○松浪
委員 大変ありがたいというふうに思います。
それで、古代オリンピックは、神の介在する、神が支配するイベントでありましたからうまいぐあいにいきました。けれども、これだけ多様性に富んだものになってまいりますと、非常に難しくなります。そして、
世界じゅうには、宗教はもちろんのことながら、政治的哲学、思想、これらもそうですが、価値観が余りにも違います。けれども、スポーツと文化は
世界の国々の皆さん方が価値観を
一つにすることができる、そういう意味において極めて大切なイベントである、私はこういうふうにとらえておるわけであります。
そして、このオリンピックというものを本当に健全なものとして、人類の遺産としてずうっと継承していくとしたならば、本気になってそのことをきちんと研究する必要がある、私はこのように思っております。JOCや
日本体育協会がこれをやるというのが極めて難しいのは、余りにも
現実的に、また
現場のことを余りにも
理解し、配慮し過ぎて偏ったものになる、私はこういう懸念を持っておりますので、今
大臣がおっしゃっておられたように、そういう施設の中にきちんとした形でつくっていただければありがたい、私はこういうふうに思うわけであります。
〔増田
委員長代理退席、
委員長着席〕
そこで、オリンピックというのはあくまでも神聖なイベントである、そして、昨今いろいろな問題が浮上してまいりましたけれども、私は、このほどのオリンピック招致
委員会で会長の大阪市長が読み上げた宣言、これは極めて大事であるし、
国民の皆さんにも大阪の心意気と
姿勢というものを
理解していただきたい、こういうわけであります。当日市長から宣言がされました。
大阪オリンピック招致
委員会は、オリンピック憲章を尊重し、その深遠な理念に則り、正々堂々かつクリーンに招致
活動を推進する。
大阪オリンピック招致
委員会は、オリンピックムーブメントに貢献するため、大阪・関西をオリンピックの舞台として提供し、二十一
世紀のモデルとなるようなオリンピックの開催を目指して、
世界に向けて二〇〇八年オリンピックの招致
活動を
展開する。
このように宣言をされました。
これらの趣旨を踏まえて、本当にオリンピックというものをすばらしいものにしたい、そして
文部省としても、これをずうっと
育成していくためにもオリンピック研究所というものをつくっていただきたいということを私は強く要望しておきたいと思います。
次に、私は約八年間、青年海外
協力隊の
技術専門
委員をやらせていただきました。一言で言うならば、選考
委員であります。私
自身もかつて、アフガニスタンというきわめつけの
発展途上国でスポーツ
指導に従事したことがございますけれども、国際交流という視点からしますと、物すごく意義深いものであります。
この青年海外
協力隊は昭和四十年に発足をいたしました。現在までに、六十六カ国に約一万八千人の
我が国の若人を派遣してまいりました。これは、まずボランティア性に富んでいるということと公募制であるということ、そして現地の人々と
生活をともにして、隊員一人一人の
能力によって国際貢献をするという、この国の
制度の中にあって非常に珍しい、貴重な
制度である、私はこういうふうに認識をするものであります。
そこで隊員は、二十歳から三十九歳までの方が隊員になることができるわけであります。二年間現地で、隊員によっては奥深い山の中で、現地の人々と
生活をともにしながら、ボランティア
活動を
展開するということになります。私も専門
委員として現地視察に赴いたことがございますけれども、この隊員たちが帰国した後、これは
日本の財産だ、この
人材をいかに生かしていくべきかということを常に考えさせられたものであります。
そこで私は、選考
委員をしておりましたときに、合格者に対して、
教員採用
試験の問題集を何冊も抱えて現地に行け、そしてあいているときにはそれを
勉強して、帰ってきたならば採用
試験に合格して
先生になってくれということをいつも
指導してまいりました。
ところが、隊員いわく、
先生、そんなことおっしゃいますけれども、私の行くところは電気があっても停電が多くて、夜、書物を見ることはできません、昼間の
活動が極めて過酷ですので、すぐ寝なければ体がもたない、電気があっても停電が多いしというような話を直接隊員から聞く機会もありました。
けれども、この人たちは現地で大変な豊富な
経験を積まれ、また
人間的にも一回りも二回りも大きくなって帰国されるわけであります。私は、このような
人材を
学校教育の場に生かしてもらえればうれしいなという思いを持ってまいりました。
文部省は、このような人たちを
教員として積極的に採用していこうではないか、そういう考えを持たれてしかるべきだと私は思います。
とにかく、
我が国にありましては、これは顔の見える国際貢献、援助である。ことしの
予算案を見ていただいてもおわかりになりますように、青年海外
協力隊におきましては、五十人、昨年よりもたくさん派遣しようということで予算が盛られてあります。この小渕首相の心意気にも敬服をいたしますけれども、
我が国が積極的に国際
協力、国際貢献ということを考えたときに、それをやられた人たちの
人材の
育成、使い方、これについて真剣でなければなりません。
帰国した後の隊員の職業、進路
指導というものを
協力隊は熱心にやっておりますけれども、約三割の人たちがどこへ行ってしまったかわからないという
実情であります。つまり、帰ってきたならば、
日本社会は結構冷たいんだということであります。
そこで私は、こういう人たちを可能な限り、
文部省のお力で
教員として採用していただけないだろうか、またそうすべきではないかということを申し上げ、そしてその所見、考えを
文部大臣からお聞きしたいと思います。