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1999-03-05 第145回国会 衆議院 本会議 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月五日(金曜日)     —————————————   平成十一年三月五日     午後零時三十分 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後零時三十三分開議      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         建設大臣    関谷 勝嗣君  出席政府委員         建設省都市局長 山本 正堯君
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、内閣提出都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。建設大臣関谷勝嗣君。     〔国務大臣関谷勝嗣君登壇
  4. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  我が国市街地は、多くの面で良好な都市環境を備えるにいまだ至っておらず、再開発により、防災居住環境交通景観等機能充実改善を図り、都市の再構築を強力に進めていく必要があります。また、現下の経済状況の中で、都市の再開発は、民間投資を誘発する効果も大きく、内需主導景気回復を図る上でも、大きな役割を担うことが期待されているところであります。  以上のような観点から、国、地方公共団体一体となって民間事業者等が取り組む都市の再開発を積極的に推進するため、今般、本法律案を提案した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、都市の再開発のための資金調達円滑化するため、都市開発資金からの市街地開発事業に対する無利子貸付制度創設土地区画整理事業に対する貸付制度拡充等措置を講ずることとしております。  次に、土地流動化に資する虫食い地等の低未利用地有効利用促進を図るため、土地集約化に関する計画について建設大臣認定を行い、これに対して支援措置を講ずる制度創設するとともに、土地市場低迷が続く中、低未利用地における民間都市開発事業を推進するため、民間都市開発推進機構土地取得業務の期限を三年間延長する等の措置を講ずることといたしております。  さらに、土地区画整理事業及び市街地開発事業を円滑に立ち上げるため、事業計画決定前の準備段階においても、土地区画整理組合及び市街地開発組合設立することができるようにするとともに、公共施設及び宅地の整備建築物整備があわせて行えるよう、土地区画整理事業市街地開発事業一体的施行を可能とする制度創設する等、事業手法改善拡充を図ることといたしております。  以上が、都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。山本譲司君。     〔山本譲司登壇
  6. 山本譲司

    山本譲司君 民主党山本譲司です。  私は、民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。  今日、都市開発事業は多くの困難な課題を抱えており、事業あり方自体が見直されるべき時期に来ていると思います。再開発事業の最も大きな問題は、事業計画から施行までの助走期間に十年、二十年、さらに完成は一体いつのことやらといった、気の遠くなるような時間を要するケースが多いことであります。  なぜ、このような事態に陥ってしまっているのでしょうか。住民合意を取りつけるのに、余りにも多くの時間と費用がかかることが原因だと指摘する人があります。しかし、本当にそれが本質的な原因なのでしょうか。私は、住民合意がなかなか得られないのは、単なる住民エゴではなく、都市計画制度自体に多くの問題があるためではないか、そのため、権利変換でありますとか転出が思うように進まず、事業長期化につながっているのではないかと思うのであります。  今回の改正案では、事業促進観点から、組合設立早期化や、都道府県知事組合設立認可早期化を図るための制度改正を行おうとしております。先ほど申し上げましたように、事業長期化が大きな問題としてあり、是正が必要なことはそのとおりだと思います。法律上は地権者の三分の二の同意設立が可能な組合も、現実には自治体指導で、一〇〇%近い同意を求められているケースも多いと聞いております。  しかし、大方の同意をとってほしいというのは、具体的に事業にかかわります当該自治体にとっては、ある意味で当然の希望でありましょうし、地方分権視点で見るならば、むしろ自治体の判断は尊重されるべきと思います。私は、全体の同意がとれないことが事業の進まない根本原因考えるよりは、むしろ、これまでの事業計画に魅力がなく、その上、制度自体が非常に煩雑でわかりにくく、地権者同意が得られなかったと考えるべきだと思います。  近年、全国各地都市で、駅前の再開発ビルとその周辺の風景が、非常に似通った味気のないものになってまいりました。これは、再開発事業土地区画整理事業が、国の細かい指導のもと、一律に進められている実態をよくあらわしていると思います。今日の地方分権観点から見るならば、このような国主導都市開発は改められるべきであります。  欧米では、都市計画地方自治体の仕事であり、それぞれの市町村がそれぞれの必要に応じて都市計画を修正する方法がとられております。全国それぞれの地域の特性を生かした町づくりを進めるためには、自治体計画裁量権を与え、国は、金を出しても口は出さないという姿勢に徹するべきなのです。  しかし、今回の改正案では、新たに創設されます事業用地適正化計画認定権者が、自治体の長ではなく、建設大臣となっていることなどからも、中央の関与がますます強まる内容に思えてなりません。この点について、建設大臣いかがお考えでしょうか。  また、再開発計画の問題として挙げられるものに、事業計画の大規模化があります。かつての右肩上がり時代によく見られたような、高層建築物中心の再開発事業が今も計画中心となっております。高層建築物は、建築コストがべらぼうに高くつき、坪当たり百万円を超えることも珍しくありません。そのため、保留床の価格も坪当たり数百万円といったものになってしまう場合もあります。  バブル経済のころならいざ知らず、今日の長期不況時代に、こんなむちゃくちゃなコストを払ってまで、高層ビルに店を出そうとする事業者は少なく、これが保留床が売れない大きな原因ともなっています。しかも、管理費も当然大変な高額になり、これでは商店の営業は成立しないので、もともとの地権者も再開発ビルに入れないような事態を招いてしまっているのです。  高度利用型の事業は、確かにディベロッパーには魅力的なものかもしれません。しかし、再開発目的は、あくまで魅力的な居住環境経済活動の場の創出であり、開発そのもの目的ではありません。都市の再開発民間投資を誘発する効果が大きいという理由だけで進められているのであれば、事業のための事業という批判の多い大規模公共事業と本質的には同じ過ちを行っているのではないでしょうか。そもそも、現在の事業のように、再開発後はもともとそこにいた住民の大部分がいなくなってしまうということ自体、異常だと思えるのです。  今回の政府改正案では、再開発事業及び土地区画整理事業に対する都市開発資金からの無利子貸付制度創設拡充や、保留床管理法人への無利子貸付制度創設が盛り込まれております。しかし、このような制度も、現在の再開発計画を根本的に見直さない限り、余り効果的な施策とも思えないのであります。  都市計画先進国でありますドイツにおける再開発を見ますと、都市景観都市文化の保全が再開発事業の重要なポイントとなっております。また、再開発される地域の建物をできるだけ撤去せずに、これまでの居住機能を残したままで、都市機能の更新を図る手法も採用されております。もともとそこにある地域社会機能をどう残すかが計画基本となっているのです。  また、フランスでも、各地域ごとのイニシアチブの発揮や、情報公開住民参加制度化とともに、企業活動活性化にも寄与するよう、各種手続の緩和や単純化が図られております。  振り返って、我が国の場合は、都市計画法に次々に新しい制度が加わり、都市計画法と関連する法規は年々膨大になり、また複雑になっております。したがって、都市計画制度と、それに付随する補助金全体を理解しているのはごく一部の専門家だけというのが実態でございます。この結果、市民の理解と参加を遠ざけてしまい、さらには、国による都道府県市町村に対するコントロールを強める手段になってしまっているのではないでしょうか。  小渕総理我が国もそろそろ都市計画制度を抜本的に見直すべき時期ではないでしょうか。今回の法改正のように、都市政策周辺部分をさわる程度では、もはや何の効果も期待できないと思います。  我が国においても、これからの再開発事業は、地方分権という視点を明確にした上で、地域社会基本とした、人の交流を生み出すようなものにしていくべきと考えます。そのためには、建設コストの余りかからない小型建築物中心に、高齢者施設や、保育、教育施設専門店街効果的にリンクした再開発事業計画されるべきであります。  そして、補助金制度などの細かい規定を見直し、自治体裁量を拡大した上で、補助金の使い方については、組合などの施行者考えるというスタイルに切りかえれば、事業も進めやすくなると思います。地方分権推進委員会の勧告にもある統合補助金制度は、再開発業務に最も適していると考えますが、総理は、いかがお考えでしょうか。見解を伺います。  本法案に関連して、住都公団改革についても伺いたいと思います。  今国会では、住宅都市整備公団改革法案審議が予定されております。住都公団分譲住宅業務から撤退することは当然と思いますが、今後は、賃貸住宅業務のほかに、都市基盤整備業務に重点をシフトするとされております。賃貸住宅業務の継続も議論のあるところですが、新公団の行う都市基盤整備業務とは、果たしていかなるものなのでしょうか。  住宅供給としての役割を終えた公団が、今度は民間ディベロッパーを圧迫するというのでは、全く意味がありません。また、未利用地低利用地土地取得業務などは民間都市開発機構も行っており、公団がかかわる必要性はないように思われます。都市開発事業における公団役割とは一体何なのか、建設大臣に御答弁をいただきたいと思います。  また、今回の改正案では、住都公団に対する無利子貸付制度創設が盛り込まれております。しかし、間もなく廃止になる公団に対し新たな制度をつくるというのは、にわかに理解しがたいのであります。政府住都公団改革法案は、現時点では、国会審議の日程にすら上っておらず、新公団としての存続すら決まっていないのです。にもかかわらず、先行する別の法案で先に手当てをしていくというのは、余りにもこそくな手段ではありませんか。  新制度議論を行う前に、まず、公団存続について十分な国会審議を行うべきであります。この件についても、あわせて建設大臣に御答弁をいただき、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  7. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 山本譲司議員にお答え申し上げます。  都市開発政策についてお尋ねがございました。  再開発事業は、町づくり観点からも、福祉施設導入など地域状況に応じた適切な計画とすることが肝要でありまして、今回の法律改正による支援措置拡充等に加えまして、今後さらに、町づくりに係る統合的な補助金導入を検討し、地方公共団体がより主体的に取り組めるよう努めてまいりたいと考えております。  残余の問題につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)     〔国務大臣関谷勝嗣君登壇
  8. 関谷勝嗣

    国務大臣関谷勝嗣君) 山本譲司議員にお答えをさせていただきます。  私に対します問題点は三問でございます。  まず最初に、事業用地適正化計画認定権者建設大臣となっていることにつきまして、地方にそれは任すべきではないかという御趣旨でございます。  町づくりを進めるに当たりましては、地域創意工夫と特色を発揮することが極めて大切であることを理解いたしております。このためには、地域の実情や地域住民の意向に精通している市町村の長あるいはまた地域住民等が果たすべき役割は、確かに大きなものが私はあると思っております。こうした考え方から、これまでも都市計画決定に対する国の関与の範囲を縮減するなど、国として、町づくり分野における地方分権に積極的に取り組んでいるところでございます。  ただ、今回の法律案に盛り込まれております事業用地適正化計画制度については、本制度が主に国税の特例措置を講じようとするものであり、私の認定が、私は適格であると思います。これが地方の税ということになれば、地方の首長の方々が認定をするのがいいのではないか考えます。  次の問題でございますが、都市開発事業における住都公団、新しくこの十月からは都市基盤整備公団役割でございますが、現在の住宅都市整備公団実施しております都市開発事業は、民間事業者のみでは実施することが困難な、大規模な再開発事業中心でございます。  大都市地域等においては、都市構造を再編し、住居、防災交通等機能の向上を図るためには、地方公共団体及び民間事業者役割分担しながら、公団がこうした事業実施することが不可欠だと考えております。公団改革基本的な考え方は、まさにこうした再開発事業における公団役割公団業務の柱の一つとして位置づけるものでございます。  なお、公団土地取得業務は、そのままでは都市開発事業を行うことが困難な、先生も御指摘をされていらっしゃいました、低未利用地等を取得して、公団がみずからそれを整形化し、道路等基盤整備を行った上で、民間事業者に譲渡することを予定しているものであり、民間都市開発推進機構業務とは適切に役割の分担をしていると考えます。  最後の問題でございますが、住宅都市整備公団存続について十分な国会審議を行うべきである、このことでございますが、住宅都市整備公団は、従来より、民間では実施が困難な再開発事業実施しており、特に、最近における厳しい経済情勢土地市場低迷の中で事業の的確な遂行を図るためには、資金調達円滑化を図ることが重要でございます。  このため、今回無利子貸付制度創設することにより、事業の的確かつ円滑な実施を図ることとしたものでございまして、この公団改革につきましては、都市基盤整備公団法案を提出しているところであり、適切に御審議をいただくことを期待いたしております。(拍手
  9. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  10. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十五分散会