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1999-05-19 第145回国会 衆議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十九日(水曜日)     午前九時三十分開議   出席委員    委員長 小川  元君    理事 栗原 裕康君 理事 栗本慎一郎君    理事 小杉  隆君 理事 増田 敏男君    理事 藤村  修君 理事 山元  勉君    理事 富田 茂之君 理事 松浪健四郎君       岩永 峯一君    大野 松茂君       奥山 茂彦君    倉成 正和君       佐田玄一郎君    下村 博文君       高鳥  修君    高橋 一郎君       中山 成彬君    松永  光君       渡辺 博道君    桑原  豊君       田中  甲君    中山 義活君       池坊 保子君    西  博義君       笹山 登生君    石井 郁子君       山原健二郎君    濱田 健一君       粟屋 敏信君  出席国務大臣         文部大臣    有馬 朗人君  出席政府委員         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         文化庁次長   近藤 信司君  委員外出席者         文教委員会専門         員       岡村  豊君 委員の異動 五月十九日  辞任         補欠選任   池端 清一君     桑原  豊君 同日  辞任         補欠選任   桑原  豊君     池端 清一君 本日の会議に付した案件  国立教育会館解散に関する法律案内閣提出第七二号)(参議院送付)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 小川元

    小川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付国立教育会館解散に関する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山元勉君。
  3. 山元勉

    山元委員 おはようございます。民主党の山元でございます。  議題となりました法案について質問させていただこうと思いますが、このことについては、参議院先議ということでしっかりと質疑をされておりますし、私も速記録をしっかりと読ませていただきました。ですから問題点はほとんど明らかにされているわけで、重複は避けたいとは思いますけれども、当委員会としても確認をしたい幾つかについて、まず大臣の御認識をお伺いしたいと思うのです。  特殊法人としての教育会館解散される、それに至る経緯というのは私も承知をしています。前の閣議決定特殊法人について整理をしようということでしたし、私自身も、もう四年前になるんですか、自社さ政権のときに、行政改革の座長の一人として随分とこの問題について論議をいたしました。ですから、今そういう特殊法人整理をされていくということについては、私も理解をしているわけです。  そこで、特殊法人全体の中で教育会館解散をされる意義文部省としてどのようにその意義をお考えになっていらっしゃるのか、あるいはこれからの、だからこういう手順でということについて、大臣の御認識をまずお伺いしたいと思います。
  4. 有馬朗人

    有馬国務大臣 おはようございます。ただいまの山元先生の御質問にお答え申し上げます。  国立教育会館は、国が行うべき教育研修等について、文部省一体となって実施する行政代行型の特殊法人といたしまして昭和三十九年に設立されました。しかしながら、その後、教育関係者がその研修に利用し得る施設が非常に多くなってきたということから、特殊法人整理合理化を図る行政改革を推進する一環として、いわゆる貸し館業務についてはこれを行わないことにし、国立教育会館廃止することとしたものでございます。  なお、国立教育会館は、各地方公共団体において指導的立場に立つ教育関係者研修事業や、新たな教育課題、例えば情報教育であるとかカウンセリング等に対応するための研修事業実施しているほか、教育に関する情報資料を収集・提供する事業実施しているところでございます。  こういうような事業につきましては、国立教育会館解散後においても、全国的な教育水準維持向上を図るという観点から、他の適切な機関移管して国のレベルの事業として実施する必要があると考えております。
  5. 山元勉

    山元委員 改めて教育会館の概要のパンフを見せていただいたのですけれども、今大臣お答えのように、研修事業あるいは幾つかの事業、例えば教育情報提供貸し館出版事業といろいろあるわけですね。このパンフにはなぜかこの貸し館業務については書いてないわけですけれども、そのうち、貸し館業務廃止をする、そして研修やそういう情報提供の問題については継続をして移管をする、こういうお答えだったと思います。  その引き継ぐ、特に研修についてですが、今の時点で、国立教育会館が行ってきた研修と新たなところで行う研修といいますか、私は質が異なっていくだろう、そうでなければ効率化行政改革というものになじまないわけですから、この継続をするという特に研修について、内容だとかあるいはその意義、どういう方向で続けるべきなんだという御認識をお持ちなのかお尋ねをしたい。
  6. 御手洗康

    御手洗政府委員 お答え申し上げます。  現在、教育会館が行っております研修につきましては、実は大きく分けて三つ種類がございます。  一つは、本館会議室ホール等を使いまして、全国の数多くの教職員方々全国的な立場からお集まりいただきまして、現在抱えております教育上のさまざまな課題等につきまして研修していくというタイプのものが一つでございます。  それからもう一つは、つくばにございます学校教育研修所におきまして、いわゆる教職員等中央研修講座あるいは情報教育指導者講座、さらには英語教育指導者講座等長期に宿泊を伴いまして、各都道府県リーダー的な方々を養成し、その方々も、後は都道府県に帰っていただきましてそれぞれの地域で活躍していただく、そういった専門的なかなり高度の研修を行うという部分。  それからもう一つは、上野の社会教育研修所におきまして、社会教育関係者のこれも専門的な研修長期にわたって行う、こういった三つ種類研修を行っているところでございます。  当然、今後新たな機関に移す際には、これらの研修内容につきましても、文部省全体の立場で改めて見直すという必要があろうかと思っておりますけれども、特に本館を利用しております研修につきましては、本年度におきましても、例えば全国新任高等学校長特別研修、あるいは市町村の教育委員会委員さんあるいは教育長さんに対します大規模研修等を既に廃止をしていくということにしておるわけでございまして、こういったところを中心にしながら、新たに引き継ぐ場合には十分見直しをしてまいりたいと考えているところでございます。
  7. 山元勉

    山元委員 研修中身についてはまた後ほど申し上げたいと思います。  もう一つ確認をさせていただきたいと思うのですが、この問題は随分と論議があったのですが、特殊法人整理統合していくというときに一番問題になるのは、そこのところで長年働いてきてくれた職員さんの問題です。  特殊法人について全面否定する人はいないと思うんですけれども、大きな役割を戦後果たしてきたわけですね。ですから、そういうところで一生懸命になって働いていただいた職員皆さん雇用労働条件をどう守るかということは、これは大事なことだと思うのですね。残っている今八十ほどの特殊法人皆さんもこのことは心配しているし、士気にかかわることでもあるわけですね。  今度の場合は規模は非常に少ないといいますか、八十一人を二十名減らすということですが、今まで御苦労さんでしたという意味も込めて、雇用も賃金もあるいは年金も含めて、ですから、やはりしっかりとこれは、安心してくださいよと言うことが大事なことだろうというふうに思うんですね。そういうことは、今働いている皆さん、あるいは今まで働いてきた意味を考えると、きちっとしなければ特殊法人あるいは独立行政法人にも影響を与えるかもしれません。ですから、そういうことを最大配慮をする必要があると思うんですが、その点について状況はどうなっていますか。
  8. 御手洗康

    御手洗政府委員 今回の国立教育会館廃止に伴いまして、職員については二段階で措置をしたいと考えているところでございます。  解散自体本法成立後二年以内ということでございまして、その際には全体を、新たな独立行政法人等を視野に含めまして業務移管し、職員も引き継ぎたいと考えているわけでございますけれども、それに先立ちまして、平成十二年四月一日以降は、主として本館で行っております貸し館業務を行わないということで法案をお願いしているところでございまして、これを前提といたしまして、平成十二年一月一日以降、この教育会館が行っております貸し館業務につきましては、適切な民間法人業務全体を移管いたしたいと考えているところでございます。  これに伴いまして、今御指摘ございましたように、まず二十人の定員を削減したいと考えているところでございます。これらの職員につきましては、現在、個々の職員希望調査をいたしながら、原則として、主として会館ホール等業務に携わっています現業的な仕事方々中心になろうかと思っておりますので、基本的には、業務委託をお願いしたいと思っております新たな民法法人と相談をいたしまして、そこに職員を引き継いでいただく。それ以外のところに異動したいという希望職員につきましては、その職員希望をできるだけ尊重いたしまして、文部省関係機関等も含めまして措置をいたしたいと考えているところでございます。  なお、処遇につきましては、新たな民法法人との間で業務委託をする際に、必要な人件費部分等につきましては予算措置もお願いしてございますので、できる限り現状と余り変更のない形で今後お話をさせていただきたいと思っております。  また、国家公務員等という形で文部省の他の機関等に移っていただく場合には、これまでの国立教育会館におきます勤務経験等を十分踏まえまして、国立大学等に既に勤務しております職員との均衡上バランスを崩すことのないような形で万全の措置をしてまいりたいと考えております。
  9. 山元勉

    山元委員 繰り返しですが、くれぐれも今まで一生懸命に働いていた人たちに報いるということでないと、他の特殊法人、あるいは、今おっしゃるような新たにできてくるであろう民法法人等に働く人の士気にかかわることですし、かたい言葉で言うと権利にもかかわることですから、万全という言葉をお使いになりましたけれども、そのことについてはぜひ十分な御配慮をいただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。  そこで、今、民法法人という言葉が出ました。参議院速記録を見せていただきますと、御手洗局長は、独立行政法人制度に乗る形で業務を引き継げれば一番いいのではないか、こういう答弁をしていらっしゃいますね。そのときは独立行政法人通則法案も出ていませんでしたけれども、先日、国会でも趣旨説明がありました。  もし、そういう見えてきた独立行政法人移管するとすればということでお尋ねをしたいわけですけれども、特殊法人解散する、その特殊法人教育会館は、特に聴講料を取って収益を上げる目的で研修をやってきたわけじゃないのですから、独立行政法人にいっても同じことだと思うんですね。独立行政法人にいったから、今度は全部、全国から集めて勉強してもらいます、そのかわり受講料が要りますよ、採算がうちは大事なんですということにはならないだろうというふうに思うのですね、事の性質からいうと。  そうすると、一体特殊法人独立行政法人移管をするそのメリット、意義というのはどこにあるのか。ただ看板のかけかえ、印鑑のつくりかえということになるのではないかという気持ちがするわけです。そこでしっかりと節目をつけて、こういう意義があるんですということがなければいけないだろうと思うんですが、その点はどうですか。
  10. 御手洗康

    御手洗政府委員 独立行政法人と現在の設置形態であります特殊法人との比較ということで申し上げますと、一般論でございますけれども、独立行政法人制度をつくります趣旨は、特殊法人に比べまして、一層業務の自律的な運営あるいは財務の弾力的な運営を確保することができるという一方で、事業に対しましては、厳しい事後評価実施いたしまして定期的な見直しを行う、こういった観点から、特殊法人に比べまして、一層業務効率性や質の向上を図るということをねらいとして創設されているわけでございますので、残りました研修業務等を新たな独立行政法人という形で引き継ぐことができました際には、独立行政法人通則法、現在審議をお願いしているところでございますけれども、その制度にのっとった適切な運営を行ってまいりたいと考えているわけでございます。  文部省といたしましては、この際、国立教育会館業務を仮に独立行政法人移管するという際には、先ほど御指摘がございましたけれども、現在教育会館実施しております教育研修情報業務等精選とあわせまして、文部本省全体の業務スリム化という観点も加えまして、文部省全体で、今本省で直接実施しております研修関係事業につきましてあわせて見直しまして、新たな独立行政法人の方へこれを移していくということを含めて、行政改革の実を上げてまいりたいと考えているところでございます。
  11. 山元勉

    山元委員 少しわからないですね。例えば印刷業務だとかいろいろなもので独立行政法人化の話があります。そういうところはきちっとコストをいろいろ考えることができるわけですけれども、教育研修ということについてはなかなか難しいと思うんですね。  提案されました通則法の中にも幾つかの柱があります。運営効率化するために三年ないし五年の中期目標を立てて、そこのところでしっかりと評価をして解散あるいは民営化を考えるんだという中期目標を設定せい、こうなっているわけですね。あるいは企業会計を取り入れてやるんだと。こういうことに教育研修がなじむという筋がきちっとないと、研修効率化を考えます、スリム化を考えますということだったら、これはほかの事業と同じことになると思うんです。  僕は、文部省として、研修はこういう特性があって、このような方向で、あるいは今の時代の要請にこたえるこういう研修を、これは国の補助が要りますよということをきちっと立てないと、今の局長答弁だと、採算を考えますとかコストを考えますというよその委員会審議と同じことになってしまうという気がするんですが、いかがですか。
  12. 御手洗康

    御手洗政府委員 独立行政法人幾つかの御指摘のようなタイプがあるわけでございますけれども、研修事業につきましては、従来から国立教育会館が行っております研修事業につきましては、主として国が、本来全国的な教育水準維持向上という観点から実施をするというものにつきまして、国の予算を用意いたしまして、それを特殊法人であります国立教育会館の方で執行するという形で実施しているわけでございますけれども、新たな研修あるいは情報提供業務等を引き継ぎます独立行政法人という考え方の中では、運営費といったものにつきましては、やはり引き続き国が、本来国の立場教育水準維持向上を図るという観点から行うべきものを、文部本省政策立案と企画というものに仕事を集中させて、その実施部門独立行政法人に行ってもらう、基本的には、今の教育会館が現在行っております考え方と同じような考え方運営をしていく。ただ、その際に、具体的な財務会計規則あるいは業務事後評価、それに伴う見直し、こういったものにつきまして、一般のといいますか、独立行政法人通則法に示されておりますような基本的な原則に従って運営をしていく、こういうふうに考えているわけでございます。
  13. 山元勉

    山元委員 これからの問題だろうというふうに思います。  ただ、特殊法人幾つかの問題があった、例えば昭和三十年代にどんどんとつくられて、それからずうっと、言葉はよくないかもしれませんけれども、官僚の天下りの受け皿であるとか、あるいは、用事が済んで責任が果たせた、けれどもということで権益がどんどんどんどんと膨らんでいった、こういう今までの轍を踏まないように、今度のこの通則法の中で出ていますように、三年ないし五年で中期目標を立てて業績評価をやるんだ、このことは私は節をつくることでいいことだと思うんですね。ですから、そこのところは、今までのようなことにならないような、新たな研修業務あるいは情報提供業務なら情報提供業務ということで、しっかりとした文部省の構えを持っていただきたい、これは持ち続けることも大事だろうというふうにお願いをしておきたいと思います。  そこで、その研修中身についてですけれども、私、今まで教育会館が果たしてこられた実績というのを全面否定するつもりはありませんけれども、今、見直す大変大事な節目に来ているのではないか、時期に来ているのではないか。  例えば、地方分権流れが大きくあるわけです。全国から、北海道から沖縄まで全部校長を集めて、あるいは指導者を集めて、教育長さんを集めてということについては、地方分権流れの中で、やはり研修地方分権という流れをつくる時期に今あるんだろうというふうに思いますし、もう一つは、新しい課題というのが今どんどんと出てきているわけです。  例えば、いじめの問題については、研究をここでやっていらっしゃることはわかりますけれども、後ほど少し詳しく申し上げたいと思いますけれども、例えば子供たちに、二十一世紀には夢がないという実態が出てきた、学級崩壊という事態が出てきた、そういうことに対応する研修ということでなければならぬと思うんですね。  ですから、この際解散をする、今までの、従来の研修というものを抜本的に見直すと。私は、行政の方がたくさんいらっしゃいますけれども、現場の教職員研修しなきゃならぬけれども、文部行政に当たっている人たちも、求められている日本教育というのはこういうものだということの研修は、それは行政上の研修ではなしに、教育中身についての研修行政職皆さんもやはりしなきゃいかぬのと違うかと思うのですね。  そういうふうに、今申し上げましたように地方分権だとか新しい事態課題が出てきている。そういうときの研修というものについて、この際見直すべきだと思うんですが、これは大臣に御認識をお伺いしたいと思うんです。
  14. 有馬朗人

    有馬国務大臣 公立学校教職員研修は、基本的には、任命権者である各都道府県指定都市教育委員会責任を持ってその大部分を既に実施しております。  一方、国としてはこれから、都道府県指定都市の行う研修について、必要な助言援助、先ほど御指摘がありましたいじめの問題とかそういう広い範囲にわたるような問題に関する助言援助等々を含みますが、教育機会均等全国的な教育水準維持向上を果たす校長教頭等に対する研修や、学校教育の喫緊の課題となりますリーダー研修を直接に実施する、現在もしておりますが、こういうものを続けることになると思います。  御指摘の、国の行う研修精選につきましては、国と地方役割分担考え方から、昨年九月の中央教育審議会の答申を踏まえまして、平成十一年度においても所要の見直しを図ったところでございます。  今後さらに、省庁再編後の新しい文部科学省業務スリム化を図る観点から、現在の国立教育会館事業見直しも含めて一層の検討を進めてまいりたいと考えております。
  15. 山元勉

    山元委員 少し具体的にですが、この節目として考えるべきときに、簡単に言いますと、必要な、あるいは強化しなきゃならない研修と、もういいじゃないかという研修とがあろうと思うのですね。  例えば環境の問題について、環境の単位を取って教員免許をもらった先生というのは少ないだろうと思うんですね。ですから、今これだけ環境の問題、地球環境の問題、共生の問題があるときに、新しいテーマとして強化をしなきゃならぬ研修だろうと思います。人権の問題もしかりだというふうに思います。あるいは情報化社会に対して、その技術の問題を、あるいはパソコンを使える先生が少ないという状況からいっても、そういう状況の中でふやさなければならない研修というのはあろうと思うのです。  それは、大臣もおっしゃいましたように、リーダーを養成するとか、あるいは地方で行うときに助言、指導するというような形もとってそういう新しいものはつくらなきゃならぬ、研修テーマをつくらなきゃならぬというふうに思うのですが、最近、私大変心配をすることで、ぜひ文部省としても意識をして取り組んでもらいたいことを具体的に幾つか申し上げたいのです。  一つは、この間、文部省外郭団体日本青少年研究所調査で、今の日本の中高生は二十一世紀に全く夢を持っていないという調査結果が出ました。中国、アメリカ、韓国、日本と四カ国の中学生高校生を調べた調査結果が出ているんですね。  例えば、二十一世紀人生目標として挙げた項目のうち最も多かったのは、日本中学生は、その日その日を楽しく暮らすことだ、六一%。高校生が、趣味や興味をエンジョイする、これが二十一世紀人生目標だ、それが六九%。中国の中高校生は、自立した人間になることだ、こういう夢を持っているわけです。ところが、日本中学生高校生のこういう状況というのは慄然とします。  ただ学校が荒れているというだけでなしに、たくさんの子供アンケート調査をやって、本当の正しい意識を持っているというのは、望ましい意識を持っているというのは、各項目を見たら三〇%台。各国を比べたら、本当に日本の中高校生はここまで来ているのかという感じがする調査が出ている。これは文部省外郭団体ですから文部省は十分御承知のことだと思いますけれども、こういう今の状況というのは、よく言われるように、生きる力だとかあるいは心の教育だとかいうことでは済まされない状況になっているのではないかという感じがするわけですね。  これは部分的に、まあ十の県で調べたらしいですけれども、私のふるさと滋賀県も入っているのです。だから余計に慄然とするわけですけれども。これはやはり文部省も、教職員も、あるいは地域も考えなきゃならぬ、新しいテーマとして研修をしなきゃならぬのと違うかというふうに思うんです。このことについて、今どういうふうに文部省は受けとめていらっしゃいますか。
  16. 有馬朗人

    有馬国務大臣 先生の御指摘のとおり、日本青少年研究所発表の「二十一世紀の夢に関する調査」の結果は、私もびっくりいたしましたというか、一方では、そういうふうな感じになっているんじゃないかということを心の教育などを検討している際にしみじみと考えておりましたけれども、ああいうふうに具体的な数字として出てきたことに対して憂えている次第であります。  やはり大人がもっと積極的に生きていくというような気持ちがないと、子供たちもやはりああいうふうになると思います。私は、社会全体の問題である、もっと日本人は自信を持って生きていくというふうな方向へ持っていかなければならないということが第一の私の感想でございます。  子供の問題に戻りまして、やはり次代を担う子供たちが将来に夢や希望を抱き、創造性チャレンジ精神を十分に発揮してたくましく心豊かに成長するということが、教育上の最も大きな課題であると私は考えている次第であります。  したがいまして、文部省といたしましても既に、完全学校週五日制の実施及び教育内容の改善により、学ぶ意欲や知的好奇心探求心などを身につける、そういう生きる力を身につける教育を行っていくことを考えております。また、ボランティア活動自然体験活動など体験的な学習を推進し、自分の生き方を考えさせる、こういうふうな教育を図っているところでございます。自然体験活動などは非常に重要だと思っております。また、社会体験というふうなことも極めて大切と考えております。  また、中高一貫教育の推進を行うというふうな意味で、個々人の個性に応じた多様な選択を可能にする学校制度を整備する、こういうふうなことを目指して教育改革を推進しております。  何としても、子供たちに夢や希望を与えることができる学校づくりに取り組んでまいりたいと思いますが、そのためには、やはり家庭、地域社会の御協力をぜひとも賜りたいと思っている次第でございます。
  17. 山元勉

    山元委員 これは一々分析したり論議する時間はありませんけれども、ぜひ次の調査のときには、この新聞の見出し、各紙が書いておりますが、「夢も希望もない日本の中高校生」あるいは「日本の中高校生 夢乏しい二十一世紀」あるいは「夢少なく享楽志向」、こういう見出しが逆の見出しになるようなそういう努力を文部省も、今大臣がおっしゃいました、地域社会ももちろんそうですし、保護者もそうです、あるいは現場の教職員が一番大きな責任を持たなきゃならぬかもしれませんけれども、ぜひこの際、これについてどうするんだということを、ただ慄然とするだけでなしに、具体的な研修についての方策を立てていただきたいとお願いをしておきたいと思います。  それからもう一つですが、余りよくない話題ばかり出すんですけれども、これもこの間の文部省と労働省の調査で、大学、高校、中学とも就職率最低、中学校の内定率も七九%。中卒者が就職をしようという条件というのは、わくわくとしてということにはなかなかならない状況というのは、私、現場にいてよく知っております。そういう子供たちも、今のこういう景気の状況の中で、八〇%を切って、二〇%以上の子供が就職浪人になっているわけですね。  これについて、単なる就職指導ということではなしに、やはり研修として——進路指導という言葉があります。進路指導というのがあって、例えば高校の進路指導の担任の先生たちは、ことしはあの高校へ去年よりも多く入学できた、ことしはだめだった、ことしはついに浪人を出してしまったと、いろいろなことを言いますけれども、それは進学指導のことが頭に九十何%かあって、就職指導、子供たちが働く意欲を持って就職したい、けれどもどうだという、一番いいところへ就職できる条件をつくるという努力が、私は率直に言って、欠けているんだろうというふうに思うんです。  そのことは、文部行政の中でもしっかりと考えなければ、この状況というのは、確かに世の中、リストラだとか倒産だとか厳しい雇用状況になっていることは事実。けれども、大卒も高卒も中卒も史上最低の内定率ということについては、この景気が、当分の間こういう状況が続くとすれば、早急に学校で、子供たちをほうり出すという言葉は語弊があるけれども、きっかりと働く意欲を持ち、目標を持って、そして就職をしていけるという条件をつくるにはいかがしたらいいかという研修はぜひしていただきたい。これは、悪いなあと言うだけでは済む問題ではないというふうに御認識をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  18. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私も大変心配をしております。  今、進路指導のことを御指摘いただきました。そこのところに入ります前に、やはりまず産業界等々にお願いをする必要があると思いまして、個人的なレベルでありますけれども、日経連及び経団連のそれぞれの会長に対して強く要請をいたしました。  そこで、進路指導についてでございますが、中学校、高等学校における進路指導につきましては、生徒が当面する進路を選択するための指導ではなく、将来の生き方を考え、目的を持って進学先並びに就職先を選択できるような指導を行うことが重要であると考えております。  中学校の進路指導におきましては、従来の学力を基準にした進学先の選択の指導からの脱却を目指した取り組みが進められているところであります。本年三月に公表いたしました進路指導実態調査によれば、業者テストを廃止した平成五年以後、学校選択の指導から生き方への指導への転換がなされ、教師の意識改革などが大変進んでいる状況であります。また、高等学校の進路指導におきましても、中学校と同様の側面が見られますが、インターンシップなどに取り組む学校が徐々に増加しているところでございます。  このように、中学校、高等学校の進路指導は、その改善に向けての努力が払われているところでありまして、文部省といたしましても、生徒が将来の職業等を意識した進路選択を行うことができるような進路指導の実現に向けて今後とも努力してまいる所存であります。  また、進路指導の充実のためには、研修の充実も重要でございます。先生指摘のとおりであります。学校内での研修や各都道府県での研修など、さまざまな取り組みが必要であると考えております。  このために、文部省におきましては、各県や各学校の進路指導の中核となる教員の資質の向上を図るため、全国進路指導研修、これは国立教育会館と共催いたしております。それと、進路指導中央講座などを開催しているところでございまして、本来の進路指導のあり方に関する内容に加えまして、産業界の動向や社会の求めている人材像など、最新の情報等も提供しているところでございます。
  19. 山元勉

    山元委員 今、幾つか急がなきゃならぬというテーマを申し上げましたが、この際、要らぬということについても少し意見を申し上げておきたいのです。  一つは、見直すべきだというのは、洋上研修というのが新任教員にあるわけですね。去年の実績でいうと、一万六千人ほどの新任教員のうち二千人を各教育委員会から推薦していただいて、どういう基準で推薦したかわかりませんけれども、一万六千人のうち二千人ですから八分の一、八人に一人が選抜されて、九日間豪華な船に乗って、東京・晴海を出て、沖縄へ行って神戸へ行って帰ってくる。ああ、いい研修だった、連帯感もできた、こういうものだそうですけれども、このために八億五千万円を研修に使っているわけですね、その二千人の特定の人に。  リーダーとしてこの人は適当だ、こういう研修をしたら望ましいというのだったらわかりますよ。新採の教員を、八月の夏休み、おまえ行ってこいということで、五月、六月に決めてしまう。しかし教員が今、いじめの問題でも崩壊の問題でも、個々の教師が悩むのではなしに、集団として一緒になって取り組まないと解決しないよというのが大きな流れで、これはもうみんなが思っているわけです。けれども、八人に一人、特定の新採教員を選んで、船に乗せて、九日間、よかったなあと。あとの七人は、何だと。私は、これは余計な研修だと思う。  各都道府県が、あんたらは我々の県の教員になったんだけれども、ここのところがうちの県では問題だ、暑い県だから、寒い県だから、あるいは農業県だからと、さまざまなことをしっかりと研修することが大事なのであって、特定の人を、選抜された者のこの洋上研修についてはぜひ見直していただきたいというふうに思います。     〔委員長退席、栗原(裕)委員長代理着席〕  もう一つですが、このパンフを見てもわかるんですが、千人の研修会が幾つかあるんですね。虎ノ門ホールの大講堂で、全国から新任の校長さんだとかあるいは教育委員さんとか教育長さんを集めてやられる。千人集めるというと、その宿泊費、旅費、日当、平均して四万か五万か知らぬけれども、何千万円もかけてやって、大講堂で文部大臣の訓辞から始まって、訓辞と言うとおかしいですけれども、やって、地方へ帰って、しっかりとしたいいリーダーというか、あるいは新たな任務に燃えるということにはならぬだろうというふうに私は思うのです。それはやはり、今申し上げましたようなことで二日間やるのではなしに、もっと工夫があろう。校長さんや教育委員さんを集めてやるということについて全く無意味だとは言いませんけれども、これは何らかの工夫が要るんだろうというふうに思うんです。これについては検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  時間がありませんから最後にもう一つ、今こういう状況を考えると、今までの文部省が行う研修計画ということについて、抜本的に計画そのものについても考え直すシステムが必要なんだろうと思うんですね。  それは、前に出された中教審の答申の中にもしっかりと指摘をされていて、もう時間がありませんから詳しくはまた論議をしたいと思いますけれども、簡単に言いますと、答申の中に、文部省業務を基本的なものに精選するとともに、行政改革観点配慮しながら、カリキュラムに関するナショナルセンターの設立について検討すると。  このセンターでは、各学校におけるさまざまな取り組みや実践事例等、ボトムアップで、各学校地域、私は前の委員会で申し上げましたが、例えば兵庫での体験学習の試みなどがありました。あるいは、そういうことで独自にカリキュラムを検討している神奈川県の例だとか、それぞれ地域で、うちの教育をどうしようかという努力が始まっているわけですね。そういうものをしっかりと地方から吸い上げる、あるいは民間の人の知恵もかりるというようなこと、中教審が提起をしているこのカリキュラムセンター、これはぜひ具体化をする必要があるのではないか。  今までの文部省の従来型の発想で研修というものを考えるのではなしに、こういう時代の要請にこたえる、あるいは地域状況に対応する、そういうことからいうと、中教審がおっしゃっているこのカリキュラムセンターというのは、やはりぜひ検討して、目に見えるものにしていただきたいと思うのです。  先ほど大臣も、教育の今の状況を変えていくのは、文部省だけではない、教職員だけではない、地域皆さんもとかおっしゃいました。確かに、そういう力を集めて教育を変えていくということについては、このカリキュラムセンターというのは、これは私は、また別の機会で論議をさせていただきたい、目に見えるものにしていただきたいという立場で申し上げたいと思いますけれども、ぜひそういうことが必要なんだろう、基本的に、抜本的にそういう立場文部省は今立つときと違うかと思うのですが、最後に大臣に。
  20. 有馬朗人

    有馬国務大臣 御指摘のとおりでございます。  御指摘のカリキュラムに関するナショナルセンターは、昨年九月の中央教育審議会の答申において、カリキュラムのあり方について恒常的に研究を行うとともに、教科内容教育方法などについて専門的な立場から助言や支援を行う組織として提言されております。私も、その提言の初期において大いにこの問題を論じた人間でございますので、ぜひともこれは実現に行きたいと思っておりますが、現在、カリキュラムセンターをどのように構成するかにつきましては、文部省内で中央省庁等再編のスケジュールなども勘案しながら鋭意検討を進めているところでございます。
  21. 山元勉

    山元委員 最後に、ぜひそのことについてはお願いをしておきたいと思うのです。従来型の、例えば文部省教育課程審議会に諮問をして答申が出てきて、指導要領を直して、教科書を直して、それではもう対応できる時代ではないということですね。  そうすると、今申し上げましたようなカリキュラムセンターで、地域の、あるいは民間の人たちの、あるいは現場の教職員の意見を聞いてカリキュラムを変えていくというのですか、つくっていくということにならないといけないだろう、このことを中教審は指摘されているのだろうと思いますから、ぜひこのことについて具体化をしていただきたい。お願いを申し上げまして終わります。ありがとうございました。
  22. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員長代理 次に、池坊保子君。
  23. 池坊保子

    ○池坊委員 公明党の池坊保子でございます。  今回の国立教育会館解散は、平成九年六月六日の特殊法人整理合理化閣議決定を踏まえた対応の一つではございますが、私は、一九九七年三月、私学振興財団と私学共済組合の全く異なった特殊法人一つになる法案が提出された折、反対いたしました。なぜかと申しますと、つまり、閣議決定の根本理念である整理合理化という観点から全く反していたからです。例えば給与体系も、二つが一つになることによって高い方に合わせる、それでは、合理化ではなくて肥大化ではないか、そして、内容も余り変わらず、ただ単に看板の書きかえだけではないか、それらの幾つかの理由によって反対いたしました。  特殊法人は、ただ解散や合併をすればそれで整理合理化になるわけではございません。その点を踏まえて、今回の法案に対して幾つかの質問をしたいと思っております。  平成十年一月一日、二法人が一法人に合併したことによって、現在、文部省は九つから八つの特殊法人を有していると思います。例えば、規模でいいますならば、一千百億ぐらいのお金を回しております日本育英会、人数も四百九十八名ですかおりますし、また、大きなのでは、日本体育・学校健康センターなどというのもございます。その八つの特殊法人の中で、いわばこの国立教育会館は、予算も二十八億である、それから八十一の人員で、最も弱小な特殊法人でございます。  なぜこの八つの中からこの教育会館解散しなければならないのか。いかにも、表面を取り繕わなければならないので、一番当たりさわりのない法人を解散しようということにしたのではないかという印象をぬぐえないのですが、そのことについてお答えいただきたいと思います。
  24. 御手洗康

    御手洗政府委員 御指摘のように、文部省特殊法人幾つかあるわけでございますが、その中から何かをという観点からではございませんで、国立教育会館業務内容を検討した際に、昭和三十九年につくりました虎ノ門の本館部分貸し館というような業務形態を、既に時代が変わった今日においても特殊法人というような形でやる実益、あるいはそのために税金を使うことが果たして適切なのかということは一番大きな議論になったわけでございまして、今回の特殊法人整理合理化の一環として行いますこの国立教育会館廃止も、基本的には、虎ノ門の本館におきます貸し館業務民営化していく、そのために特殊法人として廃止するということが中心の議論となったわけでございます。  先ほどからも御議論していただいておりますように、なお引き続き今後におきましても、国として、全国的な教育水準維持向上を図るという観点から行うべき指導者の養成の研修、あるいは情報とかカウンセリングとかいう現代の教師に十分身につけてもらわなければならない専門的な研修、さらには、情報化に対応するさまざまな情報収集・提供業務、こういったものにつきましては、さらに国として適切な実施形態を踏まえて、国のレベルで行うべき事業として実施をしていく、こういう観点から整理合理化を図るというものでございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
  25. 池坊保子

    ○池坊委員 あとの七つの特殊法人についてはそのまま手をお染めにならないのかどうかも伺いたいのです。  そもそも私は、この解散いたします国立教育会館の虎ノ門ホールの関連施設の運営民営化するのは賛成ではございますが、教職員研修などの実施情報提供がなぜ特殊法人に入っていたのかということがまず疑問なんです。  日本体育・学校健康センターでも、児童生徒の災害給付などは特殊法人であっても構わないと思いますけれども、学校給食の物品などを提供いたしますのは、これは民営化していいのではないか。つまり、同じ特殊法人の中でも、これは特殊法人としてやらなければならないものもあるかもしれませんが、全くこれは民営化してもいいのではないかと思うものがごっちゃに入っているのですね。一度これを本当は整理しなければいけないのだと思うのですが、そのことについてはいかがでしょうか。
  26. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 お答えを申し上げます。  文部省所管の特殊法人、先ほど来御指摘ございますように幾つかあるわけでございますけれども、文部省といたしましては、政府全体の特殊法人整理合理化の方針に従いまして、それぞれ統廃合をしたり、あるいは事業内容を縮小する等のことを行ってきたところでございます。  お話にもございましたように、例えば、学校給食会と日本学校安全会は学校健康会に統合いたし、それにさらに国立競技場を加えまして日本体育・学校健康センターにしたという経緯もございます。  それから、お話のございました給食用の承認物資等につきましては、閣議決定の中でも平成十年度末までに全廃するということも言われておるわけでございまして、そういったことも行っていかなければいけないと思っております。  ただ、例えば育英会でございますとかそれぞれの特殊法人は、いずれもそれなりの重要な役割を果たしておりますので、全体としての行政改革整理合理化観点を踏まえながら、それぞれの特殊法人が果たしている役割をより有効に果たすようにしていくように、政府全体の検討の中で検討を続けていきたいというふうに考えているところでございます。
  27. 池坊保子

    ○池坊委員 国立教育会館の問題に戻りますけれども、虎ノ門ホールの貸し館業務廃止するということですけれども、あそこは、賃貸料も安くて交通の便もいい、多少暗いということはございますけれども、利用するのには便利だという人たちが多かったわけです。確かに、年間四百以上の催事が行われております。特に教育関係の会議が多かったと思いますけれども、それらの団体が活用する場がこれからほかにあるのでしょうか。
  28. 御手洗康

    御手洗政府委員 御指摘のとおり、そもそも虎ノ門ホールは、全国教育関係者が便利なところに集まってそれぞれ情報交換し資質を高めていく、そのための場の提供ということで、大きな会議室あるいは虎ノ門ホールも含めましてつくったわけでございまして、現在虎ノ門ホールは、例えば平成九年度の場合、延べで五百八十八回使用されているということで、個別の学校等も含めまして相当利用されていることは御指摘のとおりでございます。  したがいまして、私どもも、貸し館業務廃止後におきましても、当面この建物はまだそれなりに十分使えるという状況でございますので、これを国の財産として移管した上で、文部省がこれを直接管理させていただきたいということで今関係当局と協議しております。  したがいまして、文部省が管理をする行政財産ということで、その使用を妨げない範囲におきまして、できる限りこれまでの経緯を踏まえまして、教育関係団体の利用につきましては、行政財産の利用許可という別の形態ではございますけれども、その利用料金につきましても、関係省庁と協議をいたしまして、これまでと余り差がないような低廉な形で貸すことができないかということで今鋭意検討をしているところでございます。
  29. 池坊保子

    ○池坊委員 つまり、財産は国で文部省が管理するということで、民営化ということは考えていらっしゃらないのですか。民間に委託して、いずれは民間が運営していくということになっていくのではないでしょうか。そして、もしそうだとするならば、将来的にどこに運営を任せるとかいうような見通しもおありになるのかを伺いたいと思います。
  30. 御手洗康

    御手洗政府委員 大変失礼をいたしました。  国の財産という形で利用するわけでございますけれども、なお引き続きこの建物の貸し館的な部分といいますのは、虎ノ門ホールも含めまして、実際の管理業務を民間の法人に業務委託をいたしまして、その上で利用に供したいと考えているところでございます。  なお、具体的な民間法人をどうするかということで、幾つか既存の教育関係の法人の中であるわけでございますけれども、法案の成立後、関係者の御意見も踏まえながら具体的に詰めてまいりたいと考えているところでございます。
  31. 池坊保子

    ○池坊委員 これは大変重要なことでございまして、このまま文部省運営管理するのだったら、特殊法人解散する意味は全然なくて、文部省が大きくなっていくだけでございますから、必ずこれは民営化していただきたいというふうに思っております。  それから、八十名の職員がおります。解散するといいましても、では、その人たちの身分はどうなっていくのかというのが最大の、やはりそこに働く人にとっては重大問題だろうと思っておりますけれども、それはどんなふうな見通しになっているのでございますか。
  32. 御手洗康

    御手洗政府委員 先ほども御質問があったわけでございますけれども、今御指摘ございました虎ノ門ホール等貸し館業務につきましては、まず、平成十二年四月一日以降は教育会館としてはもう業務をしないということにいたしておりますが、実際のその民間委託を円滑に推進したいという観点から、それに先立ちまして、平成十二年一月以降、ただいま御指摘ございました民間の適切な法人に業務を委託いたしたいと考えておりまして、この時点でまず、本年度中の定員を二十名削減するということで予定をいたしております。  これにつきましては現在、既に、本人の希望も十分勘案をしつつ、基本的には、業務を委託いたします民法法人に、希望者につきましては、特に高齢者等の希望者につきましてはこれを引き受けていただくという形で考えておりますが、中には国立大学等へ異動希望の方もございますので、これにつきましてはできるだけ希望を尊重して、文部省内で適切な異動先を検討したいと考えているわけでございます。  残りの、まだ六十一人という定員が残りますが、本法律案成立後二年以内に新たな独立行政法人等適切な機関に、残りました教育研修や情報収集・提供業務等を引き継ぐ際に、基本的には、これらの職員につきましては、新たな業務を引き受けていただきます独立行政法人等原則としてそのまま身分を移すということを考えながら、その時点におきましても、文部省の関係機関も含めまして本人の希望を尊重いたしまして万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
  33. 池坊保子

    ○池坊委員 虎ノ門ホールの運営は、民営化することは割とたやすくできるのではないかというふうに思っておりますけれども、この教育会館業務の大切な一つに、教育関係の情報提供というのがあったと思います。これをその後、遅滞なく行うことができるのか、どんな方策を立てていらっしゃるのかを伺いたいと思います。
  34. 御手洗康

    御手洗政府委員 本来でありますれば、この解散法と同時に、新たに教育研修あるいは情報提供に関します事業を個々に具体的に引き継いで、こういう形でお願いをしたいということをお示しした形で法案をお願いするというのが本筋であろうかと思いますけれども、文部省といたしましては、まず第一に現在考えておりますのは、先ほど来再三再四お話が出ておりますように、今国会に政府全体でお願いをしております独立行政法人通則法が成立いたしました後、この独立行政法人通則法に基づく新たな独立行政法人という形で、残りました情報提供教育研修事業移管させていただきたいということを基本に今考えているわけでございますので、そういった意味で、解散の期間も、本法成立後二年間の余裕をいただきたいということでお願いをしているわけでございます。  現在、独立行政法人通則法にのっとりまして、具体的な業務のあり方あるいは新たな組織のあり方等につきまして内部で検討しているところでございますので、与えられました二年の期間内に関係省庁と十分調整をいたしまして、解散の時点で直ちに、新たな独立行政法人等に遅滞なく業務移管するという形で最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  35. 池坊保子

    ○池坊委員 研修情報提供というのは都道府県レベルでも行っておりますけれども、これからもっともっと国のレベルでの情報提供というのが必要になってくるのではないかと思っております。特に不登校児問題だとか学級崩壊というのは、ただ一校だけでは解決できない、お互いにいろいろな情報提供をし合うことによっていい解決方法も出てくるのだと思います。  今まで、何でいろいろな問題が大きくなるまでほっておかれたかというと、その横のつながりというのが少なかったのじゃないか。自分の学校だけで抱きかかえてしまって、これを外に出すのは恥なんじゃないか、みんながそういうふうに思っていたからこそ問題解決ができないままにいろいろな事件を起こしてきたのではないかと思います。それは、小さいときからこういう問題があるんだよとお互いにリンクし合っていたならば、もっと小さいうちに解決できる問題がたくさんあったというふうに思います。  ですから、これから国のレベルでの、インターネットでの情報提供などが大変必要になってくると思いますけれども、そのかかわり方についてはどのようにお考えでしょうか。何か方策を立てていらっしゃるかを伺いたいと思います。
  36. 御手洗康

    御手洗政府委員 御指摘のとおり、情報提供研修等につきまして、基本的に、都道府県あるいは学校設置者であります市町村が行う部分と、それから国が全国的な観点から行う部分ということは、これまでもそれなりに私ども役割分担をしてきたわけでございます。そういった意味で、特に研修関係につきましては、全国的にリーダーに各都道府県から集まっていただいて情報交換もしながら、専門的な高度な内容を、具体的な現場の実例を出し合いながら深めていくというような観点から研修を行ってきたわけでございます。  昨年の中教審答申におきましても、できるだけ国は、都道府県や市町村の教育委員会等に対します必要な助言援助という方向に重点を置く、さらには、研修あるいは具体的な教育指導に当たりましても、重要な情報提供という観点に重点を置いて、そのための情報提供システムというようなものもきっちりとつくるべきであるという御提言もいただいているわけでございます。  近年、教育会館におきましても、学校基本調査等の教育関係の基本的な情報をCD—ROMというような形で提供するということだけではなくて、例えば高等学校の転入学情報、あるいは在外にあります海外日本学校等の情報のデータベース、あるいはそれのネットワークというような形で、さまざまな課題に対応しながら、特に情報提供事業の電子化あるいはネットワーク化というようなことに積極的に取り組んできたわけでございます。  特に、各都道府県と国とを結ぶネットワークのあり方というのは大変大きな課題でございまして、従来、インターネットを利用したネットワークのシステムというものを、ともかく各教育センターから教育会館にアクセスしますと、そこから、二次情報を整理して直ちに原情報が学校のホームページあるいは各都道府県のホームページまで行けるというようなシステム等も考えているわけでございますけれども、昨年の補正予算におきましては、これに加えまして、衛星通信を利用いたしまして、各都道府県教育センターあるいは生涯学習センター、公民館、あるいは個別の、地域中心的な学校といったものを全部結びまして、さまざまな情報あるいは質の高い研修プログラムといったものをネットワーク型で配信できるというような事業も、予算をいただいて本年度七月ぐらいから実際に動かせることができるかと思っております。  そういったことも着々と進めているわけでございまして、今後、こういった方面での新しい教育会館移管先での事業というものは、国が行います企画立案のもとにおきまして、その実施機関といたしましての役割というものはますます大きくなってくるものと私ども考えておりますが、そういった観点からの新しい組織形態というものを考えてまいりたいと思っております。     〔栗原(裕)委員長代理退席、委員長着席〕
  37. 池坊保子

    ○池坊委員 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。  中央省庁再編成で今後、文部省と科学技術庁は一緒になってまいります。私が心配いたしておりますのは、二十一世紀に向けて最も重要な課題を抱えている文部省と科学技術庁が一緒になって細やかな目が行き届くのだろうか。政治家主導と言われているのに、一人の大臣でこの大切な問題をやらなければいけない。今大臣はそれを兼務していらっしゃいますけれども、大変重責を担っていらっしゃる日常をかんがみ、どんなふうにそのことを考えていらっしゃるかということが一つ。  もう一つは、今お話がございましたように、これからはどんどん仕組みも変わってくると思います。今までの教育のあり方とか組織のあり方ではだめなので、新しいインターネットを使うとか、中央省庁再編成ができるに伴って、文部省の中でも抜本的な再編成が必要なのではないか。今まで既存のもので重要だったけれども、二十一世紀に向けて要らない部署もある。そうかと思えば、新たにつけ加えなければならない大切な部署も当然起こってくると私は思うのですね。  そういう文部省の中での抜本的な再編成に対してどのように考えていらっしゃるかをお伺いしたいと存じます。
  38. 有馬朗人

    有馬国務大臣 初めに、文部省と科学技術庁との協力体制の意味合いについて御質問でございましたけれども、きょうは特に文教、文部関係が中心でございますが、私は、文部の教育を進めていく上でも科学技術庁と一緒になることは非常にいいことだと思っております。  その理由は、特に科学や技術の教育、科学技術の教育を考えます場合に、文部が持っているいろいろなやり方、ノウハウ等々と、一方、科学技術庁といたしましても、今でも青少年の科学の祭典であるとかさまざまなことを試みておりますので、そういう二つが一緒になって、例えば理科離れを防いでいくというふうなことでは大変有効なことだと思っております。  また、大学でやっているような基礎科学、学術の研究と、それから科学技術庁がやっております科学技術の研究、こういうふうなものの中には極めて協力をしていかなければならないものがたくさんあるわけでありまして、こういうものが、それぞれ少しずつやり方の違いはありますけれども、協力をしていくということはいいことだと思っております。  それに伴いまして、合併するのは、単に今まであったものを全部足し合わせればいいということではなくて、あくまでもやはり各省庁、文部もそうでありますし科学技術庁も、それぞれ、現在までやってきたことの中でどういうふうに再編成をしたらいいか、今、非常に慎重に、しかし急いで検討していることでございます。この点は、省庁再編に際しまして一番大切なことと思っております。
  39. 池坊保子

    ○池坊委員 厚生省と文部省の遅まきながらの連携によって幼保一元化というのもなされるようになってまいりました。科学技術庁だけでなく、私は、厚生省との連携も大変必要だというふうに思っておりますので、そのこともあわせて考えていただきたいと思います。ありがとうございました。
  40. 小川元

    小川委員長 次に、石井郁子君。
  41. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  国立教育会館解散に関する法案でございますけれども、私どもは賛成でございます。ただ、国立教育会館移管先につきましては、独立行政法人化を検討ということが先ほど来出されておりますので、きょうはその問題で質問をさせていただきます。  中央省庁改革等関連法案が出されておりますけれども、二〇〇一年から独立行政法人化するものとして、国立青年の家や航空宇宙技術研究所を初めとする研究所、博物館、美術館等の八十九施設の名前が挙がっているわけでございます。  独立行政法人化のキーワードの一つとなっているのが効率性ということかと思うのですけれども、こうした効率性が、とりわけ博物館とか美術館などに押しつけられたときにはどういうことになるのかと、関係者の方々大変心配の声を上げていらっしゃるわけであります。  私は、二人御紹介したいのですけれども、お一人は、国立西洋美術館館長の高階秀爾さんがこのようにおっしゃっています。  美術館の形態は多様だ、それぞれ個性があっていいのですが、国立には国立の積極的な役割意味があります、所蔵作品は国民の財産ですから、単なる個人の趣味ではなく、歴史的に重要な遺産という価値判断が必要だし、みんなが共通に大事だと思う美術品をきちんと保存し、後世に伝える責任がありますと。これは、私どものしんぶん赤旗に昨年十一月御登場いただきまして述べていただきました。  もう一人は、寅さん映画の山田洋次監督ですけれども、人々の心豊かな生活に芸術は欠かせない、映画の歴史は百年だが、映画フィルムの保存は劣化が激しいために大変難しい、フィルムセンターの非国営化は大問題だ、博物館や美術館などの非国営化を何とか阻止できないかと。これは、ことし三月十四日に放映のTBSテレビの番組で訴えられたところでございます。  私は、まず最初に、こうして独立行政法人に反対する多くの関係者の意見が、博物館、美術館だけにとどまりません、ございますので、大臣としてどのように受けとめていらっしゃるのか、まず、ぜひ御所見を賜りたいと思います。
  42. 有馬朗人

    有馬国務大臣 具体的には国立博物館とか美術館の問題が大きいと思いますが、独立行政法人になったからといって完全に国から離れるわけではございません。まず、独立行政法人制度というのは、国とは別の自律的な法人格を設けて、弾力的な組織、業務運営を可能にし、効率性や質の向上、透明性の確保を図ることが目的になっておりますね。こういうために、弾力的かつ効率的な財務運営や、運営の細部にわたる事前の規制が緩和されるということが考えられております。  国立博物館とか美術館につきましては、文化の一層の振興、国立博物館、美術館の充実という観点から検討を行っていく必要があると認識しておりまして、こういう点で、今後、独立行政法人への準備作業においては、文化を振興していくとか美術館や博物館を充実していく、こういうふうなことを十分配慮しながら準備作業を進めてまいりたいと思っております。これが一点でございます。  それから、もう一つはフィルムのこと、これは……(石井(郁)委員「それは後で続けて質問いたしますので」と呼ぶ)はい。
  43. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 大臣から既にちょっとお触れになっていらっしゃいますけれども、昨年、たしか大臣御就任後に、国立近代美術館のフィルムセンターの高野悦子名誉館長とお会いになっていらっしゃると思うんですが、その折のお話し合いについて、高野さんが岩波ホールの雑誌の「友」というところでちょっと書いておられまして、それを読む機会がありましたので、ぜひお尋ねしたいわけでございます。  大臣が、フィルムセンターについて、職員をふやすのは一名といえども現状では非常に困難だ、それよりも二〇〇一年の非国営化に向けて映画界全体が真剣に取り組み、フィルムセンターの発展を考えるべきであるというふうにアドバイスされたと書かれているわけでございます。  それを受けまして、高野さん御自身は、フィルムの修復、再生、保存は国の援助でという世界の流れの中で、フィルムセンターはどのような道を歩めばいいのだろうか、一九九九年は日本人が映画をつくり出して百年になる、この貴重な百年の歴史がほごになるかもしれない事態に私は今困惑しているということがございました。  この国立博物館、美術館、またこのフィルムセンターですね、国立でいくのか非国営化にするのかというのは、この時点ではまだ国会では審議されておりませんから、私は、大臣がこのように、それを既定事実のように発言されるというのはちょっといかがかというふうに思いますが、それはおきまして、大臣御自身が、フィルムセンターはもう非国営化で構わない、あるいは非国営化すべきだというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうかということをぜひお聞かせください。
  44. 有馬朗人

    有馬国務大臣 実は、高野悦子さんにお会いした後、そのフィルムセンターを見てまいりました。そういうことを踏まえてお答え申し上げますが、東京国立近代美術館のフィルムセンターは国立近代美術館に属しているわけですね。これは、先ほど申しましたように、独立法人化の方に進むと思います。  そのフィルムセンターでございますが、そこでは確かに、日本及び世界の映画フィルムや映画関係資料の収集、保存、修復、調査研究を行うとともに、さまざまなテーマによる企画上映や映画文献の公開、映画資料の展示などのほかに、優秀な映画の地方巡回上映を行っております。  我が国の映画芸術振興の拠点でありますフィルムセンターの整備充実を図っていくことは重要であると私は認識しております。その結果、平成十一年度におきましては、優秀映画の地方巡回上映や所蔵映画フィルムの修復事業を拡充するとともに、研究職員については、一名ではありますけれども増員を図ったところでございます。ですから、先ほど私の言葉を引用してお話しくださいましたけれども、非常に難しいという現実はございますけれども、その中でも努力はしているということでございます。  職員の増員につきましては、政府全体として行政改革に取り組んでいるところでございまして、非常に困難でございますけれども、今申しましたような増員も含めて、フィルムセンターの機能の充実については十分配慮してまいりたいと思っております。
  45. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 ありがとうございました。その後もそういうふうに……。  私は、きょうはここにボードを用意してきたのですけれども、これは世界の映画フィルム資料館の比較でございまして、これを見ますと、資料館の数、所蔵作品の数もそうですけれども、常勤職員の数が日本は際立って少ないんですよね。十一人です。フランスは、三館ございますけれども、二百四十人です。オランダでも五十八人。メキシコでも百三十五人という数がございますね。アメリカはもちろん、百九十一人です。これを見ましても、やはり本当に日本のこの面での施策がこれでいいのかと思わざるを得ないわけです。  山田洋次さんが続けてこのようにおっしゃっているわけです。アメリカでは、あの「風と共に去りぬ」という名画を国宝のように大事にしている、残念ながら日本では、映画、音楽など文化政策が位置づけられていないあらわれではないかと、この数を評して言っておられるわけであります。  だから、国立でもこうした貧困なフィルムセンターの状況が、非国営化してしまえばどうなるのか。まさに日本における百年の映画の歴史に重大な影響を与えるのではないかということを多くの関係者が心配しておられるということですね。  私は、やはり、非国営化というか独立行政法人化によってこうした現状が固定される、あるいはさらに後退しかねない、このことはもう絶対避けるべきだというふうに考えるんですね。重ねて大臣のこの面での御決意をお聞かせいただければと思います。
  46. 有馬朗人

    有馬国務大臣 日本の文化政策が全体としてまだまだ不十分だということは十分認識しております。今のフィルムセンターの人数が少ないということも、この前視察をいたしましたときに十分認識したわけであります。  しかし、独立行政法人になったときに、ある意味ではむしろやりやすくなる面も大いにあると思っております。そういう点で、さまざまな観点から、例えばフィルムの文化、これだけじゃなくて、すべての文化の問題でございますが、どういうふうにしたらば日本の文化がより一層盛んになるかということを十分考えながら行政改革を考えていかなきゃならぬと思っております。
  47. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 今回の独立行政法人化の問題は、結局、国の行革をいかに進めるかという立場から出されておりますから、運営企業会計原則にするということがございますね。そして、採算性、効率性ということが強調されるわけでありますので、それは博物館や美術館にはやはりなじまない。それは当委員会でもいろいろ質疑があったところかと私は思っております。  さらに、先ほど来、通則も出ていますけれども、達成すべき目標を数値化する、あるいは結果の評価によって事業の改廃の勧告を行うということになるわけで、関係者の皆さんが、この分野の事業採算性に合わないという理由で改廃されてしまうのではないかという危惧、心配を持つのは私は当然だというふうに思うんですね。  そして、一方でこういうことがございます。先日のNHKの調査によれば、首都圏八十四の美術館で、最近五年間に入場者が非常に減った、減った、これを合わせると五七%という報道がございました。今、不況に強いと言われた美術館も入場収入が減っています。運営が大変でありまして、ことしの二月十五日には、東京・池袋のセゾン美術館が閉館というニュースが伝わりました。親会社の財政難が理由だということだそうですけれども、同じように国も、財政難が理由で援助がされなくなるということが起こってくるのではないかという心配があるわけですね。  ですから、大臣といたしましては、たとえ独立法人化になっても、管轄する大臣として、博物館等の社会的性格は十分理解する、あるいは国の責任でこの分野の事業は削らない、あるいはまた存続させるという約束がぜひ必要ではないかというふうに考えるのですけれども、いかがでございましょうか。
  48. 有馬朗人

    有馬国務大臣 どういうふうに考えているかは政府委員から詳しくお答え申し上げますけれども、先ほどから繰り返しておりますように、文化を守っていくというのは国の責任だと思っております。もちろん民間の方々の力もおかりしながら、両々相まってよりよい文化をつくっていくという必要があると思っています。  国立博物館、美術館等々の独立行政法人化の場合に、一体どういうふうに国がこれからその運営援助を与えていくか等々に関しては、今後、さらに一層慎重な議論を踏まえた上で、本質的に日本の文化を支えていく上で国立博物館、美術館が活躍しやすいように努力をしていきたいと思っております。
  49. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 文化の発展に国としてあるいは文部省として積極的に責任を果たしていくという御答弁をいただきましたが、私、重ねて文化庁にお伺いしたいのです。  文化庁は、九八年三月三十一日に文化振興マスタープランを発表しておられますけれども、ここでは、文化立国ということや、この実現は国を挙げて取り組む課題だという位置づけがございますし、国立美術館、博物館全体の中心的な役割を果たすために機能の一層の充実を図るということも書かれているわけでございます。  しかし私は、そのことと非国営化、独立行政法人化というのはやはり矛盾するんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですが、どうなのか。独立行政法人化になったら、この文化振興マスタープランは本当にどう実現されていくのか、この点、文化庁はどのようにお考えになっていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。
  50. 近藤信司

    ○近藤(信)政府委員 お答えをいたします。  先生指摘の文化振興マスタープランでございますが、その中で国立博物館、美術館等の整備充実を規定しているわけでございます。  先ほど来大臣からもお答えをいたしておりますけれども、この独立行政法人という制度は、特に本年の四月二十七日の中央省庁等改革推進本部決定にも財源措置が書かれておるわけでございます。   独立行政法人は、一般的には独立採算制を前提とするものではない。独立行政法人への移行後は、国の予算において所要の財源措置を行うものとする。 あるいは  独立行政法人に対する移行時の予算措置に当たっては、移行前に必要とされた公費投入額を十分に踏まえ、当該事務及び事業が確実に実施されるように、十分に配慮するものとする。 こういうような基本的な方針もあるわけでございますし、また、さまざまな現在の制約が外され、より弾力的な財務運営が可能になる、こういったメリットもあるわけでございます。  今後、国立博物館、美術館の独立行政法人化に当たりましては、こういった博物館、美術館の特性に十分配慮しながら、さらに国立博物館、美術館の一層の充実という観点から私どもいろいろと準備を進めてまいりたいと考えております。
  51. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 時間が参りました。以上で終わります。ありがとうございました。
  52. 小川元

    小川委員長 次に、濱田健一君。
  53. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 社会民主党の濱田健一でございます。  労働委員会とかけ持ちをしておりましたので九時半からの論議を聞いていないところもございまして、重複する質問があるかと思いますが、それはお許しいただきたいというふうに思います。  短い時間ですので、四点ほどお尋ねいたしたいと思います。  国の中心的な研修提供する場として国立教育会館は長く活用されてまいりました。大臣として、これまで果たしてきましたこの国立教育会館役割と成果について、これが解散をされる今日的にどのように評価をしておられるかお伺いしたいと思います。
  54. 有馬朗人

    有馬国務大臣 結論的に申し上げれば、極めて有効なものであったと考えております。随分活躍をしてきていたと思っております。  国立教育会館は、教育関係者の資質の向上とその指導力の充実を図るため、全国学校教職員社会教育関係者等の中核的な研修施設としての役割を果たしてまいりました。我が国教育の振興に寄与することを目的として、国立教育会館法に基づき、昭和三十九年に特殊法人として設立されたものでございます。  その後、昭和四十八年には筑波分館、現在学校教育研修所になっておりますが、これを設立いたし、国レベルで実施すべき、各地方公共団体指導的立場に立つ教育関係者の育成や、社会の変化等に伴う全国的レベルの新たな教育課題に対応するための研修等実施しております。  また、昭和六十一年には社会教育研修所を統合しまして、各地方公共団体において、社会教育、生涯学習の分野で指導的立場にある関係職員等を対象とした研修実施してきたところでございます。  近年は、コンピューターを活用した情報提供事業等の充実について関係者の期待が高まっているところでございます。また、高等学校転入学情報であるとか在外教育施設情報等のデータベースの構築や、インターネットやCD—ROMによる教育情報提供、さらに衛星通信を使用した教育研修等実施しており、教育研修教育情報についてのいわゆるナショナルセンターとしての役割を果たしてきていると考えております。
  55. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 そのような役割と成果があったということでございますが、今回の特殊法人整理統合という部分解散をするわけでございます。  これも質問にあったかとは思うんですけれども、国立教育会館及びその附属施設で行ってまいりました業務、これらについては今後どのような形で引き継がれていくのか、その点はいかがでございましょうか。
  56. 御手洗康

    御手洗政府委員 国立教育会館解散に伴いまして、まず本館実施をしてまいりました、いわゆる教育関係者等に主として研修施設を提供いたしまして利便を図っていく、このいわゆる貸し館業務につきましては、本法案によります解散に先立ちまして、平成十二年四月一日からは国立教育会館業務としては行わない。これにつきましては、施設を文部省の所管にさせていただきまして、適切な民間に管理委託をさせていただきまして、建物がある間、引き続き、行政財産の使用許可という形で教育関係者に利用していただくというようなスタイルを考えておるところでございます。  そのほか、大きなもう一つの施設でございます学校教育研修所につきましては、大臣からもお話がございましたように、全国的な、指導者としての役割を担える教員の研修長期に専門的にやっておるという施設でございます。また、上野の社会教育研修所につきましても、社会教育の専門的な職員の高度な資質向上を図るという専門的な研修でございますので、この二つの施設につきましては、引き続き国として全国的なレベルで行うという観点から、新たな独立行政法人を視野に含めまして、機関にその業務を引き継ぎたいと考えているところでございます。  また、情報関係の提供業務あるいはネットワーク事業等につきましても、これは、国としてさまざまな形で各都道府県や市町村、学校を支援する必要性も今後ますます高まってくる事業でございますので、これにつきましても、スタッフも含めまして、同時に、新たな独立行政法人等業務として移管をしてまいりたいと考えているところでございます。
  57. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 現在の業務の一部はそのまま、独法のよしあしは別にして、形が違う中でも引き継がれる、そういう意向でございますので、了解をいたしました。  それと関連しまして、特に学校教育と限定する必要はないとは思うのですが、教育研修の量的な縮減といいますか、研修はするけれども、子供たちとのかかわりを持つ時間、空間的な部分が非常に希薄になってきているというような指摘もございます。量的な縮減は大切だと思うのですが、内容の充実というのはこれまた強化をしていかなければならない点も多くございました。  国立教育会館解散によって、先ほど御手洗局長の方から一部継承ということが出ましたけれども、地方としてはどのような対応を文部省にしていただきたいのか、文部省としては、そのためのバックアップをしたいというお考えがあるのか、お尋ねをしたいと思います。
  58. 御手洗康

    御手洗政府委員 教職員研修につきましては、基本的には、各都道府県指定都市等の任命権者責任を持ってその基本的な大部分実施しているということは、これから、教育会館の新たな独立行政法人等への業務移管ということを通じても、これは国と地方役割は変わらない、こう思っております。  中教審の答申におきましても、今後、文部省研修事業につきましては、さらなる精選を図って、各都道府県や市町村等が行います事業への助言援助あるいは情報提供、こういったものを重点化すべきであるという御提言もいただいているところでございますので、例えば、教育会館の新たな事業といたしましても、衛星通信を利用いたしまして、情報教育の基礎的な研修あるいはカウンセリングマインドの基本的な研修、こういったものを大量に同時に配信をいたしまして、各都道府県教育委員会学校等で適切なプログラムの中に取り入れていただくというような情報提供という形での事業展開を今年度から既に考えているところでございまして、内容面あるいは実施面あるいは新たな国の役割の機能面、そういった面につきまして、国立教育会館解散、さらには、文部省文部科学省への再編の中で全般的に見直してまいりたいと考えております。
  59. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 最後に、長期にわたって国立教育会館が、業務の中にもございます、資料の収集や整理や保存、そして利用という大きな仕事をしてこられたわけでございますが、これらの国内外の資料、さまざまなものがあると思うのですが、この取り扱いについては、どのようにされていこうとしておられるのか。
  60. 御手洗康

    御手洗政府委員 国立教育会館におきます情報提供事業、御指摘のように、例えば、データベースで申し上げますと、高等学校の転入学情報あるいは在外教育施設等の情報、さらには、特色ある授業の実践校の数多くの情報やいじめ問題の対策の実践事例の情報等、さまざまな情報をデータベース化いたしまして、それをオンラインで提供するという事業がございますし、また、学校基本調査などの基本的な教育関係の諸統計をCD—ROM等のオフラインで提供しているわけでございますけれども、こういった事業につきましては、今後とも、学校現場やあるいは社会のニーズに応じまして逐次充実を図りながら、またその情報入手の利便性等に改善を加えながら、引き続き、新たな独立行政法人等の適切な機関業務移管し、国として必要な情報提供サービス業務継続してまいりたいと考えているところでございます。
  61. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
  62. 小川元

    小川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  63. 小川元

    小川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付国立教育会館解散に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  64. 小川元

    小川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 小川元

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  66. 小川元

    小川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五分散会