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岩國委員 ありがとうございました。
私の家族の例を引いて恐縮ですけれども、
パリの小
学校、その小
学校というのは英語とフランス語と二つの
言葉で
教育しておりました、小さいときから英語、母国語とできるように。
その
学校はもう
一つ変わったことをやっていました。毎週水曜日になると、近くのムドンという林の中へ行って、森の中で一日
教育をして帰ってくる。あの
パリの
コンクリートでつくられたような都市の中で、自然と少なくとも週一回は触れ合って、そこで帰ってくる。私は、そういう自然との触れ合いというものを失おうとしないように努力している、そういう
学校教育はすばらしいなと思いました。
そういう思いから、私は木のお医者さんをつくったことがあります。今でもそれは
日本の制度として残っておりますけれども、
人間が病気をしたらお医者さんがいる。動物が病気をしたら獣医さんがいます。木にも命があります。その命のある木にだけはお医者さんがいない。樹医制度をつくり、今全国で四百人の樹医さんが誕生しております。
たったそれだけのことで小さな
子供にもすぐにわかります。樹医さんが木を診断して、そして木は元気になる。木にもお医者さんがいる。木にも僕
たちと同じように命があるんだ。木に命があるということを知ってしまった
子供たちは、木をいじめなくなるんです。身の回りの木にも緑にも命がある、そういうことが大切ではないかと思います。
小
学校の夏休みになりますと、木の塗り絵ノート、そういうものを
教育に使っております。五十の代表的な木の種類を塗り絵にして、いつ、どこで見つけたか、そして木の
名前を覚えて、五十人の木の
友達をつくって夏休みが終わります。何のためにそんなことをしているのか。
人間と
人間が
友達になるときに一番最初にやることは、相手の
名前を覚えることです。相手の
名前を覚えられなかったら、その人とは
友達になることはできない。
出雲の
子供には木の
名前を覚えてもらって、木と
友達になる、そういう
教育が私は必要ではないかと思います。
大臣もおっしゃったように、私は、
学校の
先生よりも偉大な
先生は、自然こそ最も偉大な教師ではないか、そういう
原点をもっと
日本の
教育にもう一回持ち込んでいただきたい、それを強くお願いいたします。
最後に、
教育について、
学校に日の丸を掲げている
学校が最近少なくなりました。アメリカでも、いい
学校は、特にプライベートで
教育に熱心なところは必ずアメリカの国旗を掲げております。それは、その
学校で勉強する、学ぶことが立派なアメリカ人になるということへ直行しているからです。よい
国民になるためには
自分の国の国旗を常に尊敬する、私はそれも大事な
教育の
原点ではないかと思います。
学校の国旗掲揚とか国歌に対する、国歌に対してはまた別の
意見もあろうと思いますけれども、国旗については、いろいろな歴史を経て、そして今もなお
日本を代表するものであります。小さな
子供のうちから
日本の国旗を愛し、そして誇りに思う、どこの村へ行っても、
日本じゅう必ず小
学校、中
学校にはきちっと日の丸がかかっている、私はそれは美しい風景だと思うのです。そういう美しい、そして
外国に誇れるような、そのような小
学校、中
学校でありたいと思います。
私が
ロンドンに赴任しましたときに、二人の娘を
学校に行かせるときに、
教育のいい
学校を探しました。家主さんが一生懸命探してくれた。ミスター
岩國、あそこにパブリックスクールがある。私の貧弱な英語の知識では、パブリックスクールというのは公立
学校。公立
学校で大丈夫かなと思いましたら、パブリックスクールというのが実はイギリスでは私立
学校。そして、なぜわざわざ私立
学校をパブリックというのかと聞きましたら、それは将来、その
学校で学んだ
人たちが、パブリックのために奉仕する人、パブリックサーバント、あるいは政治であれ
経済であれ行政であれ、国や
社会のために役に立つ人を
教育するからパブリックスクールだと言う。私は、こういう精神も
日本には少し欠けているんじゃないかと思うのです。
自分のために、
自分の就職のために、それは必要なことかもしれませんけれども、そうしたよりよい公人を育てるという誇りを持った
学校がもっともっと私はふえていいと思います。
小
学校や中
学校にしましても、最近の世田谷の小
学校のある例ですけれども、
卒業生が百人、そのうち女子
生徒は五十人。五十人のうち四十八人が私立中学へ願書を出したのです。残り二人はなぜ出さなかったのか。それは転勤のために出さなかったというだけなんです。実質的に、五十分の五十が私立
学校へ出した。そして、もちろん公立中
学校はなくなったわけではありません。私立中
学校に入れなかった
子供たちは公立中
学校へ行く。私
たちの小さいころは、私立
学校というのは公立
学校へちょっと行けないような、失礼な
言い方になりますけれども、そういうイメージが一時あったことがあります。今は何か逆になっていますけれども。
ですから、
日本の小
学校、中
学校の民間委託とか民営化ということも、先ほどの
義務教育とも絡んできますけれども、規制緩和とかあるいは
教育におけるビッグバンの一環として、将来的に民営化とか民間委託ということを
大臣はお
考えになっていらっしゃるかどうか。それを最後にお伺いして、
教育に関する質問を終わりたいと思います。