○上田(勇)
委員 今回のこの
通信傍受法案については、御承知のとおり、大変な反対論も強くあります。この
委員会で参考人の有識者の方々に御意見を述べていただいたときにも、慎重あるいは反対という立場を表明された方もたくさんおられました。
これは、皆さんが、また多くの国民は、今の
暴力団関係の事件、とりわけそういう
薬物であるとか
銃器であるとか、そういった事件について取り締まりを強化する、捜査を厳密に行っていく、そのことによってそういう
犯罪の防止、摘発を進めていくということについて異論があるわけではありませんし、その限りにおいて、いろいろな手段、この
通信傍受についても限定的にはやむを得ないというふうな意見が強いのではないかと思うのです。
要は、なぜそれほど反対論が強いかといえば、いろいろ御
説明を伺っていますと、やはりこれは捜査の有効性、捜査上これがあるともっと有効な捜査ができるという視点がどうも優先されておるのであって、本当にそれが、通信の秘密あるいはプライバシーの保護という
観点から、必要最小限、もうこれしかないといったものに限定されているのかどうかといったところについて疑問が感じられているからだというふうに思います。
私も、今の
質疑を通じまして全くそういうような印象を受けたわけでありまして、これから我々も党内におきまして、こうした今
質疑が行われました
対象犯罪、これはどこまでが必要最小限として認められるのか、あるいはこの
法案に示されているそれに対するいろいろな
要件、そういったものが、必要最小限といったことを担保する
意味から本当に十分なものとして機能しているのかどうか、その辺の検討をしていきたいと思っております。同時に、この
委員会におきましても、そうした点、さらに明らかにしていきたいというふうに考えている次第でございます。
それで、今度はちょっと別のところに移らせていただきます。
先ほど、検証令状による傍受について、立会人のことについて何点かお伺いをいたしましたが、この
法案でも、第十二条におきまして、検証令状で求められているのと同じような形で、通信事業者またはこれにかわるべき者あるいは地方公共
団体の職員を立ち会わせなければならないというふうになっているわけでありますが、ここで、検証令状の傍受の際には、NTTの職員が立ち会いを拒否している、五例ともそうでございました。
しかし、ここで書いてある十二条というのは、「通信手段の傍受の実施をする部分を管理する者又はこれに代わるべき者」ということですから、これは当然NTT等の通信事業者の職員を想定しているものだというふうに理解できるのですが、これまで、いろいろな理由で、
法律上の立ち会い義務がない、あるいは通信事業者としての通信の秘密を守るべき義務という
観点から、五例ともすべて立ち会いを拒否しているのにもかかわらず、今回この
法案で、やはり同じような資格の者を立ち会わせるというようなことは、これは通信事業者の方で果たして了解は得られるのでしょうか。その辺の御見解をお伺いしたいと思います。