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1999-04-22 第145回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十二日(木曜日)     午前十時開議   出席委員    委員長 穂積 良行君    理事 赤城 徳彦君 理事 増田 敏男君    理事 松岡 利勝君 理事 横内 正明君    理事 小平 忠正君 理事 木幡 弘道君    理事 宮地 正介君 理事 一川 保夫君       今村 雅弘君    小野寺五典君       岸本 光造君    熊谷 市雄君       小島 敏男君    塩谷  立君       鈴木 俊一君    園田 修光君       中山 成彬君    丹羽 雄哉君       萩山 教嚴君    御法川英文君       水野 賢一君    宮腰 光寛君       宮本 一三君    矢上 雅義君       安住  淳君    神田  厚君       堀込 征雄君    上田  勇君       漆原 良夫君    木村 太郎君       井上 喜一君    佐々木洋平君       菅原喜重郎君    中林よし子君       藤田 スミ君    前島 秀行君  出席国務大臣         農林水産大臣  中川 昭一君  出席政府委員         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         農林水産大臣官         房長      高木  賢君         農林水産省経済         局長      竹中 美晴君         農林水産省構造         改善局長    渡辺 好明君         農林水産省食品         流通局長    福島啓史郎君         林野庁長官   山本  徹君  委員外出席者         農林水産委員会         専門員     外山 文雄君 委員の異動 四月二十二日         辞任         補欠選任   木部 佳昭君     小島 敏男君 同日         辞任         補欠選任   小島 敏男君     水野 賢一君 同日         辞任         補欠選任   水野 賢一君     木部 佳昭君 本日の会議に付した案件  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣提出第三七号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出第四七号)  農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案内閣提出第六四号)     午前十時開議      ————○—————
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  内閣提出森林開発公団法の一部を改正する法律案農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今村雅弘君。
  3. 今村雅弘

    今村委員 おはようございます。自由民主党の今村雅弘でございます。  もう桜の花も散りまして、本当にさわやかな季節になったわけでございます。きょうも、まさにさわやかな緑の風が吹いているということでございますが、これも、美しい日本国土をしっかり守っていただく全国農林水産業に従事する皆様、そしてまた、農林水産省を初めとする皆様方のおかげだと心から感謝する次第でございます。  感謝する、そう言う舌の根も渇かないうちにちょっと厳しい質問をさせていただくということで大変恐縮しておりますが、これも日本農林水産業をこよなく愛しているということから、御容赦願いたいというふうに思っております。  早速でございますが、まず第一に、先般のいわゆる米の関税化に踏み切った件に関してでございます。  農業は、単に食料の生産だけではない、これからいざというときの備え、あるいは環境、あるいは国土保全といったところの観点からも、これからも大変重要な役割を持っていくわけでございますが、そうした中でも、やはり基幹作物である米の関税化の問題でございます。  これはいろいろな議論を経て踏み切ったということでございますが、それに関連して、先般、オーストラリアとかを含めまして四カ国がこれに対して異議申し立てをしたということでございまして、これについては、全国農家皆さんのほとんどが大変心配しておられるんじゃないかと思うわけでございます。  当面は関税率が高い、しかし、いずれ競争は激しくなるという、その覚悟は皆さん方もできておられると思いますが、スタートした直後にこういう異議申し立てられる、しかも、今回の措置には、いわゆる米の輸出には余り関係のないと思われる国々からこういう異議申し立てられる。そしてまた、ケアンズ・グループはともかくとしても、EUからもこういう話が出ているということで、若干ショッキングな面もあるわけでございます。  なぜ、米の輸出国でもないのにこういったことで異議が出ているのか、一体その意図はどういうことなんだろうか。そして、これに対して今農水省としてはどういう対応をされておられ、今後の見通しはどういうふうになっていくのか。そういった点について、お考えをお示し願いたいと思います。
  4. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 お答え申し上げます。  今回の我が国の米の関税措置への切りかえでございますが、これに伴います譲許表の修正につきましては、ただいまお話がございましたように、豪州、EU、ウルグアイ、それからアルゼンチンという四カ国・地域から異議申し立てが出されております。  これらの四カ国は、いずれも、我が国がとりました関税措置への切りかえという、このこと自体につきましては評価するという立場でございます。ただ、具体的な関税相当量、二次税率の設定仕方等につきまして、技術的な観点から疑問があるというようなことで異議申し立てをしておるということでございまして、我が国としましては、これらの各国問題意識を十分聞きました上で、技術的な観点も含めて、我が国考え方につきまして改めて説明をしておるところでございます。  割合、各国異議申し立てということにつきましては、いろいろ疑問があればとりあえず異議申し立てるというような、比較的簡単に考えているような面もございまして、そういうことから異議申し立てが出されておるわけでございますが、現在、各国におきましては、我が方からの説明を受けまして、それぞれ各国としての対応検討しているという段階であるというふうに理解をいたしております。
  5. 今村雅弘

    今村委員 いずれにしろ、申し立てが起こったのはしようがないとしても、先ほど来言っておりますように、これについてはやはり農家皆さん大変関心の深いところでございますので、関税化に踏み切る、これから競争力をつけて頑張っていくんだということであれば、毅然とした態度でしっかり各国を説得していただいて、そして皆さん方に自信を持っていただくということで、今後ともしっかりした取り組みを心よりお願い申し上げる次第でございます。そうしないと、これからまだまだいろいろなことを農政はやっていかなきゃいけないわけでございますので、そういった意味で、不信感を持ってもらうということでは大変まずいんじゃないかというふうに思うわけでございます。よろしくお願いいたします。  続きまして、時間がありませんので早速法案の関連で質問させていただきますが、まず、農業災害補償の問題でございます。  これにつきましてはいろいろな問題がございますが、とにかく日本農業というものは、先ほど申しましたように、単に米をつくるだけじゃない、いろいろな多面的な機能といったことも言われておりますし、そういった中でも、やはり農地をいかに確保しておくかといったことが大変重要なことではないかと思うわけでございます。現在の農地でも、やっとぎりぎり国民生活に必要なカロリー確保できるレベル、しかも、食生活の中身を、芋類とかなんとかカロリーの高いものに大幅に変えて、やっとこれが維持できるレベルでございますから、やはりこれ以上農地を減らすわけにいかないんじゃないか。何とか守っていかなきゃいけない。  しかし、そのために肝心の農家が、担い手がやっていけないということでは困るわけでありますから、やはり安定的な所得確保、安心できる所得確保といったことを目指していかなければいけないわけであります。そういう意味で、この農業関係補償制度、特に災害補償、これも広い意味での補償一環であるというふうに思うわけでございますが、もっともっとこれについて充実してもらいたいなというふうに実は思っているわけでございます。  そうした中で、一つ、まずもって水稲共済のことでちょっとお聞きしたいと思います。  御存じのように、水稲共済につきましては、これは以前も、後でまた果樹共済等についてもお聞きしますが、平成五年の四月十四日のこの同じ法律関係での附帯決議の中でも実は出ているわけでございますが、いわゆる収量基準の問題でございます。  一口で言うと、いわゆる共済レベルでの升目のはかり方、そしてまた、農家が実際の調製で使っておられる調製レベルといいますか、そこに升目の違いがあるということでございまして、この落差をぜひ埋めてほしいと。これから先、うまい米を、いい米をつくっていくということになっていくわけでありますから、そういった意味では、やはりこの共済レベル升目の問題も改善するべきじゃないか。  これはいろいろな問題があるというふうには伺っておりますが、これについてはぜひ取り組んでいただきたいというふうに思うわけでございます。もう既に、全国で約九〇%の農家が恐らく一・八ミリ以上の升目を実際の調製レベルで使っておられるという実態もあるわけでございます。  そういったことも踏まえて、今後どうされるのかといったことを、お考えをお伺いしたいと思います。
  6. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 農業共済水稲に係ります基準収穫量設定なり、あるいは損害評価収量基準でございますが、現在、農林水産統計収量基準に基づきまして、具体的には一・七ミリの目幅のふるいを使用いたしております。  一方、農家では、ただいま御指摘もございましたように、産地間競争等も背景にいたしまして、これより大きな目幅のふるいを用いるというケースもふえてきておりまして、この実際に用いられている目幅共済においても使ってもらいたいという要望が出ておるところでございます。農林水産省といたしましても、農業共済団体とも連携をいたしまして、水稲収量基準に関する検討をこれまで行ってきたところでございます。  ただ、収量基準を変更することによりまして減収量等が従来と変わってくるといった問題とか、また、損害評価収量基準農林水産統計収量基準と違った目幅のふるいにすることにつきましては、基準収穫量設定に当たりまして、農林水産統計の平年収量そのものではなくて、これを修正して設定する必要があるということ、あるいはまた、損害評価高の認定に当たりまして参考とします農林水産統計収穫量も修正する必要がある、こういった問題がございまして、なお若干の検討を要すると考えておるところでございます。
  7. 今村雅弘

    今村委員 そういった事情は私も伺ってはおりますが、先ほど来言っておりますように、やはり実態とはもう随分違ってきておるということをしっかり踏まえて、そして、いい米をつくっていくんだということの中で、ぜひこれは早急に改善措置をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  あわせて申しますが、やはりこの升目の違いによって、お米の出来高といいますか作況といいますか、そういったものも、どうしてもこの一・七を使うと豊作という傾向に出るわけで、これがある意味ではまた価格を下げていく要因にもなっているという実態もあるのではないかというふうにも思いますので、そういったものも含めて、早急に改善をお願い申し上げます。  続きまして、これに関連してでございますが、先ほど来言っておりますが、米作ですね。お米というものは極めて優秀な作物で、それでもって日本の人口も一億二千五百万人までふえたということも言えると思いますが、ある意味では、ほかの作物に比べてタフな、手のかからないといいますか、非常にいい作物であるわけでございます。それだけに、つくりやすい作物ということで、どうしても皆さんが米をつくられる、その一方でやはり米が余ってしまう、これを改善していくということで、今いろいろな構造転換といったこと、減反も含めて、大豆や麦、そういったいろいろな作物転換していこうじゃないかということで今進められているわけでございます。  そうした転換政策をぜひ進めていかなければいけない中でございますが、何せ非常に難しい作物も中にはあるわけでございまして、大豆にしても麦にしても、例えば昨年は大豆で、私の地元でもそうでございましたが、一晩のうちにヨトウムシにあっという間に葉っぱを食われてしまうとか、そういう問題もあるわけでございます。また、麦についても、これは今回改善をしたわけでございますが、非常に雨に弱い、そういった問題もあるわけでございます。この転換を進めていくためにも、ぜひ広い意味で、この共済仕組みバックアップ策一つとして充実してもらいたいというふうに思っているわけでございます。  こういったものを推進する中で、実は、果樹共済あるいは畑作物共済そして園芸施設共済、こういったものについても、これは任意加入といった面もあるかもしれませんが、極めて加入率が低いわけですね。この共済というもの、ある意味では保険でありますから、保険商品と言ってもいいかと思いますが、やはりこういった商品魅力がないからじゃないか、あるいはいろいろな問題もあるからじゃないかと思いますが、なぜ加入率がそれぞれにこんなに低いのか。そういった原因をどういうふうに考えておるのか。あるいは、今後こういった魅力をどうやって増していくか、そういった対策をどのように考えておられるのか、それについて具体的に伺いたいと思います。
  8. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 まず、麦、大豆といった転作作物関係でございますが、これにつきましては、今後、稲作を中心とした生産性の高い農業の展開を図っていく上でも、大変重要な作物であるというふうに考えております。したがいまして、その経営の安定を図っていくということは大きな課題でございます。  そういう中で、今回の制度改正におきましては、麦につきまして、お話のございましたように、降雨等によりまして品質低下が起きやすいといったような特性も踏まえまして、収量の減少だけじゃなしに品質低下につきましても補てんの対象にする災害収入共済方式を導入することにしているところでありまして、一歩大きく前進するものと考えているところでございます。  また、麦や大豆につきましては、他の作物等に比べまして共済掛金国庫補助率も高くなっているわけでございますが、これを今回も維持しておるところでございます。  今後とも、転作農家の経営安定という観点をこの農業災害補償制度運用に当たりましても十分留意していきたいと考えております。  それから、果樹共済畑作物共済園芸施設共済等につきまして、加入率が低いというお話がございました。確かにこれは、作物ごとあるいは地域ごとに差はあるわけでございますが、全体的に見ますと、全国平均で見れば、やや低い状況になっております。  その要因といたしましては、一般的に、地域や栽培しております作物によりまして被害発生の程度が違うということから、農家によりましてリスクに対する考え方が違うという面が一つあろうかと思います。  特に果樹共済につきましては、単位面積当たり生産金額が高いということもございまして、共済掛金の額が水稲などに比べるとどうしても高くなるという面がございます。また果樹農家では、栽培する品種をいろいろ多様化いたしましてみずから危険分散を図ったり、また防災施設を設置するなどによりまして、農家自身予防措置を講じているというような実態もございます。そんなことで、加入率が低くなっている面があろうかと思います。  この果樹共済を初めとしまして、加入促進を図るということは大きな課題でございますが、今回の制度改正におきましても、果樹共済につきまして対象品目の追加とか、畑作物共済につきまして補償内容の充実とか、あるいはまた園芸施設共済についても一定の改善措置を講ずることにいたしておりまして、そういったことを通じて加入率の向上に資していきたいというふうに考えております。  また、これまでも、共済事故発生状況に応じまして、被害の少ない農家なり地域につきましては掛金率も低くするというような、農家要望も踏まえた対応をしてきておるところでございますが、今後とも、今回の制度改正とあわせまして、制度の普及なりきめ細かい運用によりまして一層の加入促進に努めていきたいというふうに考えております。
  9. 今村雅弘

    今村委員 先ほど私は、この共済について、ある意味では損害保険商品に近いと言いましたけれども、いわゆる損保関係も、かつての護送船団方式と違って、各社がいろいろな形できめ細かい損保商品づくりを今やっているわけですね。生保でもそうでございます。ですから、そういった意味で、今局長もおっしゃいましたが、それぞれ地域によっていろいろな事情がある、あるいは作物によって、品種によっていろいろな違いがあるということはわかりますが、ぜひ、そういうことに甘えないで、言いわけにしないで、もっともっときめ細かい商品づくりといったことについてやっていけば、必ず農家皆さんも興味を示すというふうに思うわけでございます。  今現在、果樹がわずかに二六%、畑作物が五〇・五%、園芸施設については四六・四%という段階のようでございますが、ぜひこれを倍以上に高めるように、いろいろな知恵を使って、また農家皆さん方のいろいろな御要望等も入れながら、きめ細かい商品づくりということで頑張ってもらいたいというふうにお願い申し上げておきます。  今いろいろ申しましたが、いずれにしろ、これから構造転換を進めていく上で、米をつくらないでほかの作物転換して損したというようなことでは絶対いけないわけでありまして、そういう意味で、いろいろな形でこれから、転換奨励金等々、そういった施策もやっていただかなければいけないわけでございますが、やはり広い意味での、こういった共済制度を含めた補償制度といったものもぜひ充実していってもらいたいわけでございます。アメリカとかカナダでもこういった制度があるようでありますし、今回、いろいろな麦の問題等々含めて、あるいは米の問題も、そういった方向に進んでいってもらっているというふうには思いますが、ここでぜひそういったことを強力に進めていってもらいたい。  ちなみに、日本の農産物の総生産高が十兆円強でございますが、米は三兆円、そして野菜は二兆三千億円と言われているわけでございます。それにしては、野菜については使っているお金は百億ぐらいじゃないかということも言われているわけでありますから、もっとこういったところに国の予算も使っていって、国民皆さんの間では今大変健康志向といったことも強いということで、野菜ニーズも強くなっているわけでありますから、ぜひそういったことも踏まえて、しかし一方では、野菜は極めて値段が高騰したり低落したりというような危険もあるわけでございますから、そういったことについてもしっかりサポートしてもらいたいということでございます。  こういったことにつきまして、恐縮でございますが大臣に、広い意味での補償仕組み問題等々の進め方等につきましてお考えがあれば伺いたいのですが、よろしゅうございますか。
  10. 中川昭一

    中川国務大臣 共済制度、特に野菜という観点についてどう考えるかということでございます。  先生共済というのはいわゆる保険の一種だということでありますが、保険ということになりますと、保険料率計算みたいなものが前提にあって、保険金は払ったけれども保険そのものがパンクになってしまうということもこれは避けなければいけない問題でありますし、また、農業者保険に加入する場合の保険金には国からの補助も出ておるわけでございますから、そういう意味では慎重に制度というものをつくり、そして維持が必要だろうと思います。  しかし一方、先生が御指摘になりましたように、生産者サイドニーズも非常に多様化しておりますし、また日本農業を守り発展させていくという広い意味からも、やはりこれは、生産者サイドニーズにこたえられるような新商品開発ということも極めて重要なことだろうと思います。  その新しい農業全体のスタート一環として今回の共済制度の改革という法案の御審議をいただいておるところでございますが、これから新たなスタートを切るに当たりまして、より関係者、つまり共済加入者あるいはまた加入したい人、あるいは加入しないと思っていてもやはり加入した方が有利だなと思うような魅力ある新商品をこれからもつくっていくように、この法案の御審議を通じて、我々もさらに努力をしていかなければならないというふうに考えております。
  11. 今村雅弘

    今村委員 どうもありがとうございました。大臣の決意がよくわかりました。  農林水産業は、先ほどから言っておりますように、やはり日本の国の安全といいますか暮らしを守る、そういう意味で一番大切な産業だと思っております。ある意味では、そういった暮らしを守り国を守るための保険料がこの農業予算ではないかというふうにも思っているわけでありますから、そういった観点から、ぜひ今後とも大臣には頑張っていただきたいというふうにお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願いします。  続きまして、今回の問題でもう一つ森林開発公団法に関連して若干質問させていただきます。  今回の改正は、行革も含めて、新たにまた森林の持つ意味をもう一回見直して、これをしっかり充実していこうじゃないかという観点から取り組まれているということで、私も大変評価いたしているわけでございます。  しかし、そういう中で、また林業をめぐる問題は実はいろいろあるわけでございます。今、日本林業も、かつての木材生産するいわゆる生産業としての、生産財としての位置づけから、今や国民の健康を守り国土を守る、あるいは環境を守る、そういった観点に大きくシフトしてきているのじゃないかなというふうに実は思うわけでございます。  そういう中で、特に、林業あるいは森林をしっかりこれから守っていく一番の大きなかぎは、やはり林道というものが極めて大きな役割を果たすのじゃないかなと思っているわけでございます。林道は、かつては、ある意味では木材を搬出するための役割といったものが極めて大きかったと思っておりますが、今や、搬出することからこれを育てる、そして守っていく、そういったことに変わっていく。そしてまた国民皆さんが今まさに自然回帰といいますか、いろいろな、アウトドアでありますとかトレッキングでありますとか、自然に親しんでいくということに大きく国民生活も変わってきつつあるわけでございます。そういった観点から、ぜひこの我が国の、極めて世界にもまれな美しい自然を都会の皆さんにもしっかり満喫してもらうといいますか、愛してもらうといいますか、そういった意味でも林道といったものは大変大きな意義を持つのじゃないかというふうに実は思っているわけでございます。  こういう中で、まさにこれから先の日本人の暮らしも変わっていくわけでございますが、林道の整備というものはこれからどういうふうにされるのか。今までは何となく林道というものは、こう言っては悪いのですが、公共事業むだ遣いの代表みたいに言われておったのですけれども、先ほど来言っておりますように、私は、これからはやはり新しい光を帯びて、ぜひとも充実しなきゃいけないというふうに思っているわけでございます。また、こういった森林もやはりそれを守る人がいなきゃいけない。守る人は山村に住んでいるということでございますので、そういった山村整備も含め、振興も含めて、大変大きな役割を持つというふうに思っているわけでございます。  しかしながら、どうもこの林道の整備計画も、今の計画では四十年かかってやるというような話にもなっておりますし、今現在の全体の計画の中での進捗率も半分弱ということで、果たしてこういうことでいいのかなという危惧も実は持っているわけでございます。こういったものについて大臣、どういう感じで、あるいはどういう決意でもって林道整備をこれから考えられるのか、その考え方をお聞きしたいと思います。
  12. 中川昭一

    中川国務大臣 先生も御承知のように、我が国は非常に細長くて、しかも非常に雨の量が多くて急峻である、そういう中で一億二千万の国民が安心して暮らしていくためには、食料と並んで国土が安定的でなければならないという意味で、山の果たす役割というものは非常に大きい、そしてまた先生が今御指摘のようにますます大きくなってきておるというふうに思います。森林のそういう目的を達成する上で、林道というのはこれまた非常に重要だ、ますます重要になってきているという認識を持っております。  木材生産機能だけではなく、国土保全あるいは水資源の涵養、あるいはまた先生指摘のように、国民が山あるいは木に親しむという一つ国民ニーズというものも高まってきておるわけでございますから、そういうさまざまな、山における多面的機能といいましょうか、そういうものを発揮させるための森林施業というものは不可欠だと思います。一方、生産活動の場であると同時に、そこに住む人々の生活、あるいはまたそこに住む人々が高齢化、過疎化しているという状況を何としても食いとめていかなければならないという意味からも林道は必要だろうというふうに考えております。  政府が平成八年十一月に閣議決定した森林資源基本計画に基づきまして、計画的な林道の整備を推進しようということを決定しております。コストの削減あるいはまた再評価システムといった形で、むだなものをつくるということは厳にチェックをしていかなければならないということも一方でやりながら、今申し上げたような、単に生産財としての場だけではなくて、国民全体の貴重なかけがえのない財産としての森林の果たす、多面的な役割というのは農政でよく使う言葉でありますけれども、山の方でも私はそういう役割があると思っておりますので、その目的のために欠くことのできない林道の整備というものを適切にかつ着実に進めていきたいというふうに考えております。
  13. 今村雅弘

    今村委員 よくわかりました。  ぜひこれから、予算の制約もあるでしょうが、できればピッチを上げて取り組んでいただきたいし、そしてもう一つお願いは、林道というとどうしても危険なところを走るというようなこともございます。これは、これから先、都会の人も来るわけでございますから、つくるからには、余り石が落ちてきたりとか、がけ崩れがないように、やはり安全ないいものをつくっていただくこともぜひ御配慮願いたいと思います。  あと、また、きょうはいわゆる広葉樹対策といいますか、こういったものにつきましても質問あるいは要望等もしようと思いましたが、時間が来ましたのでこれでやめますが、ぜひこの広葉樹対策につきましても今後とも力を入れていただくようにお願いいたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  14. 穂積良行

    穂積委員長 次に、堀込征雄君。
  15. 堀込征雄

    ○堀込委員 民主党の堀込です。私は、きょうは、森林開発公団法改正案を中心に質問をさせていただきます。  この法案はそもそも、言うまでもありませんが、行財政改革の一環としての特殊法人の改革を受けて農用地整備公団の廃止、森林開発公団の緑資源公団への名称変更、こういう中身になっているわけであります。  ところで、我が国の特殊法人の改革は非常に長年の課題でございまして、古くは三十九年九月に第一次臨調で公社公団の改革の意見が答申されておる。あるいはまた、昭和五十六年の第二次臨調、いわゆる土光臨調では、特殊法人の役員数の二割削減、職員定数の削減、役職員給与の抑制だとかいう提言がなされてきた歴史があります。五十七年七月には、いわゆる三公社の民営化、こういう抜本改革の提言が実はなされ、それに一つずつ手をつけられてきたという歴史があるわけであります。  特殊法人の改革については、その社会的な意義が低下をしたもの、効果の不明確になったものについて廃止縮小、民営化などの提言がずっとなされてきたわけであります。あるいは、事業の執行についてもその能率化だとか運営の改善等の提言がずっとなされてきた、実はこういう歴史があるわけであります。  ところが、三公社の民営化以外については、かつて百十三に上った特殊法人の数が現在八十余りにはなっておりますけれども、今回のこの法案の提出、あるいは今回小渕政権が出した行財政改革会議の報告を受けて、今度こそ特殊法人の合理化をやりますよということで、何回かの閣議決定がなされてきた経過もあります。あるいは、省庁再編の法案も今度出されようとしている。つまり、そういう長い歴史はあったけれども、不退転の決意で、今回こそは断固としてやり抜きますよという政府の姿勢を実は感ずるわけであります。  ところが、やるに当たって常に問題になるのが役所の抵抗であり、役人の抵抗ということに常に遭うわけであります。今度の省庁再編でもそういう動きが報じられておったわけでありますが、政府もやります、そして政治家もやりますよ、あるいは国民もぜひやってくださいと支持するのだけれども、どうも今までの歴史を見るとはかばかしく進展してこなかったということには、やはり役所や役人の皆さんの抵抗というものが、ずっとこういうものにあったのだろうというふうに思わざるを得ないわけであります。  なぜ抵抗があるかというと、一つは天下りに代表される、特殊法人がある種所管官庁の出先のような姿になっているということが一つはあるのでしょうし、もっと大事なことは、特殊法人の設立が昭和三十年代にほとんどなされておる。つまり、官の側がリードしながら日本経済を支えてきた時代というのはあったのだろう、やはり今明らかに民間の力を最大限引き出しながら、そういう姿に日本の構造を変えていかなきゃならない時代だというふうに私は思うわけであります。そのために、やはり官の事業だとか、官の規制だとかが日本経済の発展を妨げる事態になっているのだろう、したがって特殊法人の改革が今必要なのだろう、こういうふうに思うわけであります。  そういう意味では、そうした時代認識なりが少し欠けるところが官の側にあるのかなという気もするわけでありまして、ここは政治家がリーダーシップをとって断固たる決意でこの改革をやり遂げなければならないのではないか、それはどうしても大臣のリーダーシップにかかる、こういうふうに思うわけでありますが、今私の申し上げたことにつきまして、どういう決意でやられるか、大臣の所見をまず伺っておきたいと思います。
  16. 中川昭一

    中川国務大臣 先生指摘のように、そもそも我が国は自由主義国家、民主国家でございますから、国民が主役であり、民が主役である、これはもう大前提であろうと思います。そして、そのことが特にここ十数年の行政改革の中で、改めて、今度は政治の場、あるいは官の場で行革ということが真剣に議論をされてきたわけであります。  一方、民間が主役でありながら、役割分担の一環として、官あるいはまた特殊法人というものの役割もあるわけでございまして、特殊法人でなければならない、つまり国とも違う法人格を持ち、また公的な立場で能率的に、また公共性の高い仕事をやっていくというような必要性もあるわけでございます。そういう意味で、いわゆる特殊法人あるいは行政改革というものもしながら、官のあり方も必要であるというふうに考えております。  議院内閣制でございますから、文字どおり政治が官、行政をコントロールし、またチェックをしていくということは、これは今後も我々自身も不断の努力が必要だろうというふうに考えております。  また、今回の行革に絡む、今御審議いただいている法案の中の特殊法人につきましても、これから改革をしていくわけであります。統合していくわけでありますけれども、社会情勢の変化に対応して、これからもまた必要性というものを、みずからあるいは政治の場で見直しということをしていかなければならないと思っております。  そういう意味で、農林水産省といたしましても、各特殊法人の果たしている役割は十分機能を発揮してもらいたいと思いますし、また常にチェックを、私なりまた委員会の場の御議論を通じてきちっとしていかなければならないというふうに考えております。
  17. 堀込征雄

    ○堀込委員 そこで、この法案では農用地整備公団を廃止することになっているわけであります、これは閣議決定でそういうことになっていますから。つまり、私はこの法案の前提に、農用地整備公団の行ってきた事業の主たる事業については、国で扱う役割は終わった、あるいは国でやる必要性はなくなった、こういう認識が前提にあるというふうに理解をするわけであります。  ところが、この法案を見ますと、農用地整備事業を廃止するのですが、現在実施中の事業、それから調査中の地区の事業、これを新しい緑資源公団で承継する、こうなっているわけであります。今実施中の二十一地域、事業費にして三千九百六十二億ですか、というふうに聞いておりますが、調査中の十地域があるわけであります。これは、およそいつごろ仕事が終わって、どのぐらい事業費がかかるんでしょうか。
  18. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 三つの事業がいわゆる残事業という形で引き継がれるわけでございますけれども、そのうち、濃密生産団地建設事業、それから農用地等緊急保全整備事業は、それぞれ平成十一年度、十二年度に完了いたします。三つ目の農用地総合整備事業につきましては、予算確保状況にもよるわけでございますけれども、平成十一年度当初予算をベースにいたしまして箇所数で割り算をして試算いたしますと、完了までに十数年はかかろうかというふうに考えております。
  19. 堀込征雄

    ○堀込委員 その調査中のものは、どのぐらい事業費を想定していますか。それから、完成予定までどのぐらいかかると想定していますか。
  20. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 非常にラフな数字になりますけれども、七百億円程度になるんではないかなというふうに思っておりますし、これを含めまして、十数年で全体の事業が完了するという、粗っぽい試算になりますけれども、そう考えております。
  21. 堀込征雄

    ○堀込委員 私は、この残事業を継承することの理由も、それはそれであると思うんです。ただし、廃止する公団があって、調査中のものまで何で承継しなければならないか。これはやはり行革の趣旨なり閣議決定の趣旨に合うのかどうかということについて、非常に疑問を持つわけであります。  農用地整備公団は廃止されるけれども、名前はなくなったけれども、今の話を聞くと、十数年は事業が残って、事実上緑資源公団の中でやりますよ、こういう話になる。調査中のものは、例えば都道府県とか何かに任せたらまずいんですか。
  22. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 調査の考え方次第なんだろうと思うんですけれども、調査のための調査をしているわけではなくて、いわば事業実施を前提とした調査を行っているというのが調査事業でございます。そして、この調査の過程におきまして、地元の合意の形成、意向の集約、あるいはソフトの面でのいろいろな調査というふうなものも行っておりまして、準備過程は進んでいるというふうに私どもは思っております。  したがいまして、行政改革と地域の振興、この二つを調和させるという点に立ちますと、やはり調査事業の対象地区まで事業を行って、全体を廃止するのがいいだろうというふうに思っております。  それから、都道府県でできないかということでございますけれども、御承知のとおり、この公団の事業の特徴は、広域、大規模、短期集中ということでございますので、現在の都道府県の体制でございますと、それは実施ができないのではないかなというふうに思っております。
  23. 堀込征雄

    ○堀込委員 その点は、少し私は見解が違いますけれども、後ほどまた議論させてもらうことにして、もう一つ。  特殊法人の何が問題になってきたかと申しますと、官による事業あるいは官による規制が、今や日本経済の相当桎梏となっている、発展の阻害要因になっているという面があるわけです。政府による出資金、補助金あるいは貸付金、こういう支出に対して、その出資効果に見合う効果を上げているか、成果を上げているかどうか、あるいは、天下りに代表されるように、所管官庁の出先になって、人事、財政、行政権限、いろいろな面でいろいろな指摘がなされているという問題があるわけであります。  ですから、その改廃については、先ほど申し上げましたように、第一次臨調以来の答申があるんで、やはり政治による決断、実行ということが非常に大事だ、こういうふうに思うわけであります。  この法案を見ますと、私の印象は、どうやって今までの事業を継続させるか、どうやって今までの既得権を守るかという行政の側の風潮をどうしても強く感じるわけであります。つまり、行革の意見があった、閣議決定があった、そっちはそっちで顔は立てておきますよ、しかし、どうやって自分たちの権益を守るかみたいな役所側の思惑を、私は実はこの法案を見て、強く感ずるわけであります。  そこで、農用地整備公団が廃止されるわけでありますから、農用地整備の仕事は国から手放される、県や市町村の手にゆだねていくというのがまず原則にある、こういうことであります。これが素直な発想なんだろう。  ところが、この法律ではいつの間にか、さっきの残事業もそうですけれども、新規事業を入れているんですね。つまり、食料・農業・農村基本問題調査会ですか、この答申と称して、森林と農用地の一体整備をやるんだ、こういうふうに書いてあるわけです。中山間地の農用地整備はこれからも新しい公団でやるんだ、こういうことになっているんですが、新しい事業をここで潜り込ませるということは、これは明らかに行革なり閣議決定の趣旨に反するのではないか。いかがですか。
  24. 中川昭一

    中川国務大臣 農用地整備公団を廃止し、森林開発公団と一緒になってというか、事業を承継して緑資源公団になる、そのときに、農用地整備公団がやっていたであろう事業を新たに新公団でやるというのは、行革や閣議決定に反するのではないかという御指摘でございますが、平成九年六月の閣議決定「特殊法人等の整理合理化について」ということで、農用地整備公団に関しましては、平成十一年に予定される農業基本法の改正に伴う農政全体の見直しに合わせ、廃止するということになっております。ただ廃止をするのではなくて、新たな農業、農村あるいは食料、さらには森林も含めた中山間地帯を総合的にいろいろな整備をしていこうということでございまして、これは食料・農業・農村基本問題調査会の答申を踏まえたものでもあるわけでございます。  そういう意味で、行革を進めながら、農政全体に与えられた使命を進めていくという、この二つの役割を今この法案の中で果たそうとしているということを御理解いただきたいと思います。
  25. 堀込征雄

    ○堀込委員 大臣、わかるんですが、基本問題調査会の答申もわかりますし、閣議決定の趣旨もわかるわけであります。新しい農業基本法に基づいていろいろな事業を、改めて日本の農林業の展開をしなければならない、こういうことはよくわかるんでありますが、なぜその新規事業を公団がやらなきゃいけないのか、新しい緑資源公団がやらなきゃいけないのか。  これは何か言葉の悪い人に言わせると、焼け太りだと言った人がありますけれども、この農林一体事業というのは、これは農林省と、あるいは林野庁と構造改善局で連携をとってやれば済む話でもありますし、場合によれば、都道府県の補助事業、国営事業でできる話なんでありまして、なぜこの時期に公団なのか、そこがわからないんです。いかがですか。
  26. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 今御指摘の中山間の事業でございますけれども、これが公団を事業主体とする理由についてでございますが、この事業実施につきましては、まず河川の上流地域の相当広範囲な地域対象といたしまして、そこで水源林造成事業を行いますけれども、この受益地区は一般には下流、これは県をまたがる地域であることも大変多いわけでございまして、県をまたがった広域的な事業であるということ。  それから、水源林造成事業は、伐期が五十年程度の分収方式によって水源地で造林を行うものでございまして、公団といったような特別な法人が長期にわたる資金を拠出する必要がございます。  それから、この受益面積、一千ヘクタール以上ということにいたしておりまして、仮に県営事業ということになりますと、その地区数がおのずとその県では一つあるいは幾つかというぐあいに限定されますので、工期を七、八年予定しておりますけれども、これが終了いたしますと、県の技術者は業務がなくなるというような場合も発生いたしますけれども、公団の場合は、全国にわたって事業を展開いたしておりますので、必要な場所に必要な職員を機動的に張りつけることができます。  また、両公団の技術者を有効に利用し、効率的な事業活動ができると思っておりますし、また、森林と農用地整備の各種の事業を総合的なメニュー事業として一体的に実施いたしますので、これが最も事業効果を早期に発生するように効率的な事業の実施をする必要がございますけれども、このためには、公団が統一的な計画のもとに進度の調整を行いながら、全体としての事業の早期かつ効率的な推進を図るということは、これは一つの公団において初めて実施できるものでございまして、こういったもろもろの点を考えますと、公団を今回の中山間の事業の実施主体とすることは、事業推進の上からも大変効率的であると考えております。
  27. 堀込征雄

    ○堀込委員 よく理解できないのですね。  公団の方が能率的で機動的だというのですが、国民から見ましたら林野庁も構造改善局もやはり農林省でありまして、そういう仕事はきちんとやってくれると思っているんです。  農林一体の整備につきましては、今までも農林地一体開発整備パイロット事業という公共事業がメニュー化されてきた経過もございまして、だから、これは省内でよく連携をとってやれば済む話であって、なぜここで公団なのか。基本問題調査会の答申でも、別に国でやれとか公団でやれとかは書いてないわけでありまして、そこが、今の答弁でもちょっと国民にもわかりにくいだろうと私は思いますよ。なぜそういうことになったのか、そこはきちんと、この後の議論でも、来週の議論でも、その点はしっかりさせていただきたいと思っております。  つまり、この法案を見ますと、今の特定中山間保全整備事業の概要を見ますと、水源林造成事業の指定地域、こういうことになっていまして、この指定地域というのは全国ほとんどですね、千九百五十六市町村にも及んでいる。つまり、日本じゅうでこれからも公団は農林地一体の整備事業をやりますよ、農用地整備公団を廃止するけれどもこっちでまたやりますよ、こういう法案になっているんですよ。これはなかなか国民に理解されないと思うのですよ。  それで、廃止されるはずの農用地総合整備事業、実は名前を変えて継続するんじゃないか、こういう印象を持ちますよね。今度の特殊法人の廃止は、国が行うべき事業と地方公共団体あるいは民間が行うべき事業を明確に区分して、国が行うものは必要最小限にする、小さな政府をつくっていく、ここにやはり基本、目的があるわけでありますから、その趣旨を逸脱して、林野庁、構造改善局で従来の既得権みたいなことを守っていこうということでは困るのではないか、私はそう思うわけであります。私は、この法案は、ぜひともこの点は修正されるべきところだろう、こういうふうに思って、我が党でも今検討しておりますが、その辺、所見ございますか。
  28. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 先生指摘のとおり、これまでも農林地一体の開発事業は、例えばパイロット事業というような事業を行っておりますけれども、こういった事業は、計画は一つで策定いたしますけれども、事業の実施主体がそれぞれの事業によって、県であったり土地改良区であったり分かれておりまして、こういったことになりますと、それぞれの事業の実施主体の考え方、あるいはそれぞれの個別の財政事情等々から、必ずしも事業が、全体として一つの目的のもとに、早期の事業効果の発揮を目的として、お互いに有機的な連携をとって実施されない場合が生じます。すなわち、事業の進度について跛行が生じる場合がございます。これは、それぞれの事業実施主体にとって、それぞれの事情、理由がございますし、また予算の編成、執行の過程でもいろいろな議論が出てまいりますので、これはやむを得ない事情でございます。  そういったことから、パイロット事業も、現在は新規の採択を行っておりませんが、今回、公団で実施しようといたしております特定中山間の保全整備につきましては、先ほど説明申し上げましたように、一千ヘクタール以上の規模で、かつ中山間に限定いたしまして、水源林の造成事業を核に、農用地総合整備あるいは農林道、あるいは耕作放棄地の保全や林地転換、用排水施設等々の、中山間の農用地と森林の公益的機能を十分国民のために、あるいは下流の住民のために発揮することを目的とするとともに、過疎化、高齢化に悩んでおります中山間地域の活性化をあわせて目的として、事業効果の早期の発現と、またさまざまな事業を実施してまいりますので、全体として整合性がとれた、また実施に跛行性をもたらさないように有機的な連携を持ち、事業効果が、農林地の公益的機能の発揮と中山間の活性化のために、最も効果が上がるような進度と事業内容でこれを進めていくということにいたしておりまして、これは、公団という一つの事業主体が、技術力も持っておりますし、また全国に事業展開を機動的にできますので、事業主体として実施させていただくことが適当であると考えております。
  29. 堀込征雄

    ○堀込委員 よくわかりませんが、有機的な連携だとか事業というふうにおっしゃいました。また来週、我が党の鉢呂議員が質問いたしますが、つまり、農用地整備公団を廃止じゃなくて、これは合併法案ですよね、今の答弁を聞くと。全部合併させて、また新しい事業をやりますよという法案なんですよ。そうならそうでちゃんと、これは閣議決定の趣旨とも違うわけですから、そういうふうにやってもらわないと困るわけですね。そこはまた議論させていただきます。  そこで、公共事業の効率的な執行について、九七年に行政改革会議の最終報告があって、その中で、政策評価機能の充実、こういうことをうたっておるわけです。経済や社会の環境が変化する中でむだな政策はないのか、公共事業が費用に見合うだけの社会的な効果をもたらしているか。いわば当然のことが、アメリカやイギリスの流れを受けて、我が国でも導入されてきている。政策の品質管理というか、コスト管理、そういう発想であります。これからの政策の実行や公共事業の実行は、そういう政策の目的や効果を明確にしながら、投入された資金の効率性を検討して政策評価を行う、もって国民の期待にこたえていくということが大事だと思うわけであります。  森林開発公団の、農用地整備公団の事業についてもあったようでありますが、平成十年から事業の再評価を実施しているようでありますが、概要を簡潔にちょっと説明してください。
  30. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 先に農用地整備公団事業の再評価についてお答えを申し上げます。  着工後五年を経過した地区を対象にいたしまして、十年度から実施をいたしております。  十年度は、農用地総合整備事業で二区域、それから濃密生産団地建設事業で一区域、計三区域につきまして再評価を行い、第三者委員会の意見も聴取したところでございます。  この第三者委員会での結果に基づきまして、速やかに事業実施計画の変更を行い、事業の早期完了を図る必要があるという評価を得たところでございます。
  31. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 森林公団の大規模林道の再評価でございますけれども、昨年、再評価委員会を設置いたしまして、この意見を踏まえまして、再評価の対象地区は八カ所でございますが、中止いたしましたのが一カ所、それから休止いたしましたのが二カ所、それから計画変更が一カ所、継続が四カ所となっております。
  32. 堀込征雄

    ○堀込委員 今答弁のとおり、森林開発公団の大規模林業開発林道事業、八区間を調査して、継続四区間、計画変更一、休止二、中止一、つまり、半分は計画変更か中止か休止、こういう結論になったのですね。つまり、費用対効果、少ない事業を一生懸命やってきたということが言えるわけであります。  これも、新聞にかつて大々的に報じられているわけでありますが、特に、真室川小国線。二十年かけて七十億円使った、細切れ林道しかできなかった、途中で中止になった。これはだれの責任になるのか、こういう話は。やはり、これはひとつ時間があればまた議論をしたいわけであります。これはどうなのですか。中止した事業の都道府県の負担金、受益者賦課金、こういうものはどうなるのですか。
  33. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 この中止地区でございますけれども、これは朝日—小国間でございますが、これはもともと地元の大変強い要望で事業を実施してまいりましたけれども、最近の林業情勢で、この地域において将来にわたって施業が行われる見通しがなくなってまいりまして中止いたしました。既に事業が終了いたしました地域につきましては、この地域森林の施業あるいは森林レクリエーションの交通路等に活用されておりまして、それなりに地元で活用されておりますので、これまでのルールに沿って国、県、それから受益者の負担をお願いすることにいたしております。
  34. 堀込征雄

    ○堀込委員 二割しかできなかったけれども、都道府県の負担金も受益者の賦課金もいただきますよ、こういう話なのですね。  次の質問に移ります。  農用地整備公団の出資金、これは廃止されるのですが、本則は、法律では二億になっているのですが、今、十億。それから、八郎潟の方で四億の出資金になっていると思いますが、これはどうなりますか。新しい公団に引き継がれるのですか。
  35. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 先ほど答弁申し上げましたように、残事業につきまして、緑資源公団に継承するということになっております。これらの事業を円滑かつ効率的に実施するために、農用地整備公団の一切の権利及び義務を緑資源公団が承継をすることとしておりまして、出資金、先生指摘がございました十四億三千五百万円でございますけれども、この一環として、緑資源公団が承継をすることになっております。
  36. 堀込征雄

    ○堀込委員 資本金の面でも、これは廃止じゃないのですね。本当は返納するべきなのですが、新しい公団へ引き継いでいく。ですから私は、合併法案だ、こう言っているのです。  次に、農用地整備公団の本社、四支社、北海道、東北、西部、九州、これはどうなりますか。森林開発公団の今の六支所、八地方建設部との兼ね合いで、いつまでにどういう処理をされますか。
  37. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 本社の事務所でございますけれども、まず、農用地公団につきましては、現在、港区の芝にございますが、緑資源公団が発足する際には、この事務所は、緑資源公団の従たる事務所として、農用地の業務部門等が活用することを予定いたしております。  しかしながら、東京の一極集中を是正するための多極分散型国土形成促進法の基本方針に基づきまして、平成十四年度を目途に、主たる事務所、これは紀尾井町にございますけれども、この事務所とあわせて、芝の事務所につきましても、東京二十三区外の事務所に移転することを検討することにいたしております。  次に、支社でございますけれども、農用地公団、現在四つございますが、緑資源公団発足後五年間で廃止いたしまして、その業務等につきましては、現在の森林公団の六支所を全国七つに再編して、これを引き継ぐことにいたしております。
  38. 堀込征雄

    ○堀込委員 これは、ここで法案は通しますけれども、平成十四年、そのときに事務所の整備をやると。  次に、役員ですが、これは、確かに足して十二人になりますから、この法律で八人、当面九人というのは、合理化といえば言えないことはないのですが、本当は、行革の趣旨からいうと、現行森林公団の五人で十分なのですよ。今、両方の公団の十二人の役員を見ますと、公団出身者が三名、あとは全部役所のOBということになっていまして、これはやはり天下りでなければだめなのでしょうか。その質問は答えにくいからいいです。  そこで、問題は、これは事実上廃止ですが、私に言わせると事業統合みたいな話なのですが、職員合計八百六十人おります。この皆様の身分の安定をきちんと図っていく、身分の保障はきちんとしていくということが大事だと思います。一方で、一緒になるわけですから、当然削減されていくということがあると思いますが、身分安定を保障しながら、どうやってこの対応をしていきますか。ちょっと簡潔に答えてください。
  39. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 職員でございますけれども、これは、これまでも、両公団で事業の積極的な見直しや効率化に努めまして、両公団の合計で、昭和五十四年度に千百七十五名おりましたけれども、十年度には八百六十名と約三割の定員削減を行っております。十一年度においても十名の定員削減を行うことにいたしておりますけれども、職員の雇用関係につきましては、農用地公団から雇用関係も緑資源公団に承継されますので、職員の雇用の安定は図られるものと考えております。  承継後の緑資源公団におきましては、本部なり出先の再編整理を行うことにしておりまして、OA化の推進や、業務の一部の民間委託等を推進すること等を通じまして、職員の身分安定を図りながら、職員数の縮減に努めてまいる考えでございます。
  40. 堀込征雄

    ○堀込委員 ぜひ、きちんと身分の安定を保障しながら対応をしていただきたいということを要望しておきます。  今、質問してまいりましたが、結局、この法案、特殊法人を廃止して緑公団にするわけですが、一方で、継続残事業が十年以上もいく、新規事業まで始める、役員も、森林公団のときより三人もふやす、本支所の統廃合も先送り、こういうことでありまして、資本金もあるいは引き継ぐ。これでは、私は、農用地整備公団の廃止法案ではなくて、まさにこれは両公団の合併法案である、こういうふうに言わざるを得ないのです。したがって、これにつきましては、私どもは修正要求を検討させていただきます。  そこで、最後にちょっと、時間がなくなって恐縮ですが、農林漁業金融公庫法、これは、民間資金との競合、特に系統資金との競合を現場でよく聞くわけでありまして、ここは注意をしながら、抑制的な現場対応をしていただきたいというのが一つ。  それから、農災制度につきましても、やはりアメリカでやっているような収入保険制度というようなことを検討しないと、この先この制度は、農家が加入しにくい、果樹共済に見られるような仕組みになっているわけでありますから、もう少し姿形を変える必要があるのではないか、こういうふうに思っておりますが、時間が余りありませんので、両方で簡単に答弁してください。
  41. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 お答え申し上げます。  まず、農林公庫の融資でございます。これにつきましては、従来も同様でございますが、民間金融を補完する政策金融機関として、そういう立場を十分わきまえて、農協系統金融機関を初めとします民間金融機関とも連携しながら、的確な制度運用に努めていきたいと考えております。  それから、収入保険についての御指摘がございました。御指摘のように、アメリカでは現在試験的に収入保険が実施されておるわけでございますが、その背景としましては、不足払い制度生産調整の制度が廃止されまして、農業収入の変動リスクが高まるといったことに対処する必要があったというふうにされているところでございます。  また、この種の収入保険制度を導入する際に、農家農業収入を的確に、客観的に把握するということがまず前提条件になるわけでございますが、アメリカの場合には我が国と違って一般的に先物市場が発達しておって、その先物市場における価格を用いているというような実態であろうと理解いたしております。  こういう災害の発生とは直接関係のない収入の減少分を補てんする収入保険の導入につきましては、現在進めております農政全体の見直しの中でいろいろ勉強はさせていただきたいと考えておるところでございますが、保険の設計上の問題、あるいは事業の実施上の問題ということを考えますと、いろいろ問題点、検討すべき事項もあることも事実でございます。  例えば、一般的に需給事情による価格の低落というのは、これは全国的に同時に発生する現象でございまして、地域的な危険の分散を図ることができるのかどうかといった問題、あるいは、こういう需給事情による価格低落といったものが社会的、経済的要因に基づくものでありますがゆえに、経験則に基づく保険料率の設定ということが一体可能であるかどうかといったような問題、さらにはまた、農家の収入を的確に、客観的に捕捉する必要があるわけでありますが、これが我が国の現実からいたしますとなかなかに難しいといった問題等があるのではないかというふうに考えているところでございます。
  42. 堀込征雄

    ○堀込委員 終わります。
  43. 穂積良行

    穂積委員長 次に、漆原良夫君。
  44. 漆原良夫

    ○漆原委員 公明党・改革クラブの漆原でございます。  まず、特殊法人の整理合理化についてお尋ねをしたいと思います。今回の三法案、いわゆる行革三法案と言われている法案でございますが、これは、政府の行政改革の一環として、平成九年の「特殊法人等の整理合理化について」という閣議決定を受けて行われたものだと思います。総理は、今回の通常国会における所信表明で、こうおっしゃっております。「我が国財政は、公債残高が三百二十七兆円にも達する見込みであるなど極めて厳しい状況にあり、将来世代のことを考えるとき、私は、財政構造改革という大変重い課題を背負っていると痛感いたしております。」大変に厳しい現状認識を総理がされている、こう考えております。  今回の三法案改正による特殊法人の整理合理化は、総理のこの厳しい現状認識に基づく具体的施策でなければならない。そしてまた、行政改革の目的というのは、総理の言うようにあくまでも財政構造改革にあるというふうに私は考えておるんですが、まず、この点、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  45. 中川昭一

    中川国務大臣 今回の特殊法人等の整理合理化につきましては、まず基本的に、国民生活や事業活動等、国民のさまざまな活動に対する政府の関与のあり方を見直すという観点から、規制緩和あるいは地方分権と並んで行政改革というものを位置づけております。また、今先生指摘のように、今回の合理化によって財政的にもスリム化いたしますので、財政構造改革という大変厳しい財政事情に対しても資するところがあるというふうに考えております。  行政と異なる、国と異なる法人格を持って、そして能率的に、またニーズに柔軟に対応できるような形で、しかも、公的にやっていかなければいけないという部分を特殊法人の中で見直しを不断に続けながらやっていくということは、これからも必要なことだろうというふうに考えております。  そういう意味で、この新しい体制で、国民にとって役に立つ業務を効率的に執行していくべく御審議をいただき、そしてスタートをさせていきたいというふうに考えております。
  46. 漆原良夫

    ○漆原委員 そこで、法別に行政改革の内容と効果についてお尋ねしていきたいと思うんですが、まず、農業共済基金の整理合理化についてお尋ね申し上げます。  この法案は認可法人である農業共済基金を廃止して同基金の行っている緊急つなぎ融資事業を農林漁業信用基金に承継する、こういう内容でございますが、行政改革の観点からどのような内容になっているのか、御説明願いたいと思います。
  47. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 お答え申し上げます。  農業共済基金につきましては、平成九年六月の閣議決定によりまして廃止するということにされまして、同時に、この基金が行っております緊急つなぎ融資事業につきましては、当時の閣議決定で、「別途適切な機関を決定し、これにより処理することとする。」こういうふうにされたところでございます。  この閣議決定を踏まえまして、今回、農業共済基金を廃止いたしまして、この基金が行っております農業共済団体等の保険金等の支払いに必要な資金の貸し付けとか、あるいは農業共済団体等が金融機関から借り入れを行う場合の債務保証等の業務を農林漁業信用基金に承継することにいたしております。  今回の業務の承継に際しましては、農業共済基金に係る役員数を現在の十二名から七名へ、このうち、常勤役員数だけで見ますと三名から二名にということになるわけでございますが、こういう削減を実施いたしますほか、職員の定数につきましても、平成十年度の一名削減に続きまして平成十一年度におきましてもさらに一名を削減して十八名とすることによりまして、組織運営の効率化を図ることにいたしておるところでございます。
  48. 漆原良夫

    ○漆原委員 常勤の役員を一人減じて、非常勤の役員を四人削減した、それから職員は一人削減した、こういう御説明をいただいたわけなんですが、例えば、職員十九名のうち十八名が引き継がれていくということになるわけでございますけれども、この十八名というのは必ず必要なのかどうか、また、どうしても必要だという検討がなされたのかどうか。それから、削減されるお一方というのは解雇されるのかどうか、この辺の事情をお尋ねしたいと思います。
  49. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 先ほども申しましたように、この廃止の閣議決定がされましたときに、この基金が行っております事業についてはその必要性が認められまして、これを継続する必要性はあるということには理解が得られておったわけでございます。  この事業をそのまま農林漁業信用基金に移管、引き継ぐことにしておるわけでございますが、そうした中でも、行政改革の一環としてこの移管は実施するものであるということの趣旨を踏まえまして、十分検討した上で、先ほど申しましたような役職員の削減を予定しているところでございます。その場合に、人員の削減につきましては、これは退職された職員の定員を補充しないというような形で実行していきたいと考えております。
  50. 漆原良夫

    ○漆原委員 職員一人減というのは、今おっしゃったように、採用しない、おやめになった方を補充しない、こういう減になるわけですね。十九名中十八名は本当に必要かどうか検討されたとおっしゃるけれども、どうもその辺が、必ず必要なのかなという疑問を持ちながら、次の質問に移ります。  これで財政削減の効果はどのくらいに見ておられるんでしょうか。
  51. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 財政的な面での効果でございますが、役職員定数の削減に伴う人件費分の削減になるというふうに考えております。
  52. 漆原良夫

    ○漆原委員 その人件費の削減はどのくらいになりますでしょうか。
  53. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 役員、職員の削減で、千数百万円になろうかと考えております。
  54. 漆原良夫

    ○漆原委員 私は、行革という観点から見れば、本来は、財政を削減するという目的が先にあって、その上で特殊法人、重複するものを合併するとかなくすとかというふうな作業になっていくんじゃないのかなという感じを受けているんです。そもそも、この農業共済基金を廃止するについて、どのくらいの財政削減を目指してこの行革に臨んだのか、その辺をお聞きしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  55. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 この農業共済基金の扱いにつきましては、平成九年当時、いろいろな検討がなされました中で、その業務自体は引き続き行っていく必要がある、農業災害補償事業の円滑な施行という面で引き続き行っていく必要がある。ただ、それを農業共済基金という形でやっていく必要があるかどうか、そこが検討されました結果、漁業災害補償関係につきまして類似の事業をやっております農林漁業信用基金等もあることでもあるし、農林漁業信用基金等も含めた別の機関でやることを考えてはどうかということになったわけでございます。
  56. 漆原良夫

    ○漆原委員 これは平成九年六月六日の閣議決定を受けて合理化されているわけでございますけれども、これによれば、農業共済基金を廃止する、こう明確に廃止とうたっているわけでございますが、この廃止するというのは、一般的に考えれば、組織も役職員も含めて全部消滅させるということではないのかなと思うんですが、この点はどうでしょうか。現実には人員の引き継ぎが行われているわけなんですが、この閣議決定の廃止するというのは、人員も含めて全部消滅させる、事業だけは必要なものだから別の機関が兼務する、こういうことじゃないのかなというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
  57. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 確かに、廃止するという言葉を形式的にそのまま理解すれば、それがなくなってしまうということであろうかと思いますが、そこの閣議決定にございますように、同時に、事業につきましては別途適切な機関を決定してこれにより処理するということにされているわけでございまして、その事業に必要な人員等は当然必要になってくるというふうに理解をいたしております。
  58. 漆原良夫

    ○漆原委員 冒頭に申し上げましたように、財政構造改革という財政難を解決するんだという観点からこの整理合理化がなされたとすれば、事業は引き継ぐんだから人も引き継ぐんだという発想にはならないんじゃないかな、事業はほかの機関で兼務していくんだという発想になるべきではないのかな、私はこう思うんですね。  例えば、一般の会社で財政削減のためにAという部局を消滅させる、それでBという部局がその残務整理をしていくという場合には、Aという部局の職員も全部いなくなってしまう、Aのやっていた業務というのはB部門の人間が大変苦労しながらその業務を一生懸命遂行していく、それによってA部門にいたその人件費を浮かせるというのが私は一般の会社におけるリストラの実態だと思うんです。  今おっしゃった話を聞いていれば、廃止するけれども業務は必要だから人間も全部新しい業務に移っていくんだ、こういうことでは本当の意味の行革になっていないんじゃないかな、こういう感じがしますが、この点はどうでしょうか。  もう一つは、この閣議決定の中で、先ほど形式的に読めば廃止すると書いてあるから人員も廃止だというふうにおっしゃったけれども、これは形式的じゃなくて、廃止するということは決まったわけだから、廃止すれば人員もなくなるというのは僕は普通の読み方じゃないのかなと。むしろこの閣議決定の中にどういうふうにすると人間も承継されていくんだというふうに読めるのかなという疑問を持っていますが、この点はどうでしょうか。
  59. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 農業共済基金を廃止するということは、まさに字義どおりこれは廃止するということでありますが、従来、農業共済基金が行ってきておるいわゆる緊急つなぎ融資事業につきましては、その必要性は従来とも変わらずに今後とも必要である、これは別途適切な機関を決定してここに処理させる、こういう内容になっているわけでございます。この事業を行います上では、かなり専門的な分野の融資とか債務保証とかといった仕事でございますので、その専門の人間が必要でありますし、ですから当然、事業を実施するに当たっての人員というのは、先ほども申しましたとおり必要になってくるわけであります。  ただ、この措置が行政改革の一環として実施されておるということは当然のことでございまして、そのために、先ほど申しましたように役員、職員の削減を実施することにいたしておりますし、当然のことながらその分の財政的な節減効果というのはあるわけでございます。さらに申し上げますと、従来は二つの組織であったものが一つの組織の中で実施されるということに伴いまして、共通管理部分といいますか、そういう部門は共通に処理されることになりまして、業務の効率化、全体としての効率化が図られるものというふうに考えております。
  60. 漆原良夫

    ○漆原委員 一点だけ確認したいのですが、「緊急つなぎ融資事業は、別途適切な機関を決定し、これにより処理する」、こうなっているのですけれども、この文言の中で、必要な人員も承継するんだというふうに読めるということなのでしょうか。それとも、そこはその後の処理に任されているということなのでしょうか。
  61. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 もちろん、この閣議決定で人員等のことについて明示的に書いておるわけではございませんが、いわゆる緊急つなぎ融資事業の必要性が認められて、それを別途の機関において処理することとされた前提の考え方といたしましては、当然それに必要な人員等は必要であるということが前提になっているのではないかというふうに考えております。
  62. 漆原良夫

    ○漆原委員 この改正法案によると、今行っているつなぎ融資事業が必要だ、それは農林漁業信用基金がそのまま承継する。そうなってくると、そもそも行革の一環として廃止する必要はないんじゃないかな、そのままでいいんじゃないかな。先ほど一千万くらいの財政削減になるんだとおっしゃったけれども、何も廃止するまでのことじゃなくて、人員の削減をしていけば足りるのじゃないかなという感じがしてしようがないのですが、いかがでしょうか。大々的に閣議決定でもって認可法人を廃止というふうに大げさにやることまで必要ないんじゃないかな、あえてこれを行革の一環として廃止しなければならない必然性というのは本当にあるのかなという疑問があるのですが、大臣、この辺、いかがでしょうか。
  63. 中川昭一

    中川国務大臣 平成九年当時は、本当に特殊法人あるいは認可法人を含めてどこまでできるかということを、特に与党内でぎりぎりまで、総理のリーダーシップのもとでやったわけでございます。そういう中で、やれるものはできるだけやっていこうということで、この共済制度そのものにつきましても、廃止して新しいところに承継をする、つまり二つが一つになることによってデメリットが生ずるということでは、これは行政サービスとしてマイナスになるわけでありますけれども、それによって、よりメリットが生まれるんだ、しかもスリム化あるいは財政の面からも効果があるんだということであれば、これはやはり国民世論的にも、また国民実態的なニーズからいってもプラスになるんだという判断で、今回の閣議決定そしてこの法案の御審議をいただいているわけでございます。
  64. 漆原良夫

    ○漆原委員 確かに、今大臣のおっしゃった、はっきり言うと、やらないよりもやった方がいいなという、私は財政構造改革のために何としても行革をやって、税金のむだ遣いを防いでいくんだという最初に申し上げた総理の決意に従って、厳しい眼で見てのこの法案であるべきはずだという、気持ちの上でそういう大前提を持っているものですから、そういう大前提で考えていくと、確かにやらないよりはやった方がいいということになるのでしょうけれども、取り組み方に非常に甘さがあるな、こういう率直な実感を持っております。この点はいかがでしょう。
  65. 中川昭一

    中川国務大臣 共済制度改善していこうということと、それから信用基金の廃止、統合、二つのメリットが合致することによってデメリットが生じない、よりメリットが進んでいくんだということで、一方では財政再建あり、行政改革あり、あるいはまたいろいろな権限の移譲等の議論も当時あったわけでございますから、そういう意味で、やらないよりはやった方がいいというよりも、やることによって、よりメリットが生まれてくるんだ、資金供給の面からも新たな制度等も今度できるわけでございますから、そういう意味で今回のこの統廃合によって、農業者に向かってよりメリットがあるんだということを我々は判断して、そしてこの作業を進めてきたところでございます。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  66. 漆原良夫

    ○漆原委員 よくわかりました。この問題はそのくらいにしておきたいと思うのですが。  橋本内閣時代に省庁再編をやりました。そのときよく言われたことは、省庁の数は減ったけれども逆に一つの省庁の権限が大きくなったんだ、二つを足して一つにしただけではないか、こういう批判が新聞また野党からたくさんなされたわけなんですね。私は、今回の法案もそういうふうになることを非常に心配しているのです。一つなくしたけれども一つが全部それを吸収していくという、先ほど吸収合併ではないかという堀込代議士の話がありました、私も堀込委員と同じように、吸収合併ではないのかなという印象を非常に強く持っているのです。したがって、名目上は特殊法人が一つ消えたことになりますが、実態から見れば、もう一つの特殊法人である今度の特殊法人、農林漁業信用基金が引き継ぐのですが、農林漁業信用基金の方が人も多くなり新しい権限も持つことになって、今までの二倍というか大きなものになってしまう、そういう危険性を非常に心配しています。  したがって、名前だけの行革にならないように今後しっかり目を光らせていかなければならないな、そういう意味では、将来のリストラに向かって、きちっとした計画だとかあるいは一定期間におけるリストラの進行状況の見直しだとか、こういうものをやっていかないと、本当の行革の意味もなくなるし、またこういう施策を講じた意味もなくなるのじゃないかな、こう思っておりますが、この点、大臣はいかがでしょうか。     〔横内委員長代理退席、松岡委員長代理着席〕
  67. 中川昭一

    中川国務大臣 もちろん、今回の統廃合によりましてメリットが目に見える形で進めていかなければならないというふうに思っております。  そういう意味で、ただ統廃合すればいいんだということではなくて、今後も政治のチェックあるいはまた農林省のチェック、そしてまたみずからのチェックも含めてそういう緊張感を持ってやっていかなければ、今回御審議をいただいている意味はないというふうに考えております。
  68. 漆原良夫

    ○漆原委員 例えば、あとの緑資源公団についても同じような考えを持っているのですが、人員削減のプログラム、これからいろいろお考えになると思うのですけれども、そういうものを含めて、行革の実績が上がっているかどうか、あるいはリストラの実績が上がっているかどうか、この辺は三年なり四年をめどにして見直していく、こういう作業はお考えでしょうか。
  69. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 緑資源公団で申し上げますと、これまで森林公団それから廃止いたします農用地公団を含めまして、毎年積極的な事業の見直しや、また事業の効率化に努力をしてまいっております。  したがって、これまで既に、両公団の合計で申し上げますと、昭和五十四年度の職員数は千百七十五名ございましたけれども、平成十年度には八百六十名と、約三割の定員削減を行ってまいってきた実績がございます。また、平成十一年度におきましても、業務の効率的な実施を図る観点での見直しを行った結果、十名の定員削減を行うことにいたしまして、私どもは、新しい緑資源公団の業務の効率的な実施については、これからも毎年、常時努力してまいりたいと考えております。
  70. 漆原良夫

    ○漆原委員 緑資源公団について話が出ましたので、その緑資源公団についてお尋ねしたいと思います。  この緑資源公団をつくることによって従来の農用地整備公団を廃止する、これによる行政改革の内容はどんなふうになるのでしょうか。
  71. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 平成九年の特殊法人等の整理合理化の閣議決定によりますと、農用地整備公団につきましては、「平成十一年に予定される農業基本法の改正に伴う農政全体の見直しに合わせ、廃止する。」となっておりまして、この閣議決定に基づきまして、農用地公団の事業については、農用地総合整備事業等を廃止し、調査中、実施中の地区の事業及び海外農業開発調査業務については緑資源公団が承継することといたしたところでございます。  緑資源公団が農用地公団の組織を承継するに当たりましては、業務の効率的な実施を図る観点から、組織のスリム化を積極的に行うことにいたしておりまして、役員数は両公団合計十二名でございますが、緑資源公団では九名、すなわち七五%にいたしました。さらに、残事業終了後、十数年後になりますが、八名にする予定でございます。また同時に、管理部門が一体化されますので、二部二課二室を削減し、職員数についても平成十一年度十人減という削減を行うことにいたしております。
  72. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 多少補足をさせていただきたいのですけれども、農用地公団の現在やっております事業を承継するというふうに、残事業という形で書いてありますけれども、これは、法律案の附則において行うべき事業というふうにされておりまして、新しい緑資源公団のいわば本則の上での事業ではないという位置づけでございます。  それから、先ほど先生指摘がございましたけれども、今回のこの措置によりまして、残事業は、現在大体国費ベースで一年間に三百億ぐらいの支出をいたしておりますから、これが減少することによって、次第次第にその分が財政の上から減っていくというふうに考えられます。  さらに加えまして、役員と職員につきましても、私どもの試算では、今回の措置によりまして、一年間に約二億円ぐらいの人件費の節約になるというふうな計算でございます。
  73. 漆原良夫

    ○漆原委員 職員の定員を十一年度に十名削減、こういうふうになっておりますが、これは何か根拠があるのでしょうか。十人を削減しなければならないという、十人にした理由は何でしょうか。
  74. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 これは、公団の事業の見直し及び部課の再編統合を行いまして十人が削減できるという見通しを立てたものでございます。
  75. 漆原良夫

    ○漆原委員 この十人は解雇されるのですか、それとも、先ほどのように不補充という格好での削減結果になるのですか。
  76. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 これは、毎年退職がございますけれども、退職と補充との関係、すなわち補充を抑制することによって十名の削減をいたしまして、解雇するというような措置は講じる予定はございません。
  77. 漆原良夫

    ○漆原委員 両方の公団が一緒になるわけですから、両公団で共通の部局というのはあると思うのですね。例えば総務だとか経理関係とか、こういう共通の部局におられた方は倍になる必要はないのであって、その辺の人間関係といいますか、人員の方はどうなってくるのでしょうか。
  78. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 御指摘のとおり、管理部門は統合できるわけでございますので、先ほど申し上げましたように、二部二課二室の統合等を行っております。  ただ、これは半分に必ずしもできませんのは、先ほど来御説明を申し上げておりますように、農用地公団の残事業あるいは海外の業務等を承継いたしますし、また、特殊法人の整理合理化の閣議決定にも沿いまして、農政全体の見直しにも合わせまして、中山間地域の整備保全事業を新しく、これは今年度から調査をいたすことにいたしておりまして、こういった事業内容の見直しの結果、全体として二部二課の削減と十名の削減が可能となったものでございます。
  79. 漆原良夫

    ○漆原委員 何名くらいは重複になるのですか、これは。全部で八百六十名になるわけですね、二つ合わせると。そのうちの管理部門だとかあるいは経理部門なんかで何名ぐらいの方が重複になるのでしょうかね。数を把握していますか。
  80. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 重複ということではございませんで、それぞれ担当は、新しい緑資源公団において分担しながら業務を効率的に実施することにいたしております。
  81. 漆原良夫

    ○漆原委員 同じ部局に二倍の数が要るのかどうか、非常に私は疑問を持っています。できるものは一つの部局でやるべきじゃないのかなという感じなんですが、十名削減をしていくという、穏当な方法なのかもしれませんが、果たして行財政改革という観点からいうとどうかなという心配を持っています。  それで、今回の緑資源公団もこの平成九年六月六日の閣議決定に基づくものでございますけれども、農用地整備公団を廃止する、残事業は森林開発公団に移管するという、これもやはり私は、このときの政府の閣議決定の趣旨としては、農用地整備公団を、その機能も人員も全部削減をしていくのだ、そして残事業は、今やっておるわけだから、中止するわけにいかないので森林開発公団で賄っていくのだ、こういう発想だったのではないのかなと思うのですね。  しかし、今回の法案を見ると、人員もほとんど引き継がれていくということを考えると、この閣議決定の財政改革をやっていくのだという趣旨が、何か骨抜きにされたのじゃないかなという気持ちを持つのですが、この辺、大臣、どんな御感想でしょうか。
  82. 中川昭一

    中川国務大臣 その閣議決定でただし書き的に、基本法に基づく農政の必要な部分は森林開発公団へ、つまり緑資源公団へということがありますから、一方では行政改革をやりながら、一方では新しい、農業だけではない、森林も含めた総合的な農林行政を進めていかなければならないということで、そういう両方、二つの要請があってそういう文章になっているわけであります。  一方、残事業といっても、現に抱えておる仕事でありますし、また調査も含めてこれから全く新規はありませんけれども、やろうとしているものも十数年間かけてあるわけでございますから、いきなり一足す一が一になるということは、これは物理的にも不可能だろう。スタート時点、少なくとも今の時点では、一足す一は二に近いものにならざるを得ない、業務的に言えば。ただし、理事長さんか総裁さん、トップは一人で、二人は必要ございませんし、また管理部門につきましては、今の先生の御質問にもあったとおり、ダブる部分は一つでできるわけでございますから。ただし、やるべき仕事は当面一足す一が二的な現状にあることは、これは現実でございます。  しかし、新規事業はやらないとか、そういうことで量的にもだんだん減っていくわけでございますから、そういう意味で、その効果というのはこれから、今までよりもさらにはっきりとした形であらわれてくるだろう。つまり、必要以上の人員を抱える必要はありませんから、また事業に支障を来すような、一足す一は一でなければならないというような体制でも、これは支障を来すということになりますので、そういう意味で、新公団においてやるべき仕事に必要最小限の人員を配置するということで、スタート時点においては、先生から見れば不十分ではないかという御指摘でありますけれども、中長期的には、最終的には必要最小限なものを確保しながら、公団の目的に沿うような事業を遂行していきたいというふうに考えております。
  83. 漆原良夫

    ○漆原委員 この前、中小企業の経営者といろいろな話をしている中でこの話が出まして、実は四百人くらいの両公団が一緒になって、一つは廃止して吸収されるかどうか、承継されていくのだけれども、八百人ぐらいになるんだ、八百六十人ですか、それで財政改革のために減る職員が十人だというふうな話をしたら、行革の趣旨はもちろんいいのだろうけれども、我々中小企業の経営者から見ると、国のやっていることは非常に悠長だなと。自分たちはもう生活をかけて、生き残りをかけて今一生懸命リストラをやっているんだ、しかし国のやっていることは、八百六十人になったものから十名ぐらいしか削減されないということであれば、本当に国が財政難を解決するためにリストラをやる、財政構造改革をやるという決意が民間から見れば非常に悠長だという感想を述べておられました。  この一般の中小企業のおじさんたちが考えていることについて、大臣、どんなふうにこの声をお聞きになりますか。
  84. 中川昭一

    中川国務大臣 民間の厳しい経営の中で、そういう合理化を目に見える形でスピーディーにやるというのは当然のことだろうと思いますし、また御苦労も大変だろうと思います。  我々も、基本的考え方としてはそう変わらないのではないかと思うわけでありますが、何せ、相手は木であり、そして持続可能な農地確保であり、やるべき仕事は、先ほども申し上げましたように、残事業をやるだけでも十数年間これからかかるということでございます。今は、一足す一がほぼ二に近い形でのスタートにならざるを得ないわけでありますけれども、その残事業が随時終了するたびに、それに合わせた形のスリム化というものも当然必要になってくるわけでありますから、そういう意味で、十数年後、残事業終了時点で、この統廃合が行革という観点から見て合格だったかどうかということを、また改めて厳しく検証していかなければならないというふうに考えております。     〔松岡委員長代理退席、委員長着席〕
  85. 漆原良夫

    ○漆原委員 大臣の言葉、そのまま受けとめておきたいと思うのですが、まだ私の気持ちの中で、確かに残事業は十数年かかるわけですね。残事業が十数年かかるのであれば、ある意味では、今申された程度の行革の内容であれば、十数年終わった段階で廃止してもいいのじゃないか。今、行政改革と大上段に振りかぶらなくても、新規事業を行わないということにして、十数年後には今やっている事業が終わるわけですね。その段階で公団の任務が終わるというふうにして、その間、少しずつ人員整理をしていく、こういう手法でもできるものを、あえて今行政改革の一環としてやる必要は果たしてあるのかなというふうに感じるのです。  どうも無理やり行革の格好だけ示そうという姿勢が強過ぎるのじゃないのかな。ある意味では、悪く申し上げると中身が余り、実態がないにもかかわらず、特殊法人を減らしたということだけに重きを置いた考えじゃないのかなという感想を持っていますが、どうでしょうか。
  86. 中川昭一

    中川国務大臣 平成九年の橋本総理のいわゆる六大改革の中の一つとしての行政改革というのは、これはもう本当にできるものは徹底的にやっていこうということでありまして、農林水産省においても大変な精査と、そしてまたいろいろな努力をしてきた中の一つでございます。人件費にして二億円とか十人とかいうのを、そんなものであれば大したことないんだから、残事業が終わったら一遍にということでありますけれども、先生も御理解いただけると思いますが、ふやす方は、二億ふやすのは簡単でありますけれども、削減を二億するというのは、一つの組織の中でやるというのは、これは実は大変な努力が必要だろうというふうに思うわけであります。  先ほど事務当局の方から述べた削減効果、たったそれだけかというふうに思われると、我々としては大変残念であるわけでございまして、橋本総理の強いリーダーシップのもとで、努力に努力を重ねた結果としての削減、人件費に関しては、例えば二億円とかあるいは十人とかいう数字は極めて大きい数字であり、しかもそれはスタートの数字であって、先ほど申し上げましたように、十数年後に向かってはさらにその効果が、国民あるいはまた国会の場で、より目に見えるような形にしていくように努力していきたいというふうに考えております。
  87. 漆原良夫

    ○漆原委員 この緑資源公団が承継する事業の中に、いわゆる未着工の工事、地域についても含まれている。実施中の事業だけじゃなくて調査中の事業で、未着工の部分まで承継しなければならないのか。この辺はどんな理由なんでしょうか。
  88. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 調査中の地区は十区域ございますけれども、調査のための調査ということではなくて、事業実施を前提とした実施プロセスの第一段階というふうに私どもは考えております。とりわけ、この調査の段階におきまして、地元の合意形成、意向の集約、各種の準備、そういうものが行われておりまして、地元からは非常に強い期待が寄せられているわけでございます。  こうした公団の事業につきましては、やはり地域農業振興の取り組みにも配慮をしながら、行政改革との調和をとって残事業の中に含めたということでございます。
  89. 漆原良夫

    ○漆原委員 未着工の地域は何地域あって、総額どのぐらいか、おわかりでしょうか。
  90. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 未着工ということではなく、調査中の地域ということでございますけれども、これは十区域ございます。  先ほど、非常に大ざっぱな数字を申し上げたわけでございますけれども、恐らくこの十地域で、これからきちんとした設計をしなければいけませんけれども、大ざっぱな計算をしますと、国費ベースでは七、八百億、それから事業費ベースでは千五百億を超えるぐらいの水準ではないかなと。これは私のこの場での直観でございますけれども、これはきちんと設計をして、その数字にいずれ固めてまいりますので、そう考えております。
  91. 漆原良夫

    ○漆原委員 調査中であるけれども、全く事業そのもの、事業の着工という意味はちょっと不明確かもしれませんけれども、調査中の段階で、まだ実行はしていない、こういう場合であれば、そこで打ち切ることも考えていいんじゃないでしょうか。
  92. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 重ねての御説明になりますけれども、公団事業というのは、広域、大規模、短期集中、そして高い技術ということを事業の特色にいたしておりまして、この事業を行うことについて非常に強い要望がございますし、地域農業振興の中にもきちんと位置づけをされております。  調査をするということは、調査は、基本計画の樹立と、地区計画の樹立というふうなプロセスを経て、いずれ事業に具体化をされるという前提で行っておりますので、地元も、当然のことながら、この公団事業をやらせてほしい、やる時期が来たというふうに考えております。行政改革は非常に重要な問題でございますし、もう一方で、地域農業の振興というのも、この期待にこたえていく、それで、その期待の中でいろいろな意見集約をしてきた、合意形成をしてきたという実情がございますから、この両者を調和させる形として残事業を位置づけるならば、調査の地区についても残事業の対象にするというのが適当であると私どもは考えた次第でございます。
  93. 漆原良夫

    ○漆原委員 調査室の資料によると、全体実施設計区域三カ所、七百一億円、こういうふうな資料が出ておるわけなんですが、中止して、ここで終わってしまえば、七百一億円という非常に大きな金額になると思うんですね。  全く調査もしていない、将来こういうことをやりたいという場合には、これは国なり都道府県の事業でやることになると思うんですけれども、そういうこれからやる場合には、都道府県なり国なりの事業でやることになるわけですから、どこかで中止の線引きをする場合には、やはり着手していないところで線引きするのが妥当じゃないかな、行革、財政改革を非常に重く表に押し出せば、その辺が線引きの基準になるんじゃないかなと思うんですが、どうでしょうか。その辺を線引きの基準にすべきじゃないんでしょうか。
  94. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 幾つかの御指摘をいただいたわけでございますけれども、繰り返しになって恐縮ですが、農用地整備公団の事業というのは、事業規模が大きいこと、広域にわたること、それから短期集中投資が行われること、高い技術水準で行われること、それが特徴でございます。  それで、この特徴を持った事業を都道府県営でやれるかといいますと、今すぐには都道府県の体制はないと私は思います。やはり技術レベルなり地域の囲い込み方なり、いろいろと検討いたしますと、都道府県営では行えない。行えないということになりますと、この調査地区が浮いてしまうわけでございます。  それで、地元は、公団事業を前提にいたしまして、先ほど申し上げました、地域の合意の形成とか意向の集約とか、各種の準備に既に入ってもおりますし、地域によっては地方公共団体がお金を出しているというところもございますので、そういう点でいきますと、線引きは調査を行っている地域というところで切るのが適当ではないかというふうに私は考えております。
  95. 漆原良夫

    ○漆原委員 これは認識の差だと思うんですね。今どのくらいの金を浮かそうという考え方を厳しく見る見方と、むしろ現場の混乱を避けようとする見方の差じゃないのかなと。  冒頭申し上げた、自分は財政構造改革という厳しい、重い荷物をしょっているんだという総理の決意からいくと、どうも今のお話は甘過ぎやしないかな、中止できるところは中止するということが総理の所信の趣旨に合うんじゃないかなという考えを私は持っているんですが、この点は大臣はどんなふうにお聞きになっていますでしょうか。
  96. 中川昭一

    中川国務大臣 先ほどから構造改善局長が言っておりますように、調査といっても、要するにやる前提での調査でありまして、調査あるいは実施設計、着工、こういくわけでありますが、調査の段階ではもう地元としては、私の地元などもそういうのがありましたけれども、調査の予算がついたら、あとは実施設計が一年か二年あって、何年後には着工だというふうに受益者、関係者は思っているわけでございます。  そういう期待も一方ではあり、しかも、そういう農用地を造成する、整備するということは、これは農業者にとっても、また農村地域全体にとってもプラスになることでございますから、その期待までばさっと裏切って、トンカチ始まっていないものは全部ストップというのも、これは関係農業者皆さん方にとっては大変な期待を裏切ったということになるわけでございます。  また、一方では、まだ要望段階のものもあるわけでございまして、それまで一々取り上げるということは、これは、まだ海のものとも山のものともつかないものについてもということにはならないと思います。  その辺で、もう地元からも正式に上がってきて、そして要望も極めて強いという前提で、いつ工事が始まるかということを待っておる人たちの期待まで裏切るのは、農政を行う我々の立場から見ればいかがかなというふうに思っています。
  97. 漆原良夫

    ○漆原委員 大臣の苦しいお気持ちを察して、この問題はこれで終わります。  今度の緑資源公団の中に、特定中山間保全整備事業というのがありますね。この事業が追加されたわけなんですが、これも、本来、公団を廃止するという流れの中で、行革の流れの中で来ているのに、何もわざわざ新しい事業をつけ加えなくてもいいんじゃないかな、都道府県の補助事業だとか国営事業で対応できるんじゃないかなという感じを持っているんですが、どうしてもこれは緑資源公団の新しい中でやらなければ不可能なんだという御認識なんでしょうか。
  98. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 行革の閣議決定の中で、農政の見直しに合わせて公団は廃止するとなっておりまして、この農政の見直しにつきましては、昨年秋の調査会の報告で、中山間地域について、農地森林一体となった事業を実施すべきであるというような報告もいただいております。これを受けて、私ども、今回の特定中山間保全整備事業を創設させていただくことにしたわけでございます。  これを公団が実施する合理性について御説明申し上げますと、これは、事業実施の面積が一千ヘクタール以上というような広域にわたりまして森林の整備、また農用地の整備等を実施させていただくわけでございますけれども、森林については、これは水源林の整備事業でございます。  この水源林の整備は、中山間地域にございますが、受益地は県をまたがる場合が大変多うございまして、下流の県が受益地、事業実施地域は上流の県という場合に、この事業を実施するインセンティブは必ずしも上流県にはないわけでございます。水資源の安定的な供給、環境保全の観点から、県を超えてこの事業の推進を考えていかなければならないと思っておりまして、そういった際に、全国を眺める公団が事業実施主体になることが必要であると思っております。  また、水源林造成は、伐期五十年程度の分収方式で実施いたします。したがって、特殊法人のような機関でないと、このように長期に安定的な資金を拠出するということは大変困難でございますし、また、受益面積一千ヘクタール以上という事業規模でございまして、これを県営で実施することにいたしますと、これが、私ども七、八年ぐらいの期間で予定しておりますけれども、七、八年を過ぎますと、今度はその県営事業を実施していた県の職員の仕事、雇用の問題が発生してまいります。公団の場合には、これは全国に事業を展開しておりますので、ある県での事業が完了すればまた別の地域の事業に取り組むことが可能になりますので、県を超えてこの事業の実施を行うという観点から、むしろ地方の行政改革の趣旨にこれは沿ったものであると考えております。  それから、現実に緑資源公団は森林の整備や農用地の整備に精通した技術者を持っておりまして、先ほど申し上げましたように、約三割の職員の削減をこれまで実施した実績がございますけれども、こういった技術者の効率的な活用を行うことができるわけでございます。  また、各種の事業、これは水源林の整備、それから農林道、農用地の整備、それから耕作放棄地の林地転換等々のさまざまな、あるいは用排水の整備等の事業を実施いたしますけれども、規模もさまざまでございまして、仮にこれを県営というようなことにいたしますと、あるいは、幾つかの事業がございますので、市町村営、場合によっては土地改良区営もあるかもしれませんし、そういった、事業主体が別々になってまいりますと、全体計画のもとに事業の早期効果の発現を目指して有機的な連携のもとに事業を実施することが困難になる、すなわち事業実施に跛行性を生ずる場合がございます。これは事業主体の財政事情やあるいはその地域の農林業の振興等々の考え方からやむを得ない面もございますけれども。  全体として千ヘクタール以上の規模で森林と農用地の総合整備を行って、中山間地域の活性化とまた農林地の公益的機能の発揮という目的を早期に、確実に、効率的に達成するためには、公団が実施するのが最も適当であると考えております。
  99. 漆原良夫

    ○漆原委員 その点については、時間がないのでこれで終わらせてもらいますが、最後に大臣の方から、この緑資源公団、先ほど来申し上げていますように、私の基本的な考えからすると甘いのかなという、財政構造改革からはもっと厳しい目で見た行政改革をするべきではないのかなという気持ちを持ちながら、今後この緑資源公団がきちっと行革の趣旨に沿うような実績を上げていただきたい、こう思っておりますが、それについて、御意見があればおっしゃっていただきたい。
  100. 中川昭一

    中川国務大臣 先生が強調されている財政構造改革というか財政再建、それから行政改革、これも大事であります。そしてまた時あたかも、農政全体あるいは農林行政全体が、水も含めてですけれども、内外のいろいろな諸事情の中で大きな転換点にあるということでございますから、そういうものも踏まえながら、かつ、新しい時代の農林に従事している方々あるいはまたその地域、そしてそこから生まれる農林物を含めたいろいろな価値が少しでも発揮できるように、最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。
  101. 漆原良夫

    ○漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  102. 穂積良行

    穂積委員長 次に、菅原喜重郎君。
  103. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 まず、森林開発公団法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。  今回の改正法律案は、改革の推進の観点から、平成九年の閣議決定を踏まえ提出されたものであります。私は、現下の不況を克服するためにも、我が国の構造改革は避けて通ることのできない課題であり、その重要な柱である行政改革は大いに推進していくべきものであり、また、新たな時代のニーズに必要不可欠な行政組織としていくべきものであると認識しております。今回の法改正は、これまでの統廃合のように形式上二つの法人を廃止し一つの法人を新設するというのではなく、明らかに農用地整備公団を廃止し森林開発公団がその業務を継承するという、行政改革の趣旨を鮮明にしたものと思います。  そこで、事業、組織等の面での具体的な整理合理化の措置、そしてまた、今回の改正が農林行政上、単にリストラということではなく、一方ではめり張りをつけた前向きのものがあるとすれば何か、具体的にお聞かせいただきたいと思いますし、また、名称についても、単純に森林農用地整備公団というようなものにしておらず、森林開発公団を緑資源公団に改称することについて、私は斬新なものと評価しておりますので、名称変更の理由も明らかにお聞かせいただきたいと思います。
  104. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 今回の農用地公団の廃止とまた緑資源公団の発足でございますけれども、これは、一方では、行革の推進の観点から、役員数を、これまで十二名を九名、また残事業終了後には八名と削減いたしますし、管理部門も一本化いたしまして二部二課二室を削減し、また職員についても、これまで既に両公団三割職員を削減してきた実績を持っておりますが、平成十年度におきましても八百六十名から五十名に十名削減する等の措置を講じることによりまして、平成十一年度、平年度ベースで二億円程度の人件費の削減、また、業務面では、農用地公団の残事業、三百億円程度の国費を投じておりますが、これが十数年後にはゼロになるわけでございます。  しかしながら、一方で、これは九年の行革の閣議決定にもございましたけれども、農政全体の見直しに合わせてこの農用地公団を廃止するという考え方が示されておりまして、農政全体につきましては、昨年秋の調査会の御答申で、農用地と森林とを一体的に整備する中山間地域の活性化の事業を実施すべきであるという御提言の方向に沿って、新しく特定中山間保全整備事業を実施させていただくことにしたわけでございます。  これは、約二千ございます水源林造成事業の対象の市町村において、中山間が対象区域でございますが、水源林の整備と農用地整備、農林道の開設、また耕作放棄地等の集積や林地転換、有効利用等々の事業を総合的な観点から公団が、事業の早期効果の発現を目指しながら、中山間地域の活性化と農林地の公益的機能の十分な発揮のために事業を実施させていただくことにしたところでございます。  今回、緑資源公団という名称に森林公団を改称させていただくことにいたしましたのは、これは緑、すなわち、今回の中山間保全整備事業にもございますように、農用地と森林を総合的に保全整備する事業を実施いたしますので、樹木、農作物を含めた植物一般をあらわす緑という用語を用いますとともに、農林業活動のもととなる樹木、農産物をあらわすために資源を加え緑資源としたわけでございますが、あわせて、都市住民を含めた、幅広い国民の方々から森林、農用地の有する公益的機能を広く理解していただくために緑資源という用語をこの公団の名称とさせていただいたところでございます。
  105. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 ただいま聞きましたように、整理合理化については行政改革の推進という立場からこたえたものだと思いますが、事業面でも、農用地整備公団の柱となっていた事業を廃止したわけであります。しかし他方、残事業については、これを緑資源公団が引き継ぐこととなっております。  この残事業については、現に農用地整備公団が実施中の二十一地区と、公団事業として実施を予定している調査中の十地区が含まれるわけでありますが、行政改革の観点から事業を廃止するにもかかわらず、これら地区では事業を今後も実施する理由についてお尋ねします。改革合理化という点と、またこれらの継承はどのようにされていくのか、以上、お聞きしたいと思います。
  106. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 今御指摘がございましたように、事業実施地区数は二十一、調査中が十でございます。実施中の地区ではまさに工事が行われているわけでございますし、調査地区につきましても、県、市町村を初めといたしまして地元関係者によって、公団事業を行うことを前提として各種の調整なり準備が進められてきたところでございます。こういう点で、行政改革のもとではありますけれども、やはり経過的な措置としてこれら調査地区も残事業としての扱いをするのが適当であるというふうに私ども考えた次第でございます。  なお、緑資源公団でございますけれども、農用地整備公団の技術者等を承継することになっておりまして、大規模、広域的、集中投資、高い技術水準、そして機動的な事業実施という点でこの緑資源公団は残事業を実施するにふさわしいというふうに考えた次第でございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、この農用地整備公団から承継をいたします残事業につきましては、法律案の附則で手当てをいたしておりまして、いずれ十数年かけましてこれが完了いたしますと、緑資源公団の業務から外れていくということでございます。  それらの行財政改革上の効果といたしましては、私ども今、年間約三百億円程度の予算を計上いたしておりますので、これが次第に減少していくというふうに考えております。
  107. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 新しい公団は、厳しい経営環境に置かれている中山間地域の農山村の保全、整備を図るため森林農地の整備を一体として図る業務を展開しようとされていますが、私は一刻も早い中山間地域の保全、整備が必要と考えております。  後継者もなくしてきた中山間地域の農山村の現状は、農林家はもとより地元市町村、県も極めて厳しい経済、経営環境に置かれ、そこに賦存する森林農地が荒廃寸前と言ってよい箇所も見受けられるわけでありますし、これを農林家にゆだねるとか、あるいは地元市町村、県にゆだねるという状況にないことは明らかであります。  このような中で、森林開発公団を緑資源公団に改称して新たに展開しようとしている新事業について、創設の趣旨と具体的な事業内容をお持ちでございますならここでお伺いしますし、これが行政改革に反しない企画のものであることについても明らかにしていただきたいと思います。
  108. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 ただいま御指摘のございました特定中山間保全整備事業でございますけれども、これは中山間地域で一千ヘクタール以上の地区を受益地、対象といたしまして、水源林造成事業の指定地域、これは約二千市町村ございますが、この地域におきまして水源林の造成事業、これは公団が分収方式によって五十年程度の期間、資金を提供して水源林の造成、整備を行う事業でございます。これとあわせて、中山間の農用地域の整備や農林業の道路の開設、用排水路の整備、耕作放棄地等の集積、林地転換等を総合的に実施して中山間地域の活性化と農林地の公益的機能の十分な発揮を図ろうとするものでございます。  事業の受益地区は場合によっては県をまたがる場合も大いにあるわけでございますし、また、事業が総合的なメニュー事業でありますだけに、これの全体の計画のもとで有機的な連携をもって事業を展開して、事業の跛行性が生じることのないように留意しながら、事業の効率的、効果的な実施と早期の事業効果の発現を目指して公団が実施するものでございます。  この事業につきましては、平成九年の行革の決定におきましても、農政全体の見直しにあわせて農用地公団は廃止する。農政全体の見直しにつきましては、調査会におきまして鋭意御検討いただき、昨年秋に調査会の御報告を総理大臣にいただいているところでございますが、この中で、中山間地域の整備、活性化のために農地森林の一体となった総合的な事業を実施するようにというような御報告をいただきました。  この線に沿って検討した結果、これは総合的な事業として効率性を持って、大規模な、また県を越えるような受益地を持った事業については公団がこれを実施するのが適当であると考えて、実施することにしたものでございます。
  109. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 これから事業内容についてもいろいろ私たちも検討させていただきますが、ただいまの中山間事業は主として新たな農政の展開の観点から創設されたものでありますが、地球温暖化問題がクローズアップされる中で森林の二酸化炭素吸収機能が世界的に認識されています。  現在、森林開発公団が実施している水源林造成事業は、粗悪林地に植林するということで、単に水源の涵養のみならず、二酸化炭素の吸収機能ということで地球温暖化対策の観点からも大いに評価される事業でありますし、今後とも積極的に推進すべきであります。  ただ、ぜひお考えいただきたいことは、私がかねてよりの持論として本委員会でも再三再四主張してまいりました密植の弊害に加え、造林地の除伐、間伐のおくれが林相を針葉樹林のブッシュ化、いわゆるやぶにしてしまうことが、木材価格の低迷などでこのことに一層拍車をかけている現今の植栽方法や育林技術の手法についてであります。  公団が目的としている植林は、水源林造成ということでありますから一般的な経済林造成とは異なるわけでありますが、これは、新たな保水効果、環境保全効果のある広葉樹林あるいは複層林造成または混交林造成が必要となります。しかし、これらの開発はまだ未完成であります。これまで森林開発公団が造成してきた内容を見ますと、針葉樹の一斉植林が平成十年度では七四%を占め、植林は、私がその弊害を指摘してきた経済林と全く同じ手法がとられているわけであります。  すなわち、針葉樹林は、密植いたしますと、殊さらに除間伐の労力をかけなければなりませんし、また適正な除間伐施業を怠りますと、樹木のしんがとまって、木は太らず、樹根の張りも浅く、狭く、風水害にも耐えられない林相となるわけでございますので、これらにも緊急の対応が必要であります。また、ポット植林の研究促進も必要であります。  また、今申したように、植栽する樹種についても、林野庁所管の森林総合研究所もあるわけですから、ぜひ水源林造成に効果的な林業技術の開発、確立が必要であり、これらへの取り組みや対応も緊要であります。  このように、我が国森林林業をめぐる課題が山積しており、いずれも緊急性のある情勢下で公団造林の果たす役割は極めて重いものであります。そこで、今後の本事業についての中川農水大臣の所見、決意をお伺いしたいと思いますし、また、私の持論に対しても、もしコメントいただければ幸いでございます。
  110. 中川昭一

    中川国務大臣 公団造林、いわゆる水源林造成事業は、特に公益的な側面が一段と高い事業でございます。一方では、森林所有者の造林意欲が低下しておるという実情の中で、これを何としても公益的な側面から維持していかなければならないということから、公団が資金を拠出いたしまして、三者でひとつ分収方式で造林事業を進めていこうと。しかも、伐期五十年という超長期のものでございますから、これはまさに公団が拠出しなければできない事業であろうというふうに考えております。引き続きこの公益的機能を守る。ある仮説によりますと、金銭に換算すると三十九兆円という大変大きな機能を果たしておる日本森林であるわけでありますし、また、一たん荒らすと、これをもとに戻すことは不可能と言っても過言ではないと思います。  また、実施の方法につきましても、先生指摘のように、針葉樹だけではなくて広葉樹の積極的な導入等も含めまして、より力強い山づくり、国民的なニーズにこたえられる山づくり、そしてまた、原点であります公益的機能の一層の発揮ができる山づくりのために、この水源林造成事業を推し進めてまいりたいと考えております。そういう観点で、先生の御指摘は、私は同感でございます。
  111. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案についてお伺いします。  特殊法人等の整理合理化についての今回の法改正の経緯から、日本開発銀行の再編に当たって、食品工業向け融資を農林漁業金融公庫に移管することとされた理由はどうなのか。これまで日本開発銀行が取り扱ってきた食品工業向け融資額は、過去五年間の平均で年間約五十億円と伺っておりますが、移管されることによって対象者に不利益にならないようにすべきと考えますが、この点について、農林漁業金融公庫ではどのように措置されることとなるのか。従前と変わらぬ十分な対応ができるとしても、合理化という点ではどうなっていくのか、お伺いいたします。
  112. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 お答え申し上げます。  今回の農林漁業金融公庫法改正でございますが、これは平成九年九月の閣議決定に基づきまして、政策金融機関の見直しの一環として、日本開発銀行の業務を新たな視点から再編する、そういう中で、従来実施しておりました産業分野向け融資が限定される一方で、食品工業向け融資が農林公庫の業務として移管することになったということでございます。  その理由としましては、一つには、食料の安定供給の確保という観点からは、農林公庫の本来的な農林漁業分野の融資と一体的に扱うのが合理的であり効率的であるということが一つ。それから、農林公庫が従来から加工・流通分野でかなりの実績を上げてきているということ、こういった点を踏まえて、開銀の食品工業向け融資が農林漁業金融公庫に移管されることになったというふうに理解しております。  これによりまして、農林公庫の食品工業関係の融資のノウハウと、それから農林漁業に関する知見の活用が期待されるところでございます。  それから、開銀から農林漁業金融公庫への移管に伴って、対象者に不利益とならないようにというような御指摘がございました。  今回の食品工業向け融資の農林公庫への移管に当たりましては、資金の対象とか金利といった貸し付け条件、そういった条件はすべてそのまま引き継ぎまして農林漁業金融公庫資金として措置することにしておりまして、移管によりまして借入者に不利益が生じないようにしているところでございます。また実態上も、例えば融資枠につきましても、日本開発銀行におきます最近の融資実績を十分踏まえまして、五十億円という融資枠を確保いたしておりまして、資金需要には十分こたえられるようにしているところでございます。  また、平成十一年度におきます農林漁業金融公庫全体の融資枠につきましても、最近の融資実績等から見まして十分な枠を設定しているところでございまして、開銀からの資金の移管に伴い、何らかの問題を生ずるというようなことはないものと考えております。
  113. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案についてですが、現在、我が国農業、農村においては、農業労働力の減少、高齢化や農地の減少が進行しております。このような状況の中で、大規模農家等担い手育成が農政の重要な課題となっているわけであります。  そこで、今回の制度改正がこのような農政の課題にどうこたえようとしているのか。また、今回の家畜共済における新たな事故除外方式について、補償対象にする事故を火災の特定の原因によるものに限定することとしていますが、この改正で導入する新たな事故除外方式においては、農家共済掛金負担はどの程度軽減されるのかお伺いします。
  114. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 まず、今回の農業災害補償制度改正でございますが、御指摘のございましたように、農政の展開方向にも沿いながら、大規模農家等意欲ある担い手の育成等を図る観点からの事業内容の見直し等を予定しているところでございます。  具体的には、家畜共済につきましては、大規模畜産農家の掛金負担の軽減を図って加入しやすくするという観点からの新たな事故除外方式の導入でありますとか、肉豚共済につきまして、大規模一貫経営農家の経営実態に即応しまして、飼養する肉豚を農家単位で一括して引き受ける方式を試験的に導入いたしますとか、さらにはまた、水稲共済につきましても、全相殺引受方式に個人単位で加入する場合の要件を緩和するといったような措置考えているところでございます。  なお、家畜共済で新しく導入します事故除外方式で、掛金負担がどの程度軽減されるかという御質問がございました。  新たな事故除外方式を導入した場合におきます農家の畜種別一頭当たりの共済掛金を試算いたしてみますと、例えば死亡廃用事故につきまして、特定の、火災、伝染病、自然災害といった原因以外の事故を共済事故から除外しました場合には、乳用牛でおおよそ四五%、肉用牛等で同じく四五%程度の軽減になるであろうと考えられます。  これに加えまして、死亡廃用だけじゃなしに、さらに疾病傷害事故の全部も除外することができるわけでありまして、これを除外しました場合には九五%程度という大幅な掛金の負担の軽減になるであろうと考えておるところでございます。
  115. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回の改正で、家畜共済における農業共済組合等の責任分担について二割とする理由と、また、そのことによって事業運営に支障を生ずることはないのか。  また、農業共済組合等の事業運営基盤を強化するという観点から、今回二段階制による農業共済事業の実施の道を開くとのことでありますが、二段階制への移行については、地域の実情、意向によるべきであり、国が強制させるべきではないと考えるわけですが、この点についてはいかがですか。
  116. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 まず、家畜共済での責任保有割合、責任分担の問題でございますが、元受けであります共済組合等の保険者意識の高揚を図りながら健全な事業運営を確保いたしますためには、組合等の事業規模や収支状況なども勘案しながら、基本的に、責任保有割合を拡大していくのが適当であろうと考えております。このため、最近の合併等による共済組合の大型化等にも対応いたしまして、責任保有割合を現行の一割から二割に拡大することにいたしているわけでございます。  こうした改正によりまして、組合等の支払い責任は大きくなるわけでございますが、その一方で、組合等の手持ち掛金もふえることになるということもございまして、組合の自主的な積極的な事業運営ということも期待できるようになるというふうに考えております。  それから、二段階制を開くという点についてでございます。  地域の実情等を踏まえてやるべきでないかと。もちろんそういう考えでございます。今回の改正でございますが、現在の三段階制での共済事業の実施を基本にいたしまして、同時に二段階での実施も、地域の実情なり意向なりに応じて可能にする、そういう趣旨でございまして、御指摘の趣旨は十分踏まえて対応していきたいと考えております。
  117. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回の改正農業共済基金が廃止され、その業務が農林漁業信用基金に継承されることになるわけでありますが、そのことによって、これまでの農業共済団体等に対するサービスが低下することのないように要望いたしまして、質問を終わります。
  118. 穂積良行

    穂積委員長 この際、休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後二時二十三分開議
  119. 穂積良行

    穂積委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中林よし子さん。
  120. 中林よし子

    ○中林委員 まず私は、農業災害補償制度の見直しについて質問をさせていただきます。  例年のように続発する異常気象による各種の災害、それから豊作貧乏と言われる価格の不安定性、不況のもとで購買力が減少するなど、農家農業をめぐる事態というのはますます深刻になってきています。こうした農業行政のもとにおいて、文字どおり農業経営の安定、農業生産力の発展に資する農業災害補償制度の抜本的な改善というのは強く農家から求められております。  そこで、毎年のように繰り返される災害のたびに、農家関係者からは、共済に加入しても足切りが高くて十分な補償がないという不満の声が出されており、この足切りの改善ということは急務になっているというふうに思います。  水稲の場合、大半が加入する一筆方式の足切りは三割ですね。かつてのように圃場が一畝だとか二畝だとか狭いときがこういう事態になっているわけですけれども、圃場整備が進展するに伴って、一筆が十反などというのはもう珍しい状況ではなくなって、そういう大型化が進む中で、三割を超える被害ということは従来に比べてもなかなか限定的にしかあり得ないという状況になっております。  私の地元、山口県の例なんですけれども、平成五年の冷夏、長雨をとってみましても、山口県の被害率は、面積比で八・七%で、農作物共済の支払い金は二十四億円にしかなっていないわけですね。それで補償対象にならないところも数多く出てきて、三割足切りの改善要望というのは、この山口県を初め全国的に非常に強いものがございます。  今回の改定で、一定の基準に適合する低被害地域の組合については、三割を二割に引き下げる改善がなされるわけです。この対象は、被害の極めて低いということで北陸四県のみの限定的なものになるわけですが、ほかの県の関係者からは、いや今度はうちも二割になるんじゃなかったかということで、今回のこの改正案ではかなり失望の声が上がっております。  この二十年間の被害率を見ますと、愛知県や滋賀県、それから、さらにこの十年間では神奈川県や埼玉県や和歌山県なども北陸四県に次ぐ被害率の少ないところになっております。各県から二割足切りにしたいという希望があれば、農水省としては積極的に対応すべきなのではないか。四県に限定する前に、全国的な希望を聞いてやるべきではないかというふうに思うのですね。  もちろん、二割足切りということになると、その分掛金の率が高くなりますという説明は受けているわけですけれども、それでも二割足切りの方がいいと選択する組合などがあれば、当然それは希望を聞いて選択肢の中に入れるべきではないかというふうに考えるわけです。  同時に、この三割足切りの適用を、水稲の一筆方式だけではなくて、果樹共済の半相殺だとか畑作物の半相殺にも今は適用されているわけで、これらの生産者からも足切りの率を低めてほしいという要望がやはり出されているわけですから、この足切り改善について、被害実態だとか生産者の実態に即した見直しが求められていると思いますので、こういう要望にぜひ積極的にこたえていただきたいと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  121. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 水稲の足切り割合でございますが、現在一筆方式で三割ということに設定されておりまして、確かに、お話しのとおり、農家にとってみれば、この足切り割合は低ければ低いほどいいということではございますが、現在の制度上、この三割ということで、被災した農家に対する補償に対しましては十分対応できているものと考えております。  しかしながら、地域によりましては、肥培管理技術が向上したとか、あるいは耐冷性品種が普及したとか、また圃場整備が進展したということで、被害率の低下が著しくて、農家が支払った共済掛金に対します共済金の支払い割合が極めて低い水準で推移しているという例もあるわけでございます。特に、お話にもございましたが、北陸地方でございますが、地勢等の要因から冷害とか台風の被害も少ないということでこういった傾向が顕著になっております。  こうした状況を踏まえまして、現在の足切り割合の水準を基本としながら、水稲共済の過去の共済事故発生状況とか、あるいは組合としての収支の状況等を踏まえまして、一定の基準に適合する組合等を対象としまして特例措置を講じまして、これまでの掛金負担と共済金支払いの差を調整しようという趣旨でございます。  したがいまして、そういう特別の事情がない組合等に対しまして足切り割合を見直すということはなかなか難しいのではないかと考えております。
  122. 中林よし子

    ○中林委員 昨年六月の農業共済新聞を見ますと、農水省の農業災害補償制度検討委員会の実務者検討会ということで、いろいろな意見が出ていて、組合などを単位に、現行七割補償から八割補償とすることができるよう選択制を導入する方向で見直しを行うべきであるという意見が非常に多かったと報告されているわけですよ。だから、選択肢としてそういうこともぜひやってほしいという意見だと私は思うのですね。  だから、農家としてみれば、もちろん足切りされれば当然掛金率は高くなるということを承知の上でやるんならば、それは選択肢としてあっていいんではないかというふうに私は思うんですね。  水稲の場合、これは農水省に試算していただきましたけれども、足切り割合を二割として試算した場合、農家負担の共済掛金がどのくらいになるかというのを出していただきました。これを見ますと、現在千円未満の足切りのところを、三割で足切りのところを二割にした場合は、大体千五百円以内ぐらいの掛金になるわけですね。そうすると、私は、農家の負担にとってみても、このぐらいならばというのは当然出てくるのではないかと思います。  もちろん、今度の改正の低被害率の北陸四県では、掛金率はそのままに置いてということになっているわけですけれども、しかし、災害のときの補償の割合を、みずから、では八割に引き上げてほしいということになると、当然自分たちのリスクもそれに伴うんだということを組合単位で自覚していくならば、そういう選択肢もあって当然ではないかと思うんですけれども、これは今後、検討課題にはなり得ないのでしょうか。
  123. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 今回の制度見直し、足切り割合の見直しの趣旨が、先ほど申し上げましたように、被害率の状況がどうであるということももちろんでありますが、それだけじゃなしに、過去におきます掛金の負担と共済金の支払いの状況、そういったことも踏まえて実施するものでございますので、単に被害率が高いから、あるいはまた掛金率が高くなってもいいからということで選択制というのは難しいのではないかと考えております。
  124. 中林よし子

    ○中林委員 難しいという御答弁では、なかなかそれぞれの共済組合の単位の農家の人たちは納得できないと思いますので、今後、北陸四県が今度の改正に伴って二割足切りになるということの推移も見ていただきながら、ぜひこれも検討をしていただくよう要望しておきたいと思います。  次に、果樹共済についてお伺いしますけれども、果樹共済については、現在、加入率が二五%ということで、極めて低いです。一層効果的で経営安定に役立つという改善がこれには求められているんじゃないかというふうに思うわけですね。  果樹にかかわっては、米や麦と大きく違うことは、価格が非常に不安定だということで、いわゆる豊作貧乏、あるいは逆のことが頻繁に繰り返されるところにあるわけです。それだけに、果樹農家からは、従来型の収穫、収量を基準とするやり方から、もっと収入の変動に見合う収入保険的なやり方への改善要望が出されております。  現行でも、果樹災害収入共済方式があるわけですが、果樹共済加入の三分の一がこの共済加入だというふうに聞いております。今回、この方式が試験的に麦に導入されるということになっているわけです。量と質の両面から損害を補償するという点では、被害実態に即応した改善策だと思います。こうした観点から、果樹共済について言うならば、所得補償的なものの改善が一層求められる。農家負担の軽減、足切りの引き下げなどを進めれば、現在二五%などという低い加入率から改善が図られるのではないかと思うわけですけれども、果樹共済の今後の促進方の改善策、何かお持ちならお答えいただきたいんです。
  125. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 果樹共済でございますが、お話しのように、ほかの共済事業に比べまして加入率は低い状況にございます。したがいまして、私どもとしましても、これまでさまざまな制度改善、手直し等を行うことによりまして、加入率の向上に努めているところでございます。  例えば、農家の選択制で特定の事故による損害のみを対象にした掛金の安い方式でありますとか、あるいは、農家の不公平感を解消いたしますために、共済事故発生状況に応じまして、被害の少ない農家掛金率を低くするような方式でありますとか、また、農家ニーズに応じた対象樹種の拡大等に努めてきているところでございます。  今後とも、農家の実際のニーズを踏まえながら、加入率の向上に努めていきたいと考えております。  ただ、御指摘の中に一部ございましたが、果樹共済におきまして、現在のような災害に関連づけた共済ということじゃなくて、災害に関係なしに収入の減少を補てんするような、いわば所得補償的な共済というアイデアもあるわけでございますが、これにつきましては、いろいろ保険の設計上なりあるいは実際の事業の実施上問題がありまして、なお今後とも勉強すべき課題であろうというふうに考えております。
  126. 中林よし子

    ○中林委員 これは果樹だけではありませんけれども、平成四年に「農業共済事業の普及推進について」というのが、五局長の名前で各都道府県知事あてに出ているわけです。これを見ますと、いろいろな事業をやるんだけれども、その目的に即して、農業共済への加入状況を事業採択上の判断要素とすることとして、事業の実施に際し農業共済への加入を指導することにしたというのがありますね。  岡山県は、桃やマスカットの産地になっているわけですが、その農家果樹共済にほとんど入っていないんですね。それで、一体なぜ入れないのかというようなことで、いろいろ実情を聞かせていただいたんです。そうしたら、これは桃をやっているところですけれども、岡山市の一宮農協というところは、選果場をつくるときの一つの条件が果樹共済に入るということだったんですね。  そこで、一宮農協は入りましたが、全員入っているわけじゃない、ぎりぎり最低の人で、本当にわずかしか入っていないということです。では、どういう人が入ったんですかと言ったら、役員が入らざるを得なかったということなんですね。だから、今まで入ってないんだけれども、選果場の設置ということに対して泣く泣く入ったというような感じだったんです。  そういう意味では、こういう政策的な誘導がいいのかどうかというのは、私自身もまだ判断に窮するわけですけれども、桃だとかマスカットなど、本当に岡山の特産とされている果物をつくっていらっしゃる農家の方々の具体的な要望がそのとき出されました。  例えば、桃の生産なんですけれども、清水白桃という一番高級品とされている白桃をつくっているところは、六月中旬にかけて雨が集中したときはかなりの量の生理落果があるんだ、こうおっしゃいました。生理落果というのは、一般的にあるものだけれども、この清水白桃については、雨が集中的に降ったときにはその生理落果というのが特徴の果物だということをおっしゃっておりました。  ただ、品質特性としての生理落果が災害補償対象にならないんじゃないかと皆さんが懸念されているわけですけれども、その点は災害補償対象になるのかどうかということが一点で、ぜひさせてほしいということです。  それからもう一つは、観光農園の問題がございます。観光農園をやっているところは、観光客が入る前に災害認定がされていれば果樹共済に入ることができる、こういう説明でございますけれども、しかし、実際に観光客が入り出してから台風が来るとかいうようなことで災害が起きるケースというのもたくさんあるわけですね。そういうときにも、ぜひ果樹共済の災害認定にそれも入れていただきたいということなんですけれども、検討していただけますでしょうか。
  127. 竹中美晴

    竹中(美)政府委員 まず初めに、生理的落果の問題でございますが、生理的な落果とは、これはごく普通にあるところでございます。  果樹共済におきましては、この生理的落果を考慮した過去一定年間の収穫量から、いわゆる平年の収穫量であります基準収穫量を算定いたしまして、この基準収穫量から一定の収量の減少等が生じた場合に共済金が支払われる仕組みになっておるわけでございます。  そこで、果樹共済におきましては、通常の生理的落果は基準収穫量の算定の際に考慮をされておりまして、共済事故とはならないわけでありますけれども、先ほどお話ございましたように、例えば長雨等の自然災害に起因して通常の生理的落果を上回るような落果が生じた、そういった場合には補償対象になるものでございます。  それから、観光農園のお話がございました。これにつきましては、一般的には損害評価が難しい面がございまして引き受けの対象から除外しているわけでございますが、一般の観光客の入園前に調査をするということを条件に引き受けを行っているところでございます。したがいまして、収穫時期に、観光客の入園を開始する前に被害状況の調査を行ってもらう必要があるということでございます。  観光農園に観光客が入園した後の被害につきましては、その被害が自然災害によるものなのか、あるいは観光客がもぎ取ったことによるものか、その区別がつかないというような問題がございまして、損害評価が難しいので補償対象にすることはできないということでございます。
  128. 中林よし子

    ○中林委員 観光農園の人は、それは非常に簡単なことだとおっしゃっているんですね、被害の認定は。自分たちはごまかすつもりも何もないので、ぜひということを言っておりました。また、観光農園をやっている人は非常に前向きの人たちばかりでございますので、実情を把握していただいて、改善の方策をとっていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  そこで大臣、この共済の問題で、実は北海道のこれは共済の役員をしている人からの生の声として上げられているんですけれども、ここ五年間、麦の作柄が悪くて被害が大きい、麦共済だけでは全額支払うことができず、ほかの共済から流用して何とか支払った。麦以外は借金をしていないので、無事戻し金を取り崩してそこから支払う。いずれも、組合員に必要な全額が支払われない状況になっている。理由は、国庫負担が下げられているというようなことで、ぜひ国庫負担を多くしてほしいという要望が私のところに寄せられました。  調べてみましたら、例えば水稲は、昭和三十九年、六二%の国庫負担が、平成六年には五〇%に下げられているということで、全体から見ればかなりやはり国庫負担が削られているという経緯があるわけですね。  今、農家戸数も減ってきて、それでも意欲的に農業をやっていこうと言っている人たちに、せめて災害があったときの補償政策として、もちろん農家も負担しているわけですから、国庫負担を引き上げていくという前向きの検討をぜひ求めたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  129. 中川昭一

    中川国務大臣 北海道の幾つかの組合の一部の作物につきまして、支払いが通常に行われなくて、支払いが不足になっているという事実は、私どもも承知をしております。  一方、この災害補償制度というのは、あくまでも農家同士の共済という相互扶助が原則でありまして、しかし災害対策の一環、つまり生き物、自然相手ということでございますから、自然災害の影響を受けやすい農業の特質があるから、負担軽減という観点から、特に国がその共済掛金の一部を国庫負担しているわけであります。  現在におきましても、その国庫負担も掛金の五割から五五%、半分以上ということでございますから、私は高い比率だというふうに考えております。農業の体質あるいはまた農作物自体の体質の強化等々の方向性も目指しておるところであり、また財政状況もございますから、これをさらに引き上げるということについては、現時点では困難というふうに申し上げなければならないと思っております。  なお、麦につきましてお話がありましたが、麦につきましては、今回は量的な原則だけではなくて品質の面でもひとつ対象となるように制度改善しておりますので、麦については大幅な改善というふうに御理解をいただきたいと思います。
  130. 中林よし子

    ○中林委員 続いて、次の森林開発公団法の一部を改正する法律案に入りたいわけですが、その前に、私は森林開発公団法の一部を改正する法律案そのものが日本森林を育成していくということが基本になければいけないということで、その大前提として国有林のあり方そのものも問われていると思います。そこで、この法案審議に入る前に、帯広市内のやまりんの国有林盗伐事件でお聞きしたいと思います。  昨日、初公判があったと報道されているわけですけれども、法務省に来ていただいておりますが、この起訴事実の要旨、この事件の全体像、それを明らかにしてください。
  131. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 お尋ねの事件につきましては、釧路地方検察庁におきまして、平成十一年二月十三日及び同年三月七日、帯広市内の造材会社やまりん株式会社の庶路営業所長及び同営業所現場責任者の二名を、まず第一は、平成八年十月から平成十年一月までの間、国有林の森林内においてトドマツ等、合計千三百六十六本、時価合計千三十二万五百七円相当を伐採、搬出して、森林の産物を窃取したという森林法違反の事実、それから第二に、平成八年十一月ごろ、盗伐の事実を隠ぺいし、正規に伐採したものであるかのように仮装するため、白糠営林署の森林官から営林署長管理の極印を不正に借り受け、盗伐根合計百三十九本に打押して、公記号を不正に使用したという公記号不正使用の事実で釧路地方裁判所に公判請求しております。また、同営林署の森林官一名を、今申し上げました第二の方の公記号不正使用の共犯として同裁判所に公判請求しております。  また、同地方検察庁は、別の森林官一名を単独で、平成十年二月ごろ、同会社の前記営業所長らの盗伐の事実を隠ぺいし、正規に伐採したものであるように仮装するため、盗伐根五十四本に極印を不正に打押した公記号不正使用の事実で同裁判所に公判請求しております。  現在、これらの事件は、いずれも公判係属中でございます。  以上でございます。
  132. 中林よし子

    ○中林委員 昨日、初公判がありまして、それを見ますと、今法務省から報告された以上に、検察側が提示した中身というのはさらにひどいものだったというふうに報道をされております。例えば、盗伐されたトドマツなどは五倍に当たる七千二十六本に及ぶ。それから、被害額が一千万余りという報告でしたけれども、これもやはり五倍に当たる五千七百十五万七千円という事実が明らかになりました。  だから、もうこれは国有林を管轄する農水省として、林野庁として、本当に大変な事態になっているということを認識していただかなければならない、その全容を明らかにすることは非常に大切だというふうに思います。  特に、起訴事実を今明らかにしていただきましたけれども、公記号不正使用の問題での起訴ということは、盗伐木を支障木に見せかけて犯行を隠そうと企てて、森林官から借り受けた極印を盗伐木に押したという容疑にかかわるものですよね。しかも、白糠町の盗伐は保安林だ。山崩れなどを防ぐ土砂流出防備林として農水大臣が指定した国有林十林班の六百七十八本に当たると報道されているわけですね。森林法によると、普通の無断伐採が三年以下の懲役または三十万円以下の罰金なのに対して、保安林はそれぞれ五年以下、五十万円以下と罰金も重いわけです。同管内の木材業者は、保安林は太い木が保護されているので盗伐は金になる、こう話しているわけですね。まさに悪質きわまりないというふうに思いますけれども、農水省、この事実は間違いないですか。
  133. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 先ほど法務省からお話がございましたように、昨日、第一回の公判がございました。私どもは、これは昨年の五月でございますけれども、この時点で、一昨年の十一月から十二月ごろの間に盗伐があった事実を確認いたしまして、その後、地検の指導のもとに捜査を実施してまいったわけでございます。  私ども、今回のような事案、まことに遺憾であると考えておりまして、本年一月二十七日に、大臣の御指示のもとに、事務次官を長といたします国有林の販売業務の適正化検討委員会を設置いたしまして、現地の調査や、また専門家の意見聴取等々を重ねまして、四月二日に「国有林販売業務の適正化方策について」という、これは中間取りまとめでございますけれども、これを取りまとめさせていただきまして、販売業務の適正化と、また盗伐に対する制裁措置の強化等の再発防止策を講ずることとしたところでございます。さらに、本年度、全国的な特別監査を実施いたしまして、また、さらに必要な改善措置や販売業務の適正化のために万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
  134. 中林よし子

    ○中林委員 保安林のその事実関係は間違いないですか。
  135. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 保安林内についても盗伐があったということは聞いております。
  136. 中林よし子

    ○中林委員 今言われたように、農水省自体が、重大な事態だということで国有林販売業務適正化検討委員会というのを設置されて、報道されている以外にも、前橋だとか青森の三営林署を調査したと報道されているわけです。帯広で起きたことはほかでもあると疑う人がいても不思議ではない、こういうふうに言われております。  今、再発防止のために中間取りまとめをやったんだと御報告があったわけですけれども、極印の不正使用も含めて、検討委員会が全国的な実態調査を行って、国有林管理の体制と運用方針について抜本的な見直し、検討を行う必要があると思いますけれども、それはいつごろまでにやられるつもりですか。
  137. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 私ども、本年一月から四月まで、これはできるだけの現地調査あるいは専門家の方々の意見聴取等も行い、厳正な適正化方策を取りまとめたつもりでございますけれども、本年度、さらに全国的な監査を実施することにいたしております。北海道につきましては、現場調査のためには雪解けを待つ必要がございますけれども、本年度、全国的な調査を行い、その結果に基づいて必要な改善措置や、また今後の事故防止の徹底を期したいと考えております。
  138. 中林よし子

    ○中林委員 ぜひその調査結果は当委員会にお示しいただきたいというふうに委員長要望しておきます。
  139. 穂積良行

    穂積委員長 理事会で相談いたします。
  140. 中林よし子

    ○中林委員 それで、実は盗伐の問題で、平成五年、六年、七年、八年、九年、一体どのくらいの事故報告があったのかということで林野庁に資料を要求いたしましたところ、私は今回が異例のことかと思ったら、日常茶飯にかなりの量が行われているということで、もうびっくりいたしました。  この五年間に七十六件、五年間で総額一億七千四百三十一万八千円、これだけの盗伐被害が、林野庁がつかんでいるだけでもあるということで、それ以前のことはわからないということでございました。だから、そういう意味では、ここに取りまとめをされて、今後の再発防止の報告が出ておりますけれども、これでは私は極めて不十分だというふうに思っております。  特に、天下り問題、これはこういう盗伐問題を起こす一つの大きな原因になるということで、皆さんのお手元に資料をお配りしております。二枚ありますが、一つは、今回問題になっている国有林からやまりん及び関連会社への就職の状況です。それから、もう一枚は、帯広支局の管内での、それ以外の木材関連会社への再就職の状況です。これを見ていただきますと、例えば、やまりん関係のCの方、これは元阿寒営林署長の場合なんですけれども、一九九六年に退職をして、社員としてまず入社して、それから再就職制限期間の二年間を経た後、役員になるということで、規制の網の目をくぐるような処遇ぶりになっております。人事院は、役員でも社員でも、在職中の職務に関係した企業にすぐ再就職するのは好ましくない、こういう指摘をしております。  また、九八年三月に退職して、翌四月にアルバイトで、これはEの方になるわけですけれども、アルバイトで入って数カ月後に正社員となった事務職員、これは営林支局長の承認を受けておらず、国家公務員法に違反して、記者会見した林野庁の荒木喜一郎管理課長も同法違反を認めた、これは北海道新聞で報道されているんですけれども、この法違反は事実でしょうか。
  141. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 ただいま御指摘のアルバイトで就職した職員でございますけれども、これは、営林支局の係員を定年退職いたしまして、アルバイトで再就職することになったわけでございます。その際に、営林支局に本人は届けましたけれども、営林支局の判断として、アルバイト的であれば差し支えないとした判断を下しました。これは人事院の規則上誤っておりまして、この営林支局の誤った判断によって承認手続を受けずに就職したものでございます。  このため、誤った判断を行いました営林支局の管理第三課長のほか、分局長及び総務担当の業務管理官に対しまして、平成十一年三月十日付で厳重注意処分を行ったところでございます。
  142. 中林よし子

    ○中林委員 公務員法違反までしてこういうことが常時やられているということについて私は本当に深い憤りを感じざるを得ません。  報道によりますと、やまりん以外の木材関連業者に実は二十一人天下っているという報道もあるわけですが、林野庁の方に資料を求めたところ、平成六年以前はわからないのでここの十人だということになっているわけですけれども、非常に常識外れの天下りが、今のような不正を起こしたり盗伐を起こすという大変な事態、国有財産をこういう形で盗まれるというような状況を引き起こしていると思うんですね。  それで、複数の業者によると営林署の発注は、役所が自由に業者を選ぶ随意契約が多いため、OBは調査役で来てもらっている、OBがいると仕事が進む、これが三月八日付の北海道新聞で報道されております。  また、きのうの初公判でも、いい木を適当に切れというふうに営林署員が露骨に言っているという大見出しで出てきております。これは、いい木があれば切る、営林支局OBが再就職で会社にいれば後輩の営林署員もかたいことは言わない、まあこういうふうに言われております。  さらに、ある木材会社の場合、OBが辞職したところ、同支局から随意契約を三〇%減らすとの通告を受けた。社長が支局幹部に別なOBを受け入れたいとかけ合うと、三〇%が一〇%で済んだ。この会社は、山で営林署員は大目に見てくれる、こういうふうに言っている。これも北海道新聞の報道ですけれども、そういうふうに言われております。まさに、こうした天下りが今のような大変な癒着構図を生み出しております。  それで、このやまりん関係も、それからやまりん以外の関係の天下りの実態を見ていただくと、これは本当にきれいにですけれども、退職年月日と再就職の年月日、ちょうど一カ月のずれできれいにみんな就職しているという実態なんですね。ということは、大体もう退職前に約束が取りつけられている証拠ですよ。こんなにきれいにいきませんよ、今のような就職難のときに。しかも、みんな年齢がちょうど五十五前後を経てやっているということですから、この天下りが今のような不正を生み出していく構図になっております。  では、中間取りまとめでその天下りはどうするのかということを見てみると、不正事件発生企業への再就職は控えさせる、この程度なんですよ。これでは、二年たてばもう後は御自由にということになりかねない。  それで、不正事件が発生したやまりん関係だけかということになると、今までの盗伐の五年間の事例を見ても七十数件に及んでいるということになれば、私は、天下りというのは関連業者には禁止する、天下りを禁止するということは、やはり今度の事件を経て林野庁としてもこういう厳しい姿勢で臨む必要があると。問題は国有財産なんですからね。そのぐらいな厳しい措置が必要だと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  143. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 不正事件を起こしました企業に対する再就職につきましては、今回の改善措置で明らかにいたしましたように、国有林野事業の職員の再就職を控えさせることにいたしております。これは、当該企業及びその関連会社も含めてこのような措置を講ずることにいたしたものでございます。  しかし、国有林野事業の職員の再就職につきましては、これは、これらの職員の憲法二十二条に基づきます職業選択の自由にも関係する事柄でございますし、また、職員の持っております林業等に対する専門的な知識や技術、経験の活用という面も持っておりますので、営利企業への再就職を全面的に禁止することは困難であると考えております。しかしながら、営利企業への就職につきましては、国家公務員法の厳正な遵守に努めまして、国家公務員法の認める範囲内でこれを行わせることといたしまして、いやしくも誤解を招くことのないように私ども努力してまいりたいと考えております。  それから、随意契約のお話がございましたけれども、これも今回の改善措置で明らかにいたしておりますとおり、原則として平成十二年度末までに廃止し、一般競争入札に移行することといたしておりまして、私どもは、これは業界にとっても、また私どもにとっても画期的な措置であると考えております。
  144. 中林よし子

    ○中林委員 公務員法で遵守すればできる、だったらできていたはずですよ。それができていないからこういう事態が起きている。それは、再就職の二年間という法の網の目をくぐって、二年たったらみんな、みんなでもないけれども、かなりの人たちが役職についているわけでしょう。もうそういう構図がちゃんとここにあるということを考えたときに、事件を起こした会社へは禁止するんだというぐらいなことでは、私はやはり再発防止に効果的ではないと思います。  そこで大臣に、今回の事件並びにこういったものがはびこっていく、それは一体どこに原因があり、これから教訓を得てどうされるおつもりですか。
  145. 中川昭一

    中川国務大臣 今回のこのやまりんの事件につきましては、農林大臣として極めてけしからない事件であり、また、私の地元でもございますので、そういう意味で私自身極めて重大な関心を持って推移を見守っているところであります。  先ほど長官からも答弁ありましたとおり、一月七日に二人が書類送検をされた段階で、省内で二度とこういうことが起こらないように、また、国有林の販売のあり方について抜本的な見直しを行う委員会をつくれということを命じ、事務次官がその責任者になったわけであります。林野庁だけではない、農林水産省全体の問題として今その作業を進めておるところであります。四月二日に中間取りまとめを行い、先ほどお話しありましたように特別監査を実施するわけでありますが、北海道はまだまだ山間部においては厳寒であり、そしてまた積雪が多い状況でございますので、調査に入れる状況になり次第早急に、できるだけ高いレベルの職員を派遣して、徹底的な調査をしなければならないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、この国有林販売業務適正化検討委員会の四月二日の報告というのは、あくまでも現時点、先ほどの裁判公判中でもございますし、まだまだ全容解明に至っていないという認識を私自身は持っておりますので、徹底的な全容解明と、二度とこういう事態を起こしてはならない、先ほど先生指摘のように、国有財産とそれを買う側との問題でございますから、これは買う側だけの問題ではない、我々の方にも正すべきこと、また修正すべきことがあるのではないかというふうに考えておりますので、この委員会において全容解明と一体となった、二度とこういう事件が起こらないように、また国民の信頼を失わないような国有林販売行政が行われていくように、徹底的に私自身省内で今督励をしておる状況でございます。
  146. 中林よし子

    ○中林委員 私は、大臣、今のこれに対応する再発防止のさまざまなことや、それから今後も調査を全国的にやるというのは当然のことだと思うんですが、その背景に、やはり国有林に対する整理統合など、昨年法案審議法律になりましたけれどもやりましたよね。私は、そういう営林署の統廃合だとか人員の大幅削減だとか、あるいは極印の管理を公益法人に任せていくというようなことを決めたんだけれども、そういうことが実はこういうものを生み出すもう一つの原因になっていると思うんですよ。  というのは、報道によりますと、支障木なんかを切らなきゃいけない、それもいい木は金にしていかなきゃいけないという問題なども、職員の数がなくて合理化の中で実は勝手にやってくれみたいな感じになっているという声が出てきております。しかも、国の財産を売る極印を公益法人に渡すなどということは、もう決まりましたけれども、国が持っていてもこういう事態が起きているわけですから、これが公益法人、民間任せになっていくと、幾ら公務員法をそこに適用していくんだと言われても、それは国の管理よりもさらに緩いものになりかねないと思います。  したがって、今回の事件は、私が昨年国有林の問題で質問をしたことが、その危惧が当たっているというふうに思って、改めて営林署の統廃合と人員の削減、国有林事業の民間委託方針、これを抜本的に改めていくということを強く求めたいと思います。  法務省の方、もう結構でございますのでお帰りいただいてよろしいです。ありがとうございました。  そこで、森林公団法の問題に審議を移したいと思います。  森林公団の問題ですけれども、今求められているのは、林業農業をここまで深刻な危機に陥れた政府の責任を反省して、その上に立った誤った政策の根本的な転換だというふうに思います。  特に、今回の法案が行革関連法案だ、こういう名目がついているわけですが、そうであればあるほど、浪費的な事業の思い切った削減で農業振興やあるいは森林振興に役立つようにすること自体が私はやはり求められていると思います。  そこで、大規模林業開発林道事業、これについてまずお伺いしたいと思いますけれども、この事業の目的は何なのか、それから、最終的にはこの計画の事業費は幾らに達すると見込んでいるのか、それについて、数字だけですので簡単にお答えください。
  147. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 大規模林道の目的でございますけれども、これは、地理的条件が悪く、かつ豊富な森林資源の開発が十分に行われていない地域において、林道網のうちで骨格となる林道を整備する事業でございまして、この林道森林整備や林業活性化の基盤になるとともに、都市に比べてさまざまな不利な条件のために、過疎化、高齢化に悩む中山間等の農山村の生活や産業活動のための交通手段としても重要な役割を果たすものでございまして、地元からの要望に基づいて事業を開始し、事業の推進についても地元から強い要望が寄せられているところでございます。  総事業費でございますけれども、約一兆円と見込んでおります。
  148. 中林よし子

    ○中林委員 今おっしゃった事業の最初の目的は、雑木林の人工林化、人工林を植えていくということだったと思うんですけれども、それの長期目標は既に九〇%を超えて、私は目標は達成しているんじゃないかというふうに思うんですね。  二十六年前から始まっているこの事業ですけれども、三十二路線で二千二百キロメートル余りということで、完成したのは一路線だけだとお伺いしております。しかも一兆円だという大変な事業ですよね。  森林開発公団の事業の変遷というのを資料をいただいたので見ましたら、昭和三十一年から始まっておりまして、森林公団法がいろいろ改正されるにつれて、最初は熊野・剣山地域林道事業ということだけだったのが、関連林道事業に変わり、それから水源林造成事業が加わり、昭和四十年にはあの批判の強かったスーパー林道事業というのになって、それから昭和四十八年に今言っている大規模林業開発林道事業というようなものに変わってきているわけですよね。森林公団が、一つの事業が終わりそうになる時期にまた新たな業務を加えていくということです。  一九六五年三月十日の森林開発公団法の一部改正のときの農林水産委員会で、当時赤城農水大臣だったわけですけれども、こういう答弁をされております。「十八条の業務が終了して、第一条の目的を達成した、もう用がないということであれば、筋からいえば、この森林開発公団法というものは、不要に帰するといいますか、要らなくなることだと思います。」ということで、もう目的達成したら要らないんだと言ったんですけれども、次々と、この変遷に見るように林道事業が拡大されてきた、そして延命されてきたというふうに思います。  一九七三年に林野庁長官と建設省道路局長との間で大規模林道が道路行政を多元化する事業でないと確認書が交わされております。ということは、そもそも林道の枠を超えた道路であるからこういう確認書が交わされたんだというふうに思うわけですね。  だから、こういう歴史的な経過を見ても、第一条で掲げられている、先ほど言われたこの事業の目的も終了してきているし、当然、私はこの事業の見直しあるいは中止というものが求められていると思いますけれども、いかがでしょうか。
  149. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 大規模林道地域林道網の骨格となる林道、いわば中心的な林道でございまして、林業生産の基盤として大変重要な役割を持っております。  林業生産は、単に造林で完了するわけではございませんで、その後、このアジア・モンスーン地帯の森林で特有な施業が必要でございます。下刈りを数年間、また、枝打ち、つる切り等々を実施しないと森林が立派に、健全に育ってまいりませんし、また、二十年、三十年と経過いたしますと、間伐をして、さらに森林を五十年、六十年と立派に育てていく必要がございます。さらに、五十年、六十年、あるいはそれ以上になりますと主伐の時期になるわけでございますけれども、こういったずっと継続する山の仕事を実施するためには、なお林道というのは大変重要な事業でございまして、今、欧米に比べて林道の普及率が日本はまだ三分の一という水準にございまして、こういった、林道密度がまだ不十分であるということが、林業生産コストが欧米に比べて割高になっているという原因の一つでもございます。  こういった森林の作業を目的とする林道であるとともに、過疎化、高齢化に悩んでおります農山村の方々の生活の利便のため、また地場産業等の産業活動のための交通手段としても重要な役割を持っているわけでございまして、先ほど道路局との覚書のお話もございましたけれども、私ども、道路局とも連携をとりながら、効率的な道路網の整備に、これは林道を含めて努力しているところでございます。  このような林道につきましては、これは地元負担があるわけでございますけれども、地元からの強い要望に基づいて事業を開始したところでございます。現在も、それぞれ事業の進捗度合いに応じて、実際に実用化されている地域はたくさんございます。現在も、事業の推進について地元から強い要望が寄せられておりますとともに、今既に事業効果が発揮できている大規模林道については、これによって、林業生産の活性化や地域の生活の利便のために大変効果があるという農山村、中山間地域の実際の住民の方々からの喜びの声も私どもいただいているところでございまして、今後とも、大規模林道につきましては計画的に、この公団の重要な、柱の事業として推進してまいりたいと考えております。
  150. 中林よし子

    ○中林委員 地元から喜びの声が上がっているというふうにおっしゃいますけれども、林道ということがわかりにくい林道なんですね、この大規模林道は。それは公道と公道を結んでいるということで、高速道路並みとはいかないけれども、七メートル幅ということになりますと、かなりの幅です。私も、今回資料をいただいて、中国地方には中国山地を通るのと山陽筋を通る二本の大規模林道の計画がありまして、私が住んでおる島根県でもあるわけですね。聞きましたら、林道と思わなかったと言うんですよ。ある町とある村を結ぶのに、いわば県道だとか、それに匹敵する道だというふうに思っていたというわけですね。  そうでなくても今林業は大変な状況になっていて、林業家からそういう要求が出た話は聞いたこともない。むしろ、さっき言われた、山村の皆さんの生活を便利にするためという要素も入っているとおっしゃるんだけれども、そうであるならば、本来は県だとか自治体あるいは建設省関係、そこがやるべき仕事を、何で農林水産予算の中でこういうことをやらなきゃいけないのか全くわからないと私も思いました。この地図では非常にわかりにくいんですけれども、公道と公道を結ぶ範囲で、林道のところは短いです。公道がずっと通って、つないでいないから林道でつないだ。林業に資するためじゃないですよ。本当に目的から大きくそれてしまっていると思います。  現に、きょうも同僚議員の話を聞くと、第一次臨調でも第二次臨調でも行革の対象になってきているという話がありましたが、とりわけ第二臨調の特殊法人等の整理合理化の中で、大規模林業開発事業については、現行の林道開発計画を見直し、開設延長の短縮、林道の構造、規格の改定を行うとともに、投資効果の早期発現の見地から、原則として新区間の着工を見合わせるという指摘がされております。これが一九八三年です。  それ以降、では大規模林道の着工があったのかないのかと調べてみましたら、それ以降も、これだけ指摘がされているにもかかわらず、着工されているんですね。平成六年、平成三年、平成五年、平成四年、平成三年、平成六年、平成三年というぐあいに着工されているという状況ですよ。だから、第二臨調のときでさえもこういう指摘がされているにもかかわらず、こういう大規模林道というものが進められていること自体に、私は浪費の構図を見る思いがいたします。  そこで、平成十年に、こういう大規模林道事業において再評価をするということで、実は八区間で検討しているわけですね。この八区間の検討の中身を私見せていただきました。そうすると、中止というのが一区間、休止というのが二区間、それから計画変更というのが一区間なんですね。八区間中四区間、半分が、いわば継続にはなっていないわけですよ。だから、見直し作業というのがいかに大切か。  その理由は、自然環境に影響を及ぼすと予測されるとか、かなり環境問題がいろいろ出されてきているので、休止で様子を見るとか、中止をせざるを得ないとか、こういう結果になっているわけですね。そうなると、本来森林の持つ意味合いというのは環境保全だ、国土保全だと言いながら、この大規模林道が果たしている役割は、逆に、自然破壊だ、環境破壊だ、林業には資していないということにつながるのではないかと私は思うんですね。そうなると、この再評価作業というのは非常に重要だと思います。  残りの区間ですけれども、年次的におやりになるんでしょうけれども、そうは言っておられない。ましてや行革関連だ、国のむだを省こうと言っているときですから、私は早急に、何年かけてというんじゃなくて、ことしじゅうにも残りは再評価すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  151. 中川昭一

    中川国務大臣 大規模林道によって地域が喜んでいない、あるいは経費のむだ遣いだという先生のお考えはよくわかりました。しかし、私どもは決してそうだというふうには理解をしておりません。  まず、そもそも、林道でありますから、森林施業のために必要不可欠な、本来であればけもの道みたいなところを苦労して大木を運んでいくようなことを、作業条件を少しでもよくしていくという本来の目的があり、そしてまたそこに住んでいる方々、あるいはまた、そこでこれからまた農地等々との一体的な意味での多面的な機能を果たすために必要不可欠な道路としての林道役割というのは、私は、そういう過疎地域、山村地域であればあるほど重要だと考えております。そういう林道の骨格としての大規模林道役割というのは、我々は今後とも重要だと考えております。  しかし、こういう情勢でありますから、我々も過去、先生指摘のように、三区間の休止、中止、事業の縮小、あるいはまたコストの三年間での一割削減等々に取り組んでまいりましたし、今後緑資源公団を発足した後も、事業の再評価の的確な実施でありますとか、費用対効果分析の活用、計画的なコスト削減、さらには環境の問題とか、あるいはまた森林施業が行われなくなったような地域における林道のあり方等々、時代の要請、あるいはまた、我々も環境というものに十分配慮をしながら、しかし、本来果たすべき、林道があることによる林地あるいはそこに混在する農地の多面的ないろいろな機能の発揮のために、大いに役立たせていきたいというふうに考えております。
  152. 中林よし子

    ○中林委員 時間が参りましたので、終わりますけれども、林道全般ですけれども、一メートル当たり単価が大体平均二十万円。今、本当に林業を前向きにやっている人たちは、むしろ作業道に力を入れてほしいと。この作業道は、一メートル大体千円とか二千円の単位でできる。林野庁の資料でも二万円でできると。十分の一以下ですよね。  だから、そういう意味では、こういう本当に予算が限られている中で、森林に資するという目的を達成するならば、本当に林業家が求めているものに政策転換をしていただくということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  153. 穂積良行

    穂積委員長 次に、前島秀行君。
  154. 前島秀行

    ○前島委員 最初に、森林開発公団関係法の改正にかかわる問題について質問をしたいと思います。  今度の法改正で、農用地整備公団が解散になって、森林開発公団に吸収といいましょうか、緑公団となる、この構造はいいんですが、その中で、農用地整備公団の解散、その事業内容の変化でありますが、農用地整備公団の大きな仕事の部分であった農用地総合整備事業それから農用地等緊急保全整備事業それから濃密生産団地建設事業という、この三つの部分が、今計画中だとか調査中のものは引き継ぐけれども、今かかわっているものが終わったときにはこの事業は終わり、そういう取り扱いということになっているんであります。  そういう取り扱いにした根拠といいましょうか、理由というのは一体どういうふうに理解していいのか。その辺のところをまず最初にお聞かせいただきたいと思います。
  155. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 特殊法人の整理合理化の一環として農用地整備公団を廃止することとなりましたが、御指摘のとおり、現在、各地で現に事業を実施しているものが、その三種類の事業を通じまして、二十一地区、それから調査中のところが十地区、合計三十一ございます。事業実施地区ではもうまさに工事をやっているわけでございますので、これは早期に完了を図るということが不可欠でございます。調査中の地区につきましても、これは事業を実施することを前提として、地域でそれぞれ、合意の形成あるいは意向の集約、そして各種の準備が行われております。したがいまして、これらにつきましても、経過的な措置として事業を実施し、完了させるということが適当であるというふうに考えたわけでございます。  なお、緑資源公団は、従来から森林整備という公共事業をやっておりますし、今回、農用地整備公団の技術者等も承継をすることになっておりますので、この事業のいわゆる大規模、広域かつ集中投資、そして高い技術水準ということにこたえられようというふうに思われましたので、この際、緑資源公団がこれらの地区に係る残事業を担当する、承継するということにしたものでございます。
  156. 前島秀行

    ○前島委員 特殊法人の合理化というものがあって、そのことのつじつま合わせのために、今までやってきたことの取り扱いを合理化という目的に合わせて処理するということで、果たして農政という側面からいいだろうかなということを私はちょっと聞きたいんです。  この三つの事業の中で、畜産団地を中心にやっていた事業というのは、時代の趨勢から見ても、過去の実績から見ても、おおむね大きな山を越えて、大体行くところまで行ったなというような感じで私は理解いたします。  私の方でも、四、五年前に畜産団地の建設事業が終わって、一つ大きな変化があって、全体的な酪農畜産の方向から見て、この事業はもう大体終わりのところに来ているな、それだけの目的は達成したな。そういう意味で、合理化といいましょうか、公団の整理の中で、そういう取り扱いをしてもいいなとは思うんですが、残事業だけで終わりとするという、この三つの事業の中の農用地整備事業なんですよ、これが、農政の側から、これからの農業の側から、単なる特殊法人の整理統合という形の枠の中で処理していいだろうかということを私は問いたいし、また、それを今後どういうふうにしていくのかということなんです。  役所から、農用地整備率というのはまだ五〇%そこそこなんだという資料が出ているように、農用地整備というのはまだまだやるべきところはやらなくちゃいかぬではないだろうかな、私はこういうふうに思っているので、残事業だけでもって農用地整備というのが終わるのではなくして、後で質問したいと思っています特定地域整備事業の中に農用地整備公団がやっていた農地整備というのは引き継いでいくんだ、これがイコールという意味じゃないけれども、農用地を必要なところは整備していくんだよというこの事業そのものは今後ともそこの部分でやっていく、あるいはまた別な部分で農用地整備をやっていくのかどうなのか。その辺のところをひとつ聞かせておいてほしい、こういうことであります。
  157. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 農用地の整備水準がまだ低位の水準にある、具体的に圃場整備率で申しますと五五%ぐらいだろうと思うんですけれども、そしてこれから先も農用地の整備を進めなければならない。これは、食料の安定供給確保のためには農地確保とその有効利用というのは不可欠なものでございますので、農用地の整備につきましては、これから先も各種の施策を十分に活用してやっていきたいと思っております。  そのプロセスで、公団事業という形ではなくて、例えば国営事業で担当できるものもあるでしょうし、あるいは都道府県営を工夫することによって農用地の整備率を高めていくというふうな事業もありましょう。そして、今先生が最後におっしゃられた中山間地域のようにもう少しきめ細かい事業をやるところにつきましては、中山間地域の総合整備事業を入れたり、あるいは今回お願いをしております森林農地をあわせ一体的にやるような事業、これを拡充していくというような方向で、地域の振興と食料の安定供給に必要な農業基盤の整備はぜひとも進めていきたいというふうに思っております。
  158. 前島秀行

    ○前島委員 いわゆる農用地整備公団がやってきた事業というのは今回手をつけているところだけで終わるけれども、いわゆる農用地の整備というのは引き続きやっていく、その一部が今度森林公団、緑公団に引き継がれる新規の特定地域整備事業の中に吸収、継続されていく、こういうふうな基本的な理解でよろしゅうございますね。  それで、特定地域整備事業そのものについてちょっと具体的に聞きたいわけであります。どういう規模といいましょうか、どんなイメージで、どんな要件でということでありますが、いわゆる手続、事業実施の手続が、都道府県の方で基本的に申し入れるといいましょうか、計画を立案する、それを農林水産大臣が基本計画を練って公団に実施計画をやらせる、そして農林水産大臣が最終的に認可、こういう手続でこの整備事業が今後実施されていくということであります。  この実施されていく、認可される要件といいましょうか、どういう要件を持っている地域あるいはどういう整備の内容を持っている地域が認可されるのか、実施されるのか。その辺の要件をちょっと聞かせてください。
  159. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 要件でございますけれども、この事業につきましては、中山間地域における森林と農用地の有する公益的機能の維持増進を目的とし、またあわせて中山間地域の活性化を図ることを目的としておりまして、この対象地域としては、森林公団の水源林の造成事業の対象地域、これが地域の要件でございます。かつ、農業生産条件が不利な地域で、耕作放棄地が多くなることが懸念され、早急に対策を講ずる必要性の高い地域であるということを要件にいたしております。
  160. 前島秀行

    ○前島委員 そうすると、農林が一体という条件ですね。これは要するに、水源涵養保安林、それに指定されている地域というのが基礎的にあって、なおかつ農業生産、これは生産ですね、そして林業という、造林といいましょうか、要するに経営林といいましょうか、保安林だけではない、そういう林業農業というものも一緒に今後やっていくということを整備地域指定の条件にする、こういうことですか。
  161. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 御指摘のとおりでございまして、農地森林が所在する中山間地域について、農地森林の公益的機能の発揮と、また農業林業の活性化のために事業を行うことにいたしておりまして、水源林造成事業の対象地域をこの地域といたしますとともに、事業の工種は、農林地の保全整備また用排水施設整備や農林業用の道路、さらに農用地の整備、耕作放棄地等の集積、林地転換等を事業の内容として総合的に実施するものでございます。
  162. 前島秀行

    ○前島委員 この指定地域というのは面積的には相当広い面積になるのかな、こんなイメージになるわけでありますけれども、その中で、この手続の過程で、基本計画を練って、公団が実施計画をつくり上げていく途中で公告縦覧の手続を踏む。もちろん地権者の同意ということは当然であると思いますけれども、公告縦覧の手続を踏むということと、異議申し立てを認めていく、ここは非常に意味のあることだろうと思うし、またこういうことを必要とする地域ということが非常に環境の問題だとかいろいろな面で重要になってくるだろうし、またかなり大規模の整備事業における地域皆さんの合意というか同意というもの、自治体のかかわり方ということが非常に重要視されてくるな、こういうことですね。  そうなってくると、公告縦覧の手続の方法というのは非常に大切であるだろうし、またこれは慎重を要する側面もあるだろうな、こう思いますので、この公告縦覧の手続の方法というのは、範囲とか方法についてどんなふうなことを考えているのか。  あるいは異議申し立て、こう言っていますけれども、異議申し立てをできるのは地権者なのか、あるいは自治体なのか、周辺の住民を含めて異議申し立てということができる範囲なのか。そしてまた、異議申し立てというのは一体どの程度の効力といいましょうか、異議申し立てが出た場合にどの程度まで配慮をしていくのか。  その辺のところ、この事業を成功させていったり、効果あらしめていくために非常に大切であるし、事前に十分に地域皆さんにも、あるいは地域の自治体にも理解をさせておかないと、私は混乱する可能性というのは出てくると思いますので、この公告縦覧の手続の方法、それから異議申し立ての方法、範囲、あるいは異議申し立ての効力といいましょうか、どの程度取り上げるのか、その辺のところをちょっと聞かせていただけませんか。
  163. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 この事業につきましては、受益地一千ヘクタール以上を要件にすることにいたしまして、したがって事業の実施地区は通常数カ市町村にわたる広域になると考えております。  今回、この事業の実施計画の公告縦覧制度を導入いたしましたのは、この計画を地元の関係者の方に十分理解していただき、円滑、効率的に事業を実施し、また事業効果を十分に上げるためにこういった制度を導入させていただいております。  公告縦覧の内容といたしましては、この計画の名称や縦覧の期間、場所を記載した上で公告いたしますが、二十日以上の期間、相当の期間、したがって例えば三十日とか四十日になると思いますが、そういった期間を定めて実施計画の写しを広く地元で縦覧に供することにいたしまして、この事業に関係する利害関係人から異議の申し出を行うことができることになっております。  異議の申し出がございました場合には、農林水産大臣は、これは準用しております土地改良法の規定にのっとって、縦覧期間満了後六十日以内にこれの取り扱いについて決定することになっておりますが、これについては、この異議の申し出の内容を原計画案との関係で合理的なものかどうかということを十分に検討させていただいてこの決定をさせていただくことにいたしております。
  164. 前島秀行

    ○前島委員 この異議申し立てができるのは利害関係者、こういうあいまいな、解釈がどうにでもなる表現でありますけれども、いわゆる直接の地権者といいましょうか受益者なのか、それともそれにかかわる自治体が異議申し立てるのか、周辺住民、関係者異議申し立てる権利を有しているのか、その辺のところはちゃんとしておきませんと、別段、最初から異議申し立てることを前提という形じゃなくして、公告縦覧とか異議申し立てを認めるという以上は、ちゃんとやらないと混乱の要因にもなるのであって、またそのことは大事だと思いますので、その辺のところはちゃんとしておった方がいいと私は思いますよ。その辺のところをはっきりしてください。
  165. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 基本的なところを申し上げます。  まず、広い意味での関係人という点では、農林水産大臣が基本計画を定めますので、そのときに関係都道府県知事の意見聴取をいたしますし、またそのプロセスで関係市町村長から意見聴取をいたします。したがって、地域の行政なり地域全体としての御意見はそのときに賜るわけでございます。  それから、実際に公団が実施計画を定めるに際しまして、実施計画案を公表いたしまして、このときには当然のことながら事業参加者あるいは主要収益権者、こういった方々の同意が必要になりますが、そのほかに何らかの利害をこの事業によって受ける者、この者に対しまして、意見書の提出機会の付与というのがこの公表の後ついてまいります。その結果、この公表されたものを実施計画の形にまとめまして公告縦覧をし、異議申し出を受けるということになりますので、その異議申し出の際に利害関係があるかないかということもまた判断をさせていただくことになりまして、それが大臣の認可になるというふうなプロセスが基本でございます。
  166. 前島秀行

    ○前島委員 これから具体的になったときにまたいろいろ出てくることが予測されますもので、私はそこを指摘しているのでありまして、かなり範囲が広いだろう。林地、農地を一体にやるというふうなことになってきますと、いろいろな面で事業的にもあるいは地域的にもかかわってくるだろうな、こういうふうに思います。  そういうところで公告縦覧をやったり異議申し立てを認めるということは、ちゃんとしておくなりあるいは取り扱いをちゃんとしませんと、私は結果的には混乱が生じてしまうということが心配です。気になりますものですから、これはやるなとは言っていないのですよ、やる必要があると言っているのです。やる必要があるんだけれども、ちゃんとそこのところは最初の段階で明確にしておきませんと、非常に混乱するのではないかなという点だけを十分指摘をしていきたい、こういうふうに思っているわけです。  そうすると、この事業というのは、イメージ的にも場所的にも相当広い大規模な整備事業、そういうことを指定していくということになると思うのですけれども、この規模みたいなもの、あるいは指定件数みたいなものは、一、二カ所今既に調査が始まっているようでありますけれども、例えば、畜産団地をやっていったように、年に二、三カ所ぐらいずつ、あるいは総合整備事業というにはかなりの時間、五年以上とか十年ぐらいの時間をかけるような大がかりな規模の事業として指定をしていくのだ、こんなふうなイメージの指定事業といいましょうか整備事業だ、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  167. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 事業の規模につきましては、一地区当たり百五十億円程度、工期七、八年程度を想定しておりまして、地区数については、今年度二地区で事業実施に向けた調査を行うことといたしておりますが、その後については、この事業について、各地域での御理解のもとに、御要望がどの程度出るかによってこれから検討してまいりたいと考えております。
  168. 前島秀行

    ○前島委員 私は、この構想そのものは非常にいいわけでありまして、大いにこれからも、まだまだ地域整備、農地整備ということ、あるいは農林一体でこういう整備をするというところは中山間地に非常にあろうと思いますので、ぜひその辺のところは推進をお願いしたい、こういうふうに思っているのであります。  そこで、心配になりますのは、林も農も、単なる水源涵養だけではなくして、それぞれの、農は農としての生産活動もやるのだよ、林も単なる保安林だけではないよ、水源涵養だけではないよということになってきますと、当然、農家負担といいましょうか、受益者負担というものがあるだろうし、同時に、そのことの償還という問題が当然成否を決めてくるだろうし、また同時に、参加ができてくるか、成功するかというところの問題になってくるだろうと思いますね。場所が場所の中山間地域という前提があるわけでありますから、その辺の見通しという点、受益者負担というのはどういうふうに置くのか。  同時に、逆な意味からいうと、水源涵養あるいは中山間地の発展ということを考えますと、かなり公的資金を導入するような位置づけでないと、私は後の農業生産活動の展望を持ってもなかなか難しいのではないだろうかな。逆に、農家の側から見れば、それだけの受益者負担というものを背負わされるなら、なかなか参加しにくくなるという側面も現実の問題としては起こり得るだろうと思いますので、その辺の公的負担のつぎ込み方と、受益者といいましょうか農家の負担の償還の見通しの問題、兼ね合いなんかをどう位置づけていくのか、ちょっと聞かせておいてほしいのです。
  169. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 この事業は、先生から御指摘ありましたように、確かにそこにおける生産活動という側面があるわけでございますけれども、私たちは、中山間地域が果たしている公益的機能、これをやはりきちんと守っていこう。いわば、中山間地域というのは、生産条件が不利な上に、下流部に対してダムないしは防波堤という形での公益的機能を果たしているわけでございますので、この地域での農家負担の軽減という点は特に配慮をしなければいけない問題だろうと思っております。そういう点から、国の補助率につきましては、原則五五%、それから特に大規模な道などにつきましては三分の二という高い補助率を想定いたしております。  それから、農家負担につきましても、これからガイドライン等でどれだけが受益者の負担になるのかというふうな指導もしていくわけでございますけれども、やはり何よりも肝心なのは、きちんとした計画づくりをして、皆さんからこれで成り立つというふうな合意と御納得、これを得た上でやるということを考えておりまして、計画づくりには特に意を用いていきたいというふうに考えております。こういうことを通じまして、いわば負担金の償還が確実であることを確認した上で事業に入るということを考えております。
  170. 前島秀行

    ○前島委員 ぜひ私が言いたいのは、こういう事業、中山間地で農林一体でやっていく。しかも、そこに生産活動を伴うのだということは、正直、現在の状況、中山間地の持っている特徴、そこに特色ある地場産業をと簡単に一言で言ったって、それが純粋に農業的に成り立つかということについてはそう簡単ではないだろう、こういうふうに私は思っているところでありますから、やはりその辺のところの公的資金の投入という新農政の一つ観点というものは十分配慮してもらわなければいかぬだろうな、こういうふうに思いますね。  同時に、この事業というのは、これからの農政の方向の一つとして提起されてきているな。中山間地をどうするのだ、こういうことの政策的配慮の中でこの事業も追求されているというふうに受けとめるべきだし、受けとめたい、こういうふうに私は思っているわけでありまして、その中で、林業活動も、それから農業生産活動もそこで展開するのだという位置づけだろうと思うのです。  しかし、そうはいっても、では現実に、農業生産活動としてそれが全うできるかというと、そう簡単なものでもない。しかし、中山間地は何とかしなければいかぬという発想の中でこれがあって、総合的に展開されてきているだろう、私はこういうふうに思っているし、位置づけている。  そうすると、今度のこれからの農政の一つの柱として出てくる中山間地に対するいろいろな手だて、例えばその一つの構想として出てきているデカップリングといいましょうか、そういうものもやはり同じ思想といいましょうか、同じ考え方の中でとらえられる問題なのかな、そんなふうにも思っているわけでして、そういう発想といいましょうか、考え方、理念というものが具体的にこういう整備事業の中に出てくるのだ。これを適用するとか適用しないとかということになると、正直言って私はいろいろな議論がありますけれども、理念としたら、そういう中山間地におけるさまざまな機能を維持していくために、あるいは林業、あるいは生産活動を展開させていくためにこういう整備事業を位置づけていくのだ。  だとすると、いわゆるこれからの農政の一つの中山間地の発想であるデカップリング的な理念というものを前提としている、適用するとか適用しないとか、それが排除されるとか排除されないというようなことを私は今議論するつもりはないのだけれども、この整備事業はそういう理念というものの共通性を持っているのだ。そういう形で受けとめるのと受けとめないのとでは、要するに地元の農家、自治体にしてみれば全然対応が違ってくるわけでして、そういう意味での理念といいましょうか、考え方というのがこの整備事業の根底には存在するのだ、こういうふうに理解していいでしょうか。
  171. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 まさに御指摘のとおりでございます。  これまで中山間地域対策というのはどちらかというと、産業を振興することによって所得機会を増大させるということ、それから、定住条件を確保するという点で生活環境を整備する、この二つが大きな柱だったのですが、やはり現状を考えてみますと、耕作放棄地がふえたり、未手入れの山がふえたりということで、どうしても公益的機能がそがれるという点について、もう少してこ入れをしなければいけないという観点から、この事業、例えば農林地の一体的整備ということで特定中山間保全整備事業もいたしますし、今先生指摘になられました直接支払いについても、これから早急に結論を得て実施をしたいと考えておるわけでございます。  両者はそれぞれ別個の制度でございますけれども、共通いたしますのは、農業生産活動を通じて、生産条件が不利な地域における公益的機能の維持増進を図るということは共通の目的にしております。その意味で、御指摘があったことはそのとおりでございます。
  172. 前島秀行

    ○前島委員 デカップリングあるいは直接支払いということは非常に誤解を招きやすいから、そう簡単に適用するとかしないとかと言うべきことではないし、慎重でなければいけないとは思いますけれども、やはり中山間地対策、農業の持っている多面的機能を発揮させる、なおかつそこでもって林業農業を展開させるという状況から見ると、その辺の考え方というのをどう国民的理解を得てやっていくかということが非常に重要でありますので、ぜひその辺のところは十分配慮の中で、積極的にこの事業が展開されるようなことをぜひ地元の関係者に理解されるように進めてほしいということだけお願いをしておきたい、こういうふうに思います。  それから、大規模林道のことについてちょっと伺いたいと思っています。  先ほどの議論で、林道と一言で言いますけれども、いろいろな受けとめ方がありまして、長官が言われた感謝されているというのは、私は、どちらかというと作業道的な意味林道、作業道と林道、厳密に言えば違うのだろうけれども、作業道というのは林業関係者には非常に感謝されていますし、林業生産に直結しているものだろうと思います。では、言われる大規模林道というのは一体林業生産活動に直結するかというと、必ずしも言い切れない。  私のところにもありますよ。別の国道よりか林道の方が立派だとか、いっぱいありますよ。そのことは事実であります。ただし、一般論として大規模林道がすべて否定すべきものではないということも私は理解していますけれども。  それで、今後、大規模林道はどうしようとしているのか。  先ほどありましたように、見直しをされて中止になったり変更になったりしているという状況の中で、先ほどは規模的な、面的なものを言ってきました、その経費のことを言いましたけれども、距離的な側面から、今後、大規模林道はどの程度やっていこうというつもりですか。
  173. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 先生ただいま作業道のことにお触れになりましたけれども、この大規模林道は、そういった作業道、一番末端の森林の施業用の道路から公道に至って、林産物を消費地に搬出するため、あるいは集落から林業労働者が作業の現場に通うために必要な面もございます。  そのための公道や、あるいは集落と末端の林業地域を結ぶ骨格となる林道、それから末端のいわば毛細血管のようなものが作業道ということになろうかと思います。この大規模林道は、そういった骨格となる林道として、森林の施業、林業活動のためにも大変重要でございますが、あわせて、過疎化、高齢化に悩む農山村の生活や地場産業の活動等のための交通手段としても重要な役割を果たしているところでございます。  したがって、地元負担があるわけでございますけれども、地元からの強い要望に基づいて現在事業を推進しているわけでございます。事業の推進についても地元から強い要望が寄せられ、また事業効果が発揮される、林道として活用される段階になった大規模林道については、その効果について地元からまた感謝の声が寄せられているところでございまして、私どもは、現在持っております大規模林道の整備計画に沿って、着実にかつ計画的に、地元の要望に沿って推進していきたいと考えております。  もちろん、この事業の実施に当たっては、できるだけ効率的に、また環境面への配慮も必要でございますので、平成九年度から計画的なコスト縮減を実施し、また十年度からは再評価システムを導入し、事業が継続中のものにつきましては五年ごとにこれを再評価し、所要の措置を講ずることにいたしておりますし、十一年度からは費用対効果分析を実施することにいたしております。  それから、本年六月には、環境影響評価法に基づく環境アセスメントが実施されますが、この基準に沿って、この大規模林道もアセスメントを実施いたします。この基準を下回るものについては自主的な取り組みによる環境調査を実施し、さらに環境庁が取りまとめられましたガイドラインに沿って、イヌワシやクマタカ等の猛禽類保護のための調査や対策の実施をしたり、ウサギ等の小動物の保護の観点からスロープのついた特別な側溝を林道に設置するといったような施策も講じているところでございます。  地元の中山間、山村の関係者はもとより、広く国民の理解をいただきながら、着実な事業実施に努めてまいりたいと考えております。
  174. 前島秀行

    ○前島委員 作業道は確かに本当に林業等の生産活動に直結していますけれども、いわゆる大規模林道が必ずしもそれに直結するかどうかについては議論がある、このことだけは率直に言っておきたいと思います。  富士山の根っこに林道が、ずっと行ったら、行き当たったところは宗教団体だったなんというのがあるんですからね。もしあれだったら、大臣、一度見に行ってください。横を通っている国道はこんなになっていて、舗装されていないですよ。それから数キロ北のところの林道は六メートルで舗装されていまして、ずっと行ったら最後のところに宗教団体があるんですよ。それも林道ですよ、言っておきますけれども。林道です。  だから、作業道というのは林業に非常に直結されて意味がありますけれども、それは一般論として、やはりそこのところは見直さなくちゃいかぬところもあることは事実であります。ただし、私は、それをすべて否定はしません。必要だろうと思うし、同時にまた、環境への配慮ということも十分やった上で事を進めてくださいよ、こういうことを言っているわけでありますので、その点は十分配慮してこれからも進めていってほしい、こういうことをお願いしておきたいと思います。  それから、この公団の統合といいましょうか整理に当たっての職員の取り扱いについて、ちょっと一、二点聞いておきたいのです。  今度の二つの公団の取り扱いは、農用地整備公団が一応解散して、森林開発公団に合併していく。したがって、名前が緑公団になる、こういうことでありますが、当面の出発点は、農用地整備公団の職員が新しい緑公団に引き継がれて出発をする。その後どういうふうにするかについてはその後の問題だろうと思いますけれども、スタート時点では原則的にそのまま職員の取り扱いはしていくんだ、そういう形でスタートしますよ、こういう基本的な理解でよろしゅうございますね。
  175. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 法律案の附則第三条におきまして、廃止される農用地整備公団の一切の権利及び義務については緑資源公団が承継をするというふうに明記をいたしております。この一切の権利及び義務のうちには、農用地整備公団の職員の雇用関係も含まれております。  したがいまして、この結果、農用地整備公団の職員は緑資源公団に引き継がれることになっております。
  176. 前島秀行

    ○前島委員 それから、賃金その他の労働条件の問題ですが、法律の趣旨からいっても、緑公団、要するに森林開発公団に解散した農用地整備公団が合流する、こういうことでありますから、その辺のさまざまな労働条件といいましょうか要件は、母体として残っています森林開発公団の条件といいましょうかそこにひとつ基準を合わせていく、こういう理解でよろしゅうございますね。
  177. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 農用地公団は、これは廃止して移管することになります。  それで、先ほど局長から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、今後の緑資源公団としての新しい給与体系、勤務条件等につきましては、今後、公団の労使関係者において検討されることとなると思いますが、農林省といたしましても、両公団の実情や他の政府関係機関の給与、勤務条件等を勘案しながら、関係省庁とも十分協議し、適切に対応してまいりたいと考えております。
  178. 前島秀行

    ○前島委員 いやいや、そこをはっきりしておいてください。  農用地整備公団が解散になるんでしょう。そして森林開発公団は残っているんでしょう。それに吸収されていくわけだから、両者が解散して新しい体系をつくる、条件をつくるんじゃないんでしょう。法律的にもそうなんでしょう。その後どういうふうになっていくかはその後の問題だからいいとしても、農用地整備公団が解散になって森林開発公団に吸収合併されていくという形でしょう、法律的にも。  だとすると、さまざまな条件も森林開発公団の条件にまず合わせて、そこからスタートする、こういう理解でしょう。そうでないとおかしいですよ。それでいいですね。
  179. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 先生ただいま御指摘のとおりでございます。
  180. 前島秀行

    ○前島委員 大臣、国有林のときにもいろいろあったと思いますけれども、僕は、この種のことというのは、現場の労使が十分話し合っていくということが非常に大事だろうと思いますね。そういたしますと、先ほどの原則で、現場の労使が話し合っていく部分を政治の舞台の方は尊重していくんだ、この理解でよろしゅうございますね。大臣、そこのところ、基本的な原則として。
  181. 中川昭一

    中川国務大臣 緑資源公団は、純粋の公務員ではございませんから、そういう意味では、基本的には労使間の話し合いというものが原則ということで、それを尊重したいと思います。  ただ、農林水産省が指導する立場にございますので、そういう意味で、アドバイス的なことはしていきたいとも考えております。
  182. 前島秀行

    ○前島委員 ぜひ、その辺の筋だけは間違えないで、その上で、今後どういうふうに現場が話し合っていくかということはその後の問題だと思いますから、その出だしのところはちゃんと、農用地整備公団の解散に伴ってこっち側に移動する、そこから緑公団という形で出るんだ、この筋と、この種の問題は一義的には現場の労使が話し合ったことは尊重していくんだ。この原則を踏まえた上で、今後どうしていくかなどについては、またいろいろな対応があろうと思いますけれども、その原則だけはぜひお願いをしておきたい、こういうふうに思います。  それから、あと時間もありませんもので、共済絡みの問題で大臣に最後に聞きたいと思っているのは、いわゆるこれからの農業、農政の基本方向という問題、それから今回の例の関税化の方向性だとかWTO農業協定の中身の問題、あるいは今日の日本農業を取り巻く条件等々を考えますと、御案内のように、今までは価格を中心としていろいろな対応というのが中心であった、同時にまた国境措置というところに大きなウエートがあってさまざまな議論をしてきた、こういうふうに思いますね。  しかし、いろいろな意見はあろうと思いますけれども、新農業基本法の方向性だとか関税化に踏み切った今日的な問題、WTOのさまざまな農業協定の中身を考えると、全体的にどう所得補償していくのかということが、大きな方向性といいましょうか、課題になるだろうなと。  そうすると、これからの新農業基本法、農政を推進していく上における農業共済制度をどういうふうに位置づけていったらいいのかというところは、私は、農家の側にとってみれば非常に重要な視点ではないだろうかな、また、その方向性というものが明確になってきませんとなかなか意欲的な後継者というのも育っていかぬだろうな、こういうふうに思うし、また、今日的な日本農業を取り巻いている条件から見ると、専業農家というものをどう位置づけていくべきなのかなというところも課題だと思いますね。  そうすると、やはり、農業共済というのも、単なる作物別な、品目別な共済補償というだけにとどまってはいかぬ課題でもあるんではないだろうか。農家とか経営体という形の中で、どう所得確保していくかという視点がより重要になってきやせぬだろうか。  そうなってくると、農業共済制度のあり方というのも品目中心のものからどうだろうかとか、あるいは価格政策というのが、やはり農業協定から見るとなかなか難しい。これからは国境措置からグリーンボックスの政策をどう実現していくかというところが新農政の課題だとすると、例えば収入保険制度的なものをどう充実させていくかというのが大きな課題になってくる。  もう不足払い制度もだめだし、価格補てん制度もだめなんだという認識になっているわけでありますから、そういう状況から見ると、これからの基本農政を展開していく上における農業共済制度のあり方、あるいは新農政を展開していく上における政策的位置づけというのはどういう方向を目指すべきなのかということは、これからの農業をやろうとする者にとってみれば、非常に関心事ではあるというふうに私は思っています。  新農政を展開する上に、この共済制度あるいは所得補償というものをどういうふうに位置づけようとしているのか、大臣の基本的な認識を伺っておきたい、こういうふうに思います。
  183. 中川昭一

    中川国務大臣 今先生指摘のように、内的にも外的にもいろいろな大きな変化の状況の、あえて農林関係と申し上げますが、そういう中で、この農業共済制度を新しい時代の中でどういうふうにしていくのかということであります。  この後、基本法の御議論をいろいろいただくわけでございますが、共済の立場から申し上げますならば、あくまでも相互扶助的な原則、しかし生き物相手、自然相手ということで、自然に影響されやすい、自然災害を受けやすいという状況でありますから、そういう中での補てんというものをきっちりとしていかなければならない。したがいまして、掛金に対して国が半分以上補助を出しているというのが現在の制度であるわけであります。  それをさらに、麦でいえば品質分をカバーするとか、新しい果汁の品目を入れるとか、いろいろ今回改善をしておるわけでありますが、これを基本法の中でどういうふうに考えていくかということになりますと、基本的には、自然災害等の不測の事態に対して合理的にその損失部分をカバーしていくんだ、正確な条文ではありませんけれども、そういうような考え方でいかざるを得ない。  したがいまして、所得政策ということで、自然災害によって所得が激減したからその部分を保険でカバーするんだというところまではなかなか、保険という一つの精密な経験則と計算方法等、理論的な部分がいろいろ難しい計算方式で成り立っております共済あるいは保険というものでありますから、アメリカで今試験的にやっているようでありますけれども、いわゆる所得政策の一環として共済を活用するというよりも、あくまでも、一つの品目あるいはまたそういうものを共済という過去の蓄積の上に立って、そして、これからの農政のいろいろな、それぞれの農家あるいはまた農作物ニーズに対してどうやって柔軟に共済制度が発動できるかということに、今回の法案のポイントがあるというふうに我々は考えておるわけでございます。  そういう中で、また基本法の中で、先生のような御指摘も踏まえながら、いろいろな方策を今後検討していかなければならないというふうに考えております。
  184. 前島秀行

    ○前島委員 終わります。
  185. 穂積良行

    穂積委員長 次回は、来る二十七日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十九分散会