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1999-04-13 第145回国会 衆議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月十三日(火曜日)     —————————————  議事日程 第十五号   平成十一年四月十三日     午後一時開議  第一 平成八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書承諾を求めるの件)(第百四十回国会内閣提出)  第二 平成八年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書承諾を求めるの件)(第百四十回国会内閣提出)  第三 平成九年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  第四 平成九年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  第五 平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  第六 平成九年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  第七 平成九年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  第八 平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  第九 平成九年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書承諾を求めるの件)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 平成八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書承諾を求めるの件)(第百四十回国会内閣提出)  日程第二 平成八年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書承諾を求めるの件)(第百四十回国会内閣提出)  日程第三 平成九年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第四 平成九年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第五 平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第六 平成九年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第七 平成九年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第八 平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第九 平成九年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書承諾を求めるの件)  住民基本台帳法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時四分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。  第百三十番、東京都第二区選出議員中山義活君。     〔中山義活起立拍手〕  第四百五十四番、東京都第十五区選出議員木村勉君。     〔木村勉起立拍手〕  第四百七十六番、静岡県第八区選出議員塩谷立君。     〔塩谷立起立拍手〕      ————◇—————  日程第一 平成八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書承諾を求めるの件)(第百四十回国会内閣提出)  日程第二 平成八年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書承諾を求めるの件)(第百四十回国会内閣提出)  日程第三 平成九年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第四 平成九年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第五 平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第六 平成九年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第七 平成九年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第八 平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百四十二回国会内閣提出)  日程第九 平成九年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書承諾を求めるの件)
  4. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第一ないし第九に掲げました平成八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書承諾を求めるの件)外七件及び平成九年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書承諾を求めるの件)の九件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。決算行政監視委員長原田昇左右君。     —————————————     〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————     〔原田昇左右登壇
  5. 原田昇左右

    原田昇左右君 ただいま議題となりました各件につきまして、決算行政監視委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  第一に、予備費等の各件について申し上げます。  これらの各件は、財政法規定に基づき、国会事後承諾を求めるため提出されたものであります。  まず、平成八年度の予備費等でありますが、一般会計予備費は、衆議院議員選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費等二十五件で、その使用総額は千九百八十六億二千三百万円余であります。  また、特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額は、道路整備特別会計における道路事業及び街路事業調整に必要な経費増額等特別会計の四件で、その経費増額総額は百六十七億九千五百万円余であります。  次に、平成九年度の予備費等でありますが、一般会計予備費(その1)は、衆議院議員及び参議院議員補欠選挙に必要な経費等四件で、その使用総額は十二億三千五百万円余であり、(その2)は、雇用保険求職者給付及び雇用継続給付に対する国庫負担金不足を補うために必要な経費等七件で、その使用総額は二百八億九千五百万円余であります。  また、特別会計予備費(その1)は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における返還金等調整勘定繰り入れに必要な経費等特別会計の三件で、その使用総額は二百二十二億二千三百万円余であり、(その2)は、労働保険特別会計雇用勘定における失業等給付金不足を補うために必要な経費で、その使用額は二百九億七百万円余であります。  また、特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額(その1)は、交付税及び譲与税配付金特別会計交付税及び譲与税配付金勘定における地方譲与税等譲与金に必要な経費増額等特別会計の十件で、その経費増額総額は七百五十一億九千八百万円余であり、(その2)は、道路整備特別会計における産業投資特別会計繰り入れに必要な経費増額等特別会計の三件で、その経費増額総額は百二十二億九千万円余であります。  第二に、平成九年度の決算調整資金から一般会計への歳入組み入れについて申し上げます。  これは、決算調整資金に関する法律規定に基づき、国会事後承諾を求めるため提出されたものであります。  平成九年度におきましては、租税収入減少等により、一般会計歳入歳出決算上、一兆六千百七十四億千三百万円余の不足を生ずることになりましたので、これを補てんするため、同資金からこれに相当する金額を平成九年度の一般会計歳入に組み入れたものであります。  委員会におきましては、昨十二日これらの各件を一括議題とし、宮澤大蔵大臣から説明を聴取した後、直ちに質疑を行い、質疑終了後、討論、採決の結果、平成八年度一般会計予備費平成八年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額平成九年度一般会計予備費(その1)及び平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額(その1)の四件は、多数をもって承諾を与えるべきものと議決いたしました。  次に、平成九年度特別会計予備費(その1)、平成九年度一般会計予備費(その2)、平成九年度特別会計予備費(その2)及び平成九年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額(その2)の四件は、全会一致をもって承諾を与えるべきものと議決いたしました。  次に、平成九年度の決算調整資金は、多数をもって承諾を与えるべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  6. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第一ないし第三、第五及び第九の五件を一括して採決いたします。  五件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  7. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、五件とも委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。  次に、日程第四及び第六ないし第八の四件を一括して採決いたします。  四件は委員長報告のとおり承諾を与えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、四件とも委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。      ————◇—————  住民基本台帳法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会内閣提出)の趣旨説明
  9. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、第百四十二回国会内閣提出住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。自治大臣野田毅君。     〔国務大臣野田毅登壇
  10. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 住民基本台帳法の一部を改正する法律案趣旨について御説明申し上げます。  住民基本台帳法の一部を改正する法律案につきましては、住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体行政合理化に資するため、住民票記載事項として新たに住民票コードを加え、住民票コードをもとに、市町村の区域を越えた住民基本台帳に関する事務処理及び国の機関等に対する本人確認情報提供を行うための体制を整備し、あわせて住民本人確認情報保護するための措置を講じようとするものであります。  以下、その概要について御説明申し上げます。  第一に、住民票記載事項として新たに住民票コードを加えることとし、市町村長は、住民票に、転入した住民については転入前の住民票コードを、初めて住民票が作成される住民については全国を通じて重複しない住民票コード記載することとしております。  また、住民は、住民票コード記載変更請求をすることができることとしております。  第二に、住民は、住所地以外の市町村長に対して、自己または自己と同一の世帯に属する者の住民票写し交付を請求できるものとしております。  また、住民基本台帳カード交付を受けている住民については、住所異動をする際に、転出地の市役所や町村役場に出向いて転出証明書交付を受けることを不要にする手続を設けることとしております。  第三に、市町村長は、住民票の作成などを行ったときは、本人確認情報として、その住民票記載された氏名、出生の年月日、男女の別、住所住民票コード及びこれらの変更情報都道府県知事電気通信回線を通じて通知するものとしております。  都道府県知事は、別表に掲げる国の機関等から別表に掲げる事務処理に関し、住民居住関係確認のための求めがあったときに限り、本人確認情報提供するほか、一定の場合に本人確認情報提供することとし、さらに、みずからの事務の遂行のために本人確認情報利用することができることとしております。  また、都道府県に、本人確認情報保護のための審議会を置くこととしております。  第四に、都道府県知事は、自治大臣の指定する指定情報処理機関本人確認情報処理事務を行わせることができることとし、これを行わせる際には、市町村長から通知された本人確認情報電気通信回線を通じて指定情報処理機関に通知することとしております。  また、指定情報処理機関に、本人確認情報保護のための委員会を置くこととしております。  第五に、市町村長都道府県知事指定情報処理機関及び本人確認情報受領者である国の機関等について、本人確認情報の適切な管理のために必要な措置を講じることを義務づけ、また、定められた目的以外での本人確認情報利用または提供を禁止するとともに、本人確認情報電子計算機処理等に従事するこれらの職員に対し本人確認情報に関する秘密保持義務を課し、これに違反した場合に、通常の公務員の秘密保持義務違反よりも重い罰則を科すこととしております。  また、民間において住民票コード利用されることを制限するため、住民票コードを告知することを求めてはならない旨の規定を設けております。  特に、契約に際して住民票コードの告知を要求することや、住民票コードの記録されたデータベースを構成することを禁止し、これらに違反した場合に、都道府県知事勧告命令を行うことができることとし、命令違反について罰則を科すこととしております。  さらに、自己本人確認情報の開示と苦情処理についても、所要の規定を設けることとしております。  第六に、住民は、市町村長に対し、氏名住民票コードが記録された住民基本台帳カード交付を求めることができるものとし、市町村は、この住民基本台帳カードを、条例で定める独自の目的のために利用することができることとしております。  最後に、本人確認情報提供を受けることのできる国の機関等やその事務都道府県知事本人確認情報利用することができる事務などを別表に掲載することとしております。  以上が、住民基本台帳法の一部を改正する法律案趣旨であります。(拍手)      ————◇—————  住民基本台帳法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  11. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。葉山峻君。     〔葉山峻登壇
  12. 葉山峻

    葉山峻君 民主党を代表いたしまして、衆議院に提出された住民基本台帳法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  政府提出住民基本台帳法の一部改正案は、住民基本台帳ネットワークシステム導入のための法改正であります。  住民基本台帳ネットワークシステムとは、住民基本台帳を基礎にして、全国民に漏れなく十けたの住民票コードという名の統一番号をつけ、氏名住所、性別、生年月日の四情報とともにコンピュターに入力して、それを、新たに設置する全国オンラインセンター専用回線で結んで管理しようとするものであります。同時に、IC仕様カードを発行して、個々人に持たせ、身分証明書として利用する計画でもあります。  このような住民基本台帳ネットワークシステムが一たん導入されれば、私たちの生活は根本的に変わってしまいます。赤ん坊からお年寄りまで、全国民番号によって情報管理され、番号なしには生きていけない社会が到来すると言って過言ではありません。  自分のコード番号を覚えられない人や、幼児や高齢者はどうするのか。全国民個人情報コンピューターで一括管理して、危険はないのか。個人プライバシーはもとより、日本全体の情報がねらわれることはないのか。まさに、人間の尊厳と基本的人権プライバシーにかかわる重大な問題であり、国民的な議論と、慎重な上にも慎重な審議が必要な大問題であります。(拍手)  余りにも多くの問題点をはらんだ改正法案ですが、以下の点に絞って、総理並びに自治大臣質問をしたいと思います。  第一に、住民基本台帳は全国民を網羅するものであり、そのすべてに住民票コードという重複しない番号をつけることは、国民登録制度にほかなりません。改正案には、住民票コード番号を用いて行う、各省庁ごと行政別表の形で列挙されており、省庁間統一番号として使用されることになっています。つまり、住民票コードは、他省庁が幅広く共通番号として使用することになります。  既にさまざまな番号生活の中に普及している社会であっても、それらは、例えば社会保険番号であったり、運転免許証であったり、学生証であったり、それぞれ用途の限られたものでありました。また、地域によっては、地域内での多目的な使い方を試みて、それなりの成果を上げているところもあります。  しかし、共通番号導入は、そうした従来の用途別番号地域内番号とは本質的に違う。今日、納税者番号については議論のあるところでありますが、それはそれで別に、納税目的に限定した議論をすべきなのであります。恐れげもなく共通番号制導入に踏み切ることは、軽率のそしりを免れません。国民背番号制度に直結する危険なものだと憂慮する声が市民から上がり、識者らや日弁連などからも、法改正に反対する意見書が出されているゆえんであります。  第二に、個人情報保護の不備であります。  法案では、市町村が新たに設置されたコンピューター住民台帳管理し、ネットワークの部分を都道府県及び全国センター機能を果たす指定情報処理機関が担当するとしています。端末は、全国津々浦々まで設置されることになるのであります。そのすべてにわたってセキュリティーが保たれるという保障が、果たしてあるでしょうか。  法案では、専用回線でつなぐとしていますが、専用回線であっても、データを盗むことなど技術的には簡単だということは、もはや常識であります。ネットワーク化された情報漏えいや盗用があった場合、それが市町村側で行われたのか、都道府県側なのか、指定情報処理機関側で行われたのか、追跡調査はほとんど不可能だと専門家らは言っております。  法案では、データ漏えいを防ぐ万全の措置をとると言いながら、他方で、電算機処理業務外部に委託することができるとしています。データ処理外部委託によって、個人情報関係者によって持ち出される危険性が大きくなるのは自明のことです。  いわゆるハッカー犯罪クラッカー犯罪は日々増大しており、遠い国の何者かが何カ国をも経由して、わずかなすき間から忍び込むなど、その手口もまさにグローバルなものとなっているのであります。一九九六年のアメリカの会計検査院の報告では、アメリカの国防総省に対するコンピューター攻撃は、年間二十五万回にも及び、そのうちの六五%は侵入に成功しているという、驚くべき数字が挙げられています。  被害個人にとどまらず、全国民情報を短時間に吸い出されてしまうという国家的被害を受けることも、絶対ないと言い切れるでしょうか。安全保障上も大問題であります。  総理自治大臣は、個人情報保護がこれで本当に問題ないと思っておられるのか、お尋ねをしたいと思います。  第三に、利用範囲の歯どめが不明確なことと、民間利用への禁止に何の歯どめもないことであります。  法案には、本人確認情報提供を受けた者に対して、目的外利用をしてはならないと単に規定するだけで、使用済み本人確認情報の消去も規定せず、提供目的違反に対して刑罰の定めもなく、国民の側からの中止請求権もないのであります。  データベース構築についても、一応、「他に提供されることが予定されているものを構成してはならない。」と書くものの、違反者が反復して違反するおそれがあるときは中止勧告勧告に従わないときは従うよう命令し、それにも従わなければ罰則というような生ぬるさであります。罰則の中身も不明、これでは事実上、野放しになるのであります。このようなあいまいさの中に、将来のデータ結合の意図が透けて見えると指摘せざるを得ません。(拍手)  第四に、膨大な経費がかかる点であります。  ネットワークシステムの維持、管理、更新には、自治省が少な目に見積もった試算でも、初期投資四百億円、年間経費二百億円もかかるのであります。もし、将来のデータ結合など全く考えておらず、改正案のように、一部の行政機関本人確認などの限られた分野にしか用いないとすれば、これは壮大なむだ遣いであります。  国民へのサービス向上という点についても、ほとんどメリットはありません。あるのは行政にとっての便利さだけであります。自治省が利点と宣伝する住民票写し広域交付も、実際には本籍表示を除く写しだけであり、運転免許証パスポート申請に必要な本籍表示入り写し交付されないのであります。費用対効果の面からも、このような無謀な計画は、行革が求められ、また財政再建、立て直しが叫ばれている時代に、許されることではありません。  以上について、総理はどのようにお考えか、明快な御答弁をお願いしたいと思います。  第五に、カード問題点であります。  住民基本台帳カード交付は、任意の本人申請とされていますが、転入転出届簡素化が、カードを持つ者にだけもたらされる例のように、カードの所持の有無によって、サービスの受け方や内容に差別が生じることが考えられます。さらに、行政側本人確認のためにカード提示を求めるようになれば、事実上はカード保有の強制、ひいては、国内版パスポートのように常時携帯義務までエスカレートしないという保障は何もないのであります。  また、身分証明書としてそのカードを使用していくと言いますが、果たしてカード提示者が当人であるという確認が本当にできるのかどうか、疑問であります。  IC内蔵のそのカードには、八千字を書き込める容量があります。四情報コード番号以外は書き込まないと自治省は強調し、法案でも一応そうなってはいますが、将来は何を書き加えるのか、どこまで範囲を広げるのか、不明であります。血液型、DNAを含む病歴、犯罪歴、所得、資産額などなど、カード内の記憶領域自治体ごとの活用ができるようになっていますが、その点についても、国民背番号制につながるとの批判を恐れてか、はっきりしないままであります。  ICカード導入については、番号先進国でも、断念もしくは慎重であります。  韓国では、軍事政権時代国民背番号制が実施され、カードの常時携帯義務づけられていますが、紙のカード、一部はプラスチックが、ICカードにかえられようとすることの危険性に気づいた市民運動と、電子カード化反対大統領選挙の公約に掲げて当選した金大中政権の誕生によって、このほど住民カード電子化法案を葬り去ったのであります。  先月、私は、有志の国会議員視察団を組んでソウルに出かけ、国会議員市民運動の方々に話を聞いてきましたが、日本のような民主主義の国がこのような危険な制度導入することはまさかないでしょうねと言われて、答えに窮しました。  小渕総理日本政府はなぜ、この自治省の無謀な構想を採用しようとするのか、このカードには全く危険性がないと思っておられるのか、お答えをいただきたい。  最後に一つ、私が強調しておきたいことは、この法改正によって政府がつくり上げようとしている住民基本台帳ネットワークシステムが、情報の極めて高度な国家管理であり、昨今、国を挙げて推進しようとしているはずの地方分権に真っ向から逆らうものであるという点であります。  そもそも、現行の住民基本台帳制度は、市町村において住民居住関係を公証し、住民に関する記録を正確かつ統一的に行うためのものであって、国の行政機関住民基本台帳を他の目的に使用することを認めたこの改正案は、法律目的に抵触し、逸脱していると言わざるを得ません。  住民基本台帳事務は、本来、地方自治体の固有事務であります。地方から要望が上がっていないにもかかわらず、また、改正案の提出に当たって、当事者である地方自治体に説明も事情聴取もしていないのは、地方自治の軽視も甚だしいと、市長経験者の私は憤りを禁じ得ません。  既に九〇%を超える市町村住民情報の電算処理が進んでおり、それぞれに工夫したシステムができ上がっています。そこへ国が口出しをして、唐突に一連番号を振れと命じるのは、国家の中央管理であり、まことに理不尽なことではありませんか。一九七〇年代から三十年近くの間に、全国の四割を超える自治体で個人情報保護条例がつくられています。その中には、外部とのオンライン結合禁止条項を盛り込んだ条例も数多くあるのです。今回の法改正は、そのあり方を否定するものであります。  総理並びに自治大臣、これが地方分権の推進に逆行しないと言い切れるでありましょうか。この点への答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇
  13. 小渕恵三

    ○内閣総理大臣(小渕恵三君) 葉山峻議員にお答え申し上げます。  個人情報保護についてお尋ねがありました。  住民基本台帳ネットワークシステムでは、法律上、本人確認情報について、提供先、利用目的の限定、目的外利用の禁止、安全確保措置義務及び秘密保持義務に関する規定を設けることとし、また、技術上も、専用回線上の本人確認情報の暗号化、通信先のコンピューターとの相互認証、蓄積されているデータへの接続制限など、十分な保護措置を講じることといたしております。  本人確認情報利用の歯どめについてお尋ねですが、このシステムにおきましては、本人確認情報利用することのできる分野を、法律で明確に定める公的な事務を遂行する場合、いわゆる公的部門に限定するとともに、住民票コード民間部門における利用法律で明確に禁止いたしておりまして、本人確認情報利用範囲民間利用の禁止は明確になっているものと考えております。  行革等が求められている時代における費用対効果についてお尋ねですが、このシステムを導入することによりまして、国、地方を通じた行政改革、住民の負担軽減、サービス向上等を一層推進することが可能となります。したがいまして、国、地方ともに厳しい財政状況の中におきましても、このシステムを導入していくだけの価値は十分あるものと考えております。  住民基本台帳カード危険性等についてのお尋ねでありました。  このカードは、住民の任意の請求に基づき発行されるものであり、その交付を受けない場合でも、従来どおりの行政サービスを受けることが可能であることから、カードの所持、携帯義務づけられることはないものであります。また、ICカードの特性を生かして、個人情報保護措置を十分に講ずることといたしております。  このシステムが地方分権に逆行するとのお尋ねでありますが、このシステムは、国が本人確認情報に関する事務を執行するものではなく、また、都道府県知事の委任により、事務処理の効率性、正確性の確保のために指定情報処理機関事務を担わせるものであります。したがいまして、このシステムは、市町村都道府県が連携して構築するものでありまして、地方分権の推進に資するものであると考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)     〔国務大臣野田毅登壇
  14. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 総理から基本的な点についてお答え申し上げましたので、自治大臣として幾つかの点について加えさせていただきます。  まず、国民背番号制度との関係についてのお尋ねでございます。  このシステムは、住民基本台帳を基礎とした地方公共団体共同の分散分権的なシステムであること、保有情報は、本人確認のための氏名住所、性別、生年月日、住民票コード及び付随情報のみであるということでございますので、国民に付した番号のもとに国がさまざまな個人情報を一元的に収集管理する国民背番号制とは異なるものでございます。  次に、個人情報保護についてのお尋ねでございますが、電算処理業務の外部委託に関しては、電算処理業者に、本人確認情報漏えいを防止するための安全確保措置を講じることを義務づけるとともに、電算処理に従事する者についても、通常よりも重い罰則により担保された秘密保持義務を課しており、個人情報は適切に保護されるものと考えております。  また、費用対効果についてのお尋ねがございました。  このシステムの導入効果として、数値化可能なものだけを一定の仮定のもとで、節減時間や人件費などにより試算をしました場合、毎年、行政側で約二百四十億円、住民負担の軽減として、住民票写し広域交付、各種行政における住民票写しの添付の省略などで、約二百七十億円を見込んでおります。  住民基本台帳カード危険性などについてのお尋ねがございました。  ICカードは、カード内の情報外部の者に読み取られたり、カード自身を偽造されたりすることがないようにするため、情報を暗号化して記録できるなど、現行技術上、セキュリティー確保機能が高いという特性を有しております。各市町村においては、条例の定めるところにより、希望する住民に対し、条例に規定する目的のためにこのカードに付加情報を記録し、利用できることとしております。  住民基本台帳ネットワークシステム地方分権に逆行するとのお尋ねがありました。  このシステムは、市町村情報化への取り組みや、全国市長会、全国町村会からの要望などを踏まえて、市町村住民基本台帳制度を運営するという制度の基本的枠組みを変更することなく、全国的に市町村の区域を越えた本人確認ができるような仕組みを付加するものでありまして、地方分権の推進に役立つものと考えております。(拍手)     —————————————     〔議長退席、副議長着席〕
  15. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 桝屋敬悟君。     〔桝屋敬悟君登壇
  16. 桝屋敬悟

    ○桝屋敬悟君 私は、ただいま議題となりました住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対し、公明党・改革クラブを代表して、質問を行いたいと思います。先ほどと論点は重なる部分もありますけれども、国民プライバシーに関する極めて重要なテーマでありますので、改めて、何点か質問をさせていただきたいと思います。  初めに、今回の法律改正の趣旨目的についてお尋ねをしたいと思います。  今回の法律改正は、各種行政の基礎であり、居住関係を公証する住民基本台帳ネットワーク化を図り、住民票コード氏名住所、性別、生年月日の四情報により、全国共通の本人確認ができる仕組みを構築することによって、高度情報社会に対応して、国、地方を通じた行政改革、住民の負担軽減、サービス向上を図るものとされております。  こうした住民票コードという名前を聞くだけで、私どもは、行政管理庁が研究を行ったあの国民背番号制をほうふつとさせ、国民プライバシーと関連しまして、多くの国民が重大な関心を抱くわけでありますが、今回の法律案は、かつて議論されました国民背番号制と基本的にどう異なるのか、まず、国民にわかりやすく、自治大臣、御説明をお願いしたいと思います。  住民基本台帳法第一条には、あくまでも、当該市町村において住民居住関係を公証し、住民に関する記録を統一的に行うと、住民基本台帳制度目的規定されているわけであります。しかし、今回の改正案では、国の行政機関等がそれぞれの行政目的のために使用することを認めておりますし、住民票写し広域交付を行うこととされており、改正案に基づくこうした住民基本台帳ネットワークシステムは、住民基本台帳法目的に反するのではないかと考えますが、自治大臣の御見解をお伺いしたいと思います。  また、住民基本台帳全国共通の本人確認システムやその他、国、地方を通じた行政改革ができるとされておりますけれども、こうした新しいシステムのコストベネフィットはどのように見込んでおられるのか、自治大臣に重ねてお伺いしたいと思います。システム整備費用と行政経費の削減、国民の負担軽減などについて、費用対効果の具体的な数字をお示しいただきたい。  次に、プライバシー保護の観点から質問をいたします。  この点については、現行住民基本台帳法そのものが、第三条において、知り得た事項を使用するに当たって個人基本的人権を尊重するように努めなければならないと規定されているにすぎず、個人情報保護に関しては、甚だ無防備な法システムとなっております。  したがって、今回の新しいシステム案においては、本人確認情報保護するため、専用回線利用、通信データの暗号化、パスワード等による端末操作者の認証チェック等々の措置が盛り込まれているわけでありますけれども、データ漏えいに関して最も危惧するのは、電算処理業務を外部委託できる道を開いている点であります。  当然ながら守秘義務が課せられてはいるものの、過去にデータ漏えい事件がしばしば起きておりますことから、外部委託により、個人情報関係者によって持ち出される危険性が大きくなるものと考えますが、これをどのように防ぐべく方策が施されているのか、自治大臣に御所見を伺いたいと思います。  さらに、全国津々浦々に配置される端末にわたって、セキュリティーが保たれる保障があるのか。そして、万が一、漏えいや盗用があった場合、その責任の所在はどうなるのか。台帳を管理する市町村の責任なのか、それとも、ネットワークの部分を担当する都道府県ないし指定情報処理機関なのか。これらの点についても、あわせてお尋ねをしたいと思います。  次は、データの結合についてであります。  現在、我が国の行政には、パスポート、年金制度雇用保険制度等さまざまなデータベースが構築されており、機能を果たしております。こうした実態の中で、今回の住民票コードは、行政機関の保有するデータベースにアクセスをするためのマスターキーとなるものであり、これを許すならば、役人主導の国による電子国民監視システムとなってしまうとの批判さえなされているところであります。  行政機関が収集し利用している個人情報は、犯罪情報、税務情報、医療、教育、年金、福祉、国勢調査などなど多種多様であり、これらの情報がオンライン化されデータマッチングが行われるとなると、まさに国民プライバシーは丸裸となり、個人の尊厳を著しく侵害する重大な危機をはらむこととなります。  こうしたことから、法律案では、情報提供できる公的機関と利用事務法律で限定し、情報提供を受けた公的機関にも目的外利用を禁止しておりますけれども、だれが考えても、今回のシステムをさらに活用し、データベース間を結合すれば、より効率的な行政運営が期待されるわけであり、私は、我が国は次なる悩ましい状況を迎えるのではないかと危惧をするわけであります。  それが証拠に、住民記録システムのネットワークの構築等に関する研究会の報告書では、将来、納税者番号制度への活用を示唆しているところであり、さらに、法律規定すればデータのマッチングが可能ということを勘案すれば、私は、住民票コードは将来の行政データベースのマスターキーの役割を担うものではないのか、本法律案が国による国民監視システムへの道を開くものではないのかと大いに危惧するところでありますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。  あわせまして、大蔵大臣に、納税者番号の検討について、どのような仕組みを想定され、検討されているのかお伺いしたいと思います。  なお、今回のシステム案の中で、公的機関の本人確認情報提供が行われた場合、国民にとっては、いつ、どこで、どのような目的情報提供されたのか、こうした実態をどのようにして把握することができるのか、お伺いしたいと思います。また、使用済み本人確認情報の消去はどうして行われるのか、あわせて自治大臣にお尋ねをしたいと思います。  さらに、多くの地方自治体が制定しております個人保護条例については、オンライン禁止条項を定めているところも見られますけれども、各自治体の条例との整合性については問題はないのか、自治大臣にお伺いしたいと思います。  次に、住民基本台帳カードについてお尋ねをいたします。  今回の法律案では、国民ネットワーク利用して、より積極的な行政サービスを受けることができるようにすることを目的として、市町村が発行する全国共通様式の住民基本台帳カード交付を受けることができるとされております。  さらに、この記憶媒体はICカードとなっており、八千文字の記憶容量を活用し、市町村の実態に応じた活用が可能となっているわけであります。この住民基本台帳カードについても、住民票コードと同様に、IDカードではないか、国民皆登録証携帯制度ではないかとの強い危惧が表明されているところであります。  もちろん、カードの発行はあくまでも本人の任意の申請に基づくものとされておりますけれども、新しいシステムが稼働を始め、市町村によって活用が進んだ場合、カードを所持する者と所持しない者との間に、先ほどもありましたが、事務手続上の差異、行政サービス提供の差異が生じ、その結果、本人の申請とはされていましても、事実上、カードの発行申請を義務づけられることになるのではないかと考えますが、自治大臣の御見解をお伺いしたいと思います。  最後に、指定情報処理機関についてお尋ねをしたいと思います。  自治省が示されましたネットワークのイメージ図においては、市区町村の組織に加え、都道府県センター及び全国センターを設けることとされており、本人確認情報処理事務指定情報処理機関に委任することとされています。したがって、この指定情報処理機関住民基本台帳ネットワークシステムの中心的役割を果たすものと考えられますけれども、一体どのような機関が指定情報処理機関になるのか、お示しをいただきたいと思います。  また、都道府県センターと全国センターの関係もまことに不明確であり、都道府県知事本人確認情報の一部を指定情報処理機関に委任できることとなっていることから、両者は一体的に同一機関が兼ねることとなるのではないかと考えますが、具体的にお示しをいただきたい。そうであるならば、個人情報が高度に集中管理されることとなり、地方分権も形骸化されるのではないかと考えますが、自治大臣の御所見をお伺いしたいと思います。  また、我が国の個人情報保護制度は、公的部門に対する個人情報保護法があるものの、基本的人権としての個人プライバシー保護の観点では必ずしも十分ではないとの指摘もあり、民間部門においては全く立法もない状況であります。高度情報社会のもとで、国民プライバシーを守るためには、民間も対象に含めた、包括的で厳格な個人情報保護法の制定が必要であると考えます。さらに、新しい住民基本台帳システムを導入するに当たっては、行政から独立した監視機関がぜひとも必要であると考えますが、以上二点については、総理の御所見をお伺いしたいと思います。  今回の住民基本台帳法の改正によって、本当に社会国民の利便性をもたらし、適正な行政目的や公益にかなうものであれば、私たちもこうした流れは大切にしたいと考えます。しかし、今回の法案は、これまで私が指摘してきただけでも、多くの問題点が残されたままになっています。また、国民のための改正というならば、プライバシー保護の観点から、国民の不安が完全に除去されるまで、国会で徹底した審議、かつ慎重な審議が行われることを強く期待し、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇
  17. 小渕恵三

    ○内閣総理大臣(小渕恵三君) 桝屋敬悟議員にお答え申し上げます。  国民監視システムとなる可能性についてのお尋ねでありました。  このシステムは、地方公共団体共同の分散分権的システムでありまして、保有情報は、本人確認のための氏名住所、性別、生年月日、住民票コード及び付随情報に限られ、さらに、住民票コードをもとにさまざまな個人情報を一元的に収集管理することを認めない仕組みになっていることから、国による国民監視システムとは異なるものと考えております。  高度情報社会における個人情報保護について、お尋ねがありました。  個人情報の内容や用途、収集の方法は業種業態ごとに異なるため、基本的には、それぞれにおいて、民間によるガイドラインの整備等の自主的対応を促す必要があると考えます。一方、個人の信用情報や医療情報等、機密性が高く、かつ漏えいした場合の被害の大きい分野につきましては、法規制等の公的関与が十分検討されるべきであると考えます。  独立した監視機関の必要性についてお尋ねでありました。  このシステムは、指定情報処理機関に設置される本人確認情報保護委員会等の実質的には独立性の高い機関が、本人確認情報に係る事務処理を客観的にチェックし、必要な意見を述べる体制といたしております。これらの機関が十分に機能することによりまして、本人確認情報保護は達成できるものと考えております。  以上、御答弁申し上げましたが、残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)     〔国務大臣野田毅登壇
  18. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 行政管理庁が研究した番号制と今回の改正法案との相違点についてのお尋ねでございます。  住民基本台帳ネットワークシステムというのは、地方公共団体共同の分散分権的システムでございまして、保有情報を、住民票コード氏名住所、性別、生年月日及び付随情報のみとすることでございますので、国が相互利用の促進を図るために導入する番号制というものとは異なるものであるということを申し上げたいと思います。  住民基本台帳法目的規定と、住民基本台帳ネットワークシステムの関係についてのお尋ねがございました。  このシステムは、市町村住民基本台帳制度を運営するという基本的枠組みを維持しつつ、住民の利便の増進や、国及び地方公共団体行政合理化のために、全国的な本人確認のための仕組みを付加するものであり、住民基本台帳法目的に沿ったものであると考えております。  このシステムの費用対効果についてのお尋ねでございますが、費用につきましては、システム開発費などの基本的な導入経費として約四百億円、コンピューター維持費等の年間経費として約二百億円を見込んでおります。一方、効果につきましては、数値化可能なものだけを一定の仮定のもとで、節減時間、人件費等により試算をいたしました場合、毎年、行政側で約二百四十億円、住民負担の軽減として約二百七十億円を見込んでおります。  それから、電算処理業務の外部委託に伴う個人情報漏えいについてのお尋ねでございます。  このシステムにおきましては、電算処理業者に、本人確認情報漏えいを防止するための安全確保措置を講じることを義務づけておりますとともに、当該電算処理に従事する者についても、通常よりも重い罰則により担保された秘密保持義務を課しておりまして、個人情報は適切に保護されるものと考えております。  端末の増加に伴うセキュリティーの問題についてのお尋ねがございました。  このシステムにおきましては、ネットワーク端末を保持するすべての者に、本人確認情報漏えいを防止するための安全確保措置を講じることを義務づけるとともに、端末を操作する者についても、通常よりも重い罰則により担保された秘密保持義務を定めており、セキュリティーは適切に確保されるものと考えております。  それから、本人確認情報漏えいや盗用があった場合の責任の所在についてのお尋ねでございます。  このシステムにおきましては、市町村都道府県及び指定情報処理機関それぞれに、情報の安全確保措置を講ずることを義務づけております。仮に、この義務を怠ったために情報漏えいや盗用が行われたとすれば、その漏えいや盗用が行われたところがその責任を負うものと考えております。  本人確認情報提供実態の把握や使用済み情報の消去についてのお尋ねですが、国の機関等への本人確認情報提供の状況につきましては、報告書が作成され、これが公表されることとなっております。また、本人確認情報提供を受けた国の機関等は、これらの情報の安全確保措置を講ずる義務を負っており、不要となった情報については消去することが適切であると考えております。  次に、このシステムとオンライン禁止条項との整合性についてのお尋ねがございました。  このシステムに基づく情報の送信につきましては、個人情報保護措置を講じた上で、法律規定を置くことにより、条例の禁止規定が解除されるものと考えております。なお、その他の情報の送信につきましては、当該条例の禁止規定は従来どおり効力を有するものであり、条例そのものの効力は失われないものであります。  それから、住民基本台帳カードの発行申請の義務づけについてのお尋ねがございました。  このカードは、住民の任意の申請に基づき発行されるものであること、また、カード交付を受けない場合においても、従来どおりの行政サービスを受けることが可能であることなどから、制度上のみならず事実上も、このカードの発行申請が義務づけられることはないものと考えております。  それから、指定情報処理機関についてのお尋ねがございました。  この機関は、高度な秘密事項である住民票コードを含む本人確認情報に係る事務を合理的かつ効率的に運用させるための全国的な組織でありまして、地方公共団体が基本財産の全部または一部を拠出している法人であります。自治大臣が、本人確認情報処理事務を行おうとする者からの申請を受けて、その能力、組織及び職員の体制等が十分に信頼に足りるか否かの基準に照らして、指定を行うものでございます。  本人確認情報に係る事務指定情報処理機関への委任についてのお尋ねでございますが、このシステムは、広域的な地方公共団体である都道府県が、事務処理の効率性、正確性を確保するため、その事務のうち、全国的組織が一括して行う方が適当であるものを、全国センターである指定情報処理機関に委任できるとするものでございまして、指定情報処理機関にすべての事務を委任するというものではございません。  最後に、個人情報の集中管理による地方分権の形骸化のおそれについてのお尋ねがございました。  このシステムは、国が本人確認情報に関する事務を執行するものではなく、また、都道府県知事の委任により、事務処理の効率性、正確性のために指定情報処理機関事務を担わせるものでございます。したがって、地方公共団体が連携して構築していくものであり、地方分権の推進に資するものであると考えております。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  19. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 納税者番号についてお尋ねでございましたが、納税者番号制度につきましては、従来から、政府の税制調査会におきまして、かなり長いこと時間をかけまして、適正、公平な課税の実現、あるいは税務行政の機械化、効率化という観点から検討が行われてまいっておりますが、まだ結論を出しておりません。  平成十一年度の、最近の答申におきましても、この税制調査会が述べておりますように、経済取引への影響、民間及び行政のコストと効果、プライバシー保護等の課題を含めまして、国民の理解がさらに深められるよう、より掘り下げて具体的な検討を進めていくことが必要であるというふうに考えております。(拍手)     —————————————
  20. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 知久馬二三子君。     〔知久馬二三子君登壇
  21. 知久馬二三子

    ○知久馬二三子君 私は、ただいま議題となりました住民基本台帳法の一部を改正する法律案につきまして、社会民主党・市民連合を代表して、総理並びに関係大臣に質問させていただきます。  この法律案につきましては、昨年、国会に提出する過程で、我が党は、自治省と数次にわたって折衝を行い、多くの問題点の解明に努めてまいりました。しかし、その中でも依然不明な点が多く、今回改めて質問させていただくことを、まずもってお断りいたします。  現行の住民基本台帳法は、市町村において住民居住関係を公証し、住民に関する記録を正確かつ統一的に行うことによって、住民の利便の増進を図るというところに第一の目的があります。しかし、今回の改正案で実現しようとする住民基本台帳ネットワークシステムは、市町村においてと定めた住民基本台帳制度を根幹から変更するものであり、国の行政機関等が、住民居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他住民に関する事務処理の基礎とするための住民基本台帳を、他の目的に使用することをも認めております。  今回の改正は、現行の住民基本台帳法目的を大きく踏み外すものであると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。  個人情報保護に関して無防備な現行住民基本台帳制度に、全く異質な住民基本台帳ネットワークシステムを、単に情報の正確性や導入コストの面から最適であるとして導入しようとしている点に、さまざまな問題の根本的な原因があると考えるものでございます。本来、住民から見て、最も身近なものであるはずの住民基本台帳法律が、今回の改正案では、法律的にも極めてわかりにくい構成となっています。それ一つとっても、この法改正にはかなり無理があるのではないでしょうか。  私たちの日常の国民生活において、直ちに住民票が必要になるような事態がたびたびあるでしょうか。また、結局窓口に行かざるを得ないことになります。今回の改正で本当に住民の利便性が上がるのか、疑問を持たざるを得ません。それほど効率的と言えない住民基本台帳ネットワークシステムに、初期投資約四百億円、年間経費二百億円と言われる費用をかける意味は、一体どこにあるのでしょうか。  行政機関が収集し利用している個人情報は、犯罪情報、税務、医療、教育、年金、福祉、家族情報、国勢調査など多種多様であります。現在、各行政機関は法令の目的範囲内で行っているものであり、一応限定されております。しかし、住民基本台帳ネットワークシステムは、将来すべての行政機関をオンラインで結ぶことなどによって、このような個人情報の結合と集積を招く危険性を持っていると言わざるを得ません。  そこで、総理にお伺いいたしますが、政府は、日本のこれからの行政システムの中で個別番号制をとるのか、また総合的な番号制をとろうと考えておられるのか、その将来構想を明らかにしていただきたいと思います。  個人プライバシー問題に着目し、その保護に努めてきた地方自治体は少なくありません。個人情報保護条例を設けている自治体は千四百七団体、規則や規定などにより個人情報保護対策を講じている自治体を含めますと、二千二百七十三の団体があり、全国の六八・六%にも及んでいます。中央官庁などとのオンライン接続の禁止を定めている自治体も五百六十五団体を数えております。  選挙人名簿登録や国民健康保険など、多くの行政事務の台帳が住民基本台帳へと一本化され、コンピューター化も進みましたが、日本行政の現場では、部落差別や民族差別など、個人プライバシーをめぐる問題が日常的に起こってまいりました。経済的に見れば非効率と思われるオンライン接続の禁止措置も、結婚や就職などの住民にとって重大な局面で個人情報をめぐるトラブルがもたらした深刻な結果に対して、多くの自治体が努力され、つくり上げられてきたものと考えるものでございます。  政府は、行政情報化の推進の名のもとに、地方自治体に対してオンライン接続禁止の見直しを求めてきましたが、こうしたプライバシー保護にかかわる全国の自治体の努力に対して、どのように評価されているのか、見解を承りたい。また、この法律改正について、どれだけの自治体から、どのような要望があったのかを明らかにしていただきたいものでございます。  そもそも情報の主権者が住民であることを考えれば、本改正案では、本人情報の開示請求、訂正、利用状況の開示、苦情処理機関、カード交付の任意性の保護と、カードを持たない住民に対する不利益扱いの排除、カードへの情報付加に対する拒否権などについて、明確にされているとは言えません。  しかも、条例の制定によって、自治体が個人情報利用を拡大していくことができることについては、当然一定の制限があると考えます。とりわけ権力行政については制限されてしかるべきと考えますが、この点についての御見解を承りたいと思います。  次に、海外では、特に欧州連合、EUにおいて、一九九五年十月、個人データ処理に係る個人保護及び当該データの自由な移動に関する欧州議会及び理事会の指令が採択され、九八年の十月に発効しています。これによれば、十分なレベルの個人情報保護措置を講じていない第三国への個人データの移転を禁止しております。EU個人データ保護指令の発効を受けて、我が国より個人データ保護の面で進んでいる米国でさえ、EUと協議に入っているとも聞いております。  我が国においては、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報保護に関する法律が一九八九年十月から施行されていますが、民間部門では全く立法がなされておらず、OECDの勧告を受けて、通産省や郵政省において個人情報保護のガイドラインが策定されているだけであります。  そこで、お尋ねいたしますが、EUは日本個人情報保護の現状をどのように見ているのでしょうか。さらに、日本政府はこの問題でEUに対してどのような基本的対応をしていくのかを明らかにしていただきたい。  最後ですが、本人確認情報が、情報主体である国民の知らない間に、ネットワークを通じて市町村から他の市町村都道府県、国、法人へと提供され、いつ、どこへ提供されたのか開示されることはない。しかも、その提供先の用途は、この法案別表に掲げられた特定の事務に限らず、条例で定める事務、国の行政機関の所掌事務といったように、無限定なものとなっています。  このような個人情報利用の仕方を考えれば、今必要なことは、民間部門を含めた包括的な個人情報保護法であります。それを欠いたまま住民基本台帳ネットワークシステムを構築することは、まさしく国民プライバシーに対する実害を生じさせる危険性が高いと言わざるを得ません。この点につきまして総理の御所見をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇
  22. 小渕恵三

    ○内閣総理大臣(小渕恵三君) 知久馬二三子議員にお答え申し上げます。  住民基本台帳法目的と、住民基本台帳ネットワークシステムとの関係について、お尋ねであります。  このシステムは、市町村住民基本台帳制度を運営するという基本的枠組みを維持しつつ、住民の利便の増進や国及び地方公共団体行政合理化のために、全国的な本人確認のための仕組みを付加するものでありまして、住民基本台帳法目的に沿ったものと考えております。  個別番号制度と総合的な番号制についてお尋ねですが、住民票コードは、住民基本台帳事務のための番号でありまして、法定された公的部門に氏名住所等の本人確認情報提供するために利用されるものであります。また、本人確認情報目的外利用を禁止していることからも、住民票コードをもとに、国がさまざまな個人情報を一元的に収集管理することはできないこととなっております。  民間部門を含めた包括的な個人情報保護法の必要性についてのお尋ねでありました。  このネットワークシステムにおきましては、民間部門を本人確認情報提供先とせず、本人確認情報の厳重な保護措置を講じ、さらに住民票コード民間利用を禁止していることから、このシステムを導入する前提として、包括的な個人情報保護法の制定を要するものではないと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)     〔国務大臣高村正彦君登壇
  23. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 個人情報保護に関してのお尋ねでありますが、我が国における個人情報保護は各業界が自主規制によって行っておりまして、EUは、我が国の自主規制の有効性につき検討を行っているところでございます。  我が国の個々の分野における取り組みにつきましては、関係各省庁が既存の対話の枠組みを通じて、EUへの説明を行っているところであります。今後とも、EUとの意見交換を継続し、EU側の理解を得たいと考えております。(拍手)     〔国務大臣野田毅登壇
  24. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 住民の利便性とコストについてのお尋ねでございます。  住民基本台帳ネットワークシステム導入した場合には、行政側のメリットのみならず、住民側におきましても、住民票写し広域交付、第二に、転入転出手続の簡素化、各種行政手続における住民票写しなどの添付の省略、住民基本台帳カードの活用など、コストに見合う利便性が十分にあるものと考えております。  個人情報保護条例についてのお尋ねでございます。  個人情報保護の重要性の認識の深まりにつれて、条例制定団体が毎年度増加しておりますが、一方で、通信回線を活用しての情報処理は高度情報通信社会の実現のためには不可欠でありますことから、オンライン接続禁止の規定については、今後、個人情報の十分な保護を図りつつ、個別に見直しをする必要があると考えております。  地方公共団体からの法改正に係る要望の実績についてのお尋ねでございましたが、全国知事会からは、このシステムが住民サービスの向上、行政の効率化、高度化に資するとの認識をいただいております。また、全国市長会、全国町村会からは、同様の認識のもとに、早期に法改正を行い、制度化を図ることの要望をいただいておるところでございます。  本人確認情報の開示請求、訂正や利用状況の開示についてのお尋ねでございますが、改正案におきましては、都道府県知事または指定情報処理機関に対する本人確認情報の開示請求や情報の訂正等の申し出をできることとし、また、国の機関等への情報提供の状況について毎年報告書により公表することとされておりますので、御指摘の点については、制度的に明確になっておるものと考えております。  苦情処理機関についてのお尋ねでございますが、市町村都道府県及び指定情報処理機関に、本人確認情報に関する苦情の適切かつ迅速な処理に努める義務を定めております。この市町村などにおける苦情処理の体制に加え、都道府県本人確認情報保護のための審議会を、また指定情報処理機関本人確認情報保護委員会を設けることにより、適切かつ迅速に苦情が処理されると考えております。  次に、住民基本台帳カード交付の任意性の保障についてのお尋ねでございます。  住民基本台帳カードは、住民の任意の申請に基づき発行されるものであること、また、カード交付を受けない場合においても、従来どおりの行政サービスを受けることが可能であることなどから、制度上のみならず事実上も、このカードの発行が義務づけられることはないものと考えております。  次に、カードへの情報付加に対する拒否権についてのお尋ねがございました。  住民基本台帳カードは、各市町村において議会の議決を経た条例に基づき、付加される情報カード内の専用エリアに記録して、高度な住民サービス提供するために利用できることとしております。付加される情報を記録してこのサービスを受けるかどうかは、住民が任意に判断できるものと考えております。  最後に、都道府県条例に基づく本人確認情報利用を権力行政等に拡大する際の制限についてのお尋ねがございました。  改正案では、各都道府県は、住民基本台帳法趣旨を適切に踏まえた上、住民の代表で構成される都道府県議会において条例が定められた場合に限り、条例で定める事務処理のため、本人確認情報利用提供できることとしているところであります。  以上でございます。(拍手
  25. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  26. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十七分散会     ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         外務大臣    高村 正彦君         大蔵大臣    宮澤 喜一君         自治大臣    野田  毅君  出席政府委員         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君