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安倍最高
裁判所長官代理者 家裁の実務の実情という観点から、多少御説明させていただきたいと思います。
お尋ねの、実情は現在どういう人が
後見人になっているのかという点でございますけれども、これは詳しい統計が手元にないわけでございますが、平成八年にある調査をした結果を踏まえて見ますと、今法務省から説明があった法定
後見人がなっているケースが一七%で、残りの八三%は選定
後見人からなっているという実情がございます。そして、その選定
後見人にどういう方がなっているかということでございますけれども、親がなっているケースが一五%、
子供が二五%、兄弟姉妹が三二%、弁護士さんの場合は三%、あとはその他二五%、大体こういう分布状況にあるというのが実情のようでございます。
具体的な
後見人の選任の方法でございますけれども、通常家裁に申し立てがされる場合には、多くのケースは
後見人の候補者を挙げてこられるケースがございます。候補者を挙げてくる場合には、その候補者を一つのポイントに考えていくわけでございますが、ただ、事案によっては、利害関係がふくそうしている場合には、他の候補者を他の親族が出してくるというケースもございまして、そのような場合に、候補者間どちらが適任かということを考えていかなきゃいけないという問題がございますし、候補者が挙がってこない場合には、家庭
裁判所が身分関係あるいはその他の支援機関等を考えて選任を考えていく、こういうことになろうかと考えております。
具体的な基準は、
法律に規定されている基準をまさに個々具体的な事案を見ながら考えていくしかないということでございまして、今明確にこれを基本線にするということを申し上げることは適当じゃないように考えているわけでございます。具体的には、家裁調査官がその候補者たる方にお目にかかるなどして、その候補者の実情でございますとか、被
後見人になろうとしている御
本人との利害関係でございますとか、御
本人の意思でございますとか、そして根本的な点では、御
本人の生活状況、財産状況等を調査して適任者を考えていく、こういったことになろうかと考えております。
さらに、
後見人になる人に対してどういう説明をするのかという点でございますけれども、これは現在でも行われていることでございますけれども、やはり御
本人に対しての
後見人の役割の重要性、特に財産管理面の重要性、また財産管理を的確に行っていく上でのポイント、注意事項でございますとか、あるいは何らかの問題が生じた場合に、家裁とどういう連絡をとって対処していくかということについての具体的な御説明をさせていただいておりますし、
裁判所によっては説明書をつくりまして、これをお渡ししてその点の御理解を深めるための方法にしているところもあるように承知しているところでございます。今後も、この
制度が具体化された場合には、その面については特段の工夫をしていきたい、このように考えているところでございます。
それから、
後見事務が適正に行われているかどうかをどう確認するのかということでございますけれども、これは現在の運用でも同じ問題があるわけでございますが、現在の
後見事務につきましては、事案によっていろいろな確認の方法があるわけでございます。定期的に
後見人から報告をもらう方法、あるいは最初の段階から
後見人に対して家裁が相当指導的な立場で関与していく方法等があるわけでございますが、基本的には、財産についての目録とか、その処理状況の帳簿を出してもらう、そして
後見状況についての説明を口頭で伺う、こういったことを中心にして実情把握をしているということになろうかと考えております。
また、研修の実施という観点でございますけれども、家庭
裁判所の立場から申しますと、個々の事件における
後見人の仕事ぶりを家庭
裁判所として逐次フォローしていきながら、その中で必要な指導を申し上げる、こういった形で
後見事務の適正な運営を担保していきたい、このように考えている次第でございます。
なお、最後に御指摘のございました、多数の
後見人を確保する観点からどういうことを考えているかということでございますけれども、
委員御指摘のとおり、この
制度改正によって、親族のみならず、社会がいわば
後見人の給源として期待されている、こういった面があるわけでございまして、その意味では、地域社会の関係諸機関の御協力なしではできないことだろうと思っております。家裁といたしましては、こういった社会に対しての働きかけを行っていきたいと考えている次第でございます。
以上でございます。