運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-02-01 第145回国会 衆議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月一日(月曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 伊藤 公介君 理事 臼井日出男君    理事 北村 直人君 理事 久間 章生君    理事 自見庄三郎君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君    理事 中井  洽君       植竹 繁雄君    江口 一雄君       小澤  潔君    小野寺五典君       越智 通雄君    大原 一三君       加藤 卓二君    亀井 善之君       河村 建夫君    岸田 文雄君       小坂 憲次君    斉藤斗志二君       島村 宜伸君    滝   実君       竹本 直一君    津島 雄二君       能勢 和子君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    牧野 隆守君       村田 吉隆君    村山 達雄君       森山 眞弓君    谷津 義男君       横内 正明君    岩國 哲人君       上田 清司君    上原 康助君       生方 幸夫君    枝野 幸男君       岡田 克也君    小林  守君       今田 保典君    田中 慶秋君       肥田美代子君    横路 孝弘君       吉田  治君    大野由利子君       旭道山和泰君    草川 昭三君       斉藤 鉄夫君    中野  清君       西川 知雄君    東  順治君       加藤 六月君    鈴木 淑夫君       武山百合子君    西村 眞悟君       木島日出夫君    春名 直章君       平賀 高成君    矢島 恒夫君       北沢 清功君    辻元 清美君       濱田 健一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         法 務 大 臣 中村正三郎君         外 務 大 臣 高村 正彦君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      有馬 朗人君         厚 生 大 臣 宮下 創平君         農林水産大臣  中川 昭一君         通商産業大臣  与謝野 馨君         運 輸 大 臣         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     川崎 二郎君         郵 政 大 臣 野田 聖子君         労 働 大 臣 甘利  明君         建 設 大 臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 関谷 勝嗣君         自 治 大 臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   野田  毅君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)         (沖縄開発庁長         官)      野中 広務君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 太田 誠一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 真鍋 賢二君         国 務 大 臣         (金融再生委員         会委員長)   柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  尾見 博武君         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局次長     松田 隆利君         内閣官房内閣安         全保障危機管         理室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障・         危機管理室長  伊藤 康成君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         人事院総裁   中島 忠能君         人事院事務総局         管理局長    尾木  雄君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         内閣総理大臣官         房審議官    佐藤 正紀君         地方分権推進委         員会事務局長  保坂 榮次君         国際平和協力本         部事務局長   茂田  宏君         金融再生委員会         事務局長    森  昭治君         金融監督庁長官 日野 正晴君         金融監督庁検査         部長      五味 廣文君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 中川 良一君         防衛庁長官官房         長       守屋 武昌君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         防衛庁人事教育         局長      坂野  興君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         経済企画庁調整         局長      河出 英治君         経済企画庁国民         生活局長    金子 孝文君         科学技術庁長官         官房長     興  直孝君         科学技術庁科学         技術政策局長  加藤 康宏君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         法務大臣官房長 但木 敬一君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省条約局長 東郷 和彦君         大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省金融企画         局長      伏屋 和彦君         大蔵省国際局長 黒田 東彦君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         文部省体育局長 遠藤 昭雄君         厚生大臣官房総         務審議官    真野  章君         厚生省健康政策         局長      小林 秀資君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         社会保険庁次長 宮島  彰君         農林水産大臣官         房長      高木  賢君         農林水産省構造         改善局長    渡辺 好明君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         通商産業省生活         産業局長    近藤 隆彦君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁石油部長   今井 康夫君         運輸省運輸政策         局長      羽生 次郎君         運輸省港湾局長 川嶋 康宏君         運輸省航空局長 岩村  敬君         郵政省簡易保険         局長      足立盛二郎君         労働大臣官房長 野寺 康幸君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君         労働省職業安定         局長      渡邊  信君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    小川 忠男君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省道路局長 井上 啓一君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     片木  淳君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    深田 烝治君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         参  考  人        (日本銀行総裁) 速水  優君         参  考  人         (預金保険機構         理事長)    松田  昇君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 委員の異動 二月一日  辞任         補欠選任   江口 一雄君     小坂 憲次君   小澤  潔君     能勢 和子君   谷津 義男君     滝   実君   横内 正明君     竹本 直一君   上原 康助君     枝野 幸男君   岡田 克也君     今田 保典君   横路 孝弘君     上田 清司君   大野由利子君     旭道山和泰君   草川 昭三君     中野  清君   西川 知雄君     東  順治君   鈴木 淑夫君     武山百合子君   春名 直章君     不破 哲三君   平賀 高成君     矢島 恒夫君   北沢 清功君     辻元 清美君 同日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     江口 一雄君   滝   実君     谷津 義男君   竹本 直一君     横内 正明君   能勢 和子君     小野寺五典君   上田 清司君     横路 孝弘君   枝野 幸男君     田中 慶秋君   今田 保典君     岡田 克也君   旭道山和泰君     大野由利子君   中野  清君     草川 昭三君   東  順治君     西川 知雄君   武山百合子君     鈴木 淑夫君   矢島 恒夫君     志位 和夫君   辻元 清美君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   小野寺五典君     小澤  潔君   田中 慶秋君     上原 康助君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公聴会開会承認要求に関する件  平成十一年度一般会計予算  平成十一年度特別会計予算  平成十一年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算平成十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。枝野幸男君。
  3. 枝野幸男

    枝野委員 おはようございます。民主党の枝野でございます。  幾つかのテーマについて御質問をさせていただこうと思っておりますが、この国会、安保問題で周辺事態というような言葉が飛び交っておりますので、若干、周辺事態から御質問をさせていただこうと思っております。  防衛論争がなされておりますが、そもそも、今の自衛隊防衛庁お金使い方予算使い方について、合理的なちゃんとした使い方をしているのかどうか。これは、昨年来、防衛庁調達本部を中心とする問題が取りざたされておりますが、こうした余りにもひど過ぎる違法な問題はともかくとして、そもそも、今当たり前に予算が執行されている、その使い方の部分のところで、本当にこの国の防衛という視点からお金が使われているのかどうかということについて、一点お尋ねをしたいことがございます。  海上自衛隊には、特務艇という名前で「ひよどり」という船がございます。これについて、これが古くなってきたので、二十六億円の予算をかけて新しい船につくりかえるというようなことが行われているというふうに聞いております。  この特務艇「ひよどり」というのが何をやっているのか調べてみましたところ、どうやら年に十回程度外国のお客さんを呼んで昼食会をしたり、それから体験航海という名前航海を二時間弱程度行っている。これが、年によってもちろん差はありますが、年に十回前後行われている。これが、現在使われている特務艇「ひよどり」の使用実績であります。この「ひよどり」については、防衛庁予算獲得のための官官接待に使われているのではないかというような報道も一部でなされております。  私は、昨年の十二月に質問主意書をお出しいたしまして、この「ひよどり」の任務、用途、そして、古くさかのぼっていただくのも何だと思いましたので、九五年から四年間の使用実績についてお尋ねをいたしましたが、外国来賓乗船についてはお答えをいただきましたが、その余についてはお答えをいただいておりません。  この「ひよどり」という特務艇に、いわゆる自衛官防衛庁職員等を除く、外部の人間としての公務員をお乗せになった実績があるのかどうか、お答えください。
  4. 守屋武昌

    守屋政府委員 「ひよどり」に乗船していただいている部外者の多くの方は民間の方々でございますが、そのほかに、国家公務員のほか、国立学校の教師、地方公共団体職員などの公務員もその中に含まれているところでございます。これらの公務員は、国内の自衛官募集等に御協力をいただいた方を初め、自衛隊機関に講師として招かれた方などさまざまでございます。  防衛庁としましては、「ひよどり」における体験航海等を行うことにより、海上自衛隊の御理解をさらに深めていただくために乗船させているものでございます。御理解いただきたいと思います。
  5. 枝野幸男

    枝野委員 体験とおっしゃいますけれども平成七年、八年、九年と使用実績を見させていただきました。  出港時間、帰港時間等全部書いております。長ければ一時間半程度、短ければ一時間程度。それも、いずれも出港時間は十七時半過ぎから十九時ぐらいの間、つまり夜間でございます。そして、食事または酒類の提供の有無ということについてもお尋ねをしておりますが、漏れなく食事及びお酒を出しています。  二時間弱の間、食事つき、お酒つきで、海上自衛隊の何を体験していらっしゃるんですか。
  6. 守屋武昌

    守屋政府委員 お答えいたします。  海上自衛隊理解していただくために、私たちがこのような特務艇を持っておりますのは、海上自衛隊の船に乗っていただくということ自体に特別の意味があると考えておるわけでございます。  御承知のとおり、海上自衛隊の船に乗るにつきまして、お客様海上自衛隊の礼式に基づく接遇を、具体的には、海上自衛隊自衛官が整列してお客様お迎えするということがございます。それから、艦内でいろいろな自衛官の行動を目にしたり耳にするわけでございますが、これはすべて海上自衛隊の中の艦艇運用規則に従って、例えば艦内放送の号令によって一斉に動くということも目にすることができるわけでございます。それから、国旗の掲揚とか降下とかという行事がございますが、このときには、会談をいたしましても、それを中止いたしまして、国旗に対しまして敬礼して礼を尽くす。  こういうふうな船に乗っていただかないとわからない海上自衛隊の特質がございます。そういうことを御理解いただくのが一点でございます。  それから、そういう海上自衛隊が抱える問題点とかあるいは自衛隊の抱える問題点について、洋上に二時間ないし三時間という時間でございますが、その中でいろいろお話をしていただく、そういうことでございます。  御承知のとおり、自衛隊部隊というのはなかなか国民との接点が少のうございますので、そういうところに部内外の識者の方を招きまして、幹部との意見交換を通じますことによりまして自衛隊の側も部外の人々の考え方に接することができます。  それから、私どもは、自衛隊募集とか自衛隊の抱える問題点につきまして、その場を通じまして、国民の方に御理解いただくように努力しているところでございます。
  7. 枝野幸男

    枝野委員 船の上でいろいろな話を聞くと。ただ、二月五日付の週刊誌フライデーによりますと、この体験航海というのに乗ったことのある記者が発言をしておりますが、自衛隊ブラスバンド演奏を聞きながら、飲めや歌えの大宴会、動く一流ホテルといった感じで、カウンターでは職人さんがすしも握ってくれる、さらに言えば、記者の妻も招待されていると。  こういったことが今のような目的にかなうことなんですか。
  8. 守屋武昌

    守屋政府委員 お答えいたします。  お客様に対しまして、ブラスバンドを用意しまして演奏をやるということでございますが、これは、私も参りましたけれども、諸外国海軍等におきまして、船にお客様を招いたときに、そのお客様に対して、ブラスバンドとかあるいは音楽隊が入りまして演奏を行うということは、通常行われていることでございます。  また、食事につきまして御質問がございましたけれども海上自衛隊は、御承知のとおり長期間航行する任務を持った部隊でございますので、艦内に調理を専門とする職員を抱えております。それで、今回のこの特務艇における食事を供しておりますが、この食事も、職員ではなくて、補給科という食事専門につくる隊員がみずから部隊で用意しました食事材料を調理して、お客様の皆様に差し上げているものでございまして、決して豪華なものではございません。
  9. 枝野幸男

    枝野委員 豪華なものだなんて、私申し上げていないのですが、今のような目的だったら、ブラスバンド、それはお迎えのときぐらいやってもいいですよ。ただ、今申し上げた記事の引用では、飲めや歌えの大宴会ということをおっしゃっているのですよ。これは、主観の問題があるでしょうから人によって違うかもしれませんし、飲めや歌えの大宴会があったのかどうか、それはお答えいただけますか。つまり、人をお迎えをするときにブラスバンドお迎え演奏をするのは、それはよくわかりますよ。飲めや歌えの大宴会があったのかどうか、お答えいただけますか。
  10. 守屋武昌

    守屋政府委員 お答えいたします。  飲めや歌えという御指摘でございますが、この艦内では、演奏はいたしますが歌うということなどは一切ございません。  それから、当然、多くの方がそういうところで食事をしながら歓談するわけでございますから、全体としてはにぎやかな雰囲気になるということは、私承知いたしております。
  11. 枝野幸男

    枝野委員 そこはまあ、飲めや歌えなのかどうかというのは主観の問題があるのかもしれませんが。  先ほどの答弁に戻るんですが、公務員の方が入っていらっしゃると言われました。この艦の維持費あるいは艦に体験乗船をしたときの費用というのは当然公費から出ていると思うんですが、公務員の方をそういったところに御招待をしてお金を取らなければ、そういうのを官官接待というんじゃないんですか。
  12. 守屋武昌

    守屋政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、国家公務員の方を乗船させた例はございます。これは、先ほども申し上げましたように、あくまでも海上自衛隊、まあ防衛庁自衛隊一般でございますが、国民との接点がなかなか少のうございます。それから、自衛隊部隊運用とかそういうものに対しましても、私たち行政の場は、海の上とか空の上とかということでなかなか国民の目に触れることがございません。  そういう観点から、そのような方に、私ども行政関係のある官庁の方に乗っていただきまして、海上自衛隊実態について御理解を得るという機会を設けておるわけでございます。それから、その際提供する食事も、海上自衛隊専門隊員がつくって、差し上げているものでございます。  何とぞ御理解いただきたいと思います。よろしくお願いします。
  13. 枝野幸男

    枝野委員 体験をすることは大事なことだと思いますよ。私も、あれは航空自衛隊だったでしょうか、自衛隊皆さんにお世話になって硫黄島の現場を見させていただいたりしていますよ。それは、通常の飛行機ですし、いすなどは少し配慮していただいたようですけれども現場でも食事をいただきました。それは、普通の隊員皆さんが現地で食べているものをいただきましたよ。海上自衛隊が何をされているのか多くの人に知っていただくためにいろいろな努力をする、結構なことです。  何で特別な船をつくらなければいけないんですか。普通の船に乗っていただけばいいじゃないですか。普通の船で、訓練その他の日程の関係であいている船に乗っていただく方が、よっぽど海上自衛隊実態を多くの皆さんに知っていただくという目的は達せられるじゃないですか。わざわざ何で、接待だけに使うような、体験だけに使うような特別な船をおつくりになるような意味があるんですか。それも、二十六億もかけて新しいのをつくる必要があるんですか。そこは全然理由がつかないんですけれどもね。
  14. 守屋武昌

    守屋政府委員 防衛庁では、自衛隊実態を知っていただくことは大変大事なことだと思いまして、これまで各種の広報活動を行っておるところでございます。  先生御指摘のように、私ども自衛隊におきましては、すべての艦船を利用して広報を行って、できる限り国民との接点機会を大きくしようということで広報活動を行っておりまして、護衛艦に限らず、輸送艦、そういうものが訓練の合間に各港に寄港をしました場合には艦内公開ということを行っているところでございます。  ただ、この特務艇「ひよどり」を私どもとして保有しておりますのは、広報接遇という、やはり接遇するために訓練が、先ほど申し上げました、一般艦艇では制限されることになるため、部隊練度維持等に影響を与えるおそれがあるということをまず考えなければいけません。  それから、効果的な広報活動と、あるいは外国国防関係者との交流を実施するためには、当然のことながら、十分な事前準備や要員の教育を行う必要がございまして、護衛艦等の他の艦艇の乗員に対してそれを命ずるというのは負担が大きいわけでございます。また、本来の護衛艦そのもの装備武器等維持整備作業にも支障を来すおそれがございます。  さらに、もともと戦闘を目的とした艦艇広報接遇を前提とした設備を有しておりません。広報的な活動が十分行えないという事情がございます。したがって、私どもとしましては、広報接遇専用船として「ひよどり」を保有、運用してきたわけでございます。  私どもは、長年の防衛庁自衛隊に対する国民理解を求めるに当たりまして、この「ひよどり」の運用は大きな意味があったと考えているところでございます。
  15. 枝野幸男

    枝野委員 周辺事態なんで余り長くこれに時間をとるわけにいかないのですが、今の話、例えば平成九年、十五、六回しか使っていないんですよ。しかも一回の航海、先ほど申しましたとおり、二時間ぐらいしか使っていないんですよ。これ、週に一遍ぐらいずつ広報活動に使っていますというんだったら、今の話はある程度説得力を持つかもしれませんね。  海外のお客さんを迎えたときという話もおっしゃっていますが、全部停泊なんですよね。つまり、船でやる必要性というのはそんなに高くないですよね。船に乗ってせめて東京湾の中をぐるぐる回るんであるならば、船に乗るんでしょうけれども、必ずしも船でやらなければならない必要性、停泊をしながらやっているということは、基本的には意味がないと思うのですよね。  もう一点だけ別の視点からお伺いしますけれども、同じフライデーの記事の中に「現在、護衛艦の多くは必要な乗組員が確保できていないんです。」というような匿名の自衛官の発言が載っておるんですが、例えば、この「ひよどり」が在籍をしている同じ部局の他の護衛艦の乗組員の充足率というのはどうなっていますか。
  16. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 具体的な各個艦に応じた充足率につきましては、これは戦闘能力に直結しますので、申し上げるのは差し控えさせていただきたいんですが、海上自衛隊全体として、平均の充足率が九四%でございます。そういう中で、護衛艦、個艦によって若干のばらつきはございますけれども、報道にございますようなそういうふうな充足率の状況ではない、こういうふうに申し上げられると思います。
  17. 枝野幸男

    枝野委員 これだけにこだわっているわけにいかないのでこれぐらいにいたしますが、さらに今後とも質問を続けさせていただきますが、まず一点、公務員の方がお乗りになっていたということでありますので、具体的に、いつの航海にどういった立場の方が、名前は結構ですから、少なくとも役職等については事後に教えていただきたい、公表をしていただきたいということをお願いしておきまして、次の質問に移りたいと思います。  これも、本題ではなく、ちょっと周辺事態の話でありますが、二年前の予算委員会で、私は、農業集落排水の問題についてこの場でお尋ねをいたしました。農業集落排水については、集落排水協会という公益法人がいわば仕切っているのではないか、そして、そこの農業集落排水協会という公益法人に協賛金を払っているところに優先的に工事が発注をされているのではないだろうか、そういった疑いがあるということを当時の藤本農水大臣にお尋ねをいたしましたところ、「賛助員の場合と賛助員でない場合との工事の受注の割合については早急に調べて御報告いたしたいと思いますから、御理解いただきたいと思います。」という御答弁をいただきました。その後、この結果を御報告いただいていないんですが、どうなっておるんでしょうか。
  18. 中川昭一

    中川国務大臣 平成九年の二月二十日の農林水産委員会で、農業集落排水事業の設計業務の受託についての日本農業集落排水協会の独占的実態の改善を図るべきではないかという御指摘をいただきました。これに対して、公正な競争関係のもとで適切な運営が行われるよう指導、通達を出す旨の答弁を行い、御理解をいただいたものと聞いております。  この通達は、平成九年三月、構造改善局長通達等によりまして、この協会の行う設計等の業務につきましては、市町村の判断により委託先を決めるものである旨、周知徹底を図ってきたところであり、引き続き事業の適正な運営改善を図るよう対応してまいりたいと思います。  ちなみに、この集落排水協会の施設設計の委託につきましては、この協会が受託した基本設計の実績は、平成八年は九七%でありましたが平成十年七七%となり、低下しております。また、実施設計指導業務につきましては、平成七年には九三%であったものが平成九年には六一%と低下をしており、運営の改善が見られております。
  19. 枝野幸男

    枝野委員 お尋ねをしましたのは、当時の藤本大臣が「賛助員の場合と賛助員でない場合との工事の受注の割合については早急に調べて御報告いたしたいと思います」ということを委員会でお述べになったことに対して、その後結果を御報告いただいていないんですが、どういうふうに理解したらよろしいのかということをお尋ねしているんです。
  20. 中川昭一

    中川国務大臣 今申し上げたのは協会全体の受注率でございますが、先生今御指摘のこの受注につきましては、補助事業、この補助事業の中で、直接補助、つまり都道府県に対する国が直接やる補助と、いわゆる間接補助、つまり市町村に対して補助金を渡す、そしてその市町村が自主的に、今度は団体営等で自主的な判断のもとでやる事業と二つあるわけでございます。  これを間接補助と呼んでおりますけれども、間接補助につきましては、事業者名等につきましては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づく報告事項となっておりません。また、地方分権等の観点からも調査の実施は適当でない、あるいはまた、これを周知徹底を行うということによりまして事業量がふえることによりまして、間接的に何らかの国からのプレッシャーをかけるというようなことにも我々は配慮をしていかなければならないということで、直接補助と間接補助、直接補助については把握をしておりますけれども、間接補助については把握をしていない、すべきではないという認識をしておるところでございます。
  21. 枝野幸男

    枝野委員 今のお答えで二つの問題点があるんですが、一点は、そもそも調べるべきではないという結論については後ほどお伺いしますが、国会で大臣が調べて御報告しますということをきちんと明言をされて、議事録に残っているわけですね。少なくとも、それをお尋ねして、そしてそういうお答えをいただいたので納得をしました私には、その後、最近こちらから催促をするまで全く御報告もなかったわけですね。国会の答弁というのはそんなに軽いものなんでしょうか。そんなに軽いものだとすれば、ここで審議をしていること自体の意味がどういうことなのかということになってしまいます。  これはお答えになったのは当時藤本大臣ですので、今大臣でいらっしゃいませんので、このことを中川大臣にこれ以上聞いてもしようがないんですが、逆に、最近、二十八日の予算委員会で、これは御通告を申し上げていないんですが、宮澤大蔵大臣が、個別の、日債銀等への支援を要請したことはないと関与を明確に否定をしておきながら、二十九日の閣議後の会見で、大蔵省全体が支援体制をとっていたことは明らかと修正をしたというような報道がなされております。  これについてはこの後上田委員からも御質問をさせていただきますが、こういった国会での発言を国会外で修正をされるということが、あるいは国会内でお答えになったことが国会外でいつの間にかうやむやにされるということがあったのでは、委員会での質問自体の意味がなくなってしまうというふうに思うのでありますが、まずは、この問題の当事者である大蔵大臣、御釈明があればどうぞ。
  22. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 機会を与えられましたので、釈明をさせていただきます。  実は、この日の御質問は、日本銀行総裁が参考人でおられまして、日本銀行が八百億円を支出したことは適当ではないではないかという趣旨のお尋ねがございました。  それで、私はそれを承っておったわけですが、当時の大蔵大臣の談話、平成九年四月一日ですが、その中に、大蔵大臣が日本銀行に対してそういう日債銀の優先株を引き受けることを要請したと言っておられますので、私は御答弁をして、大蔵大臣自身が要請をしたので日銀がそれに応じられたとこのように解釈しております、ただし、この談話の中には日本銀行にそういう要請をしたと書いてありますけれども、市中銀行に対してはそういうことがございませんので、恐らく大蔵大臣としては特に日本銀行に対することを強調されたものと思います、こういうお答えをいたしました。  このお答えは、私自身で誤解を生ずるお答えであったと思いますので、今おわびして改めさせていただきますが、私が言おうとしたのは、日銀に対して特に要請したということを申し上げたかったので、市中にはそういうことについては述べられておりませんということをつけ加えたのは、あるいは余計な部分であったかもしれません。  したがいまして、翌日、新聞記者からその点に会見で質問がございましたので、これは私の言葉が足りなかった、日銀に要請をしたということを強調しようとしたのであって、市中に対しては何も述べられていないということをつけ加えましたが、当時、この支援行動については、大蔵大臣談話でも、大蔵大臣はそれを十分支援したいとはっきり言っておられますから、その意を受けて事務当局がこういう関係銀行にいろいろ要請をしたということは、何も記録はないけれども恐らく当然そうであろう、それがそうでなかったような印象を与えたのは私の答え方が十分でなかったと思う、こう釈明をいたしました。  今日、今、枝野委員からこの点についてお尋ねがございましたから、機会を得まして、この点を訂正させていただきます。
  23. 中川昭一

    中川国務大臣 枝野先生から、二年前のことでありますけれども、現在の農政の責任者でございますので、誤解のないようにお答えをさせていただきます。  確かに、平成九年二月十八日、枝野議員の御質問があり、農林大臣から、早急に調べて御報告したいということで答弁がございましたが、その後、同日の引き続きの答弁で、最高責任者であります当時の橋本内閣総理大臣から、問題として御指摘を受けたものについては、それぞれの省庁の監督責任の中でどこまで対応できるかということも視点として、この問題を取り上げさせていただきますという答弁がありました。  その後、二月二十日の農林水産委員会で、これは枝野先生ではございませんけれども、同じような御指摘があり、そして、局長名通達によりこの適正化の周知徹底を行ってまいりたいということで、この問題については一つ事態が終わったというふうに我々は理解をしております。
  24. 枝野幸男

    枝野委員 まず、宮澤大蔵大臣のお話につきましては、各行に個別に支援を要請することはしておりません、日銀にはしておりますけれどもということで明確にお答えになっておることと今のお答えとの整合性、問題あると思いますが、それは後ほど同僚の上田清司議員の方から細かく詰めさせていただきたいと思っておるのです。  宮澤大臣のお答えにしても、それから中川大臣のお答えにしても、いろいろと理由をおつけになっていらっしゃいますが、いずれにいたしましても、委員会で閣僚として責任を持ってお答えになったお話が、その話と違う流れといいますか、違う事態委員会の外で進んでいく、記者会見等で進んでいく、あるいは委員会でお答えになったことについて役所の方で勝手に御解釈をされながらそれで進んでいくというようなことでは、委員会で、ここでどんな御質問を申し上げてどんなお答えをいただいても、それは後ですぐに簡単に役所の方の勝手な解釈で、やりませんとなったり、あるいは委員会外で記者会見をされて修正をされ訂正をされても、あるいは大臣の言い方では釈明をされても、それっきりということになってしまったのでは委員会での質問意味がないと言わざるを得ません。  総理、いかがですか。きちんと御答弁をしていただく必要があると思いますし、あるいはここでお答えをいただいたことについて、もちろん人間のやることですので、言葉が足りなかった場合その他のことは一切ないとは申し上げません。しかし、それを国会の外で釈明をされる、修正をされるというようなことでは許されないと思いますが、いかがですか。
  25. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 委員会でお答えをいたしました翌日に記者会見で質問がございまして、これは私はできるだけ早く事実を申し述べておいた方がいいと。委員会に申し上げてないから記者会見で言えませんというようなことは言えるものでない。したがいまして、その後、実は委員会にお許しを得て発言を求めて、この点は訂正しますと申し上げるべきであったかもしれません。それは、しかし委員会のいろいろ御進行からいって、そういうことが必ずしもオーダリーなことでないかもしれない、そういう思いはいたしますけれども、今機会を与えられましたので、その点を訂正いたします。
  26. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 個々のケースについてはいろいろその当事者の弁明もあろうかと思いますが、一般的に申し上げれば、国会、特にこうした予算委員会において、国政全般にわたりましての質疑応答につきましては、政府側として答弁を申し上げた点につきましては、これはきちんとその答弁について責任を持って、行政の上で、お約束をいたしたことはいたしていくことが当然のことと考えております。
  27. 枝野幸男

    枝野委員 きちんと、言ったことは、約束は守っていただかなければならないということで、この間ずっと議論になっております財金分離の話を、順番飛びますが、お話をさせていただきたいというふうに思っております。  念のため改めて、これは野中官房長官でしょうか、この間の行革の大綱の中に財金の完全分離、一元化ということが入っていないということについての政府としてのお立場を確認させていただきたいというふうに思います。  それと、三会派合意との食い違いということについての政府としての考え方を改めて確認させていただきたいと思います。
  28. 野中広務

    ○野中国務大臣 財金分離の問題につきまして、先般それぞれ西川委員あるいは池田委員から御質問をいただきました。その前に、菅委員の御質問の後、私の記者会見で記者団から質問を受けて答弁をいたしました。  やや私自身、過去のあの党首会談、さらには枝野委員初め若い皆さん方が、我が党の若いまた皆さん方と御一緒に、昼夜を分かたず土日を含めて熱心に御討議をいただき、当時の非常に緊迫した金融情勢の中で御苦労をいただいた一連の経過を申し上げる中に、またその現状の中で、やや説明の足りなかったというよりも、足り過ぎた分があったかもわかりませんし、そのことで誤解を生んだ向きもあったかと思うわけでございますけれども、少なくとも、私は、三会派の皆さんの合意が行われて、これによって、これからの省庁の設置に向けてこの金融、財政の分離及び金融行政の一体化が行われていくものと認識をしておるわけでございます。  どうぞ、三会派及び新たに与党になられました自由党を含めて、国会のそれぞれの政党、会派において合意が得られるよう、せっかく御努力をいただきますようお願いを申し上げ、近くこの論議が始まると聞いておるわけでございますので、政府としてはその合意をいただいて、これを閣法にするということであれば、大綱及び設置法にその方針をのせていくようにしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  29. 枝野幸男

    枝野委員 そこで、三会派及び自由党というお話が少し気になるのですが、これは自由民主党と民主党と当時の平和・改革の三会派の合意をその当事者である自由民主党の皆さんがお守りになるのかどうかということがまず一つとしてあるわけで、これはお守りいただけるという理解でよろしいのでしょうか。
  30. 野中広務

    ○野中国務大臣 私は、この場でわざわざ自由党を加えて申し上げましたのは、本年一月十三日、我が党との合意に基づきまして、連立政権を十四日に発足をいたすことになりましたので、当然のこと、政策についてそれを決定するその際には、この連立を組んだ党と統一行動を政策的に行うべき立場であると考えて、あえて申し上げた次第でございます。
  31. 枝野幸男

    枝野委員 それは連立を組まれた自由民主党の、あるいは政府としての責任であって、我々は自由党とお話しする必要はありませんよね。
  32. 野中広務

    ○野中国務大臣 それはもう私どもとして、政府の立場で申し上げる場合に、当然のことを申し上げておかなければならないということで申し上げたわけでございまして、ぜひ国会対策委員長を中心にして、政党、会派間で合意をいただくようにお願いを申し上げる次第であります。  繰り返して申し上げますけれども、六十兆の公的資金を用意して金融の危機を支え、そしてあの際、昨年御議論を賜りましたときは、大変な金融危機の状態の中で、枝野委員初め皆さん方が御苦労いただきまして、単に民間の金融だけでなく、それが日本の国のありようあるいは世界の金融市場のありようにまで影響を及ぼして、そして危機的な状況の中から大変な御苦労で収拾をいただいたことを私どもは肝に銘じて知っておるわけでございます。  そういう意味におきまして、ぜひ今回の問題も今後の金融行政の上に、あるいは我が国全体の経済運営の上に支障のないように、お若い皆さん方があそこまで連日御苦労をいただいたわけでございますから、そのことに思いをいたしながら、ぜひ誤りなきを期していただきたいという願い以外にございません。
  33. 枝野幸男

    枝野委員 それでは、自由党を代表して閣内に入っていらっしゃる野田大臣にお伺いいたしますが、自由党の皆さんは、今回自民党との間の連立を組むに当たりまして、この財金分離に関するような問題について、政策協議のテーマとしてお取り上げになりましたか。
  34. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 両党間では、その問題は連立政権のための政策協議のテーマとしては取り扱っておりません。
  35. 枝野幸男

    枝野委員 そうすると、常識的にはこういうふうに考えてよろしいでしょうか。その皆さんが自民党との連立にお加わりになる前に、政府の、与党の一角である、中心である自由民主党の皆さんが民主党や平和・改革との間で財金分離に関して御承知の覚書を交わしていらっしゃる。そのことについてあえて異論等をお唱えにならずに連立政権をお組みになったということは、財政と金融の完全分離と金融行政の一元化というこの方針については、自由党の皆さんも異論がないという理解をしてよろしいでしょうか。
  36. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 自由党という立場で御質問がありましたので、そういう形で答えたいと思いますが、自由党は、金融関係、大きく二つの法案があったわけで、その前半の再生委員会、今問題になっております三会派の合意、いわゆる財金分離というようなものが付随しておる、それが附帯しておるそっちの方の法案には、自由党は反対をしたという経緯があります。したがって、自由党としては、その三会派の合意に拘束されるものではないということは申し上げておかなければならぬと思います。  ただ、私は、小渕内閣の閣僚の一員としてこの政府の方針に従うというのは、これはもとより当然のことであります。
  37. 枝野幸男

    枝野委員 では、現時点で確認をできることは、閣僚としては、この財金分離について、三会派間で合意ができましたらそれに従うということでよろしいでしょうか。
  38. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 三会派で合意されたらすべて事は決定するかどうか、あえて自由党を、あるいは社民党がどうかわかりませんが、他の会派を外しておやりになることが適切であるかどうか、ここは私は留保させてもらいたいと思います。  内閣の一員としては、決定されたことに従うことは当然のことであります。
  39. 枝野幸男

    枝野委員 三会派で合意をしたことについては、少なくとも自由民主党としては責任を履行していただく、そういった責任があるというふうに考えておりますが、自由党の皆さんが同意をしなかった場合にはどうなるのですか。
  40. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 いや、ですから、官房長官もお話しになったように、これはこういう形でのやりとりの中で決まるのではなくて、まさに政党間協議において決まるということが大事なことです、そこで決まったら政府は受けます、こういう答弁をしておられることでありますから、むしろこういう形で、政府対野党という形での論議ということにはなじまないのではないか、私はそう理解をいたしております。
  41. 枝野幸男

    枝野委員 政党間の協議というのは、後でこの辺の話は詰めますが、この合意の解釈には二元性はない、ほかの解釈はしようがないと思いますが、どういう解釈をするのか改めて三会派で確認をするならするのは結構です。それから、出し方を衆法にするのか閣法にするのかということについては、それは詰めておりませんでしたから、これから決めても結構ですが、少なくとも、この政党間協議をするのは三会派でありまして、自由党ではありません。したがって、自由党がどういう判断をされるのか、我々は関知するところではありません。  したがって、もし、政権を担っている自由党と、それからこの三会派合意で縛られている自民党との間で結論がずれた場合には、閣内不一致になりますね、そういうことをお尋ねしているのです。
  42. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 閣内不一致ということはあり得ないと私は思っています。  これは、あくまで政党間の話であって、いわゆる三会派で合意したところでぜひやろうということになるのか、あるいは自由党初めその三会派以外の政党も含めた形での政党間の協議をもう一遍きちんと組み立て直そうということになるのか、そこはまさに政党レベルの話であると理解をしています。
  43. 枝野幸男

    枝野委員 その自由党を絡めてどうしましょうかということは、政府・与党としてはしたいかもしれませんけれども、我々はそんな責任はないのですよ。自民党の皆さんと平和・改革の皆さんと合意をしたので、その合意を履行していただければいいことであって、それを自民党の皆さんと自民党出身の閣僚の皆さんにはお守りをいただくということでありまして、自由党の皆さんや自由党出身の大臣の皆さんがどうであろうと、それは我々には関係のない話だと思うのですが、官房長官、それでよろしいのですね。
  44. 野中広務

    ○野中国務大臣 私が特に申し上げておるのは、やはり連立政権を組んだということの重みを私どもは政府として持っておらなくてはならないということと、昨年来のあの民間金融機関に発した問題、あるいは一連の金融の不安定が国家の存亡にかかわる問題まで発展をしてきた中においてこの処理が行われたわけでございます。  それだけに、一つの組織のありようというだけでなく、今後我が国の金融行政がいかにあるべきかということを、どうぞあのとき御苦労いただいた皆さんでございますので、それぞれ政党の主張がどうであったかという以前に、この日本のこれからの金融の行政の組織のあり方をどう考えるかということについて、せっかく御造詣の深い枝野委員を初めとする皆さん方でございますので、ぜひその点を真剣に政党間で御協議をいただきたい。それをいただいた結果、私どもは政府としてこれを受けますということを再三申し上げておるわけでございます。  政権を共有した以上、私ども、自由党と自由民主党で協議するのは当然のことでありますし、三会派の合意に基づく協議の結果を受けてそれをまた反映していくことも当然のことでございます。
  45. 枝野幸男

    枝野委員 では、逆方向からお伺いいたしましょう。  十月一日の、例の、このところ問題になっております合意がありますが、官房長官、完全という日本語はどういう意味でしょうか。
  46. 野中広務

    ○野中国務大臣 法律家の枝野議員に私から申し上げるのもおかしいわけでございますけれども、完全というのは、私は、物の辞典では、足りないところのないことということだと考えております。  また一元化というのは、多くの組織あるいは機構を一つの本源に統一することというように理解をいたしております。  したがいまして、足りないところがないことということは、この世の金融行政にとって、組織として完全であること、足りないことがないようにぜひお願いしたいということを、ある意味において念願を込めて申し上げておる次第でございます。
  47. 枝野幸男

    枝野委員 さて、その完全と一元化ということの意味を、共通であるということがわかりましたので、そういたしますとますますわからなくなるんですが、三会派では何を話したらいいんですか。
  48. 野中広務

    ○野中国務大臣 官房長官として政府の立場からお答えするべき立場でないと思うわけでございますが、あえてお尋ねでございますので申し上げれば、三党間で既に、津島、中野そして坂口、三議員によって合意がされたわけでございますので、三党の会派で合意をいただき、さらに、その時点とも申すべきですか、連立を組んだ自由民主党と自由党との連立会派においても合意をいただくようにせっかくお願いをしたいと念願をしておる次第でございます。
  49. 枝野幸男

    枝野委員 これは三会派で協議をしろというのは政府がおっしゃったからですよ。政府というか、政府が、自民党の国対委員長も通じてでしょうけれども、三会派で話を詰めてもらわないと書きかえることはできませんとおっしゃるから、それなら話しましょうかと思うんですが、では何を話したらいいんでしょうね。
  50. 野中広務

    ○野中国務大臣 それは枝野議員、よく当時を思い起こしていただきたいと思うわけでございますけれども、それぞれ当時の三会派の皆さん方がお話を賜りまして、着地点として、金融、財政のあり方については法整備を行うということで合意をされ、署名をされたわけでございますので、私ども政府といたしましては、金融、財政の分離と金融行政の一体化についてはこの覚書のとおりひとつぜひ合意をいただくように、結果を出していただくようにお願いを申し上げるべきが私どもの立場でございまして、政府が先んじてそれをやった場合にはむしろ批判を受けるのではないかと私どもは考えておる次第でございます。
  51. 枝野幸男

    枝野委員 先ほど来、若干不規則発言も耳に入っていますが、私も先ほど申し上げましたとおり、確かに、衆法でやるのか閣法でやるのか、これは決めませんでした。合意にも書いてありません。覚書のほかのところには「政府は、」という主語で入っているところもありますが、ここはそういった主語は入っておりませんので、閣法でやるのか三会派による議員提案でやるのか決まっておりません。これは協議いたしましょう。  ほかに協議しなきゃならない、詰めなきゃならないことがあるとお思いになっていらっしゃいますか。
  52. 野中広務

    ○野中国務大臣 どうぞ、ぜひ御協議をいただきたいと思います。私どもからとかく御答弁申し上げて、かえってまたそれが結果的に誤解を生んだり、あるいは憶測を呼んではいけませんので、どうぞ合意をいただいて、そして皆さん方も御苦労いただいたわけでございますから、我が国金融行政の将来に向かって、悔いのないように、ぜひ万全を期して御努力を賜りたいと思って期待をしておる次第でございます。
  53. 枝野幸男

    枝野委員 協議をしろとおっしゃられても、この合意自体が明確ですので、何を協議したらいいのかわからないので教えていただきたいと言っているんですよ。この合意自体で法律なんかつくれるじゃないですか、簡単に。どこを詰めないと法律がつくれないのか、法律案が書けないのかということを教えてくださいとお尋ねをしているんです。
  54. 野中広務

    ○野中国務大臣 私ども、お教えする立場にございません。どうぞ合意をされた三会派で真剣に、あの当時の状況と今日的状況と、それから、単に組織の問題だけでなく、我が国の金融行政の将来にわたって誤りなきを期せるように、せっかく御造詣の深い皆さん方でございますので、ぜひお願いをしたいと思うわけでございます。  私はあの当時、連日御苦労をいただいておる皆さんの苦労を思いながら、日本の政治が変わってきた、従来の政策を提案する仕組みの中から、若い人たちが連日努力をすることによって、そういう結果をそれぞれ、従来政党としてやってきたシステムを変えてでもそれを許容するだけの変わり方が日本の政治に出てきたといって評価をした一人でもございます。  どうぞ、御苦労いただいた皆さんでございますので、我が国の将来に悔いなき金融行政ができます組織づくりに一層、きょうの午後を通じた開始が行われるようでございますので、御苦労をお願いして、私どもにその結果をお示しいただきたいことを期待いたしております。
  55. 枝野幸男

    枝野委員 ですから、我々は確かに閣法か衆法か、先ほど来申し上げていますとおり、決めていませんでした。これは協議しなければいけません。閣法か衆法か決めるんでしょう。  それから、あえて言えば、「十二年一月一日までに施行する。」と書いてあります。「まで」ですので、来年の一月一日にするのか、ことしの十月一日にするのか、それは協議の余地があるとすればあるんでしょう。  これぐらいは協議をしなきゃならないところがあると思いますが、あとは衆法か閣法かだけ決めれば基本的には法律はつくれるというふうに理解をするんですが、この覚書に立ち会われた当事者の一人として、野中大臣、そういうこの文書の読み方の理解でよろしゅうございますか。
  56. 野中広務

    ○野中国務大臣 委員、私が立ち会ったとおっしゃいますけれども、私が立会人としておらしていただいたのなら、そのときに立会人として政府側で署名をいたしております。あれは三会派で合意をしたので、連日御苦労いただいておるわけでございますので、官邸からも責任者が出て、そしてその御苦労に対して謝意を申し述べなければならないということで私は出ておったわけでございまして、おまえが立ち会って、そしてこの合意に署名をしろと言われてやったわけではありませんし、そのことで私が見解を求められることは、これは私の理解しておるところとは違うところでございますので、ぜひ御了承を賜りたいと存じます。
  57. 枝野幸男

    枝野委員 では、こういうふうなお尋ねの仕方をしましょう。一番最初の質問にも戻りますが、今回の行革大綱の中に財金の完全分離、金融行政の一元化が織り込まれていないということについては、三会派の合意はあるけれども、それについて三会派でさらに詰めてもらって結論を出してもらわないとそこは書けませんということをおっしゃったわけですよ。どこを詰めたら書いていただけるのかとお尋ねをします。
  58. 野中広務

    ○野中国務大臣 合意をされた内容についてぜひ結論を得られて、お示しを賜りたいと存じております。
  59. 枝野幸男

    枝野委員 ですから、その結論が出ていない部分はどこだという理解だから行革大綱にお書きになっていないんですか。衆法か閣法かという違いは申し上げています。一月一日なのか十月一日なのかという余地があるだろうなとは思います。あとは何なんですか。
  60. 野中広務

    ○野中国務大臣 一々そういうことで申し上げていきますと、党首会談のときには、菅代表から出されましたときには○年○月○日と書かれまして、そしてその間には、宮澤大蔵大臣から金融庁の前倒しを決定いたしておりますねというお話がございまして、そのときそれ以上の話なしにこの党首会談は終わったわけでございます。そして、その際には党首間の署名もなく合意書もなく終わって、それから連日皆さん方が御苦労をいただいて、最終的な収拾としてあの合意書になったことの経過はすべて御存じだと思うわけでございますので、合意をされました内容につきましてぜひ各政党、会派で御議論をいただき、そして結論を集約されまして政府に示していただきたいと存ずる次第であります。
  61. 枝野幸男

    枝野委員 今、長官おっしゃられたように、いろいろな経緯がありました。いろいろなやりとりをしました。いろいろなやりとりの結果として、最終的に文書として確認をした。  つまり、初期の段階の口頭でのやりとりではあいまいな部分もたくさんあったでしょう。逆に、意識的に最終的にあいまいにしなきゃならないという部分も政治的にあったかもしれません。いずれにしても、最終的な確認としてこの文書が出されているのでありまして、そして、その文書の解釈として、少なくとも、我々は今、先ほど来申し上げておりますとおり、衆法か閣法かという点と施行期日の点と、この二点については政治的に詰めなければならない部分はあるでしょう。  しかし、それ以外のところは、それはいわゆる法制局的なテクニカルな言葉、法律の条文をつくるときにはいろいろあるでしょうが、それはいわゆる政治が議論をする話じゃありません。テクニカルな部分ではあるかもしれません。それ以外のところで政治が話し合って協議をして合意をしなければ前に進めないような内容があるという理解だから、大臣はそれが合意をいただかなければ行革大綱は書きかえられないとおっしゃっているんではないんですか。だとしたら、それはどこなのか教えてくださいと申し上げているのです。
  62. 野中広務

    ○野中国務大臣 繰り返し申し上げますが、私どもがその具体的内容に言及するべき立場にありません。ただ、金融、財政の完全分離とさらに金融行政の一体化については、各党間で協議をし、次期通常国会に法整備を行い、そして平成十二年一月一日から実施するということが合意をされておるわけでございますので、ぜひその合意内容に基づいてそれぞれの政党間の協議を進めていただきたいと念願をしておる次第でございます。
  63. 枝野幸男

    枝野委員 いいですか、我々は、行革大綱に当然この三会派合意を入れていただけるものだと思っておりましたが、入れていただけていなかったので、この予算委員会の質疑の中でお尋ねをしましたら、三会派でちゃんと詰めてもらわないと書くにも書けません、だから詰めてくださいと言われたわけです。だから詰めようと思いましたが、詰めるに当たって、協議を始めるに当たっていろいろと検討してみましたら、それは、衆法か閣法かというのと施行期日の話は、これは詰めなきゃいけないなと思いました。だから申し上げています。  これ以外に詰めなければいけないということがおありだから、詰めなければ行革大綱に書けないとおっしゃっているんでしょう。何を詰めたら行革大綱に書けるのかを教えていただきたいと言っているんです。
  64. 太田誠一

    太田国務大臣 私どもは、中央省庁等改革の大綱を書くときに、基本法に基づいて、基本法に忠実に書いたわけであります。そういたしますと、もし三会派合意の結果、その時点で基本法の改正の提案を三会派でなされて、そして当然成立するでしょうから、成立をしていればその改正をされた内容によって大綱をつくることができたわけであります。我々は法律に縛られておるわけでありますから、その法律をどうするかということは、これはまず最初にお考えいただかなければいけない点だと思います。  それから、私も何度も議員立法をしておりますからわかるんですけれども、こういうときには、条文そのものも、議員提案でなさるというならば議員の方でお考えになる、そして衆議院の法制局に相談をされてつくられたらいかがでしょうか。そして、つくられる協議をされればいいのであって、今は議員提案でやるか閣法でやるかは決まっていないわけでありますから、それをどうするんですかと言われても、それは内閣法制局がやらなければいけない仕事なのか、あるいは先生方と、三会派の方々と衆議院の法制局の意見を聞きながらお決めになることかということは、そこはぜひお考えいただきたい。  少なくともこれは、枝野先生も立法府の一員であるわけでありますから、そういう法律をつくるということでもって国民の負託を受けて出てきておられるわけでありますから、そこは、人がやることを待つのではなくて、御自身で行動を開始されてはいかがかと思いますよ。
  65. 枝野幸男

    枝野委員 太田大臣のお話は、経緯、今やりとりを十分にお聞きいただいていないんじゃないかと思うんですが、我々は、議員立法で出しませんだなんということも言っていませんし、協議をしませんなどとも言っていません。  ただ、今回、我々が三党で協議をしなきゃならないのは、まさに野中大臣が、今太田大臣がおっしゃられた前半の理屈でしょう、それは正しいと思います、詰めてもらわないと書けません、書きかえられませんとおっしゃっておられる。では、詰めるとすればどこを詰めたらいいんですかということを、その御指摘をされた御当人にお尋ねをしているんです。  この二つでいいんですね、この二つさえ詰めれば、閣法でも議員立法でもいつでもすぐにつくれますよ、議員立法で出すというんだったらつくれますよ、これだけでいいんですかと、後になってから、いや、ここのところが違うじゃないですかと言われたら困りますから、確認をさせていただいているんです。  今の二点がはっきりとすれば、これは行革大綱を書きかえるのは簡単な話ですということですね。
  66. 太田誠一

    太田国務大臣 基本法を改正するということ自体をお決めになっているんでしょうか。それを決めておられるのであれば、それはそういうふうに三会派で提案をしていただきたいんですよ。
  67. 枝野幸男

    枝野委員 この財政、金融の完全分離及び金融行政の一元化ということを行うためには基本法を改正しなければできないというのは、この文章から明確じゃないですか。明確じゃないですか、違う解釈できますか。違う解釈できるんなら教えてください。
  68. 太田誠一

    太田国務大臣 それは三会派でお決めになったことであって、政府としては、三会派から提案が出てきて、その改正案が国会で可決成立をしなければ受け入れられないじゃないですか。
  69. 枝野幸男

    枝野委員 政府として書けるか書けないかと聞いているんじゃないですよ。大臣が、基本法を変えるのか変えないのか、決まっていないじゃないかと言うから、この合意文章から見たら、どう読んだら基本法を改正しないだなんという結論が出てくるのか教えてくださいと言っているんです。明確じゃないですか。基本法を変えるに決まっているじゃないですか、この合意は。
  70. 野中広務

    ○野中国務大臣 お互いにこういう議論を繰り返しておっても、私、しようがないと思うんです。  先ほど枝野委員から、完全という国語の勉強をここで私はおさらいをさせられたわけでございますけれども、足りないことのないようにするということでございまして、金融、財政全般について、私は、合意事項に基づいて、そして我が国の金融の将来に向かって、足りないことのないようにぜひお願いをしたいと申し上げておるわけでございまして、それぞれ法律家であり立法府のすぐれた政治家である枝野委員を初めとする皆さんでございますので、ぜひ政党間でこの問題を鋭意お詰めいただくことを期待いたしております。
  71. 枝野幸男

    枝野委員 またちょっと揚げ足とるようでなんなんですが、完全という言葉は分離に係っているんじゃないんですか。今の大臣のお話し方はそうは聞こえないですね。完全な金融行政みたいな係り方をしているような理解をされていると思うんですが、完全というのは分離に係っているんじゃないんですか。
  72. 野中広務

    ○野中国務大臣 私は、何かの前提を置いて申し上げておるわけではありません。足りないことのないように、ぜひ皆さん方で議論をいただき、合意をいただきたいとお願いを申し上げておる次第でございます。
  73. 枝野幸男

    枝野委員 お願いをされて、そのお願いにおこたえしようと思うから、何を議論したらいいんですか、教えてくださいと申し上げているんですよ。それを教えていただけないで御議論くださいとお願いをされても、何を議論していいのかわからないですよ。それをちゃんと答えてください。(発言する者あり)
  74. 中山正暉

    中山委員長 ちょっと速記をとめておいてください。     〔速記中止〕
  75. 中山正暉

    中山委員長 速記を起こしてください。  枝野君。
  76. 枝野幸男

    枝野委員 もう一度お尋ねをいたしますが、今回の三会派で協議をしろというのは、この委員会の経緯の中で、なぜ行革大綱に書かれていないのかということをお尋ねしました。それは、先ほど太田大臣のおっしゃられた理屈のとおり、そこはお認めいたします。三会派で詰めるべきところがあれば詰めて、法改正を先にやらなければいけない。  ただ、法改正をしなければならないというときに、我々は、どうこの合意を読んでも、衆法か閣法かという点と施行期日以外のところについては協議をするまでのことはないですなという理解をしておるので、協議を協議をと熱心におっしゃられている、それをお願いしますとおっしゃられている御当人である野中大臣にぜひ、何を協議して詰めれば、内閣としてそこへ進んだ会派の合意として受けて、内閣として物事を進めていただけるのかということを教えていただきたいと申し上げています。
  77. 野中広務

    ○野中国務大臣 合意をされた場所に、私、居合わせただけでございまして、私がここで申し上げられますことは、再三申し上げておりますように、三会派で合意をされたその合意文書に基づいて、ぜひ三会派の合意が得られるように、きょう午後からせっかく御努力をいただくようでございますので、お願いを申し上げ、そして、その結果をお示し賜りたいとお願いを申し上げる以外に、私からこれがどうのこうのと申し上げる立場にはないわけでございます。
  78. 中山正暉

    中山委員長 速記をとめておいてください。     〔速記中止〕
  79. 中山正暉

    中山委員長 速記を起こしてください。  枝野君。
  80. 枝野幸男

    枝野委員 もう一度お尋ねをいたします。  三会派間で衆法か閣法か協議をいたすつもりでおります。それから、施行期日についても、平成十二年一月一日までということの間のどこにするのかということについて、これは協議しなきゃいけないと思います。  この二つを詰めれば政府としては対応できるという理解でよろしいでしょうか、それとも、それだけではだめなんですか。
  81. 野中広務

    ○野中国務大臣 政府から、この内容でなければだめだとか、この内容を前提に置いてやれとか、そういうことを申し上げる立場にございません。
  82. 枝野幸男

    枝野委員 内容のことは聞いていません。この二つの点が詰まれば対応できるという理解でよろしいのでしょうか、それとも、この二つだけ詰めただけでは対応できない、もっと詰めてもらわないと対応できないというようなお立場なのかということを聞いている。内容について聞いているのじゃありません。
  83. 野中広務

    ○野中国務大臣 立法府のことでございますから、立法府の皆さんが合意をされたわけでございますから、その立法府で合意をされたことが、政府が前提に、これでなければならないとか、それでなかったら政府は入れないとか、そういうことを申し上げる立場にございません。
  84. 枝野幸男

    枝野委員 立法府、立法府とよく使い分けされますけれども、野中大臣御本人も立法府の一員であるのですよ、そして自由民主党の一員でいらっしゃるのですよ。そして、これは野中大臣御本人も、たしか議事録を改めれば、衆法でやるのか閣法でやるのか決めてくださいという話ですし……(発言する者あり)
  85. 中山正暉

    中山委員長 御静粛に願います。
  86. 枝野幸男

    枝野委員 逆に言えば、閣法でやれということを決めたら、内閣は従うのですよね。閣法でやれと決められたら、内閣はやるわけですよね、三会派で。だけれども、三会派で内閣でやれと決められたときだって、実は今度は悩ましい問題があるんですね、自由党という。そういうところをどういう整理をしているのかと聞いているわけですよ。どこまで詰めたら内閣として動けるのかということを聞いているんです。
  87. 中山正暉

    中山委員長 枝野君に申し上げます。  この問題については、きょうの一時から常任委員長室で三会派の、三党間の協議があると聞いておりますので、むしろ党内で、それを詰めるその場所で、その現場での御議論を深めていただいて、今官房長官がおっしゃったように、立法と行政とはおのずから違うわけでございますので、私ども立法府の、予算委員会としての議論をここではしていただいて、もう、すぐ一時、あと三時間ばかりでその協議に入るわけでございますから、どうぞひとつ、またその間予算委員会もやっておりますので、前後を変えていただいて御質問いただけたらと思います。(発言する者あり)どうぞ質問してください。  枝野君。
  88. 枝野幸男

    枝野委員 委員長のお言葉ではありますが、議院内閣制なんですよ、この国は。大統領制じゃないんですよ。
  89. 中山正暉

    中山委員長 もちろんです。
  90. 枝野幸男

    枝野委員 政府と与党というのは、基本的には一体なんですよ。(発言する者あり)皆さん憲法の解釈をお間違えになっていらっしゃいますけれども、大統領型の立法府と行政府が完全分離している国であるならば今委員長のおっしゃった理屈はわかりますが、この国は議院内閣制で、政府・与党一体というのが原則なんです。
  91. 中山正暉

    中山委員長 当然のことです。
  92. 枝野幸男

    枝野委員 与党の側は政府に対し責任を持ち、逆に、政府は与党に対して責任を持っているんですよ。そうすると、今のような理屈は通らないんですよ。
  93. 中山正暉

    中山委員長 しかし、まだ国会が始まって、予算審議、総括もきょうまで続けてきているところでございますから。  もう当然議院内閣制であることはわかっております、私も国会に三十年籍を置かせていただいておりますので。あなたのおっしゃることはよくわかりますが、どうぞひとつ、行政の中でいろいろなことを考えながら、その三派の協議の内容に合致するような方向に努力をすると官房長官は再三、総務長官も再三おっしゃっているんですから、それを信じていただいて、議院内閣制ならばあなたの代表でもあるわけですね、立法府から出ておられる。ですから、どうぞひとつ議員としての、責任を追及する立場をお続けいただきたいと思います。
  94. 枝野幸男

    枝野委員 今の御発言にもいろいろと問題があるんですが、議院内閣制だから代表であるというのは、与党と政府が一体なんであって、それは野党と政府とは一体じゃありませんからね。  それでは……(発言する者あり)失礼なこと言うな。無礼なこと言うな。(発言する者あり)  お尋ねを申し上げますが……(発言する者あり)
  95. 中山正暉

    中山委員長 通産大臣、ひとつ御辛抱願いたいと思います。(発言する者あり)  不規則発言は、今後ひとつ御注意願いたいと思います。(発言する者あり)  それじゃ、大臣から発言してもらって、取り消してもらいましょうか。(発言する者あり)では、与謝野大臣から御発言いただいて、今の発言をお取り消しいただきたい。(発言する者あり)だから、発言してもらって、訂正してもらいましょう。  与謝野大臣、ちょっと訂正してくれますか。  通産大臣。
  96. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 一部、私の不規則発言で質問者を不愉快にさせたこと、申しわけないと思います。
  97. 枝野幸男

    枝野委員 不愉快じゃなくて、きちんと本来であれば、まあ私も不規則発言をよくする方ですから、不規則発言自体についてごちょごちょ言うつもりはありませんが、しかし、中身もいろいろあると思いますね。それはちょっと、不愉快なというような次元じゃないというふうに、きちんとした対応を今後進めていただきたいということを申し上げておいて……
  98. 中山正暉

    中山委員長 今の発言、委員長からもおわびをします、質問者のお人柄に対して大変失礼であったと思いますので。  ひとつ、質問を続行してください。
  99. 枝野幸男

    枝野委員 それでは、もう一度だけ確認をさせていただいておきますが、三会派で、では閣法でおやりをいただきたいということが合意がされましたら、それに基づいて、すぐに政府として対応していただけるということを確認させていただきたいのですが、よろしいですね。
  100. 野中広務

    ○野中国務大臣 ストレート発言の多い官房長官でございますけれども、御苦労いただいた枝野委員のほかならぬ質問でございますので、きょうは丁寧に丁寧に申し上げておりますので、ぜひ、政党間で、立法府として結論をいただきましたら、私ども政府はそれに対応をしてまいります。
  101. 枝野幸男

    枝野委員 きょうはこの後質問者も続きますので、さらにこの問題についてはやらざるを得ないというふうに思っております。  どれぐらい時間が残っているのかよくわからないのですが、先ほど農業集落排水の話で、農水大臣、お話を伺いました。先ほど国会での答弁をいただけなかったことについてのお尋ねはしたのですが、もう一点、実は……
  102. 中山正暉

    中山委員長 枝野議員に申し上げます。五分つけ足します。三十五分まで。
  103. 枝野幸男

    枝野委員 はい、ありがとうございます。  なぜお調べをいただけないのかということについて、るる農林大臣からお話がございました。  確かに、市町村の事務に対する補助金でありますこの農業集落排水、市町村や都道府県などに対する補助金であります。  ただ、これは二年前の委員会のところでも実はやりとりをしたのでありますが、地方分権という言葉の流れの中で、地方のことは地方で御自由におやりなさい、できるだけ中央は関与しない方がいい、これが従来、地方分権の流れの中で議論されてきたことであるのですが、しかし、だからといって、これは国税が地方に流れて、地方で施行されている話であります。金は出します、だけれども口は出しません、プロ野球のオーナーだったら、そういうオーナーは立派なオーナーなんでありましょう。しかし、税金を国税という形で我々お預かりをしてその使い道を決めていっているわけであります。口は出さないけれども金だけ出すというようなやり方をそんなに認めていいのかどうかという問題点を実は私は思っております。  少なくとも現在の予算の補助金のつけ方というのは、かなり個別具体的にどこに使うのかというところまでは国が決めた上で、そして地方に補助金として出しておられます。金は出すけれども口は出さないということであるならば、徹底して口を出さない、使い道はどのようにしても結構ですよという形でお金をお出しになるのではないだろうかというふうに思うのでありますが、いろいろなことをお調べになれないということをお答えになった農水省、農林大臣、農水省の予算もそういった形で、全く口を出さずにお金だけ一定の基準に基づいて地方にお分けをして農業関係でお使いいただくというやり方をされた方が、今のような答弁にならなくてよろしいんじゃないでしょうか。
  104. 中川昭一

    中川国務大臣 先生の二年前の御指摘は、今整理しますと二つありまして、まず協会のあり方の問題、それから、そこから質問、議論が発展をいたしまして、具体的な数字を挙げるときに、直轄事業、それから補助事業が二つに分かれる。  先生御指摘のように、間接補助については、あくまでも市町村に対して国が補助をして、そして今度は市町村が事業主体に対して補助をするということになるわけであります。そういう中で市町村の自主性というものを生かしていかなければならないということ、そしてまた時代の流れの中で地方分権、さらには、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、一々どういう事業に幾らやっているんだということは、これは事業としても大変に手間のかかることであり、余計な事業にこっちからお願いをするほどのことはないという、市町村に対する我々の信頼というものも前提に当然あるわけでございます。  時代の流れは統合補助金等の議論も出ておるわけでございますので、我々は、市町村がきちっとやっていただく、もちろん何かがあったときのチェック機能というのはおのずから、農林省だけではなくていろいろあるわけでございますので、あくまでも間接補助については市町村の自主性というものを、判断を中心にいたすということで、我々が一々、一つ一つの事業名あるいは金額についてチェックする必要はないというふうに考えております。
  105. 枝野幸男

    枝野委員 野田大臣は従来から、自由党の皆さんは統合補助金という言い方でしょうかを御主張されてきていると思うのですが、ことしの予算は、自自合意がその前に、党首合意ができていますから、予算編成に絡んでいらっしゃると思うのですが、残念ながらことしは統合補助金になっておりません。いつから実行をするという想定でおられるのか、自治大臣というのはまさに所管の大臣でもございますので、お答えください。
  106. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 自由党時代、今もそうですが、自由党として基本政策として掲げているのは、統合補助金という言い方ではありませんで、包括交付金といいますか、一括して交付する、したがって個別査定はやらないという発想法でありまして、基礎的自治体が自分の判断で優先順位を決めて事業を行うということを念頭に置いておるわけであります。この問題は、現在の行政体制を根底から変えてしまうということにつながるわけでありまして、残念ながら今度の予算では具体化はできておりません。  ただ、似たようなことが、いわゆる地方分権推進委員会の第五次勧告の中で、公共事業に主として絞られた中で、今御指摘の統合補助金といいますか、そういったものを、公共事業について、今みたいな個別的にやるんではなくて、もう少しまとめた形でやるべきだという趣旨の勧告が出されております。  この点について、関係各省の中で、その具体的な事務体制、執行体制をどういうふうにするかということを今現在勉強してもらっておりまして、今年度中にそれらのことを計画としてきちっと整理をしたいというふうに考えておるわけであります。  したがって、政府としては、その計画に基づいてそれを具体化していくための手順を何とか早急に進めたい、遅くとも平成十三年、言うなら中央省庁の改編が具体化するそのときまでにはそれを現実化させたいというふうに考えております。
  107. 枝野幸男

    枝野委員 自由党さんあるいは野田先生とはいろいろなところで意見が対立することもありますが、この問題では我々非常に同じ考え方を持っております。しかも、野田大臣が自治大臣という地方分権の担当の部署につかれたわけでありますから、これは早急に実行されるものというふうに確信を持って見詰めさせていただいておりますので、その手腕というものを我々見詰めさせていただきたいというふうに申し上げます。  残り五分しかなくなったので、お尋ね、どこまでできるか。この予算全体について、大蔵大臣、あるいは総理にお尋ねをした方がいいんでしょうか。  報道等で、今回の予算について、大魔神が初回から登板したような予算というような例えをされているようでございますが、大魔神が登板をしてきたら、その後、もうリリーフピッチャーはいないというような意味かなと。ということは、ことしの場合は補正予算は想定をしていないという理解でよろしいんでしょうか。
  108. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 平成十一年度予算の国債依存度は三七・九%で、非常に高うございます。平成十年度は当初二〇%でございました。十年度は補正を重ねて三八・六まで、いわば九回にそこまでいったわけですが、十一年度は、当初から三七・九という非常に高い率でございますから、そのことを大魔神ということで表現をいたしました。いわば、後がないピンチであるというふうに考えておりまして、これで私は事態の乗り切りはできると考えております。
  109. 枝野幸男

    枝野委員 質問に対して、正直に、正確に、つまり補正をやるつもりがあるのかないかということをお答えいただいていないのでありますが、確かに一見、ことしの当初予算は国債発行額が非常に大幅にふえて、私はそういった側面から大問題だというふうに思っておりますが、平成十一年度の公共事業費のトータルというのは、実は、平成十年度は補正を何度も打っておりますので、当初予算のままですと平成十一年度は平成十年度よりも公共投資の総額が減るということになっておりますが、それは当然御理解をされていらっしゃると思います。  それで、私は、公共事業ばらまきでは景気はいずれにしても回復しないと思っておるんですが、公共事業ばらまきで景気が回復されると思っていらっしゃるお立場から、景気は回復するんでしょうか。
  110. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、平成十年度の当初を前倒しを強くいたしました。そのことが一つであります。したがいまして、その後につくられました補正というものはかなりの部分が平成十一年度にかかってくる、これもおわかりいただけると思います。それらを総合いたしまして、予算ベースでも、あるいは支払いベースでも、殊に五千億乗っけておりますから、まず一〇%ぐらいなアップになる。こういうふうに考えておりますから、したがって、切れるということはない。公共事業をばらまいたから大丈夫なのかというお尋ねでございましたが、何もそういうことを言っているんではありません。
  111. 枝野幸男

    枝野委員 時間になりましたので、最後に一点だけ御指摘をしておいて。  というのも、よく自由党の皆さん、昔から、こう言っていたとおりやっておけばよかったのにということで、いろいろなところでおっしゃっていますので、私も後で言いたいので申し上げておきたいと思いますが、例えば、既に国債発行残高といいますか、それから国債依存率というのは非常に高くなっております。現実に、そうした中で、債券の利息等についても影響が出始めているというふうにも言われております。  そうした中で、当初予算、頭から大魔神を投球させたのは結構かもしれませんが、それがどこかでガソリン切れになったところで、さらに公共事業の積み増し、つまり国債発行ができるのかどうかということについては、もうそろそろ限界であろう。国債を発行して公共事業を積み増しするというやり方、どこに国債を引き受けさせるのか。例えば郵便貯金は、御承知だと思いますが、いわゆる郵貯の二〇〇〇年問題を抱えておりますので、これから国債の引き受けの対象としては余り期待ができないだろう。そうした場合に、日銀に引き受けをさせるという禁じ手を使わずに公共事業を積み増ししていくという、補正予算を組んでいくということは、現実問題として、確かに、大魔神の後にだれもピッチャーがいないという状況に近いのではないだろうか。  そうしたときに、今回、従来型の公共事業のばらまきで本当に景気が回復するのか。すれば結構なことでございますが、しなかったときには、大変な重荷を背負って財政、経済のかじ取りをしなければならなくなるというようなことがそう遠くないのではないかということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  112. 中山正暉

    中山委員長 これにて枝野君の質疑は終了いたしました。  次に、上田清司君。
  113. 上田清司

    上田(清)委員 総理以下閣僚の皆さん、お疲れさまです。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。  大蔵大臣は、実は参議院の一月二十一日の本会議で、日債銀問題に関して、   なお、おっしゃいますように、いわゆる奉加帳方式等々で、よかれかしと思っていたしましたことが、結果として何ら効果を生まずに負担だけが残ったというようなケースがあったことも残念ながら事実でございます。このような行政の誤りについては、関係の方に大変御迷惑をかけたと思っておりまして、遺憾に存じております。 と、我が党の本岡参議院議員の質疑に答えておられる。  ところが、予算委員会で二十八日に、岩國議員の質疑に答えて、全く反対のことを言っておられる。各行に個別に支援を要請するようなことはしておりません、日銀にはしておりますけれどもと。また、奉加帳にサインをしてくれと言ったことはない、こんなことを言っておられます。そして次の日に、記者会見でまた参議院の本会議の答弁に戻っておられる。  これは一体どれなんですか、三つのうち正しいのは。もっとも、三つというよりも二つですけれども予算委員会と参議院本会議と、もし予算委員会の方が正しければ、参議院の本会議、参議院の皆さんに対して失礼だ、こういうことになるのでしょう。どうなっているのですか、本当に。答えてください。
  114. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 参議院の本会議でそういうお答えをいたしました。ただ、日債銀ということになりますと、現在まだ株価の算定が行われておりませんから、多少そこは注意いたしまして、みどり銀行というふうに申しましたけれども、しかし、私の申したいことは一貫しておりまして、つまり、行政指導なりあるいは仮に護送船団と申しますか、今のような制度ができておりません時代に、何とかそういう破局を回避したい、それは我が国のためにも国際経済のためにも大事だという意識で行政官がいろいろな努力をする。あるいはあっせんをすると申し上げてもよろしいのですが、それは善意であろうけれども、結果としてはその努力が結局結実しなかったといったような場合に、そういう協力をされた方々は、いわば財政的な負担をされたのだが、それが結実しなかったということについて恐らく御不満であろう。  そういう行政というのは、故意とか重大な過失はないにいたしましても、やはり国民に結果として御迷惑をかけたことになるというふうに私は考えておりましたし、今もそう考えておりますので、その点につきましては、私は一貫して申し上げているつもりでございます。  次に、せんだっての日債銀についての答弁でございますが、これは、先ほども申し上げましたが、実はその日のお尋ねは、日本銀行がこれについて大きな金を出されたということは間違いではないかということを参考人としての日銀総裁にお尋ねがありました。  私は、大蔵大臣といたしまして、そのとき、平成九年四月一日の大蔵大臣談話におきまして、日債銀の優先株引き受けを受けることを日本銀行に対して要請したとございますので、これは明らかに大蔵大臣が要請されたものであるということを明らかにいたしたいと思いまして、大蔵大臣談話を申し上げました。  そのときに、これは私余計なことを申し上げたと反省しておりますが、大蔵大臣は市中銀行等々に対してはそういう要請をしたというふうには書いてございませんものですから、日銀だけに特に要請されたということをはっきり申し上げた方がいいと答弁をいたしました。  しかるところ、翌日、新聞記者諸君から、大蔵大臣は市中銀行に対しては何もしなかったのか、そういうふうな御質問がありましたから、それはそう言おうとしたのではなかった、私はそこは十分ではなかったなと、私の国会で申し上げましたことが。と申しますのは、この談話は全体的に、これはいいことであるから大蔵省としても支援をするということが書いてございますから、恐らく、想像いたしますと、大蔵省の事務当局等々は大臣のそういう御判断のもとでいろいろな働きかけをしたであろうということは、公にはここに書いてないけれども、そう考えるのが相当だろうなと。それは諸君の質問はもっともだと言って、新聞記者会見でそう申しました。そのことをすぐに国会で、理事会の御理解を得て発言を求めて申し上げるべきであったかもしれませんが、そういうことがございまして、これは私の言葉が足りなかった。  すなわち、日債銀の再建については、日銀に協力を求めたのはもとよりとしまして、事務当局もいろいろに努力をした、そこまでは恐らく間違いのないところである。その結果、しかし日債銀はああいうことになりましたので、この再建に協力された方々は、やはりそれは、そういう行政の結果として財産的な損失を、まだ株価の判定はありませんけれども、受けられたであろう。そういう、行政行政としてのやはり責任というのであろうと思います。故意、重大な過失はなくとも、よかれかしと思ったことがそういう結果にならなかったということは、結果としてやはり行政の責任ではないかと考えております点については従来と変わっておりません。  ただ、当委員会に対してお答えいたしましたことが、表現が不正確でありましたためにこうやって訂正をさせていただくことはまことに申しわけないと思いますが、真意はそのようなことでございます。
  115. 上田清司

    上田(清)委員 今、言葉が不正確だと言われましたけれども、正確ですよ。全然正確に言っておられますよ、予算委員会では。奉加帳にサインしてくれと言ったことはない、日銀だけお願いした。日銀だけお願いしたと言っておられるじゃないですか。日銀だけと正確に書いてありますよ、言っておられますよ。そんな不正確なというような表現じゃないでしょう。逆のことを言われたんですよ、参議院の本会議予算委員会と、そしてまた、次の日の記者会見と。何が舌足らず、何が不正確ですか。逆のことを言っておられるんですよ。しっかり謝ってくださいよ。
  116. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 説明が不十分であったことはおわびをいたします。
  117. 上田清司

    上田(清)委員 不十分じゃありません。今のはきちっとした——じゃ、質疑録は何のためにあるんですか。違うことを言っておられるんですよ、大臣は。それを不正確だ、不十分だと言われたら審議なんかできないじゃないですか。委員長、ちゃんと注意してください。
  118. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 速記録によりますと、当時の日債銀の再建に対して、大蔵大臣は談話を出しまして——各行に個別に支援を要請することはしておりません、日銀にはしておりますけれども。談話を出して、これを支援するということを言っておられます。談話に関する限りそうでございます。  ただ、そこで、談話以外の面で、市中銀行に対して事務当局が協力を要請しなかったという印象を与えたとすれば、それは私は御説明が適当でなかった、それはおわびをいたします。
  119. 上田清司

    上田(清)委員 ここで時間を全部使いたくないものであれですが、おわびをしますというよりも、中身が違う話をされた、私はそんなふうに理解をしておりますし、大蔵大臣はちょっと多いですよ。就任に当たったときにあなたは、大手十九行は一行もつぶさないと言った。そして、金融国会のときにこんなことも言われました。長銀は巨額のデリバティブを世界じゅうで扱っているので、長銀の破綻は世界恐慌を引き起こす。いつごろ起きるのですか。
  120. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 現実にそういう危険がございました。実際には、日本銀行総裁等々がデリバティブの本部に対して、これはこういう事態である、あとは国が処理をするからということを言ってもらいまして、わかったという返事がありました。  したがって、これはそういういわゆる国家管理の仕組みをつくってくださったということが基本でございますけれども、そういうデリバティブにつきましては、行政としては十分ないわば事前の了解を求めていたしたという事実がございます。
  121. 上田清司

    上田(清)委員 それなら申し上げますけれども、巨額のデリバティブを世界じゅうで扱っているので、長銀の破綻は世界恐慌を引き起こすとはっきり言われたわけですよ。しかし、それは起きなかった。言葉が軽いんじゃないですか、大蔵大臣、常に。  いいですか。その後、御承知のとおり、三月時点では大手十九行は債務超過でない、健全銀行ということで一兆八千億の公的支援を投入いたしました。御承知のとおりであります。長銀一千八百億、日債銀千四百、この二行は金融監督庁の検査ではその時点では実質債務超過だった、こういう事実があります。  その後、御承知のとおり、先ほどの奉加帳の話。一体、こういういろいろな結果が出て、だれが責任をとるんですか。何も感じないんですか、大蔵省は、大臣や政府高官は。どういう責任をとるつもりでおられるのですか。
  122. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨年の三月におきまして、公的資本が導入されました段階で、いわゆる佐々波委員会ですが、記録はまだ公表されておりませんけれども、長銀についても日債銀についても債務超過の状態があったというふうには認識をされていなかったと承知をいたしております。  結局、お尋ねの基本は、今でこそ国会で二つの法律を成立させていただきましたので、破綻に対してかなり我々は十分な体制をとることができましたが、それ以前の段階において破綻という事態が起こりますと、これは内外ともに非常に大きな影響がある。したがって、それは何とかして防ぎたいと行政としては考える、これは当然のことと思いますが、それがしかし、いわゆる護送船団方式といったようなものの結果ではなかったのかという御批判は、これは素直に受けとめなければならないと思います。  現実には、そういう御批判のもとに新しい立法ができて、そして金融行政一般についての権限については新しく金融監督庁ができる、そこで新しい検査の体制がとられたといったような形で、私どもは御批判を受けた、そういう結果であったというふうに反省をいたしておるわけであります。
  123. 上田清司

    上田(清)委員 反省じゃなくて、責任のとり方を聞いております。
  124. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そういう法律に与えられましたもとにいたした行政でありますけれども、それが護送船団と言われるようなことになりましたのは、行政としては結果として逸脱であったというふうに考えております。
  125. 上田清司

    上田(清)委員 大蔵大臣のさまざまな発言に反することばかりが出てきている、結果として。健全銀行ではなかった、恐慌は起きてない。そういう発言の重さというものをもっと感じていただきたいと私は思いますよ。  それでは、日銀総裁にお伺いします。  私の方のいろいろな調べによりますと、日債銀問題に関して、五月の十九日に、大蔵の幹部から日銀に対して何らかの形で、債務超過ではありませんよという御連絡を受けたと私は聞いておりますが、事実でしょうか。
  126. 速水優

    ○速水参考人 一昨年、平成九年の五月十九日、大蔵省が本行へ日債銀の検査報告の見込みの連絡をしていただいております。しかしそれは、主として債務超過でないということだけを伺っておりまして、実態につきましては、金額その他につきましては、日債銀から同じ日の午後に大蔵省の検査の結果を口頭で説明を受けております。
  127. 上田清司

    上田(清)委員 同じ九七年の九月に東郷頭取から御連絡をいただいていますよね、七千億という第三分類の見込みを。これは間違いありませんか。
  128. 速水優

    ○速水参考人 御指摘のとおり、同年九月十九日、日債銀の東郷頭取が本行に検査結果の報告に来られまして、七千億という数字をそのとき伺っております。
  129. 上田清司

    上田(清)委員 これはもし知らなかったら大蔵大臣じゃなくても結構ですが、同じ九七年の九月何日かに大蔵の検査の結果を日債銀に通知しております。このときには第三分類を七千億と言っておりません。一兆一千二百十二億、これは事実ですね。
  130. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  平成九年の九月十一日に、大蔵省では、日債銀に対する検査を示達しております。検査結果、第三分類は一兆一千二百十二億円であることを示達しております。
  131. 上田清司

    上田(清)委員 大蔵大臣、今も聞かれましたように、今、日銀総裁が言われましたように、九月十一日に大蔵省は日債銀に対して第三分類が一兆一千二百十二億だという示達書を出した。しかし、それから約八日後に、東郷頭取は、日銀に対してそういうことは言っておらない。もちろんこれは頭取が悪いんだという話も言えるでしょうが、大蔵省はそういうことに関してきちっとした説明をしていないんじゃないですか。大臣、どうですか。
  132. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がわかりませんが、検査の結果は、検査というのは検査するものと検査されるものとの関係でございますから、第三者に結果を申すべきことではないので、大蔵省は、したがいまして、九月十一日に、検査結果の第三分類は一兆一千二百十二億円であるということを日債銀に示達をしてございます。  しかし、これは第三者に言うべきことでございませんから、日本銀行にも申してありません。恐らく、日本銀行は日債銀から、当事者からそれについての説明をお聞きになるでありましょうが、それは大蔵省が第三者に申すべきことではない。
  133. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、速水総裁、日債銀の東郷頭取にだまされたということですか。
  134. 速水優

    ○速水参考人 日本債券信用銀行の検査結果における第三分類の債権額については、同行から、約七千億円程度、第四分類債権は約百億円程度ということを聞いております。
  135. 上田清司

    上田(清)委員 質問に答えてないんですよ。要するに、だまされたということじゃないですか。もう知っていたわけじゃないですか、日債銀は。十一日の段階で大蔵から示達書を受けていたわけじゃないですか。それで、十九日に速水総裁の方に七千億だと、こんな不届きなことがありますか。完全にだましたわけじゃないですか。これは大変なことですね。  東郷元頭取を証人喚問してください。委員長、お願いします。返事をください。
  136. 中山正暉

    中山委員長 理事会で相談をいたします。
  137. 上田清司

    上田(清)委員 それから、佐々波委員会で三月に一兆八千億の投入をされたことは御承知のとおりでありますが、金融特でも再三、佐々波委員長も出てこられました。最初の日は、私はいわば議事進行係だったというような御発言をされたんですが、さすがにこれは問題だということで、前言をちゃんと委員会で訂正されました、記者会見じゃなくて。そして、こういうことを言っておられました。検査の実態に関して、内容把握に関しては日銀と大蔵に頼んだと。  では大蔵は、九七年の四月十五日から始めた日債銀の検査、そして九月十一日に日債銀に通知をし示達書を出した、この中身をなぜ教えなかったんですか。この時点で債務超過じゃないですか。だったら、次の年の三月のときに、そのときにはもう解消されていたとでも言うんですか。もっとふえていたわけでしょう、大蔵大臣。なぜ佐々波委員会に教えなかったんですか。
  138. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 当時私は大蔵大臣でございませんでしたし、佐々波委員会の記録の全部はまだ公表されておりませんので、詳細ははっきりわかっておりませんが、ただ、今の一兆千二百十二億円でございましたか、そのこと自身が債務超過であるということに即なっているのかなっていなかったのかは、必ずしも明確でございません。  恐らく、そんたくいたしますと、佐々波委員会は、日債銀は債務超過でない、そうでありませんと公的資金が導入される結論が出てまいりませんから、そういう御判断をされたものと思われます。そのとき、大蔵大臣御自身も委員でございますから、したがって、大蔵省が見たこの銀行の内容については何らかの御説明をなさったものと推測いたしますが、その結果として佐々波委員会は債務超過ではないという結論を得られて、公的資金導入が行われた。そう考えませんとその結果が導けませんので、そういうふうに私は今推測をいたしております。
  139. 上田清司

    上田(清)委員 日銀総裁、総裁もこの佐々波委員会のメンバーでございました。そうですね。このときに、佐々波委員長の方から、日銀と大蔵のそういう判断を参考にして公的資金の導入を決定した、こういうことを再三言われました。  この日債銀の一兆一千二百十二億、こういう数字が、大蔵の検査として日銀の方にもきちっと資料が開示されていたんですか、いただいていたんですか、佐々波委員会のときに、調べるときに。
  140. 速水優

    ○速水参考人 昨年三月、日本債券信用銀行に対する資本注入について佐々波委員会で審査されたわけでございますが、法律及び審査基準にのっとった厳正な審査を経て決定したというふうに認識しております。審査委員会において、三月五日の申請から三月十日の決定までに、限られた期間、申請行からの自己査定資料を初めとする提出書類に基づいて、集中して審査を行ったと聞いております。その時点において、同行が債務超過であるという情報は持ち合わせていなかったわけでございます。
  141. 上田清司

    上田(清)委員 質問に答えてください、ちゃんと。だめだ、こんなことじゃ。
  142. 速水優

    ○速水参考人 だから、聞いておりませんということです。
  143. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、いいですか、佐々波委員会が、事日債銀に関してだけですが、一番近い、身近な検査の結果は、この大蔵省の九七年の九月の示達書なんですよ。当然、それ見なくちゃしようがないじゃないですか、大変なことじゃないですか。見てないというんですか。
  144. 速水優

    ○速水参考人 その数字は見ておりません。  私も、その会議に出たわけでございませんから、どういう報告があったか詳しいことは聞いておりませんけれども、数字は記録に残っておりません。
  145. 上田清司

    上田(清)委員 これは大変重大な事実であります。先ほど申し上げましたように、時間的にも、九月十一日の話、十九日の話、日付もはっきりいたしました。そして、この佐々波委員会で、日債銀の、公的資金を投入する場合に一番重要だと思われる大蔵省の検査結果について資料として開示されてない、日銀総裁も見ていない。  これは佐々波委員会の五人の皆さんにも、この辺の事実を、証人としてぜひ出頭いただきまして、しっかり確認させてもらいたいと思いますので、委員長、取り計らいをお願いします。
  146. 中山正暉

    中山委員長 理事会で協議いたします。
  147. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  それでは、日債銀の問題はまだ細かい話もしたいところですが、せっかくでございますので、法務大臣の方にお願いをしたいと思います。  どうぞ、速水総裁、ありがとうございました。
  148. 中山正暉

    中山委員長 御苦労さまでした。お帰りください。
  149. 上田清司

    上田(清)委員 中村法務大臣は、私、ずっと大蔵委員会に所属しておりまして、政務次官として大変御指導いただいて、心から感謝を申し上げておりますが、しかし、それはそれとして、しっかり御質疑をさせていただきます。お許しをいただきたいと思います。  早速ですが、法務大臣は、九八年七月に就任後に、いわゆる日本生命の石垣島におけるホテル開発関係の資料を、刑事局長をお呼びになって、こういう違法行為があるからしっかりやれ、そういう御指示をなさいましたか。資料をお渡しになりましたか、それから御指示をなさいましたか。
  150. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 法務省内部でどういう話がされているかというのは基本的に外部にお話しするべきことではないと思いますが、私のことでありますのであえてお話し申し上げますが、そういう事実はございません。  そして、私が就任いたしましたときは、この事件は既に送検をされております、そういう事実。  それから、これは私が就任いたしましてすぐにお話ししたことですが、法律上、私が捜査について指揮をとれる相手というのは検事総長でございまして、指揮をとれない人にそんなことを言うわけもございません。
  151. 上田清司

    上田(清)委員 そういうふうに基本的に言われると思いますが、私もいろいろ関係者から聞いてまいりましたら、松尾当時、今もそうですね、刑事局長を大臣室に呼び、日本生命開発用地の不動産登記簿謄本、沖縄県職員が持ってきた工事中止命令関係書類、開発現場写真などをとじた自己所有の一件記録をお渡しした、こんなことを私は聞いておりますので、ちょっと頭の隅に置いておいていただければありがたいと思います。  それから、九月の末にまた松尾刑事局長を呼び、この前渡した資料のとおり明らかに違法なんだからやれというような趣旨のお話をなさいませんでしたでしょうか。
  152. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 そういう話はしておりません。  それと、不思議に思うのですが、この件に関して、刑事局長も私も、記者から面談を求められたり話を聞かれたことはございません。
  153. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、十年の九月一日に法務大臣が記者会見をなさいまして、九時二十七分から五十二分ですが、これは法務省の政府委員室でですが、このときに、日本生命について、それはどうなっていると建設省に聞いたりしたよというようなお話をされておりますが、これは事実でしょうか。
  154. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 それは現地の人から、たしかおととしだと思いますけれども、申請をしないで工事が大規模に行われている、これについて国会議員としてどう思うかと言われたので、経緯を建設省に聞いたことはあります。
  155. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  そこで、この日本生命の違法行為等について、告発人がおられますが、この告発人に弁護士を御紹介したのは中村法務大臣だと聞いておりますが、この告発人は、私が調べたところによると、特別にホテル側との利害関係はない、こんなふうに考えておりますし、なおかつ、弁護士の費用は払っておらないと言っておりますが、これは法務大臣が肩がわりされたんでしょうか。
  156. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 これは告発人と弁護士さんの間の関係ですから、私は一切知りません。
  157. 上田清司

    上田(清)委員 御紹介の事実はあるんでしょうか。
  158. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 それは、これも一昨年だと思いますけれども、石垣島というところには弁護士がいないと。それで、告発された方は、あの地域のある一定の青年のリーダーみたいな方でいらっしゃいまして、昔お会いしたことがある方であります。その方が、石垣島には弁護士がいないし、こういうことを相談するのはどうしたらいいだろう、那覇からも弁護士さんはなかなか来てくれないんですよという話がありましたので、御紹介したのは事実であります。
  159. 上田清司

    上田(清)委員 この方は今破産状態みたいな形になっておりまして、土地や家が競売にしばしばかかっておるような事態で、弁護士の費用は払っておらないというようなことを私、関係者から聞いてまいりましたが、とにかく、そういうことがあるということをぜひ法務大臣にも頭の中に入れておいていただきたいと思います。  それで、共同通信の配信、御承知だと思いますが、法務大臣は、事実に反するという抗議文を出されておりますが、どこが事実に反するんでしょうか。
  160. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 今の石垣島の件についてですか。
  161. 上田清司

    上田(清)委員 説明が不足しておったと思います。申しわけありませんでした。  実は、共同通信の方でこのような配信がなされました。昨年の十月二十四日であります。  沖縄県石垣島のホテルの実質的オーナーであります中村正三郎法相が、ホテル近くで日本生命保険(本社大阪)が進めているリゾート開発に絡んだ都市計画法違反容疑の告発について、書類送検後の九月、法務省刑事局に積極的な捜査、処分を口頭で指示していたことが二十四日、複数の関係者の証言でわかった。このような共同通信の配信がありました。  そして、特に、個別事件に関する法相の指揮は、先ほど法務大臣も言われましたように、検察庁法十四条で検事総長に対してのみと規定、検察の独立性を守る精神から極めて限定されている。刑事局の幹部は、個別の事件に言及すると指揮権との絡みで問題になりかねないという説明を法務大臣にされたと聞いておりますが、この配信について、中村法務大臣はどう抗議文を出されたのか。
  162. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 報道の事実はないという抗議文を出したわけでございます。  その理由は、私は、就任早々、検察庁の幹部を呼びまして、これはこの前もここでお答えしたことがございますけれども、検察庁といえどもこれは行政機関である、行政機関は連帯して国会に責任を持つべきものだ、昭和三十年ごろまでは検察官も国会に来て証言をしておった、しかしあるときから検察官が出なくなった、これは国政調査権との関係において将来考えなきゃならないことじゃないかというお話をしまして、現在の検察庁法をつくりましたときの木村篤太郎大臣の提案理由説明書にある、検察は一般的に法務大臣、当時は司法大臣ですが、その指揮下にある、そして個別の事件について指揮をするときは、個別の検察官の独自性を維持するために検事総長を通じて指揮をするということになっておる、だから私が指揮するときは、検事総長に大臣室に来ていただいて私が指揮をするからということを申しました。  しかし、それから実際には一度も検事総長を私は呼んでおりません。
  163. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  この文に関して、複数の関係者から私もいろいろお伺いしましたので、必ずしもだれが正しいということは言えるわけじゃありませんが、とかくこの話が法務大臣の指揮権発動にかかわるような、そういうお話が出回っていることに大変私は危惧をしておるということだけは申し上げておきたいと思います。  それから、一月四日に、法務大臣は新年のごあいさつを法務省の職員皆さんに対してなさいました。この席には司法記者クラブの皆さんもたくさんおいでになっておりまして、中には速記の得意な方がおられまして、法務大臣の一言一句を起こしていただいた方もおります。重要なくだりについて、私も、事の問題が重大でありますので、複数の記者とメモを照らし合わさせていただきまして確認をしました。  資料1をお配りしてください。少し間があいて申しわけありません。——法務大臣に先にお渡しください。  これは、今申し上げましたように、一月四日の法務省内での大臣のあいさつのくだりの一部であります。読み上げます。「皆さんも御承知のとおりアメリカの言う自由市場経済というのは自由ではないのでありまして、他の国が勝ちそうになると原子爆弾とミサイルが飛んできそうな自由でありまして、すぐ貿易のスーパー三〇一条というようなものを出して人を脅かすということで、決して自由な競争ではない。」こんなくだりを言っておられます。  このことについて、外務省では大変な騒ぎになって、外務大臣は消防長官みたいに火消しの役割をなさったというようなお話も承っておりますが、外務大臣、このようなお話を聞いておられますか。今私が申し上げた部分です。
  164. 高村正彦

    ○高村国務大臣 報道で知っていることであります。  そして、私が火消しの役割というのは、そういう記憶は特にありません。
  165. 上田清司

    上田(清)委員 私も少し、複数の外務省の方から、実は大変な発言だということで、アメリカの大使館筋にいろいろとお話をされたということを承っております。  そこで、その後のくだりでありますが、「その中で日本人は連合軍からいただいた、国の交戦権は認めない、自衛もできない、軍隊も持てないような憲法を作られて、それが改正できないという中でもがいておるという、大変な時代に我々は生きているんだと思います。」こんなふうに中村法務大臣は言われておりますが、これは間違いありませんか。
  166. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 この発言は、四日の日の、法務省の幹部を集めて、内部の新年のお祝いの会で申し上げたのですが、ことしは司法制度改革の年である、これに法務省としても力いっぱい貢献していかなきゃいけないという話をいたしまして、その冒頭で、このことを強調する余り、世界の中の複雑な情勢だとかいうことを強調したいと思いましてお話ししたんでございますが、その表現に極めて適切を欠いたところがございましたので、翌日の閣僚協議会においておわびを申し上げ、撤回をさせていただいたわけでございます。  表現に適切を欠いた点があったことは全く遺憾に思っておりまして、改めておわびを申し上げる次第でございます。
  167. 上田清司

    上田(清)委員 どの部分が適切を欠いたんでしょうか。私が上げました資料1の部分で結構でございますが、お願いいたします。
  168. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 内部の話でありますので余り細かくお答えするのもいかがかと思いますけれども、私の失敗でありますからお答えさせていただきます。  三〇一条というような貿易上のいろいろな解決手段をミサイルになぞらえたようなところが適切でない。それから、私は、現下の憲法の中で国際的な平和協力をやるというようなことは一定の制限があるし、憲法は守っていかなきゃいけないものだという趣旨で申し上げたわけでございますが、それがそういう意味にとられなかった、こういうことについて、撤回をしておわびを申し上げた次第でございます。
  169. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、法務大臣、恐縮ですが、資料1とつけておりますところのこの文言に関しては、こういう御発言をされたということに関しての確認ですが、間違いありませんか。
  170. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 私は、交戦権のない、そして自衛のためには、自衛隊というのは軍隊でないと私は思っておりましたので、自衛のためにも軍隊というようなものは持っちゃいけないんだ、こういうようなことを申し上げたつもりでございます。
  171. 上田清司

    上田(清)委員 資料2を配っていただけますか。  それで、今いみじくも法務大臣言われましたように、この中で大変な、法務大臣として適格に欠く発言があったというふうに私は思っております。閣僚懇談会で、ちょっと発言に不適当な部分があったというようなことで済まされるのかなというふうに思います。「自衛もできない、軍隊も持てないような憲法が作られて、それが改正できない。」自衛はできるはずであります。自衛権はあります。改正できない。改正できます。ちゃんと改正条項がございます。  こうした発言は、まさに憲法九十九条の閣僚の憲法遵守義務に違反するのではないか、私はこんなふうに思いますが、小渕総理、どうでしょうか。
  172. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 中村法務大臣が五日の閣僚懇談会におきまして、不適切な表現があったということですべて撤回をいたしておりますので、内閣の閣僚として、そして改めて憲法尊重、擁護につきまして、このことを確約いたしておりますので、その適格性は何ら問われるものでない、こう考えております。
  173. 上田清司

    上田(清)委員 総理、大変温情にあふれる対応だというふうに思いますが、しかし、御党自由民主党では、一九九三年の野党時代に——当時の中西防衛庁長官がこの憲法にかかわるお話をされております。どういうお話であるかということに関しては、こんな趣旨でございますが、ある参議院議員主催の勉強会で、世界でこれほど激変が起きているとき、憲法に後生大事にしがみついているのはどう考えてもまずいだろう。こういう、ある意味では的確な御指摘だと思うのですが、しかし、予算委員会で、当時の白川勝彦先生が、閣僚の憲法遵守義務を規定した九十九条に違反すると、こんなことで予算委員会はここでとまっちゃったんですね。憲法を遵守しないような、そういう大臣のもとでは審議ができないと言ってとまったんですね。ここでとまらないようでは、私、中西先生に申しわけないなと思っているのですけれども。  どうですか。先ほどの資料を見ていただきましたように、この資料2にくだりがありますが、これは一字一句起こしておりますので大方間違っていないと思いますが、自衛もできない、憲法改正もできないという認識というのは、これはどういうことなんでしょう。総理、もう一度御答弁お願いいたします。
  174. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、法務大臣御自身が不適切であるということでお取り消しをされておられますので、私自身としてはそれを了として、引き続いて大臣職として精励していただくように私から申し上げた次第でございます。
  175. 上田清司

    上田(清)委員 閣僚が不適切な発言をして、謝れば事が済む、こういうふうな認識でよろしいんでしょうか。
  176. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 これも繰り返しますが、御本人がこの発言そのものを不適切としてこれを撤回されておるということでございますので、そのことの事実は、そうしたお考えはない、こう考えておるわけでございますので、私としては、そのことについてはこれを了として、職務に精励されるように私としては理解し、現実に今その職務に当たっていただいておる、こういうことでございます。
  177. 上田清司

    上田(清)委員 これは大変な問題なんですよ。法の番人たる法務省の最高幹部を含めた職員皆さんの前でこのようなごあいさつをされて、改正ができない、改正はできるということはもう御承知のとおり。自衛も、自衛権もあるということも御承知のとおり。その反対のことを言っておられる。こういうことを法務大臣が言われて、どうして法務省の秩序が保てますか。法の番人の、大変な問題ですよ、これは。撤回で済むような話じゃありませんよ。  いいですか。自民党が野党のときに、白川勝彦先生は、後生大事にしがみついているのは全くいかがなものか、このような中西防衛庁長官の発言に、こんな憲法を遵守しない大臣のもとで審議なんかできないと言って、その日はストップしたじゃないですか。私もそう思いますので、審議ストップしていただきたいですよ、きちっとした答弁をとらなきゃ。
  178. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 私は、閣僚の一員として日本国憲法を尊重、遵守するのは当然のことと心得ております。そして、御指摘の発言は、再三申し上げて申しわけありませんが、憲法のもとにおいては、国際的な活動、ちょうどあのときにPKFに参加とかそういうことも話題になっておりましたので、そういうことには一定の制限があるんだということを申し上げたので、憲法を改正するというような意図があって申し上げたことでは全くございません。その点については、誤解いただきましたことに心からおわびを申し上げる次第でございます。
  179. 上田清司

    上田(清)委員 外野席から、わびることない、そのとおりだという話ばかり出ているんですね。本音の部分がどこかというのはもうよくわかっているわけでありますが、総理、再度申し上げますが、法務大臣は、やはり法の的確な執行がさまざまな形で行われるような大変重要な閣僚であります。まさに、憲法の番人とは言いませんが、そういう職責でありますので、軽々しく、法務省の皆さんを集めた席でこのような、自衛もできない、軍隊も持てないような憲法がつくられて、それが改正できないという中でもがいておる、この憲法は嫌で嫌でしようがない、こういうお話じゃないですか。不適切な発言という問題じゃないでしょう。間違った発言じゃないですか。これは、罷免しなくてはいけない話じゃないのですか。おかしいですよ。お答えください。
  180. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 法務大臣として、憲法の問題について触れられるということは、慎重の上にも慎重を期さなければならない。もとより憲法で、委員指摘のように、改正の条項もございます。と同時に、憲法遵守についての責任も負っておるわけでございますから、そういった意味では、こうしたことで予算委員会で御指摘をされるということは、不注意のきわみだろうとは思います。  しかし、本人自身がそのことについて十分その趣旨を撤回されておられますので、私としてはその撤回の意味を十分受けとめて、そしてこの内閣としては、九十九条に基づいて、十分各閣僚ともその条項に基づいて憲法を遵守していくという立場を遂行していくということの確認がございましたので、私としては、法務大臣としての職責を全うされることとして認めた次第でございます。
  181. 上田清司

    上田(清)委員 何度も申し上げますが、事の発言の場が違うのですよ。法務省の幹部の皆さんを集めた新年の席でこういうお話なのですよ。座談でもなければ漫談でもないのです。きちっとした、法務大臣としての新年に臨む基本方針なのですよ。そういうお話をされているわけですよ。その席でこういうお話が出てきて、何で罷免の対象にならないのですか。  小渕総理、もう一回聞きます。罷免の対象でしょう、これは。
  182. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 仮にも、御本人がその趣旨に基づいて、憲法に関して、みずからの信念でございます、こう言っておられれば、それは、それに対しての内閣総理大臣としての考え方と意を異にすればそういう対象になるだろうと思いますが、御本人がこれを十分撤回しておられるという状況でございますので、私としては、重ねてでございますが、法務大臣として、憲法遵守の精神を十分持ってこれからの職責を全うしていただきたいということを申し上げ、そのことを了解されておられるので、私としては、現在の対応についてはこれを認めさせていただいておる、こういうことでございます。
  183. 上田清司

    上田(清)委員 総理、発言について、思想がいろいろありまして、考え方がいろいろあって、その考え方の表現が間違っていたとか、あるいは誤解を招いたから撤回したいということだったらいいのですが、基本的な認識について間違いなんですよ、法務大臣として。適格性に欠けると私は申し上げているのですよ。改正できるのに改正できない、自衛権があるのに自衛権もない、おかしいじゃないですか、閣僚として、法務大臣として。それを申し上げているのですよ。適格性に欠けるのですよ。そうお思いになりませんか。場所が場所ですよ。そう思いませんか。もう一回聞きます。
  184. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 重ねてでございますが、みずからの発言を撤回し陳謝しておられるわけでございますので、私としてはそのことを了とした、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  185. 上田清司

    上田(清)委員 中村法務大臣、責任をお感じになりませんか。この問題はちょっと適格に欠く話ではないかといって、私は最初に申し上げました。大変残念でありますが、きちんと責任をとられた方が、法務行政の中においても、そして日本国家の運営においても、そのことが一番正しいことではないかと私は申し上げますが、いかがでしょうか。
  186. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 私としては、私の至らないところで不適切な発言をしたということでおわびを申し上げ、これを撤回させていただくということを閣僚協議会でお願いし、おわびを申し上げた次第でございます。どうか御理解いただきますようにお願い申し上げます。
  187. 上田清司

    上田(清)委員 堂々めぐりになりました。極めて残念であります。  私は、あくまで小渕総理に、事の重大性から考えてこれは罷免の対象ではないかということを再度申し上げ、そして中村法務大臣には、今後の法務行政のあり方をきちっとしていくためにも、あえて責任をとって辞任していただきたいということを申し上げたいと思います。  それではちょっと、先ほどの日債銀の部分で、確認というよりも、佐々波委員会に関しては、政府の立場の中でしっかりと、佐々波委員会の決定に関して閣議で決定をしております。したがって、日債銀に六百億を投入したことに関しては閣議で確認をしている。こういう意味で、これは単に佐々波委員会だけの責任じゃなくて、日本国政府としての大変大きな責任を持っているということを改めて申し上げたいと思いますが、総理、政府の責任の重さについてどのように考えておられるか、確認をさせてもらいたいと思います。
  188. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 法的な措置として、今御指摘のように閣議におきましてこれを決定して、そのような佐々波委員会の決定を了解したわけでございますから、政府としてはその責任を負っていると考えております。
  189. 上田清司

    上田(清)委員 再度申し上げますが、佐々波委員会が、大蔵省と日銀の資料に基づいて基本的に決定した。そして、大蔵省は、前年度の九月の時点で日債銀の第三分類についての把握もできていた。しかし、それは十分佐々波委員会に提示されることなく、そして決定された。なぜそんなふうになったのか。  しかも、それ以前の問題も、お話ししましたように、そういう結果がありながら、実は四月、五月の時点からもある程度わかっていた。長銀の問題でもしかりでした。日比谷総合開発、有楽町総合開発、駅の名前をいっぱいつけて、ダミー会社をたくさんつくって、そういうところにどんどん流しているという話もずっとさまざまな、東洋経済であるとかアエラであるとか、そういうところでも報道されていた。しかし、そういうところを詳しく調べることなく、債務超過はなかった、健全銀行だということで、三千億を超える損失を現に起こしているという事実に関してどれだけ責任がとれるのですか、政府としては、大蔵省としては。それを私は最後に聞きたいと思います。宮澤大蔵大臣、お願いします。
  190. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 佐々波委員会の最終的な記録が公になっておりませんので推測をいたすことになりますが、恐らく関係者としては、債務超過という事態は存在していない、こう判断されたものというふうに考えます。
  191. 上田清司

    上田(清)委員 既に私が申し上げましたように、三千億を超える損失が起こり得る可能性が高い現況の中で、どういう責任がとられるのか、そのことをお伺いしたのです。
  192. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 債務超過でございませんければ公的資金を導入するということを妨げないわけでございますから、したがって、そういう判断をされたものというふうに考えます。
  193. 上田清司

    上田(清)委員 健全だと言っておられたけれども健全じゃなかったわけでしょう。そういうことも含めた責任を私は確認しているのですよ。  時間になりましたけれども、そのくらいで済むんだったら気楽なものですよ、何の責任もないというのだったら。行政上できることは一生懸命やりました、結果、いっぱい失敗しています、でも責任は感じません、そんなことで世の中通るわけないじゃないですか。それだけ言っておきます。  ありがとうございました。
  194. 中山正暉

    中山委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田克也君。
  195. 岡田克也

    岡田委員 民主党の岡田克也です。  きょうは、時間も三十分しかございませんので、基本的な骨組みのところだけ、景気対策、経済対策に関してお聞きをしたいと思っております。今後、一般質疑の時間もございますので、大蔵大臣や経済企画庁長官もいろいろ御答弁したい場面があるかもしれませんが、ぜひ総理中心に御答弁をいただきたいというふうに最初に申し上げておきたいと思います。  そこで、来年度の経済成長でありますけれども、政府は〇・五%という見通しを示しておりますけれども、先ほど宮澤大臣から、この予算で乗り切れる、そういうお話もございました。確かに、かなり大規模な公共投資や大幅な減税をしておりますので、中身は私もいろいろ異論がありますけれども、しかし、規模的にはかなりのものを用意しているということは事実であります。  問題は、そういった、特に公共投資を中心とした官需がいかにして民需に転じていくのか、つまり、民間需要が、公共投資や減税を一つのきっかけとして、いかにしてことしの後半盛り上がっていくのかというところにあると私は思いますが、そういったところについて、総理としてどういうシナリオを考えておられるのか。ことしのいつごろにどういった需要項目がふえるという形で景気が自律的な回復軌道に乗る、そういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  196. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 基本的には、岡田議員御指摘のように、これから民間がどのようにワークしていくかということが非常に大きなポイントだろうと思いますが、政府としては、申し上げておりますように、十一年度には、金融システムの安定化等によりまして不良債権の処理、金融機関の再編が進んできておるわけでございまして、この辺は、国会の御協力も得て、昨年この問題についての処理ができ、そして今、現実にその後の措置について進んでおるわけでございます。  金融監督庁あるいは金融再生委員会等を通じまして、この二つの法律をいかに生かしていくかということで全力を尽くしておりますので、そういう意味の大きな金融システムの安定の方向というものについての理解は内外とも非常に高まってきておるのだろうと私は思っておりますが、引き続いて努力しなければならぬと思っております。  こうしたことが行われましても、実は実体経済がそのままに回復するとは思いませんが、しかし、その要因が取り除かれたという意味では大変意義の深いことだと思っております。  そして、政府としては、昨年の末に成立いたしました第三次補正予算のもとで切れ目なく景気回復策を実施いたしておりまして、十一年度予算におきましても、恒久的な減税を初めとして、国、地方合わせての九兆円を超える思い切った減税を実施するほか、公共事業につきましても大幅な伸びを確保するなど、積極的な財政運営を行うことといたしております。  このような諸施策と民間の真剣な取り組みが相まつれば、十一年度には我が国経済の実質成長率が〇・五%程度回復するものと実は確信をいたしておるわけでございます。今後、日本経済が豊かさの中の不況ともいうべき現在の状況を脱し、自律的に発展していくためには、経済構造改革の一層の推進を図り、経済の供給サイドの体質強化、とりわけ新事業を創出することにより良質な雇用の確保や生産性向上を図ることが重要でありまして、このため産業再生計画を過ぐる二十九日に策定いたしたところでございまして、そういった意味で、サプライサイドの問題としても積極的に取り組むことができるように、各産業界その他につきましても、私自身も、その力が自律的に大いに働いてくるように積極的に応援を申し上げていきたい、こう考えておるわけでございまして、そうしたすべての施策が有効に、効果的に、有機的に働いてくる、そのきっかけが生まれつつある、こう考えておりますので、それが実行されてこられれば最終的に〇・五%のプラス成長に向かっていけるもの、このように深く確信をいたしておるところでございます。
  197. 岡田克也

    岡田委員 非常に多くのことを述べられましたので焦点がちょっとぼけたと思うのですが、もう少し別の聞き方をいたしますと、最終的に総理がおっしゃったことは、構造改革をやっていく、こういうお話だったと思います。  それでは聞きたいと思いますが、今いろいろ産業再生計画とか個別のことはお話しになりましたが、もし総理が、一つか二つ、せいぜい三つ以内で、今やらなければいけない構造改革はこれだということを国民に訴えるとすれば、何を言われるのでしょうか。
  198. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 三つと問われますと、いろいろな観点があるんじゃないかと実は思うんです。  例えば、予算を一日も早く成立させていただいてこれを執行させていくというような問題もありますし、また雇用の問題について、現況非常に厳しい状況でありますから、これに対しての対策を実効あらしめていくというような観点のとらえ方もある。一方、規制緩和をさらに進めていかなければならないというような問題もあろうかと思います。  思い切ったそうした政策を遂行していくということに尽きると思いますが、改めて三つと問われますとなかなか絞り切れませんが、すべての政策を遂行していくということではなかろうかと思います。
  199. 岡田克也

    岡田委員 私は、三つと言ったんじゃなくて、一つ二つ、ないしは三つということで、最大限三つの幅の中で、総理がこれだけはやりたいということをお聞きしたわけでございます。  では、もう少し限定して、この国会中に、いろいろな法案がかかってきていると思いますが、そういう中で総理が、景気回復のためにこれだけはやらなければいけない、そういうふうに認識をしておられる構造改革の法案はどれとどれか。どれとどれかと言うと二つと思われるかもしれませんが、一つでも二つでも三つでも結構でありますけれども、総理としてこれだけはやるんだ、そういう国民へのメッセージになるような御答弁をぜひいただきたいと思うんです。  今そこでいろいろ答弁をひっくり返している姿を見れば、本当に総理としてこの国の景気を回復していくために構造改革をやっていく、そういう意欲といいますか、その気が見えないわけですから、その気が見えるような答弁をいただきたいと思います。
  200. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 各種の規制緩和というような問題につきましても、徹底的にこれに取り組んで処置していかなければならないんじゃないかと思いますが、重ねてでございますけれども予算の中にすべてのことを盛り込んでおりますので、これをすべて効果的に発揮のできるようにいたしていかなければならない、そのためには、ぜひ、減税も含めましたこの予算について、一日も早くこれが執行のできるように御協力をお願いしたい、こう思っておる次第でございます。
  201. 岡田克也

    岡田委員 私は、総理の危機感といいますか、そういうものに対して若干の心配をしている一人であります。  経済戦略会議が十二月二十三日に、日本経済再生への戦略ということで中間的な取りまとめをされました。最終的なものは今議論中だと思いますが、この中でも、三つの経済シナリオということを言っておられます。総理御存じのとおりであります。  一つは、このままいったらもう停滞シナリオだと。平均成長率は九九年から数年間一%を大きく下回る、失業率の大幅な上昇が生じる危険が強い、こういうふうに言っております。  そうならないためには、一気に構造改革を進める覚悟が必要だ、そのためには二年ぐらいの間に構造改革をやらなければいかぬ、こういうふうになっているわけであります。  しかし、二年ぐらいといっても、実際にはことしと来年ということでありますから、この国会で、この報告に盛り込まれたかなりの部分について法案にして出すというぐらいの決意がなければ、私は、ここで言う停滞シナリオになってしまう、そういうふうに総理を取り囲む学者の先生方も思っておられると思うのですけれども、そういう決意はございますか。
  202. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 せっかくこの戦略会議を設けさせていただきまして、本当に熱心に御審議、御討議をいただいてきておりまして、中間的な報告をいただいております。  最終的な報告はできれば二ないし三月にちょうだいをいたしたいと思っておりますが、もとより、これを諮問した私の立場といたしますれば、これを実行いたしていかなければなりません。それを行うためには、法的な措置が行われなければ結果的には実行し得ないのでございまして、私としても、経済戦略会議皆さんにも、かりそめにも法律としてこれを措置する場合にはどういう法律として考えていただくかということで今検討を願っておりますが、もとより、この答申を法制化していく過程におきましては、与党とのお話もございますし、またもちろん国会での御審議もいただかなければなりません。  しかし、その内容とするところは、非常に今日的な課題と同時に、中長期的な日本の将来の経済のありようについてかなり率直に申し述べられておるわけでございますので、私といたしましては、そうした御提言を十分受けとめながら、フォローアップをしながら、一つ一つ実現可能性のあるものからその措置をしていかなければならない、このように考えております。
  203. 岡田克也

    岡田委員 私も、この中間取りまとめを読ませていただいて、中身的には同意できない部分もございます。恐らく政府の中でもかなり議論は出ると思いますね。  例えば年金のところなどは、民主党も、厚生年金の二階部分は必要である、そういうふうに考えておりますけれども、恐らく政府の中でもそういう意見はあるんだろうと思います。しかし、ここでは二階部分は民営化という結論になっておりますから、そういうところの調整は恐らく要るんだろうと思います。そういう調整を急いでやった上で、この国会に可能な限りそれを盛り込んだ法案を出すということが絶対必要なことだ、そういうふうに私は思うわけですけれども、それだけの決意というものが総理におありでしょうか。それとも、これは単に出された紙切れに終わってしまうのでしょうか。
  204. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 ですから、紙切れとおっしゃられますが、本当に真剣に取り組んで描いていただいたお考えでございますから、これは、その実行について十分認識をしながら対処するということは当然の私の責務だと心得ております。  ただ、物にはプライオリティーというものもございます。と同時に、長年にわたって国会で御議論があった問題等につきましては、これは直ちにこのことが、国会をしてこれが通過するということにもなりかねない大きな問題もはらんでおりますから、これはまず与党の皆さんとも十分相談をしながら、できる限り早い機会に現実化できるものは現実化していくということは至極当然な私の責務だと心得ております。
  205. 岡田克也

    岡田委員 ちょっと議論を整理しますと、ことし政府は〇・五%成長を言っておられるわけであります。その〇・五%成長を遂げるためには、民間需要にどこかで点火をする、火をつけるということがないと、それは公共事業だけではとてもそういうことにはならないわけであります。  それをいかにしてしていくかということが大事だというときに、構造改革をきちんとやっていくという政府の方針が出て、具体的にそういう方向に向かっていく中で、もちろん水準は低いとは思いますけれども、民間企業も設備投資をするし、何よりも消費者は将来展望が開かれるということで安心して少し消費をふやす。  先週来、所得の比較的低い方の消費性向が今落ちているという話がありましたけれども、これは、買いたいものはある、あるいは使いたいものはある、しかし、結局将来の不安があるから貯蓄に回してしまう、こういうことだと思いますから、そういう人たちが安心してお金を使うことができるような将来展望を示す、特に社会保障の年金や医療などはその典型だと思いますけれども、そういう全体の大きな流れだと思うのですね。  総理のお話を聞いていて、果たして今のお話で、そういう改革がぽんぽんとこの一年ぐらいで出てくるのかどうか、私はかなり疑問に思うわけでございます。総理は御自信がおありだと思いますけれども、その点について、もう一度総理の決意をお聞きしたいと思います。  あわせて、〇・五%成長ということを見通しとして示しておられるわけでありますけれども、この経済成長ができないときに、総理としてはどうされるおつもりなんでしょうか。
  206. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 目標を設定いたして、ぜひそれが実現のために最善の努力を申し上げるということが後段のお尋ねに対する私の、決意も込めて、その努力をいたしていきたいという考え方をいたしておるわけでございます。  それから、各種の構造改革、これは行わなければならないことは当然のことだろうと思いますが、そういった意味で、これから計画的にそれぞれの構造改革を推し進めていく。産業におきましてもそうでございますし、財政につきましては、今般こうした形で将来の問題として取り組んでおりますが、いずれにいたしましても、今次予算は、ともかくことしのこの状況を乗り越えて、経済再生元年といたすべくあらゆる手法を講じて取り組ませていただいておるわけでございますので、そうしたことを実行するというところに第一の課題があると認識をいたしております。  しかし同時に、御指摘のように、各種の構造改革というものも常々頭の中に描きながら、そのスタートをいたすべき時期というものはいろいろあろうかと思いますけれども、これは念頭に必ず置きながら対処していかなければ、日本自体のすべての構造改革を行うということでなければ、今次今般の状況は乗り越えて〇・五%の経済成長が達成されたといたしましても、その後の問題の解決にはならない、こういう認識で対処いたしていかなければならぬ、こう考えております。
  207. 岡田克也

    岡田委員 より詳しいことは一般質疑で大蔵大臣や企画庁長官とも議論させていただきたいと思いますが、私は、もしこれでうまく民需に点火しなかった場合には、これは大変なことになるだろう、そういう予感がいたします。  先ほど来の議論にもありますように、もう二の手、三の手はない状況で、例えば補正を組むとか、来年度予算も今年度並みにあるいはそれ以上に大型のものを組むとか、そういうことはほとんど余地がない状況で、これはラストチャンスだろう、ここでうまく民需に点火できなかったら、これは日本経済にとって本当に大変なことになるだろう、そういう気がいたします。  そうならないように、総理の方で、構造改革についてもテンポよく進めていただいて、国民が本当に二十一世紀に向かってこの国は大丈夫なんだ、希望があるんだというふうに、そう思えるだけの対応をしていただきたいし、もしそれができないときには私どもに政権を渡していただいて、私どもがそれをやらせていただく、そのことを申し上げておきたいと思います。  さて、ちょっと前回の続きになりますが、日米防衛協力のガイドラインについて、少し総理にお聞きしたいと思います。  実は、日米防衛協力のガイドラインの周辺事態法でありますけれども、第四条の「基本計画」という規定がございます。その第四条でこう書いてあるのですね。「内閣総理大臣は、周辺事態に際して次に掲げる措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、当該措置を実施すること及び対応措置に関する基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。」こういうふうに書いてあります。  周辺事態であるかないかというのは、これは恐らく日米間で事前にいろいろなすり合わせが行われて、最終的には、これは周辺事態であると考えるか考えないか、そこは認識の一致を得ることになると思います。認識の一致が得られなければ、それは周辺事態ということにならないと思うのです。  その次に、「次に掲げる措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、」こういう表現になっていますね。必要であると認めるときは、基本計画について閣議の決定を求めなければいけない。必要であると認めるか認めないかは、これは内閣総理大臣の判断であります。ここで言う「必要である」というのは具体的にどういうことをいうのか、お聞かせいただきたいと思います。  これは、周辺事態が起これば総理自身が判断することでありますから、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。——いやいや、総理に聞いているんです。総理に聞いているのを政府委員が答えるなんて、あり得ないことだと思います。
  208. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 基本計画の決定につきましては、我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態に際して、対応措置の重要性にかんがみ、安全保障会議に諮ることといたしております。  法律上は、安全保障会議設置法第二条第一項第五号に規定する「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」に適当するものとして安全保障会議に諮るものでございまして、内閣総理大臣が恣意的にこの問題について判断すべきものでなく、この安保会議を通じまして、基本計画の策定につきましては今申し上げたような状況に対応してこれに諮って決定をするもの、こう理解しております。
  209. 岡田克也

    岡田委員 私は、手続を聞いたのではございません。もちろん恣意的に総理が決めるわけではないというのはそのとおりかもしれませんが、最終的にはこれは総理の判断だと思うんですね。私は、この意味は、「必要であると認める」ということの意味は非常に重い。つまり、これは国益と国益のぶつかり合いなんです。  つまり、アメリカが例えばこの周辺事態に際して何かやりたい、日本にそれを求めてくる。日本としてはアメリカの言うことは一〇〇%いつも受け入れます、そういうお考えであれば別でありますけれども、日本としては日本の国民の権利を守らなければいけない、あるいは安全を守らなければいけない、そういう観点で、ここはぎりぎりの判断を総理大臣としては迫られる場面だと私は思うんですよ。そういう御認識はないんですか。
  210. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 それは当然、最高の責任者として、我が国の平和と安全を期する上に、我が国の国益を考えて最終的な決断をいたすべきもの、そのことは当然のことながら十分自覚し対処したいと思っております。しかし、日米間におきましては、そうした事態の発生に至る間、十分な話し合いを続けておりまして、それがあるがゆえに今日まで日米間におきまして双方の国家としての信頼度がいよいよ増しておるわけでございまして、今想定されることは、日米間においてそごがあるということの前提でお話をいただいておりますが、そうしたことのないような話をその前提としては十分いたしていくということに尽きるだろうと思います。
  211. 岡田克也

    岡田委員 周辺事態の認識などは、これは実務的に日米間で話し合いをしていけばあるいは済む話かもしれませんが、そういうもの全体をひっくるめて、いざ日本が周辺事態に際して日米協力をするのかしないのか、これは最高の政治判断であって、日米間で実務的に協議して決めるようなことじゃありません。私はそう思います。だからさっきから聞いているわけであります。  では、ちょっと時間もありますので観点を変えますけれども、例えば、ある国に対して、周辺事態が発生して、米軍がそれに対して出動する。そのときに、もちろん国連決議などがあれば比較的わかりやすいと思いますが、国連決議がない状態で米軍が動くということは当然あり得ますね。そこはいかがですか。
  212. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 先生御案内のとおりでございますが、この法案には、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に対する支援として後方地域支援が規定されておりますが、これは国連安保理決議の存在を要件としていないわけであります。
  213. 岡田克也

    岡田委員 今の御答弁のように、実際には、そういう国連決議がない状態で米軍が動くということは想定される。そのときに、日本としてはあえてそれに対して協力をするのかしないのか、これは非常に重い判断だと思うんですね。  国際法的に言えば、国連決議がない状態で米軍が動くということについて、米軍はそれは自衛権の行使だというふうに言うんでしょうけれども、かなり微妙な場合があり得ることは、それは想像にかたくないわけであります。それに対して、あえて日本が協力するのかしないのか。協力しないときにどうなるのか。協力したときに、かえって日本が危険な状態に陥るかもしれません。全体ひっくるめて判断しなければいけない問題だ、そういう御認識はおありですか。
  214. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 極めて重要な点だろうと思います。  今防衛庁長官が御答弁申し上げましたように、国連安保理の決議の存在を要件としておりませんが、しかし、我が国が後方地域支援をして、米軍に対して具体的ないかなる協力を実施するかについては、安保理の決議のみにかかわらず、個々の状況に応じて、国益確保の見地から我が国が主体的に判断することになり、この主体的判断の最終的な責任は内閣総理大臣が負うものと理解しております。
  215. 岡田克也

    岡田委員 わかりました。  それでは次に、もう時間も余りございませんが、先般来、周辺事態ということで地域の概念が随分いろいろ議論をされてきております。日本周辺とはどこまでをいうのか、こういう話であります。  その話をいろいろしていく中で、従来の、極東ということに対する概念が、政府の統一見解がございます。あえて申すまでもありませんけれども、「かかる区域は、大体において、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国」、これは今では台湾地域というふうに言われておりますが、台湾地域の「支配下にある地域もこれに含まれている。」こういうことであります。  私は、この統一見解を今読むと非常に違和感を感じる。つまり、中華民国という国は、もちろん私どもと中華民国、当時の中華民国との関係というのは、中華人民共和国との国交回復に伴って変わったわけであります。台湾地域というふうに読みかえてそのまま続けておりますけれども、しかし、わざわざここにこういうものを書く必要があるのかどうか。  私は、だからといって、台湾海峡で何らかの事態が発生してそれが周辺事態の定義に当てはまるときに、日本は常に活動できないなどということを言うつもりはありません。しかし、ここにわざわざこういうことを書くということがいろいろな疑心暗鬼を呼んでいる部分もあるんじゃないか。これはある意味では冷戦時代の産物でありまして、一方では日米安保条約の範囲をなるべく絞りたい、一方ではある程度のものを確保したい、そういう全体の妥協の中で出てきた統一見解だと思います。  私は、日米安保条約というのは日本の安全にとって重要である、これは民主党もそういうふうに考えておりますけれども、基本政策でも確認しておりますけれども、そういう観点に立てば、余り限定する、ぎりぎり縛るということもいかがかなという感じはいたしますし、特に台湾地域などという言葉をここに使うのはどうなのか、そういう気がするわけであります。そういうことについて、もう少し、冷戦期といいますか、五五年体制下でのいろいろなことについてもう一度国会で率直に議論をして、そして見直すべきものは見直していく、そういう考えはお持ちでしょうか。
  216. 高村正彦

    ○高村国務大臣 極東については、昭和三十五年に一応意味を明確にするために作成されたわけでありますが、冷戦終結後も依然として不安定性、不確実性が存在している中で、日米安保条約に基づく日米安保体制の意義は不変であり、昭和三十五年の政府統一見解を含め、日米安保条約及び同条約に関する政府の立場に変更はないわけであります。  ただ、今度新たに出す周辺事態法案では、明確な地域を定めない、だからどこが入っているとか入っていないとかは言わない、こういうことで対処したい、こう思っているわけであります。
  217. 岡田克也

    岡田委員 今度の法案で日本周辺ということについていろいろな議論がこれから専門委員会でも議論されると思いますので、そういう中でこういう問題も含めて議論をしていったらいいんじゃないか、私はそう思っております。  それから、この極東の話だけすると何か偏ってとられるかもしれませんが、例えば事前協議の場合に、日本から直接飛び立った場合にはこれは事前協議の対象だけれども、空母に乗ってちょっと出ていってそこから飛び立った場合はいいとか、そういう統一見解も従来ございますけれども、そういうことも含めてもう少しきちんと見直して、そして日本の国の意思というものがきちんと反映できるような仕組みにしていく、そういうことが私は大事なことだと最後に申し上げて、質問を終わります。
  218. 中山正暉

    中山委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  219. 中山正暉

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中慶秋君。
  220. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、民主党の立場で今予算委員会での質問をさせていただきますが、久しぶりの質問でございますので、できるだけ要領よくしたいと思いますので、その辺、答弁される方も留意していただきたいと思います。  まず最初に総理にお伺いしますが、総理は、今審議されておりますこの予算案はベストと思いますかどうか、まずそのことをお伺いしたいと思います。
  221. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 限られた条件の中で最善を尽くして予算編成をさせていただいたものと考えております。
  222. 田中慶秋

    田中(慶)委員 総理が昨年末に、自民党のYKKという人たちとの懇談の中で、今度の予算について、大量の赤字国債を発行し、自分は今度の予算編成、税制改正を通じながら大罪を犯したかもしれないということを述べられているわけでありますが、今予算審議をしている最中に、そしてまた、総理が大罪を犯したかもしれないと言うその気持ちはどの辺にあるんですか。
  223. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 私的な会合といいますか、三人の我が党の有力な国会議員と夜懇談した中で、私が今回の政治情勢全般のお話の中で申し上げました。  ただ、私、今御指摘のような言葉を申し上げたつもりはありません。大罪というような言葉を使用したとは思っておりません。  ただ、今回、財政再建というこれだけの大きな構造改革をしなければならない時点におきまして、これだけの、四〇プロに近い国債を発行しながら予算編成をしたということでございまして、私、年来申し上げておりますが、古き言葉で、礼記というものの中に、入るをはかって出るを制するというのは、これは基本的な問題だ。したがって、そういう観点に立てば、均衡財政といいますか、単年度でレベニュー・ニュートラルになるということが基本だと思います。  ただ、現下の状況で経済再建をしなければならない、経済再生をして何としても現下の不況を乗り越えなきゃならぬという中で予算を編成するとすれば、ある種お許しをいただいて、単年度においてはかなりの国債を発行しながらでも積極的な財政に踏み込んで予算編成をしなければならない、こういう趣旨を申し上げたわけでございます。そういった意味で、この問題はひとり私のみならず、今後政権を預かる者は、財政再建といいますか、この物の考え方は常々念頭を去ってはいけない問題であるという趣旨を三人の方とお話の過程で申し上げたというのが真意でございます。
  224. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今国民の期待は、少なくても景気を最優先でやってほしい。ですからあなたは、思い切って三十兆円余の赤字国債を出されて大幅予算を組んだと思います。そのことは、期待をする反面、評価もされている部分もあるでしょう。  しかし、こういうところで、大罪を犯したかもしれないというその大罪は、国民に対して借金を残すことが大罪なのか、あるいは後世に対しての大罪なのか、そんなことを含めていろいろな問題があろうと思います。しかし、あなた自身が、今予算を審議するその入り口に、大罪を犯したかもしれないという、こんな気持ちで、幾ら仲間であろうと一国の総理なんです、総理がそんな気持ちでこの予算に取り組んでいるのであるならば、それは余りにも不見識ではないかな、こんなふうに思いますけれども、総理の考え方をお伺いします。
  225. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 今御答弁申し上げましたように、大罪というような言葉は使用しておりません。  私の気持ちとしては、予算編成に当たりましては、本来的に言えば、単年度でも歳入をはかってそして歳出を考えるということが政治家の務めである、これは古今東西そうした考え方がありますけれども、今委員指摘のように、現下の状況を考えますと、予算も減税も、これはできる限りのことをしてこの難局を乗り越えなきゃならぬ、そういう趣旨でこの大型予算を組まざるを得なかった。大型か、その形については評価はそれぞれされると思いますが、昨年に比べれば予算の規模が大きくなっておることは事実でございまして、そういう努力をしながら現下の経済状況を脱却いたしたいという趣旨を申し述べたわけでございます。  自由民主党の中でも有力な三人のお方とのお話ですから、こうした問題はともどもに、将来課題として残るけれども、お互いに努力をして、今次予算が効果を発揮して、少なくとも、税収面におきましても、より望ましい方向が生まれてくるということであると同時に、将来にわたっては、日本の政治の責任を持つ有力な議員としては、ともどもにこの問題を考えていこうではないかという趣旨は申し上げたつもりでございます。
  226. 田中慶秋

    田中(慶)委員 この問題だけやるわけにはまいりませんけれども、やはり、仲間同士の話というのが総理の本音の話になると思います。総理の本音の話がこういう形で報道されたりあるいは漏れ伝わるということは、やはり総理として、これからも、自分がどういう立場にいらっしゃるかということを絶えず頭の中に入れてそんな発言をしていただきたい。これは要望しておきます。  そこで、実は天下り問題について質問をさせていただきたいと思います。  昨年来、相次いで明るみになった厚生省あるいは大蔵省、防衛庁の一連の行政及び高級官僚をめぐる不祥事は、国民、世論から厳しい批判を受けております。  このような事情を背景として、昨年私たちは、国会の中における決算行政監視委員会におきまして、公務員制度の改正の問題、あるいは公務員倫理及び天下り問題について集中審議をいたしました。その後の経過を見ても、天下りの問題を初めとするこれらの問題について、何ら有効的な手段が講じられていないように思われます。私は、役所の権限を背景として組織的に押しつけるような天下りはもう時代が終わり、許されるべき問題ではないと思います。総理の考え方をお伺いしたいと思います。
  227. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 田中委員指摘のように、公務員のあり方につきましては、種々世間から大変厳しい指弾をいただいていることは承知をいたしております。  そこで、公務員制度のあり方につきましては、こうした御議論や御批判がなされておることは今申し上げたように十分承知をいたしておりますが、公務員の退職、再就職のあり方を含む公務員制度とその運用全般の見直しにつきましては、現在公務員制度調査会に調査審議をお願いしているところでありまして、本年度内に予定されている同調査会の答申を踏まえ改革を着実に進めてまいることが政治に対する信頼を戻す大きな、必要なことだろう、こう考えておりまして、答申を待って的確に対処をいたしていきたい、このように考えております。
  228. 田中慶秋

    田中(慶)委員 総理、答申を待ってということじゃないと思うのです。このことはずっと言われてきているわけです、はっきり申し上げて。去年の予算委員会のときも、この話が出ました。そして、私たちは、今の人事院の、この制度のあり方、特に天下りについては、現在のピラミッド形人事管理に問題がある、だから円筒形人事管理を提案した経過もございます。  これらの問題について、総理は、人事院あるいはそれぞれの答申を得るというその方法も一つかもわかりませんけれども、あなたが日本の国の行政のトップとして、そのことをポリシーとしてどのようにお考えになり、今のピラミッド形から円筒形に変える意思はございませんか。
  229. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 民間サイドから見ますると、公務員の制度のあり方あるいはそれぞれ公務員の退職後の姿その他につきましても、厳しい御批判のあることは承知をいたしております。が、一方、公務員が現下の制度の中でどのように対応するかということにつきましても、検討しなきゃならない問題があります。  そこで、ピラミッド形か円錐形かというお話でございますが、いずれにしても、やはり公務員の制度のあり方をきちんと検討した上で、国民皆さんの目から見ましてもきちんとしてやっておるという対応をしなければ御納得いただけないかと思いますので、慎重ということによって事が遅くなるということではありませんけれども、ぜひ各般の御意見も拝聴しまして、その上で適切に対応をしていきたいというふうに考えております。
  230. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今、経済も行政も政治も物すごいスピードで進んでいると思います。そして、私たちは、昨年の決算行政監視委員会においての集中審議の中においても、公務員、特に高級官僚の天下りについて、なぜこのような慣行がいつまでも続いているか、国民の批判が強いこの問題について、やはり国民に耳を傾けながら、実効性のある対策が講じられなければならない、こんなことが指摘をされているわけであります。  行政改革を推進する、あるいはまた特殊法人や外郭団体、特に天下りの受け皿になっているこれらの問題について、やはり本当にやる気があるのかどうか、これが国民が期待しているわけであります。そのことについて、いろいろなところの声も聞くことも大切でしょうけれども、リーダーシップがあるかどうか、やる気があるかどうかなんです。総理の見解をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  231. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 人生八十年時代を迎えまして、従来のような制度の中で、公務員の方々がみずからの一生を律するということはなかなか難しい状況だろうと思います。過去の惰性に堕することなく、新しい時代において、国家ないし地方のために奉仕された方々がいかに生きていくべきかということにつきましては、このことも十分考慮に入れて対応しなければならぬかと思いますが、お尋ねといいますか、御意見を承れば、そのとおり、この段階で、できる限り早い段階で、将来のそうした方々に対する方向性というものを示していかないと、従来のように、ある一定の年齢に立ち、俗に言う肩たたきというような形で、その後の第二の人生を天下りという形でやって、国民がどの程度まで理解されるかということについては、ある方向性をきちんと定めて対応しなければならぬという御趣旨であると思いますから、そのことは全く同感の至りだと思っています。
  232. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ぜひ総理、民間企業であろうと行政マンであろうと同じなんです。そういう中で、やはり国民である以上、総理が言われることもよくわかりますけれども、今、グローバルスタンダードと言われるような問題を含めて、抜本的にこういう問題をやっていかなければ、行革のメスはここから入れていかないと私はできないと思っているんです。ですから、私は、繰り返しこのことをずっとずっと主張し続けているわけです。  そこで、質問通告をしていないんですが、自治大臣、あなたのもとで私はこの思想なり勉強をさせていただいたわけであります。天下りの問題、公務員倫理の問題や、あるいは特殊法人の問題、そして、私は、そのことを今でも信じているわけです。あなたは、今、政府・与党で大臣という立場におられますけれども、その考え方は今でも変わっておりませんか。
  233. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 田中委員が大変熱心に、かねてからこの問題、正面から取り組んでやっていただいていることにまず敬意を表してきておりますし、今日も敬意を表しておるんです。  この問題は、幾つかの角度から検討しなければならないテーマであると思います。もちろん一つは、公務員制度そのものとの絡みがあります。もちろんそれだけでありませんで、党において勉強しておったころは、それだけじゃなくて、もう一つ大きな問題は行政のあり方とのかかわりの問題であって、役所、つまり所管官庁と、言うなら天下り先の業界との関係において、そのことがいろいろ好ましくないお互いのもたれ合いを生ぜしめないかどうかという、ここが最大の問題の一つなのであって、ここのところを何らかの形でチェックできないかということを在野当時いろいろ一緒に勉強してきておったことは事実であります。私は、この点は与野党を超えて非常に大事な国民的課題だと考えております。  しかし、このことが、ただ単に公務員の一般的な天下りそのものを全部けしからぬという趣旨であってはならぬだろう。それは、やはり公務員自身が卒業後の人生をどのように歩んでいくのか、そういうような弊害を生み出さないような形でのいろいろな処し方はないものかということは、別の角度から考えておかなきゃならないことだ。  公務員の問題について、私はかねてから、ただ公務員バッシング的な角度だけでやるということであってはならないだろう、この点は田中委員も同じ発想であったというふうに、私はそう思っております。
  234. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、人事院総裁、お伺いいたします。  これらの問題について人事院はもう当然検討されておられると思いますけれども、やはり、人事問題を含めながら、今の制度の中であなたも御苦労されていると思いますが、天下りの問題等々は、これから徹底的にメスを入れていかなければいけないわけであります。  人事院総裁としてこの問題をどうお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  235. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 お尋ねの件でございますけれども、一番問題なのは、やはり現在の幹部公務員の退職実態にあるというふうに思います。  私たち、民間企業への再就職ということで審査をいたしておりますけれども、年齢別の状況を見てみますと、五十五歳以前に退職なさる方が半分近くいるということでございますので、何といいましても定年が六十歳、六十歳まで働く権利があるわけですから、六十歳まで働けるような人事慣行というものをつくっていく必要があるだろう、私は、それが最初に取り組むべき課題だというふうに認識しております。  そこで、私たちは、昨年の八月に給与勧告いたしましたが、その際に、この早期退職慣行を是正するためにどういうことをすればいいのかということもあわせて提言いたしております。  そういうことをあわせまして、人事管理の責任者である各大臣によくよくお願いいたしまして、早期退職慣行というものを是正しながら、今先生が指摘されましたような、国民から批判されるような退職公務員の民間企業への再就職というものをなくしていくように努力すべきだというふうに思います。
  236. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、これから避けて通れない問題でありますから、このことは、私は、与党、野党関係なく、日本の政治をどうするか、どうスリムにするか、こういうことにかかっているんだろう、こんなふうに思っております。  そこで、具体的な例を申し上げましょう。  例えば石油公団の問題でありますが、このずさんな経理、不適切な巨額の出資、融資問題等に、前の通産大臣はこれらについての問題を指摘されました。これは通産省と石油公団の癒着の体質の原因の一つであり、平成十年十二月一日当時、石油公団が出資または融資をしている開発会社の常勤有給職員となっている人たちは十四人もおります。あるいはまた、石油業界には七人天下り、さらには石油備蓄会社八社十六人、さらにはまた別会社をつくって、共同備蓄会社等々に三人、このように天下っているわけであります。こればかりじゃありません。  これらの人々の天下り先が、その人の能力や知識が評価をされた形で天下っているならば、百歩も譲りましょう。そうではない。先ほど申し上げましたように、融資やいろいろなことを含めて、そのパイプ役のような形で現実に天下っているわけでありますから、これらについて、通産大臣、直接間接に関係があると思いますし、あるいはまた総理の見解も伺っておきたいと思います。
  237. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 石油公団やその出融資先会社、石油会社においては、我が国のエネルギー供給の大宗を占めます石油の安定的かつ効率的な供給という役割を担っております。このような事業においては、産油国政府等との友好関係の構築や利権交渉、地域社会や関係機関との連絡調整といったさまざまな課題に取り組むことが不可欠でありまして、組織運営、業務管理に関する幅広い経験に加え、エネルギー分野における識見や交渉能力、国際性等を備えた人材が必要とされております。  石油公団等に当省出身者が就職しているのは事実ですが、これは、会社の事業の性格に照らしまして、各人の個人としての識見、経験、調整能力等を総合的に評価された結果であると考えております。  なお、石油開発会社等を初め営利企業への再就職は、行政の中立性を損なうことのないように、国家公務員法上の厳格な規制のもとに行われるところでございます。
  238. 田中慶秋

    田中(慶)委員 通産大臣、そのような、あなたも政治家でしょう、本音で話したらどうなんですか。役所からペーパーが来てなんというようなことを思われないように。  私は、そうじゃない。ですから先ほどその能力や知識ということも申し上げたと思うのです、そうじゃないんですから。その辺もちゃんと指摘をしておきましょう。  次は、防衛庁に移りましょう。  防衛庁装備調達本部が、関連会社の多くで天下りが問題になっているわけであります。特に明確になっているのは、それぞれの注文している金額によって何人受け入れられているかという、こんなばかなことが、いみじくも発注額と一緒になっているんですよ。これは、今言っているように優秀な能力があるから、そんなことじゃないと思うのです。  ですから、こういう問題について、防衛庁長官、あなたの見解をお伺いしたいと思います。
  239. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 先生にお言葉を返すようでまことに恐縮でございますが、自衛隊の再就職は、一般に何といってもやはり各人の知識とか経験が買われて企業に入るというのが多いのでございまして、契約金額によって人数が決まるというような事実は必ずしもないと思います。  防衛庁においては、防衛調達に係る一連の不祥事を契機にいたしまして、自衛隊員の再就職のあり方について検討を今鋭意行っておるところでありまして、四月を目途に、再就職規制の見直しの問題、あるいは再就職の審査体制の充実強化の問題、あるいは再就職状況の透明化等について成案を得て、国民の信頼を確保してまいる方針で今頑張っておるところでございます。
  240. 田中慶秋

    田中(慶)委員 防衛庁長官、発注金額に応じた形で現実に天下りをされていることは、あなた、認めないんですか。いみじくも、私はいみじくもと言ったと思います、その金額に応じた形の中で、それぞれ天下っていっているんでしょう。あなたも政治家であるならば、やはりそのことを謙虚に受けて、そういうことが数字的にもあらわれないような形で指導したらどうなんですか。
  241. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 御指摘がございましたので、ちなみに、契約企業の契約金額を当該企業への再就職者数で割った数値を見ましても、その数値には相当なばらつきがございまして、必ずしも一致してはいないということを申し上げたわけでございますが、御指摘のようなことがあるわけでございますから、先ほども申し上げたとおり、私どもとしては、きちっとした再就職の基準をつくって、世間から指弾されるようなことは防ぎたい、こう思っておる次第でございます。
  242. 田中慶秋

    田中(慶)委員 防衛長官は、ばらつきがあるということを認めたわけでありますし、むしろ天下りの人数によって発注額が決まる、こんなことも言われているわけですから、そんなことのないようにしなきゃいかぬと思います。  この自衛隊の再就職について、浜田防衛政務次官は、自衛隊の再就職に関する検討メンバー九人を、アメリカ、イギリス、フランスの三カ国の軍人再就職の調査のために、今厳しい財政の中で、一千万円の出張費をかけて調査をされている。  外務省がそれぞれの出先機関に、外務省のところに防衛庁からも全部行かれているでしょう、そこで調査をされたって、できるんじゃないですか。外務大臣、いますか。このような調査は外務省はできないんですか。まず、外務大臣に僕は聞いているんです、今申し上げたような調査。
  243. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 外務大臣の御指名でございますが、突然の御指名でございますので、私が関係者ですから申し上げますが、これまでも、各国に駐在している武官とか、あるいは日本に駐在している行きたいところの武官等を通じて、再三再四資料を求めたんですが、なかなか満足する資料が出てこない、こういうことでございますが、再就職のあり方については各国も大変悩んでいるようでございます。  それは、一般の企業と違いまして、部隊の精強性を維持するということで、四十代から首を切るというようなことが起こるものですから、そのあり方については大変各国も悩んでいまして、私も何人かの国防長官に話をしてみましたが、なかなか共通の悩みであります。  そういうことで、きちんとした再就職対策を講ずることが防衛庁におけるいろいろな不祥事の発生を防ぐ一つの有力な方策であるという前提で、今回、浜田政務次官を団長として、米国、イギリス、フランスに派遣したわけでございますが、とにかく、そういう問題について政務次官がみずから先頭に立って取り組むということをすることによって、各国が最大級の協力をしてくれるということを期待して、私どもはここで、四月までにこの再就職問題の取り決めをしなきゃいかぬものですから、火急にこれを派遣したという次第でございます。
  244. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、財政が厳しい中で、もう少し外務省を有効的に使って、何のために出先に武官まで行っているのか、やはりそういうことも含めながら、リサーチをするにもそんなことも必要じゃないかな、私はあえてそのことを提言しておきます。  次に、防衛庁関連の関係で、会計検査院が、防衛庁所管の財団法人にOBが天下っております。会計検査院はこれによって検査の手心を加えているんではないかな、こんなことも国民の目に映っているわけであります。  会計検査院は、職員の再就職等々、誤解のないようにする意味でも、この辺についてはみずからの姿勢を正していかなければいけないと思います。これについて、会計検査院の考え方をお伺いします。
  245. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 お答えいたします。  本院の事務総局職員は、ほかの省庁と同じように、一般職の国家公務員になっているところでございまして、再就職につきましても関係法令の適用を受けているところでございます。  昨年の防衛装備品の調達にかかわる四社事案などを契機といたしまして、本院の元職員関係の団体に監事等として就職している、そういう御指摘を契機といたしまして、本院といたしましても、職員の再就職に関する検討委員会を設けて検討しているところでございます。  現在、政府部内で行われております公務員制度についての検討状況でありますとか、地方自治体で導入することになっております外部監査人制度の実施状況など、これらを見きわめながら、職員の再就職のあり方などについて鋭意検討を行っているところでございます。
  246. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、高級官僚の、別に私は官僚が憎いわけじゃありませんからね、この天下りの問題等々は、これからの行革をする上で絶対必要なんです。ですから、例えば、高級官僚の出身者で、総裁やあるいは社長を退任した後も、これは私だけじゃなく、いろいろな民間企業から言われている声ですから、聞いてください、総理。顧問という形で部屋を持ち、車を持ち、秘書をつけて、飲み食いを自由でという、こんな声まで聞いているわけです。そして高給を受け取っている。  民間では今日、厳しい経済状況の中で、三十歳から四十歳でも突然としてリストラを宣告されるわけであります。このような状況は、やはり国民から見て、あるいはそれぞれの常識ある社会人から見て、高級官僚だからといって特別待遇をされるのは絶対許しがたい、こんな手紙が私のところに来ているわけです。  能力が本当にあるならば、みずから新しい事業を起こすなり、民間はみんなそういうこともしているわけでありますから、そういうことも含めて、総理は、公平公正な社会をつくる、こんなことを述べられているわけでありますから、総理の見解をお伺いしたいと思います。
  247. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 お尋ねの当初から、公務員の退職後のあり方につきまして御批判がございました。今いろいろと具体的な待遇状況についてのお話がありましたが、確かに、一般的国民の目から見て、行っておる仕事とそれに対しての対価といいますか、これの間に、国民的な感情からいって必ずしも適切でないという意見を耳にするわけでございます。  そうしたことにつきましては、今後その全体をよく見ながら、そうした批判にたえ得るようなあり方はどう考えていったらいいかということにつきましては、冒頭答弁申し上げましたけれども公務員制度全体の問題を考え、かつまた、公務員のみならずではないかとは思いますけれども、年功序列制度における賃金体系等々のことも含めまして、抜本的解決をしなければならない時期に日本も立ち至っておるという認識は、私は強くいたしておるわけでございます。  具体的な問題につきましては、今後積極的に取り組ませていただきたいと思っております。
  248. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、天下りによる弊害というものはどんな形のものがあるかということをもう既に皆さんも御承知だと思いますが、防衛庁に的を絞って大変申しわけございませんが、あの調達本部の問題、いいですか、あの調達本部で、いわゆる四社事案、あれだけいろいろな問題を起こして、しかしいまだにその内容が明確でない。特に水増し請求されていた問題、いまだにオープンにされていませんでしょう。そして、今各事業所に立入検査に行っている、これも事実であります。  ところが、このような天下りの弊害というものは今申し上げたようなことを含めて起きるわけですから、まして国民の税金を使ってそれぞれやっているわけですから、返還請求についても的確にその時期を明確にオープンにすべきであろうと思います。  時間の関係で、関連して問題を申し上げます。  例えば、私たちはこれらの問題のときに、少なくても、関係当局でありました藤島官房長初め、あるいはまた企業の代表たるNECの関本さんについても、参考人や証人、こんな形で明確にさせる必要があるだろうと申し上げました。ところが、自民党さんの合意を得られずに今日まで来ているわけであります。私は、この予算委員会で、これらの問題についても後ほど証人喚問なり参考人としての要求をさせていただくつもりでありますので、今申し上げたことについて、防衛庁長官、御答弁をいただきたいと思います。
  249. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 東洋通信機やニコー電子につきましては、今まで一生懸命作業しまして、四、五日内にすべての全容を国会、国民に公開することができるようになったということを御報告申し上げます。  NEC等につきましては、何せ一万件に及ぶ件数でございますので、今鋭意、方々に作業に総動員をしてやっておりますけれども、あと数カ月はかかると思っておりますので、ぜひ御了解いただきたいと思います。  国会において、関係者の証人、参考人の問題がございましたが、これは国会が決めることでございますので、ひとつ私の方から見解を述べることは差し控えたいと思います。
  250. 田中慶秋

    田中(慶)委員 議院内閣制でありますし、皆さんも自民党のそれぞれ幹部でもあるわけでありますから、やはりこういう問題を含めてちゃんとしておかないと、政治に対する不信というものは免れない、こんなふうに思います。  そこで、実は、これらに関してでありますけれども、よくお聞きください。この水増しの問題や過大請求、そして、それが明らかになりますと、今度はOBの、それによって再就職というか、それを強要しているんですよ。こういうことが明確になっているんですよ。ですから、私は、天下りというものは非常によくないということを申し上げているわけです。  こういう問題を含めて、時間の関係もありますので、私は、関係大臣の皆さん方にもっと要求しておりましたけれども、最後に質問させていただきたいのは、この江間次官が官房長当時、海上自衛隊の救難飛行艇US1Aの開発のために、それぞれの問題が、汚職事件が発覚をしました。ところが、九六年一月ごろ、防衛政務次官就任を祝う会と称して、中島前議員の、富士重工小暮元専務らの受注請託を受けた宴席に複数の幹部と同席をし、接待を受けたという事実が明らかになっているわけです。防衛庁はこの事実を認めますか。  それから、それ以外の接待、まして、そのような問題の人が今防衛次官になっているわけであります。東京地検はこれらの問題について刑事責任を今検討されているやに承っておりますけれども、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
  251. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 中島元政務次官の問題は、今公判中でございます。だから、いかなる会合にだれが出たかとか、あるいは、検察庁にだれが呼ばれて尋問を受けたかというような問題につきましては、公判維持の妨害になりかねないことでございますから、それについての発言は差し控えさせていただきたいと思います。  残余のことにつきましては、これは検察庁か法務省の問題でございますので、私からの答弁は差し控えさせていただきます。
  252. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、検察庁、お見えいただいておりますが、私の時間も終わりました。  最後に一点だけ、仲間として時間をいただきながら、格付問題について質問させていただきたいと思います。  大蔵大臣、APECの首脳会議で、この格付問題、格付会社の活動の見直しについてお話し合いをされましたね。そして、これらの問題について、今格付問題によって、一生懸命、総理初め皆さん、六十兆円もにわたる公的資金の用意や、三次にわたる公共事業の補正を組んで努力をされております。ところが、この格付によって銀行のランクが下がってみたり、企業のランクが下がってみたり、国際的な信用というものが非常に大きく左右するわけであります。  ところが、この格付も、ある面では、勝手格付とかいろいろな形の中で、それぞれ民間企業の業績その他について調べられている。明確に調べて格付をされるんだったらともかくも、そうでなくて格付をされたら、大変迷惑であります。APECで問題になっているんですから、これらの問題については、大蔵大臣、どのように対処されたのか、お考えをお聞きしたいと思います。  最後に、日本銀行にお伺いします。  このムーディーズ・ジャパン、角谷さんという人が日本代表なんです。ところが、その奥さんが別姓で日銀に中途採用されて現在働いている。ムーディーズが日本のいろいろな格付をしているんですよ。そして、その奥さんが別姓で日銀に採用されている。どんなルートで、どんな仕事で、その格付との因果関係はないんですか、そのことを明確にお答えいただきたいと思います。
  253. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一般に格付会社は投資家の便宜になるために仕事をしておるというふうに考えられますから、したがいまして、その格付会社の決定が後になって根拠を欠いたものになるということになりますと、自然に投資家の信用を失う、そういう意味での自由経済における存在として、それ自身のメリットによってやはり評価される、あるいは滅びていくというものと考えるべきだと思いますが、もとより、その中で、全く根拠に基づかない、あるいはちょっとインサイダー取引になるようなことにつきましては、それぞれ処罰される場合があるというふうに今考えております。
  254. 速水優

    ○速水参考人 日本銀行におきましては昨年来、中途採用をかなり採っております。今御指摘職員につきましても、昨年の暮れに採用になったわけですが、本人の能力や資質に照らしまして、中央銀行職員として適切かつ必要な人材であるというふうに思いましたので採用したわけでございます。  現在、本人は金融調節や金融・資本市場の調節等を担当する金融市場局に所属しておりますが、個別の金融機関の問題を扱っておるわけではございません。中央銀行としての各種のリスク管理手法に関する一般的な調査分析を担当してくれております。  日本銀行職員は、日本銀行で課せられております厳格な守秘義務のもとで業務に従事しております。かつ、公正中立な業務を遂行することが求められております。したがいまして、この御指摘につきましては、私どもとしては全く問題はないと考えております。  また、何か偽名を使っているというのは……(田中(慶)委員「偽名と言っていません。別姓と言っているのです」と呼ぶ)偽名じゃなくて別姓ですね。失礼しました。  別姓といいましても、この人はずっと旧姓を使ってやっている人でございまして、今一般の職場でも、旧姓を使う人は、特に特技を持った人は旧姓を使っていると思います。
  255. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、まだそれぞれ、きょう通告をしておきました大臣その他についても、質問を通告しておきましたけれども——それでは、総務庁。
  256. 太田誠一

    太田国務大臣 先ほどからお聞きしておりましたが、私が所管の大臣でございます。ぜひ御質問いただきたいと思っておりました。  公務員制度調査会で今年度内にまとめる答申の中で、天下り問題にもきちんと踏み込んだ答申が出せるというふうに確信をいたしておりますので、その節はぜひまた御議論をいただきたいと思います。
  257. 田中慶秋

    田中(慶)委員 以上で終わります。
  258. 中山正暉

    中山委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。  次に、横路孝弘君から質疑の通告を受けております。これを許します。横路孝弘君。
  259. 横路孝弘

    横路委員 私は、地方分権推進委員会の第五次勧告について、まずその経過と内容について御質問をいたしたいと思います。  この経過をちょっとかいつまんでお話し申し上げますと、橋本前総理の非常に強い要請で第五次勧告の作業というのは始まったんです。地方分権推進委員会の方は、第四次勧告を九七年の十月九日に行っております。そのときに、橋本総理から、さらに権限移譲、特に都道府県から市町村への権限移譲などを含めて、権限移譲をさらにやってほしいという御要望がありました。  そのうちに、行政改革会議が省庁の再編について最終報告をこの十二月三日の日に出すわけですね。この行政改革会議の省庁再編については、私どもを含めて、余りにも巨大な官庁ができるのじゃないか、小さな政府とかスリムな政府というけれども、どこにスリムになった姿があるのだという大変強い批判が世の中にございました。それを受けまして、橋本総理の方から、それも含めてひとつ権限移譲をやってほしいという要請が地方分権推進委員会の方にあったわけでございます。  この行政改革会議の最終報告は、既に御承知のとおりでございますが、この中で、特に公共事業についての国と地方分担の見直し、効率化ということで、公共事業に関する国の役割はできるだけ限定をして、基本的に地方公共団体にゆだねていく必要があるという点が一点。それから、公共事業については、特に補助事業について、これも限定をして、できるだけ個別補助金にかえて、統合的な補助金を地方公共団体に交付をして、地方公共団体に裁量的に施行させる、責任を持ってやらすようにしたらどうかというのがこの最終報告でございます。  これを進めるということになりまして、分権推進委員会の方は、これは公共事業ですから、相当各省庁の抵抗もあるし、ぜひ各省庁の協力をしっかり取りつけてほしいということを橋本総理にお願いをしまして、九七年の十二月二十六日の日に橋本総理が、閣僚懇談会におきまして、各省庁に対してぜひ協力をするようにということをじきじきに要請をしたわけであります。総理から、特にこの地方分権委員会の方に協力しなさい、委員会の今後の検討に対して各省庁は特段の協力をしてもらいたいということをお話をされるということで、地方分権推進委員会の方は作業を翌年から始めることになります。  九八年の一月十二日ですが、事務・権限の委譲についての検討の進め方という、まず基本的な考え方をまとめます。それは、国と地方の役割分担を明確にして、国の役割を重点化するということですね。それから、中央省庁の再編によって大ぐくりされる国の行政組織のスリム化も行うんだということ。それから、都道府県から市町村への権限移譲も進めていきましょうということを方針として決められまして、いろいろなヒアリングの作業に入るわけであります。  そして、六月に中央省庁等改革基本法が成立をするわけであります。この成立を受けまして、また橋本総理から、今進めている地方分権推進委員会の作業の中で、省庁再編に絡む部分を前倒ししてやってほしいという要望が地方分権推進委員会に参ります。  そこで、地方分権推進委員会は、省庁の再編に絡む部分、つまり、公共事業の直轄事業を地方へ移譲するということと、個別の補助金をできるだけなくして統合的な補助金にかえる、あるいは補助金そのものもなくしていくというようなことについてヒアリング、検討を始めるわけなんですね。  この中央省庁等改革基本法でございますが、この基本法の四十六条に、先ほど申し上げました行政改革会議で言われました点をさらにしっかりと法律の中に規定されております。つまり、公共事業につきまして、四十六条の一号で、国が直接行うものは、全国的な観点に立ったものに限定をして、その他の事業は、地方公共団体にゆだねていくことを基本とすること。それから、補助金については、国が個別に補助金を交付する事業は四つに限定しています。四つに限定をして、その他の事業に対する助成は、できるだけ統合的な補助金などを交付して、地方公共団体に裁量的に施行させることという法律が成立をするわけですね。  そこで、まず最初に総理大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども、こういう、行革会議で議論をして、やはり現状の公共事業に対するいろいろな議論が出たわけです。そして、その結果、公共事業の今の執行のあり方を変えていこうということで、私が申し上げております二つの点につきまして、法律でも規定をしたということでございます。  まず総理に、特に改革基本法というものをどのように受けとめておられるのか、基本的なお考えをまずお伺いいたしたいと思います。
  260. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 ただいま地方分権推進委員会の第五次勧告に至る間の経過につきまして、横路委員から経過を追って御紹介ございました。そのとおりであると思います。  そこで、政府といたしましては、地方分権委員会の第五次勧告につきましては、同委員会におきまして関係省庁と十分な議論を経た上でできる限り努力を重ねた結果、昨年十一月十九日に勧告をいただいたところでございます。政府といたしましては、第五次勧告を最大限尊重することといたしまして、平成十年度にこれに対応する地方分権推進計画を作成することとし、地方分権の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、同勧告につきまして、勧告提出の日に出されました委員長談話におきまして、例えば公共事業につきましては、直轄公共事業等の範囲の見直しと縮減に道筋をつけ、統合補助金を創設するなど、事務、権限の地方への移譲等に関する当面必要不可欠な改革方策については、政府に対しお示しすることができたものと考えておる旨表明されたと承知をいたしておりまして、段々の経緯の中でこうした答申をいただきました以上、政府としてはこれを誠実に遵守し、そのための法整備その他について努力をいたしていきたい、このように考えております。
  261. 横路孝弘

    横路委員 どういう経過をたどってどうなったかということがきょうの質問のこれからの議論なわけでありますが、橋本総理から、省庁再編に絡む点を前倒しでやってほしいということを受けまして、九八年の六月二十二日に事務・権限の委譲についての考え方というのを地方分権推進委員会で取りまとめます。  これは何か結論を出したわけじゃなくて、各省庁について直轄公共事業の範囲の見直しということをテーマにして、基本法の趣旨をどう受けとめますか、国の仕事の重点化、スリム化の観点から限定すべきだと思うがどう考えますか、四十六条の一号に言う基礎的、広域的事業というのはどういうものですか、直轄事業の客観的な基準というのはどのように考えますか、それから、道路、河川、港湾などの九事業について具体的にどうですかという問い合わせの方針を決めるわけですね。そしてヒアリングに入ったわけなんです。  ところが、そのヒアリングの中で各省庁はどういう態度をとったかといいますと、直轄事業は現在でも極めて限定している、既にこの改革基本法四十六条の趣旨に沿っているから特段の見直しは考えないというのが建設、運輸、農林水産省、大体この三省に共通した立場だったわけです。そして、委員会の方で、スリムにするために何か対案を出しなさい、そういう問いかけをしているにもかかわらず、それに対しては何の回答もしなかったということなわけですね。  そこで、お尋ねをいたしたいというように思うんですが、つまり、行政改革会議で議論をし、省庁の基本法でもって決めて、そして総理大臣がじきじきに地方分権推進委員会に頼んで作業が始まった。しかし、このヒアリングの中で各省庁は、何らもうこれ以上切り込むことはありませんよという態度に終始したわけですね。一体これ、行革会議、基本法という流れを本当に理解していたのかどうか。わざわざ各省の関係閣僚会議協力しなさいよと言われているにもかかわらず、ここで全く突っぱねたということなわけですが、建設大臣、また運輸大臣、農水大臣、この流れというのは一体どのように理解しているのか。
  262. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 横路先生御指摘の、今日まで、一九九七年七月の第二次勧告からずっとこっちへ参りまして、昨年の第五次勧告までの経過そして内容、実に本当に、お世辞ではございません、よく御存じのところでございまして、敬意を表します。  それで、先生の御質問の御趣旨は、第四次までは一応のものとして、第五次、その後のことに対する御質問であろうと思いますので、建設省の立場の、第五次の答申に対するお答え、その経過を、少し長くなるかもしれませんが、御報告をさせて……(横路委員「できるだけ短く。大体承知していますから」と呼ぶ)そうですね、それでは短く行います。  まず結論から申し上げまして、その答申に対して建設省が、公共事業において何ら、今まで既に直轄のものは直轄として対処しておるからこれ以上の変遷はない、変わりはないというような動きをとったというような御趣旨でございましたが、そういうことは決してないわけでございまして、その第五次答申を受けましてから、いろいろな直轄の基準、河川にいたしますと一級河川、二級河川というように分別をいたしまして、できるものは地方に移譲するという姿勢で今進めておるわけでございます。ですから、一つの例だけ述べさせていただきますが、河川にいたしましても、一級水系は、洪水時にはんらんした場合の被害の程度、安定的な水利用の確保、河川環境の保全、都府県間の利害調整等の観点から特に重要な水系などにするというようにいたしておりまして、それ以外のものは二級の水系に変更をするというようにこれは鋭意進めておるところでございます。  ですから、直轄河川、直轄の道路はどの基準でやるかというようなことをきちっと決めまして、それに合わせて進めていっておりますから、先生御指摘のような、すべてそのことに答えていないということは、全然そういうことはございません。  それから、御質問の中で一つございましたが、組織それから定員のスリム化の程度でございますが、このことは、正直に申し上げまして、今見直しを進めておるところでございまして、どれぐらいの定員の削減になるかという数値は、ちょっと今直ちに出す状態ではございません。
  263. 横路孝弘

    横路委員 運輸大臣と農水大臣、後でちょっとお答えをしていただきたいと思います。  作業としては、ヒアリングに対してほとんど答えをしないで、そこで推進委員会の方が論点の整理というのをまとめるわけです。これは例えば、道路については、直轄事業としてはいわゆる旧国道の一号から五十八号に限定して、それ以外の国道は地方道にすべきじゃないかと、一例を挙げますと。そういうような、河川などについての地方分権推進委員会なりの方針で、これでいかがですかと投げかけたわけです、回答が返ってこないわけですから。これに対して物すごい反撃が各省庁と自民党の各部会の中で起きるわけなんです。  そこでちょっとお尋ねしたいと思うんですが、自民党の各部会は、建設部会が小委員会をたしか昨年の九月の上旬につくります。九月の二十六日だったと思いますけれども、自由民主党政務調査会、建設、農林、水産、交通部会で、地方分権推進委員会がやっているものについて、関係の大臣、官房長官のところにもきっと申し入れをされたと思うのですね。  その中身を見てみますと、この論点の整理に対する反論なんですけれども地方分権推進委員会は、「単に国の「権限」を地方に委譲すればよい、という極めて狭い観点のみから分権を論じているといわざるを得ない。」「地方分権推進委員会が地方分権のみにことさらに重点を置いてスリム化を追求するのは理解に苦しむ」と言って、その論点の提案どおりに直轄事業の見直しが行われた場合にどうなるかということで、直轄河川延長は現在の約一五%になってしまう、直轄道路延長は約八〇%に減じてしまい、また、これに応じて直轄事業費や直轄人員も、河川で約二五%に、道路で約九〇%にそれぞれ減ってしまうというように試算されるんだと、これは自由民主党としての試算なわけですね。それで、これはもう大変だということをこの申し入れ書の中に書かれているわけなんです。  そこで総理にお尋ねしたいのですが、そもそもやったその経過からいいますと、これは、中央省庁のいわば権限を減らすことによって人も減らしてスリムにしようと、ある意味では減らすことが目的で作業をやっているわけですからね。減らすことが目的といいますか、権限を減らして事業を地方に移譲することによって自動的にスリムになるという構造なわけですよ。ですから、どうもこの自民党の申し入れは、政調の申し入れというのはもともとの流れそのものを理解していない意見ではないかと私は思うのです。もともと、総理、今回の第五次の勧告そのものは、省庁再編によって巨大な特に国土交通省ができる、これを何とかもっとスリムにできないかというところに一番基本的な、初めの発想があったわけなんですが、その点いかがですか。  つまり、やはり人員も減り、予算は別に、中央から地方に行くわけですから、中央政府の予算としては総体で減るわけじゃありませんが、それは事業費が減るでしょう。しかし、それをある程度目的にしてやったわけですから、それがおかしいと言うならば、これは一番基本のベースのところを結局何の改革もしないということにしかならないと思うのですね。総理、いかがですか。
  264. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 もとより、国土交通省は極めて官庁の中の官庁と言われるくらい大きなものになるんだろうと思いますが、しかし、今お話しいただいておりますのは、いろいろ河川あるいは道路その他の事業につきまして、地方と国との関係におきまして、より効果的に、国民サイドにのっとって、どういう事業をどこが行えばいいかという判断で恐らく自由民主党も十分御討議をいただいたんだろうと思います。  単にスリム化ということだけでなくして、国民的視野から、どういう事業をどこが担当すれば最も効果的に行い得るかという視点の検討も一方ではなされるべきものであって、そのことのお考えを党としては御検討されたのではないかと思いますが、当時、実は私も総理になりまして初めての国会を迎えておりまして、党のそういった御審議、十分承知をいたしておりませんが、今お示しをいただきますと、そうした観点に立って党としての考え方をあるいは官房長官のところにお届けいただいたか、あるいはまた各省庁間で御相談をされたか、地方団体とのお話をされたか、そういう経緯をすべてつまびらかにしておりませんが、ただに人員の削減ということだけではない、こう理解しております。
  265. 横路孝弘

    横路委員 結局、八月、九月に入りまして、各省庁がある意味のストライキをやってしまったものですから、諸井委員長は各大臣のところを回るわけです。何とか、投げかけているこの考え方について、異論があれば異論があっていいから、ぜひ回答を出してほしいということを言われるわけなんですけれども、なかなかその作業が進まないということなんです。  そこで総理、中央、地方含めて行政改革をしていかなければいけないというのは今の大きなテーマですね。例えば中央の直轄事業を減らす。それは地方に移譲するということになりますと、もちろん中央はそれでかなりの人員が減ります。例えば今の直轄事業の量を半分に減らせば、それは地方にその分の仕事が行きますが、中央の仕事は減りますよね。それから、地方の方はどうかといいますと、日常業務のうちに補助金の申請業務というのは大体三〇%ぐらいを占めているんです。ですから、直轄を減らして地方に渡し、地方への個別補助金をやめたり、補助金をやめて一般財源に振りかえるというようなことをしたり、統合補助金化すれば、地方の仕事も減るんですね。大幅に減ります。  今ちょっとお配りした資料の中に、これは港湾のケースですね。これは地方分権推進委員会に地方六団体が出した港湾のケースですが、ほか道路にしても何にしてもほぼ同じでございます。これは、港湾の外郭施設、係留施設の建設、改良工事の費用に対する補助ということで、二千三百六十三時間、図面が七百八十枚ということ、これだけの時間がかかっているわけですね。  あるいは、ここにあるのは、建設省の道路局がつくった道路の補助事業についてのいろいろな通達類、様式類の解説書です。これだけありますよ、この厚さ。これだけ熟知しないとなかなか補助事業の申請はできないということなんですね。だから、これにもうかかりっ切りの職員がそれぞれ都道府県にたくさんいるということなわけです。  ですから、総理、この第五次勧告で、これは後でまたお尋ねしますけれども、やはり一番大事なのは、この基本法で言っている、直轄事業をできるだけ地方に移し、補助金の今のあり方を変えるということで、中央も地方もかなりそこは軽減することができるんです。総理、いかがですか。
  266. 太田誠一

    太田国務大臣 ということで、第五次勧告が出たわけでございますので、今の概算で統合補助金化が見込まれる額は、おおむね一兆一千億程度ということでございます。対象事業の三割程度につきまして統合補助金化されるわけでございますから、当然、中央においてもあるいは地方においても、それぞれの意味でスリム化が行われることになるということでございます。  そういうふうにして、さまざまな方々が途中経過でいろいろな意見を言われた中で、だんだんと意見が集約されてきてこういう結論になったということで、その内容は相当に評価をされるべきものだと考えております。  審議会とそれから各省との関係の途中経過の議論を言いますと、あるいは個々の議員の方々の意見を一つ一つ取り上げてまいりますと、それはあくまでも途中経過なんですから、出てきた結果というものを公正に評価をしていただきたいと思うのでございます。
  267. 横路孝弘

    横路委員 あと、日本の中央役所、中央省庁の形でいいますと、例えば農林省、本省の大体四割から五〇%が技官の方であります。それから建設省も、本省に大体四割から五割ぐらいの技官の方がおられます。運輸省は、本省で大体六割の方が技官なんですね。  これほど中央省庁に技官という形で仕事をしているというのは、なかなかほかの国にない形なんですね。イギリスですと、もうほとんどゼロに近いぐらいでございまして、地方に任せたりあるいは民間に任せているわけです。つまり、これは国がスタートしてまだ技術集積のない時代に、何か道路をつくったり河川改修するのに、しっかりちゃんとやらなきゃいけないということで中央がコントロールする仕組みが、開発途上国がそうなんですね。  ところが、日本のように、もうスタートしてからこれだけの、百年以上の実績を積み、技術者も十分民間にも地方自治体にもいる中でこれだけ技官を抱えているのはなぜかというと、それはやはり直轄事業をやっていることと個別の補助金のこの二つの要素なんですね。ここをやはり変えていかない限り、本当にスリムな政府ということになりません。  総理大臣、どうですか。ちょっとこれはほかの省庁と比べて、日本の中央省庁のそういう非常に大きく変わっている点、これはやはり改革のポイントだから行政改革会議でも議論して、そしてこの基本法ができたわけですよ。
  268. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 であればこそ、統合的な補助金を創設するというような形の中で、地方自治団体も、みずからの考えにおいてその地域の公共事業その他につきましても責任を持っていこう、こういうことであろうかと思いますが、現下、直ちにそのことが行い得るかどうかというような問題もこれあり、中央省庁におきましては、それだけの技術力というものを本省において抱えながら今まで行政が行われてきたわけでありまして、そういった点も全体を含めながら、中央と地方のあり方ということを検討しながら、今次、五次に至るまでの勧告をいただいておるわけでございますから、問題の所在を明らかにされつつあるわけでございますから、そういった点で、今後とも改善いたすべき点は改善いたしていくということであろうと思っております。
  269. 横路孝弘

    横路委員 補助金の話が出ましたので、これは総務庁になりますかね。地方六団体が地方分権推進委員会の方に、補助金を通じて国が過度に関与したいろいろなケースということで、少額補助だとか手続が非常に重複しているとかいうようなケースを挙げて物を言っています。  例えば、文部省などで学校の施設整備についての例えば補助金を要求したときに、まず担当者のところへ行って説明する、同じ話を係長のところへ行って説明する、同じ話を課長補佐のところへ行って説明する、同じ話を課長のところに行って説明する。四回同じ話をしなければいけないのは何とかしてほしいとか、これはどなたかのところに集まって一回やればいい話でして、こういう業務が物すごく大きなわけですね。  それから、補助金の中にも、この中に農業基盤整備事業でも本当の少額の事業、例えば事業費が二十万円で半額補助だとか、十六万円で半額補助とか、こういうようなケースなどもあるんですね。  そこで、このケースについて、私はやはり各省庁はチェックされたと思うんです。改善されるものは改善されたというように思いますが、これはしっかり、このケースいずれも大きな問題でございまして、地方自治体からはこれは百八煩悩事例集と言われているんですが、後で八件追加になりまして百十六件になりましたが、これは推進計画の中でちゃんとチェックをして全部入れられているのか、改善すべきところは改善されたのか。これは総務庁ですか。
  270. 太田誠一

    太田国務大臣 推進計画の中に補助金を獲得するに際しての嫌がらせをどうするかというようなことは当然書くものじゃないと思いますが、今おっしゃったような点は、行政監察で過去何回か、そのようなことがないようにという改善勧告を出しております。それ以外はちょっと総務庁の所管にかかわりは今ないと思います。
  271. 横路孝弘

    横路委員 推進計画をまとめてこれを実施する省庁はどこになるんですか、進めていくのは。総務庁じゃないんですか。自治省ですか。  自治省はどうですか、この地方六団体から具体的に挙げられたケース。いずれもひどいものですので、これはチェックをして、やはり各省に直してもらうようにした方がいいと思うんですが。
  272. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今の点は、少し僕も中身をよくチェックしてみたいと思います。  それで、地方分権推進委員会から出されました四次にわたる勧告については、昨年の五月に推進計画が決定をされまして、それを法案化すべく現在作業中でありまして、今国会に提案をしたい。  それから、御指摘の第五次勧告につきましては、その中身を具体的に法案化する前に、計画として今年度中、三月末までに決めて、それを法案化して、その内容については十三年度予算には遅くとも反映できるように持っていきたいというふうな段取りで、今進めておるわけであります。
  273. 横路孝弘

    横路委員 この地方分権推進委員会に対する各省庁の対応の中で、一点だけちょっと建設大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども地方分権推進委員会の方は、そういう各省庁の抵抗に遭ったものですから、なかなか作業がはかどらないということで少し妥協しようということで、直轄事業の部分をある程度妥協したんですね。そして、補助の方の点について少ししっかり整理したらいいのではないかということで、地方分権推進委員会は九月十六日に、補助事業の範囲の見直しについてという方針を出します。そして、十月の二十日に公共事業の見直しのポイントというのを出しまして、その中で補助金の廃止ということで出すわけですね。  どうも直轄事業は大分抵抗も強いし、話がまとまりそうにもないし動かない、一方で総理サイドからは、ともかく早くその勧告をちゃんとせいという話でわいわい責められるということで、地方分権推進委員会の方は、補助金の方の話に行くわけですね。そして、この十月二十日の公共事業の見直しのポイントの中で、特に市町村道と二級河川について、これは補助金制度を廃止して、必要な財源は地方一般財源として政府が責任を持って対応するということにしたらどうだろうかという方向性を出すわけです。  これは推測でございますが、地方分権推進委員会が市町村道と二級河川について補助金制度をやめようと言ったのは、実は、行政改革会議に対して建設省が、当時河川局を分離するというような話が出てきました。これに対して、少しやはり建設省としての考えをまとめなきゃいけないということで、当時、「国土整備省における業務執行体制の改革について」という考え方を建設省の考え方として行政改革会議の中で言うのですね。その中に、二級河川と市町村道に対する補助金については、特殊立法によるもの、つまり過疎とか離島などの法律によるもの、予算補助によるものを含めて、これは廃止を前提に見直しますよということを建設省は行政改革会議に提起するわけですよ。これがありまして、多分分権推進委員会の方ではその方針を出したと思うのですね、どうですかということを。市町村道と二級河川についての補助金の制度をやめましょうという話。  これは、建設大臣、一度そうやって出されて、せっかく地方分権推進委員会もそういう問題を投げかけた。しかし、建設省の方は例外を認めて、最初の建設省の考えどおりにはならなかったですね、最終勧告では。これはどうですか。なぜ建設省は態度を変えたのですか。何かそのころ応援団の力が強くなったからじゃないかと思う。どうも橋本内閣から内閣もかわって、各政調の部会も大いに抵抗するということで、前に出した方針を引っ込めて、後退をしたのじゃないのですか。
  274. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 一部の圧力に屈したとか、そういうようなことではないわけでございまして、その後あらゆる角度から検討して、それがベストではないかということでそちらに移行をしたというふうに御理解をしていただきたいと思います。
  275. 横路孝弘

    横路委員 そこで、第五次勧告につきまして、ちょっと道路のところをお尋ねしたいと思うのです。  第五次勧告の中で国直轄管理区間の基準というのを見ますと、「道路法五条一項各号のうち一号及び四号を基本として、原則として下記a又はbの区間に限って直轄」とするというように書かれていまして、一見すると、ああ、では大分狭まったのかな。つまり、二号、三号、五号が落ちているわけですから。では、そこは直轄から離れるのかなと思うと、この直轄管理区間の基準のaとbというところで、「国土の骨格を成し、国土を縦断・横断・循環する都道府県庁所在地等の拠点を連絡する枢要な区間」あるいは「重要な空港、港湾等と高規格幹線道路あるいは上記の路線を連絡する区間」というのが入りまして、これは狭まったのか広がったのかちょっとよくわからないですね。  大臣、直轄事業は、この基準で間違いなくこれは減少するんですか。今ここでもって絶対減りますということを約束できますか。
  276. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 直轄事業が現状の数そのままではないと思いますが、例えば十のものが六になるとかそういうところまでは、正直言いまして、この基準でいきますといかない。ただ、十が十であるということではない。私は、例えば九、よければ八ぐらいにはなると思います。
  277. 横路孝弘

    横路委員 運輸大臣と農林水産大臣にお伺いしますが、この勧告で、皆さん方の管轄、港湾とか農業の基盤整備事業ですが、それぞれやっている公共事業は、直轄量はどのぐらい減少しますか、どの程度
  278. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 先ほどからの御指摘でございますけれども、一つは、運輸省は技術屋が一番多いという御指摘をいただきました。  これは、この論議の中に、まず空港の問題が入っていない。空港というものの特殊性、つくり出したらある程度の期間で集中的に仕上げなきゃならぬ、また管制の問題等ある、それから技術的な問題がある、そういった意味で空港だけ外されました。そういう意味では、技術的レベルの高いものはやはり直轄でやらなければならぬのだな、実はこういう御理解を私どもいただいておるというふうに理解いたしております。  したがって、直轄の基準の見直しもいたします。また、統合補助金制度というものについて積極的に取り組まなければならないと思っておりますけれども、先ほど横路委員からも御指摘のとおり、統合補助金というものをどうやって生かして、地方に事務手数料のかからない補助金交付というものをしていけるか、大きな課題として取り組みたい、このように思っております。  ただ、今それによってどのぐらい減るか。実はこの十年間で、もう委員も数字をおとりになっておりますからおわかりのとおり、仕事としては約一三%ほどふえておりますけれども、逆に人員は一五%ほど減っている、こういう数字もはっきり出ておりますので、御理解を賜りたいというように思います。  それから、北海道開発庁長官としての立場で一言申し上げたいんですけれども、論点整理が、非常にいい意見だったという御指摘の方もいらっしゃいますけれども、そのとおり通るとすれば、港湾の直轄は北海道でゼロになります。また、河川もゼロになります。それから、道路については四分の一になるという状況から、私どもなかなか難しいなという御意見を申し上げたことは事実でございます。
  279. 中川昭一

    中川国務大臣 農林省所管の農業農村整備事業で例を挙げさせていただきますと、まず事業制度そのものを廃止するものもございますし、また一定期間で廃止するものもございます。  例えば、国営農地再編事業の一般型については十一年度で段階的に廃止をしていく、これが全事業量の三%でございます。それから、国営農地開発事業を五年間で終了させていくということで、これは平成十年度ベースという数字をもとにしての数字でありますが、先ほどの三%、それから国営農地開発事業については一二%に相当するということでございます。これはあくまでも例示的な説明でございます。
  280. 横路孝弘

    横路委員 農林水産大臣、トータルでどのぐらいになりますか、直轄事業量そのものは。
  281. 中川昭一

    中川国務大臣 トータルは、いろいろこれまたほかにも項目がございまして、農業農村整備事業では主なものはこの二つだというふうに御理解いただきたいと思います。
  282. 横路孝弘

    横路委員 その途中経過をちょっと御紹介しながらやっているわけなんですが、地方分権推進委員会の方は、勧告にするのか意見表明にするのか相当考え方に開きがあったわけですね。大分収れんはしてきましたが、やはり距離は相当あったわけです。  そこで、十一月の上旬に各省が、建設省、運輸省、農林水産省が、いわば分権推進委員会の投げかけに対して初めて回答を出すわけですね。  地方分権推進委員会の事務局、来ていますか。これは、いわば投げかけに対する回答としていいんでしょうか。十一月の上旬に、それぞれ直轄事業についてどう、補助制度についてどうという考え方を各省庁が示します。
  283. 保坂榮次

    ○保坂(榮)政府委員 お答えいたします。  地方分権推進委員会では、十月の下旬に公共事業のポイントというものをお示ししまして、それは、それまで各省庁の協力を得ながらグループヒアリングというものを精力的にやった結果も踏まえまして各省庁にお示ししたもの、それに対する回答が各省庁から出てきたものでございます。
  284. 横路孝弘

    横路委員 その各省庁の回答を資料として提出していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  285. 中山正暉

    中山委員長 保坂事務局長、資料として提供をしてくれということですが、できますか。理事会で検討しますから。
  286. 保坂榮次

    ○保坂(榮)政府委員 委員会で御審議していただきたいと思います。
  287. 中山正暉

    中山委員長 わかりました。
  288. 横路孝弘

    横路委員 なぜその資料を御要望申し上げたかというと、実は、地方分権推進委員会の勧告は、頭のところの一ページぐらいは別にしまして、あとは各省庁が出したのをほとんどそのまま勧告文にしちゃっているんですね、基本的には。ですから、どう見ても、地方分権推進委員会、最後のところはもう嫌気が差して、では中央省庁の言うとおりにしましょうということで勧告文をつくってしまった。これはもうはっきりしています。本当にほとんど、てにをはを直したぐらいで、あとはもう建設省の言うとおり、運輸省の言うとおり、農林水産省の言うとおりの勧告文になっています。いかがですか。
  289. 太田誠一

    太田国務大臣 新聞報道や、あるいはきょうの横路先生のお話は、たびたび、地方分権推進委員会の勧告が出るまでの過程について、大変偏った報道がなされております。そして、今おっしゃったお話も、どう聞いても、何か私が聞いている話とは大分違うわけでありまして、どうか、ぜひこの際、何が真実であったのかということを、ワンサイドのお話だけではなくて、事務局長も来ておりますので、よくお聞きをいただければと思うわけでございます。
  290. 横路孝弘

    横路委員 何を言っているんですか。何が偏っている。私は、ちゃんとその根拠になる地方分権推進委員会の方針を皆さんにお示しをし、そして分権委員会のヒアリング、この議事録というのは公開されているわけですから、各省庁がどういう対応をしたのかということを調べて言っているんです。何が偏ったあれですか。別に新聞報道に基づいてやっているわけじゃありませんよ。基本的な資料に基づいてやっているんじゃないですか。何ですか、一体。
  291. 太田誠一

    太田国務大臣 直接言及をされました部分というのは、確かにそのとおりの事実かもしれませんけれども、それをつないでいくときのお話しぶりというのについて私言っているだけです。
  292. 横路孝弘

    横路委員 では、その建設、運輸、農林水産の最終段階、十一月の上旬に出した回答文、ぜひ出してください。そうすると、この第五次勧告とどうなのか、勧告というものはどういうものをベースにしてできているのかという姿がはっきりします。  委員長、ぜひ出していただきたい。
  293. 中山正暉

    中山委員長 理事会で協議いたします。
  294. 横路孝弘

    横路委員 それで総理、この間の経過を見ていると、まさにこれが自民党政治なんだという感じがいたします。  行政改革会議で議論をしたわけでしょう、あれだけの時間をかけて。そして中央省庁の法律、基本法を制定した。地方分権推進委員会だって、これは国会でつくった法律に基づいて存在している団体ですよ。そこにわざわざ総理大臣が、諸井委員長にお願いをして、国土交通省のような巨大なものができるから、できるだけこれをやはり今の流れの中でスリムにしていこう、できるだけ効率的なものにしていこうじゃないか、むだもできるだけなくしていこうということでずっと作業を進められている。  こちらの方からは、今度はそれに対する反撃が出てくる。これは九八年十一月十三日の日本経済新聞ですが、「みくびられた地方分権委」といって、こういうことを、署名入りの原稿ですが、言われています。   建設官僚らが委員会の求める代案を出さずに「一時スト」に踏み切ったのは、単に権限の低下や予算・人員減を恐れただけではない。自民党の族議員という強力な後ろ盾があればこそだ。委員会は族議員の力を誇示する公共事業の個所付けや個別補助金の制限にまで手を伸ばしてきたことから、議員側が逆上、役所へスト指令を出した。虎の尾を踏んだというべきか。 こういう指摘がございますが、結局、この流れを見ておって、私は、諸井さん、先週の金曜日も今週もぜひ出てきてお話ししてほしいとお願いしたのです。御都合があってと言われて出席していただけなかったわけですが、私は、諸井さんも何となくここに出てきて物を言いづらいなという気持ちもわかるのですね。一生懸命やってきて、最後でもってその努力というものが確実に報われたという形にならなかったわけでありますから。  しかし、最後に私言いたいのは、総理は、リーダーシップを発揮するチャンスはまだあるのです、まだ。それは、さっき自治大臣がお話ししたように、五次勧告についての推進計画をこれから具体的にまとめていく、その中で直轄事業をできるだけ減らす。  私は、今二五%国家公務員減と言っていますが、中にいる人間を独立行政法人をつくって外に出すだけで、それが行政改革なんだ、これで二五%減りましたといっても、いやまあ、そう変わりないじゃないかと。それは総定員法からいうと減ったかもしれないけれども。本来のところは、それだって、あれ全部独立行政法人になって枠を外しちゃったって、二五%にならぬですよ。本当にやろうと思ったらやるべきところがあるわけですよ。そのやるべきところをちゃんと手をつけなきゃいけない。  ですから、勧告がありますが、ともかく、その勧告をベースにされてでも結構なんですが、直轄事業量について、例えば五〇%削減するなら五〇%減らす、あるいは二五%なら二五%減らすという方針を、リーダーシップを発揮されて、そして推進計画をまとめられたらどうですか。そうすると、それに伴って自動的にスリムになっていきます。これはもう自動的にスリムになるのです。  それから、統合補助金についても、箇所づけはしないということは勧告の中にありますが、事業計画を立てるというのがありまして、これは結局、またそこでチェックが入るから同じではないかという思いがいたします。補助金制度は本当はなくして、一般財源でちゃんとあとはやりますよということになると地方で選択ができますけれども、河川の統合補助金、何の統合補助金とみんなやって長期計画をつくれば、それによって本当に事業量が減っていくことになるのか、地方が選択することができるのか。要る事業をちゃんとやってもらって、要らない事業は少し遠慮するというようなことが地方の選択としてできるようにしていかなくちゃいけない。ここはまだ、総理、リーダーシップを発揮される機会があるのです。  私は、去年の十月、十一月というのは、金融問題でもって国会もそっちに焦点が行っていましたから、多分余りお気づきにならないで今日の経過をたどったと思うのですが、この段階でリーダーシップをぜひ発揮していただきたいというように思いますが、総理、いかがですか。
  295. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 政府におきましては、一次から四次までの勧告を最大限に尊重した地方分権推進計画を昨年五月に作成いたしたところであり、その内容を踏まえた関連法案を今国会に提出するとともに、第五次勧告に対応する計画を本年度内を目途に作成し、さきの計画とあわせ、今後とも地方分権を総合的かつ計画的に推進してまいりたいと思っております。  なお、今後の地方分権推進委員会の活動委員会の御判断を尊重してまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても地方分権の一層の推進に取り組んでまいりたいと思います。私といたしましては、先ほど委員指摘のように、橋本総理として八月に改めて前倒しでお願いをしておるところでございまして、それを受けまして、その後、私がこの本部長を引き受けて、いたしておりまして、その過程では、実は諸井さんも何度かお見えになられまして、最終的によき答申をお願いできるものと期待しておりまして、そしていただきましたのが第五次答申でございますので、私としては、これを実現いたしていくということが、まず最初になさねばならぬことではなかろうかと思っております。  委員指摘の諸点につきましては、それぞれ担当の官庁を預かっておる大臣その他とも御相談をいたしますけれども、私といたしましては、いただきましたものを誠実に実行していくという立場ではなかろうかと考えております。
  296. 横路孝弘

    横路委員 最後に、ちょっと補助金について、これは大蔵省になると思いますが、推進計画の中でいろいろと補助金についての指摘がありますが、これは来年度予算の中にもう既に生かされているんだというように理解してよろしゅうございますか。それから、第五次勧告で出された点についてはどういう扱いになっているでしょうか。
  297. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  地方分権推進委員会の第五次勧告におきましては、先ほど来の総合補助金の創設のほかに、河川等の小規模な補修、修繕、局部改良等に係る補助金等の廃止など、その整理合理化を図ることとされております。また、このほか非公共事業関係の補助金につきましても、農業構造改善あるいは文教、中小企業等につきましての見直しを行うこととされております。  具体的に、平成十一年度予算におきましては、例えば河川修繕費の補助あるいは砂防施設修繕費補助の採択基準の引き上げ等々、地方道路、治山、港湾、海岸、漁港等、公共事業の補助金につきまして、その趣旨に沿った整理合理化を行っているところでございます。
  298. 横路孝弘

    横路委員 終わります。
  299. 中山正暉

    中山委員長 これにて横路君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君から質疑の通告を受けております。これを許します。草川昭三君。
  300. 草川昭三

    草川委員 公明党の草川であります。  まず最初に、現行の選挙制度問題について、総理に二、三質問をさせていただきます。  幾つかの問題点が選挙制度については指摘をされているわけですが、今からの質問は、自民党総裁としての立場から総理の見解をお伺いしたいわけであります。  ずばっと聞きますけれども、拡大連座制適用者のくらがえ当選についてどう思われますか。  もう一つは、法定得票数に満たない者がブロック比例で当選をされておみえになることについてどのような御見解か、お伺いしたいと思います。
  301. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 まず、連座制にかかわる立候補制限の規定でございますが、この連座制強化の一環として、平成六年の改正によりまして新設をされておることは御存じのとおりでございます。五年間同じ選挙で同じ選挙区から立候補することができないとされたものでありますが、最近他の選挙から立候補するという事例がありまして、国民感情から考えますとそぐわないのではないかという意見も起きておることも承知をいたしております。  しかしながら、連座制の強化につきましては、従来より各党間の議論の中で取りまとめられた経緯があるとともに、本人以外の第三者の犯した犯罪の制裁をどこまで及ぼすかにつきましては、立候補の自由にかかわるものでありまして、慎重な検討が必要でないかと考えております。  いずれにいたしましても、さらなる強化についての議論があるといたしますれば、まず各党各会派において十分御論議をいただくべきものと考えております。  次に、重複立候補制度についてでございますが、衆議院議員の選挙制度を政策本位、政党中心の仕組みに転換するために、小選挙区比例代表並立制が導入された際に、候補者の選定についても政党に幅広い裁量を認める趣旨から採用されたものと承知しておりますが、よりよき制度に向けて論議を深めることが重要であると考えておりまして、これまた各党各会派において十分御議論いただきたい、こう考えております。
  302. 草川昭三

    草川委員 国民感情にそぐわないということはある程度お認めになっておるわけであります。  続いて、実は過日のこの委員会で我が党の冬柴幹事長が質問をしていることがございます。すなわち、自民党と自由党との間で合意をされた衆議院の比例代表定数の削減に関する問題ですが、総理はこの冬柴質問に対して、各党各会派と十分議論を深めていくという趣旨の答弁をされました。  公明党は、この問題について、自民党を含めた各党による幹事長会談を開催し協議を行うよう呼びかけておりますけれども、自民党総裁として自民党の幹事長にどのような指示をなされるおつもりか、お伺いをしたいと思います。
  303. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 衆議院の定数削減につきましては、今委員指摘のように、自由民主党と自由党との間で協議がなされたところでありますが、先般両党のプロジェクトチームにおきまして、衆議院議員の比例代表定数を五十人削減すること等を内容とする合意がなされたところでございます。  いずれにいたしましても、議会政治の根幹にかかわる問題でありますので、定数のあり方について、各党各会派においても十分御議論を深めていただきたいと考えておりますが、自由民主党と自由党との間におきまして合意書でこれがまとまり、そのことを受けまして、プロジェクトチームでもその方針を確認いたしたところでございます。ただ、選挙制度の問題につきましては、従来から一党でこのことを決定するわけにもまいりませんし、また、今回連立を組む過程におきまして、両党の考え方はこうしたことでまとまりました。  しかし同時に、制度の問題につきましては、これは国会全体として考えることでございます。よって、私が指示する、しないということではなくて、自由民主党といたしましては、今後、両党間の約束を守るとすれば、当然のことながら各党に話していかなければならない重大な問題だ、こう心得ておりますので、こうした点については、より自自の合意について、これをいかに実現していくかという問題についての話し合いは各党と誠意を持っていたしていくよう、私、総裁という立場であれば、我が党の責任者にそのお話をさせていただきたいと思っております。
  304. 草川昭三

    草川委員 十分議論を深めてほしいという今の総裁としての答弁、私どもはこれを具体化することが大切だ、こう思っておりますので、ぜひその旨、心の中にとめておいていただきたいと思います。  それで、現行選挙制度の問題点というのはたくさんあるわけでありますが、どのような制度が今後の二十一世紀にふさわしいのか、早急に各党による共同のテーブルをつくるということを急がなければいけないと私は思うわけであります。そのような検討を急ぐべきだと思うのですが、その点についての総理の見解を問います。
  305. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 選挙制度につきましては、長年にわたって各党間の議論の結果、現行のような制度が採用されたものでございますが、種々御論議があることを承知いたしております。  冒頭、草川委員からも御指摘がありましたが、現在施行しておりますこの選挙制度の中でのいろいろな諸問題というものがございまして、それに対しての国民の素朴な疑念というものも存在していることは承知をいたしております。でありますがゆえに、両院におきましても、選挙制度につきましては十分話し合って今日まで来たとは思います。  しかし、さらによりよき制度に向けまして論議を深めるという意味で、今草川委員の、御提案と考えるべきと思いますが、共同でテーブルをつくるべきという御提案については傾聴に値するものと考えておりまして、いずれにしても、政府としては、これらの論議の結果を踏まえまして的確に対処いたしてまいりたいと思っております。
  306. 草川昭三

    草川委員 官房長官にお尋ねをいたしますが、野中官房長官は、昨年のたしか七月号でございましたか、月刊現代という雑誌がございますが、ここで村山元総理と対談をされておられます。当時は自由民主党の幹事長代理の職にあったと思いますけれども、その対談の中で、小選挙区制を廃さなければ国は滅びる、選挙制度改革は失敗だったという趣旨の発言をなされておられますが、その真意を、一体どういうものか、改めてお伺いをしたいと思います。
  307. 野中広務

    ○野中国務大臣 閣僚の一人として、現行選挙制度につきまして今この場で言及すべき立場にございませんが、私が村山元総理と対談をした、そのときの政治家としての考え方は一貫をしております。
  308. 草川昭三

    草川委員 今、内閣の主要な中枢であられる長官の政治家としての発言は変わらない、こういうことでございますので、私どもも、そういうようなものを大切にしながら、一つの意見としながら、また重要な問題提起としながら、各党各会派との間において今日の選挙制度の問題点等についてはいろいろと御相談をさせていただきたい、こういうように思います。  それでは、ガイドライン関連の方に質問を移します。  今、日米防衛協力の新たな指針、いわゆる新ガイドラインに基づいて議論になっております周辺事態法案に関連して幾つかの質疑をするわけであります。まず最初に、米軍への後方支援協力、輸送問題です。  一月二十五日の予算委員会の質疑で、多国籍軍に対する武器弾薬の輸送協力について、総理は、武力行使にならない範囲の後方支援なら憲法上許される、その都度、具体的には、主体的に行うという答弁がございました。  しかし、野中官房長官は、その日の記者会見で、極めて慎重な見解を表明されました。統一見解として、多国籍軍への後方支援としての武器弾薬の輸送は、武力行使と一体化しない場合、憲法上許容されるが、実際の運用は慎重に判断するという内容であります。  その統一見解を公表する中で、官房長官は、武器弾薬の輸送である限り、非常に慎重にやらなければならない、後方支援でも、攻撃をされた場合、戦闘行為になると強調されました。この発言は極めて常識であり、私も同感です。  野中長官の発言は、武器弾薬の輸送は、限りなく武力行使の一体化に近い行為との認識を示されたものではなかろうかと思います。周辺事態が認定されるような行為との認識を示したものであり、万一、周辺事態が認定されるような場合の政府の政策判断の基準として極めて重要な認識であると重く受けとめるべきだと思うんです。  湾岸戦争のときに、多国籍軍への協力の問題が大変大きな議題になりました。ちょっと古い話ですが、政府は、九〇年八月二十九日の閣議了解で、多国籍軍への貢献策として、食糧、水、医療品等の物資を対象に輸送協力を行うことを決定し、実施をいたしました。しかし、政府の方針として、武器弾薬の輸送は行わないとしてきた。  現に、政府は、平成二年十月三十一日に国連平和協力特別委員会がちょうどこの第一委員会室で行われまして、武器を現実に輸送しているのではないかという、私が質問したんです、それに対しまして、政府側は、中近東アフリカ局長の渡辺さんでございますけれども、私どもの今回の輸送協力につきましては、武器弾薬を運ばないということは非常に明確にいたしておりますと答えたんです。  ここで、総理にお伺いをしたいわけですが、湾岸戦争当時は、憲法上許されたとしても多国籍軍への武器弾薬は運ばないというのが政府の方針だったんです。しかし、一月二十六日の統一見解は、武器弾薬の輸送は慎重に判断したいという内容になっております。小渕内閣は、従来のこの方針を、すなわち政策判断の変更だと思うんですが、変更したのかどうか、これをお答え願いたいと思います。
  309. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 多国籍軍への武器弾薬の輸送につきましては、累次申し上げております政府見解は、いわゆる多国籍軍が、その概念が必ずしも明確ではなく、そのような多国籍軍に対する後方支援については、周辺事態安全確保法案にある後方地域支援とは異なり、いまだ法律も作成されておらず、具体的関与のあり方についても今後さらに検討を進める必要があることを申し上げたものでございます。  そこで、この政府見解は、このような前提で、憲法上の判断に加えて、実際に個別の多国籍軍に対していかなる後方支援を行うかについては、諸般の情勢を総合的に勘案した上で、慎重に判断すべきものであるとの一般論を述べたものでございます。  御指摘の、中近東アフリカ局長、当時の答弁でありますが、草川委員の御指摘に対して、湾岸危機当時の中東貢献策のもとでの輸送協力という具体的事例について、諸般の情勢を考えての当時の政策判断を述べたものでございまして、憲法上の問題に加え、諸般の情勢を総合的に勘案した上で慎重に判断すべきものであるという現在の政府の見解と私はそごするものではない、このように考えられると思います。
  310. 草川昭三

    草川委員 ですから、私が実は聞きたいのは、もっと言葉をわかりやすく言えば、法律上運べるのですよと。しかし、当時は運ばないという政策判断だった。当時は運ばないという政策判断。しかし、今は、運べるのだけれども慎重にしようというのが統一見解でしょう。慎重に運ぶ。だから、そこの政策判断が変わったのですか、変わっていないのですかだけ聞きたいのです。
  311. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 それは冒頭、第一で申し上げましたように、いわゆる多国籍軍、あるいはまた湾岸戦争という当時の戦争の状態と、想定されるものと、ここでその類似性を明らかにした上での判断ということは、これはできかねることだろうと思うのです。  ですから、当時のあの状況の中での湾岸戦争の中で、当時の政府としての見解に基づいて、こうしたものはいたしませんという政策判断をいたしたわけですが、今時どのような状況を判断するかということについて、前提が明らかでない以上は、この問題について、原則として憲法上は行い得るけれども、しかし、その判断は個々その時々の判断によって政策的に決定していくということで、今そういうことが想定される事態がありませんので、今ここでそのことについての政策判断を申し上げることは不可能だ、こう申し上げておるわけでございます。
  312. 草川昭三

    草川委員 よくお話を聞いていて、やはり、だから、政策判断で変わったということなんです。だから、それは今後非常に、多国籍軍に対する対応ですから、このガイドラインとは違う話でございますけれども、ここはまた相当議論をしませんと、これはすれ違いになりますので、次に移ります、またもう一回戻るかもわかりませんが。  それで、一月二十六日の政府統一見解は、多国籍軍に対する武器弾薬の輸送についての問題であります。多国籍軍。そこで、新ガイドラインに基づく周辺事態における、今度は米軍に対する後方支援という話があるわけです。米軍に対する後方支援に対しても、武器弾薬の輸送もこの同じ見解をとられますかどうかということを聞きたいわけです。これは今まで出ていないので、お聞かせ願いたいと思います。
  313. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 お答えします。  周辺事態安全確保法におきましては、後方地域支援として自衛隊が行う輸送の対象を限定しておらず、武器弾薬を携帯した米軍兵士も輸送対象から除外されていないところであります。  また、同法案上、三条一項四号に書かれておりますが、当該輸送が実施される後方地域は、御承知のとおり「我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲」と定義されているところであり、後方地域である公海上において当該輸送が実施されることを排除するものではないと考えます。
  314. 草川昭三

    草川委員 それは質問しないでもわかっておる話なんですよ。そこで、私が聞きたいのは、過日の多国籍軍に対する対応で慎重と、こういう統一見解は、こちらのいわゆる米軍に対する後方支援にも適用されるのですか、こう聞いているわけです。そこだけ、総理大臣、答えてください。総理に答えていただければいいのです。現場でなくていいのです。
  315. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 たしか、多国籍軍のことについて当初菅委員からお尋ねがありましたので、それに対してお答えして、そしてその後、それに対する政策判断といいますか対処方針については官房長官がまたお答えいたしました。  したがいまして、多国籍軍と現下の米軍に対する周辺事態法の後方地域支援とはおのずと異なるものだと思っています。
  316. 草川昭三

    草川委員 おのずと異なるという答弁が出たんですが、それだと、これは私どもはもう一回同じような立場で、この輸送の協力についても、武器弾薬の輸送も慎重にあるべきだということを言わなきゃいかぬと思うんです。  官房長官、どういうような統一見解を出されたんですか、記者会見では。お伺いしたいと思うんです。
  317. 野中広務

    ○野中国務大臣 私が申し上げたことは、いわゆる日米安保条約に基づきまして今回のガイドラインのお願いしております法案は、我が国の安全が侵されようとするときに適用するものでございまして、委員先ほどお触れになりました多国籍軍とは異にするものでございます。  したがいまして、そのような場合におきましても、いわゆる後方支援として、先ほど防衛庁長官から答弁がありましたように、その戦闘地域と一線を画すること、すなわちまた戦闘地域に含まれないこと、あるいはそれが危険なときにはそれを撤収することという上において、なお後方支援はあり得るという前提に立って申し上げた次第でございます。
  318. 草川昭三

    草川委員 だから、総理、もう一回今の答弁に戻りますが、今の官房長官の答弁は、あくまでも多国籍軍に対する、慎重であるべきだというお話を今繰り返されたわけですよ。  私の方は、日米安保に基づくところの米軍協力というものにもこの考え方は適用すべきではないだろうかと言っているわけですが、先ほど総理は、それはおのずと違う、こうおっしゃったわけでございます。そうでしょう、そういう答弁でしょう。もう一回、そこを念を押します。
  319. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 ですから、多国籍軍に対する対応と、今般の周辺事態法における米軍に対する協力については、おのずと異なっていることは、もう委員も言うまでもないこととして御承知だろうと思います。  そこで、改めて申し上げれば、周辺事態における後方地域支援として行う武器弾薬の輸送は米軍の武力の行使と一体化しないという形で整理されておるところでございまして、いかなる事態にいかなる対応をするかということにつきましては双方の考え方がございましょうが、日本としては、日本が主体的にこれを判断して、それに対する対応を考えて、慎重であるべきである、慎重でないというようなことは今の段階では申し上げられないのではないか、こう考えております。
  320. 草川昭三

    草川委員 では、主体的に判断するということで、この問答を繰り返しておりましても同じだと思うので、次へ進めます。  要するに、私の言いたいのは、多国籍軍一般に対する武器弾薬の輸送協力は慎重な対応、こういう統一見解が出た、今度は逆に、日本周辺事態の地理的に非常に近接性ということを考えたら、多国籍軍よりももっと、より慎重な対応があってしかるべきではないかということを言いたいわけです。それはおわかりでしょう。そのことについて何か御答弁があったら言ってください。
  321. 野中広務

    ○野中国務大臣 それも委員おっしゃるとおりでございまして、それだけに、より慎重であらなければならないという後方支援を特定したわけでございます。
  322. 草川昭三

    草川委員 今の官房長官の答弁で私は結構だと思います。  では、次に移ります。  周辺事態における米軍への協力は、仮に米軍が多国籍軍の一員であっても同様の協力を行うということになると思うんですが、防衛庁、どうですか。
  323. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 先ほどから総理大臣が申し上げているとおり、多国籍軍の概念は必ずしも明確ではなく、また、御質問が米軍が多国籍軍の一部を構成するとの仮定に立ったものであるため、確定的にお答えすることはできないと思いますが、とにかく、周辺事態安全確保法第三条第一項第一号は、我が国における後方地域支援の対象となる活動を行っている米軍は、日米安保条約の目的達成に寄与する活動を行っている米軍である旨をきちっと規定しております。  周辺事態に際しまして、あくまで日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に対する協力としての後方地域支援を行うことは、可能であると考えられます。このことは、いかなる米軍が御指摘のような多国籍軍の一部を構成しているか否かということとは別次元の問題であると考えております。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
  324. 草川昭三

    草川委員 現に韓国では米韓合同軍が組織されております、言うまでもありませんけれども周辺事態における米軍への協力は、米韓合同軍、すなわち多国籍軍への支援そのものになると私は思います。結局、周辺事態における米軍への支援は、裏を返せば多国籍軍への協力と同様なんですよ、これは裏表で。  しかし、余り深入った議論というのは差し控えるということにしておいて、次に移りたいと思うんですが、新ガイドラインにおける米軍への後方支援には、「公海上の米船舶に対する人員、物資及び燃料・油脂・潤滑油の海上輸送」ということが書かれてありますね。この輸送については公海上でもできるようになっております。  そこで、米船舶に対する人員の輸送というのが書いてあるんですよ、人員の輸送。これが聞きたいんですが、人員の輸送とは武装した兵員の輸送も含まれるのではないかと思うんですが、この点はどうでしょう。
  325. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 お答えいたします。  周辺事態安全確保法案においては、後方地域支援として、自衛隊が行う輸送の対象を限定しておらず、武器弾薬を携帯した米軍兵士も輸送対象から除外されていないところであります。  また、同法上当該輸送が実施される後方地域は、先ほどから申し上げておるように、「我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲」と定義されているところであり、後方支援である公海上において当該輸送が実施されることを排除するものではありません。
  326. 草川昭三

    草川委員 だから、武装した兵員の輸送も当然のことながら含まれるわけですが、例えばですけれども、完全武装で海上から上陸用舟艇などを使って海岸に突進をする、敵前に強襲上陸を行うであろう例えば米軍の海兵隊、こういう人員を日本の海上自衛隊艦艇が公海上で待ち受けるアメリカの揚陸艦隊に輸送するということになるわけですね。当然のことながらそういうことになります。  この輸送行為は、たとえそこで戦闘が行われていなくても、だれが見ても戦闘行動と一体化していると見られることは当然であります。憲法上これは許されるものでないと考えます。  戦争の常識として、敵をたたく場合、物資、人員の補給中を襲い、補給を遮断するのは、有史以来、戦争の常套手段、基本中の基本、イロハのイだと思うのです。今日の兵員の武装はかなり重装備化しております。武器弾薬の輸送と同様に危険性があり、武器弾薬についての統一見解と同様に、私は、この人員の輸送についても慎重に対応をすべきだということが言いたいわけです。これは具体的なことを想定するわけにはまいりませんけれども、少なくとも、私はそのような議論があったと思うのです。  そこで、総理にちょっとお聞きしたいと思うのですが、この武力行使と一体化する基準については、何回かこの国会で議論になっております。  例えば、平成九年の二月十三日、大森法制局長官は、戦闘活動が行われている、または行われようとしている地点と当該行動がなされる場所との地理的関係が一つ。これは地理的関係がまず第一。第二は当該行動等の具体的な内容、これが二番目。三番目には、他国の武力行使の任に当たる者との関係の密接性。四番目に、協力しようとする相手の活動の現況等の諸般の事情を総合的に勘案をして、個々的に判断されるべきものであると答えているのです。  周辺事態というものは、日本周辺地域で発生する有事の事態であることは言うまでもありませんが、この場合、米国は直接の当事者であると予想されます。日本は、周辺諸国とは、一衣帯水の言葉どおり、極めて近接をしておるわけですから、最初の要件である地理的関係ということからいうと、極めて近いと言わざるを得ません。さらに、武器弾薬、武装兵士などは、武力行使の任に当たる者そのものになるわけであります。  だから、大森法制局長官の言葉をかりますと、一から四の条件を考慮すれば、周辺事態における公海上の米国船舶に対する武器弾薬、兵員の輸送、これはここに書いてあるわけですね、武器弾薬、兵員の輸送は、慎重を通り越して、極めて困難なことと言わざるを得ないのではないかと私は考えるのです。  その意味からも、私は、ここからぜひ総理に質問の内容で聞きたいのですが、国会承認は絶対必要だというのです。国会承認ということは、何をやるんですか、この法案の中にさまざまなことが出ておりますけれども、これはぜひ国会承認が必要だというために、私はあえて大森法制局長官のことを引き出しながら、そして想定されるべきものを申し上げておるつもりであります。  この委員会でももう何回か議論になっておることでございますし、総括も本日で一応の区切りのように聞いておりますけれども、総理として、我々の、慎重を通り越してでも、極めて困難だ、難しい話を今議論しようとしているわけですが、少なくとも各党の声を忠実に聞かれまして、修正に応ずる用意があるのかないのか、そこを総理から答弁を願いたいと思います。
  327. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 国会の承認の問題につきましては、多くの委員の先生方からも御指摘をちょうだいいたしておるところでございまして、我が政府の基本的な考え方を今再びここで申し上げようとはいたしませんが、いずれにいたしましても、この問題についてるる御答弁を申し上げてまいりました三つの条件その他を総合的に勘案して、政府としては、国会に報告をするということで足りる、こう申し上げてまいりました。種々のこうした御意見を、本委員会のみならず本会議等でもちょうだいをいたしております。また、今草川委員からも御意見をいただいたところでございます。  いずれにせよ、私といたしましては、今後、国会におきまして十分御審議をいただきまして、ガイドラインの法案が、まさに国民のために、日本の安全を確保できるという観点から考えていかなければならないと考えておりますが、改めて十分な御審議を国会でいただきたい、こう願っております。
  328. 草川昭三

    草川委員 国会では、今後、法案審議等々で具体的ないろいろな質疑があると思います。しかし、けさほど一部の報道で、何か政府の方は、国会承認事項と国会報告事項とに分けるというような、そんな報道も出ておるようであります。どういう意図でこれがキャッチされたのかわかりませんけれども、私は、そう簡単に線引きなんというのはできぬと思うのですよ。グレードワン、グレードツーなんということになるべき対象じゃないと思うんです。  私は、そういう意味では、素直な意味で、国会の審議というものを経て、基本的な事項なり具体的な支援はどうあるべきだということをぜひ取り入れていただきたいと思います。  ただいまのところでは、総理としての答弁は限界のところではないだろうかと思いますけれども、少なくともシビリアンコントロールというような大前提を確保するためにも、強く要望をしておきたいことだと思います。  では、少し具体的なことに入っていきますが、機雷除去という問題があります。  新しいガイドラインにある周辺事態における機雷除去でございますが、ガイドラインの方では、周辺事態において自衛隊は情報収集、警戒監視、機雷の除去等の活動を行うとあるのですね、こっちの方には。これは言うまでもありませんけれども。ところが、こちらのいわゆる周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための法律、こちらの方の周辺事態法案を読む限りは、機雷のキの字も出てこないんです。機雷のキの字も出てこない。なぜ法案に機雷の除去を明確に挿入しなかったんですか、明記しなかったんですか。お伺いしたいと思います。
  329. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 お答えします。  この周辺事態安全確保法の第四条第二項第五号では、後方地域支援とか後方地域捜索救助活動とか船舶活動を規定しているわけでございますが、これ以外にも自衛隊が実施する対応措置のうち重要なものを基本計画に織り込むことを規定しております。この趣旨は、既に自衛隊法等で任務とされている活動であっても、基本計画に盛り込むことによって、周辺事態に際して内閣の判断と責任のもとに行うべきものであることを明らかにするという意味でのものであります。  自衛隊が実施する活動のうち、いかなるものがかかる対応措置に該当するのかは、事態の規模や態様を踏まえ、個々の状況に応じて具体的に判断されることになりますが、一般的に申し上げますと、在外邦人の輸送のうち、多数の航空機等を使用したり、他省庁の協力を得て総合的に実施する必要があるものとか、今先生が御指摘の機雷等の除去等であって、当該機雷の敷設海域、戦闘全般の状況や周囲の国際情勢といった各種の要素を踏まえて、内閣としての判断と責任のもとに行うことが適当と考えられるものがこれに入りますので、この安全確保法では、そういった自衛隊が実施する対応措置のうち重要なものということに私どもは想定して考えているわけであります。
  330. 草川昭三

    草川委員 今、この法案の四の五というところがあるんですが、二から四まで掲げるもののほか云々という重要事項というのがあるので、そこに含まれる、こういう答弁だったと思います。しかし、私は、それは極めて不自然だと思うのです。  新ガイドラインでは、周辺事態における運用面における日米協力として、自衛隊は機雷の除去を行うということになっていますね、ガイドラインの方では。一方、この周辺法案の第一条の目的には、周辺事態に対応をして我が国が実施をする措置、その実施の手続その他必要な事項を定め、もって我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする、こう目的が書いてある。  周辺事態という初めての概念が今度出てきたのです、周辺事態という初めての概念が。その概念のもとで我が国が実施をする措置を規定する以上は、機雷除去ということをきちっと私は明記をすべきだと思うのです。  極端な言い方をすると、まだ答弁されていませんけれども自衛隊法九十九条に書いてあるからいいということを言いたいのでしょう。だけれども、私はここで言いたいのは、周辺事態という初めての概念が出てきたのだから、どうして細かく機雷除去ということを明確に入れなかったのですか、こういう不満があります。この点はどうでしょうか。
  331. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 御意見は拝聴しているわけでございますが、先ほども申し上げたとおり、この法律では、自衛隊の新たな活動として、後方地域支援あるいは後方地域捜索救助活動あるいは船舶検査活動を規定したわけですが、これは、現行の自衛隊法によっては周辺事態に対応してこれらの活動を行うことができないから、新たに規定を設けたわけであります。  一方、ガイドラインにおいて、運用面における日米協力の項に規定されておる機雷の除去につきましては、現行自衛隊法、今先生御指摘がありました、第九十九条に規定されておる機雷等の除去とその趣旨、目的を同じくするものであり、同条により周辺事態への対応が十分可能であると考えられたため、周辺事態安全確保法案においては新たな規定を設けることをしなかったわけであります。  しかしながら、周辺事態安全確保法案においては、自衛隊の新たな活動として規定された後方地域支援等に加え、御指摘の機雷の除去など、既に自衛隊法で任務とされておる活動であっても、周辺事態に対して内閣の判断と責任のもとに行うべきものについては基本計画に盛り込み、周辺事態の対応に遺漏なきを期することとしたところであります。
  332. 草川昭三

    草川委員 持って回って言っておられますけれども自衛隊法九十九条で機雷捜索というのはできますよ、しかし周辺事態ではできないということを今答弁されたんですか。ちょっとそこは私聞き漏らしておりますが、それだからと言われませんでしたか、そこをちょっともう一回念を押したいと思うのですが。
  333. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 自衛隊法九十九条で既にできると書いてありますから書かなかったと言ったわけです。
  334. 草川昭三

    草川委員 自衛隊法九十九条で書いてあるからわざわざ書かなかったというのだったら、船舶検査とかいろいろなことが細かく書いてあるんですから、同列扱いで書いたっていいじゃないですか、それは親切じゃないですか、国民にわかりやすい話じゃないですかと私は言いたいわけです。  そこで、ちょっと話を進めますが、なぜこの機雷除去を重要視するかというと、機雷は、交戦国が遺棄した、すなわち捨てた機雷か、そうでなくて戦闘行動として敷設あるいは浮遊させている機雷か、その見きわめというのは非常に困難なんですよ。ぽかぽか浮いているのか、あるいは目的意識的にやったのか、非常に困難。仮に、遺棄していない機雷を除去すること、例えば目的を持った機雷を除去することは、武力行使と一体化といったたぐいではなくて、武力行使そのものなんだ。憲法九条に禁止された行為である。この点は、かつて法制局が明確に答弁しているんです。目的を持った機雷を勝手に我が国が除去するというのは明らかに戦闘行為ですから、これはできないんです。だから、機雷の取り扱いというのは非常に難しい。  だから重ねて、私は、法案にこの機雷の処理については明確に入れるべきだと思うんですが、その点、防衛庁、どういうお考えか。あるいは防衛庁でなくて、これは外務省に聞いてみましょうか。どちらでもいいですけれども、答えてください。
  335. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 先ほど先生が御指摘なさいましたが、船舶検査活動や後方支援活動は現行自衛隊法には何ら記述がありませんから、書かなければいけないものであるから書いた。しかし、機雷の除去等については、現行法の九十九条でできますから書かなかった。そのかわり、非常に重要な案件として入れて、内閣の判断と責任において対処していくということを決めた。こういうことでございます。
  336. 草川昭三

    草川委員 余りこの点、議論しておってもあれですが、私は勘ぐり屋ですからあれでございますが、いずれこれが国会承認というようなことになったら、できるべき機雷捜索ができなくなる可能性があるから外しておけと言ったんじゃないですか。そういう議論があるであろうという私の推察があるから、ここに書いていない。普通だったら書きますよ。これは私の一方的な意見としておいてくださいよ。そうだとは言わないから、多分ね。  そこで私、ここにいろいろな、現代兵器事典だとか、かなりこれは格調の高い、兵器事典という本があるんですが、ここに機雷についての説明があるんですが、ちょっと聞いてください。  アメリカ南北戦争のころから、海中、海上に敷設された機雷はすべての船舶、艦艇にとって大きな脅威であった。現代においても、機雷は攻撃、防御に重要な兵器であることには変わりはない。かつて機雷は浮遊、係維型、つなぐという意味ですが、係維型の二種類しかなかったが、最近では短魚雷を格納したカプセル型も登場している。これは、ふだんは海の底に沈座しているんだけれども、敵の船舶がその近くを通ると音波あるいは磁気を感知して発進、数キロの距離、遠い距離ですよ、数キロの距離を走って命中するという恐ろしい兵器が開発されている。これにより、一つの機雷が受け持つ範囲は点から面に拡大をしたと記載をされております。  また別の本では、最近は、ただ爆発するのではなくて、魚雷やミサイルあるいはロケット弾を機雷が内蔵しているんですね、そして船の接近を感知すると音響ホーミング魚雷を放出したり、船が真上を通過するときに高速ロケット弾を上に向けて発射するタイプの機雷も使われていると記載をされているんです。専門家に聞いてみると、そういう機雷になっておるというのです。  もう正直な話、私どもは、機雷というと、角があって、それで、船にぶつかって、その角がガラスになっていて、破壊をされて、硫酸が溶けて、それで機雷が爆発するというものが念頭にあったんです、子供のときから、機雷というのは。もう今そんな機雷はないんですよ。こういう新しい近代兵器ができているという、機雷ということは、恐らく私は防衛庁は知っておると思うんですが、こういう機雷の概念が非常に変わった。  防衛庁は、大変掃海能力がすぐれているといって、海外からも評価が高い。それでペルシャ湾にも後片づけに行っていただいたわけでありますけれども、もうこの兵器と一体化をするような機雷ということを念頭に置いて考えるとするならば、この種の新型機雷に防衛庁は対応できますか。お伺いしたいと思うんです。
  337. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 草川先生の大変な勉強の成果をお聞かせいただいて、ありがとうございました。  同じようなことになりますが、機雷は、敷設状態によって係維機雷と沈底機雷等がありまして、発火方式によって、触発機雷あるいは感応機雷等があります。このうち感応機雷につきましては、磁気や音響、水圧などに感応するもの、あるいはこれらが複合して作用するもの、さらに、何回か通過しないと爆発しないもの等がございます。  このような機雷に対する除去の方法としては、一般に海上自衛隊が実施している機雷掃海は、係維掃海及び磁気、音響による感応掃海であります。係維掃海は、係維索をカッターで切断し、機雷を浮上させ、銃撃で水没または爆発させる方法であります。感応掃海は、掃海電線で艦船の持つ船体磁気と同一の磁場をつくって、磁気反応により爆発させる方法と、あるいは発音体で艦船の発する水中放射雑音と同一の疑似信号を発生させて、音響感応で爆発させる方式があります。このような掃海で処理できない場合には、リモコン方式の処分具やダイバーにより機雷に爆薬を仕掛けて処分するということであります。  海上自衛隊におきましても、諸外国の技術的趨勢に対応するため所要の能力向上を図っております。一般論として申し上げれば、このような危険度の高い機雷に対して相応の対応は十分可能である、こう考えております。
  338. 草川昭三

    草川委員 今、長々と技術的な説明がありまして、海上自衛隊としては十分機雷の対応ができる、こういうことでありますが、かつて朝鮮戦争当時に、政府の命令で、当時の海上保安庁掃海隊が極秘に国連軍の仁川上陸作戦に参加をしました。それで機雷に触れて数名の死傷者を出したという、非常にこれは、当時は占領下でございましたけれども、残念な行為がありました。  こうしたことを考えても、周辺事態における機雷の除去というのは、周辺事態法案の中にきちんと私は規定をしておくべきだと考えます。この機雷除去の規定について、私は、この法案の修正を明記するように強く求めていきたいと思います。  この点について、総理の見解はどうでしょう。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  339. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 重ねて申し上げて恐縮でございますが、機雷の除去については現行法できちっとできることに担保されております。私どもは、基本計画の重要な事項の一つとして、内閣の判断と責任のもとできちっと対処していきたいと思いますので、何とぞひとつ現行法で御協力をお願いしたいと思います。
  340. 草川昭三

    草川委員 総理に質問をしたのですが、私どもがこれを修正要求するという場合はどういうお考えですか。対応できるというお考えですか。どうでしょう。
  341. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 機雷の除去については、防衛庁長官から御答弁を申し上げておるのが現下政府の、法案を提出をいたしております中のことで、それで足りるものと考えてはおりますが、今草川委員も御指摘がございました。この点につきましては、国会での御議論をちょうだいをいたしたいと思っております。
  342. 草川昭三

    草川委員 時間がどんどん過ぎましたので、あと、最後の朝鮮国連軍と我が国の関係についてお伺いをします。  一九五〇年の六月、朝鮮戦争のときですが、安保理決議八十二、北朝鮮から韓国への武力攻撃が平和の破壊を構成するという旨、これが決定されました。続いて安保理決議八十三、これが勧告をされまして、一九五〇年の七月七日に朝鮮国連軍ができたわけです。しばらく東京に司令部がありまして韓国に移り、今、朝鮮国連軍の後方司令部が神奈川県の座間に置かれているのです。若干名の将校がおみえになります。  この国連軍の地位協定の意義というものは今日的に有効なのか、どういう意義があるのか、お伺いしたいと思います。
  343. 高村正彦

    ○高村国務大臣 今御指摘のような経緯で朝鮮国連軍の後方司令部が座間にあるわけでありますが、一九五四年に締結された国連軍地位協定は、このような朝鮮国連軍の我が国における地位及び我が国において与えられるべき待遇を規定するものであり、現在でも有効であります。  朝鮮半島においては休戦協定の枠組みが依然として存在しており、現実にも、軍事境界線を挟んで兵力の集中が継続し、大規模な兵力対峙の状況が続くなど、依然として緊張をした状態にあります。このような状況下で、朝鮮国連軍は現在でも韓国にその司令部を、また我が国において後方司令部を配置しており、今日もなお重要な役割を果たしているわけであります。  そういう意味で、現時点でも有効であるし、これは必要である、こういうふうに思っております。
  344. 草川昭三

    草川委員 有効であり必要だという答弁ですね。  そして、もし、朝鮮半島有事に際して朝鮮国連軍として行動する米軍は、今度の新しい指針のもとでの対米支援の対象になるかどうか。なるならなる、簡単にお答え願いたい。
  345. 高村正彦

    ○高村国務大臣 三条一項一号に該当するような場合はなります。
  346. 草川昭三

    草川委員 なるという答弁でございます。  ところで、この国連軍の創設の基礎となりました三つの国連安保理決議は今も有効だと考えておりますが、それがどうか。そしてもう一つ、朝鮮半島で有事が発生した場合に、朝鮮国連軍は現行の国連決議八十二、八十三、八十四に基づき武力行使を行うことができるのかどうか、これもお答え願いたいと思います。
  347. 高村正彦

    ○高村国務大臣 御指摘の国連決議は、いずれも有効であると考えております。  それで、朝鮮有事ということが具体的にいかなることか、必ずしも明らかでないんで、非常に断定的なことを申し上げることは適切でないと思います。理論的な可能性としてあえて申し上げればの話でありますが、国連安保理決議八十二、八十三、八十四も、先ほどお答えいたしましたように、現在も有効でありますので、かかる決議に基づいて行動することが正当化されるような場合が完全に排除されるものではない、こういうふうに思っております。
  348. 草川昭三

    草川委員 排除されるべきものではない、こういう答弁でございます。  それで、最後になりますけれども、国連軍に対する我が国の支援方針というものは、当然のことながら、今外務省の答弁から考えても必要になってくると思うんですよ、今度の法案審議に際しては。こういう問題を含めた、政府の新しい追加の態度表明があっていい。統一見解と言うと言葉が悪いんですが、今までこれは議論になっていないんだ。本当は議論になっていなければいけない。今の外務省の、外務大臣の答弁を含めて、朝鮮国連軍の今後のあり方というものについての政府の対応が何らかあってしかるべきだと私は思うんですが、その点はどうでしょう。
  349. 高村正彦

    ○高村国務大臣 今、今というよりも、委員から御指摘いただいて、いろいろ勉強しなければいけない点もあると思いますが、私たちも積極的に勉強したいと思いますが、さらに問題点、いろいろ御指摘いただければ、我々が考える上にも大変役に立つと思いますので、どうかこれからもよろしくお願いをいたします。
  350. 草川昭三

    草川委員 委員長、これは委員長に要望しておきますけれども、非常に重要な問題だと思うんです。ですから、これは当然法案審議に、いずれかの委員会にかかりますから、それまでには、私は政府として、この朝鮮国連軍に対応する日米防衛協力のための指針なり、あるいは法案審議に何らかのものが国会に提示をされることを求めたいと思います。その点、どうでしょう。
  351. 中山正暉

    中山委員長 理事会で協議させていただきます。
  352. 草川昭三

    草川委員 では、もう本当に時間が来ましたので、最後の一問になりますが、私は、朝鮮国連軍のあり方について一つ提案をしたいと思うのです。  朝鮮戦争が休戦状況となって四十五年たっておりますね。そして、南北双方が国連に加盟するなど、状況は大きな変化があります。そういう状況の中で、いつまでも紛争の一方の当事者に国連があるという状況はどう考えてもおかしいと思うのです。  国連は、紛争の当事者ではなくて、休戦状況を踏まえ、中立的な立場からPKOを派遣し、停戦の監視を行うというのが筋ではないかと思うのです。したがって、日本は世界に向けてこうした提案を行うことができるように、一たん占領下で結ばれた国連軍、在日の国連軍ですよ、国連軍との地位協定、これも七カ所あるのですが、地位協定を解消し、後方司令部は撤去するようなことを考えてみたらどうか。  そして、南北の緊張緩和、朝鮮半島の平和と安定のきっかけになるようなことをやる。すなわち、ピースメーキングですね。キーピングではなくてメーキングという立場があってしかるべきだと思う。これも私は、この種の議論と並行して、国会というところが議論をしてもおかしくはないと思うのですが、時間が来たので、最後に総理から答弁を求めて終わりたいと思います。
  353. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 委員指摘の点につきましては、国連平和維持活動には中立性や紛争当事国の同意が必要であること及び国連や関係諸国において朝鮮国連軍を国連平和維持隊に切りかえるべきであるという主張はなされておらないことにかんがみれば、現在はそのような状況にないと考えられます。  いずれにせよ、現在、朝鮮半島の和平に関する四者会合の場におきまして、関係当事国の協議が行われておりまして、我が国としては同会合を支持しており、その進展を通じて、朝鮮半島における永続的な平和の枠組みが構築されることを期待いたしておりますが、草川委員指摘のような形で、この朝鮮半島における南北の関係が進んでいくということがあるとすれば望ましいとは思いますが、申し上げましたように、現在はこの四者会談においてすらなかなか問題の解決が難しい状況であります。しかし、委員の御主張の点につきましても勉強もさせていただきたいと思います。
  354. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。
  355. 中山正暉

    中山委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。  次に、旭道山和泰君から質疑の申し出があります。これを許します。旭道山和泰君。
  356. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 旭道山です。  IOC、国際オリンピック委員会によるオリンピックの招致疑惑問題について御質問させていただきます。若輩者ですけれども、総理大臣、関係大臣、よろしくお願いします。  スポーツは、人間の可能性の極限を追求するものであり、見る人すべてに夢を、感動を与えるものであります。特にオリンピックは、世界最高峰のスポーツの大会です。また、平和な世界の建設にも貢献する全人類の共通の財産であります。  私は、東京オリンピックの開催されたその年、その月に生まれたわけですが、昭和五十九年に行われたロサンゼルス・オリンピックでの柔道の山下選手の活躍など、心に残るものがあります。  しかし、そのオリンピックは、まさに存亡の危機を迎えております。ソルトレークシティーの招致活動に始まる一連の報道は、我々のオリンピックに対しての希望や期待をまるで裏切るものでした。残念ながら、相撲はオリンピック種目になっていませんが、相撲道の精神で心技体を磨いた一人として、私も大変に悲しい思いをしました。  昨年暮れに発覚したソルトレークシティー冬季オリンピック買収事件は、IOC始まって以来の大不祥事に発展しています。IOCは、六人の委員の追放、三人の辞職受け入れという措置をとりましたが、その後、サマランチ会長の責任問題やその他近年開催されたオリンピックの開催地の疑惑追及へとますますエスカレートしています。  一九八四年のロサンゼルス・オリンピック以来、オリンピックはもうかるものとの認識が定着してきました。そのため、各国、各都市が競って名乗りを上げ、その競争が年々激しさを増し、誘致のための多額の接待が常識化してきました。こうした行き過ぎた現状は、本来のオリンピック精神を大きくゆがめるもので、今こそオリンピックの抜本的な改革が必要だと思います。  そこで、総理並びに文部大臣に、今回のIOCの疑惑事件について考えをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  357. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 オリンピック競技大会は、フェアプレーの精神をもって相互に理解し合い、スポーツを通じて平和でよりよい世界の実現に貢献するという目的を有しておりまして、これまでスポーツの振興や国際親善の推進に大きく貢献してきたものは、これはたれしも否定しないところであります。  ただ、オリンピック競技大会は、競技はもちろん、その招致活動におきましても、やはりフェアプレーの精神にのっとり正々堂々と行われるべきものと考えております。旭道山議員も相撲道を通じまして恐らく正々堂々の勝負をされてきたのだろうと思いますが、昨今いろいろ報道されておるところを聞いておりますと、近代オリンピックがクーベルタン男爵によってギリシャに再興されて始まって以来、本当にオリンピックは出場することに意義があるということ、そして世界の平和を求めて若人が集うということからいたしますと、最近のそれぞれ各地で行われる大会そのものがかなり華美に流れていると申しますか、もともとの原点からかけ離れているのではないか、また、招致運動もそういうことがあるのではないかということが今般の指摘に相つながっておるのだろうと思います。  ここは、いま一度原点に立ち戻って、正々堂々と招致運動は行わなければならぬと思っておりますし、また、オリンピックそのものも、申し上げましたように近代オリンピックの発祥にさかのぼって行われていき、ともどもに世界の平和のために大会を通じて意義あらしめることでなければならぬ、こういうことでございまして、委員指摘の点は全くそのとおりと感じておる次第でございます。
  358. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 総理大臣、本当に前向きな答弁ありがとうございます。  あと、文部大臣お願いします。
  359. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 私もスポーツが大好きでありまして、若いときに、古橋広之進さんが大活躍をされたときにちょうど私も中学校の学生で、大変心強く思いました。それと同時に、湯川秀樹先生がノーベル賞をとられたということが非常に決定的に私の生涯を決めたと思います。  そういう意味で、オリンピックというものは正々堂々とした公明正大なものでなくてはならない。そういう点から、今回のオリンピックの招致活動がフェアプレー精神にのっとって本来正々堂々と行われるべきものである、それにもかかわらず、現在、その招致活動をめぐってさまざまな疑念が生じていることは大変残念に思っております。  それで、一月二十四日に開催されました国際オリンピック委員会、IOCの臨時理事会において、二〇〇二年ソルトレークシティー選出に際し不正行為があった、それにかかわったIOC委員の処分勧告のほか、開催都市選定方法の見直しの提言や、委員のモラル等について検討する倫理委員会の設置等がなされたものと承知しております。この結果をさらに詳しく見守りたいと思っております。
  360. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 文部省、所管ですので本当によろしくお願いします。総理大臣、前向きな答弁ありがとうございます。  次に長野オリンピックのことですけれども、長野オリンピックでは、多くの日本の国民が感動の涙を流しました。暗いニュースが続く中、とても明るい話題でした。その長野オリンピックでも疑惑の目が注がれています。大会の成功を信じ、ボランティアなどの汗を流してきた長野の人々の気持ちはどれほどでありましょう。アメリカでは、既にFBIが捜査に乗り出して徹底究明が行われています。これは、JOCだけの問題ではなく、国及び開催国の倫理観、民主主義国家の姿勢が問われているのです。  日本政府は、今後、どのような姿勢でこの長野オリンピックの疑惑解明を進めていくのか、また、どのような姿勢でJOCや長野市民が対応すべきだと考えているのか、総理並びに文部大臣の明確な答弁をよろしくお願いします。
  361. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 お答え申し上げます。  まず、長野オリンピックの招致活動についてもさまざまな報道がなされておりますが、まことに残念なことと思っております。  オリンピック招致は、開催を立候補した都市が主体的に行うものでございます。今回の一連の事柄につきましても、基本的には、招致活動を行い開催都市となった長野市、長野県において適切に対応すべきものと考えております。  一方、IOCは、一九九六年以降に開催されたオリンピックに立候補した国内オリンピック委員会に対して、その招致活動に関する調査を行っており、JOC、すなわち日本オリンピック委員会におきましても、これに対応するためプロジェクトチームを設置し、これに対応することとなっております。また、長野市長、長野県知事ともこの調査に協力する旨を発言したと聞いております。  文部省といたしましては、IOCからの調査に対するJOC、長野市、長野県の対応の進みぐあいを見守りつつ、必要があればJOCに対して指導を行うなど、適切に対処してまいりたいと思っております。
  362. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 これは文部省の所管であるし、そして長野オリンピックは本当に感動を与えたものですから、そういう意味では本当によろしくお願いします。  私、持ち時間が少ないもので、草川親分にちょっと時間をもらっていますので、ちょっと早口になりますので、よろしくお願いします。  ソルトレークシティーの事件で、サマランチIOC会長の責任問題が世界から問われています。本日発売の週刊誌でも、サマランチ会長に百万ドルを渡したという告発も掲載されています。私は、近畿ブロックの比例区議員として大阪オリンピック招致を推進する立場から言わせていただくならば、サマランチ会長個人としての疑惑は別として、IOC始まって以来の大不祥事を起こした以上、私は、サマランチ会長の責任は免れず、早急に辞職をするべきだと考えています。  個人的な見解で結構ですから、総理大臣の率直な見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  363. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 国際オリンピック委員会、いわゆるIOCでありますが、オリンピック競技大会の開催を行う国際的な組織として創設をされ、多くの功績を上げてこられたと思っております。そこで、IOCにおきまして、ソルトレークシティーの招致運動にかかわる問題を契機といたしまして、さまざまな改革に向けて検討が行われていると承知をいたしております。  そこで、会長の進退について答えよ、こういうことでございますが、今私の立場でそのことを申すべきことではないと思います。  政府といたしましては、IOCの自主的な判断によって改革が進められ、本当に世界の多くの国民から期待をされるすばらしいオリンピックの開催を今後とも行えるような組織体として進んでいただきたい、こう願っておるところでございます。
  364. 旭道山和泰

    ○旭道山委員 これは国を挙げてのものですから、そういう意味では本当にチェックをしてほしいという要望もあります。  私がちょっと言いたいのは、総理、本当に招致問題などで一生懸命スポーツに取り組んでいる人たちの夢と希望を失わせることなく、やはりスポーツ選手の努力が報われる環境づくりに国を挙げて取り組んでほしいと希望して、私の質問を終わらせてもらいます。  きょうはどうもありがとうございました。
  365. 中山正暉

    中山委員長 これにて旭道山君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤鉄夫君から質疑の申し出があります。これを許します。斉藤鉄夫君。
  366. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 公明党・改革クラブの斉藤鉄夫です。  先週の金曜日、一月二十九日、島根県の浜田市で全国初の地域振興券が発行されました。きょう二月一日も全国いろいろな自治体で、きょうから発行が始まっているところもたくさんございます。  私、この浜田市へ行ってまいりました。宇津徹男市長にお会いしてきましたけれども、決して一番乗りをねらったわけではない、ただ、消費が落ち込む二月に何とか間に合わせたい、できれば週末、土日を前に発行したい、その結果一月二十九日になっただけであると。  ところが、この地域振興券、全国初の発行ということで、マスコミは二十五社、百二十人以上の報道陣がこの浜田市役所に詰めかけておりました。市役所の人や地域振興券を受け取りに来た方よりも、その周りで報道している報道陣の数の方が多いという状況を私も見てきたわけでございまして、大変な関心、市民の関心と盛り上がりというのを感じました。  私、一番感動といいましょうか、胸にじんときましたのは、商店街連合会の会長さんにお会いしたときでございます。  この商店街連合会の会長さんが、浜田市には六つの商店街がある、商店街の売り上げの落ち込み、非常にこれまで甚だしいものがあって、この六つの商店街が団結して大型店に対抗していこうということで呼びかけてきたけれども、これまで、それぞれの商店街がそれなりにそれぞれの利害があって同じテーブルに着くことはなかったんだけれども、今回は、この地域振興券を契機にして同じテーブルに着いて、どうやったらこの商店街、もうシャッターが閉まっている商店も、私も見てきましたけれども、たくさんありました、この商店街をもう一度活性化できるか、同じテーブルに着けたと。  そして今回、同じはっぴをつくって、例えば千円の地域振興券については一割のプレミアをつけるとか、番号が振ってありますので、その番号でくじ引きをして温泉旅行が当たるとか、そういう共同企画をすることができた。この地域の商店街が団結して、どう地域経済を活性化させていこうか、そういう輪ができたことがこの地域振興券の最大の財産です、このように商店街連合会の会長もおっしゃっておりました。  わずか七千億円ですので、五百兆円に上るGDPの中でわずかでございます。経済活性化、景気回復にどれだけつながるのか。〇・一%程度というふうに経済企画庁長官もおっしゃいましたが、しかし、同じ使うからには、これをみんなで盛り上げて景気回復の呼び水にしなくてはならない。また、庶民はまさにそれを願っているということを実感して浜田から帰ってきたところでございますけれども、総理大臣、この地域振興券、景気回復の呼び水として成功させるべく、その御決意をお伺いしたいと思います。
  367. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 地域振興券事業につきましては、事業主体である市町村は事務的に大変御苦労をいただいておるところでありまして、このことにつきましては、かねがね私からも、そうした地方自治団体の御苦労に対し、その御苦労を多とし、感謝を申し上げておるところでございます。  今委員指摘のように、一月二十九日、島根県の浜田市で交付が開始をされるなど、順調に動き始めていることは大変喜ばしく思っておりまして、昨日も各テレビ、新聞の報道の多くがこれに割かれておることを見ましても、関心の深さが非常に理解されるところでございます。  私、一番ちょっと感じましたのは、十三歳を頭に十人のお子さんを持たれている方が二十万円の地域振興券をお受けになられたと聞いておりまして、少子高齢化の中で、こうした家族もおるのかなという印象を受けましたが、そうした方々にもこの地域振興券が配付をされ、それなりに子供さん方の将来のためにも有効に活用していただければありがたいと思います。  そして、この事業につきましては、今お話しのように、市町村や地元商店街など、非常にさまざまな工夫を凝らしておりまして、地域活性化策が講じられておりまして、その成果は生まれてくると思っております。そういう意味で、この地域振興券事業の盛り上がりを大いに期待いたしておるところでございます。  今後とも、市町村との連携を密に、今回の事業が円滑に実施をされまして、地域振興の効果が上がるよう万全を尽くしてまいりたいと思っておりますが、浜田市を最初にいたしまして、この二月、三月、相当各地区でこれが配付をされると聞いておりますので、事故なく十分成果が上がるように心から期待をいたしておるところでございます。
  368. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 所管をされます自治大臣からも、ぜひこの地域振興券事業が成功するべく御決意を伺いたいと思います。
  369. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今斉藤委員指摘されましたとおり、単に消費喚起ということだけでなくて、地域の振興ということにこれをどういうふうに活用するかという角度から非常に盛り上がりが出てきているということは、すばらしいことだと思っております。  島根県の浜田市が全国初でありますが、きょう二月一日も全国で五つの市町村が交付をいたすことになっておるわけでありまして、年度内に約二千九百五十近い自治体が交付を予定いたしておるということで、当初考えておりましたよりもかなり、言うなら前倒しといいますか、そういう機運が盛り上がってきているということで大変結構なことではないか、これを機会に地域の振興とうまく絡み合って元気が出てくれれば大変結構なことだ、我々自治省としてもしっかりバックアップをしてまいりたい、そのように考えております。
  370. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 浜田の市長さんも、全国からの視察それからマスコミ等でホテルは毎日満杯、飛行機も、ふだんはがらがらなのに、石見空港へ行く飛行機は今非常に座席占有率も高くなっているということで、そういう意味での地域振興もこれで起きているというふうな、半分冗談ですけれども、そのようなことをおっしゃっていたことをつけ加えさせていただきます。  それでは、景気に関してですので、ちょっと住宅問題について建設大臣にお伺いしますけれども、今回、持ち家制度、持ち家の促進、マイホーム減税がかなり拡充をされました。これは大変いいことだと思いますけれども、我が国の住宅政策の二本柱は、持ち家と賃貸住宅の拡充でございます。今回、持ち家制度についてはかなり大きな税制上の支援をしたわけでございますので、やはりバランス上、賃貸住宅に対しても支援をしていかなくてはいけない、このように考えているところでございます。  我が党はこれまで、公営住宅、公団の賃貸、それから民間マンションを借り上げる特定優良賃貸住宅、いわゆる特優賃の充実を主張してまいりました。景気対策という意味からも、私は、この特優賃、民間マンションを借り上げて安い家賃でそこに入ってもらうというこの特優賃をもっと拡充すべきだと思います。それで今回のマイホーム、持ち家制度の促進の税制とバランスがとれるのかなと思いますけれども、特に高齢者対策という意味も含めまして、この特優賃に対する姿勢をお伺いします。
  371. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生御指摘の問題は、今回の平成十一年度の大蔵大臣との大臣折衝最後に残りました問題でございまして、高齢者向け優良賃貸住宅等の建設戸数、平成十年度が四千戸であったのでございますが、それを六千戸ふやしまして一万戸にいたしたわけでございます。  そういうようなことで、良質な民間賃貸住宅の整備というのが今重要な課題になっておるわけでございます。先生御指摘のように、住都公団にいたしましても、今までのように住宅を大量につくって低廉な値段で賃貸するということではなくして、これからは組織も変わりまして維持管理が主体になってくるわけでございますから、そういうことにおきましても、一般の方々がつくられた住宅を借り上げるという特定優良賃貸住宅制度というものの意義がまた大きなものになってきたと思うわけでございまして、平成十年度におきまして、高齢者の方々が低廉な家賃で入居できますように、高齢者向けの優良賃貸住宅制度を創設したところでございます。  今後、先生御指摘の意図に沿って、なお進めていきたいと考えております。
  372. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 特に景気が悪くなってきまして、民間企業に勤めて、私も民間企業に勤めておりましたけれども、マイホームを買うちょうどその適齢時期にバブルで買えなかった、そこで逸した、今度は会社が不景気になって、なかなか将来の収入増が見込めないので、また家が買えない、そういう中高年の方が大変ふえてきております。しかし、公営住宅にも所得の制限で入れない。そういう方にこの特優賃というのは非常に希望を与えておりますので、景気対策にもなりますし、ぜひ拡充をしていただきたいと思います。  あと、私、実は党の青年局長をやっておるのですが、若い方から、都会で暮らすと、また仕事が都会にしかないから都会で暮らすわけですけれども、家賃が高い、こういう話をよく聞きます。結婚もできない、結婚しても子供も産めない。  そういう若者向けといいましょうか、もっと具体的に言えば新婚者向けの特優賃ということについても、これから少子化対策として考えていかなきゃいけないと思いますが、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  373. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 新婚世帯に対します特定優良賃貸住宅の問題でございますが、これは、都道府県知事が認めました場合には、一定の範囲内で優先的に公募抽せんにより入居を認めることができるようになっております。その範囲は現在のところ全戸数の五分の一でございます。  この割合をもっと大きくすべきだろうとも思いますが、いずれにいたしましても、若い方々が入れますように、そしてまた、私は、それが少子化対策の大きな要諦にもなると思いますので、その両面におきまして、そしてあわせて住宅産業を振興して景気をよくしていくということで、頑張っていきたいと考えております。
  374. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 では、その点の御努力をよろしくお願いいたします。  それでは次に、ちょっと話題を変えまして、戦域ミサイル防衛、TMDについて質問をさせていただきます。  戦域ミサイル防衛、これはアメリカが中心に進んでおります弾道ミサイル防衛、BMDの一部でございます。戦域、つまり英語ではシアターと言うそうですけれども、同盟国日本をミサイル攻撃から守るということで、BMDの一部としてTMDがある、戦域ミサイル防衛があるということでございます。  アメリカでは研究が進んでいるわけですけれども、日本の防衛庁平成七年から、このTMDに我が国が参加するかどうかという前段階として、それを検討する意味でということだと思いますけれども、研究を進めてまいりました。平成七年、八年、九年、十年、四年間研究を進めて、今回、平成十一年度予算、来年度予算案に、九億六千万円の予算で正式にこのTMDの日米共同研究に参加をするということが決まり、先ほどの九億六千万が計上されたわけでございます。  この問題につきまして、日米が共同してTMDを研究するということは、日本もそのTMDの体制の中に入っていくということを意味するわけでございまして、これはそうはいはいと簡単に済む問題ではない、やはり国会でかなり議論をしなくてはならない問題ではないかと思います。  そこで、いろいろな観点から質問をさせていただきたいと思うんですけれども、まず、昭和四十四年に決められました国会決議、この宇宙の平和利用に反するのではないかという質問をさせていただきます。
  375. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 BMDと宇宙の開発及び利用に関する国会決議との関係につきましては、もとより国会決議の有権解釈は国会においてなされるべきものであると存じますが、政府としましては、近年弾道ミサイルが拡散している状況にあるところ、BMDシステムが我が国の国民の生命財産を守るための純粋に防御的な手段であり、かつ他に代替手段のない唯一の手段である、このことを踏まえますと、BMDシステムに関して我が国が主体的に取り組んでいくことは、本件国会決議の趣旨やそれによって立つ平和国家としての基本理念にも沿ったものであると考えられます。国民各位の御理解をいただけるものと考えており、その旨を官房長官談話として平成十年十二月二十五日に発出したところでございます。  これは、政府として、我が国として、弾道ミサイルの攻撃から国民の生命財産を守るためどのように対応していくべきか、また大量破壊兵器等の拡散に対して我が国としてどのように対応していくことが適切かについて、十分検討した上で出した結論であります。BMDに係る日米共同技術研究の実施について、ぜひひとつ御理解をいただきたいと考えております。
  376. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 宇宙の平和利用に関する国会決議をちょっともう一度読み直してみたいと思います。   わが国における地球上の大気圏の主要部分を超える宇宙に打ち上げられる物体及びその打上げ用ロケットの開発及び利用は、平和の目的に限り、学術の進歩、国民生活の向上及び人類社会の福祉をはかり、あわせて産業技術の発展に寄与するとともに、進んで国際協力に資するためこれを行なうものとする。   右決議する。 ここの「平和の目的に限り、」という意味は、これも予算委員会での審議で、非軍事である、非侵略にとどまらず非軍事であるという意味が確定をしております。  今回のこのTMD、ミサイルが飛んでくる、そのミサイルの発射を、早期警戒衛星、これは地上三万六千キロメートルの静止軌道上にある衛星ですけれども、この早期警戒衛星が熱線、赤外線を探知してその発射を覚知する。それでどこに飛ぶかということを類推し、その軌道計算をする。それに向けて地上及び海上から迎撃ミサイルを撃って、上空用と下層用とがございますけれども、上空は上層二百キロないし三百キロの地点でそのミサイルを撃ち落とす。下層につきましても、これも、数十キロでございますけれども、明らかに大気圏外でございます。つまり、事はすべて大気圏外で起きる戦闘行為でございまして、素直に読めば明らかにこの国会決議と違反すると思いますが、いかがでしょうか。
  377. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 御指摘のように、当時の国会における論議の中で、当時の科学技術庁長官から、宇宙利用とは非軍事を意味する旨の見解が示されたことは承知をしております。  ただ、先ほども申し上げたとおり、近年、弾道ミサイルが世界じゅうに拡散する傾向にあります。そして、そういう情勢の中で国民の生命身体というものをどうやって守るか。もし相手国からそういうものが撃ち込まれてきたときに、座して死を待つというわけにはいかぬのでありますから、私どもとしても、国民の生命財産を守るという純粋に防御的な問題として、これはあくまでも相手がミサイルを撃ち込んできたのに対してそれを迎撃して落とそうというミサイルであって、相手の陣地を攻めようというミサイルでは全くございません。まさに専守防衛の権化のミサイルでありますから、それ以外に私どもとしては国民の生命財産を守るための手段を持たない、他に代替手段のない唯一の手段であるということを考えますれば、本件国会決議の趣旨及びそのよって立つ平和国家としての基本理念にも沿ったものである、こういうふうに考えます。  先ほども申し上げたとおり、国会決議の有権解釈は国会がなすべきものでありますので、このような趣旨を御理解いただいて、御審議をいただきたいと思います。
  378. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 長官の御説明は、ほかに代替手段がないから仕方がない、認めてくれ、要するにこういうことだと思います。それもわかります。  ただ、しかし厳然と、国会が決議したものはございます。ですから、今の長官のお話は、国会決議には明らかに反しているけれども代替手段がないから認めてくれ、そういうことですね。
  379. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 代替手段がないということもありますが、専ら防御的なものである。そういう意味では国会決議も、国の平和と安全、国民の生命財産を守るという意味での上に立った決議でございましょうから、そういう意味でひとつ御理解を賜りたいと申し上げておる次第です。
  380. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私は、議論の道筋が逆なんではないかと思います。  日本の防衛、日本の安全保障の観点から、この国会決議が明らかに時代にそぐわなくなっているというのであれば、この国会決議についてもう一度見直す、そういう議論を先にすべきではないでしょうか。  国会決議はある。これは私は、国権の最高機関たる国会での決議ですから、行政府たりともそんなに無視してはならないものだと思います。その存在を知りながら、一方で今のような形で、その国会決議との整合性を無視しながら物事を進めていく、これは国会軽視じゃないですか。
  381. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 私どもとしては、これから六、七年かけましてこういうものに対する研究をやってみようということでありまして、これを開発したりまた配備するという話では全くございませんで、それとは全く別の時点での話でありますから、そういう意味で、研究をすることをお認めいただきたい。  国会の決議は大事で、尊重されるべきものでありますが、今のような、世界じゅうに弾道ミサイルが拡散する、核兵器の開発が進んでいる段階で、当時の国会決議につきましてどう考えていくかということは、国会自体が解釈をしていただきたいということをお願いしているわけであります。
  382. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 今長官がおっしゃるような研究は、平成七年から十年までで済んだんです。その研究の経過を踏まえて、今回、一段、ワンステップ上がって、日米共同研究という形になったんです。日米共同研究は、これはこれから米軍と一緒にやっていこうということの意味でございます。今の説明はちょっとおかしいと思います。  それから、先ほどから、純粋に防御的な手段である、こうおっしゃっておりますけれども、米軍では、このTMDは、海軍が上陸をするその手助けといいましょうか、その一手段としてとらえられておりまして、純粋に防御の手段ではございません。そういう意味で、この官房長官談話、他に代替手段のない唯一の手段である、また純粋に防御的な手段であるからその国会決議はクリアされるんだというのは、私は論理的に通らないと思います。いかがでしょうか。
  383. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 先ほどから、BMDの問題は、先生も御指摘のとおり、これまで日本独自でいろいろ研究してまいりましたが、これを本当に真実に有効なものを考えようとすれば、アメリカとの共同研究に着手することが不可欠であるということで、その研究に着手しようというものであります。  ですから、開発とか配備というわけではございませんし、それはそれでまた六、七年後に判断されるべき問題でありますから、私どもとしては、アメリカとの研究に着手したいということをお願いしているわけであります。  先ほどから申し上げておるとおりでありますが、これはまことに迎撃ミサイルそのものでありまして、防御的であり、国民の生命身体を守る唯一の手段でありますので、そういう意味で、国会の決議もございますが、ひとつ国会の決議は国会において有権解釈されるべきものでございますので、ぜひひとつそういうことでお願い申し上げたい、こう申し上げておる次第でございます。
  384. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 では、ちょっと観点を変えたいと思います。  費用対効果の面で甚だ大きな疑問があるというふうにいろいろな方面から言われております。  今後、共同研究、共同研究の先には開発があり、その先に実配備があるわけです。その一つ一つの段階で再評価をするとおっしゃいましたけれども、大体こういうプロジェクトは、一たん始まればなかなか、はいここで日本だけは引き下がりますというわけにはいかないものでございます。実配備までいくと、一兆円から二兆円、一つのイージス艦についてですね、そういうお金がかかる、莫大な費用がかかると言われております。  それに対して効果はどの程度か。弾道弾、秒速大体四キロメートルの速さで突入をしてまいります。秒速四キロといいますと、時速一万キロ以上でございます。普通の砲弾がその十分の一から二十分の一の速度と言われております。大きさは一メートルぐらい。そういうスピードで宇宙から飛んでくるものに対して命中をさせる、これは、私も技術者でございますが、技術的に見てかなり難しい。それも、十発のうち八発当たれば成功というものではございません。十発のうち十発当てなければ意味がない、こう言われております。それは、技術的に見てかなり不可能と言われております。  それから、ミサイルを撃つ方からすれば、相手がどんな迎撃ミサイルを開発しても、それを乗り越えるミサイルを開発する、これは技術的にはるかに簡単だ、こう言われております。例えばおとりの砲弾を二、三個一緒に撃つ、それだけでもう迎え撃つ方はわからなくなってしまうわけでございます。  そういう意味で、費用対効果の観点からも大きな問題があると言われておりまして、アメリカの軍需産業の戦略に日本のお金がねらわれているだけではないか、こういう見方もございますが、いかがでしょうか。費用対効果、どのように見積もられておるのでしょうか。
  385. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 先生よく御承知してお聞きになってくださっているわけでございますが、昨年十二月二十五日の安全保障会議の了承を得まして、政府としては、平成十一年度から、海上配備型上層システム、いわゆるNTWDを対象とした日米共同技術研究に着手するということを決めたわけであります。  いろいろ先生が御指摘なさったようなこともございますが、先般アメリカの国防長官と会談した際には、アメリカとしてはその技術にかなり確信を持ったお話もなさっておりました。  今回は、先ほども申したとおり、あくまでも技術研究そのものでありまして、開発段階への移行とか、あるいは配備段階への移行につきましては別途判断するものであります。  このような判断は、技術的な実現可能性とか、将来の我が国の防衛のあり方のみならず、御指摘のように、費用や得られる効果、この費用対効果等について十分検討した上で行うことになるものと考えております。
  386. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 アメリカ側は十分な成算があるとおっしゃったようですけれども、アメリカはこれまで、五回実験をして五回とも失敗しております。THAADというプログラムですけれども、いずれも大きく外れております。そういう意味では、アメリカ側が技術的にこれが達成可能となる根拠を持つというのは、私は信じられません。  ちょっとまた話をかえますけれども、実際に効果のないこのTMDに参加をしお金をたくさん出すことになるわけですが、実は、逆にそのことがアジアの緊張をかえって高めているのではないか、こういう指摘もあります。ロシアは、いわゆるABM、迎撃ミサイルの抑制を図った条約ですけれども、このABM条約の見直しに言及しておりますし、また、中国も反発をしており、いわゆる戦略兵器削減条約、STARTIIについても、このスタートが遅くなる、批准が遅くなるというふうな問題も今言われているわけでございます。安全保障のために行うのが、かえって日本の危険を高めている、こういう指摘もございます。  この点については、どのような御見解でしょうか。
  387. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 私どもが検討していこうとするBMDは、自国が弾道ミサイルによる攻撃を受けた場合にこれを迎撃するという、純粋に防衛的なシステムであります。それ自体、他国に軍事的脅威を与えるものでは決してございません。したがって、本来的に、軍拡競争を引き起こしたり、あるいは地域の平和と安全に悪影響を与えるものではないわけであります。  いずれにしましても、我が国としては、今後ともこれらの諸点につき透明性をきちっと確保した上でやってまいりたいと思います。  今ロシアの事情について言及なさいましたが、ロシアについては、昨年十月、ロシア国防相が訪中した際にBMD開発を否定的に評価したとの報道も一部ありましたが、ロシア側に対してはこれまでも我が国の考え方を説明する機会があり、これに対しては、ロシア側から我が国に対して特段の否定的な反応が示されたことはございません。
  388. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 TMD共同研究に韓国も参加することになれば、これは集団的自衛権との問題も出てまいります。このことが、ABMそれからSTARTII、この枠組みを壊すきっかけになりつつあるということもあるわけでございますし、また中国のかなり強烈な反発もございます。このアジアの緊張という面にもかなり注意深い配慮を行いながらの研究でなければ、私は、全く技術的にもまた政治的にも意味がない、このように思う次第でございます。  この議論はここで終わりますけれども、宇宙の平和利用の国会決議との関連、また、アジアの緊張を高めるのではないか、こういう観点から、我が党はTMDの共同研究参加には慎重な姿勢でいくべきだという態度を表明させていただきます。  次に、大臣削減の問題について質問をさせていただきます。  今回、自自連立政権発足に当たりまして、大臣二人削減ということになりました。大臣の削減、これは行政のスリム化を、それから副大臣制というのは政治が主導を持つ、こういうことで、それについてはわかるわけですけれども、まだ行政のスリム化が行われていないこの段階で大臣を削減するというのは、副大臣制を導入しようという動機、つまり政治主導でいこうということと矛盾をする、このように思うわけでございます。  ちょっと難しい言い方になりましたけれども、簡単に言えば、行政がスリム化されていないこの時点で大臣だけ削減すれば、官僚主導になっちゃうんじゃないか。なぜ今大臣削減なのか。この点について、総理にお伺いします。
  389. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 斉藤委員のような御指摘をされました有名なキャスターもおられましたけれども、なぜ大臣を削減するか、そういうことの意味で、むしろ、ふやせとは言われませんでしたが、目配りを各省庁、政治優位でやるためにはそういうこともあるべきではないかというような世論の一部あることは承知をいたしております。  ただ、今般のこの削減につきましては、連立政権発足に当たりまして、小沢自由党党首と私との間の合意を踏まえまして、行政の改革を推進する観点からスリム化を図っていこうということでございました。ある意味では姿勢を示すといいますか、日本全国、各企業、その他も含めましてスリム化に毎日専心しておることでございまして、まずは行政のトップである大臣を削減するという姿勢を明らかにすることによりまして政府としての姿を示していこうということで、このような決断をいたした次第でございます。  そういう意味で、それぞれ担当の大臣もそれぞれに大臣として職掌が加わりましたけれども、十分そうした省庁を監督し、指示し、そして効果あらしめるように努力を現下いたしておりますので、その成果は上がりつつあるというふうに思っております。  一方、副大臣制につきましては、これも中央省庁改革により省庁が再編されることに伴いまして、国務大臣の数が削減されるとともに省庁が大ぐくりになることに合わせまして、国民に直結した政治に転換し、迅速な政策決定を可能にするため導入することといたしたわけでございまして、これまた自由党との話し合いでまとまった次第でございます。  旧来の形でなくて、これから行政をスリム化すると同時に、効率的な行政を行い、そして国民の期待に沿うためにこのような手段を講じていこう、こういうことでございますので、今後これが法律案として提案を、議員立法その他で出てこられる場合に、我々としてはぜひその本旨が達成できますように、これからの御議論を待って努力をしていきたいと思っております。
  390. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 それでは、今回二省庁が兼務になったわけですけれども、なぜその二省庁が兼務の対象になったのか、お伺いします。
  391. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 これからの新しい行政庁の姿として、文部省それから科学技術庁、これが一緒になる方がよろしい、そういう形に相なっておりまして、そういった意味で、先駆けてこうした一人の大臣が所掌していくという形になったわけでございます。  あと、国土庁につきましても、これは今後国土交通省というような形で大きな役所になりますが、これもその前提として、国土庁は現在の建設大臣がこれを所掌していくということになりました。  沖縄開発庁につきましては、これは現在官房長官が沖縄担当大臣に相なっておりますので、これも所掌していくという形になった次第でございます。
  392. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 将来の省庁再編を見込んでということですけれども、例えば、科学技術庁長官は文部大臣が兼務される。ところが、労働大臣と厚生大臣は別に兼務関係に今回なっていません。労働省と厚生省は将来一緒になる。なぜ労働省と厚生省は一緒になるのに兼務しないで、文部省と科学技術庁が一緒になるから科学技術庁長官が兼務になるのですか。これは任命者の総理大臣に。
  393. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 いろいろとそれぞれの所掌関係を配慮いたしました結果、ポストが減少するということによりまして、どのような形で行政を遅滞なく推進していくかという観点から考えましたところ、このような形でそれぞれの大臣に兼務をお願いするということになったわけでございます。
  394. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私は、当選以来ずっと科学技術委員会で頑張ってまいりました。別に科学技術族というわけではありませんが、二十一世紀の日本が平和で豊かな社会であるためには科学技術の振興が大事だという決意で頑張ってまいりました。  総理の施政方針の中にも、未来へのかけ橋としての科学技術ということで、科学技術へ力を入れるのだという施政方針が発表され、私も大変力強く思った次第でございますし、先日は、テレビの映っているところで、伊藤公介委員がここで二十一世紀のキーワードは何だと思いますかとおっしゃって、科学技術というふうにおっしゃいました。それだけ科学技術を大事にしていこうと表ではおっしゃっておりながら、現実には、科学技術庁長官、一番削減しやすかったんでしょうか、何なんでしょうか、実際やっていらっしゃることは科学技術政策を軽視しているとしか思えないのですが、いかがですか。
  395. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 決してさような考えではございませんで、科学技術の重要性については私自身も十分認識をし、予算的な配分も、十一年度予算で相当増額をいたしておるということからもおわかりになるだろうと思います。  今般、文部大臣におかれては、従前科学技術の面におきましても大変な造詣深いことでございまして、この両省を十分行政の長として見識を持って対応できる、こう認識をいたしましたので、有馬文部大臣に科学技術庁長官も兼ねていただいた、こういうことであります。
  396. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 新聞報道には小渕派の参議院議員が削減対象になったというふうな報道、これは新聞報道ですけれどもありますが、私は、表から見れば科学技術行政の一つの軽視ではないかと心配をした次第でございます。  兼務をされている文部大臣ではなくて、科学技術庁長官にお伺いをしますけれども、文部大臣専任だったときに比べて任務が非常に重くなったとか、それから科学技術行政についての目配りが今非常に薄くなったとか、なかなかそうはお答えにならないでしょうけれども、率直なところをお聞かせ願いたいと思います。
  397. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 私は長い間、科学技術を何とかして進めていかなければならない、環境を整えなければならない、並びに国立大学等々、国公私立の大学における学術の研究環境も何とかしていかなきゃいかぬと言って主張してきた人間でございます。したがいまして、決して科学技術庁をおろそかにしているつもりはございません。むしろ、文部省でやっている基礎科学の研究と科学技術庁のもとにあります科学技術の研究というふうなものを融合させるということが、極めて日本の将来にとって有効であると思っております。  それから、もう一つ申し上げておきたいことは、若者の科学離れ、理科離れ、あるいは科学技術離れというのがありますが、これはまさに科学技術庁が一生懸命科学の祭典などをやって進めております。と同時に、文部省の方の初中局と一緒になって推進することによって、青少年の科学技術離れへの対応が一層よくできますし、そしてさらに科学技術系人材の養成ができると考えておりますので、この二つの省と庁が一つになって進んでいくということは、極めて日本の将来にとって有効であると思っております。
  398. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 科学技術振興について御努力をいただきたいと思います。  今回、有馬先生が文部大臣だったから科学技術庁長官が兼務できるという面もあるかと思いますけれども、これは固定化ということではないですね、総理。つまり、これからは文部大臣と科学技術庁長官は必ず兼務するということが決まっているわけではないですね。
  399. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 省庁再編まではこの方針でいきたいと思っております。
  400. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その点についてはちょっと疑問がありますが、次の質問に移ります。  私、国会に議席をいただく前までは民間企業で技術者として働いておりました。国会へ来て、霞が関を見て感じた素朴な疑問を総理とそれから総務庁長官にお聞きいたします。  素朴な疑問というのは、中央省庁の人材活用は本当になっていない、こういう率直な感想でございます。なっていないというとちょっと言葉に語弊があるんですが、非常に問題がある、硬直化している、このように思います。  端的に質問をさせていただきますと、例えば普通の民間企業ですと、理科系の人間それから文科系、文科系でも経済や法学や、いろいろな人が入ってきて、それぞれ切磋琢磨しながら成長していく。ある意味でトップになるには、あるときは理科系の人がなったり、あるときは文科系の人がなる、法学系の人がなる、経済学系の人がなる。こういうのが当たり前でございまして、現実に、私も会社四季報を見て役員の分布を見たら、そのようになっておりました。  ところが、中央省庁、ちょっと代表で大蔵省を見てみますけれども、事務次官、四十九代の澄田さん以降、ずっと二十四代東大法学部卒が続いております。東大法学部卒は大蔵省の中でどの程度入っているかといいますと、大体六五%でございます。同じ条件で入ってきた人は、同期入省の中で六五%。〇・六五を二十四乗しますと、三万五千分の一という数字になります。確率三万五千分の一のことが今大蔵省で起きている。これは大蔵省に限りません。ほかの省庁もみんなそうです。明らかにこれは人材登用が硬直化をしている、あしき慣習があるとしか見れないわけでございます。  総務庁長官総務庁長官は経済の御出身ですけれども、例えば大蔵省で経済を出た人というのはまだ事務次官についた事例はないようでございますけれども、この中央省庁の偏った人材登用のあり方について何か、うまく説明できないんですけれども、言いたいことはわかっていただけると思いますが、どのように考えていらっしゃるか。
  401. 太田誠一

    太田国務大臣 事務次官になる段階でどうであったかということになりますと、そこは客観的にバイアスがかかっていたということを証明することはなかなか難しいわけですけれども、それ以前の採用段階で、中央省庁の採用でいいますと、行政職と法律職で合わせて百八十人ぐらいが採用になって、経済職は七十八人ぐらいでありますので、その時点で相当の開きがある、二倍以上の開きがある。そこら辺から改善の必要があると思っております。  これは、世の中、法律をつくるという、企画立案ということは、必ずしもこれまである法律を知っておればいいということではないわけでありまして、これから法律をつくるという場合にはさまざまな分野の知識が必要であろうかと思いますので、先生の御指摘については、私も方向として大賛成でございます。  なお、そのことを踏まえて、今回の中央省庁等の改革に係る大綱において、多様な人材の確保、能力、実績に応じた処遇の徹底などを確実に推進していくという旨をわざわざ書き込んだわけでございます。そういうことにこれから努力をしていかなければいけないということを改めて誓い合いたいと思っております。
  402. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 三分の二だから、その三分の二で入った人の方が当然上になる例は多いだろうというふうなお答えだったんですけれども、しかし、三分の一は、例えば経済であるとか理科系の人もいるわけです。今事務次官ということで話しましたからちょっと議論が偏ってしまいますけれども、中央省庁の場合、明らかに、例えば技術系の人のポストは、だんだんポストが上になっていくに従って少なくなってきておりますし、そういう人材登用、いろいろな能力を持った人を活用するというシステムになっていない、硬直した姿勢になっていると思っておりまして、その点を言いたかったわけでございます。  先ほど長官おっしゃいました中央省庁等改革に係る大綱の中で、多様な人材の確保と能力、実績に応じた処遇の徹底ということが言われておりますけれども、現状の実態を踏まえてどのように具体的に推進されていくのか、それをお伺いします。
  403. 太田誠一

    太田国務大臣 具体的にどうかということになりますと、そもそも、特定の出身校に偏らない人物本位の採用に努めているとか、あるいは幹部職員の客観的かつ多面的なスクリーニング、採用試験の専門区分にとらわれない人事管理によって、優秀な人材の確保、活用に努めることが必要であるというようなことでございますけれども、これは、もう少しさまざまなデータを集めてディスクローズをし、割り当て制度のようなことは私はよくないと思いますけれども、お互いにもっと、こういうふうにして多様な人材を採用し昇進させていますということを何か証明していただくようなことは、これから工夫しなければいけないと思っております。
  404. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 それでは最後に、総理に、唯一の資源ともいうべき人材、その人材を抱えた中央省庁に限らず公務員の方々、その能力をフルに発揮させていくということが、入れ物である省庁再編と同時に、その入れ物の中身である能力を持った方々の能力発揮というのが非常に重要だと思いますけれども、この人材登用、人材活用について、総理の見解を最後にお伺いします。
  405. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 行政が公共的課題に公正かつ高い客観性、専門性を持って取り組む能力を強化するために、公務部門で優秀で多様な人材を確保し活用していくことが必要であることは申すまでもありません。  いよいよ行政官庁の再編成の時期を迎えております。明治以来、我が国は優秀な官僚制度に支えられてこられた点があり、またその中で優秀な官僚自体が大いに腕を振るってきたところではありますが、昨今いろいろの御批判もございます。新しい省庁再編成に向けて、それにふさわしいような人材をいかに活用していくかということは、日本の行政運営にまことに重要なことでございますので、十分目配りをしながら、すばらしい人材を登用していくように考えていくべきものと考えております。
  406. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 終わります。
  407. 中山正暉

    中山委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。  次に、木島日出夫君から質疑の通告を受けております。これを許します。木島日出夫君。
  408. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  最初に、衆議院の議員定数削減問題について、自民党総裁たる総理にお聞きしたいと思います。  自民、自由両党は、昨年十一月十九日の政権合意に基づいて行われた本年一月十二日の定数削減に関する協議会におきまして、一つ、「衆議院議員の比例代表定数を、五十人削減する。」二つ、「公職選挙法の一部を改正する法律案は、次期通常国会に議員立法で提出し成立を期す。また、次回衆議院選挙から施行する。」との合意をいたしました。  この問題は、総理も本日の委員会でも答弁し、一月二十六日の委員会以来再三答弁しておりますように、議会政治の根幹にかかわる問題であります。  きょうは、私は、二つの問題、一つ、なぜ定数を削減しなければならないのかという問題と、二つ、削減部分をなぜ小選挙区部分ではなくて比例代表部分にするのかという問題について伺いたいわけでありますが、その前に、そもそも、自民・自由連立両党に、合意のように、今国会に衆議院比例代表五十議席の削減案を提案する政治的な資格があるのかどうなのかという、その根本問題について総理にお伺いしたいと思うんです。  それはどういう問題かといいますと、総理も認めたように、この問題は、議会政治の根幹にかかわる比例代表定数五十の削減、衆議院五百議席のうちの一割、五十の削減という、そういう重大きわまりない問題であります。こういう問題を、国政選挙での国民の審判を受けることもしないで強行していいのか。そういう問題を提起したい。  自民党は、昨年の参議院選挙において、あるいは直近九六年の衆議院選挙において、衆議院比例代表五十議席を削減しますということを主権者国民に堂々と公約として掲げて問うたのでありましょうか。また、その結果、この衆議院比例代表五十削減の問題で、自民党は選挙で国民の信任が得られたのでしょうか。まず総理に、これは事実ですから、二つの国政選挙での自民党の公約にあったのか、その問題をお聞きしたい。
  409. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 定数是正を選挙の公約にのせたということはなかったと思います。ただ、政治全体の改革を行わなければならないという観点から、常々この問題については党内でも御議論をいただいてまいったところでございまして、今般、自由党との話し合いにおきまして、五十名削減ということで両党間において合意を見た、こういうことでございます。  この問題については、しばしば申し上げておりますように、国会議員の身分にかかわることでもございますし、国政全体にわたることでございますので、国会でも当然、議員立法という形でこれが提出されるかということでありますが、国会において各党間で十分御審議をいただいた上で取り組んでいただきたいと思いますが、考えますことは、やはり、現在の日本の行政機構の中でもそうでございますし、あるいはまた地方におきまする議員の定数の減とかいうこともございます。  こうしたことをもろもろ考えますと、まずは隗より始めよということで、国会議員自身もみずから、その定数を削減することによって国民に対して姿勢を示すべきである、こう両党で考えて、このような合意をいたした次第でございます。
  410. 木島日出夫

    ○木島委員 総理も、直近の衆議院選挙において、参議院選挙において、衆議院比例代表選挙部分を五十定数削減するというのは公約に掲げたことはないということをはっきりとお認めになりました。私も全部自民党の両選挙での公約を読みましたが、全くありません。  議会制度の根幹にかかわるこの問題、私は、憲法の国民主権、議会制民主主義の根本にかかわる問題、しかも、比例部分を五十削減するというのは民主政治を損なう、こんな大問題を、そもそも主権者国民に諮らずに自自連立協議の中からつくり出そうとする、そのこと自体が議会制民主主義のじゅうりんだと思わざるを得ないことをまず述べた上で、二つの問題の第一の問題についてお聞きいたします。  衆議院の総定数を五十削減する問題でありますが、我が党は、定数を五十削減することは、そのこと自体に反対であります。定数が削減されればされるだけ、国会議員一人当たりの人口、国民の人口が大きくなります。当然です。それだけ、主権者である国民と国会、政治とのかけ橋が小さくなる。総理の本会議での五つのかけ橋の中には、残念ながら、国民と政治とのかけ橋というのはありませんでした。まあともかくとして、かけ橋が小さくなる。  国際的にも、我が国の選挙制度の百年を超える歴史の上でも、人口に比較して、今、国会議員の数が多過ぎるなどということは全くありません。調べてみましたら、逆であります。  最初に国際的なことをお聞きしますが、自治省に調べてもらいました。世界の国々の、議会制度を持っている国、選挙のある国、すべてについて、議員の総数、これは二院制のところは第一院、この議員の総数と人口の総数を調べてくれと頼みました。議員一人当たりどのくらいの主権者、国民を抱えているのか調べてもらいましたら、自治省は、主な国しかわからないといって、十八カ国のものを私に示してまいりました。きょう、委員長の御指示をいただきまして、資料は委員に配付してあるとおりでございます。  「下院議員一人あたりの人口」、十八カ国の一覧表、残念ながら、我が国は下から二番目、二十五万千百人に一人の衆議院議員であります。スウェーデンが議員一人当たり二万五千三百人。これから十番目のカナダまでが十万人以下ですね、カナダが九万九千五百人に一人。フランスから十六番目の韓国までが、フランスが十万一千人に一人です。韓国が十六番目で十五万五千八百人に一人であります。こういう状況であります。これは恐らく自治省は先進諸国を調べてきたのでしょう。アメリカを除いて、今でも本当に議員の数はふやしてもいいんじゃないでしょうか。そんな数字であります。  私は、さらに、全世界がどうなっているのか、大変ですが、調べてみたんです。大変膨大な量になりますから資料はつくりませんでしたが、全世界百四十一カ国、全部調べてみました。そうしましたら、我が国日本は百三十二番目です。国会議員一人当たりに国民が何人いるかというのは、全世界百四十一カ国のうち百三十二番目、そういう状況であります。  もう中身は余り詳しく触れませんが、一番国会議員一人当たりの人口が少ないリビアが七千二百人、そこからちょうど百番目のジンバブエが九万六千百人に一人の国会議員、百一番目のカナダがちょうど十万四百人に一人、ペルー、百二十八番目ですが、十九万六千百人に一人、ここまでが二十万人以下、こういう状況なんですね。  日本よりも、国会議員、第一院の議員一人当たりの人口がたくさんな国は、ブラジル、ロシア、フィリピン、バングラデシュ、中華人民共和国、インドネシア、パキスタン、米国、インド、物すごい人口が大きい国だけなんですよ。こんな状況であります。  議員を通じて国政に対する民意を反映する、こういう議会の持つ基本的な任務からすると、どうも私は、世界の国々を調べてみて、とても先進国とは言えないなと思わざるを得ない。  そこで、総理にお聞きしたいのですが、日本は国際的にもこんなに国民と国会議員をつなぐかけ橋が細いのに、なぜさらに五十人も衆議院議員の定数を削減するのか、その本当の根拠、理由を簡潔に述べていただきたい。さっきちょっと先走って大分お述べになったようですが、どうでしょうか。
  411. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 先ほども申し上げましたけれども、やはり、行政のスリム化ということがかねて言われて、その方向で非常に厳しい削減を内閣総理大臣といたしましても、十年間二〇プロと私言っておりましたが、自由党との話し合いで二五%という形の厳しい削減を目指しているわけでございます。また、地方の議会、議員等におきましても、地方の実態に即して議員の数を今減少させております。ひとり国会だけということでなくして、やはり世の中に国会が最も率先垂範してこうした形を示すということは、国民に深く理解が求められるゆえんであろう、こう考えて合意をいたしたところでございます。  お示しをいたされたこの数字その他も、これは、各国の状況というものは各国の成り立ちがございますし、同時にまた、二院制の、両議院の院の議員の数字というものもございます。一番下にありますアメリカなどは上院は百名、こういうことに相なっておりまして、それぞれ歴史的な経過も踏まえまして議員の数というものは決定されてきたんだろうと思います。  そういうことからいいますと、私自身も、たしか、国会に出ましたときは四百六十人ぐらいでございました。それからふえてまいりましたが、しかし今回、十二名削減して五百になったということは、その時点におきましても、やはり国会議員の数についても削減をいたさなければならないということがあって前回の定数減ということになったんじゃないかと思っておりまして、そういうことから、自由党と自民党というよりも、小沢党首と私の間で、そうした定数について国民理解を求めていくこととして、削減を考えたらどうかということで合意されたところでございます。
  412. 木島日出夫

    ○木島委員 行政のスリム化と言いました。財政が大変だ、お金がかかる、五十人削って財政負担を軽くしようということなんでしょうか。  もう一つ。各国にはそれぞれの歴史があって、それを踏まえての定数だろうとおっしゃいました。  日本の歴史、私調べて持ってまいりました。もう細かくは言いません。最初に議会制度が生まれた一八八九年、明治二十二年、三百議席であります。国民人口十三万人に一人。初めて普通選挙権が付与された一九二五年、大正十四年、四百六十六議席、十二万人に一人であります。この十二万人に一人というのは、基準にしようというのが、ずっと日本の選挙制度をひもとくと、そういう数字になっておるようです。  そして、これが基本に据えられて、一九五〇年、昭和二十五年、公職選挙法が戦後制定されたときも、定数四百六十六議席で、これは人口がふえましたから、十七万人に一人。そして今日、一九九九年現在、小選挙区制のもとで、比例代表並立制度のもとで五百議席になり、二十五万人ちょっとで一人、こういう歴史なんですよ。歴史を言うのなら私は、それでも数をもっとふやしてもいいという歴史になる、そういう数字です。  それはともかく、行政のスリム化、私は、議会制民主主義の根幹にかかわるこの問題、憲法の根幹にかかわるこの問題を、単に行政のスリム化、金がかかる、そういう問題でとらえること自体がちょっと狂っているんじゃないかと思わざるを得ません。  総理は、衆議院議員の数を五十人減らすことによって、財政上どのくらい浮くと見ておるんですか。もしおわかりでしたら。
  413. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 行政のことのスリム化は申し上げましたが、国会議員の削減によって国家財政にどの程度のプラスになるかという積算をしたことはありません。  ただ、国民皆さんの志向する方向性がそうではないかという、一番大事な国民皆さんのお考えがそこにあるのではないかということで小沢党首と一致をしたことでございまして、この点について、それこそ国民皆さんから、ふやしていくことが望ましいか、減らしていくことが望ましいかというお尋ねをいたしますれば、私ども、こうした方向性について国民理解いただけるものだ、こう考えております。
  414. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、国民は衆議院の数を減らせ、比例部分五十減らせなんて要求していない、問題は、国会議員、もっと一人一人頑張れ、勉強して頑張れということだと思うんです。  ちなみに、どのくらい予算が浮くか、総理、お答えになりませんでしたが、私、調べてきました。九八年度予算で、衆議院の予算総額は六百九十四億円であります。そのうち、議員に関係する主なもの、議員歳費百二十二億七千万、議員秘書手当百四十二億四千万、議員秘書退職手当四億九千万、議員旅費五千万円、議員文書通信交通滞在費六十二億二千万、立法事務費三十九億円、締めて、議員にかかわる金が三百七十一億七千万。議員五十人を減らしたとして、まあこれは衆議院議員の問題だけですから、単純に一割予算を削減できたとして、三十七億円ですよ。  他方、一九九五年から始まった政党交付金総額、調べてきました。九五年三百一億円、九六年三百七億円、九七年三百十一億円、九八年三百十二億円、衆議院議員五十人分にかかる諸経費の約九倍の税金が政党に支給されているんです。  先日、我が党の春名議員からも、中島洋次郎前議員の事件の問題を追及いたしました。政党交付金廃止せよ、これが国民多数の声であります。リストラ、本当に政党や政治家が身を切れ、切るべきだと言うんなら、私は、なぜこの政党助成金を廃止しないのか。御意見あったら、どうぞ。
  415. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 議員おのおのが十分な政治活動を行うこと、また、政党としてもそのような活動をするために必要と考えて、国会でお決めいただいたことでございます。
  416. 木島日出夫

    ○木島委員 まともな答弁はございませんでした。  次に、比例代表部分のみをなぜ削減するのかの問題についてお聞きいたします。総理の認識をお聞きしたい。  小選挙区比例代表並立制の導入時の国会論議で指摘された小選挙区の特質、比例代表制の特質は、九六年十月の総選挙の結果からはっきりと検証されております。民意を議席に正当に、公正に反映するのが比例代表選挙、これには基本的に死に票はありません。一方の小選挙区は、第一党が得票率以上の議席を獲得し、大政党に有利に民意をゆがめます。当たり前だと声が飛びましたが、九六年の総選挙、小選挙区で、第一党の自民党が三八・六%の得票率で何と五六・三%の議席を占めたのはその確たる証拠であります。  総理の事実の認識をまず問います。  小選挙区と比例代表のこうした基本的特性について、事実として、総理、認めますか。評価じゃなくて、事実としてそうなっている、それが本質的なものだということを認めますか。
  417. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 それは、政治改革でこの前の法律をつくるときに、当時の自民党の河野総裁と当時の細川首相との間で結ばれたその基本的考え方に基づいてこの制度は出発をいたしておるところでございます。
  418. 木島日出夫

    ○木島委員 答えになっていない。事実はもう否定できないのです、こういう本質を持つということは。  総選挙直後の自民党の機関誌「月刊自由民主」、第四十一回衆議院総選挙結果を分析しております。足立利昭さんという個人論文の体裁をとっておりますが、自民党の機関誌に載っているんです。そこにはっきりと「第一党に有利に働いた新制度」という見出しで文章があります。   こうしたなかで、落選者が得た得票総数、いわゆる「死票」は、小選挙区の当落に限ってとらえると、有効投票総数の五四・七%に当たる三千九十万票余りになる。中選挙区制だった前回総選挙の二四・七%の約二倍である。   政党別の死票率は、最多議席の自民党以外はすべて五〇%を超え、民主党は七八%、共産党は九九%の超高率に達した。「大政党に有利」といわれる制度の特徴をくっきり表わしている。 と、自民党の機関誌にはっきりと述べられていることを御紹介しておきたいと思います。小選挙区制三百を温存して比例代表二百を百五十にすれば、この民意をゆがめるという現行制度の害悪がさらに拡大されることは明らかではないでしょうか。  今総理は、時の細川総理と自民党党首との合意だということをお話しになりました。細川政権と自民党が現行小選挙区比例代表並立制を導入したとき、細川総理はこういう立場を国会で答弁しているんですよ。小選挙区は民意の集約、比例代表は民意の反映、並立制はこの二つが相補うのだ、こう説明しているのです。  私は、国民主権を基本原則として、国会を国民代表機関と位置づける現行憲法のもとで、あるべき選挙制度の基準は、いかに民意を正確に議会に反映させるかということではないかと思います。そしてまた、民意の集約と言って、この民意の反映という根本問題と違う別の基準を持ち出してくること自体が、国民主権や議会制民主主義から外れた理屈だと思いますが、しかし、細川総理はそういう説明をしているんです。相補うんだというんですよ。  今回、そういうことで、時の各政党が、日本共産党は反対しましたが、合意してつくられたこの制度のうち、民意の反映である大事な部分、比例代表部分のみ削減するというこの自自連立の合意は、この並立制が導入されたときのあなた方の理屈づけさえも覆す、そういう暴論ではないでしょうか。  民意を大政党に有利にゆがめる小選挙区制から、民意を鏡のように反映する比例代表制へ移行させるということは、今日、世界の歴史の大きな流れであります。EU議会選挙もそうであります。伝統的に小選挙区制をとってきたアングロサクソン系の母国であるイギリスでの最近の動き、一貫して小選挙区をとってきたイギリスですら、やはり比例の方が公正だ、そういう動きもそれを示しているんじゃないんでしょうか。  比例代表五十の削減は、議会制民主主義に対する許しがたい挑戦であり、世界の大きな潮流にも逆らう時代錯誤だ、一片の道理もない。私は、自民党総裁たる総理に、衆議院比例定数五十の削減のこの自自合意を撤回することを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。  金融問題であります。  長銀と日債銀への巨額の公的資金を投入し、これが棄損させられております。その政治責任についてお尋ねしたいと思います。  長銀は九八年十月二十三日に、日債銀は同年十二月十三日に、いずれも金融再生法三十六条一項により、特別公的管理開始の決定がなされました。既に御案内のように、長銀に対しては、優先株千三百億円、永久劣後ローン四百六十六億円、合計千七百六十六億円の公的資金が投入され、日債銀に対しては、優先株六百億円の公的資金が、昨九八年三月、金融安定化法によって投入されたわけであります。それより一年前の九七年四月には、大蔵省の事実上の指導で日銀が八百億円を投入いたしまして、優先株を購入しました。奉加帳方式と言われたものであります。  まず、金融監督庁に確認したいと思うんです。特別公的管理開始決定によって、政府の投入した二千三百六十六億円、日銀によって投入された八百億円の公的資金は償還されるんでしょうか、返還されるんでしょうか。金融再生法四十条によって、今株価算定委員会が特別公的管理決定の公告時における純資産額を基本として決定されることになっております。いずれの銀行も、債務超過だということがもうはっきり指摘されているわけであります。ゼロになるんでしょうか、その見通しを簡潔にまず御答弁願いたい。
  419. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  長銀及び日債銀の優先株式の価格につきましては、株価算定委員会が決定することでございまして、現時点では何とも、答弁を差し控えさせていただきます。
  420. 木島日出夫

    ○木島委員 あなた、私、質問の中で言ったでしょう。事実上債務超過なんでしょう。純資産額からはじき出すといったらゼロということでしょう。それは、だからさっき私が言った、最後は株価算定委員会だけれども、ゼロになるんでしょうと、見通しを聞いているんだ。そんな難しい話じゃない、確認を求めているんですよ。逃げちゃだめですよ、あなた。
  421. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答えいたします。  株式の取得価格につきましては、金融再生法におきまして、株価算定委員会が公告がなされた時点の純資産額を基礎として算定することになっておりまして、現時点で先を見通すことは何とも申し上げられません。
  422. 木島日出夫

    ○木島委員 大変な債務超過ならゼロとせざるを得ないと私は思いますが、否定できますか。
  423. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 この株価については、国民の財産にわたることでありますから、わざわざ丁寧なしっかりした手続が定められているわけです。したがって、ここで……(木島委員「そんなことを聞いているんじゃないんですよ。純資産額で債務超過のときにはゼロになるんじゃないかと聞いているんです」と呼ぶ)いや、一般論として、そういった状況の場合には、限りなくそれはゼロになります。(木島委員「そう言ってくれればいいんですよ」と呼ぶ)ああ、そういうことですか。それでは、私、そのように申し上げます。
  424. 木島日出夫

    ○木島委員 債務超過の場合は、一般的に言うと限りなくゼロになる……(発言する者あり)だから、見通しというのは、一般論を聞いているんですよ。そうなる可能性が大きいということですね。  それで、次に行きます。  九八年三月に金融安定化法に基づいて長銀と日債銀に投入された二千三百六十六億円の公的資金は、金融安定化法によると、大蔵大臣、よく聞いておいてください。長銀、日債銀の経営の状況が著しく悪化していないこと、いわゆる健全銀行であることを条件として、また、そのことを金融危機管理審査委員会、いわゆる佐々波委員会が審査の上、確認をして行われたはずであります。九八年一月の金融安定化法案のこの国会での審議の中でも、政府や大蔵省は再三、経営が健全な銀行にのみ公的資金は投入されるんだ、投入された公的資金は金利や配当がついて全額政府に戻ってくるんだ、国民には損害を与えないと繰り返し強調していたわけであります。  戦後最悪の消費不況のただ中にある今、今年度予算で、全国の日本経済を支える大宗、中小企業対策費は千九百二十三億円ですよ。それをはるかに上回る二千三百六十六億円の公的資金が、八百億円の日銀資金とともにどぶに捨てられる。巨額の国家財産を棄損させてしまったことに対する政治責任は、だれがどうとるのでしょうか。  九八年三月に金融安定化法に基づいて投入された公的資金の棄損のこの問題と、九七年四月に奉加帳方式によって投入された日銀資金の棄損の問題とは、性格が全く違いますので、きちんと区別して、その政治責任をだれがどうとるのか、まず、基本問題ですから、総理と大蔵大臣と日銀総裁にはっきりと簡潔に答弁を願います。
  425. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、日債銀の場合の八百億円でございますが、午前中も申し上げましたが、この時点において、こういう事態を救うためのレジームは、今日と違いましてございませんでした。したがいまして、大蔵大臣が日銀に要請をされたのであります。また、大蔵大臣は、この日債銀の再建策を支持されて、再建が成るために自分としても支援したいということを言っていらっしゃいます。  結果として、日債銀の再建は、今株価のことはともかくといたしまして、こういうことになったわけでございますので、まことにそれは残念なことでありましたが、その努力は終局的には実らなかったということになると存じます。  ただ、その際、こういうレジームがございません状況の中で、日債銀が破綻をする、あるいは倒産をするということは内外に非常に影響が大きかったと思われます。したがいまして、当時、大蔵大臣あるいは日銀総裁がそういう判断をされたことは、それとして誤りとは申せないと思います。  もとより、その結果としてあちこちにいわば負担を願って、それが終局的には今日こういうような状況になったということ自身は、これは否定ができませんから、その間、ある時期の間安定を維持したということはそれとして、終局的には否定できませんから、そういうことは、行政としてはまことに御迷惑をかけましたということは、私はやはり考えるべきだと思います。それが、ただ、故意または過失があったということではないと私は考えているわけであります。  次に、この二つの長期信用銀行につきまして、いわゆる危機管委員会が公的資金を導入しましたことは、木島委員も御記憶のとおり、昨年の三月に、そうでありませんと日本の金融秩序が国際的にも疑われた、そういう状況でございました。そして、委員会は、これらの銀行がいわゆる債務超過という状況でないという判断に基づいて公的資金を導入されたわけであります。  それによりまして、我が国の国際的な金融秩序はそれ以上悪化せずに、ジャパン・プレミアムなんかもかなり改善をいたしておりますから、この措置は効果があったものと思われますが、ただ、その後、長銀及び日債銀についてこのような事態が起こった、その事態危機管委員会が当然予見し得るものであったかといえば、そのようには私は思えません。  したがいまして、結果としてそういうことになって、少なくとも長銀の場合、まだ株価が算定されませんので、ここは少しルースな言い方をさせていただきますけれども、恐らく返ってこないだろう、そういう公算が高いということでは、我々が期待しておった公的資金が戻ってこないということは極めて遺憾なことでございますけれども、これは、しかし私は、危機管委員会が誤って判定をされた、あるいは閣議が誤って判定をしたということではないというふうに考えております。
  426. 速水優

    ○速水参考人 日本債券信用銀行が特別公的管理の開始決定を受けるに至りましたことは、日本銀行としてはまことに残念かつ遺憾でございます。  今大蔵大臣も御説明ございましたように、当時においては公的資金による資本増強や特別管理等の枠組みが存在しなかったわけで、ここにおいて抜本的な手を打たないままでほうっておくわけにはいかないということから日銀の出資ということが行われたと思っております。これは政府の強い要請があったわけでございますし、大蔵検査の結果も債務超過でないということが報告されてきておりまして、そういうものを前提にして決めたことになっております。  いずれにしましても、過少資本というものが日本の銀行のここ数年の課題であったわけで、それに対して手が打たれていなかった。私見になるかもしれませんけれども、この社団法人新金融安定化基金というものにとりあえず資金を入れて、それを日債銀に回したということかと思います。  問題は、やはりこういうものがつなぎの役割を果たして、昨年の十三兆円、金融安定化法案、あるいは十月の二十五兆円、早期健全化法案といったようなものが生まれてきたわけでございますから、そういう苦い体験を通じてこの必要性が認められてきたというふうに私は考えております。そういう意味で、出資が毀損される事態に対しましては、私としては非常に重く受けとめております。  しかし、昨年の四月に新法が施行されまして、私もその前後に総裁の重任を受けたわけでございますが、この教訓を用いて、新しい日本銀行を今後つくり上げていきたいと思いますし、日本の銀行の健全化に役立つように政策を運営してまいりたいというふうに思っております。これが日本銀行に課せられた責任であると思っております。
  427. 木島日出夫

    ○木島委員 宮澤蔵相は、日銀の八百億円については残念だ、御迷惑かけたとおっしゃいましたが、その程度の言葉。そして、公的資金の投入については、去年の三月の佐々波委員会の段階では債務超過という認識はできなかったのだから、誤った判断とは言いがたいと、居直ったような答弁でありました。  そこで、私は、本当にそうなのか、ここで検証したいと思うのです。  金融監督庁は、九八年十二月十三日、昨年です、九八年三月末時点の日債銀の不良債権額について検査結果を公表いたしました。皆さんに資料としてお示しをいたしました。  金融監督庁の査定と日債銀の自己査定とは、不良債権の分類について見解が一致しなかったようでございます。  ごらんのように、監督庁の査定によりますと、去年三月末の時点での日債銀の分類は、四分類千二百七十七億円、三分類一兆三千百十億円、そして二分類が二兆三千七十七億円。ところが、日債銀が主張していた自己査定額は、四分類ゼロです。三分類が五千九百三十一億円、この差額が膨大で、七千億円を超える。  この監督庁と日債銀の自己査定、自己主張、この食い違い、これを監督庁は認めなかった。そして、それに必要な引当金を引けということで、計算をいたしますと、完全に債務超過だといって、死刑判決といいますか、特別公的管理の開始決定を下したわけですね。日債銀の含み損、株の含み損、その他膨大な含み損があるけれども、それはともかくとして、それだけでもう債務超過だと断を下したわけであります。だから、これは非常に重要なところ。金融監督庁と日債銀の自己査定、自己主張との不一致の理由は何だったのでしょうか。  一月二十九日、先週金曜日の当予算委員会において、監督庁長官は、日債銀自身はこう言っていたというのですね。日債銀自身は、これは自分がコントロールしている債権については、自分が倒れない限り倒れないんだと。要するに、受け皿なんですね。日債銀が受け皿会社をつくって、そこに移した債権ですね。それは日債銀、自分がつぶれなきゃつぶれないから不良債権じゃないんだと言っていた、それは監督庁として当然認めるわけにはいかなかった、こういうふうに、それだけは述べたのですが、そこは非常に大事なところで、私はそこを詳しく掘り下げてきょうは聞きたいのであります。  食い違ったのはなぜか、どういう債権だったのか、詳しくそこを述べてください。
  428. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えする前に、先ほど木島委員が死刑というふうにおっしゃいましたけれども、これは決して死んだわけではございませんで、特別公的管理という病院に入ったというふうに御理解をいただきたいと存じます。  それで、先ほどお示しいただきました表でございますが、そのとおりでございます。ただ、通知をした日にちだけは、十一月十四日となっておりますが、それは十六日というふうに御訂正願いたいと存じます。  私どもが査定いたしましたのと、それから日債銀の査定との間には相違が、その表にございますようにございます。これは一つは、銀行の自己査定の基準自体に問題が見られたことが挙げられようかと思います。もう一つは、自己査定基準の適用に問題があったということが挙げられようかと思います。  一例を挙げさせていただきますと、この自己査定におきまして、特定の債務者に対して、先ほどお話がございましたように、当行が支援を継続する限りは全額回収が可能であるということで、基本的に要注意先の第二分類の債権にとどめているものなどがその典型的な例として挙げられようかと思います。  ただ、具体的な債務者の名前などにつきましては、これは先ほど申し上げましたように、ここは大変大事なところなんですが、病院には入っておりますが、まだ生きている銀行でございまして、これをできるだけ早く新しい譲り受け先を探して、再生委員会においてそこに持っていくということが大事なことでございますので、具体的な債務者などについては言及を差し控えさせていただきたいと存じます。
  429. 木島日出夫

    ○木島委員 全然質問に答えていない。その食い違いの債権というのはどういう債権なんですかということを聞いたんですよ。  もうずばっと聞きますよ。去年の十二月三十一日、年末の日に読売新聞がこういう記事を出しました。「日債銀、ダミー七十六社」をつくっていた。「不良債権移転一兆三千億円」だ。「関係者によると、問題の七十六社のほとんどは、日債銀が不良債権を移し替えるため九二年以降に設立された。」私どもの調べだと九一年からつくられているようですが、ともかく、「これは1東京都千代田区の不動産会社「九段開発」の傘下にある受け皿会社群三十一社2「クラウン・リーシング」(昨年四月)」一昨年のことになりますが、「(自己破産を申請)など系列ノンバンク三社のための受け皿会社五社3その他の子会社グループのダミー会社四十社の三つに大別される。 日債銀はこの七十六社へ新規融資し、同行や系列ノンバンクの不良債権を買い取らせていた。」  ここで大事なんです。「読売新聞社が入手した日債銀の内部資料によると、同行は九二年に同行や系列ノンバンクの不良債権処理のため、二種類の不良債権飛ばしと、ダミー会社に不良債権の担保不動産を高値競落させる手法を考案していた。」とか、「大半が巨額の含み損を抱え込んだまま塩漬けになっている。日債銀は損失が表面化することを隠すため、受け皿会社群に利息分を追加融資し、」不良債権をさらに膨張させた。そして日債銀は、こういう「受け皿会社向け融資の大半を第一分類(正常債権)や貸し倒れ引当金の計上額が少なくて済む第二分類にしていた。」こう出て、内部資料があるんですから。  要するに、昨年の監督庁の検査で、あなた方と日債銀の自己主張、自己査定とが食い違った債権というのはこれなんじゃないですか。はっきりと答えてください。
  430. 日野正晴

    ○日野政府委員 いわゆる受け皿会社と申しますか、今木島委員がお話しになりましたような会社というものがどういうものを意味するかということはなかなか定義が難しゅうございますが、結論としては、私どもが公表いたしました、また委員が先ほど表でお示しいただきましたそれを公表させていただいたわけでございまして、いずれも、二分類が三分類になり、あるいは三分類が四分類になり、一分類が二分類や三分類になった結果、二分類、三分類が増加し一分類が減った……(木島委員「増加した債権の特性を聞いているんだ」と呼ぶ)結局そういったことになるわけでございますが、債権の特性につきましては、先ほども申し上げましたが、まだこれは金融再生委員会の、国の特別公的管理にございまして、これを何とか一日も早く、資産の切り分けなどをすることによって、新しい譲り受け先にこれを引き継いでいただくために今鋭意やっているわけでございますので、その内容について言及することは御勘弁願いたいと存じます。
  431. 木島日出夫

    ○木島委員 本当に肝心なことになると逃げるんですね。あなたは金曜日にこう答えているじゃないですか。  その具体的なことをここで一々申し上げるのはなんですが、例えばその具体的な例の一つとしては、日債銀が第二分類に査定しておりました債権につきましては、日債銀自身は、これは自分がコントロールしている債権であるので自分が倒れない限りは、自分自身、つまり日債銀が倒れない限りはその会社も倒れることはないといったような主張をしておりまして、しかし私ども、これは監督庁ですね、やはりその会社であってもそういうことは認められない、それはやはり三分類に属すべきものだといったことで食い違いがあったと、特性について言っているじゃないですか。  日債銀の主張である、これは自分がコントロールしている債権、こういう言葉をあなたは使った。これはやはり受け皿会社でしょう。不良債権飛ばしのためにつくった受け皿会社、読売によるとダミー七十六社だ。そんな内部資料を日債銀が持っているのを新聞社は入手したと書いてあるんだ。金額も書いてありますよ、一兆三千億円。そういうものなんでしょう、要するに。  あなたが言う、これは自分がコントロールしている債権、日債銀がコントロールしている債権という概念は何ですか。あなたが言ったんだから、ここで答えてください。
  432. 日野正晴

    ○日野政府委員 先日、私が当委員会で御答弁申し上げたとおりでございまして、それに何かつけ加える点は全くございません。  ただ、これは、要約して申し上げますと、先ほど申し上げましたように、なぜ違うかというところは、一つは日債銀の自己査定基準に問題があるということ、それから自己査定基準の適用に問題があった、この二つに結局集約されるわけでございます。
  433. 木島日出夫

    ○木島委員 肝心なことになると何で逃げるんでしょうか。  では、改めて聞きましょう。一昨年のことです。九七年に大蔵省が奉加帳を回して金を、第三者割り当て増資をさせて大問題になった。そのとき大蔵省は検査に入りましたね、春から。そしてその結果が発表されました。皆さんに配った資料に載せたとおりです。明らかになっていることは、検査基準日は九七年四月十五日、そしてそれが示達された日が九七年九月十一日。大蔵省は日債銀に示達しているんですね。  そこで、岩國委員からも再三追及されておりましたが、三分類一兆一千二百十二億円にした、四分類五百八十九億円にした、これを示達しているんでしょう。この三分類、四分類の一兆二千八百億円ぐらいですか、これの中心は問題の受け皿会社への塩漬けされた債権なんですか。
  434. 日野正晴

    ○日野政府委員 三分類の一兆一千二百十二億円は、これは最終の回収に重大な懸念が存在する資産、債権でございますし、第四分類の五百八十九億円は回収が不可能または無価値と判定される資産でございます。
  435. 木島日出夫

    ○木島委員 そんな定義はわかっていますよ。だから聞いているんですよ。この三分類、四分類、一昨年の九月十一日に大蔵省が検査の結果日債銀に示達したその中に、恐らく日債銀の主張と違うんでしょう、一兆一千二百億円、五百八十九億円、これが塩漬けされた例の受け皿会社に対する日債銀の債権、あなたの言う支配しているところへの債権、要するに不良債権の隠しですよ、飛ばしですよ、これがこの中に入っているのかと、それだけ聞いているんです。イエスかノーかだけ。
  436. 日野正晴

    ○日野政府委員 先ほどからたびたび申し上げておりますが、破綻はしておりますけれども、まだ死んだわけでございませんで、これは検査結果を公表いたしますと、やはり生きているその債務者に対して……(木島委員「入っているのかと聞いているんですよ。示達しているんだから」と呼ぶ)当事者の意思に反して開示することになりますので……(発言する者あり)
  437. 中山正暉

    中山委員長 御静粛に願います。
  438. 日野正晴

    ○日野政府委員 私どもの方から公表することは適当でないと考えております。
  439. 木島日出夫

    ○木島委員 全部を明らかにしろなんて言っているんじゃない。あなたが本委員会で金曜日に、自分、日債銀がコントロールしている債権、それに対する見方が違っていたと。日債銀は一分類か二分類だと。そんなのじゃだめだ、監督庁は三分類か四分類だと。そういう主張が食い違っていた。この食い違いが債務超過の認定の基本にあるんですからね。その数字がこの前の年の九月十一日に示達した中に入っているのかどうか、決定的に重要な問題、答えない。  私は、では聞きますよ。この前の年の大蔵省の検査、それと示達、示達に対して回答があるはずです。これに日債銀は承知したんですか、三分類、四分類。あるいは不服を申し立てたんですか、是正しますと。回答書、どうだったんですか。一般論の、個別債務者名なんかいいですから、基本を。
  440. 日野正晴

    ○日野政府委員 私どもが引き継いで承知しておりますところによりますと、大蔵省の示達に対しては必ずしも納得していなかったというような事情を私は聞いております。
  441. 木島日出夫

    ○木島委員 では、次に飛びます。  では、分かれていた、意見が食い違っていたというのですね。大蔵省は九七年に検査をやって、九月十一日に示達した、三分類一兆一千二百十二億円、四分類五百八十九億円。しかし、あくまでも日債銀はそのときは不服であった、承諾しなかった。そういう状態にあった、一昨年の九月。  では、昨年の三月の、例の金融安定化法に基づいて日債銀が公的資金の申請をしたそのときの申請理由、あるいは、その審査委員会に大蔵省から提出をした日債銀の財務に関する資料は、どういう資料を出したんでしょうか。意見がぶつかり合っていた。どっちを出したんですか。
  442. 日野正晴

    ○日野政府委員 当時の危機管理審査委員会、いわゆる佐々波委員会に対しまして、大蔵省から何か資料を提出したということはなかったようでございます。大蔵大臣が、御自分の得られた知見に基づきまして、日債銀から提出された健全化計画などについて御意見を陳述されたというふうに聞いております。
  443. 木島日出夫

    ○木島委員 松田理事長をお呼びしておりますので、松田さんだけがここにいる中で佐々波委員会に入っていますから、お聞きします。  資料は出さなかったと今監督庁長官は述べました。何にも資料を出していない。説明はしたようですね、大蔵省から。この前の年に大問題になった三分類、四分類、日債銀の主張と大蔵省との立場が食い違っていた問題。それが引きずって、去年の十一月も立場が食い違ってこんなふうになった、その根本問題。松田さん、大蔵省からどんな財務に関する報告が佐々波審査委員会になされたんでしょうか。
  444. 松田昇

    松田参考人 お答えいたします。  一昨年の九月に大蔵省がやった検査の結果、その資料は審査会の席上では出ておりません。  それはどうしてかと申しますと、私どもが昨年の三月に資本注入を決める際の財務の計数の基準値をどこに置こうかということを考えたときに、五日間しか行程がございませんでしたから、できるだけ三月の割合に近い日時を選ぶべきであろうということで、昨年の三月の末の見込み値を、例えば自己査定であれば見込み値を出してもらったわけです。それについて、検査や考査の権限を過去にお持ちで、実際にやっておられて、検査官もたくさんおられる大蔵省と日本銀行に、こう出してきた数値の信憑性について至急お調べいただきたい、その結果をメンバーである日銀総裁と大蔵大臣からお答えいただきたい、それによって審査会としてはさらに審議を進めましょう、こういうことでやった経過でございます。
  445. 木島日出夫

    ○木島委員 見込み値が大事だったので、前年九月の示達、それに対する日債銀の回答、そういう資料を一切出さなかった。もう決定的に重要な文書ですね。塩漬けされている不良債権でしょう。一年や二年で数字が変わるはずないんですよ、そういう塩漬けされたものが。もし、この審査委員会に、一昨年九月十一日に示達した三分類一兆一千二百十二億円、四分類五百八十九億円、それがダミーの会社だ、ペーパーカンパニーだ、受け皿会社だ、全部明らかにして審査委員会に出したら、こんなもの了解できるはずないですよ。  私は、今ここに金融危機管理審査委員会議事要旨、昨年十月三十日に、この委員会が解散してなくなる直前に出した議事録を持っています。そこに、委員の今井敬さんが書いています。「また、子会社等を介在させての所謂飛ばし問題についても、悉皆審査が出来たとは思っていない」、全部審査ができたとは思っていないが、「懸念される場合に関し、分かる範囲において調査をした積もりである。」全然大事な資料が出てなくて、こういう状況だ、感想文で述べています。  また、本当に要旨しかわかりません。要旨の中には、「関連会社の不良資産については、頭取からの聴取においても十分明確になっていないが、現時点で、債務超過のおそれは全くないのかどうか、大蔵大臣、日本銀行総裁の考えを明確にしてほしい。」少なくともこういう意見が出ているんですよ、ほかの委員から。  それからもう一つ、先に言っておきましょう。「自己査定にやや甘さが見られ、正確性を欠くとの指摘のあった金融機関に対し、自己査定の考え方、リスク管理体制について確認したところ、行内体制の強化、会計監査人の監査等、適切に行っていると説明したところがほとんどであった。」まじめにやっていますよという程度の話だった。  「関連会社の査定にやや甘さが見られ、」この関連会社というのは要するにペーパーカンパニーでしょう、「関連会社の査定にやや甘さが見られ、適切性を欠くとの指摘があった金融機関に対し、関連会社に対する査定の方針、当該関連会社の今後の経営見通しについて確認したところ、」統一的に策定した自己査定基準にのっとってやっているんですよ、会計監査法人の意見も踏まえてやっているんですよ、こんな答弁をして、それでゴーサインを出しているんですよ。しかし、これには日債銀についての具体的な審査がどうだったのか全然触れられていない、何もわからない。  だから私は、もうきょうの答弁だけでも、昨年の三月の佐々波委員会の審査がいかにずさんだったか、大蔵省が出すべき一番大事な資料を出さなかった。それはもう決定的に故意か過失ですね、宮澤大蔵大臣、故意か過失か、そんなものはないようなことをおっしゃっていましたが。大事なところを出さなくて、短時間の審査でこれをやってしまった。私は、もう決定的に落ち度があるということを申し添えます。  そして、この問題を本当に明らかにしなければ、二千億円を超える金がどぶに捨てられたんです。私は、佐々波委員会の委員長を初め全委員の証人喚問、それから日債銀の頭取、これの証人喚問を求め、議事録全文の当委員会と国会への提出を求めます。  審査委員会は、自分たちはもうなくなっちゃったけれども、最後の委員会で、平成十三年まで出さないということを決めてしまった。もう自分の委員会がなくなることを承知で、最後の委員会で平成十三年まで出さないなんという、とんでもない責任逃れと、私はこれは失政飛ばしだと思うんですね、失政隠し。こんな委員会の最後の決定なんて、断じて承服できない。その委員会の全文を速やかにこの委員会に提出することを求めて、質問は終わります。
  446. 中山正暉

    中山委員長 これにて木島君の質疑は終了いたしました。  次に、辻元清美君から質疑の申告が出ております。これを許します。辻元清美君。
  447. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。本日最後の質問になりますので、気合いを入れてやりたいと思いますので、皆さん気合いを入れて御答弁をよろしくお願いします。  私は、新ガイドライン関連法案について本日は議論させていただきたいと思います。  まず最初に、小渕総理の基本的な御認識を伺いたいんですが、日本は憲法があって、他国に武力行使をすることは禁じられております。その憲法のもとでお仕事されているわけですけれども、総理大臣の大きな任務として、他国に武力行使すること、これはできません。かつ、戦争に国民が巻き込まれることを最大限回避するというのが総理の重大な任務の一つであると私は思いますが、いかがですか。
  448. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 日本国民の生命財産を守り、国際的な諸外国との関係を友好に推進して、もって我が国の安全を確保するということが与えられた最大の任務と心得ております。
  449. 辻元清美

    辻元委員 それでは、この新ガイドライン関連法案なんですが、これは、新ガイドラインで見直しが行われましたけれども、安保条約の枠内であると理解してよろしいですか、総理。
  450. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 まず、日米安保条約の目的は、我が国及び極東の平和と安全の維持であります。  そこで、今般お願いしております周辺事態安全確保法は、我が国の平和と安全の確保に資することを目的としており、日米安保条約の目的の枠内でございます。
  451. 辻元清美

    辻元委員 ということは、日米安保条約の枠内であると、かつ、一九七八年に旧ガイドラインというのがありましたが、これを踏襲していると考えてよろしいわけですね、総理。総理に聞いているんですけれども
  452. 中山正暉

  453. 辻元清美

    辻元委員 ちょっと待ってください。そうしたら、私は、これは防衛庁長官にお聞きしたいと思います。とても大事なことだと思うんですが、いかがですか、長官
  454. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 旧ガイドラインをもとにしまして、その後の状況を反映させながら見直しをしたものでございます。
  455. 辻元清美

    辻元委員 その後の状況を反映させて見直しをしたという御答弁です。  さて、その中で、今問題になっております周辺事態についてまずお聞きしたいと思いますが、この旧ガイドラインではこういう定義になっております。「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」というふうに旧ガイドラインではなっていまして、ここに英文がありますけれども、はっきりとイン・ザ・ファー・イースト・アウトサイド・オブ・ジャパンというふうに書いてあります。  さて、新ガイドラインでは、これが「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力」というふうに変わりましたが、防衛庁長官、その後の状況を考えて、状況の変化にも即してと先ほどおっしゃいましたけれども、これはどうして変わったんですか。
  456. 中山正暉

  457. 辻元清美

    辻元委員 ちょっと待ってください。これは外務大臣がお答えになりますか、今、手を挙げられたんですけれども。では、外務大臣に。
  458. 高村正彦

    ○高村国務大臣 新しいガイドラインでは、日本の平和と安全ということに着目いたしましたから、その日本の平和と安全に重大な影響を与えるような地域、それを我が国周辺地域と表現したわけであります。
  459. 辻元清美

    辻元委員 ということは、今までは極東における事態ということで対処されてきて、何が不十分だったんでしょうか。
  460. 高村正彦

    ○高村国務大臣 新しいガイドラインでは、日本の平和と安全ということに着目して、そこから出発したわけであります。古いガイドラインでは、むしろ極東における事態、その中で日本の安全に影響のあるものというふうに絞ってきたんですが、日本の平和と安全というところから出発したのが今度のガイドラインの考え方であります。
  461. 辻元清美

    辻元委員 今大臣の御答弁の中に絞ってきたという御発言がありましたけれども、ということは、この旧ガイドラインで言われておりました極東よりもこの日本周辺地域における事態というのは広がっているということですね。
  462. 高村正彦

    ○高村国務大臣 特定の地域を指しているのではないわけでありますから、広がるとか広がらないとか、そういうことではないわけであります。
  463. 辻元清美

    辻元委員 それでは、特定の地域を指していないという御答弁でしたけれども、以前安保委員会で、つい先般のイラクに対しますアメリカとイギリスの攻撃について、私は高村外務大臣に、これは周辺事態に入るんですかというふうな問いかけをいたしましたら、これは入らないと思うという御答弁でした。  さて、それでは、これから先のことを想定してはなかなか議論できませんけれども、過去に、つい最近でしたらイラクの空爆がありましたけれども、過去にあったことは、それぞれ御専門の立場で検討されていると思うのですが、湾岸戦争、ああいう場合はこの周辺事態に入るのでしょうか。
  464. 高村正彦

    ○高村国務大臣 湾岸戦争は入りません。
  465. 辻元清美

    辻元委員 それでは、ベトナム戦争はどうでしょうか。大臣、答えてください。
  466. 高村正彦

    ○高村国務大臣 これは極東事態ではありますけれども、日本の平和と安全に重大な影響を及ぼす事態ではない、こういうふうに思っています。
  467. 辻元清美

    辻元委員 それでは、大臣、朝鮮戦争はどうでしょうか。ベトナム戦争まではお答えいただいています。朝鮮戦争はどうでしょうか。過去の出来事ですね、よく検証されていると思いますよ。
  468. 高村正彦

    ○高村国務大臣 当時、安全保障条約もなかった時代のことで、国際情勢も全然違う中のことを、今の時点でそれが当たるか当たらないかということは、ちょっと私としては言えないところでございます。
  469. 辻元清美

    辻元委員 それでは、なぜベトナム戦争までは答えられたのでしょうか。
  470. 高村正彦

    ○高村国務大臣 ベトナム戦争のときには既に日米安全保障条約はありました。ありまして、それは極東事態ではあったわけであります。ただし、日本の平和と安全に重大な影響を及ぼすものではないから、今の法律でいえば、それは周辺事態ではない、こういうふうに申し上げているわけです。
  471. 辻元清美

    辻元委員 では、朝鮮戦争については大臣は判断できないということですね。
  472. 高村正彦

    ○高村国務大臣 私の能力がないから判断できないというのではなくて、判断するべきことではない、こういうふうに思っております。
  473. 辻元清美

    辻元委員 私は、この朝鮮戦争をどう見るかということは、ほかの戦争に比べて非常に大事だというふうに考えておりますけれども、そういうことも判断するべきことではないという中で、周辺事態をずっと外務大臣も答弁されてきていますけれども、それで果たして、朝鮮戦争についても判断すべきことではないというような御認識でこのガイドラインに臨んでいらっしゃるとすれば、私は非常におかしな態度だというふうに思います。  さて、これはまたちょっと後でやりたいのですけれども、次に、先ほど安保条約の枠内であるというふうに御答弁がありましたが、この根拠は何条によるのでしょうか。
  474. 高村正彦

    ○高村国務大臣 強いて言えば、周辺事態法一条に、日本の……(辻元委員「安保条約の方です」と呼ぶ)安保条約ですか。安保条約の目的が規定されている条文をちょっと忘れましたが、極東の平和と安全と日本の安全というふうに規定されているその条文との関係目的の範囲内、こういうことを申し上げているところでございます。
  475. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 御指名でございますので、ちょっと補足させていただきますが、大臣から累次に申し上げております日米安保条約の目的と申しますのは、日本の安全と極東における国際の平和と安全ということを申し上げております。  それは、条約全体におきましてそういう趣旨が貫かれているということでございまして、強いて具体的に申し上げれば、日本の安全に対します共同対処ということにつきまして五条というのがございます。さらに、米軍が日本にあります施設・区域を利用しまして平和と安全に貢献するということで、その対象としての極東ということが六条に挙げられているわけでございます。
  476. 辻元清美

    辻元委員 今、五条、六条という話が出ましたけれども、そうしますと、この六条についてちょっと議論したいのですけれども、安保条約六条との関係、特にこの第六条は実施に関する交換公文ということによって事前協議というのが規定されております。このことについて少し議論したいと思います。  まず、総理にちょっとお伺いしたいんですが、一九六〇年の、私この年に生まれているんですけれども、安保国会で岸総理がこういう答弁をされています。在日米軍が行動する場合は事前協議をするので、それによって日本の態度がはっきりするのであるとか、いやしくも米軍が日本の基地を使用して戦闘作戦行動をする場合は、自衛権に基づくものであっても、これはアメリカの自衛権ということですね、他国との条約に基づくものであっても、すべて事前協議の対象となるものであるという岸総理の当時の御見解を示されておりますが、総理もそれと同じ御見解でしょうか。
  477. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 事前協議に関しての政府の考え方は一貫いたしております。
  478. 辻元清美

    辻元委員 高村外務大臣もこの事前協議については同じ意見でしょうか。
  479. 高村正彦

    ○高村国務大臣 事前協議は岸・ハーター交換公文によって定められたものであるということについては一貫しているわけであります。
  480. 辻元清美

    辻元委員 それでは、周辺事態とこの事前協議の関係ということについて議論させていただきたいんですけれども、まず前提として、周辺事態が発生した場合、アメリカ軍がどこの基地から出撃した場合でも、日本に基地があります、ということは、日本は中立国という規定を外れることになると私は考えるんですが、高村外務大臣、いかがでしょうか。
  481. 高村正彦

    ○高村国務大臣 中立国という概念というのは、昔、戦争が合法化されていた時代によく使われた概念でありまして、現在のように、戦争があるというのは、少なくともどちらか一方が不当な行為を、国際法上許されない行為を少なくとも一方がしている状況しか戦争があり得ない中で、伝統的な意味の中立国というようなことは余り意味がないことではないか、こういうふうに思っております。
  482. 辻元清美

    辻元委員 私はそのように思いませんけれども、そのような御認識で日本の外務大臣はよろしいんでしょうかというふうに思わざるを得ないというふうに考えます。  といいますのは、国際法によりますと中立国の義務というのがありまして、まず一点目は、交戦国に対して戦争遂行に関係する直接または間接の援助を与えてはならない。二つ目が、中立国は、その領域が交戦国の戦争遂行のために利用されることを防止しなければならない。領土が戦争に使われたらあかんということです。また、中立国は、自国の国民が、交戦国の戦争遂行のための一定の諸行為によって不利益を受けることについて、一定範囲でこれを黙認しなければならない。この三つが原則ということが国際法上の解釈と私は思っているんですよ。  ですから、これについてはこれはもう古いというふうに外務大臣はお考えですか。——外務大臣に聞いているんですけれども。外務大臣、答えてくださいよ。これは大事なところだと思います。
  483. 高村正彦

    ○高村国務大臣 先ほど私が申し上げたように、かつては戦争をする権限というのは認められていて、両方とも国際法上合法に戦争しているようなときに、伝統的な意味の中立国の義務、あるいは中立国でなくなると何かをされてもしようがない、そういうようなことがあったわけでありますが、そういうようなかつてのような意味での中立国というような概念は変形してきていると思いますが、専門家がおりますから、専門家にきっちりした形で答えさせます。
  484. 辻元清美

    辻元委員 では、この国際法辞典は間違いですかね。この国際法辞典というのを私見て、きょうこれ国会図書館からいただいて、御説明を受けたんですが、これは、じゃ、おかしいんですかね。
  485. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 ただいま大臣から申し上げたことに関して、補足的に申し上げます。  交戦国、中立国というこの概念、これは大臣が申し上げましたように、戦争自体が国家政策の遂行手段の一つとして認められていた伝統的な戦時国際法のもとで発達したものでございます。これに対しまして、第二次世界大戦以降、武力の行使が原則的に禁止されまして、国際法上の戦争が違法化された国連憲章のもとにおきましては、戦争が違法でないということを前提としました交戦国それから中立国、こういった概念が今日そのまま適用になるわけではないというふうに考えております。  今日におけるいわゆる武力紛争というものは、国連憲章というものがございまして、その国連憲章に基づいて原則的には武力の行使が禁止されている。しかしながら、国連のとる集団的措置、あるいはその集団的措置がとられるまでの間、各国が行使し得る自衛権、こういうものに基づいて武力の行使というものが正当化されるものがあり得るというわけでございます。  したがいまして、武力の行使というものは、国連憲章上に基づいて正当化される武力の行使と、それから、それに対して正当化されない武力というふうに二つに大きく分かれるというのが現在の国際法上の基本的な構図でございます。
  486. 辻元清美

    辻元委員 今たらたらと説明を聞いたのですけれども、ちょっとなかなか理解ができなかったのですが。  次に、いわゆる周辺事態が発生した場合、アメリカ軍が日本の基地から直接出撃していく場合は、安保条約第六条の実施に関する交換公文による事前協議を行うのですか、行わないのでしょうか。——ちょっと、大臣ですよ、これは。
  487. 高村正彦

    ○高村国務大臣 日米防衛協力のための指針は、日米安保条約が事前協議に関する岸・ハーター交換公文を含む安保条約の関連取り決めに基づく権利及び義務を変更しないことを前提としております。したがって、事前協議制度は、指針の実効性を確保するための周辺事態安全確保法によって変更されることはありません。事前協議の対象となる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設・区域の使用に該当する場合があれば、当然事前協議が行われることになるわけであります。
  488. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、いわゆる周辺事態の認定と、安保条約六条に基づく事前協議は、どちらが先に行われるのでしょうか。この関係ですね。認定も行われるわけですよね、これは周辺事態であるかどうかという日米の協議もありますけれども。それは、事前協議との関係でいえば、どちらが先なんでしょうか。
  489. 高村正彦

    ○高村国務大臣 御質問の趣旨がよくわからないわけでありますが、先とか後でなくて、ともかく事前協議の主題とされることをアメリカがやろうとすれば、必ず事前協議があるわけでありますし、周辺事態の認定は、それは周辺事態に該当するような場合にするわけでありまして、その時々、片方だけが認定されるときもあれば、片方が認定されないときもあるし、その時々によって、どっちが必然的に先でなければいけない、後でなければいけないという話ではないと思います。
  490. 辻元清美

    辻元委員 わかりました。  それでは次に、このとき、事前協議によって米軍が日本の基地から直接出撃することに対して、了承する場合と了承しない場合があると考えていいわけですよね。
  491. 高村正彦

    ○高村国務大臣 まさに両方、イエスもあればノーもあるからこそ事前協議なんです。
  492. 辻元清美

    辻元委員 ということは、了承した場合、特に周辺事態は日本の周辺ということですけれども、了承した場合は、日本の米軍基地、例えば横田や岩国から直接、戦闘作戦行動に米軍が出撃するということですよね。外務大臣。
  493. 高村正彦

    ○高村国務大臣 アメリカの方からそういう要請があって、日本が事前協議でイエスと言えば、そこから出るということになりますが、御質問の趣旨が私はよくわからないので、申しわけありません。
  494. 辻元清美

    辻元委員 しかし、これは事前協議の原則について私はお話ししていると思っているのです。ですから、了承して日本の基地から飛んでいくこともあるという御答弁だったと今私は思うのですけれども
  495. 高村正彦

    ○高村国務大臣 そういうことであります。
  496. 辻元清美

    辻元委員 その場合、日本の領土から戦闘作戦行動に出撃していくわけですから、その相手国から見たら日本はどのように見えるかということなんですけれども、これは、相手国から見たら、日本が紛争当事国、敵対国というふうに見られる可能性があると思いますけれども、いかがでしょうか。
  497. 高村正彦

    ○高村国務大臣 委員が先ほどおっしゃった中立国でなくなるというのと同じことなのかもしれませんけれども、要するに、今そういうことが行われるときというのは、相手が国際法上不当であって、こちらは国際法上許される行為をやるときでありますから、それに対して相手が、それが不当だと言ってさらに日本に対して攻撃をしてくれば、不当に不当を重ねる、こういうことになる以外の何物でもないわけで、これは今度の周辺事態法案と関係なく、もともとの安保条約の話だと思います。
  498. 辻元清美

    辻元委員 といいますのは、今まで、この事前協議の議論を見ていますと、湾岸のときもそうでしたし、ベトナムのときもそうでしたが、日本の基地から明らかにアメリカが戦闘行動に出ていくわけですけれども、途中を経由したとか、それから途中で作戦を米軍の方から変更があって、それで爆撃に行ったとか、そういう議論をずっとやってきているわけですが、この周辺事態になった場合に、これは地理的にも非常に近いところで起こるわけですし、この事前協議の重要性は非常に私は増してくると考えるわけです。  というのも、これは、一たびアメリカが基地から飛び立っていった場合に、日本が戦争に巻き込まれる原因になるということも否定はできないと思うのです。ですから私は議論しているのです。
  499. 高村正彦

    ○高村国務大臣 これは、周辺事態法案を新たに日本が、今政府が提案したからどうだという話と全く関係のない話でありまして、昔からある、伝統的に議論されてきた問題でありまして、それについては、事前協議はこうこうこういう場合を主題とするということは、政府が国会でもたびたび述べているところでございます。
  500. 辻元清美

    辻元委員 というのは、先ほどから何回も申し上げておりますけれども、この安保条約の中での事前協議の位置というのが非常に空洞化してきているというふうに私は思いますので、今の時期にこれは確認しておかないと、今までのような状態であっては困るというふうに考えているから御質問申し上げているわけなんですよ。  ですから、先ほど外務大臣は、事前協議はしっかりやる、周辺事態に際してもやるということをおっしゃいましたので、そのとおりであるというふうにもう一度御確認させてください。
  501. 高村正彦

    ○高村国務大臣 日本の基地から直接米軍が出撃してどこかを爆撃するとか、そういったような場合には、当然事前協議の対象になります。
  502. 辻元清美

    辻元委員 それでは、今まで、しつこいようですけれども、例えば、つい一月十四日に高村外務大臣の御答弁の中に、米軍がほかに用がある場合には、日本から飛び立っていってほかに展開するということは安保条約に規定されていない、この場合は事前協議は対象でないとか、非常にこの事前協議に対する御認識が、岸総理大臣が調印されたときに比べて甘くなってきているというふうに私は思います。ですから、今の御答弁をしっかり受けとめていただきたいと思います。  それでは、ちょっと次に移りたいのですが、地方自治体の協力について後半議論をさせていただきたいと思います。  というのは、まず、こういう報道から紹介したいのですが、自衛隊の武官として同法案策定に関与した山口昇陸幕防衛調整官は、この方は私も存じ上げている方ですけれども、こういうことをおっしゃっています。水、燃料、食料、輸送力などで民間が協力するのであれば、周辺事態自衛官が果たす役割は対米支援の面では余り大きくない、輸送などはJRや輸送会社に委託した方が効率もいいし、むしろ日本全体が防衛態勢をとることの方が意義があるというふうに、昨年の六月二十四日のインタビューにお答えになっているのですね。  これは防衛庁長官にお聞きしたいと思いますけれども長官も同じような御認識でしょうか。
  503. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 人員や貨物の輸送ということになれば民間でいいのですが、公権力の行使に伴う協力というものは、これは民間にやらせるわけにはいかぬと思います。
  504. 辻元清美

    辻元委員 この最後のむしろ日本全体が防衛態勢をとる方が意義があるというふうに、長官も同じようなお考えでしょうか、最後の部分なんですが。
  505. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 まあ、それは有意義であると思います。
  506. 辻元清美

    辻元委員 有意義であるという御答弁を確認させていただきます。  私は、それが果たして有意義であるのかどうかということをよく吟味しなければいけないという立場でこれから吟味していきたいというふうに思うのです。  まず、この地方自治体の協力について、野呂田長官は、当予算委員会のたしか一月二十八日だったと思うのですけれども、一定の行為をなすべき一般的な義務づけをしたという程度のものでございますと御答弁されていますが、これはこのとおりですね。
  507. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 そのとおりでございます。
  508. 辻元清美

    辻元委員 さらに、一月二十九日に再び一般的な義務づけとはどういう意味かというふうに問われて、その御答弁に、地方公共団体の長が求めに応じて権限を行使することを法的に期待される立場に置かれるというふうに御答弁されておりますが、そのとおりでよろしいですか。
  509. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 そのとおりでございます。
  510. 辻元清美

    辻元委員 それでは、この長官の御答弁の中身の法的に期待される立場という意味をちょっと詳しく具体的に説明していただけますでしょうか。長官の御答弁、御自分の御発言ですから、御説明いただけると思います。
  511. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 今の御質問は、一般的義務という意味でしょうか。義務に基づく協力という意味でしょうか。
  512. 辻元清美

    辻元委員 私の質問は、よく聞いていただきたいのですけれども長官の御発言の意味を問うているのですね。  一月二十九日の御答弁の中の、法的に期待された立場というのを御自身で御発言されておりますので、その具体的な内容、意味などを、長官の発言です、何も見なくても答えられると思うのですけれどもお答えいただけますでしょうか。
  513. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 この九条一項における協力の求めというのは、地方公共団体の長の有する権限の公共的性格及び他に代替手段を求めることは困難という状況にかんがみまして、個別の法令、条例に基づいて権限を適切に行使することを求めたものであります。一般的な協力義務とは、地方公共団体の長がこうした求めに応じて権限を行使することを法的に期待される立場に置かれているということを意味したことをこの間申し上げたわけであります。
  514. 辻元清美

    辻元委員 今のは御答弁になっていないと思います。同じことをおっしゃっているのです、一月二十九日の答弁でも。  その内容で、私は、今最後に野呂田長官自身がおっしゃいました法的に期待される立場という、この立場というのはどういう立場かということをかみ砕いて説明してくださいと申し上げているわけです。今長官自身がおっしゃった意味です。それはだれに聞かなくてもできるはずなんですけれども、いかがでしょうか、長官
  515. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 正当な理由であるかどうかは、本法案の第一項に基づく公的な……(辻元委員「法的に期待される立場というのです」と呼ぶ)それは、公権力の行使によって公共管理物等を使用させたりする立場でございます。港湾とか道路とかそういうものを使用させたりする協力の立場であります。
  516. 辻元清美

    辻元委員 今港湾等を使用させたりする立場というふうにおっしゃいましたので、その御理解でよろしいんですね、長官の御理解は。使用させるということですか、そういうことを規定するわけですか、この法的に期待された立場というのは。  今、法的に期待された立場について、港などを使用させるという立場であるというふうに、小さな声だったんですけれども、おっしゃいましたので、その理解でよろしいんですね。それでいいということは使用させる……
  517. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 さっきから申し上げているとおり、公権力の行使として地方公共団体に求める協力をいうわけでございます。  だから、具体的に言えば、空港の使用とかあるいは港湾の使用とか、あるいは米軍に物品を提供するために危険物貯蔵所等を設置するとか、そういうようなことをいっているわけであります。
  518. 辻元清美

    辻元委員 私はやはり、なかなかかみ砕いた言葉で私が指摘した点についての御説明はなかったように思うのですけれども……(発言する者あり)もう西村さんは結構なんですけれども。やはり政府委員を廃止するとおっしゃっているわけですから、今からその立場でずっと臨んでいただきたいと思います。  それでは、さらに進みまして、自治体の長が協力を拒否できるのは、これは、この御答弁では、また一月二十九日に、正当な理由がある場合には、これを拒むことを排除するものではないというふうにお答えになっておりますが、この正当な理由というのは何なんでしょうか、長官
  519. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 例えば、港湾の使用については、地位協定の五条でアメリカの船は出入りするということになっております。しかし、港湾管理者の立場からいけば、港湾を適正に管理運営するという法律上の責任があります。さような場合に、港湾管理者としては、アメリカの船が接岸施設からはみ出して接岸することが適当じゃない、こういうような場合には、正当な理由ですから拒否をすることができるものだ、こういうふうに考えます。
  520. 辻元清美

    辻元委員 今、正当な理由の具体的な御説明をいただいたんですが、正当な理由がある場合にはこれを拒むことを排除するものではないということであるならば、正当な理由がない場合は拒めないというふうにも読めますんですけれども、それでいいんですか。
  521. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 日本の存立にかかわる、日本の平和と安全に重大な影響を持っている事態に際してでありますから、一般的な協力義務としては、それは協力するのが私は当然だと思います。
  522. 辻元清美

    辻元委員 今、一般的な協力をするのは当然というふうな御答弁がありましたが、昨日まではこれは義務ではないというふうな御答弁だったと思いますけれども、私は今の御答弁と矛盾していると思いますが、長官、いかがでしょうか。
  523. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 私は、ずっと、正当な理由があれば拒否することができると言いました。しかし、日本の存立にかかわるような、日本の平和と安全に非常に大きな影響を持っておる事態において、一般的にそれは協力するのが常識だと思いますから、そう申し上げたわけであります。
  524. 辻元清美

    辻元委員 それでは、この正当な理由かどうかはだれが判断するのでしょうか。
  525. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 例えば、この港湾を管理している管理者とか、道路を管理している管理者とかであります。
  526. 辻元清美

    辻元委員 今、一般的というか、協力は常識であるというふうにおっしゃったかと思いますけれども、今までの代表質問を初め、審議の焦点はそこでした。結局、地方自治体が拒んだ際、やはり拒めないのではないかというような懸念をいろいろな委員指摘してきたわけですね。それは常識じゃないかとか、協力するのが当たり前じゃないかということで、拒めないのではないかという懸念があった点を多々質問されております。そのときに、義務ではないから拒めるというふうに初めは始まったわけですが、今の大臣の御答弁ですと、その懸念がそのまま当たっていますね。
  527. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 それはあなたの誤解であって、私は、正当な理由があればいつでも拒める、こう言っておるわけであります。
  528. 辻元清美

    辻元委員 それでは、例えば、地方自治体の長が国からの要請を了承した場合を考えてみたいと思うんですが、地方自治体の長が了承した、その際、自治体の職員、地方公務員になりますが、その中に非協力な者が出てきた場合はどうなるんでしょうか。
  529. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 さっきの例でいえば、港湾管理者が判断する問題でありまして、どこか、その町の職員が反対しても関係ないことだと思います。
  530. 辻元清美

    辻元委員 今、ちょっと久間さんが隣でおっしゃいましたけれども、地方公務員の場合は、地方公務員法三十二条で、職務の命令に従う義務というのがありますけれども、従わない地方公務員職員が出てきた場合はこれに該当するわけですね。
  531. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 さっきの例でいえば、港湾管理者がよしとしたものを反対するならば、それは、その管理者がその職員に対して責任をとらせるという措置に及ぶと思います。
  532. 辻元清美

    辻元委員 それでは、国家公務員の立場についても引き続きお伺いしたいんですけれども、この周辺事態法案に基づいて基本計画が策定され、行政機関が対応措置をとることとなった場合、その行政機関職員は対応措置について職務を断ることはできるのでしょうか、できないのでしょうか。
  533. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 私どもが協議をする場合は、あくまでもその機関の長に協議をするわけで、その機関の長が了解したのに一職員が反対した場合はどうなるかということでありますが、それは機関の長がその職員に対して対処する問題だと思います。
  534. 辻元清美

    辻元委員 ということは、今の御答弁は、拒否した場合は国家公務員法八十二条により懲戒処分の対象になるということでよろしいのですか。
  535. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 いや、反対した対応その他がいろいろありますから、その判断を私がここで、裁判官じゃありませんから、言うわけにいきません。
  536. 辻元清美

    辻元委員 しかし、これは法律を論じているわけで、今私が申し上げましたような、法的には可能性はあるということでよろしいわけでしょう。そういう法律の問題を論じないと、そのときにならないとわからないでは、これは議論が違うと思いますので、いかがでしょうか。
  537. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 重大な違反であれば、当然処罰されると思います。
  538. 辻元清美

    辻元委員 今まで幾つか聞いてまいりました。さらに幾つか聞きたいのですが、今までの御答弁の中でも、この間ずっと議論されてきた、自治体の長は断れるのか断れないのか、その懸念がますます増大していく。常識であるからとか、大臣のお言葉の中に、一般的に協力するのは当然という御発言もありました。  長が一たび受けてしまった場合には、自治体の職員の中で、ああ、それはちょっと私は行きたくないとか協力したくないという者が出た場合には懲戒処分になるということは、法的にこれは防げないということも確認して、私は何だかこの議論を聞いていますと、ここに協力と依頼、民間には依頼、それで、協力だからやりたくなければやらなくてもいいと言っていた今までの趣旨と随分違うじゃないですか。
  539. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 何十遍も繰り返しているわけでありますが、正当な理由があれば拒否できるということをさっきから申し上げているわけでありまして、理由があっても拒否できないなんていうことは、私は一言も言っておりません。
  540. 辻元清美

    辻元委員 そのような御答弁をいただいているわけですが、一般的に協力は当然とか、常識だ、こういう御発言を大臣がされるというのが非常に影響力が多いと、総理、思われませんか。いかがでしょうか。
  541. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 我が国の周りで、我が国の存立にかかわるような重要な、平和と安全を害する事態があるのに、公共団体の長たちが理由もなしに拒むということは、私は常識としてあり得ないだろうということを申し上げているわけです。
  542. 辻元清美

    辻元委員 それでは、その対象となっている地方自治体、今の、常識として拒むことはできないだろうというふうに私は解しましたが、この自治体に対して、今回の法案づくりの過程で意見は何回聞いたのですか。これは自治大臣でしょうか。
  543. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 例えば、全国基地協議会、これは二百六十一市町村、それから防衛施設周辺整備全国協議会、二百八十八、それから全国市議会議長会基地協議会、百六十九、あるいは渉外関係主要都道県知事連絡協議会、十四都道県等、この問題に関連の深いところについて意見を聴取しております。
  544. 辻元清美

    辻元委員 どのような意見が出たのでしょうか。
  545. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 異論がなかったと聞いております。
  546. 辻元清美

    辻元委員 今、異論がなかったと聞いているというふうに伺いましたけれども、今大臣が指摘されました全国基地協議会や防衛施設周辺整備全国協議会、このような名前をるるおっしゃいましたけれども、何回、どういう形で意見聴取をしたのか、もう一回聞かせてください。
  547. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 詳細で具体的な話でありますから、政府委員から答弁させます。
  548. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 関係の団体からは、例えば協力要請の手順はどうなるのであるとか、あるいは協力要請にこたえる法律上の義務を新たに生ぜさせるものではないかとか、いろいろな質疑がございまして、それに対して私どもの考え方を御説明しているということでございます。
  549. 辻元清美

    辻元委員 今のは、自治体の方から質問があって答えているというふうに理解してよろしいですか。
  550. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 関係の団体にこの法案の内容を説明したり、あるいは資料を配付したり、そういうこともしつつ、一方、こういった意見交換も持っているということでございます。
  551. 辻元清美

    辻元委員 先ほどから、何回、どのような形で、どういう意見が出たかというふうなことを伺いまして、大臣の御答弁にはなかったので、それでは政府委員の方、答えてください。
  552. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 今申しましたように、関係の団体にいろいろ法案の内容を御説明したり、あるいは資料を提供したり、あるいはまたこういう形で必要に応じて質疑を行ったり、あるいはまた求めに応じて御説明に出向いたり、いろいろなケースがございます。
  553. 辻元清美

    辻元委員 それでは、一点だけお伺いしますが、政府がそういう関係自治体等々に集まっていただいて意見を聞くというような会合は持たれましたか。
  554. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 例えば、全国基地協議会やあるいは防衛施設周辺整備全国協議会、こういった対象に対しましては、四月の二十三日に合同役員会を開き、そこに安全保障危機管理室の方から法案等の御説明をしている、そういうこともやっております。
  555. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、その折に、この法案の内容について今私がいろいろ野呂田防衛庁長官と議論をいたしましたが、一般的な常識であるとか義務であるとか、これは大きな違いだと私は思います。そういうふうな議論も起こったのでしょうか。
  556. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども協力要請にこたえる法律上の義務を新たに生ぜさせるものかどうかというような議論もございまして、それに対しては政府側が答弁しているこういう内容の御説明をしているところでございます。
  557. 辻元清美

    辻元委員 私は、昨年五月八日に全国基地協議会と防衛施設周辺整備全国協議会の連名で周辺事態安全確保法案に関する質問状を内閣官房安全保障危機管理室長あてに送られていた、それを今持っております。  質問事項は、必要な協力とは具体的にどのようなものを想定しているのかとか、協力要請の手順はどのようになるのかとか、民間企業に対する協力依頼の内容は具体的にどのようなものになるのか、こういうふうな質問が来ていますが、これはこれで御確認してください。
  558. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 先ほどから申し上げておるとおりでございますが、例えば全国基地協議会、これは横須賀の市長さんでございますし、防衛施設周辺整備全国協議会、これは福生市の市長でございますが、今あなたが御指摘のように、五項目から成る質問状が来ております。例えば、協力要請にこたえる法律上の義務を新たに生じさせるものではないか、あるいは、協力しない場合は何らかの制裁措置をとることがあるか、そういった五項目の質問が参っております。  当方は、これに対して、内閣安全保障危機管理室長防衛庁防衛局長外務省北米局長から、丹念な回答を行っております。例えば、地方公共団体に対してこの協力は強制するということではなく、あくまで協力を求めるものであり、協力要請にこたえなかったことに対して制裁的な措置をとることはありません、こういったたぐいのことを答えております。
  559. 辻元清美

    辻元委員 その答えは私も今ここに持っております。六月十二日、その回答の中で特にこういうくだりがあります。  必要な協力について、あらかじめ網羅的に申し上げることは困難であることから、具体的な財政上の措置の内容及びその実施方法についても、あらかじめ確定的なことを申し上げることはできません。何も答えていないんです、これ。向こうは、どう具体的にすればいいのかということを一生懸命質問しているんですけれども、こういう答弁です。かつ、最後に、地方公共団体との関係の重要性にかんがみ、今後とも密接な連絡をとらせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしますと政府側から言っているんです。これが去年の六月十二日です。  これから連絡をとりましたか。とったんですか。私はちゃんと、先ほどおっしゃいましたけれども、福生それから横須賀、それぞれの会長に聞きました。とりましたか。
  560. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 これらの公共団体の長とは基地問題等でよく会うわけでありますから、具体的な協力というのは何かということにつきましてはその後意見を整理しまして、先ほど来触れておりますように、地方公共団体の管理する港湾の施設の使用あるいは空港の使用あるいは危険物貯蔵所を設置する際の許可あるいは消防機関による負傷者の運送それから体育館施設の使用許可、そういったたぐいのものであります。(発言する者あり)いや、そういうことについてどういう協力をするか、中身がわからないから聞きなさいと言っているわけだ。
  561. 辻元清美

    辻元委員 その後別の会合で会ったとか、そういうのは別です。大臣として、別の会合でちょこちょこ会ったからそれで答えたって。その後答えたのか、答えていないのかということを聞いているんですよ、去年の六月から。それで、向こうから質問が来たら答えるのと、やはりこちらから答えるのは全然違うと思いますよ。
  562. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 事実関係でございますので、私の方から若干御答弁させていただきます。  まず、先ほど委員がお挙げになりました、あらかじめ網羅的に申し上げることは困難だということを御引用になられましたが、これは法案の九条三項、財政措置についてでございまして、これは個々の具体的な問題がなければなかなか申し上げられないということを答えている次第でございます。  それから、この六月十二日以降、どういうことがあったかということでございますが、この協議というものは必ずしも中央だけでやっているものではございませんで、例えば防衛施設局あるいは地方連絡部を通じましていろいろと御説明しておりますので、正確な数その他は必ずしもはっきりしないところがございますが、中央で申しますと、例えば七月十六日に全国基地協議会あるいは防衛施設周辺整備協議会の役員会で御説明している、意見交換をしているというようなこともございます。
  563. 辻元清美

    辻元委員 私は、この全国基地協議会それから防衛施設周辺整備全国協議会、それぞれ横須賀市と福生市が代表になっていらっしゃいます。そこに先週の水曜日に電話をかけて聞きました。この後何かありましたか、御説明はありませんと。この回答では全く抽象的で対応のしようがないというようなことを市の担当者が言っていたわけです。私は、これはうそではないと思うのですね。このような自治体に対して、私は、政府が全く対応していないと言わざるを得ない事態ではないかと思います。  こういう中で、それぞれいろいろな御発言があります。例えば、野中官房長官は、十一月二十八日の記者会見で、地方公共団体を含め、あらゆる省庁がかかわる重大な問題であるという御発言をされたり、この地方公共団体とのかかわりというのは非常に重要な点でありますが、総理、今までのこのやりとりをお聞きになっていて、今まで地方公共団体に対しての対応が不足だったと思いませんか、どうですか。
  564. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 十分地方自治団体の協力あるいは依頼ということが行われることを想定いたしておりますので、そうした団体に対しましては、政府としては、それぞれの立場で誠意を持って対応してきたと認識しております。
  565. 辻元清美

    辻元委員 今までの御答弁で、実際に文書においての回答にも不十分であるというふうに当事者がおっしゃっているわけです、それで誠意を持って対応してきたというのは、そうではないというふうに私は理解いたします。  それで、この法案につきましては今後審議が国会でも行われますが、この審議中、さまざまな問題が出てきますけれども、地方自治体に対して意見を聞くというような場をしっかり、今からでも遅くはない、持つべきだと思います。総理、どうですか。
  566. 中山正暉

    中山委員長 自治大臣に答弁させます。  自治大臣。
  567. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 先ほど来のいろいろ御議論を聞いておりますと、何か日本のすべての自治体が関係するようなイメージがあって、多少違うのではないか。防衛庁長官からもお話がありましたが、例えば、港湾管理者としての権限の行使を要請するわけであるし、そういう意味で、何といいますか、海に面していない自治体に関しては港湾に関することは関係ない話だし、その具体的な、どういう求めをするかということはかなり具体的なことに即してやらなければならないわけで、三千幾つもある地方自治体に余り網羅的にやるということはかえって何か妙なことになりはせぬか、私はそう思います。  そういう意味で、より具体的にそういうようなケースが発生するようなことがだんだんなってくるというのであれば、いわゆる基本計画なりなんなりの中で、当然、事前にいろいろ相談をしていく、内容がある程度詰まってくる、その段階で具体的な相談があるというふうに、私はそう思っています。
  568. 辻元清美

    辻元委員 今、御答弁の中に、日本全体がかかわってくるものではないというお話をされましたが、私は、この議論の前提で、最初の野呂田防衛庁長官に、むしろ日本全体が防衛体制をとることの方が意義があるというような意見があるがいかがかということをお聞きした上で、そうであるという御認識に立ってこれは議論しているわけですから、今、私はその前提に立って議論しているわけです。ところが、野田大臣が、日本全体がかかわる問題でないからあたかも港湾がないところは全く関係がなくなるような、そんな事態ではないと思いますよ。今の御答弁ですと、例えば港のないところはまあ港湾関係関係ありませんしと、そういうことを心配しているのではないと思います。
  569. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 空港のないところは、これはまた別でしょうし、港湾のないところはまた別でしょう。だから、それぞれの具体に即して相談をする、あるいはお願いをするというような形でないと、一般論として網羅的にいろいろやってみてもなかなかうまくいかないのじゃないのでしょうか。  事柄自体は日本国民全体に関連する事柄であります。その平和と安全にかかわる致命的に大事な事柄でありますから、そういう意味で、日本国民ひとしく我が身のこととして真剣に考えてもらわなければならない事柄であると思います。  しかし、具体的にどういう協力をするのか、どういう権限を行使するかということは、その自治体の長として持っている権限とどういうかかわりがあるかということとの関連においての協力の求めということになるのではないのでしょうか。
  570. 辻元清美

    辻元委員 それでは、自治体の長の権限と関係があるということで運輸大臣にお伺いしたいのですけれども、運輸省としては、地方自治体との関係、説明をしたり、それから、どういう取り組みがあるというふうに御認識でしょうか。それから、そういう意見交換をしたのでしょうか。
  571. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 金曜日にも御答弁申し上げたところでございますけれども、日米地位協定に基づいて、港湾の使用は認められている。例えば、先ほど防衛庁長官から御説明あったように、長期間にわたって港をずっと占有したい、こういう話が出てくれば、この問題については、特別な事由という形で拒否権があるかもしれぬ、こう御答弁申し上げました。そして、しかしながら、それもお互いの話し合いの中で、緊急性、切迫性という問題から、その管理者がそういう形で使ってくださいということになれば、許可していただければ使えるもの、こういうふうに理解をいたしております。  ただ、この法案が通りまして、そういう事態が生じて、基本計画が組まれる段階において十分な話し合いが行われる、こういうふうに私ども思っております。今から、すべての事態を想定して、すべての港湾管理者、すべての航空管理者に申し上げるというのは無理だろう、こう思っております。
  572. 辻元清美

    辻元委員 それでは、基地がある港湾管理者等と、この新ガイドライン関連法案について、運輸省は何か意見のやりとりをしたんでしょうか。
  573. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 基本的には、基地のあるということでありますから、防衛庁が主体になってやっております。まだ私どもはやっておりません。
  574. 辻元清美

    辻元委員 先ほど自治大臣の御答弁の中に、各それぞれの担当省庁がやるんだというふうにおっしゃったわけですけれども、担当省もそれぞれこの関連法案に関して特定の行動をしていないと私は思います。  この地方自治体との関係については、きょうのこの議論の中で、もう一度確認させていただきますけれども、野呂田防衛庁長官は、一般的な協力は当然と、そして、それは常識でないかというような御発言。これは、今までの政府の姿勢とかなり違うものではないかなというふうに、義務化につながりかねないというふうに私は理解しますが、小渕総理、いかがですか。
  575. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 誤解のないようにもう一回申し上げますが、私は、正当な理由があれば拒否できると何十回も申し上げているわけですから、そういうふうに、あなたの意見だけで一方の方に引っ張っていくのはおかしいと思います。  それから、私どもは、さっき申し上げたように、意見の聴取はしましたが、あなたも今指摘された、質問があったことについては回答いたしました。その回答について、こういう点が不満だという回答がさらになかったものですから、そのままになっているわけですが、だんだんと先ほどの意見を聞いておりますと、なるほど、私どもももう少し丁寧に公共団体の方に接触する必要があるなと思いますので、関係省と相談して、そういうことをやりたいと思っております。
  576. 辻元清美

    辻元委員 今、私の理解が一方的だというお話がありましたけれども、この答弁を聞き、この雰囲気を見ている人はそうは思わないと思います。今までの中で、常識とか、それから、協力は当然というような発言はなかったと思いますので、今長官がおっしゃったことも、私が一方的であるというふうには私は理解しておりません。  さて、総理、最後になりますけれども、私は先ほど、一九六〇年に生まれたと言いました。それで、私は、前の世代の人たちからもらった最大の贈り物は日本国憲法だと思っているんですよ。私たちの世代がすくすくとこのように育っていけたのも、憲法に守ってもらったからだというふうに私は考えています。  そういう意味で、今回のガイドラインのこの周辺事態法というのは、私自身の疑問として、安保の枠も踏み外し、憲法にも抵触するおそれがあるというふうに非常に危惧を抱いております。総理、いかがでしょうか。
  577. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 日本国憲法にのっとりまして、すべてこの法律案その他を提出いたしておるわけでございまして、今、一九六〇年生まれと申されましたが、私、大学でいわゆる安保改定の時期を迎えておった時期でありますが、安保条約につきまして、種々、戦後、これが結ばれて以降改定が行われて、また、自動延長も七〇年に行われてまいりましたが、すべて憲法にのっとっていたしておることでございます。  しかも、やはりこうした新ガイドラインを設けて、すべからく、戦後の安保論争をいろいろ私なりに見てまいりますと、いろいろな経緯がございましたが、しかし、できる限り法律に基づいてきちんとやっていこうという形で、こうした考え方に基づいて法整備を図っていこう、これは五条におきましても六条におきましてもそうだろうと思います。  こうした真剣な安保論争が行われてくるということは極めて望ましいことであると思っておりまして、その一つとして、今般のこの新ガイドラインに基づくところの法整備につきましてもぜひ御協力いただきたいと思っておる次第でございます。
  578. 辻元清美

    辻元委員 さて、今御答弁いただきましたが、安保改定という言葉もありましたけれども、これは、安保を改定してから国内法の整備をすべき問題ではないか。しかし、安保改定というと大騒ぎになるから、何だか、国内法関連で処理してしまおうという意図がないとは言えないというふうに私は思っております。  引き続き、今国会で議論をしていきたいと思います。  以上です。
  579. 中山正暉

    中山委員長 これにて辻元君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総括質疑は終了いたしました。  委員各位に感謝を申し上げたいと思います。  この際、暫時休憩いたします。     午後七時十二分休憩      ————◇—————     午後七時四十七分開議
  580. 中山正暉

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、公聴会の件についてお諮りいたします。  平成十一年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  581. 中山正暉

    中山委員長 起立多数。よって、そのように決しました。  次いで、お諮りをいたします。  公聴会は来る二月九日、十日の両日開会することとし、公述人の選定等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  582. 中山正暉

    中山委員長 起立多数。よって、そのように決しました。  次回は、明二日午前九時三十分から委員会を開会し、一般質疑に入ります。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十八分散会