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1999-03-11 第145回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十一日(木曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 小川  元君    理事 栗原 裕康君 理事 栗本慎一郎君    理事 小杉  隆君 理事 増田 敏男君    理事 藤村  修君 理事 山元  勉君    理事 富田 茂之君 理事 松浪健四郎君       岩永 峯一君    江口 一雄君       大野 松茂君    奥山 茂彦君       倉成 正和君    佐田玄一郎君       下村 博文君    高鳥  修君       高橋 一郎君    松永  光君       渡辺 博道君    池端 清一君       近藤 昭一君    田中  甲君       池坊 保子君    西  博義君       笹山 登生君    石井 郁子君       山原健二郎君    濱田 健一君       粟屋 敏信君  出席国務大臣         文部大臣    有馬 朗人君  出席政府委員         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省生涯学習         局長      富岡 賢治君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         文部省学術国際         局長      工藤 智規君         文化庁次長   近藤 信司君  委員外出席者         文教委員会専門         員       岡村  豊君 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   中山 成彬君     江口 一雄君   田中  甲君     近藤 昭一君 同日  辞任         補欠選任   江口 一雄君     中山 成彬君   近藤 昭一君     田中  甲君 三月九日  日本学術振興会法の一部を改正する法律案内閣提出第二二号) は本委員会に付託された。 三月九日  義務教育費国庫負担制度の堅持に関する陳情書(第一〇一号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣提出第二一号)  日本学術振興会法の一部を改正する法律案内閣提出第二二号)     午前九時開議      ――――◇―――――
  2. 小川元

    小川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
  3. 池端清一

    池端委員 おはようございます。民主党の池端清一でございます。  有馬大臣には、連日早朝から大変な御精励でございまして、この御苦労に心から感謝を申し上げる次第でございます。  私は、きょうは、この国立学校設置法案の問題のほかに、国立大学附属病院看護婦さんの勤務実態勤務条件の問題、それから、今問題になっております国立大学独立行政法人化の問題、大きくこの三点にまとめましてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、現在二十一の国立大学に三年制の医療技術短期大学部が併設されている、こういうふうに承知をしておるわけでありますが、平成五年度、一九九三年度の国立学校設置法の一部改正によりまして、大阪大学医療技術短期大学部が阪大の医学部保健学科改組転換をされたのを皮切りといたしまして、自後、毎年一校ないし二校の短期大学部が四年制大学に、昇格といいますか発展的解消といいますか、改組転換をされておるわけでございますので、今日までの改組転換の経過の概要と、その意義、目的等について改めてここでお尋ねをしておきたいと思います。
  4. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 医療技術短期大学部改組転換でございますが、我が国における急速な高齢化の進展がございます。また、保健医療を取り巻く環境の変化もございます。こういった点から、看護婦等医療技術者資質向上が強く求められておるわけでございます。  特に、看護婦につきましては、平成四年に看護婦等人材確保の促進に関する法律が制定されてございます。この法律に基づきまして、文部省、厚生省及び労働省の共同基本指針を策定しておりますが、そこにおきましては、「看護教育充実教員等指導者の育成を図る観点から、看護系大学整備充実を一層推進していく必要がある。」というふうにされておるところでございます。  そこで、文部省といたしましては、国立大学に併設されております医療技術短期大学部が当時二十三あったわけでございますが、これを順次、平成五年度から医学部保健学科等改組転換をしてきておりまして、御指摘ございましたように、毎年一校ないし二校整備を図って、これまでに八大学転換を行ったところでございます。  平成十一年度は、さらに二大学改組転換をお願いしておりまして、現在所要の法律改正をお願いしておるところでございます。
  5. 池端清一

    池端委員 先日も、脳死臓器移植の例に見られますように、医学医療進歩発展はまことに著しいものがございます。加えて、今お話ありましたように、疾病構造変化や急速な高齢化に対応する医療体制整備喫緊課題になっておるわけでございます。  こういう観点からも、まだ十三の短期大学部、今回提案されております二つを差し引きましてもなお十三の短期大学部があるわけでありますが、これも逐年四年制大学転換していく方針なのかどうか、その辺の構想というものを、ひとつお考えを示していただきたいと思います。
  6. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 文部省といたしましては、医療技術分野における大学での人材養成に対する要請が非常に強いわけでございます。これを踏まえまして、国の財政事情あるいは大学における準備状況等を総合的に勘案しながら、引き続き医療技術短期大学部の四年制大学医学部保健学科等への転換について積極的に対応してまいる考えでございます。
  7. 池端清一

    池端委員 それについて、文部省として具体的な年次計画といいますか、いついつまでにこれは転換改組をしていくんだ、こういうようなお考えがあるのかどうか、ひとつそれをお聞きしたいと思います。
  8. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 医療技術短期大学部改組転換につきましては、教員確保等あるいはカリキュラムの準備等、それぞれの大学準備が必要でございます。教員確保といった観点は、需要が非常に多いということもございましてなかなか難しい面もございます。そういったそれぞれの大学準備状況というものをまず踏まえなければなりません。同時に、国の財政事情というものが非常に厳しいわけでございます。  そういったわけで、何年までに転換を完成させるというふうな年次計画を策定することはなかなか難しい面がございますが、文部省といたしましては、諸般の状況もにらみ合わせつつ、着実に改組転換を実行してまいりたいと考えておるところでございます。
  9. 池端清一

    池端委員 国の財政事情もある、それから準備状況もあるということから、いついつまでにということは言えないということなんですが、先ほどもお話しいたしましたように、これは非常に喫緊課題でございますので、私は、少なくとも二十一世紀の初頭のできるだけ早い時期には改組転換を図っていく、こういうような考え方があってもいいと思うんですが、文部大臣、どうでしょうか。
  10. 有馬朗人

    有馬国務大臣 ただいま高等教育局長より御答弁申し上げましたように、近年の医療高度化というのはすごいものでございますし、高齢化が非常に速く進んでおりますので、何といっても、医師とか看護婦等医療技術者が、それぞれ専門性を発揮しながらよい治療をしていくということが重要になってまいりました。そのためには、専門的な知識、技術とともに、豊かな人間性を持っている、そしてまた的確な判断力を有する資質の高い看護婦たちを育てていかなければなりません。そして、もっと広く医療技術者大学において養成することは極めて重要なことと認識いたしております。  したがいまして、このような認識のもとに、文部省といたしましては、今御質問がありました国立大学医療技術短期大学部の四年制大学への転換につきまして、国の行財政が許す限り、それを勘案しながら、引き続き積極的に対応してまいりたいと思っております。
  11. 池端清一

    池端委員 今大臣から言われましたように、これは皆さん非常に今待望している問題でもございますので、可能な限りこれは早急にその作業を完了していただきたい、こう思うわけであります。  それでは次に、国立大学附属病院看護婦さんの問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  現在、看護婦さんの不足は極めて深刻な社会問題になっているわけでございます。とりわけ国立大学附属病院看護婦さんの労働条件勤務条件は、改善は加えられているというふうに文部省は言いますけれども、依然劣悪な状況に置かれている、こう言っても決して言い過ぎではないと思うのであります。  看護婦さんの増員労働条件改善を求める請願署名も私どもの手元にもたくさん出てきておりまして、国会に提出しております。やがて本委員会で御審議をいただくことになると思うのでありますが、この国立大学附属病院における看護婦さんの勤務状況、なかんずく夜勤勤務実態は現在どのようになっているのか、それをお示しいただきたいと思うのです。
  12. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 国立大学病院看護婦の一月当たりの平均夜勤回数でございますが、平成九年度には八・三回となっております。また、夜勤人数につきましては、二人以上勤務病棟が全体の九九・一%となっております。したがいまして、一人夜勤体制をとっているのは、放射線治療病棟結核感染病棟など、入院患者数が極端に少ない病棟など六看護単位となっておるところでございます。
  13. 池端清一

    池端委員 今の答弁によりますと、平成九年、夜勤勤務実態月平均八・三回。八・三という数字は、もう三日に一遍、四日に一遍、こういうような数字ですね。確かに、昭和三十九年は月十・七回でございますから、これから見ると改善の跡が見られるということは率直に言えるわけでございます。  しかし、大臣も御承知かと思うのですが、一九六五年、昭和四十年に出された国立大学病院に対する人事院判定がございます。この人事院判定では、複数夜勤体制で月八日以内の夜勤日数、こういう判定が出ているわけでございますね。三十四年前にこういう判定人事院から出されている。ところが、三十四年たった今日、なお国立大学病院月平均八・三回、判定すら守られていないという状況にあるわけですね。しかも、これは全国四十二の国立大学病院平均ですから、悪いところは非常に格差があるわけです。  文部省調査でも、ワーストワンと言われるのは実は京都大学なんですね。京都大学月平均九・九回、こういう回数になっている。ちなみに、有馬文部大臣が総長を務められておりました東京大学、どうなっているかということを調べたら、東京大学も九・三回、ワーストファイブ、これに入っているのですね。  そういうような状況から見ると、この三十四年間、一体文部省は何をしておったのか、私はこう言いたくなるのであります。私は、文部省の怠慢ではないか、こういうふうに思うのでありますけれども、これについて大臣の率直な所信を承りたいと思います。
  14. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私も大変心配していることでございまして、かつて東大におりましたころ、看護婦さんたち要望がありまして何回か会ったことがありまして、そういう実態は強く訴えられておりました。そしてまた、私自身も入院したり家族入院したりする際の看護婦さんたちの大変な御勤務状況は、私も身にしみてよく知っていることでございます。  したがいまして、従来から文部省としても、決して怠慢ではございません、厳しい財政状況の中で、あるいは定削というふうなことの中で、看護要員を極めて重点的に増員してきていると思います。それからまた、十一年度に対しましても、ほかの人々に比べて、職種に比べて、大変特別に考慮を払っているところでございます。  特に、いわゆる二・八体制というものを何とか早く実現をしたい思っておりますし、外部委託機械化によって看護婦さんたち負担の軽減を図るというふうな努力を今までも進めておりますが、今後もさらに進めてまいりたいと思います。そういうことをいたしまして、国立大学附属病院看護業務改善充実最大限努力を払ってまいりたいと思います。  ちなみに、建物も随分傷んでおりましたが、これはかなり重点的に現在直しつつありますので、御報告申し上げておきます。
  15. 池端清一

    池端委員 二・八体制を完全にやっていきたい、こういうお話でありますが、四十二の国立大学病院の中で二・八体制が今達成されているのは十三の大学にしかすぎないのですね。間違いないでしょう。これは文部省の統計でも出ているわけでございます。そういう状況からいうと、私は、本当にこの問題の解決は急がれていると。  大臣は、今家族皆さんお話もされておりましたけれども、私ごとで恐縮でございますが、実は私の妻も一昨年の五月から北海道内の公立国立ではありません、公立大学附属病院にことしの二月まで入院をしておりまして、私も看護婦さんの勤務実態を見る機会が大変多かったわけであります。  大変でございます。国立公立は若干の違いはありますけれども、本当に大変な、過酷な条件。しかも、患者さんの大事な大事な健康と生命を守るという仕事に従事しておるわけでございますし、人事院判定のみならず、先ほど局長が言われたように、看護婦確保法に基づく基本指針というものが出されているわけでありますから、それを誠実に遵守することが行政当局の責任ではなかろうか、こういうふうに申し上げておきたいと思うのであります。  ここに、昭和六十三年の三月二十九日に、全国国立大学病院長会議常置委員会というものがございまして、委員長の高見澤裕吉さんという当時千葉大学病院の院長さんから当時の文部省医学教育課長に対して、「看護要員必要数及びその算定について」という答申が出ているわけでございます。これは御承知かと思うのでありますが。その答申でも、看護要員整備数は三千三百七十人必要だ、こういうふうに出されているわけでございます。  三千三百の増員が必要というふうに指摘をされておるわけでありますけれども、その後の看護要員充足状況、今、夜勤体制のことをお聞きしましたけれども、全体として看護要員充足体制はどういうふうになっているのか、三千三百七十を満たしているのかどうか、その辺をお伺いしたいと思うのであります。
  16. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 御指摘答申は、昭和六十三年三月に全国国立大学病院長会議常置委員会委員長から当時の医学教育課長あてに提出されたものでございますが、同委員会に置かれた基準看護問題小委員会が、七つの国立大学調査をもとに、病棟部門必要看護要員を一万五千九百三十人とし、既に配置されております看護要員との差、三千三百七十人が必要と算定をしたものでございます。  お尋ねの、その後の看護要員整備状況でございますが、昭和六十三年度以降、平成十年度までの間に九百三人の増員を図っております。なお、この間、定員削減がございますので、看護要員純増といたしましては七百三十七人となっております。また、平成十一年度には六十九人の増員を予定しております。定員削減がございますので純増は五十三人ということになりますが、文部省といたしましても、国立学校全体の定員が削減する中で、看護要員につきましては重点的な増員に努めてまいったところでございます。  なお、確かに、二・八体制というものが大学病院において実現をできないで今日に至っておるわけでございますが、ただ、やはり大学附属病院の場合、高度医療を担う、地域の中核的な医療機関としての役割がございます。そういった意味合いにおいて、手厚い看護を必要とする重症難病患者比率が高い。そういう意味で、三人以上の夜勤体制を組む必要がある等の事情もございまして、看護要員増員に努めてはおるものの、いまだ目標が達成されていないという状況もございますので、文部省といたしましては、さらに看護職員充実に向けて最大限努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。  なお、一点、複数夜勤・月八回を満たしていない大学が、平成九年七月一日現在で二十八大学ございます。したがいまして、二・八体制を満たしている大学は、現在、十四大学となっているところでございます。
  17. 池端清一

    池端委員 確かに、増員を図ってきているという努力は私はわかるわけでありますが、しかし、医療現場が求めておった三千三百七十という数字に対して、今日まで純増は七百三十七人、平成十一年度は純増で五十三人増員を図るということでは焼け石に水ではないか、私にはこういうふうに思われてしようがないわけであります。  そして、二・八体制というのは最低の要求でありますから、今、局長も言われたように、重症難病患者さんの皆さんには三人、四人の体制というものが必要なわけであります。この三人、四人体制充実を図ること、これまた大事なことでございますから、そういう点、十分思いをいたして今後の看護婦さんの処遇問題に当たっていただきたいということを強く求めておきたいと思います。  国立大学病院は、今回の脳死移植に見られますように、我が国高度医療をリードする役割を担っております。今、局長も言われました。また、救急医療体制整備が強く求められているわけでございまして、地域中核的医療機関として、この面での役割も、期待も非常に大きいものがございますので、このような要請に加えて、国は積極的に体制整備を図っていくべきではないか、こう思いますけれども、大臣、その所信、決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  18. 有馬朗人

    有馬国務大臣 ただいま御指摘のこと、非常に私も心配をしておりまして、最大限努力をさせていただきたいと思っております。ただ、大学としてのほかの部門からも増員のことを強く要望されております。そういう意味で、国立学校全体として見ますと、そういう要望にもかかわらず定員増が非常に少ない、定員削減の方が多いという状況でございます。  もう少し丁寧に申しますと、国立学校全体といたしましては百三十九人の減でございます。定員増がありながらも定員削減が多いので、全体としては百三十九の減になるような状況でございますが、その中で、それに反しまして看護婦さんたちの数は何とかしてふやしていこうという努力をしておりますということを申し上げ、また、今後とも、こういう必要な看護要員のことは重点的にやらせていただきたいと思っております。
  19. 池端清一

    池端委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。  独立行政法人化の問題についてお尋ねをしたいと思います。  ことしの一月二十六日に、政府中央省庁等改革推進本部は、中央省庁等改革に係る大綱を決定したわけでございます。現在、その法案化あるいは基本的計画の策定の作業が進められているというふうに承知をしておるわけでございます。  この問題は、法案化段階国会へ提出された段階でまた改めて十分議論をしていきたいと思うのでありますけれども、この大綱では、「国立大学独立行政法人化については、大学自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成十五年までに結論を得る。」こうなっております。加えて、「大学共同利用機関等独立行政法人化については、他の独立行政法人化機関との整合性観点も踏まえて検討し、早急に結論を得る。」こういうような内容になっておるわけでございます。まことに昨今、独立行政法人化という議論が花盛り、こういうふうに言っても言い過ぎではないと思うのであります。  この制度ポイントとしては、弾力的、効率的で透明性の高い運営確保すること、これがポイントとしてうたわれておるわけでございます。弾力的で透明性の高い運営確保という点については特に私も異存はございませんけれども、教育の場、ひいては学問研究の場、ここに市場経済の原理である効率性を持ち出すことはいかがなものか、私はそのように大変な疑義を覚えておるものでございます。  これは平成十五年までに結論を得るということになっておりますが、文部省としては、この問題について今後どういうふうに対処、対応していくつもりなのか、大臣の御見解を承りたいと思います。
  20. 有馬朗人

    有馬国務大臣 御指摘のとおり、一月二十六日の中央省庁等改革推進本部において決定されました中央省庁等改革に係る大綱においては、今おっしゃられましたとおりでございまして、平成十五年までに結論を得ることになっております。  しかしながら、国立大学改革を今行っているところでございますので、中央省庁等改革基本法を踏まえながら、まず、責任ある大学組織運営体制を確立すること、情報公開を推進すること、内外に開かれた国立大学実現するための法案を今国会提出予定でございます。そしてまた、引き続き、財務・会計の柔軟性向上や、適切な評価システムの確立を図っていく考えでございます。  御質問の中心でございます独立行政法人化を含む国立大学ということでございますが、これはあくまでも、含む国立大学設置形態について今後検討していくわけでございます。そこで、一体どういう国立大学が望ましいか、その姿を十分検討したいと思っております。  今おっしゃられましたように、効率性だけでは教育とか研究は進みません。効率性がなければならない面もございますが、それだけで進むわけにはまいりません。ただ、弾力化透明化は大いに図っていかなければならないと思っているわけでございます。そういうこと全体をにらみ合わせながら、最もいい教育研究体制はどういうふうにつくられるべきであるかという検討をまずやりたいというのが、平成十五年までに結論を得るという結論になった理由でございます。  それから、もう一つ御指摘の点は、共同利用関係研究所はどうか、こういうことの御質問でございますが、同じように研究所教育の上でも大いに活躍をしております。そしてまた、基礎研究という点で大変大きな役割を演じております。ただ、他省庁のかなりの多くの研究所独立行政法人に移りつつありますので、それとにらみ合わせながら、さらに共同利用研究所の持っている特別な事情、特に教育に参画しているというような特別な事情をよく勘案しながら、今後この問題に対して対応してまいりたいと思っております。
  21. 池端清一

    池端委員 この問題は、やはり悔いを千載に残さないように十分慎重な検討があってしかるべきだ、こういうふうに思いますから、ぜひそういう立場での検討を続けられていっていただきたい、こう思うわけであります。  そこで、文部省関係の各機関で、今回、独立行政法人化を図るという内容のものが出ておるわけです。それによりますと、国立オリンピック記念青少年総合センター国立青年の家、国立少年自然の家、国立婦人教育会館国立博物館国立近代美術館国立西洋美術館国立国際美術館等は、種々の準備作業を行い、独立行政法人化を図る、こういう内容になっておるわけでございます。  大臣もお読みになったかと思うのでありますけれども、実は先般、二月二十二日の日本経済新聞に、京都大学教授佐和隆光さんが「何が「市場」になじむのか」という論稿を寄せておられました。ちょっと引用させていただきます。  文部省国立博物館エージェンシー化を打ち出した。博物館民営化など国民のだれ一人として望んでいないのだから、これは人身御供以外の何物でもない。博物館職員が少なくエージェンシー化を強行しやすいから、人身御供に差し出されたのだろう。   これは国際的な笑い草にさえなりかねない、途方もない愚行である。その証拠に、国立大学エージェンシー化を果敢に推進した英国のサッチャー政権ですらが、大英博物館エージェンシー化したりはしなかった。 ということを書いておるわけであります。さらに   科学、芸術、文化などは市場経済になじまない。科学研究を これは大臣の専門分野でありますが、  科学研究市場にゆだねるならば、基礎研究はおざなりにされようし、人文社会科学の研究は無論のこと、理論物理学や純粋数学の研究もまた衰退を余儀なくされる。わが国の文化はいま衰退の一途をたどっている。 こういうふうに指摘をしているわけであります。  こういうような論評がございますし、さらに、これを受けてマスコミでは、二月二十八日の朝日新聞の「天声人語」で同様の趣旨のことを言っております。  東京、京都、奈良の博物館、西洋美術館や科学博物館、国語研究所、文化財研究所その他 がリストに載っているとして、  豊かな時間と自由な環境、経済的な余裕があってこそ学術研究や芸術、教育の花は開く。そこに「効率」を求めるとは、文化国家などと恥ずかしくていえない。 そこまで論評しておるわけでございます。  これについては一々反論もあるかと思いますけれども、大筋においてこの指摘は当たっているのではないか、私はこう思いますが、大臣としてはどうでしょうか。
  22. 有馬朗人

    有馬国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、特に教育というものは市場原理だけで動かすことはできないと思います。同じように、国立博物館国立近代美術館国立西洋美術館等々、あるいは私の分野でいえば上野の科学博物館、こういうものはやはり国として大いに今後も守っていかなければならないと思っております。  ただ、その守り方ということがございまして、先ほど御指摘の佐和さんが言っておられたイギリスの件でございますけれども、大英博物館等のイギリスのいわゆる国立博物館、美術館というものは国の機関ではないのです。法律に基づいて国から独立して設置された法人になっております。それで、館の運営には一定の自立性が認められている、こういうことがございます。ただ、いわゆる国立美術館、国立博物館、イギリスの国立でございますが、基本的な運営費は政府からの補助金で行われております。  こういうふうな点から見まして、今後も国立博物館とか美術館等々が全部自前でやるということは不可能だと思います。そういう意味で、独立行政法人化考える場合にも、その独立行政法人制度のよいところを生かし、国からの十分な経済的な補助金を中心に運営をしていく必要があると私は考えております。
  23. 池端清一

    池端委員 先ほど大臣からも答弁がありました大学共同利用機関、これを見てみますると、本当に非常に専門的な機関でございまして、科学の分野では、例えば国立極地研究所、宇宙科学研究所国立遺伝学研究所、統計数理研究所、それからまた、国立民族学博物館国立歴史民俗博物館等々があるわけであります。これの独立行政法人化について検討を進めるというようなことで果たしていいものかどうか。これは私は非常に疑問に思うわけでありますから、改めてお聞きしたいと思います。
  24. 有馬朗人

    有馬国務大臣 これは、あくまでも国の援助がどこまであるかということによって左右されると思います。私は、理化学研究所は非常に成功していると思います。あれは特殊法人です。特殊法人という格好でもかなり独立をしておりまして、独立したことによってさまざまな自由が与えられている。これは研究の上で非常によかったと思います。今もそれが大いに機能しておりまして、随分いい仕事をしております。  そういう意味で、独立行政法人というものはいかなる形でつくられるかということが今後の大問題だと思います。ですから、一定の自由度を与えるということは独立行政法人のいいところだと私は思います。それから、ある程度総定員法から外されることによって、先ほどの看護婦さんの問題等こういうふうな問題に対しては、もうちょっと自由度がふえる、こういう点もいいことだと思います。  ですから国が、基本的な文化である、基礎的な科学である、基礎的な技術である、あるいは基礎的な人文社会の研究である、こういうことに関して、単に市場原理で自分でもうけてやれと言うことは不可能だと思います。やはりこれは国として十分な援助をしながら、よりよい研究体制、あるいは美術館や博物館などは国民に対してサービスをしなきゃならない、こういうふうなサービスを図れるようにしなければならないと思っております。そういう意味で、独立行政法人はいかなるものであるかということを私はじっくりとにらみたいと思っております。
  25. 池端清一

    池端委員 質疑時間が終了いたしましたので、きょうのところは第一ラウンドということで、法案が出てまいりましたらまた改めてやりたいと思いますけれども、ともかく、二十一世紀に向けて誤りのない道を、特に、教育の分野、科学の分野、学問研究の分野、誤りのない道を求めていきたい、こういう思いは同じだろうと思いますので、ひとつ大臣の十分な御検討もお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  26. 小川元

    小川委員長 次に、池坊保子君。
  27. 池坊保子

    ○池坊委員 公明党の池坊保子でございます。  国立学校設置法の一部を改正する法案に対しましては、昨年質問いたしましたので今回は割愛させていただきたいと思いますが、ただ、一言、高度の医療技術が求められております昨今、もし四年制になることが必要であるならば、私は積極的に進めていただきたいと思っております。ただ、予算の問題もございますので、これからも四年制に移行なさるおつもりなのか、今後の御方針をちょっと大臣にお伺いしたいと思います。
  28. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 御指摘いただきましたように、医療技術高度化の問題もございます。また、患者に対する配慮、ケアといった問題もございます。そういった点なども踏まえまして、より資質の高い看護婦等の養成のために、国立大学に併設しております医療技術短期大学部につきましては、四年制の医学部保健学科等転換をすべく鋭意文部省としては努力してまいりたいと思っております。
  29. 池坊保子

    ○池坊委員 きょうは、国立学校の中でもたびたび問題になっております、外国人学生に国立大学受験資格を与えてほしいという働きかけが四半世紀にもわたって文部省にあったと存じます。そのことについて、大臣並びに担当の方の御意見を伺いたいと思います。  先日、大学課長に、日本学校と同等内容の高校を卒業した生徒が国立大学の受験資格がないのは、子どもの権利条約、教育における人権に反するのではないかと伺った折、一言のもとに、そのようなことはないとお答えになりました。けれども、これは明らかに認識不足ではないかと思っております。  このような外国人学校に対する差別に対して、日弁連は、九八年二月、日本国憲法、子どもの権利条約並びに国際人権規約等に違反しており、人権侵害であるとして、政府国会等に対する是正勧告を出したと存じます。  次いで、五月になされた子どもの権利条約に基づく審査において、国連子どもの権利委員会は、この差別問題への懸念を表明し、日本政府に対して是正を求めました。さらに、十一月には、国連規約人権委員会も、国際人権規約に基づく審査において、同じように是正を求めたと存じます。これを局長は当然御存じだと思いますが、いかがでございましょうか。
  30. 工藤智規

    ○工藤政府委員 御指摘がございました児童の権利条約の関係、あるいは、いわゆるB規約と言われておりますけれども、市民的及び政治的権利に関する国際規約の関係で、それぞれ各国の状況を審査するための委員会が置かれておりまして、昨年、それぞれの委員会におきまして最終見解がまとめられて、朝鮮人学校問題を含む状況につきまして懸念等が示されたのは御指摘のとおりでございます。  ただ、これは、必ずしも入学資格に特化して問題になっているわけではございませんで、間々新聞等でも報じられておりますように、チマ・チョゴリを着た子供たちが意地悪されるとかいう、国内におけるいろいろな状況がございますので、そういう背景をもとにしながら、いかがなものであるかという御指摘でございます。  本件の、御指摘大学入学資格の件につきまして申し上げますと、国際条約あるいは国際規約に関します有権解釈といいましょうか、政府全体に関係してございますので、一応外務省が中心になりながら関係省庁で協議して対応しているわけでございますけれども、私ども、関係省庁の相談の中ではいずれも、いわゆる児童の虐待等の事柄あるいは不合理な差別の撤廃ということを条約あるいは規約上規定しているわけでございまして、合理的な区別といいましょうか、それぞれの背景に応じて私どもがとっております措置につきまして、別に条約あるいは規約違反ということではないという理解でございます。
  31. 池坊保子

    ○池坊委員 確かに、法律違反ではないかもしれませんけれども、そうしたら、大臣、それはそのまま、こういう勧告を受けたのを踏まえて、どのようにこれをお感じでございましょうか。
  32. 有馬朗人

    有馬国務大臣 一つの問題は、大学入試の資格ということでございますが、外国人学校卒業者の大学入学資格ということで従来いろいろ検討しているところでございますが、特に私から検討したい旨を申し上げたことがございます。  そこで、現在、諸外国における、それぞれの国に設置されている外国人学校がどういうふうに取り扱われているか、単に入学に対する条件だけではなく、例えばどういう条件を認めれば、アメリカでいえばアクレディテーションを受けられるか、こういうふうなことについて、今までも調査がなかったわけではございませんけれども、特に、現在の急速な国際化の中でどういうふうになっているかについて、きちっと調べた上でいろいろなことを考えさせていただきたいということを申し上げております。このことは今続行中でございますので、そのことを御了承賜れれば幸いでございます。
  33. 池坊保子

    ○池坊委員 これらの勧告にかんがみ、昨年、兵庫県の県議会は、外国人学校生の大学受験を二〇〇〇年から認める決議をいたしました。ですから、公立大学を受験することは可能であるわけです。阪神大震災の折には、地域社会の連帯の中で、朝鮮学校は校庭を開放し被災者を受け入れたりいたしております。そういうことをかんがみますと、文部省も速やかにそのような方向に向かっていただきたいというふうに考えております。  これも新聞等でもちろん皆様御存じのことですけれども、文部省は、昨年、朝鮮大学校の卒業生が化学専攻で京大大学院に初合格した折、大学大学院の入学資格について、文部省としては各大学で判断することはできないという立場だというコメントを出していらっしゃいます。同時に、大学院の入学資格は、学校教育法と同法施行規則で、大学を卒業した者か、大学卒業と同等以上の学力があると認められる者となっており、朝鮮大学はどちらにも当たらない、入学資格がなければ当然受験資格もないと考えると答えていらっしゃるんです。私は、これをちょっと残念に思っております。  先ほども大臣は、学校の規則というふうにおっしゃいました。文部省は、政令により、外国人学校は各種学校だから国立大学の受験資格がないとおっしゃいますが、私から見ますと、そもそも、なぜ外国人学校は各種学校なのかという疑問を持っております。  日本にある外国人学校で最も数が多いのはいわゆる朝鮮学校で、初級、中級、高級、これは小学校、中学校、高等学校に相当するわけですけれども、学校教育法によって、類似の使用をしてはならないということで、小学校が、小学校と使えずに初級というふうになっていると存じます。これらと大学校を合わせて百四十校あり、韓国学校が数校、中華学校が数校、そのほかにインターナショナル学校協議会に所属している外国人学校が三十二校ございます。  カリキュラムは、日本の学校のカリキュラムとほぼ変わらない、文部省の学習指導要領によってでき上がっておりますし、六・三・三制もとっております。私が調査いたしましたところによりますと、横浜中華学院は、高等部は百七十単位必要で、日本の学校より三十七単位多くなっております。また、朝鮮学校の教育課程の編成、総授業時間数は、日本が五千七百八十五時間なのに対し、百七十五時間多い五千九百六十時間となっております。  これでもなぜ学校と認められないのかということがむしろ私には不思議でございますが、大臣はどのようにお考えでございますか。
  34. 工藤智規

    ○工藤政府委員 御承知のように、日本の学校教育法は、正規の小中学校等の一条学校と言われるのと、各種学校、専門学校等の種類があるわけでございます。各種学校は非常に多様でございまして、一条学校に比べますと、教員の資格でございますとかカリキュラムでございますとか教材等の内容でございますとか、種々の規制がほとんどなくて、いわば自由に教育できる施設でございまして、御案内のとおり、例えばお茶、お花から自動車学校あるいは英会話学校、さまざまでございます。中には、例えば看護学校のように、一条学校に準じたような極めて専門的で高度な教育を行っている学校もあるわけでございます。  外国人学校について申し上げますと、なぜ先ほど合理的な区別かと申しましたのは、学校制度の違いによりまして一条学校と各種学校という種類があるわけでございますが、学校の接続ということからしまして、各種学校については正規の学校教育体系の中に入っていないという状況になってございます。  在日の外国人の方々につきましては、御案内のとおり、日本の小中学校に入学できる仕組みがございますし、また、例えば韓国系の学校のように、一条学校として設置することも可能なのでございます。ところが、朝鮮人学校の関係は、子供たちに罪はないのでございますけれども、関係の方々があえて日本の学校に入学させない、あるいは一条学校としての設置もしないという選択をされて各種学校のままでいらっしゃるわけでございまして、そういう学校制度の違いからくる区別といいましょうか、いわば先方の関係の方々の選択によるやむを得ない区別になっているわけでございます。その点を御理解いただければと思います。
  35. 池坊保子

    ○池坊委員 ちょっと視点を変えまして、昨今、盛んに国際化ということが言われておりますけれども、有馬大臣は、国際化とは一体どういうものだというふうにお考えでございますか。
  36. 有馬朗人

    有馬国務大臣 非常に広いので一言のもとにお返事を申し上げることはできませんけれども、ただいまの学校の件で申し上げておきましょう。  私は大学が詳しいものですから、アメリカの大学について申し上げますと、日本の大学あるいはドイツの大学がアメリカにつくられたとします。それはすぐにアクレディテーションが通るわけではなく、それぞれの州できちっとした条件を満足しているかどうかをまず申請の後に調べる。そういうことを積み上げた上で初めて州として、アメリカは州立及び私立でございますから国立大学はありません、州立の大学が認められる。  こういう意味で、国際化という点で、やはりアメリカの大学にしても、ほかの国々の大学にしてもあるいは高等学校にしても、我が国で認める際には、まずきちっと申請があるとありがたいと思います。  今大学のことについて申し上げておりますが、外国大学日本分校が日本の大学の認可を受けることを希望するということでございましたらば、まずやはりきちっと申請をしてくださって、その上で、私立学校法に基づいて、きちっと大学設置・学校法人審議会の審議を経まして許可を下すことになると思います。これが、日本として外国に対する国際化の、大学ですが、大学に対する礼儀だと思っております。  したがいまして、アメリカの大学が随分日本にありますけれども、できる限り大学設置・学校法人審議会の方に日本の大学になるための御希望を出していただきたいと思っております。外国の学校ですが、私はある大学に対してそういう要請をしたことがございます。
  37. 池坊保子

    ○池坊委員 そうすると、先ほどの局長お話考えますと、各種学校である限りは日本は学校として認めることはできないということでございますね。そうしたら、朝鮮学校も外国人学校も、きちんとした学校という申請を出してほしい、でなかったら学校ではないということを局長大臣も言っていらっしゃるということですね。――では、外国人学校がその言葉をどう受けとめるかは、私の言うことではございません。  ただ、私は、これから日本もアメリカのように、同一民族、同一言語をしゃべる人ばかりではなくて、多民族が互いに多様な価値を尊重し合いながら、折り合いながら英知を出し合って生きていく社会になっていくんだと思います。そういうときに、ただ無差別に入れなさいと言っているのではなくて、外国人学校生に国立大学が、あなは各種学校であるから受験資格はないのですと言うことはおかしいのではないかな、不都合なのではないかなという気がしているのです。受験をさせることにおいては、すべて公平に、平等に門戸を開く方がより国際的であるというふうに私は考えますが、いかがでございますか。
  38. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび申し上げますように、今フランスで例えばどういうふうに扱われているか、こういうことも調べております。私の知っているところでは、先ほどアメリカの大学について、きちっとした審査があるということを申し上げました。  同じように、程度はわかりませんよ、外国に対して少し甘いかもしれない。アメリカの例を見ますと、大学入試資格を持つ、あるいはフランスでありますとバカロレアを受験することができるというようなある一定の条件が満たされている場合だと思います。ですから、できる限りそういう形を整えていただきたいと私は申し上げているわけですね。決して反対をしているわけじゃない。要するに、日本の国の主権のもとできちっとしたことを認める必要がございますので、その点をひとつ外国学校もお考えいただけないかということを繰り返し申し上げている次第でございます。  私は、決してそれを一方的にだめだよと申し上げているわけではなく、ほかの日本のいろいろな学校と同じように、そういう条件を整えて、そして国として、あるいは初中教育であれば各地方自治体の認可というようなことを受けていただければ幸いだということを申し上げている次第でございます。
  39. 池坊保子

    ○池坊委員 制度が大切だという大臣お話は、私はそれには反対ではございますが、大臣の御見解として伺っておきます。ただ、日本国の主権のもとで朝鮮学校が日本の教育制度に反しているというふうには私は考えておりませんけれども。日本国の主権のもとでというふうにおっしゃったのがちょっと私はひっかかりますけれども、まあ、これは大臣の御見解でございますから、これに対しては何も申し上げないことにいたしましょう。     〔委員長退席、栗原(裕)委員長代理着席〕  在日朝鮮人教職員同盟がユネスコに告発をいたしております。つまり、世論を喚起して、世論から日本を変えてほしいというふうに願っているわけでございます。日本政府が民族学校卒業生に大学受験資格を認めないのは国際条約違反だというふうに言っているわけでございます。  これも大臣のお言葉をおかりするならば、日本は日本のやり方があるのだから、そういうことを言っても別に大したことではないということになるのだとは思いますけれども、私は、国立大学の受験を認めないということで日本が世界からも人権を尊重しないと言われることは、子供の教育上も決して好ましい状態ではない、文部省のこれからの行政にとっても決して好ましいことではないというふうに考えております。  言うまでもなく、在日外国人の地方参政権を認める法案も今国会で出されようとしております。また、政府は九日の閣議で、在日外国人の指紋押捺を全廃することを柱とする外国人登録法の改正案を決定いたしました。  日本は、国民の中に人権に対する意識が希薄だというふうに言われております。私は、教育上の立場から、本来、文部省こそがいち早く、人間の尊厳、人権、平等、正義感、そういうものを教育していくべきではないかと思っております。いじめ、不登校とかが問題になっておりますときに、文部省が率先して、世間から見ればいじめと思われるような行動をしていくことは行政として後手と言われますので、その点にもかんがみ、私はこれからお考えいただきたいと思います。
  40. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたび申し上げますように、私は、外国人学校でしっかりした教育をしているところはきちっと、初中教育であれば各地方自治体におっしゃって申請されて、そこできちっとした許可を求めていただきたいと思いますし、大学としてはきちっとした申し入れをなさってくださって、そしてほかの日本の大学などと同じようにきちっとした審査を受けていただきたいと思っています。決して教育内容が悪いとかそういうことを申し上げているわけではないので、やはりそういう形ということが必要であろうと申し上げた次第です。その上で、全面的に、外国人の学校に対しては私はできるだけのことはしたいと思っております。  特に、今御指摘の、ある民族の子供たちが周りからいじめられるというようなことは、断固として排除すべきことだと私は思っております。必要な手は打ちたいと思っておりますけれども、やはり人種差別ということは絶対あってはならないということは、これは文部省としても私としても強く主張していることでございます。
  41. 池坊保子

    ○池坊委員 最後に、制度が大切だから受験はできないのだということは、私たちからは人種差別ではないと思っても、他方、受ける方から見たらそれはいじめに見え、人種差別として受けとめているという事実だけは御認識いただきたいと思います。  それで、今問題になっております国旗・国歌についてちょっと大臣の御見解を伺いたいと思います。  二月二十八日、広島県の高等学校の校長が、卒業式を翌日に控え、国旗掲揚、国歌斉唱を文部省より指導されており、反対する組合員との間で板挟みになり自殺されました。私は、そこに通う多感な子供たちにどんな影響を与えたかを案じております。  文部省は、平成元年より小中高校に、入学、卒業時に国歌斉唱、国旗掲揚を指導されております。広島の高校では、国旗を全校で上げるようになったというふうに聞いておりますけれども、国歌斉唱は一八%だと聞いております。大臣はそれをどのようにお考えでございますか。
  42. 有馬朗人

    有馬国務大臣 この問題もたびたびいろいろな場所でお答え申し上げていることでございますけれども、先ほど先生がおっしゃられました国際化の時代において、まず日本の国旗、日本の国歌というものをやはりきちっと学び、そしてその国歌・国旗に対して敬うという気持ちをまず学んだ上で外国に行かないと、外国で外国国歌に対する、外国国旗に対する尊敬の念がなかなか出てこないということを私はいろいろな場所で見てまいりました。  したがいまして、やはり子供たちのために、国歌・国旗についての教育ということは行っていかなければならない。その基本には、学校教育に関する指導要領がございます。この指導要領で今後も進めさせていただきたいと思っております。  なお、たびたび申し上げておりますように、亡くなられた校長先生に対して、心より哀悼の意を表したいと思います。
  43. 池坊保子

    ○池坊委員 久しぶりに大臣の御見解と私の意見とが一致いたしまして、うれしゅうございます。  私も、外国人からよく日本人の歴史観とかアイデンティティーを問われます。意外と答えられるビジネスマンというのがいないのです。つまり日本人は、自国の民族の誇りとかアイデンティティーとか、そういうことを余り考えないのだと思います。でも、私は、右翼でも左翼でもなく、個の確立した一個の人間として、自国を愛するという気持ちがなくて他国や他の民族を尊重し、そこに生きている人々の人権や価値観を尊重することはあり得ないというふうに考えております。  私、悲しいと思いますのは、日本人の中に国旗とか国歌に対する愛情というのが希薄なのではないかと思います。大臣がおっしゃるように、国際社会の中で生きていくからこそ、各国との連帯を強めるためには、まず自国を愛するという気持ちを育てなければならないと思いますけれども、それはこれからどのような方法で育てていこうとお考えでしょうか。     〔栗原(裕)委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 有馬朗人

    有馬国務大臣 現在も学習指導要領で国を大切にすること、国を愛するというふうなことが書かれておりますが、今度新しくいたします指導要領においてはそれを強く述べたいと思っております。  現行でも、小学校におきましては、社会科で、「我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て、」また、道徳では、「郷土や国を愛する心をもつ。」ことを指導することといたしております。また、国語の教材選定の観点の一つとして、「日本人としての自覚をもって国を愛し、国家、社会の発展を願う態度を育てるのに役立つこと。」を示しております。  中学校におきましても、社会科・公民の分野で、自国を愛し、その平和と繁栄を図り、文化を高めることが大切であることを自覚させるということにしておりますし、道徳では、日本人としての自覚を持ち、国を愛し、国家の発展に尽くすとともに、すぐれた伝統の継承と新しい文化の創造に役立つように努めるというふうに指導いたしております。  今後とも、先生がおっしゃられましたように、国を愛する心、特に私は、日本の文化を愛する、伝統を愛するということを大切にいたしたいと思っております。今後も努力をさせていただきたいと思います。
  45. 池坊保子

    ○池坊委員 私、小学校に参りまして、高学年の生徒たちに国歌を知っていますかと聞いたら、知らないと言う子が多うございました。何で知らないのと言ったら、ある子は、そういえば入学式のときに何かみんなが歌っていた、でも難し過ぎると言われました。私は、あれは古今和歌集から伝わってくるすばらしい日本の文学の和歌なんだと。そうしたら、リズムがまどろっこしくて現代風ではないと。確かに、今はやっておりますような「だんご三兄弟」の歌のようなリズムではございませんけれども、日本には昔から邦楽という日本古来の音楽芸術があるんだから、その長い歴史の上に立っているのだという話をいたしましたら、結構、ふうんと言いながら聞いてくれたのです。  私は、学校教育の中で国歌の歴史もきちんと教えるべきだというふうに思います。反対されている方の中には、戦争に使われたからということをおっしゃる方もございますけれども、国旗や国歌があったから戦争が起こったわけではございません。国歌・国旗は、長い歴史の中にあっても厳然としてあったわけです。ですから私は、大切なことは、白紙の心であらゆる情報をきちんと把握し、認識し、そしてみずからが考えていく、国旗・国歌を通しても長い歴史をきちんと説明し、そしてそういうことが必要なのだということを今教えるべきであるというふうに私は思っております。  私は、国歌・国旗が法制化されますことは、法制化されないとそれほどみんなが親しまないということでもあるので、一段階としては法制化されることには賛成でございますが、法制化されたからといってみんなが親しむものではございません。その間にみんなが理解し、愛する努力というのが必要ではないかと思いますし、きちんと現実を、事実を把握する教育というのも、やはりこの際小学校からしていただきたいと思います。  大臣大学教育には力を注いでいただいておりますけれども、小学校教育でそのようなことをしていただきたいと思いますので、もう一度お伺いいたしたいと思います。
  46. 有馬朗人

    有馬国務大臣 小学校、中学校、高等学校で、十分国歌の意味とか国旗の美しさというふうなことを、今後とも教育をきちっと図っていきたいと思っております。  まだまだ一部には不十分なところがございますけれども、このところ随分理解が深まったと思っております。しかし、さらなる努力をさせていただきたいと思っております。
  47. 池坊保子

    ○池坊委員 時間も参りました。これから教師も、そして先を歩んでいる私たちも、しっかりとした理念や目的や価値観を持って、それを次の世代に受け渡していかなければならないというふうに思っております。ありがとうございました。
  48. 小川元

    小川委員長 次に、石井郁子君。
  49. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  今回の国立学校設置法の一部を改正する法案につきましては、医療技術短期大学部を廃止して四年制大学に移行するということでございますし、医療高度化、専門職を育成するという流れから見て積極的な意義があり、賛成するものでございます。  ただし、この法案には職員定数も定めておりまして、今回の改正案では、前年度比、増員分が九十三名、定数削減分百九名で、十六名の純減となっております。とりわけ事務職員その他が九十八名の減員ということが特徴的かと思うのですが、定数は一九九四年以降毎年増員になってきたわけですね。九九年度、初めてこういう減員化したというふうに思います。これは第九次の定数削減計画のためかと思われますけれども、こうした大学への定員削減の押しつけというのは、今日の大学教育研究におけるさまざまなゆがみをもたらしているというふうに思いますので、こういう定員削減には賛成できないということをまず申し上げておきたいと思います。  それで、きょうは、研究教育を支える職員の問題について質問させていただきます。  政府として、一九六八年以降八次にわたる定員削減をやってまいりました。国立学校全体でどのくらい削減されたのか、総数と職種別での内訳を教えてください。また、第九次の定数削減計画、九七年度から始まったのでしょうか、五年計画ですね、この計画はどうなっているのかということをお示しいただければと思います。
  50. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 お答え申し上げます。  政府全体といたしまして、各省庁を通じまして定員削減計画がございました。その中で、文部省国立学校について定削を実施しておるところでございます。  具体的な数字でございますが、昭和四十三年度から平成八年度まで、第一次から第八次まであったわけでございますけれども、この二十九年間に及びます定員削減計画によりまして、総数で二万六千六百二十五人の削減を実施したところでございます。また、第九次の定削が、現在、平成九年度から十三年度まで実施されておりまして、これで四千六人を削減することといたしております。  具体的な内訳といたしましては、四十三年度から八年度までの累計といたしまして、教官につきましては二千百五十二名、看護婦等については三百十七名、その他職員につきましては二万四千百五十六人というふうになっておるところでございます。
  51. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 今伺いますと、やはり職員の方が圧倒的に多いですね。九次を含めると、結局三万人の削減になるということですね。  その一方で、学生数はこの十年だけでも一・二倍ですよね。大学院あるいは留学生はそれぞれ約二倍にふえているわけですよ。そして、大学改革あるいは入試の多様化等々で、大学の現場というのは授業量が膨大にふえています。それからまた、組織の運営、業務内容が複雑です。また、高度化もしている。いろいろなコンピューター等々の導入等々があるかと思います。  それで、多くの大学では、特に入試のシーズンなどは深夜に及ぶ勤務状態になっている。セブンイレブンという話があるのですが、大学をぜひ見てほしいということを言われるのですね。深夜までこうこうと電気がついているということがありまして、こういう超過勤務が常態化しているわけであります。そういう中で定員を削減しますと、結局、定員職員を雇わないといけないということがありますよね。  それで、次にお伺いしますが、現在、全国でどのくらいの定員職員がいるのでしょうか。これは一九六八年の時点で何人なのかという問題と、この定員職員は、その方の給与というのは積算校費から出されていると思うのですが、積算校費の中のどういう支出の項目から出されているのか。それから各大学で、この間、そういう意味での大学の中に占める人件費というか、特に定員職員の分ですね、これはどういう比率になっているのか、どのくらい占めているのか。各大学でというのはちょっとあれだと思いますけれども、そういうことをつかんでいらっしゃるかどうかということでお聞きをしたいと思います。
  52. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 まず初めに定員削減でございますけれども、全体といたしまして、第九次では、例えば国立学校は三・〇%の削減率でございますが、文部省としては、大学の果たしている役割を強く認識いたしておりまして、政府全体では四・一%というものでございますけれども、その中で国立学校についてはできるだけ優遇するように総務庁にもお願いしておるところでございます。  しかしながら、そういった国全体の計画の中で削減を図らなければいけないということで、特に教官とか看護婦につきましては、教育研究あるいは医療の直接の担い手ということで特段の配慮をしてきているわけでございます。そういった結果、その他の職について若干相対的に厳しい定員状況になっていることは事実でございます。  その点は、私どもとしては、国立学校全体の中で今後とも教育研究に支障を起こさないようにしたいということを考えていることをまず申し上げておきたいと思うのでございます。  それから、御指摘がございました国立学校定員職員実態でございますけれども、国立学校につきましては、平成十年の七月一日現在でございますが、日々雇用職員が約四千六百人、それからパートタイムの職員が約一万五千七百人在職をいたしております。こういった職員は、各国立学校におきます教育研究の重要性に応じましてそれぞれ雇用されているところでございます。もちろん、それぞれ非常勤として必要な職でございまして、それぞれの教育研究の業務の特殊性からさまざまな形で雇用されていることも事実でございます。  そういった意味で、私どもといたしましては、それぞれの個別の支出区分等について詳細を承知しているわけではございませんけれども、定員職員、それから定員外のこういったパートや日々雇用職員あわせまして、国立学校教育研究の業務をきちんとやっていくために必要なものというふうに考えているところでございます。(石井(郁)委員「積算校費の分を、給与のことです。もう一点お尋ねしましたので」と呼ぶ)  それは、こういった賃金の職員の給与がどういった区分で支出されているかということ……(石井(郁)委員「どこから出されているか」と呼ぶ)それは、例えば科学研究費なんかの研究費の補助金の中でそういった職員の給与的部分が払われるものもございますし、それから、きちんとした形で日々雇用の賃金として計算されているものもございます。そういった中でそれぞれの国立学校において運用しているところでございます。
  53. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 職員の問題は、研究を支えるスタッフであり、事務のみならず、技術、図書、さまざまな分野で大学研究を支える、教育を支えるということで今お話を伺ったわけですが、この定員削減の結果、やはり事務職員が足りなくて定員外で雇う。今お聞きしますと、とりわけやはり時間雇用の職員が大変ふえているというのがあるかと思うんですね。私の聞いたところでも、特に私は大阪大学とか京都大学でお聞きしたのですけれども、今や職員の約三割が定員職員、あるいはそのほとんどが時間雇用の職員だという数字を聞いております。  これは、大阪大学の例を紹介しますが、たまたま大阪大学医学部なんですけれども、ここでは二十五年前の定員職員というのは五十八名でした。現在三十七名ですね。本当に大きく削られているわけです。定員職員は、当時はゼロないし一人でしたけれども、現在一三%です。だから、いわば定員削減は三五%にも及ぶかと思うんです。  私がきょう問題にしたいのは、こういう時間雇用の職員の給与なんですよ。これは結局、今言った科研費とか教官当たりの積算校費からやはり出さざるを得ないわけでしょう。では、その積算校費というのはふえているかといえば、これは大臣に申し上げるまでもなく、一九八四年以降はもう横ばいの状態ですね。物価上昇分を勘案すれば、実質マイナスであります。これは、一九七〇年を一〇〇とすれば、九四年で六〇という状態ですよ。  そして、昨年でしたか、財革法の関係かと思うんですが、教官当たりの積算校費がマイナス二%になりましたよね。そういう意味じゃ今非常に予算が厳しくなっているという中ですが、一方でこういう時間雇用の職員の給与を払わざるを得ないわけですから、これはふえていっているわけですよ。定削のおかげでこちらはふえていくという問題ですよね。  だから各大学で、こういう時間雇用の人件費というか、これは人件費という名目では出せないという話ですね。何か物件費というふうにして出しておられると。人の給与が物件費というのもひどい話かと思うんですが。そういうこともちょっとお尋ねしたいのですけれども、各大学でこういう時間雇用の賃金というのはどのぐらい比率を占めているのか。これはやはり文部省はつかむ必要があるんじゃないですか、職員の三分の一になっているわけですから。いかがでしょうか。
  54. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 先ほど来お話ございますように、国立学校定員職員につきまして、例えば昭和四十六年でございますと、日々雇用職員が一万六百八十七名でございました。その時点で時間雇用職員は千四百二十九名でございました。これが平成十年には、御指摘ございましたように、日々雇用職員が四千六百八十四名、それから時間雇用職員が一万五千七百六十九名、かなり時間雇用職員がふえてきているのは事実でございます。  私どもといたしましては、各国立大学におきます賃金がどういうふうに支出されているかということについては実態を必ずしも把握していないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、こういった職員の方々の協力によって国立学校全体の教育研究が成り立っておるわけでございますから、そういったことは十分踏まえながら、全体としての予算の増額等に努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  55. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私は、やはり各大学実態を把握されていないというのは、これはちょっと信じられないんですね。やはりそれをきちっとつかむべきだし、各大学は、自己評価で、いろいろ本も出していらっしゃるでしょう、財政状況、みんな公になっていますよ、わかるわけですから、やはりそれをちゃんと出してください。これはぜひ数字をきちっとつかんでいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。そうすべきです、国民に対して。これは税金の問題なんですからしなきゃいけないと思うんです。  それで、私はぜひ大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、本来、こういう職員の待遇問題というのは深刻なんですよね。私は、これはこれで別なところでしたいと思うんですが、時間雇用ですからパート職員でしょう。そうすると、病休もなければ忌引の休暇もない、ボーナスもなければ退職金もないというんですね。それで、十年働いても二十年働いても月に大体十一万ぐらいだというんですよ。今の大学財政事情からしたらそのぐらいしか出せないだろうということですね。  これは、大阪大学のパートタイム職員にちょっともらったんですが、十年、二十年働いても手取り月額十一万程度ですと。ちゃんと給与のこういう源泉徴収票までいただきました。もう信じられないです、年間百六十数万円です。しかし勤務は、十年も二十年も働いて定員職員と同じようなことをやっていらっしゃるんですよ。だんだんと専門職としてもやっていらっしゃる。超過勤務、残業もしていらっしゃるということですね。  だから、実態はもう定員と同じような仕事をしながら、こういうパート職員としての扱いしか受けていないという点でいうと、信じられないというか、こういう非人間的なことが大学の中であっていいのかという話でしょう。だから、これはこれとして大変深刻な問題だということを私は強調したいと思うんです。  それで、大学というのは、一方で先進的な研究をしなきゃいけない。研究者もそうですけれども、研究予算も削られる、そして予算が足りないという中でこういう人件費もつくり出していかなければいけないということになりますと、本当にいろいろなゆがみも生じますし、やはりこれでは研究は発展しないだろうということを言わざるを得ません。  大臣は、とりわけこういう実情、実態は、大学にいらっしゃってもう重々御承知と思いますけれども、本当にこの実態をどうされようというふうに考えていらっしゃるのか、ぜひ大臣の御所見をきょうは承りたいと思います。
  56. 有馬朗人

    有馬国務大臣 教育研究支援職員が少なくなっているということは、私が東大の学長をやっているころに憂慮いたしていたことでございます。組合との交渉を年に三回、私じきじきにやって、その際にも随分この議論をいたしました。ただ、社会全体に小さな政府をという声があって、これが非常に強いという状況のもと、定員削減ということが厳しく行われてきております。  しかし、その中でも、先ほど官房長がお答えいたしましたように、大学の使命がございますので、教職員の中で教員はどうしてもふえている、こういう努力をしてまいりました。今後さらに進めていく場合に、もうこれだけでは済まないだろう。すなわち、これ以上定削をするのであれば、今までのように技術系の職員とか事務系の職員の方たちだけを削減していくということではもう成り立たないかもしれないということを私は非常に憂慮しているところでございます。  なお、研究費のことでございますが、教官当たり積算校費が目減りしているという点、これも私は大変憂慮していることでございまして、少なくとも十一年度においては、これは減らさないという方針で参ることにいたしております。  ただ、御理解賜りたいことは、科研費は急速にふえてきております。それからもう一つは、第二の科研費と言われている出資金による研究費がふえている、及び建物に関しては、随分補正予算等々で改善いたしたと思います。
  57. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 大変深刻な実態でございまして、大臣、ぜひ前向きに、文部省としてやはり頑張っていただきたい、この点は要望申し上げたいと思うのです。  政府がみずから科学技術立国というふうに言っているわけですから、そういう立国を支える大学がこんな状態でいいのかという点でいいますと、やはり研究教育の基盤を掘り崩すわけですから、私は、もうこの定数削減というのは本当にやめるべきだということは強く申し上げておきたいと思います。  それで、きょうは、国立大学附属病院看護婦増員問題についても、昨年に続きまして私も一言申し上げたいというふうに思ったのですが、時間もなくなりましたので一点だけ。  毎年二月でしょうか、全国大学附属病院長の会議というのを文部省がされておられると思いますけれども、特にことしは、こういうふうに看護婦増員問題が大変社会的な、あるいは大学の中からも大きな声になっているときでございまして、私は、去年の質問以降、一年間で全国大学附属病院を視察してまいりました。文部省としても大学調査をされたということも伺っていますので、そういう病院会議などでは看護婦増員の問題をどのように御報告されていらっしゃるのか伺えればというふうに思います。
  58. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 御指摘国立大学附属病院長・事務部長会議は、去る二月五日に行われたわけでございますが、その中におきまして、国立大学及び附属病院を取り巻く諸情勢や諸課題について説明を行い、これからの附属病院の取り組み等について意見交換を行ったところでございます。  そのうち、看護業務改善充実につきましては、平成十一年度予算案における看護職員増員状況について報告するとともに、文部省として、二月上旬以降幾つかの国立大学附属病院に担当者を派遣し、現場を視察しながらヒアリングも行い、看護業務改善充実のための助言等を行っている、そういった状況について説明をし、各病院における一層の取り組みを促したところでございます。
  59. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 各病院の取り組みをどのように促したのかという中身がどうも問題かというふうに思うのですが、それはきょうはおいておきます。  もう一点、先ほども出ていましたけれども、看護婦確保法に基づいての文部、厚生、労働三省の看護婦等確保を促進するための措置に関する基本的な指針、この中では、夜勤負担を軽減するということで、月八日以内の夜勤体制の構築に向けて積極的に努力をするということがございますね。これの行政の側のめどとして、平成十二年度を一応のめどとするというのがあるのじゃないでしょうか。  それからすると、もう目の前に来ていると思うのですが、本当に月八日以内の体制をどのように達成するのか。これはみずからがお決めになっためどですから、やはり文部省としてもっと積極的に取り組まれるべきだと思いますが、この点いかがでしょうか。
  60. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 御指摘のように、特に目標年次を定めたものではないわけでございますが、平成十二年度を一応のめどとしておるわけでございます。文部省としても、二・八体制実現に向けて看護職員増員に努めておるわけでございますが、引き続き、看護職員需給の見通し等を踏まえつつ、関係省庁と連絡をとりながら最大限努力をしてまいりたいと思っております。
  61. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  62. 小川元

    小川委員長 次に、濱田健一君。
  63. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 社会民主党・市民連合の濱田健一でございます。時間がございませんので、三点に絞って質問をしたいと思います。  各国立大学医療技術短期大学部、御案内のとおりに、平成六年から各四年制大学医学部の保健学科として改組をされてまいりました。そういう中で最初の、平成六年の大阪大学及び平成七年の神戸大学におきましては、既に卒業生が出る、またはことし卒業生が出ていくという状況になると思うのですが、三年制から四年制に改組転換されてからの基礎的専門性の知識や技術向上というものがその目的どおりに高まっているのかどうか。当然そのことに努力をされておられるわけですが、どのように役所としては見ておられるかという点と、三年制から四年制になって卒業生の進路及び就職の状況は、現下のこの厳しい雇用状況でございますけれども、どのようになっているのか。これは労働省関係かもわかりませんが、役所としてとらえていらっしゃる範囲内で結構ですので、披瀝をお願いしたいと思います。
  64. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 医療技術短期大学部の四年制への転換は、資質の高い看護婦等医療技術者を育成するという観点に立って行っておるわけでございます。  したがいまして、その改組転換に当たりましては、各大学においては、人間教育、教養教育の重視及び専門教育充実など教育内容改善に努めておるところでございまして、例えば大阪大学の場合、卒業要件となる単位数が百四単位以上から百四十八単位以上と増加をしております。また、開設科目数、単位数が大幅に増加をしておりまして、学生が多様で幅の広い分野の授業科目を履修できるカリキュラムを編成しているところでございます。  例えば基礎分野では、人の心を理解するために、生命の思想、臨床哲学セミナーを開設しておりますし、また専門基礎科目では、社会の要請に対応できる人材を育成するという観点から、心理・行動科学入門、生活環境保健学などを、専門教育科目では、看護実践科学論、在宅ケア論演習だとか地域看護活動論などさまざまな新しい科目を開設し、その中身を充実させることを通して、看護の実践力、あるいは幅広い視野と高い識見、深い教養と豊かな人間性の涵養に努めたところでございます。  なお、卒業生の件でございますが、平成十年三月に初めて卒業生を出した大阪大学のケースでは、卒業生八十二人のうち約六七%、五十五人が看護婦、保健婦、助産婦として就業しております。二八%、二十三人が大学院等への進学をしたところでございます。  また、本年三月の進路内定状況では、大阪大学につきましては、卒業予定者七十六名のうち四十八人が看護職員として就業予定であり、大学院等への進学予定者が二十五人となっております。神戸大学につきましては、卒業予定者七十一人のうち六十人が看護職員として就業予定であり、大学院等への進学予定者が七人となっているところでございます。
  65. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 着実に改組転換されてからの実績を上げておられるように感じました。また、就職や大学院への進学、新たな技術、技能そして知識を得られる取り組みのインセンティブを与える形にもなっておられるようですので、ぜひ内容的に力を入れていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  もう一点は、来年の四月から公的介護保険が導入されます。公的介護ということで、これは各分野で、それに携わる技術者やさまざまな知能、知恵を持っていらっしゃる方々の養成に努力をしておられますが、この国立大学医学部保健学科における、看護婦さん、医療福祉士を含めて、最高の知識、技能を取得されるために進学をされた皆さん方に対しての公的介護、公的という言葉は使わなくても、介護保険に対する、特別なということはないかもしれませんが、取り組みはいかになっているのか、お伝えください。
  66. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 御指摘いただきましたように、高齢化の進展に伴い介護を要する高齢者が急増しておるわけでございまして、高齢者介護サービスの提供体制整備というものが急がれておるわけでございます。そういった中で、介護関係人材の育成に当たっては、質的な充実を図ること、あるいは福祉、医療、保健が連携した総合的なチームケアというものを推進する必要があるというふうに考えておるわけでございます。  そういった観点に立ちまして、保健学科や看護学科などにおきましては、例えば授業内科目といたしまして、地域保健福祉論であるとか老人福祉論といったような福祉に関する科目を充実するとともに、同じ学部内の医学科と共同して、入学後の早期に老人保健施設等での介護などの体験実習を行ったり、臨床実習においてチーム医療を体験するなどの取り組みを積極的に進めておるところでございます。  今後とも、文部省といたしましては、保健学科を初めとする大学、短期大学における介護関係人材の育成につきまして、質的充実あるいは連携の強化に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  67. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。  介護保険が導入されていって、その運用が進んでいくに従って中身の充実をどんどん図らなければならないと思っております。そういう意味では、この保健学科等を出られた皆さん方が、日本の介護保険の進展に伴い、やはり現場の指導的な立場に立ってもらうという必要性もあると思いますので、内容的にもメニューの中でも充実を図っていただきたいと思うところでございます。  最後に、去年の労基法の改正の中で有期雇用制度が拡大をされました。それに先駆けて、大学教員の任期制という制度が導入をされてまいりました。現場では賛否両論ございました。しかしながら、その運用が図られて導入をされたわけでございますが、どのような現場の状況になっているのかという点と、若手の研究家にとってこの制度、どのような評価が役所の方には届いているのか、またはどのように把握をされておられるのか、お聞きしたいと思います。
  68. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 大学教員等の任期に関する法律でございますが、この法律は、大学における教育研究を活性化するために教員の流動性を高める、その方策の一つといたしまして、各大学の判断により任期を定めた任用ができることとするものでございます。  この法律に基づいて任期制が導入されることにより、大学においてはさまざまな経験や発想を持った多様な人材を受け入れることが可能となっております。それらを通して相互に学問的な刺激を与え合ったり、あるいは批判し合ったりすることを通して教員研究能力を高める上で有効であるというふうに考えておるところでございます。平成十一年三月一日現在でございますが、二十四大学等でこの任期制の導入を行っておるわけでございますが、今後とも、この法律の趣旨の周知あるいは適正な実施の確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。  なお、若手教員の関係でございますが、若手教員の業績評価が適時適切に行われることが大切であるというふうに考えております。  特に、任期制の導入によって、任期満了後、他の大学等に採用されたり、その大学で再任あるいは昇任をするというふうなことがあるわけでございます。そういった場合に、その業績評価というものが適正に行われるということが極めて大事でございます。信頼性と妥当性のある評価が各大学で行われるよう、文部省としても引き続き努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  69. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 私が最後にお願いした業績評価というものを今言っていただきましたので、そこのところをきちんと把握して、やはり若手研究家がいい環境の中で伸びていく、それがひいては大学教育、学生に対する効果の助長につながるという側面をしっかりと持って頑張っていただきたいと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  70. 小川元

    小川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午前十時四十五分休憩      ――――◇―――――     午後零時四十分開議
  71. 小川元

    小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は、終局いたしております。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出国立学校設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  72. 小川元

    小川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 小川元

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  74. 小川元

    小川委員長 次に、内閣提出日本学術振興会法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。有馬文部大臣。     ―――――――――――――  日本学術振興会法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  75. 有馬朗人

    有馬国務大臣 このたび、政府から提出いたしました日本学術振興会法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  学術研究は、人文、社会、自然科学のあらゆる分野にわたり、真理の探求を目指して行われる普遍的な知的創造活動であり、その成果は、人類の知的共有財産として、それ自体すぐれた文化的価値を有するとともに、その応用や技術化を通じて、人類、社会の発展の基盤を形成するものであります。  二十一世紀を目前に控え、我が国が科学技術創造立国を目指し、先端的、独創的な学術研究を推進していくためには、すぐれた研究者の養成確保研究施設設備や研究体制整備とともに、研究費の充実を図ることが不可欠であります。  特に、科学研究費補助金は、大学等の研究者が自発的に計画する研究のうち、学術研究の動向に即して、特に重要性の高いものについて助成するもので、我が国基礎研究を推進するための中心的な研究費であります。文部省では、これまで、科学研究費補助金の重要性にかんがみ、予算の拡充や制度改善に努めてまいりましたが、近年では、審査、評価の一層の充実や、研究者に対するきめ細かな情報提供等により、さらに効率的、効果的でより適切な配分等を図ることが求められております。  このため、平成十一年度から、科学研究費補助金の一部の研究種目の審査・配分事務を日本学術振興会に移管し、審査、評価の充実研究者へのサービスの向上等を図ることとしております。  この法律案は、このような趣旨から、科学研究費補助金の交付業務を日本学術振興会の業務に追加するものであります。  また、この法律案におきましては、あわせて、規制緩和の一環としての日本学術振興会における余裕金の運用方法の拡大など、所要の規定の整備を行うことといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  76. 小川元

    小川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十四分散会