○北沢
委員 社会民主党の北沢でございます。
きょうはいろいろ各
委員からお話がございまして、私はその中で、今国会の持っているいわゆる問題点というのは、
日本のかつてのバブルの解消、景気回復、また、
世界的な
経済の中における
日本の地盤、
経済をどういうふうに立て直すかということも含めて、非常に大きな問題を含んでおると思います。
ただ、問題は、今回の予算を見ても、当面の問題を解決することは当然なことでありますが、加えて、首相は、これからの世紀に対するかけ橋という表現をしておりますが、その中身は、今後
委員会をつくって、有識者の御意見を聞きながら、これからの社会のありよう、理念、そういうものをつくっていくというふうに言われております。私はこのことは大事なことだと思いますが、しかし、私
どもは政治家です。毎日の、選挙民を通じ
国民に触れる中で、それなりに私
どもは勉強をし、感じております。
したがって、これからの二十一世紀、特に
日本の政治のあり方、理念については、私は相当
論議をしたし、また、もし足りないとするならば、この
論議を深めていかなきゃならぬのじゃないかという、実は思いでございます。
そういう中で、私は実はこの四年間、ちょうど運輸政務次官をしておりまして、
海外へ公式に派遣されまして、そのときにたまたまハンガリーの大統領候補、
日本人が奥さんでありますから、大変に私は懇意になりまして、いろいろと中欧における状況を知る機会を得ました。
その中で、やはりEUの統合といいますか、その問題は非常に、今日、この一月一日からユーロの幕あけとなっていくわけでございますが、その過程におけるEUの加盟国のそれぞれの国の、極めて厳しい中で赤字を削減したり、また非常に苦しい生活ですが、しかし、そういう中で非常に明るさを見出しながら、一致して、いわば国境を越えて、やはりこのことに
協力をし合った姿が今日のユーロの姿である、したがってその一つ一つの国がどんな苦労をしているかということを、私はずっと回ってみまして感じてまいりました。
つい三カ月前もイギリスとフランスへ行きまして、農業事情を中心としたヨーロッパの農業復権の状況というものは、
日本の一次産業である農林業の衰退の中で、私は非常に力強くかの国の状況を感じましたし、また、ユーロの目的というのは通貨の統合でございますが、それ以上に、ヨーロッパにおける過去百年における
戦争の世紀に、その被害は、国境が接しておりますから、五千万人の
犠牲者を出したと言われる中で、いわゆる敵国との
関係の中での統合ということは、これは大変なことだと私は思いますね。
実は、きょう、民主党の
生方さんの御発言を私は非常に心強く感じておりました。私も前にもこの場で取り上げたんですが、いわゆる、テレビや何かでこの前の
北朝鮮のあの原子力の問題について、
日本に今にもミサイルが飛んでくるんじゃないかという危機を、実は当時朝から晩までテレビでやっていましたね。それでまさに一色に、その当時、知らない人は相当の危機だと思ったところが、カーター元
アメリカの大統領御夫妻が
北朝鮮へ行ったら、その晩にぴしっととまっちゃったんですね。私は、今日求められているものは冷静な判断だと思います。
それから、過去の歴史認識というものをやはり我々がもう一度思い起こさないと、特に、私はもう現在七十二歳ですから非常に、
戦争を体験した
世代でありますから、よく
戦争の内容というものは存じております。
今日の自衛隊における装備の不正問題は、これは大変なことです。ただ単に不正じゃないんです。武士たる者が、まあ武士と言ってもいいかと思いますが、みずからあのような、
国民の金を不正に使い、なおかつ、それを隠ぺいするために幹部を挙げてやったということ。これは、かつて
戦争直後に、テレビ、いやテレビはなかったから当時ラジオで、あの
戦争の反省として軍閥、財閥ということを盛んに毎日やっていましたね。私もそのとき、非常に、一体財閥とは何だろうかということを考えたことがありますが、まさにそういう面で、貴重な
国民の生活を守る、生命を守るという目的を持ちながら、なおかつ企業の中で
支援をし、みずからも地位や、みずからも家族も含めてその恩恵を受けるということ、そしてそれを隠すということは、これは大変な悪行です。これは普通の刑罰じゃないんです。
だから、そういう意味で、
国民のいわゆる危機というものに対する信頼を疑わせるものであるというふうに私は思いまして、そういう意味で、私はあえて
戦争を知る
世代としてこのことを前段に申し上げておきたいと思います。
それから次に、今申し上げましたユーロの問題です。
ユーロの問題というのは、先ほど申し上げるように、そういう敵国が、五千万人の人が
犠牲になりながらなおかつ一致をしようとする姿を見て、これはやはり
アメリカのドル一極の姿から、
世界はドルとユーロの二極的な姿に変わりつつあるんじゃないかと。これは、ヨーロッパ全体の利益にかかわる共同の成果だと思いますけれ
ども、そこら辺についてやはり私は、
米国を上回るような、ユーロを
国内の総生産や貿易総額を持ちながら誕生させた意味ということを考えるときに、私
どもはその政権が、社会民主党というか、中道左派というふうな形で言われておりますが、これは中道左派ではないんです。その前段の保守の
皆さんも、そういうことで実はこのことをつくり上げてきたんですね。たまたま今はその問題が中道左派というものの理念に結びついておりますけれ
ども。
そういうことを見るときに、私はいわゆるソビエトと
アメリカの対立の崩壊後に当然市場万能主義に行くだろうということは——当時、社会の社の字はない、私
どももよく、社会党と言われていましたから、社会の社の字はなくて、今になくなってしまうよ、そういうふうに言われたこともございます。しかし、そういう中で、いわゆる市場万能主義といいますか、市場原理万能主義から今日の社会市場主義と言っていいでしょうか、私は思想のことは言いません、社会市場主義と言ってもいいと思います今日のユーロのそれぞれ構成する人たちの姿を見て、ひとつ首相として、今回のユーロの問題について、我が国との政治的、
経済的影響や、または今後におけるユーロの理念というものをどういうふうに
理解されておるか、首相の御感想をお伺いいたしたいと思います。