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1999-03-12 第145回国会 衆議院 本会議 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十二日(金曜日)     —————————————  議事日程 第八号   平成十一年三月十二日     正午開議  第一 国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 通信放送機構法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 通信放送機構法の一部を改正する法律案内閣提出)  ものづくり基盤技術振興基本法案参議院提出)  日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定締結について承認を求めるの件(第百四十二回国会内閣提出)、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案(第百四十二回国会内閣提出)及び自衛隊法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後零時二分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣提出
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第一、国立学校設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。文教委員長小川元君。     —————————————  国立学校設置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔小川元登壇
  4. 小川元

    小川元君 ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、国立大学における教育研究体制整備を図るため、第一に、新潟大学及び鳥取大学に併設されている三年制の医療技術短期大学部を廃止して、それぞれの大学の医学部に統合するとともに、新潟大学医療技術短期大学部平成十五年度に、鳥取大学医療技術短期大学部平成十四年度に、それぞれ、在学生の卒業をもって廃止するものであります。  第二に、昭和四十八年度以後に設置された国立医科大学等に係る平成十一年度の職員の定員を定めるものであります。  本案は、三月四日本委員会に付託され、翌五日有馬文部大臣から提案理由説明を聴取し、昨日質疑を行い、採決の結果、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 通信放送機構法の一部を改正する法律案内閣提出
  7. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第二、特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案日程第三、通信放送機構法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。逓信委員長中沢健次君。     —————————————  特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書  通信放送機構法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔中沢健次登壇
  8. 中沢健次

    中沢健次君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、逓信委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律の一部を改正する法律案は、高度情報通信社会の構築に資するため、警察通信の安全を確保するための機能を有する電気通信システム、及び水火災等災害状況を把握し、これらの災害による被害を予測するための機能を有する電気通信システムを、特定公共電気通信システム追加しようとするものであります。  次に、通信放送機構法の一部を改正する法律案は、通信放送機構が行ういわゆる衛星管制業務の経営の自立化を図るため、当該業務出資資格者から政府を除くこと等とするものであります。  両法律案は、去る三月九日本委員会に付託され、同月十日野田郵政大臣から提案理由説明を聴取し、昨十一日質疑を行い、採決の結果、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  11. 岸田文雄

    岸田文雄君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。  参議院提出ものづくり基盤技術振興基本法案議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  12. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程追加されました。     —————————————  ものづくり基盤技術振興基本法案参議院提出
  14. 伊藤宗一郎

  15. 古賀正浩

    古賀正浩君 ただいま議題となりましたものづくり基盤技術振興基本法案につきまして、商工委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、国民経済に極めて重要な役割を果たすものづくり基盤技術について、その振興のための施策を総合的かつ計画的に推進しようとするものでありまして、施策基本理念及び実施すべき基本的施策等について定めるものであります。  本案は、参議院提出に係るもので、去る三月十日当委員会に付託され、本日参議院経済産業委員長から提案理由説明を聴取した後、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。  なお、本案に対し附帯決議が付されました。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  16. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定締結について承認を求めるの件(第百四十二回国会内閣提出)、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案(第百四十二回国会内閣提出)及び自衛隊法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会内閣提出)の趣旨説明
  18. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、第百四十二回国会内閣提出日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を順次求めます。外務大臣高村正彦君。     〔国務大臣高村正彦登壇
  19. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定につきまして、その趣旨説明申し上げます。  政府は、新たな日米防衛協力のための指針実効性確保のため、周辺事態、すなわち我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態が生じた際に活動する自衛隊米軍との間の物品または役務相互提供を行い得るようにするため、平成八年に締結した現行協定を改正する協定締結することにつき、アメリカ合衆国政府との間で交渉を行いました。その結果、平成十年四月二十八日に、東京でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、日米共同訓練国際連合平和維持活動または人道的な国際救援活動に必要な物品または役務提供について現行協定が定める自衛隊米軍との間の相互主義原則に基づく枠組みを、周辺事態に際しても適用し得るようにするものであります。この協定により、自衛隊は、周辺事態において、関連法律に従って米軍に対し物品または役務提供し、当該法律によって認められた自衛隊活動に関し米軍から物品または役務を受領することができることとなります。  この協定により、周辺事態に際して活動する自衛隊米軍との間の物品または役務相互提供基本的条件が定められ、我が国の平和及び安全の維持に寄与することとなると考えます。  右を御勘案の上、この協定締結について御承認を得られますよう、格別の御配慮を得たい次第でございます。(拍手)     —————————————
  20. 伊藤宗一郎

  21. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) まず、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態、すなわち周辺事態に際しまして、当該事態対応して我が国実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項を定めることを内容としております。  平成九年九月に日米安全保障協議委員会で了承され、安全保障会議の了承を経て、閣議報告されました新たな日米防衛協力のための指針は、より効果的かつ信頼性のある日米防衛協力のための堅固な基礎を構築することを目的としており、同指針実効性確保することは、我が国の平和と安全を確保するための態勢充実を図る上で重要であります。  このような観点から、平成九年九月二十九日の閣議決定において、指針実効性確保し、もって我が国の平和と安全を確保するための態勢充実を図るため、法的側面を含め、政府全体として検討の上、必要な措置を適切に講ずることとされ、これを受けて、政府全体として鋭意検討してきたところであります。  本法律案は、こうした検討の成果を踏まえ、我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態対応して我が国実施する措置等を定め、もって我が国の平和及び安全の確保に資することを目的として提案するものであります。  以上が、この法律案提案理由であります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明いたします。  第一に、政府が、周辺事態に際して、適切かつ迅速に対応措置実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めること、対応措置実施武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならないこと、及び関係行政機関の長は相互協力すること等の対応基本原則を定めております。  第二に、周辺事態に際して、一定の後方地域支援後方地域捜索救助活動及び船舶検査活動実施することが必要な場合には、閣議決定により基本計画を定めることとしております。  第三に、自衛隊による後方地域支援としての物品及び役務提供後方地域捜索救助活動及び船舶検査活動実施等を定めております。  第四に、関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、対応措置実施することとしております。  第五に、関係行政機関の長は、地方公共団体の長その他の国以外の者に対し必要な協力を求めまたは依頼することができること、及びその協力により損失を受けた場合には、政府はその損失に関し必要な財政上の措置を講ずることとしております。  第六に、内閣総理大臣は、基本計画決定または変更があったときは、その内容を遅滞なく国会報告しなければならないこととしております。  第七に、後方地域捜索救助活動または船舶検査活動を行っている者の生命等防護するために、必要最小限度武器使用ができることとしております。  以上が、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案趣旨でございます。  次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  外国における緊急事態に際して防衛庁長官が行う在外邦人等輸送について、平成八年来政府部内で進めてきた緊急事態対応策検討結果を踏まえ、在外邦人輸送体制の強化を図るため、また、新たな日米防衛協力のための指針において、周辺事態における日米間の協力一つとして、非戦闘員を退避させるための活動が挙げられたことを受け、その実効性確保するため、在外邦人等輸送手段船舶等を加えるとともに、輸送職務に従事する自衛官が、隊員及び輸送対象である邦人等生命等防護のための必要最小限武器使用ができることとする必要があります。  以上が、この法律案提案理由であります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明いたします。  第一に、在外邦人等輸送手段追加でございます。  現行法においては、輸送手段は、まず、自衛隊法第百条の五第二項の規定により保有する航空機、すなわち政府専用機等であり、空港施設状況等により、その他の輸送の用に主として供するための航空機使用できることとされておりますが、これに加え、輸送対象となる邦人の数等の事情に応じて、在外邦人等輸送に適する船舶及び当該船舶に搭載された回転翼航空機を用いることができることとするものであります。  第二に、武器使用に関する規定の新設でございます。  緊急事態が生じている外国において輸送職務に従事する自衛官が、自己もしくは自己とともに当該職務に従事する隊員または保護のもとに入った当該輸送対象である邦人等生命等防護のためやむを得ない場合に武器使用することができることとするものであります。  以上が、自衛隊法の一部を改正する法律案趣旨でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)      ————◇—————  日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定締結について承認を求めるの件(第百四十二回国会内閣提出)、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案(第百四十二回国会内閣提出)及び自衛隊法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  22. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。玉沢徳一郎君。     〔玉沢徳一郎登壇
  23. 玉沢徳一郎

    玉沢徳一郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありましたガイドライン関連法案について質問いたします。  私は、現在、党において安全保障調査会長の任にあるものでありますが、日米安保体制の新時代を示すこの法案が、本日、国会において本格的に審議されるに当たり、まさに感無量の心境であります。  顧みますと、日米安保条約改定議題となりました一九六〇年当時、私は一人の学生でありました。条約改定をめぐって、国論が割れ、激しく反対運動が展開され、国会は連日デモの渦に取り囲まれたのであります。  当時は、安保改定によって日本戦争に巻き込まれる、非武装中立の道をとってこそ日本の平和が確立されるという主張が多くをなしておりました。これに対し、私は、東西両陣営の対立の中で、みずからの国を守る手だてを講ずることなしに、日本の平和を守ることができるのか、自由と民主主義を標榜する国々が、協力し合って地域安全保障体制を確立することが、より現実的に日本の平和と安全を守ることになるという考え方に立ちまして、多くの学生諸君に呼びかけ、日米安保改定賛成運動を行ったのであります。  この運動の中で、志をともにし、頑張り抜いた一人の学生がおりました。若き日の小渕総理、あなたであります。(拍手)  あれからもうすぐ四十年になろうとしております。厳しい東西冷戦終結を遂げ、我が国は、幸いにして今日まで、一度たりとも戦争に巻き込まれることなく、平和と繁栄確保してまいりました。  総理、私たちの若きあのときの信念と行動は、決して間違っていなかったと考えております。日米安保条約が果たしてきた今日までの役割についての総理の率直な評価を、まずお伺いいたしたいと存じます。  さて、冷戦終結後の国際情勢は大きく変化いたしました。世界的な規模武力衝突が起こる可能性は少なくなりましたが、宗教上や民族上の問題等に起因する地域紛争が多発いたしております。これからは、これらの地域紛争の発生を抑え、大量破壊兵器弾道ミサイルの拡散を防ぐことによりまして、世界の平和を確立していくことが要請をされております。  以下、私は、関連法案に対し、五点について考え方を述べさせていただきまして、関係閣僚より御所見を承りたいと存じます。  まず第一点は、周辺事態が生起する地域の範囲について、特定の国や地域名前を挙げて明確に説明すべきであるとの声がありますが、特定の国や地域名前を挙げて仮定の事態について論じようとすることは、かえって周辺国に要らぬ誤解と不信を招きかねないこととなると存じますが、この点について、外務大臣の御見解をお伺いいたしたいと存じます。  第二点は、周辺事態に対し、我が国米軍後方地域支援実施することとされております。冷戦終結後に発生する紛争は、地域紛争に限られてくるのが現状であり、これらは限定された戦域において行われるという実情を見ますと、我が国周辺地域がすべて戦闘地域となることは考えられません。総理大臣及び防衛庁長官後方地域を合理的に判断し、そこで米軍に対して支援を行うことは当然可能であると考えますが、防衛庁長官の御見解をお伺いいたします。  第三点は、船舶検査活動に関しまして、世界の平和と安定を乱す国家に対して実効性ある措置をとることは、国際社会の責任ある一員としては当然の責務であります。ただし、こうした措置は、我が国一国のみが実施した場合、かえって対象国との紛争を招きかねません。よって、国際社会と協調して行う必要があり、そのためにも国連安保理決議趣旨とすることが不可欠と考えますが、外務大臣並びに防衛庁長官の御見解をお伺いいたしたいと存じます。  第四点は、本法案関連する新ガイドラインにおいては、我が国に対する武力攻撃に際しての対処行動についても記述しております。特に、弾道ミサイル等への効果的な日米間の防衛態勢を構築し、国民不安解消に努めることは、緊急の課題であると考えます。そこで、弾道ミサイルによる攻撃に対して、その抑止という観点から現在どのような検討がなされているのか、防衛庁長官にお伺いいたします。  朝鮮半島では、現在も、南北合わせて百五十万人を超える兵力が対峙し、引き続き緊張が続く中で、核開発疑惑に加え、テポドンの発射や潜水艦侵入事件などが発生するなど、今後の情勢が懸念されます。現在、事態打開のため、米朝間で真剣な協議が続けられておりますが、私は、抑止対話の両立こそが、問題解決をなし得る最良の道であると信じて疑いません。我が国としては、抑止体制整備とともに、いかなるときも対話の窓口を開き、平和的解決を図るという基本姿勢堅持すべきであると考えます。  ガイドラインにおきましても、日米両国政府周辺事態が発生することのないよう外交上のあらゆる努力を払うことを明記しておりますが、最後に、総理から、外交努力にかける決意のほどをお聞かせ願いたいと存じます。  激動と苦難の二十世紀を乗り越えて、二十一世紀が人類にとって平和と幸せの時代として迎えられますよう、本日を機に、これから国会を挙げ、真摯で精力的な審議がなされますようここに熱望いたしまして、私の代表質問とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  24. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 玉沢徳一郎議員にお答え申し上げます。  日米安保条約役割についてお尋ねがありました。  日米同盟関係の中核であります日米安保条約は、過去四十年間、我が国に平和と繁栄をもたらしただけではなく、アジア太平洋における安定と発展のための基本的な枠組みとして、有効に機能してきたと評価いたしております。このような日米安保条約役割国民の大多数により支持されていると考えておりまして、政府といたしましては、今後とも、日米安保体制堅持安全保障政策の重要な柱の一つとして維持していく考えであります。  我が国外交努力について、最後お尋ねがありました。  我が国を取り巻く国際情勢には、依然として不安定性、不確実性が存在しております。政府といたしましては、日米安保体制堅持及び適切な防衛力整備とともに、域内の信頼醸成のための安保対話や、防衛交流進展等を通じた我が国を取り巻く安保環境安定化が重要であると考えております。そのためにも、玉沢議員指摘をされたとおり、種々の外交努力を行うべきであり、このような努力を今後とも継続してまいるかたい決意で臨みたいと思います。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)     〔国務大臣高村正彦登壇
  25. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 周辺事態についてのお尋ねでありますが、周辺事態とは、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であって、ある事態周辺事態に該当するか否かは、その事態規模態様等を総合的に勘案して判断するものであり、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできません。したがって、ある特定地域における事態につき、あらかじめこれが周辺事態に当たるか否かを判断することは不可能であります。この点については、これまでも繰り返し説明し、明らかにしているとおりでございます。  船舶検査活動についてのお尋ねでありますが、周辺事態において、経済制裁実効性確保するための船舶検査が必要となることも想定され、その際には、国連安保理決議という根拠があることが有益であることから、国連安保理決議の存在が前提となっているわけでございます。  政府といたしましては、現在、国会に提出されている周辺事態安全確保法案等が、国会での審議を経て、早期に成立または承認されることを強く期待しております。(拍手)     〔国務大臣野呂田芳成君登壇
  26. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 後方地域支援についてのお尋ねでありますが、周辺事態安全確保法案に基づく後方地域支援は、後方地域において実施されることとなるわけでありますが、御指摘のとおり、防衛庁長官は、軍事的な常識を踏まえつつ、自衛隊、外務省及び米軍の情報等を総合的に分析することによって、その実施区域を合理的に判断し、内閣総理大臣がこれを承認することとなります。したがって、周辺事態に際して、十分に実効性のある支援を行っていくことは可能であると考えております。  船舶検査活動についてのお尋ねでありますが、周辺事態安全確保法案規定される船舶検査活動は、周辺事態に際して、国連安保理決議に基づく経済制裁実効性確保への寄与が、我が国の平和と安全の確保にも資するとの観点から実施するものであります。  政府としては、かかる活動我が国が行う場合には、安保理決議という根拠があることが有益であると考えており、国連安保理決議に基づく船舶検査活動を含めた形で、現在、国会に提出されている周辺事態安全確保法案国会審議され、早期に成立することを強く期待しております。  弾道ミサイル攻撃に対する検討についてのお尋ねでありますが、弾道ミサイル防衛、BMDについては、我が国防衛政策上の重要な課題であり、政府として平成十一年度から、海上配備型上層システム、NTWDでありますが、を対象とした日米共同技術研究に着手することを決定し、平成十一年度予算において、その経費として約九億六千万を計上したところであります。(拍手)     —————————————
  27. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 畑英次郎君。     〔畑英次郎君登壇
  28. 畑英次郎

    ○畑英次郎君 私は、民主党を代表して、ただいま趣旨説明のありましたガイドライン関連法案について、小渕総理質問をいたします。  我々民主党は、憲法及び日米安保条約の枠内でガイドラインを主体的に運用することは、我が国安全保障上極めて有意義であり、そのための法整備が必要であるという基本認識に立っております。しかしながら、政府提出のガイドライン関連法案は重大な欠陥を持っていると言わざるを得ません。また、法案の詳細や運用、その前提となる安全保障戦略については、政府はこれまでまともな答弁を行ってまいっておりません。  以下、政府外交安全保障政策法案の重大な問題点を指摘し、総理の明確な答弁を要求いたします。  政府周辺事態安全確保法案は、周辺事態を、我が国周辺地域における我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態と定義しております。しかし、これだけでは周辺事態が無限に広がり、米軍支援する自衛隊活動範囲も、米軍とともに世界じゅうに広がる懸念さえあります。  本法案の根拠を一九九六年四月の日米共同宣言に求めるとすれば、日米防衛協力アジア太平洋地域全域に広がることさえ意味しかねません。我々は、周辺事態は、日米安保条約が想定する範囲内で起こった、日本の平和と安全に重大な影響を与える事態であるべきと考えております。  また、ガイドラインには、公海上における対米後方支援など、日米安保条約を無理して広義に解釈しても、届かない措置が含まれております。要するに、日本が新ガイドラインによって、何をどこまで米軍協力できると考えるのかが非常にあいまいであります。  さらに、冷戦後の日本外交戦略を国民にも世界にも提示していないために、このままでは日本はずるずると米軍の歯車になってしまいかねないという懸念が静かに広がっていることも指摘しておかなければなりません。  こうした不安を解消するため、総理から、一つ、冷戦後の日本外交安保戦略は日米安保堅持プラスアルファのものを持っているかどうか。一つ我が国領土への大規模直接侵攻の脅威が大幅に低下した中で、なぜ今ガイドラインなのか。一つガイドラインと一九六〇年に締結された日米安保条約との関係はどうなっているのかという、三つの重要な国民の問いかけに率直にお答えをお願い申し上げます。  また、条約上の義務とそれ以外のものとは明確に区別しておくことが重要であり、ガイドラインに、日米安保条約及びその関連取り決めに直接的根拠を置かないものがあるなら、それを明確に示すことを総理に求めます。  なお、周辺事態安全確保法案は、米軍が全く活動していない場合に、自衛隊が単独で後方地域捜索救助活動船舶検査活動を行える余地を残しております。このことは、本法案日米安保の目的の枠内にさえおさまっていないことを示すものであります。総理見解をお示しください。  次に、基本計画に対する国会の関与のあり方について質問いたします。  政府提出法案は、周辺事態に必要となる措置規定する基本計画閣議決定事項とし、国会には報告で足りるといたしております。その理由として、政府は、周辺事態において我が国が行う措置武力行使を伴うものではなく、国民の権利義務に直接関係がないと説明してまいりました。  しかし、本法案が前提としているいわゆる前方と後方の区分も明確なものではありませんし、日米間で合意したガイドラインの英文も、直訳すれば、周辺事態日本に対する武力攻撃に発展することがあり得ることを日米両国政府が認識しているとも述べておるところであります。さらに、法案第九条の規定する自治体、民間の協力については、防衛庁長官から、協力するのが常識だという旨の答弁も行われており、周辺事態国民の権利義務に重大な影響を与えることは、明々白々の事態であります。  もしも政府周辺事態は大した事態ではないと国民を安心させたいと考えているのならば、それは大変無責任、危険な態度であります。むしろ、周辺事態の性格の重大さを国民に十分説明し、それでも日本の安全のために必要な場合に限って米軍への協力を行い、国民にも協力を呼びかけることこそが、責任ある政治家の態度とお考えになりませんか。  我々は、こうした周辺事態の性格の重大さに加え、シビリアンコントロールの強化、徹底を図ることや、自衛官の立場にとっても、国民的合意が明確に示された上で行動する方が士気が上がることも考慮し、基本計画国会承認事項とすることを強く求めます。(拍手)  国会承認に当たっては、事後承認は緊急を要する場合に限定し、あくまで事前承認原則とすべきであります。また、一度決定された基本計画を、その後の事態の進展に応じて整合性を図るためにも、内閣だけでなく、国会が一定の期間経過後に基本計画内容を事実上見直すことのできる仕組みを取り入れるべきと考えます。政府は、国会承認は迅速な決定になじまないと懸念しているようでありますが、日本有事の際の防衛出動を定めた自衛隊法第七十六条も国会承認を条件としており、その批判は当たりません。  総理、まず、周辺事態武力行使の関係及び周辺事態国民生活とのかかわり合いについて御自身の見解を明らかにした上で、我々の求める国会承認についての御見解をお示しください。  次に、後方地域支援武力行使の関係について質問します。  後方地域支援は、戦闘行為が行われていない後方地域でそれ自体が武力行使に該当しないものを行うものであるから、憲法上認められているという従来の政府説明は、憲法違反でないことしかやらないから憲法違反にはなりませんと言っているようなものであって、意味を持ちません。例えば、幾ら日本側が戦闘行為の行われない地域だと主張したところで、ミサイルが一発飛んでくれば、そこは戦闘区域になってしまいます。  本法案の想定する自衛隊等の活動区域が相当期間にわたって後方であり続けるという保証は非常に難しいのではありませんか。また、武装兵士や武器弾薬の輸送米軍の戦闘行為と一体化していないと考えることについても、国民皆様にはぴんときませんし、なかなか理解のしがたいところであります。  以上の点について、総理の明快な説明を求めます。  また、周辺事態法や自衛隊法第九十五条によって規定されている周辺事態における武器使用武力行使または武力による威嚇とならない理由の説明を求めます。  この点に関し、従来の政府統一見解は、自己保存のためのいわば自然権的権利というべき最小限の武器使用武力行使には当たらないとしております。一方で、周辺事態邦人救出の際に想定される武器使用には、部隊としての重火器の使用も含まれており、従来の統一見解説明することには無理があるばかりか、いわゆる応戦に当たるおそれさえ指摘ができます。従来の統一見解変更の可能性も含め、明快な答弁を要求いたします。  周辺事態法第九条は、自治体や民間の協力規定しておりますが、国民周辺事態において依頼される協力内容について、具体的なイメージを持てないまま、漠然とした不安にとらわれております。周辺事態において政府が自治体、民間に協力依頼し得る項目を例示し、あわせて、米軍への便宜供与が自治体住民の利害と相反する場合に、どのように対処するかという基本的考え方や、当該協力によって自治体、民間に損失が生じた際の補償に関する原則をより具体的に、的確にお示しください。  以上、私が指摘いたしました問題点はごく一部にすぎません。冒頭でも述べましたが、我々は、日本自身の平和と安全を守るために、我が国の主体性に基づいて日米防衛協力実効性を高めることの意義なり重要性は、その認識において、人後に落ちるものではありません。しかしながら、国民の十分な理解、納得のいかないままの日米協力は、ガラスのようにもろいものであり、砂上の楼閣の姿と言わざるを得ません。  そうした事態を招かないためにも、我々は、ガイドライン関連法案について、広範にわたり徹底的な、慎重な審議を強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  29. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 畑英次郎議員にお答え申し上げます。  まず、我が国外交安保戦略についてお尋ねがありました。  我が国は、日米安保体制堅持とともに、域内の信頼醸成のための安保対話や、域内協力進展等を通じた我が国を取り巻く安保環境安定化が極めて重要と考えております。かかる観点から、ASEAN地域フォーラム等の多国間の枠組みや、域内各国との二国間の安保対話防衛交流に積極的に取り組んでおりまして、今後とも、このような努力を継続する考えであります。  新たな日米防衛協力のための指針の作成理由についてお尋ねがありました。  冷戦終結後、国際情勢は大きく変化したものの、依然として不安定、不確実な要因が存在しており、周辺事態に際する対応を含め、より効果的な日米防衛協力関係を構築することが一層重要となっております。こうした認識のもと、新指針を作成し、そのもとでの取り組みに努めておるところでございます。  新たな日米防衛協力のための指針日米安保条約の関係について、お尋ねがありました。  新指針は、安保条約に基づく日米安保体制のより円滑かつ効果的な運用を確保するために策定されたものであります。また、新指針におきまして明確に述べられているとおり、新指針及びそのもとで行われる取り組みは、日米安保条約及びその関連取り決めに基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは変更されないとの基本的な前提に従うものであります。  新たな日米防衛協力のための指針のもとでの日米協力についてでありますが、日米協力の中では、我が国に対する武力攻撃への共同対処行動や施設・区域の提供のように、安保条約及びその関連取り決めに直接の根拠を有するものと、周辺事態における捜索救助活動船舶検査活動等に際しての協力のように、直接の根拠規定のないものが含まれますが、こうした協力が安保条約の目的の枠内で行われることは、従来から御説明しておるとおりであります。また、このような対米協力を行い得るようにするための必要な法整備として、指針関連法案国会にお諮りしておるところであります。  周辺事態安全確保法案に基づく自衛隊活動と安保条約の関係についてお尋ねがありました。  周辺事態は、法案第一条に、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態と一義的に定義されております。御指摘自衛隊の主体的な活動も、かかる周辺事態への対応措置であるという意味で、安保条約の目的の枠内と言えます。このことからも、同法案が安保条約の目的の枠内であることは明らかであります。  周辺事態における対応措置についてお尋ねですが、周辺事態とは、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であり、この点は法案にも明記しておるところであります。  また、米国に対する後方地域支援は、憲法の範囲内において、強制力を伴わない態様で、我が国の平和と安全を確保するために行われるものであり、国以外の者に対する協力の要請もかかる観点から行うものでございます。  政府といたしましては、周辺事態への対応措置の重要性等につきましてこれまで説明してまいっておりますが、今後とも、この趣旨について御理解いただけるよう努力してまいりたいと考えております。  基本計画についてお尋ねがありました。  計画の見直しにつきましては、法案におきまして、基本計画の変更に係る規定が置かれております。また、基本計画の策定、変更に係る国会の関与につきましては、武力の行使を含まないこと、強制力を伴わないという点で国民の権利義務に直接関係するものではないこと等の周辺事態への対応措置の基本的性格を勘案いたしますれば、必ずしも国会承認を得なければならないものではなく、国会に遅滞なく御報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えます。  後方地域支援についてのお尋ねがありました。  周辺事態安全確保法案に基づき実施することを想定いたしております後方地域支援は、武器弾薬等の輸送を含め、それ自体は武力の行使に該当せず、また後方地域において行われる行為であり、米軍武力行使との一体化の問題が生ずることも想定されません。  また、当該活動後方地域において実施されることにつきましては、防衛庁長官が、軍事的な常識を踏まえつつ、各種の情報を総合的に分析し、合理的に判断することによって、これを確保することができると考えております。なお、これらの活動実施に際し、万一不測の事態が発生した場合には、実施区域の変更、活動の中断等の対応をとることとされております。  周辺事態の際の武器使用に係るお尋ねでありました。  周辺事態安全確保法案自衛隊法改正案に規定する武器使用は、職務に従事する自衛官等の生命または身体を防護するための必要最小限度のものでありまして、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものでありまして、また自衛隊法第九十五条の武器使用は、我が国防衛力を構成する重要な物的手段である自衛隊武器等を破壊、奪取しようとする行為からこれを防護するため、武器等の警護に当たる自衛官に認められた極めて受動的かつ限定的な必要最小限度の行為であり、いずれも憲法の禁ずる武力の行使または武力による威嚇には当たらないと考えます。このことから、従来の政府見解を変更する必要はないと考えます。  最後に、国以外の者の協力についてお答えいたします。  協力内容につきましては、事態ごとに異なるものでありまして、あらかじめ具体的に確定される性格のものではありませんが、港湾、空港施設使用や物資の輸送等に関する協力が例として想定されます。協力項目例につきましては、今後も引き続き地方公共団体の要望を踏まえつつ、説明を行っていきたいと考えております。また、これらの協力は、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態に際してのものであることから、できる限りの協力を期待しておりますが、強制するものではありません。  また、協力の求めまたは依頼を受けた者が損失を受けた場合には、法案におきまして必要な財政上の措置を講ずることといたしております。  以上、御答弁といたします。(拍手)     —————————————
  30. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 遠藤乙彦君。     〔遠藤乙彦君登壇
  31. 遠藤乙彦

    ○遠藤乙彦君 私は、公明党・改革クラブを代表して、ただいま議題となりました日米ガイドライン関連法案について、小渕総理大臣及び関係閣僚質問いたします。  ガイドライン関連法案は、昨年の四月、国会に提出されて以来、ほぼ一年が経過しています。これまでの間、またそれ以前の段階を含めて、既に討議に多くの時間が費やされ、さまざまな多岐にわたる論点が議論されてまいりました。  しかしながら、国民の目から見ると、これらの国会論議は極めてわかりにくいものと言わざるを得ません。その最大の理由は、冷戦後のアジア太平洋地域において、より堅固な平和の構造をどのように構築していくのか、そしてまた、日本安全保障のあり方そのものをどうすればよいのかという基本的な問いかけに対して、日本のとるべき平和戦略のビジョンや全体像を示すことなく、個別的、部分的、専門的な議論だけに終始しているからではないでしょうか。  また、政府の姿勢が、米国の要求にどう対応するのかというだけの、従来の受動的な日米関係のパターンから少しも脱しておらず、日本として、どう主体的にアジア太平洋地域における平和の構造の構築にかかわっていくのかという、構想力や意思が全く感じられません。また、幅広く国民に理解を求め、国民的合意を形成していこうという真摯な努力が欠けているからではないでしょうか。  そのため、ガイドライン関連法案については、国内的にも国際的にも著しくアカウンタビリティーが欠如しており、いたずらに不安と疑心暗鬼を助長するという面も否定できません。政府には、ぜひともアカウンタビリティーを向上させる努力を強く望むものであります。  また、従来の我が国安全保障論議は、常に国論が分裂し、イデオロギー的に偏向したり、現実を直視せず、不毛な論争を繰り返してきたという不幸な歴史があります。九〇年代に入って、冷戦構造の崩壊や湾岸危機、PKOへの参加等の経験を経た今、従来より一味も二味も違った、現実的かつ建設的な安全保障論議が行われてしかるべしと考えます。  今国会においては、与野党ともに二十一世紀アジア太平洋地域日本の将来を見据え、地域の諸国、諸民族の共生と繁栄の前提条件である永続的な平和の確立に向けて、現実的な基盤に立った、幅広くかつ慎重な安全保障論議が行われることを強く望みたいと思います。(拍手)  そこで、まず総理にお伺いいたします。  冷戦後のアジア太平洋地域における総理国際情勢の基本認識はいかなるものか、そして日本のとるべき平和戦略とはいかなるものであるべきか。また、その中で、ガイドライン関連法案整備はいかなる位置づけになるのか、そして、なぜ今それが必要なのかということについて、わかりやすく説明していただきたいと思います。  目下のところ、東アジアにおいては朝鮮半島情勢、とりわけ核開発やミサイル開発を進める北朝鮮をめぐる情勢が、最大の焦点の一つとなっております。  米国は、従来、北朝鮮に対していわゆる関与政策を進めてきていますが、伝えられるところによると、ペリー前国防長官を中心に北朝鮮政策の見直しを進めている由であり、また、金大中韓国大統領は太陽政策を推進しております。総理は既にペリー調整官と会談し、さらに十九日から訪韓する予定と聞いておりますが、日本としてどのような北朝鮮政策、外交推進しようとされているのか、お伺いいたします。  次に、新ガイドライン関連法案についての近隣諸国の反応について伺います。  平和憲法のもと、海外派兵は行わず、自衛目的以外には武力を行使しないという我が国の方針は、近隣諸国は言うに及ばず、世界各国にも定着してまいりました。  しかしながら、新ガイドライン策定を機に、一部の国からは、我が国安全保障政策を懸念する声が聞こえるようになりました。中国に加え、最近ではロシアからも、ロシアを含めて第三国の領土を周辺事態の適用範囲に含めることは認められないとの懸念が表明されております。これ以外にも、懸念を表明している国はあるのかどうか、また、これらの懸念に対し政府はどのように対処しようとしているのか、総理の御見解を伺います。  続いて、個別的問題についてお伺いいたします。  まず、周辺事態の概念についてであります。  政府は、周辺事態法案の第一条において、我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態との定義を行っています。政府は、さらにこの概念について、従来より、地理的な概念ではなく、事態の性質に着目した概念であるとの説明を行ってきましたが、途中から、あらかじめ一定の地域を明示できるような意味での地理的概念ではないが、地理的要素を全く含まないと言っているわけではないと変わってまいりました。率直に言って、一体何のことを言っているのか、理解しがたい概念と言わざるを得ません。  そもそも、地理的用語である周辺という言葉を使っているのに、地理的概念ではないと否定することは、矛盾も甚だしく、まことに不適切な言語の使用と言わざるを得ません。このような不適切な言語の使用法が、無用な誤解と混乱を招いているのではないでしょうか。もし政府説明を矛盾なく表現するネーミングを行おうとするならば、周辺事態ではなく、例えば重要事態とか緊急事態とかいった用語を使うべきと考えますが、総理見解を伺います。  また、周辺事態の定義についても、我が国の平和及び安全に影響を与える重要な事態と、極めて一般的なものであり、解釈する人の主観によって大きな開きが出てくる可能性があり、いかようにも拡大解釈が可能な定義であると言えます。これでは、国内的にも近隣諸国に対しても、無用な疑念を与えることになるのではないでしょうか。我が国の領土以外での自衛隊の出動にかかわる問題である以上は、認定基準や認定理由をより明確にする必要があると考えますが、総理の御見解を伺います。  また、平和憲法を遵守する意味においても、さらに、アジア近隣諸国の疑念を消し去る意味においても、自衛隊の海外派兵は行わないとの意思を、内外ともに改めて明確にする必要があります。そのためには、自衛隊活動日米安保条約の枠内とすることを周辺事態法案に明記する必要があると思いますが、総理の御見解を伺います。  次に、周辺事態に際して、国会の関与のあり方についても総理の御見解を求めます。  国会の関与については、周辺事態法案の第十条で、内閣総理大臣は、基本計画決定または変更があったときは、その内容を遅滞なく国会報告しなければならないとしているのみであります。自衛隊の防衛出動あるいは治安出動については自衛隊法の第七十六条及び七十八条で、また、いわゆるPKF業務を行うための海外派遣の際にはPKO法の第六条で、いずれも国会の事前または事後の承認が必要とされています。  我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態、すなわち、我が国に対する武力攻撃にも発展する可能性がある事態、または我が国に直接被害を及ぼす可能性がある事態において自衛隊活動を認めるに際し、国会の行政府に対する民主的コントロールはぜひとも必要であり、国会承認は、自衛隊法第七十六条及び七十八条並びにPKO法第六条との整合性からいっても、当然必要であると考えますが、総理の御見解を伺います。  次に、周辺事態において自衛隊が戦闘に巻き込まれる可能性の有無について伺います。  自衛隊米軍に対する支援法案に言う後方地域支援であるとはいえ、関係国からは、武力行使を行っている米軍の兵たんを自衛隊が担い、このことから、我が国も交戦国であると見られないかと懸念されます。国際法上、兵たんを担っている国は交戦国であると考えられないのか。そして、兵たんを担っていることを理由に、軍事攻撃を行う根拠を与えることにならないのか。また、周辺事態において米軍に対し武器弾薬、兵員等の輸送を行うということは、兵たんを担うとは言えないのか。外務大臣の御見解を伺います。  次に、物品役務相互提供の実績について伺います。  新ガイドラインとの関連において、現行ACSAの改正協定承認が求められております。現行ACSAの発効以来二年半が経過しておりますが、これまでいかなる物品または役務相互提供されたのか、その実績について、また、今改正でACSAに関する米軍の要望は満たされることになるのかどうか、今後新たな改正の余地があるのかどうか、防衛庁長官に伺います。  最後に、地方自治体や民間の協力について伺います。  まず、協力要請を断った自治体への制裁の有無についてです。今までの政府答弁からは、協力要請を断った自治体に対しては、積極的ではなくとも、何らかの制裁を科すことを視野に入れていると受け取ることも可能です。政府としてはこの点をどのように考えているのか、総理見解を伺います。  また、政府は、二月の初めに、具体的な協力内容として十項目を例示する文書を、米軍基地のある地方自治体等に示しております。しかしながら、これをもって十分な措置であるとは言いがたいことは政府も認めるところであると思います。  我が国の平和と安全を全うすることを眼目に、的確に迅速な協力を得るためには、要請する協力内容はできる限り具体的で明確なものとすると同時に、地方自治体や民間との十分な対話を重ね、理解を得ながら作業を進めていくという姿勢が政府には強く求められるものでありますが、今後いかなる方策をとろうとしているのか、総理の御見解を伺います。  以上、基本的な問題に絞って質問いたしましたが、重ねて政府の明快な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  32. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 遠藤乙彦議員にお答え申し上げます。  まず、国際情勢に対する認識と我が国の戦略について、お尋ねがございました。  冷戦後もアジア太平洋地域には依然として不安定、不確実な要素が存在しておると考えます。このような状況におきまして、我が国は、日米安保体制堅持し、節度ある防衛力整備に努めるとともに、我が国を取り巻く国際環境の安定の確保のための外交努力を行うことを安全保障政策の基本といたしておりまして、今後ともこれを堅持してまいりたいと考えます。  日米防衛協力のための新関連法案の位置づけ、及び同法案の必要性についてのお尋ねであります。  冷戦終結後も依然として不安定性と不確実性が存在する中で、我が国の平和及び安全に重要な影響を与えます周辺事態に際する日米協力枠組みを構築しておくことの重要性は、論をまちません。このような日米協力枠組みとして、本法案は、日米安保条約に基づく日米安保体制のより効果的な運用を確保し、我が国に対する武力攻撃の発生等を抑止することに資するものであると考えます。政府といたしましては、これらが早期に成立または承認されることを強く願っておるところであります。  次に、北朝鮮政策についてのお尋ねがございました。  私は、北朝鮮問題につきましては、先日訪日をいたしましたペリー北朝鮮政策調整官と意見交換を行い、また、近く韓国を訪問し、金大中大統領ともこの問題につきまして話し合いたいと思っております。  政府といたしましては、今後とも、米国及び韓国と緊密に連携しつつ、ミサイルや核施設疑惑に関する北朝鮮をめぐる国際的な懸念の解消や、日朝間の懸案の解決に努めてまいりたいと思います。また、北朝鮮がこれらの問題に建設的な対応を示すならば、我が国としては、対話と交流を通じ関係改善を図る用意があることは、申し述べておるところであります。  次に、新たな日米防衛協力のための指針への周辺諸国の反応についてお尋ねがありました。  新指針につきましては、中国とロシアに対しまして、江沢民主席やイワノフ外相の訪日等、累次の機会に説明を行ってまいったところでございます。このほかに懸念を表明している国があるとは特に承知をいたしておりませんが、政府としては、今後とも、関心を有する諸国に対し、必要に応じ十分説明を行っていく所存でございます。なお、北朝鮮は一貫して指針関連整備を非難しておると承知をいたしております。  周辺事態についてお尋ねがありましたが、我が国の平和と安全に重要な影響を与えます周辺事態は、その規模態様等を総合的に勘案して判断するものであり、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできないという意味で、地理的概念ではありません。  この点につきまして、これまでも繰り返し説明し、明らかにいたしておるところでございまして、周辺事態という用語につきましては、先ほど重要あるいは緊急というお話がございましたが、これまた概念を規定することが極めて難しいことでございますので、政府といたしまして、周辺事態という用語につきまして、ぜひこれを御理解いただきたいと思っております。  周辺事態の認定基準等についてお尋ねがありましたが、ある事態周辺事態に該当するか否かにつきましては、事態規模態様等を総合的に勘案して判断することとなります。この際、周辺事態安全確保法に基づき特定対応措置実施する必要があると認められる場合には、周辺事態対応の重要性にかんがみ、内閣総理大臣は、基本計画の案を策定し、安全保障会議における審議を経て、閣議決定を求めるという手続を経ることによりまして、その対応に遺漏なきを期してまいりたいと考えております。  周辺事態安全確保法と日米安保条約との関係についてであります。  日米安保条約我が国及び極東の平和と安全の維持目的といたしまして、周辺事態安全確保法案我が国の平和と安全の確保に資することを目的としていることから、同条約の目的の枠内と言うことができます。また、同法案第三条第一項第一号でも、周辺事態におきまして我が国からの協力対象となる米軍は、日米安保条約目的の達成に寄与する活動を行っている米軍であることを明記いたしておりまして、本法案が同条約の目的の枠内であることは明らかであります。  なお、自衛隊の主体的活動も、かかる周辺事態対応措置であるという意味で、安保条約の目的の枠内と言えます。  周辺事態安全確保法案基本計画国会承認とすべきであるという御指摘でございます。  先ほど申し上げましたが、周辺事態への対応は、武力行使を含むものでないこと、国民の権利義務に直接関係するものでないこと、迅速な決定を行う必要性があること等を総合的に勘案いたしますれば、防衛出動やPKF本体業務の実施とは異なるものであり、基本計画国会に遅滞なく御報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えておりますが、何とぞ国会におきまして十分な御審議もいただきたいと思っております。  地方公共団体協力についてお答えいたします。  同法案では、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態への対応の重要性にかんがみ、地方公共団体の長に対して、その権限の行使について必要な協力を求めることができる旨規定いたしております。これは、あくまで協力を求めるということでありまして、協力を強制するものではなく、協力を拒んだことに対して、本法案に基づき制裁的な措置をとることはありません。  地方公共団体等の理解を得るための方策についてであります。  協力内容につきましては、事態ごとに異なるものでありまして、あらかじめ具体的に確定される性格のものではありませんが、本法案につきましては、特に地方公共団体の関心が高いものと承知をいたしておりまして、政府といたしましては、これまでも要望に応じて、協力内容等につきまして、できる限り具体的に説明を行ってきたところであります。今後とも、一層の理解を得るため、さまざまな機会をとらえて、引き続き説明してまいりたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)     〔国務大臣高村正彦登壇
  33. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 米軍に対する後方地域支援についてのお尋ねでありますが、そもそも交戦国とは、戦争が合法であった伝統的な戦時国際法のもとで発展した概念であり、国連憲章のもとでは、違法な武力の行使に対し国連憲章に従って対処している国に支援を行うことは、国際法上何ら問題はありません。  また、法案では兵たんなる語は用いておりませんが、法案で想定される輸送を含む後方地域支援は、それ自体武力の行使に該当せず、また、後方地域において行われる行為であり、米軍武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されません。したがって、このような協力は、他国の武力攻撃を正当化させるものではありません。(拍手)     〔国務大臣野呂田芳成君登壇
  34. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 現行の日米物品役務相互提供協定の実績についてのお尋ねでございますが、同協定平成八年十月二十二日に施行されてから本年一月末までの間に、日米共同訓練のために、自衛隊米軍の間で、輸送、燃料、航空機部品などの物品または役務相互提供が約四百七十件行われているところであります。  また、日米物品役務相互提供協定の改正協定についてのお尋ねでございますが、同協定につきましては、新たな指針実効性確保するため、周辺事態が生じた際の自衛隊米軍との間の物品役務提供について、相互のニーズを精査し、米国との協議を重ねた結果、改正する協定内容について日米双方が合意したものであり、米国の要望は十分に満たされるものと考えております。(拍手)     —————————————     〔議長退席、副議長着席〕
  35. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 東祥三君。     〔東祥三君登壇
  36. 東祥三

    ○東祥三君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました周辺事態安全確保法案、ACSA改正協定案、自衛隊法の一部を改正する法律案に関して質問いたします。  本年一月十四日、自由党は自民党との間に連立政権を樹立いたしました。その政策合意の重要な柱の一つ安全保障政策であります。これまで、自衛隊は保有するものの、政治にとって最も重要であるべき我が国及び国民の生命と生活を守るための本格的な安全保障政策論議が行われず、憲法解釈による不毛な国会論議に終始してきました。国家国民にとって、これほど不幸なことはありません。  安全保障政策についての自由党と自民党の合意は、日本国憲法の平和主義、国際協調主義の理念に基づき、平和な国際環境を確保するため積極的な外交努力を行い、専守防衛に徹する、日米安保体制堅持し、より円滑かつ効率的な運用を図る、国連の平和活動への参加については、国際連合の総会あるいは安全保障理事会の決議があり、かつ要請がある場合は積極的に参加、協力するというものであります。我々は、この合意に基づき、安全保障政策推進されていくものと確信するものであります。  以下、数点にわたり質問いたします。  まず、周辺事態の定義についてお伺いいたします。  この問題について、小沢党首と政府見解の間に相違があるのではないかとのあらぬ誤解が生じているのは、極めて遺憾であります。自由党は、周辺という場合、当然のことながら、地理的な要素、地理的な概念を含んでいるとの見解であります。周辺と周辺事態は別物であり、周辺で何かが起きた場合、そのことが日本安全保障に直接的な影響を与える場合にのみ周辺事態とするべきだというのが我々の主張であります。その意味で政府見解と矛盾するものではないと考えておりますが、この点についての小渕総理の御認識をお伺いいたします。  次に、周辺事態の認定手続と実施体制について伺います。  法案では、周辺事態の認定に際して、その手続が必ずしも明確ではありません。我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態の認定に当たっては、防衛出動の可否に準ずる国防に関する重要事項として安全保障会議に諮問し、意見を求めるべきであります。また、基本計画を円滑に実施するための体制は、内閣に周辺事態対策本部を設置するなど、総合的な統制、調整機能が発揮される体制とすべきであると考えます。  以上の二点について、総理の御見解をお聞かせいただきたいのであります。  次に、船舶検査活動について伺います。  政府案による船舶検査活動は国連決議に基づく活動となっておりますが、国連による平和活動であるならば、ガイドラインに基づく周辺事態の法体系とは別に位置づけられるべきであります。その場合には、船舶検査を行う区域は、国連のもとで各国と調整しつつ指定されるべきであり、我が国独自の判断で行われるべきではありません。  また、国連決議に基づき、経済制裁を実効あらしめるために、現に行われている船舶検査は、実際にやるやらないは別としても、いわゆる前方威嚇射撃などの強制的な裏づけ措置が認められております。国連の活動として行うのであれば、他の国連加盟国と同様の活動が行われるような法体系とすべきであると思いますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいのであります。  次に、地方自治体の協力規定について伺います。  国家が周辺事態、すなわち我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態と認定し、地方自治体に協力を要請するということは、これすなわち地域住民の平和と安全に重要な影響を与える事態であり、地方自治体が国からの要請に積極的に応じてこれに協力することは当然であると考えますが、周辺事態法案第九条では内容対象が明確になっておりません。これを明確に規定する必要はないか、総理のお考えをお聞かせください。  次に、国会関与のあり方についてであります。  国会承認とした場合、時間的制約や迅速な対応に支障が生ずるというのであれば、場合によっては事後承認とするのはやむを得ないにしても、武装した自衛隊を海外に派遣するに当たっては、シビリアンコントロールの見地からも、国会承認に係らしめることが必要であると考えますが、小渕総理の率直な御所見を承りたいのであります。  次に、邦人救出のための自衛隊法改正案についてお伺いいたします。  輸送手段政府専用機を優先することとなっており、困難な事情があった場合のみ、自衛隊の他の航空機や艦船の使用が認められておりますが、どのような事態においても臨機応変に活動できるようにするためには、航空機あるいは船舶使用に際して、政府専用機との間に優先順位をつけるべきではないと考えますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいのであります。  日米ガイドライン関連法案は、日本の安全と平和に資することを目的とし、そのために日米安全保障協力関係を円滑でより実効性のあるものにする措置を定めたものであり、したがってその早期成立が不可欠であります。  我々は、自民党との間に合意した安全保障の基本的な考え方に基づき、ガイドライン関連法案についても、よりよいものに修正した上で賛成したいと考えるものであります。また、政府原案に固執することなく、問題点として指摘された諸点については、各党各会派間で真摯に話し合いを行う中から、よりよい形で修正が図られることも必要であると申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  37. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 東祥三議員にお答え申し上げます。  周辺事態についてお尋ねがございました。  この概念は、周辺事態安全確保法案第一条において明確に定義されておりまして、同法案が周辺という概念を、周辺事態と独立して定義していないことは、東議員も御承知のとおりであります。  また、周辺事態が生起する地域はあらかじめ地理的に特定できないという意味で、周辺事態が地理的概念ではないという政府見解につきましても、議員にも十分御理解をいただいているものと認識をいたしておりますが、周辺事態はあくまでも我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であるという点につきまして、東議員が指摘されたとおりと考えています。  船舶検査活動につきましてお尋ねがありました。  法案は、新指針実効性確保のための措置といたしまして、周辺事態に際する我が国活動を定めたものであり、船舶検査活動につきましては、周辺事態対応に限定したものであります。また、これまでの諸外国による実績にかんがみますれば、法案による対応で十分に有効に機能するものと考えております。  周辺事態安全確保法案基本計画国会承認にすべきであるという御指摘がありました。  後方地域支援等の活動は、基本的には我が国領域及び公海において行われるものでありますが、その性格は武力行使を含むものではないこと、国民の権利義務に直接関係するものではないことから、迅速な決定の必要性等も含めまして、総合的に勘案いたしますれば、基本計画国会に遅滞なく報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えております。何とぞ国会におきまして、十分御審議をいただきたいと思います。  最後に、在外邦人等輸送手段についてお尋ねがありましたが、当該輸送におきまして要求される迅速性、航続距離、輸送人員等を考慮いたしまして、改正案におきましても、原則として政府専用機によりこれを行うことといたしております。なお、使用する空港施設状況当該輸送対象となる邦人の数等の事情によりまして、その他の自衛隊輸送機や船舶等使用が可能でありまして、柔軟な運用が確保されていると考えております。  何とぞ、改めて今国会におけるこの法案の早期の成立を心からお願いいたす次第であります。(拍手)     —————————————
  38. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 佐々木陸海君。     〔佐々木陸海君登壇
  39. 佐々木陸海

    ○佐々木陸海君 私は、日本共産党を代表して、周辺事態法案など新ガイドライン関連法案協定について、総理並びに関係大臣質問をいたします。  本法案は、日本周辺地域でアメリカが周辺事態への対応として軍事行動を起こした場合、その米軍の作戦行動日本協力し、これを支援することを定めた戦争法案であり、憲法九条をじゅうりんし、安保条約の枠を超える重大な法案であります。  第一の問題は、憲法九条一項を真っ正面から踏みにじる法案であるという点であります。  周辺事態に関してただ一つはっきりしていることは、これが日本武力攻撃を受けている場合ではないということであります。総理日本武力攻撃を受けていないのに、どうして、法案が言うように、自衛隊が海外にも出動してアメリカの戦闘作戦行動支援することができるというのですか。  歴代政府は、憲法上、我が国が保持する防衛力は、日本武力攻撃を受けたときに初めて行使できる、すなわち、日本に対する急迫不正の侵害があった場合に限られることなど、自衛権発動の三要件を強調し、集団的自衛権の行使は認められないとしてきました。政府は今回、こうした憲法解釈と自衛権発動の根本原則を覆すというのですか。そうでなければ、周辺事態での自衛隊の領域外への出動は説明がつかないではありませんか。総理の答弁を求めます。  政府は、法案のいわゆる後方地域支援戦争行為ではないと言い張っています。しかし、後方地域支援内容は兵たんそのものであります。兵たんの活動が戦闘行為と不可分一体のものであることは、国際社会の常識であります。  日本米軍に対して行う武器弾薬、兵員の輸送、物資の補給、戦闘航空機を含む武器の補修、整備などなどは、米軍の戦闘作戦行動と不可分の兵たんの活動であり、米軍戦争行為の一部をなすものであります。総理、こうした活動は、戦争放棄を明記した日本国憲法第九条第一項に真っ向から反するではありませんか。  防衛庁長官、こういう兵たんを、法案が言うように、地域を指定して実施するようにしさえすれば、それが戦争行為でなくなり、憲法違反でなくなるというのですか。そんな主張が国際的に通用すると本当に考えているのですか。  また、これらの兵たん活動が戦闘行為と不可分である以上、これが攻撃対象、軍事目標とされるのは、国際法規やアメリカ自身の戦争法規によっても明白であり、これまた世界の常識であります。外務大臣、そうでないというなら、国際法上の根拠を示すべきであります。  第二に、日本支援協力するアメリカの武力行使がいかなるものであるのか、その性格の問題であります。  周辺事態において日本支援する米軍武力行使は、そもそもどういう場合に行われるのですか。その要件は何ですか。総理の答弁を求めます。  総理は、米軍は国連憲章に反する違法な武力行使はしないと繰り返していますが、それでは、米軍武力行使は、国連憲章五十一条が認める自衛反撃に限定されるのですか、どうですか。はっきりさせてください。  現実の米軍行動を見れば、昨年のイラクへの空爆を初め、ベトナム、パナマ、グレナダ侵略など、国連憲章を真っ向からじゅうりんする事例は、それこそ枚挙にいとまがありません。しかもアメリカは、国防報告にも明らかなように、自国の死活的利益が脅かされた場合は単独でも武力行使をするということを方針にしているのであります。  総理、周辺地域においてアメリカがこのような行動をとった場合には、日本協力支援を一切拒否すると、なぜ明言できないのですか。米軍の不法な戦争、無法な先制攻撃日本が加担するかどうかの重大問題であり、絶対にあいまいにできません。明確に答弁をしてください。(拍手)  第三の問題は、日米安保条約の枠を超える重大な改悪であるということであります。  政府は、法案が安保条約の枠内であるとしきりに強調してみせています。しかし、日本攻撃を受けていない場合に、自衛隊米軍の戦闘行為を支援して共同の作戦行動をするなどという規定は、安保条約のどこにもありません。安保条約第六条でできることは、米軍日本の基地を使用することだけです。その基地使用も、無制限ではありません。  ところが、法案では、周辺事態に際しては、米軍日本の基地から無制限に戦闘作戦行動に発進することを当然の前提としているではありませんか。しかも、その米軍行動への兵たんを、日本が担うのであります。総理、安保条約のどこにそんな規定がありますか。はっきりさせてください。  一九七八年の旧ガイドラインにおいては、「日本以外の極東における事態日本の安全に重要な影響を与える場合」、この場合の米軍への支援は、基地使用とそれにかかわる便宜供与までとされていました。それすらも実際にはできなかったのです。  今回、この旧ガイドライン日本以外の極東という表現を、新ガイドライン日本周辺地域と書きかえただけで、どうして自衛隊日本の領域外まで出動し、米軍支援できるようになるというのですか。安保条約の実質を変え、枠を大きく踏み破るとしか言いようがないではありませんか。総理、明確にしてください。  第四の問題は、法案国民の権利義務を制約し、地方自治を踏みにじって、自衛隊だけでなく、地方自治体と民間を戦争に動員していくものだという点であります。  法案によれば、周辺事態に際し、政府は自治体に必要な協力を求めることができるとされています。これについて、政府は、一方で強制力はないというものの、拒否するには正当な理由を必要とするとしています。それでは、事実上、強制ではありませんか。  法案はまた、政府が民間にも協力を依頼できるとしていますが、そのもとで、例えば民間運送業者は、米軍が求めれば、完全武装の兵員を初め、どんな軍事物資であろうと、どんな場所へでも輸送させられることになるし、労働者は業務命令によって危険な地域にも行かされることになる、これは明白ではありませんか。自治大臣並びに総理の答弁を求めます。  政府が示した、自治体などに協力を求める項目リストや、この間、その一端が明らかになった、米軍日本政府に対する要求項目の内容を見れば、新たな基地の提供を初め、港湾、空港の使用武器弾薬の保管、輸送など、まさに日本列島全体が、巨大な戦闘基地、発進基地、補給基地、兵たん基地として米軍戦争に動員されていくことになるのであります。総理、そうではありませんか。だからこそ、多くの自治体や国民から、抗議と危惧の声が上がっているのではありませんか。  しかも重大なことは、こうした日本米軍支援計画、新ガイドライン相互協力計画が、日米の軍事レベルでひそかに、詳細に立案され、そのごく一部を反映するだけの基本計画さえも、国会には事後報告されるにすぎないということであります。国民にも国会にも秘密で戦争計画を立案し、実行するなど、断じて許されることではないではありませんか。総理の答弁を求めます。  憲法をじゅうりんし、安保条約の枠を破り、米軍の不法な戦争に加担する戦争法案は廃案にするしかないことを強調し、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  40. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 佐々木陸海議員にお答えを申し上げます。  その前に、先ほど、東祥三議員の御質問に対しまして答弁漏れがございました。お許しをいただきまして、補足答弁をさせていただきたいと思います。  周辺事態に際しての基本計画の策定についてのお尋ねでありました。  周辺事態に際しての対応措置の重要性にかんがみまして、基本計画決定等に際しましては、安全保障会議設置法第二条第一項第五号に規定する、その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項として、安全保障会議に諮ることといたしております。また、基本計画におきましては、対応措置実施のための関係行政機関の連絡調整に関する事項を定めるなど、総合的な調整を行うことといたしております。  以上、再答弁をお許しいただきたいと思います。  次に、佐々木議員に対するお答えをいたしますが、まず、周辺事態安全確保法案に基づく後方地域支援についてであります。  我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態におきまして、事態の拡大の抑制、収拾のために、国連憲章及び日米安保条約に従い行動する米軍に対し、我が国後方地域支援を行うことは、むしろ当然であり、国際法上何らの問題はないと考えております。  周辺事態での自衛隊の領域外における活動に関する点でありますが、周辺事態におきまして、法案に基づき実施することを想定している自衛隊による活動は、いずれも武力の行使に当たらず、かつ、米軍武力の行使と一体化しない活動でありまして、集団的自衛権に関するこれまでの憲法解釈や自衛権発動の原則に反するものではなく、これらを何ら変更するものではありません。  後方地域支援についてお尋ねがありました。  周辺事態安全確保法案に基づき実施することを想定している後方地域支援は、それ自体は、武力の行使に該当せず、また、後方地域において行われる行為であり、米軍武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されません。したがいまして、憲法に違反するものとの御指摘は当たらないと思います。  米国の武力行使の要件についてでありますが、周辺事態が生起した場合、米国は種々の活動を行い、まずは事態の拡大抑制や収拾に努めることが当然想定され、直ちに武力行使するわけではありません。そもそも、米国が合法的に武力を行使する場合とは、一般的に、国連憲章第七章のもとでの安保理の決定に基づき加盟国が武力を行使する場合を別にすれば、国際法及び国連憲章上の自衛権の行使として武力を行使する場合であります。  米軍武力行使と国連憲章五十一条との関係についてお尋ねでありますが、米国が合法的に武力を行使する場合については既に申し述べたとおりでありますが、米国が武力の行使を行う場合には、こうした国連憲章や国際法上の要件を満たす場合に限られていることは当然であり、このことは日米安保条約にも明記されておるところであります。  米軍の軍事行動に関するお尋ねでありますが、御指摘の米国国防報告の記述は、米軍の軍事力行使は国益に照らし判断されることを一般的に述べたにすぎません。日米安保条約や国連憲章上違法な武力行使を慎む義務を負う米国が、周辺事態に際して武力を行使する場合、国際法上合法的な場合に限られることは当然でありまして、このような場合に、我が国が主体的な判断のもと、周辺事態安全確保法案に基づき対米協力を行うことは何ら問題はありません。  周辺事態の際の米国の行動我が国協力に関するお尋ねでありますが、周辺事態が生起しているか否かにかかわらず、米国による戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設・区域の使用は、安保条約第五条の場合を除き我が国との事前協議の主題であり、御指摘のような無制限の戦闘作戦行動への発進を当然の前提としているということはありません。また、本法案に基づく米軍への後方地域支援は、我が国の平和と安全の維持のためのものであり、安保条約の目的の枠内のものであります。  法案のもとでの自衛隊活動と安保条約についての関係についてお尋ねがありましたが、法案は、新たな日米防衛協力のための指針において我が国実施することとされる措置のうち、現行法令に根拠がないものにつき新たな権限を創設する等の必要な法整備を行うものであります。また、法案は、我が国の安全に着目したものであり、安保条約の目的の枠内であって、同条約を超えることはありません。なお、御指摘の新旧指針における表現の違いと、法案のもとでの自衛隊活動とは、直接関係ありません。  地方公共団体協力についてでありますが、地方公共団体の長に対する協力の求めにつきまして、正当な理由のある場合には協力を拒むことを排除するものではなく、また、協力を拒んだことに対しても、本法案に基づき制裁的な措置をとることもありません。したがって、いかなる意味におきましても強制には当たり得ないと考えております。  民間の協力についてでありますが、必要な協力内容につきましては、あらかじめ具体的に確定される性格のものではありませんが、いずれにせよ、民間運送業者に対しては、現に戦闘行為が行われている地域またはそのおそれのある地域への輸送を依頼することは想定いたしておりません。また、協力の依頼は、何ら法的義務を課するものではありません。  我が国が米国の戦争に動員されるとの御指摘でありますが、周辺事態におきまして、我が国後方地域支援等の対外協力を行うか否か、またいかなる協力を行うかにつきましては、我が国の国益確保のための見地から主体的に判断を行うことになりますので、米国の戦争に動員されるとの御指摘は当たりません。また、地方公共団体等の協力については、一層の理解を得るため、さまざまな機会をとらえて、引き続き説明をいたしてまいりたいと考えております。  基本計画についてお尋ねがありました。  日米が、緊急事態に備え、平素から共同作戦計画及び相互協力計画についての検討を行うことは当然でありますが、その具体的内容は、事柄の性質上、明らかにすることは適当ではないと考えます。また、周辺事態に際し、我が国実施する対応措置を定める基本計画につきましては、後方地域支援等の基本的な性格等を勘案いたしますれば、遅滞なく国会に御報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)     〔国務大臣高村正彦登壇
  41. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 後方地域支援についてのお尋ねでありますが、周辺事態において我が国が行う後方地域支援は、国連憲章及び日米安保条約に従って行動する米軍に対して行うものであり、国際法上何ら問題のない行為であります。  したがって、こうした後方地域支援に対し攻撃することは、国際法上適法な行為に対し武力行使を行うものであり、仮にそうした攻撃が軍事目標主義等の交戦法規にのっとった形で行われたとしても、国際法上正当化されることはありません。(拍手)     〔国務大臣野呂田芳成君登壇
  42. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 後方地域支援についてのお尋ねでございますが、法案に基づき自衛隊実施することを想定している後方地域支援は、それ自体、武力の行使に該当するものではありません。また、後方地域において行うこととされていることから、米軍武力行使との一体化の問題を生じさせることは想定されず、憲法違反との御指摘は当たりません。  また、周辺事態において、国連憲章及び日米安保条約に従い行動する米軍に対し、我が国後方地域支援を行うことは、国際法上も何ら問題はありません。(拍手)     〔国務大臣野田毅君登壇
  43. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 地方公共団体協力についてお答えいたします。  本法案では、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態への対応の重要性にかんがみ、地方公共団体の長に対して、その権限の行使について必要な協力を求めることができる旨規定しております。  これは、あくまで、協力を求めるということであって、協力を強制するものではなく、協力を拒んだことに対して、本法案に基づき制裁的な措置がとられることはありません。(拍手)     —————————————
  44. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 辻元清美君。     〔辻元清美君登壇
  45. 辻元清美

    ○辻元清美君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、政府提出の新ガイドライン関連法案と一協定に反対する立場から、小渕総理大臣質問いたしますが、その前に一言申し上げたいことがあります。  それは、本日は内閣提出法案を取り下げていただく本会議かなと思って出てまいりました。といいますのも、この本会議場での提案趣旨説明がまだ行われる前に、自民党を中心として、政党間で法案修正の協議が既に進められているではないですか。修正の必要ありと政府・与党がお認めになっている法案などは、欠陥法案にほかなりません。取り下げて、提出すべきではないのですか。  まず、総理には、このことについてお答えいただきたいと思います。  さて、私たち社民党は、冷戦後における日本周辺及びアジア太平洋安全保障を揺るぎないものにするためには、相手に軍事力を振りかざして威圧したり屈服させるのではなく、どんな相手でも忍耐強く対話を求め、軍事力の行使に至らない環境醸成への努力、及び多角的で相互依存的な対外関係をつくり上げていくことこそが、まず重要であると主張してまいりました。  ところが、今提出されている法案などは、日本の周辺で行動するアメリカの軍事行動日本が官民挙げて、ほとんど無条件に協力体制をつくろうというもので、全く逆の方向を目指し、かえってアジアの緊張感を高めるにつながらざるを得ないと言わざるを得ません。さらに、安保体制のグローバル化とも言えましょう。  さて、そこで、総理にお聞きします。  韓国の金大中大統領が推進する太陽政策や、ヨーロッパの社民主義政権に採用された協調的安全保障や、国連の経済社会理事会やNGOが主張する人間安全保障など、冷戦後世界に広がるこのような新たな安全保障の潮流を、総理はどのように受けとめていらっしゃるのでしょうか。  総理、あなたは外務大臣として、一九九七年九月、新ガイドラインに合意されました。新ガイドラインは、安保条約の運用方針を定めたものにすぎないと認識しておりますが、その新ガイドラインの合意を根拠として、実質的な安保条約の改定につながるような法律を作成することはできないはずです。  安保条約の調印者である当時の岸信介総理、そして後の内閣も維持してきた有権解釈、つまり、不当な侵略が現実に行われ、我が国の平和と安全が害せられた場合のみこの条約が発動される、その場合を含め自衛隊はいかなる場合においても領域外に出て実力行使することはあり得ないという範囲内でなければ、内閣の行政行為としての国際約束はできないはずです。  内閣が、その行政権限を越えて、安保条約で決めてもいないことをやろうとするのなら、まず安保条約の改定を国会に諮り、その批准、承認を求め直すのが筋ではないでしょうか。(拍手)  一体、新ガイドラインは、安保条約の第何条に根拠を持っているのですか。先ほどからの答弁で、安保条約の目的の達成のため、これでは答弁にはなっていません。はっきりと第何条か、お答えいただきたいと思います。  また、自衛隊は、自衛隊法第三条、任務において「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛する」と定められています。それなのに、なぜ、専守防衛に任務を限定された自衛隊が、日本の周辺地域に出ていき、アメリカ軍の後方地域支援に従事できるのですか。総理に答弁を求めます。  総理、またあなたは、後方地域支援武力行使と一体のものではないので憲法違反ではないとおっしゃっているようですけれども、果たしてそうでしょうか。まず、一体、後方地域なんて存在するのでしょうか。  私は、一九九一年一月十七日、湾岸戦争勃発の日、この戦争を目の前で目撃いたしました。この日、私は、約五百人の若者と、民間国際交流団体ピースボートがチャーターしたギリシャの客船オセアノス号で、オマーン沖二百キロの安全航路を航海中でした。突然、そこにアメリカの原子力空母セオドア・ルーズベルト号があらわれ、艦載機を発進させ始めたのです。  このとき私は、ピースボートの責任者の一人として、船長とともに、米軍から、直ちに航路を変更せよという連絡を直接受けました。そのときの理由は、次が問題です、戦闘地区ではないが、アメリカの空母がいるから攻撃対象になる可能性があるというものでした。米軍ははっきりそう言います。この地区は、タンカーや客船が走っているところで、戦闘と一線を画した地域なんです。しかし、攻撃対象可能性になると言っているわけです。  総理が安全な後方地域があるとお考えでしたら、それは余りにも現実離れした御認識であると私は自分の経験からも考えますが、いかがでしょうか。総理、心の底で、そうだよな、前方も後方も本当はないよなと実は思っていらっしゃるのなら、はっきりとここでおっしゃるのが総理の責任だと思います。  また、イラン・イラク戦争の際、安全水域を航海していて攻撃を受けた世界船舶は四百十九隻に達し、船員三百三十三人が死亡、三百十七人が負傷、日本関係船舶は十九隻が攻撃され、日本人船員二人の命が奪われています。このような経験から、全日本海員組合の皆さんは、中立国ですら安全は守られなかった、戦争国に加担すればなおさら安全ではないと危惧を抱き、今回の新ガイドライン関連法案などに反対の態度表明をされています。  総理は、このような現場からの声と動きをどのように受け取っていらっしゃるのでしょうか。御自分の言葉で、心に届く答弁をしていただきたいと思います。  また、自衛隊法一部改正案は、緊急事態における在外邦人輸送船舶使用できるようにするものですが、武器使用について、自衛官はその事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器使用することができると規定しています。  明治以来、日本は幾たびか戦争をしていますが、自国が侵略されて初めて起こした戦争はありません。邦人保護や物資輸送の名目で軍隊がまず国外へ出ていき、その後、全面戦争に至ったという歴史の教訓を、皆さん、私は、再び今こそ思い起こすべきだと思います。海外において武力の行使を行わないと言い切れるのですか。総理、後の歴史に叱責されない御答弁をお願いしたいと思います。  最後に、地方自治体との関連お尋ねします。  地方自治体や民間の協力について、野呂田防衛庁長官は、一般的な協力義務として、協力するのは当然で常識だと答弁されました。これでは、自衛隊が行わない武器弾薬の輸送を民間に肩がわりさせ、地方自治体が管理運営する空港、港湾を米軍に、義務ではないといいながらも、半強制的に使用させようとすることになり、いわば国家総動員体制をしこうとするもののように感じられます。  日本国憲法は、第八章に地方自治の章を定めているのは、皆さん御存じだと思います。国と地方自治体は対等な関係であって、いかなる場合でも、命令、服従の関係に変えることはできません。今、小渕内閣が地方分権推進一括法案を準備され、さらに、このような分権を推し進めていこうとしていらっしゃるこの時期に、なぜ、地理的に定義さえできない国外における対米軍協力だけ例外にしようとなさっているのですか。  地方自治体の長が、住民の安全を守るために、管理下にある港湾に危険物を積んだ軍艦が入港するのを拒否したり、公立病院を野戦病院にしないと異議申し立てをしたりするのは、当然の権利だと考えますけれども、総理は、それは地方自治の範囲ではないと言われるのでしょうか。全国の皆さんが聞いています。はっきりした答弁をいただきたいと思います。この権限を奪うようであるならば、憲法で規定する地方自治という基本原則を覆す、重大な憲法違反であると考えられます。  このように、新ガイドラインは、これまで政府国民説明してきた安保条約の解釈からも、取り繕えない不整合と飛躍がある上、その実効性確保する関連法案などは、憲法上重大な疑義がある事実を改めて指摘し、この新ガイドライン関連法案協定の撤回を求めて、私の代表質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  46. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 辻元清美議員にお答え申し上げます。  その前に、重ねて申しわけないことでございますが、賛成の意を表しながら御質問いただきました東祥三議員のお尋ねに答弁漏れがございましたので、お許しをいただいて答弁をさせていただきたいと思います。  地方公共団体協力についてのお尋ねでございましたが、本法案では、政府といたしまして、周辺事態に対する措置の緊要性にかんがみまして、一般的な協力義務を定め、求めに応じて、その有する権限を適切に行使することを期待いたしております。また、協力内容につきましては、事態ごとに異なるものでありまして、あらかじめ具体的に確定される性格のものではないため、法案の中に規定しておりません。  なお、法案につきまして、特に地方公共団体の関心が高いものと承知をいたしておりまして、政府といたしましては、これまでも要望に応じて、協力内容等について、できる限り具体的に説明を行ってきたところであります。今後とも、一層の理解を得るため、さまざまな機会をとらえて、引き続き説明をいたしてまいりたいと考えております。  さて、辻元議員にお答えを申し上げますが、周辺事態安全確保法案の修正についてのお尋ねでありましたが、政府といたしましては、本法案の修正を検討しているという事実はございません。政府といたしましては、我が国の平和と安全にとって重要な本法案が、早期に成立することを強く期待いたしておるところでございます。  安全保障政策についてお尋ねでありましたが、御指摘のような種々の動きは、各国が直面するリスクを減少させ、より安定的な安全保障環境を構築する努力の一環という意味で重要であります。我が国としても、日米安保体制堅持するとともに、域内の信頼醸成のための安保対話や域内協力を通じた、我が国を取り巻く安全保障環境の安定化への努力を継続する考えであります。  新たな日米防衛協力のための指針の、安保条約上の根拠についてのお尋ねがありました。  新指針のもとでの対米協力は、日本の平和と安全の確保に資するとの我が国の政策判断に基づくものでありまして、対米関係上、その実施を条約で法的に義務づけられたものではありませんが、我が国が、憲法の範囲内で、その時点で有効な法令に従い、必要な安全保障上の措置をとり得ることは、主権国家として当然であります。指針のもとでの周辺事態における対米協力は、安保条約の目的の枠内で行われるものであり、条約上明示的な根拠がなくとも、こうした活動を行うことに何ら問題はありません。  自衛隊の任務と後方地域支援との関係についてお尋ねがありました。  自衛隊法におきまして、本来任務以外にも、自衛隊が有する技能や経験に着目をし、国際平和協力業務等の各種の活動を行うことが規定されており、後方地域支援につきましても、周辺事態安全確保法案においてその内容、手続を定め、これに基づき自衛隊活動を行うことといたしておるところであります。また、自衛隊我が国領域内で活動することが許されないわけではなく、自衛隊我が国領域外においても、本法案に従い後方地域支援実施することに何らの問題はありません。  後方地域支援についてお尋ねでありましたが、周辺事態安全確保法案に基づき実施することを想定している後方地域支援が、後方地域において実施されることにつきましては、防衛庁長官が、軍事的な常識を踏まえつつ各種の情報を総合的に分析することによりまして、合理的に判断することができると考えております。  周辺事態安全確保法案等の取り扱いにつきましてお尋ねがありましたが、本法案に基づき我が国米軍への後方地域支援実施いたしましても、他国による我が国に対する武力の行使を国際法上正当化させることはありません。  また、本法案等につきましては、政府としても広く国民の各層の御理解を得られるよう努めてまいる所存でございます。国以外の者の協力につきましては、あらかじめ具体的に確定される性格のものではありませんが、安全性につきましては慎重に判断し、およそ不測の事態が起こり得ない、そのような危険性がないと考えられる状況において国から協力を求め、また依頼することとなります。  自衛隊法の一部改正につきましてでありますが、在外邦人等輸送は、外務大臣からの依頼を受けて生命等の保護を要する在外邦人輸送を行うものであり、武力行使の目的を持つものではありません。また、本改正案に規定する武器使用は、職務に従事する自衛官等の生命または身体を防護するための必要最小限度のもので、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものであり、憲法上の禁ずる武力の行使には当たらないと考えます。  最後に、地方公共団体協力についてお答えいたします。  本法案では、政府といたしまして、周辺事態に対する措置の緊要性にかんがみまして、一般的な義務を定め、求めに応じて、その有する権利を適切に行使することを期待しております。地方公共団体の長は、その求めを受けた場合に、その有する権限を適切に行使することが法的に期待される立場に置かれるものでありますが、その権限の行使を強制されるものではありません。したがいまして、御指摘のように、地方自治の理念や憲法に抵触するという考え方につきましては、私は、何らそうしたものでないと考えておる次第でございます。  以上、お答えを申し上げました。(拍手
  47. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  48. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時十分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         外務大臣    高村 正彦君         文部大臣    有馬 朗人君         通商産業大臣  与謝野 馨君         郵政大臣    野田 聖子君         自治大臣    野田  毅君         国務大臣    野呂田芳成君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省条約局長 東郷 和彦君