○熊谷(市)
委員 そういうことでありますと、先ほど来もいろいろな議論の中でも出てまいりましたが、なかなか
規模拡大とかあるいは
農地の集積とかというものは思うようにいかない、そういう問題がかなり今までの
質問の中でも
指摘をされてきたわけであります。したがって、そういう考え方というものをこれからの新
農業基本法にも踏襲をしていくということであれば、なぜ、どこに
原因があって思うようにいかなかったか、これをすっかり洗い出しながら反省を加え、そして新たな発想という形で検討していく必要性があるというふうに思います。
私は、思うようにならなかったということについては二つの側面があるのではないか。先ほど
大臣の答弁にもあったようでありますが、受け手側と出し手側の双方にいろいな問題を抱えておった。出し手側からすれば、言うならば、
土地というものは大事な
資産であって人にゆだねたくない、そういう考え方が非常に根強く残っている。さらには、機械化が進んで、土曜とか日曜とかの休日
農業というものが簡単にやれるようなそういう体制ができ上がってきている、したがって
兼業農業というものが顕在化をしてきた、これが
一つの大きな側面ではなかったかなというふうに思います。
ただ、これはいつまでもこういう形が持続できるかというと、私は決してそうは思いません。これは、
昭和一けた台のリタイアという時期を迎えているわけでありますから、それとともに、
土地は手放したくないけれども、経営はどなたかにお願いをしたい、そういう考え方というのは非常に最近強くなってきているなというふうに考えております。
それはそれとして、もう
一つの側面は、今度は受け手側でありますが、これも、
規模拡大を図っても、なかなか思うような
メリットが、それに対する
規模拡大の報いがはっきりしていない、こういう面がある。特に
農産物の
価格が低落、低迷を続けている。さらには、市場への対応、そういう前提で進んでいる。先々不安なものが残っている。
規模拡大をして将来
農業をやる、果たしてそういう意欲につなげられるかどうかというところに
一つの問題があると思います。
さらには、そういうものに追い打ちをかけた結果になると思いますが、いわゆる
生産調整という問題です。しかもこれは、三割近い、あるいはそれ以上の転作を余儀なくされてきている。それは、何かつくれば収入に結びつくんじゃないかな、そういう発想にばかり結びつかない、いろいろな耕地の条件であるとか、さまざまの理由によって転作ができない、団地化も組織化も思うようにならない、そういうようになってくると、三割の
農地というものがいわゆる
稲作によって確実な収入を担保する、そういう
時代ではなくなってきている、こんなような理由もこの
規模拡大に対する意欲を低下させているんじゃないかな。
そして今、総括して言うならば、受け手側が少ない、出し手側は多いけれども、受け手側はなかなかその
需要にこたえられない、こういう問題が最近顕著になってきたのではないかな、こんなふうに思うわけであります。
そこで、こういった
一つの阻害条件をどういうふうにして排除して、言うならば、新しい
基本法の中で言う、二十一条の
規模拡大をこれから図っていくのか。こういうことに対して、特に内容としては、今、小
規模経営である
兼業農家というものの扱い方、考え方をどうするかということと、もう
一つは、大
規模というか、そういう
農家層の不安材料、特に経営安定対策という形の中でどんなふうにお考えになっておられるかをお伺いしたいと思います。