思います。  総理におかれましては、最近は支持率の方も上昇傾向にあると伺っております。私どももそれをしっかりと支えてまいりたいとは思っておりますけれども、今後とも、多くのお仲間のリーダーが毎日大変複雑な、そして困難な問題に直面してそれをこなしておられるということで、ますます自信を持って、世界じゅうにはそういうお仲間がたくさんおられるということで自信を持って進んでいただきたいと思っております。まずはエールを送らせていただきます。  さて、今回の自自連立でございますが、総理と申しますか総裁の御英断のもとに、さまざまな仕組みを変えるという私どもの元来の主張を幾つかお取り入れいただきました。仕組みを変えるというのは、経済もそうでございますし、この国会、政治もそうでございます。その中で、副大臣制の導入そして政府委員の廃止、さらには国家公務員の十年間で二五%の純減ということなどを打ち出させていただいたわけでございますが、総理におかれましては、これまでのこういった自自の合意を、アクセルは吹かしてもブレーキをかけることのないようにお願いしたいと思っておりますが、総理、御所信はいかがでございましょうか。
  35. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 御答弁申し上げる前に、大変御激励をちょうだいいたしまして感謝をいたしますが、特に中東の問題につきましては、小池議員、私は、委員がかつてエジプト大学に学ばれて、恐らく本院ではアラビックについてお話のできるのは、委員をおいて他に、大変珍しいことではないかというふうに思っております。  特に中東の問題について、故フセイン国王につきましては、いろいろと過去四十六年間の治世の中では変化があったわけですね。まさにある意味ではこれが中東かなという感じを持つような気持ちもいたしております。  一次、二次世界大戦のときにも、英仏を中心にいたしまして人工的に国境が定められたという経緯の中で、今ヨルダンがパレスチナ難民を引き受けて国の運営に当たっておられる、最後はワイ・リバーでああしたパレスチナとイスラエルとの間を仲介されて平和の基礎を築かれているということについて、恐らくこのこと一つを取り上げても、世界各国首脳が来られたという趣旨がそこにあったのではないかという認識を私は強くいたしております。  さて、お尋ねでございますが、自由党とのお約束につきましては、小沢党首との信頼のもとで合意書がされておるわけでございまして、その中で、お取り上げいただきました副大臣制度を初めといたしまして、私といたしましては、その実現のために、自民党の総裁といたしましてもこれを加速し、そして実現に向けて全力で努力することは申し上げるまでもないことだと御答弁させていただきます。
  36. 小池百合子

    ○小池委員 こういった日本の仕組みを変えるということを遅滞なく進めていくことがさまざまな今後の政策にもつながっていく、そういう思いでおりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。  さて、景気対策でございますけれども、平成十一年度の本予算、自由党としても早期成立を期したいという思いでいっぱいでございます。今回は、もう既に列車が走っているところに自由党が一種のターボエンジンを伴って飛び乗らせていただいたということで、一〇〇%私どもの思いがかなったわけではございませんし、むしろその逆の部分も多々ございます。しかしながら、今列車をとめるわけにはいかない、そして、今ここでスピード感をつけていかなければ現実には対処できないという思いでいるところでございます。  そのためには、国会の仕組みを変える、政治の仕組みを変える、行政の仕組みを変える、と同時に、経済の仕組みを変えていくということも大変重要なものであり、これをひっくるめて構造改革と言うわけでございますが、その中でまずやるべきことは、何よりも私どもの、そして国民の、行政の発想を変えていく、発想の転換こそが今求められているのではないかと思っているわけでございます。  ただ、日本が今直面していることは、構造改革とそれから金融システムという大変重要なバケツの底を割ってはいけないという、一種、二律背反のイシューを同時に行わなければいけないということでございます。  その意味で、昨年度末には、私ども自由党の方が提唱してまいりました信用保証枠の拡大による中小零細、そしてこのたびは開銀などを通じましての中堅企業への貸し渋り対策、資金繰り支援ということを行わせていただき、そして何とか年度末は越えられた、さあ次は三月だというような、年度末ではなくて昨年の年末ですね。年末越えは何とかバケツの底は割らないでやれたというふうに思っているわけでございますが、通産大臣、今回のこの貸し渋り対策の成果のほど御報告いただけますでしょうか。また同時に、生みの親でもあります野田自治大臣にこれまでのところの御評価をいただきたいと思います。
  37. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 昨年は、いわばあらゆる段階で信用収縮が起こりまして、中でも、銀行借り入れ能力あるいは金融機関からの借り入れ能力の低い中小企業は非常に打撃を受けてきたわけでございます。金融システム自体も揺らいでまいりましたし、その中で各金融機関が資産を圧縮するという行為に出まして、それが極端な信用収縮あるいはなかなか設備資金、運転資金が手に入らない、こういう状況が出てまいりました。  もちろん自由党においてもいろいろ政策をお考えであったし、また提言もされ、また自民党の中でも、中小企業金融については非常に心配をされる方が多かったわけでございます。  もろもろ、いろいろな方のお知恵もおかりし、各党とも御相談しながら、昨年十月一日、信用保証協会で特別枠を二十兆円つくったわけでございます。  この今までの使い方を一月末まで見てみますと、大体保証額で十二兆三千億を超えました。したがいまして、二十兆用意したうち六割以上がもう既に使われておりますし、概数で申し上げますと、中小企業の十軒に一軒以上はこの信用保証の制度に乗っております。したがいまして、昨年の暮れの年末の金繰りについて私ども大変心配をしておりましたけれども、おかげさまでこれを乗り切れたと思っております。  今後は、こういう信用保証協会の残った特別枠をどう効率的に運用していくのかということのほかに、中小企業向けの三金融機関、すなわち、国民金融公庫、商工中金、中小企業金融公庫が親切、親身になって中小企業に対していろいろ貸し出し等を実行する、こういうことが必要であると思っております。  当面、貸し渋りという声は少し小さくなってきておりますけれども、私どもとしては、健全な中小企業が健全な経営を続けられるような、そういう金融の側面からのやはり制度の適切な運用というものは今後とも引き続き必要になってくる、そのように思っております。
  38. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 おおむね今、与謝野通産大臣が評価について御答弁されたところですが、去年の年末までにこの信用保証制度を利用して融資を、保証を受けた件数が五十五万件を超えているということです。一月末まででいくと六十万件を超えている。したがって、去年の暮れのあの悲壮な姿、中小企業の大変な姿を考えると、もしこの制度なかりせば五十万を超える中小企業は本当にのたうち回っていたに違いないということを思いますと、非常に私は、厳しい環境の中ではあったけれども、この制度の役割が果たした意味は大きかった。  それで、この発端そのものは、まさに昨年の八月の予算委員会等で自由党が主張し、そしてまた、その必要性、重要性について自民党の皆さんも政府側も認識をしていただいて、事実上そのあたりで両党間の相談が進んでいったということは大変大きな成果であったと思っております。  私は、そういう点で、せっかくできましたこの制度が、単に中小企業のみならず中堅企業まで広がり、あるいは代理貸しその他いろいろな形で範囲を広げて、今当面の最大の問題の一つである金融システムの安定化をさらにこの厳しい状況の中で進めていく中で、この果たす意味は非常に大きいということを重ねて申し上げたいと思います。
  39. 小池百合子

    ○小池委員 ありがとうございました。  野田自治大臣は、前自由党幹事長として私もいろいろと御指導をいただいたところでございます。特に、政治の要諦は何か、特に国家経済の要諦は何かということで、仁徳天皇の民のかまどの煙を見よ、これが一番の基本だよということをお教えいただきました。まさに、これまでの経済政策は、はっきり申し上げまして、かまどの煙を見ていなかったのではないかというふうにも思うわけでございます。  ちょっとフリップを使わせていただきますが、「これまでの政策」といいますと、バブル経済、バブル崩壊の後の病み上がりの中で消費税の増税が行われ、そして医療費の負担増大ということが行われた。その後、それに輪をかけてデフレ予算が導入されて、そして財政構造改革法で手足を縛ってしまった。その結果としての現在の景気悪化であり、そして税収減であるということ、これなどはまさに悪循環であったのではないかというふうにも思うわけでございます。つまり、患者の健康状態の診断を誤ったのではないか、これが積み重なったと思っております。  だからこそ今回の自自連立で新たな出発をしていただくわけでございますが、こういうスピード感のこれまでの欠如、そして政策の、政策そのものは合っているけれども、タイミングとしておかしかったわけでございますね。これについて、民間から今回、このたびも経済企画庁長官をお務めになっておられる堺屋長官、どのようにお考えになりますでしょうか。
  40. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 これまでの経済政策についてお尋ねでございますが、昨年七月までの橋本内閣の時期、この時期はやはり、一昨年、今からいいますともう一つ前ですが、一九九六年度経済成長率が四・四%でございました。これは最近にない高い成長率でございましたので、かなりこれに安心をしたというか、そういうところがございまして、今は景気がいいんだ、だからこれをチャンスに財政再建をしたらいい、こう考えたようでございます。  実は、それが非常に、考え方としては間違いはなかったんでございますけれども、タイミングが悪くて、既に一昨年の初めから景気が下降局面に陥っているところにこの財政再建がやってきた。橋本内閣が六つの改革を進められたうちの一つでございまして、他の改革、例えば行政改革などは大変な功績があり、今も引き継がれているわけですが、この財政改革については、私はやはり、タイミングが悪かった、つまり失政であったと思っております。それが結局、秋になりましてアジア経済の危機と重なって、予想以上に大きな悪影響を与えている、積もり積もっておりました銀行、金融機関の不良債権などが重なって出てきたのだと思っております。  それで、七月から始まりました小渕内閣は、この考え方を改めまして、財政再建を後回しにしても景気対策が第一だという政策をとってまいりました。その中で、小池委員指摘の自由党のアイデアも活用させていただいたとは思いますが、小渕内閣は、発足以来かなり大胆な金融政策あるいは景気対策等をどんどんと追加していったわけでございます。そこで、内閣の交代によって政策が変わっていくということも御了承いただきたいと思います。
  41. 小池百合子

    ○小池委員 今いろいろと御説明がございました。やはり何よりも経済、特に生き物でございますし、昨今の国際経済、国際金融というのは目まぐるしいスピードで変わってきているわけでございますから、これからもっともっとスピード感を持った政治をしていかなければならない。ましてや、今申し上げました民のかまどの煙を見るというのは、我々国会議員としましては最も重要なことではないかと思うわけでございます。  よく新聞記者から、与党になって何が変わったかということを言われるわけでございますけれども、基本的には、お役所のレクがふえたなというふうに思っているわけでございます。それで、そのお役所の……(発言する者あり)
  42. 中山正暉

    中山委員長 御静粛に願います。
  43. 小池百合子

    ○小池委員 そのお役所のレクチャーがふえたということでございますけれども、一日じゅうそればかりやっていたならば、私は、やはり霞が関情報にどっぷりつかることになるということをひしと感じるわけでございまして、それだけに、いろいろなこれまでの人脈の中でのブレーン、ネットワーク、こういったところからのさまざまな違った情報、現場の情報、マーケットの情報を取り入れるようにこれからも工夫をしていきたいというふうに思っているわけでございます。  朝から晩まで財政当局の御説明を伺っておりますと、橋本総理がなるほど財政構造改革法に踏み切ったわけがわからないわけでもない。そしてまた、議員とすれば、もちろん財政の赤字のツケを将来に回すなどということにもろ手を挙げて賛成するはずがないわけでございますが、そこはプライオリティーの問題でございます。何をまずやり、そしてそれを貫いていくかということでございまして、これまでの予算の使い方はストップ・アンド・ゴーの繰り返しであったと思うわけでございます。よって、この本年度予算を貫いている考え方を、またそのたびのいろいろな状況に、もちろん臨機応変にはやらなければならないけれども、背骨は変えることはないというふうに思っているわけでございます。  そこで、私どもの日本再興のシナリオということを常々うたわせていただいているわけでございますが、恒久減税、消費税一時凍結、その上で景気回復し、税収をふやして財政再建をする、極めて単純明快な考え方ではございますけれども、今後ともこのタイミングを外すことなく、こういった大胆なシナリオを提言をしてまいりたいと思っております。つまりならば、これまでずっとやってきたことを一度我が国国家としてリセットボタンを押して、チャラからとは申しませんけれども、再スタートをする、再スタートを切る時期ではないかと思っているわけでございます。  後ろの方からも何回か聞かれるのですけれども、私も、この恒久的減税と、最近は恒久的なが入るようになったのですね、何が何だか実はよくわからないのですね。何が恒久減税で、何が恒久的な減税で、恒久的減税なのか。  これは英語のお上手な宮澤大蔵大臣に伺いたいのですけれども、恒久的減税と恒久減税、これは英語に訳すとどう違いがあるのか、ちょっと伺わせていただきたいのですが、いかがでございましょうか。
  44. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 既に行われましたように、最初に一遍限りの減税がございまして、次に、一遍限りでなくこれはずっとしばらく続く減税、それをただいま御審議願っておりますが、しかし、日本が本当に経済が正常になりましたら、これは二十一世紀でしょうが、そのときには全部のものをやりかえなければいけない、その三つがあるということでございます。
  45. 小池百合子

    ○小池委員 英語でどう言うかというと、結局はパーマネント・タックス・カットで、同じではないかと思うのですね。余り言葉遊びではなくて、やはりしっかりとした政府の説明ができるような、アカウンタビリティーをもっと明らかにしていくべきではないかなというふうに思っております。  さて、先ほどお示しいたしました再興のシナリオでございますけれども、そういった中でハレーションとして出てきましたのが長期金利の現象でございます。  先ほどからもいろいろと御答弁もあるようでございますが、日銀の方にお越しいただいております。きょうは大変重要な政策決定の日でございますけれども、その中で伺いたいことは、買い切りオペをするのかスワップオペをするのかという話もさることながら、今このデフレの中での長期金利の上昇、これについて大蔵委員会などでも何度か御質問させていただきました。  その中で出てくるのは、新発国債は買いません、買い切りオペもやりません、スワップもどうでしょうか、そして長期金利は日銀が関与するところではありませんということで、全部ノー、ノー、ノー、ノーという答えばかりなんですね。  では、逆に申しますと、金利の問題というのは確かに日銀の専管事項ではございますけれども、これまでデフレといいますか、これまでの景気の現状を導いてきたのは専管事項である日銀の政策ミスではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  46. 黒田巌

    ○黒田参考人 お答えいたします。  今先生から長期金利のことをお話しございましたが、長期金利につきましては、日本銀行が直接これを力で自由に上げたり下げたりすることができるものではないというふうに私ども考えております。  先生御指摘の、それでは現在の政策はどうか、こういうことでございますけれども、私どもといたしましては、長期金利に直接ターゲットを当ててこれを動かそうということではなくて、あくまでも、私どもの本来の業務であります流動性の供給ということを通じまして経済全体の底支えをさせていただきたい、こういうふうに考えてきているわけでございます。その中で、全体としての経済の動きの中で長期の金利というものが市場の力で自然に形成されていく、そういう形をとるものと考えております。
  47. 小池百合子

    ○小池委員 きょう重要な政策決定があるということでお話もしにくいかと思いますが、私の申し上げたいことは、日銀におかれましても、機動的な政策をスピーディーに打ち出すということをこれまでもっともっと積み重ねてこられたならば、信頼性を、支店長宅を売り払うとかそういう問題ではなくて、政策そのものの、本業の方でもっと機敏にやっていただきたいという意見でございますので、その点をよくお伝えいただいて、きょうの結論を導き出していただきたいと思っております。  続きまして、各行への内示をきょうにも控えておられるという金融再生委員会の柳沢大臣に集中してお伺いをしていきたいと思っております。  私、大蔵委員会のメンバーといたしまして、いわゆる佐々波委員会でございますね、金融危機管理審査委員会、この審査が一体どういう形でやられたのかということをかなり詳しく伺ってまいりました。そして委員長は、百箱分ものラインシートを見て、見てというか担当の方が見て、そこから上がってきた報告に対して、委員会を円満に、そして公平公正に動かしていくということでもって結論を出したというふうにおっしゃっておられました。  しかしながら、残念ながら、その結果と申しますと、長銀そして日債銀の国有化ということになったわけでございます。  そうすれば、今回の再生委員会の審査とあの佐々波委員会の審査と、どこが違うんでしょうか。そして、佐々波委員会のときも、格付などを参考にし、外部のコンサルティング会社などの意見なども参考にしたということをおっしゃっておられましたが、レートの格差などはどのようにしてお決めになるのか、判断されるのか、この点について伺わせてください。
  48. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 今、私ども、金融機能早期健全化法で資本注入をする、そのことによって金融システム及び各金融機関に対する内外の信認を確立していこう、こういうことでやっているわけでございますけれども、昨今の金融の動揺の中で、これは各国ともそうだと私は認識しているんですけれども、いかなる方策が最もこういう事態に対して有効な手だてであるかということについては、若干試行錯誤的な面を持ちつつ制度が形づくられ、また運用にも当たっているというところであろうというふうにまず認識いたしております。  その場合、私どもが今度の審査においても非常に大事なこととして、法律自体も非常にそこのところを注意して規定をされておるわけでございますけれども、まず第一に、三条のところで、現在の金融機関というものの資産の査定、それからこれに対する引き当て、こういうようなものについては、金融再生委員会が定めるところによって、言ってみれば手厚く、そういうもので簡単に揺らぐことのないような、そういうことをまず施策の前提としてしっかり固めなさいよ、こういうことを言っております。  それで、我々は、せんだって決めさせていただきましたように、破綻懸念先等については七〇%の引き当てを積んでもらいたい、それからまた要注意先のうち要管理債権については一五%の引き当てを積んでもらいたい等々の規定をして、そこのところに備えることにいたしました。  さらに、法律は、七条におきまして、現に財務の状況が簡単に破綻してしまうようなおそれのあるようなところには入れてはいけない、こういうことを書いてあります。それからまた、我々が投資した優先株なりなんなりが市場でしっかり評価されて、それが恐らく適正な価格で流動性を持つようなものでなければならない、こういうようなことで、その健全性というものが大変気遣われて書いてあるわけでございます。  その担保としてどういうことが最終的に言われているかというと、そういうことを担保するために、それぞれの金融機関は申請に当たって経営健全化計画というものを出しなさいということで、私どもは、その経営健全化計画に盛り込まれるべき事項をあらかじめフォーミュラとして示しまして、それについてしっかりした、計数の裏づけを持った書き込みをしていただいて、それを中心にして審査をしておるということでございます。  もちろん、その基礎は、実は見込みの問題なのであります。今度の三月末の決算がどうなるかということの見込みでやらなければならないというところが非常に厳しいところなんですけれども、しかし、その基礎として我々は、検査済みの先年の三月末の決算の資料も検査当局から、これは今度の作業にどうしても必要だということで提供を受けまして、その連続性のもとで、この彼らの、それぞれの金融機関が言う見通しなるものがどれだけの合理性を持っているかというようなことも判定しながら、今言った作業を鋭意進めさせていただいておる、これが大体の現在の審査の概況と言ってよろしかろうと思います。
  49. 小池百合子

    ○小池委員 いずれにいたしましても、佐々波委員会の審査というのがその後のむしろ混乱を引き起こしたという先例がございます。それゆえに、このたびの金融再生委員会の審査、その動向が大変注目されるところでございます。納得のいく形での審査をぜひともお願いしたいと思っております。  一方で、金融再編が大変進んでいるとはいいましても、まだまだ私は、その再編の構図というのが見えていないんですね。信託銀行同士がくっつくとか、大体提携とか連携というような言葉が多うございます。  アメリカなどもマネーセンターバンクと申しましょうか、大手行とでもいうのはわずか十行程度でございます。現時点で、日本は大手というと大体十七行という数値でございますし、それからもっと、銀行、金融機関すべてということで申しますと、アメリカの場合は、八〇年代に一万四千あったのが現在九千、今後十年で千にまで減るであろうというふうなことで、大変な金融界の再編が起こっている。そしてまた、それは強いものと強いものがくっつくという図式でございまして、救済合併というような負の遺産をしょっての再編ということよりも、強者合併、それでもって結果としてアメリカという金融国家がさらに強くなるということで、かなり日本とは事情が違うわけでございますが、柳沢大臣は、この再編の最終的なビジョンをどの辺に置いておられるんでしょうか。
  50. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 最も難しい御質問をなさっておられます。これがわかれば、その方向にどのような手段を用いるか、恐らくそれぞれの、各行も今模索をしておるというところかと思うのでございます。  ただ、私ども最近の論議の中で、こういう幾つかのメルクマールというか、そういうタイプというか、そういったことを念頭に置いてこの推移を見、また、場合によっては民間の努力を助けていこうというふうに考えているわけでございます。  一つは、今までの日本金融機関が専らこれに専心してきた預貸のビジネス、預金を預かり貸し金をするというビジネスがあります。それから、最近に至りまして、資産の運用というビジネス。これは、特にこれから四〇一K等々非常に年金の運用の仕方が違ってきますと、そういったものが大きなボリュームとしてあらわれてくるであろうということで、資産運用、こういうビジネスの範疇が一つあって、先ほどの預貸業務については、宮澤大蔵大臣もおっしゃられましたけれども、大企業は貸出金ということを間接金融の形で金融機関より受けるよりも、むしろ直接金融で直接社債等で市場から資金を調達する、そういうことが傾向として多くなるだろうということもおっしゃいましたが、そういう意味で、預貸業務についてはむしろどちらかというと中小企業向け、個人向けになっていくだろうというようなことが考えられます。それから最後に、言うまでもなく、今まさに申しました業務の手助けをするところの投資銀行業務、インベストメントバンキングビジネスがあるわけでございます。こういったものがビジネスのタイプとしてある。  それともう一つは、まあまあ今申したようなことでございますが、ホールセールバンキングといって、むしろ大企業向けのビジネスをやるという規模別の一つのメルクマールがあろうと思います。リテールというようなことで、ホールセールバンキングとリテール業務がある。  それからさらに、地域的な意味でいうと、メガバンクといって世界をまたに活動するものもあるし、リージョナルバンクというようなことで、地域を一定に限って、そこに重点的にビジネスを展開するといったものもある。さらに、ブティックバンクといって、極めて小規模な専門性の高いお店を張ってそこでビジネスをしていく、こういうようなものもあるということで、幾重にも実はこのビジネスのタイプというものの見方があるわけでございます。  やはりあえてここで私が申させていただくならば、日本の場合には今まで預貸の業務に余りにも力が入り過ぎていた。これをやはりもうちょっと資産の運用であるとか、なかんずく投資銀行業務、こういうようなものをやるビジネスを育てる方向で今後の金融界を、引っ張っていくと言っては言い過ぎですが、助けていく、こういったことが必要ではないかということを考えておるということでございます。
  51. 小池百合子

    ○小池委員 ありがとうございました。  今、大臣のお言葉に既に出てまいりましたけれども、四〇一K年金、これはアメリカでの企業年金の一種でございまして、ベビーブーマーたちが老後のことを心配してこの年金制度にどっと入り込んだことがニューヨークの株式を下支えするという状況になっております。ただし、これは壮大な実験でございまして、一〇〇%うまくいくかどうかはわからないということでございますが、この四〇一K型、つまり確定拠出型年金の導入については、既に閣議決定をされております。  きょうは、御担当のそれぞれの大臣の方にもお越しいただいたんでございますけれども、一番大事なところを大蔵大臣に伺わせていただきたいんでございますが、今、この四〇一Kビジネスということを念頭に、各金融機関の再編が行われております。しかしながら、閣議決定があったのみで、そしてまた、今、各省庁それぞれ御論議いただいているところでございますが、一番肝心なのは、そこにどういう税制の優遇措置が盛られるか否かということなんですが、大蔵大臣、見通しはいかがでございましょうか。
  52. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それを申し上げるのは少し早いのでございますけれども、メリットとして、殊に日本が少子高齢化になりますから、公的年金制度は何かしなきゃならないという問題、あるいは企業年金、企業間を動きますときの流動性、雇用の流動化、いろいろございます。そういうメリットがございます、問題もありますけれども。しかし、そっちへ動いていくであろう。  そして、税制というのは、そういう適切な課税のあり方、それは、退職金課税と給与課税とのバランスだとか、その他の金融商品に対する課税とのバランス、あるいは、年金制度の中でどういう位置づけをしたらいいかというようなことがこれから事実として生まれてまいりますから、アメリカの例は見当がついておりますけれども、日本でどういう展開をするかよくわかりませんので、これが育っていきますような税制を考えなければならないだろう。  今の税制を前提にして、今取っているものはみんな取るというようなことを考えておったんではうまいものは育ちませんから、多分、育つような税制を考えていくに値する制度に発展する、あるいは発展してほしいというふうに考えております。
  53. 小池百合子

    ○小池委員 大蔵大臣がおっしゃいますように、この年金、そして退職金の制度、もうさまざま、ちょっとばらばらなんですね。一度それをしっかりと整理をした上で実行するというのは大変重要なポイントだと思います。  つまり、今消費が控えられているのは、先ほどもありましたけれども、将来に対する不安でございます。そのうちの大きなポーションとして年金ということがある。そのためには個人がどのようにして備えをしていけばいいのかということを今迷っているわけでございますから、早急に結論を出して、そしてこの確定拠出型の導入ということを進めてまいる必要があると思っております。  最後に、将来の不安のもう一つの大きなポイントが失業の不安でございます。倒産件数もふえております。そして、リストラもどんどん各企業が進めているというさなかでございます。そして、労働省の方では、百万人雇用計画ということでお進めいただいておりますが、私は今こそ発想の転換をすべきだというふうに思っております。  それは、NPOでございます。NPO法案は、昨年の十二月に施行をされました。正しくは特定非営利活動促進法ということでございますが、ちょうど今、四〇一Kの議論はあるけれども、その魂の部分の税制の部分がおくれている。それから、NPO法もできたけれども、ここの最大の魂は何かと申しますと税の控除なんですね。  これは極めて簡単な比較でございますが、日本のNPOの団体数は約二万五千と書いてありますが、それぞれ、省庁が主管となった財団法人、そして社団法人の数でございます。片や、アメリカは約百万ございます。有償の職員数でございますが、日本の場合約四十万人とありますけれども、これは、はっきり言って、お役人の天下りの受け皿というふうに言いかえてもよかろうと思うわけでございます。そして、片や、アメリカの方では約八百六十万人という、ちょっとこれは古い数字なので、もっとふえているはずでございます。  税制の控除、日本は現在はなし。兵庫県の場合など、阪神大震災の教訓などを含みまして、あのときは百三十万人のボランティアが全国から駆けつけていただいて、まさにボランティア元年になったきっかけでもあると思うのですが、一方で、このNPO法案のときにはその部分だけ欠落いたしました。  そして、アメリカの一番のポイントは、寄附控除ありという、この点でございます。ビル・ゲイツも今回、三千七百億円ですか、ぽんと払う。その分、国税に入るか、それともNPOに入るかということですが、私は、この失業の問題、これからトヨタであるとか新日鉄といったような大規模の何万人の職員を抱える会社が一朝一夕にできるとは思わないのですね。産業構造そのものも変わっております。そして私は、日本人というのはやはり働きバチであり続けることが、これは世代によって違いますけれども、一種の生きがいであり健康の秘訣である。NPOは、わざわざ自分の嫌いな分野にあえてやる必要はないわけでございます。  そうなってくると、日本とアメリカの人口の差といいますと半分でございますから、単純明快な、また余りにも単純過ぎるかもしれませんけれども、約八百六十万人が今アメリカでボランティア団体で働いているわけですね、そこでお給料をもらっているわけですね。そうしますと、八百六十万を二で割りますと、四百三十万人でございます。ということは、日本において、NPOの控除をすることによって、極論ではございますけれども、四百三十万人の雇用が生まれるという可能性があるわけですね。  ということで、私は、ここで発想の大転換をすべきではないか。そして、官がやらないでいいことは民がやる、それも、やる気のあるNPOの人たちを育てるということこそ日本の考え方を大きく変える発想の転換であり、日本の仕組みを変えることにつながるのではないかと思いますが、経済企画庁長官。
  54. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 今御指摘のNPOの中には、財団法人、社団法人、それから去年十二月からできました特定非営利法人といういわゆるNPO、その三種類の統計が入っていると思いますが、日本の場合は、民法によりまして、何が公益かというのを官僚が決めることになっているのですね。ここが一番の問題でございまして、アメリカの場合は、寄附する人が公益だと思ったらそれでいいという形になっております。その点の仕組みというか、これはもう明治以来の伝統が一つ存在すると思います。  私ども、財団法人、社団法人だといささかの税制の、営利団体との差をつけておりますが、NPOに対する、特定非営利法人に対します寄附につきまして、二年ぐらいで見直すことになっております。法律施行以来二年ぐらいで見直すことになっておりますので、その段階で、できるだけ私たちは、私どもの考えといたしましては、これを、善意の人々の活動を支援できるような税制を、他のものとの整合性あるいは不正な使い方ができないような監視等を含めて検討したいと考えております。
  55. 小池百合子

    ○小池委員 今、経済企画庁長官がすっとお立ちになったのですが、これは、そもそも経済企画庁が主管しているということが私信じられないので、たまたま国民経済局なるものがあるということで、すとんとそこにはまってしまった、そのことの方が私はむしろおかしいなと思っているわけでございます。  そして、二年以内にということでございますが、今も既に二年以内なんでございます、二年を待つ必要はないわけでございます。だから私は、もう早急にこの問題は、単にNPO、ボランティアの人たちを助けるというような、そういうことではなくて、雇用の場としても考えるべきではないか、そして、国の仕組みを変えるということで大変重要な役割を今後担うべきではないかということを考えているわけでございます。  大蔵委員会の方でも、この登録状況を見てというお話はございました。この控除の問題がクリアされたならば、私は、登録団体というのは一気にふえると思っておりますし、NPOがNPOを監視するというNPO団体もアメリカにはあるわけでございます。そのあたり、性善説、性悪説の問題はございますけれども、私は、新しくやっていただきたいと思っております。ありがとうございました。
  56. 中山正暉

    中山委員長 これにて小池君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  57. 中山正暉

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。仙谷由人君。
  58. 仙谷由人

    仙谷委員 民主党の仙谷でございますが、私の方から、景気経済の問題と日債銀の問題について質問をいたします。  ちょっと、お配りした紙、総理のところに行っていますでしょうか。まず、三枚つづりの、地方財政赤字の対GDP比の推移というものを、それが一番についている紙の三枚目をごらんください。  総理は、この九九年度予算によって九九年度経済成長を必ず〇・五%の成長に乗せるのだ、こういうふうに所信を表明されて、決意をされているわけでございます。いわば、政治生命をかけるとおっしゃるような発言も聞こえてくるわけでございますが、その前提といたしまして、九八年度、今年度経済成長というものが果たして予測どおり運ぶのかどうなのかというのが、まずは問われなければならないと思うのですね。  これは、パーセンテージの議論をしますと、大変ごまかしの議論にどうもなっておるのではないか。現在議論されておりますのは、〇・五%達成や否や、こういう議論でありますけれども、私は、現時点に立ってといいますか、あるいはもう一年前の、昔の時点に立ってこの種の議論をしてみなければならないと思っているわけであります。  ここに記載しましたのは、これは、政府経済見通しの公式書面から私なりに整理をして拾い出してみたものであります。つまり、九五年が実は実績としては四百八十九兆のGDPの経済になった、こういうことであります。  そこで、名目成長率だけでお話しいたしますが、名目成長率二・七%の経済成長見通しをつけたのが九六年度予算のときの政府の見通しであります。GDPの額にしますと四百九十六兆円ということでございました。それで、実績から見ますと、名目で二・八%成長をして、四百九十六兆円の当初見通しから伸びて、実績としては五百三兆円の経済になったのが九六年度であります。  それで、それを前提にしまして、今度は名目成長率を三・一%に設定をしまして、GDPの総額としては五百十五・八兆円の経済をつくれるだろうというのが九七年度でございます。これは、実績といたしましては、〇・二%しかこのときには成長しなかった。実質の成長率でいいますとマイナス〇・四%、つまりマイナス成長の経済が始まったのがこの九七年度でございます。今から振り返るとそういうことであります。GDP総額としては、五百十五兆八千億の見通しを持っておったのにもかかわらず五百五兆円の実績となった、こういうことであります。  そこで、ここからが問題です。九八年度、つまり今年度は、この五百五兆円を前提にしまして、名目の成長率で二・四という設定をいたしました。国内総生産、GDPの額としては五百十九兆七千億になるであろう、したいということで予算を組まれたわけでございます。  ところが、非常に景気動向が悪い、あらゆる指標をとってみてもがたがたに減少しておるということで、二回にわたる経済対策を打ったわけでございます。一回は参議院の選挙前に橋本内閣が行ったこと、二回目は小渕内閣になってから総計二十三兆円の事業規模経済対策を打った。そのときに、名目成長率をマイナス二・二、総額四百九十四兆一千億のGDPの規模を目指すんだ、あるいはそういう見込みなんだということを設定をされたわけでございます。実績は、いいですか、実績は三月の末にならないと出ない、年度計算でいきますとそういうことになります。  果たして、この差は大変大きいわけですね。二・四からマイナス二・二ですから、単純に言いますと四・六%のマイナスです。見込み違いであります。額にしますと、計算していただけばわかりますが、GDPの総額として二十五兆円はげ落ちる、こういう財政経済運営、万々歳といいますか、うれしい方じゃなくて全くお手上げの状態というふうな見込みなんです。そういう見込みになっています。  ところが、今の指標をいろいろ見ておりますと、果たしてこの二・二という成長見通し、正しいのか、そうなり得るのか。二十三兆円の経済対策を打ったけれども、そうなるのか。それこそ、それも、昨年の尾身経済企画庁長官がおっしゃっていたような大本営発表にすぎないんじゃないか、こういう疑念がございます。  総理でも経済企画庁長官でもどちらでも結構です、お答えください。
  59. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員指摘のとおり、昨年度の、今年度といいますか、平成年度の見通しは大変大きく間違えました。  その原因はいろいろございますが、一つは、そのまた前の平成年度の見通しを誤っておりましたので、そこから始まりました、いわゆる発射台と言っておりますが、それの違いも出てまいりました。  尾身長官は、桜の咲くころ、去年の四、五月のことだと思いますが、経済回復するとおっしゃったのは、御本人はそういう信念であったので、あえて、大本営発表のように、わかっていることを間違えて言われたのではございませんで、見通しの間違いだったので、うそではなしに誤りだったということだと思いますが、誤りだったことは事実でございます。もうこの数字であらわれております。  私が経済企画庁長官になりましたときに、これは無理だから見直そうということにいたしまして、マイナス二・二、一・九というのも一回出たことがあるんですが、マイナス二・二という数字になりました。  これでいきますと、今まで第一期、第二期がマイナス〇・七、〇・七。これは年次に直しますと二・三とかそんな数字になるのでございますが、そのぐらいのマイナスで下がってきておりまして、あと二期、十—十二月と一—三月がどのように動くかでございますが、私が今までつかんでおります情報では、大体十—十二月はゼロかわずかプラスになるか、その辺はボーダーラインぐらい。一—三月もまあそれぐらいじゃないか。そういう数字で引いていきますと、二・二ぐらいはいけるんじゃないか、こう考えております。これは、今までにわかりました数値で予測した範囲でございます。
  60. 仙谷由人

    仙谷委員 総理にお伺いいたしておきたいんですが、前任者の話ですから、現時点では総理の責任云々かんぬんを私がしようとしているわけではないんです。しかし、これだけ大きく見通しをたがえた経済運営の責任者、いわば総理大臣と大蔵大臣と経済企画庁長官ですね、こういう場合には責任をとらなければならないということをお考えでしょうか。いかがですか。
  61. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 見通しがそのとおりにならなかったということは諸般の原因に帰することではあろうかと思いますが、結果的にお示ししておられるような数字になりましたことにつきましては、政府としては大きな責任を感ずべきものと考えております。
  62. 仙谷由人

    仙谷委員 ちょっと、次聞きますから。いや、一緒に答えていただければ結構ですから。多分、今度の質問経済企画庁長官がお答えになるんだろうと思いますから。  これは総理大臣にもお伺いしたいのですが、先ほど経済企画庁長官のお話で発射台というお話がございました。〇・五%を経済再生内閣小渕内閣のある意味で目標として、ここに政治生命をかけるということになりますと、その発射台というのは当然のことながらこの四百九十四兆一千億、これが発射台になって、〇・五%ですから、GDPの額としては四百九十六兆三千億を上回るGDPを達成しない限り〇・五%を達成したことにならない、そういう理解でいいんですか。  それとも、例えばマイナス三%成長に九八年が終わったときには、単純に計算いたしますと、三、五、十五ということになりますから、ちょうど四百九十兆円です。四百九十兆円が発射台になるんですか。そうしますと、〇・五%の達成というのは以外と簡単かもわからない、こういうことになるわけですが、いかがですか。
  63. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 先ほど、十—十二月、一—三月の水準でございますが、前期比〇・二%程度にならなければならない。横並びと言いましたが、ちょっと大まかで、間違いがありました。  今のお話でございますけれども、仮に三%下がったといたしますと、まさに毎月の水準が下がってまいります、毎期の水準が下がってまいります。そうすると、その次に〇・五を達成しようと思いますと、非常に大きく上がらないと、第一期、第二期が高い水準にありますから、カーブとしては余計急になるんですね。だから、やはりマイナス二・二ぐらいでとめて、そして〇・五上げるというのが私たちの基本的な考え方でございまして、どんと落としてちょっとでも上がればいい、こういうような考え方は、事実としても困難ですし、考え方としても取り上げておりません。
  64. 仙谷由人

    仙谷委員 そうしますと、小渕内閣としてはあるいは小渕総理としては、この九八年度見通しのマイナス二・二、これについても責任感を持ってといいますか、責任を負いながら達成をしていきたい、つまりことしの三月までですよ。そして、四月から始まる年度については、その発射台から〇・五%の成長を図りたいし、この予算で図ることができるであろう、そういうお考えだ、そのことに政治生命をかけるというふうにお伺いしてよろしいですか。どうですか。
  65. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 政治生命をかけるか否かということですが、政府といたしましては、今経済企画庁長官が申されましたような、三月期、すなわち今年度の最後のところで、今お示しされたようなマイナス二・二というところで抑えながら、そこをもって新しい年度ではプラス成長ということのために全力を挙げて努力をしていく、こういうことだろうと思います。
  66. 仙谷由人

    仙谷委員 ちょっと執拗なようですが、余りにもこの二年間大本営発表が続いてきて、そのうちよくなる、そのうちよくなるという話で、ところが、一向に実感としてもよくならないし、後からの指標というか数字を見てみますと、全く逆のことになっている。これはどこか決定的なところで間違っておるのではないか、政策の方向性が間違っておるのではないかということを、これはすべての国民がというふうに言っていいかもわかりません、経済的活動に参加しているすべての国民が考えているんじゃないかと思うのですよ。  つまり、政府に対する信頼感が非常になくなっているのですね。〇・五%あるいはプラス成長を来年度からするんだ、それが願望であるかのような、あるいは、建設的楽観主義とおっしゃるけれども、単なる楽観を与えるだけで本当のことを国民の前に明らかにしていないということであるとすれば、この時代の政策展開といいましょうか、あるいはメッセージとしては極めて遺憾だと私は思うのですね。そう思います。  したがいまして、もう一度、願望なのか政治生命をかけてでも行うということなのか、その点はっきりしてください。
  67. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 政府といたしましては、来年度予算の実効ある効果を期待し、そして今年度経済成長もぎりぎり抑えて、そして何せ、何といってもこのマイナス成長ということは非常に大変な、国民あるいは経済界の気持ちを萎縮させることでございますので、そうした意味からも、〇・五%という数字は極めて、高い水準ではありませんけれども、ぎりぎりここまではぜひ成長させていかなければならない、反転してマイナスからプラス、そういう成長に持っていきたいということで、そのことを確信して今諸政策を遂行しよう、こういうことでございます。
  68. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 仙谷委員の御質問に追加してお答えしたいと思うのですけれども、確かに、従来大きな成長を言いながら、二年連続のマイナスになりました。  この原因がどこにあるか、小渕内閣といたしましては、金融問題、需要問題、雇用問題、非常に綿密に考えまして、金融問題等もかなり正直に申し上げているつもりでございます。また、雇用の現状、需要の現状につきましても、皆様方に御理解をいただけるように、できるだけはっきりと従来の欠陥がここにあったということを申し上げているつもりでございます。  民間企業のシンクタンクで、平均いたしますとマイナスの〇・四と出ておりますが、かなり最近は、私たちの受け取っておる感じでは接近してきているんじゃないか。その点、信頼の回復に鋭意努めているつもりでございます。
  69. 仙谷由人

    仙谷委員 野田自治大臣、自由党もこの今の〇・五%成長について連帯責任をとるおつもりですか。
  70. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 私自身は、小渕内閣の一員として連帯責任を負うのは、これはこの問題のみならず当然のことだと考えております。  それから、先ほど来の御議論のやりとりの中で、率直に申し上げて、先ほど来いろいろ数字のお話がありました。これはいずれも、私は、小渕内閣になって、過去のいろいろな経済政策その他についてのいろいろな反省点をも踏まえて大幅な税制改革に、大幅減税なりいろいろな形を実は政策転換を図ってきているというのが自由党の理解であって、それらが前提になって連立に話が進んできているというふうに考えております。
  71. 仙谷由人

    仙谷委員 自由党として、この景気対策あるいは今年度あるいは来年度経済成長について責任を持つというふうに明確にお答えをいただけませんでしたので残念でございますけれども、ちょっと今年のマイナス二・二%の成長でおさまるのかという点について、堺屋長官にお伺いを重ねてするわけであります。  堺屋長官、私、二月八日付の日経新聞の景気指標というのを持っています。これを見ますと、まず、総合卸売物価指数がマイナス四・九でございます。これは前年比であります。御承知だと思います。四%というふうに仮に計算をしていただいてもいいわけでありますが、卸売物価指数が四%ぐらい下がりますと、企業の売り上げがやはりそのぐらい落ちざるを得ない、こういうふうにマクロ的には考えた方がいいのじゃないかと私は思っております。  大体一千五百兆ぐらいの全企業の、全産業の売り上げだというふうにお伺いしておりますので、卸売物価指数が四%下がりますと、名目では約六十兆円売り上げが落ちる。付加価値率を極めて大ざっぱに二〇%といたしますと、額として一二%落ちてくる。つまり、GDPからはげ落ちるということですね。  この卸売物価指数の低落といいましょうか、大変なデフレ傾向について、それと本年度のマイナス二・二%成長達成ありや否やという点について、いかがでございますか。
  72. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 マイナス二・二%というのは実質成長で書いておりますが……(仙谷委員「名目も書いてある」と呼ぶ)名目もそのようになっております。名目と成長とのデフレーターは卸売物価とは異なっておりまして、消費者物価その他含めたものでございまして、一応デフレーター、ゼロと考えておりますが、委員指摘のように、卸売物価の値下がりは予想以上に大きいということは私たちも感じております。これはちょっと円高の傾向等がこの秋から出てきたことも影響しているかと思いますが、予想以上に卸売物価の値下がりは大きいと思います。  したがいまして、二・二%マイナスという実質は私は達成できると思いますが、それを〇・一%刻みでどうだと言われますと、これは多少動くところ、特に名目では動くところがあるかもしれません。これからの為替の動き等、いろいろな変数がございますので、今のところ、大きく変わることはございませんが、非常に細かな数字を尋ねられますと、なお変動の可能性はあるとしか申しようがございません。
  73. 仙谷由人

    仙谷委員 長官、機械受注の指標をずっと見ていただいて、それから設備投資の指標も見ていただく。多分、私どもの手元には十一月までしかございませんけれども、長官の手元にはもう少し早い十二月末の指標がおありになるのかもわかりませんが、これだけ機械受注と設備投資が現実に下がりますと、やはり設備投資としては前年比二〇%ぐらい今年度は落ちるのではないか。つまり、額にいたしますと、約二十兆円ぐらいが落ちてしまうのではないかという予測もあるのでありますが、いかがでございますか。
  74. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 民間設備投資は非常に低調でございます。私たちの見通しでは、来年度もかなりのマイナスになる、こう見ております。  御指摘のように、機械受注もマイナスでございますが、従来の統計的経験から見ますと、機械受注は予測以上に実績はちょっと回復する形で出てまいりますので、委員がおっしゃるほど大きくは下がらないと思っております。かなりのマイナスになることは事実でございます。
  75. 仙谷由人

    仙谷委員 設備投資総体が二けた台のマイナスになるというふうにおっしゃられたのではないかと思うのですが、もう一つ、住宅着工なんかは、これもよくて毎月十万戸ですか、そこまでなかなか届かないという実態がずっと続いております。これだけ金利が安くて、住宅金融公庫、一生懸命政府の方からも頑張っていただいておりましても、そして土地も安くなっている、販売の住宅の単価も安くなっているのに、こういう状態が続いております。  これは今年度末までどういうふうに推移するのか。あるいは、来年度は急に浮上するということが考えられますか。
  76. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 住宅建設について見ますと、昨年の十月あたりから、持ち家の方は下げどまり傾向が出ておりまして、前月に比べますと十二月などは上昇しております。ただ、分譲マンションなどが大きく下がっておりましたけれども、これも下げどまり傾向は一応出ております。  そして、ことし一月になりましてから、今でございますが、住宅取得の減税効果もございまして、住宅展示場あるいは分譲住宅の現場に足を運ぶ人が非常にふえているということがテレビ等でも、新聞等でも報道されております。  私どもは、この低金利、それから、ことしの予算で審議をお願いしております住宅に関する取得減税、この二つが異時点の消費移転を起こしましてかなりの効果を上げて、来年度はプラスになると考えております。
  77. 仙谷由人

    仙谷委員 特徴的な指標を挙げただけでも、今年度経済成長については二回いわゆる見直しをしておるわけですが、どうも二回の見直し後のマイナス二・二%も非常に危ういのじゃないかと私は思います。  そこで、さらに問題なのは、こういうふうに経済見通しを誤ったために、税収の見込みを決定的に誤っているということであります。つまり、当初予算では、税収の見込みは五十八兆五千二百二十億、第一次補正では、第二次補正だったんでしょうか、五十七兆四百九十億、第三次補正で五十兆一千六百五十億、こういうことになっております。減税ももちろん四兆円あったわけでありますけれども、八兆五千億の税収不足ということになっています。  ところが、大蔵大臣、これでおさまるのかという問題があるんじゃないかと私は思っているのです。つまり、先ほど申し上げた景気経済の成長率との関係で、果たしてこれだけ、五十兆という税収が上がるのかということであります。  現に、もう御承知のように、所得税は十二月までの累積の収入で、累積でですよ、前年比マイナス一五・三%です。それから、法人税はマイナス一三・九%です。消費税だけがプラス二三%でありますが、これは一月、二月、三月で調整をされてほぼ見積もり程度になるのではないか、こういうふうに言われております。  そうだといたしますと、この第三次補正は、前年比マイナス七%という設定で五十八兆から五十兆に減る、こういう設定をされたわけでありますが、所得税の現在までの累積の減り方と、法人税のやはり累積で見た場合の減り方を見ますと、どうも、第三次補正で措定をされたマイナス七%、五十兆というのが難しいんではないか、歳入欠陥がまたまた発生するんではないか、こういう大変シビアな見方といいましょうか、こういう見方をしておるんですが、大蔵大臣、いかがでございますか。
  78. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 十年度の当初、五十八兆五千二百二十億でございます。補正後、五十兆一千六百五十億、これだけ減額補正をいたしました。そこで、減額補正五十兆一千億でとまるかというのが今のお尋ねです。  ただいままでのところ、減額した後さらに減額をする必要があるというふうには事務当局は見ておりません。ただ、これは、実は最終的にわかりますのはことしの六月でございまして、六月の最後になって法人税がどれだけ入ってくるかによって一番狂います。したがって、今、最終的に申し上げるのは早いと思いますけれども、せんだって減額をお願いした後、さらに最終的に減額をしなければならぬという傾向は、今のところは見えないと言っております。
  79. 仙谷由人

    仙谷委員 今おっしゃったように、まさに法人税の問題があるんですね。昨年九月、中間期決算だけを拝見しておりましても、いわゆる上場一部の企業、今まで大企業、大会社と言ってきたところが大変な前年比あるいは前期比の決算内容の落ち込み方ですよ。こんな会社まで赤字決算をせざるを得ないのかという驚きを持って見詰める状況でございますよ。  私は、余り安閑とできないんではないか。つまり、絶対額であと二、三兆円の歳入欠陥、税収不足が出てくるのではないか。そうなりますと、またまたここは、公債を発行して補うしかないという結論になるわけであります。  公債の問題に移りますが、お配りした資料の一枚目を見てください。  いわゆる中期財政試算、毎年大蔵省が予算編成のときに出されておるものを、ことしの中期財政試算を公債発行に限定してといいましょうか、書いてみたものでございます。二枚目がそれを数字であらわしたものであります。このパネルですと赤くとってある部分、これがコピーでは赤字じゃなくて黒で出ておりますが、昨年の財政構造改革に基づくいわゆる財政再建への道筋をここに書いてあるわけであります。こんなになってしまったんですね。  中期財政試算も、政府支出をふやさないという前提でも、そしてこの図は、政府、地方との関係においては、地方の公債金収入といいましょうか、地方債の収入が、ことし、来年、再来年、その次、二〇〇三年まで、一応伸びない、伸ばさないという前提で書いてあります。それでも財政再建の考え方とはこんなに離れてしまっている。  そして、いわば単年度で公債発行額、地方、中央の政府の公債といいましょうか、債務が、財政赤字が、いわゆる三%、対GDP比三%に抑えるのが常識だという世界の潮流からはもう目も当てられないぐらい離れてしまっている、こういう状態なんですね。  宮澤大蔵大臣は、経済成長が二%台ぐらいまでいったら財政再建のことも考えなければいけないと本委員会でもおっしゃっておるようでございますし、先般大蔵委員会でもお伺いしました。  しかし、この中期財政試算のこの絵を見ますと、完璧に財政規律といいましょうか財政再建は放棄した、もう財政再建はどうなってもいいんだ、こういうお考えでことしの予算をつくられておる、こういうふうに理解していいですか。
  80. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先般御審議の参考にお届けいたしました中期財政試算というものなんですが、実は昭和五十年代からこの委員会のお求めに応じて毎年御提出をいたしておりますが、客観情勢が余りに変わってしまいまして、ことしも、これは毎年のことでございますから差し上げなきゃならぬということでお手元にも差し上げてございますが、今の一九九九年をベースにしまして自動的にプロジェクションをやっておりますものですから、どんなに一般歳出をゼロにしても国債の数字がふえていく、そういうプロジェクションになっておりまして、そういう意味では、これからの努力というものは、プロジェクションですからしようがない、出てまいりません。  これを、あのときにどなたかのお尋ねには申し上げましたが、まことに申しわけないことですけれども、ちょっと浮世離れのしたような資料になってしまいますので、本当に御参考にだけごらんくださいませということを申し上げたと思いますけれども、自動的に伸ばしてしまいますと、どうしても今仙谷委員の言われましたような数字になります。しかし、これからいろいろな努力をしないわけではないものでございますから、それに基づいて真っすぐ伸ばすとこうなるとおっしゃいましても、それは、私どもはそんなことでいいと思ってはおりません、一生懸命努力をいたします、こう申し上げさせていただきたいと思います。
  81. 仙谷由人

    仙谷委員 いやいや、我々が勝手に伸ばしておるんじゃないのですよ。これは、政府がおつくりになった中期財政試算の数字の表を絵にするとこうなる、こう言っているだけの話ですよ。絵にしてみると物すごいいいかげんなことがわかるじゃないですか、こう申し上げているんですよ。もう完璧に責任を放棄した、財政当局の責任を放棄しておるんではないかということを私は言っているんですよ。
  82. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 差し上げました表の下に記しておると思いますけれども、こういう性質のものでございますのでというふうに御説明をいたしておりまして、実は二十年もお出ししている資料でございますから、どうも、差し上げなければまた不誠実に思われますし、差し上げますと甚だ非現実的な話なので、大変に困っておりまして、図にすればまさにおっしゃったようなことになってしまいます。  それはしかし、注に申しますように、私どもはこれからいろいろな努力をするということ、そのことを反映しておりません、自動的なプロジェクションをやっておりますということを申し上げておるわけであります。
  83. 仙谷由人

    仙谷委員 いやいや、私は、二〇〇三年なら二〇〇三年、二〇〇五年なら二〇〇五年にある目標を立てないと、こういうことになってしまうと思うんですよ。  それで、実はここが次の問題ですが、中期財政試算だから、まあそれは目の子算だし、大ざっぱな話だし、現実にはそんなものは達成されようとされまいとそんなに政治責任ないんだ、こういうお気持ちがあるのかもわかりませんが、実は私は今度の中期財政試算で、拝見しておってすぐに気がついたのは、要調整額の欄がなくなっているんですね。  要調整額を何でなくしたんだという話を、これは大蔵大臣にも聞かなければなりませんし、大蔵省の主税局長がお答えになるんだったらそれでも結構ですけれども、このことに、財政規律に対するある種の責任感といいましょうか、責任性を放棄した姿があらわれているんじゃないか、要調整額をなくしたことが。  つまり、あの要調整額という書き方は、私どもから見れば、だから増税をしようとしているんじゃないのということを毎年疑いの眼をもって見ていましたよ。だけれども、一たんなくしますと、では、これどこまででもどんどん債務残高が膨れ上がっていって、この国大丈夫なんですかという話になるわけですよ。ある種の規律ですよ、要調整額は。考え方としては、こうでなきゃいかぬということを大蔵当局が曲がりなりにも言っていた、大蔵当局としては、増税の魂胆があるとしても、そういうことを言っておったということを私は考えたんですね。  ところが、ことしはもう何にもない、ないない尽くしどころか何にもない、こういう財政になってしまった。これでいいんですかということがお伺いしたいところでありますし、私は、ついに自民党、大蔵省も財政の運営についてほとんど責任を持てなくなってきたという局面がここへ来て来ておるのかな、歴史的に考えると。そこまで今考えているわけでございますが、大蔵大臣、いかがですか。
  84. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一遍ここで試算の性質を御説明させていただきませんと、とめどもなく御議論がいきますので、主計局長からお答えいたします。
  85. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、従来の試算におきましては要調整額というものを計上してきたわけでございますけれども、これは、それぞれの時点におきまして、例えば特例公債の依存脱却の、何年までに依存体質から脱却するという一つの政府としての目標があったわけでございます。そういうことで、例えば、昨年財革法の御審議の際に出した資料におきましても、特例公債からの脱却につきましては一定の目標年次があったわけでございます。  それに対しまして、今回は、財政構造改革の基本的考え方は維持しつつ、この構造改革法を当分の間凍結するということで、まず景気回復に全力を尽くすということで今回の予算編成が行われているわけでございまして、したがいまして、最終的に到達すべき目標が現段階ではないわけでございます。  したがいまして、歳入歳出のギャップをこれはすべて公債により賄うという仮定のもとに試算を行ったわけでございます。
  86. 仙谷由人

    仙谷委員 局長、私が申し上げたことをあなたはきれいに言っただけじゃないですか。目標なくなったと言っているじゃないですか。目標がなくなったら何があるんですか。  だから、主計局長のじくじたるお気持ちもわからぬではないけれども、こんなことでいいんですかと僕は言っているわけです。本当にいいんですかということを言っているわけです。財政規律を取り戻さなくていいんですかということを言っている。  そこで、大蔵大臣に、では一緒に答えてもらいますが、ボンドマーケットディシプリンというのはご存じですか。ご存じですよね。債券市場原理。つまり、どこの国も、余りにも国債を発行し過ぎると、債券市場の方からシグナルを送ってくる。シグナルは金利だ。こんなに出されたんでは消化できない、あるいは、こんなに出されてこれは本当に返してくれるんですか、こういうシグナルが送られるというのがボンドマーケットディシプリンだというふうに私、聞いたんですね。  一九八〇年代のイギリス、八〇年代後半のアメリカ、全部長期金利の上昇することによって、財政赤字を何とか締めていかなければならないというところに入らざるを得なかった、これは歴史的な事実ですよ。  というふうに聞いたわけでありますが、私は、大蔵省があるいは大蔵大臣が、こういうある種の規律性のない、目標喪失ということをみずから宣言したということが、投資家やマーケットにとっては、この債券は償還リスクが非常に大きくなったね、そしてまた、こんなにげっぷが出るほど国債が発行されて消化できるのかしら、こういうシグナルが今、昨年の暮れから発せられているんじゃないんですか。いかがですか。
  87. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一応、先ほどのことを申し上げてしまいますと、要調整額がなくなったのをごらんになって、これは増税ということをあきらめたな、間が詰まらない、先ほどまずそうおっしゃいました。その次に今度は、国債というのはとめどもなくいくんだねと、これは同じことなんですが。  主計局長が申し上げましたように、財政再建のときには、実は御記憶のように、何年までに特例公債をどこまで縮めようということがあったわけでございます。それを私どもは、財政再建策というのは大事だけれども、今この不況を脱却するときにこれにこだわっていることができないということで、法律を御承知のように凍結いたしました。したがいまして、いつまでに特例公債をやめるという目標、あるいは具体的な方針そのものは、今存在いたしません。そのことは確かに極めて遺憾なことでございます。  しかし、表があらわしているものは、何もそれを我々がよしとしているという意味ではありませんで、かつての目標をおろしましたことを単純に表があらわしているということ、そういうものとしてこの表の性質をまず、先ほど申し上げましたように、御理解いただきたいと思うんです。  そこで、本題に行きますと、しからば、政府が今特例公債をいつやめるかという目標を持っていないのかとおっしゃいますと、正直なところ、それを持ち得ない状況でございます。ヨーロッパの国々のように、毎年の単年度財政赤字をGDPの何%にするということも一遍考えましたけれども、今それにこだわっていては不況の脱出ができないと考えておりますことは申し上げたとおりでありまして、そのことは極めてだらしのないことではないかとおっしゃれば、大蔵大臣としては、まことに自分で残念だと思っていることですが、しかし、それほどまでにいたしませんとこの不況脱出というものができないと思っておる。  それで、次におっしゃいましたことは、ボンドのディシプリンということでございますけれども、確かに、国債が多く出るということで、市場はそれをそのように受け取っている点はございます。しかし、金利のことをおっしゃいましたので、この間も、これはちょうだいした資料でございますけれども合っておりますので使わせていただきますが、昨年の十一月三十日の金利は一・〇五五でございますので、非常に異常な金利、日本は異常に低かったわけですが、それが今、二に上がり、二を上下しているというところでございますから、とんでもない高い金利が出てきたわけではない、昨年に比べればそうでございますけれども、国際的には大変に低い金利である。  そしてこれは、ちょっとお時間をいただいて悪うございますが、去年の暮れにたくさん国債が出るということにやや過剰反応をしたんではないかというふうに私は思いますし、金利というのは要するに国債の価格の裏返しでございますから、そんなにマーケットを離れて生まれるはずではないと思っております。したがって、上昇はしておりますけれども、民間に資金需要がございませんから、日本経済に大きな悪影響があるところまで上昇するとは思えません。  ただ、つけ加えさせていただきますが、国が非常に大きな国債を出しているということが一つの原因であることは間違いございませんから、国債の発行者としては、いろいろな配慮なりいろいろな工夫をいたさなければならないということは事務当局にも指示をしてございまして、大きな国債発行者としてのディシプリンは守ってまいらなければならないと思っております。
  88. 仙谷由人

    仙谷委員 時間が切迫しておりますので、三つだけ申し上げておきます。  私は、このボンドマーケットの関係からいえば、長期金利が上昇して債券価格が下落すると当然の予測されることをしでかした政府が、今度は慌てふためいて、日本銀行に国債の引き受けをやらせるとかやらせないとか、買い切りオペの増額、拡大をやらせるとかやらせないとか、そういう対処方法を、その場しのぎのような政策を繰り返すから日本経済がおかしくなっている。ここのところはひとつよくお考えいただきたいし、そういうことしかお考えできないような財政経済運営というのは、これはもう政権担当能力といいましょうか、財政運営能力を喪失しているということを申し上げたいと思います。  さらに加えて、自民党筋からは、やはり景気おかしいぞ、あと十兆円ぐらい補正予算が要るぞみたいな話がちらちら聞こえてまいります。これは、ことしこの財政赤字の上に十兆円の、あるいは五兆円でも国債を発行して、そして補正予算でも組もうものなら債券市場がどういうふうになるか、そのことはよくお考えをいただかないと、日本経済を本当に奈落の底へ突き落とすということになりかねないと思います。そのことだけ申し上げて、次の問題に移ります。  日債銀の問題でございます。  お配りした資料を見ていただきますと、一枚目に日債銀救済、二年間にわたってこういうことが行われたんですね。  まず日銀から八百億、民間金融機関から二千百五億円、これは九七年の七月に手続は完了したわけですが、四月一日から大蔵省が一生懸命なさったことであります。それから金融危機管理審査委員会からの六百億、これは御承知のように、昨年の三月十日に決定をした、そういう日債銀救済策であります。  このことが先般から、要するに責任問題はさておいて、なぜこんなことになったのかということが問題になっております。  そこで、まず一点聞きたいわけですが、これは大蔵省でも金融監督庁でも、お答えはどちらでも結構ですが、そのかわり、正しく事実をお述べいただきたいのであります。  四月一日に大蔵省が民間の金融機関等四十数社、あるいは四十人なのかもわかりませんが、これを合同庁舎に集めて、そうして日債銀の救済について、あるいは日債銀支援とでもいいましょうか、これについて要請をしたということはございまするでしょうか。もしおありになるとすれば、そのときの主たる出席者、その中に山口銀行局長、中井審議官、中井省さんとおっしゃるんですか、審議官がいたでしょうか、お答えください。
  89. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答えいたします。  今委員が言われましたように、九年の四月一日に日債銀の経営再建策の発表がございまして、大蔵省といたしましても、日債銀から民間金融機関に対しまして出資要請をしているとの報告を受けるとともに、日銀に対しまして出資を要請したという大蔵大臣の談話を発表したわけでございます。  その談話の中では、大蔵省といたしましても日債銀の再建策に最大限の支援を行っていく所存であるという方針も表明されておりまして、この談話の趣旨等につきまして説明を行うという意味で、金融機関に対して、日債銀の増資要請先に対しまして説明を行ったということは事実でございます。  具体的にどうという点につきましては、監督庁の方から答えていただきたいと思います。
  90. 仙谷由人

    仙谷委員 では監督庁、監督庁が引き継ぎを受けられた書類の中に入っているんだと思いますが、このときの銀行局長もしくは審議官の発言として、日債銀株については上場を続けるんだ、このリストラを支援していただいたら皆さん方は配当収入やキャピタルゲインも見込めるんだ、こういう発言をしたかどうか。あるいは、日債銀の自己査定による第三分類は四千七百億円である、大蔵省が検査をしても大きくは違わない、五年で再建できるというふうなことをおっしゃっておったかどうか。この点いかがですか。
  91. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  当時の大蔵省銀行局から金融監督庁は事務を引き継いでおります。その四月一日の様子は、先ほど伏屋金融企画局長からお話がありましたように、その日の午前中に主要株主である銀行十行、それから同行に劣後ローンを提供しておりました生損保会社二十二社、それから長期信用銀行二行の計三十四社の担当者に参集していただいたということでございます。  大臣の談話は午後二時から三時ごろの間に発表されたようでございますが、先ほど局長からもお話がありましたように、事前に御説明を申し上げたということでございます。  具体的にその当時の会議録といいますか、あるいは議事録といいますか、そういったものは今のところ私どもの方にはございませんで、あくまでもこれはヒアセイになりますので、この要旨、どんなことを申し上げたかというと、つまり当時大蔵省としては、日債銀は債務超過ではありませんよ、再建策がもし実施されれば再建は十分に可能であります、こういう認識を持っているということを御説明申し上げて出資に対する理解を求めたというふうに私どもは聞いているところでございます。
  92. 仙谷由人

    仙谷委員 会議録はどこにあるんですか。それが一つ。  それから、出席の金融機関からは異論といいますか、注文出なかったんでしょうか。
  93. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答え申し上げます。  当時の会議といいますか議事といいますか、そういったものを記録したものは、私どもの方にはございません。少なくともそういうものは引き継ぎの中にはございません。  それから、異論があったかないかということですが、四月一日には、先ほど申し上げたように、出資を求めた各社の方々においでいただいたわけでございますが、主要な金融機関に対しましては事前にかなり根回しをしておられたようでございますので、特にその日にそれに対して反対だといったような意見は私どもは聞いていなかったというふうに承知しております。
  94. 仙谷由人

    仙谷委員 根回しの点は三月の二十四日とか二十七日から、これも当時の銀行局長山口さんと中井審議官が手分けをして各金融機関を回ったというのが一部報道機関でも報道されておりますが、大蔵省にはまだこの会議録とかその根回しの記録というのは残っているんですか。
  95. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 今言われました会議録について、私ども、ないと聞いております。
  96. 仙谷由人

    仙谷委員 私は、こんなときの会議会議録を残さないということはあってはならないし、あり得ないと思うんです。わかり切ったような、いわば言い逃れみたいなことはやめてもらいたい。  これは、我々の方で、民主党の方からもこの四月一日の会議録のこの委員会への提出要求をしております。これは、大変重要な会議録だと私は思うんです、この問題を解明するについては。資料の提出要求をしておりますので、これは委員長、ぜひ取り寄せるようにしてください。
  97. 中山正暉

    中山委員長 理事会で協議をいたします。
  98. 仙谷由人

    仙谷委員 そこで質問を続けますが、では、民間から異論が出なかったということであれば、なぜ四月十六日を基準日として検査を始めたんですか。金融監督庁長官、どうですか。
  99. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  平成九年の三月三十一日現在は、日債銀は自己査定の結果を四千七百億円の第三分類債権というふうに出資先などに対しても言っているわけですけれども、大蔵省はこの際検査をして果たして、第三分類債権はもちろんですが、第四分類あるいは第二分類の分類債権について正確に把握をする必要があるといったことからこの検査を開始したものであると承知しております。
  100. 仙谷由人

    仙谷委員 これは、いいですか、日債銀については、もう既に九二年から債権の飛ばしをやっておるのではないか、あるいは関連ノンバンク、ペーパーカンパニーの存在というのが大変多くて、不良債権、不良資産を随分抱え込んでおるのではないかというのが、これは九二年から話が出ているのですよ。  そして、この九七年の三月末日というのは、かねてから喧伝をされておったといいますか、他の金融機関からも指摘されておったクラウン・リーシング、日本トータルファイナンス、日本信用ファイナンス、この三社を、これはほかの金融機関からいえば、母体行である日本債券信用銀行が手を切って、みずからは母体行としての責任を負わない、けしからぬことをしたという憤激を呼んだ処理をしたのが九七年の三月三十一日決算ですよ。みずからのところは二千五百億しか償却しないでも済むんだけれども、これが大体この三つのノンバンクの債務総額の一〇%だと言われておるのですね。つまり、母体行としての責任じゃなくて、みずからが貸していた、一〇%分だけの約二千五百億を放棄して、そうして逃げたというふうに憤激を呼んでいた時点なんですよ、この四月というのは。異論が出ないはずないじゃないですか。  そこで大蔵省は、今おっしゃったように、四千七百億と自称しておる不良債権を、第三分類の債権四千七百億と言っているけれども、そんなことはないかもわからないということで調べ出した、こういう経過だと私は合理的に推測しておるのですね。  そこで、始まりました。始まった結果、今この委員会でもあるいは参議院でも問題になっております七千億という、何か中間報告とか概要とか言われておるこういう数字は、どこから出てきた数字なんですか。  大蔵省としてはあるいは今の金融監督庁としては、一つの検査で二つの数字が出てくるということは私はあり得ないと思うのですね。一回の検査で七千億という数字と一兆一千二百十二億ですか、第三分類の債権額について二つの数字が出てくる、こんなことはあり得ないと思うのですが、七千億という数字は、これはどこから出てきておる数字なんですか。どなたかおわかりになる方、答えてください。
  101. 日野正晴

    ○日野政府委員 まず最初に、四月一日当時の認識といいますか、それは先ほど仙谷議員からもお話がありましたように、クラウン・リーシングなどが破産になりました。これは、長銀のときなどにも、その不良債権をどういうふうに処理するかということで、例えば全部それを放棄してしまうかどうかといったようなことが透明性に欠けるといった御指摘もありましたように、この当時はプロラタ処理ということで、大変法的に公正な処理が日債銀に関しては、四月一日現在には破産法という法律できちっと処理されたものではないかというふうに理解しております。  それから、第二の御指摘にございました、七千億という数字がどこから出てきたかという御指摘でございます。  これは、当時はまだ大蔵省は検査をしている途中でございまして、まだ過程にございましたので、検査結果というものを日債銀には通知しておりません。これは九月になってから通知しております。  したがいまして、心証といいますか、日債銀が勝手にと言ったらおかしいのですが、大蔵省が考えていることはつかんでいたかどうかわかりませんけれども、自分たちの主張として、第三分類は七千億ぐらいだということは恐らく主張したといいますか、大蔵省に対して、一兆一千二百億円と七千四百億円の違いですから、かなり相当激しいやりとりがあったのではないかというふうに私は思います。  それで、日債銀としては、自分の方の主張を大蔵省に対して、あるいはこれは推測ですけれども、そのやりとりの間で述べただけではなくて、どこかほかにもそういうことを漏らしたがためにその数字がひとり歩きをしたのではないかなというふうに考えておりまして、これは大蔵省が、その当時、自分の認定として七千億、七千四百億ですかが第三分類になりそうだといったようなことは決してございません。
  102. 仙谷由人

    仙谷委員 大蔵省は、五月の十九日ですか、中間報告をしたという説もありますね。それから、そのころに、大蔵省の銀行局の幹部が大手数行の役員に電話して、七千億になってまことに申しわけない、ふえたけれども申しわけない、しかし、大丈夫だというふうなことを言っておるという報道もあるんですよ。  現に、七月の二十九日だったですか、ここまでに増資の手続を完了させなければならないわけですから、大蔵省がギャランティーを与えた数字が各民間銀行に連絡される、あるいは日本銀行に、大体ではなくてこうだということが、どこを通じるか別にして、報告をされるということがなければ、安心して出資に応ずるわけにいかないじゃないですか、民間の金融機関は。違うんですか。七千億というのは、何らかの格好で大蔵省が日債銀に通告した数字ではないんですか。
  103. 日野正晴

    ○日野政府委員 ただいま御指摘がありました報道は、全銀協の岸会長が記者会見で述べられたものだというふうに承知しております。  ただ、私どもは、先ほど申し上げましたように、七千億という数字がどこから出たものか知りませんけれども、そういう数字がひとり歩きしていたということは、大蔵省としてもそういうことは認識していたというふうに承知しております。  しかし、大蔵省として、検査を通じて自分たちが把握している数字を七千億であるということを日債銀に通知したことはないというふうに聞いております。
  104. 仙谷由人

    仙谷委員 これは大変重大なことになってきましたよね、本当に。ここを解明しないと、次に指名しますけれども、日本銀行も浮かばれませんよね。日本銀行は、七千億と聞いて、しかし心配ないということで、八百億円投げ出したわけですから。そうですよね。  日本銀行は、第三分類七千億という数字はどういうふうに伝えられましたか。つまり、だれかが日本銀行へ来たんですか。書類があるいは文書があったんですか、なかったんですか、そのことをお答えください。
  105. 小畑義治

    ○小畑参考人 お答え申し上げます。  いわゆる回収に懸念のある第三分類の七千億円という数字でございますが、これは平成九年の五月十九日に、日債銀が主要株主等の民間に対する増資要請の一環といたしまして、日本銀行に対しましても、これは担当レベルでございます、民間にもこういう説明をする、日銀にも第三分類が七千億円程度だということで、そういう連絡があった次第でございます。  その日、大蔵省とは、かねてより申し上げておりますとおり、具体的な検査結果自体は日本銀行は入手いたしておりませんけれども、日債銀は債務超過でないという認識を持ちつつ、私どもも八百億円の増資への対応をさらに進めてまいったということでございます。
  106. 仙谷由人

    仙谷委員 ちょっと日本銀行の方、私の質問にも答えてください。  日債銀がわざわざ日本銀行へ来てその旨を、あなた、連絡と言ったけれども、ちゃんと通告したといいますか、通知したのですか。それから、文書はなかったのですか。それから、今の質問に重ねてお伺いするわけですが、大蔵省に問い合わせといいましょうか、この七千億円という連絡を、こうなのですねと確認の行為を行ったのでしょうか、しなかったのでしょうか。
  107. 小畑義治

    ○小畑参考人 お答え申し上げます。  日債銀との間では電話連絡でございまして、書面等のやりとりは一切ございません。  それから、大蔵省との間につきましては、これも電話でございまして、当時の大蔵省の銀行局の課長補佐、私どもの信用機構局の調査役というレベルで、要するに、日債銀がきょう民間にこういう説明をしている、ついては、そのときに、七千億円ということで民間にも説明しているというのは当然大蔵省との間の話し合いではございましたけれども、債務超過ではないということの認識をその電話で確認し合ったということでございます。
  108. 仙谷由人

    仙谷委員 では、日本銀行に重ねてお伺いするのですが、もし仮に、最終結果は九月に判明したのですね。一兆一千二百十二億円、第三分類が四千億円ふえた、こういうことになるわけですね。その中身が、私の推測によると、ほとんどペーパーカンパニーに対する融資が、日債銀としては、日債銀のペーパーカンパニーだから、日債銀が面倒を見るというか責任を持っているから、これを第三分類に含めないでいいんだとか、いや、そんなものは自分のところの会社だから、連結決算したらむしろ債務としてカウントしなければいけないんだとか、そういう議論が日債銀と大蔵省の間で当然あったのだろうと思うのですね。あったのだと思うのですよ。結論としては、一兆一千二百十二億円、四千億円その種の債務がふえた。  いいですか、これが増資に応ずる前に、つまり、九七年の四月、五月段階で判明しておれば、日本銀行としては八百億円を投入するという決断ができましたでしょうか。お答えください。
  109. 小畑義治

    ○小畑参考人 お答え申し上げます。  実は、私ども日本銀行自体の考査は、平成七年二月に入ったところでございまして、それ以降は、日債銀からの計数報告とかヒアリング、オフサイトモニタリングで日債銀の資産内容等の把握に努めてきたところでございます。  この八百億円の出資に関しましては、私ども日本銀行でも、当時の金融システムの安定等、日本銀行が最後の貸し手としての役目を果たさなければならない、そういうぎりぎりの選択をする中で、資産内容につきましても、日本銀行自体の考査ではございませんけれども、日債銀自体が提出してまいりました自己査定表が適切かどうかというのを私ども考査局がチェックいたしまして、その当時では、日債銀は債務超過ではないという判断を私ども独自の判断で持っておったものでございますから、最終的に、私ども、四月一日の政策委員会で八百億円を限度に日債銀の増資に応ずるという方針を御報告し、了承を得た、そういう経緯でございます。
  110. 仙谷由人

    仙谷委員 問いにちゃんと答えてほしいのですが、当時の、九七年三月末の日債銀の自己資本勘定は、三千四百億円償却しておりますから、九百九十億円ですよ。たったとは言いませんが、九百九十億円の自己資本勘定ですよ。そういう会社の第三分類債権が七千億円から一兆一千二百十二億円に四千億円もふえたときに、いいですか、答えは極めて簡単じゃないですか、四千億円第三分類がふえるということは、引き当て五〇%にしても、自己資本を二千億円償却しなければしようがないじゃないですか。一千億円の債務超過になるじゃないですか。そんなのは素人でもわかる話です。日本銀行ともあろうお方がそんなことをわからないというのは、到底考えられないんですよ。だから、それを聞いておれば増資に応じることができたかという答えは、ノー以外はあり得ないですよ。  そして、まして日本銀行、あなたは信用秩序のこともおっしゃった、金融システムのこともおっしゃった、しかし、日本銀行がその種のお金を出す場合には、いいですか、より財務の健全性が問題なんじゃないですか。返済可能なお金じゃないときに、旧日銀法の二十五条でもお金を出せますか。返済される可能性があるということで出すんでしょう。そうじゃないんですか。  そして、何か日銀には四項目の基準があるんじゃないですか、内部ルールが。財務の健全性と、さらには関係者の責任の明確さということがあるじゃないですか。この九七年四月のケースは、関係者の責任が全然明確になっていませんよ。そして、これを出すことによって八百億円が日銀に返ってくるという保証があるかないかは、まさにせんじ詰めると、日債銀のこの第三分類にかかってくるんじゃないですか。  そんな程度の確認で、大蔵省に幾ら勧められたからといって、そんな程度の責任で八百億円日銀の資産を一つの民間会社にほうり込まれたんでは、国民はたまりませんよ。いかがですか、今の問い。
  111. 小畑義治

    ○小畑参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、私ども、信用秩序に対します日銀法で申し上げれば、第三十八条のいわゆる特別融資等を実施します場合には、四原則というのを持っておりまして、御指摘のとおり、財務の健全性というのは四番目の重要な原則でございます。  日債銀の新金融安定化基金を通じます出資に関しましても、私どもの日本銀行の使命を果たす上で、その四原則上厳しくチェックいたしまして、財務の健全性という点につきましては、当時、内外の金融システムの安定を図るためのセーフティーネットが現状のように十分なされていない中で、日債銀の再建を図ることがどうしても必要だというのが日本銀行自体の判断でございました。  当時、私どもの判断といたしまして、日本債券信用銀行のあの当時の再建計画というのは思い切ったリストラである、その結果不良資産の処理もあわせて進みますので、資本基盤の整備が図られれば、日債銀は今後市場の信認を得られる経営立て直しが図れるんではないか、そういう判断を日本銀行もいたしたわけでございます。  そういう中で最後の貸し手機能としてぎりぎりの選択をしたということで、何とぞ御理解賜りたいというふうに思っておるところでございます。
  112. 仙谷由人

    仙谷委員 この問題は先般共産党の木島委員も聞かれておったわけでございますが、私が申し上げた第三分類の額が幾らになるかというのは、せんじ詰めると、ペーパーカンパニーあるいは関連ノンバンクに対する日債銀の債権が果たしてどういうものかということに尽きるんですね。  つまり、債権の飛ばしであるかないか、あるいは、非常に過剰な貸し付けであるかないか、あるいは、不動産融資をして不動産の価格が極めて低下しておるんではないか、そういう問題ですから、これは九七年の時点で大蔵省の検査で、すぐにとは言いませんが、わかっていなければおかしい問題であります。だから、五月から調べて九月の結果では、既に一兆一千二百十二億という金額が出てきておるんじゃないですか。  大蔵省あるいは金融監督庁、そのお配りした資料、ここに「日債銀関連会社・ペーパーカンパニー」というのが書いてあると思います。さらに、その次のページに、東京ハウジング産業以下約六十社書いてあると思うのです。  「日債銀関連会社・ペーパーカンパニー(決算内容が明らかなもの)」、辛うじて私どもの調査で決算内容が明らかになったものだけを書いてございます。  設立のところを見てほしいのですが、九二年、九三年、その年月日が非常に多うございます。次のページもごらんください。設立が九六年の分までございます。九二年、九三年あるいは九六年。そして、住所を見てください。ほとんどが同じところにございます。代表者の欄を見てください。これは全部日債銀社員であります。  こういうことが、ここにパネルでもつくってきてありますけれども、まさに長銀のときと同じような、ペーパーカンパニー六十社、正確ではないと思いますけれども、なぜ正確じゃないかというと、資料が明らかになっていないからであります。我々の調査だけでも、そのうちの約二十社の借入金が一兆五千二百五十二億ある、こういうことになっておるわけであります。  ここに書いてございますように、日債銀から十二社に対して一兆五千二百五十二億、そして、そこから残りの五十社ぐらいに対して五千二百三十八億が貸し出しをされておるというところまでわかっております。  このことが第三分類の金額の上下に関係をしておると私どもはにらんでおりますけれども、当時の検査で、大蔵省、第三分類が四千七百億から一兆一千二百十二億にふえた、あるいは七千億からふえた。このことは、こういうペーパーカンパニー、ノンバンクあるいは関連会社、ここに対する過剰な貸し付けの焦げつき分であった、そういう検査結果を持っていらっしゃるんじゃないのですか。
  113. 日野正晴

    ○日野政府委員 検査結果の第三分類の一兆一千億円余りの中には、今御指摘のありましたように、日債銀の関連会社に対する債権が含まれております。  日債銀は、自己査定で、大蔵省とは異なる独自の見解を主張しておられたようでありまして、今いろいろ挙げられました各会社、中には、資本金がもう既にマイナスになっているところもございますが、こういった会社であっても、日債銀が支援をする限りは倒産することはない、したがってその債権は回収できるんだ、こういった見解、理由といいますか、そういったことから、こうした先に対する債権を基本的に要注意先であります第二分類におさめていたようでございます。  一方、大蔵省は、この検査では、こういった債権は破綻懸念先の第三分類ではないかということで、これを査定いたしまして、こうした見方の違いが、日債銀が検査途中で言ったのかどうかわかりませんが、ひとり歩きした七千億円あるいは四千数百億円、それと、最終的に九月に大蔵省が示達をいたしました一兆一千億円の差となっているのではないかというふうに考えられるところでございます。
  114. 仙谷由人

    仙谷委員 時間がどんどん迫っておりますので、ここで、まず九七年の日銀八百億を初めとする約三千億の増資については、先ほどの監督庁長官のお話でも、岸全銀協会長の話として、つまり、東京三菱銀行が大蔵省と話をして、七千億円であることを聞いておるという話がございましたね。  それで、これも非常に、先ほどの証言を聞いておりますと、やみの中のような感じがいたします。果たして、大蔵省がある時点で七千億という数字を日債銀に伝えたのかどうなのか、あるいは大蔵省が各民間金融機関にそれを伝えたのかどうか、一向にはっきりしません。これをはっきりさせないと、まずはこの三千億の増資等に対する民間金融機関及び日本銀行の動向がわからない。  つまり、宮澤大蔵大臣も予算委員会の中で、日債銀がもう債務超過であって、そのことを知りながら大蔵省があっちこっち助けてやってくれと言ったのはいわば詐欺ではないかと、そういうふうには思わないということを宮澤大蔵大臣も答弁をなさっておるわけですが、私はこれは詐欺的行為だと思っているんですね、限りなく詐欺に近い。  もし、一兆一千二百十二億という第三分類債権を認知しながらあるいは予測しながら、七千億しかないから債務超過じゃないということを日債銀の口をかりて言わせたとしても、それはお金を出す方を誤信させるに足る十分な状況を四月一日以降つくっている。これは、刑法上の詐欺が成立しないとしても、民法上の詐欺は完全に成立すると私は思いますね。このことは非常に重大な問題で、現に日本興業銀行は株主から代表訴訟を受ける事態になっております。  ここははっきりと究明をしなければいけない問題である、証人をあるいは資料を提出していただいてはっきりしなければいけない問題であると、まず指摘をいたしておきます。  それから二番目、次の問題でございます。預金保険機構、いらっしゃっておりますね。  この昨年の三月の資本注入に当たって、日債銀関連で、どうも第三分類が一兆一千二百十二億ある、九七年の三月三十一日決算を見るとそのぐらいあるという結果は、九七年の九月十一日にもう既に大蔵省から日債銀に示達されているんですね。その数字が、いわゆる佐々波委員会が審査をするについて、出てきておりましたでしょうか、あるいは出てきておりませんでしょうか。
  115. 松田隆利

    松田参考人 お答えいたします。  昨年三月の審査委員会の席上では、いわゆる問題の三分類が一兆を超えているという数字は、具体的に出たことはありませんでした。
  116. 仙谷由人

    仙谷委員 松田理事長理事長もいわゆる佐々波委員会の審査に携わっていらっしゃったわけでございます。  そこで、この要旨というのを見れば、この要旨の三十九ページでありますが、申請機関の中に債務超過の銀行や早期是正措置の第三区分または第二区分の銀行があるかどうかについて、大蔵大臣、日本銀行総裁の現在の認識を伺いたい。その答えとして、現時点において、債務超過の銀行や早期是正措置の第三区分または第二区分の銀行はないと認識している、こういう答えが載っています。  しかし、仮に第三分類が一兆一千二百十二億円あった場合には、これは確実に、引き当て額を引き当てると、五〇%でも引き当てると、そのように、つまり債務超過になるんじゃないですか。  私どもの計算だと、九七年三月期は四千六百二十一億円債務超過、九八年の三月期は六百億円。つまり、九八年の三月に注入した分を含めても、それを含めて計算をしてもマイナス一千五百四十四億円の債務超過になっている、こういう計算になりますよ。  どうして第二区分の、早期是正措置の第三区分または第二区分の銀行、第二区分の銀行というのは、国際統一基準の場合には四%以下ですよ。国内基準でいっても二%以下ですよ。そこに該当する銀行もない。私は、日債銀の大蔵省検査、九月十一日に示達された大蔵省検査の結果がこの佐々波委員会に出てきておれば、そして専門委員もおったわけですから、数字を読めば、これは債務超過になるか、あるいは少なくとも第二区分に該当する銀行ということになるんじゃないですか。  つまり、こういう審議をしたということが要旨で出ておりますけれども、だれがどのようなことを言って、大蔵大臣と日本銀行がどう答えたのかということがさっぱりわからない。今明らかにできることはございますか。
  117. 松田隆利

    松田参考人 お答えいたします。  先生御指摘のその議事の要旨は、議事録の公開が二〇〇一年三月までを基本としておりますものですから、それにかわる議事の要旨ということで、できるだけ広範に書いたものでございます。  もう一点の、まず債務超過になるかどうかという議論は、私どもその数値を知りませんし、それで計算したこともありませんので、定かでございません。  それから、大蔵大臣と日銀総裁とその他の委員が具体的にどこでどういうぐあいに発言をしたか、要旨の中身は大体その議事の要旨に書いてございますが、それは議事録の内容そのものに深くかかわることでございますので、この場では御勘弁いただきたい、御理解いただきたいと思います。
  118. 仙谷由人

    仙谷委員 これは、国民のお金が六百億円投入をされて、たった八カ月でゼロになったというケースですよね、六百億円の話は。そして、その前年の分は日本銀行のお金が八百億円、これも消えてしまったという話です。民間金融機関の約二千百億円、これも、もし国家賠償請求をされた場合には、勝訴になるのか敗訴になるのか甚だ微妙なところにあると思いますね。もっと言えば、ひょっとすればというよりも相当の確率で、国が資料を全部出した瞬間に、敗訴の確率、高くなるのじゃないでしょうか。ということは、国民の負担でございます。  ところが、国民の負担になるであろう、なりつつある、なってしまったこの巨額なお金が、その投入や注入が決められるときに、だれがどう責任を持って、どのように判断をしたのか、その判断の前提たる資料を、せっかく前年の九月に検査結果が示達されながら、そのことがどうなっておったのかわからない。こんないいかげんな話では、そしてそのまま放置することでは、この予算委員会の使命は果たせないと私は思うんですね。これは、私どもが証人喚問をしておりますし、資料を取り寄せていただきたい。  委員長、先ほど、金融危機管理委員会議事録、二〇〇一年三月まで封印すると、そんなことは自分たちで勝手に決めてもだめですよ。(発言する者あり)法律と関係ありませんよ、そんなもの。これはぜひ予算委員会で与野党一致のもとに議事録を取り寄せる。なぜこんな不始末が起こったのか、なぜこんなに国民に説明のつかないことが起こっているのか、国民に説明をどうしてしないのか、この疑問に答えるためにも、まず議事録を取り寄せる。そうして、なぜ大蔵省の示達の一兆一千二百十二億円の第三分類の検査結果が佐々波委員会の審査に反映しなかったのか、これを解明しなければいけないと思うんですね。ぜひそのことを強くお願いをして、岡田委員に交代をいたします。
  119. 中山正暉

    中山委員長 理事会で協議をさせていただきます。  この際、岡田克也君から関連質疑の申し出があります。仙谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也君。
  120. 岡田克也

    ○岡田委員 民主党の岡田克也です。  きょうは、こういう場でありますので、ぜひ総理を中心に各大臣の方から御答弁をいただきたい、政府委員の御答弁は控えていただきたい、そういうふうにまずお願いをしておきます。  まず、つい最近、アメリカの政府アメリカ大統領経済報告というものが出されました。その中に、日本経済不況についてのくだりがございます。これはアメリカ政府としての公式見解ということで出ているわけでありますが、それを読みますと、一九九六年、日本経済はついに回復するかに見えた、しかし、一九九七年四月の消費税大幅増税により不況に陥った、日本経済の弱さはアジア危機の原因となった、そういう要旨、そういう中身のことが書いてございます。  なぜ今我々はこれだけの不況に苦しんでいるのか。それは、この予算委員会でもここ数年来いろいろ議論をしてきたところでありますが、我々は、それは消費税の増税、特別減税の打ち切り、あるいは医療費の大幅な負担増、合計九兆円の負担増が引き金になって、少し回復基調の見えた景気を大きく冷やしてしまった、こういうふうに主張しております。政府の方は、むしろそうではなくて、アジアの不況というものが足を引っ張って、それに金融不安が加わって現在の不況になった、こういうふうに言っているわけであります。  しかし今回、なかなか日本政府の白書その他では、はばかられるせいか、余り書かないわけですけれども、日本の民間のレポートと同じように、アメリカ政府も、やはり原因は消費税の増税だ、あるいはその他の負担増も含めた負担増が不況を招いた、こういうふうに言っているわけですが、総理はこういった見解が出てきたことについてどのようにお感じでしょうか。
  121. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 アメリカ政府経済レポートにつきまして、私、詳細にすべて理解をしておりませんので、お答えをすることは難しいかと思いますが、今委員の御指摘で言えば、日本の九六年の経済の成長に伴いまして、以降の財政構造改革に伴う予算、あるいはまた消費税の増徴その他の原因によって、先ほどのお話によりますと、アジア経済が失速した、こういうふうに決めつけておられるようでございますけれども、もし日本の政策そのものがすべてアジア経済、特に金融・通貨不安をもたらしたという見解であるとすれば、必ずしも私はそのように考えておらない、こう思います。
  122. 岡田克也

    ○岡田委員 私はそういうことは別に言っておりません。  ただ、今の日本現下のこの不況の最大の原因が九兆円の負担増にある、そのことについてどう思うかというふうにお聞きしているわけです。
  123. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 日本経済に影響を与えておることを否定はいたしませんけれども、減税につきましても、その前数カ年にわたりまして、お約束によりまして先に減税を実施したという経過もありまして、その減税に対する補てんとしての増徴ということは、これは国会でいろいろ御相談の上で、そういった方策をとったということでございまして、しからば、そのことが全く日本経済に影響を与えなかったかと言われれば、それは影響はあったかと思いますが、それをもって日本経済のマイナス成長に陥った原因のすべてとすることはあり得ない、こう考えています。
  124. 岡田克也

    ○岡田委員 私は別にすべてというふうには言っておりませんが、主たる原因は何かという議論をしているわけでございます。  先ほど堺屋長官は、橋本政権の経済政策が失敗であった、失政であった、こういうふうに言われたわけであります。総理と企画庁長官で少し見解が違うようですが、企画庁長官、いかがでしょうか。
  125. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 岡田委員指摘のアメリカの文書というのは、「ジャパンズ・エコノミック・アンド・ファイナンシャル・クライシス」という、二月四日にアメリカのCEAの年次報告に出ている文書だろうと思うんでございますが、そこには、九六年に日本経済は立ち直るかに見えた、ところが、増税をしたこと等もあって失速してしまった、そのことがアジア経済にも悪影響を与えた。まあアジアの問題がすべて日本とは書いておりませんが、悪影響を与えたというふうに書いてあります。私もそれは確かに間違いではないと思います。  しかし、日本が今の不況に陥ったのは、必ずしも増税ばかりではなくして、やはりバブル以来のいろいろな蓄積が放置されていたことも大きな原因だと思っております。私はやはり、岡田委員指摘のように、九七年の増税、負担増が原因の一つではあったということは、はっきり認めたいと思います。
  126. 岡田克也

    ○岡田委員 総理はいかがでしょうか。
  127. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ワン・オブ・ゼムという言葉を使えばその原因の一つであったかと思いますが、こうした問題は、一つということで限られないで、すべて総合的にあらゆる問題が起こってきた。今堺屋長官の言われましたように、もともと、たどれば、九〇年当初のあの日本経済の大きなバブルに対して、これをずっと処理することになおざりであったそれぞれの内閣におきましての処置もその原因を来しておるんではないか、こう考えます。
  128. 岡田克也

    ○岡田委員 堺屋長官に比べると大分慎重な言い回しになるわけでありますが、それはいわば当然のことですね。つまり、橋本政権も自民党政権であり、小渕政権も、自自とはいっても自民党政権でありますから、同じ政党の政権ですから、橋本政権のときに失敗したけれども今度はいいんだなんという、そういう理屈は本来通用しないわけですね。同じ責任を持つ同じ政党が単にトップがかわっただけでありますから、やはり前政権の失敗というものについての責任は、後の同じ政党の政権も負うのは当然であります。  しかも、総理はその橋本政権の重要閣僚、外務大臣をやっておられた。したがって、閣議の一致で物事を決めていくわけでありますから、橋本政権の九兆円の増税というものが、負担増というものが景気後退の大きな原因であるとすれば、それは総理にも大きな責任がある、そのことを私はまず指摘を申し上げておきたいと思います。  堺屋長官のお話を聞いておりますと、何か、違う党の政権があれは失敗したんですと。堺屋長官のお立場では、そのときには閣僚でもありませんでしたし、政治家でもありませんでしたのでそれでいいんですけれども、しかし私は、やはり小渕総理の前政権時代の閣僚としての非常に重い責任がある、そのことをまず御指摘を申し上げておきたいと思います。  そこで、来年度経済見通し、先ほども仙谷委員の中でいろいろ話が出てまいりましたが、私は非常に憂慮をしております。特に、個人消費がどうなるかということが非常に大きな要素であると思います。全体のGDP、名目五百兆の中で個人消費は三百兆であります。非常に大きいわけですね。最近政府の家計調査の十二月の数字が出てまいりました。実収入は対前年同期比で二・八%の減。特に、臨時収入といいますか、ボーナスにつきましては四・四%の減でありますので、そのことが一—三月の消費にどのように響いてくるかということが大変気になるところでございます。  そこで、私は総理にお聞きしたいわけですけれども、一月の月給をもらった人、もう既に一月の月給は出ておりますけれども、少し驚いたんじゃないかと思うんですね。つまり、減税がない。一月の減税というのは一月の給与に反映されない。これはこの前もお話をいたしましたが、六月のときにまとめて一—三月の減税の分については引き落としがされる、こういうことになっております。  しかし、私は、やはり一月、二月、三月が非常に大事である。特に、三月の決算を控えて、一—三月の景気の動向が非常に重要であるというのであれば、なぜ一月からきちんと減税がされるような手を打たなかったのか。これは重大な失政だ、こういうふうに私は思うわけですが、その点について責任はお感じになっておられるでしょうか。
  129. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは私が責任者でいたしましたことなので、小渕内閣が発足いたしましたときに、昨年の八月に、所得税の減税につきましてはあらかたの考え方は決めておったわけでございます。そのときには、平成十年分の所得についての定額の減税が進行いたしておりました。そこで、八月に決めましたのは、当然のことながら、平成十一年分の所得に関する減税であったわけであります。  岡田委員の御指摘は、なぜそれを早く国会に提出して成立させなかったかということでございました。いつかも申し上げましたが、税額表、源泉徴収のテーブルでございますが、法律が確定いたしましてから、税額表をつくるのに一月、それに関係者が習熟するのに二月かかるというやむを得ない制約がありまして、一月の分を一月の源泉徴収にしますためには、十月に法律が成立していないといけない。小渕内閣が八月に発足をしまして、十月にこの税法を成立させるということは事実上無理なことであった。  現実には、実は、所得減税を国税と地方税にどう分けるかということにつきまして、地方税との関係で非常に長い折衝を必要といたしましたものですから、それだけでも十月に法律を成立させるということは無理であったのでございますが、まことに残念ですけれども、源泉徴収という技術的な事情が非常に大きくかぶりまして、そこで一月の源泉徴収、二月の源泉徴収、三月の源泉徴収からはこれができませんで、当初十二月と考えておりましたが、御批判がありまして、今度は二〇%ぽんと切ればいいわけでございますから、二割、おおむねのところはそれで間違いませんので、六月に引かせてもらおうということになりました。  私どもも、一、二、三という大事なときにお金が戻ってこないといいますか、銀行に残るというか、しませんのは残念に思いましたが、そのような事情でございました。
  130. 岡田克也

    ○岡田委員 そのお話はこの前もお聞きしたわけでありますが、私は、二カ月ぐらいかかるということは承知をしておりますが、ではどうして十月に税法だけ臨時国会に出して、野党にも協力をお求めにならなかったのか。  今、国税と地方税の負担の問題がある、こういうふうにおっしゃいました。それは役所でいえば大蔵省と自治省の話し合いということになるわけでありますが、それは実務的にいろいろやっていれば、お互いお金の取り分、予算のとり合いになりますから、もめるのは当然でありますけれども、両大臣同士がお話し合いになってどこかでえいやっと決める話ですから、そういうことがどうして早くできなかったのか。それさえきちんとやっておれば、私は一月から実際に減税ができた、こういうふうに思いますし、そしてそれは、やはり小渕総理がどこまで一月から減税をしなきゃいかぬということを真剣にとらえたかという問題だと思うのです。大蔵大臣と自治大臣がもめていれば、早く決着しようと、そのことが一番大事なことだと、どうしてそういうふうに総理は指示を出さなかったのでしょうか。
  131. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それではもう少し続けさせていただきますけれども、自治省と国との関係は自治大臣と私がその後何度かお話しして決まったのですが、そのためには自治大臣自身が地方財政財政需要を知っておられなければならなくて、八月の時点で地方財政財政需要は実際わかりません。ですから、自治大臣と私の折衝は随分遅くなって、十一月でございますか、行われたのでございまして、八月に財政需要がわかるというのはやはり無理でございました。  それからもう一つ、強いて申しますと、所得税の減税をしますためには、法人税の小法人についての課税と法人成りの関係があって非常に密接にいきますので、所得税だけ出すということがまた難しかった。いろいろなことが絡まっておりますので、これ以上申し上げませんけれども、所得税のその分だけぽんと早く出すべきであったとおっしゃることは、実際問題としては難しかったように思います。
  132. 岡田克也

    ○岡田委員 積み上げで言うと、今大蔵大臣御説明いただいたようなことになると思うのですが、そこは、どこまで蛮勇を振るってえいっと、こういうふうに決めるかの政治のリーダーシップの問題である、私はそういうふうに思っております。  いずれにいたしましても、この一—三月、非常に重要でありますから、減税がおくれたことによって消費が非常に滞るということになれば、私は、そのことの政治責任ははっきりとっていただかなきゃいけない、そういうふうに申し上げておきたいと思います。  さて、先ほど言いましたように、今個人消費が非常に重要だという中で、政府経済見通しでは雇用所得が〇・五%上がる、こういうふうに見ておられますが、私はそこは若干首をかしげております。しかし、いずれにしろ、消費がアップしていくためには消費マインド、数字でいえば消費性向がどのように上がっていくかということが非常に大事だと思います。  企画庁長官は最近、所得が比較的低い層の消費性向が落ちているということをこの場で何回もおっしゃっておられますが、例えば九〇年から九八年で見ますと、もちろん所得が低い第一段階、第二段階の層も、第一段階ですと、九〇年の消費性向は八三が九八年には七九と四ポイント落ちております。第二段階は七七が七二と五ポイント落ちている。しかし、平均で見ましても七五が七一で四ポイント落ちているわけですから、全体的にここ九〇年から九八年の間で四ポイントから五ポイントも落ちている、こういうことでございます。  逆に言いますと、これが、九〇年段階まで戻すと、四ポイントか五ポイント上がれば、非常に雑な話をするかもしれませんが、GDPに占める名目の消費が三百兆でありますから、それが五ポイント上がるということは十五兆、GDP五百兆の中の十五ということですから、それだけで三%成長ができてしまう、こういう話になるわけですね。  そういった消費マインドを好転させるために決め手になるものは一体何なのか。企画庁長官で結構ですから、御説明をいただきたいと思います。
  133. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 岡田委員指摘のように、家計調査で見ます限り消費性向はどんどん下がっておりまして、八〇年に比べますと特に低所得者で下落しておりますし、また高齢者でも下落しているという数字が出ております。  これはいろいろな原因があるんだろうと思います。少子化の問題もございますでしょうし、いろいろな原因があるんだろうと思いますが、一つはやはり将来不安ということも関係しているだろうと思います。  幸いにして、十二月調査で見ますと、九月調査に比べて消費者の意欲が少し上昇してきております。これは、やはり経済対策の問題もございますでしょうし、あるいは消費マインドが出てきたということだろうと思います。消費者態度指数というのを見ますと、最悪の時期が去年の九月でございまして、少し上昇してきているような気配もございます。  大事なことは、一つはやはりお金を使うことの楽しさといいますか、生活の楽しさをつくり出さなきゃいけない。これが大変冷え込んで、おもしろくないというのが一つあるだろうと思います。  もう一つ、やはり将来不安でございますが、先ほどの財政の話にもございましたけれども、あえて申し上げますと、あれは、名目成長率と金利、そして税収の弾性値を固定しますと、算術的にあんな結果になるのでございます。ところが、アメリカの結果、諸外国日本でも、過去の例を見ますと必ずこの三つの関数が変わることによって財政の改善も見られております。  したがって、今私たちに大事なことは、現在の悪い状態を前提としてすべてを計算していく、それを固定化するのではなくして、やはり将来、経済が生き物として発展するような、そういった新しいプロジェクトなり新しい企業家精神なりをつくり出していく構造転換が必要だろうと考えております。ようやくそういう芽が出てきたのかなと、この消費者態度指数の動きなどから、私ども、少し淡い期待を持っているような状況でございます。
  134. 岡田克也

    ○岡田委員 文字どおり淡い期待だろうというふうに思いますが、私は、やはり政治に対する信頼感というものが非常に失われているということが一つの大きな原因だというふうに思っております。これは、具体的に言うと私は二つあると思うんです。  一つは、今年度予算を見たときに、もちろんこういう経済状況ですから、減税をしたり公共投資をふやしたり、そういうことは私も否定をいたしませんけれども、しかし、その陰に隠れて、何でもありの財政になっているんじゃないか。本来やっちゃいけないことまでどんどんその中でやってしまっているんではないか。そのことを見て、果たして政治がきちんとこの国の将来を見据えて本当にちゃんとやってくれているのか、そういう不安が国民の中に出てきている。これが第一点であります。具体的に後で申し上げます。  第二は、やはり構造改革への姿勢だと思います。幾ら景気が悪いからといって、将来を見据えた構造改革をきちんとやっていくという、そういう姿勢がなかったら、先ほどの仙谷委員の話ではありませんけれども、一体この国の将来はどうなってしまうんだろうか、こういうことで、一層不安感が募るわけであります。私は、その二点が今年度予算を見ていて大変疑問を感じるところでございます。  具体的に申し上げたいと思いますが、まず、大蔵大臣にお聞きをいたしますが、整備新幹線につきましては、橋本内閣のもとで、既に着工している三線五区間について、これに絞って予算をつけていこう、こういう方針がございました。しかし、平成十年十月の財政構造改革法の凍結を受けまして、新規着工の、つまり新しい三区間についても事業費の抑制方針を解除して、これも並行して進めていこう、こういうふうになったというふうに聞いております。そして、自民党、自由党との話し合いの中でもその方針が確認をされた、こう聞いております。  なぜ、そういった従来の既着工三線五区間に限定をしてまずやっていこうという考え方を放棄して、新しい三路線三区間についても並行してやっていくというふうにお決めになったのか、大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  135. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 平成八年末に政府・与党等関係者で基本的枠組みを決めまして、それから、既着工区間の優先整備方針や新規着工三区間の間の優先順位等を維持しつつ、所要の事業費を措置云々ということであったわけであります。  そこで、今回やりましたことは、昨年十一月の申し合わせで、新規の着工区間、平成九年三月に着工した三区間でありますが、この事業費の抑制方針を見直したというもので、未着工区間の着工に関するものではない、着工を決めた中での事業費の抑制を一遍やっておりましたが、それを見直したということでございます。
  136. 岡田克也

    ○岡田委員 見直した結果、新しいその三区間ですね、対象となった三区間で、合計すると、現時点でも一兆二千四百億円の工事費がかかる、こういうことですね。  従来の橋本政権のもとで、財政構造改革のもとで、まず既に着工しているものに集中してやろう、それのめどがついたところで新しい話は考えていこう、こういう考え方だったと思うわけですけれども、それを一挙に三つのものについても見直して並行的に進めていこうというのは、私は財政規律を完全に失っていると思うんです。それだけたくさんのものに手をつけたら、いざ今度景気が上昇基調に乗って公共事業費を締めようというときに、締めようがないじゃないですか。どうしてそういうことを大蔵大臣として了解されたんでしょうか。
  137. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは、岡田委員も御所見をお持ちでしょうし、議員各位いろいろなお考えをお持ちでいらっしゃるんですが、私自身は、新幹線というものを、できるだけのことはして少しでも余計つくってやりたいという気持ちを持っております。こんなことを言っていいかどうかはわかりませんですが、正直を申しまして、やはりこれの国民的な期待というのは大きいし、その及ぼす経済的な効果もあるんでございますから、ただ、営業としてなかなか黒字にならないというのは泣きどころでございますけれども、できるならば、やはり国民のそういう希望というのは少しずつでも実現していくのが本当じゃないかという気持ちを、本来、御批判があるかもしれませんが、持っておりまして、今度の場合、多少積極的に国の経済を地方にも担ってもらいたいということがございますものですから、できる範囲でこういうふうにいたした。  本来、何十年もかかるものを一遍にあちこちやるんなら、これは商売じゃとてもつぶれてしまいますが、国でございますから、そういうことはある程度やはり国民の気持ちというものを酌んでいくのかなという思いがあるわけです。
  138. 岡田克也

    ○岡田委員 私も、整備新幹線が全部だめだと言っているわけではございません。しかし、従来の考え方、まず既着工のものをある程度めどをつけて、その上で次の延長を考えていこう、こういう考え方だったんですね。しかし、新規三区間も一緒にやるということは、虫食いになっちゃうわけですよ。そうすると、全体として使いようがない。そういう状態が長く続けば続くほど、結局、いざ財政を締めようというときに締まらなくなっちゃう、そういうことであります。  私、今の大蔵大臣の御答弁を聞いて大変失望をいたしました。これ以上申し上げませんが、そういうことをしているから、私は、国の財政規律に対する国民の信頼が失われていくんだ、そういうふうに申し上げておきたいと思います。  もう一つ申し上げます。  午前中の自見委員の中で少し触れられたわけでありますが、高齢者の薬代について一部負担というのが導入されました。それを今回、ことしの七月から一部負担を停止する、こういうお話でございます。  これは確かに、我々もこういう場でこの問題を取り上げるのはつらいところがあります。高齢者の方は、今まで薬代がかかったのがただになるんだからいいじゃないか、こういう御意見は当然出るわけでありますけれども、しかし、いろいろな経緯を考えたときに、これは二年前に改革をして、サラリーマンの自己負担を、一割を二割に上げた、そして、薬代の負担もここに入れた。そのときに、高齢者の方についても若干の改革をして、こういう自己負担を多少は入れていかないとどんどんむだな薬が出されてしまう。そのことについて、ただだから、受け取る側、高齢者の側もさしたる問題意識もなくてそれを受け取ってしまう。そういう中で大きなむだが出てくるから、それは自己負担というものも入れてそういうむだをなくしていこう、そういう考え方が、私は当時厚生委員会の野党の筆頭理事をさせていただいておりましたが、小泉厚生大臣と議論する中でそういう話がございました。  なぜこれを今回やめることにしたのか。これは決して少ない予算ではございません。ことしの予算だけで千二百七十億円、これに働く世代の負担でありますとか地方の負担を加えますと、二千二百四十億円。これは七月からの話ですから、通年で見れば三千億円ぐらいの負担になっているわけですね。  厚生大臣、なぜこの制度を、今回こういった高齢者の方の薬代の一時停止という措置をとられたのか。それは厚生大臣の意向に沿ったものなのかどうかということも含めて、お聞かせをいただきたいと思います。
  139. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 一昨年の九月からの健康保険法の改正等によって、薬剤費につきまして定額負担をお願いいたしました。これは、薬剤についてのコスト意識等を高めるためにも必要であるという認識のもとに導入したものでございます。  その後の医療費の推移を見ますと、一部非常に低減をいたしましたが、その後最近においては復活しておりますが、私どもは、予算編成過程の中で、厳しい経済事情等もございますし、それから高齢者の医療機関に通う頻度等もございますし、そういったことを総合的に勘案いたしまして、与党自民党との話し合いも持ちまして、総合的に判断をして決定いたしました。  七月から、今のお説のように七十歳以上の高齢者及び六十五歳以上の身体障害者の方には国がかわってその分を負担する、そして、今御指摘のように保険者とか地方団体その他の負担が随伴的に行われますが、これもすべて国の経費で見ようということでございますから、大体委員のおっしゃられたような数字になると存じます。  しかしながら、これは私どもが抜本改革を否定したものではなくて、抜本改革は平成十二年度からこれを実施したいということで、目下、診療報酬のあり方、薬価のあり方、あるいは老人保健制度のあり方、医療提供体制等について非常に精力的に検討いたしておりまして、抜本改革までのつなぎの措置として位置づけられる、暫定的な措置であるということで、総合判断をして決定したものでございます。
  140. 岡田克也

    ○岡田委員 抜本改革の話は、きょうはいたしませんが、あれも本来は去年の国会に出てくるというのが最初のお約束だったのですよ。それが一年延びて、この国会へもどうも大したものが出てきそうもない。本当に平成十二年度にちゃんとできるのか、そういう疑問の声が非常に大きいということを一言申し上げておきます。  そこで、厚生大臣にお聞きしますが、厚生大臣あてに医療保険福祉審議会の運営部会長の塩野谷さんから、こういう意見というのが出ておりますね。それは、この今の特例措置についての意見なんですが、特例措置といったような問題は、本来当審議会などの場で関係者が十分に議論を積み重ねた上で決定されるべきものであるのに、その民主的ルールを無視し、高齢者医療や薬価制度の問題がまさに審議されている中でこの措置がとられたことは、極めて遺憾である、今後、かかるルール無視、審議会軽視の措置を重ねて行うことのないよう申し入れる、厚生大臣殿、こういうことになっております。この申し入れについて、どういうふうにお考えですか。
  141. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 いろいろの医療改革につきまして、保険福祉審議会等で御審議をいただいておる委員の方から、私ども年末の予算編成期に決定いたしましたので、特に相談も申し上げていないという点からすれば、その意見書の意味するところは私もよく理解できます。  しかしながら、この問題は、法律的にあるいは法制的に改革をするとか、制度自体を改革してしまうというようなことでありますれば、通常、審議会にも諮問し、その意見を承るわけでございますが、今回の措置は、従来の枠組みを変えることなく、高齢者の自己負担分を国がかわってこれを支給するということを事実上やるだけでございまして、法改正その他、制度の抜本的な改革とは関係ございませんから、私どもはあえて審議会に諮問をしませんでした。  それと同時に、これから審議会の問題は、やはり審議会絶対至上主義ではなくて、あくまで政府がそれは決定すべき事柄でございますから、注意は注意として私ども受けとめますけれども、今後も、そうした政府限りで可能な事態であれば、これは、その趣旨は生かしながらも検討して決定していくということはあり得るのではないかと思います。
  142. 岡田克也

    ○岡田委員 今の、大臣はいろいろるる御説明されましたが、私は、大臣も本来この制度に対してかなり疑問をお持ちだったと思います。しかし、それをノーと言うだけの、そういう立場になかった、そういうふうに思うわけであります。  総理にお聞きしますけれども、平成十年八月二十七日に、日本医師会長と自民党の政務調査会長、そして自民党の幹事長の間でも覚書というものがある。その中に、「薬剤費の一部負担については、早期に再検討する」、こういうふうに書いてあります。この覚書に基づいて、日本医師会と自民党との話し合いの中で、こういった制度改革が唐突に行われた、こういうことだと私は理解しておりますが、いかがでしょうか。総理にお聞きしております。
  143. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 事実関係がございますので私の方から申し上げさせていただきますが、これは突如として起こった話ではございませんで、医療関係団体、つまり、今医師会というお話が出ましたが、そういった方々との間で薬剤費の負担のあり方につきましていろいろ御議論があったということで、党におきましてもやはりこれは大きな課題でございますから、それを検討するということをお約束なすったものだと存じます。しかし、最終的には、これは私ども政府側の、予算を計上してあるわけでございますから、私どもの責任においてそれを総合的に判断して決定したということだけ申し上げさせていただきます。
  144. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 予算の編成につきましては、政府が責任を持って、これを最終的決定をして御提出をいたしておるわけでございます。  しかし、過去もそうでありますが、予算編成に当たりましては、各界各層の御意見も拝聴しながら、与党として、そのお考えもお聞きしながら取りまとめてこられたということは過去の例としては存在するわけでございまして、本件がそれに当たるかどうか十分承知をいたしませんけれども、しかし究極は、お年寄りの皆さんが、医療費につきまして、現下経済情勢にかんがみまして、その負担を軽減したいという政治的な考え方によりまして、党としてもそういう考え方を納得した上で、与党として最終決定をさせていただいたわけでございますし、政府としては、その方針にのっとって、先ほど厚生大臣がお話ししたような趣旨に基づいて予算に計上させていただいた、こういうことでございます。
  145. 岡田克也

    ○岡田委員 この制度の変更というのは概算要求に入っていないわけですね。突然出てきた話であります。  今総理は、お年寄りの負担軽減だというふうに言われました。確かにそういう面があるかもしれない。しかし、従来の薬の負担についても、所得の低い方に対する配慮はしてあるのです。今回のこの負担の免除は、所得の多寡にかかわらず負担を免除するのですね。本当に困っているお年寄りを救うというのであれば、なぜ所得の高い人までこれを免除してしまうのですか。全然説明できないじゃないですか。いかがですか。
  146. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 あるいは技術的にはそういうことを考えるべきであったのかもわかりませんが、私どもとしては、やはりそこを、資力調査によって一々その薬剤費の負担を医療機関のもとで判定するというのは、なかなか難しいことでございます。  したがって、これは、先ほど申しましたように、あくまで暫定的な、特例的な措置として、抜本改革までのつなぎの問題として意識をいたしております。  なお、つけ加えさせていただくならば、ああいう定額負担で本当にいいのかどうかという問題も意識しつつ、抜本改革においては、あるいは薬剤の問題は少し検討し直して、定額でない方がいいのかなという意見もかなり強うございますし、私も現にそんな感じもいたしておりますから、そのような措置をとらせていただきました。
  147. 岡田克也

    ○岡田委員 最後のお話は、我々もこの負担増を決めたときに、きちんと抜本改革とあわせて一割なら一割という形で負担をすべきである、そういうふうに、当時は新進党でありましたが、申し上げたところでございます。  しかし私は、今のいろいろな議論を通じて、何といいますか、やはりこの国の政治はどういう仕組みで動いているのかということに対して国民の皆さんがいろいろな意味で疑問を持っている、その一つのあらわれが先ほどの整備新幹線であり、このお年寄りの薬の一部負担の免除措置だと思うのです。  そういうことについて、今まで財政構造改革ということでわきを締めて、むだなことはやらない、将来の世代のためにそういう考え方でやってきた。しかし、景気が悪くなって、そこの部分について景気対策としてやらなければいけない。それはわかりますけれども、そのときに、従来わきを締めてきたものを甘くして、何でもありになってしまっているんじゃないか、そのことが非常に、政府に対する、政治に対する不信感を招いているんじゃないか、そのように私は申し上げておきたいと思います。後はテレビをごらんになった国民の皆さんがどういうふうに判断するかの問題だと思います。  さて、では構造改革について申し上げたいと思いますが、私ども民主党は子供手当ということを主張しております。これは、この場でも公明党の冬柴委員の方からもお話がありました。たまたま非常によく似た制度を民主党と公明党が主張しているわけでありますが、二党が同じような主張になったというのも、それだけの合理性があるんだ、その結果だというふうに私は思うわけでございます。  現在の児童手当というのは、三歳未満で第一子、第二子が五千円、第三子からが一万円。それを私どもは、例えば十八歳あるいはそれ以上まで延ばして、第一子、第二子は一万円、第三子は二万円にする、その財源として、現在の扶養控除について、子供にかかわる部分について廃止をする、こういうことを申し上げているわけでございます。  私は、やはり基本的な考え方として、子供を育てていくということが、これはプライベートな問題なのか、それとも社会性を持った問題なのかという、そこの議論だと思うのですね。大蔵大臣は、この前の予算委員会の議論の中で、それは各国によっていろいろであります、扶養控除を採用しているところもあれば手当を採用している国もある。ヨーロッパは、フランスとかイギリスなどは手当ですね、アメリカは控除、これは税額控除なんですね。  いずれにいたしましても、私は、子供を育てていくということは、もちろんこれは非常にプライベートなことですけれども、しかし同時に、社会的な意味が非常にある。特に、現在の少子高齢化、少子化社会の進行の中で、社会全体としても、子供をふやし、育てていくということは国として応援していかなきゃいけないことだ、そういう面があると思うのですね。  そういうことを考えれば、やはりこれは所得税をまけるとかそういう話ではなくて、国として責任を持って手当として出していくということじゃないかと思いますが、大蔵大臣の御見解を聞きたいと思います。
  148. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いつぞやもこのお話ございましたが、私自身、これはやはりなかなかいろいろな問題があって難しい問題だなというふうに大変正直に思っておるわけです。  それは、各国に違ったやり方があるように、両方にメリットもデメリットもあるのだと思いますが、例えば、今、岡田委員のお考えを伺っていますと、税の方の扶養控除、これを全部やめるのか、一部こっちへ、控除の方の財源を今の児童手当の方に回すという考えがあるじゃないか、公明党もそのような御主張でございますが、税の方で申しますと、やはり納税者にいろいろ家族構成がございます。家族構成によって担税力も違いますし、また、正直言って、子供さんが多ければそれだけ費用もかかるということもございますから、税の方で、税の応能負担と申しますか、公正負担ということからいいますと、扶養者の控除をするということはやはり税にとっては大事なことだという主張がございますでしょう、恐らく。児童手当がいけないというのではなくて、税としての一種の論理がきっとある。そこをどうするのかということがございますし、それから、児童手当ということにいたしまして、それを歳出で賄っていくことが、今度はそれ自身にまたいろいろな問題が、これは詳しく申し上げませんが、あるのだろうと思います。  それから、恐らく御家庭の中には、子供にそういう手当をもらうよりは、むしろ歳出で、そのための施設でございますね、児童のための、あるいは幼児のための施設を国の政策として充実し、あるいは地方の施策として充実してもらった方が金銭としてもらうよりはむしろ好ましいと考えていらっしゃる方、あるいは考える考え方もあるでございましょうし、どうもその辺のところが、私もいろいろまだ考え足りないところがございます。  今、岡田委員のおっしゃいますことを私は反対でございますという気持ちで申し上げているのではなくて、いろいろ考える問題がある。そうして、児童の方に何かするとすれば、それは金で上げるのがいいのか。どうも既婚の女性方は金がないからとおっしゃっているのではないので、結婚をされないことによって児童の数がふえないということの方がどうも大きい要因のように思われますから、そうすると、金の問題なのか、あるいは、むしろそれだったらいろいろな施設を充実した方がいいのかというような問題もきっとその世界にはあるんだろうと。  結論で申しまして、なかなかどちらともわかりにくい問題で、いろいろ御議論が成熟していくのを、やはりそれにまつということが入り用なのかなと。少なくとも扶養控除の方を財源の関係からこっちへ持っていくということ自身には、なかなか税の方にも問題がありそうに思うわけでございます。
  149. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、施設整備をするというのは別の次元の問題で、それは当然やっていかなきゃいけないことだと思います。しかし、その施設をつくっても、それを利用するにはまたお金がかかりますね。そのときに、控除制度でやった場合と手当でやった場合で、どちらが公平か、そういう議論だと思います。  例えば、私どもの案と政府の案を比較して、例えば所得が二百万の方ですと、これは所得税を払っておられませんから、政府の控除制度では、三歳まではともかくとして、四歳以上は国の負担はゼロであります。一銭ももらえない。私どもの案ですと、例えば三人子供がいるケースを考えると四十八万円であります。平均的な七百万ですと、政府の案では十五万に対して、私どもは年間四十八万。例えば、三千万の高所得の方ですと、政府の控除制度ですと五十九万、私どもですと、所得制限がありますからゼロであります。どっちが公平なのかという問題だと思います。私は、やはり私どもの制度の方が公平だ、そういうふうに考えます。  そこのところについて、私どもは以上のような考え方に基づいて、しかも財源についてはそういった扶養控除を廃止するという思い切った提案もしながら御提案申し上げているわけで、これから長く議論していくというふうにはおっしゃらずに、早急に議論をしていただいて、私は今年度予算からそういうものを反映していただきたい、そういうふうに申し上げておきたいと思います。  もう一つは、年金であります。  年金については、もう時間もなくなってまいりましたが、私自身も大変苦い思いがございます。五年前に、細川政権のもとで私どもは与党でありました。五年前の年金改革について、私も責任者の一人として議論をしてまいりました。  かなり思い切った改革をやったつもりでありますが、例えば基礎年金部分について、六十歳を将来二〇一三年から六十五歳にするとか、あるいはボーナスについても一%保険料をいただくとか、いろいろな改革をしたつもりですけれども、しかし結局見通しが甘過ぎて、今回また、それではとてもやっていけないと。もし放置しておけば、若い人の保険料が三〇%をはるかに超えてしまうということになる。  いろいろ議論していくと、なるべくつじつまが合うように数字をつくってしまいますので、そういうふうになりがちなわけでありますが、やはり年金制度を五年ごとに大きく変えていくということ自身が年金制度に対する不信感を招いているわけでありますから、一たん制度を大きく変えたら、そのまま二〇二五年あるいは二〇五〇年までそう制度の枠組みそのものは変えずにやっていける、そういう安心感を与えることが非常に大事なことだと思うわけでございます。  そういう中で、私は、特に今回やらなければいけないのは基礎年金、国民年金の改革だと思います。  政府の案はそこよりはむしろ二階部分にいっているように思いますけれども、やはり私はこの根っこの部分をどうするか。根っこの部分について、既に政府の方も将来二分の一は税でやるということは、何となくでありますが、お決めになって法律にも何らかの形で書かれるということでありますが、私は、これは全額税にするということをもう今決めるべきだ、そして来年からは二分の一少なくとも税を入れるということをやるべきだ、民主党はそういうふうに主張しているわけでございます。  これはいろいろな問題があるわけなんですが、例えば税方式を入れるとどういうメリットがあるか。これは厚生省の資料にもいろいろ書いてございますが、例えば第三号被保険者問題、あるいは学生の問題、障害者の無年金の問題などはすべて解決をする。それから、未納、未加入の問題、これは現在国民年金の支払いといいますか、保険料を負担する二千万人の方のうちの三分の一が何と納めておられないわけですね。そういう問題も税方式にすればなくなる、こういうことでございます。  こういった全額税方式について早急に検討して、来年からということになりますと、これは財源の問題が出てまいりますけれども、例えば五年以内に税方式にするんだということをきちんと出されるということが私は年金について大きな安心感を呼ぶと思うんですが、この点についてお考え、いかがでしょうか。厚生大臣、短くお願いします。
  150. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今議員のおっしゃられた五年の見直しというのは、私どもとしては条件変化がなければ今回見直しする必要はございません。しかし、人口問題研究所の発表によりましても、高齢化がより進んでおるという点がございますので、このまま放置しておきますと保険料が三五%ぐらいになるのではないか、これでは維持できないということで今回改正に踏み切っている点は、御理解いただきたいと思います。  それから、基礎年金、国民年金の全額税方式につきましては、たびたび申し上げておりますように、そういたしますと、社会保険としての特質、メリットが失われていくということのほかに、税で国家が所得保障するということになりますれば、どうしても、今現在国家保障しているのは生活保護者等でございます。したがって、やがて資力制限その他の問題も出てまいりましょうし、全額税でやるということについては、私どもは、大変これは難しい、できないことではないかと思っております。  ただ、二分の一程度であれば、将来的に、中期的に見て検討しなければならないかということは頭に置きながら今回の改正に臨んでおる、こういうことでございます。
  151. 岡田克也

    ○岡田委員 生活保護と同じようになって、例えばミーンズテストとか、そういうものが必要になるというお話をよく聞くのですが、これはそういうふうに考えればそうですけれども、そういうふうに考えなきゃいいのです。別に法律というか、憲法にそんなことが書いてあるわけじゃないですから。  それは、そういう新しい制度、例えば義務教育を考えてください。義務教育というのは、国が義務を負っていますけれども、それについては所得の制限とかそんなものはないですね。だれでも小学校や中学校に行って教育を受ける権利があります。それについて所得に応じてどうこうという話は、基本的にありません。だから、それは制度の立て方の問題であって、私はそれが理由になるというふうには思いません。  それから、未納者の問題はどうされるのですか。例えば二分の一にしても、この未納者の問題というのは解決しないわけですね。  これは厚生省の資料ですけれども、例えば、未納者の七割が民間の生命保険や個人年金に加入して国民年金の倍の掛金を払っている。いろいろ説得に行って払ってくださいと言っても、いやいや、民間の個人年金に入っているからといって追い返される。あるいは、収入が十分あるからいい、そもそも国なんか信用していないからいいよと。こういう人たちに出せと言う方が無理で、例えば強制執行みたいな形で強制的に集めたとしても、その次の分を集めたとしても、その後のことはまた同じことの繰り返しでありますから、もう私は制度的に崩壊しているのだ、そういうふうに思います。  そういう点も含め考えたときに、私は、税方式に思い切っていくべきだ、こういうふうに思うわけでございます。そういうことによって、例えば高齢者の方の生活保護の予算も要らなくなりますね。そういうプラス面も出てまいります。  ここは総理にお聞きしたいのですが、経済戦略会議の中では税方式が望ましいというふうに書いてありますが、総理としてどうされるおつもりですか。
  152. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 経済戦略会議、最終報告をまだちょうだいいたしておりません。しかし、中間的にはそうした考え方が有力として報告をいただいております。  今、質疑者、厚生大臣、いろいろお話しされておりましたように、これはお二人のみならず、本問題につきましては、本院としてもかねて来大きなテーマとして取り組んできておるところでございまして、そういった意味で、戦略会議としても一つの考え方として打ち出されたものであろうかと思っておりますので、最終答申をいただきましたらそうした考え方も、私の諮問したこの会議そのものがそうした考え方を打ち出すということであれば、これは広くやはり国会におきましても御議論をいただくというようなことも必要ではないか、こう考えております。最終的答申をいただきましたら、十分検討させていただきたいと思っております。  ただ、なかなか困難な問題であることは、従前からここで御議論をお聞きいたしておりますと、私自身、大変難しい問題、こう理解しております。
  153. 岡田克也

    ○岡田委員 それは、決断の問題なんですね。  もう少し言っておきますと、例えば、今の水準でいえば基礎年金お一人六万五千円、御夫婦で十三万円ですね。これだけの額が来るということになりますと、私は、例えば介護でありますとか高齢者の医療でありますとか、少なくともお一人六万五千円の月の収入が必ずあるという前提で組み立てることができますから、かなり制度の仕組みについていろいろなバリエーションをとる余地が出てくるというふうに思います。その収入がほとんどゼロの方もいらっしゃれば六万五千円の方もいればということですと限られてしまいますけれども、そういう全体に及ぼすメリットもございます。  それから二階建て部分についても、やはりこの一階部分をどうするかということが決まらないと二階建て部分がはっきりしてまいりませんので、そういう意味でも早くこれは政治決断でやるべきだ、そういうふうに思っているところでございます。  残された時間が非常にわずかになりましたが、公務員の定数削減の問題について一言お聞きしたいと思います。総理にお聞きします。  自自の合意でも、十年間で二五%削減するんだ、こういうことをお決めになりました。しかし、この予算委員会での議論を聞いておりますと、独立行政法人に移行する約七万人の分について、そのうちのどれだけが公務員の身分を保障されるかわからないけれども、しかしその分も含めて二五%だ、こういうお話ですね。すると、独立行政法人に私は公務員の身分を持っていくこと自身が矛盾していると思いますが、それも含めてということになりますと、その分除くと二五%削減というのはかなり偽りの数字で、実際には一割そこそこの数字になっちゃうんじゃないか、こういうふうに思いますが、ここは、そういったものは含まずに、本当の意味での国家公務員の枠の中で二五%減らすということをお約束いただけませんでしょうか。
  154. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず、当初自民党として考え、そして発表いたしておりましたのは二〇%削減でございました。これは、中央省庁等改革にあわせまして、十年間で一〇%以上の計画的削減と、独立法人化により十年間で二〇%削減を行うものであり、中央省庁等改革基本法で明確でなかった独立行政法人化を含めた削減率について具体的に数値を示し、私の決意を表明したものでございます。  お尋ねの点につきましては、先般、自民、自由両党間での合意を受けまして、中央省庁等改革に係る大綱に盛り込んだ、御指摘の十年二五%削減を達成するため、与党とも密接に連携しつつ、その実現に最大努力してまいりたいと思いますが、この時点におきまして独立行政法人を除くということをお約束せよと言われましても、これから両党間の話もございますので、大変申しわけありませんが、そこまでの決断はしかねるところでございます。
  155. 岡田克也

    ○岡田委員 もう時間もありませんので申しませんが、特殊法人の改革についても、私は役所の皆さんにこの特殊法人の改革で一体幾ら予算が節約できるのかと聞いたら、わかりませんというお話ですね。民間であればやはりリストラや合併によって幾らお金が浮くかということがポイントでありますけれども、そういう話は全くないわけで、私は、いろいろな改革というものが大変中途半端に終わっているということを申し上げたいと思います。  最後に、この「財政構造改革を考える 明るい未来を子どもたちに」という財政制度審議会の平成八年の報告がございます。この中に書いてあることですけれども、基本的に野方図な財政支出を続けていたらその国の国債というのは消化できないような状態になる、こういう話がございます。まさしく今の日本はそういう状況になっているんじゃないか、そのことを指摘申し上げて、私の質問にいたします。  終わります。
  156. 中山正暉

    中山委員長 これにて仙谷君、岡田君の質疑は終了いたしました。  次に、若松謙維君
  157. 若松謙維

    若松委員 公明党の若松謙維でございます。公明党・改革クラブを代表いたしまして、きょうは集中質疑ですので、景気財政経済、そして金融等について集中的に質問したいと思います。  まず初めに、これは二月十日の日経新聞の記事ですけれども、ちょうど七十社、といいましても、これはエコノミストとか金融機関そして製造、非製造、そういったものが、調査の上で、いわゆる景気回復の原動力は何だと思いますか、こういう単純明快な質問に対して、個人消費だというのが七七・五%、そして次が設備投資九・九%、公共投資が五・六%、その他七%ということで、やはり個人消費をどうするか、こういう国民の一つの意識というものがアンケートで出ました。  それで、これも公明党が昨年の参議院選で公約しまして、そして十二月の三次補正予算で実現いたしました商品券政策、これがいよいよ、御存じの一月の二十九日が島根県の浜田市、そして二月一日が千葉県の野田市、ここで地域振興券を全国に先駆けて発行し、春一番の明るい話題となりました。そしてマスコミも、当日、浜田市の宿泊施設がもう足りなくなる、さらには、英国から、わざわざエアチケットを買ってガーディアン紙も取材に来ている、非常に世界的な関心になっております。そういうことで、いろいろな予想外の経済効果も生まれている。  そこで、これ、ぜひ映してください。かわいいでしょう。実は私の選挙区内の上尾市なんですけれども、二月二日で、市独自の商品券を発行しました。上尾商店街連合会が、五百円券を十一枚、これを五千円で販売しまして、総額二億円の商品券を発行して、市が二千万円のプレミアムとして補助する。私は買いそびれたんですけれども、市内の販売所で早朝より長蛇の列ができました。販売開始から二時間で完売だそうです。実際、埼玉県では九十二市町村団体のうち五十自治体がもう既に地元の、市独自の商品券を検討している、もしくは実施しております。ということで、久しぶりの地域経済活性化ということで大変盛り上がっております。これがいわゆる景気の招き猫になればいいなと。小渕総理に似ていますかね、似ていれば景気回復になると思うんですけれども、ちょっと違いますね。  それに関して、経企庁長官もほかの委員会で、予想外の効果が出た、そういう答弁をされておりますけれども、実際に地域振興券が発行されて最初のテレビ中継になりますので、ぜひとも総理から国民の皆様に、今回のいわゆる地域活性化対策の工夫措置と、そういう観点から、引き金となりました地域振興券、これについての経済効果について、メッセージとして評価をしてください。よろしくお願いします。
  158. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 地域振興券事業につきましては、本当にそれを実施された市町村、大変な事務的な御苦労もいただいたと思いますが、今お話しのように、一月二十九日に島根県浜田市で交付が開始され、その後順調に動き始めていることを喜ばしく思っております。  最初でありましたので、浜田市には、今お話しのように、世界各国からとお聞きしましたが、大変関心を深くされたという意味で、非常にこの事業につきましての理解が深まったのではないかと思っております。  その経済効果と言われましても、直ちに数量的にこれを積み上げることは難しいかと思いますけれども、今御指摘のように、限られた市町村の中でこれが必ず使われるという意味でも、その地域のために大きな効果があるのではないかと思っております。  なお、先ほどお見せいただきました商品券につきましても、かねてこの点については、通産大臣の、かつての選挙区でありますが、お地元とか、あるいは私が板橋に行きましたときも同じような券を発行したりしておりまして、地域の商店街にとりましては非常に効果がありました。したがって、今回のこの地域振興券も同様の意味で非常に効果があるのではないかと思っております。したがって、できれば全国各地、できる限り早い時期に発行していただいて、その効果が生まれることを期待いたしているところでございます。
  159. 若松謙維

    若松委員 総理の答弁の中から、今回のこの商品券政策、まさに現場からの声で生まれた一つのアイデアです、それについて恐らく大きな意義を感じていらっしゃると思うわけです。  経企庁長官にお伺いしますけれども、ちょうど最近、佐賀銀行の調査で、今回、公共投資についての一つの経済効果というものが一・六七倍だという評価に対して、これはかなり、政府のSNAとかそういったものを使いながらやったものですけれども、地域振興券は一・八一倍の効果があるということで、この佐賀銀行の調査では、公共投資よりも地域振興券の方が経済効果が大きい、そういう一つの結論が出ております。  そこで、公共投資とは違うんですけれども、では所得減税、これもあわせて行いますけれども、所得減税とこういった消費に直接結びつく地域振興券政策、どちらが経済効果がおありなのかお答えいただけますか。
  160. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 ただいまの佐賀銀行の調査はどういう前提でやっているかちょっと存じませんけれども、一般に、所得税を減税いたしますと可処分所得が増加する、それによって消費がふえる効果というのは、日本はかなり消費性向が低いものですから、〇・四一ぐらいだと言われております。ただし、それは一年限りで、次の年にも貯金取り崩しというような次年度効果もございます。  それに比べまして、この地域振興券は、期間と地域が限られておりますから、期間的にはかなり高いものになるんではないかという気がいたします。所得税と同じ効果で計算いたしますと、七千億円でございますと〇・〇六%GDPを上げるんですが、私は〇・一%ぐらい上げるんじゃないかと思っております。  それと、委員指摘のように、それに関連していろいろな商品券、地域振興対策が出てまいりました。これはやはり、地方の方々、各地域方々が知恵を絞っていろいろなイベント、楽しさをつくり出していただいているという点では効果があると思います。その反面、消費の場所を限定する等々の問題点のあることも否定できないとは思いますが、非常に、地方の知恵が出てきた、地元の知恵が出てきたという点では、私どもの予想外の効果があったと言えると思います。
  161. 若松謙維

    若松委員 ぜひ今後とも、政府といたしまして予想外の効果が出るような知恵を出していただきたいと思います。そうしないと、従来のやり方は、もうことごとく、財政支出にしろ、いわゆる経済政策としての効果が生まれていない、これももうガルブレイス教授等も大変主張しておりますし、その点、ぜひ今後とも検討していただきたいと思っております。  それで、ほかの先生方も質問されましたけれども、今回、政府が成長率〇・五%ということをかなり確信を持っておっしゃっていらっしゃいますけれども、ちょっと国民の目からというか、簡単なアプローチで、本当にこれが達成できるのかなという質問をさせていただきたいんですけれども、平成年度そして平成十一年度、それぞれ省庁別に比較しますと、ほとんど変化がありません。これは、細川政権のときにも、一%動かすのにも省庁のあちらにいらっしゃる官僚の皆様の抵抗がかなりあってできなかったと。実際に変わったといえば、大蔵省が前年比較して三割増ですか、二兆五千九百億円、これは公債費の増加です。そして、自治省は二兆三千五百億円、これは交付税の減少。これの入りくりでほとんど変わっていない。果たして、今私たちがやろうとしているのは構造改革なんですね。経済構造改革。  そこで、今のこの従来のシーリングベースを踏襲したやり方で、数十兆円もお金を使って果たして効果的ないわゆる景気対策が打てるのか、あわせて経済構造改革ができるのかというと、疑問を持つわけでしょう。長官、そうですよね、経企庁長官。  実際に、では先例を言いますと、カナダは、九二、三年あたりからかなりまさに省庁間のシーリングというのを変えていったわけなんですね。それで、そうであってもあそこは、いわゆる高齢者給付、福祉ですよね、そことインディアン・北方開発省といういわゆる少数民族の対策、そういったものは予算を落とさなかった、それ以外全部削ったという形で、大幅に省庁の支出を変えました。それで経済構造も変わって、ことしが財政黒字であれば、三年連続黒字だということなんですね。  この諸外国に比べて、では日本予算の使い方は何なのかと。緊急経済対策で二十何兆円やろうと言いながらも、いずれにしてもこのベースに入っているわけなんですね。だから、本当に経済構造改革をするならば、この省庁別のシーリングを変えるしかないんじゃないんですか。総理、どういうふうにお考えになりますか。  例えば、よく言われますけれども、今度は公共投資ですけれども、公共投資も、大きいところは建設、農林、運輸等々ですけれども、地域戦略プラン二千億円、あれを除いてほとんど変わっておりません。結局、局予算をそれぞれ踏襲している。実際に、例えば郵政省ですと、郵政省をかばうわけじゃないんですけれども、では今の回線のデジタル化、どれだけ光ケーブルが普及しているかというと、まだ諸外国から比べれば低い。それに対して郵政省の予算はどうなのか、ほとんど変わっていません。反対に、港湾にも聞きましたら、これはたしか主計局の方が言いました。港湾は、地方の港湾を削っていわゆるハブ港湾をつくります。しょせん、景気対策といいながら、公共投資といいながら、局の間でしか日本の国家は論じられないんですよ。  総理、今回のこの平成十一年に対して、どれだけ景気対策及び産業構造転換を図れると思いますか。これは国民の率直な疑問だと思うんですよ。答弁願います。
  162. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 便宜、私から。  今港湾のことをおっしゃいましたけれども、港湾は、しかし中止二十五でございますね。ダムは十二やめておりますし、国有林の林道なんというのは、お気の毒かもしれませんが随分やめておりまして、そして物流関連が千五百億円、二十一世紀系統のものが千億円、生活枠が二千五百億円、これで五千億円枠をつくっておりますし、随分公共事業の中では、少なくとも世論がありまして入れかわっておる、交代ができておるというふうに私は実は思っておるんでございますけれども。
  163. 若松謙維

    若松委員 総理も同じお考えですか。数字を見ていただければわかりますよ。ほとんど比率が変わっていないでしょう。
  164. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ここでも実は答弁を申し上げさせていただきましたけれども、今大蔵大臣からも御答弁もありましたように、二十一世紀先導プロジェクト等の優先配分も含めまして、かなり工夫をいたしまして予算編成をさせていただいたというふうに思っております。  公共事業につきましても、この前も御説明申し上げましたけれども、例えば事業別に重点化しておりまして、特に市街地整備、伸び率五三・八%、自然公園二七・五%等、こうした形で、従来の中でこれから伸ばしていかなければならない項目につきましてはかなり重点的に配分をさせていただいた、我々政府側としてはそのように考えて編成させていただいたと思っております。
  165. 若松謙維

    若松委員 例えば、いわゆる政府補助の研究開発費というんですか、日本は欧米に比べて少ない。そのかわり公共事業が多い。そういったところで、技術立国といいながらかなり日本の技術力も諸外国に追い越されてきた、そういう面があるわけです。これは、後で引き続き同僚の斉藤議員から質問があると思いますけれども、変わっていないですよ。そうおっしゃっていますけれども、変わっていません。これは〇・五%という結果で与党が責任をとるわけですから、その結果を見たいと思います。  では、続きまして金融の問題ですけれども、日債銀の問題、先ほど仙谷議員の方からさまざま説明をしていただき、私もやりやすいんですけれども、非常に話が複雑で、国民の皆様もわかりにくいと思います。わかりやすく進めたいと思いますけれども、その前に、先ほどの二月十日のいわゆる日経新聞の七十社アンケート、これによりますと、景気回復を阻害する最大の要因は何だと思いますか、これは、一番として金融不安三二・四%、二番として資産価格の下落一六・九%。いずれにしても、何としても金融不安というものは取り除かねばならない、こういう状況にあるわけですけれども。  まず、ちょっと事実確認をもう一度整理させていただきますと——ちょっとパネルを。同じパネルのコピーを皆様のお手元に配らせていただいております。字が小さくて大変恐縮なんですけれども。  平成九年の四月一日、大蔵省銀行局のある審議官ですけれども、この方が大蔵省の会議室に都銀十二行、生保十四社、損保八社らの役員を集めて、日債銀に対して、八百億円のいわゆる日銀を中心とする出資金、これをてこに民間金融機関にも負担を求めるという、いわゆる奉加帳方式、二千百億円の出資を求めた。これは、金融監督庁が既にそのとおりだと事実を認めております。  しかし、ではそのときに大蔵省が、いわゆる民間金融機関が、大蔵省の当時の検査官が、ちゃんと平成九年三月時点の日債銀の不良債権を調べてくれ、そういう要請があったということで一カ月間その実施をしたということですけれども、これは否定しております。これも、ちょうど二月十日の大蔵委員会で明確になりました。この事実は間違いありませんね。
  166. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  検査結果を通知することはないということを、事前にはそういうことはないということを言われたという限りにおいては、おっしゃるとおりだと思います。
  167. 若松謙維

    若松委員 それで、いろいろな数字が出て、恐らく国民の皆さんも混乱していると思います。  まず、四千七百億円、これが平成九年三月の時点で、日債銀が、いわゆる自行の見込みとして出た一つの第三分類債権、将来の回収に懸念がある債権、これを四千七百億円として出したわけですけれども、いよいよ平成九年の四月一日に、八百億円積み増しして、日債銀の再建策の発表のときに五千五百億円で発表いたしました。では、この八百億円の追加は何なのかというと、これは自己破産した関連ノンバンクの貸付有価証券清算分八百億円、これを追加して五千五百億になったと。これは後で金融監督庁に確認したいので、よく聞いておいてください。  それで、この五月十九日、二十日、これについては、これも委員会で、大蔵省は七千億円と言っていないと言っておりますけれども、いずれにしても、日債銀が中心に、七千億という数字を、民間金融機関にも、さらには日銀等にも言っていったということで。  では、五千五百億から七千億、一千五百億円第三分類の金額がふえたわけですけれども、そのふえた金額というのは、いわゆる大蔵検査等で担保評価の訂正とか、関連ノンバンク、デリバティブの清算、こういったところを行って千五百億円追加した、こういう認識でよろしいですか。
  168. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  検査の前提が、今お話がありましたように、あらかじめ四千七百億円からスタートして、そしてさらに不良債権がふえていって、それがプラス八百億円ふえて五千五百億円になった、こういうことではございませんで、四千七百億円というのは、あくまでも日債銀の自己査定で第三分類に属している債権の額が四千七百億円でございまして、大蔵省の検査は、四月から始まりましたが、決してそれをうのみにしていたわけでもございませんし、またそれをスタートとしてやったわけでもございません。  ただ、その自己査定が果たして正しいかどうかということを検査によって把握するために行っていたわけでございまして、それは具体的、個別的にどの債権が、例えば八百億円が五月の十九日や二十日までの段階にふえたかということではなしに、最終的にはやはり九月の段階に、検査の結果を示達したときに一兆一千億円余りになったというふうに理解していただきたいと存じます。
  169. 若松謙維

    若松委員 それでは、先ほどの平成九年の四月一日五千五百億、そして五月の十九、二十日七千億、さらに平成九年の九月十一日一兆一千二百十二億ですね。では、そこら辺の積み増し分というのは、要は先ほど私が説明したようなことではない、一つ整理できるようなものではないということですね。
  170. 日野正晴

    ○日野政府委員 最終的に第三分類に属する金額が一兆一千億円余りということは、これは最終的な金額でございます。  それと日債銀が主張している金額との差額というのは、さまざまなものがございますが、主としては関連会社に対する債権については、その関連会社が倒れない限りはそれは第二分類に属するんだという日債銀側の主張、それに対して大蔵省は、関連会社が倒れない、自分が倒さなければ倒れないという理屈ではなしに、その関連会社自体の財務の内容から見てそれは第二分類ではなくて第三分類に属すべきものだ、こういったことから違いが出てきたものというふうには考えられるわけでございます。
  171. 若松謙維

    若松委員 それでは、これは二月十日の大蔵委員会で、たしか共産党の佐々木議員ですか、ちょっと詰められましたけれども、七千億というのはあくまでも日債銀から出た数字なんだと。そういうことで、日債銀だけを何か悪者にするような雰囲気が伝わるわけですけれども、そこで、同じ議員もそうですし、また仙谷議員も確認したと思うんですけれども、では大蔵省として、その七千億円がもし違っていれば、もしくは根拠のない数字であれば——そのときはマスコミ人みんな知っていますから、七千億、七千億と。それで、二月十日の大蔵委員会で、この七千億の数字をあえて大蔵省として否定しなかった。何で否定しないんですか。もしくは、これはまだ確定したものじゃないから最後まで待ってくれとか、何かリアクションがあるんだけれども、否定しなかったと委員会で明確に答弁しましたね。これはどういうことなんですか。
  172. 日野正晴

    ○日野政府委員 その七千億円という数字が、何といいますか、ひとり歩きをしていたといいますか、そういった数字が流布されていたといいますか、語られていたということは大蔵省も当然認識していたわけでございますが、まだ検査が終了しておりません。したがいまして、もちろん否定はしておりませんけれども、決して、否定をしないということが肯定をしたとか、その数字に対して何らかのコミットをしたといったようなことはまだできないわけでございますので、あくまでも、何といいますか、ニュートラルな態度をとっていたということではなかったかと思います。
  173. 若松謙維

    若松委員 そういう説明じゃ、やはり納得しないですよね。  先ほどの一兆一千二百十二億円、これは平成九年九月十一日、大蔵省から日債銀に示達という形で書面でやったわけですよ。ですから、五月の大体四カ月後ですか。そういう形で具体的に数字があった。  だけれども、それを知っているのは大蔵省と日債銀だけで、ほかの民間金融機関、日銀も含めてですよ、後に言いますけれども、預金保険機構だってそうですよ、知らされていない。七千億がどんどん広がっていく。要は、つぶさなければいい、つぶさない、それだけの淡い期待だけで、大蔵省としての権力を使えばすべてのお金は出るんだ、そういう認識としか思えないんですよ。  こんなのビジネスをやっている人だったら、七千億が一兆一千億になった、四千億ふえた。金融の監督庁ですよ、それなりに——いいですか。これも後で言いますけれども、なぜこういう不透明な、この平成九年の春から秋にかけてなったかというと、要は、日債銀は、もうおやめになりましたけれども、窪田会長、これは大蔵出身ですね。東郷頭取が日銀出身。このお二人は、平成九年の九月十九日、これも先ほど仙谷議員の答弁でしたかね、日銀にいろいろ報告しているんですよ。検査結果は七千億。さっき言った示達は平成九年九月の十一日です。前にもらっているんです。これは、先ほど他の議員の言葉をおかりすれば、何と言いましたかね、詐欺ですよね、詐欺。その詐欺で、マスコミ的にはそんな数字があるにもかかわらず、監督の責任者としての大蔵省が何も言わない。共同詐欺ですよ。おかしいですよ。  これは、少なくともこの委員会では、窪田前会長、東郷前頭取、さらには、この当時の山口銀行局長、この三人は、来週火曜日あるまさにこの集中審議で参考人招致として絶対やるべきですよ。委員長、よろしくお願いいたしますね。
  174. 中山正暉

    中山委員長 理事会で協議いたします。
  175. 若松謙維

    若松委員 それでは、またこの問題は後ほど言いますけれども、では、先ほど言いましたように、日銀、都銀、生損保三十四社、これが最終的に平成九年の七月の二十九日までに二千九百七億円が振り込まれました、あわせてその前後に日銀の八百億円もつぎ込まれるわけですけれども。いいですか、これは総理大臣に聞きたいんですけれども、この約三千億近くの平成九年七月に払われた民間の、いわゆる株の引き受けですよね。これは、東証、東京証券取引所の規定で二年間の転売禁止制限がつけられていました。で、三千億買いました。ところが、二年もたたない一年五カ月後にこの日債銀は特別公的管理開始が決定、これが平成十年の十二月十三日、そしてこの三千億円の金額が一挙に紙くずになったわけですよね。  これは、行政権行使の最高責任者として、総理、この一連の大蔵省及び日銀、このやりとりの中でこれだけの損を出してしまった、また、日銀関係の出資もしてしまった、これについてどう責任をとられるのか、責任の所在はどういうことなんですか。それをちょっとはっきりしてください。
  176. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 現在、日債銀が特別公的管理のもとにあるということにつきまして、そこに至る経過についての責任を問うというお尋ねとお聞きをいたしましたが、政府といたしましては、この日債銀に対する再建策、いわゆる奉加帳方式について、その時点で把握できた財務状況を前提に、当時のセーフティーネットの整備状況金融システムの安定確保のための必要性を勘案して、最善と考えられる対策を講じてきた、こういうことでございますので、今いろいろ、段々の……(若松委員質問に答えてください。何が問題なんですか」と呼ぶ)  政府としては、その当時の種々の調査等におきまして、当時としては最善の対策を講じてきたということでございますが、その後の経過において、いろいろの調査結果によりまして、結局金融機関としての状況がこうした特別公的管理の仕組みを活用することになったということについては、まことに残念だとは思いますが、当時の状況としてはそれ以外の道はなかった、こう認識をいたしております。
  177. 若松謙維

    若松委員 要は、大蔵省の一連の高官の動き等を容認するということですか。そういうことですか、それしかなかったというのは。  それで、これから公的資金を投入して、それも十兆円近い金額ですよね。茶の間の国民の皆様がそれを聞いて、何だと。だれも責任とらないで、秘密裏にこういった巨額の民間の出資を巻き込んで、結果的にそれしかなかった。それで通用しますか。税金の不納運動が起こりますよ、そういうことだと。
  178. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 当時の様子を今聞いて、総合して申し上げますと、今日の状況と違いまして、こういう大きな銀行が危殆に瀕したというときに、救うためのいわゆるソーシャルセーフティーネットみたいなものが全くなかったわけでございます。今日はおかげで立法をしていただきましたが、全くございませんでしたので、そこで九年の四月に日債銀がかなり徹底した経営改善を発表した、これは先ほどどなたでしたか、政府委員がおっしゃいましたが。  そこで、これは支援をすることが妥当であろうというのは、日債銀のためにと申しますよりは、日本金融秩序、とにかくメジャーバンクの一つでございますから、そのために大蔵大臣も談話を出され、日銀にも協力を呼びかけ、したがって大蔵省の諸君が各行に呼びかけた。それは、セーフティーネットがございませんから、これしか救いようがない、また救える、こう考えた、債務超過という認識がございませんから。それでやったことであって、銀行の立場とすれば、それは恐らく迷惑だと思われた銀行は幾つかおありと思いますけれども、ただ金融制度全体の問題だということになりますと、まあ責任官庁が、そういう責任大臣が呼びかけておられれば、それは金融全体のためだろうと思ってやられただろうと私は今からでも想像をいたします。  そして、日債銀そのものも御自分は七千億の負債であると。それ自身は債務超過という状況になりませんですから、そういうことで、皆さんがそれを信用してやられたということが、事実だけを申せば私はそういうことであろうと思います。しかしその後に、最近になりまして債務超過ということになりましたから、この再建は中道で挫折をしたわけでございます。  ですから、何人も悪意を持って行動したというふうには思われません。詐欺ということは悪意を推定いたしますが、私はそうだとは思わない。ただ、事実の認識が、今になってみますとそうでなかったということと、これ以外にこういう事態に対応する方法が当時なかったということは事実と思います。
  179. 若松謙維

    若松委員 大蔵大臣は、要は今までの護送船団方式から今回のいわゆる六十兆円の公的資金のスキームですね、その間のいわゆるブリッジがなかったということをおっしゃりたいんでしょうけれども。そうであっても、例えば、ちょうどここにもありますけれども、平成十年の三月十日、いわゆる佐々波委員会ですよ、よくここで議論になりました。そのときに全会一致で、日債銀の六百億円優先株、これを整理回収銀行に引き受けさせましたよね。それを三月十三日の閣議決定でいわゆる承認しまして、公的資金を三月三十日に投入した。  ところが、この三月十日、平成十年三月十日には、日債銀も大蔵省もこの第三分類一兆一千億円ということは知っているわけですよ、お互いに。ところがこのときに、これ、二月の十日ですよね、これもやはり大蔵委員会で松田理事長がはっきりおっしゃいました。  それで、そのときに、じゃ、日債銀として何を出したかというと、それがいわゆる自己査定ですよ、自己査定。日債銀が出した自己査定、数千億程度。ところが、去年の三月ですよ、おととしの三月じゃないんですよ、示達で一兆一千億円を、大蔵省と、そして日債銀が知っているにもかかわらず、去年の三月ですよ、そのときに、自己査定数千億ですよね、それに対して、日銀も、そして大蔵省も出ていたその席で、その自己査定については、事実の問題は特段ありませんと。  なぜ、この一兆一千億円の示達をした、この第三分類をもとに、この三月十日、いわゆる先ほどの佐々波委員会が六百億円を出すか出さないかという結論をするときに、なぜそのときにしらばっくれるんですか。それで、先ほどの護送船団からいよいよこの公的のシステム、ブリッジの間、これはだましじゃないですか、だまし。これは、皆さん責任とるべきですよ。どうなんですか。
  180. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そこも私がお答えをすると出過ぎかもしれませんけれども、いろいろ承っておりますと、佐々波委員会——その前に申し上げます。その前に、先ほど、金融監督庁の長官でいらしたか、あるいは松田理事長でいらしたかが、銀行当局と検査当局との間にかなり激しい見解の相違があったように思うということをおっしゃっていらっしゃいます。恐らくそれが、銀行当局が佐々波委員会に自分の主張を言われたということであろうと私は想像をいたします。詐欺とかいうことではなくて、問題はあるかもしれませんが、御自分の主張はそうである。  ところが、佐々波委員会は、必要な資料を大蔵省及び日銀の代表者にお渡しになって、あらゆる限りの調査をしてほしい、それによって見解を述べてほしい、こう言われたというお話もございました。恐らく、それは大蔵大臣あるいは日銀総裁によってそうなされたと思いますが、恐らく、その結果、債務超過であるという御見解がございましたら、それは述べられておっただろうと思いますんですね。  若松委員がずっとおっしゃっていて、一兆一千百十二億円まで、仮にそれが債務超過だという部分が見えないわけです。これは、私、何もわかっていて申し上げるんじゃない。どうもそういうふうに考えるのかなと。大蔵大臣御自身は、役所にベストを尽くして調べたけれども、記録がここは出てまいりませんからわかりませんが、自分としての御意見を何か一般論としては言われて、そして、さらに佐々波委員会がその上で調査をされた、こういういきさつではないかと、私は伺っておると思うわけです。
  181. 若松謙維

    若松委員 いいですか。このときは、とにかく日本金融システム危機ということで、佐々波委員会が知っているとか知らないとか、大蔵省が知っている、知らないじゃなくて、全員当事者が一生懸命事実を共有して、それでそのベストで判断するしかなかったでしょう。そのときに、何かだますような形で、一兆一千億。そのとき、後で聞いたって、ちゃんと松田理事長もおっしゃっていますよ。これは委員会の議事録に出ているわけですから。  そういうことを考えると、その説明は成り立たないですよ。(宮澤国務大臣「いや、そうじゃない。そうじゃないです」と呼ぶ)いや、いいです、いいです。  いずれにしても、火曜日はしっかり……(発言する者あり)  いいですか。それで、さらに、非常に難しい問題があるんですよ。ちょっと時間の関係で一挙に飛びたいのですけれども、ここで、昨年の十一月十六日、いわゆる平成十年三月三十一日現在で九百四十四億円の債務超過の状態にある、これは、金融監督庁は日債銀に通知した、でも、日銀には言っていないと言っております。  それで、この株取引をちょっと表にしたのですけれども、まず、日債銀の株の売買ですけれども、平成十年の十一月の月間の出来高、一月の出来高が二千六十四万六千株なんです、二千万株です。ですから、一日百万株の取引があったと。先ほど言いましたように、債務超過の認定は実は平成十年十一月十六日。債務超過を認定すれば、がっと下がるわけなんですよ、実際それなりに下がっていますけれども。いずれにしても、この取引量または株価の値を見ると、いわゆる一兆一千二百十二億というのが市場には秘匿、隠されているわけですよ、伝わっていない。その結果、こういうごく自然の動きになったと。  ところが、いよいよ十二月十三日、公的管理開始決定ですね。日曜日やるというのは非常に不思議なんですけれども、その前日の土曜日、当然株式は休みです。その二日前の十日木曜日、ここに十日分の九百三十五万四千株の売買ですよ。十一日が一千九十八万一千株。この二日間で一カ月分の取引があったわけなんです。ここについて、数人、たしか六人とかと委員会であったと思いますけれども、関与されたと答弁がありました。  まず、総理大臣にお伺いしますけれども、この特別公的管理開始決定、この決断に至る事務、もう一度確認したいのです、これは大事ですから、どのような人が何人関与したのか、大臣、これを明確にしてください。
  182. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 特別公的管理が行われたときの関与者ということでございますが、当時はまだ委員会が発足する前でございまして、たまたまその期間の、いわば過渡期間ということで、内閣総理大臣金融再生委員会の事務を代行する、こういう期間でございました。そして、その間、私柳沢伯夫が国務大臣としてこの代行される総理を補佐する、こういう使命をいただいておった次第でございます。  したがいまして、この公的管理決定の手続は、まずもって私のところに通知があり、そしてそれを私が内閣総理大臣に助言する、こういうことで、内閣総理大臣がこれを受けて決定をした、こういう運びでございます。
  183. 若松謙維

    若松委員 委員長、ぜひこの取引について、実際に二千万株の、もうくずになるものを、ではどこが買ったかというと、インドスエズ、HSBCと外資系、この取引自体が異常で、もうインサイダーとしか考えられない。万が一——実際紙くずですよ、この外資系の証券が持っているのは。これを海外の投資家、金融機関が、日本のこの市場はどうなっているんだと。この事実の解明なしに、今の金融再生なんかあり得ませんよ。  それをぜひ、法務大臣、法務省も調査していただいて、そして、さらには証券取引等監視委員会、これもしっかり調査して、この委員会に報告することを望みますけれども、委員長、よろしくお願いいたします。
  184. 中山正暉

    中山委員長 理事会で検討させていただきます。
  185. 若松謙維

    若松委員 もっと質問したいことがあるわけですけれども、時間の関係上、次の委員に譲りますけれども、引き続き、これはしっかり追及していきたいと思っております。  ありがとうございました。
  186. 中山正暉

    中山委員長 この際、斉藤鉄夫君から関連質疑の申し出があります。若松君の持ち時間の範囲内でこれを許します。斉藤鉄夫君。
  187. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 公明党・改革クラブの斉藤鉄夫です。  現在の景気後退の主な原因は、短期的には、需要の減退、それから金融システムが崩壊をしたこと、また、この二つが相互に関連し合って悪循環に陥ってしまった、それが原因だと思います。  しかし、景気後退がここまで長期にわたりますと、先ほど申し上げました二つの原因以外に、中期的な、もっと根本的な原因があるのではないか、このように考える次第でございます。先ほど若松委員が、需要の減退、そして金融システムの崩壊ということについて質問をいたしましたので、私は、中長期的な原因について質問をさせていただきたいと思います。  短期的な景気循環は需給ギャップで説明できますけれども、中期的な経済の成長を決めるのは、供給側の潜在GDPだと言われております。供給側の潜在能力というふうに言いかえてもいいんでしょうか。別な言葉で言えば、供給側に新しい価値観を提案し、新しい価値観というのは、例えば地球環境というようなことも例として挙げられるかもしれません。新しい価値観を提供し、その価値観に基づいた製品や情報や社会のシステムをつくり上げていく、その新しい需要を生み出していく潜在能力、これ自体が成長していかなければ、中長期的な経済成長、景気回復はない、このように言われております。  その供給側の潜在能力の伸びといいますのは、これは経済学で言われていることだそうでございますが、労働、資本、そして技術開発力、この三つの伸び、これが供給側の潜在能力の伸びだということだそうでございます。  戦後の日本の高度経済成長は、この三つがいずれもそろっていた。そこであのすさまじい高度経済成長をしたわけですけれども、九〇年代に入りましてこの三つがいずれも伸び悩んできた。技術開発力までが伸び悩んできた。私は、ここに、この九〇年代に入っての長期の景気低迷の根本的な原因があるのではないか、このように考えております。  これからの日本状況を考えますと、この三つのうち労働の伸びというのは、今の人口動態を考えますと、なかなか期待できません。また資本の伸びも、金融についてがたがたになっているということから考えますと、この資本の伸びも余り期待できない。そうしますと、期待ができるのは技術革新の力、これしかないわけでございます。日本が中長期にわたって経済成長を続けていけるか否かは、この技術革新の力があるかどうかにかかっている、このように思います。  そこで、きょうは、私は、この技術革新の力、日本の技術革新力ということに着目をして議論を進めていきたいと思います。  さて、戦後から八〇年代までの日本の技術力は、特に製造技術において世界一だ、こう言われてまいりました。しかし、よく考えますと、その技術力というのは、アメリカやヨーロッパの基礎的な研究、その基礎的な研究を日本が民間でうまく応用して製品化する、そういう技術でした。  例えば、液晶というものがございます。今カラーの液晶ですばらしい映像を見ることができるわけですが、液晶そのものの技術は、基礎的な分野は原子物理学でございまして、その基本はアメリカが出してきたわけでございます。アメリカでほっておかれたその基礎技術の成果を日本が応用し、製品化した。その製造技術が八〇年代まで世界で一番と言われてきておりましたけれども、八〇年代後半から、その基礎研究に日本がただ乗りするということに対して世界各国から批判が集まり、かつ、アメリカやヨーロッパも知的所有権を主張するようになり、そのあたりから日本の技術力に陰りが出始めたわけでございます。  ちょっとパネルを使って説明させていただきます。  これは、昨年九月にアメリカの国務省がまとめた、アメリカ、日本、ヨーロッパの技術力の比較でございます。横軸は一九八二年から一九九六年まで、縦軸は特許の数とその特許の質を掛け合わせた技術力の指標です。これは、非常に景気に大きな影響を及ぼすと言われております自動車分野です。八〇年代は日本の技術力の方が上でした。しかし、九〇年代に入ってその技術力は急速に低下し、アメリカに追い抜かれる、そして九〇年代を通じてこの技術格差はどんどん広がりつつある、こういう状況でございます。  次のパネルは、二十一世紀の産業の中心になると言われております情報技術分野、これがアメリカ、日本、ヨーロッパでございます。この分野についてはもともと米国が優位でございますが、一九九〇年に入りますと、その格差がどんどん広がりつつある。ちょうどいつもこの一九九〇年を境に技術力格差が広がりつつある、どの分野でもそうなんですけれども、それを示しております。  あと一つ、国民生活に大変関係の深い医療、健康分野でございますが、これがアメリカ、ヨーロッパ、日本は最低でございます。この医療、健康分野につきましても、一九九〇年代に入って技術格差が拡大しつつある、こういうことがこのデータからわかっていただけると思います。  きょうは三つの分野についてお示ししましたけれども、これは各分野について同じことが言われております。この、九〇年代に入っての日本の技術革新の力が相対的に世界で低下をしてきたこと、これが中長期的に見た場合の日本景気低迷の原因なのではないか、このように思います。ある意味で、日本経済が今危機的状況に陥っているということがこのデータでわかると思いますけれども、小渕総理、今の状況をどのようにお考えになっているか、御感想をお伺いします。
  188. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 改めて斉藤委員から、現在の日本経済状況に至った、もっての原因の一つとして技術力という問題を取り上げられまして、三つの分野につきまして大変わかりやすい資料をお示しいただきまして、お考えとしては私も同様な考え方を深くいたしております。  私自身もそうですが、一般的に、日本の技術力というものは相当高い水準にある、ややそういう甘えといいますか感じを持っておったことも事実でございまして、それは、急速な戦後の日本経済の発展の中で、物づくりにつきましても非常に熱心に取り組み、技術も日々進展してきたというところにややおごりがあったのではないかという感じを今の資料をお示しいただきながら実感をいたした次第でございます。  そういった意味から、今後、二十一世紀の社会を考えますと、遺伝子工学等のライフサイエンス、コンピューター等の情報通信技術等、重要な分野となってくるものでありまして、米国を初め、先進諸国はこれらの分野の技術開発に精力を傾注しておるがゆえに、先ほどのような米国の技術力の向上というものがあったのではないかと思っております。  顧みて、我が国としては、御指摘をいただきましたが、二十一世紀に向けて、我が国としても世界の最先端をリードしていく気概でこの技術力の向上に取り組むべきことを認識いたしておりますが、それには、国民全体がそういった意識を持つことと同時に、あらゆる分野におきましても国としてのバックアップ、これも必要だと思いますし、民間の非常な意欲もこれまた必要ではないかというふうに考えております。  そういう意味で、十一年度予算につきましても、それこそ即効性、波及性と同時に、未来性ということにも重点を置いて予算的配分をいたしておるわけでありまして、こうしたことが両々相まち、また、委員が御懸念し御指摘をされておるように、日本としては技術立国をもって我が国の将来をつくり上げていかなきゃならないという御指摘でございますので、今後さらに一層、政府といたしましてもその認識に立って努力をいたしていくべきもの、このように考えております。
  189. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 総理にもっと危機感を持っていただきたいと思います。技術力、技術革新というと、それは民間の話であって政府は余り関係ない、こういうふうにお思いかもしれませんけれども、それは全く違います。政府、また政治のリーダーシップが大きく影響をいたします。  私も、八〇年代、アメリカの公的研究機関、税金で研究されている機関に三年間おりました。その当時、アメリカは不況の真っただ中で、町には失業者があふれておりましたが、そういうときこそアメリカは、そういう基礎的な研究、国立の研究機関や大学にどんとお金を出す、そして厳しい研究評価を行う。国立の研究機関でも、研究者として失格というふうに言われた人は首が切られる。そういう状況の中で研究成果を生み出し、そしてその研究成果を民間に技術移転するというシステムもつくり、そこにお金もつぎ込み、大変な努力をしておりました。それが今のアメリカの技術力の発展、そして現在の好況の原因になっているんではないかと思います。  我が国は、この基礎研究を受け持つべき大学や国立研究機関に対して非常に投資が少ないということが言われております。これは、一九九四年と九五年のOECDの資料から作成をしたものです。これ全体が研究開発費の総額です。この青いところが政府出資、つまり大学や国立の研究所で行われる研究、赤い部分が民間で行われる研究です。  民間で行われる研究というのは、やはり利益に直接結びつく研究でないと、そういう開発研究でないとできません。それはいたし方ないと思います。しかし、その応用研究の種というのは、政府が行う基礎的な研究が出すわけです。種がなければ応用研究もできない。その基礎的な研究部分で日本は、フランスやドイツの半分、そしてアメリカの三分の二だということがわかります。まず、政府はこの基礎的研究にお金をつぎ込むということを怠ってきた、これが一つでございます。  次に、その研究成果をどう経済活動に役立たせるか、出てきた結果を民間の経済活動に資するように技術移転をするかという問題でございますが、これは余りデータがなくて端的な比較が難しいんですけれども、例えば特許、一昨年、九七年で見ますと、我が国の特許出願件数は総数三十五万、その中で国立大学はわずか七十四件、国立の研究所九百八十一件を足し合わせても千五十五件、全体の〇・三%です。お金は二〇%、成果は〇・三%。それで、ちょっと外国と比較いたしますと、アメリカの大学を見ますと、これは九六年のデータですが、カリフォルニア大学だけで三百二十五件、上位二十大学の特許件数を合わせますと二千二件、日本と二けた違います。  特許だけで比較はできませんけれども、端的に、税金で研究する人たちがその研究成果をどのように民間に使ってもらおうか、社会に役立ててもらおうか、その姿勢がここに出ていると私は思います。  長々としゃべりましたけれども、要するに、国は、まず一つに、基礎研究に力を注いでこなかった、これは外国との比較で明白であります。次に、その税金で研究した成果を民間に技術移転をする、そういう努力を怠った。アメリカの大学や国立研究機関には、技術移転事務所が必ずございます。日本にはありません。わずか四大学というふうに聞いております。それから、そのそれぞれの研究者の評価についても大変あいまいなことをしてきた。そういうことが日本の技術力の低下を、一つの原因だと思いますけれども、経済企画庁長官、このことについてどのようにお考えになりますでしょうか。
  190. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 御指摘のように、九〇年ごろから日本の技術革新力が衰えた。これは生産性の向上の数字を見てもわかるのでございますけれども、その原因は、委員指摘のような政府支出その他の点もございますけれども、そもそも日本の技術開発が規格大量生産向けにできていたのですね。それが九〇年ごろから、世界の流れが規格大量生産の大きくする、大量にすることから、多様化する方に流れた。これが、教育の段階から日本でずっと明治以来規格大量生産を追いかける方向に来ていたものが、がらっと変わったということが非常に大きな理由であります。  だから、単に工学部だけではなしに、経済学部でも文学部でも、あるいは商業を広げる面でも、九〇年ごろから、日本の新しいものをつくる意欲といいますか活力というのが衰えてきた。これは、政府はもちろんでございますけれども、全社会的な改革をしなきゃいかぬ時期に来ている、これが今の大きな問題だと心得ております。
  191. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 先ほど不規則発言で、科学技術には力を入れているという発言がありましたけれども、今、現場ではどう言われているかといいますと、お金は来るようになった、しかしどうやって使っていいかわからない、これが現場の声なんです。そして、私はそこに、限られた資源ですから、将来の日本経済発展を図るために、何に、どういう分野に集中的にお金を使おうか、国にその優先順位がまずないということ。それから、先ほど申し上げましたけれども、出てきた成果を技術移転しようというそのシステムもない。また、研究者がそういう意欲もない。こういう三つの点、ここに問題があると思うのです。  私は、そういう意味で、基本的にそういうシステムをこの国につくり上げていかなければ、二十一世紀、資源のない日本ですから、資源のない日本でも経済成長していかなければいけないわけですから、そういうシステムがなければそれが望むべくもない、そういうシステムを早急につくるべきだ、こういう趣旨で質問をしているわけですけれども、経済企画庁長官、いかがでしょうか。
  192. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 まことに仰せのとおりだと思います。  したがいまして、そういう新しい産業が起こる、新しい技術がすぐまた現場の産業になる、そういう業を起こすところを重視したいというので、平成十一年度予算では起業、業を起こすということも重視いたしました。また、それで成功した人が社会的にも尊敬され、経済的にも恵まれるというので、税制改革で最高税率を五〇%に下げるとか、そういうこともやりました。  やはり技術開発というのは、競争社会の活力が要るのですよ。だから、そういうような方向に、十分かどうかはいろいろ問題はありますけれども動かしていった、変えていったというところは、委員の御評価をいただきたいと思っております。
  193. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 今回の自自連立で、科学技術庁長官と文部大臣を兼務にされました。将来一緒になるんだから兼務はいいんだ、この間の予算委員会で総理はお答えになりましたけれども、では、なぜ厚生大臣と労働大臣は兼務にならないのか。私は、そこにやはり、口では科学技術は大事と言いながら、軽視をされている総理のあれが出ているのではないかなと思います。  二つの組織、それは命令系統も人事も一人の長でできるような体制にして一人の長がつく、これだったらわかります。組織は今までのまま、今までは二人の大臣がやっていた、それを大臣だけ兼務にしたって、手薄になるのはわかり切っていますよ。そこに私は問題点があると思いますが、この議論をしておりますとちょっと時間がないのでこの辺になりますけれども、次に、有馬科学技術庁長官にお聞きします。  大変ショッキングな論文がネーチャーの十二月号に出ました。基礎研究の分野で、日本の論文の量はアメリカに次いで世界二位、これが、円グラフがあらわしている意味です。この右側、しかし、その基礎研究の論文の質は先進国中最下位。この真ん中が平均値でございまして、右に出るほど論文の質が高い。質が高いか低いかは、ほかの論文にどれだけ引用されているかということを調べて、膨大な作業量だと思いますが、調べたものです。どことなく英語圏の方がすぐれていてというふうなところがありますが、すべて英文で書かれた論文でやられたものですから、日本は特に低いということがわかるわけでございます。これを見ても、日本の基礎研究の質が悪い。  これはやはり、税金で研究をしている大学の人や国立研究機関の人、すばらしい人もたくさんいます、いますけれども、しかし、そういう研究所の体質を変えていかなくては、日本経済の一番下を支える技術開発力を支えることにならないのではないか。その一番大事な部分の人たちの意識改革が必要だと思いますけれども、その大学の長である文部大臣、それから国立研究機関の長である科学技術庁長官、その二つを兼ね備えられている、兼務されている有馬科学技術庁長官から、その責任とこれからの方針をお伺いします。
  194. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 意識改革の必要なことは明らかであります。しかし、幾つかのお答えを申さなきゃいけないと思います。  まず、技術移転ということが、大学と産業界とのつながりがアメリカで強くなったのは一九八〇年に入ってからであります。ですから、日本もやっと今技術移転に真剣になり始めた。十五、六年おくれているとお思いください。この点に関しては、日本も極めて真剣に現在やっております。例えば、私のおりました理化学研究所では、ベンチャーを七つ立ち上げました。また、東京大学の先端科学技術センターでも、今技術移転をやるというふうなことで、先ほど御指摘のように、四つぐらいの技術移転が今行われるようになってきた。もうちょっとお待ちいただければ幸いでございます。これが第一点。  それから、国の出資が少ないということは、私が二十年も前に唱えてきたことであります。すなわち、産業界が八〇%というのは、やっとこのごろ八〇%に減ってきたわけで、ついこの間までは八五%というような時代があったわけです。やっと国の出資が二〇%になってまいりました。そのことの上に、初めて科学技術基本計画がなされた。科学技術についての国の認識が高まってきて、やっと二〇%になり十七兆円を出す、こういう抜本的な計画がなされたということは、我が国にとって極めて慶賀すべき状況であるということを御理解賜りたい。  これは、先生方の御努力であります。科学技術基本法を議員立法でお立てになった、これが今極めて日本の研究者の意気を盛んにしてきているのだということを、私は心から御礼を申し上げたい。このことによって、今日本世界からうらやまれている。何でほかの国は科学技術のお金が減ってくるのに日本だけどうして伸びるのか、こういううらやまれる状況になってきていることを申し上げておきたいと思います。  しかしながら、先生のおっしゃるように、まだこれでも随分、私が若いときに比べて日本人の論文が引用されるようになりました。実に引用されるのです。具体的に申し上げましょう。八一年には……(発言する者あり)はい、短くします。まだいっぱい申し上げたいことがあります。八一年には、日本の論文は米、英、独に次いでわずかに第四位でありました。九六年には六万六千件で、アメリカに次いで二位まで上がった。こういう努力はお認めいただきたい。これも、しかも英語で書くというのはいかに大変か、先生もおわかりだと思う。日本語で書けば一日で書けるものを、残念ながら英語でやると一月かかる。このことは御理解いただきたい。  それからもう一つ。(斉藤(鉄)委員「短くお願いいたします」と呼ぶ)はい、短くいたします。もう一点。八一年の論文については、世界の六百六十万回の、これは厳密に言いましたら九七年の調査でございます。そして、九七年までに発表されました論文、その中で、八一年の論文につきましては全世界で五・五%のシェアでありますが、九六年に発表した論文では七・八%まで引用度が上がっております。ですから、決して日本の研究者がサボっているわけではない。この点は御理解賜りたい。  しかしながら、先生のおっしゃることは明らかであります。競争原理という点では甚だしく弱い。したがいまして、例えば任期制の導入であるとか、あるいは競争原理で研究費をさらに配る、ただし、基礎、基本の研究費は与えなければならない。なべかまは与えなきゃいけないけれども、その上での競争原理による資金はふやさなきゃいけない、そしてまた研究者がその競争原理に耐えていかなきゃならない。これは先生の御説のとおりでありますので、同感いたします。
  195. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私は研究者の評価、これを厳しくしろと言いましたけれども、研究というのは、成功することがわかっているのは研究じゃないわけです。それはルーチンワークです。どうなるかわからないから研究であって、特に基礎研究はそういう側面が強い。そういうことも含めた上で、しかし優秀な研究者と全くやる気のない研究者が現実におります、大学の中にも、国立研究機関の中にも。そういうことをきちっと立て分ける、そしてきちんとした評価をするということが私はこれからの日本の技術開発力の根底になる。その点について有馬大臣の先ほどの御決意で頑張っていただきたいと思います。  次は、短期的な話、住宅建設についてお聞きをします。  現在、住宅建設は年間百十万戸、これを来年度経済成長プラス〇・五%にするためには、百三十万戸の建設ペースにしなくてはならないと言われております。そのために政府は、持ち家の、マイホームの住宅ローン減税を大幅に拡充されました。それはそれで評価をいたしますが、しかし、世の中は持ち家を持っている人ばかりではありません。賃貸住宅もあります。その賃貸住宅に対しての措置も同じようにとっていかなければ、持ち家と賃貸、大きな格差が出てまいります。バランスのとれた住宅政策が必要だと思います。  日本の住宅はウサギ小屋、狭いと言われております。狭いのは賃貸住宅、平均の延べ床面積は四十平米です。隣の物音が聞こえる、話し声まで聞こえる、そういう劣悪なマンション、アパートがたくさんございます。そういう意味で、政府生活空間倍増戦略プランをお立てになっておりますが、このプランの適用が必要なのは、持ち家ではなくて賃貸住宅でございます。  そこで提案ですけれども、この住宅政策の一つの柱は住宅ローン減税かもしれませんが、もう一つの柱に、民間の優良な賃貸住宅をたくさん供給する、そういう施策をとったらどうか、これをもって日本のウサギ小屋をせめてドイツ並みに、ゆとりある住宅にする方向性を出したらどうかと思います。  公明党はこれまで、中堅所得層向けに、特優賃、特定優良賃貸住宅を推し進めてまいりました。ゆとりある、広い民間住宅を借り上げて、家賃を補助して、安い家賃でそこに入れるという、いわゆる特優賃でございます。  そこで、総理にお伺いいたします。この生活空間倍増戦略プランの大きな柱にこの特優賃を位置づける。二月一日の予算委員会の質問で、大蔵大臣は高齢者向けの特優賃を一万戸建設するとおっしゃいましたけれども、そんな小規模ではなくて十万戸規模にして、百三十万戸ペースに戻す柱にする、そのことによって、ウサギ小屋の返上と、そして優良な民間住宅の建設を促進させる、景気回復、一挙両得、これを提案申し上げたいと思います。四人家族で百平米程度のゆとりある賃貸住宅、これについて、総理、どのようにお考えになりますでしょうか。
  196. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 私がかねて提唱いたしております生活空間倍増戦略プランにつきましての御指摘もございました。  一般住宅のみならず、こうした借り上げ住宅につきましても、その空間を倍増する、そういう努力をすべきである。かつまた、その戸数についても抜本的な対策を講ずべきだという御主張でございます。  この借り上げ住宅のプランにおきます位置づけにつきましては、建設費や家賃の減額に対する補助を行うことによりまして、高齢者向け賃貸住宅の本格的整備を推進するとともに、借り上げ方式を含めた公営住宅の整備を推進することによりまして、公営住宅のストックの解消と住宅面積の大幅な拡充を図ることといたしております。  政府といたしましても、今後ともゆとりある賃貸住宅の供給促進に積極的に取り組む考えでございますが、冒頭申し上げました生活空間倍増戦略プランという形の中で、今斉藤委員が御指摘をされたような住宅につきましても十分配意して対処しなければならない、このように考えております。
  197. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 建設大臣にお伺いします。  優良な民間の賃貸住宅、借り上げ住宅を建設促進をする。そのために、家賃補助だけではなくて、建設費の補助でありますとか税制上の優遇、こういうことも一緒に考えるべきだと思いますが、建設大臣の御見解をお伺いします。
  198. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生御指摘のとおりでございまして、持ち家は現在ヨーロッパに近づきつつあるところでございますが、賃貸住宅が非常に面積が小さいものでございまして、今平均で十三坪ぐらいでございます。  そういうようなことでございまして、先生御指摘のように、この賃貸住宅を民間から借り上げるということ、その補助だけではなくして、そういう意味において、あらゆる角度から援助をしていく。賃貸の空間倍増に向かってあらゆる施策を投入していきたいと考えております。
  199. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 これまでの政府施策は持ち家中心だったと思います。賃貸住宅に対しても、バランスのとれた政策を望みます。  次に、これも短期的な景気の話でございますが、自動車について質問をいたします。  今や、車は一世帯に一台、国民生活になくてはならない必需品となってまいりました。しかし、この自動車にかかわる税金、九つございます。しかも、道路特定財源、道路緊急整備のためという理由で、取得税、重量税、そして揮発油税などは、本来の税率よりも高い暫定税率になっております。そのために、例えば百三十万円の新車を買ったとしまして、平均寿命の九年間乗りますと、払う税金は大体百三十万円ぐらい、新車価格と同じぐらいの税金を払う。その税金の高さは、アメリカの五倍、ヨーロッパの二倍と言われております。  しかし一方、車は排気ガスを出します。二酸化炭素、それからNOx、窒素酸化物、SOx、硫黄酸化物、これらは地球温暖化の原因、また酸性雨の原因になります。ですから、税金を安くして車がふえればいいという話でもありません。  そこで、提案ですけれども、電気自動車でありますとかハイブリッドカー、水素エンジン自動車、こういう環境に優しい低公害車については、思い切って税金を、重量税、取得税についてはゼロにする。また、最新の排ガス規制、例えば平成十二年の排ガス規制、これはかなり厳しいものでございますが、この規制をクリアした車については、その取得税、重量税を暫定税率ではなくて本則に戻す。この程度の思い切った施策が必要だと思います。  いずれも道路財源ですから、道路族の強烈な反発に遭うと思いますけれども、しかし、国民の皆様の環境への意識の高さから考えれば、成熟した車社会をつくるために、この程度の税制のインセンティブは必要なのではないかと思います。これは、新しい低公害車の販売促進にもなりますし、景気回復、税収増にもつながるかもしれません。通産大臣、いかがでしょうか。
  200. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 今、国会で既に議論をしていただいております中で、自動車に関しての減税をお願いしているわけでございます。それは、まさに先生が指摘されました低公害車という分野については税を安くしようということで、実際今政府が法案をお願いしてあります。  ただ、自動車重量税、取得税とも、やはり受益と負担という観点からも物を考えなければなりませんので、極端なところまで、ゼロにするというのはどうかなと思いますが、やはり電気自動車、水素自動車あるいはハイブリッドカー等の導入をするその端緒となる時期においてはそのような税制上の措置をつけて、税制上からそのような自動車の導入を図っていくというのは一つの重要な政策選択であると思っておりまして、現時点では、我々いろいろ考えておりますが、政府が出しております低公害車に対する減税の方式が、財政当局とも御相談しながら、精いっぱいのところでございまして、また、将来状況が変わった中で新しく物を考えていくことだろう、私はそのように思っております。
  201. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 この暫定税率ですが、いつまで暫定税率でいくか。法律ができて以来、昭和四十年代、ずっと暫定でございます。確かに四十年代は道路事情も悪かった、だから早く整備しなきゃいけない、わかります。しかし、ここまで道路事情もかなり改善をされてきた時点で、いつまでも暫定というわけにはいかない。今すぐというわけでもありませんけれども、長期的なビジョンを示す、もしくは低公害車については本則に戻すという程度のビジョンが必要だと思いますが、それを最後にお聞きして、質問を終わります。
  202. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 暫定税率は平成十五年までの措置としてお決めいただいたわけでございます。平成十五年になりましたら、万般の事情を勘案して、これらをどうするかということは政府でも考え、また国会でもお考えいただくことだろう、そのように思っております。
  203. 中山正暉

    中山委員長 これにて若松君、斉藤君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木憲昭君。
  204. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  日本経済の土台をなしているのが中小企業でございます。経済の中で大変大きな役割を果たしておりまして、企業の数では九九%を占め、雇用はもちろん、生産面でも圧倒的部分を占めております。この中小企業が活性化するかどうか、これが経済全体の再建にとって決定的なかぎになると思うんです。  大事なことは、経営が苦しい中小企業地域経済に必要な分野、ここに金融機関が資金をきちっと供給するかどうかということだと思うんです。ところが、銀行の果たすべき役割がますます大きくなっているにもかかわらず、依然として中小企業への貸し渋りが横行しております。そこで、私は、きょうはこの問題に絞りましてただしたいと思います。  まず初めに、日銀に事実関係を確認をしたいのですが、銀行はどこに対して貸し出しを減らしているのか、大企業に対して減らしているのか、それとも中小企業に対して減らしているのか、その数字を教えていただきたいと思います。
  205. 村山昇作

    村山参考人 お答え申し上げます。  今先生から御質問のございました件は、企業規模別に見た貸し出しがどうなっておるのかということであると思いますので、私どもの調査の数字を申し上げます。これは四半期ごとの調査でございまして、直近は昨年の九月末でございます。  これによりますと、大企業向けがプラス三・〇%、中堅企業向けがマイナスの〇・二%、さらに中小企業向けはマイナス四・〇%、企業向けを合計いたしますとマイナスの一・九%、かようなぐあいになっております。
  206. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ただいまの数字で極めて明確になったと思うんです。  私は、これもパネルにしてみましたけれども、三月、六月、九月の実態でありますが、大企業への貸し出しは今のようにプラス三%、前の年に比べてふえております。中堅企業に対しては横ばいでありますが、中小企業への貸し出しはマイナス四%、大幅に減っております。中小企業にとっては極めて深刻な状況でございます。  政府は、昨年三月に大手銀行に対しまして公的資金を投入いたしました。日本共産党は、国民に負担をかけるべきじゃない、銀行に自己負担、自己責任を求めるべきだと主張いたしまして、この税金投入には反対いたしました。あのとき政府は、投入した資金の十二・五倍の貸し出し増が期待できる、こう言っておられました。あれから一年近く経過をしましたが、公的資金を投入した大手銀行の貸し渋りは本当になくなったのか。  銀行の貸出残高は、業態別の統計ではどうなっていますでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  207. 村山昇作

    村山参考人 お答え申し上げます。  業態別の貸し出しの状況ということでございますので、まず都銀でございますけれども、これはことし一月の数字でございます。都銀はマイナスの六・七%、長信行はマイナスの九・〇%、信託はマイナスの九・一%でございます。さらに地方銀行、地銀はプラスの〇・一%、それから第二地銀、これはプラス一・一%ということでございまして、この五業態の合計ではマイナスの四・六%ということになってございます。
  208. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の答弁でも非常に明確になったと思うのですが、私これを少し整理しまして、大手銀行、これを一つの数字に束ねました。それから地方銀行、それにさらに信用金庫、この三つに整理をいたしまして示したわけでありますが、このパネルでも明らかなように、公的資金を投入しました大手銀行ほど貸し出しは大幅に減っている。大手銀行ではマイナスの七・四%になっております。むしろ税金を投入しなかった地方銀行あるいは信用金庫の方が貸し出しは減っていない。公的資金を投入した銀行ほど貸し出しを減らしている。  この投入は最終的に閣議で決定したものでありますが、総理にお聞きをしたい。昨年の公的資金の投入が貸し渋り対策としては役に立たなかった、この事実はお認めになりますか。
  209. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 一概にそう決めつけることはできないかと思いますが、実態的に貸し渋りが昨年非常に大きな問題になってきたことにつきましては、それは各金融機関としても、大変厳しい経営環境の中でそうしたものが貸し渋りに走ったということの現実は、これは認めざるを得ないと思います。  ただ、今、御議論を聞いておりまして、非常にある意味ではわかりやすいのかもしれませんが、そうした公的資金を導入して六十兆を入れた大銀行が問題があって、中小関係企業に対する資金の問題についての御指摘もございましたが、中小企業対策につきましては、既に御案内のとおり、これは二十兆円の保証枠を設けまして、昨年末全国の保証協会を通じまして非常な努力をいたしたわけでございまして、この六十兆円の公的資金の投入は、これは大手金融機関を含めました日本金融システムの危機に対してそのリスクを解消するということでございますので、その資金の投入は必ずしも同じ次元で御議論いただくと問題がある、私はこう考えております。
  210. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今のは全然答弁になっていないと思いますね。大体、厳しい経営環境にある、全部銀行は厳しい経営環境にあるんですよ。それでいながら、公的資金を受けた銀行だけが大幅に貸出資金を低下させているんですから、公的資金を受け入れていない方は横ばいなんですから、もう事実は極めて明確であります。大体、投入するときには中小企業向けの貸し出しをふやす、こういう経営計画を出させていて、そのとおりになっていないじゃありませんか。ですから、私は、この投入が貸し渋り対策にならなかった、このことを指摘しているわけであります。  日銀の参考人、村山局長は御退席いただいて結構でございます。  さてそこで、次に、なぜこういう状況になるのかという点が問題でありまして、私は、銀行の姿勢、特に大手銀行の姿勢に問題があると思うのです。大手銀行の場合には、国際的銀行ということで、国内に貸し出していた資金、中小企業に貸し出していた資金をどんどん引き揚げて海外の投機的な分野につぎ込んでいる。私は、そういうことを正さない政府の姿勢にも重大な問題があると思うわけです。  これまで私たちは、三和銀行の資金回収マニュアルなど悪質な事例を国会で明らかにしまして、中小企業をいじめる大手銀行の姿勢を改めるように要求してまいりました。  昨年の十二月九日、我が党の笠井亮参議院議員が予算委員会で、東海銀行のマニュアル、これを明らかにいたしました。「延滞開始時の対応ルール」、そこにこう書いてありました。債務者の事情や希望的観測を聞いていると長くなるから、「延滞開始と同時に、債務者に対し厳しい対応を行う」「いち早く強硬手段に出るのが最も効果的」だ、本当にひどいことを書いているわけであります。これは、返済が一日でもおくれたら強硬手段に出る、こういうものであります。この東海銀行の文書は、相手のことなど全くお構いなしで、ともかく銀行の利益しか考えていないと言わざるを得ません。  小渕総理は、あの質問に対してこう述べておられました。「こうしたことが現実に起こっておるということでありますれば、これは本来的に国として行うべき、行ってまいりました資本の注入その他につきまして信頼を失うことでございますので、徹底的に対処するように指示したいと思います。」このように答弁されましたね。日野長官も、「調べさせていただきたい」とお答えになりました。  既に二カ月たっております。当然調査していると思いますが、結果はどうだったでしょうか、どのように対処したでしょうか、お聞かせください。
  211. 日野正晴

    ○日野政府委員 御指摘がありましたように、昨年十二月、参議院の予算委員会で、笠井委員からこの東海銀行の行内文書について御質問がございました。  早速この文書を調べさせていただきました。笠井委員が議場で配付されました文書は全体ではなくて抜粋版でございましたので、この文書全体を精査させていただきました。  結論から申し上げますと、この文書は延滞債務者への対応方法の内容についての行内の正式文書でございまして、不適切な文書ではないというふうに考えられました。延滞をした場合には行員が早目に債務者に接触を図ることなどを規定したものでございまして、これは債務者に注意を促す効果があるほか、銀行の資産の健全性確保にもつながると考えられたわけでございます。  したがいまして、この文書については、今申し上げましたように、不適切な文書であるとは考えませんでした。そこで、何らの処分もいたしておりません。
  212. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 とんでもない話だ。どうしてそういう結論が出るのか。大体、延滞開始と同時に厳しい対応を行う、返済が一日でもおくれたらいち早く強硬手段に出る、こういうことが書いてあるのです。ここには中小企業をどのように育てるかなどという姿勢は全然ない。一かけらもない。いかにして銀行が自分の利益を図るか、資金を回収するか、それだけであります。こんな銀行のやり方も正せないのは、私は政府の姿勢に問題があると言わざるを得ません。  監督庁に聞きたいわけですが、現在、資金回収マニュアルのような不適切な文書の存在について調査中だと聞いていますけれども、東海銀行にはこれ以外に問題になる文書はありませんでしたか。
  213. 日野正晴

    ○日野政府委員 早速、昨年十二月に御指摘がございましたので、ほかにもそういったものがないかどうか、銀行法に基づく調査報告命令を発出いたしまして、いろいろ調べさせていただきました。その結果、六つの金融機関に不適切な点が認められましたので、業務改善命令を発出いたしました。  今御質問の東海銀行につきましては、御指摘のような文書は私どもは見当たりませんでした。
  214. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 とんでもないと思うのですね。  ここに「改訂クレジットポリシー」、昨年十一月一日付ですよ。こういう文書があります。資料を配付してください。資料の(一)、昨年十一月一日発行の東海銀行の小冊子、この文書は報告されていないということですね、今の答弁では。今資料として配付いたしましたのはその抜粋であります。この中には大変なことが書いてある。「第四部」として、「貸出にたずさわる者の心得」というのがあります。支店長の心得として、次のようなことが書かれております。「支店長は、自店貸出先の業況を注視し、資金繰窮迫、業況悪化を認めるときは、直ちに保全強化・回収に全力を上げ、一円たりとも回収ロスを出さないよう最善の努力をしなければならない。」「債権回収に躊躇してはならない。当行が引けば倒産の引き金を引くかもしれないと心配する前に、当行の回収を最大にすることを優先しなければならない。」大変な内容ですよ、これは。  今の経済状態のもとでは、業況が悪くなるということは幾らでもあります。ところが、業況が少しでも悪くなったら、直ちに資金回収する。貸しはがしじゃありませんか、これは。しかも、相手が倒産しても資金回収にちゅうちょするな、一円もロスを出すな。全く驚くべき内容であります。  総理に聞きたいわけですが、こういう銀行の姿勢はこれは正しいと思いますか。いかがですか。——総理に聞いているのです、総理
  215. 日野正晴

    ○日野政府委員 ただいま初めて拝見させていただきました文書でございますが、現在、東海銀行も含めまして、笠井委員を初めとする国会の御指摘や私どもの答弁も踏まえて、処分の対象としなかった金融機関、もちろん東海銀行も含むわけですが、これに対して、国会の御議論等も踏まえた上で、不適切なものがないかどうか改めて報告するように、銀行法に基づく命令を本年一月十九日付で発出しているところでございます。  恐らく、これはもし不適切な文書だということになりますと、私どもが今一月十九日付で発出している命令に対して何らかの回答が来るものと思いますので、それの来た段階で改めてまた対応させていただきたいと思います。
  216. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 総理に、この銀行の姿勢はこれは正しいものだというふうにお考えになるかどうかというのを先ほど聞いたわけです。総理、認識を聞いているのです。
  217. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず、これは十一月一日の東海銀行の文書とこれを信頼して考えますが、私は昨年暮れ、年末押し詰まりましたけれども、関係金融機関の代表を集めまして、こうした金融機関の貸し渋り等について、心して対応するということでお約束を願って帰っていただいておるわけでございまして、私はこうした対応は既にないものと考えております。  しかし、いずれにいたしましても、私企業として、みずからの金融機関を守ろうという姿勢のあらわれとしてこうした文書をあるいは発出したのかもしれませんが、しかし、こうしたことによりまして、公的な金融機関、社会的責任を負って、しかもお取引先につきまして十分な資金を提供するという金融機関として考えますと、こうしたことが貸し渋り等に連係するといたしますれば、これは好ましいことでない、こう考えます。
  218. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 好ましいことではない。  しかも、この文書によりますと、「経営会議の決定により制定・改訂される。」こういうふうに書いてあるのですね。経営会議というのはどういう会議か。取締役会のもとに置かれ、頭取が議長になっている最高決定機関であります。ここで正式に決定されたものであります。ただチェックされない文書がたまたま出てきたというのではないのです。「対外厳秘扱いとする。」「融資業務にたずさわる者全員に配布される。」と書いてある。いわば社内の最高決定機関で正規に承認されて作成され配布されたマル秘文書であります。  このような血も涙もない債権回収で、これまでどれだけ多くの中小企業が泣かされてきたか。中小企業がどれだけつぶされ、自殺に追い込まれてきたか。あなた方は知っているのですか。  このような文書がある以上、きちっとやはり私は正すべきだというふうに思います。直ちにこれを調査して改めるべきだ、改める指導をすべきだと思いますが、総理、いかがですか。
  219. 日野正晴

    ○日野政府委員 先ほども御答弁申し上げましたが、一月十九日付で、そういった文書があるかどうか、不適切なものがあるかどうか、現在調査中でございます。  改めて、その結果に基づいて御報告を申し上げたいと思います。
  220. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 調査中と言いますが、この文書は十一月に出されている。十一月に調査を一度やったでしょう、大手銀行に対して。そのときは報告されていないのです。銀行法違反じゃありませんか、二十四条。この報告を出さないという行為があった場合には罰則があるのです。三百万以下の罰金、一年以下の懲役、刑事罰があるんじゃありませんか。これから、今調べているというような問題じゃないのですよ。調べ方に重大な問題がある、私はそう思います。こういう文書は、総理、これは一つの銀行だけではないと私は思う。  今、昨年十月から始めた中小企業金融安定化特別保証制度、これがありますけれども、銀行が悪用しているという問題があります。この制度は、中小企業を助けるために、政府が貸し渋り対策として信用保証協会に二十兆円の特別保証枠を設けたものでありまして、担保などが不足している中小企業が銀行から融資を受けやすくするために、都道府県の信用保証協会が債務保証をする制度で、最終的には国が保証人になる、そういうものであります。銀行にとっては、融資が焦げついても貸し倒れの心配がないので、融資がしやすくなるというものでございます。  通産大臣にお聞きしますけれども、この制度の目的は中小企業の利益を図るということであって、銀行のためにつくられたものではないと思いますけれども、これをまず確認しておきたいと思います。どうですか。
  221. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 これは、資金繰りさえ順調であれば健全な経営ができるという中小企業に対する金融支援でございまして、のべつ幕なしに、中小企業に万般にお金を出すという話ではございません。  やはり、健全な経営が図れる、そういう中小企業に対して、保証人がない場合に各県にございます保証協会が保証行為を行って、その中小企業が資金の融資を受けられる、そういうことをやるためでございまして、別に金融機関を助けるための制度ではないことはもう言うまでもないことでございます。
  222. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 総額二十兆円の新しい枠をつくりました、それは大変結構なことだと思います。  ところが、この制度を銀行が悪用して、中小企業に貸していた資金を信用保証つきに切りかえさせるとか、あるいは、保証つきの融資を受けさせて、その中から貸していた分を回収するという悪質な事例が出ていまして、いろいろな訴えが出ております。  例えば、銀行から、信用保証協会に五千万円の申請をしないか、こういう誘いを受けまして、これは夢のような話だということで借りた。信用保証協会の保証がついたら、その資金は返済に回せ、こんな暴挙を許していいのかという訴えがあります。  統計的にもこの点ははっきり出ておりまして、例えば、東京商工会議所が昨年十二月に資本金一億円以下の中小企業について調べました。この結果がここに出ております。特別融資を利用した企業は四九・一%、約半数です。そのうち、取引金融機関よりこの制度を利用して既存の借り入れの返済に充当するよう要請があったと答えた企業は、一五%に上っております。このアンケートでは、この制度は企業より金融機関のためのものだ、こういう声さえ寄せられているわけでございます。  また、愛知の中小企業家同友会のアンケート調査も私ども見せていただきました。この調査でも、中小企業の半数が利用し、そのうち一五・三%が、融資を要請した金融機関から既存の融資との借りかえを求められたと回答しております。これは、かなり広範に広がっていると思わざるを得ません。  横浜銀行がこの制度を利用して自分の債権回収を図るために、千載一遇のチャンスと書いた文書を出して、これは問題になりました。国会でも取り上げられました。  金融監督庁は、十一月、十二月に全国的に調査をし、不適切なものについては改善命令を出したと言いますけれども、どの銀行にどのような改善命令を出したのか、その内容を示していただきたいと思います。
  223. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の横浜銀行を初め、青森、福島、親和の各銀行につきまして、信用保証協会保証つき融資に関して不適切な表現を含む内部文書を支店に通知したということの報道が行われましたので、この各行の債権管理体制についても報告を求めましたところ、そういった事実が確認されましたので、銀行法第二十六条に基づく業務改善命令を発出いたしました。  この内容でございますが、一つ一つ申し上げるとあれですが、信用保証協会法一条の中小企業等に対する金融の円滑を図るという目的規定に照らして、誤解を招くおそれのある内容を含む文書が支店に通知されるなど、銀行業務の公共性の観点から不適切な業務運営が認められたこと、これらの文書が法令等遵守に関するチェックが機能しないまま発出されるなど、法令等遵守体制の不備が認められるということなどから、内部管理体制の強化として、再発防止策の策定、実施、それから法令等遵守体制の充実強化、それから内部管理体制強化策の実施状況に関するフォローアップの実施と評価、それぞれに関する業務改善計画の提出を命ずるものとなっておりまして、それぞれの銀行からこの業務改善命令に対して改善計画が提出されているところでございます。
  224. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 いろいろ言われましたけれども、要するに、この文書がなぜ悪かったかといいますと、この制度は中小企業のための制度ですということを一応書きながら、それに加えて、我が行の資産の健全化にもつながるので推進すべきだ、そういう書き方をしているのが悪いということになると思いますが、そういう理解でよろしいですね。
  225. 日野正晴

    ○日野政府委員 繰り返しになって恐縮ですが、保証協会法の目的規定に照らして誤解を招くおそれがあるということでございます。
  226. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 目的規定というのは、中小企業のためという目的に反している、つまり銀行の自己の利益のためにそれを利用し、回収を図るというのは、不適切であるということだと思うんです。  改善命令を出された先ほど言われた銀行は、すべて小さい銀行あるいは地方の銀行、信用金庫、こういうところでございますが、十一月の調査では大手銀行でこのような文書を出しているところはありませんでしたか。
  227. 日野正晴

    ○日野政府委員 現在までのところ、十月、十一月分を調べさせていただいておりまして御報告申し上げておりますが、十二月分については現在まだその調査中でございますが、御指摘のようなものは今のところ見当たりません。
  228. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これは、私たちはそういうことはないと思います。事実があります。資料の二を配付してください。  大手銀行は、私は二つの事例を紹介したい。  まず一つは第一勧銀の文書であります。今配付をしておりますけれども、昨年九月三十日付で全店にあてた指示文書であります。  表題は「十年度下期のマル保付貸出金の運営方針について」。マル保というのは信用保証協会の特別融資枠のことであります。「営業担当者全員に周知徹底のこと」、このようになっております。  何が書かれているか。「マル保付貸出金の運営方針」として、「マル保付貸出金は、万一、当該貸出金が不良債権化した場合でも早期且つ確実に一〇〇%回収することが可能である有効な保全強化措置といえる。」つまり資産を保全できる。要するに、今度の特別融資枠を使えば銀行にとって一〇〇%回収できる、取りはぐれがない。「当行にとっても本制度のみに認められる当行プロパー貸出金からマル保付貸出金へのシフトにより一層の保全強化を図ることが可能となる。」ついては他行に先駆け確実に実施されたい、こういうふうに書いている。信用保証枠にどんどんシフトすれば自分のところは債権を保全できる、だから他の銀行に負けないようにやれ、こういうふうに書いてあるわけであります。  これは、既に改善命令を受けた横浜銀行などと全く同じ性格の文書であります。この文書はまさに無法を指示する文書ではありませんか。いかがですか。
  229. 日野正晴

    ○日野政府委員 ただいままだ拝見させていただいているところでございまして、にわかにお答えはできません。全体をよく精査させていただいた上で御回答申し上げたいと思います。
  230. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 資産保全に役立つ、明確にそういうことが書かれているわけです。これは全く横浜銀行の文書と同じ性格のものです。一目瞭然じゃありませんか。  それだけじゃありません。もう一つ、さくら銀行の文書があります。  昨年九月二十九日付のものであります。日付は第一勧銀と一日しか違いません。わざわざ「読後破棄」、こういうふうに書いてあります。よっぽどこれは都合の悪い文書だと思うんですが、表題は「十年下期の貸出金運営について」。  ここには「アセット運営」という項目がありまして、アセットというのは銀行の金融資産、つまり貸出金のことでありまして、「資産入替えによる効率的アセット運営」と書かれております。「問題アセット削減とマル保の積極活用」、その内容として、要注意先の回収強化、保証制度拡充に伴うマル保の積極活用。要するに、経営の不安定な中小企業への融資を回収、削減、こうやって、今度の保証制度の特別枠を大いに活用する、これまでの貸し出しを信用保証制度のついたものに入れかえる。まさに公金の横取りじゃありませんか。  さくら銀行の文書は九月二十九日、第一勧銀は九月三十日、特別保証枠がスタートしたのは十月一日。まさにその直前にこれらの文書が出されているわけであります。  これを見ますと、多くの銀行がこのような指示を一斉に出していると考えざるを得ない。ところが、十一月の金融監督庁の調査では何一つ把握できていない。どんな調査方法で調査をしたんですか。
  231. 日野正晴

    ○日野政府委員 先ほどからたびたび御答弁申し上げておりますように、一月十九日付で、こういった文書がないかどうかということを現在報告を求めております。  したがいまして、その文書に対する回答として虚偽の回答が来た場合には、当然罰則の適用もございます。ですから、私どものところには、恐らくこの不適切な文書は当然回答が来るものというふうに考えております。
  232. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 大体、調査のやり方が私はおかしいと思うんですね。報告を求めている。つまり、これはもう何度も私たちは国会の中で具体的な事例を指摘して、事例を指摘してから金融監督庁は動き始める。しかも、悪いことをやった銀行はどうぞ名乗りを上げてください、こういうやり方をしている。私は、その姿勢に根本問題がある。こんなことでまともな調査などできるはずはございません。  総理、これはやはり徹底的に調査すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  233. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 昨年の臨時国会におきまして、この貸し渋り問題をめぐりまして、各金融機関が非常に不適切な行内の文書を発出して対応したということにかんがみまして、本院でも鋭く御指摘がございました。  よって私は、昨年の暮れに、これは借り手である中小企業の団体の全国の皆さんを、暮れの暮れでありますが、お呼びいたしまして実態についてお聞きをいたしました。その上で、それこそ師走の最後に金融機関の各代表をお呼びいたしまして、それまでの国会の審議の状況を十分説明し、新しい年になりまして、二度と再びそのような文書が存在し、かつ行為が行われるというようなことがあるとすれば、私といたしましても、本当に、国民を代表して、こうした立場にあって、全くそのことは金融機関としての対応として指弾に値するということでありまして、ぜひ、そういった意味で、新しい国会でそのようなことが指摘をされないようにということを申し上げておるわけでございます。  そこで、今御指摘をいただきました文書につきましては、これは真実のものと考えますが、いずれにいたしましても、これはその調査をいたす以前においてこうした文書が発出されており、そのことは不適切であると指摘をいたしておるわけでございます。  したがって、金融監督庁につきまして、今御答弁がありましたけれども、全力を挙げて今対応いたしておるわけでございまして、私といたしましては調査をさらに積極的に進めさせてまいりたいとは思いますけれども、同時に、金融機関、全国の責任ある各団体の代表に官邸に出向いていただきまして、私といたしましてもそのように強く申し入れしておるところでございますので、以降そうしたことがありますれば、政府としてなすべきことは全力を挙げてなしていくということをお約束をいたしたいと思います。
  234. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 官邸に代表を呼んでやった結果がこういう事態です。呼んでやっても報告が上がってこないというところに重大な問題があるわけです。  ゼネコンなら、違法な談合をやれば指名停止などの処分があります。しかし、銀行がこのような反社会的な行為をやったことに対して、けじめがついていないんですよ。これまで何度も国会で取り上げても直らない。次から次へと大手銀行の悪質な資金回収、公的資金を横取りする、そういうルール違反の文書が出てくる。  本来、銀行の第一義的役割というのは、国内の産業、地域の中小企業に対して十分な、必要な資金を供給する、そういうことではないんでしょうか。それがやはり銀行業界の最優先の課題だと思うんです。ところが、こういう大手銀行のやり方というのは、この本来の役割を放棄して、国内から資金をどんどん引き揚げる、そして海外の投機的なところに回していく、こういうやり方をやっておりまして、しかも政府は、そういうやり方を規制するどころか、ビッグバンだ自由化だと、国際競争力をつけてやらなきゃならない、こういうことで大手銀行の行為をあおってきた、ここに問題があると思う。  例えば、金融再生委員長の柳沢大臣が、一月五日の朝日新聞で、公的資本注入を大胆な金融再編や国際競争力強化のためのレバレッジ、てこにしたい、こう述べる一方で、一月三日付の日経新聞では、「今回の資本注入ではお金をあげますから貸し渋りをしないでください、などということは言わない」こうおっしゃっている。私は、これはもう本当にびっくりしました。貸し渋りには文句は言わない、公的資金、税金を投入して体力だけはつけてやる、これじゃいつまでたっても銀行の姿勢は改まらないと私は思うのです。  総理にお聞きをしたい。国内に資金を回さない、中小企業から貸しはがす、中小企業をつぶす、こういう大手銀行に体力をつけてやるという必要はないんじゃありませんか。いかがですか。
  235. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 今私の発言に関する新聞記事を引用されたんですが、発言のごくごく一部を取り上げて、そういうようにすべての意図を表現しているというような質疑のされ方をされますと、非常に誤解を招いて困ります。  そういうことではなくて、私どもが今やっているのは、中小企業の人たちにお金をむしろ貸してください、それが、先ほど私どなたかの御質問でもお話しした、銀行は、これからホールセールというのはむしろ直接金融に移っていく、リテール、個人への貸し出しあるいは中小企業への貸し出し、そういうことこそが自分たちの領分になる、こういうことに傾向的になってきておるわけでして、佐々木先生、一方的にこう、すべて、一部の発言を取り上げて断罪するかのような、そういう御発言というのは、もう少し公平であっていただきたい、このように思います。
  236. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は、一方的に言っているのじゃなくて、事実を示して、新聞についても具体的な記事を示して尋ねているわけでございます。  どうも政府の姿勢というのは銀行に甘過ぎると思う。昨年三月に公的資金を投入した大手銀行の貸し渋りは、先ほど示したように、ますますひどくなる。横浜銀行は、あのような文書を出して改善命令を受けたけれども、平気で前回の十倍の公的資金を申請しようとしている。きょう私が明らかにしたルール違反文書を出している銀行も、当たり前のように莫大な公的資金を申請しようとしております。第一勧銀は前回よりも十倍近い九千億円も申請する、さくら銀行は八倍の八千億円、東海銀行も六倍の六千億円、次々とそういう申請を出そうとしております。昨年三月には総額一兆八千億円の投入でありました。今度はその四倍以上の七兆四千五百億円もの莫大な資金を投入しているわけであります。  本来なら、政府は、ルール違反を行ったこういう銀行に対しては、出した金は返せと言うのが筋じゃありませんか。ところが、六十兆を積み増して、どんどん使え、もっと積み増ししろ。私は、こういう姿勢に根本問題がある、税金の使い方が間違っていると思うんですよ。  今までの三つの銀行で一兆三千四百億円が使われ、それが本当にパーになってしまった。来年度予算では二兆五千億円盛り込んだ。合わせて三兆八千四百億円。消費税の税率にして一・五%分だ。今、七兆四千五百億円の公的資金、これを申請しようとしていますが、消費税率でいえば三%分ですよ。これだけのお金があれば、消費税の減税なんかはすぐできます。
  237. 中山正暉

    中山委員長 佐々木君、時間が来ておりますので、質疑時間をお守りください。
  238. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は、このことを主張しまして、質問を終わります。
  239. 中山正暉

    中山委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。  次に、保坂展人君
  240. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  小渕総理、つい先日の官邸での御発言で、経済再生を優先して考えてきたんで教育について不勉強であった、これから力を入れたいというふうにおっしゃったそうですが、そうであれば、本日の答弁、若い人たち、子供たちの前で、まず真摯に、誠実にお願いしたい、それを一言言っておきます。  私は、経済雇用情勢の悪化、金融システム不安の背景に、国や政治に対する信用不安、不信、これがあると思います。  先日、私は、ある中央省庁の枢要なポストについている局長さんの名前をある新聞社のデータベースで引いてみました。七十七件中三十三件が不祥事、それにまつわる処分という方がいらっしゃいました。どなたかおわかりでしょうか。想像できますでしょうか。
  241. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 大蔵省におきまして、先年いろいろ不祥事と申しますか、ございまして、そういったことからみずから責任を負って退任された方もおられますし、また世間のいろいろな批判の中でみずからの身を処した方もおられました。そういう意味で、特定をすることはできないと思います。
  242. 保坂展人

    保坂委員 おっしゃったように、接待汚職あるいは自己申告書の調査で身を引かれた、あるいは更迭されたという方もいるわけです。大蔵省では百人を超える金融関連部局の処分が出ました。私が今データベースで引いた方というのは、だれあろう、今回の予算を責任者として編成されている主計局長です。  この予算委員会で、一昨年、石油ブローカーの証人喚問がありました。その席で私は、絵を贈ったという雑誌の記事に触れて、その絵を国会で調べたいということで、異例ですね、全く異例の国会における絵の鑑定ということが三月に実現をしたわけです。  その鑑定の結果、御本人が、大蔵大臣に伺いますけれども、大蔵大臣、絵の鑑定の結果、御本人がどういう感想を漏らされたか、これは予算委員会の分科会で述べられているんですが、御存じですか。
  243. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 遺憾の意を表明したと思いますが、その他は聞いておりません。
  244. 保坂展人

    保坂委員 遺憾の意を表明してくれたんならいいんですよ。私は、議事録にも残っていますよ、三月に御本人に聞いたら、こうおっしゃったんですね。院の先生方の努力によって疑惑が晴れた、一億円の絵だなんだと言われて大変迷惑した、二十万円相当のシャガールのエッチングだということがわかって大変感謝している、ありがたい、うれしい。  私はびっくりしましたよ。要するに、その国会における、幾ばくかの税金を使って、そしてその大蔵不祥事の総括責任者ですよ、官房長当時。その方が、まずやはり反省の言葉があってしかるべきじゃないでしょうか。  どう思われますか、大蔵大臣。
  245. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのこと、存じませんから、私からコメントしようがありません。
  246. 保坂展人

    保坂委員 総理、どう思われますか。
  247. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 私も今正確に理解いたしませんので、お答えを差し控えます。
  248. 保坂展人

    保坂委員 では、大蔵省にはあしき伝統があって、例えば公費天国という疑惑があって、その当時の方が結局は日銀総裁まで上り詰めていっている。昨年の大変な大蔵スキャンダルの報道の中で、内部からの声としても、こういったものを見ていて、ああ大丈夫なんだ、こういうふうに思った。  先日のこの予算委員会の公聴会で、評論家の佐高信さんはこういうふうにおっしゃっていますよ。やめるどころか、間もなく次官になるという話がある、大蔵には自浄能力がないのか。  総理、どう思われますか。
  249. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 参考人のおっしゃったお話に、私はコメントしようとは思いません。
  250. 保坂展人

    保坂委員 では、別の聞き方をしますが、大蔵省のトップたるべき事務次官には、どういう適性あるいは品性が必要だと思われますか、小渕総理
  251. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 人格が高く、また有能であることが大事です。
  252. 保坂展人

    保坂委員 これは、かつて三塚大蔵大臣がどういう局面で辞任をされたか。大蔵省の金融検査、これをめぐるスキャンダルでついに強制捜査の手が伸びた、そのときにいわば引責辞任をされたわけですね。そのことは極めて重いわけです。  とすれば、そういう事態を規律保持の監督責任者として見てきた、そういう方がやはりけじめをつける、これは必要なんじゃないでしょうか。大蔵大臣、どうですか。
  253. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今の御質問、ちょっと意味がわかりませんので、もう一遍お願いします。
  254. 保坂展人

    保坂委員 ですから、大蔵大臣は政治家として、金融検査官の、今第一勧業銀行の資料も出ましたけれども、こういう金融検査そのものがインチキだった、接待まみれで腐敗していた、あるいは示達書まで全部接待で流していくということがスキャンダルで明るみに出たわけですね。そういう一連の事態をとって大臣はおやめになった。その時期ずっと規律保持の責任者だった方が今の主計局長じゃないですか。官房長当時、その責任者じゃないですか。そういうところで、あのときの金融関連部局の調査の対象に入っていた。にもかかわらず何のけじめもない。国家公務員法による処分もないじゃないですか。そういうことでけじめがつくんですか。予算に対する信頼が生まれるんですか。
  255. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 当時の大臣が、一つ一つのケースをお調べになって、そうして適正と思われる処理をされたと承知しております。
  256. 保坂展人

    保坂委員 小渕総理に、教育についてきちっと考えるということは、やはり大人があるいは政治家がきちっとリーダーシップをとる、責任をとるということだということをきちっとわきまえていただきたいと思います。いかがですか。
  257. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 教育の重要性については、先般申し上げましたのは、前内閣といたしましても六大改革をやっておりまして、その中で、種々の構造改革は構造改革としてやらなければなりませんが、教育の改革ということは最も先行して行うべき大きな課題であるという教育に対する認識を新たにしたことを申し上げたところでございます。
  258. 保坂展人

    保坂委員 要するに、国や行政に対する信頼、そこの回復について私はずっと述べているわけです。  もう一点、これは東京の世田谷区で一年半前に起きた小学校二年生の少年が交通事故で亡くなったという件で、これは総理御存じだと思いますけれども、この件で、結局十分な捜査が行われずに不起訴になった。そして、不起訴ということ自体を国の窓口で、東京地検の窓口でですが、これを何の説明もなく、あなたに教える義務はないんだ、そして、検察審査会のパンフレット、これだけを渡されて、これは不当だと大変多くの署名も集まり、世論も巻き起こったわけです。この件について御存じでしょうか、小渕総理
  259. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 たしか報道を通じまして、そうした事件があり、それに対する対応があり、またそれに対するいろいろと事後の処理がされておるということは承知をいたしておりますが、詳しくは、もし必要があれば法務当局から御答弁することが適当だと思います。
  260. 保坂展人

    保坂委員 この件で、実は下稲葉前法務大臣は、大変率直に、被害者である御遺族に対して、不適切な対応だった、不愉快あるいは迷惑をかけたんだとしたらおわびしたいとはっきり陳謝されたわけです。大変勇気ある謝罪だったというふうに考えるわけですが、昨年の十一月にこの件では一部、東京地検の方で再起訴ということが決まったと、これもニュースになりました。  そして、実はその検察審査会についてなんですが、先月の一月二十七日に議決書が出ました。これをちょっと読んでみて大変驚いたんですが、この議決書の中にはこう書いてあります。  要するに、本件申し立ては却下する。却下するということの理由の中で、この隼君の両親は告訴もしくは告発をした者ではないんだ。つまり、隼君の御両親は、告訴、告発をした者、請求を待って受理すべき事件について請求をした者のいずれにも当たりません。この規定の「犯罪により害を被つた者」とは、犯罪の直接の被害者をいうもので、隼君の両親は直接に被害をこうむった者ではないんだ。  これは大変すごい内容なんですね。  その直接に被害をこうむった者というのは、実は亡くなったお子さんなわけです。その亡くなったお子さんについて、もうお子さんは亡くなっているので御両親が申し立てするしかなかったんだけれども、しかし、これはそもそも資格の要件を満たさないんだ、こういうふうに言っているわけなんです。  法務大臣に来ていただいていますので伺いたいのですが、こういうことを、検察の窓口が、あなたに教える義務はないんだ、非常にまじめでない、親切でない対応をしたということについて下稲葉法務大臣は謝っていただいたのですが、しかし、この中身を説明をちゃんとしたのですか。
  261. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 お答えいたします。  検察審査制度のやり方、検察審査会法には、確かに先生御指摘のとおり、被害者の遺族には審査申し立ての権限は与えておりません。おらないものですから、職権でもって審査をすることができるようになっております。そして、検察の担当の方が、これは裁判所の仕事ですが、検察審査会に申し立てればということで審査を申し立てられた。  それは、御両親は法律上審査の申し立て権がありませんから、これは却下されたんですが、職権でもって二つの件について検察審査会は即座に審査を始めたわけです。そして、ひき逃げについて、すなわち道路交通法違反のことについては、本件は不起訴処分相当ということで、検察審査会はちゃんと審査をして結論を出しております。そして、業務上過失致死については、審査をしている途中で起訴をされましたので、本件は審査を打ち切るということにいたしました。  すなわち、法律では確かに申し立て権がないんですが、職権で審査を始められることになっておりまして、それを想定してお話ししたんだと思います。そして、それを受けて検察審査会は二件についてちゃんと審査をして結論を出した、こういうことだと思います。
  262. 保坂展人

    保坂委員 質問のポイントは、被害者とともに泣く検察ということをうたっているからには、法務大臣、今のことは御説明はわかりましたけれども、窓口で検察審査会のパンフレットのコピーを事務方の方が渡すときに、こういうふうに法律はなっているよという説明をしたのか、あるいはその後、社会問題になりましたから、そういうことをきちっと伝えてきたのかどうか、その点に絞って答えてください。
  263. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 これは現段階ではちょっと想像なんですが、それはこういう手続があるけれども、職権でこれはいけば、裁判所の中にもいっぱい書いてありますね、いろいろな不満があったら検察審査会へお申し出くださいということで、申し出れば、それはやはり受けられるということで、そういう御紹介をしたと思います。
  264. 保坂展人

    保坂委員 私はとてもおかしいと思うのは、この件で何度も前大臣が不適切だったとわびているわけですね。自分が組織の長として監督している部下の行ったことについてわびているわけです。大変立派だったと思いますが、現場の方はきちっとこれは処分され、けじめをつけられたのでしょうか。まさか昇進しているなんということないでしょうね。
  265. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 確かに委員指摘のとおり、一番最初の不起訴の理由等を聞きにいったときの担当者が不適切な対応をしたということがございまして、それで下稲葉法務大臣は何度もおわびを国会でもしたわけであります。  それを受けて、私どもも被害者や御遺族の方の心情に絶えず思いをするということが必要なことだというふうに思いまして、こういうことを徹底するために、この事件が起きましてから、被害者に通知をするという制度を東京地検では始めました。そして、私が就任いたしましてすぐ、これは全国統一した様式で始めるべきだということで、委員は御承知かとも思いますけれども、四月一日から被害者通知制度を始めようということをいたしました。  それと同時に、この検察審査会制度をつくられた昭和二十年代ですけれども、このときの提案理由の説明書を見ますと、やはり国民の声を入れなきゃいけない、大陪審、起訴陪審のことを考えていたのですね。考えていたけれども、今は検察審査会でいこうということでございました。  私は、やはりこういうところに民意を通じさせ、適切な行政ができるようにするためには、やはり私は、これから考えられております司法制度改革審議会等でこうしたことについても御審議をいただき、適切な改善をしていかなきゃいけないというふうに思っております。
  266. 保坂展人

    保坂委員 私は、大臣は謝ったけれども、現場の方、あるいはその行為そのものを生み出した方のけじめがきちっと行われたかどうかという点をただしたわけですが、時間がありませんので、法務大臣のお正月の賀詞交換会における憲法をめぐる発言について伺います。  これについては、閣僚懇談会で総理から真意を求められて陳謝され、撤回をされたとおっしゃっていますけれども、国民に対して、あるいはその場に集まった法務省あるいは検察の三百人の組織に対して、同じようにこれを伝達するということをなさいましたか。
  267. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 これは、委員にこの間法務委員会でもいろいろお話し申し上げてお聞きいただいたと思いますが、正月のお祝いをする会で、私が司法制度改革をやろうということをお話ししたわけですが、そのときに、司法制度改革をめぐるといいますか、いろいろ内外の情勢、厳しいものがあるというお話をしたかったというのが真意でございまして、そのときに改革の必要性を強調する余りに不適切な発言があったということで、私は実は総理のおしかりを受けましたけれども、そうでなくてもこういう発言はすべきでなかったということで、撤回をしておわびをいたしたいと思っておりました。  そして、内閣の中、法務省の内部の会で起こったことでありますので、まず閣僚協議会でおわびをし撤回をさせていただきまして、その後予算委員会でおわびをして撤回をさせていただき、この間法務委員会でまたおわびをして撤回をさせていただきました。  そういうことで、これは内閣に対し、そして国民の代表の皆様の前でおわびをしておるわけでございますから、すべての方におわびをさせていただいたというふうに感じてはおります。
  268. 保坂展人

    保坂委員 総理に伺いますが、先ほどの大蔵省のスキャンダルあるいは規律の、余りにも、接待の海というふうに当時の特捜部長をして言わしめた、そういう現状を監督するはずだった方が、何のけじめもついていない。あるいは法務省の件もそうですけれども、大臣は何度も何度も謝って、しかし現場はこれは知らない、そのまま何のけじめも行われていない。これはやはり、強いリーダーシップということを言われるのなら、政治家が役人の不始末を全部背負うこと、これではリーダーシップとは言えないと思うのです。この点について、小渕総理、いかが考えますか。
  269. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 中村法相の正月における発言につきましては、先ほどの経緯の中で、御本人がこの発言を不可として陳謝し、撤回をいたしておりましたので、私といたしましては、これを了とし、本職に専念をしていただくように申し上げておるところでございます。
  270. 保坂展人

    保坂委員 今までのやりとりをずっと聞いていても、お問いかけした、質問をしたことに誠実に答えてくださらないですね。ですから、子供たちや若い人たちが、この国会の中継の視聴率もどんどん落ちているという話もありますけれども、きちっと聞いたことに対して答えるということから、若い世代に対するメッセージはあり得るんだということを強く指摘しておきたいと思います。  さらに、日債銀の問題、長銀の問題もそうです。国会の場でうその証言をする、平気で事実と異なることを並べ立てるということに対して何の罰則もないということを悪用して、でたらめな答弁がまかり通っている現状です。これは、現状では日債銀についても、防衛庁の装備品疑惑についても、証人喚問を強く求めたいと思います。  小渕総理、きちっと対処してください。答弁をお願いします。(発言する者あり)
  271. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 院のことでございますので、院において御判断を賜りたいと思います。
  272. 保坂展人

    保坂委員 でたらめというのは、不規則発言ででたらめとあるのですけれども、何度も何度も指摘できるわけです。防衛庁の問題にしても、政府委員が出てきて事実と異なることを言って、これをいいかげんに、本当に謝罪もしないで通過させていく、そういうことで本当の審議はできないわけです。  ですから、社会民主党として、強く今回の証人喚問、日債銀及び防衛庁の装備品疑惑について、委員長に強く証人喚問を求めたいと思います。委員長、いかがでしょう。
  273. 中山正暉

    中山委員長 理事会で協議をいたしたいと存じます。
  274. 保坂展人

    保坂委員 時間になりましたので、終了いたします。
  275. 中山正暉

    中山委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして金融財政並びに景気対策についての集中審議は終了いたしました。  次回は、来る十五日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会