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1999-04-13 第145回国会 衆議院 本会議 第22号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十一年四月十三日(火曜日)
—————————————
議事日程
第十五号
平成
十一年四月十三日 午後一時
開議
第一
平成
八年度
一般会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(
承諾
を求めるの件)(第百四十回
国会
、
内閣提出
) 第二
平成
八年度
特別会計予算総則
第十四条に基づく
経費増額
総
調書
及び
各省
各
庁所管経費増額調書
(
承諾
を求めるの件)(第百四十回
国会
、
内閣提出
) 第三
平成
九年度
一般会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その1)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
) 第四
平成
九年度
特別会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その1)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
) 第五
平成
九年度
特別会計予算総則
第十三条に基づく
経費増額
総
調書
及び
各省
各
庁所管経費増額調書
(その1)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
) 第六
平成
九年度
一般会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その2)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
) 第七
平成
九年度
特別会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その2)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
) 第八
平成
九年度
特別会計予算総則
第十三条に基づく
経費増額
総
調書
及び
各省
各
庁所管経費増額調書
(その2)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
) 第九
平成
九年度
決算調整資金
からの
歳入組入れ
に関する
調書
(
承諾
を求めるの件)
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
日程
第一
平成
八年度
一般会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(
承諾
を求めるの件)(第百四十回
国会
、
内閣提出
)
日程
第二
平成
八年度
特別会計予算総則
第十四条に基づく
経費増額
総
調書
及び
各省
各
庁所管経費増額調書
(
承諾
を求めるの件)(第百四十回
国会
、
内閣提出
)
日程
第三
平成
九年度
一般会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その1)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第四
平成
九年度
特別会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その1)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第五
平成
九年度
特別会計予算総則
第十三条に基づく
経費増額
総
調書
及び
各省
各
庁所管経費増額調書
(その1)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第六
平成
九年度
一般会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その2)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第七
平成
九年度
特別会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その2)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第八
平成
九年度
特別会計予算総則
第十三条に基づく
経費増額
総
調書
及び
各省
各
庁所管経費増額調書
(その2)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第九
平成
九年度
決算調整資金
からの
歳入組入れ
に関する
調書
(
承諾
を求めるの件)
住民基本台帳法
の一部を改正する
法律案
(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時四分
開議
伊藤宗一郎
1
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
伊藤宗一郎
2
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) この際、新たに議席に着かれました
議員
を紹介いたします。 第百三十番、
東京
都第二区
選出議員
、
中山義活
君。 〔
中山義活
君
起立
、
拍手
〕 第四百五十四番、
東京
都第十五区
選出議員
、
木村勉
君。 〔
木村勉
君
起立
、
拍手
〕 第四百七十六番、静岡県第八区
選出議員
、
塩谷立
君。 〔
塩谷立
君
起立
、
拍手
〕
————◇—————
日程
第一
平成
八年度
一般会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(
承諾
を求めるの件)(第百四十回
国会
、
内閣提出
)
日程
第二
平成
八年度
特別会計予算総則
第十四条に基づく
経費増額
総
調書
及び
各省
各
庁所管経費増額調書
(
承諾
を求めるの件)(第百四十回
国会
、
内閣提出
)
日程
第三
平成
九年度
一般会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その1)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第四
平成
九年度
特別会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その1)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第五
平成
九年度
特別会計予算総則
第十三条に基づく
経費増額
総
調書
及び
各省
各
庁所管経費増額調書
(その1)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第六
平成
九年度
一般会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その2)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第七
平成
九年度
特別会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(その2)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第八
平成
九年度
特別会計予算総則
第十三条に基づく
経費増額
総
調書
及び
各省
各
庁所管経費増額調書
(その2)(
承諾
を求めるの件)(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)
日程
第九
平成
九年度
決算調整資金
からの
歳入組入れ
に関する
調書
(
承諾
を求めるの件)
伊藤宗一郎
3
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
日程
第一ないし第九に掲げました
平成
八年度
一般会計予備費使用
総
調書
及び
各省
各
庁所管使用調書
(
承諾
を求めるの件)外七件及び
平成
九年度
決算調整資金
からの
歳入組入れ
に関する
調書
(
承諾
を求めるの件)の九件を一括して
議題
といたします。
委員長
の
報告
を求めます。
決算行政監視委員長原田昇左右
君。
—————————————
〔
報告書
は
本号末尾
に掲載〕
—————————————
〔
原田昇左右
君
登壇
〕
原田昇左右
4
○
原田昇左右
君 ただいま
議題
となりました各件につきまして、
決算行政監視委員会
における
審査
の経過及び結果を御
報告
申し上げます。 第一に、
予備費等
の各件について申し上げます。 これらの各件は、
財政法
の
規定
に基づき、
国会
の
事後承諾
を求めるため提出されたものであります。 まず、
平成
八年度の
予備費等
でありますが、
一般会計予備費
は、
衆議院議員
総
選挙
及び
最高裁判所裁判官国民審査
に必要な
経費等
二十五件で、その
使用総額
は千九百八十六億二千三百万円余であります。 また、
特別会計予算総則
第十四条に基づく
経費増額
は、
道路整備特別会計
における
道路事業
及び
街路事業
の
調整
に必要な
経費
の
増額等
四
特別会計
の四件で、その
経費増額
の
総額
は百六十七億九千五百万円余であります。 次に、
平成
九年度の
予備費等
でありますが、
一般会計予備費
(その1)は、
衆議院議員
及び
参議院議員
の
補欠選挙
に必要な
経費等
四件で、その
使用総額
は十二億三千五百万円余であり、(その2)は、
雇用保険
の
求職者給付
及び
雇用継続給付
に対する
国庫負担金
の
不足
を補うために必要な
経費等
七件で、その
使用総額
は二百八億九千五百万円余であります。 また、
特別会計予備費
(その1)は、
食糧管理特別会計国内米管理勘定
における
返還金等
の
調整勘定
へ
繰り入れ
に必要な
経費等
二
特別会計
の三件で、その
使用総額
は二百二十二億二千三百万円余であり、(その2)は、
労働保険特別会計雇用勘定
における
失業等給付金
の
不足
を補うために必要な
経費
で、その
使用額
は二百九億七百万円余であります。 また、
特別会計予算総則
第十三条に基づく
経費増額
(その1)は、
交付税
及び
譲与税配付金特別会計交付税
及び
譲与税配付金勘定
における
地方譲与税等譲与金
に必要な
経費
の
増額等
七
特別会計
の十件で、その
経費増額
の
総額
は七百五十一億九千八百万円余であり、(その2)は、
道路整備特別会計
における
産業投資特別会計
へ
繰り入れ
に必要な
経費
の
増額等
三
特別会計
の三件で、その
経費増額
の
総額
は百二十二億九千万円余であります。 第二に、
平成
九年度の
決算調整資金
から
一般会計
への
歳入組み入れ
について申し上げます。 これは、
決算調整資金
に関する
法律
の
規定
に基づき、
国会
の
事後承諾
を求めるため提出されたものであります。
平成
九年度におきましては、
租税収入
の
減少等
により、
一般会計
の
歳入歳出
の
決算
上、一兆六千百七十四億千三百万円余の
不足
を生ずることになりましたので、これを補てんするため、同
資金
からこれに相当する金額を
平成
九年度の
一般会計
の
歳入
に組み入れたものであります。
委員会
におきましては、昨十二日これらの各件を
一括議題
とし、
宮澤大蔵大臣
から
説明
を聴取した後、直ちに
質疑
を行い、
質疑終了
後、討論、
採決
の結果、
平成
八年度
一般会計予備費
、
平成
八年度
特別会計予算総則
第十四条に基づく
経費増額
、
平成
九年度
一般会計予備費
(その1)及び
平成
九年度
特別会計予算総則
第十三条に基づく
経費増額
(その1)の四件は、多数をもって
承諾
を与えるべきものと議決いたしました。 次に、
平成
九年度
特別会計予備費
(その1)、
平成
九年度
一般会計予備費
(その2)、
平成
九年度
特別会計予備費
(その2)及び
平成
九年度
特別会計予算総則
第十三条に基づく
経費増額
(その2)の四件は、
全会一致
をもって
承諾
を与えるべきものと議決いたしました。 次に、
平成
九年度の
決算調整資金
は、多数をもって
承諾
を与えるべきものと議決いたしました。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
)
—————————————
伊藤宗一郎
5
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) これより
採決
に入ります。 まず、
日程
第一ないし第三、第五及び第九の五件を一括して
採決
いたします。 五件は
委員長報告
のとおり
承諾
を与えるに
賛成
の諸君の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
伊藤宗一郎
6
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
起立
多数。よって、五件とも
委員長報告
のとおり
承諾
を与えることに決まりました。 次に、
日程
第四及び第六ないし第八の四件を一括して
採決
いたします。 四件は
委員長報告
のとおり
承諾
を与えるに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤宗一郎
7
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、四件とも
委員長報告
のとおり
承諾
を与えることに決まりました。
————◇—————
住民基本台帳法
の一部を改正する
法律案
(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)の
趣旨説明
伊藤宗一郎
8
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) この際、第百四十二回
国会
、
内閣提出
、
住民基本台帳法
の一部を改正する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
自治大臣野田毅
君。 〔
国務大臣野田毅
君
登壇
〕
野田毅
9
○
国務大臣
(
野田毅
君)
住民基本台帳法
の一部を改正する
法律案
の
趣旨
について御
説明
申し上げます。
住民基本台帳法
の一部を改正する
法律案
につきましては、
住民
の利便を増進するとともに、国及び
地方公共団体
の
行政
の
合理化
に資するため、
住民票
の
記載事項
として新たに
住民票コード
を加え、
住民票コード
をもとに、
市町村
の区域を越えた
住民基本台帳
に関する
事務
の
処理
及び国の
機関等
に対する
本人確認情報
の
提供
を行うための体制を整備し、あわせて
住民
の
本人確認情報
を
保護
するための
措置
を講じようとするものであります。 以下、その概要について御
説明
申し上げます。 第一に、
住民票
の
記載事項
として新たに
住民票コード
を加えることとし、
市町村長
は、
住民票
に、
転入
した
住民
については
転入
前の
住民票コード
を、初めて
住民票
が作成される
住民
については
全国
を通じて重複しない
住民票コード
を
記載
することとしております。 また、
住民
は、
住民票コード
の
記載
の
変更請求
をすることができることとしております。 第二に、
住民
は、
住所地
以外の
市町村長
に対して、
自己
または
自己
と同一の世帯に属する者の
住民票
の
写し
の
交付
を請求できるものとしております。 また、
住民基本台帳カード
の
交付
を受けている
住民
については、
住所異動
をする際に、
転出地
の市役所や
町村役場
に出向いて
転出証明書
の
交付
を受けることを不要にする手続を設けることとしております。 第三に、
市町村長
は、
住民票
の作成などを行ったときは、
本人確認情報
として、その
住民票
に
記載
された
氏名
、出生の年月日、男女の別、
住所
、
住民票コード
及びこれらの
変更情報
を
都道府県知事
に
電気通信回線
を通じて通知するものとしております。
都道府県知事
は、
別表
に掲げる国の
機関等
から
別表
に掲げる
事務
の
処理
に関し、
住民
の
居住関係
の
確認
のための求めがあったときに限り、
本人確認情報
を
提供
するほか、一定の場合に
本人確認情報
を
提供
することとし、さらに、みずからの
事務
の遂行のために
本人確認情報
を
利用
することができることとしております。 また、
都道府県
に、
本人確認情報
の
保護
のための
審議会
を置くこととしております。 第四に、
都道府県知事
は、
自治大臣
の指定する
指定情報処理機関
に
本人確認情報処理事務
を行わせることができることとし、これを行わせる際には、
市町村長
から通知された
本人確認情報
を
電気通信回線
を通じて
指定情報処理機関
に通知することとしております。 また、
指定情報処理機関
に、
本人確認情報
の
保護
のための
委員会
を置くこととしております。 第五に、
市町村長
、
都道府県知事
、
指定情報処理機関
及び
本人確認情報
の
受領者
である国の
機関等
について、
本人確認情報
の適切な
管理
のために必要な
措置
を講じることを
義務
づけ、また、定められた
目的
以外での
本人確認情報
の
利用
または
提供
を禁止するとともに、
本人確認情報
の
電子計算機処理等
に従事するこれらの職員に対し
本人確認情報
に関する
秘密保持義務
を課し、これに違反した場合に、通常の公務員の
秘密保持義務違反
よりも重い
罰則
を科すこととしております。 また、
民間
において
住民票コード
が
利用
されることを制限するため、
住民票コード
を告知することを求めてはならない旨の
規定
を設けております。 特に、契約に際して
住民票コード
の告知を要求することや、
住民票コード
の記録された
データベース
を構成することを禁止し、これらに違反した場合に、
都道府県知事
が
勧告
、
命令
を行うことができることとし、
命令違反
について
罰則
を科すこととしております。 さらに、
自己
の
本人確認情報
の開示と
苦情処理
についても、所要の
規定
を設けることとしております。 第六に、
住民
は、
市町村長
に対し、
氏名
や
住民票コード
が記録された
住民基本台帳カード
の
交付
を求めることができるものとし、
市町村
は、この
住民基本台帳カード
を、条例で定める独自の
目的
のために
利用
することができることとしております。
最後
に、
本人確認情報
の
提供
を受けることのできる国の
機関等
やその
事務
、
都道府県知事
が
本人確認情報
を
利用
することができる
事務
などを
別表
に掲載することとしております。 以上が、
住民基本台帳法
の一部を改正する
法律案
の
趣旨
であります。(
拍手
)
————◇—————
住民基本台帳法
の一部を改正する
法律案
(第百四十二回
国会
、
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
伊藤宗一郎
10
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。順次これを許します。
葉山峻
君。 〔
葉山峻
君
登壇
〕
葉山峻
11
○
葉山峻
君 民主党を代表いたしまして、
衆議院
に提出された
住民基本台帳法
の一部を改正する
法律案
について
質問
をいたします。
政府提出
の
住民基本台帳法
の一部
改正案
は、
住民基本台帳ネットワークシステム導入
のための
法改正
であります。
住民基本台帳ネットワークシステム
とは、
住民基本台帳
を基礎にして、全
国民
に漏れなく十けたの
住民票コード
という名の
統一番号
をつけ、
氏名
、
住所
、性別、生年月日の四
情報
とともにコンピュターに入力して、それを、新たに設置する
全国オンラインセンター
に
専用回線
で結んで
管理
しようとするものであります。同時に、
IC仕様
の
カード
を発行して、個々人に持たせ、
身分証明書
として
利用
する
計画
でもあります。 このような
住民基本台帳ネットワークシステム
が一たん
導入
されれば、私たちの
生活
は根本的に変わってしまいます。赤ん坊からお年寄りまで、全
国民
が
番号
によって
情報
を
管理
され、
番号
なしには生きていけない
社会
が到来すると言って過言ではありません。 自分の
コード番号
を覚えられない人や、幼児や
高齢者
はどうするのか。全
国民
の
個人情報
を
コンピューター
で一括
管理
して、危険はないのか。
個人
の
プライバシー
はもとより、
日本
全体の
情報
がねらわれることはないのか。まさに、人間の尊厳と
基本的人権
と
プライバシー
にかかわる重大な問題であり、
国民
的な
議論
と、慎重な上にも慎重な
審議
が必要な大問題であります。(
拍手
) 余りにも多くの
問題点
をはらんだ
改正法案
ですが、以下の点に絞って、
総理
並びに
自治大臣
に
質問
をしたいと思います。 第一に、
住民基本台帳
は全
国民
を網羅するものであり、そのすべてに
住民票コード
という重複しない
番号
をつけることは、
国民登録制度
にほかなりません。
改正案
には、
住民票コード番号
を用いて行う、各
省庁ごと
の
行政
が
別表
の形で列挙されており、
省庁間統一番号
として使用されることになっています。つまり、
住民票コード
は、他
省庁
が幅広く
共通番号
として使用することになります。 既にさまざまな
番号
が
生活
の中に普及している
社会
であっても、それらは、例えば
社会保険番号
であったり、
運転免許証
であったり、
学生証
であったり、それぞれ
用途
の限られたものでありました。また、
地域
によっては、
地域
内での多
目的
な使い方を試みて、それなりの成果を上げているところもあります。 しかし、
共通番号導入
は、そうした従来の
用途別番号
や
地域内番号
とは本質的に違う。今日、
納税者番号
については
議論
のあるところでありますが、それはそれで別に、
納税目的
に限定した
議論
をすべきなのであります。恐れげもなく
共通番号制
の
導入
に踏み切ることは、軽率のそしりを免れません。
国民
総
背番号制度
に直結する危険なものだと憂慮する声が
市民
から上がり、識者らや日弁連などからも、
法改正
に反対する
意見書
が出されているゆえんであります。 第二に、
個人情報保護
の不備であります。
法案
では、
市町村
が新たに設置された
コンピューター
で
住民台帳
を
管理
し、
ネットワーク
の部分を
都道府県
及び
全国センター機能
を果たす
指定情報処理機関
が担当するとしています。端末は、
全国
津々浦々まで設置されることになるのであります。そのすべてにわたってセキュリティーが保たれるという
保障
が、果たしてあるでしょうか。
法案
では、
専用回線
でつなぐとしていますが、
専用回線
であっても、
データ
を盗むことなど技術的には簡単だということは、もはや常識であります。
ネットワーク
化された
情報
の
漏えい
や盗用があった場合、それが
市町村側
で行われたのか、
都道府県側
なのか、
指定情報処理機関側
で行われたのか、
追跡調査
はほとんど不可能だと
専門家
らは言っております。
法案
では、
データ
の
漏えい
を防ぐ万全の
措置
をとると言いながら、他方で、
電算機処理業務
を
外部
に委託することができるとしています。
データ処理
の
外部委託
によって、
個人情報
が
関係者
によって持ち出される
危険性
が大きくなるのは自明のことです。 いわゆる
ハッカー犯罪
や
クラッカー犯罪
は日々増大しており、遠い国の何者かが何カ国をも経由して、わずかなすき間から忍び込むなど、その手口もまさにグローバルなものとなっているのであります。一九九六年の
アメリカ
の会計検査院の
報告
では、
アメリカ
の国防総省に対する
コンピューター攻撃
は、
年間
二十五万回にも及び、そのうちの六五%は侵入に成功しているという、驚くべき数字が挙げられています。
被害
は
個人
にとどまらず、全
国民
の
情報
を短時間に吸い出されてしまうという
国家的被害
を受けることも、絶対ないと言い切れるでしょうか。
安全保障
上も大問題であります。
総理
と
自治大臣
は、
個人情報保護
がこれで本当に問題ないと思っておられるのか、お尋ねをしたいと思います。 第三に、
利用範囲
の歯どめが不明確なことと、
民間利用
への禁止に何の歯どめもないことであります。
法案
には、
本人確認情報
の
提供
を受けた者に対して、
目的外利用
をしてはならないと単に
規定
するだけで、
使用済み
の
本人確認情報
の消去も
規定
せず、
提供目的違反
に対して刑罰の定めもなく、
国民
の側からの
中止請求権
もないのであります。
データベース構築
についても、一応、「他に
提供
されることが予定されているものを構成してはならない。」と書くものの、
違反者
が反復して違反するおそれがあるときは
中止勧告
、
勧告
に従わないときは従うよう
命令
し、それにも従わなければ
罰則
というような生ぬるさであります。
罰則
の中身も不明、これでは事実上、野放しになるのであります。このようなあいまいさの中に、将来の
データ結合
の意図が透けて見えると指摘せざるを得ません。(
拍手
) 第四に、膨大な
経費
がかかる点であります。
ネットワークシステム
の維持、
管理
、更新には、
自治省
が少な目に見積もった試算でも、
初期投資
四百億円、
年間経費
二百億円もかかるのであります。もし、将来の
データ結合
など全く考えておらず、
改正案
のように、一部の
行政機関
が
本人確認
などの限られた分野にしか用いないとすれば、これは壮大な
むだ遣い
であります。
国民
への
サービス向上
という点についても、ほとんどメリットはありません。あるのは
行政
にとっての便利さだけであります。
自治省
が利点と宣伝する
住民票
の
写し
の
広域交付
も、実際には
本籍表示
を除く
写し
だけであり、
運転免許証
や
パスポート申請
に必要な
本籍表示入り
の
写し
は
交付
されないのであります。費用対効果の面からも、このような無謀な
計画
は、行革が求められ、また
財政再建
、立て直しが叫ばれている
時代
に、許されることではありません。 以上について、
総理
はどのようにお考えか、明快な御答弁をお願いしたいと思います。 第五に、
カード
の
問題点
であります。
住民基本台帳カード
の
交付
は、任意の
本人申請
とされていますが、
転入転出届
の
簡素化
が、
カード
を持つ者にだけもたらされる例のように、
カード
の所持の有無によって、
サービス
の受け方や内容に差別が生じることが考えられます。さらに、
行政側
が
本人確認
のために
カード
の
提示
を求めるようになれば、事実上は
カード保有
の強制、ひいては、
国内版パスポート
のように常時
携帯
の
義務
までエスカレートしないという
保障
は何もないのであります。 また、
身分証明書
としてその
カード
を使用していくと言いますが、果たして
カード提示者
が当人であるという
確認
が本当にできるのかどうか、疑問であります。
IC内蔵
のその
カード
には、八千字を書き込める容量があります。四
情報
と
コード番号
以外は書き込まないと
自治省
は強調し、
法案
でも一応そうなってはいますが、将来は何を書き加えるのか、どこまで
範囲
を広げるのか、不明であります。血液型、DNAを含む病歴、
犯罪歴
、所得、
資産額
などなど、
カード
内の
記憶領域
は
自治体ごと
の活用ができるようになっていますが、その点についても、
国民
総
背番号制
につながるとの批判を恐れてか、はっきりしないままであります。
ICカード
の
導入
については、
番号先進国
でも、断念もしくは慎重であります。 韓国では、
軍事政権時代
に
国民
総
背番号制
が実施され、
カード
の常時
携帯
が
義務
づけられていますが、紙の
カード
、一部はプラスチックが、
ICカード
にかえられようとすることの
危険性
に気づいた
市民運動
と、
電子カード化反対
を
大統領選挙
の公約に掲げて当選した
金大中政権
の誕生によって、このほど
住民カード電子化法案
を葬り去ったのであります。 先月、私は、有志の
国会議員
と
視察団
を組んでソウルに出かけ、
国会議員
や
市民運動
の方々に話を聞いてきましたが、
日本
のような
民主主義
の国がこのような危険な
制度
を
導入
することはまさかないでしょうねと言われて、答えに窮しました。
小渕総理
、
日本政府
はなぜ、この
自治省
の無謀な構想を採用しようとするのか、この
カード
には全く
危険性
がないと思っておられるのか、お答えをいただきたい。
最後
に一つ、私が強調しておきたいことは、この
法改正
によって
政府
がつくり上げようとしている
住民基本台帳ネットワークシステム
が、
情報
の極めて高度な
国家管理
であり、昨今、国を挙げて推進しようとしているはずの
地方分権
に真っ向から逆らうものであるという点であります。 そもそも、現行の
住民基本台帳制度
は、
市町村
において
住民
の
居住関係
を公証し、
住民
に関する記録を正確かつ統一的に行うためのものであって、国の
行政機関
が
住民基本台帳
を他の
目的
に使用することを認めたこの
改正案
は、
法律
の
目的
に抵触し、逸脱していると言わざるを得ません。
住民基本台帳
の
事務
は、本来、地方自治体の固有
事務
であります。地方から要望が上がっていないにもかかわらず、また、
改正案
の提出に当たって、当事者である地方自治体に
説明
も事情聴取もしていないのは、地方自治の軽視も甚だしいと、市長経験者の私は憤りを禁じ得ません。 既に九〇%を超える
市町村
で
住民
情報
の電算
処理
が進んでおり、それぞれに工夫したシステムができ上がっています。そこへ国が口出しをして、唐突に一連
番号
を振れと命じるのは、国家の中央
管理
であり、まことに理不尽なことではありませんか。一九七〇年代から三十年近くの間に、
全国
の四割を超える自治体で
個人情報保護
条例がつくられています。その中には、
外部
とのオンライン結合禁止条項を盛り込んだ条例も数多くあるのです。今回の
法改正
は、そのあり方を否定するものであります。
総理
並びに
自治大臣
、これが
地方分権
の推進に逆行しないと言い切れるでありましょうか。この点への答弁を求めて、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔内閣
総理
大臣小渕恵三君
登壇
〕
小渕恵三
12
○内閣
総理
大臣(小渕恵三君)
葉山峻
議員
にお答え申し上げます。
個人情報保護
についてお尋ねがありました。
住民基本台帳ネットワークシステム
では、
法律
上、
本人確認情報
について、
提供
先、
利用
目的
の限定、
目的外利用
の禁止、安全確保
措置
義務
及び
秘密保持義務
に関する
規定
を設けることとし、また、技術上も、
専用回線
上の
本人確認情報
の暗号化、通信先の
コンピューター
との相互認証、蓄積されている
データ
への接続制限など、十分な
保護
措置
を講じることといたしております。
本人確認情報
の
利用
の歯どめについてお尋ねですが、このシステムにおきましては、
本人確認情報
を
利用
することのできる分野を、
法律
で明確に定める公的な
事務
を遂行する場合、いわゆる公的部門に限定するとともに、
住民票コード
の
民間
部門における
利用
を
法律
で明確に禁止いたしておりまして、
本人確認情報
の
利用範囲
や
民間利用
の禁止は明確になっているものと考えております。 行革等が求められている
時代
における費用対効果についてお尋ねですが、このシステムを
導入
することによりまして、国、地方を通じた
行政
改革、
住民
の負担軽減、
サービス向上
等を一層推進することが可能となります。したがいまして、国、地方ともに厳しい財政状況の中におきましても、このシステムを
導入
していくだけの価値は十分あるものと考えております。
住民基本台帳カード
の
危険性
等についてのお尋ねでありました。 この
カード
は、
住民
の任意の請求に基づき発行されるものであり、その
交付
を受けない場合でも、従来どおりの
行政
サービス
を受けることが可能であることから、
カード
の所持、
携帯
が
義務
づけられることはないものであります。また、
ICカード
の特性を生かして、
個人情報
の
保護
措置
を十分に講ずることといたしております。 このシステムが
地方分権
に逆行するとのお尋ねでありますが、このシステムは、国が
本人確認情報
に関する
事務
を執行するものではなく、また、
都道府県知事
の委任により、
事務
処理
の効率性、正確性の確保のために
指定情報処理機関
に
事務
を担わせるものであります。したがいまして、このシステムは、
市町村
と
都道府県
が連携して構築するものでありまして、
地方分権
の推進に資するものであると考えております。 残余の
質問
につきましては、関係大臣から答弁させます。(
拍手
) 〔
国務大臣野田毅
君
登壇
〕
野田毅
13
○
国務大臣
(
野田毅
君)
総理
から基本的な点についてお答え申し上げましたので、
自治大臣
として幾つかの点について加えさせていただきます。 まず、
国民
総
背番号制度
との関係についてのお尋ねでございます。 このシステムは、
住民基本台帳
を基礎とした
地方公共団体
共同の分散分権的なシステムであること、保有
情報
は、
本人確認
のための
氏名
、
住所
、性別、生年月日、
住民票コード
及び付随
情報
のみであるということでございますので、
国民
に付した
番号
のもとに国がさまざまな
個人情報
を一元的に収集
管理
する
国民
総
背番号制
とは異なるものでございます。 次に、
個人情報保護
についてのお尋ねでございますが、電算
処理
業務の
外部委託
に関しては、電算
処理
業者に、
本人確認情報
の
漏えい
を防止するための安全確保
措置
を講じることを
義務
づけるとともに、電算
処理
に従事する者についても、通常よりも重い
罰則
により担保された
秘密保持義務
を課しており、
個人情報
は適切に
保護
されるものと考えております。 また、費用対効果についてのお尋ねがございました。 このシステムの
導入
効果として、数値化可能なものだけを一定の仮定のもとで、節減時間や人件費などにより試算をしました場合、毎年、
行政側
で約二百四十億円、
住民
負担の軽減として、
住民票
の
写し
の
広域交付
、各種
行政
における
住民票
の
写し
の添付の省略などで、約二百七十億円を見込んでおります。
住民基本台帳カード
の
危険性
などについてのお尋ねがございました。
ICカード
は、
カード
内の
情報
が
外部
の者に読み取られたり、
カード
自身を偽造されたりすることがないようにするため、
情報
を暗号化して記録できるなど、現行技術上、セキュリティー確保機能が高いという特性を有しております。各
市町村
においては、条例の定めるところにより、希望する
住民
に対し、条例に
規定
する
目的
のためにこの
カード
に付加
情報
を記録し、
利用
できることとしております。
住民基本台帳ネットワークシステム
が
地方分権
に逆行するとのお尋ねがありました。 このシステムは、
市町村
の
情報
化への取り組みや、
全国
市長会、
全国
町村会からの要望などを踏まえて、
市町村
が
住民基本台帳制度
を運営するという
制度
の基本的枠組みを変更することなく、
全国
的に
市町村
の区域を越えた
本人確認
ができるような仕組みを付加するものでありまして、
地方分権
の推進に役立つものと考えております。(
拍手
)
—————————————
〔
議長
退席、副
議長
着席〕
渡部恒三
14
○副
議長
(渡部恒三君) 桝屋敬悟君。 〔桝屋敬悟君
登壇
〕
桝屋敬悟
15
○桝屋敬悟君 私は、ただいま
議題
となりました
住民基本台帳法
の一部を改正する
法律案
に対し、公明党・改革クラブを代表して、
質問
を行いたいと思います。先ほどと論点は重なる部分もありますけれども、
国民
の
プライバシー
に関する極めて重要なテーマでありますので、改めて、何点か
質問
をさせていただきたいと思います。 初めに、今回の
法律
改正の
趣旨
、
目的
についてお尋ねをしたいと思います。 今回の
法律
改正は、各種
行政
の基礎であり、
居住関係
を公証する
住民基本台帳
の
ネットワーク
化を図り、
住民票コード
と
氏名
、
住所
、性別、生年月日の四
情報
により、
全国
共通の
本人確認
ができる仕組みを構築することによって、高度
情報
化
社会
に対応して、国、地方を通じた
行政
改革、
住民
の負担軽減、
サービス向上
を図るものとされております。 こうした
住民票コード
という名前を聞くだけで、私どもは、
行政
管理
庁が研究を行ったあの
国民
総
背番号制
をほうふつとさせ、
国民
の
プライバシー
と関連しまして、多くの
国民
が重大な関心を抱くわけでありますが、今回の
法律案
は、かつて
議論
されました
国民
総
背番号制
と基本的にどう異なるのか、まず、
国民
にわかりやすく、
自治大臣
、御
説明
をお願いしたいと思います。
住民基本台帳法
第一条には、あくまでも、当該
市町村
において
住民
の
居住関係
を公証し、
住民
に関する記録を統一的に行うと、
住民基本台帳制度
の
目的
が
規定
されているわけであります。しかし、今回の
改正案
では、国の
行政機関
等がそれぞれの
行政
目的
のために使用することを認めておりますし、
住民票
の
写し
の
広域交付
を行うこととされており、
改正案
に基づくこうした
住民基本台帳ネットワークシステム
は、
住民基本台帳法
の
目的
に反するのではないかと考えますが、
自治大臣
の御見解をお伺いしたいと思います。 また、
住民基本台帳
の
全国
共通の
本人確認
システムやその他、国、地方を通じた
行政
改革ができるとされておりますけれども、こうした新しいシステムのコストベネフィットはどのように見込んでおられるのか、
自治大臣
に重ねてお伺いしたいと思います。システム整備費用と
行政
経費
の削減、
国民
の負担軽減などについて、費用対効果の具体的な数字をお示しいただきたい。 次に、
プライバシー
保護
の観点から
質問
をいたします。 この点については、現行
住民基本台帳法
そのものが、第三条において、知り得た事項を使用するに当たって
個人
の
基本的人権
を尊重するように努めなければならないと
規定
されているにすぎず、
個人情報
の
保護
に関しては、甚だ無防備な法システムとなっております。 したがって、今回の新しいシステム案においては、
本人確認情報
を
保護
するため、
専用回線
の
利用
、通信
データ
の暗号化、パスワード等による端末操作者の認証チェック等々の
措置
が盛り込まれているわけでありますけれども、
データ
漏えい
に関して最も危惧するのは、電算
処理
業務を
外部委託
できる道を開いている点であります。 当然ながら守秘
義務
が課せられてはいるものの、過去に
データ
漏えい
事件がしばしば起きておりますことから、
外部委託
により、
個人情報
が
関係者
によって持ち出される
危険性
が大きくなるものと考えますが、これをどのように防ぐべく方策が施されているのか、
自治大臣
に御所見を伺いたいと思います。 さらに、
全国
津々浦々に配置される端末にわたって、セキュリティーが保たれる
保障
があるのか。そして、万が一、
漏えい
や盗用があった場合、その責任の所在はどうなるのか。台帳を
管理
する
市町村
の責任なのか、それとも、
ネットワーク
の部分を担当する
都道府県
ないし
指定情報処理機関
なのか。これらの点についても、あわせてお尋ねをしたいと思います。 次は、
データ
の結合についてであります。 現在、我が国の
行政
には、パスポート、年金
制度
、
雇用保険
制度
等さまざまな
データベース
が構築されており、機能を果たしております。こうした実態の中で、今回の
住民票コード
は、
行政機関
の保有する
データベース
にアクセスをするためのマスターキーとなるものであり、これを許すならば、役人主導の国による電子
国民
監視システムとなってしまうとの批判さえなされているところであります。
行政機関
が収集し
利用
している
個人情報
は、犯罪
情報
、税務
情報
、医療、教育、年金、福祉、国勢調査などなど多種多様であり、これらの
情報
がオンライン化され
データ
マッチングが行われるとなると、まさに
国民
の
プライバシー
は丸裸となり、
個人
の尊厳を著しく侵害する重大な危機をはらむこととなります。 こうしたことから、
法律案
では、
情報
提供
できる公的機関と
利用
事務
を
法律
で限定し、
情報
提供
を受けた公的機関にも
目的外利用
を禁止しておりますけれども、だれが考えても、今回のシステムをさらに活用し、
データベース
間を結合すれば、より効率的な
行政
運営が期待されるわけであり、私は、我が国は次なる悩ましい状況を迎えるのではないかと危惧をするわけであります。 それが証拠に、
住民
記録システムの
ネットワーク
の構築等に関する研究会の
報告書
では、将来、
納税者番号
制度
への活用を示唆しているところであり、さらに、
法律
で
規定
すれば
データ
のマッチングが可能ということを勘案すれば、私は、
住民票コード
は将来の
行政
データベース
のマスターキーの役割を担うものではないのか、本
法律案
が国による
国民
監視システムへの道を開くものではないのかと大いに危惧するところでありますが、
総理
の御所見をお伺いしたいと思います。 あわせまして、大蔵大臣に、
納税者番号
の検討について、どのような仕組みを想定され、検討されているのかお伺いしたいと思います。 なお、今回のシステム案の中で、公的機関の
本人確認情報
の
提供
が行われた場合、
国民
にとっては、いつ、どこで、どのような
目的
で
情報
提供
されたのか、こうした実態をどのようにして把握することができるのか、お伺いしたいと思います。また、
使用済み
の
本人確認情報
の消去はどうして行われるのか、あわせて
自治大臣
にお尋ねをしたいと思います。 さらに、多くの地方自治体が制定しております
個人
保護
条例については、オンライン禁止条項を定めているところも見られますけれども、各自治体の条例との整合性については問題はないのか、
自治大臣
にお伺いしたいと思います。 次に、
住民基本台帳カード
についてお尋ねをいたします。 今回の
法律案
では、
国民
が
ネットワーク
を
利用
して、より積極的な
行政
サービス
を受けることができるようにすることを
目的
として、
市町村
が発行する
全国
共通様式の
住民基本台帳カード
の
交付
を受けることができるとされております。 さらに、この記憶媒体は
ICカード
となっており、八千文字の記憶容量を活用し、
市町村
の実態に応じた活用が可能となっているわけであります。この
住民基本台帳カード
についても、
住民票コード
と同様に、ID
カード
ではないか、
国民
皆登録証
携帯
制度
ではないかとの強い危惧が表明されているところであります。 もちろん、
カード
の発行はあくまでも本人の任意の申請に基づくものとされておりますけれども、新しいシステムが稼働を始め、
市町村
によって活用が進んだ場合、
カード
を所持する者と所持しない者との間に、先ほどもありましたが、
事務
手続上の差異、
行政
サービス
提供
の差異が生じ、その結果、本人の申請とはされていましても、事実上、
カード
の発行申請を
義務
づけられることになるのではないかと考えますが、
自治大臣
の御見解をお伺いしたいと思います。
最後
に、
指定情報処理機関
についてお尋ねをしたいと思います。
自治省
が示されました
ネットワーク
のイメージ図においては、市区町村の組織に加え、
都道府県
センター及び
全国
センターを設けることとされており、
本人確認情報処理事務
を
指定情報処理機関
に委任することとされています。したがって、この
指定情報処理機関
は
住民基本台帳ネットワークシステム
の中心的役割を果たすものと考えられますけれども、一体どのような機関が
指定情報処理機関
になるのか、お示しをいただきたいと思います。 また、
都道府県
センターと
全国
センターの関係もまことに不明確であり、
都道府県知事
が
本人確認情報
の一部を
指定情報処理機関
に委任できることとなっていることから、両者は一体的に同一機関が兼ねることとなるのではないかと考えますが、具体的にお示しをいただきたい。そうであるならば、
個人情報
が高度に集中
管理
されることとなり、
地方分権
も形骸化されるのではないかと考えますが、
自治大臣
の御所見をお伺いしたいと思います。 また、我が国の
個人情報保護
制度
は、公的部門に対する
個人情報保護
法があるものの、
基本的人権
としての
個人
の
プライバシー
保護
の観点では必ずしも十分ではないとの指摘もあり、
民間
部門においては全く立法もない状況であります。高度
情報
化
社会
のもとで、
国民
の
プライバシー
を守るためには、
民間
も対象に含めた、包括的で厳格な
個人情報保護
法の制定が必要であると考えます。さらに、新しい
住民基本台帳
システムを
導入
するに当たっては、
行政
から独立した監視機関がぜひとも必要であると考えますが、以上二点については、
総理
の御所見をお伺いしたいと思います。 今回の
住民基本台帳法
の改正によって、本当に
社会
や
国民
の利便性をもたらし、適正な
行政
目的
や公益にかなうものであれば、私たちもこうした流れは大切にしたいと考えます。しかし、今回の
法案
は、これまで私が指摘してきただけでも、多くの
問題点
が残されたままになっています。また、
国民
のための改正というならば、
プライバシー
保護
の観点から、
国民
の不安が完全に除去されるまで、
国会
で徹底した
審議
、かつ慎重な
審議
が行われることを強く期待し、私の
質問
を終わりたいと思います。 ありがとうございました。(
拍手
) 〔内閣
総理
大臣小渕恵三君
登壇
〕
小渕恵三
16
○内閣
総理
大臣(小渕恵三君) 桝屋敬悟
議員
にお答え申し上げます。
国民
監視システムとなる可能性についてのお尋ねでありました。 このシステムは、
地方公共団体
共同の分散分権的システムでありまして、保有
情報
は、
本人確認
のための
氏名
、
住所
、性別、生年月日、
住民票コード
及び付随
情報
に限られ、さらに、
住民票コード
をもとにさまざまな
個人情報
を一元的に収集
管理
することを認めない仕組みになっていることから、国による
国民
監視システムとは異なるものと考えております。 高度
情報
社会
における
個人情報
の
保護
について、お尋ねがありました。
個人情報
の内容や
用途
、収集の方法は業種業態ごとに異なるため、基本的には、それぞれにおいて、
民間
によるガイドラインの整備等の自主的対応を促す必要があると考えます。一方、
個人
の信用
情報
や医療
情報
等、機密性が高く、かつ
漏えい
した場合の
被害
の大きい分野につきましては、法規制等の公的関与が十分検討されるべきであると考えます。 独立した監視機関の必要性についてお尋ねでありました。 このシステムは、
指定情報処理機関
に設置される
本人確認情報
保護
委員会
等の実質的には独立性の高い機関が、
本人確認情報
に係る
事務
処理
を客観的にチェックし、必要な意見を述べる体制といたしております。これらの機関が十分に機能することによりまして、
本人確認情報
の
保護
は達成できるものと考えております。 以上、御答弁申し上げましたが、残余の
質問
につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(
拍手
) 〔
国務大臣野田毅
君
登壇
〕
野田毅
17
○
国務大臣
(
野田毅
君)
行政
管理
庁が研究した
番号
制と今回の
改正法案
との相違点についてのお尋ねでございます。
住民基本台帳ネットワークシステム
というのは、
地方公共団体
共同の分散分権的システムでございまして、保有
情報
を、
住民票コード
、
氏名
、
住所
、性別、生年月日及び付随
情報
のみとすることでございますので、国が相互
利用
の促進を図るために
導入
する
番号
制というものとは異なるものであるということを申し上げたいと思います。
住民基本台帳法
の
目的
規定
と、
住民基本台帳ネットワークシステム
の関係についてのお尋ねがございました。 このシステムは、
市町村
が
住民基本台帳制度
を運営するという基本的枠組みを維持しつつ、
住民
の利便の増進や、国及び
地方公共団体
の
行政
の
合理化
のために、
全国
的な
本人確認
のための仕組みを付加するものであり、
住民基本台帳法
の
目的
に沿ったものであると考えております。 このシステムの費用対効果についてのお尋ねでございますが、費用につきましては、システム開発費などの基本的な
導入
経費
として約四百億円、
コンピューター
維持費等の
年間経費
として約二百億円を見込んでおります。一方、効果につきましては、数値化可能なものだけを一定の仮定のもとで、節減時間、人件費等により試算をいたしました場合、毎年、
行政側
で約二百四十億円、
住民
負担の軽減として約二百七十億円を見込んでおります。 それから、電算
処理
業務の
外部委託
に伴う
個人情報
の
漏えい
についてのお尋ねでございます。 このシステムにおきましては、電算
処理
業者に、
本人確認情報
の
漏えい
を防止するための安全確保
措置
を講じることを
義務
づけておりますとともに、当該電算
処理
に従事する者についても、通常よりも重い
罰則
により担保された
秘密保持義務
を課しておりまして、
個人情報
は適切に
保護
されるものと考えております。 端末の増加に伴うセキュリティーの問題についてのお尋ねがございました。 このシステムにおきましては、
ネットワーク
端末を保持するすべての者に、
本人確認情報
の
漏えい
を防止するための安全確保
措置
を講じることを
義務
づけるとともに、端末を操作する者についても、通常よりも重い
罰則
により担保された
秘密保持義務
を定めており、セキュリティーは適切に確保されるものと考えております。 それから、
本人確認情報
の
漏えい
や盗用があった場合の責任の所在についてのお尋ねでございます。 このシステムにおきましては、
市町村
、
都道府県
及び
指定情報処理機関
それぞれに、
情報
の安全確保
措置
を講ずることを
義務
づけております。仮に、この
義務
を怠ったために
情報
の
漏えい
や盗用が行われたとすれば、その
漏えい
や盗用が行われたところがその責任を負うものと考えております。
本人確認情報
の
提供
実態の把握や
使用済み
情報
の消去についてのお尋ねですが、国の
機関等
への
本人確認情報
の
提供
の状況につきましては、
報告書
が作成され、これが公表されることとなっております。また、
本人確認情報
の
提供
を受けた国の
機関等
は、これらの
情報
の安全確保
措置
を講ずる
義務
を負っており、不要となった
情報
については消去することが適切であると考えております。 次に、このシステムとオンライン禁止条項との整合性についてのお尋ねがございました。 このシステムに基づく
情報
の送信につきましては、
個人情報保護
措置
を講じた上で、
法律
の
規定
を置くことにより、条例の禁止
規定
が解除されるものと考えております。なお、その他の
情報
の送信につきましては、当該条例の禁止
規定
は従来どおり効力を有するものであり、条例そのものの効力は失われないものであります。 それから、
住民基本台帳カード
の発行申請の
義務
づけについてのお尋ねがございました。 この
カード
は、
住民
の任意の申請に基づき発行されるものであること、また、
カード
の
交付
を受けない場合においても、従来どおりの
行政
サービス
を受けることが可能であることなどから、
制度
上のみならず事実上も、この
カード
の発行申請が
義務
づけられることはないものと考えております。 それから、
指定情報処理機関
についてのお尋ねがございました。 この機関は、高度な秘密事項である
住民票コード
を含む
本人確認情報
に係る
事務
を合理的かつ効率的に運用させるための
全国
的な組織でありまして、
地方公共団体
が基本財産の全部または一部を拠出している法人であります。
自治大臣
が、
本人確認情報処理事務
を行おうとする者からの申請を受けて、その能力、組織及び職員の体制等が十分に信頼に足りるか否かの基準に照らして、指定を行うものでございます。
本人確認情報
に係る
事務
の
指定情報処理機関
への委任についてのお尋ねでございますが、このシステムは、広域的な
地方公共団体
である
都道府県
が、
事務
処理
の効率性、正確性を確保するため、その
事務
のうち、
全国
的組織が一括して行う方が適当であるものを、
全国
センターである
指定情報処理機関
に委任できるとするものでございまして、
指定情報処理機関
にすべての
事務
を委任するというものではございません。
最後
に、
個人情報
の集中
管理
による
地方分権
の形骸化のおそれについてのお尋ねがございました。 このシステムは、国が
本人確認情報
に関する
事務
を執行するものではなく、また、
都道府県知事
の委任により、
事務
処理
の効率性、正確性のために
指定情報処理機関
に
事務
を担わせるものでございます。したがって、
地方公共団体
が連携して構築していくものであり、
地方分権
の推進に資するものであると考えております。(
拍手
) 〔
国務大臣
宮澤喜一君
登壇
〕
宮澤喜一
18
○
国務大臣
(宮澤喜一君)
納税者番号
についてお尋ねでございましたが、
納税者番号
制度
につきましては、従来から、
政府
の税制調査会におきまして、かなり長いこと時間をかけまして、適正、公平な課税の実現、あるいは税務
行政
の機械化、効率化という観点から検討が行われてまいっておりますが、まだ結論を出しておりません。
平成
十一年度の、最近の答申におきましても、この税制調査会が述べておりますように、経済取引への影響、
民間
及び
行政
のコストと効果、
プライバシー
保護
等の課題を含めまして、
国民
の理解がさらに深められるよう、より掘り下げて具体的な検討を進めていくことが必要であるというふうに考えております。(
拍手
)
—————————————
渡部恒三
19
○副
議長
(渡部恒三君) 知久馬二三子君。 〔知久馬二三子君
登壇
〕
知久馬二三子
20
○知久馬二三子君 私は、ただいま
議題
となりました
住民基本台帳法
の一部を改正する
法律案
につきまして、
社会
民主党・
市民
連合を代表して、
総理
並びに関係大臣に
質問
させていただきます。 この
法律案
につきましては、昨年、
国会
に提出する過程で、我が党は、
自治省
と数次にわたって折衝を行い、多くの
問題点
の解明に努めてまいりました。しかし、その中でも依然不明な点が多く、今回改めて
質問
させていただくことを、まずもってお断りいたします。 現行の
住民基本台帳法
は、
市町村
において
住民
の
居住関係
を公証し、
住民
に関する記録を正確かつ統一的に行うことによって、
住民
の利便の増進を図るというところに第一の
目的
があります。しかし、今回の
改正案
で実現しようとする
住民基本台帳ネットワークシステム
は、
市町村
においてと定めた
住民基本台帳
の
制度
を根幹から変更するものであり、国の
行政機関
等が、
住民
の
居住関係
の公証、
選挙
人名簿の登録その他
住民
に関する
事務
の
処理
の基礎とするための
住民基本台帳
を、他の
目的
に使用することをも認めております。 今回の改正は、現行の
住民基本台帳法
の
目的
を大きく踏み外すものであると考えますが、
総理
の御所見をお伺いいたします。
個人
の
情報
の
保護
に関して無防備な現行
住民基本台帳制度
に、全く異質な
住民基本台帳ネットワークシステム
を、単に
情報
の正確性や
導入
コストの面から最適であるとして
導入
しようとしている点に、さまざまな問題の根本的な原因があると考えるものでございます。本来、
住民
から見て、最も身近なものであるはずの
住民基本台帳
の
法律
が、今回の
改正案
では、
法律
的にも極めてわかりにくい構成となっています。それ一つとっても、この
法改正
にはかなり無理があるのではないでしょうか。 私たちの日常の
国民
生活
において、直ちに
住民票
が必要になるような事態がたびたびあるでしょうか。また、結局窓口に行かざるを得ないことになります。今回の改正で本当に
住民
の利便性が上がるのか、疑問を持たざるを得ません。それほど効率的と言えない
住民基本台帳
の
ネットワークシステム
に、
初期投資
約四百億円、
年間経費
二百億円と言われる費用をかける意味は、一体どこにあるのでしょうか。
行政機関
が収集し
利用
している
個人情報
は、犯罪
情報
、税務、医療、教育、年金、福祉、家族
情報
、国勢調査など多種多様であります。現在、各
行政機関
は法令の
目的
の
範囲
内で行っているものであり、一応限定されております。しかし、
住民基本台帳ネットワークシステム
は、将来すべての
行政機関
をオンラインで結ぶことなどによって、このような
個人情報
の結合と集積を招く
危険性
を持っていると言わざるを得ません。 そこで、
総理
にお伺いいたしますが、
政府
は、
日本
のこれからの
行政
システムの中で個別
番号
制をとるのか、また総合的な
番号
制をとろうと考えておられるのか、その将来構想を明らかにしていただきたいと思います。
個人
の
プライバシー
問題に着目し、その
保護
に努めてきた地方自治体は少なくありません。
個人情報保護
条例を設けている自治体は千四百七団体、規則や
規定
などにより
個人情報保護
対策を講じている自治体を含めますと、二千二百七十三の団体があり、
全国
の六八・六%にも及んでいます。中央官庁などとのオンライン接続の禁止を定めている自治体も五百六十五団体を数えております。
選挙
人名簿登録や
国民
健康保険など、多くの
行政
事務
の台帳が
住民基本台帳
へと一本化され、
コンピューター
化も進みましたが、
日本
の
行政
の現場では、部落差別や民族差別など、
個人
の
プライバシー
をめぐる問題が日常的に起こってまいりました。経済的に見れば非効率と思われるオンライン接続の禁止
措置
も、結婚や就職などの
住民
にとって重大な局面で
個人情報
をめぐるトラブルがもたらした深刻な結果に対して、多くの自治体が努力され、つくり上げられてきたものと考えるものでございます。
政府
は、
行政
の
情報
化の推進の名のもとに、地方自治体に対してオンライン接続禁止の見直しを求めてきましたが、こうした
プライバシー
保護
にかかわる
全国
の自治体の努力に対して、どのように評価されているのか、見解を承りたい。また、この
法律
改正について、どれだけの自治体から、どのような要望があったのかを明らかにしていただきたいものでございます。 そもそも
情報
の主権者が
住民
であることを考えれば、本
改正案
では、本人
情報
の開示請求、訂正、
利用
状況の開示、
苦情処理
機関、
カード
交付
の任意性の
保護
と、
カード
を持たない
住民
に対する不利益扱いの排除、
カード
への
情報
付加に対する拒否権などについて、明確にされているとは言えません。 しかも、条例の制定によって、自治体が
個人情報
の
利用
を拡大していくことができることについては、当然一定の制限があると考えます。とりわけ権力
行政
については制限されてしかるべきと考えますが、この点についての御見解を承りたいと思います。 次に、海外では、特に欧州連合、EUにおいて、一九九五年十月、
個人
データ処理
に係る
個人
の
保護
及び当該
データ
の自由な移動に関する欧州議会及び理事会の指令が採択され、九八年の十月に発効しています。これによれば、十分なレベルの
個人情報
の
保護
措置
を講じていない第三国への
個人
データ
の移転を禁止しております。EU
個人
データ
保護
指令の発効を受けて、我が国より
個人
データ
保護
の面で進んでいる米国でさえ、EUと協議に入っているとも聞いております。 我が国においては、
行政機関
の保有する電子計算機
処理
に係る
個人情報
の
保護
に関する
法律
が一九八九年十月から施行されていますが、
民間
部門では全く立法がなされておらず、OECDの
勧告
を受けて、通産省や郵政省において
個人情報保護
のガイドラインが策定されているだけであります。 そこで、お尋ねいたしますが、EUは
日本
の
個人情報保護
の現状をどのように見ているのでしょうか。さらに、
日本政府
はこの問題でEUに対してどのような基本的対応をしていくのかを明らかにしていただきたい。
最後
ですが、
本人確認情報
が、
情報
主体である
国民
の知らない間に、
ネットワーク
を通じて
市町村
から他の
市町村
、
都道府県
、国、法人へと
提供
され、いつ、どこへ
提供
されたのか開示されることはない。しかも、その
提供
先の
用途
は、この
法案
の
別表
に掲げられた特定の
事務
に限らず、条例で定める
事務
、国の
行政機関
の所掌
事務
といったように、無限定なものとなっています。 このような
個人情報
の
利用
の仕方を考えれば、今必要なことは、
民間
部門を含めた包括的な
個人情報保護
法であります。それを欠いたまま
住民基本台帳ネットワークシステム
を構築することは、まさしく
国民
の
プライバシー
に対する実害を生じさせる
危険性
が高いと言わざるを得ません。この点につきまして
総理
の御所見をお伺いし、私の
質問
を終わらせていただきます。(
拍手
) 〔内閣
総理
大臣小渕恵三君
登壇
〕
小渕恵三
21
○内閣
総理
大臣(小渕恵三君) 知久馬二三子
議員
にお答え申し上げます。
住民基本台帳法
の
目的
と、
住民基本台帳ネットワークシステム
との関係について、お尋ねであります。 このシステムは、
市町村
が
住民基本台帳制度
を運営するという基本的枠組みを維持しつつ、
住民
の利便の増進や国及び
地方公共団体
の
行政
の
合理化
のために、
全国
的な
本人確認
のための仕組みを付加するものでありまして、
住民基本台帳法
の
目的
に沿ったものと考えております。 個別
番号
制度
と総合的な
番号
制についてお尋ねですが、
住民票コード
は、
住民基本台帳
事務
のための
番号
でありまして、法定された公的部門に
氏名
、
住所
等の
本人確認情報
を
提供
するために
利用
されるものであります。また、
本人確認情報
の
目的外利用
を禁止していることからも、
住民票コード
をもとに、国がさまざまな
個人情報
を一元的に収集
管理
することはできないこととなっております。
民間
部門を含めた包括的な
個人情報保護
法の必要性についてのお尋ねでありました。 この
ネットワークシステム
におきましては、
民間
部門を
本人確認情報
の
提供
先とせず、
本人確認情報
の厳重な
保護
措置
を講じ、さらに
住民票コード
の
民間利用
を禁止していることから、このシステムを
導入
する前提として、包括的な
個人情報保護
法の制定を要するものではないと考えております。 残余の
質問
につきましては、関係大臣から答弁させます。(
拍手
) 〔
国務大臣
高村正彦君
登壇
〕
高村正彦
22
○
国務大臣
(高村正彦君)
個人情報保護
に関してのお尋ねでありますが、我が国における
個人情報保護
は各業界が自主規制によって行っておりまして、EUは、我が国の自主規制の有効性につき検討を行っているところでございます。 我が国の個々の分野における取り組みにつきましては、関係
各省
庁が既存の対話の枠組みを通じて、EUへの
説明
を行っているところであります。今後とも、EUとの意見交換を継続し、EU側の理解を得たいと考えております。(
拍手
) 〔
国務大臣野田毅
君
登壇
〕
野田毅
23
○
国務大臣
(
野田毅
君)
住民
の利便性とコストについてのお尋ねでございます。
住民基本台帳ネットワークシステム
を
導入
した場合には、
行政側
のメリットのみならず、
住民
側におきましても、
住民票
の
写し
の
広域交付
、第二に、
転入
転出手続の
簡素化
、各種
行政
手続における
住民票
の
写し
などの添付の省略、
住民基本台帳カード
の活用など、コストに見合う利便性が十分にあるものと考えております。
個人情報保護
条例についてのお尋ねでございます。
個人情報保護
の重要性の認識の深まりにつれて、条例制定団体が毎年度増加しておりますが、一方で、通信回線を活用しての
情報
処理
は高度
情報
通信
社会
の実現のためには不可欠でありますことから、オンライン接続禁止の
規定
については、今後、
個人情報
の十分な
保護
を図りつつ、個別に見直しをする必要があると考えております。
地方公共団体
からの
法改正
に係る要望の実績についてのお尋ねでございましたが、
全国
知事会からは、このシステムが
住民
サービス
の向上、
行政
の効率化、高度化に資するとの認識をいただいております。また、
全国
市長会、
全国
町村会からは、同様の認識のもとに、早期に
法改正
を行い、
制度
化を図ることの要望をいただいておるところでございます。
本人確認情報
の開示請求、訂正や
利用
状況の開示についてのお尋ねでございますが、
改正案
におきましては、
都道府県知事
または
指定情報処理機関
に対する
本人確認情報
の開示請求や
情報
の訂正等の申し出をできることとし、また、国の
機関等
への
情報
提供
の状況について毎年
報告書
により公表することとされておりますので、御指摘の点については、
制度
的に明確になっておるものと考えております。
苦情処理
機関についてのお尋ねでございますが、
市町村
、
都道府県
及び
指定情報処理機関
に、
本人確認情報
に関する苦情の適切かつ迅速な
処理
に努める
義務
を定めております。この
市町村
などにおける
苦情処理
の体制に加え、
都道府県
に
本人確認情報
保護
のための
審議会
を、また
指定情報処理機関
に
本人確認情報
保護
委員会
を設けることにより、適切かつ迅速に苦情が
処理
されると考えております。 次に、
住民基本台帳カード
の
交付
の任意性の
保障
についてのお尋ねでございます。
住民基本台帳カード
は、
住民
の任意の申請に基づき発行されるものであること、また、
カード
の
交付
を受けない場合においても、従来どおりの
行政
サービス
を受けることが可能であることなどから、
制度
上のみならず事実上も、この
カード
の発行が
義務
づけられることはないものと考えております。 次に、
カード
への
情報
付加に対する拒否権についてのお尋ねがございました。
住民基本台帳カード
は、各
市町村
において議会の議決を経た条例に基づき、付加される
情報
を
カード
内の専用エリアに記録して、高度な
住民
サービス
を
提供
するために
利用
できることとしております。付加される
情報
を記録してこの
サービス
を受けるかどうかは、
住民
が任意に判断できるものと考えております。
最後
に、
都道府県
条例に基づく
本人確認情報
の
利用
を権力
行政
等に拡大する際の制限についてのお尋ねがございました。
改正案
では、各
都道府県
は、
住民基本台帳法
の
趣旨
を適切に踏まえた上、
住民
の代表で構成される
都道府県
議会において条例が定められた場合に限り、条例で定める
事務
の
処理
のため、
本人確認情報
を
利用
、
提供
できることとしているところであります。 以上でございます。(
拍手
)
渡部恒三
24
○副
議長
(渡部恒三君) これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
渡部恒三
25
○副
議長
(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。 午後二時二十七分散会
————◇—————
出席
国務大臣
内閣
総理
大臣 小渕 恵三君 外務大臣 高村 正彦君 大蔵大臣 宮澤 喜一君
自治大臣
野田 毅君 出席
政府
委員
自治省
行政
局長 兼内閣
審議
官 鈴木 正明君