○菅原
委員 大臣に
質問する前に、地元の報告と要望をまずさせていただきたいと
思います。
先日、私、郷里の一関市の遊水地内に水田を耕作している
農家を訪ねましたところ、今、遊水地では一町歩単位の基盤整備を進めております。沖積土なものだし、また今非常に機械も進んでいるものですから、一ヘクタールの基盤整備でも高低差が五センチ以内だといってみんな驚いておりました。そうしましたところが、もう既に七十戸近い耕作者が、二戸の方に一反歩当たり二万円相当の小作代ですかをいただいて委託して経営しているわけなんです。
私は今まで、自由化されても食える
日本農業を確立しないといかぬということを一貫して主張してきているわけなんですが、またそのことのためには国家が責任を持って基盤整備とかんがい排水は完備すべきだ、国家責任で減歩を取り入れて、個人の負担をなくして進めるべきだと言ってきたんですが、このように非常に土地
利用の集積が進んでいるわけです。
農地の集積は、これも私の持論なんですが、結局、
農地の均分相続を禁止すべきだと言ってもなかなかこのことを
日本の国は取り上げ得なかったわけですから
農地の集積はこれはもう困難といたしましても、
利用地の集積はどんどん進んでおります。ですから、今回の食料・
農業・
農村基本法の作成を踏まえて、土地
利用集積の
促進計画を策定した地域には基盤整備、機械設備の助成、
技術指導等を集中すると成文化しておりますから、ぜひこの政策を、なりふり構わずという
言葉がございますが、重点施策として実施していくように
大臣にまず強く要望しておきます。
それでは、これから
質問に入らせていただきます。
持続性の高い
農業生産方式の
導入の
促進に関する
法律案、何か長ったらしい名前の
法律案なんですが、要は、
環境保全型の
農業を目指して
土づくりの重要性を推進する
法律ですから、私も、おくればせながらこの
法案が提案されたことにつきましては時宜にかなったものだと思っておるわけでございます。
しかし、本来
農業は自然循環型の業種でありまして、また、
土づくりというのはこれは
農業の本質でございますから、
法律で
土づくりを
促進させるということ自体、既に
日本農業の今の
農業形態というものがどこか間違ってきているといいますか、こういう
環境保全の立場から見ますと、どうも営利的な、商業的形態に走ってきた。その結果が、
環境に対しましていわゆる破壊をしてくる、あるいは
農地を略奪した
生産、
化学肥料の
投入が、いつの間にか
基本の
土づくりを忘れて自然からしっぺ返しを受けている、そのように感ずるわけでございます。でも、やはり
農業生産の
基本である
土づくりは重要でありますので、このことは政府といたしましても一層推進を図っていくことが必要であるわけであります。
そこで、具体的な推進方法をまず
大臣にお聞きしたいわけですが、その前に、私もこのことに対しましては
一つの確信を持った
農業方式を考えておりますので、このことを申し述べてみたい、こう
思います。
今回、水田のいわゆる継続的な経営を目指させるために、一応、水田に麦作や大豆作を取り入れることにしたわけですが、内地においては
最初からもう麦づくり、大豆づくりという夏作は赤字ですから、しかし、今減反している面積を放置するわけにはいかないというので、苦肉の策で、助成金あるいは補助金の対象でこのことが組み入れられているわけでございます。しかし、こういう耕種
農業は将来はやはり国際競争が宿命づけられているわけですから、これは私は前回も
大臣に要望しておきましたが、北海道では可能なんですから、北海道には大豆、麦あるいは小豆類、こういう耕種
農業の見本的な
農家経営を確立するように、
大臣が北海道地域の出身だとしても、胸を張ってそういう政策をひとつ進めるようにお願いしたいなと。
ただし、水田における麦づくりに対しましては、東北以西、以南は裏作が可能なわけですから、ぜひこの裏作を入れたいわゆる水田の麦
利用、そして、裏作で
生産された麦を水田経営
農家が自分の家畜の飼料として回して、そこからとった
堆肥を自分の経営する水田に循環していく、こういう水田酪農というもの、水田畜産というものを私は今までも主張してきたわけでございます。
これも、昔の
農業は大体一ヘクタールに対して大型家畜一頭、これは水田、畑地を入れて一ヘクタールですが、一頭は、二割以内の購入飼料で肥育あるいは飼育していくことができるわけです。それから、一頭の成牛がありますと十分に一ヘクタール以上の耕地に対しては
堆肥の
投入ができる。そういうわけですから、昔のいわゆる大型
農業、大型
農業といいましても、戦前は三、四町歩、五町歩ありますと大型
農家の類型に入るわけだったんですが、みんなそういう
農家は家畜を飼って、朝草刈りなんかもしているわけですね。
しかし今、米づくりの
農家は全然そういう循環型、土地から
生産物の恩恵を受けた、その土地に対して
土づくりという恩返しをするという形態をやめておるわけですから、こうして金肥に頼って。ですから水田づくりの
農家というのは、水田だけつくっていると一年間に三カ月ぐらいしか働けないのが事実でしょう。そうなると、三カ月で百姓面するなと私だったら言いたいわけですね。水田専業の
農家ですと、二十ヘクタール、三十ヘクタールつくったって冬には出稼ぎに行くような形態なんですよ、今の機械やなんか。
そうなりますと、ぜひこの水田裏作の麦、これは飼料作でも結構です、さらに、何もこれは麦に限ったことでありませんで、私たちの東北では菜種なんかも昔はみんなつくったわけですから、そういうのを取り入れて、
堆肥をつくり、そしていわゆる循環型の
農業を進める、こういうことが本当に
土づくりに対して最も重要な、循環型
農業に返らせる方法の
一つだと思っているわけですが、このほかにも具体的な推進方策を政府が考えているとするなら、ひとつお聞かせいただきたいなと
思います。